原子力科学技術委員会 原子力バックエンド作業部会(第8回) 議事録

1.日時

令和6年6月19日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省東館15階特別会議室及びWebExによるオンライン(ハイブリット方式)

3.議題

  1. 原子力機構のバックエンド対策の取組について
  2. 原子力機構の廃止措置の促進について
  3. 研究施設等廃棄物埋設事業について
  4. その他

4.出席者

委員

出光主査、井口主査代理、赤井委員、足立委員、飯本委員、大越委員、織委員、葛西委員、児玉委員、佐々木委員、吉田委員

文部科学省

清浦審議官、奥原子力課長、鈴木放射性廃棄物企画室長、吉井放射性廃棄物企画係長

オブザーバー

塩月 バックエンド統括本部長代理、目黒 バックエンド推進部長、小野瀬 埋設事業センター長、坂井 埋設事業センター 副センター長、中澤 バックエンド推進部次長、北川 廃止措置推進室長、田中 廃止措置推進室 技術主幹、藤平 廃止措置推進室 技術主幹、石川 廃棄体化推進室 技術主幹、山下 廃棄体化推進室 技術主幹、岡野 埋設事業センター 副センター長、坂本 埋設事業センター 技術専門官、仲田 埋設技術開発室長

 

5.議事録


【吉井係長(事務局)】定刻になりましたので、第8回原子力バックエンド作業部会を開催いたします。今回の作業部会は、対面及びオンライン併用のハイブリッド方式で開催いたします。これに関連して確認事項等がありますので、議事に入る前まで事務局にて進めさせていただきます。まず、本日は御欠席の連絡を頂いている中熊委員を除き委員長12名中11名の御出席を確認しております。運営規則の第3条に規定されている定足数の過半数を満たしておりますのでご報告いたします。また、本日は資料の説明及び質疑応答のため日本原子力研究開発機構からオンライン参加の方を含め塩月バックエンド統括本部長代理他13名に御参加いただいております。
次に、開催にあたりまして御出席者、傍聴者の方々へ留意事項を御説明いたします。一つ目、オンライン参加の委員におかれましては、現在遠隔会議システムWebex上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。会場内モニターにて皆様の映像を投影しております。御発言を予定される場合は、挙手ボタンを押していただくと画面の左上に挙手マークが表示されますので、順番に主査より御指名を頂きます。御発言を頂いた後はもう一度ボタンを押して挙手マークが消えるように御協力をお願いいたします。二つ目、会議中マイクは発言時のみオン、及びビデオにつきましては常時オンにしていただければと存じます。通信状況が悪化するような場合につきましてはオフにしていただいて構いません。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた場合は、随時事務局宛にお電話にて教えてください。三つ目、現地参加の委員におかれましては、御発言の際はお近くのマイクを用いて御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらマイクの電源をオフにするようお願いいたします。また、お配りしている資料や機材に不備がございましたら審議中でも随時事務局にお申し付けください。四つ目、傍聴される方におかれましてはビデオ映像及び音声はオフとなるよう事務局にて設定しておりますが、万が一議事進行の妨げとなるような行為を確認した場合は遠隔会議システムからご退席いただきます。最後に五つ目、議事録につきましては事務局にて会議を録音し後日文字起こしをいたします。そのため、御発言の際は御面倒ではございますが対面、オンラインを問わずお名前から御発言いただければと存じます。事務局以外の方の会議の録画及び録音はお控えください。以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
続きまして事務局の方で人事異動がございましたので、簡単にご報告いたします。まず、4月より研究開発局担当の大臣官房審議官に清浦が着任しております。
 
【清浦審議官】 清浦と申します。よろしくお願いいたします。
 
【吉井係長(事務局)】 併せまして5月より私吉井が原子力課放射性廃棄物企画係長に着任しております。よろしくお願いいたします。異動は以上になります。
続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。今回はお手元の議事次第にございます9点の配布資料を机上に配付しております。オンラインの委員の先生方及び傍聴登録をされた方には事前にメールにてお送りしております。手元の資料を御確認いただき、不備がございましたら事務局までお知らせください。その他ございましたら随時お申し付けいただければと思います。
それでは、これより議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても後日文部科学省のホームページに掲載させていただきます。事務局からは以上です。ここからは出光主査に議事の進行をお願いしたいと思います。出光主査、よろしくお願いいたします。
 
【出光主査】 ありがとうございます。それでは、これから出光の方が進行を務めさせていただきます。本日は議題が四つございます。第1の議題から進めたいと思います。最初の議題は「原子力機構のバックエンド対策の取組について」ということで、原子力機構のバックエンド推進部の目黒部長から、資料1の説明をお願いいたします。
 
【目黒部長(JAEA)】 原子力機構の目黒です。よろしくお願いいたします。本日は原子力機構の第4期中⻑期⽬標期間中におきますバックエンドの進捗状況をまとめてご紹介させていただきます。限られた時間でありますので、既に前の作業部会等でお話しさせていただいている事項に関しては簡単に御説明いたします。また、前回の作業部会において頂いたコメントについては、個々の対応条件は御説明しませんが、可能な限り資料中に記載させていただいております。また、口頭でも補足させていただければと思っています。また、事前に資料に関して頂いたコメントにも口頭でできるだけ説明していければと思っております。それでは資料の説明に入ります。
資料をめくっていただきまして3ページからです。バックエンドの全体像ですが、当然皆さんよく御存じだとは思いますが、バックエンドというのは施設の運転及び廃止措置からいろんな廃棄物が発生します。これらの廃棄物を保管・管理した後、処理、廃棄体化して埋設処分等にもっていくというものです。バックエンドの全体を計画的かつ合理的に進めるためには、三つの事業を連携して進めることが必要となっています。現在我々は、短期的には全てを同時にできませんので、優先的な事業へのリソースの集中投資によるバックエンドの推進を行っておりますが、将来、サプライチェーンの獲得も含めてしっかりやっていくには予算の裏付けのある長期的な対策・計画を策定していく必要があり、それに関しては資金確保が重要な課題になっております。この件に関しては資料2で御説明があります。
ページをめくっていただきまして、現在の廃止措置の状況を御説明させていただきます。まず廃止措置に関してですが、何度かお話しさせていただいていますが、リスクの低減を最優先としてPu(プルトニウム)系とグローブボックスの使用履歴のある施設を優先施設に選んで廃止措置を今進めております。その中でも再処理特別研究棟とプルトニウム研究1棟の2施設をモデル施設としています。この2施設は原科研の施設ですが、原科研の中でプロジェクトマネジメント体制をしっかり作っていただいて、今までここを管轄していた課室のみで進めていくのではなくて、発生した廃棄物であるとか、放射線管理であるとか、他は電気的、施設的な話もありますので、トップに副所長をあてたプロジェクトチームを作り、我々バックエンド統括本部と連携を取りながら廃止措置を確実に進めているところです。当初の計画通り順調に進んでいて、プロジェクトマネジメントもしっかりと機能しているかと思っているところです。その中で、複数年契約など様々なところを試行しまして、こういった成果を基にその他の廃止措置施設に反映して機構全体のバックエンド廃止措置を円滑に進めていきたい。こう考える中で統括本部みたいな本部組織だけが声を上げても実際にはなかなか進まなくて、廃止措置も廃棄物処理も現場でやらなければいけませんので、今回研究開発とバックエンドを両方持っている茨城3拠点(原科研、核サ研、大洗研)といったところにはしっかりとプロジェクトチームを作っていただいて、そういったところとバックエンドの重要性を認識してもらいながら拠点内でしっかりとチームを組んでやってもらえるような形でやっておりますし、そのためには昨年度は毎月のようにプロジェクトチームと議論をし、問題点を共有しながら進めてきております。また、こういったバックエンドは長期にわたりますから、こういった実績データはきちんと将来に伝えていかなければいけませんので、全拠点で利用する廃止措置の実績等のデータベースの構築もかなりのところで進んできております。
次のページですが、もう一つの課題は、限られたリソースの有効利用ということで、なかなか人も予算も足りていない状況ではありますので、先ほども申しましたように優先施設を決めてしっかりと進めているということと、拠点にプロジェクトチームを作ることで、拠点の中でもしっかり考えて人とお金を充ててもらう方向で今話を進めております。複数年契約による工期短縮も実現していますが、今は小規模施設のようなところは一括契約で廃止措置まで、先ほど言ったように原科研のプルトニウム研究1棟は今年から4年契約に進みましたが、その4年で廃止措置が終了いたします。また、中規模で10年クラス掛かるものに対し10年通年契約というのは厳しいですが、工程を区切って三つ、四つの複数年契約を繰り返しながら進めていくことで、再処理特研や核サ研プルトニウム燃料第二開発室というところは今も複数年契約で最初の作業を進めているところになります。また、こういった限られたリソースをやはり有効に使うには費用削減もしっかりやっていかなければいけません。職員によるできる範囲、内作でやっていくことなど、後半でお話ししますような技術開発によるコスト削減も目指します。
民間企業の活用ですが、民間企業にもいろいろ研究計画の立案から御協力いただいているところもありますし、複数年契約を今まで数年継続することによって、安定した廃止措置の業務があるということで、昔は一社応札しかなかったのですが、今は小さな地元の企業も含めて複数応札してくれるようになりました。かなり我々の活動がシフトしてきているなというふうに感じています。
また、人材育成に関しても、初めて廃止措置に接する人も多いので、そういった若手職員等を中心に廃止措置講座も開催しています。その廃止措置講座を受けた人が実際の廃止措置に携わっていくことになっていますし、そういった人には民間の資格でありますプロジェクトマネジメント資格も取っていただくようにしていまして、かなりの人数がPMCとかPMSといった資格を取得して、実際にそういった資格を持った状態で廃止措置に臨んでいるようになっています。
ページをめくっていただきまして、次は廃棄物の廃棄体化のところです。我々は歴史がありまして、とても大量の廃棄物を保管しております。それを各拠点にて管理していたのですが、それだとなかなか一か所に埋設する廃棄物処分まできちんとした計画を立てづらいということで、昨年から廃棄物トータルマネジメントシステムというものの構築を目指しております。これに対してまた別途機会がありましたら御説明させていただければと思っておりますが、昨年度は各拠点で保管している廃棄物のリストといったものを機構のイントラで各拠点が見られるような状態まで持っていくことができております。今年はそういった廃棄処分フローであるとか廃棄体仕様に係る情報を機構全体で整理できるようなものを作成しております。そういう意味では廃棄物の情報に関してはデータ化できているのですが、今までの廃棄物の処理の作業記録等はまだ紙ベースになっておりまして、このあたりをデータ化していくことが課題と思っております。
今まで各拠点で廃棄物処理をしておりましたが、それだと最終的に処分に向けての基準に合致したものができないこともありますので、廃棄体作製に必要な基準類の整備も着実に進めております。いろんなタイプの廃棄体を作りますので、優先的に作るものから順次廃棄体確認要領等を整備したり、廃棄体作製の基準等も準備して進めてきております。
今、廃止措置が進んできていますので、解体廃棄物も大量に発生します。昔は解体したものはそのままドラム缶に詰めていただけだったのですが、当然その後でもう1回ドラム缶を開けて分別するなどということは無駄な作業ですので、解体時にしっかりと分別できるように解体廃棄物の分別マニュアルを整備して、廃止措置中に不適物をしっかりと除去したり、記録を作ったりします。
次のページに一例ですが廃棄体作製に係るドラム缶内容物の記録というのを解体時からしっかりと作っていくということで、分別作業責任者は機構内の資格ですが、こういった基準で作って分別作業員にもしっかりと教育・訓練を行った上で進めております。
次のページでは、合理的な廃棄物処理処分というのは重要でして、廃棄物を我々は大量に持っていますから、これをどかしながらやっていくのはいくらお金があっても足らないということです。廃機体製造施設の集約化というのもテーマに挙げています。まだなかなか進んでないところはありますが、各拠点の状況、処分の状況等を見据えながら集約化も含めて検討を今進めているところです。
廃棄物処理処分の合理化ですが、廃棄物のキャラクタリゼーションというのは処分に向けて大変重要な項目で、研究炉に関しては、原科研と大洗にありますが、それぞれ違ったやり方をしていたりするところもありましたので、統一的なやり方で進めるような話も進めています。加えて、昔はドラム缶に入れてしまったものは中身が分からず、都度開けて中を確認していたのですが、技術開発を行って内容物がある程度分かるようになり、主には有害金属である鉛や水銀などを確認するのですが、実際開けてみると10%程度しか入っていないものも全部開けていました。このX線CTで開けるものをしっかりと選ぶことができると作業がかなり効率化されるということになっています。質問の中で解体廃棄物にPCBがあるかということですが、我々の過去の記録を見ると廃棄物にPCBはまず入っていないだろうと思っています。PCBが入っているような装置は、金属でできていますから、そういう形状を認識するとある程度認識できるかと思っているところでございます。
廃棄物の低減には、クリアランス制度の活用が重要になっています。クリアランスは国の制度がしっかりとできておりまして、放射性廃棄物で扱わなくてよいクリアランスレベル以下のものは一般の廃棄物に合わせるような法律にはなっています。この法律もどんどん改定されて昔は金属とコンクリートぐらいしかできなかったのですが、今は全ての固体物はクリアランス化ができるようになっています。今の大きな課題は自主規制でクリアランス物は原子力事業者の中で使うということになっていて、なかなか使い道が見つからないというところです。また、クリアランス金属を加工してくれるメーカーに風評被害等がありましてなかなか見つからないのです。そのようなところを資源エネルギー庁、電力各社と一緒に、資源エネルギー庁でも国プロの中でも参加しながら利用促進の啓蒙活動等をやっています。これに関しては、御理解を頂いたところには原子力事業者外でもこれを置けることになっていますので、今は福井県の方も積極的に協力していただいていまして、高校の電灯のカバーとかサイクリングロードの自転車の止めのサイクルラックであるとか、そういったものを作って現地に置いております。そういったところにも我々では敦賀地区のふげんから出てきたクリアランス金属を提供して、参加しているという状況です。後は廃止措置をやると放射性廃棄物ではないNRというものも出ます。これはもう国の規制ではないのです。自主的に絶対それは汚染されていないという中で処分していくわけですが、それを機構内で統一した基準でやれるように、昔保安院が作った指針はあるのですが、かなり古いので、しっかりと今風に読み替えて各拠点ができるような状態になっております。
最後は技術開発の進捗状況です。これは前々回ぐらいにお話しさせていただいていますが、バックエンドロードマップを作って、機構内でニーズとシーズの調査をしながら、今早期実装ができて効果が高いと実際に示している9点で進めています。これから外部といろいろ連携していかなければならなく、やり方はまだ確定していないところもあるのですが、昨日(6月18日(火))NuROと協力協定の締結ができましたので、ホームページで締結したことを事実として公開しております。今後どうやって進めていくかということで当面我々の技術を紹介して向こうのニーズを聞きながらいろんな技術開発も一緒にやっていければよいなというようなところも考えて進めているところになっております。以上です。
 
【出光主査】 御説明ありがとうございました。それでは、只今の御説明につきまして御質問あるいはコメントがございましたらお願いいたします。大越委員、お願いいたします。
 
【大越委員】 大越です。御説明ありがとうございました。いくつか御質問とコメントをさせていただきたいです。まず、廃止措置のところで、廃止措置に原子力機構さんとして非常に熱心に取り組まれているという状況が分かりました。その上で、一生懸命取り組んでいただいているのですが、施設数が多いということもありまして、廃止措置に要する期間が非常に長期にわたるということで、若手の人材育成等の話で技術継承が書かれているのですが、廃止措置で得られた知見を文書化等することによってノウハウを次世代に確実に伝えるようなことを検討していただければということでお願いしたいと思います。データベースシステム構築を進めているといった辺りにノウハウの話もあるのかもしれないのですが、実際に技術開発したところや実施した結果については文書化しておくということが重要かと思いますので、その点をお願いできればと思います。
2点目の廃棄体化なのですが、6ページのところで「③ 廃棄体の製作」ということで解体廃棄物の話が出てきて、ここに濃度の話が出ていないのですが、解体廃棄物についてはなるべく解体時に濃度のデータを取っておくということが重要かと思って、やられているのかもしれないのですが、その点が明示的に書かれていなかったので確認のために質問させていただきました。
また、廃棄体確認要領案とか分別マニュアルというものを作られているということなのですが、特に廃棄体確認要領案については規制の審査を考慮したというような形で書かれていて、将来の処分を見据えたような形で作成されているというように読み取れました。こういったことが、将来的にはJAEAが行う埋設処分場の廃棄物受入れ基準の方につながってくるのではないかと思いますので、こういった確認要領案についても広く公開することによって、JAEA以外の廃棄物発生者が処分場の受入れ基準を満足するための廃棄体化の作製作業あるいはその準備が行えると考えますので、ぜひともこういった確認要領等については公開していただけると助かるなというところでございます。以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【出光主査】 ありがとうございました。それでは、目黒さん、回答をお願いいたします。
 
【目黒部長(JAEA)】 コメントを頂きましてどうもありがとうございました。廃止措置の技術継承は委員から御指摘いただいたとおりでありまして、我々も長丁場ですのでしっかりとノウハウ等を引き継いでいかなければいけないということで、システムは作っていますが、ただ単にデータを入れただけでは意味がなく、後継者が見て分かるような形に作り込んでいかなければいけないということで、いろいろこれから試行錯誤していかなければいけないとは思っています。どこかの機会で見ていただいてコメントをいただければなとも思っております。
解体廃棄物の濃度測定ですが、分別マニュアルしか紹介しませんでしたけれども、解体廃棄物はどこから取ってきたかという記録と共にサンプルを取っています。資金的なこともあってすぐに分析はできないのですが、必要な数を評価してサンプルを取ってありますので、適宜必要に応じてそれを使って濃度評価をしていく予定でおります。
廃棄体の確認要領等ですが、機構由来の廃棄物がありますので、考え方等においては規制庁との監視チーム会合で少し紹介してコメントをもらいながら、審査ではないのでなかなか明確な答えを頂いていないところもあるのですが、規制庁側も機構にいろいろな廃棄物があるというのをご理解いただけていますので、今後とも規制庁とも打ち合わせながら、確認要領等を作る上では廃棄物処理側だけではなくて廃棄物処分側とも頻繁に議論を交わしながら検討を進めておりますので、見せられるような段階になれば見せていければと思っております。どうもありがとうございました。
 
【出光主査】 ありがとうございます。大越委員、よろしいでしょうか。
 
【大越委員】 はい。ありがとうございました。
 
【出光主査】 では、織委員、お願いいたします。
 
【織委員】 ありがとうございます。バックエンドに向けてマネジメントですとか技術的にいろいろ開発をしていらっしゃることがよく分かりました。ありがとうございます。初めての取組でもあり、また、先ほど先生がおっしゃったようにこれから知見を溜めていかなくてはいけない部分なのですが、研究施設だけではなくて商業施設も今廃炉の時期を迎えて、美浜も含めて廃炉措置が進んでいる中で、オールジャパンで考えてきたときに、マネジメントですとか技術的なものというのはコラボできる部分がかなりあるのではないかと思うのです。そのコラボの状況といいますか、もちろん研究施設との違いは大分あると思うのですが、マネジメント的なところで資金も含めて、かなり協力できるところですとか、あるいは向こうの知見がこちらに役に立つことというのもあると思うので、オールジャパンで考えるというアプローチについてどうなっているのかという点が一点です。特にドラム缶の中のPCB、水銀といった原子炉規制ではない化学物質について別法律になっていくところについての仕分けというのはかなり難しい部分があるかと思いますが、ドラム缶を開けないでという手法が本当に確立できれば、向こう側にとっても短縮にもなるかというふうに思っておりますが、コラボの状況の辺りを教えていただければと思います。
 
【出光主査】 目黒さん、よろしいですか。
 
【目黒部長(JAEA)】 ありがとうございます。先ほども少しお話ししましたが、新たに商用炉の廃止措置を統括するようなNuROの組織が出来上がりました。そこと協力協定を原子力機構は結んでおります。その中でどういった協力ができるかというのをお互いに議論を交わしておりまして、まだ出来たばかりだというところもあってNuRO側の方が電力の情報を集めて、そして我々の情報を入れて、NuROでまとめながら、お互い勉強会などをやりながら、まず情報共有から始めましょうという話も進めています。将来的には技術開発等にもつなげていければよいなというところで、マネジメントのところまでまだなかなか踏み込めてはいないのですが、オールジャパンで少しずつ取り組んでいけるような環境ができつつあるという状況になっております。
廃棄物の分別とか測定に関しては、我々は研究機関だったのとやはり歴史が古いので、それこそ水銀とか鉛が混ざっているものが多いのですが、電力側にそれがあるかというとよく分からないところもありまして、それも含めて電力側のニーズもこれからしっかりと聞き取っていきたいと思っておりますので、その中で協力できるところを一緒にやっていければと思っております。以上です。
 
【織委員】 ありがとうございます。これからどちらも取りかかりはじめているところなので状況が分からないところはあるかと思います。なるべく早く合同でやっていかれた方がよいと思うのです。結局後から情報を擦り合わせるというよりかは、当初からどこが相違点でどこが同じようなところでどういうところを一緒にできるのかとか、研修にしても別々にやる必要はなくて、資金の合理化にも関わってくるのですが、商用施設と一緒にやることによってマネジメントや研修等を合理化できる道もあると思うのです。ですので、まず両方がそれぞれ体制を確立して情報交換というのではなくて、最初からオールジャパンで原子炉のバックエンド含めやっていくという、イノベーショナルな取組が多分必要になってくるのではないかというふうに思っております。以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございました。他よろしいですか。では、塩月さん、お願いいたします。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 原子力機構の塩月でございます。コメントありがとうございます。織先生の冒頭で現状どんなふうにやっているのかという御質問にお答えができていなかったと思いますのでさせていただきますと、機構の場合は、ふげん、もんじゅ、再処理という三つの大きい廃止措置プロジェクトがあり、そのうち一番進んでいるのがふげんでございまして、具体的にふげんの場合にはやはり商用炉の中では一番進んでいるせいなのか分かりませんが、中部電力と協力した取組をかなり前から取り組んでおりまして、相当細かいレベルで原発サイクルの情報交換はしてきております。我々としては、先ほど目黒の方からも話がありました電力会社をNuROという新しい組織の中で廃止措置に関わるところのいろいろな技術の集約を図るという動きの中で、これまでの具体的に動いていることも含めて、その中でやはり全体的にオールジャパンでという言葉に合うような形で、技術開発だけでなくて、今はマネジメントも含めてということですので、あるいは技術継承を含めた教育とか、その点につきましてもいろいろやれるもの、提案もできるかと思っております。まだ協力協定を結んだばかりといいながらも、この法律が出来上がったのが去年。その前の段階からいろいろとふげんの実例とか我々の技術開発の情報共有というのは電事連さんともう何回もさせていただいていますので、これから具体的にそういうのを立ち上げるというような側面もあったかと思います。
先ほど先生の方からも御指摘があった、その中でも技術継承のために記録化あるいは情報としての集約化というのも必要だというのは我々の方も非常に思っております。一例が再処理特研で定点カメラを数カ所付けて、映像記録を早送りすると数分間でグリーンハウスの設営から最後の撤去までが分かるような状況でした。実際には現場は狭い空間にグリーンハウスを設けて解体作業も除染作業も行いますので、安全面を管理するためにそういうカメラを複数置いて、いわゆるコントロールタワーのような形で作業状態を確認しながら、場合によってはそこからマイクでアラームを出して作業を止めるとか、そういうために定点カメラを最初は付けたようなのです。その映像記録を最後に編集して、こんな形で作業を進めていますというようなこともやっておりますので、文書化という御指摘は記録化ということだと思いますので、いろいろとやはり我々も世の中の新しい技術を用いながら、単にいわゆる紙だけのマニュアルだけではなく、技術がうまく伝わるような形の工夫というものも行っていきたいと思いますし、そういう点も含めて電力さんともいろいろな協力があるかと思います。以上、補足させていただきました。
 
【出光主査】 補足ありがとうございました。他ございますか。 では、吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】 日立の吉田でございます。ありがとうございました。今の塩月様の回答にも関係するのですが、今回の7ページ目に一例ということでドラム缶内容物の記録の様式がございました。おそらくドラム缶1本当たりにこの1枚が出るということで、膨大な枚数が溜まっていくと思いますが、これらの管理として今はやりのAIですとかビッグデータの活用ですとか、そういったことも考えてはいらっしゃるのでしょうか。
 
【目黒部長(JAEA)】 御指摘いただいたとおり過去の分も含めて我々が持っているデータは莫大でして、これから増えていったときに、古いデータと有用なデータ、新しいデータをどのように選別して、次使う人はその莫大な中から選ぶのはすごく大変なのですね。そういうところにAIは活用したいと思っていますが、まだ考えている段階で具体的なところにまでは行っていないですけれども、これは確実にやっていかなければいけない課題だと思っております。
 
【吉田委員】 ありがとうございました。
 
【出光主査】 では、佐々木委員、お願いいたします。
 
【佐々木委員】 佐々木です。御説明ありがとうございました。2点コメントなのですが、一つはマネジメントについてです。今進めていらっしゃるモデル事業の結果として、その後後ろに控えている多くの施設に今後うまく反映されていくのだろうなというふうに期待はしております。廃止措置の全体の実施計画のようなことをこれから策定していかなければいけない段階に入ってくると思うのですが、最大18ぐらいですか、複数の施設で同じような作業工程がバッティングしないように、そのタイミングをうまくずらしながら、タイミングを図って全体最適化をしていくというようなことを考えていらっしゃるのだろうなというようには思います。ただ、根本的なところで少し気になるのは、やはりスケジュールのボトルネックになるような例えば何かしらの非常に高度で専門技能が必要な、そういった人材の不足というのをまず断ち切ることが非常に重要なのかなというように思います。こういった課題というのは民間企業ですとか大学でも直面し得るというようなことだと思いますので、ぜひ持続的な人材確保・育成というのを先導していくことが必要なのではないかと思っています。
もう一つはクリアランスのところなのですが、福井県の方で地元の企業が協力してリサイクルに取り組んでいるということで、再利用先の拡大というのを見据えている、大変参考になる活動かと思いました。これはよい事例なのですが、こうした地域の共同というのがなぜうまくいきつつあるのか、こういった活動をしていただくことによってどのようにクリアランスというものが実際にうまく回っていこうとしているのか、その辺りをぜひ分析していただきたいなと思っております。私からは以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございます。コメントについて何かございますでしょうか。
 
【目黒部長(JAEA)】 コメントどうもありがとうございました。当然ノウハウの継承はしっかりやっていかなければいけないですし、これから廃止措置をいろいろな施設で進めていく上で、今は難しい施設はすぐには手を付けないというところからボトルネックは人なのです。当然我々の職員だけでは回らなくて、サプライチェーンの方々にいろいろ入ってもらって、そのためには継続的な発注が必要なのです。それが継続的であるところを見せていかなければいけないところもあって、最初に少しお話ししましたが、中長期的な計画を見据えるための資金確保というのはどうしても重要です。それでも昔よりはある程度お金があって、今は大体廃止措置には7億円ぐらいを中小施設に向けては掛けているのですが、そういったお金で継続的に複数年契約ができるので、興味があるメーカーさんが増えてきていて、そうすると人を雇っていただいて、そういう人が経験を積んでいくと、経験者と新人とで分けて、できる作業数がどんどん増えてくるのです。そういうところを狙いながらやっていければと思っております。
クリアランスですが、今までいろいろ原子力、発電も含めて進めてきた福井県において、廃炉が増えてきている。では次の原子力ビジネスは何かというところでは、廃炉ビジネス的なところも含めた、向こうで嶺南Eコースト計画というのが立ち上がっていまして、その中でクリアランスもうまく進めていければなと考えております。やはり地元の方の御理解があってようやく進んでいるところがあります。それを見ると、他の県も興味を示します。今中国電力さんのある県が興味を持ってやはり福井県の方に聞きに来ていますし、そういうことで裾野は徐々に広がっているかというところがあります。今メーカーの方にもそれで鋳造メーカーさんがかなり興味を持って、鋳造品はうまくいっているのですが、建材系の方が敷居は高くて、そういうところで何社かは協力してみたいという会社も出てきていますので、そういったところと確実に話を進めながらやっていくのが一つのやり方かと思っております。できるだけクリアランスの認識度を上げていきたいという努力は今後も引き続きやっていければというふうに思っております。以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございます。Webの児玉委員からお願いいたします。
 
【児玉委員】 ありがとうございます。IGPIの児玉でございます。資料の9ページ目に関連して、こちらの方で技術開発に関して外部連携を図っていくということなのですが、具体的に今何か直面されている課題などがあればお聞かせいただければと思います。具体的には、例えば大学に研究者は大勢いらっしゃいますので、どこにどういった技術が眠っているのかが分からないとか、あるいは産業界と連携するにもやはり一定の規模がないとなかなか開発資金が回ってこないとかいろいろ考えられると思うのですが。その一端を教えていただければと思います。
 
【出光主査】 目黒さん、よろしいでしょうか。
 
【目黒部長(JAEA)】 どうもありがとうございます。今まで機構内でニーズとシーズがマッチするものということでやってきましたが、やはり当然ニーズの方が多くてシーズの方が足らないというところがあって、外部にシーズを求めていかなければいけない段階で、児玉委員から御指摘があったように見つけるのが大変だというところはあります。また、当然実用化していかなければいけないので、大学さんだけではなくやはり産業界にも入っていただいて一緒に取り組んでいければなと思っていますが、資金面でもかなり厳しいところがあって、今この9テーマにある程度資金を投入しているのですが、それ以上の資金源がなかなかないというところで、そこも含めて今後うまく調整してバランスよくやっていかなければいけないなと思っているところです。一度にはできないので、一つでも二つでもいいですからテーマをこちらで選んで、それに対して協力していただけるところを探していければと思っております。
 
【児玉委員】 ありがとうございます。この中では商業分野で何か他に技術転用することによって大化けしそうな技術とか、そういうものがあったりするのでしょうか。それともかなりニッチなものが固まっているという感じなのでしょうか。
 
【目黒部長(JAEA)】 原子力はある程度ニッチなものが多いのは確かなのですが、この中ではレーザー技術は世の中が更に進んでいてここから更に発展するというのはなかなか難しいのかもしれません。X線CTなどは今まで医療用でとても高価なものだったのを検出器がもっと廉価にできるような開発もできましたし、画像認識に関しても我々の方で少し開発して少ないデータからできるだけ多く認識できるような形にするということで迅速化、細かくデータを取ると時間が掛かってしまうので、そういったところは場合によってはどこかに応用できるかと思っていますが、応用先を探すのも我々はあまり得意ではないというところもありますので、いろいろとご助言いただけると大変助かります。以上です。
 
【児玉委員】 分かりました。ありがとうございます。
 
【出光主査】 ありがとうございます。井口委員、お願いいたします。
 
【井口委員】 元名大の井口です。御説明ありがとうございました。私の方からは先ほどから議論になっている民間企業の活用について確認とお願いがあるのです。この資料の5ページ目の4のところに、先ほど民間の廃止措置の仕事に対して複数のサプライチェーンの確保、現地の企業の参入という話なのですけれども、この場合、例えば今の対象が原科研と核サ研と大洗研で、この場合東海村近郊でいろいろな企業のサプライチェーンが出来上がっているという理解でよろしいでしょうかという確認です。そのときに民間企業の人材育成を進めているとおっしゃっていますが、その意味は基本的には機構の持っていらっしゃる技術の商用化あるいは技術移転をすることによって、その自ら欲しているような商用技術を斡旋するとか、そういうことを意味しているのかということを聞きたいです。できれば、積極的な活動が増えているということは非常によいので、それをどんどん増やすためには地元企業とのいわゆる技術交流というのを積極的にやっていただいて、もしそういう技術移転が可能だったら、それでまた仕事を増やして、その廃止措置のビジネスのよいところを訴えることによって両方よい形、そういうようなものができるとよいと思っているので、その辺りの状況について教えていただけませんでしょうか。
 
【目黒部長(JAEA)】 本当に素晴らしいコメントありがとうございます。まずは最初の質問への答えですが、基本的に地元の企業が参画してくれています。サプライチェーンの人材教育はまだまだできていないところがあって、そういった機会を増やしていきたいと思っています。一つの試みは、敦賀の方でのスマデコは一般企業の研修も受けています。茨城地区に作れるかというのは難しいところがありますが、我々としても地元の企業ともう少し交流は持ちたいと思っていて、説明会なり勉強会なりのようなものは企画したいと思っております。なかなかすぐに実現できていないところは申し訳ないのですが。
 
【井口委員】 ありがとうございます。先ほど出ている福井県の嶺南Eコーストの構想は私もよく知っているのですが、良いプロジェクトですので、それを福井県だけではなくて全国展開してほしいなというのをすごく思っています。茨城県はこういったことでいろいろと技術もあるし、それから地元企業との関係についても技術交流ですね、そういう廃止措置の仕事でPRしていただくといろいろと全国的に説明していただくとだんだん広がっていくのではないかと思って、そういうプロセスもよいかなというふうに思いました。以上です。
 
【目黒部長(JAEA)】 どうもありがとうございました。検討させていただきます。
 
【出光主査】 他にございますでしょうか。私の方から一点。クリアランスというのは現状リノベにせまられているところもあるかと思いますが、付加価値を付けてより使い勝手が良いものにするみたいなのがあるとよいなと思っております。例えば鉛とかだと遮蔽体としていっぱい使われていると思いますが、時間が経った鉛はバックグラウンドが下がって非常に低バックの測定には適しているというのがありますので、そういう鉛は今どちらかというとごみ扱いですけど古い鉛ほどそういう低バック測定の価値があると思いますので、そういったところの再評価、付加価値の追加、そういう形の非常に測定に適した鉛、そういったものが提供できますというのがあるとよいかなと思います。アイデア止まりで申し訳ないですが。他ございますでしょうか。では、吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】 5ページ目の人材育成のところですが、プロジェクトマネジメント資格の取得は前回私もコメントさせていただきまして、増えているということで非常によい傾向だと思います。先ほど井口先生の方からございましたが、いわゆる廃止措置のビジネスにおいて割とよくあるのが、僕なんかも結構経験しているのですが、建築プロジェクトですとか新設プロジェクト、それから新技術のプロジェクトですね、核融合ですとか。そういったものに比べますとどうしてもこの廃止措置、バックエンドというのはいまひとつ認められにくい立ち位置にございまして、若い方々はいろいろ入ってきていただいているのは非常によい傾向なのですが、モチベーションとか面白さ、興味を可能な限り増やせるような何か企画なり対策をぜひともJAEAさんなどで率先してやっていただければ我々も非常に有益かと思いますので、よろしくお願いいたします。コメントです。
 
【目黒部長(JAEA)】 ありがとうございます。モチベーションはすごく重要だと思っています。まずは進めることが一つのモチベーションになっていて、廃止措置も進めないで管理だけやっているとモチベーションは下がってしまう。実際に廃止措置が始まると皆さん少しずつモチベーションが上がっていくので。ただ、廃止措置というのはやはりなかなか人気がないところは当然あるので、そこの中でどう更にモチベーションを上げていくかというのはよく考えていきたいと思っております。またコメント等あればよろしくお願いいたします。以上です。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 今御指摘いただいたモチベーションというだけではなく、我々管理者はこういう事業をやる上で、一人ひとりに対する評価、そこで得られた組織としての成果に対して適切な評価を組織貢献度として見るべきだと。そのように今の理事長は大きくいろいろな制度を変えてきている。人事評価もその一つなのですが、どうしてもバックエンドというのは負の部分をやって当たり前的なところがなくはない。どちらかというときらびやかな研究開発業務とかJ-PARCとか、ああいうところで何か新しいものができたり、高温ガス炉で新聞にも載ったりする部分はあるのですが、それだけが組織の中で重要性を測る尺度ではない。それはまず組織の中でしっかりと成果を個人としても組織としても評価し、場合によっては褒めるということも極めて重要だと思います。先ほどの技術開発等の議論にもありましたが、どうしてもイノベーティブな新しいものに当たらないなんていう技術開発ではバックエンドでは多く、プルーブンな技術をしっかりとそこで実装しないと意味がない。いくつかはやはりイノベーティブなところに手を出そうというのはあるのですが、せいぜいそれは1割2割であって、8割9割はしっかりとそれが実装できるプルーブンな技術に仕上げていく。となると、世の中に既に使えるものをアプライしていくという部分はどうしても大きいのですが、そういうことも含めて若い人たちの視点があると実はどんどんそういう新しいものを入れていくのです。したがって、技術開発等を本格的に立ち上げたのは昨年度からですが、やはり今は若手がどんどん入ってきていますので、少なくとも機構の中で若手に技術開発をできる環境を我々自身も整えるし、その成果をしっかりと我々が見て評価する。そういうところがマストだと思っています。そういう中で今少なくともこの担当してくれるメンバーのモチベーションが下がっているということは決してありませんので、まずはそれだけは周知したいと思います。
 
【出光主査】 ありがとうございました。織委員、最後にお願いいたします。
 
【織委員】 今のコメントは非常に重要だと思っておりますし、すごく大切なコメントをおっしゃってくださったと思っております。かつてからこのバックエンドの話というのは会社でいえば総務部の仕事のような形のところが若干あって、総務部が引越しをしても誰もできて当たり前だ、時間通りに間に合わなければ責められるというところで、どうやってモチベーションを上げるかというのは正に人事評価の部分だと思うのです。機構としてトップがそのような認識を持っていらっしゃって、粛々と時間通りにやるのが当たり前のことについてしっかりと人事評価ができるというようなシステムは本当に重要なことだと思いますので、今の発言を聞いて大変心強く思いました。ぜひ頑張っていただければと思います。
 
【出光主査】 ありがとうございました。それでは、少し時間が押しておりますので次の議題に移りたいと思います。それでは議題2「原子力機構の廃止措置の促進について」ということで、事務局の方から御説明をお願いいたします。
 
【鈴木室長(事務局)】 文科省放射性廃棄物企画室の鈴木でございます。資料2の方をご覧ください。主要施設以外の廃止措置促進に向けた仕組み整備ということで御説明させていただきます。次のページをお願いします。こちらは主要施設以外の施設の廃⽌措置費用・維持管理費の見積もりということで、前回2月の原子力バックエンド作業部会において原子力科学技術に関する政策の方向性について、バックエンド対策の抜本的な拡充と強化が必要だというところを御説明させていただきました。こちらに書いてありますように機構において、主要施設以外の36施設も廃止措置に移行していく予定でございますが、解体などに係る廃止措置の費用というのが総額1,490億円というところでございます。そして、先ほど目黒部長がおっしゃっていたように年間約7億円の費用となっているところでございますが、そうしますと廃止措置の完了までに約200年、約2,600億円以上の維持管理費を要することになります。こういったところをサプライチェーンの育成・確保の考慮、管理コストの低減の観点で、どういった施設の廃止措置から進めていくかという優先度を決めたり、費用を集中的に措置した場合では、約35年間の期間で維持管理費用として約980億円を要します。こういった場合であれば維持管理費について1,620億円規模の効率化が可能になります。
次のページでございますが、こちらは集中投資シナリオにおけるシミュレーションになります。こちらのシナリオの条件としまして五つあります。現在進めている4施設の廃止措置の実施の継続、それを中断せずに継続すること、後年度負担の大きい施設を実情に応じて優先して廃止措置を実施していくこと、後はサプライチェーンの育成・確保を踏まえたシミュレーションをしているところでございます。ここでの作業期間は先ほど申し上げた約35年。必要な廃止措置費は1,490億円で、その内訳はページ2に書いてあるとおりでございます。そういったものと、維持管理費が980億円で、右のグラフは、一定程度でこぼこがあるところでございますが、廃止措置費として最小で約20億円から最大で約67億円を、直近10年間で投資すれば、集中投資シナリオの対応が可能であるというシミュレーションでございます。
次ページでは、こういった資金確保の在り方ということで、4案を記載いたしました。一つ目に、市中銀行からの長期借入や債券発行というところでの対応。こちらの課題としては債務保証が必要であったり、機構法の法律上の制限で、長期借入の用途は限定されているといったようなことがございます。また、二つ目にPFIの契約を検討することも考えられるところです。こちらの課題は、特別目的会社の借入に係る金利上昇による総額負担増の可能性、民間企業と廃止措置以外の事業との組合せが必要になってくるということが考えられます。三つ目に積立金制度ですが、こちらも課題としては、中長期に廃止措置を行う施設については 維持管理費の削減効果が低いこと、積み立てるにあたって廃止措置勘定の創設などいろいろなルールの策定が必要であるところでございます。また、四つ目、廃止措置に係る補助金等による資金の確保では、課題として主要施設以外の36施設の廃止措置について、今般このタイミングで新たな補助金が必要だということの合理性についての整理が必要でございます。維持管理費の低減ということで廃止措置にあたっての資金確保の在り方については引き続き検討を進めていきたいと考えているところでございます。説明は以上でございます。
 
【出光主査】 御説明ありがとうございます。それでは、ただ今の御説明に対しまして御質問、コメントがございましたらお願いいたします。どなたかございますでしょうか。では、吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】 日立の吉田です。2ページ目の一番下の予算変動要因についてなのですが、「物価変動や研究開発、複数年契約等による合理化など」ということで、合理化の観点があるのですが、この変動要因のもう一つ、廃止措置でありがちなのが、事前情報の欠如、いわゆる作業の手戻りですとか新たな研究開発の必要性が調査の結果見つかったとかいったことがありますけれども、こちらは費用が上がる方の変動要因かと思いますが、こちらは考慮されているかどうかということを確認させていただきたいです。
 
【目黒部長(JAEA)】 原子力機構の目黒です。御指摘ありがとうございました。実際に過去に廃止措置をした段階において、予想外の汚染が見つかって、計画を見直して、1億円ぐらい余分に掛かった実例もありますので、そこは一番大きな変動要因で、費用の不確かさの中にも入れ込んでいかなければいけないものだと。前提として入っているものだというような状況になっております。
 
【吉田委員】 ありがとうございました。
 
【出光主査】 他にはございますでしょうか。では、私の方から。集中してやるというのは非常によいアイデアだと思いますし、継続でやっていくとだんだん慣れてきてルーチン化されたものについてはより素早く正確に行えるようになっていって、そういう訓練効果で経験値が上がってくるのかなと思っています。一方でルーチン化されないものが多数出てくると思いますので、それらに対しての開発要素が入ってきた場合というのは結構スケジュール的に遅れたりすることが可能性としてあるかと思いますが、この計画の中ではどのように検討されているのですか。
 
【目黒部長(JAEA)】 御指摘はその通りだと思っておりまして、当面今廃止措置に取り組んでいるところは、当然廃止措置計画を立てる段階でどこにボトルネックがあるのかというのをかなり厳密にしっかりと調査して、当然現場を知っている人間を入れながらやっています。実際に取り組んでいる再処理特別研究棟、原科研の中でもまだクリアしないといけない課題というのはいくつかあって、一例を挙げますと遮蔽のためのすごく分厚いコンクリートの中に曲がって配管が入っているのです。それは被ばく低減のためにそうなっているのですが、そういったものをどうやって取り出すかということも含めて、壁を壊すと耐震性能が落ちてしまいますのでなかなか難しいところがあります。その中でいかに配管を取り出すかというのは今やりながら対応しているところがあります。当然将来もっと線量が高い施設であるとかそういったものの解体が始まってくると、その前にはかなりしっかり考えた上で廃止措置計画を立ててやっていかなければいけません。そこの費用は正直言ってまだ見込めていないところはあります。そういったところも上振れする不確定要素にはなっていると思います。
 
【出光主査】 ありがとうございます。他ございますでしょうか。では、井口委員、お願いいたします。
 
【井口委員】 最後の3ページ目に四つの方策が書いてあって、今36の施設があるのですけれども、ケーススタディは検討中というところに入っていますか。4番の補助金というのはとにかく緊急性のある施設の解体プラスイノベーションや再利用、何か新しい提案に対する資金確保、積立金は廃止措置を進めて最後に資金が貯まった際に利用する。2番は難しいと思いますが、1、3、4というものが36施設に対して使い分けができるような気がするのですが、そういうケーススタディというのは一応これから出てくると思ってよろしいのでしょうか。あるいは検討中なのでしょうか。
 
【鈴木室長(事務局)】 放射性廃棄物企画室の鈴木でございます。どうやったら資金確保ができるかという可能性を、それぞれ追及していきたいというところでお示しさせていただいているところでございます。おっしゃるとおり廃止措置をするために各施設の特性などに応じて、例えばPFIが可能であれば追及していきたいと思いますし、補助金のような形で一定程度前もって資金確保を行うという方法もあると思います。こういった形についても財務当局も含め、相談させていただきながら、可能な選択肢の中で資金確保を進めていければというふうに考えているところでございまして、まだ具体的な部分まで深められているのかというところについては、現在検討している段階でございます。
 
【井口委員】 ありがとうございます。具体例で示されないと全然イメージが湧かないです。四つほど方策を提示いただいても、36施設の特徴を見据えて、こんなデータとかありますよねと。検討されてないことですので、施設の特徴を踏まえた具体的な議論をさせていただくとよいかと思います。以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございました。他にございますでしょうか。葛西委員、お願いいたします。
 
【葛西委員】 御説明いただきありがとうございます。葛西でございます。今の委員の御質問と少しかぶるところがあるのですが、3ページ目の資金確保の方策の在り方についてもう少し御説明いただければなと思って手を挙げました。四つ今示されているわけなのですが、4番は今まで通りですので何となく見えるのですが、1番と3番に関してはいろいろなルールの改正が必要だということで、2番のPFIの契約についても、これは収益が出るものについて結ぶものであるので、廃止措置以外の事業との組み合わせでどのように収益を上げるかというところがポイントになるかというふうに思うのですが、JAEAさんの廃止措置以外のところの、新しいイノベーションとか、何か社会実装になるものと一緒に組み合わせて、収益が出る形にしてPFI契約を結ぶということは可能なのかという辺りも教えていただきたいと思います。
 
【出光主査】 いかがでしょうか。
 
【鈴木室長(事務局)】 御質問ありがとうございます。とても難しいものでございまして、正にPFIはこれまでもその可能性について検討をしてきました。御指摘のプラスアルファは、事業との組み合わせというところが廃止措置の特性上なかなか良いものが思い至っていないというところが正直なところでございます。では、この選択肢を捨てるかというと、そうではなく可能性として残し、資金確保の在り方として幅広く検討していきたいというところでございますので、選択肢として取り上げさせていただいているという現状でございます。以上でございます。
 
【出光主査】 よろしいでしょうか。今のコメントに関連してですが、廃止措置なので全部ごみとして出ていると思いますが、有価物ではないかという観点でもう一回見ていただくと、売れるものがあるかもしれないということです。今まではただのごみとしか見ていなかったものが、意外と売れるものがあるかもしれないということで、それを見直していただければと思います。塩月さん、お願いいたします。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 原子力機構の塩月でございます。実はここに現れていない重要な部分として、維持管理に関わっている職員、これは民間ですと人件費というのが一番大きく掛かるのですが、機構でも実はこの36施設に何人関わっているかというのは実はカウントしておりまして、職員だけで200人近く関わっています。まだ研究開発をしながら廃止措置に向かっているという部分もありますので、それが廃止措置待ちの生産性の薄い中で人がどうしても安全管理の面でフルにかかっているだけかいうと、必ずしもそういうわけではないのですが、この金額と同等だと思うのですが、こういう人的リソースを今後最大化して活用していこうということになれば、廃止措置そのもののここでも議論していた技術基準いろいろな知見、それから新しものやっていくというのもそうですし、あるいは更にその人材を違う原子力機構の新しい事業にそういうリソースを配分できるというところもありますので、やはり我々機構としてもこの廃止措置を、ここで見える金額プラス、場合によってはその人件費だけ入れたら倍ぐらいになってもおかしくない。きっとそういう数字になろうかと思いますので、そういう意味では何らかのいろいろな御指摘いただいたような各ケースを1ケースに絞るというだけでなく、いろいろな形で具体的にできる。あるいはこれさえ進めば実は新しいこういうことが展開できるというのは単にその施設ローカルだけで考えるのではなく、そこの人材なども含めていろいろとやはり我々は工夫をしなければいけないという、今はそういう段階だと思っています。以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございます。他によろしいでしょうか。よろしければ、3番目の議題に移りたいと思います。それでは、議題3は「研究施設等廃棄物埋設事業について」ということで、小野瀬センター長から資料3に基づいて御説明の方をお願いいたします。
 
【小野瀬センター長(JAEA)】 原子力機構 バックエンド統括本部 埋設事業センターの小野瀬でございます。よろしくお願いします。早速ですが、資料3に基づいて研究施設等廃棄物埋設事業の状況について御説明させていただきます。1ページ目が本日の概要でございます。本日は、廃棄体量の見込み調査、それから、最新の規制基準に対応した埋設施設設計の見直し 、それから、総費用の見直し、さらに、広報活動・情報発信の状況、最後に今後の取組についてご紹介させていただきます。
次の2ページ目になります。こちらは前回御説明しました埋設処分を行う廃棄体量の調査結果の再度確認でございます。まずは原子力機構分でございますが、トレンチ処分対象では6,000本減、ピット処分対象で9,000本減となり、合計で15,000本の減となりました。これはもんじゅの廃止措置の計画の進展に伴って、放射能評価を詳細に行った結果、ピット処分対象からトレンチ処分対象に、また、トレンチ処分対象からクリアランス対象に区分されるというものが出てきましたので、それを反映して埋設処分対象が低減したということが主な要因となっております。
また、原子力機構以外でございますが、こちらはトレンチ処分で1.3万本増、ピット処分では2,000本の増、合計1.5万本の増となっております。こちらは内訳を見ますと、大学・民間等のトレンチ処分の物量の増加が大きくなっています。これはある事業者で新規制基準対応にて施設の改修を行った結果、廃棄体数量が増加する見込みとなったことが主な要因でございます。全てを合算した合計の物量では、トレンチ処分が7,000本増、一方でピット処分が7,000本の減となり、合計の物量についてはほぼ増減がないという結果になっております。合計の物量が現在の想定している埋設施設の規模である約75万本の範囲内でありますので、施設の規模については見直さないこととしております。
続いて3ページ目です。このページでは廃棄体量の内訳を示しております。原子力機構と機構以外の物量の割合については、平成30年度の調査と比較してピット処分及びトレンチ処分ともに原子力機構以外の割合が大きくなっております。性状の割合についてはピット処分及びトレンチ処分ともに多少の変動があった程度という結果でございます。
続いて4ページ目でございます。4ページ目は最新の規制基準に対応した設計の見直しについてでございます。前回の実施計画変更以降に第⼆種廃棄物埋設事業の許可基準規則が改正されました。これによりトレンチ埋設施設に⾬⽔及び地下⽔の浸⼊量を抑制する機能を設置することが技術基準として規定されました。この基準が規定されて以降、機構においてもトレンチ埋設施設の覆土の構造の検討を実施し、今回覆土の設計を見直しいたしました。これまで安定型トレンチ施設では、左上の図に示しましたとおり覆土に特別な層を設置しておりませんでしたが、今回右上の図のように廃棄物に雨水が入りにくくなるように透水性の低いベントナイト混合土層を50 cm設置する設計としました。また、透水性の高い砂利等を排水層と組み合わせることで更に水が浸透しにくくなる設計としております。これは海外の処分場や国内の産業廃棄物の処分場でも用いられている構造の一つでございます。また、付加機能型トレンチ施設につきましても、上部の遮水シートを挟んで上側に排水層、下側にベントナイト混合土層の低透水層を設置いたしました。この構造もアメリカなどの海外や国内でも用いられている代表的な構成を参照しています。また、これにつきましては現在の適合性審査の状況や海外の動向も注視しながら、安全且つ合理的なものとなるよう進めてまいりたいと考えております。
続きまして5ページ目です。こちらからは埋設処分業務の総費用の見直しに関して御説明させていただきます。現在の埋設事業の総費⽤につきましては、令和元年度の実施計画変更時の物量が60万本から75万本に増加したことを受けて、埋設施設の規模等を見直して算出しております。今回の物量調査結果においては埋設事業の本数自体は増加しませんでしたが、先ほど申し上げましたトレンチ埋設施設の覆⼟の設計を⾒直したため、費⽤も⾒直す必要があると考えております。また、埋設事業費を計算した積算単価は、平成22年度(2010年度)以降⾒直していません。近年、建設資材費や労務費等が上昇しておりますので、積算単価が上昇していることも想定されるという状況です。この状況から、費⽤積算に⽤いる単価の⾒直しを⾏い、併せてトレンチ埋設施設の覆⼟の設計結果を反映して、埋設事業の総費⽤の⾒直しを⾏っております。
続きまして、6ページ目です。このページでは総費用の見直し方法について御説明しております。ピット埋設施設、トレンチ埋設施設、受⼊検査施設の主要な施設の建設費は、現在の各施設設計において設定しました⼯事数量に最新の積算単価を乗じて算定いたしました。管理棟等のその他の施設の建設費は、上記施設の各費⽤の上昇率をそれぞれ乗じて求めております。また、各施設の操業費は、各施設の建設費の上昇率を乗じて求めております。一方で、物価上昇の反映のみならず、最近の原子力機構で実施した受変電設備等の合理化検討の取入れなどを行いまして、合理化による費用の見直しも行っております。⼈件費及び⼀般管理費は、原⼦⼒機構の最新の⼈件費を反映させていただいております。
積算単価の個々の見直しにつきましては、従前の積算に使用しておりました公共事業の積算根拠として用いられる公開資料に基づき実施しております。労務単価、資材単価等で、各地⽅の単価が⽰されているものについては、平成22年度の⽅法と同様に主要7都市の単価の平均値を求めて採⽤しております。また、資料に⽰されていない積算単価については、各メーカーの公開単価、または労務単価、類似資材及び類似⼯事費⽤等の上昇率を乗じて設定しております。
続いて7ページ目です。こちらは積算単価の上昇例を示しております。左側の表は労務単価でございます。2010年度と比較して約1.5倍~1.7倍に増加しているところです。また、右上の表は主な材料の単価の上昇例です。同様に2010年度と比較して普通鋼材が約1.7倍、生コンが約1.6倍、コンクリート2次製品については約1.4倍、遮水シートが約1.3倍と、材料によって若干幅があることが分かります。また、右下の表は賃料です。こちらはトラッククレーン等の賃料ですが、これはそれほど上昇していないという状況でございますが、1.3倍ぐらいになっているところもあるというところでございます。
続きまして8ページ目です。こちらが今回の単価等を用いた総費用の見直しの結果でございます。現行の実施計画と今回の見直しを比較して示させていただいております。まず、区分で建設費についてでございます。施設建設費は589億円から907億円となりまして、約1.5倍に上昇しております。これは7ページ目にありました労務単価や材料単価の上昇率の平均的な値でございます。続きまして⽤地取得費です。国交省が公表している公示価格年別変動率(全国平均)を基に2010年度からの費用の変動率を計算いたしました。その結果、2023年度時点ではほぼ同程度と計算されておりますので、この⽤地取得費については同額としております。続いて環境等調査費ですが、こちらは公開している試験単価を確認したところ、この単価と比較してあまり上昇していないことを確認しております。その結果で約5%増の41億円ということでございます。公租公課につきましては、定められた計算式に基づいて評価をした結果、約2億円増の11億円ということでございます。その結果、建設費全体では、788億円から1,109億円となりまして、約1.4倍に上昇したということになります。
続いて操業費です。こちらにつきまして施設操業費は、先ほど労務費単価が約1.5倍上昇していると申し上げましたが、受変変電所の更新費の合理化などによって上昇率が若干抑えられまして、約1.4倍の638億円でございます。管理費は、閉鎖後の管理の測定費等の上昇などによって約1.3倍の445億円。公租公課につきましては、先ほど申しました定められた計算式に基づいて評価しておりまして、約1.1倍の411億円。その結果、操業費全体では1,194億円から1,494億円となりまして約1.3倍に上昇しているという結果でございます。
次に人件費でございます。人件費については機構の人件費率を反映させていただいて約1.1倍の266億円。⼀般管理費については埋設事業の総務等に係る人件費を想定しておりますので、上昇率については人件費と同じ約1.1倍で31億円となっております。この結果、全体では657億円増、約1.3倍となりまして、2,243億円から2,900億円となっております。これによりまして、1本当たりの処分単価でございますが、ピット処分及びトレンチ処分については約1.3倍になります。ピット処分については1本当たり63万2千円から80万2千円。トレンチ安定型は14万5千円から18万7千円。付加機能型トレンチ処分は16万7千円から21万8千円に上昇しているところでございます。
続きまして9ページ目でございます。こちらは前回2月の作業部会以降の広報活動・情報発信の状況を説明したスライドでございます。研究施設等廃棄物埋設事業は、まずは放射線利⽤や原⼦⼒研究に携わっている⽅達への理解活動を継続して実施しているところで、関係者から展開され広がっていくような広報活動を⾏えればと考えているところでございます。
また、原子力関係者につきまして、こちらは中部原⼦⼒懇談会での動画上映やパンフレット配布、また、原⼦⼒施設デコミッショニング技術講座における講演を行いました。また、⽇本原⼦⼒学会「2024年春の⼤会」 では下側中央の写真にございますようにブース展示を行うとともに、来ていただいた方々に積極的にコミュニケーションを取りまして、埋設事業について関心を深めるような活動を実施いたしました。
また、原子力以外の関係者でございますが、日本アイソトープ協会さんの御協力を得まして、放射線安全管理研修会での動画上映、パンフレット配布もさせていただきました。また、土木学会でもパンフレットを配布させていただいているところです。
SNSにつきましては、原子力学会のブース展示の活動、また、原子力機構のX(旧Twitter)にて3件の発信をしているところでございます。また、左下の写真にございますようなパンフレットなどが収納できるエコバッグや、周期表を印刷したクリアファイルなどを作製して配布するなど、更に一般の方々にも認知度が上がるような対応をしております。更に開催日の都合で資料には掲載できなかったのですが、6月16日に開催されたNPO法人放射線教育フォーラムの勉強会に参加させていただき、SNS社会での正しい科学的情報の効果的な発信に関する講演なども聴講させていただくなど、SNSの有効利用について情報収集等を行っております。SNSの活用方法については、いろいろと皆様から御意見を頂いているところですが、効果的なやり方については我々も勉強不足のところもありますので、こういった場面で得た知見や知識などを生かしながら、今後も一般の方々に向けた効果的な広報活動ができるような努力を続けてまいりたいと考えておるところです。
最後の10ページ目が今後の取組でございます、今後、本日御説明させていただきました埋設処分を⾏う廃棄体量、それから埋設処分業務の総費⽤の変更等を反映して、埋設事業の実施計画の変更をしたいと考えているところでございます。この実施計画の変更においては、この10ページ目のチェックの三つ目、具体的には後ろの14ページ目の参考資料に記載しておりますトレンチ埋設施設の機能、及び3.のウラン廃棄物の埋設処分の規制制度整備を踏まえて、実施計画の本文にも最新の規制基準等の整備状況を反映した文言の修正を行いたいと考えているところでございます。こちらの変更案につきましては、次回7月に予定されている本作業部会で説明させていただければと思っているところでございます。
また、埋設事業につきましては、立地の早期の実現及び⽴地後の速やかな埋設事業許可申請に向けた技術検討を引き続き進めてまいりますとともに、事業の円滑な推進に向けて関係者等の連携強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。引き続き先生方にはご指導いただければと思っているところです。以上、雑駁(ざっぱく)でございますが私からの説明は以上とさせていただきます。
 
【出光主査】 御説明どうもありがとうございます。それでは、ただ今の御説明に対しまして御質問あるいはコメントがございましたらお願いいたします。大越委員、どうぞ。
 
【大越委員】 大越です。御説明ありがとうございました。質問が2件ほどと、後はお願いということで話をさせていただければと思います。まず1点目の質問なのですが、4ページのところで今回トレンチ埋設施設の覆土設計の見直しということでされているのですが、要求される機能として雨水及び地下水の浸入抑制機能ということを要求されているということなので、安定型トレンチ埋設施設についてはその部分が足らなかったということで追加されるのは分かるのですが、付加機能型トレンチ埋設施設は既に遮水シートを設けるということで、十分に雨水あるいは地下水の浸入抑制機能があると思うのですが、更に今回排水層と低透水性の覆土を行うという辺り、どういう考え方に基づくのかというところについてご教えていただければと思います。それが1点目の質問です。
2点目の質問が6ページで少し細かい話になって恐縮なのですが、3番目のところで各施設の操業費(修繕費、補修費等)という書き方をされていて、私の操業費のイメージは廃棄物を受け入れて定置して覆土をするといったのは操業かと思っていたのですが、括弧書きだけを見ると維持管理だけのように見えてしまうのと、その操業費を建設費の上昇率を乗じて求めたというふうに書かれているのですが、操業と建設が私の頭の中で結び付かないのですが、こういった形で上昇率を考えたという辺りのお話について教えていただければと思います。
最後に、お願いの話になってしまって恐縮なのですが、前回の作業部会でも埋設事業の費用の見直しについてはあまり間隔を空けないで行ってほしいということでお願いをしたのですが、再度費用の見直しについては、一定の間隔でやってほしいとまでは申しませんけれども、今回13年ぶりぐらいに見直しを行ったということで、その間デフレもありましたが昨今物価上昇が激しいということで、約1.3倍その費用が増加するという話になりますので、機構さんもお金を用意しなくてはならないという点は同じですが、それ以外の廃棄物発生者も処分するためのお金を機構さんに処分を委託するための費用を準備しなくてはなりませんので、あまり急激に費用が増加しますと、そこに対して不足額がかなり大きく発生してしまって、それを積み立てていくための資金確保というのが非常に困難になってしまいますので、費用の見直しについてはある一定のインターバル、あまり長くならないような形で見直しをしていただくと、実際の処分開始時にスムーズに資金がそれまでに用意できるのではないかというように考えますので、すみませんが、見直しについては余り間隔を空けて急激に上がらないような形でお願いできればというところで、すみません、お願いになりますが、以上です。
 
【出光主査】 では、回答があればお願いいたします。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 原子力機構の坂井です。御質問どうもありがとうございました。まず1点目の付加機能型トレンチ処分施設に低透水層を設置しているという点ですが、今の許可基準規則では、埋設施設からの放射性物質の移行の安全評価の期間として1,000年間評価する必要があることになっております。付加機能型トレンチ施設には上部に遮水シートがあり、最初の数十年等をその遮水シートで浸入水の防止・抑制効果が保たれると思いますが、長期的な影響を踏まえまして天然の物質で安定性のあるベントナイト混合土と排水層を追加で設置するということで対応することを今回想定したものでございます。これにつきましても現在進行中の日本原電さんの安全審査の状況を見ながら今後また引き続き最適な設計を検討していきたいと考えてございます。
2点目の質問は、6ページの操業費でございますが、おっしゃるとおり書き方に少々問題があったかもしれませんけれども、ピット、トレンチの操業に関して、覆土については建設費の土木工事に含まれている部分もございまして、建設費の中に含まれております。埋設作業自体は建設費の方に含まれてございまして、操業費の方が修繕費や保守費がメインとなってございます。基本的な作業については建設費の方に含まれており、その中で人件費等も、例えば労務単価や作業費も含まれています。操業費の修繕、保守については、建設作業と同様の作業が含まれているため、建設費の上昇率を乗じて求めたものでございます。修繕費も保守費も建築、電気、機械に分かれてございまして、それぞれの上昇率をそれぞれに掛けて求めて評価をしてございます。
3点目でございますが、確かに今回の見直しで2010年度から総費用の評価に大分時間が空いてしまいました。これまでも見直すタイミングはあったと思いますが、昨今、物価上昇率が大きくなってきておりますので、今後、物量調査は定期的に機構の中長期計画期間ごとに見直すことになってございますので、そのときには費用の上昇等を考慮して見直しの必要性を判断しつつ、費用の見直しを行っていきたいと考えます。また、事業が進展いたしますと基本設計や用地取得などいろいろな費用が具体化しますので、それに応じて適宜見直しを行い、発生者の皆様方にしっかりとした費用をご提示したいと考えてございます。
 
【出光主査】 ありがとうございました。大越委員、よろしいでしょうか。
 
【大越委員】 1点目の設計の件に関しては、透水層の劣化をどういうふうに安全評価の方で取り入れていくかという辺りの話とか、実際に廃棄物の中に含まれている核種がどういうものになるかといった細かな検討が必要になってくると思いますので、そういった検討をしながら最適な設計をしていただいて、なるべく不要なものはない、コストの安いような形で実施していただければと思います。2点目については了解しました。3点目についてはよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 
【出光主査】 塩月さん、お願いいたします。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 原子力機構の塩月です。今既にご回答させていただいた件ですが、補足したいのは、始め作業の費用の見直しにつきましては当然ながら先に廃棄物を受け入れるRI協会さんでは特にこの単価の上昇がインパクトあると思いますので、できる限りそのインパクトがRI協会さんに相当影響が出ているということを我々も認識をしながら、頻度というだけではなくて精度も常に検討していきたいと思いますが、御存じのように今は本当にジェネリックな評価になっておりますので、最終的な値までの間にどこまでやることによってそこに近付くかというのはそのときのエスカレーションや今回のような見直しだけでなくて、最終的に立地地点が決まった段階、さらにその詳細な場所とかとか地下水位、調査結果によって決まるというのも大越委員は御存じだと思いますので、できる限り寄り添えられるような形で我々も見直しをしていくとともに、最終的な部分でリアルな数字はなかなかそういう要素が場合によってはジェネリックなものだけでは語れない部分も出てくるというものも含めながら、どういう形でそれまでの間検討することが適切かというのはぜひ御相談をさせていただきつつ、我々もそのような点での精度を常に上げられるように検討していきたいと思います。要は単純な頻度だけでよいかというと、そういうものでもないというのは十分理解しているつもりですので、こういう対応をしたいと思います。
操業費の言葉遣いがレイバーコストのようなものは全然入っていない、むしろ設備の補修とか修繕とかそういうのが中心だから、それぞれの設備の元々あった単価を見直したというのは、この表現で出ていないという指摘は受けたと思いますので、その説明の部分が反映できるような形で少なくとも実施計画等、見直しにあたっては反映していきたいと思います。
トレンチの今ここで議論した内容も、実は日本原電さんがまだ最終的な申請書を提出している段階ではなくて、これまでの有識者会合の状態を我々もつぶさに見るだけではなく、今の審査の状況は公開の情報を中心に我々もつぶさに見ながら今こういう設計に反映しておりますが、最終的にそれが規制庁、規制委員会との間でどういう先行事例になるかということを常に我々も反映しつつ、場合によったら我々の廃棄物についてはこういうところが合理化できるのだという点があれば、そういう点につきましてもいろいろ御意見を頂戴しながら、我々はその方向も常に視野に入れながらやりたいと思います。私の方からは以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございます。織委員、どうぞ。
 
【織委員】 総費用の見直しということで、物価上昇も本当にここだけではなくていろいろなところに影響が出てきておりますので、この上がり率というのは分かりますし、総量の変化によって価格が変わってきたというのも分かると思うのですが、この費用で提示すべきなのはこれだけ上がりますよという話と同時に、どこまで効率化を図れるかというようなところも示していただかなくてはいけないのではないかというふうに思っています。私どもだけではなくて社会全般として、この効率化、費用をどこまで抑えられるかというところにどういうふうに取り組んでらっしゃるかというのをいろいろなところで示していただきたいというニーズがあるのです。効率化については今までもいろんな議論をしてきましたが、こういう見直しのところでも、上がる要因だけではなくて、上がるとしてもこういうことをやりますとか、上がるのであればより短期間で、そして人件費を抑えるためのこういう努力をする予定ですみたいな、正におっしゃっていたジェネリックだからこそ示していただきたいのです。個別の案件だと示せないけれども正にジェネリックな総論として上昇率を話しているのだから、総論として効率化というのもぜひこういうところでは示していただきたいと思います。これはこれから先も同じことだと思うのです。上がるとかというのはともかくとして、そのときにどう対応していくのか。今の時点のマンパワーと、それをどう考えて、どうやっていくのかというところも併せて文書でよいので、それは精緻な計算は無理なので、やはり示していただくということはこのプロジェクトの取組としては不可欠なのではないかなという印象を持ちましたというのが1点目です。
やはり先ほど大越先生もおっしゃっていたのですが、時間が掛かると規制が厳しくなってきて、それによって価格が上がるということがしばしばあるのですね。私もその日本原電さんの状況を見て、やはり規制が変わるによってコストが大きく変わってきてくるということもあるので、そういった意味では時間との闘いもあるかというところが要素として重要かと。大越先生の御指摘は重要かというふうに思っております。以上でございます。
 
【出光主査】 ありがとうございました。何か回答やコメントはございますでしょうか。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 御意見どうもありがとうございました。効率化については重要であると考えてございまして、今回も設計費用の見直しの際には、最近における機構の合理的な検討を反映して、なるべく費用を低減するように検討しております。これからも、実際にまだ設計を固めている段階で、どのくらいの規模になるかというのもこれからですが、その規模をまず示して、具体的になった段階でそれ以降、合理的な検討を進め、埋設施設や放射性物質を扱う施設に関わる部分だけでなく全体の操業に係る部分、運営に係る部分の合理化等も検討させていただきたいと思います。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 すみません、塩月です。改めまして、織委員から優しく、テキストでもいいからということを言われたかと思います。確かに今この数字を変えるというよりも、我々自身がこういうところだったらまだこういう要素があるのではないかというヒントを今ここで十分考えた上でそういうものを記載なり、その具体的な検討を今ここですぐにというと、またその数字も不確定な部分はあろうかと思います。確かに、期間的な短縮であったり、あるいは先ほどでているAIであったり、様々なレイバーコストを下げる、人件費や、そもそも数量を下げるとか、いろんな工夫の余地はまだ世の中の技術開発の動向を考えれば、今物流システムなどで人がやっているところなど一つもありませんし、新しい技術を入れる要素が全くないわけではなくて、十分あり得るということも想定して、その中でのコスト削減の要素も常に我々が意識してこの中に投影していくというようなことを、我々の中に含めるような形で考えていきたいと思うのですが。今回一点だけ、機構の中でいろいろ議論になった時に、電源関係は各拠点に長いものですと60年近く特高変電所などがあって、先般の大洗では変電所がやはり調子が悪くて、HTTRは電線に大きな影響が出たというのは相当機構全体で見直しをしてみたら、標準化という言葉が適切かどうかは分からないのですが、あるものさえ使えばこれだけ安く更新できることが具体的に見えてきました。今回ここにある変電設備は茨城にある各事業所よりも小さい規模ですので、実績があるというのは今回取り入れさせていただいて、ここには数字が見えなくて申し訳ないのですが、施設操業費の中で実際は大きく安くなった単価もございます。そのような点も含めて、我々としては上がりました、しょうがないでしょうという言い方ではなくて、こういうことについても常に取り入れるということも強く御指摘いただいているということを踏まえまして、ご回答させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【出光主査】 ありがとうございました。費用の増加の中にコストの削減の努力も含まれているということですね。他に何か御質問、コメントございますでしょうか。では、赤井委員、お願いいたします。
 
【赤井委員】 赤井です。8ページ目の総費⽤の⾒直し結果について御確認をさせていただきたいと思います。ピット処分とトレンチ安定型を比べると、上がり幅が若干違っているのですが、これはそれぞれの総費用と、処分本数から処分単価を割り出しているので若干上がり幅が違っているのだというふうに理解すればよろしいでしょうか。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 御意見のとおりで、トレンチ施設は今回設計も見直しておりますので、費用の上昇以外にも上昇理由がございます。物量の方はピット、トレンチで元々22万本、53万本については変わっていないのですが、どちらかというとトレンチの方が設計を変えている分で上昇率が変わっていると考えていただければと思います。
 
【赤井委員】 分かりました。ありがとうございます。それから、処分単価をどう取り扱うかは民間企業にとっては重要なポイントでして、これを確定したところなのでしょうか、それともこれから検討があって確定していく数字なのでしょうか、その辺りを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 処分単価は毎年見直しているものでございます。この2,900億円に対して支払う処分単価について、今、支払う人と、あと30年後に支払う人で費用の価値の差がないように割引率という比率を用いて、現在価値に換算して単価を求めています。その割引率は金利と物価上昇を考慮して毎年評価していますので、それで毎年見直す必要があるということです。ただし、先ほども言いましたとおり、総事業費である2,900億円自体も設計の見直しや具体化によって変わるため、その都度、処分単価の見直しを行っていくものでございます。
 
【赤井委員】 現状ではこの数字で確定だという理解でよろしいでしょうか。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 はい。今回、2,900億円で費用を見直して、令和7年度の処分単価がこの数値ですということでございます。
 
【塩月本部長代理(JAEA)】 塩月ですが、一つだけ。もう御存じだと思いますので誤解をされているとは思いませんが、この費用を出せば今ドラム缶1本受け入れますというわけではないということです。あくまで将来的にこの2,900億円という総事業費を考えて、この数量の施設を使った場合に、将来払う人と、もし現在価値でもってこれを単価として見積もった場合にこういう費用になりますというのを毎年我々は年度計画の中で数字を表しているのです。そういう数値であって、もしこれを単価として今見積もるならばこういう形になります。そのときの数値として見ていただいて、少なくとも今この80万円ほど出せば引き受けるとか、そういうことではもちろん全くありませんので、あえて補足させていただきました。
 
【赤井委員】 ありがとうございました。
 
【出光主査】 ありがとうございました。では、吉田委員、お願いいたします。
 
【吉田委員】 日立の吉田です。正に今のポイントなのですが、ピット処分とトレンチ安定型、トレンチ付加機能型、それも3ページ目の表を見ますと、角型容器、200Lドラム缶、それからフレキシブルコンテナがございまして、その80万2千円 /ドラム缶1本というのが、この容器の種類は取りあえず無視してピット処分を19万で割った数字というふうに塩月様は御説明されたと理解したのですが、それはいかがですか。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 はい。そのとおりでございまして、現在では角型容器は1立米ですので5本相当と考えておりまして、フレキシブルコンテナも1立米で5本相当という計算でございます。
 
【吉田委員】 ありがとうございます。
 
【出光主査】 他ございますでしょうか。佐々木委員、お願いいたします。
 
【佐々木委員】 佐々木です。御説明ありがとうございました。今の話題に関連して少し切り口を変えた質問をさせていただきたいのですが、総費用の見直しの結果で、今御説明がありました廃棄体1本の処分費を見立てた記述というのがありまして、ここで見るとトレンチよりもピットの方が変わらず4倍ぐらい高いという試算になっているということで、そこは理解しています。お聞きしたいのは、もし今後の放射能の評価のところで、そのうちの一部の廃棄体の放射能量が高振れを仮にしてしまったということがあった場合に、処分区分が一段上がるということがもし起きますと、その総費用が更に上振れするという可能性があるのか、あるいは現在の廃棄体のお考えになっている処分区分というのは放射能濃度にある程度の裕度を持たせた評価になっているということで、それほど将来的にも大きな変動がないということなのか、その辺りの見通しなど何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 物量の変動は定期的に物量調査で見直して皆様からご回答いただくことになっておりますし、実際に受け取るときもその濃度がピットかトレンチかということで受け取りたいと考えております。
物量は、2ページ目を見ていただいて、現在調査ではトレンチ処分は合計47.9万本で、ピット処分は19.3万本、処分場の規模はトレンチ処分が53万本でピット処分が22万本ですので、この規模の範囲であれば、事業者さんの負担は変わってしまうのですが、総費用は変わらないということでございます。
 
【佐々木委員】 分かりました。ありがとうございました。とはいえ、過度に、そして保守的にならないような濃度評価のようなものはやはり引き続き検討していただきたいなとは思うところです。
 
【坂井副センター長(JAEA)】 ありがとうございます。濃度評価は非常に重要でございまして、先ほど目黒部長の発表にもありましたとおり、機構の中でも検討は進めておりますし、機構外の研究炉の所有者の方たちとも情報を共有しながら、なるべく合理的な放射能評価が重要ということで開発していきたいと思っております。
 
【佐々木委員】 ありがとうございました。質問は以上です。
 
【出光主査】 他にはございますでしょうか。よろしいでしょうか。特になければ、そろそろお時間になりましたので、議題3につきましては以上とさせていただきます。その他、何かございますでしょうか。
 
【飯本委員】 全体を通じてよろしいでしょうか。資料1~3まで御説明いただきまして、現状が大変よく分かりました。ここ最近なのですが、今回の資料でも必要な情報の更新はあったと思いますし、様々な努力が背景にあるということを認知しながらも、情報としてはそれほど大きな動きはないと思っておりまして、もしこの状況が続くようであれば、ぜひ現場の様子を具体的にお聞きする時間を作っていただきたいと思っています。今日扱っていただいた議題の中でいうと、例えば資料1の中にNRの話が出てきて、機構さんの中でNRの取組に対して統一化の活動があったとなると、その統一化のところでは必ず論点が出てきているはずですし、本当に厳しいプロセスがあったと思われます。そこの辺りが大変参考になると思いますので、ぜひそういう点を共有いただきたいと思います。クリアランスの取組も全く同じで、いくつか重要な論点が出てきたと思うので、ぜひ現場で何が起きてどんな工夫があったかを共有いただきたいというのが1点目です。
もう一つは、途中で人材育成であるとか次世代のモチベーションの話が出てきたということから、例えば今日の議題の中では分別作業員というキーワードが出てきていて、どういうスキルを持っておられるかというのは説明にあったのですが、実際にはそういう方々が日々どういう活動をされていて、また、現場でどういう工夫をしながら、あるいは悩みながら日々やっておられるのかというのも、こういう文面では見ることができないので、現場でどういうことがなされているかということを知ることで、将来何ができるか、あるいはモチベーション向上のために我々が何をできるかということが考えられると思います。分別作業員だけではなくてバックエンドに関わる若手・中堅、研究開発の方も含めていろいろな方々がおられると思うので、できればそういう方々の声で今の悩みや工夫であるとか、あるいは将来に向けての懸念、要望も含めて、こういう場でもし時間があれば共有いただけると大変我々にとってはよい情報になるだろうと思ったりします。以上です。
 
【出光主査】 ありがとうございました。これを語りだしたら時間がたくさんになると思いますので、JAEAさんの方で取りまとめていただいて、公表できるものがあればまた何かの機会で出していただければと思います。よろしゅうございますでしょうか。
他になければ本日の議事は以上となりますが、最後に原子力バックエンド作業部会の委員の委嘱についてお知らせがございます。本日御欠席でございます中熊委員が人事異動のために委員をご退任されることになりました。本日ご不在というところでのご紹介になりまして大変心苦しいのですが、中熊委員につきましては2020年から本作業部会の委員として議論に加わっていただいておりました。大変お世話になりました。ということで、この場でご紹介いたします。では、最後に事務局から連絡等がございましたらお願いいたします。
 
【吉井係長(事務局)】 事務局でございます。最後に、本日の議事録につきましては準備ができ次第、御出席の皆様にメールにて御確認させていただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。また、次回の作業部会については7月中旬ごろを予定しておりますので、また詳細については改めてご連絡させていただきます。以上になります。
 
【出光主査】 ありがとうございます。無事に時間通りに終わりました。ありがとうございました

 

 

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