原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第14回) 議事録

1.日時

令和4年12月13日(火曜日)15時30分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について
  2. 我が国の試験研究炉の今後の取組の方向性について
  3. その他

4.出席者

委員

寺井主査
中島主査代理
秋山委員
五十嵐委員
石川委員
小澤委員
来馬委員
佐藤委員
中熊委員
和田委員

文部科学省

新井 原子力課 課長
竹之内 原子力課 課長補佐
宮川 原子力課 課長補佐
髙倉 原子力課 課長補佐

オブザーバー

外池 日本原子力研究開発機構 経営企画部 次長

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第14回)
令和4年12月13日

【高倉課長補佐】  定刻になりましたので、第14回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
 今回の作業部会も、新型コロナウイルス感染の拡大防止の観点から、オンラインで開催しております。これに関して確認事項がありますので、議事に入る前に事務局より御説明させていただきます。
 オンライン開催に際して留意事項を御説明いたします。委員の皆様におかれましては、現在、オンライン上で画像、音声が送受信できる状態となっております。御発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと画面の左上の挙手マークが表示されますので、順次、主査より指名していただきます。もう一度ボタンを押すと挙手マークが消えますので、発言をいただいた後、挙手ボタンを押して手を下ろしていただくようよろしくお願いいたします。会議中にビデオ画像及び音声が途切れる場合は、その時間帯は退出されているものとみなします。オンライン上での接続の不具合が生じた場合は、随時、事務局宛てに御連絡をお願いいたします。
 傍聴される方におかれましては、ビデオ画像及び音声をオフにしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は御退席いただきます。
 議事録につきましては、事務局にて会議の音声を、後日、文字起こしをいたします。事務局以外の会議の録画、録音はお控えください。
 以上が本日の進行に当たっての留意事項になります。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。今回は、委員の皆様及び傍聴の登録をされている方宛てにメールで送付をさせていただいております。
 手元に議事次第を配付しておりますが、本日の議事は3題あります。1点目、原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況について、2点目、我が国の試験研究炉の今後の取組の方向性について、3点目にその他です。配付資料としましては、資料五つと参考資料四つを用意しております。お手元の資料を御確認いただき、不備等がありましたら事務局まで御連絡ください。
 本日の議事次第は申し上げたとおりで、17時までを予定しております。
 委員の皆様の御出席状況については、開始前に事務局にて確認させていただいております。なお、本日、小澤委員は少し遅れての御出席となります。運営規則の第3条に規定されております定足数の過半数を満たしておりますので御報告をさせていただきます。
 また、本日は、原子力研究開発機構よりオブザーバーとして外池様に御参加いただいております。
 続きまして、事務局より参加者について御案内いたします。
 文部科学省からは、新井原子力課長、宮川課長補佐と、私、高倉が出席しております。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録についてはホームページにて掲載いたします。
 事務局からは以上です。
 ここから寺井主査に議事の進行をお願いしたいと思います。
【寺井主査】  ただいま御指名いただきましたので、私のほうでここから議事を進行させていただきます。実は私、今日、文部科学省から出席をさせていただいておりまして、久しぶりに会議室からということで、少し新しい気持ちで今日は臨んでございます。よろしくお願いします。
 本日の議題は、お手元の議事次第にありますように、先ほどお話ありましたとおり、議題の1から3でございます。時間は17時までということで予定をしてございます。

 それでは、早速でございますが、議題1、原子力人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況についてをお願いいたします。
 文部科学省御担当官から御説明をお願いいたします。
【新井原子力課長】  文部科学省原子力課長の新井でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、人材、原子力イノベーションを取り巻く最近の状況という議題でございますけれども、前回10月26日、第13回の部会において、事務局のほうからGX実行会議の検討の話題、そして、それにGX実行会議の原子力関係の検討を見つつ、文部科学省では次世代革新炉の開発に向けて基盤研究や必要な研究開発、人材育成といったところを検討するため、局長の私的懇談会、検討会を立ち上げたという御紹介をいたしました。
 その検討会について、それ以降、5回開催をいたしまして、中間的な論点整理をしているという状態になっております。検討会の議論として、検討会のほうで中間的な論点整理を取りまとめ中でありますけれども、この部会でも現状報告をしたいと思います。
 今、申し上げましたけれども、検討会での議論となりますので、資料1で案と書いておりますけれども、この部会での決定事項ではありませんことをあらかじめ申し上げておきます。
 本日は、この検討会での論点整理の状況報告をして、御質問や御意見をお伺いして、それを本部会の議事録にも残すということでできればと、事務局としては思っております。
 他方で、次の議題のところで試験研究炉の方向性の議題になりますけれども、当部会で取りまとめていく文書案にも、一部反映をする点もございますので、併せてよろしくお願いします。
 それでは、3ページを御覧ください。
 これは前回の部会でもお出しした資料とほぼ同じですけれども、我々のほうの私的懇談会、検討会を始めておりますということです。
 メンバーのリストについては、後で御覧いただければと思いますが、13ページにリストが書かれております。
 今、GX実行会議等でも議論検討中ですけれども、次世代革新炉の開発・建設について話題になっているという中で、資料中の三角の箇所ですけれども、次世代革新炉の開発自体は民間主体の取組といったところですけれども、それに必要な基盤的な研究開発、インフラについて検討が必要ではないかと。これは国あるいは原子力機構への期待が強い部分だと理解をしております。
 検討のポイントというところで、主に基盤的研究開発、基盤インフラの整備についてというところで、原子炉システム、あるいは燃料製造、それからバックエンド―再処理の部分について議論を重ねてきたといったところであります。それから、その下にありますけれども、人材育成の課題、それから大学の知の集約拠点として原子力機構が果たすべき役割があるのではないか、そういったことについても検討したということでありました。
 4ページ、次世代革新炉開発の基本的な考え方ということで、これは総括的な考え方の整理をしております。
 次世代革新炉は、固有の安全性を含め、新たな安全メカニズムが組み込まれ、安全性の向上が見込まれるということが大きな特徴ということで、その下に、革新軽水炉、高速炉、高温ガス炉とありますけれども、主にこの検討会では原子力機構のポテンシャル、公的機関のポテンシャルが大きく期待される高速炉、高温ガス炉について議論がなされたということであります。
 革新軽水炉についても民間を主体とした取組で既に実装の見込みが得られているという状況ではありますけれども、これはこの部会での議論にも関係がありますけれども、長期運転等に必要な高度化のための中性子照射環境の将来的な整備についての検討が必要ではないかと、そういった問題意識についてはここで記載がなされているという状況でございます。
 その次、高速炉ですけれども、高速炉についてはこれからの開発といったときに、なすべき目標として、MA燃焼をすることによる環境負荷低減、それから医療用RI製造、それから再生可能エネルギーとの共存というシステムの検討とか、資源の有効活用だけではなくて、多様なニーズに応える技術というものを社会実装するための取組が重要であるということで、当面は高速炉サイクル技術全般の技術開発基盤整備が喫緊の課題ではないかという議論がなされていたということです。
 高温ガス炉については、熱利用や水素製造、そういった発電以外の新たな原子力の可能性を広げるという取組が大事だということで、当面は原子力機構の高温ガス炉の実験炉のHTTRを中心として、熱利用システムの実証や安全性の確認を行っていくといったところ。それから、今、国際協力のプログラムにも参加をいろいろしておりますけれども、そういった知見も活用しつつ、ユーザーの掘り起こしも進めながら、大型化に伴う課題への対応なんかも具体化していくことが必要ではないか、そういった議論がされていたということでございます。
 5ページ目以降は各論的になります。
 まず、高速炉の関係ですけれども、高速炉の炉システム開発の関係です。
 炉のシステム開発について、ナトリウム取扱技術等が必要だということと、あと、原子炉容器の大型化、炉心の高燃焼度化に耐えられる材料開発、こういった課題があるといったところです。
 これについて、今、令和6年度末の運転再開を目指して高速実験炉「常陽」、それから大型ナトリウム機器試験施設の「AtheNa」――これは双方原子力機構にありますけれども、これを早期に整備・活用していくということが重要ではないかということであります。
 次のページですが、それに加えて、放射性廃棄物の減容化・有害度低減、医療用RI、再生可能エネルギーとの共存、こういった多様な役割への期待といったところで、既存のインフラを使うということとともに、集合体レベルでのMA含有燃料の照射試験であるとか、さらなる安全性向上技術の実証とか、「常陽」のみでは対応することが困難なニーズがあるのではないかということで、「常陽」に加えて新たな中性子照射場が長期にわたって必要ではないかという意見も示されたということであります。
 こうしたニーズに対応するため、新しい小型高速炉(新高速中性子照射炉)を遅滞なく整備していくことが大事ではないかという議論がなされたということです。
 次のページ、高速炉の燃料開発についてです。
 燃料については、経済性向上を目的として、太径中空燃料の開発、それから燃焼度を上げていくということで、長寿命炉心材料の開発、それからMA含有燃料の特性や挙動に関する研究開発、こういったものを進めていく必要があると。あとは、燃料の製造には遠隔自動化された新たな施設が必要ではないかと、それを工学規模で実証していくことが大事だという議論がなされております。
 今、「常陽」の運転用燃料の安定供給が喫緊の課題になってくるという中で、原子力機構のプルトニウム燃料第三開発室――いわゆるプル三と呼ばれている施設ですけれども、そういった既存インフラの整備活用も含めて、運転再開後の燃料供給体制を確立することが重要ということであります。
 それから、先ほど議論が出たところの新高速中性子照射炉に向けた燃料製造には新たな燃料製造施設の整備が必要ではないという議論がされております。燃料集合体レベルでMA含有燃料の製造実証をするだとか、あるいはMOX燃料だけではなくて、金属燃料に関する基盤研究を実施する場としての活用というのもできる必要があるのではないかということであります。実証炉用燃料の製造に向けて求められる役割に柔軟に対応できるような施設の設計を行うべきという議論がなされております。
 次のページ、高速炉の燃料サイクル技術開発についてです。
 こちらについても、ラッパ管の切断解体を含む燃料解体・剪断技術開発等々のほかに、核拡散抵抗性の観点から、ウラン、プルトニウムの共回収技術とかMA分離技術の開発を進めていく必要があるということです。
 また、まずは「常陽」燃料の再処理を念頭に、工学的規模で再処理実証が必要と。MOX燃料の再処理技術について、今はまだ実験室レベルだということで、工学的規模での再処理を実験するための再処理実証フィールドの整備が課題ではないかという議論がなされています。
 それから、湿式再処理ではなくて乾式再処理についてもオプションとしてあり得るということで、今後の政策判断によって柔軟に対応できるように、国際的な連携もした上で取り組んでいく必要があるのではないかという議論があったと思います。
 次は高温ガス炉であります。
 高温ガス炉はこの1ページだけですけれども、HTTRを最大限活用ということで、熱利用の実証試験研究を進めていくということと、大型化の実現のための技術開発、それから、水素製造の実証というときに、カーボンフリーの水素製造技術についても併せて進めていく必要があるといったところです。
 それから、燃料製造のポテンシャルということで、これまで実績がある民間企業における製造能力の活用を検討していくということや、HTTRの照射後試験を実施するといった課題もあります。
 再処理については、既存施設を最大限活用し工学規模での再処理実証を着実に今後進めていく必要があるのではないかという議論がなされております。
 次のページ、今後の開発にあたっての留意事項ということで、これは横断的な話ですけれども、様々な政策のシナリオに対応できるような柔軟性が求められるのではないかというお話、それから、保障措置面での対応を取り入れていく必要があるのではないかというお話、それから、財政的支援が必要不可欠ではないかというお話、それから公的研究機関、実証炉の中心となる民間企業ともに人的リソースにも限りがあるのではないかということで、現実的な技術開発のロードマップが必要ではないかという話、あとは国際連携が大事だと、そういったことが指摘されております。
 次のページですけれども、人材育成の関係の議論であります。
 原子力分野の人材育成、今後、活性化をさらにしていくといったところで、国あるいはこういった新しい革新炉の試行をしていくという中で、必要な研究開発を明確化して、大学等と産業界が協働して取り組む体制をより強化していく必要があるのではないかという議論、それから、それらをつなぐ橋渡し機能として原子力機構が知の集約拠点として活動する必要性があるのではないかという議論がされております。
 いわゆるシーズとニーズをマッチングさせるという観点から、必要な技術分野ごとに可能な限り定量的な指標を用いるなどして技術成熟度を提示して、どういった研究が大学あるいは原子力機構に期待されているのかというのを明確化して取り組んでいく、あるいは、今、文科省の国際原子力人材育成イニシアティブ事業、それから原子力システム開発事業とありますけれども、そちらへのお金の流し方についての改革というのも検討される必要性もあるのではないかと。
 それから、サプライチェーンの人材のことを考えたときに、リカレント教育・リスキリングの活用といったところも重要な人材の視点であります。
 それから、原子力人材の確保、基盤研究を支えるというときに、国内の試験研究炉も大事だというところで、「もんじゅ」サイトの新試験研究炉についても重要であるいう期待についても議論がなされたということであります。
 次のページですが、本検討会の今後の進め方ということで、この検討会自体、秋からこの12月にかけて論点整理をしました。今後、優先順位をどうするのかとか、本年度末を目途にさらに議論をしていきます。特に高速炉、高温ガス炉について、今、エネ庁の原子力小委員会でもの技術ロードマップについて議論がされていますけれども、どういうふうに適合させていくかということも論点ではないかということで、検討の上留意点をまとめるということも記載されております。それから、適切なタイミングで経産省、文科省等の関連する審議会等に報告ということも今後の予定として書かれています。
 今日お配りしている資料で参考4の資料。今申し上げたエネ庁のほうの原子力小委員会で、ちょうど、今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針というものが検討されております。この中で、詳細は触れませんが、再稼働の話、運転期間の延長といろいろ議題がある中で、次世代革新炉の開発・建設、13ページに基盤的研究開発・基盤インフラの整備、人材育成、こういったところも今後の原子力政策の方向性の中で重要な取組になってくるといったところも記載されております。これから年末にかけてエネ庁のほうでも議論が進んでいくかと思いますけれども、ちょうどこの検討会での議論が対応するような形で進んでいるということであります。
 事務局からの説明は以上です。

【寺井主査】  新井課長、どうもありがとうございました。
 それでは、本件について、委員の皆様から御意見、御質問等をお願いしたいと思います。先ほどお話があったとおり、この検討会は局長の私的懇談会という位置づけになっておりまして、本部会での議論とはパラレル、独立に、いま進んでおりますので、ある種の情報交換といいますか、情報共有というのは非常に大事な話になるかと思います。
 そういう視点も含めて委員の先生方から御意見、御質問等いただければ、それを議事録という形で残してしっかりと検討会のほうにお伝えすることができるということでございますので、よろしくお願いいたします。
 どなたでも結構ですので、挙手にてお願いいたします。
 五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。五十嵐です。御説明ありがとうございます。資料を拝見し、大変短期間のうちに非常に深い議論が進められていると思いました。
 それで、取り違えているところがあるかもしれないので間違ったことを言ってしまうかもしれませんが、論点整理ということで、これが年度中にまとまるというような理解でよろしいのでしょうか。それで、その結果、この文書はどういう形で活用されるのでしょうか。
 これについて、先ほど御紹介のあった、昨日加えていただいた参考資料の4では、国民の各層とのコミュケーションというようなことが書いてございましたけれども、今回のこの論点整理を見ますと非常にいろいろなことが検討されていますが、やはり革新炉ということで技術中心の検討という理解でいいのか、こういった文書でさらに広く意見を求めていくというようなフェーズがどこかであるのかどうか、分かったら教えていただきたいと思いました。
 元の文書のほうの10ページのほうに、留意事項というところで「いろいろなシナリオに対応できるような柔軟性」とありますが、これはもっといろいろな社会的な変化とかもあるなかで、そういったことも含めて議論されていくのかどうかということ、また後半の部分、同じところに「政府による大胆な財政的支援が必要不可欠」ということが書いてあって、これには非常に国民の理解というのが必要だと思いますが、そういったところへの働きかけなどについてはこの検討会の中ではどのような議論になっているのか、教えていただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。4点ほどいただいたかと思います。よろしくお願いいたします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。まず、全体の議論の建てつけについて御説明したいと思います。エネルギー政策の中での原子力政策、これは経産省のほうの所掌ではありますけれども、こちらについての大きな方向性の議論というものがまず流れとしてあるかと思います。その下で必要な研究開発、基盤整備、あるいは人材育成、そういったものを文科省として検討していく、そういった大きな階層があるかと思います。
 政府としての原子力政策のところですけれども、この7月にGX実行会議でエネルギー安全保障であるとか2050年カーボンニュートラル実現、そういったニーズに対応していくといったところであらゆる選択肢を検討していく中で、原子力についても非常に大事だということで、その原子力について次世代革新炉の開発・建設といったところも検討する必要があるということになっていたということであります。
 そのGX会議の議論、検討状況を踏まえた上で、エネ庁の原子力小委員会のほうで原子力政策の方向性と行動指針案が議論されているということと理解しています。
 エネ庁の審議会の議論ではありますが、我々が承知しているところでは、この原子力政策の方向性と行動指針案については研究開発以外の要素も含めていろいろな要素が入っていますが、原子力小委員会で大体案がまとまった状況であり、今後、上の会議や関係の会議に報告をして、何らかの形でパブリック・コメント等の手続きをとっていくことが想定されているということであります。そのプロセスの中で広く国民の皆様の御意見、あるいは御質問、そういったものを受け付ける、受け止めるということになるかと思います。
 我々のほうはそういった原子力政策全体の方針が固まってはいない状況というところなんでありますけれども、より一層具体的な研究開発の面、あるいは人材育成の面でも論点の深掘りをしてきたということであります。そういう意味では、全体の政策の流れというものがある程度所与のものとして期待される中で、どういった形になるかというのはこれからの議論としても、それを踏まえた上での必要な基盤等の検討をしてきたということであります。
 その中で、12ページでありますけれども、我々の検討会としては、今後の議論ということで今年度末を我々としてはターゲットに置いて、高速炉等の技術的なロードマップの検討に資することを目的とした議論をしているということになります。
 ですから、検討会だけで終わるということではなくて、これを経産省、それから人材とか基盤のところについては関係が深い文科省の審議会、具体的には原子力科学技術委員会や本部会等にも報告をして御議論をいただくことを想定しているところでございます。
 それから、10ページの財政的支援が必要不可欠、これについても大きな政策の方向性としての議論というのは政府全体としての議論があると思います。
 ここで書かれているのは、研究開発、基盤インフラ整備、こういったことの必要性というものを考えたときには財政的な支援が必要ではないかという認識が出されたということでありまして、この要素についても関係省庁のほうには報告・共有していくということで考えております。
 今の立ち位置ということではこのように認識をしております。
【寺井主査】  五十嵐委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。そういった背景であることは分かっておりますが、これまでこの作業部会も含めて原子力の分野というのは非常に広範な分野なので、ハードというか、技術だけでなく、もっと様々なことを考えていく必要があるということを議論してきたかと思う中で、もちろん人材育成とかも触れてあるんですけれども、革新炉についての技術の検討ばかり触れられていると、そういう感想を持ちましたので、あえて聞かせていただきました。ぜひ様々な人を加えていくという議論をしてきたことが何かの形で入っているといいかと思いました。
 よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは、佐藤委員と中島委員、手が挙がっていますが、まずは佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  佐藤でございます。確認ですが、文科省としては次世代革新炉―これはSMRとかも今の軽水炉のアドバンス軽水炉とか皆さんいろんな意見がございますが、その中で、文科省としては高速炉と高温ガス炉を担当して、それに関する基盤技術等の研究開発を行う、それがまた他のタイプの原子炉にも波及するということと考えてよろしいんでしょうか。
 また、もう一つは、核燃料のサイクルのほうですね。それも文科省の分担として原子力開発機構―JAEAが中心となり、大学と協力して行うという考え方でよろしいんでしょうか。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、お願いいたします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。まず、今、最初の御指摘、4ページのところに関係があるかと思いますが、今、革新炉と言われている中で、御指摘のとおり、軽水炉もあればSMRもあれば、ちょっと毛色は違いますけれども、核融合についても革新炉のところで概念としては政府の文書の中では書いているところになります。
 その中で、SMRについては、高温ガス炉も基本的にはSMRの一つになるかと思いますけれども、現在エネ庁の方で俎上に上っているのは軽水炉のSMR、それから次世代軽水炉、こちらについては、当然、例えば安全研究であるとか照射試験とかそういったところで原子力機構等が貢献するところもあるかと思いますので、そこが全く捨象されているわけではありません。その上で、特に高速炉、高温ガス炉について、今まで原子力機構における基盤的なインフラや研究開発を踏まえた実績、知見等があるという中で、ここについて特に深掘りして議論をしてきたということであります。
 それから、高速炉のサイクルについても、実証炉あるいは商用炉、こういった将来のプロセスを考えたときに、やはり産業界が引っ張っていくといった形というのが必要というか必須になってくるかと考えますけれども、その前段階としての実証炉に向けた研究開発といった要素がまだあるのではないかといったところの議論がなされていて、そこについては原子力機構が大学あるいは産業界と連携する部分があるかと思いますけれども、しっかり責任を持つ部分があるのではないかといったところで議論がなされてきたということでございます。
 以上です。
【佐藤委員】  ありがとうございました。
【寺井主査】  ありがとうございました。それでは、中島委員、お願いいたします。
【中島委員】  ありがとうございます。中島です。論点整理案ということで、まずは、多分、今後必要と思われるところをずらっと並べたということかなと理解しております。これを全部やろうとするとお金も人もという意味での物すごいリソースが必要になってきて、今後、その中からどれを、と実際に動かしていくときにはそういったことが議論になって、交通整理が必要だと思っております。
 その中の一つとして、例えば、ここで新たに新高速中性子照射炉の整備が必要という話が出ております。これは後の議論にも関係しますけれども、この部会の中でもJMTRの後継炉の議論があって、そこでもやはり材料照射のための照射炉が必要だという議論が行われておりました。ですから、今回の議論の中でそことの関連がどうなるのか、両方の炉を造る必要があるのかとか、あるいは新高速炉の小型の高速炉を造ったらもうJMTRの後継炉は要らないのかとか、もし議論があったのならば教えていただきたいなと思いました。
 それから、人材育成のところで、基本的にはこれは革新炉の開発に係る人材育成ということなので、多分、原子力エネルギー利用、いわゆる発電利用というか、それにつながる人材の育成が主になるのかとは思いますけれども、資料の中でも、例えば、今後の原子力分野の人材育成活性化ということであれば、やはりエネルギーだけじゃなくてサイエンスとしての、例えば、放射線利用、中でもいろいろ―RIとかは一部出ていますけれども、そういった面での人材育成も必要だと思っておりますので、そういった視点もこの中では取り込んでいただければありがたいと思いました。
 以上、質問とコメントでございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、お願いいたします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。まず、照射の関係の話ですけれども、資料6ページの記載についての御質問かと思います。
 本検討会では高速炉のシステム開発といった観点のアングルから議論したときに、「常陽」に加えた新たな高速中性子照射場というのが必要ではないかという意見が示されたということでありますけれども、当然、今の国内の照射環境との関係でどういった形で整備、あるいは連携をしていくのかなどの論点の議論はこれから必要になってくるかと思います。この点については、次の議題の試験研究炉の今後の方向性の中間まとめの中でも記載をしているところでございます。
 それから、人材についても、この検討会自体が次世代革新炉の開発という目標に向けたときにどういった取組が必要なのかという切り口で議論がなされているので、11ページの記載もその点を念頭に置いた書き方になっておりますけれども、既に人材育成事業で先生方に御協力をいただいて進めている議論については、当然、次世代革新炉の話もあれば、サイエンス、学術としての原子力人材を数多く、質を向上させ、量を増やしていく話とか、国際連携とか放射線利用とか様々分野はあるかと思っておりますので、それぞれの見方によって一面的にやればいいということではないと思っておりますので、事業の今後の在りようを考えるときには、当然、次世代炉のことだけではないという点は申し述べさせていただきます。
 以上です。
【中島委員】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。今、中島委員のおっしゃった中で、今はこちらのほうで検討している新照射炉――新照射炉ばかりで分かりにくいのでJMTR後継炉と申し上げますけれども、それについての議論はこちらでしておりますし、それから、一部、これは高速炉用の材料照射ということも含んでいる部分があるので、若干オーバーラップしている部分がないとは言えないと思います。その辺につきましては整合性というところは極めて大事ですし、もちろん2つ造るということが一番いいですけれど、それだけのリソースも多分ないでしょうから、プライオリティーをどう考えるかとか、あるいは役割分担をどう考えるかとか、その辺のところも、今後、こちらの部会で議論はしていかないといけない話なのかなと思います。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。検討会に出られていた中熊委員、それから和田委員、石川委員、いかがですか。何かコメントございますか。補足でも結構です。
 石川委員、どうぞ。
【石川委員】  ありがとうございます。今、中島先生のおっしゃった点は結構重要だなと気づきまして、ここに「次世代革新炉開発をはじめ、今後の原子力分野の人材育成を」と書いてありますが、こういうふうに書くと原子力分野の人材育成全体についてこの下の部分が書かれているかのようにも取れるので、ここは上のタイトルにある次世代革新に係る人材育成であるということがより明確な文章にしたほうがいいのではないかと感じました。
 以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。多分、今の御発言は検討会のほうで御発言いただいたほうが良いかとは思います。
【石川委員】  記憶のフレッシュなうちにと思いまして。
【寺井主査】  議事録に残ればしっかりと伝わると思いますので、結構でございます。ありがとうございます。
 和田委員、いかがでしょうか。お願いします。
【和田委員】  ありがとうございます。私もこちらの検討会に参加させていただいてきたわけですが、こちらの検討会は技術的な話を議論するということで理解しておりますけれども、先ほど五十嵐委員がおっしゃった国民理解という側面は非常に大事だと思います。特に財政支援を受けるからには国民が納得しないとやはり進められないと思いますので、これは検討会の場ということではないと思いますけれども、どこかの場で議論していくことが必要かと思っております。
 以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。コメントということでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
 中熊委員、どうぞ。お願いします。
【中熊委員】  ありがとうございます。私も検討会に参加させていただいておりまして、中島先生もおっしゃられましたし、12ページ目にも書いていますけれども、この議論自体、文科省さんが所管されて、それから技術開発のロードマップの基礎になるインフラみたいなところをどう整備していくかといったところが我々にとっての大きな目的の一つの検討会だと認識しています。
 そういう意味では、これの外にあるのか中にも絡んでいるのかはちょっと分からないですけど、JMTR後継炉なんかも含めて、どういう優先順位で今後投資をしていくのかというような話をしっかりと方向づけしていく必要があるだろうなと思っています。
 それから、社会の理解、世の中の理解という観点でいえば、エネ庁のほうで議論もされている、革新炉ワーキングで議論されている部分もある中で、やはり総合的に物は合体させる形で世の中に打っていかなきゃいけないという意味では、ここに書いていただいているように、経産省と文科省がしっかりとタイアップしていただいて説明シナリオをつくっていただき、我々事業者もそこにしっかりと噛んでいくというようなところで対外説明に対してはしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。
 以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。今のもある種のコメント、決意表明ということでよろしいですか。新井課長、ございますか。
【新井原子力課長】  ありがとうございました。受け止めさせていただきました。
【事務局】  事務局ですけれども、小澤委員も御参加いただいていて、途中から入られたのでご意見があるかもしれません。
 小澤先生、御意見あれば、検討会のメンバーでいらしたと思いますのでお願いします。
【小澤委員】  ありがとうございます。小澤でございます。遅れまして申し訳ありません。つい先ほど、石川先生の御発言の頃から入室させていただきました。
 私も検討会のほうに参加させていただきまして、非常にいい議論ができたなと思っております。
 私が検討会の場で申し上げた話は、それぞれ高速炉とか高温ガス炉という個別の炉型の話が出てきたりしていましたけれども、いろいろ共通的な技術の開発という面もあるなということを申し上げたのと、あとは、研究開発の基盤づくりが議題になっていましたけれども、やはり研究開発の段階であっても何かしら世の中に還元できるような話があればいいなと思って発言させていただいた経緯がございます。
 私からの補足は以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。共通基盤技術というところはかなり重要なメッセージかなと理解をいたしました。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 私のほうで、今、お話があって感じた感想を若干申し上げますと、先ほど申し上げたように、新高速中性子照射炉を中心とした、これは高速炉燃料サイクルということだと思います。再処理あるいは燃料の製造から始まって、MOX燃料の再処理ですね、燃料サイクルを高速炉で完結させると。これは資源の有効活用とかエネルギーセキュリティーという観点では極めて重要であるというのはもう論を待たないし、それから、JAEAさんが動燃事業団の頃から追っておられるある種の目標ということで、それが明確に示されているということでよく理解はできます。
 そういう意味では、今後、高速炉燃料サイクルの重要性というのは、いつか分からないですけれども、重要になってくるのは間違いありませんから、それに対して研究を進めておくというのは十分意味があるということだと思いますし、他方、高温ガス炉につきましてはかなり実用化が見えつつあるというところがありますので、こちらについてもしっかりとした形でJAEAさんのほうでリードして進めていただくというのは重要かなと思います。
 そういったいろんな炉型ですね、あと、革新炉、SMRありますけれども、これについてはなかなか途に就いていないというのは事実でして、海外では結構スタートはもう既に始まっていますが、国内ではほとんど研究開発が進んでいないというのもまた事実です。
 この辺については、予算の大小はあるのですけれども、少ないながらも少しずつやっぱり研究を続けていって、いろんなところや外国である種の発展があったときにそれをしっかりと理解ができるだけの技術力を身につけておく必要があるのではないかなと個人的には思います。ですから、高温ガス炉、高速炉燃料サイクルですかね、それ以外のところは足腰を鍛えるという意味でしっかりと大学等を中心に基礎研究を進めていくというのも重要なのかなと思ってございます。
 それから、先ほどちょっとお話があった新高速中性子照射炉と、それからJMTR後継炉との関係については議論をしっかりこの場でしていかないといけないと思いますけれども、もともとJMTR後継炉も高速中性子照射炉ですかね、高速炉の材料を一つのターゲットにしていましたのでその辺の役割分担と、それから新しい新高速中性子照射と「常陽」との関係をどうするのか。もちろん「常陽」もいつまでも運転できるという話じゃないので、その後継炉という意味合いも多分あるだろうと思いますが、新高速中性子照射炉で何を狙うのかというところでしょうか。先ほどMA燃料の集合体の照射炉の話もございましたけれども、全部「常陽」でそれができないとかというと、多分そうでもないと思いますし、少し実際を考えたときに、何をここでやるのかというのを明確にする必要がある。そのためには炉心の設計は当然必要になりますし、炉そのものの設計も必要になる。ですから、必要なフラックスとか照射体積とか照射環境、この辺のところを、今後、新高速中性子照射炉においては明確にしていく必要があるのではないか、これは完全に感想でございますけど、そんな気がしております。
 そういうようなことと、JMTR後継炉をどうするかはちょっと置いておきまして、それ以外のところをどういう形で照射環境を担保していくのか。例えば、高燃焼度化とか、あるいは軽水炉環境下での長寿命照射とか、照射による長寿命化の予測とか、そういう話も当分ありますし、いろんな材料についての照射、特に重照射というあたりが共通基盤ということに多分なるのかもしれません。その辺のところをどういうふうに考えていくか、この辺も大事かなと思います。
 それから、人材育成ということを考えると、いわゆる学部レベルの人材育成ということと、研究開発を通した人材育成、多分、この二つがあって、後者についてはここで書いてある高速中性子照射炉等でも当然やるべき話だし、高速炉燃料サイクルそのものがその対象になると思いますし、それから、JMTR後継炉でも照射技術の開発と、あるいは維持という意味で重要になってくるかなという気がしますので、この辺りも、いわゆる教育、人材育成というのをどういう視点で捉えるかというところももう一つポイントとしてあるかなという気がしております。
 ちょっと私のほうでいろいろ感想めいたことを述べてしまいましたけれども、議事録に残していただくということでそれ以上の何物でもございませんが、もし何か補足等で、あるいは御意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にお手は挙がっておりませんので、今日のこの議論は議事録に残させていただくということになってございます。それを文科省のほうで受け止めていただいて、適切な形で、適切なところでまた御検討いただくという形にさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 文科省さん、よろしいですか。
【新井原子力課長】  はい。ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 それでは、これで議題1については終わりまして、次に議題2に移らせていただきます。

 議題2は、我が国の試験研究炉の今後の取組の方向性についてでございます。これも文科省御担当官から御説明をお願いいたします。
【新井原子力課長】  はい、議題2は資料2-1から2-4までございます。
 まず、2-1で、試験研究炉の課題と今後取り組む方向性について、過去、今まで2回議論いただきましたけれども、こちら少し整理をしておりますので御報告したいと思います。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目です。
 まず第12回、前々回の作業部会であります。ちょっとかいつまんでの御説明になりますけれども、二つ目のポツです。全ての種類の試験炉を日本で持つということは不可能だと、どれが必要でどれを国際的な協力の場でやるとか、バーチャルの世界でできるところもあるのではないかとか、そういった意見が出されておりました。
 それから一つ飛びまして、京大炉でいつまで何ができて、その後の「もんじゅ」サイト試験研究炉で何ができるかという整理が必要ではないかとありました。
 それからその次ですけども、JMTRについては意図せず早く廃炉になってしまったという状況もあるんではないかという認識のもと、革新原子力だけではなくて既設の軽水炉を長く使うとかもっと稼働率を上げるといったときに、原子炉材料学の観点からも照射環境というのは需要があるのではないかとありました。
 それから一つ飛びまして、新しい炉を造るにしてもリーディングタイムがかなりかかると。短期的、中期的、長期的という分類があるけれども、この時期なら使えるというイメージで、準備段階ではこれをするといったことを検討する必要があるのではないかという御意見がございました。
 次のページですが、第13回、これは前回でありますけれども、二つ目のところで、「もんじゅ」サイトの試験研究炉、JMTRの後継炉ともに国内で必要なインフラではないかと、しっかりニーズを把握して検討を進めてほしい、日本の国際的プレゼンス向上にもなるということで、国際的なニーズの調査も必要ではないかという御意見。
 それから、資金分担の関係のところについては、民間事業者の利用見通しに応じた資金分担というところについて、利用料は支払うということであろうけれども、建設費についての分担となると相当議論が必要ではないかという話がありました。
 それから、先ほど申し上げたことも少し関連しますが、一つ飛びまして、原子炉施設の設置には10年から15年ぐらいかかってしまうので、30年、40年まで先を見通して計画をつくる必要があるのではないかということと、JRR-3も改造から既に30年以上経過しているということで、「もんじゅ」サイトの試験研究炉の役割を含めて、時間軸を明確にして全体の基盤整備を検討する必要があると。
 その次が、照射炉について、産業界からの観点からは、各企業で持っているというのは不合理ということで、公共財としての視点を持って全体を整理するべきではないかとありました。
 その下は、国内の試験研究炉で技術安全保障の確保とか人材育成を図ることが非常に重要ではないかという御意見がございました。
 次のページですけれども、JMTRの廃止後においても、中長期的には革新炉の開発に必要な燃・材料の高度化、医療・半導体分野での産業利用の期待もあるということで、照射炉は必要じゃないかと。また、フランスのジュールホロヴィッツのように海外から顧客を募るという取組、費用低減を図るというのもあるのではないか。
 それからまたその次、国際関係の話ですけれども、国内利用だけではなくて、近隣アジア諸国の研究開発や人材育成に貢献するという意義が国内照射炉にはあるのではないかと。
 あと、最後ですけれども、この文書の目的を明示すべきではないかと。試験研究炉として検討すべき対象―照射炉、ビーム炉、臨海実験装置、それから、ニーズ―人材育成、原子炉材料開発、RI製造等の産業利用、これを明確化して、時間軸、ニーズ、試験研究炉をどういったことがあるかというのをマッピングする形で整理する必要があるのではないかと、こういった御議論をいただいたところであります。
 これらを踏まえまして、今回、中間まとめ案ということで御提示をさせていただいておりますけれども、資料2-2は本文の2-3を概要版ということで整理したものでありますので、資料2-3のほうで御説明したいと思います。
 資料2-3、こちらは中間まとめ(案)ということで、まず、この文書の性質についてしっかり整理が必要ではないかという御意見があったということで、囲みにそれを書いております。
 この部会では、これまで我が国における人材育成や原子力研究開発を支える観点から試験研究炉の重要性を取り上げてきたという中で、「もんじゅ」サイトの新試験研究炉の設計活動であるとかJMTRについて、JAEAのほうから彼らの後継炉検討委員会の検討状況の報告を受けたということであります。
 こういったこれまでの議論を踏まえて、我が国の官民の原子力の基盤研究や人材育成に広く資する試験研究炉について、特に照射炉・ビーム炉、照射・ビーム環境、これを効果的・効率的に活用するという観点から、今後の取組の方向性を検討していく上での論点整理を行ったという性格を書いております。
 議題1にも関係ありますけれども、なお書きで、今、GX実行開議等において次世代革新炉の開発・建設に係る検討も進められているということで、本論点整理は中間的な整理としています。今後、現在進められている原子力政策の方向性に関する検討状況も踏まえた上で、論点整理に必要な見直しを行って、適切な時期に最終的な取りまとめを行うこととするというふうに記載をさせていただいております。
 1ポツの試験研究炉を取り巻く現状と課題、これは前回の資料と、“てにをは”を少し整理したぐらいでほぼ同じであります。
 (1)試験研究炉の減少とその影響、(2)で試験研究炉利用の現状認識、(3)で大学では今どういう状況かということ、そういった中、JAEAの役割はどうなっているのかというお話。それから(5)「もんじゅ」サイトの新試験研究炉計画がありますと。これは内容が変わっているわけではないですけれども、今までの取組と今後の取組が混在していたので、今後のことについては2ポツの今後の取組の方向性のほうに移させていただいております。(6)次世代革新炉を巡る最近の状況で、それから多様化する原子力への期待、ここについてもほぼ同じ内容でございます。(8)今後期待される政府の取組。これもほぼ同じですけれども、最後のところ、3行ぐらいですけれども、「必要に応じ、民間事業者の利用見通しを踏まえた運営費等の適正な資金負担に関するあり方を検討していくことも重要となる」ということで、御議論も踏まえて文言を整理させていただいております。
 それから2ポツ、次のページ、6ページですが、今後の取組の方向性ということで、今後の取組を考えるときに、やはり現時点から中長期的に必要となることが見込まれるニーズを整理した上で分析、検討するということが必要ではないかということかと思いますので、まず、ニーズの分析、2-1というものを補充しております。今後、試験研究炉に見込まれる照射・ビーム利用ニーズについて、学術・教育利用の観点、それから産業利用の観点、それから原子炉燃・材料のそれぞれの観点があるのではないかということで記載をしております。
 (1)の学術・教育利用、ここでは先ほど寺井主査もおっしゃった学部レベルの実習での教育だけじゃなくて、研究を通じた専門家の育成といった観点もあると思いますけれども、5の(1)の要素になると思っています。JRR-3の活用や臨界実験装置等を用いた核分裂連鎖反応そのものの観察等々。
 それから、下のほうに移りますと、既存の試験研究炉等である京都大の臨界集合体KUCAそれからJAEAのSTACY、近大の原子炉こういったものも学術教育利用の観点から活用されているところ。こういったニーズはずっとあるということで書いております。
 (2)産業利用のところは、特に医療用RIの今の経済安全保障あるいは医療安全保障の観点からの原子炉への期待といったところでのニーズと。それから創薬研究にも活用される高分子分析、あと半導体などに活用される新素材開発、モビリティイノベーションといった新素材開発でもビーム利用の需要が見込まれると記載しております。
 原子炉燃・材料については、事故耐性燃料の開発でありますとか長期運転をするために材料劣化に係る知見の拡充が不可欠で、ニーズが高いということ。
 それから、次世代革新炉の開発という観点からは、候補となる材料の選定は既往知見を踏まえて行われますけれども、炉寿命のさらなる延長、あるいは既往知見が不足している新規材料の適用性確認には照射試験炉を活用した照射試験が必要となる、こういったニーズがあります。こうした照射炉、ビーム炉に対する研究等のニーズを踏まえて、今後必要な対応について短期、中期、長期的視点から検討を行ったという整理を2-2以降はしております。
 短期的、中期的、長期的がどのぐらいのタイムスパンか分かりにくいという御指摘もあったと思いますので、短期的というタイトルがありますが、当面すぐに実施するものを短期的対応としております。
 それから、タイトルだけで恐縮ですけれども、2-3中期的対応は、既に着手済みですが、ゴールと言いますか、目的の達成についてはもう少し後のもので、着手済みで引き続き推進するものを2-3で中期的対応と。
 10ページの2-4の長期的対応については、現時点で未着手であって、今後10年以内を目途に着手を検討するものを長期的対応とすると明記しました。
 7ページに戻りまして、ここ以降は、前回の部会では骨子のみだったところに文章を補充したところになります。短期的にすぐに対応するものについては、まず、海外照射場・海外プロジェクトを戦略的に活用していくということで、JMTRの廃止等によって国内で照射環境が確保できない状況に対応するため、海外炉を用いた照射試験の実施を継続することと。その体制をJAEAが中心となって構築して、サプライチェーンの確保に努めると。それから、国際ネットワークを構築して国際的な共通課題の解決や情報収集、相互補完関係の構築を図っていくことが重要となると記載しています。
 (2)「JRR-3」等の運転中の研究炉の最大限の活用ということで、今ある6施設の試験研究炉をしっかり活用するということ。当面、新たな試験研究炉の整備には一定の時間を要するということで、当面の間はJRR-3、HTTR等の現在運転中の試験研究炉を最大限活用し、必要な支援を行っていくと。JRR-3は、JMTRの代替機能を果たす部分、加速照射の期待があるということと、医療用RI製造への期待も記載しています。それから、原子炉物理学の研究や臨界安全研究の観点からも臨界実験装置等についてもしっかり役割を担うことが期待されるということを記載しています。
 (3)産学共同での基盤的研究開発・人材育成体制の構築ということで、ここも、試験研究炉をはじめとする研究基盤の活用と、これを通じた人材育成を効果的・効率的に実施していくといったところでは、今後の原子力研究開発を下支えする取組を実施することと、それを不断に改善していくことが重要であると書いております。人材イニシアティブ事業や原子力システム研究開発事業を通じて必要な改善を図りつつ推進するということ。
 その際ということで、ここは先ほどの検討会の議論にもやや関係しますが、原子力業界においてサプライチェーンの維持・強化が喫緊の課題となっていることを踏まえて、原子力分野の人材ニーズや研究開発テーマ等を明確にして、大学等と産業界の協働体制、それからJAEAの橋渡しの機能が大事ではないかという記載をしています。
 2-3は中期的な対応です。
 一つは「もんじゅ」サイト試験研究炉の設計・建設プロセスの着実な進展ということで、こちらは記載場所を前回から移しました。これまでJAEA、京都大学、福井大学が中核的機関となって概念設計を進めてきたところです。中性子ビーム利用を主目的とした中出力炉(出力10万キロワット未満)に絞り込まれているということで、これで設計を進めていますが、引き続き、学術界、産業界、地元関係機関等から幅広い意見を集約しつつ計画を進めていくことが重要ということを書いています。
 次が「常陽」の早期運転再開に向けた取組の加速です。令和6年度末までの運転再開を目指して新規制基準対応への準備をしているということで、運転を再開すれば西側諸国唯一の稼働中の高速炉であることから、今後も運転再開に向けた取組を着実に進めていくということ。それから医療用RIですね、がん治療に用いることができるAc-225の製造が可能ということで、これについての貢献も望まれていると書いております。
 2-4長期的対応については、一つは次世代革新炉開発の環境整備ということで、これは先ほどの議題の検討会での議論の内容を上げています。次世代革新炉の検討会において議論が進められているということで、次世代革新炉に係る人材育成及び知の集約拠点といった観点から論点整理がなされているということですね。あと、先ほど基盤整備についての論点が出されたということで、それについても記載しています。
 (2)では、次世代革新炉等に貢献する新たな高出力照射炉の将来計画ということで分析、記載しています。高出力の照射機能については、今後の中性子利用ニーズを踏まえると事故耐性燃料や構造材料開発の研究に必要と考えられます。また、RIについても、大部分を海外に依存しているということで照射ニーズがあると。それから次のページで、科学技術・学術の世界でも、材料、半導体等の幅広い活用が期待されているということで、現在、照射機能を果たしている研究炉はJRR-3のみという状況があって、「もんじゅ」サイトの試験研究炉についても今後一定の照射環境の役割を果たすことが期待されると。また、電力等産業界がリードすると考えられる次世代革新炉の実証炉以降の商業運転を考えると、長期的に見て照射試験を効率的にできる環境が望まれる。
 こういった状況を踏まえながらもいろいろ論点があるのではないかということで、①②とありますが、柱書のところで、人材、資金のリソース配分の優先順位の中で取り組んでいく必要があるということ、それから産業界の利用がかなりポーションとしてはあるのではないかという留意点について柱書で書いております。
 (ア)軽水炉の安全性向上に必要とされる加速照射について、JRR-3や「もんじゅ」サイト試験研究炉が運転開始となれば、JMTRが有する機能の一部代替も考えられるのではないかと。JRR-3においては、小型の試験片を用いた照射試験は可能だけれども大型のものは難しいところがあると。
 (イ)では海外照射炉による代替照射について議論していますけれども、事故耐性燃料の開発に活用できる炉として、米国のHFIRやATRがあるとか、軽水炉の安全性向上に必要とされる加速照射に関してはBR-2、JHR(フランス、建設中)、ATR(米国)が、新型炉開発についてはLVR-15(チェコ)、OPAL(豪州)、HANARO(韓国)がありますが、海外照射炉を用いる場合には、コスト、あるいは人材、サプライチェーンへの影響といった懸念もあり、対応が必要であると。
 (ウ)ですけれども、DXを含むシミュレーション技術についてJAEAでも精力的に進められていて、シミュレーション技術は当然重要ですけれども、材料の実機適用に向けた検証では照射研究炉による中性子照射試験が必要になることを書いております。
 (エ)については、先ほども議論が出た高速中性子を高温環境下で利用することについては、「常陽」の運転再開によりニーズを満たすことができると考えられると。それから、高速中性子に係る機能は「常陽」で一部代替可能と。しかし、軽水炉条件の試験については、材料劣化評価等に不可欠な水環境の下で実施することは「常陽」では不可能であると記載しています。
 ②は、横断的なことですけれども、中性子利用ニーズの代替的な手段の検討に加えて、自前で試験研究炉を持つことのメリットとして、技術安全保障の確保や国際的存在感の向上、国際貢献等があるということで、論点についてこういった分析、議論を記載した上で、上記の①、②を勘案し、現在進められている政府全体の原子力政策の方向性の議論も踏まえ、中長期的な視点からさらに高出力照射については検討する必要があると記載しています。
 13ページは、中性子利用ニーズはマッピングしたほうが分かりやすいのではないかという議論があったので、それを少し描いています。縦軸に利用の枝ぶりですね。原子炉燃・材料、産業利用、学術・教育、こういった利用ニーズがあるのではないかと。横軸に時系列で2050年ぐらいまであると。色で書いてあるのは、中性子のエネルギーですね。超冷中性子から高速中性子までということで、試験テーマとカバーしている炉が囲みに書いてあります。「もんじゅ」サイトの試験研究炉についてはまだ概念設計中で、どういった使い道にするかというのは、まだ詳細設計の中で引き続き検討していくということで計画はこれからですけれども、こういうことが想定されるのではないかということで、活用可能なところについて「もんじゅ」サイトも書いてあります。
 一部欠けているのが上から3番目の既設軽水炉の長期運転等のところですが、炉材料の照射効果の研究といったところで、いろんなスペクトラムでの研究があると思いますけれども、今の既設の炉、試験研究炉で全てをカバーできるわけではないのではないかというところが見てとれます。だからこそ、代替の照射など様々な検討を今までしてきている状況かと思います。
 資料2-3については以上でありまして、資料2-4は資料2-3の一部です。「もんじゅ」サイトの試験研究炉計画の実施主体候補で、資料2-3の中間まとめ(案)にも記載がありましたけれども、これまで「もんじゅ」サイトの試験研究炉の設計が進められているという中で、今はこれから詳細設計に入っていくという段階です。その詳細設計に入る段階に至った場合には、JAEAが実施主体となって、引き続き、京都大学、福井大学の協力を得ながら、幅広いステークホルダーの意見集約しつつ計画を進めていくことが適切であると。この実施主体の候補について、この部会としても、原子力機構が京大、福井大と連携するのが適切だという見解を取りまとめていただければということで、この2-4を用意させていただきました。
 長くなりましたけれども、以上です。

【寺井主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、本件について委員の皆様から御意見、御質問等をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。中島委員、お願いします。
【中島委員】  ありがとうございます。資料2-3についてですが、先ほどの人材育成の話もありますけれども、8ページに産学共同での基盤的研究開発・人材育成体制の構築というところがあると思います。ここの先ほどのスライドの文章というか、論点整理にあったのと同じような頭書きで、「次世代革新炉開発をはじめとする今後の」という書きぶりになっております。先ほどのものは次世代革新炉に係る人材育成ということですけど、ここはもう少し幅広、「はじめとする」なので、その後ろにちゃんと含まれているよと言っているのかと思いますが、書くべき内容というか、同じ書きぶりなのに中身が違っていますので、そこは書きぶりをもう少しご配慮いただければと思いました。それが1点でございます。
 それからもう一つ、11ページのところに、照射の代替の話、②のアというところで、軽水炉の安全性向上に必要とされる加速照射のところで、JMTRの代替として3号炉を挙げられて、「もんじゅ」サイト試験研究炉も一部機能を代替されるということが書いてあります。3号炉でもそうですが、あくまでも「もんじゅ」サイトの試験研究炉はビーム炉ということなので、そこがどこまで出来るものなのか。「一部」と書いてあるのでいいとは思いますけれども、その後ろのほうに、3号炉においては、小型試験片は可能だけど大きいものは難しいと書いてあり、ここだけ読むと、「もんじゅ」サイトの炉は大型の試験片でもやってくれるのかという期待を抱かせてしまうと思います。まだ概念設計の段階ですから、絶対やらないとは言えませんけれども、今のビーム主体という考えでいくと、そこは少し気をつけて書いていただかないと、これを読んだ人が誤解するのではないかなと感じました。
 あと、最後、13ページの中性子ニーズのスライドの上のほうで、多分、3号炉もKURもそうですけれども、学術教育利用の中にも本来これらの炉が入ってくるはずで、例えば、放射化分析とかもやっておりますし、それこそ中性子ビームを利用した物性評価や各種の測定なども入ってきますので、もし改訂する機会があればそういったところも考慮していただければと思いました。
 以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、いかがでしょうか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。人材のところの書きぶりについては修正をさせていただきたいと思います。
 それから2番目のビーム炉については御意見として伺ったところですけれども、最後の中性子利用ニーズの13ページの図についても、加筆修正をしたいと思います。ありがとうございます。
【中島委員】  よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。それでは、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  私の質問です。重要性はこの文章で非常によく分かるんですが、一体いつまでに何を整備しなければいけないのか、ということが明記されていなくて、当然予算措置の問題ありますけれども、これは議論及び意見ですから、ある程度はっきり明示してもよろしいのではないかなと。例えば、ある時期までにこれが必要だと言っておいて、それがなければ海外の試験炉を使うなど、いろんなことが起きるわけです。それとのデータの比較とかいろんな問題が後から出てきますので、いろんな試験炉に関してもですが、いつまでに何が必要なのかを書くわけにはいかないのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。いつまでに何をと明確に書くことができれば一番良いのだと考えております。我々も先生方の御意見を伺って整理をするときに、そこはポイントになったところですけれども、今、原子力政策全体の議論がなされている中で、高速炉環境の照射の話も少し出てきたり、あとは今、足元で言えば「もんじゅ」サイトの新試験研究炉の設計が進行中であったりとか、そのように全体が動いている中で、この時期までにこれがないと立ち行かなくなるので、この年限までに造るんだとか、そういったところがなかなか書きにくい、明記しにくいというのが実態かと思います。ということで、今の中間的な論点整理としては、そこについて特に明記していない案になっています。
【佐藤委員】  分かりました。いろんな組織を経営してきた感覚から言うと、使えるお金の額というのは大体分かっているというか、決まっていて、それで事業の優先順位を決めていくわけですね。いつまでこれがないとこれができないということで事業の優先順位を決めていくわけですが、そういう観点がもう少し入ってもよろしいのではないかと、行間で読めるとか、そこまで含めて少し考えられたほうがいいかなと思って意見を言いました。よろしくお願いします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。そういった論点といいますか、まさに優先順位が必要であることは記載しておりますけれども、今の御意見を踏まえてもう少し修文の必要性がないか検討したいと思います。
【寺井主査】  それでは、小澤委員お願いします。
【小澤委員】  小澤でございます。御説明ありがとうございます。
 この中間まとめの案の位置づけは、今後の取組の方向性を検討するに当たり論点整理を行って、見直しを行いつつ適切な時期に最終的な取りまとめを行うということですけれども、二つほど指摘しておきたいと思います。
 一つ目、8ページ目、ここの章は、短期的(当面対応)ということですが、8ページ目の下のほうです。大学等と産業界が協働して取り組む体制の構築、また、産学をつなぐハブの役割をJAEAが主体的に果たしていくことが重要と書かれています。おっしゃるとおりだと思います。一方で、短期的と言いながらも産業界のほうではまず再稼働をしているところでありますけれども、徐々に新増設・リプレース、大型の革新軽水炉、それから小型の軽水炉と関心が次々と移っていて、そのうち高速炉になっていくと思います。その中で、高燃焼度化とか稼働率向上みたいな話が進んでいくものと考えております。
 一方で学生のほうは、そういう移りゆく産業界の関心といいますか、中心的な取組についていくというよりは、それに一緒に取り組む中で、しっかりと基礎的な知識といいますか経験を積んで、その後、仮に産業界に行った場合であっても、移りゆく関心の中でもしっかりとした基盤的な実力を発揮できるようにしていくということだろうと思います。即戦力ということではないと思いますので、少し留意が必要かと思います。
 それからもう一つは、長期的対応、現時点で未着手であり今後10年以内を目途に着手検討というところでは、11ページの①のところで、代替が困難であるニーズの多くは産業界による利用のものであると。これが高出力照射炉の将来計画の話だと思いますが、今後、10年以内を目途に検討着手ということは、それから検討して実際に照射炉が動くのは、下手すると20年とか30年後になるのではないかと思います。そうすると、11ページの下のほうに書いてあるJRR-3とか「常陽」も含めて、相当な年限を経た試験炉になっていると思いますので、その時代時代によってどういう世界が登場しているのか、少し想像力を働かせて、その時代にふさわしいものを整備する必要があると思いますので、高出力照射炉については10年以内を目途に着手に検討ということでいいのかどうか、いま一度、今後の検討の論点にしていただければと思います。
 以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、いかがでしょうか。
【新井原子力課長】  御指摘を2点いただきました。1点目については、御意見というか、コメントということで受け止めさせていただきます。
 二つ目の点については、長期的に見通した優先順位の中で、どういった形で整備をしていくかといった御意見だったというふうに受け止めさせていただきたいと思います。今すぐここの文章を修正とか、ちょっと今アイデアがありませんが、少し検討させていただければと思います。
【寺井主査】  小澤委員、よろしいですか。
【小澤委員】  ありがとうございます。今後の検討に反映していただければと思います。
【寺井主査】  多分、いろんな炉開発のタイムスケジュールとうまく整合するように照射炉についても整備をしていくという話になるだろうと思います。革新炉にしても、いつ頃というのは、高温ガス炉が2030年代とか照射炉が2040年代とか、そういう一つの指針が原子力小委で出ていると理解しています。
【新井原子力課長】  すいません、一つ言い忘れたことがございました。今、エネ庁の革新炉WGのほうで技術マップの案が示されていますけれども、そういったロードマップも横目で見ながら、我々の次世代革新炉の検討会において、今後10年を見通して着手するような事項について検討を行っているというタイムラインで考えておりまして、それと整合させる形で考えると、長期的なところ、今後10年以内をめどに着手検討というカテゴリーに入ると書いておりますけれども、今、寺田主査がおっしゃったようにタイムスケジュールと整合させていくということかと思いますので、書きぶりについては主査とも調整させていただきたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。それでは、和田委員、お願いします。
【和田委員】  ありがとうございます。和田でございます。御説明ありがとうございました。
 幾つかコメントですけれども、まず、7ページの短期的対応については、海外プロジェクトの活用はもちろん大事ですけれども、まず国内の研究炉の活用が最初に来るべきではないかと思いますので、順番としては8ページの(2)を(1)に持ってきてはどうかと思います。
 もう1点は、同じく8ページの(3)に関してですけれども、こちらに「原子力業界におけるサプライチェーンの維持・強化が喫緊の課題」とありまして、それはもちろんそのとおりですけれども、資料2-2の概要のほうは、「サプライチェーンの維持・強化」のために「人材育成を充実」させるという書きぶりになっていて、それは目的が違うのではないかと思いますので、表現を整理していただければと思います。
 次に、9ページの中期的対応のところで、「もんじゅ」サイトの研究炉ですけれども、4ページの現状と課題のほうに記載されている「立地地域との共創により新しい社会的価値を発現するモデルとなる」という点は大事だと思いますので、今後の方向性のほうに記載してはいかがかと思います。
 あと1点、最後に、皆さんおっしゃられている10ページ以降の長期的対応についてですけれども、こちらの(1)の部分と(2)の部分は別々に議論されているかと思います。人材、資金のリソースには限りがありますので、こちらは併せて俯瞰的に優先順位をつけて検討していくことが重要だと思っております。
 以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。基本的にはコメントが多かったんですけど、新井課長、いかがでしょうか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。
 まず、7ページ8ページにかけての、短期的対応で海外照射場の活用と国内の研究炉の最大限の活用のどちらを前にするかは、13ページの中性子利用ニーズで言うと炉材料の照射効果の研究というところがカバーされていないのではないかという問題意識の下で考えたときに、どちらが先がいいのかについては、先生方に御意見を伺えればと思います。
 それから、「もんじゅ」サイトのところの試験研究炉、4ページと9ページの現在のところ、今後のところで御意見いただきました地域との共創の観点、これが非常に重要だということで、今後の取組のところの記載を修文したいと思います。
 3点目については、御意見として承りました。ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【和田委員】  はい。ありがとうございます。
【寺井主査】  この辺りはさらに修文いただくということでお願いいたします。
 それでは、秋山委員お願いします。
【秋山委員】  御説明ありがとうございました。
 先ほどの和田委員からの御意見に賛同いたします。国際的に海外の炉を使うということもありますけれども、やはり国内があった上で考えていければなと思いますので、そのあたりの順番をぜひ御検討いただければと思います。
 それから、全体像としまして、まだ現時点でロードマップというのは難しいと思いますが、このように短期的、中期的、長期的という定義も明らかになっておりますので、そういう点では、本当に大まかなもので構いませんので、ロードマップの手前の段階のような図があると、ほかの動きとの関係性も分かりやすいと思います。
 それから、12ページ目にシミュレーション関係のお話がございましたけれども、シミュレーションで実際にどこまでできて、どこからの部分は実際に中性子照射とかをしなければならないかというすみ分けといいますか、そういうところを明確にされたらいかがでしょうか。具体的にどうしたらいいかというのはありますけれども、その辺りを考えて、できれば、シミュレーションでやっておいて技術が進めばもっと効率化できるということかもしれませんので、その辺りのすみ分けを明確にされるといいかと思います。
 以上になります。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  まず1点目の、ロードマップ的なものができると、より分かりやすいのではないかという御指摘ですけれども、文章ではこのように分けましたが、一番難しい論点である照射環境をどう整備していくかといったところは、全体の話が動いていて、現時点では分かりやすい図が描きにくいかなと。描いてしまうとそれが独り歩きしてミスリーディングになってしまうところもあるかと思いますので、もう少し全体の原子力政策の話が動いたところで、また検討したいと思います。
 それからシミュレーションについては、少し事前の意見交換で話をしたときに主査からも同様の御指摘をいただいていて、技術的に細かく書くかというところだと思います。全体の文章の粒度の中で、何をどこまで書けるかについて、また主査とも相談したいと思います。ありがとうございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【秋山委員】  はい。ありがとうございます。
【寺井主査】  それでは、石川委員、どうぞお願いします。
【石川委員】  御説明どうもありがとうございました。
 13ページ目の今後の中性子利用ニーズのところで少しコメントしたいんですが、中性子源というと原子炉だけではなくて、例えばJ-PARCもありますし、研究室レベルでも加速器中性子源がございます。また、治療用途というところでアルファ核種製造はもちろんなんですが、中性子捕捉療法などもございますので、確かにスライド1枚で全ての中性子利用を網羅するのは無理だと思うのですが、これが網羅的ではない、あるいは全ての中性子源を網羅したわけではないことが何か分かるような工夫が必要ではないかと感じました。
 以上です。
【寺井主査】  ありがとうございます。新井課長、いかがですか。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。タイトルは確かに「中性子利用ニーズ」ですけれども、原子炉由来のとか言葉を入れたほうがいいかなと思いました。ただ、中性子捕捉療法についてはKURとかもあると思うので、そうは言いつつ加筆するところもあると思っております。また主査とも相談したいと思います。
【寺井主査】  どこまで含めて書くのがいいのかというのはちょっと難しいですけど、要はこのドキュメントの目的に沿った形で整理したいと思います。試験研究炉を取り巻く現状と課題ですから、その視点で中性子利用ニーズを整理すればいいかと思います。ですから、タイトルは少し変えたほうがいいかもしれませんね。ありがとうございます。
 来馬委員、どうぞ。
【来馬委員】  ありがとうございます。来馬ですけれども、一つは質問、一つはコメントです。
 質問ですが、そもそもこの中間まとめの、先ほどの1ページの括弧の中、最後に「適切な時期に最終的な取りまとめ」という表現がございますけれども、先ほど、別途、革新炉の検討会は年度末に最終報告と明確に書かれていたのですけれど、こちらはそのような明確な目標は特に持っていないということでしょうか。何かほかの案件を考慮しながらこの作業部会の結論をまとめるという意図でしょうか。その点を御質問させていただきます。
 2点目はコメントですけれども、先ほどからたくさんの委員の方から御指摘がありますように、短期的、中期的、長期的という整理をされて、なるべく早く課題を整理して、さらにそこに着手していくことが明確になっていることは良いと思いますけれども、今、着手済みである中期的な対応の「もんじゅ」サイトの試験炉を考えても、これからさらに必要な詳細設計、あるいは様々な規制対応等々を考えると、本当にいつ着工できるのか、あるいはそれがいつ完成するのかというと、分かりませんけれども、10年前後、相当かかるだろうという予測になりますよね。そうすると、中期的対応の検討に着手で今後10年以内に完成するかどうかということですから、長期的対応ではそれよりもさらにどのぐらい遅れてこういう課題のものが完成するのかという話になってくるので、特に長期的なものは、できるだけすぐやるものと、時間軸で言えば優先順位をはっきりさせて、やれるもの、あるいはやるべきものを明確にして、そういうことを最終の取りまとめまでに明確にしないと、年末までにGX実行会議等の結論が出て、原子力に対する様々な期待、あるいは将来が議論され決められると思いますので、それにもしっかりと対応できるような内容をまとめ上げる必要があるんじゃないかという意見を述べさせていただきます。
 よろしくお願いします。
【寺井主査】  新井課長、お願いします。
【新井原子力課長】  ありがとうございます。
 まず、1ページで御指摘いただきました、いつまでにといった明記ができるのかどうかという話ですけれども、最後のほうに委員が言われたGX実行会議において原子力で提示されている論点の一つ、次世代革新炉の開発建設について年内に方向性を出すようにと総理からの指示が夏に出されたという事実がある中で、次世代革新炉に必要な研究開発あるいは基盤的なインフラについての議論は、スケジュール感との関係上、年度末を目途に検討会で議論していく、そういった状況がございます。
 原子力政策全体の流れとして、次世代革新炉の話、それから既設軽水炉の長期運転といった様々な観点があるかと思いますけれども、次世代革新炉は政府全体の検討のスケジュール感がある中での議論なので、そこは明確にしています。ただ、そういった中でインフラ全体をどうするのかについては、様々なニーズのなかでの優先順位付けが必要だということで、試験研究炉を幅広くとらえての検討を最終的にとりまとめる時期については中間まとめの時点では明記しにくいため、具体的に明記はしておりません。
 コメントいただきました優先順位をはっきりさせるということはまさにそのとおりだと思いますので、そこはしっかり対応していきたいと思います。
【寺井主査】  ありがとうございます。来馬委員、いかがでしょうか。
【来馬委員】  ありがとうございます。いろんな意味でこういう表現になっていると思いますけれども、まさに適切な時期にまとめられるように、また、いろいろ議論をさらに重ねていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 時間が押していますので、特に御意見がないようでしたら、実は資料2-4を先ほど案ということで御説明いただきましたが、こちらについては原子力科学技術委員会に御報告をするという建て付けになってございますので、もしここで何か御意見ございましたらお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 これも、これまで大分議論をさせていただいた内容を取りまとめたもので、要は「もんじゅ」サイトの新試験研究炉計画の実施主体をJAEAとして、引き続き京都大学、福井大学に協力をお願いする形になります。
 よろしいでしょうか。
 特に御意見がなければ、この資料2-4につきましては「案」を取らせていただいて、これを上位の委員会のほうに御報告をする。原子力科学技術委員会において御報告をすることにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料2-3につきましては、今たくさん御意見をいただきまして、これにつきましても、事務局のお考えでは今年中ぐらいに取りまとめるということで、もちろんGX実行会議、原子力小委員会、それから先ほどの次世代革新炉研究開発基盤検討会でも同じぐらいのタイミングで進むということで、調整がなかなか難しいですけれども、取りあえずは中間まとめという形で、一つの形としてお出しをすることを事務局のほうではお考えでございます。
 新井課長、その辺りを御説明いただけますか。
【新井原子力課長】  今主査がおっしゃったそれぞれの会議というのは別々の会議なので、国としてもこの中間まとめをそこに上げるということではありませんけれども、今日も含めて3回にわたり集中的に様々御議論いただいたので、ここについては年内に中間まとめとしてまとめておきたいと、事務局としては考えています。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 今すごく動きが速くて、他所を待ってから動くということになるとどうしても時間遅れになってしまう可能性がありますので、取りあえずは中間まとめでございますから、その形で1度出させていただいて、それでほかのところの動きを見ながら、改めて改訂をする必要があれば改訂するというスタンスであると理解いただければと思います。
 今日いろいろ御意見いただきまして、これにつきましては、適切な形で中間まとめを修正したいと思いますが、最終的な取扱いについては、主査であります私に御一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。もし時間的な余裕があれば、一度委員の先生方にフィードバックしたいと思いますけれども、時間がなくなるケースも当然ありますので、その場合には私のほうで事務局と十分に相談をして取りまとめとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。以上で議題2が終了ということでございます。
 予定時間を過ぎてございますけれども、その他議題について文科省からございますか。
【新井原子力課長】  はい。予定だけ申し上げます。今期の審議会が2月に終了するということでして、1月にもう1度、この部会を開催いただいて、今までの振り返り、あるいは今後の申し送りについて御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【寺井主査】  ありがとうございます。今期が2月までということでございますので、次回1月は最終的なミーティングとなります。
 多分その次のフェーズについては、またいろんな可能性があると思いますし、先ほどの検討会等との調整等も出てくるかなという気がいたします。そこは文科省御担当官に適切な形で御対応いただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【高倉課長補佐】  本日の議事録に関しましては、出来次第メールにて御確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の作業部会に関しましては、先ほどお話があったとおり、年明け1月18日16時からの開催を予定しております。
 以上でございます。
【寺井主査】  ありがとうございます。
 先生方のほうから何か御発言いただくことはございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見がないようでございますので、これで第14回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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