大強度陽子加速器施設評価作業部会(第12期)(第3回) 議事録

1.日時

令和5年12月11日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省内15階局1会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 前回中間評価の主な指摘事項に対する対応(2)
  2. 評価指標の検討について
  3. その他

4.出席者

委員

高原主査、飯沼委員、石切山委員、大竹委員、中野委員

文部科学省

稲田研究環境課課長、内野研究環境課課長補佐、田邉研究環境課専門職、村松素粒子・原子核研究推進室室長

オブザーバー

小林J-PARCセンター長、脇本J-PARC副センター長、大友J-PARCセンター物質・生命科学ディビジョン長、金正J-PARCセンター加速器ディビジョン長、野間CROSS利用促進部長

5.議事録

【稲田課長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回大強度陽子加速器施設評価作業部会を開催いたします。
 本日は、皆様、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。本日はオンラインとのハイブリッド形式で会議を開催しますので、まずオンラインについての留意点について御説明させていただきます。まず1点目でございますが、通信を安定させるために、御発言される際以外は、可能な限りマイクをミュートとしてください。2点目ですが、御発言される際については、マイクのミュートの解除をお願いします。3番目ですが、議事録作成のために速記者を入れておりますので、御発言の前にお名前をおっしゃってから御発言いただけるよう、お願いいたします。4番目、最後でありますが、会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしております事務局の電話番号にお電話をいただけるとありがたいと思います。
 なお、本日は、会議公開の原則に基づきまして、報道機関や一般傍聴者によるYouTubeでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 次に、配付資料の確認をいたします。現在、Zoom上に画面共有をしているので御覧ください。配付資料、1-1から資料3、参考資料1から参考資料3まで御用意しておりますが、落丁・乱丁がございましたら、お申出いただけるとありがたいと思います。
 これまでの議論のまとめについては、前回同様、参考資料1にまとめてございますので、御参考ください。欠落等ございましたら、お手を挙げていただきたいのですが、無いようでしたら、本日の出席者についての御説明に移らせていただきます。
 本日は、5名の委員の皆様に出席いただいております。内訳といたしましては、大竹委員及び高原主査に対面で御参加いただくとともに、飯沼委員、石切山委員、中野委員におかれましては、リモートで御参加いただいております。なお、飯沼委員については、やや遅れての参加となるという御連絡をいただいておりますので、あらかじめ、その情報をお伝えします。上村委員に関しましては、御都合により本日、御欠席となっております。
 なお、説明者等としまして、J-PARCからは脇本副センター長、金正加速器ディビジョン長、大友物質・生命科学ディビジョン長、CROSSからは野間利用促進部長にお越しいただいています。
 続きまして、文科省の出席者でございますが、私、稲田に加えまして、素粒子・原子核研究推進室長の村松が出席しております。
 それでは、以降の議事につきましては、高原主査に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【高原主査】  それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日は、5年前の評価の際の指摘事項への対応状況のうち、残りの論点についてJ-PARCの取組状況を確認しつつ、次回以降の議論の取りまとめを見据えて評価指標の検討を進めていきたいと思います。まず、議題(1)として、前回中間評価の主な指摘事項に対する対応(2)についてです。前半は施設の整備・運用、運営、中性子・ミュオン利用の振興について御紹介いただきます。資料1-1に基づきまして、J-PARCセンターより御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【脇本副センター長】  J-PARCの脇本でございます。資料1-1に基づきまして御説明を差し上げます。
 めくっていただきまして、資料の2ページ目、3ページ目でございますが、こちらは中間評価に当たっての主な論点、整理されましたものを表の一覧にしておりまして、本日、この資料で扱いますのは、この白抜きになっている項目でございます。4ページ目を見ていただきますと、その白抜きの項目を一覧表として整理してございます。これらおのおのにIDを振りまして、このIDの文言をこの後、各ページに、どこに対応しているかというのを入れ込んでおりますのと、また、このページの中で対応する資料のページ番号を入れておりますので、適宜御参照いただければと思います。本日、この資料1-1の説明に関しましてですが、前段の施設の整備・運用、さらに施設の運営という、この2、3、4という項目については脇本のほうから、また、それ以降の中性子・ミュオン利用の振興及びその他指摘事項のうちの特に中性子・ミュオン利用に係る部分ということで、この以下の項目について物質・生命科学ディビジョン長の大友より御説明を差し上げます。
 それでは、資料のページ5でございます。まずは施設の運営ということで、全体、一体的な運営ということが以前の中間評価では強く求められていたところでございますけれども、まず、J-PARCに関してはJAEAとKEKによる一体的運営を行っておりまして、両者の間で協力協定の下にJ-PARCセンターを運営しているという形になっております。また、以前の作業部会の中でもJAEA、KEKを通じて将来計画等を検討するような取組が必要だという御意見もございましたが、そういった取組についてもこの後、御紹介をさせていただきたいと思っております。また、こういった多機関による運営ですので、運交金や補助金といった多様な財源を持つというところが強みである一方、これを効率的に執行管理していくということについては、日々しっかりと努めているというところでございます。
 ページをめくっていただきまして6ページですが、次はMLF、物質・生命科学実験施設に関する一体的な運営というところでございますけれども、MLFになりますと、さらにCROSSが登録機関として入ってまいります。これら多様性を持った施設運営というものをMLFでは心掛けております。また、これらのステークホルダーの間でしっかり意識を共有するということも含めて、MLFの全体会議というものを年に3回から4回程度開催しまして、例えば上の右側にMLFの活動方針というものがございますが、こういったものをみんなで共有して連帯性を持って統一的に組織運営をするということに努めているところでございます。
 次の7ページでございますが、MLFの一体的な組織運営の(2)でございまして、特にユーザーの実験に関わるような共通業務につきましては、JAEA、KEK、CROSSが一体となってグループまたはタスクチームを形成して実施をしているというところでございます。その下に幾つか例が示されておりますような技術グループですとか、それから、安全審査、その他のタスクフォース、そういったものを三者連合で組織を作って取り組んでいるという状況でございます。
 次に8ページに行っていただきまして、今度はMLFのビームラインのほうの運営ということになります。これら多数ステークホルダーがおりますので、MLFにおいては様々なビームラインが存在します。KEKのほうで設置されるビームラインですとか、JAEAのビームライン、さらには共用ビームライン、そして専用ビームラインという形で多様なビームラインを持っているのですが、ユーザーから見たときには、これらを意識することなく、一元的な窓口としてJ-PARCユーザーズオフィスで全てユーザーは対応できるという体制を整えております。
 続いて9ページでございますけれども、これら多様な装置が存在する中で、さらに施設利用制度につきましても、様々多様なものを私ども準備しておりますとともに、装置ごとにそういった制度がいろいろございますけれども、こういったものについても外部の委員会や審査部会等を経て、透明性を持って課題審査を行っていくといったような運営を、JAEA、KEK並びにCROSSで一体的に行っているというところでございます。
 続きまして10ページでございますが、今年度、MLFの利用に係る手続を見直した部分がございますので、この場で改めて御紹介をさせていただきたいと思います。まず、変わったところといいますのが、左側の実験実施までのフローというところですけれども、施設側として約款を定めるというふうに変更いたしました。これで約款の中で、これまで多少不明瞭であった部分とかも、ある程度明確にして、ユーザーと施設側がしっかり意識を、施設を使うということについて共通認識を持った上で実験をしていただけるようにするということで、このような約款というものを改めて整備をしたということ。
 また、右側の実験終了後のフローにつきましては、実験が終了した後に、これは左側の矢印のほうに沿って下っていきますと、実験報告書というものを、成果公開型利用については、提出をしていただくということになっております。この提出を、必ずしっかりやっていただくということを踏まえて、督促メールを出させていただくとか、また、期日までに提出がない場合には、一時期的に申請ができないような牽制措置を講じさせていただく。また、最終的にそういった実験報告書を全く提出いただけないような場合には、成果専有と同等という位置づけで料金徴収等もお願いするというふうな形の対応を含めております。このような運用に関しましては、2024A期から実施するということで見直しを進めたものでございます。
 続きまして11ページですけれども、組織の枠を超えて将来計画を検討するということで、J-PARCでは年に1回程度、内部ワークショップを開催しまして、多様な将来計画を議論しております。そういった積み上げも踏まえて、2024年には将来のビジョンというのをテーマとしてJ-PARCシンポジウムを開催する予定でおります。下の欄、左側に内部ワークショップの開催というところがございますけれども、こちら、中で特にJAEAとKEKにまたがるような将来計画も若手の研究者、コミュニティから非常に精力的に提案をいただいておりまして、一つの例といたしましては、そこにございますような重イオン加速計画J-PARC-HIと呼ばれるようなもの、これはJAEAのタンデム加速器の技術と、それから、KEKが持つMR加速器、これらを同時に使って重元素を加速して原子核物理を進めていこうという提案なども受けておりまして、こういったものの検討なども進めているという状況でございます。
 続いて12ページでございます。こちらは施設整備という項目でございまして、こちらにつきましてはMLFでの生命科学実験促進のための環境整備として御報告をしたいと思います。MLFでは当然、中性子の強みを生かした生命科学実験というものが可能なわけですけれども、これを促進するという意味で環境整備を進めております。主に重水素化ラボですとか、分析ラボの整備といったものでございます。
 また、加えてAMEDのほうで実施されておりますBINDS事業というのと連携して実験支援等を昨年度から開始をしているところでございます。下の絵にございますように、重水素化ラボの整備につきましては、今年度から遺伝子組み換え実験も可能になりまして、研究員1名、技術員1名を配置して施設を実際に動かしているという状況になってございます。また、BINDSとの連携という観点におきましては、これは生命科学・創薬研究支援基盤事業と呼ばれるものですけれども、こちらに参加をさせていただいて中性子実験とか、重水素化試料の作製、それから、データ解析等の支援を開始させていただいて、2022年度には11件の支援をさせていただいたという状況でございます。
 続いて13ページでございますが、ここからオープンアクセスに関するお話でございます。まず、アクセス道路の整備ということで、ユーザーからJ-PARCへ入退域できるアクセス道路というのがかなり以前より要望されていたところでございました。我々のほうとしても、計画を具体化させていく中で、東海村のほうから、村の周辺地域へのアクセス向上といった観点から賛同いただきまして、現在、村との合同事業ということで、この道路を整備する計画を進めております。これまで詳細設計を終了しておりまして、許認可手続等を順次開始しているところでございまして、下の絵にございますようなピンク色で示されているアクセス道路というところに新たな道路を整備しようという計画が着々と進められているという状況でございます。
 続きまして14ページが共同研究拠点・実験機器開発棟の整備ということで、こちら、KEKのほうが主体となって行っている事業になりますけれども、J-PARCを利用する実験グループの実験機器や試料の開発・準備の場として、かつ産学・地域との連携拠点としてこの開発棟というものを今年度から整備を始めているというものでして、下の平面プランにございますように、オープンスペースといったようなところで様々開発・整備、試験等ができるような共有の場を持つというふうなところをこの建物として持っていくというところでございます。
 それから、15ページでございますけれども、オープンアクセスの範疇ではございますが、ユーザーの利便性という観点で様々取組を併せて行っておりますので、その紹介でございます。J-PARCにおいては、年2回、利用者協議会を開催しまして、そこでユーザーのニーズを把握しつつ、可能なものを順次、取組を実施しているところでございまして、その下の箱の中に幾つか取組例、記載させていただいておりますが、特にユーザーから研究所内での生活環境に関する要望等に関して、キッチンカーですとか、共用車、カーシェアリング、そういったようなものをできるところから徐々に整備をし、ユーザーの利便性向上に努めているところでございます。
 次のページからは中性子・ミュオンの利用促進に係る項目への対応状況というところに変わっていきますので、こちらからは大友のほうから御説明を差し上げたいと思います。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  物質・生命科学ディビジョンの大友です。
 まず、16枚目で中性子利用プラットフォーム「J-JOIN」の御紹介です。これも何回か御紹介しているのですけれども、産学官の異業種・異分野の人材が集い、新しい連携を創出することを目標として、J-PARCの中では中性子とミュオン、それから、JRR-3のほかに茨城県、東京大学、QSTの方とともに、こういったプラットフォームを運用していまして、大きなところとしては、コーディネーターを設けて、そこで、こんなことをしたいのだけれどもということを気軽に持ち寄っていただけるようなポータルサイトを作りました。
 右下にポータルサイトでのコーディネーターによる利用相談件数というものがありまして、かなりの数になってきています。将来的には中性子の潜在的ユーザーの掘り起こしのために、放射光分野への更なる拡大も重要と思っていまして、こういった利用相談窓口、それから、放射光と共同のアウトリーチ活動、情報発信などをしていきたいと思っております。
 次のページをお願いします。次は中性子産業利用報告会における学術/産業の交流というものですけれども、これは毎年行っていまして、中性子産業利用報告会としてやっていまして、主催の中には、中性子産業利用推進協議会が入っております。こうしたプログラムの立案には中性子産業利用推進協議会からも実行委員に入っていただいて、こういったプログラム、産業界の方にも興味があるし、それから、学術的にも興味があるというプログラムを工夫しているところですが、J-JOINが実施主体として企画しております。参加者は、約40%が企業の方で、多くの方から会に対しては非常に高い満足度をいただいているところです。ミュオンについてもセッションを設けて、いろいろな周知をしているところです。
 次のページをお願いします。学術界への情報発信というのが次のページなのですけれども、主なところとしては、量子ビームサイエンスフェスタというものを毎年行っていまして、これは物構研のフォトンファクトリーとの合同開催的なものなのですけれども、そのサイエンスフェスタの中ではMLFシンポジウムというものが1日設けられていまして、ここではMLFの利用成果について主に御紹介しているというところです。2020年から2022年度はオンライン開催でしたけれども、2023年度からは対面でやろうと考えています。
 次のページへ行っていただいて、ミュオンに関して。ミュオンというのは、まだコミュニティとしてはそれほど大きくないのですけれども、いろいろな利用が広がっておりまして、このように多くの大学との連携の下にミュオンの利用を進めているところです。装置開発とかμSRというようなこれまでのところに加えて、文理融合というのが新しく入ってきています。また、そのミュオンのコミュニティを広げるために、ミュオン輪講というものをJ-PARCのMLFのスタッフを中心に行っていまして、KEKの大学共同利用という枠の中でいろいろな可能性を追求しているというところになります。
 次のページをお願いします。次のページは、文理融合シンポジウムというものになりまして、これは異分野研究との連携の推進ということになります。今年も国立科学博物館で開催しておりまして、我々のような量子ビーム中心のものだけではなくて、文系の研究者の方にも来ていただいて、いろいろな文理融合とは何かということを議論しているところです。また、一般向け講演会もやっていまして、文化の日に多数のオンライン参加者に御参加いただき、やっております。この中には、ミュオンが中心なのですけれども、中性子も入っております。
 次のページをお願いします。東海のJAEAのキャンパスにはJ-PARC、MLFのほかにJRR-3という中性子利用施設がありまして、こちらでも大変先端的な研究が行われております。JRR-3で中性子装置を展開するJAEA物質科学研究センターや東大物性研、東北大金研との兼務や外部資金に基づく共同研究を実施しておりまして、ここに示すような結果が出ております。一番左上の成果は、MLFの成果としても取り上げたところです。そのほかに右の上のように新しい酸化物高温超伝導体の酸素元素の位置の解明、非常に精密な構造解析により求める、左下のように鉄筋コンクリートの非破壊評価のようなインフラ評価に関わるようなこと、それから、右下のミュオンを使った小惑星リュウグウの試料分析、ミュオンを使ってMLFでやっていますけれども、3号炉(JRR-3)ではプロンプトガンマを使った元素分析をやっております。
 次のページをお願いします。次のページから利用方法、利用制度の話になります。この図は、横軸が年代になっていまして、縦軸は成果公開と成果非公開に大きく分かれています。上の成果公開は、一番上の緑の帯で表されている一般課題(短期)というものから、紫の緊急課題の1つ上の、これも紫ですかね、1年課題と呼ばれるものまでが一般課題でして、年を追うごとにいろいろな一般課題を導入しております。この中で後ほど一般課題の長期と一般課題の学生PIについては御紹介したいと思います。成果公開の中でも優先課題とか、一般課題(リモート)というようなものも有償課題として導入しようと考えております。これも後でお話しします。非公開の中には、有償随時課題、それから、産業利用促進課題というものを導入しようとしているというところです。
 次のページをお願いします。次のページでは、今の表をR5年までとR6年からに分かれている形で書いています。R5年までは成果公開として一般課題と緊急課題、それから、成果非公開には非公開課題と緊急課題、この種類の中でバリエーションを持たせていたわけですけれども、R6年からは成果公開の中にリモートの課題や、優先課題を設けていく。それから、成果非公開の中では、産業利用促進課題、そして有償随時課題というものを設けていくということになっています。こういう形で利用の裾野拡大を図るとともに、自己財源化を進め、利用料収入の拡大とその利用支援の向上への充当を図るということを考えております。
 次のページをお願いします。次のページは、今御紹介した利用制度の詳細になりますけれども、成果公開の中で一般課題(リモート)というものは、これは有償課題です。遠隔機器等の整備状況を勘案しつつ、料金についても検討していきたいと考えています。優先課題というのも、これも有償になるのですけれども、国プロなどの大型研究資金に審査を経て採択された課題で、安全性、実施の技術的可能性を確認の上実施するということで、一般課題というのは学術的な価値等を審査した上で行うのですけれども、この優先課題については、その学術的な意義だとか社会的な意義ということは既に審査されているということで、安全性、実施の技術的可能性のみを審査して、なるべくタイムリーに、もしくは計画的に実験ができるようにしようというものです。
 成果非公開課題のほうに関しては、産業利用促進課題と有償随時課題というものが導入される予定で――すみません、有償随時課題というものに関してはR5年から運用開始です。産業利用促進課題については、CROSSや中性子産業利用推進協議会、茨城県等が産業利用の裾野の拡大を目的として支援する勉強会やコンソーシアム等に対して一部減額した料金による成果非公開を可能とするということで、これはある意味で産業利用の促進に役立つことがはっきりしている課題に関しては、こういう形でビームタイムを設けましょうと、そういう趣旨になります。
 それから、有償随時課題というのは、産業界を対象としていますけれども、産業利用の観点で緊急性、今後の発展性の観点から簡便かつ早期に実施することが適切とみなされる課題でありまして、これは先ほどのJ-JOINを窓口とします。これは必ずしもMLFでの利用が最適というふうには限らないので、まずは広くJ-JOINで中性子全般の利用ということで受け付けて、J-JOINの窓口で有償利用するにしても、JRR-3のほうが適切でしょうという場合には、そちらをお勧めするというような、そういった形になっています。
 次のページをお願いします。25ページ目になります。高度研究人材の育成や利用者の開拓ということですけれども、一般課題の中で学生PIの課題と、それから、長期課題というものを我々導入していまして、それぞれについて少し説明させてください。一般課題(短期)に学生PIを導入というものですけれども、これは2018B期から導入しております。右のグラフがありますけれども、一般課題の申請数が緑、一般課題の採択数が青となっていまして、それに対して学生PIによる申請数が橙色、学生PIによる採択数が赤色で示されておりまして、大体1割ぐらいが学生PIなのですけれども、採択率はほぼ同じ。かなりいい申請書が書かれていると考えています。スコアは優遇しないのですけれども、もし同点で競った場合には学生PIを優先するというようなことになっています。これで主体的に中性子利用に取り組んでくれるような学生さんを育てるということです。
 それから、一般課題(長期)の導入ということなのですけれども、これは3年間有効な課題で、大型プロジェクトの実施や企業との共同利用の研究にも実施されているのですけれども、これまで従来の長期課題の趣旨というのは、右の菱形のポチで書かれているような6つぐらいの項目があって、それぞれ長期が必要なものであろうと考えていたわけなのですけれども、一般課題の短期との棲み分けとか、あるいは一般課題(長期)を導入することによる全体への圧迫、一般課題の圧迫等もありまして、2024年度より長期課題の目的をより明確化するということで、下の赤い四角で囲ってありますように、測定技術高度化や人材育成もしくは予算的裏付けのある長期的研究プロジェクトにターゲットを絞って行うこととしました。場合によっては、装置担当者が、これは今の趣旨に合うものであると考えれば、施設枠と言われるようなビームタイム、先ほど脇本から説明があった施設枠と一般課題の枠の中の施設枠の運用も可能にしています。
 次のページ、お願いします。次はMLFの論文生産に関する分析になります。左上は論文数で、年次ごとにどのぐらいの論文が出てきているかということで、水色がいわゆる投稿論文ということで、橙色がproceedingsになっています。緑色の折れ線がTOP10%になっていまして、TOP10%、論文の数ですね。数は実質的に、全体に論文の数も上がり、TOP10%の論文数も上がっているというところになります。左下は日本の論文生産数に対するMLFの関与度ということなのですけれども、ここ何年かで徐々に上がってきているということで、生産性は上がってきているかなと考えています。
 また、CROSSの非常に強力な分析によりまして、右上のような形で課題実施後に経過何年で論文になっているかということも表されていまして、青色が2011年から2013年、赤色が2014年から2016年、緑色が2017年から2019年というところになっていますけれども、真ん中の折れ線が、4年後までを1としたときに、どのぐらいの数が何年後に論文化されているかということを示していまして、左に行けば行くほど早く論文化されているということになります。わずかですが、出版準備期間が短縮される傾向が見えておりまして、全体的に早く論文化されることで生産性が上がっていると考えております。論文数とともに論文化率というものも、課題実施に対してどのぐらいの論文が出版されているかという意味では50%ということになっていまして、これは海外の施設とも同等レベルにあるということです。MLFの論文等の量としては向上していると我々は考えています。
 次のページをお願いします。このような利用制度に関してユーザーがどのように満足しているかということで、毎年度、MLF利用者懇談会と共同でアンケートを実施しまして、それをMLFシンポジウムで説明しつつ、利用者懇談会からこういうことはどうにかならないかというようなことに関して、こういうことを考えていますということを説明していますけれども、1枚目は、いいことばっかり書いてあります。85%のユーザーが課題審査には公平と感じており、ユーザーラボに関しては90%のユーザーがGOODと言っており、90%以上のユーザーはソフトウエアの性能を評価していまして、95%以上はソフトウエアに関するスタッフのサポートを評価しているということになっています。
 2枚目、次にめくっていただいて、次は少し不満が多いというところになります。あえて申し上げますと、ビジター向けのコンピュータ/ネットワークアクセスがあまりよくない。それから、ページ右のユーザー控室があまりよくない。それから、左下は、休憩室/軽食コーナーについてもあまり満足度が高くなくて、FAIRとか、POORとかというのが結構多い。これに関しては、先ほど脇本から説明がありましたP15のキッチンカーのような取組もしておりますけれども、なかなか海外の施設やSPring-8に比べるとかなり貧弱ということですね。あと、ソフトウエアのリモートアクセスについても多くの要望が出ています。
 では、次に行きまして、産業界との組織対組織共同研究の実施状況です。これは、1番目は豊田中研との共同研究の状況ですけれども、駐在社員を派遣していただいて、特定課題推進員というポスドクを送っていただきながら、JAEA、KEK、CROSSが豊田中研の方と共同で特に燃料電池の解析について、今まで使われていなかったことに関しても技術開発をしながら実現してきている。そういう状況になります。
 次のページをお願いします。産業界という意味では、ほかにも住友ゴム工業との共同研究が多く行われていまして、中には科研費としてやっているものもあります。住友ゴム工業からもフェローシップとして駐在、常駐するような形で、JAEAに滞在されまして、フェローシップ、ポスドクとして採用されて、その後、住友ゴムに移籍されたという方もありまして、これも一つの頭脳循環かなと思います。
 次のページをお願いします。次のページは研究DXの導入による成果創出の効率化、利便性の向上ということになります。少しビジーな図ですけれども、左の薄緑色のところがビームラインでは、こういった機器を制御しております。ビームラインから出たデータが下の赤の1のストレージシステム高度化というところで、ストレージシステムに蓄えられて、2のリアルタイム解析用CPU整備ということを行ってリアルタイムにユーザーが状況を把握する。それから、取ったデータ、ストレージに入ったデータについては、3のマテリアルインフォマティクスだとか機械学習型ソフトウエアの整備によって、これも成果創出につなげていく。
 それから、データに関してストレージからクラウド環境へ対応して、その先にはRBMと言われるようなところ、もしくはSPring-8との共有ということも考えつつ、クラウド環境そして、リモート環境を整備していきます。クラウド環境等の整備、それから、今の中の整備でリモートアクセスについては、リモート解析、リモートアクセスについては対応していこうと考えています。ただ、課題としては非常に大がかりなシステムで、これらを運用するための人員というのが非常に重要になっていまして、整備、維持・保守のための人員の確保というのが課題です。
 次のページをお願いします。次のページは、オンラインではこういうインターフェースで解析しておりますということで、幾つか技術的には可能になってきていて、徐々に広げていく段階ですということを示しております。
 次にお願いします。33枚目は自動化において、それから、遠隔化、効率化、データ駆動型研究ということですけれども、左端の自動化・遠隔化・オープンデータ化というところでは、先ほどの装置から取得したデータに関しては、外部への提供も考えておりますし、それから、遠隔化、効率化という意味では、機械学習等を用いて低カウントでも有意なデータが出るように、機械学習で基本的にはどのぐらいが十分かということを判断するというようなことが1つ効率化につながるかなと思います。それから、実験計画の最適化というところも、実験の効率化の支援になります。ここら辺についても機械学習を使って進みつつある。
 それから、データ駆動型研究ですけれども、これに関しては、実験データからモデルを仮定せずに緩和モードの分布解析を行うとか、非常に新しい解析が行われていまして、これはある意味、住友ゴム工業との共同研究による成果です。それから、中性子の特徴を生かした動的な構造因子を、機械学習ポテンシャルを使って効率的に計算するということもできつつあります。
 次のページをお願いします。次からはCROSSの取組状況を私が代理で紹介させていただきます。共用ビームラインの利用促進サイクルということで、34ページのようなサイクルをCROSSのほうでは担当しておられまして、利用相談・利用手続から始まって課題選定、実験・解析支援、成果創出、成果分析というような形で、このサイクルをきちんと回していっていただきます。課題選定では、例えば全部で5,613件の申請があったところ、CROSSの共用ビームラインでは2,551件ということで、半分近くが共用ビームラインで、成果創出というところでは、全体で184報だったときに、共用ビームラインからは76報ということで、全体として非常に高い生産性を維持していただいています。利用促進・利用者拡大というところが左のほうにあるわけなのですけれども、309回の研究会等の開催をされていたりとか、トライアルユース等で109件の課題を実施されたりしております。
 それについては35ページに詳しく書いてありまして、35ページに行っていただきますと、研究会・講習会としては、ここにあるような講習会、研究会を開催しておられまして、特に中性子に限らず、大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携ということでCROSS、RIST、JASRIとの連携であり、それから、放射光・中性子の連携利用に向けた合同研修会ということで、施設横断的な利用促進と人材育成ということをやっておられます。特に最後の合同研修会ですけれども、お互いの装置担当者レベルでの交流も深まっていまして、これはいずれ広く利用促進につながると期待しています。それから、初心者の支援についても幾つかのトライアルユース等のプログラムが行われていまして、CROSSが全面的にサポートして新規ユーザーを育成しております。
 最後のページになります。36ページですけれども、産業利用の拡大ということで、企業連合体の支援、産・学・施設の連携により産業利用成果を最大化ということで、2019年からは機能性高分子コンソーシアムを立ち上げられまして、5大学、企業5社が関わって論文作成まで行っております。発展形として量子ビーム分析アライアンスというものが京大を中心に作られまして、そこでの活動をCROSSが事務局としてサポートしている。
 それから、左下の中性子産業利用推進協議会との連携ですけれども、中性子産業利用推進協議会はJSTの名誉理事長の中村道治先生が会長を務めておられまして、非常に広い範囲から中性子の産業利用についてアドバイスいただいております。それから、右の茨城県産業利用ビームラインの利用促進というところでは、CROSSの中に中性子産業利用推進センターというものが2023年度から創られまして、茨城県の2つのビームラインを運営されておられまして、県内企業の人材育成事業として講習会、企業訪問を19回実施するとともに、実験支援をされているところです。
 以上になります。
【高原主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのJ-PARCセンターから御説明のあった内容に対して御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。質疑の時間は20分程度、4時ぐらいまでを考えております。複数質問がある方は、1つずつ質問していただいて、一度に質問されると、施設側も非常に回答しにくいと思いますので、1つずつ、複数ありますとおっしゃっていただいて、複数質問いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。では、中野先生、お願いいたします。
【中野委員】  ちょうど最後のページのところで、量子ビーム分析アライアンスというのが出ているので、これに関連する質問があります。J-PARC、J-PARCと非常に密接に連携しているKEK等にいろいろな量子ビームがあって、中性子、それから、ミュオン、放射光、それ以外に電顕とかあるのですが、異分野融合とか文理融合の研究課題で全く今まで量子ビームを使ったことのない人たちが量子ビームを使おうとすると、技術的な支援の前に研究に対するコンサルティングというか、どのビームを使えば本当に自分のしたいことができるのかというようなところから支援が必要だと思いますが、この量子ビーム分析アライアンスに似たような仕組み、あるいは取組というのをJ-PARCセンターのほうでされているでしょうか。もしされているようでしたら、それについて御説明ください。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  では、大友から御説明します。それに関しては、私たちとしては、J-JOINをその枠組みとして使いたいと考えておりまして、J-JOINはページで言いますと、16ページです。16ページにお示しした中性子利用プラットフォーム「J-JOIN」というのが、我々としてはそういった方向で活用していきたいプラットフォームになっています。
【中野委員】  分かりました。今ここでは中性子と放射光しか掲げられていませんが、将来的には他の量子ビームも追加されるのですね。あ、ミュオンは既に入っていますね。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  そうですね。はい。
【中野委員】  分かりました。では、中性子、ミュオン、放射光ということで、J-JOINをそういうユーザーに対する支援のワンストップにしていくということですね。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  はい。そうです。
【中野委員】  理解いたしました。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  ありがとうございます。
【高原主査】  ほか、いかがでしょうか。
【大竹委員】  もしなければ、いいですか。
【高原主査】  はい。どうぞ。
【大竹委員】  御説明、ありがとうございます。8ページ、9ページのところでビームラインの運営ですとか、課題の一体的な審査という御説明をいただきました。こちらの中でKEKのS型課題とかP型、ミュオンはもちろん中性子もそちら、入っているのですが、この辺りというのは、例えばS型課題のところでKENS-PACで審査をやられていますというような形になっていて分かれているように見えているのですが、こういったところでのJ-PARCセンターとしての方針であるとか、それから、先ほど23ページで御説明があった優先課題の新しい取組ですとか、そういったところの乗り入れとか、またはこの元になっている枠が違うのかもしれないのですけれども、やはりこれだけ長年一緒にやっていて、そういったところの全体としての枠組みの融合性みたいなことというのは、お考えになっているのでしょうか。
【脇本副センター長】  脇本からお答えします。まず、KEKさんのほうの仕組みにつきましては、もちろんKEKさんのほうで運用されています大学共同利用というものがございますので、そこの枠の中でS型課題等をされているのに加えて、一定割合をJ-PARC、ほかの装置と横並びで、いわゆる一般の課題募集に対して応えていただく枠として設定をいただいております。先ほど御紹介しておりますような利用制度につきましては、KEKのビームラインにおいても、そういった一般課題として扱う部分、そこの中では共通の扱いとしてやれるものという形で考えております。
【大竹委員】  そうすると、優先課題というのは、この中には入ってこない。
【脇本副センター長】  優先課題というのは、例えばKEKのビームラインでしたら、一般課題として開いている枠の中で実施をさせていただくような部分になってくるかと思います。
【大竹委員】  ありがとうございます。
【高原主査】  よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。石切山先生、飯沼先生、オンラインのほうから何か御質問ありますでしょうか。
【石切山委員】  石切山ですが、よろしいでしょうか。
【高原主査】  はい。お願いいたします。
【石切山委員】  幾つかございます。まず1点目は、24ページ目で中性子産業利用促進協議会と書いてあるのですが、これは、推進協議会の間違いではないのでしょうか。促進協議会というのもあるのでしょうか。
【脇本副センター長】  失礼しました。おっしゃるとおりで、「推進協議会」の間違いです。
【石切山委員】  分かりました。質問のほうは、4ページ目です。前回の参考資料3の6ページ目では、「民間企業が参加しやすいよう、競争領域と非競争領域の研究開発を柔軟に実施できる体制を整備することが重要」という今後の課題と推進方策がございますが、その辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。
【脇本副センター長】  脇本です。まず、成果公開というのに関しては、これはある程度柔軟に応募をいただける。当然、J-JOIN等を通じて御相談いただきながらやっていただけるという形になっているかと思いますし、また、非公開の利用についても、J-JOINで緊急有償利用、正しい名前で申し上げると、有償随時課題ですね。有償随時課題という形で、より柔軟に、J-JOINのほうに御相談いただければ、非公開の実験を柔軟にやっていただけるような仕組みというものを導入したところでございます。
 今後につきましては、さらに、その両者の間、完全非公開と完全公開というところの間を取り持つような、橋渡しをするような意味で、先ほどお話がありましたような産業利用促進課題といったようなところでコンソーシアムであったり、勉強会であったりというところで、まずは企業さんが気軽に成果非公開で、そういうコンソーシアムとして共通課題で使っていただくというふうな枠組みを入れることで、よりさらに柔軟性を増していきたいというふうなところでございます。
【石切山委員】  ありがとうございます。実は企業のヘビーユーザーさんにヒアリングさせていただいたのですが、次のような御意見をいただいています。
「企業利用においては、成果専有課題が多いのではないかと思いますが、成果非専有課題ではオープン化がなされます。大学、研究所のデータはオープンにすべきだと思いますが、企業のデータに関しては経済安全保障を考えると簡単にオープンにすべきではないと思っています。SPring-8とは文化が異なり、J-PARCは学術寄りの思想が強いのでオープン、クローズ戦略はきちんと考えていただきたいと思っています」という御意見をいただいています。要は、企業の成果公開課題では経済安全保障の観点から、完全にはオープンにすべきではないという御意見かと思いますが、これに関しては、どのようにお考えでしょうか。
【脇本副センター長】  成果公開、非公開、まずは成果公開というのは、やはり実際にそういった成果を公開していただくということになるのですけれども、今、おっしゃっていただいている御意見が、さらにデータの公開ということに踏み込んだお話であるというふうに、私、捉えましたけれども、もしそうである場合には、今後、そういったところのデータに関するオープン、クローズ戦略、データポリシーといったようなものは、しっかり検討させていただきたいと思っておりまして、いただいたような御意見、また、参考にさせていただきながら、主要な企業ユーザーさん等の御意見も伺いつつ、そういったところはしっかり検討してまいりたいと思います。
【石切山委員】  ありがとうございます。結構です。データのオープン、クローズ戦略をぜひお考えいただければと思います。
 最後はコメントですが、中性子産業利用報告会には、企業の方も非常に多く参加されており、学術、産業の交流の場としての役割を果たしていると認識しております。企業にとって施設活用の事例の紹介というのは、自社の研究開発の適用検討の際に非常に有用な情報を提供していると考えておりますので、ぜひ、継続して進めていただければと思います。
 以上です。
【高原主査】  ありがとうございます。
 それでは、中野先生、挙手されているようですので、お願いいたします。
【中野委員】  成果公開の優先課題について、有償で実験するという課題について質問なのですけれども、まず、その割合、全体の中で占める割合はどれくらいをお考えなのかというのが1点。
 もう一つ、関連するので連続させていただきたいのですが、国プロなどの大型研究資金に審査を経て採択された課題ということは資料にありますけれども、例えば科研費の大型のもの、特別推進連携であるとか学術変革とか、そういう大型の科研費というのも対象になるのでしょうか。
 以上2点です。よろしくお願いいたします。
【脇本副センター長】  ありがとうございます。脇本からお答えします。まず、割合につきましては、これはやはりその他の一般課題とのバランスというものも考えないといけないとは思っておりますけれども、おおよその目安として最大で各ビームラインの10%を超えない範囲というふうに考えております。ただ、これも運用してみてというところではございますけれども、どの程度のニーズがあるのかというところを踏まえながら、その辺は柔軟に対応していきたいとは考えているところでございます。
 また、科研費は対象になるかということでございますけれども、これは対象になると考えております。
【中野委員】  ありがとうございます。
【高原主査】  ほか、いかがでしょうか。オンラインも含めまして。
【飯沼委員】  すみません、飯沼です。
【高原主査】  お願いいたします。飯沼先生。
【飯沼委員】  本日は遅刻して参加で大変申し訳ありませんでした。ほとんど最後のページから聞いただけなので、今、資料を眺めまして気づいた点なのですが、質問させていただきます。25ページ、高度研究人材の育成や利用者の開拓というページで、学生のPI採択と一般採択がほぼ横ばいで――あ、違うか、これは。左と右で見るのか。だから、10分の1が学生のPI、一般に対して10分の1が学生のPIで、年間を通してどちらも安定していると見ればよろしい図ですか、まず、これは。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  大友です。はい。そのとおりです。
【飯沼委員】  はい。分かりました。ありがとうございます。この学生PIの採択のこれ、ビームラインの内訳とか、その実際にビームラインごとに学生が多く利用しているとか、何かそういうのでやっぱり相関が出ているのかなと察するのですけれども、そういう相関があると、そこから博士を取って研究者になっていく学生とか、その追跡調査とか、そういうのとかというのはできそうな話なのでしょうか。というのがまず1つ目の問合わせになります。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  大友がお答えします。今回も実験された方とか、あるいはMLFで受け入れた方の将来というか、その後のキャリアパスみたいなものを調べたりはしているのですけれども、なかなか追跡が難しくて、その方の特定が難しくて、大学の方から情報をいただかないと、なかなか情報がないなという状況ではあるのですけれども、今の飯沼先生からいただいたようなコメントもこれから反映、今はできないですけれども、これからモニタリングできるようなことを検討していきたいと思います。
【飯沼委員】  はい。分かりました。これに関しては、大学の教員ももっと積極的に協力すべきだと認識しますので、そういう方向で協力させていただきたいと思います。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  よろしくお願いします。
【飯沼委員】  次のページ、論文生産に関する分析なのですけれども、これも関連してくるのですけれども、学生がいると必ずペーパーにつながると思うので、それをトラックしてペーパーのほうまで何か、ペーパー増加につながる、若い人が利用するほうが恐らく、D論だとか自分のキャリアパスのために一生懸命、論文を書くと察するので、そういうアクティビティの出し方もあるのかなと。なので、25と26ページで、そういう何か中長期的なトラックができるような、そういうシステムを大学ですとか利用者の所属先とかと連携してやっていくと、また魅力的な評価の仕方ができるのではないかなと思いましたので、それはコメントになります。
 次に、ユーザーの満足度にも関わってくるのですけれども、ウェブ上でのデータ処理のほうで、これは32ページになります。非常に努力なされているということが受け取れたのですけれども、その一方で、28ページ目のユーザーの満足度を見ますと、EXCELLENTはなかなか厳しいが、POORとFAIRがまだちょっと残っている。この辺に関しては、努力はし続けていても、まだこの辺がこういうことなのかなと察するのですけれども、具体的な理由というのはどういったものがあるのでしょうか。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  大友です。まず、一つ申し上げなければいけないのは、ビームラインによっても大分リモートアクセス環境の充実度が異なっていると思います。あとは、ソフトウエアのリモートアクセスというのが、実はJ-PARCの中ではやっぱりサイバーセキュリティ等の問題もありまして、問題というか、セキュリティの確保ということもあって、あまり自由にはできないのですね。事前の登録とか、そういうところで、なかなかハードルを超えられない方もおられると認識していて、そういう方にとってみれば、利用までのハードルが非常に高いので、そこをもう少し何とかしてほしいというのがあるというふうには認識しています。
【飯沼委員】  なるほど。インフラとしては整備しているのだけれども、ユーザー側には、もう少し。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  そうですね。使いやすいというか、セキュリティとアクセスの容易さというのは相反するので。
【飯沼委員】  そうですね。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  そこら辺ではなかなか、ある意味でフレキシビリティを高めればリスクを負う必要があって、そのリスクを負うだけの十分な体制を整えれば、どんどんリスクに踏み込んでいけると思うのですけれども、現状の人員の中でやっていくとすると、できる範囲でやっている。そうするとなかなか本当の自由にリモートアクセスができないというところがあるかなと思っています。
【飯沼委員】  今後の方針としては、ハードルを高いと感じるユーザーに対する教育みたいなものをしながら様子を見るという形になるのですかね。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  一つは、J-PARCのMLFのサイトの中に変なものを持ち込まれてしまうと実験にかかわるので、MLFの主要なインフラとは切り離したところにそういう解析環境なりアクセスするための環境を作るというのが一つの考え方で、それがクラウドシステムを使うとか、そういうところのアイディアに今つながっているところです。ですので、両方、使えるものをなるべく使っていただくということと、我々としてこれからということを考えていますので、そこで、まずいろいろな御意見を伺いながら使いやすくしていくという、その2本立てを考えております。
【飯沼委員】  はい。分かりました。ありがとうございます。
 私からは以上です。
【大竹委員】  すみません、1点お願いいたします。今のお話とも多少関わるかと思うのですが、31ページのところで研究DXの導入による成果創出の効率化、利便性というところで、成果創出の効率化というのは26ページの右の上のグラフで、だんだん早くなってきている傾向が見られるというところでも相まっているのかと思うのですが、こちら、一番下に書いてある人員の確保、この人員の確保って、多分、資料1-2のほうでもまた人材育成等で触れられるとは思うのですけれども、まさに今、大友さんがおっしゃったように、当初は想定していなかったクラウドサービスであるとか、様々なことが、特にこの課題というか、取組に関しては発生していると思うので、少し具体的にその人員の確保計画であるとかというようなところを出していただけると、より何が足りなくて、ここまでこれだけやってきているけれども、これでは回らないというようなところが具体化されるのではないかと思うのです。これまでの取組の中で特に今感じていらっしゃる、または実は全然回らないけれども、無理やり回しているところとかおありになれば少し教えていただけると、多分、どこの機関でも抱えていることかとは思いますけれども、でも、今おっしゃったとおり、セキュリティとオープンとって、本当に反することを同時にやらなければいけないので、その辺り取組を具体的に教えてください。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  では、大友からいいですか。
【高原主査】  はい。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  こういった分野というのは、必要とされているのは、何も大型施設に限らなくて、一般企業も全部こういうことに取り組んでおられるのですね。一般的にやはり専門家で非常に有能な方になると、正直、給料が高くて、研究者レベルではないというところもありまして、そもそも人員確保というのが難しいので、やはり大型施設でのこういう利用に関して、非常に重要だと思っていただくような方をうまく見つけてくるしかないかなと。単なるIT技術者だと、どうしても外部のほうがいい環境なので、そういう意味で間口を広げつつ、また、定着はしていないかもしれないので、いろいろな雇用形態でやれるようにしていくことが大事だとは思っています。人数的には、ざっと数えても四、五人は必要かな、そういう専門の方が必要かなとは思っています。
【高原主査】  よろしいですかね。
【大竹委員】  はい。ありがとうございます。
【高原主査】  あと、私から、今のお話とも関連ありますけれども、やっぱり重水素化ラボとかやり始めますと、全く別の分野の研究者が必要になってくるので、それを定常的に確保するというのは非常に大変なので、いろいろな取組をこれから検討していただければと思います。
 それからもう一つ、論文生産に関する分析のところですが、装置を立ち上げてから最初の論文が出るまで大体やっぱり3年ぐらいはかかりますね。大体、それからどんどん論文数が上がっていくというのが一般的ですけれども、そういう傾向で今進んでいるのかどうかというのと、それからあと、あまりこの辺りでいろいろ煽るとよくないのかもしれませんが、海外との比較というのは、どういう感じでしょうか。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  大友からお答えします。海外の方の施設長クラスの方にも、こういうデータはお見せして、MLFはどうでしょうかというのをお聞きすることはあるのですけれども、ここまで調べている施設はあまりなくて、トータルとして50%ぐらいが論文化されているのだったら、それはうちも同じぐらいだよというようなことを言われていますので、今の論文生産性としてはそんなに悪くないのかなと思います。
 ただ、年数に関しては、例えばMLFの中にファストトラックプロポーザルというのがあって、それは本当に1日だけ実験するとか、論文をするのに中性子のデータが必要だと言われたので1個だけ取りたいとか、そういう方を受け入れるようにしているのですね。そういうのは、論文化までの時間は短いはずなので、それも効率的にやっていくということは、一つ早める、早めつつ論文数を増やすという意味では有効ではないかなと思っています。
【高原主査】  ありがとうございます。
 大体、予定の時間になりましたが、どうしても質問したいという方がいらっしゃれば、挙手をお願いいたします。もし後でこれについてお聞きしたいということがあれば、またメール等で御連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。続きまして、(2)につきましてJ-PARCセンターから御説明をお願いいたします。
【脇本副センター長】  それでは、J-PARC、脇本から資料1-2に基づいて御説明させていただきます。
 まず、2ページ目、3ページ目は先ほど同様、前回中間評価の主な論点のリストでございまして、本資料で扱うのは白抜きになっている項目でございます。4ページを見ていただきますと、これら白抜きの項目を一覧表に整理しておりまして、これも同様にIDを振って対応ページ等を記載してございますので、適宜参照いただければと思います。
 それでは、こちらの項目に沿って順番に御説明をさせていただきます。まず、資料5ページでございます。施設安全に係る部分でございますが、安全に関しましては、今年度、火災があったということを最初に御報告、おわび申し上げないといけないというところでございます。今年度、2件の火災が発生しております。右側の絵の中にありますJ-PARC MR第2電源棟という部分と、それから、J-PARCハドロン電源棟というところでそれぞれ4月と6月に火災が発生したという事象がございました。これらの事象の少し詳細に関しましては、下におのおの箇条書きにてまとめているところでございますけれども、これらの事象に対しましては、J-PARCとしても特にKEK、JAEA、分け隔てなく、J-PARC全体で対策会議というものを設置しまして、原因究明や再発防止策をみなでしっかり検討して、この対策の徹底をして施設の運転再開に順次進んでいるという状況でございます。
 続いて6ページでございますが、その他安全の取組に関して、主に2種類、1つが安全管理に係る業務の不断の改善というところがページの上半分に記載してございます。こちらの取組に関しましては、まずはその1つ例といたしまして、中段付近に書かれておりますような緊急時支援チーム、これを発足させたでありますとか、あとは各ディビジョンで行うような安全確認検討会、これをマニュアル化して、しっかり安全確保に努めていただけるようにしたというふうな取組。さらに、その他のところに書いてございますけれども、体感型の安全教育というのを実施しておりまして、J-PARCでは現場で作業をする職員ほぼ全員が受講を完了するといった状況になってございます。
 あともう1点の安全の取組というのが、安全文化醸成活動でございます。この活動の一番大きな例といたしましては、J-PARC安全の日というのをハドロン事故が発生した5月23日の前後に開催をしております。この中では、講演会ですとか、また、当時の事故映像、記録映像、これを上映して安全文化醸成を図っているというところですが、特に講演会では、例えば2021年、ANAの方に来ていただいてアサーション文化というふうな御講演をいただいたのですけれども、それらに関してもセンター全体で、そういったいい取組については取り入れて、2023年からアサーション活動を展開する、あとは記録映像の上映に関しても、その後の討論会、意見交換によって当時を知らない人、若い人たちにも安全意識を高める機会にしていただいているという状況でございます。
 続いて7ページからは、国際拠点としてのJ-PARCという点での項目でございます。まず、世界的な位置づけというところでございますけれども、J-PARCのような大型の加速器施設というのは、欧米にやはり集中して存在しているという状況でございます。アジアでは、やはりJ-PARCが非常にユニークな存在としてございますので、やはり世界の3極の1極としてのJ-PARCとして国際化というのは常に重要なテーマであるということでございます。
 次のページへ行っていただきまして、そういう中でJ-PARCの優位性といいますか、世界との比較という観点で述べますと、何といっても左側に記載しておりますように、パルス当たりの中性子強度が世界一であるということが挙げられると思います。これは単に大強度というだけではなくて、やはりそのベースとなります水銀の標的でありますとか、さらには中性子の減速装置、こういったものが非常にJ-PARCでは高性能であるということが功を奏して、こういう世界一を達成していると考えてございます。また、その他にもニュートリノ実験という観点で見れば、ニュートリノを発生させるパルス当たりの陽子数といったものも世界一ということが言えると思います。これは右側のグラフで示してあるとおりでございます。
 続きまして9ページでございますけれども、J-PARCのユーザー来所者数でございます。これまでの来所者を積算しますと、左側の円グラフにございますように海外からの来所者がおよそ3割になってございます。下の棒グラフが年次推移でございますけれども、2020年、2021年とコロナ禍におきましては、海外からの来所者が激減したという状況でございましたが、2022年からは回復傾向にあるという状況でございまして、今後さらに海外からのユーザーはコロナ禍以前の状況まで復活してくるものと期待をしているところでございます。
 次の10ページでございます。国際的な利用という観点では、MLFは非常に数多くの海外からのユーザーを受け入れているという状況でございますが、MLFにおきましては、特に輸出管理という点においてもしっかり配慮させていただきながら、国際的にユーザーを受け入れているという状況でございます。2022年度におきましては、海外による利用が全体の約3割を占めているという状況でございます。海外利用の割合の推移のグラフがございますが、申請割合、採択割合ともに年を追って増加傾向にあるという状況です。また、下の段に2023B期における海外利用の割合を示してございますが、真ん中の採択割合を御覧いただきますと、海外の採択率が35%ということになってございます。その右側の表を見ていただきまして、国別採択数をまとめてございますけれども、やはりアジアにございますので、中国からの利用というのが最も多いという状況でございます。
 続いて11ページ、国際協力、J-PARCで実施している国際協力でございます。J-PARCでは、9か国、10機関と個別の協力協定を締結して研究開発を進めておりますとともに、テーマによっては国際的な枠組み等も積極的に活用させていただいている。その代表例はRaDIATEの国際協力といったようなものをこのページでは御紹介させていただいております。下段のところ、MLFに係る国際協力、箇条書きで示しておりますとおり、研究開発項目によって米国ですとかヨーロッパ、オーストラリア、そういったところと協力を進めているというところでございますし、また、素粒子・原子核分野におきましても、各国の施設に共通するような技術的課題に国際協力で対処、貢献するという形で国際協力を進めております。
 また、右側にありますRaDIATEの国際協力というものでございますけれども、これは国際的に米国や、それから、ヨーロッパにあります陽子照射ができる施設、さらには照射後試験ができる施設、これらを一緒に活用して照射損傷の研究をする、研究開発をするというのが目的の国際枠組みでございまして、特にJ-PARCのような大強度加速器施設におきましては、こういった照射損傷というものが施設の大強度化の律速になってくるという側面がございます。これは特にKEKもJAEAも含めて様々な施設で課題になるものでございまして、J-PARCとしてこのRaDIATEに参画して、照射研究を推進しているというところでございます。
 続きまして12ページからは人材育成に関するページになります。J-PARCにおきましては、JAEAとKEKの制度もうまく活用して、例えば特別研究生ですとか、インターンシップ制度等ということになりますが、多様な施設に学生や研究者を受け入れてキャリアパス形成と次世代研究者の育成に尽力しているところでございます。過去5年間で見ますと、これは延べですので、人年という単位になるかと思うのですけれども、201名の学生、それから、17名の社会人、これを受け入れているということでございます。これら学生の受入れに関しましては、下の棒グラフのところにも記載がございますように、学位取得にも貢献をしておりまして、そういった学位をJ-PARCで取得された方の中には、中段のところに大谷さんという方、写真が載っていますけれども、文科大臣表彰等受賞されるような優秀な研究者も輩出されているというところでございます。
 それから、このJ-PARCに関わった学生さんたちのその後の進路という点でございますが、下の右側に少しまとめてございます。中性子・ミュオンで特別研究生や、また、KEKの総研大生として入った方、そういった方につきましては2015~2023年在籍の集計でございますが、計38名いらっしゃいまして、そのうち就職が29、まだ在学中の方が9名いらっしゃるという状況で、この29名の就職者のうち、11名がJ-PARC関連の就職、さらには6名が中性子・ミュオンを利用する(できる)職に今就職されているということで、要約すると、約6割強の方が同分野のところに就職をされているという状況であろうかと思います。また、素核の実験のほうで見ましても、素核で学位を、J-PARCで学位を取得された方のその後というのが、大体五、六割が同じ分野の研究を継続されていて、1割前後が隣接分野、3割から4割が産業界へ就職されているという状況でございました。
 続いて13ページです。人員構成、我々、将来を見据えて現在の人員構成からどのように人を育成し、採用していくかということをやはり考えないといけないということで、現在の人員構成をまとめておりますが、J-PARC全体で600名程度います。その中で、現在、課題になるのは、運転維持に必要な人員の多くを外部業務委託しているという点がございまして、そういった方々の技術継承といった点が課題であるというところとか、あとは年齢構成がやはり高齢化をしてきているということで、その技術継承が課題になってきているということと、また、計画的な採用が不可欠であるという状況でございます。
 次のページを見ていただきまして、そういった状況の中で、これはMLFの例でございますけれども、MLFでの人材育成と登用というところにおきましては、まず、その中段に黄色い枠で囲ってありますように、中長期的な人材育成という観点では大学としっかり連携をさせていただいて、その中で人を育てていくというふうな取組をベースとして、その上で短・中長期的な視点での人材登用という観点では、現在のスタッフの実を伴った知識、技術をしっかり継承していくという取組とともに、先ほども議論がございましたが、遠隔利用、DX、AIなどの新しい技術をしっかり導入していけるような、そういった知識を持つ若手研究者、技術者を積極的に登用していくということが必要だと認識しております。
 それから、さらに短期的な人材育成、これは非常に重要な研究課題とか、そういうものがあるときに、そういう機会を捉えて短期的に人材を育成していこうという取組ですけれども、こういったところは主に産業界との連携という部分があるかなと考えておりまして、共同研究資金による人材確保ですとか、特定課題推進員等でこういった短期的な人材育成も進める。こういったところを含めてMLFのスタッフの育成や大学研究機関の中に専門家を育てていくという取組をしたいと考えております。下に課題を少し書いてございますが、1つは、繰り返しになりますが、派遣、業務委託の方々の技術継承の部分、それからあともう1点は、インハウスの中に技術職、エンジニアを増やしていく必要が今後あろうかと考えているというところです。
 続いて15ページですが、人材育成の中の教育活動に関してまとめております。J-PARCでは、中性子・ミュオン利用や素粒子・原子核物理に関して国際的なスクールを開催して人材育成に貢献しております。また、国際的枠組みによる若手の人材交流を実施しているところです。下に例といたしまして、上の2点、中性子・ミュオンスクールですとか、それから、SNPスクールと呼ばれますストレンジネス核物理といったようなところのスクールを開催して教育を行っているという取組ですとか、あと下2つはAONSA Young Research Fellowというアジア・オセアニア中性子科学連合の人材育成プログラムの活用、さらには日本とスウェーデン間のプログラムであるSAKURAプログラムといったものを活用して若手の人材交流を図っているという状況でございます。
 続きまして16ページからは効果的広報というところの項目になります。まず、このページでは、イベントの開催についてまとめております。広く科学に興味を持ってもらうことも念頭に多様なイベントを企画しております。また、地域向けに対しても対話型のアウトリーチ活動を定期的に実施するなどしているところでございます。下のところは、これまでのイベントの例ですけれども、この5年間で見ますと何と言っても2021年に国立科学博物館で特別展示というのをさせていただいたということで、ここには来場者が7万8,000人も訪れていただいたというふうなところがございました。
 それから、次の17ページは、広報活動の中のメディアの活用でございます。当然、日々のプレスリリースから新聞に掲載をしていただくということもございますけれども、さらには『Newton』別冊といったような雑誌への掲載ですとか、あとは下段にございますようなテレビ放映、サイエンスZERO、ガリレオXで取り上げていただいたといったようなこともございました。また、施設といたしましては、SNSの活用を強化しておりまして、Twitter、X、これにつきましては2009年より活用しておりますけれども、さらに2021年からはYouTubeチャンネルを開設し、動画配信等も行っているというところでございます。
 続いて18ページからです。ここからはその他の項目になってまいりますが、最初が老朽化対策に関する部分です。J-PARCも運転開始以来15年が経過いたしまして、老朽化対策は今後の重要課題であると認識しております。特に運転に必須な重要機器類については、当初予算の保守費でも対応しているのですけれども、例えば年度の平坦化が困難な大規模更新といったようなものについては、補正等の活用も見ながら実施をしていっているという状況です。
 今後、以下のような老朽化対策が必要となる見込みでございまして、1点目がインフラ関係です。これは施設の空調、それから、2点目が電磁石電源、加速器のRFQと呼ばれるような部品類。それから、3点目が中性子源のリモートハンドリングシステム、こういったものが強い放射線下で機能低下が起こっているということ。それから、MLFの装置に設置されておりますヘリウム検出器です。これも一部の検出器が大強度中性子線照射によって効率が悪化しているという症状が出始めている部分があるということで、こういったものは更新が必要になってくると考えております。
 19ページに行っていただきまして、このインフラ関係、空調設備の更新の例でございます。ここで書いておりますのは、MLFの空調設備の更新でございまして、こちらについては、老朽化によって故障、漏水等が相次いでいるということがございまして、待ったなしの状況になったということもございましたので、今年度、ユーザーの皆様には御不便をおかけするのですけれども、更新工事をさせていただくということにしております。また、この更新に際しましては、新型のモジュールタイプと呼ばれるものに交換をすることで、同時に省電力化も図っていくという形で進めているものでございます。
 続いて20ページです。老朽化対策、全体の話ということにはなってまいりますけれども、KEK側の施設が建設コスト削減のために幾つか筑波から移設、再利用をしているというのがございまして、そういった中には非常に古い装置が含まれていたりします。そういったものについては、今年度、先ほど御紹介した火災の対応ということもあって、年度内に、39年以上前に製作した電源といったようなものは全て交換を終えているという状況でございますけれども、このほかに20年を超え始めているものが出てきてまいりますので、こういった老朽化対策というのを計画的に行っていくことを考えているというところでございます。
 それから、21ページでございますけれども、こちらは老朽化対策と少し毛色は異なるのですけれども、施設が長く運転を継続していますと、やはり高放射化物というものが発生して、その管理というのが必要になってまいります。J-PARCにおいては、水銀ターゲット容器ですとか、ニュートリノ電磁ホーンといったような、大型の高放射化物が発生してまいります。これらは保管スペースに一定期間保管をして冷ますというふうなことを行わないといけないわけですが、水銀ターゲットに関しましては2年使用ですとか、減容化等の取組によって保管スペースの有効活用を進めているところなのですけれども、それでも電磁ホーン、その他ハドロンで発生するような高放射化物等含めて、2032年に新たな保管スペースが必要になる見込みがあるというところでございます。また、こういった保管スペースは単なる保管というだけではなくて、最後のポツにございますように、照射を受けた機器を評価して次世代の技術開発に生かしていくことも必要であろうと認識しているところでございます。
 続いて、その他のところの戦略分野というところでございます。これは主にMLFでの取組になってまいりますけれども、MLFでは我が国の経済安全保障に資するような大型プロジェクトに参画して、戦略分野の推進にも貢献をしているというところでございます。また、前半のお話でありましたように、利用制度においても優先課題を導入して、こういった大型プロジェクトの利用を加速していけるのではないかと考えている次第です。そういったこれまで参画している大型プロジェクトといたしましては、下にございますようなNEDOの燃料電池、未来社会創造事業の革新的接着技術、また、つい最近ではGTeX事業、こちらのほうにも参画をしていくという形になってございます。
 続いて23ページです。こちらからは燃油等高騰対応というところでございます。まず、23ページにはこの近年の電気料金の高騰の状況をまとめてございます。御案内のとおり、2021年から22年にかけて急激な高騰がございました。その後、2023年に入りまして減少傾向には入ってまいりましたけれども、運転開始当初、2010年頃に比べますと2倍以上の水準を維持しているというのが現在の電気料金でございます。2022年度につきましては、補正予算を措置いただいてMLFの6.5サイクルの利用運転、これを実施できたところでございます。ただ、一方で、当初予算というのは横ばいの状況が続いておりまして、施設側としては保守費を可能な限り圧縮して運転時間の確保に努めているという状況でございますけれども、なかなか厳しい状況が続いているというところでございます。
 24ページでございますが、施設側としても省力化、省電力化というものをしっかり進めて対応してまいりたいと考えておりまして、加速器施設やインフラ設備、これの省電力機器への交換というものを先ほどの高経年化という意味合いも含めて順次推進をしているというところでございます。特に効果の大きいRCSの加速空洞、これは前回の部会でも御報告した内容でございますが、これは最優先で実施を進めているというところでございます。このRCSの加速空洞以外にもニュートリノビームラインの省電力化ですとか、あとはMR加速器の省電力化、また、インフラ機器の省電力化といったようなものを順次施設側としても進めていって、極力電気代を抑えていけるようにという努力を続けているところでございます。
 最後、25ページ、まとめでございます。J-PARCにおいてステークホルダーの一体的運営の下、施設の省電力化、さらなるユーザーの利便性向上、国際的なユーザーの受入れと協働による成果最大化に取り組みつつ、人材・頭脳循環のハブとなるように取り組んでまいりたいと考えております。また、電気代高騰、老朽化については、継続的な対策・取組を行ってまいります。あと、ユーザーの利便性向上に向けては、利用体系の多様化と、また、それに見合う適切な料金設定によって収入を拡大し、これをさらなる利便性向上に充当していけるような仕組みをぜひお願いしたいと考えている次第でございます。また、所期性能の達成が近い中、若手にさらにこの施設に対して魅力を感じていただけるように、将来を担う若手に魅力的な将来ビジョンを示せるように検討を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 御説明は以上になります。
【高原主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのJ-PARCセンターからの御説明のありました内容につきまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。質疑の時間は15分程度になりそうですけれども、よろしくお願いいたします。
 中野先生、お願いいたします。
【中野委員】  ありがとうございます。中野です。発表、ありがとうございました。まず、老朽化対策についてお伺いしたいのですが、やっぱり施設がだんだん経年変化で老朽化していくというのは、J-PARCの場合、非常に大きな問題だと思います。それで、その老朽化対策に対して補正予算等に頼らない、もう少し抜本的な工夫をこれからされていくということを、伺ったように感じるのですが、その具体的な内容、どういうふうにこれからされていくのかということをもう少し詳しく御教示いただけないでしょうか。
【脇本副センター長】  脇本です。まず、私ども現在いただいている予算の中で、保守費という部分がございますので、何はともあれ、優先順位の高い施設の安定運転に必ず必要な部分というのは、この保守費の中からしっかり充当して対策をしていくということになろうかと思っています。一方で、こちらの資料にも書かせていただいたとおり、何年かに一度の大型の更新が必要なものというのは、これは補正とか、そういったところの活用を検討せざるを得ないという状況でございまして、まずはしっかりと当初予算の保守費の中で対応できる部分は、しっかり対応していくということかなと思っております。
【中野委員】  分かりました。それと同時に最後、省電力化という、機能強化というか、高効率化のお話も出たのですけれども、うまくそういう機器の高性能化、それと老朽化対策を合わせることができれば、より魅力的かなと感じます。
 それはコメントなのですが、あともう一つ、この前の発表で、また、今回の発表でも、利用料の徴収ということが出てきたのですけれども、その徴収した利用料というのは、主にどういうところに充てられる予定なのでしょうか。それとも、利用料を徴収することによってスケジューリングにめりはりをつけるというほうが主目的で、料金による収入自体はあまり大きな意味を持っていないということなのでしょうか。その利用料徴収の意図というか、徴収した料金をどのように活用していくかということについてお伺いしたいと思います。
【脇本副センター長】  利用料金につきましては、基本的にはユーザーの利便性に資するような形で自己収入化できた際には使っていきたいと考えております。今後の利用料収入がどの程度の額になっていけるか、それは私ども施設としては、その拡大努力をしていくわけですけれども、そこの内容いかんによっては、さらにそういった利便性向上以外の部分にも波及していける部分が、余力ができそうであれば、それはそれでということではありますけれども、まずはユーザーからいただいた利用料金については、ユーザーの利便性に貢献できるような形で使用していきたいというのが施設側としての考えでございます。
【中野委員】  分かりました。ありがとうございます。
【高原主査】  ほか、いかがでしょうか。石切山先生、お願いします。
【石切山委員】  石切山です。よろしいでしょうか。
【高原主査】  はい。お願いいたします。
【石切山委員】  14ページの、先ほども議論がございましたが、DX、AIなどの新たな知識を持った若手研究者、技術者を積極的に登用するということに関しては、非常に重要なことだと認識しております。とはいえ、データサイエンスの専門家というのは引っ張りだこで、なかなか要員確保が難しい、採用が難しい、たとえ採用しても必ずしも材料や物質には詳しくないので、浮いた存在になりかねず、多くの企業では社内で育成を進めざるを得ないという話をよくお聞きします。J-PARCの内部の若手の方への、DXとかAIに関する人材育成の計画はされておられるのでしょうか。もしあれば教えていただければと思います。
【脇本副センター長】  J-PARC全体として、現在そういったところの、計画的に内部で人材を育成するという形の大きな枠組みといいますか、そういうふうなものは、現在はない状況ではあるのですけれども、個別には若手を採用して、それを教育していくというふうなところが一つのプロセスとしては働いているというところでございます。MLFについては、さらにそういった知識を有する方をここ何年かかけて少しずつですけれども、採用していきながら、そういった方をさらに今、ESSのほうではデータセンターみたいなものを立ち上げようとしていたりしますので、そういったところに先ほどのSAKURAプログラムで行っていただいて、知見を深めていただいたりというふうなことで、現在いる中のスタッフをさらにそういった面で育成をしていくということは、個別の活動としては進めているところでございます。
 大友さん、何か補足、ありますか。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  ありがとうございます。その辺のDXとかAIというのは、大学とも協力しやすいところかなとは考えていまして、今、脇本から説明があったように、まずはMLF側でコアになる研究者がいて、コアになる研究者を要にして海外との連携、海外というか、海外も国内も含めて外部の研究者との連携を進めていく中で、利用といいますか、DX化なり、AI化なりというのを進めていければなと今は思っております。補足です。
【石切山委員】  はい。承知しました。京大で、先ほども御紹介がございましたが、設立された量子ビームアライアンスの寄附講座で、マテリアルインフォマティクスやDXの講座もオンラインで開催していて、結構、企業の方が参加しているというお話も聞いております。そのような活動との連携などもあるのかもしれませんので、ぜひ御検討いただければと思います。
 それから、コメント、意見についてなのですが、老朽化については適切なメンテナンスをすれば施設の装置の寿命というのは確実に延びますので、何とか予算を確保して老朽化対策を計画的に実施していただければと思います。
 以上です。
【高原主査】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。大竹先生、いかがですか。
【大竹委員】  よろしいですか。
【高原主査】  はい。
【大竹委員】  1つは、国際的に非常に大きく認められていて、これ、本当にJ-PARC、すばらしいところだと思っているのですけれども、7ページの図でオーストラリアのANSTOのところにnがついていないのは、単に落ちてしまっただけですか。
【脇本副センター長】  そうですね。
【大竹委員】  すみません、nをつけておいてください。結局、ここ、やはりアジア・オセアニアで、15ページのところでも御紹介いただいている、今も若手の研究者、技術者、国際的に育成していくのが、やはりJ-PARCの中でも非常に重要ですし、海外からのこういったリサーチフェローを受け入れるということが、やはりJ-PARCセンターとしてもいい刺激になっているのではないかと思うのですけれども、その辺り何か実例とか、実感的なものというのはありますでしょうか。
【脇本副センター長】  人材交流という観点では、コロナ禍で少し滞っていた部分があるのですけれども、先ほど人材育成のページで少し御紹介しましたとおり、AONSAの人材育成プログラムですとか、あとはSAKURAプログラム、そういったところで実際に人のやりとりをさせていただいております。特にSAKURAプログラムは始まってすぐコロナに入って、少し停滞状態ですが、今年度、リスタートができまして、もう既に向こうからもたくさん、何名か来ていただいていますし、日本からもたしか5名ぐらいですか、もう既に今年度、訪問していろいろ先方で意見、議論をさせていただいたりしているというところでございます。
【大竹委員】  あともう1点、よろしいですか。
【高原主査】  はい。
【大竹委員】  14ページのところ、今も話題になったところですが、具体的に、もしできれば教えていただきたいのですが、課題のところで書いてあります維持管理を業務委託、派遣、全体の24%に頼っており、技術継承と高度化に難があると書かれていて、特に高度化のところなどは割と開発的な要素もあるのかなと思うのですけれども、具体的に継承、それから、高度化、また、その次にインハウスでの増やす必要がある、具体的に教えていただけますかね。
【脇本副センター長】  これはMLFに限らず、J-PARC全体で認識されている課題ではあるのですけれども、やはり業務委託ですとか、派遣の方々というのは、長らくその装置の維持管理に張りついて、何年間か仕事されると、そういったところのいろいろなノウハウとか、そういったところを持ったりする方がそれなりにいらっしゃる。ただ、そういった方々、派遣とか業務委託は、そちらのほうの委託会社さんのほうの都合で人がパッと代わったりするとか、そういうふうなことがやはりどうしてもございますし、そこに対してこちら側から、この人を代えないでくれというふうなこともなかなか強く求めることがしにくいというところもございまして、そういった中で、そういう実は技術を持っていた人が急に代わってしまうとか、そういうふうなところの課題が出てくるというふうなものがあるということですね。
 大友さん、そういうところですかね。補足があれば。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  少しだけ補足ですけれども、やっぱり業務委託というのは、こちらで指定した業務をやっていただくのが業務委託なので、本来は、高度化ということはそもそも多分入っていないですね。分からないことは入れられないので、そういう意味では、せっかくそういう、脇本が言ったような経験があって、高度化にもイメージがあったとしても、なかなかそれが全体には反映されないというところで、やはりエンジニアとして、そういったところを、例えば業務委託をきちんと見ながら、いろいろな人の意見とか経験を誰かが集約するのがインハウスの研究者というよりかはエンジニアなのかなと考えています。
【大竹委員】  ありがとうございます。今、具体的にそういう意味でインハウスのエンジニアという話ですけれども、私も自分のところで小型にしても装置を持っていますと、最後の25ページに書いていただいている将来を担う若手に魅力的な将来ビジョンって、やはり将来ビジョンを描けるには、基本的にエンジニアリングの負担、そこが発展していくところが非常に重要なのではないかと思うのですけれども、その辺り、若手の育成と、このインハウスエンジニアの関係などで、何かビジョンであったり、またはお考えであったり、御希望であったりとかあればお聞かせいただけますかね。
【脇本副センター長】  今、大友さんから話があったとおり、そういう技術者が率先して施設の高度化、そういったものをどんどん出していただけるような状況になると、様々やはり若手への刺激とか、非常に大きな効果があるのではないかなとは思います。したがって、そういう将来計画を、それがそういう技術者個人というよりは、それは施設全体としてさらにそういう議論を深めて、いろいろな方がいろいろな将来計画を発案しながら、それを夢を持って議論できるというか、そういうふうな場をJ-PARCとしては、我々、持ちながら、そういった中から、ちゃんとした将来計画の中でもブラッシュアップを進めていって実現するものはちゃんと実現にこぎ着けていくというふうなプロセスをとっていくということが大事かなと。そのプロセスの中にしっかり若手に関わっていただくというふうなところが重要なのではないかと思います。
【高原主査】  よろしいですか。オンラインのほうから、ほかに何か質問があればお願いいたします。
【飯沼委員】  飯沼ですが、よろしいでしょうか。
【高原主査】  はい。飯沼先生、お願いします。
【飯沼委員】  13ページの人員構成に関わる点で1つ質問があります。KEKサイド、緑のPNの数が特に高齢側で何かほかよりも多いような図なのですけれども、これは何か特徴があるのか教えていただけますか。
【小林センター長】  恐らくこの加速器のも目立たないですけれども、高齢者が多いというのはやっぱりトリスタン加速器の頃とかに大量に採用された方がどんどん定年されていっている頃かなという気がします。
【飯沼委員】  分かりました。なので、そういう過渡期にあるということなのですかね。もう少したつとまたサイクルがあると。これに関連して質問なのですけれども、若手が積極的に必要とか、計画的な採用が不可欠とかあるのですけれども、毎年定期的に一定数を採用できるような、そういう形になっているのですかということが1つ。
 あと、なかなか難しいとは思うのですけれども、ダイバーシティの観点から何か取組、そういう採用、仕方で何か工夫している点とか、もしありましたら教えていただけますか。
【脇本副センター長】  まず、JAEAに関してお答えしますと、まずJ-PARCの中のJAEA職員に関しましては、毎年一定の採用枠を人事部のほうからいただいて、その枠に関しては採用を進めているという形になっています。また、ダイバーシティに関しては、一応、JAEAのほうのそういったダイバーシティに係るポリシー等に基づいて、そういったダイバーシティ枠というか、そういったものもあるようですけれども、現時点においてJ-PARCの採用で特にダイバーシティ枠を活用して採用するというところというのは、なかなかそこまで十分にダイバーシティが至っていないという部分がございます。そこは今後の改善点と考えております。
 小林さん、KEKのほう、コメントございますか。
【小林センター長】  さっきの質問に対する補足ですけれども、恐らく若い子が少ないというのは、計画的な採用が不可欠というところに関係すると思うのですけれども、言うは易しで、人件費というのがなかなか運交金の減少とともに減っていっている中で、出ていく分が補充できていないというところはあったのだと思います。確かに計画的な採用というのを考えていかないといけないとは思います。しかも、その人がいなくなってから慌てて動いたのでは技術継承が成り立たないので、そういう意味で計画的にやっていくということが必要かと思います。ジェンダーバランスに関しては、KEKに関しては、最近、二、三年、女性限定の人事等をやって努力をしてきていますというところです。
【飯沼委員】  はい。分かりました。ありがとうございます。
【高原主査】  私から1つ、21ページのところにありますけれども、陽子ビーム照射を受けた機器の劣化の問題、劣化に関してはデータがかなり不足していると思います。最初のポリカーボネートの劣化もそうなのですけれども、劣化に関しては何かきちんとした形で残していただくようにしていただければと思います。いかに劣化を抑えるかというのは、学問的にも最近また重要になってきていますので、その辺りと関連づけて御検討いただければと思います。
 それとあと、課題のところですが、ミュオン関連の申請数が相対的に増えているのでしょうか。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  大友です。そんなに大きくは増えていないのですけれども。
【高原主査】  増えていない。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  増えてはいます。確実に。
【高原主査】  だけど、成果に関しては、結構、目立つ成果が出てきていますよね。
【大友物質・生命科学ディビジョン長】  新しい利用が展開されております。
【高原主査】  はい。分かりました。
 それでは、時間がまた十分とれなくて、もしまた何か追加の質問等あれば、メール等でお願いできればと思います。この議題はここまでとして次の議題です。議題(2)「評価指標の検討について」に入ります。資料2に基づきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【稲田課長】  資料2及び3に基づきまして御説明差し上げます。今回以降の予定でありますが、次回、25日にこれまでの作業部会の質疑に対する回答を踏まえまして、報告書案、中間評価票案をお示しすることとしております。これに先立ちまして、評価の指標等に対して検討するというのがこの資料2の中身でございまして、その中身について御説明させていただきますと、前回の中間評価において指摘されたものの中で定性的評価、論文化率の改善に向けた取組と、それから、定量的な評価、課題数に対する論文に寄与した課題についてそのまま引き続き評価するところ、それから、新たに研究環境、取り巻く状況の変化等々を勘案し、新たな定性的な指標として6点、それから、定量的な指標として5点を検討してはどうか。
 すなわち、1点目として、その利用の裾野拡大に続く研究の開拓状況、2点目、産業利用成果の創出に関する状況、3点目、広報に関する取組状況、4点目、施設に関するエコシステムの形成状況、5点目、国際頭脳循環拠点の形成状況、6点目、持続的な施設運営に関する取組、以上に関する定性的な評価指標、評価について行うとともに、定量的なものとして1点目、新規利用者の数、2点目、産業界との共同研究及び産業界自身による利用の件数、3点目、報道発表とその他の見学者数の数量的なもの、4点目、ビジター向けのサービスの満足度がどうなっているかという状況、5点目、海外機関との共同研究件数の推移等に関するもの。
 以上の指標に関しましては、単にこの中間評価だけでやるものではなくて、政策評価とか事業レビュー、独法評価、研究開発評価など様々なところにも、評価の目的や階層に応じて適切に利用していくことが必要であるということ。それから、産業利用に関する経済効果など今日的なアウトカム指標については、今後の検討課題として引き続き検討すること等を示してございます。
 なお、後ろに現行の指標等具体的なものとしてつけてございますので、御参考いただけるとありがたいと思います。
 なお、本日、いただいた意見を踏まえまして、事務局のほうで、報告書案をお作りして後ほど皆様方に提示する予定でございますので、まずはこの指標等について、これで適切なのか、足りないものはないのか等々について御議論いただけるとありがたいと思います。
 以上です。
【高原主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局から御説明のありました内容に対して、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。質疑の時間は15分程度をとりたいと思います。どなたでも結構ですから、よろしくお願いいたします。
 石切山先生、お願いします。
【石切山委員】  石切山です。定量的な指標について、論文に寄与した課題数というのが挙げられております。前回の平成30年の中間評価の中で、参考資料3の中には記載はございませんが、指標として特許に関する議論があったのではないかと思います。この点についてどうお考えでしょうか。
【稲田課長】  それに関しては、特許だけではなく産業利用というところをもう少し広いところととらえて、新たなところとして整理をしているというところでございます。この中で特許等の利用についても当然入ってくるものと理解してございます。
【石切山委員】  了解しました。
【内野補佐】  補足しますと、次のページ、資料2の参考を見ていただくと、JAEAの独法評価の指標の中に特許などの知財としてモニタリング指標、既にそのときの議論が反映をされているという状況でございます。今回は、今後、次の独法評価も次の期になっていきますので、それに向けてもう少し広い形で反映できるように提案をさせていただいたものになっております。
 以上です。
【石切山委員】  はい。了解しました。ありがとうございます。
【高原主査】  続いて中野先生、お願いいたします。
【中野委員】  今回初めて入るので、よく考えられた上でのことかもしれないですけれども、定量的指標の中に施設利用における新規利用者の数というのはあるけれども、利用者全体の数がないというのは、それでいいのか。それは利用件数も含めてなのですけれども、産業界による利用の件数は出ているけれども、これ、普通の学術界の利用の件数は今、この定量的指標からこぼれているわけですよね。J-PARCというところ、産業利用、非常に多いのですけれども、学術利用も非常に多い施設で、それも大事なことなので、何らかの形でそれが反映される指標が入っていたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
【稲田課長】  これ、フィロソフィーにつながる話なのですが、定性的指標のところ、新領域を含む利用の拡大、要は何かというと、現在やられているものというところは、現在としてやられていれば一定程度期待できるものなので、どれだけ増えたかというところを積極的に評価することとしておりまして、その増えた領域がどのぐらいになるかというところと、それから、どれだけ人が増えたかというところを指標としているというところでございます。
【中野委員】  普通のときだったらいいのですけれども、今、電気代が高騰していますし、先ほども話のあった老朽化等で運転時間を維持するというか、定常状態で走るというのもかなりの努力が必要であるというふうに考えますので、どう言ったらいいか、拡大が当たり前の時期の指標だけではなくて、今やっていることをきちんと継続するというか、維持するといったことに対する指標も入れたほうがいいのではないかなと思います。
 以上、意見でございます。
【内野補佐】  補足しますと、先ほどの参考資料の2ページ目の、現行の独法の中長期目標のモニタリング指標に利用実験実施課題数というのが既に入っておりますので、基本的には全体の利用数というのはチェックできる状態になっております。
【中野委員】  分かりました。こちらでカバーできているという、そういう理解。
【内野補佐】  はい。そういうことでございます。
【中野委員】  はい。
【高原主査】  ありがとうございます。
【小林センター長】  すみません、一つコメント、よろしいですか。J-PARCセンターの小林ですけれども。
【高原主査】  はい。お願いします。
【小林センター長】  中野さん、先ほどの、学術利用のほうも、ということなのですけれども、私の理解は、先ほどの定性的、定量的のどちらも1つ目のポツは学術利用もカバーした指標と読んだのですが、それで正しいですか。
【稲田課長】  はい。そのとおりです。
【小林センター長】  ありがとうございます。
【高原主査】  それでは、ほかにいかがでしょうか。大竹先生、何か。
【大竹委員】  この一番下の産業利用効果のここの経済効果などの今日的なアウトカム指標については今後の検討課題とすべきではないかというところをどういうふうに今後検討していくのかなというのが少しありました。もし何かあればで結構ですけれども、教えていただけると非常に。
【稲田課長】  これ、実は中間評価のときのところで、こういうふうに評価するというところと次回における課題というか、宿題事項を出すところがあるのです。ここについては、もちろん今、問題が可視化されているところについて、上に書いている新たな領域の拡大等の各項目でフォローしているのですが、これで足りるのかどうか。足りないところがあるのではないかというところを引き続き掘り下げていきましょうというところでございますので、次回以降、様々な議論を踏まえて、ここをちょっと、こんなところというところを議論していくことになるかなと思います。
【大竹委員】  ありがとうございます。
【高原主査】  飯沼先生、何かありますか。
【飯沼委員】  ここで評価指標として正しいのかよく分からないのですけれども、先ほどの人材、若い人を計画的に採っていくというときに、財源の問題とかもあったかと思うのですけれども、その施設が何か自力で継続していくためにある程度、外からの収入みたいなのとかも必要ではないかと思ったときに、企業からの何か、そういう収入というのですか、そういうのというのは定量的評価とかに入ったりするのですか。利用者の数と利用の件数とかはあるけれども、お金というのは生々し過ぎて、そういうのは出さないものなのですか。
【稲田課長】  それは考え方でありまして、目標としてこの程度まで取るべきだという確たるものがあるのだったら、そこを書くのですが、逆にそういうものを設定せず、なるべく努力するということであれば、先ほど御指摘のありました共同研究の件数とか、利用の件数、これはすなわち、自動的にここのところにどれだけ利用されたかという実績というところで入ってくるのですね。ここのところに評価の原案を出して、それが足りないのか、足りているのかというところについては、次回のところで御評価いただくということになろうかなと思っております。
【飯沼委員】  はい。分かりました。
【高原主査】  それと、私から、これは適切でないかもしれないのですけれども、量子ビーム施設の複合利用、これはここに入れるべきではないとは思うのですけれども、その辺りがどのくらいあるかというのも情報としては入っているのでしょうか。
【稲田課長】  いや、実は、それ、入ってございまして、定性的指標の新たな裾野、利用の拡大に続く開拓というところに入っています。
【高原主査】  そこに入っているのですね。
【稲田課長】  これはもちろん、単なる今までの利用だけではなくて新しい分野とかというところについて、それはここのところに積極的に書くつもりの事項でありますので、観念的には入っている。
【高原主査】  放射光とかとの複合利用というか連携ですね。
【稲田課長】  はい。
【高原主査】  ほか、よろしいでしょうか。なければ、ちょうど時間も来ておりますので、この議題を終了したいと思います。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か連絡事項等あれば。
【稲田課長】  先ほど申し上げましたように、第4回では、本作業部会の取りまとめとして中間評価報告書の案及び中間評価票の案を事務局より提示させていただき、それに対して御議論いただく予定となっております。その案については、あらかじめ皆様方に御提示いたしますので、先に御覧いただきたいと思います。
 なお、本日の資料に関してですが、後日、文科省のウェブサイトに公開いたします。また、本日の会議の議事録については、委員の皆さんに御確認いただいた後、文部科学省のホームページにその掲載させていただきます。
 なお、いらっしゃっている皆様方でありますが、本日の資料に関して郵送を御希望される方は、机上に置いておいていただければ御送付させていただきますので、その旨、あらかじめお知らせするものです。
 以上です。
【高原主査】  ありがとうございました。
 次回が12月25日ということですね。
【稲田課長】  はい。
【高原主査】  よろしくお願いいたします。
 それでは、一応、特に何もございませんか。
【石切山委員】  すみません、石切山ですが、1点だけ、全般的なところで質問をよろしいでしょうか。
【高原主査】  お願いいたします。
【石切山委員】  経済保障の観点からサイバーセキュリティの確保というのは、喫緊の課題になっているかと思います。その点について、もし計画がございましたら御説明、お願いします。
【稲田課長】  そこは定性的の4のところの「利用環境の充実など施設を取り巻くエコシステムの形成」の中で、セキュリティというのは当然入ってくると考えているのですが、具体的な記載について書かせていただこうと思っております。
【石切山委員】  はい。了解しました。
【高原主査】  それでは、よろしいですか。以上をもちまして、第3回大強度陽子加速器施設評価作業部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局 研究環境課

(科学技術・学術政策局 研究環境課)