原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第9回) 議事録

1.日時

令和3年6月28日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力機構における次期中長期目標・計画策定に向けた議論
  2. 原子力システム研究開発事業について
  3. 国際原子力人材育成イニシアティブ事業について
  4. その他

4.出席者

委員

寺井主査
中島主査代理
秋山委員
五十嵐委員
小澤委員
来馬委員
佐藤委員
中熊委員
和田委員

文部科学省

堀内 研究開発局審議官
松浦 原子力課課長
長田 原子力課課長補佐
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)

オブザーバー

山本 国際原子力人材育成イニシアティブ事業プログラムディレクター(名古屋大学大学院工学研究科総合エネルギー工学専攻教授)
黒崎 国際原子力人材育成イニシアティブ事業プログラムオフィサー(京都大学複合原子力科学研究所教授)
中谷 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課課長補佐

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第9回)
令和3年6月28日


【鈴木原子力課室長】 それでは、定刻になりましたので、第9回原子力研究開発基盤人材作業部会を開会いたします。
 今回の作業部会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンラインにて開催しておりまして、これに関連した確認事項もありますので、議事に入る前まで事務局にて進めさせていただきます。委員の皆様には、差し支えなければ画像をオンにしていただければと思います。
 いつものことになりますが、まずオンライン開催に関しましての留意事項を御説明いたします。

[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]

 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。今回は委員の皆様及び傍聴登録をしていただいた方宛てに事前にメールにて配付資料を送らせていただいております。会議中、遠隔会議システム上では資料は表示いたしません。各自の御手元にお送りした資料を見ていただきますようにお願いいたします。
 議事次第についてはお送りしたとおりでございます。配付資料が、資料1-1から資料3-2までございます。また、参考資料についても参考資料1から参考資料5までお送りしているかと思います。もし足りない資料等があれば、事務局にお電話、チャット等にてお知らせいただければと思ってございます。
 それでは、映像にて委員の皆様の御出席を確認させていただければと思います。
 本日、石川委員につきましては、御欠席の連絡をいただいてございます。
 運営規則第3条に規定されている定足数の過半数の過半数を満たしておりますので、御報告させていただきます。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録についてもホームページに公開いたします。
 また、本日は、議題3、国際原子力人材育成イニシアティブ事業に関するプレゼン及び質疑応答のために、プログラムディレクターの名古屋大学大学院工学研究科総合エネルギー工学専攻教授・山本先生と、プログラムオフィサーの京都大学複合原子力科学研究所教授・黒崎先生に御参加いただいてございます。
 参考資料の5として、群分離核変換技術評価タスクフォースの設置についてという資料をお配りしてございます。これについては、前回の会議で設置について御承認いただいたものになりますが、名称について、前回会議ではワーキンググループという名称を提案させていただきましたが、作業部会とワーキンググループは同じ意味なので違う名称がいいのではないかという御指摘がございましたので、名称を変えましてタスクフォースとさせていただいてございます。これについては、事前に委員の皆様に御了解いただいた名称になります。原子力科学技術委員会のほかの作業部会でもタスクフォースという名前で下に委員会を設置した事例がございまして、このような名称にさせていただきました。本件については御報告でございます。
 事務局からは以上になります。
 ここからは寺井主査に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 おはようございます。それでは、ここから私のほうで議事を進行させていただきます。
 本日の議題は、御手元の議事次第にありますとおり議題1から議題4まででございます。
 タスクフォースに関しましては、名称がワーキンググループからタスクフォースに変わったということで、先ほど御説明あったとおりでございます。前回設置が認められておりますので、この形で今後作業を進めていただくことにしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、早速でございますが、議題の1を始めさせていただきます。
 議題1は、原子力機構における次期中長期目標計画策定に向けた議論でございます。
 それでは、まず事務局・長田補佐から御説明をお願いいたします。
【長田原子力課課長補佐】 おはようございます。文科省原子力課の長田でございます。
 それでは、資料1-1を御覧いただけますでしょうか。
 これまで、本作業部会におきましては、五つの機関のステークホルダーから原子力機構に対するニーズ等のヒアリングを実施したり、また前回の作業部会では原子力機構の児玉理事長に出席いただき今後に向けた取組方針について御説明をいただきました。そのような調査検討をしてきていただきましたので、今回、次期中目中計に向けて、今後の検討に当たっての提言ということで、今までの議論を一度まとめていただければと思いまして、案を事務局から御提示しております。
 まず、背景、経緯は今申し上げました、これまで様々調査検討いただきましたことを書いておりますので、割愛します。
 今回の提言の位置づけとしては、作業部会として重要だと考えているということにさせていただいておりますが、今後、政府において、共管の三省庁間で協議するとともに、また独立行政法人評価の枠組みでこれまでの取組の評価も別の審議会のほうで議論します。そういったものも踏まえながら、夏以降、実際の中長期目標の文書などを考えますし、そういったものが固まってきましたら中長期計画を原子力機構で考えるという手続になりますので、今後そういった政府や原子力機構の検討に当たってこういった観点も重要ではないかということで作業部会の提言をまとめていただければという位置づけでございます。
 中身については、資料1ページ目の下方の2ポツのところから御説明をいたします。
 2ポツは基本的考え方としておりますけれども、我が国唯一の原子力分野の総合的開発機関であります原子力機構では幅広い研究をやっておりまして、今中長期目標期間では、東電福島第一原発の廃炉に関する研究開発、また様々な幅広い基礎基盤研究を推進するとともに、1枚めくっていただきまして、これらに必要な研究施設等の基盤の維持・発展、こういったものに取り組んできていただいていると考えております。これらの重要性は引き続き高いですし、様々な基礎基盤研究を行うにしても、昨今はデジタルトランスフォーメーションといった観点も重要になってくるだろうと期待しております。
 そのような流れですけれども、近年では平成30年7月の第5次エネルギー基本計画では原子力のイノベーションという言葉が政策文書で初めて出てきております。また、令和2年10月には、2050年カーボンニュートラル実現という大方針が政府のほうで示されまして、令和3年6月には、カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略が関係省庁間で策定されており、こういったところに革新的な原子力技術の重要性等についても最近述べられてきています。
 一つのポイントとしては、これまでやってきました基礎基盤研究や東電福島第一原発廃炉に関する研究開発などに加えまして、近年の状況を踏まえて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた一層の取組の充実が次期中長期目標では重要になってくるだろうというところを、まず一つ目のポイントとして書かせていただいております。
 次に、「また」からはじまる段落ですけれども、世界的な潮流としまして、民間主導の原子力イノベーションというものの重要性が高まっています。我が国においてもNEXIPイニシアチブで民間企業の取組の支援等が進められておりまして、原子力機構においては、こういった民間の技術開発の基盤を支える役割もこれまで以上に重要になってきているであろうと。また、大学等の状況に関しましても、この作業部会でも様々議論いただいていますように、様々な基盤が弱ってきているという中で、大学等における研究開発教育に当たって機構の有する基盤の活用というものも一層求められてきていると思っております。
 このような状況を踏まえまして、原子力機構においては産業界、大学とこれまで以上に連携して、我が国全体としての研究開発人材育成に貢献するプラットフォームとしての機能、こういったものもより充実していくことにしております。
 次の段落ですけれども、これは前回の原子力機構でも重要な経営方針としてプレゼンがありましたが、原子力機構においては、もんじゅ、ふげん、東海再処理施設をはじめとしまして、多くの原子力施設が廃止措置段階に入っていますので、こういったバックエンド対策の取組を今まで申し上げたような研究開発活動と両立して進めていくことが重要である、そのために必要なマネジメント体制、仕組みの整備等も求められるということがポイントかと思っております。
 最後の段落については、外部資金、競争的資金の獲得、共同研究等の一層の努力を推進していくことが重要であると簡単に書いていますが、今までの様々な政府の政策の状況とか様々なヒアリングを受けた状況から、基本的な考え方として、さっき申し上げた三つ、カーボンニュートラルのような取組、プラットフォーム、あとバックエンドと研究開発の両立、このような点を重要なポイントとしてまとめております。
 次に、3ページ目に3ポツとして、次期中長期目標期間に原子力機構において取り組むべき業務について示させていただいております。こちらは、特にこれまでステークホルダーからのニーズ聴取等々を受けて、またこれまで委員の皆様に御議論いただいた内容を踏まえて記載しております。
 ここの1段落目ですけれども、先ほどお示ししましたような基本的考え方の下で、以下の重点分野で示す取組を進めることが重要ではないかとしております。
 「なお」という2段落目ですけれども、こちらは総花的にならずにきちんと優先順位をスケジュール感を持ってという議論を前回いただいていますので、経営資源に限りがある中で、次期中長期目標期間において、各業務を目標あるいは計画に具体的に落とし込むに当たっては、国の政策や目標、また機構に期待される役割、また原子力機構内での部門間連携にとどまらない各種資源の有効活用と全体最適化、こういったことに留意しながら、長期的な時間軸の中で各業務の見通し、優先順位を意識しながら、具体に目標を計画に落とし込む、検討していくことが重要であるということを記載しております。
 その上で、重点分野として、今五つほどにグループ分けして記載しております。この中身のエッセンスは、基本的にこれまでヒアリング等で得られた様々なニーズ等に基づいて書いていますが、今回グルーピングを五つにしておりまして、一つ目はカーボンニュートラルへの貢献ということで、軽水炉の安全性向上、また高速炉、高温ガス炉といった新型炉に関する研究開発、核燃料サイクルに関する研究開発としております。
 二つ目は、多様な研究開発の推進によるイノベーションの創出ということで、高速炉、高温ガス炉といったことは再掲ですが、その他中性子研究も含むような幅広い基礎基盤研究、先ほど申し上げたデジタルトランスフォーメーションも含むという形にしています。また、原子力機構が外と組みながら行うような成果の社会実装、イノベーション創出への取組の強化、こういったものも記載しています。
 次の重点分野3が、先ほども御説明しましたような、外部の産業界や大学等と連携して、我が国全体の研究開発に貢献するためにどういうことをするかということで、一つ目は様々議論でニーズとしていただきましたような大型の原子力研究施設、こういったものの将来の計画も含めた取組をしっかりしていくということ。また、人材育成の推進、さらに核燃料サイクル事業等で具体的ニーズをいただきましたが、民間の原子力事業者への支援・連携強化、また原子力安全規制行政、原子力防災に対する支援とそのための研究、ほかにも核不拡散・核セキュリティという観点で国内外への貢献について記載しております。
 重点分野4につきましては、こちらは東京電力福島第一原発事故の廃炉に向けた基礎基盤研究を今後ともしっかり進めていく必要があるということをここに記載しています。
 重点分野5に関しましては、保有する施設に係るバックエンド対策の着実な推進としております。ここに米印がついていますが、これは後ほど御説明します。
 次の4ページ目、最後に原子力機構の法人運営についてということで、業務の個別というよりは法人運営に関して記載しています。一つ目の段落は、これまでどおり重要だということですけれども、原子力施設の安全確保というのがまず大前提となるであろうということでございます。二つ目の段落につきましては、エネルギー政策については、例えばエネルギー基本計画も定期的に見直しが図られますし、また原子力を取り巻く状況というのは様々な社会情勢に応じて変化していく部分もあると思いますので、必要な研究開発活動を固定的な組織でやるんじゃなくて、組織横断的に、また機動的に実施できるような法人運営が重要であろうということを記載しております。また、次の段落につきましては、先ほども御説明しましたようなバックエンド対策と研究開発の両立をするような体制が要るであろうと。こういった観点から、最適な法人運営の在り方についても検討されるべきであるということでまとめております。
 最後に、先ほど3ページのところに1点米印をつけております、重点分野5のところですけれども、バックエンド対策につきましては、本作業部会の検討対象というよりは、もう一つ立っています原子力バックエンド作業部会、こちらのほうでしっかりと議論されるものと考えておりまして、原子力バックエンド作業部会でも7月の上旬になると思いますけれども、これの在り方について並行して議論される方向というふうに承知しています。
 今回の提言は、あくまで今まで本作業部会でやってきた議論を基に案としていますが、今後もしよろしければバックエンド作業部会のほうでの議論も今回のペーパーに反映して、両作業部会としてまとめていく、そのあたりも今事務局としては考えているところです。
 御説明は以上です。よろしくお願いします。
【寺井主査】 御説明ありがとうございました。
 それでは、本件につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構です。中島委員、どうぞ。
【中島主査代理】 ありがとうございます。京大、中島です。御説明ありがとうございました。
 2点ほど確認ですが、一つは内容というよりは日本語の話です。重点分野4のところで、第一発電所の事故の廃炉というのは日本語として表現がちょっと引っかかりました。
それから、重点分野5のところで、保有する施設に係るバックエンド対策の着実な推進ということで今機構さんでいろいろと廃止措置等をやっていることなどを意味しているのかと思いますけれども、前々回ぐらいの議論の中では、例えば大学等で、これから廃止する、あるいはもう使用を取りやめているけれどもRIとか核燃料だけを保管しているところについて、できれば機構ではそこを集約的に管理するような取組もお願いしたいということがあったかと思います。重点分野5を見ると、保有する施設に係るというのは、あくまでも機構が持っている施設に係るバックエンド対策かなということで、大学の人間としては、できればその視野を広げたバックエンド対策、いわゆる研究廃棄物などもどこかで読めるようにしていただきたいと思います。以上、まずこの2点です。
【寺井主査】 中島委員ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから御回答をお願いいたします。
【長田原子力課課長補佐】 御指摘の1点目につきましては、「事故」の部分を削除するのが適切かと思いますので、そのように対応したいと思います。
 2点目のところ、バックエンド対策は確かに今の書きぶりではこうなっています。まず、研究施設等廃棄物の埋設処分に関しましては、しっかりと原子力機構が法律改正もしてやっていくということで位置づけていますので、そういったものの重要性が読めるようにというのはあろうかと思います。原子力バックエンド作業部会とも議論の必要があると思っていますけれども。
 一方で、原子力学会や原子力規制庁のヒアリングのときにもありました核燃料物質の集約的貯蔵みたいな観点ですけれども、こちらは、一応法律上のたてつけは、国等の委託を得て、またその他の本来の業務に支障のない範囲でそのようなことができるという規定ぶりになっています。こちらは様々なニーズがあるということは我々も作業部会の中で承知しましたけれども、これを具体化していくには、例えば今申し上げたような委託に関する費用の分担の在り方とか、あとは原子力機構の他の業務との関係を議論して、関係者間で調整がついた場合にこういった話が成立すると思っています。そういったニーズがあるというのはしっかりと承知した上で、この目標というのはあくまで次これをやりなさいという指示になるので、そういう指示のような文書に位置づけるようなものかなということで、今回それはあえて記載しておりません。そのようなニーズがあるということはしっかりとヒアリングをさせていただいて、公式な場のファクトとして残っていますので、そういったものを踏まえながら、今後の検討かと思っております。以上のような考えでございます。
【中島主査代理】 御説明ありがとうございました。趣旨は理解しました。
 ただ、やはり研究廃棄物についてニーズがあるというのはずっと前から言われているような話なのになかなか進まないということで、これはJAEAさんの中計中目に書くようなことではないのかもしれませんけれども、少なくとも国あるいは文科省にはそこはしっかりとフォローしていただきたいと思います。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 今の件、一つ目の重点分野4の「事故」のところを取るという話は、基本的にはそういう考え方だと思いますけれども、福島第一原子力発電所廃炉となりますと、5号機、6号機も入ってしまう気がします。そのあたりは多分1から4までの話だと思うので、事故炉ということであれば分かるんですが、それをどういうふうに考えるのか、慎重に文言を選んでいただきたいと思います。
 それから、2点目の件ですが、先ほどの中島委員の御質問にあった、特に研究廃棄物、それから利用実態のないRIの集約管理については、たしか前回、原子力機構の資料2-2の第4期中長期目標期間における原子力機構の挑戦という理事長からいただいたプレゼンの中では、重点分野3の大型の原子力研究施設の維持、高度化、共用や知識基盤等の整備、共同利用というカテゴリーに入っていたという印象があります。この辺もどういう形でどこまで書き込むのかということについては文科省さんのほうで御検討いただければと思います。私のほうから補足をいたしました。
【長田原子力課課長補佐】 すみません、私が先ほど一応申し上げた趣旨は、研究施設等廃棄物の埋設処分に関しましてはしっかりと位置づけられていますし、重要であろうということで、今おっしゃられた核燃料物質の集約の部分に関しては、様々調整が必要かなということを申し上げました。そこは一応別という認識でございますので、補足します。
【寺井主査】 ありがとうございます。中島委員よろしいでしょうか。
 それでは、五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。これまでの議論を大変よくおまとめいただいて、技術的な柱とか大変分かりやすく整理していただいたと思います。これから機構のほうでこれを計画のほうに落とし込んでいただく作業になると思いますが、御説明にもあったように重みづけをしながらやっていただく大変な作業だと思います。よろしくお願いいたします。
 それで、私として御意見を申し上げたいのが、これまでの議論の中で機構は大変古い体制だったというお話もあって、もう少し社会に開いたほうがいいという御意見や御報告があったと思います。そういった社会貢献であるとか社会連携のようなことについては、こういった計画を進めるに当たっては欠かせないと思いますし、優秀な人材を集めていくためにも社会の理解というのは大事だと思うので、今後の機構にとって非常に重要なポイントだと私は考えております。
 それは、4ポツの法人の運営のあたりに入ってくると思いますが、どこかの形で、中期計画のほうにそういったことを入れていただけないかなというのがお願いです。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 五十嵐委員、ありがとうございました。
【長田原子力課課長補佐】 先生がおっしゃった点は非常に重要だと思いますので、この文章も検討したいと思いますし、この文章以外にも、この後、国の示す目標というのがあって、それで計画を機構がつくります。目標の中には当然そういった社会との関係というのは重要なキーワードとして確実に入ってくると思いますので、今回のものは重点分野ということで、今までの議論をまとめた形にしていますけれども、そこも含めて今いただいた御視点はしっかり考えたいですし、目標や計画には確実にしっかり書いていくべきだと思います。
【寺井主査】 五十嵐委員、よろしいでしょうか。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 それでは、次に小澤委員、お願いいたします。
【小澤委員】 小澤でございます。ありがとうございます。
 少し細かい指摘になるかもしれませんが、作業部会のクレジットで出ていくので、意識を統一しておいたほうがいいのかと思って、発言させていただきます。
 2枚目の上から3行目ですけれども、「ポストコロナ時代の研究開発として、本研究開発のDX」と続いているのですが、DXはポストコロナ時代であろうとなかろうとどんどん進めていくべきで、ひも付けが随分強いなという印象があるので、少し工夫したほうがよろしいのではないかなと思いました。
 少し下のほうに行っていただきまして、二つ下のパラグラフの「原子力機構では」と書いてあるところ、これは「新型炉」と書いてありますけれども、その下の「また」となっているところは「革新炉開発をはじめとして」となっています。次のページに行って、重点分野1と2の中には、「高速炉や高温ガス炉といった新型炉」となっていますので使い分けをしているのではないかと受け止められそうなので、少し整理されたほうがいいのかなと思います。
 三つ目ですけれども、2ページ目のもうちょっと下に行っていただきまして、「さらに」と書いてあるところですけれども、「もんじゅ、ふげん、東海再処理施設をはじめとして」とあって、その次の文章が、「多数の原子力施設が高経年化し」となっていますけれども、もんじゅ、ふげんなどは、高経年化というよりはある意味役割が終了したところがあると思いますので、「高経年化」という言葉はなくてもいいのではないかなと思いました。
 その下の先ほど中島先生から御指摘のあった「自らの保有する」というところは、先ほど御回答がありましたので、そのようにしていただければと思います。
その次のページ、重点分野3、ここは「大型の原子力研究施設の」と書いてあって、これはもんじゅの跡地の話ですとかJMTRを意識されていると思いますので、ぜひとも強力に推進していただければなと思います。
 私からは以上です。よろしくお願いします。
【寺井主査】 小澤委員、ありがとうございました。事務局から御回答ございますか。
【長田原子力課課長補佐】 いただいたワーディングの御指摘については適切に対応したいと思います。新型炉、革新炉等はどちらかに統一かと思いますし、高経年化は御指摘のような観点で誤解を招くようでしたら取ってしまったほうがいいかもしれません。
 ポストコロナ時代は、「Society5.0の実現に向けた」だけのほうがしっくりくるということでしょうか。
【小澤委員】 ひも付ける必要はないのかなと思った次第です。
【長田原子力課課長補佐】 承知しました。そのように検討します。
 最後の重点分野3の大型の施設というのは、おっしゃったようにJMTRのその後とかも含んでいますし、もんじゅサイト、また今動いてない常陽とか様々な論点がありますので、ここはしっかりと検討すべき課題があるというふうに存じております。以上です。
【小澤委員】 ありがとうございました。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
 確かに、今、ポストコロナ時代というのがはやり言葉になっているんですけれども、あと何年かすれば一応一段落するかなという感じはあるので、あまり特出ししなくてもいい感じがいたします。よろしく御検討いただければと思います。
 それでは、和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 和田でございます。
 原産協会からステークホルダーとしての意見を述べさせていただいたところ、重点分野に取り入れていただきましてありがとうございます。産業界や大学等と連携したプラットフォーム機能という発言をさせていただいていたんですけれども、こちらは非常に大切な点だと思いますので、ぜひ充実していただきたい分野でございます。
 重点分野3で、核不拡散・核セキュリティの強化に向けた国内外への貢献とございますけれども、こちらはもちろん核不拡散・核セキュリティは大事ですが、国際貢献という意味で、この分野に限らず機構さんとしてもっと広く国際貢献を行っていくという見え方だとよいのかと思います。
 あと、1点コメントですけれども、資金について記載があったので、この作業部会の提言として言うことではないのかもしれないんですが、グリーンイノベーション基金が原子力の分野に使えないということが非常に問題だと思っておりまして、グリーン成長戦略の記載がありましたけれども、こちらに高速炉ですとか高温ガス炉といった重点分野1、2に入っている項目なども挙げられていますので、ぜひ資金を確保して取り組んでいただきたいと思っております。
 あと、1点質問ですけれども、基本的考え方の2ページ目の真ん中の辺りの「世界的な潮流として」という段落に「民間主導の原子力イノベーション」とあって、その下にも「民間主導の技術開発の基盤」などという記載がありますが、わざわざ民間主導と表現する理由を教えていただきたいと思います。世界的なイノベーションの潮流という意味では、今は、国の支援の下、民間が取り組んでいるという構図になっているかと思いますので、民間主導と言うのであれば、国の支援というものも併せて書かないと誤解を生むかと思いまして、理由を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【寺井主査】 和田委員、ありがとうございました。
 それでは、事務局、今コメント2件と最後に御質問がありましたが、いかがでしょうか。
【長田原子力課課長補佐】 ありがとうございます。
 いただいたコメントを拝聴して、国際貢献というところをもうちょっと広くという修文に関するコメントかと思いますので、検討して皆さんにまたお示ししたいと思います。
 最後の民間主導のと書いたのは、あくまで原子力機構と民間との役割分担という観点で、昔は結構プロジェクト主導型で国研が前に出ていた部分もあると思いますけれども、最近はおっしゃるとおり国の支援をもらいながら民間の様々なイノベーション開発を支えるという役割の重要性が昔に増して強調されるようになったということでこのように書いています。民間と原子力機構との関係ということでこのように書いておりますが、おっしゃるとおり米国においても、あと我が国でもNEXIPイニシアチブで国の支援等がありますので、そういったもののほうが適切ということであれば、そのような修文も可能だと思います。以上です。
【和田委員】 ありがとうございました。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
【松浦原子力課長】 原子力課長の松浦です。
 グリーンイノベーション基金の関係ですけれども、おっしゃるとおりNEDOの対象事業として原子力を除くとなっておりますが、原子力そのものは駄目ですけれども関連するものは認められているという解釈に立っているのかなということと、先般策定されました骨太方針あるいは成長戦略実行計画、そしてグリーン成長戦略も先般改定されましたので、それも踏まえて革新炉等に関する研究開発は国際連携も含めてしっかりやっていく、そのための資金の確保についても政府全体でしっかり取り組んでいきたいと思っております。
【寺井主査】 松浦課長、ありがとうございました。和田委員、よろしいでしょうか。
【和田委員】 ぜひよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございました。それでは、秋山委員お願いします。
【秋山委員】 大阪大学の秋山です。
 重点分野2のところについて2点御質問させてください。非常にイノベーションの創出が重要になってくると思いますが、その2項目めのところにだけDXがかかっています。先ほどもちょっとお話があったように、DXというのは全部にかかってくるんじゃないかと思っていたんですけれども、なぜここの2項目めにだけDXが特にかかっているのかという話と、もう一つは、その下の項目、三つ目のポツですけれども、原子力以外の分野というのは具体的にはどういう分野にアプローチしていくのか、考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。
【長田原子力課課長補佐】 ありがとうございます。
 1点目の研究開発のDXは、おっしゃるとおり今や全ての研究開発に関連してくると思います。一方で、この間の原子力機構のプレゼンテーション等を聞いても、今彼らがやろうとしているのが、特に今原子力科学研究所でやっているような基礎基盤研究を強調してやっていくという趣旨だと我々は受け取りましたので、ここにあえて特出しして記載しています。ここだけということでは全くなくて、様々な分野においてDXの観点は重要であろうと思いますので、それは前の基本的な考え方のところに全体として書いているという整理でございます。
 あと、2点目の産学官の原子力以外の分野というのは様々あろうかと思います。例えば中性子利用の分野では農業とか医療とか工業とか様々なものに使われると思いますし、化学関係の原子力機構発ベンチャー等もつい最近できたりもしましたけれども、そういった周辺分野を幅広くということだと考えております。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 秋山委員、よろしいでしょうか。
【秋山委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 それでは、中熊委員、お願いします。
【中熊委員】 資料の御説明ありがとうございます。
 私どももいろいろとインタビューの中で申し上げさせていただいていて、そのエッセンスを取り込んでいただいておりますので、感謝したいと思います。
 その上で、1点コメントというか質問ですけれども、我々の主張もいつもそうですが、ともすればJAEAさんへの貢献ということを考えると、施設の維持、ハードの維持みたいな話で、予算がつくのかみたいな議論に終始しがちですが、例えば2ページ目の真ん中ほどに人材育成の基盤という観点からの貢献と書いていただいていますし、3スライド面にもその趣旨が含まれていると思います。一方で、そもそもJAEAさん自身、そういう3ページ目の多岐にわたる重点分野に応えていくだけのリソースの中長期的な維持というのが可能なのかというところも一つの大きなポイントではないかと思っています。もし、そういう中長期的な技術の維持みたいなところが一つの課題だとすれば、4ページ目の法人運営のところで、お金ですとか横断的な話以外にも人という意味でのリソース確保みたいなことに少し言及いただいてもいいのではないかなと思います。以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。最終的には人材確保というところで、ここは次を考える上で極めて重要だと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
【長田原子力課課長補佐】 様々な今後の人的なリソース確保というのは重要な視点だと思います。貴重な御意見ありがとうございます。原子力機構においても、今後の持続可能な機構運用のためにそういった観点が重要であると考えていると我々も承知していますので、そのような観点、最後の法人運営の観点で追記というコメントですので、適切な修文を事務局として考えて御提示したいと思います。
【寺井主査】 中熊委員、よろしいでしょうか。
【中熊委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 そのほか御意見ございますか。
 それでは、本日は御議論いただきましてありがとうございました。議論を受けた本提言案の取扱いについてですけれども、まず事務局のほうで本日の御意見を踏まえて書いていただいて、主査の私のほうまで御提示いただければと思います。
 先ほどお話がありましたように、今後、原子力バックエンド作業部会の議論、先ほどの重点分野5ですけれども、この議論も行われますので、そういう意味で両作業部会の意見を一つの見える形にまとめるということは極めて重要だと思いますので、バックエンド作業部会の議論を本日の提言の中に組み入れていただいて、両作業部会の共同提案ということも考えられるかと思います。そういった点も含めまして、本提言の取扱いについて主査の私のほうに御一任いただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
【各委員】(異議なし)
【寺井主査】 特に御異議がないようでございますので、その形で今後の作業を進めさせていただきたいと思います。
 進捗につきましては、適宜事務局を通じて委員の先生方に御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、議題2、原子力システム研究開発事業についてに移らせていただきます。
 事務局のほうから、資料2-1について御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 事務局から説明させていただきます。
 資料2-1のほか、参考資料3としまして今年度採択課題の概要をお配りしております。参考資料については説明しませんが、必要に応じて御参照いただければと思います。
 原子力システム研究開発事業については、令和3年度の公募結果が出ましたので、その報告をさせていただくとともに、令和4年度の概算要求の検討がそろそろ本格化しておりますので、令和4年度に向けてどのようなことに注力していけばいいかということをお伺いできればと思ってございます。
 それでは、資料の1ページ目をお願いいたします。
 資料の1ページ目には、令和3年度原子力システム研究開発事業の公募の概要を載せてございます。もう既に先生方にはお話ししているところですけれども、昨年度から原子力システム研究開発事業については大きく内容を変えました。その変えたところについては、9ページ目以降に参考資料として載せてございます。基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型という三つの枠を設けて、令和2年度から公募を実施してございます。
 令和3年度については、予算の関係もございまして、全ての3枠で公募をするのではなくて、基盤チーム型一つのみで公募することにいたしました。その基盤チーム型についても、令和2年度の公募結果を踏まえた変更をした形で公募を実施してございます。
 事業概要のところにありますように、基盤チーム型として、一般を3年以内で上限2,000万円、若手として3年以内で上限1,000万円で公募しました。まず、基盤チーム型の1億円の公募は完成度が高い研究でないと出しづらいところがあったとPDPOや審査委員のコメントがありましたので、今年度については今後の社会実装につながるような萌芽的な取組も公募の対象とすることといたしまして、1件当たりの金額を少なくしてございます。
 また、若手研究者の育成が大事だということで、若手枠を設けて、公募要領中に本事業を通じたキャリアアップを期待していることについても明記しました。
 令和2年度に採択されなかった分野というのがございまして、今後の原子力分野にとっても重要だと思うところについては、ぜひこういう分野を提案してくださいという例示を載せることといたしました。それが、マルチフィジックスシミュレーション技術、AIデジタル化技術、リスク評価技術の三つになります。また、最後の取組としまして、例えばAIデジタル化技術については、AIデジタル化技術の専門家の方と共同で提案していただくことが望ましいですけれども、見つける機会とか出会う機会が少ないということもあって、AIデジタル化に関する提案など異分野の専門家との共同実施が望ましい場合には、専門家をこちらからプログラムアドバイザーとして指定するような枠組みも今回設けました。こういった形で公募をしまして、6月24日に採択課題の公表をしてございます。
 2ページ目ですが、新しい三つの領域については、公募開始前にワークショップを開催し、どういったものを応募してほしいのか説明をしました。参加者も100名程度ございましたし、ワークショップの動画をホームページに掲載しまして、申請者へは公募趣旨を理解いただくために事前閲覧を推奨したのですけれども、そちらの再生回数も約180回ございました。当日は参加者100名からアンケートを取りました。アンケートの結果としてはおおむね好評だったと思っておりまして、申請への期待が分かったとか、基礎研究や原子力研究開発の方向性を確認できたとか、こういった分野は重要なのではないかという御意見をいただきました。
 また、最後のポツになりますけれども、今回デジタル化、シミュレーション、計算科学技術を基盤チーム型のテーマとして置いておりますが、こういった時代のニーズに沿った募集だけではなく、基盤技術開発についても引き続き必要性を理解し、募集枠に配慮いただきたいというコメントもございました。
 3ページ目は、令和3年度の採択の課題の概要になります。
 結果といたしましては、基盤チーム型の若手5件、一般3件の採択課題を決定しました。もともと若手6件、一般が2件の予定だったのですが、結果として一般を多めに採択することになりました。提案についても、若手15件、一般19件と一般のほうが多い状況でした。審査員の先生方からは、若手についてはいい提案があったのではないかという御指摘等がございまして、若手枠の設定はそれなりに若手の活性化につながったのではないかと思ってございます。
 また、マルチフィジックスシミュレーション技術、AIデジタル化技術、リスク評価技術、三つの技術をぜひ提案してくださいということで例示しました。図に採択課題の具体的内容を記載してございますが、その隣に期待する技術領域を記載してございます。マルチフィジックスシミュレーションやAIデジタル化技術については採択するような課題があった一方で、リスク評価技術については、提案はあったのですけれども採択に至るようなものがありませんでした。AIデジタル化技術に該当する提案のうち、AIの専門家と共同実施が望ましいものについては、プログラムアドバイザーを今後アサインする予定でございます。そのほか、分野や機関については幅広く多様なところから採択ができたのではないかと思ってございます。
 以上が令和3年度公募の概要になります。一つ一つの採択課題の詳細な説明は省かせていただきますけれども、タイトルを読めば大体のイメージはつかめると思います。
 6ページ目は、今回の審査委員の名簿でございます。この審査委員の名簿の中の1番下の鷲尾先生がAIの専門家でして、この鷲尾先生に今後PAのアサイン等を御相談してゆく予定でございます。
 続きまして、7ページ目、NEXIP交流会についてでございます。結構前になってしまったんですけれども、原シスの事業についてお話ししたときの作業部会で、経産省の事業者と一緒にNEXIP交流会を実施するというお話をしましたが、それを2月4日に実施しましたので、その報告も併せてさせていただければと思ってございます。
 原シス事業についてはNEXIPイニシアチブの一環として実施しておりますので、経産省のNEXIP事業者と原シス事業者が相互理解をして、お互いにどんな次のステップにつなげられるのかを話し合うことを目的として開催しました。
 次のポツにありますように、第1回でございましたので、まずそれぞれの事業者から研究開発内容を発表していただくとともに、今後の連携方策の在り方について意見交換をいたしました。この中で、経産省のNEXIP事業者には、基礎基盤研究に対するニーズが幾つかあることが分かりました。例えば、燃料開発については、照射試験製造技術実証等社会実装までやるべきことが多い一方で、データ科学、計算科学での研究プロセスの加速が期待されまして、どこまでがデータ科学、計算科学で代替できるのかみたいなところについて、基礎研究が必要だということだったかと思います。規制課題については解析結果が客観的に認められるようなアプローチが重要ということで、そういったことも新型炉を見据えて大学等の基礎研究を着実に進めていくことが重要という意見があったかと思います。
 今年度、リスク評価の課題が採択できなかったのですが、こういった新型炉の規制課題に合わせて、来年度は対象を具体化する形で公募をすれば採択につながるものもあるのではないかと思ってございます。
 次年度の公募のボトルネック課題解決型には、NEXIP交流会でのこういった御意見を取り込むことを考えていきたいと思っております。
 また、こういった議論の場があるということは重要だという御意見もいただきましたので、引き続き経済産業省さんとも連携させていただきまして、第2回ができればなと思ってございます。第2回の在り方については、また検討していきたいと思っております。
 8ページ目に令和4年度の新規公募について記載してございます。
 来年度は基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型、全ての枠で公募を実施したいと思ってございます。予算の制約上、恐らく基盤チーム4件みたいな昨年度と同様の件数にはできないと思っておりますけれども、基本的には全ての枠で公募したいと思ってございます。
 基盤チーム型については、計算科学技術のテーマを変えるという考え方もあるかと思いますが、応募に向けて準備してきた先生方もいらっしゃると思いますので、来年度については同じテーマを置きまして、引き続き計算科学技術を活用してイノベーションを目指すというテーマとしてはどうかと考えてございます。
 ボトルネック課題解決型については、先ほど御説明しましたように、経産省NEXIP事業と連携しまして、社会実装のボトルネック課題を明確化していくという方針で実施できればと思ってございます。今後、事業者へのニーズヒアリングによる課題のリスト化も検討していきたいと思います。応募者への課題の周知方法については、公募を出して1か月で検討しろというのはなかなか無理があると思うので、なるべく早めに、どのような課題があるのか、ニーズがあるのかということをお示ししていくことも検討の必要があるのではないかと思ってございます。
 最後に、新発想型になりますけれども、令和2年度、去年は2,000万円で2年間という条件で公募したのですが、なかなかそれだと新発想を出しづらかったのではないかということもあって、1件当たりの金額を少なくしたり、年限を2年から3年に延ばしたり、そういった点についても検討していきたいと思ってございますし、今年度やった若手枠を新発想型の中に設けることも考えています。また、令和2年度に採択した課題が今年度で終了してしまいますので、それが再度出てきたときに採択できる形がいいのではないかと思ってございます。
 令和4年度の新規公募についての現在事務局で考えている課題や案については以上になります。ぜひこういったところをやったほうがいいとか、こういったところは課題があるのではないかという御意見等をいただければと思ってございます。また、NEXIP交流会の第2回の在り方などについても御意見があればいただければと思いますし、その他で御質問等があればお願いいたします。事務局からの説明は以上でございます。
【寺井主査】 中島委員どうぞ。
【中島主査代理】 御説明ありがとうございます。
 3年度の基盤チーム型は1件2,000万程度だったものを、規模を小さくしたら結構応募があったということで、今度の4年度については、また1億円×4年の元に戻っているんですけれども、ここの辺りの考え方について教えてください。例えば、今年採択できなかった中で何か次にいけそうなのがあるのであれば、今年と同じような規模のほうが出しやすかったのではないかなという思いもあり質問しています。
 もう1つ、交流会は非常に面白いと思い、もし山本先生や黒崎先生が出られていたなら感想をお聞かせいただければありがたいです。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 まず、御質問について事務局からお願いします。
【鈴木原子力課室長】 基盤チーム型の金額を2,000万円程度にすることについて、今年度は新発想型の公募がなかったので分かりやすかったと思いますけれども、来年度は新発想型があるので、1,000万から2,000万円の枠のものが二つあると、出すほうがどちらに出すべきか混乱するのではないかと思いました。また、提案の準備をしていたから大きな枠のものについてもぜひやってほしいという意見もあったので、両方ともを公募できる形が望ましいのかと思いました。
 基盤チーム型はテーマを絞っていますけれども、新発想型についてはイノベーティブなものであればどういったものでも提案できますので、今年度基盤チーム型で採択されなかった課題について、1年かけて磨いたものを新発想型で再提案することが可能なのではないかと思ってございます。金額が小さい1,000万円から2,000万円の新発想型は多めに応募枠をつり、基盤チーム型の1億円のほうは応募枠は少なくすることを検討しています。
 山本先生と黒崎先生には、本作業部会においては国際原子力人材育成イニシアティブ事業に関して同席をお願いしたのですけれども、もし可能であればコメントをお願いしたいと思います。黒崎先生は、原シスについてはPOではなくて採択者として交流会に参加いただきましたので、そういった観点から御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 山本です。
 今日は、本当は人材育成のPDとして参加しているんですけれども、原シスのPOとして発言させていただきます。
 このNEXIP交流会に私も参加いたしまして、まず経産省さんの事業に参加しているのは基本的にはメーカーさんなんです。メーカーさんは核燃料を扱った開発とか照射試験など、なかなかそういうのが難しい状況になっていて、そういうところについて計算科学を使った研究へは非常に大きな期待が寄せられていることを改めて感じました。あと、逆に参加者の方は、今、実際にNEXIP事業で考えられている炉型の開発にどういう課題があるのかというスペシフィックな話が出てきて、開発の参考になったんではないかと思います。私からは以上です。
【寺井主査】 ありがとうございます。じゃあ、黒崎先生お願いします。
【黒崎国際原子力人材育成イニシアティブ事業PO】 黒崎です。
 私は、課題を実施する研究者の立場として参加したんですけれども、山本先生がおっしゃっているように、産業界からのニーズというのが非常に分かりやすく提示されたところはよかったと思います。多分そういうことが今までなかったので、産業界からのニーズが目に見える形で出てきて非常に分かりやすかったです。
 あと、同じ話になるんですけれども、1回きりで終わるんじゃなくて、やっぱり継続的に何回も繰り返してこういうことをやっていくことが重要だと思います。以上です。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
【中島主査代理】 ありがとうございました。
【寺井主査】 今のお話伺いましたら、やっぱりNEXIP交流会は非常に有意義だという印象として持ちましたので、ぜひ第2回も続けてやってください。国全体としてどういうふうに今後の原子力開発をやっていったらいいのかというところに関わる重要な作業だと思いますので、ぜひ引き続きお願いをしたいと思います。
 それから、最初の御質問については、来年度は基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型の三つでいきますけれども、最終的な採択件数はまた予算とか応募状況を見ながら考えるということかと思いますので、そのあたりは臨機応変に採用していただけるものと考えてございます。
 それでは、五十嵐委員お願いします。
【五十嵐委員】 五十嵐です。どうもありがとうございます。
 4年度は基盤チーム、ボトルネック、新発想型、どれも募集できそうだということで、大変いいことかと思います。
 先ほど、今年はAI技術についてはPAをつけたというお話があったんですけれども、伺いたいのは、新発想型というのが令和2年度のときにあって、この作業部会でも新分野というか新しい人の挑戦をと言っていましたけれども、実際のところなかなか他分野からの提案は難しかったというお話を記憶しています。新発想型で特に若手の方から御提案があった場合、何かサポート体制を考えられているのかということを伺いたいと思いました。
 今年も若手枠で結構応募があって、いい御提案があったということですが、そちらのほうのいい提案がその後どうなったんでしょうか。これではできないけれども何かの研究費でできることになったのか、そういった新しい発想がこの中でどうなるのかが気になりましたので、御説明いただければと思います。例えば、アドバイザーをつけるとかそういうこともお考えなのかどうかということです。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございました。
 今年度は、アドバイザーをAIの分野につけたんですけれども、それは当初からAIについてぜひ提案してくださいという公募にして、AIの専門家の方を審査員入れたりして準備していたからできました。何でもいいから出してもらってそれにアドバイザーをつけるというのは、なかなか難しいところがあるかなとは思っております。来年度についても、例えばAIについては再度同様の枠組みでやるとか、その他についても、こういった分野であればPA、共同研究者の紹介が必要ではないかというところを事前に準備できれば、紹介するということも可能かと思っております。
 あとは、原子力分野の先生以外の先生方にも応募していただけるような周知方法というのを検討していくことも重要かと思っております。事務局からは以上です。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。
 なかなか難しいと思いますが、新分野の方からの参加も可能になるように、今の先生方がお持ちのサポートをしていただけるような仕組みがあるといいのかなと考えます。どうしても壁が高いという印象を持たれていると思いますので、よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 和田でございます。
 先ほどのNEXIP交流会については非常に良い取組だと思いますので、今後ともぜひ経産省さんと連携強化して進めていただければと思います。
 NEXIP交流会のところで、事業者からのニーズについては、次年度はボトルネック課題解決型という話ですけれども、基盤チーム型に入れないことについて何か理由があったら教えていただきたいのと、あと全体的な話で、採択課題についてどういう視点で選定されているのかということを教えていただきたいんですけれども。例えば難易度だとか経済効果とか革新性とか、いろいろな要素をマトリクス的に評価しているような評価の仕方なのかですとか、そういったところを教えていただければありがたいです。
【鈴木原子力課室長】 まず、なぜボトルネック課題解決型なのかというと、もともとボトルネック課題解決型が企業等の課題解決を目的とすることを考えていたからでございます。
 今回ニーズが幾つか出てきたので、ボトルネック課題を明確化するということが可能なのではないかと考えまして、ボトルネック課題解決型を変えることにしました。
 基盤チーム型は戦略的テーマを設定していますが、テーマがかなり広くて、計算科学技術を活用したイノベーションというテーマを置いているので、こういった課題のリスト化にはそぐわないところもあるかと思いまして、そもそも一番あっているであろうボトルネック課題解決型に反映してはどうかと思ったところでございます。
 審査基準については、公募要領上に複数の審査基準を示してございまして、ボトルネック課題解決型であれば、どれだけ企業のニーズに合っているのかであったりとか、企業と組んだ連携体制が組めているのかであったりとかといった複数の項目を置いてございます。新発想型であれば、どれぐらいイノベーティブなものであるのかといった審査基準を置いて、審査員の先生にそれぞれの項目に点数をつける形で評価をいただいております。以上です。
【和田委員】 ありがとうございました。
【寺井主査】 そのほか御意見はございますか。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 これは非常にうまく運営していると思いますが、かつていろいろな研究チームだとか企業の大きい研究所を運営している感覚から見ると、あるボトルネック課題があったり解かなければいけない課題があって、それをどういうふうにまとめていくかという観点があって、そして実際にいろいろなそれに関する基礎基盤研究をまとめるという観点から運営していくわけです。新しい挑戦課題についてもそのようにしていくんですけれども、そのような観点で公募した研究をどうやってまとめていくという発想で行われているんでしょうか。
 質問というかコメントというか、これは非常に答えづらいと思いますが、そういう観点を少し出されたほうがよくて、ばらばらにやってばらばらになりましたねというのはあまりよろしくないのではないか。そういう意味では、経産省との検討会というのものは私は非常に役に立っていると思いますので、どうやってまとめるかという観点をどのように考えられるんでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 御指摘ありがとうございます。
 PD、POの先生方に頼っているところもありますけれども、PD、POの先生方から必要に応じてここと一緒に組んだほうがいいとか、企業と連携したほうがいいというアドバイスをいただくということもあるかと思います。あと、先生からも御指摘があったようにNEXIP交流会等でうまく企業のほうに成果を受け渡せればいいかと思っておりますし、あとは、中間評価であったりステージゲート評価の中で、絞り込みまではいかないかもしれないですけれども、方向性の確認をしていきたいと思います。全部が一つにまとまっていくというのは、なかなか大学等がやっている基礎基盤研究だと難しいと思っておりまして、成果を論文等にして基盤的なものとしていためておくというところもあるのかなと思っております。
 すいません、お答えにはなってないかもしれませんが、委員御指摘の点は今後もいろいろな場面でできることを考えつつやっていきたいと思っております。
【佐藤委員】 本来この事業を例えば3年とか4年やって、最終的にこういうふうにまとめるんだと、全体の成果報告をしたときに、こういう分野、例えばデジタルツイン、マルチフィジックスシミュレーションに関してこういうことがきちんとできるようになった、こういう点は今後やっていくべき課題であるというのが最後に整理できると非常にいいかなと。AIに関してもこういう技術があって、ここについてはまだ今後やっていくべきだろう、そういう最後のまとめができるようにやっていったら、もっとよくなるんではないかと思います。学術論文として非常に価値のあるものがその中に含まれていくのは当然なことだと思っておりますので、大変ですがぜひよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございます。山本原シスPO、何かございますか。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 山本です。佐藤委員、コメントありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたことは、まさに的を射ているというふうに私も思います。この事業をやってみて私がちょっと難しいなと感じているところは、佐藤委員がおっしゃっているように、例えば企業とかのいわゆる研究開発というのは、何かプロダクトをつくるという明確な目的があって、そこに向かって突き進んでいくというところがあると思います。一方、この原シス事業というのは、さっき鈴木室長からもありましたように若干基盤的な位置づけになっていることがあるのと、あとはテーマを公募して採択するというプロセスが入るので、必ずしも我々がやりたいことと個別のテーマが一致するとは限らないところがあって、そこが難しいと思います。
 それで、今回の原シスの事業を開始するに当たっては、基本的にはデジタルトランスフォーメーションを軸に据えてやっていまして、そこは私は方向性としては間違ってなかったと思います。今進行中のものを含めて、基盤的な技術がかたまってきて、これが物になって、その中で幾つかがNEXIP事業でやっている炉の開発に使われるという姿だと思っておりますけれども、佐藤委員がおっしゃった点は引き続き留意して進めたいと思います。どうもありがとうございます。
【佐藤委員】 ちょっと付け加えますと、私は基盤技術研究所も全部見ておりましたので、私の言ったところの基盤技術研究所は国研よりももっと国研らしい大学に近いようなところでやるんですけれども、例えば原子力もやっていましたので、例えば応力腐食割れをどういうふうに評価するとか、進展をどういうふうに考えるかとか、破壊の問題をどういうふうにするか、それから水素が漏れたときの対処をどう考えるか、こういう基盤技術を論文ベースでやっていくわけですね。ただし、それがないと実は最終的に実物が作れないんですよ。そういう観点でまとめております。実用サイドに比べると、実際そこの基盤技術の整備というのが妙にずれてしまうことがあります。ですから、その辺のバランスが非常に重要だと思いますので、大変でしょうがよろしくお願いします。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 どうもありがとうございました。そのように心に銘じておきたいと思います。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 非常に重要なコメントだと思います。ぜひその辺のところを今後念頭に置きつつ、事業を進めていただければと思います。ありがとうございました。
 そのほかに御意見ございますか。五十嵐委員どうぞ。
【五十嵐委員】 今、大きいところの話が出た後ですけれども、これは感想ですが、この事業で、今回審査委員会の名簿にも採用された研究にも女性の名前がないのがちょっと気になりました。この分野はこういうものなんだなというのを示しているのかと思うとともに、こういったところが今後課題となっていくと思いましたので、応募された中には女性がいたんだけどということがあったりすれば、少し教えていただきたいと思いました。増えていくようにと願っています。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございます。
 応募の中には女性の先生がいまして、ヒアリング審査まで進んだ先生もいらっしゃいました。若手の先生です。今後そういった若手女性がどんどん出てきてくれることを期待してございます。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 今のも非常に重要な御指摘ですので、その辺をどういうふうにやればいいのかというのはなかなかいいアイデアがないとは思いますけれども、まずは底上げをしっかりやっていただいてということかと思います。ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に手が挙がっていないようですので、それでは議題2はここで終了させていただきます。
 事務局は、本日の御意見も踏まえまして、来年度の事業を具体化していただきたいと思います。本作業部会にも適宜その進捗状況についての御報告をお願いいたします。
 引き続きまして、議題3に移らせていただきます。
 国際原子力人材育成イニシアティブ事業についてでございます。
 この件は、一昨年度から本作業部会で議論を行っていまいりましたけれども、今年度からいよいよ本格実施に入ったということでございますので、まずプログラムディレクター――PDの山本先生から今後の進め方について御説明をお願いして、その後、令和3年度の選択課題が決定したということですので、これについては事務局から御説明をお願いします。
 その後、委員の先生方から御質問、御意見をお受けしたいと思います。
 それでは、山本PD、お願いいたします。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 御紹介ありがとうございます。国際原子力人材育成イニシアティブ事業のPDをやっております山本です。
 本日は進め方について御紹介いたしまして、我々もいろいろ悩んだり戸惑ったりしながら進めているところもあるので、ぜひいろいろアドバイスをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料3-1を御覧いただければと思います。1ページ目を御覧ください。
 若干おさらいをしておきますと、この事業は昨年度から体制を見直しまして、新たな形で進めております。この目的ですけれども、魅力的な人材像を掲げて共通基盤的な教育機能を補うことで、拠点として一体的に人材を育成する体制を構築するということで、複数の機関が連携してコンソーシアムを形成すると。これを進めるために、昨年度はフィージビリティ・スタディを実施しておりまして、フィージビリティ・スタディの評価の結果は後ほど御説明しますけれども、本年度からそれを本格的に運用しています。私がPDで、参加いただいている京大の黒崎先生がPO、あと文科省さんです。
 2ページ目がコンソーシアムのイメージで、こういう大学や民間企業、研究機関、高専機構が連携いたしまして、ここに書いてあるような①から⑤の内容を実施していくとお考えください。
 さて、3ページ目に、これは昨年度の話ですけれども、フィージビリティ・スタディを行った結果と、今後のというのは今年度以降ということですが、その事業方針が記載されております。まずは、全体の方針としてなんですけれども、基本的な考え方ですが、我が国全体として、原子力分野の人材育成機能の維持・充実が重要であると。全体としてというのは、個別の大学ではカバーし切れない、そういう人材育成機能を相互に補い合いましょうということです。こういう基本認識の下、コンソーシアムを一つつくって統合された形で事業を運営していくということで、後ほど拠点という言葉が出てきますけれども、これは年度ごとの事業計画書の提出や評価などを実施するポイントということで、どちらかというと事務的なものだというふうにお考えください。この拠点は、このグループ1と2、下に書いてあるものに現時点では当てております。
 4ページ目を御覧ください。こちらがFSの評価結果です。6機関がFSの評価対象となっておりまして、一番右側に評価結果が示されております。ちなみに、東工大がB評価になっているんですけれども、一番下に注釈があります。実は昨年度はコロナの影響がありまして、東工大の活動は海外と連携していろいろなことをやりましょうという話であり、なかなか具体的な取組まで至らなかったというところと、もう一つ、プレゼンの内容で東工大の学生さん向けの内容だというふうに受け取られたところがあって、実際は違うんですけれども、そういうところが少し評価に影響したと思っております。この点につきましては、PD、PO、文科省さんと東工大が話をして、是正しながら進めることにしております。
 5ページ目を御覧ください。このFSの結果、6機関が採択されたんですけれども、この6機関が連携してANECというコンソーシアムをつくっております。これがコンソーシアムの構造になっておりまして、総会があって、その下にステイリングコミッティーの企画運営会議があると。実動部隊として、その下に四つある会議体とワーキンググループ、こういうものを設置して進めているところです。私の感覚だと、原子力教育に関わっている日本の機関とか組織の大体七、八割は参加している感じがします。
 6ページ目が拠点の一つ目でありまして、こちらの拠点のほうでは、オンライン教材を組み合わせた体系的なカリキュラムの構築、原子力イノベーター養成プログラム、人材育成の高度化と、どちらかというと座学系を中心に取り組みます。
 7ページ目を御覧ください。こちらがもう一つの拠点でして、どちらかというと実験実習系です。原子炉大型施設を中心とした実験実習プログラム、産業界との連携によるインターンシップ、あとは参画機関が持つ国際研鑽の場を学生さんに提供する、そういうところで活動を進めております。
 先ほど申し上げましたように拠点は二つに分かれているんですけれども、実際はコンソーシアムということで、一つの企業体というか組織として事業は融合的に進めているというふうにお考えいただければと思います。
 8ページ目以降は具体例を幾つか紹介させていただきます。まず、一番最初が北大が取りまとめてやっております体系的な専門教育カリキュラムの構築でありまして、こちらについては、オンライン教材の制作・公開と、大学間の単位互換の構築の話であります。オンライン教材の話は、今後お互いの大学が足りないところを補っていく上の非常に大きなキーポイントになると考えておりまして、こちらはMOOCという大規模公開オンライン講座、こういう形で作り込んでいこうということで、今作業を進めております。もう一つが単位互換ですけれども、これはいろいろなアプローチがありまして、単位の振替、あと教育プログラム教材をお互いに活用するというハードルが低いとこから進めて単位交換というところまで到達しようという形で進めています。
 9ページ目が、東工大取りまとめの原子力イノベーター育成キャンプです。これは合宿スタイルのセミナーで、原子力分野でイノベーションをもたらす起業家精神を涵養しましょうという面白い取組です。内容ですけれども、1週間程度、合宿形式でセミナーとワークショップをやりまして、重要なポイントは原子力技術だけじゃなくていろいろアントレプレナーシップで社会科学的な側面に焦点を当てたようなこともやるということで、当然ながら海外機関との連携や海外での開催も検討することになります。
 次に10ページ目を御覧ください。こちらは原子炉実習や大型施設における実験でありまして、原子炉実習につきましては、近大の近大炉、あと京大の臨界集合体を使いまして、基礎、中級、上級の三つのコースを整備しようとしていることと、あとは高専の学生さんのための原子力実習ということで、近大炉を使った実習と、東海大がシミュレーターをお持ちなので、こちらを使った実習を行っています。
 11ページ目が敦賀原子力セミナーということで、福井大がやっているものですね。これは、どちらかというと産業界との連携の色彩が強くて、例えば廃止措置技術セミナーであるとか、あとは原子力プラントの体感実習研修であるとか、その次は高速炉関係で、ナトリウムと材料の濡れ性に関する実習と非破壊検査など、こういうことをやっていくと。あと、アイソトープ実習や原子力施設での企業さんに受け入れていただいてのインターンシップ、こういうことをやっております。
 12ページ目を御覧ください。これはかなり大きなコンソーシアムですので、運営の仕方がかなり難しいんですけれども、こういう企画運営会議というのを設けまして、主たる実施機関とPD、PO、あと文科省さんが参加する会議を設けております。ここでいろいろ方向性を議論しておりまして、ウェブ会議が普及していますので、かなりやりやすくはなっているんですけれども、当面三、四か月に1回程度です。必要があればもっと間を詰めてもいいんですけれども、こういうのを実施して、割にフランクに意見交換ができているかと思います。今年度は下に書いてあるように2回開催しておりまして、いろいろな懸案とか課題について議論しています。
 最後に13ページ目を御覧ください。いえいろいろな課題もありまして、ここを含めて皆さんにいろいろ御意見をいただきたいと思いますけれども、まず、単位互換とか認定、これは昔から言われているんですけどなかなか進みません。進まないのはそれなりに理由があって、ここのハードルをどうやってクリアしていくかという話ですね。あとは、大学、研究機関、かなりいろいろなところが参画しているので、スケジュール調整とか周知の方法がそれなりに大変で、それをどうするかと。あと、この次に文科省さんから御説明があると思いますけれども、今年度以降採択された機関とどういうふうに連携するか。マネジメント体制の構築もかなり重要で、北海道大学さんに事務局をやっていただいているんですけれども、これをどう考えていくか。さらには、このコンソーシアムの周知ですね、こういうことをやっていますというのを広く知っていただく、そういうところが重要になると思っております。私からは以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、鈴木室長のほうから資料3-2に基づいて御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 資料3-2に基づきまして、今年度の採択の概要について説明させていただければと思います。
 資料3-2の1ページ目に令和3年度の国大原子力人材育成イニシアティブ事業の概要を記載してございます。今年度については、公募の目的の二つ目のところにあるように、企業や社会から求められる人材像を明確にして、全国の学生等に対し各機関が所有する人材育成資源を幅広く展開、共有を図る取組を支援するということにしてございます。要すればどういった人材を目標とするかというのは提案機関が考えることにして、自らの機関だけではなくて、ほかの機関、全国に展開するような取組を求めてる公募になっています。
 補助期間は原則3年間、年間950万円で2件程度を採択目標とさせていただきました。採択結果といたしましては、2ページ目にございますように、廃止措置に関する取組の東大の岡本先生の取組と、社会的課題の解決に寄与する人材の育成ということで、社会科学的なアプローチを実施する長岡技術科学大学の大場先生の取組を採択してございます。
 先ほど山本先生からのお話にもありましたように、今後コンソーシアムとどう連携していくのかについては、各代表者と話合いながら決めていきたいと思っております。以上です。
【寺井主査】 どうもありがとうございました。
 本件について委員の皆様から御意見、御質問等をお願いしたいと思います。特にコンソーシアムの進め方について、先ほど山本PDから御説明がありましたけれども、それからその中で注力すべき内容について、委員の先生のほうから様々な観点から意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 先ほどの令和3年度の審査委員会の中には、山本PD、黒崎PO、それからこのメンバーでは佐藤委員と中熊委員が参加されてございます。
 それでは、御意見をいただければと思いますが、挙手をもしくは御発言にてお願いいたします。
【佐藤委員】 すいません、佐藤ですが、よろしいですか。
【寺井主査】 どうぞ。
【佐藤委員】 最初に説明されたコンソーシアム、これは非常に運営が大変だと思います。北海道大学が今事務局をされているということですけれども、これを運営するためには、多分企業のOBだとか大学のOBの方を多分一、二名専任で雇わないと、これだけ大きい組織は扱えないと思いますが、その辺はいかがされているんでしょうか。非常にいい成果を上げようとすれば、ボランティアでできる規模ではないと思います。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 山本です。御指摘ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりで、今事務局をやっていただいている北大さんには、これの専任の教員の方、特任の教授をつけていただいてその予算措置をしておりまして、その方にこういう実務をお願いしています。
 もう少し補足するならば、かなり文科省さんの職員の方にもいろいろ精力的にやっていただいておりまして、今のところはかなりスムーズに運営できているかと思っております。以上です。
【佐藤委員】 ありがとうございます。なかなか大変ですが、よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございました。そのほかに、小澤委員お願いします。
【小澤委員】 ありがとうございます。
 すごく面白い取組が始まったなという感想であります。さらに感想ということになってしまいますが、どうしても原子力分野という言葉が頭の中に固まってしまっているという思いがありまして、違う分野とも交流ができたらもっと面白いんではないかなという感想を持った次第です。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございます。何かございますか、山本PD。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 ありがとうございます。御意見いただいたとおりかと思います。まず私がこのプロジェクトで重要だと思っているのは、いわゆる原子力の基幹部分の教育というんですか、そこの手を抜かないというか、そこがきちんと維持できるというのがまず最重要だと思っております。その上でなんですけれども、今御指摘いただいたように原子力というのは総合工学なので、ほかの工学系であるとか人文科学系も含めてなんですけれども、連携が必要だと思っております。そういう意味では、本年度採択いたしました長岡技科大の大場先生の課題なんかはまさにこれを強化するところで、私なんかはそういう点でこの課題には非常に期待しているところです。以上です。
【鈴木原子力課室長】 文科省からもいいでしょうか。
【寺井主査】 どうぞ。
【鈴木原子力課室長】 小澤先生の御指摘はもっともだと思ってございまして、他分野の学生がどれぐらい参加しているのかみたいなことも、今後成果指標としても取っていきたいと思ってございます。今、原子力関係学科が減っている状況の中で、原子力に近い研究室にどうやって優秀な学生をリクルートしていくのかということも重要かと思っております。また、他分野の学生の取り込むだけじゃなく、他分野の内容を学生に教えていくということ大事ですので、分野融合を検討していきたいと思っております。以上です。
【寺井主査】 小澤委員、よろしいでしょうか。
【小澤委員】 ありがとうございました。
【寺井主査】 和田委員、お願いします。
【和田委員】 和田です。ありがとうございます。このコンソーシアムについて一体的にという話がございましたが、原産協会とJAEAさんが事務局を務めています原子力人材育成ネットワークも一元的な人材育成ということを掲げていて、同じ方向性を目指しているかと思いますので、また引き続き今後も情報共有ですとか意見交換を行わせていただきたいと思っております。
 あと、そのコンソーシアムには原産協会も協力機関として参画しておりますので、産業界との連携促進を目的としたプログラムに、現在協力させていただいているかと思いますけれども、今後も引き続き協力させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。以上です。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 どうもありがとうございます。原産協会さんの人材育成ネットワークさんは先駆者だというふうに私は認識しておりまして、その取組は当然ながら非常にお手本になると思っております。そういう意味で、このコンソーシアムをつくる前から人材育成ネットワークさんとは、事務局の原産協会さん及びJAEAさん両方と意見交換をさせていただいておりまして、今後もぜひこちらからもいろいろ協力させていただければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 恐らく今のお話は非常に重要なポイントで、人材を育成した後、それをどういうふうに社会で活用するか、あるいは社会人の人材育成という部分も非常に重要だと思いますので、その辺の視点をぜひ両者の連携でうまく進めていただければと思います。ありがとうございました。
 そのほか御意見いかがでしょうか。
 特にないようでございますが、まだ令和3年度が始まったばかりで、令和4年度をどうするかというところまでまだなかなか心が至らないかと思いますが、そのあたり、鈴木室長、何かお考えがございますか。
【鈴木原子力課室長】 令和4年度についても、公募すべきではないかと思っておりますが、対象としては、コンソーシアムをサポートするような取組であったり、今年度のように自分たちでこういったものが重要だということを明確にして応募していただけるような取組などがあると思っております。令和4年度について、こういったところを公募すべきだといった御意見があれば、今後、8月末には概算要求もありますので、ぜひいただければと思っております。
【寺井主査】 ありがとうございます。
 中島委員、手が挙がっているようですが、いかがでしょうか。
【中島主査代理】 今、実際に動いているコンソーシアムの活動について、これの中身は非常に豊富で面白いとは思いますが、講座の数がたくさんあって、どのように交通整理していくのかというところと、学生さんが参加できる時期が被っていたりして、こっちに出るとこっちに出られないとかそんなこともあったりします。
 最後の課題のところに挙げていましたけれども、しっかりとした中身でカリキュラムとしての単位が取れるようすることは非常に大事かと思いますが、ちょっと難しいのは、それぞれの大学というか専攻によって目指すべき人材像というか育成すべき人材像が違っていて、取るべき科目というか習得してほしい内容なんかも微妙に異なったりします。それを満足するようなカリキュラムというか単位というのをしっかりと出せるかどうか。
 単に、例えば今も京大の原子核工学専攻ではインターンシップに行って証明書をもらえば2単位もらえるとかというのはあるんですけれども、多分それだけだと物足りなくて、せっかくここまで資産があって、それなりの濃い内容の教育を受けられますから、もうちょっと突っ込んだ形で、コアの部分の単位として出せるような形で取り組んでいくべきではないかと思っております。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 中島委員、ありがとうございます。
 山本PD、何かございますか。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 どうもありがとうございます。
 まず1点目のスケジュール調整、これも一番最初から課題になっていた話で、まず今年度については、コンソーシアムでやろうとしているスケジュールを一覧表に書き出して、既にそういう調整をやっております。それだけでもかなり効果が出ていると思っております。できるだけオーバーラップを少なくするように今後も努力します。
 もう一つの単位互換の話も、まさにおっしゃったことが難しい点になっています。私の予想としては、ご存知のとおり個々の大学が原子力工学の全ての科目を講義できる教員をそろえるというのは、だんだん難しくなってくるだろうと予想しております。そういう中で、このコンソーシアムがこういう活動をやっているということが知られると、じゃあこのコンソーシアムの何かを使ってみようかという話に多分なると思います。そのときに、スムーズに教材なり単位認定プログラムなり、もしかしたら互換かもしれないんですけれども、そういうのを提供できる体制を整えておくことが重要かと思っております。以上です。
【中島主査代理】 ありがとうございます。そうしたときに事業の継続性というのが非常に大学にとっては大事だと思います。これができるからうちはその分野はもういいや、と言って分野再編等をしたら途中でなくなりましたということがないようにしてほしく、そこは文科省さんのほうにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【寺井主査】 ありがとうございます。
 一番最後の観点は非常に重要だと思います。お金がついているときはやれるけれども、お金がなくなったらおしまいでは話が始まらないので、その辺りの継続性についてはしっかりやっていただきたいと思います。
 秋山委員、どうぞお願いします。
【秋山委員】 各大学で悩んでいる部分は、先ほどお話しいただいた単位の互換とか、どの分野が足りないかとか、状況が違うと思いますけれども、各関連する大学の状況をアンケート調査とかする機会はあるんでしょうか。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 山本です。どうもありがとうございます。これについては、まだ個別の調査には至ってないんですけれども、単位互換とか単位認定についてどういうニーズがあるかということは既に調査しておりまして、先週やった会議ではその辺も話しております。以上です。
【秋山委員】 ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 私のほうで気がつきましたのは、先ほどのいろいろなプログラムを実施するときのスケジュールのオーバーラップを防ぐというのは極めて重要だと思いますが、もしできたら、ある程度前もって年間スケジュールみたいなのが掲示できると、そこに参加される組織とか学生さんが計画しやすいかと思います。どこまで可能か分かりませんけれども、少しその辺は御検討いただければと思います。
 もう一つのポイントとして、学生の取り合いになるのではないかという話があって、これは母集団をどれぐらい広げられるかによるんですけれども、原子力分野の学生さんだけではなくて周辺分野からの取り込みというのも結構重要なポイントかと思います。その辺をどういう形でPRしていくのかというところも、ぜひお考えていただければと思います。
 私のコメントは以上です。
【山本国際原子力人材育成イニシアティブ事業PD】 どうもありがとうございます。まず、スケジュールの見通しを出すというのは、確かにおっしゃるように非常に重要で、今年度については既にそういうことをやっているんですけれども、来年度はできるだけ年度の初めのほうでそういう掲示ができるように努力したいと思います。
 もう一つの他分野の学生さんの呼び込みについては特効薬がなくて、引き続き検討させてください。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。よろしくお願いします。
 そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。手は挙がってないようですので、それでは取りあえず質疑応答をここまでにさせていただきます。
 本日の御意見を踏まえまして、この事業をぜひ進めていただければと思います。特にPD、POの先生方、あるいは文科省の担当官は結構大変な作業になると思いますけれども、うまくいけば非常に効果的に機能するプログラムだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。先ほどちょっと言いましたけれども、原子力人材育成ネットワークとの連携も含めて、ぜひここのところをしっかりお願いをしたいと思います。進捗につきましては、また本作業部会にも適宜御報告いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 その他の議題でございますが、タスクフォース名称の件につきましては最初に御説明ございましたので、今後ワーキンググループではなくてタスクフォースでの形で運用していくことを再度確認させていただきます。
 以上で本日予定しておりました議題は終了ですが、その他で御意見等ございますでしょうか。全般的にも、あるいは別件でも結構でございますので、挙手もしくはミュートをオンにしていただいて、御発言いただければと思います。よろしいでしょうか。
 特に御意見がないようでございますので、それでは、最後に事務局のほうから連絡事項等をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 本日の議事録につきましては、出来次第メールにて御確認いただいた後、ホームページに掲載いたします。また、次回の部会については、改めて日程調整をしたいと思います。以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 それでは、これで第9回の原子力研究開発基盤人材作業部会を終了いたします。どうも本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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