令和7年1月10日(金曜日)16時00分~17時30分
オンライン会議にて開催
原澤主査、関根主査代理、本郷主査代理、伊香賀委員、石川委員、大久保委員、堅達委員、佐々木委員、佐藤委員、田中委員、中北委員、藤森委員、本藤委員
堀内研究開発局長、山口環境エネルギー課長、田村環境エネルギー課長補佐 他
【田村(事務局)】 ただいまより、第12期環境エネルギー科学技術委員会の第3回会合を開催いたします。 冒頭進行させていただきます、環境エネルギー課の田村と申します。 本日はオンラインの会議となります。オンラインで発言される際はビデオ、マイクをオンにしていただいて、発言されない場合はオフにしていただきますようお願いいたします。 また、御発言いただく場合は、「手を挙げる」ボタンを押していただくか、チャットにてお知らせいただきますようお願いいたします。 御指名を受けて発言される場合は、マイクとビデオをオンにしていただき、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。 また、議事に入る前に、本日の資料として、議事次第、資料、参考資料のファイルを事前にメールでお送りしております。不備等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。 本日の出席状況ですが、竹ケ原委員が御欠席されております。また、田中委員は途中から参加されると御連絡をいただいております。 事務局は、研究開発局長の堀内以下が出席しております。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の議事は全て公開になります。議事録、会議資料は後日文部科学省のホームページに掲載いたします。 事務局からは以上でございます。ここからの進行は原澤主査にお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。主査を担当いたします原澤です。本日もよろしくお願いいたします。 それでは、早速議事に入ります。 議題1は、「(1)環境エネルギー科学技術分野の令和7年度予算案、令和6年度補正予算について」です。 それでは、資料1-1及び資料1-2に基づき、事務局より説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 【田村(事務局)】 事務局から、資料1-1に基づきまして御説明させていただきます。1頁目を御覧ください。 1頁目、全体、カーボンニュートラルの実現に貢献する研究開発という資料になってございます。こちらの方で全体像をお示ししております。 この左側と下の赤枠で囲んだところの事業が、本委員会の検討対象ということになってございます。 右側の核融合は別の委員会で御担当いただいているところでございます。 それぞれの事業について、概略をこのあとそれぞれ簡単に御説明させていただければと思っております。 2頁目を御覧ください。先端カーボンニュートラル技術開発(ALCA-Next)について、引き続き研究開発するということで、令和7年度予算案として22億円を計上しております。 事業概要は、大学等における様々な基礎研究を推進することによって、様々な技術シーズを育成するという観点から、スモールスタートで小さな技術シーズを育成していくということで、研究開発をJSTで支援しているという事業になってございます。 事業概要のところに記載しておりますが、カーボンニュートラルを達成するための重要となる技術領域を複数設定しまして、幅広い領域でチャレンジングな提案を募るということで、若手研究者の方々にも広く参画いただき、事業を運営しております。 ステージゲート評価というところに書いてございますが、最初はスモールスタートで探索研究をしていただいて、そのあと本格研究にどんどん移行していくというスキームで運営しております。 右側にございますが、令和7年度は、継続43課題分、新規10課題分、あとは未来本格型継続1課題分と新規移行2課題分の推進に必要な予算案として、22億円計上しております。 次に3頁目をご覧ください。大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発として、約4,000万円計上しております。 こちらは、地域の自治体が脱炭素化に向けた計画を策定して、まちづくりや産業政策を転換することが必要ということで、それに必要な知見を大学が提供するために基盤的な研究開発を推進するということを、文部科学省の事業で支援しているというものでございます。 また、実施内容2になりますが、大学間ネットワークを構築して、カーボンニュートラル実現に向けた大学や地域間の連携を支援するという取組を行っております。 研究内容といたしましては、例示として、北九州市や宇都宮など複数地域の実データを収集・分析して、例えば、エネルギーや交通、建築など、様々な分野の社会経済的な影響も加味しながらシミュレートできるモデルを検討、研究し、最終的には、脱炭素地域計画支援システムというものを構築するということを目指して、東京大学に代表機関として研究を進めていただいているものがございます。 それと関連いたしまして、右側に「カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリション」というものがございます。事務局は京都の地球研になりますが、こちらの事務局経費をこの事業で支援しているというものでございます。 次、4頁目に移らせていただきます。気候変動予測先端研究プログラムでございます。 こちらは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への貢献や、国内外の気候変動対策の基盤を支える科学的な知見を創出するということで、文部科学省で支援しているというものでございます。 ユーザーのニーズを踏まえながら、地域別の予測、近未来予測、AIの活用といったものを意識しながら、気候変動対策のために必要となる気候予測データの利活用の創出の推進をすることを目標としておりまして、それぞれ4つの領域で研究開発を推進していただいております。 領域課題1では、全球気候モデルとして、気候変動予測と気候予測シミュレーション技術の高度化、領域課題2では、カーボンバジェット評価に向けた気候予測シミュレーション技術の研究開発、領域課題3では、日本域による気候変動予測の高度化、領域課題4では、ハザード統合予測モデルの開発にそれぞれ取り組んでおります。 令和7年度では、特にIPCC第7次報告書に向けたデータ創出、また次期気候予測データセットに向けたデータ創出について取り組んでいくということで、必要な経費として5.5億円を令和7年度予算案に計上しております。 次、5頁目になります。地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業として、いわゆるDIASと呼んでいるデータ統合・解析システムを基盤的に支える事業として、令和7年度予算案として、3.8億円を計上しております。 事業の目的、目標のところに掲げさせていただいておりますが、地球環分野のデータプラットフォームであるデータ統合・解析システム(DIAS)の長期的、安定的運用を通じまして、地球環境のビッグデータを提供して、気候変動、防災等の地球規模課題の解決に貢献するということで、DIASの運用を行っております。 特に今回、次の6頁になりますが、DIASの老朽化対策として、アプリケーションを公開・運用するサーバの更新に必要なものとして、3億円、令和6年度の補正予算として計上しておりまして、こちらを執行し、サーバを更新していくということに取り組んでいるところでございます。 7頁目からは半導体の施策に移ります。こちらは夏に事前評価していただいた、次世代エッジ、フィジカルインテリジェンスに関する研究開発に関するものでございます。それぞれ個別に御説明させていただければと思います。 8頁目でございます。次世代X-nics半導体創生拠点形成事業として、令和4年度からスタートしており、アカデミアの中核的な拠点を形成するとして、省エネ・高性能な半導体の創生に向けた新たな切り口による研究開発や人材育成も推進するということで、大学の拠点形成を支援しているというものでございます。 事業の切り口としては、未来社会で求められるということと、これまでの強み、技術シーズを生かせるということで、それぞれ東京科学大学と東京大学、東北大学が拠点になっていただいており、それぞれの強みを生かしたアカデミアの中核的な拠点を形成するということで、必要な経費9億円を令和7年度の予算案に計上しております。 9頁目は、革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業、いわゆるパワエレ事業になります。 電力ネットワークの分野や、EV自動車分野、ICT分野の電力供給の上流から電力需要の末端まで、効率的に伝えるためのデバイスとして、パワーデバイスの研究開発を行うというものでございます。 パワーデバイスの中で、いろいろな素子がありますが、コイルやコンデンサなど、いろいろなパワエレに関係する回路システム全体を統合的に研究開発するということで、素子としてはGaNを中心にしておりますが、一体的に研究開発をしているというものでございます。 それぞれ、受動素子領域、パワーデバイス領域、回路システム領域といったパーツに分かれて、最終的に統合していくという研究開発を行っておりまして、これは最終年度になりますが、14億円必要な経費ということで、令和7年度の予算案に計上してございます。 10頁目でございますが、こちらは夏に事前評価していただいた事業に関連するものでございます。予算編成の過程で、経済産業省の予算として計上するということになったものでございます。 次世代エッジAI半導体研究開発事業として、エッジ側での高度な情報処理を可能とするAI半導体の飛躍的な性能向上、そういったものに必要となるアカデミアのシーズを活用することによって、超低消費電力の革新的な次世代エッジAI半導体の実現に貢献するということで、今回、経済産業省の予算として計上されておりますが、JSTを通じまして、大学等、アカデミアの研究開発を支援するということで取り組んでいくというものでございます。 こちらについては、経済産業省と文部科学省で連携して実施するということを今検討してございます。 11頁目になりますが、半導体基盤プラットフォームの構築といたしまして、令和7年度予算案額として、22億円の内数として実施するものでございます。 こちらについては、幅広いアプローチの研究を支える、研究環境を構築するということを目的としておりまして、元々ARIMというナノマテリアルを中心としたネットワークがありますが、そちらを半導体、集積回路の研究もできるようにするということで、機能を増強するということを今回試みているというものでございます。 令和6年度補正予算としては、66億円計上しております。令和7年度も新しく集積回路の研究ができる拠点を追加するなどができないかということで、今必要な予算を計上しているということでございます。 12頁目以降は、研究開発以外の半導体の事業になります。参考でつけさせていただいておりますが、本日は、私からの説明からは省略させていただきたいと思います。 【田村(事務局)】 続きまして、先ほどの予算と関連するのですが、資料1-2、研究開発プランの改定も今回御確認いただきたいと思っております。 夏の次世代エッジAI半導体の事業の事前評価をしていただいた際に、それを追加するという研究開発プランの改定を御議論いただきましたが、今回、経済産業省の予算に計上されるということで、それに応じた修正を行いたいと考えてございます。また、今表示している上位施策2-1について、見え消しでお示ししておりますが、統合イノベーション戦略等が2024年最新版にする等の修正させていただいております。このような点を今回改定させていただきたいと考えてございます。 簡単な説明になりますが以上でございます。よろしくお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。 それでは、御質問や御意見がございましたら、挙手ボタンを押してお願いいたします。いかがでしょうか。本藤委員、お願いいたします。 【本藤委員】 御指名ありがとうございます。横浜国大、本藤でございます。御説明ありがとうございました。私は一点だけ、質問というよりはコメントです。 スライド3番の大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発というものがございます。 こちらは額が小さいのですが、人文・社会科学の知見を取り込んだ事業ということで、このようなものが文部科学省の事業にあるということは非常に重要だと思うので、ぜひ続けていただきたいと思っています。価値ある取組だと思っています。 一つコメントとしては、研究内容のところに、最終的に地域の脱炭素化に向けた計画などの策定に活用できる脱炭素地域計画支援システムを構築するとございます。 文部科学省以外にも、他方環境省におきましても、脱炭素地域に関するプラットフォームもあり、様々なツールも公表されておりますので、そちらとうまく連携して、補完し合って、こういった実社会に活用できる、貢献できるシステムを構築していただきたいなと思いました。以上です。 【原澤主査】 ありがとうございます。 非常に重要なコメントだと思います。事務局、何か回答ありますでしょうか。 【田村(事務局)】 ありがとうございます。 まさにその点は重要だと思っておりまして、適宜環境省の担当部署と情報交換しながら進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。 【本藤委員】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 【原澤主査】 では、続きまして、佐々木委員、お願いいたします。 【佐々木委員】 確認ですが、10頁目のところに、次世代エッジAI半導体研究開発事業ということで、経済産業省の予算がJSTに措置され、大学に支援が行くというのは、なかなか珍しい事例かなと思いますが、これは将来的には半導体関係は経済産業省にかなり背負っていただくという過渡期ということでこうなったという理解でよろしいのでしょうか。 というのは、環境エネルギー課で、半導体の事業をやられていますが、半導体の話はかなり大きくなってきており、これからもっともっと大きくなるのかなとか思いましたので、省庁連携等の方向性等について、確認したいと思いました。私からは以上です。 【原澤主査】 ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。 【田村(事務局)】 全てこれから経産省の方でやるというわけではなく、例えば、ALCA-Nextで先ほど御紹介いたしました、若手の研究者が参画できるようなシーズを生み出すような半導体の研究開発もありますし、あとはX-nicsやパワエレもやっております。 アカデミアがしっかりと基礎研究からやっていかないといけないものは文部科学省も引き続き取り組んでいくことが重要だと考えてございます。 【佐々木委員】 分かりました。よろしくお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは続きまして、中北委員、お願いいたします。 【中北委員】 どうもありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。 こういうものを拝見すると、経済産業省など、いろいろなところとの掛け算というものが非常に大事な役割を担っていることを認識させていただきました。 自分が入っていて恐縮ですが、例えば、気候変動に関しても、今後、今までの緩和プラス適応ということが非常に大事になってくるところで、適応をやっていく中での非常に科学的なベースのいろいろな情報を作っていただいて、解釈もしていただいております。これらの情報を使っていく経済産業省も多分そうだと思いますが、電力などのいろいろな面を含めて、あるいは、いろいろな省庁の執行交渉があるかもしれませんが、関係省庁とのタイアップも今後考えていっていただくことが、発展しながら深まっていくために大事なところかなと思いましたので、一言だけコメントさせていただきました。よろしくお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。事務局何かありますでしょうか。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。気候変動のデータの利活用に関しましては、環境省をはじめ、農林水産省、国土交通省、最近では金融庁等と協力をしまして、我々の文部科学省で創出している気候予測データをはじめとして、財務情報開示等に使われるような取組を検討しているところでございます。 【中北委員】 取組だけではなくて、予算の面でも、そういうこともまた考えていくということがあるかなと思いました。広く利用されているところまで、すごく発展的に来られているので、そういうことも考えてみられたらどうかなと思いました。参考にしていただければと思います。どうも御回答ありがとうございました。 【原澤主査】 非常に重要な御指摘ありがとうございました。では堅達委員、御発言お願いできますでしょうか。 【堅達委員】 私の御質問としては、これは総額で大体どれくらいの規模の予算がこの分野に支出されようとしているのか、というところです。 と言いますのも、2024年は、単年度としては初めて1.5度を超えてしまったという、非常に気候危機の加速といいますか、深刻な状態が続いておりまして、この分野の研究というものは本当に待ったなしで、世界的にもお金を投じてやっぱりやるべき分野だと感じています。 それに対して、日本の研究が、本当にちゃんとほかの予算措置と比べて、プライオリティを置いてやっているのか、規模感的に足りているのかどうか、海外と比較してどうなのか、というところが、ちょっとやや心配になっております。 今政府で検討しています、第7次のエネルギー基本計画や、あるいは国別の削減目標のNDCの数値が、世界の先進国に比べて極めて低い目標、野心的ではない目標を出しているというような流れもありまして、この研究の分野においても遅れをとってしまうということは、とてもよろしくないかと思っていますので、規模感、予算感について、どういう御認識でおられるのか、ぜひ御見解をお伺いしたいですし、できる限り増やして、重要な正念場の10年に積極的にお金を投じていただきたいなと思っている次第です。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、見解よろしくお願いします。 【田村(事務局)】 力強いお言葉ありがとうございます。 総額につきましては、1頁目に示しております300億円が、文部科学省で今回令和7年度予算として計上しているものの総額になります。 他国の額は今データを持ち合わせておりませんので、明確にお答えすることはできないのですが、しっかりと量、質ともに、必要な分を確保していくことが必要なのかなと考えてございます。ありがとうございます。 【堅達委員】 多分、1桁足りないのではないかなと個人的には思いますが、御意見を承りました。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは続きまして、藤森委員、お願いします。 【藤森委員】 私が聞き漏らしたかもしれないのが、災害面の影響や、いろいろな人文知も含めるということで御検討されているところで、そういうものも含めることが重要だと思います。脱炭素の技術というものは、環境面等への影響というものも併せて評価する体制が非常に重要だと思うので、ぜひそこに力を入れていただきたいなと思います。そこがどこまで含まれているかということを説明していただきたいのが1点目です。 また、これはもうあと1~2年で一つの区切りになりますが、多分ここで終わりというわけではなく、より実証的な開発に進んでいく、研究に進んでいくのだろうと思うのですが、その方向性について御説明いただきたいです。 もう一つ、半導体の方も、非常に産業にとって今後重要なテーマであることは間違いないので、基盤となるものや先端的な技術は、ぜひ創出に向けてより加速していただきたいのですが、これもあと2年ほどで終了という段階なので、全般的な分野から、製造から含めた技術の評価まで行い,次につなげていただきたいなということをコメントさせていただきます。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、よろしくお願いいたします。 【田村(事務局)】 3頁目の大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発のことかなと思いますが、現状は災害時のことは、まずそこまで考慮しておりません。平時にどういった自治体が二酸化炭素の排出量を削減することができるか、というものをシミュレートしています。 気候変動予測先端研究プログラムなどの災害に関する研究をやっているプロジェクトもかなりありますので、課内でどういった連携が今後できていくかというということを議論したいと思います。 また半導体につきましては、終了事業ということでINNOPEL、パワエレ事業かなと思います。昨年、中間評価をしていただきましたが、次期プロジェクトをそろそろ考えないといけない時期に来ておりますので、また今後検討していきたいと考えてございます。以上でございます。 【藤森委員】 ありがとうございます。環境面についても、次のフェーズはどのようにお考えになっているのでしょうか。 【田村(事務局)】 そこはこのあとの中間評価と併せて、御議論いただければと思います。いかがでしょうか。 【藤森委員】 そうですか、分かりました。 【原澤主査】 よろしいですか。ありがとうございます。それでは本郷委員、お願いいたします。 【本郷主査代理】 御説明ありがとうございました。 全体をいろいろお聞きしますと、エネルギーのところは経済産業省、それから適応のところは環境省、またインフラであれば国土交通省等、いろいろな省庁で連携する形で予算を確保を図っており、これは素晴らしいなと思っております。ぜひ頑張っていただければと思います。 一つ質問ですが、気候変動研究のところで、先ほど適応は重要ではないですか、という委員からの御意見がありましたが、私もそう思っております。 その中で、素朴な質問ですが、温度が想定以上に上がるものの目標温度に戻す、いわゆるオーバーシュートのような研究もこの中に入っているのかを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。事務局、どうぞ。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。 気候変動研究の中において、オーバーシュートといいますか、地球温暖化は2度上昇した、4度上昇した世界での予測データというものをつくり、またそれにおいて、どういった災害が発生するかというような予測モデルの研究開発を実施しているところでございます。 【本郷主査代理】 もう既に入っているということですね。ありがとうございました。 【原澤主査】 この件何か、石川委員、中北委員から追加で説明はございますか。 【中北委員】 中北です。 【原澤主査】 では、中北先生、お願いします。 【中北委員】 昨日たまたま、気候変動予測先端研究プログラムの領域課題3の運営委員会があり、そういう話題も出てきました。今おっしゃられた、2度、4度上昇のシナリオ以外にも、オーバーシュートして、また返ってくる、そういうシナリオに関しても今後大事なものとしてデータを整備していった方がいいのではないかという議論が始まっているというところでございます。 今後、それをベースに、より大事なものとして進んでいくかもしれないということです。石川さんの手が挙がりましたので、あとはお任せします。 【石川委員】 よろしいでしょうか。JAMSTEC石川です。 今中北先生がおっしゃっていただいたとおりですが、具体的なオーバーシュートシナリオと呼ばれているものに沿ったものは、今検討中ですが、将来の想定としては、例えば1.5度、2度にとどまらず、2100年に3度、4度上がるというシチュエーションについても想定したシミュレーションを行い、それに伴って、どんなことが起きるか、という研究を進めています。 具体的なオーバーシュートシナリオに合わせた研究も今後は多分必要だと考えておりますし、今やっているシミュレーション解析などは、そういうところに関しても知見が活用できるのではないかと考えております。 【原澤主査】 ありがとうございます。では、ほかの委員の先生方、御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。 私から1点質問をさせていただきたいと思います。 先ほどの御説明で、経済産業省が予算要求して、JSTに措置するというお話がありましたが、これは今回だけでしょうか。金額も大きいということがあるので、今回だけのような感じもしますが、今後ともこういったエネルギー関係については、経済産業省、文部科学省がある程度協力して予算要求していく、ある意味非常に望ましい形になっていくのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。 【田村(事務局)】 今後については、また改めて検討していくものと考えており、現時点では何も決まっておりません。 【原澤主査】 分かりました。ありがとうございます。 それでは、御意見、御質問はないようですので、次の議題に移りたいと思います。次の議題は「研究開発課題の中間評価について」であります。 先ほど御確認いただきましたが、環境エネルギー科学技術分野の研究開発プランでは、今年度に「気候変動予測先端研究プログラム」の中間評価を行うことになっております。 評価の流れでございますが、まず分野別委員会であります本委員会で、中間評価案について文部科学省から聴取し、事業の必要性、有効性、効率性などの観点から評価を実施いたします。 本委員会で決定した評価書を、上部組織である研究計画・評価分科会に提出して、審議されたのちに、分科会で決定されるという流れになります。 なお、参考資料でお配りしております、「第12期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」の規定に沿いまして、石川委員、中北委員は本事業の利害関係者に該当いたします。事業に関する質問に対して御回答いただくことは可能ですが、評価に関する議論には御参加いただけませんので、御了承ください。 それでは、事務局から「気候変動予測先端研究プログラム」の中間評価について説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。文部科学省環境エネルギー課の宮澤と申します。 気候変動予測先端研究プログラムの中間評価書案について御説明いたします。3頁目を御覧ください。本事業の概要となっております。 文部科学省では、これまで気候モデルの構築、高度化等により、気候変動メカニズム解明等の科学的知見の創出を推進する研究プログラムに取り組んでまいりました。 気候変動予測先端研究プログラムでは、防災対策等の気候変動対策において、過去データを基にした対策から、科学的な将来予測データを活用した対策への移行を加速させるため、気候予測シミュレーション技術の高度化等を通じた科学的知見の充実や、高精度な気候予測データの創出及び利活用に関する研究開発に取り組んでおります。 本プログラムは、令和4年度に開始し、令和8年度までの5年間の事業としております。 令和3年度に行われました事前評価において、気候変動対策における気候予測データの活用、環境省や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の作成、民間企業の経済活動等に対して科学的知見を提供することや、4つのテーマを設定し、プログラム・ディレクター及びプログラム・オフィサーの監督の下、各領域課題が連携し、相互に成果を活用しながら、研究開発を推進する体制を構築すること等により、必要性、有効性及び効率性の観点から推進すべき事業であると評価いただいているところです。予算につきましては、毎年約5.5億円規模を措置いただいております。 4頁目を御覧ください。本プログラムの実施機関及び体制となります。 プログラム・ディレクターは、木本国立環境研究所理事長、プログラム・オフィサーは、岩崎東北大学名誉教授及び中北京都大学副理事です。 本プログラムは4つの領域課題に分かれ、領域課題1は、渡部東京大学大気海洋研究所教授を領域代表とし、「気候変動予測と気候予測シミュレーション技術の高度化」、 領域課題2は、河宮海洋研究開発機構環境変動予測研究センターセンター長を領域代表とし、「カーボンバジェット評価に向けた気候予測シミュレーション技術の研究開発」、 領域課題3は、辻野気象業務支援センター研究推進部第一研究推進室室長を代表とし、「日本域における気候変動予測の高度化」、 領域課題4は、森京都大学防災研究所教授を代表とし、「ハザード統合予測モデルの開発」に取り組んでおります。 5頁目の下段及び6頁目上段を御覧ください。本プログラムの事前評価で設定しました、プログラム全体に関するアウトプット指標及びアウトカム指標でございます。 アウトプット指標は、累計の論文数及び国際共同研究等の海外連携実績となっております。論文数は、令和4年度、令和5年度で、それぞれ200本程度、海外連携数は100件弱となっております。 また、アウトカム指標は、国、地方自治体、国際機関、民間企業への気候変動対策検討への活用を設定しております。本指標につきましては、本プログラムの成果は無償で公開、提供しているため、全ての活用事例を把握することは難しく、現状把握している範囲での記載となっておりますが、令和4年度は28件、令和5年度は71件と着実に増加している状況です。 6頁目から11頁目の前半にかけましては、各領域課題の進捗状況を記載しております。本日の御説明は省略させていただきます。 11頁目後半から、事前評価時に設定した評価項目に沿った再評価となっております。 まず、「必要性」の観点では、「科学的・技術的意義」及び「社会的・経済的意義」の2項目がございます。 本プログラムにおいて開発している全球気候モデルの高度化により、気候変動メカニズムの理解等のIPCC第7次評価報告書への貢献が期待され、また本プログラムの地球システムモデルによる予測結果は、全球二酸化炭素収支評価(Global Carbon Budget)において参照される等の成果を創出しております。 また、日本域の高精度な大規模アンサンブル予測データを活用した、イベント・アトリビューション研究により、実際に起きた極端現象への温暖化への寄与率の評価に取り組むとともに、今後発生が予想される洪水と高潮の重複などの複合災害について、モデル化及びそれを用いた予測結果を創出することで、将来の災害への適応のための費用の推計に貢献することが期待されております。 また、企業による気候変動に関する財務情報開示において、本プログラムにおいて創出された日本域を中心とした気候予測データセットが科学的根拠として利活用されているなど、「必要性」の観点で評価できるものと考えております。 13頁目の後段から、「有効性」の観点となります。「有効性」の観点では、行政施策や国際社会への貢献が評価項目となっております。本プログラムにおいて創出している気候予測データセットは、気候変動に関する研究や民間企業による利活用のみならず、農林水産省、国土交通省、地方自治体における治水対策等の政策検討等に広く活用されております。 また、ハザードの影響評価モデルの開発に加え、人口や産業などの社会の将来変化を考慮した影響予測を行っており、農林水産省、国土交通省、気象庁や地方自治体等との連携の下、社会からの高い利活用のニーズに対して、予測データ及び科学的知見の両面から応える社会実装に直結する研究を進めております。 また、国際貢献については、JICA主催のセミナーやアジア向けのウェビナーを継続的に実施し、東南アジア諸国を中心に、国際社会における気候予測データセットの活用を図るとともに、アジア太平洋域における豪雨、洪水等のハザードについて、風水害リスクの将来変化予測データの創出や、フィリピン等の地域の防災担当者と社会の強靭化方策について議論するなどの連携を通じた、ハザード予測の社会実装に向けた取組を進めております。 15頁目を御覧ください。「効率性」の観点となります。「効率性」の観点では、実施体制、データ管理、利活用体制、国際連携の妥当性になります。 実施体制につきましては、先ほど御説明させていただきましたとおり、一人のプログラム・ディレクター及び二人のプログラム・オフィサーの監督の下、4つの領域課題を設定し取り組んでおります。 研究開発の実施にあたっては、各領域課題において、研究運営委員会を年2回開催し、外部有識者等からの助言を得る、領域課題間で互いの研究者が参加するなど、合理的かつ有機的な連携体制で研究開発を進めております。 データの管理については、海洋研究開発機構が中心となり、領域課題間の共有ファイルサーバシステムの構築運用やソースコード用バージョン管理システムの導入と、その運用に取り組んでおります。 また、本プログラムの成果である気候予測データは、国内外の研究機関や地方自治体、民間企業等が利活用できるよう、文部科学省の事業で開発、運用している、データ統合・解析システム(DIAS)を通じて、公開、提供をしております。 さらに、国際連携については、気候予測研究等の促進を目的とする枠組みである、世界気候研究計画(WCRP)の活動に主導的に関与し、IPCC第7次評価報告書への貢献に向けた取組を進めております。 また、国際連携により、日本と異なる気候・地形における実験を行うことにより、領域モデルの改善等にも取り組んでおります。 16頁目の後半になります。科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献状況となります。 第6期科学技術・イノベーション基本計画において、本プログラムの関連では、「高精度な気候変動予測情報の創出」が目標として設定されております。 これまで御説明させていただきましたとおり、本プログラムでは、全ての気候変動対策の基盤となる科学的根拠の充実に向け、気候モデルの開発等を通じて、高精度な気候予測データや科学的知見の創出に取り組むとともに、これらは国や自治体等における気候変動適応策の検討に活用されており、科学技術・イノベーション基本計画の達成に貢献していると評価できると考えております。 17頁目を御覧ください。事前評価時の指摘事項等につきましては、事前評価では特段の御指摘はございませんでしたので、ここには記載しておりません。 続きまして、今後の研究開発の方向性です。本プログラムの研究成果である気候予測データは、国内の気候変動対策の基盤となっており、国等における気候変動適応策の検討に広く活用されるなど、社会的意義や行政施策への貢献の観点で有効性が高く、我が国の気候変動対策の強化に向け、国土強靱化等への貢献も期待されています。 また、令和5年7月に開始したIPCC第7次評価報告書に対しても、科学的知見の充実や気候予測データの提供等の貢献が期待されます。 さらに本プログラムは、平成30年に施行された気候変動適応法において、国の責務として規定されている、「気候変動に関する科学的知見の充実や効率的かつ効果的な活用」に資するものでもありますので、今後も継続するとさせていただいております。 本プログラムの継続にあたっての研究開発の方向性については、サーバやストレージ等の機器や地球シミュレータの整備を含めた、気候予測研究を進めるための研究環境の整備、及び本プログラムで創出される気候予測データを、国内外の研究機関や地方自治体、民間企業等が利活用できるようDIASを通じて、公開、提供されているため、本プログラムとDIASそれぞれの特徴を踏まえ、連携しながら取り組むことを挙げさせていただいております。 最後になりますが、「その他」です。本プログラムは、我が国における全球気候モデルのフラッグシップモデルの開発や、日本を中心とする唯一の気候予測データの創出等により、IPCC等の気候変動に関する国際枠組みや国内の気候変動対策に対して重要な科学的知見を提供するものです。 また、先にもお話させていただきましたとおり、気候変動適応法に基づくものでございますので、本プログラム終了後も取組を続けていく必要があるものと考えております。 そのため、世界の気候変動研究の動向や成果の利活用に関するニーズ等を踏まえて、本プログラムの後継となる気候変動研究プログラムの取組内容の検討の具体化の必要性を挙げております。 本プログラムの中間報告書案の説明は以上となります。 【原澤主査】 どうも御説明ありがとうございました。 それでは、この中間評価案につきまして、御質問や御意見等がありましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。藤森委員、お願いいたします。 【藤森委員】 御説明ありがとうございました。 課題は、非常に重要なことは認識しております。その上で評価ということでお聞きしたいのは、世界の中で日本の活動のレベルや、規模感などがどのようになっているのかということと、各国の取組に、それぞれ強み弱み、特徴などがあると思うので、その中で日本側の強みとしていく部分、もっと注力していく部分があるのか、また、それに対して何か施策を打とうとしているのかについてお聞かせいただければありがたいです。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、いかがでしょうか。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。 まず規模感、他国の規模感と比較という観点に関しましては、現在手元にお答えできる情報がないのでお答えはできないのですが、国際的な立ち位置という観点では、特にIPCCへの気候予測データの提供という観点では、できる国、できない国というものがありまして、我が国としましては、前回のIPCC第6次評価報告書のときは、気候予測データの提供という観点では、かなり早い段階で提供できるほどの準備は進めておりました。第7次評価報告書に向けても、そうできるようにしていきたいと考えております。 各国との特徴、我が国の強み弱みというところに関しましては、そういった観点も踏まえながら、次期プログラムを検討していく必要があるかなと考えております。 【藤森委員】 ぜひ、そのような評価をよろしくお願いいたします。 【原澤主査】 ありがとうございます。 ただいまの藤森委員の御質問に対して、中北委員、事実として、何か御発言はありますか。 【中北委員】 今、事務局から御説明あった以外では、やはり領域気候モデルというものを用いて、より国土の詳細、空間、時空間的に詳細な予測情報をつくっているというものは、各国もそれぞれある中で、やっぱり群を抜いているという理解をしております。 世界が羨む、日本周辺の非常に詳細な気候予測情報が創出されていて、それがいろいろな分野で利用できる、こんなうらやましい国はないと。それと同じようなことを、アジア、東南アジア全域に関しても、今はインド、それから中央アジアも含めて進めているというところは、やはり大きく世界をリードしているところかなと私は思っております。事実として述べさせていただきました。 【原澤主査】 ありがとうございます。では、続きまして、大久保委員、お願いいたします。 【大久保委員】 御説明ありがとうございます。 私も今、中北委員から御発言がありましたように、この分野は日本のイニシアティブが発揮されている分野であると思っております。農林水産省との連携というものがございましたが、農林水産の分野でも、水産業における海水温の上昇でありますとか、あるいは農業への影響でありますとか、様々な活用方法があると思いますが、農水関係で具体的な活用事案について事例がありましたら、ここに記載されておりませんでしたので、どのような活用が見込まれるかという点をお伺いできればと思います。以上です。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、何かお答えございますでしょうか。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。農林水産省との連携といいますか、本プログラムで創出している気候予測データを、農林水産省が計画している農業治水、特に排水の観点において治水計画を策定するときの科学的知見として、活用いただいていると聞いております。 【大久保委員】 ありがとうございます。 【原澤主査】 こちらは石川委員が御専門なので、何か追加的な事実としての御発言はございますか。 【石川委員】 他省庁でも使われているということはそのとおりですので、基本的には文部科学省の回答で問題ないかと思います。 【原澤主査】 ありがとうございます。では続きまして、本郷委員、お願いいたします。 【本郷主査代理】 御説明ありがとうございました。 自治体等でいろいろ利用が進んでいるということは非常によいことだと思います。 企業でも、ここでは書いておりませんでしたが、国際会計基準で、気候変動に対して、脆弱な資産はどのくらいあるのかを定量化して示しなさいというような要求が出てきているということで、産業においても、この気候変動影響分析に対する需要は出てきていると思います。いわば研究に対して、産業側の需要がどんどんこちらにやってきているという状況かなと思います。 せっかくの研究ですので、研究した成果を、分かりやすく、ミスリードしないような形で、全体的なものを理解するような教育、つまり産業へのキャパシティビルディングみたいなこともどこかでやっていただければな、というような気はいたします。 また、今、実際に起きていることは、サービスプロバイダのような産業が出てきて、ほとんどブラックボックスみたいな形で、あなたの企業の資産の脆弱性はどのくらいですか、ABCで付けましょうといった話になってきて、企業にとって本当の意味での対策には進まないので、もう少し分かりやすく企業を教育してくれることも、ぜひ考えていただきたいなというコメントでございます。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、何かございますでしょうか。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。 御指摘いただきましたとおり、気候予測データを創出、提供しておりますが、広く活用いただきたいというところに関しましては、我々も考えているところです。 広く活用するにあたって、やはり気候予測データ、今提供しているものと、実際に使う、民間企業等の気候変動の研究者ではない人たちが使うという観点で、かなり技術的なギャップがあると認識しております。 そのギャップをどう埋めるか、という観点におきましては、一つ前の議題でお話しさせていただきましたが、他省庁、環境省や農林水産省、国土交通省、金融庁等と協力して取り組んでいる枠組みの中でも今検討しているところでございます。ありがとうございます。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは続きまして、田中委員、お願いいたします。 【田中委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。 まず、中間評価の内容に関しては賛成です。基本的にはすごくよくできていますので、中身も充実しているかなと感じます。 さらに、ほかの委員からの御指摘もありましたが、もっと価値が高いことをいっぱいやっているように見えますので、報告もそうですが、やっていらっしゃることを、外向けに、いろいろな方向に発信を、もう既にやっていらっしゃると思いますが、まさにそれを加速してもらえればなというのがコメントです。例えば、14頁のプログラムで人口予測に基づいた、いろいろな災害の予測のお話がありましたが、世界中で洪水が起きていて、損害保険の支払い額も相当高額になってきて、経済的な被害を出しているので、こういうものが予測できるようなところで、東南アジアにも出されているということでしたが、そこの上に、産業界が参入できそうな動きみたいなものがあって、そこの基盤になるような気もするので、ここの研究成果をうまく活用させてもらいながら、事業参入するとか、そういった産業向けの発信とか、そういうものもあったら非常に価値がさらに高まるのではないかなということを聞きながら思っていた次第でございます。 先ほどの本郷委員の御指摘もありましたが、産業界でもいろいろな報告書も書かないといけないですし、新しい社会へのサービス、事業参入という意味でも使われていると思うので、この中間評価以外にでも、さらに発信等をしてもらえればありがたいかなと思いました。コメントに近い話でしたが、私からは以上です。 【原澤主査】 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。 【宮澤(事務局)】 ありがとうございます。 発信に関しましては、我々も課題と考えておりまして、今後、産業界等の活用に関しましても、より活用されるように取組を充実、検討していきたいと思っております。ありがとうございます。 【原澤主査】 では続きまして、佐藤委員、お願いいたします。 【佐藤委員】 よろしくお願いします。本当に非常にいい御説明いただきましてありがとうございました。 どこかに資料もあったかもしれませんが、教えていただきたいのが資料4頁目に領域課題が4つありまして、機関も書いてございますが、延べどれくらいの方が参加され、何人くらいの規模で全体が動いているのか、ということを教えていただきたいです。また、今後あと2年度について、予算規模は変わらないと思うのですが、何か強化、パワーアップが必要なのか、このままの体制でいくのか、非常に期待しておりますので、分かる範囲で結構ですので、教えてください。よろしくお願いします。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは、事務局お答えよろしくお願いします。 【松原(事務局)】 事務局の松原です。御質問いただきありがとうございます。 手元に数字があるわけではありませんが、先端プログラムに、どのくらいの機関や人が参加しているか数えたことがあり、大体の数字として、領域課題1から4まで含めて、概ね数十機関が参加し、特に、領域課題4においては、多くの機関が参加しています。 また、先端プログラム全体として、領域課題間の重複もあるかもしれませんが、500名程度の専門家が参加していると考えております。その意味で、先端プログラムには、様々な分野の研究者の方々に集まっていただいて、研究をしていただくプラットフォームにもなっていると考えております。 このような中で、日本の強みを活かして研究を進めているところであり、全球から日本域における気候予測、ハザード予測まで含めて、これらの研究には非常に価値があると思っています。今後、新たな課題が出てくる可能性もあり、例えば、最近は、生物多様性もテーマとなっていますが、このような課題にどのように対応していくかについては、中間評価も終了し、2年後に開始される予定のポスト先端プログラムの内容について検討していく中で、考えていきたいと思います。 【佐藤委員】 ありがとうございます。 非常に、先ほど中北先生の御説明を伺って、本当に日本が先進的にやっていらっしゃるということが分かったので、非常に安心しておりますし、期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 【原澤主査】 どうもありがとうございます。それでは、堅達委員、お願いいたします。 【堅達委員】 貴重な御説明をありがとうございました。 私もマスメディアで報道していて、イベント・アトリビューションの重要性ですとか、また実際に異常気象が多い中で、どれくらい正確な予測ができるのかというところは非常に注目が高まっておりますので、この研究の重要性というものは益々増していると感じております。 質問ですが、先ほども申し上げましたとおり、今年もまた気温上昇がさらに続いていくのかどうかは私も分からないところですが、エルニーニョが終わっているにも関わらず、なぜこれほどまでに気温が上昇するのかという辺りは、国際的にも気候感度とか、雲とか、水蒸気の問題などの解明が待たれていますし、日本で言えば能登の地震が起きたあとに追い打ちをかけた、洪水とか大雨も、線状降水帯予測ができなかったというところをどうやったら予測できるようになっていくのか、というところも国民の関心も非常に強いと思いますので、どの辺りに注力して、この研究をやっていくのか、そして複数の方々がおっしゃっているとおり、どう国民に向けて、せっかくの素晴らしい研究、アウトカムをちゃんとアウトプットしていくのか、というところを、御見解をお聞かせいただければなと思っております。 私もそういう番組を作りましたが、Climate Techは世界的にも非常に注目されていますし、産業界で言えば、損保業界、あるいはスタートアップの企業なども、こうしたデータを非常に大事にしているし、役に立てるように皆さん願っていると思っておりますので、その辺り、今後の課題というか、どの辺りをより深掘りしていくと、世界へ、そして日本への貢献が進むのかという辺り、御見解をお聞かせいただければと思います。 【原澤主査】 ありがとうございます。それでは事務局、よろしくお願いします。 【松原(事務局)】 御意見をいただきありがとうございます。 イベント・アトリビューションについては、最近では、9月頃に、夏の異常気象、著しい高温や大雨について報道発表したこと、また、12月頃に、9月の能登の大雨について、どれだけ気候変動の影響があったのか発表したというところです。 領域課題が4つありますが、領域課題1、2では、グローバルな気候予測について研究を進めており、ちょうど今、IPCCの第7次評価報告書サイクルが進んでいる中で、日本として、どのように貢献をすることができるのかを検討するとともに、IPCCに参画をすることによって、世界の先端レベルの知見も吸収できるというメリットもあることから、IPCCへの成果の発信・反映と、そこから知見の吸収することの両方の意義があるので、IPCCに対する取組をしっかりと進めていきたいと考えております。こ 一方、それだけでは、グローバルな気候変動対策に貢献するものだけになってしまうので、特に、日本の気候変動対策に貢献をするため、領域課題3で日本域における気候予測に取り組んでおり、さらに、その成果を活用して、領域課題4でハザード予測、つまり、災害等の予測をしていくという研究も必要だと思っております。 さらに、御発言のとおり、Climate Techも含め、新たな気候変動研究に向けた検討も必要であると思いますので、その点については、ポスト先端プログラムに向けた検討の中で考えていきたいとと思っております。 このような形で、グローバルな競争力を持ちつつも、特に、日本域の気候予測データというものは、ここにしかないデータでもありますので、そういう強みも保持しながら、気候変動研究にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。 【堅達委員】 ありがとうございます。 【原澤主査】 どうもありがとうございました。 ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。 本日いただいた御意見を踏まえて、中間評価案を修正したいと思います。修正につきましては、座長の原澤に御一任いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上で、本日予定された議題は終了いたします。 本日は第12期として最後の委員会となります。2年間どうもいろいろとありがとうございました。 最後に事務局を代表し、堀内研究開発局長から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 【堀内(事務局)】 ありがとうございます。研究開発局長の堀内です。 本日も新年早々から、活発な御議論をいただき、ありがとうございました。 今期12期になるということですが、環境エネルギー開発委員会は、3回開催させていただいたということであります。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、貴重な御意見を賜ったということでありまして、今期最後のこの機会に、心から御礼申し上げたいと思っております。 御案内のとおり、2050年までのカーボンニュートラル実現や、経済成長を実現する「グリーン・トランスフォーメーション」、GXの重要性というものはどんどん高まっているということであります。また、昨年末に公表されました、「第7次エネルギー基本計画案」とか、それから「GX2040ビジョン案」、これ案ですけれども、これにおいても目標付けに向けては、従来路線の積み上げではなく、更なるイノベーションや社会実装が不可欠であるため、我々もいろいろ悩んでいかなければいけないことだなというふうに思っております。 そうした中で、今期本委員会では、地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業であるとか、革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業であるとか、それから気候変動予測先端研究プログラムといった、先進的な、我々の方も力を入れてます、このプログラムにつきまして、中間評価をしていただきました。 また、特に前回の委員会で事前評価いただいたもので、エッジAI半導体について、これは政府内の議論で、経済産業省としっかり文科省が連携しつつ、新しい枠組みの下で、アカデミアにおける研究開発をしっかりと支援して、成果を出していくというようなことになっております。GXの実現に向けては、アカデミアと産業界が連携を密にしつつ、基礎的な研究開発や人材育成に取り組んでいくことが重要であるというふうに思っております。 今般、政府を挙げての取組、この半導体分野の取組というものにも、文科省も皆様のおかげをもちまして、しっかり貢献できるということになり、嬉しく思っているところであります。 さらに、本日御議論いただいた気候変動予測先端研究プログラムに関連しまして、IPCCの第7次評価報告書に向けた研究が開始されます。アカデミアと連携しつつ、報告書作成の基礎となる気候予測データを創出することによって、国際的な気候変動対策にしっかりと、これまで以上に貢献していけたらとも思っております。 最後に、これまで本委員会でいただいた御意見を踏まえて、文部科学省として、更なる取組を進めてまいりたいと考えております。委員の皆様の御尽力に対しまして、重ねて御礼申し上げ、私の挨拶とさせていただければと思っております。どうもありがとうございました。 【原澤主査】 どうもありがとうございました。 最後に事務局から、事務連絡等をお願いいたします。 【田村(事務局)】 ありがとうございました。 本日の議事録につきましては、後日事務局よりメールで委員の皆様にお諮りしたのちに、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。事務局は以上でございます。ありがとうございました。 【原澤主査】 これをもちまして、第12期環境エネルギー科学技術委員会の第3回会合を閉会といたします。 本日はどうもありがとうございました。
研究開発局環境エネルギー課