原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第27回) 議事録

1.日時

令和7年11月12日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

対面及びオンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力機構における基礎基盤研究の在り方
  2. 新試験研究炉の計画進捗状況
  3. 原子力関連学科・専攻の学生動向調査の見直し方向性
  4. 国際原子力人材育成イニシアティブ事業の中間評価
  5. その他

4.出席者

委員

黒﨑主査
村上委員
秋山委員
上田委員
高木委員
中島委員
松浦委員
雨宮様(岡田委員代理)

文部科学省

有林 原子力課課長
前田 原子力連絡対策官
滝沢 原子力課課長補佐

オブザーバー

【話題提供者】
日本原子力研究開発機構 経営企画部 脇本部長
日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所プロモーションオフィス 小林オフィス長
日本原子力研究開発機構 新試験研究炉推進室室長 村林様

5.議事録

原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第27回)
令和7年11月12日(水曜日)15時00分~17時00分 

滝沢補佐:定刻になりましたので、第27回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催
いたします。本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
今回の作業部会は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催します。確認・留意事項などもございますので、議事に入る前まで事務局にて進めさせていただきます。
まず、オンラインにてご出席されている方への留意事項についてです。委員の皆様におかれましては、現在、遠隔会議システム(Webex)上で参加をいただいておりますが、ビデオをオンにしていただきますよう、お願いします。また、ご発言される場合は「挙手」ボタンを押してください。順番に主査よりご指名をいただきます。ご発言をいただいた後は、もう一度「挙手」ボタンを押して、手を降ろしてください。
会議中に、ビデオ映像が途切れている場合、その時間帯はご退席されているものとなります。システムの接続の不具合等が生じた際は、随時、事務局あてにお電話にてお知らせください。
続きまして、傍聴者の方々への留意事項です。ビデオ映像及びマイクをオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムからご退席いただきますので、ご承知おきください。
最後に、皆さまへの留意事項です。本日の会議については、運営規則第5条に基づき、公開とさせていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局にて録音し、後日、文字起こし、委員の皆さまに確認をしたうえで、運営規則第6条に基づき、ホームページで議事録として公表いたします。事務局以外の方々の会議の録音および録画をお控えください。以上、よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の議題と配布資料の確認をさせていただきます。委員の皆さまおよび傍聴の登録をされた方宛てに、メールにて配布資料をお送りしております。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日は議題が4点ございます。1点目が、原子力機構における基礎基盤研究の在り方。2点目が、新試験研究炉の計画進捗状況。そして、3点目が、原子力関連学科・専攻の学生動向調査の見直しの方向性。4点目が、国際原子力人材育成イニシアティブ事業の中間評価、最後が、その他です。配布資料は、資料の1番から4番、参考資料1番から4番でございます。お手元の資料をご確認いただき、不備等ございましたら事務局までお知らせください。
 続きまして、委員の皆さまのご出席の状況についてです。現在、委員10名のうち6名の委員にご出席いただいております。尾崎委員、秋山委員は少し遅れて参加されると伺っております。運営規則の第3条に記載されております定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
 また、事前の連絡事項として、今回1名委員の交代がございます。大塚康介さまに代わりまして、電気事業連合会原子力部長の岡田融さまに委員をお務めいただきます。本日はご都合によりご出席がかなわないということで、代理として電気事業連合会原子力部副部長の雨宮さまにご参加をいただいております。
 また、本日は議題1における報告のため、日本原子力開発機構より、経営企画部部長、脇本様、原子力科学研究所プロモーションオフィス長 小林様、また議題2における報告のため、日本原子力研究開発機構より、新試験研究炉推進室室長 村尾様にご出席いただいております。
 最後、事務局の参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは、原子力課長の有林、原子力連絡対策官の前田、そして私、滝沢が出席しております。
 それでは、これから議事に入らせていただきます。ここからは黒﨑主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
黒﨑主査:承知いたしました。それでは、本日最初の議題に移ります。議題1は、原子力機構における基礎基盤研究の在り方です。内容をご説明いただいた後、質疑をいただく段取りといたします。それでは、原子力機構の脇本様、小林様より、資料1に基づきましてご説明をお願いいたします。
脇本部長:原子力機構の脇本でございます。原子力機構における基礎基盤研究についてご説明させていただきます。1ページをめくっていただきまして、2ページでございます。こちら政策文書等の基礎基盤研究における原子力機構の役割について整理しております。
 まず、上段、原子力委員会決定文書の中で、自らの研究だけでなく成果を社会に還元する役割といった記述、さらには大学等における基盤の脆弱化を踏まえて、利用サービス体制の構築、共同研究の充実が求められると記載されております。
原子力科学技術委員会決定の政策の方向性(中間まとめ)という文書の中におきましては、原子力科学技術の推進において中核的な機関としての役割が期待されております。
 また、私どもの中長期目標であります文書の中におきましては、基礎的研究、応用的研究といったものは引き続き高く位置付けた上で、幅広い基礎基盤研究を進め、産学官の共創によるイノベーション創出に取り組むこととしております。
 次のページですが、原子力機構におきましては、研究開発のビジョンを新たに定めております。昨今の脱炭素に向けた原子力の最大活用という流れがある中で、環境変化に対応すべく、今後目指すべき研究開発の方向性を令和5年の4月に策定したものでございます。
 下の図にございますように「ニュークリア×リニューアブル」で拓く新しい未来というビジョンを設定し、その中で、Synergy、Sustainable、Ubiquitousといった研究開発の3本柱を設定しまして、これらの研究開発を進めて、脱炭素社会の実現に向けて活動していこうというビジョンでございます。研究開発の柱を明確にすることにより、魅力的な研究分野として私ども自身としても再定義をする取り組みを行っております。
 続いてのページ、4ページでございます。私ども原子力機構で考える基礎基盤研究のあるべき姿をまとめております。左側の木の絵では、研究基盤、施設、人などの研究基盤を土台に、基礎基盤研究がしっかり根を張り太い幹となり、それが社会課題、ニーズに応じて、応用研究である枝葉をしっかり付け、社会実装に繋がるという姿でございます。
 私どものビジョンを右の図でイメージしますと、ニュークリア×リニューアブルという未来社会のイメージを実現することになってまいりますが、その根幹をなす機関と考えており、上段の枠の中記載しておりますが、基礎基盤研究は価値提供の源泉であり、原子力機構はこれまでもそのような役割を果たしてきたと考えております。また、基礎基盤研究においては、幅広い研究を涵養し、社会のニーズに応じて応用研究へ繋げていくことが重要であろうと考えております。
 続いて5ページです。原子力機構における基礎基盤研究の取り組みでございます。基礎基盤研究は主に東海村の原子力科学研究所で実施しております。原子力科学研究所では、基礎基盤研究を応用研究に発展させる、また社会実装に向けて成果創出を加速するといったことを目的としまして、令和6年度からは、既存の研究センターにとらわれない柔軟な組織体制としてNXR開発センターやパイオニアラボといったものも設置をして研究開発を進めているところでございます。
 下に3つほど、基礎基盤研究、最近の取り組み状況について整理してございます。1つは、ウランレドックスフロー蓄電池という、劣化ウランを使って蓄電池を作るという取り組みでございまして、これは今年の3月に世界で初めて開発に成功し、実際にLEDランプをともすことができた事例でございます。
 また、真ん中ございますようなJENDL-5といった核データライブラリーの開発も進めており、さらに右側、原子力機構が核燃料物質等を扱えることを強みに、ウラン化合物の超電導といった物性研究も展開しております。
 続いて6ページでございます。基礎基盤研究をさらに発展させていくことを念頭に、基礎基盤研究、研究力および基礎基盤が持続的に成長していくことを目的として、原子力科学研究所においては現在、組織と人の体制再構築を行うための検討を開始しております。併せて、アカデミア、産業界との交流によるオープン化を促進し、価値創造および人材育成の場として機能するようなオープンハブ構想を進めております。こういった取り組みを通じて、さらに国民からより信頼、期待され、若者にとっても魅力や刺激がある存在になっていくことを念頭に置いているものでございます。
 ページをめくっていただき7ページです。まずは基礎基盤研究再構築に向けた新たな取り組みとして、組織と人に関する内容です。下の図の左側、現状というところに示しておりますが、現在、所長の下に各研究センターが各目的に応じて研究を推進している体制を取っているところ、このような研究センター体制を取ると、相互の連携が取りにくいという、サイロ化が進んでしまう課題もございます。このような状況を打破し研究開発を発展させていくという意味で、右側で示すアメーバ組織といったような体制の構築を現在検討しております。この図の中の赤い丸で囲まれたところに、アメーバ的小集団として、研究テーマに応じた人材が流動性を持って組織され、それに対して、研究開発推進部、原子力科学研究所のプロモーション・オフィス、経営企画部、国際部といったコーポレートがしっかりサポートしながら研究を推進できる体制にしていく。さらに各集団のところに、URAと書いてあるように、リサーチアドミニストレーターを配置することで研究者の負担を軽減し、研究推進を加速していくことを考えております。
 こういった改善で、サイロ型組織から脱却し、相互連携による魅力ある新規プロジェクトの立ち上げが可能になります。また、より魅力的な研究を行うことで、国民からの期待、さらには研究を担う人の確保に繋げていきたいと考えております。
 続いて8ページです。こちらは、原科研のオープンハブ構想についてまとめたページです。原子力機構の機能を最大限活用して、ホット施設の利便性向上、中性子利用の技術的サポートの充実を行うとともに、物理的にもアクセスしやすくする体制を考えております。
 このページの一番下に記載の現状の課題として、入りにくい、見えにくい、使いにくいといった距離感があると、外部の方から話を聞くことがございます。
 この課題を解決していくため、将来像として、セキュリティ確保しつつも、開かれた知の拠点にしていきたいと考えております。監視エリアの範囲や独自ルールの見直しによって、オープンエリアを整備してくことを現在検討しております。デジタル技術なども導入して、入構や利用の迅速化なども図っていくことも重要と考えております。
 こういった取り組みを通じて、外部交流の活発化、自由な議論の促進、外部資金獲得、テーマ創出などの形で研究力向上を図りたいという構想とともに、原科研施設を用いた共同研究やクロスアポイントメント、連携大学院という形式での人の受け入れ、そういった取組も進めて、研究基盤の強化も図っていきたいと考えております。
 続いて9ページでございます。基礎基盤研究を将来にわたって支えていく人材の確保は大変重要でございますので、基礎基盤研究を支える人材育成の場として原科研施設を最大限活用することを進めていきたいと考えております。写真にございますJRR-3や、NSRR等も活用しながら、産業界、大学、官公庁等のニーズに対応した実習機会を拡大する、研究活動を通じて新たな教育プログラムを整備する、そういった取組で人材育成を進めていきたいと考えております。
 これにおいては、大学等における基盤的施設、設備等が減少している状況もございますので、基盤的施設が集約でき、人材育成の場として位置づけ、施設、設備の維持機能および向上ならびに技術サポートスタッフの拡充といった取組も進めることができればと考えております。
 最後にまとめとして、今までご説明した内容のまとめですので割愛させていただきますが、参考資料のほうで1点ご紹介したい内容がございます。参考資料の20ページです。こちら海外シンクタンクが重要技術分野において各国がどのようなアクティビティ、研究シェアがあるかという観点から順位付けしている分析がございます。これで、2000年代初頭と直近5年ほどの時期を比較して、順位がどう変わっているか整理したものです。この中で赤丸で囲っている原子力エネルギーという分野においては、日本が軒並みその他の重要技術分野において順位を下げる中、3位という非常に高い順位を誇っております。
 こちらについては、実際私どもの調査において、原子力エネルギーという分野での論文をカウントしてみますと、中国、米国に続いて、日本が3位になっております。本日ご紹介したような基礎基盤研究をしっかり支えることで、日本の重要技術分野での技術力、研究開発力をしっかり支えていけるように今後も取り組んでいきたいと考えております。私からのご説明は以上になります。
黒﨑主査:ありがとうございました。それでは、意見交換に移ります。本件について、ご意見、ご質問のある委員の方は挙手をお願いいたします。では、松浦委員、お願いいたします。
松浦委員:JAEAについては、わが国の原子力分野の中核組織として非常に期待しており、今日のご説明も非常に興味深いものがありました。いくつか質問がございます。6ページの魅力ある研究開発拠点としてオープンハブ構想を進めているということで、今までも実習や共同研究などで、アカデミック分野、産業界との交流はなされていたと思うところ、今後さらに魅力ある研究開発拠点にするためのオープンハブとして、これまでと違った具体的なアイデアがあればお教えいただきたいです。
黒﨑主査:JAEA側から回答お願いいたします。
小林オフィス長:ご質問ありがとうございます。オープンハブということで、まだ案の段階なのですが、今まで各大学の先生方や学生が入構して実験に取り組んでくださったという事例は実際あります。それに加えて、今まで原子力に目を向けてこなかった大学の先生方、企業の方にも、ぜひいらしてくださいとお願いをするのですが、何をしているか分からない、入りづらい、入構手続きに時間がかかると聞いていると、否定的なご意見をたくさん頂いております。東海村の住民の方たちにも「あの中で何をしているか分からない、薄気味悪い施設」と言われることもあるという現状がございます。
 そういった広報の意味も含めて、境界を少し下げたり、東海村内のどこかに建物を設置して、その中でコールド実験室、広報施設、PR施設を置いて、アクセスしやすく、実験を楽にしていただくという状態が1つの目標です。私たちと連携したい先生方や企業の方は、ホット施設を活用したいというのが最終ゴールになると考えておりますので、まずはコールド施設に入りやすくし、私たちとのアクセスができるという認識をいただいた後に、実はこのフェンスの中にはもっと魅力的なファシリティがあるのでぜひ使ってくださいという形で、その取組を呼び水に広げていけるといいのではないかと考えております。
松浦委員:最後におっしゃった呼び水というか、セキュリティ確保しないといけないがまずは来ていただいて知っていただくというところが大切ということでしょうか。
小林オフィス長:まず大切だと考えています。
松浦委員:分かりました。もう一つお聞きしたいのは7ページのところで、アメーバ的小集団の組織が案としてお考えとのことで、企業とかでよく、組織と関わらず横串で進められるプロジェクトを若手に提案させて、自分の組織の仕事以外にもある程度、何%か時間あげるよという形で仕事していただくケースもよく聞きますが、そのような活動なのでしょうか。
小林オフィス長:はい、松浦委員のおっしゃる通りでして、今まではセンターの壁の中で活動していた研究者がたくさんおりますが、最近は学際領域での研究が多く出てきておりますので、若い方たちに新たなテーマを提案していただいて、そこに賛同しているさまざまなセンターの研究員や技術職の人たちを集めて小さな集団をつくり、そこで研究開発を進めるという体制をまず進めたいと考えております。こういうのって、いきなり大きな仕組みをつくって推進しようとすると必ず失敗しますので、まずは小さなアメーバ集団を1つ2つつくって、失敗すれば解散すればいい話です。そういったチャレンジをどんどん続けて、新たなテーマを魅力的なものに磨き上げるという研究の仕組みを考えていきます。
松浦委員:JAEAの中には多くの知見を蓄えていらっしゃるので、それを重ね合わせて化学反応を起こして、よりプラスになる形をぜひ期待しております。
小林オフィス長:ありがとうございます。
黒﨑主査:村上委員、よろしくお願いいたします。
村上主査代理:ご説明ありがとうございました。まず、原科研の敷地の中、あるいは外に、コールドで人が集まれる場所を用意されるという構想は非常に素晴らしいと思っております。その上で、やはり本丸はホット施設である、核燃施設、あるいはRI区画、原子炉の中ということになると思いますが、やはり大学としては、学生あるいは研究者が研究に没頭できる環境をいかに用意していただけるかというのが重要です。ホットとは言えないですが、RI施設であってもSPring-8、J-PARCの施設の中、JRR-3のビームラインでも、研究者が自由に、休日あるいは夜間も、研究に没頭しているという環境を維持できるかになると思います。その体制を整えようと思いますと、やはりものすごく丁寧にフィジカルプロテクションの区画の許認可申請のやり直し等、相当エフォートをかけないといけないと思います。どれくらいまでオープンなファシリティを目指していかれるのか意気込みがあれば伺いたいです。あと、タイムスケールをお聞かせいただきたいです。
小林オフィス長:最初のフィジカルプロテクションの話です。まず私たちの方でオープンにする施設は必ずコールドのものを取り扱うという想定ですので、PPの中は全く手を付けません。まずそのような構想ですので、例えばJ-PARC、JRR-3のビームライン等で実験した方たちは、実験が終わると一度外に出ていただき、オープンされた施設の中で時間をかけてじっくりと研究していただけると考えております。PP施設の中と外は分けたいと考えております。
村上主査代理:質問の仕方を変えますと、まずはコールドできちんと居場所をつくっていただいて、近接した場所に居場所をつくられようとしていることはすごくよく分かりました。まずそれが第1関門だとすると、本来研究者として希望するところは、核物質防護なりRI規制の区画の中でどれぐらい自由に研究できるのかということが次のステップとしてあると思っています。第1関門の次のステップとして、何か考えていらっしゃいますか。
小林オフィス長:今のところはまずオープン化を考えており、その後のPPの中でのフレキシブルな研究体制確立に関しては、今後しっかり考えていきたいと思っております。その時には大学の先生方、企業の方にもヒアリングをきちんとして、理想の姿に近づけるように組み込みたいと考えております。
村上主査代理:ぜひ第2ステップまで行くとものすごくいい成果が出ると思いますので、よろしくお願いします。
小林オフィス長:ご相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。
黒﨑主査:上田委員、お願いいたします。
上田委員:ご説明ありがとうございました。6ページにあります原科研のオープンハブ構想について、構想段階ということなのですが、およそどれぐらいの時期に構想が具体化されているのかをご説明いただきたいと思います。
小林オフィス長:今の原子力科学研究所の中でオープン化をするとなりますと、敷地境界を中にセットバックすることが生じますので、許認可、予算の問題があります。そこには一定程度の時間がかかる可能性があります。また、原科研の外の敷地に施設を造るということになれば、施設を造るための予算要求さえ通れば進むだろうと考えておりますので、そのあたりは両方の状況をふまえて考えているという状況です。今この場で明確に答えにくい状況ではあります。
黒﨑主査:中島委員、よろしくお願いいたします。
中島委員:9ページのところです。基礎基盤研究を支える人材育成の場として書かれている内容に対して、産業界のニーズに対応した実習機会の拡大という記載がありますが、ここはどのように関連付けられる予定なのでしょうか。
小林オフィス長:産業界のニーズは、メーカーさんの若い技術者のトレーニングという形も考えられるかもしれませんし、私たちは炉を動かすもの以外にも、例えば原子力以外の分野に私たちの研究分野を派生させるユビキタス研究も現在進めているところです。ホット施設を使った実験をする時に、メーカーの方に来ていただいて、その中で私たちが指導しながら技術を身に付けていただく、ゆくゆくはメーカーの方たちが自立して、私たちの実験室の中で実験していただくという形も考えられます。あらゆる方向性を失くすことなく検討しているという段階です。
中島委員:具体的に何か調査をされていることはありますか。
小林オフィス長:民間の方たちにヒアリングをして、原科研での実験を希望されているか否かをお伺いしているのですが、共同研究を進めている機関でもありますので、皆さんぜひともやりたいとおっしゃってくださっています。
中島委員:分かりました。どうもありがとうございます。
小林オフィス長:ありがとうございます。
黒﨑主査:では、村上委員、もう一度お願いいたします。
村上主査代理:次は、少し具体的な研究や外部との連携についてです。ソフト面の連携の話でもう一つお伺いしたいことがございます。JAEAの施設をこれまで使って、大学、あるいはJAEA外の研究者が利用しようと思った場合に、JAEAは共用法の適用される施設というのはJ-PARC以外ございませんので、基本的には全国大学共同利用の枠組に屋上屋をかけるような形で、そこから各大学が来られて利用される形態と、JAEAと直接共同研究契約を結んで研究させていただくという形態の大きく2つに分かれていたと思います。
 これからどちらに重点を置こうとされておられるのか、あるいはどちらもこれまでと同じような割合で考えておられるのか、少し人の集まり方や集まる人の性質、どういう研究の指向性を持たれている方がいらっしゃるのかが違うかと思っています。そのあたりは何か、戦略についてお考えはございますでしょうか。
小林オフィス長:先ほど脇本から説明があったように、全国の大学施設の集約も将来的には考えています。ということになると、やはり今までの大学の先生方、学生を想定しているのですが、さらにアドオンしていく考え方としては、企業との収入型共同研究を、私たちはぜひ増やしたいと考えています。
 要は、民間からの収入を増やさないことには生き残りができないという問題があり、そこで企業と共同研究を進めて、日本の価値も高めつつ、私たちの研究所の力も付けて、それを今度は大学生に還流していくというサイクルをつくるという、民間との収入型の共同研究を強化したいという可能性はあると考えています。
村上主査代理:共同利用型というよりはむしろ、企業との共同研究を増やしていけるような方向を考えていらっしゃるということでしょうか。
小林オフィス長:はい。今後の目標とするのは、そういった企業ニーズに対応できる研究機関があるべき姿の1つではないかという議論をしているところです。
村上主査代理:更問になりますが、2つパターンがあると思っております。例えばカナダなどが企業共同で国立研究所を運用されていると思いますが、比較的インフラ維持の提供にフォーカスして民間の自由な発想の研究をサポートするという研究所の運営の在り方と、よりメンター的にガイドをするような形で、ホットのマテリアル、原子力・放射線に関係する研究をしたいと思っている企業をリードしていくような研究の在り方の、2種類があるかと思います。どちらのほうにより注目をされていますか。
小林オフィス長:原子力機構の研究開発は非常に多岐にわたっており、非常に先端的に進んでいるところもあれば、そうではない部門もあります。そのため、いま明確にお答えし難い状況になっております。
村上主査代理:わかりました。どちらかに振られるケースが海外を見ていると多いです。
小林オフィス長:将来は、どちらかの方向に進むという経営判断が、近いうちに下されなければならないだろうとは考えておりますが、今のところそのような判断はされておりません。
村上主査代理:わかりました、ありがとうございました。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、次の議題に移りたいと思います。JAEAの脇本様、小林様、どうもありがとうございました。
次の議題は、議題2 新試験研究炉の計画進捗状況ということで、こちらはJAEAの村尾様よりご説明をお願いいたします。
村尾室長:それでは、新試験研究炉の進捗についてご説明いたします。資料2を使って説明させていただきます。表紙をめくっていただきまして、まず1つ目、詳細設計1の検討状況についてご説明いたします。4ページをご覧いただきたいと思います。現在、新試験研究炉は、詳細設計1の期間に入ってございます。これは、原子炉設置許可申請のための基本設計を進める段階です。地質調査に代表されますような原子炉を設置する自然環境に関する調査を進めるとともに、原子炉を設置する構築物、系統、機器の連携によって安全を実現するための基本的な考え方を固めていく段階です。その基本的な考え方の正しさを確認するために、事故を想定した安全評価も実施しております。
 では、次のページをお願いします。詳細設計1の状況としまして、昨年度まで燃料要素20体で構成された基本炉心の核的、それから熱的安全評価を実施してきました。今年度からは実験設備を含めた炉心構造物の設計に着手するとともに、異常な過渡変化や設計基準事故の検討を開始しております。
 次のページをお願いいたします。新試験研究炉に求められる実験利用設備としましては、中性子ビーム利用のための水平実験孔、冷中性子を生成するための冷中性子源、材料照射やライン製造に使用される照射設備が挙げられます。これらの数や、配置、サイズ、材質といったものは、ここに記載したようなさまざまな原子炉への影響が想定されます。そのため、原子炉に影響する炉心周辺の実験利用設備については、よく吟味した上で早期に決定し、炉心構造物の設計に反映していく必要がございます。
 次のページお願いいたします。実験装置につきましては、京都大学が中心となりまして、国内のその道の第一線の先生方で構成されたタスクフォースで検討を進めてもらっていますので、そのタスクフォースとの打ち合わせを重ねております。
 ここに示しますのは、炉内の垂直実験孔への要望や、炉外への中性子を取り出すための水平実験孔に関する各タスクフォースからの要望をフルスペックで配置したモデルとなります。タスクフォースからの要望を最大限取り入れつつ、安全規制との兼ね合いを考慮した最適化のための検討を進めています。なお、タスクフォースは、中性子ビームのみならず、材料照射、放射化分析、RI製造、陽電子ビームについても組織をしておりまして、幅広く意見を集めております。
 次のページお願いいたします。原子炉設置許可申請に必要となります設計基準事象の検証も並行して進めております。旧原子力安全委員会の安全評価に関する審査指針を参考にして、ここに記載した事象を想定します。これは、運転時の異常な過渡変化についての記載です。炉心構造物の使用、安全機能を有する機器、原子炉の制御方式等の詳細が決まる前から検討を始められるところとして、青字の事象について評価を始めております。
 次のページお願いいたします。こちらのページで示しております設計基準事故では、核分裂生成物が大気中に放出された場合の環境影響を評価する必要がございます。まずは、その起点となります炉心内の核分裂生成物の蓄積量を評価しています。現状で評価したFP蓄積量をご参考までに載せております。下の表には、JRR-3、発電炉との比較も載せております。
 では、次のページお願いいたします。続きましては、建設候補地の検討条件について説明させていただきます。昨年、国土地理院から推定活断層が公表されまして、建設予定地の決定を見送っております。今年度は、推定活断層の調査を本格的に進めるとともに、その他の建設工事の地質調査も並行して進めて、推定活断層による計画の遅れをできるだけ失くすように取り組んでおります。推定活断層については、国土地理院にも聞き取りを行って、この図の北端に示しましたオレンジの丸の辺りの調査と、南西端の青丸の辺りの調査を進めております。その他の箇所は、候補地に必要となる地質調査項目になります。調査項目につきましては、専門的になりますので説明は割愛させていただきますけれども、調査対象の特徴、調査の目的に応じて、種々の調査を実施してまいります。
 次のページをお願いいたします。こちらは、地質調査の大まかなフローを示したものになります。青帯で示しました敷地外調査は、先ほどご紹介しました推定活断層を主とした調査になります。それから、緑帯で示しました建屋直下破砕部調査は、それ以外の候補地に対する調査になります。現在は赤の破線で囲んだ段階であり、現地を歩いて地形を確認する地表地質踏査ですとか、地下深くまで地層のサンプルを採取するボーリング調査等を行っております。年度内は、活動性を評価すべき断層等があるかを確定していくための作業を進めております。
 続きまして、利用設備の検討状況についてご説明いたします。14ページをご覧ください。新試験研究炉の最大熱出力は10メガワットでございまして、国内の既存の中性子ビーム炉であるJRR-3の半分に当たります。そのため、得られる中性子束も単純には減少することが懸念されます。しかしながら、コンパクトな炉心体系の採用による熱中性子束の向上、液体重水素を利用した高性能中性子源の設置による高輝度中性子の生成によって、JRR-3に勝るとも劣らない性能を実現し得ると考えております。さらに、設計の計画の初期段階から炉心設計と実験装置設計を同時並行で進めておりますので、相互にフィードバックすることで、原子炉本体の性能を最大限に引き出す実験装置整備が可能となると考えております。こうした取り組みによりまして、限られた熱出力でも、その特性を最大限に生かして価値ある研究施設の実現を図ることを計画しております。
 次のページお願いいたします。装置の汎用性、利用頻度の高さから、青い線で囲んだ5つの装置を優先設置装置と位置付けるとともに、原子炉本体の設計と密接に関連する装置として赤の線で囲んだ実験装置を炉周辺実験装置と位置付けまして、これらの装置について先行して検討を進めています。優先設置実験装置、それから炉周辺実験装置につきまして、炉室、ビームホールにおける配置を上の図で示しております。
 優先設置装置については、ビームホールに設置される装置、炉室に設置される装置、それから炉内に照射を行う装置のいずれにも該当するものがございます。炉内照射を行う装置では、照射試料を取り出した後に、放射化した試料を取り扱うためのホットラボの整備が必要となってまいります。また、中性子ビーム実験装置に関しましては、冷中性子を利用するものと熱中性子を利用するものとがあり、冷中性子を利用する装置につきましては高性能の冷中性子源を設置して、実験装置に供給するということを計画しております。
 次のページお願いいたします。利用設備につきましては、京都大学が中心になって検討を進めております。試験研究炉に設置する実験装置は、市販の装置を購入して据え付けるものではなく、目的に応じて研究者や技術者が設計、開発するオーダーメードの特注品でございます。従って、個々の実験装置の最適な仕様の策定から、設計、建設を行うために、それぞれの装置について専門チームを編成しております。これをタスクフォースと呼んでおります。タスクフォースのメンバーは、国内のその分野の第一線で活躍するメンバーで構成されております。
 タスクフォースの活動内容は、大きく2つございます。装置提案に向けた調査検討と、技術継承、人材育成を視野に入れた実作業を進めています。新試験研究炉が運用を開始するまでには、まだ長い期間がございます。現在はPhase1の段階でございまして、令和6年度から全体計画の立案や基本仕様の策定に関する取り組みから開始しております。以降、適切なレビューを経て、Phase2の装置詳細設計、構成装置の選定、装置設置の段階に進む予定です。それと並行しまして、装置や技術の開発を進めていきます。既存施設を利用しまして、新技術やプロトタイプ装置の開発、あるいは解析の高度化などを進めて、得られた成果を実験装置検討に活かしてまいります。
 では、次のページをお願いします。続きましては、地域関連施策に関する検討状況についてご説明いたします。18ページをご覧ください。地域関連施策は、新試験研究炉の利用促進、利用者のアクセスなど、利便性を考慮した複合拠点、それから人材育成を中心に検討を進めています。JAEA、福井大学、京都大学の他、地元自治体、地元研究機関、文部科学省、資源エネルギー庁からなる地域関連施策ワーキンググループ、それからサブグループといった組織をつくりまして、ここで検討を進めております。利用促進、複合拠点については、設けるべき機能を中心に検討を現在進めております。福井大学では、研究ファームという学内の制度を利用して、中性子利用人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 最後のページは、まとめですので割愛させていただきます。以上でございます。
黒﨑主査:どうもありがとうございました。それでは、意見交換に移りたいと思います。本件について、ご質問、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。中島委員、お願いいたします。
中島委員:非常に詳細に検討を進められているという印象を受けました。利用に供するためには、中性子源自体の検証も、もちろんやっているだろう思いますが、途中にあるコールド・ニュートロン・ソースの設計、最終的にビームラインのエンドにあるディテクターの設計、それを全部合わせて中性子ビームの性能が出ます。ここで、特にコールド・ニュートロン・ソースの設計はどのような方がどこまで今進めているかを伺いたいです。
村尾室長:コールド・ニュートロン・ソースにつきまして、炉内設備になりますので、JAEAが担当しております。京都大学ですとかJRR-3でもコールド・ニュートロン・ソースを持っておりますので、過去の知見を利用しまして、モックアップ等の製造も進めている段階です。
中島委員:J-PARCでもかつてそのあたりはかなり検討していたことがあります。特にコールド・ニュートロン・ソースに関しては、パラメーターが多くて、膨大な計算を必要とすることになり、そのために計算コードが作られたという経緯があります。そういった実績を十分に生かされて設計いただきたいです。それからJ-PARCでの経験も活かせると感じますので、ぜひそのあたりは相談されるとよいと思います。
村尾室長:ご助言ありがとうございます。
中島委員:特に、PHITSというコードは元々そのために作ったものです。ですので、あの中にはそういった知見がたくさん入っていますので、ぜひ活用されるといいと思います。
村尾室長:ありがとうございます。
黒﨑主査:上田委員、お願いいたします。
上田委員:ご説明ありがとうございました。新試験研究炉につきましては、中性子利用を通じた人材育成と研究基盤の強化に資する重要なプロジェクトと認識しております。物理、材料、医療など幅広い分野を対象に、大学・研究機関や産業界が連携し、若手の技術者・研究者が、設計、建設、試験といった各段階に関わる仕組みづくりを期待しております。また、将来的には新試験研究炉の取組や利用事例、地元連携や人材育成の成果などを積極的に発信し、情報発信の拠点として、原子力・放射線利用への理解と関心を高めることを期待しております。以上、コメントです。
村尾室長:ありがとうございます。西日本における研究開発拠点ということも私たちの大命題としてございますので、利便性が高く価値のある研究施設になるよう取り組んでまいります。
黒﨑主査:村上委員、お願いいたします。
村上主査代理:ご説明ありがとうございました。一言だけコメントです。10メガワットですとか、立地上もいろいろと制約がある中で設計をされているにも関わらず、JRR-3と同じぐらいのサーマル・ニュートロンが出せる見込みが得られたということで、まずはすごい大きなプログレスだと思います。そのプロジェクトに従事されている方々に、ユーザー候補者として御礼申し上げます。ぜひ使いやすい施設になるようにこれからも各タスクフォースでもまれていかれるということ、何か1つ世界最高のものが備わると非常に素晴らしいです。恐らく今のところ陽電子が、出力と輝度あるいは強度という意味ではその候補かと思います。何かしら可能性はあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
村尾室長:ありがとうございました。励ましの言葉も頂きまして、ありがとうございます。そういった施設になるよう取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
黒﨑主査:では、こちらの議題についてはこれで終了とさせていただきます。続きまして、議題の3番目、原子力関係学科・専攻の学生動向調査の見直しの方向性についてに入りたいと思います。文部科学省の有林課長よりご説明をお願いいたします。
有林課長:それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。まず1ページ目でございます。第25回作業部会においてANECの取組を扱った際にも、その背景事情としまして、大学、大学院における原子力という名前、看板を冠した大学というのが、平成に入って、専攻や学部を大括り化したことによって、原子力という看板自体が模様替えをしてしまったという経緯を説明させていただきました。ご覧になっていただくように、原子力という看板を掲げていた濃い帯の時期から、薄い帯の時期に違う名前に変わっていったという資料でございます。特に昭和時代が濃い色だったのに対して、平成に入ってから薄い色のほうに変わっていくという傾向が見て取れます。
 次のページでは、ご説明した変遷を数字で表したものです。先ほど申し上げたように、平成に入ってから右肩下がりという傾向がご覧になっていただけると思います。
 実は、これに伴って3ページ目に示しております、文部科学省でこれまで様々な機会で説明をしてまいりました原子力関連学科・専攻の入学者数の推移についても、平成に入ってから右肩下がりの傾向が顕著になっております。一番の影響としては、先ほど申し上げましたように、原子力学科・専攻の数が減ってきてしまい、大学に入学する時点において原子力を学ぶ学科・専攻に入学する学生が何人いるのかを捕捉しづらくなっているという現状です。事務局としても課題と認識しており、より正確な動向をつかむためにどのような方法があるかを数カ月にわたって検討してきました。
 ご覧になっていただくと分かりますように、緑が学部、青が修士、紫が博士となっており、近年、特に緑と青については右肩下がりの傾向を示してございます。
 一方、4ページ目ご覧ください。原子力産業協会にて、大学原子力教員協議会と連携をして、同じように各大学の原子力関連専攻の修士および博士課程への入学者数を調査しております。博士はフラットですが、修士は右肩上がりという傾向になっており、先ほど示していた推移と傾向が異なるところがございます。
 このような状況を踏まえ、大学原子力教員協議会は全国の25の大学で構成されておりますが、個々の大学に調査への回答の考え方・回答内容についてインタビューをさせていただきました。その結果、大学の大括り化によって原子力関連学科・専攻がなくなると、入学の時点において、例えばエネルギー学科、エネルギー専攻、工学専攻という切り口ですと、原子力分野に限った学生数を捕捉することが難しいということでした。結果として、エネルギーという大括りな数字になってしまい、その中で原子力を専門分野にしている学生が何人なのかという情報を捕捉することが難しいのではないかというご指摘が多くございました。
 どんな切り口が適しているかを議論させていただいたところ、大学で教養課程を終えて大学4年生になると必ず研究室のほうにそれぞれ配属され、原子力を教える研究室はある程度特定が可能で、大学4年生になった瞬間であれば、原子力関連の研究室にどの程度学生が所属しているかは捕捉できるだろうという議論になりました。
 そこで、原子力産業協会にも協力いただいてまとめた推移が、5ページ目になります。
 従来、文部科学省が行っていた調査と同じ色使いになっており、緑が学部、青が修士、博士が紫です。違いますのは、学部の学年が1年生から4年生に変わっているところです。
 ご覧になっていただくと分かりますように、入学者数では右肩下がりの傾向が出ていた中、研究室に在籍する学生数という切り口で見た場合には微減、ほぼフラットな傾向が見て取れると思います。
 また、全体の数もご覧になっていただきますと、1,000人程度で推移している状況です。
 ですので、文部科学省としては、高校生やそれよりも若い方々に、最新の原子力を学ぶ学生のトレンドを示す上で、従来の入学者数もそうなのですけれども、それと併せて、学部4年生、修士1年生、博士1年生の在籍者数も併せて公表することによって、実態としてはフラットな傾向になっていますという情報も発信していきたいと思っております。以上が、事務局からの見直し方針のご説明です。
黒﨑主査:どうもありがとうございました。
 それでは、意見交換に移ります。本件について、ご意見、ご質問のある委員の方は挙手をお願いいたします。では、松浦委員、お願いいたします。
松浦委員:ありがとうございました。原子力関連研究室に所属する学生数推移という新しい切り口で整理していただいたのは、非常に興味ある結果です。ANECの活動を拝見すると、原子力の研究をされていた大学以外にもいろいろな大学名で参加されて活動されていると認識しています。それは、学科・専攻名には原子力が示されていなくても、原子力関係の研究をされている大学は多くあるのだろうと感じています。そのため、このようなデータは納得できます。この動向調査を、文部科学省としてどのように位置付けていかれるのかもお聞きしたいです。原子力人材を確保・維持するため、どういう観点で何を調査していくのか。確かに研究室の所属する学生数の推移という切り取り方もあると思うのですが、他大学のシラバスを見てみて、量子・環境などの原子力人材に必要な知識について、どの講義で教えられているのかという切り口もあっていいと考えております。
 原子力人材を、どのような切り口で調べるか、かなり難しいことだと思います。学問をどう教えているか、出口として原子力企業や研究機関にどれぐらい就職しているか、そういった切り口からも原子力産業協会で調べられていたと思います。いろいろな切り口があるかと思いますので、今回の調査項目としては非常にいいと思いますが、別の切り口からも原子力人材の調査をし、発信していただきたいと思っております。以上です。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。調査をどのように位置付け、どのように人材を維持していくかという点ですが、この調査自体は従来のものに加えて、新たな視点の調査という位置付けとし、原子力産業協会と協力しながら、今後どのような体制で本調査を継続していくのか引き続き検討していきます。
 その中で、どのような切り口で人数を捉えていくかについては、ご指摘のように学問としての視点、出口としての産業界から見る視点と、さまざまな視点があると思っております。最近、経済産業省が主となり、将来的な原子力人材確保・育成の方策について検討する産学官が集まる会議体もできましたので、このような新たな考え方も会合にインプットしていきながら、学問、出口の双方から、どういった指標が必要かも併せて議論してきたいと考えております。
 また、これをどのように維持していくかですが、原子力教員協議会の大学の先生方と議論させていただいた時に、何人かの先生からご指摘がありましたのは、学生数は、ある程度研究室にいる先生に依存するところがあるということでした。昔であれば、原子力学科とか専攻がある場合は、ある先生が定年退職したとしても、後任の方は当然ながら原子力学科・専攻なので、原子力を教える研究室という体制が引き継がれます。現在では、エネルギー、環境、量子、または工学という大括り化が進んできた中で、原子力を教えられている先生が定年退職された後、引き続き原子力関係の研究室が維持され続けていくことが、原子力分野を研究する学生を維持していくことに繋がると思っております。
 ですので、本日は研究室在籍の学生数という切り口で示しましたが、教員数も減少傾向にあるという現状も示されておりますので、原子力分野を専門的に教える教員もしっかりと維持できる対策を講じていかなければいけないと思っております。
松浦委員:ありがとうございました。
黒﨑主査:中島委員、お願いいたします。
中島委員:ANECの活動をしておりますと、工学部の他学科、理学部から参加する学生がかなりの数います。そういった学生たちが原子力企業にどれくらい関心を持っているかを調べることができればと考えています。企業のほうで、今まで工学部他学科や理学部からどのくらいの学生が原子力事業に進んでいるかについてデータ提供いただき、その動向を探ることができると、新しい切り口が見えるのではないかと思います。ぜひ検討いただきたいと思います。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。いまご提案いただいた方法は、私も同じ意見を持っております。既に幾つかの企業には相談させていただきましたが、企業サイドとして、近年採用した学生がどんなバックグラウンドであったのか、採用者と国の事業との接点、何が経緯で原子力の道に進むことに関心をもったのかについての情報は関心があります。ポストANECを考える上でも、それ以外の対策を講じる際にも、どういった経緯・場面で学生が原子力分野に進むことを決心するに至ったのかという点です。受け入れる側の視点からの分析も必要になってくると思っております。
 文部科学省でも、ポストANECを考える上で、産業界との連携を深めたいと思っておりますが、産業界からのフィードバックを前提として次期プログラムを検討していきたいと思っております。その観点で、産業界側には、ポストANECを検討するに当たっての採用者に関するデータ提供の依頼を検討しておりますので、また何か参考になるデータが整理できれば、このような場で紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
中島委員:分かりました。ありがとうございました。
黒﨑主査:秋山委員、よろしくお願いいたします。
秋山委員:ご説明ありがとうございました。1つ情報として私が持っているのは、私の大学では、他大学の原子力に関係しない学部から、大学院の時点で原子力関係に入ってくる学生の情報です。例えば、化学・物理学を学んでいて、その途中で原子力関係に興味を持った学生も結構多く感じますので、難しいかもしれませんがその切り口での調査も参考になるかもしれないと思いました。
 それから、原子力関係の学会で学生会員がいます。そういう学生会員は必ず学会発表をしているので、就職する時点で、学会会員を辞めることになると、別の業界に行っているという推測もできます。逆に、会員を社会人になっても続けているということは、原子力関連企業に就職しているという見方もできます。そういう視点があってもいいと思いました。
有林課長:秋山先生、ご指摘ありがとうございます。1点目については、ANECでも、他分野の学生から原子力分野に関心を持っていただくためにさまざまな対策を講じておりますので、その取組を定量的にフォローアップできる方策を、引き続き検討してまいります。
 また、学生会員について、実は学会とも、どういった方法で捕捉できるか議論をしておりまして、学生会員という話題も挙がっております。さまざまな指標を検討することは重要と思っておりますので、引き続きアカデミアの関係者とも密に連携していければと思います。
秋山委員:ありがとうございます。
黒﨑主査:高木委員、お願いいたします。
高木委員:ご説明ありがとうございました。他学部、他学科、他分野の学生を巻き込むことは、原子力産業界にとって非常に大事なことだと思います。原子力関連研究室の調査をすることは、重要だと思う一方で、例えばJAEAの施設を使っている他分野研究室の学生数の調査ということも考えられると思いました。労力と効果でバランスがあると思いますが、そのような切り口も考えられます。
 そのような調査結果が、原子力業界から、異分野の専門性を持つ人材も必要としているというメッセージを示すことになって興味を持っていただく、自分も関係があるかもしれないという意識をもっていただくことに効果があるのではないかと思っております。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。他分野の取組につきましては、どういった捕捉、調査の仕方があるかについて引き続き検討したいと思います。また、調査自体が、他分野の学生に対するメッセージになるという点については、おっしゃる通りです。
これから他分野の学生にどうアプローチしていくのか考えているところですが、単に研修会をやるだけではなく、効果のあるアプローチとして、原子力業界からの意思をメッセージとして伝えられるような方策も併せて検討したいと思います。ありがとうございます。
黒﨑主査:議題3についてはこれで終了とさせていただきたいと思います。委員の皆さま、ありがとうございました。
 続きまして、議第4、文部科学省の国際原子力人材育成イニシアティブ事業の中間評価に移ります。本議題につきましては、私が同事業のプログラムオフィサーを務めており、本日皆さまから評価していただく立場の人間でもあることから、本議題の進行については村上主査代理にお願いをさせていただきます。
村上主査代理:承りました。それでは、本日行う国際原子力人材育成イニシアティブ事業の中間評価の位置付け等について、事務局よりご説明お願いいたします。
滝沢補佐:ありがとうございます。文部科学省では、国費を投入している事業について、必要性、有効性、効率性の主に3つの観点から、事前、中間、事後に事業評価を実施しております。
 参考資料4をご覧ください。本作業部会の親会議でございます原子力科学技術委員会で検討され、その上に設置されている研究計画・評価分科会の中で決定されております。原子力科学技術分野研究開発プランと題して、プログラム2-2として、本日中間評価を行う国際原子力人材育成イニシアティブの記載がございます。
 これに基づいて、今年度、中間評価を行う予定となっており、事業開始の平成22年度以降、平成27年度、令和2年度と、5年置きに中間評価をしている状況でございます。今年度は3回目の中間評価となります。
 本日、作業部会で評価を取りまとめいただき、この後、原子力科学技術委員会にも審議いただいた上で、研究計画・評価分科会での最終報告を予定してございます。以上です。
村上主査代理:ありがとうございました。それでは、まず中間評価案について、有林課長よりご説明お願いいたします。
有林課長:資料4に基づいて説明させていただきます。3ページ目をご覧ください。3ページ目に、本事業の概要を2枚の紙でまとめさせていただいております。まず、本事業の実施期間と評価期間でございますが、滝沢が申し上げたように、平成22年から5年置きに中間評価をしており、今回の評価対象は、令和2年から令和7年の計5年間が調査対象になります。
 次に、本事業の概要と目的を書いております。原子力関連学科・専攻の減少によって、原子力教育を行うことができる教員や放射性物質を扱うことができる原子力施設が減少しており、この結果として、大学において、大学の人材育成機能が脆弱化し、個別大学で一貫して原子力人材育成を行うことが困難な状況になってございます。
 このため、本事業の中においては、令和2年度以降、全国大での関係機関の教育基盤、施設、装置、そして技術などのリソースを結集し、共通基盤的な教育機能を補い合うことで、拠点として一体的に大学の壁を越えた人材育成を進める体制を構築してきました。これがANECと呼んでいるコンソーシアムでございます。この事業の中では、大きく4つの分野で活動しております。1つ目が機関相互の補完による体系的なカリキュラムの共用、2つ目が実験実習機会の創出、3つ目が国際研鑽、4つ目が産業連携です。様々なプログラムの提供を、1つの大学に閉じるのではなく、ANECに加盟するすべての大学に提供するという取組を進めております。
 次に研究開発の必要性についてです。令和2年度に行いました前回中間評価における指摘事項として、必要性、有効性、効率性の3項目で評価されております。
 その結果として、令和2年度の評価においては、継続という評価をいただき、現在までの継続が認められております。
 令和2年度の中間評価時の指摘事項として、(4)の下から3行目になります、これまでのアウトカム指標として研修数の受講者数を採用しており、それ以外の事業成果を評価するための適切な指標を考えてくださいということ、そして、各取組を定着させていく方策も検討してくださいということの2つの指摘を受けております。
 次に、予算としてはおよそ2億円強の予算で実施してきております。
 実施体制は、文部科学省から各大学に予算を直接交付する形式で実施しております。
 次に5ページ目です。こちらが本日審議いただく中間評価票です。プログラムを実施する側の自己評価を紹介させていただき、それに対して、委員の皆さまからご指摘を頂きたいと思っております。
 まず、大目標、中目標で、ここでは原子力人材育成そのものの重要性を整理しております。また、重点的に推進すべき研究開発の取組として、ANECの中において、4分野に沿った活動、持続的な活動のためのマネジメント強化に取り組んでおります。
 次に、本課題が関係するアウトプット指標として、課題件数を整理しております。先ほどANECの4分野とご説明しましたが、カリキュラムの共用、実験実習の実施、国際研鑽、産業界との連携という4分野で整理した件数の課題を採択しております。
 次に、アウトカム指標です。短期的なアウトカムとして、延べ受講者数を整理しております。1から4の4分野ごとで、年間何人の学生が受講したかを整理しております。
 加えまして、中期アウトカムとして、4分野ごとの各プログラムに参加した学部4年生、修士2年生、博士3年生が、進学または就職した母集団の中で、原子力関連に進学または就職した割合を示したものです。高い割合で原子力分野に進学または就職していることがわかります。
 次に、評価結果に移ります。課題の進捗状況として、4分野ごとの取組を説明しております。前回中間評価時に、単に受講者数だけではなく定量的な指標に基づいて評価することが指摘されておりますので、1のカリキュラムの共用では、北海道大学においてオンライン教材の収録・公開を進めており、令和2~6年度の収録数は191件、うち147件を公開し、毎年1.6万件のアクセスを記録しております。
 前回の本作業部会において、国際原子力科学オリンピックで出場者全員がメダル獲得したという成果報告をさせていただきましたが、出場した高校生の事前トレーニングでは、北海道大学にて公開されている動画コンテンツが活用されております。
 また、大規模オンライン講座も開講しております。幅広い年代に対して、原子力の知識を自由に学習できる機会をつくり、教員志望学生を対象にした研修、高校生・高専生を対象としたイベントなど、すそ野拡大の活動も進めております。
 続いて、2の実験実習では、自身の大学だけではなく、全国の大学の学生に対して、大学の研究・実験施設を活用できる機会を提供している事例を紹介しております。
 特に近畿大学では、ANECの枠組みの中で、長期にわたり実験の機会を提供する安定的なプログラム運営ができたことから、参加した学生の所属する13の大学において単位認定がされたという成果も上げております。
 次に、3の国際研鑽では、東京科学大学が中心となり、東京科学大以外の大学に所属する学生も対象に、国際機関または国際的な大学への留学プログラムを実施しています。
 最後に、4の産業界との連携では、福井大学において、研究機関、電力会社等と連携した、つるが原子力セミナーという研修プログラムを実施しており、また、MHIと関電が連携して、座学だけではなく、プラント設計の実習、現場見学等を通じて、現場で用いられている技術や業務を学ぶ機会を提供いただいております。
後者のプログラムに参加した学生のバックグラウンド別で円グラフを整理しておりますが、青色が原子力分野であるのに対し、約3分の1の学生が原子力以外の分野から参加していることがわかります。先ほどすそ野を広げるという視点を説明させていただきましたが、他分野の学生にとっても、企業の実地研修で経験を積むことが大変有益な経験になっているだろうと考えています。参加した学生の満足度は100%という調査結果も出ており、今後すそ野を広げていくにあたり、産業界との連携も重要であると考えています。
 以上の実績をふまえ、評価のパートに移ります。9ページをご覧ください。
 評価の観点としては、必要性、有効性、効率性という3つの観点がございます。まず必要性については、国費を用いた人材育成の意義としては、第7次エネルギー基本計画において、原子力を最大限活用し、そのために人材の維持、強化が大切だという考えが示されており、特に人材育成については、ANECなどの関係機関の協力枠組みを活用していくという方針が記載されていることから、原子力人材育成の拡充にANECが重要な役割を果たすと期待されています。国として責任を持って、効果的、効率的そして戦略的に人材育成事業を行う必要があり、ANECの必要性については、引き続き高いと評価しております。
 今後のポストANECを考えるに当たって、電気・電子工学分野、機械工学などの他分野の学生や高校生に対象を広げることが重要と考えておりますので、STEAM教育手法の研修や原子力オープンキャンパスといった、教員志望学生や高校生を対象にした取組を土台として、産業界との連携の下、さらなるすそ野拡大の取組に期待するという視点で自己評価させていただきました。
 次に、有効性です。4分野の取組において様々な学習機会の提供をしてきており、この活動に参加した学生の就職者、進学者のうち、原子力分野に進んだ方が高い割合となっております。その成果をふまえ、有効性も高いと自己評価させていただいております。
 最後に、効率性です。実施体制や目標管理の妥当性が基準になりますが、実施体制として、PD、POによる各課題の進捗管理を目的としてヒアリングを行う中間フォローや、年度報告書の確認を通じて機動的に計画変更するなど、進捗管理の強化に取り組んでおります。採択後に自動的に5年間、7年間が保証されるわけではなく、毎年PD、POによって、中間ヒアリングを通じて、翌年度どう改善すべきかについて、予算規模も含めて精緻に議論をしていただいております。そのような体制をふまえ、効率性も確保できていると評価しております。
 次に、国の基本計画等、施策への貢献という項目です。先ほどご説明した第7次エネルギー基本計画にも本事業の活用方針が明記されており、その実績をふまえて国の政策への貢献もできていると考えております。
 続いて(4)の前回の中間評価時の指摘事項への対応についてです。当時、指標の見直し、取組の定着を評価する方策の2点が指摘されておりました。
1点目の指標については、延べ受講者数以外に、理解度、満足度、就職率、進学率といった定量的な指標を採用し、2点目の取組定着の評価については、オンライン教材を公開し、実験系の事業では作成した教科書を無料公開しており、活動成果の定着・普及を図っております。
 以上をふまえ、今後の研究の方向性の自己評価は、継続としております。理由の要点を読み上げますと、第7次エネルギー基本計画への寄与が期待されていると考えられること、ANECの下で実施してきた課題において着実に成果を上げているということから、原子力業界への一定の貢献が評価できると考えております。
 後段には、今後の活動に対する検討事項もまとめております。ANECの補助期間は令和8年度までとなるため、事業推進と並行して、ANECの中核的な取組、成果、改善事項をしっかりと分析した上で、原子力人材を必要とする産業界や研究機関のニーズも把握しながら、令和9年度以降の次期事業の在り方についても引き続き検討することを求めると記載しております。
 11ページ以降は、令和2年度以降に採択された課題一覧をまとめております。それでは、ご審議のほう、よろしくお願いいたします。
村上主査代理:ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見のある方は挙手をお願いいたします。作業部会としては、特に最後の評価案について決定をする必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。なお、黒﨑委員は本事業の利害関係者に当たるため、ご質問、ご意見は控えていただきますようお願いいたします。事業の進捗に関する質問が出た場合は私から回答をお願いすることがございますので、よろしくお願いします。
村上主査代理:それでは、松浦委員お願いします。
松浦委員:ご説明ありがとうございました。本事業は、原子力人材育成にとって非常に重要な取組と私自身も思っております。中間評価としての継続はもちろん、次期プロジェクトも、さらに発展した形で進めていただきたいと思っております。
 6ページ目で、中期アウトカムとして、参加した学生の就職者、進学者のうち、原子力業界への就職、進学者がまとめられており、1つの指標として適切かと思います。
 別の議題での議論にもありましたが、学生数自体が少子化で減っており、各企業では目標とする人材を新規採用できていないという状況もあると伺っているので、原子力分野以外の学生に興味を持っていただくことが非常に大事です。原子力関連学科以外の学生も参加していただいているので、他分野学生の原子力分野への進学、就職、という情報も整理できると、1つのアウトカムになるのではないかと思いました。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。今後の研究開発の方向性という項目で、今後への期待を述べさせていただきましたが、次期事業の見直しについて産業界との連携と記載しております。原子力分野以外の学生に来てもらうすそ野拡大の取組と、他分野からの参加者の追跡方法について、次期プログラムの中で明確にしていく、という修正をしたいと思います。
松浦委員:ありがとうございます。
村上主査代理:上田委員お願いします。
上田委員:原産協会、上田です。ご説明ありがとうございました。
本事業は、大学・研究機関・産業界が連携して、次世代の原子力を担う人材を育てるものであり、その継続の必要性を支持いたします。
第25回作業部会では、当方から「工業高校などとの連携強化や対象拡大」について意見を申し上げました。今回の中間評価では、資料9ページにあるように、「原子力の研究開発や利用を将来にわたって続けていくためには、電気・電子、機械など他分野の学生や高校生以下にも対象を広げる必要がある」と明記いただいており、この方向性は今後の人材育成を進めるうえで極めて重要だと考えております。
少子化の進行により技術者や技能者の確保が一層難しくなる中、高校生以下の若い世代から原子力に関心を持ってもらうことが欠かせません。この点は、当協会の会員企業からも強く要望が寄せられております。今後は、ANECの活動を通じて、高校・高専段階の教育をさらに充実させ、将来にわたって人材を育て続ける仕組みへと発展することを期待しております。
当協会では、「出前講座」の制度を設け、所属講師3名が大学や高専を訪問し、授業の一コマをお借りして、講義を行っています。講義のテーマは原子力に限らず、エネルギー問題全般にわたり、学生の皆さんが「自ら考える力」を育むことを大切にしています。受講後には、エネルギー問題だけでなく、原子力の必要性に関する認知がとても上がり、大変効果が高い取組みだと思っています。今後も、より多くの若い世代に向けて理解を広げてまいりますので、国をはじめ関係機関の皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。工業高校や高専との連携について、事業の今後への期待という部分で、すそ野拡大の内容に加えて、高校や高専との連携という趣旨を強調させていただくように修正を検討したいと思います。
村上主査代理:再度、松浦委員お願いします。
松浦委員:7ページ目に記載されている、大型実験施設・原子力施設等における実験・実習の実施という部分で、私たちの大学でも近大原子炉を使わせていただいて、炉物理の教育に有効活用させていただいております。原子炉の起動操作を実際に体験できるということで、学生たちはしっかり知識が定着していると感じております。
 この事業として成果は出ていると思う一方で、将来を見据えたとき、このような教育基盤をどのように維持すればいいかを考える必要があります。例えば、人材育成は数年間のスパンで終わるものではなく、数十年スパンで、長い期間が必要です。その観点で、次期プロジェクトでは、さらに恒常的な仕組に変えていくという検討を、次期プロジェクト以降に向けて進めていけると良いと思います。以上コメントになります。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。現在、事務局で次期事業の議論をしている中で、いくつか論点があるのですが、中核的な取組をいかに維持していくのかというのが、特に重要な論点として挙がっております。
 これまでの活動を通じて、高い評価を得ておりますので、ご指摘いただきましたように、いまの取組の水準を維持したまま拡大できるような仕組を、国の制度の中でどのように実現できるかという点も、今後検討していきたいと思います。頂いたご指摘につきましても、今後への期待として追記させていただければと思います。
松浦委員:ありがとうございます。
村上主査代理:私からも2、3点ほどお伺いしたいことがございます。まずは、非常に素晴らしい取組を続けてくださり、ありがとうございます。特に、教材、実習の取組は、非常に良い成果が出ていると認識をしております。その取組には全く異存がなく、それ以外の部分についてお聞きしたいです。
教員数が減っているという課題がありますが、ANECの活動を通じて、一部の先生が特任教授として採用されて演習を運営することは、教育人材の育成という面でも恐らく波及的効果があっただろうと思います。その効果について何かご知見がありますでしょうか。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。教員の維持という観点で、どれだけこの事業自体が貢献をしているかについては、これまでそういった観点で分析したことがありません。今後のポストANECを議論する際には、教員維持の視点も取り入れながら議論を進めていきたいと思います。ご指摘どうもありがとうございます。
村上主査代理:ぜひお願いいたします。
 2つ目のご質問です。近大炉の実習は13大学で単位化できたことは非常に素晴らしいと思う一方で、多くの大学で単位化されている教育インフラを、1つの大学でサポートしているというのは、少し不安な面がございます。特にコントリビューションの大きかった施設や、ハードウェアを提供している大学に対するインセンティブはどのような設定がされているのでしょうか。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。その観点はANECに参画いただいている京都大学や近畿大学などからご意見を頂いております。現在は、ボランタリーの取組に依存している部分も大きいため、持続性を考えた時に、インセンティブを与える仕組も導入する必要があるだろうと思っております。
 いただいたご指摘についても、ポストANECの在り方を検討する上で大変重要な要素と思いますので、今後への指摘事項として、追記させていただければと思います。
村上主査代理:ありがとうございます。
 3つ目の質問です。ANECのご説明の中にJAEAという言葉が出てこないですが、何か一定のコントリビューションがあったのでしょうか。施設を持っていることは事実でございますので、JAEAの参画についてお考えあればお願いいたします。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。ANECでは、大学の事業でJAEA施設を使って実験実習の機会を提供するという実績もあり、JAEAは縁の下で支えていただいている存在です。施設を持っているJAEAにも、近大や京大と同じようにしっかりと貢献していただく必要があるということで今年度の公募では、JAEAの取組を採択し、新たにプレーヤーとして参画いただきました。JAEA施設を使った新たな実習について、現在トライアル的に行っていただいておりますので、活動の結果を見ながら、どういった位置付けが最適なのか、引き続き検討していきます。
村上主査代理:よろしくお願いいたします。
 それでは、ここまで議論させていただきまして、委員の皆さまの総意で、本作業部会としての中間評価は、継続とさせていただくことでよろしいでしょうか。それでは、以上で議題4を終了いたします。では、進行を黒﨑主査にお返しいたします。
黒﨑主査:村上委員、どうもありがとうございました。
 本日は、予定していた議事は以上で終了となります。全体を通して何かご意見などございますでしょうか。
 最後に私のほうから、少し振り返りも兼ねて今の考えを述べさせていただきます。まず、前半でJAEAから2件プレゼンがあり、有林課長のほうからは、学生動向の話もありました。その中で、所々で出てきたのが、第7次エネルギー基本計画の話です。原子力を最大限活用していくことが明確化されたのは、大きな話です。特に、原子力を最大限活用するのであれば、活用するために人材が必要という課題意識のもと、どう人材を育成、確保していくかという議論になっています。
 その中で、様々な人材育成の方法がある中で、試験研究炉の話題があります。私が所属している大学の研究所の話になりますが、目で見て手で触って様々な実験ができるという、原子力、放射線の人材育成にとって非常に重要な施設なのですが、その試験研究炉の1つが来年4月で、60年以上動いてきたものが運転を停止します。
 2つ目のJAEAのプレゼンで、新試験研究炉の資料の中にもありましたが、完成まで時間がかかるため、空白期間がどうしても出てしまうことを、きちんと考えていく必要があると改めて思いました。
 その上で、1つ目のJAEAのプレゼンで、施設を有効活用していく観点で、JAEAの中で閉じた形ではなく、開かれた形でという話がありました。非常に良い方向に動いていると思います。まずはコールド施設から間口を広げていく点も非常に理にかなった方法で、すそ野拡大にも恐らく繋がると思います。
 3つ目の文科省からのプレゼンで、原子力分野の学生数の数え方、考え方を変えるという話がありました。教員数が減っている状況について、有林課長から、定年退職された先生を同じ分野で補充できていないのではないかという話が出てきました。恐らくその通りで、それが原因で教員数が減り、若手の数も減っている。これは大きな問題だと思っています。研究室に所属している学生を見て、数はあまり減っていないという話でしたが、教員数が減っている事実を見ると、学生数は自然と減るような気がします。なので、教員数をどう確保していくかは非常に大事なポイントと思います。
 ただ、大学側から見ると、若い学生に入ってきてもらわなければ、運営ができません。そうなると若い人にとって魅力的な分野に衣替えしていくことは、大学としてはあり得る選択になります。やはり原子力に若い人が集まるために、原子力を魅力的な分野にしていく必要があり、そのために原子力業界の将来性、活性があって動きを感じられる、そういう姿を全体的につくっていく必要があると思っています。そうすると、自然と人が集まり、当然、教える人も必要になるという形で、良い方向に回っていくと思います。国としては、エネルギー基本計画で大きな方向性が打ち出されたので、どう具体化していくかが大事だと思います。以上になります。
最後に事務局のほうから連絡事項等をお願いいたします。
滝沢補佐:ありがとうございました。
 まず、本日の議事録につきましては、整理でき次第メールにてお送りしますので、ご確認をお願いいたします。皆さまの確認を経て、文科省ホームページに掲載させていただきます。
 また、最後の議題4の中間評価票の修正につきましては、事務局にて対応した上で、委員の皆さまにも見ていただきたく、こちらもメールにて修正案をお送りしますので、ご確認よろしくお願いいたします。
黒﨑主査:ありがとうございました。それでは、これにて第27回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。ありがとうございました。
 
― 了 ―

お問合せ先

研究開発局原子力課
 電話番号:03-5253-4111(代表番号) 内線4421 
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