令和3年11月4日(木曜日)10時00分~11時30分
新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催
寺井主査
中島主査代理
秋山委員
五十嵐委員
石川委員
小澤委員
来馬委員
佐藤委員
中熊委員
和田委員
堀内 研究開発局審議官
松浦 原子力課課長
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)
中谷 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課課長補佐
科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第10回)
令和3年11月4日
【鈴木原子力課室長】 定刻になりましたので、第10回原子力研究開発基盤人材作業部会を開始いたします。
今回の作業部会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンラインで開催しておりまして、これに関して確認事項もありますので、議事に入る前まで事務局で進めさせていただければと思います。
いつものことにはなりますが、オンラインでの開催に際しましての留意事項を御説明いたします。
[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]
以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
続きまして、本日の配付資料の確認をします。委員の皆様及び傍聴登録をされた皆様宛てに事前にメールにて配付資料をお送りしております。遠隔会議システム上では資料は表示いたしませんので、各自の御手元にて資料の確認をお願いします。
議事次第に配付資料を記載しており、資料1、2、3-1、3-2、3-3のほか、参考資料として1から4を送付しています。
議事は、原子力システム研究開発事業について、国際原子力人材育成イニシアティブ事業について、群分離・核変換技術評価タスクフォースについての三つを、時間は11時半までを予定しています。
それでは、委員の皆様の御出席を確認します。
映像がオンになっていらっしゃれば御出席としておりますが、本日、音声のみの御参加ということで、和田委員はいらっしゃいますでしょうか。
【和田委員】 はい。音声のみですが、よろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】 よろしくお願いします。本日は10名の委員、全員に御参加いただいてございます。
また、経済産業省資源エネルギー庁より中谷課長補佐にも御参加いただいています。
それでは、これから議事に入りますが、運営規則第5条に基づきまして、本会議は公開とします。また、第6条に基づきまして、本日の議事録につきましてもホームページに掲載いたします。
事務局からは以上でございます。
ここからは主査の寺井先生に議事の進行をお願いします。よろしくお願いします。
【寺井主査】 おはようございます。それでは、ここから代わりまして、私のほうで議事を進行させていただきます。
本日の議題は御手元の議事次第にもございますとおり、議題の1から4まででございます。時間は11時30分までを予定しております。
それでは、早速でございますが、まず議題1についてお諮りをしたいと思います。
原子力システム研究開発事業についてということで、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 それでは、令和4年度の原子力システム研究開発事業について御意見をいただければと思っておりますので、資料1を用いましてその前提となるところから説明をいたします。
まず、1ページ目に原子力システム研究開発事業の概要を示しています。原子力システム研究開発事業については、競争的資金として従前より文科省で実施してきた事業です。令和2年度から文部科学省と経産省が連携して進めるNEXIPイニシアチブの一環として、新たな形での公募を実施しています。
下の青い四角に記載されているとおり、基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型という三つのメニューを用意しており、中でも基盤チーム型については、社会実装に向けて重点的に取り組むべきテーマを設定した形で公募をしてございます。重点的に取り組むべきテーマとしては、令和2年度から計算科学技術を活用したイノベーションの促進と設定しておりまして、具体的な文書については参考資料に掲載しております。
令和3年度は基盤チーム型についてのみ公募を実施し、基礎基盤の強化や裾野拡大を重視しまして、1件当たりの金額を小さくするとともに、若手枠、プログラムアドバイザー制度の創設、事前ワークショップの開催などを行いました。
令和2年度に基盤チーム型で計算科学技術をテーマとして公募をしましたが、採択できなかった分野、領域がございまして、そこについてはまず基礎基盤の強化や裾野拡大が必要だという問題意識のもとで令和3年度については公募をいたしました。
令和4年度については、資料の2ページ目になりますけれども、令和2年度と同様に基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型の全てのメニューで公募ができればと思っています。
概算要求としましては13億円を要求しております。政府予算として全額措置されるのはなかなか難しいかなというところもありますけれども、三つのメニューで公募したいと思っています。
基盤チーム型については、1、2件程度、ボトルネック課題解決型については5件程度、新発想型については、一般、若手それぞれで数件程度の公募をしたいと思っております。採択件数や年間の研究経費については、予算が決定してから見直す必要もあるのかとは思っております。
AIデジタル化に関する課題について必要に応じてプログラムアドバイザーが参加する制度は、令和4年度も継続したいと思っています。また、公募期間については、令和3年度同様に年明けから公募を開始し、その後、審査をして契約をするというスケジュールを考えてございます。
令和4年度については、ボトルネック課題解決型について、これまでの反省も踏まえた変更を行ったので、御説明をします。
3ページ目になります。令和2年度のボトルネック課題解決型では、応募者自身がボトルネック課題を設定するという前提で公募を実施しましたが、応募者自身でボトルネック課題を設定するということが難しかったようで、採択された提案は、例えば、RIに関する提案であったりとか、1F廃炉で使うことを想定する技術開発であったりとか、社会ニーズに対応するような提案が多かったです。
令和4年度の公募ではボトルネック課題を研究者に明示できないかを検討し、NEXIP事業者のニーズを集約するということを目指しました。
3ポツ目のとおり、具体的には経産省NEXIP事業者様より大学等でどのようなことを実施してほしいかを事前アンケートで聞くとともに、NEXIP交流会で議論を行うという形にしました。
アンケートの結果、約60件ほどの提案がございました。4ポツの下のほうに提案のあった課題を示しておりますが、新規材料開発、再処理、プラントメンテナンス、安全・リスク評価、社会科学など、原シスでカバーしているほぼ全ての分野と、カバーできない分野も含めて提案をいただきました。
一方で、ボトルネック課題解決型がそもそも3年間、3,000万円で5件程度採択という枠組みであり、全てをカバーするのは難しいため、絞り込みをする方向で検討をしました。その結果、安全・リスク評価とプラントエンジニアリングの2分野で公募することで関係者が合意しています。
公募の具体的な考え方については、次の4ページで説明をさせていただければと思っております。
企業からは安全・リスク評価、プラントエンジニアリングについて、具体的な課題もいただいておりますので、それについては公募要領に例示して公募したいと思っております。
社会実装を見据え、応募者にはNEXIP事業者との連携を推奨したいと思っており、共同研究を促す取組として、ワークショップを事前に実施し、ワークショップではNEXIP事業者からもプレゼンをしてもらうことと、文科省を通じて、NEXIP事業者の問合せ先を共有するといったことを検討しております。課題の審査や採択後のフォローアップについても、NEXIP事業者に参加していただきたいとお願いをしているところです。
4ページに行きまして、ボトルネック課題解決型の分野設定の考え方ですけれども、安全・リスク評価について。新型炉の導入に際し、プラントシステム全体を俯瞰的に捉えた構造評価、安全・リスク評価等の基礎基盤研究が重要であり、炉型コンセプトに直結するような安全・リスク評価の最新知見は、基礎基盤から実用化研究まで常にアップデートして、業界全体の文化としてもその重要性を浸透させていく必要があると記載しているとおり、今の段階から大学等も含めて一体となってやっていく必要がある分野として公募することとしました。
また、これまでの原シス事業では、安全やリスク評価に関する提案はあったものの少なかったことと、審査時にほかの提案と戦ったときに勝てなかったということがありました。今回、分野として明示することによって、いい提案が採択できるのではないかと期待しております。
原子力プラントエンジニア分野については、原子力分野はデジタル技術の取り入れが不足している部分があるのではないか、ほかの分野に参考とする事例もあるのではないかとの指摘があり、プラントエンジニアリング分野を設定しました。
また、全体を通じての考え方としては、将来の多様な原子力利用の在り方を踏まえても、継続的に重要視されるというような研究開発テーマにしたいと考えていますが、設定した2分野についてはこの考え方にも沿っています。
期待される提案としては、安全・リスク評価分野、プラントエンジニアリング分野の下にそれぞれ提示しています。公募要領ではこれよりももう少し詳しい事業者のニーズを例示として記載できればと思っています。
5ページ目ですが、第2回NEXIP交流会についてです。第1回NEXIP交流会では経産省事業、文科省事業の両者の事業紹介を中心に実施し、意見交換と今後の方向性について認識共有をしましたが、第2回については、第1回で大学等においてやってほしいことがあるという御意見があったことも踏まえ、ボトルネック課題解決型でどういった公募を行い、どのようにして大学と産業界の連携を深めていくのかという点について、経産省のNEXIP事業者、PDP0、経産省、文科省で意見交換を行いました。
具体的には、経産省のNEXIP事業「社会的要請に応える革新的な原子力技術開発支援事業」の進捗状況の説明や原子力システム研究開発事業の説明のほか、ボトルネック課題の公募についての議論と革新炉の安全性についての議論をいたしました。
NEXIP事業者から頂いた主な御意見としては、ボトルネック課題解決型の対象とした分野は重要であり、産業界が取り組む課題解決に資する研究がなされることを期待するということ。また、安全性を考える上では、パッシブ安全性について定量的な評価が求められ、趣旨としては仕様規定でなく、機能規定の検討が、今後、必要ではないかということかと思いますが、この点に貢献する研究開発が必要ではないかということ。プラントエンジニアリング分野では、長期運転のための信頼性向上策や建設、施工をいかに効率よく進められるのか、これらに関連する研究開発が求められるというような御意見がございました。
また、ボトルネック課題解決型では安全・リスク評価分野、プラントエンジニアリング分野の2分野を公募したいということについて概ね合意だったのですが、燃料・材料開発については非常にニーズが高い分野であって、大学等で着実に実施していくことが必要であるという御意見がございました。燃料・材料開発については、これまでも採択されていますので、令和4年度についても、基盤チーム型や新発想型で引き続き採択できればと思っております。
また、規制対応については新型炉導入の大きなハードルであって、公募に限らず、産学官の連携が求められるという御意見がございました。安全・リスク評価分野の研究開発を通じて、規制対応にもつながるような産学連携の取組になればと考えてございます。
最後に6ページ目、11月12日に令和4年度新規公募に向けたワークショップの開催を検討していまして、令和4年度新規公募に応募しようとしている研究者に参加いただきたいと思っています。
実施内容としてはこのプログラム(予定)にありますように、新規公募にあたっての基本的な考え方と期待として先ほどお話ししたようなことを話すとともに、AIを活用した研究開発についての期待――これについては今年、AIに関するものを採択したのですがプラントエンジニアリング分野等のAIの採択がなかったことから、来年度はこういったところを期待するという話をする予定です。また、経産省NEXIP事業者の各事業者から、それぞれの取組のほか、大学等にどういった研究開発を期待しているのかについてお話いただくことをお願いしてございます。
このワークショップについては、録画して、資料とともに事業のホームページに後日掲載することで、当日参加できなかった応募予定者にも情報提供する予定です。
既にワークショップを実施することについては公開していまして、事業のホームページから申込み等ができるようになっています。
文科省からの説明は以上です。
【寺井主査】 どうも御説明ありがとうございました。事務局からは原子力事業、特に令和4年度の新規の公募についての御説明をいただきました。
公募の開始は年明け2月から4月と書いてありましたけれども、年明けということでございますが、本件についての委員の皆様方からの御意見、あるいは御質問等よろしくお願いいたします。
五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】 このワークショップは誰でも参加できるのでしょうか。既に申込みが始まっているかと思うのですが、どのぐらい参加者見込みがあるのか、教えていただきたいと思いました。
あと、2ページかと思いますが、ボトルネック型は民間企業の研究者は代表者になれないとあるのですけど、ほかは民間の方もなれるという理解でいいのか。また、ここにこの条件があるのはどういうことだったか、その議論を聞き忘れたかもしれないので御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【寺井主査】 鈴木室長、お願いします。
【鈴木原子力課室長】 御質問ありがとうございます。
ワークショップはどなたでも参加できますので、ぜひ応募予定者以外の方についても聞いていただければと思っております。今のところ70人ぐらいの参加が見込まれております。今年の公募時のワークショップも100人ぐらいは聞いてくださったので、それぐらいを期待しているところではございます。
ボトルネック課題解決型の民間企業の研究者は研究代表者になれないという考え方について、民間企業の皆様からニーズを提示していただいており、ニーズに自ら応えるということではなく、大学等にやってほしいニーズを示していただいたという考え方でございます。産業界から大学等でやってほしいものを提示していただき、大学等が企業と一緒になって研究開発を実施することを目指しているメニューになります。
ほかのメニューについては、企業が代表者になって提案することが可能でございます。以上です。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。それでは、小澤委員、お願いいたします。
【小澤委員】 小澤でございます。私からは質問というよりも、少し期待みたいなものを述べようかなと思います。
ボトルネックのところは「社会実装を目指す上で」と2ページ目に書いてありますので、結構リアルな話になるのかなと思います。それから、規制対応についても、交流会で要望が出ているということで、これもまた安全・リスク評価の分野としては、重要だと思っております。
ここで期待したいのは、国際的なところで目を向けて海外のいい事例だとか、そんなところも見ていただきたいなと思いますし、工学だけではなくて、少し社会の目から見てこれだけの安全評価が求められるとか、そんなところもあったら面白いのではないかなというふうに思っております。以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。鈴木室長、何かございますか。
【鈴木原子力課室長】 御意見を踏まえて、進めていきたいと思います。
【寺井主査】 ありがとうございました。
それでは順番に、中島委員、お願いします。
【中島主査代理】 ありがとうございます。中島です。
まずお願いというか、スケジュールの点で、今、予定では7月ぐらいに契約ということで、以前から見ると大分早まってきているかなと思いますけども、公募に手を挙げる側としては、一月でも早く始めればその年でいろんな準備ができますので、今後、できるだけとにかく前倒しにできるような。審査とか公募をそんなに短くはできないとは思いますが、努力をお願いしたいというところです。
もう1点、安全のところで、規制対応の話が事業者からの御意見というところで出ていますけれども、やはり幾らものを考えても規制が対応できないとなかなか実装できないというのは大きな問題であります。
テーマの中の一つで免震対応のような、免震評価、免震技術ということも書いてございましたけども、これについては今、規制委員会が規制基準みたいなものを検討するというようなことの動きもありますので、できればそういったグループも巻き込んで視野に入れたところで、検討の段階からある程度規制の声も入れながらやっていくことができれば、社会実装に早くつながるのではないかと思っています。そういった点についても配慮をお願いしたいと思います。
以上です。
【寺井主査】 はい、ありがとうございました。鈴木室長、御回答ありますか。
【鈴木原子力課室長】 契約を早めるということについては、頑張りたいとは思います。予算が決まってから公募になりますと、公募開始はどうしても1月になってしまいます。例えば、2月ではなく、1月終わりから公募を始めるなど、なるべく前倒しすることについて努力します。
規制の対応について、NEXIP交流会でも、例えば、学会で先に指針的なものを検討してはどうかといった御意見もありました。公募でそこをやるのは難しいですけれども、公募の課題を採択後に、規制への反映についてどういったやり方があるのかということも含めて検討できればと思っております。
御意見ありがとうございました。
【中島主査代理】 よろしくお願いします。
【寺井主査】 それでは、中熊委員、お願いします。その後、和田委員でお願いします。
【中熊委員】 はい、電事連の中熊でございます。御説明ありがとうございました。
ちょっとベーシックな質問になっちゃうかもしれませんけれども、ボトルネック課題について、今、御説明を伺っていると、NEXIP事業の紐づけを太くするという観点からすると、新型炉導入をもうプラットフォームにして、そこにおけるボトルネック課題を扱うというような方向でもうやっていくと。例えば、我々、原子力事業者の立場から申し上げれば、サイクルの世界ですとか、あるいはプラント運営の世界でももろもろリスク情報の活用なんかも含めて、様々なベーシックな課題がいろいろとあるんですけれども、ここに関しては新型炉導入をプラットフォームにするというような方向を今回、御提示されたという認識でよろしいでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 ご指摘のとおりです。一方、そもそも原シス事業自体も新型炉に関する研究開発と再処理に関する研究開発を目的としております。安全・リスク評価についてもですが、特にプラントエンジニアリングについては新型炉以外にも使える技術開発が提案されると思いますので、既存の炉や施設等にも使えるものは使っていく方向で研究開発ができればと思っております。
【中熊委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 よろしいでしょうか。サイクルのいろんなところも新型炉とかなり絡むところはあると思いますし、共通技術もたくさんあると思いますので、その辺でカバーされるんだろうというふうに理解をしております。
それでは、和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 和田でございます。
実際にボトルネック課題について、NEXIP事業者のニーズを集約して、交流会で議論いただいたということは、基礎基盤技術の研究を社会実装につなげる大変よい取組だと思っておりますので、ぜひ今後も事業者と連携をとって進めていっていただきたいと思います。
その上で、NEXIP全体にも関わるのですけれども、このような基盤研究をやっているということを若い世代にぜひ魅力的だと思ってもらえるような形でどんどんアピールしていっていただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございます。鈴木室長、何かございますか。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございます。若手枠をつくっているのは、若手の活性化への期待でございます。若い方へのアピールも、ぜひしたいと思っており、ワークショップを開催し多くの方々に参加してもらうという取組は実施していますが、ほかになかなかいいアイデアがないと思っており、今後も事業としても検討していきたいと思いますが、具体的なアイデアがあれば、ぜひお知らせいただければと思います。
【和田委員】 はい、ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございます。それでは、石川委員。その後、秋山委員でお願いします。
【石川委員】 石川でございます。御説明ありがとうございます。
2ページのところを見ると、基盤チーム型で採択2年目にステージゲートを設定しているのですが、4年のうちの2年と聞くと真ん中あたりと一見、見えるんですけど、恐らく概算要求のことも考えると、2年度目のかなり早い時期にステージゲートがあるんじゃないかと想像いたします。
それで1年度目の7月に契約し2年度の早い時期にステージゲートだと、もう立ち上げて走り始めたぐらいのところでステージゲートがあり、研究を推進する側から見ると結構きついのではないかということになると思うんですが、このステージゲートでどういうところを評価することになるんでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 基本的には、研究者が自らここまでやるとして設定したところまでができそうかどうかということを審査することになります。令和2年度採択課題については、今年度、ステージゲート評価を実施しますが、ステージゲート評価は11月の終わりに実施する予定です。11月の終わりの時点で、今年度中にステージゲート評価として設定したところまでできそうか、できそうな見込みがあるかというところと、次の2年間の研究開発計画が適切かというところを評価することになります。
先生の御指摘の点、ごもっともかと思っておりますが、今年度のステージゲート評価の様子も踏まえて、必要であればそこは検討させていただければと思います。
【石川委員】 ありがとうございます。実質的には2年度目の終わりまでにどこまでいけそうかというところがちゃんと評価して、評価されるということと理解いたしましたので。承知いたしました。
【寺井主査】 よろしいでしょうか。これは3年度目にやると、あとが4年度目しか残らなくなっちゃうので、あまりステージゲートの結果が反映できないというところで。やや前倒し目の感じがしないでもないんですけど、1年と数か月たったところでということで2年度目までの計画がちゃんと達成できるかというスタンスですので、やむを得ないかなと思います。ありがとうございます。
秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 御説明ありがとうございます。2ページ目のところでやっぱり若手の方にたくさん応募していただきたいのですけれども、その際に若手というか45歳以下の人が応募しようと思った場合に、若手に出すか、それとも、ボトルネック、基盤チームに出すかというのがあると思うんですが、そのボトルネックとか基盤チームについてはテーマが結構はっきりしていますが、その中でも結構ゲームチェンジングというか、挑戦的なのか、それともボトルネックに対応するのかといった判断基準というものはどう考えていらっしゃいますでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 具体的なテーマに因るのかとは思っております。
基盤チーム型であれば、1億円とかなり規模が大きいので、1,000万円でやろうとするものとは大きく研究開発内容も異なるのかと思っております。
まずは何をやりたいのかということを検討していただいた上で、どこに応募するのが適切かというのを検討していただくのかなと思います。
また、新発想の2,000万円と1,000万円については、一般枠に45歳以下の方に提案いただいても構わないので、どちらで戦ったほうが適切かというのを判断いただいた上で提案していただくのかなと思っています。ただ、一般と若手の採択件数については大まかな枠は示しますが、最終的にはどちらかが増えたり減ったりするということもあり得るのかなと思っております。
【秋山委員】 はい、ありがとうございます。
【寺井主査】 よろしいでしょうか。まだあるかもしれませんが、ちょっと時間が押していますので、1つ目の議題はこの辺りまでにさせていただきたいと思います。
それでは、今、いただいた御意見をもとに進めていただければというふうに思います。この作業部会にも適宜、進捗状況について御報告をお願いできればと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、次の議題2に移らせていただきます。次の議題2は国際原子力人材育成イニシアテティブ事業についてでございます。
これにつきましても、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 資料2に基づいて説明させていただきます。
前回の作業部会では山本PDから国際原子力人材育成イニシアテティブ事業のコンソーシアムの活動の内容についての説明をいたしました。委員の皆様からは、面白い取組ではあるが、原子力分野で固まることなく、違う分野とも交流できたら面白いのではないか、裾野を広げるためには原子力分野の学生だけではなく、他分野の学生の参加も重要であることについて指摘がありました。学生がコンソーシアムの講座等に参加するためには、スケジュールの重複を避けることや、学生も忙しいので、年間、どのようなスケジュールで何をやっていくのかというのをあらかじめ示すことも必要ではないかといった御意見もありました。単位取得ができるということが重要なので、各大学の目標等も踏まえつつ、しっかりとした仕組みや内容にしていくことが必要であることの御指摘もありました。また、単位交換やカリキュラムの共有を進めていくのであればこそ、事業の継続性が非常に重要であるとの御指摘もございました。
また、原子力人材育成ネットワークとも連携をしっかり進めていくようにとの御意見の中で、人材がどのように社会で活躍するのかといったことや、社会人の人材育成という視点で連携ができるのではないかとの御指摘がございました。
続きまして2ページ目、原子力に関係する機関が参加するコンソーシアムの総会を10月13日に実施しました。コンソーシアムには51機関に参加いただいていますが、具体的な機関名については参考資料にリストとして掲載させていただいております。
第1回の総会では、イニシアティブ事業でどのようなことをやっているのかについての説明と、国際グループ、カリキュラムグループ等の4つのグループを置いていますが、各グループから活動報告をいたしました。また、今後の活動について参加者の皆様から意見収集をいたしました。その内容について3ページ目に記載しています。
最初のポツ、学生にとって様々なことに興味を持ってもらうことが大切であるため、多様な実習に参加してもらうことが重要であるとの意見がありました。また、学生に興味を持ってもらうことが重要であるが、学生にはやるべきこととやりたいこと両方あるので、しっかり両立してもらわなければいけないということや、大学にとって原子力学科、学部が重要であるというアピールが重要であり、その意味では将来の入学者である高校生や親御さんへの広報が重要であること、一般向けには放射線や放射能といったところをきちんとカバーしていくべきであることについても意見がありました。
学生が就職した際に理想と現実のミスマッチが生じるのはよくないので、やりがいや社会貢献ができているということが実感できるようになるといい、また国際関係については、海外を含めて多くのところとコミュニケーションをとって、原子力についてしっかり知ってもらうということが重要との御意見がございました。
また、企業では原子力専攻に限定せず学生は募集しているので、原子力専攻以外の学生にも本事業に参加してもらうことが重要である、間口を広げていくことが非常に重要であるとの御意見がございました。
また、企業として学生にどういったものを期待しているのかについては、どこか一つ自信を持って深い知識を持っている学生、若いうちから海外との接点を持つ経験を積んでいる学生、チャレンジ精神を持っている学生が欲しいとの企業からの御意見もございました。
以上が、ANEC総会のご説明になります。
4ページ目に、前回の御意見やANEC総会の御意見を踏まえまして、今後の課題として取り組んでいきたいと思っていることを記載しています。まずコンソーシアムの事業を整理して、それをホームページ等できちんと周知するということが大事だと思っております。モデルカリキュラムの構築や体系化なども将来的にやりたいと思っており、そういったこともホームページに反映させていきたいです。原子力関係の学生さん、他分野の学生さんがぜひ参加したいと思うようなホームページをつくったり、情報発信をしていくことを検討していきたいと思ってございます。
また、単位互換や認定を効果的に進めていく方策、裾野拡大の方策についても、引き続き検討していきたいと思っております。
持続的な活動のためのマネジメント体制の構築やコンソーシアムに参加する機関での取組の方向性の共有ということも、引き続き実施していくことが必要と思っております。
コロナ禍における実験・実習や国際活動の実施についても、引き続き課題だと認識しております。今は始まったばかりですが、きちんと活動内容を評価し、その評価を公表していくということも重要だと思ってございます。
続きまして、5ページ目、令和4年度の新規公募についてです。上のところはこれまでの復習になります。令和2年度の公募ではコンソーシアムの形成を目指した公募を行いましたが、令和3年度は必ずしもコンソーシアムの一部としてやらなくてもいい課題もあるのではないかということで、機関横断的であることを重視しつつ、機関ごとの取組に対して公募を実施しました。採択された2課題については、コンソーシアムとはまずは情報共有を中心とした連携を行っていくとの整理になっております。
令和4年度については、現状のコンソーシアムではカバーし切れていない機能を有する拠点を公募したいと思っております。令和2年度と同様に最初の1年間についてはフィージビリティスタディとしまして、令和4年度中にFS審査・評価を実施してはどうかと思っております。
令和4年度に公募に資することも目的の一つとしまして、イニシアティブ事業についてシンポジウムを実施したいと思っております。
内容については6ページ目になります。【プログラム】(案)にありますように、まず、令和2年度、令和3年度、コンソーシアム以前の成果の発表をします。次に、ANECの取組内容を発表した後に、コンソーシアムに求められる機能や不足している機能は何か、追加で提供すべきコンテンツは何か、人材が足りていない分野はどういったところなどについて意見交換をします。本シンポジウムを聞いた上で、提案者がコンソーシアムにどんなものがプラスであるといいのかを考えて、提案していただくことを考えております。
事務局から以上でございます。
【寺井主査】 どうも御説明ありがとうございました。それでは本件につきまして、委員の皆様方からの御意見、御質問等をお願いをいたします。
事務局からは現在ありましたように、現在のコンソーシアムでありますANECの実情とか課題ですね。それから、令和4年度の新規の公募についての御説明をいただきました。特にANECで強化すべき点とか、その方法等も含めて御意見を伺えればというふうに思います。
それでは御発言のある先生は挙手にてお願いをいたします。
和田委員、どうぞ。
【和田委員】 ありがとうございます。和田でございます。
現在、説明いただいた現在のコンソーシアムには原産協会も参画して、近畿大学さんですとか、高専機構さんのセミナーなどに協力しております。互いのニーズを確認して、企業と学生のマッチングに寄与するということを狙いとしておりまして、引き続き原産協会としても連携協力を行っていきたいと思っております。
令和4年度の今後について質問なんですけれども、現状のコンソーシアムではカバーし切れていない機能を有する拠点を公募するとありますけれども、こちらはそのシンポジウムで今後、議論されるのかもしれないんですけれども、現状で文科省さんとしてはどういったことがカバーし切れていないという認識でいらっしゃいますでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 例えば、サイクル分野の人材育成については、足りないようなところもあるのかなと思っておりますし、あと異分野融合、連携についても足りないところがあるのかなと思っております。
これまでの本作業部会での議論、ANEC総会での意見では、ここがどうしても重要だとか、ここはどうしても足りないからやらなければいけないのではないかといった御意見はなかったのではないかとも思っております。コンソーシアムの活動内容について紹介をしてシンポジウムで議論をすることを通じて、提案者にここについてぜひやったほうがいいとの提案をいただければと思っております。
【和田委員】 はい、ありがとうございます。
【寺井主査】 それでは、来馬委員、お願いします。
【来馬委員】 ありがとうございます。今の、来年度向けに6ページにありますように、シンポジウムをやりますということの御説明をいただきました。それは非常に期待もできると思います。福井においては、福井大学が中心となって「つるが原子力セミナー」をやるということで、全国から学生に集まっていただこうということも企画しましたが、今年はコロナもありましたのでそれはもう実施できない。したがって、インターネットを通じて学生が参加するという形式に全て改めてやりました。
なかなか難しい状況ではありましたけれども、学生の感想は非常によかったと思うので、ぜひ受講学生側にこの事業に対して希望や期待、あるいは改善すべきところが何かを聞いていただきたい。
それぞれの事業主体がもちろん受け止めて、また改善していくんだと思いますけれども、こういうシンポジウムのようなところに、いわゆる人材育成を受ける側ですね。学生の意見というのが何か出てくると参考になるのかなと思いますので、何かその点について御検討いただけたらという希望でございます。
以上です。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございます。今の御意見は学生からのアンケートとか意見聴取をしていただいて、それを先ほどのシンポジウムみたいなところで公開していただくということかなと思いましたけれども。
鈴木室長、いかがでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 検討してみたいと思います。学生さんがどういうふうに考えたのかということを、どうやって集約するかについては、実施している大学とも一緒に検討してみたいと思います。
【来馬委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございます。コロナ禍でかなり実際、事業が制約を受けたのかなという印象は持っております。講義であれば、オンラインである程度できると思うのですけど、やっぱり演習や実習ということになるとなかなか難しいのかなという気がしますので、その辺り今後どうしていくかということについてはもう少し各機関あるいはANECで御検討いただければというふうに思います。ありがとうございます。
中島委員、お願いします。
【中島主査代理】 中島です。先ほどの新たな公募の内容にも絡んでくるかと思いますが、そもそも原子力分野を支える人材として、どんな能力を持った人がこれからどのぐらい必要になるかといったようなときに、特に産業界からのニーズということになるとは思うんですけども、そういったところがある程度見えてこないと、なかなか人材育成といっても、参加する学生さんや企画する大学等において、どこにどれだけ力を入れたらいいのかというところが見えてこないのかなと思っております。
そういった意味では、ANECのコンソーシアムをうまく使ってもらえればと思いますし、ここの作業部会でもそういった議論を深めていく必要があるのではないかと思っております。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございます。鈴木室長、御意見ございますか。
【鈴木原子力課室長】 その点については、人材作業部会にこれまでからもらっている宿題かと思っており、検討をどういった形でできるのか、エネルギー政策の方向性というのがいつ出るのかが明らかではない中でどうすべきなのかということについては、引き続き検討ということかと思っております。あらためて、主査や中島先生に御相談させていただければと思います。
【中島主査代理】 ありがとうございます。国の方針と違うことをやるというのはなかなか難しいので、もしかしたらこれは大学とか、あるいは学協会レベルで、まずは声をどんどん上げていくということが必要なのかもしれません。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございます。その辺の地ならしといいますか、そこが大事なのかなって気はいたします。
秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 御説明ありがとうございます。本学科でもやはり、もともと原子力工学科ではあるんですけれども、ほかの全然違う企業に就職してしまうという、その人材が流れていってしまうということも起こっているので、非常に重要なことだと思います。逆に、ほかの学科にも声かけをするということが書いてありましたけれども、具体的に実際に企業さんでは原子力工学専攻以外にどんなところから就職してるのかという情報があると、何かそういうところにも、どこに声掛けしたらいいかというのも分かりやすいかなと思いました。
【寺井主査】 鈴木室長や原産協会さんが情報を持っているかもしれないんですが、まず、鈴木室長何かございますか。
【鈴木原子力課室長】 おっしゃるとおりだと思っております。原子力工学科等から原子力産業に就職しているのは二、三割程度だというように聞いてはおりますが、それ自体は悪いことではないのではないかと思っています。機械であったり、設計であったり、その他様々な分野から企業は人を採っております。分野が幅広い中で、どうやって他分野にアプローチしていくのかということは課題でして、そこについては引き続き検討していくことが必要と思っております。
【寺井主査】 ありがとうございます。今の件につきまして、和田委員、何か補足コメントはございますか。
【和田委員】 今、鈴木さんがおっしゃられたように機械だとか電気だとか、ほかの分野の方々の数というのは、かなりの割合を占めるので非常に大事だと思っておりますし、あと、文系の学生というのも非常に大事だと思いますので、そういうと本当に幅広くなってしまうんですけれども、そういったところにアプローチいただきたいと思っています。
【寺井主査】 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
【中谷資源エネルギー庁原子力政策課課長補佐】 資源エネルギー庁の中谷でございます。
先ほど中島委員のコメントに対して、鈴木室長のほうからエネルギー政策の方向性が固まらないとというお話がございましたけれども、今年の10月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画の中でも原子力の人材、技術の維持をしていくということの重要性はしっかり掲げられております。それこそ文科省さんと一緒にNEXIPイニシアチブを開始しているというところがございますので、引き続き、我々もこのグリーン成長戦略の中での原子力の重要性ということもしっかり訴えていくとともに、それに付随した人材の育成というところは文科省さんと一緒にやらせていただきたいというふうに思ってございます。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 中谷課長補佐、補足説明ありがとうございます。グリーン成長戦略の中で原子力のことを一つの項目としてしっかり明示されていて、その中に今あった人材育成のこともそうですし、それから、新型炉のことも結構書かれてますよね。ちょっとその辺のところも念頭に置いて、今後、文科省さんのほうでも御対応をお考えいただければというふうに思います。ありがとうございます。
それでは、これで議題2は終了させていただきます。どうもありがとうございます。今日の御意見を踏まえまして、国際原子力人材育成イニシアティブ事業を進めていただければというふうに思います。本作業部会にも適宜、進捗状況について御報告をお願いしたいと思います。
次に議題の3は群分離・核変換技術評価タスクグループについてでございます。
この件につきましては、前々回、タスクフォースをつくるということが認められまして、その後、中島委員を中心に作業を進めていただいたということでございます。
まず鈴木室長から全体の背景、タスクフォースの中身につきまして中島委員のほうから御説明をいただいて、質疑応答は両発表が終わった後にまとめて実施をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず鈴木室長のほうから御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 先ほど寺井先生より説明がございましたように、タスクフォースを設置しまして、群分離・核変換技術について検討をしてまいりました。タスクフォースの設置紙については参考資料として本日もお配りしています。
私からは群分離・核変換技術については何かというところから、まず導入としてお話しさせていただければと思います。
1ページ目、左側の黄色い四角にございますように、群分離・核変換技術とは、高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種を分離するとともに、長寿命核種を短寿命核種に変換するという技術になります。下の図にあるように、現状の再処理では、ウランやプルトニウムとFP、MA――マイナーアクチノイドや核分裂生成物質を分けて、マイナーアクチノイドや核分裂生成物質については、ガラス固化体として地層処分します。
ガラス固化体として地層処分する予定になっているものを、さらに分離し、かつ、有害度の高い核種については核変換することによって、上の目標にあるように、長期リスクの低減や処分場の実効処分容量の増大、つまり処分場の面積を小さくできるというメリットがあります。
具体的な分離変換導入の効果については、2ページ目になります。まず、長期リスクの低減といたしまして、高レベル放射性廃棄物の潜在的有害度が低減されます。
下の黄色の図になりますけれども、紫の線が引いてあるのが天然ウランの潜在的有害度になります。この天然ウランの潜在的有害度になるまでにどれぐらいの期間がかかるかが横軸になりまして、使用済燃料をそのままにしておいた場合は数十万年かかります。これは緑の線で示しています。それを高レベル廃棄物、現在のガラス固化体にすれば、数千年まで短くすることができ、さらに核分離変換処理をすると、数百年まで短くすることができます。
現在の地層深く埋めるという処分の方法で安全性等に問題があるということではありませんが、分離変換により潜在的有害度を下げることが可能になります。
また、マイナーアクチノイド――MAを分離することと、ストロンチウムとセシウムをある程度の期間、保管しておくということによって、発熱をかなり抑えることができます。そうすると、ガラス固化体を集約して埋めるということが可能になり、処分場面積はかなり小さくなります。100分の1ぐらいにするということも理論上は可能でございます。
分離核変換のうち、核変換技術については、3ページ目に示しています。現在、2つの方法が検討されておりまして、一つが発電用高速炉を利用するやり方、もう一つが階層型と呼ばれる加速器を利用したシステムになります。
この加速器を利用したシステムについての説明が4ページ目になります。上の図の超伝導陽子加速器から陽子ビームが放出されまして、この陽子ビームが核破砕ターゲットに入って、核破砕ターゲットから高速中性子が出て、中性子によって長寿命核種を短寿命核種に変換するという仕組みでございます。
ADSの特徴としましては、青い四角にあるように、加速器を止めれば連鎖反応は停止するものであること、MA濃度の高い燃料が使用可能であること、鉛ビスマスそのものについては、科学的に不活性であるということが挙げられます。
現在の研究開発状況については5ページ目です。9億円程度の予算で原子力機構では研究開発を実施しております。運営費交付金ではADSのみならず、高速炉にも使えるような技術開発、主に群分離のところになるかと思いますが、をしておりまして、補助金でADSを構成する各要素の技術開発を1億円程度で進めているところでございます。
6ページ目に、分離変換技術の政策的位置づけ等について記載してございます。分離変換技術については、最近検討を始めたものではなく、これまで様々な検討、研究開発が進められてきた技術です。直近の方向性の提示としては、6ポツ目、2009年に原子力委員会の分離変換技術検討会の報告書及び委員会決定があります。原子力委員会で検討がなされまして、ここで、最初に説明しました分離変換の導入効果などの掲示もなされましたし、高速炉、ADS双方について、今後、どのような研究開発が必要であるかという研究開発課題が示されました。
これを踏まえまして、研究開発が進められてきましたが、2013年に文科省の審議会の群分離・核変換技術評価作業部会でも検討を実施しました。ここでは、高速炉ではなく、主に、ADS、階層型についての検討を行い、工学規模の研究開発段階に移行することが可能であり、J-PARCに核変換実験施設の整備を期待するとの方針が出されました。
このJ-PARCの核変換実験施設については、後ほど説明しますけれども、J-PARCの第2期計画の中に既にあったものについて、もう整備する段階にあるのではないかとの意見が出たものでございます。
次のページは、分離変換の政策的位置づけについてです。現在の政策文書の中で、どういった記載になっているのかについては、第6次基本計画では、「高速炉や加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、放射性廃棄物の処理・処分の安全性を高める技術等の開発」を推進するといった記載になってございます。特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針では、「分離変換技術の研究開発について着実に推進する」というな記載がなされています。
8ページ目には群分離・核変換評価技術作業部会の中間取りまとめの概要を記載しております。中間的な論点の取りまとめの概要についての2番目の丸ですが、実験室レベルの段階から工学規模の段階に移行することは可能な研究開発段階にあり、このため、J-PARCに核変換実験施設を整備することが期待されると評価されているとされております。
核変換実験施設がどういうものかについては、9ページ目に記載しています。TEF–TはADSターゲット試験施設でございまして、核破砕ターゲットの研究開発と材料の研究を行う施設、材料照射実験を主に行うための施設になります。TEF–Pは、炉物理実験を行うための実験施設であり、物理的特性探索や制御経験の蓄積を目指すものになっております。
参考資料としまして、これまでの審議会での資料として公表されているもののURLを下につけてございます。文科省からは以上です。
【中島主査代理】 では、続けて資料3-2を御覧ください。
今、鈴木室長からお話ありましたけども、群分離・核変換技術評価タスクフォースというのを設置いたしまして、私がその主査として議論してきたところでございます。
1ページ目ですけども、これもそもそもは来年度から原子力機構の次期の中長期目標計画を策定しなくちゃいけない、新たなものが始まるということでありまして、その中において、群分離・核変換技術をどう位置づけるかというところを考えなくてはいけないと。そのためにここのタスクフォースを開催して、意見を取りまとめているところでございます。
実際の取りまとめの資料の案につきましては、資料3-3にございますけども、これを説明するのは大変ですので、そのエッセンスを取りまとめたこの資料3-2で説明させていただきます。
これまでに3回のタスクフォースを開催いたしまして、これまでの状況と、それから、現状どうなっているか。そして、今後の方向性ということを議論してまいりました。参加された委員としては、こちらに書いてあるとおりであります。バックエンドからフロントまで、あるいは加速器、安全、高速炉関係など多様な方が入られていると思っております。
ざっくりと全体をまとめた資料が3ページ目のタスクフォース取りまとめ案について、6分の1というところでございまして、これが目次に該当する全体の構成でございます。
「はじめに」で、経緯説明と群分離・核変換技術及び関連技術の現況ということで、政策的な位置づけや主に原子力機構における研究開発の進捗状況でございまして、ここの分につきましては、先ほどの原子力委員会での検討会で技術的な課題が幾つか出されておりましたが、それについての要素技術の開発については着実に進んでるというのを確認してるところでございます。
新たにその後の状況の変化ということで、計算機の科学技術、シミュレーション技術の進捗というのがあるので、こういったところも取り入れるべきだということでここの中に含めております。
2番目として、群分離・核変換技術の研究開発の進め方ということで、研究、今後の方向性、それから、重点的に取り組むべき事項、それから、J-PARCにおける先ほどTEF–P、TEF–Tという御紹介ありましたけども、これら施設の在り方、それから、それらを踏まえてロードマップ。そして、基礎基盤研究の充実ということでございます。
最初の今後の研究開発の方向性、重点的に取り組むべき事項、それから、J-PARC核変換施設の在り方については、4ページ目以降に説明しておりますので、まずそちらをさらっと説明したいと思います。4ページをお開きください。
この報告書の第2章の群分離・核変換技術の研究開発の今後の進め方ということで、1番の今後の研究開発の方向性でございます。
委員の中ではいろんな意見はございますけども、こういった基礎的な技術をやっていくことは重要だということはおおむね皆さんの了解を得ているところでございまして、アンダーライン部を読まさせていただきますと、「廃棄物の減容・有害度低減を進めることは重要であり、我が国においても群分離・核変換技術の確立に向けた研究開発は引き続き着実に進めるべきである」ということでございます。
2番目のポツでございますけども、これをやる上では今後の原子力システムは様々なシナリオを考慮することが必要であると。先ほど鈴木室長から紹介ありましたけども、加速器駆動のADSシステムを使った階層型のサイクル概念というのも、その技術選択肢の一つとして、今後も着実に技術の確立を進めるべきであるということでございます。
3つ目のポツでございますけれども、「具体的には」と書いているところでございますが、「原子力機構の次期中長期目標期間中には、国内外の既存施設を最大限活用して、原理実証、これは実験室規模、準工学規模に必要な課題、TRL、日本語では技術成熟度と言いますが、TRL4から6に相当と書いてございますけども、これに対応した研究開発を実施するということで、性能実証段階、工学規模の実証をするために、そこに引き上げるために必要な課題の特定、それから技術の絞り込みを判断するために必要な知見、データの取得を進めることが適当であるということが全体としての意見となってございます。
これらの中で、先ほどもちょっとお話ししましたけども、様々な工学分野において、研究開発段階でのシミュレーション等の計算科学技術の活用による効率化、迅速化というのが進んでいるという状況を踏まえまして、ここで議論している群分離・核変換技術に関しても、最新の計算科学技術を取り込んだ研究開発を積極的に進めると。これでコストと時間と両方を稼げるというか、成果の最大化を図る必要があるというところでございます。
5ページ目に行きまして、個別に群分離、加速器駆動のADS、燃料サイクル及び燃料ということで、それぞれどんな項目に重点的に取り組むべきかというところを書いています。まずは群分離のところは、MA群分離ということで高速炉で燃やすものと、ADSを使った階層型のサイクルがありますが、どちらの概念を導入するにしても、群分離という技術は必要になるということで、当然、核変換そのものよりも先に導入が進むだろうというところでございまして、これからも着実に研究開発を推進するというところであります。
それから、6ページ、ADSのところでございますが、実際にやろうとすると加速器とか核燃料を入れた未臨界システムとかが必要になってきます。多くのリソースが必要となる施設建設に代わって、合理的かつ効率的に研究開発を進めるためにということで、既存の施設を有効利用しながら、計算科学などの最新の技術・知見を活用した研究開発計画として、原子力機構がPSi計画を進めると。これはProton accelerator-driven Subcritical virtual systemです。計算機器によって、シミュレーションを多く取り入れた技術であるということでありまして、これを進めることは妥当であると考えているところでございます。
ADSに関しては、ビーム窓の開発であるとか、あるいは炉物理的な運転制御の問題であるとか、あるいは鉛ビスマスの流動、それによる材料の問題であるとか、加速器そのものの安定性の問題等いろいろございます。
下から3つ目のポツですけれども、そういったそれぞれの課題に取り組んで、それらの成果を活用して、柔軟性や経済性の観点を考慮し、高速炉との比較やADS導入シナリオ検討が可能な実現性の高いADSの概念を提案することが求められるということ。
それから、今までの原子力機構の検討の中であんまり入っていなかったのですが、重要な点として、下から2つ目のポツですが、概念の検討にあたっては、福島第一原子力発電所の事故後の安全設計思想の深化を踏まえた議論を十分に行うということで、深層防護の実装、過酷事故対策、それから、外的事象、耐震も含めた検討を行って、基本的な安定設計思想を確立する必要があるということでございます。
7ページ目は、燃料サイクルに関するところでございます。燃料そのものの製造の中でほかと違うところとしてはMAを含有しているということで、非常に高レベル、放射線レベルも高い、高線量環境であるということで、これを踏まえた遠隔での燃料製造の技術が必要であるということ。これの成立性、燃料自体のその後のふるまいについても確認する必要があるということを述べているところでございます。
それから、その次が大きなポツで3番目の、先ほどから話が出ているJ-PARCでの核変換実験施設の在り方でございます。
TEF–P、TEF–Tというところで、TEF–Pというのはいわゆる未臨界実験装置と加速器を置いたもの、TEF–Tはプロトン照射で、主に材料等の健全性を見るというふうに私は理解しておりますけども、これは先ほど原子力機構が提案しているシミュレーションを導入したPSi計画をやるということで、これについての計算シミュレーションの高度化や既存施設の活用を進めることで、できるだけお金をかけない形での代替を目指すということでありますけども、やはり既存施設における実験だけで十分な信頼性や精度が得られるのかというところでございます。そういった議論がございました。あとは実験データについて、シミュレーションと現実との合わせるためのデータ同化手法というところについても、十分に検討する必要があるだろうと。
では、具体的にどんなところを進めるかというところが2つ目のポチでございまして、TEF–Tで予定していた陽子の照射、プロトンの照射の下で、かつ、高温の鉛ビスマスの流動環境下におけるビーム窓健全性の実証試験というところというのは、やはりシミュレーションとか、既存の施設の実験だけではなかなか難しいのではないかというところで、こういったところを考えなくてはいけない。
それから、もう一つのTEF–Pでございますけども、こちらは未臨界炉のシミュレーションとかをやるところでしたが、ここで使用を予定していた原子力機構が保管していた核燃料の一部、高濃縮ウランとプルトニウムが核不拡散の状況、核セキュリティの対応へということで、米国へ移送されてしまいましたので、ここでやろうとしていた炉物理的な実験というのがなかなかうまくできないような、大幅に制限される状況にあるということでございます。
ということで、このJ-PARCにおける核変換としては、上の状況を踏まえた上で、TEF–Tの機能を優先した試験施設とするということが妥当であるというふうに至っているところでございます。
最後の資料は、ADSの今後の進め方ということで、元に戻りまして、3ページ目の目次のところでございます。
今、ローマ数字のⅡの研究開発の進め方の1、2、3について説明いたしまして、こういった議論を踏まえて、原子力機構のほうでの、これまでも含めた研究のロードマップというのを今修正しているところでございまして、最後は基礎基盤研究の充実ということで、この7年間の中でも新たな加速器の技術であるとか、同位体分離に関しても、いろんなアイデアも出てきているというところもございますので、こういった新たなアイデアの創出、検証というのが重要であって、異分野融合を進めつつ、基礎基盤研究を充実していくことが必要だというところでございます。
最後、やはり今後も引き続き検討が必要な事項ということで、将来の原子力システムの見通しが示されていく過程の中で、ADS導入のシナリオについても、実際の開発状況、それから、実運用のコストも含めて明確化して、これらを踏まえて、研究開発の方向性の再検討が必要になってくるだろうと。それらに対して必要な技術を身につけていくということが大事であるということでございます。また、次のステップ、産業化というか、実用化、社会実装に向けて、産業界の参画、研究開発マネジメントの検討や理解増進活動も重要であるということでございます。
以上、タスクフォースの取りまとめ案についてでございました。
【寺井主査】 中島委員、どうもありがとうございました。実際にはこの資料3-3がタスクフォースの取りまとめ案でございまして、これを今年度中ですか。
【中島主査代理】 年内ですね。
【寺井主査】 年内ですね。はい。年内に取りまとめられるということで、今日はその概要についての御紹介をいただいたということでございます。
それでは、今、いただきました件に関しまして、ここの部会が親部会でございますので、本作業部会からも御意見を賜りたいということでございます。本件につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等よろしくお願いをいたします。
五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】 大変、短期間に議論していただいて、問題点を整理していただいていると思います。
その上で質問は、まずこれは年内にまとめられた後はどういった形になっていくのか。これは事務局のほうへの質問になるかもしれませんが、教えていただきたいと思います。少し時間のスケールも含めて教えていただければと思います。
内容のほうは、この研究が必要であるということは言うまでもないことであって、それに併わせて有効性であるとか効率性について大変深く議論していただいて、必要なことを挙げられているのかなと拝見いたしました。その上でここにも書いていただいておりますが、実際にやっていくに当たっては安全性であるとか、経済性、実現性について、ある程度、見極めながらやっていく必要があると思うのですけれど、そういう目標設定などはどうなっていくのか。そのあたりの議論は今後どうなっていくのかということを伺いたいと思いました。
また、今後、どの程度の規模の施設が見込まれるのか。そういったことがまだこの段階ではよく見えません。そういったことも含めて、まとめ案にも触れていただいておりますけれども、ぜひこういったことについて、一般の人にも分かる形で、随時、情報提供していっていただけることをお願いしたいと思います。
【寺井主査】 ありがとうございます。今、いただきましたのは、この取りまとめ後の取扱いがどうなるかということ、実現性の目標設定についてはどういうふうに考えておられるのかということ、一般の方々へのPRもよろしくお願いしたいという3点かと理解しました。
いかがでしょうか。取りまとめ後の取扱いについては、鈴木室長のほうから御回答いただけますか。
【鈴木原子力課室長】 取りまとめ後は、原子力機構の中長期目標、計画に反映されるものと思っております。取りまとめでは、具体的に研究開発を今後7年間でこういうふうにやるべきという御意見をもらいましたので、これを踏まえて、実際、どのような研究開発をやっていくかということは中長期目標、計画に反映していくと思っております。
【寺井主査】 よろしいでしょうか。1件目。恐らくこの報告はここで終わって、特に上に上げるということではないんですよね。
【鈴木原子力課室長】 そうです。タスクフォースの取りまとめで、終わりでございます。
【寺井主査】 1件目はそれでよろしいでしょうか。
【五十嵐委員】 御説明ありがとうございます。
中長期目標に反映されるという御説明はもともとあったんですが、それに書き込まれることによって、実際にこうした研究がうまく進んでいくのかどうか。たとえば、具体的にはリソースですよね。そういった提供などはどうなっていくのかということはいかがでしょうか。
また、これ全部をどうやっていくのか、その内容について精査していくのは原子力機構になるのでしょうか。どの研究を先にするとか、いろいろあると思うのですが、タイムスケジュールやロードマップをつくっていくのは原子力機構なのでしょうか。また、7年で終わらないものなどもあるかと思うので。
もう少し具体的なことがないと、たとえば、きちっと今後、予算が手当てされるであるとか、そういうものがないと原子力機構のほうも動けないのかなとちょっと思ったものですから。分かる範囲でよろしくお願いします。
【寺井主査】 鈴木室長、お願いします。
【鈴木原子力課室長】 ロードマップの中でどういった優先順位をつけていくかについては、今後、原子力機構の中で外部有識者の意見も踏まえて決めていくということとで、この取りまとめの中でも今後7年間で具体的にどうやって進めていくのかということについては、外部有識者の意見も聞いて決めていくと記載してございます。今後7年間の後、どうするのかについては、その後の研究開発成果や国際的な状況も踏まえて、再度、検討していく必要があると思っております。
予算措置については、文科省としても、引き続き、ここで提案されているようなことができるような予算措置に努めていきたいと思っております。今回シミュレーション技術を活用するようにという提案をいただいているので、そうであれば、そこまで大規模な予算を使わなければいけないということではないと思っておりまして、現状の予算から大きく増減することなく研究開発を進めれば、一定の成果が出てくるのではないかと思っております。
それを超えて、例えば、先ほど御説明したTEF–Tをつくろうというようなことになる場合は、TEF–Tにどれだけお金がかかるのか、それを使ったら具体的に何ができるのか、ADSを高速炉と比べた場合コスト的にどうなのか、どういった形でADSが本当に導入されるのか、導入されそうかということも含めて、再度、検討が必要になると思っております。
中島先生からぜひ何かあればお願いします。
【中島主査代理】 後半のほうは、安全性、経済性云々の議論というとこに絡んでくるかと思いますけど、やはり今のこのタスクフォースの会合の中でもそういった議論、やっぱり安全性はまだ福島の教訓が反映されてないとか、経済性についてもまだまだ曖昧さが大きいという議論が出ております。
そういった意味では、先ほどもありましたけど、次の段階に進むためにはそういったところに対して、何がネックになって、何が課題か、あるいはそれを解決するにはどれだけのことをやらなくちゃいけないかというところをしっかりと出していただいて、あるいは、そこに至るまでの必要なデータなりをこの7年間、次期の中長期計画の中で出していただくというところで。
タスクフォースというよりは私の個人的な要望としては、やっぱり次の7年後の、今の次の期が終わった段階ではやはりADS導入と、例えば、高速炉システムとの経済的な比較、あるいは安全性も含めた比較というのが、ある程度、ベースを基にできると、そういったところをしっかりと蓄積していただきたいなと思っているところです。
お答えになってますでしょうか。
【五十嵐委員】 大変ありがとうございます。よく分かりました。
【寺井主査】 はい、ありがとうございます。この報告書の目的は原子力機構が次の中長期計画の中でこの群分離・核変換技術を位置づけるという、ある種のお墨つきみたいな形のものになるかなと思います。
その次のページについては、まだ現時点では何も決まってないので、7年間の中長期の中で、その次の見通しをまず原子力機構のほうで作っていただいて、それをしかるべき時期に審議会等で審議をするという話になるのかなと理解をしております。よろしいでしょうか。
それから、こういう情報は一般の方々に広く周知するというのが大事な報告だと思いますので、これにつきましては、文科省さん、あるいは原子力機構のほうで御尽力いただくということが必要かなというふうに思います。ありがとうございます。
それでは、小澤委員お願いいたします。
【小澤委員】 小澤でございます。ありがとうございます。手短に意見だけ申し上げたいと思います。
資料3-1の7ページ目に、「幅広い選択肢を確保する観点から」ということで、こういった技術開発、研究開発は着実にやる必要があると思いますし、8ページ目には、実験室レベルの段階から工学規模の段階に移行すると、可能な研究開発段階ということも、そういう印象にございます。
意見の中身としましては、資料3-3の本文のほうの一番最後の引き続き検討が必要な事項と書いてある。これは結構、重要なのかなと思っております。
その中で、三つほど指摘しておきたいと思いますけども、ADS導入のシナリオについても開発、実運用へのコストを含め明確化し、それらを踏まえ、研究開発の方向性を再検討。おっしゃるとおりだと思いますけれども、現段階といいますか、研究開発の段階で、どこまで明確化する必要があるのかというのも、少しそんなにきつい話ではないのかなと思います。
例えば、99.9%という回収率についても、それありきで進むということでもなく、例えば、99%や90%だったらどういう世界があるのかということもイメージしながらやればいいのかなと思います。
それから、今後、大規模な研究開発を行う際には高速炉との比較も含め、ADSの開発意義を定量的に示す必要がある。今の御指摘と同じなんですけども、そういった意味も重要かなと思います。
それから、最後のところには、最終的なメリット、デメリットを踏まえ、国として判断するものであるから、社会一般の理解が得られるような理解増進活動も着実にと書いてありますので、これもシナリオも社会に発信しながら、今の段階がどういう段階にあるかということが分かればいいのかなと思います。
今、研究開発段階ですので、サイエンスからインダストリーに行く段階には経済性というものがかなり大きな谷というものがあるかと思うんですけど、そういった谷間には陥らないように、着実に進めていただければなと思います。
以上でございます。
【寺井主査】 はい、ありがとうございました。コメントですが、いかがでしょうか。
【中島主査代理】 ありがとうございます。そういった議論は内部でもいろいろ出ておりまして、回収率なんかもパラメータを変えてどうなるかという議論もしておりますし。高速炉との比較ができるようなというところも、今の段階ではまだそこまで成長してないなという話でございまして、この7年間でできれば、そういったところもやっていってもらいたいというふうに私も考えているところです。
【寺井主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。いただいたコメントにつきましては、中島主査のほうでしっかりとそこはフォローしていただければというふうに思います。
【中島主査代理】 了解しました。
【寺井主査】 ありがとうございます。それでは、来馬委員、お願いいたします。
【来馬委員】 ありがとうございます。1点だけ、先ほど鈴木さんの御説明にありましたように、第6次のエネルギー基本計画。この中にこのことも取り上げられていますので、その中で、その資料にもありますけど、ちょうどアンダーラインは引いてないんですけれども、「国際的な人的ネットワークを活用しつつ」というのが、ちょうど開発を推進する間に入っているんですね。これがあまりよく理解できてる状況ではないんですけども、これとの関係で、今回のタスクフォースの取りまとめの資料の、先ほどの中島先生、御説明の4ページの一番下のポツに国際協力という表現が出てます。この人的ネットワークという話とこの国際協力との関係を中島先生に御説明いただけたらと思います。ちょっと関連がよく分からない。
【中島主査代理】 中島です。御指摘ありがとうございます。
【来馬委員】 よろしくお願いします。
【中島主査代理】 国際協力の部分を時間の都合で説明を省いておりましたが、今、原子力機構のほうもベルギーのMYRRHA計画への参画とかも検討されているというところでございます。そういったところで、人的ネットワークというところとどうつながるかというところはありますけども、当然ながら、フランスとかヨーロッパ関係の研究者のコミュニティもございますので、そういったところのつながり、OECD/NEAを加味してということになりますけども、うまく活用して日本だけで全部やるというのではなくて、いろんな技術、実験も含めて、国際的に人類の問題を解決するということでの国際的な人的ネットワークの活用としております。よろしいでしょうか。
【来馬委員】 はい、ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
そのほか、いかがでしょうか。
もしなければ、中島主査に私のほうから二つほど御質問したいのですが、先ほど8ページにてTEF–Pについては、ウラン、プルトニウムをアメリカへ返還しないといけなかった理由などがあって、こっちについては少し優先度を下げるという話だったと思うのですが、いずれにせよ、これはしかるべき時期にやっていかないといけない話だと思います。その辺りについての代替策みたいなことは考えられるんでしょうかというのが一つ目です。
それから、もう一つは7ページに1つ目のポツでMA含有燃料の製造で粒子分散燃料と出てくるんですけど、これはいわゆる振動充填というものでしょうか。ここの中身がもし分かればで結構ですが、教えていただけますでしょうか。
【中島主査代理】 TEF–Pはやはりちゃんとやろうとすると、できればプルトニウムとか、要するに高速炉スペクトルの未臨界体系をつくりたいわけです。残念ながら、今のところ見通しはなかなか立たないというところでございますので、海外での実験に相乗りするとか、そういった形で何かできないかなというところに実際のところはなるかと思います。それが一つ目でございます。
もう一つが分散型ということですが、母材としてチタンの中にこのMA等を混ぜ込むというときには、シリサイド燃料のようにパーティクル状にしてその母材に入れるというようなやり方があるそうでございまして、そういった意味合いでの振動充填とはちょっと違う形での粒子分散型というふうに理解しております。
【寺井主査】 ありがとうございました。TEF–Pについてはそういうことしかできないのかもしれません。次のフェーズにしたいということかと思います。
それから、粒子分散燃料については、今、お話があったようにシリサイド板状型燃料に近いんですかね。いわゆる熱伝導率を上げるためにチタンのマトリックスを中に埋めるということでしょうか。
【中島主査代理】 はい。
【寺井主査】 はい、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
それでは、一応、この議題3につきましては、これで終了いたしたいと思います。この件につきましては、タスクフォースのクレジットということで取りまとめをいただくということで、それが最終段階になるということですね。それで、その取りまとめ案の内容につきましてはこの作業部会でも確認したということで、コメントもいただきましたので、引き続き、それを基に群分離・核変換技術評価タスクフォースのほうで最終的な取りまとめを、年内とおっしゃってたと思うんですが、中島主査のほうでよろしくお願いをしたいというふうに思います。ありがとうございました。
それでは、本日、予定しておりました議事は以上で全てでございますが、ほかに全般的なことで御意見等ございますでしょうか。
最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 本日の議事録につきましては、出来次第メールにて御確認いただきまして、ホームページに掲載いたします。また、次回の部会については、今後、日程調整から始めさせていただければと思います。
以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。
それでは、これで第10回の原子力研究開発基盤人材作業部会を終了いたします。どうも本日は御参加いただきまして、ありがとうございました。これで終了いたします。
―― 了 ――
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