原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第15回) 議事録

1.日時

令和5年1月18日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について
  2. 教育研究機能の集約化について (原子力関係大学のネットワーク化と、相互補完・協力する体制の構築)
  3. その他

4.出席者

委員

寺井主査
中島主査代理
秋山委員
五十嵐委員
石川委員
小澤委員
来馬委員
佐藤委員
和田委員

文部科学省

新井 原子力課 課長
竹之内 原子力課 課長補佐
髙倉 原子力課 課長補佐

オブザーバー

加藤 日本原子力研究開発機構 人材育成センター センター長
阪口 日本原子力研究開発機構 人材育成センター 参事
外池 日本原子力研究開発機構 経営企画部 次長
塩月 日本原子力研究開発機構 バックエンド統括本部 本部長代理

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第15回)
令和5年1月18日

【髙倉課長補佐】  皆様、本日はお忙しい中、ご参加いただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、第15回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
 今回の部会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインで開催しております。これに関係した確認事項がありますので、議事に入る前に事務局より説明させていただきます。
 オンライン開催に際して留意事項を御説明いたします。委員の皆様におかれましては、現在、オンライン上で映像及び音声が送信できる状態となっております。御発言の際は、挙手ボタンを押していただくと画面の左上に挙手マークが表示されますので、順次、主査により指名していただきます。もう一度ボタンを押すと挙手マークが消えますので、御発言いただいた後、挙手ボタンを押して手を下ろしてください。会議中にビデオの映像及び音声が途切れている場合は、その時間帯は退出しているものとみなします。オンライン上の接続の不具合等が生じました際は、随時、事務局宛てに御連絡をお願いします。
 傍聴されている方におかれましては、ビデオの映像及び音声をオフにしてください。なお、議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は御退席いただきます。
 議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日、文字起こしをいたします。事務局以外の方の会議の録音及び録画はお控えください。
 以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 委員の皆様及び傍聴登録をされた方宛てに、メールにて配付資料をお配りしております。
 お手元に議事次第を配付しておりますが、本日の議題は3点ございます。1点目が、「原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について」。2点目が、「教育研究機能の集約化について」。3点目が、「その他」です。配付資料につきましては、資料三つと、参考資料四つを用意しております。お手元の資料を御確認いただき不備等ありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 本日の議題は申し上げたとおりでございます。終了時間は18時を予定しております。
 委員の皆様の御出席状況については、開始前に事務局にて確認させていただいております。運営規則第3条に規定されております定足数の過半数を満たしておりますので、御報告いたします。
 また、本日は、オブザーバーとして、原子力研究開発機構より、外池様、阪口様、塩月様に御参加いただいております。
 続きまして、事務局参加者について御連絡いたします。
 文部科学省から、新井原子力課長、髙倉が出席しております。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましてもホームページで掲載させていただきます。
 事務局からは以上です。
 ここから、寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。
【寺井主査】  御紹介ありがとうございます。寺井でございます。私、本日は文科省さんと一緒に出席をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題は、お手元にございますとおり、議題1から3でございます。時間は18時までを予定してございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、まず、議題の1番目でございます。
 原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況についてでございます。
 昨年は、GX実行会議等で原子力政策についての政府内での議論が活発になされたところでございます。事務局から、その報告と文科省の公募事業、国際原子力人材育成イニシアティブ事業、それから原子力システム研究開発事業、これらの令和5年度に向けた準備状況を御説明いただきたいと思います。
 それでは、文科省さんから御説明をお願いいたします。
【新井原子力課長】  文部科学省原子力課長の新井でございます。
 まず、議題1の御報告を申し上げます。
【新井原子力課長】  資料1に基づきまして、前回、前々回も、人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況ということで、政府における検討の状況について随時御報告をいたしておりましたけれども、12月に政府の原子力関係の重要な文書が出ておりますので、その御報告をしたいと思います。
 一つ目が、GX実行会議の関係のものであります。
 4ページ、GX実現に向けた基本方針の案というものが12月22日のGX実行会議で出されております。現在、パブリック・コメント中でありますけれども、昨年夏以降、原子力についてもあらゆる選択肢を検討するようにという総理の御指示の下で、関係省庁、経産省を中心に原子力についての議論がなされて、そのエッセンスがこのGX実行会議の基本方針に盛り込まれているといったことでございます。
 全体版は既にネット等で出ており、本資料は原子力のところを抜粋したものになります。
 原子力の活用については、エネルギー基本計画等にも書いてありますが、脱炭素のベースロード電源として重要な役割を担うということで、2030年の電源構成に占める原子力比率20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進めるというのが一つのポーションであります。
 それから、二つ目のパラグラフで、着実な再稼働を進めていくとともに、地元の理解確保等ということで、コミュニケーションの深化・充実に取り組むということ。
 それから、三つ目のパラグラフ、これは文科省に一番関係が深いですが、次世代革新炉の開発・建設に取り組むといったところでございます。
 黄色いマーカーの下の部分には、研究開発や人材育成、サプライチェーン維持・強化に対する支援を拡充する、あるいは国際連携を含む研究開発推進、こういったことについても進めるということが記載されているところでございます。
 次のページ、運転期間の延長の記載があります。既存の原子力発電所を可能な限り活用ということで、運転期間40年、延長を認める期間は20年と制限を設けた上で一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めるといったこと。
 それから、最後のパラグラフが、バックエンドを含めた事業環境整備についての記載があるといったところでございます。
 次のページは、そのGX実現に向けた基本方針の参考資料ということで、これも会議の資料に出てきたものでありますけれども、GX実現に向けて、原子力関係は次世代革新炉といったところで、工程表と取組について資料が出されているという状況です。
 次世代革新炉は五つの炉型についてタイムラインが書かれているというところでございます。革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合とございますけれども、これを進めるために、官民の投資をすることで進めていくというのがその下のGX投資といったところ。それから、規制・制度、国際戦略も含めて取り組んでいくというものが示されております。
 次の7ページになります。先ほど文字で書いてあったものについて、図示するとこういうことであるという話ですが、もともと総理から、夏にGX実行会議で年内に結論を出すように指示を受けたことについて、今回の基本方針案に書き込まれたところですけれども、再稼働の話、それから次世代革新炉の開発・建設、運転期間の延長、それから事業環境整備について文言化、取り込まれたということでございます。
 続いて、原子力関係閣僚会議についてです。
 12月23日ですが、原子力関係閣僚会議が開催されております。これは資源エネルギー庁の審議会のほうで議論をされてきたことを基に、関係閣僚の会議で、今後の原子力政策の方向性と行動指針案を取りまとめたということでありまして、これもパブリック・コメント中であります。
 第6次エネルギー基本計画、それから、後ほど御説明しますけれども、原子力委員会における原子力利用に関する基本的考え方に則って、GX実行会議における議論を踏まえて、今後の原子力政策の主要な課題、対応の方向性、行動指針を整理したというものであります。
 GX実行会議での総理からの御指示の下で検討してきた四つの柱のほかに、サプライチェーンの維持・強化、国際的な共通課題の解決への貢献というのが、五つ目、六つ目の柱ということで整理をされているところです。文科省関係では、次世代革新炉の開発・建設というところで、特に赤で囲ってある、基盤インフラの整備・人材育成等、これに取り組んでいくことが盛り込まれているところです。
 次が、原子力利用に関する基本的考え方、これは原子力委員会の議論であります。
 こちらは、原子力委員会で、以前は、長計とか大綱を作成しておりましたけれども、現在は、原子力利用に関する基本的な考え方というものを、政府としての長期的な原子力の方向性を示す羅針盤となるものということで整理をしております。
 平成29年に今の現行の「基本的考え方」が決定されておりますけれども、5年を目途に見直すということで、原子力委員会で年末、議論がなされており、これも今、パブリック・コメント中であります。パブリック・コメントが終了後、原子力委員会で整理をした上で決定をして、政府として尊重する旨の閣議決定をする予定であります。
 本案においては、「2.本基本的考えの理念」ということの記載の矢印でありますけれども、原子力のプラス面、マイナス面を正しく認識した上で、安全面の最大限の注意を払いつつ、原子力を賢く利用するということが重要となるというような理念が示されて、「3.原子力を取り巻く現状と環境変化」では、エネルギー分野の話、それから非エネルギー分野での最近の状況なんかを踏まえた上で「4.今後の重点的な取組について」ということが整理されてございます。
 ここまでが全体的な政府の重要文書、12月に出されたものの報告でございます。
 次が、我々の公募事業についての今後の見通しです。
 まず原シスのほうですが、このポンチ絵は経産省の事業と文科省の原子力システム開発事業が連携している図でございます。
 来年度、令和5年度、まだ予算が国会を通っておりませんけども、公募をそろそろ始める準備をしているところです。令和5年度の予算規模は、億円単位でいうと10億円程度ということで、今年度と比べて、ほぼ同ということになっております。
 カテゴリーとしては、三つのカテゴリーで公募をする予定ということで、これも今年と同じ形です。基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型ということで考えております。
 基盤チーム型の公募に当たっての具体的な研究の例ということで、PDPO会議での検討を踏まえて、この(1)から(4)のテーマを示す予定にしております。先ほど来の次世代革新炉の政府全体の議論、原子力政策の中で、それを踏まえた上での新しい方向性の公募ということも念頭に置かれたものであります。
 (1)から(4)、この分野は今年とほぼ同じということでありますけれども、黄色いマーカーで書いてあるところ、あるいはデータサイエンスと実験科学というものをしっかり融合させて研究開発を推進していくと、これが大事ではないかということで、分野としては変わりはありませんけれども、例えば(1)のところでは、インフォマティクスのところで、プロセス・インフォマティクス、マテリアルズ・インフォマティクス、計測インフォマティクスと、それぞれに資するインフォマティクスというものを念頭に置いた上での提案というのが期待したいというのが一つ。
 それから(2)のプラント分野でも、革新炉で想定される新しい安全システムに関する基礎的な実験データを取得と、それによるシミュレーション手法の検証ということで、こちらでもシミュレーションというものが入っているということがこれまでとの違いであります。
 (3)、(4)はほぼ同じでありますが、一つのテーマに縛られない横断的な提案について期待ということも今回の公募では明記をする予定であるということでございます。
 ボトルネック課題解決型のほうですけれども、こちらはエネ庁さんのNEXIPのプロジェクトに参画している企業から、アンケート、ヒアリングを行って、PDPOの皆様からのコメントを踏まえて、この以下の1から4のテーマを示して公募しようということを考えております。将来性、炉型コンセプトにつながる、より実用化に向けた具体的テーマとするということにしておりまして、これまでは大括りしたテーマ設定でしたけれども、より細かな設定をしております。
 丸4 では、原子炉を用いたRI製造、こういった原子力委員会のアクションプランを踏まえた公募もする予定にしております。
 次に国際原子力人材育成イニシアティブ事業についてであります。
 上の二つのポツは、この事業の概要を書いてあるので割愛しますが、令和5年度の予算としては前年度と同額になっております。
 人材事業は公募で採択している事業がある程度長い期間の補助ということになっておりますので、来年度予算は今年度と同額であり、新規での公募は一旦お休みをしまして、前課題の継続の中で、中身を充実をするということで検討しております。
 黄色いマーカー部分になりますけれども、開発した教材のオープン化のための費用、学生の海外旅費、企業インターンシップ費の充実ということで、より多くの教育機関に提供とか、国際経験の機会を増やすという観点で充実を検討しているというところであります。
 それから、これは話題提供でございますけども、本日18日午前中、この人材育成事業のANECのシンポジウム成果報告会を開催しております。これはANECの成果の確認であるとか、今後の人材育成の在り方の意見交換ということで、60名弱の皆様に御出席をいただいております。これは公開のシンポジウムということで、オンライン、および現地でのハイブリッド方式で開催をしております。
 シンポジウム内容のところは三つありますけれども、一つ目のANECの活動報告は、それぞれのグループ、それから、ANECの取組を補完する形で活動いただいている長岡技術大学、東京大学からの御報告がありました。
 それから二つ目、三つ目の内容、文科省だけではなくて、エネ庁さん、それから規制庁さん、こちらの両省庁も原子力人材育成のニーズがあるということで、その紹介をしていただいた上で、意見交換、パネルディスカッションもしておりまして、ステークホルダー間の情報交換、対話の場をどういうふうに持っていったらいいかと、人材育成は、縦割りではなくて、学び直しの機会とか、そういったものをしっかり提供して対応していくのが必要じゃないか、そのような意見交換が活発になされました。
 これは、イベントの紹介ということで、御参考まで、御報告でございました。以上です。
【寺井主査】  どうも、新井課長、御紹介ありがとうございました。前半は最近の原子力を取り巻く政府の施策のお話、それから後半のほうは、文科省の公募事業についての御紹介でございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等をお願いいたします。画面上で挙手をいただくか、あるいはミュートを外して御発言いただいても結構です。いかがでしょうか。
【寺井主査】  これは、京都大学、中島委員ですね、お願いいたします。
【中島委員】  中島ですが、よろしいですか。
 原子力システム研究開発事業のところ、これで具体的な研究の例として、四つ、横ページのスライドで上げていただいております。ちょっと私の認識が古いのかもしれないですが、以前の原子力システムの公募の際は、革新炉というのは高速炉であるということで、軽水炉は実用化されているから対象にはしないという議論があったと記憶しているのですが、今回、次世代革新炉の中には将来型の軽水炉も含まれておりますので、ここの採択というか選考の際には、それも含めた幅広い革新炉ということで御検討いただければありがたいと思っております。この点が一つでございます。
 それから、人材育成イニシアティブの事業のところで、来年度は全課題継続で、新規の公募はないということで、内容は見直すということになっていると理解しました。これについて、別の機会でも発言したかもしれませんけども、人材育成といっても、原子力発電とか原子力産業界に直接貢献するような人材育成もありますけども、いわゆる原子力の研究者を育てるという意味合いもあるものと思っております。18ページの中でも上の2番目のポツで、放射線利用がRI製造も含めて記載されておりますので、こういったところももう少しクローズアップして、私が関係しているところでは研究炉を利用したいろんな研究者、中性子科学と言う研究もありますので、そういった研究者を育てる人材育成もこのイニシアティブ事業の中でしっかりと位置づけていただければよろしいのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。
次世代の革新炉と言った場合に、次世代軽水炉等もスコープに入るんでしょうかと、ぜひ入れていただけませんかというのが1点目。
 それから、もう1点は、国際原子力人材育成イニシアティブ事業で、今年度は特に新しい課題を募集することはないんだけれども、例えば、放射線の利用、中性子科学、その辺のところも明示的に表現していただけたらありがたいと、こういうふうな御質問、あるいは御依頼だったと思いますが、中島委員、そういうことでよろしいですか。
【中島委員】  それで結構でございます。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  それでは、新井課長、お願いいたします。
【新井原子力課長】 
 1点目でありますけれども、まず、革新炉については、高速炉だけに限定されたものではなくて、軽水炉も含めて幅広く、と考えております。次世代革新炉の議論が進んでいるということを踏まえて、限定的ではないと考えております。
 それから、人材についてでありますけれども、12月に先生方に御議論いただきまして、試験研究炉を取り巻く現状・課題と今後の取組の方向性について、中間まとめをいただきましたけれども、後ほどの議題でも触れますが、人材育成の取組についても不断に見直しをし、改善を行っていく必要があると考えております。
 その中で、今年のこの応募については、既に支援を行っている機関についての支援の内容について充実するということで、エネルギー分野だけではなく、中性子科学の分野の人材育成等、幅広くといった中島委員御指摘の点についても、しっかり受け止めた上で、今後の人材育成事業の在り方を検討していくときに、さらに検討の中身として位置づけていきたいと思っております。
【中島委員】  ありがとうございました。
【寺井主査】  中島委員、よろしいでしょうか。それでは、次の御質問をお願いいたします。挙手にてお願いいたします。秋山委員、どうぞ、お願いします。
【秋山委員】  御説明ありがとうございます。
 頂いた資料の15ページ目の基盤チーム型の具体的な研究例というところですけれども、計算手法というか、シミュレーションの手法を開発するということは非常に大事だと思います。再処理、核変換の分野の一番下のところでは、シミュレーションの妥当性確認のための実験測定技術の開発というのが書いてありますが、上の二つ目までにつきましては、シミュレーション手法の開発となっていて、妥当性をしっかり確認するというか、やはりシミュレーションばかりではなくて、実験と測定の両輪として、照合しながらやらなくてはいけないというニュアンスが入ったほうがいいかなと少し思いました。
 以上になります。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。多分シミュレーションのバリデーションをしっかりやらなくてもいいのですかという趣旨の御質問だと理解いたしました。新井課長、いかがでしょうか。
【新井原子力課長】  御指摘ありがとうございます。
 文言で、今日お出ししている資料にしっかり記載されていないのですけれども、PDPOの先生方とのディスカッションの中では、シミュレーション妥当性確認のための実証試験なども大事だといったことは御議論いただいておりますので、今の御指摘の点も踏まえた上での公募になると思っております。文言については誤解がないようにしていきたいなと思います。ありがとうございます。
【秋山委員】  ありがとうございます。
【寺井主査】  それでは、ほかにいかがでしょうか。特に手は挙がっていないようですが、よろしいでしょうか。
 それでは、いただきました御意見を踏まえて、適切な形で文科省さんのほうには御対応いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、議題1はこれで終了いたしまして、次に、議題2に移らせていただきます。

 議題2は、教育研究機能の集約化についてということでございます。
 実は、我が国におきまして持続的に原子力利用を行っていくために、原子力機構とか大学等における基盤的な研究開発、あるいは教育研究機能の発揮というのは極めて重要でございまして、前回の部会で取りまとめました、我が国の試験研究炉を取り巻く現状、課題と今後の取組の方向性、中間まとめでございますけれども、これにおきましてもその旨を盛り込んだところでございます。原子力関係の大学のネットワーキング、あるいは相互補完、相互協力、そういったものの体制についての具体的な検討につきましてはこれからも続けていく必要があるというふうに思ってございます。
 本日の部会では、今期の最後の会合となりますので、次期に引き継ぐことを念頭にいたしまして、JAEAにおける人材育成の取組を聴取いたしまして、事務局から今後の検討の論点について御紹介いただき、意見交換できればと思います。
 それでは、まず、資料2-1につきまして、日本原子力研究開発機構、原子力人材育成センター長の加藤様から御説明をお願いいたします。加藤様、どうぞよろしくお願いいたします。
【加藤センター長】  御紹介ありがとうございます。原子力機構における人材育成の取組概要について、大学連携協力を中心にということで、10分ほど御紹介させていただきたいと思います。
 私、原子力機構の原子力人材育成センターのセンター長を拝命しています加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、1ページ目、機構における人材育成の対応の組織概要ですけれども、上から順番に御紹介すると、職員の研修については、人事部が統括しながら各部署で実施しておりますが、職員の技術研修所があります。それから我々のセンターがあって、それから、特定の分野ということで、核不拡散・核セキュリティの総合支援センターでの研修、それから、各研究部門ですね、拠点・部門の各部署で、職員、それから学生とか研修員の受入れをやっています。それから、その部門の中でも、高速炉・新型炉部門では、福井県にあります敦賀総合研究開発センターというところがあります。それから安全研究の防災支援部門では、原子力緊急時支援・研修センターということで、これも緊急時の研修関連の機能があります。
 以上が概要でございます。
 次、2ページ目、我々原子力人材育成センターの業務概要ですけども、ここにありますとおり、四つに分けられます。
 上に書いてあります、国内研修、国際研修というのは、原子力工学とか原子力エネルギー利用のヘッドエンド部門を中心にした研修事業というのをやっております。
 それから下に行きまして、原子力人材育成ネットワークと、それから大学との連携協力ということで、今回、この部分の中で特に大学との連携協力を中心に御紹介させていただきたいと思っています。
 3ページ目、これが大学連携協力全体概要ということで、ちょっと見にくくて申し訳ないんですけど、左側は協定関連で、相手先を記載してあります。それから、右側には原子力機構として、中身を少し記載しております。
 一番上の原子力分野における大学連携ネットワーク協定ということで、これは7大学と機構で協定を締結して、協議会というのがありますので、協議会の中で協議をして共通的なカリキュラムを作って、それに対する授業をやっているということでございます。
 それから、左側では中ほどの青い部分ですけども、これは教育研究に関わる大学院との協定ということで、これはいわゆる連携大学院方式の協定になります。日本がちょうど平成3、4年ぐらいの産官学の連携の機運が高まったときから順次スタートして、今は21の大学と機構とで1対1での協定を締結しています。
 その中に、今日も御紹介しますけども、東京大学の原子力専門職大学院、いわゆる専門職大学も、連携大学院方式の部類といいますか、種別で書いてあります。これら協定を結んで、我々の研究者、技術者を、講師として派遣する。それから、連携大学院方式ではそれぞれの学生さんを機構の職場のほうに受け入れるということで、主に学生さんの学位取得の支援という形になっていこうかというふうに思っています。
 そのほかに、学生受入制度運営というのは右側の青い部分にあるんですけども、先ほどのいわゆる連携大学院方式は学生研究生ということで受け入れていますけど、そのほかに、特別研究生、それから学生実習生、それからいわゆるインターンシップということで夏期休暇実習生というので、多くの学生を受け入れているということでございます。
 それから一番下のところでは、文科省、それから経産省の公募で採択された大学、高専で、施設見学とか実験実習というのがありますので、そういうところで、講師を派遣したりとか、実験、それから、施設見学への協力というものをやっています。
 大学連携協力全体としては以上でございます。
 次、4ページ目です。これは、3ページ目の一番上にありました大学連携ネットワークの機能と主たる活動ということで、左側に連携協力推進協議会ということで、今は年1回開催して、活動内容の協議、決定するという形を取っております。
 それから、下に企画調整分科会とあって、そこでは実際、連携教育カリキュラムの中身を議論したり、バージョンアップをしたり、協議したりする場として機能しております。
 その結果、活動の展開ということで、共通講座ということで、これは平成19年から、共通的な名称としては原子力工学基礎(Ⅰ)、基礎(Ⅱ)という形で、放射線、原子核に係る科目、それから、原子力工学、原子力科学研究に係る科目ということです。
 年間で、大体、トータルで200名ちょっとの学生が受講します。これは令和4年度の実績です。こういう形で進めております。
 それから、その下に集中講座ということで、こういうオンラインでの講義ということではなくて、いろんな7大学の学生さんを集めて、これは福井大学で実施しているんですけども、原子力の安全性と地域共生ということで、1週間詰め込みの形で集中講義というのをやっております。
 それから、一番下は学生実習ということで、機構の核燃料サイクル工学研究所で放射線計測や核燃料サイクル技術等のカリキュラムを組んだ、これも1週間で、冬の時期に実習として実施しています。
 こういう活動を大学連携ネットワークという形で進めています。
 次、5ページ目です。これは先ほど言ったオンラインの講義で、原子力工学基礎(Ⅰ)ということで、中身的に細かく御説明すると時間がないので割愛いたしますが、放射線と原子核に係る科目ということで、7大学の中でも、学部で原子力を学んでいない学生さんがいらっしゃるというところもあって、どちらかといえば基礎的なところをきっちり抑えましょうということでこういう内容になっております。
 次、6ページ目です。
 先ほどの5ページ目の(Ⅰ)というほうが前期で、4月から7月の間、いわゆる前期、夏の時期でして、6ページ目の(Ⅱ)、これが後期になります。後期は原子力工学と原子力科学研究に係る項目ということで、原子力工学では、核燃料サイクルというキーワードで、FBRや、再処理、それから、特徴的には処分関係の講義なんかも含めています。
 それから、やはり学生さんに原子力の最先端を見てもらいたいということで、機構の原子力科学研究の最前線ということで、そういう形で後期授業を実施しています。
 次、7ページ目です。
 次ですね、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻、いわゆる専門職大学院ということで、高度な専門性が求められる原子力施設の安全運転等を行う、原子力産業、それから原子力関係の行政法人、研究機関での指導的な役割を果たす原子力専門家を養成ということで、入学定員は約15名、社会人を対象に、2年以上の実務経験を有する方を対象としています。基礎工学に加えて、技術者倫理など、教養も含めたところをベースにして、原子力の安全や利用に関する体系化されたカリキュラムということで教育を実施しています。
 いわゆる専門職大学院なので、本専攻の標準修業年限は1年ということで、修士論文はなしという。課程を修了すれば、原子力修士という学位を授与という形になっています。
 これが原子力の主任技術者の資格、核燃料取扱主任者の技術資格のところの認定対象になっているというところで、非常に有意義なところかなと思っています。
 本専攻の教育というところで、支援という形で、我々の原子力科学研究所の隣に、東京大学の専門職大学院の弥生のキャンパスがあります。そこで、講義は東京大学さんのほうでやられるんですけども、実験実習は、主に原子力科学研究所のほうに来ていただいて、支援を実施しているということでございます。
 次、8ページ目です。
 これは学生受入制度の概念図です。先ほど申し上げた特別研究生とか学生研究生とか学生実習生とか夏期休暇実習生、そういう受入れのいわゆる学生さんが学ぶそのレベル、大学、大学院の課程に応じた形で学生さんを受け入れています。短期から、長いものは1年という形で受け入れて、原子力分野の人材育成・排出に貢献していくという形を取っています。無論、研究者、技術者に向けた育成の結果、機構のほうに来ていただくということもあります。
 次、9ページ目になります。
 学生受入制度、我々の所在している原子力科学研究所だけじゃなくて、先ほど申し上げた、例えば核燃料サイクル工学研究所の実習では、核燃料サイクル工学研究所で受け入れていますし、それから、もう少し離れたところには大洗研究所があります。それから、機構としては、敦賀のほうに、冒頭紹介しました敦賀研究開発センターとございます。それぞれの研究部門の所在する拠点のところに学生さんを受け入れて、最先端といいますか、それぞれの専門の研究者、技術者が学生さんを指導するという形を取っています。
 次、10ページ目です。
 これは原子力人材育成ネットワークということで、いわゆる産学官の原子力人材育成機関が相互に協力して、福島事故以前ぐらいから立ち上げて、原子力人材育成を効率的、効果的に戦略的に進めましょうということで、こういう体制をしています。
 運営委員会の委員長は、日本原産協会さんの新井理事長が委員長という形を取っています。その下に戦略ワーキングがあって、それから、いわゆる大学関係だけじゃなくて、初等、中等、アウトリーチ的なところの活動も含めて、実務者、それから国内の人材に対する国際化、それから、海外の方の人材育成ということで、そういう分科会を設けて、いろいろ議論、情報を共有するとともに、課題を共有して、進めているというところがあります。
 こういうところは、特に民間さん、産業界とも協力して人材育成を進めましょうという体制になっています。
 参加機関数は83機関ということになっています。
 次、11ページ目です。
 人材育成の取組のまとめと課題ということで、ちょっと簡単に整理させていただきました。
 一つ目、教育研究に係る協定、これは連携大学院方式という話をしましたけども、そういう協定に基づいて、各大学さんに教授等相当の研究者を派遣しているということ。大学ごとに専門家の分野が異なるため、機構の様々な研究部門から派遣をさせていただいてということであります。
 それから、二つ目に、東大専門職大学院の年間を通じた支援ということで、原子力産業界や規制行政の中核を担う原子力のプロフェッショナルの育成に貢献していると。東京大学さんの名前を打っていますけども、そういう意味では、オールジャパンでプロフェッショナルを育成するということの一つかなと、私は理解しています。
 実は、いわゆる原子力科学研究所のほうには、東京大学の共同利用本部も所在地としてあって、全国利用に供しているというのはもう長年やっています。それから、大洗の研究所のほうには東北大学の金属材料研究所があって、これも単独で大学とするというよりは、全国の大学に向けて利用を促進しているという形で、大学さんのほうにもいろいろ頑張っていただいているという実態があります。
 それから、三つ目に大学連携ネットワーク活動ということで、7大学で教育カリキュラムを連携、貢献しています、開始してから、オンラインが、いわゆるコロナ禍の始まる10年前からスタートしていますけども、大体3,000人ぐらいの学生さんに単位認定という形で貢献をしてきました。
 それから、学生受入制度で受け入れた学生さんの多くは、大学にない研究炉、核燃料取扱施設とかRI施設等で、部門の研究者、技術者から指導助言を直接受けられるということで、コロナ禍でオンラインに変更したりした面はありますけども、実際に来ていただいて指導していただけると、かなり有意義というので、学生さんのアンケートからも評価いただいています。
 学生の受入れ全般においてですけども、受入れの学生さんはかなり増えています。学生の受入れ経費がそういう意味ではちょっと増加しているという特徴があります。
 次、12ページ目です。
 多くの大学で、原子力分野の教育や学生にとって重要な教育要素である実験実習のリソースが不足というのはもう明らかというふうに理解しておりまして、原子力機構において我々が研究開発で整備した設備、施設、それから、技術者、研究者、こういう人材育成機能が期待されると理解しています。
 他方、原子力機構から教授、准教授、それから非常勤講師、特別講師とか、我々のセンターは50人ぐらいしかいないんですけども、各研究部門に専門家がいて、そういう研究部門の専門家にちょっと依存しているという面もあって、いろんな調整、それからリソースの確保という面で、昨今特に、いい話も出てきていますけども、研究者、技術者がいわゆる人材育成に関与するというか時間を割くということに、余裕のある時代とは違って非常にこういう意味ではタイトになってきているというところで、リソースの確保がやっぱり課題かなというふうに現場では感じています。
 実験実習も設備の老朽化ということで、どうしても人材育成というと、研究開発がやはりあって、そこで設備、施設が更新されれば、それに応じて人材育成も更新されるものというふうに理解していますけども、そういうところの老朽化は対応が必要かなというふうに思っています。
 それから、原子力人材育成ネットワーク活動においてですけども、高等教育というか、大学さんといろいろ協力して連携してやっているというところはあるんですけども、そのほかに、アウトリーチ活動や国際活動も、こういう場で産業界、とも協力しながら進めているというのはあります。
 それから、現在、原子力人材育成ネットワークで、原子力産業界の10年後のあるべき姿という戦略ロードマップ、これは実はロードマップ自身は、福島事故後に、こういう形で、共通的な課題を摘出して取り組みましょうということで一旦策定したんですけども、それが古くなっているというのもありますし、今後、先を見て、人材育成のための戦略的なロードマップを作成しましょうということで、今、検討が進んでいます。
 そういう意味で、情報の共有とか取り組むべき課題というのは、今日挙げさせていただいたところはある程度明確なのかなと思っていまして、実現方策については、これから検討されていくことが大事かなと思います。
 取り留めのない説明になったかもしれませんけども、以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【寺井主査】  加藤様、どうもありがとうございました。JAEAにおける人材育成の取組の概要、特に大学との連携協力を中心にお話しいただきました。
 それでは、ただいまの御発表につきまして、御質問、コメント等、委員の先生方からよろしくお願いいたします。 
 小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。御説明よく分かりました。
 私から、こうすべき、ああすべきという意見があるというよりは、ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、より充実するようにやっていただければなと思っております。
 今日、実は午前中、先ほどから話題に出ているANECのシンポジウムに出たんですけども、その中で、研修プログラムに参加した学生さんが、実際に自分の目で見てから判断しようと思ったとか、自分から主体的に情報を得て判断しようと思ったと、こんな感想を述べている意見が紹介されていました。こういうことなんだろうなと思いますので、カリキュラムをしっかりと勉強する中でそんな人材が増えていけばいいなと思いました。
 以上でございます。ありがとうございました。
【加藤センター長】  ありがとうございました。
【寺井主査】  小澤委員、ありがとうございました。
 それでは、石川委員、どうぞ。
【石川委員】  加藤様、非常に分かりやすい御説明をありがとうございます。
 東京大学のほうでは、御説明ありましたように、原子力専攻の専門職大学院のほうに非常に大きく貢献していただいておりまして、常日頃より大変感謝いたしております。引き続き御支援いただいて、より、これ以外にも原子力機構でされている人材育成をますます発展させていただければというふうに考えております。
 それで、原子力専攻のほうは、専門職大学院で、原子力産業界、規制行政などに既にいる人が原子力についてより学びたい、あるいは資格取得につなげていきたいということで来ていただいているわけですが、原子力専攻とは別に、普通の大学院として東大には原子力国際専攻というのがございまして、そちらになると、今度は学生がどういうモチベーションで来るか、あるいはどういうところに魅力を感じるかというと、やはり最先端の研究ができる。全員が研究者になるわけではないですけども、やっぱり研究者として一流になれる、そういうようなことを期待して来ているものと思います。
 一方で、原子力であるからには、その原子炉物理学、原子炉物理みたいなことも身につけないといけないんだけれども、じゃあ、原子炉物理で最先端の研究ができるかというとそういうわけではない。そういうこともあって、東大だけじゃない、いろんな大学でその原子炉物理学の専門家というのが減っている。だから、各大学で別個に原子炉物理を専門とする教員を抱えて講義をするということは、もう現実的ではなくなってきているので、やはりそういう基盤となる学問、学理というんですかね、そういうところの教育を、もしかしたら次の議題なのかもしれないんですけれども、各大学で共通化できる、あるいはそういうところを特に原子力機構様に担っていただけるといいのではないかと考えることがあります。
 次は質問なんですけど、そういう意味で、留学生なども多いので、英語での講義とか実習とか、そういうのも実施をされているんでしょうか。あるいは可能なんでしょうか。その辺もお聞かせいただければと思います。
【加藤センター長】  ありがとうございます。
 留学生は、受入れはしています。部署によっては英語できちんと対応できるところもあります。特にJ-PARCセンターとか先端基礎センターみたいなところで、いわゆる常日頃、英語でも進めているようなところはそういう受入れをしています。
 例えば、大学連携ネットワーク、JNENのほうでどうしているかというと、やはり英語にすると、日本人の学生さんの理解がやっぱり追いつかないという懸念もあって、授業自身は日本語でやっているんですけど、例えば、先生方に御苦労いただいて、英語版の情報も共有するような形で、留学生の方でも、それを見て、後追いになりますけども、ちょっと工夫して英語で勉強できるような形も進めてはいます。
 できるだけ、特に最近、各大学さんでも留学生が多いという話をよくお聞きしているので、英語への対応は図らなきゃいけないと思いますけども、日本人学生に対する対応等も見比べながら、バランスを取りながらやらざるを得ないかなと。あるいは、分野によっては、やる、やらないもあってもいいかなというふうには考えています。
【石川委員】  ありがとうございます。先ほどの共通講座のところとか、あるいは非常勤講師で大学に来て講義をしていただくとか、その辺がもう英語対応というか、英語での講義、そういうことができるようになると非常によいと思いますので、御検討いただければと思います。そういうようなことも大学の目から見ると必要かなというふうに感じております。どうもありがとうございます。
【加藤センター長】  ありがとうございました。
【寺井主査】  石川委員、ありがとうございました。それでは、次に、中島委員、その後、来馬委員にお願いします。
【中島委員】  ご説明ありがとうございました。非常にいろいろな活動をされているということを改めて感じました。
 今回、大学との連携を中心にというサブタイトルがついておりまして、私、ちょっと前まで原子炉工学特別講座の炉物理の講師を、多分10年ぐらいやったかと思います。これも非常に人気があってよかったのですが、そのとき聞いた話では、いわゆる、もともとあった一般課程はなかなか人が集まらないというような話もありまして、そういったところを今後センターとしてどう考えているのかという点と、機構全体としては研究開発が大きなミッションとなっている中で、人材育成センターというのはしっかりとこの機構の中で位置づけがされていますかと。そこでしっかり頑張った人は、ちゃんと評価を受けていますかという点について、可能な範囲でお聞かせいただければと思いました。
 以上です。
【加藤センター長】  ありがとうございます。
 2点ほどあって、最初のほうは、一般課程というのは今でもあります。講座自体が2か月にわたります。2か月なので、しっかり身にはつくんですけども、ただし、企業としては、派遣しがたいということがあって、昨今では人数が激減しているというか、ずっと低迷しています。
 例えば、原子炉主任技術者の資格を取るといったときは、昔はそこへ来ていただくというのが通常だったんですけども、そういう長いものではなかなかできないということで、中島先生が言われたとおり、原子炉工学特別講座って1週間と短いんですね。だから、やっぱり短時間で勉強したいということで、そこに多数の人が来ていらっしゃいます。
 センターとしては、やはりその一般課程みたいにきちっと充実したカリキュラムというのはなかなかないんですね。なので、どういう形で残していけばいいかなというのは考えています。e-learningとか、いろいろオンラインとかいうのもありますし、ちょっとその辺、どうするかということは、もうセンター内でも実は議論していまして、できるだけ充実したカリキュラムをいい形で残していきたいなというふうには考えています。
 それから、もう1点は、例えば各研究部門で人材育成に教えに来ていただいても、以前はどっちかというとあまり評価されなくて、ボランタリー活動みたいな性格もあったんですけど、今は、人事評価表の中にきちんと、いわゆる、こういう人材育成もやったよということが盛り込んでいるようになっているので、一定の評価はされるんですけども、だけども、それが例えばすごい高い点数だったとしても、活動自身は量的には大きくはないので評価が低いというところもあって、その辺はやはり職員の育成を管轄している人事部とも連携しながら、そういう人材育成に関わることが、その本人の研究能力の向上にも資すると私は思っているんですけども、きちんとした形で、評価で受けるような形で進めたいなというふうには考えています。
 以上でございます。
【中島委員】  どうもありがとうございました。やっぱり研究開発と人材育成は両輪だと思います。しかも機構のような、ほかではできない形での育成ができるというところは非常に重要ですので、そこはしっかりと主張していただいて、今日、これは文科省の管轄の機構ですから、文科省さんからもプッシュしていただければいいかなと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
【加藤センター長】  ありがとうございました。
【寺井主査】  中島先生、ありがとうございました。
 それでは、来馬委員、お願いします。
【来馬委員】  来馬です。ご説明ありがとうございました。
 一つは、「もんじゅ」、「ふげん」が福井にありますので、今、福井工業大学では原子力人材を育成するためJAEAで現場研修させていただいたりとか、あるいは説明に来ていただいたりとか、非常にたくさんのご協力をいただいて、卒業生の進路としてJAEAを選択するという学生も今まで沢山出ております。本当にお世話になっていますので、これからもより一層頑張って、あるいはご協力をお願いしたいという点です。
 福島はじめ東海、大洗、敦賀と多くの施設がありますが、学生に、より広い進路の選択肢を与えてもらえるようこれからもご支援をお願いしたいというのが一つです。
 もう一つ、私は原子力立地の自治体職員だったのでが、福井県では、原子力専門の技術職員を擁しています。大学で原子力を学んだ職員もいますけれども、原子力を学んでなくて入ってくる、原子力専門の職員もいます。そうすると、日々の仕事はありますけれども、基礎教育をもう一度どこかできっちりと受けさせたほうが良いだろうというのは、福井県の一つの課題です。
 他の県がどういう状況かというのはよくは承知してませんけれど、原子力発電所の再稼働とか、地元自治体の同意とか、非常に大きい課題になっておりますので、私としては、それぞれの県の原子力担当の職員が、原子力の専門的なことをしっかりと理解するということが、住民に対して、あるいは地元の知事や議会が判断をする上でも重要になるのではないかなと私は思います。
 先ほど中島先生もおっしゃっているように、私が県庁にいた時代は、JAEA(旧 原研)に半年ぐらいと少し長期でしたが基礎からもう少し高いレベルまで教育実習するコースがありましたので、そういうところで、半年間研修を受けさせて職員を育てて、いろんな課題に対応するということをやってきました。
 今、そういうことはできていませんので、ぜひ必要だと考えます。
 そこで、電気とか機械とか、あるいは薬剤とか様々な分野から入ってくる職員を、半年は無理としても、1か月から2か月程度しっかりと研修を受けていただくコースというのは、JAEAさんにお願いするのが一番適切じゃないかと思います。
 一番大きなメリットは、原子力立地県の技術者が全国から研修に集まることによって、自治体間の情報交換も可能になりますので、原子力基礎教育と、ネットワークの両方が、JAEの橋渡しによって実現するというのが自治体にとっては心強いのじゃないかなと考え、こういう研修をお願いをしたいと思いました。
 また御見解をいただきたいなと思います。よろしくお願いします。
【加藤センター長】  ありがとうございます。頑張りなさいということに関しては承りました。
【来馬委員】  よろしくお願いします。
【加藤センター長】  今日、課題でリソースの話をさせていただいたんですけども、できるだけ対応していきたいと思っています。
 それから、社会人の学び直しじゃなくて、自治体の方とかというのは、例えば、今日は御紹介しませんでしたけれども、我々の方に国内研修講座というのがあります。その中に、今お話しした一般課程のほかに、入門講座みたいなものがあります。これは1週間ぐらい、10日ぐらいですかね。それから、ある程度になってくると、放射線の安全管理コースというコースがあります。そういうコースは、やはりほかの自治体からも来られたり、それから、そこの地域の労働基準監督署の方が勉強ということで来ていただいています。人数はそれほどたくさんではないんですけども、そういう定期的に来ていただいているというところはあるんで、ちょっとそういう意味では国内研修講座も少しPRして、こんな講座がありますよという話も、ホームページを立ち上げて、冊子を作って、お配りはしているんですけども、なかなか来ていただけないという実態はあるんですけども、そういう形をPRしていきたいなというふうに思っています。
 それから、福島のほうでは、福島のいわゆる原子力対策課の職員なんかも、やっぱり原子力を知らないんで研修してほしいという依頼がありますので、そういう形は、我々のセンターのほうで随時研修という形をさせていただいて、特定のカリキュラムをオンラインでやったりしたりして、地元、いわゆる我々の所在している茨城だけじゃなくて、それぞれの研究拠点がありますので、そこを利用してというところもありますし、場合によっては、我々から行って研修をするということも対応できる形になっております。少しその辺のところが、ネットワークでいろいろ情報共有しつつもなかなか知っていただけないところもあるので、少しその辺りPRもしていきたいなと思いますし、できる状態を維持して、いつでも対応できるような形にしておきたいというふうに考えています。
 以上です。
【来馬委員】  ありがとうございました。欲張って言えば、自治体職員向けと対象を明確にして、基礎教育プラスアルファで、自治体が持ついろんな原子力に係る課題についても意見交換するする、そういう人材育成を、JAEAさんのネットワークの中でやるべきだと私は思いますけれども、ご御検討ください。日本全体のレベルアップというのを、ちょっと言い方が極端かもしれませんけれども、そこをやっていかないと、地元自治体という立場でいうと、なかなか物事が円滑に進まないと思います。
 だからひとつ何か工夫していただきたい。そのためには、やはり自治体にしっかりとした情報を発信して、あるいはアピールして、職員の基本的なその能力向上というか育成をぜひ機構さんにお願いしたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
【加藤センター長】  そのときには、来馬先生のお力が必要かもしれませんけども、またその際にはよろしくお願いいたします。
【来馬委員】  今、原子力を県庁でやっている私の後輩たちからも、そういう意見がちょっとありましたので、やれた時代と、今はちょっとやれていないというのもあって、これはもう各県全部同じだろうなって。個別対応を先ほどおっしゃったようにやれるのは、それはそれで全然問題ないんですけれども、しかし、もう少し、これはJAEAにお願いするべきかどうか分からないですけども、自治体全体がもう少し考える必要があるのではないかと思いました。
 ちょっとはみ出しているかもしれませんけど、よろしくお願いします。
【加藤センター長】  ありがとうございました。承って、どこまでできるか分かりませんけども、いろんなネットワークの活動の中でも、我々ができなくてもどこかでできるということもありますから、いろいろ調整、あるいは検討していきたいと思っています。ありがとうございました。
【来馬委員】  ありがとうございました。
【寺井主査】  どうもありがとうございました。石川委員の手が挙がっていますが。
【石川委員】  もう一度、追加で、コメントと質問をさせていただければと思います。
【寺井主査】  どうぞお願いします。
【石川委員】  先ほど中島先生からの質問の中での議論でもあったんですが、私からも重ねてということで、この人材育成センターでの実績、あるいは専門職大学院で教育に貢献したこと、あるいは各大学での非常勤講師とか客員教員、特任教員というのが、原子力機構の中での人事評価とかキャリアの中で積極的に高く評価されるようになるといいなと思っていまして、そこを御検討いただければと思います。そこはちょっと文部科学省のほうにも、そういうところがやはり我が国全体の人材育成において非常に重要だという認識を持っていただければというふうに思います。
 あともう一つ、次は質問なんですが、例えば中学校とか高校で原子力とか放射線を教えるような、そういう出張授業みたいな取組もされているのでしょうか。ちょっとその辺りも教えていただければと思います。
【加藤センター長】  ありがとうございます。
 まず、一つ目の人事評価の取組は、我々としても、できませんというスタンスじゃなくて、人事評価の中にきちんと取り込まれるような形はずっと継続しています。だから、人材育成だけじゃなくて、研究開発だけじゃなくて、ほかのいろんなこともあるので、その辺のところにできるだけ人材育成をやった結果がちゃんと評価される形になって、人材育成にもっと協力するようなモチベーションにつなげていきたいというふうには考えていますので、我々のセンターとしても人事部と連動して動いて、その辺を確認していきたいというふうに思っています。
 それから、二つ目は、機構の教育というか教育支援対象は、どちらかといえば大学生とか、高専生でも4年、5年生以上が対象になっていますけども、活動自体は、例えば、高校生のスーパーサイエンスハイスクールに対して、教育というか我々のほうに来ていただいて支援したりとか、小中高生でいくと、どちらかといえばその教育というよりアウトリーチ的な活動で、地元の施設を開放したりとか、職場を見てもらうとか、そういう活動をやっています。
 我々のセンターの所掌外ですけど、例えば、拠点の地域の小学生のところに原子力のイロハを教えるとか、どちらかといえば、我々みたいな人材育成をやるというんじゃなくて、アウトリーチ活動の一環で、それぞれの拠点の総務部とか地域共生課みたいなところがそういう形で対応しているということがございます。詳細はちょっと言えないのですが、そんな感じで対応しているということは情報としては確認しています。
【石川委員】  どうもありがとうございます。
【寺井主査】  それでは、五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  五十嵐です。御説明ありがとうございました。
 先ほど、来馬委員のお話を伺いながら、本当にそうだなと思いまして、原子力人材について作業部会でもすごく議論をしてまいりましたが、本当に、中心になって研究を進めていただく方も必要ですけど、いろいろな形で行政と結ぶ、社会と結ぶという方も必要なので、ぜひそういった多様なところで活躍できる方をたくさん育てていただけたらと思いまして、意見というか感想を述べさせていただきます。
 今の石川委員のお話でも出てきた、アウトリーチに関しましても、本当に、原子力については、大学生というよりも、もっと若い頃から知っていただく必要もあるかと思います。いろいろと多様な人材育成をされているので、もっと宣伝しなくてはともおっしゃっていたんですけど、ぜひさらに広報活動などもやっていただいて、また、もちろん既にやられていると思いますが、そういった広報に関わる人材というのも、きちんと育てていただいて、多様な、幅のある方が育っていくといいなと思いました。よろしくお願いいたします。
【加藤センター長】  ありがとうございます。本当に多様というか、いわゆる人材育成といっても本当に幅が広くて、特に研究者の人材育成と技術者の人材育成はちょっと違うというふうに思っていますし、学生さんでもやっぱりレベルによって、例えば、博士課程、研究を通じて人材育成をしていくとなると、いわゆる資格取得のような勉強ではなくて、研究の現場に来てもらうような形になっています。そういういろんな形の人材像が、人材が必要と感じていますので、あらゆる方面に手を伸ばしてはいるんですけども、そこにやっぱりリソースの問題みたいなところもあって、その辺のところが非常に難しいところはあるんですけども、五十嵐委員がおっしゃるとおり、やっぱり原子力分野は非常に幅広いので、手をできるだけ広げてやりたいとは感じています。ありがとうございました。
【寺井主査】  ありがとうございました。ちょっと私のほうから1点よろしいでしょうか。
【加藤センター長】  お願いします。
【寺井主査】  先ほど非常にたくさんの業務を原子力人材育成センターでやっておられて、今日は主に大学との連携協力、それから原子力人材育成ネットワークのお話を伺ったんですが、特に大学との連携協力に関して言いますと、専門職大学院はもうはっきりしているんですけれども、原子力教育大学連携ネットワーク、JNEN活動ですかね。ここのところが割とANECの活動に近いなという印象を受けたんです。それで、実際に講義される先生方も、いろんな大学から、あるいはJAEAさんからということで相互乗り入れされていると思うんですけど、実際にその実施の主体がどちらかという、その違いだけかなという気がちょっとしております。
 今すぐにというわけではないんですけれども、少し文科省さんのほうで調査をしていただいて、役割分担といいますか整理といいますか、なるべく相補性があったほうがいいなという感じもちょっと個人的にはしております。その辺りは少し文科省さんに調査をお願いして、次のフェーズの仕事になるかもしれませんけども、ぜひお願いしたいなと思いますが、ANECとの関係について、加藤さんはどういうふうにお考えでしょうか。
【加藤センター長】  ありがとうございます。その辺も私もすごく気にしてというか、ANECさん立ち上げのときから、どういうふうな形にしようかなというのは考えていました。この大学連携ネットワークそのものはスタートが平成19年なのでちょっと早いので、そういう意味でいくと、ちょっと先行的じゃないんですけども、連携してやってきたというのがあります。
 7大学さんの中にやっぱりそれぞれ読替えという、単位互換じゃなくて読替えという形でそれぞれの学科の授業として取り組んでもらっているという経緯があります。ANECさんは連携を前提に公募されて実施されているというのもあって、理念的にはANECさんが目指していることと大学連携ネットワークの目指している理念は一緒だと思っています。だから、できるだけ私としても、幅広に授業をしているところにも、いろんな大学や高専さんも来てほしいなというふうには考えています。
 一方、その反面、授業となると、やはり例えば、このJNENの中で一番難しいのは、講義時間をちょっと調整するにも、ライブ講義をするには実はあるんです。同じ国立大学法人であってもちょっとした違いがあって、時間差が出たりしたりするのと、それから、やはり学部で原子力を学んだ学生さんと学んできていない学生さんの差異があったりします。そういう意味で、共通的にやるのはすごく難しい調整があって、ある大学さんはここの部分を折れてくれ、この大学さんはここを折れてほしいと、こういう調整をしなきゃいけないという状況にあります。
 一方で、授業の中身については、できるだけ多くの学生さんに学んでほしいと思いますので、そういうその課題はありしも、ANECさんとは理念を共にしていますので、既に、名古屋大学の山本先生や京都大学の黒﨑先生とも打合せをさせていただいて、今後、お互いのところをうまくつなげて、リンクしていくような方向で検討しましょうということで、話はスタートしています。すぐにはできない面もありますけども、協議して、できるだけANECさんと連動した形にしたいと考えています。
 以上でございます。
【寺井主査】  どうもありがとうございました。恐らく、その教育の対象者をどう考えるか。入門レベルから、あるいはアウトリーチレベル、あるいは学部の、あるいは大学院の専門の方、技術者養成ですね。それから、最後は研究者養成というレベルかもしれませんけど、そういう意味で、対象が違うと、やっぱりプログラムそのものも違ってくるような気がします。それから、先ほど地方自治体の職員の方というのがありましたけど、ちょっとその辺の整理もしっかりしたほうがいいかなという気はしています。
 いずれにしても重要なのは、多分、財務基盤といいますか、リソースだと思うので、そこをどういうふうにシェアするか。ここは最終的に文科省さんの御判断になるかもしれないんですけど、ちょっとその辺も含めて、ぜひ整理しながら、連携しながら、有効にそれぞれの活動が機能するようにしていただけるとありがたいなというふうに思ってございます。
 文科省さん、いかがですか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。今、寺井主査におまとめいただいたコメントを受け止めさせていただきたいと思います。
 ANECの事業は、そのネットワークを組んでの活動というのは令和2年度以降ということで比較的新しくて、JAEAの取組は、もうちょっと前から、このJNENもそうですし、もう一つの原産協会さんとやっている人材育成ネットワークのほうも震災前からということで、歴史的な長さというのも違ったり、その始めたときの目標とか、取組の重点というのはそれぞれ違うということかと思います。ただ、原子力人材をきちんと育成していかなきゃいけないというところは同じですので、今、ネットワークが幾つか並立しているという状況だと思いますので、お互い、一緒にできるところは一緒にしたりとか、ただ、残すところは残すとか、整理をする必要があるなというふうに思ったところです。
 それから、先ほど意見交換の中で、JAEAの中でも、例えばその人事評価とか、そういったところについてのコメントがあったかと思いますけれども、先生方に御議論いただいたJAEAの第4期の中長期目標においても、人材育成については、JAEAの機能として、大事な機能ということで位置づけられていますし、あと、JAEAの業務運営に関する重要事項ということで、JAEAの中の人事に関する事項であるとか、広聴広報機能、双方向コミュニケーション活動を強化するとか、そういったところの記載もあるところです。これは独法評価の議論となりますが、どういうふうに法人の自己評価の中でお書きいただくか、また法人評価の審議会での審議の話もありますけれども、我々としても少し注意をしながら、進めていきたいなというふうに思います。
 以上です。
【寺井主査】  新井課長、ありがとうございました。
 今、私も今回改めてこの原子力機構の人材育成の話を伺ったところで、必ずしもANECとどういうふうにしてやればいいかというアイデアはなくて、多分今後いろいろ、今、新井課長がおっしゃったように検討していくべき課題かなというふうに思います。
 いずれにしましても、しっかりと人材育成をやっていただいているということはよく理解できましたので、引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。
【寺井主査】  それでは、少し時間が押していますので、これで資料2-1を終わりまして、次、資料の2-2の御説明を文科省さんからお願いいたします。
【新井原子力課長】 
 今の資料の2-1、原子力機構さんからの説明との連続ということでありますけれども、「原子力分野における教育研究機能の集約化について」という題の資料で、今後に向けた議論の取っかかりということで議論いただければというふうに思います。
 ちょっと言葉がこなれていなくて、集約化というふうにしているんですが、大学ネットワーク化、今、ANECが取り組んでいるネットワーク化とか双方が協力する体制というのが、原子力の教育研究機能を維持していくところで大事だということで、この点についてご議論いただければ幸いということでございます。
 原子力利用を国内で持続的に行っていくということを実現するためには、当然教育研究機能というものが大事であるということで、今、文科省の事業としては、人材育成事業、ANECを立ち上げ支援しているということであります。
 年末にまとめていただいた試験研究炉を取り巻く現状・課題と今後の取組の方向性についての中間まとめにおいて、人材についても記載をいただいていると。短期的に、当面今から取り組むべきことということで記載がなされているところです。
 人材育成については、今、次世代革新炉開発が政策的なキーワードとして出ていますけども、それをはじめとして、中島委員からもコメントがございましたけれども、全ての原子力研究開発を下支えする取組、これは人材育成が大事だということで、これを大学、JAEA等の関係機関が連携し取り組んでいく必要があります。
 大学や研究機関が組織的に連携した拠点形成をしていくとか、その中でJAEAが産学をつなぐハブとしての役割を主体的に果たしていくのが重要ではないかと。特に、次世代革新炉の文脈の中で書かれていますけれども、これは今日のお話もありましたけれども、全体的に国内の人材育成を考えていくJAEAの役割は非常に大事じゃないかということだと思っております。
 議題1のほうで、原子力利用の基本的考え方、原子力委員会のほうで議論されているものについても報告しましたけれども、この中でもこれに関するような指摘が記載されているところです。
 大学等における基盤的施設設備等の減少とか人材育成基盤の脆弱化といった状況も踏まえて、産学官の幅広い供用の促進であるとか、それぞれの研究機関が有する機能の連携・協働・集約化のための色々なサービス体制の構築であるとか、共同研究等を実施させることが求められているということが記載をされています。
 次ですけれども、原子力分野では特に放射性物質を扱うという、ほかの分野とは違う特殊性もあるかと思います。施設・設備・人員等が必要であるということでありますが、一大学ではその機能を十分保持できなくなってきている状況と。それらの大学の機能を、JAEAと大学等が連携・協働して集約をするということで、日本全体として教育研究機能というのを維持発展させていくことが必要ではないかということを考えております。
 ANECを中心として、人材育成機能を不断に改善していくという中で、また改めて、今までも出てきた論点かもしれませんが、ここに書かせていただいております。
 こういうことを考えるために、論点としていろいろあるのではないかということで、この丸1 から丸6 、これはもうANECで取り組んでいるような問題意識、あるいは議論、それに応じた取組ということがなされているかと思いますけれども、これまで以上、さらにより一層取組が必要な点等があるのかということでちょっと書かせていただいておりますが、専門教育カリキュラムに足りていないものがあるのか。実験・実習の機会、国際研さんの場が確保できているか。産学・分野の垣根を越えた競争の場というのはどうあるべきか。それから、今後の原子力分野における大学の維持すべき機能がどういうものなのかと。もし、集約を図る場合、それぞれの大学では教育研究機能を発揮されているわけなので、それにアドオンするような形でどこかに何かを集めたほうがいいというものがあるのかということと、それから、仮にそういった機能を一部どこかに移転するというときに、どういった連携協力の在り方があるのかということ。共同研究室の設置とか、大学の出先ラボとか、クロアポ、単位認定、研究指導とか、実際に連携協力ということを考えたときには細かい論点もあるかと思います。
 それから、次のページですが、いろいろ考えている中で、JAEAであるとか、あとは中核となる大学、こういったところを中核にして、ネットワーク化して、相互に補完協力する体制、これはANECで一定程度は進んでいるということで、かなりモメンタムも強化されているかと思いますけども、さらに検討することがあるのかと。
 その関係で、特にということで4.が挙がっておりますが、大学で保持が難しくなってきたような放射性物質を扱う実習等の教育研究機能について、JAEAの施設・設備等を最大限活用するようなことを考えたらどうかと。東西に拠点を設けるというのもあるんじゃないかということです。
 それから、大学の状況等に応じて、研究機器や資材、これは核燃料物質等も含むということかと思いますけれども、そこでJAEAの設備・施設で有効利活用できるよう集約化を図ってはどうかという論点もあるかと思います。
 具体的な制度設計は、こういった論点が原子力学会でも議論されているかと思いますし、ANECでも議論されているということで、これからもこうした意見交換をする中で、どういうふうにその既存の取組に連携をするとか、さらに足していくとか、そういったことを検討していけばいいのかを考えていく必要があるかなと思っております。
 次のページは、今のいろんな論点を整理したものですけれども、上の二、三行、ちょっと柱書きに書いてあるところは、原子力関係大学をネットワークでつなぎ、相互に補完・協力する体制の構築ということを、やはり旗印に、どういった一層の取組をしていけばいいのかということの検討が必要かということになります。
 1から3でありますが、教育研究機能の集約、ここはANECで取り組むような内容というものを、現在取り組んでいる対応をちょっと整理して書いてあるようなものでございます。
 2ポツ、3ポツで、今回お出ししている論点でもありますが、装置や資機材等の集約化ということで、座学は可能だけども、放射性物質を扱う教育実習・研究活動が難しい大学の機能をJAEAに一部集約するということがあるのかどうか。
 それから、その関係で、JAEAの施設設備を最大限活用して、原子力の教育研究機能を集約する中核的拠点を形成するということはどうかということです。
 別途、革新炉の開発ということを念頭に置いたときに、JAEAが産学をつなぐハブ機能を持つ必要もあるんじゃないかということで、それも検討していく必要があるということかと思いますけれども、まさに今回は今期の最後の部会の場になるかと思いますけれども、この先の部会におけるご議論につなげていくようなテーマと考えておりますので、次期への引継ぎということも含めて論点を出させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
【寺井主査】  新井課長、御説明ありがとうございました。
 教育研究機能の集約化と書いてありますけれども、これは相互補完、協力する体制、それからネットワーキングですね。そこのところであるということで、大学の独立性を損なうものではないということをまずは申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、ただいまの御発表につきまして、御質問、コメントをお願いいたします。特に4ページ以降ですかね。そこにいろいろ問題提起がありますので、御意見等を御自由にいただければというふうに思います。いかがでしょうか。
 和田委員、それから五十嵐委員、石川委員、手が挙がっていますので、今の順でお願いします。まず、和田委員、お願いします。
【和田委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
 質問ですが、この集約化の話というのは、新たなネットワークをつくるということではなく、あくまでもANECの機能の強化拡充という方向で議論していくというものなのでしょうかというのが1点。2点目に、同じく文科省の次世代革新炉の検討会でも人材育成及び知の集約拠点という議論がされているかと思いますが、そちらの議論とも重複するようなものなのでしょうか。
 以上、2点、御質問です。
【寺井主査】  新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。
 和田委員御指摘のとおり、まず、1点目、ANECを強化するような方向での論点ということを出させていただいているということでございます。
 2点目についても、次世代革新炉のほうでの検討、知の集約拠点といったところでありますけれども、その方向でのお話と、今回出された話は、少しオーバーラップしているところと新しいところと両方入っているんですけども、それぞれ考えていかなきゃいけない論点ということで我々は認識しておりまして、当面、すぐ目の前のことでいえば、令和6年度要求に向けて議論を深めていきたいと。さらに先も念頭に置きながらということで考えております。
【和田委員】  ありがとうございます。
【寺井主査】  和田委員、よろしいですか。
 それでは、五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。五十嵐です。御説明ありがとうございました。
 今、御説明があったように、具体的には来期からの御議論になるかと思いますが、その上で、集約すべき部分は集約し、そうでない部分と整理してこそ全体の発展があるかと思いますので、そこはいろいろ詰めていっていただければと思います。
 それで、私としては、さまざまな論点を挙げていただいた中で、やっぱり一番気になるのは、共創の部分です。産学、分野を超えた共創の場をつくるということを書いていただいていて、ぜひこれは実現していただきたいと思います。
 いつも同じことばっかり申し上げて申し訳ないんですけど、本当に原子力は広い分野の協力が必要だと思いますので、今までもやっていただいていますけれども、ぜひここに社会科学分野のものも入れていっていただければなと思いましたので、意見させていただきました。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  新井課長、よろしいですか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。
 今御指摘いただきました産学の共創というところは非常に大事だということで、そこについて、まず言えば、特に今、次世代革新炉、新しい原子力政策の議論というのをなされている中で、かなり、今まで、例えば一時的に原子力から離れていた人も原子力をまたやらなきゃいけないとか、産業界でもいらっしゃるかなというふうに思います。そういった学び直しの機会とか、そういった観点も含めて、産業界と大学の連携というところは大事な部分が出てくるかなというふうに感じているといったところです。
 それから、社会科学分野との連携といったところも大事だと思っております。今の人材イニシアティブ事業の中でも、人材の育成というところで、特にこういう技術的な専門性を有するような社会課題の解決に寄与する人材というのはどういうふうに育成したらいいのかということで、ディスカッションの新しいやり方とか、そういったこともちょっと念頭に置いたプログラムというのも走っておりますので、引き続き、委員御指摘の論点を念頭に置きながらプロジェクトを進めていければなというふうに思います。ありがとうございました。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。一つ前の議題でもあったように、本当に原子力には様々なレベルで活躍する人が必要だと思いますので、ぜひ御議論をよろしくお願いいたします。
【新井原子力課長】  承知しました。
【寺井主査】  五十嵐委員、ありがとうございました。それでは、次に石川委員、その後、中島委員にお願いします。
【石川委員】  御説明ありがとうございました。それで、確かにもう昔のように、いろんな大学に研究用原子炉を造るということは現実的ではないので、その研究用、あるいは教育用に使えるような原子炉、あるいは核燃料物質、放射性物質を使うような施設を集約する。例えばJAEAに拠点をつくるというのは非常に現実的で意義のあることと考えております。
 一方で、大学が新しいデザインの小型原子炉を造って、最先端の研究をしたい、教育をしたいというときに、逆にもうJAEAに造ってあるんだからいいじゃないかという議論にならないように、大学の中で新しいそういう施設を造ろうというような動きがあったときには、やはりそちらもエンカレッジするような取組があるといいというふうに考えております。
 また、そのためにもというところもあるんですが、大学で保持が難しくなってきているような、既に研究教育で利用していないような放射性物質、核燃料物質を集約するような機能も、放射性物質を取り扱う実習等の教育研究機能をつくるというときに併せて原子力機構に期待したいところであります。
 もう一つ、今後の原子力分野における大学の維持すべき機能とは何かという論点がございましたが、そこで、やはり大学の重要な機能として、最先端のイノベーティブな研究をするというところが一つあると思います。
 もう一つ、大学は原子力以外の分野の教員もたくさんいるということで、例えば本学のような総合大学の場合だと、文系の先生方、社会科学とか哲学とか法律とか、それこそメディア論とかそういう先生もいるので、先ほど五十嵐委員もおっしゃっていたんですが、やはりその原子力以外の学科、学部、部局などとも連携して新たな研究を進めていく、そういうような機能というのが大学の機能なのかなというふうに考えております。
 質問というよりはコメントですが、以上です。
【寺井主査】  ありがとうございました。新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  まず1点目のその機能集約といったところの話の中で、大学のほうで新たな構想があるときに、もうそれはいいんじゃないかという話になったら困ると、それはおっしゃるとおりかと思います。やはり国の原子力機構、研究開発法人ということで、いわゆる「国研」と言われているものと、大学、学術機関としての役割の違いというのはやはりあるということだと思いますので、そういった政策上の色合いの違いといったところを踏まえた上での、どういうふうに実際のアクション、事業にしていくのかといったところは議論をしていく必要があると認識をしております。
 それから、特に放射性物質を扱うといったところへの集約化の話については、ここは5ページの5ポツのところに、大学の状況に応じて研究機器や資材について、JAEAの設備・施設を有効利活用できるように集約化を図ってはどうかという、この論点についての御指摘だというふうに思っておりますが、ここはどういったものを集約化するかというところは少し検討を精緻にしていく必要があるかなとは思います。
 それぞれの大学で、核燃料物質、あるいはRIとか、そういったものをそれぞれの学術的なニーズの中で教育研究に使ってきたという中で、今も使っているものと、もう今は利用しないものというカテゴリーがあるのかなと思いますけれども、利用しないというものをアプリオリに、じゃあ利用しないので原子力機構へ、といったような簡単な議論ではないかもしれないので、そこはどういうものを集約化するといいのかというところは今後も検討が必要であるというふうに思っております。
 最後の大学の機能ということで、原子力だけではなくていろんな分野の先生方がいらっしゃって、新たな知を生み出していくというのは、まさにそのとおりかなというふうに思いますので、人材育成というときに、やはり産業界、大学、原子力機構、それぞれ持っているポテンシャルであるとかニーズというのは違いがあるのだと思うので、そこをどういうふうに連携して、お互いwin-winにしていくのかというところがポイントになってくると思います。
【石川委員】  どうもありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは、中島委員、お願いします。
【中島委員】  ありがとうございます。今後の議論の方向性ということで、特に大きな異論があるわけではございませんが、今の石川委員の御質問、あるいは新井課長の御説明にもあったと思いますが、この資料だけを読んで、最後のほうへ行くと、全部が全部JAEAに集約するのではないかというようなことになってしまいそうな気もしております。やはり大学は大学としての良さなり、やりようもあるかと思いますので、そういった特性を踏まえた集約化。特に研究拠点であれば、ある程度1か所にまとめるということは有効かもしれないのですが、教育ということを考えると、ある程度分散してそういう機能を持つ必要もあるのではないかと思っております。全部が全部を1か所に、遠いところからも学生さんをたくさん連れていかなくてはならないということになると、ちょっと問題があるのかと思いますので、そこは少し考えていただきたい。原子力学会における議論でも、集約化するにしても、西の拠点、東の拠点ぐらいかなという議論は今やっているところでございます。それが1点。
 それから、今後の具体化の段階の話になるのかもしれないのですが、特に核燃料とかRIというものを集約したり、あるいはその集約して持っていった後はそこの施設がなくなるということもあると思いますが、そういった施設の廃止ということを考えると、どうしても規制上のリスクというか、規制対応がどうなるかというところが非常に大きな問題になります。ある程度はそういったことをケアしていただかないと、集約して燃料やRIがなくなったから、もう、あとは大学のほうでやってくださいと言われると、大学としては非常に困ります。
 また、廃止なら廃止のときに、これは前も出ていましたけども、核燃料使用のごみを、そこで発生した廃棄物をどうするかということもやはり一緒に考えてもらわないといけない。理想だけで集約するといっても、実際の動きは、また、そこから10年先、20年先になってしまうというようなことにもなりかねないので、そういったことも議論の中では頭の中に入れていただいて検討する必要があると思いました。
 以上でございます。
【寺井主査】  はい、ありがとうございました。新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  今、この論点をご議論いただく上で、非常に難しいポイントについて御指摘をいただいたかと思います。我々のほうとしても少し整理をして、また次のディスカッションにつなげていきたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございました。多分この議論の具体的なところは次のフェーズということになりますので、そこでまたいろいろ御議論いただければというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、小澤委員、佐藤委員、来馬委員、秋山委員、手が挙がっていますので、その順でお願いいたします。まず、小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。非常に重要な議題かと思いました。聞いていてちょっと感じたことではあるんですけども、目の前の現実があって、さあどうしましょうかというと、こういう方向になるんだろうなとは思うんですけども、目的をしっかりと定めていくことなんだろうなと思いまして。例えば、原子力、エネルギーにしてもRIにしても、しっかりと世の中に役に立っていくと。そのためにこの人材育成をどうしていくのかという、その手段の選択に対して検討を深めていくべきだろうと思います。
 施設の集約は、現実的にはそうだろうなと思いますけれども、集約とは逆に、技術と技術、知識と知識がぶつかり合うとか、意見と意見がぶつかり合う場があって、それで、よりよいものになっていくというところが重要かなと思いますので、そんな議論を今後、次のステップでやっていければいいのではないかなと思います。
 以上です。
【寺井主査】  よろしいですかね。ありがとうございました。それでは、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  佐藤です。
 私はもともと原子力畑出身ではないので、この議論を見ていますと、全体像が分かりにくいと感じています。今、小澤委員が言われたように目的というのも非常に重要ですね。それから見て、本来、全体像をどういうふうに考えていこうかと。その全体像にとってやっぱり考えなきゃいけないことが幾つかあって、一見、集約というのは、1個にするというのは効率がいいように見えるんですよ。その代わり、これは下手すると、一つの圧勝的な考え方になってしまう。多様性がなくなってしまうと、特に教育においては非常に重要なところではないかなという気がします。
 いろんな技術の転換点、あとは福島の事故もそうです。何かあったときに、いろんな多様な点からものを見られる人材をある程度育てなきゃいけない。そういうときに、1か所に集約するというのが得かどうかということはぜひ考えていただきたい。
 効率化という観点から見たら非効率的だという面も確かにありますけども、それは考えない。効率化に対応するものは多様性ですので、そういう意味で、専門分野に関しても多様性が必要ではないかなと思います。
 私もかつてある大きい案件で原子力の方たちとやったときに、原子力分野の大学の先生方を含め、非常に専門性が高くて、自分たちの核物質を扱うとか、そういうところは非常によく分かられているんですけど、一般的な、分野、私は反応性流体力学が専門ですけど、そういう分野や破壊力学のところでは、えっ、と思うような議論を平気でするし、計算も、市販のコードで計算すればいいんですよみたいな意識になっています。でも、それでは、やっぱりいろんなことに対応できなくなりますので、そういう意味で、大学の良さ、その多様性の良さをどこで出すのかということを議論していただければと思います。
 もう一つ、設備の集約化の問題ですけども、当然、そういう点から、石川先生もそうですが、何人かの先生方からお話のあったように、大学に幾つかは残したいとか、いろんな研究拠点を残したいという議論はあります。そのときに、今、大学で一番の問題は技術職員の確保ということだと思います。こういうものを扱うのは、やっぱりちゃんとした技術職員がいるということが前提となると思いますので、臨時雇いの技術職員ではなくて、ちゃんとした技術職員が何人かいると、昔、大学ではそうでしたから。文科省さんとして、それをぜひ考えていただきたいと思います。それ抜きで大学院設備のコストとかなんとかという議論はなかなか通らないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
【寺井主査】  新井課長、お願いいたします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。特に教育のところに多様性が必要といったところですね。それはやはりその大学、学術機関としての役割と、その原子力機構のような国の研究所としての役割とか、おのずと、やはりその機関の性質によって、集約がいいのか、多様性がある程度あったほうがいいのかというのは違う面があるかと思いますので、御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。
 それから、技術職員の確保についての御意見をいただきました。これも、原子力関係の設備、施設への技術職員の確保ということだけではなくて、恐らくその工学部の全体が抱えている課題でもあるのかなと思います。その全体論的な政策的な議論というのも別途あるかと思いますので、そちらのほうの検討も我々は注視した上で、どういうふうにこの分野で対応していくのがいいかを考えていきたいと思います。
【佐藤委員】  私が申し上げたいのは、どちらかにしろという議論ではないということで、その割合も考えていっていただければと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。今の佐藤委員のお話はそのとおりだと思いますね。オール・オア・ナッシングの議論ではなくて、やはりケース・バイ・ケース、バランス論の議論かなと思います。ありがとうございました。
 それでは、来馬委員、お願いします。
【来馬委員】  ありがとうございます。
 たくさんの先生方がもうおっしゃっていますけれども、5ページ、あるいは6ページのこの表現だけを見ると、結論ありきに見えてしまうところ、それから、もうJAEAに全部集めればいいんじゃないか、みたいに見えてしまうところとか、これが独り歩きすると極端な意見が出てきそうで、これで良いのかなと疑問に思います。
 ただ、それはそれとして、やはり東西に拠点を置くという、そういう一つの方向性は、原子力をこれからの50年、100年をどうやっていくかという上で、中核、中心となる研究機関としてJAEA、そこがまた大学やいろいろなところをつないでいく、このことが非常に大きな意義、内容を持つということには、私は問題を感じません。ただ、我々の大学にも非密封線源を扱う施設とか、あまり他にはない設備機器も持っていますけれども、それをどうするか、例えば、全体を見た中で仕切られたときに、これは必要なのか、必要じゃないかという、個々のいろんなケースに対して、しっかりとコミュニケーションを取って、また議論を活発にやっていただいた上で、方向性、結論をまとめていただきたいということを強く感じましたので、意見を述べさせていただきました。よろしくお願いします。
【寺井主査】  ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。新井課長、うなずいておられますので、特にコメントはないかと思いますが、次期の議論の中で反映をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、秋山委員、お願いします。
【秋山委員】  御説明ありがとうございます。先生方がたくさん御意見をおっしゃっていたので、もうそのとおりだと思っております。
 1点、私からのコメントですけれども、やはり集約化といっても、先生方がおっしゃったように、分散してとか、複数のところが主体となって、これはここが主体となってとか、これはここが主体となってというふうになるかと思います。それぞれの大学とか研究機関が置かれている立場もそれぞれにあるかと思いますので、まずは広く意見聴取されて、全体像をつくってから構築されてはいかがかなと思います。
 それから、もう一つ、コメントとしましては、座学が中心となっている部分と、それから実際に赴いてという部分があるかと思いますが、比較的座学の部分はオンラインとかオンデマンドコンテンツ、それからテキストの集約であるとか、そういう点で比較的やりやすいかなと思いますので、そういう点で座学的な部分をまずは集約して、それからそういう現地に行ってやらなくてはならない部分をどういうふうに集約するかを考えられたらいかがかなと思います。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。今のどういった状況になっているか。先ほど佐藤委員からも、どういう目標の下で、全体像の中でどういうふうに取り組んでいけばいいのかというところを整理する必要があるんじゃないかといったコメント、御意見をいただいておりますけれども、今、この教育研究機能ですね。ネットワークをつくってしっかり進めていくというのは、人材育成事業のANECで進めているというところだと思いますので、PDPOの先生とも相談をして、どういった形で進めていくのがいいのか、現状どうなのかというところもしっかり踏まえた上で検討していきたいと思います。
 それから、特にこの5ページの4ポツ、5ポツに書いてある点なんかは少し新しい論点かなと思いますので、これについても状況を少し確認しながら、全体としての検討を進めていければと思います。
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは、石川委員、お願いします。
【石川委員】  すみません、再びの発言ですが、先ほど佐藤委員や来馬委員がコメントされたことについて関連してですが、多分、議題のこの教育研究機能の集約化についてというのが、あたかも今いろんな大学にある原子力関係の学科とかコースとか研究室をなくして、もう、ごく少数の拠点だけで原子力の教育をするというふうに取られかねないんだと思います。ここはそういうことではなくて、やはり全ての大学で大きな原子炉を持つわけにはいかないし、全ての大学、個々の大学で原子力全ての分野をカバーすることはできないから、原子力関係の大学をネットワーク化して連携していきましょう、大規模な施設はごく少数ですが拠点をつくって、そこを多くの大学で活用していくようにしましょう、という趣旨の議論であるということを確認したいんですが、新井課長、いかがでしょうか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。補足して言えば、今、原子力関係の研究科、学科自体はそれほど数が多くない状況に陥っているということかと思いますけれども、土木とか機械とか、原子力と少し関係が出てくるような分野とかも含めると、いろいろその関係がある大学等というのはそれなりの数はあるかと思っています。それを何か一つのところに全部集約してしまうとか、そういうことではなくて、もちろんそれぞれの関係の学科であるとか研究科の教育研究の質の確保というものは、それぞれ各所で取り組んでいただく大事な点で、それを強化するためにネットワークを結んで総合的に連携していくと、それが一つの階層の議論だと思っております。
 その上で、連携するところのその先といいますか、1個のところに集約したほうがいいような事柄については集約をするといった分野もあるのではないかと。そういったことが何かあるのかどうかというのも論点ではないかということを、今回、お示ししたものです。今、ANECの取組とかがある中で、その多様性とかそういったものを全く捨象した上で何か一つにしてしまうと、そういうことではございません。
【石川委員】  ありがとうございます。やはり各大学の多様性とか特徴とか、そういうことが生かしていけるように進めていただければと思います。ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。実は私もそこのところは気になっていまして、文科省さんと大分意見交換をさせていただきました。それで、大学のミッションとして、どちらかというと、今は足りないところをお互いに補足し合うという、そういう感じでのネットワーキング、あるいはRIとか原子炉を使った実習がなかなか各大学はできにくい状況ですので、それをどこかの拠点でやるということなのかなと思います。
 それで、大学そのもののミッションとしては、技術者教育というのももちろんありますけれども、高度の研究者養成というミッションも当然あって、次世代革新炉をやっていくためには、そこのところもまた極めて重要になると思います。
 そういう意味では、研究を通した教育というのはそれぞれの大学のオリジナリティーを持ってやるべきものだと思うんですが、その中で、多分文科省さんにお願いすることとしては、こういうその研究を通した教育がやりやすい環境づくり、例えば、具体的に、RIとか放射線、あるいは核燃料をしっかりと取り扱うようなそういう環境づくりの仕組みづくり、あるいは原子炉を使って、新しい発想でもって実験ができる、そういう環境をつくっていただくというところが、研究を通した教育の一つの重要な役割かなというふうに思います。その中で、やはり各大学の持っておられるオリジナリティーとか、新しい発想とか、そういうものを生かしていただく、そのための環境づくりということだと私は理解をしているところです。
 課長、いかがですか。
【新井原子力課長】  今おまとめいただいた論点のとおりかと思います。
 あとは、むしろ前回、検討いただいたような次世代革新炉に向けたその検討というところの中で、産学官での連携、どういった産業界のニーズを踏まえて大学が対応していくのかとか、そういったところで、JAEAが中心に、少し産学をつなぐハブ的な機能をといった、そういうところの論点というのは今日はあまり出てきませんでしたけれども、それについてももちろん併せて考えていく必要があるかと思っておりますので、引き続き検討していきたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。産学官の、官のところにおけるJAEAの役割ということかと思います。なかなかJAEAにはいろんなことをお願いすることになるかもしれなくて、何となく申し訳ない。もう八面六臂の活躍をしていただかないといけないところ、申し訳ないんですけど、その辺も含めて、次期の作業部会ですかね、そこでしっかりと御議論いただければと思っております。
 そのほかにいかがでしょうか。もし御意見がなければ、少し時間が超過しておりますので、ここで議題の2は終わらせていただきます。
 いずれにいたしましても、本日いただきました御意見につきましては、議事録に残しまして、今後の検討につなげていくことで、事務局には引継ぎをしっかりとお願いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日予定をしていた議事は以上で終了いたしましたが、そのほかに全般的でも結構ですので、御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
 特に御意見がないようですので、最後に事務局のほうから連絡事項等をよろしくお願いいたします。

【髙倉課長補佐】  本日は御参加いただきましてありがとうございました。本日の議事録につきましては、出来次第、メールにて御確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。
 また、今回の作業部会が第11期の活動の最後となりますため、原子力課長新井より御挨拶させていただきます。
【新井原子力課長】  新井です。
 今、髙倉のほうからもありましたけれども、第11期、ちょうど令和3年の2月から今年の2月までと、2年間で、会議としては、令和3年5月以降、8回の委員会に、先生方、大変お忙しい中、御出席、御議論いただきまして大変ありがとうございました。この期間はコロナの影響が非常に大きくて、これだけ活発な議論をいただいているのにオンラインがほとんどだったということで、そこの点は残念でしたけれども、いずれにしてもありがとうございました。
 この期間は、具体的には、文科省の事業、人材育成イニシアティブ事業であるとか、原子力システム開発事業についての公募の在り方であるとか、改善とか、そういった御議論をいただいたり、試験研究炉の関係でいえば、「もんじゅ」サイトの試験研究炉関係でのヒアリング、それから試験研究炉を取り巻く現状と課題の今後の取組の方向性についても御議論いただき、中間まとめをいただきました。その過程においては、JAEAのJMTRの後継炉検討委員会の活動状況のヒアリングもいただきました。
 それから、原子力機構の第4期の中長期目標・中長期計画の策定に当たっての御意見もいただいたり、群分離・核変換技術についてタスクフォースをつくりまして、評価の関係の御議論もいただいたりしたところもございます。
 多岐にわたる御議論をいただいたということで、感謝をいたしております。
 政府全体の原子力政策については、今日も報告しましたけども、2050年カーボンニュートラル、それからエネルギー安全保障という観点で、GX実行会議であるとか、原子力関係閣僚会議で政策議論がかなり進んでおり、これからも活発に行われていくのかなと思います。
 いずれにしても、我々としては、基盤技術・人材育成というのはどういう状況になってもしっかり取り組んでいかなきゃいけないということで、引き続き取り組みを推進していきたいと思います。また、いろんな場で先生方にいろいろお伺いすることもあるかと思いますけれども、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【髙倉課長補佐】  ありがとうございました。最後によろしければ、寺井主査からも御挨拶をお願いできますでしょうか。
【寺井主査】  ありがとうございます。第11期の作業部会の主査を務めさせていただきました。ありがとうございました。先ほど新井課長から御紹介がございましたように、コロナ禍ということで、たくさん会合を持たせていただいたんですけども、なかなか先生方と直接お目にかかってお話をする機会がなかったというのがやや残念でございます。一日も早いコロナの収束を願っておるところでございます。
 その一方、先ほどからお話がございますように、この1年、あるいは半年間で原子力に対する方向がかなり大きく変わってきたというところは身をもって実感をしてございます。そういう意味でこの作業部会の位置づけというか意味合いも非常に大きなものがあったのかなと思ってございまして、私自身、作業部会で非常に重要な御指摘もいただきましたし、コメントもいただきましたし、自分自身、勉強させていただいたことも非常に多かったと思います。
 そういう意味で、主査をやらせていただきながら、結局のところ、すごく楽しい時間を過ごさせていただきまして、どうもありがとうございました。
 この第11期はこれで終わりますけれども、先生方にはまたいろんな形で、いろんなところでお世話になるかなと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。
【髙倉課長補佐】  ありがとうございました。
 それでは、第15回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。ありがとうございました。
【寺井主査】  どうもありがとうございました。
【一同】  ありがとうございました。


―― 了 ――

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