令和6年9月24日(火曜日)13時00分~15時30分
オンライン開催
村岡部会長、赤松委員、岩崎委員、岩谷委員、浦嶋委員、川辺委員、嶋田委員、神成委員、高薮委員、谷本委員、中北委員、前島委員、六川委員、若松委員
清浦大臣官房審議官(研究開発局担当)、山口環境エネルギー課長、松原環境科学技術推進官、中川地球観測推進専門官
内閣府 松田科学技術・イノベーション推進事務局参事官(統合戦略担当)
学習院大学法学部 小塚教授
一般財団法人リモート・センシング技術センターソリューション事業部 坂口部長、荒井事業戦略課長
一般財団法人リモート・センシング技術センター経営企画部 吉田企画課長
【村岡部会長】 皆様、こんにちは。ただ今より、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会 第10期地球観測推進部会の第7回会合を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日はオンラインでの会議となります。議事進行に当たっての注意事項を事務局からご説明よろしくお願いいたします。
【中川専門官】 事務局から本日の部会の進め方について簡単に注意事項をご説明いたします。オンライン会議システムの安定のため、ご発言されていないときにはマイクとビデオをオフにしていただくようお願いいたします。ご発言ある場合は挙手ボタンを押してお知らせください。また、御発言の際は、お名前をおっしゃってからご発言いただくようお願いいたします。挙手ボタンが見つからない等の場合は、画面をオンにして画面上で手を挙げていただくか、直接ご発言いただきたいと思います。なお、オンライン会議システムを利用して出席いただいている委員については、音声が送受信できなくなった時刻から会議を退席したものとさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
あと、配布資料につきましては、委員の皆様には事前に議事次第とともに資料1から資料5までの資料及び参考1を電子媒体でお送りしております。不備等がありましたら事務局までお申し付けください。
続きまして、委員の出席を確認させていただきます。接続確認を行いまして本日は14名の委員にご出席いただいております。全委員18名の過半数10名に達しておりますので、本部会は成立となります。なお、本日は原田部会長代理、上田委員、河野委員、堀委員の4名の委員が御欠席となります。また神成委員と中北委員は御都合により途中退席の御予定と伺っております。本日もオブザーバーといたしまして、科学技術・イノベーション推進事務局の松田参事官にご出席いただいております。以上となります。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。今回の部会では、地球観測データに関連した共通課題に焦点を当てて、企業におけるTNFDの取組の状況や、地球観測データに関わる法的枠組、地球観測データ利活用の取組について議論を行います。その後、次期「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」の素案等について、皆様にご議論いただく予定です。
では、早速議題1に入ります。議題1は「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)について」です。7月25日に前回の部会が開催されましたが、生態系・生物多様性をテーマに議論いただきました。前回に引き続きまして、生態系・生物多様性に関連する議題となります。それでは、本件につきましては浦嶋委員から資料1に基づいて御説明をよろしくお願いいたします。
【浦嶋委員】 改めましてMS&ADインシュアランスグループホールディングスの浦嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。では、資料の方を私の方から共有をさせていただきます。では、早速御説明をさせていただければと思います。時間は15分で質疑10分ぐらいというふうに認識をしておりますので、その時間に収まるように、全てのスライドを大分簡略化して説明しなければいけないところもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
皆さんTCFD、TNFDの背景等はよく御存じかもしれませんが、改めて御説明をさせていただきますと、気候変動はやはり不確実ですが非常に大きな財務的な影響も大きいということで、G20に対していわゆる情報開示の枠組を作るというふうな指示が出まして、こういった形で企業と金融機関が適切な資金の流れを促すようにということで、気候変動に関する中長期的なリスクや機会について情報開示をするというふうな形でTCFDのフレームワークができました。
それに続きまして同じような流れで自然資本に関する情報開示も行われています。気候変動リスクだけでなくて自然関連のリスクということで、TCFDと違うのはG20とか金融安定理事会という枠組ではなくて、民間主導によるタスクフォースと枠組の開発というふうな流れになっています。金融の流れを、自然資本に対してネガティブなインパクトをもたらすものではなくてポジティブな方向にもたらすようにどう金融の流れを動かすかというところです。TNFDの第1回の提言というのは、昨年の9月に第1版というのがローンチされました。あれはこういった形でなっていますが、TNFD提言の本体というふうなものが一番上にありまして、どうやって進めるかというGetting Startedというものから、あと、後ほどご説明しますが、自然に関する依存とインパクト、そしてリスクと機会を特定するためのアプローチとしてLEAPアプローチというふうな枠組があるのですが、それに関するガイダンス。それに加えて、業種ごとに特有な課題について対応するためのセクターガイダンスと、特定のバイオームに対して対応するためのガイダンスというようなもの、あと、シナリオ分析とか目標設定、また、エンゲージメントに関するガイダンスというような形で、細かく枝分かれしたようなものが一式まとまっています。
すみません、これはお配りした資料にはついていなかったのですが、少し付け足させていただきました。TNFDが重視するセクターというのは、これらの業種がリストアップされています。いわゆる自然に対して非常にインパクトが大きいものというふうな意味合いになります。紫色のものが既にセクターガイダンスとして公開されているものです。水色は、現在ガイダンスが出ていまして、これに対してパブリックコメントを今募集しているというような状況で、このグレーのところはこれからガイダンスが作られる見込みになっているというふうなものでございます。
その次がTNFDの採用状況になります。9月に第1版が出た後に、実際自分たちはこのフレームワークに基づいて公開をするよというふうに採用を決めた企業が、現在6月末の時点ですが416社がこれに手を挙げているという形になります。この中でも非常に日本の企業がとても多く手を挙げていて、最初のタイミングでも日本企業が約4分の1を占めているという状態で、今も100社を超えているということなので大体4分の1を占めているというところで、日本企業が非常に活発だということが分かっています。
ここからは実際TNFDは何をいっているのかというような話でございます。この辺りは簡単に御説明をさせていただこうかと思いますが、自然が4つの領域に関わるものとして今ここには整理されています。自然を、環境資産と、その資産から流れてくるいわゆるフロー、生態系サービスというものが我々経済そして社会にも便益をもたらしているというふうな関係性だというふうに捉えて整理をされています。生態系サービスの種類につきましてはこの3つに分類されておりまして、それぞれ供給、調整・維持、文化的サービスについてはこれらのものが例示されているというところです。
ここからがTNFD独特の考え方になってきますけれども、企業のビジネスモデルだったり、いわゆる上流から下流までのバリューチェーンの中で、どのように自然と関わっているのかというようなことを、依存とインパクト経路というこのロジックモデルで整理をしています。企業は何らかの事業行為に基づいてインパクトを与えているというところです。
このインパクトドライバーというのは、この次のスライドに整理をされていますが、5つということで今出ています。この5つについては、気候変動、陸域・淡水域・海洋の利用変化、資源利用、あと汚染、また、侵略的外来種の導入・除去というようなことで、この5つそれぞれネガティブにもたらすこともあればポジティブにもたらすこともできるということでインパクトドライバーを整理しています。
このインパクトドライバーが、そこの自然に関わる企業だけではなくて、その外部のステークホルダーが同じ共有する自然に変化を与えるということがあり得るわけですね。そうすることによって、この自然な状態というものが変わるわけです。いわゆる環境資産というもののステータスが変わる。それによって生態系サービスも変わってくるというところになるわけです。そういった形でインパクトが続いて影響を次から次へと与えていくという一方で、企業は何らかの形で自然に依存していますので、この依存経路が、自然の状態が変わる、また、生態系サービスが変わるということによって、その企業のビジネスモデルが大きく関わり合っているこの依存というのがまた状態が変わってくるということになるわけですね。それによって企業が持っているその自然関連のリスクと機会が変わってくるというふうな形になります。先ほども言ったように、その企業だけではなくて、その自然を共有している地域のステークホルダーは、ここで様々なインパクトを与えている形になるので、ここがどう動くかによってそれがまた企業の自然関連のリスク・機会になります。そうすることによって、能動的に企業がビジネスモデルを変えていくということもありますし、変えていかざるを得ないというような状況にもなったりするわけです。これがぐるぐる回っているということが事業活動と自然との関係ではないかというところでございます。
実際にこれを例えば何らかの事業活動における事例で考えてみますと、例えばこれは大きな工場で何らかの陸地を開発して工場を作ってたくさん水を使うというようなビジネスモデルを考えたときに、こういったインパクトドライバーが発生しますと。それに関連して、その企業だけではなくて、その企業にくっついて一緒に開発するような企業が出てくれば、外部の変化要因として関連施設の新設等、更なる開発が加速されるという形になるわけです。そうすると、いわゆる土壌面が減少していく。どんどん舗装化されて空間が都市化されていって土壌面というのが減少していって生物多様性が劣化すると。そうすることによって水源涵養が低下する。また、地域の農林水産業の生産力が低下するということです。例えばそこで暮らす市民が利用する地下水が減少したり、農林水産事業者から苦情が出てきたりというような問題があるというふうな形になって、企業にとっては使用する水の枯渇という可能性が出てきますし、市が地下水規制を例えば新しく条例として作った場合には、又は市民がボイコットすることによって、これがいろんな影響をビジネスモデル、バリューチェーンにもたらすというふうな、こういうふうな整理をしていくことが、これから事業にとって投資家に説明すべき内容でしょうというのがTNFDのいっていることになります。
ここは自然関連のリスクの分類というようなことを書かせていただいております。物理的リスク、移行リスク、システミックリスクというような形で整理をしておりますが、物理的リスクは気候変動と同じように物理的な変化で直接何らかの被害をこうむるというようなものです。急性、慢性があります。移行は、先ほど言ったように規制が変わるとかというような形です。市場は、市場の変化、消費者の変化ということがあります。技術は、例えば新しい技術が来ることによって自分たちの持っている技術が陳腐化するというようなことです。プラスチックを全く使わないで済むような技術が現れることですね。それが自然保護の文脈でそういった技術が認められることによって、ここの企業にとっては競争力を失うということがあり得るということです。評判、また、賠償責任というような移行リスクもあります。システミックリスクは、こういったものが非常に大きな様々な影響をし合って、より大きなこのリスクが連鎖的に発生し得るというようなことを示しています。
機会については、先ほどのいわゆる逆というふうなことがいえると思うのですが、次のスライドで御説明をさせていただきますと、2つの考え方があるかというふうに思います。そういった企業にさらされる自然関連のリスクということが緩和されることによって機会になる場合もありますし、このビジネスモデルを積極的に転換させていくと。まるっきり違うようなビジネスモデルにするということで、新しいビジネスチャンスが生まれるということもあると思います。例えば、牛肉の畜産業が非常に環境負荷が高いということで、例えば代替肉を作るということが全くビジネスモデルを変えるということになるのですが、それ自体が自然関連の機会だという考え方ができると思います。この2つのパターンの機会があるという形になります。それをいくつかのパターンで分けたものが自然関連の機会というふうな流れになっております。
これが具体的な4つの柱と開示提言ということで、TCFDと同じように企業において非常に重要な4つの柱に分かれています。ガバナンス、これはいわゆる経営としてどのようにこういったリスクと機会を認識して適切な資源配分をして、それをきちんと監督をしているのかという、組織のガバナンスの問題。あと、どのようにリスクや機会を分析して戦略を打っているかということ。後は、そこで見えてきたリスクについてどう管理していくか。TCFDとの違いは、TCFDはリスクの管理だけなのですが、TNFDですとインパクトの管理というのも出てきます。どのように自分たちの組織が自然に対してインパクトを与えているか、どのように組織として管理しているかということの、そのプロセスをここに開示するという形になっています。最終的にはどういうふうな指標でモニタリングをし、また、どういうターゲットを設定して、自然に関するリスク・機会をコントロールして管理していくかというところ。この4つの柱で開示することが求められています。
LEAPプロセスというのは、先ほどお伝えした依存とインパクトをどのように分析をしていったらよいのかということを細かくプロセスをマニュアル化したものです。自然は気候変動と違ってどの自然でどのインパクトを与えているかによって全くリスク・機会が変わってくるので、まずどこでその事業活動をやっているのか、その事業がその企業にとってなぜ重要なのか、なぜそこで分析することが重要なのかということの整理がまずLocateとしてあります。まずそのLocateをしっかりやってEvaluate、Assess、Prepareという形でステップを進めていくというのがLEAPアプローチになります。
地域というところで、ここにも出ているのですが要注意地域との接点というところの分析が求められています。これについてはどういうふうに考えられているかといいますと、いわゆる生態学的にセンシティブと考えられる場所と、企業にとってそれが事業上重要かどうか。ここの緑色か黄色のところを企業にとって優先地域として設定して取組を進めなさいというふうにいわれています。
優先地域については、こういった要注意地域、生態学的にセンシティブと考えられる地域はどういうふうに整理しているかというと、その生物多様性の重要性、生態系の十全性、生態系サービス供給の重要性、3つの物理的リスク。こういった観点からこの要注意地域というのを洗い出しなさいというふうなことがTNFDではいわれています。なので、企業にとってこういうふうに場所が特定できるということがすごく重要な情報になってきます。
時間がないので、すみませんが最後は簡単に説明させていただきますが、開示指標ということが求められています。指標というのは、企業の中で何が重要なのかということを評価するときに使う指標と、それを具体的に開示するための開示指標というのが分かれています。開示指標の特にこの中核指標、グローバル中核指標というのが開示することが強く推奨されています。開示できないときはなぜ開示できないのかということの理由を伝えることが求められています。そういう意味でこれがグローバル中核指標として、どの業種においても原則的にはこれを開示せよというのがTNFDの第1版でいわれていることです。陸・淡水・海洋の利用変化に関しては、合計の空間的なフットプリントから、こういったこと、後は汚染についてはこういったテーマ、資源利用、侵略的外来種、自然の状態。また、仮となっているところはどういうふうな指標を置いたらよいか分からないということです。プレースホルダーとしてまだ明確な指標の項目が出ていないものがありますが、こういうことを開示していこうというふうなことで話し合われています。
あと、リスクと機会については、どういったものがリスクに脆弱なのかという、その資産、負債、収支とか。機会については、どういうふうな機会で向けられる資本的支出があるかというような、こういったものを開示することが求められていますというところです。ひとまず私の説明はここで終了させていただきます。
【村岡部会長】 浦嶋委員、ありがとうございました。では、これから7、8分時間を取りまして、御質問、御意見を伺いたいと思います。委員の皆様、御質問、御意見のある方は挙手をお願いします。若松委員、お願いします。
【若松委員】 浦嶋委員、ありがとうございました。このTNFDに関する最近の動向について、本当にいろいろとご説明いただいて、勉強になりました。この部会では、TNFDだけではなくてTCFDも含めてこれまで様々な議論がされてきたと思いますが、まだまだ世の中的な認知度、注目度はそれほど進んでないかと思っています。こうした議論がもっと世の中で一般的になっていくためのブレークスルーみたいなものについて、何かお考えがあれば教えていただければと思います。今日の御説明の中にもいくつかヒントがあったような気がするのですが、浦嶋委員が特に注目されていることがあれば共有いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
【浦嶋委員】 やはりおっしゃるとおり、どこまでこれが普及してくのかというのがいくつか、やはり課題はすごくTNFD事務局も感じているのですよね。今実は私はキャパシティビルディングというワーキンググループに入っていまして、というのは、うちの会社の原口という人間がタスクフォースメンバーなのですが、私はオルタネートといってその代理みたいな形でサブで入っているのですが、ワーキンググループがいくつもあって、先ほど言ったセクターガイダンスを作るワーキンググループもあったりするのですが、私はキャパシティビルディングというワーキンググループに入っていて、TNFD事務局もやはりどうやってこれをもっと多くの経営者に認識してもらうか。彼らがすごく注目しているのはやはり経営層にどう言うかです。私もサステナビリティ推進部にいるのですが、サステナビリティ推進部がいくら一生懸命やっていてもやはりトップがそういう問題をどれだけ認識するかによって全然スピードも、本質的な事業を変えていくというダイナミズムも違ってきますので、やはり経営層をどう普及啓発するかというところにすごく力点を置かれているなと思いますし、そこはすごく重要だなと思います。
では、どうやったら経営層がマインドセットされるかというのはまた重要な問題なのですが、これはいろんなファクターがあるとは思うのですが、やはり金融方がどう変わるかというところがすごく重要だと思うんです。やはり投資家がどういうふうに、こういうことがすごくリスキーだと。こういう脆弱なところで野放しな事業をやっていることはいかに自分たちの金融資産を毀損させるかというふうなことを、やはり中長期的に見てそういうことに関して感度の高い投資家が増えてくると経営が変わってくるという。だけれども投資家が変わるのかという、若干鶏と卵みたいなところがあって難しいと思うのですが、ただ、今回COP16が行われますが、すごく多く企業が参加します。だんだんやはり経営も変わってきていて関心を高めているかという気はしています。余りよい答えになっていないかもしれないのですが。
【若松委員】 途中でも日本の企業が意外にと言ったらあれなのですが前向きだというお話があったと思うのですが、そこは何か事情があるのでしょうか。
【浦嶋委員】 これはよく話が出ているのですが、余りよいことではないかもしれないのですが、それが奏功しているのはやはり横並び意識があるというのは割と我々は自重気味に分析をしています。やはりどこかの企業が同じ業界でどこかがやるなと思ったら皆その業界やるというところが良くも悪くもあるのだと思います。
でも、逆にそういう皆でやるというところですね。地域の自然をどう変えていくかといったときに、先ほどお見せしたとおり1社でできることは少ないのですよね。やはりそこを同じ自然を共有するステークホルダーの皆でやる必要があって、やはり多くの企業が取り組むという、その気持ちを持っているということは、逆にそこの地域の自然に対してすごく大きなインパクトを与えられると思うのですよね。なので、それをもっともっとポジティブな方向に使えば、すごく日本で取組が進むのではないかというふうに考えています。
【若松委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。続きまして、高薮委員、お願いします。
【高薮委員】 詳しいご説明ありがとうございました。勉強になりました。若松委員の最後の御質問とほとんど同じだったのですが、日本の企業が非常に積極的でAdoptersの数が多いということを伺いまして、ヨーロッパ等の方が意識として進んでいるかと思っていたのですが、横並びでもそのよいところもあるということで、実際の効果としては、日本の取組というのは期待が持てるということと考えてよろしいのでしょうか?
【浦嶋委員】 そうですね。ヨーロッパについてはもう一点補足をさせていただきますと、ヨーロッパは非常にいろんな開示規制が義務的にもう施行されてきているので、わざわざTNFDに手を挙げなくてもそちらの文脈で開示せざるを得ないという状況があるのを差し引いて考える必要があるのかなという気はしています。お互いに同じような開示になるように整合性はとっているので、あえてTNFDに手を挙げていないということもあり得るのかもしれません。
あともう一ついえるのは、日本はやはり自然に対して思いが強い。やはり長らく日本はずっと自然と共生する文化というのはあったと思うのですね。それをやはり今の時代に読み替えて、そういう長く自然と共に共生しながら暮らしてきたこの国民性とか文化を逆に今のグローバル経済の中で先手に出て、どんどん国際競争力につなげられればよいのかなというふうに考えています。
【高薮委員】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。少々時間が押しはじめましたので、すみませんが赤松委員と川辺委員は簡潔にご質問いただきまして、浦嶋委員からも簡潔にお答えいただければ有り難いです。まず赤松委員、お願いします。
【赤松委員】 浦嶋委員、大変素晴らしいご説明ありがとうございました。大変よく理解できました。私がお伺いしたいのは、18頁の開示指標のところで、例えば地球観測データで代替できるような指標というのは何か具体的に今の時点で見据えられているものはありますでしょうか。先ほどのグローバル中核指標がやはり重要だという話もあったのですが、その後でおそらくいくつかの指標が出てくる中で、地球観測データでモニターできるものは何か考えられていますでしょうかということです。
【浦嶋委員】 こちらがグローバル中核指標のリストになりますが、こういうものについて大事なのは、やはり地球観測データと企業のアセットデータが結び付かないとなかなか開示にならないところなのです。だから地球そのものの状態だけではなくて、事業のアセットデータをいかにサプライチェーンを通じて、ここが必ずネックになるのですよね、ここの組み合わせが重要になると思います。
【赤松委員】 では、これからいろいろ作っていかないといけないということですね。
【浦嶋委員】 そうですね。はい。
【赤松委員】 分かりました。ぜひ進めていければなと思っておりますので。どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 どうもありがとうございます。では、このセッションの最後に川辺委員からお願いします。
【川辺委員】 ご説明いただきどうもありがとうございました。とても分かりやすく伺いました。一つ確認させていただきたいのは、このTNFDは、対象とする場とか、規模とか、どういうものを想定されているのかを教えていただければ幸いです。国際開発金融についてのことなのでしょうか。
【浦嶋委員】 いえ、そんなことはないです。バリューチェーン全体が対象でとなります。やはり熱帯林とか、ここにも要注意地域としてあるように、やはりこういう保護地域とか生態学的に十全性が高いエリアで例えば原材料を使っているとか、そういうような所がやはりすごく問題になったりするわけです。ですので、食品業とか、例えば薬品系でそういった熱帯林からのソフトコモディティを原材料に使っているとか、そういう所がやはりすごく要注意地域に重なってくるので、そういうところはすごくリスクが高いとされたりするわけです。なので、最初にお見せしたようにこういう業種が正に考えていかなければいけない、真っ先に重視されるというところでございます。
【川辺委員】 分かりました。またお伺いできればと思います。ありがとうございました。
【村岡部会長】 皆様、議論いただきましてありがとうございました。浦嶋委員も発表と質疑をありがとうございました。では、議題2に入ります。議題2は「衛星データに関する法的枠組について」です。以前の部会において、地球観測データに関連する法的な枠組について御指摘を頂きました。このため、地球観測データの一つである衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律の枠組について、本日は学習院大学の小塚先生に会場にお越しいただきました。小塚先生、資料2に基づきまして説明をよろしくお願いいたします。
【小塚教授】 ありがとうございます。学習院大学の小塚でございます。私は本来の専門は商法・会社法ということで、実はそのTCFDとかTNFDも関係がないわけではないのですが、本日はそこではなく私のキャリアの中でいつの頃からか専門の一部に入るようになってまいりました宇宙法の関係でこの衛星データに関する法制度についてお話をさせていただくということです。目次に行ってください。大体この4点の話題をご用意してまいりました。次の頁をお願いします。まず、大きな法的枠組からお話しいたします。次の頁をお願いします。
地球観測に関する衛星データは、一番大きなところが国連の原則、これは条約がこの頃にはもう宇宙法に関して作ることが難しくなっておりまして、国連の総会決議に基づくリモートセンシング原則というものが1986年、まだ冷戦の時代に作られております。これは全部で10いくつか原則があるのですが、その中で非常に注目すべきものが私はこの2つだと思っていまして、1つが第4原則で、リモートセンシング活動の自由ということをうたっています。これは地球観測衛星をアメリカとかソ連が打ち上げはじめた頃に、特に南米のブラジルとかアルゼンチンとかを中心にしまして、それは主権の侵害ではないかというような声が上がったわけですが、宇宙空間というのはそういう主権が及ばないところで、宇宙活動の自由というのは宇宙条約でも保障されていると。観測されている対象は主権国家なのですが、主権の及ばないところから観測しているので自由なのだという原則がここで一応国際社会の総意としてうたわれたわけです。航空機とかドローンに比べて、衛星観測というのは解像度などでは落ちることがありますが、この部分、とにかく土地に対する国家主権とか、あるいは所有者の権利とか、そういうものに影響されずに観測できるというところがこの原則の上で非常に大きなメリットになっているわけです。
もう1つが第12原則というもので、今の話の見返りで出てきているわけですが、観測された国は観測データに対するアクセス権を持つということがうたわれているわけです。それはデータのレイヤーによってそのアクセス権の内容が違うというふうに一応なっています。次のスライドをお願いします。
このスライドをご覧いただくとどこが違うのだという気がしなくもないのですが、一次データ、処理済みデータ、解析された情報に併せて、非差別的な基礎で且つ合理的な価格条件。なので、ただで渡すとは誰もいっていないのですね。合理的な価格条件で渡すということをいっています。これは1986年にできておりまして、現在の目で見ますといろいろと疑問な点もあります。例えばこれは民間企業が収集したデータについてもこういう開示をさせるということなのだろうかと。そうするとそのデータに対するあえてプロパティといっておきますが、財産権というのですかね、そういうものというのは評価されていないのだろうかというようなことも疑問になってくるわけです。当時は米ソの国家が、メインは軍事衛星的なもので観測していたのでそれは分からなくはないわけですが、今の目で見るとそういう疑問も出てくる。しかし一番の疑問は、自分で観測衛星を打ち上げられないような国がデータをもらったとして、取り分け一次データなどという生データをもらって一体どうするのだということがよく分からないわけです。そのことはこの国連原則ではよく分からないのですが、次のスライドに行っていただけますでしょうか。
その後、国際的な場面で何が起きたかといいますと、これは宇宙だけの問題ではないのでこちらの部会の先生方はよく御存じだと思いますが、GEOSSという枠組が2000年を過ぎたあたりからできていまいりまして、そしてそのGEOSS内では共有データ、メタデータも含めて完全且つ無制限に交換をするという枠組が作られていったわけです。これを先ほどの衛星データに関する国連原則と結び付けてみますと、要するに生データを能力を持っていない人に渡したってそんなに意味がないと。それよりももっと意味のある形で、お互いに利用できる形で交換していきましょうと。そしてそういう意味のあるものは、むしろ合理的な価格条件等ということはいわず、完全にフルオープンにしていきましょうと。こういう枠組ができたということで、言わば基本的な考え方を実効的な形に落としていったのがこのGEOSSの枠組である。その中に衛星データの話も多く収まっているというのが現状です。次の頁をお願いします。
今のような大きな枠組の下に、主要な国としてはアメリカ、それからカナダ、ドイツ、フランス、そして日本といった国が衛星リモートセンシングに関する法制度を持っております。次のスライドをお願いします。
日本の衛星リモートセンシング法は平成28年に立法されたわけですが、私も若干関わりましたが、当時ある種二律背反的な要請があったのです。それはちょうど宇宙活動法と同じ時に作りまして、衛星データビジネスというものを振興していきたいという考え方が一方ではありました。他方で、しかしそれに対して安全保障の観点からの懸念というものも非常に強く示されまして、これをどうやって両立するのかということが問題になったわけです。これについて非常に苦心をした結果として現在できている枠組というのが、ざっくりいうと以下のようなことでして、一つは、衛星リモセン装置、つまりいわゆるリモートセンシング衛星自体は、これは衛星の運用を宇宙活動法の許可制度で見ていますが、そこに積まれている衛星リモートセンシング装置はセンサーです。これについては宇宙活動法とは別に許可の枠組を作ります。もちろん閾値がありますので全てではありませんが、許可を受けなければならない。実はそれを受信する地上設備の方は許可の枠組がありませんで、ただし衛星リモートセンシング装置の許可制度を運用する中で、許可を与えるかどうかの審査のときに地上はどうなっているかというところで見る。こういう形で見ているということです。
もう一つは、そのようにして収集された衛星データを衛星リモセン記録というふうに呼んでいるわけですが、これについて一旦データを持ったら、その提供の相手方というものが限られると。こういう仕組みにしています。これは簡単にいうと、センシティブな衛星データというものは、一定の資格を持った人の間でしか流通することがない。こういう限られたクローズドコミュニティといいますか、その間でぐるぐる回るという仕組みを作ったわけで、今風にいえば経済安全保障的な考え方の走りだというふうにいってもよいかと思います。次のスライドをお願いします。
そこでまず閾値ですが、ご覧のような形でセンサーの方式によって4種類に分けて閾値を定めている。それから、そもそも地上から管制できるものが対象ですので、大学の研究室などで作って管制せずにそのまま落下して大気圏で燃え尽きるようなものは対象外になっている。次の頁をお願いします。
それから、閾値もデータの流通の方になりますとまた少し違います。これは生データと標準データを分けまして、標準データについては解像度が生データの場合あるいはセンサーの場合に比べると非常に細かいものについて規制をしているということになっているわけです。細かいものといいますか、逆にいうとそこまでの解像度がなければ規制されないということなので、逆に緩いというべきなのかもしれません。その次のスライドに行っていただけますでしょうか。
この衛星リモセンデータを取り扱える者の認定の基準というのは、大きくいうと国際社会の平和確保等に支障を及ぼすおそれがないということなのですが、本人がテロリストのような人でないということはともかくとしまして、それ以外のことの大半の部分は安全管理のための措置をきちんとしているかということでして、組織的・人的・物理的・技術的な安全管理措置というようなことが施行規則に書かれているということです。その次に行っていただけますでしょうか。
流通規制ですが、先ほど申しましたが、この法律の規制の仕方が少し分かりにくいのですが、まずあるところに衛星データを持った人がいる。ここからスタートします。その人がどうしてそのデータを持っているのだろうということは書いていないわけです。書いていないわけですが、この制度の他の部分と併せて読みますと、まず自分が許可を受けた衛星リモセン装置を運用していて、したがってそれを受信したという人、それから、地上設備の方に関わっていて、それで受信してデータを持っているという人。これは結局衛星リモセン装置の許可のところで見て審査されている人たちであるわけです。それから、今度はそのリモセンの衛星データを2次的・3次的に取得した人。この取得については閾値を超えるセンシティブデータである限りは認定を受けた認定記録取扱者でなければならないということになっているわけです。認定を受けた基本取扱者以外に例外があるかというと、それは国の機関であるとか、それから、衛星リモセン法を持っているアメリカ、カナダ、ドイツ、フランスのような外国の政府機関であるとか、後は緊急の場合とか裁判手続で開示を命じられた場合というのに限られているということです。次の頁をお願いいたします。
今日こちらにお邪魔したせっかくの機会ですので、その衛星リモートセンシング法が何を定めていないかということもお話ししたいと思います。次の頁をお願いします。衛星リモートセンシング法を作っていく上で結局いろいろ議論して余りうまくいかないねといったことの一つがシャッターコントロールといわれる問題です。これは、当時のアメリカの法律では、実はアメリカの大統領の命令で衛星データの流通を止めることができるという規定があったのです。今は少し制度が変わってスライドに書いたような形になっています。ただ、アメリカでもそのシャッターコントロールというのは本当に発動した事例はないといわれています。これと同じような規定を一応衛星リモートセンシング法の中に内閣総理大臣、宇宙活動法と併せて内閣府が見ていますので内閣総理大臣になりますが、内閣総理大臣の命令で国際社会の平和の確保に支障を及ぼすおそれがある場合には衛星リモセン記録の提供を時間を限って止めるという制度を一応設けてはあります。ただ、シャッターコントロールという制度に実はそんなに意味がないのではないかというのが当時いろいろと議論した時の最終的な認識です。どういうことかというと、まず第1に、世界でリモートセンシング衛星を運用しているのは当然ながら日本だけではありません。そうすると日本だけがシャッターコントロールしても、他のところから商業的に買えるデータについてはおそらく意味がないと。買ってくることができるということで意味がないということになります。これはアメリカも同じでして、アメリカの場合はリモートセンシング衛星についてTier-1、Tier-2、Tier-3というふうに分けていまして、Tier-1というアメリカ以外の国でも商業的に流通している、それくらいの解像度の衛星リモセンデータについてはこういうシャッターコントロールはしないというふうになっています。
もう一つの問題は、実際の衛星データ自体を流通させなくても、衛星で取得した内容、知り得た内容を別の形で情報として出してしまったらどうなるのだというようなことをある方が問題提起されて、これは止められないねと。表現の自由等の問題もありますので。例えば当時議論していたのは、では自衛隊艦船が写っている衛星データは提供して流通させてはいけないというルールを作ったらどうなるのだといったときに、いや、そのデータを流通させなくても、今、護衛艦何とかは伊豆大島の近海を北上していますとかいうふうにツイートしてしまったら意味がないではないかいうようなことです。そこまで止めるとなるとそれはもう表現の自由の問題が出てきて憲法問題になってしまいますので、そうはならない。これで大事なことは、要するにデータとデータが実際に利用される情報というものを区別して考えていく必要があるという、このことを示唆していたのだと思います。次の頁をお願いします。
衛星リモセン法が規制していないことのその2ですが、衛星リモセン法はあくまでも衛星リモセン装置とそれを使って取得したデータについての規制ですので、衛星リモセン装置を使わないデータ、例えば船舶AISの情報は、この受信装置は通信の装置ですので、衛星リモセン装置ではないわけですね。ALOSに載ってはいるのですが。なので、それ自体は規制されない。さらにいうと、最近ソニーが地球みまもりプラットフォームというようなことをいっておられて、地上にセンシング装置を付けて、それでやはり通信で衛星に上げていくと。そうすると、これは全く衛星リモセン法には関わってこないということになるわけです。しかし、先ほどの話にも出ていましたが、そういうものも含めたデータを衛星データと統合してビッグデータとして使っていくと。こういうようなことが正に求められているわけで、そうすると衛星リモセン法というのは非常に限られた部分しか規制していないのだということが分かります。次のスライドをお願いします。
第3の規制していない話というのは、プラットフォームの問題です。当時からデータの解析についてはプラットフォーム上で行われることが多いというのはよくいわれていて、そこにしかもグローバルなプラットフォームが非常に大きなシェアを占めているということがいわれていて、それで日本もTellusを立ち上げたわけですが、これについても法制度は何もないわけです。あえていえばプラットフォーム規制みたいなことが今世の中には独禁法の特別法としてありますので、そういうものが適用されてくるのかどうかというような、そういう非常に難しい問題が出てくるわけです。次の頁をお願いします。
最後に、データの関係でよくいわれるのが「データは誰のものか」ということなのですね。データを取得する主体というのは、取得するといってしまうとぼやっと分かったような気になりますが、実ははっきりしません。リモートセンシング衛星だけを見ても、衛星を運用している主体とそこにセンサーだけをペイロードとして載せている主体が違うことはあり得ます。ましてそれは単なるデータのサプライヤーに過ぎず、それを本当に解析する能力を持っている、その主体こそがデータを持っている人だというふうに見ることもできるわけです。さらにいえば、その解析したデータに基づいて先ほど申し上げた有用な情報というものを作出していくということがまた一つの別のレイヤーになっていることもある。これらについても法律では何も規制していないわけで、よくこれは誰のものなのか決めてくれというふうに言われることが多いのですが、法律家としての答えは、それは決められませんと。あくまでもそれは当事者間の契約で決めてくださいと。法律的に一時的に決まっているものではありませんということです。その次に行っていただけますでしょうか。
そこで、以上申し上げましたことを今回ポンチ絵にしてみました。次の頁をお願いいたします。衛星の運用者、それからリモセン装置の運用者、解析者、それからプラットフォーム、そしてそれをさらに使う人たちというのを縦横で書いてみまして、次のスライドに行ってください。そうしますと、ここの部分、リモセン衛星、それからその上のリモセン装置については宇宙法関連のところで規律がなされています。その次に行ってください。次に、このリモセン装置で取得したデータについて解析したりプラットフォームに行ったり、この辺りというのは先ほど申し上げた契約で決まるところです。その次の頁をお願いします。そしてプラットフォームの部分については実はよく分からないということです。そして次の頁をお願いします。
そして、ここの部分は実は全く議論されていないように私は思うのですが、衛星データを情報に変えましたといったときにすぐにエンドユーザーが使うのですか。仮にエンドユーザーがビジネスユーザーだとしても、すぐに使うのですかと。おそらくそうではない。そこにある種のコンサルタント的な人が入ったり、データをさらに情報として分かりやすく、それこそ経営トップ層に伝えていくような、そういう主体が入ってくるだろう。それを仮に専門的ユーザーと書いたのですが、この辺りのデータの利活用に関するガバナンス、いわゆるデータガバナンスと少し違う意味で、データの利活用に関するコーポレートガバナンスという議論をこれからしていかなければいけないと思います。ということで最後のスライドでこれらを総合した図を書いてみましたということです。以上でございます。
【村岡部会長】 小塚先生、ご発表いただきましてありがとうございました。それでは、部会委員の皆さんからの御意見、御質問があれば、挙手ボタンを押してよろしくお願いいたします。私から一つ。先ほど前半の方でGEOSSのデータ共有原則についてもお話しいただきましたが、当時の議論の中で、国内的な議論、あるいは国際的な議論など大きな転換点があったのかなと思われますが、実際にはどのような議論があり、GEOの立ち上げでGEOSSの構築という新しい国際的な枠組が作られたわけですが、将来的に何を目指して、あるいは未来をつくろうということがあったのかと思いますが、どういう議論があったのか、もし御存じでしたら教えていただけますか。
【小塚先生】 非常に難しい御質問なのですが、やはり1980年代ぐらいまでは宇宙活動を行える国というのは非常に限られていた。したがって、世界のほとんどの国は言わば見られるという被害者的な立場であったわけです。且つ冷戦の時代ということもありまして、もちろん当時からLandsat衛星のようなものはあったわけですが、どちらかというと観測衛星というのはやはり軍事的なインプリケーションを持っていた。ところが、90年代に入りまして、冷戦が終わったということと、それから宇宙活動ができる能力というのが広がってきた。80年代、70年代に非常に反発をしたブラジルなどは、むしろ今や衛星を使って自分たちで観測する側になってきたわけですよね。そういう立場の一方向性がある程度緩和されたところで、このデータというものをどういうふうに生かしていくのだという、その利活用というフェーズに入ったのだと思います。そのときに、ここはやはりアメリカとかヨーロッパが非常に優れていると思うところですが、そういうデータを、商業的な事業者も自分たちの国にありながら、それを完全に囲い込むのではなくて、公的な衛星によって収集したような基盤になるデータというのは共有していきましょうというふうにして、その上の言わばアプリケーション的なレイヤーで商業的事業者を走らせると。こういう考え方が欧米の中に出てきた。その結果が今のGEOSSなのではないかと私は思っているのです。ですから人によっては、いや、Landsatで撮った衛星データをGEOSSなどで共有して一番アクセスしているのは中国らしいというようなこともいわれるわけですが、まあ、それでも構わないと。本当にアメリカの強みのようなデータは民間事業者がプラネットとかそういうところがどんどん商業的に収集して且つ利用しているのだと。こういうようなことになってきているというので、ある種の方向性というものが出てきているのではないかというふうに思っています。
【村岡部会長】 ありがとうございました。今回の地球観測推進部会では、今後10年にわたる実施方針を議論しているものですので、当時新しいGEOという枠組でGEOSSの構築という中で未来を見ようとして、その中で地球観測の強化というところがおそらく2000年台の初めに議論されていて、正にそれから20年経とうとしているわけですが、またそのときの精神、考え方等が今後我々の中での議論でも関わってくるかと思いましてお聞きしました。委員の皆様、御質問があれば挙手ボタンでお願いします。赤松委員、お願いします。
【赤松委員】 小塚先生、ご説明ありがとうございました。非常に体系的に今の衛星データに関する規制が理解できたと思います。最後のフロー図でデータのサプライチェーンに関していろいろご説明いただいていて、今後の10年計画も実はデータバリューチェーンという名前を付けて、こういう一連の流れをどのように実現していくかを考えているということで、正にこういった図式の中で考えないといけないと思います。先ほど来ご説明いただきましたように、例えば装置の運用者もどんどん民間が増えてきて、プラットフォームもだんだんいろんなものができてきているという中で、今のこの法規制は今後また変わっていくものなのか、それとも今の枠組を維持しながら当面やっていくのかに関して、何か展望がありましたらお願いいたします。
【小塚教授】 ありがとうございます。私もいつも考えているところで、確定的な解はないのですが、いわゆる宇宙法的な意味で例えば衛星リモセン法をどうしていくかということだけを考えるならば、今後それが広がるということはないだろうと。どちらかといえばそれは規制緩和していく方向でしかないだろうというふうに思っています。アメリカは結局ある時期に衛星リモセン規制は大いに緩和してしまって、本当に世界の中でアメリカの事業者しか取得できないようなデータ以外はもうほとんど自由と。むしろ彼らの視線は既に違う方向に向いていて、宇宙のデータを集める方向は規制するのだというような見方になっているので、そこ自体はおそらく自由化されていくのだろうと思います。
他方で、今日皆さんにお話ししましたように、例えば契約とかコーポレートガバナンスとか、場合によってはそのプラットフォームの競争法・独禁法上の問題とか、そういう宇宙法ではない話というものが出てきて、そこは今後きちんと法的に考えていく。場合によってはそこに新しいルールのようなものが作られていくということもあり得るだろう。それがないとやはりおっしゃるバリューチェーン、私の図ではサプライチェーンと書いたのですが、こういうものを健全に且つ国際的に競争力ある形で発展させていくということにおいては、やはり足腰が弱いと難しいかというふうに思っておりまして、ぜひここを今後議論していく必要があろうと思います。
【赤松委員】 分かりました。リモセン法自体というよりは、いろいろな事業活動の中での立法化だとか、それから規制が掛かってくる可能性はあるということですかね。
【小塚先生】 おっしゃるとおりだと思います。
【赤松委員】 分かりました。ありがとうございました。
【村岡部会長】 では、もうお一方、六川委員、お願いします。
【六川委員】 小塚先生、どうもありがとうございました。私の質問は、今ここで運用者ですとか解析者ですとかという区別があるのですが、私の感じですとその小型衛星が増えてきますと、衛星をOEMで供給するような仕組みができてきて、なかなか運用者と解析利用者の辺りが一体化してしまうようなことも相当出てくるような気がしているのですが、そういうような場合にこういう区別というのが何かよく分からなくなってきてしまうような場合にはどんなことが起こるものでしょうか。
【小塚教授】 六川先生、お世話になっております。この図に書きましたのは、一つひとつの丸や四角は、これは言わば機能に着目した認識ですので、これが全て独立の別々の事業者に、あるいは主体によって担われているという必要はないというふうに思います。むしろこのうちのどことどこを同じ主体が担うのかというところが、そこは一つのビジネス上の競争といいますか、イノベーション的なところがあって、今までの事業者とは違う、うちはこことここのレイヤーを取りに行くのだとか、場合によってはスマートフォンアプリみたいに一気通貫で全部担当するのだという事業者もいるかもしれませんが、そういう業態間の競争みたいなことがおそらく起こってくるだろう。そういうときに、それは事業者の顔としては何とかという会社、何とかという会社はあるのだけれども、機能をばらして考えるとこんなふうになるのではないかという、そういうマッピングを持っていると見通しがよくなるのでないかと思いまして、このポンチ絵を作った次第です。
【六川委員】 どうもありがとうございました。大変よい示唆を頂いたような気がします。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。ご議論いただきましてありがとうございました。以上で議題2を終了します。本日は小塚先生にお越しいただきました。どうもありがとうございました。
それでは、議題3に参ります。議題3は「衛星データの利活用の取組について」です。先ほども出てきたリモートセンシングは、離れた位置から対象物に触れずに形や性質を調べる技術ですが、約50年間、衛星を用いたリモートセンシング事業に関わってこられた一般財団法人リモート・センシング技術センターより坂口様から資料3に基づき御説明をよろしくお願いいたします。
【坂口部長】 ご紹介ありがとうございます。リモート・センシング技術センターでソリューション事業部の部長をやっております坂口と申します。よろしくお願いします。それでは、衛星データの利活用の取組ということでお話をさせていただきたいと思います。
まず、皆さん御存じかもしれませんが私どもの財団の概要をこちらにまとめさせていただいております。今ご説明ありましたように、私の財団は1975年に設立していまして、約50年近く運営しております。今従業員はプロパーで190名ぐらいおりまして、1975年に設立されてから3年後にアメリカのLandsat衛星、当時は今のようなオープン&フリーではなく有償データでしたが、その配布をスタートしまして、JAXAの地球観測衛星の運用や解析研究などを支援をさせていただきました。近年はこれらの知見を生かして、お客様のニーズに合致する解決策をご提供していこうということで進めております。
私どもは昨年度から新たな中期事業計画の実行をスタートしまして、その中で公共とビジネスの両面でリモートセンシングの可能性を広げるために6つの事業を進めさせていただいております。1つ目が衛星地球観測事業でございます。これは主にJAXAの地球観測衛星の運用の支援ということで進めております。2つ目が研究開発事業です。最初の財団設立の段階から研究部がありまして、研究開発事業には力を入れてきております。3つ目がシンクタンク事業です。これは衛星リモートセンシングの世の中の動向の調査などをさせていただいて、可能であればいろんな提言をさせていただく事業でございます。4つ目が、今日の主題になるソリューション事業でございます。いろんなお客様に対して解決策を提供する事業になります。5つ目が人材の養成事業です。こちらは1978年の当初ではJICAから国外のリモートセンシングの技術者の技術研修をしてほしいという要望があり、はじめておりまして、現在は私ども自身でも技術研修をやらせていただいているところでございます。最後は普及促進事業でございます。私どもの財団の是としましては衛星リモートセンシングをより普及させていこうということがあり、、それを促進するための事業でございます。こちらの6つの事業を進めております。。
今日はこのうちの衛星画像データの利活用に関するところとしてソリューション事業について御説明をさせていただこうと思います。こちらの事業は、データやサービスの提供と実証を進めております。書いてございますとおり、いろんな民間企業の方々、それから関係の機関の方々と、データの提供、解析結果の提供等いろんな意味で積極的に連携を進めさせていただいておりまして、衛星リモートセンシングによって社会やお客様の課題解決のためにデータそのものを提供するケースもありますし、解析サービスを提供するケースもありますし、その実証をやらせていただくというようなケースもあるということでございます。この事業がいわゆる衛星データの実利用、社会実装を推進する事業とお考えいただければと思います。
こちらにはソリューション事業の方針を書かせていただいております。お客様のいろんなご要望、利用目的、場所、期間、頻度、費用といったものを様々考慮させていただきながら、画像を撮るところから解析結果の提供まで、バリューチェーン全体を意識しながらいろんな御提案・実証を行わせていただいて、お客様の課題の解決策となる衛星画像データ、付加価値製品、それから解析結果を、単品だったり複合的に組み合わせてご提供させていただくということをやっております。この際、お客様のニーズに合致する画像データそのものが準備できなければ、いくら素晴らしい解析技術があっても利用が進まないということがありますので、私どもはマルチソース戦略という戦略をを取らせていただいて推進しています。
実際にどんなデータを使っているかということですが、今はこちらにあるような14社・機関様の衛星データの取扱いをさせていただいております。大きく光学とSARということで分けさせていただいています。こちらについては後ほどのスライドで御説明をさせていただきたいと思います。
まず光学の方です。昔からありますMaxarのデータですとか、Airbusのデータ、それから、2010年ごろからスタートしておりますPlanet Labsのデータ。これらはかなりメジャーな光学の商用衛星データになります。
それ以外にも私ども独自で扱っているデータがこちらにあるものになります。こちらはやはりお客様の頻度も含めた要望に合うように扱わせていただいています。
それから、SARの方もこちらになります。JAXAのALOS-2のデータは非常に有用なデータだと思っておりますが、これ以外にもXバンドのSARのデータ、また、Lバンドのデータでも一部観測頻度が足りないというような御要望もあったりしますので、SAOCOMという衛星のデータも扱っています。
実際扱っているデータの一つであり、少し特殊なデータになりますが、キヤノン電子のCE-SAT-ⅡB衛星に載せている超高感度カメラで撮影した夜間観測の画像のデータです。夜間観測のデータというのは高分解能のものがなかなかございませんが、国内で扱えるものとしては今一番高い分解能のもので、直下で5 mぐらいの解像度のものになります。撮られている地域は東京の23区及びその周辺です。ご覧いただいてお分かりいただけるとおり東京というのは非常に夜間も明るい所になります。大体この観測時間が9時ぐらいですので、9時でも非常に明るい所というふうにお考えいただければと思います。このようなデータも扱っているところでです。
2つ目が付加価値製品になります。これは多分春先にNTTデータの方から御説明があったと思いますが、衛星データから地形データとか地面の起伏や樹木、建物の高さを抽出した、3次元データとしてNTTデータと共に提供させていただいているAW3D製品があります。こちらは2014年に提供を開始させていただいているので今年でちょうど10年ということになります。今までに世界130カ国、1,300以上のプロジェクトでご利用いただいています。。利用分野は地図、防災、また資源開発、都市開発、インフラ整備と多岐にわたるります。このような製品もございます。
最後になりますが、解析結果の提供になります。私どもは今までこちらにあるインフラ、農業、海洋、森林、防災という5つの分野を中心として解析結果の提供・実証等々をやらせていただいてきました。様々なお客様の課題に対して利用や提供可能な衛星データを準備させていただいて、解析技術と併せてご提供させていただいております。。この中でいくつか例をご紹介させていただこうと思います。
まず、インフラになります。インフラに関しましては、ちょうど6年ぐらい前に地表面変位計測サービスといわれるものを立ち上げました。私どもの愛称でRISEといっております。RESTEC Interferometry Serviceの略称になります。こちらは私ども財団が最初に取り上げた解析サービスでございまして、いわゆる干渉SARの技術を使いまして地表面の微小な変位を計測して、その解析結果をお客様に提供するというサービスになります。これはお客様の用途とお伺いするのと、場所と頻度、それから期間をお伺いをして、使用する衛星データはどれがよいかを選んだあと、ご提案させていただいて、ご納得いただければご注文いただいて進めるということになります。こちらに関しては民間企業を中心として過去に、50件以上の提供をおこなってきました。解析結果はこちらにあるような感じになっております。ここは江東区とか書かれているのでお分かりいただけるかと思いますが東京湾岸のエリアになります。見方を簡単にご紹介させていただきますと、黄緑色のところがほとんど変位がない所で、地盤の沈下とか隆起がないような所になります。赤いところが沈下している所というところ、青いところが、ほぼありませんが隆起している所になります。干渉SARでございますので非常に使える衛星というのは限られておりまして、Lバンド、Cバンド、Xバンドでそれぞれ干渉SARで使える衛星はこちらにある衛星だけなので、これらを基にして、お客様の用途と場所に合わせてご提案させていただいて進めさせていただいております。
インフラに関しては、もう一つ最近よく進めておるのが漏水検知になります。こちらは私どものホームページにも載せておりますが、福岡市の公共調達サポート事業の第1号として、人工衛星を使った漏水検知で、他社と一緒にやらせていただいている例になります。インフラに関してはこのようなことにも取り組んでいます。
農業に関しましても、これも他社と一緒にやらせていただいておりますが、衛星画像の解析結果データとWebGISを利用した農地の現地確認効率化システムというものを、株式会社ニュージャパンナレッジと一緒にやらせていただいておりまして、私どもは画像解析、耕作放棄地ですとかそういうものを人工衛星の画像から解析して、この上に載せているということをやらせていただいております。
農業はさらに営農支援、つまり、栽培・生産の支援ということでも実証事業などをやらせていただいておりまして、こちらは水稲の生育予測になります。衛星データと現地調査のデータを組み合わせまして、収穫適期ですとか収量ですとか品質などを出させていただいております。こちらについてはやはり光学で、しかも高頻度で撮れる衛星画像データ、生育期間というのは3カ月とか何カ月か非常に限られておりますので、高頻度で撮れるものを中心に使っています。
あと海洋については、沿岸環境情報サービスというのを2019年4月からスタートさせていただいておりまして、沿岸域の藻場とか干潟の解析提供をやらせていただいています。こちらも場所とか頻度とか期間を考慮しまして、使用する衛星画像データを選定してご提案させていただいています。この結果は環境省にご提供したものでございまして、大分県の中津になりますが、こういった人工衛星のデータから藻場とか干潟の領域を解析してご提供することをやっております。
次は、防災になります。こちらはJAXAの防災利用実証などを中心にやらせていただいておりますが、SARのデータを使った浸水域の推定というのもやっております。通常、浸水域の推定というのは、被災前後の画像を使ってやるというのが一般的でございますが、地域によっては過去に撮られた衛星画像データがない、若しくは災害後に撮られた衛星画像データとの観測条件の違いによってなかなかその変化抽出がしにくいということがありますが、こちらの例では単画像で被災後に撮られた衛星画像データから解析を行っています。御存じの方も多いと思うのですが、浸水域ですと電波が余り返ってきませんので非常に暗く写りますので、そういうところを中心に抽出をしているということになります。
後は災害では人工衛星のデータだけではなくてSNSの情報も組み合わせて浸水域を3次元的に把握するというような取組も実証としてはやらせていただいております。この左側にありますのが衛星データとSNS情報を重畳して出しているような例とでございまして、右側は国土交通省がお撮りになられた浸水被害の写真ということでございまして、比較的よく一致しているのがお分かりいただけると思います。
今回ご説明にあたって海外のデータの利活用の取組も少し説明してほしいという御要望もございましたので、非常に簡単になりますが、民間を中心にまとめさせていただいています。一つ目は衛星画像データについてです。光学SAR、赤外、ハイパー等を使ったプロバイダがだんだん出現してきておりますが、大体光学が、2010年代の前半ぐらいに多数出現し、約5年経ちまして合成開口レーダーのプロバイダが出現してきています。。国内のプロバイダはSynspectiveが2018年に創業されていると思いますが、大体そのくらいのタイミングになります。あと赤外とハイパーについてはそれよりも少し後になり、、ここ4、5年前ぐらいから出現して出てきておりまして、こういう会社が出てきています。
解析サービスについては、世界的なシェアとしては安全保障、天然資源です。天然資源といっても農業、森林、水資源の管理ということになりますが、インフラストラクチャーが全体の半分以上で55%ぐらいといわれております。また、2030年ごろまでに伸び率が高い分野としてはファイナンスと海洋とにいわれております。先ほど少しお話もあったかと思いますが、複数の衛星プロバイダが解析サービスも提供している例もありまして、中には政府の衛星も活用してサービスを提供している企業もあります。
最後になりますが、私どもとしては衛星のリモートセンシングの社会実装をどんどん進めていきたいと思っていますので、業務で衛星画像データをご利用いただけるように、様々なニーズ、分野、場所、時期、頻度ですとか、それに合致する衛星画像データの取扱いを引き続きやっていこうというのと、後は保有している解析技術のブラッシュアップと新たな解析技術の開発を進めていき、様々なお客様のソリューションを提案していきたいと思っているというところでございます。説明は以上になります。
【村岡部会長】 坂口様、ご発表いただきましてありがとうございました。では、ただ今の御説明の内容につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をお受けします。まず、浦嶋委員、お願いします。
【浦嶋委員】 ご説明どうもありがとうございました。大変興味深い、損害保険も、特に災害後の浸水とか、非常に身近なテーマだなと思ってお伺いしていました。ご質問したかったのは、この前の頁の解析サービスのところですが、2030年ごろまでの伸びはファイナンスと海洋というふうにおっしゃったことについて、もう少し補足説明を頂ければ大変有り難く存じます。
【坂口部長】 ご質問ありがとうございます。これは私どもが調査したものではなくて、海外の衛星リモートセンシングに関わるような調査をよくやっているNovaspace社、昔の名前でEuroconsultが出している衛星画像の利用に関するレポートがございまして、その中に書いている内容になります。2022年に出されたものを私どもは参照しましたがが、それには2021年~2031年の10年間でいろんな分野の解析サービスの成長率が書かれていましたが、ここには数値を書いていませんが、ファイナンスが20%ぐらい増えると気合がありました。また、海洋は10%ぐらい増えると記載されていました。ファイナンスは先ほどご説明いただいたような、例えばTNFDですとかTCFDですがそういうものも含めたところ書かれていたと記憶しています。海洋は船舶監視を含めて書かれていました。
【浦嶋委員】 どうもありがとうございます。つまり金融機関がこういうデータを買うというのが伸びるということですね?
【坂口部長】 おっしゃるとおりで、金融機関の方々が何らかの形で利用されるのが増えるというふうにいわれています。全体的なパイとしては現段階では大きくはないのですが、伸び率はこれから非常に高くなってくるというふうにいわれております。
【浦嶋委員】 どうもありがとうございます。よく分かりました。
【村岡部会長】 では、続きまして川辺委員、お願いします。
【川辺委員】 ご説明いただきどうもありがとうございました。特に15頁の海洋での活用というところに関心を持って伺いました。中洲干潟を例に見せていただいているのですが、例えば今はブルーカーボンについて活用の期待がたいへん高まっているのではないかと思います。この活用の例のように、衛星データで藻場あるいはそのポテンシャルがある所を特定しても、正しい面積を割り出しているかどうかについての検証をどのようにおこなうのかが気になっておりました。もし御存じでしたら教えていただければ有り難いです。
【坂口部長】 ありがとうございます。すみません、私は技術職ではないので余り詳しいところまではお話しすることはできないのですが、衛星画像データで分類する前に現地で藻場の分布域を実際に調査を行い、その結果と、衛星画像の色情報を組み合わせて、分類を行っているに聞いておりまして、精度検証をどのようにやっているかは本日の時点では回答できないのでご容赦ください。もしわかりましたら、改めて回答させていただきたいと思います。
【川辺委員】 どうもありがとうございました。
【村岡部会長】 続きまして、岩崎委員、お願いします。
【岩崎委員】 地球観測の技術を使ってカーボンクレジットを獲得するとの点にRESTECが取り組んでいることがございましたら教えてください。また、本日TNFDの話がありましたが、生物多様性分野の保全のために地球観測を活用したいという期待の声が高まっていると理解しています。生物多様性関連でもRESTECが今取り組んでいる、あるいは取り込もうとしていることがありましたらどうかご教示をよろしくお願いいたします。以上になります。
【坂口部長】 ありがとうございます。森林分野についてはいろいろJICA様とも例えばブラジルで違法伐採の件とかで一緒にやらせていただいており、感謝しております。私どもも非常に関心がありますが、今日の説明の中には入れてはいないのですが、カーボンクレジットに関してはやはり森林の領域ですとか資源量の把握等についてPoCなどをやっていることをご理解いただければと思います。
あと、生物多様性についても、私どもも関心を持っているのですが、どうやってこれから展開していこうかというのは正に今考えている最中とご理解いただければと思います。以上です。
【岩崎委員】 どうもありがとうございます。研究段階と理解しました。
【村岡部会長】 ありがとうございます。では、もうお一方、岩谷委員、お願いします。
【岩谷委員】 オフィス気象キャスターの岩谷と申します。貴重なお話ありがとうございます。私が伺いたいのは、17頁目のところにありました人工衛星とSNS情報からの浸水域を3次元で把握というところがあったのですが、この情報を作られた目的といいますか、これをどういうことに利用されるのかということと、それから、その前の頁の16頁目の人工衛星のところで反射とか、そうですね、これである程度分かるというお話だったのですが、これとSNSを組み合わせるというのは、SNSの情報がかなり入っているのか、それから精度というのはかなりこれでよくなるということなのでしょうか。その辺を伺いたくお願いいたします。
【坂口部長】 ご質問ありがとうございます。16頁目に関してはSNSの情報を扱っておりません。純粋にその反射の低いところを浸水域というのが前提として解析したものとご理解いただければと思います。SNSを使っている先ほどの頁の一つの理由なのですが、やはり人工衛星の数は増えてきてはいるのですが、日本の場合は風水害が非常に多く、つい最近でいうと能登半島の豪雨がありましたが、ある程度その領域が限られているケースは衛星画像データを取得することはできるのですが、例えば台風のような移動していくもの、しかもかなり広い領域、例えば日本列島を横断するようなもので非常に大きな被害をもたらすようなものになると、なかなか今の人工衛星だけではデータを撮って非常に短い時間での解析、例えば被災が起こってから24時間以内にデータを撮って解析するというのはなかなか難しいところがありますので、、人工衛星のデータだけではなくて、SNSはいろんな方々がいろいろな投稿をされていますので、そういうものも使うとよりその浸水域を短時間に推定できるのではないかというのがモチベーションになって、こういうものに取り組んでいるとご理解いただければと思います。3次元的に作っているのは、やはりその浸水の深さがどのくらいあるのかというのは把握できた方がよいということえ取り組んでいるとご理解いただければと思います。
【岩谷委員】 利用用途というのは、例えば損害保険とかそういう意味ではないのですかね?
【坂口部長】 そうですね。保険などでも浸水深というのが非常に大事になってくるというふうに聞いていますので、そういうところでも使えるのではないかと考え、検討はしているとご理解いただければと思います。
【岩谷委員】 承知しました。ありがとうございます。
【村岡部会長】 ご議論いただきましてありがとうございました。他の委員の方々、よろしいでしょうか。ありがとうございます。以上で議題3を終了いたします。本日は坂口様にご発表いただきました。坂口様、どうもありがとうございました。
【坂口部長】 ありがとうございました。
【村岡部会長】 それでは、次の議題4に入ります。議題4は「次期『今後10年の我が国の地球観測の実施方針』素案等について」です。事務局より資料4-1から4-2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 事務局から説明させていただきます。次期「今後10年の我が国の地球観測の実施方針」の素案ということで、資料4-1をご覧ください。副題として「地球インテリジェンスの実現に向けて」を掲げました。本件の素案というのは、これまで6回、今日で7回目になりますが、部会で審議を頂き、その審議の内容を踏まえた取りまとめです。これまで論点を踏まえて、参考にも配布させていただいた骨子案をお示しさせていただきましたが、その構成に沿って具体的な記載を行ったものです。本日の発表あるいは議論を踏まえて、更にブラッシュアップをしていきたいと考えております。
23頁の素案でかなり大部になったにもかかわらず、目次がついていないのですが、構成を簡単に申し上げますと、はじめにが1頁目にありまして、第2章の「我が国の地球観測の基本的な考え方」も1頁目から始まっております。そして、第3章の「データバリューチェーンの実現に向けた我が国の取組の方向性」が5頁から始まっており、そこから5つの共通的な課題を抽出させていただき、さらに16頁から第4章の「分野別の地球観測」として、9つの項目を掲げさせていただいており、最後の23頁までということになります。それでは、資料4-1に基づきまして簡単にご説明させていただきます。
1頁の「はじめに」では、この中の一番下の部分で、これまでのご議論にありましたが、本実施方針につきましては、10年程度先を見据えた5年程度の方針とするということを記載しました。また、その次の第2章の第1節、地球観測の10年間の成果の2つ目のポツのところにありますが、5年前に取りまとめられたフォローアップの報告書を踏まえても、おおむねこれまでの実施方針の項目は達成をされている。ただ、その取りまとめから9年以上も経ち、その想定を大きく超えて地球観測の利活用やインフラの構築が進んでいる状況があると考えております。これを踏まえて、更なる新たな方針を立てていきたいと考えております。
また、その次の2頁目の第2節、地球観測を取り巻く現状と課題では、まず国内の動きとして、今日はTNFDについて説明いただいたところですが、TCFDやTNFD等の動きも踏まえて、企業等でも地球観測データの積極的な利活用が進んでいる状況を踏まえて、データ利活用のための、公共セクターも民間セクターも含めた全体のシステム構築が必要であるというようなことを記載させていただいております。
3頁目、(2)の世界の動きでは、例えば昨年10月の第2回部会でもご議論いただきましたが、GEOや、気候変動に関するIPCC、あるいは生物多様性条約(CBD)やIPBES等の動きも踏まえて、世界中でも地球観測の動向が活発化をしていることを記載させていただいきました。
4頁目の第3節、これからの地球観測の在り方の中では、改めてこの10年で地球観測データの創出と利活用が、公共セクターから民間セクターまであらゆる主体、あらゆる分野で進んでいるというような認識を示しました。このため、4頁の下の方に記載しましたが、エビデンスとなる地球観測データの活用を推進し、国や地方自治体における政策決定や、企業等における意思決定が、エビデンスに基づき合理的・効果的に行われる「地球インテリジェンス」の創出・活用を実現する必要があること、さらに、先ほど「バリューチェーン」について発言いただいたところでますが、このため、地球観測データを創出から、データの品質管理・分析や他のデータとの統合、データの評価や価値化、エンドユーザーの利活用、そして地球観測の現場へのフィードバックまでを含めたデータバリューチェーンの実現が必要であるということを記載しています。5頁では、官民の連携も重要だということで記載しています。
第3章のデータバリューチェーンの実現に向けた我が国の取組の方向性では、共通的な課題について記載をしています。まず、第1節のデータバリューチェーンを通じた地球観測の利活用の促進では、地球観測データ等の利活用の促進について記載いるところですが、まず(1)のデータバリューチェーンの意義ということで、第5回の部会でも川辺委員から御発言がありましたが、データバリューチェーンの意義を最初に記載し、そういうものが必要とされていることを記載しました。
6頁の(2)データ共有の仕組みとプラットフォームの在り方では、データを使っていくにはデータプラットフォームが重要だということで、プラットフォームの構築の必要性について記載しています。例えば、7頁目の少し上の部分になりますが、第5回部会での中北委員のご発言を踏まえて、DIASの継続的なサービスを確保するため、その維持管理のための体制の構築やインフラの更新を進めるとともに、その機能の高度化を図る必要があり、DIASの持続的な維持、管理、高度化が必要だということを記載しています。
また、(3)のオープンデータと情報管理のところでは、部会の初期にオープンデータが重要だということと、データをしっかりと維持管理していく必要があるという発言があり、この節に記載しています。特に、科学研究の分野では、研究環境や情報共有の向上に向けてオープンアクセスやオープンサイエンスが進められているところ、相互利用やデータの品質の維持等の効果も期待できると記載しています。一方で、データの利活用を促進するためには、そのデータの品質や信頼性の確保等が必要であることも記載しています。
それから、第2節で最先端のイノベーションに基づく地球観測の利活用の促進では、例えば、昨年2月に第9期部会で「地球観測・予測データの利活用によるSDGsの貢献に向けて」の報告書が取りまとめられ、気候予測データの重要性についてご指摘を頂いたというところですが、これを踏まえて、8頁目に気候変動分野をはじめとする研究者・専門家との協働によりAI等の技術も活用し、最新の研究成果を踏まえた高精度な全球気候モデルや領域気候モデルによる気候変動予測研究やハザード予測研究を促進する必要があると記載しております。また、それに伴って、インフラを整備していく必要性も記載をしています。
9頁目、(2)のデジタルツインの構築では、第5回部会でも赤松委員からデジタルツインについて記載した方がよいという御指摘を踏まえまして、デジタルツインについても記載をさせていただいているところです。
それから、10頁の(3)ではAI等の活用では、AIが昨今急速な発展をしているということを踏まえて、生物多様性、生態系等に関する現場観測の現場におけるパターン認識や、DIAS等でのデータプラットフォームにおけるデータ検索性やユーザインターフェースの向上等について、AIの活用を更に促進する必要があるということを記載しております。
3ポツの持続可能な地球観測の促進では、最初に、民間セクターでも地球観測インフラの整備が進んでいるものの、引き続き、国としての地球観測を長期的・持続的に整備する意義があると述べております。
11頁では、第3回部会で地球観測の取組についてご議論いただいたところですが、衛星観測、海洋観測、陸域観測については観測対象等によりそれぞれ観測インフラの長所と短所があり、そういうものを組み合わせて全体として最適に機能するように整備、高度化を進めていくことが重要であると記載しております。その第3回部会でNTTデータからも発表いただいたところですが、その発表を踏まえ、地球観測インフラの整備の段階から、その将来のユーザーニーズを反映していくということも重要だということも記載しました。
11頁、(2)の地球観測人材の育成では、例えば、12頁の上から3つ目になりますが、岩谷委員の第6回部会でのご指摘を踏まえて、民間セクターへの地球観測データの利活用を促すため、官民の連携の下で地球観測データの評価や価値化も含め、地球観測の現場と企業等のユーザとの橋渡しや社会実装を支援する人材の育成を進めていく必要があることを記載しております。前回の部会でバイオームからも発表いただき、高薮委員から動機付けが重要であるということも指摘いただいたところ、市民科学の推進や、適切な動機付けによる市民参加を容易にするプラットフォームの構築が必要であるということを記載しました。
13頁の地理空間情報の整備にいては、現行の実施方針でも記載はされているところではありますが、前々回の部会で国土地理院から地理空間情報についてプレゼンいただき、それを踏まえて記載しています。
第4節の国際協力を通じた我が国の地球観測分野のリーダーシップの発揮では、まず地球規模課題への協力ということで、衛星観測をはじめとして各国の協力の下で行う組織的な取組によって地球全体を俯瞰することができる地球観測は、地球規模課題の解決に必要なエビデンスを提供するため、その促進について国際協力をしながらしっかり進めていく必要があるということを記載しております。
14頁の2つ目のポツになりますが、その下のところで、前回第6回部会の岩崎委員のご指摘を踏まえ、IPCCやGEO等の国際枠組に組織的に関与させることによって、国際社会において地球観測分野でリーダーシップを取ることができる人材を育成する必要があるということも記載しております。
その次の(2)のGEOへの協力では、第1回から第3回の部会で、「地球インテリジェンスの創出」をテーマにしたGEOの新たな戦略についての日本の対応についてご議論いただき、今日の小塚先生の御発表のところでもありましたが、引き続き、我が国としてGEOへの協力をしっかりと続きていくこと、GEOにおいても、地球観測ではなくて、それを発展させた地球インテリジェンスを実現するため、日本が率先をしてグッドプラクティスを世界に提示をすることが必要であるということを記載しています。GEOにはアジア・オセアニアGEOがあり、そこでアジア・オセアニア地域における地球観測活動を調整しており、ここでも日本がリーダーシップを取っていく必要性を述べています。
第5節の我が国の地球観測システムの推進体制・組織等では、 (1)として地球観測の推進体制について、これまでも関係省庁と連携をしながら地球観測を進めていたところですが、地球観測推進部会を中心とした推進体制が維持されるべきであることを記載しています。
16頁の(2)関係府省・組織の連携では、様々な関係府省庁が地球観測を行っており、そういうものをきちんと調整をしながら連携をして進めていくことが重要であり、第5回の部会で原田部会長代理から様々な司令塔の国の方針との整合性も重要であるという指摘がありましたので、科学技術・イノベーション基本計画、宇宙基本計画、海洋基本計画との整合を図りつつ、我が国としてバランスの取れた地球観測を推進する必要があると記載しております。
(3)の地域における地球観測データの利活用の促進では、第5回部会で山口県の衛星データの活用について発表いただいたところ、地方自治体や地域においても防災対策や生物多様性の保全等を行う上で、地球観測データや気候予測データをしっかりと利活用することが課題解決に貢献をすることから、推進していくべきでことを記載しています。
16頁以下が第4章になりますが、分野別の地球観測を記載しています。これについては、異なる分野が相互に関連することにより、地球規模課題が複雑化し、その裏返しとして、一つの地球観測データが複数の課題の解決に貢献し得るというので、分野間の連携や統合の視点を持って地球観測を実施することが重要であることを念頭において、9つの分野について記載しています。
まず、気候変動については、3月の第4回部会のテーマでしたが、気象庁、環境省、委員の皆様のご議論を踏まえて記載しております。17頁の2ポツの防災・減災について、5月の第5回部会のテーマでしたが、防災科研、国交省の取組を紹介いただいたところであり、例えば、18頁の真ん中ぐらいのところで、中北委員から火山についての取組の必要性というご指摘を踏まえつつ、文科省でも令和6年4月に火山調査研究推進本部が設置をされたところでもあり、火山の基盤的な観測や機動的な観測体制を整備し、火山灰も含め噴火の発生時において必要な観測データを安定的かつ継続的に収集し、迅速的かつ的確に伝達する必要があるということを記載しております。
19頁からは生物多様性、生態系の保全について、7月の前回の部会のテーマでしたが、その時の議論を踏まえながら記載しております。例えば、嶋田委員からの農業や林業、水産業等、生物に日常的に接する方々、市民や企業等が観測に関与できたらよいのではないかというご指摘や、国内の生物多様性や生態系の観測を進めるにあたって、データの形式や評価方法等も含め、国内のデータと海外のデータが相互比較可能な形で収集されるように努めるべきであるということを記載しております。
以下、海洋、食料、水産資源、エネルギー、健康について、個別のテーマについて記載し、最後に科学の発展ということで記載しております。科学の発展の中でも、例えば、以前のご指摘にのあったグローバル観測システムを記載しています。以上、簡単に素案について、説明をさせていただきました。
また、資料の4-2は、今後のスケジュールについてです。今後のスケジュールは、もう2回の部会開催ということになっており、本日24日の部会が終わりましたら、次回が11月頃と書いてありますが、おそらく11月から12月の初旬のどこかでの開催を考えています。それが第8回の部会ですが、その中で、毎年度取りまとめている実施計画について、今年度の実施計画を報告するとともに、本日も議論いただいている地球観測データや、気候予測データの利活用に関する取組について引き続き議論いただき、さらに、次期実施方針の最終案について、本日に継続してご審議いただくことを考えております。それから第10期部会の、おそらく最後の会合になると思いますが、来年1月、場合によっては2月の初旬ということもあり得ると思っていますが、次期実施方針を策定していただきたいと考えています。説明は以上です。
【村岡部会長】 松原推進管、ご説明いただきましてありがとうございました。では、ここから少し長めに時間を取りまして委員の皆様と議論をしたいと思います。委員の皆様、御質問、御意見、お気付きのこと等、挙手をお願いいたします。川辺委員、お願いいたします。
【川辺委員】 ご説明いただきありがとうございます。とてもよくまとめられていると思いながら拝見しました。一つだけ、サブタイトルにある地球インテリジェンスという言葉ですが、この定義をもう少しクリアにされてもよいかなと思いました。2頁目の2段落目に、「地球観測にとどまらず問題解決に向けた知識や洞察を提供する地球インテリジェンスの創出」と書いてあったので、これが地球インテリジェンスの定義かとも思ったのですが、この地球インテリジェンスとは、行政機関とか民間とかに対して、皆さん、こういうことをやりましょう、というよびかけ程度のものなのか、あるいは、連携体制を指しているのか、さらに、もう少し進んだ、システム的なものを指すのか、ここで定義をしておかないと、その後何度も出てくるので少し不安になるような気がいたしました。もしご検討いただければ幸いです。
【松原推進官】 ご指摘ありがとうございます。地球インテリジェンスは、第1回から第3回の部会でご審議いただいたGEOの新たな2026年からの戦略に記載されている新たなコンセプトのことであり、地球観測データについて、他のデータや、予測、分析等と組み合わせて、実際に企業や政府が次の行動に移るために必要となる具体的な洞察を与えるものと定義されておりますので、それを記載したいと思います。一方、新しい概念でもあるので、実際にその扱いをどうしていくかということは、改めて考えます。
【川辺委員】 もう一つよろしいですか。今のところなのですが、「地球インテリジェンス」なのか「地球インテリジェンスの創出」なのか、その括弧閉じの辺りも御検討をお願いいたします。
【松原推進官】 概念として少しぶれがあって、地球インテリジェンスは地球インテリジェンスで新しい概念ではありますが、一方で、地球インテリジェンスを創出することがGEOの新しい戦略のテーマとなっているということで、どちらにも括弧してしまったのですが、どちらを括弧にして取り出すべきなのか、表現ぶれのないようにしたいと思います。
【村岡部会長】 続きまして、赤松委員、お願いします。
【赤松委員】 赤松でございます。ご説明いただきまして大変ありがとうございました。最初に今後の進め方のところでご質問なのですが、今日この分量の多い文案が初めて示されたと思うのですが、次回に最終案になるとすると、結構この段階で文面とか言葉の話とかも検討しなければいけなくなるかと思うのですが、今日はとてもそんなことができないかと思うので、それはどこのタイミングでやるかをお教えいただきたいのですが。
【松原推進官】 11月の次回に、最終案を提示し、本格的に議論いただきたいと考えております。つまり、本当に実施方針を策定するのは来年になるということを考えると、まずは前回の時には構成の形で骨子案を議論いただき、今回の素案が初めてそれを文章化されて提示され、次回、その最終案について、この「案」を取るということではなくて、第9回の時の前の案というぐらいの意味ですが、次回の部会で、今日のご指摘を踏まえてブラッシュアップをさせていただいて、しっかりとご議論いただき、さらに最終的にこれでよいかを1月あるいは2月初旬の部会で合意いただきたいを考えています。
【赤松委員】 分かりました。ということであれば、まだ細かい文面の話とかはよくて、全体的な方向の話をここでは議論すればよいと理解しておいてよろしいでしょうか。
【松原推進官】 そうしていただけると助かります。
【赤松委員】 分かりました。では、全体的な話ということで私から4点ほど御指摘を差し上げたいと思います。まず2頁の、国内の地球観測を取り巻く現状と課題で、国内の動きというところで、今宇宙開発全体を取り巻く世界の中で、宇宙戦略基金ですとか、宇宙技術戦略の策定といったことが大きな動きとしてありますが、そのことに関してここで特に述べられていないので、やはり述べていった方がよいと思いますので、ご検討いただければと思います。
次が、ここで書くのがよいのかどうか分からないのですが、5頁目のところに、上から一つ目のポツのところで、国主導によるルール作りやステークホルダーとの対話を含めた取組の推進が期待されるとあるのですが、ここに関してはルールとか推進ということだけではなくて、やはり仕組みの整備というのが非常に重要になってくるかと思います。欧州コペルニクスの話が出てきておりますが、ああいったものを一つのモデルにしながら、なおかつ後ろの方で出てくるDIASをベースにしながら、それをデータバリューチェーンの骨格にしながら組み立てていくというような、一つの絵姿も描いていく必要があるというのが2つ目です。
3つ目ですが、13頁で地理空間情報の整備の話。確かに国土地理院の方からいろいろな話があって、実は地理空間情報活用推進基本計画の中にかなり衛星データの活用の話が出てきておりますので、この中にしっかりと書き込んでおく必要があるかと思いますので、ご検討いただければと思います。
最後は、16頁以降の分野別の地球観測のところなのですが、前段の方ではかなり企業とかビジネスとの連携ということが書かれているのですが、この分野別の地球観測に行ったときに、事業やビジネスとの関わりというのが余り書かれていないというのは今の印象でございます。ですので、ここのところにも、その前段のビジネスですとか事業との連携ということを反映しながら、少し具体的な話も書き込んでいただけるとよいかと思いました。以上4点でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【松原推進官】 貴重な御指摘を頂いたと思っております。まず、国内の動きとして、宇宙開発に関連して基金について記載するということですが、必要に応じ、宇宙関連部局にも相談をしたいと思います。3つ目のご指摘の地理空間情報についても、必要に応じ、国土地理院等とも相談をしたいと考えております。
また、ルール作りのなどで仕組みの整備についても、書きぶりの検討をしていきたいと思います。
16頁はおっしゃるとおりで、データバリューチェーンや利活用が重要だというところがあるのですが、分野別の地球観測の中ではそこが明確に表れていないという部分もあって、特に防災は民間の部分もありますが自治体等の取組も重要であり、これらの活動が十分には書けていない部分もありますが、どこまで書けるか分かりませんが、とのように修正できるか検討したいと思います。
【赤松委員】 ありがとうございます。その辺もし少し書き込んでほしいということであれば、私の方でも書き込めるかと思います。それは多分次回の文案を見てということになるかと思いますので、ぜひ要請いただければと思います。
【松原推進官】 ありがとうございます。
【赤松委員】 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。続きまして、岩崎委員、お願いします
【岩崎委員】 ありがとうございます。短期間での素案の取りまとめ、本当にお疲れ様でした。また、各委員のコメントをそれぞれ反映いただきましてありがとうございました。取り急ぎ一点だけのコメントになります。4の国際協力を通じた我が国の地球観測分野のリーダーシップの発揮の中にある現地人材の育成に関してのものです。14頁にセンチネルアジアの防災分野での観測データの活用という限定された分野で、人材の育成が記述されているかと思います。先ほどのRESTECさんの発表でも地球観測に関する途上国への人材育成を以前より実施していたとの話があったかと思います。このため、防災やデータ活用だけに限定してしまうのは少しもったいないかと思いますので、現地人材の育成を地球観測全般に広げるような書きぶりにしていっていただいた方が、これまでの実績あるいは今後の日本のリーダーシップの発揮という観点からもふさわしいかと思いました。以上になります。
【松原推進官】 おっしゃるとおり、具体的な記述を煮詰め過ぎた部分もありましたので、もう少しその全体的な文脈を踏まえた記載としたいと思います。
【岩崎委員】 よろしくお願いします。
【村岡部会長】 続きまして、高薮委員、お願いします。
【高薮委員】 ありがとうございます。高薮です。非常に充実した素案になっていると思いました。いくつか今の段階で気が付いたことだけコメントさせていただきます。まず、8~9頁の2の(1)、機構予測データの創出、高度化に向けた環境整備のところなのですが、全球気候モデルや領域気候モデルによる気候変動予測研究やハザード予測研究というのは、人類にとっては必須の技術であり推進が必要なのですが、一方で、現在既に知られている物理過程のモデル化のみでは限界がきているということもあります。そこで、地球観測との協働というのが非常に重要になってくるのですが、その辺りについての書き込みがこの項目にもう少しあった方がよいのではないかと思いました。
もう一つは、11~12頁の人材育成の記述のところですが、今岩崎委員からの御指摘もありましたが、全体的に非常に充実してきていると思います。ただし、地球観測分野の若手人材の育成について、やはりコミュニティのボンドを強めるための研究活動の推進ということが重要で、工夫した予算の確保について、必ずしも選択と集中ということでなく、コミュニティをいかにして育てていけるかというような予算の確保についても言及されるとよいのかなと考えました。
【松原推進官】 おっしゃるとおり、地球のプロセスというのは分かっていない部分があって、例えば雲の成長プロセスがよく分かっていないことなどを含め、22頁の科学の発展の最初のところに書いていたつもりではありますが、8頁~9頁目において、どのように書くか考えたいと思います。
それから、地球観測コミュニティを今後どういうふうにしていくのか、そのために人材を集めていくためにどうすればよいかと重要なところであり、国際的な取組をすることや、事業を行うことは重要であり、そういうものがないと消失をしてしまうという部分もあるので、何らか記載を検討したいと思います。
【高薮委員】 よろしくお願いします。
【村岡部会長】 続きまして、嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】 嶋田でございます。ご説明ありがとうございます。12頁目のところで市民科学を明示していただきましてありがとうございます。TNFDにしても生物多様性分野の指標として一番やはり重要なのは、どこに何がいるのかという種の多様性の情報だと思います。そこのかなりの部分を担っているのが市民の観察者で、そういった方々の活動を支援したり、データを蓄積したり、AI等も活用して支援するというのは非常に重要だと思います。ただ、データの蓄積だけではなくて、そのデータを学術的な意味でどう活用するのかというのもかなり大事なので、可能であれば大学等のアカデミアとどのように協働したり協業するのかという、その支援についても少し書き込んでいただいてもよいのかなというふうに思いました。
あともう一点、関連しまして、生物情報については、新たな地球観測データではありませんが、過去の環境アセスメントのデータとか、あと市民レベルの生物調査だとか、農業分野の生き物調査みたいなものをかなりたくさんやられていますが、そういったものは必ずしもデータベース化されていないものが多いというふうに思います。変化を見るためには古いデータも必要なので、そこを掘り起こすようなことにスポットを当てるという方向性もあるかというふうに思います。なかなか新しくデータを取得するものではないので説明が難しいのかもしれませんが、そういう視点もどこかで一言入れてもよいかなというふうに思いました。以上です。
【松原推進官】 市民科学が威力を発揮するのが生物多様性や生態系の分野であると思いますが、12頁に、前回のバイオームの説明等も踏まえて、人材育成の一環として市民科学を記載していますが、一方で、個別の分野でも、19頁の生物多様性・生態系の保全の中で市民科学を記載しています。いただいたご指摘も、これまでの部会でもご指摘いただいたところであり、過去データの重要性や、一般の市民の方々が集めた様々な種類のデータが生物多様性・生態系の取組で重要になるということ、データをただ集めるだけではな専門家や大学の先生の方々にどうやってうまく届けて、それをどういう形で活用いただくのかという点については、どちらの項目になるか分からないですが、記載したいと思います。
【嶋田委員】 ご検討いただければと思います。
【村岡部会長】 続きまして、岩谷委員、お願いします。
【岩谷委員】 ありがとうございます。岩谷です。よろしくお願いいたします。大変詳しく細かく実施方針を上げていただいてありがとうございます。1頁目のところで10年間の成果を挙げていただいていて、ある程度の成果はこれまでも出ているかというふうに感じているのですが、その後に課題となっております。実は私は人材育成というのは前回の時もかなり課題になっていたと思うのですが、その課題は実は余り解決されていないといいますか、課題のままずっと来ているような感じがしていて、この辺をもう少し、実施方針なのでどこまで書くのかというのもありますが、先ほど高薮委員からもお話がありましたが、予算とかきちんとその仕組みというのですかね、例えば教育分野で大学とか、もしかしたら小中高とか、そういったところのアプローチとか、もちろん社会人の開発者の教育人材育成もあると思うのですが、多分この後の実施方針からさらに実施計画の段階になるかと思うのですが、この辺が具体化できる。そして本当に次の10年でやるのだというところが見られるような、これは人材育成に限らず、課題として残っているところをきちんとやっていくのだという方針を何かお示ししたらよいのかなというふうに感じたところです。以上、感想です。よろしくお願いします。
【松原推進官】 いただいたご指摘を成果として書くのか、あるいは2頁目の課題のところに書いていくのかは検討したいと思いますが、先ほど高薮先生からもご指摘がありましたが、地球観測コミュニティの持続性は非常に重要であり、そのためにも新しい人々が入ってこなければいけません。その意味では、人材育成というのは重要な観点なので、人材育成が重要であることを何らか最初の部分に記載し、大きなテーマの一つとして扱っていきたいと思います。
【村岡部会長】 続きまして、前島委員、お願いします。
【前島委員】 どうもありがとうございます。3ポツのタイトルにも書いていただいているところなのですが、持続可能なというところが非常に大切なところだというふうに理解をしています。我々JAXAも今持続可能な地球観測を実現するためにニーズの整理から必要なソリューションの検討、あと地球観測ミッションの長期的なシナリオの策定というところに尽力をしておるところです。それをぜひ可能とする持続的な地球観測を限られたリソースの中で実現できるようにしたいと思っておりますので、ぜひこの方向で後押しをお願いできればと思います。以上です。
【松原推進官】 持続可能性や自律的な能力を持っているということはとても重要だと思いますので、持続可能性についてこの方針でしっかりと記載したいと思います。
【村岡部会長】 ありがとうございます。他に委員の皆様からございませんか? よろしいでしょうか。では私からも一言。素案をおまとめいただきましてありがとうございました。今回ちょうどGEOの第3期戦略、地球インテリジェンスが採択されたタイミングで、我が国でも実施方針を検討していくという中で、大きな次のステップというタイミングだと思います。その中で今回ご用意いただいた素案の中、あるいは今までの部会の皆様との議論で組み立てられたこの素案の中では、地球インテリジェンスの創出あるいは分野融合という課題があり、またその中で観測や新しいデータ、また、つい先ほど御議論がありましたいろいろな古いデータあるいは情報をどうマイニングして、それをデータ化して将来のために使っていけるようにするかというようなことが課題になります。そこには何かしらプラットフォームも必要でしょうし、観測データとプラットフォームだけではなくて、やはり気候変動や生物多様性のような予測モデルといったことが今後新たに必要になってくるという議論になると考えます。
GEOでの地球インテリジェンスの議論の中でも、今後はモデルを地球観測コミュニティの中でも当然入れていくというような議論がありました。この中でやはり日本の研究コミュニティはいろんな各分野ありますが、先ほどご議論ありましたように、各分野の研究コミュニティあるいは人材育成をしていくという意味でも、やはりそのコミュニティの重要性もあるかと思いますし、データや知見を創出する側というような言い方がよいかどうか分かりませんが、やはりそのデータ・知見を使っていく受け手側、あるいは受け手側が今度は育成された人材をやはり十分に活用して協働していくというような体制もますます構築していくことがおそらく必要でしょうし、緊急的にも大事になってくるかと思います。皆様の御議論を伺っていてそれを実感しました。
いろいろ今日皆様の御議論の中で具体の話、あるいは予算に関する部分もありましたが、ぜひまた11月、次回の議論に向けて、今日頂いた御意見、御質問等も踏まえて事務局の方でおまとめいただいていくと思いますが、もしこの後、今日の議論を受けてやはり新たな質問が出てきた、又は御意見、お気付きのことがあったら事務局にお知らせいただきたいと思います。そういったことも踏まえまして11月にこの部会の会議で最終的な議論をしていくというように進めたいと思っております。それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。皆様よろしいでしょうか? では、今回この素案に関しましてはこの時点で議論を一旦終わりたいと思います。皆様、ご協力いただきましてありがとうございます。
では、議題5「その他」に参ります。まず事務局から報告事項があると伺っています。今月の9月3日から5日まで開催されました第16回アジア・オセアニアGEOのシンポジウムの開催結果について、資料5に基づきまして説明をお願いいたします。
【松原推進官】 今月の3日から5日の3日間にわたって開催をされました第16回のAOGEOシンポジウムの開催結果について報告させていただきます。まず、資料の2頁目の一番下から見ていただきたいのですが、AOGEOシンポジウムのAOGEOとは、この一番下に囲った青の部分でアジア・オセアニア地域GEOと書いてあります。これまでGEOについてご議論いただきましたが、GEOには4つの地域にそれぞれ地域GEOがありまして、アジア・オセアニア地域にAOGEOがあります。日中韓豪の4カ国が共同議長を務めています。かこのAOGEOシンポジウムをほぼ毎年開催し、この地域の課題を特定し、共有をする、ネットワークを形成する、あるいは先ほどご指摘を頂いていた地球観測コミュニティを構築していくことなどに努めているところです。
1頁に戻っていただきまして、AOGEOシンポジウムは、これまでの2回はオンラインで開催していたのですが、コロナウイルスの影響が低くなってきたため、対面で開催をしました。今月の3日から5日までの3日間、お台場の東京国際交流館で対面とストリーミング配信のハイブリッドという形式で開催しました。ここでも、ちょうど本体のGEOの新しい戦略のテーマが「地球インテリジェンス」であったとうことで、「アジア・オセアニア社会での地球インテリジェンスの創出」をテーマとしています。GEO事務局と文部科学省との共催で開催しています。
出席者は、対面とオンラインの両方を含めて294名、20カ国以上からの参画があったところです。全体としては、2の特別セッションと、それから12個のタスクグループのうちの6つが分科会を開催し、ステートメントを取りまとめたところです。本田文部科学大臣政務官とヤナGEO事務局長から冒頭の挨拶を頂きました。写真を右上に掲載しています。
基調講演ですが、右側の男性の写真にある、馬奈木九州大学主幹教授から地球観測データを活用したWell-beingの測定に関する研究について基調講演が行われ、次に、GEO事務局からGEOの次の戦略について、また、現在検討中の実施計画についての発表が行われました。
その次に、12カ国の各国からカントリーレポートの報告があり、その後、特別セッションとして、全ての人に早期警戒システムのイニシアチブのための地球インテリジェンスをテーマとして、国際的なEarly Warnings for Allという取組を踏まえながら地球インテリジェンスについてパネルディスカッションをしていただいきました。AOGEOの共同議長国の1であるオーストラリアがプレゼンターとなって、GEO事務局からプレゼンテーション、国連の防災機関からのプレゼンテーションに加え、モルディブ、ネパールはこのEarly Warnings for Allの重点国でもあり、フィリピンはDIASを使った取組を行っているところで、そういう国々の間でパネルディスカッションを行ったところです。
さらに、分科会のセッションになります。次の頁になりますが、1日目の後半から2日目まで、水循環、生物多様性、地球温暖化ガス、海洋、農業、環境モニタリングという6つの分科会が開催されました。その結果が、3日目に代表者からの活動報告として報告されました。
そして、3日目にも次世代の研究者に焦点を当て、共同議長国である中国がモデレーターを務め、6人の若手と2名のシニア研究者を交えたパネルディスカッションが行われました。若手研究者からは、様々な国からの若手研究者なのですが、現在の研究活動や地球インテリジェンスの創出・活用に対する期待や課題が発表されるとともに、シニアの研究者からそれに対しての自らの経験を踏まえたフィードバックが行われました。
最後に、AOGEOのステートメントとして、シンポジウムの意義や概要、AOGEOコミュニティからGEO全体に対する提言を取りまとめたステートメントが採択をされました。AOGEOシンポジウムの概要は以上です。
【村岡部会長】 ご説明いただきましてありがとうございました。今ご説明いただいた最後の部分、2024年AOGEOステートメントが採択されましたが、第16回AOGEOシンポジウムのWebサイトにステートメントが掲載されております。ぜひ皆様ご覧いただければと思います。今回このシンポジウムの開催につきましては、清浦審議官、松原推進官をはじめ環境エネルギー課の皆様、それからAOGEO調整委員会共同議長のJAXAの原田さんには大変お世話になりました。どうもありがとうございました。
それでは、これまでの議題も含めて委員の皆様から何か御質問、御意見があればよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか? ありがとうございました。では、本日用意されている議題は以上となります。事務局から連絡事項をよろしくお願いします。
【中川専門官】 本日の部会の議事録につきましては後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。各委員の先生方にご確認いただいた後、文部科学省のホームページで公表いたします。次回、第8回の会合につきましては11月~12月初旬ごろの開催を予定しておりますので、日程調整等の御連絡は後日別途案内させていただきます。事務局からの連絡事項は以上となります。
【村岡部会長】 どうもありがとうございました。では、以上をもちまして第10期 地球観測推進部会の第7回会合を閉会いたします。本日は皆様、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
メールアドレス:kankyou@mext.go.jp