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原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第2回) 議事録

1.日時

令和元年11月28日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 18階 局1会議室

3.議題

  1. 原子力システム研究開発事業の見直し等について
  2. 原子力人材育成の在り方等について
  3. その他

4.出席者

委員

山口主査
五十嵐委員
木藤委員
来馬委員
佐藤委員
多田委員
寺井委員
中島委員
矢野委員

文部科学省

千原 大臣官房審議官
清浦 原子力課課長
小林 原子力課室長(人材・研究基盤担当)
長田 原子力課課長補佐
松本 研究開発戦略官(核燃料サイクル・廃止措置担当)

オブザーバー

越塚 東京大学大学院工学系研究科教授
利根川 経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課長補佐

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第2回)
令和元年11月28日


【山口主査】 皆様、本日はお集りいただきましてありがとうございます。定刻になりましたので、これから第2回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
 報道の方で撮影される方はいらっしゃらないでしょうか。
 それでは、本日もよろしくご審議のほどお願いいたします。
 今日の議題ですけれども、第1議題が原子力システム研究開発事業の見直し等について、第2議題が原子力人材育成の在り方等についてとなってございます。15時半まで時間をとってございますので、この二つの議題、いろいろと意見交換させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から出欠と配付資料の確認をしていただきます。お願いします。
【小林原子力課室長】 本日は、委員10名のうち9名にご出席いただきまして、運営規則の第3条に規定されております定足数の過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
 本日は、外部有識者として東京大学工学系研究科システム創成学専攻の越塚教授にお越しいただいており、議題1に関連してご講演をいただくことになっております。後ほどご挨拶をいただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 一番上に議事次第がございまして、その次に資料1-1、原子力イノベーションの実現に向けた研究開発事業の見直しについて、また、資料番号をつけておりませんが、その次の資料が越塚先生のご講演資料になります。今回、越塚先生のご講演資料につきましては、一部の図表等につきまして、使用の許諾の関係から、傍聴者の方への配付資料及びホームページで公開する資料については、それらを除いた資料を公表させていただく予定です。その次の資料が議題2で用います資料2、原子力イノベーションの実現に向けた人材育成の在り方・事業の見直しについてという資料になります。また、メイン席の方のみになりますが、参考資料1、委員名簿、参考資料2、委員会の運営規則、また、前回の議事録案も机上に置いておりますので適宜ご参照いただければと思います。
 以上です。
【山口主査】 どうもありがとうございました。越塚先生の資料の資料番号はどうしましょうか。
【小林原子力課室長】 失礼いたしました。資料1-2としていただければと思います。
【山口主査】 わかりました。ということで、越塚先生の資料につきましては、傍聴の方と公開版は少し違うものになるかと思います。よろしくご了解ください。
【小林原子力課室長】 メイン席の方にお配りしている資料につきましては、講演の際、モニターを使用いたしますので、傍聴の方も適宜モニターをご覧いただければと思います。
【山口主査】 わかりました。それでは、資料のほうはよろしいでしょうか。おそろいでしょうか。
 では、最初の議題でございます原子力システム研究開発事業の見直し等についてを進めていきたいと思います。事務局から資料1-1の説明をよろしくお願いします。
【小林原子力課室長】 では、資料1-1を事務局より説明させていただきます。
 昨年7月、第5次エネルギー基本計画が策定され、そこでの「多様な社会的要請の高まりを見据えた原子力関連技術のイノベーションを促進する」という観点を踏まえまして、現在、文部科学省では研究開発、研究基盤、そして、人材育成施策に関して、委員の皆様から適宜ご助言いただきながら、総合的に検討、見直しを図っております。
 まず1ページ目をごらんいただきますと、文部科学省における現行の研究開発事業として原子力システム研究開発事業、これを我々は原シス事業と略しておりますが、本日、この原シス事業の今後の方向性等について説明させていただきたいと考えております。
 2ページ目、前回作業部会における委員の皆様からの主なご意見を掲載しております。大きく三つございまして、まず、この現行の原シス事業における成果、さらに、うまくいかなかった点を分析した上で、今後どういう成果に持っていくか、新たな事業イメージを示すとよいと、ギャップ分析の必要性についてご意見いただきました。さらに、現行の事業のうまくいかなかった点としまして、提案者と評価者間のクローズな研究の世界になっていたということ、また、今後の新たな事業イメージとしては、後ほど説明するNEXIPにおける経済産業省との連携、また、産業界との連携、人材活用といった観点、そういうところを目指しております。さらにいただいたご意見としては、テーマ選定がこの事業の成否の肝となる。また、アメリカのEPRIを参考としまして、ユーザーのニーズを徹底的に吸い上げるようなテーマ設定、こういうプロセスをどう組むか、こういったご意見を念頭に、次のページで見直しの方向性をお示ししております。
 資料の3ページ目と4ページ目をあわせてご覧いただきたいと思います。
 4ページ目は、前回の作業部会でお示しした事業の見直しイメージですが、3ページ目ではこの見直しイメージに至るまでの背景、ご意見いただいたギャップ分析をした形でお示しをしております。特に3ページ目の真ん中にございます見直しに向けた視点では、現行事業で改善すべきと考えている点、こちらを四つ大きく示してございます。
 一つ目、戦略的なテーマ設定ができていないのではないか。4ページ目の左側に現行の原シス事業の概要をお示ししていますが、現在の募集テーマは安全基盤技術、また、放射性廃棄物減容といったかなり広い範囲での公募テーマの設定をしております。二つ目、シーズプッシュ型の課題が多く、実装につながる視点が不足しているのではないか。4ページ目の左側に現行の事業の課題審査の審査基準をお示ししておりますが、こちらは大きく①から⑤をご覧になるとわかりますとおり、実装に向けたニーズを踏まえた観点が乏しいというのが現状でございます。3番目の見直しに向けた視点といたしましては、原子力以外の分野のすぐれた知見を積極的に取り込めていないのではないか、さらに最後に、プロジェクト管理について、個々の課題の研究進捗確認に重きが置かれているのではないか。以上の四つが現行の事業の改善すべき主な点ではないかと考えているところです。
 これらの見直しに向けた視点を踏まえて、新たな事業イメージを5ページ目にお示ししております。
 もともと原シス事業の見直しは、原子力イノベーションの創出に向けて経済産業省と連携したNEXIPイニシアチブ、Nuclear Energy Innovation Promotion Initiative、この枠組みを見据えながら進めております。ですので、原シス事業の新たな見直しイメージと経済産業省の事業、さらに、JAEAの基盤的な事業を見据えながら見直しを進めているところです。
 まず、一つ目の見直しの観点でございました、戦略的なテーマ設定ができていないのではないかという点につきましては、まず、新たな事業には、5ページ目左側にございます事業運営会議というものを新たに新設することを想定しております。事業運営会議の構成員は事業のプログラムディレクタ―とプログラムオフィサーに加え、文部科学省、経済産業省、さらに外部有識者を含め、事業全体の運営を方向付けする会議として想定しておりまして、ここで産業界のニーズや他分野の技術動向を踏まえた募集テーマの設定を行いたいと考えております。
 二つ目の反省点である、シーズプッシュ型の課題が多く、実装につなげる視点が不足しているのではないか、そういう点につきましては、5ページ目にございますとおり、公募メニューを新たに三つ考えてございます。一つ目が基盤チーム型、二つ目がボトルネック課題解決型、三つ目が新発想型です。基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、この二つは特に経済産業省が支援している民間企業の開発動向やニーズを踏まえたものになることを想定しておりまして、右側、既に今年度から始まっている事業もございます経済産業省の原子力の安全性向上に資する技術開発事業、また、社会的要請に応える革新的な原子力技術開発支援事業、これらは民間企業の取り組みを支援している事業でございますが、ここで行われている研究開発やニーズというものを見据えて密に連携した形で進めたいと考えております。また、シーズプッシュ型の実装につなげる視点が不足しているという考え方もある反面で、すぐに実装にまでつながらなくても斬新な、イノベーティブなアイテムをどのように拾い上げるかというやや背反する考え方もございまして、そういったテーマも幅広く採択できるような形で新発想型というのを考えてございます。
 ただいま見直しの方向性、三つの反省点を踏まえた提案の新たな事業のイメージをご説明しましたが、最後に四つ目、原子力以外の分野のすぐれた知見を積極的に取り込めていないのではないかという反省点に関しまして検討していることは、6ページ目にございます。
 7ページ目は、前回の作業部会でご紹介しているJSTが作成した環境・エネルギー分野の研究開発の俯瞰図でございますが、原子力の分野に特化したイメージで、6ページ目に原子力研究開発分野の俯瞰図というものをお示ししております。大きく原子力エネルギー利用、福島原発廃炉、さらに、放射線利用という分野に分けておりますが、この原シス事業については左側の原子力エネルギー利用の枠組みでご議論させていただきたいと考えております。特に、NEXIPイニシアチブにおきましては、縦軸は経済産業省が支援する民間企業の取り組み等によって定義されていく次世代原子炉等と考えておりまして、これに対して原シス事業では、これらの縦軸に資する基礎基盤事業、つまり横軸の視点で研究開発が展開されていくと考えております。これまでの原シス事業では、左側にございますプラント・系統・機器のライフサイクルを中心に事業が展開されておりましたが、今後は左側の真ん中にございます共通基盤技術を中心に検討していきたいと考えております。
 ご参考まで、9ページ目に、原子力研究開発支援に関する米国の例をお示ししております。米国でもGAINという原子力に関する民間企業の活力を生かした技術開発を行っておりまして、ここでもNEET――Nuclear Energy Enabling Technologyプログラムという分野横断的な技術開発をしており、このような、民間企業の縦軸側の技術開発に資するような横軸的な技術開発を、今後、原シスではより強化していきたいと考えております。
 次に、この原子力以外の分野の最新技術動向の連携の一例として、この俯瞰図の共通基盤技術の一つの軸である計算科学、それと原子力との関わりについて、越塚教授よりご講演をお願いしたいと思います。
 東京大学工学系研究科システム創成学専攻、越塚誠一教授、よろしくお願いいたします。
【越塚教授】 東京大学の越塚と申します。本日はお招きどうもありがとうございます。大変光栄です。
 それでは、計算力学技術の現状と将来ということで、基盤技術としてのご紹介とそれの原子力分野への展開ということでお話をさせていただければと思います。
 資料の2枚目に目次がございまして、前半のほうでデジタルツインによるものづくりの高度化を支える計算力学の現状ということで、私は流体のシミュレーション、その中でも粒子法というのをやっておりますので、例として、これを取り上げつつご紹介したいと思います。それから、原子力分野における今後の技術開発ということでお願いいたします。
 最初に、図としてJSTさんがつくられたデジタルツインの図を入れさせていただきました。デジタルツインといいますのは、左側にものづくりの工程が書いてありまして、研究開発から設計、製造、保守と進んでいきますけれども、それをモデリングしましてコンピューター上でシミュレーションを鏡で映しとるような形で行うという考え方でございます。
 現実の世界が現実世界と、シミュレーションするコンピューターの中の世界をサイバー空間というふうに書かれております。これは一番下にありますように、化学、流体、伝熱、あらゆる分野で同様の考え方は使えるものでございまして、その中の計算力学というところで、本日はお話しできればと思います。
 それでは、次がその典型的な一例でありまして、これはムービーになっております。映像を見ていただきますと、これは三つのギアがあって回転していて、その中のオイルの流れを粒子法でシミュレーションしているものです。粒々が粒子で、これの1点1点を流体としてシミュレーションすることで、このギアボックス――自動車で使われている部品ですけれども、ギアボックスの中のオイルの流れをこのようにシミュレーションできるわけです。実際には鉄の筐体の中に入っているので見えないのですけれども、シミュレーションをするとあたかも実験しているかのように見えますし、いろんな細かい情報を得ることができます。
 実際に使われる例としまして、トヨタさんのハイブリッドカーで使われているギアボックスがございます。実際には複雑な形状になっておりまして、特にハイブリッドカーではギアボックスがエンジンとモーターをつないでいる部分になりまして、銅色になっている部分がモーターですけれども、オイルは潤滑だけではなくてこのモーターの中の温度を均一にするという役目も担っておりまして、こういうのをシミュレーションによって研究開発することが行われております。このように、ものづくりの最先端ではシミュレーション技術というのは、現在、もう欠かすことができなくなっております。
 実際にそのハイブリッドカーそのものもシミュレーションによって見出されたものでございます。プリウスはシリーズパラレル方式という、モーターとエンジンがギアボックスを介してつながっているというタイプのハイブリッドカーですけれども、そういうタイプが燃費向上と経済性を両立できるということをシミュレーションによって、これが採用されて実際のプリウスの開発につながっております。実際、フォルクスワーゲンの工場がありますハノーバーでパーティクルズでの会議に行ったところ、ハノーバーのタクシーのほとんどがプリウスでありました。フォルクスワーゲンではなかったです。
 それで、次のページにもいろいろ例がありまして、このトヨタさんの例で言うと冠水路をとりまして、車が水のたまっているところに突っ込んだときに電子部品が濡れないのか、エンジンがとまらないのかということをシミュレーションでチェックしております。これは実験も行われておりまして、日本でも冠水した中に車が入ってお亡くなりになるというケースがあるかと思いますけれども、こういうものの安全性についてもシミュレーションで検討されております。ホンダさんの例では、オイルの中に気泡が混入してそれが悪さしないかどうかの実験とシミュレーションが粒子法で行われております。丸山製作所さんでは、クランクケースで、農業機械の部品になります。ユニバンスさんは、オートマチックのギアボックスで、変速機のところのオイルの流れであります。次に日本製鋼所さんは、二軸スクリューで、樹脂をつくっている過程でありまして、これは複合材料の製造に使われる装置であります。そういうもののシミュレーションが行われております。三菱化学さんは攪拌槽の中の流動、かきまぜるというプロセスであります。これもシミュレーションが使われております。
 資生堂さんでは、乳液をつくるプロセスで、少し特殊な攪拌翼を使うのですが、その実験とシミュレーションの例であります。新日鉄住金さんでは、連続鋳造で鉄をつくる、水スプレーをかけて鉄を冷やして製品にしていく、そのプロセスに関する実験とシミュレーション。明治さんは、嚥下といいまして、人が水とか食べ物を飲み込むときにちゃんと食道のほうに入っていけば正しい嚥下になるのですけれども、間違って気管から肺に入ってしまうと誤嚥性肺炎を起こして、これは今、お年寄りの方で非常に大きな問題になっており、そういうことのシミュレーションをしております。非常に複雑な流体構造連成問題になるのですけれども、そういうのもシミュレーションできるようになっております。例えば、明治さんではとろみ剤といいまして、水にとろみ剤を加えますと粘性が上がりまして、粘性が上がった流体ですと誤嚥しにくくなるということがわかっておりまして、どういった場合に誤嚥してしまうのか、どうしたら誤嚥しなくなるのかというようなことをこういうシミュレーションを使って研究開発をされております。
 次のスライドはV&Vの規格になります。V&Vといいますのは右に書いてあるVerification and Validationの略でありまして、計算結果が現実と合っているかどうか、その信頼性を確保するための技術規格であります。デジタルツインを実際に動かそうとしますと、現実世界とシミュレーションが合っているかどうかというのが肝になります。これについては規格づくりがさかんに行われております。例えば、米国機械学会ASMEの例ですと、固体力学ではASME V&V-10という規格が、熱流体分野ですとV&V-20という規格、医療分野でも2018年にV&V-40という規格ができております。日本では日本原子力学会が原子力分野で2015年にV&Vの規格をつくっております。ASMEアメリカ機械学会ではV&V-30が抜けているのに気がつかれるかと思いますけれども、このV&V-30の委員会は原子力分野でありまして、実はまだこの規格はアメリカ機械学会では発刊されておりません。原子力分野のV&Vにつきましては日本のほうが先に規格をつくっております。このV&V-30はちょっと遅れているということを聞いております。
 このように、デジタルツインをほんとうに実現していくためにはシミュレーションが現実を適切にあらわしていることを示していく必要があるのですが、これは肝となるのは実験との定量的比較でありまして、先ほどお見せした各社の例でもほとんどの絵は実験とシミュレーションの定量的比較になっているかと思います。このように、シミュレーションの精度を上げるには極めて実験が重要であるということがV&Vの規格からは言えまして、このシミュレーション分野を発展させるには実験も必要ということがこのV&Vからわかるかと思います。
 これは文部科学省さんのほうでものづくりに必要な科目について企業と大学にアンケートをとった図で、この図は公開資料からは外させていただいておりますけれども、縦軸は企業のニーズで、上の方にいくとニーズが高い、下のほうにいくとニーズが低いというものをあらわしております。横軸が大学の先生方が考える学生に教えるべき内容として優先度が右に行けば高い、左に行けば低いというものです。真ん中の斜めの線のところですと、企業と大学の考え方が一致している。左上のほうですと、企業の思いが強い。右下ですと、大学の思いが強いというものです。この企業の1番に挙がっているのはやはり力学。ものづくりには力学が最も重要と考えている方が多いと。そのちょっと下に赤で書いてありますけれども、シミュレーション技法というのがありまして、計算力学というのはこの二つを合わせた学問分野であります。ものづくりの最も企業が必要と考えている分野だと思います。大学の先生ですと微分方程式が非常に高くて、企業の思いは小さいというのがわかるかと思いますけれども、力学、シミュレーションの基本は微分方程式と考えている先生が多くて、私自身も大学では微分とか、数学を一生懸命教えているのですけれども、実はあまりニーズがないのかなと。計算力学のもっと力学、シミュレーションというのを教えるべきかなと思ったりしています。あと、機械学習も非常にニーズが高くて、その基礎となる統計学も入っていて、こちらは逆に基礎となる数学のほうが、ニーズが高いのかなというような、味わいのある図だと思っております。
 これは一般論、計算力学の一般産業における活用状況をご紹介したところでございまして、その次は原子力分野における今後の技術開発ということで、このスライドは私の個人的な意見でございます。
 まず第1に、安全性を高めた原子炉の開発とこれによる既存炉のリプレースが今、重要なテーマではないかと考えております。米国、ソ連でそれぞれ過去に大きな事故が起きたわけですけれども、海外ではそれを契機として過酷事故対策炉の開発が盛んに行われました。米国のAP-1000、ESBWR、ヨーロッパのEPRがそうした例かと思います。日本でも福島事故の教訓を踏まえるとするならば、耐震、耐津波、さらには自然災害にも強い、我が国独自の安全な原子炉の研究開発をすべきだなと個人的には考えております。その基盤技術としましては、自分の専門になってしまうのですが、デジタルツインやAIなど先端的な基盤技術を取り入れた原子炉開発や既存炉の運転管理を革新すべきで、この分野では韓国、中国が原子炉の国産化とセットでソフトウェアも国産化しておりますし、米国、欧州もプロジェクトを推進しております。
 これは米国の例で、三菱総研の松本様の資料を引用させていただいたものです。NEAMSというプログラムがありまして、2010年から2020年にかけて原子力分野の基盤技術としてモデリング&シミュレーション、シミュレーション技術の研究開発を大々的に進めております。
 これはヨーロッパのシンズプロジェクトというもので、欧州の原子力に関係する24機関が次世代での熱流動シミュレーション研究のプロジェクトをこれも大々的に行っておりました。これはもう終了しているものでございます。
 例えば、先ほどの粒子法で、過酷事故のシミュレーションですと、このムービーにありますように、溶融物が凝固しながら広がっていくようなシミュレーションができます。
 それから、次のスライドでは、これは京コンピューターを使って福島第一原発の2011年での津波遡上のシミュレーション。実際2011年に発生した東日本大震災の津波のシミュレーションを行ったものです。コンピューターのパワー的にムービーがかくかくしている感じもありますけれども、こうして津波遡上のシミュレーションを正確にできると。
 2011年の3月2日に実はこれに関するワークショップを東大で行いまして、震災の9日前ですけれども、岡本先生が取りまとめられて熱流動分野では私が、核計算でも同様のことでソフトウェアが重要であるということを田中様がご講演されていると。田中様はその後規制庁に行かれました。こういったことを行い、非常に盛り上がりましたが、震災が起きまして、中断しているという状況でございます。
 以上をまとめますと、計算力学はデジタルツインによる高度なものづくりの中心的な技術分野で、さまざまな産業において欠かせないものとなっております。これがシミュレーションだけではなくて実験と組み合わせて、V&Vによって精度を保証していかなければいけないという面もございます。一方、原子力分野では、ソフトウェアの研究開発においては、日本は米、欧、韓、中にも大きく後れをとっている現状があります。日本においても原子力分野の基盤的な技術力を高めて、福島原発事故後の独自の安全な原子力発電所の研究開発をするべきではないかと考えております。
 以上、少し長くなりましたけれども、ご紹介させていただきました。どうもありがとうございました。
【山口主査】 越塚先生、どうもありがとうございました。
 これから質疑に入りたいと思いますが、最初に小林室長からお話しをいただいたものが少し政策的な話でして、そこの議論に入る前に、まずは越塚先生にご講演いただきました資料につきまして、これは計算シミュレーション、計算力学、計算科学の分野の、世界でもトップの水準を行っている現状をご紹介いただいたところですので、こちらにつきましてご質問やご意見をまずいただきたいと思います。いかがでしょうか。では、佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】 専門家的な質問で申しわけございませんが、日本で、企業でもそうですが、シミュレーション技法というと買ってきたソフトウェアを単に使えばいいやと。いろんなものがありますが、アメリカが軍や原子力でつくったコードを単に使ったりということがありまして、それをきちっとその前提条件、当然、計算には最初アサンプションがあって、バウンダリーコンディションがあって、それから、全部の現象は京を使っても計算できませんから、マクロとの間のメゾ領域はある仮定を置くわけですよね。その理解が私は非常に重要で、そこをきちっとやらないとベリフィケーションできない。日本の議論では常にそこが落ちてしまって、基盤技術として一番大切な部分が、抜け落ちてしまっているから微分方程式なんか知らなくても計算機がやってくれるのだと。フィジックスを知らなくてもできると。僕は、これは非常に危険だと思っております。アメリカだとかヨーロッパは自分たちで開発したものだから、根本から高度な物理を考えてやっていっている。日本も僕はそういうふうになっていかないとほんとうの事故対応のときに非常に困るのではないかなと。例えば、福島で破断が起きた部分に対しても、ある計算では当然破断するし、それは当然、モデリングなどの問題になるわけですよね。そこの実験をきちっとデータを持ってなくてやるとやはりうまくいかないではないか。日本の場合にはそういう面で、特に原子力に関して、データの蓄積が足りな過ぎると思います。基礎的な材料特性も、破壊も流体も。そこが私は問題ではないかなと思いますね。
 例えば、非常に難しい問題があって、配管が破断した問題がPWRでありましたけど、あれは熱流体振動で、それをとめるのは摩擦ダンパーですから、とてもじゃないけどモデリングがなかなかしにくいんですが、基本的にそういうデータをきちっと取る必要があると。この計算手法の開発とそれを組み合わせないと、日本は片側だけ走っていくような風潮があると思われますが、その辺はどのようにお考えでしょう。
【越塚教授】 そのとおりだと思います。最先端の技術の研究開発は、海外のソフトを持ってきた、ではなかなか難しくて、例えば、ハイブリッドカーもギアボックスという基盤的なイノベーションの革新的なところというのは、やはり先端的なシミュレーション技術を日本でソフトウェアをつくっているところと関連しておりますし、また、このモーターの部分もJMAGという国産ソフトを使っております。あるいは、複合材料については東レさんのTIMONというソフトウェアがありまして、東レさんは複合材料で世界トップ企業ですけれども、最先端のものづくりの研究開発ではやはり既存のソフトウェアでは対応できなくて、どうしても国産になる。実用的に使われている国産ソフトというのはほとんどの場合は日本の世界でリードしているものづくりと非常に密接に関連があると。そういうふうに実際になっていると思います。
 原子力分野でも、キャッチアップではなくて独自に研究開発をしようと思うと、例えば、津波とか地震とかそういうのを高度にしていこうと思うと、やはり導入ではなくて独自にソフトウェアをつくって、また、先ほどおっしゃられたように、実験データもきちんと蓄積して、そのソフトウェアの精度を保証してという研究開発が必要であると私も考えます。
【佐藤委員】 非常に地味な部分がたくさんありますので、どうしてもそこが抜けてしまって、格好の良いこういう動画だけになって、みんながそれで拍手をして終わるというのでは、なかなかうまくいかないなと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、矢野先生。
【矢野委員】 2個目のところに、「一方、原子力分野における」とありますが、先ほどのお話だと、原子力分野以外では日本のソフトウェアの研究開発というのは世界でトップにあるのだけれども、この分野では世界で一番遅れていると、そういう表現ですか。
【越塚教授】 一番遅れているというのはちょっと言い過ぎかなとは思いますが、遅れてはおりまして、やはり軽水炉は米国の導入だったこともあって、ソフトウェアは熱流動分野でも核計算でもほとんど今でも米国製のソフトウェアが使われております。あと、規制のあり方にも課題がありまして、規制は継続性が問題で、新しいソフトウェアの導入というのがなかなか認めていただけないということもあって、軽水炉が導入技術であるということと、規制のあり方ということで、軽水炉分野では独自のソフトウェア開発というのがあまり行われてこなかったというふうに考えております。
【矢野委員】 ということは、今後どうすればいいのですか。
【越塚教授】 独自に日本の安全な軽水炉開発をするのであれば、同時に基盤技術としてソフトウェアについても開発していくべきではないかと。
【矢野委員】 開発主体は国ですか。それとも大学、企業。
【佐藤委員】 国でしょうね。
【越塚教授】 そうですね。イノベーションということであれば、ベンチャー企業というのも考えられるかと思いますけれども、基盤技術は研究所とか大学が持っておるので、そういうのと産業界、あるいは、イノベーションのいろんな枠組みを使うとか、そういうことで開発していくのかなと思います。例えば、この粒子法のソフトウェアは一般産業で使われておりますけれども、これは東京大学のほうでベンチャー企業をつくりまして、そこで商業化しているソフトウェアでございます。
【山口主査】 ほかにはいかがでしょうか。五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】 大変興味深いお話をありがとうございました。20ページの図で、私も大学のころは微分方程式とかばかりやっておりましたので、このグラフを見て、なるほどと思いました。
 それで、2点ほど質問があるのですが、こういったシミュレーションというのはコンピューターの進歩によってかなり可能になっていると思うのですが、ご紹介いただいたようなシミュレーションはどんなパワーのコンピューターがあれば可能なのか、こちらの津波の資料にはノード数とかの記載があるのですが、ほかの資料にはそういった記載がなかったので伺えたらと思いました。
 それともう一つが、先ほどのV&Vに関する規格が、固体力学、熱流体力学、医療などではできているけれども原子力ではまだというお話があって、医療というのは人体が対象で、非常に細かい部分があって難しい部分かと思われますが、それは2018年にできているのに原子力分野のほうが米国でもまだ出来ていないというのは、何か議論になっているとか、もう少し詳しいことがわかれば教えていただければと思いました。
【越塚教授】 まず、第1点、コンピューターですけれども、企業さんは企業さん独自のコンピューターをセキュリティーのために使っておりまして、閉じた形で使われております。例えば、トヨタさんですと計算機センター、立派なものがありますけれども、セキュリティーが非常に厳しくてクローズなものです。ですから、京とかそういうもので計算されたものではありません。各企業さんお持ちのコンピューターでやっているかと思います。
 それから、ASMEの規格の話は、原子力分野では、たしか高温ガス炉の関係で規格をつくろうとしていて、その整合性のあたりでもめているやに聞いておりますけれども、これはちょっと不正確です。何でV&V-30の策定がおくれているのかというのは、内部事情までは詳しくはわかりません。ただ、日本では福島原発事故でこのV&V、シミュレーション技術というのが極めて重要で、例えば、津波シミュレーションとかスピーディーの問題とかございましたので、計算精度を確立するような規格をつくりましょうということで議論が盛り上がりまして、2015年にもう発刊まで至ったと、そういうことでございます。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。
【山口主査】 ASMEの話は、外挿性が論点の一つじゃなかったでしたかね。その辺はいずれにしても規格はそれがクオリファイするものなので、しっかり議論はされていると。ほかにはいかがでしょうか。寺井先生。
【寺井主査代理】 私はシミュレーションの専門じゃないので、今までの先生とは違って素人的な質問になりますけれども、実際に計算機コードなりシミュレーターをつくる場合に物理的のセンスが要るというのはまさに佐藤委員おっしゃったとおりで、そこを抜きでは考えられないと思うのですけれど、ただ、基盤技術としてこういうプログラムなりシミュレーターを開発していくときの考え方といいますか、ある程度目的があればそれに沿って、例えば、境界条件であったり、あるいは、精度であったりいろんなものを考えられると思われますけれども、汎用のものをつくろうとするとなかなかそのあたりをどこに焦点を絞っていいかわからないのかなという気がしております。原子力システムへの適用を考える場合には、それこそプラント全体なんて非常に大きな話になりますし、それから、1個1個の、例えば、ものづくりで言えば核燃料の製造とかその辺のところはかなり小さなレベルなのでマルチスケールだと思うんですね。ですから、どの程度のところにそれを絞るべきかという考え方がまず大事かなと思います。それによって大分モデルの考え方そのものも当然違ってくると思いますので、その辺が少し難しいのかなと思います。
 それからもう一つ、基盤技術開発として考える場合に何を開発するのか。つまり、アルゴリズムなのか、あるいは、実際に使えるソフトウェアなのか、どういう境界条件で使えるソフトウェアなのかということもあると思うのですけど、これを文科省の基盤技術としてやっていくとしますと、原子力というアプリケーションを考えた場合にどういう観点でそこのところを整理すればいいのかというのがなかなか難しいのかなと思うのですが、そのあたり、越塚先生、いかがでしょうか。
【越塚教授】 ありがとうございます。まず出口のところですけれども、どう使われるかということですが、原子力分野ではソフトウェアはこれまで、例えば、熱流動ですと安全解析、事故解析に使われてきました。これは設置許可申請書でそれが求められておりまして、シミュレーションで原子力の安全性を建設前に示すということが要求されているわけです。そういうことでは、例えば、ソフトウェアを開発してもそれが規制で認めないとなってしまうと使われなくなってしまうので、出口を考えるならばちゃんと規制でも認めてくれるようなソフトウェアであることが必要かなと個人的には思います。規制でもこのV&Vという考え方を共通に持っていただければ、例えば、こういうことでこのソフトウェアは精度がいいんだ、大丈夫なんだということをV&Vの規格に沿って許可してくれるとか、認めていただけるとか、そういうこともあれば出口としてはいいのかなと思います。
 もう1点、日本でこれから、例えば、新しい炉を開発していくときに、さらに安全な原子炉というと、例えば、過酷事故対策ですとか津波対策になるかと思いますけれども、そのものを日本独自で考えようとすると、そのソフトウェアというのがどうしても必要になる。海外にないわけですから。そこを許認可していないというか、許認可の要件でまだ見ていないわけですから。そうしますと、例えば、過酷事故、津波ということで先ほど紹介した最後の2本のムービーは過酷事故関係と津波であるわけです。ああいったものをV&Vによって規制も認める形でソフトウェアが開発できれば、例えばですけれども、出口もしっかり明確に見えて使える。打ち捨てられるものじゃなく、継続的に使われるソフトウェアになるかなと考えております。
【寺井主査代理】 ありがとうございます。もう1点いいですか。
【山口主査】 どうぞ。
【寺井主査代理】 ありがとうございます。いずれにしても目的をある程度明確にしないと何を開発していいかわからないと、結局、そういうことになるわけですよね。
 それから最後にもう1点は、計算機の進歩というのは当然今後も続くわけで、それでそれまでできなかったような計算ができるようになるのかなと。あるいは、それまで近似でやっていたところがもうちょっと精度よくできるという話になると思うのですが、そのあたりの将来の計算機能力の進化といいますか、その辺まで踏まえた形でこういう計算力学的なアプローチというのを考えていく必要は当然あるとは思うのですが、そのあたりの見込みといいますか、ちょっとこれ自身は何とも言えないとは思いますが、いかがでしょう。
 今つくったプログラムが10年先に使えるかどうかという、具体的に言うとそんな話になっちゃうと思うのですけど、いかがでしょうか。
【越塚教授】 ソフトウェアというのは寿命が非常に長くて、例えば、構造解析で広く使われているMarcとかNastran、例えば、Nastranで言いますと、NASAのアポロ開発のときにつくられた構造解析ソフトが綿々と今まで使われていて、スーパーコンピューターの、例えば、ハードウェアの寿命といいますか、それが使われているのに比べますと、ソフトウェアというのは、今、欧米の流体構造のソフトウェアにしてももっと長くて、30年、40年というスパンになりまして、ソフトウェア開発というのは非常に長期にわたるものです。意外にそう思われていないのですけれども、ハードウェアよりはるかに長期間の継続的な積み重ねがないと育たないと思っております。
【寺井主査代理】 ありがとうございました。
【矢野委員】 いいですか、一つだけ。
【山口主査】 矢野委員。
【矢野委員】 安全な原子炉というのですかね、日本は福島の経験をして、津波がやってきましたということで、あの様な事故が起きたとなっていますけど、いかなる大きな津波が来ようが地震があろうが水素爆発は起こさない、メルトダウンまでいかない、例えば、水素爆発だけは起こさないとか、そういう問題を解こうとすると、力学の方程式に基づいてシミュレーションするのもいいですけど、人間、組織でもいいのですが、何かをやらかすといった、何かそういうものまで含めたシミュレーターといいますか、何か違う大問題をほんとうは解かなきゃいけないのではないかなと常々思っているんですけど、いかがですか。
【越塚教授】 それはおっしゃる通りです。今回は主に物理現象でシミュレーションの紹介をしましたが、今、言われていることはやはりSociety5.0のような人がもっと関与するあり方、ものづくりで言えば、ものを提供した後にどう使われているか、例えば、空調であれば快適な環境を提供したいがために空調をつくっているので、人の感性も含めたそういうのをデジタルツインの中に取り込んでいこうというのが、一般のものづくりではそういう考え方にあるかと思います。今、ご指摘の点については、原子力分野ではヒューマンエラーですとか人間の問題というのもやはり重要で、こういうのもデジタルツインといいますか、シミュレーションの中に取り入れていくというのはご指摘のとおり、今、重要な課題かなと私も思います。
【山口主査】 だいぶ議論が広がってきていて、先ほどの小林室長や越塚先生のお話とか、いろいろな将来の技術の方向性、目的がどうかとかいろいろ議論、ご意見いただいたところですが、原子力イノベーションの実現に向けた研究開発事業の見直しについてという資料のほうに少し立ち戻って、これからどういうところを論点にしてどういう方向に持っていくかという一つの方向性をご説明いただいたところですので、これも踏まえてまたご意見いただきたいと思います。もちろん、越塚先生の先ほどのお話と関連してのご意見でも、計算力学で横串をということなので結構です。じゃあ、清浦課長、お願いします。
【清浦原子力課長】 ディスカッションの前に、少し事務局からの補足といいますか、今日、どのような意味で越塚先生にお越しいただいたかというところも含めて、少し解説をさせていただきます。
 冒頭の説明にもございましたように、今まで原シス事業は、原子力の安全基盤技術といったテーマで公募をし、審査するという競争的資金的な側面がございました。今、ご議論いただきたい幾つか論点がありますけれども、そのうちの一つの非常に難しい論点としては、戦略的なテーマ設定というのをしたほうがいいのかどうかと、する場合はその戦略的なテーマ設定はどのように置いたらいいのかということを、今後、議論する必要があると考えておるところでございます。
 その中で、冒頭、小林室長が説明しました原子力の全体の俯瞰図のようなものも出したわけでございますけれども、少し原子力全体の技術俯瞰というようなものもした上で、原子炉の炉形別のプロジェクト推進という視点だけではなく、それを支える原子力の基盤技術のところで、どこに資源配分を戦略的にすべきかと、そのための公募のやり方としてどういう仕組みをつくりながら進めていったほうがいいかというところは非常に重要な論点だと思っております。
 具体的に、先ほどの資料1-1の3ページ目で、見直しの方向性という箇所で少しお示ししております、左下のところに戦略的なテーマ設定と書かせていただきました。この中に、例ということで、計算科学(モデリング・シミュレーション)、燃料、材料、ロボティクス等というものを、事務局で書き入れたわけでございますけれども、例えば、どういう切り口を設定するのがよいのか。先ほど寺井先生が言われたように、計算科学と一口に言っても、その中でさらにどういう深さまで規定するのか、しないのかといった議論もあるわけでございます。その辺りをイメージする上で越塚先生に来ていただきまして、そもそもものづくりをするときに計算科学技術分野でも相当進んでいる部分、それから、今の原子力の分野と計算科学技術の接点のところの現状というのをご紹介いただきまして、そういう横断的な基盤技術という視点で見たときに、そのような視点で、例えば、原シスを進める上でのテーマ設定をしたほうがいいのかどうなのか、どういうテーマでどうするべきか、あるいは、それを議論するための仕組みはどういうふうにあるべきかと、そういうこともこれからご議論する中での重要な論点だと事務局としては考えているところでございます。
 以上でございます。
【山口主査】 ありがとうございます。では、どうぞ、ご意見ありましたらお願いいたします。木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】 ご説明ありがとうございました。この原シス事業というのは今まで長年されてきたことなので、2ページのところの前回の委員のご意見にもありましたように、現行の事業、今までやってきた各種の研究開発事業の成果をまとめ、そこから見えてきたどうしても我々に足りないものをおそらく掴んでいらっしゃるのではないかと思っております。そこをもう少し、今、ここに挙げられた幾つかの断片的な言葉ではなくて、もう少し具体的に、こういうテーマが考えられるという何かを示していただけるとありがたいかなと思うわけですけれども。
【山口主査】 今までのお話でしょうか。
【木藤委員】 今までされた中で、これからはこういったことが必要ではないかというイメージを持たれた上でこういう改善・改革の提案じゃないかと思いますので、その辺の、現状のところでいいかと思うので、戦略的なテーマとなり得るもの、ここに例として挙げられたところであまりに漠然としているのはないか、もう少し具体的なものをお持ちじゃないかと思うんです。それを挙げていただくととても取り組みやすいと思いますが、いかがでございましょう。
【山口主査】 いろいろと議論されたと思うので、そういう例を少しご紹介いただけますか。
【清浦原子力課長】 実際、内部でいろんな議論をしてございます。これまでの取り組みのところで、この回の議論には間に合っておりませんけれども、例えば、この俯瞰図という、今はブランクにやっておりますけれども、このマップ上で言うと、これまで投資してきたのはどこかと。あるいは、経産省の新しい技術で、今、民間企業が興味を持って取り組もうとしているところはどこかと、そういったプロットができると思っております。それから、今、日本が知見を持っているところ、強みがあるところ、あるいは、残念ながらあまり強くないところ、そういったものを、例えば、技術マップ的なところの議論も深めていきながら見えてくる部分は多々あると思っております。
 それから、今日の資料で申しますと、9ページ目に、これは米国の例でございますけれども、米国ではDOEの事業の中でGAINと呼ばれます、民間が主体となって新しい原子力システムというものを研究する、そこに対して政府の資金を入れていくというこちらの例で言うと、縦軸の制度に加えてここで紹介しているNEETという事業では横の切り口で、それを支える基盤、その視点にどういうものがあるかということで、これはアメリカ流でいけば、プログラムエレメンツの中で幾つか出しているものが例示されております。例えば、こういうアメリカの例、欧州の例等も参考にしながら、では、国内で見たときにどうかという、先ほどの技術マップみたいなものも横に起きながら、これは一遍に決めるというよりは、随時、そういう技術動向と状況を分析しながら並行的にプログラムを回していくというような仕組みをつくる必要があるのかなという問題意識でおるところでございます。ご指摘のところはぜひ次の回でも、今、申し上げたようなところをできるだけ見えるような格好でご提示させていただきたいと考えております。
【山口主査】 ありがとうございます。なかなか難しいご質問ですけれども、結局、この俯瞰図に今までやったことをロードマップ的に埋めていくという作業がありますよね。それから、例えば、こういう俯瞰図を、ものを、技術を実現するんだという観点で俯瞰図にリソースを投資していくというアプローチがありますよね。その両方に結構ギャップがある部分があったと。
 だから、個別に具体例を挙げるといろいろあると思われるのですけど、やっぱりシーズベースでいくとどうしてもこういう俯瞰図という観点とトップダウンのアプローチからは少しずれていくと。その辺は今後も重要な議論の論点だと思いますので、今のご指摘を踏まえて、次回以降、具体的な各論に入っていくときにはぜひそういう考えで進めていかせていただきたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。越塚先生ももしご意見ありましたら、せっかくの機会ですので。計算シミュレーションをこういう中でどう活用していくかとか、日本で何が欠けていたのかというのはご意見あろうかと思いますので、委員ではないわけですが越塚先生にも発言していただいてもよろしいですかね。
【越塚教授】 ありがとうございます。
【山口主査】 どうでしょうか、ほかの先生方。じゃあ、多田委員、どうぞ。
【多田委員】 質問に近いかもしれませんが、今言われたこの俯瞰図において、現状がどうであって、ここが薄くて大事だからここに投資していこうというのを決めていくのは事業運営会議に担わせようというお考えだということでよろしいでしょうか。
【清浦原子力課長】 そうでございます。
【多田委員】 そうしますと、そこの能力が非常に大事で、第三者的な目でそういうことを判断できる人がほんとうにいるのかちょっと疑問に思うところではあります。やるなと言っているわけではなくて、そういう努力をしていく必要はあるというのは同意するのですけれども、とても難しいなと感じました。
【山口主査】 今のご意見はそのとおりですけれども、こういう枠組みをつくった後、どう動かしていくかというフェーズの話なので、難しいと言い出すと一歩も進まないので、非常に留意すべき点ということで理解させていただきたいと思います。
【多田委員】 否定をしているわけでは全くなくて、そういうことも必要で、もちろん一人ではできないのでいろんな方の意見を入れてということですが、多分、かなり時間を要するのではないかと思っていて、この開発事業を変えていくに当たってどういう時間軸でやろうとされているのかというのを聞きたかったのですけども。
【清浦原子力課長】 NEXIP事業自体は、経産省部分の事業は既に今年度から始まっているものがございます。原シス事業につきましては、来年度の募集から新しい仕組みを導入しようと思っております。ただ、それは今の俯瞰図の議論のようにこれが短期間で全部一度に決まるということではないと思っていまして、先ほどの資料1-1の5ページ目のポンチ絵のところに経産省事業と文科省事業の間にぐるぐると輪のようなものをつくっておりますけれども、そこの仕組みづくりが大事だと思っております。それぞれ民間を中心に取り組んでいる事業自体も動いておりますし、周りの科学技術動向というのももちろん見ないといけないという中で、戦略自体をちゃんと臨機応変に見直しもしながら、原シスの事業自体も適宜修正されながら進めていくという仕組み自体をつくる必要があると思っており、いきなり完成形の俯瞰図というのがいついつまでにできるという種類のものではないと思っておりますので、多少見切り発車的なところももちろんございます。
 経産省の事業も今年度からスタートしたばかりでございますので、そこの課題の成熟状況というところも酌み取りながら進めるという視点も重要になってくると考えております。
【山口主査】 ほかにはいかがでしょうか。木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】 ありがとうございます。戦略的なテーマ設定ということなので、1年ごとに結果はなかなか出ないということだと思います。何年かのロードマップが当然必要だと思いますし、1年後にはこの辺まで、次にはこの辺までといった、続けていく仕組みが必要で、年間ごとの予算の中でやれというのはちょっと難しいところにぶち当たると思います。ぜひ、そこがうまく働くような工夫をしていただけたらなというのが一つ。それから、さっき塚越先生がおっしゃった中でおもしろいと思いましたのが、ソフトウェアというのは育てていくものだとおっしゃって、この事業もテーマ、戦略に向かって育っていくということで成果になるというような考え方が必要かなと思いました。
【山口主査】 ありがとうございます。全くその通りだと思います。ほかにもご意見あろうかと。どうぞ、佐藤先生。
【佐藤委員】 5ページで、非常にうまく絵を描かれていると思います。二つぐらいあるのですが、一つはこの基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型とございますけれども、それぞれどの程度の予算を充てるべきかということを先に考えられたほうがよろしいのではないかなと思います。私は前々職では企業におりまして、こういったことを統括していた立場から見ますと、大体それを決めてかかるわけです。
 また、6ページみたいなことを考えながら研究開発を進めていくわけですが、その俯瞰図を見れば、シーズプッシュで行き過ぎると失敗しますので、ぜひ右側の経産省系の開発、それから、現在やっている原子力系のいろんな問題を含めて、まず勝てる課題を具体的に先に挙げられて、そして、それに対して誰かちゃんとやりませんかと、されたほうがうまくいくのではないかと思います。スタートで性格が決まってしまいますので。私は企業にいたときにはそういうやり方をしました。そうじゃないとぐじゃぐじゃになってしまいます。そのときには、先ほど矢野委員や寺井委員が言われたような観点、そこから実際何を解かなきゃいけないのか、破断なのか中の熱流動なのかと。どういう熱流動を解きたいんだとか、どういう破断を解きたいんだとか、どういう衝撃力による破壊を解きたいんだと、それをはっきりさせたほうが身になるといいますか、結果が出てくるような気がします。しかも、越塚先生、ソフトウェアは長いですから、そうやってきちんとつくったものをいかに維持していくかということまで含めて、その知見を、考えられたほうがよろしいのではと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。中島委員。
【中島委員】 私も今の5ページの絵が非常によくできていると思います。MEXT側のほうのテーマとして三つ、基盤とボトルネック、新発想で、そのうちの基盤とボトルネックがMETIのほうの技術開発支援の事業とリンクするような形になっていると。今、佐藤委員からも話がありましたけれども、既にMETIのほうが走っているということで、来年から文科のほうが動くということになると、やっぱり既に動いているものにおいて、例えば、基盤的な研究がこういうところが問題点としてここをやらないとこれ以上は実用化できないよというところが出てきたら、そこに絞ったそれこそ戦略的な事業を採択するというか、流れとしてはそんなイメージなのかなと思います。片や、文科省としてはもうちょっと自由なものも残しておきたいということでこの新発想というのがあって、大学の研究者としてはやっぱりこういうのがないと困るなという思いもあります。ただ、少し額も年数も短いのがちょっと気にはなるんですけど、それはまた後の議論として、全体の構成はやっぱりこういう形でやっていかないと、結局、この横の軸の連携がなかなかとれなくて、一生懸命細かい基礎技術だけつくったけれども使われないでどんどん出ていくということが起こるので。この連携、先ほどあった事業運営会議にどういう人に入ってもらうか、経産の方も入るということで、そこはちゃんと情報を仕入れて、なおかつ、しっかり判断できるようなPD、POを置くということが非常に重要かなと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。少し5ページの図の議論が進んでおりますけれども、3ページをごらんいただいて、5ページの図が出てくる前の段階として3ページの見直しに向けた視点、この4項目挙げられたところが出発点になっているものと思われますが、このあたりはいかがでしょうか。こういう視点を踏まえて、今後の制度なり仕組みを構築していくという考え方で今日の資料はまとめられているのですが、もしご意見ありましたら伺いたいと思いますけれども。佐藤委員。
【佐藤委員】 では簡単に。3番目の原子力以外の分野のすぐれた知見というのを積極的には取り込めていないのではないかと。これが原子力分野の人がうまくできますかねという課題はちょっと考えていただきたい。というのは、知らない世界のことをどうやって取り込むのかと。すごい解析技術があったり、流体の解析やったり、原子力分野以外の人がなかなか見られないところにあるというか、自分のマインドの中にないので、それを取り込むにはかなり広い心がないと取り込むほうもなかなか難しいので、そういうことをぜひ考えていただきたいなと。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】 今先生がおっしゃったことと同じようなことを私も思いましたので、先ほどのテーマですね、もう少し具体的に挙げていただけたらと申したのはそこのところにもつながるかと思います。アメリカの方のテーマを見ると、別に原子力の人だけではない感じが、原子力の者が見てですけど、そういう感じがするのですよね。ほかの分野の方も取りかかりやすい、自分に関連したものがあるんだというのがすごくわかりやすく表現されています。こういうような感じでテーマを挙げていただけるとすごくいいと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。どうでしょうか。どうぞ、五十嵐委員。
【五十嵐委員】 あえて言うまでもないかもしれないと思いますが、多分、3ページの原点ということに対しては、今日ご意見が出たように、皆さん同じような思いを持っていらっしゃると思うんです。ただ、その受けとめ方は、今、木藤委員がおっしゃったように、少し違う部分もあって、私としては来年度からこれの公募まで始めるというのは非常に時間的に難しいのではないか、幾つか、今、課題のご意見が出ましたが、他分野から取り込むという点などは、どこにどのように声をかけるのかとそもそも気になるところですし、この運営会議、何度かご意見が出ていますが、どういったメンバーにするのかなど、幾つもそれまでに議論しなければならないことがあって、先ほどご説明のあったように、走りながらやっていくというのもあるとは思いますけれども、スタートはすごく大事だと思うので、そこをいつどこで詰めることができるのかと多少疑問に思いました。時間が非常に足りないのではないかなと。改革をしようとしているときに十分なご意見が出て、また、ほかからのご意見も取り入れていくことができるのかなというところは、やはりクローズな議論になってしまっていないかなという反省も込めて、その辺のやり方は検討が必要かなと思いました。
【山口主査】 何人かの委員の方から同じ趣旨のご意見がありましたね。佐藤委員からは最初に狙いどころ、勝てるものを決めてと。コミュニティーはいきなりぽんとできるわけではなくて、だんだん広がっていくものなので、その辺は実際に進めていくときにどこから手をつけてどういうふうに1個1個、幅と深さを広げていくかというのは、今日のご意見を参考にして具体的な進め方は議論していただくということになろうかと思います。
 今、五十嵐委員がおっしゃったポイントは、方向性としてこういう視点はもっともだけれども、なかなかこれを同時進行でやるのは難しいので、相当しっかりした気持ちを込めてやらないといけないよと、そういうことですよね。
 ほかにもいかがでしょうか。
【寺井主査代理】 よろしいですか。
【山口主査】 寺井先生、どうぞ。
【寺井主査代理】 資料にも書いてありましたが、まずは運営体制ですかね。1週間の企画会議とEPRIに書いてありましたけれども、そこまでやるのはどうかなという感じはしますけれども、まずはしっかりとそこを構築しないといけないというのは一つで、そのためにはやっぱり、今、いろいろとご意見があったように、このプログラム相互の比較運営にかなりの労働をかけて議論したほうがいいのかなというのがまず一つですね。
 それからもう1点は、今、山口主査もおっしゃっていたと思いますが、大体チームというのは何か目標があってできていくものなので、公募が出た後から準備を始めるというケースが結構あるんですよね。そのときに、いろんな分野を取り込むというようなことを言えば、外部の方に声をかけてチームをつくっていくという話になりますから、公募の期間を長くするというのがもう一つは非常に大事かなと思います。その間にそのチームができていくということですよね。だから、実際の運用に当たりましては、そういった企画を十分つくる時間をとることと、それから、公募の期間をある程度とって、しっかりと申請する方々がチームをちゃんとつくって議論できるようにする時間的な余裕が欲しいかなと。
 あるいは、公募の前に事前にそういうのを通告しておいて、あらかじめ準備をしていただくとか、そういうことでもいいのかなとは思いますね。少しそういうような考え方も大事かなと思います。
【山口主査】 ありがとうございます。海外だとわりとそのようなことが多いですよね。最初にアナウンスされていて、結構、研究者間で事前にあれやろうこれやろうと議論した上で取り組むという、そんなパターンもあろうかと思いますので。
 いろいろいい提案をたくさんいただき始めましたが、どうでしょうか。もっとご意見ありましたらぜひお伺いしたいと思いますが。来馬委員、どうぞ。
【来馬委員】 越塚先生からのいろいろなご説明の中で、新しいことをやろうとしても、あるいは、ソフトウェア開発とかそういう話の中で、規制行政との関連のことをコメントされて、継続性の議論とかそういう現実があるとは思うんですけれど、そういう意味でいくと、そこの課題というのはどうすればいいんでしょうかね。どうしたらそれを踏まえて、なおかつ、新しいものにチャレンジしていけるのかというのが、ご提案というか、お考えがあったらお聞きしたいなということが一つ。
 もう一つは、今、さらに他の分野に関する点かなと私も思います。原子力がより、まして新しい研究開発とか、あるいは、新しい炉型とかいろんなことを考えていくと、今の時代じゃないですけど、AIにしろIoTにいろんな、ほかのところは農業、漁業でもいろんなことがあるのに、原子力はそこのところが非常に孤立というのか、別世界になっているように見えてしまうところがあります。そうすると、募集とかそういうところで他の分野に対して何を期待というか希望するのかというのが、あわせて、これは最初のテーマの決め方によるのでしょうけれど、そういうところを出していかないと従来と何も変わらないという話になりそうな気がするんです。そういう気がするので、戦略的なテーマ、そこのところが一番重要だろうなと思います。そこをぜひしっかりと議論した上で決めるべきじゃないかと。
【山口主査】 ありがとうございます。今の点、事務局のほうから、今、越塚先生もおっしゃっていた規制との関係という意味では、これをやろうと思ったら研究開発のところだけやろうとされているわけではなくて、いろいろ周辺のところも当然重要になってくるというご指摘をいただいたわけでして、その辺、事務局のほうで補足説明とかございますか。
【清浦原子力課長】 イノベーションの議論ですので、当然ながら研究開発だけではなくてそれを実装するに向けたさまざまなディスカッションやダイアログも必要で、NEXIP構想の中にに、規制当局との早い段階でのダイアログというのがもともと入ってございます。
 モデリング・シミュレーションの世界の話はその意味でもよい突破口の一つのアイデアだと思っております。当然ながら規制自体もモデリング・シミュレーションがないとそもそも成立しないという世界の中で、じゃあ、何をあらかじめしておくかという点は、規制との関係でイノベーションをどう進めるかという議論をする上でも、良いサンプルの一つになるのかなとは思っているところでございます。
 それから、他の分野をどう取り込むかというところは公募する段階で工夫のしどころだと思っておりまして、そこは推奨するのか、あるいは、評価のところで少しその点を加味するのか、いずれにしろほかの分野の新しい知見、人に参入してもらうことを推奨する募集にするように工夫したいと思っております。
【山口主査】 ありがとうございます。どうぞ、中島委員。
【中島委員】 今、規制の話で、別に規制委員会の肩を持つわけではないですけれども、確かに新しい技術を入れようとすると結構いろいろ手続が大変ですが、少なくとも新規制基準のもとでは規制は最新知見を常に反映しなさいというのが基本的な考え方にあるので、それをしっかりと説明して、新しいほうが良いよということをちゃんと理解してもらえば良いかと思います。ただ、それが結構大変で、今、トピカルレポート制度を導入しようとして、そういうのを1個つくっておけば、あとはみんなそれをまねしてやれば良いよということになっている。あとは少し気になるのは、むしろ事業者同士で牽制し合って、A社は新しいデータで出したのに何でB社は出てこないのかとか、そういうことがあったりすると結構大変なこともあるんですけれども、基本的にはそういった意味では少なくとも新しい基準のもとでは最新知見は規制側にとってもウエルカムだということはあると思います。手続は大変ですけどということです。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょう。大体ご意見出尽くしたかなと思いますが、よろしいでしょうか。どうぞ、木藤委員。
【木藤委員】 今までの事業の見直しの話ですけれども、かといって、安全基盤技術とか放射性廃棄物、有害度低減、このあたりの研究開発はやって、こういうことも当然テーマとしては残ると考えていいのでしょうか。その必要があると思っているわけですけれども。
【山口主査】 特に今の段階でこれは捨てて、これはという話ではなく、当然、重要な課題といいますか、課題というにしては大きいですけど、その認識ですよね。
【清浦原子力課長】 そこも募集の工夫でございまして、今、新しい原子力システム全体がより安全なということはもちろん大命題としてありますので、それは当然、申請上でも説明をしていただくというところでございます。その他のいわゆる縦割り的なところをどう設定するかという点は、今後の議論でやっていくと。全部横軸にするのかどうかも含めて、そこは今後のディスカッションかなと考えているところでございます。
【山口主査】 どうもありがとうございました。いろいろといいご提案をいただきましたし、これまでのご経験を踏まえたサジェスチョンもあったかなと思います。とはいえ、今日の資料1-1でご説明のあったイノベーション実現に向けたシステム開発、研究開発事業のあり方のような話、おおむねポジティブなご賛同するご意見をいただいたと思います。ただ、実行するのは大変だよという意見も多々ありましたし、こういうふうにやったらいいんじゃないかというご提案もありました。これらを踏まえて、事務局のほうでまた引き続きいい制度にしていただけるように検討していただきたいと思います。またこの場でそのあたりご議論いただく機会があると思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、一つ目の議題は以上で終了したいと思います。
 続いて人材育成、これも関係するといえば関係するわけですけれども、後半の課題の原子力人材育成の在り方等についてというほうに入っていきたいと思います。こちらの資料の2番を事務局からまずご説明いただいてご審議いただきます。よろしくお願いします。
【小林原子力課室長】 それでは、資料2の説明をさせていただきます。
 議題2では、1ページ目、現行の人材育成事業に加えまして、原子力人材育成のそもそものあり方についてご議論いただいた後に、この事業の見直しに関してご意見いただきたいと考えております。
 現在の文部科学省の人材育成事業は国際原子力人材育成イニシアティブ事業です。期間は3年から5年、大体3年程度でございますが、初年度は2,000万円程度、次年度、次々年度は前年度の交付額を超えない額で補助をしておりまして、主に大学や高等専門学校の教育のカリキュラムの高度化、また、施設を活用した教育の実施等を行っております。
 この事業の見直しに関しては、前回の作業部会でもご説明する予定だったのですが、原子力の人材育成そもそもについてより深くご議論いただく必要があるのではないかというご意見を多々いただきまして、そちらを2ページ目にまとめてございます。
 特に大学に関して、今、原子力の人材育成の質が維持できているのかという点について多くの方が疑念を抱いていると。さらに、議題1も踏まえて、原子力エネルギーシステムの議論が中心となっておりましたが、特に学生にとって魅力があるという観点では、放射線利用やビーム利用等に広げた議論も必要ですと。さらに、原シスに限らず、ギャップ分析、出口を見据えた分析が人材育成事業も必要というご意見。さらに、特に人材育成に関しましては、学生にとって魅力のある将来像を示すことが大切であると。具体的には、産業界との連携が必須であること、さらに、教育のみならず研究とうまく結びついた拠点形成を検討していくとよいというご意見をいただいたところです。
 3ページ目で、平成28年の人材育成作業部会の中間とりまとめの概要をお示ししており、この内容を念頭にご議論いただいている方もございました。中間とりまとめでは、今後の施策の方向性として大きく四つございまして、その一つ目に、将来必要となる原子力分野の人材の見通し、規模の明確化というものがございまして、こちらについて先生方から前回ご意見をいただいたところです。この人数に関しましては、前回、事務局からも、人数というところだけに現時点で焦点を絞ってしまうとエネルギー政策全体の話と密接に関わるために難しいこと、その上で、定量的な人数の話もさることながら、提供する教育の質そのものがどう変遷しているのかという問題について、情報をお出しさせていただきたいというお話をしたところです。
 この後、教育の質の変遷についてご説明させていただきますが、そのほか、3ページ目にございます二つ目、三つ目、四つ目の課題として、関係機関との連携や分野横断的な取り組み、原子力人材育成イニシアティブ事業の継続性、さらに、人材育成で重要な役割を担う施設に関する課題、こういった点も念頭に置きながら、今回、事業の見直しを図っているところです。
 では、教育の質の変遷についてご説明いたします。4ページ目と5ページ目が、これまでもお示ししております原子力関係学科・専攻の設立変遷です。既にご存じかと思いますが、昭和から平成の時代にかけて、原子力○○学科、原子力○○専攻といった、「原子力」を冠していた学科や専攻は、エネルギー工学や量子工学といった専攻・学科に改組されるところが多くございまして、現在はこのような状況になっております。
 では、この学科・専攻の設立変遷が、教育の質の変遷にどのような影響を与えたかというデータを6ページ目、7ページ目にお示ししてございます。
 まず、6ページ目、これは文部科学省が過去、日本原子力学会に委託をいたしまして、1979年当時、原子力関係学科・専攻を有している7大学にアンケートをとったものでございます。1979年、96年、2007年は委託によるアンケートで、今回、新たに2019年のデータもアンケートをとり、原子力関係学科・専攻における、原子力に関係する専攻、いわゆる原子力コアカリキュラムといえるものの開講科目数の変遷をお示ししております。1979年は平均で23科目程度、大学(学部)で提供していたコアカリキュラムが、2019年は平均で14科目まで減っております。さらに、下の表が分野別で見たグラフでございまして、右から2番目の核融合プラズマだけは79年当時から提供科目数の平均が増えておりますけれども、そのほかの分野については、全て、79年当時からは大幅に減少しているという状況です。この6ページ目は大学(学部)の状況だけ見ており、修士課程を含めたデータが7ページ目にございます。
 こちらは、同じ7大学の大学院で提供している科目数についてもアンケートをとっておりまして、青が79年の学部のみ、黄色が2019年の学部のみ、そして、緑が2019年の学部プラス大学院となります。これをご覧いただきますと、それぞれの分野で、青よりも緑のほうが大きくなっておりまして、これはどういうことかと申しますと、修士課程まで含めた場合に、原子力コアカリキュラムが、より多く提供されていますと。既に、大学(学部)だけでは、原子力コアカリキュラムを網羅的に学ぶ環境を整えることは相当難しい、修士課程までいかないと難しいという状況です。
 ただ、2点ご留意いただきたい点として、7ページ目の下に、日本原子力産業協会の報告書からの抜粋を記載しておりますが、そもそも修士課程では要求履修単位数が多くないため、学生自らの研究に近い、あるいは、それに役立つ科目を中心に履修する可能性が高く、全ての提供科目を履修しているとは限らないというのが現状です。この報告書でも、学生が自らの進路をこれまで以上に幅広いものと考えて、炉物理、放射線安全、そのほか広い範囲の原子力の体系的なカリキュラムを積極的に履修していく必要があることが注記されております。さらにもう一つご留意いただきたい点といたしましては、前回の作業部会でもご意見をいただきましたが、原子力関係学科・専攻に進学する学生の中には、核融合や放射線応用の分野に夢を感じる学生が多いと。ただ、そういう学生の中でも、進学後に講義や研究を通じて核分裂、炉物理、そういった分野に関する研究に、また、就職した後の原子力の産業界に魅力を感じるようになる場合があると。さらに、こうした意識づけに実習、実験といった体験が非常に重要でございまして、教育研究用の原子力施設の共同利用の有効性がこの報告書でも示唆されていたところです。
 8ページ目では、大学の教員の変遷を記載してございまして、少し古いデータで恐縮ですが、平成16年度から25年度の10年間で原子力関係の教員数は100名程度減っております。ピンクの枠組みのところをご覧いただくと、若い世代が入っていないということが、さらにそれ以上に大きな問題になっているかと思います。
 先ほど教育研究原子力施設の共同利用の有効性についてもご説明いたしましたが、では、試験研究炉がどうなっているかという状況が9ページ目と10ページ目にございます。この試験研究炉、原子力分野の人材育成を行う上で非常に重要になりますが、その多くが建設から40年以上経過して高経年化が進んでおり、さらに、事故後の新規制基準への対応等によって、これまでどおりの運用が困難な状況になっています。
 9ページ目右側の線表をご覧いただきましても、95年時点では20施設が運転中でございましたが、現在、運転中の施設は4施設、さらに運転再開予定も含めても、現在、我が国の試験研究炉は計8施設のみという状況です。
 これが教育にどのようにつながっているかと申しますと、10ページ目にございますとおり、東日本大震災以降、こういった試験研究炉の停止に伴いまして、この試験研究炉を通じた人材育成時間数というのも大きく減少しているのが現状でございます。
 以上、教育の質の変遷を、今、お話しさせていただいたところです。
 一方で、前回の作業部会でもお話のございました、そういった状況もありながらも魅力のある将来像というのはどういったものかというものの参考情報が11ページにございます。
 こちらは、原子力に限らず、工学系全体に関して教育改革の実現に向けて懇談会で取りまとめられたものです。原子力に限らず、工学系分野全体ではやはり一つの専攻分野の教育や研究を深める傾向が強くて縦割りに陥りやすいという指摘が、原子力に限らず工学系研究全体であるそうで、深い専門分野、さらに幅広い分野の知識の履修を可能とする教育体系を構築するにはどうすればいいかということがこちらで提言されています。特に、科学技術イノベーションで必須となるSociety5.0の推進やオープンイノベーションの実現に向けては、我が国の産業連携が必須であることが示唆されております。下線部にございますとおり、国、地域レベルで産学共同のコンソーシアムを構築して、求められる人材像やそれぞれの役割分担について組織対組織の連携を具体化していくこと、また、大学や業界団体など複数社で連携する企業群で実施すること、さらに、企業や業界を超えたオープンイノベーションを促進するための産学連携教育の場やプログラムの提供が、原子力のみならず工学系全体でも提言されているところです。
 12ページでは、原シス事業の見直しでご説明した俯瞰図を再掲させていただいております。原シス事業では左側の原子力エネルギー利用の分野についてご議論いただきましたが、原子力の人材育成を検討する上では、真ん中の福島原発廃炉や、右側の放射線利用といった分野も含め、この俯瞰図全体でどういった人材が求められていくかということを検討する必要があると考えています。先ほど提供科目数が減っていることを説明した原子力コアカリキュラムについては、この上の部分のプラント・系統・機器のライフサイクルといったところを念頭に置いておりまして、そのほか、共通基盤技術となる分野についても、これからの原子力人材育成には必要ではないかと考えているところです。一番下の基礎となる学問分野では、こういう研究開発をするには学生や研究者がどういった学問分野を修めているかというところも記載しておりまして、法学、社会学、倫理学、公共政策学、環境経済学、そういった人文社会系の分野もこれからの原子力人材には必要なものではないかと考えております。
 以上、現在の日本の原子力人材の教育の変遷と今後の原子力人材育成を考えていただく上での論点、ご留意いただきたい点を紹介させていただきました。
 最後、13ページと14ページでは、こういった背景を踏まえまして文部科学省で行っている人材育成事業をどのように見直していくべきかという観点をお示ししております。もともとこれは6月の原子力科学技術委員会でお示ししておりましたが、今、ご説明したような今の日本の原子力人材育成のあり方という点をあまりご説明しないままこうした論点をお示ししておりましたので、まずは前回、そして、今回の作業部会を通じて、現在の日本の原子力人材のあり方、状況をご説明させていただいた上で、現実的に今の文部科学省の事業をどう変えていくかというご議論をさせていただきたいと考えていたところです。
 13ページで、特に人材育成施策における課題として、個別の大学の原子力人材育成機能が脆弱化する中とあり、こういった状況を本日はお示しさせていただきました。そして、今後、事業の見直しを通じて、我が国全体としていかに人材育成機能を維持充実していくか、そういったことをご意見いただきたいと考えております。
 文部科学省で考えている検討の方向性といたしまして、2ポツにございますとおり、具体的に、1番、我が国全体として弱体化している基礎・基盤教育、2番、実習・演習、3番、海外での研鑽機会の付与、4番、産業界や他分野との連携・融合、こういった機能を有する人材育成拠点を形成することが重要ではないかと考えています。現在の事業では、1番から4番に関してそれぞれ個別的に大学での取り組みを支援しているものでして、今後の人材育成のあり方としては、1番から4番のより多くの機能を有するような人材育成拠点を形成していくことが重要ではないか、そして、それが学生にとっての魅力につながるのではないかと考えています。このための方策といたしましては、今まで各大学や高専が緩やかな連携のもとで人材育成を実施しておりましたが、今後は魅力的な目標を掲げる大学等が共通基盤的な教育機能を補い合い、拠点として一体的に実施する体系を構築できるよう、国として促していくことが効果的ではないかと考えています。
 最後の14ページが、今、申し上げたものの具体化したイメージでございまして、新しい人材育成事業の支援内容のイメージでございます。支援内容は先ほど申し上げた1番から4番を少し細分化して①から⑤になっておりますが、これらの取り組みを一体的に支援できるような拠点を形成することを促していきたいと考えています。
 特に、応募対象者につきましてはこれまで個別の大学等が対象となっておりましたが、今後は二つ以上の国内の大学等に連携していただいて、コンソーシアムを形成して、拠点形成に向けた応募をしていただきたいと考えております。特にご留意いただきたい点としては、参画機関は真に必要な機能を担うもののみの連携、先ほど申し上げたような緩やかな連携ではなく、真に必要なものだけが、有機的な機関間連携を推進していただきたく、具体的には単位互換制度のようなものを想定しております。さらに、①から⑤の取組以外に魅力的な取組がある場合には、加点的に考慮をしていきたいと思っております。
 将来的には①から⑤を支援するような拠点の形成を促していきたいと考えていますが、いきなり拠点をつくりましょうというのも相当難しいことですので、まずは来年度、見直しの第1歩といたしまして、拠点形成プランを策定いただくフィージビリティースタディーの公募をさせていただきたいと考えております。フィージビリティースタディーなので、規模としてもこれまでの1課題当たりの支援額よりも減額してございます。
 さらに、運営体制といたしまして、今後PD・POを設置して、課題の選考に加えて、拠点を効果的に形成するサポート体制を構築していきたいと考えています。
 資料の説明は以上です。
【山口主査】 どうもありがとうございました。それでは、これからご意見を伺いたいと思います。ご質問、あるいは、ご意見、何でもご発言いただきたいということで、いかがでしょうか。五十嵐委員から、どうぞ。
【五十嵐委員】 ご説明をありがとうございました。大変いい計画というか、フィージビリティースタディーをして新しい方向を見つけていくというのはいいと思うのですけれども、現状、ご説明いただいたように、実際に動いている研究炉が近畿大学と京都大学のものしかなく、2つ以上の国内の大学等が連携となると、おのずから対象が決まってきてしまうような印象も受けてしまうんですが、先ほどのこととも関連して、具体的にはどういうことを考えていらっしゃるのか。一、二年で様子を見てさらに広げていくということだとは思いますけれど、これまでも京都大学などは多くの形で学生さんを受け入れて、大学共同利用機関のような役を果たされてきたと思うんですね。だから、今後どういったことがそれとは変わるのかというあたりとか、先ほどご説明もあったように産業界との連携が必要だということがあったので、その辺に産業界の関連はどう入ってくるのか、ここの4番にはありますけど、そこの具体的なイメージももうちょっとご説明いただけると、と思いました。
【山口主査】 なかなか踏み込んだご質問ですが、いかがでしょうか。
【清浦原子力課長】 ありがとうございます。あまり国が具体的な絵姿を詳細に言い過ぎるのは多分適当ではないと思っております。委員もご指摘のように、研究炉自体が少ない中で既に共同利用機関のような形態ですとかさまざまな連携が既にあるというのも十分わかってございます。そこをさらに教育のカリキュラムそのものでございますとか、あるいは、海外との連携の仕方も含めて、より組織的に連携をするプログラムを考えてもらうと、そこを促すということを考えております。
 それから、研究開発施策との連携とさらっと書いておりますけれども、やはりどんどん原子力の実験・実習できる場ですとか産業そのものの場が減っているというところがございますので、前半で説明したような国が取り組んでいるような研究開発プログラムそのものと新しい拠点の教育プログラムを連携させていくのか、その中でどうやって若手に経験を得させるのか、例えば、そういったものは今まであまり議論されておりませんので、そのようなところでもさまざまなアイデアを検討いただきたいと考えているところでございます。
【五十嵐委員】 基本的なことになりますが、これは何件採用されるんですか。年間1,500万円以内、一、二年とあるんですけれども。
【清浦原子力課長】 件数はまだ確定しておりませんけれども、そんなにたくさんの数ではありません。イメージとしては二つ、三つぐらいのフィージビリティーをまずは走らせるというぐらいの数の希望のイメージを現段階では持っておるところでございます。
【五十嵐委員】 ありがとうございました。
【山口主査】 よろしいですか。ほかにはいかがでしょう。寺井委員、どうぞ。
【寺井主査代理】 私自身も非常にいいプログラムだと思いますが、1つ前の議題の議論でもありましたけど、現行の人材育成のプログラムがどうなのかというところがあると思うんですよね。ギャップ分析という話がありましたけれども、今の事業では何が問題で、それは施策側からもそうですし、現場からもいろんな声があるものと思うんですね。私は直接関与していませんけれども、他大学のいろいろな取組を見ていると、お金は来るんだけど大変という話が結構あって、要はマンパワーが足りないと。お金が来てもなかなか教員がたくさんの仕事を抱えてやらないといけなくて、特に若手に負担がいってしまうとか、いろんなそういう声も現場からは聞いております。だから、少し現在のプログラムがどうであるのかというところの分析結果をお示しいただくのが第一で、それをもとに今後どういうふうに展開していくかという施策の部分に入るではないかと思います。そこのプロセスが大事かなという気がします。
 特に、これはルールがそうだからしようがないとは思いますけど、文科省のプログラム、どこもそうですけど、大体3年とか5年間ですよね。その間に大学なり何なりで仕組みをつくってくださいと。それをその後、大学内のリソースで継続してくださいという話になりますけど、プログラムが終わるとそこで終わってしまうというケースが多々あるんですよね。そういうところもあったりしますので、そのあたり、現場とか実際に仕事をされた大学の先生方とかからの声も拾っていただいて、この次のプログラムがそれに対してそこをうまく対応できるのかということも含めて、FSですからまだこれはいいと思いますが、実際にやろうと思いますとこれはかなりマンパワーが必要かなという気がします。むしろ、お金もさることながら人を雇う人件費とか、そういうところも結構実際には必要なのかなと。特任教員がいないと、なかなかこれをやるのは結構大変かなと大学にいて思うんですけどね。だから、その辺のところの工夫など、ぜひお願いしたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。
【小林原子力課室長】 ありがとうございます。まさに平成28年の取りまとめでも、現在の事業の継続性について課題があるという点は指摘されていたところです。ただ、継続性に関してどういった課題があるかはそれぞれの採択先ごとに違っていると思いますし、どう改善していくか、どうすれば継続性のある拠点になっていくかというところは、それぞれの大学等によって事情が変わってくると思いますので、そこはフィージビリティースタディーも含めて、引き続きよくお話をお伺いしていく必要があると考えております。
【山口主査】 今のご質問で、これまでの事業を実施してきた方々の意見なり、そういうものをまとめたものというのは、前の作業部会の報告書以外にもあるわけですか。
【小林原子力課室長】 それぞれの採択課題の成果報告はいただいておりますが、いわゆる継続性に関する課題のお伺いという観点ではまだ着手できておりません。
【山口主査】 成果報告ですか。わかりました。ほかには。どうぞ、中島委員。
【中島委員】 前の人材育成のときにもいろいろやっている側として申し上げたところで、確かに研究炉も動いているところは少ないとか、特に大学は、今、京大と近大しかないという話ですけれども、ただ、もうちょっと広く見ても、例えば、核燃料を取り扱える大学というのはだんだんと減ってきて、規制が厳しくなってきてもうやめるとか、それは多分それ以外のものにもどんどん広がっていくと。そうすると、我々の世代が学生のときに受けていたような、普通のほんとうに基礎的な原子力として必要な実習とか実験が今は一つの大学ではできないような状況になっている。そのため、京大でも炉物理実験でほぼ全国の学生さんを引き受けざるを得ないということなど、非常に局所的には負担にはなっております。ただ、そういう実験教育は必要なので、越塚先生がおられるところではありますが、やっぱりシミュレーションだけでは得られないことというのが実験のよさであるわけでして、それはちゃんとやらなくちゃいけないとなる。それに対して、今までの人材育成プログラムというのは、どちらかというと基礎的なところは運営費でちゃんとやりなさいと、それにプラスアルファして何か新しいことをやるのが人材育成なんですよということでお金をもらっています。3年間で新たな仕組みをつくって、それ以降は自前でやってくださいよとなると、応募するたびに何か新しいことをどんどん加えていかなくではならなくて、どんどんどんどん大変になっていくというようなことがある。なおかつ、先ほど言った人の経費もそうだし、基盤設備で古くなったところをかえたくてもそれは運営費の範囲じゃないの、というような使い道の制限もある。我々としては、まずはほんとうに基礎的なところは繰り返し同じことを毎年やるしかないわけで、そういうところがしっかりできるようなところをサポートしていただける仕組みというのをつくっていただけると非常にありがたいと思います。
【山口主査】 生の声をいただきました。ほかにはいかがでしょうか。じゃあ、木藤委員のほうから。
【木藤委員】 中島先生が今おっしゃったことにも含まれていると思いますが、研究炉を持っている大学、先生のところと近畿大学さんの話をいつも聞いて、なかなか大変だということは伺っております。だけれども、こういう補助金事業になりますと、本体の施設の維持には使えない。そこを維持するための人を雇うこともできないという、本体を大事だ大事だと言いながらも周りのところにしかお金が使えないということで、いらっしゃる先生方の負担だけが増す、施設も古くなっていくというとても厳しい状況にあると思うので、ぜひ問題であるところの解決につながるようにこの事業が使えていけたらなと思っております。よろしくお願いします。
【山口主査】 今いただいた意見は、これまでの人材育成事業はあまりうまくいっていないと。そして今度はうまくいくようにしたいと。それはフィージビリティースタディーで考えようということと、PD・PO制を置くという感じですかね。あと、拠点化という。やっぱり今いただいたような意見が抜本的に解決されるようなことを導入しないと、多分、また繰り返しになっちゃって、今、寺井主査代理がおっしゃったように、大学も人がいないと動かせないと。そうすると、人を雇うのにほとんどの予算が使われると、事業が終わった瞬間に雇えなくなると継続性がないという、言ってみれば当たり前のことが続いているので、今のご意見というのはもう少し抜本的に考えるべきところがあるような気もしますし、少し検討していっていただけますでしょうかね。ほかには。利根川様、どうぞ。
【利根川資源エネルギー庁原子力政策課長補佐】 資源エネルギー庁でございます。人材育成事業については産業界、要は技能職、そういったところを対象として資源エネルギー庁もやっておりまして、その反省ということに関して言えば、私どものところと、文科省さんの人材事業が、先ほどの絵じゃないですけど、うまく連携できていない部分があったかなと思っております。過去には、同じような講座が同じ日にあって学生がどっちも受けられないんだけどといった事例があったように聞いておりまして、そういうようなこともありますので、経産省の事業からのフィードバック、先ほどの研究開発事業もそうですけれども、人材についても同じではないかなと思っておりまして、そういうところも反映するということは我々のほうからもやりたいなと思っているところではあります。
【山口主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか、ご意見。どうぞ、佐藤委員。
【佐藤委員】 実は、先週、オーストラリアに行って、工学教育とかどういうふうに基盤技術をやっていくんだという話を向こうの官庁と話してきたわけです。あと、イギリスとフランスの調査もしていますが。基本的に向こうではブルックファンドといいますか、テクニシャンと基礎的な教員をきちっと雇っていて、それにプラスする形での競争的資金であると。オーストラリアを見ますと、こういう今やっているような事業に関しては、3年で切れてその後はなしよというものではなくて、実はそこで審査をしてずっとつなげていっているんですね。これはもう少し長い、7年ぐらいのものですが。というやり方をしていますので、そうでないと、今の中島先生のお話とか山口先生、皆さんの話がなかなかうまくつないでいかないんじゃないかなと思いますので、特にこの問題に関しては、国として非常に重要であるということであれば、やり方をもう一度考えられたらいかがでしょうか。そうじゃないと、このままでは将来なくなってしまうような気がします。
【山口主査】 ありがとうございます。どうぞ、来馬委員。
【来馬委員】 我々もこのイニシアチブを使っていろいろなことを大学でやらせてもらっていますけれども、今、この新しい提案の中でFSが出てきて、大学と大学が連携して、福井なら福井で考えるのか、もしくは、大きくエリアを考えるのかは別として、そういう形でやっていくとなればもちろん中身をまた考えなおすという話になるでしょうし、それでもやりたいことは、我々から見れば中島先生のところへお願いして実験・実習したり、あるいは、もんじゅにお願いしてとか、あるいは、電力事業者のトレーニング施設を使わせてもらうとかということをいろいろやらせてもらっているので、今までのイニシアチブがどこまで何をしたかというのは別として、やはりそれをカリキュラムに落とし込んでいって、それでまた新しい事業を立てていくということを繰り返してやってきましたが、やや息切れではないんですけど、非常に苦しまぎれのところをやっているところも半分あるような気がします。
 今回、こういう形で拠点化をしていくということで、参画できればまた別な発展があるのかなと思って期待はしますけれども、二、三カ所という話になるとどういうふうな仕組みになるのかなというのはまだ想像できないのでどうイメージしていいかがちょっとわかりませんけれども、いずれにしろ学生をいろんなレベルで育てていくということになると、やっぱり経験させたいという、それが海外かどうかは別として、たくさんのやりたいことはあるんですけど、なかなか自前ではできないので、国の補助をいただきながらやっているというこれまでのことは小さな大学にとってみれば非常にありがたかったので、こういう形で今後どうなるのかなというのはちょっと不安があるので、そこはもう少しご説明していただけるとありがたいなとは思います。
【山口主査】 ありがとうございます。詳しい説明はまたもう少し先のフェーズになりますかね。多分、大学の方は委員としてのご発言半分と自分の立場としてのお考えもあろうかと思いますので、私も身にしみます。今日はより高い立場でいろいろご意見を伺ってと。ただ、各大学それぞれ工夫して今の教育をやっておられて、いろんな施設を運営してやっておられるので、それぞれの現場の方の声はしっかり聞いた上で進めていくというのはぜひお願いしたいなと思います。ちなみに、東京大学も廃炉中ながら研究炉があるということになってございますので。
 ほかにはいかがでしょうか。清浦課長。
【清浦原子力課長】 先ほどの来馬先生のご質問とも関連しますけれども、本日はどちらかというと研究開発の話と人材の話の視点からの議論でございますが、この作業部会はそれに加えて基盤という要素もございまして、そこは国全体で見たときの、特に施設も含めた研究基盤自体をどうするかということも、今、ご議論した人材の話は密接にかかわってくると思いますので、また引き続きこれらの三つの視点を総合的にご議論させていただく必要があると考えております。
【山口主査】 ありがとうございます。まだ基盤の議論は次回以降ということですかね。
 いかがでしょう。ほかにご意見ありましたらぜひお願いしたいと思います。多田委員、どうぞ。
【多田委員】 皆さんの意見をお聞きしていて、やはり拠点化に関する話はちょっと拙速だなという気がしました。今の何が問題かきちんと分析をすることが大事かなと思います。
 それとはまた別に、もしFSをやるのであれば、今、大学さんが対象になっていますけど、シンクタンクとかそういうところにいろんな提案をさせるというのも一つの手かなと思いますので、応募対象を広げてみてはいかがかということも申し添えておきます。
【山口主査】 産業界との連携という観点では何かございますか。
【多田委員】 なかなか難しい問いが最後に来てしまいました。もちろん人材が産業界、特にメーカーなんかもそうですけど、入ってくる人が減ってきているというのは事実としてあります。優秀な人材がたくさん欲しいという希望も相変わらずあるのですが、これから日本の原子力産業をどうしていくのかということが前提にないと、前回も申し上げましたけど、産業界としては投資できないということもありますので、やはりもうちょっと骨太の方針といいますか、そういうものを示していただくと学生も原子力のほうを向くでしょうし、自然と産業界のほうにも人が来てくれるだろうと思っております。答えになっていないかもしれませんが。
【山口主査】 ありがとうございます。もともと前の時も学生にとってはそういう点が見えないと研究教育に入っていく魅力がという声は幾つもいただいておりましたので、難しい問いにありがとうございました。
 いかがでしょう。ほかにもし何かご発言ございましたら。よろしいでしょうか。
 こちらのほうも、もう一度いろいろ考えるところがあるというようなご指摘もいただきましたし、今日のご意見を踏まえて、また事務局のほうで検討を進めていただきたいと思います。じゃあ、この議題は以上で終了したいと思います。ありがとうございました。
 以上二つの議題で本日予定していた議事は終了でございます。
 最後に、全般を通じて委員の方からご発言ありますか。
 じゃあ、よろしければ事務局から連絡事項等を最後にお願いいたします。
【小林原子力課室長】 本日の議事録につきましては、メールにてご確認いただいた後、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 また、次回の部会の日程につきましては、調整の上、改めてご連絡させていただきたいと思います。
 以上です。
【山口主査】 では、以上をもちまして、第2回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了します。本日はありがとうございました。越塚先生も今日はありがとうございました。

―― 了 ――
 

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