令和2年9月2日(水曜日)13時30分~15時00分
新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催
山口主査
寺井主査代理
五十嵐委員
木藤委員
来馬委員
佐藤委員
中熊委員
中島委員
矢野委員
松浦 原子力課課長
長田 原子力課課長補佐
鈴木 原子力課室長(人材・研究基盤担当)
中谷 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課課長補佐
科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第4回)
令和2年9月2日
【鈴木原子力課室長】第4回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
今回の作業部会については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催しております。これに関連した確認事項などもありますので、議事に入るまでは、事務局にて進めさせていただきます。
[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]
以上が、本日の進行に当たっての留意事項になります。
続いて、本日の配布資料について確認いたします。
今回は、委員の皆さまおよび傍聴登録された方々宛てに、事前にメールにて配布資料をお送りさせていただいております。配布資料については会議で共有はしませんので、各自のお手元にてご確認いただければと思っております。配布資料については、議事次第に載っているとおりでして、配布資料として1から4まで、参考資料として1から3までをお送りしてございます。
それでは、委員の皆さまのご出席を確認いたします。今、映像で8名の委員の皆さまの出席を確認しております。定足数の過半数を満たしていますので、委員会は成立している旨ご報告させていただきます。佐藤委員には後ほど接続いただけるかと思います。
続きまして、本作業部会の委員の交代がありましたので、ご紹介いたします。
電気事業連合会原子力部長、中熊哲弘委員でございます。一言、ごあいさつを頂ければと思います。中熊委員、お願いいたします。
【中熊委員】はい。電気事業連合会原子力部長に7月から着任いたしました中熊でございます。よろしくお願いいたします。以上です。
【鈴木原子力課室長】ありがとうございました。
また、日本電機工業会原子力部長としてご参画いただいておりました多田伸雄様についても、異動に伴い委員を辞任されてございます。今後、新たな委員を委嘱することになるかと思っております。
事務局についても異動がありましたのでご報告いたします。担当審議官といたしまして、8月1日より堀内義規が着任しております。原子力課長といたしまして、同じく8月1日より松浦重和が着任しております。また、原子力基盤研究人材室長は、6月1日より、私、鈴木が着任しております。今後ともよろしくお願いいたします。
事務局からは以上になります。ここからは、山口主査に議事の進行をお願いいたします。
【山口主査】主査を務めます山口です。では、これから私のほうで進行をつかさどりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題ですけれども、お手元の議事次第をご覧ください。議題の1番から議題の5番までございます。時間は15時までを予定しております。ぜひいろいろご意見を頂ければと思いますので、ご審議に活発に加わっていただければ幸いです。
では、早速ですが、議題の1番目、「原子力システム研究開発事業の見直し等について」という内容に入っていきたいと思います。
最初に事務局から説明を頂いて、それから質疑の時間を取りたいと思います。では、事務局の説明をよろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】はい。資料1をご覧ください。
資料1の1ページ目に、原子力システム研究開発事業の公募の概要を載せておりますが、このページは、前回ご議論いただいたものからほとんど変わりはございません。スケジュールについて、一番下にございますように、8月31日まで公募をいたしまして、今後審査を実施していくという予定になってございます。前回の作業部会では、この「事業概要」の(1)のところにある、「基盤チーム型」の重点的に取り組むべき領域のテーマについて、山本先生から発表いただいて、委員の先生の皆さまにご議論をいただいたかと思っております。この「基盤チーム型」のテーマについて、本日ご報告をさせていただければというふうに思っております。
2ページ目に、前回作業部会において委員の先生からいただいた主なご意見を紹介してございます。まず最初の矢羽根にありますように、「コンピューテーショナルモデルがあれば、実証試験をするに当たっての条件付けにするについて役立つと思う」といったご意見がございます。これは山本先生がコンピューテーショナルモデルやシミュレーション、デジタルツインなどの重要性についてご発表されたことを受けてのご意見だったかと思います。
その他、2つ目、3つ目の矢羽根に、俯瞰(ふかん)図についてのご意見がございます。この俯瞰図、今回の資料の9ページ目に付けてございますけれども、俯瞰図をもとにどういったところに戦略的に注力すべきかを議論してきました。この俯瞰図について、もう少しインテグレーテッドというような観点が見えるような形での図にしたほうがいいのではないかというご意見をいただきました。
4番目の矢羽根では、原子力分野にも新たなプロセスを導入することの重要性などが指摘されていますし、最後の矢羽根では、計算科学を導入した研究開発の方向性について、新たな手法であるので、その合理性、安全性について一般の人にも分かるように発信していくことが必要だというご指摘を頂いてございます。
3ページ目にまいりまして、ご紹介したようなご意見や、後で説明します共通基盤技術ヒアリングを踏まえまして、基盤チーム型のテーマを設定しました。本資料に載せているものは、公募要領に別紙として掲載させていただいているものになります。
「基盤チーム型のテーマについて」の最初に、原子力分野におけるイノベーションの取り組みについてはチェンジマネジメントが求められていること、従来のリニア型の開発モデルを越えて、ステークホルダーのニーズを随時取り込みつつ、スパイラル型に知識の統合化、技術の統合化を進めていくということが重要であることを記載してございます。また、この方向性を目指す上で、計算科学技術、モデリング、シミュレーションといったものを活用していくということの重要性を記載してございます。
4ページ目については、具体的にどういった分野やどういったことに計算科学技術が活用できるのかというような例示を載せてございます。
5ページ目にまいりまして、このテーマを決めるに当たって、共通基盤技術ヒアリングをしましたので紹介いたします。当初の予定では、ステークホルダーが参加するワークショップを開催する予定ではございましたが、新型コロナウイルスの状況を踏まえまして、個別にステークホルダーの方々にヒアリングをする形を取りました。ヒアリングの参画機関については記載されているとおりです。参画機関の方々に、一番下の「質問事項」にあるように、基礎・基盤となる分野のうち、戦略的に重要な分野はどこなのか、実用化に向けた技術的ボトルネックは何かといった質問の他、産学連携やマネジメントや異分野融合の取り組みについても質問をさせていただきました。その結果については6ページ目にまとめてございます。
6ページ目の後ろには、7ページ目、8ページ目と、具体的なコメントをかなり細かく付けてございます。例えば①の最初のポツに、「原子力特有の基盤分野の基礎的なレベルの維持が重要、改良やトラブルシューティングにも基盤研究が必要」と記載してございますけれども、それの具体的なコメントについては、次の7ページ目の「1.」、「2.」になります。戦略的に重要と考える分野については、いろいろとご意見がありましたが、3ポツ目にあるように、「系統的なプロセス科学の視点の取組が不足しているのではないか」、4ポツ目にあるように、「資金や照射場が限られる中、シミュレーション技術の活用が重要である」と、また「検証作業やデータの取得も必要である」といった意見であるとか、「V&Vへ向けて計算機科学のコード化は重要である」といったご意見をいただいています。
②の「産学官連携・マネジメントのあり方」については、最初のポチにありますように、「日本型の民間主導のイノベーションを考えていくということが、今後、必要ではないか」ということであったりとか、「産学官が同じ方向を向いて研究を進めていけるような関係性の構築であったりとか意見交換の場みたいなものが必要なのではないか」といった意見の他、最後のポチにありますように、「経済のブロック化や知財の囲い込みといった国際的な状況を踏まえた研究開発が必要ではないか」といったご意見を頂いてございます。
「他分野技術の融合」については、「AIやIoTについては他分野が進んでいるので、その知見の取り入れが必要であること」や、「異分野の融合の取り組みについては、日本型の擦り合わせ方式だとちょっと時間がかかるのではないか」といった意見をいただきました。こういったご意見も踏まえまして、今回の基盤チーム型のテーマ設定をさせていただきました。
次に、9ページ目に、原子力研究開発分野の俯瞰図、これまで示してきたものをまたもう1度掲載してございます。これだと平面的ではないかというようなご意見を踏まえまして、10ページ目のように、「3層戦略モデル」ということで立体的に見える図を考えてみました。「基礎知識層」に示すさまざまな個別の学問分野における知識を、計算科学技術を活用して統合していって、具体的な実証につなげていくという図になってございます。
黄色のところが、今回のテーマになりますけれども、課題を右側に記載しております。この課題については共通基盤技術ヒアリングで抽出された課題です。次の11ページについては、この図を作るに当たって参考にしたモデルの説明を載せてございます。
事務局からの説明については、以上になります。
【山口主査】どうもありがとうございました。
それでは、今、頂きました説明について、原子力システム研究開発事業見直しということですが、ご意見のある方は、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
五十嵐委員、お願いします。
【五十嵐委員】すみません。これまでの間にヒアリングなど調査をしていただいて、また図なども工夫していただいて、この事業が着実に進められていると思います。8月31日が締め切りだったということで、具体的に何件くらいの応募があって、テーマなど、どういったものがあったのでしょうか、詳細はこれからだとは思いますけれども、教えていただければと存じます。
【山口主査】では、事務局のほうからお答えいただけますでしょうか。
【鈴木原子力課室長】申請は64件ありました。具体的な中身については審査中なので申し上げられませんので、採択された後に、ご報告させていただければと思っております。
【山口主査】ありがとうございます。
他にいかがでしょう。何かありましたら、挙手をお願いします。
じゃあ寺井委員どうぞ、お願いいたします。
【寺井主査代理】寺井です。ありがとうございます。
基本的にはこれで結構だと思います。今後、しっかりと審査をしていただければと思いますが。ちょっと確認なんですけれども、先ほどの9ページの俯瞰図、これがもうちょっと立体的になればいいんじゃないかというご指摘が前回あって、それを基にして修正といいますか展開したのが10ページの「3層戦略モデル」であると。そのうち、この文科省さんの今回の事業は、2番目の「実現技術層(Enabling Technologies)」ところに焦点を置いていると、そういう理解ですね。
それでこれは、結局は、12ページの「NEXIPイニシアチブにおける事業の位置づけ」ということになりますと、経産省さんと文科省さんの間でうまくリンクを取って相互にやっていくということなので、多分、10ページで言うと、経産省さんの事業は「技術統合」という「システム設計層」というあたりになるんですかね。これは文科省さんのお答えされるべき内容でないかもしれませんが、いかがでしょうか。
ご質問は以上です。
【山口主査】鈴木さん、それで、いかがでしょう。
【鈴木原子力課室長】そうですね。そういったことを文科省としては考えておりますが、具体的な連携方策については、今後、経産省ともよく話し合っていきたいというふうに思っています。まずは情報交換からかなとは思っております。
【寺井主査代理】ありがとうございます。結構です。
【山口主査】はい。では、中島委員、どうぞお願いします。
【中島委員】中島です。ちょっと全体の流れが理解できていないかもしれないので確認ですけれども、公募スケジュールだと、7月28日から8月31日まで公募を行って、これから審査という段階であると。あとそれに加えてというか、その前にですかね、ヒアリングを行って、いろいろと概要なり、あるいは個別のコメントを取りまとめていただいていますけれども。このヒアリングの結果というのは、どの時点でフィードバックされているのですかね。公募要項の中に、もうこのヒアリングのコメントみたいなのが入っていたのか、私は十分確認していないのですけれども、それともあるいはこれから審査をやるに当たって、こういったことを念頭に置いて審査をするのかとか、あるいはもうちょっと先をにらんでの話なのかという、そこら辺の位置付けを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【山口主査】では、これも鈴木さん、事務局からお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】はい。説明不足で申し訳ありませんでした。共通基盤技術ヒアリングの内容については、これを踏まえた上で公募要領の基盤チーム型のテーマの設定をいたしました。計算科学は幅広くいろんなものに使えるというようなご意見であったりとか、計算科学やシミュレーション技術が重要だということを踏まえて、今回の基盤チーム型のテーマ設定とさせていただきました。
全てが反映できているというわけではないとは思っておりまして、例えば産学連携の意見交換の場の必要性みたいなところについては、今後、事業を進めていく中で反映できればなというふうに思っております。
【中島委員】どうもありがとうございます。
【山口主査】ありがとうございます。これはみんな現場の方の声なので、ぜひ今後も引き続き、こういうコメントをウオッチしながら進めていければと思いますので。
あと、他にはいかがでしょう。
木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】ありがとうございます。ここに、ヒアリングのほうでいろいろご意見があったということで、そういう実際の声に基づいて事業をつくっていっていただけるということで、とてもいい方向であるというふうに思います。
その中で、5ページの「共通基盤技術ヒアリング」、そして6ページに、特に「産学官連携・マネジメントのあり方」の中でご意見があります、産官学でロードマップ等の方向性を共有するという、この辺についても全くそのとおりと思っております。原子力人材育成ネットワークのほうでも、人材育成とはちょっと離れたほうの意見になりますけれども、基盤を維持するために大事なこととして、研究開発プラットフォームというのを作っていくべきじゃないかというような考え方も持っておりますので、ぜひ人材育成ネットワークなどとも意見交換をして、連携してやっていただければなというふうに思います。ありがとうございます。
【鈴木原子力課室長】承りました。
【山口主査】他に、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
五十嵐委員。
【五十嵐委員】先ほど主査がおっしゃられたように、このヒアリングは、まさに現場の声を集められたということだと思います。様々な声が挙げられていて、「これを基に」というのは非常に重要だと思います。ただ、そうすると、他分野との融合というのも、今回の大きなテーマだと考えるのですが、これを見ると、やはりこの専門分野の方々のご意見という気がしてしまいます。コロナの状況で、ワークショップなどは開けず、個別のヒアリングという形だったということではございましたが、今後、さらに広くご意見を求めていくというようなことは考えられているんでしょうか。例えば、集まった応募に対して、他の分野の方からご意見を頂くとか。また、国民の目線からの意見を聞くような場が、設けられる可能性があるのかどうかを伺いたいと思いました。
【山口主査】これは、事務局からお願いします。
【鈴木原子力課室長】ありがとうございました。審査委員については、具体的なお名前は審査が終了するまで公表できないのですけれども、他分野の方にも入っていただくように、調整しているところでございます。また採択された後に、他分野の方からいろんなアドバイス等を頂く機会というのができるように、今後、考えていきたいと思っております。
【山口主査】どうもありがとうございます。
経産省の中谷さん、手を挙げていらっしゃいますが、お願いします。
【中谷原子力政策課長補佐】すみません。先ほどNEXIP事業との連携というところで、委員の方々からも、文科省さんからもコメントを頂きましたので、私たちからも少し発言させていただこうと思いました。
NEXIP事業について、われわれのNEXIP事業の取り組みにおいては文科省さんとも連携させてやっていただいて、審査の資料などもご覧いただいていたところですけれども。文科省さんの原シスの事業においても、ぜひわれわれも密に連携させていただけたらありがたいなというふうに思っておりますので、具体的に今後、審査委員会等をどうするかというところをご相談させていただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。
【山口主査】中谷さん、せっかくなので10ページの俯瞰図について答えはいかがですか。
【中谷原子力政策課長補佐】そうですね、はい。私たちのほうでは、フィージビリティスタディーということで、いろんな炉型を皆さんに検討いただいているところなんですけれども、その中で、要素技術としてさまざまなイノベーションが考えられると思いますので、この2層目、3層目のところを、ぜひ文科省さんのこの原シスを一つのステップに、充実していただけたらいいのではないかなと思っております。
ただ、この2層目、3層目とこの1層目の連携のところが非常に重要だというふうに言っておりまして、そういう視点でも、この原シス事業のアプリケーションに、この1層目と既に連携の話があるようでしたら、その旨、記載いただけるように文科省さんの照査までしていただいたというふうに認識しておりますけれども。そういったところもステップに、具体的な連携につなげていけたらいいかなというふうに思っております。
以上です。
【山口主査】ありがとうございます。先ほどのヒアリングのいろんな意見とかも含めて、この3層のモデルの層の間の関係とか連携とか、この辺は、この図を充実させていくといいのかもしれないですね。ありがとうございました。
【中谷原子力政策課長補佐】ありがとうございます。
【山口主査】矢野委員、手を挙げていらっしゃいますか。矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】今までに話があったのかもしれないんですけれども、この事業はどなたがリーダーシップを取るっているんですか。ただの個人か数名の個人がリーダーシップを発揮して推進していくんじゃないかと思うんですね。この委員会というのは、その人たちに何かアドバイスをするというんですか、その辺の関係が何となく分からないんですけれども。
【山口主査】どうぞ、鈴木さん、お願いします。
【鈴木原子力課室長】12ページに原子力システム研究開発事業についての概要が記載されておりますけれども、「原子力システム研究開発事業」の下に、「事業運営会議(新設)」、「プログラムディレクター、プログラムオフィサー」というふうに記載されております。基本的にはこのプログラムディレクター、プログラムオフィサーに、この事業のリーダーシップを取っていただくことになります。
今回の基盤チーム型のテーマ設定についても、POの先生方の越塚先生、山本先生、義家先生にテーマを記載していただきましたし、共通基盤技術ヒアリングについても、POの先生方が中心となってヒアリングをしていただいてございます。この委員会から頂いた意見については、POの先生、PDの先生ともシェアしております。
【矢野委員】分かりました。
【山口主査】それでは、大体よろしいでしょうか。これはまだこれからというところですので、いろいろと、この作業部会の委員の方々も非常に高い関心を持って聞いておられますので、今後もぜひ進捗状況などを報告を頂いて、またご意見を伺いたいと思います。事務局にはよろしくお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】承りました。
【山口主査】それでは、次の議題に入りたいと思います。
議題の2番目ですが、「国際原子力人材育成イニシアティブ事業」の採択結果についてでございます。資料の2番。まず事務局からご説明を頂きたいと思います。どうぞ、お願いします。
【鈴木原子力課室長】はい。事務局から説明をいたします。
1ページ目にありますように、「国際原子力人材イニシアティブ事業について」は、6月1日まで公募を実施しまして、計11件の提案がございました。これらについて書類審査とヒアリング審査を実施しまして、7月28日に採択課題の公表をいたしました。
審査基準については、4ページ目の下のほうに「審査基準」として掲載してございまして、これに基づいて審査委員の方々に審査をしていただきました。審査委員については、5ページ目にお名前を載せてございます。
全部で6拠点をフィージビリティスタディーとして採択をいたしました。この6拠点について、1年間フィージビリティスタディーをしていただいて、2拠点程度に絞っていくということを考えております。2拠点程度に絞るというのは、絞って、1個、2個にするというよりは、チームになっていただいて、2拠点のグループになっていただくというようなイメージで考えてございます。
具体的に採択された機関については、1ページ目から。まず北海道大学が代表機関のものが採択しております。北大の提案については、2段落目にございますけれども、オンライン教材の活用というものに着目しておりまして、オンライン教材を使って教材を共有化する、単位互換などをした大学連携を目指すというような提案を頂いてございます。
続きましては東北大学の提案でございます。タイトルにあるように、東北大学が持っている大型施設を利用した教育を実施するというような提案を頂いてございます。
2ページ目ですけれども、東京工業大学の提案については、国際をテーマとした提案になっておりまして、2段落目の、「具体的には」以下に記載されているように、米国のニュークリアイノベーションブートキャンプを日本で開催したり、大学院学生を米国などの大学に派遣するといった取り組みの提案になってございます。
福井大学の提案については、地元密着というのを強く打ち出したものになっておりまして、原子力事業者などとも協力して実施していくことや、今後設置予定の「もんじゅ」サイト炉のための人材育成についても考えていきたいといったような提案がございました。
3ページ目、近畿大学の提案については、近大と京大が持っている炉を活用した実習を中心とした提案になってございます。
最後に、高等専門学校の提案については、高専全体で原子力教育、研究をどうやっていくのかというのを考えていくものになっております。また、高専生だけではなくて、立地地域の中学生、社会人を対象としたセミナーを開くなど、裾野についても対象とする提案になっておりました。
以上の6拠点を採択しておりまして、今後、先ほども説明しましたように、これらを2拠点程度にうまくまとめていくというようなことを、PD、POの先生の指導の下に実施していきたいと思っております。
資料の6ページ目に、前回の作業部会で委員の皆さまから頂いた意見を記載してございますけれども、ご意見も踏まえつつ事業を進めていきたいと思っております。
説明は以上です。
【山口主査】どうもありがとうございます。それでは、ただ今のご説明に、質問、ご意見がありましたら、お願いをいたします。
【山口主査】お願いします。では、中島委員から、お願いします。
【中島委員】中島です。ご説明ありがとうございます。これは確か、後ろにもありましたけれども、1年目がフィージビリティスタディーということで、それの結果を踏まえて、先ほどお話があったような統合というか、拠点を選別するというか、そういった作業に入るかと思うんですけれども。
1番目の、例えば北海道大学なんかは、オンラインということで、今のこういうご時世というか社会情勢にまさに乗ったような流れですけれども。あと具体的な実験をやるとか、そういった学生さんが全国から集まってやるようなことというのは、今年1年間というか、来年度もどうなるか分かりませんけれども、やっぱりこのコロナの状況でかなり実際に実施することが結構難しいのではないかなと思うんですね。そういった中で、この本年度いっぱいのフィージビリティスタディーでどういうふうな評価が出るかというのが、ちょっとうちのところも入っていて、実験をどうやってやろうかという、なかなか頭が痛いところがありまして。そういったのは、文科省さんとしては、例えばコロナ下でのこういった実験教育みたいなものの在り方というのに対してどういうふうに評価しようというか、ちょっと難しいかもしれませんが、どう考えているか、もしお考えがあれば教えてください。
以上です。
【山口主査】それでは、文科省のほうからお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】実験しければできないような教育もあるかとは思いますが、今はかなりバーチャルリアリティー、シミュレーションなどでできることもあると思うので、フィージビリティスタディーの中で、今後どうやっていくのかというのを検討していただければと思っています。今後どういうふうに代替できるのかというようなことも含めて、次の提案をフィージビリティスタディーの中で考えていただければというふうに思っています。必ずしも何人に対して実験を実施したとか、そういうことを評価するということは考えていません。
【中島委員】分かりました。ありがとうございます。
【山口主査】では、続いて、寺井委員、どうぞお願いいたします。
【寺井主査代理】寺井でございます。そこにありますように、私は審査委員会の委員長を務めさせていただきましたので、少しいろんな議論のプロセス等をご紹介したいと思います。
審査の基準につきましては、先ほどご案内があったとおりでございまして、4ページの真ん中あたりに「審査基準」というのが載っかっております。これに沿って審査をしたわけでございますけれども、実際にいろんな提案が出てまいりまして、その中でどういうところに重点を置くかというところが、やっぱり一つの大きな議論になりました。
多分、2つぐらいございまして。1つは、これは「人材育成イニシアティブ」なんですけれども、人材の育成といったときにどのレベルを対象にするのかということですね。早いレベルから言うと、例えば中学生、高校生、あるいは大学入学前ぐらいの人を対象にするとか、あるいは大学の学部の初年次ぐらいを対象にするとか、あるいは同じ学部であっても専門教育に入った後期のレベルを対象にするのか。もしくは修士課程ですね、この辺が、技術者の今、中心になっていますけれども、修士課程レベルの人を対象にするのか。さらにはもっと一歩進みまして、博士課程ですね。研究者養成ということに、これは重点が置かれるんですけれども、研究開発を指導的にやれるような人を養成するのか。人材育成といいましても、今、言ったような5つぐらいの対象があるわけです。
もちろんこれを全部対象にできればいいんですけれども、なかなかいろんな制約がありますからそうはいかないと。今回のこの趣旨を考えますと、多分、対象とすべきは学部の後期レベルから修士課程レベルかなということですね。もちろん高専生というのは、この後、専攻科に行って大学院あるいは大学に行きますので、これも当然対象に入るだろうということです。それで、もし可能であれば少し裾野を広げるという、そういうふうな考え方で審査をしました。
それからもう1つは、やはり一大学の特別な研究拠点の形成というよりは、しっかりとした拠点をつくりながらも、ネットワーク形式で、日本全体の原子力教育の底上げにつながるような、そういう課題を採択すべきではないかというような議論がありましたし。それから、プログラムの間だけの一過性のものではなくて、プログラムが終了した後も継続的に拠点として運営いただけるような、そういうところを採択すべきではないかと、こんな議論がありました。
ということで、今、申し上げたようなところに重点を置きまして、今回、この6件をFSとして採択をさせていただいたということでございます。その一件一件につきましては、先ほど鈴木さんのほうからご紹介がありましたのでここでは繰り返しませんけれども、今、申し上げたところを採択しているということです。もちろん提案の中には、かなりスペクトルを絞って最先端の研究者の養成とか、特に国際連携を強調するという優れた提案もあったんですけれども、今回の趣旨から言うと少しそれは対象から外れるかなということで。そういった提案はまた今後、別のプログラムで応募いただくのがいいのかなというふうな結論になりまして、先ほどの6課題をFSとして採択をしたと。
このうち、やはり先ほど鈴木さんからございましたように、今年度はそういう形でとにかく準備をしていただいて、PDとかPOのご指導の下に、これをより強固な2拠点程度に仕上げていくというプロセスを今年度やっていただくということを前提に、6件をFSとして採択をしたと、こういうような趣旨でございます。
私のほうからは以上で、委員会に佐藤先生が出ておられましたので、何か補足があれば、佐藤委員からもお願いをしたいと思います。以上です。
【山口主査】ありがとうございました。
【佐藤委員】佐藤でございます。今、寺井先生が、全部述べられましたので過不足はございません。どうもありがとうございます。
【山口主査】ありがとうございます。
では、続きまして五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】すみません、五十嵐です。
質問自体は、先ほど中島先生がお尋ねになったことと同じで、それにつきましては、鈴木さんからお答えいただいたのですが。今後、この6件、6チーム全てが、こうした状況の下で、新しい方向を検討していく必要が出てくるのかなと思います。これを2拠点程度に絞っていくということで、恐らく、どんどん情報交換をしていく場を設けていただけるのだと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
それぞれが独自に、別々にやるよりも、いろいろと新しいことで活用できることなどについての意見交換、情報交換を互いに盛んにしていっていただければと思います。またそういったことは事務局のほうでも機会を設けていただけるのかどうかというところが気になったので、あえて申し上げました。
【鈴木原子力課室長】ありがとうございます。基本的には競争ではないと思っていますので、FS期間中に情報交換をして、みんなで協力していく環境をつくっていければと思っています。採択された機関、オンラインかもしれないですけれども、皆さんで情報共有をできる場をつくる予定でございます。
【山口主査】ありがとうございます。そこは多分、非常に重要で、人材育成は、おっしゃったとおりで競争ではないというのは重要なポイントだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
【鈴木原子力課室長】はい。
【山口主査】来馬委員、じゃあ引き続き。来馬委員、聞こえますでしょうか。じゃあどうぞお願いします。
【来馬委員】審査委員長からもご説明があり、あるいは文科省のほうからも回答がありましたけれども、やはり当初の計画というか、公募されたときに4つぐらいのエリアを拠点化するというところからスタートしていたので、実際にやっているところから話を聞くと、十分にコミュニケーションが取れなかったこともあるのかもしれませんけれども、まあ戸惑っている。あるいはコロナの問題もあって、FSそのものの中身の在り方もなかなか考えにくかったというのがありますので、今ほどもいろいろご指摘がもう既にありますけれども、今後このFSの結果を、単に結果として評価というんじゃなくて、実際の実施段階も含めて、十分いろいろコミュニケーションというかご指導をしていただかないと、大学としてどう進めばいいのかなというのが、来年度以降ちょっと悩ましいというのが現状だと思います。
従って、もう既にいろいろとご意見を頂いていますように、ぜひ2つに絞るというか、2つの拠点としてまとめていくというその方向性を、しっかりと各大学に、あるいは研究機関に伝えていただいて、そこと十分コミュニケーションを取りながら中身を絞り込んでいくという必要があるのではないかと思いますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
以上です。
【山口主査】どうもありがとうございました。これは文科省のほうでは、鈴木さん、よろしいでしょうかね。
【鈴木原子力課室長】はい、承りました。
【山口主査】では、木藤委員、どうぞお願いいたします。
【木藤委員】ありがとうございます。ご説明もありがとうございました。寺井先生にもいろいろとご説明いただきまして、採択の経過というのがよく分かったように思います。
その採択された機関、組織が相互に協力するということは当然そうだろうと思いまして、競争でないとおっしゃったのもありがたいことですし、そういう見方は大事かなというふうに思っております。でもこれらの事業に参加していないところにも、それから産業界のここに名前の挙がっていない企業とかにも、採択された事業がどういうふうに進んでいるか、どんな方を対象にして、どんな内容でされているかということは、やっぱり随時うまく伝えていただくということが、協力を得るという点でもそうですし、説明性を高めて、信頼感を高めることにつながると思いますので、その辺の仕組み作りをお願いしたいというふうに思います。
また再び申しますが、原子力人材育成ネットワークというのもありまして、そちらでもこういった、一元的という、日本全体で人材育成に取り組むという考え方は大事だということをかねてより言っておりますので、そちらのほうとも、特にPD、POの先生方とは意見交換をしていただけるとありがたいかなと思います。よろしくお願いいたします。
【山口主査】よろしいですかね、鈴木さん。
【鈴木原子力課室長】はい、分かりました。そのようにさせていただければと思いますし、今回採択されなかった大学も含めて、日本全体の底上げを目指しておりますので、最終的にはいろんな大学、いろんな企業さんからのご協力が得られるよう、または波及するように進めていければと思っております。
【木藤委員】ありがとうございます。よろしくお願いします。
【山口主査】木藤さん、逆に人材育成ネットワークって、ここで採択された機関の人たちはネットワークのメンバーだと思うんですが、何かを考えていらっしゃるんですか。
【木藤委員】特にこの事業についてネットワークとしてというところは、今は、議論はまだしていないと思います。ただ方向性が同じでありまして、このような重要なところにお金も付けていただいているので、うまく連携させてもらえればなというふうに考えているものです。
【山口主査】はい。これは、ここに採択された大学は、多分、人材育成ネットワークに代表を送っていらっしゃいますよね。
【木藤委員】ほぼ入っていただいていると思います。
【山口主査】そうですよね。木藤さん、ぜひリーダーシップを取って、よろしくお願いいたします。
じゃあ、矢野委員、ではどうぞ、お願いします。
【矢野委員】僕は、教育現場というのはあまりよく知らないんですけれども、人材を育成するというときに、人材が育成されたかどうかというのを、やっぱり定量的に見てみる、見えるようにするのがいいんじゃないかと思っていまして。例えばいろいろな資格がありますけれども、その資格を取らせるとか。もちろん卒業論文を書かせるとか修士論文を書かせるとか、最終的には博士論文ですけれども、そういったものを論文にまとめて発表するとか。何かこの事業なり、「これをやった結果、これだけの資格者が出た」とか。資格を持てば、多分、将来就職したりするときにも何かプラスになるでしょうし、あるいは新しい資格をつくるとか、何かそういうことをやってみるのもいいんじゃないかなとは思っているんですけれども。
【山口主査】ありがとうございます。成果をちゃんと目に見えるようにして説明するということが大事なのはおっしゃるとおりなので、これは事務局のほうでも、また今後、事業の中間評価とかをずっとやっていくと思いますので、その段階でもし、どういう形で成果を見ていくのかというのはご検討いただくと。POの先生方にもいろいろご意見を伺うことになると思いますが、そんな感じでしょうかね。鈴木さん。
【鈴木原子力課室長】ありがとうございます。ご意見を踏まえて、どのように評価できるかについて考えていきたいというふうに思います。
【山口主査】ありがとうございます。これも新しく設計した仕組みということで、これからしっかりと軸になる拠点が出来上がって、底上げもそうですし、あとリーダーも育っていってもらいたいですし、うまく動いていくよう、ぜひ期待したいと思います。
では、このテーマはこれぐらいで終わりたいと思います。
続いて議題の3番目です。「『もんじゅ』サイトに設置する新たな試験研究炉の在り方について」でございます。これは資料の3番ですね。事務局から資料3について、まずご説明をお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】はい。文部科学省の長田と申します。資料3「『もんじゅ』サイトに設置する試験研究炉の炉型及び今後の検討の進め方について(案)」という資料に基づいて、ご説明させていただきます。
こちらは、前回5月の作業部会で、これまでの調査の結果についてご説明差し上げましたけれども、その後、文部科学省のほうでさまざまな関係者にも説明しながら、今後の炉型、また検討の進め方について検討を進めておりまして、今後の進め方について文科省の考え方を本日おまとめし、皆さまにご説明いたしまして、ご意見を頂きたいというものでございます。
それでは順に、「1.」の「経緯」というところから、内容の重要なところを簡略に説明したいと思います。
まず経緯ですけれども、平成28年12月の原子力関係閣僚会議におきまして、将来的に「もんじゅ」サイトを活用し、新たな試験研究炉を設置することで、わが国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置付けることとされました。
また一方、近年のわが国の試験研究炉の状況を俯瞰しますと、施設の高経年化、新規制基準への対応などによりまして、これまでどおりの運用が困難な状況になっており、多くの試験研究炉が廃止の方針となっているということでございます。結果、東日本大震災後は運転再開した炉は4施設のみですし、またその中でも特に多くの利用者が存在する京都大学のKURに関しましても、2026年以降の運転継続は困難と見込まれている状況であるなど、わが国の基盤全体として、脆弱化している状況であるということでございます。
このような中、文部科学省では、平成29年度から令和元年度まで、「もんじゅ」サイトにどのような試験研究炉を設置するかなど、さまざまな調査を行ってきておりまして、下の3つのポツに書かれておるような主な調査結果を得ております。こちらは前回ご説明したものですが、1つ目の「○」としまして、まず候補となり得る試験研究炉を整理いたしました。具体的には、既存炉をベースに最新技術を盛り込み建設可能と考えられる炉型として①から③、中出力炉、低出力炉、臨界実験装置、これらにつきまして特徴等を整理しております。その他、技術課題をクリアできれば建設可能性が見込まれる炉型も併せて整理したところです。
2つ目の「○」ですが、また「もんじゅ」サイト内の想定される設置場所としまして、現在は山側の資材置き場等として使用されております高台の土地を特定したところでございます。今後、地質調査等は必要でございますが、スペース的には、これら上に挙げた1から3の炉型は設置可能ということでございます。
また3つ目ですけれども、試験研究炉の運営体制について検討した結果、研究機関と大学が中心となり施設を整備・運営し、また自治体や産業界が、さまざまな支援を行うことが適切であるというような調査結果を得たところでございます。
これらを踏まえまして、われわれのほうで今後の進め方について検討をしておりました。その基本的考え方を「2.」に示しております。試験研究炉は原子力に関する重要な基盤ですが、2ページ目の一番上にありますように、近年、わが国全体として脆弱化している状況にあります。このような中、将来的に「もんじゅ」サイトに設置する試験研究炉は、幅広い研究者・学生等が利用する西日本における研究開発・人材育成の中核的拠点として位置付け、それにふさわしい機能を有することが必要であろうというのが、1つ目の考え方でございます。
次に2つ目の重要な考え方としまして、「また」以降ですけれども、本試験研究炉の設置を、「もんじゅ」の廃止措置とともに政府決定した際に、今後とも地元の発展に政府として最大限応えていくとした方針を踏まえますと、本試験研究炉は、これを立地する地元の振興に貢献するものとなることが重要であると、これが重要な考え方と思っています。地元からは、これまでに、大学等の人材育成・研究開発のみならず産業利用にも広く活用されるものとすること、また将来的に雇用や新産業創出につながるようなものとすること、また可能な限り早期に実現すること、本試験研究炉の意義等について広く周知することといったような要請を受けておりまして、これらに応えて、地元振興に貢献していくものとすることが必要と考えておりますと。
以上のように、1つ目、西日本における原子炉分野の研究開発・人材育成の中核的拠点としてふさわしい機能の実現、また2つ目として地元振興への貢献、この2つの観点から最適なものとなるよう検討していくというのが、基本方針でございます。
この方針にのっとりまして、3ポツ目、今年度から概念設計を開始するというスケジュールでこれまで検討を進めておりますが、その試験研究炉の炉型について、考え方をまとめたものです。
ここに書いておりますが、先ほど説明しました基本的考え方に基づきまして、中出力炉とすることが最も適切と考えられるとしております。
理由はここの下の「○」で書いておりますが、先ほどもご説明しましたように、西日本での原子力分野の研究開発・人事育成の中心的な役割を有していますKURにつきまして、将来的な運転継続は困難と見込まれる中で、KURの機能を中出力炉であれば発展的に担える炉型であろうということ、また原子力分野のみならず、材料・ライフサイエンス等、幅広い分野での利用が見込まれるとともに、学術界のみならず産業界による利用も見込まれる。このため、最も広範で多くの研究者・学生等が利用する炉型であるとともに、産業分野への発展が期待できる炉型であると考えられること。これらのことから、先ほど申し上げた2つの基本的な考えにも即して、中出力炉が最も適切な炉型であると考えられるとしております。
具体的な原子炉、周辺施設等々につきましては、今後、概念設計以降、検討を進めていくということで考えております。
次に4ポツ目、3ページ目以降ですけれども、「試験研究炉の概念設計と、運営の在り方検討の今後の進め方」について、方向性を書かせていただいております。
一番上の段落にございますが、今後、本試験研究炉の概念設計を速やかに開始いたしますが、具体的にどのような設計とするかは本試験研究炉をどう運営するかといった点とも大きく関係するので、概念設計および将来の運営の在り方を一体的に検討を進めていくことが必要があると考えております。
2つ目のパラグラフをご覧いただきまして。これを効果的に実施する体制を構築するために、概念設計および運営の在り方検討の実施主体として、中核的機関というものを選定したいと考えております。後ほど、そこについては詳細をご説明します。その上で、本試験研究炉を用いて原子力に関する人材育成・研究開発を実施する大学等や、また他分野・産業界を含めて、さまざまな利用ニーズを有する機関、これらから成るコンソーシアムを構築しまして、中核的機関においてコンソーシアムにおける意見を集約しながら、概念設計および運営の在り方検討を実施することが適切であると考えております。
また、その実施主体となる中核的機関についての考え方ですけれども、次のパラグラフにございますように、「①試験研究炉の着実な設計・設置・運転」、また、「②幅広い関係機関が利用出来るような試験研究炉の運営」、「③地元関係機関との連携構築」の3つの観点を中心に、総合的に検討を進めていくことが重要だと考えております。また、これら幅広い取り組みを実施するためには、中核的機関は単一の機関が担うのではなく、3つの観点に関して知見・経験・能力を有する少数の研究機関・大学が、適切な役割分担の下、連携し、一体となって中核的機関としての役割を果たすことが効果的であると考えられるとしております。
また、その中でも、1つ目の観点に関しまして、試験研究炉の設計・設置・運転につきましては、最終的には単一の機関が責任を持って実施する必要があるところ、こちらにつきましては、「もんじゅ」サイトを所有しているとともに、わが国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として、さまざまな試験研究炉の運転実績を有するJAEA が、他の機関の協力を得つつ担当することが適当であると考えられるとしております。このため、中核的機関には、JAEAは組織を挙げて参画し、関係機関と連携をし、わが国全体の研究開発・人材育成の強化に貢献することが期待されるとしております。
また、次の「なお」以降のところですけれども、最後に試験研究炉を建設してから現在までに20年以上が経過しておりまして、この間、新規制基準への対応や、高経年化等による試験研究炉の維持・管理の困難化など、状況の変化が生じております。これらを踏まえまして、今後の本試験研究炉の検討に当たりましては、これまでの試験研究炉の設置や運営で得られた課題・教訓や、また設計・設置・運転、各プロセスにおけるグレーデッドアプローチの考え方に留意することが重要であるとしております。
最後の4ページ目は、今後のまとめですけれども、文部科学省としましては、上記の考え方に基づきまして、中核的機関の選定、コンソーシアムの構築、概念設計の開始等を着実かつ速やかに実施し、試験研究の具体化を図っていく。併せて、地元を含め幅広い方々に知ってもらうとともに、将来的に多くの研究者等に利用されるよう、その意義等に関して発信に努め、研究開発・人材育成の中核的拠点の形成および地元振興への貢献に取り組んでいくとしております。
以上、資料3の概略についてご説明いたしました。
【山口主査】どうもありがとうございました。非常に重要なテーマですが、早速、委員の皆さまから忌憚のないご意見、ご提言を伺いたいと思います。いかがでしょう。ございましたら、また挙手をお願いします。
じゃあ寺井委員からお願いします。どうぞ。
【寺井主査代理】寺井です。ありがとうございます。私は、実は主査代理ですのであまり最初から発言するのは良くないかもしれませんけれども、やや関係することをやっていますので、コメントだと思いますが、申し上げたいと思います。
この「検討の進め方」の作成に当たっては、過去2年間、しっかりと文科省さんのほうでいろんな調査をされて、その結果をこの中に反映させたペーパーだというふうに理解をしています。それで、結論としては中出力炉を「もんじゅ」サイトに考えると、それから実際にそれを運営するときの実施母体についても検討をされていて、基本的には適切だというふうに思います。地域性の問題もちゃんと入っていますし、それから京大炉の後継をどうするかというようなところも入っているし、妥当なご提案じゃないかなと思います。
それで幾つかコメントがありまして、1つのコメントは、この「もんじゅ」サイト炉と、それからもう1個、JAEAの中でJMTRの後継炉の議論が今、進んでいまして、その概念設計等をこれから始めるということになるわけです。この2台の新しく作る炉についての、オールジャパンとしての役割分担というのを、やはりある程度明確に示さないといけないのかなという気がしていまして。1つは地域性の問題で、「もんじゅ」サイト炉は主に西日本ということが焦点になっていますし、JMTR後継炉の場合は、現在、JMTRがあるところは茨城県ですけれども、どちらかというと東日本と、出力が大きいのでオールジャパンというふうな考え方になるのかなという感じです。
それから目的につきましても、多分この「もんじゅ」サイト炉とJMTR後継炉は若干違っていて、「もんじゅ」サイト炉のほうは人材育成、それから地域への振興、この辺のところが中心になっていますし、それから京大炉の後継ということでビームを使った研究というのがかなりのウエートを占めるだろうと理解をします。JMTRのほうは、むしろ照射炉ということで、かなり重照射を重要な点として考えていて、次世代炉の開発等に役に立つというふうなことで目的設定もされていると思います。
規模感につきましても、現在の京大炉は確か5メガワットだと思うんですけれども、それを若干大きくした10メガワットということで、これは実はJRR-3が20メガワットですけれども、それはビーム炉で、その辺との関係みたいなのも将来の展開の中で考えていくのかなという気がします。一方JMTRのほうは50メガワットが今でして、こちらのほうも、検討は50から100メガワットぐらいというふうに、今、進められていますので、ちょうど1桁ぐらい規模感としては違うということで、これも適切な役割分担なのかなというふうに理解をしています。
ただ、幾つか懸案事項がありまして、1つは、今回のこの「もんじゅ」サイト炉は、JAEAが中核機関の中の設計・設置・運転等のハードのところを中心的に担うと書いてあります。それで実は「もんじゅ」の廃止措置の問題もあるし、それからJMTRの後継炉を今後考えるとしたときに、それについてのロードというのもあるので、これはちょっと失礼な表現かもしれませんけれども、JAEAの中に、そういったものを並行して進めるだけの体力といいますか。人材は多分あると思うんですけれども、予算的なところもある程度措置されればできると思うんですが、組織としての実行能力といいますか、体力があるかということと。もう1つ大事なのは、これはJAEAの方にお聞きしないといけないんですけれども、それをやる覚悟といいますか、心の準備があるかという、この辺のところで。このあたりは、多分、文科省さんのほうからJAEAさんにいろいろなお問い合わせを多分されるだろうと思うんですけれども、ここは一つ重要なポイントかなというふうに思います。
それからもう1点は、こういうふうな炉の重要性はもちろん理解はできますし、今後そういうことで、原子力を再度しっかりやっていくというのは大事だと思うんですが、財務省さんへの予算要求のときに、これがどういう形になるのか。
「もんじゅ」サイト炉のほうは、むしろ政治的な判断というか背景がありますから、ある意味かなりの優先順位で進むと思うんですけれども、そういうものとのリンクの中で、その2台の炉を今後作るとしたときに、どういった戦略でいくのか、ここも一つ重要なポイントかなと思います。
そんな中で、多分スケジューリングの問題で、2台を同時に作るというよりは、むしろフェーズを少しずらすのかどうかですね。もちろん規模感によってもかかる時間が当然変わりますから、その辺の問題もありますし、ここで中島委員がおられる前で言うのはちょっとはばかられるんですけれども、京大炉のその後の話との絡みもありますから、ちょっとそのあたりの、「絶対的に何年」という表現は多分できないと思うんですけれども。年次展開としてどういうスケジュールでいくのか、このあたりも少しご検討を、多分、頂いていると思うんですけれども、しっかりとお考えいただければというふうに思います。
以上、全部コメントです。ありがとうございました。
【山口主査】はい、ありがとうございます。寺井委員からは留意事項といいますか、ということで、いずれもこれからしっかり議論して調整していかなきゃならない課題だと思いますので、事務局には、ぜひよろしくお願いしたいと思います。特に事務局から、何かご発言がございますか。よろしいでしょうか。
【松浦原子力課長】寺井先生から頂いたコメントは至極ごもっともですので、今後のいろんな検討に当たって留意していきますが。特に次の議題とも関係してきますが、試験研究炉の将来のロードマップについては、やはり次の中長期目標期間における原研機構の業務の在り方とかにもリンクしていきますので、この新たな試験研究炉と、さらにJMTRの後継機をどうするかといったところは、JAEAの将来の在り方の中でも積極的に先生方からご意見を頂ければというふうに思います。
以上です。
【山口主査】ありがとうございました。
では、続いて、中島委員、お願いいたします。
【中島委員】中島です。私は、もともと前回報告があった調査のメンバーにも入っておりまして、いろんな議論があっていろんな懸念事項もありました。あと京都大学としては、今、ここにも2回ほど名前が出ていますが、KURという今、5メガワットの試験研究炉の、われわれが実際の運転管理をやっておりますが、やはり大学として新規制基準の下でこういった古い炉をお守りするというのは非常に困難な状況にはあるということ。あとはやっぱり炉自体が古くて、あと燃料返送のタイミングとかもありますので、そんなに長くは運転できないなということで、その後継機としての位置付けというところでの中出力炉で、寺井先生からもありましたけれども、基本的にはビーム利用炉という形で作っていくということ自体は、非常にいい考えかなと思っております。
ただ、調査の段階でもそうですし、あとわれわれ内部でも、今後、多分こういった概念設計等、あるいはここで言っている中核機関みたいな形で、われわれの研究所というか京大の熊取サイドのメンバーもある程度関わっていかざるを得ないだろうというか、やりたいという者もおります。そういったところを考えたときに、ちょっと中で議論したときに、「せっかく10メガワットクラスで、新しい、かなりのお金をかけて作るんであれば、やっぱり世界に誇れるようなスペックのものにしたい」ということで、出力自体を上げるというのは多分難しいにしても、もうちょっとビーム利用の部分とかを使ってうまいこと今の最先端の技術を入れれば、かなりのところがいけるはずだというのは、うちの内部の関係者からコメントを頂きました。
ただそれに当たっては、今の敷地というのがあまりにも狭過ぎるというところがやっぱりネックになっておりまして。これは調査の段階からもかなり議論が出たところで、蒸し返すような話になってしまうのかもしれませんけれども、税金というか、たくさんのお金をかけて作るのであればより良いものにしたいと。そうしなければ、やはり人も産業も集まらないんじゃないかというような懸念もありまして、改めてそういったコメントをさせていただいております。
ちょっとどこまでやるかというのはありますが、「もんじゅ」サイト以外でというのは、なかなか今の状況では難しいのであれば、サイトの中のレイアウトを工夫するとか、場合によってはもしかしたら土盛りとか山を削るとかという。ちょっと余計なお金がかかる話になってしまうかもしれませんけれども、多分そういうことをやったにしても、それだけの価値はあるものが作れるのではないかということで。そういうものであれば、われわれのところ、中堅どころの研究者も積極的にこういった設計作業から参加させてもらいたいというような思いはあるところです。ただやはり今までKURの運転管理、あと共同利用をやってきた経験は、しっかりとこの「もんじゅ」サイトに設置する新しい研究炉でも引き継いでいければいいと思っていまして。そういう意味では、京大としてはできるだけ協力していきたいというような思いはあるところです。
以上、ちょっと感想みたいなものですけれども、よろしくお願いいたします。
【山口主査】ありがとうございます。これから、コンソーシアムで概念設計等を含めてというところなので、そのときにぜひ今のご意見も参考にしていただいてと思います。それから京大としてもぜひ前向きにといいますか、という、強い意志表明だと思いますので、ありがとうございました。これも事務局は、特によろしいですかね。何かご発言があればと思います。
【長田原子力課長補佐】はい。頂いたご意見を踏まえて、しっかりと今後、検討を深めたいと思っていますので、今の時点で特段コメントはございませんが、貴重なご意見をありがとうございます。
【山口主査】はい。それでは続いて来馬委員、どうぞお願いいたします。
【来馬委員】来馬です。この考え方には、基本的には全て大きな異論はなくて、またこのような形でしっかりと実現に向かって進んでいただけるということであって、大変良い方向ができたのかなと思いますけれども。
調査の段階からも、今、中島先生がおっしゃるとおりに、場所の問題とかいろんな意見がございましたので、どこでどのようにまとめるかというのが大変だったと思います。そのようにやってきましたけれども、先ほどのこの中に、例えば一番最初に、当然、基本的な考え方の中に中出力炉というところが出てきますので、それそのものは全然問題ないと思うんですが、先ほど中島先生もおっしゃっていますように、本当に魅力あるというか、「作ったけれども」というのが、「利用する人がいない」では困るわけで。そういう意味でいくと、どういう内容にするかというのは議論の中でも、例えば京大が持っているKUCAのような臨界実験装置のようなこともあれば、もしかしたらもっと幅広く、人材育成、研究、さまざまに広がっていくんじゃないかということですね。そういう意見もありましたし、単に中出力炉というだけにはとどめないような形では、もし一体的に整備するという考え方の中で出てくれば、より良いのかなというふうに思います。
それからもう1つは、やはり全体的にこのコメントだけを見ていると、西日本の拠点、それから地域への貢献と、こういう2つの大きな目玉あるいは目的に集約されていますけれども。同じように、中島先生がおっしゃっていますように、やはりこれが海外からも注目され、あるいは海外の利用者がそこで研究あるいは人材というところにつながっていくような、もう少しその目的の中に、「国際的な」とか、あるいは「海外の研究開発に協力、貢献できる」とか、そういう点も、ぜひ今後の検討の中で取り込んでほしいなというふうに、1つだけコメントしたいと思います。
それから検討機関としてのJAEAの問題、これもJAEAが敦賀でやっていることは、「もんじゅ」あるいは「ふげん」の廃止措置ということになっているんですね。
敦賀というところじゃなくて、JAEA全体で関わってもらえるということではありますけれども、そういう、多分、次の議題にも関わるJAEAの在り方そのものにやはりもう少し議論が必要なのかなと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
【山口主査】どうもありがとうございました。こちらもコメントという形だと思いますので、ぜひご参考にお願いいたします。
では続いて五十嵐委員、どうぞ、お願いいたします。
【五十嵐委員】すみません。いろいろ、もうご意見も出ておりますし、先ほど寺井先生が整理をしてくださったので、私も大変よく理解できたところです。
これまで、いろいろご調査いただいたものがこの形になったということはよく理解できて、京大の試験炉が果たしてきた役割についても引き継げるし、いろいろな形で人材育成などもできていく場ができることはいいことだとは思います。ただ、私がそのように思えるのは、ご議論を長く拝聴してきたからであって、この話を初めて聞かれる方というのは、やはりこの新しい試験炉の役割であるとか位置付けというのはなかなか分かりにくいところもあるのではないかと思うのです。先ほど出たような役割分担であるとか、そういうところは分かりやすく示して、もちろん示していただいてはいるのですけれども、より分かりやすく示していただきたいということがございます。
また、せっかく新しいものを作るのですから、研究者の方々も納得がいくというと言い方は良くないのかもしれないのですが、皆さんが夢を描けるものにしていただきたいと思います。この文章だけを読むと、作ることが決まっていたから、ということで、「これが落ち着きどころ」というような読み方もできてしまうので。もっと、「こんな可能性がある」、「新しいことが、こんなことができる」ということを、一般の人にも分かるように見せていただけるといいのではないかと思いました。それについてはもうこれまでのご意見でも出ておりますし、作っていただいた資料の中にも、「幅広い方々に知ってもらうとともに」「その意義等に関して発信に努め」などと書いてはいただいているのですけれども、必要性であるとか、新規性であるとか、「新しいことをやっていく」ということをちゃんと示していただいたほうがいいのではないかと思いましたので、コメントです。
【山口主査】どうもありがとうございます。そちらも、当然、ご指摘のとおりで、留意して進めていくことになると思います。
あとは、木藤委員、どうぞ、お願いします。
【木藤委員】ありがとうございます。すみません。もう先生方にいろいろとおっしゃっていただいたんですけれども、やはり私も五十嵐委員と同じような感じを持つところがあります。
寺井先生から、西と東、それからJMTRとこちらと、新しい炉の考え方の役割分担とか、その整備等のお話を頂きまして、多分、関係者は何となくそういう感じのイメージをすでに持っていて、今作っていただいている「もんじゅ」の跡地利用の試験研究炉についての資料も、そのようなイメージの中で読んでいると思うのですけれども、やはりこういったことを繰り返しご説明を頂くこと、議論の経過を逐次出していくことが大事と、前にも申し上げましたし、そういうご意見もあったと思いますので、引き続きこのことは重ねて申し上げたいと思います。この「もんじゅ」サイトの調査も、平成29年から大変丁寧に、詳細な調査を頂いての今回のこのまとめになっていきますので、これまでの報告書が公開されたのもとてもありがたいことだと思っています。今後のこの試験研究炉をみんなで歓迎するような形、それから関係者が喜んで参画できるような形にするためにも、この経緯を詳しく詳細に、丁寧にご説明いただくということをお願いしていきたいと思います。
それからこういう議論、新しい炉を作るということについては、そこに参画すること自体が勉強だと思うので、いろんな分野の学生さんに関心を持ってもらって若い研究者にも参加してもらうような形を、ぜひお願いしたいと思います。概念設計ということにもう進んでいくわけなんですけれども、そういう中でも、ぜひいろんな方が自分のやりたいことを言っていける、自分たちの作りたいものを作っていけるというような、そういう環境を維持していただければなというふうに思います。
それともう1つ、これも繰り返し申し上げていることですが、新しい試験研究炉を、JMTRもそうですし、「もんじゅ」のサイトにも作るということになりますと、やはり「本当に関係者に任せていって、新しい炉を作っていくことで大丈夫かな」と思われないように対応することが必要かと思います。
新たな試験研究炉の検討に際しては、研究炉の使用済み燃料の取り扱い等の未整備の問題についても国として対応を進める必要があると思います。こうした環境整備を並行して行っていくことが信頼につながる一助になるのではと思います。
【山口主査】「もんじゅ」サイトの件では、確か去年ですかね、敦賀でシンポジウムを文科省で企画されていて、いろいろと、確か海外の方もいらして良い議論がされたと思います。これもやはり非常に期待の大きい事業ですので、ぜひこのワークショップとかシンポジウムとかそういう形をやるのかという、きちんと発信していく場というのは必要という、そういうご指摘かなと思います。文科省のほうでもよろしいですか。少しその辺のご意見を参考にしていただいて、ぜひ進めていってください。
【長田原子力課長補佐】ご指摘のとおりだと思いますので、よく検討してまいります。
【山口主査】ありがとうございます。
大体、意見が出尽くしたかなと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、非常に多くのご提言とか、留意点をご指摘いただきました。それで伺ったところでは、各委員の方々から、非常にこの今のペーパー、「進め方について」という方針について、賛同いただいたというふうに理解をいたします。当作業部会としましても、この方針について、今、「案」と書いてありますけれども、了承したというふうに考えておりますが、特にご異論がある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
では、ぜひしっかりこのペーパーをまとめていただきましたので、文科省におかれましては、いろんな留意点を頂いたところ、研究者がニーズを持って入っていただけるようにとか、あるいは京大を含め、いろんな方の連携をとか、その辺のご意見を頂いたと思います。その点を留意していただいて、ぜひ概念設計、運営の在り方というところに、これからコンソーシアムベースに進むということですので、検討を具体的に進めていただきますように、ぜひお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】はい、ありがとうございます。
それでは、まずご説明させていただいた資料につきましては、(案)を取りまして、本日付で決定させていただきます。また本日は、さまざま、貴重なご意見をありがとうございました。よく留意して今後の検討を進めてまいりたいと思いますし、また検討状況につきましても、随時、本作業部会でも報告させていただきまして、意見を頂きながら進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
【山口主査】はい、よろしくお願いします。
4番目の議題、今、関係があるテーマということでご紹介がありましたが、「今後の原子力機構の在り方について」、事務局からご説明いただいて、意見交換したいと思います。
では、説明をよろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】はい。それでは資料4のポンチ絵、「今後の原子力機構の在り方に関する基本的考え方について」ということで、ご説明させていただきます。
先ほど課長の松浦からも申し上げましたけれども、今の原子力機構の中長期目標期間が来年度までになっておりまして、再来年度から新しい中長期目標期間に入ります。
そこで、いかに原子力機構が、今後どういうふうな機能を持ってどういう業務をやっていくのか、そういったあたりについて、しっかりと、今後、議論を煮詰めていきたいと思っておりまして、本日はそのキックオフとして、あくまで問題提起や、あとは検討事項の案として、事務方の資料を1枚紙でご提示させていただいて、自由に今後に向けてご意見を頂きたいという趣旨でございます。
「問題提起」のところに、一番上にございますけれども、研発法人の「研究開発成果の最大化」とは、国民経済の健全な発展、その他の公益に資する研究開発成果の創出を国全体として「最大化」することであるというふうにされています。ですので、わが国唯一の原子力分野における国立研究開発法人として、国全体として成果を最大化していくために、原子力機構をどのように変革すべきかということが論点かと思っています。
その際に踏まえるべき「状況の変化」としまして、中段に3つほど書かせていただいておりまして。まず原子力研究開発の潮流といたしましても、各国で多様な原子力イノベーション推進に向けた取り組みが活発化したり、またわが国ではNEXIPイニシアチブの動きがございます。民間ニーズを踏まえた研究開発の重要性の拡大といったものが一つあると思います。また真ん中の、「研究開発モデルの変化」ですけれども、こちらは原子力に限ったものではございませんが、幅広い分野の知見を結集する必要ですとか、あとまたコロナもございましたが、デジタルトランスフォーメーションの重要性、こういったところがございまして、プラットフォームとして国研の機能をどうしていくか、こういった重要性が拡大しているということでございます。また一番右のところは、先ほどの試験炉との関係もございますが、試験研究炉減少、また原子力関係学科・科目の減、教員の不足等々、原子力の研究開発・人材育成基盤が脆弱化していて、個々の大学や研究機関による対応というものにも限界が出ているというようなものも、状況の変化としてあると思います。
このようなことを踏まえまして、下の「検討事項(案)」ということで、左側ですけれども、まず2つの観点、産業界や大学と連携し、戦略性を持った機動的な研究開発を進めるために機構はどのような取り組みを行うべきか、またわが国全体の原子力の研究開発・人材育成の基盤を支える観点から、機構はどのような役割を果たすべきか、このような点が重要と思っています。
具体的に検討すべきものとしては、真ん中に2つ書いていますが、今、2つの軸で書かせていただいています。1つ目は、まず機構として取り組むべき業務は何かと。ここに書いております新型炉、核燃料サイクル、また基礎・応用・安全研究、バックエンド対策、そして廃止措置、このようなことを、今、やっておるわけですけれども、何を主要業務として位置付けていくか。また右の吹き出しにございますように、機構のミッションや目標の再定義ですとか、あと着実かつ効率的な廃止措置の位置付けといったものも重要ではないかということでございます。また下の「○」ですけれども、原子力の研究開発利用の基盤として、産業界や大学と連携して、研究開発・人材育成に貢献する機能というものは何か。右にありますように、プラットフォームといったときの機能の具体的検討、また機構の横断的なマネジメントを可能とする組織体制、そういったものも重要ではないかということで、今回、論点として、一案を出させていただいておりますので、本日、皆さまから自由闊達なご意見等を頂ければと思っております。
以上です。
【山口主査】どうもありがとうございました。今日はこういう基本的考え方ということで、たたき台のような形かなと思うんですが。委員の方々から、自由討論といいますか、いろいろとお考えやご意見をお聞かせいただきたいと思います。
では、ご意見のある方は、挙手をお願いいたします。挙がっていますかね。電事連の中熊委員、お願いいたします。どうぞ。
【中熊委員】これはコメントというより質問に近いんですけれども、われわれ事業者の立場からすると、基礎・基盤的な開発ですとか人材育成の重要性も重々承知はしているんですが、やはり商業レベルのプラントとJAEAさんとのインターフェースみたいなところが気になるところでして。例えば日本原燃の六ヶ所再処理工場みたいなところは、例えばガラス固化ですとかウラン、特に混合、脱硝のようなところは、JAEAさんの技術を導入させていただいていたりしますし、プラント全体の今後の操業を考えると、いろんなトラブルシュートの観点では、東海にある高レベル放射性物質研究施設(CPF)みたいな施設というのは非常に重要だというふうに考えたりしているところです。
これは原子力機構の在り方というような話なんですが、そういった議論もこの場で議論していくような話なんでしょうか。あるいは違うところでそういうお座敷があるのか、そこら辺についてちょっと教えていただければと思いまして、よろしくお願いいたします。
【山口主査】これは文科省にお答えいただいたほうがいいですかね。
【長田原子力課長補佐】ありがとうございます。まずJAEAの中期目標の在り方については、やはり次回以降のこの作業部会で幾つかの中心的な論点を中心にご議論いただいたり、また機構から考え方をプレゼンしてご意見を皆さまから頂いたり、そういったことを今後1年ぐらいかけて、来年の夏ぐらいを目標にやっていきたいなと、事務局としては考えております。
そういった中で、当然、主要な論点を上げるわけですけれども、今、中熊委員がおっしゃったような、今回、産業界と平たく書いておりますけれども、そういったさまざまな、大学のみならず産業界、事業者の方々の要請の中におけるJAEAはどういった機能を果たしていくべきかといったところも重要な観点と考えております。今後、この作業部会の場で具体的なテーマとして取り上げて何を議論するか、よく今後ご相談させていただきたいと思いますが、今、ご指摘いただいたような点も、当然、今後のJAEAの在り方、検討の重要な観点だと思っています。
【山口主査】ありがとうございます。
【中熊委員】産業界と書いてあるんですが、多分、安全研究センターもですよね。
【長田原子力課長補佐】はい、そうです。
【山口主査】ここに安全研究というのが入っているから、これなのかな。はい、分かりました。
では続いて来馬委員、どうぞ、お願いします。
【来馬委員】来馬です。議論はこれからということなので、いろいろあると思いますけれども、やはり一応地元の福井の立場で考えると、今、「もんじゅ」とか「ふげん」とかという課題を抱えている機構ですので、それがどのような在り方を今後目指すのか、それから新しい、先ほど議論されたサイトに作る研究炉の話も含めて、全く違う性格のものが、例えば敦賀なら敦賀で展開する。その組織として、その中核的なところとしてのJAEA、そうなって、やはりこれまでの長いJAEAを巡る、機構を巡る変遷というか歴史がありますので、今後のこの在り方を議論する際には、ぜひ地元の立場、あるいは地元からの意見というのを、ぜひ聞く機会、あるいはそういうことをお願いしたいなというのは、一つだけありますね。
やはり大学で人材育成という場合も、また違う立場であると思いますから、それはいろんな大学の先生方がこれから意見を多分出す機会はたくさんあると思うんですが、地元の考え方が何らかの形で反映されるものに、ぜひお願いしたいなということを1点だけお願いします。
以上です。
【山口主査】ありがとうございました。では続けて中島委員ですね。お願いします。
【中島委員】この議題としては、今後の原子力機構の在り方ということですけれども、当然それを考える上では、検討事項のところにも書いてあるけれども、わが国全体の原子力の開発研究・人材育成の基盤を支える観点と書いてありまして。そもそもこの部会の前身の部会である基盤部会とかでは、今後わが国として維持すべきような研究基盤というのはどうあるべきで何が必要かというのを、確か大きな議論をやるということで始まったかと思うんですけれども。何となくまだそこが消化不良のまま個別の案件がどんどん動き始めて、「もんじゅ」の跡地利用もそうですし、JMTRの後継機というのもまたその1つかなと思っております。
そういう意味では、この目玉としては機構の在り方なんですけれども、それを考えるベースとなるようなところの、人材育成も含めて、研究開発に必要な基盤というのはどうあるべきかというところを、やっぱりしっかりとここの部会の中で固めていただければというか、われわれがやるんでしょうけれども、固める必要があるんじゃないかなと思っております。今後の進め方をどうするかというところですけれども。
【山口主査】ありがとうございます。今のところは、右のほうに、研究開発・人材育成基盤の脆弱化というところでいろいろ展開されているところで、ぜひノートしておいていただきたいと思います。
他にはいかがでしょうか。先ほど、あと1年弱かけて議論をというご紹介が事務局からありましたけれども、今日の時点で何かご発言しておいていただくことが他にございますでしょうか。
木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】ありがとうございます。
1つ、申し上げたいことは、JAEAさん、国の研究機関の役割としては、やはり研究の芽を育てるというところ、それから人材育成ならそれの基盤となる仕組みを作るという、そこはぜひ経験のあるところ、知識のあるところでお願いして、それらを適宜民間に移す。当然いろんな技術移転をなさっているのも認識しているつもりなんですけれども、そういう考え方を、より明確に打ち出すということもしていただけるといいのかなというふうに思います。
以上でございます。
【山口主査】ありがとうございます。この辺は、オープンイノベーションとか産業界との連携とか、そのあたりで、技術を、研究の芽を育てたり、人材育成、そういうものを民間にいかに反映していくかというか、そういう展開をしていくかと、そういうご指摘かなと思います。
あと、他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。幾つか頂いたコメントで、文科省、事務局のほうから、何かご発言とかはございますか。
【松浦原子力課長】松浦です。先生方のご意見、ありがとうございます。
外とのインタラクションというか、いろんな産業界とか大学とかの方々から、あと地元も含めて、積極的な意見を聞いて、この「在り方」に反映していくということで。われわれはいろんなチャンネルを持っていますけれども、一連の過程がきちんと国民の皆さまに見えるようにという意味でも、この作業部会にそういった過程を全部集約してご報告して、先生方のご意見を頂いていきたいというふうに思いますので、そういう努力をさせていただきたいと思います。次回以降、もう少し具体的に、JAEAがどういったことを今後取り組むべきかとか、あるいは産業界、大学を含めてどういった基盤的役割を担うべきかといったところについて議論を深めていただけるような、事務局としても資料を作って提供していきたいというふうに思います。
以上です。
【山口主査】ありがとうございます。それでは、今、松浦課長からお話がありましたように、機構の在り方については、本作業部会で引き続き議論を続けてまいりたいと思います。
本日、予定していた議事は以上で終了でございます。
その他に、委員の方から、全般を通して何かございますか。
中島委員、手を挙げていらっしゃいますか。
【中島委員】「もんじゅ」サイトの議事に関して、資料3の一番最後のページに、「今後、中核的機関の選定、コンソーシアムの構築、概念設計の開始等を着実かつ速やかに実施する」というような文言が書いてございまして。当事者になる可能性もある立場として、具体的な何かスケジュール感というか、これからどんな感じで進んでいくかというのを教えていただければありがたいなと思います。
以上です。
【山口主査】文科省のほうで、今、お話しできる範囲かなと思いますけれども、何かご説明をお願いいたします。
【長田原子力課長補佐】はい。ここに、まず「中核的機関の選定」と書いておりますけれども、こちらは今回、皆さまからご了承いただきましたこの方針に基づいて、適切な中核的機関を公募という形で選定させていただきたいと思っております。
そこの作業等は、今後、本日の議題をもって速やかにということですので、時期はまだ未確定ですが、なるべく速やかに公募という形で問うて、ぜひ意欲ある方々から手を挙げていただくというようなプロセスを踏んで選定していきたいと思っております。
以上です。
【山口主査】ありがとうございます。今日ようやくこの進め方についてご了承いただいたところですので、これからということで、中島先生、ご期待ください。
【中島委員】了解しました。
【山口主査】はい。あと、他にはございますでしょうか。
では、最後に事務局から、連絡事項などをお願いいたします。
【鈴木原子力課室長】はい。本日の議事録については、出来次第、メールにてご確認いただきまして、ホームページに掲載させていただきます。また次回の部会の日程等につきましては、また改めてご連絡させていただきたいと思っております。以上でございます。
【山口主査】ありがとうございます。本日は非常に重要なテーマを4件ご議論いただきまして、少し時間をオーバーして、大変申し訳ありませんでした。
以上をもちまして、第4回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。ご出席いただいて、ご議論いただきまして、大変ありがとうございました。
これにて閉会といたします。
―― 了 ――
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