原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成31年8月30日(金曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省 13階 13F1会議室

3.議題

  1. 原子力研究開発・基盤・人材作業部会について
  2. 原子力研究開発・基盤・人材作業部会について
  3. 原子力イノベーションに向けた原子力機構の取組について
  4. 新たな試験研究炉に関する平成30年度調査の概要について

4.出席者

委員

山口主査
渥美委員
五十嵐委員
木藤委員
来馬委員
佐藤委員
多田委員
寺井委員
中島委員
矢野委員

文部科学省

千原 大臣官房審議官
清浦 原子力課課長
小林 原子力課室長(人材・研究基盤担当)
長田 原子力課課長補佐

オブザーバー

伊藤 日本原子力研究開発機構 副理事長、
門馬 日本原子力研究開発機構 事業計画統括部長、
家田 日本原子力研究開発機構 高速炉・新型炉研究開発部門 副部門長、
松岡 経済産業省 資源エネルギー庁 原子力政策課 係長

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会(第1回)
平成31年8月30日
 

【小林原子力課室長】  定刻となりましたので、第1回原子力研究開発・基盤・人材作業部会を開催いたします。
報道の方で撮影をされる方は、ただいまから議事に入るまでの間でお願いいたします。
 本日は、第10期科学技術・学術審議会が設置されてから最初の原子力研究開発・基盤・人材作業部会の開催となりますので、冒頭は、便宜的に事務局にて議事を進めさせていただきます。
 まず初めに、大臣官房審議官の千原よりご挨拶させていただきます。
【千原大臣官房審議官】  今回初回でございますので、一言ご挨拶をさせていただきます。
 先生方にはご多用の中にもかかわりませず、委員をお受けいただきまして、また本日もご出席賜りまして、大変ありがとうございます。
 さて、ご案内のとおりではございますが、原子力の研究開発を取り巻く状況につきましては、さまざまな変化が起こっていると考えております。福島第一原子力発電所事故から8年が経過をする中、昨年4月に策定されました第5次エネルギー基本計画では、2050年を展望して安全性、信頼性、機動性を抜本的に高めるイノベーションが重要であること、それから産学官の垣根を越えた人材、技術、産業基盤の強化を進めることが明記をされました。
 このエネルギー基本計画の観点を踏まえましても、現在原子力研究開発政策の転換点にあると認識してございまして、より骨太で、総合的な議論を審議会において進めていただくため、6月の原子力科学技術委員会において、作業部会の大括り化をすることをお認めいただいたところでございます。
 これまで原子力の研究開発につきましては、原子力研究開発・基盤作業部会、それから、原子力人材育成作業部会、群分離・核変換技術評価作業部会、そして高速高温ガス炉技術研究開発作業部会の四つの作業部会において個別に議論をいただいてまいりましたけれども、これらの分野は相互に結びついておりますので、今後は本作業部会において、より総合的、一体的にご議論をいただければと考えてございます。
 なお、バックエンドの議論につきましても、既に廃止措置と放射線廃棄物の処理、処分に関する議論を総合的にご検討いただくために、先週19日に第1回作業部会を開催しております。
 今般新たに設置いただきました、この作業部会においても、先生方のご指導、ご助言をいただきながら、よりよい研究開発、施策を展開していきたいと考えておりますところ、ご審議のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
【小林原子力課室長】  続いて、本日の配付資料の確認をさせていただきます。クリップ止めの資料をごらんください。
 一番上が議事次第となっておりまして、一つ目、資料1-1、原子力研究開発・基盤・人材作業部会について。資料1-2、委員名簿。資料1-3、作業部会について、令和元年6月21日付のもの。横紙の資料、参考資料1-4と書いておりますが、ごめんなさい、資料1-4に位置づけられまして、作業部会の見直し・大括り化についてという資料です。さらに、横紙の資料、資料2、原子力イノベーションの実現に向けた研究開発・人材育成事業の見直しについてという資料。資料3、原子力イノベーションに向けた原子力機構の取り組みについてという資料。資料4、平成30年度「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉に関する調査の概要。そして最後に、参考資料1、運営規則でございます。
 また、メーン席の方だけで恐縮でございますが、6月の原子力科学技術委員会の資料3-1をお手元に置かせていただいております。
 資料に欠落等ございましたら、事務局までお知らせください。議事の途中でもお気づきの点がございましたら、随時お申しつけください。
 なお、本作業部会は、こちらの配付資料、最後にございます、参考資料1にあります科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力科学技術委員会運営規則にのっとり運営いたします。
 参考資料1をごらんいただきますと、1ページ目の真ん中あたりに作業部会とございまして、第2条の、委員会は、その定めるところにより、特定の事項を機動的に調査するため、作業部会を置くことができるとございまして、こちらを根拠にもちまして、今回の作業部会、以降開催させていただきたいと考えております。
 では、まずは本作業部会の委員としてご就任いただきました皆様について紹介させていただきます。
 後ほどご挨拶いただきたいと考えておりますので、まずは着座したまま、ご紹介だけさせていただきたいと思います。
 電気事業連合会原子力部長、渥美法雄委員。
 フリージャーナリスト、五十嵐道子委員。
【五十嵐委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  一般社団法人日本原子力産業協会人材育成部総括課長、木藤啓子委員。
【木藤委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  福井工業大学工学部原子力技術応用工学科教授、来馬克美委員。
【来馬委員】  来馬です。
【小林原子力課室長】  科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー、佐藤順一委員。
【佐藤委員】  佐藤です。
【小林原子力課室長】  一般社団法人日本電機工業会原子力部長、多田伸雄委員。
【多田委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  東京大学大学院工学系研究科教授、寺井隆幸委員。
【寺井委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  京都大学複合原子力科学研究所教授、中島健委員。
【中島委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  公益財団法人仁科記念財団常務理事、理化学研究所仁科加速器研究センター特別顧問、矢野安重委員。
【矢野委員】  よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  東京大学大学院工学系研究科教授、山口彰委員。
【山口委員】  山口です。よろしくお願いいたします。
【小林原子力課室長】  本日は、全員となります10名にご出席いただいておりますので、運営規則の第3条に規定されている定足数過半数を満たしておりますので、ご報告いたします。
 また、運営規則の第2条第3項に基づき、山口委員には、当作業部会の親委員会に当たる原子力科学技術委員会の主査からの指名を受け、主査を務めていただくことになりました。
 また、第2条第7項に基づき、山口主査より、寺井委員が主査代理に指名されています。
 それでは、山口主査より一言ご挨拶いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山口主査】  ただいまご紹介にあずかりました東京大学の山口でございます。
これから皆様に一言ずつお言葉をいただきますので、私のほうも座ってご挨拶させていただきます。失礼いたします。
 先ほど千原審議官からもご挨拶、お話がございましたように、今、原子力の分野でイノベーションということが非常に国内でも、海外でも言われているところで、実は、イノベーションを評価する、そういうマニュアルがOECDから出ていて、それを見ると、イノベーションというのは、プロダクト、プロセス、マーケッティング、組織と、それをみんなを合わせてイノベーションして、初めてきちんとした成果が上がるんだと、そういうものでございまして、そういう観点から見ますと、これまで原子力科学技術委員会のもとで幾つか作業部会があったわけですが、こういう研究開発、人材育成、研究開発の基盤といったものが、今のイノベーションをやるための必要な要素が、それぞれ含まれているものであるんだと思います。そういう意味でいいますと、これまでの議論の中でも、例えば、人材育成の議論をしているときに、研究開発・基盤はどうなんだという話がよく出てくるわけですし、また、逆の場合もそうだったという認識が非常にありまして、今回、こういった幾つかの作業部会を集約して、これまでの議論にもかかわっていただいた先生方にもたくさん加わっていただいて、横のつながりをしっかり通した上で、総合的に原子力の科学技術の今後の行く末、イノベーションの実現について議論できる作業部会ができたことは、大変有意義なことであると思います。
 それで、寺井先生には主査代理をお願いするわけですが、寺井先生もこれまでそういう研究炉の話ですとか、さまざまな原子力の研究開発・基盤に対してご尽力いただいておりますので、ぜひ助けていただきまして、この作業部会からしっかりしたアウトプットが出るように、私なりに努力したいと思います。皆様のご協力、どうぞよろしくお願いいたします。
 簡単ですけれども、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【小林原子力課室長】  山口主査、ありがとうございました。
 ここからは山口主査に議事の進行をお願いしたいと思います。
【山口主査】  それでは、これから議事進行を務めさせていただきます。よろしくご協力をお願いいたします。
 議事に入る前に、先ほど申し上げましたように、この原子力研究開発・基盤・人材作業部会というちょっと長い名前ですが、もともと原子力研究開発・基盤作業部会、それから、原子力人材育成作業部会、群分離・核変換技術評価作業部会、それから、高温ガス炉もですね、そういった作業部会を統合して設置されたというものでございます。
 委員の構成も、そういう意味では、今までとはまた大きく変わっている、また引き続いてお願いしている委員の先生方もいらっしゃるわけでございますが、まずは、今日がキックオフということですので、事務局からご紹介もありましたとおり、各委員のお名前を伺ったところですが、皆様から一言ずつ、今後に向けてお言葉を頂戴したいと思います。
 では、私の右側の寺井先生から順番にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【寺井委員】  寺井でございます。先ほどご紹介がございましたように、主査代理を仰せつかりました。
 私自身は、東京大学定年まであと半年ということで、それ以降も、先日お伺いしたら、個人の資格としてこれに参加してくださいというお話でしたので、任期が2年間だと聞いていますけれども、任期終了まで、少なくとも頑張らせていただきたいと思っております。
 私のもともとの専門は、原子力に関して言えば、燃料とか材料とか、そういった部分の研究をしてございまして、原子力機構さんとのおつき合いでは、JMTRの後継機をどうするかというワーキンググループであるとか、あるいは高温ガス炉につきましては、毎年原研機構さんのほうにお伺いして、いろんなアクティビティについてのご紹介をいただき、ご議論をさせていただいていると、そんなことを、今やらせていただいてございます。
 先ほど山口主査から、将来の原子力、イノベーションのことのお話がございましたけれども、ご存じのとおり、エネルギー基本計画で、2030年度に20から22%の原子力発電、2050年については、あらゆる可能性を追求していくということになってございますので、そこに向けて、今後原子力がどうあるべきかという議論とか、それを支える人材というのは極めて重要でありまして、5年、10年の話ではないので、先をちゃんと見通した人財育成のプロセスとか、あるいはそのために必要なインフラストラクチャーとか、そういうご議論が、ぜひうまくいくように、山口主査をサポートしながら、円滑な議事進行に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【渥美委員】  電気事業連合会から参りました渥美と申します。電気事業者にとりましても、こちらに書かれている原子力研究開発・基盤・人材というのは非常に重要な課題と認識しておりまして、こちらのほうに参加させていただいて非常に光栄です。引き続きよろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】  五十嵐でございます。これまで人材育成作業部会が先だったと思いますが、人材育成の作業部会と、研究開発・基盤作業部会の議論に加わらせていただいて、いろいろなことを勉強させていただきました。その際の議論でいろいろな課題が明らかになって、その上で、こういった新しい作業部会ができることはとてもいいことだと思います。
 私は、専門の先生方とはちょっと違う立場ですので、これまでの作業部会でも知識のない発言を差し上げてばかりだったかと思うので、このたびもお役に立てるかどうかとは思ったんですが、前回の作業部会で積み残したことも多かったので、このたび、また原子力の政策も新しいフェーズになるということで、私のような者で役に立てるかどうかわからなかったんですが、ぜひ議論には参加させていただきたいと思ってお引き受けしました。
 前の作業部会でも申し上げたかと思うんですが、この分野は、ほんとうにこれまでの日本の中でも非常にすばらしい知識が集結されて、それが蓄積されてきた分野だと思うので、その分野がこれからどういう未来を目指すのかということで、その議論に少しでもお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【木藤委員】  日本原子力産業協会の木藤と申します。産業界で多くの会員企業さんを持っている組織でございます。
 私は、五十嵐委員と似たような、過去のところでいうと、研究開発・基盤部会と、その前の人材育成作業部会に参加させていただきました。今回も継続的、発展的にこの部会が始まるということで、とてもありがたく思っています。
と申しますのは、原産協会ですけれども、2010年、震災の前の年に原子力人材育成ネットワークというのを、国や研究機関、大学、企業さんに入っていただいて発足して、人材育成というのはロードマップに沿ってやっていくということで、長く取り組んできています。その中で、2015年には、各機関が人材育成をやっていくけれども、国を挙げて取り組まなきゃいけないことの一つとして、研究炉などの施設の維持、運用ということも挙げているわけでして、そこのところが、まだ施設を持っているところに寄りかかっているというか、そういう状態になっているままというところがありまして、今までの作業部会の中でも随分検討してきたと思うんですけれども、ちゃんとした国での人材育成としての位置づけというところに、まだ行けてない部分があると思うので、ぜひここで、そういう方向に、皆さんそう思っておられると思うので、そんな成果になるといいかと思っております。よろしくお願いします。
【来馬委員】  福井工業大学の来馬です。長く、地元福井県で原子力にかかわってきたということと、今は大学で、まさに人材育成ということをやっております。これまでも人材育成部会にかかわらせていただきましたけれども、いろんな意味で、曲がり角なのか、あるいは曲がり角を曲がって、では、次はどこへ行くんだというような方向性の非常に微妙な、あるいは重要な局面になると思いますし、その上での研究開発・基盤、あるいは人材、それが総合的に今回議論されるということで大変期待しておりますし、また、いろいろご意見をお聞きしながら、発言をさせていただければと思います。よろしくお願いします。
【山口主査】  では、続いて、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  佐藤でございます。現在科学技術振興機構の研究開発戦略センターで、環境とエネルギーの責任者をしております。もともとは東京にある某重工業の技術開発本部長を務めておりまして、当然原子力機器もつくっておりまして、そこでいかに基盤技術が大切かということを、私の専門は熱流体が専門でございますが、そこで感じておりました。その後、検査会社の社長もしまして、今に至って、全部引退した後に、科学技術振興機構におります。
 その間に、原子力に関します燃焼学会会長、機械学会会長、それから、全工学系の工学会の会長を務めておりまして、今日本で基盤技術が非常に落ちてきているので、材料は比較的保っているんですが、構造、熱流体、全部落ちてきていますので、それらが、この原子力技術を支えているということで、それらの人材育成も含めて、どのように今後やっていくべきかというのは、JSTとしても、非常に考えているところでございまして、ぜひ有意義な議論ができればと思っております。よろしくお願いいたします。
【多田委員】  日本電機工業会、多田でございます。日本電機工業会というのは、電機メーカーの業界団体ということで、その中で、私は原子力に関連するメーカーを代表しているということで来ております。
 今、原子力業界、特にメーカーのほうは結構大変な時期になっておりまして、将来的に原子力というのは必要な技術だと、信念を持ってメーカーとしては取り組んでいるわけですけれども、技術の伝承ということに非常に苦労しておりまして、そういった意味で、人材育成、基盤というものは、非常に大事であるということから、この委員を、以前研究開発・基盤委員もさせていただいておりましたけれども、引き続きお受けをさせていただくことにいたしました。よろしくお願いいたします。
【中島委員】  京都大学複合原子力科学研究所の中島でございます。大学ということで、人材育成もそうなんですけど、私どものところは、全国共同利用研究所ということで、特に原子力では二つの研究炉を抱えているところです。基盤の維持ということですが、私どもの原子炉も、KURというのが55年で、その後にできた炉のほうでも45年経過している。新規制基準を何とかクリアして、無事再稼働して一息つけるかなと思っていたところ、また、いろいろ規制改革等もありまして、今、ひいひい言いながら、人とお金が減らされて、機器はどんどん古くなっていって、これからどうしようかというところです。私は、そこの安全管理本部長、安全の元締めみたいなものをやっております。そういった立場から、文科省さんの議論の中に、現場の声をうまく反映できたらいいかと思って参加させていただきました。よろしくお願いいたします。
【矢野委員】  矢野です。仁科記念財団で理事をやっています。それと、理化学研究所に、これもまた仁科なんですけど、仁科加速器科学研究センターというのがありまして、そこの特別顧問をしており、以前、私はここのセンター長でございました。
 私は、作業部会としては、前回の分離・変換部会ですけれども、その前の分離・変換部会というのが、近藤駿介先生のもとにありまして、そこからずっと延々とやっていますので、一番古手だと思います。
 この仁科ですけど、仁科芳雄先生ですね。仁科芳雄先生が、日本における原子力開発の祖です。原子力を最初に開発し始めたのが仁科芳雄先生です。そのころは、いわゆる理学部も工学部ももちろんありませんで、理学的アプローチ、工学的アプローチもごちゃまぜにして、両方の性格を持った人たちがないまぜになって開発をしてきていたんですけれども、現在は理学的原子核物理学と工学的原子力という二つに、残念ながら分かれておりまして、これを何とか理学的なアプローチもありますよという話を、延々と近藤先生のときからやっていまして、今回も何かにつけて、そういう提言をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【山口主査】  皆様、どうもありがとうございました。いろいろなバッググラウンドの委員の方がいらっしゃって、その思いといいますか、意気込みといいますか、ひしひしと伝わってきた感じがしますので、ぜひよろしく、もう既に存分にお話しいただいた方もいらっしゃるかもしれませんけど、一層よろしくお願いいたします。
 それでは、これから議事に入りたいと思いますので、報道の方で、もし撮影される方はここまでとさせていただきます。お願いいたします。
 では、早速ですが、まず、議事に入る前に、運営規則の第5条がございまして、それに基づきまして、この会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても、ホームページに掲載させていただきます。
 それでは、本日の議題ですけれども、お手元に議事次第をお配りしてあると思います。議題1から議題5までございます。会議は17時までという予定でございますが、議論の進み方次第で多少動くかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速ですが、議題の1番目に入ります。原子力研究開発・基盤・人材作業部会についてということで、事務局より、まず、資料のご説明をお願いいたします。
【小林原子力課室長】  資料1-1をメーンでご説明させていただきます。
 この作業部会の設置目的についてです。文部科学省の審議会は、2年に1期ずつ進んでおりまして、1ポツの経緯にございますとおり、前身の第9期原子力科学技術委員会、こちらが平成31年2月までだったんですが、こちらでは、ここまでご紹介がございましたとおり、研究開発に関係する作業部会が四つございました。ここまでの開催実績は、この資料の2ページ目以降にございます。
 今回、2ポツの設置の目的をごらんいただきたいのですが、もともとは昨年7月に第5次エネルギー基本計画が策定されまして、多様な社会的要請の高まりを見据えた原子力関係技術のイノベーションを促進するという観点が明記されております。具体的には、原子力利用の安全性、信頼性、効率性を抜本的に高める新技術の開発、また産学官の垣根を越えた人材、技術、産業基盤の強化を進める、そういったことが例示されておりまして、特に、研究開発、技術基盤、人材育成の課題を総合的に検討していく、そういった観点がエネルギー基本計画でも明記されております。
 上述のとおり、この四つの個別の作業部会で議論いただいておりましたが、こうしたエネルギー基本計画の観点も含めまして、さらに、昨今の原子力研究開発を取り巻く状況を踏まえまして、今後、特にこの三つの方向性について、総合的に調査検討していくことが必要と考えておりまして、平成31年、令和元年度、ここからの第10期原子力科学技術委員会のもとにおいては、これら四つの作業部会を原子力研究開発・基盤・人材作業部会、ちょっと長いんですけれども、こちらに改組、統合して設置することとなりました。
 今後の予定といたしましては、当面、四半期に一度、二、三カ月に1回程度作業部会を開催いたしまして、国内外の最新の動向を踏まえつつ、原子力分野における研究開発、技術基盤、人材育成に関する課題やあり方について、一体的、総合的に調査検討を行っていただきたいと考えております。
 この作業部会の具体的なイメージは、横紙の参考資料1-4にございますので、あわせてごらんいただければと思います。
 以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。ただいまこの作業部会の趣旨などにつきましてご説明いただいたところですが、もし、ご質問、ご意見ございましたら、ご発言ください。いかがでしょうか。特に、よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に進ませていただきます。
 議題の2番目は、原子力研究開発事業・人材育成事業の見直しについてでございます。こちらも事務局より、まず説明をいただきまして、ご審議いただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
【小林原子力課室長】  続きまして、資料2に基づいてご説明させていただきます。メーン席の方だけで恐縮ですが、お手元に、右肩に資料3-1と書いてございます、6月の親委員会、原子力科学技術委員会でお配りした資料3-1もお手元にございますと幸いです。
 では、資料2からご説明させていただきます。
 1ページ目、原子力研究開発の推進方策についてです。こちらは、6月の親委員会でご紹介させていただきましたが、この作業部会の設置の趣旨にも絡んでくるお話でして、エネルギー基本計画に基づく今後の検討のコンセプトをお示ししております。特に、今後文科省では、経済産業省、少し遅れているのですが、経済産業省も審議会に出席する等の連携しながら、今後原子力のイノベーション創出を促進する取り組みについて検討していきたいと考えておりまして、この作業部会の審議も含めて、適宜情報共有していく次第です。
 この議題2のメーンのトピックの資料になりますが、2ページ目をごらんください。こちらも6月の親委員会でご紹介させていただいておりますが、まず研究開発、人材育成、さらに研究基盤と三つのコンセプトがございまして、これらが有する課題が相互に結びついていると、我々は考えております。特に、この作業部会で、この三つを総合的に勘案しながら、各施策をどのように改善、さらに充実していくか、ご検討いただくことが必要と考えております。
 具体的な方策として、研究開発施策、基礎・基盤の維持、原子力イノベーション志向、さらに異分野融合、こういった観点が必要と考えており、人材育成については、特に、我が国全体として優秀な原子力研究開発人材を育成するためどう機能を維持していくか、さら充実化していくかということを考えていきたいと考えております。左下、研究基盤施策につきましては、別途、JAEAからもご紹介いただきたいと考えております。
 資料2では、研究開発施策と人材育成施策の今後の検討方策についてご紹介させていただきたいと考えております。
まずは、研究開発施策についてご紹介します。3ページ目をごらんください。現在文科省が行っている原子力の研究開発の公募事業の概要を紹介しております。平成31年度予算額としては約12億円でございます。
具体的に、先ほど申し上げた原子力イノベーションの方策も踏まえて、見直しの前段階に係る今後の検討の方向性を4ページ目にお示ししております。
 まず、課題といたしましては、3ページ目にございます、現行の公募事業では、個別の研究シーズをボトムアップ型で支援する形でして、今後はより戦略的に目標設定していくこと、さらに課題、ボトムアップとは反対になる課題解決型の発想、さらには異分野との協働等といった考え方を導入することが、今後の事業には必要になってくると考えております。
 2ポツに、では、どのように研究開発事業を検討していくべきかという方向性をお示ししておりまして、一つには、公募事業の研究開発目標やテーマの設定のあり方、さらにプロジェクトをどう管理していくかというあり方がございます。具体的には、経済産業省が支援している民間主導のイノベーションの研究開発方針の方向性、さらに周辺分野も含めた最新の科学技術動向の両方を踏まえたテーマ設定が必要ではないかと考えております。
 さらに、JSTも含めた外部との連携強化、さらには公募事業における海外施設活用の支援のあり方、また、国際的な協力枠組みをどうしていくかというあり方ですね。
 二つ目の矢羽根に関しまして、後段でご説明しますが、原子力人材育成施策との相乗効果をどのように上げていくか、さらには、基礎・基盤研究をどのように維持していくか、こういった観点から現行ご紹介した事業を見直していきたいと考えています。
具体的なイメージが、5ページ目にございます。左側が、先ほど紹介いたしました原子力システム研究開発事業の現在の概要でございます。まず、募集テーマとしてございますとおり、安全基盤技術研究開発、放射性廃棄物減容・有害度低減技術研究開発、この二つのテーマに基づき、ボトムアップ型で現在公募を行っております。
研究開発規模といたしましては、大きいものでタイプA、年間1億円、小さいものでタイプB、年間2,000万円といった形で、それぞれ4年程度の課題を実施しております。
 さらに、国際協力といたしまして、左の一番下にございますが、今年度の公募では、米国の示す課題に即した提案について、アイダホ国立研究所のATR、またTREATを活用するマシンタイムをいただいておりまして、さらに利用する資金も含めて、DOEの即す課題であれば、利用かつ資金も活用できるということでして、そういった形で公募において国際協力を進めています。
右肩に、先ほど申し上げた方向性を踏まえた新たな事業イメージをお示ししております。まず、一番変わりますところに関しましては、右側の真ん中に運営体制がございますが、こちらは、PD、PO体制は引き続き維持しますが、議長をPD、そこに文科省、経産省、さらに外部有識者で構成する事業運営会議というものを新たに設置したいと考えております。
この事業運営会議で、産業界のニーズや他分野の科学技術動向を踏まえまして、公募テーマをより戦略的に設定したいと考えております。
 さらに、右側の一番上に研究開発目標・テーマがございますが、こちらは経済産業省のNEXIP事業との連携強化も見据えながら、事業運営会議でテーマを設定していきたいと考えております。
 特に、課題審査において重要視する事項も示しておりまして、これまでの事業では、左側に課題審査とございますとおり、米印、研究開発公募事業において、いわゆる標準的な審査基準をしいているんですけれども、新たな事業イメージとしましては、右側、課題審査において重要視する事項としまして、将来の社会実装に向けた道筋をしっかり示していること、または実用化に向けてボトルネックが必ずあると思うんですけれども、そういったものを解消するような革新性があること、または原子力イノベーションの創出を目指した挑戦的な内容であること、こういった観点が審査において重視すべきではないかと考えております。
 具体的な研究開発規模といたしましては、この上の審査において重要視する事項とひもづきますが、社会実装に向けた道筋を示しているものは基盤チーム型といたしまして、年間1億円規模、実用化に向けたボトルネックを解消するものといたしましては、ボトルネック課題解決型、これはより実用化に向けたボトルネックがスピシフィックにございますので、それを明確に解決するということで、規模としては少し小さ目の年間3,000万円を想定しております。最後のパターンとしましては、原子力イノベーションを創出した挑戦的、おもしろい、イノベーティブな内容であることとして、新発想型として年間2,000万円程度の、小規模ですが、おもしろい課題というものを採択するものとして想定しています。
 さらに、最後に運営体制としましては、先ほどの事業運営会議に加えまして、PD、POによるプロジェクトマネジメントをより強化したいと考えておりまして、研究開発機構でも基盤チーム型にステージゲートありと記載しておりますが、特に、漫然と研究開発期間を終えるのではなく、中間評価である意味継続性の妥当性等についてもご判断いただくなど、よりPD、POのプロジェクトマネジメント体制を強化していきたいと思っております。
 さらに、先ほど紹介しました米国の施設の共用も含め、国際協力につきましては、現在、実は日米共同公募自体が採択審査中でございまして、こちらの実施状況も含めまして、新しい見直し後の事業の枠組みの中でどのような発展方策があるか検討していきたいと思っています。
 以上が、原子力の研究開発事業の見直し方針でございます。
 続きまして、後半、人材育成に関しましても、今後どのように戦略的に事業を推進していくか検討しておりまして、こちらもご紹介させていただきます。
 6ページ目が、現在文科省で実施している人材育成事業でありまして、2億円程度、国際原子力人材育成イニシアチブ事業というものを実施しております。こちら、6ページ目、右肩にございますとおり、対象機関といたしまして大学、民間企業、また高専や独立行政法人を対象としておりまして、期間としては3年から5年、また補助額としては、初年度2,000万円程度で、次年度以降はそれの8掛け程度で補助をしている事業でございます。
 今、どういったところが課題かというものを、7ページ目にお示ししております。この前段階としまして、メーン席だけで恐縮ですが、右肩の資料3-1、原子力科学技術委員会で6月にお示しした資料でございまして、こちらの18ページ目、19ページ目、20、21ページ目に、現在の原子力人材に関する動向をデータとしてお示ししております。
18ページ目が、日本原子力学会における正会員の年齢分布でございまして、こちら、青いグラフが2003年、赤が2017年で、この14年の間に、かなり20代から40代の会員が減っているという形になります。この2003年の方たちが、14年後なので、右肩に二つぐらいずつずれていくことになりますので、要は、新しい若手の会員の加入が、この14年間で促進されていないという状態です。
さらに、19ページ目をごらんいただきますと、平成に入った時代から、原子力関係学科の入学者が顕著に減っている状態が目にとれるかと思います。
 さらに、20、21ページ目に、原子力関係学科の設立推移がございまして、赤字が大学、青い矢印が大学院なんですけれども、濃い色が、いわゆる原子力と名を打っている専攻学科でございまして、これが昭和から平成の時代になるに従って、システム何とか学科ですとか、エネルギー学科、いろいろな改組をする形で、原子力と名前がついてないものは薄い状態にしているんですけれども、かなり原子力と名前のつく学科が減っている状態が目にとれるかと思います。この19ページの入学者数の推移と設立変遷というのは、ある意味リンクしている状態です。
 メーン席だけの配付で恐縮でしたが、こういった原子力の人材育成の動向がございまして、正直、非常に脆弱化しているというのがデータとして目にとれるかと思います。
今回お配りしているメーン資料の資料2の7ページ目に、こういった課題を踏まえて、どのように検討していくかということを、まず、6月の原子力科学技術委員会で方向性をお示ししておりまして、この作業部会では、特に、この方向性についてご検討いただきたいと考えております。
 課題といたしましては、まさに今お示ししたとおり、非常に原子力人材育成機能が脆弱化していく、そういった中で、2ポツで、今後の検討の方向性としてお示ししておりまして、まず一つ目、我が国全体としてどのように脆弱化している原子力人材を効果的に育成していくかということを、まず考えたいと思っております。我々文科省として考える方策といたしましては、具体的には、一つ目には、原子力の基礎・基盤教育、特に炉物理に代表される体系的な、専門的なしっかりした教育が、まず必須であると考えておりまして、さらに2番で、研究施設を活用、原子力の世界では必須だと思うんですが、研究施設を活用した実習、演習、さらには研究ですね。さらに、3番として海外での研鑽機関の付与、さらに4番として、産業界や他分野との連携、そういった機能を新たにと申しますか、そういった機能をしっかり有した人材育成拠点を形成することが、現在の弱体化、脆弱化した人材育成基盤に対して効果的な方策ではないかと考えています。
 具体的にどのようにしていくか、このためにどうしていくかにつきまして、緩やかな連携のもとで、今各大学で個別に実施している人材育成の体制を越えて、魅力的な目標を掲げる大学が総合的にお互いの教育、研究機能を補い合いまして、拠点として一体化していく体制、さらにそれを国として促していくこと、これが効果的ではないかと考えております。
さらに、もう一つの観点といたしましては、研究開発施策や人材育成施策、これはもう連携、連動していくことがより効果的と考えておりますので、それに向けてどうしていくか、具体的に検討していくことが必要かと考えております。
 まず、脆弱化した人材育成基盤を効果的にもっと強化していく上には、こういった方策が考えられるかと考えておりますが、この観点も含め、また人材育成拠点に必要な、あるべき特色といった観点につきましても、審議していただきたいと考えているところです。
 最後の8ページ目は、現在ご紹介した方向性に基づいて、今の事業を見直していくとすればどうあるべきかということを具体的に記載しているところです。
 事業の推進方策としましては、拠点化に向けて、拠点形成プランのフィージビリティスタディーを行うことはいかがかと考えており、簡単に示しているところです。
 以上が、人材育成方策の見直しの検討の方向性でございます。
 資料の説明は以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。非常に今後の方向性を明確にお示しいただいたと思うんですが、さまざまなご意見があろうかと思います。質問も含め、活発にご審議いただきたいと思います。何かご質問、ご意見ございましたら、おっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 木藤委員、どうぞ。
【木藤委員】  原子力の、ここでいうイノベーションというもののイメージが、どういうことを指しているのかというのは、これからこの場で議論していくんでしょうか。それとも、ある程度のこういうものだというイメージを持ってここに書かれているのか、ちょっとわかりにくい感じがしたので、説明いただければありがたいです。
【山口主査】  小林室長から少し、なかなか難しい質問だとは思うんですが。
【小林原子力課室長】  イノベーションとして、仕上がり、ゴールイメージがこうあるべきだというものは、現在、実はございません。ただ、ほかの原子力分野以外の科学技術においては、いわゆる既存の技術の活用ですとか、今までにない考え方も含めて、現在想像できないような飛躍的な研究開発成果を生み出すための力としてイノベーションが定義されておりますが、これまで、正直原子力の分野の研究開発に関しましては、そういった観点が、今まで政府方針としてなかったというのが現状でございます。
 今回、昨年の第5次エネルギー基本計画で初めて原子力研究開発分野においても、そういったイノベーションの観点が重要であるという考え方が明記されまして、この方針を踏まえて、今後検討していただきたいと考えております。
【山口主査】  一般論というか、あまり明確な定義はなくて、ただ新しい、あるいは改良された、そういう成果物とプロセスの組み合わせなんですよね。逆にいうと、イノベーションをこういう人材育成とか、そういうものを通じて生み出していけるような基盤が大切ということでもあるのかもしれないんですけれども、ぜひ、今のイノベーションとはそもそもというところは、本質的な問いではあるんですけれども、むしろそういうものをしっかり考えるような人材がたくさんいるとか、そのための体制や枠組みができているという方向が大事かなとも思いますけれども。
 ほかにはいかがでしょうか。矢野委員、どうぞ。
【矢野委員】  基本的な話なんですけど、我が国は原子力が弱体化していると、ここに書き切っているんですけど、これって、山口さんはどのように思われますか。ほんとうなんですかね。1960年ぐらいからずっと原子力、原子力といって、それは当然のことながら、ある意味で一時期はバブルもあっただろうけれども、やがては安定期に入って、事故が起ころうが、起きまいが、どこかで安定期に入ってしまうのが世の常で、安定期に入っているときに、さらに拡大路線を行くというのでないとすると、これはほんとうに弱体化しているのか、どうなんですかね。ちょっと山口さんに聞きたいんですけど。
【山口主査】  私が答える立場かどうかは別にして。
【矢野委員】  大学で教えているというか、この環境について。
【山口主査】  弱体化しているというご指摘は、ある意味では正鵠を得ているといいますか、正しいと思います。当然、今矢野委員がおっしゃったように、いわゆるどんどんエクスパンションしていく一方というわけではないんですけれども、ただ、やっぱり心配なのは、先ほどの年齢分布とか、あるいは時間経緯というのを時間軸で見てますと、ベクトルの方向性が、今の質がそのままずっと維持できているのかというのが、将来にわたって心配になるというのは、おそらく大学の研究、教育にかかわる方の多くが実感しているところだと思います。
 もう一つは、最初に中島委員がおっしゃったように、多くの大学に研究炉とか、いろいろな研究基盤があったわけですが、それの維持管理とか、活用というものも、ひとときに比べると随分脆弱になっている、そういう事実は間違いなくあると思うんですが、一方で、今後当然ほかの学会も含めて会員数が減っているというのが全般的な傾向のようですし、いかに質を高めていくかというところを、どう工夫するかというのがポイントなのかなと、個人的には思います。
 ほかの委員の方も、今の点、ご意見をまたぜひお伺いしたいと思うんですが、いずれにしても、これから2030年、50年、寺井先生が最初に、それに向けてのターゲットをお話しになりましたが、それを実現しようと思ったら、何らかの形で今動いておかないと、10年後、20年後、30年後にどうなるのかという心配は、皆さん多分お持ちなんだと思います。
 どうぞ、多田委員。
【多田委員】  今ここで話題にしている原子力人材とは少し違うかもしれませんが、私どもプラントメーカーで見てみますと、この8年間、原子力の新規プラントの建設がないわけです。その間、8年間ベテランの職員が定年退職でどんどんやめていってしまう。何を意味しているかというと、プラント建設経験のある人材の割合がどんどん減っている。こういった中で、原子力をやろうという工学系の若者が減ってきていて、原子力学科というか、そういう人材ではなくても、電気科とか機械科とかもそうなんですけど、原子力のほうを向いてくれないところがあって、そういう意味でも、産業的には非常に厳しい方向に来ている、弱体化していると思っていただいてよいかなと思います。
【山口主査】  補足をありがとうございました。ほかに、どうぞ、佐藤委員。
【佐藤委員】  二つほどあるんですけれども、小林室長をいじめる気はないんですが、研究開発事業の見直しについてというのがございますが、まず、現行の事業概要があって、新たな事業イメージと、現行の事業をこうやっていますというのはわかります。それをこういうふうに変えたいというのもわかります。それは間違っている方向とか、そういうことではなくて。その場合にかなり重要なのは、現行の事業でやって、一体どういう、投資に対して、事業展開して全部が成果になるわけじゃないんです。ある確率でしか成果にならないんですが、それがどういう成果があって、どういうふうにうまくいかなかったか。うまくいってないことがあるから、それを今度どういう成果に持っていこうかという話があって、そういうストーリーがあって、それを達成するためにはこういう事業イメージでいきましょうというのですと、非常に説得力があると思うんです。多分、このとおりのシナリオになるとは思うんですが、それをぜひ示していただくようにすれば、社会的にも説得力があるんじゃないかなと思います。
 次に、人材育成についてですが、この原子力関係の人材が、一体どの分野に何人必要であるかということを、僕ははっきりさせるべきではないかなと、ある意味でですね。それは、例えば、構造強度でも流体でもそうなんですけれども、プラントメーカーとしてはそうなんですが、それは、例えば、ほかの分野と共通の部分がある、破壊力学なんかもタービンやっていようが、高圧容器をやっていようが、基本的に同じ部分、溶接も同じ部分はございます。でも、そのうちの何人ぐらいは動員しなきゃいけないんだと、将来にわたってですね。寺井委員が言われたように、30年、50年を考えるとどうなんだ。それをイメージして、それを目指して計画をきちっと立てていかなきゃいけないんじゃないか。そうじゃないと、3年とか5年のぶつ切りみたいな支援では、僕はほんとうの意味で、きちっと、あるレベルのエンジニアを何人抱えるということはできていかないだろうと思います。
 現在、日本は人口もこれから減っていきますし、若い者の人口が増えるわけではございませんので、それを産業の中でどのように割り振るか、または、どのようにいわゆるトリプルで働いてもらうかということが、今後、多分プラントメーカーにとっても重要ですし、大学にとっても重要だと思いますが、そういうプランを出されたらいかがでしょうかという提案でございます。これが間違っているとか、そういうことではありません。多分、そっちのほうに動いている方向だと思いますが、そういう示し方をしていったほうがよろしいんじゃないかなと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかにも、ぜひご意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょう。では、寺井委員、どうぞ。
【寺井委員】  代理なので、あまりご意見を申し上げないほうがいいかもしれないですけど、今の佐藤委員のお話を聞いてちょっと感じたんですけど、今お話があったとおり、確かに教育というのは3年、5年の話じゃなくて、本来は国家百年の計に近いですね。ですから、非常に長期にわたる政策というのは当然必要で、そのためのいろんなところへの支援というのは当然必要になってきます。そういうロングレンジのものの中で考えていくんだというのは、よく理解はしているんですが、ただ、これは文科省さんの立場に沿って考えると、多分財務省にいろんな予算請求していくときに、やはり目新しいものとか、魅力的なものを出さないと、なかなか通らないという部分が、多分あるんですよね。ちょっと忖度しているかもしれませんけど。だから、その辺のところを、いかに手を変え品を変えながら、継続的に必要数の人材を確保するための支援をしていくかという、そこのところが多分一番大事で、そのあたりは、いつも原子力課さんが苦労されているんだろうと思いますので、そういう意味でのサポートということでもないんですけれども、いろんな戦略と戦術といいますか、そこが多分あるんだと思いますので、どういう形で社会に対してそういうものを発信していくかとか、あるいは役所の中で、財務省に対してその辺をどういうふうに説明していくか、そこが多分非常に重要なところかなと思います。ちょっとこれは補足ではありますが。
【佐藤委員】  私も同じ意見です。あと、どういうふうにそれを見せるかというのは、また別の問題でやっていけばいいと。全く同じ意見です。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
【寺井委員】  ついでにですけれども、これを受ける大学のほうの立場をどう考えるかですけど、いろんな支援をしていただくというのは、非常に大学としてはありがたいし、そういう支援が受けられれば、学内的にも発言力が高まっていく部分はあるんですね。今、学内でも分野ごとの競争が結構厳しい状況になってきています。
 原子力工学の名前がなくなっていくというのも、そういうものの一つの反映だと、私は理解していまして、やはり入ってくる学生の人気がないとか、あるいは定員に満たないとか、東大の場合は教養学部から本郷に来るので、そのときに専門を選択するんですけど、そういうところで人気がなくなってくると、学科専攻としての学内における発言力が当然低下するわけですね。昔のように、教員数とか学生数が、文科省の政令で完全に決まっているわけじゃなくて、今はかなり、国立大学法人化してから自由度が増してきて、内部での裁量権が大分増えているわけですね。ポスト管理じゃなくて、給与の財政管理という形で、ある種、中で人を動かせる状況になってきていますから、そういう中で、学生の人気というのは、あまり私は、そこに執着する必要はないと思うんですけど、ある種社会的なニーズといいますか、そこのところがかなり大きく影響してくるので、学内で原子力人材の体制をしっかりとろうと思えば、まずは、若い人たちに魅力が伝わるような形での宣伝は当然必要ですし、しっかりとした教育はもちろん大事なんだけれども、それをどういうふうに世の中に見せていくかという話と、もう一つは、産業界との連携というのが、たしかあったと思うんですけど、産業界も、もし仮に原子力人材が必要なのであれば、やはりそれなりのご努力をお願いしたいといいますか、大学と連携していろんな形で、例えば、現場に共同研究等で学生を受け入れていただくとか、財政的な支援まで、どこまで言えるかわからないんですけど、そういった部分も多分必要で、大学だけが教育機関というよりは、むしろ産官学合わせた形で、ほんとうに日本の将来にとって原子力人材が必要なのであれば、そこは連携してやっていただくという視点が必要かなと、これは個人的な感想ですけど、持っています。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。中島委員、どうぞ。
【中島委員】  今までも人材育成の旧部会とか、あるいは基盤の旧部会でも同じようなことを話しましたけれども、現実の見直し等で、お金をどう振りまくかというところもあるんですが、やはり私どものような、基盤の設備、施設を維持管理している者にとってみれば、なかなかこういった短期的な、しかも目的が限られた資金というのは、非常に使いにくいところがあります。本質的なところに手を入れたいところだけれども、そういうものにはなかなか使わせてくれないとかですね。人材育成についても、例えば、社会人に対しては、文科さんはお金をつけてくれないとか、そういったところもあって、どうしたものかなというところが悩ましいです。
 人材育成の中では、拠点形成というのは非常にいいことではないかなと思います。それぞれが持っている特徴を生かして結びつくということは積極的にやるべきで、実際一部やっているところもあるかとは思いますけれども、それを進めるべきだとは思います。ただ、ここでは教育機能を補いということなんですが、大学では、別に教育だけをやっているわけじゃなくて、特に大学院は研究がメインのところもありますので、研究しながら人を育てるというところがある。そういったことを考えると、教育の基礎的なところだけで連携していても、なかなかうまく、その先が行かないというか、そういうところもあるので、研究とうまく結びついた教育、そういうのができればいいかなと思います。あまり考えがまとまってないのですけれども、これを実際やっていく上では、ある程度制約というか、条件があるような気がします。済みません、ちょっと漠然していますが以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかに、もしありましたら、どうぞお願いいたします。
教育の話に大分フォーカスが当たっているんですけれども、最初のほうにお話のあった研究開発事業ですとか、あるいは研究基盤についても、ぜひこの機会ですので、人材の話と関連させてでもよろしいかと思いますが、ご意見がありましたら伺いたいと思います。いかがでしょう。
 例えば、研究開発事業で言えば、今までは、いわゆる研究の革新性、独創性みたいなものとか、そういうものに対して、これからは社会実装への道筋とか、問題解決のところにフォーカスして方向転換をするというようなお話もあったわけですが、今、中島先生から研究と教育をリンクさせるという意味では、もし、それがうまくいけば、人材も育成しつつ、いろんな原子力における実質的な課題の解決につながるという、非常にうまい構造ができるのかもしれないんですが、このあたりもどうでしょう、何かご意見ございますでしょうか。大分大きな話なので難しいかもしれないんですが、ちょっと思いつきでも、今のご説明を聞いた中の断片的な話でも結構だと思うのですが。
【中島委員】  研究開発事業の見直しのところで、今まで、ある程度テーマは決まっていますけれども、自由なボトムアップ型から、今度はある程度テーマを戦略的に設定してやるということなんですけれども、これの運営体制、そこがどういうテーマを選定するかというのが、この事業がうまくいくかどうか、あるいはこれが将来の我々にとって役立つことになるかを決めるものとなり、そこを実際どうやるかというのは非常に難しいんじゃないかなとおもいます。今、例えば、最近のニーズであれば、どうしても廃炉事業とか、そういうところに向いていたり、イノベーションということであれば、SMRや絶対安全炉とか、エバケーションフリーというもの、そのあたりが思い浮かびますけれども、ほんとうにそういう方向性だけでいいのかというところを考えていかないといけません。どういう人が有識者等になるかわかりませんけれども、そこのところは慎重な人選が必要じゃないかなと危惧しております。
【山口主査】  以前に伺ったものでは、例えば、アメリカのEPRIなんかは、1週間企画会議のようなものをやって、ユーザーのニーズを徹底的に吸い上げると。それで、ユーザーが納得するというか、支持されるような研究テーマを1年間やっていくと。だから、そういうプロセスをどう組むか。それと、あとは一回決めたら永久にやるわけではないので、多少ぶれながらも、数年かけて本来やるべきことに収束していくという、そういう柔軟性もあっていいと思いますが、おっしゃるとおりで、まさにここの運営体制のところでどういうテーマを選んで、そのレビューをどうやっていくか、先ほど中間評価もちゃんとやるんだというお話がありましたけど、その辺の仕組みづくりは大変重要になってくると思います。
 いかがでしょうか、ほかの方からもご意見ございましたら。五十嵐委員、どうぞ。
【五十嵐委員】  今、お話を伺っていて、確かにテーマ、目標をどう定めるかというのは非常に難しいなと。書いてある文字だけを読むと、いいように思っていたんですけれども、その辺が非常に難しいと思うんですが、ここに書いてあるような、例えば、社会ニーズを踏まえたというところは、何かしらのちゃんとした調査をするとか、そういうことを運営会議でやるのか、文科省のほうで何か特別にそういうことも含めてお考えになっているのかというところは、とても気になるところです。
 先ほど出た、原子力人材というのがどの範囲を指すのかとか、先ほど佐藤委員からご指摘があった部分なんですが、どのぐらいほんとうに必要なのか、そういう数を、まず明らかにするべきじゃないかという議論は、以前、人材育成部会でも出て、それぞれそういう数を積み上げてみてはという議論をしたと思うんですが、実際のところ、その数は示されてないし、範囲をどこまでということも、課題である、で済んでしまったようなところがあるんですが、その辺、ここで議論する人材をどこまでを含めるのかということもなども含め、ターゲットというのはちゃんとしていかなきゃいけないかなと思いました。
【山口主査】  ありがとうございます。少し事務局のほうで、先ほどの運営体制というところで、PD、POの仕組みはそのままにしてというお話があったんですが、もし何か新しい工夫なり、何なりというものをお考えのところがありましたら、あるいは今後これから固めていくという話でもいいのかもしれませんが、今の研究開発事業については、テーマ設定、レビュー、リバイスといいますかね、そういうサイクリックな評価が重要だと思うので、もしその点、新しい仕組みとして何か、今ご説明できるようなところがありましたら、ちょっとご紹介いただけますでしょうか。
【清浦原子力課長】  原子力課長の清浦です。
 今、山口先生からご指摘の点でございます。まだ固まっているところではなくて、あくまでアイデアの段階でございますけれども、例えば、この文の中で、経産省の事業と連携するというふうに、それだけを書いておりますけれども、例えば、経産省においてはイノベーションをやる民間企業の公募事業を、今年から着手されているということでございまして、そこは民間でそういう事業をやろうという意思を持った人たちが、研究を実際に行うという活動が開始されるということでございます。例えば、そういう人たちとのコミュニケーションによって、ボトムアップ課題的なものというのは継続的に、おそらくコミュニケーションをとるようなものができてくるという点、それから、文中で、JSTとの連携というふうに書きましたけれども、例えば、科学技術の分野、ほかの分野でもさまざまな最先端の動きがございまして、原子力のほうも、原子力と何を掛け合わせるかという、掛け合わせるほうの分野での最先端の事業というのは、それに知見が深い機関、例えば、JSTみたいのところとの連携も、これまで以上におそらく大事になってくるということでございます。
 山口先生からおっしゃられたような、缶詰めで、ニーズ側との合宿的に詰めるようなプロセスというのも、それは非常に大事だと思っております。今の原子力研究開発システム事業も、採択された課題間のコミュニケーションは、もしかしたら、もう少し増やしたほうがいいかもしれないとも思っていますし、そういった意味で、研究をする人、その研究成果を次の研究につなげる人、それを使う人たちというところのさまざまな、いわゆるステークホルダーが、いろんな形でコミュニケーションをして、目指す方向、何が重要かというのを随時話し合う体制をつくっていくということだと思っておりまして、その仕組みをつくる必要があるというのが問題意識でございます。
 加えまして、そのようなやり方というのを、世の中の原子力の研究開発をしている人じゃない、一般の方々にも、もちろん随時わかるような格好でそれを出しながらやっていくという、そういうような道筋というのが、一つ重要ではないかなと考えているところです。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかに何かご発言ございますでしょうか。
 今の清浦課長のお話でも、オープンというか、今までは原子力システム研究開発事業というと、わりと提案者と評価する側の間のクローズな研究の世界になっているような気がするんですが、一つ新しい方向性としては、今、NEXIPとの連携とか、あと何人かの方から産業界との連携とか、人材の活用みたいな話もありましたし、ひとつそれは方向性として据えておくというのはいい話ですね。
 また、ぜひこういう点、今後も議論を続けていきたいと思いますが、1点、佐藤先生からも、矢野先生からもあった、いわゆるギャップ分析といいますか、矢野先生からほんとうに弱体化しているのかというお話があったんですが、ある程度狙いとして、人の育成にしても、研究開発にしても、ゴールがあって、それに対して現状がどうなのかという、最初にギャップ分析をするというのが研究開発のスタンダードでやられていることだと思うんですね。確かに五十嵐委員がおっしゃったように、前の作業部会で、いつごろの時点でどういう人材が幾ら欲しいのかという出口戦略がないと、人材育成の戦略も立てられないという意見は随分あったわけで、それから何年かたって、やはりそれがないままに進むということは、いずれかでゴールが見えなくなってくると、フェイドアウトしていく可能性もあるので、出口のところとかギャップ分析を少し明確にしっかりやって、こういう事業を継続的にやっていくための根拠をちゃんと強固にしておくというのは、皆様からいただいた意見から、そういうふうに感じたところです。
 いかがでしょう、大変いいご議論をいただいたと思うんですが、もし何か補足で追加するご意見がありましたら。多田委員、ございますか、どうぞ。
【多田委員】  補足というよりは、若干ネガティブな話をさせていただきたいのですが、産業界でどれだけ人数が必要かということは、どれだけ今後原子力発電をやっていくのかということがないと、産業界側では数字が積み上げられない。これは多分事業者さんも同じですし、メーカーも同じだと思います。例えば、2030年に22から24%という数字はあるのですが、それは、今ある発電所を再稼働すれば何とか達成できるような数字。その先はというと、まだ何にも決まっていない、2050年にかかっても、何も決まっていない。そうすると、何かの仮定を置いてやるか、あるいはもっと骨太の政府方針を出していただくか、そんなことがない限り、なかなか数字は積み上がらないということも考えていただきたい。
【山口主査】  産業界としてのご要望ということですかね。なかなか今、ここの場では議論にのせるのは難しいのかもしれませんけれども、確かにおっしゃるところは。大学もそうなんですよね。学生にしてみれば、ちゃんと自分の将来のキャリアがつくれるかというのが重要なので、その点は大変重要なご指摘だと思います。
 ほかには何か。清浦課長、どうぞ。
【清浦原子力課長】  人材の話でギャップの話もございましたし、エビデンスをどういうふうに提示するかという話で、次回以降、少し我々のほうでも整理したいと思っておりますが、多田先生がご指摘のとおり、人数というところにだけ絞ると、エネルギー政策全体の話ですとか、産業界の今後の動向の話と密接にかかわる話ですので、出しにくいところもございます。ぜひ、こちらのほうでも少し整理をしたいと思っているのは、人数だけではなくて、教育に関しては、提供する教育の質そのものが、今どう変遷しているのかという、そこの問題があろうかと思います。例えば、教える先生方そのものの問題もございますし、実際に実験、実習する機会、それができる施設のものもございますし、国際的な関係の中でどう育てるかという、さまざまな若手が育つ環境のよしあしの話のギャップは、定量的な人数の話もさることながら、非常に重要な観点だと思っておりますので、そのあたりも少しご議論の材料になるようなものを整理させていただきたいと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。よろしくお願いします。どうぞ、寺井委員。
【寺井委員】  あまり発言するつもりはなかったんですけど、大学の中の原子力関係学科の中でどういうことをやっているか、そこから卒業した学生はどこに就職するか、ここは結構重要な話なんです。それは多分、いろんな大学に調査をかければ出てくると思うんですけど、恥ずかしながら東大のことを、私は今就職担当なものですから、申し上げますと、大体修士修了者が30人弱います。そのうちの3分の1ぐらいは、原子力と関係なくコンサルティング会社とか、あるいは銀行とか、損保とか、そういうところに行く人も3分の1ぐらいいます。ですから10人弱。残りの20人弱ぐらいが、メーカー、電力、お役所、そういうところに行くんですけど、ニュークリアとノンニュークリアが半々なんですね。ですから、修士に関して言えば、原子力業界に行く人は大体10人ぐらいと見てもらえばいいと思います。
 原子力業界の中でエネルギー、電力とか、原子力エネルギーという分野に行くのは、さらに減ります。それはなぜかといいますと、放射線利用という分野が、実はあるからなんですね。特に、今メディカルの分野で放射線を使うというのはかなり伸びていまして、むしろこっちがかなり伸びている状況であるということです。ですから、エネルギーという観点だけで整理をすると、実は、恥ずかしながら、二十数名いても1桁ぐらいという感じになってしまいます。
 ただ、そうなったときに、放射線利用の分野も原子力では、実際にはやっておりますし、むしろ今、学生にはそちらのほうが魅力的に見えている部分もあるので、その辺をどう生かしながらやっていくのかというのもありますし、それから、産業分野という意味では、放射線利用というのは、今後大きな分野に展開していくのは明らかですから、そのところを含めた議論というのも必要なのかなと思います。
 今回のこの議論がどこへ行くのか、まだ私確認はできてないんですけど、エネルギーという意味では、最初にあった原子力発電であるとか、あるいはエネルギーシステムの中での原子力という部分でいいと思うんですけど、放射線利用とか、あるいはビーム利用とか、そういう話になってきたときに、少し広がりますので、そこをどういうふうに整理していくか、仕切っていくか、ここのところも、ぜひお考えいただくといいかなと思います。
 以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。原子力科学技術という意味では、スコープの中という理解だとは思いますけれども、当然研究基盤というのは、それはエネルギー利用であれ、ビーム利用であれ、共通のところになっているわけですので、今の寺井委員のご指摘も、ぜひノートしておきたいと思います。はい、どうぞ、渥美委員。
【渥美委員】  寺井さんの意見とほとんど同じなんですけれども、限られた予算の中で結果を出そうとすると、こういう方向になるのかなというのは、私も納得ができるんですけれども、魅力があるというのが一番大事だと思っていて、そういった意味で、学生の人たちとか、これから学ぼうという人たちが何をやりたいのかという観点も大事だと思っていて、実際こちらの方向でやっていくと、すぐに自分がやったことが社会に役立つとか、そういうところがうまくつながるとよく見えるので、それはそれですごくやる気が出るのかなという気がするんですけど、彼らが何をやりたいのかというのも、少しリサーチしてあげる必要があるのかなというのは、私も思います。
【山口主査】  ありがとうございます。どうぞ、来馬委員。
【来馬委員】  話が出ていましたように、学生が入ってくるかどうかというのが一つと、それがどうやってどこへ出ていくのか、こういう話だと思いますので、人材という意味では。そうすると、多田委員がおっしゃったように、学生は出口、あるいは将来ということを考えると、原子力そのもの、特にプラントに魅力がないとすると、放射線利用に、同じ原子力を選んでもそっちのほうへ動くというのが、傾向としてありますので、どっちがいいとか、悪いとかじゃないんですけれども、今、そういうエネルギー分野というのは、実際には、出口はたくさんあって、廃炉とかたくさん人が欲しい、メーカーさんじゃなくて、電力関連のメンテナンスとか、そういうメーカーはたくさんありますので、求められているところはたくさんあるんですが、うちの大学の場合は8割方は大体原子力のエネルギーの分野へ行っています。修士ではなくて、学生なので、そんなに問題がないんですけれども、いずれにしろ、入ってくるための動機というところが、やはり大学は一番最初に引っかかるところで、学生が入ってこなくては、原子力の教育をしようがないので、やっぱりそこのためには魅力あるという、先ほどのエネルギー基本計画じゃないですけれども、もう少し先を、国として明確に示していただかないと、長期的な人材育成というのは、現実不可能なんじゃないかなと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。実態は、両方区別されるものじゃなくて、多分大学でそういうものを勉強するときには、そういう意識というよりも、むしろ、それは一体としてなんだと思いますので、スコープとしても、あまり視野を狭くせずに、広く原子力の科学技術という視野で考えるというご指摘ですかね。
 ただ、魅力を出すというのは、今の小林室長のご説明にもあったと思いますけれども、やはりそこは大変重要なところなので、どうやれば魅力ある技術として打ち出せるのかというのは、ぜひまた皆様のお知恵をいただきたいと思います。
いかがでしょう、どうぞ、木藤委員。
【木藤委員】  私たちのところは、学生さんを企業が採用する場というのも、一つイベントとしてつくってまして、合同企業説明会をやっているわけですけれども、事故が起きる前の、すごく学生にこの業界が人気のあった原子力ルネッサンスというときは、いろんな分野の学生が満遍なく来てくれていて盛況だったんですね、イベントとしては。ところが、事故のあとも、原子力エネルギー関係の学生さんの数はあまり変わらないんですよ。だけれども、そのほかの分野の学生がほとんど見てくれないような状況になっているところがすごく、受け入れる側というか、来てほしい側にとっては大きな問題だと思っています。どうやったら、いろんな学生にこの分野に関心を持ってもらうか、そのためにはイノベーションという言葉ももちろん必要ですし、そこに実際おもしろみと未知の部分と挑戦する分野があるということを、どうやったら彼らに広く知ってもらえるかというところが、なかなか難しいところなんですけれども、何とかそこに働きかけたい。その中に、さっき五十嵐先生もおっしゃいましたが、前回、何年ごろに、どんな分野で、どのぐらいの人数が必要だという話があって、いろいろと検討を試みたんですけれども、さっき課題でおっしゃったようなことで、なかなか数字が出てくるところまでいかないままでございました。だけど、困っているんだから、何か言っていかなきゃいけないというところがあるので、何か工夫して、先ほど言われたように人数だけの問題でもないと思いますが、困り感を出していくことも大事かなと思います。
【山口主査】  ほかにはどうでしょうか。予想外に後半盛り上がって、いろいろなご意見をいただいたところです。また続けてこの議論を、次回もいろいろ情報をお出しいただけるということなので、もう一度改めてお考えいただいて、次回のときにご発言をしていただければと思います。
 では、これで、2番目の議題を終了させていただきます。
 続いて、議題3番、原子力イノベーションに向けた原子力機構の取り組みについてに入ります。原子力機構の方が本日いらしていただいておりますので、説明をお願いいたします。では、どうぞ。
【門馬事業計画統括部長】  それでは、ご説明させていただきます。
 原子力イノベーションに向けた機構の取り組みについてということでございます。
 めくっていただいて、簡単に背景・経緯ですけれども、私ども原子力機構として、2017年3月にイノベーション創出戦略というものをつくって、これを公開してございます。これは、我々の中でのイノベーション意識の醸成、向上を狙った内部のものでございますが、こういうものをこれまでつくってきております。
 一方で、その周辺の環境として、エネルギー基本計画によって原子力エネルギー分野においてもイノベーションの重要性が指摘されたり、原子力小委員会の中でも民間のイノベーションを支援する政策が議論されたり、その他も、いろいろこういった背景がございまして、私ども原子力機構においても、いわゆる外との連携を強く意識した取り組みが必要であると、そういった認識を持つようになったというのが背景でございます。
 次の3ページ、これは先ほど文科省さんのほうから説明がありましたように、今、文科省の原子力科学技術委員会の中でも、機構について、イノベーションハブとしての中核的役割を果たすべきであろうと。具体的には使い勝手のいい施設共用の仕組みの構築であるとか、いわゆる外部機関との効果的な連携、そういった方策を検討すべきであるという、そういった方向性の提言が出されているというのがあります。
 これを踏まえて、4ページでございますが、我々の目指すイノベーションのあり方というものを示してございます。上のほうが2017年3月に策定しておりますイノベーション創出戦略を簡単にポイントだけ書いてございますが、主に原子力エネルギー利用に係るイノベーション、それから原子力科学を通じたイノベーションというふうな区分けで整理してございます。
原子力エネルギー利用に係るイノベーションにつきましては、1ポツから6ポツにございますように、我々が今行っている、主にプロジェクト型のそういった研究開発をベースにしてイノベーション創出として、例えば、1ポツのエネルギー資源問題の解決においては核燃料サイクルを実現していくということ、例えば、そういった大きなイノベーションの方向性についてどのようにアプローチしていくかということを、この中で記載をしてございます。
 こういったイノベーションを創出する上で、基本は社会からのニーズをしっかりと吸い上げようとか、我々が持っているシーズをしっかりと社会に実装していこうというような、ある意味リニアモデル的なものが全体を貫いております。
 一方で、先ほどのような背景を踏まえて、新たにつけ加えるべき方向性として、オープンイノベーションを駆動するという視点で、以下のような三つのことを、今回新たに取り組もうと思ってございます。
 一つ目は、外部との協働・共創によるイノベーションデザインということで、こちらは外部ニーズの把握にとどまらず、協働・共創によって、いわゆる未来社会ニーズをともに議論しながら方向性を見出していく取り組みでございます。
それから、二つ目でございますが、みずからの知見・技術基盤をうまく活用するということ、これは民間のイノベーションを支援することにつながります。また他分野の最先端成果をより積極的に取り込んでいこう、いわゆるAI・ロボティクス・デジタル技術など、いろいろ他分野で先端技術が、今うたわれていますので、そういったものを積極的に取り込んでいこうという取り組みです。
 三つ目は、オープンイノベーションの場として大型施設を活用しよう。幅広いニーズに応える供用の仕組みを構築していこう、また企業と大学も含めた研究者のマッチング等によるオープンイノベーションを促進していこう、こういうような動きを、特に追加というか、プラスして構築していこうということを考えてございます。
次のページは、こちらはイノベーション創出に向けてということで、我々のイノベーション創出のイメージを絵にしたもので、詳細は割愛しますが、こちらは真ん中にありますように、我々さまざまな原子力の研究基盤施設を持っておりますので、これをうまく、しっかりと活用しながら、イノベーションを創出していくという、そういったイメージの図でございます。詳細は割愛します。
 次のページから、新たな取り組みのところに入っていきます。外部機関との連携ということで、1枚絵を描いてございますが、上が我々原子力機構です。それから、原子力エネルギー分野に関連するようなプレーヤー、電事連さん、電工会さん、電力さん云々。また右側には、原子力のエネルギー以外の分野として、自動車や建築、土木、そういった関連するような運用を絵にしてございます。
 これらのプレーヤーと我々原子力機構との間の連携を、今後強化していきたいということで、赤で示しておりますのが、今後新たに取り組もうとしているものでございます。例えば、原子力エネルギー分野、左のほうですと、個別の取り組みとしては、①で示しています、国の委託・補助事業を通じた民間支援だとか、個別の対話、こういったものを強化していく。また特定のテーマでのコンソーシアムのようなものを、今後つくっていきながら、組織間の連携なんかの構築もしていこうと。
 また、右側の原子力エネルギー以外の分野においては、例えば、マル2で示しますような、汎用性の高い施設の供用の強化でありますとか、先ほども言いましたが、マル4の他分野の最先端成果の取り込み、そういったものに力を入れていこうという方向性を整理してございます。
 これらについて、次ページ以降で詳細に見ていきたいと思います。7ページは、全体図を示しております。前のページのように、原子力エネルギーに係るイノベーションという視点では、マル1の原子力分野での戦略的コーディネーションを図っていくということを考えております。それから、ローマ数字のⅡで、原子力科学を通じたイノベーションでは、供用機能の強化を図っていく。また共通の取り組みとしては、個別対話の促進、組織間連携の構築、異分野・異種融合の促進、また原子力施設の運転再開や後継炉検討などについても、今後しっかりと検討していきたいと思っております。これら、それぞれマル1からマル4までを、次ページ以降で詳述しております。
 8ページが、マル1の原子力分野での戦略的コーディネーションということです。こちらは、原子力分野という意味では、民間だけではなかなか困難な分野でございますので、我々の役割としては、ニーズに応じた支援、それから意見交換の場を設けるとか、こういった点がポイントかと思っております。
 この絵は、一般化して描いてございますが、真ん中に原子力機構の今後考えている役割を書いていますが、重要なのは、この左側の青い点線で囲っております、民間主体で進める原子力技術開発など、これのサポートという意味では、例のNEXIPなんかにも関連します。こういったニーズ、民間主導の原子力開発に対して、それらの開発ニーズや機構への要請に対して、我々から情報を提供する。
 具体的には、ここの一番下で、原子力の研究開発、これは、いわゆる先ほどのイノベーション創出戦略に基づいて、我々がみずから今後実施していく、みずから行う研究開発です。こういったものの成果の提供でありますとか、技術基盤として、試験施設や解析コード、我々が持っている知見やデータベースや人材などというものでの技術提供、そういったものを行っていきたい。
また、場の構築としては、これらについての共通課題やニーズの共有や研究開発の方向性、開発計画、人材育成などについて、意見交換をする場を構築していきたい。具体的な場としては、まずは既存の場、この既存の場というのは、例えば、原子力委員会のほうで三つのプラットホームのようなものが提案されていて、我々もそういった場を積極的にリードしているところがありますので、まずはそういった場を活用すること、それから、機構が主催するセミナーなどを通して、まずは、こういった意見交換の場をつくっていきたいと思っております。
 次のページですが、今の説明の中で、我々が持っている技術基盤の整備・拡充という話がありました。これは具体的に情報を1枚に示しております。原子力機構はかなり多くの施設を持っております。こちらの炉に共通するようなもの、それから、縦軸で、それぞれのナトリウム冷却高速炉であるとか、高温ガス炉、軽水炉から廃止措置に至るまで、いろんな分野について試験施設、解析コード、データベース、知見や人材といった、こういったノウハウ、情報がありますので、こういったものをしっかりと見える化して、集約して、ホームページなどで公表して、利用窓口を設置するなどして、こういった我々が持っている技術基盤をニーズに基づいて提供できるような、そういった仕組みを拡充していきたいと考えております。
 次のページが、原子力科学を通じたイノベーションになりますが、供用機能の強化というものでございます。こちらの絵は、JRR-3を中心に、いわゆる中性子ビーム利用の関連する周辺、分析機器などを扱ったものを一つの絵にしてございます。
 これらについて、ユーザーからのニーズに対して一括で、いわゆるワンストップで扱えるようなユーザーズオフィスというものをつくっていきたい。また仕組みとしては、左上に書いてございますように、これまでの利用形態に加えてトライアルユース、無料でトライアルユースができるような、そういった仕組みによって裾野を広げていくような活動にも着手していく。またユーザーの利便性の向上という視点で、技術コーディネーターの配置であるとか、申請システムの充実、そういったものについても挑戦していきたい。
 また、右下にあります産業界との連携・強化という意味では、例えば、企業ビームラインの創設であるとか、オープンラボの設置など、これらは資源が必要な部分もございますが、こういったことについても積極的に検討していきたいと思っております。
 次のページでございます。マル3の個別対話の促進、組織間連携の構築という、いわゆる共通の取り組みでございます。
 1ポツで、個別対応の促進、これはしっかりと場を設定して、機構全体でマネジメントして促進していきたいと思っております。そういった意味で、個別の情報をしっかりと本部組織でも全体を把握しながら、研究計画への反映なども含めてマネジメントしていこうと思っております。
 また、2ポツで、組織間の連携の構築という意味では、一つ目のポツは、先ほど申しましたような原子力委員会提言によるプラットホームの活動であるとかセミナー、そういったものを通して組織間連携を図っていくというのが1点。
 もう1点、下のほうのポツですが、こちらは原子力開発の分野、中性子利用の視点で、J-PARCやJRR-3をオープンイノベーション創出拠点としていきたいということで、下に書いてございますのが、これはJ-PARC側での、今進んでいる活動を書いています。J-PARC JOINという、いわゆる産業連携の中核組織を立ち上げていきたい、そういった活動に取りかかっております。これはJ-PARCの利用を一つとったと思うんですが、いわゆる産業利用の窓口というのは複数ございまして、JAEAや高エネ研や茨城県など、そういった複数のところがあるんですが、窓口という意味では、こういった一元化、一本化というものを図ることによって、ユーザーからは非常にわかりやすい仕組みになろうかということを期待してございます。
 次のページですが、マル4として、異分野・異種融合の促進ということで技術サロン、これは昨年度からの取り組みですが、JAEA技術サロンというものを設けております。ここでは、産業界で応用可能な機構の技術を研究者みずからが説明し、外部有識者とともに成果の社会還元、実用化に向けた課題等を意見交換するという場でございます。
 昨年は8月に実施いたしまして、企業88社から109名が来場しています。今年度は10月2日に開催する予定ですが、非常にこれは盛況でして、この下に3点、代表的な例を書いてございますが、実際に技術サロンを通じて産業界との連携というものが進んでございます。
 このような、いわゆる我々のシーズを社会に還元していくという視点については、こういった動きがあるんですが、最後に、下に1行書いてございます。今後、異分野の最先端成果を取り組む仕組みについても、我々として積極的に考えていきたい。まだ具体的なイメージはないんですけれども、他機関でもいろいろな取り組みがなされているのを、今勉強してございますので、我々もぜひそういった部分についても検討していきたいと考えてございます。
 次の13ページですが、人材育成の観点です。こちらについては、既に、先ほどもございました人材育成ネットワーク、これは我々も絡んでございます。そういった取り組みを積極的に今後も継続していくというのが、まずは基本にございます。
 我々の中で、最近の強化している取り組み、今後強化したいというのが、右下のほうに2点挙げてございます。1点は、外部組織と連携して原子力に係る知識の共有化と体系化を図っていこうということで、これは、具体的に右下にあります、シビアアクシデントアーカイブス事業というものを、今、我々事務局で実施してございまして、このシビアアクシデントに関する体系的な技術解説資料をつくったり、講義資料を整備したり、実習プログラムをつくったりと、こういった知識の体系化のようなものを当たって、人材育成に貢献しているというのが1点。
 また、強化する取り組みの二つ目ですが、施設供用を通じて人材育成に貢献する。これは今までも取り組んでいる課題ですが、先ほどの提示にもありましたが、施設供用というものを強化していこうと思ってございますので、それに合わせて人材育成にも反映させていきたいと考えております。
 14ページで、まとめと今後の課題です。まとめは、ここに書いてございますように、オープンイノベーションのハブとなる取り組みを展開するということで、個別対話、組織間連携の構築等による対話の取り組みを積極的に行っていく。また原子力以外の最先端成果を取り込む仕組みを、今後構築していくということを取り組みます。
これらに向かっていく上で、課題が幾つかございます。一つ目は、外部のニーズに応えていくための試験研究炉等の運転再開、これが非常に早く望まれるところですが、それを、まずは果たしていきたい。
 また2番目として、一部の取り組みについては、人員等のリソースの確保が必要になってきますので、競争的資金等を含め、予算の獲得に努めていきたい、これが2点目です。
また、供用施設の安定的な維持管理に向けて、共用法の活用など、制度整備と支援を、ぜひ一緒に考えていきたいと思っております。
 以上ですが、最後に1枚、将来ビジョン「JAEA2050+」(策定中)というものを紹介いたします。これは、今、JAEAの将来ビジョンというものを、若手研究者や幅広い分野の外部の有識者のご協力も得ながら策定しているところでございます。ここにございますように、気候変動問題の解決であるとか、エネルギーの安定確保、未来社会(Soclety5.0)の実現といった、そういった大きな方向性を踏まえて、今後機構が取り組むべき六つのテーマ、具体的テーマと書いてございますが、それに向けて目標と視点というものを整理していくという、そういった活動を今行っているところでございます。
 今後、11月に我々は機構報告会というものを予定してございますが、そこを目標に完成させていきたいと思っております。こういったものも踏まえて、また、イノベーション創出戦略にフィードバックしていくということを考えております。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。それでは、ご質問やご意見をお願いいたします。コンテンツがたっぷりある。どうでしょうか。こういう取り組みをいろいろ示されているので、ぜひしっかりお願いしますというしかないのかもしれませんけれども、もし、何かサジェスチョンなり、ご質問なりありましたら。では、寺井委員。
【寺井委員】  口火を切らせていたたぎます。サジェスチョンというほどのことでもないんですけど、一番最後の15ページの将来ビジョン「JAEA2050+」、ここのところはすごく大事なところだと思うんですが、ただ原子力発電といってもいいと思うんですけど、あるいは原子力エネルギー利用といってもいいと思うんですけど、あるいは先ほど言った放射線利用でもいいんですけど、特に、前者二つについての将来ビジョンが、今、あまり明確じゃないですよね。エネ庁もそんなに明確にビジョンを持っているわけじゃないし、2030年に20から22%というところは、一応出ていますけれども、それから先のところは全くないですよね。それで、いろんな可能性を追求するということにとどまっていると思うんですけど、ある意味漠然とした将来ビジョンの中で、境界条件もはっきりしない中で、どういうふうに2050年を見ていくかというところは、実はすごく大事で、エネ庁がないから、それをJAEAさんでしっかり持ってというやり方は、もちろんあると思いますけれども、そのあたり、これは文科省さんの責任でもないと思いますが、基本的には、最後は政府ということになるかもしれませんけど、どういうふうに2050年の原子力を考えていくかというところがはっきりしないがために、なかなか明快な議論が、どこもできないのかなと、今思うんですけれども、この辺についてはどういう考え方で、JAEAさんのほうは2050を考えていこうとされていますか。
【伊藤副理事長】  ご指摘ありがとうございます。まだ議論途上ではあるんですけれども、まさに、今おっしゃったような発電ですとか、エネルギーとか、そういう国の政策にかかわる部分に、原子力研究開発機構の業務は非常に強く、密接にかかわっているんですが、ここでその政策の議論をしても詮方ないというか、それとは別に研究機関として、2050年プラスアルファというのは、さらに、その後も見込んで、世の中全体として、まず、どんな社会が方向性としてあるのかという中で、気候変動とか、Soclety5.0とかありますし、エネルギーという面でも、原子力以外の再生可能エネルギーが、今後大量に入ってくると。そういった中で、原子力エネルギーというのはどういうふうに共存していくのかというのは、一つの、ある意味境界条件として設定できるんじゃないか。そういったときに、研究機関として、いろんな選択肢が出せるように用意をしておく、そんなつもりで、今議論をしているところでございます。十分なご回答になってないかもしれませんけれども。
【寺井委員】  ありがとうございました。最終的な目標がはっきりしない中でやっていくというのは、極めて難しいことだと思いますけれども、逆にいうと、いろんな可能性を追求しながら、臨機応変に対応してフレキシブルに考えていくところも非常に大事だと思いますし、それから、かえって、そういうビジョンがこれまでありませんので、しっかりしたビジョンを、ある意味先導して出されるところも重要かなと思いますので、ぜひそこは議論の成り行きと成果を期待したいと思います。ありがとうございます。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
【寺井委員】  産業界のビジョンも、結局もっと出させないですね。
【木藤委員】  言ってしまうと、ぐるぐる回って、何もいい方向を向けないような感じですね。でも、今、産業界はあるわけですから、どう考えているかということを言っていくという姿勢を見せないといけないと思いますし、現状はこうであるということも、そういう政府の方針がはっきりしてないという中に隠れているような感じがするので、そこが一番よくないんじゃないかなと思っております。なので、今伺ったJAEAさんのビジョンですけれども、これも社会情勢、環境の変化もありますから、変わるということも十分あり得るとしても、きちんとそういうものを持っていくんだという、そういうところの方針をちゃんと自分たちなりのものを持つということを、まず言うことが大事じゃないかなと思っています。そのよしあしとか、その内容の変化はあり得るし、批判の対象にも、産業界も同じだと思いますけれども、なり得るものだと思います。その都度その都度ちゃんと責任を、少なくとも示すということは基本じゃないかと思います。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、佐藤委員。
【佐藤委員】  将来が、なかなかよく見えないところで、いろいろまとめられているんですけれども、それぞれの研究テーマで、運営の仕方といいますか、それがかなり違う。例えば、ビームテクノロジーと炉の研究開発と、それぞれ性質がかなり違いますので、それらをどのように将来、例えば、ビームテクノロジーはこういうふうに持っていく、これはこうしましょうというのが、どこまで公開するかですけれども、組織内できちっと議論していくべきではないかな。そうしないと、どこかに隠れて、ずるずるずるずるという話になりますので、それは避けられたほうがいいような気がします。
 というのは、例えば、15ページですと、それまでずっと説明してこられたビームテクノロジーとか中性子とか、それが全部見えなくなっているわけですね、15ページのこの「JAEA2050+」では。ですから、そういうふうになってしまうので、JAEAはこういう役割とこういう役割とこういう役割、それぞれこうです、これはちょっと不透明ですけど、でも、我々としてはこういうふうに思いますというのを策定されたほうが、もっと補強できるんじゃないかなと思います。
【門馬事業計画統括部長】  ありがとうございます。まさにそういったいろんな特徴がありますので、その特徴に応じたイノベーション戦略というものをつくってございます。確かに、最後の、今策定中のところは、ちょっとくくったような形で表現してございます。例えば、安全の追求、そこにはシビアアクシデントの研究ですとか、そういうものが入っていますし、1Fの事故対応の話も入っているということで、我々が今持っているイノベーション創出戦略、それぞれの具体的な目標というものも、対応するようには整理しておきたいと思っております。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今日は、メニューをご紹介いただいたと。タイトルは原子力イノベーションに向けた原子力機構の取り組みについてと書いてあるんですが、多分、実際に原子力イノベーションと今の取り組みとが有機的に結びついているフェーズにはなってなくて、だから、これから具体的に何かをしようというときに、これがどう生きるかというのは、今後の議論もあるかなとは思うんですが、少なくともこれだけいろいろな活動があって、施設があって、これが日本にとって重要な資産であるのは、私は間違いないと思うので、ぜひ今後の取り組みの中で、JAEAのこういったリソースがどう活用できるかというのは、皆さんにもお考えいただきたいなと思います。この点、よろしいでしょうかね。また、JAEAからのお話は聞く機会もあろうかと思いますので、ぜひ継続的にウオッチしていただいて、また注文があれば、どんどんお伝えいただいたらいいかなと思います。どうもありがとうございました。
 続いて、4番目の議題です。新たな試験研究炉に関する調査の概要についてで、こちらは事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【長田原子力課長補佐】  原子力課、課長補佐をしております長田と申します。よろしくお願いします。
右肩に資料4と書かれました資料をごらんください。平成30年度「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉に関する調査の概要について、本日ご報告させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、1ページ目の上段の背景のところでございますけれども、2016年12月に開催されました原子力関係閣僚会議において、もんじゅの取り扱いに関する政府方針というものが決定されております。その中で、将来的に「もんじゅ」サイトに新たな試験研究炉を設置し、我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置づけることとされました。
 文部科学省では、これを踏まえて2017年度より「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉に関する委託調査を実施しております。平成29年度の調査結果につきましては、昨年の3月末に、これの前身の基盤作業部会、研究開発作業部会のほうでも一度ご紹介させていただきましたが、今回は、この30年度の調査結果をご報告させていただくということです。
下半分にございますように、委託先におきまして、多様なステークホルダーで構成される外部有識者委員会を設置し、提言を得ながら、右にある三つの調査検討を行っていただいています。
 一つ目が、試験研究炉のニーズ調査、二つ目が、「もんじゅ」サイトの地理的状況調査、三つ目が、試験研究炉の運営体制の検討、このようなことを柱に調査を行ってきたということでございます。
 1枚目めくっていただきまして、2ページ目です。まず、試験研究炉のニーズ調査についての概略でございます。試験研究炉も学術利用、産業利用、また人材育成利用、さまざまなニーズがあると考えておりまして、それぞれについてヒアリング調査を実施しております。
 まず、学術利用につきましては、大学等を中心にヒアリングを実施したり、また論文分析ということで、近年の学術的なニーズということで調査したところ、ここにありますように、炉物理・炉工学、燃料・材料照射、中性子ビーム利用、こういったものが大体3分の1ずつぐらい拮抗してニーズがあるということでございます。黒字で書いていますように、炉物理・炉工学、燃料・材料照射は、福島第一原子力発電所事故の対応や教訓に沿ったテーマというものが、最近増えているということですとか、また、中性子ビーム利用でも、散乱・回析実験装置に関する報告等が多いということでございます。
 また産業利用の観点ですが、中性子ビーム利用に関連する企業を中心に選定しまして、ヒアリングが実施されております。例えば、原子力産業以外でも、繊維業界や化学業界、そのようなものにおいて、高分子材料の原子・分子の構造等を把握するためのニーズが出ていましたり、また電機・自動車産業でも、電池材料の構造解析等々のニーズがあるということでございます。原子力産業でも、軽水炉の長寿命化や高出力化のためのニーズ、また医療用のRI制度というようなニーズもございます。
 また人材育成に関しましては、国内及び欧米の代表的な人材育成プログラム等の調査・分析がなされておりまして、臨界実験装置や低出力炉というものは、欧米での需要は増加傾向にある。また下の段ですけれども、試験研究炉に加えまして、さまざまなシミュレーター等々、追加的なツールの構築も有用だということです。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目をごらんください。先ほどさまざまなニーズについて申し上げましたけれども、主な利用ニーズと試験研究炉を表の形でまとめています。これは、今日本国内にある既存の試験研究炉を、まず参照しまして、出力に応じて大体幾つかのタイプに大別し、主な利用ニーズについて整理したものになります。
 左から三つ目、3列目のカラムで既存の試験研究炉例とありますけれども、京大の臨界実験装置、近大炉、京大炉、JRR-3、JMTR、横にその熱出力と、一番左の炉型というのは、便宜的に大きさということで、臨界実験装置から低、中、高出力という形で、ここは便宜的に書いております。右の表のところで、さまざまな利用ニーズにおきまして丸、二重丸、三角といった形で、どのようなニーズがあるかというのを大別されております。
 これらにつきまして、縦のカラムの同じ列の中で三角、丸、二重丸の違いというのは、右下にありますけれども、施設を用いた実施数などを勘案して表示されていますが、横の、中性子ビーム利用研究と、一番左の炉物理研究というもののニーズの、例えば、総量がどうなのかとか、そういった総合的な議論、整理まではまだ至っておりませんので、こういったところをさらに充実していくことが必要でございます。
 参考までに、下半分には、既存の研究炉の今の運転状況等を並べておるところでございます。
 次の4ページ目でございます。「もんじゅ」サイトの地理的状況調査ということで、こちらも、先ほどの既存の試験研究炉を参照しまして、サイト内の設置可能性について、1案整理されているものでございます。
 下に「もんじゅ」サイトの地図がございますけれども、この中で、一定程度の広さを有していると考えられるところがピックアップされておりまして、その中で各試験研究炉がスペース的に入りそうか、入らなさそうか、そういったところの検討がなされております。
 主なものとしましては、まず、7番というもの、これはもんじゅ自体がある場所ですけれども、こういったところを使えれば、当然さまざまな試験研究炉が設置可能ということでございますし、6番ですとか、8番といったところに、ちょっと高台にあるところのスぺースを用いれば、一定程度の中出力炉、京大炉ぐらいまでのタイプであれば入るだろうという分析がなされております。
 ただ、例えば、もんじゅ施設跡地に関しましても、これは当然今後施設の廃止措置の作業工程と絡みますし、7番全部が一気に撤去されるというわけではなくて、今後どういう順番に壊していくかということもあります。また、1、2、3、7以外は、今あいているようなスペースを中心に検討されていますが、全体を見渡して、まだ、もう少し既存の一部の施設を外せば、こういったスペースもあるんじゃないかという議論もありますので、さらなるスペースの候補地ですとか、廃止措置の進捗に応じてどのような可能性があるか、そういったところの議論を、今後深掘りしていく必要があるということでございます。
 次の5ページ目でございます。試験研究炉の運営体制の検討でございます。こちらにつきましても、青字でありますが、運営体制の構築における観点、運営に係る課題などヒアリング調査をしておりまして、そこの意見の例を下に幾つか書いております。
例えば、一つ目のポツでは、施設の管理及び研究組織の運営を大学だけで実施することは困難ですとが、二つ目、施設管理は研究機関、利用運営は大学等が行うということも考えられるし、産業界の参画は重要ではないかという意見もございました。三つ目は、長期間維持していくためのランニングコストの確保が必要ですとか、四つ目は、柔軟な規制対応が必要。また、五つ目や六つ目のポツでは、ユーザーの申請内容をつなぐコーディネーターの重要性ですとか、また運営体制づくりとして、運営、利用に関する委員会設置等が必要ではないかというような意見が出ております。
 最後に6ページ目です。今年度の検討項目と今後のスケジュールについてお示ししております。上半分が2019年、今年度の委託調査における主な検討項目ということで、まず一つ目、候補となり得る炉型ごとに利用ニーズの整理、今回お示ししたものを、さらなる充実を図っていくということでございます。
 二つ目の矢羽根ですけれども、炉型ごとの具体的な機能やスペック、またスペース、そういったものを技術的観点からより精査を深めていくいうこと、及び経済的成立性、いわば建設や維持にかかるコスト、こういったものの調査・検討を進めていく。
三つ目に関しましては、最後の運営体制の関係で、さまざまな他の試験研究炉や供用施設を参考にしまして、事例調査・検討を行っていくということでございます。
 下半分、こういった調査結果を踏まえまして、文部科学省における取り組みですけれども、委託調査の内容も踏まえつつ、また国の審議会の場でも意見を聴取しながら、現在2020年度に概念設計着手を目指しておりまして、それに向けまして、今年度具体的な炉型の絞り込みなどに関する検討を行うこととしております。
 右にございますように、2022年度の詳細設計開始を一つのマイルストーンとして置いておりまして、ここに向けて検討を進めていきますし、米印でございますけれども、当然原子力施設の立地でございますので、地元にもしっかりと説明をして決めていくということです。
 ここに書かせていただいている国の審議会の場でも意見を聴取しつつというのは、まさしく、本日これを出させていただいております、当作業部会を一つ中心に考えておりまして、また調査が深まってまいりましたら、皆様のご議論もいただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以上、昨年度の調査結果のご報告です。
【山口主査】  ありがとうございます。それでは、ご質問のある方はどうぞお願いします。いかがでしょうか。多田委員、どうぞ。
【多田委員】  質問というか、意見というか、JAEAさんの中で、今JMTRの後継炉の議論がされているのですが、それと、このもんじゅ跡地の炉と、二つ新しい炉という話が進んでいて、それが、今個別に議論がなされているんですけど、どこかですり合わせというか、していかないと、無駄なものをつくるようなことにもなりかねないなと危惧をしておりますので、これは文科省さんにお願いだと思いますけど、その辺をうまくさばいていただけないかなと思います。
【山口主査】  よろしいですかね。
【長田原子力課長補佐】 全体をしっかりと俯瞰しながら、当然JMTRの後継炉の議論も、我々しっかりと見ておりますし、その辺全体を見ながら、今回の「もんじゅ」サイトの調査についても検討を深めていくということかと思います。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、木藤委員。
【木藤委員】  同じような意見だと思いますが、これはもんじゅのサイトにどういうものをつくるかという検討をされているので、こういう調査で、とても調査もよくされたんじゃないかと思っているんですけれども、やはり日本として、試験研究炉をどのようなものをもって、どういう目的で使うか、全体設計が見えてないと思うので、そこをぜひ進めて、その全体の中にきちんと置いて、こちらも進めていただきたいと思います。
【山口主査】  これは拝承ですよね。
【長田原子力課長補佐】  はい、当作業部会でご報告というのは、まさしくそういうことをしっかりと皆さんの意見も聞きたいということもあってやっていますので、もちろん拝承でございます。
【山口主査】  この調査は、たしか2年前ぐらいですかね、研究基盤の委員会の中で、この調査をするということを決めていただいて、その作業部会で報告するということになっていたんですが、それを継承する今回の作業部会でご報告いただいたということですので、先ほどの多田委員、木藤委員のご指摘の点は、当然いずれかの機会に議題に上るものと理解しておりますので、よろしくお願いします。
【寺井委員】  私、JMRTのほうに絡んでいて、当事者なので、あまり発言しないでおこうと思ったんですけど、おそらく今お話があったとおりで、JMTRのほうの報告も、今年度末ぐらいに出てくることになるんだと思います、JAEAさんを通してですけれども。そういうのが出てきた中で、それをどう議論していくかということで、実際のニーズに対してどういうふうな仕分けでいくのか、それから、サイトの利用状況といいますか、スペースの問題というか、そういうことも当然ありますし、もちろん地元の合意というのはあるんですけど、これは茨城県も福井県もどちらもウエルカムだというふうに聞いていますので、その辺のいろんなことを勘案しながら、どういうふうにしていくのかという議論が、多分ここでやることになるんですかね、両方出てきた後にね。ということだと思っておりますので、そこはしっかりとそういう形でお願いできればと思います。
 それから、これを見てて気になったというか、非常によく調査されていて、いいかなと思うんですけど、2ページのニーズ調査のところで一つ気になったのは、地域性ということは当然あるのかもしれないんだけど、地元の教育とか、あるいは地元の産業界とか、そういうところへの調査をかけておられて、実は、JMTRのほうはもうちょっと、分野はもちろん同じなんですけど、オールジャパンでいろいろ議論をこれまでしてきていて、方向性についても、前の委員会のときに、たしか提出されていると思いますけれども、その辺のところをどういうふうな形で、このニーズ調査の中に組み込んでいただいたのか、あるいは参考にしたのか、ちょっと見えないなと。ただ、出てきている結論はほぼ同じかと思いますので、あまり大きなそごはないと思うんですが、関西、中部地区を中心にヒアリングされた趣旨というのはどういうことなんでしょうか。ちょっとそれを伺いたいと思います。
【長田原子力課長補佐】  まずは、立地地域の周辺の大学なり、当然産業界というものの関心、ニーズというのは、一つ重要な指標になるということで、そこに関して行っています。ただ、ここは当然地元だけではなくて、幅広いニーズを拾っていくべきだと思っておりますし、すみません、今は手元に全てのヒアリング先というものを持っているわけではないんですけれども、当然より広い範囲での調査も含まれておりますし、今後とも調査すべきだと思いますので、その点留意しながらやっていきたいと思います。
【寺井委員】  ありがとうございます。ニーズという意味では、別に地域にかかわる部分と、そうじゃない部分とあって、オールジャパンの部分も結構あるんだと思いますので、その辺は既に出ているJMTR関係の報告書を見ていただくと、かなり詳細に議論されていると思いますので、ぜひそれもご参考いただければと思います。
 以上です。
【山口主査】  どうぞ、中島委員。
【中島委員】  今の件に関してですが、学術的利用ということではありますけれども、多分地元の大学研究者が、まず関心を持ってくれるかというところが一番大事で、もしかしたら、そこが運営の中にも組み込まれる可能性もあるということで、そういう観点で考えることも必要と思います。
【寺井委員】  それはよく理解します。人材育成という意味で、場所というのは結構重要なポイントだと思いますから、近くにないと使いにくいという部分は当然あるので、人材育成というところにウエートに置くとしたら、多分こういうことになると思います。そこは理解しております。
【山口主査】  そうですよね、ユーザーとか、アクセスビリティとかということも観点の中に入りますので。
 ほかにはいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 今の議論で言えば、いずれはJMTRの今後のプランについてもまとまってくると、全体として研究炉のターゲットが議論できるような状況が、いずれは整うということですので、また継続してお願いしたいと思います。
もし、ほかにご質問、ご意見なければ、この議題を終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日予定していた議題は全て終了いたしました。全般を通して、委員の皆様からご意見なりございますでしょうか。特にございませんか。
 それでは、事務局のほうから連絡事項などありましたらお願いします。
【小林原子力課室長】  本日の議事録は、でき次第メールで皆さんにご確認していただいた後、ホームページに掲載したいと思います。
 また、次回、部会の日程等も調整の上、改めてご連絡させていただきたいと思います。
 以上です。
【山口主査】  若干時間をオーバーしてしまい申しわけありませんでした。
以上をもちまして、第1回の原子力研究開発・基盤・人材作業部会を終了いたします。ご出席いただきまして、どうもありがとうございました。
 

― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力課

電話番号:03-6734-4160(内線:4421)