第11期 環境エネルギー科学技術委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和5年1月13日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

 1. 検討事項
  ・分野別研究開発プログラム評価の試行について
  ・「統合的気候モデル高度化研究プログラム」事後評価について

 2. 報告事項
  ・令和4年度第2次補正予算、令和5年度政府予算案について
  ・革新的GX技術開発小委員会での検討状況について
  ・地球観測推進部会での審議状況について
 3. 意見交換
  ・今後環境エネルギー科学技術分野で検討すべき課題について
 4. その他

4.出席者

委員

原澤主査、関根主査代理、本郷主査代理、石川武史委員、石川洋一委員、浦嶋委員、堅達委員、佐々木委員、佐藤委員、竹ケ原委員、田中委員、中北委員、藤森委員、本藤委員

文部科学省

千原研究開発局長、轟環境エネルギー課長、伊藤課長補佐、田村課長補佐、甲斐専門官 他

オブザーバー

谷口総合地球環境学研究所副所長

5.議事録

【田村(事務局)】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会、研究計画・評価分科会、第11期環境エネルギー科学技術委員会の第5回会合を開催いたします。冒頭進行をさせていただきます環境エネルギー課の田村と申します。
 本日はお忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。
 会議の進め方になりますけれども、今回はオンラインになりますので、「進行上のお願い」を委員の先生方に送らせていただいておりますけれども、発言の際はビデオ・マイクをオンにしていただき、発言されない場合はマイクをオフにしていただきますようにお願いいたします。
 あと発言されたい場合は、挙手ボタンがZoomの下のほうにありますので、そちらを使っていただくか、チャットのほうでお知らせいただければと思います。発言される際には、マイク・ビデオをオンにしていただいて、お名前を最初に言っていただきますようにお願いいたします。
 資料になりますけれども、事前にお送りさせていただいております議事次第と資料、参考資料になります。お手元に届いていなかったり、ファイルを開くことが難しいということがあれば、事務局にチャットのほうで教えていただければと思います。
 本日、伊香賀委員と大久保委員は御欠席と御連絡をいただいておりまして、御出席は14名で過半数に達しておりますので、今回の委員会は成立するということになります。
 あと文部科学省側の出席者でございますけれども、研究開発局長の千原以下で出席させていただいております。
 事務局からの連絡事項は、以上でございます。
 ここからの進行は、原澤主査にお願いいたします。
【原澤主査】  おはようございます。原澤です。
 本日は、3件の議題を予定しております。
 議題の(1)は、分野別研究開発プログラム評価の試行と、「統合的気候モデル高度化研究プログラム」事後評価についてであります。
 議題に入る場合に、評価に当たっての利害関係者の取扱いについて御説明いたします。
 1点目のプログラム評価の試行につきましては、今回、プログラム全体の状況を把握することを主とする手法であることから、利害関係者にも議論に加わっていただきます。
 続く、2点目の統合プログラムの事後評価につきましては、公正で透明な評価を行う観点から、第11期環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画で定めたとおり、利害関係者が評価に加わらないようにする必要があります。具体的には、評価対象課題に参画している者、実施課題の代表者と親族関係にある者、利害関係を有すると自ら判断する者等でございます。
 今回は、石川洋一委員、中北委員、私原澤の3名が利害関係者に該当するということですので、退席していただく必要はありませんが、評価に関する発言をすることはできませんので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 そのため、本議題につきましては、私が利害関係者ということもありますので、議事の進行につきましては、主査代理の本郷委員にお任せいたしたいと思います。
 本郷委員、よろしくお願いいたします。
【本郷主査代理】  おはようございます。本郷でございます。
 それでは、原澤主査に代わりまして、議事進行を本件はさせていただきます。
 まず、最初に事務局のほうから資料について説明いただければと思います。
 事務局、よろしくお願いいたします。
【田村(事務局)】  
 まず議題(1)の、最初のほうの研究開発プログラムについて御説明させていただきます。
 こちらの研究開発プログラムについては、モニタリングが主になっておりまして、去年の夏に、この進め方について御議論いただいております。進め方としては、幾つかの事業を束ねたものをプログラムというふうに呼びまして、そのプログラムごとに評価指標、アウトプット・アウトカム指標を決めて、その数値をモニタリングしていこうということを御議論いただいております。
 このモニタリング自体は、事業のよしあしを評価するのではなくて、むしろその進め方を、進んでいる状況を確認するということと、この評価のモニタリングの仕方自体を、これでいいのかどうかというのを御議論いただいて、コメントがあれば分科会のほうに報告するということでなっております。
 評価の単位ですけども、昨年の夏に二つのプログラムで、単位でモニタリングしていこうということを御議論いただいておりまして、一つが気候変動対策関係、あともう一つは水素だとか蓄電池に関するGX技術関係になってございます。
 全体としては、気候変動関係になりますけど、このように幾つかの事業が時系列で流れていまして、そちらの流れている成果が出てきている論文累積件数だとか海外連携実績、あとデータセットの数だとか、こういった数値をモニタリングしていこうということを昨年御議論いただいております。
 あとGX関係も、同じように大学等のネットワークの参加大学数だとか、研究開発テーマ数だとか、論文累積件数だとか、特許だとか、そういったものをモニタリングしていこうということになっております。
 様式のほうも、去年御議論いただいておりまして、このような様式を使って埋めていくということで、こちらのほうに指標の項目が入って、ここに数値が入っていくということになっております。
 今回、事前にお配りさせていただいた資料の1-1と資料の1-2が、その結果になります。
 資料1-1は気候変動対策関係になります。
 こちらのほうは去年夏に御議論いただいた評価指標になっておりまして、こちらのほうは事務方で今回埋めてみたところになっております。例えば、論文累積件数ですと徐々に増えているとか、あと海外連携実績、こちらはちょっと最近下がっていますけどもコロナの影響があるのかなと思っております。
 あともう一つはアプリケーションの数、これはDIASの中に搭載されている、開発されているアプリケーションの数ですけども、こちらは今回減っていますけども、これは事業の切り替わりでちょっと立ち上げのときに下がっているのかなと思われます。
 あとデータセットの累積件数は、今期のプロジェクトからフォローするということになっていますので、ここから順に来年以降記載されていくということになります。
 あと地方公共団体の数ですけども、こちらは過去事業になりますので、ここだけ入力されているという指標になります。
 あとDIASの利用件数ですけど、徐々に増えているということで、こういうのが今後フォローすることができるということになります。
 もう一つGX関係、半導体だとか技術開発関係になりますけれども、一つはこのプログラムの中に大学の脱炭素化のための基盤研究開発としてコアリションの運営が入っておりまして、コアリション参加大学数として今192ということで、かなり多くの大学が入っていただいているということで、こちらの推移を今後見ることができるということになっています。
 あと研究開発テーマ数、これは実際にその研究課題のPIの数になりますけども、今回15に下がっていますけど、こちらは新しいパワエレ事業に切り替えたということで契約件数が変わっていることによります。
 もう一つ、論文件数と特許件数ですけども、こちらも徐々に増えてきているということを確認することができます。
 あと、分野横断の共同研究件数ですが、こちらのパワエレ事業の各研究代表者がありますけども、そちらの研究チームごとに試料の交換だとか、そういった連携が取られているかということで、今2件、令和3年度は取られたということで、こういう数字を今後モニタリングすることができるということになっております。
 プログラム評価については、以上になります。
 次に、事後評価について御説明させていただきたいと思います。
【伊藤(事務局)】  環境エネルギー課の伊藤と申します。
 私のほうからは、「統合的気候モデル高度化研究プログラム」の事後評価結果(案)について、資料1-3を用いて説明させていただきます。画面のほうを共有させていただきます。
 まず、3ページ目ですけれども、本プログラムの事後評価ですが、花輪主査をはじめとした、こちらの事後評価調整グループのメンバーの方々に御協力いただきまして、この案を作成しております。
 続いて、この統合プログラムの概要ですけれども、令和4年度から、後継プログラムの気候変動予測先端研究プログラムを実施しているところですが、この統合プログラムにおいては、平成29年度から令和3年度の5年間にかけて実施をさせていただき、今回、事後評価ということで御議論させていただくことになっております。
 2番目の研究開発概要・目的ですけれども、こちらは本プログラムの事前評価のときにお示しさせていただいたところですが、改めて御紹介させていただきます。
 本事業では、国内外における気候変動対策に活用されるよう、地球観測ビッグデータやスーパーコンピューター等を活用し、気候変動メカニズムの解明、気候変動予測モデルの開発等を推進することを目的としております。
 具体的な取組としては、適応策・緩和策の基盤となる我が国独自の基盤的気候モデルの開発、炭素・窒素循環等の解明を目標とした気候モデル要素の精度向上、国内・東南アジア地域を対象とした気候モデル活用のための高度化、さらに適応策に資する我が国独自の統合的ハザード予測を実施してまいりました。これらの課題を四つの領域テーマに分類して、それぞれの機関で実施をしてまいりました。
 そうしまして、予算のほうですけれども、こちらは5年間で総額としては約31億という形で実施をしております。
 5番目の課題実施期間・体制についてでございますが、プログラム・ディレクターについては住先生、プログラム・オフィサーについては木本先生と原澤先生に御参画いただきました。
 先ほど御紹介しました各テーマについてですけれども、領域テーマAは、全球規模の気候変動予測と基盤的モデル開発といたしまして、東京大学。領域テーマBについては、炭素循環・気候感度・ティッピング・エレメント等の解明として、JAMSTEC。領域テーマCについては、統合的気候変動予測として、気象業務支援センター。領域テーマDについては、統合的ハザード予測として、京都大学防災研究所に御参画いただきました。
 続いて、事後評価表(案)について、御説明をさせていただきます。
 本プログラムでは、アウトプット指標・アウトカム指標として、累計論文数と海外連携実績というものを定めております。
 累計論文数については、5年間全体で650本というふうに設定しておりましたが、これは大きく上回る1,028本という成果が得られております。
 続いてアウトカム指標については、令和2年度から3年度にかけて実績数が減っておりますが、これは新型コロナウイルスの影響と考えられますが、いずれの年度も目標値の50件を上回る成果が得られているところでございます。
 続いて、3番目の評価結果について御説明をさせていただきます。
 この評価結果の構成ですけれども、各領域テーマごとに成果をまとめておりまして、それらを後半でプログラム全体として、必要性・有効性・効率性という観点で整理しております。したがいまして、ここでは、その必要性・有効性・効率性の御説明をさせていただければと考えております。
 ページのほう、大分先のほうに進めさせていただきまして、まず必要性についてでございます。
 こちらは、評価項目が5点ございまして、評価基準として、これら項目について、どのような観点で評価するかを設定し、それに従い評価をしております。
 各評価項目について、御説明をさせていただきます。
 まず、科学的・技術的意義についてでございますが、こちらは気候感度といいまして、大気中の二酸化炭素濃度が2倍になったときの気温上昇量を示すものですが、こちらについては、新たな評価手法を考案することで、過去40年間ほぼ変わらなかった気候感度の不確実性の推定幅の半減に貢献いたしました。
 これは、カーボンバジェット推定など緩和策に重要な意味を持つ成果でございまして、この大きな科学的成果は、IPCCの第6次評価報告書のほうにも強く反映されております。こういった成果は、NatureやScienceといった総合誌に掲載されまして、先ほど御案内させていただきました累積論文数や海外連携実績といった各指標で、当初の目標値を上回る成果を示しているところでございます。
 続いて、社会的・経済的意義でございますが、こちらは気候モデルMIROC6といいまして、領域テーマAのほうで開発、高度化したモデルでございますが、これを用いた第6期結合モデル相互比較プロジェクト実験を完了しまして、多数のシミュレーションデータを世界中に公開することで、IPCC、AR6をはじめとする様々な温暖化予測情報に活用されたところでございます。
 続きまして、国費を用いた研究開発としての意義でございますが、CDRMIPやZECMIPは、それぞれ大気中のCO2除去や人為CO2排出の停止に伴って生じる地球環境の応答を調べる国際的な実験プロジェクトでございますが、こちらに対して、本プログラムでは迅速な参加表明と実験実施を行いまして、開発した地球システムモデル等を用いまして、人為影響等も踏まえた、より精緻な気候変動メカニズムの解明等を行ってまいりました。
 さらに、主な風水害を対象として、河川ハザード予測モデルの開発と、それらを用いた影響評価に資する研究を行うとともに、社会経済的要因――これは人口分布の変化などでございますが、これも考慮に入れた適応策評価に資する研究を実施いたしました。
 続いて、政策・施策の企画立案・実施への貢献でございますが、こちらについては本プログラムで創出されたデータやモデルは、文科省の気候変動適応技術社会実装プログラム、通称SI-CATと言っておりますが、それや、国土交通省の治水計画検討、環境省の地域適応コンソーシアム事業等に用いられました。
 以上により、各評価項目で設定した基準を満たすため、本プログラムの必要性が認められると判断しております。
 続いて、有効性についてでございます。
 こちらは、まず評価項目の実用化・事業化や社会実装に至る全段階を通じた取組についてでございます。
 本プログラムの成果を用いて、国土交通省においては、全国5河川で河川整備基本方針が更新されました。また、本プログラムの知見は、地方整備局等での検討にも活用され、大阪府の高潮三大水門の改築といった、具体的な適応策にも活用が広がったところでございます。
 また、「日本の気候変動2020」、及び昨年12月に文科省と気象庁が公表しました「気候予測データセット2022」、それぞれの検討において本プログラムの成果が活用されたところでございます。
 次の評価項目、知的基盤の整備への貢献や寄与の程度でございますが、本プログラムでは、社会に開かれた温暖化サイエンスの推進というものを掲げておりまして、そこで極端気象の要因分析について、気象庁に情報提供するとともにメディアや一般講演会を通じて情報発信を行ってまいりました。
 また、領域テーマC・Dの連携によって、東南アジア諸国――これは具体的にはタイ・ベトナム・インドネシア・フィリピン等でございますが、こういった国々との共同研究等を通じて、東南アジア等における気候変動予測データセットの作成・解析や、災害を引き起こすハザードの詳細な将来予測等を実施してまいりました。
 その成果を基に、気候変動適応策の実装支援を目的とする「知の統合システム(OSS-SR)」というものを構築いたしました。
 このOSS-SRというものは、リアルタイムの洪水監視予測と気候変動影響評価に関する知見、情報を集約して、それらを現地のステークホルダーがeラーニングで学習することができるシステムでございまして、これをDIAS上に開発いたしました。さらに、本プログラムで創出されたCMIP6の実験データや国内の予測情報等を、DIASを通じて国内外の研究者に展開するなどもしてまいりました。
 以上により、各評価項目で設定した基準を満たすため、本プログラムの有効性が認められると判断しております。
 最後、効率性になりますが、こちらについて評価項目の研究開発の手段やアプローチの妥当性でございます。
 こちらはCMIP6実験データを公開して、SI-CATにおいては、本プログラムの成果であるモデルや予測データが活用され、影響評価の基盤となりました。また、研究成果については、先ほど御紹介させていただいたとおり「日本の気候変動2020」に反映されるとともに、「気候予測データセット2022」にも用いられました。
 本プログラムでは、その「気候予測データセット2022」の整備や、今後の拡充・高度化のため、2020年度に3回にわたって予測データ作成者やデータ利用者との意見交換会も実施してまいりました。
 続いて、計画・実施体制の妥当性というところでございますが、本プログラムの効率的な事業運営、研究開発のために、プログラム全体での研究調整委員会と、各テーマごとに研究運営委員会の開催をいたしました。また、各テーマ間の連携推進として、共有ファイルサーバーシステムによってデータの共同利用が行われました。
 テーマ間での研究連携も行われまして、例えば極端現象への温暖化の寄与を解析いたしまして、その成果はメディアを通じて発表されました。また、新型コロナウイルスの影響により、本プログラムの実施期間後半は、対面での打合せや国内外の学会が中止・延期になりましたが、オンライン会議システムの積極的活用や、地球シミュレーターの遠隔利用の促進等により、研究作業の遅滞を避け研究成果を継続的に創出したところでございます。
 以上により、各評価項目で設定した基準を満たすため、本プログラムの効率性が認められると判断しております。
 続きまして、(2)の科学技術基本計画または科学技術・イノベーション基本計画等への貢献状況でございます。
 科学技術基本計画においては、「地球規模での温室効果ガスの大幅な削減を果たすとともに、我が国のみならず世界における気候変動の影響への適応に貢献する」、科学技術・イノベーション基本計画においては、「高精度な気候変動予測情報の創出や、気候変動課題の解決に貢献するため温室効果ガス等の観測データや予測情報等の地球環境ビッグデータの蓄積・利活用を推進する」と示されているところでございます。
 本事業では、気候変動適応策の基盤となる気候モデルの開発を通じて、予測情報を創出するものでございます。また、予測情報は、国、地方公共団体等における適応策の検討に活用されております。
 以上によりまして、科学技術基本計画及び科学技術・イノベーション基本計画に基づいて事業が実施されて、両計画に貢献したと評価しております。
 総合評価でございますが、これまで御説明させていただいたとおり、本プログラムは必要性・有効性・効率性の観点から妥当であり、科学技術基本計画、科学技術・イノベーション基本計画の達成に大きく貢献したと評価しております。
 最後になりますが、今後の展望でございます。
 気候予測データは、これまで申し上げたように、治水対策等の気候変動対策に係る政策等の科学的根拠として活用されてきておりますが、不確実性による予測精度、近未来予測データの不足等の課題もあり、今後活用の範囲を広げていく必要があると認識しております。
 また、防災・減災等においては、将来予測データも活用した対策へのパラダイムシフトが、さらに加速していくことが想定されますので、気候モデルのさらなる高度化・精密化を図りつつ、国、地方自治体、国際社会等における幅広いニーズ等を踏まえた気候予測データの高精度化を進めることも必要であると認識しております。
 また、本プログラムはIPCCをはじめとする国際的な場への貢献というものを目的の一つとしており、本プログラムの成果はIPCCの報告書での活用数を大きく伸ばしているところでして、我が国の気候変動研究における国際的なプレゼンスは増してきております。今後のCMIP7やAR7に貢献するため、欧米等との国際共同研究を通じて、引き続き効果的・効率的に研究開発を推進していくことが重要と認識しております。
 また、本プログラムでは成果の発信に積極的に取り組み、その成果はメディアでも大きく取り上げられてきましたが、今後も信頼できる科学的知見や幅広い情報発信の重要性が増大することを見据えまして、引き続き成果発信に取り組んでいくことが必要と考えております。
 最後になりますが、さらに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の動きを受けて、近未来予測データや排出シナリオ評価等の科学的根拠の重要性が金融業界のほうでも認識されているところでございます。したがいまして、企業や自治体等が使いやすい、ユーザーフレンドリーなデータ・システムの構築及び提供に向けた取組につなげていくことが望まれると考えているところでもございます。
 以上で事務局からの説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【本郷主査代理】  ありがとうございます。丁寧に、また効率的に説明していただきまして、ありがとうございました。田村補佐、伊藤補佐ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見、御質問等あればお願いいたします。挙手機能でも使ってお願いいたします。
 特に御意見、御質問等ある方はいらっしゃらないでしょうか。
 では私のほうからですけど、最後の今後の展望のところですね。実際金融市場で、こういった情報が必要になっているということは間違いのないことで、今書かれた中ではESG投資ということで、やや限定した形になっていますけれども、今後は会計基準だとか上場基準というような形で、もっと広く使われるということになりそうなので、その辺りについては、また事務局の方と相談させていただければなというふうに思っております。
 それ以外に、特に御質問等はないということでよろしいでしょうか。
 浦嶋委員、お願いいたします。
【浦嶋委員】  
 MS&ADの浦嶋と申します。
 すみません、今まさに本郷さんからお話をいただいたところなんですけれども、まさに今一大セクターにおいて、気候変動というのが重要な経営戦略・経営リスクを考えるファクターになっております。
 今日はその評価をどう考えるかということだと思うので、ちょっと的外れな質問、コメントかもしれないんですけれども、金融に身を置く立場として、やっぱり海外のモデルですと、なかなか日本の精緻な災害リスクが、金融リスクを評価するところであまり使われてないという印象があります。
 例えば、海外のAqueductで評価されているものを以前見たところ、すごく日本が非常に粗いグリッドで、広いエリアが同一に評価されていました。まさにリスク評価をするようなアクターとか、例えばいわゆる金融庁とか、今まで気候の研究者の方たちがアクセスされてなかった方たちと、どういうふうにこの研究の成果を生かし活用していくかということも、今後のすごく重要なポイントだと思います。
 分野横断といったときに、その分野がかなり今までとは違う分野と合わせて考えていかなきゃいけないということだと認識をしています。どうもやっぱり日本のサイエンス業界とビジネス業界は、欧米に比べて距離がまだまだ遠いというところを感じていまして、どこが突破口になるのかというのはすごく難しい課題だと認識をしているんですけれども、ここをすごくつなげていかないといけないというところは、ESGとかサステナビリティに関わる部署にいる人間として強く痛感をしているところです。
 すみません、今日の趣旨とちょっと直接関係ないかもしれないですけども、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
【伊藤(事務局)】  浦嶋先生、どうもありがとうございます。
 御指摘の点につきましてはそのとおりでございまして、現在、関係省庁においては、文科省、環境省、金融庁、あと国交省と企業さんも交えて、産官学連携ネットワークというものを立ち上げまして、金融業界の声も聞きながら、どういうふうに適切なニーズに沿ったデータというものを提供・開発していけるかというものを、議論を進めているところでございますので、御指摘の点よく踏まえまして、今後も引き続きしっかり議論してまいりたいと思っております。
【浦嶋委員】  どうもありがとうございました。
【本郷主査代理】  ありがとうございます。
 ほかにはいらっしゃいますでしょうか。ちょっと私のところから挙手しているのが見えにくいので、もし挙手されている方がいれば直接お話いただければと思います。
〔「なし」の声あり〕
【本郷主査代理】  ないようですね。どうもありがとうございました。
 それでは、いただいた意見を踏まえて評価案を修正したいと思いますけれども、内容につきましては、主査代理と事務局のほうで相談させていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、本件終了いたしまして、議事の進行を原澤主査にお戻ししたいと思います。
 原澤主査、お願いいたします。
【原澤主査】  本郷先生、どうもありがとうございました。
 それでは、議事の(2)、報告事項に移りたいと思います。
 議事の(2)では令和4年度第2次補正予算、令和5年度政府予算案等について、事務局から報告いただきます。
 では事務局、説明お願いいたします。
【轟(事務局)】  環境エネルギー課長の轟でございます。
 それでは、予算の状況について御説明させていただきます。資料を共有いたします。
 令和5年度予算案と、あと12月2日ですけれども令和4年度の補正予算が成立しておりますので、その状況を御説明いたします。
 本委員会で見ていただいているこの環境エネルギー分野の研究開発というのは、四つの大きな柱で予算的には動いておりまして、一つ目が革新的GX技術のシーズ創出・人材育成への投資強化で、ここのところは6月にGteXの中間まとめを御審議いただいて、8月には事前評価をいただきました。その後、ここについては予算で大きな進捗が見られましたので、後ほど御説明させていただきます。
 二つ目が、日米連携も見据えた次世代半導体創生に関する取組で、二つほど取り組んでいるところがあります。また、後ほど説明いたします。
 三つ目が、気候変動対策の関係。先ほども評価いただきましたけれども、気候変動の統合プログラム。また、その後継の先端プログラムというのをやっていますけども、そちらの辺りの御説明です。
 それから四つ目は、大学等コアリションというのを一昨年立ち上げましたけれども、それも含めて大学の横連携でカーボンニュートラルに取り組んでいこうといった施策。
 この四つの柱で進んでおります。
 それでは、それぞれ説明いたします。
 一つ目ですけれども、革新的GX技術のところ。これは昨年8月の事前評価をいただいた上で財務省と折衝を始めたわけですけれども、第2次補正予算のほうで、当面5年分として496億円の基金を獲得することができました。
 対象機関は大学、国立研究開発機関等というところで、3領域――蓄電池、水素・燃料電池、バイオものづくりを想定して、オールジャパンのチーム型で研究開発を展開していくというものでございます。
 これは機動的で柔軟な支援により長期的・安定的なマネジメントを確保するために基金として運用していくということで、5年間でございますが、最大10年というところで今認めていただいているところです。
 アカデミアにおける研究開発・人材育成は文科省のほうで、それから企業等における研究開発・社会実装というのは経産省、特にグリーンイノベーション基金を一昨年より経産省は進めていますので、それと連動してやっていくということで、これから取り組んでいくところでございます。
 続きまして、事前評価のときにはチーム型と探索型と、二つを含むGteXという形で評価をいただいたわけですけれども、その探索型の部分は、先ほどの基金とは別にJSTの戦略創造の事業の中で認めていただいております。名前は先端的脱炭素化技術開発(ALCA- Next)ということで、令和5年度の当初予算ということで、予算案10億円(新規)ということでございます。
 こちらは、まさに幅広い領域ですね。先ほどの3領域だけじゃなくて、もうちょっと広い領域、例えばエネルギーキャリアとかデジタル基盤エレクトロニクスとか、あと資源循環等というところですけれども、もっと幅広い領域でチャレンジングな提案を募っていくということでございます。
 こちらは金額的には、探索していくということですので、第1フェーズ3,000万円で、新規に28課題程度取って、よいものは第2フェーズに進んで1億円程度ということで進めていくというものでございます。
 二つ目の柱としての半導体です。こちらは次世代X-nics半導体創生拠点形成事業ということで、今年度開始しているものでございます。
 予算的には、当初予算案は前年同の9億円ですけれども、補正予算のほうで11億円確保させていただいております。2035年から40年頃の社会で求められる半導体(ロジック、メモリ、センサー――こちら集積回路のほうです)、を対象とした事業でありまして、新たな切り口による研究開発と将来の人材育成というところをターゲットにしております。3拠点――東工大、東大、東北大ですが、それぞれ連携機関と共同で、研究開発と人材育成に取り組んでいくというものでございます。
 半導体のもう一つの事業は、パワーエレクトロニクスということで、電力ネットワーク分野、EV等の自動車分野、ICT分野で、エネルギー供給の上流から電力需要の末端まで、いろいろなあらゆる機器に使われているパワー半導体のほうです。先ほどは集積回路でしたけども、こちらパワー半導体のほうで事業を進めていくということです。こちらのほうも、受動素子、パワーデバイス、回路システム、それから次々世代・周辺技術というところでチームを組んで進めていきます。これも前年同の14億円を確保したというところでございます。
 三つ目の柱の、気候変動対策ですけれども、こちらは地球環境のビッグデータをこのデータ統合解析システム――DIASですが、DIASの能力を生かして学術研究はもとより災害対策やIPCC等の国際的な気候変動枠組みにも貢献するというものでございまして、こちらも当初予算で前年同の4億円、それから補正予算のほうでDIASの運営費というところで2億円を確保させていただいています。
 気候変動のもう一つ、こちらは先ほども評価いただきました統合プログラムの後継としての気候変動予測先端研究プログラムというのを、令和4年度、今年度から開始しているところでございます。予算的には、ほぼ前年同ということで5.5億円を確保させていただいていて、統合プログラムを継続してやっていくわけですけれども、ユーザーニーズを踏まえて地域別の予測や近未来予測、AI活用といった最新動向も対応していくというところで、領域課題は四つ設定して、大学等における気候変動研究の基盤を支えていくというものでございます。
 続きまして、最後の柱で、大学の力を結集した地域脱炭素化加速のための基盤研究開発でございます。
 こちらは、人文・社会科学から自然科学までの幅広い知見を有する知の拠点として、大学等の力を使っていきたいというところで、委託事業としての研究開発として、地域のカーボンニュートラル実現に向けた取組加速のための基盤的な研究開発というところで、特に地域脱炭素化に向けた計画等の策定に活用できる脱炭素地域計画支援システムというのを構築していくというものですが、この予算の中でカーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリションの運営のほうもやっているというものでございます。
 金額は前年ほぼ同額というところで確保させていただいているところです。
 今、カーボンニュートラル達成に貢献する大学等コアリションということでお話ししましたけれども、現状はこういう形で立ち上げていて、今年度も9月20日に第2回総会をやっており、どんどん参加大学増えてきていて、国公私大等合計で198大学が今参加していただいているというところです。
 また、大学等にとどまらず企業にも参画していただこうということで、今門戸を開けたんですけれども、損保ジャパン等、早速何社か参画をいただいているというところで、さらにこの大学等の力をカーボンニュートラルに向けて発揮いただくようなことを考えていきたいと考えております。
 これが予算の状況でございます。
 続きまして、資料の2-2のほうに移らせていただいて、引き続き説明を私のほうからさせていただきます。
 先ほどの一つ目の柱の核心的GX技術ですけれども、これは小委員会を立ち上げるということで、事業を進めていくための議論を今進めているところです。先ほどお話ししましたけれども、6月に本委員会でも中間報告させていただいて、事前評価を経て今予算がつきましたので、これを具体的にどうやっていくのかという議論を始めたところです。
 12月20日に第1回を開いておりまして、そこでまずキックオフをしています。今年度内でこのGteX基金事業について、まず国としての実施方針やJSTの研究開発計画といったところをまとめて、早々に公募を開始していきたいと思っています。それ以降は、GteX事業に限らずGXにつながる様々な領域、施策、方向性等について議論していきたいと思っています。
 第1回は12月20日に開催させていただいておりまして、委員の先生方は、本委員会からも分属をいただいて、議論をさせていただいております。
 第1回は、先ほども御説明しましたが、GteXは経産省のGⅠ基金等と連動してやっていくということでやっていますので、経産省からも説明に立っていただいて、またファンディングエージェンシーとしてのNEDOからも説明をいただいて、キックオフをしたというところになっております。
 簡単ではございますが、以上でございます。
【甲斐(事務局)】  では、ここからは引き続きまして、私、環境エネルギー課の甲斐と申しますが、地球観測推進部会での審議状況についてというところを御説明させていただきます。
 今回、資料として御用意いたしましたのは、12月に開催いたしました第8回の部会での資料として用いました最終取りまとめの素案というところになります。この素案に対しまして御審議いただきまして、委員の皆様から御意見をいただいておりますので、そちらのほうをただいま反映をする作業をしており、反映をした取りまとめ案というものを作成して、そちらを用いて、今度、来週1月20日に第9回の部会を開催して、御審議いただくというふうな予定となっております。
 今回は、この素案に関して簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 これまで、前年度までに議論を行っておりまして、その結果を中間取りまとめという形で取りまとめておりますけれども、その取りまとめに加えて新たな観点として生物多様性・自然資本という観点を加えた上で、中間取りまとめの段階では、パワーポイントのスライドの形式だったものをちょっと文章の形にするというふうな形で取りまとめを行っております。
 この素案の段階での全体の構成としましては、第1章から第4章までの構成となっておりまして、今画面のほうで見えておりますように、第1章で総論というふうになっておりますけれども、それから第2章が課題と方向性、第3章がSDGsへの貢献に向けて求められる対応。で、第4章としては、終わりにというふうな形で取りまとめ、素案を作成しております。
 簡単に、中身についてを御説明いたしますと、第1章ではSDGsと地球観測の関係というところを示したり、あとは検討の背景といったところで国際社会での動向ですとか、前期の第8期の地球観測推進部会において議論して報告を行っております、今後10年の我が国の地球観測の実施計画フォローアップ計画書への提言等、そういった動きについてを示して、今回の取りまとめにつながっているというところを示していると。
 第2章に関しましては、今年度の議論の中で取りまとめてまいりました流れで構成を検討して、「地球観測」「気候予測データに関するリテラシー・提供体制」「データバリューチェーン」「気候変動の現状把握と緩和策・適応策」「生物多様性・自然資本分野」という五つの項目について、課題と方向性を整理するという形となっております。
 生物多様性・自然資本というところについては、新たに加わった論点であるというところで、課題としては共通するというところがあるものの、その特性に基づく特有の課題というところで整理しています。
 第3章では、この第2章での整理を受けて、今後の部会等での対応についてお示ししているところです。
 第4章は、全体のまとめと来期の部会の方向について言及しており、来期の地球観測推進部会では、今後10年の我が国の地球観測の実施方針というものがありますけれども、こちらが更新時期になっているというところを触れ、議論の必要性について述べているというところになっております。
 素案の段階のものになりますので、ここからさらに委員の皆様から御意見を賜りまして、さらに現在修正を加えているというところとなっております。
 素案の説明と現状について、簡単に御説明させていただきました。
 以上となります。
【原澤主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは、報告いただきました予算案等について、御質問等がございましたらお願いたします。
 GX技術開発小委員会、地球観測推進部会で議論に参加いただいた委員の先生方もいらっしゃいますので、特に補足等がございましたらお願いいたします。いかがでしょう。
 では、堅達委員、お願いいたします。
【堅達委員】  NHKエンタープライズの堅達です。
  私のほうは、ちょっと3点ほどコメントと質問がございます。
 私COP27に今回取材に行ってきたんですけれども、日本が目指している、こういう新しいテクノロジーとかそれから政策が向かっていく方向性の中で、まずは予算も含めて、ちょっと1個、今回非常に懸念があります。COP27でも、いろんな方からの指摘があったのが、ややちょっと日本の水素戦略というのは、少し方向性がずれているのではないかということ。
 水素が大事なことは間違いなくて、これは世界でもいろんな分野で、特に重工業の脱炭素化には欠かせないということで、研究開発競争というのが進められているんですけれども、それは大事なものとして、どんどん日本が持っている得意な分野を伸ばしていく必要はあると思うんですが、今、私の懸念は、燃料電池ですね、こちらが今回も重要なテーマの一つに入っていると思うんですが、この燃料電池あるいはFCV的なものの未来像というものについては、冷静な分析というのを、ちゃんとこれまでの実績とか今後の世界情勢の変化みたいなことを分析しておられるのかどうかというのが、一つ質問です。
 といいますのも、世界のEVシフトのスピードが、我々が思っているよりもかなり激しく進んでいると。不幸なことに、ウクライナの戦争ですね、ロシアの侵攻によってロシアの天然ガスに依存することが地政学上、安全保障面でもリスクだということが分かってきたので、ヨーロッパとかは特に、ますます再エネへのシフトというものを固めております。そうなってきたとき、EV率は、もう我々が予測していたスピードよりも上がって進んでいると。
 これは、今までは走行距離の問題とかでも、EVよりもFCVのほうが優位性がある分野というのはあったんですが、例えばテスラとかが800キロも走れるEVトラックを発表しているとか、あるいは中国・ベトナムといった途上国もどんどんEVの新しい車を出して、はっきり言ってシェアがどんどん日本の車から奪われていっているときに、EVの充電ステーションは世界中に増えるだろうけれども、果たして本当にこの水素ステーションが我々の予見どおり増えていく未来というのは、本当にきっちりあるのかというところを、どれくらい冷静に分析しておられるのかというのを聞きたい。
 特に、私どもブルームバーグのBNEFを創設されたマイケル・リーブライクさんという方のレクチャーをCOP27で受けてきたんですが、彼は国際水素学会とかでも発言されていらっしゃる方ですけれども、かなり、正直言って日本の水素戦略に対しては、そういう疑問を持っていらっしゃるというのを目の当たりにして、本当その辺、どう見直しを冷静にしていくつもりなのかというところを伺いたいというのが1点。
 もう1点は、大学のコアリションとか、すばらしいと思うんですけれども、今回のCOP27でも、あと生物多様性枠組条約のほうのCOP15でも、今や世界ではカーボンニュートラルとネイチャーポジティブという考え方が、もう表裏一体というか車の両輪として、ほぼ一体として捉えて連携するというふうに変わってきていると思うんですね。
 先ほども、生物多様性とか自然資本についての取組、新しい取組そういうのも観測のほうではありましたけど、こういう大学の連携の中にカーボンニュートラルだけを実現するというのではなくて、ネイチャーポジティブ分野での研究とか、文部科学省としてやれることというのがどのように組み合わさっているのか。このあたり、ぜひ今年は9月にTNFDの本格的な運用も始まるということもあって、土地利用とか食料システムとかバイオマスエネルギーとか、そういった分野と、今やろうとしていることがどれくらい結びついているのか、その辺りを教えていただきたいというのが2点目です。
 3点目は、地球観測、これは本当に日本の得意な分野なのでどんどん伸ばしていただきたいと思うんですけども、去年パキスタンのあれほどの大洪水が起きて、御承知のとおり、今COPでもロス&ダメージの基金ができたりして、非常にやっぱりもう予想を超えた被害が出ている中で、早期警戒システムの導入の促進イニシアティブというのも日本も打ち出しているわけですが、ぜひ、この観測も含めた世界に冠たる防災技術というものをしっかりと世界に示し、途上国の支援として貢献していくと同時に、ビジネスチャンスにもつなげていく必要があると思います。
【原澤主査】  コメントに対して御回答をお願いいたします。手短にお願いできればと思います。
【轟(事務局)】  それでは、手短にお答えしますけれども、最初の御質問の水素のことですが、水素ステーションがどうなっていくのかとか、そういったところは経産省のほうで水素戦略等出ていますので、そちらのほうで全体像はあるんですけれども、研究開発の動向に関しましては、6月に本委員会でも報告させていただきましたが、GteXを立ち上げるための基礎基盤研究戦略検討会というのを、今年の2月から4月まで省内で有識者の先生方にも入っていただいて立ち上げたと。
 そのときの、水素燃料電池の我が国の分析というのはどうなっていたかというと、NEDOとかそういったところで一応全体のシナリオ、2040年シナリオとかそういったものはつくっていて、ただしそのときにアカデミアの部分ですね、最初の技術的な成熟度が低いところを支援するようなファンドというのがないと、そこの部分をちゃんとケアしていかないといけないというのが一つの分析になっていたというところです。
 アカデミアが参加できるものをちゃんとつくるべきだというのがそのときの分析であるというのと、あと水電解と燃料電池における劣化のメカニズム、そういったところをやるには異なる分野の研究者は共通課題で取り組んでいくといったところ。それからAIやデータ解析技術も含めた一体的な研究開発が重要だというようなところが、研究開発の動向としての我が国の分析というところでは出していただいていたところではあります。それがまず、一つ目の分析という観点。文科省となると研究開発の動向というところになります。
【甲斐(事務局)】  それから、2点目、3点目に関してなんですけども、ちょっとどこまで答えになるかというところではございますけれども、ネイチャーポジティブに関しての研究開発といったところが、何かあるのかというところが2点目の御質問になるかなと思うんですけれども、こちらに関しまして地球観測の中で生物多様性に関しての観測というものをしっかりやっていく必要があるというところに関しては、ちょっと何か取りまとめの中に入れていきたいというところで、ちょっと素案の中にも少し記載をしているというところではございます。
 そこからさらに大学等でネイチャーポジティブとしてしっかり取り組んでいくというところに関しては、ちょっと、何といいますか、把握ができていないところになるかなというところになっております。申し訳ございません。
 で、地球観測に関しての部分、3点目というところで、しっかりと地球観測に取り組んでいくべきであるというところのお言葉をいただいたのかなと思っております。継続的、長期的な地球観測を実現できるようにというところが一つ、こちらの取りまとめの中にございまして、そういったところで、世界、まだ観測が不十分な地域に対して、こちらの我が国で取れている観測データを提供できるようにといったようなところは、少し取りまとめの中で提言できていければなというところになるのかなと考えております。
 ちょっと、お答えになっているか分かりませんけれども、以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】  私のほうは、堅達委員が水素について御指摘いただきまして、大体そういう質問は私に振ってくることが多いので、少し現状を誤解がないように報告させていただきたいと思います。
 確かに5年前や10年ぐらい前は、水素といえば燃料電池自動車という印象が当たり前のようにありました。他方、お話がありますように蓄電池もかなり伸びてきましたので、自動車の中で小型車や中型車、いわゆる汎用車の中で、いわゆるEVが普及するということは、皆さんよく御存じだと思います。
 なので、水素燃料電池については、特にこの数年来は研究の重心が、いわゆる乗用車から商用車にシフトしておりまして、今まさにトラックや列車に使うような、ヘビーデューティーの燃料電池を開発しているということでありまして、既に技術開発の重点もそちらに移ってきております。
 あと水素については、むしろ産業分野で電化がしにくいところを水素化していくというところに、GI基金もかなりきっちり移っておりまして、水素還元製鉄やコンビナートのカーボンニュートラル化、さらには世界の安くなっている再エネを水素や水素キャリアとして世界中で取引して、日本にも持ってくるという方向にかなりシフトしております。
 なので、特定の方がいろんな発言をするということはもちろんあると思いますけれども、今水素イコールFCVではもうなくなっておりまして、商用車や産業分野を含めた多様な分野に、今研究開発がシフトしているということでございます。
 なので、いろいろおっしゃるとおりなところもございますし、それに対する対応を政府のほうでもしていただいているところでございます。
 一応私からは説明補足、以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 追加の御説明ということですので、次に行きたいと思います。
 続きまして、中北委員、お願いいたします。
【中北委員】  ありがとうございます。
 私のほうからは、気候変動対策絡みの重要性、そこを主張しておきたいと思います。
 今回、カーボンニュートラルあるいはカーボンネガティブ等の、これからすごい予算が必要だという中で、気候変動対策のほうにも御尽力、予算していただいたということは、すごいありがたく大事なことだと思っています。
 緩和のほうが、ある程度のところで二、三十年先に達成されたとしても、基本的に海の温度はそこで急に冷めるわけじゃなくて、まだ熱が供給されて、何といいますか、気候変動の影響そのものが、例えば災害とかに出てくるのは、それよりまたさらに先の可能性も高いし、それから単に2度の世界を見ているだけ以上の影響というのが出てくる可能性があるということを考えると、そういうフェーズのずれの研究というのを、科学的にはますますやっていかないといけないし。
 ということと同時に、世界での災害のことを考えても、どういう災害にどう対応していくか、それが社会のフェーズシフトも生むという意味では、適応サイド、災害対策サイドからも世の中の変革というのが求められていると、ますます皆さん実感してくるだろうと思いますので、こちらも引き続き大事なものとして、この環エネ課の中の取組として、キープいただきますように。
 ますます、何かゼロエミッションのほうが本当にバーッと、もう日本宣言したので、一見……。重要だというのは分かるんですけども、地道にすごく大事なところを絶対落とさないように、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 事務局、何か御回答ありますでしょうか。
【轟(事務局)】  御指摘ありがとうございます。
 まさに先端プログラムというのを先ほど御説明しましたけれども、今年から始まっておりまして、昨日もちょうど第1回のシンポジウムをさせていただいて、それぞれ緩和策だけじゃなくて適応策のほうでもしっかり基礎データを積み上げて、かつそれを、昨日国交省さんも来ていただきましたけど、関係省庁も含めて、それをちゃんと実装して使っていくというところまで今Scopeに入れて議論が進んでおりますので、ぜひまた御支援よろしくお願いいたします。
【中北委員】  はい。ぜひ、どうぞよろしくお願いします。
 IPCCのほうも、より対策のほうの重要性もずっと出てきていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、藤森委員、お願いいたします。
【藤森委員】  IHIの藤森です。
 私からは、今回ずっとお聞きしていて、人ですね、文科省が所管されているということで、教育機関なので社会に人材を供給するという意味で、先ほどの一番最初の気候変動モデルとか非常にすばらしい研究をされているんで、こういう人材が社会に広がっていって、そういう基本的な知識とかリテラシーを持っている方が広がるというのが、やっぱりこういう気候変動問題を解決していく大きなドライブになっていくんだろうというふうに、最近特に思うんです。
 だから、そこら辺の指標というんですかね、そういうものもちょっと管理というか、そういうところも見られたらどうかなと。どういう分野に、どれだけ人材が供給されているかと。
 あと、特に今回の実際の自然現象なんですけども、いろんな、今度社会技術ですよね。先ほども水素の話もありましたけれども、そういうものが社会にどうインパクトを与えていくかというところも、大学からかなりオープンな立場で意見を出すというのが、国際的にもかなり影響力があるという。
 我々、例えば企業から出すような情報というのは、非常に色がついているとかいろいろなところがあると見られるんで、やっぱりそういう人材を増やしていくには、そういう技術とか社会工学とかいうところを含めてトータルとして、そういうソフト人材を増やしていくという戦略は、やっぱり必要じゃないかなというふうにちょっとお聞きしていました。
 自然に対しての研究というのはすばらしいところがあるなと思っていまして、それが今度は人間活動とどう関連するかというところにもちょっと踏み込まれて、あと大学からそういう情報が外に出るような施策というんですかね、それをぜひ期待したいと思っております。
 以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 では、事務局お願いします。
【轟(事務局)】  御指摘ありがとうございます。人材育成のところは、まさに今、文科省でしっかり取り組むようにということで、政府部内でも言われているところでありまして、今回予算がつきましたGteXというのも、研究開発がメインでありますけれども、人材育成のほうもしっかり打出しをして予算を獲得したというところでございます。
 例えば、前身のALCA-SPRINGという事業では、蓄電池ですけれども、蓄電池に関してはドクターを100名程度10年間で排出しているとか、企業にも関係蓄電池の企業に対して500名、600名という形で人材を輩出していますが、そういった実績も考慮されて、この予算を獲得しているというところになっています。
 また、半導体のX-nics事業というのも、研究開発と人材育成、両輪でやっていくというところで、打ち出しているところでございます。
 また、社会のインパクト、それから大学からしっかりそういうのを発信していくというような仕組み、取組というのも大学等コアリションの中にも人材育成ワーキングというのがありますので、そういったところでも取り上げて議論をしていくというようなことも考えたいと思っております。
 御指摘ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 引き続きまして、石川洋一委員、お願いします。
【石川(洋)委員】  JAMSTECの石川です。よろしくお願いいたします。
 私のほうから2-3の資料にあります推進部会の取りまとめのところで、幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 まず、非常にこの取りまとめ、よいことがたくさん書いてあって、まさにそのとおりだと思うことがいっぱいあります。
 中でも地球観測データ、それからそれをどう活用していくかということについて、とてもよいことが書かれておりますので、これを実行できるためにも引き続き御支援、また、ここら辺に対する投資というのを積極的にやっていただきたいなと思って読ませていただきました。
 幾つかコメントとしては、やはりこの中で、先ほど中北先生のコメントにもありますけれども、こういうものの中で緩和と適応というものが気候変動対策の両輪だというのは、強く打ち出していただきたいなと思っております。緩和だけでも適応だけでも、気候変動の対策というのはできないということで、その両輪をきちんと推進していくんだということが、より分かるようになってほしいなと思っておりますし、また、その中では少しデータバリューチェーンのようなこともありましたけども、データをいかに活用していただくか、その先、我々研究……、私も研究者ですけども、研究の先にきちんと社会活動があり市民活動があるというところまで情報を届け、その方たちの行動変容につながるところというのをやっぱり目標にしなければいけないというところは、幾らでも強調していただきたいなと思っております。
 それからSDGsへの貢献という点に関しては、もう一つのポイントとして生物多様性というのがきっちり入っているというのは非常に望ましいことだと思っていますし、一部のところでは気候変動と生物多様性が、両方とも相互で影響し合っているというのは書かれているものの、ちょっとばらばらに書かれている感があるので、もう少し気候変動と生物多様性のリスクというのが、かなり強いリンクがあると思っていますし、これはIPCCのレポート、特にワーキング2のレポートにも強く書かれているんですけども、生物と気候変動というところのリンケージというものの解明や、そのための生物多様性に対するリスク、それから逆に言うと、生物多様性とかNature-based Solutionsというんですけども、自然を生かした適応みたいなものというのも、うまくこういうところに追加していただけると非常によいんじゃないかというふうに感じました。
 以上になります。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 事務局、何かございますか。
【甲斐(事務局)】  御指摘ありがとうございます。
 一応は緩和策・適応策というところで、少しそれぞれにというところも書いてはみていたというふうに思ってはいるんですけれども、御指摘のようにちょっと明確さが足りなかったところは、確かにあるのかなと思います。
 また、生物多様性と気候変動のリスクといったところが、ちょっとばらばら感があるというところは、別途御指摘をいただいていたりもしますので、もう少しこの重なりがあるというところをうまく表現できればなというところもございます。
 今、修正を加えておりますところに、うまくはまればというところではございますけれども、最終的に来週審議いただく段階のものに、どのように反映できるかというところは、少し検討させていただきたいと思います。
【石川(洋)委員】  ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、議題(3)に移りたいと思います。
 議題(3)は、今後環境エネルギー科学技術分野で検討すべき課題についてということで、忌憚のない意見交換という趣旨でございます。
 本議題につきましては、大学等コアリションの事務局である総合地球科学研究所の谷口真人副所長にも御参加いただいております。
 では、事務局のほうで説明をお願いいたします。
【田村(事務局)】  
 資料3に基づいて御説明させていただきます。
 まず最初に、環境エネルギー委員会の第1回目の資料になっておりまして、今回、環境エネルギー委員会で今期議論することについて御議論いただいておりまして、一つは評価関係、もう一つは総合知の活用について、議論していこうということになっております。
 総合知については、先ほど課長から御説明させていただきましたカーボンニュートラルに向けたコアリションの活動の成果を踏まえながら、総合知の創出・活用について、どうやって研究開発を推進していくかについて議論をするということになっておりました。
 これまで、評価について主に御議論いただいておりましたけども、本日は総合知の活用について御議論いただきたいというふうに考えております。
 大学等コアリションは、先ほど課長から御説明いたしましたが、昨年立ち上がりまして幾つかワーキングは置かれていて、それぞれ幹事大学の先生方が活発に活動いただいているという状況になっております。参加大学も198になって、民間企業も入っていただくということで、今徐々に申請も集まりつつあるという状況になっております。
 それぞれワーキングを置いておりまして、ゼロカーボン・キャンパス――キャンパスで実証実験していく話だとか、あと地域の計画策定にどうやって大学が貢献していくかについて、グッド・プラクティスを交換したりだとか、あと人材育成ですね――カリキュラムだとかテキストを共同で開発していこうだとか、そういった計画が今議論されているところになっております。
 今回、本日の環境エネルギー委員会の議論に関係しまして、昨年末に大学等コアリションの先生方と連携しまして、どうやって大学の力というのをカーボンニュートラルにつなげていくか。そのためには、バックキャストしてどういった課題を優先的に取り組むべきかについて、まず調査抽出すべきなんじゃないかという議論になりまして、関係省庁だとか自治体だとか、あと民間企業――こちらのほうは机上資料で配付させていただいておりますけども、そういったステークホルダーの方々にお集まりいただいて、どういった課題を大学に解いてもらいたい、取り組んでもらいたいかについて、活発な御議論をいただきました。
 こちらの議論の結果について、簡単に御紹介させていただきたいと思います。まず、地域計画についていろんな御議論をいただきまして、例えば先ほど来もちょっと御意見いただきましたように、いろんな最先端の研究も必要なんだけれども、今の技術をどうやってその地域に実装していくか、社会に落とし込んでいくかについて、ぜひ大学に研究してほしいだとか、あとは社会インフラの前倒し計画、今立てているインフラが2050年にも残るこということが想定されますので、今前倒しでどうやってそういった社会変革をしていくか。
 あともう一つは産業種ですね、大まかに産業種ごとのCO2の排出量というのは出ていますけども、サプライチェーンの中でどの段階の業種が自分の地域で多いのかとか、そういったライフサイクル評価を緻密に大学にやってほしいだとか、あと行政の縦割りだとか規制の見直し、そういったものがどういったものが課題になっているか抽出したりだとか、あと炭素税について経産省を中心として今議論されておりますけども、そういったものを国際競争力につなぐような仕組みというのを検討する必要があるのではないか。
 もう一つは、リテール関係の企業さんからも御意見いただきましたが、製品に含まれているCO2を排出するコストを、どうやってその商品に転嫁していくか。外部不経済をどうやって内部化していくかについて議論が必要なんじゃないか。あと地方は土地が都市よりも再エネのポテンシャルがあると思われますので、地方がCO2の削減に貢献した際に、地方にそういった必要なお金が還流するような仕組みというのを今後議論する必要があるんじゃないかというような御意見をいただきました。
 あとコミュニケーション関係でいうと、意識啓発に当たると思いますけれども、カーボンニュートラルに向けて企業の中でWell-beingというのが注目されていますけども、一人一人の満足度だとか生活の質だとか、あと地方創生だとか、そういったものにカーボンニュートラルがCO2を削減するだけではなくて、生活の質の向上につながるんだという社会像をみんなで、市民も入れて共有していくことが必要なんじゃないかというお話がありました。
 あと先ほどの話に関連しますけども、サプライチェーン全体をどうやってカーボンニュートラル化していくかについて、非常に困っているということも御意見としていただきました。
 あと人材育成関係になりますけども、地域では非常に中小企業に対して地元の金融機関がアドバイスだとか、そういったことを行われていますので、地元の金融機関内でグリーントランジションに関するようなアドバイスができるような人材を育成してほしいだとか、そういった社会人も含めて、いろんな要望がありました。最近SDGs教育というのは非常に小学校でも盛んになってきておりますけれども、各教育段階ごとにターゲットを絞って人材育成というのをしっかり大学にも貢献してほしいという話がございました。
 あと、その他として、カーボンニュートラルが困難な業種があるので、最後どうやっていくのか、技術的にもどうしていくのかについて議論する必要があるんじゃないか。あと所得格差ですね。新しい燃料電池だとかそういった技術がどんどん出てきますけども、それを購入できないような所得の方々にも格差が現れないように、置いていかないように、どうやって配慮していくかについて社会的なアプローチを議論する必要があるんじゃないかというような御意見をいただきました。
 私たち文科省の中で、関係者の中で、どうやってそういった課題に取り組むための大学を支援していくかについて議論しておりまして、一つはその大学等コアリションというのは、非常に広い広がりで活発にいろんなアイデアが出てきておりますので、そういった方々と連携した、地域を大学が支援できる拠点づくりというのをする必要があるんじゃないか。
 そういったものを支援するために、例えばCOI-NEXTだとか、そういった地域と企業が組んで、研究だとかそういうのに取り込むことができるような、いろんな競争的資金がありますので、そういったものでそういった活動を支援していくということを推進していけばいいんじゃないかと。
 あともう一つは、科研費だとか自由な枠組みで研究をすることができる研究費のファンドもありますので、そういった中で大学の先生方が先ほど挙げたような関係者の抱えている課題というニーズですね、そういったものに連携して取り組むことができるように、そういった課題というのを大学に周知していく必要があるんじゃないかというのを、ちょっと部内で議論しているというところであります。
 これがイメージとした図ですけども、幾つか今、最先端の技術というのを研究開発取り組んでいただいておりますけども、そういった技術を、どうやって地域のWell-beingだとか地方創生につなげていくかについて、ぜひ今後、大学も社会科学だとか経済学だとか、そういったものを連携して総合知で取り組んでいく必要があるんじゃないかと。
 それをすることによって、地域の方々がそのカーボンニュートラルに対して理解だとか参画が広がって、相乗効果が生まれてくるんじゃないかなというのをちょっと議論しております。そういった中で、それを推進するために企業だとか市民だとかいろんな方々が抱えている課題だとか、そういったものを大学が集めて共有して解決していくような枠組み、仕組みというものをつくれたらいいんじゃないかなというのは、ちょっと考えております。
 本日御議論いただきたいことは、コアリションのほうでこういったワークショップ開いていただいて課題というのは出てきておりますけども、加えてどういったものに取り組んでいくかとか、この中でどういったものが重要なのかとか、あと推進方策、先ほど幾つか挙げさせていただきましたけども、文科省としてどういうふうに支援していくべきについて、ぜひ本日御議論いただいて、可能であればちょっと別途、机上で配付させていただいておりますワードファイルのような取りまとめ文書というのを、この委員会のほうで取りまとめてはどうかなというのを考えております。
 私からは、簡単ではございますが、本日の趣旨についての御説明となります。
 最後に、谷口先生からコアリションの事務局として、ぜひ補足等ありましたらお願いいたします。
【谷口総合地球環境学研究所副所長】  ありがとうございます。
 総合地球環境学研究所の研究担当の副所長をしております谷口です。地球研では大学等コアリションの事務局の担当をしております。
 このコアリションは、大学が持つ本当に様々な知恵を結集してカーボンニュートラルに向けた取組を加速していこうということで、先ほど説明ありましたように、198の多くの大学の方が参加いただき、企業の方々も既に参加が増えております。
 この取組ですけども、大学がいろんな形で研究を進めていく中で、先ほどもありました総合知ということもありますが、自然科学的な知見以外の人文社会科学的な知見も含めて、総合的に大学の知恵を結集していこうということでネットワークをつくっております。
 カーボンニュートラルに向けた取組、大学の中でもたくさん行われておりますけども、先ほど説明がありました五つのワーキンググループの中では、具体的に研究者レベルで、課題も含めて議論を進めております。一方で、大学の学長・理事クラスの方々を対象に年1回総会を行っておりまして、大学の意思決定機関のところとのつなぎも行っております。
 先ほど説明ありました12月27日のワークショップですけども、これまではどちらかというと研究者のほうから、研究課題がまだ先にあって、それが政策課題につながっていくということが多いように思いますけれども、カーボンニュートラルを進める上で社会の側にどういう課題があるのかと。それも行政、企業、一般市民、いろんなステークホルダーがいますので、それぞれの社会の中での課題をまず先に議論いただいて、それを政策課題につなげていくという、そういう形でワークショップを開催させていただきました。
 課題がたくさん出ておりますけども、まだ議論の足りないところもありますし、今日の委員会の委員の先生方に御意見いただければと思います。
 以上です。ありがとうございます。
【原澤主査】  谷口先生、どうもありがとうございました。
 それでは、意見交換に入りたいと思います。
 今日は今期最後の委員会で、委員会の使命としては評価の関連と総合知に関わる方向性の議論というのは、なかなか方向性の議論ができなかった経緯もあったりしますので、今日は大学コアリションで用意いただいた資料を基に、各専門の分野でこんなことを考えているというようなことも踏まえて、各委員の先生方にぜひ御意見を伺っていきたいと思います。
 それで申し訳ないんですけれど、一人二、三分でコメントをお願いできればと思います。
 それでは、最初に関根委員、お願いいたします。
【関根委員】  御指名ありがとうございます。
 ちょっと今の最後のお話の趣旨とは逸れるコメントさせていただくことを、お許しください。
 今、いろいろ御紹介いただいて、27日のワークショップの内容も非常に充実したものだなというふうに拝見しておりました。大学等のコアリションを生かしてカーボンニュートラルにつなげる、これは文部科学省として非常に重要なことだと思っておりますので、ぜひやっていただければと思います。
 ただ、議論されている内容の一部は、既にグリーンイノベーションの経済産業省、私も中核的なメンバーとして日々議論に加わっておりますが、そちらでも議論していることとかなり重複している部分もございます。また、地域環境共生圏をうたっている環境省のプロジェクトなんかとも重複している部分ございます。地域との連携、こういったものは環境省とのやはり守備範囲と思いますし、グリーンイノベーションの屋台骨、産業との連関、炭素税、こういったところは経産省が中心的にやっている。
 決して縦割りを促進しなさいと言うつもりはございません。ただし、縄張を争いつつお互い同じことをやるというのは、国としての損失にもつながると思いますので、やはり研究開発、大学を生かした次世代の人材育成、こういったところはやはり文部科学省の一番ほかではできないことだと思いますので、この辺りを十分フォーカスしながら進めていただくとよろしいのではないかと思いました。
 コメントになります。以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 事務局、お答えがあれば手短に。
【田村(事務局)】  ありがとうございます。おっしゃるとおりで、今回のワークショップも経産省と環境省と内閣府にも入っていただいて議論いたしました。先ほどの、今後の対応について、連携しながら、うまくすみ分けながら、ぜひやっていきたいなというふうに考えております。
 ありがとうございます。
【原澤主査】  続きまして、竹ケ原委員、お願いいたします。
【竹ケ原委員】  御指名ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。総合知というコンセプトは、大変共感を持って聞かせていただいておりますが、私どもやっているところからの補足になりますが、今環境省のほうで脱炭素の先行地域の選定、これの選定委員会を預からせていただいています。
 ここでの学びをちょっと共有したいんですけれども、まさしく先行地域ですので、脱炭素を地域で実現するインパクトの大きさと、実現可能性を今後いかに高めるかというところが評価の元になっています。
 これ、いずれも自治体だけでは絵が描けないものですから、連携というのはもう全面に出てきています。で、計画の実現可能性を高めるという観点でいくと、やっぱり事業者がちゃんと入ったり、あるいは金融機関と連携しているという話があって、ここはもう既に過去2回やった選定でも十分論点に入っているんですけれども。
 やっぱり弱いのはイノベーションのところでして、現状のところの社会実装もそうなんですが、その次に控えている水素だったり人工光合成だったり、その辺の話になると非常にもごもごとしてしまったりすることがあります。希望的な観測みたいなところで止まっていると。
 ここは、まさに学の出番だと思いますので、まさに大学のネットワークが既存……、既にプラットフォームが、こういう議論をするために各地域に存在していますので、大学等コアリションというせっかくのインフラと既存のインフラと、どう接続するかというところ、この辺りを少し議論いただくといいかなという気がしております。
 あと、ワードでいただいた文章について、1回だけコメントさせていただくと、2ページの真ん中辺ですかね、水素エネルギーをはじめとした新技術の研究開発を進めるというところがあって、既存技術でどこまでカーボンニュートラルに近づくことができるか試算するとか、既存技術ではカーボンニュートラルの実現が難しい分野を洗い出すみたいなことが書いているんですけど、これはまさしく経産省を中心にトランジションの戦略というのが書かれていて、エネルギー多消費産業ごとに移行が難しいセクターについて、技術ロードマップを書いているんですよ。
 あとは実装をどうするかという話で、個々の企業がそのマクロデータを使いながら自分の戦略を書かなきゃいけないんですけど、この部分も恐らく大学等のネットワークをすごく生かせる領域だと思いますので、ぜひ経産省の既存のトランジションの議論なんかも、この議論につなげていただくといいと思います。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 事務局、何かございますか。
【田村(事務局)】  ありがとうございます。御指摘いただいた経産省の資料とかも拝見しながら、ちょっと修文を検討したいと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  続きまして、本郷委員、お願いいたします。
【本郷委員】  御説明ありがとうございます。
 それで、先ほど関根委員からもあった重複感というのは、ちょっと文字だけ見ると私もそんな感じは持ちました。ただ、やる人が変わればまた違ったアイデアというのも出てくると思うので、例えば地方の大学がやるんであれば、地方の企業と一緒にやってみると。そういったような形というのもあっていいのかなという、そういう工夫があってもいいのかなと思いました。
 それから今、私のやっているような現場で、必要だけど、ここに書かれていないことというのが二つ、三つありまして、それをちょっと紹介させていただこうと思います。
 一つは、炭素価格が入る、それによって行動変容、投資変化が現れるわけですけれども、そのときにコストと考えてみますと、今コストだけを考えると気候変動対策は嫌だなという話になって、なかなか政策が進まないわけです。しかし、カーボンコスト、あるいはカーボンプライスの場合は、コストを払った人がいればコストを受け取る人もいるわけですよね。
 そうすると、海外への流出がどのくらいかというのもありますけれども、国内で資金が動くわけで、これは一種景気刺激策にもなるわけです。経済の基本的な考え方の一つである乗数効果をどういうふうに考えるべきかということです。カーボンコストがトン1万円だったら今一人当たり排出量は10トンだから1人10万円になります。こういう話を聞いたら誰もやりたいと思わないわけですけれども、「いや、コストを支払ってもその代わりこういうリターンもあるんですよ」と、「日本全体でどうですか」という、そういうような研究があってもいいのかなと思います。
 それから、地方とそれぞれでネットゼロを目指すというのは非常に大事なことだとは思うんですけれども、もう一つ重要なことを日本全体として、あるいは世界全体としての最適化というのもあると思うんですね。ですので、一つ一つゼロを目指すんだけども、でもどこかの自治体ではどこかの地域では、まとめて排出を受け持つことによって効率的に進めるということも可能かもしれないということで、個別最適というよりも全体最適という発想があってもいいのかなという気がいたします。
 それから、次は技術の件なんですけれども、やはり昨年の1月以降のロシアのウクライナへの侵攻ということで、大きく外部環境は変化しております。これは天然ガスだけの問題じゃなくて、その次の課題として出てくるのは脱炭素に必要な資源や素材、機器が一部の国に集中している、いわゆるサプライチェーンの集中、サプライチェーンリスクというものがあるわけですね。
 そうすると、気候変動をやっていくためにはこのサプライチェーンリスクのところ、安全保障上のことを含めて考えていかないと、なかなか進まないということもあるので、最善の方法を、最適なシナリオを考えると同時に、こういった不確実性にどう備えていくかということが重要になります。循環経済の促進ということかもしれないし、代替資源を開発するということもあるし、また代替技術を開発するということかもしれない。
 こういった点をもう一つ盛り込んでもいいのではないかと思います。外部環境変化を受けて、サプライチェーンリスク対策も課題に入れてはどうかなというふうに思いました。
 以上3点でございます。ありがとうございました。
【原澤主査】  コメントありがとうございます。
 事務局、何かございますかと思ったんですけど、あとお二人の委員の先生方のコメントを聞いた後に、事務局でお答えいただきたいと思います。
 では、続きまして堅達委員、お願いいたします。
【堅達委員】  はい。コアリションのほう大変期待をしております。そして、総合知という考え方、とてもすばらしいと思っております。
 私としては、本来このカーボンニュートラルとか脱炭素の話をするときに、明らかに入っているべき単語というかキーワードがちょっと抜けているんじゃないかということで、やっぱり今、もはや理念は分かっていて、どのように公正な移行――ジャストトランジションをしていくかということが脱炭素を成し遂げる上で一番大事なキーワードになっていて、これもまさに総合知でやっていくというときに、この計画の概要の中に公正な移行という概念が入ってないというところが、ちょっと非常に気になりました。
 やっぱり公正な移行というのは、お話にも出ていたWell-beingですとか、人権だったり、あと炭素税とかで集めてきたお金の分配だったり、様々なそういう文系分野の学問とも関わってくるところですので、ぜひ、ちょっとそこのまなざしを入れていただきたいというのが1点と、あと先ほどから出ているネイチャーポジティブとか生物多様性とか、そういった分野、そして今、本郷委員のほうからもお話がありましたサーキュラーエコノミーですね、循環経済との連携とか、そういったところはちょっとやや弱いのではないかというふうに感じました。
 その総合知を進めると、この計画では言っているんですが、1点質問で、何かこの10年に250学部、割とお金を投じて文科省のほうで理系に転換するみたいな、それはデジタルとか脱炭素のためというニュースがつい最近流れたかと思うんですけれども、今どきこの、何というか、理系・文系と分けるという考え方自体もちょっと古いんじゃないかと思うところもありまして、その辺、言っていることと国民の受け止めに乖離が出ている部分があるんじゃないかと思いまして、ちょっとその辺りのお考えを伺いたいと思っております。
 以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 もう御一方、本藤委員お願いいたします。
【本藤委員】  御指名ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。方向性としては、かなり同意できる内容だったと思います。それで、私からは2点ほどコメント差し上げます。
 1点目は、竹ケ原委員からも御指摘がありましたように、総合知というコンセプトは大変よろしいかなと思っております。ただ一方で、取りまとめ文書のほうでは、もう少し大学が持っている自然科学と人文社会科学の知の融合が、その総合知だよということを、もう少し強めてもよろしいのかなと思いました。それが1点目です。
 それから2点目に関しましては、これは堅達委員のほうからあった公正な移行という言葉を入れると、私も賛成です。それに関連するんですが、やはり我々が目指す社会は、単に脱炭素するだけではなくて、我々の豊かな幸福な社会をつくるということが目的であると。そうすると、地域課題をはじめとして、ほかの社会課題との同時解決が重要であるといったことをもう少し強めてもいいのかなと思いました。
 もちろん、今の取りまとめ文書の中にWell-beingが大事だということが書いてありますけれども、ほかに例えば地方創生であるとか、エネルギー安全保障の問題とか、いろいろ同時解決していかなければならない問題があると。そこのところをもう少し強めると。それは多分、公正な移行にもつながりますし、人文社会と自然科学の両方の知見が必要であるというふうにつながると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 盛り込むべき内容についてご指摘があったと思います。
 事務局、本郷委員、堅達委員、本藤委員のコメントに対して何かございますでしょうか。御質問もありましたね。
【田村(事務局)】  非常に幅広い御意見ありがとうございます。次の修正に、検討で盛り込ませていただきたいと思います。
 一つは理系の話なんですけども、一応今回、学部転換の話はグリーンという言葉も入っていまして、そこはもう、中ではそんなに理系だけで固めようということではないと思います。ちょっと担当の高等局とも意見交換しながら、そういったところも情報収集したいと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、藤森委員、御意見よろしくお願いします。
【藤森委員】  御指名ありがとうございます。
 私のほうはもう少し簡単なことで、まさしく今いろんな先生方が言われていたように、文系・理系というんですかね、そういう社会工学的なところも含めて知識は必要で、200近い大学が集まっているということなのでですね。
 ちょっと聞いていて思ったのが、少しバーチャルでやろうとしているんですけれども、アクチュアルな組織をつくると。例えば先ほどの気候については、地球環境を研究するようなセンターというのが実際に器として存在するわけですよね。そういうものを、より知らしめていくという意味で、そういう器をつくられたらどうかなというふうにちょっと思いました。
 どういうふうにやるかというのはいろいろ大変でしょうけど、やはりそれがないと、バーチャルが集まって議論するというだけになってしまうんじゃないかと。特に我々のような企業とか外にいる人間にとっては、そういう組織のタイトルというのはやっぱり一番目につきますし、やっていることが一番明確に分かるんで、ぜひ御検討いただきたいなと思います。
 もう1点は、これも同じようなことですけども、産業界と大学が人材交流を実現するには、多分物すごく活発にしていかなければならないというふうに思っています。大学で非常に優れた研究をされているような、例えば大学の教員のポジションもあって、併任という形で企業に来て、実際につくられるとかですね。逆のパターンもあると思いますし、とにかくそういう施策というんですかね、ちょっとそういうところも盛り込まれたらいいのではないかなというふうに、アクションとしてちょっと御提言申し上げます。
 以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、続いて田中委員、コメントお願いいたします。
【田中委員】  ありがとうございます。
 説明ありがとうございました。私も大学の総合知を生かして、いろんな産官学連携していくというのは非常に賛成かなというふうに思います。特に地方でもいいですし、地球全体でもいいんですけれども、社会課題の実装を考えた形で総合知を生かしていくというのがいいのではないかなと思いましたので、その点ニュアンス、もし可能だったら入れていただければというのが私の1点目でございます。
 というのも、先ほど御説明いただいた14ページの浦和美園の環境省さんの事例ありましたけれども、あれは環境省さんの事例ではありますけれども、私もちょっと関わりましたが、大本、大学が起点で最初のプロジェクトを立ち上げて、いろんな方にお願いをしながら入っていってもらったということなので、環境省さんの話なんですが、大学ができることというのは結構あるかなというのがよく分かりました。
 やはり中立的な部分もありますので、非常に新しいものを立ち上げやすいという、そういう立場もあるので、実装ベースに大学の立場をうまく使うというのと、東京大学は幸い総合大学だったので、法律の分からないこととか、人の心理的に分からない巻き込み方とか聞きに行こうと思ったら、結構いろいろアドバイスいただける先生もいらっしゃいましたので、そういった形で課題が出てくると、いろいろお話を聞きに行って総合知を生かすというのは、非常に私もイメージできるところですので、何かしら全体の総合知を生かすというところなんですけども、具体的なものの社会実装の形でそれを出していくというと、非常にパワフルになるんじゃないかなというふうに思いましたというのが一つです。
 そういったときに、やはり社会実装に関していうと、テクノロジーのところとプラス社会のインセンティブの設計は非常に難しいのかなというふうに思いますので、何か研究開発においては社会実装のシステム的な点で、法律的に整備するところと、経済的なインセンティブの社会システム設計と、それを実現する工学的な技術のコスト削減とかテクノロジーとか、そんな形の三つぐらいの表現というのがあると、非常に面白いのかなと思いました。それが1点です。
 もう1点、ちょっと短くお話ししますが、国際的な発信という観点において、最近ちょっと私、台湾の学会で機会をいただきまして講演をしたんですが、そうすると美園でやったことと……。電気自動車ですね、トヨタさんと実験させてもらったんですけども、そういった電力融通に関してすごく問合せが来ていたりしてですね。あと今まではヨーロッパを中心に来ていたんですけども、そんな形で発表した論文ベースで御説明をしているんですが、ニーズがあれば、こういう連携をしながら日本発で何かやってみるとか、そういったことを、私に限らずいろんな研究者の先生に声かけが来ていると思うので、日本でやりながら海外にも発信していくし、海外を巻き込みながら日本イニシアティブで何かやってみるみたいなことというのもあっていいのかなというふうに思いました。
 その考えの一方で、堅達委員の御指摘にもありましたけど、海外でEVがすごい勢いで普及しているとか、状況がどんどん変わってくると思いますので、前回の勉強会にもありましたけれども、その点に関しては、ほかの……。今回やっていることの内容は非常にいいと思いますけども、ほかの情報も入れながらしなやかに変えていくということも併せてお願いできれば、競争力の維持という観点でいいのかなと思いました。
 ちょっと長くなりまして、すみません。以上でございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 浦嶋委員、さっきお手を挙げられていましたか。
【浦嶋委員】  はい、少しコメントをさせていただいてもよろしいでしょうか。
【原澤主査】  はい、どうぞ。
【浦嶋委員】  大学のコアリションのほうは、私も検討の場に参加をさせていただいておりました。すごく有意義な取組だなというふうに思っています。というのは、やはりカーボンニュートラルとかそういったことを実装するときに、ローカルベースで考えていくということはすごく重要で、総合知というところにも関わるんですけれども、これは中山間地域なのか都市部なのかによっても変わるかもしれないんですが、先ほどからありますとおり、中山間地であればなおさらのこと、やはりその地域の自然資本といいますか、ベースの自然、ネイチャーというところがあり、いわゆるSDGsでもウエディングケーキとよく言われますけれども、ベースに自然というものがあり、そこで初めて社会とか経済ということがあるわけで、カーボンニュートラルだけじゃない、一緒に適応も考えていかなきゃいけない。
 先ほどもNature-based Solutionsという話もありましたけれども、地域の自然を使ってどう脱炭素をしていくのかとか、地域の自然を使ってどう適応に役立てていくのか。やっぱりそういうことが合わさって、そしてカーボンニュートラルも同時並行で目指していくということが、やはり地域で実装するときの総合知の非常に有効なアプローチだというふうに考えています。
 今、私は共創の場形成支援プログラム――COI-NEXTで、球磨川で緑の流域治水プロジェクトをやっていますけども、そこにも関わらせていただいています。いわゆる地域の自然を使って、球磨川のあのような水害をどう防いでいくのか。と同時に、その脱炭素など、自然が地域の課題を解決できるか調査することを考えていますが、中心にいるのは熊本県立大学です。
 そういった取組を見ていると、やはり地域の大学が本当に総合的にホリスティックに、その地域のサステナブルの発展をどう考えていくかということは非常に重要だなというふうに思っていますので、ぜひ、そのカーボンニュートラルのところ、もちろんそこをどうするかということは重要なポイントではあるんですけど、やっぱり両輪で考えていくということをぜひ少し含んでいただけると、というふうに思っています。やっぱり地域の森とかをどうするかとか、そういったところもすごく大きな課題だと思っていますので。
 あと、大学コアリションで企業にも参画を今広げていますということは、すみません、どこで御案内をされたんでしょうかというところで、その辺りちょっと教えていただければ幸いです。
【原澤主査】  ありがとうございます。
【佐藤委員】  佐藤です。
 最後二つほどコメントさせていただきます。
 やはり今回のテーマ、すごく私もいいかなと思って拝見させていただいています。二つコメントさせていただきます。
 やはり文科省が強いことというか、得意とされるというか、文科省がやっぱり力を発揮できるということで、人材育成。いろんな先生方おっしゃっていましたけれども、恐らくALCAの委員もやっていたんですけども、ALCAが人材育成でうまくいったということです。あれも後からついてきたところあるんですけれども。大学とか特に、イメージで言ってはいけませんけども、地方というかそういったところでは、周りの学生さんもいろんなものを見ると刺激されるという、そういう自然的なものもあるんですね。
 ですから、先ほどIHIの藤森様がおっしゃっていたと思うんですけど、難しいとは思うんですけどバーチャルな取組じゃなくて、何かちょっとリアルなものもあったり、そういう周りが動いているようなものを学生が見たりすると、かなり刺激があっていいのじゃないかなと思っています。
 そして私、一人一人の学力はそんなに日本は落ちてないと思うんですが、低くないと信じているんですけれども、ただこういったことを……。こういったことというのは、堅達委員もおっしゃっていましたけど、いろんな世界が変わってきているということを知らないと、知っているかもしれませんがアンテナが低いと分からなかったりするので、そういうのを若い人たちに自分から考えさせるような、考えるような環境が与えられるといいかなと思います。
 それは、もしかしたら今もうTechnology進んでいるので、若い人のほうがいろんなもの得意ですよね。そういったもので発信できたりとか、そういうのが何かうまくできるといいなというふうには思っています。それが一つ目です。
 二つ目は技術、どちらかというと私も産総研の技術を開発するという部門にいるんですけども、世界導入を考えるときに、どうしてもその技術を技術者として考えるときと、一般市民としてそれを受けて導入するというときに、随分遅れが生じるんですね。そういったところも並行して進めないといけないなと思うので、そういうところに総合知というんですか、文系と理系と分かれないと言いましたけども、そういった学問もうまく平行して入っていくと、早い段階で世界が変わっていくような方向に、カーボンニュートラルに向けていけるのかなというふうな感想を持っています。
 今のこの提案ですけども、別にここには具体的に時系列のことを……、今度多分落とし込むときに時系列の話題が入ると思うんですけど、今こうやって何ががらっと変わるのか、こうあるのかをいうのを示されると、少しいいのかなというふうに思いました。
 すみません。以上でございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、浦嶋委員からは大学コアリション、どこで募集していたのかと。事務局、それにお答えありますか。
【田村(事務局)】  すみません。恐らく広報不足だと思うんですけども、シンポジウム等では、お集まりいただいた方にお声がけしたりとか、ホームページとかで情報提供しているんですけども、今後努力していきたいと思います。
 ほかの御意見についてもお答えしてもよろしいでしょうか。
【原澤主査】  はい、どうぞ。
【田村(事務局)】  いろいろいただいて、ありがとうございます。
 リアルな拠点の必要性だとか、あと民間との人材交流は、実は今回ポンチ絵に私は書いていないんですけれども、実際に民間企業の方々からワークショップではかなりそういった要望がございました。なので、その辺りもちょっと書き足したいと思います。
 あと国際的な発信だとか協力ですね、そういったのも重要な観点だと思いますが、ぜひ次の修正で検討させていただきたいと思います。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 ちょうど時間も参りましたので、これで意見交換終わりにしたいと思います。
 非常に貴重な御意見をいただけたのではないかと思います。こういった御意見を事務局で取りまとめたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日は最後の委員会ということですので、事務局のほうからまとめがございましたらお願いいたします。また、取りまとめたものをどうするのかも含めて、最後に局長、御挨拶をお願いいたします。
【千原(事務局)】  失礼いたします。研究開発局長の千原でございます。
 本日も活発な御議論をいただきまして、大変ありがとうございました。
 御案内のとおり2050年までのカーボンニュートラルの実現や、経済成長を実現するGXの重要性、ますます大きくなってきているところでございます。ただいま御議論いただきましたとおり、カーボンニュートラルを実現するためには、革新的なGX技術の創出に向けた基礎研究や、気候変動の対策の基盤となる科学的知見の創出、こういったことを支援していくとともに、本日も活発に御指摘いただきました人文社会科学から自然科学までを含めた総合知を生かしていくこと、これが不可欠だというふうに考えてございます。
 特に、規制や制度を含めた社会課題を解決していくためには、大学等コアリションをはじめとした大学の研究者が、地域の関係者とともに課題解決に取り組むことが必要であるというふうに思っておりますので、そういった活動をしっかり支援していきたいというふうに思います。
 第11期の、この環境エネルギー科学技術委員会では、コロナの影響によりましてオンラインでの会議が多くなってしまいましたけれども、研究開発プログラムの評価に加えまして、今年度から開始しました気候変動予測先端研究プログラム、あるいは次世代X-nics半導体創生拠点形成事業、また本年開始いたします革新的GX技術創出事業等の立ち上げについて、また本日いただきました御指摘も含めてアカデミアを支える文部科学省として、更なる取組を進めてまいりたいと考えております。
 原澤主査はじめ委員の先生方、大変ありがとうございました。
 私のほうからは以上でございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から事務連絡等をお願いいたします。
【田村(事務局)】  ありがとうございました。本日御議論いただきました、議題(3)については、ちょっと主査と御相談をさせていただいて、修正した案をまた委員の先生方に送らせていただきたいと思います。
 本日、御発言いただけなかった御意見につきましては、来週月曜日までにメール等で、お送りしているワードの文書に、見え消しでも結構ですので、お送りいただければと思います。
 あと本日の議事録につきましても、後日、またいつもどおりメールで委員の先生方に御確認いただいた後に、ホームページで公表させていただきたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 では、これをもちまして環境エネルギー科学技術委員会の第5回会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)