原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第6回) 議事録

1.日時

令和3年2月9日(火曜日)10時30分~12時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 原子力機構次期中長期目標・計画策定に向けたステークホルダーからのヒアリング(対象機関:電気事業連合会、日本原子力学会、原子力規制庁)
  2. その他

4.出席者

委員

山口主査
寺井主査代理
五十嵐委員
小澤委員
木藤委員
来馬委員
佐藤委員
中熊委員
中島委員
矢野委員

文部科学省

松浦 原子力課課長
長田 原子力課課長補佐
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)

オブザーバー

大村 原子力規制庁長官官房審議官
門馬 原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第6回)
令和3年2月9日

【長田原子力課長補佐】 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、第6回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催させていただきます。
 今回も新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインの開催にしております。これに関連した確認事項などもありますので、まず議事に入る前まで事務局にて進行させていただきます。

[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]

 以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続いて、配布資料の確認をさせていただきます。
 今回は、委員の皆さまおよび傍聴の登録をされた方宛てに、事前にメールにて配布資料をお送りさせていただきます。会議中、遠隔会議システム上では資料を表示せず、各自のお手元にて資料をご確認いただきます。
 配布資料は資料の1から3および参考資料の1から3になります。
 それでは、委員の皆さまのご出席を確認いたします。本日は、全員の委員の方に出ていただいております。山口主査。
【山口主査】 聞こえております。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 よろしくお願いします。次に、主査代理の寺井委員。
【寺井主査代理】 おはようございます。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。次に、五十嵐委員。
【五十嵐委員】 聞こえております。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 よろしくお願いします。次に、小澤委員。
【小澤委員】 よろしくお願いします。小澤です。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。次に、木藤委員。
【木藤委員】 木藤です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 次に、来馬委員。
【来馬委員】 来馬です。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。次に、佐藤委員。
【佐藤委員】 佐藤です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。次に、中熊委員。
【中熊委員】 中熊です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。次に、中島委員。
【中島委員】 中島です。よろしくお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 お願いします。最後に矢野委員。
【矢野委員】 聞こえております。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 皆さま、ありがとうございます。本日10名にご出席いただいておりますので、定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
 今回の作業部会では、本日と明日の2回に分けて、原子力機構における次期中長期目標・計画策定に向けたステークホルダーからのヒアリングを行います。ヒアリングを行う経緯や目的については、これまでも作業部会にて議論を行ってきましたが、原子力分野の研究開発・基盤・人材の発展に関し、わが国唯一の原子力分野の国立研究開発法人である原子力機構の役割は重要な論点となっておりますので、今回のヒアリングにおいてステークホルダーから多様なニーズを聴取した上で、今後の機構の在り方について検討していくこととしております。
 ヒアリング対象機関は、本日9日は電気事業連合会様、日本原子力学会様、原子力規制庁様、明日10日は日本電機工業会様、日本原子力産業協会様となっております。ヒアリング時間ですが、1機関当たりプレゼンが10分、質疑応答20分の計30分を予定しております。
 また、本日はプレゼンのため、原子力規制庁の大村哲臣長官官房審議官にご参加いただいております。
 また、質疑応答の際の事実関係の確認等が必要な場合に備え、原子力機構から事業計画統括部の門馬利行部長にもご参加いただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【門馬原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長】 よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】 それでは、以降の進行につきましては、山口主査、お願いできますでしょうか。
【山口主査】 皆さま、おはようございます。東京大学の山口です。
 それでは、今ご紹介いただきましたとおりの手順でヒアリングを進めたいと思います。
 まず、電気事業連合会から、こちらは電気事業連合会の原子力部長の中熊委員、作業部会の委員でいらっしゃいますので、中熊委員からご説明いただきたいと思います。
 中熊委員、よろしくお願いいたします。
【中熊委員】 中熊でございます。本日はお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
 それでは、早速ですけれども、資料に基づいて簡単な説明をしたいと思います。
 まず、スライド1ですけれども、原子力発電に対するわれわれ事業者の考えということを簡単に述べさせていただいてございます。原子力発電というのは、国内産業で確立された技術でございますし、これまでも、それから将来にわたってもエネルギーの安全保障に貢献していくべき電源だと考えてございます。2050年カーボンニュートラルに向けても、再生可能エネルギーだけではなくて、ゼロエミ電源である原子力というのは重要な役割を果たしていくんだろうと考えています。そういう意味でも、再稼働を進め稼働したプラントにつきましては最大限活用していくということを、安全を大前提にしっかりと進めていく必要があるだろうというのがわれわれ事業者としての決意でございます。
 それを前提に、JAEAさんと今後も連携をしていかなきゃいかんということで、電事連が抱えてございます各分野の委員会なんかからも意見をもらいながらまとめたのが、2スライド目以降でございます。
 2スライド目は目次でございますけれども、左に8つほど項目を並べてございますが、既設炉の再稼働、徹底活用という意味では、継続的な安全性向上、それから長期利用に向けた高経年化対応に関する技術開発、それから長期サイクル運転などの稼働率向上への技術開発というのが重要な視点だと思っています。
 それから、原子燃料サイクルに関しましては、言うまでもなく、4カ所の再処理工場、それからJ-MOX工場の竣工、円滑な操業、それから廃棄物の処理・処分という観点から、それの円滑な立地ですとか、加えて1F、福島第一の廃炉の確実な実施を進めていく必要があるだろうということです。
 それから、将来的な観点では、新増設・リプレースに向けた次世代軽水炉をはじめ、新型炉などの開発。それから、サイクルに関しましても、現状だけではなくて先々を見れば、高燃焼度燃料ですとか、あるいは既にプラントで一部発生してございます使用済みMOX燃料の安定的な処理みたいなものの技術開発というのが必要だろうと考えているところです。
 以降、各論についてご説明いたします。
 3スライド目、まず継続的な安全性向上という観点では、1つ取り上げたのは、事故耐性ウラン燃料(ATF)の開発でございます。これは既にエネ庁さんの委託補助事業としてJAEAさんのほうで開発をしていただいているところでございまして、われわれ事業者としては成果報告会等でいろいろ意見を述べさせていただいているという状況でございます。これを鋭意進めていただきたいということで、施設に紐付けて申し上げれば、その下にございますように、反応度投入試験みたいなものが可能なNSRR、それからその後の照射後試験施設といったところが重要な施設になってくるだろうと考えてございます。
 それから、長期運転に向けた対応ということでは、40年、60年、さらにはその先といったところまで視野を広げていくためには、高経年材料評価というものが非常に重要かと考えてございます。そういう観点では、例えば廃炉材を使って追加照射して、一定程度中性子を照射した後に材料試験をホットラボで実施するという意味で、今後、今議論されているJMTRの後継炉ですとか、あるいは材料試験が可能なWASTEFですとか、そういった施設が重要なのかなと考えているところでございます。
 続きまして4スライド目、ここはサイクルに関してでございます。まず、六ヶ所再処理工場という観点では、安全性向上の観点では、例えば臨界事故時の条件をインプットとして計算を行うといった動特性評価手法の適用に向けた研究を進めていただきたいということ、あるいは遠い先の廃止措置という観点では、東海再処理施設が今後廃止措置が進められていく中で、経年劣化データの取得というものが非常に重要になってまいりますし、六ヶ所再処理工場は一応40年の運転期間ということ前提で今進めていますけれども、さらに長期的な運転ということも視野に入れるための高経年化の評価といったところにも寄与するだろうと考えてございます。
 それから、再処理から出てくる放射性廃棄物という観点では、放射能濃度の決定に向けた検討ということで、廃棄物の放射能度を決定するための分析データの取得ですとか、そういったところ、あるいはウラン廃棄物、再処理工場でもウラン試験というのを実施していまして、実はウラン廃棄物というのが存在しておりますし、濃縮工場というのが六ヶ所にもう一つありますけれども、そこにもウラン廃棄物というのがございますので、たくさんウラン廃棄物を抱えていらっしゃるJAEAさんには、ここら辺の検討というところもやっていただく必要があるだろうと考えております。
 それから、5ページ目ですけれども、何よりも大切なのは、日本原燃の各工場が操業ステージに入ってまいりますと、いろんなトラブルですとか先の展望、技術課題というのが出てくると考えてございまして、JAEAさんとは研究協力協定というのを結んでいらっしゃると伺っていますけれども、それをしっかりと有機的に活用していく、そういったところが必要だと思ってございます。
 特に、3つ目のポツで書かせていただいてございますけれども、六ヶ所再処理工場の安全・安定的な操業に向けては、今後想定されるトラブルを含む技術課題の解決、これに向けたCPFですとかNUCEF、こういった施設を活用していくことが重要ですし、JAEAさんが長年培った運転技術、こういったところも六ヶ所に注入していただく必要があるだろうと思っていますので、そういう観点での中長期的な連携強化ということをぜひお願いしたいと考えてございます。
 6ページ目、J-MOX工場に関してです。これも今申し上げた再処理工場と同様でございますけれども、あえて書くとすれば、MOXペレットの品質確保のための施策試験ですとか分析方法の検証サイクル化、あるいはLSDスパイクみたいなものをはじめとする標準としての国産化とか、そういったところを今でもJAEAさんにご検討いただいていますけれども、継続してお願いしたいということでございます。
 それから7スライド目、放射性廃棄物の処分に関してでございます。ここら辺に関しましては、コールドとか机上の検討というのは電中研にある程度お願いしているところですけれども、実放射線、ホットでの試験、それに基づく評価みたいなものが必要だということでございます。そこら辺はJAEAさんにお願いするしかないと思ってございますので、鋭意実施していただいて、安全審査におけるデータの信頼性向上等を図っていきたいと考えてございます。
 それから、その下の各データの整理・拡充というのも、ある意味今申し上げたのと同様でございますけれども、さまざまなデータ採取の継続、他研究基盤によるデータ管理といったことをお願いしたいということでございまして、ここもそれに資するご覧の施設というのは、ぜひ活用いただきたいと考えてございます。
 8スライド目でございます。今度は地層処分でございます。実施主体はNUMOさんですけれども、われわれも発生者責任という観点では関与していくべき部分だろうと考えてございますし、いわゆるガラス固化体だけではなくてTRU廃棄物、これも地層処分対象のものがございますので、例えば左の欄に書いてございますハル・エンドピースの付着率の実測ですとか、あるいは高レベル濃縮廃液の放射能データの取得とか、こういったところを専門機関としてJAEAさんにぜひお願いをしたいということでございまして、そういったものに資するエントリー、あるいはクオリティーみたいな施設が重要かなと考えてございます。
 それから、9ページ目は福島第一の廃炉ということで、これは東電さんに特化した話でございますので電事連の私が申し上げる立場かどうかちょっとあれですけれども、一応、東電から来ている立場でもありますので申し上げますと、燃料デブリの性状把握ですとか、あるいは取り出しに関する技術開発ですとか、あるいはその下の欄、滞留水中に含まれるα核種の分析ですとか、もろもろの技術課題が存在しているということで、ここに関しましてはCLADS、廃炉環境国際共同研究センターでの東京電力との連携といったところをしっかりと進めていただきたいと考えてございます。
 それから、10ページ目に関しましては、将来に見据えた新型炉・高速炉の開発でございます。当然ながらわれわれも2050年という断言を考えますと、新増設・リプレースというのは絶対に必要なことだと考えてございまして、今やっている大型軽水炉の延長でいくのか、あるいはこういう新型炉といったところにベクトルを向けるのかというところはこれからになると考えてございますけれども、今鋭意、JAEAさんのほうで進めていただいております高速炉の開発。ここに関しましてはサイクルという観点を非常に重要だと考えてございますので、そういった例えば低除染の再処理、それから燃料確保といったところの技術開発、あるいは高温ガス炉の技術開発といったところをぜひお願いしたいと考えてございます。
 それから、11ページ目は「再処理技術の進展」とテーマを書かせていただきましたけれども、使用済みMOX燃料の安全・安定的な処理に関する研究ということでございます。使用済みMOXだけではなくて、高燃焼度使用済み燃料も同様なんですけれども、白金族元素が多くなったり、モリブデン酸ジルコニウムが多くなってイエローフェーズの生成みたいなものが想定されますので、そういったところをどうリスクヘッジするかといった技術開発をぜひお願いしたいと考えてございまして、CPFのような施設が非常に重要かと考えてございます。
 今申し上げたのは、各委員会から上がってきたテーマに対して必要な内容と必要な施設ということでございます。
 12ページ目、最後のページでございますけれども、今後、われわれ事業者とJAEAさんがうまく連携していくために必要な課題ということで、少し文字に起こさせていただいているものでございます。 
 電力におけるJAEAの施設、特にJMTRに関しての活用の実績でございますけれども、われわれ照射試験等においてはハルデン炉みたいなものを多く使ってまいりました。なぜかと申しますと、やはり使い勝手がよいというところが一番でございました。2つ目の四角のところのレ点が2つございますけれども、ハルデン炉の場合は、ユーザーの希望を受け入れるようなアイデアとか工夫を先方から積極的に提案してくれると、柔軟に対応してくださるというような姿勢が強いということですとか、あるいは直接ニーズ調査をわれわれに行ってくるですとか、そういうサービス面で非常によい面があるということでございます。加えて、OECD/NEAの枠組みだけではなくて、メーカーなどとのバイラテラルの枠組みもございまして、そういう意味ではいろんな照射技術者との交流の場にもなっているということでございます。
 一方で、JAEAさんというのは、そういう観点でのサービス、連携というのが不足していたのではないかなと考えてございますので、その下に書いてございますように、今後はアイデアですとか工夫というのを積極的に提案いただきたいと考えてございますし、われわれ民間の方向に合致した基礎基盤研究の実施など、試験データなどの有機的な連携が必要だと考えてございます。
 さらには、産業界も含めて体系的に国内外の機関と枠組みを形成して連携していくという視点で、研究基盤の有効な活用というのを目指していただきたいと考えているところでございます。
 駆け足ですけれども、ご説明は以上でございます。
【山口主査】 中熊委員、どうもありがとうございました。
 それでは、意見交換に入りたいと思います。委員の皆さまから質問がありましたら、お願いいたします。矢野委員、ではお願いいたします。
【矢野委員】 12ページの最後にお話しされたことなんですけれども、これはJAEAは何でこういう今まで対応が悪かったんですか。
【中熊委員】 恐らく普段からのコミュニケーション、でも海外のほうが本来的にはコミュニケーションが少なくてしかるべきなんですけれども、こういう観点でのコミュニケーションというのがなかなかなかったということは、一概にJAEAさんだけの問題ではなくて、われわれ事業者がJAEAさんにアプローチをあまりしてこなかったというのも、もしかしたら一因なのかもしれません。
 電力の中で振り返りを何年か前にやったときに出てきた意見をここで出させていただいてございますけれども、電力が直接、JMTRをあまり使わなかったというのは事実でございますけれども、例えば電力共通研究でメーカーに委託をしたものを、メーカーさんがJMTRを使って試験しているという実績はもちろんございますので、そういう観点ではそれなりに活用もされてきているという側面もないわけではないとは思っています。われわれが電力として主観で見たときには、こういうイメージを持っているということだとご認識いただければと思います。以上です。
【矢野委員】 施設を持っているところは、できるだけその施設から成果が上がるようにするというのが、これは施設者のある意味での責任と義務なもので、今日は初めてこういう話を聞いたんですけれども、これは何とかしないといけないことなんですね。
【山口主査】 ありがとうございます。
 この趣旨は、JAEAの期待といいますかニーズをいろいろ議論することなので、今の矢野委員のご指摘は、ぜひいろいろユーザーが増えて施設が有効に活用されるように、今後、JAEAに留意してほしいというご趣旨だと承ります。
 続いては小澤委員、どうぞお願いします。
【小澤委員】 小澤でございます。ありがとうございます。
 私の意見の前に今の関連で少しお話をさせていただきますと、JMTRが大洗にあって、比較的近いところにあるということで、それなりに連携はできていたのではないかなと思いますが、ハルデンについては遠く北欧からわざわざ日本にやってきて、いろんなコミュニケーションを取っていただいたというところで、そういうところでかなりアドバンテージがあるかなと。ちょっと商売っ気が強くて、一緒にやりましょうよという感じが強かったかなという印象でございます。
 本題の私の意見でございますけれども、3ページ目の上の継続的な安全性向上の概要のところの2行目、事業者は報告会において協力・連携と書いてあって、等とありますけれども、私たちもこの等を広く解釈しておりまして、実際に使っていらっしゃるユーザーのニーズとしては、運転の方法とか取り扱いの観点、いろいろと連携ができるんではないかなと思っております。特に燃料は継続的に材料を提供するような形になりますので、使った状況が、ものづくりのほうに反映できるようにJAEAさんとも連携しながら、ユーザー、メーカー、それぞれの立場でJAEAさんと連携ができると。工業製品としての段階までわれわれが持っていくためにも、よいデータとかを取得しながらやっていきたいと思っております。以上でございます。
【山口主査】 どうもありがとうございます。
 この分野は、ある意味ではJAEAの非常に強みかと思います。
 では、続いて中島委員、どうぞ。
【中島委員】 中島です。この次に日本原子力学会からの要望ということでお話しさせていただくんですけれども、その中の関係者から受けたコメントとして、JAEAさんの研究開発と民間で行うべき技術開発との差別化がなかなかはっきりしていないところがあると。学会全体としての意見というわけじゃなくて、あるコメントということで受け取っていただければと思いますけれども、軽水炉技術というのは既に産業化されたものであるので、それに対する研究開発をJAEAのような公的機関がどこまで関与すべきかというところについて、何かはっきりとした考え方が示されるべきではないかと思っております。
 それが1点と、機構さんもそれなりに努力はしているのですけれども、絶対的なマンパワーというか組織的な対応ができるような形にはなっていないのかと思います。これはハード(施設)の利用対応のことですけれども。また、例えばソフトウエアの高度開発とかをやっているところに話を聞いても、開発するところまでは良いのだけれども、それを広く一般が使えるようなサービスというのは、要するにJAEAにとっては別に業績にもならないというところがあって、そこになかなかマンパワーというかリソースを注げないというようなところがあると。JMTRの話とちょっと状況は違うかもしれないですけれども、そういった全体の流れがあります。だから今後、せっかくできたプロダクトとか、あるいはそういった施設を広く利用できる、あるいはその使い勝手がよいという海外での話がありましたけれども、そこはJAEAも今後努力していただければよろしいかなと思います。以上です。
【山口主査】 ありがとうございました。
 他、今の中熊委員のご説明に対してご質問などはございますでしょうか。
 では、よろしければ次に移らせていただきたいと思います。
 続いて、原子力学会からのヒアリングということで、原子力学会会長でいらっしゃいます京都大学の中島委員、ご説明をお願いいたします。
【中島委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 資料2をご覧ください。1ページ目に、日本原子力学会からJAEAさんへの期待、要望等ということで、具体的な項目としては、前回の作業部会に出されました資料に①から⑥というようなことでヒアリング項目の記載がありましたので、基本的にはこれに沿ってまとめております。ただ、次のページにも示していますが、原子力学会というのは非常にいろんな方が参加されていて、しかも業務じゃなくて基本的にはボランタリーで参加されていて、多様な意見があるということで、それを学会全体として集約するというのは非常に難しいところがありますので、1ページ目の一番下に書いてありますけれども、ここに載せている資料の内容というのは学会関係者、主に理事、それから私のほうで、大学の関係者にもアンケートを行いまして、それ全体を私の判断というか責任で取りまとめたものだということをご了解いただければと思います。
 2ページ目は、学会というのは何ですかということ。今さらながらですが、一番上に書いてあるのは定款の中にある目的ですけれども、公衆の安全を全てに優先させてという前書きが付いておりますが、原子力と放射線の平和利用に関する学術および技術の進歩を図ると、それを活用・普及するというようなことでありまして、現在、会員としては大学、学生さんも含め、それからJAEAさんも当然入っておりますが、それ以外の研究機関、それから電力事業者を含めた産業界等で構成されておりまして、会員数は現時点で大体6,500名ほどおります。
 学会の事業としては、2ページの①から⑪ということで、いろんなことが書いてあります。一番よく分かりやすいのは、学会誌、あるいは会報などを発行するということと、春と秋に年会大会をやるということですけれども、それ以外にもいろんなシンポジウムとか、あと分野ごとに部会というのを設けて、その専門家が集まっていろんな議論をしたり提言を出したりとか、それからあとはテーマによっては専門委員会というのを立ち上げて会合をやったり報告書を出したりということをやっておりますし、特に福島原発の事故以降は、社会とのコミュニケーションということで理解活動を図るというようなことと、それから事故炉の廃炉、福島復興に向けた活動等を広く行っていると、こういった団体であります。
 そういった中で、JAEAさんにどんなニーズ、要望があるかということですが、ざっくりと言いますと、原子力技術の活用と普及に今後も努力していただきたいと。電事連さんのように個別のテーマというのではなく、かなり概念的なことになってしまいますけれども、特に大学関係から多かったのが、自分のところではなかなかできないような実験研究、特に最近はだんだんと規制も厳しくなってきているとか、あるいは施設がだんだん古くなってきているということで、原子力利用に係る基礎研究、具体的には例えば核燃料やRIを使ったいろんなホット試験ができるとか、研究炉の利用もそうですし。それからもうちょっと幅広い研究ということで、例えばと書いておりますけれども、核データライブラリーの整備とか、必ずしも放射性物質とか核燃を使わなくても大規模な模擬実験、安全性の実証試験みたいなこともなかなか一つの大学等ではできないということで、そういったところをお願いしたいということ。それは基礎・基盤ということですけれども、それに加えて原子力技術のさらに普及、活用するための安全性研究というのを進めるべきということで、この辺が先ほど申しました民間との差別化に関連しますが、テーマとしては事故耐性燃料とか、あるいは小型安全炉等々が出ています。
 あとは、原子力の普及という意味では、JAEAさんに人材の供給や幅広い交流といったものをお願いしたいということと、これは学会独自かと思いますけれども、学会の活動へできるだけ積極的に多くのメンバーに参加していただきたいと。JAEAさんにとってもこれはプラスになることではあると思いますが、確か現状ではなかなかJAEAさんの表立った活動として学会員としての活動というのはなかなかやりにくいということも伺っておりまして、そういった制度の見直しみたいなのも行っていただければよろしいかと思います。あとは原子力学会で取り組んでいる一般の方への理解活動についても一緒に参加していただきたいとか、最後は国際的な対応についての窓口のような役割もお願いできないかということでございます。
 具体的なテーマということでありまして、新型炉というか次世代炉の研究開発とか事故耐性燃料の研究開発、それからこれは学会の中だけかもしれませんけれども、RI等の製造・供給といった、これこそ基礎基盤的なもの、あと研究所等廃棄物の処分の実施とか、関連する燃料サイクルやバックエンド技術の開発も含めてもらいたいというといったことです。
 ④のところでは、連携を強化するためのということで、学会の各種委員会とか部会等に積極的に参加できるような制度、これを業務の一部として実施できるようにならないかとか、その活動を評価の対象とするといったようなことができないかということ。それから、特に大学関係ですけれども、人材交流で国内留学制度とかクロスアポイントメントと言われているような制度の採用とかですね。あとは支部について、支部というのは全国の北海道から九州までに支部があるのですけれど、そういったところと、あるいはそこに関連する立地自治体との積極的な交流、研修といったものも期待したいということです。 それから、民間と国研、JAEAの施設の利用の、これもある程度今もできているとは思いますけれども、もう少しやりやすくできないかといったところ。これらが④というところでございます。
 5ページ目の⑤ですが、大学とか民間では実施できないような研究をやるような大型研究施設をしっかりと維持管理して、それを広く共同利用させていただけるような機能を有するようにしていただきたいということ。それから、2番、3番は少しソフトウエア的なところですけれども、たくさんの知見を積み重ねてこられているものを基にしての原子力エネルギー政策に対するシンクタンクとしての役割とか規制も含めて行政機関との連携をしていただきたいということと、4番は長期的な時間がかかるような課題への積極的な取り組みも大学等ではなかなか今はやりにくくなってきていると。大学とか民間では、現在、なかなか資金と人材の不足もありますし、やっぱり規制対応というのはなかなか厳しくて、放射性物質、核燃等を用いた実験研究とか大規模な模擬実験というのがやりにくい状態であるということで、このような点への対応をJAEAさんに期待しております。
 次、大学の一部先生方からは、放射性物質や核燃料等についてですが、今、大学でいろんな場所で、いろんなものを使っているんですけれども、そういったものも規制の対応の観点から、JAEAさんで集約管理していただけないとかいうような声もございます。
 あとは当然、安全な平和利用ということで、次世代炉、特にバックエンドも含む燃料サイクル全体の開発、それに係る安全研究、それらを実施するための人材の育成、学会活動への協力ということになります。
 次のページから細かい個別のことがありますけれども、これら全体をまとめたのが最後のページ、14ページでございますが、JAEA以外では原子力関係の実験研究が実施困難になっている中、JAEAさんに大きな期待が寄せられているというところで、RIとか核燃料、これはプルトニウムとか、MAとか、あるいは使用済み燃料等を含みますが、これらを使用した実験とか大型の模擬実験ができるようにしていただきたいと。繰り返しになりますけれども、核燃等の集約とか研究所廃棄物の処理・処分、新型炉開発ということ。さらに、施設の外部利用については、より柔軟な対応を要望したいということで、これは民間の方だったと思いますけれども、民間からの提案されたテーマも、こういった研究として受け入れてもらいたいとか。また、その成果については、現状では基本的にはたぶんレポートとして公開という点も、知財をしっかりと守れるような対応もお願いしたいと、これは特に産業界からの要望だったかと思います。
 あとは人材育成、研究ということで、学生向けに実習コースとか、あるいは大学が自由に使えるようなオンサイトラボの設置等、それから大学だけじゃなくて産業界からも、そういった研修生みたいな人材の受け入れができないか。また、これはJAEA内の話ですけれども、若手研究者の指導育成体制をしっかりと確立させていただきたいといったことでございます。
 その他ということで、JAEAさんが取り組んでいる核データライブラリJENDLの整備ですけれども、核データというのは人類共通の財産で、今後とも維持するべきであるとか、また、今までいろんな研究成果が出ていて、なかなか大学とか産業界にそれが広まっていないという懸念もあって、そういった意味でこれまでの研究成果をしっかりとまとめたデータベースというのを作っていくことを期待すると。
 それからDX、デジタルトランスフォーションについて、ちょっと厳しいかもしれないですけれども、JAEAさんの技術力の底上げが必要であると。また冒頭で申しましたけれども、民間との差別化が必要ということで、米国などでは、特にイノベーションというのが今や国研よりも民間主導になっているんじゃないかと。これは国によって事情が違うので、全部まねしろというわけではありませんが、そういうコメントもあるということです。最後、何といっても足元を固めた基礎的なというか、実験施設の維持管理とか、核燃、RIの取り扱いもそうですけれども、そういった研究開発をしっかりとやるべきではないかと。
 学会からとしてのJAEAへの期待、要望ということで話させていただきました。以上です。
【山口主査】 中島委員、ありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見を受けたいと思います。木藤委員、どうぞお願いいたします。
【木藤委員】 ご説明、ありがとうございました。質問というのは、4ページの連携強化の取り組みです。学会の委員会等へ積極的に参加できるような制度ということでございます。ここについては、学会員の特に理事などからの意見のまとめというふうにご説明を伺いましたけれども、これは原子力機構の方からの意見もあったとか、産業界や大学のほうが特に要望したとか、そういうもし何かありましたらお伺いしたいのが質問でございます。
 もう一つ、これは質問ではなくて、このような考えは産業界のほうも通じるところもあるんじゃないかなと思って伺いました。というのは、学会のこうした活動が有意義なものであるという前提に立てば、産業界からもなかなか今は参加しにくいし、特に例として思ったことは、若手の活動、若手の学会員の活動として、例えばYGNというのがありますけれども、彼らが以前、何年か前に国際会議を日本に誘致するというようなときに、なかなかそういう具体的な誘致活動に参加する人手がなかったとか、それを組織がなかなか認めにくいという状況があったと思います。日本がそれに対して、他の国では特に国立研究所の研究者をそういうところに積極的に送り出す仕組みというのがあったりして、そういう国に国際会議誘致を取られたりしたと思うんですけれども。なので、こういう仕組みをJAEAさんのような国立の研究機関が率先して取り組んでいただけると、内容もよくなってくるんでしょうし、産業界も参加しやすくなるのかなと思いました。以上でございます。
【中島委員】 一応理事のコメントを集約ということなのですが、理事も、大学、研究機関、それから産業界と、それぞれの分野からある比率、大学は若干多めですけれども、大体3分の1程度ぐらいだったかと思いますので、一応コメントとしては、そういった産業界とか研究機関の方からの意見も含まれているということでご理解いただければと思います。
【木藤委員】 ありがとうございました。
【山口主査】 ありがとうございます。それでは、続いて佐藤委員どうぞ、お願いします。
【佐藤委員】 佐藤でございます。
 原子力学会は、基本的にアカデミアと、それから原子力関係の施設を造る産業界と、それからそれを利用する電力等の会社、それらが含まれている、それらをまとめている学会だというように認識しております。
 こういう話のときに、先ほどの例でもそうですが、基礎基盤研究の充実だとか、基礎基盤のデータの充実みたいなことがいろいろ言われていますけれども、私は原子力学会にアカデミアからみんな各ステークホルダーが入っているわけですから、そこで日本としてどういう基礎基盤研究をして、どういう基礎データを持っておくべきか、各種データの取得と整理、公開をどうすべきかということを原子力学会が音頭を取って考えて、それでJAEAと国として、それはどういうふうにやっていくべきかという話をしていくべきじゃないかなという気がします。
 宇宙関係でも、例えばNASAとJAXAとを比べると、NASAは基本的に基礎データ、基盤データをきちっと作って、月とか火星へロケットを飛ばすだけじゃなくてやっているわけでございまして。ところが日本のJAXAは、規模の問題もありまして、その基礎基盤のデータをきちっと整備していくという観点は、予算の関係もあるでしょうけれども、かなりおろそかになっています。JAEAが個人の研究者の組織ということではなくて、国の研究機関として本来どうあるべきかということを、原子力学会が全体を取りまとめているという立場で議論されたらいかがかと思いますが、その辺はどうでしょうか。
【中島委員】 どうもありがとうございます。
 学会へのコメントということで承りましたけれども、基本的には今までも専門委員会とか、あるいは部会等で、ロードマップを作ったりとか提言を出したりして発信はしております。そういった意味で、具体的な基礎基盤研究のようにはここには書いておりませんけれども、具体的などんな施設が必要だとかというところも議論もやってはおります。なかなか学会全体としてというよりも、それぞれの部会とか委員会としての提言としてまとめてはおりますが、今のご意見も参考に、また学会のミッションとしてどこまでやれるかというところも検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
【佐藤委員】 今コメントしたのは、いわゆる研究としての面白みがないということで、研究者はやりたくないという傾向がかなり強いので、研究者の意思で研究をしていくと、どの基礎的なデータをして、どの基盤をこういうふうにまとめようということがされないという懸念を感じておりまして、そうするとわれわれ、ついてはメーカーのデータとか何かに頼らざるを得ないと。それではいつまでたっても日本の原子力技術というもの本当の意味での底上げはできないんではないかと思いまして、それを計画的に、きちっとやるべきことは何であるかということはやって、監督官庁の文科省とかエネ庁と議論していくべきではないかなと思ったんですが、いかがでしょうか。
【中島委員】 ありがとうございます。私の関連しているところでは、基礎データ、先ほども出てきました核データライブラリの整備というところ、これはJAEAさん、旧原子力研究所時代からずっとやってきて、これは非常に地味なんですけれども、これをやらないと何もできないというようなところです。その中でも、だんだんと核データを評価できる人が高齢化してきて後進が出てこないとか、JAEAさんとかでも、それでレポートが書きにくくて、そこになかなか参入してこないとかというのがあって。それは一応学会とも、委員会で連結しつつ、どう対応するかというところは考えているところであります。今のは一つの例なんで、確かに地味なところをどう持っていくべきかというところを考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【佐藤委員】 私はJSTで、戦略センターですから、そういう工学の基盤が非常に重要であるということを文科省、JSTに訴えてとか内閣に訴えていくんですけれども、経産省から見ると、それは文科省がやるんじゃないの、文科省はそれは論文にならないから現場の研究者はやりたくないねという声が強くて、組織としてきちっとできていないと。これから日本の弱みになっていって、今おっしゃられたように、それを昔やっていた年代が、ちょうど今どんどんリタイアしていっていますので、ますます足腰が弱るだろうということで今ご提案申し上げたわけです。
【中島委員】 ありがとうございます。
【山口主査】 ありがとうございました。結構本質的な議論なんですけれども、これはまた、学会と、こういう研究機関がどういうふうにやるかという話にもなるんですけれども、また議論は後でさせていただいてと思います。
【佐藤委員】 ここでしか言う場所がなかったので、すいません。
【山口主査】 とんでもない。重要なポイントで、皆さんそういうところを結構認識していらっしゃって、たぶんJAEAの中でも、そういう問題意識は強いと思うんですよね。今の意見、実は私も原子力学会で、今、副会長をやっていますので、中島先生にみんなおっかぶせるわけにもいかないかなと思いまして、しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
【中島委員】 承りました。
【山口主査】 続けて、五十嵐委員どうぞ、お願いします。
【五十嵐委員】 五十嵐です。ありがとうございます。
 申し上げたかったことは、今日は中熊委員も、中島先生も、短期間にこんなにまとめていただいて、ありがとうございます。私、原子力の外部の人間なので、すごい状況がよく分かりました。なので、今後、総合討論で出てくることだと思うんですが、こういったことというのは、ちなみにそれぞれ産業界であるとか学会のほうで、これまでも議論されてきたことなんでしょうか。あまりにJAEAに対してニーズはすごくたくさんあって、とても一つの機関で受け入れられるような内容なではないように思い、これはこの後、議論していって変わっていける部分、できる部分とか、そういうのを見ていくんだと思うんですが、素朴な感想として、こういったことというのはこれまでもずっと議論されてきて、例えば仕組みとして問題があるのか、本当に単にマンパワーの問題なのか、その辺はどうなんでしょうか。
【山口主査】 中島先生、一言どうですか。
【中島委員】 これまでもというと、たぶんなかなかこういう機会はなかったかなとは思います。あと、全部が全部じゃないのですけれども、例えば共同利用とか施設の使い勝手の話とかは、学会全体ではないですけれども、委員会とかの中の議論の中では、もうちょっとこういうふうにしたほうがいいよというような話は出ていたかと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。
 続いて小澤委員、お願いいたします。
【小澤委員】 ありがとうございます。JEMA小澤でございます。
 メーカーからも学会に加盟しているメンバーはたくさんいますので、かなり共通の意見が多いかなと思っております。一方でちょっと苦手なところもございまして、2ページ目の学会の事業の中で、⑧社会とのコミュニケーションというのが載っております。私たちも明日のプレゼンテーションで何か言おうかなとは思っていたんですけれども、社会に対する理解促進みたいな形で一言で済ませてしまっているんですけれども、何か専門家の目から見て、社会にもうちょっと理解していただくような活動ができないのかなというふうな感じでおります。
 例えば、特にベクレルみたいな数字を扱うときは、兆よりも上の京とか、社会生活では普段感じていないような生活感のない数字がマスコミを通じて世間に出てきますので、そういったところで、実はこういう数字なんだよとか、もっと身近なところでいくと、福島の汚染状況は今こんなところまで来ているんですよという、少し生活感のあるような社会とのコミュニケーション、社会に対する窓が開けられるんじゃないかなと思った次第ですけれども、何かこの辺でアイデアなんかがあれば、お願いしたいなと思います。よろしくお願いします。
【中島委員】 原子力学会では特に理解活動ということで、福島原発の事故の後、一般の方向けの講演会とか実験教室みたいな、いわゆるオープンスクール的なものとかをやったりとか、あと事故の直後、相談窓口みたいなのを設けて、ベクレルというのは何ですかとか、そういった説明をしたりとか、そういった活動をやっております。あと学生さん、特に大学生あたりの方に活動を広くやってもらうということで、YGNとかにいろんなイベントを企画してもらって、それを積極的に学会としてサポートするというようなことをやって、なるべく裾野を広げていこうというようなことをやっております。あとは教育委員会というところがございまして、そこの中では例えば理科の教科書の中にある放射線とかの記述とかを確認して事実誤認がないかとか、そういったかなりいろんな幅広いことをやっているという状況でございます。
【小澤委員】 ありがとうございます。JAEAさんへの期待ですので、大体似たような感覚ではいるんですけれども、JAEAさんと一緒に何かできることがあるんじゃないかなと思った次第でございます。ありがとうございました。
【山口主査】 次、矢野委員、お願いいたします。
【矢野委員】 中島先生の話を聞いていて、原子力学会の話ですけれども、私は素粒子とか原子核なんですけれども、素粒子原子核の、これも大きな学会がありますけれども、そこがつくった例えばKEKですよね。つまり、学会が最初にあって、学会の人たちがわが国の素粒子原子核、宇宙もそうですけれども、そういった研究を世界のトップにするには、世界のトップの施設を持たねばならんいということがまずあって、それで共同利用研をつくっていったわけです。ですから、KEKがやることについては、KEK独自でやる部分はありますけれども、学会主導で結果が動いているということなんです。
 一方で、原子力の場合は、原子力のもともとは仁科先生が始めたものですから、そこまでさかのぼると話は違うんですけれども、とにかく東海の原子力研究所を造ろうとなって原子炉が日本で動き始めて、それで原子力学会ができるんですけれども、どうも中島先生の話を聞いていると、この加速器の分野で起こっていること、起こってきたことと、原子力の分野で起こってきたことがかなり違うんだなと今つくづく感じました。今から何も機構を共同利用研にしたほうがいいとは言いませんけれども、共同利用研的なことを機構もやっていったほうが、機構の成果が上がる、機構の存在感が上がるというふうになっていくんじゃないかとつくづく思った次第です。
 例えば、先ほど中島委員が核データの話をしていました。確かに核データは機構が全部背負ってやってきていて、このまま放っておくと老齢化が進んでいて、今後、たぶん立ち消えになります、例えばそういうときに理研のほうにも話が来るわけですね。理研と原研とで協力ができるんですけれども、機構側の自分たちの守備範囲を固めておきたいと思ったのかどうか知りませんけれども、なかなかそこもすんなりといかない。これはもともとが科学技術庁と文部省という関係がまだずっと残っているのかなというふうにも思うんですけれども、そういったところもこの際大いに見直してやってもらえばいいんじゃないかと思います。以上です。
【山口主査】 ありがとうございました。
 いろいろとご意見、ありがとうございました。学会との関係というようなところもちょっと議論になったんですけれども、また整理して参考にさせていただきたいと思います。
 では、よろしければ次のご発表に移りたいと思います。
 続きまして、原子力規制庁からお願いしたいと思います。原子力規制庁の長官官房審議官の大村哲臣様、よろしくお願いいたします。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 原子力規制庁の審議官の大村でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、本日はこういうプレゼンの機会をいただきまして、ありがとうございます。今回はJAEAの次期中長期目標の策定に当たって、原子力規制庁としてどのようなことを考え、またJAEAに対してどのようなことを期待しているかというようなことについて説明をさせていただきたいと思います。
 資料はお手元にあると思いますが、JAEA次期中長期目標の策定に当たってという原子力規制庁の資料があると思います。
 1枚めくっていただきますと目次がありますが、大きくは2つ。まず最初に、ほとんどの方はご存じだと思いますけれども、原子力規制委員会とJAEAとの関係についてごく簡単に、2つばかり大きな側面がありますので、説明をさせていただきます。その後、次期中長期目標の策定に当たってということで、個別の課題、ポイントが大きく4つぐらいあるかと思いますので、それについて説明させていただきたいと思います。
 まず、JAEAとの関係でございますが、3ページ目を見ていただきますと、外部技術支援機関(TSO)としてございます。左のほうにJAEAの組織図の概要がありまして、それの右のほうになるんですけれども、安全研究・防災支援部門というのがありまして、この中に安全研究センター、それから原子力緊急時支援・研修センターという2つのセンターがあり、この部分が文部科学省とは共管をしているという部分になっております。外部TSOと書いてありますけれども、原子力規制委員会から見てJAEAのこの部門は、外部の技術支援機関というような位置付けになります。
 その上のほうに原子力規制委員会と書いてございますけれども、安全研究であるとか防災の支援、各種いろんな技術的な支援をこの支援部門からいただいているということで、それの役割というか研究の委託等と書いてありますけれども、こちらのほうから費用的なものも含めていろいろお出しをして、それで研究等支援を行っていただいている、こういう位置付けになります。
 左の下のほうに予算と人員とありますけれども、これは交付金ですが、安全研究センター5.4億、人員84人、それから原子力緊急時支援・研修センター2.3億、21人となっておりますが、ご覧のとおり、JAEA全体から見ると規模は非常に小さいものになっておりますので、必ずしも十分であるというわけではないと考えております。
 4ページ目ですけれども、TSOとして原子力規制委員会とJAEAの中長期目標の関係について少しご説明します。
原子力規制委員会は、研究、開発・利用における安全の確保に関する事項について主務大臣が共管をしているということでございます。原子力規制委員会は、この安全の確保に関する事項について、JAEA中長期目標に関わりがあるということであります。下のほうに現行のJAEA中長期目標のうちの規制委員会の関連部門というものを抜粋しておりますので、ご覧いただければと思います。大きく分けて安全研究、それから括弧2のほうに原子力防災ということで、大きく2つのパートに分かれているというものでございます。
 5ページ目に、JAEAと原子力規制委員会との関係ということで、もう一つの側面は、原子炉等規制法上の規制対象事業者、要するに被規制者であるという側面があります。そこにありますように、JAEAのほうではさまざまな事業をされておりまして、加工の事業、原子炉、再処理、それから廃棄の事業、核燃料物質の使用等、さまざまな事業を行っているわけで、そこの中にありますように、非常に多くの原子力関係の施設を有しているという状況にございます。
 したがいまして、JAEAは原子力規制委員会にとりましてTSO、外部支援機関であるとともに、被規制者という位置付けを持っているということでございます。もちろん、この2つというものは、実は部署は明確に区分をされておりまして、どう間違っても利益相反になるといったことはないという措置がかなり厳密に取られているという状況にございます。
 6ページ以降に策定に当たってという紙がありますが、7ページ目を見ていただきますと、TSOの機能としての維持拡充、TSOは安全研究センターと、それから原子力緊急時支援・研修センターということでありますけれども、この安全研究・防災支援部門がしっかりと技術的支援の業務を行っていただくということから技術的能力を向上させるというのがあって、それから中立性および透明性を確保しながら業務を実施しているということが非常に大事でございまして、特に以下の点が重要と考えています。
 6点ぐらいありまして、まず1点目は予算と人員の維持・増強というものであります。さっきも言いましたように、必ずしも十分ではないということですので、予算・人員の維持・増強が非常に重要です。
 それから、研究施設の維持管理。これは今までのプレゼンでも随分ありましたけれども、私たちにとっても安全研究を実施するため基盤的な研究施設の維持、それから管理、こういうものは非常に重要であります。それから、人材育成という側面で、私どもも人材育成を非常に一生懸命やっておりますけれども、JAEAも規制庁と一体となった人材育成の推進をしていく必要がある。
 それから、中立性・透明性の確保という点でございます。それから、あと要員配置の配慮とありますが、これは原子力緊急時支援・研修センター、要員配置の件ですけれども、兼務をしている方々が結構あるということで、これはそういう状況になると特定の方々に仕事が集中するようなこともあるというふうには聞いておりますので、特に要員配置の配慮をしていただく必要があると考えています。
 それから、あとは指定公共機関の役割。これは原子力災害で放射線防護の専門家の派遣等、指定公共機関としての役割がございますので、要員、資機材等の体制の維持というものは非常に重要だというものでございます。これが外部支援機関、TSO関係のわれわれが重要と考えているところであります。
 それから、2つ目のポイント、8ページですけれども、JAEAが有する原子力施設の廃止措置の確実な実施とありますけれども、これは原子炉等規制法に基づいて、JAEAの各種施設を規制しているという立場からのものであります。ご案内のとおり、JAEAは廃止措置段階の原子力施設を多数抱えておりまして、多額の費用、それから非常に長期の計画というふうになっております。
 その下に日本地図があって、幾つかのJAEAの活動拠点を書いておりますけれども、東海、大洗、むつ、敦賀、人形峠等々ございますけれども、例えば東海のところで一番上に核燃料サイクル研究所の再処理施設というのがございますが、見ていただきますと、ちょっと細かいですけれども、終了時期が令和68年度、要するに70年ぐらい廃止措置にかかるという計画で、費用も7,700億円という非常に巨額な金額が想定をされております。
 それから、例えば左のほうの敦賀、もんじゅでありますけれども、これも終了時期が令和29年度、費用約1,500億となっておりまして、どこも数十億から数100億というような費用がかかるであろう施設も多々あるというものでございます。これは安全上の観点からは、廃止措置の期間が長期化することはできるだけ避けるべきだと考えております。
 その次のページですけれども、この廃止措置を確実に進めていくためには、先ほど申しましたように、費用、それから人材、それからあとどうしても放射性廃棄物が出ますので、その処分というものが速やかに行われる必要があるということで、この廃止措置のための集中的な資源投入ができる仕組みというものをかっちり作っていく必要があるのではないかと考えております。これに関しては下の参考のところにありますように、年1回程度、JAEAの理事長と原子力規制委員会との意見交換の機会もございますけれども、そこでも累次にわたり議論になっているところでございます。
 それから、その次ですけれども、利用実態のない核燃料物質の集約管理、10ページですけれども、これは問題となるのは、核燃料物質の使用、それから少量の国際規制物資の使用という2つのものがあります。左のほうは核燃料物質の使用というものでありまして、事業者数が約200あり、それでこれのかなりの部分が核燃料物質の貯蔵、それから保管のみであり、要するに現状では使っていないという部分です。したがいまして、こういう利用実態がないというものにつきましては、調べたところ、他の機関への譲渡を希望しているという状況にあります。
 それから、右のほうの少量の国際規制物資の使用。これは事業者がまた多くて、許可事業者数は約1,800ほどあるということで、これも約8割ぐらいが利用実態がないということで、単に保管だけをしているということであります。
 こういう利用実態がないということは、負担だけがあり、それから安全上の懸念があるというのが私どもの一番の心配なところであります。こういうものが全国に数多く存在をしているということですので、この点についての集約管理というのが問題になってくる。
 その次のページ、11ページですけれども、このJAEAとの関係でありますが、集約管理についてのJAEAの位置付けというのは割と明確でありまして、法的な裏付けがあるというものであります。JAEA法第17条とありますけれども、機構はとあって、核燃料物質を貯蔵し、または処理する業務を行うことができるということで、もちろん義務ではないわけですけれども、こういう業務が一応位置付けられているということになります。
 これについてもさまざまな議論の今までの経緯がございまして、例えば平成27年の議論でありますけれども、使用目的のない核燃料物質の集約管理、これについて役割を果たせないかということで、児玉理事長より、JAEAがイニシアチブを取ってやるべきだ、相談しながら対応したい、非常に前向きな回答であったということで、それが27年にもう一回あり、それから30年にも同じような議論があったということであります。
 しかしながら、さまざまないろいろ制約もあろうかと思うのですが、実態としては実は検討は進んでいないという状況にあると考えています。原子力規制庁としましては、ぜひこれはJAEAに本気で取り組んでいただきたいというポイントでございます。
 それから、12ページですけれども、あと同じような話ですが、研究施設等の放射性廃棄物の処分というものがあります。これもJAEAの位置付けは非常に明確でありまして、法令上、JAEAがこういう廃棄物の埋設処分事業の実施主体と位置付けられております。下に条文等が書いてございますけれども、下のほうのイ、機構の業務に伴い発生した放射性、これは機構が持っている放射性廃棄物、それから機構以外の者から処分の委託を受けた放射性廃棄物、これは大学とか、研究機関とか、医療機関、その他民間のものがございますけれども、こういう放射性廃棄物の埋設の方法による最終的な処分というものが位置付けられているというものであります。
 最後のページでありますけれども、13ページ。こういう放射性廃棄物の処分につきまして、安全性の問題というものが非常に懸念をされているということでございますので、法令に基づいて処分の実施主体であるJAEAが責任を持って進めていただければと考えております。
 この点については、JAEAが自ら有する放射性廃棄物の処分、検討は、今もかなり一生懸命されているというふうには聞いておりますので、これは他の機関の廃棄物の処分も含めてきっちりと進めてほしいと考えております。
 下のところは参考に過去の発言、原子力規制委員会による議論、発言というものを少し掲載してございます。
 これまで幾つかの課題、それからそれらに関するJAEAの責任、期待について述べさせていただいたというものでありますが、特に放射性廃棄物とか核燃料物質、こういうものは時間もかかるし、いろいろな課題もあるということは十分承知をしておりますけれども、こういうものは中長期の目標とか計画にしっかりと位置付けて主体的に推進ができるような、取り組めるような環境整備というものが非常に重要なのではないかと考えているところであります。
 説明は以上です。よろしくお願いします。
【山口主査】 大村審議官、どうもありがとうございました。
 ではご質問、ご意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。
【門馬原子力研究開発機構原子力事業計画統括部長】 JAEA門馬ですが、1点、補足したいんですが、よろしいでしょうか。
 今、ご説明いただいた3ページ目で予算のところ、JAEA全体予算、人員、そして安全センターの予算、比較している表があるんですけれども、ここに記載の1,324億というのはJAEA全体の予算を示しておりますので、これには例えば人件費ですとか、施設の維持管理や安全対策費、廃止措置、全てが入っているということで、それだけはご理解をいただきたいと思います。そういう意味で、例えば安全センターとかの5.4億とかと、こういったある意味正味の研究費として比較すると、100億も満たないぐらいが全体だということだけは補足させていただければと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。それでは、ご質問がありましたらお願いいたします。どうぞ、小澤委員。
【小澤委員】 ありがとうございます。JEMA小澤でございます。
 力強い言葉があって、特に2の(4)はぜひ私たちもお願いしたいなと思います。
 質問といいますか、確認ということになろうかと思うんですけれども、7ページ目の人材育成の推進のところで、将来の安全規制のための原子力規制庁と一体となった人材育成の推進ということで、JAEAさんと規制庁さんが一体となって人材育成ということになろうかと思うんですけれども。JAEAのほうでは、民間からの委託とか、共同研究とか、いろんな成果が出ているとは思うんですけれども、そういったJAEAの中に存在するいろんな成果の理解といいますか、お勉強、そういったものを新しい技術に対してJAEAの場を利用して透明性・中立性をもって何か議論する場みたいなものはあるのかなというふうな疑問があります。
 1つは、学会の場で規制庁の皆さんも参加して議論の場はあろうかと思うんですけれども、JAEAさんの場を通じて何かできることというのはあるのかどうかというのを少し教えていただければと思います。
【山口主査】 今のは規制庁がJAEAの場を通じてということですよね。
【小澤委員】 そうです。そういうことがあれば、民間とは規制と推進の立場はけじめをつけながら、でも何かできることがあるのかなという意味で質問させていただきました。
【山口主査】 大村審議官、いかがでしょうか。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 ここで書いております一体となった人材育成の推進というのは、ご覧のとおり、原子力規庁のほうでも技術基盤グループというのがあり、この安全研究というものをやっております。かなりの部分がJAEAへの委託という形にもなっておりますけれども、わがほうでも研究職というものを多数抱えており、技術的な能力を高めるために、JAEAの安全研究センターに、いろいろ共同で研究等を行うことによって人材育成を一緒に図っていくということを、特にここ2~3年、新たな取り組みとして非常に一生懸命やってきたというものであります。
 一方、今のお話にあった民間の方々とのJAEAの場を通じて旬な人材育成をするということに関しては、今まであまりそういう観点でわれわれも議論は実はしていなかったということかなとは思います。ただ、安全研究センターは推進部門とは全然別の部門で、そういった枠組みというのは、もちろん制約はあるとは思うんですけれども、比較的そういう意味ではオールジャパンでいろんな人材育成ができやすい環境にはあるのではないかというふうには思います。ただ、今まであまりそういうことを正面から議論したり課題として取り上げてこなかったというので、そこはJAEAとも少し検討していく余地があるのではないかと思います。ありがとうございます。
【小澤委員】 ありがとうございました。
【山口主査】 ありがとうございました。では、続きまして木藤委員、お願いいたします。
【木藤委員】 ご説明、ありがとうございました。
 JAEAさんには、国の研究機関として自信を持って、それから気概を持ってさまざま明るい方向に取り組んでいってほしいと思っているわけですけれども、今お話を伺うと本当に大変だなということを改めて思いました。自分のところの施設の廃止措置も何千億というお金をかけてやっていかなくちゃいけないし、それから全国に散らばっている、そういうものの保管も求められているということで、前向きに研究開発をやっていくということと、こういう管理とか処分というのは全然マインドが違う、マインドを変えてやらなきゃいけないということを聞いたことがありまして、その2つを一緒に要求されているというのは本当に厳しい中にあるのかなと思いました。
 それで、素人的な質問で大変申し訳ないんですけれども、施設の廃止措置とか、それから先ほどの利用実態のない核燃料物質の集約管理とか、これは100かゼロとかじゃなくて、もうちょっと使えるものは途中で使っていくとか、売っていくとか、そういうような考えも入っているということでよろしいんでしょうか。質問したいと思います。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 詳細については、これはJAEAさんのほうでないと分からない部分があると思いますけれども、譲渡をするということがある程度前提にあるのではないかなとは思います。もちろん制度的なものがあって、譲渡というのが簡単にできるかどうか分からないんですけれども、譲渡されれば集約管理をして、それをいろいろ利活用できればするという構造は十分あり得るのではないかと私は思います。これはどういうふうに制度設計をするかによるのではないかと思います。
【山口主査】 よろしいでしょうか。
 では、他にいかがでしょうか。来馬委員、お願いいたします。
【来馬委員】 どうも、福井工業大学の来馬ですけれども、審議官に1点だけお聞きしたい。
 8ページのところで、当然、廃止措置の話なんですけれども、今もいろいろありましたように、JAEAのミッションとして研究開発、それなのにどうしても廃止措置、もんじゅもそうですけれども、研究開発を一生懸命やってきて、あるいはふげんも含めて今後廃止措置ということになっておりますが、特にそのページにも書かれていますように、安全上のリスクの観点からできるだけ早く、長期化を避けるということを早く終わるということだろうと思うんですが、そのためには例えばふげんの場合も廃止措置を本格的にやろうとすれば、使用済み燃料の今プールにあるものをどうするのかという問題がどうしても大きなネックになっている状況があるわけですね。規制としてはというのか、早く長期化を避けるということになれば、早く使用済み燃料をどうするんだという話がどうしても出てきますので、JAEAにどこまで技術的に早くというものを、ここで例えば議論は令和15年度ということになりますけれども、そういうスケジュールの中でいろんな課題を、例えば廃炉の廃棄物の処分の問題もあります。さまざまな課題があると思うんですけれども、それをJAEA単独でどこまで可能なのか、あるいはそれに対して規制庁がどのようなことをされる予定なのか、もしお答えがあるのならばお願いしたいなと思いまして質問させていただきます。よろしくお願いします。
【山口主査】 では大村審議官、よろしくお願いします。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 原子力規制委員会、原子力規制庁は、あくまで規制という立場からの関与でありますので、安全にきっちりと対処をし、処理をしてほしいと、するべきであるという形での対応に、どうしても立場上はそういうふうになるとは思います。ただ、こういう廃止措置というものが新たなものを生み出すということがなかなか少ないということがあり、どうしても長期にわたり、長期にわたればわたるほど多額の費用が必要となるという構図にあるわけです。従って、そうなるとどんどん本来業務である、われわれの安全研究を含めて、本来の研究というものが圧迫をされるという構図にあるということは、安全をつかさどるわれわれから見ても非常に懸念が大きいというところであります。ただ、これは規制庁なり規制委員会がどうこうすれば解決するということではないと思いますので、これは国全体として考える必要があると思いますし、JAEAもそれに向けて最大限努力をしていく必要があるのではないかなとは思います。すいません、ちょっとお答えになっているかどうか分かりませんが、よろしくお願いします。
【来馬委員】 ありがとうございました、まさにおっしゃるとおりだと思いますので、規制委員会、あるいは規制庁の問題だけでは済まない話なので、国全体としてしっかりと総合的に解決をしていただきたいし、それが文字通り、ここで言う長期化を避けるということにつながっていくんだろうと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいということです。ありがとうございました。
【山口主査】 ありがとうございます。
 中長期計画を考える上では、こういういろいろな宿題というか、そういうのを踏まえてやるというのは、いろいろ研究開発の展望と併せてノートしておかないといけないと思いますので、ありがとうございました。
 続きまして、矢野委員どうぞ、お願いします。
【矢野委員】 質問です。9ページ目の下のほうの更田委員長の令和2年2月19日のお話がメモしてありますけれども、機構の設置法の改正の話がここに出てきているんですけれども、誠にこのとおりだと思うんですけれども、これはどこでどうやって決まっていくものなんですか。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 これは恐らく一つのアイデアということで、資金の調達をしようとすると、もちろん交付金というものがベースになるわけですけれども、ある条件を満たせば他から借り入れをする。借り入れで廃止措置をするのかという議論はあるとは思うんですけれども、費用的な部分を他にも道がないことはないよというのを言ったということだと思います。ただ、これをやるには法律上のいろんな制約があるので、そこを相当措置しないとそんなこともできないねと、こういう発言だったと考えています。
【矢野委員】 これは一体どこが提案するんですか、これをやろうとすると。規制庁が提案するということなんですか。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 規制庁は、原子炉等規制法に基づいて規制をするという立場でしかありませんので、規制庁、規制委員会からすることは無理ですし、恐らくそれはできないと思います。
【矢野委員】 もしそうだとすると、これはどこが言い出すことになるんですか。
【大村原子力規制庁長官官房審議官】 国の分担からいくと、これは文部科学省のほうで考えることかもしれませんが、ただ主体的にはJAEAがどういうふうにするかということをしっかり考えた上で全体として進めていく必要があるんじゃないかと思います。
【矢野委員】 どうもありがとうございました。
【松浦原子力課長】 文科省の松浦です。ちょっと補足いたします。よろしいでしょうか。
【山口主査】 どうぞ。
【松浦原子力課長】 現在の原子力機構の設置法では、長期借入金について核燃料サイクル関係のものにしか適用できないという規定になっておりまして、その考え方は、行政改革の観点から、実際に長期借り入れをするには、その蓋然性があるということと、償還財源について自己収入を確保していくということが基本的な考え方になっております。そのため、廃止措置のために長期借り入れをするという制度を実際につくるのは、そう簡単にはいかないという状況があります。ただ、円滑、迅速に廃止措置を進めるためには、こういった理由に鑑みても、なお長期借り入れ等による資金調達を制度上可能とできるかどうかとか、あるいはそういった別途の資金調達の方法があるかどうかも含めて、さまざまなオプションを今後検討していく必要があるのかなと考えております。以上です。
【矢野委員】 これはいわば公共事業ですよね。公共事業のようなものだから、これにPFIというわけにはいかないでしょうけれども、財源は何とかなるんじゃないかなという気がしないでもないんですけれども、難しいですか。
【松浦原子力課長】 おっしゃるとおり片付けなきゃいけない問題でありますし、資金的なきちんと調達のめども含めてやらないと、将来にツケを残すことになりますので、PFI等も含めて、どういう方策が可能なのかどうか、しっかり検討していきたいと思います。
【矢野委員】 ありがとうございました。
【山口主査】 どうもありがとうございました。他にご質問などはございますでしょうか。
それでは、本日はいろいろご意見をいただきまして、ありがとうございます。最終的にはそれぞれのヒアリングを整理するということになると思いますが、今日は中熊委員、中島委員、それから大村審議官には特に特別参加してご紹介いただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、以上で本日のヒアリングを終了したいと思います。全般を通して何かご意見はございますか。よろしいでしょうか。
 では、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】 本日の議事録につきましては、出来次第、メールにてご確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。また、明日10日の作業部会は13時半から15時までで、日本電機工業会様、日本原子力産業協会様のヒアリングを予定しております。
 それでは、本日の作業部会を終了させていただきます。本日は各委員、またプレゼンターの皆様、本当にありがとうございました。
【山口主査】 どうもありがとうございました。それでは、これで散会といたします。ありがとうございます。

―― 了 ――

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