原子力科学技術委員会 原子力バックエンド作業部会(第4回) 議事録

1.日時

令和3年12月10日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点からオンライン開催

3.議題

  1. 原子力機構の次期中長期目標の検討状況について
  2. 第3期中長期計画期間における埋設事業の状況について
  3. その他

4.出席者

委員

出光主査、岡本主査代理、足立委員、井口委員、大越委員、葛西委員、児玉委員、澁谷委員、中熊委員

文部科学省

松浦原子力課長、阿部放射性廃棄物企画室長、前田原子力連絡対策官

オブザーバー

伊藤日本原子力研究開発機構副理事長、塩月日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部長代理、北嶋日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部埋設事業センター長、坂本日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部埋設事業センター副センター長、坂井日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部埋設事業センター技術主席

5.議事録

【前田対策官(事務局)】  
 定刻を少し過ぎておりますけれども、ただいまより第4回原子力バックエンド作業部会を開催いたします。
 今回の作業部会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインで開催をしております。これに関連した確認事項等がございますので、議事に入る前まで、私事務局の前田にて進行をさせていただきます。
 まず、オンライン開催に当たっての留意事項を御説明させてください。
 
 [オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]
 
 以上が、本日の進行に当たっての留意事項となります。
 続きまして、本日の開催に当たりまして、研究開発局審議官の堀内より挨拶をさせていただきます。
【堀内研究開発局審議官】  研究開発局の担当審議官をしております堀内です。よろしくお願いいたします。
 本日は、本年2回目の原子力バックエンド作業部会の開催ということで、御挨拶申し上げたいと思っております。
 委員の皆様におかれましては、年末の非常にお忙しい中、本部会に御出席いただき、本当にありがとうございます。
 前回7月のバックエンド作業部会におきまして議論いただきました原子力機構は、来年4月から第4期となり、新たな中長期目標期間に入ることになっております。新たな中長期目標については、現在、国立研究開発法人審議会日本原子力研究開発機構部会において審議を進めてきているところでございます。
 また、今年は大きな選挙などあり、この原子力政策やサイクル政策が非常に関心を集め、議論になり、政府の中でもいろいろな問題意識等々が再認識されている中で、バックエンドにつきましては、原子力サイクル政策の要であって諸課題の中心にある問題で、その認識におきまして重要度が上がってきているということでございます。
 原子力機構においては、これまでも、このバックエンドに係るいろいろな取組を進めてきたところでございます。これらは、第4期においても、引き続き、非常に重要な課題であるという認識をしっかりと持って進めていかなければならないと思っております。
 以上のような観点から、本日の作業部会におきましては、原子力機構の中長期目標の検討状況について報告させていただきます。あわせて、原子力機構から、現在の第3期中長期計画期間における埋設事業の状況についても御説明をしてもらいたいと考えております。
 次期に向けて、幅広い御意見をいただき、将来のこの分野のしっかりとした進行につながることになればと思っております。本日は、よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  続きまして、事務局にて異動がありましたので、御報告いたします。
 放射性廃棄物企画室長といたしまして、本年8月1日より、阿部陽一が着任しております。阿部より御挨拶をいただきます。
【阿部室長(事務局)】  前回の作業部会の後に着任しましたので、画面越しで大変恐縮でございますが、阿部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回の作業部会のときに、一つやり残したといいますか、議論できなかったところかと思いますけれども、この埋設事業に関しましても、原子力機構の次期中長期計画が始まる前に一度先生方に見ていただき御意見をいただければということで、今回こういった場を設けさせていただいております。ぜひ、様々な幅広い御意見をいただきながら議論できたらありがたいと思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 今回は、委員の皆様及び傍聴の登録をされた方々宛てに、事前にメールにて配付資料をお送りさせていただいております。会議中、遠隔会議システムでは資料を表示せず、各自お手元にて御確認いただくようお願いいたします。
 それでは、本日の資料でございますけれども、配付資料につきましては、まず資料1として、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の次期中長期目標の案を配付させていただいております。続きまして、資料2としまして、第3期中長期目標・計画期間での埋設事業の実施評価についてという資料をお配りさせていただいております。その他参考資料につきましては、1から4まで、議事次第のとおりとさせていただいております。
 以上が、本日の配付資料でございます。
 それでは、本日の委員の皆様の御出席を確認させていただきます。
 私、前田から、ただいまより委員の皆様のお名前を読み上げさせていただきますので、そちらを確認された先生におかれましては、音声で御返事をよろしくお願いいたします。
 まず、主査であります出光委員。
【出光主査】  はい、出光です。よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  ありがとうございます。
 続きまして、主査代理でいらっしゃいます岡本委員。
【岡本主査代理】  はい、岡本です。どうぞよろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  よろしくお願いいたします。
 続きまして、足立委員でございますけれども、現在、足立委員より回線がつながらない関係で御出席が遅れるとの連絡をいただいております。
 続きまして、井口委員。
【井口委員】  はい、井口です。よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 大越委員。
【大越委員】  はい、大越です。よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  よろしくお願いいたします。
 続きまして、織委員におかれましては、本日御出席の御予定ではございますが、出席が遅れている状況と伺っております。
 続きまして、葛西委員。
【葛西委員】  はい、葛西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 児玉委員、お願いします。
【児玉委員】  児玉でございます。よろしくお願いします。
【前田対策官(事務局)】  よろしくお願いいたします。
 澁谷委員、よろしくお願いします。
【澁谷委員】  RANDECの澁谷です。よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  中熊委員、よろしくお願いします。
【中熊委員】  電事連、中熊でございます。よろしくお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  ありがとうございました。
 現在8名の委員に御出席いただいております。運営規則第3条に規定されています定足数の過半数を満たしておりますので、御報告いたします。
 それでは、これより議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づき、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても、後ほど文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
 また、本日は、資料2の説明のために、日本原子力研究開発機構より御説明者の方に御参加をいただいております。
 事務局からは以上でございます。
 ここからは、出光主査に議事の進行をお願いしたいと思います。出光主査、よろしくお願いいたします。
【出光主査】  主査の出光でございます。よろしくお願いいたします。これからは、私のほうで進行させていただきます。
 資料0番、議事次第がございますが、こちらにありますように、本日は議題1から3までございます。主に1から2となりまして、3がその他ですが、1が原子力機構の次期中長期目標の検討状況について、2が第3期中長期計画期間における埋設事業の状況についてということでございます。予定では17時までとしております。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題1、「原子力機構の次期中長期目標の検討状況について」に入ります。
 では、事務局から説明をお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】   それでは、議題1につきまして、文部科学省より説明をさせていただきます。
 まず、議題1の説明の趣旨について説明させていただきます。
 本日配付しております資料1は、来年度令和4年度から新たに開始となる原子力研究開発機構の第4期中長期目標の案でございます。この中長期目標(案)は、国立研究開発法人審議会の下に設置されています日本原子力研究開発機構部会において、その内容について審議が進められてきております。こちらは、年度内に決定を行う予定となっております。
 本日は、この中長期目標(案)の検討状況について御説明させていただきたいと考えております。
 前回の第3回原子力バックエンド作業部会におきましては、原子力機構の第4期中長期目標及び計画の作成に向けた御議論をいただき、委員の皆様から多くの御意見をいただきました。いただきました御意見につきましては、本日配付しております参考資料3の原子力機構の次期中長期目標・計画の策定に向けた提言として、まとめさせていただきました。
 それでは、参考資料3を御覧いただくようお願いいたします。
 こちらは、前回の第3回原子力バックエンド作業部会において委員の皆様からいただいた御意見を、参考資料3の4ページの重点分野5にまとめさせていただいております。
 4ページを御覧いただくようお願いいたします。
 4ページの真ん中に、重点分野5という形で、保有する施設の廃止措置、これは原子力機構が保有する施設でございます、すなわち原子力機構の施設の廃止措置及び研究施設等廃棄物の埋設処分等バックエンド対策に係る取組の着実な推進、これを一つの重点分野の柱とし提言としてまとめさせていただいております。
 具体的な提言の内容としましては、その下にある三つのポツでございます。
 一つ目のポツは、廃止措置に係る組織、資源配分責任の明確化のための体制整備。
 少し補足いたしますと、原子力研究開発機構は、原子力に関する研究開発、そして今バックエンド作業部会でも御議論いただいていますように、その施設の廃止措置や廃棄物の処理処分を行うということで、ある意味、研究開発の推進とバックエンドという非常に相反する目的を同時にこなさなければいけない組織となっております。このためには、こちらにございますように、組織、資源配分をいかに効率よく配分していくのか、その責任を明確化することを組織レベルでしっかりと整理すべきだということで、先生方からいただいた御意見をこのような形でまとめさせていただいております。
 2番目のポツといたしまして、長期間にわたる廃止措置マネジメントに必要な情報、括弧の中には、リスクの把握・対応策、予算、人材育成、知識継承等、これらを含む具体的計画を策定という形でまとめさせていただいております。
 これは、前回のバックエンド作業部会でも非常に多くの御意見をいただいたところだと認識しております。長期にわたる廃止措置ということで、例えば、東海再処理施設におきましては70年という非常に長い期間の廃止措置であります。他の施設におきましても、やはりすぐさま、数年というわけにはいかず、10年、20年以上の長期間にわたる廃止措置が必要になると。これにおきましては、短期・中期・長期にわたる、どういったリスクイベントがあるのか。そういったものをしっかりと把握した上で、では、いつ頃にその対応が必要なのか、いつ頃に予算をどのように配分するのか、そのために必要な人材をどのように育成していくのか。こちらにつきましては、委員の皆様からも、将来からのバックキャスティングの必要性、またプラントの持つライフサイクルといったものもしっかりと認識・把握すべきだとの御意見をいただきました。それらを総じて、長期間にわたる廃止措置のマネジメントが必要な情報とともに計画として策定されるよう、このような提言としてまとめさせていただいております。
 最後のポツにつきましては、研究施設等の埋設実施に向けた具体的対策。
 これは、この後の議題2の議論にもなっておりますけれども、埋設の実現に向けて、括弧として、具体的には立地に向けた対策として立地対策、また廃棄体の受入基準等、こういった技術的な部分をしっかりと積み上げることによって、それらを埋設の実現に向けた対策としてしっかりと示していくこと。そういったもののために、最後の部分としましては、こういった対策を推進していくという提言とさせていただいております。
 以上が、次期中長期目標の策定に向けた提言でございます。
 次に、参考資料の4でございますけれども、こちらは、原子力機構の次期中長期目標の見直しの方向性を示した政府文書としております。こちらの政府文書の策定に当たりましては、ただいま私が説明しました参考資料3の提言の内容を踏まえた形での作成とさせていただいています。こちらについての説明は省略させていただきます。
 以上が、前回のバックエンド作業部会でいただいた御意見につきまして、まとめた提言を、このような形でまとめさせていただいたものとして説明いたしました。
 それでは、改めまして、本日の資料1を御覧いただけますでしょうか。
 資料1としまして、日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標、すなわち中長期目標の案でございます。
 先ほど申しましたように、これは、まだ策定中でございまして、今年度内の決定を目標に今議論をしているところでございます。こちらにつきましても、ポイントを絞って説明させていただきます。
 まず、2ページをお開きいただけますでしょうか。
 2ページは、目次となっております。こちらの目次の中で中長期目標の構成を簡単に説明させていただきますと、ローマ数字のⅠからⅢにおきましては、原子力研究開発機構の我が国の政策における位置づけや中長期目標の期間など、基本的な事項について記載しております。なお、研究開発に係る目標としては、ローマ数字のⅣに記載しております。このうちバックエンドにつきましては、アラビア数字の6として記載しております。
 具体的な内容としましては、資料1の12ページをお開きください。
 12ページの下のほうですけれども、「6.安全を最優先とした持続的なバックエンド対策の着実な推進」として、目標を記載しております。
 12ページから13ページにかけてですが、13ページの上から3行目までは、従来の第3期中長期目標の内容を引き継ぐ記載内容となっております。その上で、左端の数字でございますけれども、370行目の「また」以降について、新たな文章を今回追加しております。読み上げさせていただきます。「また、長期間にわたる廃止措置マネジメントに必要なリスクの把握・対応策、予算、人材育成、知識継承等の情報を含む具体的計画を策定し、取組を進める」と。先ほど資料3において説明させていただきました提言のうち、長期間のマネジメントにつきましては、このように中長期目標に反映させていただいております。
 また、同じ13ページの379行目から381行目を御覧ください。こちらは、埋設事業の実現に向けた具体的対策として、「立地対策、廃棄体受入基準整備等を推進することにより、着実に実施する」としております。こちらも、参考資料3の提言のうち、埋設事業に関するものについて反映させていただいております。
 続きまして、15ページをお開きください。15ページ真ん中にあります。こちらは、原子力機構の組織体制に係る目標の記載となっております。ページの真ん中辺り455行目より、「研究開発活動とバックエンド対策に係る取組とを両立して推進するため、組織体制を不断に見直すとともに、迅速かつ効果的、効率的な組織運営を行い」としております。先ほどの参考資料3の提言のうち、組織に関するものをこのように反映させていただいております。
 以上、現在まだ策定中ではございますけれども、原子力機構の第4期中長期目標(案)におきまして、第3回原子力バックエンド作業部会において委員の皆様からいただいた意見を、このように反映させていただいております。原子力機構は、このような中長期目標の内容をもちまして、令和4年度からの新たな中長期目標期間においてバックエンド対策を進めてまいる予定としております。
 なお、その活動状況におきましては、これまでと同様、この原子力バックエンド作業部会において、適宜原子力機構から説明を受けるとともに委員の皆様から御意見をいただき、必要な改善等を進めていきたいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、簡単ではございますけれども、原子力機構の次期中長期目標の案の検討状況の説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。
【出光主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの検討状況の説明に対して御質問などございましたら、お願いいたします。挙手ボタンを、多分画面の右下の辺りに手のマークがあると思いますので、御発言される方はそちらでお願いいたします。どなたかございますでしょうか。特にございませんでしょうか。前回議論した内容を踏まえて、組織の話、それから計画、それと現状といいますか、埋設事業に向けての内容が記載されております。特に皆様方から、コメントはございませんでしょうか。
(「なし」の声あり)
【出光主査】  もしなければ、一旦ここでお認めいただいたということで、次に移りたいと思います。
 次の発表を聞いていただき資料等を見ていただきまして、また疑問が生じましたら、質問していただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題2に進みたいと思います。
 議題2が、第3期中長期計画期間における埋設事業の状況についてということで、こちらは、原子力機構から資料の説明をお願いいたします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  原子力機構埋設事業センターの北嶋でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【出光主査】  よろしくお願いします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  それでは、第3期中長期計画期間における埋設事業の状況について御説明いたします。
 ページ1でございますけれども、1として埋設事業の概要、2として埋設事業全体概要、それから3として個別実施概要、4としてこれまでのまとめと次期中長期計画での取組を御説明いたします。
 次、3ページでございます。埋設事業の背景でございますが、試験研究用原子炉、核燃料試験研究、大学等での基礎研究等で発生する廃棄物については、約2,400事業所から約66万本ドラム缶換算で発生いたします。これらの累積している廃棄物により、各施設の保管能力を超えるおそれやこれにより生じる研究開発への支障、老朽化した施設の解体が困難になるなどが考えられます。このような背景により、原子力機構は、自らの低レベル放射性廃棄物とともに原子力機構以外の廃棄物も合わせて浅地中埋設事業を推進してまいります。
 次、4ページでございます。埋設事業の対象廃棄物は、原子力機構の業務に伴って発生するものと原子力機構以外のものから発生する廃棄物で処分の委託を受けたものとなります。埋設施設の規模といたしましては、約75万本ドラム缶換算でございまして、ピット処分対象はそのうち29%、トレンチ処分対象は71%となっております。
 次、5ページでございます。埋設事業の方針としまして、国の基本方針が定められております。埋設処分業務対象の廃棄物の種類、立地活動、埋設処分地選定における進め方、資金計画の策定と適正な管理を示してございます。この基本方針に沿って、原子力機構は実施計画を策定しております。埋設処分業務対象の廃棄物の種類と量を定めており、立地活動に当たるため立地基準と立地手順を策定しております。適合性評価を受けた比較評価項目については、平成28年6月に公開しております。埋設処分業務の資金計画については、概念設計に基づく積算結果による建設費と操業費、その他を含め、総事業費を約2,243億円と算定してございます。
 次、6ページでございます。埋設施設の概要を御説明いたします。敷地面積100ヘクタールの中に、トレンチ埋設施設とコンクリートピット埋設施設を配置しております。両施設ともに18基でございまして、この絵は操業中の状態を示しているもので、トレンチは既に9基を覆土した状態を示してございます。建設期間に約8年、操業期間に約50年、覆土に約3年、閉鎖後管理期間はピットで約300年、トレンチで約50年としています。
 次、7ページでございます。埋設事業のこれまでの実施概要でございますけれども、平成20年の機構法改正により業務の範囲に埋設処分業務を追加しておりますが、それ以降、これまでの実施内容を示したものでございます。実施計画認可に向けて、埋設事業の計画を策定しております。これはピンクで示しておりますけれども、また平成22年から25年にかけまして、埋設施設設備に関する技術専門委員会において、立地基準及び立地手順の検討を外部有識者により行ってございます。その後、立地基準及び立地手順の作成を行い、公開を行っております。埋設施設設計、安全評価、廃棄体の放射能濃度評価方法や廃棄体の受入基準など、個別に技術的内容を検討しています。
 次、第3期中長期計画期間での埋設事業全体概要でございます。
 9ページでございます。中長期目標では、機構が実施することとなっている研究開発等から発生する低レベル放射性廃棄物の埋設事業においては、社会情勢等を考慮した上で、可能な限り早期に具体的な工程を策定し、それに沿って着実に実施すると定めています。これを受けまして、中長期計画では、研究開発機関等から発生する低レベル放射性廃棄物の埋設処分事業に関しては、国の基本方針に基づき、規制基準の整備状況や社会情勢等を考慮した上で、可能な限り早期に具体的な工程を策定すること、また埋設処分施設の設置に必要となる取組、それから埋設処分施設の基本設計に向けた技術的検討、それから廃棄体の輸送等に係る調整を進めることとしております。これらの取組の①から④につきましては、次ページの実施項目につなげております。
 次、10ページでございます。第3期中長期計画期間中の各年度の実施項目を示しておりますけれども、具体的な工程を策定すると先ほどのページでうたったことに関しては、(1)の埋設事業の策定、埋設処分施設の設置に必要となる取組としては、(2)立地に向けた対応を示してございます。以下、全ページの番号に沿って実施項目を示してございます。
 次に参ります。第3期中長期計画期間での個別実施概要を御説明いたします。
 12ページでございます。埋設事業計画に対しては、廃棄物量の見直しが施設の規模に影響してまいりますので、平成30年度に廃棄体物量調査を行い、その結果を埋設事業計画である埋設処分業務の実施に関する計画に反映しております。このときに、施設規模を60万本から75万本に変更しています。また、総費用につきましては、これによりまして2,029億円から2,243億円に見直しております。
 次、13ページでございます。埋設事業工程につきましては、基本工程において、立地に向けた対応、初期建設に向けた対応、それから操業に向けた対応としておりまして、これに沿って主要項目を実施することとしています。
 次、14ページでございます。埋設処分業務に関する計画の変更経緯を示してございます。平成28年では立地手順・基準を記載して、令和元年では廃棄体物量の調査結果に基づき、先ほど申し上げましたけれども総費用の変更を行っています。
 次になります。16ページです。立地に向けた対応といたしまして、立地手順及び基準を策定してございます。先ほど御説明申し上げましたように、平成28年に、埋設処分業務の実施に関する計画に立地手順及び立地基準を記載しております。手順といたしましては、埋設事業の適切な運営が可能と考えられる地点に属する地方自治体への協力要請方式としており、協力要請方式による地点の選定の状況等を踏まえて、必要に応じて埋設事業に関心を有する基礎自治体の募集も行うとしてございます。立地の申入れを行い、地域住民との意見交換会等を行い、地方自治体の了解を得るといった手順を示してございます。
 次、17ページになります。立地基準につきましては、立地に適合しているかを評価するための適合性評価項目ということで、1として安全性、2として環境保全、3としてその他事業用地面積が確保できるかなどを定めています。複数の地域を相対的に比較するものとしましては、一定規模の用地の確保の容易さや輸送の利便性などを比較評価項目として定めております。適合性評価項目のうち事業用地や比較評価項目につきましては、機構が別途定めて公開してございます。
 次、18ページになります。ただいま申し上げました立地手順の実施計画の記載につきましては、4.1.1の項目において記載しております。ここでは、協力要請方式に関して青字、それから募集方式に関しましては赤字で示してございます。
 次、19ページになりますけれども、これは、17ページに示したとおりでございますので、割愛させていただきます。
 それから、次、20ページになります。機構が別途定めている立地基準といたしまして、平成28年、先ほど申し上げましたように、適合性評価項目として必要な事業用地面積を確保できることを指標として定めております。また、比較評価項目として事業用地取得費用や輸送の利便性や事業効率性について定めてございます。また、用地取得の容易性や重要性についても定めてございます。
 次、21ページになります。評価の進め方の検討につきましては、最新の規制制度や類似施設である産業廃棄物最終処分場の立地選定等を参照としています。評価方法につきましては、安全性の観点から、火山、津波、河川、断層などから一定の距離が確保されている点を確認することを考えております。
 次、22ページでございます。今後の検討といたしましては、原子力機構の埋設処分業務の実施に関する計画において、1として地方自治体への協力要請方式、2として協力要請方式による地点の選定状況等を踏まえて必要に応じて埋設事業に関心を有する基礎自治体等の募集も行うとしています。このような手順に基づきまして、立地選定を進めるに当たり、手続の透明性を確保して公正な選定を行うために、引き続き立地基準に対する評価方法及び立地手順の具体的な内容について詳細を検討してまいりたいと考えてございます。
 資料の前半部は、私、埋設センターの北嶋が御説明いたしました。
【坂井技術主席(原子力機構)】  引き続きまして、JAEA埋設センターの坂井が御説明させていただきます。
 23ページでございますが、埋設施設の設計と安全評価に関する業務でございます。
 ここ以降ページ数が多いので、概要についてのみ御説明させていただくことで御了承願います。
 24ページでございますが、まず、トレンチ処分施設の設計の検討について説明しているページでございます。この上の絵はトレンチ処分施設でございまして、遮水工を設置した付加機能型トレンチ処分施設を考えてございます。この施設は、遮水工の構造とそれを通過する浸透水の量の評価が重要となりますので、それについて、下に示します想定される三つの構造の遮水層を設定いたしまして、浸透水量の評価を行い、それぞれ構造の検討をしているものです。この結果を基本設計に反映しようとしているものでございます。
 次は25ページでございまして、埋設施設におきましては、処分環境の地下水の流れを把握することがとても重要になります。それで、地下水の流動解析の検討を行っておりまして、その方法といたしましては、このフローにございますように、まずボーリングデータを用い地質の3次元のCADモデルを作成しまして、それに基づいて、右側の解析に使うモデルを作成するというものでございます。その結果に解析領域の境界条件を入れて、流動解析を行っていく手法でございます。これらにつきましても、埋設施設の場所が決まった際には、実際の環境のデータを用いて解析を行っていくことを考えております。
 引き続きまして、26ページですが、埋設事業の用地は100ヘクタールと広い範囲を考えておりますので、その中で、埋設施設の場所をどこに設置するかということを検討しているものでございます。右側の絵を見ていただきたいのですが、このように、各条件、例えば地下水の深度分布や地質状況などから、好ましい場所を選定していきまして、それらを重ね合わせて埋設施設に適切な場所を選定していく方法を検討しているものでございます。
 27ページでございます。可燃物の埋設処分ということで、従来、可燃物は焼却して処理して埋設することを基本としておりますが、廃棄物の取扱いにおいては、放射性物質が飛散しないように廃棄物を紙ウエスやビニールで覆って保管しますので、どうしても廃棄物に可燃物が混入するということでございます。それにつきまして、可燃物を埋設した場合に、将来起こり得る処分施設の変化、2番目の絵を見ていただいて、処分場が変形してしまうのに対して、3番目、こういう覆土の対策を合理的に取れる範囲を考慮して可燃物の埋設量を検討したものでございます。
 28ページでございますが、今度は、ピット処分施設の浸出水量と、また右側の矢印が出ていますけれども水の移行する場所が重要になりますので、それに対して流動解析を用いて、この浸出水量と移行経路の評価を行ったものでございます。
 ここまでが設計と安全評価の検討でございまして、ここからが、廃棄体の放射能濃度の評価方法の検討でございます。
 30ページでございますが、まず廃棄物の放射能は、処分施設の安全性を検討する上で重要な基礎データですので、それについてしっかり評価することが重要となります。また、廃棄物の発生施設の種類に応じ放射性物質の種類や組成が異なりますので、その発生施設の種類ごとに放射能のインベントリを評価することが必要となってくるものでございます。この照射後試験施設とは、原子炉で照射した材料や燃料を試験する施設でございますので、その照射条件から廃棄物の放射能を計算で評価することが可能であります。右側のグラフを見ていただき、このように計算結果と分析結果を比較すると、おおむねよい一致が見られますので、このように廃棄物の放射能評価において計算方法が有効であることを検討しているものでございます。
 31ページでございますが、こちらは、試験研究炉の廃棄物の放射能評価方法を示しているものでございます。原子炉施設の放射能評価におきましては、国内で既に実績が多くありますので、それらに最新の知見を反映いたしまして、放射能評価方法を研究施設等廃棄物の試験研究炉の発生事業者で共通して使用できるように取りまとめを実施しております。これらのほか、ウラン廃棄物の測定などのほかの施設の放射能評価の検討も実施しているところでございます。
 続きまして、32ページからは廃棄体受入基準の検討についてでございます。
 33ページでございますが、廃棄体におきましても、埋設処分の安全性を確保するために、それぞれ規制において技術基準が決められておりますので、その技術基準に適合するように機構としての基準やまた作成方法の検討を進めているものでございます。この33ページは、セメント固化体においては廃棄体の容器内に有害な空隙がないことという基準がありますので、それに適合するための試験を行っているものでございます。右上の表にありますが、このようなモルタルの配合の条件を用いセメント固化を行った結果、下の表にありますが、このように空隙の基準を満足するという結果が確認できているものでございます。
 34ページにつきましては、トレンチ処分施設にドラム缶を埋設した場合、その重さに耐えられるかどうかという試験を行ったものでございまして、上側の右の部分の絵になりますけれども、このようにトレンチ処分の環境を模擬して荷重試験を行いまして、ドラム缶の変形が弾性変形の範囲内であることから、ドラム缶が想定される荷重に耐えられることを確認しているものでございます。
 35ページにつきましては、今度はピット処分に関する荷重に耐えられるかどうかの検討でございます。ピット処分施設では、このようにドラム缶を横向きに置いて積み上げますので、試験装置も、真ん中にあるように横向きに置いて圧縮して、強度――変形しないかどうかの確認をしていくものでございまして、この試験の結果により、すみません、ここで圧縮しているものは2ページ前で説明しましたセメントで固化した廃棄体ですが、これについて、十分な荷重に耐えられる性能を確認してございます。
 36ページにつきまして、ここでは少し変わりまして、研究施設等廃棄物には硝酸塩等特有の化学物質が含まれており、これを安全に埋設処分できるかどうかの検討を行っているものでございます。下にある図は、再処理施設などの廃棄物に含まれる硝酸塩の入った廃棄体を埋設処分した際の環境中での移行をシミュレーションしたもので、この右側のシミュレーションの結果から地下水中の放射能濃度を求め、環境基準を満足していることを確認しているものでございます。
 37ページにつきましては、基準線量相当濃度といって、まず埋設施設におきましては埋設施設からの線量の基準が決まっており、その線量基準に相当する廃棄物の放射能濃度を基準線量相当濃度と呼んでおります。ここの下の表にありますけれども、核種ごとにシナリオの条件においてそれぞれ基準線量相当濃度を算出し、これを発生者にも提示することによって、発生者が持っている廃棄物についてどの処分方法が可能かどうかの検討に役立つというものでございます。
 38ページでございますが、そのほか廃棄体の基準といたしまして、左側は、廃棄体の落下時に放射性物質の飛散量が極めて少ないことという基準がございますので、それについて、現在落下解析を行って基準を満足する条件を検討しているものでございます。将来的には実際に試験も行うことも考えてございます。右側は、トレンチ処分におきましては、廃棄物をセメントで固化する必要がありませんので、現在砂を充填して容器内の空隙を満たすことを考えております。その砂の充填方法について試験を行っている様子を示しているものでございます。
 受入基準の検討状況について、39ページにおいてまとめてございます。この表ですけれども、放射能特性や環境影響物質への対応につきましては、実際の立地環境において評価を行って決定する必要がありますので、現在までの検討結果は暫定で、引き続き検討中ということでございます。その他の物理・化学特性につきましては、主要な廃棄体についてはおおむね検討できたと考えておりまして、これからは、物量の少ない焼却灰やイオン交換樹脂といった廃棄物に対する基準の検討や、その他機構で処理の合理化に向けた検討などを進めていきたいと考えているものでございます。
 40ページからは、廃棄物発生事業者等との調整ということで説明させていただきます。
 41ページでございますが、関係機関といたしまして、RI廃棄物を集荷・処理しておりますRI協会、また原子炉等規制法の廃棄物の処理事業を計画しておりますRANDECとの情報交換を、協議会を設置して進めているところでございます。その中に廃棄体検討ワーキングという技術的な検討や情報交換を行う会議体も設置して、検討を継続してございます。
 42ページですけれども、各個別の発生者との意見交換といたしましては、現在のところ、試験研究炉の設置者とのグループ会合を実施しております。グループ会合では、先ほど説明いたしました放射能評価の方法について共に検討を進めているとともに、また埋設に向けてどういう作業が必要なのかということの説明等を行っているものでございます。その他の事業者につきましても、今後は意見交換を行って、埋設事業への情報を周知していきたいと考えております。
 43ページでございますが、広報活動への取組について説明いたします。
 44ページにつきましては、Webページですが、機構法改正で埋設事業が開始された頃からWebページを開設しておりまして、事業の詳細や技術検討の報告書やこのような委員会の開催情報について、適宜更新して運営しているものでございます。
 45ページにつきましては、パンフレットと模型でございますけれども、パンフレットも埋設事業の開始当時から作成しておりまして、法令等が改正されるごとに内容等を見直しリバイスして、いろいろな説明会等のイベントで配布しているものでございます。また、埋設施設の模型につきましても、機構報告会などでブースをつくったときに持っていって説明を行っているものでございます。
 46ページにつきましては、埋設事業の講演会等での紹介の実績でございますが、機構報告会や学会、また関係団体等で、このように説明を行ってきているものでございます。
 47ページは今後の広報活動についてですが、もっと強化して活動を行っていくことは必要と考えております。そのために、まずは関係する学協会や産業界、また放射線を利用する関係機関等に、埋設事業の説明と必要性を理解いただき、埋設事業推進への雰囲気づくりをしていきたいと考えているものでございます。また、一般の方々に対しても、埋設事業を分かりやすく説明して理解促進を図るために、タイムリーに正確かつ透明性のある情報発信を行っていきたいと考えているものでございます。
 これまでのまとめと次期中長期計画での取組について御説明させていただきます。
 ここまで今中長期計画における事業の内容を説明してまいりましたが、まとめますと、49ページですが、真ん中の白い四角にありますように、①番から④番までの項目につきまして業務を推進してきたということでございます。第4期中長期計画以降におきましても、埋設事業を推進していくとともに、施設設計や安全評価、廃棄体受入基準の技術的な検討については継続して進めていくことを考えております。その際に、これまでの技術的な検討をしっかり整理しセーフティケースとしてまとめることに着手しまして、これまでの検討に抜け落ちがないかどうか、また規制要求に耐えられるかどうかといったところを踏まえながら、今後の技術的な検討を進めていきたいと考えているものでございます。
 50ページについては、次期中長期計画期間でのまとめでございますが、今年度、IAEAにおきましてもレビューをいただきましたし、先ほど御説明がありましたように、本作業部会におきましても埋設実現に向けた立地対策や廃棄体受入基準等の具体的な対策が必要との提言をいただいておりますので、ここに書いてあるような項目の検討を行いたいと考えているものでございます。まず、一つ目としましては社会情勢等を考慮した上で適宜埋設事業の工程の見直しを行っていくこと、また埋設施設の設置に向けた立地活動を進めたいということでございます。それとともに、基本設計に向けた技術的検討を進め、また廃棄物発生者が着実に廃棄体製作を進められるように廃棄体受入基準の整備を進めるということです。また、埋設事業を進めるに当たっては、理解促進のための活動を関係機関等の協力を受けながら進めていきたいと考えているものでございます。
 次ページ以降は、参考資料でございまして、51ページ、52ページは安全規制制度について説明しているものでございます。
 52ページを簡単に説明しますと、長年の懸案事項でありましたウラン廃棄物の安全規制制度も規則が制定されまして、残るは、下のオレンジ色の医療法などの法律による廃棄物の規制整備のみとなったという状況でございます。
 54ページから57ページにおきましては立地基準について説明していますが、これは、先ほど説明した実施計画に示しております基準の根拠となっているものでありまして、技術専門委員会の検討によって取りまとめていただいたものでございます。
 58ページからは、立地手順に関する類似事業の事例を説明させていただきます。
 59ページは、皆様御存じのとおり、現在NUMOさんが行われている地層処分の立地場所選定の手順でございますけれども、現在は、下の丸にありますように、北海道の寿都町においては町が文献調査に応募することによって、また北海道の神恵内村に関しては、国から文献調査を申し入れ村長が調査受託したことによって、文献調査が今開始されているという状況になっているものでございます。
 60ページ以降につきましては、地層処分のこれまでの経緯をまとめているものですが、まず最初の平成25年の前は、高知県東洋町で応募が行われそれが取り下げられたということで、国によって、次の61ページですが、まずは科学的特性マップを示して、国から関係自治体へ申入れを行うとの方針がこのときは掲げられたということでございます。ただ、33回の頃になりますと、周知活動等も推進され、この際には自治体からの応募と国からの申入れを自治体が受託するという両方のプロセスを行いながら、文献調査を受けていただく地域を探すというプロセスとなっておりまして、その結果、現在の状況に至っているものでございます。
 62ページ、63ページにつきましては、産業廃棄物の最終処分場の事例について説明しておりまして、64ページから68ページにつきましては、諸外国の処分場の立地選定に関する経緯についてまとめており、これらを参考に検討を進めていきたいと考えているものでございます。
 資料の説明は以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問あるいは御意見等いただきたいと思います。
【前田対策官(事務局)】  失礼いたします。事務局から1点だけ、よろしいでしょうか。
【出光主査】  はい、どうぞ。
【前田対策官(事務局)】  ただいま、遠隔会議システムの挙手ボタンが機能していない場合があるようです。挙手ボタンが機能していない場合は、申し訳ございません、ミュートを解除して、御質問等の旨を御発言いただくような形で進めていただければと思います。大変申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
【出光主査】  はい、分かりました。では、挙手ボタン、先ほど井口先生が最初に挙げられていましたので、まず井口先生からお願いいたします。
【井口委員】  元名大の井口です。
 どうも、御説明ありがとうございました。近況がよく分かりました。
 技術的な話で三つ、あるいは四つですか、時間もありますので、簡単な答えで結構なんですけれども、最初に、資料でいうと12ページで、廃棄物量の見直しを行っていただいていると。ウラン廃棄物を考慮して全体の本数を増やされているわけですけれども、前々から気になっているのは、クリアランス物と特定レベル廃棄物の仕分け部分が従来よりも厳しくなって、本来はクリアランスに行くものがトレンチ処分に行く可能性があるわけですね。そういうものについて、研究施設等廃棄物の場合でも考慮に入れた物量評価になっているのかという点を確認したいと思います。これが1点目です。
 質問は続けてやっていいんですね。
【出光主査】  はい、どうぞ。井口先生、ミュートになっています。
【井口委員】  すみません。2点目は、24ページに、トレンチ処分の底の浸透水量の調整に遮水シートを使うという話が出ていて、これはいわゆる付加機能型と呼ぶのかもしれないのですが、この意味がよく分からなくて。わざわざ遮水シートを敷いて、そこに貫通孔を設けるのですかね。それで、上から雨水で漏れ込んだ水をそこの穴を通して岩盤に落とし地下水への移行を抑制すると理解したのですけれども、そんなことをしなくても、例えば24ページですと、一番左側にあるように、遮水シートを使わずに低透水性の土壌を敷き詰めてしまうという方法で、地下水への移行は抑制できるのではないかと思うのですが、その辺りの考え方について少し簡単に教えてほしいということです。
 それから、3番目ですけれども、30ページの右の図にありますように、トリチウムや炭素14等についてスケーリングファクターが使えますよという御報告かと思うのですけれども、この二つの核種については、拡散しやすいので、状況によってスケーリングファクターが使えるかどうかは分からないのではないかと。今までもあまりそういうことはやってなかったと思うのですけれども、その妥当性についての考え方を教えてほしいということと、これを見ても明らかに保守性は担保されてないので、要するに、コバルト60比でトリチウムやカーボン14が見積れるというのは正しいのですけれども、妥当なのですかというところを確認させてください。
 最後、ごめんなさい、これでおしまいです。最後は、PRのところで、非常に一生懸命やってらっしゃることは重々承知の上ですけれども、理解活動を含めたときに、例えば立地に関して地元の方へのメリットについては、どういう説明をされているのですか。いわゆるインセンティブについて、こういうPR活動ではどのような説明をされているのかをお伺いしたいと思います。
 以上、長々と申しましたけれども、よろしくお願いいたします。
【出光主査】  では、今の4点につきまして、一つ目は北嶋さんのほうでしょうか。よろしくお願いします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  御質問のウラン系のクリアランスについて、処分場のキャパにどう影響するのか。
【井口委員】  失礼ですが、ごめんなさい。ウラン系だけじゃなくて、普通の廃棄物の場合のクリアランスを含めて。
【北嶋センター長(原子力機構)】  承知しました。クリアランスの処分場のキャパに与えるインパクトですが、見積もる場合には、基本的にクリアランス相当分と考えられるものもL3分として勘案しておりますので、ついては、処分場のキャパを考慮する際は、今考えられるクリアランスというかグレーの部分についても、L3廃棄物として算定してございます。
【出光主査】  ありがとうございました。井口先生、よろしいですか。
【井口委員】  分かりました。ありがとうございます。
【出光主査】  では、残り3件につきましては、坂井さんから御回答をお願いします。
【坂井技術主席(原子力機構)】  24ページでございますけれども、すみません、これは誤解……、説明があまりにも省略されていて申し訳ありません。遮水シートに穴をわざと空けているのではなくて、遮水シートですので穴を空けないとほとんど水を通さないのですが、施工の際やその後の作業の際に穴が空いてしまうこともありますので、穴が空いている状況を考慮して評価を行っておりますということであり、積極的に穴を空けているわけではございません。よろしいでしょうか。
【井口委員】  ごめんなさい。そうすると、ますます分からなくなるのですが、遮水シートを敷いてしまうと、雨水浸透の場合に水がたまってきますよね。そういう心配はしなくていいですか。わざと、何らかの工事で空いた穴によって抜けていくという考え方でやってらっしゃると。そういう理解でよろしいのですか。
【坂井技術主席(原子力機構)】  まず、御指摘のとおりなのですけれども、この上の絵を見ていただくと、確かに水が溜まるのを避ける必要があるので、上の部分にも遮水シートを敷いて、基本的には中に入らないようにしていくということでございます。中に水は入ってこないのですけれども、進出水集排水管を設けまして、もし入ってきた場合でもここから外に引っ張り出すような仕組みになっております。ですから、水がたまらないように検討しているというものでございます。
【井口委員】  分かりました。とりあえず水密を担保するという考え方なのですね。
【坂井技術主席(原子力機構)】  そうですね。
【井口委員】  了解しました。
【坂井技術主席(原子力機構)】  それと次が……。
【井口委員】  30ページですね。スケーリングファクターの。
【坂井技術主席(原子力機構)】  先生の御意見のとおりでございまして、ここも説明が大分不足しておりますが、セシウム比といって燃料のほうのFPやTRU核種については基本的にはすごくいい予測ができているのですけれども、こちらの材料系の核種については、おっしゃるとおり、トリチウム、カーボンは、移行もありますのでばらついていますし計算とも開きがございます。少し課題が残っておりますので、その辺は御指摘のとおり詰めていかなければならないと考えております。ですから、コバルトのほうは技術的な課題がかなり残っているというものでございます。
【井口委員】  分かりました、ありがとうございます。
【坂井技術主席(原子力機構)】  あとは……。
【出光主査】  最後、PRの話で地元のメリットの説明でしたね。
【井口委員】  インセンティブと言ったほうがいいかもしれませんけれども。
【坂井技術主席(原子力機構)】  この46ページで説明しているような際には、地元に対して、地域に貢献する活動を行っていきますということを基本方針にも実施計画にも示してございますけれども、そこをやっていきますということで、具体的な内容については実はまだ明確になっていませんし、今説明している状況ではないということでございます。ただ、地域にはしっかり貢献していきますということは説明している状況でございます。
【井口委員】  分かりました。当然これまでの活動でよく理解されていると思うんですけれども、地元の方の理解を深める、あるいは立地に協力してもらうには、やはりインセンティブというか、それを受け入れることによってこういうメリットがあるということを説明してあげなければ、なかなか皆さんには動いていただけないかと思うので、そこら辺をどう考えるのかというところが非常に重要だと思います。ですから、今後検討されるときには、ぜひ地元の方に伝えるインセンティブは何かということをよく考えていただけるといいのではないかと思います。難しいですけれども、よろしくお願いいたします。
 以上です。ありがとうございました。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、岡本さんから手が挙がっていますので、岡本先生、よろしくお願いします。
【岡本主査代理】  手が挙げられるかなと思って挙げてみたら、ちゃんと挙げられたので。(笑)確認の意味だったのですけれども、ありがとうございます。
 僕も幾つか質問があるのですけれども、まず最初は、2,000億円、70万トンという膨大な量なのですが、最後の井口先生の話とも関連するのですけれども、そのときのスペースの見積りですね。敷地の見積りはやられていると思うのですが、資料の中で見つからなかったので、どのくらいの大きさのものになるのかという見積りがあれば教えていただきたいと思います。例えば高レベルのNUMOだったら、地上のもので1から2キロ平米、あそこは地下がもっとでかいのですけれども、何かそういうものは公開されていますので、これがどのくらいのスペースになるのかということがあるといいと思いました。
 そういう意味では、今日はなかったのですけれども、東海発電所のL3、トレンチが今3年以上ずっと審査をやっていますが、あそこは比較的狭いですね。駐車場くらいの敷地で、東海炉のL3を全部埋めることになっています。原子力発電所と研廃の量が全然違うことは分かるのですが、どのくらいの敷地面積になるのかという情報は重要ではないかと思って、御質問をするところです。
 2点目は、井口先生と同じですが、30ページがやはり。放射化のほうは、キャラクタリゼーションのところは実際、通常の発電炉も、ここのところの見積りが計算で今……、というのは、アクシデンタルに止めて廃炉になっているものがいっぱいあります。止めるつもりはなかったのだけれども廃炉にしているものがいっぱいあって、ほとんど計算でやっているのですが、あまり精度がよくなく、その辺り、電力会社といろいろ情報共有のようなことはされているのかどうかという意味で、少し気になるところです。
 3点目は、電力会社の廃炉もしくは運転中のL2、L3と一番大きく違うのは、研廃には、何ページでしたか、Mixed Waste――変なものがいっぱい入っているのですね。ウラン濃度が少ないですけれども入っていたりするものも当然あるわけで、変なものがいっぱい入っているところが多分一番大きな研廃としての特徴だと思っています。実際にやるとなると、この辺りの研廃の話、それから後ろでは産廃の話もありましたけれども、産廃などでいろいろやられている話とこのMixed Wasteの話をどのように研廃の中で取られていくかというストラテジーを含め、また研究をいつまでにやらなければいけないかというゴールも含めて、いろいろお考えのところがあれば教えていただきたいと思います。
 それから、井口先生も言われていたところで、井口先生はインセンティブという言い方をされたのですけれども、私は、埋設処分場はビジネスモデルだと思っています。例えば、日本はあれですが、海外だと、後ろには出てなかったのですけれどもアメリカのバーンウェルなどは、比較的狭いところですが立地調査もビジネスモデルで潤っていたりと。そういったことを含めて、埋設事業を実はビジネスモデルとして捉えていく。2,000億円のプロジェクトになりますから、そういう中でどういう税金を考えるかも含め、地元へのあれも含めてですが、ビジネスモデルとして埋設事業を考えなければいけないのではないかと思っている次第です。
 ビジネスモデルとなると、インセンティブというのもありますが、もうかりますので、地方自治体のビジネスとしてやることになってくると、現在神恵内などでNUMOがやっているのと同じように、JAEAさんも、16ページ辺りを見ると協力要請で必要に応じて募集というようなことが書いてあるのですけれども、協力要請を中心というよりも、募集も含めた話を前に進めていくと。そのときには、インセンティブなのかビジネスモデルなのかは分かりませんけれども、そういう形での在り方、埋設事業が地方の活性化につながるんだということを含めた話があるといいのではないかと思っている次第であります。
 そのときには、やはりスペース――大きさとの関連が若干気になるので、一番最初に戻るんですけれども、広さという点が少し気になったところです。
 すみません、いっぱいしゃべりまして。
【出光主査】  では、第1点については、北嶋さん。先ほど、説明のところで100ヘクタールくらいと口頭では言われていたみたいでしたが、記載がないので御確認をお願いいたします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  6ページの施設概要のページになりますけれども、そこで、小さくですが、敷地面積は本施設としては約100ヘクタールを考えておりますので、その敷地面積に見合った坪単価を乗じて、この敷地の費用の積算、見積りをしてございます。
 1点目については、簡単ですけれども以上でございます。
【岡本主査代理】  100ヘクタールということは、1キロ1キロということですね。
【坂井技術主席(原子力機構)】  すみません、この絵におきましては、1,250メーター掛ける800メーターで設計しております。
【岡本主査代理】  1.2キロ1キロ、だから、そのくらいのスペースがあれば十分なのだという、そこが、先ほどのインセンティブというかビジネスモデルにも極めて重要だと思います。すみません、ありがとうございました。これで、70万本を全部埋められるということですね。はい、ありがとうございます。
【出光主査】  続きまして、残りの3点をまた坂井さんのほうですかね。スケーリングの話で電力との情報共有ということでしたが、いかがですか。
【坂井技術主席(原子力機構)】  電力さんと、表の場では、原子力学会の標準で放射能評価委員会等ございますので、その場で議論しているということはやってございます。あと不定期ではございますが、日本原電さんとL3、放射能評価の部分についてはそこまでの意見交換はしてないのですけれども、埋設事業に関しては、原電さんや原燃さんにいろいろ教えていただいていると。そのようなことはやってございます。
 電力さん、廃止措置のほうで放射能評価の検討が進められている背景は何となくは聞き及んでいますが、具体的には、親密な関係とまではいっていませんので、今後、もっといろいろとギブアンドテイクの関係になれるように頑張っていきたいと思います。
【出光主査】  岡本先生、よろしいですか、今の。
【岡本主査代理】  ありがとうございます。そこのところは、ぜひ実績のある、それから、電力のやってないところということでぜひMixed Wasteの話が、産廃などとも絡んで、いろいろな不純物がどっさり入ったようなところ……、それは次の話か、ごめんなさい。先に行っちゃった。(笑)
【出光主査】  では、坂井さん、次の質問で、今言われましたがMixed Wasteをどのように取り扱うのかをお願いします。
【坂井技術主席(原子力機構)】  Mixed Wasteというか化学物質が混入した廃棄物についてですけれども、24ページにありますように、トレンチ処分につきましては、このように遮水シートを設置したこのような施設を設計しておりまして、これによって、産業廃棄物の処分場の基準も満足するように設計しているものでございます。それとあと、再処理の廃液等に含まれる硝酸など、機構の中でも重要な化学物質に関しましては、36ページのように、含有物質が環境基準を満足するような評価を行っていると。満足するように埋設していくことを検討しています。
 全体の大きなストラテジーといたしましては、今日は処理のところの説明はないですけれども、処理のほうでチェックして分別できるものは分別していって、混入してしまうものは処分場のほうの対策で環境基準や産廃の基準に適合するように対応していくということでございます。それで、さらにまた検討を深めて、合理的な処分をしていきたいと考えております。
 以上です。
【岡本主査代理】  ありがとうございます。アメリカなどでもDOEの処分場には割といろいろなものを埋めているみたいですので、どこまでその情報が共有できるのか分かりませんけれども、ぜひ海外の成功事例などをいろいろやっていただけるといいかと思います。ありがとうございました。
【坂井技術主席(原子力機構)】  ありがとうございます。
【出光主査】  最後のビジネスモデルは今のコメントでよろしいのですか。
【岡本主査代理】  最後のほうは、どちらかというと北嶋さん、場合によっては伊藤副理事長なのか分かりませんが、やはり、ただ単にこちら側から言うだけではなく、NUMOのほうもいろいろやられているみたいですから、ぜひ手を挙げられるような形を含めて。これ、つまりはPRのやり方、最後のほうで井口先生の御質問にもありましたが、PRのやり方を変えなければ、手を挙げてくるところは極めて少ないのだろうという気はしていますので、この辺りをそろそろ。「必要に応じて」と書いてある、この「必要」とはどういう意味かは分からないのですけれども、そういう意味でインセンティブないしはビジネスモデルという形で前に進めなければ、いつまでたってもこの時点に立ち止まっているのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
【北嶋センター長(原子力機構)】  ありがとうございます。埋設事業センター、北嶋でございます。
 ただいま先生から、ここでいう募集方式について少し考えてみたらどうかとの御意見をいただきました。22ページにも、実施計画の中で、先ほど先生からありましたように、募集方式も想定してございます。今後、先生よりいただいた意見等を踏まえまして、手続の透明性を確保して公正な選定を行うべきでございますので、立地基準に対する評価方法や立地手順の具体的な内容について詳細に検討を進める中で、いろいろな状況も踏まえながら、ただいま御指摘のありました募集方式の可能性も含めて考えてまいります。
 以上です。
【岡本主査代理】  ありがとうございます。ここの「必要に応じて」という枕言葉が個人的には納得が……。もう既に必要なのだろうと思ったので。この辺りの捉え方はいろいろあると思うのですけれども、ぜひ、そのときに、井口先生の言われたインセンティブ、私はビジネスモデルと言っていますが、同じことで、そういうところを含めて、ちゃんと提示できるような形がありがたいと思います。これも海外の事例になりますが、イギリスや先ほどバーンウェルの話も申し上げましたけれども、海外のこのような低レベル廃棄物の処分場はさっきあったように狭いのですね。そう広くないのです。1平方キロといったら、普通の地方自治体に行くと本当に点みたいなものでしかなく、でも、それで50年にわたっての大きなビジネスがつくれる可能性があると。そういったことを踏まえて、ぜひお願いします。どうしてもNUMOがやると高レベルになりまして、あちらのほうは深いし時間も長いのですけれども、トレンチだったら50年ですから、そういう意味も含めて、ぜひそろそろ積極的な形がいいかという気がしているということです。どうぞよろしくお願いします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  埋設センター、北嶋でございます。
 ありがとうございます。先生の御指摘にありました埋設事業の推進に向けましては、ビジネスモデルを考慮して、地域に貢献できることが非常に重要だと考えておりますので、具体的には、埋設施設の建設や維持管理に伴う雇用のほか、地域の産業振興や雇用促進につながるような地域振興策について、地域の御意見をお聞きしながら、実勢計画で想定する財源の枠の中で可能な方策について検討してまいりたいと考えてございます。ありがとうございました。
【岡本主査代理】  よろしくお願いします。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、中熊さんの手が挙がっていますので、よろしくお願いします。
【中熊委員】  岡本先生から電力とのコミュニケーションのお話がありましたので、一言だけ申し上げます。
 今JAEAさんから御回答のあったように、日本原電さんや日本原燃さん、あるいは学会を通してコミュニケーションを取っていただくだけではなく、電事連も原子炉廃棄物に関する委員会やサイクル廃棄物に関する委員会、あるいは廃炉や廃棄体に関する技術検討の会議体、いろいろ持ってございます。ですから、もし何かコミュニケーションという話でリクエストがありましたら、私どもにオファーいただければいつでも中を取り持ちますので、ぜひお声がけいただければと思います。今後、フロント・バック問わず、電力とJAEAさんとのコミュニケーションは密にしていくべき重要な課題だと思っていますので、これを機にぜひそういうアクションもしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございます。
 それでは、ほかに御意見ございますでしょうか。澁谷さん、お願いします。
【澁谷委員】  RANDECの澁谷です。
 一つは要望ですけれども、RANDECは病院あるいは研究施設等、民間の廃棄物を受け入れ処分廃棄体にして処分場へ送り出す事業を担っていますが、ある意味RANDECのスポンサーの方々から、立地の状況はどういうふうに進んでいるのだといつも聞かれるところでございます。ですから、50ページにあります次期第4期中長期計画の期間中での取組が、言葉では書いてございますが、次期計画の中では具体的にどういう取組をしていくと、目標の時期をどこに定めるかということを、ちょっと難しいかもしれませんが、そういうところも含めてぜひきちっとした計画を策定していただきたいと思います。49ページのように「継続して実施」としか書いてないところがいろいろありますので、ぜひ、この辺を継続ではなく進展するような具体的な計画にしていってほしいと思います。
 それと、もう一つは、先ほど岡本先生がおっしゃっていたビジネスモデルですが、研廃の埋設処分事業はJAEAが事業主体になっていますけれども、地元の企業さんも含めて民間企業と一緒になった企業体をつくって進めていくという、前回の作業部会で委員のどなたかからも御指摘があったように、そういう取組はJAEAで考えていらっしゃるのでしょうか。最後は質問でございます。よろしくお願いします。
【出光主査】  では、どなたが回答されますでしょうか。坂井さんですか。
【北嶋センター長(原子力機構)】  埋設事業センターの北嶋でございます。
【出光主査】  はい、お願いします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  立地について具体的に明確に書きたいところはやまやまでございますけれども、立地に関していえば、立地地域の相手もあることですので、なかなか陽に明確に書くことは難しいという点は御承知おきいただきたいところでございます。
 それから、JAEAが事業主体となって民間との企業体を模索してはどうかということなんですけれども、これにつきましても、御指摘のとおりでございますが、埋設事業の推進に向けて、第一義的には地域に貢献できるように地域振興策を含めて考えてまいります。
 簡単でございますけれども、以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、大越さんの手が挙がっております。よろしくお願いします。
【大越委員】  日本アイソトープ協会の大越でございます。
 私は、2点ほど質問というかコメントをさせていただければと思います。
 まず1点目ですが、49ページの廃棄体の受入基準の検討。こちらは、大きく分けて立地環境に依存しないものと立地環境に依存するものがあるとのことで、私が懸念しているのは、立地環境に依存する放射能といった情報については、科学的にはやむを得ないことだと思うのですが、立地場所の自然環境、特に地質や地下水の状況等に応じて埋設処分できる放射能量が変わってくることがあると。そういう意味で、立地活動の際に受け入れてくれる自治体に対して、この処分施設では物量――トン数などはあまり変わらないかもしれないのですが、放射能量についてはある意味想定で説明せざるを得ないことも考えられるわけで、その想定と評価方法の数値がうまく収まっていればいいんですけれども、違ってしまうことになると、受け入れる自治体にとっては、ちょっと話が違う、情報が後出しだと。そうなることが懸念されます。
 あと、今後、研廃につきましては、廃棄物を委託する機関が多岐にわたるため、当初想定しているものと違った廃棄物が出てくると、これも情報の後出しになって、受け入れる自治体としては懸念事項になると。そういったこともあると思いますので、私ども日本アイソトープ協会も委託する側として廃棄体の情報をJAEAさんに渡す立場ではあるんですけれども、JAEAさんもなるべく早く関係機関から情報を集めることによって、その立地場所に依存する条件があまり変わらないような形で、話がうまく進むよう対応していただければというお願いでございます。
 もう1点、47ページの広報活動。これについても、ほかの委員の方々からお話が出てございます。私どもも廃棄物に関する責任を有する機関でございますので、ここに書かれている2番目のポツに関することについては、御協力するべく対応したいと思いますので、ぜひお声をかけていただければという、すみません、ここで言う話ではないかもしれませんけれども、そういう対応をしたいと思っております。
 こういう説明をしますと、総論としては廃棄物処分・研廃の処分の必要性は御理解していただけると思うのですけれども、各論になって、なぜこの場所に処分するのかといった話や安全性については、やはり個別に対応し説明せざるを得ないことになってくると思います。安全性については、今回坂井さんからいろいろ技術的な説明はしていただいたのですが、やはり一般の方々を対象にした説明になるかと思います。一般の方々に対して、安全性を押しつけるのではなく理解していただけるために、分かりやすい資料や説明の内容を考える必要があると思いますので、そういった安全性に対する一般の方々向けの説明については、ぜひ一般の方々をモニターに入れるなどして安全性に関する説明資料を作って、分かりやすく広報していただければと思います。その点についても、御協力できる点はあるかと思いますので、ぜひお声をかけていただければと思います。
 以上、2点になります。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、何かありましたらJAEAさんから御回答をお願いいたします。基準のほうはいかがでしょうか。
【坂井技術主席(原子力機構)】  放射能の基準に対しましては、現在も、37ページで説明しておりますように、もともとピット処分、トレンチ処分の概念では、このくらいの放射能濃度を捨てるものだということで国によって考え方が示されたものがあって、それに基づいて原燃さん等もやられていると思いますけれども、それらを見据え、このようにいろいろな係数を見ながら、もともとの考えていた放射能レベルが埋設できるような条件等が厳しくなったときは、例えばバリア機能の強化など、少し設計を工夫するなどして、なるべく合理的な放射能濃度の範囲で捨てられるような検討を進めていきたいと、それを目指していきたいと考えているものでございます。ですから、最終確定とは言わないものの、暫定的な基準の精度を上げていきたいと考えているということでございます。
 基準に関しては、以上になります。
【出光主査】  ありがとうございます。あとよろしいでしょうか。
【坂井技術主席(原子力機構)】  広報活動に関しましても、大越委員のおっしゃったとおり、技術的な説明に偏らないような分かりやすい資料を、いろいろな方に見ていただいて作成していきたいと思いますので、御協力もぜひよろしくお願いいたします。
【出光主査】  ありがとうございました。大越さん、よろしいでしょうか。
【大越委員】  はい、了解いたしました。
 ただし、先ほどの放射能の基準については、一つの方策として安全性の強化という方法論もあるかと思いますけれども、それはコストにつながる話でもございますので、その点については留意しながら進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【出光主査】  では、ほかございますでしょうか。澁谷委員と大越委員、まだ手が挙がったままですが追加はございますか。よろしいですか。
【足立委員】  足立です。
【出光主査】  はい、どうぞ。
【足立委員】  機能がちゃんと見えなかったので。いいですか。
【出光主査】  どうぞ。
【足立委員】  今、大越委員さんのお話になったことに非常に共感したんですけれども、事業者の皆様から立地の件をお考えいただくと、どうしても消費者や実際にそこに住んでいる市民の視点が取りこぼされることがあるかと思います。ですから、ぜひ、先ほど大越委員がおっしゃっていたように、立地を考えるときには、必ず本当に一般の消費者の方の意見を言える人をそこの委員の中に入れて検討していくことが必要です。
 また、立地を考えるときに、条件以外にもインセンティブやビジネスモデルということがありましたけれども、やはり地元に対する貢献ということでいえば、例えば、自分の住んでいる地域に呼んでくるとしたらどういうことを言えば皆さんに受け入れていただけるかというような、本当に自分の家族の立場に立った考え方が必要ではないかと思います。
 それから、これはすごく素人くさい質問だと思うのですが、廃棄体について、廃棄体になった後で、廃棄体の中にいろいろなものが混ざっている場合があるとのお話が先ほどからあっているので心配になったんですけれども、廃棄体にして蓋をしてしまった後で、その中で何か化学反応が起きてしまうとか、そういうことはないのでしょうか。
 以上です。ありがとうございました。
【出光主査】  ありがとうございます。
 先ほどの説明資料につきまして、何か追加・補足はございますか。一般市民の方も入れて作ってはというお話ですが。
【坂井技術主席(原子力機構)】  はい。御意見を参考にさせていただいて、ぜひ地元への対話等のやり方等は勉強しながらやっていきたいと考えます。
【出光主査】  そして、二つ目の廃棄体内の反応につきましては?
【坂井技術主席(原子力機構)】  廃棄体のほうにつきましては、つくる前に、起こる可能性のある反応についてはちゃんと予測して、それが起きないように廃棄体をつくることが基本ですので、廃棄体になった後のことは廃棄体になる前にちゃんと予測をして、廃棄体を試験的につくって問題とならないことも確認して、それをマニュアル化していきますので、廃棄体に急な異常が起きるようなことは基本的にはないと考えております。そのようにならないように廃棄体をつくっていきます。
【足立委員】  分かりました。ありがとうございました。
【出光主査】  ほかございますでしょうか。
 もしなければ、私から幾つかあるのですが、まず、北嶋さんの御説明の中で、4ページ目の資料です。文言として、対象廃棄物が「NUMOが行う地層処分相当分を除く低レベル」となっていて、そうすると、中レベルが入ってくるかと思うのですが、今のところピットとトレンチだけを考えられていて、恐らく中レベル相当はあまりないとは思うのですけれども、その辺り、書きっぷりに気をつけたほうがいいと思いました。
 それから、二つ目ですが、6ページ目にありますね。トレンチ処分は50年と書いてあるのですが、最近70年という数字も出たりしております。50年にしろ、70年にしろ、あとピット処分の300年にしろ、終わったときのエンドステートの考え方をどうするかということも一応示したほうがいいと思います。いわゆるサイト開放にするのか、どのような形で最終条件を決めるのかといったあたりも、今後は示していく必要があると思いました。
 それから、先ほど廃棄体の話がありましたけれども、推測だけではなくて、実際に測るというのが必要だと思います。ただ、ガンマ核種は測りやすいのですが、難測定核種がございますので、そういったものを最終的な廃棄体確認を行うときにどのようにして担保していくかというところも必要かと思います。御説明がなかったかと思いました。
 最後ですが、高レベルとの比較で科学的特性マップの話が若干出ましたが、あちらは割と深部のほうの話で、この低レベルのものについてはどこでもいいのかという話、その辺りは、この科学的特性マップとどのようにリンクされて考えられるのかと。
 以上4点になりますが、お願いいたします。
【北嶋センター長(原子力機構)】  埋設センター、北嶋でございます。
 まず、4ページ目の記載につきましては、十分な配慮がなかったので、ここの記載については気をつけたいと考えてございます。ありがとうございました。
 それから、6ページ目のトレンチ処分の操業期間について、概念設計に基づく条件になっておりますので、基本的にはここに示した50年という期間で考えてございます。
 それから、エンドステートの考え方につきましては、サイト開放ということで基本的に考えてございます。
 以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 では、残り、インベントリといいますか廃棄体確認の方法についてはいかがでしょうか。
【坂井技術主席(原子力機構)】  まず、原子炉施設につきましては、電力さんがやっておられるようなSF法やCT放射能濃度法といった非破壊測定とあと分析による相関関係を調べるような方法を採用していきたいと思いますし、先ほどの照射後試験施設みたいなものも、実績との相関や平均値といった値の考え方を採用していったり、あとは個別いろいろな廃棄物が出ますので、廃棄物の発生源を押さえて、この核種がこのくらいしか入ってないということから代表サンプリングを行って測定していくという、新しい分析といろいろ条件を押さえた方法と様々考えていかなければいけないと思いますので、その辺はしっかり確認に耐えられるような方法の開発を目指していきたいと考えております。
【出光主査】  あと、科学的特性マップとのリンクは?
【北嶋センター長(原子力機構)】  埋設センター、北嶋でございます。
 科学的特性マップにつきましては、基本的に基礎処分では提示されておりますが、それとは異なりまして、浅地中処分としましては、施設が設けられる表層部は既に何らかの形で利用されている土地でございます。したがいまして、土地の利用規制がかかっている土地利用規制につきましては、法令だけではなくて、都道府県や市区町村によって状況も変わってきますので、一様にマップとして示すことはなかなか難しいと考えてございます。
 以上でございます。
【出光主査】  分かりました。先ほどの立地の検討事項がありましたので、それでもう全てということでよろしいですね。
【北嶋センター長(原子力機構)】  そうです。ありがとうございます、そのとおりでございます。
【出光主査】  ありがとうございました。分かりました。
 廃棄体のほうですが、先ほど足立さんから質問があったように後で反応が起きないですかということですけれども、研廃の場合はいろいろなものがミックスドになりますので、その辺り全部を網羅できるかというと、そこは難しいかなという気もいたします。ただ、可燃物については、最低限、焼却をしてしまえばあまり大きな反応は起きないという気はしますので、可燃物ができるだけそのまま残らないようにという方策を考えていったほうがいいという気はいたします。あと、金属の腐食の水素発生といったところは、通常考慮されているでしょうからいいかと思います。
 そういった点も含めて、今後の第4期以降の計画に盛り込んでいただければと思います。
 以上、コメントでした。
 ほか、ございますでしょうか。皆様、大体よろしいでしょうか。どなたかございましたら、手を挙げていただくか、あるいは手が挙げられない場合は音声でも構いませんが。
【児玉委員】  児玉でございます。
【出光主査】  どうぞ、はい。
【児玉委員】  お世話になっております。
 これは、どちらかというと委員の先生方に対する御質問になるのかもしれませんけれども、発電のほうでは次世代炉など脱炭素をめぐっていろいろな研究が進んでいることは承知しているのですが、この埋設処分や今回の中長期計画期間――次期計画期間に関係する埋設や処分に係るところで、何かイノベーションが進んでいたり、何か技術的なブレークスルーが起きるような、そういった動きはあるのでしょうか。そして、それは、JAEAさんの計画に何か影響したりしないのでしょうか。
【出光主査】  それは、委員からも答えたほうがよろしいですか。
【児玉委員】  どなたがお答えになれるのかはちょっと……。あまりにも広過ぎる……。
【出光主査】  今聞いて私が答えとして思いついたのは、今、福島第一の廃炉関係でいろいろな分析装置を開発していますので、そういう知見が入って適用可能であれば、そういったものを逐次入れていくのではないかと想像はしております。例えば、最近だとICT-MSといったものでかなり微量分析ができるようになってきていて、放射能分析よりも精度がよくなっていますので、そういったものの活用も今後はあるかという気はします。ただ、破壊分析になりますので、非破壊分析の場合はまた別かと思います。
 JAEAさんから何かございますか。
【伊藤原子力機構副理事長】  原子力機構副理事長の伊藤でございます。今日はどうもありがとうございます。
 今、委員から御指摘のありましたイノベーションは、原子力機構全体の活動における共通する課題でございまして、バックエンドについても、次期中長計ではぜひトライしてみたいと考えてございます。
 今、処分の分野の技術で思い当たる話がなかったのですが、主査からもありましたように、分析については、例えば福島のほうで開発されている多核種同時分析の自動化の技術ですとか、原子力機構は様々な廃棄物、放射能分析の必要もございますので、今後そういった技術を取り入れてまいりたいと考えてございます。また、先ほどありました廃棄体の健全性の確認につきましても、有害物が混じっているか、中の空隙がどうなのかにつきましては、例えばエックス線CTとAI技術を組み合わせて自動でその中身を判別するとか、そういったところは今取り組んでいるところでございます。
 いずれにせよ、安全性と効率性を高める観点から、この分野のイノベーションは大変重要だと思っておりますので、外部の意見も聞きながら計画をつくってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。児玉委員、よろしいでしょうか。
【児玉委員】  はい、ありがとうございます。
【出光主査】  ほかございますでしょうか。
(「なし」の声あり)
【出光主査】  もしなければ、大体時間になりましたので以上にしたいと思います。非常にたくさんの有益なコメントをいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、第3の議題ですが、特に何か予定以外のもので議論したいことがございますでしょうか。
(「なし」の声あり)
【出光主査】  もしなければ、それでは事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【前田対策官(事務局)】  ありがとうございました。本日は非常に多岐にわたり御意見をいただきまして、本当にどうもありがとうございました。
 それでは、事務局からでございますが、連絡事項とさせていただければと思います。
 次回の作業部会の日時等につきましては、日程調整の上、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。また、本日の議事録につきましても、でき次第、メールにて各委員にも御確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、第4回原子力バックエンド作業部会はこれで終了したいと思います。皆さん、どうもありがとうございました。

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