令和6年7月17日(水曜日)16時00分~17時00分
WebExによるオンライン
出光主査、井口主査代理、赤井委員、足立委員、大越委員、大塚委員、葛西委員、児玉委員、佐々木委員、吉田委員
清浦審議官(研究開発局担当)、有林原子力課長、井出研究開発戦略官、鈴木放射性廃棄物企画室長、前田原子力連絡対策官、吉井放射性廃棄物企画係長
塩月 バックエンド統括本部長代理、目黒 バックエンド推進部長、小野瀬 埋設事業センター長、坂井 埋設事業センター 副センター長、中澤 バックエンド推進部次長、北川 廃止措置推進室長、田中 廃止措置推進室 技術主幹、藤平 廃止措置推進室 技術主幹、石川 廃棄体化推進室 技術主幹、山下 廃棄体化推進室 技術主幹、岡野 埋設事業センター 副センター長、坂本 埋設事業センター 技術専門官、仲田 埋設技術開発室長
【吉井係長(事務局)】 委員の先生方が全員おそろいということでしたので、これより第9回 原子力バックエンド作業部会を開催いたします。今回の作業部会はWebexによるオンラインにて開催いたします。これに関連して確認事項等がありますので、議事に入る前まで事務局にて進行いたします。
本日の委員の出席状況につきましては、事前に御欠席の御連絡を頂いている飯本先生、織先生を除き委員12名中現在10名の方に御出席いただいております。運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますので御報告いたします。また、本日は資料の説明及び質疑応答のため日本原子力研究開発機構(JAEA)から塩月バックエンド統括本部長代理他10名の方に御参加いただいております。
次に開催にあたりまして、御出席者、傍聴者の方々への留意事項を御説明いたします。
1.委員の皆様におかれましては現在、遠隔会議システムWebex上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。御発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査より御指名を頂きます。御発言を頂いた後は、もう一度ボタンを押して挙手マークが消えるようにしてください。
2.会議中、マイクは発言時のみオン、ビデオにつきましては常時オンにしていただければと存じます。通信状況が悪化するような場合につきましてはオフにしていただいても構いません。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた場合は、随時事務局宛にお電話にてお知らせください。
3.傍聴される方におかれましては、ビデオ映像及び音声はオフとなるよう事務局にて設定しておりますが、議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムから御退席いただきます。
4.議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日文字起こしをいたします。そのため、御発言の際はお名前から発言いただければと存じます。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。以上が本日の進行にあたっての留意事項となります。
続きまして、本作業部会委員メンバーに変更がありましたので御報告いたします。中熊委員が御退任されたことに伴い、新たに大塚委員に御就任いただいております。大塚委員、一言御挨拶をお願いいたします。
【大塚委員】 御紹介いただきました電気事業連合会 原子力部の大塚と申します。この度、中熊の後任としてこちらの委員を務めることになりました。ここに来るまで東京電力におりまして30年程度の原子力の仕事をしてまいりました。自分の経験や知見を生かしてこの部会に貢献できればと考えてございます。皆様、よろしくお願いします。
【吉井係長(事務局)】 ありがとうございました。続いて、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。ただ今出席が別用によって遅れておりますが、7月より原子力課長に有林が着任しております。また、原子力連絡対策官に前田が併せて着任しております。
【前田原子力連絡対策官】 前田でございます。よろしくお願いいたします。
【吉井係長(事務局)】 人事異動については以上です。最後に本日の配付資料の確認をいたします。今回は議事次第にございます8点の配布資料を、委員の方及び傍聴の登録をされた方に事前にメールにてお送りしております。御手元の資料を御確認いただき、不備等ございましたら事務局までビデオ会議システム、チャット若しくは電話等でお知らせください。その他何かございましたら随時お申し付けください。
それでは、これより議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき本会議は公開いたします。また、第6条に基づき本日の議事録につきましても後日文部科学省のホームページに掲載いたします。事務局からは以上です。ここからは出光主査に議事の進行をお願いしたいと思います。主査、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 では、ここから私の方で主査として進行いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日ですが、お手元の議事次第にありますとおり、その他含めまして3つの議題がございます。時間は17時までを予定しておりますのでよろしくお願いいたします。それでは、早速ですが議題1「埋設処分業務の実施に関する計画の変更案について」に入ります。こちらにつきましてはJAEAの埋設事業センターの小野瀬センター長から資料1-1及び資料1-2について説明をお願いいたします。
【小野瀬センター長(JAEA)】 ありがとうございます。JAEAの小野瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。早速ですがお時間もありますので御説明に入らせていただきます。
1ページ目が本日の目次でございます。本日の御説明につきましては、1.前回委員の方々から頂きましたコメントについて、2.現在の埋設実施計画、3.埋設実施計画の変更ということで3.1で廃棄体量の変更、3.2で総費用の変更、3.3で資金計画の変更、3.4で規制基準等の反映、3.5で合理的な埋設事業の推進について御説明させて頂きます。
最初に、前回の作業部会で委員の先生方から頂きましたコメントについて、今後の対応等について御説明いたします。まず一点目でございます。埋設費用について、処分を委託する発生側では資金準備が必要となるため、急激な増額とならないよう定期的な見直しをお願いしたいという御意見を頂きました。このコメントにつきましてはごもっともでございますので、私どもといたしましても確実に対応してまいりたいと思います。具体的には、埋設事業の実施計画において、物量調査の時期に合わせて定期的に見直すこと及び埋設事業の進展に応じた見直しを行うこととしております。ついては適宜、事業費用の見直しを行い、発生者の方々に提示してまいりたいと思います。
二点目と三点目ですが、こちらは事業の効率的な運営に関するコメントだと認識しております。二点目の総事業費が増加したことを示しただけでなく、どのような点を効率化して費用の増額を軽減しているかも示すべきという御意見、三点目の規制基準に適合するため、総費用が増額することは理解するが、過剰な設備とならないように合理化も検討すべきであるという御意見を踏まえまして、今後は表の右側に記載したような対応をしてまいりたいと思います。具体的には、今回の変更に際しましても対応いたしましたが、JAEA内の実績を反映して受変電所の費用の合理化を行いました。今後もこのように幅広く適用可能な技術を取り入れて埋設事業費の合理化を図っていきたいと考えております。また、規制基準への適合性につきましては、先行埋設施設の実施及び審査事例や海外事例を踏まえつつ、研究施設等廃棄物の放射能インベントリ及び性状に対して適切な安全裕度を確保しながら、合理的な施設・設備の設計を行いたいと考えております。これらを踏まえまして、今回の実施計画変更において合理的な方法による埋設事業の展開及び事業運営を行う旨を記載いたします。
四点目に、放射能が高く評価されることによって処分区分が変更され事業費用が増加するリスクを踏まえて、埋設施設の設計や廃棄体の放射能評価に取り組んでほしいという御意見を頂きました。この御意見も重要な御意見と考えております。今後、廃棄物の放射能データの精査と埋設施設の設計及び安全評価を進める中で、埋設施設の安全裕度と廃棄体の放射能評価の保守性とのバランスを見極め、合理的な施設設計及び放射能評価手法の開発を進めていき、予想外に費用が増加するようなことがないように取り組んでまいります。
続いて、今回の実施計画の変更案を御説明するにあたり、現在の実施計画の構成について御紹介いたします。現在の実施計画は平成21年11月に最初の認可を受け、現計画は令和元年11月に変更認可を受けたものでございます。はじめにの1.から7.まで、このような構成となっているところでございます。今回の見直しでは2.放射性廃棄物の物量の見直し、5.埋設処分の実施方法に関する事業の規制基準への対応並びに合理的な方法による埋設事業の展開及び事業運営に係る見直し、それから6.埋設事業費用に係る見直しをそれぞれ行っております。それでは、順を追って説明いたします。
まず、廃棄体量の見直しに係る実施計画の変更内容です。こちらは前回御説明させていただきましたとおりピット処分及びトレンチ処分の合計の物量の変化は30本でしたので、総量につきましては67.2万本に変更はございません。ただし、JAEA分は1.5万本分減少し、50.2万本から48.7万本に見直しをいたします。処分方法ごとでは、ピット処分については全体で7,000本減少して20万本から19.3万本に、そのうちJAEA分につきましては9,000本減少して19.3万本から18.4万本に見直しをいたします。トレンチ処分につきましては、全体では7,000本増加して47.2万本から47.9万本に増加しています。そのうちJAEA分は6,000本減少しまして30.9万本から30.3万本に見直しをいたします。また、中深度処分の廃棄体量につきましてもピット処分、トレンチ処分と同様にJAEA分の廃棄体量を示すこととして、JAEA廃棄物は約2.5万本であることを追記することといたします。
次に、総費用の見直しについて、でございます。前回の作業部会で御説明させていただきましたとおり、総費用については2,243億円から2,900億円に見直しをいたします。費用の内訳につきましては、これまでの記載方法と同様に建設費、操業費、人件費、一般管理費について記載をしております。なお、各項目の内訳につきましては前回御説明させていただいておりますので、ここでは割愛させていただきたいと思います。
6ページですが、実施計画では埋設事業費の収支計画と資金計画も記載しておりますので、それについても見直しをさせていただきたいと思います。試算した事業費の内訳に基づきまして、また、令和6年度以降の資金展開に基づいて財務諸表の記載内容に従って計算し、見直しをいたします。見直しの結果については表記しているところになります。
7ページでは、前回御説明させていただきましたトレンチ埋設処分に関する許可基準規則の改正に基づき実施計画5.1 埋設処分の方法、及び5.3 埋設処分の手順を見直すことを記載しております。具体的には、8ページ、9ページで御説明いたします。
まず8ページ、5.1 埋設処分の方法につきましては左側の二つ目の丸で、トレンチ処分について「コンクリートピット等の人工構築物を設置しない方法」と記載されている部分が現在の規則に適さないことから、規則の定義に基づく方法に修正いたします。また、一つ目の丸のピット処分につきましても同様に規則の定義に基づく方法に修正いたします。
次に5.3ですが、埋設処分の手順ですが、こちらも(3)のトレンチ処分の方法については、覆土に人工の低透水層を設置する設計としたことから「表面を土砂等で覆う」と記載していたところを「表面を人工バリア、土砂等で覆う」として人工バリアを追加いたします。また、(2)のピット処分につきましても、ピットの周りにベントナイト混合土を設置する設計となっていますので、トレンチ処分と同様に「人工バリア、土砂等で覆う」と見直しをいたします。
続いて9ページです。ウラン廃棄物等の規制制度が整備されたことに伴う見直しを行います。令和3年10月に第二種廃棄物埋設事業の許可基準規則及び同解釈が改正され、ウラン廃棄物の浅地中埋設に係る技術基準が整備されました。埋設事業においては、この改正に対応して廃棄体の処分方法への区分が基準に適合していることの確認等、必要な対応を実施したところです。また、現行の実施計画には、クリアランス制度の進捗についても適切に対応するとしておりますが、令和2年8月にクリアランスに関する規則が見直され、新たな規則として制定され、原子力事業者等を対象としたクリアランスレベル及びクリアランス制度が整備されたことから、5.4、事業運営における規制制度への対応について、本事業に関わる安全規制の整備の進捗に適切に対応する旨の記載に表現を見直すこととしたいと考えております。
10ページにつきましては、前回の作業部会における御意見を踏まえ、幅広く適用可能な技術を取り入れる等、より合理的な埋設事業の推進を図ることとする旨の変更に係る御説明です。具体的には技術開発による合理化も進めることとして、AIの導入等による作業の省力化や自動化等や、低コストの汎用機器の導入、契約方法の最適化等を行うなど、合理的な方法による埋設事業の展開及び事業運営を図っていくことといたします。合理的な方法による埋設事業の展開等について、確実に対応していくことをより明確にするため、実施計画の中に新たに(5)として項目立てすることにいたします。
実施計画の変更案については以上となります。本日御説明しました実施計画の変更案について、委員の皆様方から頂いた御意見を踏まえて、年度内にできるだけ早い時期に文部科学省及び経済産業省から変更認可を頂きたいと考えているところです。埋設事業につきましては引き続き埋設施設の早期実現に向けて、立地に向けた対応及びその後の基本設計に向けた技術検討を継続してまいりたいと考えておりますので、引き続きの御指導をよろしくお願い申し上げます。資料1-1についての御説明は以上になります。資料の1-2でございますが、こちらは今、御説明したものを新旧対照表のテキストとしたものでございますので、こちらの説明につきましては割愛させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。JAEA 埋設事業センターからの御説明、御報告は以上でございます。よろしくお願いします。
【出光主査】 御説明ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に対しまして御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。井口主査代理、どうぞ。
【井口主査代理】 元名大の井口です。御説明ありがとうございました。私の方から二点確認いたします。一番気になったのは8ページのところの変更後の実施計画の中でピット処分の方法の中の(3)で人工バリアと土砂等で覆土するというような項目が入っているのですが、例えば今日の資料にある二種埋設の規則の中ではピット処分に対しては人工バリアの設定というのは必ずしも要求されていないのにもかかわらずここに入っている理由は何かというのをまず一つ伺いたいです。
それから、6ページのところで、左から右に数字が変わっていて、収支の大体どういう計算をしているのかというのは想像付くのですが、問題はその投資による、言わば収入ですか、そういうものが今回の査定によって600億円ぐらいプラスになるという数字になっているわけですが、この根拠の説明資料というのは何か別添であるのでしょうか。つまり、債券を買って投資するのは当然なのですが、これがプラス600億円になるということの説明についてどこかにそのような計算式あるいは評価式のようなものがあってこの数字が出ているのかどうかというのを確認させてほしいと思います。以上2点をよろしくお願いします。
【坂井副センター長(JAEA)】 JAEAの坂井から御説明いたします。まず一点目でございますが、ピット処分の方につきましてはこれまでも人工バリアとは書いていませんでした。ピットの周りを覆うベントナイト混合土の扱いが人工バリアと定義するかどうかというところが確定していないという部分もあったのですが、今回はトレンチ処分につきまして覆土にベントナイト混合土等を設置する部分について、人工バリア等を設置して浸透を低減するという規則の記載になりました。これに合わせてトレンチの方はベントナイト混合土等の扱いを人工バリアと明確に書くにあたって、埋設の方法という同じ意味合いのものであるピット処分の方に区別して書かないというのは整合が取れないということで、ピット処分にも人工バリアと書かせていただいたというものでございます。
二点目でございますが、600億円というのはどの数字を見ておっしゃられたのかをもう一度教えていただければと思います。
【井口主査代理】 私が見た数字は6ページの左側の現行の実施計画というところの投資活動による収入というのが929億円に対して、右側の変更後の実施計画案で投資活動による収入というのが1,517億円になっていて、こういう数字が出ているということは600億円増えるということを想定するわけですよね。他のところの収支については何となく理由付けが思い浮かぶのですが、この部分の根拠はどこから来ているのかというのが分からなかったので、教えてくださいということです。
【坂井副センター長(JAEA)】 これは計算方法が決まっているのですが、ここで1,517億円としているのは、今回総事業費で求めました2,900億円のうち毎年積立額と支出額の差分を投資額として計上しておりまして、その計上の合計が1,500億円となります。差分の合計と現在の積立額を足したものが1,500億円になるという考え方で計算しているもので、今回事業費が増加して、年度展開を決めると自動的に決まるという数字でございます。計算方法を明記しているものではないですが、決まった計算方法によって実施しているものでございます。今回積立額が増えましたので、各年度の積立額と支出額の差が大きくなったので、投資活動による収入が大きくなったものでございます。
【井口主査代理】 分かりました。この部分についてはもう自動的に計算できるような数字なのですね。要するに誰かが予想して作っているのではなくて既にそういう固定の式があってそれで算出するので、いじりようがないという数字ということですね。
【坂井副センター長(JAEA)】 そうです。この資料の14ページを見ていただきたいのですが、積立額と支出額の差分を合計していくような感じで、その額をこの投資による収入額とみなして計算しているものでございまして、この資金展開をしっかりと作った上で計算するというものですが、この展開を作成すると計算上決まってくる額と考えていただければと思います。
【井口主査代理】 分かりました。ありがとうございます。あと、一点目の質問で先ほどのピット処分の人工バリアと書いてあるのは、これは覆土の話ではないのですね。 要するに従来通りピット処分の漏えいを防ぐための壁を作ったりするところを人工バリアと呼んでいて、トレンチ処分の人工バリアとは違う意味で使っていらっしゃるという理解でよろしいのですね。
【坂井副センター長(JAEA)】 ピット処分は、ピットの周りにベントナイト混合土を設置することを計画していまして、そのベントナイト混合土のことをこれまで土砂等と読んでいたところです。トレンチの方もベントナイト混合土を人工バリアと読むということにしましたので、ピットの方も同じくベントナイト混合土のことを人工バリアと読むことにしました。ピットの外側の覆土の前にベントナイト混合土を敷設し、その上に覆土をするところを明確にしたものでございます。
【井口主査代理】 分かりました。ありがとうございました。理解しました。以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。では、大越委員、どうぞ。
【大越委員】 大越です。御説明どうもありがとうございました。また、前回の意見に対して丁寧な御回答をまとめていただきありがとうございました。回答に書かれていますように、JAEAでの今後の技術開発に加えて国内外の廃棄物埋設に関する技術的な知見を取り入れていただいて、合理的な処分ができるように今後とも検討をしていただければと思います。
加えて、今回計画ということで説明がございましたので、直接関係ないかもしれないのですが、早期の埋設処分の開始をぜひともお願いできればと思ってございます。早期の埋設処分の開始につきましては、埋設処分の開始が遅れますと廃棄物の貯蔵、管理に関する費用でございますとか、場合によっては貯蔵施設が足らなくなって貯蔵施設を増設するといったような形での経費の増加が見込まれますので、こちらは直接の埋設処分のお金ではなくてそれに付随する管理費用という形にはなりますが、事業者にとっては大きな負担になりますので、ぜひとも早期の埋設実現に向けて御努力をしていただければと思います。こちらはお願いになります。
質問としては、先ほどの井口主査代理の御質問とも重なる部分があるのですが、8ページのところのトレンチ処分ですが、この書き方で今想定されている安定型トレンチ埋設施設と付加機能型のトレンチ埋設施設の両者がうまく読めるのかなと思いました。付加機能型の遮水シートについては(3)の3)の「土砂等で覆う」の「等」で読んでいるのかな、など、付加機能型のトレンチに関してこれで読めるという辺りについて少し御説明をお願いできればと思います。以上になります。
【坂井副センター長(JAEA)】 ありがとうございます。埋設事業の早期実現に向けては日々努力していきたいと考えているところでございます。後段の御質問に関しまして、付加機能型トレンチ処分施設については御指摘のとおり、上部の遮水シートについては、現在、環境影響物質への対応も含めて概念から検討している部分もございます。この中の「人工バリア、土砂等」の「等」の中で読んでいただいて、仕様や規制の考え方等が具体化した段階ではこの部分を分かりやすくさせていただければと考えます。
【大越委員】 御回答として、取りあえずは理解しましたが、処分費用も付加機能型と安定型と両方お示しになっておられますので、その二つの処分概念が計画の中で明確に分かるように今後とも御検討の方をよろしくお願いいたします。以上になります。
【出光主査】 ありがとうございました。他に御質問、コメントはございませんでしょうか。よろしいですか。 では、特になければ最初の議題につきましては以上となります。それでは、次の議題2に入ります。「廃止措置を含めたバックエンド対策の取組の方向性」ということで、資料2-1及び資料2-2に基づきまして事務局の方から説明をお願いいたします。
【前田原子力連絡対策官】 文部科学省の前田でございます。それでは、資料2-1について御説明いたします。まずこの資料はバックエンド対策も含めた今後の原子力科学技術に関する政策の方向性を中間まとめとして取りまとめたものでございます。こちらは7月5日の原子力研究開発・基盤・人材作業部会において既に公表された資料で、そちらと同じ資料を本日提示させていただいております。内容的にはこれまでのバックエンド作業部会及び他の作業部会で御審議いただいた内容をまとめたものとなっております。こちらについてポイントを絞って御説明いたします。
まず、位置付けとして4ページを開いていただけますでしょうか。4ページで中項目としまして今後の原子力科学技術の方向性という形で文章を書いております。真ん中下でございますが、文部科学省としては特に重点を置いて取り組むべき原子力科学技術に関する施策ということで5つの重点政策というものを絞って提示させていただいています。このうちの三番目がこの廃止措置を含むバックエンド対策の抜本的強化ということで、これまでバックエンド作業部会の先生方に御議論、御検討いただいた内容について5本柱の一つとして位置付けた次第でございます。
内容としては15ページから黄色い枠で囲んでいます。繰り返しになりますが、ここに書かれている内容はこれまでのバックエンド作業部会でも御議論いただいたものを文章としてまとめたものでございます。ポイントを絞って説明いたしますと、15ページの一番下の丸でございますが、もんじゅ、ふげん、東海再処理のような主要施設以外でもJAEAでは現時点で36の中小規模の施設が廃止措置の対象となっており、これらの施設の廃止措置を計画的且つ合理的に進めていくことが一つの課題となっています。
16ページでこれまでの実績と評価ということで上から三つ目の丸でございますが、これもこれまで御議論いただいた内容となっております。もんじゅ、ふげん、東海再処理以外の36施設の廃止措置に掛かる費用が1,490億円と見積もっています。一方で現在の予算規模で廃止措置を進めますと200年掛かってしまいます。200年となると維持管理費も2,600億円になります。その下の上から四つ目の丸でございますが、集中した措置という形で35年で廃止措置を行う場合ですと維持管理費が約1,620億円の効率化が可能なのではないかと見積もっています。一方で今後の取組として資金確保という課題があり、前回のバックエンド作業部会でも御説明させていただきましたが、資金確保の方策としては、銀行からの借入れやPFI、積立金、また、補助金等、といったものを今後課題という形でしっかりと検討して、今後速やかに結論を得るという形を進めていくことが必要であると、これまでの議論を踏まえて文章としてまとめている次第でございます。
20ページは、先ほどの一つ目の議題にも関連しますが、研究施設等の廃棄物埋設事業の促進という形で、こちらも文章としてまとめております。実際の内容は次のページの21ページからになります。上から四つ目の丸としましては、前々回のバックエンド作業部会でも御検討、御審議いただきましたが、廃棄物の物量の調査についても述べさせていただいております。こちらの結果として埋設処分施設規模は75万本規模で維持となりました。また、費用についてはその下の丸でございます。これは前回のバックエンド作業部会でもJAEAより説明させていただき、御審議、御意見等を頂きましたが、総費用については物価等の上昇も踏まえまして2,243億円から2,900億円に見直すという、このような試算を提示させていただきました。
21ページですが、今後の取組としましては大越先生からも御意見いただきましたが、引き続きJAEAとしては立地の選定に向けた取組をしっかりと進めていくということ、その中で総費用の見直しも含めて引き続き必要な計画の変更手続もそうですし、また引き続き必要な手続を進めているところでございます。22ページは今の話を表でまとめたものでございます。
このようにバックエンド作業部会での御議論をまとめさせていただきまして、最後に32ページにて、この文書の改めての御説明となりますが、こちらは今後に向けてという形でございます。この中間まとめは、改めて御説明しますが昨今のバックエンドも含めた原子力を取り巻く国内外の情勢といったものを俯瞰した上で、文部科学省が推進する原子力科学技術の方向性について、バックエンド作業部会も含めた各作業部会での御議論をまとめたものでございます。なお、今後は各作業部会の親委員会である原子力科学技術委員会でもこちらの政策の方向性の中間取りまとめ案について審議を行う予定となっております。
こちらの二つ目の丸でございますが、バックエンドを含めた5つの重点施策というのは、文部科学省として今後重点を置いて取り組むべき主要施策としております。引き続き原子力科学技術委員会やこのバックエンド作業部会において、特に新試験研究炉や常陽、廃止措置を含むバックエンド対策、人材基盤の強化といったものについてご検討を進めていただき、その結果も踏まえ、今後、文部科学省、JAEA等におきましては、令和7年度の概算要求も念頭に、こちらの今後の取組に係る基本方針等を含めまして、その具体化を図っていくということを進めていきたいと考えているところでございます。そういった意味で、これまでバックエンド作業部会で御審議いただいた内容も含めまして、文部科学省としてこのような形の政策の方向性というドキュメントをまとめさせていただきました。繰り返しとなりますが、引き続き必要な予算確保、令和7年度の概算要求も含めまして予算確保等を進めて、ぜひこういった施策の具体化を進めていきたいと考えているところでございます。
以上、簡単となりましたが資料2-1の内容でございます。資料2-2につきましては、こちらもこれまでのバックエンド作業部会を含めました各作業部会において提示させていただいた資料等を再構成したものでございますので、ここでの説明は割愛いたします。以上、大変駆け足且つ短いものでございますが、私からの説明は以上でございます。どうもありがとうございました。
【出光主査】 御説明ありがとうございました。では、ただ今の御説明に対しまして御質問あるいはコメントがございましたらお願いいたします。どなたかございますでしょうか。大越委員、どうぞ。
【大越委員】 大越です。御説明ありがとうございました。特別な意見というわけではないのですが、廃止措置に非常に時間とお金が掛かるということは個人的に理解できるのですが、相当な金額を廃止措置に投入しなくてはならないということを、広く国民の方々に御理解をしていただいて予算確保等をしていくために、ぜひともその廃止措置がどんな形で計画に対して進捗しているのかということを見えるような形で広く公開していただけると、廃止措置に関して皆さんの関心も深まる、あるいは廃止措置に対して予算が掛かるということに関しての御理解も得られやすくなると個人的には思っておりまして、ぜひとも廃止措置の進捗状況が分かる形で公表をしていただくことを御検討いただければと思います。
また、廃止措置に関してはJAEAさんの方でいろいろと技術開発をされると思いますので、それについては技術伝承も含めた形になるかもしれませんが、広く技術の公開をしていただくことで小規模の核燃料施設あるいはRI施設の廃止措置に転用可能な技術というものも出てくるかと思いますので、ぜひとも技術開発の結果については広く世間で利用できるような形にしていただければというお願いでございます。以上になります。
【鈴木室長】 ありがとうございます。文部科学省の鈴木でございます。今御指摘いただいたような形で、廃止措置についてどんな形で行われるのか、理解を得ていくためにどんな形で知っていただくかということについては、JAEAの方とも相談しながら、取組について広く広報していきたいと考えているところでございます。また引き続き大越先生含め、委員の皆様からの御指摘を踏まえながら、こちらの廃止措置についても文科省としても確実に措置をしていきたいと考えているところでございます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございます。ただ今の御質問についてJAEAさんの方から廃止措置の進捗、状況の公表とかについて何か御意見はございますでしょうか。
【目黒部長(JAEA)】 JAEAの目黒です。御指摘どうもありがとうございました。JAEAの廃止措置は時間も掛かるし費用も掛かるということで、なかなか進んでいないところもあって、あまり公開できていなかったところは御指摘のとおりだと思いますので、今後はしっかりと公開していこうと思っております。比較的予算が付いて進んでいるふげんのようなところは計画に対してどの程度進んでいるかというところはしっかりと公開ホームページ上で紹介させていただいています。中小施設についてはここ数年ようやく廃止措置促進費等で優先施設を絞って進めることで進捗状況がだんだん見えるようになってきましたので、そこのところを今後しっかりと公開していければと思っておりますので、引き続きその公開内容が不十分であるとかそういったところを御指摘いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。大越委員、よろしいでしょうか。
【大越委員】 了解いたしました。ありがとうございました。
【出光主査】 井口主査代理、どうぞ。
【井口主査代理】 元名大の井口です。御説明ありがとうございました。廃止措置の促進に力点を置いてこれから進めていくということについては理解しましたが、廃棄物の仕分けの技術とか再資源化などをもう少し露わにできないのかなという印象を持ちました。今この文章で御説明を伺っていると、全部廃止措置で出てきたものについては処理処分をして埋設にもっていくようなイメージを持つわけですが、その中でも有価物は当然あります。それをもっと有効活用できるということをこのバックエンドの中で訴えないと、ネガティブな印象だけが残ってよくないのではないかという気がしました。その辺りについてはこの報告書の中でどこかに記載があると思ってよろしいでしょうか。その辺りについて教えてもらえませんでしょうか。
【前田原子力連絡対策官】 文部科学省の前田でございます。先生がおっしゃいましたように有価物再利用という形で、例えば19ページなのですが、既に廃止措置が進んでいるふげんの方はクリアランスの実施というものも施策としては入れているところでございます。原子炉系の解体廃棄物はコンクリート、鉄材がクリアランスに利用できるということで、これまでもクリアランスを電力も含めて実施してきたノウハウがありますので、今のところ、JAEAにおいても、ふげん、いわゆる原子炉系の廃棄物のクリアランスという形で進めてきているところもあります。一方で研究施設等廃棄物等のクリアランスの部分については、17ページにも入っている部分がありまして、こちらの方でもやはり発生量の低減化とクリアランスで積極的に活用するという方向性も示させていただいているところでございます。以上でございます。
【井口主査代理】 ありがとうございます。今御説明いただいたようなものなのですが、クリアランス以外にももっと資源として活用できるものがあるのではないかと思います。従来は廃棄物として捨ててしまうようなものについても使えるものがあるようなものを研究してもらうことなど、そういうところにもこのバックエンド作業部会としては研究開発の手を差し伸べるというようなことが必要ではないかと思うので、資源として使うような研究開発を推し進めるようなところもどこかで「見える化」してもらうとよいかなと思います。クリアランス以外の有価物として使うことに対して国としてもプッシュしますよというようなメッセージがどこかで見えるとよいかなと思いました。以上です。
【前田原子力連絡対策官】 ありがとうございます。廃棄物の発生量の低減というものについては、いわゆる管理区域からの発生だけではなくて先生のおっしゃられたとおり、発生したのだけれども実際にこれは使えるとか、やはり線源もすぐ捨てるのではなくて、再利用できるものもあるのではないか、それもまた低減の一つかと思っています。そういったこともぜひ進めていきたいと思います。どうもありがとうございます。
【出光主査】 ありがとうございました。私も前回少しお話ししたと思いますが、ラジウムは非常に国際的に価格が上がるということがございますので、廃棄物の中で例えばラジウム系の廃棄物を集めて試算の評価をしてみるなど、そういったことも必要かなと思いました。
【前田原子力連絡対策官】 文部科学省の前田でございます。ラジウム系はウラン鉱石、鉱山、そういったものに関連するものもありますので、技術的な部分についてもしっかりと検討し、できるものを進めていきたいと思います。どうもありがとうございます。
【出光主査】 ありがとうございます。他、どなたか御意見、御質問等はございますでしょうか。佐々木委員、どうぞ。
【佐々木委員】 京大の佐々木です。御説明ありがとうございました。細かいところですが、22ページの③のところなのですが、大学や民間企業には少量の核燃料物質を扱う施設の中でも既に保管するのみの状態にあって維持管理に大変苦慮している現状があるということは、これまでの作業部会の調査の中で確認してきたところかと思っています。
私からは一点、これは国へのお願いということになるのかもしれないのですが、中間まとめ案の特に集約化の今の記載のところですが、まずはこうした施設が持っている潜在的なリスクの分析というのを更に進めていただいて、その低減に向かって何をどう支援するとこの施策が前に進むのかと、もっと具体的な絵を示すべき時期に来ているのではないかと思っております。ぜひ御検討いただければと思います。私からは以上です。
【前田原子力連絡対策官】 文部科学省の前田でございます。今先生がおっしゃられましたとおり、こちらの22ページの③、少量核燃料物質の集約化・安定化は非常に我々も重要な取組だと考えております。原子力委員会の基本的考え方においても、その中でその重要性、必要性を提示しているところでございます。先生がおっしゃられるように文科省としてもぜひ進めていきたいと考えております。こちらに書いていますように人材育成、核燃料を取り扱う人たちの高齢化といった課題があると考えております。そういった意味でも、まずは人材育成もしつつ実際の大学での集約化といったものを支援するために必要な取組を進めていきたいと思います。御意見どうもありがとうございました。
【佐々木委員】 よろしくお願いします。
【出光主査】 ありがとうございます。それでは、吉田委員、どうぞ。
【吉田委員】 日立の吉田です。今日もありがとうございました。今の佐々木先生の御意見、コメント等に併せてなのですが、大学と同様、民間企業、我々日立、それから中小の方々におかれましても、この放射性廃棄物の問題は非常に重要で、かつ先ほどの人材の高齢化、それから今後の処分が長引いていることによる費用の増大といった問題がありますので、できるだけ早めの対策を頂ければと思うところでございます。以上、私からの要望です。
【前田原子力連絡対策官】 文部科学省の前田でございます。埋設処分も含めまして、このバックエンド全体をしっかりと進めていくことが必要だと考えております。御意見どうもありがとうございました。
【出光主査】 ありがとうございます。他はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ほぼ時間どおりになっております。特になければ議題2はこれで終わりにいたします。特に追加はございませんね。ありがとうございます。それでは、「その他」は特に何かございますでしょうか。 なければ、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【吉井係長(事務局)】 事務局です。本日の議事録につきましては準備ができ次第、御出席の皆様にメールにて御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載いたします。また、次回の作業部会の開催については、改めて御連絡をいたします。以上です。
【出光主査】 それでは、第9回の原子力バックエンド作業部会をこれで終了いたします。皆様、お忙しい中ありがとうございました。
―以上―
研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室