原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第24回) 議事録

1.日時

令和7年1月22日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

対面及びオンライン会議にて開催

3.議題

  1. 新試験研究炉の建設予定地、設置許可申請見込み時期公表に係る対応について
  2. 令和7年度文部科学省 原子力関連予算(案)について
  3. 原子力人材、原子力イノベーションに係る最新の取組状況
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒﨑委員
秋山委員
石川委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
松浦委員
和田委員

文部科学省

清浦 大臣官房審議官
有林 原子力課 課長
生方 原子力課 課長補佐

5.議事録

原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第24回)
令和7年1月22日(水曜日)15時00分~17時00分 

【生方課長補佐】  それでは定刻になりましたので、第24回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。今回の作業部会は、対面とオンラインを併用したハイブリッド形式にて開催しており、これに関連した確認事項などもありますので、議事に入る前に事務局から説明させていただきます。
 まず、オンラインでご出席されている方への留意事項を説明いたします。委員の皆さまにおかれましては、現在、遠隔会議システムWebex上で、映像及び音声が送受信できる状態となっています。ご発言予定の場合は、挙手ボタンを押していただければ、画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査よりご指名をお願いいたします。ご発言いただいた後は、もう一度挙手ボタンを押して手を下ろしていただくようお願いします。会議中、ビデオ映像及び音声が途切れている場合、その時間帯はご退席されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた際は、随時事務局までお電話にてお知らせください。
 議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続いて本日の配布資料の確認をさせていただきます。委員の皆さまおよび傍聴登録をされた方々にメールにて配布資料をお送りしております。議事次第を事前に配布しておりますが、本日は議題が3点ございます。1点目が「新試験研究炉の建設予定地、設置許可申請見込み時期公表に係る対応について」、2点目が「令和7年度文部科学省原子力関係予算案について」、3点目が「原子力人材・原子力イノベーションに係る最近の取組状況」、4点目が「その他」です。
 配布資料として資料が3つと参考資料が3つございます。お手元の資料をご確認いただき、不備等ございましたら事務局までお申し付けください。また、その他にも何かございましたら随時お申し付けください。時間は17時までを予定しております。
 委員の皆さまのご出席状況については、開始前に事務局にて確認しております。本日は9名の委員にご出席いただいており、運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますのでご報告いたします。
 続きまして、事務局参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは、研究開発局原子力課長の有林がオンラインで参加しております。また、私、生方が対面で出席しております。また本日は、大臣官房審議官の清浦も遅れて対面参加予定です。
 それでは、これから議事に入りますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また第6条に基づき、本日の議事録につきましてもホームページに掲載いたします。事務局からは以上です。
 ここからは寺井先生に議事の進行をお願いいたします。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。寺井です。これから代わりまして、私のほうで議事を進行させていただきます。
 先ほどご紹介にございましたように、本日の議題は、議題の1から4までということになっております。それでは早速ですが、議題の1つ目に移らせていただきます。本日最初の議題は「新試験研究炉の建設予定地、設置許可申請見込み時期公表に関わる対応について」です。
 初めに文部科学省の生方補佐からご説明をお願いいたします。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございます。それでは、文部科学省の生方から資料1に基づきまして、ご説明させていただきます。
 新試験研究炉につきましては、こちらの基盤・人材部会でも進捗状況をご報告させていただきながら、常に議論を頂戴してきたところでございます。昨年8月に取りまとめました中間まとめでも柱の1つとして、今後積極的に進めていく施策の1つとしてご報告させていただきました。一方で周辺状況の変化もございまして、昨年末に地元にもご説明をし、この新試験研究炉の建設予定地、設置許可申請の見込み時期の公表について延期させていただきました。こちらについては報道も出ているところ、委員の皆さまも様々なところで既にご存じのことと思います。この件について、地元へのご報告の内容につきまして、こちらの委員会でもご報告させていただきたく、本日の議題とさせていただきました。
 それでは資料に沿いまして、順番にご説明させていただきます。まず資料の3ページです。これは皆さまご存じのことと思いますが、日本の試験研究炉の現状です。原子力分野の人材育成を行う上で、試験研究炉は非常に重要な役割を果たすものと考えております。しかし、現在立地しているものの多くが建設から40年以上経過しており、非常に高経年化も進んでおります。ポンチ絵の右側の方に1995年と現在で、炉のステータスを示した表も記載しておりますが、1995年時点では運転中の炉が20基、廃止措置中が6基ございます。これらは民間・大学、原子力機構など様々な主体が運転する試験研究炉でした。一方で申し上げました通り、高経年化、また新規制基準の対応に伴いまして、運転中の炉は現在非常に少なくなっており、現在運転中のものが7基、停止中のものが1基で、11基が廃止措置を行っている状況です。地域的に見ましても、茨城県に5施設、大阪府に3施設で、東日本・西日本の各拠点で現在活動している状況です。
 次の4ページです。このような試験研究炉が非常に少なくなっている状況の中、平成28年12月にはもんじゅの廃止措置が原子力関係閣僚会議で決定されました。その際の決定と合わせまして、もんじゅサイトを活用し、その跡地に試験研究炉を建設する検討が位置づけられたもので、以降、文部科学省で委託調査を行いながら、どのような炉を設置するのが良いかを検討してきました。当時の調査の中では、大学・研究機関・メーカー・地元有識者による会議を設け、候補となる炉型の整理を実施しました。表に示しております通り、出力数kWの臨界実験装置、500kW級の低出力炉、10MW級の中出力炉、20MW以上の高出力炉など、これらの炉型について当時検討しましたが、敷地の制約、様々な幅広い応用への活用可能性などを総合的に勘案し、出力10MW級の中出力炉を設置することが非常に有望であろうと結論付け、以来検討を進めてきているところです。
 次の5ページです。このような背景のもと、もんじゅサイトを活用した新試験研究炉の開発整備として、令和2年度以降、具体的な取組を進めてきております。ポンチ絵の中ほどの経緯と実績にございます通り、令和2年度以降、日本原子力研究開発機構・京都大学・福井大学を中核的な機関として、概念設計及び運営のあり方を検討してきました。令和5年3月にはJAEAを実施主体とすることを決定し、以来は詳細設計段階に移行しています。これ以降の取組については、これまで中間まとめの中でもご報告させていただいておりますが、今後の基本方針として、引き続き、詳細設計を着実に進めていくことがまず挙げられます。この中で令和6年中に設置許可申請の見込み時期と建設予定地を提示する予定として、ご報告差し上げたところになっております。また、この炉本体に加えまして、実験装置の検討推進のほか、施工費や予算推移の具体化、拠点形成のあり方についても、引き続き検討を進めていくということが、この夏の中間まとめの内容です。
 次の6ページです。その際に合わせてお示ししたのが、今後のスケジュール案です。只今ご説明差し上げました通り、令和5年3月から詳細設計に入っておりまして、詳細設計をフェーズ1、フェーズ2と分けております。現在、詳細設計のフェーズ1で、設置場所に関する状況の調査、施設重要度分類などの検討を進めているところです。設置許可申請以降を詳細設計のフェーズ2と位置づけ、このフェーズ2への移行時期についても令和6年中に、お示ししたいということが、夏までの議論の状況でした。
 次の7ページです。合わせて、前提となる検討状況ですが、新試験研究炉の建設候補地におきましては、いくつかの地点を候補に挙げ、地質調査を進めてきました。これまでの調査をまとめますと、まずはもんじゅサイトの高台にある土地を地点Aと定め、地質調査を進め、詳細な情報を収集するとともに、有識者による技術検討会のレビューなどを行い、専門的な検討を行ってきました。一方で、この地点Aが盛土斜面にあることから、その土地の安定性、土石流調査などを諸々考慮した結果、他の候補として、地点A'(より山側を切り開いて作る土地)あるいは、現在廃止措置を進めているもんじゅ隣の駐車場である地点Bも候補地として追加し、それぞれについてさらに適正を評価してきました。これまで行なってきた調査においては、大規模な破砕帯の存在、大きな滑り面といった致命的な支障になるような脆弱部は確認されておりません。これらの点を総合的に評価しながら、令和6年内の建設予定地の公表を目指してきた状況です。
 次の8ページです。これまで申し上げてきました検討の状況ではございましたが、昨年の10月29日、国土地理院が全国の活断層図を毎年公表している中で、今庄地域活断層図についても公表がありました。この中で、もんじゅ敷地内に推定活断層が記載されました。赤字で記載されておりますが、この推定活断層は、地形的な特徴から活断層の存在が推定されるが、現時点では明確に特定できない、かつ、今回引かれた推定活断層は位置も不明確、このようなものの存在可能性が指摘されたところです。この公表を踏まえまして、原子力規制庁からは、もんじゅ敷地内に新たな炉を設置するのであれば、地盤調査等をしっかりと進め、客観的なデータと必要なエビデンスを用意し、審査基準への適合性を示す必要があることも、この公表後の11月に改めて示されております。
 このような状況を踏まえた今後の方針としまして、原子力機構において、技術的な観点から必要な対応について検討したところ、今回の国土地理院の発表について、より安全性の確保を最優先とし、その安全を着実に確保していくという立場に立ちまして、しっかりとした検討調査等が必要と判断しました。これを踏まえまして、建設予定地及び設置許可申請見込み時期の公表を延期したいということで、地元のほうにも年末にご説明を差し上げ、延期を公表した運びとなっております。
 今後につきましては、引き続き現在JAEAで、どのような調査を行ったら良いかを検討しているところでございまして、まずは現状についてご報告させていただきました。事務局からの説明は以上です。
 
【寺井主査】  ご説明ありがとうございました。悩ましい問題が出てきたという感じはしますが、本件につきまして、委員の皆さま方からご質問やご意見等がございましたらよろしくお願いいたします。オンラインでご参加の委員におかれましては、オンラインシステムの挙手機能をご活用いただき、私のほうから指名をいたしますので、その時にミュートを外してご発言ください。いかがでしょうか。
 小澤委員どうぞ。
 
【小澤委員】  小澤です。ありがとうございます。地盤については、当事者にしっかりとやっていただくしかないかと思います。「地形的な特徴から」と書いてありますが、そのような根拠が国土地理院から公表されたのであれば、国土地理院からしっかりと聞いて、その後の対応を検討していく必要があると思います。ここは当事者と専門家に期待したいところです。
 少し戻って5ページですが、具体的にプラント側の役割分担が決まってきたということで、JAEA・京都大学・福井大学の3機関と主契約企業に隙間ができないように、しっかりとやっていだければと思います。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。コメント2件ということですが、生方補佐から何かございますか。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございます。今後の調査につきましては、現在国土地理院からも、解説書という形式で、なぜこのサイトにこのような線が引かれたかという、知見をまとめた文書も公開されております。そのような文書もしっかり分析しつつ、必要な関係者との意見交換も行いながら、なるべく手戻りが無いように、確実に地盤の調査を行っていけるように、文部科学省としても原子力機構と連携しながら、しっかりと地盤の調査、その後の検討を進めていきたいと考えております。合わせて、この後の議題でご説明を差し上げますが、令和6年度補正予算で、地盤調査に必要な経費も前倒しして計上しているところでございまして、なるべく早期に調査に着手できるように、しっかり取組を進めたいと考えております。
 またもう1つ、今後の検討にあたりまして、MHI、福井大学、京都大学としっかり連携して、隙間ができないようにというご指摘をいただきました。こちらにつきましても、地盤調査と並行してできる詳細設計、実験装置の検討、人材育成の検討などは、しっかりコンソーシアムの会合を動かしながら、検討を着実に進めていきたいと考えております。推定活断層があったから全て止まるということではなく、しっかりできる取組を着実に進めていき、なるべく早期に計画が履行できるよう考えていきたいと思っております。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。やれるところはしっかりやっていくということだと思いますので、よろしくお願いいたします。その他にいかがでしょうか。
 石川委員どうぞ。
 
【石川委員】  石川です。ご説明どうもありがとうございました。全て止めるわけではなく、やれるところはやっていくということですが、この調査の予算は来年度予算に計上されているということですが、時間的にはどれくらいかかりそうでしょうか。
 
【生方課長補佐】  今まさに、どういった調査をどういう順番で行っていくのが良いかをJAEA中心に検討しているところです。地盤調査の経費自体は、令和6年度補正予算で既に措置されておりまして、これを活用しながらではございますが、いずれにしても当てずっぽうにボーリングするわけにもいかず、ある程度は、なぜ国土地理院がこの線を引いたのかという根拠を探りながら、どこを重点的に調査するのが効率的か、確実に足元を固めながら、調査を進めていく必要があると考えております。その意味では、少しずつ調査を進めながら、その中で分かったことを元に次の調査をやっていく形にならざるを得ない部分もあるかと思います。現時点で調査に何年かかるという全体像を見通せるわけではないという状況ではございますが、いずれにしても補正予算として調査に必要な予算が計上されているところですので、これをしっかり活用しながら、なるべく早く検討を進めていきたいと考えております。
 
【石川委員】  やはり安全性の確保が最優先なので、もう少し早く分かると良かったという気はしますが、この建設予定地が決まる前にわかって良かったというところもあると思いますので、着実に進めていただければと思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。その他にいかがでしょうか。黒崎委員どうぞ。
 
【黒崎委員】  黒崎です。運転開始までまだ時間があるということで、その間何をしておくのかという点が非常に重要であるという点で改めてのコメントです。当研究所が所有している、同じような中性子利用の原子炉であるKURが、2026年5月に運転停止するのは既に決定事項であり、大学の研究炉が、また一つ無くなってしまうということです。新しく試験研究炉が考えられていますが、運転開始まで、まだ相当時間がかかりそうなので、その間の空白期間をどう埋めるかが重要だというコメントです。資料の最後にありましたが、新しい原子炉を使って、これからどういうことをやっていくかをきちんと考える必要があります。特に実験装置設備の辺りをきちんと考えていくところがかなり重要になると思います。現在JAEAと福井大学と京都大学で連携体制が整っていますので、その体制をうまく活用しつつ、今できることをきちんとやっていくことが重要です。原子炉が完成せずともできることはたくさんあると思います。例えば複合研の施設を使っていだいて、将来に向けて新しい装置開発などもできると思いますし、敦賀の駅前に何かできるようなスペースを作ることなども考えられるので、ぜひ、この空白期間をうまく活用することを考えていただければと思います。以上です。
 
【寺井主査】  黒崎委員ありがとうございました。生方補佐から何かございますか。
 
【生方課長補佐】  先生ありがとうございました。先ほど小澤委員からご指摘いただいたところとも少し重複するかもしれませんが、今回いろいろ時期の公表は延期になりましたが、引き続きコンソーシアム会合や、その下にあるサブグループ、あるいは実験装置の検討グループなどは、しっかりと歩みを止めずに進めていきたいと考えております。こうした枠組みの中でも、この試験研究炉ができるまでの間、どういった取組が可能か議論をさせていただきたいと考えております。実験装置の主体になっていただいております京都大学とも連携しながら検討できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【黒崎委員】  ありがとうございました。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。その他にいかがでしょうか。秋山委員どうぞ。
 
【秋山委員】  ご説明ありがとうございました。私からも黒崎先生と同じようなことを言おうとしておりました。前回意見させていただいたように、空白の期間をどうやって埋めるかが重要だと思います。1つだけのシナリオだと、それが頓挫してしまうとうまくいかないこともありますので、こういう場合はこうする、もしうまくいかなかった場合はこうするなど、いくつかシナリオを考えておかれたほうが良いと思いますが、その点はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
 
【生方課長補佐】  秋山先生ありがとうございました。複数のシナリオというご意見ですが、まずは地盤調査をしっかりと進めながら、どういった形で今後進められるかをしっかりやっていきたいと考えております。シナリオというのも、どのようなシナリオになるかによって、また変わってくる部分があると思いますが、いずれにしても、コンソーシアム会合、福井大学、京都大学との連携の中で、これから試験研究炉ができるまでの間にどういった物が必要になるか、何が出来るのかをしっかりと議論させていただきたいと考えております。
 
【秋山委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
 
【寺井主査】  その他にいかがでしょうか。一つだけ。この推定活断層は、もんじゅの下を疑いなく通っていますよね。もんじゅは廃止措置中だから、対策をしなくても良いのでしょうか。これについては何か知見をお持ちでしょうか。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございます。この点につきましては、11月6日の原子力規制委員会の定例会議で、もんじゅについては廃止措置中で十分にリスクも低い状態にあるので、この推定活断層について特段の追加的調査や対応は不要であることが明確に述べられております。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。それは良いニュースかどうかわかりませんが、情報として有益だと思います。その他によろしいでしょうか。特にご意見がなければ、これで議題1を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして議題の2に移らせていただきます。議題の2は「令和7年度文部科学省原子力関係予算案について」です。こちらも文部科学省の生方補佐からご説明をお願いいたします。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございます。資料2に基づきまして、私のほうからご説明させていただきます。資料の3ページ目からご覧ください。原子力分野の研究開発、人材育成に係る取組として、令和7年度予算案をこちらのポンチ絵で1枚にまとめております。まず右上に、令和7年度予算額案として、1474億円を計上しております。これは前年度予算額の1474億円と同額で、規模としては令和6年度とほぼ同じ規模で原子力関係予算全体の措置しております。一方で、その下の米印の箇所に、令和6年度補正予算額298億円と記載しております。およそ補正予算が300億円ついているということで、原子力関係予算の補正予算としては過去最大の規模で措置されたところです。令和6年度予算額と令和7年度当初予算がほぼ同規模であることに加え、さらに300億円の補正予算もあるということで、原子力関係の取組としては、着実に取り組んでいくために必要な予算がしっかり計上できていると考えております。
 このポンチ絵の下の部分には、①から⑤までの5つの柱に沿って、それぞれの施策をまとめております。この柱は、夏にまとめた中間まとめに基づいており、各柱についての予算の措置の状況をまとめたものとなっています。個別については、この後のページでご説明差し上げますが、新試験研究炉の開発整備、次世代革新炉の開発・安全性の向上、廃止措置を含むバックエンド対策、原子力科学技術に関する研究人材基盤の強化、東京電力福島第一原子力発電所事故への対応です。基本的には前年同額、あるいはそこから微減といったところがベースとなっておりますが、それぞれの状況に鑑みながら、必要な予算を計上しております。
 それではまず「新試験研究炉の開発整備の推進」です。こちらの大きな柱としましては、もんじゅサイトを活用した新試験研究炉の開発整備、JRR-3の安定的な運用・利用促進です。まず、もんじゅサイトを活用した新試験研究炉については、引き続き、詳細設計を進めていくということで、実験装置の基本仕様や人材育成拠点の形成に関する検討などに、前年度から9000万円増の6億9000万円を措置しました。合わせて、令和6年度補正予算額が8億9000万円となっておりますが、先ほど申し上げました地盤調査の経費や汎用的に使える詳細設計などの経費を計上しており、地盤調査をしっかりと進めつつ、詳細設計についても着実に進めていくために補正予算を計上しております。また、JRR-3の安定的な運用につきましては、必要な部材の交換などもあり、昨年よりも若干増加分の経費を計上しております。いずれにしましても、この予算を使いながら、JRR-3については、引き続き中性子ビームの提供に向けて、しっかりと運転していきたいと思います。また、下段にございます「医療用RIの原料製造」も着実に取組を進めていくということで、昨年度に引き続き、モリブデンの照射製造試験の実施などに必要な経費を計上しております。
 続いて「次世代革新炉の開発及び安全性向上」です。こちらにつきましては、常陽の運転再開に伴い、昨年度から約2億円増の37億9000万円を計上しております。また合わせて、令和6年度補正予算額として177億円を計上しております。常陽につきましては、令和8年度半ばの運転再開を目指しているとしてご説明差し上げてきておりますが、令和6年度補正予算177億円で、再稼働に向けた安全対策工事の大部分の工事を賄うことができます。この予算をしっかりと使いながら、令和8年度半ばの運転再開に向けて、常陽については工事を進めていきたいと考えております。また、常陽運転再開後には、アクチニウム-225の製造実証も期待されており、こちらについては、当初予算の中でしっかりと取組を進めていくということで、必要な予算を計上しております。
 次に(2)HTTRの安全運転・研究開発の促進です。前年度から約6億円減となっておりますが、これは令和6年度に中性子源の交換に必要な経費6億円を計上していたためで、令和7年度につきましては、引き続き高温ガス炉の安定運転と研究開発を進めるということで、定常経費を計上しているものです。また、(3)原子力安全研究につきましては、前年同額で、引き続き原子力安全向上に向けた基礎基盤的な研究をしっかり進めていきたいと考えております。
 続いて「廃止措置を含むバックエンド対策の抜本的強化」です。(1)が、もんじゅ・ふげん・東海再処理のJAEAが有する大きな施設、3つの廃止措置の計画的な推進です。当初予算額は335億円で、前年度から減額となっておりますが、この分は令和6年度補正予算、約30億円が計上されており、必要なものを前倒ししながら、着実に廃止措置を進めていく形です。特に補正予算については、新型転換炉原型炉「ふげん」の廃止措置、遠隔解体装置の設計、東海再処理施設のガラス固化処理の安定的な実施、核セキュリティの観点からの安全対策が補正予算で認められており、こちらについても、補正予算・当初予算を使いながら、しっかりと廃止措置を進めていきたいと考えております。
 次に(2)主要施設以外の廃止措置推進に向けた仕組みの整備です。こちらは令和6年度補正予算で20億円措置されており、このうちの9億円が新しい補助金の創設となっています。こちらも夏の中間まとめで、大型施設以外の中小規模のJAEAの廃止措置についても、しっかりと進めていく必要があるというご提言をいただいております。右側に青と黄色のグラフがございます。JAEAがこれまで計上してきた廃止措置の費用は、毎年平均7億円でしたが、このペースで廃止措置を進めていくと、200年程度かかってしまい、非常に維持管理費が嵩んでいきます。こちらを集中投資シナリオでもって前倒しで廃止措置を進めていくことで、トータルのコストを抑えられるのではないかというご指摘をいただき、まさに廃止措置を前倒しで実施していく取組の一つとして、この補正予算の中で新たな補助金を創設し、JAEAに集中的に廃止措置を進めていくための資金を投入する手段を作りました。またこの他、補正予算の中では、人形峠のUF6の搬出に向けた詰替設備の設計も計上しております。これ以外にも廃止措置推進の取組として、トータルで79億円を措置しております。
 次に(3)埋設処分等のバックエンド対策の推進です。こちらにつきましては、埋設処分業務に関する取組を実証するということで、これらの取組に合わせて積立金等を計上しております。またこの他、高レベル放射性廃棄物の処分技術の確立として、現在幌延で深地層研究を実施しておりますが、こちらに必要な経費も計上しております。
 7ページをご覧ください。「原子力科学技術に関する研究人材基盤の強化」です。こちらは原子力機構および文部科学省で行っている基礎的な研究開発、人材育成の取組です。(1)原子力科学技術・イノベーションの推進は、前年度から微減ですが、99億7000万円を計上しており、この中で原子力システム研究開発事業についても新たな公募を行っていくとともに、ポンチ絵下段の真ん中に、ウランレドックスフロー蓄電池などがございますが、JAEAでも廃棄物等を有用なものに変えていくという観点から、新たな研究にも取り組んでいるところでございまして、こうした新たな取組も含め、必要な研究開発を引き続き実証していきたいと考えております。右側の原子力に関する人材育成機能の強化は、前年度から微減ですが、国際原子力人材育成イニシアティブ事業についても、夏の中間取りまとめを踏まえた形で、引き続き事業を実施していくとともに、JAEAでも人材育成の取組を実施していくということで、着実に取組を進めていきたいと考えております。ただいま申し上げました原子力システム研究開発事業、国際原子力人材育成イニシアティブ事業については、次の議題3で、来年度の公募の方針などを改めてご説明差し上げます。
 最後に「東京電力福島第一原子力発電所事故への対応」です。こちらは、昨年から少々減となっておりますが、48億円を原子力機構の運営費交付金ならびに、文科省の研究開発として計上しております。昨今の報道にも出ておりますが、1Fの2号機からデブリを取り出して、原子力機構の大洗研、その他の研究機関でも分析を開始しております。廃炉の進展に伴い、フェーズも変わってきており、原子力機構でも、必要な研究開発をより焦点化しながら、廃炉に資するような研究を外部の資金もしっかりと活用しながら、福島の復興、廃止措置の推進に貢献していきたいと考えており、引き続き取組に必要な経費を計上しております。この他に復興特会で、福島第一原子力発電所事故からの環境回復の研究をこれまで実施してきましたが、今回6億円程度の減額となっております。これは令和7年4月1日から、福島国際研究教育機構(F-REI)に環境動態研究を移管して実施することに伴う減額です。また、(2)原子力損害賠償の円滑化につきましても、引き続きADRセンターにおいて取組を着実に進めていくということで、必要な予算を計上しております。簡単ではございますが、令和7年度予算案全体につきましてのご説明は以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、委員の皆さま方からご質問、ご意見等ございましたらよろしくお願いいたします。基本的には、昨年の8月に原子力科学技術委員会で最終的にご承認いただいた中間まとめに沿って概算要求されるということです。 尾崎委員どうぞ。
 
【尾崎委員】  3ページで全体像を書いていただいていますが、来年度予算について、5つのカテゴリーで進めていただくことについて意見はありません。ただ、将来的なことで考えていただきたいのですが、5つのカテゴリーのうち、新試験研究炉、次世代革新炉、研究人材基盤の強化は、未来にプラスを生み出すための予算と言えると思いますが、残り2つのバックエンドと福島第一原子力発電所については、現状からマイナスを出さないための予算という分け方ができると思います。両方とも非常に重要な予算だと思いますが、将来的にマイナスを作らない方の予算については、時間とともに知見がたまっていって効率化できるはずですから、将来的には縮小しても結果は出る予算だと思います。1、2、4の未来への投資については、成果が出れば増額を考慮しても良いということになってくると思いますが、5分野について、それぞれ担当しているところは、せめて前年度並みの予算が欲しいという思考になると思います。これについては原子力課が、未来の方向性を関係者に出しながらやっていただきたい。そうしないと、そのまま固定してしまい、全体的にあまり良くない結果になりかねないという感想を持ちますので、それについては是非お願いしたいと思います。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございます。まさに先生のご指摘の通りだと思います。特に③のところについては、現状なかなかバックエンドの部分に予算が当てられなかったがゆえに維持費が嵩んでいって、他の研究に回せなかったという状況自体がまさに問題であって、そこをどう改善していくかが一つの検討の大きな柱になってきたと考えております。先生のおっしゃる通り、なるべくバックエンドを前倒ししていき、そこで浮いてきた部分をしっかり他の研究開発に回していく観点は非常に重要と考えておりまして、長期的に良いサイクルに回っていくようにという部分は、我々担当課としても、しっかり考えたいと思っています。一方でバックエンドにつきましても、ここでやってきたものが、様々な民間施設の廃止措置、その他の研究開発に波及していく部分もあると思いますので、その意味では3番、5番の柱だから減額ということではなく、しっかりと中身を見ながら、研究開発を全体として前に進めていくという観点から、全体を管理していきたいと思っています。
 
【尾崎委員】  私は5カテゴリーを単純に2つに分けましたが、おっしゃる通りバックエンドの中でも、波及効果あるものと減らさなければいけないような予算があると思いますので、そこの峻別をぜひお願いしたいと思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。廃止措置のところは、学術的に研究課題にもなり得る話と思います。今後将来的には、1Fだけじゃなくて通常炉の廃炉もどんどん進みますから、そちらをいかに効率的にやっていくかの基礎研究、アウトプットもあると思いますので、その辺も含めて検討お願いしたいと思います。
 ANECの話が教育の人材育成のところにありましたが、第7次エネルギー基本計画の原案の本文を見ると、ANECの名前が出てきます。経産省が主にとりまとめておられると思いますが、人材育成についての経産省とのコネクションや協力も結構進めておられると思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
 
【生方課長補佐】  まさに人材育成は、文科省からも取り組むべき課題があると思っていますし、経産省側でも、実証炉の取組を進めている中で、どうやって必要な人材確保していくかが喫緊の課題として上がってきていると聞いております。そういう意味で、文科省と資源エネルギー庁の間でも様々なレベルで意見交換も開始しているという中で、経産省側も、ANECの取組については産学官連携した取組として非常に注目をいただいているということで、今回、エネ基の案の中でも、そうした文言として出てきたのだと思います。今はまだ結論が出ているわけではありませんが、しっかり芽を伸ばしていって、連携をしながら一定の成果に繋がるように、意見交換しながら進めていきたいと思っています。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。 人材育成の話はこの後の議題に出てきますので、そこでまた詳しくお話を伺いたいと思います。その他にいかがでしょうか。
 少し細かい話ですが、3ページの「新試験研究炉の開発整備の推進」というところです。新試験研究炉は基本的にビーム炉なので、将来、革新炉開発をしっかりやっていく、あるいは、革新軽水炉で高燃焼化を計画していくとなると、材料試験炉も絶対に必要になってくると思います。この辺りは、取りまとめの本文にも数行書いてあるぐらいだと思いますが、検討すべき話なので、現時点で、具体的にいつまでに何をするかということではないのですが、照射機能を持つような炉の利用を海外だけに依存するのは良いのかどうかも含めて、引き続きご検討いただけると良いかと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、これで議題の2番目は終了させていただきます。引き続き文科省さんにはよろしくお願いいたします。
 それでは議題の3に移らせていただきます。議題の3は原子力システム研究開発事業・国際原子力人材育成イニシアティブ事業の令和7年度公募概要についてです。こちらは有林課長よりお願いいたします。
 
【有林課長】  よろしくお願いいたします。資料3に基づきまして説明させていただきます。今回資料3の議題は、予算の説明の中にあった4つ目の柱の研究人材基盤の強化ということで、これを推進するために文科省で実施しております、基礎基盤研究を推進するための原子力システム開発事業と、人材育成につきましては、ANECの取組である国際原子力人材育成イニシアティブ事業の来年度の公募方針がまとまりましたので、ご報告させていただきます。
 まず原子力人材育成イニシアティブ事業です。こちらにつきましては、先ほどご指摘がありましたが、ANECというコンソーシアムの中で取組を行なっています。この事業自体は、令和2年度から7年間にわたる事業で、通常の国の事業は5年が多いのですが、人材事業ということで、7年間という通常よりも長い期間をとって事業を実施しているところです。令和2年度は、フィージビリティスタディー期間として、どのような体制で原子力人材の育成をするのが良いかを、複数の大学機関との連携を念頭に活動を進めながら検討した結果、令和3年度にANECと呼ばれるコンソーシアムを立ち上げました。ANECの意思決定機関としましては、企画運営会議を設けて、文科省、PDPO、北海道大学を中心に、いくつかの大学が連携するような形で実施されておりまして、実際の運営体制としては、右下にございますように、全体の総会の下に4つのグループが構成されています。カリキュラムグループは、体系的な専門教育のカリキュラムを作成し、それをオンラインで北海道大学のホームページに掲載し、誰でも自由にアクセスできるようにしています。また国際グループは、東京科学大学を中心に、ANECに参画している様々な大学の優秀な学生が、海外とのコネクションを構築できる機会を提供する取組を行っています。また実験・実習グループは、近畿大学と京都大学を中心に、両大学にある施設等を活用しながら、ANECに参画する様々な大学に実機を使った実験の機会を提供しています。また産学連携においては、福井大学を中心にインターンなどを活用しながら、産業界とどのように連携していくかを検討しながら活動をしております。
 現在ANECには66機関が参画しており、大学では国立大学18機関、私立大学8機関以外に、高専5機関、研究機関5機関、民間企業11機関、電力会社10機関、その他団体9機関と、幅広い機関が参画しており、これらの機関が連携し合いながら原子力人材を育成する仕組みが取られています。このような仕組み自体が、第7次エネルギー基本計画においても、今後原子力人材を育てていく上で一つの基盤になるのではないかということで、基本計画の中で位置づけられています。
 人材育成イニシアティブですが、今年度におきましても、先ほど申し上げました機関の更なる活動を活発にするということで公募を実施させていただき、結果として5件の応募に対して、3件の新規課題を採択しております。採択された課題は、東大・長岡技大・東京科学大学の3機関であり、廃止措置マネジメントの人材育成、社会課題を検討する場について設計・議論するカリキュラムの構築、少量の核燃料物質を取り扱うための人材育成のプラットフォームを構築するというような課題です。
 また、今年度行いました原子力人材育成イニシアティブ事業の成果の一つとして、高校生を対象にしたオープンキャンパスを実施しました。これは第2回です。第1回は令和5年度に近畿大学で実施しましたが、施設のキャパシティの関係もあり、約30名の学生参加でしたが、今回は規模を拡大し、東京科学大のオープンキャンパスの日に合わせて、高校生・高専生173名が参加する形で、令和6年7月23日に開催しております。このオープンキャンパスのプログラムにおいて、午前中は東京科学大学にある実機を使った原子力放射線に関する実験を、173名の中で応募のあった37名を対象に実施しました。当初は15名前後の実施予定でしたが、応募数が多かったため急遽翌日も開催することになり、東京科学大側の配慮によって、合計37名の学生が参加できました。また午後はポスターセッションとして、空想科学読本の著者であります柳田理科雄先生をはじめ、京都フュージョニアリングの武田先生などによる特別講演の他、大学・企業・研究機関から22機関が参加し、ポスターセッションを実施いただきました。173名の高校生と参加した22機関の説明者の方々の間で、いま日本の大学・企業でどのような原子力に対する活動が行われているかについて意見交換していただきました。写真をご覧いただくとわかりますように、会場が学生で埋め尽くされるほど賑わっていました。私もこの会場にいましたが、どのポスターセッションの会場も人が途切れることなく、本当に高校生が熱意を持って原子力について質問をしていて、とても感激しました。実際に参加した高校生にアンケートを実施したところ、参加前は原子力についてよく知らない学生も多かったようですが、今回のイベントを通じて、原子力についての関心が増したと回答をした学生が9割を超えるという成果が得られています。我々ANECとしても、大学だけの取組だけではなくて、高校生を対象にした取組についても、引き続き取り組んでいけるように検討したいと考えております。
 以上のような令和6年度の取組を経て、昨年の夏に中間まとめをまとめていただいた際に、今後のANECに必要なパートとして、日本の原子力の中核となる大学の参画ということで、トップクラスの専門人材育成のため中核となる機関を巻き込むべきではないかという提案がありました。また人材の裾野を拡大するため、これまで大学4年生や大学院生などを対象にしていましたが、一般教養科目である学部の一年生から三年生、他学部・他学科の学生に対しても、原子力や放射線に興味がある学生にわかりやすいコンテンツを提供できるように努めていくべきだという指摘がありました。これらの指摘に対して、中核機関の関与については、令和6年度に東京大学や東京科学大学が採択されています。一方で裾野を拡大するという点については、今年3大学採択しましたが、残り2年間ではありますが、可能な限り裾野は拡大したいと考えていますので、来年度は、記載している公募テーマ例のように、既存の大学や企業などが所有する施設や設備などを使った基礎的な実験実習プログラムの展開、原子力専門以外の方々に向けた基礎的なコンテンツの提供、産業界と大学の連携といった視点でのテーマを募集したいと考えております。
 また同時にANECは、令和2年度から始まり、令和8年度で7年目を迎えます。あと2年間の実施となりますが、これまでやってきた成果を取りまとめるとともに、ポストANECとして、どういったことが必要なのかについても、今回エネルギー基本計画などにも記載いただきましたが、周辺状況を踏まえながら、今後もしっかりと検討していきます。
 次に原子力システム研究開発事業です。こちらの令和6年度の公募の実施状況ですが、原子力システム研究開発事業の公募枠は、基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型、特定課題推進型という4つのタイプに分かれて実施しております。今年度実施した結果ですが、採択率はそれぞれ3割前後で、基盤チーム型においては、1億円以下4年以内のプログラムですが、7件の応募に対して2件の採択がありました。ボトルネック型は、社会実装目指す上でボトルネックになっている課題を解決するための研究開発で、3年以内3000万円以下の研究について、8件の応募があり、3件採択されています。新発想型は、挑戦的な研究開発を実施するということで、3年以内のプログラムに、若手は1000万円、一般は2000万円という枠組みがあり、一般は7件、若手は9件の応募があり、採択はそれぞれ2件、3件で、約3割の採択率となっています。また、令和6年度に新しく新設された特定課題推進型は、原子力政策で示された重点的に取り組むべき課題に対して、解決の糸口となるように基礎基盤研究開発を実施するということで、令和6年度には、原子力委員会において、国内におけるRI医療利用に向けて、国内の需給割合3割を目指すということが示されましたが、そういった新たに示された政策課題に対する対応、人材育成において各大学にある少量の核燃料物質等の課題を取り上げ、どのように取り扱うかという個別テーマを提示した結果、9件の応募に対して、2件の課題が採択されています。各課題の具体的な内容については、参考資料をご覧ください。
 このように、実施してきました令和6年度の原子力システム研究開発事業ですが、昨年の夏に取りまとめた中間取りまとめにおいて、この原子力システム研究開発事業自体のあり方を議論する際に、いくつか課題が提示されております。一つは基盤チーム型について、具体的には当時、インフォマティクスとの連携ということで、新しい技術を原子力分野にいかに活用していくかというテーマ設定をした上で募集をかけました。一方で、課題設定をすると、その課題以外の分野の研究者がなかなか応募できなくなるため、産学官の知見を結集するという点では、幅広いテーマを募集するために、テーマ設定が良いのかどうかについて検討課題として問題が提示されました。また、ボトルネック課題解決型については、異分野との連携にしっかり力を入れていくべきだという課題が提案されています。新発想型については、一般・若手とありますが、今年度は多くの課題提案がありましたが、本当に若い層に行き届いているか、そういった方々が応募しているかという点について、しっかりと若手を支援する仕組みを検討するようにという課題が提示されました。これらの指摘を受けて、令和7年度においては、中間取りまとめにおいて、大規模チーム型、異分野連携型、若手型ということで、これまでテーマ設定をしていたのですが、テーマによる絞り込みは行わずに規模の大きな大規模型と異分野と連携をする異分野連携型、若手を支援する若手型というシンプルな形に枠組みを変更しました。若手については、これまで45歳以下という年齢設定でしたが、これから准教授などのポストを目指そうとする助教やポスドクのような方々のキャリア構成に役立つプロジェクトとして位置づけたいということで、年齢制限は40歳以下とし、より新規性や独創性のある研究に取り組んでいただくようなテーマを募集したいと考えております。大規模型は、産学官連携を念頭に、中~大型の研究開発を実施して社会実装を念頭においた課題提案をしていただきたいと考えております。異分野連携型は、原子力分野だけではなくて情報、医学、薬学、宇宙、原子核物理など、原子力以外の分野との連携を促進するために、異分野を明確に位置づけることによって、原子力分野の広がりに対応した人材との共同研究を進めていきたいと考えております。
 以上が新しく設定された各分野の概要です。それぞれ実施の方法については、中間取りまとめの際にはすべて5年という形で、予算についても大規模チーム5000万円から1億円、異分野連携およそ3000万円、若手およそ3000万円と位置づけていましたが、その後様々な関係者と意見交換した結果、大規模チームについては、大規模な研究を扱うということで、5年以内の提案ですが、経費については5000万円から1億円としました。これは、1億円×5年という課題が出てきてしまうことが多いという傾向もあるため、研究の課題と要する費用をしっかりとチェックするという観点から、それぞれの研究の経費については、まず5000万円でできる提案を出していただき、プラスアルファでいくらあったらどれだけの成果が出せるかを、上限を1億円として提案いただくという2段階の提案制度としています。2段階目が優れているのか、他の課題を取ったほうが良いのかを審査の段階で判断し、より多くの課題をより適正な額で採択するという仕組みを導入したいと考えています。
 異分野と若手については、当初は5年としていましたが、過去の傾向として異分野や若手の提案をした際に様々な提案が来るということを踏まえ、まずは3年間の計画を出していただき、3年目の段階で延長審査をし、最大2年の追加ステージを提供するという、3年+α(最大5年)という研究期間設定としています。異分野と若手も大規模チームと同じように、2階建ての提案をベースとしておりまして、異分野は2000万円+α、若手は1000万円+αで、特に若手は、額が小さくてもたくさん取ってほしいという声もありましたが、一方で実験系はある程度の金額がないと実験ができないこともありますので、そういった特殊事情に対応できるように、最大1500万円という形で金額設定をしております。
 以上が新しく設定された各分野の概要ですが、イメージとしては、3つのプログラムの位置づけとして、縦軸に社会インパクトと挑戦的、横軸に課題の解決と基礎原理という4軸を取った場合に、大規模チーム型は社会インパクトを重視した課題、若手型は社会インパクトよりも新しい考え方を創造して、よりチャレンジングな研究課題を提案していただくような課題、異分野連携型は、それらに繋がるような知見などを新たな分野との連携によって生み出していっていただきたいと考えているところです。
 以上、申し上げたことを、文章で書いたものがスライドにまとめてありますが、内容的には繰り返しになりますので、割愛させていただきます。
2段階申請のイメージですが、簡単に申し上げますと、大規模チームであれば、基本額は5000万円のため、提案としては、5年間で最大5000万円がどれくらい必要になるかという提案を出していただきますが、この基本的な提案に加え、プラスで何年目に幾らの予算措置があれば、より良い成果が出せるかという2階建ての提案にしていただき、審査の段階では、基礎的な提案について採択するかどうかを審査した後、上乗せするか、上乗せよりも他の課題を取ったほうが良いのかという観点で、審査していただきたいと考えています。異分野、若手においては、始めは3年間のプロポーザルを出していただきますが、3年目終了時点でレビューを行い、その結果次第で、最大2年の追加のフェーズに入ることができるという条件を加えようと考えているところです。
 最後に令和6年度の採択課題を参考資料としてつけておりますので、お時間ある時にお目通しください。以上、事務局からの説明です。よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】  有林課長ありがとうございました。国際原子力人材育成イニシアティブ事業、原子力システム研究開発事業の令和6年度の採択結果と7年度の公募概要についてご説明いただきました。7年度の2階構造のところは審査委員の先生方の審査が難しいような気がしますが、委員の先生方からご質問やコメント等がございましたら、よろしくお願いいたします。石川委員どうぞ。
 
【石川委員】  石川です。ご説明どうもありがとうございます。主査からも2階構造の話がありますが、まず7ページの人材育成イニシアティブ事業のところで、右の図にトップクラスの専門人材の育成と裾野の拡大というのがあり、それに関連してカリキュラム、実習、高校生に向けて裾野の拡大というのは、国際原子力人材育成イニシアティブ事業と非常に合っていると思いますが、人材育成については原子力システム研究開発事業のところでも、ポスドクや大学院生が研究に参加することで裾野を拡大したり、専門人材の育成ができると考えています。例えば、大規模チームのところで、ポスドクを雇用する、異分野連携のところで原子力以外の分野の大学院生がリサーチアシスタントとして雇用されてこの研究に取り組めば、裾野の拡大にも繋がると考えております。一方で人件費はコストがかかりますので、プラスアルファの部分で、人材育成の取組のところを考慮すると良いのではと思います。そういう人材育成にも目を向けているプロジェクトの提案に対して、追加を考慮すると良いのではないかと思いますので、ご検討いただければと思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。有林課長いかがでしょうか
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございました。先生のご指摘のように人材育成事業と研究開発は表裏一体な関係になっていると思いますので、おっしゃる通り、ANECの議論をしている時に単にカリキュラムをやるだけではなくて、研究の中でも育てられる人材とどのようにリンクさせていくのかという話も話題に上がっています。追加分のところで、人材への支援をしっかりと考慮してはどうかというご提案をいただきましたので、いただいた提案は、公募の段階でPDPOや審査委員の方々に説明する際にもしっかりとお伝えするようにしたいと思います。ありがとうございました。
 
【寺井主査】  有林課長ありがとうございました。小澤委員どうぞ。
 
【小澤委員】  小澤です。ご説明ありがとうございました。7ページには「他学部・他学科の学生を対象に」と書いてあり、10ページには「異分野連携」と書いてあるということで、こういったことが強調されてきているのは大変良いことだと思います。原子力自体がいろいろな分野の集まりですし、ここで経験したことが、別の世界で活きていくということも大変結構な話だと思いますので、人材を囲い込むというよりは流動化していき、知っている人がどんどん飛び立っていくという方向もありかと思います。飛び立っていった人がまた原子力に戻ってきてくれると良いなと思います。5年という期間も、メリハリという意味では良いと感じています。昔は一つの分野に何十年もかかる時代もあったかもしれませんが、今はもっと短くなっているはずですので、メリハリの中で一つの問題を解決して実際に社会に役立っていくことも必要かと思います。大変期待している事業ですので、ぜひとも盛り上げていただきたいと思います。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。激励のお言葉ですが、有林課長から何かございますか。
 
【有林課長】  ありがとうございます。先生がおっしゃるように我々が目指しているのは、学生にとってのキャリアパスをしっかりと示していくことで、その1つのファーストステップとして、こういったものを活用していただきたいと考えております。先生からご指摘いただいた点にも留意しつつ、関係者一同取り組んでいきたいと思っています。また5年間という考え方につきましても、いただいたご指摘を踏まえて、しっかりプログラムにご指摘いただいた趣旨を実現していくように努めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。尾崎委員どうぞ。
 
【尾崎委員】  小澤委員がおっしゃったことと関連しますが、確かに研究者志望の大学院生にとっては今のような取組は非常に有効だと思いますし、研究費が欲しい大学にとっても非常にプラスになると思いますが、教育される学部生の立場で見ると、研究よりも就職先があるかどうかが一番の関心事です。
 3ページの資料を見ると、そういうところは強調されていません。就職できないから原子力分野に行かないというのが学生の本音だと思います。原子力関係を勉強すれば、電力や重電に就職できることもありますが、これは昔の常識で、そこから新しい分野に就職できると。これは大学と企業が個別に話し合ってできることではないので、このようなコンソーシアムを通じてであれば業界と話をすることができると思います。コンソーシアムに参加されているのは、電力と重電だけですので、ここに凝り固まってしまうと、なかなか新しい可能性は見えてこないと思いますので、ぜひ、新しい領域について考えていただきたいです。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。有林課長から何かございますか。
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございます。先生のおっしゃる通りだと思います。エネルギー基本計画の中にANECが位置づけられましたが、これからリプレースなどが進んでいく中で、実際に日本として原発を新しく作っていくときに、それを支える人材をどうしていくのかということが問題になっています。まさにそういった人材を育てていくために、このANECという仕組みをいかに活用していくのかを検討したいと思っています。その時には、先生がおっしゃったように、この66機関の中に一部企業が入っておりますが、ここをしっかりと経産省と連携しながら広げていき、単に名前を連ねるだけではなく、この活動の中に企業側に入ってきていただいて、若い学生が企業と触れ合う機会をできるだけ、このプログラムの中で確保できるような形にしていきたいと思っております。ANECは残り2年ですが、その後もどういうふうにしていくかという議論をまさに開始しようとしていますので、いただきましたご指摘を関係者にも共有の上で、しっかりと将来に向けて、若い人たちに有益となるような仕組みになるよう検討を深めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
【尾崎委員】  ありがとうございます。この委員会は、去年、中性子の関連団体でもプレゼンしていただきました。中性子の関連団体の場合は、電力や重電と関係なく、こんな業界でも中性子に注目しているのかということがわかり、非常に裾野が広いことを実感しましたので、そういった連携もぜひご検討していただきたいと思います。
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございます。そちらの点につきましても、新試験研究炉などで、様々な中性子関連の企業などとも連携を深めようとしておりますので、様々なチャンネル使いながら様々な分野の企業とのネットワークの構築に努めていきたいと思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。原子力関連業界も原産協会や電機工業会が参画機関として入っておられますので、こういうところでも、発電だけではなく、いろいろな原子力の応用をマネージできる会社があると思いますから、その辺も含めてと思います。原産協会の和田委員から何かコメントをいただけますか。
 
【和田委員】  ご説明ありがとうございます。次期エネルギー基本計画では、原子力の最大限活用が明記されまして、次世代革新炉の開発設置についても記載されました。それらの実現のためには原子力技術の担い手である人材の確保育成が重要成功要因となると思います。そのために、この国際原子力人材育成イニシアティブ事業というのは非常に重要な取組だと思います。
 ご説明いただいた6ページですが、原子力オープンキャンパスの第二弾には173名の高校生・高専生にご参加いただいて、またアンケート結果では原子力分野への関心が増したという回答が90%以上あり、大変大きな成果であると思っております。ぜひ、今後も継続的に開催いただければと思います。
 7ページについて、先ほどからいろいろとご指摘もございますが、令和7年度は裾野拡大を目的に公募を行うということで、他学部・他学科の学生など多様な人材が原子力関連に参加していただくということが非常に重要だと思っておりますので、良いプロジェクトが採択されることを期待しておりますとともに、2年後のポストANECの検討についても、ぜひよろしくお願いいたします。また裾野拡大のためにも、大学に入る前の初等中等教育の段階で、エネルギーや原子力に興味を持ってもらうことが大切だと思います。文科省さんには、ANECの枠組みに加えて初等中等教育段階における原子力理解の促進の取組も進めていただければと思っております。以上です。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。基本的には文科省さんにはもちろん頑張っていただくのですが、産業界や経産省等と一緒に連携しながらということで、ANECが第7次エネ基の原案に書かれていたことも、関連すると思いますし、先ほど一つ前の議題で生方補佐からもそういうご発言がございました。そういう意味では、いろいろな分野で連携をして原子力人材を育成していくことが、ひいては将来の日本のエネルギーの重要な要素としての原子力を活性化していくことに繋がると思います。しかし、人材育成というのはすごく時間がかかって、今日やったからといって明日に成果が出るというものではないので、ある程度の期間は継続的にこういう事業を続けていく必要があると思いますので、引き続き、次のフェーズも含めてよろしくお願いいたします。高木委員どうぞ。
 
【高木委員】  ご説明ありがとうございました。和田委員と寺井先生からもありましたように、私も高校生の原子力オープンキャンパスは、非常に重要な取組だと思っております。将来の原子力人材として非常に有望な学生であることは間違いないですし、仮にそこに進まなかったとしても、エネルギー政策やエネルギー問題において、原子力は避けられないところがありますので、原子力に一度触れておくと国民理解という点でも非常に有効だと思いますので、ぜひ続けていただきたいと思っています。
 第1回は近畿大学、第2回は東京の東京科学大学で実施したようですが、ぜひ地方にも展開していただいて、地方に眠る可能性のある人材を発掘することにも取り組んでいただけると非常にありがたいです。地方の大学だと、自ら手を挙げることはなかなか難しいかもしれませんが、そこをうまく連携したり、サポートしたりということを、文科省からも働きかけていただけると手を挙げやすくなるのではないかと思いますし、地方の学生や高校生にとっても非常に良い機会を得ることができると思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。文科省さんから何かコメントはございますか。
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございました。オープンキャンパスについてはおっしゃる通り、これまで近畿大学と東京科学大学で実施しており、我々も大変素晴らしい成果だと思っています。現在、どうやって持続的かつ広げていくべきかというところを、ANECの中で関係者の方々と議論させていただいています。その中での一つアイデアとして、先ほど東京科学大学の場合に大学のオープンキャンパスの日に合わせて実施したことを申し上げましたが、大学のオープンキャンパスの日に合わせて開催するのであれば、今回は事務局もサポートしながら大々的にやりましたが、そこまで労力をかけなくても、大学として何かしら行うイベントに少し人が行って説明できる場を提供するだけで、オープンキャンパス的な取組ができるのであれば、必ずしも年に1回ではなく、年に数回、様々な場所で実施することも可能ではないかと考えております。
 まさにこれからANECをどうしていくかという議論をしておりますが、こういったグッドプラクティスを水平展開していくことが重要だと思っていますので、先生からいただいたご指摘もしっかりと受け止めながら、さらに拡充していく方策、どういうふうにしたら実現できるかということを検討していきたいと思います。ありがとうございました。
 
【寺井主査】  ありがとうございました。その他にございますか。秋山委員どうぞ。
 
【秋山委員】  ご説明ありがとうございました。7ページの「原子力産業に関わる企業と大学との連携プログラム」についてですが、大学の側として困っているところは、学生のインターンが活発なのは良いことですが、インターンにたくさん行きすぎて、研究活動や勉強がおろそかになってしまうということを聞いております。うちの学生は原子力産業にも行っているので、それは妨げられないのですが、大学と原子力関係の企業がもっと連携して、例えばテーマを共有したり、講義の内容をインターンで実務的に繋げてやることができると、大学側と企業側がWin-Winの関係になるのではないかと思います。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。コメントということですが、いかがでしょうか。
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございました。我々としても確かにそういう観点もあると思いますので、先生がおっしゃるように、Win-Winの関係を築くことが大切だと思いますので、持続的に実施していく上では、今いただいたご指摘も踏まえながら、どのようにすることによって大学側も前向きに取り組める環境となるのかを検討していきたいと思います。ありがとうございました。
 
【寺井主査】  どうもありがとうございました。松浦委員どうぞ。
 
【松浦委員】  ご説明ありがとうございました。テーマは重複しますが、アウトリーチ活動において東京科学大学でオープンキャンパスが開催されたということですが、他の大学も学生に来ていただくためにオープンキャンパスをされていると思いますが、いいコンテンツであってもまずは来ていただくことが非常に大事だと思います。非常に多くの高校生が来られたということは成功されたところだと思います。その理由としては、先ほどもおっしゃっていましたが、既存のオープンキャンパスの日に合わせられたこともあると思いますが、それ以外にもグッドプラクティスとしてどういう点であったかというところも、原子力の人材育成に携わるものとして情報を共有させていただければ、草の根的に取り先を広げられていくのではないかと思います。
 狭い経験で申し上げられることは、高校生を集めるために、高校生と直接繋がることは難しいので、高校の先生などを通したほうがいいという話を良く聞きます。教育機関の先生方とのコネクションや継続的な関係も重要になるのではないかと思っております。いろいろアンケートも取られたということですので、そういった情報を共有させていただければ、いろいろな部分でうまくいくのではないかと思います。
 
【寺井主査】  松浦委員ありがとうございました。文科省さんからいかがでしょうか。
 
【有林課長】  実はグッドプラクティスの例としまして、先ほど申し上げたものに加えて、東京科学大学の小原先生が中心となってご準備いただきましたが、小原先生に後々伺ったところ、学生を集めるためにインターネットやSNSを使うことが真っ先に思い付きますが、あえてそのようなツールは使わずに、全国の高校の理科の先生に直接ポスターやリーフレットを送ったそうです。その方法によって、理科の先生を経由して、興味を持ちそうな学生に対して呼びかけが行われて、173名という学生が集まりました。今回は東京でやっているのですが、地方からもたくさんの学生が来ています。旅費も個人負担ですが、全国の高校の理科の先生に配布したことで、本当に多くの方々に興味を持っていただき、自ら東京科学大学に来て参加いただいたことになります。こういった知見を他の大学に展開しながら、今後の各大学におけるイベントでの集客に役立てていただければと思っています。ご指摘ありがとうございました。
 
【松浦委員】  大変重要な情報をありがとうございました。
 
【寺井主査】  そういった情報も、ANECの会合の中で情報を共有していただけるチャンネルがあれば、大学の先生方、研究機関、企業と情報を共有していただければと思います。石川委員どうぞ。
 
【石川委員】  石川です。今日議論されていない視点としまして、先ほど尾崎委員から、学生に就職先があるかどうかが気になるという話がありました。一方で最近の学生は起業に興味があり、スタートアップを作りたいという学生もいます。これまではAI関連分野が多かったのですが、徐々にディープテックのほうに目を向ける学生も増えています。原子力というのは非常にディープテックに向いていると思います。アメリカだと小型原子炉のスタートアップがあります。日本では小型原子炉のスタートアップは難しいかもしれませんが、医療分野や中性子を活用する分野で起業を目指す学生も出てくるのではないかと思うので、来年度の施策の中で、長期的な人材育成の中にそういう視点も入れていただけると良いのではないかと思います。ANECにベンチャーキャピタルが入る可能性もあるのではないかと思っていますので、思い付きのアイデアですがご検討いただければと思います。
 
【有林課長】  ご指摘ありがとうございます。先生のおっしゃる通り、今回の講演会の時に核融合分野において、スタートアップカンパニーを立ち上げられた武田先生に来ていただきまして、新しいことを自ら立ち上げていくことはどういうことなのかという講演をしていただきました。新しい考え方や生き方に感銘を受けたという声も多くありました。企業との繋がりにおいて、最近のトレンドもしっかりと踏まえながら、今後のイベント内容を検討に活かしたいと思います。
 
【尾崎委員】  学生が起業するというのは、東京大学では非常に数が増えて、学生の意識も変わっていますし、インフラも整っているからなのですけど、現状では東京大学以外はあまり良好事例がありません。端から見ると、大阪大学や京都大学あたりでも結構あるように見えるのですが、おおよそは研究者がやっています。若い人たちがターゲットだと、現状は東京大学が非常に良いということです。例えばユーグレナあたりは、全国的に認知機能を広めたんですよね。今の話だと、まずは東京大学で成功例が出てくると、そうなる可能性が一番高いので、そういった検討をしていただけたらいいのではないかと思います。
 
【寺井主査】  石川先生、東京大学原子炉国際専攻でも、その辺のところも含めてお考えいただけると良いのではないかと思いますので、よろしくお願いします。東京大学に限らず、いろいろなところでそういう流れが出てこなければいけないと思います。
文科省さんとしても、そのあたりをエンカレッジするような施策を将来的にお考えいただく必要があるかもしれない気がします。その他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。以上で3番目の議題を終わらせていただきます。引き続き令和7年度もよろしくお願いいたします。
 本日予定しておりました議事は以上で終了でございますが、全体を通して何かご意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。
 
【生方課長補佐】  寺井主査、どうもありがとうございました。本日の議事録につきましては、出来上がり次第メールにてご確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。また、今回の作業部会は第12期の活動として最後になります。原子力課長の有林よりご挨拶させていただきます。有林課長お願いします。
 
【有林課長】  委員の皆さま、この2年間様々なご議論いただきまして、本当にありがとうございました。皆さまの記憶にも新しいと思いますが、昨年の夏に中間取りまとめを、まさに今エネルギー基本計画が議論されている時に、同時並行的に原子力科学技術がどうあるべきかという議論を、ちょうど一年ほど前から議論いただきまして、一昨年の6月から去年の7月まで、計8回の人材作業部会を開催いただきまして、まさに今日議論にありました原子力システム事業や人材育成事業を含む国の基礎研究、人材育成がどうあるべきかというところについて、明確な方向性を示していただいたことについて、文科省を代表して御礼申し上げます。先生方からご指摘いただきました中間取りまとめの方向性を踏まえ、今日も令和7年度の公募の方針を示させていただきましたが、ANECをどうしていくか、原子力システム事業をどうしていくかについて、方向性を示していただいたと思っています。いただいたご指摘を踏まえ、少しでも原子力が前に進むように事務局一同取り組んでいきたいと思いますので、引き続き、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。本当にこの2年間ご支援ご協力いただきまして、ありがとうございました。
 
【生方課長補佐】  最後に寺井主査からもご挨拶をお願いします。
 
【寺井主査】  ありがとうございます。先ほど有林課長からご案内ございましたように、本日が最後の会合になります。私自身は第12期終了で任期満了ですので、一言だけご挨拶させていただきます。
 先ほど有林課長からございましたが、第7次エネルギー基本計画の中での原子力の重要性というのが、第6次から大きく変わったというところは印象的です。今後の原子力の重要性を支える学術と基盤技術、環境整備、人材育成が極めて重要になると認識しております。そういった中で、今後の原子力科学技術に関する政策の方向性が昨年の夏にまとめられたことは非常に嬉しく思っていますし、皆さまのご協力を得て作成のお手伝いができたことを非常に嬉しく思っております。委員の先生方と事務局のご尽力、いろいろな形でサポートいただいたことについて、御礼申し上げます。
 私は12期で任期満了となりますが、今後ともどこかでお目にかかる機会があると思いますので、その時にはぜひ引き続きよろしくお願いいたします。これで私からのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
【生方課長補佐】  ありがとうございました。それでは以上を持ちまして、第24回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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