第11期 環境エネルギー科学技術委員会(第3回) 議事録

1.日時

令和4年6月24日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

 1. 「グリーントランスフォーメーション(GX)に貢献するアカデミアへの研究開発支援の方向性-Green technologies of excellence-」中間まとめについて
 2. 「地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献」中間とりまとめについて
 3. 令和4年度研究開発課題評価の実施計画(案)について
 4. 分野別研究開発プラン及び分野別研究開発プログラムについて
 5. その他

4.出席者

委員

原澤主査、関根主査代理、本郷主査代理、伊香賀委員、石川武史委員、石川洋一委員、浦嶋委員、大久保委員、堅達委員、佐々木委員、佐藤委員、竹ケ原委員、田中委員、中北委員、本藤委員

文部科学省

真先研究開発局長、土居下環境エネルギー課長、酒井課長補佐、吉元課長補佐、甲斐専門官、小田切係長

5.議事録

【事務局(小田切)】  ただ今より、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第11期環境エネルギー科学技術委員会の第3回会合を開催します。
冒頭進行を務めさせて頂きます研究開発局環境エネルギー課の小田切です。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
本日はオンライン会議になります。事前にお送りした「進行上のお願い」のとおり、発言の際はビデオ、マイクをオンに、発言されていない際はオフにするよう、御協力をお願いします。
また、御発言をいただく場合には、「手を挙げる」のボタンを押していただくか、チャットにてお知らせいただくようお願いいたします。
指名を受けて御発言をされる際には、マイクとビデオをオンにし、お名前をおっしゃってから御発言をお願いいたします。
議事に入る前に、まず本日の資料を確認させていただきます。議事次第、資料1~4のファイルを6月23日にメールでお送りしましたが、もし不備等ございましたら、事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。
開会に先立ちまして、研究開発局長の真先(まさき)よりごあいさつさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
 
【事務局(真先)】  文部科学省 研究開発局長の真先です。今年の1月に着任いたしました。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。第11期環境エネルギー科学技術委員会は、昨年から引き続きまして、本日が第3回目となります。本委員会は、環境科学技術やエネルギー科学技術に関する研究開発について、計画の作成、推進及び評価、並びに関係省庁等との調整方針等に関わる重要事項について調査検討することを目的として設置されております。
カーボンニュートラルなどの地球規模課題解決と経済成長を実現するグリーン・トランスフォーメーション(GX)に向けて、政策文書等において、この実現について位置づけが進んでおります。
 せんだって取りまとめられました骨太の方針におきましても、大きな重要な政策の柱としてこのGXの推進が位置づけられているという状況にあります。
 文科省といたしましても、環境エネルギー分野の基礎・基盤的研究開発を担う立場といたしまして検討を進めているという状況でございます。
 既存技術の展開・実装のみでは達成が困難なカーボンニュートラルというような野心的な目標達成には、やはり非連続的なイノベーションの創出が不可欠ということでございまして、大学等の研究力やリソースを最大限引き出し、革新的技術の創出につなげるとともに、また、将来技術を支える人材育成を図っていくための取組を抜本的に強化していく必要があるということでございます。
 また、気候変動対策におきましても、政策判断などを支える科学的根拠として、地球観測・予測データの創出や利活用をより一層推進していく必要があると考えております。
 本日は、これらに関するこれまでの議論の中間整理などをそれぞれ御報告させていただきます。
 また、本委員会等を通じて専門的観点から様々な御意見をいただき、本分野において文科省としてさらに貢献できるよう努めていきたいと考えております。
 委員の皆様におかれましては忌憚のない御議論をいただきますよう改めてお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【事務局(小田切)】  ありがとうございました。
 続いて、委員の御異動について紹介させていただきます。
 昨年度委員を務められていた横浜市の薬師寺委員が辞職され、今年度からは同じく横浜市温暖化対策統括本部長の石川武史委員が着任されております。
 石川委員、簡単にごあいさつをお願いいたします。
【石川(武)委員】  おはようございます。横浜市役所の温暖化対策統括本部の石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 唯一の基礎自治体からの参加ということで、その立場から貢献できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局(小田切)】  石川委員、ありがとうございました。
 ほかの委員の皆様の御紹介につきましては、時間の都合上、委員名簿の配付に代えさせていただきます。
 また、本日の欠席は、藤森委員になります。また、関根委員が10時半までの御出席となっております。また、伊香賀委員が10時10分過ぎ頃の御参加と伺っております。本日は御出席の委員が過半数に達していますので、委員会は成立となります。
 文科省の出席者ですけれども、先ほどごあいさついたしました研究開発局長の真先のほか、環境エネルギー課長の土居下以下が出席しております。どうぞよろしくお願いします。
 事務局からは以上となります。
 ここからの進行は、原澤主査、よろしくお願いいたします。
【原澤主査】  皆様おはようございます。今年度も主査を担当いたします原澤です。よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、本日の議事次第にありますとおり5件の議題を予定しております。委員の皆様からは忌憚のない御意見を頂戴できればと思います。なお、本日は12時半までお時間をいただいておりますけども、議題の終了見込みは12時頃となっておりますので、御承知おきいただければと思います。
 それでは、議事に入ります。
 議題1は、グリーントランスフォーメーション(GX)に貢献するアカデミアへの研究開発支援の方向性(中間まとめ)についてであります。
 では、事務局より御報告をお願いいたします。
【事務局(吉元)】  環境エネルギー課の吉元です。
 グリーントランスフォーメーションに貢献するアカデミアへの研究開発支援の方向性ということで御報告をさせていただきます。
 検討の経緯ですが、国際的な動向であるカーボンニュートラルとかESGの投資が日本国内や世界でかなり急速な勢いで進展していますので、そういった動きや、また政府でも、岸田総理のほうから水素、再エネ、バイオものづくり等の研究開発への大胆かつ重点的な投資を行うことが宣言されています。(聴取不能)
 そういう背景の中で、文科省としてこういう分野に関してどういう支援を打ち出していくかということで検討が始まったということでございます。
 これは将来の検討の枠組みでございますが、一番下の左のほうが省内検討会です。これは環境エネルギー課ということではなくて、グリーンとかカーボンニュートラルはかなり幅広い分野なので、関係課、いわゆる科学技術の3局の関係するような課の補佐なり係長級の人が集まって、大枠の議論をしました。それから、例えば水素とか蓄電池みたいなところでどういう研究開発支援の在り方があるのかを、企業や大学の研究者の方にも集まっていただいて、もう少し深掘りをするような議論をしたというようなことが検討の経緯と進め方でございます。
 その中で、グリーンとかカーボンニュートラルの支援を行うにあたっての政策の課題がいろいろ議論されまして、この左のほうに絵で描かせていただいているのが、大きく文科省の研究開発支援の施策の構造です。文科省では、下に書かせていただいているような研究基盤政策、最近だと10兆円ファンドとか博士課程支援、研究費の中で一番大きい科研費とか創発的支援事業なども最近始まっていまして、こういう研究基盤政策に加えて、各個別の学術分野、学術領域の支援、マテリアルや量子、AI、再生医療、ライフ分野はこういう支援があると。
 グリーンの研究開発の特徴を鑑みると、マテリアルだけでもないし、量子もつながるし、AIも使えるし、いろんなものを総動員して、社会課題であるグリーンに向かっていく、そのための文科省としての支援の在り方や、あとはやはり人材育成では大学、アカデミアになってくるので、人材育成の在り方がやはり大事ではないかと。
 これは施策推進にあたっての課題の1ポツ目に書かせていただいていますけど、学術領域はかなり広がりがあるので、一つの要素研究ということではなくて、やはり複数の技術のすり合わせの研究をやっていくべきだけれども、現状では支援が限定的ではないかという話です。
 それから、左のほうでConvergence領域と書かれていますけれども、大学の研究だけで閉じていても駄目で、経産省でも蓄電池とか水素とか、主に企業の研究開発ということでいろいろ支援をしているので、その辺の連動投資が現状では足りてないという話です。
 それから、三つ目はなかなか難しいところもあるのですが、基礎研究から先につながってない例があるので、そういうところを例えば米国と比較して、どうしていくかというところが論点ではないか、それから、政策立案にあたってのエビデンスベースでの見極めをどういうふうに体制づくりをしていくかというところが課題として挙げられたところです。
 そうした上で今後の方向性ということで、三つあります。
 すぐ短期的にできることと、中長期的に取り組まなければいけないことが混在していますが、大きな方向性としては今挙げた課題に対応した形で、1点目は、複数分野を束ねるということです。役所だと担当課ごとになりがちですけど、グリーンという問題を考えると横断的な特徴があるので、そういうところをどう取り組んでいくのかという体制づくりが必要という話です。
 二つ目が、基礎研究だけではなく、事業化とか、企業に渡すという話もあるかもしれませんし、経産省さんと一緒に支援をするとか、スタートアップみたいな話もあると思いますし、そういうところの伴走支援体制が弱いところもあるので、そういうところをどう充実させていくか。
 三つ目が、エビデンスベースの政策企画立案というところで、情報収集能力を強化すべきではないか。
 こういった三つの方向で、すぐにこなせる部分と中長期的に取り組むべき部分がありますけど、基本的にはこの三つの方向性ということで、このワーキングの取りまとめをさせていただいております。基本的にはあまり何か新しいということではないかもしれないですけど、それを改めて省内の補佐・係長級で再確認をしたという位置づけになります。
 そうした上で、研究開発ファンディングの方向性ということで、先ほどの水素とか蓄電池とかバイオの分野で有識者をお呼びして、いろいろどういう研究開発の支援の方向性があるのかを議論いたしました。
 後ろに三つのワーキングそれぞれの取りまとめをつけさせていただいているのですが、基本的にはここに書かれている三つの方向性が抽出できたのではないかなと考えています。
 一つ目が、先ほどの若手のワーキングの議論でも出てきた話ですが、掛け算の統合研究です。科研費とかJSTのCREST、さきがけでは、要素研究の支援をやっているのですが、やはり複数技術をいかにエンジニアリングとしてすり合わせていくかが大事であり、そこに対して、DXなどの研究の潮流もありますので、そういうものも掛け合わせて、統合研究を進めていくことが大事であると。
 二つ目が、我が国の研究リソースも鑑みると、個々それぞれに研究者の先生方が取り組むというよりは、やはりネットワークをつくって、トップレベル研究者をつなぐネットワーク化をすると。これは蓄電池のほうで先行事例はあるのですが、そういう形で座組を組むことで、産業界も非常にアカデミアと連携がしやすくなったという話も聞きますし、国際連携をする場合も、ネットワークがあると連携もしやすいですし、人材育成の面でも、一つの研究室の中で例えば博士課程の学生が研究をするということではなくて、もうちょっと広がりを持って、企業さんとも話をしながらすると、いろんなキャリアパスが広がっていくのではないかという話とか、そういう面で、トップレベル研究者をつなぐオールジャパン体制をどういうふうに研究支援を通じてつくっていくのかが大事ではないかというところです。
 三つ目が、集中的に踏襲する分野もあれば、従来の延長線上にないシーズを生み出していくためには、幅広い分野で有望なシーズを探索すると。かなり日本の大学、いわゆる眠っているシーズとは言われますけど、こういったところを最大限引き出すようなバンディングが必要ではないかということが議論されました。
 めくっていただいて、ちょっと時間もないので飛ばしますけど、こういった形で蓄電池とか、水素、バイオ、それぞれの領域でどういうことが今、日本で行われていて、何が足りてなくて、どういうことが必要なのかというところを議論してきました。
 そうしたところを3つのワーキングで抽出したのが、先ほど私が御報告させていただいた内容で、こうしたことを踏まえて、一応我々のほうで新規事業として今検討しているのが、次の資料になります。8ページ目です。
 これはGteXというふうに書かせていただいて、Green technologies of excellenceということでGteXです。JSTの新規事業として、今の省内のワーキングないし三つのワーキングの検討を踏まえて、グリーントランスフォーメーションに資する技術創出のための研究開発、要素研究ではなくて、掛け算のアプローチというところを全く異分野と思われていたプレーヤーも巻き込みながら全国のトップレベル研究者の知をネットワーク化、それから三つ目で、オールジャパンのチームを機動的に構築ということです。
 真ん中の絵で描かせていただいたのは蓄電池の事例です。正極・負極、電解質という4大部材というものがございます。それから、評価・解析、計算基盤、これはなかなか一人活物質の研究者、電解質の研究者、もしくはシミュレーションに詳しい方、それから評価・解析をやる、こういったところがチームを組んで出していく。それをそれなりの規模の額で投資していくというところを事業としてやっていきたいなと。
 プラスして、スキームのところに書かせていただいているのですけども、掛け算のアプローチで研究開発をしていきましょうというのが、一気通貫で統合的に研究開発するチーム型と、もう少し幅広い領域でチャレンジングな提案を募るような探索型という二つのタイプで新しい事業を立ち上げたいと考えています。
 ただ一方で、例えば水素、蓄電池、バイオものづくり、それから半導体といった、かなりGXという観点で非常に重要になってくる分野がありますけども、経産省でも企業での技術開発を中心にして支援をされているので、そうしたところとしっかり、形だけでの連携ではなくて、事業レベルの連携も含めて、そういう体制を構築しながら、こういう事業を進めていきたいと考えております。
 あとは参考ですけれども、めくっていただいて、今回のワーキングの御参加いただいた委員が次のページまで載っています。
 あと三つ目が、御参考までに紹介するのですが、先ほど申し上げた蓄電池の先行事例ということで、JSTのALCAという事業があり、その中で蓄電池だけが、いわゆる我々が今申し上げていたチーム型のオールジャパンの体制を敷いていて、ここに書かせていただいているように、全国の40機関、70研究室、170人というところで、かなり全国に広がって、チームになって支援をしてきたと。左の吹き出しのところにも書かせていただいているのですが、10年間で学生が計800人で、特筆すべきは、10年間で博士が100人出ているのですが、うち50人が企業に就職されたということで、かなりトップレベルの技術を持った学生が、10年間で50人というのは結構多いと思います。平均的に言うと、100人博士がいたら、企業さんに就職されるのは20名なので、産業界への人材輩出という意味でも大きかったのかなと考えています。
 こうした形で、蓄電池の事例はこれまでやってきたわけですけど、そうしたものをほかの領域にも展開していって、ALCA-SPRINGの場合は2013年から2022年の10年間で約200億円ということで、この同規模以上の投資をしていけるよう、我々としてもこれから検討を重ねていこうと思っております。
 御意見いただければ幸いです。以上です。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、報告いただきました中間まとめについて御質問等ございましたらお願いいたします。リアクションのところの挙手ボタンを押していただくと、手のマークが出てくるかと思います。いかがでしょうか。
 それでは、中北委員、よろしくお願いします。
【中北委員】  おはようございます。御説明ありがとうございました。アカデミアを強化していくという骨組みがすごく感じられた内容で、どうもありがとうございました。
 ファンド絡みに関してすごく期待するところは、アカデミアを含めて、もちろん施設の部分、プラス、今ここで挙げていただいているような人材ということになると思っているのですが、人材の中でも、今、博士のほうはかなり文科省がサポートするようになっている中で、博士から越えたポスドクの人たちが落ち着いて自由に研究できるようなバックをつくるというのが、日本はこれから課題だと思っています。ポスドクの方たちがすごく新しい発想をつくって、イノベーションをやっていき、ここで言っていただいたような横のつながりもベースにしてということになるのですが、博士から企業に行かれることが増えて、それもすごくすばらしいことですが、博士から大学に残られた方がまたイノベーションに力を発揮できる、そこら辺のところというのはお考えいただいていますでしょうか。
 すみません、長くなりました。お伺いいたします。
【原澤主査】  中北委員、ありがとうございました。
 一通り御意見、コメントをいただいた後に、お答えをいただくという方式でよろしいでしょうか。
【事務局(吉元)】  はい、分かりました。
【原澤主査】  では、続きまして、本郷委員、お願いいたします。
【本郷委員】  丁寧に説明していただきまして、ありがとうございました。
 また、全体の印象として言えば、成果を求める、成果オリエンテッドだというところで、非常に勇気づけられる、また、産業界として期待できるものだと思っています。産業界としては、ネットゼロへ向けて長期戦略を考え、技術イノベーションが鍵だということですので、非常にサポーティブだろうと思います。
 幾つかコメントがあるのですが、横断的にチーム編成という御説明がありましたけれども、もう一つ、バリューチェーンという考え方を取り入れていただきたい。例えば二酸化炭素は、地下貯留であれば、回収の技術もあれば、輸送、それから地下貯留、安定貯留、こういった形でバリューチェーンが成立するわけですので、各フェーズの技術開発だけではなくて、最終的に成果を出せるようなバリューチェーンの中でどういう位置づけになっているのか、バリューチェーンの中で弱い部分を補うような形で取り組んでいただけると、非常に助かるなと思いました。
 これは最近、去年ぐらいからIAでもこのバリューチェーンを重視しておりまして、そういったものも参考になるのかなと思います。
 それから、これは質問ですが、シーズの話が出ておりましたけれども、埋もれたシーズをどうやって出していくか、このときに同じ目的に対して多様な取組を現実には多くの研究者がされているわけですので、何か一つを支援するというよりも、多様な取組を支援するような、言わば分散投資的な考え方は取り入れられているのでしょうかというところです。
 それから、もう一つありまして、オールジャパンという言葉があったのですが、これがちょっと気になっています。私がいろいろお付き合いさせていただく中で、研究者の中には海外からの留学生や、海外からの留学生がそのまま日本に残って、研究されている方もいます。また、実際様々な技術を使っていこうとすると、海外の企業や海外の大学とも一緒にやるというケースがあります。このオールジャパンという言葉の場合、オールジャパンの「ジャパン」というのは何だろうかと。狭い意味ではなくて、恐らく広い意味で捉えられていると思うのですが、その辺りの考え方について教えていただければと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 回答はまとめてと思ったのですが、多くの委員の先生方からコメントをいただけるようなので、この段階で恐縮ですが、中北委員と本郷委員のコメントに対する回答をお願いできますでしょうか。以下、個別に進めていきたいと思います。
【事務局(小田切)】  原澤先生、失礼します。
 すみません、関根先生が10時半までですので、もしよろしければ、どうでしょうか。
【原澤主査】  分かりました。
 では、関根先生、コメントを退出前にお願いできますでしょうか。
【関根委員】  すみません、順番を狂わせて。ありがとうございます。
 このようなALCA-SPRINGの取組というのは、非常に私は高く評価していまして、これで全固体電池の取組が日本の中でかなり進んだというのは、先ほど御説明のとおりと思います。
 今日御説明がございましたほかの分野においても、やはりこういう息の長い取組、ぶれずにずっとやるんだという取組が、日本の基礎研究から産業につながるところをしっかり育ててくれると思いますので、ぜひ短期ではなく、長期的な視点でこういうものをうまく運営していただけるといいのではないかと感じました。
 短いコメントだけにとどめます。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、関根委員、中北委員、本郷委員のコメントに対する回答をよろしくお願いいたします。
【事務局(吉元)】  まず、中北委員からの御質問で、ポスドクなりのチャレンジングな研究を支援する形になっているのかというのは、イエスです。
 先ほどの前にちょっと戻っていただいて、資料のスキームのところですかね。ここでスキーム(案)というところで、チーム型と探索型に分けているのですが、チーム型のほうは、割と例えば全固体電池みたいな形で、産業的にもここをやるよねということが見えている分野で座組を組むのですが、その中で例えばチームを組んだ中でも、ここの電解質のこういう研究、面白い研究が欲しいよねというところは、若手の研究者とかの提案を募って、このチームにはめ込んでいくというところが、まず一つです。
 それから、二つ目の探索型のところで、これはもうちょっと領域とかも広げて、幅広いところでチャレンジングな提案を募っていきます。ここにも若手の力が必要だと思っているので、この二つの切り口、ポスドクなり、助教とか准教授も含めてだと思いますけれど、そういう方の研究をしっかり支援していければなと考えています。
 2点目、本郷委員からの御質問で、分散型の投資があるのかというところで、これはすみません、私が多分いろいろ説明をはしょったところがあると思うのですけど、文科省の事業の中では科研費が2,500億円程度あって、それからJSTの戦略的創造事業が500億円程度と、これがいわゆるボトムアップの研究開発と言われているので、基本的にはこれがいわゆる分散型の投資になっています。
 その上でもうちょっと領域とかを絞りながらというところが、今日お話をさせていただいたGteXの構想になるので、そういう意味だと、文科省全体の研究費としては分散型ともうちょっと集中するところがあり、ただ、集中すると言っても、多分恐らく目線はもうちょっと中長期で、10年後とか20年後ぐらいに企業にお渡しするような研究開発をしていくので、例えば経産省の支援ほどは絞らないですけれども、その中間ぐらいのところのお話を今日させていただいたということになります。
 それから、オールジャパンのところですけれども、御指摘のとおり日本だけでやるというところが、ある種、逆にそれはガラパゴス化もしてしまうので、先ほど国際連携の話も入れさせていただいていたのですが、3枚ぐらい戻っていただいて、ここの2ポツ目のネットワークをつなぐ意味のところで、産学連携や国際連携などの面的交流の促進と書かせていただいていて、恐らくは大学の先生方なので、いろんな海外の研究者と個別には連携をされていると思います。こうしたことを、例えば蓄電池とか水素とか半導体といった分野で、もうちょっと日本の研究者群と例えばアメリカの研究者群という形でのもうちょっと大きな連携ということが、こういうネットワークをつくることで形成できるのではないかと考えています。
 なので、そういった意味で行くと、やはり国内に閉じるためのネットワークではなくて、世界からも「そういえば日本ってやっぱり強いよね」と言われるためにネットワークをつくって、その後国際的な共同研究を進めていくというところが一つ肝になるかなと考えています。以上です。
また、関根先生のコメントでは、中長期の支援をということで、このJSTの事業でも今のところ10年というところで支援をさせていただくことを考えていまして、なかなか例えば人材育成の面でも、5年だと、博士課程の学生も5年しかいませんから、やはりもうちょっと7年、8年、9年、10年とか、より中長期なところで支援をしていければと考えております。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 では、引き続きまして、竹ケ原委員、お願いいたします。
【竹ケ原委員】  御指名ありがとうございます。御説明ありがとうございました。大変よく分かりました。
 今、産業界における脱炭素に関するキーワードがトランジション戦略です。多くのセクターは、実は自分たちがハンズオンで取り組んでいるわけではない、他のセクターがもたらす非連続なイノベーションの実装を前提として2050年カーボンニュートラルのゴールを描いています。この点、これを実際に担う革新的な技術の創出に係るアカデミアの役割を重視されるというのは非常によく分かりました。
 加えて、各専門分野で行われる研究をきちんとすり合わせるエンジニアリングが必要であり、そこへの支援が強調されていること、テーマが非連続な技術革新だけにエビデンスベースで行くという点も、恐らく概念としては過度に行政の無謬性は求めないという趣旨と理解しましたけども、納得的な御指摘だったと思います。
 ESGの観点でコメントさせていただきますと、ファンディングに関して最後GteXの資料があったかと思いますが、これの一番下のところで見せていただいた御省と経産省の連携がすごく重要だろうと思います。
 古くて新しいテーマですが、オープンイノベーションをいかに効果的に進めていくかという話になってくると思います。その一方、今回はイノベーションが主題になりますので、資料でもベンチャーキャピタルやリスクマネーのお話がありましたように、非連続なイノベーションを支援するとなると、上場企業の成長戦略を見極め、どう支援するかという、通常のESG投資では、やや力が及ばないところが出てくると思います。
 今まだ見えてないのですが、アカデミアと企業が連携することでどんな価値が創造できるのかとか、あるいはスタートアップが持つ非財務的な価値を上場企業ではない形でどう可視化するか、恐らく研究開発費を単なる支出ではなくて、知的資本のようなストックとして捉え、その価値を見える化するといった話とセットにすることで、ESGがこうした連携に着目して資金を流しやすくなるということもあると思います。
 既に人的資本のところで、こうした議論が進んでいますので、研究開発についても似たような展開が期待されるところですが、そうした取組について既にお考えなのかどうか、もし後ほどお時間があれば聞かせていただければと思います。
 いずれにしても大変よく分かりました。ありがとうございました。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 御質問もあったようなので、回答をお願いいたします。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。
 まず、非連続なイノベーションというところで、やはり我々としてももう一度申し上げておきたいのが、2050年のカーボンニュートラルで、例えば経産省NEDOさんのところでもいろんなロードマップをつくられています。これは正直に言うと、既存の技術だと全然達成できないというところがあって、そこのギャップを埋めていくものを持っているのはやっぱり大学の先生方だと思うので、ここにいかにアプローチをしていくか。それにあたっては、やはり最終的に製品にしていくのは企業なので連携が必要です。
 よく言われるのが、リサーチとビジネスをどういうふうにつないでいくかというところで、例えばGteXの事業の中でどういうこなしをしていくかというのはまだ検討中のところはあるのですが、例えばJSTという基礎研究のファンディング・エージェンシーの中の全体の問題かなとも考えています。JSTにはほかにもいろいろ事業があり、CRESTとかさきがけとかがありまして、そういうところに、先ほど将来の若手の議論の中でもVCという話を書かせていただいた意図はそこにあって、研究をビジネスにしていく際の観点も、ある種基礎研究のところに何か指摘をするということではなくて、基礎研究を事業化へ向け伴走支援するところにVCの方の知見とかを積極的に入れ込んでいったほうがいいのではないかと。現状だと、多分取組としては限定的ではあるので、そこは多分GteXという事業に限らず、JSTの事業全体に関してそういうことも検討していけばいいのではないかということは省内の中でも議論されています。
 そういうことも含めて、これから我々のほうで、GteXの中で事業化というところでどういうことができるか、事業化というところでスタートアップみたいな話もありますし、あと、この下に書かせていただいているような経産省連携。
 この連携は、先生がおっしゃったように言い古されてはいるのですが、これはいろんな階層でやらないといけないと思います。役所レベルでやるのか、JSTとNEDOのほうでやるのかとか、事業で行くと、例えば先ほどの蓄電池の例で行くと、JSTのALCA-SPRINGという中でやった後、NEDO側の蓄電池の事業とJST側の蓄電池の事業で参加している研究者がお互いの研究ミーティングに相互乗り入れをし、それからそういう進捗会議とか審査委員会のところに相互乗り入れをするようなことが行われていて、いろんな連携があって、ただそれをいろんな階層でやっていくことが真の連携を生むのかなと思っているので、そういうことも含めて、やり方も含めて、今後この内容を詰めていければなと考えています。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、堅達委員、お願いいたします。
【堅達委員】  貴重なお話をありがとうございました。ようやく日本もGXに向けて研究分野も本気で取り組み始めたという感じが伝わってまいりまして、それは非常にいい方向性だと思っております。
 その中で御質問ですが、GXの実は鍵を握っているのは、蓄電池とか、もちろん水素とかもあるのですが、サーキュラーエコノミーにどれだけ貢献できる新技術や新素材を開発できるかというところも問われていると思います。このあたりは、このバイオ部会で、プラスチックに代わる新素材や化石燃料に代わる新燃料といった分野の根本的な新しい発想での開発も含まれているのかどうかという、つまりどのくらいサーキュラーエコノミーを研究の全体像の中で重要視しておられるのかということをお伺いしたいのが1点です。
 もう1個、非連続のイノベーションと言ったときに、最終的にはやはりCDR――CO2の除去技術に頼っていく必要も出てくる時代に直面するかと思うのですが、これについてはどういう研究の方向性がプランの中に組み込まれているのかというのが2点目です。
 3点目は、先ほどオールジャパンの話が本郷さんからもありましたけれども、今、これは世界的な競争が行われています。そうした中で、残念ながら日本ではポスドクの研究環境が悪いというような条件が悪いということもありまして、優秀な人材が海外に流出してしまうのではないかという懸念も私は持っています。お金の規模でも、正直言って、これでかけているようで、まだ世界の規模よりは劣っているのではないかなという懸念もあるのですが、優秀な人材をちゃんとキープして、未来に中長期的に育てていくための戦略のあたりをもう少しお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 三つ質問をいただきました。回答のほう、よろしくお願いいたします。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。
 1点目のサーキュラーエコノミーというところで、例えばですけど、ちょっと前に戻ってもらって、蓄電池のところです。例えばここの中でも、上の背景・課題の4ポツ目のところで、高出力だけではない用途に合わせた性能追及やリサイクル性みたいな話も出てきていて、やはりリサイクル、サーキュラーエコノミーという観点は、チーム型の研究開発でも重要だと考えています。
 ちょっと戻ってもらって、スキームのところで、GteXではチーム型と探索型があって、チーム型となると、それなりのチーム編成をして臨むのが適当な領域を絞っています。一方で探索型は、もう少し領域を広げて、提案を募るという形を考えていまして、その中では、例えばサーキュラーエコノミーの中で資源化技術というところも研究領域の設定としてはあり得るのではないかなと思います。ただ、探索型でどういう領域設定をするかというところは、多分今後の検討だと思いますので、今いただいた先生の意見とかも踏まえて考えていければなと思います。
 同じくCO2の除去技術のところも当然非常に重要だと思います。なので、恐らく探索型のほうでやっていくのか、そこも含めて検討していくのかなと。
 一方でCO2に関しては、各省庁、例えばムーンショット事業とかでもやられていますし、役所のことなので、いろいろデマケーションとかもあるので、そういうところも踏まえながら、JSTの中で扱うのが適当なのかどうかを関係者と議論できればと考えています。
 それから、オールジャパンでという中で、中国とかアメリカ、ヨーロッパと比較して、日本の最近の研究開発の規模が小さいのではないかという御指摘だったと思いますが、まさにおっしゃるとおりだと思います。なので、我々の今回の事業、例えばALCA-SPRINGでは、10年で200億ぐらいの投資をさせていただいたと。ただ、これは蓄電池だけではなくて、ほかの領域で展開すると有効な部分もあるので、同じような規模感で展開をしていきたいとは考えています。大胆に投資していくことを狙って、我々も動いていければなと考えています。ありがとうございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 引き続きまして、大久保委員、お願いいたします。
【大久保委員】  ありがとうございます。私からは、コメントが大きな観点から一つです。
 総合知に基づいてGXを進めていくという姿勢が明確に出ている点は大変高く評価しておりまして、それを前提とした上で、実際にこれを進めていく上では、今までの科学技術の発展の歴史を見ても、原発や遺伝子組換えといったような技術について十分に行われてきたかどうかが問われています。様々な観点からの技術開発に伴う懸念を早い段階からきちんと検討して、組み込んで、説明して、対話をしていくというプロセス、ある意味社会科学あるいは社会工学的な観点からのプロセスを組み込んでいくことが重要かと考えますが、この点について幾つか、社会的インパクトとかLCAという形でキーワードとしては入ってきているのですが、もう少し明確にしていただいたほうがいいのではないかと。そうでないと、その視点が欠けているとみなされてしまう可能性があります。JSTの今までの取組から見ても、様々なステークホルダーとの対話といったことが重視される形でのプロセス開発が進められてきたと思いますので、それを明確に位置づけていただけないかということです。
 具体的には、LCAの話がでてきていますけれども、SA、技術に対する持続可能性評価といったようなキーワード、それから企業との連携は出てきていますけれども、市民社会という言葉が出てきてないので、オールジャパンの中でもステークホルダーの中でも関係者の中でもいいのですが、そうした中にやはり市民社会というキーワードが必要ではないかと。
 それから3点目といたしましては、社会科学の役割とも関わりますけれども、ELSIという視点が明確にでてきていないので、ELSIというキーワードをどこかに入れていただけると、もう少しその点がはっきりするのではないか。
 それから4点目、最後ですけれども、幅広いキャパシティービルディングといった観点が先端的な技術者・専門家の育成とともに必要で、それを踏まえて参加型のプロセスというものを入れていく必要がある。幅広いキャパシティービルディング、あるいはエビデンスベースとともに参加型の政策形成・立案という視点がもっと明確になったほうがよいのではないかと。
 全て同じ観点からの改善していただけないかというコメントです。以上です。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 四つコメントをいただきました。コメントということではございますけれども、事務局の回答はございますでしょうか。手短にお願いいたします。
【事務局(吉元)】  いろいろ御指摘いただいて、この事業の中で公募なり研究の実施というところでどういうふうにこなせるかというのは、しっかり考えたいと思います。
 その中で、LCAが一番親和性があるのかなとは思っていまして、いわゆる理科系の研究者だけで研究をしていると、研究の方向性のところでLCA評価が足りなくて、全然違う方向に行っているというところはよく聞きますので、そういうところをどういうふうにこの分野でチームを編成していくのがいいのかというのは、かなり省内なりJSTの中でも議論になっていまして、GteXは一つカーボンニュートラルが目標にありますから、そういうところを社会科学の知見も含めて、研究事業の中でこなしていけるのかというのはしっかり考えていればなと考えています。ありがとうございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございます。
 続きまして、佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】  九大の佐々木です。
 
 まず、GX研究に向けて、特に息の長い研究が重要な中で、JST様、文科省様の下で御検討されたということで、非常にありがたく思っております。
 今までこの分野は、科研費で出てきた成果をいきなりNEDOに提案せざるを得ないような状況でありまして、目的と研究ができないまま、アカデミア中心の取組ができなかったので、こういう取組が新たにGteXということでしていだくのは非常に価値があると思っております。
 それを踏まえて、四つ手短にコメントさせていただきます。
 一つ目が、やはりもちろんNEDOが長年やっていたということもありますので、文科省さんが新たにされるという中で、NEDOとどこがアプローチが違うのかと、NEDOとの役割分担を明確にするということは当然大事でございます。研究者サイドから見ると、NEDOさんとの事業は産業界のロードマップに載っているようなもので、1年から数年である程度目標が達成できるようなものを提案せざるを得ないところがございます。他方、JSTさんのほうは、やはり使えるかどうかまだ分からないのですけれども、ポテンシャルはかなり多いのではないかというような、そういうものに腰を据えて取組ができるというところが、NEDOとのデマケができるところかなというのが一つ目でございます。
 二つ目のポイントは、大体のスケール感でございますけれども、我々研究者サイドで行きますと、例えば科研費のAとかBが年間500万円ぐらいです。他方、NEDOの2年ごとのステージゲートでやるようなものは年間5,000万円ぐらいですので、大学サイドで腰をつけた取組をするのでしたら、ある意味で予算は少なくてよくて、年間1,000万ぐらいで、その代わり5年間ぐらいは腰を据えてできますよというようなことですと、チャレンジングなことに取り組めるのかなと思います。個々の予算は少なくてもいいので、多くのプレーヤー、若手の研究者、地方の大学さんも幅広く入っていただけるような制度設計をお願いしたいと思いますし、研究を続けられるというのが多分このJST事業の大きな価値なのかなと思います。
 3番目のコメントは、公募の仕方なのですが、えてしてCRESTの事業などで、初めから大体採択されるような方のメンバーの顔触れが分かるような事業が多かったのですけれども、そうするとやはりお仲間の集まりに代わってしまって、なかなか新しい発想が出てこないのかなと思います。なので、幾つかの分野に分けて、それぞれ自由にいろんな先生方に提案していただいて、それぞれのコアの大事な分野の中からいい提案を積極的に拾っていって、新たな仲間をつくるという形にしていただいて、お仲間の集まりがそのまま残るという、続くということは避けていただくといいと思います。
 最後になりますけれども、やっぱり大学人はお互いに切磋琢磨して競争しているところがございます。なので、やはり評価の際もしくは審査・選考においては、大学人と産業界が半々ぐらいにバランスよく入っていただいて、客観的に評価していただくということが、チーム編成、そして各ステージゲートの評価でも大事になると思いますので、そういう幅広な評価、そしていろんな方が入っていただけるような事業設計をしていただきたいと思います。
 一応四つコメントさせていただきました。私からは以上です。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 4点、コメントと御提案をいただきました。事務局の回答はありますでしょうか。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。
 1点目が、文科省なりのアプローチというところで、カーボンニュートラルの2050で行くと、経産省のほうでも事業が行われていて、ロードマップが書かれているという話は先ほど申し上げました。その中で技術ギャップがかなりあるという話は、経産省さんとも話をさせていただいています。ただ、NEDOさんの事業だと、そこまでは遠すぎてアプローチできないということがいろいろ我々のほうでも抽出できてきているので、そういうところを対象にしながら、そこにいかに大学の先生方の知見を掛け合わせていくかというところでプロジェクトしていければなと考えています。
 あとは研究の資金のスケールの問題で、小ぶりでもいいというところはありますけど、ただ一方で、それで十分な支援ができてないという状況があるのだったら、それはそれなりの規模で支援をしていかなければいけないのではないかと考えています。ただ、今、佐々木先生の御指摘は、一研究者当たりは小規模でもいいけど、ほかのいろんな先生方を巻き込めるようにという御主旨だと思いますので、それはしっかりチーム型のほうでやっていければなと考えています。
 それから、公募ですね、お仲間で出すというところはかなりいろんなところでも御指摘があって、ワーキングでもいろいろアメリカで研究されている研究者からもヒアリングをしました。アメリカの公募だと、アメリカでもお仲間で出すと。ただし公募の段階で、それなりに目標というのを審査側が示していて、それをしっかりマネージメントしていくので、お仲間がお仲間でいることができなくなってしまうので、そこが事業を通じて筋肉質になっていくというか、公募のかけ方や採択した後のマネージメントをしっかりやるというところと、まさに先生に御指摘していただいたようなお仲間以外のところで新しい人たちを連れていくというところも組み合わせて、多分そこもマネージメントだと思うのですが、そういうところもしっかり事業のスキームの中に入れていければなと。あとは審査の体制についても、いろんな観点で行くところは、そこはしっかり、公募となるとJSTにお任せになるわけですけれども、しっかり検討していければなと考えています。ありがとうございます。
【佐々木委員】  ありがとうございました。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  御説明ありがとうございました。非常に意欲的な発信かなと思いますので、ぜひ進めてもらえばと思います。
 私からはコメントと、1点コメントに近い提案をさせてもらえればと思います。
 まず、コメントのほうですけれども、やはり佐々木先生がおっしゃったように、日本のいいところは、結構ダイバーシティーというか、研究のテーマを追いかけている個別の張り方の広さというのは非常に有効かなと思っています。
 去年COPに参加された方の感想を聞いても、大きくカーボンゼロとか、そういう形に変わったときに、今まで展示しているものが、ほかの国は大分減ったのですけど、日本はかなりそのまま維持したというか、いろんな発信をされていたということなので、研究テーマの多様性という意味ではすごく強いかなと思っています。個別のセーフティーネット的な、ちょっと時間軸を長く反応を出すというのは引き続き続けていただいて、できれば安心して広げられるというセーフティーネットと、今回の御提案は大胆な公的投資を行うというお話だと思いますので、5ページにも書いていただいたように、これもアップサイドを狙うほうだと思うので、ぜひ力をいれていただければなと思って聞いておりました。
 その点でちょっと気をつけていただけたらなと思っているのが、こちらがコメントに近い提案になりますが、本郷委員も御指摘があったのですが、オールジャパンはいいと思うのですが、どちらかというと目指すべきはプレミアリーグといいますか、世界中からタレントを引きつけるような、そんな形の日本の発信ができれば、相当日本の国力が上がるのではないかなと思っています。アップサイドも、やるならもっと上を目指すというか、日本をベースですけれども、日本にみんなが来たがるような、このテーマだったらここだろうというような形の発信の仕方ができると非常に面白いのかなと思っています。ヨーロッパとかの資金援助とか、中国を見ても、かなり手厚いので、50人ぐらいですかね、いきなりチームメンバーが集まったりすることも多いと思いますので、そういった方で、ヨーロッパ中心ですが、外からもそこに入りたいと思うというような、そういう発信の仕方ができると、日本のタレントも育ちますし、日本にタレントを集めるという意味においても非常に良いのではないかなと思いました。
 ちょっと最後、ごめんなさい、三つ目のコメントですけども、蓄電池に関して非常に成果があっていいかなと思いましたけれども、中国とかに訪問すると、例えば精華大学の何先生は、「何」と書いて「へい」先生ですけども、そこは中国の大きな会社のメーカーさん全部とか、あとはかなり多くの蓄電池の研究者のネットワークを持たれていて、相当幅広く、発売した後の劣化のデータですとか、実際に使われているデータとその使用状況みたいなものをかなり取られています。日本は非常に安全性が高いというふうに、こちらの中にも書いてありましたが、その中の使い勝手のフォローアップというか、GXをやろうとすると、渡した後の使い方で分かることが研究に戻ってくることも非常に多いと思いますので、この8ページに書いてあるような掛け算の中に、出した後といいますか、製品化の後のデータをAI的な形で入っていくとか、そんなループ、だから電池ですけれども、その他の分野の先生も入れたり、出した後の分野の先生を入れるという形のプレミアリーグというか、ネットワークみたいなものを少し考えていただけると、技術が出た後のまたさらに更新的な技術革新もできるのかなと思いました。
 すみません、ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただ今のコメントと御提案について、事務局のほうで何かございますでしょうか。よろしくお願いします。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。
 まず、日本の良さというところで研究の広がりがあるというところで、我々もそう思っています。
 最後に御紹介させていただいたALCA-SPRINGの蓄電池だけで見ても、大学の広がりを見ても、かなりいろんな本当に全国の大学でやられているので、こういうところをいかにつなげていくかが大事かなと考えています。
 あとは、例えば水素の分野でも、自分たちは水素の研究につながると思っていないけど、実は使えるものがたくさんあると聞いていて、そういうある種水素目線から見ると面白いチームをどういうふうに糾合していけるかというところも一つ鍵になると聞いていて、日本の研究のダイバーシティーを生かしたファンディングにしていければなと考えています。
 あとは、オールジャパンのところで、サッカーのプレミアリーグの話がありましたけど、プレミアリーグが30年前にできたおかげで、イギリスの若手の選手も伸びて、今イングランドの代表チームはかなり強いので、そういう形で日本の研究もうまくネットワークを使って、盛り上げていければと考えています。
 あとは、掛け算のところですね。ちょっと戻っていただいて、8ページのスキームのところで、この掛け算は、活物質とかセパレーターと計算基盤、これはあくまで一例なので、このチームでどういう面白い掛け算ができるかというところは、引き続き検討していければなと思っています。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、あとお二人の委員の先生からコメントをいただきたいと思います。
 では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  なるべく短めにと思っております。よろしくお願いします。二つほどコメントさせていただきます。
 革新的GX技術創出に向けてということで、今回資料が非常によくできていて、私もよく理解できました。ありがとうございます。進められていて、すばらしいと思います。
 コメントとしては二つでございます。
 私はALCA-SPRINGの分科会委員をずっと10年やってきておりまして、見ていますと、経済産業省と文科省と非常に強力をして、ガバニングボードを置いて進めているというのが非常に良かったのではないかなと思っています。
 コメントとしましては、その中で当初、企業さん、もちろんこのチーム研究というのが大学にあまりなじんでなかったと。もちろんCRESTとかそういう枠組みはあると思うのですが、本当にチーム研究というのがなじんでなかったところを、多分大学の先生も企業さんも、そしてこれを引っ張る先生も、みんな、ちょっと言葉が適切でないですけど、涙も血も流しながら、苦労して、それぞれがすり寄って、「ああ、そうか」という柔軟に意見を聞くような体制ができたというのが大きかったのかなと思っています。ですから、大学の研究の在り方が途中で変わってきたなというのを私は見ています。
 それで、コメントというのは、一度決めたらこうだというような決めっぱなしではなくて、長期的にやるのは非常に重要で、とても安心して研究ができると思うのですけれども、常にチームとか探索チームを入れ替えるとか、柔軟にも見ていく必要性があるかなと思いました。企業と必ずしも大学の先生との研究の目先というか、スピード感も違うので、企業さんの意見をどんどん聞いて、大学の先生も改善していったところもありますし、逆に企業さん側も大学の先生の意識というか、こういう大事なところをちゃんと押さえているというような、そういう大事にしないといけないところを理解していただいたところもありますので、お互いが成長していく場があったなと見てきています。
 二つ目ですけれども、人材育成で、最後のALCA-SPRINGの例が出ておりましたが、これも当初からあんまり人材育成は、もちろんコメントには入っていて、項目にあったと思うのですが、終わりが近づいてみたらこうなっていたというところもありまして、100人のドクターというのはなかなかすごいなと思います。実際の声は、修士の学生までは大体理系の方は行くのですが、行って進んでみると、何か未来が見えてきて、「ああ、もうちょっとやってみようかな」とか、そういう現場がすごく学生同士あるいはちょっとした先輩との話の中で生まれてきて、じゃあ自分もドクターに行ってというのが見えてきたという声を聞いておりますので、そういう取組は良かったのかなと思っています。
 長くなりました。
 あと全然関係ないことを、すみません、これはメモにもならないのですが、初等教育というか中等教育にも本当に重要だなと思います。理系離れがまだまだ進んでいるようなので、ここを何とかしないと、こういった人材にすらなれないという危機感を持っております。
 私からは以上です。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 では、事務局、回答を手短にお願いいたします。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。蓄電池の件で、佐藤先生、ありがとうございました。
 ALCA-SPRINGでも、かなり初め、事業が立ち上がったときのマネージメントは実施側も大変だったと聞きます。かなり汗を流しながらやっていくというのが新しい事業では求められるのかなと痛感しております。
 その中で、例えば探索型とチーム型の行き来とか、チーム編成を柔軟に見直すとかいうところは極めて重要だと思っているので、しっかりスキームの中に入れていきたいなと考えています。
 それから人材育成の御指摘で、これは御指摘のとおりで、初めから人材育成を売っていたわけではなくて、やってみたらこれは大きいよねというところで、今、PRをさせていただいているというところです。
 ただ、逆に言うと、チーム型のオールジャパンのネットワークでやるというのは効果があったということなので、それをうまくほかの領域にも横展開していければなと考えています。ありがとうございます。
【原澤主査】  大変お待たせしました。本藤委員、よろしくお願いします。
【本藤委員】  御指名ありがとうございました。
 御説明ありがとうございました。科学的にも社会的にも大変価値のある取組になると思います。
 先ほどLCAの話がありましたが、私からは技術評価という観点から1点コメントさせてください。
 スライドの8に戻していただけますでしょうか。
 このような取組におきましては、環境面や社会面からやはり幅広い評価が必要だと思っております。その中の一つとしてLCAがあるというのが私の認識です。
 今回の取組において、LCAをはじめとした技術評価の研究者がコミットしていくということが非常に重要かと思っております。問題は、そのコミットの仕方です。
 私はお話を聞いていて、私のイメージとしては、今、重点領域のチームがあると。この中に評価者としてコミットしていくというのが、現在のイメージなのかと思いました。間違っていたら後で御指摘ください。
 私としましては、もしかしたら幾つか重点領域のチームがあると。そこを横断的に見られるような、小ぶりの技術評価チームがあったほうがより広い観点から核技術の価値をうまく評価できるのではないかと考えました。
 ですので、技術評価の研究者をどのようにコミットさせるかということについて、もしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 では、御質問に対する回答を、事務局、よろしくお願いします。
【事務局(吉元)】  ありがとうございます。
 技術評価をこういう研究開発事業の中でどういうふうにこなしていくかというのは、結構私も個人的にずっと科学技術行政に携わってきていて、七、八年ぐらい前からやっているのですけど、なかなか難しいところもあるのは痛感しています。
 ただ、おっしゃるとおり、例えばチーム型の支援のイメージで、掛け算のところで、ここで書かせていただいている評価は、例えば界面の評価という話なので、技術評価ではないとは思うのですけど、ただ、この中で技術評価の方を入れて、研究の方向性を見定めるというのは、一つの重要なアイデアだと思うので、この階層で入れるのか、もしくは先生がおっしゃったように、もうちょっと大きな階層で入れるのかということも含めて、今は答えがないので、検討していければなと考えています。ありがとうございます。
【本藤委員】  ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 委員の先生方から非常に貴重かつ重要な御意見とか御提案をいただきました。
 中間取りまとめということもありますし、また、GteXも今検討中ということなので、ぜひ委員の先生方のコメント、御提案を考慮した上で進めていただければと思います。
 時間も参りましたので、この件はこれで終わりにしたいと思います。
【事務局(吉元)】  すみません。
【原澤主査】  はい、どうぞ。
【事務局(吉元)】  1点だけ大丈夫ですか。
【原澤主査】  どうぞ。
【事務局(吉元)】  GteXなので、テクノロジーの複数形でジーテックスと呼ばせていただいています。
【原澤主査】  ジーテックスですね。はい、分かりました。
【事務局(吉元)】  すみません、ありがとうございました。
【原澤主査】  では、この件についてはこれで終わりにしたいと思います。
 それでは、次の議題に参ります。
 議題の2は、「地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献」中間取りまとめについてです。
 では、事務局より報告をお願いいたします。
【事務局(甲斐)】  文部科学省環境エネルギー課の甲斐と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、「地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献」中間取りまとめについて、地球観測推進部会事務局より御報告と説明をさせていただきます。
 本中間取りまとめは、第8期、前の期の地球観測推進部会において、令和2年8月に取りまとめられた今後10年の我が国の地球観測の実施方針フォローアップ報告書での実施方針の今後の方向に基づきまして、第9期、今期の地球観測推進部会で地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献について議論をしております。そこに基づきまして、令和4年、今年5月に取りまとめたというものになります。
 本日は時間の制約もございますので、概要資料を基に説明をさせていただきます。
 本中間取りまとめは、SDGsへの貢献に向けた気候変動分野の取組、地球観測・予測データに関するデータバリューチェーンに関する検討を重視しております。
 まず、SDGsへの貢献やデータプラットフォームの現状について示し、続いて、課題と方向、それから最後に、今後の施策への提言をまとめるという形となっております。
 地球観測・予測データ及び国内外のデータプラットフォームの現状について御説明いたします。
 海洋観測データや衛星観測データが、SDGsの評価指標として、例えばSDGsの14.3.1で海洋酸性度の平均値の算出、衛星観測データが、SDGs6.6.1でのマングローブマップの把握に活用されているという事例がございます。また、気候変動予測データが、国土交通省での治水対策への活用、民間における気候変動財務リスク評価での利用という事例がございまして、地球観測・予測データのSDGsへの活用が進みつつあるというところでございます。
 また、米国でのNOAA Big Data Programや、欧州でのCopernicus Programme、国内での文部科学省のDIASや経済産業省のTellusなど、地球観測・予測データを様々なデータと組み合わせ、計算機で解析を行える環境を提供すべく、国内外において地球観測・予測データに係るデータプラットフォームの整備が進んでおります。
 次に、課題と方向をまとめております。時間の都合上、ポイントを絞って御説明いたします。
 1番目のところが、価値がデータ利活用の現場に届くようデータバリューチェーンを形成するため、地球観測・予測データがSDGsに貢献できるサービスとそのサービスを提供できる主体、技術を創出・形成することが必要であること、2番目のところで、長期性・継続性を確保するため、動機づけとしてSDGs関連の取組との連携を強化していくこと、三つ目に、予測情報の高精度化を図るため、引き続き研究開発と不確実性に関するデータ利活用者の理解を向上させること、四つ目に、共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献を図るため、データプラットフォームの利用者と運営者がアプリケーションとプラットフォームを共同で開発する仕掛けが必要であることを示しております。
 この課題と方向を踏まえた提言のポイントを図示したものが、2ページ目になります。
 図の下の部分に、地球観測インフラの長期性・継続性の確保、予測情報の高精度化を基盤に据えまして、まず、真ん中にデータ提供者とエンドユーザーをつなぐものであるサービス提供者の存在を認識し、地球観測・予測データからエンドユーザーが必要とするインテリジェンスを提供するためのデータバリューチェーンを形成すべく、その現場、出口の有力な候補として、気候変動対策に係る意思決定や投資判断に用いるインテリジェンスを提供する産業領域である気候サービス産業の形成を打ち出しております。
 このデータバリューチェーンを形成する取組としまして、例えば気候予測データセット2022で、その解説書の策定、下段中央にあります関係省庁連携プロジェクト――文部科学省のDIAS事業や環境省のA-PLAT事業を活用し、産官学で気候変動インテリジェンスを生み出す技術開発とプラットフォーム形成を進めること、それから気候変動に関する情報を利活用する関係者でのコミュニティー形成を充実させることを御提言いただきました。
 今後、第9期地球観測推進部会の後半の議論におきましては、生物多様性・自然資本等や、そのほか重点課題の設定について議論をいたしまして、令和4年度中に最終取りまとめを作成し、公表をするという予定となっております。
 以上で、中間取りまとめについての説明を終わります。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま報告いただきました中間取りまとめについて、御質問、コメント等ございましたら、先ほどと同じように挙手を押していただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、本郷委員、お願いいたします。
【本郷委員】  ありがとうございます。
 こうして見ると、本当に様々な情報が提供される環境ができてきたというところで、非常に大きな前進だと思います。
 また、逆に産業界からすれば、これだけ多くの情報が出てくる中で、どう使いこなしていくか、ユーザー側での底上げも必要だなということを実感した次第であります。
 今、企業にとっては、社会貢献もありますけれども、企業自身のリスクマネージメントということで、レジリエンスあるいはビジネスコンティニュイティー・プランということで、こういう情報は非常に貴重なもので、期待しているところであります。
 ところが、先ほど田中委員から御指摘があった点だと思いますけれども、使った成果をアカデミアのほうにフィードバックしてほしいと。それがさらに改良につながって、よりよい情報提供ができるという、好循環になるのかなと思います。田中委員のこの指摘は非常に賛同するものであり、ぜひ取り組んでみたいなと思います。
 ただ一方で、実際に使った場合、企業のほうから情報を一般的に開示するというのはなかなか難しいというのがあります。コンペティターもいますし、様々な要素があるので、なかなか簡単には公開できない。
 それで、どういうような枠組みであれば情報開示できるのか、そしてお互いの意見交換をし、好循環に持っていけるのか、これは私自身も課題として考えてみたいなと思っております。
 以上コメントです。ありがとうございました。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 事務局のほう、回答ございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  フィードバックという点につきましては、2ページ目の図の中で、データ提供者からエンドユーザーまで、データやインテリジェンスの流れの中で、ニーズという形でフィードバックがあるというところは位置づけておりますけれども、一般に開示することが難しいというお話は今後の議論の中で、もう少し深めていけるところかと思いますので、その辺りも議論の中で扱えればと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  田中でございます。御説明ありがとうございました。非常に期待をしているところですので、これをぜひ進めていただければと思っています。
 特に1ページ目のオープンデータ化の利用目的制限の見直しとありますが、ここはすごく難しい分野だと思いますけども、ぜひ進めていただければなと思っています。
 先ほど本郷委員の御指摘もありましたけども、やった後のデータをもう一回持ってきて、その見直しをして、さらにはこれが事業化もできるかもしれないとなると、非常に研究者としても面白いところかなと思っています。
 というのも、4月の東京大学の入学式で、藤井総長が東大の起業家を育てますと話しましたが、今見ていますと、特にAIとかデータ系の学生ですごく優秀な学生が集まっているのですが、彼らの対象は、データがあるところに入っていくというか、興味を向けるという形もありますので、ここの分野は、ぜひそういう学生に興味を向けてもらって、グリーン化のテクノロジーをどんどん進化させるというのは非常に日本にとってもいいのかなと思いますので、利用目的制限をもう少し緩和できるのであれば、ぜひ進めていただければなと思っている次第でございます。
 それと、産業界の方とお話をしていると、2ページ目にもありましたけども、TCFDのコンソーシアムですとか、いろんな形で気候変動にまつわるデータを分析したようなサービスのニーズが非常に高まってきておりますので、ここのところの進化に向けてもぜひ進めていただけるとありがたいかなと思います。
 私の分野ですと、例えば再生可能エネルギーの発電者が自分で予測を出さなければいけないという仕組みに代わって、今、発電予測が非常に求められていますけれども、こういう分野で研究も進みますし、それがその先の利用もできれば、非常にスムーズに進みやすくなるかなというイメージでございます。
 すみません、ちょっとこまごまと申し上げましたけれども、全般的に進めてほしいですし、特に利用制限のところも期待していますというコメントでございました。ありがとうございます。
【原澤主査】  コメントありがとうございます。
 それでは、事務局のほうで回答ございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 オープンデータ化についての期待が高いというところは認識いたしましたので、今後の議論の中で、どのような形になるかはありますけれども、引き続き議論できればと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  では、続きまして、石川洋一委員、お願いいたします。
【石川(洋)委員】  JAMSTECの石川です。よろしくお願いいたします。
 このような取りまとめとして、非常に課題やそれに対する解決策がよくまとめられていて、とても良い取りまとめになっているのではないかと思っています。
 私からのコメントは2点ありまして、今いろんな課題とかがきちんと取りまとめられているとは思いますが、それぞれの課題において、いろんなレベル、レイヤーが違う話が同じ文脈で入っているところがちょっと気になりました。
 例えばデータの活用の仕組みの中で、例えばアクセスの話みたいな技術的なレイヤー、それから制度の問題、例えばデータの活用において、先ほどオープンデータの話もありましたが、そのライセンスの問題みたいな仕組みの問題、それから全体のいわゆる活用のエコシステムみたいな、より広い話の課題が少し一緒に入っているので、それぞれのレイヤーごとの観点で課題を見直していただけると、もう少しそれに関する解決策がクリアになってくるのではないかと感じております。
 それから2ページ目にもありましたけども、データバリューチェーンの観点でまとめられたというのは非常に分かりやすく、また、現状の課題に対して非常に大きなメッセージになると思っています。特にサービス提供者が、これからをより育てることによってデータをエンドユーザーに届けるというのは強いメッセージになっていると思います。
 この中で今後やっていただきたいのは、今あまりないとはいえ、幾つかの成功例は出ていると思いますので、データバリューチェーンを形成できているような成功例を積極的にアピールするとともに、今後もこういうものをきちんと支援する仕組み、ここに対する投資を国としても、また産業界としても投資する仕組みに対しての強化というのは幾ら強調しても強調し過ぎることはないと思っています。
 その中で先端的な研究とかをいかにエンドユーザーに届けるのかというのは、研究者としても非常に面白いと思っている人はいっぱいいますし、また産業界にもいると思うので、このマッチングをどうするのかという仕組みづくりは、簡単ではないと思いますけども、強化していただきたいポイントだと考えております。以上です。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 ただいまのコメント、御提案に対して、事務局のほうで何かございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 課題のレベルやレイヤーがいろいろ混ざっているという御指摘については、いま一度整理を考えたいと思います。
 また、成功例のアピールや支援に関しまして、何かしら議論の中で、実際に取り組まれている方のお話等を取り上げるなどできないか、少し検討したいと思います。
 マッチングの強化については、今のところ私としてはノーアイデアという感じになりますけれども、いただいたところについては検討できればと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【原澤主査】  引き続きまして、竹ケ原委員、お願いします。
【竹ケ原委員】  御指名ありがとうございます。簡単に1点だけコメントをさせていただければと思います。
 大変分かりやすいまとめをありがとうございました。
 今、田中先生のお話にもありましたけれども、レジリエンスや気候変動の物理リスク――TCFDみたいな話でこういうデータの有用性とか使い勝手が大分産業界のほうに広がりつつあるかなと思うのですが、先ほど御説明の中でも1点コメントがありましたけど、今度はそれに続いて自然資本の話が出てきています。
 TNFDというTCFDの自然資本版が出てきて、これについてのリスク管理をどうするかというのが企業価値を規定するようなフェーズに入ってきています。
 そうすると、かなりロケーションファクターが強くて、自分が持っているアセットがどんな生物群系――バイオームに立地しているかでリスクを見なければいけなくなって、ある意味で将来的なリスクは気候の影響をどう見るかにかかってくるということなので、今そこにかなり多くの産業界は関心を強めています。
 そういう意味ではユーザー自体が広がっていますし、さらに現場のニーズ自体も拡大しているのは間違いないところであります。
 その分、今まだなじみのないユーザーも増えてきますので、2ページ目で強調してらっしゃるデータバリューチェーンがすごく大事になってくると思いますので、非常に納得的な御説明だったと思います。
 どうぞ引き続き、この分の整備に力を注いでいただければと思います。どうもありがとうございました。
【原澤主査】  ありがとうございました。
 事務局のほうで何か、新しいTNFDというのもありましたけれども、いかがでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 まさにTNFDに関しましても、それを含めて、生物多様性・自然資本の議論を今後行いたいと考えているところでございます。引き続き議論を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  よろしくお願いします。
 では、堅達委員、お願いいたします。
【堅達委員】  この時代に地球観測・予測データは非常に重要なものなので、こういう枠組みで進めていかれるのはとてもすばらしいことだと感じました。
 その上で質問です。SDGsへの貢献というタイトルもついていて、何となくは分かるのですが、本当に目指していく方向性が、今も皆さんからのお話にあった、このデータをコモンズと考えて、オープンデータということで提供して貢献していくという方向性なのか、それともしかるべき気候サービス産業を育てる、ある種有料のビジネスということになっていくと思いますけれども、どちらかというとそっち方向に重きを置いているのかというのが、ケースバイケースのものもあるとは思うのですけれども、やや分かりにくいので、そこのあたりを聞いてみたいというのが1点、質問がございます。
 それにも関連するのですが、このデータを世界にどう提供して共有していくのかと。当然気候変動はグローバルなイシューですし、まさにフューチャー・アース、私もオブザーバーをしておりますけれども、フューチャー・アース的に学際的な研究、国境を越えた研究も非常に重要になってくるわけですね。
 今だとロシアで森林火災、今年は史上最悪の規模でシベリアの北方林が燃え盛っているわけですけれども、ウクライナに戦争に行っているので、ロシア軍が消火を全くしてないとか。そうなってくると、CO2が大量に出ていて、あるいはメタンも、今、正直言って非常に気がかりなデータが出てきていますので、そういうものを直ちに共有して、いろんなものに役立てていくというのはとても重要なのではないかと思うのですが、その辺の体制がどうなっているのかが2点目。
 そして3点目には、まさにどうこれを使いこなすのか、役に立てるのかというときには、エンドユーザーがいかに使いやすいか、使い勝手がいいのかを、我々メディアも含めて、ビジュアル的に分かりやすい、あるいは使いやすいということがすごく重要になってきて、アプリの開発みたいなものも大事だと思うのですけども、その場合は、気候変動分野とか、こういう観測を専門にやっている分野の科学者なり専門家だけではなく、むしろすごくセンスのいいデジタルアーティストとかデジタルの使い手とかいう別の専門家とのコラボが大事になってくるのではないかなと思いまして、ぜひそういうところをうまく取り込んでいく仕組みなんかも検討されてはいかがかではないかと感じました。ありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 方向性も含めて3点御質問がありました。事務局、いかがでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。なかなか難しい御質問なのかなと思っております。
 オープンデータ化と有料でビジネスを育てる方向でのデータ提供の仕方と両方の在り方があるのではないかという御指摘であったかと思いますが、このあたりはオープンにするものとクローズにするもののバランスの話があると認識しております。部会の議論の中で、今後どのようにお話ができるのかというところかと思いますので、何かしら検討したいと思います。
 エンドユーザーの使い勝手の良いものというところで、いかにニーズを吸い上げるのかというところになるのかなと認識しております。どのような形で吸い上げることができるのかを議論できるかというところになるかと認識いたしました。
 3点で、もう1点としては、何ですかね。
【堅達委員】  海外との連携です。フューチャー・アースとか、世界にどう提供するつもりかということですね。共有とか。
【事務局(甲斐)】  そうですね、提供に関しての部分はきちんとまだ議論できてないところですけれども、逆に国際的に必要とされるところに対して、そこに貢献することで、観測を長期的に継続的に実施していけるようにというところについては打ち出ししております。
 例えばグローバル・ストックテイクというパリ協定で約束しているようなところですとか、今回取り上げておりますSDGsの評価に関する部分での貢献で情報提供できるようにと考えて、打ち出しをしている状況になっております。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 続きまして、浦嶋委員、お願いいたします。
【浦嶋委員】  MS&ADインシュアランスグループホールディングスの浦嶋と申します。御説明どうもありがとうございました。
 もう既に多くの委員の方々からコメントされていることとかなり重複はしてまいりますけれども、先ほど話題に出ていましたTCFDに続く自然資本のTNFD、こちらは今まさに開示の枠組みについて議論が進められて、来年の9月、開示枠組みが発表されます。
 私ども、弊社から一人、日本では一人、タスクフォース・メンバーということで議論に加わっています。私はこちらの地球観測の委員も拝命しておりますけれども、こちらで今度7月1日に、本人から現状のTNFDの開示枠組みがどうなるかという議論について話をしてもらうということで聞いています。
 気候変動と自然資本が統合してどう見ていくかということが、一つこれからとても重要な要素になってきます。先ほど竹ケ原委員からもロケーションファクターという話がありましたけれども、この影響がダブルで効いてきたり、どっちかがどっちかの影響を緩和したりという、ですからまさにデータがさらに重要になってくると。また、それをどう統合して見せていくのかというところが、これから世界各国で知恵の勝負なのかなと。まさにここの自然資本も含めたロケーションごとのデータをどう握るかみたいなことが、これからすごく経済、産業界においても重要な武器になってくるのかなと思いますので、こういう基盤的なところの評価にすごく期待をしたいと思っています。
 これも先ほどどなたかからありましたけれども、どこまでをいわゆるオープンデータとして国が支援して整備していくのか、その上にどこからがビジネスなのか。我々はTCFDについては随分商売をさせていただいていて、これは一つのビジネスとして成立をしていくわけですよね。ですから、そこの基盤を強化しつつ、どうやってビジネスを育てていくのか、この二つを追及していくことが重要なのかなと思っています。
 最後に、貢献というふうに書いてあります。SDGsの貢献ということで。ですから、文科省さんとしてどこまで学術を支援していくのかという観点とはちょっと違って、どうやってこれを活用していくかという話なので、レベルの違う話ではあるのですが、やはり企業にとっては、自然・環境とか生物多様性とかの影響がどういうふうに財務にインパクトを与えるかが即重要になってくるわけですけれども、世界では、今、いわゆる金融、日本でいえば金融庁とか日本銀行、いわゆる監督当局とか中央銀行が集まるネットワーク、NGFSという気候変動リスク等に関わる金融当局ネットワークができています。
 そこでどういうふうに気候変動についてシナリオ分析をするのかという議論の報告がまとまるのですけども、そのときに日本の気候変動の物理的リスクがどういうふうに係っているかというグローバルで使われているリスクマップを見ると、非常におざなりな評価しかされてないんですよね。これだけ日本で気候変動の評価や分析がなされているのに、そういうグローバルに評価するところでは、それがスタンダードとして使われてないという課題があるんですね。
 ですから、先ほどの資料にも、気候変動リスクは産官学連携ネットワークとありますけれども、金融庁ですとか、そういうところも一緒になって、どうやってこの知見をグローバルな金融マーケットで使えるようなものにグローバルに押し上げていくか、そういうところも併せて貢献になってくるのかなと思っていますので、ぜひその点御検討をしていただければと思います。
 長くなりましたけれども、全てコメントでございますので。どうもありがとうございました。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 最新の国際情勢も踏まえてコメントをいただきました。事務局のほうから何かございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 まさに御指摘いただいたようなところは、浦嶋委員には地球観測推進部会のほうにも御参加いただきますので、重点課題といったところで議論していくところになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、あとお二方のコメントをいただきたいと思います。
 中北委員、お願いします。
【中北委員】  ありがとうございます。中北です。簡単に2点です。
 SDGs等の旗を上手に重ねて、これからの重要性も含めて大整理されているというのが、すごく見やすくなったというので、すごくいい内容にされたなというのが、まずのコメントです。
 関連でいうと、気象予測であり、気候変動予測であり、治水であり、いろんなところにこれから貢献できていくというところを見せていただいたと思っています。
 それが前段で、すごく目からうろこが落ちるような感じに仕上げていただいているかなと思いました。
 その中で絶対大事なところとして、もう一遍ちゃんと見えるようにしておいていただきたいのが、基礎研究への貢献が大土台としてあるんだよというところが、何かもう外の旗のほうを大事に書き出すと見えなくなるので、そこのところをもう少し強調するような形で発信いただければいいと思います。
 それから、もう1点だけですけれども、後ろのほうの4-2とか別資料で見ますと、長期観測の重要さも挙げていただいているのですが、観測が長期継続される予見性を示した上でという、予見性というよりも必要だということをもっと積極的に訴えて、地球観測としては訴えていくのが根本として、もともと大事なものとして示していただければと思います。いろんな活用のアスペクトが増えていく中で、その全部を支える共通の分として基礎の部分と、それから長期観測、衛星にとって長期観測は非常に大事なことでありますので、そこをもっと堂々と訴えていただければと思いました。以上です。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 事務局、何かございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 基礎の研究の部分に関しましては、主に予測情報の高精度化で引き続き研究開発が必要であるというところに含まれているのかなと認識しておりますが、さらにうまく表現できればというところかと思います。
 また、長期性とか継続性という部分に関しましては、貢献することによってより必要性がフィードバックとして出てくるという位置づけになっていると認識しておりますが、そこをどう表現していくかというところになるかと思います。ありがとうございます。
【中北委員】  はい、お願いします。
 予測だけではないですよね。広い意味での基礎、地球科学にとっての基礎データを取っているという誇りをもっと出していただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局(甲斐)】  はい、コメントありがとうございます。
【原澤主査】  ありがとうございます。
 それでは、最後になりますけども、大久保委員、よろしくお願いします。
【大久保委員】  ありがとうございます。
 4番のところの方向性で何人かの委員から御指摘がありましたように、オープンデータ化、プラットフォームの形成、利用しやすいプラットフォームの形成は大変重要だと思っております。
 考え方といたしましては、従来は公的な主体が持っているデータへのアクセスが情報公開の一端としてとらえられてきたわけですけれども、竹ケ原委員等から御指摘がありましたようなTCFD等の取組は、情報の性質に着目して、誰が持っているかではなくて、その情報が持っている様々なリスクとの連関、環境との連関、あるいはそれを利用することによる人々の福利の向上との連関と、そうした観点から出てきているより幅広い情報公開、あるいは情報アクセスへの理念の転換が起こっている。それを踏まえた上でのシステム構築が重要かと思っておりまして、その点で、2点申し上げたいと思います。
 これをどう活用していくかについては、先ほど浦嶋委員等から御指摘がありました地域での活用ということで、これは地域の災害情報あるいは地域の生物多様性情報、こうしたものが地域づくりにどう生かされるかという観点です。
 プラットフォームの中には、エンドユーザーとして自治体というのも明記されているのですが、恐らくここに参加していらっしゃる最先端の自治体である横浜市さんのようなところと、全く情報格差のある様々な自治体がいらっしゃいますので、プラットフォームで議論するといっても、それをなかなか自律的には活用の仕方が全く分からないような地域、自治体さんが使えるようにしていくという方向性が考慮されるように工夫をしていくことが必要かなと思っております。
 それが地域循環共生圏であるとか流域治水の取組につながるという側面です。
 もう一つは、脆弱な立場にある個人とか集団、こうした方々を誰一人取り残さないという観点、あるいはトランスパレンシーの向上という、SDGsでいうと16のガバナンスの観点から、このことはとても重要だと思っておりまして、そうした人々に届くようにするということで、先ほどの4番の最後では幅広い国民の話が出てきていたかと思いますけれども、そこにやはり脆弱な立場にある方々にまさにリスクを低減するための活動につながるような情報サービスあるいは提供ということが考慮されていくと、より一層SDGsとの関連が理解されるのかなと思います。
 以上2点です。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 事務局、何かございますでしょうか。
【事務局(甲斐)】  ありがとうございます。
 ちょっとお答えになるのか分からないところがあるのですけれども、地域での活用に関しましては、例えば気候変動の適応策で、気候変動予測データから、各地、各自治体での適応策の策定にこういうデータがA-PLATを通じて利用されているというところはあるかなと認識しております。
 また、脆弱な立場の方への情報提供という点につきましては、これまで議論してきたところは主に観測データはどこに適応され得るものなのかという観点がメインでしたので、新しい視点をいただいたかなと思います。こういうところを今後の議論の中で何か反映できないか検討したいと思います。ありがとうございます。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 委員の先生方、非常に貴重な御意見、御提案をいただいたのではないかと思います。推進部会のほうにもぜひこういった御意見を取り入れていただいて、取りまとめをしていただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上、この件についてはこれで終わりにしたいと思います。
 それでは、次の議題へまいります。
 議題の3及び4につきましては、事務局からまとめて説明をしていただいた後に質疑に移りたいと思います。
 議題3は、令和4年度研究開発課題評価の実施計画(案)について、議題4は、分野別研究開発プラン及び分野別研究開発プログラムについてであります。
 先に、本委員会におきまして今年度の研究開発課題評価の実施計画について説明いただき、続いて、先日書面審査を行いました分野別研究開発プログラムの評価の進め方とフォーマットの案について内容及び環境エネルギー分野における策定案について説明いただきたいと思います。
 それでは、事務局からの説明、よろしくお願いいたします。
【事務局(酒井)】  環境エネルギー課の酒井です。資料3と4について御説明いたします。
 まず、資料3-1ですけれども、第11期環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画の案をお示しさせていただいております。
 こちらは昨年の第1回委員会でお示ししたものをベースにしておりまして、時点更新を行ったという程度ですので、詳しい説明を割愛させていただこうと思いますけれども、幾つか御紹介させていただきます。
 まず、1ページ目の評価対象課題の事前評価というところです。
 こちらは、昨年度、気候変動予測先端研究プログラムと次世代X-nics半導体創生拠点形成事業という2点を事前評価いただきました。こちらの概要について、資料3-2にお示しさせていただいております。
 気候変動予測先端研究プログラムについては、今年度の予算が、新規事業として5億5,000万円計上されております。こちらは、令和3年度まで行っておりました統合プロの後継というものでありまして、IPCCなど、気候変動対策にさらに貢献をしていくという観点から、気候モデルの高度化とか、あるいはカーボンバジェット評価に向けた研究を担っていくものになっております。事業期間は2026年度まで、5年間ということになっております。
 その次ですけれども、次世代X-nics半導体創生拠点形成事業、こちらは令和4年度の当初予算9億、昨年の補正で30億というということで、新規事業として始めているところです。こちらは令和13年度までの10年間の事業となっております。半導体集積回路について、世界での競争に勝っていくために、より革新的な、これまでの延長線ではない半導体集積回路の研究開発を進めていこうというものでして、こちらを今年度から始めているというところになっております。
 続きまして、資料の3-1に戻っていただきまして、中間評価の予定はないのですが、事後評価については、2件昨年度行っていただきまして、今年度については1件あります。統合的気候モデル高度化研究プログラムということで、昨年度終了した事業がありますので、こちらについては次回の秋の委員会で事後評価を審議していただく予定としております。
 このことについても2ページ目に書いておりまして、令和4年度における評価日程というところを御参照いただければと思います。
 その他の点については、昨年度から変わりありませんので、割愛させていただきます。
 続いてですけれども、資料4-1を御覧ください。分野別研究開発プラン及び分野別研究開発プログラムについてです。
 こちらは昨年度の11月の委員会ですとか、あるいは先月行っていただいた書面審議でも取り上げたものになっております。
 かいつまんで改めて申し上げますと、研究開発プランについては、5年を期間とする研究開発計画に代わりまして、文科省として重点的・戦略的に推進すべき研究開発の取組や推進方策を分野ごとのまとまりで取りまとめるものになっております。
 研究開発プログラムについては、この研究開発プランに紐づくものでして、政策評価の体系における達成目標の任意の単位ごとに作成することとなっております。これに基づいて研究開発プログラム評価を委員会で行っていただくことになっております。
 これまでの委員会における審議状況ですけれども、昨年の11月の委員会においては、これらについての基本的な方向性を御議論いただきました。その後、先月の書面審議においては、研究開発プログラム評価のフォーマットについて審議をいただきました。こちらは参考資料の4と5でつけておりますので、適宜御参照ください。
 その結果、1件計評分科会の事務局に意見として報告をさせていただいております。実施年度欄に、事前、中間、事後を記載することとなっているが、見落としの可能性を鑑みて、あらかじめ当該欄を設けて選択できるようにするのはどうかということを伝えているところです。
 今回御審議いただきたいものですけれども、環境エネルギー分野での研究開発プランと研究開発プログラムについて事務局案を作成いたしましたので、こちらの御議論をいただきたいと考えております。
 資料4-2を御覧ください。
 まず、研究開発プランについてです。
 1ポツ目ですけれども、大目標として環境・エネルギーに関する課題への対応ということで、先ほどからもGteXの話や気候変動の話もありましたけれども、それらいろいろ幅広いものがあるのですが、気候変動への対応とかカーボンニュートラルの実現、それに伴うGXの推進等の地球規模課題は、人類の生存や社会生活と密接に関係しているもので、これらの諸問題に科学的知見をもって対応するために、環境エネルギー分野の研究開発成果を生み出す必要があるというふうにさせていただいています。
 2ポツ目ですけれども、プログラム名として、環境エネルギー分野研究開発プログラムとしていまして、二つプログラムをつくっているところになっております。一つ目が「気候変動予測技術の高精度化及び地球環境分野のデータ利活用」で、二つ目が「脱炭素技術の研究開発と地域の脱炭素化加速に向けた分野横断的な知見の創出」になっております。
 次のページをおめくりいただきまして、まず、こちら側の「気候変動予測技術の高精度化及び地球環境分野のデータ利活用」です。令和9年度までの事業の推進計画となっておりまして、これらを基にプログラム評価をしていくことになります。
 今行っている事業としては、気候変動予測先端研究プログラムと地球環境データ統合解析プラットフォーム事業――DIASになっております。
 成果指標や活動指標はこちらに書いてあるとおりでして、先端プロについては、成果指標としては、国、地方自治体、国際機関、民間企業等の気候変動対策検討への活動実績にしておりまして、DIASについては、DIASの利用者数にしております。
 次のページに行っていただきまして、二つ目が「脱炭素化技術の研究開発と地域の脱炭素化加速に向けた分野横断的な知見の創出」になっております。こちらは今行っている事業が幾つかありまして、大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発、それから革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業、それから今年度からやっております次世代X-nics半導体創生拠点形成事業になっております。
 成果指標は御覧のとおりでして、加えてJSTとか理研も当課で所掌しており事業を行っているところですけれども、本委員会では詳しい評価はしませんので、こちらは参考として載せさせていただいております。
 事務局からの説明は以上です。よろしくお願いします。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 ただいま説明にありましたとおり、書面審議につきましては、反対意見はなく、修正の提案1件を研究計画・評価分科会事務局に提出しているところであります。
 研究開発課題評価の実施計画及び環境エネルギー分野研究開発プラン、プログラムについて、何か御意見、御質問がありましたら、御発言お願いいたします。また挙手でお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。
 すみません、私から1点確認ですが、資料4-2の開発プランのところですが、後ろのほうに事前評価、中間評価、事後評価の概要というのがついているのですが、この中の特に予算部分については「調整中」というのがそのまま入っているケースがあって、事前は仕方がないと思うのですが、中間評価の時点から大分経っていますので、その辺の予算額は入れたほうがいいのではないかなと思います。ただ、あくまでも概要はその時点の概要ということであれば、そのままつけることになるのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
【事務局(酒井)】  ありがとうございます。
 こちらは計評分科会の事務局にも確認いたしまして、当時やったものをそのままつけてくれということでしたので、このままつけさせていただいております。
【原澤主査】  そういうルールということですね。はい、分かりました。
 それでは、浦嶋委員、御意見よろしくお願いします。
【浦嶋委員】  今求められているコメントの趣旨なのかどうかが、ちょっとごめんなさい、的外れだったら恐縮なのですが、大学の力を結集した、地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発にも委員として携わっていまして、先日初年度の成果みたいな発表があったのですが、非常に重要で意義ある研究だなと思いました。
 やっぱり冒頭、いろんなGteXみたいな新しい技術という話があるのですけど、そういった基盤的な技術の開発や、それを最終的にはどう社会に実装させていくかなのですが、地域の脱炭素と考えたときに、本当に地域の社会の既存のインフラや社会の状況に応じて、どういう技術をどのように入れていくのかということがすごく大事で、そうしたときに地域の大学を核に、その地域で最も合理的な脱炭素へのトランジッション、その進め方を研究していくというのは非常に意味があるなと思いまして、先ほども地域社会みたいなお話が出ていましたけれども、そういうことにフォーカスを当てて、いろんな多様な技術とか選択肢をコーディネートして社会に実装していくという研究は非常に意味があるなと思った次第でございます。
 すみません、以上です。
【原澤主査】  どうもありがとうございました。
 事務局、今のはコメントということでよろしいでしょうか。特に修正等は必要ございませんよね。
【事務局(酒井)】  はい、ありがとうございます。こちらの事業もしっかり推進していきたいと思っております。
【原澤主査】  よろしくお願いします。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。
〔「なし」の声あり〕
【原澤主査】  では、議題の3と4につきましては、これで審議は終了ということで、どうもありがとうございました。
 特に問題はないということですので、今年度の実施計画を資料3-1の案で決定いたします。
 また、資料4-2につきましては、当委員会として分科会に提出することとしたいと思いますがよろしいでしょうか。
【事務局(酒井)】  すみません、ちょっと事務局から補足で、言い忘れたことがございまして、一部様式上変わるところも少しあるかもしれず、大きな修正がある場合はまたメール審議をさせていただくとか、あるいはまた主査に御相談をさせていただければと思っておりますので、その辺はまた適宜相談させていただきます。
【原澤主査】  はい、分かりました。
 それでは、一部様式上の修正があって、大幅な場合についてはまた書面審査になるけれども、それ以外の軽微なものについては主査預かりということでお認めいただけますでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕
【原澤主査】  特に反対がないようですので、そういうふうにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日予定された議題は以上になります。
 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
【事務局(小田切)】  ありがとうございます。
 すみません、事務局からの事務連絡につきまして、本日の議事録は、後日事務局よりメールで委員の皆様にお諮りした後に、文部科学省ホームページで記載することで公表させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 最後に、当課の課長より一言ごあいさつ申し上げたく、よろしくお願いします。
【事務局(土居下)】  委員の皆様、本日も御議論ありがとうございました。この場を借りまして、私事ですが、ごあいさつさせていただければと思います。
 実は7月1日付で課長から離任いたしまして、私は出向元が農林水産省ですけど、そちらのほうに戻ることになりました。
 前期の10期の環エネ委員会からの先生方もいらっしゃいますし、また11期からの先生方もいらっしゃいます。いずれにしましても、2年間または1年余りの間、本当にありがとうございました。
 先生方からいろんな御指導、御鞭撻を受けまして、環エネ課も一丸となって頑張ってまいりました。
 また、新しい課長の下でも、本日の御議論を受けまして、引き続き施策の企画または推進を進めてまいりたいと思いますので、引き続き御指導また御助言のほうをお願いしたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
【事務局(小田切)】  ありがとうございました。
 それでは、次回の委員会は秋頃開催させていただく予定で検討を進めておりますので、また改めて日程調整の御連絡などさせていただきます。引き続き御議論のほどよろしくお願いします。
 事務局からは以上になります。
【原澤主査】  では、これをもちまして環境エネルギー科学技術委員会の第3回会合を閉会いたします。
 本日はどうもありがとうございました。以上です。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)