原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第8回) 議事録

1.日時

令和3年5月28日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第11期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について
  2. 原子力機構における次期中長期目標・計画策定に向けた議論
  3. 新たな照射試験炉に係る原子力機構の検討状況の報告
  4. 群分離・核変換技術評価に係るワーキンググループの設置
  5. その他

4.出席者

委員

寺井主査
中島主査代理
秋山委員
五十嵐委員
石川委員
小澤委員
来馬委員
佐藤委員
和田委員
 

文部科学省

堀内 研究開発局審議官
松浦 原子力課課長
長田 原子力課課長補佐
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)

オブザーバー

児玉 日本原子力研究開発機構理事長
神永 日本原子力研究開発機構高速炉・新型炉研究開発部門副部門長
中谷 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課課長補佐

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第8回)
令和3年5月28日

【鈴木原子力課室長】 それでは、定刻になりましたので、第8回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催させていただきます。新型コロナウイルス感染症拡大の防止の観点からオンラインにて開催しております。第11期科学技術・学術審議会が設置されてから、最初の原子力研究開発・基盤・人材作業部会の開催となりますので、冒頭、事務局にて議事を進めさせていただければと思います。
 まず、いつものことになりますが、オンライン開催に関しましての留意事項を御説明いたします。

[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]

 以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 それでは、最初にお話ししましたとおり、本日が第11期最初の原子力研究開発・基盤・人材部会の開催となります。開催に当たりまして、研究開発局審議官の堀内より御挨拶をさせていただきます。
【堀内研究開発局審議官】 文科省研究開発局担当の堀内と申します。よろしくお願いいたします。第11期の今回が最初ということで、私のほうから一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 まず、主査をお引き受けいただきました寺井先生、ありがとうございます。寺井先生はじめ委員の皆様に研究開発・基盤・人材作業部会の委員に就任いただいたことを感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
 原子力科学技術委員会の下にこの作業部会が設置されておりまして、第10期に大きく再編を行っております。本部会において、研究開発・基盤・人材について一体的・総合的に議論を行うということにしております。
 具体的には、国際原子力人材イニシアティブ事業であるとか、原子力システム研究開発事業とか、最近新しく始めたものとして、もんじゅサイトに設置する新たな試験研究炉についての審議などを行っていただきました。
 加えて、原子力機構は新たな中長期目標、また計画の策定の準備に入っております。ステークホルダーからのヒアリングを行い、論点、課題の抽出をいただいて、第11期の委員会でさらに議論を深めて、今後の原子力機構の在り方、あるべき姿を描いていきたいと思っております。
 最近の原子力をめぐる動きとして、いろいろ報道などでも御承知おきかとは思いますが、政府の中で、2050年カーボンニュートラルの実現というようなことが話題となる中、原子力についても注目が集まっております。これまで以上に原子力関係のイノベーションや、それを支える人材育成ということの重要性が高まってきております。
 自民党のカーボンニュートラル関係の部会に参加させていただいておりますけれども、何度もというか、必ずと言っていいほど、SMRやHTTRや高速炉や核融合というような具体的な炉の形などが挙げられて議論されるというような状況でありまして、原子力のいろんな取組に対する期待が高まっているなという印象を受けております。
 次のエネルギー基本計画の検討もやっておりまして、次の原子炉をどのようにしていくかというような話も含めて、政府全体でいろいろ検討を行っているということでありまして、こういったことを踏まえて、本部会でも議論をしていく必要性があるのかなと思っているところでございます。
 第11期におきましても、この部会での審議を通じ、御意見を頂戴して、文科省としてもしっかりと施策を進めていきたいと考えております。どうか今期もよろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただければと思います。今回は、委員の皆様及び傍聴に登録をされた方々宛てに事前にメールにて配付資料をお送りしております。会議中、遠隔会議システム上では資料を表示いたしませんので、各自のお手元にて御確認いただければと思います。お送りしました議事次第のほうに本日の議題と配付資料が記載されておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 本日の議題については、第11期原子力研究開発・基盤・人材作業部会について、原子力機構における次期中長期目標・計画策定に向けた議論、新たな照射試験炉に係る原子力機構の検討状況の報告、群分離・核変換技術評価に係るワーキンググループの設置、その他となっておりまして、時間は5時までを予定しております。
 続きまして、本作業部会の委員として御就任いただきました皆様について御紹介させていただければと思います。資料1-1を御覧いただければと思います。
 原子力科学技術委員会が当作業部会の親委員会に当たりますけれども、そこから主査の指名を受けてございまして、主査については、寺井先生にお願いしたいと思っております。
【寺井主査】 寺井でございます。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、主査のほうから主査代理として指名されております、中島健委員でございます。
【中島主査代理】 京都大学、中島でございます。主査代理ということで、よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、秋山庸子委員でございます。
【秋山委員】 秋山と申します。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、五十嵐道子委員でございます。
【五十嵐委員】 五十嵐です。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、石川顕一委員でございます。
【石川委員】 東京大学の石川でございます。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、小澤隆委員でございます。
【小澤委員】 小澤でございます。よろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、来馬克美委員でございます。
【来馬委員】 来馬です。よろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】 続きまして、佐藤順一委員でございます。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 中熊哲弘委員からは本日御欠席の御連絡をいただいておりますが、本期の委員としてお願いをしているところでございます。
 名簿上は最後になりますが、和田裕子委員でございます。
【和田委員】 和田でございます。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 それでは、まず、寺井主査より一言御挨拶をいただければと思います。
【寺井主査】 御紹介いただきました寺井でございます。
 新型コロナウイルス蔓延の中でいろいろ御不自由をされているかと思いますけれども、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 先ほど御紹介いただきましたように、今期については主査ということで御指名をいただきました。誠に光栄に存じます。
 前期は主査代理という形でこの部会に参加させていただきまして、その当時の主査は山口主査でございましたけれども、山口主査がしっかりとうまく会議を運営されているのを見て、さすがだなと思いました。私にそれが務まるかどうか甚だ不安でございますけれども、御参加の皆様方の御協力をいただいて、円滑に議事を進められればと思っております。
 私自身は昨年の3月末に東京大学を定年退職いたしまして、今はいろんな形といいますかいろんなポジションで仕事しておりますけれども、この部会に関しましては、東京大学名誉教授ということで出席をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほども堀内審議官から昨今の情勢について御紹介がございましたので、私のほうからはこれは割愛いたしますけれども、昨年10月の菅首相の宣言、たしか10月26日の原子力の日だったと思いますが、それ以降、グリーン成長戦略の中で原子力が明確に位置づけられているとか、あるいは次期のエネルギー基本計画の中での議論、これが今しっかりと進められていると聞いております。
 そういった背景の中で、この作業部会というのは、この後、文科省さんのほうからも詳細な御説明があるかと思いますけれども、原子力研究開発とか基盤とか人材についての課題あるいはその在り方について、具体的かつ総合的に調査検討を行うというものでございまして、その役割には極めて大きなものがあると認識をしております。
 どうぞ先生方におかれましては、ぜひよろしく御忌憚のない御意見をいただくとともに御議論いただければと思います。
 なお、中島委員には主査代理をお願いするということになりまして、誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 甚だ雑駁な御挨拶になりましたけれども、ぜひ今期におきましても、この作業部会をしっかりと進めていけるように、先生方の御協力をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。よろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】 寺井先生、ありがとうございました。
 それでは、今回、新規に3名委員が御参加いただいておりますので、一言だけ御挨拶いただければと思います。名簿順にお願いできればと思います。秋山委員、お願いいたします。
【秋山委員】 今年度からこの作業部会に加わらせていただきました、大阪大学大学院工学研究科の環境エネルギー工学専攻というところにおります秋山と申します。研究といたしましては、今まで除去土壌の減容化に主に関わらせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございました。続きまして、石川委員、お願いいたします。
【石川委員】 今年度より委員に就任いたしました、東京大学大学院原子力国際専攻の石川と申します。よろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございます。それでは、和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 原子力産業協会の和田と申します。企画部というところで原子力産業界の課題検討や意見発信などを行っております。今年度初めて委員として参加させていただきますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 本日は、プレゼンのため、日本原子力機構より児玉敏雄理事長、神永雅紀高速炉・新型炉研究開発部門の副部門長にも御参加いただいております。また、エネ庁の原子力政策課より課長補佐の中谷様にも御参加いただいております。
 それでは、これから議事に入らせていただきますが、本会議は公開とさせていただきます。また、後日ホームページのほうにも議事録を公開させていただきたいと思っております。
 それでは、議題1から、寺井先生のほうで進めていただければと思います。
【寺井主査】 寺井でございます。それでは、ここから私のほうで議事を進めさせていただきます。
 まず、1番目の議題でございます。第11期原子力研究開発・基盤・人材作業部会についてに入ります。事務局のほうから御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 それでは、事務局より資料の1-1、1-2、1-3、1-4を用いて簡単に説明をさせていただければと思います。
 資料1-1については、先ほどから何回も見ております、委員名簿になっております。
 資料1-2が、本作業部会での実施事項を原子力科学技術委員会のほうで規定したものになっております。原子力分野における研究開発、基盤、人材育成に関する課題や在り方について一体的・総合的に調査検討を行うという作業部会になっております。
 参考資料の1-1のほうに、これまでどういった経緯でこういった一体的・総合的に作業部会を実施することになったのかということを記載してお配りしてございます。また、参考資料の1-2として、前期の作業部会で何を検討したかということを記載してお配りしてございます。
 資料の1-3は、原子力科学技術委員会の運営規則になります。本委員会においても、この運営規則にのっとって議事等を進めることになりますので、簡単に説明させていただきます。
最初、第1条には趣旨がございまして、第2条には作業部会が置けることなどの規定がございます。第3条、議事で委員の過半数が出席すること等についての規定がございます。第4条が場合によって書面の審議ができること、第5条が会議の公開、第6条は議事録についての規定がございます。
 最後に、第3条第2項に基づき主査が定める指針として、オンライン会議のやり方について定めたものがございます。
 原子力科学技術委員会と作業部会、両方とも、この運営規則にのっとって議事を進めていくことになります。
 続きまして、資料の1-4について説明をさせていただきます。基本的な議事の運営については、先ほど説明しました資料1-3のとおりに進めていきますが、人材作業部会においてもワーキンググループを設置できることということについて、今回新たに作業部会としての運営規則を定めたいと考えております。
 第2条にワーキンググループについて記載しておりますけれども、作業部会にワーキンググループを置くことができると規定しておりまして、ワーキンググループの主査の指名とか、どういったふうに進めていくのかなどをここに記載してございます。8にありますように、ワーキンググループでの調査の内容については作業部会に報告するものとするとさせていただいております。
 本日の議題4のほうで、具体的なワーキンググループを設置についてお諮りしたいと思っておりますが、まずは運営規則として定めることについて御意見をいただければと思っております。
 事務局からは以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 この作業部会の位置づけというのは資料1-3で書かれていまして、この下にワーキンググループを設けることができるというのは資料1-4ということになります。
 今、事務局のほうからの御提案がございましたけれども、それも含めまして、この件につきまして、委員の皆様方から御意見あるいは御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。中島先生、どうぞ。
【中島主査代理】 今さらながらの確認ですけれども、この資料1-4の運営細則というのは今回新規ということで、今まではそういうのはなかったということでよろしいでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 はい。今までは作業部会の下にワーキンググループを設置してはおりませんでしたので、特に設置できるという規定は置いておりませんでした。
【中島主査代理】 分かりました。ありがとうございます。
【寺井主査】 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局御提案の資料1-4でございますけれども、ワーキンググループをこの作業部会の下に設置するという案件についてはお認めいただいたことにさせていただきたいと思いますが、御異議はございませんでしょうか。石川委員、どうぞ。
【石川委員】 石川ですけれども、今さらながらで、細かいところなんですが、何となく、作業部会を英語でワーキンググループと言ったりしないかなと。その辺で誤解が生じることがなければと少し思ったんですが。問題なければ特に反対するものではございませんが、少し気になりましたので。
【寺井主査】 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
【鈴木原子力課室長】 では、名前については再度検討させていただきます。タスクフォースといったような名前もあるかなと思いますが、そこを含めて主査と相談して決めるということでお認めいただければと思います。名前については、主査と相談して決めるということでいかがかと思っております。
【寺井主査】 事務局、ありがとうございました。石川委員、よろしいですかね。
【石川委員】 はい、承知いたしました。
【寺井主査】 では、名前につきましては少し事務局と御相談をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、この作業部会の下にもう少し実効的に審議ができる場を設けるということについて御了解いただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、ワーキンググループの名称をどうするかというのは後日といいますか事務局と御相談をさせていただきますけれども、この下にそういうものを設けるということについては御了解いただいたということにさせていただきます。
 それでは次に、議題2に移らせていただきます。議題2は、原子力機構における次期中長期目標・計画策定に向けた議論でございます。
 それでは、事務局と児玉理事長から御説明をお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 文部科学省でございます。まず、事務局のほうから冒頭簡単に、これまでの作業部会での検討状況や最近の状況の変化について、簡単に資料にまとめていますので、御説明いたします。
 資料2-1を御覧ください。資料の1ページ目ですが、これは前期の作業部会でお示ししたものを一部改編したものです。来年度から原子力機構の新たな中長期目標期間に入るということで、今後の原子力機構の在り方に関する基本的考え方についてということで、前回問題提起をさせていただいております。
 この真ん中の段にございます状況の変化として、原子力研究開発の潮流、研究開発モデルの変化、また、研究開発・人材育成基盤の脆弱化といった状況の変化を踏まえまして、下の検討事項の真ん中にございますが、今後原子力機構が次期中長期目標期間に取り組むべき業務は何か、また、原子力の研究開発利用の基盤として、産業界、大学等と連携して、研究開発・人材育成に貢献する機能は何か、こういったものをしっかりと議論していく必要があるのではないかということでございます。
 次の2ページ目に関しましては、最近の政策動向です。
 先ほど主査のほうからもお話がありましたとおり、最近の大きな動きとしましては、ここの1ポツに書いておりますが、カーボンニュートラル宣言ということで、我が国政府として2050年カーボンニュートラルを目指していくと。また、それに伴って、昨年12月には、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略というものがまとめられまして、原子力イノベーションに向けた研究開発の必要性等が具体的に明記されているところでございます。
 また、エネルギー基本計画の改定に関する検討につきましては、このような状況を踏まえながら経済産業省さんのほうの審議会等において議論がされておりまして、原子力につきましても、原子力小委員会という場で、様々なここに記載の観点から、原子力政策の課題と対応の方向性等について議論がなされてきているところでございます。
 なお、3ポツにございますが、科学技術全体の計画としましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画が3月に策定されておりまして、Society5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策として重要な取組等が明記されております。この中の下線を引いております、地球規模課題の克服に向けた社会変革と非連続なイノベーションの推進といった中には、先ほど申し上げた、カーボンニュートラルに向けた取組というようなことも記載されております。
 これが政府の政策の検討動向でございます。
 あともう一つ、原子力機構の今後の在り方に関して重要な視点として、次の3ページ目ですけれども、前期の作業部会において、上の四角囲みにあるような多様なステークホルダーから原子力機構に対する各種ニーズというものをヒアリングさせていただいたところです。以降、それを、最初に申し上げた機構として取り組むべき業務と、あとは研究開発や人材育成に貢献する機能というところで、全体で出てきた、プレゼンの中でいただいたニーズを、そういった種別に応じて、事務局のほうで主なニーズをまとめたものでございます。
 1ポツの①番から簡単に御紹介しますと、①番では、福島第一原子力発電所の廃炉に関する基礎基盤研究、また、②番に関しては、軽水炉の関係で、安全性向上や長期利用に係る研究開発に関するニーズをいただいたと承知しています。また、③新型炉に係る研究開発としては、具体的には、ここの丸で書いてあります高速炉に関する研究開発の種々のニーズ。また、次の4ページ目を見ていただきまして、4ページ目の一番上にございます高温ガス炉に関しても様々なニーズをいただいております。④番に関しましては、核燃料サイクルや放射性廃棄物の処理処分に係る研究開発ということでございますし、⑤番では、他機関では実施できない原子力分野の基礎基盤研究ということで、例えば核燃料等を用いた実験研究等々のニーズがあったかと承知しております。
 次の5ページ目が研究開発や人材育成に貢献する機能に関する主なニーズということで、一番多かったのが、①番にございますように、大学や産業界では維持できない大型研究施設の維持管理と供用ということで、これは、例えば1個目の丸にあるような、使い勝手のよいシステムといったようなソフトの面も含めて様々なニーズをいただいております。②番は機構の知識基盤等の整備・共同利用、③番はこれまでも進めております大学や産業界と連携した人材育成の推進、④⑤に関しましては、電力さん及び規制庁さんから個別にいただきました日本原燃との連携強化及び原子力安全規制に対する支援でございます。
 3ポツ、その他としておりますが、研究施設等放射性廃棄物の処分に関しての取組についても意見をいただいたところです。なお、3ポツのことに関しましては、原子力科学技術委員会の下に別途ありますバックエンドの作業部会のほうで今後議論がなされるものと思っております。
 以上、事務局から簡単にこれまでの議論と最近の動向についてまとめたものを御説明させていただきました。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 御質問等あるかと思いますが、原子力機構の御説明、資料の2-2が終わってから、まとめて御質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、原子力機構の児玉理事長のほうから御説明をお願いいたします。資料2-2でございます。
【児玉原子力機構理事長】 ありがとうございます。資料2-2で、本日は来年度から始まる第4期中長期計画目標期間に向けて、原子力機構が何を目指し、どのように取り組もうとしているかについて御説明いたします。
 ページ1でございます。このページにお示ししたものは、本日御説明する内容のエグゼクティブサマリーになっておりますが、本日の説明は次ページ以降の資料でいたします。
2ページ目です。このページは目次でございます。
 まず、Ⅰで示しておりますように原子力機構を取り巻く社会情勢の変化、それから、Ⅱ、それを踏まえた原子力機構の果たすべき役割を述べた上で、Ⅲ、第4期中長期目標期間に向けた原子力機構の挑戦として、リソースに関する現状・課題を述べた上で、今後の取組の基本的考え方やマネジメントの強化、そして、各分野の取組の方向性について説明いたします。
 なお、以降の資料中、第4期に向けた取組と第3期の取組の強化を図る部分については、文字をオレンジ色で縁取りしております。
 3ページを御覧ください。まず、我々を取り巻く社会情勢の変化としては、二つの変化を重要視しております。
 一つ目は左側のブロックに示しますように、カーボンニュートラル実現に向けた取組が世界規模で加速していることです。我が国でも、昨年10月に菅総理が2050年カーボンニュートラル宣言を表明し、今年4月には、2030年度の温室効果ガス排出量を46%削減するという非常にチャレンジングな方針が表明されました。
 二つ目は、右側ブロックに示しています、今年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画で示されますように、Society5.0の実現を目指すためのイノベーション創出が不可欠な時代となっていることでございます。
 次のページを御覧ください。このページは、原子力開発・利用を取り巻く状況です。
 左側のブロックです。現在、エネルギー基本計画の改定作業が進められていますが、国は、原子力を確立した脱炭素電源とし、また、技術自給率、エネルギーセキュリティ、エネルギーレジリエンスの観点から、安全性を大前提に一定規模の活用を目指すとしております。
 右側の上のブロックです。また、高温ガス炉HTTRを活用したカーボンフリー水素製造技術開発、あるいは海外で進むSMR(Small Modular Reactor)のような次世代革新炉開発などの原子力技術のイノベーションが期待されています。
 このような期待がある中、オールジャパンとして研究開発や廃炉等に必要な原子力人材の育成基盤が脆弱化しつつあるため、人材育成の強化やオープンファシリティプラットフォームの構築や、研究開発のデジタルトランスフォーメーション化といった新たな研究開発システムの構築が求められていると考えています。
 次のページを御覧ください。右下5ページです。このような社会情勢の変化に対して、原子力機構が果たすべき役割は何か、ということについて、このページから順次御説明いたします。
 まず、我々は、第3期中長期目標期間において、様々な成果を創出してきています。
 研究成果としては、最上段ブロックに示しますように、福島第一原子力発電所事故の対処として、燃料デブリ取り出しや環境回復、また、原子力基礎基盤研究では、科学的意義の大きい成果やエコタイヤのように社会実装にまでつながった成果、新型炉関連では、高温ガス炉の安全基準の国際標準化への貢献、核燃料サイクル関連では、地層処分の科学的特性マップへの成果の反映などがあります。
 上から二つ目のブロックです。施設の稼働については、NSRRやJRR-3を運転再開させるとともに、HTTRも再開の見通しを得ました。J-PARCは90%以上の稼働率を達成しました。
 また、上から三つ目のブロックですが、使命を終えた施設の廃止措置も着実に進めるとともに、一番下のブロックですが、業務の合理化・IT化や施設中長期計画、将来ビジョン、JAEA 2050 +、イノベーション創出戦略の改定など、マネジメント分野でも様々な成果を出してきているものと考えています。次のページを御覧ください。
 しかしながら、このページの上段のブロックに示しますように、原子力規制委員会の厳格な安全基準に基づく施設の運営が必要であること、また、取り組まなければならない業務が数多くある中、運営費交付金や職員数が横ばい状態ということが課題として挙げられます。
 下段のブロックです。これらの第3期の成果と課題を踏まえ、第4期に向けては、安全確保を大前提に、外部との連携を強化しながら、研究開発等の成果を最終的に広く産業界に橋渡しをするイノベーション創出活動への取組、技術・知識基盤プラットフォームの構築、国際連携の推進、そして施設の廃止措置と研究開発活動の両立が大きな方向性と考えております。
 次のページを御覧ください。右下7ページです。
 このページですが、今年2月の原子力研究開発・基盤・人材作業部会では、先ほど御説明がありましたように五つのステークホルダー、すなわち、電事連、電工会、原子力学会、規制庁、原産協会から多くの期待、ニーズをいただきました。それらを我々が分析しまして、第4期に向けて新たな対応を検討すべきものと、これまでの取組の改善、強化を検討すべきものとして整理したものがこの表です。
 このうち、特に新たな対応を検討すべきものにつきましては、ぜひ実行に移せるように引き続き協議させていただきたいと考えておりますし、今後も各種のニーズを取り込む仕組みを構築していきたいと考えております。
 それでは、次のページを御覧ください。このページは、以上を踏まえまして、上段ブロックに示しますように、持続可能な原子力利用に向けたJAEAの大きな役割は、我が国の政策上の課題解決に貢献するために、産学官の役割分担の下、様々なセクターやステークホルダーとの対話、最先端の異分野技術の取り込み、多様な分野との協働、人材交流等を進めながら様々な研究開発を推進し、最終的に成果を広く産業界へ橋渡しすることだと考えております。
 中段のブロックです。そのために、我々は、令和元年10月に策定しました将来ビジョン「JAEA 2050 +」を実践し、「新原子力」という新たな取組の実現に向けた研究開発を組織横断的かつ戦略的に推進していくことを考えております。
 下段のブロックです。なお、これらの取組を進めるに際して、国におきましては、引き続き、確固たる原子力利用を明確にした政策構築と資源確保に向けた継続的支援を、また、民間の皆様におきましては、JAEAがニーズに応える取組のための相応の関与をお願いしたいと考えております。
 次のページを御覧ください。それでは、このページから第4期に向けた具体的取組の説明に移ります。
 まず、現状の機構全体の課題と今後の取組を説明いたします。
 このページの左側の図は、現在の原子力機構の組織でありまして、現場力強化を主な目的として、担当理事、部門、拠点の縦のラインにより、安全、人事、予算等を一元的に管理する一拠点一部門制として導入したものです。
 第4期目標期間に向けては、この組織に執着、固定化することなく、組織横断的課題への対応、イノベーション創出、継続的な保安活動と研究開発の両立、研究開発と廃止措置の両立の観点で、機動的、弾力的である組織への改編の検討を進めていきたいと考えております。
 次のページを御覧ください。右下10ページです。このページから第4期に向けた具体的取組の説明に移ります。
 まず、原子力機構のリソースに関する現状と課題を説明いたします。
 上段のブロックです。第3期目標期間中の予算と人員は、ほぼ横ばい状態が続いています。このような状況の中、安全対策費や廃止措置費、さらには、JRR-3やHTTRの運転再開に伴う運転維持費といった資金需要が増加傾向にあり、結果として、研究開発に割り当てられる予算が漸減しているというのが実情です。
 これに対応するため、中段ブロックで示す業務の効率化、スクラップすべき事業をやめる、という事業の見直しと、リソースの弾力的再配分、外部資金・競争的資金の獲得や共同研究・受託研究収入増加に向けた一層の努力を推進するとともに、受託研究等における施設利用料の徴収等と、外部資金徴収メカニズムを構築していきたいと考えております。また、様々な施策を通じて、優秀な人材確保・育成機能を強化していきたいと考えております。
 次のページを御覧ください。右下11ページです。
 第4期期間中での取組の基本的考えは、上段のブロックに示しますように、安全確保を業務運営の最優先事項として、研究開発活動・廃止措置業務を両立して推進することを目指す、これが大きなテーマと考えています。
 左側の下のブロックです。このうち、研究開発活動では、最先端の技術や研究開発手法を積極的に取り入れながら、強みを伸ばし、弱みを強化しつつ、シーズとニーズのバランスを考慮して、民間や大学では実施困難で開発に長期間を要するような研究を推進するとともに、民間の開発活動の支援、施設や解析コード等の技術・知識の基盤プラットフォームの高度化と、広く民間等へ提供・サービスの向上に取り組むことを考えております。
 廃止措置活動については、後ほど御説明いたします。
 次のページを御覧ください。また、第4期に向けては、時代に即した一層のマネジメントの強化が必須と考えております。
 もう少しくだけて言いますと、最上段のブロックに示しますように、研究開発成果の最大化、安全確保・コンプライアンス遵守・社会からの信頼確保、リソース、人・予算の効果的活用により、マネジメントの強化を図りたいと考えております。
 具体的には、中段の左側のブロックです。産学官連携体制強化によるイノベーション創出と社会実装、社会ニーズに応えるシンクタンク機能の強化、研究開発と廃止措置の両立のための最適な組織・業務の再構築、組織横断的に取り組むべき課題に対するプロジェクト管理制度の導入や、中段の真ん中のブロック、保安活動と研究開発活動が両立する仕組みの構築、社会から信頼を確保するための取組を強化。中段右側のブロックです。資源の効果的活用を図りながら、マネジメント強化を推進していく所存です。
 次のページを御覧ください。右下13ページです。このページから、各部門、各分野の取組の方向性のポイントの説明に入ります。
 まず、機構自らの安全、核セキュリティの確保に向けた取組ですが、右側の棒グラフに示しますように、第3期期間中、事故・トラブルも平成29年度が最も多かったのですが、ここ数年は減少傾向にあります。また、保安規定違反、これは事業者が自ら決めた運転保守管理上の規定に違反しているかどうかを原子力規制庁が判断するものですが、その保安規定違反数も減少傾向です。
 この傾向を維持するために、青で塗ったブロックで示しますように、IT技術の取り入れ等の改善を図りつつ、一層の安全確保と核セキュリティ及び保障措置の適切性確保に取り組みます。
特に左側上段に示しますように、設備の重要度に応じた合理的な保全の検討など、グレーデッドアプローチを考慮した原子力規制検査への対応を進めていきたいと考えています。
 次のページを御覧ください。次に、カーボンニュートラルの実現、エネルギー安定確保、Society5.0の実現に向けた各分野の取組について御説明いたします。説明内容はここに書いてあります(1)から(6)でございます。
 次のページを御覧ください。まず、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組です。
 左側のブロックです。中長期ロードマップ及びNDFの戦略プランに示された役割を果たすため、燃料デブリ評価及び放射性廃棄物の処理・処分に関する分析・研究を実施してまいります。特に燃料デブリの分析、研究開発の中核拠点として、大熊分析・研究センターの運用を開始いたします。
 右側のブロックです。また、福島第一原子力発電所の廃炉を加速させるため、東電ニーズを踏まえた革新的な技術開発を推進してまいります。
 このように、研究開発で機構の総合力を発揮し、1Fの廃炉を推進するとともに、その過程で得られた知見を機構施設の廃止措置へ活用していきたいとも考えております。
 次のページを御覧ください。右下16ページです。次は、原子力利用の安全確保に向けた取組です。
 今後も持続可能で社会から信頼される原子力利用のためには、科学的な根拠に基づいた継続的な原子力安全の向上とタイムリーな防災支援による安全社会の構築が不可欠と考えております。
 左側のブロックです。これを実現するため、リスク情報の活用による研究や高経年化対応研究などの原子力規制行政支援により、原子力利用の安全確保に貢献していきます。
 右側のブロックです。また、指定公共機関として、原子力災害対応と防災体制の強化に貢献していきます。
 次のページを御覧ください。このページは、軽水炉の安全性向上研究についてです。
 赤塗りのブロックです。原子力機構が保有する施設や人材を使って、軽水炉の安全性を格段に向上させる取組を産業界とともに実施し、2050年カーボンニュートラルに貢献していきたいと考えております。
 左側のブロックです。これを実現するため、一つは、産学官の役割分担の下、安全性向上研究を推進し、原子力利用の安全確保に貢献します。具体的には、ここに示す五つの研究を柱とし、科学的データ・知識基盤を整備し、ステークホルダー間で共有したいと考えております。
 右側のブロックです。また、産業界とのコミュニケーションや円滑な成果の社会実装のため、産業界との定期的対話の活性化を図ります。具体的には、原子力機構内としては、軽水炉研究に係る窓口をつくって、部門間の連携を図ることで、ワンストップ窓口化し、国内体制としては、政府及びステークホルダーとの対話を通じた連携体制を構築していきたいと考えております。
次のページを御覧ください。次に、原子力を支える基礎基盤研究の推進についてです。
 一つ目は、左側ブロックに示しますように、機構が保有する知識基盤を最大限に活用し、持続的な原子力エネルギー利用及び将来社会の変革への貢献を目指した基礎基盤的な研究開発を推進いたします。
 また、右側のブロックですが、JRR-3及びJ-PARCのおのおのの特徴を生かした中性子ビーム等を用いて、様々な分野でのイノベーションの創出を目指します。
 次のページを御覧ください。右下19ページです。
 次に、再エネとともにカーボンニュートラルを実現する革新的原子炉システムの開発についてです。
 グリーン成長戦略やエネルギー基本計画等を踏まえ、国・産業界と連携を図りながら、高速炉サイクル、SMR、高温ガス炉、水素製造の研究開発を着実に推進していきます。
 左側の一番上ですが、具体的には、NEXIPの取組を継続するために、「常陽」や「もんじゅ」の知見を知識データベース化して、高速炉の開発に取り組みます。
 右側の上です。また、HTTRを今年度に運転再開し、カーボンニュートラルに貢献する高温ガス炉及び水素製造開発を推進するとともに、海外プロジェクトを活用した国内企業の活動も先導していきます。
 右側の下です。高速実験炉「常陽」につきまして、新規制基準対応をしっかりと進め、運転再開を目指し、各種照射ニーズや医療用RI製造ニーズなど、国内外の照射ニーズを開拓していきます。
 次のページを御覧ください。このページは、核燃料サイクルの確立に向けた貢献についてです。
 左上は、要素技術開発と計算科学を融合させた放射性廃棄物の減容化・有害度低減に向けた研究開発です。左の下は、電気事業者やJNFLニーズの対応体制を強化した軽水炉や再処理、燃料製造等の研究、技術開発、人的支援。右上です。新型炉開発と整合した核燃料サイクル技術開発。右下です。地下研究施設を活用した高レベル放射性廃棄物の地層処分の信頼性向上に関する研究開発を進めてまいります。
 次のページを御覧ください。次に、核不拡散・核セキュリティの強化に向けた貢献についてです。
 青塗りのブロックに示しますように、核拡散や核テロの脅威に対する安全・安心な社会の構築のため、国際的な連携体制を確保しつつ、核不拡散・核セキュリティの課題・ニーズに対応した研究開発、政策立案支援、国内外の人材の能力構築、CTBT支援等を推進してまいります。
 次のページを御覧ください。このページは、バックエンド対策についてです。
 バックエンド対策については、第4期では、合理的なプロジェクト体制の構築と所要の技術の整備などを進めてまいります。具体的には、廃止措置のプロジェクトマネジメント体制の構築及び強化、デコミッショニング改革のためのイノベーション、埋設に向けた廃棄体化等に必要な基準整備及び技術開発、それから、埋設事業の推進を進めてまいります。
 次のページを御覧ください。右下23ページです。
 以上の取組に加えて、研究開発力強化と成果の社会実装促進のための研究基盤・環境の構築・運営・高度化と人材育成に向けた取組を進めていきます。
 その一つが、イノベーション創出に向けた取組です。昨年改定いたしました「イノベーション創出戦略」に基づき、マネジメントの強化、オープンイノベーションの取組の強化、社会実装の強化、イノベーション人材育成の強化に取り組みます。
 アクションプランは下段の矢羽根で示したようなものです。
 次のページを御覧ください。第4期期間では、特にオープンファシリティプラットフォームによる共創の場の構築と、ベンチャー創出を目指した支援制度の充実に取り組みたいと考えております。オープンファシリティプラットフォームとは、右側で示すような設備・技術基盤をオールジャパンで活用する仕組みです。
 次のページを御覧ください。このページは、科学技術・イノベーション基本計画に示された項目のうち、機構に関連する項目とその研究テーマを示しております。このように、研究開発力とマネジメント機能を強化して、Society5.0実現に向けた様々な分野におけるイノベーション創出を目指してまいります。
 次のページを御覧ください。右下26ページです。新たな研究開発システムとして、研究開発のDX化を推進するとともに、JRR-3及びJ-PARC MLF等の供用施設のリモート化・スマート化を推進していきます。DX化については、最新技術を取り込んで先端的計算科学研究を進めるほか、デジタルツインの開発、1F廃炉での被ばく線量低減のデジタル化技術開発、地層処分研究開発に係るデジタル化技術の開発等を進めます。
 次のページを御覧ください。このページは試験研究炉についてです。
 試験研究炉は、科学技術の発展、人材育成、産業や医療分野に貢献可能な、今後も必要不可欠な研究基盤施設と考えております。このため試験研究炉の検討にも取り組みます。
 左側のブロックです。その一つのもんじゅサイトの試験研究炉は、引き続き概念設計を実施し、その後の検討等を進めてまいります。また、照射機能の維持強化として、JRR-3の本格運転や「常陽」の運転再開を目指すとともに、海外炉照射機能の維持強化とそのための供用促進の仕組みの構築、そしてJMTR後継炉の検討を進めてまいります。
 次のページを御覧ください。青のブロックで示しますように、研究開発を進めていくために、最新の海外動向を踏まえ、国内外への貢献を目指して、国際連携を強化してまいります。
 具体的には、一つ目の四角に書いてございますが、先進原子力技術の研究開発や研究開発基盤の活用のための国際連携、二つ目の四角、機構が開発した原子力技術の国際展開、三つ目、廃止措置や廃棄物管理のための先行国の知見、インフラ等の活用を進めてまいります。
 次のページを御覧ください。立地地域の課題解決や地域発イノベーション創出を目指した新たな連携に取り組み、原子力防災対策の強化や地域産業の創出・支援に貢献していきます。
 最後のページです。人材確保に向けた高等教育機関との連携や、国内外の人材育成を推進し、原子力の将来を担う多様な分野で活躍できる人材の確保・育成機能を強化してまいります。
 特に、これまでの人材育成の取組を継続・強化するほか、大学教育でのJAEA施設の利活用促進、機構と他の国研・大学・民間の間での人材交流活性化の推進、イノベーション・デジタル化を担う人材の確保などに取り組みます。
 また、科学技術・イノベーション基本計画で示された「総合知」を活用した研究開発を推進するためにも、人文・社会科学の人材を確保し、育成していくことも考えております。
 以上が本日の説明内容です。カーボンニュートラルに向けた取組に代表される社会情勢が大きく変化する中、原子力機構もエネルギー分野や、その他様々な分野に貢献できるよう、安全大前提の下、マネジメントを強化しながら研究開発と廃止措置の両立を目指していきたいと考えておりますので、今後とも御指導、御支援のほどよろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上でございます。
【寺井主査】 児玉理事長、どうもありがとうございました。非常に詳細な御説明をいただきました。さらに詳細な資料は参考資料2-1にございますが、また、それは委員の先生方が御覧いただければと思います。
 それでは、資料2-1と2-2関連で少し御議論をさせていただきたいと思います。時間は30分程度設けてございますので、今いただきました2件の御発表、それから、3月ですかね、第6回、第7回の作業部会で、ステークホルダーの方々からいろんな御意見をいただいて、それも今日反映させる形で書かれていたと思うんですけれども、その辺につきましても確認をいただいて、今後、原子力機構が注力していくべき内容について、御忌憚のない意見をいただければと思います。
 どなたでも結構ですので、挙手をいただいて、私のほうから御指名いたしましたら、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】 ありがとうございます。私ども電機工業会も、2月にプレゼンテーションさせていただき、丁寧に反映いただいたと思っております。ありがとうございました。
 先週、19日でしょうか、親委員会のほうの原子力科学技術委員会を傍聴させていただきましたところ、委員の方から、あれもこれもの印象があるというような御指摘があったと認識しております。なるほどと思いながら、少し整理していけば、これは大分はっきりするのではないかなというふうに思っております。
 例えば、JAEAさんの資料、資料2-2の右下4ページに書いてあるところ、赤い右上の四角の中に「海外で進む次世代革新炉開発への参画」と書いてありますけれども、原文をのぞいてみますと、「日本企業が」という主語が書いてありまして、こういった文章が出来上がっていると。もっと遡って全体論のところ見ていくと、民間の取組を政府が全力で対応していくんだと、支援していくんだというのが政府の役割だと書いてありますので、この辺は主語つきで、役割分担を明確しながら議論していけば、この辺の話がはっきりするのかなと思います。
 それから7ページ目についても、様々なステークホルダーからのプレゼンテーションがあったと思いますけれども、ここも、ゴールを意識していけば、はっきりするのかなと思います。特にカーボンニュートラルについては2050年という期間が区切ってありますので、実際に原子力エネルギーが社会に供給できるようなところまでいかないと、カーボンニュートラルに貢献できていないということになってしまうので、そういった時間軸を意識しながらやっていけば、どこに重点を置いていけばいいのかなというのもはっきりするかなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【寺井主査】 小澤委員、ありがとうございました。児玉理事長、いかがでしょうか。
【児玉原子力機構理事長】 ありがとうございます。あれもこれもということができるわけがないだろうというのはおっしゃるとおりです。それは必然的にリソース、人と予算からも制限がございまして、我々はあれもこれもというつもりはなくて、スクラップ・アンド・ビルド、あるいはトリアージという言葉を使ったりしますけれども、そのように役目を終えた施設などは廃止していく、それから、やることには集中していくという方向で臨んでまいりましたし、これからもそのつもりです。本日の資料の中でちょっと総花的に見えるかもしれませんが、さらに絞っていきたいと思います。
 それから、我々は日本の研究機関、国立研究機関ですので、国際貢献は当然目指すところでございますが、やはり日本の経済あるいは産業が発展するということが大事だと考えておりますので、そこら辺は主語と目的語をはっきりさせていきたいと思います。おっしゃるとおりだと思います。
 あとは、時間軸を意識した開発ということで、それもおっしゃるとおりだと思います。常日頃、私は、クオリティー、コスト、デリバリー、研究においても品質は当然ですが、コストも大事だし、デリバリー、スケジュールも大事だということを口やかましく言っておりますので、時間軸を意識した活動を、ある意味自前主義を捨ててもやっていきたいと思っております。
【寺井主査】 児玉理事長、ありがとうございました。小澤委員、よろしいでしょうか。
【小澤委員】 はい。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。
 それでは、そのほかの委員の方もいかがでしょうか。
 先ほど小澤委員からは、電工会をある意味代表して、ステークホルダーから御発表いただいたものについての御回答は適切に行われているということだったと思うんですが、中島委員は原子力学会長ということだったと思うんですけれども。中島委員、お願いします。
【中島主査代理】 ありがとうございます。私も原子力学会という形で、主にアカデミアというか大学からの要請みたいなことをお話しさせていただきまして、ほとんど取り込んでいただいているなと思っております。特に大学ですと研究所等廃棄物の処理処分の問題、それから、最近ですと規制も厳しくなって、大学ではなかなか核燃、RIというのも取り扱えなくて、未使用で保管しているような状態になっていて、それを今後集約化していかなくてはいけないという話のところも盛り込まれていたかなと思っております。
 先ほども御指摘がありましたけれども、私も、説明、要望をお話しするときに、何でもかんでも取り入れるというのはなかなか難しいでしょうから、きちんと重みづけをして判断していただければということでお願いしてはおりましたが、やはり今日の御説明を聞かせていただいて、かなり盛りだくさんであるなという印象でございます。大きな組織でそれなりにはやってくれていると思っておりますので、そこは先ほど理事長からもお話がありましたように、スクラップ・アンド・ビルド、あるいはリソースの再配分ということでやっていただければと思います。
 その中でちょっと気になったところでは、スクラップ・アンド・ビルドでも、特に原子力施設のスクラップというと、やめたからすぐに手が離れるという話ではなくて、それ以降の廃止措置の開始に向けた維持管理、それから実際の廃止、あと解体処理処分といったような、研究開発とはちょっと違うフェーズの業務的なところにお金と人を割かなくてはいけないというところが出てきて、それも含めて、場合によっては維持しているより、一時的にアクティビティーを上げなくてはいけない、リソースを少し余分に割かなくてはいけないというところも出てくるかもしれませんので、計画を立てるに当たっては、そういったピークとかも考えながらやっていただければよろしいかなと思っております。
 あと、質問ですが、高温ガス炉HTTR、それから常陽等、再稼働に向けてということで今努力されているところでございますけれども、これらが本格的に動き出した後に、例えば、HTTR用の燃料は作ってくれるところがたしか国内もやめてしまいましたのでなくなっていますし、常陽も今は国内では調達できないのかなと思っておりますが、その点について、例えば今後の見通しとかというのがあれば教えていただきたいと思います。
【寺井主査】 中島委員、ありがとうございました。児玉理事長、いかがでしょうか。
【児玉原子力機構理事長】 最初の御指摘、廃止措置一つについても、最後グリーンフィールドにもっていくまでには大変な時間とお金がかかるだろうというのはおっしゃるとおりで、我々は、それを認識して、グリーンフィールドにもっていくべきものと、途中の管理区域解除までで止められるものとかを峻別いたしまして、そこら辺の優先順位をつけて、かつ予算もできるだけ標準化できるような、そういう設備の廃止の中長期計画を立てております。向こう70年間にわたる計画を、毎年リバイスしながらやっている状況で、御指摘の欠点は十分承知しております。
 それから、HTTRと「常陽」の燃料ですけれども、HTTRの燃料は、あと6年間程度の運転時間が確保できる燃料がございまして、それ以降は、具体的には原燃工さんとこれから話をしながら、この燃料製造というのは日本の重要な技術の一つですので、そこら辺の認識を踏まえて原燃工さんと相談していきたいと思います。
 「常陽」につきましても、5サイクルぐらいの燃料は確保できているところで、その後は、国内あるいは国外も視野に、運転しつつ具体的に考えていくということで、今その検討も既に始めておりますけれども、まだこの場では確たることが言えない状況です。御指摘は十分認識しておりますので、対応してまいりたいと思っております。
【寺井主査】 児玉理事長、ありがとうございました。中島委員、いかがでしょうか。
【中島主査代理】 どうもありがとうございました。特にHTTRは日本の誇るべき技術であって、資料にもありましたけれども、この技術を海外展開することがきちんとできれば、原燃工さんもきちんと商売として国際展開できるのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【児玉原子力機構理事長】 了解いたしました。
【寺井主査】 ありがとうございました。それでは、和田委員、お願いいたします。
【和田委員】 和田でございます。原産協会としても、ヒアリングで、産官学が連携するプラットフォームのような仕組みが必要ではないかということで御提案させていただいたものを随所に反映していただいていると思っております。
 あと、先ほどから出ている研究開発の分野の多さの問題ですけれども、こちらも、時間軸ですとかリソースを考慮して重点分野を絞るなどして、適時にその成果を社会に示すということが大事だと思いますので、そういった活動を期待させていただきたいと思います。
 そのリソースの問題ですが、先ほど研究開発と廃止措置の両立という、児玉理事長からお話がありましたけれども、廃止措置については、民間企業の経験や技術を活用してぜひ効率的に進めていただいて、なるべく研究開発にリソースが振り向けられるようにしていただければと思います。
 あと、民間の相応の関与に期待されるという話がございましたけれども、今、原子力産業界は厳しい状況にありますので、民間が資金提供を行うというためには、原子力機構さんとしてかなりの努力ですとか工夫が必要になるのではないかなと思っております。民間のニーズを掘り起こして、原子力機構さんが持っているシーズとマッチさせるという活動が必要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 もう1点、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、原子力は不可欠だと思いますので、我が国唯一の原子力に関する総合的研究開発機関である原子力機構さんには大変期待しております。その際に、社会からの信頼というものが今回の中長期計画にもいろいろ盛り込まれておりますけれども、ぜひ、SDGs17項目への貢献といった原子力機構さんならではの原子力の価値の発信を、国民に分かりやすい形で行っていっていただきたいと思います。
 特にその中で期待したいこととしては、イノベーションですとか革新的原子炉の研究開発です。例えば海外では、米国やカナダなどは、国立研究所の敷地内にSMRを建設するとか、英国やフランスでも、国立研究機関が民間と共同で先進炉の開発を行っております。日本でもNEXIPの取組が始められておりますけれども、その成功例を見せるということが、国民の理解や信頼の獲得や人材の確保、育成にもつながってくると思いますので、ぜひ機構さんにもそのような大きな役割を果たしていっていただければと思います。
 先ほどから話が出ている高温ガス炉ですけれども、こちらは熱の利用供給や水素製造など、電力分野以外の脱炭素化に貢献できる非常に有望な技術だと思っております。こちらは、中国では来年にも運転開始の予定と聞いておりますので、日本としても、ぜひ国を挙げて実用化を加速していっていただきたいと思っております。
【寺井主査】 和田委員、どうもありがとうございました。児玉理事長、いかがでしょうか。
【児玉原子力機構理事長】 ありがとうございます。まず、1点目の社会にタイムリーに発信せよということは、十分肝に銘じてやりたいと思います。我々は今、広報戦略というものを見直しておりまして、世間で言われているようなSNSによる発信とかいろんなことをやっているんですけれども、いかに社会に対して分かりやすくタイムリーに発信していくことが大事かということを認識しておりますので、原産協会さんの例も参考にさせていただきながら対応してまいりたいと思います。
 それから、廃止措置について、コストダウンは民間の知恵を入れてというところですけれども、これも主に今はプロジェクトマネジメントの面で、民間の方からも人に来ていただいて始めたところでございます。スケジューラーの導入や、手法についてのワークブレークダウンストラクチャーの導入とかコストを意識した廃止措置ということを今進めているところでございます。
 それから、民間とのニーズ・シーズのマッチングということで、やはり期待される原子力機構になるということを常に肝に銘じてやっていきたいと思います。私は、常日頃から、私自身、メーカー出身ですので、昔の原子力機構への期待に対して、今は民間からの期待がちょっと弱いのかな、と感じております。それは今、日本の原子力産業界は、ちょっと元気がないので、なかなか次のことを考えづらい状況にもあるのかなと思っておりまして、こういうときにこそ、我々が積極的にビジネスとしても成立するような提案をしていかなければいけないと感じているところです。
 それから、社会からの信頼、これはおっしゃるとおりで、特に原子力の場合は技術的合理性だけじゃなくて、社会的合理性、最近よく言いますELSIですね、倫理も含めた、そこら辺が大事になっておりまして、そこら辺、我々は、技術だけではなくて社会的なPAも意識した活動も重点的に今やっておりますし、さらに高度化していきたいと思います。
 革新炉といいますか、アメリカでは、おっしゃるとおり、NuScaleをアイダホの敷地の中につくるというようなことは政府主導と、民間と政府がうまいこと連携してやっていくということがありますけれども、日本でも今、文科省、エネ庁のNEXIPの事務局は原子力機構が務めておりますので、やはり、国を挙げて、国策として、そういうことが実現していくように注力していきたいと思っております。
 HTTRにつきましては、今、文科省とも連携して、ポーランドとか英国、それらは具体的に、G-Gベースといいますが、ガバメントーガバメントベースで進んでおりまして、それにも重要な役割を果たしていきたいと思っております。
【寺井主査】 児玉理事長、ありがとうございました。和田委員、よろしいでしょうか。
【和田委員】 はい。ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
【寺井主査】 それでは、そのほかの委員、いかがでしょうか。御質問でも御意見でも結構でございます。来馬委員、お願いします。
【来馬委員】 最初に文科省さんの説明があった2-1の資料のところから、その後の説明があったところとの関連性の話です。2-1の表紙の次のページの検討事項で、下の部分にいろいろ書いていますけれども、その右側に青い枠でこれから検討するということが、プラットフォーム機能の具体的検討と。これは、先ほど和田さんもおっしゃったように、そういうものの意識で、文科省さんも今後のまとめ方の中にこれが出てくるという認識があって、それで資料2-2で、JAEAさんの説明の中にたくさん、いわゆるプラットフォームという言葉が出てきて、具体的にはいろんな表現があるんですけれども、「技術・知識基盤プラットフォームを構築」とかですね。たくさんいろんな言葉が使われていて、具体性がよく分からないんですけど。JAEAさんにお聞きしたいのは、何を具体的に検討するのか、あるいはどういう方向でプラットフォームをつくろうとしているのかというのが、どこを見れば分かるのか御説明いただきたいのが1点です。
 それからもう一つは、もんじゅとか、ふげんとか、今、JAEA、廃炉の問題がありますので、それも今いろいろ書かれていますように、廃止措置の技術、あるいは民間の技術の導入とかいろんな、何というか、今見ていると課題がなかなかできてないというところが今回の中に取り上げられているので、それは結構だと思いますが、やはり処分の問題とかいろいろ、どこでどのように進んでいるのかというのが、これ、どこで見るのかなというのがちょっと分かりにくかったので、アカデミアに伴う廃棄物の処分の問題について、どこにどう明記されているのかというのを補足していただけるとありがたいなと思います。
【寺井主査】 来馬委員、ありがとうございました。これは、また理事長のほうからお答えいただいてよろしいでしょうか。
【児玉原子力機構理事長】 はい。まず、最初の御質問のプラットフォームですけれども、資料2-2の24ページを御覧ください。イノベーションに向けた取組(2/3)のところで、オープンファシリティプラットフォームという説明がございます。これは具体的には右の図で書いてありますように、今、中性子施設、これはJRR-3とJ-PARCですが、この二つと、あと、ホットラボとかを含んだ供用中の10施設、分析機器がありますが、ここら辺の施設がオールジャパンで使えるようにするために、ワンストップ窓口というユーザー向けの窓口をつくりまして、それでユーザーがこの窓口に言っていただければ対応ができるというようなところが、一つはプラットフォームの意味でございます。
 その後、データベースといたしましては、今、原子力のデータベースのATOMICAとかについては、かなり陳腐化した内容もございますので、アップデートしていくというようなことに取り組もうとしております。
 今後、解析コードとかも含めてこういうようなプラットフォーム化をしていきたいと、そのようには考えております。
 それから、廃止措置の処分の問題につきましては、22ページを御覧ください。あまりエクスプリシットには触れておりませんが、下から二つ目の四角のところに、埋設に向けた廃棄体化に必要な基準整備及び技術開発として、効率的な分析、測定手法と合理的な含有放射能の値づけの手法の開発をしていくというようなことに新たに取り組もうとしています。それから、埋設事業の推進といって、先ほど中島先生からありました研究廃棄物の処分は機構のミッションになっておりますので、それも念頭に置いて立地を推進していくということですが、現時点、今こうだと言えるところはなくて、正直言いまして非常に苦慮しているところでございます。ここら辺は電力事業者の方とも連携しながら対応していきたいと思っている段階でございます。
 以上でございます。
【来馬委員】 ありがとうございます。なかなかその部分は、廃棄物の処理の部分が地元では見えてないとか、そう簡単には配置措置が進まないというのもありますけれども、やはり将来見通しのところが見えてなくて、今後どうなるんだろうというのが一つの不安ではありますよね。だから、そういうところは、ぜひ中長期的という目標の中に分かりやすくその方向性を出していただけるとありがたいなとは思います。
 それから、プラットフォームの件は、今いろいろ取り組まれている話は分かりましたけれども、中性子とか研究施設とかいろんな、その施設がどこまで限定されているかどうかあれですが、全国どこからでも、あるいは全てのJAEAの処理する施設がというところで、大きく目指すものを持って将来、例えばもんじゅのサイトにできるような研究炉についても、そういうものがしっかりあるから、それを利用するに当たってもしっかりと、何というんですかね、プラットフォームの機能としてその中に取り込まれていくという分かりやすさが出てくるんじゃないかなと思うので、具体的に実績というか、そういうものを積み上げていってほしいなと思います。それは要望したいと思います。
【児玉原子力機構理事長】 了解いたしました。
【来馬委員】 以上です。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。石川委員、どうぞ。
【石川委員】 石川でございます。私は今回から委員になりまして、以前のステークホルダーのプレゼンとかについては直接伺ってなくて、概要しか存じ上げていないところで、私が取り立てて御意見を申し上げるほどでもないのかもしれないのですが、期待といたしまして、確かに私、この詳細な説明を伺っていて、私も盛りだくさんだなという印象を最初受けたんですが、カーボンニュートラルへの貢献、society5.0の実現というのを考えたときに一つ必要な要素になっていると感じております。なので、ある程度必要なんですが、メリハリをつけたりタイムラインを考えたりして進めていただければと思います。
 また、2050年を過ぎたら脱カーボンはどうでもよくなるわけではないですので。原子力、長期的な視野のこともたくさんありまして、また、最近いろいろな分野の技術を見ていても、これが使えるぞと分かってから始めたのでは、人材もいない、技術もないということになりかねませんので、例えばこの中期計画の間に、たとえ成果が形になるわけではないとしても、その長期的視野に向けてこういうふうに進んでいるんだというところを社会に発信できればいいのかと思います。
 特に新型炉のところとかも、ほかの委員から御指摘がありましたけれども、新型炉とかああいうふうに科学的に、あるいは技術的に新しい開発要素というところがありますと、民間からの投資も集まりますし、また、大学の視点から見ると学生がすごく魅力を感じて、それが人材育成につながるというところもあると感じますので、そういうところも進めていただければと思います。
【寺井主査】 石川委員、ありがとうございました。JAEAさん、今の件に関しまして何かございますか。
【児玉原子力機構理事長】 ありがとうございます。
 メリハリりつけて、タイムライン意識してやるということを肝に銘じてやっていきたいと思いますし、やはり、先ほどから先生方がおっしゃるように総花的だというところは、JAEAは今まではどっちかというと技術の百貨店的なところがあったんですけれども、何でもあるけれども要らないものもたくさんあると。そうじゃなくて、これからは技術のコンビニを目指すといって、あんまり安くはないですけれども、要るものがタイムリーに手に入るというようなところも目指していきたいと思っております。
 それから、成果例を一つでも早く社会に出すことということは、これは本当にやっている人間たちのモチベーションも高くなりますし、心して対応してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。ほかにございますか。
 先ほどからいろんな先生方から出ています総花的というところは、逆に言えば、世の中からそれだけ期待されているということの表れだと思いますし、それに対してJAEAが精いっぱい応えようとされているという、その意思の表れだと思います。ただ、実際にプライオリティーをどうつけるか、戦略をどうつくるかというところは、また次のステージとして出てくるかと思いますので、そこについてはぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、私が大事だと思うのは、経営層だけじゃなくて一般の職員の方、研究者の方のモチベーションとか士気を高く持っていただきたいということでございます。ぜひ経営層におかれましては、その辺りも意識していただいて第4期の中長期計画をしっかりとつくっていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
【児玉原子力機構理事長】 どうもありがとうございました。
【寺井主査】 それでは、これで議題2を終了させていただきまして、次に、議題3に移らせていただきます。
 議題3は、新たな試験研究炉に係る原子力機構の検討状況の報告でございます。
 原子力機構、神永副部門長から御説明をお願いいたします。資料の3-1でございます。
【神永原子力機構高速炉・新型炉研究開発部門副部門長】 それでは、原子力機構高速炉・新型炉研究開発部門の神永から報告させていただきます。
 資料は3-1です。それから、参考資料3-1として報告書の本体のほうもお配りしていますので、適宜御参照いただければと思います。
 それでは、ページをめくっていただいて1ページ目、検討の背景、それから体制について、まず御説明させていただきます。
 本日御説明させていただく資料は1ページから5ページまでになりますけれども、報告書の1章から5章までになっていまして、各章ごとに1ページに集約してまとめた形で御報告させていただきます。
 まず、検討の背景ですけれども、既に委員の先生方御存じのとおり、平成29年4月のJMTR廃止決定により、第5次エネルギー基本計画に示されている軽水炉の安全性、信頼性・効率性を向上させるための技術開発や新型炉開発に必要な照射場を失い、国内において実用的なデータの取得ができない状況にありました。それから、原子力人材育成にも支障が生じており、工業用・医療用RI製造についても、海外に依存するしかなく、国内の安定供給が困難な状況にありました。
 さらに平成30年4月の、本日の作業部会の前身に当たる原子力科学技術委員会原子力研究開発基盤作業部会の中間まとめにおいて、「原子力機構は、照射機能の重要性や海外施設利用に係る課題を認識しつつ、関係機関の利用ニーズを踏まえ、共働してJMTR後継としての安全研究や材料照射研究を担う新たな照射炉の建設に向けた検討を進めることが必要」との提言を受けました。
 検討の体制ですけれども、これを受けて、原子力機構は、児玉理事長の下に機構内外の有識者で構成するJMTR後継炉検討委員会を設置し、JMTR後継となる新たな照射試験炉、以下この資料では新照射試験炉と呼びますけれども、建設に向けた検討を開始いたしました。国内外の状況も踏まえつつ、社会的要請、それから利用ニーズの再整理、海外施設利用に関する調査及び新照射試験炉の概略仕様の検討を実施してまいりました。
 このJMTR後継炉検討委員会ですけれども、平成31年3月から令和3年3月9日までの計4回開催しております。それから、令和元年7月に開催した第2回の委員会において、ワークショップについて委員の先生から提案を受けて、その下に記載していますけれども、新照射試験炉に求められる利用ニーズ、それから国内における照射機能・施設運営・供用の在り方等について、産学官の参加の下で議論し、明確化を図るため、令和2年12月22、23日にワークショップを開催しております。
 次のページに移っていただいて、次からが検討結果の概要をまとめたもので、これは報告書の第2章をまとめたものになります。ここには概要資料なので記載してございませんけれども、この社会的要請・利用ニーズの再整理に当たっては、第5次エネルギー基本計画、それから日本学術会議の提言、原子力規制委員会における安全研究の基本方針、それから、平成28年12月にJMTR運営・利用委員会照射ニーズ調査専門部会というところがまとめた照射炉の照射利用ニーズに関する調査報告書、それから、この社会的要請・利用ニーズに関するステークホルダーの直接のヒアリング、それからアンケート調査、これらを基に再整理を行っています。
 その結果、新照射試験炉が取り組むべき課題として、以下に示す四つ、これを抽出しています。この四つは、まず一つ目は軽水炉等の研究開発・安全性向上、二つ目として科学技術・学術の向上、三つ目として産業利用の拡大、それから原子力人材の育成があります。
 これらの取り組むべき課題に対して、この新照射試験炉の概略仕様の検討において考慮すべき事項というものを抽出しています。
 これらのニーズを満足させるための照射性能として中性子束、それから照射孔、照射環境等、それから二つ目として照射利用の早期開始、三つ目としては照射利用環境の整備、これはホットラボとの一体的運用とか、そういうものも含めてでございます。それから、最後に将来の新たなニーズへの対応、これは汎用性の高い炉心、それから照射設備の設置スペースなどでございます。
 次のページに移っていただきまして、次に、海外施設利用に関する調査も行いました。これは報告書の第3章に記載してございますけれども、これらの調査結果から、海外炉利用時における課題というものをまとめています。
 簡単にまとめますと、国内ユーザーによる海外炉の利用では、高額な利用料金、試料の輸出入における煩雑な手続、国際情勢等による輸送の停止、照射試験・照射後試験における実験条件の制御不良・利用制限・試料紛失、国内の照射技術・照射後試験技術を担う原子力人材の育成が困難となるなど、多くの課題があったことを確認しております。
 次に、これらの調査から新照射試験炉の概略仕様に反映すべき項目というものも抽出してございます。これらの海外炉の技術仕様、それから、廃止が決定したHBWRの廃止に至った経緯及び廃止の影響、それから現在建設中のフランスのJHR、それからアルゼンチンのRA-10における建設に向けた運営の方法などについて調査を行いました。
 これらの調査結果を活用して、新照射試験炉の概略仕様に反映すべき項目を抽出しています。それはここに示す三つで、一つ目が、汎用性が高く、かつ更新を考慮した設計及び機器選定、二つ目として、国内の利用ニーズ等に対応する照射機能の確保及び海外炉等との相互補完、三つ目がユーザーフレンドリーな運営でございます。
 次に、4ページ目に移っていただいて、ここは報告書の第2章についてまとめたもので、概略仕様の検討結果を示しています。
 まず、概略仕様の検討に当たっては、現在のJMTRありきではなくて、炉型の選定から検討を行っています。具体的には、高速炉、高温ガス炉、沸騰水型炉、水冷却炉、代表的な炉心として常陽、HTTR、HBWR、JMTRを想定し、これらの炉型を比較しまして、先ほど示したような、取り組むべき課題等を満足するような、それらの照射ニーズを満足するような仕様というものを検討しております。
 この新照射試験炉に係る主要仕様、これはホットラボも含みますけれども、建屋の構成、それから各施設・設備の基本概念、利用性の向上、それから設計方針等について整理をしてございます。
 結果だけここで示していますけれども、その結果、JMTRをベースとした熱出力50メガワットの新照射試験炉の設置を行うことによって、炉心構成や運転出力が変更しやすい汎用性が高い炉心構造が可能です。それから、将来の新たなニーズに対応した照射設備の新設等が可能な拡張性の高い建屋構造を併せ持ったものを提案しております。
 それから、併せて、工作施設・技術開発試験施設の設置、近隣施設との連携、照射利用しやすい環境の整備というものも提言しております。
 あわせて、ここに示してございませんけれども、将来的なグレードアップのオプションとして、100メガワット炉心であるとか、50メガワットコンパクト炉心というものも提案してございます。
 この報告書の中で検討した概略仕様に基づきまして、これを実現できれば、この取り組むべき課題に対応した照射試験が行える見通しを得ています。
 あわせて、新照射試験炉設置後の運営方法についても検討を行いました。この新照射試験炉の設置決定後は、国際協力体制、産学官が参画する新照射試験炉の運営利用委員会や、照射利用専門部署の実務体制を整備し、ユーザーが利用しやすく、利用ニーズにきめ細かく対応した照射試験、それから海外炉等との相互補完によるRIの安定供給等が行えるユーザーフレンドリーな運営を行い、照射利用を促進していきます。
 それから、この新照射試験炉を高稼働率で運転することにより、社会的要請・利用ニーズに確実に応えていくとともに、これを通じて継続的にイノベーションが創出できると考えております。
最後になりますけれども、最後の5ページのほうに移っていただいて、これは報告書の5章まとめのところをまとめたものですが、新照射試験炉の建設に向けた今後の対応として、四つ提案してございます。
 一つ目が、我が国における社会的要請や利用ニーズに応え、かつ、国際貢献に資する新照射試験炉を国の公共財に位置づけ、その早期設置決定に向けて新照射試験炉の役割等について国民に十分に理解いただけるよう、日本学術会議・小委員会などを活用し、国レベルの透明性の高い議論を進めていくこと。二つ目として、新照射試験炉の早期建設に向けて、原子力規制委員会等との許認可に係る情報共有等を行い、規制プロセスのリスク低減を図ること。三つ目として、JMTR廃止決定後においても、我が国における照射研究を維持し、新照射試験炉の設置までつなげるため、照射研究の基盤維持、技術継承及び原子力人材育成を行っていくこと。最後に、照射研究の維持及び新照射試験炉による国際協力や国際貢献に向けて、海外における社会的要請や利用ニーズの調査及びプロジェクトマネジメントが行える人材の育成を進め、国際的なプラットフォームの構築やネットワークの形成を図るということで、報告書をまとめております。
 以上、短時間の御説明でございましたけれども、概要の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
【寺井主査】 神永副部門長、ありがとうございました。
 簡単な御説明といいますか、報告書全体についての概要説明をいただきました。詳細は参考資料3-1の報告書、100ページを超えるものがございますので、委員の先生方におかれましては、もしお時間がありましたら適当な機会に見ていただければと思います。
 それでは、ただいまの御発表につきまして、御質問、コメント等ございましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。和田委員、どうぞ。
【和田委員】 質問ですけれども、革新炉の開発ですとか先進型燃料などにもぜひ照射試験炉というのは必要だと思いますし、国内にあるにこしたことはないと思うのですが、これは、誰が設置を決定して、いつ建設を始めるというような工程は、誰が決めるものなんでしょうか。
【寺井主査】 ありがとうございます。これは神永副部門長、答えられますか。文科省のほうがいいですか。
【神永原子力機構高速炉・新型炉研究開発部門副部門長】 これは原子力機構が決定するものではないと考えておりますので、もし文科省のほうでお答え願えれば幸いです。
【松浦原子力課長】 文科省原子力課長の松浦です。まず、寺井先生はじめ、この検討をしていただいて、いろんな必要性あるいは様々なファクターについて御検討いただきありがとうございます。
 今、和田委員の御指摘のとおり、今後、照射炉を国として、まず、どう整備して、いろんな研究開発に活用していくかという政策的なところは国のほうで整理するべきかなと思っております。
 具体的にどういう工程で進めるかということについては、先ほど来、タイムラインを考えてメリハリをつけて、まず優先度を考えてやっていくべきという御指摘がたくさんあったと思います。照射炉をどうするかというのもその一つの要素かと思っていますので、この中でも指摘がありますように、海外炉等の供用も含めて、照射をどうやっていくかということで中長期的に、JMTRのような照射炉を日本に造っていくかといったところも、そういうタイムラインを考えながら検討していくということを、今後、次期中長期目標を検討する中で、この問題も併せて考えていく必要があるのかなということで、秋以降、これをどうしていくかというのはまた作業部会で御議論していただく必要があるのかなと思っております。以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。和田委員、いかがでしょうか。
【和田委員】 ありがとうございます。もんじゅの跡地の試験研究炉もある中で、なかなか予算の確保も大変だと思うのですが、ぜひ前に進むように検討していっていただきたいと思います。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございました。もんじゅサイト炉も、多分そういう進め方をされていまして、もともとJAEAの中で造るということありきではなかったんですね。実際に公募が出て、今、概念検討については、JAEAと京都大学と福井大学ですかね、がコンソーシアムを組んでやっているという状況になっています。
 したがいまして、どこが主体で造るかということについてもまだ確定的なものはないということで、今後この作業部会でもいろんな御議論をしていただいて、その辺の方針について御相談いただくということに多分なるんじゃないかなと思います。
 そのほかはいかがでしょうか。中島委員、どうぞ。
【中島主査代理】 神永さん、どうもありがとうございました。私も、この委員会の報告書に名前は載っておりますけれども、あまりコントリビュートしてなくて申し訳ないんですが。こういう炉が必要だということは重々分かっておりますけれども、資金の話とか立地の話とかいろいろあるかと思います。
 先ほど、海外炉の利用の面ではいろいろと面倒くさいことがあるというか、バリアが高くてやはり国内に必要だということですけれども、海外として先ほど出ていたのは多分ヨーロッパとかがメインだったと思います。日本に造れればそれはいいかもしれないですけれども、日中韓とか、いわゆるアジア圏とかでどこかに一つ造るというようなことで、例えば、マルチラテラルというか、お金も人もそれぞれの国が分担するという取組、グローバルな取組というような新しい仕組みというのを、理想論で申し訳ないですけれども何か考えてもいいのかなと思った次第です。思いつきでこんなこと言うなと思われるかもしれませんけれども、何かそういった方向性というのも一つ今後の研究炉の在り方としてあるんじゃないかと思いました。
 感想ですが、もし何か神永さんのほうでコメントがあればお願いしたいと思います。
【神永原子力機構高速炉・新型炉研究開発部門副部門長】 中島先生、どうもありがとうございます。
 今の中島先生の御指摘にあったようなアジアにおける例えばプラットフォームというような観点では、そもそもJMTRの再稼働を目指していた当時から、アジア、それから世界とのネットワークづくりというのは我々も進めてきて、JMTRの廃止決定に伴って一旦その活動が途絶えてしまったところはあるんですけれども、次年度以降というか本年度以降、またそういう取組を進めて、我々も、この新照射試験炉がもし日本で実現できたとすれば、今御指摘があったように、アジアのプラットフォームとして活用していけるように、そういう取組というのも進めていきたいと考えているところです。
【中島主査代理】 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
【寺井主査】 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
 特に手は挙がってないようですので、この議題3につきましてはここまでということにさせていただきます。
 先ほど松浦課長のほうから、秋ぐらいにまたこの件については状況の報告と議論をさせていただきたいということでございましたので、そのときに詳細なディスカッションをさせていただきたいと思います。基本的には、次期の中長期計画ですかね。この中でどういうふうに位置づけるかというところは、松浦課長がおっしゃっていたように大事でございますので、この辺りのところは、再度、時期を変えて御議論をさせていただきたいと思います。引き続きの御協力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは次に、議題4に移らせていただきます。議題4は、群分離・核変換技術評価に係るワーキンググループの設置に関するものでございます。資料4-1を用いて事務局から御説明をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 資料4-1に、群分離・核変換技術評価に係るワーキンググループの設置についてということでお諮りしたいと思います。
 先ほど、ワーキンググループという名前については、違う名前のほうがいいのではないかという御指摘もありますので、これはそこに合わせて名前も変えたいと思っております。
 群分離・核変換技術、具体的にはADSについてですけれども、これについては、これまでは群分離・核変換技術評価作業部会というものがございまして、平成25年にその委員会で中間的な論点の取りまとめも行っております。時間の関係で説明は省きますけれども、中間取りまとめについては、参考資料として皆様にお配りしてございます。これについて、かなり時間もたっており、また、ADSの今後の在り方については原子力機構の中長期目標計画の策定をするに当たっても必要な検討かと思いますので、ワーキンググループ、タスクフォースを設置して、現在の技術のレベルや国際的な研究開発の状況などを一度レビューしまして、今後の在り方についてですとか核変換実験施設の実現性等について、しっかり評価を実施したいと思っております。
 以前は、群分離・核変換技術評価作業部会がありましたけれども、この作業部会の内容についても、前回10期の作業部会から、研究開発・基盤・人材作業部会のほうで実施することになっております。ただ、このADSについては専門的な事項も多いことですから、まずはワーキンググループのほうで検討して、その検討結果を作業部会のほうに報告して、全体像について検討いただくという方式で進められればと思っております。事務局からの説明は以上です。
【寺井主査】 ありがとうございました。先ほど御承認いただいた進め方ですね。この作業部会の下に専門的なものを設けると。ワーキンググループという名称がいいのか、タスクフォースがいいのか、そのほかの名称も含めて、それは再度事務局と相談をさせていただきますけれども、そういうものを設置したいという御提案でございます。
 本件につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】 五十嵐です。ワーキンググループをつくるのはいいんですけれども、今、御説明があったように、前は作業部会で議論されて論点をまとめられていたということで、あえて今回こういうまたワーキンググループをつくる理由の説明のところがちょっと、もう少し詳しく教えていただければ。先ほど来、続いているようないろいろな計画などがある中で、時間軸とかそういうのを議論しなければという中で、これの位置づけというのがどういうことか。また、ワーキンググループをつくった場合に、どういうスケジュールで御議論いただいて、またここの作業部会に報告いただいて、そこでどういうことを決めていかなくてはいけないのか。今後の作業などが分かれば、狙いなどお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 説明不足で申し訳ございませんでした。
 この資料4-1のワーキンググループの設置についての趣旨の真ん中に書いてある平成25年の作業部会の中間的な論点の取りまとめの中で、「実験室レベルの段階から、工学規模の段階に移行することが可能な研究開発段階にあり、このため、J-PARCに核変換実験施設を整備することが期待される」と御提言をいただいております。
 ただ、新たな実験施設の整備が進んでいるような状況にはないというのが現状でございます。これを、今後どういった形で研究を進めていくべきかというのを、国際的な状況とか、シミュレーション技術なども進んできたような研究開発の現状も踏まえて、次の中長期目標7年間の中でどのように目標設定をしていけばいいのかというのを一度見直してみたいというのが目的でございます。
 そのため、スケジュールについては、秋ぐらいまでにワーキンググループで何回か検討し、その途中でも作業部会のほうに内容について適宜報告して、最終的には秋冬ぐらいまでにまとめて、その結果について原子力機構の中長期目標、計画に反映するという形で進めたいと思っております。 以上です。
【寺井主査】 五十嵐委員、よろしいでしょうか。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。たくさん検討事項というのがあって、どれを優先したらいいのかと。それこそ先ほどの議論にもあったとおりなので、その辺は今後の議論だと思うんですけれども、分かりました。
【寺井主査】 ありがとうございました。小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】 説明資料の中に、「工学規模の段階に移行することが可能な研究開発」ということであり、節目でもありますので、議論するのはよいことだと思います。
 質問は、この記載は、どちらかというと核変換にフォーカスして書いてある気がするのですが、群分離のほうは何か検討される予定はあるんでしょうか。ここだけ確認させてください。
【鈴木原子力課室長】 群分離のほうも併せて検討できればと思ってはおります。当初の検討では、核変換と群分離は、何年ぐらいにADSの実証施設をできるような段階にしたいというような目標も併せて検討をしていました。
 ADSの実現めどというのは、現段階で何年ということを言えるようなレベルにあるかどうかということも含めて一度見直したいとは思っておりますが、群分離のほうについても、今後どういった研究開発を特に実施していくべきかについて検討できればと思っております。
【小澤委員】 ありがとうございます。核変換のほうはADSという言葉が出てきたのですけれども、群分離のほうは、再処理施設といいますか、化学プロセスのほうの検討をされるということでしょうか。
【鈴木原子力課室長】 基本的にはADSに向けた、ADSをするためにどのような群分離が必要かというところの検討をしたいと思っております。ADSのための群分離の研究であっても、当然再処理のほうに使えるような技術もあるかもしれないので、そういった共通基盤的なところはどこかということについても検討できればと思っております。
【小澤委員】 分かりました。ありがとうございました。
【寺井主査】 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。特に御発言がないようでございますので、御提案いただいた案のとおりにワーキンググループを設置したいと思います。ただし、ワーキンググループでいくか、タスクフォースでいくか、この辺りの名称については今後事務局と調整をさせていただきますが、この作業部会の下にそういうものを設けるということでお願いいたします。
 この中での検討結果につきましては、以降の作業部会のほうへ適切なタイミングで御報告をお願いするということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは、これで議題4を終了いたします。
 本日予定をしておりました議事は以上で終了いたしましたが、そのほかに御意見等はございますでしょうか。委員の先生方から、何でも結構ですので、もし御発言いただくことがございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
 特に御発言がないようでございますので、それでは、最後に事務局から事務連絡等をお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 本日の議事録については、出来次第メールにて御確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の部会については、現在日程調整の結果をいただいているところですけれども、6月末ぐらいを予定しております。具体的な日時については、確定次第御連絡させていただければと思っております。以上でございます。
【寺井主査】 ありがとうございました。それでは以上で、第8回の原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。どうも本日は御参加ありがとうございました。


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