第10期地球観測推進部会(第1回) 議事録

1.日時

令和5年7月10日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

ハイブリッド開催(文部科学省東館16階16F4会議室及びリモート)

3.出席者

委員

村岡部会長、原田部会長代理、赤松委員、岩崎委員、岩谷委員、上田委員、川辺委員、嶋田委員、神成委員、高薮委員、谷本委員、平林委員、六川委員、若松委員
 

文部科学省

千原研究開発局長、林審議官、轟環境エネルギー課長、松原環境科学技術推進官、伊藤課長補佐,甲斐地球観測推進専門官
 

オブザーバー

内閣府 辻原科学技術・イノベーション推進事務局参事官

4.議事録

議題(1)部会長の選任、部会長代理の指名及び議事運営について(非公開)
科学技術・学術審議会の第6条第3項の規定により、部会に属する正委員の互選により、
村岡委員が部会長に選任されました。また、同第6条第5条の規定に基づき、原田委員が部会長代理に指名されました。
議事運営について、地球観測推進部会運営規則(案)を事務局より説明し、了承されました。
以降、運営規則第5条の規定に基づき公開します。
 
【村岡部会長】 第10期地球観測推進部会の部会長を承りました村岡と申します。本日は皆様お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日の司会進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、続きまして、第10期の部会の開催にあたりまして、事務局となる文部科学省からご挨拶をいただければと思います。研究開発局長でいらっしゃいます、千原局長、どうぞよろしくお願いいたします。
【千原研究開発局長】 研究開発局長の千原でございます。
 本日は先生方、お忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございました。また本部会の委員をお引き受けいただきまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。今回、第10期の最初の地球観測推進部会となりますので、事務局を代表して一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
 本地球観測部会、推進部会でございますけれども、「地球観測の推進戦略」、これを踏まえて、関係省庁、機関の緊密な連携、調整のもと、地球観測の推進に関する重要事項の調査審議を行うものということで文部科学省に設置をされております。昨今の気候変動問題、あるいは防災減災、また生物多様性、自然資本等への対応を進めていく上で、客観的、科学的なエビデンスとなる地球観測の役割、これは益々重要性を増しているという風に考えております。
 また第6期科学技術イノベーション基本計画や、本年6月に閣議決定されました、統合イノベーション戦略2023、これにおきましても、地球観測の体制強化や、長期的・安定的な観測、また観測技術の高度化、そして地球環境ビッグデータの利活用の促進等が掲げられておりまして、地球観測の重要性が示されているところでございます。
 今期第10期の部会におきましては、我が国における地球観測の基本方針を示しました、「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」が策定から8年を経過するということでございまして、次期実施方針の策定に向けた検討をいただきたいという風に思っております。
 また本日は、今期の第1回部会ということで、現行の実施方針や、あるいは地球観測に関する政府間会合(GEO)の動向などについて、ご審議をいただければという風に思っております。今後とも、委員の先生方より、専門的な見地から、活発なご議論・ご審議をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【村岡部会長】 千原局長、どうもありがとうございました。
 それでは、第10期の部会の委員の方々をご紹介したいと思います。改めて、資料1-1 地球観測推進部会委員名簿をご覧ください。本日は18名の委員の皆様のうち、15名の委員に参加いただいています。まず、会場でご出席の委員をご紹介します。最初に原田部会長代理でいらっしゃいます。
【原田部会長代理】 原田です。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 よろしくお願いします。赤松委員でいらっしゃいます。
【赤松委員】 国際航業の赤松でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 岩崎委員でいらっしゃいます。
【岩崎委員】 JICAの岩崎です。どうぞよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 岩谷委員でいらっしゃいます。
【岩谷委員】 オフィス気象キャスターの岩谷です。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 よろしくお願いします。嶋田委員でいらっしゃいます。
【嶋田委員】 埼玉県環境科学国際センターの嶋田でございます。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 高薮委員でいらっしゃいます。
【高薮委員】 東大大気海洋研究所の高薮です。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 平林委員でいらっしゃいます。
【平林委員】 JAXA地球観測統括の平林でございます。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 若松委員でいらっしゃいます。
【若松委員】 RESTECの若松でございます。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 よろしくお願いいたします。続きまして、オンラインでご出席の6名の委員をご紹介します。上田委員。
【上田委員】 北海道大学の上田でございます。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 よろしくお願いいたします。続きまして、川辺委員。
【川辺委員】 東京海洋大学の川辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 続きまして、神成委員。
【神成委員】 慶応大学の神成です。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 お願いいたします。谷本委員。
【谷本委員】 国立環境研究所の谷本です。どうぞよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 お願いいたします。六川委員お願いします。
【六川委員】 防災科研の六川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日ご欠席の委員の方々は、浦嶋委員、河野委員、中北委員、3名の方です。ありがとうございました。
 では、続きまして、本日の議題のうち、議題の2番に移りたいと思います。議題の2番は地球観測推進部会及び「今後 10 年の我が国の地球観測の実施方針」についてです。事務局から資料2に基づいて、説明をよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 それでは事務局から、地球観測推進部会及び「今後 10 年の我が国の地球観測の実施方針」について、資料2に基づき説明させていただきます。
それでは、2ページ目をご覧ください。地球観測部会は、科学技術・学術審議会 研究評価部会の下に設置をされているものです。これまでの経緯といたしましては、地球観測に関する我が国における取組の基本的な考え方を明らかにするために、平成16年12月の当時の総合科学技術会議が定めた、「地球観測の推進戦略」を踏まえ、関係府省・機関の緊密な連携・調整の下で、地球観測の推進に関する重要事項の調査審議を行うため、平成17年2月に地球観測推進部会が設置されております。
 地球観測部会の主な活動として、このスライドに挙げました、4つの項目があると考えております。まず1つ目は、地球観測を取り巻く国内外の動向を踏まえ、10年程度を目途とした我が国における地球観測の取組にあたっての基本的な考え方を取りまとめた、「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」の策定についてです。現行の実施方針は、平成27年8月に策定され、今年で8年目を迎えています。後ほど概要を説明させていただきます。
 2つ目は、この実施方針に基づき、毎年、関係府省・機関が行っている「我が国における地球観測の実施計画」を取りまとめることです。今年も秋ごろに取りまとめる予定です。
 3つ目は、地球観測の国際連携による課題解決を目指す、地球観測に関する政府間会合(GEO)について、我が国の対応方針についてご議論いただくとともに、GEOの動向を踏まえ、我が国の地球観測の充実や地球観測を通じた国際協力についてご議論いただいております。GEOについては、次の議題で説明させていただきます。
 最後の4つ目についてですけれども、本部会の議論を踏まえ、地球観測に関する提言等を取りまとめ、その内容を科学技術・イノベーション基本計画や統合イノベーション戦略に反映しています。直近では、本部会において、本年2月に「地球観測・予測データの利活用によるSDGsへの貢献に向けて」の報告書を取りまとめています。
 参考として、9ページ、10ページにありますけれども、本資料の最後のところで、政府方針における地球観測に関する記述を抜粋いたしました。データ統合・解析システム(DIAS)を活用した地球環境ビッグデータの利用による自然災害対策や気候変動対策の推進、気候変動データ等の創出及び、その利活用を想定した研究開発の実施などについて記載されているところです。
 それでは、3ページをご覧ください。先程もご説明させていただいた、現行の「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」は、2年後の令和7年に、取りまとめられてから10年が経過することから、今回の第10期地球観測推進部会において、次期「実施方針」の策定に向けてご審議いただきたいと考えております。現行の実施方針の策定及びそれ以降の動きを簡単に説明させていただきます。
 実施方針は、平成27年に策定されました。「課題解決型の地球観測」の達成を全体のテーマとしており、「活力ある社会の実現」、「防災・減災への貢献」及び「将来の環境創造への貢献」の観点から、8つの課題、あるいは気候変動や災害など、8つの分野への貢献が重要であるとし、人材育成や長期継続的な地球観測の実施など、これらの8つの課題に関する取り組みを支える共通的・基盤的な5つの取組が必要であるとしています。
 次いで、実施方針のフォローアップが行われ、策定から5年後の令和2年8月に実施方針フォローアップ報告書が取りまとめられました。フォローアップ報告書では、実施方針策定以降の動向や、地球観測に係る取り組み状況を踏まえ、今後の方向として、「地球観測情報を現場につなぐ取組の強化」「地球観測インフラの長期性・持続性の確保」「予測情報の高度化」「共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献」の4つの項目が示されています。
 特に、地球観測情報を現場につなぐ取組の強化や、予測情報の高度化は、地球観測データ利活用を推進するため、エンドユーザーのニーズを踏まえ、付加価値を付けていくことが必要との観点から記載されています。
 今年の2月に入って、「地球観測・予測データの利活用によるSDGsへの貢献に向けて」という報告書が取りまとめられました。地球観測は、地球規模課題の解決に貢献をする活動であり、気候変動や水、生態系など、持続可能な目標、SDGsに貢献するものです。SDGsの達成に向け、国際社会において、地球観測の取り組みが進められる中で、データバリューチェーンの構築強化など、5つの論点について、課題と対応の方向性を検討し、求められる施策・対応を整理しています。
 第10期となる地球観測推進部会では、これらの成果を踏まえつつ、次期実施方針の策定に向けた議論を行っていただきたいと考えております。これらの報告書の概要について、次のページ以降、概要資料を用いて説明させていただきます。
4ページをご覧ください。
 平成16年12月の「地球観測の推進戦略」が、策定後10年を迎えたことを受け、地球観測を取り巻く国内外の動向を踏まえ、平成27年8月に地球観測推進部会において、今後10年程度を目途とした「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」策定されました。
 本実施方針では、今後10年間の地球観測は、これまでの各種観測を統合して、地球及び人間社会の現状や将来の予測に対する包括的な理解と対応のための基本データを与える重要な社会基盤となるべきであるとの認識のもと、より目的意識を明確化し、必要に応じて観測体制や観測項目等の見直し、強化を図ることで、様々な社会課題の解決に貢献することを強く意識した、課題解決型の地球観測を志向していくべきとしています。
 この課題解決型の地球観測を実施する上で、「活力ある社会の実現」、「防災・減災への貢献」、「将来の環境創造への貢献」の3つの観点から、資料に挙げられた8つの課題について、その課題の解決に貢献する地球観測を実施するとしています。大まかには、気候変動対策、海洋や生態系・生物多様性を含む地球環境の保全と利活用、災害予測対応、食料の安定確保、水管理、エネルギーや鉱物資源の安定確保、健康、科学の発展が8つの課題として挙げられています。
 そして、これらの課題を含む課題解決型の地球観測を実施する上で、共通的・基盤的な取り組みとして、データ統合・解析システム(DIAS)を含む、観測データのアーカイブとデータの統合化・利活用の促進、地球観測を担う人材の継続的な育成を含む分野間の連携、多様なステークホルダーの関与促進と人材育成、観測体制の確立を含む、長期継続的な地球観測の実施、技術の高度化や新産業の創出を含む、科学技術イノベーションの推進、SDGsの目標の達成やGEOへの協力も含む、科学技術外交、国際協力への貢献の5つが挙げられています。
 ここに挙げられた課題については、現在でも活用できるものもあると考えておりますが、策定から8年経過していることから、現在の新しい目から見て、どのようなテーマを継続し、一方、どのような点を変えていくか、あるいは、新たに取り組んでいく必要があるかも含め、新たな実施方針への策定に向けた議論を行っていただきたいと考えております。
5ページをご覧ください。
 実施方針の策定から5年後の令和2年8月に、実施方針フォローアップ報告書が取りまとめられました。気候変動等の影響を考慮する重要性が高まり、そのエビデンスとして、地球観測が果たす役割が大きくなっていくとの認識のもと、実施方針策定後の国内外の動向として、平成27年9月の持続可能な開発目標SDGsを含む、持続可能な開発のための「2030アジェンダ」の採択、同年12月のCOP21におけるパリ協定採択、平成27年11月のGEO閣僚級会合におけるGEO戦略計画2016-2025の採択、及びこれらを踏まえた国内の対応などの「国際枠組みによる活動等」が上げられています。加えて、地球観測データを含めたデータ利活用の展開。TCFDなど、産業界における環境等に対する新たな動き、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行も新たな動向として取り上げられています。
 また、我が国の主な地球観測に係る取組状況として、衛星観測をはじめとして、高い地球観測能力を保有し、実施方針に定めた8つの課題の解決に貢献する取組が行われていることが記載されています。しかし、地球観測を確実に実施できる体制の構築や、地球観測データを用いた予測技術の高度化、異なるデータ基盤間の連携やビッグデータの保存・共有など、データ基盤間の強化が課題とされています。
 これらの現状認識が示された後、実施方針を進める上での今後の方向として、地球観測データは、平成28年1月に閣議決定された科学技術基本計画で導入された、データ駆動型社会となる「Society5.0」の共通基盤として重要であり、実施方針で定めた8つの課題も含めた、様々な分野に貢献することから、我が国としても更に取り組みを進めていく必要があるとされています。
 そして、我が国の地球観測を実施するにあたり、エンドユーザーのニーズを踏まえるなど、地球観測情報を現場につなぐ取組の強化、地球観測インフラの長期性・持続性の確保、先ほどの取組状況でも取り上げられた予測情報の高度化、現行の実施方針と重なる部分もありますが、共通的・基盤的な取り組みの推進とイノベーションの貢献の4つの取組を強化する必要性があるとされました。
6ページをご覧ください。
 先ほどのフォローアップ報告書が取りまとめられてから3年後の本年2月、「地球観測・予測データの利活用によるSDGsへの貢献に向けて」が取りまとめられました。平成27年9月に、国連で採択された、アジェンダの中の持続可能な開発目標SDGsで17の目標が掲げられています。
 SDGsは、誰1人取り残すことなく、持続可能な世界を実現するための統合的な取組であり、国際社会全体の普遍的な目標です。地球観測は、気候変動をはじめとした、地球規模課題の適切な対処に貢献するものであり、右下の青いボックスにある通り、SDGsの様々な目標の達成に向けて活用されつつありますが、特に左下図のSDGsの目標を階層的に整理した、ウェディングケーキモデルの第1層となる、生物圏に関する目標、6,13,14,15、つまり水管理、気候変動、海洋陸上生態系の保全に向けた現状を把握するための根拠となっています。
 また2030アジェンダでは、政府に加え、ビジネス、ファイナンス、市民社会、様々なステークホルダーが存在していますが、地球観測・予測データの利活用についても、これまでは、行政や地球観測機関が中心でしたが、民間企業等においても、気候変動や生物多様性、自然資本に関するリスクや機会の評価等で利活用のニーズが高まってきています。これらの動向を背景として、第9期の推進部会において、地球観測データと、データ利活用の好循環の実現に向けた課題を取りまとめ、対応の方向性、求める施策を整理しています。
7ページをご覧ください。
 先ほどの背景をとなえSDGs報告書では、国際社会において、SDGs達成に向け、地球観測の取り組みが進められる中で、課題解決を志向した地球観測インフラの長期性・持続性の確保、地球観測予測データに関する人材育成、リテラシーの向上及び提供体制の構築、データバリューチェーン構築評価、気候変動の現状把握や緩和策適応策への貢献、生物多様性の現状把握・保全及び自然資本の持続可能な利用の5つのテーマについて、課題と対応の方向性、求められる施策、対応を整理しています。なお、理解のしやすさの観点から、資料の記述は一部簡素化しています。長期性・持続性の確保、人材育成などは、これまでのテーマもあげられる一方、データバリューチェーンや気候変動における適応策など、新たなテーマへの対応も必要とされています。気候変動と生物多様性、自然資本については、相互に関係することから、一部重複した記述があるとされていますが、地球観測においても、これらの相互作用を考慮する必要が出てきたものと考えております。
8ページをご覧ください。
 これが最後の説明のスライドとなります。SDGsの達成に向け、地球観測の予測データの役割が高まっており、我が国も地球観測を着実に実施し、国内のステークホルダーや、国際社会に貢献するとともに、更なる成長や発展に結び付けていくことが必要とされています。そのため、SDGs報告書においては、図に示したような、地球観測・予測データの利活用に関するサービス産業等の形成により、データバリューチェーンが構築強化され、様々な主体において、地球観測・予測データの利活用が進み、その結果、地球観測自体の一貫性・継続性が確保されるという、正のフィードバックを備えた好循環の実現が求められているところでございます。
 観測、統合・分析、評価・価値化、利活用、そしてユーザーのニーズを地球観測にフィードバックすることにより、持続可能なかたちで地球観測・予測データの利活用を拡大していくことが期待されています。事務局からの説明は以上でございます。
【村岡部会長】 松原推進管、詳細な説明をありがとうございました。
 これまでの地球観測推進部会での、様々な議論、分析等についてレビューしていただきました。今後の第10期の活動のことについては、委員の皆様のお考え、本日の最後の議題で長めの時間を取りましてお考えを伺いたいと思いますが、現時点での、ただいまのご説明に関する現時点で、ご意見・ご質問等あれば、どうぞよろしくお願いいたします。
 今日の資料の中では、最近、8年、10年くらいの流れではありましたけど、その前に、平成16年からの地球観測推進戦略から始まって、もう約20年が経とうといたしまして、これから、今期皆様にご尽力いただきます10期での議論のポジションの確認の意味もありました。現時点で、もしご質問・ご意見があれば、どうぞよろしくお願いいたします。
 リモートで参加の委員の皆様も、もし、挙手ボタンが見つからなければ、発言いただければと思います。高薮委員お願いします。
【高薮委員】 ご説明ありがとうございます。
 前期まとめられてから、本期までに、課題に関して、重点化しなければいけないところについての状況の変化など、差分があると思いますけれども、その辺りにつきましては、どのような差分が重要と考えられているか。その辺りをお伝えいただけますと幸いです。
【松原推進官】 ありがとうございます。
 これらの3つの報告書、実施方針、フォローアップ、SDGsへという流れですが、一つには、データの利活用を推進すると。これまでは、地球観測をして、そのデータをどのように蓄積をしていくか、というところに重点が置かれていたものが、今後、そういうインフラが整ってきた中で、今度はどういう風に使っていくのかが重要となってきており、それを取り巻く動向も変わってきておりまして。SDGsというものに関心が高まってきたということ、それに関連をして、TCFDやTNFD、金融機関や民間企業が自らの財務状況の中に気候変動ですとか、あるいは自然資本というものの評価をしなければいけないという状況が出てきまして、国外の状況でも、あるいは企業として使ってもらうという状況でも、その認識の変化が出ています。それに対応して、今後どういう風にしていくのか、ということが一つ大きな課題かと考えております。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。
【高薮委員】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 赤松委員お願いします。
【赤松委員】  国際航業の赤松でございますけれども、ご説明ありがとうございました。
 改めて振り返ってみると、こういう風にやってきたのだなということを、我々も再度頭の中にイメージしながら、次の期をどう考えるかという上で、非常に有益なご説明をいただいたと思っています。
 一つお伺いしたいのは、こうやって色々提案を差し上げてきましたけども、それが結果として、実際の施策や活動にどのように反映されてきて、それが実現されてきたのかということに関して、何か今の時点で把握されていることとか、そういったものはございますでしょうか。
【松原推進官】 最後に付けさせていただいた、9ページ、10ページのような政府方針の中に、大きな意味で反映をさせていただくとともに、これは予算にも関係をしてくるところでございますので、そういうものが、我が省でも、地球観測の関係省庁の中でも、このような提案に基づいて、予算要求がされてきたと存じております。
 ただ、今回の実施方針の新たな策定になるのか、改訂になるのか、ということになるのですけれども、それについては、どういう風に使っていただけるのか、ということをきちっと念頭に置きながら取りまとめをしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【赤松委員】 分かりました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。他に委員の皆様から、ご意見・ご質問はよろしいでしょうか。リモートで参加の委員の皆様もよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。またお気づきのことがあれば、また後程メールででも、事務局、または私にでもご連絡いただければと思います。また、本日最後の議題でも、ご意見・ご質問をいただく時間を採りますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 続きまして、議題(3)にまいります。議題(3)は、地球観測に関する政府間会合(GEO)の動向についてです。資料3でございます。事務局からご説明をよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 それでは事務局より、資料3に基づき、「地球観測に関する政府間会合(GEO)の動向について」説明させていただきます。資料の2ページ目をご覧ください。
 地球観測に関する政府間会合(GEO)は、20年前の2003年に開催されたG8エビアン・サミットにおいて、全球的な地球観測の重要性が確認され、3回の地球観測サミットの開催を経て、2005年に設立された、地球観測の国際連携による課題解決を目指す、国際的な政府間パートナーシップです。
 GEOは、衛星、地上、海洋観測等の地球観測や情報システムを統合し、地球全体を対象とする、包括的かつ持続的な複数のシステムからなる、全球地球観測システムGEOSSの構築を推進している政府間組織であり、現在114か国及び国連組織や研究機関、民間企業なども含めた144機関が参加しております。
 2016年から、現行のGEO戦略計画2016-2025に基づき、各国が衛星、海洋、地上観測から得られたデータや、それらのデータを活用した予測結果等を共有し、生物多様性や災害など、8つの社会利益分野や、これらに横断的に関連する気候変動の分野の取組を進めています。GEOの事務局は、スイスのジュネーブの世界気象機関内に存在し、今年11月には南アフリカで閣僚級会合が開催される予定です。
 GEOでは、SDGs、気候変動、防災・減災及び都市の強靭化の4つを優先連携分野として位置づけ、分野別のワーキンググループを設置し、取り組みを進めています。
3ページをご覧ください。
 GEOと日本国内、あるいは地球観測推進部会との関係性について、これまでの動きを整理しました。青い部分が一つの連携で、黄色い部分が一つの連携になっております。一つのまとまりになっています。
 先ほどご説明した通り、3回の地球観測サミットを経て、2005年2月に第1期のGEOの「GEOSS10年実施計画」が採択され、GEOの設立が了承されました。一方、日本国内においても、2回の地球観測サミットの成果を踏まえつつ、10年実施計画を見据え、2004年12月に、我が国の地球観測の取り組みの基本的な考え方を示す「地球観測の推進戦略」が取りまとめられています。さらにその10年後、これは黄色く塗ったところになりますけれども、2015年8月に、地球観測推進部会において、現行の実施方針が取りまとめられています。その内容は、同年11月に了承された、現行の第2期のGEOのGEO戦略計画の検討状況を踏まえたものになっています。このように、我が国の地球観測に関する基本的な方針と、GEOにおける地球観測戦略は、相互に関連をしながら、ほぼ同じ時期に取りまとめられております。
4ページをご覧ください。
 地球観測推進部会では、次期実施方針の策定に向けた議論を開始したところですが、GEOにおいても、現行のGEO戦略計画が2年後の2025年に終了することから、昨年5月頃から、次期GEOの戦略策定に向けた検討が進められてきました。本年11月に開催されるGEO本会合において、次期GEO戦略が採択される予定です。さらに、次期GEO戦略を踏まえ、2025年までに、ミッション実現のための具体的な取組について検討が行われる予定です。
5ページをご覧ください。
 次期GEO戦略の採択に向けた、本年11月までのスケジュールをお示しします。本年6月のGEOシンポジウムにおいて、次期戦略計画の1次案が示されたところですが、今回の推進部会の1週間後にGEO執行委員会が開催され、次期戦略案について更なる議論が行われる予定です。次のページ以降で、現行の次期戦略案の概要について説明させていただきます。
6ページをご覧ください。
 次期GEO戦略案は、8章から構成されていますが、ポイントとなる部分を中心にご説明させていただきます。現行の戦略において、GEOのビジョンとミッションでは、地球観測を中核に据えていますが、次期戦略案では、地球インテリジェンスという、新たな概念を中核に位置付けています。地球インテリジェンスは、地球規模の社会・環境的課題に対する意思決定に貢献するものとされています。
7ページをご覧ください。
 次期戦略案では、気候変動、生物多様性の損失、化学物質・汚染の3つの危機に直面しており、これらがもたらす複合的な課題によって、持続可能な開発が阻害されているとの認識の下、地球観測は、これらの対応に貢献するものの、まだ課題があるものとされています。その中で、GEOはその4つの特色を生かし、地球観測により複合的な課題の解決に貢献することができるとされています。
8ページをご覧ください。
 先ほど新たな概念として紹介した地球インテリジェンスですが、第9期の地球観測推進部会での議論を反映し、次期戦略案の中に取り入れられています。次期戦略案に明記するにあたって、その定義についてさらに明確化が求められていますが、現時点では、異なるデータ統合し、モデルや予測、シナリオ分析等との組み合わせによって創出され、環境や社会経済の課題に対する意思決定や、社会の活性化に必要な知識や洞察をもたらすものとされています。
9ページをご覧ください。
 次期戦略案では、先ほど申し上げた3つの危機への総合的な対応を加速するためのいくつかのゴールが示されているところです。例えば、データの公開や共有の促進によるグローバルな公平性の拡大、新たな技術やイノベーションの統合、次世代、若手研究者、新たなユーザーへのエンゲージメント加速などが挙げられます。
10ページをご覧ください。
 GEOの運営形態としては、透明性のあるプロセスや手順の確立、資金調達の機会の拡大、公平性、多様性および包括性の拡大と地域レベルでの活動の推進などに重点が置かれています。
11ページをご覧ください。
 これまでのGEO戦略の概念の変化をイメージとして示したものです。第1期から第3期、つまり次期GEO戦略に向け、戦略の対象となる主体が観測機関や研究者から、そのユーザーも含めた様々な企業に広がるとともに、地球観測データの作成から、その利活用をどのように拡大していくかという視点に重心が移っていると考えております。
12ページをご覧ください。
 先ほども簡単に申し上げましたが、第9期地球観測推進部会の議論において、地球計測データを含め、様々な分野からデータを収集・分析・統合して生成される、判断・行動のために必要な地域として、インテリジェンスの創出が必要との議論が行われており、GEOの次期戦略策定における議論において、我が国からGEOに対して、インテリジェンスを主体的に創出することの重要性を訴えていたところ、現行の次期戦略案においても、地球インテリジェンスという文言として反映はされております。次期GEO戦略に我が国における議論が反映されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。また、次期GEO戦略を踏まえつつ、本推進部会において、新たな実施方針策定に向けた議論が行われていくものと考えております。
13ページをご覧ください。
 最後のページになります。今年のGEO WEEKは、11月6日から10日まで南アフリカのケープタウンで開催される予定です。今回のGEO WEEKでは、本会合において、次期GEO戦略を採択されるとともに、4年ぶりに閣僚級会合が開催され、閣僚級会合の宣言が採択される予定であり、GEOの節目となるイベントとなります。
 次期GEO戦略案に加え、閣僚会合の宣言案についても今後調整されることとなりますが、しっかりと調整しつつ、推進部会にもご報告してまいりたいと考えております。以上で、事務局からの説明を終わります。
【村岡部会長】 松原推進管ありがとうございました。
 これまでの地球観測推進部会でも度々GEOに関することが議題で取り上げられていましたけれども、ただいまご説明いただきましたように、我が国での地球観測推進部会のこれまでの議論は、GEOのこれまでの議論とかなりリンクしたかたちで展開してまいっておりまして、この第10期でも国際動向として重要なGEOの動きを見ながら、我が国の地球観測推進、それからさらに、課題解決に向けた展開というところでの議論をいただくことになります。そういった意味でも、このGEOの動きというものがリファレンスであるとともに、我が国の国際貢献というところにも関わってくるかと思います。ありがとうございます。
 このGEOに関すること、あるいは、今、松原推進管からもご説明のありました第9期での結果、アウトカムを、新しいGEOの、次の2025年以降の概念にも反映されているというお話もありましたけれども、そういったことも含めて、委員の皆様から、ご意見・ご質問等があれば、どうぞよろしくお願いいたします。岩谷委員お願いいたします。
【岩谷委員】 ありがとうございます。詳しい説明ありがとうございます。
 最後のGEO WEEKの話をしていただいたのですけれども、次期GEO戦略、2026年になっているのですが、まだ内容というものは、概要はあまり固まっていないのかもしれませんけれども、その方向性と言いますか、どういった感じになりそうなのかが、やはり村岡委員が仰っていたように、その方向性と議論というか、この部会での話というのは、多分平行していくというか、同じ方向性を向くと思いますので、何か分かっていることがあれば、もう少し詳しい、何かこういう方向性があるんだ、ということを教えていただければありがたいなと思います。
【松原推進官】 参考資料としてお配りさせていただいた、参考資料3という、この青い資料が、現在のGEOの次期戦略案になります。これはEarth Intelligence For Allというタイトルとして、Earth Intelligenceという言葉が前面に出ています。これが実は7月時点での新しいものになります。
 まず、これを踏まえて、来週また議論が行われる予定ですけれども、加盟国によって、Earth Intelligenceというものを本当に中核においていいのかとか、もう少し違う概念があるのではないかというような議論も行われ、相当変わってしまう可能性もあるというところは含みおきいただければと思います。ただ、全体のところを見ていただければと思うのですけれども、まさに3つの危機、先ほど紹介した3つの危機があって、それを解決するとされているところと、それからEarth Intelligenceというものが中核とされているところというのは、この中核の部分では変わらないということで考えており、今後の議論次第かなと思っています。これも本当に見ていただければ分かるのですが、かなり大まかな概念を示したものですので、そこまで細かく記載されていません。実際、この資料の説明資料3の4ページで、11月に次期戦略が採択されると記載させていただいていますけども、さらにそれを踏まえて、実施計画にあたるようなものを議論して、その詳細というものが、2025年までに決まってくる予定です。戦略案では、ある程度大きな方向性が示されて、その具体的な取組として記載されていくのは、さらにその後の議論になっていくということを想定しております。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。高薮委員と原田委員の順番でお願いします。
【高藪委員】 すみません、ありがとうございます。
 先程のご説明の中で、ちょっと私が不勉強なもので、地球インテリジェンスという言葉は何を想定しているものなのか、というところがちょっとわからなかったんですけど、AIのようなものを中核においたインテリジェンスなのかなと想像して、あとで質問しようかと思っておりましたところだったのですけど、今いただいた付属資料の中でも、ちょっとよく分からないのですけど、それだけではなくて、何か体制のようなものを考えているような感じがするのですけど、具体的には、地球インテリジェンスというものは、どういうものをイメージしたらよろしいか、教えていただけますでしょうか。
【松原推進官】 資料の8ページにも記載させていただいているのですけれども、地球インテリジェンスというものは、これまでは地球観測ということ、オブザベーションという概念ですが、地球観測を行って、そのデータがある状態にフォーカスが置かれていたのですけれども、今後の進み方としては、さらに蓄えられたデータを使っていけるようにすること、その時には、ただデータを置いてあって使えるというだけでなく、例えば、社会経済のデータとか、そういうものを組み合わせて、あるいは気候変動とか、そういう予測データにしていくとか、異なるデータを統合して、モデルを使ったり、あるいは予測をしたり、そういうものを組み合わせることによって、さらに有用なデータにしていくことが求められます。
 例えば、これまでは行政ですとか、あるいは研究機関とか、そういうところが使っていたものを、今は産業ですとか、あるいは金融機関ですとか、民間企業のそういうところも、気候変動とか、あるいは自然資本に関心は高まっているので、そういうユーザーも含めた、利活用にさらに重点を置いて考えています。さらにこれについては、GEOの中でも議論が必要であると考えています。
【高藪委員】 ありがとうございます。
 やはりそうしますと、AIのようなものを想定せざるを得ないかな、入ってくることを、そういう場合に、トレーサビリティみたいなものをどこに保障するのか考えた結果もというようなことも考えましたので、また色々よろしくお願いします。
【松原推進官】 ありがとうございます。
 地球インテリジェンス自体は、地球観測のデータから、利活用へという世界的な動向も踏まえているものですけれども、まさにそういう技術的な動向というものが重要だと思っておりまして、インテリジェンスと言えば、Artificial Intelligence、人工知能が入ってくると思いますし、あるいは、クラウドとか、最近出てきた技術を、どのように地球観測、あるいは地球インテリジェンスに活かしていくのかというのは、一つ重要な論点として考えております。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。原田委員お願いいたします。
【原田部会長代理】 ありがとうございます。
 私は初めての会議参加で、基本的なところの質問からですけれども、我が国の地球観測に係る推進をしていく方針として、このGEOの戦略案に我が国として、貢献していくために、地球観測部会の推進の指針があると、その理解で間違いはないですか。
【松原推進官】 GEOと言うのは一つの国際的な枠組みですので、もちろん我々としては、そういう国際枠組みに貢献をしていくということがあるのですけども。
 ただ一方で、我が国として地球観測をどういう風に進めていくのか。というのは、必ずしも基本的にはGEOと整合は取れている必要があるとわけではなく、必ずしも全てがGEOだけに留まるかどうかというのは、ここの推進部会での議論によっていくと思います。
 やはり、GEOでも、各国、構成各国によって、状況は違いますし、ある意味、最小公倍数というか、最大公約数というか、そういうものができてきているので、やはり、それぞれの国におかれ…例えば地理的な状況もあるでしょうし、技術の進展もあるでしょうし、あるいは産業の状況もあると。あるいは研究の進み方も違うというところもあるので、必ずしもGEOにそのまま沿っていく必要はないと思います。
 ただし、こういう国際的な動向を踏まえながら、それとは響き合ったかたちにしていった方が良いと。あまりにも外れてしまったものをやると、地球観測は、やはり地球全体を観測するところに一つ優位性があるので、そういう中で国際協力をしていくということは重要ですけれども、一方で我が国として、地球観測をどうやって使っていきたいかという意思もあると思いますので、その両方を見据えながら、ご議論いただければなという風に考えております。
【原田部会長代理】 ありがとうございます。
 もう1つですけれども、GEOの戦略策定において、我が国の立ち位置と言いますか、かなりこの組織の中でリードする役割として動いているのか、どういうかたちで、これまでGEOに携わってきているのでしょうか。
【松原推進官】 このGEO戦略の策定にあたって、ワーキンググループを立ち上げられておりまして、その中では、JAXAの方にもワーキンググループに入っていただいたり、かなり主体的に携わっていただいています。第9期におけるSDGsの報告書がまとめられる前半の議論で、インテリジェンスという言葉が出ていたと存じているのですけれども、そのインテリジェンスと議論が、こういう形で反映されているというのは、我が国でも、GEOの次期戦略の策定の議論を主導してきていおり、ある程度、我が国の意向を反映をさせていくことができていると考えております。
【原田部会長代理】 ありがとうございます。
【村岡部会長】 ありがとうございます。平林委員お願いします。
【平林委員】 JAXA平林でございます。
 地球インテリジェンスに関して、まずは色々と観測とシミュレーションをした上ということになるかと思いますが、実際には、これは既に色んな機関で取り組まれておりますし、GEOが実際にやるというよりは、それぞれの国の機関なりが、かなり自分たちの成果を持ち寄って、タッグを組んで、このイニシアチブを実現していくのだろうと思います。
 その際に、日本として、どういった分野でGEOへの貢献としてプレゼンスを示していくのかという戦略性や、どういったところにフォーカスしているのかというのも、非常に重要になってくるのではないかと思いますけども、今の時点で、日本としてこの辺で強みを発揮していこうとか、もしお考えがあれば、お聞かせいただければと思いますが。
【松原推進官】 現時点でここに強みを、発揮をしていく、と言うのは難しいと思っているのですけれども、一つもしあり得るとすると、気候変動ですとか、そういうものというのは、一定程度議論が進んでいて、活用が進んでいるものの、一方で、これからさらに議論ができていくというところというのが、生物多様性とか、そういう分野というのは、これから枠組みができていくものと考えており、データも出来上がってくるところかなと思いますので、そういう新しい議論、新しいものに対して、何か一歩先んじて何かを提案できるとことが重要であると思っております。
 あとは、今回あまり出てきていませんが、例えば、コロナみたいな、こういう感染症の分野で、地球観測というのはどういう風に役に立ったのか、それについての議論というのは、あまり聞いたことがありません。健康というのは、一つ重要な分野だと思います。健康ですとか、生物多様性というのは、一つの重要分野かなと思っています。
 一方で、もう一つ地球観測といいますか、ユーティリティがあります。地球観測インフラというところも重要だと思っています。地球全体を観測できるところに地球観測の優位性があり、GEOSSというもシステム整備が進められていますが、それが本当に全球を映し出すようなものになっているのか、というところがあると思いますので、もし一つ、あり得るとすれば、そういう本当の意味で、地球規模で使えるようなインフラができてくると良いと思います。さらに、例えば、企業が使っていく中で、使いやすいようなインフラになっていくということは重要だという風に考えております。
【平林委員】 色んな国と自らの強みを持って、連携をしていくところが、おそらく大切になると思っています。GEOの先にあるUNFCCCなどに、GEOを上手に使って、どういう風に日本の貢献をアピールしていくかという戦略も必要なのかなと思いますので、ぜひ、そういうところも議論できればなと思っております。
【松原推進官】 ありがとうございます。JAXAにもかなりご協力をいただきまして、GEOでは、一定程度我が国の意見が反映されることができているということを考えると、GEOをテコにして、海外の関連する機関に対して、提案をしていくという姿勢というのは、重要なところだと思いますので、そういうこともしっかりと考えていきたいと思います。ありがとうございます。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。谷本委員お願いします。
【谷本委員】 GEOは非常に大事だと思います。GEOの動きがどう波及していくかという点について、CEOSやIOCといったいくつかある下部組織においても、日本の研究者が世界の中でリーダーシップを持って参加している実態があると思うので、こうした下部組織や関連組織との連携、フィードバックが現状ではどういうふうになされているかがが一つポイントだと思うのと、国内においてもその関連を本推進部会で強めていくことができれば、非常に力強いものになると思います。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。
【松原推進官】 おっしゃる通りで、そういう関連をするような、国際的な枠組みにちゃんと目を配っていくということも重要ですけれども、先ほど地球観測をするところから利活用に、という話はしたのですけれども、利活用に目を奪われるあまり、基礎となるところ、あるいは研究者の方々の活動がおろそかになってしまってはいけないと思います。ただし、地球観測の戦略が立てられた10年前、20年前と現在で、そういう課題について同じものなのか、違うものなのか、というのはきちんと検証しつつ、新しい実施方針に反映できたらと思っております。ありがとうございます。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。他によろしいですか。岩崎委員お願いします。
【岩崎委員】 JICAの岩崎です。この10年の経緯が非常によく分かりました。ありがとうございました。
 今のGEOの議論の中で、現行の国際的な政治動向がGEOの第3期方針策定に影響を与えているようなことがあるようであれば、差し支えない範囲で教えてください。GEOが目指すユニバーサルアクセスは、地球規模課題を解決していく上では必要であり、これまでに果たしてきた役割は非常に大きいと思います。一方、今の国際政治情勢下で、衛星データは、国家の安全保障との点で極めて重要であるということが再認識されてきていると思います。そうした状況下で、GEOの3期において、従来からのGEO方針に影響を与えているようなことがあれば、差し支えない範囲で教えてください。
【松原推進官】 どうもありがとうございます。
 まさに、国際的な情勢というのは、GEOの中にも影響を与えているという風に考えております。ただ、地球観測の中でも、GEOの取組というのは、国際的に協力をしやすい分野で協力をしていくというところが重要です。つまり、国際的に色んなことがあったとしても、まさに地球規模の課題、SDGsとかもそうですし、気候変動とか、生物多様性というのは、各国の中でも、その共通の利害というのは一致しやすいというところでございますので、こういうGEOのフォーラムを使って、様々な国とチャンネルを開いて、協力を進めていくということが、ある意味、日本としてとても良いと思います。特に、アジア太平洋地域では、そういう色々な動向があると思いますけれども、その中でも、生物多様性の中でもかなり富んでいるところで、かつ気候変動の影響も受けやすい地域です。島もたくさんありますし、そういう中で、どうやって逆に協力できるメニューを、といっても、それぞれ利害が違うので、一致はさせていかなければいけませんが、どのように協力できるメニューを作っていって、それを上手く進めていくかという枠組みを作るということが必要になってくると思っております。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。若松委員お願いします。
【若松委員】 RESTECの若松でございます。
 ちょっと個別の論点になっちゃうかもしれないのですけれども、今の岩崎委員とのご質問にもちょっと関係するので、少し教えていただければと思います。
 今、共有いただいているスライドの1ポツ目の1のところに、マルチユーザーライセンスに向けた調整ということが書かれています。マルチユーザーライセンスとは何ですか、というのを下の方に解説いただいていて、商用高分解能衛星データのライセンス設定を調整することによって、オープンフリーみたいなかたちで共有する枠組みとご説明いただいているのですけれども、これは、これまで既にある程度、そういう調整がGEOを通じてされていたのか、第3期GEOの話、これからやりますよという話なのかを教えていただきたいのと。
 あとはやっぱり、ちょっと安全保障上の観点から、もしかしたら色々な議論があるのかなという気もしているので、その辺り、分かることがあれば教えてください。
【松原推進官】 ありがとうございます。
 私はマルチユーザーライセンスを、最近になって認識をし始めたというところで、若干書き過ぎだったかな、というところもあるのですけれども、マルチユーザーライセンスをどういう形で実施していくのか、という部分については、課題があると思っております。その課題を我が国で整理をして、どのように今後の執行委員会で進めていくのか注意しながら対応していきたいと思います。必ずしも、ここで決まったということではないと思いますので、国際的な枠組みでございますから、我が国として困らないかたちで、おかしなものとならないように、きちんとやっていきたいと思います。ご指摘ありがとうございます。
【若松委員】 これは、既に商用高分解能衛星のプロバイダとGEOが調整をして、ある程度見えてきたからここに書かれているのか、いやいやこれから始めますよか、と言うと後者だということですか。
【松原推進官】 後者だと認識しています。
【若松委員】 分かりました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 皆さん、活発なご議論をありがとうございました。ここで、議題(3)を一旦終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
【川辺委員】 すみません、東京海洋大学の川辺です。
 ご説明いただき、また活発なご議論を伺っていて、よく分からなかったので教えていただきたいのですけれども、GEOのような、国際共同で戦略を立てて実施していく、地球観測を実施していくというのが、非常に重要なことであるというのは理解するのですけれども。実際に事業として観測をしていく場合に、この資金というのは、どういう風に調達されるものでしょうか。またあるいは、事業としてこのGEOに参画するというのは、どういう立てつけになっているのでしょうか。そこのところを教えていただけるとありがたいです。
【松原推進官】 ありがとうございます。
 GEOについては、スイスに事務局があり、政府間のパートナーシップとは書いてありますけど、事務局での活動、あるいはGEOの活動については、加盟国がそれぞれ拠出金を支払って、それが運営資金にされています。
 そういう参加国からの拠出金というものが原資になっていますけれども、拠出金には限りがあるため、新しい、今の検討中の戦略案では、活動資金を、さらに広いステークホルダーから募っていこうというような方針も示されているところでございます。
 それから、どのように参加をするのかという点については、例えば、イニシアチブということであれば、それに関心がある国が参加をしていくでしょうし、あるいは、GEOSSみたいなものですと、中心にとなる機関はありますけれども、多くの国が参加しています。参加形態というのは、そのプロジェクトによって変わっていくのではないかと思います。もし、何か補足があれば。
【村岡部会長】 村岡です。
 今の川辺委員からのご質問の2つ目のところですね。どのようなかたちで関わっていくのかというところは、要は、丁度画面共有していただいている左下に、ワークプログラムというものがありますが、これは、GEOに関わっているコミュニティが、様々な観測、あるいはデータ創出というものを、プロジェクト的に進めるようなもの、これは3か年計画で大体作りますけれども、それを集めたものがワークプログラムという立てつけになっています。その中には、フラッグシップ、イニシアチブと、様々なカテゴリーでのプログラムの集合体、グループがありまして、基本的には国際協力をしながら、様々な機関、大学等の研究チーム、観測チームができている。あるいは知見を創出するというような活動が、このワークプログラムというもので取りまとめられているところです。またいずれ、機会を設けまして、またご説明できればと思っています。私はGEOのプログラムボードで長く関わらせていただいていますので、プログラム委員会が、実はワークプログラムで様々なレビューもしておりますので。
【川辺委員】 ありがとうございます。
 応募する側からすると、競争的な資金としての応募なのか、それとももうちょっと安定的な資金なのかというところがちょっと気になりましたので、また教えていただければありがたく存じます。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございました。では、皆様よろしいでしょうか。
 活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。では、議題(4)に進みたいと思います。「第10期地球観測推進部会の今後の活動について」ということでございます。まず事務局から、資料4についてご説明をお願いいたします。
【松原推進官】 事務局からご説明させていただきます。
 第10期地球観測推進部会においては、新たな今後の10年の我が国の地球観測の実施方針の策定に向けてご議論いただきまして、第10期の終期となる令和7年2月までに策定をいただきたいと考えております。
 今回の第1回目の議題については、ここに書いてある通りですけれども、次回の第2回推進部会は、9月か10月頃に開催する予定としております。実際、先ほどもお話をさせていただきました11月のGEO WEEK開催に向けて、その調整状況等をご報告するとともに、さらにはっきりしてきたGEO次期戦略及び閣僚級会合の宣言案等に関する、我が国の対応方針も含めて、ご審議いただくとともに、新たな実施方針の策定に向けた基本的な考え方について、ご審議いただきたいという風に考えております。
 その後、第3回推進部会を来年1月頃に開催する予定としております。新たな実施方針の策定に向けた論点や、地球観測に関する事業のヒアリング等をしていきたいと考えております。
 それ以降、1年程度かけて、集中的に次期実施方針の策定に向けてご審議いただくため、2か月に1回程度の開催を予定してございます。地球観測に関連する府省や機関からヒアリングを行うとともに、来年中頃には、次期実施方針の骨子などのようなものをご審議いただきたいと考えております。
 その後、年末に最終案をご審議いただきまして、令和7年1月か2月頃までには、実施方針を策定いただくということを、予定をしております。以上でございます。
【村岡部会長】 ありがとうございました。
 これから、第10期、再来年まで皆様と一緒に議論をしながら、今後の10年というところで方針を検討してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ここで、今回ご出席の委員の皆様から、第10期での活動についてのお考えをお伺いします。今期は、今までご説明いただきました、意見交換をしていただきましたけれども、「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」の審議をしていくことになります。今回は、その第1回の会合になりますので、我が国の地球観測のあるべき姿ですとか、委員皆様のご関心、あるいは本部会において、軸とすべき考え方でありますとか、進め方、あるいはご期待など、皆様のお考えを自由にご発言いただければと思います。
 資料1-1の名簿の順に私からはお名前をお呼びしますので、お一人の時間が短くて申し訳ございませんが、2分程度でご発言をお願いできればと思います。早速、赤松委員からお願いいたします。
【赤松委員】 では、私からは、3つほどご提案を差し上げておきたいと思います。
 1つ目ですが、こうやって今日振り返ってみますと、非常に時宜を捉えたテーマをずっと取り上げてきた、SDGsですとか、それから気候変動とか自然資本ですね。こういう非常に重要なテーマを採り上げてきたというのは、非常に良かったなと思います。
 尚且つ、今日は松原推進官からもお話がありましたが、利用を進めていくというところにフォーカスして、結構それが提言に出せてきたということと、さらにそれがGEOに反映されてきたということは、非常に大きな成果だったなという風に思います。
 一方で、先ほど一言申し上げたのですけども、この提案してきたことが、実際の施策や活動にどのように反映されてきたか、ということは、やはり今の時点で、振り返ってみる必要はあるだろうなと思っています。それが上手くいっていればいいのですが、もし足りないところがあるとしたら、我々が今度の10年計画を作る時に、どのように工夫し提言内容に反映していくかということに繋げられればいいのではないかというのが1つ目です。
 2つ目は、ちょっと具体的になるのですけども、ALOS-3を失ってしまいましたので、次の基幹光学衛星をどのように考えていくかというのは、今度の10年計画を作るところでしっかりと考えていくべきだろうと思います。ALOS-3は、だいぶ設計も古くなっていたので、あれと同じものということではなくて、コンステレーション衛星なども沢山出てきている中で、我が国の基幹光学衛星としてどのように考えていくかということは、ここで検討する必要があるだろうと思います。
 3つ目は、これは本部会のテーマとするべきかどうか、というのはあるのですが、先ほどもちょっと話に出ていた安全保障の関係ですね。広義の安全保障と言った方がいいのかもしれません。防衛省は、この部会の関連する省庁にはなっていないかなと思いますが、内閣府とか、外務省とか、それから海上保安庁は、関連する機関となっています。やはり今、安全保障の環境も随分変化してきているということもあって、10年前の計画とは、だいぶ位置付けも変わっているだろうなと思うので、これを取り上げるべきかどうかということも含めて、ここで1回議論をしてみたいなという風には考えています。私からは、その3点を提言したいなと思います。以上でございます。
【村岡部会長】 赤松委員ありがとうございました。続きまして、岩崎委員お願いします。
【岩崎委員】 JICAの岩崎です。どうかよろしくお願いいたします。
 本日は振り返りを通して、改めてJICAのような途上国との開発協力を扱っている機関がこうした地球観測のコミュニティに関わり始めた経緯というものが非常によく分かりました。課題解決型の地球観測や国際強調の中で人材育成ということが重視されていく中で、日本と途上国の現場を繋ぐ機関として、我々JICAという機関が期待されて、このような場に参画させていただくということ、その意義を再確認いたしました。
 私も地球観測推進部会に参加させていただきまして、最先端の色々な地球観測の動向を知ることができ、それらをJICA内で情報共有させていただきました。この分野は非常に動向が早いですので、最先端のSDGs達成に役に立ちそうな技術をぜひご紹介いただけることを期待しています。そういったものをJICA内で紹介をしていき、利活用につなげるような貢献をしてまいりたいと思っております。
 また一方で、使わせていただく過程で出てくる課題や気付きみたいなものがありましたら、またこの場にフィードバックさせていただくことで、今後の我が国の地球観測の実施方針や普及等に貢献させていただければと思っています。まさに地球観測データ利活用の好循環みたいなものを、地球観測を生業としていない者が加わることで、促進できればと考えておりましたので、どうかよろしくお願いをいたします。以上になります。
【村岡部会長】 岩崎委員ありがとうございました。では、続きまして岩谷委員お願いします。
【岩谷委員】 今日はありがとうございました。
私は気象報道が、私自身が気象の報道局で働いているというのと、それから各地域に気象キャスターとして、派遣をしているのですけれども、丁度今日も暑さとか大雨で色々災害が多いのですが、そういう中で、観測されたデータが、広く活用、防災の中では非常に活用されてきましたし、この10年で、7,8年くらいでも、相当多分出てくる情報が良くなってきていて、随分活用できるなという風に思っているのが、すごく実感しているところです。
 ただ一方で、日頃気候変動の講演をしたりとか、私はNPOとか、そういう講演に行くこともあるのですが、そういう中で、いざ色々なデータが使えるのかというと、まだまだ観測データが私の専門じゃない分野であると、データが使いにくいというのは実感として持っているところがあります。それがちょっと自分の実感です。
 それから、テーマというか、この部会ですけれども、地球観測推進部会なので、地球観測に関する実施計画の取りまとめになるのですが、何となく全体として、基礎的な観測をというよりは、その利活用になってきているので、その報告書の取りまとめのタイトルが、もう少し工夫が…変えていかなければいけないのかなと。先ほど、Earth Intelligenceという言葉がありましたけれども、報告書の題名自体を、ちょっと何か考える必要があるのかなという風に感じたところです。
 あともう1点は、なかなか難しいのですが、教育分野での活用というところですかね。報道もそうですが、小中高大学とか、そういう分野でどのくらいこれが活用できているのか、もしくはもっと活用できる方向性にもっと持って行っていただきたいなと、そういう方向性というものを大事にしたいなと思っております。以上です。
【村岡部会長】 岩谷委員、ありがとうございました。続きまして、上田委員お願いいたします。
【上田委員】 どうもありがとうございます。
 私は、公衆衛生の分野で仕事をしておりますので、所謂ここの中のところで言うと、観測ではなく、エンドユーザーにあたります。実際に、前期から、エンドユーザーにとっての、少しやや地球観測のデータはハードルが高いということで、ご意見を申し上げてきたところです。
 今期はやはりその辺り、特にあまりこれまでに地球観測のデータを使ってこなかった分野の方々が、より使いやすくできるように、痒いところに手が届くようなデータですかね、そういったものを進められていけたらいいのではないかなという風に思って、ご意見差し上げます。
 特に分野が違ってくると、データはあっても、特に空間的なデータに関して、私達はあまり詳しくはないというところですね、その辺りのところについてが、教育とも関わってくると思う…教育やリテラシーとも関わってくると思うのですけれども、そういったものがどういう風に、より使いやすくできるような、そういったところを促進できるようになっていけたらいいかなという風に思います。
 もう一点は、連携になります。やはりこういった地球観測のデータについては、観測だけではなくて、他の分野との連携というものは、ここでも強調されているのですけれども、では、どうやって連携を進めるのか、今のところですと、例えば、なかなかこのデータを使いたくても使えない人たちの連携が限られている可能性もある。使いたくてもよく分からない。どこにコンタクトを取ったらいいか分からないというようなところもあるかと思いますので、そういった、連携の場を広げるようなかたちもあってもいいかなという風に思いました。以上になります。
【上田委員】 上田委員、ありがとうございました。続きまして、川辺委員お願いします。
【川辺委員】 川辺でございます。
 私は、ポイントとしては、地球観測の長期性・継続性の確保をどうやって担保していくのかということを、具体的に考えていければと思っております。そこには論点が2つあるかと思うのですけれども、1つは安定した長期資金を確保していかなくてはいけないのではないかと。ついこの間、別の会議で、海洋の酸性化とか、あるいは貧酸素化について、国際プロジェクトの中で観測している方々のお話をお伺いしたのですけれども、そういう観測についてさえ、なかなか安定的な資金を得ることができなくて、競争的資金で回していると伺いました。それでは非常に不安定で、非常に重要な役割を担っているはずの観測が継続できない恐れがある。そういうところを何とかできたらよいと思います。
 もう1つのポイントは、人材育成です。地球観測の長期性・継続性の確保という点におきましては、色々な方たちが関わっていることを、前回のこの会議で、お話をされていたと思うのですけれども、特に研究をする研究者、それから技術者、こういった方たちの育成というのが、今なかなか難しくなっていると感じています。大学院後期の博士後期課程に進んで研究者の道に進むとか、あるいは前期でも、その後にたとえば技術者になるという道があるということを示すためにも、人材育成のための資金というものも必要かと思っております。
 人材育成に関しましては、もちろん他の学校など教育機関、あるいは一般市民に向けたキャパシティビルディングというところも非常に重要だとは思いますけれども、地球観測の長期性・継続性の確保のための要素としての資金と人材育成について、具体的に考えていけたらと思っております。以上です。ありがとうございます。
【村岡部会長】 川辺委員、ありがとうございました。続きまして、嶋田委員お願いします。
【嶋田委員】 埼玉の嶋田でございます。
 県の出先の試験研究機関でございますので、いわばデータの末端のユーザーということになります。前期にも参加をさせていただいて申し上げたのですけども、2つ議論していただきたいことがあります。
 1つはオープンデータ化です。実際に報告書に盛り込んでいただきましたが、なかなか県の機関となりますと、そういったデータへのアクセスというのは決して良くはない、ストレートに言うと、なかなか予算的な裏付けが十分でないということがありまして、オープンデータ化をさらに進めるということをご議論いただきたいと思います。
 特に最近、生成AIとか、機械学習とか、割とリモートセンシングデータとは相性が良いようなものがたくさんあります。そういったものを使って、地球観測データに付加価値をつける。役に立つ情報として活用するという意味では、リモートセンシングデータをいちいち買って分析するというものでは、とてもスピード感では難しいと考えていまして、さらにオープンデータ化を進めて、誰もが使えるようなデータとして活用するということが大事だろうなという風に思っています。
 あともう1点ですが、先ほどのお話の中でもありましたが、生物多様性分野での活用という意味では、これも前期でも申し上げたのですけれども、真の調査データというものは、実はかなり眠っていて、場合によっては死蔵されてしまうものもたくさんあります。そういったものを掘り起こして、収集し、活用するような枠組み、仕組みを、これは地球観測推進部会のテーマかどうか、ちょっと微妙かもしれませんけれども、検討していく必要があるのだろうなという風に思っています。
 実際に、環境省の生物多様性センターが既に行っている部分ではありますが、そこは文科省と連携をして収集することで、より活用の場面が広がる可能性があるのではないかなという風に思っています。いわば、市民科学の推進に寄与する、そういったことについても、論点として加えていただきたいという風に思っております。以上です。
【村岡部会長】 嶋田委員、ありがとうございました。続きまして、神成委員お願いします。
【神成委員】 神成です。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 私自身は、農業のデータ連携基盤を構築して、既にそれはもう社会実装していて、最近は医療の研究分野のデータ連携に取り組んでおります。その観点から1つ申し上げますと、他の委員の方も仰いましたけど、やはり他分野から見ると、どのデータがどこにあるかというのは、非常に分からないということで、やはりそういったものを分かる仕組み、検索できる仕組みでもいいのですが、そういったものを今後構築していくことが、やっぱりデータの利活用の幅を広げていくことになるのではないかということを考えております。
 もう1点、私は一方で、自治体のSDGsの意義をこの5,6年やっておりまして、全国1700の自治体のうち、約6割から7割の自治体がSDGs計画を書いているところでございますが、やはり様々なデータの利活用を望んでおります。そういった意味でも、やはり事例ベースでも、そういったものを紹介して、それぞれ、特に防災なども含めまして、データ利活用を求めるのが非常に多くございますので、そういったかたちに、データの利活用を図れるように議論に参加していきたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【村岡部会長】 神成委員、ありがとうございました。続きまして、高薮委員お願いいたします。
【高薮委員】 ありがとうございます。本日は色々ありがとうございました。
 これまでの委員のご発言とも共通するのですけれども、例えば、色々、必ず地球環境を守るために、必ず継続して観測していかなければならないなどは、ある訳ですけれども、非常に様々な多岐にわたる分野において、観測が必要と思いまして、それらを、どのように全体として統合的に長期観測の戦略を立てていくかということを、必ずしも文科省の範疇に収まらないかもしれないのですけれども、日本全体として、戦略計画を立てていけるような方向性を考えていかなければならないかと思っています。それは、観測だけではなく、利用や、そのための、利用できるためのインフラを含むものであって、それこそ人材育成も含まれることになると思います。
 それで、私自身は気候変動に非常に関わってきておりまして、気候変動は待ったなしの問題ではあるのですけれども、そうこうしているうちに、生物多様性、自然資源の問題というものも、実は非常にいつの間にか切迫しているということを最近勉強いたしまして、その辺りも非常にたくさんの方面から考えていかなければならない。そのためにも、全体を、何を観測して、どういう風に統合していかなければならないかということを、戦略を急いで考えなければいけないなと考えております。
 当然、GEOインテリジェンスの中に、機械学習のようなものも中核となっていくのだろうという風に考えられるわけですけれども、GEOインテリジェンスそのものは、メソッドだけではなくて、そういう枠組みのようなものかと思うのですけども、その辺りといったものが入ってきた時に、先程申し上げましたけれども、トレーサビリティというものを非常に確保しなければいけないと思いまして、その辺りの議論も今後していただきたいと思います。ありがとうございました。
【村岡部会長】 高薮委員、ありがとうございました。続きまして、谷本委員お願いいたします。
【谷本委員】 谷本です。今日はありがとうございました。
 私の専門は大気化学で、大気の化学、広くは大気科学をしておりますけれども、国際活動に関わっている中で、少し感じていることをこの機会に共有させていただきまして、今後、議論の中で、深めていければと思います。
 今日もいくつか出てきました衛星観測は、やはり非常に重要性が高く、巨額の資金を投入しているということもあり、それがどういう風にユーザーの利活用につながっているかという点は非常に大きいポイントだと思います。
 一方、環境省や気象庁が実施している現業観測は、衛星データが出てきているということもあり、廃止や縮小の方向にあります。そういう問題をどのように捉えていくか、無くしていいというものではない。しかしながら、このまま続けていいというものでもない、ということで、総合的にどうしていくかというところが1つポイントかと思います。
 また、「市民による観測」とも言われる、ローコストセンサー、小型センサーを使った観測も、二酸化炭素や大気汚染物質も含めて、大気の分野で非常に盛んになってきている実態があり、こうした新しい観測をどんな風に捉えていくかということも、踏まえておくべという風に思いました。
 今日もいくつかデータ利活用の話がございましたけれども、私から強調したい点は、データをいかに使っていただけるかという中で、いかに速くデータを出せるか、使っていただけるデータをいかに速く公開できるかという「迅速性」が重要になってきていると思っています。この点も今後踏まえながら議論させていただければと思いますし、そのためには、今日も人材の話、資金の話がございましたけれども、非常に多くの人的資金が必要です。リソースが必要ということは、皆さんも同意いただけるのではないかと思いますけれども、そのバックボーンとしては、やはり地球観測は非常に重要だということ、「地球を知るということは、宇宙を知るということと同等以上に難しくて重要だ」ということを共通認識として持ちながら、議論に参加させていただければと思います。ありがとうございます。
【村岡部会長】 谷本委員、ありがとうございました。続きまして、原田部会長代理お願いいたします。
【原田部会長代理】 ありがとうございます。
私は海洋学分野でして、今年の2月に、国連海洋科学の10年のタイトルを冠したシンポジウムを開催した際に、社会、アカデミア、色々な方々に、色々な立場で議論、あるいは発表をしていただいたのですね。そうしますと、その中で企業、社会の、地球環境のデータの捉え方が劇的に変わっているということを学びました。というのも、多分この第3期の方針が出る平成27年頃は、おそらく地球観測データというものに企業が貢献する場合は、社会貢献の一環であるとの位置付けであったのが今や地球環境に企業としてどれだけ貢献をしているかということを数値などで示しながら投資を呼び込まなければならない、企業にとって死活問題の位置づけになってきている。社会や企業の地球観測データに関する目線が数年前と全く変わってきているということを勉強いたしました。そういうわけで、ここに書かれています資料「我が国の地球観測の実施方針フォローアップ報告書」の中で、地球観測情報・データを企業の現場につなぐ取組みの強化ですね。ここはやっぱり益々大事になってくるなというのを、すごく感じております。
 先ほど、GEOの3つの課題の中でも、海洋生態系の喪失、それから化学物質の汚染、この2つを考えると、かなりローカル、エリアといった、時空間的に高解像度のデータをどう高精度に、高確度に取っていくか、そしてオープンしていくかということが、益々重要になってくるのかなと思います。もしかすると、そこに企業を巻き込むことで、彼らの力を借りながら、こういうデータセットを構築し、データベースを充実させていくことができれば、地球規模からエリア規模まで多様な空間解像度のデータを時間的にも高いものを提供していけると良いのではないかなとすごく期待しています。
 企業など、地球観測に対する応援団の多様性を増やし、理解度を高めることで、地球観測インフラの長期性・継続性の重要度というものをより、財務省に説明することができてくるのではないかなという風に思います。全ての施策は多分つながっているのだと思いますので、連携を意識しながら、1つ1つの取組みについて、第10期で議論させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 原田部会長代理、ありがとうございました。続きまして、平林委員お願いいたします。
【平林委員】 
 10年前と比べて何が変わってきているだろうかというと、衛星分野では、民間事業者の活動が非常に活発化しているというのが、大きな周辺環境の変化であると思います。衛星を作るということだけではなくて、衛星データを利用して、社会ベネフィットを出していくといったようなところも含めた、民間事業者の活動が非常に活発になっていると。これは衛星だけではなくて、他の地球観測も一緒だと思うのですけれども、官民連携でどういう風に取り組んでいくのかという視点が、これから益々大切になってくるのではないかという風に思いますので、民間の活動を後押しとか、支援とか、そのような視点も含めて、ぜひ含めていただくとよろしいのではないかなと思っておりますし、今、衛星については、衛星地球観測に関する産官学のコンソーシアムが昨年9月に発足いたしましたけれども、機会がありましたら、CONSEOの活動についてもご紹介させていただければという風に思います。
 それからもう1つ、これは大きな流れだと思うのですけれども、地球デジタルツインというものが、国内でも色々と議論をされておりますし、欧州においては、資金も投入されて、かなり大きな動きとして始まろうとしている中で、我が国として、地球デジタルツインについて、どういう風に、どういうかたちで取り組んでいくかというのも、これからの大きなイシューになってくるのではないかと思います。ここの地球観測推進部会が取り扱っているかどうかというのはあるかもしれませんけれども、地球観測という観点で、地球デジタルツインをどうするのか、というところもご議論いただくといいなと思っています。
【村岡部会長】 平林委員、ありがとうございました。六川委員お願いします。
【六川委員】 六川でございます。
 いくつか、3つほど簡単に、これは赤松委員もご指摘になったのですけども、結構懸念することが3つほどありまして、1つは、やっぱり安全保障状況が変わってきているということもあって、実はもう日本に中型と言いますか、衛星を作る能力がどんどん無くなってきてしまっていると。裏を返しますと、どうしても安全保障に取られてしまっているので、なかなか衛星そのものが日本の中で継続できないし、センサーも作れないという、そういう状況になっているということは、ちょっと皆さんあまり聞いたことないかもしれないけど認識していただいた方がいいかなとちょっと感じました。
 それから、もう1つは、これは同じようなご質問がありましたけど、結局は、衛星のデータをオープン&フリーにするというのは、非常に理想としてはいいのですけど、どうしても小型化が進んでいきますと、民間中心になりますと、最終的に誰が負担するのという話になりますと、やっぱり国と民間の負担の仕組みというものを、少しまともに考えないと、両方が立ち行かなくなるのではないかなということを、ちょっと危惧をしております。
 それから3つ目が、この地球観測推進部会、非常に色々な施策につきまして提言したのですけど、やっぱり提案と成果が、一体どうだったのかということを、ちょっときちんと振り返って、どういう効果を上げたのか、というようなことも、少し振り返ることも必要ではないかなという、そんなことも感じました。ちょっと雑駁で恐縮ですけど、そんな感想を持っています。以上です。
【村岡部会長】 六川委員、ありがとうございました。続きまして、若松委員お願いします。
【若松委員】 RESTECの若松でございます。
 私も長く地球観測推進部会に携わらせていただいておりまして、今日これまでの10年を振り返るようなまとめをしていただきまして、なるほど、こうやって議論してきたなということを改めて感じたところでございます。
 その際に、やっぱりここで扱っている衛星はどちらかというと、所謂グローバル環境衛星と呼ばれるような衛星で、全球をカバーする、分解能的には、数メートルとかではないようなものが中心だったかなと思っていて、私はどちらかというと、商用高分解能衛星の所謂ビジネスも含めて、色々携わってきた者からすると、ちょっとレイヤーの違う話をしているなという風には思っていました。
 その中で、次期GEOの話をご紹介いただいた中に、商用高分解能の衛星のマルチユーザーライセンス含めて、どうやってオープン&フリーにしていくかという議論が入っているということは、非常に新鮮だなという風に思っていました。
 これまでの10年と、これからの10年を考えた時に、これまでの10年は、所謂数十センチ級の高分解能の光学衛星は、世界に数機しかなかったわけですけれども、今後10年を考えると、数十機は間違いなく上がりますし、場合によっては100機だったり、数百機というレベルで、数十センチレベルの光学高分解能衛星が上がっていくのかもしれないなと思っています。
 そうすると、多分SDGsで議論していたテーマも、これまでの議論とは違うところまでカバーできるようになるなと思っていまして、例えば、所謂インフラ建設、道路とか、港湾とか、ああいうものを作るにあたっても、やっぱり数十センチの高分解能衛星があるのであれば、全く違う議論ができると思いますし、あとは災害対策などでも、今までの議論とはまた違う議論も出てくるのだろうなという風に思っています。
 ただ、何人かの方がご指摘されているように、安全保障上の問題と、どう兼ね合いをつけるかというのは、非常にセンシティブな問題ではあるのですけれども、私も今までずっと高分解能光学衛星、高分解能衛星で培ってきた知見を上手く、この地球観測推進部会の議論の中でも活かせていければなという風に思っております。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 若松委員、ありがとうございました。
 お考えをお聞かせいただいた委員の皆様、どうもありがとうございました。また事務局の皆さんと一緒に整理しまして、今後の論点整理にぜひ使わせていただきたいと思いますし、今後の皆様の議論で発展させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、私からも簡単になりますけれども、申し上げたいと思います。既に皆様から多くの重要なキーワードが、キーワードに限らないですけれども、考え方をお聞きしまして、これまで私が生態系、生物多様性分野の観点で、あるいはGEOの委員として、この部会に加わらせていただきましたけれども、やはり、これまで地球観測推進部会で、様々な観測について議論をしてきました。その中で、特に第9期のところでは、多様な観測主体について、議論してきました。研究機関、大学、あるいはボランティア、あるいは観測ネットワーク、あるいは何人かの方があげました市民科学ですね。そういった方々の、様々な観測主体、プレイヤーの連携と合わせて、分野の連携、分野横断的な考え方、環境課題がすごく複雑化していきます。
 そういったものを様々な観測データ、知見を統合することによって、新たにそういった複雑化した問題に対処していく方法を見出すというようなことが、今後議論としてさらに必要かなと、皆様の意見をお聞きしがら、改めて思いました。
 その時に、やはりタイムリーな情報発信、あるいは情報共有というところも非常に重要でして、これもやはり何人かの委員の方々が仰っていました。
 加えて、これを最後にしますけれども、人材育成とも関わりますけれども、次世代の呼び込み、巻き込みですね。それは、社会、ユーザーにとって、我々が社会とともに、地球観測コミュニティが社会と連携して、未来に対応していく、準備をしていくという意味での次世代、あるいは何人かの方々が仰いましたが、やはり科学地球観測コミュニティにおける次世代、こういった若い研究者が、自分たちと関わっているサイエンスはこうしたところに関わっていけるんだというところを見出せるように、そういったことも今後10年の実施方針の検討の中で、メッセージとして出せるように議論できればと思っています。今後、皆様との議論を通じて、発展させて、展開していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、この議題(4)を終わりまして、本日用意している議題は以上です。その他、皆様からお気づきのことがあればお願いします。よろしいでしょうか。今日の会議の後、またお気づきのこと、あるいは何かご質問がありましたら、またメールででも、事務局の方にお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【甲斐(事務局)】 では、事務局からの連絡事項となります。
 本日の公開部分の議事録につきましては、後日、事務局より委員の皆様にご確認いただくようメールでお送りいたします。各委員の皆様にご確認いただいた後、文部科学省のホームページにて公開いたします。
 次回、第2回の会合につきましては、議題の(4)の中で秋頃というところを示させていただいておりますけれども、後日日程調整等のご連絡をさせていただきます。その際は、またご協力いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局からの連絡事項は以上となります。
【村岡部会長】 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第10期地球観測推進部会第1回の会合を閉会いたします。本日は皆様ありがとうございました。

 
―― 了 ――

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