原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第7回) 議事録

1.日時

令和3年2月10日(水曜日)13時30分~15時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力機構次期中長期目標・計画策定に向けたステークホルダーからのヒアリング(対象機関:日本電機工業会、日本原子力産業協会)
  2. その他

4.出席者

委員

山口主査
寺井主査代理
五十嵐委員
小澤委員
木藤委員
来馬委員
佐藤委員
中島委員
矢野委員

文部科学省

堀内 研究開発局審議官
松浦 原子力課課長
長田 原子力課課長補佐
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)

オブザーバー

喜多 日本原子力産業協会人材育成部長
門馬 原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第7回)
令和3年2月10日

【長田原子力課長補佐】 定刻になりましたので、第7回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催させていただきたいと思います。
 本日も作業部会は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン開催としておりまして、これに関連した確認事項などもありますので、議事に入るまで本日も事務局にて進めさせていただきます。私は原子力課の長田です。よろしくお願いします。
 まずオンライン開催に際しての留意事項を本日もご説明させてください。

[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]

 以上が留意事項となります。
 続いて本日の配付資料の確認をさせていただきます。今回も委員の皆さまおよび傍聴の登録をされた方宛てに事前にメールにて配付資料をお送りさせていただいております。会議中、遠隔会議システム上では資料を表示せず、各自のお手元にてご確認いただきます。資料は議事次第にありますとおり、資料の1と2が日本電機工業会さま、日本原子力産業協会さまからの本日のご説明資料、その他参考資料1から3までございます。
 それではまず最初に委員の皆さまのご出席を確認させてください。山口主査。
【山口主査】 山口です。本日はよろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に主査代理の寺井委員。
【寺井主査代理】 どうぞよろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 次に五十嵐委員。
【五十嵐委員】 五十嵐です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に小澤委員。
【小澤委員】 小澤でございます。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 次に木藤委員。
【木藤委員】 よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に来馬委員。
【来馬委員】 来馬です。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 次に佐藤委員。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に中島委員。
【中島委員】 中島です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に矢野委員。
【矢野委員】 矢野でございます。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 よろしくお願いします。本日、中熊委員はご欠席のご連絡を頂いており、9名の方々にご出席いただきまして、運営規則の第3条に規定されている定足数であります過半数を満たしておりますので、ご報告させていただきます。
 それでは今回の作業部会ですけれども、昨日に続きまして、原子力機構における次期中長期目標計画策定に向けたステークホルダーからのヒアリングとなります。ヒアリングを行う経緯・目的については、これまでも作業部会で議論を行ってきましたが、原子力分野の研究開発・基盤・人材の発展に関し、原子力機構の役割は重要な論点ということですので、今回のヒアリングにおいてステークホルダーからの多様なニーズを聴取して、今後の在り方について検討していきたいというものでございます。
 本日のヒアリング対象機関は、日本電機工業会さまおよび日本原子力産業協会さまとなっています。ヒアリング時間は、1機関当たりプレゼン発表10分、質疑応答20分の計30分を予定しております。本日はプレゼンテーションのために、日本原子力産業協会から喜多智彦人材育成部長にご参加いただいておりますのでよろしくお願いいたします。
 併せまして、質疑応答の際の事実関係の確認等が必要な場合に備え、原子力機構からは事業計画統括部の門馬利行部長にもご参加いただいておりますのでご報告します。
 それでは以降の進行につきまして、山口主査にお願いできますでしょうか。
【山口主査】 山口です。それではこれから進行を務めさせていただきます。本日も昨日に引き続きまして、いろいろサジェスチョンいただきますようによろしくお願いいたします。
 きょうのヒアリングですけれども、最初に日本電機工業会からということでございます。日本電機工業会の原子力部長の小澤委員よりご説明いただきたいと思います。
【小澤委員】 日本電機工業会の小澤でございます。よろしくお願いします。きょうはお話の機会を頂きましてどうもありがとうございました。
資料1の表紙ですけれども、第5回の作業部会で頂いたお題に対しまして、民間からの期待ということで、主にプラントメーカーの意見を踏まえましてお話をしたいと思います。
 1枚おめくりください。目次に書いてある順番でお話しいたしますが、まず始めに位置付け等、それから福島第一、それから軽水炉、開発炉ということで各論をお話しいたしまして、7、8のところで全体、9枚目で改めて期待を申し上げまして、手短にご説明したいと思います。
 おめくりいただきまして、まず議論に当たりましてわれわれの事業の環境についてお話しをしたいと思います。
 まず原子力の新技術の導入につきましては、試験炉等の安全の確認とか、長期にわたる技術開発が必要であること、それから重要な政策課題が2つ、資源の有効利用とか放射性廃棄物の問題を書きましたけれども、個別の企業だけで実施するのではなくて、国全体で合理的かつ柔軟に対応すべきと書かせていただいたということでございます。
 2つ目は各ステークホルダーの役割認識を書かせていただきまして、民間では国際競争の中、独自の工夫で頑張っているということでございます。その上で線を引いてあるところ、JAEAさまの役割としまして、次に書いてあるとおりのことを書かせていただいたということでございます。
 3つ目にはJAEAさんの独自の開発があろうかとは思いますけれども、ここでは民間の期待ということで、産官学の連携とか、成果の実装、普及の観点で書かせていただきまして、赤い四角の枠、原子力技術の出口を意識しまして、その重要性を書かせていただいたということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、プラントメーカーの事業、それから主な研究開発の概観というふうにして書かせていただいております。プラントメーカーの事業については、大容量なカーボンフリーの電源として原子力を3E+Sについて技術で貢献するという位置付けでございます。
 1枚おめくりください。これは参考資料でございまして、2018年の原子力小委員会で使用した絵でございます。プラントメーカーの各事業分野については、幅広い分野の技術、それから人材が必要であることを書いてあります。それから技術の維持・伝承には生の現場があることが重要でありますし、新しい技術の開発にはプラントメーカーの努力だけではなかなか難しいということをご理解いただきたいというふうに思います。
 1枚めくっていただきまして、1Fの廃止措置についてお話し申し上げます。下に写真を4つ描かせていただいておりますけれども、1Fでは格納容器内の状況確認、それからデブリの状況把握を経まして、今後はデブリを実際に取り出すという段階に進もうとしております。原子力建屋の中ではいまだに放射線量が厳しい環境にございますので、遠隔操作のロボットの活用が必要でございまして、これは国際廃炉研究開発機構が中心になってオールジャパン体制でやっているということでございます。こういった機器は厳しい環境でもきちんと作動するということが重要ですので、事前の確認を慎重にやるということになります。それから機器を持ち込む際には作業員の安全を確保するために、作業場の放射線環境の把握とか改善も必要な事項の一つとなっております。
 2つ目の黒四角のところについては、12月に私も福島の研究開発拠点にお邪魔しまして、作業環境把握の技術成果が出ているということでございますので、ぜひそういった技術をいち早く現場に投入して、作業員の安全の確保に貢献していただければなというふうに思っているところでございます。
 それから持ち込んだ機器が目的のとおりに作動するようにということで、デブリの性状把握とか実デブリを用いた確証などによって廃止措置が加速することを期待しておりまして、この辺はJAEAさんと一緒になってやっていけるところかなというふうに思っております。
 1枚おめくりいただきまして、次に軽水炉の高度利用について書かせていただいております。プラントメーカーは現在再稼働が中心ですけれども、今後の再稼働後のプラントの安全性向上とか、利用率の向上についても検討中であります。きのうの電事連さんの発表にもございましたけれども、事故耐性燃料の開発、それから燃焼度を上げるための技術開発についても書かせていただいております。それからプルサーマルの高度化につきましては、軽水炉であっても速い中性子を利用することによって資源有効利用をさらに前進させるという技術が民間で行われております。こういった開発につきましては、JAEAさんの臨界試験、あるいは出力急昇試験とか、材料確認のための試験というものが必要になりますので、JAEAさんのインフラを官民で共有することによって導入がスムーズになって、メリットが経済活動に還流するということになるかと思っております。
 次をめくっていただきまして、これも参考資料ですけれども、3年前の原子力小委員会の資料ですけれども、これはもっと前の2012年の原子力委員会のヒアリングでも同じような提言をさせていただいたものです。特にJMTRについては照射の場が今途切れている状況にございますので、これは技術開発だけではなくて、人材育成とか、あるいは医療用の放射性同位体の製造とか調達にも危機的な状況であるということを耳にしておりますので、こういった、きのうの議論にもありましたように、JMTRの後継炉の話をもっと進めるということが必要だと思いますし、JAEAさんの次期中期計画では許認可プロセスとか建設に入るようなスピード感が重要だというふうに思ってございます。
 1枚おめくりいただきまして、新しい新型炉の実用化について書かせていただいております。ご承知のように、小型炉など新しい原子炉を開発する動きが国内外で活発になってきているという状況でございます。こういった小型炉は静的安全系を用いた原子炉だとか、新しい発想でエネルギーの供給に貢献していくということでございますので、これも国際協力を含めていち早く実用化をしていくべきかなというふうに思っております。そのためのJAEAさんへの期待としまして、特に規制の対応を中心に、黒い四角で3つほど書かせていただいたということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、参考資料として、これも3年前の小委員会の資料ですけれども、こういった海外のほうでは既に許認可プロセスがかなりな程度まで進んでいるという現実がありまして、規制当局の理解が進んで実用化がかなり近づいているんじゃないかなというふうに思いますので、こういったところは学ぶべきプラクティスだというふうに思いますので、こういったところもJAEAさんと一緒になって実用に進めていければなというふうに思っております。
 1枚おめくりください。ナトリウム高速炉サイクルについてですけれども、これについてはJAEAさんの業務として機構法に定められているということでございます。まずはもんじゅの廃炉については着実に進めていただくということになろうかと思いますけれども、もんじゅの成果については今後に生かせるように整備とか共有をお願いしたいなというふうに思います。2つ目に書きましたとおり、高速炉サイクルの実用化にはかなり時間を要するということになりまして、これは民間の事業としては普通の時間軸ではない時間軸なので、こういったところ①に書きましたような、例えばMOX燃料については実績あるJAEAさんが中心になって着実に進めていくということになろうかと思いますし、②に書きましたように、金属燃料とか静的安全系の海外の新たなオプションにも目を向けまして、国際的な協力をやりながら日本の国際的なポジションを確保すべきだというふうに思っておりますので、この辺も国際的には政府間の協力、それから国立研究機関の間の協力、民間の協力という横の協力と、国内の、あるいは相手国の間の縦の協力をマトリックス的に組み合わせることが必要かなというふうに思っております。それから規制との間では、早い段階からの議論ができればなというふうに思っております。
 1枚おめくりいただきますと、高速炉開発の長期戦略について書かせていただいているというものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、高温ガス炉について書いてあります。これは下の絵に描いてありますように、水素製造や蓄熱など原子力で作った熱を発電以外にも使うというアイデアが出てきているところでございます。これについてもHTTRの早期稼働とか、規制審査に必要なデータの整備など、早い段階から議論できるようなことが必要だなというふうに思っております。
 次のスライドの7番目ですけれども、これは知識の共有ということで、JAEAさんと民間の協働によっていろんなデータを共有していく、あるいは設備だけではなくて、民間の融合のところに書きましたように、デジタル基盤、ソフト的なところも共有していくべきだと思いますし、ひとそろい全部国内でというのも難しいかと思いますけれども、民間の融合の4つ目、海外の窓口機能としてJAEAさんにご活躍いただければなというふうに思っております。
 1枚おめくりください。8番目としまして、低レベル放射性廃棄物について書かせていただいております。これは規制庁さまからも心強いお話がきのうあったばかりですけれども、これは国内で多数の大学とか企業がバラバラに保管しているということでありまして、これはかなり国全体としてリスクが高いなというふうに思っております。ここは下のほうで書かせていただいておりますように、処分の早期開始、それから集中管理なんかもいいのではないかなというふうに思っておりますので、この辺も中期計画の中で明確にしていただければなというふうに思っています。
 1枚めくっていただきまして、最後にまとめとして書かせていただいています。それぞれ繰り返しになりますけれども、このような目標、それからJAEAさんの期待、それから今後の議論に向けましては産官学の連携の強化とか、国際協調の体制については具体的にお話をしていくべきだろうなというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思っております。
 以上でございます。
【山口主査】 小澤委員どうもありがとうございました。それでは質疑に入りたいと思います。委員の皆さまからご意見やご質問がありましたらお願いいたします。では最初に中島委員どうぞお願いします。
【中島委員】 中島です。ご説明どうもありがとうございました。最後のまとめにもありましたけれども、新型炉導入に当たっての規制検討というような言葉が。これは8枚目のスライドですかね。昨日の規制委員会からのお話で、JAEAさんはテクニカルサポートオーガナイゼーションということで、規制委員会のサポートを安全研究センターで直にやっていると。、そこは当然規制する側にデータを提供して、事業者から出してきたものの妥当性を見るとかいうことに使われるのかなと思いますが、それに対して今度は事業者側から、民間側から規制の検討ということですが、これについて、もう少し具体的にどんなイメージかご説明をお願いできますでしょうか。
【小澤委員】 ありがとうございます。きのうも規制庁さんの発表のときに質問させていただきましたけれども、やはり新型炉については新しい技術が出てきているというところでございます。学会の中でも新型炉の議論が共通にやっているところだとは思うのですけれども、特に海外のデータをそのままというわけにはいかないと思いますので、そういったデータについては、例えばJAEAさんの場で得たデータを民間と規制側と共有しまして、早い段階から議論をしていくと、開発の目標も定まりますし、実際に規制の審査に入ったときにもスムーズに審査が進むのではないかなというふうに思っていますので、全体的な議論、概念的な議論のほかに、個別具体的な技術の中身に踏み込んだ議論がJAEAさんの場を活用して規制と民間でできればいいのではないかなというふうに思っております。
【中島委員】 ありがとうございました。JAEAだけじゃなくて、当然規制委員会等も巻き込んで一緒にというようなイメージですかね。
【小澤委員】 はい、まさにそうです。規制庁と一緒にということでございます。
【中島委員】 了解しました。ありがとうございます。
【山口主査】 今の中島委員のご質問にちょっと関連してお聞きしてもよろしいでしょうか。8ページのスライドが新型炉の実用化ということで、いろいろな今の新しいアイデアが出ているスライドになっているんですけれども、この中には規制検討の話はあるんですけれども、開発行為そのものの話はあまり書いていなくて、そこの期待についてはどういうふうにお考えでしょうか。
【小澤委員】 開発そのものについては民間の工夫でもって設計とかが進んでいるところだとは思うんですけれども、その中でそういった新しい技術がちゃんと機能するのかという点では、そういった開発を一緒にやっていくのかなというふうに思います。特に軽水炉については、どちらかというと民間のほうでアイデアが出てきて、JAEAさんの場で確証していくということになろうかと思います。逆なのが高速炉のほうで、むしろJAEAさんのほうで出てきた技術をどうやって実用化していくのかという、ちょっと方向性が時間軸的には違っているかもしれませんけれども、やっていかなければいけないのは共通の部分があろうかと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。では続いて寺井委員どうぞ。
【寺井主査代理】 実は2つ聞こうと思ったのは、今、議論があったのがその2つ目です。基本的には規制との連携、協調あるいはそのすり合わせ、それぞれの立場を堅持しつつどういうふうにやっていくのかというのが非常に重要なところかなというふうに思いまして、これはぜひ報告書の方でも強調していただきたいなというふうに思います。
 それから新型炉の実用化につきましては、今、高速炉の話と、それから軽水炉型のSMRの話がありましたけれども、それ以外の炉のタイプ、これについてはどういうふうにお考えかということ。それから高温ガス炉につきましてはJAEAさんのほうでかなり研究開発は進んでいまして、安全性実証試験等も再稼働後さらに行われるということですけれども、これを民間のほうの技術移転ということを考えたときに、どういうタイムスケジュールになるのかというところがもう一つのご質問でございますが、いかがでしょうか。
【山口主査】 小澤委員、よろしくお願いします。
【小澤委員】 ありがとうございます。まずはここではナトリウム高速炉と高温ガス炉の開発については2つほど挙げさせていただいております。軽水炉についても超小型のものだとか、あるいはナトリウムについても超小型だとか、さらにもっと別の新しい技術が、例えば溶融塩炉だとか、いろんなものがあろうかと思います。そこで特にナトリウム高速炉については、もんじゅの成果が出てきているというところ、それから10枚目に書きましたように、21世紀半ばの適切なタイミングにおいてというふうなことで、実用化が結構長い期間にわたるというふうに思いますので、もちろん民間からのアイデアというものは出ていくかと思いますけれども、JAEAさんの中で確証したものが着実に進んでいくということが重要かと思っております。高温ガス炉については、もうちょっと自由度が大きいのかなというふうに思います。
【寺井主査代理】 ありがとうございます。今度の7年の中期計画ということであれば、なかなか高温ガス炉をすぐに実用化というところまでいかないと思うんですけれども、それ以外のロングタームで考えたときに、高温ガス炉というのを民間ベースでどう考えるか。もちろん電力事業者が一番重要なキープレイヤーだとは思うんですけれども、基本的にはJAEAの役割というのは開発研究であって、それを実用化に持っていくのはその次の民間ベースだというのがこれまでの考え方でもあったと思うので、その辺の視点から考えたときに、高温ガス炉というのをどういうふうに捉えておられるのかということをお聞きしたいということでございます。
【小澤委員】 高温ガス炉については可能性を追求しているところでありまして、経済産業省さんのNEXIPでも幾つかのメーカーが取り組んでいるという状況であると思います。それから高温ガス炉の協議会も立ち上がっていまして、ユーザーさんの興味も引かれているというところだとは思うんですけれども、これがユーザーとなる企業体が実際にやっていこうよというところに行くまではもうちょっと時間がかかるのかなというふうに思いますので、その可能性の追求のフィージビリティとか基礎研究あるいは概念研究みたいなところはNEXIPのところで民間がやっていくんだろうなというふうに思います。それを補完する意味で、JAEAさんのHTTRを使った試験が早く進んで、可能性をもっと確かなものにしていくところがJAEAさんの役割だと思いますので、実用化まではもちろん長いとは思うんですけれども、この次の7年間にやることというのはもちろん出てこようかと思います。
【寺井主査代理】 ありがとうございました。以上です。
【山口主査】 ありがとうございます。今までの中島委員、寺井委員のコメントもそうなんですけれども、例えばアメリカなんかは国立研究機関のバウチャーみたいなのを出して、研究インフラを要は民間企業のそういう開発に活用していただけるようにとか、いろいろな関係の在り方というのがあると思うんですね。その辺はまた今後少し議論を深めていく重要なポイントかなと思いますので、またいろいろとご検討いただければと思いますので、この点はこのぐらいにしておきましょうか。よろしいですかね。
 では続いて矢野委員、どうぞお願いします。
【矢野委員】 今までのご議論といいますかご発表の一部なんですけれども、新型炉はいろいろあるんでしょうけれども、夢は夢として持って、やがてわが国は何年後、あるいは何十年後かもしれませんけれども、ベースロードとして原子力を使うというふうになっていけばなと思うとすると、安全というか、極端ですけれども、いかなる自然災害が来ようとも放射能を一切外に漏らさない。そういった炉を開発するといったときに、これはJAEAがそういうアイデアなりロードマップを出して、JAEAを通じて民間の企業に幾つか技術開発してほしいものを委託するスタイルなんですか。文科省がJAEAのプランを聞いて、それを実用化に持っていくにはどうこうという、細かいロードマップを作ってそれを民間に投資するということですか。民間自身が何かをやっているわけじゃないわけですよね。
【山口主査】 今ロードマップを誰が描くのかというお話で、小澤委員からはこういうふうに民間がいろいろなアイデアを出して開発を進めているというお話をきょう頂いて。小澤委員、今のご質問でそういうロードマップをJAEAで描いてという話と、きょう小澤委員がお話しされたのは、民間がいろいろなアイデアを出して開発を進めているという話と両方の点が今出てきましたので、その関係といいますか、民間、メーカーとしてお考えを簡単にお聞かせいただければと思います。
【小澤委員】 8ページ目の新型炉、軽水炉のほうでございますけれども、これは実用化になっている軽水炉をベースにしまして新しいアイデアということになろうかと思いますので、これは民間の主導ということになるのではないかと。
【矢野委員】 その民間の主導といったときに、民間が自分の資金を使って開発して、必ずこれはもうかると思うからやっているということですか。
【小澤委員】 もうかると思って、民間の資金も出しているというのは事実でございます。ただし、民間だけではできないところを国立研究機関であるJAEAさんに試験していただいたりというところが実用に近いところの話だと思います。
【矢野委員】 民間が主導でということですか。JAEAは民間から頼まれたことをやるという。
【小澤委員】 軽水炉についてはそういう話だと思います。高速炉についてはそういった時間軸ではなくて、とても民間の開発期間ではないような、何十年もかかるような話ですので、そこはJAEAさんの中で開発した実績もございますし、10ページ目の2つ目の21世紀半ばの頃のというふうに書いてありますけれども、これは最後に括弧の中で高速炉開発会議というものがありまして、これは経済産業省さん、文科省さん、JAEAさん、それから電事連さんとメーカーが一緒になって会議を開きましてロードマップを書いているという事実がございます。こういった官民が協力してロードマップを描いて、それぞれの役割の中で開発していくというスタイルが高速炉の例でございます。そのため、どっちか一方だけでという話ではないと思います。
【矢野委員】 なるほど。分かりました。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにご意見・ご質問ございますでしょうか。1番から何番までですかね。最後に人材とか知識の共有というような話、廃棄物の話、いろいろ説明いただきましたけれども、ご質問とか確認事項などございますでしょうか。
それでしたら、ちょっと私からお聞きしてもよろしいですか。この作業部会でも人材育成というのは割と重要な中心的なテーマなんですけれども、この後の原産協会のお話にも出てくるのかもしれませんが、民間企業としてもやはりこういう技術開発を進めていく上で、人材をどうやって確保するかとか、専門性をどうして育てていくかとか、あるいはなかなか新しくプラントが立たない中でどうやって技術を維持していくかとか、大変関心があるところだと思うんですね。その上で、JAEAはやはりそういう人材の育成を担うというのは非常に大きなミッションの一つでありまして、その辺の期待というのをもう少し具体的に。きょうお話の中では国際競争力とかそういう人材交流というお話があったんですけれども、具体的に、本当に民間でこういう開発を進めていく上で人材確保をするに当たって、JAEAにこんなことをやっていただきたいというようなものがあればぜひお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
【小澤委員】 きのう、きょうぐらいにいろいろと新聞でも出ているように、メーカーは特にものづくりが中心になりますので、実際に物を作っていくというところで人材が育っていくという事実がございます。一方で、例えば炉心燃料だとか、あるいは安全の確証試験だとか、そういったところはメーカーの中のものづくりだけではできる話ではないので、JAEAさんと一緒になって、核物理と言いますか核反応とか、そういったところは一緒になって、安全の確認だとか一緒になってやっているところかなというふうに思います。
 それから新しい技術については、JAEAさんが中心になってやっているところを民間も参加してやっていければ、もっとメーカーだけの努力ではできないところが補完されていくのではないかなというふうに思います。具体論ということでは、あまりここを具体的に情報収集していないので、きょうはこの辺かなと思いますけれども。
【山口主査】 ありがとうございます。その辺の関心があったのは、もう7~8年ぐらい前に自主的安全向上のワーキンググループというのを原子力小委員会の下で開いていまして。あのときの議論でいろいろとリスクガバナンスを構築して、安全に対する取り組みを充実させるという議論をしたんですが、一つの論点で、実はメーカーの方というのは安全性について非常に専門性のある方もいらっしゃるはずであって、優秀な方がたくさんいらっしゃるんだけれども、どうもメーカーのそういう人たちの意見とかリーダーシップがあまり見えてこないと。やっぱりメーカーの方がそういう安全の問題にどう関わってきて、どういろんな発信をしていくかというのは残された課題ですねと議論をしていたんですね。そういう意味で、ぜひこれからは次の世代の革新的原子炉の開発というところにも非常に深く関与していただくわけなので、そういうところをリーダーシップを取っていただける人材というのがメーカーの顔としてあればいいんじゃないかと思うので、そこはJAEAといろいろ協力しながら考えていただきたいなという要望です。
【小澤委員】 ありがとうございます。軽水炉でも新しい安全の考え方が導入されているというのもありますので、もちろんプラント全体の安全について考えなければいけないし、立地すると事業者さんと一緒に外部事象についてもいろいろ考えていかなければいけないなというところがあります。単独でというよりは、メーカーはシステム側からのアプローチであったりとか、アプローチする方向だと思いますけれども、そういったところで貢献できる可能性はあると思います。ありがとうございます。
【山口主査】 今度は寺井委員、よろしくお願いします。
【寺井主査代理】 低レベルの放射性廃棄物の処理処分のところで、これはきのうも規制庁さんのほうからご説明があったんですけれども、JAEAでの集中管理、ここのところはシナリオはできているようですし、それから原子力バックエンド推進センターもその辺の絵は描いておられるんだけれども、なかなかこれが進んでいかないというのは結構悩ましいなと思っていまして。大学にいたときも少し核燃料の管理とかやっていましたものですから、何とかそこを一歩でも進めてほしいなと強く思っているところでございます。もしそれが可能になれば、各大学、各研究機関で核燃料とかRIも含めて管理にかなりの人力とそれから費用を費やしているんですが、そこはかなりセーブできるというふうに思うんですね。それが最終的には日本全体の効率化につながるのかなというふうに思いますので、ぜひここの部分も取りまとめの中でしっかり書いていただくとありがたいなというふうに思った次第です。以上です。
【山口主査】 ありがとうございます。今の件はぜひご意見いただきたいと思っていたところで、きのうも大村審議官(原子力規制庁長官官房審議官)からそういうコメントがあって、私もいろんな大学や研究機関の多くのリソースを廃棄物のところに、管理のところに費やしているという実態があって、それはこの作業部会的に言えば研究基盤を脆弱にしていると。そういう意味では、せっかく持っているリソースをうまく使えていないというところなので、今回小澤委員からもそういうものをぜひやっていただきたいという声が上がりましたし、きのうの大村審議官と一致する方向性だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。寺井先生、ありがとうございました。
 他にはいかがでしょうか。では木藤委員、どうぞお願いします。
【木藤委員】 少し前に山口先生がおっしゃったところなんですけれども、人材育成のところを13ページの下のところに書いていただいて、施設の安全管理を前提に、官民人材交流、共同試験というふうに書いていただいているところがあります。官民人材というのがJAEAさんと民間、産業界との人材の交流ということで、これはすごく素晴らしいことだというふうに思って、大事なことだと思って伺いました。原子力機構さんの技術力などの持っておられるものに学ぶということもありますし、産業界のほうには日頃の仕事の進め方などがありますよね、知識はもちろんなんですけれども、時間のこととかコストのこととか、そういうところについての知見とか考え方を両者でよく交流していただくことで、迅速な、それから世界に競争力のある研究開発とか施設の管理の仕方とか、そういうところにいけるんじゃないかというふうに思いました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。産業界に期待するところというのは非常に大きいのだと思いますので、ぜひ今後とも引き続き日本電機工業会の中で検討を進めていただいて、うまくJAEAと連携していけるようにぜひお願いいたしたいと思います。小澤委員、どうもありがとうございました。大変貴重なお話をいただいたと思います。
【小澤委員】 ありがとうございました。
【山口主査】 それでは次のヒアリングに入ります。次は原子力産業協会からということで、人材育成部部長の喜多智彦様にいらしていただいております。では喜多様、ご説明よろしくお願いします。
【喜多原子力産業協会人材育成部長】 原産協会の喜多です。原産協会は産官学で作っております原子力人材育成ネットワークの共同事務局も勤めておりますので、人材ネットワークからの声も反映した形で意見を述べさせていただきたいと思います。
 最初の2ページ目ですが、これが本日ざっとお話ししたいところです。
 3ページ目にまいります。原子力機構に期待すると題しまして、われわれは原子力機構に非常に大きい期待を持っていることを説明したいと思います。 2050年のカーボンニュートラル目標に向けまして、CO2を排出しない大規模安定電源である原子力発電の役割の増大が期待されているところであります。このためには、例えば今後、革新炉やSMR等の研究開発が必要だと考えられますけれども、これは従来からの軽水炉の運転を支える人材を育てていくだけではなく、革新性を持った研究開発を行う人材の育成が必要になるということを意味しているのではないかと思います。この意味で、国費で運営されるわが国唯一の原子力研究開発機関でありますJAEAは、ぜひ誇りと気概を持って、かつ民間や大学と協力、連携して、民間や大学が独力ではなしえないような活動を期待するところであります。このために、長期的・継続的に人材確保そして人材育成活動へのリソースの投入が必要だと考えるます。
 4ページに移ります。研究開発を通じて人材が育成されますし、人材が育成されることで研究開発が進みます。つまり研究開発と人材育成は紙の両面の関係にありますので、表裏一体で進めていく必要があると考えております。例えば、革新炉SMRの研究開発を進めるためには、従来型の研究者だけではなく、技術を熟知したイノベーティブな研究者が必要だと考えます。
 国とJAEAが連携して原子力イノベーションを進めておりますNEXIPが始まっておりまして、JAEAには施設の提供や研究開発の実施など、役割に期待が集まっているところです。また、必要な材料の研究開発のためにはJMTRのような照射炉が将来必要になるのではないかと思っております。
 一方、産官学連携は強化の必要があると思っております。JAEA・大学・民間企業とも研究開発と人材育成のリソースが先細りになってきていることが現実だと思いますが、こういった中で効果的・効率的に研究開発と人材育成を進めるためには、協力と連携がキーワードになるのではないかと思っております。産官学が革新炉やSMRなど共通の課題について協力・連携して進めるためには、例えば産官学が連携して研究開発を進めるプラットフォームやフォーラムのような仕組みが必要ではないかと考えております。JAEAはこうしたフォーラム、プラットフォームの中核になり得る組織だと思っております。上記のこの仕組みというのは、JAEA、原産協会、JICCが共同事務局を務めております、産官学の連携の仕組みであります原子力人材育成ネットワークの下に作るのを検討することも一案ではないかと思っております。このことは2018年に総合資源エネルギー調査会・原子力小委員会に原産協会が提出した資料のなかで提案したものです。
 ご参考までに次のページで、原子力人材育成ネットワークとはどういうものかを簡単にご紹介いたします。官のほうは内閣府、外務省、文科省、経産省、さらに研究機関、電力、メーカー、地方行政機関、学会、大学、高専機構、関係団体、そして協力機関としてIAEAなどが人材の確保と育成で連携・協力する仕組みです。運営のためにはネットワーク運営委員会がありまして、その下に5つの分科会があります。また戦略的課題を話し合うために戦略ワーキンググループを作っております。この中でJAEA人材育成センター、原産協会、JICC、の三者が共同事務局を務めています。現在83機関がメンバーになっております。
 人材育成に関して、人材育成における留意点としまして、人材育成には継続性、標準性、効率性、また透明性、目標設定、評価、認証、国際性など、重視すべき多くの点がございます。次のページに、2018年の総合資源エネルギー調査会・原子力小委員会に原産協会から提出した資料を再掲載しています。これは人材育成の検討に当たっての留意点としまして、人材育成の取り組みを効率的・効果的に進めるために、その活動をシステム化しPDCAサイクルを回しながら行っていく必要があると提言しております。 
 「要件」につきまして、継続性としては、人材育成は長期的視点に立って、戦略的・継続的に取り組む必要がある。ですので、関係機関相互の情報共有、戦略の検討などを行っていく必要がある。そして標準性、効率性ですが、専門分野ごとに教育カリキュラムや教材を標準化することにより育成の効率化を図るとともに、能力レベルの相対比較や育成プログラムのベンチマーク化を可能とすることができます。また目標設定、評価、認証、教育訓練による到達目標を明確化し、個人の到達レベルを測定・評価して、これを資格認定制度につなげていくことが重要である。
 さらに透明性、説明責任ですが、原子力と社会との関わりということで透明性、説明責任が問われますので、資格認定制度の導入など、原子力に携わる者の資質能力の透明性を図り、社会に対して説明責任を果たしていく必要がある。また国際性という意味では、原子力は技術もビジネスもグローバル化しておりますので、海外の事例に学び、国際機関などとも連携して、国際的な標準と整合性の取れたものにしていく必要があるというふうに考えます。
 9ページにまいります。これからちょっと具体論ですが、JAEAの行っておられる人材育成活動で、人材ネットワーク、われわれが関わっている部分について簡単に述べたいと思います。JAEAでは原子力人材育成センターのほか、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)などで人材育成を行っております。原子力人材育成センターでは、国内講習、国際研修、大学連携、学生受け入れなどを行っておられますし、ISCNは3分野のコースおよび大学との連携により人材育成を担っております。いずれもリソース、資金、人材の不足問題に直面しているところであります。これが左側はホームページから、左右とも元はホームページから取ったもので、人材育成センターは初級・中級・上級、それで分野別にコースを持っておられる。ISCNのほうは核セキュリティコース、保証措置・国内計量管理制度コース、核不拡散に関わる国際的枠組みコースなどで人材育成を行っておられるということです。
 11ページにまいります。次のページは人材育成ネットワークの加盟機関に、JAEAの人材育成活動について評価・要望を聞いたものをまとめたものです。まず、原子力人材ネットワーク関係者からは、JAEAの人材育成活動を大変評価する声が寄せられております。原子力研修核セキュリティコース、東大の原子力専攻の講義や、実験・実習などに参加し、技術的能力の向上に活用している。各分野の専門家による講義や実習を通して、普段の実務を行う上でのベースになる知識・技能の習得に役立てている。これはある電力会社の意見です。大学では放射性物質や核燃料を用いた実験施設の維持が困難になっている中で、JAEAでそのような実習を開催していただき、学生の教育と将来の研究者を育成する上で貴重な場となっている。これは大学からのご意見です。次に、夏季実習生など先端の研究に触れる機会もあり、将来有望な若手人材の意識の向上などにも大いに役に立っており、これらも継続していただきたいという大学からのご意見。
 このようにJAEAの人材育成というのは高く評価されているわけですが、それに加えて以下の期待・要望が寄せられております。民間の人材育成はどうしても実務とつながっていますので、長期的であるとか戦略的に人を育ててるところや、基礎的分野にはなかなか手が回らない。そこで、日本として戦略的に維持が必要な領域には、JAEAが国研として国の政策に沿った人材育成や共同研究プログラムを提供する役割を持っていることを明確にしていただきたいというメーカーからのご意見。次に、JAEAは人材育成事業を先ほどご紹介しましたようにいろいろ行っておられますが、これらを定期的に棚卸しし、これらをどのように役に立てるのか、また十分な分野と、まだ足りなくて新たなニーズが出てきているような分野、これらを定期的に議論し評価していただきたいというご意見。これもメーカーですね。次は選択と集中により失われた研究分野の有用性が再認識された場合、再び以前のアクティビティを取り戻すのは非常に難しい。アーカイブ等の伝承手段が必要で、これに大学側がアクセスでき、若手研究者育成の効率化ができるといいという大学のご意見。ニュークリア・ナレッジ・マネジメントの強化をお願いしたいということです。
 こうした人材育成ネットワークからの声も踏まえまして、次のような視点が必要なのではないかとまとめました。
 第1には、大学との連携強化が重要であることです。大学の原子力教育研究が組織・人材・資金・設備・カリキュラム等で先細りになりつつあるのは、岡・前原子力委員長がおまとめになったとおりだと思っています。これに対して、大学とJAEAとの協力・連携強化により、補完が可能になる場合があるのではないかと思います。これはまたJAEAの将来の研究者・技術者の確保にもつながるのではないかと思います。
 2番目として、技術人材が非常に重要であること。原子力技術は総合的、巨大な技術体系でありますので、研究開発には大規模な施設の建設・運転・保守が必要であります。研究開発を進めるためには、もちろん質の高い研究者が必要ですけれども、それだけではなく、必要な施設を支える質の高い技術人材・技術者の確保と育成の強化が重要であると考えております。そして今後もこういった技術人材の確保、育成活動へ長期的・継続的な人材資金の投資をぜひともお願いしたいところです。
 以上が私からの意見でございます。ありがとうございました。
【山口主査】 喜多様、ありがとうございました。それではまた質疑に入りたいと思います。では佐藤委員、どうぞお願いいたします。
【佐藤委員】 先ほどのお話もそうなんですけれども、今現在、人材が足りているのか足りていないのかということから、今後足りるのかどうか、育成すべき人材は集まるのでしょうかということも、一つ議論を通じて、国として議論していく必要があるんじゃないかなと思います。これは産業界から見ても大学から見てもそうだと。たぶん大学はそれで講座の数が決まったり、そういうことになってくると思います。各分野の人材それぞれどれぐらいの人間が必要なんだろうかと。この人材育成で、こういう問題で、これは航空機でもロケットでも何でも同じような問題があって、常にそのときに必要なのは、一体どういうレベルの人間がどの程度必要なのかということが最後は議論になるかと思いますが、その辺は産業界として、それからまたJAEAとして、国としてどのように考えておられるんでしょうか。
【山口主査】 ありがとうございます。実はこの作業部会の前に人材の作業部会というのをやっていまして、それと研究基盤に関するものと2つ合わせた作業部会になっていて。前の人材の作業部会では、その結論のところで、今後やっぱりどういう人材が必要になってきて、どういう分野が足りないのかという、そういう出口戦略のところが重要なんだと。今、喜多様から戦略的に人材を育てるというお話があったんですが、そういう提言をしておりました。ですから、もしできましたら文科省のほうからも後でぜひお答えいただきたいと思います。前の人材育成の作業部会の報告書の中には、結論としてそういうことが、まさに今佐藤委員がご指摘になった点があったかと思います。その後の状況がもし分かりましたら、原産協会のほうから、あともし、今ご指名ありましたので、JAEAからもどういう人材がどのぐらい必要なのかという、その数字がどの程度押さえられているのか、情報がありましたらお話しいただければと思います。
 喜多様、まずいかがでしょうか。
【喜多原子力産業協会人材育成部長】 この問題は実は度々取り上げられる問題なのですけれども、なかなか難しいところです。ただ現在、内閣府と経産省がこの分野で委託調査を行おうとしていまして、われわれもご協力しているところです。肌感覚で特に産業界という意味から言いますと、原子力専業の企業や地方にある企業、こういうところは圧倒的に人が足りていない。一方、大企業、総合的に事業を展開しているような企業、それと恐らく電力会社はそこそこに人がいる、それでも恐らく足りていないとは思うのですが。ただ、人材確保の問題は原子力産業だけではなくて、最近の、産業間での人の奪い合いという面が非常に大きいと思いますね。日本は何で飯を食っているかというと、やはり自動車産業というのが圧倒的な国際的競争力を持っていまして、そこに技術人材が非常に吸い取られていく。ほかの産業は自動車産業と人を取り合わなければいけないというような状況です。原子力人材と言いましても、例えば電力でもメーカーでも原子力専攻の学生は2~3割程度、残りの7~8割は機械・電気、またほかの工学分野から来ていますので、特にそういった分野の人材はほかの産業との取り合いが激しいという状況です。定量的にお答えできなくて申し訳ないんですが、あと何年かたつと、もう少し定量的なお答えができるようになるかなと思っているところです。以上です。
【山口主査】 肌感覚ということなんですが、大変参考になると思います。どうでしょうか。JAEAあるいは文科省のほうから何か補足がございましたらお願いしたいと思いますけれども、どうでしょう。
【門馬原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長】 JAEAの門馬です。
【山口主査】 よろしくお願いします。
【門馬原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長】 きょうはさまざまなご意見、大変参考になっています。今の人材育成についてですが、われわれ震災以降いろいろ施設も止まっている状態で、なかなか資源としての予算も人も右肩下がりの状況ですが、今後、われわれがどこを目指していくかという、まさにこのような議論にもよるんですけれども、例えば今月からJRR-3が動き出すというような、止まっていた原子力施設が次々と運転再開をしていくというようなことも考えますと、人それから予算含めて、やはり一定程度、肌感覚で言えば1割ぐらい増を目指していくという姿が必要なのではないかというふうに思っております。以上です。
【山口主査】 ありがとうございます。
【鈴木原子力課室長】 文部科学省からも少しお話しさせていただければと思います。
【山口主査】 鈴木さん、ぜひお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】 前期の作業部会で、今後ご指摘のあった人数等について調査をしていくという話をしていたかと思いますが、それについては、今期の作業部会で人材イニシの話をするときに議論をしたというふうに思っております。その際には、やはり国の政策によっても今後何人程度必要なのかということは大きく変わるんじゃないのかという中で、国の政策がまだはっきりしていない段階で、何人かというのを決めたりするということは難しいのではないかということで、調査についてはいったん見合わせるという方向になったと思ってはおります。人材イニシの成果なども見つつ、今後どういった人材が必要なのかについては継続的に検討していきたいというふうに思っております。以上です。【山口主査】ありがとうございます。とはいえ、政策が決まらないと決められないと言っているといつまでたっても始まらないので、佐藤委員のご意見を頂いたところもあり、今後もぜひ把握していって効果的にこういう政策が効果を発揮するようにお願いしたいところだと思います。
【佐藤委員】 佐藤ですけれども、よろしいですか。
【山口主査】 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 これはかなり本当に真面目に考えなきゃいけない問題で、どこの分野でも人材は必要だし、人材を育てたいという一般論は出てくるんですよ。人材が足りないと、例えば私は昔産業界におりましたので、産業界ですと産業の集約を行わなきゃいけないんですね。今後の産業規模を見て、それに合わせて人を集めるためには、結局企業同士とか分野ごとに合従連衡しなきゃいけないという問題にも発展してきますので、もう少し国としてきちっと考えないと、全員がそろってぼそぼそとつぶれてしまうということになりかねないので、そういう発言をさせていただきました。よろしくお願いします。
【山口主査】 ありがとうございます。たぶんそういう問題意識は前の人材作業部会でも皆さん共有していて、この中も来馬先生とか木藤委員とか一緒に議論したところで、ぜひ文科省さんにはその辺を少し、ちょっと本気度を上げていかないといけないと思うんですよね。ぜひよろしくお願いします。
今、手が挙がっていらっしゃいますが、では木藤委員に先にご発言いただいて、それから寺井委員にお願いしたいと思います。
【木藤委員】 人材が必要、足りるかというと、本当にずっと長い間話し合いをされていて、当然ながらのご質問でもあります。前の作業部会のほうでもありまして、今、文科省さんのほうからご説明のあったとおりというところなんですけれども。話は戻らないと思うので言いたいんですけれども、足りるか足りないかというと産業界も研究機関も工夫して採用活動をされているので、数から言えば足りなくはない状況を一生懸命維持しているというところかと思います。ただし、本当に分野的に欲しい人材が来てくれるかどうかというところが、そこが問題だと思います。うちは原子力の子が欲しいんだけれどもなかなか来てくれない、大学で原子力を学んだ優れたほうの学生さんは別の業界に流れるとか、そんなことも。
 つまりこの原子力業界に元気がないと、そんな状況になる。どの業界もそうなんですけれども、業界に元気がないとそんなことが起きていて、それがあまり続くとやはり人材の先細りというような心配が当然出てくるということでございます。逆にメーカーさんだと電気とか機械の人が欲しいんだけれどもなかなかそれを採れないとか、それは実際にそうした声をずっと聞いてきております。それも企業に元気がないから、その先が見えてこないから、なかなか学生がよそを向いて、元気のいい自動車とかに行ってしまうとか、そういうような一般的な学生の動きというのがあるので、そうだったら、本当に企業が人を欲しいんだったら給料を上げればいいんじゃないかという、そういう短絡な意見は当然あるわけで、考え方もあると思うんです。ですけれども、それもいろいろあるので、さきほど佐藤先生のおっしゃったように、産業が縮小しないようにというか、企業の技術力がちゃんと残せるように、いろいろ国を上げた施策を今取り組んでいただいているのかなというふうに思っております。ぜひ学生にとり魅力ある業界でいていただきたいというふうに思っております。
【山口主査】 ありがとうございます。一応、きょうはJAEAへの期待ということなので、そういうご意見がいろいろあるということを参考に、門馬さんにはご検討いただければと思います。それからもう1点、この作業部会は、元々は複数の作業部会を、研究開発・基盤・人材というのはお互いに非常に関係しているので一緒に議論すべきだということでまとめたんですよね。ですからその処置はぜひ大事にしていただいて、大学の教育から産業界で活躍する人、それから研究開発のインフラとかそれを支える研究者・技術者、そこをリンクして議論をしないと意味がないので、ぜひ政策が決まってから考えましょうというスタンスではなくて、平行にいろいろ進めていただけるようにお願いしたいなというふうに思います。
 では寺井委員、どうぞ。
【寺井主査代理】 私の質問は原子力人材育成ネットワークに関するものでございます。きょうの資料の5ページから6ページぐらいの辺りなんですけれども、一つは5ページの3つ目のぽつですかね。基本的には産官学連携研究開発プラットフォームというのは重要なことだと思いますし、そういった意味での協力と連携を通した教育というのも、人材育成というのは非常に大事だと思います。JAEAがその中核になり得る組織であるというのもそのとおりだと思います。ただ、その次の3つ目のぽつの、その仕組みを原子力人材育成ネットワークの下に作るというところはちょっとぴんとこなくて、その次の参考資料を見ると、このネットワークそのものはオールジャパンでやっておられるので、そういうスタンスはいいと思うんですが、研究までそこでやるのかというのはややふに落ちないなというのが1点です。
 それからもう1点は、先ほど鈴木さんのほうからありましたけれども、人材イニシアチブが文科省の直轄事業で進んでいまして、それがこの全体の中にどう位置付けられるのか。ここのところはPD・POの先生方が人材育成ネットワークの運営委員会の方々といろんな議論をしながら協調してやっていかれるというふうに承っておりますけれども、その辺の関係が私自身あまり明確に理解できていないというところがありますので、今申し上げた2点をお伺いしたいと思いますがいかがでしょうか。
【喜多原子力産業協会人材育成部長】 まず第1点目なんですけれども、おっしゃるとおりで、人材育成ネットワークというのは特に法人格があるものでもなく、予算があるわけでも、専任のスタッフがいるわけでもない、一種のフォーラムですので、カチッとしたことをこの下でやっていくというのは無理があるものですね。現在のやっている活動も、情報共有、それからみんなで同じ方向を見ながら、情報を共有しながら人材育成を進めましょうというフォーラムを作っているわけですので、研究開発についてもそういった趣旨のものであれば、情報交換の会とかフォーラム的な機能は持てるのではないかと思います。一番大事にしたいのは、やっぱり産官学が連携して、同じことを考えながらやっている仕組みがありますので、そういった仕組みの下で研究開発についても同じような趣旨でできるのではないかというのが第1のご質問です。
【山口主査】 第2のご質問は文科省がいいですかね。寺井先生。
【寺井主査代理】 はい。文科省からでも結構です。
【鈴木原子力課室長】 人材育成ネットワークの活動は幅広く、、原子力全般にわたっていると思っております。人材育成イニシについては、特に大学教育等を中心として、この予算を使って具体的な事業を実施するものになっております。位置付けとしては原子力人材育成ネットワークのほうが大きくて、人材イニシでやっている具体的な事業はその一部ではないかと。連携については十分取ってやっていくということかと思っています。人材育成ネットワークさんからも、例えば人材イニシのやっている事業について、企業がどう思っているかの評価みたいなところで協力できるのではないかなどのご意見も頂いておりますので、今後も協力してやっていきたいと思っております。以上です。
【寺井主査代理】 ありがとうございました。ご回答は以上で結構です。1つ目のご質問に対するご回答ですけれども、要は人材育成ネットワークと書いてあるけれども、人材育成にかかわらず、産官学のフォーラムみたいなものがうまく機能して、その中で研究協力みたいなものもちゃんと動けばいいねという、そういうふうな理解かと思います。だからあまりここは、新しく5ページ目の3つ目のぽつというのは、原子力人材育成にあまり特化しないで、原子力業界全体を含んだようなフォーラムみたいな構成の下に産官学連携を位置付けるといいんじゃないかと、そういうふうに理解をしましたけれども、それでよろしいですか。
【喜多原子力産業協会人材育成部長】 それで結構でございます。最近われわれも高等教育分科会という大学の先生の部会、それから実務分科会という産業界の部会がございまして、最近われわれもこの間で意見交換の会を定期的に開こうということで、1回目をやってみたんですけれども、いかにお互いがよく分かっていなかったとかいうことが分かったと。しょっちゅう会っている同士なのでお互いに分かっているかというと、実はそこまで深くは分かっていなかったと。今後もこういった意見交換をやっていこうというので、こういう分野をまたぐ意見交換と連携を通して協力の枠組みを作っていければなというふうに考えております。
 以上でございます。
【寺井主査代理】 ありがとうございました。よく理解できました。以上です。
【山口主査】 どうもありがとうございます。ほかにご意見・ご発言ございますでしょうか。特に手が挙がっていないようですが、よろしいでしょうか。
 それでは以上でヒアリングを終了したいと思います。ありがとうございました。
 本日予定していたヒアリング、きのうも含めまして、以上で終了になります。全般を通して、最後に委員の皆さまから何かご発言ございますか。
【来馬委員】 来馬ですけれども。
【山口主査】 どうぞ。
【来馬委員】 今の続き的な点でもあるかもしれませんが、大学で原子力人材の育成、特に福井でやっている場合に、国際的なとか、あるいは研究炉というか原子炉とか、そういう部分がやはり福井もJAEA、もんじゅ、ふげん等人材がたくさんいらっしゃいますので、そういう人たちにたくさん協力をいただいて、一緒に例えばフランスとかそういうところとの連携を手伝っていただく、あるいはいろいろサポートしていただくということをやっていますので、やはりここで、今、喜多さんが提案というかここに書かれているように、JAEAがやはり果たす役割は非常に大きいと思いますし、持っているポテンシャルも大きいと思います。ただ、やはりフランスにもCEAがあって、INSTNがあってというようなところを見ると、何かやはり地域間のばらつき、茨城ではできることが敦賀ではどうなんだろうとかいう。もう少し全体で役割分担なのか、あるいはここでも同じようなことができるとか、やはり日本全体を見たときの人材育成の中心的役割を果たすという部分は、JAEAがやはり研究開発というところは当然ですからそれが中心になるんですけれども、やはり日本の人材育成の中心的機関として、どこにいても、例えばフランスでINSTNなら大学の学生あるいは教員、一般の高校であれ、いろんなそういうものをうまく教育の中に取り込んで原子力教育をするというようなことはよく聞く話なので、日本がそこまでJAEAがやれているのかなというふうに。ここのそれぞれの研究拠点では、部分的にはやっているという印象は強いんですけれども、もう少しJAEAの役割として日本全体をここが中心となって担う基幹的な教育、人材育成センターというものがちょっと弱いように私は感じるので、その点についてはどうこれからされようとするのか、あるいはもう今で十分なのかというのが感じて、今、質問というか意見を言わせていただきました。
 それともう1つ、電事連さん、あるいは先ほど原産協会さんからもありました、人材が不足しているのか足りているのか、あるいは足らないのかという話はややあったと思うんですが、現実、現場を見るとやはり足りていないんじゃないかなと思います。
 電力でさえ足りないのだから、その関連する協力企業はもっと足りないというのが現状のような気がします。それはやはり再稼働とか、現場で非常に多くのタスクというか仕事が集中していますし、それも時間に追われている。そういう中で、十分なそれを担うだけの人材、量なのか質なのか、そこをもう少し考えて。もちろんそこだけでもないわけですけれども、大学にいると、あるいは現場を見ると、人が足りないという状況が相当厳しいなと。もちろん原子力屋だけの問題ではないんですけれども、先ほど喜多さんがおっしゃったような全ての分野で、やっぱり原子力に対する魅力の問題なのか、そういうところもまたぜひどう考えてくれるかを議論していただきたいなと思います。
 すみません。長くなりましたがよろしくお願いします。
【山口主査】 どうもありがとうございます。続いて矢野委員どうぞ。
【矢野委員】 原子力機構へのお願いというか期待なんですけれども、これは私は加速器という分野にいますので、加速器の分野から見た原子力開発についてのことです。原子力というのは、とにかくややこしいのは放射能なんですよね。これは唯一この分野の持っている、極めてポジティブであるけれども極めてネガティブなものを抱えている。それと核のごみですよね。この2つを何とかしないと、少なくとも日本国においては国民がなかなか原子力万歳というふうにはいかないと思いますけれども、原子力機構についてはぜひとも原子力がいかに役に立つのか、ここをベースロードに持っていると日本はいかに電力的に安全なのかということもしょっちゅう訴えられていますけれども、そういうとこに向けた研究開発に集中すべきじゃないかと。総花的にやると今の時代はなかなか苦しいと思います。ですから新型炉の開発を原子力等が中心になって、大学等々を共同研究者にでも全部なってもらって、大いに明快なビジョンを描いた研究開発をやっていただきたい。
 それともう1つの核のごみの問題。一つも今回出てきませんけれども、核のごみの問題というのを何とかしないと、やっぱり原子力が国民に納得されないと思うんです。もちろん地層処分というのは、これはこのまま行けばいいんだろうと思いますし、サイトに処分するというのもあるでしょうけれども、何とかして原子炉なり加速器を使って、これを半分なり、できれば10分の1ぐらいまでに減容化する。そういう技術開発をやっていくべきじゃないかと思いますね。そういうことをやろうとすると、やっぱり原子力も学会の中だけではなくて、広く理学部系の現職の研究者たちも応援して、この難問にチャレンジして、日本の原子力技術は世界に冠たるものであるというようなところまで持っていっていただきたいと思います。これはお願いです。以上です。
【山口主査】 ありがとうございました。では続いて木藤委員。
【木藤委員】 今回のきのう、きょうでステークホルダーからJAEAさんへの期待というのがたくさん表明されましたので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。もう一つ、どんな分野をということと別ですけれども、信頼される組織になるというところを改めて特にお願いしたいというふうに思います。日本で唯一、代表的な原子力研究組織であります。もんじゅというのを持っておられて、そこをなくさなくちゃいけないということに急になったりもしました。こうしたいろいろな過去の経験も積まれてきているところで、新しい計画を生み出すというところでございますので、ぜひとも人々に信頼いただけるような組織として、今まで上がったさまざまな取り組みに取り組んでいただけたらなというふうに思います。以上でございます。
【山口主査】 ありがとうございます。では、寺井委員お願いします。
【寺井主査代理】 ありがとうございます。幾つか、この2日間伺っていまして感じたことがございますので、ご質問も含めて申し上げたいと思うんですけれども、この2日間、ステークホルダーからのヒアリングということで、いろんな要求とか期待が示されたわけですけれども、原子力エネルギーあるいは核分裂が主なターゲットだったと思います。かたやJAEA2050+を見ると、やはり原子力機構の今後の方針としては、素粒子物理とか物性科学とか、中性子も含めた分野とか、あるいは医療とかバイオ、この辺のところもスコープに入っているようですし、加速器、放射線利用なんかもかなり重要なテーマとして挙がっているというふうに思います。具体的なハードの設備で言えば、もうすぐ再稼働されるJRR-3とか、あるいはJ-PARCとか、こういうものが挙がっていると思うんですが、この辺についてのヒアリングというのはまた別途あるのか、あるいはこの委員会で取りまとめた後に、さらにほかのところ、放射線利用なんかは原子力課じゃないんですが、そういうところで同じようなヒアリングがあって、最終的に取りまとめられるのか、この辺の辺りがどうなっているのかというのは、これはむしろ事務局かもしれませんが伺いたいというふうに思います。
 それから今回取りまとめられたものを総花的に書いたとしても、資金とかマンパワーが当然限られていますし、JAEAは廃止措置をやる設備が半分ぐらいあるという話も聞いていますので、実際にどういう形でそれを時期の中期計画に取り込んでいかれるかというのは、もちろんJAEAのお仕事だとは思うんですけれども、その辺りどういうふうな位置付けに、今回取りまとめになるのか、この辺りのところ、分野の問題といいますか観点と、それから今後の取り扱いの観点についてお伺いしたいと思いますがいかがでしょうか。
【山口主査】 これは文科省から答えて、放射線利用についてはどう整備するかという話と、廃止措置もいろいろある中で優先度を付けた上でどう整理するかという、そういうポイントかなと思いますので、文科省からお答えいただけますでしょうか。
【松浦原子力課長】 松浦です。まず、最初のご質問についてですけれども、今回の今の任期が今月で終わって、次の任期になるので、その次の任期のときの持ち方についてはこれからいろいろご相談にはなるんですけれども、事務局としては、これまでのステークホルダーからのご意見を受けて、JAEAとしてどういうふうに進めようかと、どう考えているかというのをプレゼンする機会はあってもいいかなとは考えていましたので、今、寺井先生からあったご意見を踏まえて、どうしていくかはまた先生方とご相談しながら考えたいと思います。
 あと廃棄物についてですけれども、少なくとも低レベルの放射性廃棄物については機構法が改正されまして、それに基づいて処分の基本方針とか、実際の処分に向けた計画、そしていろんな設計をする基準作りとか、そういったものを今やっています。他方、どこに処分するかという立地の問題について、やはりいろいろ地元の住民とか自治体のご理解というのは非常に重要ですので、文科省としても実施主体である原子力機構と一緒になってしっかり取り組んでいきたいと思います。また核燃料物質とか核原料物質の集約についても、きのうもご意見がありましたけれども、機構法の中では機構の業務に支障のない範囲で委託を受けてやることができるという規定になっておりまして、実際政策としてそういう核燃料物質・核原料物をどうするかということについて、まず費用負担のあり方とか実際のプロセスを含めてどうするかという、国の中でしっかり検討する必要があるのかなと。そういう議論があって、原子力機構がそこにどう絡むかということになると思いますので、この辺りは中長期目標に書くべきことがどれだけあるのかというところも含めて検討したいというふうに思います。以上です。
【山口主査】 ありがとうございました。
 それでは本日は大変活発なご議論をいただきましてありがとうございます。いろいろヒアリングの結果を踏まえて、今、松浦課長からお話しいただきましたように、今後とも原子力機構の今後のミッションの検討を続けていくものと理解してございます。
 では最後に事務局から連絡事項などをお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 昨日、本日とヒアリング対応どうもありがとうございました。先ほど課長の松浦からも申し上げましたけれども、本日の作業部会がこの第10期の活動として最後となりますので、最後にお時間頂きまして、研究開発局担当の審議官でございます堀内から一言ご挨拶させていただきます。
【堀内研究開発局審議官】 今、紹介に預かりました堀内です。よろしくお願いします。
 本日でこの部会は一区切りということですので、一言お礼を述べたいと思います。
 この部会は第5次エネルギー基本計画で示されました原子力分野のイノベーションの実現に向けた産官学の垣根を越えた人材技術、産業基盤の強化を進めるということで、今期からの新しい枠組みでということで議論をさせていただいたということでございます。この中でいろいろな成果を上げてこられたというふうに思っておりまして、例えば人材育成については、国際原子力人材育成イニシアチブ事業の見直しをしっかりやっていただきましたし、また原子力システム研究開発事業の見直しについては、経済産業省との連携を進める中での方針を打ち出していただき、近いところではもんじゅサイトに設置する新たな試験研究炉の炉系や進め方についてご議論いただき、それについて概念設計に着手するというような段階に現在なってございます。当面の重要課題であります原子力機構の中長期目標、中期計画でありますけれども、こういったものの策定に向けて、本日非常に活発なご議論をいただきました。本当にありがとうございます。今、きのうきょう含め広く頂いたご意見については、来期、次の部会のほうに引き継ぎさせていただきまして、本日いろいろ多くのご意見を頂戴しました人材育成についても、これを含め議論をしっかりと進めていきたいというふうに思っております。
 最後になりますが、山口主査始め委員の皆さま、本当にこの部会で活発なご議論を頂戴しましてありがとうございます。今後ともこの原子力分野への支援、ご指導を賜れればというふうに思っております。ありがとうございました。
【長田原子力課長補佐】 最後に、よろしければ山口主査からも一言ごあいさついただくことは可能でしょうか。
【山口主査】 本日はと言いますか、第10期含めて非常に良い議論をしていただいたと思います。皆さまのご協力と、あと積極的な会議をしていただいたことに心よりお礼申し上げたいと思います。
 それで、今、10期がこれで終わるということで、私も10期が終わるというところで原子力科学技術委員会を退任ということにさせていただくことになります。もう初めて原子力科学技術委員会に加わったのは、たぶん平成23年で、震災の辺りの頃で、あのときを思い出しますと原子力政策を少し根本的に見直すということで、原子力科学技術委員会でも優先度の高いものを取り組んでいって、しっかり状況を見極めながら今後の形を見据えていくというところで、言ってみればゼロからスタートしたような状況で。あのときに廃棄物関係とか核セキュリティ関係とか幾つか作業部会を立ち上げたり、それから核融合関係は別の委員会ができて、その後もんじゅの作業部会とか、あと高レベル廃棄物の減容・減毒の委員会とか、それからこの研究・基盤・人材ということで、いろいろな作業部会の中で、10年前と比べるともう一度原子力科学技術のこういったいろんな政策がしっかり動き出し始めたんじゃないかなというふうに思ってございます。
 ということで、今後ともぜひ文科省の皆さまには、私も大変お世話になりましたけれども、引き続きこの中から科学技術政策として原子力の分野が一層発展するように、盛り上がるようにやっていただきたいというふうに切にお願いする次第ですし、委員の皆さまにも毎回なかなかタイムコントロールするのが大変なぐらい活発にご意見を頂いて、大変素晴らしかったと思います。ということで、あいさつというほどでもないんですけれども、たぶん10年ぐらいですかね、やっていて、恐らく委員の皆さまも全員最初のときとは違う方ばかりになっているんですけれども、大変お世話になりました。ありがとうございます。
 今後とも引き続きもり立てていただければと思います。
 以上で私からは終わりにしたいと思います。
【長田原子力課長補佐】 山口主査、本当にありがとうございました。引き続きいろいろな形でまたお世話になると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 本日の作業部会の最後に簡単な連絡事項だけさせていただきます。本日の議事録につきましてはでき次第メールにてご確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。また4月以降の本部会の開催等につきましては、改めて各委員にご連絡させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 それでは本日の第7回原子力研究開発・基盤・人材作業部会をこれにて終了とさせていただきます。皆さま本当にどうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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