令和7年7月9日(水曜日)15時00分~17時00分
対面及びオンライン会議にて開催
黒﨑主査
村上委員
秋山委員
上田委員
大塚委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
中島委員
松浦委員
清浦 大臣官房審議官
有林 原子力課課長
水野 研究開発戦略官
滝沢 原子力課課長補佐
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第25回)
令和7年7月9日(水曜日)15時00分~17時00分
滝沢補佐:本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
今回の作業部会は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催しております。これに関連した確認事項もございますので、議事に入る前まで事務局にて進めさせていただきます。
まず、オンラインで出席されている方々への留意事項です。委員の皆さまにおかれましてWebex上で参加いただいておりますが、ビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。また、ご発言をされる場合は、挙手ボタンを押してください。画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査からご指名いただきます。ご発言が終了になった際は、もう一度挙手ボタンを押して手を下ろしていただければと思います。
また、会議中にビデオ映像が途切れてしまった場合は、その時間帯はご退席されているものと見なしますので、システムの接続不具合等が生じた場合は、随時事務局宛てにお知らせいただければと思います。
続きまして、傍聴者の方々への留意事項です。ビデオ映像および音声をオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為が確認された場合におかれましては、遠隔会議システムからご退席いただきますのでご承知おきください。
最後に、皆さまへの留意事項です。本日に会議については、事務局にて録音し、後日文字起こし、委員の皆さまに確認をいただいた上で、議事録として公表いたします。事務局以外の方の会議の録画および録音はお控えください。
以上、よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の議題と配布資料の確認をさせていただきます。委員の皆さまおよび傍聴の登録をされた方々宛てには、メールにて配布資料を事前にお送りさせていただいております。この会議室にいらっしゃっている方々にはお手元に議事次第を配布しておりますが、本日は3つの議題を用意しております。
1点目が、第13期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について。
2点目が、原子力人材育成に関する最近の動向および今後の在り方について。
3点目が、その他でございます。
配布資料につきましては、資料1-1から1-4、資料2-1から2-2でございます。お手元の資料をご確認いただきまして、不備等がございましたら事務局までお知らせください。
また、委員の皆さまのご出席の状況についての確認でございます。本日は、現時点では9名の委員の皆さまに出席いただいております。秋山委員におかれましては、約10分後に参加いただく予定と伺っております。
資料1-3にございますが、運営規則第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
また、本日は議題2における報告のため、日本原子力研究開発機構より、原子力人材育成・核不拡散・核セキュリティ総合支援センター長、井上さまにご出席いただいております。よろしくお願いいたします。
井上センター長:お願いします。
滝沢補佐:続きまして、事務局側の参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは、大臣官房審議官の清浦、そして原子力課長の有林、研究開発戦略官の水野、私、滝沢が出席しております。よろしくお願いします。
本日は、第13期の最初の作業部会となりますので、まず初めに大臣官房審議官の清浦よりご挨拶をさせていただきます。
清浦審議官:皆さま、こんにちは。文部科学省の審議官の清浦です。どうぞよろしくお願いします。この期の最初の回ということで、一言ご挨拶させていただければと思います。
少し昔話的な話にはなりますが、私は原子力課長を6年前に拝命しておりまして、その時に実はこの原子力研究開発・基盤・人材作業部会という形に再編したところでございます。その時の趣旨としては、研究開発、基盤、人材の話は一体的に議論をしていくべきではないかという思いでこの形にしてきました。
それ以降、原子力の再興をしていこうという話が高まっており、人材の話というのは非常に重要なテーマだと思っております。今期の議論で人材育成の話はメインの一つになると思います。個別の人材事業だけではなくて、広く日本全体の研究開発・基盤を視野に、わが国全体として原子力分野の人材の育成をうまく進めるための仕組みをどうつくっていくかという観点で先生方にぜひご意見をいただき、ご議論をいただきたいと思ってございます。
原子力を教えることができる先生、それから原子力を実際に体験できる場所というのはやはり限られておりますので、有効に教育資源を活用して、うまく産学官が連携して環境を整えていくことが非常に重要な課題であると思ってございます。
今日は原子力機構の方にも来ていただいて、話題提供していただきます。これは原子力分野だけではなくて、国研全体の議論としても言われておりますが、いわゆる研究開発のプレイヤーとしてだけではなく、その分野における下支えを、プラットフォームという形で提供する立場としての原子力機構、これは研究開発・基盤・人材のいずれの面でも重要だと思っておりますので、そのような視点からもぜひ活発なご議論をいただきたいと思ってございます。私からの挨拶は以上でございます。
滝沢補佐:続きまして、本作業部会、第13期の委員についてご説明をいたします。
資料1-2をご覧ください。7月1日に開催されました作業部会の親会議の位置付けでございます原子力科学技術委員会の決定に基づきまして、本原子力研究開発・基盤・人材作業部会が設置されております。調査検討事項については、資料1-2のとおりでございます。
続きまして、資料1-3をご覧ください。こちらについても7月1日の原子力科学技術委員会で決定された運営規則でございます。こちらの第2条の3に基づきまして、作業部会の主査は、委員会の主査すなわち原子力科学技術委員会の主査である山本委員からの指名で決定することとなってございます。この規定に基づきまして、京都大学教授の黒﨑委員が主査として指名されております。また、同運営規則の第2条の7に則り、あらかじめ黒﨑主査より東京大学大学院准教授の村上委員が主査代理として指名されております。
以上、ご報告いたします。
続きまして、資料1-1の本作業部会の委員名簿をご覧ください。本名簿の順番で、委員の皆さまを簡単にご紹介させていただきます。
まず、主査である京都大学の黒﨑委員でございます。
黒﨑主査:黒﨑です。よろしくお願いします。
滝沢補佐:続いて、主査代理である東京大学大学院准教授の村上委員でございます。
村上主査代理:村上です。よろしくお願いします。
滝沢補佐:大阪大学大学院准教授の秋山委員は、後ほど入られる予定でございます。
続きまして、一般社団法人日本原子力産業協会企画部課長の上田委員でございます。
上田委員:上田です。よろしくお願いいたします。
滝沢補佐:続きまして、電気事業連合会原子力部長の大塚委員でございます。
大塚委員:大塚です。よろしくお願いします。
滝沢補佐:続きまして、早稲田大学教授の尾崎委員でございます。
尾崎委員:尾崎です。どうぞよろしくお願いいたします。
滝沢補佐:続きまして、一般社団法人日本電機工業会原子力部長の小澤委員でございます。
小澤委員:小澤です。よろしくお願いします。
滝沢補佐:続きまして、エネルギー広報企画舎代表の高木委員でございます。
高木委員:高木です。どうぞよろしくお願いいたします。
滝沢補佐:続きまして、北海道大学大学院原子力安全先端研究・教育センター副センター長の中島委員でございます。
中島委員:中島でございます。よろしくお願いします。
滝沢補佐:続きまして、福井工業大学工学部教授の松浦委員でございます。
松浦委員:松浦です。よろしくお願いします。
滝沢補佐:以上、今期はご紹介した計10名の方に委員を務めていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、主査にご就任いただきました黒﨑委員より、一言ご挨拶をお願いいたします。
黒﨑主査:京都大学の黒﨑です。皆さん、よろしくお願いいたします。
主査ということで非常に大役を担うことになりましたが、頑張っていきたいと思っております。
今年の2月にエネルギー基本計画、7次のエネ基が改定になりまして、原子力は再エネと共に脱炭素電源として最大限活用していくという大きな方向性が決まりました。ただ、この方向性は決まったわけですが、これを実行・実現していくことが求められています。
その中でも原子力はいろんな課題がありますが、研究開発、基盤整備、人材育成、この3つは非常に重要な課題で、それぞれにいろんなポイントがあり、整理、検討していく必要があると思っております。
この部会では、先ほど清浦審議官もおっしゃっていましたが、3つそれぞれ個別ではなくて一体的に議論をしていくことで進めていきたいと思っておりますので、どうか委員の先生方、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
滝沢補佐:ありがとうございました。
続きまして、今期より新たに委員にご就任いただきました主査代理の村上委員、上田委員、中島委員から、順番に一言ずつご挨拶いただければと思います。
まずは村上委員、よろしくお願いいたします。
村上主査代理:改めまして、村上でございます。本日はよろしくお願いいたします。良い議論ができるように、研究ファーストあるいは教育ファーストの議論にきちんとなるようにということを心がけていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
滝沢補佐:ありがとうございました。
続きまして、上田委員、よろしくお願いいたします。
上田委員:改めまして、日本原子力産業協会の上田と申します。個人的な話をいたしますと、原子力人材育成ネットワークで以前事務局をしておりまして、その後に人材部門の長い経験があり、原子力産業の立場から意見・コメント等をできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
滝沢補佐:続きまして、中島委員、よろしくお願いいたします。
中島委員:北海道大学の中島でございます。ANECという文部科学省で行っております補助事業の組織の事務局も務めておりまして、だいぶ広くこの人材育成に関して見させていただいております。非常にいい組織だと思い、今後も継続していけるように前向きな意見を述べられると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
滝沢補佐:ありがとうございました。
それでは、これから議事に入らせていただきます。運営規則第5条に基づきまして、本会議は公開とさせていただいております。また、第6条に基づき、先ほど申しましたとおり、本日の議事録につきましてもホームページに掲載をいたします。
ここからは、黒﨑主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
黒﨑主査:それでは、本日最初の議題に移りたいと思います。
議題1は、第13期原子力研究開発・基盤・人材作業部会についてです。こちらは、滝沢補佐よりご説明をお願いいたします。
滝沢補佐:資料1-4をご覧いただければと思います。
こちらは作業部会の運営規則であり、具体的にはタスクフォースを設置することができるということをあらかじめ定めていくものでございます。この後、この作業部会で議論をしていく中でもし必要がございましたら、この運営規則に基づきまして特定の事項を機動的に調査するためのタスクフォースを置くことができるようにするために事前に設置しておくと、このような規定を設けておくというものでございます。
私からは以上でございます。
黒﨑主査:はい、ありがとうございました。本件について、委員の皆さまから、ご意見、ご質問等ございましたらお願いいたします。オンラインから参加の委員におかれましては、挙手機能をご活用いただき、指名された方はミュートを外してご発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。
松浦委員:今までの作業部会で具体的にタスクフォースを立ち上げられた例があれば、教えていただきたい。
黒﨑主査:こちらは事務局のほうからご回答いただけますでしょうか。
有林課長:過去に核変換という分野につきまして、国としてどのような方針で進めていくのかについて、これまでは実際にJ-PARCの施設を利用して核変換技術というものに取り組むというようにされていました。
そこにさまざまな技術的進展でシミュレーション技術等を使うことによってさまざまなアプローチがありますという内容を、報告書として核変換技術の今後の方向性を決めるという目的で、その方向性のたたき台をこのタスクフォースのメンバーにおいて検討いただいたという事例がございます。
松浦委員:ありがとうございます。その場合は、作業部会の中だけでなく、また別の先生方に入っていただいてということにもなるのでしょうか。
有林課長:おっしゃる通りで、この作業部会というのが研究開発・基盤・人材育成という、幅広い議論をいただく目的でメンバー構成をさせていただいておりますが、タスクフォースはある特定のミッションに関して専門家の方々から方向性の案を作っていただき、それをこの作業部会でご意見をいただきまとめていくというような形で進めたいと考えております。よろしくお願いいたします。
松浦委員:分かりました。ありがとうございました。
黒﨑主査:松浦委員、どうもありがとうございました。ほか、何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、資料1-4は案のとおり決定されたということとさせていただきます。どうもありがとうございました。
続きまして、議題2、原子力人材育成に関する最近の動向および今後の在り方についてに入ります。こちらは、初めに文部科学省有林課長からご説明をお願いいたします。
有林課長:それでは、資料2-1に基づきまして、原子力人材に関する最近の動向と今後の在り方について簡単にご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、めくっていただきまして1ページ目でございますが、こちらのほうはこの人材作業部会の親委員会であります科学技術委員会のほうで、昨年夏に、エネルギー基本計画の議論が行われているのと同時並行的に国の科学技術という観点から原子力の研究開発はどうあるべきかをまとめさせていただいたところでございまして、構成的に5つ柱でなってございます。
この中の赤枠で囲っておりますが、この5つの柱の一つには人材育成をしっかりと進めていくべきだということがされており、またこの点については、先ほど主査からご挨拶でもございましたが、2月に策定されましたエネルギー基本計画においても人材育成の重要性が言及されております。
まず、このような柱の一つであります人材育成につきまして、現状どのような課題があるかをご説明させていただきたいと思います。
2ページ目、お願いします。各大学において原子力という名前を冠した学部、学科、そして専攻が昭和から令和の時代にどのように変わってきたかを示してございます。
赤色で示しておりますのが大学、青色で示しておりますのが大学院でございまして、濃い色が元々原子力という名前に関連する学部・学科・専攻があった大学なのですが、それが薄い色になると、これは名前が原子力という名前ではなくて、例えば量子エネルギー、環境エネルギー、または物理という、さまざまな名前に変わってしまい、名前自体に原子力がなくなってしまったという変遷を表しております。
特にご覧になっていただくと分かりますように、平成に入ってから大きく変わってきており、一つには自然エネルギーとして太陽光であったり、風力であったり、さまざまな自然エネルギーが注目され始めたという要因、また量子技術という新たな技術が生まれてきたという要因があるのではないかと分析しております。
次のベージをご覧ください。こちらは、原子力関連学科・専攻の入学者数を表しているものでございます。政府で行っております学校基本調査の中で原子力に関連する学科や専攻として計上されている人数を機械的に算定している推移になります。
ご覧になっていただくと分かりますように、平成に入って右肩下がりになっています。
こちらの要因につきましては、先ほど申し上げたように、平成に入ってから原子力という看板自体がだんだん無くなってきている状況で、まさに国が行っております学校基本調査の中でも正確に、各大学の中で原子力を学んでいる学生が捕捉しにくくなっているというような状況です。それが一つの要因として右肩下がりのグラフになっているのではないかと考えております。
こちらにつきましては、実態に伴った捕捉方法を今後検討していく必要があると考えております。
次に、4ページ目をご覧ください。こちらは、教員の推移を表しております。平成16年、22年、28年、令和4年と並べておりますが、平成16年と令和4年を比べていただきますと、総数としては438人から356人とおよそ80名減っており、赤枠で囲っております40歳以下の若手の教員が平成16年121人に対して令和4年は半分ほどの68人まで減少しているという結果で、特に若い方の減少というものが顕著になっている状況です。
次の5ページをご覧ください。こちらは、ニーズサイドの状況でございますが、こちらは日本原子力産業協会が毎年会員企業に対して行っているアンケートの結果でございますが、近年原子力業界において人材を確保しづらいという状況が生じております。
こちらのアンケートで2024年では、薄いピンクが必要な人数より2~3割足りていないというもの。グレーになりますと必要な人数の半分以下しか確保できていないという状況で、薄いピンクとグレーを足し上げた約7割の企業が十分な人材が確保できていない状況となっております。
また、次の6ページ目ご覧ください。こちらも同じく原子力産業協会が実施しております就職フェアの原子力産業セミナーへの参加者数を専攻別にまとめたものです。こちらは2010年から2011年に大幅に落ちておりますが、これは3・11の影響でございます。
特に全ての業種において落ち込んでおりますが、赤い線が原子力・放射線・エネルギー・資源系で、原子力関係の専攻についてはそれほど落ち込みも大きくなかったものの、青色の電気・電子、オレンジ色の機械系のほうが3・11後で落ち込んだまま、10年たっても回復していないという状況がお分かりになるかと思います。
以上のような現状を踏まえて、各大学における学生の減少、教員の減少、また施設の老朽化などもあり、1つの大学で原子力に関する全ての教育を行うことがなかなか困難な状況になってきております。
そのような状況に対応するために、国際原子力人材育成イニシアティブ事業の枠組の中で、令和2年度を含めた7年間のプログラムとして、令和2年度に1年間のフィージビリティスタディを経て、令和3年度にANECと呼ばれるコンソーシアムを立ち上げております。
こちらのANECには、現在70機関が加盟をしており、カリキュラムを共同で作るグループ活動、国際的な人材を育成する活動、実験・実習の機会をさまざまな大学に提供する活動、そして産学連携、この4つの活動がこのコンソーシアムの下で実施されているところでございます。
各活動について簡単にご説明をさせていただきます。
9ページ目ご覧ください。
まず、カリキュラムの作成のほうでございますが、こちらは本日委員としてご出席いただいています中島先生のリードで、北海道大学において各大学の原子力に関連する講義を動画で撮影をし、北海道大学のホームページで誰でも視聴できるように体系的に並べた上で公表している活動がございます。
左下のグラフございますが、毎年1.6万件のアクセスがあり、このオンライン講座のオンライン教材を公開する活動に加え、登録制の大規模公開オンライン講座も実施しており、「放射線・放射能の科学」というタイトルの講座では登録が4,432名あり、こちらを年代別に見た表からは、10代~70代の全ての幅広い年齢層の受講者がいるということが見て取れると思います。
本活動は理解度の向上、リカレント、リスキリングに有効に機能していると考えております。
また、次の10ページ目ご覧ください。こちらは、静岡大学の活動でございます。日本地図のオレンジで示してあるのが原子力に関連する大学です。水色で示してある大学は原子力とは全く関係のない教育学部がある大学です。このプログラムは将来のエネルギー教育に関わる教員を指導するため、教育学部を持つエネルギーと関係のない大学に対して、原子力やエネルギー等を理解いただいて、将来教員を目指す学生に原子力やエネルギーの仕組みについて学んでいただき、また現場で体験いただきながら、最終的にどのような学習指導要領があれば生徒に伝えることができるかというテーマを1年かけて検討していただくという、将来の指導教員の育成事業に取り組んでおります。
また、次のページをご覧ください。11ページ目ですが、こちらは高校生向けのイベントです。ANECでは高校生・高専生に原子力に対して興味を持っていただくために、全国の大学、研究機関、産業界の協力も得て、日本国内でどのような原子力の活動がされているのかを高校生に説明するイベントを開催しております。
昨年は、7月に当時の東京工業大学で実施いたしました。約170名の参加が得られ、そのうちの3分の1は女子生徒の参加でございます。
また、東京開催のため、東京、千葉、埼玉、神奈川の関東近郊からの参加者が多いですが、それ以外に約3分の1の方は、北は山形から西は徳島という遠方から自費でこのイベントに参加をするというほど、原子力に対する強い思いを持った高校生が集まったと感じております。私自身もこのイベントに参加させていただきましたが、このような学生をしっかりと支援していきたいと思っております。
次、12ページ目でございます。こちらは、大学の大型実験施設を用いた実験・実習の機会を提供する取組です。近畿大学と京都大学が連携をしまして、原子炉の実習ということで基礎コース、中級コース、上級コースを開催し、9大学、7大学、6大学の参加実績あり、全国のさまざまな大学に実習・実験の機会を提供しております。
こちらは15の大学が参加しておりますが、そのうち13大学において実験・実習自体が単位化されているという成果も上がっております。
次の13ページ目をご覧ください。
こちらは、国際人材を育てる取組でございますが、こちらは科学大がリードしております。イノベーター養成キャンプというのは、海外から外国の学生を日本に招聘し、日本の学生と意見交換をしていただくという10日間ほどのイベントを行っております。それぞれ国際機関および海外大学に4カ月~半年派遣する事業も実施しております。
こちらも科学大に加え、さまざまな大学が参加していただいている状況です。
最後に14ページ目ですが、産業界との連携では、三菱重工と関西電力が連携し、原子力発電プラントを実際に「つくる」から「つかう」までの幅広い技術を、現場で実践的に学ぶ研修プログラムを提供いただいております。こちらにつきましては、3年間で全国約20校からの参加がございました。特に原子力以外の幅広い分野の学生が参加され、約3割の学生が原子力以外の分野から参加したという成果が上がっております。
次頁をご覧ください。こちらは外部の有識者の方からこの事業自体をレビューいただく際にご提示した資料を一部抜粋したものです。短期アウトカムでは、説明させていただきました4つの柱ごとに取り組んでいる活動を定量的な値で示させていただいております。
また、それを踏まえて中期的なアウトカムでは、各活動に参加した学生の中で、学部4年生、修士2年生、博士3年生の時点において、進学する生徒の中で何人が原子力関連の大学に進学したか、就職する生徒の中で何人が原子力業界に就職したかという実績をまとめたものです。割合としては、進学では5割~10割、就職のほうでも4割~8割近い数字まで、かなり高い数字が結果として出ていると考えております。
次、16ページ目です。申し上げましたように、これまでANECにおいては原子力に関連する学部・学科・専攻等で原子力を学んだ学生を世の中に輩出することを目指しておりましたが、冒頭説明しましたように、企業において7割近い企業が十分な採用が行われていない、また、その中でも特に原子力以外の電気・電子、機械、情報という他分野の学生がまだ原子力業界に戻ってきてないという傾向があり、ANECの次の在り方を考えるという段階においては、まさに今の事業を続けつつ、さらに産業界の期待に応えることを考えて裾野を広げ、原子力だけではなく、機械、電気・電子、情報等の、他分野の学生が原子力に触れる機会をつくっていく必要があると考えております。
いま取り組んでいるANEC事業の今後の予定を示しておりますが、令和2年度から立ち上がった7年間のプログラムのため、令和8年度で終了することになっております。
いま、取りまとめ作業を行っている最中で、令和9年度から次期事業を開始しようとしますと、ちょうど1年後の夏の予算要求に載せていかなければいけないため、令和7年度の1年間がこれまでの成果をまとめ、今後の方向性を示す大切な時期になります。
さまざまな状況を説明させていただきましたが、本作業部会においてもこのANECを今後どのようにしていくのかという点で、委員の方々からご意見を賜れればと思っております。事務局としましては、原子力以外の分野への裾野拡大を進めるための方策としまして、より多くの学生に大型装置・設備に触れていただく機会を提供するため、老朽化でマシンタイムが十分に提供できない、または提供する側の人員不足で十分な対応ができないという問題もあると認識しております。設備の更新や供用対応専門のスタッフを配置するような取組、多くの学生に原子力について学ぶ機会を提供するための教員の確保という意味で、これから団塊の世代の方々が退職されていきますが、まさにその世代の方で志のある方に引き続き人材育成をサポートいただくような体制が構築できないかという構想を考えております。
最後になりますが、省内の行政事業レビューにおいて出てきたコメントについて簡単にご説明させていただきます。4点矢羽根があり、1つ目は、目標値の設定が低いのではないかというコメントです。こちらは元々短期の目標設定としまして、各事業の育成人数計画を足し上げた人数を目標として設定しておりますが、結果として達成率が毎年100%を超えているという状況です。もう少しインセンティブが働くような目標設定が必要ではないかと指摘を受けましたので、ここは事務局としても改善を検討いたします。
その他3点でございますけども、2つ目の矢羽根は、教育プログラムを行うに当たって、単に就職した人数だけではなく、就職する学生が進路選択時にこのプログラムがどれだけ影響を与えたか、または就職した後の定着率がどれくらいかという、定量・定性の両面から効果を測ることができないかというご指摘がございました。
その他には、人数だけではなく、プログラムの質も測れる成果を捕捉すべきではないかというコメントをいただいております。
また、民間の連携を強めていくことが重要というご指摘もありました。
次に、7月1日に行われました原子力科学技術委員会、親委員会の委員からの指摘事項として3点ご意見が出ております。
1つ目が、今後すそ野を広げていく活動において、原子力専門でない他分野の学生を対象にした活動が重要というご指摘がございました。
また、すそ野拡大を進めるに当たり、原子力に対する認知度向上が必要不可欠で、中学校・高校では授業の中で将来の職業調べを行っていますが、そういった既存活動の中に原子力の要素をいかに組み込んでいくのかという工夫が必要ではないかというご指摘がございました。
また、今まで行っていた人材育成は技術者ということで、原子力の知識を持った技術者を養成するプログラムですが、実際にプラントを建てる際に重要な技能者の育成についても必要ではないかというご指摘をいただいております。
この中で、専門分野でない学生を対象にした活動として、原子力産業協会から参考情報が届いておりますので紹介させていただきます。
19ページ目のほうで示しておりますのは、産業界において短期・中期・長期の観点からさまざまな取組が行われており、その中でも特に赤枠で囲んでいる中期・長期の取組としまして、大学生から小中高生を対象にした出前講座が行われております。原子力産業協会を中心に電力会社、さまざまな自治体、原子力と関連する団体が出前講座を実施しております。現在の実施率として、学生の割合は全体数の0.5%しかカバーできておらず、もう少し対象を広げていく必要がある、教える講師が少ないという課題にも直面していると伺っております。
こちらは出前講座のアンケートで、講座受講前と受講後で参加学生の意識がどう変わったかがわかる代表的な質問結果を表しているものです。例えば、原子力発電が重要かというような質問については、54%から76%まで肯定意見が増加し、原子力発電が安定供給に役に立っているかという質問については、78%から89%まで肯定意見が増加しており、教育効果があると見込まれております。
19ページ目に戻り、産業界としては、このような出前講座を国と連携しながら、個別の機関で行うのではなく、一体的に行っていくプラットフォームのような体制が必要という提案が出ております。このような事例につきましても本作業部会において委員の方々からご意見を賜れればと思います。
黒﨑主査:はい、ありがとうございました。続いて、日本原子力研究開発機構 井上様からご説明をお願いいたします。
井上センター長:原子力機構 原子力人材育成核・不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)のセンター長をやっております井上でございます。資料2-2を使って説明させていただきます。
まず、2ページ目でございます。ISCNは、この4月1日で旧原子力人材育成センターと旧核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの2つのセンターを統合し、4月1日付で原子力人材育成・核不拡散・核セキュリティ総合支援センターが設置されております。
旧原子力人材育成センターでは、国内外における原子力に関する研究者・技術者の養成・資質の向上を目指しており、旧核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでは、アジアを主とする各国の核セキュリティ強化に貢献することを目指して活動して参りました。
新しいセンターにつきましては、人材育成支援を一体的かつ戦略的に強化することで相乗効果を創出することを狙いの一つとして設置をいたしました。
次に3ページ目。ここは新しいISCNが原子力機構としての、セイフティ、セーフガード、セキュリティの3Sの人材育成支援と、セーフガード、セキュリティの2Sの技術開発を担うという立ち位置でございます。主な活動エリアを6つほど挙げておりますが、上4つが人材育成支援に関わるものでございます。
次に5ページ目。国内の実務者向け育成支援についてどのような取組を行っているか表にまとめてございます。
原子力エネルギー技術者の養成、ラジオアイソトープ・放射線技術者の養成、国家試験受験対策、リスク・コミュニケーション基礎講座、あとは電力事業者や自治体のニーズに対応して行っている研修等、現在は毎年行っておりまして、令和6年度の受講者数はトータルで300人以上の実績でございます。
次に6ページ目。こちらは学生の受け入れ制度を示しております。学生に原子力機構に来ていただく学生受入制度ですが、最も多いのが夏期休暇実習生、いわゆる夏期インターンと呼ばれているものです。それから、専門性がだんだん上がっていき、学生実習生、学生研究生、特別研究生といった4つのカテゴリーの実習制度を設けております。
次に7ページ目。こちらは大学連携協定に基づく協力体制です。左の一番上が原子力分野における大学連携ネットワーク、いわゆるJNENと呼んでいるもので、これについては次のページで改めて紹介いたします。
その下にある個別の連携大学院方式に係る大学との協力について、右側上から2つ目で、教授・准教授を派遣、東京大学の原子力専門職大学院への講師派遣、実験・実習の提供という形で協力をしております。また、施設見学等も行っております。
次に8ページ目。連携協定に基づくJNENでは、現在は7つの大学と原子力機構で協力し、共通講座形式で遠隔教育システムを用いて前期・後期で行っております。
これ以外に、集中型の講座や、核燃料サイクル実習も提供しております。
次に9ページ目。その他の連携大学協定に基づく協力として、東京大学の原子力専攻向けでは実験・実習の形で年間約50日間、例年15名程度を受け入れております。毎週木・金で実習に来ていただいているものです。この実習の指導やインストラクターは、主に原子力機構の人間が対応しております。
それ以外に、茨城大学大学院向けに量子線科学実習、東京都市大学・早稲田大学共同原子力専攻に原子炉実習を、それぞれ3日、4日という規模で提供しております。
次に10ページ目。こちらは原子力人材育成ネットワークという産官学連携ネットワークでございます。現在参加機関数が84機関という、非常に大きなネットワークでございまして、ネットワーク全体の共同事務局を、原子力産業協会や原子力国際協力センターと協力して務めております。
また、運営委員会、戦略ワーキングに加えて、5つある分科会のうちの2つ、高等教育と原子力の人材の国際化というところで事務局を務めております。
次に11ページ目。こちらは核セキュリティ・核不拡散分野の人材育成支援です。核セキュリティの人材育成支援、核不拡散(保障措置)の人材育成支援、それから大学におけるそれぞれの人材育成支援と、3カテゴリー挙げております。
核セキュリティについては、原子力事業者、政府関係機関を対象としたトレーニングを提供しております。
保障措置に関しましては、日本語版のeラーニングを開発して運用する取組や、ビデオ教材の提供といった取組を行っております。
最近では、IAEAの保障措置用語集の和訳を作成し、ホームページ上で公開をしています。
大学に対しては、毎年ISCNの夏の学校を開催しております。また、参加学生の代表に、国際フォーラムという年に1度のハイレベルの方々にご登壇いただくイベントに参加していただくという取組を行っております。
その他、核不拡散・核セキュリティ、核軍縮の講義実習を大学に提供しております。
次に13ページ目。アジア向けにも2つの事業を実施しております。
1つ目が文部科学省の受託でアジア向けの講師育成事業です。2つ目が文部科学省の補助を受けて核不拡散・核セキュリティ人材育成支援事業を行っております。
1つ目の講師育成としては、原子炉工学、原子力/放射線緊急時対応、環境放射能モニタリングという3分野で、対象11カ国の主に原子力の研究機関を対象に提供しております。
日本開催・対象国開催があり、対象国開催ではフォローアップコースを行っております。国内開催で育成した講師が母国で講師となり、その国で人を集めてトレーニングを行うという仕組でございます。
2つ目の人材育成支援では、核セキュリティ、核不拡散・保障措置、条約等の枠組といった3つのカテゴリーで提供しております。対象としているのは主に規制機関であり、核セキュリティで24カ国、保障措置で24カ国の実績があります。そのうち22カ国が共通です。
国内開催と対象国開催の両方がありますが、対象国開催についてはニーズに応じて実施しております。直接的に国内人材育成に関係するものではありませんが、組織としての取組を支援するセンターです。
次に、原子力人材育成支援活動の課題、ISCNの取組で考えている方向性を紹介させていただきます。
15ページ目です。ISCNのリソースについて書かせていただきました。左側は人員の推移で、赤が現役職員、緑が60歳を越えた専門・再雇用、専門職ステージと呼んでおります。黄色は、任期付きの事務と研究技術。水色が、派遣・請負契約によって来ていただいている従業員です。左から令和5年、令和6年、令和7年と書いております。
この1年間で人数が大幅減で約1割減っております。これは、定年退職や早期転職の方々で、これは職員に限らず派遣の方々にも見られる事象でございます。非常に人員的に厳しい状況はISCNでも起きております。
右側は7年度の予算です。トータルで約9億弱の予算を頂いており、7億が外部資金です。原子力機構の経営として配分される運営費交付金は2億弱という状況であり、国内向けの大学連携の支援や実務者の育成支援、人材育成ネットワークに振り分けられている財源としては左肩上の運営費交付金のほとんどを占めております。
16ページ目では、原子力人材育成における課題について簡単に整理をしたものでございます。少子化、人材の流動化、専門人材の高齢化が1つ目の課題です。このために人材の確保、技術継承・専門人材の育成の困難化という課題もございます。
2つ目は、研修環境の高経年化、いわゆる施設の経年劣化です。実践的な研修を行うための施設、設備の維持・更新、そこに必要な予算というのは大きな課題でございます。
3つ目は、原子力・放射線分野を取り巻くダイナミックな環境変化がございます。昨今、特に海外では革新炉への志向が非常に高まっており、原子力機構が新たな価値の創造という点で大きな期待を寄せていただいている認識です。そのような流れや人材の流動化といった流れも含めた環境の変化は非常にダイナミックです。対応するためにやはりカリキュラムの多様性が一つの課題であると考えています。従来の分野に加え、リスク分析、社会認知など、社会科学系分野への対応、新しい技術への対応といったことも考えていく必要があるのではないかと分析しております。
何よりも時代に合った高品質な人材育成支援の提供が我々の使命であると考えており、例えば実務人材が受講しやすいようなカリキュラムへの改革、大学向けからさらに中高校生向けのアプローチ、ITツール等を活用した合理的な運用も課題になるだろうと考えております。
こういった課題を踏まえて17ページです。どうこの課題に対応していくかという方向性について2点取り上げております。1つ目が、サステイナブルな人材育成の支援メカニズムに調整していくことです。対象者、対象組織の視点やニーズ、原子力機構の持つリソースのギャップを分析して、事業の再整理をするとともに、新しい分野にも対応していく。時代に合った研修方式を取り込んでいく。これは、先ほどもありましたすそ野の拡大と人材確保を挙げております。また、関連するネットワークとの機動的な連携も1つのソリューションであるかと思います。
黒﨑主査:大塚委員が時間の都合で中座されますので、ここでご意見をいただきます。それでは大塚委員よろしくお願いいたします。
大塚委員:大塚です。議事進行を乱して申し訳ございません。コメントと質問を1つずつさせてください。有林課長から説明のあった資料についてです。
今後の展望ということで、ANECの今後を話していただきました。大きな取組について、裾野を広げる、あと現場になるべく触れていただく、そういった方向性には賛成です。現場といいますと原子力発電所に来ていただく、そういう機会を増やすということにもなるかと思いますので、事業者側で協力できることはさせていただきたいと思います。
質問は、資料2-1の18スライド一番下です。技能者育成についてのコメントがあったと思います。これはポストANECの取組の中では何か考えていらっしゃいますでしょうか。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。実は、技能者自身はどちらかというと、ものづくりの技術という形になりますので、ANECで行っている原子力を教える大学で育てられるかと考えると、難しいと考えております。他方で当然技能者自体も原子力を進めていく上で育成していかなければいけないという点は尤もですので、まさにエネルギー基本計画を受けてこれからの人材育成はどうしていかなければいけないかという点は、経済産業省や産業界とも連携をしながら国としての仕組をつくってかなければいけないと考えております。文科省全体として関係省庁と連携しながらどのように対応するかという点については、ご意見を賜れればと思っております。よろしくお願いします。
大塚委員:分かりました。ご回答ありがとうございます。理解しました。これで退席させていただきます。今日はどうもありがとうございました。
黒﨑主査:大塚委員、どうもありがとうございました。では、井上センター長、再度よろしくお願いいたします。
井上センター長:17ページ目の2つ目の矢羽根です。取り組みのもう1つの方向性としては、原子力機構の施設を活用した人材育成支援です。実際に我々の施設の実習に参加された学生の様子を見ておりますと、理論を応用する力や現場で課題を解決する力を強化するという点では非常にお役に立てていると感じております。また、実際に施設に触れるということで学生の興味を喚起している視点もあり、育成と確保の両面で有効であろうと考えております。
18ページ目はまとめです。現在、原子力人材育成を取り巻く国際それから国内の状況はダイナミックに変化しておりまして、第7期エネ基、それからアジアも人材育成支援の要請というのが増大しております。その中で原子力機構の役割は、GX推進を通じた脱炭素社会の牽引役であり、また人材育成支援の要請に応えていくこと考えております。
少子高齢化、それから人材の流動化は、原子力分野の人材確保、専門人材の育成、技術の伝承において深刻な課題であると考えております。
一方で、原子力人材育成支援は、原子力機構にとっても主要な役割の1つというふうに認識をしてございます。
また、減少・高年齢化しつつも、専門人材がまだ存在している、まだ間に合うのではないかという考えもあり、原子力機構の大型の原子力施設、放射線利用施設は、人材育成支援のみならず、学生にとってやはり魅力的であり、関心の喚起にも有効でございます。
原子力機構の新卒採用内定者の約6割が夏期休暇実習などの学生実習の経験者であるということも、その1つのエビデンスであると考えています。
今後の取組として我々が考えていることは、サステイナブルな国内人材育成支援メカニズムの創出、原子力機構の施設・組織を活用した人材育成支援の拡大が、ソリューションとなり得る方向性であろうと考えております。駆け足でございましたが、以上でございます。
黒﨑主査:ありがとうございました。それでは、意見交換に移ります。本件について、委員の皆さまから、ご意見、ご質問等をお願いいたします。委員の皆さま全員よりご発言をいただければと思っております。ご発言のある方、意思表示していただければ幸いです。いかがでしょうか。では、小澤委員、よろしくお願いいたします。
小澤委員:小澤でございます。ご説明ありがとうございました。2つほどキーワードがあったと思います。1つは流動化という話です。もうかつての終身雇用とは違い、身の回りに退職してしまう人がかなりいて、転職も当たり前になってきています。そのため、そこは井上様がおっしゃったとおり、その時代に即したやり方があるのと思います。だからこそ、ANECがすそ野を広げることを強く打ち出していると思いますが、今後の取組としてかなり重要になってくると思っております。
それから、各企業は辞職・採用と人の入れ替わりがあると思いますが、特に大きいプラントメーカーだけでなく、サプライヤーのほうも維持が難しくなってくると、原子力機構に知の拠点のような形で、そこに行けば学べるという形はとてもいいですし、ANECの教材もより活きてくると思います。
もう1つは、文科省さんの資料の中で原子力産業協会の提供資料があり、その中に小さくJEMAと書いてありますが、電機工業会ですので電気・電子工学科の学生にお話をすると、原子力のことを知らないという実態があります。分からないというよりは、知らないという反応をかなり強く感じられます。
先日の行政事業レビュー公開プロセスでも、理解はもちろん、関心という点が重要というご指摘があったと思います。なので、教えるというよりは関心を引くという点を念頭に置きながら活動を広げていく必要があると思いました。以上です。
黒﨑主査:ありがとうございます。事務局あるいは井上センター長のほうから何かご回答あるいはコメントございますか。
有林課長:ありがとうございます。流動化については、どちらかというと大学における活動として学生にどのように原子力を学んでいただくかという検討をしています。やはり流動化という観点でリカレント、リスキリングという部分がすごく重要になってきます。これは、日本の大学自体が直面している課題だと思っています。やはり、産業界と人を送る大学側がうまく連携をしないと、そこはうまく回っていかないと思いますので、ANECというコンソーシアムをつくり、参画機関のおよそ半分は産業界の方に入っていただいておりますが、これまでは大学から出て行く人にフォーカスしていたものを、これから先のポストANECを考える上では、人材の流動化に対応するような、まさにリカレント・リスキリングをするために大学自体の活動がどうあるべきかという論点もしっかりと考えていきたいと思っております。その点は産業界の方々からぜひご意見をいただけますと大変ありがたいと考えております。
また後半の、理解ではなくて関心という点は、おっしゃる通りです。例えば、海外であれば本当に一般の方に働きかける人というのは、研究者よりも、やはりその道の専門家の方々が代弁者として伝えていくという活動が当たり前のように行われております。原子力にいかに関心を持ってもらうかについては、限られたコミュニティではなく、幅広い方々のご意見をいただきながら検討していく必要があります。まさに産業界でもさまざまなグッドプラクティスがあるかと思っておりますので、今後も密に連携を取らせていただければと思います。
井上センター長:ありがとうございます。私たちはJNENとして、ISCNとしてどうあるべき、どうやっていくと貢献になるかという点。もう1つは、私たちが国内でいうと実務者の育成支援、大学生、高校・中学という世代へも広げていく必要があるのかもしれないという点、その2つの観点で、我々の人材自体も減ってきている現状で、ANECや人材育成ネットワークとどう有機的・機動的に連携していけるのかが鍵になってくると感じております。
黒﨑主査:尾崎委員、お願いいたします。
尾崎委員:はい、ありがとうございます。
有林課長のお話は、原子力以外の他分野の学生や人材をどうやって巻き込むかという点がメインテーマの1つだと思います。産業界の関心が強く、大学も対応を強めている分野として、「サプライチェーンマネジメント」と「システムマネジメント」があります。私が4月から入りました早稲田大学の先進理工学研究科では両分野にすごく力を入れています。旧帝大は基礎研究に広く注力していますが、実業分野に近い研究に力を入れている早稲田などとは、ある程度すみ分けができていると思います。
サプライチェーンマネジメントやシステムマネジメントで研究対象となる大規模施設は、ロケット、原子力、核融合くらいしかありません。もちろん、車の組立工場もそうですが、技術が成熟しています。こういった分野を学びたいという学生が多く、産業界のニーズも強いことがポイントです。産学連携・大学間の連携でも、原子力だけなく、ニーズが強いキーワードに変えてみるという方法があるかもしれません。
黒﨑主査:ありがとうございます。では、有林課長。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。まさに今の点については、今後意識したいと思います。親委員会のほうでも、どのように原子力と他分野との接点を生み出すかと考えた時に、例えば法学部の授業などで原子力を1つの題材として与えることで、現実問題に対して考えるという機会を与えることができます。我々が対象としているものと全く違った視点を親委員会のほうでもご指摘いただいたのですが、逆に学んでいるところから教材として、ターゲットとして原子力というものがありますという働きかけを、どういったアプローチが可能かという点を考えていかなければいけないため、大変ありがたいご意見です。しっかりと受け止めたいと思います。ありがとうございます。
黒﨑主査:では、オンラインの高木委員、その次に秋山委員の順番でお願いします。
高木委員、よろしくお願いいたします。
高木委員:ご説明ありがとうございました。2点コメントさせていただきます。1点目が、文科省ご説明の11頁(12枚目)のスライドです。個別のイベントのことになりますが、参加者内訳の記載で女子生徒が32%いるというところに驚いております。原子力業界の女性の比率を正確な数字で把握していませんが、感覚的には1割前後ではないかと感じています。この比率をいかに増やしていくかを私も取り組んでいるところですが、この32%の比率を将来的に定着させることができれば、かなり業界も変わってくると思います。
高校生ですので、仮に大学の専攻は原子力系ではないとしても、機械・数学・物理等、いろいろな分野を学んだ上で、就職でこの業界に入ってきてくれる・戻ってきてくれると嬉しいです。オープンキャンパスのイベント等で、女性が働きやすい様子・姿を見せるということにも、業界内で連携を図っていけたらいいと思いました。
もう1つは、スライド19頁(20枚目)の原子力産業協会からの提供資料で、今後の取組の方向性に、文部科学省からエネルギー・放射線教育等の積極的な導入の呼びかけをお願いしたいと記載があります。まさに私もそう思います。いきなり原子力や放射線の授業をというと学校側からは少し抵抗があったり、戸惑いがあるかもしれません。エネルギー環境教育の領域でも現場の先生方は非常に頑張っておられる方がいらっしゃいますが、エネ庁主導の授業で、学校側の校長先生や教育委員会が賛同していない、理解をしていない場合は苦戦されているようです。文部科学省のほうでエネルギー環境教育をまずは定着させていただき、その先にさらに踏み込んで原子力や放射線の授業という段階で進めていくと、学校現場でもスムーズに取り組んでいただきやすいのではないかと思います。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、有林課長お願いします。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。オープンキャンパスの女性3割は、我々自身も驚く成果です。ANECでは、大学の垣根を越えてさまざまな人たちに参加してもらうような取組をしておりますが、イベントに参加した時に、自分の大学だけですと小さなコミュニティになるところが、様々な大学が集まると、自分と同じような志を持っている人がこんなにたくさんいると強く感じることができます。私自身もオープンキャンパスには参加させていただき、高校生と直接意見交換させていただきました。同じ志を持つ人が多くいることを実感したという声もある一方で、原子力を学びたいがどこに進学すれば学べるのか、という声も学生からあがってきます。このようなイベントを今後も継続し、女性の参加も維持できるように今後も努めていきたいと思っております。
後半の教育のほうにつきましては、大変重要かと思っております。原子力文化振興財団が行っている調査の中では、若い方の中で原子力に対してどう思いますかという趣旨の質問に対する回答として、3割から4割ほどの方がわからないという回答であると聞いております。まさに、若い方々に原子力を知っていただく機会を提供することが大変重要と思っております。既に行われている民間の活動がありますが、文科省としてどういった支援ができるかについては、引き続き検討していきます。
黒﨑主査:では、井上センター長、よろしくお願いします。
井上センター長:原子力オープンキャンパスの女子生徒3割というのは、非常に驚きであり、ありがたいと思っています。そのような学生が原子力・エネルギー、あるいは放射科学という分野に進んでくれて、将来的にも参画してくれるにはどうしたらいいのかと考えております。
夏期実習等で大学生・大学院生向けの制度を見ると、何割かは把握できておりませんが、女性はいらっしゃいます。直観で2割ぐらいはいらっしゃいます。
いかに、もっと関心を持ってもらうために、原子力機構の強みは施設であり、人、専門家であると思います。こういった強みを活かして、より大きく貢献できる部分は何だろうかという点は真剣に考えていきます。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、次は秋山委員で、その次は会場に戻り上田委員になります。では、先に秋山委員、よろしくお願いします。
秋山委員:ご説明ありがとうございました。資料2-1の4ページ目です。原子力関連の教員数についてですが、確かに若手の先生方が減っているということは私も実感しております。学生も減っており、教員も減っている。退職した先生方の枠に対して、大学としても入れたいところが、減っていく傾向にあります。
増やすことは大学側としてできない部分もあり、どうしたらいいのかが悩ましいところです。やはり学生に見合うだけの教員数となりますと、先細りせざるを得ないという問題があります。
先ほど女性参加者のお話もありましたが、原子力分野は、特に女性が少ないとかなり実感しております。教員側に女性がいることも非常に重要だと考えており、ロールモデルという点では重要かと思います。女性も含めて原子力関係の企業出身の方等、多様な方々を大学側にも参画したいただくことで、教員側もしっかり指導できる、多様な観点から指導できるようになると思います。多様性という観点、人員を増やしていくという観点で、文科省としてはどういうお考えかをお伺いしたく思います。
黒﨑主査:ありがとうございます。では、有林課長お願いいたします。
有林課長:秋山先生、ご指摘ありがとうございます。まず、現場での教員の数でございますが、先生と同じ認識を持っております。ANECの中では、1つの大学でできないことを大学間で連携してという体制を強みに行っております。ただ、実際どこまで大学の現場の負荷を軽減できているかという点については、引き続き検討が必要です。
例えば、井上センター長のほうからご紹介いただきましたが、原子力機構ではJNENと呼ばれる7つの大学と協定を結んでお互いに講師が授業を負担し合いながら単位化をするという形で、大学の壁を越えて大学間で連携することによってさまざま授業を1つのコースとして完結させるという取組を行っております。国としては、ANECを通して広く入ってきていただく取組を行っていますが、これからポストANECを考える上で、大学現場のニーズにもっと応えるためにどんな施策が必要かという点については、現在行っている活動だけではなく、時代の変化に対応した取組等、国全体として原子力の人材育成のスキームを整えていかなければいけないという点について、幅広く意見を伺い取り込みながら、柔軟に対応していきたいと考えております。
また、教員にも女性が必要という点は、おっしゃるとおりです。ご指摘の中でもロールモデルというキーワードがございましたが、これから若い人たちに訴えていく時に、どういった情報を提示していかなければいけないかという点で、頂いたご意見は1つの重要なヒントになるかと思います。ご意見を踏まえて引き続き対応して参ります。
秋山委員:ありがとうございます。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、上田委員お願いします。
上田委員:日本原子力産業協会の上田です。ご説明ありがとうございました。
まず、資料2-1の5ページにございます当協会の産業動向調査のデータですが、当該データは原子力人材の確保状況との表記になっておりますが、実際には採用に関する状況を示したものでございますので、その点をご理解いただければと思っております。その上で、私から3点申し上げます。
まず1点目、ANECについてです。原子力産業の将来を支える高度専門人材の育成は、産業界にとって極めて重要な課題です。ANECのような産官学が連携し、体系的かつ持続的に人材を育てる枠組は、技術継承やサプライチェーンの維持に大きく寄与すると認識しております。今後の在り方につきましては、現場技能人材育成の観点から、高専や工業高校と連携強化・対象拡大も検討いただければ幸いです。文部科学省の支援の下、高度専門人材、現場技能者など、多層な人材確保育成の取組が引き続き継続・発展していくことを期待しております。
2点目は、出前講座についてです。ご説明いただきましたとおり、出前講座は参加者のエネルギー問題に対する理解や関心の向上に高い効果が確認されていますが、講座を実施している企業や団体間において講座内容や受講者層について十分コーディネートされていないこと、講師不足などの課題がございます。
まずは、産業界として出前講座に関する共通のプラットフォームを設け、講座品質の向上、各組織間の連携強化による体系的な実施、新規講師の確保に取り組んでいきたいと考えております。本来ですとエネルギー教育は一義的に国の仕事ではありますが、ぜひエネルギー政策基本法や第7次エネルギー基本計画の趣旨を踏まえまして、このプラットフォームに対し国からの援助をお願い申し上げます。
産業界の悩みとして出前講座は民間の取組である故に、学校の方針や教授会での判断で受け入れが難しいケースがあります。文部科学省から学校や教育委員会に対しまして、エネルギー・放射線教育の意義を呼びかけていただき、こうした民間の取組が円滑に進みますよう、文部科学省としての力添えを賜りたくお願い申し上げます。
3点目は、エネルギー教育についてです。エネルギー教育は、どちらかというと自然科学の視点で捉えがちですが、日本の将来を見据えた時に、社会科学的視点も極めて重要です。例えば、中学校の公民の教科書では、地球社会と私たちという単元で資源エネルギー問題が扱われており、文部科学省や教育関係の皆さまの取組に感謝いたします。エネルギー教育の一層の充実のために、当協会では社会科の教員の方々とも対話を始めております。その中で、社会科のカリキュラム上、エネルギーや環境教育を扱うのは高校入試前になることが多くてじっくり生徒の皆さまに考えていただく時間が取りにくいという課題も指摘されております。学校におけるエネルギー教育を補完いたしまして、幾つかの教科にまたがるエネルギー教育に横串を刺すという意味でも、出前講座は効果的と思いますので、改めて支援をお願いしたいと思います。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、有林課長お願いします。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。高専、工業高校との連携につきましては、今日、大塚委員からもご指摘がありました。例えば技能者育成をしていくことになった場合に、やはり工業高校との連携は大変重要になります。そこは、文部科学省として取り組んでいない部分ではありますので、そこは教育部局とも連携しつつ、経済産業省のほうでもまさにこういった技能者を含めてどのように育成すべきかという議論をしていくべきと問題提起もされておりますので、そこは関係省庁間でも連携しながら取り組んでいきます。
出前講座のプラットフォームに対する支援でございますが、先ほど申し上げました経済産業省の原子力小委員会においても、国・研究機関・産業界・大学の取組が行われている機関の関係者の間で共通認識を持ちながら議論をしていくべきではないかという問題提起もいただいており、国としても議論に参加し、どういった支援が必要か意見交換させていただければと考えております。
エネルギー教育については、学校における授業としての扱い、本日静岡大学の取組も説明させていただきましたが、将来教員になる方に教員になる前の段階でエネルギーに対しての理解を深めていただくという取組をさせていただいております。こういった様々なアプローチで引き続き取り組んでいければと考えております。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、オンラインから松浦委員、よろしくお願いいたします。
松浦委員:福井工大の松浦です。ご説明ありがとうございました。
資料2-1を見て、最近の私の体験からの気づきがありましたので、それをお話ししたいと思います。
3ページ目に原子力関連学科・専攻の入学者数の減少が示してあります。これは、原子力を冠した学科が名称変更したことも一つの要因と考えていますが、名前は変わっても、従来行われていた原子力の教育はなされているのだろうと、私は認識しておりました。ところが最近、それが誤解であると気づく体験がありました。以前原子力を冠した学科にあった放射線測定の研究室の若い先生とお話ししていたところ、こちらとしては当然、原子力関係の教科を履修されている前提でお話をしていたのですが、途中で話が噛み合わなくなりました。確認のため、その先生が学部の時に履修された科目についてお聞きすると、私がイメージしていた原子力の科目についてはほとんど履修されていないことがわかりました。例えば、炉物理・核燃料といった原子力に密接に関わるような科目については履修されていませんでした。事情をお聞きしたところ、その先生は元々、電気の学科に入学されたのですが、最終的に放射線測定の研究室に入られたため、原子力関連の科目については履修されていないとのことでした。学科の名前が変わっただけでなく、その後に、研究室が属する学科も変わっていったという変遷があることが原因のようでした。原子力の名前が付いた学科が減少したということは、単に名前が変わっただけでなく、原子力の教育に対しても少なからず影響があったということを実感した次第です。そういう意味で、個別大学で教育し切れてないところをANECで補い合うというのは、非常に有意義な事業だと思っております。
もう1つ、最近の経験でお話したいと思ったのが、高校生との繋がりの話です。福井工業大学は中高大と同じ学園の中で教育しております。最近の高校生の授業で探究の授業というのがあり、附属の高校で、宇宙関係の探究の授業をしたいということで、月面での探査や月面に基地を造る話、そして、その中に月面に原子炉を造るという話が出てきました。そこで、高校生に対して月面で原子炉を造る場合に、ロケットで運べる限られた重量の材料でどうやって原子炉を作るかという話について2回の授業を行いましたが、非常に興味を持って聞いていただけました。
探究の授業でそういった話ができるのであれば、高校生に対する原子力に興味を持ってもらうアプローチの仕方がもっとあったのだろうと気づいた次第です。この点について、文部科学省の方から、高校生との繋がりで原子力教育に活用できる機会がないか、ご教授いただければありがたいと感じております。私からは以上です。
黒﨑主査:ありがとうございました。有林課長いかがでしょうか。
有林課長:ご指摘ありがとうございます。前半の名前が変わった影響というのは、やはりしっかりと調べなければいけないと思っております。これまで原子力学科・専攻というと、どれだけの学生がいたかが簡単に分かります。名称が広義的になってしまうと実態についてはしっかりと調べていかなければいけません。この点は、原子力学会とも何かしら連携ができないかと検討しております。また、ANECに70機関が所属していると申し上げましたが、そのうち大部分は大学の方々もいらっしゃいますので、原子力と関連する大学とどのように連携して深掘りをしていくのかという方向性は、引き続き検討していきます。
2つ目の高校生との繋がりは、宇宙の切り口からご紹介いただきましたが、原子力をどのように若い方々に見せていくかは大変重要です。本日は高校生のオープンキャンパスを説明させていただきました。高校生にアピールする上で、例えば宇宙と原子力のコラボレーションで見いだせる可能性、最近では原子力機構のほうで将来的な探査機に載せる長期間メンテナンスフリー電池の開発等、他分野への応用という技術もあります。最近では医療分野で放射線を使ったがん治療やいわゆるエネルギーとしての原子力ではない切り口で原子力に関連する技術を説明することができるようになっております。様々な事例を紹介しながら、若い方々の興味を引けるように努めて参ります。
松浦委員:ご説明どうもありがとうございました。
黒﨑主査:中島委員、よろしくお願いします。
中島委員:まず全体的な気づきとして、どんな人材を育てようとしているかによって、やり方が変わってくると思います。例えば、日本の原子力業界を引っ張っていくようなトップエリートを育てる。大学や研究機関における研究開発人材を育てる。産業界において企業を支えていくような人材を育てる。それぞれ、必要な教育が異なってくると思います。
トップエリートの人材像は国の方針、企業経営の観点で考えていくとして、多くの学生に対しては、原子力関連業界に進むための教育がなされており、ANECで現在北大が行ってオンライン教材はその前提で、現在多くの教材を作っております。教材を作るにあたって、どの分野がどの程度のレベルで必要かという目標が明確になっていないと感じています。もっとも、大学が企業に行く人材を育てるためだけの機関ではないことは重々承知の上で話しております。企業側で、例えば、こういうスキルを持った人材をこういう部署に配置したいというニーズが明確になっていないと感じています。
例えば、ヨーロッパやアメリカでは、原子炉のオペレーターがどういうスキルが必要であるというスキル一覧が明確化されている。そのためのスキルは、例えば炉物理・熱工学などの教育を、それぞれがどの程度のレベルで必要であるというのが明確化されています。そうすると、大学側ではその基準をもとに教材を作って、教えて、学生を輩出する。また、それがオンライン教材であれば一般的な人たちも学ぶことができる。そういった仕組が、今は不十分と感じています。
スキル習得については、学習の体系化という取組があってもいいだろうと考えています。例えば、大学卒業を証明するにあたり、必ずしも総合的に全てを学んでいることが要件ではありせん。ですので、各個人が就職後スキルアップする必要があり、これはまさにリカレント教育です。北大が作っているオンライン教材では、確実にそれぞれの分野を履修し、スキルを習得しているという証明を行う、そういった証明システムをつくっていくことが我々の進むべき方向かと思っています。そういった仕組をぜひ企業の方々にも認めてもらえるえる大学と企業の繋がりができてくると、より明確な方向性を持って授業が進めていけると感じております。
マイクロクレデンシャルというやり方ですが、例えば8コマやると1単位という形になり、それで炉物理の基礎があるということが証明できる。その証明を積み重ねることによって、先ほどの企業が要求される人材を計画的に育成できる。そういった仕組ができると、これからより具体的に連携が進められると思っております。ただ、座学だけでは十分進まないので、座学を支える実習、原体験をする機会を組み合わせて、はじめてカリキュラムというのが出来上がってくると思っております。
その観点で、原子力機構にある多くの施設は、今後もっと活用されるべきです。電力会社等企業にある施設はもちろん同様です。人材育成の連携が構築されていくことが今後の在り方であると思っておりますので、ぜひそのような取組を進めていきたいと思います。
また、女性の話が出ておりますが、先ほど紹介された静岡大学の事業に参加している教育学部の学生は半数以上が女性です。理科系の教員もかなり部分、女性が占めていることもあるため、そのような人たちとも連携していけると、女性がもっと原子力分野に入ってくる可能性が高くなるのではないかと感じます。さらに、北大が実施している実習に参加している理学部の学生も女性が多いです。中には5割近くいた例もあります。
次にすそ野拡大の件です。前に発言された方が、出前講座の話をされていたと思います。私は出前講座に来る講師のスキルがかなり問われると思っております。出前講座で専門的なことを多く話す傾向にある講師の方が多いと感じています。高校生はある程度耐えられますが、あまり難しい話をされると小中学生は付いていくのが難しいです。以前、小学校の先生たちに対し、同様の講座を開講したことがありますが、先生たちからはあまり良い反応が得られませんでした。小中学生に伝えられるスキルを学ぶ、これも今後考えていく必要があります。
以上です。
黒﨑主査:有林課長、いかがでしょうか。
有林課長:ご指摘ありがとうございました。まさにどういう人材像が必要か点については、大変重要と思っております。現在、経済産業省の方で人材需給ギャップの調査をかけられているところで、ポストANECも含めて、これからの国の事業でも需要にマッチさせていくことが重要と思っております。ヨーロッパでもフランスをはじめ、様々な国が明確な数字を出しておりますが、日本として何をやっていくべきかという点は関係省庁とも連携しながら検討して参ります。
また、ご指摘ありましたように、大学と企業の連携は大変重要かと思っております。
井上センター長の説明の中で、原子力機構として採用した6割は夏期実習の経験者というご説明がありましたが、人材育成プログラムを進める際、何人産業界に輩出したという成果を数字として提示しているものの、産業界で働く方々にとって何が効果的な影響かをしっかりとフィードバックをかける仕組みが重要と思っております。その意味で、現在70機関のうち半分は企業の方々にANECに参画いただいており、その企業の方々と連携しながらフィードバックの効率的なかけ方を議論することで、それによって産業界が本当に必要としている人材について情報提供できると思っております。まさにポストANECですそ野を広げていくという段階では、産業界との連携にいま以上に取り組む必要があると思っておりますので、しっかりと対応できるように検討進めて参ります。
黒﨑主査:ありがとうございました。では、村上委員、よろしくお願いいたします。
村上主査代理:今回は初回ですので、皆さまの活動にものすごく高い大きな敬意を持っていることを前提に、問題提起させていただきます。
1点目に多層的な人材、人材の流動化、リカレント教育という話も含めて、中島先生・有林課長のおっしゃったこと、まさにその通りだと思っています。人材が足りていないという所感を関係者がたくさん持っているというのも事実です。
ただ、その上で、まず5ページ目の資料ですが、原子力産業協会の仕事の価値も理解のうえですが、あまり好んでおりません。丁寧に説明させていただきます。なぜかと申し上げますと、まず人材が足りてないと言っているものの中身をものすごく丁寧に見ないといけないと思っております。
まず、そもそも昔と同じような人材が輩出されないというのは、人口も変わっていますし、原子力の現場を支えておられるのは基本的に高卒の方が非常に多く、高卒の方はいま年10万人しか新規で職業に入ってこられません。昔と同じようなタイプの人材が輩出されにくいというのは当然だと思います。
その上で何が問題かというと、原子力の安全を確保するためには、クオリティマネジメントシステム(QMS)を回さないといけなくて、QMSの中には、システマチック・アプローチ・フォー・トレーニングが紐付いている。適切なコンピテンシーを持った適切な数の人材が確保されていることをもってQMSはしっかり機能している。このことを前提に、既存の原子力事業が遂行されているわけです。なので、このような資料がこのままの形で出てきてしまうと、原子力事業を進めることは本当にいいんですかという懸念を生みかねないデータ処理の仕方になっております。実際にはそうではないと思います。QMSに紐付く必要な数の人材というのは、電力事業者をはじめとする各社の努力で頑張って確保している事実が前提としてあった上で、昔と比べて確保が難しくなっているという所感があることが1つ。加えてQMSに紐付かない仕事です。例えば、新しいことを考えていく企画の仕事、あるいは新しいプラントを建てて、運用の仕方を変えるという仕事というのは、QMSとダイレクトに紐付きません。その人材については追加で確保しないといけなくて、その部分の人材確保が苦しくなっているという意味で、この資料を出すとすれば非常によく理解できる資料だと思います。
具体的な定量感として、どれぐらいの人材が必要かと考えていくと、例えば、新しい原子力発電所で、設計もある程度固まって、サイトも決まっているという状態から、きちんと許認可を取得して、建設、コミッショニングをして、運転を開始するという、この一連のプロセスを考えると、大体5年、ミニマムリクワイアメントで見積もって5年間の間に、その電力事業者とサプライヤーと規制機関の中で、1,000人ぐらいの人が、その仕事に5年間コミットしないと1基のプラントが建たないというのが大体の定量感と思います。
なので、既存の仕事を支えるとことにプラスして、年間200人の余剰人材を最低限抱えにいかないと新しいことはできないというのが基本的なスタンス。ものすごく雑な仮定を置いた上での計算ですがそう思っております。そこに対して人が足りないという意味だと非常によく分かりますし、これまでANECが育ててこられた人材でまさにこれを埋めるぐらいの、この200人ぐらいの人材を供給してる。この200人が全部原子力の専門家である必要はなくて、恐らくそのうちの2割ぐらいは原子力のコンピテンシーを持たないと足りない。残りは、機械とか電気とか建設の方でもいいはずです。ANECが何とか支えてきてくれたというように、今の数字を見ると非常によく分かると思います。なので、ANECの仕事というのは大変良いと思いますが、QMSに紐付く人材と紐付かない人材、システマチック・アプローチ・フォー・トレーニングには当然資格の認証というのがあるので、原子力のリーディング人材という意味であれば、原子炉主任技術者、核燃料取扱主任者の資格を持っている人だと思います。そうすると、年間に数十人の規模です。技能者と呼ばれるレベル感の人たちでいくと、建設業法で定められているような資格を高卒後何年ぐらいで取れるという人が国内にどれぐらい必要で、そのうちの何パーセントぐらいが原子力に関わってもらう必要があるかというビッグスコープの中で、技能者の議論をしないといけません。それはどちらかというと国の仕事というよりは原子力事業者さんの仕事、あるいは原子力事業者さんから最初に仕事を受けておられるEPCの方々の仕事だと思います。ぜひその辺の精度の高いデータが出てくると嬉しいと常々思っております。
2つ目が、これもANECさんのお仕事と非常に関係をしているところです。東京大学はそれほどたくさんANECに関与していないという心配をされることが、時々他の大学の先生からありまして、全然そんなことないですよというのが、最初のポジションとしてあります。
ただ、それを資格の認証として単位認定の中で利用しようと思うと、大学の工学部全体のルールと整合して、その教材・授業が使えるかどうかという点が問題になってくると思っております。単位認定が必要なければ問題ないのですが、100%の授業を英語で東大大学院では供給しないといけないという基本的なポリシーがあります。そのため、日本語の授業をそのまま使うということができません。そういう幾つかのハードルがあるため、講義の提供は喜んで協力します。実習にも喜んで参加させていただくのですが、単位化してシステマチックに使っていくという点に対しては、直接利用することができないという課題があると思っております。これは、日本全体の高等教育の流れの中で考えるべきことだと思うのですが、どちらかというと今は、工学系の修士教育というのはスクーリングに力を入れて、しっかり単位認定をしましょうという流れです。今まで研究室の活動で単位を出していたものを、授業をしっかりやってください、授業時間をちゃんと管理をしてくださいという方向に大学院教育が進んできたと思います。おそらく、ある程度定着していると思います。
その先のステップとして、タッキングといいますか、少し流れが変わるということがこれから起きるかもしれないし、起きないかもしれないのですが、原子力という非常に掴みやすい社会課題を扱っている工学領域としては、工学教育全体の高等教育全体の流れに対して半歩先を進むぐらいのことを常にトライしていけると非常に良いなと思っています。それはスクーリングを強化する方向に進むべきなのか、それともマイクロクレデンシャルの方向なのか。様々なアプローチがあり、試行錯誤しながらトライしていくというのが次のステップと思っております。
しっかり取り組めると、そのプロセスでつくったプログラムは機械、電気、建築のような、他のディシプリンの分野にも使っていただけるものになると思います。全体の高等教育の流れを見ながら、このような議論がこれからできていければいいと思っております。
3番目は就職率みたいな数字をどう指標として使っていくべきか。原子力だけを考えると、多くの学生が原子力に就職してくれることが好ましいですが、見方を変えますと、原子力のディシプリンを修めた学生が原子力以外のいろんな産業に求められているという現状を考えますと、むしろ原子力工学科を出た後に違うところに就職をする人が多いというのは、我々の教育が他の分野から求められているということの証左でもあり、これは教員としてはもしかすると誇ったほうが良いことなのかもしれません。
バランスが非常に難しく、どれぐらいのバランスでこの指標を考えたらいいのかというのは、すぐに答えが出るものではありません。そのため、高過ぎず低過ぎずくらいの適切なバランスがあると思っていますし、リカレント教育みたいな取組とセットで考えるべきです。東京大学として私がこれから今後5年、10年かけてつくっていきたいと思っているものは、30年間のOJTを経ないとチーフニュークリアオフィサーになれない、あるいはメーカーの技師長さんになれないというカルチャーから、従来の半分ぐらいのOJT期間プラス他での経験でも原子力本部長みたいなポジションも掴めるようなカルチャーに業界全体として変わっていくというのが、高等教育の観点から見た時に目指すべき未来だろうと思っております。これは一つの指針と考えております。
最後に、人材の流動化の話が出ておりましたが、博士課程という言葉が少しも入っていなかったことが気になりました。修士までですと、かなり低い業界採用率になると思いますが、博士課程にまでベットしてしまうと、当然サンクコストも高くなりますので、比較的近い業界の中で回遊をするようになるのではないか。私自身のことを考えてもそう感じております。
なので、人材ネットワークのハブになる人材をつくろうと思った時には、博士課程の学生を他の業界よりも少し多く取れるような施策というのが、これはポストANECの中で考えていくこともあり得ます。現実的にはお金だと思いますが、待遇という意味で、今は学振で一番優秀な学生でも月額23万円ですので、当然これでは博士は来てくれない。多くの業界が博士課程の学生を取り込む工夫をされていると思いますので、原子力の業界としても人材のハブになる、アンカーになるような人材を確保するという意味で、博士課程の人材の位置付けを捉え直す必要があると思います。
ちなみに、原子力学会には、今は470人ぐらいの学生会員がいて、この3分の1ぐらいが半年に1回の学会で発表をするアクティブな研究者という扱いになっていますので、そのぐらいの人数というのは潜在的に原子力の学術が抱えていると思います。このような学生をもう少しだけ増やしていくようなことが1つの要素かと思います。
少し研究に近い話になりますけれど、やはり高等教育の現場としては、価値観を変えるような体験を修士・博士の間に、1度か2度は経験していただくというのが、その後の人生で非常に大きいです。そういう意味で、演習というよりはもっと苦労をして、何かを克服できたという体感が持てる経験が必要と思っております。教育というよりは、どちらかというと研究に寄ったようなアクティビティです。それは今日のスコープから少し外れるかもしれませんが、そういう機会のハブに原子力機構の新しいセンターがなっていただけると非常にありがたいと思います。
原子力機構は、共同利用の対象施設ではないので、共同利用という形で受け入れるということができないという制約がある上で申し上げておりますが、そこをうまく仲介できるような機能が、屋上屋を架すということになるとよくないので、そこは非常に扱いが難しいのは承知しておりますが、ご検討いただけるといいと思います。
そういう意味で最後に一言だけ申し上げると、施設を持っているというのは非常に重要で、原子力機構も重要ですが、近大炉(近大)、KUCA(京大)が果たしている役割はとても大きいです。
ANECでランニングコストに対してはこれまで支援いただいて来たと思うのですが、私も5年間施設を預かってきた経験からすると、ランニングコストだけ見ていると、おそらく、勝手に人さまの懐の話をするのはよくないですが、近大は赤字となのではと感じています。なので、ランニングコストを見ることとは違った形で、教育のハブになっている施設に対して何か資金提供されないといけない。特に近大は私学で、私学の大学にかなり持ち出していただいて国全体の教育、近大炉を使うことで多くの大学に単位が出ていますので、それを持ち出しで支えていただいている状況はあまり健全ではないため、なるべく早く是正されることが適切だと思っています。
黒﨑主査:では、有林課長お願いいたします。
有林課長:最初の5ページ目の資料につきましては、内容についていただいたご指摘も踏まえながら、今後使用する際にはしっかりと留意したいと思います。
2番目の単位のお話ですが、おっしゃる通りで、単位認定する時の条件というのは各大学によって異なります。ポストANECを考える上で、JNENの話もありましたが、様々な大学のご意向を聞きながらしっかりと対応していくようにしたいと思います。
また、就職率のところでリカレント教育につきましては、まさに大学から社会に出ていくだけではなく、一度社会に出た人に大学に来ていただいてリカレントした上で社会に再度出すという体制を通して、社会に対してどれだけ貢献していくかというものさしが必要と思っておりますので、引き続き検討したいと思います。
流動化について、おっしゃったように博士課程をどうするかについて、こちらもまさに産業界と連携した上で、どういったインセンティブが提供できるかどうか、学会員の定量的規模もお示しいただきましたが、ご意見ふまえて検討して参ります。
また、研究の価値観のところです。苦しんだ経験という点につきましては、やはり教育だけではなく、研究が重要というご指摘もございました。我々としても原子力機構が共同利用施設ではないものの、それに準じる形で役割が提供できないかという点を、ポストANEC検討の中でもしっかりと論点にあげたいと思っております。
最後、近大、京大などの大型施設を持っている大学への支援について。現状はランニングコストよりは実習に参加する学生の旅費が中心のサポートでございます。やはり大部分はかなりボランタリーでやっていただいている部分がございまして、どう持続的にやっていくかという点については、国としてもしっかり検討していかなければいけないと思っております。そこもまさにポストANECを考える上で一要素として取り入れたいと思っております。ありがとうございます。
黒﨑主査:ありがとうございました。本当にたくさんいろんな議論ができました。今日は、人材の話について意見交換させていただき、原子力のすそ野拡大というテーマもありました。原子力について、一般の方々に必要・役に立つという点はすごくご理解いただいているのですが、それ以外のところのポジティブなイメージがあまりない、あるいはそもそも原子力についてよく分からないという層が多数いる、そういうデータもありまして、その中で1つ大きな課題だと感じておりました。少子化の話もありましたし、いろんな価値が多様化している中で、若者が原子力の道を選んでもらうためにはどうすればいいかの議論が重要と感じております。
その中で、やはり国民理解に尽きるのではないかと考えております。国民の皆さまに原子力についてきちんとご理解いただく、それは魅力や必要性だけではなく、課題も含めてきちんとご理解いただいた上で選択していただくことが大事だと思っています。
そのことを考えると、今日のすそ野拡大という論点は、実は国民理解と非常に親和性があるということで、方向性としては間違ってないなと思っています。次期ANECについての話も少し出てきて、すそ野拡大をテーマにということで、いろんな考えが出てきました。
今回、大きなチャンスだと思っています。原子力を最大限活用する旨が示されたところで、人材をこれからどう育成していくのか、本当に今までにない思い切ったことができるいいタイミングだと思っておりますので、ぜひこの部会の委員の先生方にはアイデアを出していただいて、こんなことやってみたら、あんなことをやってみたらというアイデアを出していただければと思っております。今までの枠にとらわれない大きなこと。それをしなければ原子力人材育成はなかなか難しいのではないかと思っていますので、どうか引き続きよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。
これで本日予定していた議事は以上で終了しました。
最後に、事務局から連絡事項、よろしくお願いいたします。
滝沢補佐:ありがとうございます。本日の議事録につきましては、整理でき次第メールにて委員の皆さまにご確認いただきます。その後、文科省のホームページに掲載をいたします。
また、次回作業部会につきましては、8月18日の15時~17時で開催させていただきたいと思います。予備日の7月16日については開催無しといたします。
黒﨑主査:それでは、これにて第25回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
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