原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第19回) 議事録

1.日時

令和6年3月7日(木曜日)14時00分~15時30分

2.場所

対面及びオンライン会議にて開催

3.議題

  1. 高速実験炉「常陽」の運転再開に向けた取組と運転再開後の利用方策
  2. 高速炉の実証炉開発について
  3. 高速実験炉「常陽」の研究開発に関する当面の課題
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
黒崎委員
秋山委員
尾崎委員
小澤委員
高木委員
松浦委員
和田委員

 

文部科学省

林 担当審議官
井出 研究開発戦略官
奥 原子力課 課長
髙倉 原子力課 課長補佐
竹ノ内 原子力課 課長補佐
生方 原子力課 課長補佐

オブザーバー

日本原子力研究開発機構 高速炉・新型炉研究開発部門 前田 大洗研究所 副所長
資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 吉瀬 原子力政策課 課長

5.議事録

原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第19回)
令和6年3月7日(木曜日)14時00分~15時30分

【髙倉課長補佐(事務局)】 定刻になりましたので、第19回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。今回の作業部会は対面とオンラインを併用したハイブリッド形式で開催しております。これに関連した確認事項などもありますので、議事に入る前まで事務局にて進めさせていただきます。
まず、オンラインにてご出席の方への留意事項をご説明いたします。委員の皆様におかれましては、現在、遠隔会議システム上で、映像および音声の送受信ができる状態となっております。ご発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと、画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査よりご指名いただきます。もう一度ボタンを押すと、挙手マークが消えますので、ご発言をいただいた後は、挙手ボタンを押して、手を下ろしてください。会議中に映像および音声が途切れている場合は、その時間帯はご退席されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合が生じた場合は、随時事務局宛にお電話にてお知らせください。傍聴されている方におかれましては、ビデオ映像および音声をオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムからご退室いただきます。議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録音録画はお控えください。以上、本日の進行にあたっての留意事項となります。
続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。今回は委員の皆様、および傍聴の登録をされた方たちにメールにて配布資料をお送りさせていただいております。お手元に議事次第を配布しておりますが、本日の議題は4点ございます。1点目、高速実験炉「常陽」の運転開始に向けた取り組みと運転開始後の利用方策。2点目が、高速炉の実証炉開発について。3点目が、高速実験炉「常陽」の研究開発に関する当面の課題。最後に4点目がその他です。配布資料として資料が3つ、参考資料が5つございます。お手元の資料をご確認いただき、不備等ございましたら事務局にお知らせください。また、その他何かございましたら、随時お申しつけください。時間は15時30分までを予定しております。委員の皆様のご出席状況については、開始前に事務局にて確認させていただいております。本日は8名の委員にご出席いただき、運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。また、本日話題提供のため、資源エネルギー庁より、電力・ガス事業部 原子力政策課長 吉瀬周作様、日本原子力研究開発機構より、高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所副所長 前田誠一郎様にご参加いただいております。
続きまして、事務局の参加者についてご連絡いたします。文部科学省からは研究開発局担当審議官の林、研究開発局原子力課長の奥、同じく原子力課長補佐の竹之内・生方・髙倉が参加しております。また、研究開発戦略官の井出は用務のため遅れての参加となります。
それではこれから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の会議議事録につきましてもホームページに掲載いたします。事務局からは以上です。ここから寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【寺井主査】 主査の寺井でございます。委員の先生方お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ご指名でございますので、ここから私の方で議事を進行させていただきます。本日の議題はお手元の議事次第にございます通り、議題1から議題4まででございます。時間は15時30分までを予定しております。黒崎委員は15時ごろ退席と伺っております。
それでは早速ではございますが、本日最初の議題1、高速実験炉「常陽」の運転再開に向けた取り組みと、運転再開後の利用方策でございます。原子力機構 前田副所長よりご説明をお願いいたします。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ただいまご紹介いただきました原子力機構 高速炉新型炉研究開発部門大洗研究所の前田でございます。「常陽」運転再開に向けた取り組みと、運転再開後の利用方策についてご説明をさせていただきます。
本資料では高速実験炉「常陽」の概要についてまとめております。常陽は我が国初の高速炉でありまして、昭和52年に初臨界を達成し、その後積算運転時間は約71,000時間に達しております。これは主要機器の照射量から設定されます設計仕様に対しまして、約半分強となります。運転を通じまして、高速炉炉心性能やナトリウム冷却系の特性把握、高速炉プラントの技術的経験の蓄積等の成果を創出していきたいところでございます。一方、平成19年度定期検査中に照射試験装置のトラブルにより、炉上機構を含む燃料交換機能に不具合が発生したことから運転中断しておりましたが、設備復旧後、運転再開に向けて、新規制基準への適合性確認のための原子炉設置変更許可取得に向けた安全審査への対応を進め、昨年の7月に許可を取得しております。現在、新規制基準に適用するための工事対応を推進しているところでございます。地元との関係におきましては、茨城県主催の原子力安全対策委員会を昨年の10月および12月に開催していただきまして、新規制基準を踏まえた安全対策について説明し、概ね妥当との判断をいただいております。運転再開後、OECD諸国で唯一稼働中の高速中性子照射場を提供できる高速炉といたしまして、実証炉の開発のための照射試験を中心に、加えて、医療用ラジオアイソトープ、アクチニウム225の製造実証などへの活用・貢献が期待されていると認識しております。
資料右下に主要仕様を記載してございます。熱出力は100MWでありまして、発電用軽水炉100万kWのもののおよそ30分の1となります。試験でございまして、発電をせずに炉心の熱は最終的には大気中に放出されます。冷却材は軽水炉の水ではなく、中性子を減速させない液体金属ナトリウムを用います。燃料といたしましては、ウラン、プルトニウム、混合酸化物燃料、いわゆるMOX燃料を適用いたします。炉心の大きさは直径約78センチ、高さ約50センチと小さく、ちょうどブラウン管を半分に切ったような大きさでございます。また、隣接する照射試験設備と連携いたしまして、多様な照射試験技術を保有してございます。
ここでは新規制基準に基づく試験炉用設置許可基準の強化について示してございます。左側が従来の規則基準でございます。右側の新しい許可基準では従来の基準に比べまして全般的に強化をされております。特に地震による損傷の防止の観点では、基準地震動が見直されておりまして、上記につきましては水平方向の加速度が従来の約3倍弱になっております。このために耐震補強をさらに強化することとなります。また、溢水による損傷防止の基準が新たに付け加えられておりまして、使用済燃料貯蔵プールに対し溢水拡大防止堰の設置にて溢水対策を行います。また、福島第1発電所の事故を踏まえまして、設計基準外事象、事故事象への対策といたしまして、多量の放射性物質を放出する事故の拡大防止の基準が新たに設置されております。
ここでは新規制基準対応に係る工事の概要を示してございます。緑で囲ったものが地震等の自然災害対策にあたります。青で囲ったものが事故対策、安全性向上に向けた工事となります。左側をご覧ください。炉心の熱を大気中に放出する主冷却機能を有する建物の地盤につきましては、隣の原子炉附属建屋のそれに比べて浅いこともあり、地盤を安定させるための地盤改良を行います。また考慮すべき地震動が大きくなったことから、配管含め様々な箇所の耐震補強を強化いたします。また、火災対策といたしまして、従来からナトリウム火災に対しては緑色枠で示すように、床や壁面に金属製補強等を設置してきたところでございますが、一般火災に対しましても、先行するケースの動向を踏まえまして、ケーブル類の難燃化や系統隔離を行う予定でございます。制御系につきましては従来あった、中央制御室外原子炉停止盤の設置、独立2系統化といたしまして原子炉の停止への信頼性を高めております。さらに、BDBA対応といたしまして、想定する炉心損傷に備えた安全容器等の冷却能力を補強する予定でございます。
このページは運転再開に向けました安全対策工事の取り組み状況を示してございます。左側の写真は現在進めております主冷却機建物の地盤改良の施工状況を示してございます。右側の写真は、冷却系配管での支持構造装置を示したものございます。ナトリウム冷却高速炉におきましては高温となることから、熱膨張を吸収するため配管の引き回しがございまして、従来から耐震用の配管支持装置を設置しておりますが、炉心加速度の増加に合わせまして制震ダンパ等を有する配管支持装置をより高い強度のものに交換するとともに移設を行います。このように新規制基準に適合する安全性を確保するため、地盤改良、耐震補強、火災防護の強化、竜巻対策、BDBA対策等の工事を順次実施いたしまして、2026年度半ばでの運転再開を目指してございます。
このページは高速炉開発に係る国内動向と「常陽」への期待を示してございます。この高速炉開発に係る国内動向につきましては、この次の経済産業省でもご説明がございますので、ここでは常陽に関連したことを中心にご説明いたします。高速炉開発につきましては、原子力関係閣僚会議で決定されました戦略ロードマップに基づいて実施しております。2022年12月の改定におきましては、ここに①から③に示すマイルストーンを定めております。来年度以降に開始されます中核企業による実証炉の炉概念を選定し、2024年度以降は実証炉の概念設計、研究開発が展開されます。常陽での照射試験もこのような実証炉の工程に合わせて具体化することとなります。また2050年のカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略におきまして、技術の絞り込み、重点化にはJAEAが保有いたします実験炉での照射試験による検証が不可欠であると記載していただいております。また先進的ながん治療等への貢献のために、医療用ラジオアイソトープの製造に関しましても期待を寄せていただいているところでございます。
このページでは、運転再開後の利用方策を示しております。より具体的な内容につきましては、この後のページで説明いたします。まず中心となるものは、カーボンニュートラル、原子力の持続可能性への貢献です。国内の次世代革新炉の開発の一環といたしまして、実証炉を含む次世代高速炉に向けた経済性に優れた燃料の照射試験や、放射性廃棄物の有害度を低減するための照射試験を行う予定であります。また新しい医療への貢献といたしまして、医療用ラジオアイソトープでありますアクチニウム225の製造実証を行いまして、がん細胞だけを選択的に放射線で攻撃できる薬剤の研究開発への貢献を目指しております。その他、国際協力、大学等の共同研究、若手研究者・技術者の育成を実施いたします。大学との共同研究では従来から様々な材料照射試験を実施しているところでございます。また若手の基礎面では、学生向けに原子炉シミュレーターを用いた実習を行っておりまして、運転再開後も本事業を継続いたします。
ここでは実証炉開発への貢献に関しまして全体像を示してございます。実証炉では、経済性や高速炉の意義である環境負荷低減性を実証することが重要と考えております。経済性の観点では、燃料を高燃焼度化して長時間使用することで、燃料製造や再処理の燃料体数を低減することで、燃料サイクルコストを削減することができます。また、より高温での使用が可能な燃料とすることで、冷却材出口温度の高温化が可能であり、これによって原子力プラントの発電効率が向上いたします。このためには、高性能・高燃焼度燃料の開発が必要となります。環境負荷低減の観点では、放射性毒性が強く、半減期が極めて長いマイナーアクチノイドを高レベル放射性廃棄物から分離させ、燃料として使用することで、廃棄物の減容・有害度の低減が可能となります。このためには、MA含有燃料の開発が必要となります。右の写真に示しますように「常陽」では様々な照射試験装置により、燃料集合体レベルの燃料照射試験や材料照射試験が可能でありまして、隣接した施設で迅速に照射後試験が可能となります。これらの燃料を開発し、自社の燃料として適用するためには、常陽での照射試験を通じた、許認可データ取得前の健全性実証が不可欠であると考えております。
戦略ロードマップにおきましては、2026年度ごろを目途に研究開発を実施し、国際協力を通じた知見を得つつ、これらを踏まえて燃料技術の具体的な検討を行うとされております。この燃料計画といたしましては、酸化物燃料と金属燃料の選択肢がございまして、常陽の両タイプは、燃料開発に貢献できることが重要と考えております。下側に、太径中空MOX燃料の照射挙動データの取得例であります、X線CTで撮影したペレット断面を示しております。中空MOX燃料では、ペレット中心部をあらかじめ中空にしておくことで、燃料溶融防止と燃料の膨れによる被覆管との機械的な相互作用の抑制を両立するようにいたしまして、燃料の高燃焼度化に対応しております。また初装荷燃料からの適用を目指す技術でございまして、早期の対応が必要になってまいります。
MA含有MOX燃料の開発に際しまして、既に5%のアメリシウムを含みますMOX燃料の照射試験を実施しておりまして、その照射強度のデータを取得している状況でございます。さらに、我々のSmARTサイクルと称しております研究にて、高速炉サイクルを実証するプロジェクトを進めてございます。常陽の使用済燃料を東海村の核燃料サイクル工学研究所にあります研究施設におきまして、照射試験を実施し、得られた高レベル廃液から約2g程度のMAの回収を達成しております。今後当MAを用いて、研究所の照射燃料試験施設、そのホットセル内でMOX燃料に対し常陽にて照射試験を行う計画で、SmARTサイクルとして実施をしていこうと考えております。
金属燃料は小規模でも優れた経済性を有する核燃料サイクルを構築できる可能性や、プルトニウムを単体で回収せず核拡散抵抗性が高い等の特徴がある一方で、国内での技術的蓄積が限定的という特徴があります。このため、本年1月に締結いたしました日米共同研究を通じまして、米国の高速実験炉でありますEBRⅡ等で金属燃料を照射したデータを入手する予定でございます。一方、この写真に示しますように、既に米との共同にて金属燃料ピンにつきましては研究施設で製造済みでございます。常陽運転再開後にこれらを照射し、照射試験データを入手する予定でございます。このような国内データを用いて、米国の照射実績データの信頼性を確認するなど許認可データを補強することが重要と考えております。また金属燃料が選択されたとしても、国内で開発を進める被覆材を適用することで、高性能化やMA含有燃料を段階的に適用する事が想定され、これらの開発のためにも、常陽での照射試験が不可欠であると考えております。
経済性の観点から、長寿命炉心材料の開発が両燃料に共通して重要となります。酸化物分散強化型(ODS)鋼被覆管は、高速中性子照射によります膨れを抑制しまして、耐照射特性に優れるとともに、高速炉原料での破損モードでありますクリープ損傷破損に対しまして、高温での強度に優れており、国内で開発を進めている材料でございます。このODS鋼被覆管を適用することで、燃料の高燃焼度化、冷却材の高出口温度化を両立することが可能となります。このような長寿命材料を用いた高燃焼度燃料につきましては、実機環境での性能実証には長期間を要しますので、確実に照射試験を進める必要があると考えてございます。
分野は変わりますけれども、次いで医療用ラジオアイソトープでありますアクチニウム225への期待と、常陽を活用した生産について説明いたします。アクチニウム225は、がん細胞に選択的に結びつく特殊な抗体にのせまして、病巣の内側からα線を当て、がん細胞を死滅させるα線内用療法に使用いたします。左下にドイツの研究者から報告がありました末期の前立腺がんの患者に対しまして、試験的な治療を施した例を示しておりますが、3回の投与で移転したがんに対しても大きな治療効果があることが示されております。世界的にアクチニウム225の供給が大幅に不足しておりまして、今後国内でも研究を含めて新たな安定した供給が要望されているところでございます。右側に移りますけれども、アクチニウム225は、放射性物質のラジウム226に高速の中性子を当てて、二つの中性子をはじき出すことでラジウム225を生成いたしまして、その後べータ崩壊によりまして生成いたします。高速中性子束が軽水炉の約10倍でありまして、アクチニウム225の生産に適してございます。また中間核種のラジウム225の半減期は約15日でございまして、核変換後に速やかに分離精製する必要ございますが、常陽の隣には照射燃料集合体試験施設、通称FMFがございまして、ここに整備いたします装置で迅速な化学処理を行えます。既に医療用ラジオアイソトープにかかる原子炉設置変更許可申請を今年の2月に実施いたしまして、原子力委員会にて設定されましたアクションプランに従いまして、令和8年度の製造実証を目指しているところでございます。
研究開発利用スケジュール案を示してございます。上段には、戦略ロードマップやカーボンニュートラル等の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ骨子案に基づく実証炉の概略工程イメージを示してございます。常陽につきましては現在安全対策工事等を実施しており、2026年度の半ばでの運転再開を目指しているところでございます。再開後につきましては、先ほどご紹介いたしました太径中空MOX燃料、MA含有MOX燃料、金属燃料、長寿命炉心材料およびそれを用いた高速炉、高燃焼燃料を対象に実証炉の概念設計等の工程と連動いたしまして、照射試験を進める予定でございまして、得られた燃料材の照射データは③の矢印で示しますように基本設計や安全施設に活用いたします。長寿命炉心材料等を用いた燃料につきましては、長期の照射期間を要することから④に示しますように、実証炉の取替燃料に対して反映することを目指してございます。また医療用につきましては、2026年度にアクチニウム225の製造実証を行いますが、その後もラジウム226の取り扱い量を増やしまして、創薬研究等に活用することを検討しているとこでございます。
次のページお願いします。まとめでございますけれども、この際のポイントと確かに三つの矢羽で示してございますが、繰り返しとなりますので説明については割愛させていただきます。以上で説明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
 
【寺井主査】 どうもご説明ありがとうございました。それでは本件につきまして、委員の皆様方からご意見ご質問等ございましたらよろしくお願いをいたします。ご意見のある委員におかれましてはオンラインシステムの挙手機能を活用いただきまして、私の方から指名をいたしますのでその方はミュートを外してご発言いただきますようによろしくお願いをいたします。ご質問コメントいかがでしょうか。たくさん手が挙がりました。上の方から行きます。黒崎委員お願いします。
 
【黒崎主査代理】 ありがとうございます。私の方からは3つ発言があります。まず1つ目が1ページにあった「OECD諸国で唯一」というところがかなり重要です。いまロシアの話とかがあって東側と西側っていうのが、この原子力の分野で分断されている状況のもとで、我々がこの唯一稼働中、しかも高速炉の実験炉を持っているのは、かなり価値があると思っています。それをよくご理解いただきたいところが1つです。
次が5ページのところで、常陽をどうやって使っていくかという観点でお話があります。当然医療用RIというところは非常に面白いですけれども、実証炉開発に向けて必要不可欠なデータをこれでどんどん取っていく利活用が重要だと思っています。そこで取られたデータは先ほど言ったように実証炉のところに繋がることはもちろんですけれども、実は学術的にも結構レベルの高い価値の高いデータが取れているところをこちらも皆さんによくわかっていただきたいと思っています。例えば9ページに非常にわかりやすいデータがあったので少しお話させていただくと、この9ページの右上で中心空孔と書いて赤い線が出てるのがあると思いますが、これアメリシウムの濃度を表してるんです。アメリシウムとかプルトニウムとかウランっていうのは全てアクチニド元素ということで挙動は結構共通して同じような挙動をとるのではないかと普通は思うのですけれども、実はアメリシウムとプルトニウムはこのように中心空孔の近くでぐっと濃度が上がる。一方でウランは濃度が下がるという非常に面白い挙動が見れる。しかもそれが元素それぞれの特徴から理解できる非常にレベルの高い研究というのも、この常陽から出てきているというのがあります。だから単に役立つだけじゃなくてそういうところでの評価も高いことを少し紹介したかったということです。これが2つ目です。
3つ目が、照射するだけでは駄目で、照射後試験が必ずセットでできるように整備していく必要があります。こういう分析をして、別のところの施設整備も常陽の整備と両輪でやっていかなきゃいけないというところで、そちらについてもきちんとやっていただきたいのが私からのコメントになります。以上3点でした。よろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。3点ともコメントでございまして一番最後のところが聞きにくかったのですが、常陽の整備だけじゃなくてその周辺設備の整備も必要であると。
 
【黒崎主査代理】 おっしゃる通りです。
 
【寺井主査】 承知いたしました。ありがとうございました。文科省さん何かございますか。基本的には3つともコメントでその通りかなと思うのですけど、よろしいですかね。ありがとうございます。
特に黒崎委員は核燃料の専門家なので、基本的にその照射燃料の挙動は極めて重要で、これは応用上だけじゃなくて学術上も極めて大事だということを強調されたかったというふうに理解をしました。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは小澤委員どうぞ。
 
【小澤委員】 小澤でございます。ご説明ありがとうございました。いくつか質問があるのですけれども、今日回答いただければありがたいですけども第5回の機会があるようですので、できればご検討いただきたいということであります。大体時間軸に関わるような質問と思っております。
1つ目は先ほど1ページ目のところでラジオアイソトープの製造実証OECDで唯一ということでありました。つまり今OECD諸国では常陽が動いていないということはアクチニウムを供給できない状態にあるということでいいのかどうか。つまり救えない人が本当にいるのかどうかというのが気になったところなので、位置づけを明確にしていただいた方がいいかなと思います。もちろんこれはどんどんやるべきだという私の意見でありますけれども、その辺の表現が気になったところでございます。
5ページ目に行きますと実証炉のことが書いてあります。昨年GX実行会議とか予算がついたり、結構大きな転換があったと思います。学術的な価値もちろん追求していただくのはそうなのですけども、実証炉実用化に向けた路線の方も力を入れなければいけないかと思っております。そこでここでも2050年カーボンニュートラルに伴うというところでグリーン成長戦略のところの2つ目のポツ、常陽においては大量製造することが可能であると書いてあります。その後ろの方に行きますと、6ページ目先進がん治療のためのラジオアイソトープの製造とあったり、さらには12ページ目に期待と生産についてというタイトルの中で、アクチニウム225の供給不足、3000人分に対して不足していると書いてあるので、これは時間がかかると思いますけれども常陽で一体どのぐらいの人が救えるのかということが気になっています。貢献するからにはそういった時間軸を気にする必要があると思っております。実証炉への貢献については8ページ目に、戦略ロードマップでは2026年度頃を目処に書いてあって、酸化物燃料の開発が重要と書いてありますけれども、実際に再稼働するのは令和8年度半ばという状況になっておりますので、この辺のロードマップが改定されるつもりがあるのか気になったところでございます。
いくつかありますけれども、もしご検討いただければその場で回答もしくはご検討いただければと思っております。以上です。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。3点いただきまして最初の2点は主に医療RIのアクチニウム225製造についてのお話。それから3つ目はロードマップを改定する考えがあるかですが、これは文科省さんがいいですか。それともJAEAがいいですか。前田様いかがでしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 回答いたします。まず12ページ目を御覧いただきたいと思います。医療用RI、アクチニウム225の減少についてご質問と理解しております。今、ここに供給不足で供給量が3,000人分としてございますが、今現在供給されているものはウラン233の崩壊系列が出てくるアクチニウム225に対応しています。これは233につきましては、アメリカやロシアとかいったところ、それからドイツも入っているのですけども、核兵器を開発する途中でそういった可能性として開発されて製造されたものが残っております。そういったものからミルキングで入手したものが今使われてると。あとラジウム226を高速中性子を当てて中性子2つをはじき出して、ラジウム225を作るパターンがございますが、これにつきましては、高速炉以外に加速器といったものでも製造できますが、高速炉には中性子がたくさんあって、照射スペースももう非常にたくさんありまして、大量にできるということは非常にメリットだと考えております。どのくらいの量かということになるのですがここに下の方に小さくラジウムのキャプセルが書いてあります。数グラム程度のラジウムを照射することで、日本国内のかなりの需要といったものが賄えるというのは試算をしているところでございます。
それから13ページ目を示していただきたいのですけども、時間軸についてのご説明です。次の運転再開と燃料技術の具体的検討という部分がございます。この燃料技術具体的検討というところまでに、現在の計画では燃料形態である酸化物燃料なのか、それから既存燃料になるかという選択をするということになります。常陽の照射試験データを使って選択するというよりは、先ほど申し上げました日米の共同研究で得られましたアメリカのいろんな様々なデータといったものを現在これが評価しようとしておりまして、そういったものを評価した結果、その実証炉としてどういう目的、達成目的が実施可能であるかを評価して進めることで、今この燃料技術の具体的検討といったものを進めようとしていると理解しております。
 
【小澤委員】 ありがとうございます。RIの方は今のところ解体核兵器ってことになるのでしょうか。そこから出てくるので賄っているが不足している。常陽が動けば、少なくとも日本国内は足りるようになりますよと理解しましたけどそれでよろしいですか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 言葉足らずで申し訳ありません。やはり昔に原子力をいろいろ多様に使う目的の中でウラン233といったものを作っていた国がありまして。それが過去の遺産として残っていて。そこからアクチニウム225が得られてきている。そういった遺産をもっていたのが特定の国だったということです。
 
【小澤委員】 わかりました。それから酸化物燃料はアメリカのデータというと、多分EBRⅡですかね。運転が古いといいますか、何年も前のデータになるのではないかと思います。そういうものを今この時点でテーブルに乗せて比較をするということになってしまうみたいに聞こえたのですけど、そういうことでよろしいですか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 米国のデータにつきましてはおっしゃる通りEBRⅡというのはもうかなり40年前近くに提出したデータでございますけれども、やはりいろんな技術的蓄積がございますので、それをしっかり我々として精査して、それが適用できるものかといったものについて確認して評価していこうと、そのように考えている。
 
【小澤委員】 つまり常陽の方は最近いつまで運転したかと。多分震災前は少なくとも運転していたかと思うのですけど、40年前のデータと10年ぐらい前のデータが比較されると、そういったことになるのでしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 そういった実績データとしましては、基本的にはそう思いますし常陽だけではなくてですね。例えば日仏での共同研究を行っておりまして、Phenixといったもののデータ、特にそういったPhenixを立ち上げる際のデータはありますので、そういったデータを今、協力関係の中で入手してございますので、そういったものを活用しながら対応していくと、このように考えております。
 
【小澤委員】 アメリカのデータも2030年ぐらいになれば出てくるかもしれないですけど、それはそれで2026年時点で判断してしまうということになるのでしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 アメリカのデータをなかなか今継続燃料で動いてるとこはなかなかないので、新しいデータは出てこないと思いますけれども。26年のところで判断するという計画、これは戦略ロードマップの中で設定されているマイルストーンと理解しております。
 
【小澤委員】 わかりました、ありがとうございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。それでは和田委員お願いします。
 
【和田委員】 ありがとうございます。ご説明どうもありがとうございました。コメントといいますか、期待を3点申し上げたいと思います。
まず1点目ですけれども、2026年の運転再開をぜひ果たしていただいて、実証炉の早期実現に貢献いただきたいと思います。特に新規制基準対応の中で得られた知見や経験を、実証炉やそれに続く商用炉の安全性向上や審査対応に有効に生かしていただきたいと思っております。
2点目ですけれども、先ほどからお話が出てますけれども、常陽はOECD諸国では唯一の高速炉ということで、ぜひ国際協力ですとか、あと国内の研究人材育成にも役立てていただきたいと思っております。一方運転開始から45年以上経過しておりますので、安定的に運転を続けていくためにも、高経年化対策や今後の燃料確保に十分ご留意いただければと思います。
あと最後に3点目ですけれども、6ページにあります放射性廃棄物の有害度低減ですとか新しい医療への貢献などは一般社会にはあまり知られていない原子力の魅力であると思います。このような利用方策を広く社会に知ってもらうことで原子力の価値・貢献を認識してもらい、将来の担い手である若い人たちを惹きつけていただきたいと思っています。以上でございます。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございました。多分3件ともコメントで激励の言葉というふうに承りましたけれども、前田副所長何かございますか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ありがとうございます。まさに期待を寄せられた試験炉でございますが、いま安全対策工事の半ばでございますので、しっかり安全を確保して地元の方のご理解を得ながら確実に運転再開を果たしていきたいと考えております。ご指摘ありがとうございました。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。多分一般社会へ原子力の有効性、特に医療貢献、ここのところを主張するのは重要な話かなと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。それでは松浦委員お願いします。
 
【松浦委員】  説明ありがとうございました。私の方から11ページの経済性のところについて教えていただきたいです。このスライドの方に燃料の高燃焼度化ということで「取出平均燃焼度150GWd/t」という数字が出ているのですが、一応今のところこれがJAEAさんとしての高燃焼度化の1つのターゲットになっているという理解でよろしいか。また実際に常陽で燃焼させた場合に一体どれぐらいの期間の運転が必要なのか、データが出てくるまでに何年ぐらいかかるのかといったところをお聞きしたいと思います。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ご指摘ありがとうございます。今はODS鋼の開発体系はご指摘の通りでございまして、この取出平均燃焼度150GWd/tと冷却材の出口温度といたしましては550℃を目指してございます。いつまで照射試験を用意しているかという御指摘でございますけれども、試験炉ということもございまして稼働率がその時々によって変化しますので、かなりの長期に渡ることは間違いないと思っておりますが、具体的数字はここでは差し控えさせていただきたいと思います。
 
【松浦委員】 わかりました。それともう1つだけお願いしたいです。開発目標の中に酸化物燃料、金属燃料、いくつか挙げられているのですが、この中で特に運転再開後に同時に全部一斉にスタートするとか、優先度をつけられているのか。それかもしくは先ほどEBRⅡのデータとかの精査とかおっしゃっていましたのでこれから検討されるのか。その辺りがどういう状況になっているのかというのも教えていただけますでしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 なかなか一斉にというわけにもいかないところもございまして、先ほど申し上げました燃料技術の具体的検討ということで、エネルギーの具体的検討という中では、ある程度酸化物からできるかという選択の様子を見てまいろうと思っております。そういうものを見ながら、どういう優先順位で照射をするかということについては今後また具体化していきたいと考えているところでございます。
 
【松浦委員】 わかりました。ありがとうございます。
 
【寺井主査】 よろしいでしょうか。その他ご質問いかがでしょうか。よろしいですか。それでは私の方から2、3点お伺いしたいと思います。
まずスライドの8ページで、中空燃料を作るという話ですけれども、最初から中子をいれて中空にした焼結体を作るというそういう理解でよろしいですか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ありがとうございます。製造時にペレットを成形する際に中に中子的な形をしたプレス機を入れてペレットを成形するという、そういった技術を用います。
 
【寺井主査】 わかりました。昔振動充填で粉末を入れて、それで焼結が進んでくると、中が高温なので自動的に中空になる話があったのですが、もうそれは特には今回は考えておられない。そういうことですね。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 振動充填燃料につきましてはロシアでかなり研究されていた経緯がございます。ペレットを作らずに粉を被覆管に詰めるということになりますと製造時のプロセスはかなり簡素化できるといったようなメリットもあるわけでございますが、一方で例えば酸素を調整するために金属ウランの粉末を入れる酸素ゲッターといったものを合わせて入れることになるのですが、そういったMOXの粉と金属のウランの粉といったものを均一に安定して管理するというのはかなり難しい技術でございます。そういうことを踏まえまして、かつてFaCTと呼ばれておりました高速炉の実用化研究中の2006年当時ですけれども、提供する技術を絞り込む際に、当時のペレット加工技術が最有力と選択する際に進行燃料についてはその開発を中断したという経緯でございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。よくわかりました。
次に9ページお願いいたします。実際にSmARTサイクルということで照射をして照射試験をして分離して、もう1回燃料にして作るという話で、常陽以外のいろんな施設を実際に使ってということですけれども。このときに作られる燃料といいますか、いろんな規模のものがあると思います。例えば具体的には燃料集合体、それから燃料要素ですね。それからシンプルに研究のための照射試験装置というのが確かあったと思います。実際にここで想定されておられる燃料の照射試験のサイズといいますか、規模といいますか、これはどういうふうなものを想定しておられますか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 今回回収したMAにつきましては、約2g程度ということになりますので、それは大量ではございません。従いまして、照射燃料試験施設AGFで持ってできるものは燃料ピン1本程度というレベルでございます。そういった実験室規模でございますけれども、実際に高速炉の使用済燃料から1周してMAリサイクルを見せて技術の全体的な形成を確認していきたいと考えたところでございます。
 
【寺井主査】 わかりました。ありがとうございます。とりあえずは燃料ピン1本レベルでサイクルを完結させるということを想定しておられるということですね。よく理解できました。それからあと10ページの金属燃料のピンを常陽で照射する話ですけども、これ製造済みって書いてあるのですが、JAEAで作られた金属燃料ピンという理解でよろしいですか。それとも電中研とかその辺りでしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 これは電中研での共同研究で作った金属ピンでございまして、製造した場所につきましては電力中央研究所の燃料研究棟というところのグローブボックスの中で作ったピンでございます。
 
【寺井主査】 組成としてはウラン、プルトニウム、ジルコニウムということでよろしいですか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ここに記載がある通りプルトニウムが20%、ジルコニウムが10%、残りはウランということになります。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。最後のご質問ですがスライドの12ページで医療用のラジオアイソトープ製造は極めて重要なアクションだと思います。実際にRIの製品といいますか、最終的に薬剤まで作ろうと思いますといろんなプロセスがあります。ラジウムを分離して、これを照射用の例えばペレットであるとか、そういうものにしないといけないと思います。照射は常陽でやるとして、その後の化学処理ですね。溶解抽出とか、それから抽出したRIを、例えば薬剤に作っていくとかいろんなプロセスが入ると思うのですけど、JAEAはどこからどこまでやられるというそういうご予定でしょうか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 12ページ目の下側に小さな図があって、示してございまして、少し詳しく説明いたします。既に我々は材料照射試験技術を使って、従来材料試験を入れるところにこのラジウムの入ったキャプセルを入れるということになります。それを常陽で照射いたしまして、それをまたFMFに戻します。少し開封してラジウム226とそれから核変換されたものを取り出して、FMFの中に、またはグローブボックスの中に化学処理のラジウムとアクチニウムを化学的に分離できるプロセスに入る装置を導入いたしまして、そして実際にアクチニウム225を分離するところまで今我々が実証しようとしているところでございます。
その後の製薬については、また次のステップで考えていきたいと。また外部の機関と協力して行っていくものと考えております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。最初のキャプセルターゲットはラジウム226の製造といいますか、多分酸化物か何かの形になると思うのですけど、ラジウム226を分離するところから始めないといけないと思うのですが、そこもやられるということですね。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ラジウム226は一応購入して、いろんなところから残っているラジウム226を集めてきてそれを確保いたしましてキャプセルに入れるということを想定しております。
 
【寺井主査】わかりました。ありがとうございました。ちょっと私の個人的な興味で、いろいろ質問していましたけれどもご回答いただきましてありがとうございました。
その他ご質問ございませんでしょうか。和田さんよろしいですか。はい。特に手が挙がっていないようでございますので、それでは議題の1をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ありがとうございました。
 
【寺井主査】 それでは引き続きまして議題の2に移らせていただきます。議題の2は、高速炉の実証炉計画についてでございます。こちらは資源エネルギー庁の原子力政策課 吉瀬課長よりご説明をお願いいたします。
 
【資源エネルギー庁原子力政策課 吉瀬課長】 どうも資源エネルギー庁原子力政策課長の吉瀬でございます。本日お時間いただきましてありがとうございます。高速炉の実証炉開発についてご説明を申し上げます。既に先ほどのJAEAさんからのご説明の中にも含まれていた情報を重複するものもありますので、そこは割愛させていただきながらご説明をさせていただきます。
まず2ページでございますけれども原子力政策における高速炉の位置づけをおさらいさせていただきたいと思います。エネルギー基本計画におきましては、下線引いておりますけれども、高速炉開発の方針および戦略ロードマップのもとで米国はフランスなどと国際協力を進めつつ高速炉の研究開発に取り組むと。これが令和3年10月閣議決定のものでございます。それで戦略ロードマップではどう記載しているかというところがその次でございますけれども、マイナーアクチノイドなどを分離回収し、高速炉で燃焼させることにより、高レベル放射性廃棄物の減容と潜在的有害度低減の実現と、また資源の有効利用ということについても記載をしております。さらに昨年2月に元々GX基本方針が出た後のGX推進法に基づく推進戦略でございますけれども、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発建設に取り組むと記載をしているところでございまして。この次世代革新炉の中に高速炉が含まれているということでございます。
次のページ、この辺りはもう先ほども言及あった話ですので簡潔にご説明いたします。我々といたしましては、核燃料サイクルにおいて高レベル放射性廃棄物の減容化、さらには有害度低減、そしてその資源の有効利用というところが大きな要素となっておりますけれども、高速炉を用いることによってさらにその効果を高めることができる可能性があるというものだと認識をしております。
さらに次のページでございますけれども、いま開発を目指しておりますナトリウム冷却高速炉の特徴についてございます。これも皆様よくご存知だと思いますけれども、やはり我々として注目をしておりますところは、まず一つはその優れた安全性というところでございます。パッシブセーフティというところが少なくとも現行の軽水炉に比べると大きく進歩するところであろうと思っております。また繰り返しになりますが、資源の有効利用、更には廃棄物の減容、保有が低減というところ。あとはその炉のナトリウムを冷却材として使うことによって、得られる量としての特徴というところも利点であろうというふうに思っております。一方課題はもうこれも釈迦に説法ですが金属ナトリウムの取り扱いであったり、あるいはその安全規制の整備です。今言ったところは大きな課題であろうと思いますし、また先ほど議論に出ておりましたけれども、燃料の技術開発というところも大きな課題になってくるかなと思っております。
次、5ページ目。これはもう参考でございますけれども、先ほど委員の方からのご言及ありました。世界の高速炉の開発状況という意味では、ロシア、中国、そういったところが先行しているという中で、我が国としてはこれまでもフランスと協力した共同研究をやってきておりますけれども、特に最近ではアメリカとも、アメリカで言いますと開発が進んでいる高速炉との技術協力というものも同時並行で進めていると。そういう中で我々自身も実証炉の今開発に着手をしたところであるという位置付けでございます。
次のページは非エネルギー分野への貢献というところでもう既にお話ございましたので割愛をさせていただいたのですけれども、我々としてもそういう複合的な高速炉の価値というところは社会に訴求するべき点であろうというふうには思っております。
7ページでございますけれども、高速炉におけるサプライチェーンの状況というところもやはり実証炉の開発を進めていく上で考えていくべき要素というふうに思っております。まさにこれまで我が国国内におきまして常陽、もんじゅの建設を通じてサプライチェーンを構築してきたというところでございますが、その後20年以上の空白期間が開いているという中で、そのサプライチェーンの一部に脆弱性があるというふうには認識をしております。まさにここをどう埋めていくか。あるいはその将来に繋げていくかという観点からも、今回我々が始めたその実証炉の開発というものがより必要になってくるということではないかとも考えているところでございます。
8ページ目でございますが、これは実証炉の開発事業を開始するまでの経緯をざっとさらっているものでございます。大きかったのは2022年に開催されたGX実行会議というところでございます。こちらの会議の中で次世代革新炉の開発建設というものが位置づけられまして、それが最終的には基本方針として閣議決定をされると。そしてそれに基づいて法律が成立をいたしまして、そういった動きの中でこのご時世、革新炉の開発建設、高速炉。あと今回のテーマではございませんが、高温ガス炉の実証炉の開発事業というところが始まったところでございます。昨年3月から4月に提案公募を実施いたしまして、昨年7月に高速炉開発会議の戦略ワーキンググループにおきまして炉概念として三菱FBRシステムズ株式会社が提案するナトリウム冷却タンク型高速炉を選定、また中核企業として三菱重工業株式会社を選定したという経緯となっております。
9ページはまさにその高速炉の技術評価委員会での炉概念の仕様と中核企業の評価に関する概要のまとめでございます。3社の提案を受けました。この中でその下半分に書いてございますように最終的には三菱FBRシステムズの提案に対する評価をよしとしてナトリウム冷却型タンク型高速炉を今回の炉概念仕様と中核企業ということで選定をしたものでございます。具体的な評価クライテリアについても10ページ以降参考として掲載をさせていただいておりまして、先ほど申し上げた9ページの点はそれをやや抜粋した評価について掲載をさせていただいております。どういった項目について評価をしたかという点については10、11、12ページをご参照いただければと思っております。
13ページ目でございますけれども、そのように炉概念と中核企業を選定いたしまして、GX経済移行債による支援策として高速炉の実証炉開発について予算を23年度から我々獲得を始めたところでございます。金額は記載の通りですけれども、23年度、24年それぞれ国庫債務負担行為を含めた3ヶ年間の予算ということで予算の獲得をしてきているところでございます。その下のポツに書いてございますが、先ほどご紹介した中核企業あるいは概念の選定の話でございますが、今後の作業計画という意味においては左下に簡単に記載をしておりますが、来年度から実証炉の概念設計、あるいはそのための研究開発を本格化していくというフェーズに入っていくところであります。なお先ほど議論で出ておりました燃料技術の具体的な検討ということにつきましては、2026年頃と、26年度ごろというふうにさせていただいております。いつという明確な区切りがあるわけではございませんが、一つの目処としては2026年度頃ということをお示しをしているところでございます。
1点申しそびれましたけれども、燃料費高騰について言えば9ページ目に戻っていただいて、我々の選定をした提案に関して申し上げれば、酸化物燃料を主概念とし金属燃料を副概念とし、どちらにも対応可能な炉心設計をするという形で採択をしているところでございます。
14ページ目は技術ロードマップを概略を図示したものになります。こちらについてはその当時の前提情報を基に大まかなタイムラインを引いたものです。15ページを見ていただきますとまさにロードマップをさらに詳細化具体化をしていくということが実証の開発事業を進めていく上で必要と考えております。そのために中核企業やGXにおける要素技術開発の進捗状況を電気事業者の知見を踏まえながら、設計機器の実証、照射試験等の具体的なステップ、規格基準類の整備の進め方、マイルストーンで求められる技術的成果と、そういった重要な要素関連プレイヤーの参画を得ながら今後順次整理をしていきたいと考えておるところでございます。これによって先ほどご紹介したロードマップについても見直す必要がある部分が出てくれば、そこは見直しをしていくということになろうかと思っております。
最後16ページ目でございますけれども我々の視点から見た常陽への期待というものを少し書かせていただきました。先ほども委員の間でもお話がございましたが、常陽そのものに加えて隣接する照射後試験施設を含めた活用ということが、高速炉の実証炉開発事業においても重要な要素になってくると思っております。大きく2つ書かせていただきましたけれども、この経済性向上を目的とした高速炉燃料および炉心材料の研究開発、またマイナーアクチノイド有害度低減についての重要な要素であるマイナーアクチノイドを含む燃料の特性挙動に関する研究開発といったところに常陽に貢献いただければということで期待をしているところでございます。私からのご説明は以上になります。
 
【寺井主査】 ご説明ありがとうございました。それでは本件につきまして委員の皆様方からご意見ご質問等ございましたらよろしくお願いをいたします。それではご質問コメントいただける方は挙手にてお願いいたします。小澤委員どうぞ。
 
【小澤委員】 ありがとうございます。応援メッセージ的になるのですけども、久しぶりにプラントレベルでのプロジェクトが動き出して非常に期待しているというところでございます。5ページ目の各国の高速炉の開発状況を見ると、やはり実証炉あるいは商業炉という段階にありますので、そういった工業レベル、インダストリーレベルで動いている各国に追いついてきたという印象でございます。実証炉という名前ですけれども、実態としては商用炉の1号機みたいな感じだと思いますし、JAEAさんにおかれましては実証炉がゴールではなくてその後の発展に向けての貢献もあろうかと思いますので、強力なプロジェクト推進をお願いしたいと思います。以上です。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございます。応援のメッセージでございます。その他いかがでしょうか。それでは私の方から2点ほどお伺いします。1つは14ページでの導入に向けた技術ロードマップのところです。今回の実証炉ということで非常に先が見えていいと思うのですが、もんじゅは原型炉でしたけれどもこれはループ型でしたよね。実証炉はタンク型になるのですけれども、ここのところでの炉形と言っていいのかどうかわかんないけど、システムの変更については、あまり違いはないという理解でよろしいですか。
 
【資源エネルギー庁 吉瀬課長】 基本的にはそのように認識をしております。もちろんその形態として今回我々が選定した炉形はタンク型でございますけれども、ループ型であるもんじゅにおける得られた知見というものも今後実証炉開発に反映されると思っております。今回タンク型になったのは世界の潮流となっているタンク型を採択することで、国際協力によって得られる知見も活用していくということを念頭に置いておりますので、おっしゃっていただいたようなご理解で結構かと思っております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。これも質問していいのかどうかわからないですけど、5ページにロシア、中国、インドがございます。ここの高速炉のタイプは、私は不勉強で申し訳ないですが、どんな感じでしょうか。
 
【資源エネルギー庁 吉瀬課長】 私どもが認識している範囲では、いずれもタンク型であると承知をしております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。そうしますともうタンクが今国際的な標準になりつつあるということで、当初は我が国地震の問題があるのでどうなのみたいな話もありましたし、それから高温になるので配管等の膨張があるから、それを逃がすためにループ型というようなことを選定したという記憶が若干あるのですけど、そのあたりのところもう問題はほとんど解決されると、そういう理解でございます。ありがとうございます。
それからもう一点15ページでロードマップについての話があって、今後の取り組みの方向性についてです。実際に経産省さんが主管されることに実証炉ではなると思うのですけど、このときの中核企業は三菱重工業ということで理解しているのですが、事業実施主体はまだ確定していない、あるいはそのJAEAさんがやられるのか。この辺りの状況についていかがでしょうか。
 
【資源エネルギー庁 吉瀬課長】 我々としてもですね、できるだけ急ぎたいと思っておりますが現時点では実施主体というのは確定していないという状況でございます。当初司令塔組織という議論もさせていただきながら、実施主体の議論をしてきておりますけれども。おそらく今後進めていくべき研究開発のステップに応じたあり方というようなところも考えながら具体化を進めていきたいというふうに思っております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。そうしますと、とりあえず文科省さんの掌握範囲は常陽までということになりますかね。それから燃料の基礎研究というあたり、その辺りが一応ゴールとなって、うまく経産省さんにバトンタッチできるといいなと、そういうふうな理解でよろしいですかね。ありがとうございます。
その他ご質問コメントいかがでしょうか。秋山委員お願いします。
 
【秋山委員】 ご説明ありがとうございます。詳細なロードマップで具体的になってきた印象ですけれども、今後2050年に向けて数十年の単位でハードができたとしても、その中で技術的に動いていく人材が重要になってくると思います。高い専門知識とか技術が安全な運転には必要になってくると思うのですが、高い専門知識を持った人材の育成、それからの確保に向けてはどのような方策をお持ちかというのを教えていただきたいです。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。次世代人材育成なのでこれは経産省よりは文科省さんかもしれないですが、吉瀬課長、まず何かございますか。
 
【資源エネルギー庁 吉瀬課長】 ご指摘いただいてまさに人材はまさに開発作業そのものでございますし、その先に向けた運転フェーズを考慮しても大変重要になってまいりますけれども、この点はまさにその研究開発というだけではございませんので、我々としては電力業界の人材を含めてチームアップをして、この開発の推進体制を作りまして。その開発を進めながらまさに人材育成というのを同時並行で進めていくというような形かなと思っております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。多分そうなるとこれは原子力産業協会さんの関係かなと思うのですが話題に何かコメントございますか。
 
【和田委員】 人材の育成について、我々も人材育成ネットワークでJAEAさん、JICCさんと共同で事務局を務め、進めさせていただいております。今般改訂版の戦略ロードマップが完成いたしまして、今後そちらのロードマップに従って各分科会の活動にいろいろ落とし込んで行こうと思っているところです。そういった中で高速炉も含めて研究開発人材の育成などに取り組んでいくことにしておりますので、引き続き皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。 文科省さんありますか。
 
【奥課長】 人材育成については文科省の方でも人材育成ネットワークであるとか、あとJAEAの取り組み等含めて特に原子力の専門人材の育成というのを自主的にANECの活動を通じて取り組ませていただいています。特に高速炉の開発に関して、高速炉の将来を担う人材育成は常陽の研究開発で育成していく人材と表裏一体だと思いますので、研究開発・人材育成を一体的に取り組んでいくのを進めて行きたいです。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。多分一言で人材育成といってもいろんなレベルのもものが多分あるし、いろんな分野を対象にすることに多分なりますので、そのあたりの整理をうまくやっていただきたいということ。それからいろんなところで人材育成やっていて
文科省さん、経産省さん、原産協会さん、JAEA、それから規制庁ですかね、その辺りの人材育成のネットワークで役割分担と対象をうまく整理をいただいて、取りこぼしのないようにお願いできればというふうに思います。ありがとうございます。その他いかがでしょうか。よろしいですか。それでは特にご意見、この後ないようでございますので、これで議題の2番目を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
それでは次に議題の3番目でございます、高速実験炉「常陽」の研究開発に関する当面の課題ということで、ご議論いただきたい内容について文部科学省の井出戦略官からご説明をお願いいたします。
 
【井出戦略官】 文科省の戦略官をしています、井出と申します。よろしくお願いいたします。それでは「常陽」の研究開発に関する当面の課題について簡単にご説明させていただければと思います。
まず2ページ目ですけれど、こちら「常陽」の運転再開に係る背景と経緯でございます。先ほど原子力機構さんの方から簡単にご説明ございましたけれど、「常陽」は高速増殖炉開発の効率化推進を目的といたしまして、我が国初の高速炉であるということで昭和50年に臨界を迎えております。炉心構成を3回ぐらい変更しながら増殖の性能ですとかあるいはサイクルの実証といったことを実証してまいりまして、照射試験等の実績を積んできたというところがございます。平成19年にトラブルがございまして運転中断しております。その後復旧いたしまして、原子力規制委員会の安全審査を受けまして、昨年7月審査が終わりまして、再開に向けた許可を取得している状況というところでございます。今は令和8年度半ばの運転再開に向けて安全工事等を行ってきたというところです。国際的には先ほど経済産業省さんからもご説明ございましたけれども、ロシア、中国、インドにおいては高速炉の運転が始まっているというところでございまして、常陽はOECD諸国において唯一の稼働する高速炉ということになりますので、非常に注目が高いというところでございます。
こうした中で次の3ページ目でございますけれど、当面の課題ということでこれから運転再開あるいは運転開始した後、様々な課題を解決しながら進んでいかなければいけないというところでございます。そのご紹介になります。一つ目が常陽の運転再開に向けた課題というところでございまして、運転に必要な体制ですね。先ほどちょっとトラブルがあって止まったということがございますけれども、15年ほど止まっておりました。運転員等の確保や教育ということが必要になってまいります。また関連施設を含めて安全対策工事もやっておりますけれど、かなり古い部分もございますので、高経年化対策にも取り組んでいく必要があると考えております。またOECD諸国唯一の稼働可能な高速炉の照射場ということでございまして、これまでも非常に多くの照射のために利用していただいていましたけれど、少し期間が空いてしまっておりますので、今後も多様な利用を模索していろんなところとのコネクションを作っていく必要があるかと思っております。
二つ目でございますけど、運転再開後ということでございます。これも原子力機構さんからいろいろご説明ございましたが、実証炉の開発に向けて経済性に資する燃料ですとか、あるいはその材料の開発。こういった照射試験でマイナーアクチノイド量を環境負荷低減するために開発していくことが本当に運転再開後は問題で課題になってくると思っています。もう一つアクションプランにしたがってアクチニウムのラジオアイソトープを用いた薬剤の研究開発につきましても製造実証を行っていくということがございます。そのために、実際の薬を作っていくための協力体制を構築していくということも大きな課題になってきていると思います。
3つ目ですけれども今の2つに加えまして国内外の大学ですとか、そういったことの共同研究。あるいは先ほどもございましたように、研究者技術者の育成ということがございます。もんじゅを稼働するにあたってかなり技術者ですとか、メーカーから人に来ていただいて「常陽」を使って教育をしていったという歴史もございますので、今後も実証炉に向けたそういった人材育成も徐々に使ってやっていくということがあります。3つ目ですけれども新燃料の供給ということでございまして、これまで「常陽」の燃料はプルトニウムの燃料開発の第3開発室で、プルトニウムを使ってこれまで作ってきたという歴史がございます。ただ規制との関係でなかなか、プルトニウムを使って燃料を作っていくのが難しい状況に今なってきておりますので、当面の例は確保できているのですけれど、実証炉用の照射燃料ですとか材料の照射をするために、やはり新しい燃料を確保することが必要であるということがございます。そのための方策としましては、国内で製造する、あるいは海外から調達するといろんな方策があると思いますけれど、こういった見通しを少し今後検討していかなければいけないということも課題と考えております。こちらにつきましてはこの審議会、また5月に開催する折に今いろいろ検討を機構さんの方でもしていただいておりますので、その内容を取りまとめて、5月にご説明をさしていただきたいというふうに考えております。私からは以上です。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございました。当面の課題ということで詳細については次回以降のこの会議でご説明いただくということでございます。ご質問等ございましたらお願いいたします。尾崎委員どうぞ。
 
【尾崎委員】 コンパクトに課題をまとめていただいていると思います。議題1、2で米国などとの協調という表現がありますが、この資料は大学間の共同研究が中心です。また、海外からの燃料調達について書かれていますが、議題1でお聞きしたところによると、政府間で本格的な提携が行われる可能性があると理解したのですが、この点はどう考えればよろしいでしょうか。海外、特に米国との提携ですが、ここでは、大学との共同研究と燃料の調達のみが書かれています。それ以外に本格的な政府間の共同事業が計画されているのか、そこを教えてください。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 政府間としての協力ということではなくて、私どもも答えることは難しいですが、今回ご紹介したように燃料形態の選択という観点では先行しているアメリカの金属のサイクルの情報等を得て、それを今回評価していこうとしておりますけれども、そういったものとか。フランスとか従来から参加するように対象になりますけれども、高速炉の協力関係を非常に強く持っておりまして、かつてはフランスのASTRIDプロジェクトがあって、いまは中断しておりますけれども、研究開発という意味での研究協力は今現在も継続しておりますし、この実証に向けても教育関係があるというふうに承知しております。
 
【寺井主査】 わかりました。よろしいでしょうか。おそらくいろんな協力関係が多分ありまして、それで研究協力っていうのと、燃料の調達は、これはそれとは違う話だし、それから大学との共同研究とか、多分大学の研究者あるいは大学の先生方あるいは大学院生が、いろんな材料を常陽で照射をするといった趣旨のものかなと理解しています。いくつかいろんなカテゴリーのものがあってそういうものをうまく整合性よく進めていくと、そういうことで理解しております。前田副所長、そういうことでよろしいですか。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 はい、上手く進めていきたいと思っております。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。
プル第3開発室でこれまでMOX燃料を作ってきて、それを国内の例えばもんじゅであるとか常陽で使っていたところができなくなるということで、もし可能であればこの経緯も詳しくご説明いただけますでしょうか。
 
【井出戦略官】 経緯と申しますとその辺りの規制とも関係でしょうか。これまでプル3等の中で常陽とかもんじゅの燃料を作ってきていたのですけれど、やはりその規制が非常に厳しくなってきたというところもございます。両方とも主要施設でございますので、主要施設の中で本当にどこまでドライバーとしての燃料を作れるかどうかというところがございまして。試験的な燃料であればまだ可能性としてはあると思いますけれど、そこの議論がなかなか今進めにくいというところがございます。やはり新燃料につきましてはきちんとした日本国内向けの製造ですとか、あるいは海外から持ってくる必要があるのかなというところがございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。いわゆる試験研究のために作っていた燃料ではなくてドライバー燃料のところはもう燃料の製造という話になるので、少しの範疇が変わってくるということですね。ありがとうございます。
その辺り規制が厳密に厳しくなったというところも影響しているということでございます。今ある燃料は何年まで持ちますか。2028年ぐらいでしたか。
 
【井出戦略官】 使い方にもよりますので、いつまでとはあれですが、それなりのものは今現在ございます。ここに書いて範囲のことは周りでやっていくことができるという。
 
【寺井主査】 ありがとうございます。前田副所長、そういう理解でよろしいですね。
 
【日本原子力研究開発機構 前田副所長】 ありがとうございます。 その理解でございます。
 
【寺井主査】 ありがとうございました。それではその他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に手を上がっていないようでございます。この件につきましては今後の本委員会でまた詳しくご紹介いただいて、そこでご審議いただくことになると思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
議題の4はこちらの方では準備をしてございませんので、本日予定していた議事の議事は以上でございますけれども、その他に委員の先生方から全般でも結構ですがご意見等ございますでしょうか。特段のご意見はないというふうに理解をいたします。ありがとうございました。それでは最後に事務局から連絡事項等よろしくお願いいたします。
 
【髙倉課長補佐(事務局)】 ありがとうございます。最後に事務局から今後の予定について連絡いたします。参考資料の5をご覧ください。本作業部会は、新試験研究炉および常陽を中心に複数回の議論を予定しております。7月の取りまとめを目指して、1ヶ月に1回ペースで開催を予定しております。次回の作業部会は4月18日13時半から、開催を予定しております。テーマは、新試験研究炉の利用と拠点形成についてです。本日の議事録につきましては、出来次第メールにてご確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。 以上です。
 
【寺井主査】 どうもありがとうございました。次回もんじゅサイトについてのお話ということでございます。それではこれで第19回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
【各位】 ありがとうございました。
 
 
―― 了 ――

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