第10期地球観測推進部会(第4回) 議事録

1.日時

令和6年3月12日(火曜日)13時00分~15時30分

2.場所

オンライン開催

3.出席者

委員

村岡部会長、赤松委員、岩崎委員、岩谷委員、浦嶋委員、川辺委員、嶋田委員、神成委員、谷本委員、平林委員、堀委員、六川委員、若松委員
 

文部科学省

千原研究開発局長、林大臣官房審議官(研究開発局担当)、轟環境エネルギー課長、松原環境科学技術推進官、甲斐地球観測推進専門官

オブザーバー

内閣府 熊谷科学技術・イノベーション推進事務局参事官(統合戦略担当)
環境省地球環境局総務課 岡野気候変動観測研究戦略室長
気象庁大気海洋部気象リスク対策課気候変動対策推進室 笹野気候リスク対策官
東京大学大気海洋研究所気候システム研究系気候モデリング研究部門 鈴木教授
株式会社Gaia Vision 北代表取締役 

4.議事録

【村岡部会長】  皆様こんにちは。ただいまより科学技術学術審議会研究計画評価分科会第10期地球観測推進部会の第4回会合を開催いたします。本日は年度末のお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございました。本日はオンラインでの会議になります。議事進行にあたっての注意事項を事務局から説明をよろしくお願いいたします。
 
【事務局】  では事務局から本日の部会の進め方につきまして、簡単に注意事項をご説明いたします。オンライン会議システムの安定のため、ご発言されていないときは、マイクをオフにしていただくようお願いいたします。ご発言がある際は挙手ボタンを押してお知らせください。またご発言の際はお名前をおっしゃってからご発言いただくようお願いいたします。挙手ボタンが画面下部の方にあるかと思いますけれども、見つからないような場合には画面をオンにして画面上で手を挙げていただくか直接ご発言いただければと思います。なお、オンライン会議システムを利用して出席されている委員につきまして、音声が送受信できなくなった時刻から、会議を退席した扱いとさせていただきます。
配付資料の確認になります。配付資料につきましては委員の皆様に事前に議事次第とともに資料1-1から資料5-2までお送りいたしております。ただ、本日一部差し替えのご連絡を差し上げているところです。不備等がありましたら事務局までお申し付けください。
出席の確認になります。接続確認を行いまして本日スタートの時点で10名の委員にご出席いただいております。全委員18名の過半数に達しておりますので、本部会は成立となります。なお、本日は原田部会長代理、上田委員、河野委員、高薮部員、中北委員の5名からご欠席のご連絡いただいております。また、浦嶋委員が遅れてご出席と伺っております。加えて本日はオブザーバーといたしまして、科学技術イノベーション推進事務局の熊谷参事官にご出席をいただいております。事務局からのご説明以上となります。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。本日、多くの議題がありますので皆様ご協力いただきますようよろしくお願いいたします。活発な議論をお願いいたします。
前回の部会に引き続きまして、今回の部会でも次期実施方針の策定に向けた審議のための関係省庁等からのヒアリングを行います。今回は気候変動分野に関連する文部科学省、気象庁、環境省の取組について説明いただくのに加えまして、株式会社Gaia Visionの北様より、企業における地球観測データを用いた気候変動対策に関する取組についてご説明いただく予定です。
それでは議題1に入ります。議題1は「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に関する最新の動向と文部科学省における取組について」です。文部科学省研究開発局環境エネルギー課から資料1-1に基づき説明をよろしくお願いいたします。
 
【松原推進官】  それでは資料1-1に基づき、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に関する最近の動向と文部科学省における取組について」説明いたします。2ページをご覧ください。下の図にある通り、人間活動による温室効果ガスが増加すると、温度上昇などの気候要素が変化し、自然環境や人間環境への影響が出てきます。このような影響を低減するため、おおもとの原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制する緩和策と、出口側の自然や社会活動を調整することにより悪影響を軽減する適応策という大きく二つの気候変動対策がございます。緩和策により温室効果ガスの蓄積を抑えるとともに、これまでの温室効果ガスの蓄積による気候変動の悪影響を抑えるため、適応策を講じていく必要があります。
3ページをご覧ください。左下のコラムにある通り気候変動に関する政府間パネル、IPCCは1988年に設立された科学的技術的社会経済的知見から、気候変動に関する包括的な評価を行う国際的な枠組みです。IPCCのもとに設けられた三つの作業部会のうち、自然科学的根拠を議論する第Ⅰ作業部会を文部科学省と気象庁が担当し、適応等を議論する第Ⅱ作業部会を環境省が担当しています。このIPCCの評価報告書は、2015年に採択されたパリ協定など、右下のコラムにある国連気候変動枠組み条約、UNFCCCにおける重要な決定の科学的な根拠を与えるものです。上の青い部分に記載がある通りIPCCにおいて、昨年3月に第6次評価報告書サイクルが終了し、同年7月から新たな7次評価報告書サイクルを開始したところです。
4ページをご覧ください。IPCCの第6次評価報告書サイクルでは、コロナウイルスの感染拡大に影響あり、8年以上の期間をかけて三つの作業部会報告書と三つの特別報告書が取りまとめられました。昨年3月にIPCC第58回総会において、統合報告書が採択され、同報告書を公表することにより終了をしたところです。
5ページをご覧ください。第6次評価報告書サイクル終了の4ヶ月後の、昨年7月、IPCC第59回総会が開催され、第7次評価報告書サイクルの議長団(ビューロー)が決定されました。これをもって第7次評価報告書サイクルが開始したところです。IPCC議長には、英国出身のジム・スキーさんが選定され、自然科学的根拠をテーマとする第Ⅰ作業部会の共同議長には、これまで同作業部会の経験を有しているフランス出身のウェル・ミタールさんと中国出身のジャン・シャオウェイさんが選定をされています。
6ページをご覧ください。IPCCビューローの決定から半年後、今年1月、IPCC第60回総会が開催され、第7次評価報告書サイクルで作成する報告書とその取りまとめスケジュールが決定されました。この表はその決定に基づく想定スケジュールを示したものです。具体的には、想定スケジュールの緑色の部分にある通り都市特別報告書を2027年に、青色の部分にある通り三つの作業部会報告書を2028年に取りまとめ、最後に統合報告書を2029年に取りまとめることが想定されています。第7次サイクルでは、5年間で統合報告書の取りまとめを行うことになります。
このため、我が国も参画する国際的な結合モデル総合比較プロジェクト(CMIP)に、3年後の2026年頃までにIPCCの評価報告書の基礎となる新たな気候変動予測データを提供する必要があります。この気候変動予測データの創出は後ほどご説明する気候変動予測先端研究プログラムで、進められているところです。
7ページをご覧ください。図の下方にある文部科学省・気象庁において、地球観測データを活用し、気候変動予測データの創出も含めた気候変動研究が行われ、その成果は環境省が行う環境影響評価やIPCCでの議論、関係省庁や自治体、民間企業等の行う緩和・適用のための取組に活用されているところです。また、環境省においても、温室効果ガスの濃度観測など、地球観測が行われているところです。
8ページをご覧ください。文部科学省では、気候変動適応戦略イニシアチブの二つの取組を通じ、気候変動対策を進めています。左側の気候変動予測先端プログラムでは、全ての気候変動対策の基礎基盤となる気候モデルの開発等を通じ、気候変動メカニズムの解明やニーズを踏まえた高精度な気候変動予測データの創出を進めています。この先端プログラムで創出された気候変動予測データを、昨年10月第2回部会で説明のあった右側のデータ統合・解析システム(DIAS)に提供し、DIASを通じてユーザーに広く提供されています。これらの取組を通じて、気候変動予測データの創出提供によるIPCCへの貢献や過去データに加え、科学的な将来予測データも活用した気候変動対策のパラダイムシフト等に向けた科学的知見の充実を図っております。
最後に9ページをご覧ください。気候変動予測先端研究プログラムでは、基盤的な研究を継続するとともに、ユーザーニーズを踏まえた地域別予測、近未来予測、AI活用といった最新動向に対応し、気候変動対策に向けた社会実装のために必要な取組を進めています。4つの領域課題があり、多くの研究者の方々にご協力いただいています。
領域課題1については後ほど説明いただきますが、全球気候モデルやイベントアトリビューション研究の高度化を進めるとともに、領域課題2では、温暖化ガスの循環モデルの高度化等に向けた研究を進めています。一方、領域課題3では、日本域に特化した気候変動予測の高度化を進めるとともに、領域課題4では、洪水や高潮の複合災害を対象としたハザードの予測等を行っています。
本プログラムの成果の一つとして2022年12月に、我が国の「気候予測データセット2022」についてDIASを通じて公表し、国や地方公共団体、民間企業等に活用いただいております。説明は以上になります。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。続きまして、東京大学の鈴木健太郎教授から資料1-2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
 
【鈴木教授】  東大大気海洋研の鈴木と申します。本日は先程紹介があった先端プロの中で特に数値気候モデルを改良するために衛星観測をどのように使っているのかということの一端をご紹介したいと思います。非常に発表時間が限られておりますので、初めからポイントのところに参りますけれども、気候変動予測データを作成するために使われている気候モデルというのは、特に雲とか雨の扱いのところに非常に大きな不確実性があることが知られております。こちらに示したのはその一例ですが、モデルの中には非常に簡単に言ってしまうと雲からどうやって雨を降らすかを決める水道の蛇口のような部品があり、それをどのように仮定するかによって、例えば20世紀の気温変化の予測が非常に顕著に変わってしまうということがわかっています。
こういう仮定のうちどれが正しいのかということは、一昔前はわからなかったのですが、最近はこういうことが人工衛星での観測データで検証できるようになってきています。そのように検証した結果、どうも今のモデルは、この雨を降らせるところ部品の部分と気温変化の再現性が矛盾してしまっているということが割と最新の研究からわかってきております。雲とか降水の表現に今のモデルは大きな問題を抱えているので、ここら辺を良くすることによって、気候変動予測データの精度は顕著に向上することが期待されるわけです。そこで先端プロの中では、モデル開発の軸はいくつかあるのですが、その中でもそのモデルそのものを部品のレベルから良くするということに取り組んでおりまして、そのために例えばJAXAが提供しているような複数の人工衛星のデータをなるべく横断的に活用するということを行っております。そのために先端プロとJAXAの間でMOU締結もしているところであります。そのような研究の一つの例になりますけれども、実際に人工衛星の観測というものをモデル改良の指針として用いて、モデルをどのように高度化していけばいいかということを日々研究しております。
こちらは抽象的なプロットで少し専門的になってしまうので、詳細の説明は省きますけれども、地球大気に浮かんでいる雲の水の量であるとか、あるいは雲の中での雨の降り方は人工衛星のデータと比べて、従来モデルではこのような誤差があったものが、改良すると衛星観測に近づくというような成果が得られております。このような形で実際に人工衛星を使ってモデルを良くするということをやっております。特に最新では、モデルの中で雲から雨を降らせるところを非常に精緻化するという研究に取り組んでおりまして、JAXAが提供するような例えばGPMと呼ばれる雨を測る人工衛星から得られる最新のデータを活用して、例えば大気の中に浮かんでいる霰という特定の粒子の出現頻度やあるいは雷の活動というものがモデルの中ではどのようになっていて、それが人工衛星と比べてどうなのかというような、比較の解析もやっております。
こういうことを実際にやっていくとモデルの精度は少しずつ上がっていくわけなのですけども、そういう活動をやるためには自前でモデル開発をしたり、あるいは衛星データの解析をするということが重要で、特に人工衛星に関しては、ここに示しているGPMであったりあるいは一つ前は雲の話だったのですけども、これは雲を見る人工衛星と雨を見る人工衛星というのを組み合わせることでより多くのことがわかってくるということで、そういうアプローチが有効でありますのでそういうことも我々の活動の中で進めているということになります。
従来的な気候モデルは雲の扱いに非常に大きな不確実性があるのですが、最近の動きとしては、もっと高解像度に雲を直接解像するようなモデルというものが現れてきておりまして、それを世界で初めて作ったのが日本の研究グループでNICAMというモデルですけれども、それを筆頭に世界で今いくつかのこういう新しいタイプの雲解像するモデルが出てきております。これは非常に写実性の高いモデルで、人工衛星の画像と比べても区別がつかないぐらい写実性が高いのですけれども、これもよく見ると、雲の再現性は非常に大きくばらついているということがわりと最近の研究によってわかってきています。ですので、やはりこういうところでも人工衛星の情報によるモデルの拘束というのは引き続き必要であろうというふうに考えております。
これらの新しいタイプのモデルというのは、従来型のモデルと比べて質的に異なる雲の再現性を持っていることがわかってきておりまして、これも専門的な図なので詳細な説明を省かせていただきますけれども、例えば20世紀の気温の変化を作っているエアロゾルとか雲による冷却効果というものがどうなっているのかを調べるときに一つ重要になるのが、エアロゾル増加に伴って雲がどう変化するかという指標になります。それについて、人工どちらのモデルがより正しいのかを評価するためにも衛星観測が真値としては非常に重要になってきますので、我々としては人工衛星のデータを常にリファレンスとして使いながら、モデルの高度化をやっていくということを進めております。そういう研究の今後の発展としては、どちらも私自身が関わっているミッションなのですが、ひとつはESAとJAXAの共同でEarthCARE衛星がもうすぐ5月に打ち上げる予定で、新たに雲の中の鉛直運動というものを測ることで新しいことがわかると期待されています。それから2030年頃になりますと、NASAのAOS計画というのがありまして、これは特に雲と雨を初めて同時に統合的に測るということを行う人工衛星なのですが、これらの新しいデータが出てきたときにはそれを積極的に活用してモデル開発や高度化を進めていくということを考えております。
最後に、この部会のディスカッションに役立つことを期待してメッセージという形で、特に赤字の部分について強調したいのですが、衛星観測によってモデルの仮定を検証できて、それによってモデルの部品を高度化するための指針が得られますので、そういう研究をやっているということです。それから、特にその複数の人工衛星を組み合わせることが今非常に重要な時代になっているので、それによってその個々の変数だけではなくて、地球システム全体の観測情報を得ることが重要で、そういう知見をモデルに貯蔵していくということが、結局のところ気候変動予測の精度よいデータを提供するために必要であるというふうに考えています。以上になります。ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  鈴木先生どうもありがとうございました。それではただいま2件のご説明について、部会委員の皆様ご意見ご質問があれば挙手をお願いいたします。堀委員お願いします。
 
【堀委員】  情報提供ですけれども、最初のご説明にあった文科省が進めている「気候変動適応戦略イニシアチブ」8枚目のスライドのDIASですけれども、これの内閣府が進めているSIPでも防災用のDIASの利用というのが検討されています。キーワードは都市のデジタルツインを作る、防災用の都市のデジタルツインをつくる。そのためにDIASのデータ蓄積能力を利用するということがすすめられています。情報提供です。以上です。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。他にご質問ご意見等ありませんか。川辺委員お願いします。
 
【川辺委員】  ありがとうございます。今ご説明のあったモデルについてお伺いしたいのですが、このモデルと衛星の画像の合致度は、どう表現されるのでしょうか。こちらのモデルよりもこちらのモデルがよいと判断される、その基準や項目は、どういうものなのでしょうか。よかったら教えてください。
 
【鈴木教授】  ご質問ありがとうございます。いろいろな比較の仕方が実はあるのですが、一つはさっきお示ししたように目で見て一目瞭然というのがまずありますが、もう少し客観的には相関をとったり、あるいは何らかの統計を数値にしたりというようなことをやって、その相関の数値がより高い方がより衛星観測に近いモデルというふうな判断とか評価をすることになります。
ご質問にあった項目については、比較の項目は多分挙げ出せばきりがないほどいろいろあるのですが、できるだけ今の人工衛星の観測データとして得られている観測情報として得られているものは、なるべく多く比較するのが一番望ましいのですが、それもなかなか全部をしらみつぶしにやるというのも必ずしも得策とはいえないので、そこはどういう観測変数の組み合わせを解析すれば、そのモデルの一番本質的なところを見ることになるのかというような研究、それ自体が一つの研究になるような話なのですが、そういうことをやる必要があって、そのために先ほどメッセージとして申し上げたことの一つとして、いろいろな複数の人工衛星のデータを組み合わせるということが非常に重要であるというふうに考えております。これで答えになっていますでしょうか。
 
【川辺委員】  わかりました。どうもありがとうございます。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。続きまして谷本委員お願いします。
 
【谷本委員】  谷本です。鈴木さんどうもありがとうございました。改めて聞くと細部まで非常によくわかりました。MIROCとNICAMの2つのモデルの話がありましたが、どちらも日本で開発した非常に良いモデルということで、全体の中で繋がっているのだと思いますけれども、気候の将来予測にはMIROCが使われていて、NICAMは現時点ではそういう用途には使われていません。一長一短あると思いますが、衛星観測との比較によるモデルスキームの改良はNICAMでやっている、と後半出てきましたけども気候モデルの開発という意味でのNICAMとMIROCの位置づけは、どのように短期的・長期的に開発を進めていくのが良いという点でのお考えはどうでしょうか。
 
【鈴木教授】  これはプログラム全体というよりは私の研究者としての見解に近いコメントになりますけれども、両方のモデルはやはりまだ使わなければならないフェーズであると思っています。NICAMという高解像度のモデルで長期の計算ができるほど計算機がまだ速くないということがあるので、両方使わなければいけないのですが、いずれ長期的には世の中全体がNICAMのような全球雲解像モデルのほうにだんだんシフトしていくだろうというふうに思っています。そうなると、MIROCのような従来型のモデルはだんだん使われなくなるとは思うのですが、その場合でもMIROCで得られたプロセスに関する理解や科学的知見というものがNICAMのような高解像度モデルの方にも活きるような形で、研究を進めるということをやっていまして、そのためにMIROCとNICAM、衛星も含めて相互比較するということをこのプログラムの中では割と意識してやっています。
 
【谷本委員】  なるほど。私のこれも近いところでの感覚なのですけど、なかなかそこまでのマンパワー、リソースが不足している、ということもあるように思いますが、どうですか。
 
【鈴木教授】  マンパワーは非常に足りない状況です。少ない人数でどうにかやっているというのが、現状での実情です。
 
【谷本委員】  もう一点細かい話で、衛星とモデルを比べる意味で衛星観測は非常に重要だと思うのですけども、一方で航空機や地上の現場観測の辺の重要性はモデル側から見て、もちろん重要だと思いますけども、特にここが、という点はありますか。
 
【鈴木教授】  今日のプレゼン資料には入れてないのですが、先ほどご紹介したEarthCAREという人工衛星がもうすぐ上がるのですけど、そこで新しく測られるものは実は地上観測では既に測られているものだったりするのですよね。地上観測のデータと我々のモデルの比較も実はやっていたりして、それは人工衛星打ち上げの準備ということもありますが、それだけではなくて特定の事例の再現性の確認やメカニズムの理解というようなことも含めて、地上観測とモデルの比較も可能な範囲でやっています。それもマンパワーの問題がまた出てくるのですが、そこも可能な範囲でやっているということになります。地上観測は非常に役に立つ観測情報には違いないです。
 
【谷本委員】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  ありがとうございました。続きまして嶋田委員お願いします。
 
【嶋田委員】  埼玉県の嶋田です。鈴木先生のお話を聞いていて、やっぱり降水の予測ってすごく難しいと感じたのと、それが急激に進んできていることを感じました。特に適応策という視点で考えたときに、水災害へ直結するのはまさに雨なのでそこの予測精度を上げるのはすごく大事だと思うのですけれども、そういう意味ではそこを上げるための投資がすごく大事だと思っています。
そういう先生の話の中で新しい衛星が上がるというような話がありましたが、さらにこの精度を上げるためにどんな衛星というか、どんなデータが取れるような衛星が上がるといいというふうにお考えなのか少しお聞かせいただければと思います。
 
【鈴木教授】  非常に高度な質問なのですけれども、抽象的な言い方になるかもしれませんが、やはり雲とか雨に関して言えば、何か特定の一つの変数をより精度を高めて測る方向性とは別に、雲とか雨の全体像がなるべく観測からわかるような、そういう観測がデザインされると非常にモデルにとっては役に立つなというところです。そうすると、結局のところ、複数のセンサーをいかに上手に組み合わせて、その全体像を捉えるかという話になってきます。そこの戦略をどう立てるかは非常に重要で、そのためにも、例えばモデルのここが不確実性が大きいから、この部分を知るためにはこういう雲と雨のこういう側面をよりよくわかるようにした方がいい、というようなモデル側と衛星側とのやり取りが非常に重要です。実際にNASAのAOSミッションの検討の方に私も関わっているのですが、そこではそういうモデル側のニーズも踏まえたような形で衛星のデザインやセンサーのデザインが決まっていくというような戦略に全体としてはなっていて、そういうことが非常に重要かなと思います。それは、日本が上げるEarthCAREでもそのように進めているところで、それが非常に戦略的に重要なのかなと思います。抽象的な答えになってしまいました。
 
【嶋田委員】  ありがとうございます。衛星のデザインのときにそれを使う、ユーザー側のニーズをきちっと伝えられるような場があるということで理解してよろしいでしょうか。
 
【鈴木教授】  いくつかの特定のミッションに関しては少なくともそうなっていると思っています。
 
【嶋田委員】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。今の一通りの質疑応答のご議論の中で特に鈴木先生からお話のあった、複数の衛星できちんとデータを蓄積して、それがモデルの予測精度の向上に資するということで、さらに衛星観測とモデルに加えて地上観測のデータをきちんと組み合わせることが将来的にも重要であり続けること、さらにデータのユーザーも含めた将来の観測の設計、モデルの設計等々が重要であるということとお聞きしました。鈴木先生からのプレゼンの最後のメッセージのところでも、地球観測推進部会での検討へのご意見をいただきましたけれども、こういったことも含めて今後部会での実施方針の検討の中でまた議論を深めたいと思っております。今日はありがとうございました。
 
【鈴木教授】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  続きまして議題2に入ります。議題2は「気象庁における取組について」です。気象庁気候変動対策推進室から資料2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
 
笹野リスク対策官】  よろしくお願いします。気象庁における自然現象の監視予測の取組ということで、気象庁が行っております地球観測に関する内容についてご紹介させていただきます。こちら気象庁の業務をまとめたスライドになっておりまして、気象庁は自然現象の監視・予測・情報の発信と利用促進によって防災・交通安全・産業興隆等に寄与するということで業務を行っております。大きく分けて三つの業務がございまして、こちらに示していますけども後ほど詳しく説明します。
ここではざっと紹介しますけども一つ目が台風・集中豪雨等の監視をする情報発信、二つ目が地震・津波・火山の観測情報発信、三つ目が気候変動の監視をする情報発信ということで行っております。例えば気候変動のものについて見ていきますと、ひまわりですとか航空機や船舶で観測を行ってデータを集めるとともに、そのデータを用いて解析して予測情報を作成し、国民皆さんに情報を発信するというところで活動を行っております。
その右下に見えています図が防災・交通安全・産業興隆等に寄与する気象庁の役割を示したものであり、気象庁は各地気象台と防災情報を作成し、都道府県ですとか関係府省庁を通じて、国民の皆さんに情報を届けていくという形で活用を行っております。また防災情報に限らず、例えば産業興隆等、民間に気象データを提供したりとかそういうところについても行っているというところです。
続いて、今気象庁が一番力を入れているものの一つであります、線状降水帯の予測精度の向上に向けた取組ということで説明いたします。気象庁は線状降水帯に力入れておりまして、線状降水帯は現状の観測予測技術では正確な予測は困難であるということから水蒸気観測等に力を入れているというとともに、スーパーコンピューターを用いた予測技術の開発を進めているという状態です。上に示しているのが観測の強化になっておりまして、いくつかのツールを使って観測を実施している。例えばこの大気の方では、マイクロ波放射計ですと、アメダスを更新することによって、地上付近の水蒸気の観測を強化するとともに、局地的大雨の監視の強化というところで二重偏波気象レーダーを設置することによって実際に雨雲を捉えるというようなことで観測を行っています。
またその海上から陸上に水蒸気が流れ込みますので、洋上の観測にも力を入れておりまして、凌風丸(4代目)が今月竣工したのですけれども、その凌風丸では、GNSS観測を強化したものになっております。また次期衛星でも水蒸気を3次元的に捉える観測が可能なようなセンサーを積む予定です。こういった複数の水蒸気観測を行うことによってデータを得ます。そして下にあります予測の強化というところで、現在気象庁ではこちらもまさに今月新しく動き出したスーパーコンピューター等を用いまして、予測の強化を行っているというところです。
続いてこちら気象業務の一般的な方について説明してまいります。こちら概要を示したものになっておりまして、まず国内の観測データにつきまして情報集めます。例えば衛星観測ですとか高層観測、レーダー観測等を用います。また関係機関からの観測データを活用しています。そういったデータを収集した後、それを解析予測情報作成というところでスーパーコンピューターを使って解析をする。あるいは実際に予報官が解析を行うということで情報を作成します。その情報を情報発表というところで防災気象情報として国民の皆さんに届けるという流れになります。防災気象情報としましては、特別警報や警報・注意報ですとか台風情報、あるいは日頃の気象情報といったものになります。
続いて、気象観測について説明して参ります。気象庁ではいくつかの観測するものがありましてそれを用いて、自然現象を正確に把握するために大気の状態を3次元的観測するということで行っております。こちらについてもまた後ほど詳しく説明を示しますので簡単に説明しますと、例えば静止気象衛星ひまわりですとかまたレーダー、あるいは地上気象観測業務、高層気象観測といった様々なツールを使って観測を行っております。こちら衛星についての説明のスライドになります。現在運用しているひまわり9号になります。ひまわり9号は、令和4年の12月に8号から引き続いて観測を行っております。この7号から比べて8号、9号で何が良くなったのかと言いますと、解像度が2倍になったというところと、あと観測回数が6倍になったというところで、高頻度のデータが得られるようになりました。こういったデータを活用することによって、防災のための監視機能を強化する。あるいは地球環境の監視機能を強化するといったことを行っております。また先ほどひまわり10号の話をしましたけども、ひまわり10号につきましては、令和11年度から運用開始の予定となっております。このひまわり8号、9号なのですけども、述べたように天気予報といった情報として、国民の皆様に役立つ、あるいは防災減災情報として国民に役立つということを行っている他、あるいは環境に関係するものですとか交通安全、あるいは国際貢献といったもので利活用を行っております。
続いてこちら気象庁の気象観測網を示したものになります。右上の日本地図が、気象の観測点を示すものになっておりまして、赤いものが気象官署のもので全国155ヶ所あります。この他アメダス、いくつか雨、気温、風、湿度と同じと風だけのものもあるのですけどもこういったアメダスを用いて観測を行っております。最も観測密度が高い観測でいいますと17km四方に1点ぐらいの密度で観測を行っているという状況になります。
続いてこちら気象庁が行っていますレーダーと高層の観測網になっております。左側がレーダー気象観測網、右側が高層気象観測網になっております。現在気象庁では、全部で合計20台のレーダーを運用しております。内6ヶ所が気象ドップラーレーダー、14ヶ所が二重偏波気象ドップラーレーダーを用いております。こちら現在随時、順次二重偏波気象レーダーに更新を行っておりまして、今年度も新潟と名瀬で気象ドップラーレーダーから二重偏波気象ドップラーレーダーへ更新を行ったところです。あと右側高層気象観測についてですけども、ラジオゾンデで実際にゾンデを1日2回上げることによって上空の風向風速を測ったりするものもございますし、あるいはウィンドプロファイラを用いて3次元的に風向風速を観測するというようなことを行っております。
続いて、地球環境と海洋観測の業務について説明してまいります。海洋観測につきましては、実際に気候変動の観測だけじゃなくて、こういった観測船を活用しまして、異常気象の重要な原因の一つであります海洋の状況を把握するといったことについても役立てており、豪雨や猛暑、台風などの異常気象の監視予測精度の向上に貢献しております。また、海洋観測を行っておりまして、まさに先ほど説明しましたけども凌風丸が、この3月に竣工となりまして、まさに初めての航海に出港して行っているところなのですけども、そういった観測船を用いて、温室効果ガスの観測を行う、あるいは地球環境に関するものとして、大気中のエーロゾルを観測したりするようなことを行っており、気候変動の実態把握と予測能力の向上、社会の気候変動対策に貢献しております。今説明した通り、二隻の観測船を用いて北西太平洋を観測が行っているというところ、あるいはアルゴフロートを用いて北西太平洋の観測を行っているものもございます。
また温室効果ガス関係でいいますと、温室効果ガスを日本の3ヶ所で測っておりますし、あるいはエーロゾルですとか日射放射、オゾン層観測、紫外線の観測を気象庁では行っております。こういった得られた観測データにつきましては、情報発表というところで、台風の発達等に影響する海面水温の詳細な解析結果ですとか、長期的な海面の水位上昇について等の情報を作成して発表しております。
海洋の情報につきましてはこの他にも使っているものがございまして、それが沿岸海域での海難防止、船舶での運航を支えるための情報です。こちら、沿岸域においても波浪観測を行っておりまして、波の高さを測っている。そして情報を作って沿岸波浪実況図として情報提供しております。また船舶の安全な航行のための情報といたしまして、船舶やブイ、衛星で得られた観測データを用いまして、外洋につきましても外洋波浪実況図と予想図を作りまして、提供先といたしましては沿岸の住民ですとか、港湾や船舶、離島等に情報提供しております。
続いて地震・津波関係の説明をしてまいります。こちらも気象のものと同じようにまず観測を行います。観測を行って、地震の観測網ですとか震度計の観測等がございます。こちらを用いた観測データを集めると、この集めたデータにつきましては、処理通信システムを用いてデータを収集するとともに解析を行い、職員による観測監視を行っております。こういった作られたデータにつきまして、地震津波情報の発表といたしまして、例えば緊急地震速報ですとか津波警報等として発表することによって国民のために届けるという形で利活用を行っております。こちら地震・津波関係の観測の観測網を示したものになります。地震計と震度計につきましては、気象庁で303ヶ所と671ヶ所の観測で行っております。あとこの他関係機関や自治体からも約1,500ヶ所と約3,700ヶ所のデータをいただいて活用しております。また津波計潮位計もありまして、実際に津波の観測を行っているというところです。
火山関係を説明してまいります。火山も同様でして、まず観測を行います。こちら空振計ですとか監視カメラ、地震計、GNSS、傾斜計を用いて観測を行う、あるいは定期的・随時に機動観測隊を派遣するといったことを行いまして観測を行います。こうして集められた観測データを収集した後、解析予測するということで全国4ヶ所に設置されました火山監視警報センターで観測データを解析し、火山活動を評価しています。そして作られた情報につきましては火山情報発表という形で、噴火警報ですとか、降灰予報として国民の方に届けるという形で利活用を進めています。こちらは火山関係の観測を示したものになります。先ほど言いました監視カメラ、GNSS等の観測機器でデータを集めております。これは、全国111ヶ所の活火山で監視を行っております。右側がその火山の分布図になっておりまして、常時監視しているものが50ヶ所、その他の活火山として61ヶ所、計111ヶ所の活火山を気象庁では監視を行っております。また大学等の他機関とも観測データを共有するなど更なる推進を進めております。
続いてこちら国際関係の利活用について示したものになります。気象分野ではまず衛星のデータが挙げられます。赤道上140度付近にひまわりがありまして、その間のエリアを測っているというところです。また、気象庁はWMOのアジア地区/世界センターとして国際貢献しておりまして、データの交換等にも貢献しております。またその下、海洋・津波分野におきましては、日本ではユネスコIOCのもと、海洋・海上・気象、津波や高潮分野で国際的な協力を推進しております。右側途上国の支援というところで気象庁では、WMO地区センターとして研修を実際に実施している他、JICAの集団研修等も行っておりまして国際貢献を行っています。こちら民間における気象情報の提供および利用の促進というところです。現在、気象庁以外にも行き、天気予報を出しているところがございます。そういった支援の話ですけども、気象庁で得られているデータにつきまして民間気象業務支援センターを通じて、民間の気象事業者にデータを提供しております。そちらは事業者が独自に予報することによって、国民の皆様、あるいは企業に利用者にデータを届けるという形でデータを提供しているということでございます。
こちら最後、気候変動についてまとめたものになりますけども、気象庁では気候変動の中で観測やデータ解析を行っております。こちら関係機関の観測データも活用しているところなのですけども、地上気象観測ですとか温室効果ガス観測、あるいは生物季節観測等を用いてデータを収集した後、気象庁で解析あるいは将来予測を行い、情報を作成しまして、その情報を一般市民、あるいは関係省庁等の政策決定者、あるいは国際社会に向けて情報提供しているというところで気象庁の活動を行っております。説明以上になります。
 
【村岡部会長】  ありがとうございました。多岐に渡る観測とデータ利活用についてご紹介いただきましてどうもありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、部会の皆様のご意見ご質問等あれば、挙手をお願いいたします。岩谷委員お願いします。
 
【岩谷委員】  岩谷と申します。よろしくお願いします。気象庁の方の説明、多岐にわたる説明ありがとうございました。また私は気象予報士の気象報道の仕事をしておりますので、気象庁のデータを非常に身近に活用させていただいております。一番多分、気象衛星観測データであるとか、予測データを、一番国民に身近に感じているデータが気象庁のデータが一番あるのかなというふうに思っております。
先ほど地上と衛星の組み合わせによって観測データを予測に活用しているという話がありましたけれども、非常に気象庁の防災上の観点でいうと、非常に結果にシビアで、もしその情報の誤差とか、情報が違うと国民からかなり、批判を受けやすいところなのかなというふうに思っていますが、多分結果が気候変動よりもシビアな世界なのかなというふうに感じているところです。そこでそういう意味ではいろんな分野で活用できてるのですが、ぜひ私の意見といいますかお願い部分なのですが、非常に気象のデータって多岐に渡っているのですが、実は気象庁のデータとそれから環境省だったり国土交通省の河川の情報だったりというのは、環境省ですと熱中症の情報、それから河川ですと川の水位情報でバラバラのサイトで実はあったりしていて、こういう利用する側からすると、サイト共通共有化されていない部分があって、そういう意味では利用する側のものにまだまだまだ改善の余地があるのかなというふうにこういうそれぞれの担当の省庁があるとは思いつつも、そういうとこの利用者側のものっていうのは必要なのかなと感じている部分です。
それから、学校教育で気象データ非常に活用できるのですけれども、実はなかなか活用しきれてないっていうのも実はあるところかなと感じている部分で、もっと気象の例えば衛星のデータとかあまり保存されていないので、たくさん活用できるような学校教育を使われてくると気象庁に限らず、衛星観測データとかそういったものが広く利用されるっていうことにもっとできるというふうに考えているところです。人材育成とか防災の観点からもそういう部分があるといいのかなというふうに思ったところです。意見的なところですが、以上でございます。
 
【村岡部会長】  岩谷委員ありがとうございます。笹野リスク対策官、もし何か岩谷委員からのご指摘ご意見についてレスポンスがあればお願いいたします。
 
【笹野リスク対策官】  ご意見ありがとうございます。例えば熱中症や河川等につきましては環境省あるいは国交省とも情報交換をしておりまして、まず作業進めているところなのでなかなか実際に情報としては別々になってしまうところはあるのかと思います。また検討の余地があると私も思っているところです。ありがとうございます。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございます。岩崎委員お願いします。
 
【岩崎委員】  気象庁笹野様、非常に包括的な説明ありがとうございました。プレゼンテーションの中でも言及いただきましたとおり、長年にわたり国際協力へご協力をいただいています。おかげさまで南太平洋から南アジアまでの国々の気象予測は、年々充実してきています。これが、世界の気象観測網の充実や文科省からプレゼンあったIPCCの報告書の充実にも繋がっていっているかと思っております。長年のご協力にあらためて感謝申し上げたいと思います。
1点質問でございます。プレゼンの中でもありましたが、こうした国際協力を通じた開発途上地域での気象観測網の充実というものが、巡り巡って日本の気象予測や観測の充実にどのような形で貢献しているのかについて、具体的な事例をご存じでいたら教えてください。以上になります。
 
【笹野気候リスク対策官】  ありがとうございます。なかなか具体的なというのは難しいところだとは思いますが、ありがとうございます。特に私も把握できていなくて申し訳ないです。少し調べておくようにします。
 
【岩崎委員】  よろしくお願いいたします。特に隣の国のフィリピンには30年以上にわたってご協力をいただいており、私のうろ覚えなのですけれども、フィリピン沖での台風の発生においてもフィリピンの気象機関との連携等を通じて、より精度が高い予測に繋がっているというような話を聞いたことがあります。日本への裨益という観点で、もし良い事例がありましたら機会をあらためまして教えていただければと思います。
また情報共有ですが、アルゼンチンのような南米の国に対しても日本は協力をしています。今ちょうど理化学研究所の三好先生が研究代表者として、豪雨予測についての国際共同研究のプロジェクトを実施しています。アルゼンチンの気象局がカウンターパートとなっており、その局長が世界気象機関(WMO)の次期事務局長に就任される予定になっております。日本の長年の協力を良く知っておられる方がWMOのトップになるということで、気象庁を含む日本の国際協力の取組がWMOを通じて高く評価されていくと期待をしております。以上になります。
 
【村岡部会長】  岩崎委員ありがとうございました。他にご意見ご質問はありますか。赤松委員お願いします。
 
【赤松委員】】  国際航業の赤松と申します。私は民間の事業者で衛星データの利活用サービス等を、担当しているものでございます。今日のお話の中で、一番冒頭にも産業振興という言葉ありましたし、16ページのところでは民間における気象情報の提供という、特出ししたご説明があったかと思います。民間が予報業務に参画できるようになったのは、多分最近だと思うのですけども、今後もそのように進めていっていただければなというのが一つのお願いなのですけれども。今後気象に関わる、例えば衛星観測データの活用に関して、気象庁と企業の役割分担あるいは連携などの今後に関して、何かお考えなられている方向感とか施策がありましたら教えていただきたいのですけれども。
 
【笹野リスク対策官】  ありがとうございます。すぐに出てこなくて申し訳ないですけども役割分担などにつきましても今後検討が必要と思います。
 
【赤松委員】  わかりました。今すぐでなくても結構ですので、もし今後考えられている施策がございましたら、ご提供いただければと思います。我々の中で、今後の地球観測の方針を考えていく中で、例えば省庁と民間の役割分担や連携をどう考えていけば良いのかということに、重要なインプットとなりますので、ぜひご提供いただければと思います。
 
【笹野気候リスク対策官】  わかりました。よろしくお願いいたします。
 
【村岡部会長】  赤松委員、ありがとうございました。まさに今ご議論のあったところですけども、この第10期地球観測推進部会では、今後10年の我が国の地球観測の実施方針を検討しておりまして、今回は気候変動分野ということで皆様にお集まりいただいております。もしよろしければ、最後に私から今の赤松委員からの御指摘、あるいはこれまでの議論も振り返りながら笹野リスク対策官にお伺いしたいのですが、今後のこの実施方針を検討する中で、気象庁からこの議論の検討の中に期待すること、あるいはメッセージがあればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【笹野気候リスク対策官】  ありがとうございます。気象庁の業務を説明してきたように基本的には気象庁の業務の中で閉じているものが多いのですけども、例えば気候変動につきましてはやはり多くのデータが必要となってきます。そういった面に関してやはりデータの交換ですとか、あるいは関係省庁との連携が必要なってくるとそういった面では今後も関係協力体制を繋げていければなと思います。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。今日のプレゼンの中でも気象観測や地震もありますし、温室効果ガスの観測もありますし、あるいは、詳しくご説明ありませんでしたが長年に渡り生物季節、フェノロジー観測もなさっていて、分野横断的に、気候変動のモニタリングとその影響のモニタリングに資する多岐に渡る観測が続けられていると理解しています。こういった観点からも今後ぜひ分野間の連携、いろいろあるいは組織間の連携や協力ぜひ推進できれば、そういったことも併せて部会の中で議論できればというふうに考えました。今日はありがとうございました。
 
【笹野気候リスク対策官】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  続きまして議題3に参ります。議題3は、「環境省における取組について」です。環境省気候変動観測研究戦略室から資料3に基づきまして説明をよろしくお願いいたします。
 
岡野室長】  環境省における地球観測の取組ということで、地球観測の中でも特にGOSATシリーズ CO2とメタンを測る衛星ですがそちらについて中心に適宜ご説明をさせていただきます。概要と各分野での成果、それと今後の方針という3本立てでございます。
まず概要ですが、宇宙基本計画と工程表に基づいて政府全体のプロジェクトの一部として進めていきますということでして、リモートセンシングの中に記載をしています。工程表の中でも今後の取組としては、下の下半分の真ん中ぐらいにあります通り、中央アジア等へ温室効果ガスの測定と推計を広めていく、その手法の国際標準化を目指す。また、最後の部分ですがGOSAT-GWというのを来年度中に打ち上げる予定にしてまして、それの後の機体の検討というのも進めております。
今年度打ち上げる予定のGOSAT-GWですが、文部科学省と共同のプロジェクトになっていまして、環境省のセンサーとしては温室効果ガス、文部科学省としては水環境を図るというセンサーを両方積んでおります。測定原理としては、太陽から地球の表面を反射してきてGOSATという衛星で受信してそこで濃度を測るということです。当然夜間とか、海上が苦手とか、あと雲があるときとかそういうようなところは測れないという制約がございます。現在もGOSAT1号機、2号機とも、観測点から観測点の間が160キロございまして、雲の回避とか集中観測とかいった機能を設けているのですがかなり限界があるということで、来年度打ち上げるGOSAT-GWにおいては、面的な観測とさらに集中観測で最低3キロ、目標としては1キロメッシュぐらいの精密な濃度を取るということを考えております。
次に、これまでの成果ですが、まず一つ目の目的としては地球全体の温室効果ガスの濃度を測る、把握するということをやっておりまして、こちらのように季節変動を繰り返しながら上がっているという状況がわかります。さらにここの右下にある、カラフルなグラフがありますが、こちらが各温室効果ガス排出シナリオに基づいた、地球の大気の中でCO2が何ppmあるかという予測のグラフになっています。黒い線がGOSATの観測値でございます。これがどのシナリオに載ってるかというのは現時点で判断するってなかなか難しいのですがこういったようなところを追っていくことによって世界での温室効果ガス排出削減の取組がどのようにうまくいってるか、又は、うまくいってないかといったようなことを見ていきたいというふうに思っております。
一つ目が全球の観測でして、その次がよりスケールをダウンしまして国レベルでの排出の測定の話になります。昨年、COP28というアラブ首長国連邦で開かれた会議がございまして、そこで発表した内容になりますが、右側の三つのグラフをご覧ください。三つのグラフのうち真ん中が中国、左が日本、右がアメリカなのですが、横軸から統計上予測される人為起源による二酸化炭素濃度の増加分を表す数字で、縦軸がGOSATの観測に基づく実際の人為起源の増加分になります。その縦軸と横軸が、統計と観測がぴったり一致すれば傾き1のラインに乗ることになるのですが、中央のグラフではグラフが上に行っているということで観測の方が統計よりも多いということになります。やはり統計というのは石油と化石燃料の使用量とか、取引価格とか、あと経済指標みたいなものを使って推定しているわけですので、かなりの不確かさがあるという部分も、特に途上国においてはあると思うのですが、そういった部分での確実性を観測によって確かめるということがこれから必要になってくると思っています。といいますのはパリ協定の中で、今年の年末までに途上国も先進国も、先進国は毎年出していたのですが途上国も含めて、温室効果ガスの総量を報告する、それ以降も、隔年で報告することになっており、その1回目の締め切りが、今年の年末になっております。今年の年末以降に、途上国からデータが大量に出てきますので、そういったデータが本当に観測と矛盾しないのかということを確認することによって世界の温室効果ガスの報告の透明性を確保していくといったことをやりたいと思っています。
こちらが先ほどのグラフの元となったマップ上のデータです。青い部分が観測の方が、統計値よりも大きい地域で、赤がその逆であるということです。ヨーロッパの中にも紫と青が集中している点ございますので、こういったところについては統計と観測が食い違う点ですので、その報告を正しくしていくということ。それと世界の研究者からも検証可能な形でデータを出していただくというようなことを世界に対してやっていきたいと思っています。次がメタンでして、こちらも同じような感じなのですがこちらは、赤の点が観測の方が統計よりも大きいというものになります。ヨーロッパ、インド、アメリカはブラジルのような大量に排出しているようなところからメタンが統計よりもかなり多く出てるということになりますので、CO2もメタンも対策は異なるものですが、いずれにしろ透明性を高めるということを環境省として取り組んでいきたいと思っています。特に先ほどお示ししたものは、かなり大雑把な統計的な解析の推計だったのですが、より精緻な数字を使って国が国連に報告する値を、本当に検証するというレベルでの取組も進めております。こちら1ポツ目ございますようにモンゴルでは、パリ協定で義務付けられてはいないのですが、既に国連への報告というのを実際行っております。その報告値が観測値と合ってるかどうかということを検証し、観測とぴったり一致しますという結果を添えて国連に提出をいたしました。それが世界でCO2に関しては世界で初めての成果だったわけですが、そういった取組を進めていくために、現在は、中央アジア今進めておりますウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタンについては既にMOUを締結しまして、専門家の間で会合、これは私どもも出席しているのですが、実施しまして、第2、第3のモンゴルのような国を増やしていこうということで仲間作りを進めているところです。こちらが上の方がモンゴルの結果ですが、左側がモンゴルが国連に報告した値で、真ん中がGOSATが観測した値、右側がEDGARによる排出、世界の統計を使って二酸化炭素の排出量を地図上に落としたようなデータベースになりますが、そこから推計される値が並んでおりまして、左側のモンゴル公式発表と右側真ん中の多さの観測がぴったり一致しているということを表しています。世界中のその分野の研究者の間ではEDGARというのはかなり信頼のおけるものとして使われていますが、それと照らし合わせるとモンゴルというのは、統計よりも少なく報告しているんじゃないのということになりますが、そこはGOSATで確認することによって実際に観測値はモンゴルの公式の発表を支持していますということがわかったということになります。
さらにスケールをダウンしまして大規模排出源であるとか、地方自治体レベルのモニタリングということも進めていきたいというふうに思っています。右側は関東地方の推計の例ですが、まだ精度が荒く、GOSAT1号機、2号機では限界がございますので次に上げるGOSAT-GWの結果を使ってこの辺を精緻化を図っていきたいというふうに思っております。他にもメタンの排出でありましたり、永久凍土地帯の氷床の融解に伴って出てくるようなメタンの量も国立環境研究所のデータ提供ウェブサイトで、公表しておりますので、よりわかりやすいような形。それと変化がわかりやすいような形で公表・広報していくという努力は引き続き進めていきたいと思っております。
今後の方針になります。これまでのIPCCとかそういった中でもGOSATについては、AR6において24本の論文が引用されていましたり、他にもいろいろな成果があるのですが、これをどんどんAR7におきましても、SLCFであったり、都市に関する特別報告書とかそういったものを作られますので、学術的なレベルで論文を出して行って、またそういった研究を環境省として支援をして、今後さらにIPCCでのデータが使われていくということを目指しております。先ほど来年度に打ち上げるというふうに申し上げましたが、その次の後継機も検討は宇宙基本計画工程表に基づいて進めているところです。これまでモンゴル・中央アジアというところに力を入れてやってきましたので、今後はインド・ヒマラヤ地域、コーカサス地域、さらにアジア地域へと拡大をしていって、日本の推計の手法というものを国際標準化して世界が透明性のあるCO2やメタンの報告にアクセスできるということを実現していきたいと思っています。
さらに各行政に加えてビジネスでの利用というのも重要かと思っておりまして、やはり国が直接規制したりとか外国といいますか国同士での観測データの交換とかそういったこととは別に、大量に排出するような企業であったりそういうところまできっちり衛星で観測できるのであればそこはクレジットの生成とか今後大きくなっていくようなビジネス分野にも貢献できると思っていますのでその辺も見据えながら、さらにプロジェクトを進めていきたいと思っております。
先ほどのご議論の中でもいろいろ各省間での連携でありますとか、データのプラットフォーム一元化みたいなお話ありましたが、環境省の中でこの適用情報プロットプラットフォームというもので、必ずしも適応だけではなく気象庁であるとか国土交通省とか、農林水産省とかそういったところと協力して、この温暖化の影響を解析した結果のデータであったり、予測するツールみたいなものを、自治体や企業に公表しております。この辺を進めて、ここに来ればデータが全部見られると影響に関するデータが見られるというようなところを目指して整備をしているところです。
さらに今後観測をした結果を使ってその国民の皆様にどうやって状況を理解いただくかみたいなことも重要になってきますが、一例としてこちらにございますように、これはもう気象庁であったり、国土交通省の河川のデータとかそういったところを使った研究成果になりますが、最近台風が来るたびに史上最大の大きさだと言われるようになりましたが、それが実際の例えば2030年とか50年とかそういった温暖化した世界で、この規模の台風が来たらどのくらいの規模にさらに強まってしまうのかといったようなことをシミュレーションをして、より注意喚起といいますか、意識を高めていくようなこともやっておりまして、この辺も気象庁、文科省、国土交通省等と連携しながら引き続き進めていきたいと思っています。以上になります。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。それでは部会の委員の皆さんからご意見ご質問あれば挙手をお願いいたします。嶋田委員お願いします。
 
【嶋田委員】  埼玉県の嶋田でございます。ありがとうございます。GOSATがすごく観測に役立っているということがよくわかったのですけれども2点教えていただきたいです。このようなプロジェクト、CO2とか温室効果ガスを衛星観測するというのは、このGOSAT以外のプロジェクトというのは、世界中を見てもあんまりないとかっていうことが一つ。
今埼玉県もそうなのですが、代替フロン類、特にHFCが非常に増えていて、実際の濃度の観測などもなかなか難しいということがあって、そのHFCを観測するようなプロジェクトは想定されているのかということについて教えていただければと思います。
 
【岡野室長】  嶋田先生ご質問ありがとうございました。一つ目は世界中にないのかということですと、アメリカもOCO2、OCO3という衛星がありますが古い衛星になりますが、まだまだ観測続けておりますし、ヨーロッパでも今現に飛んでる衛星もあり、GOSATが飛ぶ2024年の次の2025年にCO2Mという新たなプロジェクトが立ち上がっておりまして、準備を進めているところで、いずれもそのCO2メタンで世界各国ともかなり関心を持っている部分でして、GOSATの強みとしては、先ほど申し上げましたような目標精度1キロメッシュで見られるところと、あとCO2メタンに加えて二酸化窒素も同時観測できますので、元々二酸化窒素はCO2が燃焼によって発生するところをクリアに設定するために同時に出てくるNO2を測るというコンセプトで設計したものですが、結果的には大気汚染の物質でもありますので、例えばインドとか大気汚染が厳しいようなところでそういったデータを使って大気環境を改善していくといったことにも新しい用途として使えるのではないかと思っています。
次にHFCですがこれは我々も本当に測れるなら計りたいという希望は非常に持っているのですが、なかなか技術的に難しいということと、排出濃度が薄いというのもありますので、その単位トン当たりの温室効果はものすごくあるわけですがどうしても測定するとなるとなかなかそこは薄くて難しいというのがございまして。そこは将来的な課題だというふうに思っています。
 
【嶋田委員】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  嶋田委員ありがとうございます。他に部会の委員の皆様、ご意見ご質問ありますでしょうか。岩崎委員、お願いします。
 
【岩崎委員】  紹介いただいたGOSAT-GWに関しては、面的な拡大、3kmの解像度向上等の点で技術の大幅な向上があると知り非常に期待をしております。途上国においては、基礎的なデータが不足している中で、今年の末から隔年報告義務が生じてきてきますので、既存の十分とは言えないキャパを補うとの観点でこのGOSAT-GWのポテンシャルは大きいと期待しながら聞いておりました。
今後の研究課題だと思いますが、都市レベルの温室効果ガス管理の検証に使うために今後どのような課題をクリアする必要があるかについて教えてください。
また途上国での適用ポテンシャルという観点では、森林保全のためのREDD+での温室効果ガスのモニタリングそして炭素クレジット取引への活用があるかと思います。今後、これらを実現していくためにどんな課題があるのか、あるいは見通しについて教えて下さい。よろしくお願いします。
 
【岡野室長】  まず都市レベルですが、こちらにありますような都市で観測をしたとしても都市での消費は例えば電力とかこの都市で測っている部分からの外からくる部分も多いですし、さらにフロンとか先ほどもありましたが、誤差等で見られないデータも数多くあるということがございます。先ほど例で挙げたモンゴルというのはかなり推計のしやすい環境になっておりまして、単純な排出、火力発電所の一つから国のかなりの部分のCO2が出ているということがありますので、できるのですがそういった複雑な排出構成を持つ都市でどうやっていくかというのは、今後その技術的に科学的にも難しくてそこは面白い部分でもあると思っています。
次にクレジットの関係ですが、この年変動が光合成による吸収と排出でかなり左右されておりまして。実際クレジット生成する方々の中には樹冠の面積とかその葉っぱの画像からどういう樹種なのか樹齢はどのくらいかみたいなそういったモデルを作って、予測値として生成クレジットみたいなことをやってらっしゃると思うのですが、そこを実際測定することによって、それが100%の精度でわからなかったとしてもこのモデルが実際の観測と矛盾しないというようなことがわかるだけでも、その生成クレジットの信頼性を確保してマーケットにアピールしていくという意味ではあるのではないかと思っておりますので、そういったところもまずは国レベル、その後都市レベルということになりますが、その後の課題として魅力的な活用法と思っておりますので、その辺も将来見据えてやっていきたいと思っています。
 
【岩崎委員】  どうもありがとうございました。引き続きいろいろと教えていただきながら、可能性探っていきたいと思います。クリアしないといけない課題が多いということがわかりましたが、途上国の研究機関や環境省も巻き込みながら、より実践型の共同研究を推進していただくと課題クリアと社会実装も早くなると思いました。ぜひそのようなこともご検討いただけるとありがたく思います。どうもありがとうございました。
 
【岡野室長】  ありがとうございます。
 
【村岡部会長】  ありがとうございました。先ほど川辺委員が手を挙げていらっしゃったようですけど、川辺委員いかがでしょうか。
 
【川辺委員】  詳しくご説明いただき、ありがとうございました。排出量の観測につきましてGOSATが非常に有効であるというのはよくわかったのですけれども、吸収についての観測もまた環境省でおこなわれているのかが気になっております。ブルーカーボンで言いますと、温室効果ガスのインベントリに今年の4月から海草や藻場が含まれると聞いております。それは日本が最も得意とする分野ですけれども、排出と吸収と統合するような取組もまた行われておられるのでしょうか。
 
【岡野室長】  ありがとうございます。そこは非常に大きなといいますか、私どももぜひやりたいと思っている部分でございます。ただ先ほどの測定原理のとこで申し上げましたように反射光を測ってるということで、海はかなり吸収されてしまってその情報があまりない。一部、サングリントと呼ばれるところについてはもちろん測定できるのですがなかなかその海洋の観測というのは苦手であるということ。あと熱帯地域とかそういった熱帯といいますか、海藻がよく育つようなところとか、その辺の部分についても雲が多くて測れないとかそういった問題もございます。ブルーカーボンの場合は、日本の吸収の方法論は実は海藻が海の中で育ち、食べられたりして普通の炭素循環の中に組み込まれてしまうので駄目で、海の深いところに沈んでいって初めてブルーカーボンとして計上できるということになります。そういった場合のそのメカニズムというのがなかなか大気観測からはかなり遠いといいますか、そこは大気に影響してくるまでが遠いため、そこの算定メカニズムと結びついたような観測が衛星では今のところはできてないというのがあります。ただドローンを使ったり、航空機、または船からとかそういう衛星まではいかないのですけども、近いところでの測定をしてブルーカーボンを確かめようみたいな、そういった研究はかなりやられておりますので、もうこれを進めていってさらに衛星の遠く離れたところからでも見られるようになれば将来の話ではありますが、可能になるかもしれない。一応そういったところも頭の片隅に置きながら次の次号機の検討については進めているところです。
 
【川辺委員】  わかりました、どうもありがとうございます。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございます。他にございませんか。よろしいですか。
私からもよろしければお聞きして、川辺委員からのご質問でブルーカーボンの話もありましたけれども、GOSAT-GWで今後観測点密度が上がるということで、陸上生態系による炭素の吸収、算定、今後気候変動が進んだ場合の生態系の炭素固定という意味での生態系機能の監視をGOSAT-GWによって、かなり期待できるのか、課題感みたいなのがあれば教えてください。
 
【岡野室長】  GOSAT自体は濃度を測定しているわけですので、そこから吸収量・放出量にするには、かなりのデータ、難しいデータ解析が必要で、国立環境研究所とかJAXAも日夜取り組まれているわけですが、その方法論をより精緻化していくには衛星観測だけでなくて我々の室の方でも取り組んでおりますが、船の観測とか、あと地上観測データとの突き合わせとか、いろいろなデータを使いながら総合的にやる必要があるというふうに思っています。論文レベルでは自然での排出・吸収、それと人為での排出・吸収というのを分けて、データプロダクトとして出すというところまでは少しずつできてきてますので、GOSAT-GWでも同じようにやっていきたいと思っています。そこについてはかなりの技術的な難しさもデータが増えますのであると思いますし、いろいろなデータを組み合わせてやるということから、そういった面での別の難しさも今後出てくると思いますので、そこはしっかり環境省としても国立環境研究所の支援をしつつ、いろいろデータ、新しいデータにも手を伸ばしつつ、そういった課題解決に結びつくようなことをやっていきたいと思っています。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございます。もしよろしければ最後に、この地球観測推進部会での今後10年の地球観測の実施方法の検討の中で岡野室長からメッセージ、あるいはその要望等あれば教えてください。衛星観測とかの地上観測との連携、様々な観点とは思いますけれども、よろしくお願いします。
 
【岡野室長】  これまで各衛星であるとか各観測であるとかを単独でやって、それでかなり深掘りしていく方向はかなりの程度できたのではないかと思うのですが、先ほどのブルーカーボンとか森林吸収とかそういったことをやろうとすると、どうしても画像データとか気温の上昇とか、あと影響に関して言えば降雨量とか、そういったこれまではその組み合わせようと思っていなかったような地球観測データ同士の繋がりみたいなものをうまくやったらもしかしたらこういう革新が生まれるかもしれない、というようなそういったトライアルみたいなものもだいぶ必要だと思ってきていまして。環境省も他のいろいろな研究費とかを使ってそういう未知の分野にはやっていこうと思っているのですが、この部会の中でもそういうデータ同士の連携で、他分野の研究者同士のコラボレーションみたいなそういったものが進む方向でもし何らかの方針が出るのであればすごくいいことじゃないかなと思っています。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございます。本日は貴重な情報とあと最後に貴重なメッセージをいただきました。岡野室長ありがとうございました。
続きまして、議題の4に入ります。議題4は、「地球観測データを用いた気候変動対策の取組について」です。本日は、株式会社Gaia Visionより北代表取締役にご登壇いただきます。資料4に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
 
【北代表取締役】  初めまして。Gaia Visionの北と申します。それでは私の方から僭越ながら発表させていただきます。本日お時間いただきましてありがとうございます。私の方から、15分ほどGaia Visionの創業に至るそういう社会背景、それから弊社が使っている技術、そして現状のビジネスで最終的に弊社がどういう社会未来像を進めているかというところについてお話させていただきたいと思います。
私が代表の北と申します。この概要ビジョンは2年半ほど前に設立しました。東京大学の新領域創成科学研究科にて爆弾低気圧の研究を行っていて、大気海洋相互作用そちらで2020年3月に環境学博士号を取得して、その後保険会社、MS&AD関連グループ会社の保険会社に就職しました。こちらで就職しているときに、結構その海外で、こういった気候データを使ったスタートアップ等が多く出てきていると研究者が自分の技能を使って様々なビジネスをやっているというところを目にしまして、自分でもやってみたいという形で創業をいたしました。今は東京大学生産技術研究所の研究員として洪水気候変動の研究をやりながら、その技術を使って会社のビジネスをやっています。この辺りはもう皆様ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、気候変動によって気象災害が非常に多く発生しています。経済損失で見ると、洪水や台風、高潮を含めますが、被害が非常に大きく、それが増加傾向にあるということが、様々なニュースからも類推されますが、統計的にもこういう傾向がございます。そしてこういった気候変動の異常気象や自然災害の増加に応じて、日本国内での保険金の支払いが、やはり多く発生していると2018年だと西日本豪雨、2019年度東日本台風などといった自然災害が発生していてそれに応じ、それの関連もあって、保険料が増加している傾向も見てとれます。
このような課題に対してこちら大学での研究でどうして気候変動がこのような金融やビジネスと結びついてきたのかということを、大学のゼミで研究していたものがあるのですが、2000年頃から企業の情報開示というものが始まってきて、2006年ESG投資という言葉ができて、2017年にTCFDという気候変動のその情報開示を、上場企業を中心にやりましょうという宣言がなされ、そして今、気候変動のリスク分析、情報開示というのは、上場企業を中心に多くの企業が実施している状況です。こちらを社会背景的には過去の事例だけを見ていた金融リスクに関して、2010年頃により先を、リーマンショックを受けてより先を見ていかなければいけないという、そういった金融機関での認識が広まり、最終的に2020年頃にはもうコロナや気候変動といった、新しい不確実性シナリオに対して対応しなければいけない、気候変動がトップのシナリオであるというふうに認識されているようです。この気候変動、この金融界を中心に気候変動のそのリスク分析が広まって、そして気候関連災害が世界で増加しているというところから、気候のリスク分析、異常気象、こちらの情報開示をしていかなければいけないという重要性が非常に広まったという認識です。このリスク分析をするにあたって結構、研究者の方々だとご存知かとは思いますが、実際に気候のリスクを例えば2021世紀末まで分析しようとすると、どのデータを使うのかってどういうデータ分析をするのか、そしてさらには企業の情報、どこに立地していて企業の建物の脆弱性がいくらで財務的にどんな脆弱性があるのかというのも様々の情報を入れて分析しなければいけないということで非常に難易度が高いという分析が必要です。
そういった実際に世界バックグラウンド的に必要なニーズが高まってきたところもあって、世界中で多くの気候関連のスタートアップが立ち上がってきたという背景がございます。我々のようにその気候のシナリオデータ使うものまであれば、脱炭素系や炭素会計といったソフトウェアを作る企業たくさんありますが、今の世界的には非常に日本を含めて活気があるところです。これは特に気候データを使っているスタートアップについて申し上げますが、Jupiter Intelligence、oneconcern、Descartes Underwritingとか様々な分野で気候関連のスタートアップが立ち上がっていて気候データが多く使われている。それはシミュレーショのデータであったりその観測データであったり、スタートアップによって、やはり中で研究者を抱えてそれをビジネスにしていくということをやっているようです。ここから弊社のお話に参ります。Gaia Visionは、先ほど申し上げた通り東京大学発の気候変動スタートアップとよばせていただいています。特に私自身のそのバックグラウンドとして気象シミュレーションを研究としてもやっていたので、その気候変動シミュレーションと洪水シミュレーションを用いてリスク分析のプラットフォームを提供しており、これまで上場企業様を中心にお仕事をさせていただいています。
私達が目指す姿として、こういった先ほどの金融のルールが様々ありますが、こういったルールは民間企業で実際に対応されているものの、そこから次のアクションに繋がっていかない。気候変動の分析をしたけど、実際にこの気候変動が進んでいる中で、異常気象とか、地域のリスクに対しても対応しなければいけないが実際にその対応がまだ十分になされていないというところを課題だと思っています。その中で私達が理想とするのは、この国際的なルールに従って今の企業も評価するし、自治体もリスク評価をするしそれに応じてパブリックセクターが、リスクの対策や企業と協力して対策していくというところが、やはりお金の流れとして、企業も含めて気候変動対策していく。そして日本社会全体で気候変動対策をしていくということを理想として、仕事をやっております。
洪水の技術としまして、2000年頃にSRTM3で毛利衛さんが観測されたグローバルの標高データがございます。そちらの標高データがデータ化されたのが2007年とか8年頃で、そこから標高データが揃ったので地形のパラメタリゼーションが行える。そして川のネットワーク構造がわかったということで、この右にあるグローバル河川氾濫モデルCaMa-Floodが誕生したという背景がございます。今のこういった観測データがあって、更に計算機や水文学の発展というものもあって、2010年頃にこういったCaMa-FloodやMERIT-Hydroといったグローバルの水文学シミュレーションができてきたという背景がございまして、それを私達が使わせていただいてるということになります。そうすると計算効率が非常に速く、サブグリッドのパラメタリゼーションとかを使ってるので計算が非常に速くできます。それを使うと、私達のご提供させていただいているのがグローバルの高解像度のハザードマップになります。堤防やダムもこれから表現するところですが、標高データや、グローバル降水量の観測データや、河川流量の観測データがあって、それを再解析等で使いながら最終的に精度を評価してグローバルのハザードマップを作ることができるということが、我々が提供させていただいているサービスになります。
こういったところで我々のビジネスは、観測データや地球のシミュレーション、気候のシミュレーショに非常に支えられているところでございます。これまでハザードマップを使ってリスク分析をしていたのですが、最近では東京大学生産技術研究所とJAXAと一緒に洪水を天気予報のように予報する事業の研究開発に取り組んでいます。こちらもシミュレーションのデータを気象庁からいただいたりしながら、観測データを用いながら洪水のシミュレーションをして、そこからさらに人口データや建物データを含めると、災害の予報ができるという新しいサービスを今開発して、もうまもなくリリースする予定でございます。他にもAIと我々のシミュレーションを使って、さらにそこから衛星データ(SAR)を使って、降水量から浸水を直接予報するという技術にも取り組んでいます。そうすると非常に計算時間を短くして、氾濫の予報とかができるので、こういったサプライチェーンのリスク分析等にこれから展開していく予定です。
最近だと国交省から衛星データを利用して、河川と土砂災害を予測するという新たな助成金をいただくことができ、さらに人工衛星データを中心に、我々技術開発を行って、データ同化等を用いながら、更なる技術開発を行いサービス展開していく予定です。
ここからビジネスの話に行きます。我々が展開しているサービスとしてはリスク評価、リスク予測、それからリスク軽減というのが中心のサービスになっています。まずこのリスクの評価に関しては、Climate Visionという気候変動のリスク分析を行うWebアプリケーションがあります。こちらは、企業の位置情報とかを入れていただくと、現在気候においてその周辺の洪水リスクがわかるだけでなく財務影響として、洪水が発生したときにどれぐらいの被害が出るかと、それがさらに将来どれぐらいになるかということも情報として提供できます。それがNECに例えば使っていただいたりとか、国土交通省のガイドライン載せていただいたりということで、少しずつ拡大させているところです。こういった技術は、損害保険会社等が従来使ってきた技術やソフトウェアであります。ソフトウェアに近いものでありますが、こういったものを我々のようなスタートアップでも、今の計算を速くしてソフトウェアの開発も非常に素早くするとこれまでのコストよりも十分低く、いろんな企業にご提供サービスができるということで、我々のビジネスを少しずつ拡大させています。気候変動について皆さん、多くの企業では十分にご存知ない。特に定量的なデータはなかなか扱ったことことがないということで、我々のサービスをそのままデータを提供しつつ、企業にわかりやすい形で財務影響評価ということも行うので、例えばメーカー等にその説明性がある、情報開示に使えるという形で評価、お使いいただいています。最近は洪水の予報ソリューションにも取り組んでいます。こちらWater Visionと名付けていますが、1時間ごとに洪水の予報を天気予報のようにしていくサービスになっています。こちら2019年の東日本台風の長野県千曲川の氾濫の我々のシミュレーション結果を載せていますが、新幹線が水没してしまったところを先に予報情報提供しておけば、こういった被害も減らせたかもしれないと考えております。これはまだ開発したばかりのですが、今後自治体や民間企業にご提供させていただく予定です。これまで我々無料版のアプリケーションも提供しているのですが、優秀で細かく分析するという形で18社さんにこれまで有償でご利用いただいています。これまで様々な市場調査やヒアリングをしてまいりましたが、その中でこの実害の発生と打ち手の可能性、それからの資金が流れる可能性っていう形でこのマーケットが非常にまだまだ成長の余地があると考えています。様々これまで課題はあったと思いますが、私達のビジョンとしましては、精度の向上、それから実際に意思決定、アクションに繋がるサービスの提供、それから最終的には気候変動に対する適応を、ハードもソフトも両方手がけたいと考えております。
最終的に、新しくやっていることとしては洪水の対策、堤防やダムとかを設置したときに被害をどれぐらい下げることができるのかっていうことも、分析調査結果としてご提供して、実際に気候変動の適応アクションを喚起するようなそういった取組を進めています。
最終的にやはり気候変動の適用に向けて、金融も含めて様々なファイナンスが世界中で今組成されています。やはりそれは気候変動が待ったなしの大きな課題であり脱炭素をしていても、やはりどんどん異常気象とか災害が進んでしまうということで皆さん、国際的にスピードアップして資金が流れています。もちろんまだまだ不十分なところ、気候変動に対して不十分なところがありますが、それが少しずつ進んでいき、気候変動対策のトレンドに我々も持っていきたいと考えています。
最終的にはこの21世紀の先まで、これまで気候変動が、地域スケールも時間スケールを短いところまでしか見えなかったものを、そういったグローバルの気候シミュレーションや観測データとの掛け合わせ、AI等を用いながら資産運用や保険、サプライチェーン、レジリエンスの文脈で、地球スケールで、最適解な具体的な行動を取れるような、そしてサステナビリティの行動の結果が継続可能な社会にしていきたいとは思っています。
こういった気候と社会を繋ぐためのツールを今後我々も開発させていって、サスティナブルを通して社会貢献をしていきたいと考えています。以上になります。ご清聴ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  北様、ご説明いただきましてありがとうございました。では部会の委員の皆さんご意見ご質問があればお願いします。若松委員お願いします。
 
【若松委員】  リモート・センシング技術センターの若松と申します。本日は非常に興味深いかつ意義の高い取組についてご紹介いただきましてありがとうございました。
12ページにお示しいただいた目指す理想の世界を実現していくためにはおそらく今後この国際的なルールを満たすための予測モデルとか、評価のモデルの国際的な標準化だとか、国際的なお墨付きみたいな話が必要になってくるというふうにも思ったのですけれども、そのあたりもし何か取り組まれてるようであれば、教えていただければと思います。
 
【北代表取締役】  ご質問ありがとうございます。そうまさにお墨付きというところは我々非常に重要だと思っています。世界的に見るとやはり例えばこのFATHOMとかは世界銀行やGoogleに使われていてそれで信頼性を獲得されてといった事例とかは聞いています。このお墨付きでいうと、我々も国土交通省のガイドラインに載せていただいて、非常にそのあたりで信頼性を築けているという理解はあるのですが、実際にそれがちゃんと皆さんに認められるためにはやはりちゃんと皆さんに使い続けてもらわないといけないという形でぜひこういったグローバルなブランディングのところは必要になっていきます。その辺りでは今度TCFDであるとかそのUNEPとかよりあるいはそうFSBとかよりグローバルな国際機関に対して、お墨付きをいただく、ということが必要になってきます。その中でここは最近国土交通省や環境省とも議論させていることはあるのですが国際的なルール、気候変動のそのリスク分析を日本から国際的なルールを作っていこう。ISOとかにしていこうっていう動きが今あるのでそれも我々できるだけ協力させていただいて、むしろ我々がルールを作っていくという気概で今後臨めたらなとは思っています。
 
【若松委員】  ありがとうございました、期待しております。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。では続きまして岩崎委員お願いします。
 
【岩崎委員】  期待がすごく感じられるご説明ありがとうございました。日本企業が海外に進出していく中で、自らのビジネスのリスク評価と対策のために御社の技術が使われているという話を先ほど伺いました。開発途上地域と言われている国で、御社が開発した洪水予測のシミュレーションを実際に実装しているようなケースがあるようであれば、日本で行うことと比べてその有効性の違いや課題について教えてください。途上国の場合には、地上観測データ等の既存データが限られているという制約があり、また洪水防御のためのハードの整備が日本に比べて遅れています。このようにデータが不足しがちでありリスク度が高という状況の中でも御社の開発されたものが、どの程度今使われていて、適用にどのような課題があるかについて教えていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【北代表取締役】  ご質問ありがとうございます。まさに今おっしゃられた課題というのは我々も非常に強く感じています。やはり途上国での精度、信頼性のあるデータが非常に得にくいというのは非常に課題です。我々もフィリピンやベトナムなど東南アジアを中心に、事業展開の可能性を探るために現地に行ったりとかしているのですが、一つは現地でのその防災に関する投資が日本ほどまだ進んでいなかったり、そういった治水に対して自治体が進めていないっていう事実はあるのですが、我々の課題としてはやはりその観測データ、シミュレーションデータがないと、日本だとレーダー、アメダスとか、様々な信頼性の高い観測データありますが、海外ではGSMaPとか、ECMWFや、気象庁JSMとか、ロー・レゾリューションのモデルデータしかないので、それを例えば洪水で計算するとなるとなかなか精度が出なかったり、計算してもバリデーションに使えるデータがないため、なかなかその信頼性を示すことができないっていう課題は強く感じています。
この辺りは、観測機器を扱うメーカー等とも話して、海外展開の上でその特にハードウェアと我々のようなソフトウェア両方提供することで洪水対策をハード・ソフト一体でできるというソリューションを作って、途上国に提案しようとしています。今後、観測網が途上国も含めてより整備されることが、我々にとってはとっても非常に望ましいことだと考えています。
 
【岩崎委員】  ぜひよろしくお願いいたします。気象庁の協力を得ながら気象予測の部分は大分進めてきておりた結果、命を守るために災害から退避するということは途上国の方も進んできて、かつてに比べたら人的損害は減ってきています。しかしながら、先ほどもお示しがあった通り、引き続き経済的損失が大きい状況です。ソフトのみならずハードの支援もしっかり進めなければいけませんが、リスクがなかなか見えないということもあって、大きな投資が必要となるハード部分の整備が進んできていません。仙台防災枠組みで言われるところの「事前防災投資」がなかなか進まないという悩みを抱えております。ぜひ御社のような技術を使ってリスクの見える化をして公的な事前防災投資が進むようなことを期待しております。引き続きどうかよろしくお願いします。
 
【北代表取締役】  よろしくお願いします。
 
【村岡部会長】  ご議論ありがとうございます。他にございませんか。赤松委員お願いします。
 
【赤松委員】  国際航業の赤松と申します。本日は大変素晴らしいモデル・仕組みを、ご紹介いただきましてありがとうございました。これからの展開が非常に期待できるというふうに考えております。
一つご質問は、今ちょうどビジネスが立ち上がっていく途中かなというふうに思っているのですけども、その中でこの仕組みをさらに拡大していく、ないしは社会実装を進めていく上での課題として何かご認識されていることがあれば教えていただきたい。あとそれに関連して地球観測に対しての課題とご期待というのがあれば、教えていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
 
【北代表取締役】  ありがとうございます。まず事業を拡大させていくための課題としまして、やはりより精度のいいデータっていうのは必要です。我々シミュレーションやるだけなら非常にスピーディーにできるのですけど、それを実際に企業や自治体に買ってくださいっていうためには精度が良いであったり、これを使うとどういう効果が出るかっていうのを具体的に示す必要があるのですが、そのための検証データが非常に少ない。あるいはこのデータを使ってるから、精度がいいですっていうと非常に言いにくいという課題があります。それ海外は当然なのですけど日本でもやはりデータ、観測データも、最初だったらどのデータ使ったら信頼性が得られるかとか、河川流量の観測もやはりポイントポイントでしかないので、十分に観測データが得られなかったり、その得るためにコーディングの手間がかかったりすることもあるので、より使いやすい精度の高いデータをより使いやすくしていく。それはシミュレーションについても観測についてもそうですが、両方必要だなと思っています。その中で観測データはバリデーションに使えるということで非常に重要だと思っています。我々だと、雨とか河川流量っていうところになりますが、今後猛暑とか強風とか、高潮等にも今後対応していく予定ではありますが、そういったその極端現象の観測値がやはり非常に少ない。例えばそういうときに観測機器が、やはり観測値の閾値をオーバーしてしまってデータが十分に得られなかったりとか、そういったケースで極端な現象であればあるほどデータが出にくかったり、観測値がなかったりする。そういったデータをより集めていくとこういった洪水や災害に対する対しての対策を過去はどうでこれからどうしていったら良くなるのかっていうのが言うことができるので、そういった極端現象の観測というのが非常に重要だと思っています。
 
【赤松委員】  ありがとうございました。そうしますと、衛星データというよりは、むしろオンサイトの検証に使えるようなデータがもう少し充実していってほしいという感じでしょうか。
 
【北代表取締役】  結構オンサイトのデータの利用は、やはり我々としては信頼性があると思っています。衛星データも今後、実際にSRTMとか使わせていただいてるので、非常に重要だとは思っています。それがあると、さらに今度どっちかでシミュレーション側がよりアップデートできるので、そこのインパクトが十分大きいと思っています。
 
【赤松委員】  なるほど。衛星データの分解能が上がればそちら側もまたアップデートできるし、予測自体もアップデートできる。検証はオンサイトのデータがもう少し充実してくれば精度を高められるという感じでしょうか。
 
【北代表取締役】  おっしゃる通りです。
 
【赤松委員】  わかりました。ぜひ期待しております。ありがとうございました。
 
【北代表取締役】  ありがとうございます。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。では最後に川辺委員お願いします。
 
【川辺委員】  ありがとうございます。お話をお伺いして非常に素晴らしい技術を展開されてると感心しました。お聞きしたいのは、リスク評価をして、それが検知予測に繋がるとリスクを軽減できるということで、とても新しいことだと思います。けれども、ビジネスとしてやっていかれると、そのリスク情報について知りうるのは、お金を払うことができる方たちだけなのかなという気もします。そうしますと、例えば洪水の情報について途上国でこれを用いる場合に、住民の方たちと企業などとの間に情報の非対称性が生じてくるかと思います。そこで重要になるのがリスクコミュニケーションをどうおこなっていくかだと思うのです。リスクコミュニケーションは、おそらくこの技術開発に直接は関わらないとは思うのですけれども、その適用を考えるときには重要なことではないかと思っております。もしそれについて何かお考えありましたらお聞かせいただければと思います。
 
【北代表取締役】  非常に重要なご視点ありがとうございます。まず事業性やその情報の非対称性をどう提供していくか、どう切り崩していくかっていうところをお話させていただきたいと思います。こちらしっかりその最後のスライドで少しお示しさせていただいた、そのデータツールが非常に重要だと思っています。こちら、皆さんがいかにストレスフリーに使えるかっていうことが重要で、使える人が少なければ少ないほどその情報がより広まっていかない。一部の人に制限された情報になってしまっていくと思います。そうすると、その情報を引き出すだけでも、1回、1回メールをしたり、その人にご意見を伺わないと、その情報が取れないということで、非対称性が強まっていくと思います。
私達はこういったデータをより多くの人に見られるように、専門家でない人にも見られるように作っていって、多くの人が同じデータで同じように見て意思決定をしていくようなサービスを提供させていただきたいと思っています。そのリスクコミュニケーションに関しては、その社会性や倫理感といったところをやはりその担保する。どう担保するかっていうポイントですが、こちらに関してもELSIといった多分そういった研究分野があるとは思うのですけど、実際にこの災害を予防するっていうのは、実際に予防した際にその地域の方々に真剣にダメージを与えるものだとは思っています。ただ全てを見せるのは、必ずしも幸せなことを生まないとも思ってはいるので、この辺りは今まさに東京大学とこれからJST関連の研究で何かしらやろうかなっていうのはあるんですが、東大で特に社会性、アカデミア研究や倫理感やその社会性を研究している方々と一緒にアプリケーションのインターフェースとか機能等を今後考えて、よりユーザーに心理的にも物理的にも優しいようなソフトウェアをご提供させていただきたいなと思っています。
 
【川辺委員】  どうもありがとうございます。私も期待しております。
 
【村岡部会長】  ご議論いただきましてどうもありがとうございました。お時間参りました。本日はGaia Vision北代表取締役から貴重な情報をいただき、部会委員との意見交換をしていただきました。北様どうもありがとうございました。
 
【北代表取締役】  ありがとうございました。
 
【村岡部会長】  それでは議題5に入ります。議題は「次期今後10年の我が国の地球観測の実施方針に関する論点等について」です。事務局から資料5-1および資料5-2に基づいて説明をよろしくお願いいたします。
 
【松原推進官】  まず、資料の5-1により、次期実施方針に関する論点について説明します。前回の第3回部会でのご議論を踏まえ、現時点での論点を取りましたところです。大きな項目立ては変わりませんが、共通的・基盤的な取組の項目と分野別の取組の項目の順番を入れ替えたことと、1月の第3回部会でのご意見を反映したため、主な変更部分を中心に説明させていただきます。まず1ページ目の1ポツの実施方針の位置づけについての二つ目の項目で、前回部会で10年間同じ実施方針のままということは、あまり適切ではないのではないかというご意見をいただきましたので、IPCC等の国内外の動向を踏まえ、次期実施方針の対象期間をどの程度の期間とすべきか、引き続き10年間の方針として途中で見直しをするか、あるいは5年程度更新をするかという形で書き直しをしております。
また、3ポツのところですが、海洋分野での議論の中で、三つ目の「G7科学技術大臣会合」という国際的な枠組み、その次のページ、二つ目の「海洋分野(国連持続可能な開発のための海洋科学の10年)」を追記しています。さらに最後のところで、第3回日本学術学会の見解についてご議論いただいた中で、「グローバル観測システム」のご議論がありましたので、追記をさせていただきました。
4ポツについて、後ろの三つの部分についても項目を追記しました。「データ利活用を進めるうえで、データの保守・保管・運用管理などの責任をどの主体が担うべきか」、「推進体制や産学官の役割分担を含め、データを有効に利活用するためのインフラ(データプラットフォーム、デジタルツインを含む)の整備を含めた枠組みをどのように設定すべきか」、「自治体等におけるデータの利活用のギャップどのように埋めていくべきか」という項目を付け加えています。
その次の3ページですが、(3)インフラのところで、「データアーカイブ」についてご意見をいただきましたので追記していることと、前回のNTTデータからのヒアリングを踏まえ、「地球観測インフラの利活用を促進するためには、早い段階からユーザーの意見を十分反映しつつ、整備をすることが必要ではないか」という意見をいただいたので、追記しています。
3ページ6ポツの分野別の取組について、生物多様性に関連して2ポツ目と3ポツ目を少し変更しております。まず、「生物多様性に関する項目を独立した項目とすべきである」としました。また「IPCCとIPBESの連携等の国際的な動向を踏まえ、生物多様性と気候変動との両立も意識していくべきではないか」を追記しています。資料の5-1は以上です。
なお、地球観測連携拠点についても意見もありました。地球観測連携拠点ですが、平成16年に策定された「地球観測の推進戦略」にも記載があり、これまでの部会でもその活動について報告がありました。ただ、現状では、必ずしも活発に活動しているという状況ではないと考えております。議題1でも説明させていただきましたが、IPCCの第7次評価報告書のサイクルが始まったところで、温室効果ガスや短寿命気候強制因子等の検証が求められています。一方、部会の議論でもあった通り、データバリューチェーン、あるいは地球インテリジェンスなど地球観測の成果の利活用が重要となってきている状況でもあり、地球観測を進めていく上で必要な体制の整備等を含め、引き続き議論いただきたいと考えています。
次に、資料5-2が、今後の部会スケジュールについてです。本日の部会では、「気候変動」をテーマとして議論いただいたところです。次回は、5月頃に想定をしておりますが、「防災・減災」分野について議論いただき、さらに7月の第6回では、「生物多様性」分野について議論いただこうと考えております。あわせて何らか実施方針の骨子のようなものを示していきたいと考えております。後半となる9月以降は、より横断的な分野について議論をいただこうと考えており、これまで部会での議論を踏まえてTCFDやTNFD、あるいはデータの利活用等について議論をいただきつつ、実施方針の最終案、あるいはその策定に向けた議論をいただき、来年の1月頃に実施方針を策定いただきたいと考えています。事務局からの説明は以上です。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。ただいまの件について10分弱の時間をとりまして意見交換、議論をしたいと思います。まず、部会の委員の皆様ご意見ご質問等あればよろしくお願いいたします。赤松委員お願いします。
 
【赤松委員】  国際航業の赤松でございます。前回の意見を踏まえて構成いただきましてありがとうございました。1点だけすごくマイナーなお話なのですけれども、4番目の地球観測・予測データの利活用の促進のところの下から二つ目のポツのところで、推進主体や産官学の役割分担、インフラの整備を含めた枠組みをどのように設定するべきかということで。何度も申し上げて申し訳ないのですけども、ヨーロッパのコペルニクスの仕組みの中の非常に重要な点はプログラム実施に際して、メインのユーザーとなっている官公庁とそれから実際にデータを提供するプロバイダ、これは産学官から構成されているのですけれども、そこが最初の段階からしっかりとした推進体制を作って進めているんですよね。インフラの整備もあるのですけども、やはり実施体制をどう組んでおくのかということは非常に重要かと思いますので、この「インフラの整備」というところに「インフラと実施体制の整備」というふうに「実施体制」という言葉を入れていただけるとありがたいと思います。私からは以上です。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。
 
【松原推進官】  おっしゃられた通りだと思います。4ポツで「インフラ」と書いていて、かつその3ページでも「地球観測のインフラの整備」と書いていて、重複している部分があると思います。「利活用の促進」について、実施体制という文脈で記載し、反映していきたいと思います。
 
【赤松委員】  ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。他にご質問ご意見ございませんか。川辺委員お願いします。
 
【川辺委員】  ありがとうございます。質問なのですけれども、この実施方針を進行・管理する方はいらっしゃるのでしょうか。
 
【松原推進官】  実施方針は、地球観測推進部会で策定され、関係府省も含めてそれを踏まえた取組が行われていくことになりますが、実施活動のフォローアップについては、この部会でしっかりと確認していくことになると考えています。
 
【川辺委員】  わかりました、ありがとうございます。あともう一つ、聞き逃したのかもしれないのですけれども、前回の「今後10年の実施方針」に対する評価は、まとめた形で出されておられるのでしょうか。
 
【松原推進官】  今次の部会においてはフォローアップの報告書は出ていませんが、3年前にフォローアップを行っています。第1回部会で紹介させていただいた、3年前の時点でのフォローアップと、現在、各府省に対してヒアリング行っているところですが、その中で、どのような取組をしているかを確認いただきたいと考えております。今からフォローアップをしてというと時間的に厳しいので、ヒアリングの場も通してフォローアップし、過去のフォローアップも参照しつつ取り組んでいただきたいと考えています。
 
【川辺委員】  わかりました。時間的な制約がある中でフォローアップしながら新しいものを作っていくっていくのは難しいと思うのですけれども、実施方針の位置づけとしてバックキャスティング型にはとてもよいと思いますが、やってみて、うまくいったのかいかなかったのか、どうしてそれがうまくいったのかまたはいなかったのか、という評価をしないと、なかなか今度はこうしましょう、というものを出すのが難しいように思いました。以上です。ありがとうございます。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。松原推進官、どうぞ。
 
【松原推進官】  それは重要なところだと思います。まず、しっかりと部会でチェックできるという形にするということ、また、今次の部会で、実施方針を10年ではなく、途中で見直すか、5年程度の方針にするか議論いただくことになりますが、時間を区切って、実施方針が策定された時点とそれほど変わらない時期に、しっかりとフォローアップできるようにすることが必要であると思います。10年の実施方針では長すぎてしまうので、フォローアップの実効性という観点からも、もう少し実施方針の位置づけあるいはその期間を見直していく必要があると考えています。
 
【川辺委員】  私もそのように順応的に対応できる形になっているとよいと思います。以上です。
 
【松原推進官】  ありがとうございます。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。続きまして嶋田委員お願いします。
 
【嶋田委員】  埼玉県の嶋田でございます。2点お願いがありまして、一つは4ポツのところに自治体等におけるデータ利活用のギャップをどう埋めるかっていうことが書かれているのですが、ご案内のようにこの1年ぐらいで自治体には生成AIの利用だとか、ノーコードツールの利用とか、そういったものが急速に入ってきていまして、一定程度、データを直接扱えるようなスキルっていうのは上がってきているというふうに感じています。とはいっても、DIASのデータを直接扱えるようなことは全くないわけで、そこを埋めるようなデータの提供を一つ考えていただきたいなと思っていまして。気象庁も、XMLとか汎用のデータフォーマットで気象データ公開していただいておりますけれども、そういった方向性というのを議論していただきたいというふうに思っています。
あとライセンスの問題もあって、クリエイティブ・コモンズみたいな自由に使えるようなライセンスが大事だなと思っています。今後のヒアリングの中で、可能であれば専門家から話を聞きたいなというのが一つあります。
あともう一点なのですけれども、市民科学について記述していただいたのですけれども、市民科学という言葉自体は多分20年ぐらい前から結構使われているのですが、今注目されている市民科学というのは、その頃のものとは多少違って、ビッグデータの活用とか、データサイエンス的な基礎に基づくような市民科学が急速に進んでいて、例えばスマホを使った生物調査とかそういったものが典型だと思うのですがそういったものをどう活用していくのかっていうことも、すごく大事だと思っていまして、これもヒアリングの中で可能であれば、そういう分野の先生から話を聞いたらなというふうに思っております。以上でございます。
 
【松原推進官】  まず、データの提供の仕方についてより利便性を高めた方が良いのではないかというご意見については、おっしゃる通りだと思います。データバリューチェーンの中で、わかりやすいデータを提供し、それを直接使っていただくという方法もあると思います。また、ある程度加工が必要な場合には、間に立つ主体も必要になるという議論もあると思います。その両方を議論する必要があると思います。
それから市民科学について、市民科学、生物多様性において元々重要ではあったのですが、さらにスマホとか使えるようになり、そういう新しい潮流も踏まえていくことも重要だと思います。ライセンスなどの新しい手法についての専門家については、9月以降に向けて確認していきたいと思いますが、2、3回のヒアリングの中でスロットを設けることができるのか、どのような専門家がいるのかも踏まえて、検討していきたいと考えています。
 
【嶋田委員】  時間的な制約もありますのでそこはご検討いただければというような程度で考えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【村岡部会長】  ありがとうございます。では最後に岩崎委員と岩谷委員、手短にお願いいたします。まず岩崎委員お願いします。
 
【岩崎委員】  論点のご説明ありがとうございました。先ほど議論されていました10年間あるいは5年間の方針とするのかというところと関連してのコメントです。今回の実施方針の一つの国際的な背景になっているSDGsに関しては、そろそろポストSDGs、ポスト2030年という話が開始されています。実施方針を10年間の方針とした場合には、このポストSDGsの動向を踏まえて見直していくことは必須になってくるのかなと思っています。このため、ポストSDGsの動向も横目で見ながら実施方針の期間は決めておく必要があると思いました。
二点目といたしましては、本日紹介されたGOSAT-GWのように、今後、打ち上げが予定されているより先進的な衛星によって、地球観測技術が社会に与えるインパクトは大きく変わってくると思いました。ALOS-4も、打ち上げが段々と現実のものとなってきていると理解しています。今日本が開発している最新の衛星のポテンシャルも改めてしっかり勉強させていただきながら、実施方針の検討を重ねる必要あるかなと改めて思いました。
最後に、そうした先進的な技術をもった衛星が上がれば上がるほど、それを現場で活用するデータバリューチェーンと言わる過程において、今日のGaia Visionのような衛星技術を活用しそれをユーザーに届けるような方々の役割というのが一層重要になってくると思いました。このデータバリューチェーン形成において関与される主体が多様になってきていると思いますので、この部分ついても最新の状況をよく認識した上で、実施方針を仕上げていく必要があるかなと思いました。以上になります。
 
【松原推進官】  ツールも増えて、主体も増え、かつプロセスも増えてことを記載しつつ、一体どこにフォーカスを置くのかというところも含めて、議論していただきたいと思います。
 
【村岡部会長】  最後に岩谷委員からお願いします。
 
【岩谷委員】  すいません。時間のない中、ありがとうございます。本日、利活用ところで、Gaia Visionからお話を伺ったりとかしましたけれども、実施方針のところに地球観測に関わる人材育成というところがあるのですけれども、ぜひ私は人材育成の中で、大学の学生もそうなのですが、中学生・高校生の実際の教育現場で、地球観測データが何か教材として使われているのか、何か授業の中、教育の中で活用されているかという事例をもしそういうお話ができる方がいらっしゃったら少しお話を聞きたいと思います。何かデータを利用するのに課題があるのか、だいぶデータを入手しやすくなってると思うのですが、そのあたり今の教育現場の話も一言聞けたらありがたいだと思っております。以上です。
 
【松原推進官】  また検討させていただきたいと思います。
 
【村岡部会長】  皆様どうもありがとうございました。時間が押してまして、申し訳ありません。多くのご意見と議論いただきました。また、いただいた議論も論点も全て見ながら私と事務局とで整理しまして、次回以降の会議でまた皆さんと議論したいと思います。特にその論点の1のところで方針の位置づけ、その後のフォローアップ等々のところはいろいろな国内・国際的な動きといいますか、目標や課題、対応課題、問題解決というそのタイムスケジュール的なものも見ながら、どういうふうな時間軸を設定すべきかということも、今後皆さんと議論できればというふうに個人的には考えております。どうもありがとうございました。駆け足となりまして申し訳ありません。
では次に議題6、その他でありますが、特に用意してございませんが委員の皆さんから、何か今ここで指摘しておいた方がよいということがあれば、よろしくお願いいたします。よろしいですか。ありがとうございます。後ほどでも結構ですので、お気づきのことがあれば事務局にご連絡ください。次回以降の部会の議論に反映できるように考えていきたいと思っています。
では最後ですけども本日予定されている議題は以上で終わりました。活発なご議論いただきましてどうもありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
 
【事務局】  事務局から連絡事項でございます。本日の議事録につきましては、後日事務局よりメールで委員の皆様にお送りいたします。委員の皆様にご確認いただいた後、文部科学省のホームページで公表いたします。また次回第5回会合につきましては、後日、日程調整等のご連絡をさせていただきます。事務局からは以上となります。
 
【村岡部会長】  どうもありがとうございました。それでは以上をもちまして、第10期地球観測推進部会の第4回会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。


―― 了 ――

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