令和7年1月24日(金曜日)10時00分~12時00分
文部科学省東館3階 3F2特別会議室及びオンラインのハイブリッドにて開催
村岡部会長、赤松委員、岩崎委員、岩谷委員、上田委員、河野委員、川辺委員、嶋田委員、神成委員、高薮委員、中北委員、堀委員、前島委員、六川委員、若松委員
堀内研究開発局長、山口環境エネルギー課長、松原環境科学技術推進官、中川地球観測推進専門官
内閣府 松田科学技術・イノベーション推進事務局参事官(統合戦略担当)
【村岡部会長】 皆様おはようございます。ただ今より科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 第10期 地球観測推進部会の第9回会合を開催いたします。本日は、朝からお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日の部会は対面とオンラインでのハイブリッド会議となります。なお、今回の部会が第10期 地球観測推進部会の最終回となります。どうぞよろしくお願いいたします。 最初に、議事進行に当たっての注意事項を事務局からご説明ください。よろしくお願いします。
【中川専門官】 事務局から本日の部会の進め方について簡単に注意事項をご説明いたします。オンラインでご参加いただいている委員につきましては、オンライン会議システムの安定のため、ご発言されていないときはマイクとビデオをオフにしていただきますようお願いいたします。また、ご発言がある場合は挙手ボタンを押してお知らせください。また、ご発言の際はお名前をおっしゃってからご発言いただくようお願いいたします。挙手ボタンが見つからない等の場合は、画面をオンにして画面上に手を挙げていただくか、直接ご発言いただきたいと思います。なお、音声が送受信できなくなった時刻から会議を退席したものとさせていただきますので、あらかじめご了承ください。配布資料につきましては委員の皆様には事前に議事次第とともに資料1-1から資料2-2までの資料を電子媒体でお送りしております。不備等がありましたら事務局までお申し付けください。
続いて、委員の出席を確認させていただきます。現地で参加の委員及びオンラインでの接続確認をいたしまして、本日は15人の委員にご出席いただいております。全委員18名の過半数10名に達しておりますので、本部会は成立となります。なお、本日は原田委員、浦嶋委員、谷本委員の3名の委員がご欠席です。本日もオブザーバーといたしまして科学技術・イノベーション推進事務局の松田参事官にご出席いただいております。以上となります。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。それでは、議題1の地球観測の取組についてに入ります。これまでご議論いただきました地球観測の取組について、最後の部会となりますので委員の皆様からのご説明をお願いしたいと思います。
最初に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前島委員より、JAXAの衛星観測の取組について、資料1-1に基づいて15分程度でご説明ください。よろしくお願いいたします。
【前島委員】 よろしくお願いいたします。JAXAの前島です。それでは、本日はJAXAの地球観測の取組というタイトルで、もう委員の皆様はご存じの内容もあろうかとは思いますが、最新の状況も含めまして解説をさせていただきたいと思います。
それでは、めくっていただきまして最初の頁ですが、これは衛星による地球観測の歩みと称しまして、JAXAの地球観測の衛星の系譜をここに示しております。オレンジ色のところから始まるのですが、「もも1号」、「ふよう1号」から始まりまして、この辺りは地球観測の衛星技術の獲得を目的として技術衛星として打ち上げてきた経緯がございます。もも1号というのは海洋観測技術衛星でした。ふよう1号というのは資源探査技術衛星でした。こういったところで技術を培ってまいりました。今度は緑のところに行きますが、これが社会実装を目的としまして利用拡大を続けてきたフェーズになります。「いぶき」、「しずく」、「GPM」、「だいち2号」、「しきさい」、「いぶき2号」というふうにつながってまいります。青のところが打ち上がったばかり、あるいは今後打ち上げる計画のものでして、これが正にこれから社会実装をどんどん進めていこうというフェーズになっております。「だいち3号」は投入失敗となったのですが、「だいち4号」、「EarthCARE」、そして「GOSAT-GW」、こういったところで社会実装を進めてまいろうというふうに取り組んでおるところです。
それでは、めくっていただけますでしょうか。アニメーションがありますが、左側の図で今運用している衛星の軌道をアニメーションにしております。もうご存じの方がほとんどですが、地球観測衛星は意外と低いところを飛んでいますので、一度に見られる範囲はそれほど広くありません。これが静止軌道に行くとワンショットで地球全体を捉えることができるのですが、地球観測衛星は主に南北方向に衛星の軌道を取りまして、地球の自転と合わせて地球の全球をカバーするというような軌道を取っておるものというものです。右側は、こちらはポンチ絵になりますが、様々な物理量の観測をリモートセンシングしております。リモートセンシングですのでこれらの物理量が直接見られるわけではないのですが、特定波長の主に信号強度等からアルゴリズムを使って物理量を算出するというようなことをしております。ということで、我々は観測システムだけではなくてこのアルゴリズムの開発ですとか、その精度を保証するための校正検証ですとか、こういったところにも力を入れてやってございます。一部写真を撮るような衛星もございますが、我々はそういうところもありますが、それ以外のところ、物理量の抽出というところも力を入れてやっておるところです。では頁をめくっていただけますか。
それでは、これから具体的な利用例についてご説明をしてまいります。最初に降水観測の利用の実例です。一番上に衛星が3つ書いてございますが、我々の降水観測のミッションとしては熱帯降雨観測衛星のTRMMというのがございました。これが1997年です。NASAと共同で開発した衛星です。それを受けてGPMという衛星が今替わって運用中です。将来の計画としては、PMMという降雨観測衛星のミッションを今計画をしておるところです。こういったところで連綿と降水観測を続けてまいっております。これの一つのプロダクトとして今世界で広く使われておりますのがGSMaPというものがございます。これは衛星で雨の3次元構造を計測したり、それ以外の衛星のデータも相当組み合わせて使っておるのですが、それで世界の雨マップというものを実現しています。これによって世界で今実際に雨がどのように降っているのか、気象衛星は雲を捉えておりますので、これは実際に雨を捉えているというところで、これが広く使われておるというような一つのプロダクトになります。こういったGSMaPも含めまして降水観測のアプリケーションは様々なところで使われておりまして、一番下に利用例が書いてありますが、気象のリアルタイム監視ですとか、農業気象監視、あるいは水防災、気候監視、あと水資源・エネルギー、公衆衛生、教育、こういったところで広く使われておるところです。先ほどのGSMaPなのですが、どういった利点があるかというと、特に日本は陸上ですと地上のレーダーもありますので、非常に観測のネットワークが出来上がっています。ただ、海上はそのような地上の観測が届かないところがあります。そういったところは宇宙から監視をしてデータを補う。あるいは日本以外の国はまだまだ地上の測器のネットワークができていないところが多々ございますので、そういった国でも活用が進められているという状況です。では、次の頁をお願いします。
先ほどは雨のリアルタイムのマップを創出するようなアプリケーションだったのですが、これはその先の洪水の予測をするアプリケーションの開発をしておりまして、Today’s Earthと呼んでおります。これは東大と共同研究としてやっておるところなのですが、こちらの左下の図をご覧いただきますと、これは我々は「全球システム」と「日本域システム」と2本立てで作っております。全球システムに比べて日本域のシステムは空間解像度・時間解像度がより細かく見られるようになっております。空間解像度につきましては全球システムは河川以外は約50 kmメッシュ、河川は25 kmメッシュなのですが、これもこれでは十分とはいえないので、今は空間解像度を約10 kmに高めるような改修を実施しておるところです。これによって更に利用が進むというふうに考えられております。ただ、計算機のリソースがもちろん掛かるわけなのですが、利用の声が大きいものですから、このような改修を今進めておるところです。これを使って雨水が降った観測から、それがどこにどの程度集まって、将来的に河川の氾濫の危険性がどれくらい高まるのかというところをシミュレーションするシステムになっております。頁をめくっていただけますでしょうか。
続きまして水観測の事例でございます。こちらは衛星でいうと「ADEOS-II」で2002年に打ち上げた衛星なのですが、こちらに高性能マイクロ波放射計という水の各種物理量を測る放射計を搭載しておりました。これが一律化できておりまして、アメリカの「Aqua」という衛星に載せたAMSR-E、それから我々の「GCOM-W」に載せたAMSR2というところが今運用を続けております。あと、まもなく打上げを予定しておりますGOSAT-GWというところもAMSR3というものを搭載しております。このAMSRのデータも世界で使われておりまして、NOAAも定常的に使っていて、NOAAは「水観測の“GOLD STANDARD”」というふうにいっていただいておるところです。これの応用例なのですが、また一番下に各種ありますが、極地の海氷のモニタリング、あるいはハリケーン・洪水、天気予報、水資源管理、水産業、海洋学。こういったところで活用が進められております。頁をめくっていただきます。
続きまして、陸域観測衛星「ALOSシリーズ」のご紹介をいたします。ALOSにはLバンドの合成開口レーダー、あるいはAISと呼んでおりまして、船からID信号が出されておるのですが、その信号を衛星で受けて地上に送り返すというようなAISシステムというものも付けております。これによって、船や特に不審船の監視ですとか、そういったところに役立てていただいております。このALOSシリーズの応用例ですが、これも農業ですとか火山監視、ハリケーン・洪水、気候変動、海洋状況把握、地殻変動、こういったところで幅広く使われております。あと、中ほどの事例も少しご紹介いたしますが、左側が地殻変化とありますが、これは国土地理院の成果ではありますが、ALOSを使いまして先日の能登半島の地震で地殻・地盤がどれくらい変動したかというものを解析をした事例です。これは実際に海岸線が4m隆起したというニュースが流れておりますが、これは衛星でこのように面で捉えることができております。精度もほぼ同等のものが得られております。真ん中が洪水浸水というものがベースマップというものを我々は平時から用意しておりまして、いざ多量の雨が降ったときに、その後観測したものとベースマップとを比較することによってその変化点を抽出して、洪水、浸水の範囲を自動的に出すというアプリケーションを整備しております。あと、先ほどのAISと組み合わせて船舶の検知に使われております。あと、右は森林の変化で、ALOSシリーズも2006年から観測を続けてまいっておりますので、長い間森林がどのように変化していくのか、伐採がどのように進んでいるのかというところもモニタリングできております。「ALOS-4」という衛星を昨年の7月に打ち上げたのですが、こちらは今観測幅が200 km。「ALOS-2」は50 kmだったのですが、これをビームフォーミングという新しい技術を開発しまして格段に観測幅を広げることができております。これで一度にモニターできる領域を広げることができましたので、観測頻度の拡大というところにつなげております。次の頁をお願いいたします。
こちらは温室効果ガス観測の事例です。これもGOSATシリーズがありまして、GOSAT1号機が2009年に上がりました。今はGOSATの1号機、2号機ともに運用を続けております。まもなくGOSAT-GWという後継機を打ち上げるべく、今開発を続けておるところです。左下の例をご覧いただきますと、これは2009年から継続して二酸化炭素の全大気平均濃度というものを測れておるのですが、このように一本調子で右肩上がりで上昇しておるということが一目瞭然で、なおかつ重要なのがこの増加のレートが見て取れるというところが非常に重要だと考えております。この増加の割合が下がっているのか上がっているのかというところが非常に良く分かるというところで、これが今非常に使われておるというところになっております。右側の絵は二酸化炭素の濃度分布とその変化を2.5度メッシュで全球マップにしたものです。これも濃度分布を色で表しておりますが、過去から比べて月別になっておりますが、このように増加をしている度合いというのがどの領域で特に変わっているのかというところまでマップできております。次の頁をお願いいたします。
こちらが日本全土の高解像度森林炭素蓄積量マップというアプリケーションの事例です。これは衛星のデータを複合利用して作り上げたマップでして、左に使われている衛星がありますが、「ALOS-2」の衛星のデータと「Sentinel-2」という衛星のデータ、あと衛星ではありませんが航空機でレーザー測量したデータ、こういったものを組み合わせて全国の森林の炭素の蓄積量を算出しております。この絵は1 kmメッシュでできておりまして、どの程度森林があって、炭素をどのくらい吸収しているのかというところをここから導くことができます。その炭素吸収量のアルゴリズムについてはまだ研究を続けておる途中なのですが、それのベースになるようなデータとしてアプリケーションを開発いたしました。これが気候温暖化につながる二酸化炭素の、排出というものを先ほどのGOSATで押さえて、今度は吸収の側をこういったマップを使って押さえるというところで、温暖化、カーボンニュートラルといったところへつなげるといったところに活用いただいております。次のスライドをお願いいたします。
今様々なアプリケーションの事例をご紹介いたしましたが、こういったアプリケーションのプロダクトですとかデータは、JAXAのデータ提供サービスを通じて取得いただくことができるようになっております。今我々はこのようなポータルを用意しておりまして、ここからいろいろ各種データサーバーにつながるようになっているものを準備しております。このWebではJAXAの地球観測データやプロダクト約70件のサイトやページを集約しております。この中の多くの地球観測データやプロダクトが今は無償で使えるようになっております。オープン&フリーです。というところで、今広く使っていただくような取組を進めておるところです。あと、かつては特にデータだけ準備して後は使ってくださいというところだったのですが、最近はAnalysis Ready Data(ARD)ですとかAPIですとか、こういったところで使っていただきやすいような工夫を、我々は研究開発に取り組んでおるところです。次の頁をお願いいたします。
今度は国際協調について少しご紹介させていただきたいと思います。次の頁をお願いいたします。グローバル課題への衛星利用の例ですが、先ほども触れました温室効果ガスの観測ですが、我が国だけでやっているものではございませんで、主として欧米ですが、こういったところと今協調して取り組んでおります。欧米も観測衛星を打ち上げていますので、それぞれデータを交換して相互較正・検証をすることによって、それぞれのデータの精度向上・均質化という取組をしております。
右の方に行きまして、その均質化されたデータのアーカイブ・データベース化というのも進めておりまして、今は使える観測データ数が増えているという状況で、その先の応用研究も進められております。そこから下に行きますが、その先としましては、国連ですとかIPCCですとか各国のインベントリですとか、そういったところで利用されるよう、今我々は取り組みを進めておる状況です。次の頁をお願いいたします。
海外宇宙機関との戦略的な協力関係の構築も進められておりまして、これの具体的な事例としましては、左側がNASAとJAXAの協力の事例です。先ほどご紹介したAquaという衛星にAMSR-Eという高性能マイクロ波放射計を搭載したというものが古くはありますが、その右側が「熱帯降雨観測衛星(TRMM)」というものに我々のレーダーを搭載したという実績もございます。この降雨レーダーのシリーズは現在も協力が続いておりまして、現在は「GPM衛星」、こちらが運用を続けておりますが、NASAの衛星に我々の降雨レーダーを搭載しています。将来の計画としましては、降水レーダー衛星という計画が立ち上がっておりまして、こちらも我々の改良した降雨レーダーをNASAの衛星に搭載するという計画・協力関係が続いております。
右側はESAとの協力関係なのですが、こちらは雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」というものでございます。これはESAが主導している衛星ミッションなのですが、我々はこちらにやはり我々が技術を有しておりますレーダーで今度は雲のプロファイルで、雲の中の粒子の動きを測るというレーダーを開発いたしまして、そちらを搭載いたしました。こちらのEarthCARE衛星は昨年の5月に打ち上がりまして、今は定常運用段階に移行しております。良好なデータの輩出を続けております。ESAとは今は気候変動対策を支援するために複数のミッション、データと知見を相乗的な活用により地球観測分野で引き続き緊密な協力を行うことということで合意をしておりまして、今検討しておるのは温室効果ガスのモニタリングミッションの観測ギャップを埋めるために共同ミッションの可能性を探求しようということで、昨年の11月に合意をいたしまして、このような共同声明を発出しておるところで、ESAとも協力関係がこれからまだまだ続いていくということになります。次の頁をお願いいたします。
あと、取組として地球観測衛星委員会(CEOS)というものがございます。こちらも簡単にご紹介をしますが、真ん中の図をご覧いただきますと、これまで各国がばらばらに地球観測衛星を計画していました。そういったところで計画の重複や空白が生じていました。そしてデータの共有も進まないという状況でしたので、それでCEOSというものを立ち上げまして協調して地球観測の衛星ミッションを立ち上げましょう、そしてデータも共有しましょうということを進めています。それによって世界の地球観測衛星計画へというところでCEOSの取組となっております。次の頁をお願いいたします。
そのCEOSの中でSITというチームがございます。これはStrategic Implementation Teamというものでありまして、日本語でいいますと戦略実施チームといって、CEOSの戦略あるいは行動をリードするようなチームがあるのですが、昨年2024年から2年間のタームでJAXAがこの議長に就任しております。SIT議長になりますと優先的に取り組むイニシアティブというものを設定することができます。これはJAXAがリードしまして今2つのイニシアティブを実施しています。1つ目は「地球観測衛星データによる気候変動における政策貢献」、2つ目は「衛星GHG観測調整」で、これを今鋭意JAXAがリードして進めておるというところです。次の頁をお願いいたします。
防災の取組もご紹介したいと思います。防災の取組をしている国際的枠組は主に2つありまして、1つが左側の国際災害チャータ、これは全世界でやっておるもので、もう1つがアジア地域を中心としてセンチネルアジアというものがございます。これはJAXAが主導してアジア地域で進めているものです。各国は今小型衛星も上げている国々が多いですので、どこかの国で災害が発生するとそれぞれ緊急観測を行って、この取組の重要なところは、衛星を持っていない解析をする機関も参加しておりまして、その観測した衛星データをそれぞれ解析をして、災害情報を抽出して、それを共有するというような取組を進めております。能登の地震の時もこのセンチネルアジアを発動させていただいて、各国の協力を得てデータを頂いておるという状況です。
残り2枚ですが、今後の方向性というところをご紹介させていただきたいと思います。今はJAXAは第4期という中長期計画の期間におるのですが、この4月から第5期というものが始まります。そこで我々は地球観測をこのように位置付けております。まずA)としまして、「地球規模課題の解決や外交政策への貢献等、衛星データの国際展開強化に向けた地球観測衛星の開発・利用に取り組む。」B)として、「民間主体の事業との連携や、官民共創により衛星データの更なる社会実装に取り組む。」C)としましては、「新種の地球観測衛星の開発・利用につながるイノベーション創出に取り組む。」こういった三本柱を設定いたしまして、これで次期の中長期を進めてまいろうと考えておるところです。次の頁をお願いいたします。
最後のスライドです。先ほどのA)、B、C)の取組を進めるにあたって、我々はこれからはリターンを想定したバックキャスト型の戦略的衛星開発・利用を進めてまいろうということで今仕組みを作っておるところです。これまで技術開発、利用実証のフェーズを経て、社会定着のフェーズに入ってきたというふうに考えておりますので、なおかつ様々なプロダクト、アプリケーション、サービスができております。次の中長期では、ここから明確な便益を想定いたしまして、便益を共につくり出すパートナーと一緒になって、それに向けてアプリケーション、衛星の開発を進めてまいろうということで、バックキャスト型で便益をスタートラインとしてどのようなリターンがあって、どのようなデータ・プロダクトが必要で、どのようなツールが扱えて、どのような衛星の研究開発が必要かというところをバックキャストして位置付けていくというような取組を進めてまいろうと今検討しているところです。これが次期中長期におけるJAXAの取り組み方の方針となっております。すみません、少し時間を超過しました。以上でJAXAの最近の取組ということでご紹介させていただきました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 前島委員、ありがとうございました。では、少し時間を取りまして皆様からご意見、ご質問を頂きたいと思います。会場にいらっしゃる方は挙手いただければと思いますし、オンライン参加の方は挙手ボタンをお使いください。よろしくお願いいたします。
【赤松委員】 国際航業の赤松でございます。ご説明いただきまして、大変素晴らしい取組をされていることが分かりました。私からは2点ありまして、まず1点なのですが、JAXAのデータ提供サービスの件で、11頁ですかね。多くの地球観測データ・プロダクトが無償で商用利用可能(オープン&フリー)という形になっていまして、私も民間の立場からそこは進めていただきたいと思っているのですが、ALOSシリーズに関しては実は完全なオープン&フリーなわけではなくて、ある程度有償でという形に今なっているかと思うのですが、これから次期光学衛星の部分も含めて、そこはどう考えていかれるのかを、何かあればお教えいただきたいなと思います。
【前島委員】 おっしゃるとおりでして、課題としては認識しております。現状は各国の情勢ですとか、やはり高分解能データですね、そういったことは各国の情勢等も踏まえて今このような設定をさせていただいておるところなのですが、これからニーズ主導になっていくときにそれが果たして本当このまま継続していくことがよいのか、あるいは変える方がよいのかというところは課題としては捉えております。
【赤松委員】 民間の利用を拡大していくためには、特にこの高解像度のデータの扱いを国の衛星としてどう考えるのかは重要なポイントだと思いますので、ぜひその点はご検討いただければと思います。
【前島委員】 はい。ありがとうございます。
【赤松委員】 あともう1つが、最後から2頁目の今後の方向性のところでございまして、ここで書かれている内容はJAXAの次期の中長期目標の中から切り出されているかと思います。私も実はJAXA部会でこの辺は関わっておりましたので中身はよく分かっているのですが、ここに記された便益、リターンとか、官民連携とか、特に重点的に推進するテーマというのは、実際にはJAXAの方で中長期の実施計画を作るときに検討されることになっているのですが、今の時点で何か具体的に考えておられることはございますでしょうか。
【前島委員】 はい。今ユーザーとなり得るパートナーと一生懸命に議論させていただいている段階で、重点テーマというのがいくつかあるのですが、今はそれを検討を詰めている段階です。
【赤松委員】 なるほど。ではもう少し公表には時間がかかりそう。
【前島委員】 はい。
【赤松委員】 いつごろその辺は明確になってくるのですか。
【前島委員】 次期中長期が始まったらなるべく速やかに走り出したいとは思うのですが、やはり相手がある話ですので、そこは少し時間を掛けてやっていきたいというに思っております。
【赤松委員】 では、来年度の然るべき時期という感じですか。
【前島委員】 はい。
【赤松委員】 分かりました。ありがとうございました。
【村岡部会長】 続きまして、川辺委員、お願いします。
【川辺委員】 ありがとうございます。ご説明いただきどうもありがとうございました。私もJAXAデータ提供サービスという頁で教えていただきたいのですが。Analysis Ready Data(ARD)というものをご提供されているということで、無料でデータ提供されていて、かつARDも用意されているというのはすばらしいと思いながら伺いましたが、どういう分野で、あるいはどういうふうにニーズを把握して、どの程度のものを提供されているのか、例などを教えていただけると有り難いです。よろしくお願いいたします。
【前島委員】 ありがとうございます。実はこれはまだJAXAは欧米に比べるとあまり進んでいるとはいえない状況でして、今は先ほどご説明したCEOSの中で正にこういうところを検討するワーキンググループを作っています。そこで協調しながらこういうデータフォーマットでこういうものを作っていくとよいのではないかというところを進めておるところです。残念ながらまだあまり進んでいる状況とはいえないのですが、ぜひここを進めていって利用を拡大していきたいというふうに考えているところです。
【川辺委員】 分かりました。どうもありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。では、岩谷委員、岩崎委員の順番でお願いします。
【岩谷委員】 ありがとうございます。詳しいお話ありがとうございます。私は同じようにデータ提供サービスのところで伺いたいのですが、広く活用されている例が何件とは書いてあるのですが、このうちの実際に社会実装されている部分と、あと教育は15件と書いているのですが、教育以外は社会実装なのかなという認識を持っているのですが、教育というのは大学での論文、研究での利用なのか、もしくはこの教育というのは例えば高校生等、一般的な教育に利用されている例があるのか、この辺の使われ方みたいなものをもし把握されていたら教えていただきたいのですが。分かりやすくいえばデータのダウンロードの話だと思うので、例えば先ほどのGSMAPのところの世界の雨分布速報みたいなところを教育機関で活用されていますとか、そういうのが分かるように教えていただきたいなと思います。
【前島委員】 ありがとうございます。今よいところを指摘いただいたと思うのですが、実はこれに件数は書いてあるのですが、結構重複しているところがございます。例えば教育と気象が重複して入っているようなものもありまして、同じコンテンツが入っているものもありまして、というところでまずはこれがきれいに分かれていないというところと、あともう一つご質問いただいたのは、この教育というのは確かに高等教育というよりはもう少し一般向けの教育を意図して書いております。
【岩谷委員】 分かりました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 では、岩崎委員、お願いします。
【岩崎委員】 非常に分かりやすい、かつ包括的なご説明ありがとうございました。コメントとしては、オープン&フリーなデータ、かつユーザーが使いやすい形での解析した後のデータ提供について大変期待をしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
質問としては、次期5期の計画の中に書かれていた官民共創のところです。現在、JAXAとしても衛星を活用した地球観測分野のスタートアップ企業の育成に力を入れていると思うのですが、そうして育った民間企業との地球観測分野における官民連携の共創の在り方や役割分担について、分かる範囲で進んでいる議論について教えてください。
【前島委員】 ありがとうございます。今はご承知のとおり様々な支援制度が出来上がっていまして、民の活動をどんどん支援して宇宙を盛り上げていこうという活動がされております。例えばJAXA基金ですと、JAXAはそことちゃんとすみ分けをしてやっていくというところは今進めておるわけなのですが、そういった民でやるべきところ、JAXAでやるべきところ、それを踏まえて設定したのが先ほどのA)、B)、C)というような次期の中長期の活動、JAXAがやるべき仕事というふうに捉えております。
【岩崎委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 では、オンラインでご参加の中北委員、嶋田委員の順番で、次に高薮委員でこのテーマについては終わりたいと思います。中北委員、お願いします。
【中北委員】 どうもありがとうございます。全体像を見せていただきましてありがとうございました。降水、雨を測るレーダーもずっと継続観測されている中で、今回新しく降雨観測衛星(PMM)が立ち上がっているのは素晴らしくて、予算も今年は付きましたね。素晴らしいことだと思っています。その中で、TRMM、GPMときて今回PMMにきたときに、継続観測という大事さプラス、今回目指して実現できそうだというところだけ簡単にご説明いただけますでしょうか? 私が聞くのも何なのですが、簡単にお教えいただければと思います。
【前島委員】 おっしゃるのはPMMでどこが改善されるかということですか?
【中北委員】 そうですね。今回は風を測る機能も持っているというふうには聞いたのですが、そういうので今までは見えていなかったものがより見えるというところも考えられているかなと思って、そこの測り方みたいなのがあれば少し教えていただきたいなと思いました。
【前島委員】 高薮先生、お願いします。
【高薮委員】 私の方からお話しさせていただきますと、PMMの降水レーダーにはドップラー機能が付いていまして、それによって主に鉛直流ですが、その情報が同時に得られるという。それによって降水と気象の大循環との連携、力学との連携がアドオン的に取れるということで、非常に気候問題に対してコントリビューションの多い新機能が付くということになります。
【中北委員】 分かりました。今までは雨ができることは凝結をするということで熱の変換をそれで見ていたのですが、実際はより上昇流を通して中のメカも見ながらできるようになっていくというような感じですね?
【高薮委員】 そうですね。循環との連携が取れるということで、モデルへの知見のフィードバックが大きいことが期待できます。
【中北委員】 分かりました。全球将来予測モデルのためにもよい情報を出すということで理解させていただいてよいですかね。
【高薮委員】 はい。
【中北委員】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。少々時間が押しはじめておりますので、嶋田委員はすみませんが手短な質疑応答をお願いします。
【嶋田委員】 ありがとうございます。GOSATについて教えていただきたいのですが、こういう面的なCO2濃度に関してはすごく大事だと思うのですが、具体的に観測データをどういうふうに利用しているのか、活用の場面について何か事例があれば教えていただければと思います。
【前島委員】 我々のGOSATは広域観測を担っておりまして、先ほどありましたとおり我々の創出したプロダクトとしては国連ですとかIPCCあるいは各国、そういったところの利用を目的としております。一方で、最近民間の小型でどちらかというとリージョナルな観測も進めておりまして、そういったところは工場レベルとかそういったところの利用も進めていこうというふうに考えております。
【嶋田委員】 例えば大規模排出源みたいなものを探索するとか、そういった規制に関わるような利用というのも可能になる感じでしょうか?
【前島委員】 そうですね。今はそういった広域の観測ともう少しリージョナルな観測というところですみ分けをしていこうということで考えておりまして、例えばどこかの工場でメタンが漏れているとか、そういったところはリージョナルな方で観測をするのが得意だということで整理しております。
【嶋田委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 では、最後に高薮委員からお願いします。
【高薮委員】 それでは、やはりデータ提供サービスのところなのですが、おそらくクラウドが一番効率がよい提供サービスになると思うのですが、いくつのクラウドについて現在具体的に検討されておりますでしょうか。
【前島委員】 ちょっと数は把握していない。
【高薮委員】 複数ですか?
【前島委員】 はい。やはりクラウドだと出し入れのコストがなかなか下がってこないというところがあって、もちろん我々検討はしておるのですが、そこがネックになってくるというところです。
【高薮委員】 分かりました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。活発にご議論いただきましてどうもありがとうございました。JAXAの前島委員からご説明いただきました。ありがとうございました。
【前島委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 では、続きまして京都大学の中北委員から、最近の「減災と地球観測」について、資料1-2に基づいて15分程度で説明をお願いいたします。
【中北委員】 どうぞよろしくお願いいたします。改めまして京大の中北です。こういう衛星観測と、我々はどちらかというと利用者側の研究者とのつながりというのは結構1990年ぐらいから地球観測委員会というのを文科省、JAXAが作っていただいて、その中にたくさんの分科会があって、その中で私はどちらかというと水循環の立場で、先ほどの降水衛星もそうですが、そちらの方に入れていただいていて、衛星関連でお付き合いをさせていただいております。その当時、防災という分科会もあったのですが、どれほど使っていけるかということの理想論とかをいろいろ皆さん語り合われる中で、この30年で一つひとつ実現をしてきて実地で使われてきているという、この素晴らしさというのを感じています。これが前置きでございまして、今日はJAXAがしゃべられているのでしゃべることがないのではないかと思いながら、防災に関連してより具体的な、最近役立っているようなところを少しお伝えしようと思って整理をさせていただきました。それでは2枚目をお願いいたします。
皆さんご存じのように、気候変動による水災害は激甚化・頻発化していまして、2010年からほぼ毎年梅雨や台風による豪雨、あるいは高潮による災害というのが起きてきています。その中で洪水、土砂災害、今や本当にシリアスで痛ましい災害をもたらしていると。雨の量も1980年代に比べて温暖化の影響で最近は15%ぐらい総雨量が増えているというのが、文部科学省環境エネルギー課がずっと進めてきてくださる先端プログラム等で分かって、気象庁でも発表されているところになります。その中で、今日はその気候変動のモデル検証とか、それとその前に最近頻発化している災害にどう衛星が使われているかということを例としてお話したいと思います。次の頁をお願いいたします。
ということで、災害状況の有事把握ということで、次の頁をお願いいたします。ここにJAXA・国土交通省(2023)と下に書いていますが、実はこの両者で災害への利用に関するマニュアルというのが作成されていまして、衛星画像でおよそどういう原理でどういうことが分かるかということがまとめられているこういう冊子ができていると。そこから少しピックアップしたもので、例えばALOS関連でいった場合に合成開口レーダー、SARの電波で、雨であろうが雲があろうが上からはいつでも地面が見えるという素晴らしい特長を生かした形で地表面の状態を見るというもので、ここにいくつかの例が書いてあります。それから、今の豪雨災害・土砂災害でも申し上げましたが、あと地震とかの関連で、地盤近くの変化とかいうのも右下のカラーの桜島の絵とか、これは火山によって山体が盛り上がるとか、そういうのも監視することによって噴火の予知になるのですが、これは位相情報、インターフェロメトリという情報を使って、今地震の分野でもフル活用されているというところになります。というので、これは主に電波を使うことによって光学の衛星では見えないところをより防災で活かしているという点をお話しします。次の頁をお願いいたします。
国交省の中では人工衛星あるいはその後に航空機、ヘリによる観測、あるいはドローンによる観測、最終的には地上の調査という形で入るのですが、その最初の人工衛星、特にこのSAR画像の特長ということで夜間も観測できる、悪天候でも大丈夫というので、それから宇宙から見ていますので、4~500 kmの高さから見ていて視野が全球観測にしては狭いのですが、こういう我が国の災害の状況を見るのには広い範囲を見てくれるという、この丸が付いているところが大事なところとして生かされています。次の頁をお願いいたします。
というので、ここに書いてあるSAR画像を含めた衛星観測がまずは有事のときにぱっと行われて、それがJAXAとの協力でもって観測しましょうということをやり取りの中で決断していただいた中で、そのJAXAのところの下に、先ほども例がありましたが氾濫域であるとかそういうのをおよそ見た上で、右の方にありますヘリが飛べるというふうになって、併せてどれだけの洪水・浸水があるかという、水の体積をこういうものから出して、それから一番下にありますポンプ排水といいますのは、どれだけの容量のポンプ車を全国から集めてこないといけないかというような試算をして、実際の現場に時を移さずにこういう災害対応というのができるようになっています。流しながら行きます。次の頁をお願いいたします。
これが今の手順です。国交省の方からSAR画像を今回の災害で利用しようかと検討した中で、JAXAとやり取りしながら、僕らも若い時にLandsatとかいろんなものを地上観測と同期して使う時に、こちらを向いて振ってもらうとか、そういうことが臨機応変にできるようなシステムになっていると。そういうのをよりこういう災害用にもしていただいた形で、先ほどご紹介がありましたJAXAの方でそのまま測った画像だけではなくて、ある程度解析した画像も出していただけるようになっていると。そういうのを国交省側が利用して、最終的に独自の空からの観測に生かしていくということになっています。次の頁をお願いいたします。
これが例えば北海道の常呂川というところの浸水域を、これは上は山が寝ているのでSAR画像なのですが、というのから判別すると、完璧ではないのですがおよその浸水範囲というのをこれで見ることができるというものになります。次の頁をお願いいたします。
これは皆さんも記憶があると思いますが2018年西日本豪雨の岡山の真備町の大氾濫域での氾濫です。SAR画像では水域は電波が向こうに逃げてこちらに返ってきせんので黒く見えるということを利用した形で、およその氾濫域を夜でも早く見た上で、先ほど言った最終的にはより地面に近いヘリ観測を通して右にあります排水に結び付けるという、これは何日か掛けて水を抜くということを必ずやっているというところを見ていただければと思います。次の頁をお願いいたします。
こちらも氾濫です。令和4年。最近東北の日本海側で豪雨が多くなっていますが、これも気候変動予測で出ている兆候と矛盾しないものなのですが、こういうようなのも、局所的なものも今のSARではちゃんと氾濫域を類推できるということです。次の頁をお願いいたします。
同じようなものなので飛ばしていきましょう。これは名古屋の氾濫域で、次に行っていただくと、同じ氾濫域といいましても、次の頁をお願いいたします。人工衛星だけで何もかも分かるわけではなくて、地上の情報と重ね合わせることによって即時的な大事な情報になると。例えば上の金沢霞の方とか、これは元々堤防を欠いておいて、霞堤といいますが、出水で水位が高いときには田んぼに自然に水が抜けるようになっていて、水位が下がると戻るようになっていると。そういうようなところの氾濫であるとか、あるいは左の方に来ると、これはたくさんの居住地があるところの氾濫であるとかというのが即座に人工衛星を使って把握することができるということです。次の頁をお願いいたします。もう飛ばします。次の頁をお願いいたします。次の頁をお願いいたします。まあいろんな場面で使われているということですね。
これは氾濫域ではなくて土砂の崩壊、山腹崩壊が起こっているというところをやはりSAR画像を使って判別できると。それが左。真ん中がSAR画像で、右が実際に起こっているところというので、およその氾濫が起こっている区域を見るということができます。次の頁をお願いいたします。
能登地震でも多くの場所で山腹崩壊が起きて、この右下の写真を見ていただきますと、山腹崩壊が起きて、下に小さい川が流れているのですが、そこの川を塞いで土砂ダムというのを形成しています。それが非常に危険な場所ということで早く探知しないといけないということで、このSAR画像が生かされていると。それから、二次災害。複合災害という人もいますが。9月に大雨が降った後に、この溜まっていた土砂ダムが洪水によってクラッシュされたらどうかというのも非常に大事な情報になりますので、こういうのもSAR画像で見て過去のものと比較することによって、溜まっていた土がなくなったとかというのをまだ悪天候の中でも判断ができるという良さを持っています。というので、防災の方の利用、特に国交省での利用をお示しさせていただきました。これがまとめになります。次に行きます。
次は、先ほどもTRMM、GPMの話をされていますのでここは飛ばしますが、私は元々豪雨災害の研究をやっているので、こういう宇宙からの豪雨の観測というのは非常にシャープで大事なものになると。どちらかというと、GSMAPにも利用はされていますが、よりグローバルで気候値がどうかというようなことを得るために上げられた衛星ということで、これは最後にと気候変動の先端プログラム関係で少し触れて終わっていきたいと思います。これはJAXAから提供いただいています。次の頁をお願いいたします。
これは先ほどJAXAの方で紹介がありました球磨川の災害で、2020年にありましたが、人工衛星の情報を使って、これは右上を見ていただくと日とか時間が書いていますが、こういう氾濫の水位がどう引いていくかとか、あるいはどう氾濫していくかというのを、時々刻々ではないのですが見ることができると。そういう情報を使って、左下、先ほど東大と連携と書いてありましたが、陸域の出水・氾濫シミュレーションとタイアップさせるというような動きが進んでいるということも紹介したいと思います。次の頁をお願いいたします。
文科省で先導いただいている気候変動のプログラムの中でも、より人工衛星とのタイアップを図るということで、次の頁をお願いいたします。これはGPSで地面の動きを見るというもので、次の頁をお願いいたします。これは防災研究所の地震のグループがありますが、そこで普段利用していると。全国の電子基準点を使って、次の頁をお願いいたします。地盤の動きを、次の頁をお願いいたします。時間経過とともにどう動いているかというのが割と精度よくGNSSで出ると。そういうようなもので、地震関連でもよく利用していて、次の頁をお願いいたします。能登での地盤の動きの即時的な情報、次の頁をお願いいたします。
では最後に予測プログラムとの関係ということで、もうこれは口だけにしますが、これは例えば、次の頁をお願いいたします。次の頁をお願いいたします。これは海面の高さを測るCopernicusという人工衛星の情報を使って海面上昇が経年的にどう変化しているかというのを見ながら、モデルの検証にも利用しているというようなものになります。全球モデル。これは海洋の方です。次の頁をお願いいたします。次の頁をお願いいたします。例えば海面の上昇と、それから温かい雨という非常に背の低い雨雲が豪雨をもたらすような熱帯であって、そういうのがどう変化していくかというものを過去の経過をTRMM等の情報を使ってみていって、どうなるかというような研究に使えるということでやっています。もう1個だけ見させてもらうと、当然JAXAのだけではなくて、次にどんどん行っていただいて、ひまわりも今たくさんのチャンネルを持っているということで、静止の衛星で地球の表面を測るというような非常に有り難いことで、時間的に普通の人工衛星の時間間欠的にしか測れないのをちゃんと見られるということで、ひまわりの最近のものは多くのチャンネルを持っているということで、そのようなものを利用しながら、都市の環境の将来変化のモデルを作っているのですが、それの再現性のチェックをこういう人工衛星の画像を使ってやっております。あと森林減災についてはもう飛ばします。これからどんどん広まっていくと思います。物理モデルを開発しておりますので。最後の頁をお願いいたします。
今後への期待ですが、継続観測というのは本当に大事です。1990年の地球観測委員会が始まる前は、センサーの開発をJAXAは中心に進めてこられた中で、こういう継続観測の重要性というのをその時立ち上げていただいて、いろいろな地球表面の経年変化というものを見て、それを物理検証するということに多く使われるようになってきましたので、ぜひこれは続けていただきたいということです。それから、これは僕のあれですが、これは誰でも理想としていうのですが、雨を電波で直接測る。今はPMM、新しいものが上がりましたが、いつか静止衛星でそういうものが測れるような技術開発を、あと10年、20年掛かるかもしれませんが、諦めないで目指していただければと思います。少し時間を長く頂きました。以上で終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。では、ただ今のご説明につきまして、皆様からご質問、ご意見を頂ければと思います。では、まず赤松委員、お願いいたします。
【赤松委員】 中北先生、ありがとうございました。今日の先生のお話は、災害が発生したときの被害状況把握とか、直前の兆候を察知するという話が多かったと思うのですが、防災という観点で、平常時の備えとしての活用とか、そういう際の地球観測への期待みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。
【中北委員】 人工衛星だけではないのですが、SAR画像あるいは航空撮影したものも含めて、例えば深層崩壊と呼ばれる、大雨で山の表面が崩れて岩盤ごとドサッと崩れる大山腹崩壊というのが起こるのですが、それのどこが危ないかというのを事前に全国チェックをするというようなことにも使われています。それは平時からです。だから、ある意味災害の危険なところを衛星観測を使って把握しておいて、いろんな注意予報を出すためのデザインに利用しているということです。こういうような形で今利用されたりしています。
【赤松委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。では、高薮委員、お願いします。
【高薮委員】 継続観測の重要性をお伝えいただいたのですが、一方で今は本当にいろいろ新規観測が素晴らしい技術で新しいことが観測できるようになってきているのですが、継続観測のための均質性と新規観測というものをどのように両方成り立たせていけばよいのか、お考えを教えていただければと思います。
【中北委員】 それは観測装置の質という意味のご質問でしょうか?
【高薮委員】 そうですね。データの均質性も継続観測の一つの意味として長期の変化を見るためには均質な観測ですね。測器の性能も含め。
【中北委員】 分かりました。あと、衛星の観測高度を変えるというのもありますよね。寿命を長くするために。TRMMなどはそうでしたよね。空気の摩擦の少ないより上に上げて寿命を延ばしましたね。あれもかなりコミュニティの中で議論された上で決定がなされたというふうに覚えているのですが、本当におっしゃるとおりで、いつも悩ましいことだと思います。新しいセンサーが出て今まで見えなかったものが見えて、科学的にも含めて、あるいは今回の災害利用も含めて、こういう新しくできるもののメリットと、継続観測はするのだが質が変わるという、そこのギャップをどうするかという、いつも多分そのときそのときで判断をしていくのかなと思っていますが、高薮先生はいかがですか?
【高薮委員】 ありがとうございます。比較のできる継続的なデータを確保することも一方で非常に重要なので、そこを考えながら新しい機器が利用できるとよいなとは思っています。
【中北委員】 あと、ソフト的には最新の観測情報から、古いセンサーだとこう見えているはずだというようなエミュレータみたいなものをいつも開発しておくということが大事かなと思います。
【高薮委員】 それは非常に重要ですね。
【中北委員】 空間分解能の違いも含めてですが、大事かなというふうには思っています。
【高薮委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。では、岩崎委員、お願いします。
【岩崎委員】 JICAの岩崎です。90年代からの流れが分かるご説明ありがとうございました。赤松委員と類似の質問になります。衛星を活用したことによって、中北先生のご説明にあったとおり、災害発生後の被害状況把握というのは画期的に進んだと思いますし、更には早期警報という観点でも衛星データによって革新的にいろんなものが改善してきていると思います。
一方、途上国では、日本と比べると地上データが不足しているため、本来は優先度が高い事前防災がなかなか進まない状況です。観測データ不足もあり災害リスクがうまく理解されずに、平時の事前防災が進まないというのが途上国の現状かと思います。そうした中で、先ほど斜面崩壊のご説明がありましたが、ニーズが世界的にも非常に高い治水分野で衛星データを使うことによって地上データを補完し災害リスクをより的確に提示し、事前防災投資を促進するような取組ができないかということを思っているのですが、良い例をご存じでしたら教えてください。
【中北委員】 氾濫域も含めたそういう衛星情報を使って、途上国も含めた全球の推測というのは東大が結構早くからやっておられて、人工衛星から送られた情報を見て危なくなるところとか危険なところ、氾濫危険度とか地域というのは出せるはずでもありますし、今はいろんなところで日本もイニシアティブを取ってそういう研究が進んでいると思います。なので、パターンがあるのですよね。地上の情報も非常にうまく活用して精度の高い危険性のマップ、あるいは事前情報を得るというのと、人工衛星の情報でおよその当たりをつけてそういう情報を出すという二つのパターンがあると。全球、日本の場合は狭いエリアが欲しいのですが、発展途上国側ですとより大きな氾濫域も含めて大事になってきますので、ある程度の当たりをつけても広い範囲のここのところが危ないと出せるというのは人工衛星ではいけるのだと思います。というのが今の私の認識でございます。
【岩崎委員】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。他の皆さんもいかがですか? よろしいでしょうか。先ほどの中北委員と高薮委員のやり取りの中で、その従来のセンサーの長期的なもの、継続も大事だけれども新しいものも出てくる。そこでいずれ切り替わることになる。データの互換性といいますか、データそのものの継続性のご議論。その後、中北先生がその中で過去の衛星だったらこう見えているはずだというエミュレータみたいなものが必要だという、そのご議論の中で、それは実は生態系観測にも本当に当てはまることだと思ってお聞きしていました。
【中北委員】 そうですね。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
【中北委員】 いえいえ。生態系の皆様とも普段お付き合いをさせていただいていて、将来予測ですね、大事な取り組みだといつも認識させていただいています。
【村岡部会長】 ありがとうございます。最近私が研究している場所で森林の落葉広葉樹林で今まであまり温暖化の影響が多分そんなにすぐには来ないだろうと思っていたところが、だいぶ温度が上がるようになって、乾燥化も始まっているみたいで、そこもやはり気になっていました。今後いろいろな連携ができればというふうにも思います。よろしくお願いいたします。
【中北委員】 ありがとうございます。森林の方は、モデルの方では例えば全球用の大雑把なモデルと、それから我々災害の方は落ち葉の湿り具合を予測しながら危険度を出すとか、少しそういうようなこともやっておりますので、またよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。議題1の2つ目、京都大学の中北委員からご説明いただきましてご議論いただきました。ありがとうございました。
【中北委員】 どうもありがとうございました。失礼します。
【村岡部会長】 では、次に議題2に参ります。今後10年の我が国の地球観測の実施方針についてです。これまでご議論いただきました実施方針について、今日は最終案をお示ししています。これにつきましてまず事務局から資料2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 資料2-1及び資料2-2に基づいて、新たな今後10年の我が国の地球観測の実施方針(案)およびその概要について説明させていただきます。資料2-1をご覧ください。昨年12月の第8回部会でご審議いただいた実施方針の最終案について、部会での委員の皆様のご意見等を反映し、資料2-1のとおり実施方針(案)として取りまとめたものです。委員のご意見等を踏まえ、事実確認を中心に関係部署に内容を確認するとともに、事務局においても政府の基本計画等も参照しながら用語等の平仄を合わせ、誤字脱字等を修正しております。
それでは1ページめくって目次をご覧ください。全体の構成は大きく変わりはありませんが、前回、3章の2節の(1)のデジタル技術の活用の部分で、デジタルツインやAI等を具体的に出した方がよいのではないかとのご意見があり、それについて追記しました。また、その次のページで、審議の経過の部分を短く記載をしております。それでは1ページからご覧ください。
1ページの下の方になりますが、データバリューチェーンについて記載が曖昧で、具体的な説明が必要であるとのご意見、エコシステムという記載についても少し曖昧であるというご意見を頂きましたので、これまでのご審議の中身を踏まえながら具体的に枠組について記載することにより修正しております。
2ページ目をご覧ください。第1段落目になりますが、フォローアップ報告書について記載しています。フォローアップ報告書では、おおむね達成されていると記載していますが、それに対して必ずしも達成していなかった部分についても記載すべきではないかというご意見を頂き、「一方」以下の箇所において、地球観測データを用いた予測情報の創出に必要とされる気候モデルの高度化の必要性、地球観測データの容量の増加に伴うデータ基盤の連携・整備の重要性、地球観測データの産業利用促進に向けた民間セクターとの連携の不足等が課題として指摘されていることを追記しております。
それから4ページ目ですが、大きな修正ではありませんが、2段落目の「民間セクター」以下の部分について、その民間セクターの活動の活性化が大学の活動の低下と受け取られないように記載をするべきということや、そのプロジェクトの提案を推奨するというコメントを頂き、少し記載を修正しております。
次の5ページですが、元々エビデンスという用語を使用していましたが、それを科学的な根拠という文言に修正すべきではないかということでしたので、他の政府の文書等も踏まえながら、科学的根拠という言い方に修正しました。
また、5ページの下の方のエコシステムという言いぶりはデータバリューチェーンに言い換えるとか、あるいは前回の部会でご紹介しました部会長のコメントを踏まえいくつか修正しました。
少し飛びまして7ページになります。最後のところで、データと地球インテリジェンスの概念との接続を明確にした方がよいため、少し文言の修正をしております。
9ページでは、(3)オープンデータと情報管理の最後の段落の「一方」のところからですが、機微なデータについても触れるべきでとのご意見を反映し、機微なデータの取扱いという文言を加えています。また、そのページの一番下のところにですが、デジタルツインについて、地球上のすべてのことを再現するということを目指すような書き方は避けた方がよいというコメントを頂き、デジタルツインについての記載ぶりを修正しています。
10ページ一番下の2文目ですが、前回のアマゾン・ウェブ・サービスからのクラウドを中心としたプレゼンを受け、「また、このようなクラウドを活用し、地球観測データ等の統合・分析、評価・価値化を通じて、地球インテリジェンスを創出する、民間セクターを主体としたサービス産業の形成も期待される」という文言を記載しております。
次は11ページです。前回、植物検疫法に基づく害虫調査や都道府県における水産資源、環境アセス等における生物調査等で得られたデータベース等の仕組みがあった方がよいという趣旨の意見を頂きましたが、関係省庁の担当に確認をしたところ、個別の法令を書かない方がよいとのことでしたので、併せて地方公共団体が実施する生態系に関する調査等で得られた地球観測データをデータベース化するとともにという記載を加えております。
また、12ページの最初のところで、シチズンサイエンスとその関係が明確になるように記載するべきということで、文言の書きぶりを修正しています。
少し飛びまして15ページの下から16ページのはじめまでですが、エンドユーザーが使いやすい情報を創出する観点が重要であるとのコメントを頂いたこと、あるいはその利用者側のリテラシーや意識・知識の向上が重要であるとのコメントを踏まえ、記載を修正しております。また、小中学校や高等学校の観点からも、ということでしたので、未来のユーザーとなる子供たちに対して、有用性を学ぶことのできる機会を提供するとともにという部分を追記しております。
次は17ページです。ETFへの貢献についての記載もあるべきとのご意見を頂き、調べました。具体的に書きたいということもあり、隔年透明性報告書の提出等においても、その科学的観測に基づく検証手法として地球観測データの重要性が認識されており、気候変動対策に貢献することが重要であることを追記しております。
同じく17ページの下から2行目以下、いくつか出てくるグローバルサウスの記載部分については、前回、より具体的な定義がある文言に書き換えるべきとのコメントを頂き、開発途上国と記載しております。これはOECDで定義されています。
少し飛びまして20ページです。(2)関係府省・組織の連携の中で、挙げている計画の中で地理空間情報活用推進基本計画も追記しまいた。その下の「また」の最後のところですが、国においてのデータ利活用の推進についても記載すべきであるというご意見を頂きましたので、その旨を記載しています。
同じページの一番下のところですが、現地の実情に合わせた伴走型の支援になっていることが重要であるとのご意見を頂き、「当該地域を取り巻く状況や住民等のニーズを踏まえ」と記載しております。
21ページについても、地球インテリジェンスについてエンドユーザーが専門的な知識を求めずとも使いやすいものを目指すということや、地方の大学への支援も重要であるというようなコメントを頂き、それを踏まえ文言を修正しております。
少し飛びまして23ページの2の防災・減災のところで、仙台防災枠組みのことを記載するべきというご意見を頂き、その説明も含め追記しております。
他には、ビジネスや社会実装、災害対応等も記載をするべきということで、27頁ページの海洋環境・資源の保全の最後で、国や企業等の事業等においての利活用の促進について記載しております。その他、細かい用語の修正をしております。資料2-1はこのとおりです。
引き続き資料2-2についてご説明します。事務局において先ほどの実施方針(案)を踏まえ、その概要の一枚紙を作成しました。一覧性を高めるため一枚に記載をしています。上から実施方針の位置付け、それから2章の地球観測の基本的考え方、3章の取組の方向性、4章の分野別の地球観測、4つの項目を並べ、実施方針の位置付けについては、その位置付けとともに2期目の実施方針であることを記載しております。また、それぞれの章の記載においては、その章に含まれる各節の内容について、その概要を記載しております。事務局からの説明は以上です。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。ただ今のご説明につきまして、部会の委員の皆様からご質問、ご意見があればお伺いいたします。少し時間を取って議論をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。では、高薮委員、赤松委員の順でお願いいたします。
【高薮委員】 ご説明ありがとうございます。非常に多岐にわたる現在の課題について網羅されていてとても重要な文書になっています。実はこの期に及んで申し訳ないのですが、現在地球環境問題をあまり意に介さない世界のリーダーというのが台頭してきていまして、織り込み済みとはいえ地球観測に関する世界の認識の劣化が非常に懸念されている危機的な状況だと思います。これまで非常に現象的に地球がどうだとかそういうことが認識されてきて、その状況においてどのように観測を皆様が社会に支えてもらうためにデータバリューチェーン等を創出していく、構築していくということは非常に重要だと思ったのですが、そもそもバックグラウンドとして地球環境の変化、特に気候変動等のエビデンスを示して、それと人間活動の関わりというところをやはり示していくことが地球観測にとって非常に重要なミッションであるというところが、まあ後ろの方に気候変動とかで書いてあるのですが、あまりにも我々の常識になってしまったせいか少し引っ込んでしまっている。その辺り、はじめにやバックグラウンド、最初の我が国の地球観測の基本的な考え方のところに、やはり政府から出す文書としては今の時点で書きこんでいただけないかなと、そういうような危機感を持っておりますので、根本に立ち返って原点を押さえた上でそれを支えていくためにはこれは社会にとって重要なデータ、他の意味でも重要なデータですよということをデータバリューチェーンでそのあたりを書くという、そういう議論を少し加えていただけないかなと考えました。この頃危機感が高まっていますので。よろしくお願いいたします。
【松原推進官】 基本的には、地球観測データはリアルな地球の状況を表すという意味でとても重要であり、元々そういう認識から、特に環境問題が重要であるという認識から始まっており、10年ぐらい前から特に強力に推進をされてきたところでもあります。どのように書けるか、今の段階で大きく変えるというのはなかなか難しいところもありますが、そういう認識の上でどのようにできるかということで検討したいと思います。
【高薮委員】 少し考えたのは、2行くらいなのですが、はじめにの第2段落として、その間にも例えば「極端現象の激甚化や生物多様性の喪失等、地球環境の悪化が急速に進んでおり、世界は人間活動の影響を認識し対策する必要がある」というような、そのような意味合いのことを冒頭の辺りに書き込むことはできないかなと考えております。
【松原推進官】 どこに書き込むかも含めて考えたいと思います。
【高薮委員】 政策者の必ず見るようなところにバックグラウンドとして加筆いただけたらよいのではないかなと思っています。
【松原推進官】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。本当に改めての問題意識の確認ということもあって、後は10年、20年経ってこの間に環境が大きく変わり社会への影響も本当に顕在化してきている中でこれからどうしていくかというところはやはり最初に打ち出すということかと思いました。どうもありがとうございます。
【高薮委員】 はい。ありがとうございます。
【村岡部会長】 では、次に赤松委員、お願いします。
【赤松委員】 国際航業の赤松でございます。いろいろとご対応いただきましてありがとうございました。非常に的確なご対応だったかと思います。少し細かいところの話をいくつか申し上げたいのですが、まず、これは私が見落としていたのですが、6頁のところの真ん中辺りに「市場の整備」という言葉がございます。データ流通のためのプラットフォームや市場の整備と書かれているので、市場としてどのようなものをお考えになられているかをまずお聞きしたいと思います。
【松原推進官】 市場について、ここで全てをというわけにはいかないですが、先ほどJAXAからのプレゼンも踏まえて、民間への流通というのは重要である。つまり、様々なステークホルダーが出てきて、様々な主体が様々にその主体に対してデータを流通させていくという中で、今のところまだ整備が個別に行われているところ、何かもう少し透明性を持った一つのルールがあれば、もう少し流通がしやすくなると考えています。あるいは規格とかも、全てを一つにするわけにはいかないと思いまですが、そういうものを一つにすることができれば、これは文科省だけでできるものではないと思いますが、そのデータのマーケットも日本だけに限らず世界に広がっているものなので、これだけそのデータ利活用が進んでいく中で、よりうまくデータ流通が行えるマーケットを整備することができれば、よりデータの利活用が進むような状況が出てくるのではないかと考え、このような記載しております。ただし、ここに書いてあることは基本的に本部会でご議論いただいていることを踏まえてのことですので、そういうものを踏まえて記載したいと考えております。
【赤松委員】 なるほど。何かというと、例えば市場と一言でいわれるとイメージがなかなか湧かないので、今ご説明いただいたようなことを端的に追記していただけると理解が進みやすいかなと思いましたので、よろしくお願いしたいなと思います。
次が27頁です。海洋のところに、最初にご説明いただいたように防災対策等のことをお書きいただいておりまして、これは非常に良かったと思っています。一方で、この項に「資源」というタイトルが書かれているのですが、資源のことは別な項でまとめられていて、この項の中にほとんど資源の話は書かれていないと思いました。防災とかを入れるのであれば、「海洋環境」とか「事象」や「現象」だとか、その「保全」みたいな言葉に変えた方がよいのかなと少し思ったので、ご検討いただければと思います。後ろの資源のところとあわせてご検討いただければと思います。
【松原推進官】 分かりました。検討したいと思います。
【赤松委員】 お願いいたします。後は、9頁のところで、「データのオープン化を進めて、データの法律上の取扱いの明確化」という、ページの真ん中の下の辺りに追記を頂いているところがあるのですが、先ほど前島委員からのご説明の中にもありましたが、オープンデータ化を進めて、商用利用をどうフレキシブルにできるようにするかは非常に重要なポイントかなと思っております。このデータのオープン化のところに付け加えるのかどうかはあるのですが、何か商用利用を容易に可能とするというような一言を加えていただければなと考えております。ご検討いただければと思います。
【松原推進官】 ありがとうございます。
【赤松委員】 あと、27頁。農業とか、それから環境ですかね、水循環のところに少し民間のサービスの話を書き込めないかとお願いしたのですが、まあこれは各省庁との関係上なかなか難しかったのかと理解すればよろしいですか?
【松原推進官】 その通りです。これらの記述については関係府省等と相談をさせていただいております。
【赤松委員】 分かりました。あと、先ほど申し上げた海洋のところで防災を付け加えていただいたので、資料2-2の中にも一言防災というキーワードを入れていただけると、民生利用のところも対応しているというようになるかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 ありがとうございます。
【赤松委員】 あと、つまらない話なのですが、資料2-2の真ん中の5番のところに「関係府省の協力し」と書いてあるのですが、これは「関係府省と協力し」だと思いますので、単なる文章の間違いなのですが、直していただければと思います。
【松原推進官】 分かりました。ご指摘ありがとうございます。
【赤松委員】 マイナーな話ですが私からは以上でございます。
【松原推進官】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございました。続きまして、川辺委員、河野委員の順番でお願いします。まず川辺委員、お願いします。
【川辺委員】 川辺でございます。いろいろ訂正、修正いただきましてありがとうございます少し気になったところなのですが、エコシステムの話とデータバリューチェーンの話が少し混同されているのではないかなと思ったところがありました。具体的に申しますと、例えば4頁だと思うのですが、「2の1、国内の動き、地球観測を取り巻く現状と課題の(1)国内の動き」のところで、「データ利活用促進のためのエコシステムの構築が必要となる」とあります。これはそのとおりだと思うのですね。このエコシステムというのは、例えば企業などいろいろな組織がデータプラットフォームなどを拠点としてパートナーとなって活動するというイメージでよいかと思っていたのですが、その後、「地球観測の在り方」というところで、前にあった自律的な地球観測のエコシステムというのがデータバリューチェーンに変わっているのですね。まずエコシステムを発展させて、あるいは維持しながら、データバリューチェーンを構築していきましょうという話だったと思うのですが、いきなりエコシステムがデータバリューチェーンになっていたので少し違和感をおぼえています。今見せていただいている「これからの地球観測の在り方」の次の次の段落で、地球観測インフラの構築とその成果の提供体制の構築に向けて、データバリューチェーンの実現が必要であるとありまして、データバリューチェーンはこういうものを考えているのですよ、というのがここで出てくるのです。ですので、その前まで維持・発展を目指すのはエコシステムかなと思います。おそらく多くの「エコシステム」が「データバリューチェーン」に変更されているかと思うのですが、その整理をもう一回精査していただけるとすっきりするのかと思うのです。いかがでしょうか。
【松原推進官】 ご指摘のとおりで、エコシステムとデータバリューチェーンが若干混在しているというところはあると思います。ある意味、生態系を模した言い方になっているのですが、つまり多様な主体がいて、うまくつながって一つのシステムを作っていくということと、それからそういうものが一つにつながって一連のバリューチェーンを作っていくことで、一つずつにその価値付けが積み重なっていくところは、ある意味違う部分もあれば同じ部分もあり、厳密に分けられない部分はあると思っています。ある意味その前提としてエコシステムがあって、そこに更に価値付けをするようなシステムを構築していくというようなイメージで少し中身を見直してみたいと思います。ただ、厳格にそれが分けるものが何かというのは完全にはならないかもしれませんが、見直してみたいともいます。
【川辺委員】 ありがとうございます。バリューというものを貨幣価値で捉えるのか、あるいはもう少し広く捉えるのかというところも含めてお考えいただければと思います。
今のことに関連しまして、2-2の資料の方でも、「地球観測を取り巻く状況と課題」のところで、「利活用を促進するためのエコシステムが必要」と書いてありまして、これだけでは自然生態系と思われるかもしれないので、注釈が必要なのではないかなと思います。
データバリューチェーンを通じた地球観測の利活用の促進というのが左上のところにありますが、ここもデータバリューチェーンの構築によりというよりも、エコシステムのことで、その次にデータバリューチェーンを実現していきましょうという話かと思います。少しこの辺りも含めてお考えいただけると有り難いです。以上でございます。
【松原推進官】 注釈につきましては、「地球インテリジェンス」と「データバリューチェーン」という、特に今回は重要なコンセプトについて付けています。「エコシステム」に注釈を付けるかについては考えたいと思います。また、3の取組の方向性についてはどういうふうに書けるかは検討したいと思います。
【川辺委員】 ありがとうございます。失礼いたします。
【村岡部会長】 ありがとうございます。では、あとお二方にさせてください。まず、河野委員、その次に嶋田委員、お願いします。まず河野委員、お願いします。
【河野委員】 私は本文そのものに関するコメントというよりも、GEOとの関係についてお伺いしたいのですが、一つは、地球観測は世界中で行われていることですので、世界の地球観測の動向と我が国の実施方針がどのような位置付けにあるか。世界の動向に対して我が国のそれがどのような位置付けにあるかというのを知りたいのですが、例えば文書を拝見すると、地球インテリジェンスというコンセプトそのままは日本側が強く主導してGEOのコンセプトに受け入れられたということになるのか、我々のこの実施方針そのものはGEOの方針の先頭を走っているということなのか、むしろこちらのコンセプトを向こうに入れたので向こうよりもこちらの方が進んでいるのだというような考えなのか、というのが1点。
もう1点は、文書を拝見すると、GEOを活用しとか、あるいは地球インテリジェンスというコンセプトは受け入れられたものの、具体のものについて更にリーダーシップを取っていくというような内容の記述とか、あるいは少し人材が足らないというような記述があるのですが、来年度以降のこういった部会で具体策を実現するためにどのようなことを提言していくべきかというようなことを議論をしていかないと、GEOに対する対応がべきだ論だけで終わってしまうような気がするのでコメントをいたしました。
【松原推進官】 まずGEOとの関係ですが、正に、地球インテリジェンスのコンセプトは我が国が中心となって提案したということでは、第9期の議論も含め我々としてそのコンセプトについては進んだ考え方を持っていると思っています。ただ、具体的な取組が進んでいるかというと、実施方針(案)の中で記載したとおり、例えば米国であればプラットフォーマーがかなり進んでいる。あるいは欧州ですとCopernicusプロジェクトが進んでいます。やはり地球インテリジェンスあるいはデータバリューチェーンというものを具体化していく中では、更に具体的な成功例を一つでも出していくということが重要だと思っております。
ここでも書かせていただいているようにユースケースを一つでも出していく、それで実際に一つでも具体的なデータバリューチェーンの成功例を出していくということが重要だと思っており、それを具体化するということが今後の課題だと思っております。
【河野委員】 ありがとうございました。コンセプトについては先進的な提案だが内容については一部先駆けて行なっているところには劣っているところがあるのだということを理解しました。
もう一つは、そのように例えばユースケース一つをやっていくことが重要であるならば、そのユースケース一つを上げるためにどのようなことを手を打つべきかという、何か推進するための具体的な方策を議論していかないと、また次これを改訂するときにもユースケースを出していくべきというようなことを書かなくてはいけない事態になるので、少し具体的な提言というのを出せるようにしていくとよいかと思います。以上です。ありがとうございました。
【松原推進官】 おっしゃる通り、今後の部会の課題というのは具体的にどのように実現をしていくかを考えていくことだと思います。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。では、最後に嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】 本文についてはいろいろと我々の意見を反映していただきましてありがとうございました。それで本文の方ではなくて資料2-2の方なのですが、おそらく多くの方々が目にするのはこちらだと思うのですね。そのときに、今までの議論の中にもやはりオープンデータという言葉が極めて重要なキーワードでそこが特に日本語版にはなかなか進んでいないよねというような議論もあったかと思うのですが、そのオープンデータという言わばキーワードがこの2-2の中に入っていないということがありまして、例えば3.1.のデータバリューチェーンの3つ目のポツのところにプラットフォームの高度化という言葉がありますが、そこにオープンデータという言葉も盛り込んだ方がよいのではないかなというふうに思いました。以上です。
【松原推進官】 地球観測は科学的な部分から始まってきたということもあり、確かに言われるとおりで、オープンであるということは重要なコンセプトの一つであると思っています。この中に何らかオープンであるという、コンセプトを入れていきたいと思います。
【嶋田委員】 よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。皆様、活発なご議論を頂きましてありがとうございました。本日の委員の皆様のご議論の実施方針への反映につきましては、一旦部会長と事務局預かりとさせていただきまして、修正した上でこの後公表とさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか? ありがとうございます。オンラインで参加の委員の皆様もよろしいでしょうか? ありがとうございました。それでは、皆様から承認いただきました。誠にありがとうございます。9回にわたってご議論いただきまして、10年前の実施方針に比べて更に大きなものになってまいりました。ありがとうございました。
それで、本日は第10期の部会としてお集まりいただく最後となりましたので、よろしければ委員の皆様から一言ずつご挨拶いただければというふうに思います。私の手元の名簿の順で参ります。まず赤松委員、お願いします。
【赤松委員】 国際航業の赤松でございます。本当に長い間いろいろと議論させていただきまして、今改めてこの資料2-2の方を見ると非常によい形で仕上がったなと思っています。重要なテーマであります地球インテリジェンスとデータバリューチェーンを確認して、私もいろいろと無理を申し上げたのですが、どうやって利用につなげていくのかが相当強く打ち出された形になったかと思っています。
これから地球観測の社会における利用をどのように実現していくかが非常に重要な時期に入ってきますので、ぜひこの方針が実現されるように、私も含めてですが頑張っていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。続きまして、岩崎委員、お願いします。
【岩崎委員】 事務局の皆様には、様々なコメントへの対応等委員会を的確に運営いただきありがとうございました。私自身学ぶことが多い委員会でした。国際協力機構の一員として途上国への国際協力に携わる中で、途上国自身が年々レベルアップをしてきていて、日本の先進国としての相対的な差がだんだん狭まってきていることを感じています。そのような状況の中で、地球観測を通じた地球規模課題への貢献は引き続き日本がリーダーシップを発揮していくことが期待される分野であるあると思います。
一方で、今回の実施方針の中にも書かれていますが、この分野でも日本国内の人材不足や若手の不足という問題が出てきていますので、国際協力を通じた衛星を活用した地球規模課題への貢献を通じながら各国と人的ネットワークを築き人材の国際的な循環を進めていくことによって、日本の地球観測、そして世界の地球観測も相乗効果をもって発展していくことが重要ということを改めて認識いたしました。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。岩谷委員、お願いします。
【岩谷委員】 10期では大変お世話になりました。ありがとうございました。私もあまり役立つようなコメントは言えなかったと思いますが、大変学びの多い委員をさせていただきました。ありがとうございます。今回の実施方針が固まりましたので、これをぜひ具体化して実現していただければと思います。そして社会実装が進むことを期待しております。
また、人材育成という課題がやはり上がっておりますので、この辺り、だんだん若い人が減っているというのはあるのですが、私の感触としては非常に学生さんとかが気象とか気候変動に関しては関心が高くて、非常に私のところにも門戸をたたく方は多いです。ですが、なかなかそこが研究だったり仕事だったりというところにつながっていないのかなというふうに感じている部分も多いので、そこをうまくつないであげられたらなというふうに思っております。これからの具体化ということに期待しております。以上です。ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。続きまして、上田委員、お願いします。
【上田委員】 上田でございます。私の分野は公衆衛生の分野ですので比較的地球観測については遠い分野になるのかなと思っておりましたが、この部会では非常に学びが多く、いろいろなことを学ばせていただきました。公衆衛生の分野はまだまだデータを使って地球観測と健康を考える機会というのがまだまだ十分ではないというふうに考えておりますが、今後もこちらの方で微力ではありますがいろいろしていければと思います。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。河野委員、お願いします。
【河野委員】 JAMSTECの河野です。私は少し過去を調べたら第6期から委員をやっておりまして今回で10年になるので、これで満期かなと思っております。10年前は現場におりましたのでいろいろ実のある意見が言えたような気もしますが、年々少しずつ寄与度が減ってきたなと実感しているところで、最後の2年間はあまりお役に立てなかったのは申し訳ないというふうに考えています。
先ほども申し上げましたが、具体的な施策を何かしないと、毎回べきだ論ばかりになってしまして、特に村岡先生GEO孤軍奮闘だと思いますので、ぜひ今後サポートになるような提言が何か出てくること、そして施策が打たれることを願っております。以上です。ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。続きまして、川辺委員、お願いします。
【川辺委員】 東京海洋大学の川辺でございます。私自身は海に社会科学的なアプローチをしている者で、海洋観測自体には携わっていないのですが、最先端のお話を皆様からお伺いすることができて非常に学びが多かったと感謝しております。今はITの進化というものも伴いまして、海洋管理や沿岸域管理にこうした観測データを利活用していくことがかなり期待されているかと思います。非常に重要なところだと思いますので、これからの発展を祈念しております。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】 埼玉県環境科学国際センターの嶋田でございます。大変興味深い情報も頂いて、私自身もすごく学ぶことができました。10年前ですとおそらく自治体がこういった地球観測データを使うということが、文科省も想定はされていなかったでしょうし我々自治体職員もあまりぴんときてなかったのですね。なので、この10年で多分大きく世の中が変わったのだなというふうに思います。すごくよい実施方針もできたので、そこで得られたデータを我々自治体も活用するようにこれからいろいろと学んでいく必要があるなというふうに強く感じております。いろいろとありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。神成委員、お願いします。
【神成委員】 神成でございます。私自身、本来の専門は農業、食、データプラットフォーム、それから正にデータバリューチェーンが専門で、ここ最近はバタバタしており貢献が不足しており申し訳ございませんでした。ただ、全体の実施方針を見ますと正にデータバリューチェーンの話が出ておりまして、私がこの部会に入った頃はまだなかなか地球観測というものと農業が遠いところがあったのですが、農業の方も現在日本でもいわゆる食料安保が非常に大きなテーマとなっておりまして、今後正に地球観測のデータをどのように生かしていくのかというような話がこれから重要になってくると思います。私も大変勉強になったので、引き続きここで学んだことを生かして今後の活動を積極的に展開していきたいと思います。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。では、高薮委員、お願いします。
【高薮委員】 元東京大学の高薮です。地球観測というものを社会利用につなげていくというのは非常に重要でありながら難しいことだと思いますが、それの具体案について様々な情報を頂いて、それをまとめていただいたという皆様の努力、情報に感謝申し上げます。せっかくこういう社会につながっていくという文書、方策をまとめていただいたので、ぜひこの実施方針を広く社会に知っていただけるように積極的に宣伝していただけたら良いのではないかと思います。ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。中北委員、お願いします。
【中北委員】 ありがとうございます。私自身は衛星とも絡みながらどちらかというと研究という立場からいろいろものを考えさせていただいて意見を言うというのが昔からだったのですが、この委員会に参加させていただいて、やはり社会への貢献という、それがどういうところかというのも、この委員の皆様のご意見をいろいろ拝聴したりして本当に勉強させていただいたと思っております。防災というのもそうなのですが、ますます人をハッピーにして笑顔にするというところにこの衛星観測の地球観測、それからますます今後発展にも期待して、できるところに貢献していきたいと思います。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。前島委員、お願いします。
【前島委員】 前島です。この会議で良ユーザーさんがたくさん参加されていて、非常に貴重なご意見をたくさん伺えて非常によかったと思っております。ありがとうございます。この報告書として観測から統合分析、評価、価値化、利活用で、それを更に観測にフィードバックを掛けるというエコシステムとか、データバリューチェーンとか、そういったところが提示されて、これは非常によいものが出来上がったなというふうに考えております。先ほど委員がおっしゃいましたが、これを実現していくことがやはり大事だと思っておりますので、我々実行部隊としてはこれをぜひ実現するようにこれから頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 ありがとうございました。六川委員、お願いします。
【六川委員】 六川でございます。今後の方針というのを非常に丁寧にまとめていただきまして、今のようなお話もありましたが、ぜひこれを少しでも実現できるように私も含めて努力していきたいというふうに改めて決意しているといいますか、そういう思いであります。
私自身は防災科研におりますので、平日には今衛星のデータそのものが見ていますと大体JAXAと日本の民間の2つのSARの会社ですね、その衛星を合わせただけでも1日10回程度は観測できる状況というものが実現してきましたので、ぜひJAXAとそれから民間の方のシナジーを含めて、JAXAにおかれましては幅広くリーダーシップを発揮していただいて、やはり災害についての速報性についての観測がスムーズにいく、そしてその後のフォローのプロダクトというのがしっかり出てくるような形で、ぜひ幅広に力を発揮していただければなというふうに感じている次第です。いろんな意味で勉強させていただいて誠にありがとうございました。以上です。
【村岡部会長】 ありがとうございました。では、最後に若松委員、お願いします。
【若松委員】 NTTデータ経営研究所の若松でございます。皆さんありがとうございました。この10年といいますと、宇宙とか地球観測の分野では、官から民への流れですとか、小型衛星コンステレーションですとか、後はそもそもIT自体がものすごく進歩していて、非常に環境が変わってきた中、今回新しい次の10年を見据えた実施方針をまとめたというのはすごく大きな仕事だったと思います。事務局の皆さん、ありがとうございました。
私自身としても、このデータバリューチェーンでいえば一番川下のデータ利用の立場からこの委員会にも参加してきたわけなのですが、現在私は実はそのデータバリューチェーンの一番川上の衛星を自分で設計して作るというようなプロジェクトにも関わらせていただいていまして、正にデータバリューチェーンを川上から川下まで全部カバーするようなことをこれからやっていこうと思っています。この実施方針の議論を踏まえて、ここでいっているようなデータバリューチェーンが構築できるように、これからも仕事を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
【村岡部会長】 皆様、どうもありがとうございました。今の皆様からのご挨拶、ご意見を議題3と代えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
では、本日用意しました議題は以上となります。最後に、第10期地球観測推進部会の閉会にあたりまして、事務局を代表して堀内研究開発局長よりご挨拶いただきます。堀内局長、よろしくお願いいたします。
【堀内局長】 文部科学省研究開発局長をしております堀内です。文部科学省を代表しまして閉会のご挨拶を申し上げたいと思います。今期第10期の地球観測推進部会は令和5年7月から本日まで9回開催されたということでございます。その間、委員の皆様におかれましては、大変ご多用の中いろいろなご議論を賜り、今日も新たな今後10年の我が国の地球観測の実施方針の策定について熱心にご審議いただいたということでありまして、本当にありがとうございます。
本日の部会では、我が国の地球観測の推進やその成果の利活用を、これらの基本的な戦略と国際的な連携の方向性を定める新しい実施方針が策定でき、我々のこれからの活動の基礎となる議論がなされたのではないかということで、重ねてご礼を申し上げます。
実施方針のテーマであります地球インテリジェンスの創出や今後の取組の方向性と示された地球観測における、今何度も議論がありましたがデータバリューチェーンの実現というものについては、私も非常に重要な考え方であるというふうに思っておりまして、これを私どもだけではなく、この皆様と一緒に実現していけないかなというふうに考えております。
一方、アメリカの新政権は気候変動について既に変更、政策転換がなされております。我々の国際的な活動に影響はあるかもしれないということでありますが、我々としましては、しっかりとしたサイエンスに基づいて科学者の集まりとしてしっかりとその論点を警鐘を鳴らしつづけるという役目は一層強くなるのかなというふうに思っておりまして、文科省としましても、これは地球観測推進部会だけではなく、そういった考え方で今後もいろいろなことを進めていきたいというふうに思っております。
最後になりますが、村岡部会長をはじめ委員の皆様の本部会でのご審議、ご尽力に対しまして改めて御礼を申し上げまして閉会の挨拶とさせていただければと思っております。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 堀内局長、ありがとうございました。では、最後に事務局から連絡事項をお願いします。
【中川専門官】 本日の部会の議事録につきましては、後日事務局よりメールで委員の皆様へお送りいたします。各委員の先生方にご確認いただいた後、文部科学省のホームページに公開いたします。事務局からの連絡事項は以上となります。
【村岡部会長】 ありがとうございました。9回にわたって第10期地球観測推進部会の皆様のご協力により実施方針もまとまりました。どうもありがとうございました。思えば私も実は、先ほど河野委員がおっしゃっていましたが第6期から地球観測推進部会に参加させていただきました。おそらく今回で最後になるのではないかと思います。大変お世話になりました。
地球環境変化が進み、社会への影響が大きくなってしまって、いろいろな問題がありつつも、他方で地球観測に関する科学技術も拡大し、発展し、コミュニティも主体が増えているということもあって発展しているところもあります。そして次世代の育成も大事という議論もしましたが、いろいろな課題を次世代に先送りするのではなくて、皆さんにご議論いただいた実施方針をやはり今の世代が中心になって実現していくというところが大事なのではないかというふうに考えまして、私自身もそうでなくてはならないと思いました。
これで第10期地球観測推進部会第9回を閉会いたします。皆様、ご協力いただきましてありがとうございました。
【一同】 ありがとうございました。
―― 了 ――
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