原子力科学技術委員会 原子力バックエンド作業部会(第3回) 議事録

1.日時

令和3年7月5日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点からオンライン開催

3.議題

  1. 原子力機構の第3期中長期目標期間内のバックエンド対策の実績と課題
  2. 原子力機構のバックエンド対策に関する国際的なレビューの結果等について
  3. 原子力機構における次期中長期目標・計画作成に向けた議論
  4. その他

4.出席者

委員

出光主査、岡本主査代理、足立委員、井口委員、大越委員、織委員、葛西委員、児玉委員、澁谷委員、中熊委員

文部科学省

松浦原子力課長、有林放射性廃棄物企画室長、鈴木原子力人材・研究基盤室長、前田原子力課専門官

オブザーバー

伊藤日本原子力研究開発機構副理事長、塩月日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部長代理、目黒日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部バックエンド推進部部長

5.議事録

【前田専門官(事務局)】 失礼いたします。私、文部科学省廃棄物企画室の前田と申します。定刻を過ぎて誠に申し訳ございません。 第3回原子力バックエンド作業部会の開催をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日、御多忙にもかかわらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。今回の作業部会は、第11期科学技術学術審議会が設置されてから最初のバックエンド作業部会の開催となります。冒頭、事務局にて議事を進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
今回の作業部会でございますが、非常に御不便をおかけしておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。このため、まずオンライン開催に際しての留意事項につきまして、事務局より御説明をさせていただきます。

[オンライン開催に際しての留意事項について事務局より説明]

以上が本日の進行に当たっての留意事項となりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、本日第11期最初の原子力バックエンド作業部会の開催となりますので、文部科学省研究開発局審議官の堀内より御挨拶をさせていただきたいと考えております。
【堀内研究開発局審議官】 ありがとうございます。
原子力担当の審議官をしております、堀内と申します。よろしくお願いいたします。
本日は第11期になりますけれども、初回の原子力バックエンド作業部会ということで、一言御挨拶申し上げられればと思っております。
まず、主査をお引き受けいただきました出光先生はじめ委員の皆様、原子力バックエンド作業部会の委員に御就任賜りまして、本当にありがとうございます。この場を借りまして、感謝申し上げたいと思います。
今回のバックエンド作業部会の主なテーマということになりますと、原子力機構の第4期ということになりますが、次期の中長期目標また計画ということになります。原子力機構は、2028年度までの施設の中長期計画の中で約半分の既存施設を廃止するということを決め、またそれに関してIAEAによる国際レビューを受けるなど、この分野で着実に責任感を持って進めているというところであります。バックエンドの議論というものは、非常にこの分野にとって根幹の重要事項だということでありまして、この議論をせずに原子力全体を進めることは難しいという状況だと認識しております。
現在、福島への対応であるとか、また政府のカーボンニュートラルの議論の中で、原子力を取り巻く状況というものも変化を見せているところでありまして、そういった状況も踏まえながら、この難しい課題をどうこなしていくかということについて、委員の皆様方からいろいろな意見を頂戴して、我々もしっかりとした取組を進めていかなければいけないなと考えている次第でございます。
本日用意してあるいろいろな議題につきましても、重要事項ばかりであります。これから御意見を賜れればと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【前田専門官(事務局)】 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。 事前に送付させていただきました資料のうち、まず議事次第を御覧ください。
まず、配付資料の確認の前に、資料の1-1でございますけれども、大変申し訳ございません、議事次第の資料1-1の名称に間違いがございました。正しくは原子力バックエンド作業部会委員名簿でございます。作業部会の作の字が抜けておりました。大変失礼をいたしました。この場において訂正をさせていただきたいと存じます。
それでは、改めて資料1-1でございますけれども、こちらは原子力バックエンド作業部会の委員名簿でございます。この場をお借りしまして、原子力バックエンド作業部会の委員として御就任いただきました皆様について御紹介をさせていただければと思います。
資料1-1でございます。
まず、主査、九州大学大学院工学研究院教授、出光一哉委員。続きまして、主査代理としまして、東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授、岡本孝司委員。持続可能な社会をつくる元気ネット副事務局長、足立夏子委員。名古屋大学名誉教授、井口哲夫委員。日本アイソトープ協会専任理事、大越実委員。上智大学地球環境学研究科教授、織朱實委員。フリージャーナリスト・キャスター、葛西賀子委員。株式会社経営共創基盤パートナーマネージングディレクター、児玉尚剛委員。原子力バックエンド推進センターフェロー、澁谷進委員。電気事業連合会原子力部長、中熊哲弘委員、以上でございます。
続きまして、次の資料でございます。資料1-2でございます。こちらは原子力科学技術委員会における作業部会について、という文書でございます。こちらが、原子力科学技術委員会の下に三つの作業部会の設置及び調査検討事項をまとめたものでございます。本バックエンド作業部会においての調査検討事項についても、このとおりまとめているものでございます。こちらは、令和3年5月19日原子力科学委員会決定としているものでございます。
続きまして、資料1-3でございます。こちらは原子力科学技術委員会の運営規則でございます。本作業部会を含めた運営規則となっておりまして、この運営規則に基づき議事運営をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、資料の2でございます。原子力機構の第3期中長期目標期間内のバックエンド対策の実績と課題でございます。こちらにつきましては、後ほど議題2で説明をさせていただきます。
続きまして、資料3、原子力機構のバックエンド対策に関する国際的なレビューの結果等について。こちらは、後ほど議題3において説明をさせていただきます。
続きまして、資料4-1、国立研究開発法人原子力研究開発機構の次期中長期目標・計画の策定に向けた提言案、資料4-2、原子力機構の第4期中長期目標期間中のバックエンド対策、資料4-3、文部科学省における東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた活動について。資料4-1から4-3につきましては、後ほど議題4において説明をさせていただきます。
配付資料の確認は以上でございます。
続きまして、今回は委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに、事前にメールで配付資料送らせていただいております。会議中、遠隔システム上では資料を表示せず、各自のお手元にて御確認をいただきますので、お手数をおかけいたしますが、その旨よろしくお願いいたします。
本日は、委員10名の皆様に御出席をいただいております。なお、中熊委員におかれましては、14時頃に御退出との連絡をいただいております。
以上を踏まえまして、運営規則第3条に規定されている定足数である過半数を満たしておりますので、その旨御報告をさせていただきます。
また、運営規則第2条第3項に基づき、出光委員には、当作業部会の親委員会に当たる原子力科学技術委員会の主査から指名を受け、主査を務めていただくことになりました。また、第2条第7項に基づき、出光主査より岡本委員が主査代理に指名されております。
それでは、出光主査より一言御挨拶をいただきたいと思います。出光主査、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 出光です。また今年度から主査を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
挨拶ということですが、事前に事務局から説明されておりますので、私からの挨拶は割愛させていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
新しく足立委員が入られましたが、足立委員は接続されていますでしょうか。では、御挨拶を少しお願いいたします。
【足立委員】 NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットの足立夏子と申します。市民の立場から何ができるか分かりませんが、前任の鬼沢のようになかなかできないかと思いますけれども、精いっぱい努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【出光主査】 よろしくお願いいたします。
そうしましたら、本日の議題に入っていきたいと思います。
時間もございませんので、早速ですが説明者の方に説明をしていただきたいと思います。
これから議事に入らせていただきますが、運営規則第5条に基づきまして、本会議は公開とさせていただきます。また、第6条に基づき、本日の議事録につきましても、後ほど文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
本日の議題は、先ほど説明されたとおりでございます。
議題1としまして、第11期の原子力バックエンド作業部会について、議題2としまして、原子力機構の第3期中長期目標期間内のバックエンド対策の実績と課題、議題3として、原子力機構のバックエンド対策に関する国際的なレビューの結果等について、議題4として、原子力機構における次期中長期目標、計画作成に向けた議論、その他となっております。
会議は15時までとなっておりますが、よろしくお願いいたします。
議題1は先ほど事務局から説明させていただいたとおりですので、よろしければ次の議題2に入りたいと思います。
よろしゅうございますでしょうか。それでは、議題2の原子力機構の第3期中期目標期間内のバックエンド対策の実績と課題に入ります。
原子力機構から資料の説明をお願いいたします。
【伊藤原子力機構副理事長】 原子力機構副理事長で、バックエンド統括本部長をしております、伊藤でございます。冒頭、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
先ほど来のお話にもございますように、原子力機構では来年度から7か年の中長期目標期間に入ることになってございまして、現在、原子力機構の内部あるいは主務省等で目標とか計画について御議論いただいているところです。原子力機構といたしましては、社会の期待に応えて成果を出していくべく、カーボンニュートラルの実現・カーボンニュートラルへの貢献、それからイノベーション創出への貢献、この大きく2つの柱を念頭に、事業の計画を考えているところでございます。
また、機構自らの施設廃止措置、処理処分が次期中長期目標期間においては本格化することが予定されてございまして、研究開発とバックエンド対策のバランスをいかに取っていくかがマネジメント上の大きな課題でございまして、体制あるいは予算、人員等のリソースのバランス、こういったところが、今後私どももしっかり考えていく必要がある課題と認識してございます。
本日の作業部会の委員の皆様方におかれましては、ぜひそういった点につきまして御指導、御助言を賜れれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2の説明に入らせていただきます。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。資料2の説明をさせていただきます。
資料2の3ページをお開きください。
原子力機構のバックエンド対策ですけれども、第3期の原子力機構における中長期計画に基づいて、第3期は平成27年から今年度の令和3年までですけれども、進めております。ここに原子力機構の中長期計画のバックエンドに関するところだけを抜き出した上に、概略だけ書かせていただいております。基本的には、後で御説明いたします施設中長期計画にのっとって原子力施設の廃止措置を進めていくということ。それから、放射性廃棄物の処理処分に向けた検討、詳細は後でお話ししますけれども、これを進めること。それから、こういった廃止措置と放射線廃棄物の処理処分のための技術開発を行うこと。こういった方針の下で第3期バックエンド対策を進めてまいりました。
4ページにお移りください。
原子力機構のバックエンド対策は、今申しましたように中長期目標に従って国の方針を踏まえて進めております。国の方針というのは、このスライドの右のほうにありますような原子力委員会が示した基本的考え方であるとか、この原子力バックエンド作業部会の前身であります原子力施設に係る廃止措置等作業部会、あとはこのバックエンド作業部会の第1回、第2回、そういったところでいただいた御指摘等を踏まえながら、一連のバックエンド対策を中長期方針、先ほど文部科学省からお話があったようなバックエンドロードマップとしてまとめて、具体的な計画を後でお示しします施設中長期計画として策定して進めております。
それで、前身の原子力施設廃止措置等作業部会においては、中間取りまとめをいただきまして、11の提言を示していただいております。そのうち7件の対応状況につきましては、第2回のバックエンド作業部会において御報告済みですけれども、残りの4件の状況を補足資料15ページから27ページにまとめております。申し訳ございませんが、本日は時間の関係でそこの説明は割愛させていただきます。
次に、5ページに移っていただければと思います。
我々が定めております施設中長期計画とバックエンドロードマップについて簡単に御説明させていただきます。
この2件については、先のバックエンド作業部会で御報告はしておりますが、新しく委員になられた先生もいらっしゃいますので、簡単に説明させていただきます。
まず、施設中長期計画ですけれども、原子力機構は原子力施設が、RI施設も含めて90施設ぐらいありますが、それの有効利用を目指しまして、施設の集約化、重点化、それから施設の安全確保及びバックエンド対策、こういったものを三位一体で整合性のある総合的な計画として具体化して、施設中長期計画として取りまとめております。2028年までの計画をまとめておりますが、毎年、進捗状況を反映して計画を改訂して公表させていただいております。
それから、バックエンドロードマップですけれども、平成30年12月にバックエンド対策については、約70年間、東海再処理施設の廃止措置がかかることから、全ての機構が保有している原子力施設を最後まで片づける見通しとして、バックエンドロードマップというのを策定しております。
こういった計画に係る課題ですけれども、実際に廃止措置等を進めていきますと、いろいろなトラブル等で計画の変更や遅延が既に生じております。そういったものを反映して、計画の見直しとか効率化を図っていかなければいけないということで、計画に柔軟性を高める必要があるという課題が、今まで実施した中から分かってきております。
次、スライド6に移っていただきまして、今の施設中長期計画とバックエンドロードマップについて、今お話ししたような中身を書いておりますが、もう少し補足しますと、左側の施設中長期計画では、真ん中の緑色の枠の中に、この中で機構が持っている90のうち継続利用施設を46施設、廃止措置をすることを44施設と決めております。それから、バックエンドロードマップは、バックエンド対策だけを取り出して70年間にわたる方針を決定しておりまして、第1期を当初の10年、それから第2期をその後20年、第3期を最後までの40年として進めておりまして、後で費用についてはまたお話ししますけれども、これに要する費用として、総額1.9兆円かかるという見積りを出しています。
次のページに移っていただきまして、次がバックエンド対策の組織です。
この第3期中長期目標期間中に、バックエンドをかなり本格的に進めなければいけないという方針に変わってきておりまして、それに応じて、例えば敦賀地区、もんじゅとふげんという原子炉がありますけれども、そういったところを両方廃止措置するので、敦賀には敦賀廃止措置実証部門というのを設置しております。
また、東京のほうで、本部組織としてですけれども、副理事長を本部長としたバックエンド統括本部というのを平成31年4月1日に設置しまして、各拠点と連携をしながら、機構全体のバックエンドを統括する機能を強化してきております。ただ、そういった中でも、まだ始めて3年目に入ったばかりですので課題が多くありまして、右下のほうに、大変小さくて恐縮ですけれども、やはり拠点側でバックエンドにきっちり責任を取る組織というのがまだ完全にできているとは言いがたい、まだ不十分なところがあるということと、そういった各現場のバックエンドの組織と我々の統括本部組織との連携もまだ不十分である、そういった課題が見えてきております。
次、8ページに行っていただきまして、バックエンド対策の費用です。
これは、バックエンドロードマップを作成するときに、バックエンド対策に要する費用を試算して、これをバックエンドロードマップにおいて公表しております。下のほうですけれども、施設の解体費用に関しては、機構が開発した簡易評価コード、それから廃棄物の処理処分に関しては、処理施設の運転費用であるとか処分場の設計から、現時点で出している単価等を基に試算しております。下に各拠点の施設解体費と廃棄物処理処分費を出しておりますけれども、総額が1.9兆円となっております。
この段階での課題ですけれども、やはりまだ解体とか廃棄物処理処分の費用の精度があまり高くないということがあります。これについては、後で説明しますIAEAのARTEMISレビューでも指摘されていることでもありますけれども、こういった費用の不確かさを低減したり、まだまだ予想をうまく盛り込めていない不確実性、こういったものを反映した費用評価をしていくことが重要だという課題があります。
次に、9ページに移っていただきまして、廃止措置に関するところですが、まず廃止措置としては、実績として第3中長期に5施設の廃止措置を終了しております。この部分に関しては、予定どおり進んではいますけれども、第4中長期の終了予定の施設の廃止措置が遅れてきている、すなわち全体的にリソースの不足等から遅れてきております。こういったものを着実に進めるための方策が今後必要となります。
次に、廃棄物処理に関してですけれども、廃棄物処理の現状ですが、減容する施設等はかなり整備が進んできておりますが、まだ廃棄体を作成する施設等の整備が若干遅れております。
次に、11ページに移っていただきまして、廃棄物処理に関する状況を簡単に説明しておりますが、廃棄物処理施設、減容施設等については、この真ん中の緑色のように各拠点で大分整備が進んできておりますけれども、最終的な処分に向けた廃棄体を作成する施設に関しては、点線で書いてあるようにまだなかなか整理が進んでいない状況です。
次に、12ページにいきまして、またここも廃棄物処理ですけれども、今後、廃棄体作成に向けては、廃棄体作成に向けた品質保証体系の構築であるとか、合理的な処理処分方策の検討等を進めていく必要があるということで、課題としては、廃棄体作成に向けた埋設処分施設の設計や安全評価と連携して廃棄体仕様を明確化していくということと、そういったものの品質保証マニュアルを整備していく必要があります。
次に、13ページ目ですけれども、廃棄物処分ですが、まだなかなか埋設処分施設の立地場所が決まらない状況ではありますけれども、立地に向けて施設の設計、概念設計であるとか、あとは廃棄体の受入れ基準の検討、それから処分場におけるセーフティケースを体系的に構築するための技術的なデータの取得等を進めている段階です。
最後、14ページになりますけれども、バックエンドのマネジメントとしては、第3中長期、バックエンド統括本部を設置して、資金に関しては廃止措置促進費というのを設けて、明確に廃止措置のための資金を確保してそれを運用してきております。また、バックエンド予算を少しでも効率よく回せるように複数年契約等も実施して、費用を下げる効果も確認しております。こういったものをさらに進めていくということ、廃止措置の費用を確実に使うためには、やはり見積りの精度を上げる必要があるということで、見積りの精度向上等も今後進めていくことが課題となっております。
それから、人的資源に関しても、廃止措置対象施設が急に増えたので、廃止措置を実施する人材が今不足しています。そのために、廃止措置、バックエンドの教育というのを今後進めていく必要があるということで、人材育成のための講座の設置等を進めております。また、技術開発に関しても、今までは各現場においてその現場で必要な技術を開発してきましたけれども、やはり効率的、合理的な技術開発を進めるためには、機構全体に横ぐしを通し、我々が統括したバックエンド技術開発が必要であるとともに、民間の技術をうまく取り入れて進めることが重要であるということが課題となっております。
駆け足でしたが、以上になります。
【出光主査】 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
井口委員、よろしくお願いします。
【井口委員】 井口です。
御説明ありがとうございました。
内容的には、これまでと恐らく変わらないということで、ある程度理解はしているのですけれども、2つ確認させていただきたいと思います。
1つは、今回のプレゼン資料で、6ページのところに、施設中長期計画とバックエンドロードマップの絵があって、基本的にはバックエンドについては70年間という長期スケジュールが書いてあるわけですけれども、左側のほうの三位一体の中で、施設の集約化とか重点化、それから施設の安全確保というのは、これはバックエンド以外ということでよろしいですか。つまり、時間スケールがバックエンド対策と異なってくるのではないかと思うのですけれども、その辺りの整合性はどう取るのかというのが1点目の質問です。
2点目は、もっとダイレクトに、次の8ページのところで、私はウラン廃棄物等の調査・研究に関わっていたので、ずっと気にしていたのですけれども、上の試算結果の米印2つ目のところ、ようやく規制庁でウラン廃棄物の対応の具体化が進んでいるわけですが、これ実際に既にケーススタディーで多分試算されているんじゃないかと思うのです。例えばウランの廃棄物がそのケーススタディーによると、ここで想定されている費用に対してどのぐらいインパクトがあるかというのは、ある程度評価されているのでしょうか。
その2点について教えてください。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒からお答えさせていただきます。
まず、施設中長期計画ですけれども、当然、施設の集約化、重点化であるとか、施設の安全確保というのは、バックエンドだけではできない話でして、ただ、この施設中長期計画を進めている会議体は、安全部門であるとか機構の全体の計画を策定する部門と連携してやっておりますので、整合が取れた形で、やはり施設とか、かかる資金の面とかを考えるときには全体的に見ていかなければいけませんから、そういった中で連携を取りながらちゃんと進めているところです。
それから、バックエンド対策費用のウランに関するところですけれども、今の規制庁の考えからいって、ウランだけすごく特別に処理処分にお金がかかるという方向にはならないようになったとは思っておりますが、そういう意味ではウラン廃棄物を入れた費用の試算はしているのですけれども、すいません、手元になくて、どの程度インパクトがあるかというのは即答できないのですが、物量から言ってウラン系の廃棄物はそんなに多くはない、低レベルの解体廃棄物の物量が圧倒的に多いということと、あとは中深度と地層処分相当にはあまりウラン廃棄物が多くないということで、処理処分費用にそんなに大きなインパクトがあるとは考えておりません。
以上です。
【出光主査】 井口委員、よろしいでしょうか。
【井口委員】 ウラン廃棄物の回答、ありがとうございました。
大学にも関係するので、ぜひ明らかにしてほしいということと、あと三位一体のほうの施設中長期計画については、やっぱり方針みたいなものを最初に決めておかないと、バックエンド対策は非常に息が長いので、どこかで齟齬が出来るのじゃないかと思います。その点については、検討されている委員会等で方針のようなものを事前に協議して決めておいていただけるといいかなと思いました。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。
続きまして、大越委員から手が挙がっておりましたので、よろしくお願いします。
【大越委員】 大越です。御説明ありがとうございます。
2点ほど確認させていただきたいんですけれども、8ページ、バックエンド対策の費用ということで廃棄物処理処分費が上がっているのですが、この費用には11ページで今後の予定となっているような廃棄体の処理設備、あるいは追加で増設するような処理設備の費用というのが含まれていますでしょうか。
あと、施設解体費ですけれども、9ページのところで、第3期中期計画で廃止措置になった施設とも関連してくるのですけれども、廃止措置がどこまでというか、管理区域解除なのか、管理区域を解除した後の建屋まで壊してグリーンフィールドにするところまでが施設解体費の中に入っているのかどうかというあたり。実は、私ども協会のほうでも、今、本部のRI施設の廃止措置を行っているのですけれども、管理区域解除に加えて施設の建屋の解体費というのはかなりの金額になると分かっていますので、そこら辺どうなっているかということについて教えていただければと思います。
次に、14ページのところで、資金の有効利用ということで、複数年度契約を可能にしたと。これは非常に私いいことだと思うのですけれども、現状、複数年度というのはどのぐらいの期間での契約が可能なのかというあたりを教えていただければと思います。個人的には、小規模な施設であれば、廃止措置の開始から管理区域解除ぐらいまで一つの契約でできるといいかなと感じるのですけれども、実態がどうなっているか教えていただければと思います。
以上です。
【出光主査】 回答をよろしくお願いします。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構から回答させていただきます。
まず、廃棄物の処理処分の費用ですけれども、基本的には現在予想している今後造る施設の建設費を含めて単価を出しておりますが、今後その単価等は実際造る段階で見直していく必要があるのではないかなと思っておりますけれども、一応現在含めております。
それから、施設の解体に関するところですけれども、外部に建物を解体すると公表しているものに関しては解体費用まで含めておりますが、ほとんどの施設は管理区域解除までの費用として、施設は現状まだ大分先に壊すものまで含まれていますので、原則再利用するという形で費用は算出させていただいております。
それから、複数年契約ですけれども、二、三年前から始めたばかりということもありまして、現状では二、三年までの複数年契約となっております。この辺の効果を見ながら、当然できれば長い期間の契約もできればと思っておりますが、現状は二、三年までということになっております。
以上です。
【出光主査】 大越委員、よろしいでしょうか。
【大越委員】 了解いたしました。ありがとうございました。
【出光主査】 そうしましたら、中熊委員から手が上がっております。よろしくお願いします。
【中熊委員】 電気事業連合会、中熊でございます。すいません、入室に手間取りまして遅刻いたしました上に、2時頃に退出させていただくということで、大変申し訳ございません。
その上で、7スライド目に質問と意見をさせていただきたいのですが、統括本部というオーバーヘッド組織をつくられて、拠点との関係を強化していかなきゃいけないという、現時点で有期的な連携が不十分だというお話が御説明の中にありましたけれども、デコミに関するヒト、モノ、カネと申しますか、例えば要員計画ですとか予算配分みたいなものの責任と権限というのはどういうふうな立てつけになっているのかということを一つお伺いしたいです。
それと、一つ意見というか提案に近いかもしれませんけれども、多種多様なデコミ施設をお持ちのJAEAさんとは少し違うかもしれませんが、我々電力も、例えばワンサイトしか持たない浜岡であると、サイトに軸足を置いた組織設計になっていますし、一方、複数サイトで廃炉プラントを持っている、例えば関西さんですとか日本原電さんみたいなところは、オーバーヘッド的な統括組織をお持ちだということで、組織設計に関するベンチマークみたいなものは、我々電気事業者ともいろいろと議論するとメリット、デメリットがあって、結構合理的な組織的設計をお互いにできるような、そんなことももしかすると建設的な議論になるかもしれないなと思いますので、もしそういう御意向があれば、そういう議論を我々事業者ともやっていただくというのもいいのではないかということでの提案でございます。
以上でございます。
【出光主査】 御提案ありがとうございます。
何かこれに対して御意見ございますか、JAEAのほうは。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構からお答えします。
まず、組織設計に関して有用な御意見をいただき、どうもありがとうございました。また、電事連さんを通じて電力の方々とそういったところを議論できればいいなと思っております。
現状、機構の中ですけれども、やはり昔からの拠点中心の組織設計になっておりますので、なかなか拠点とバックエンドの費用の責任に関しても拠点に任せているところが多いというのは確かですが、先ほどお話ししたように、廃止措置に特化した費用を我々が少し持てるようになってきておりますので、大型プロジェクト以外のところにはなりますけれども、そういったところの廃止措置、廃棄物処理処分に関しては、統括本部が責任を持って優先順位をつけて費用を回せるように少しずつなってきております。今後それをもうちょっと拡大していく必要があると思っておりますが、なかなかすぐにはいかないところもありますけれども、できるだけ総括的に責任を持ってマネージできるようにしていきたいなと考えております。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。
そうしましたら、岡本委員から手が挙がっております。
【岡本主査代理】 岡本でございます。
前回、先ほど最初のほうに御紹介がありましたが、廃止措置作業部会でいろいろ提言をさせていただいて、少しずつ前に進んでいただいているということで、大変ありがたく思っているのですけれども、その中で、今、中熊委員からお話もありましたが、組織的な話は極めて重要で、これは組織だけではなくてその中で働く人々のモチベーションということにも大きく関わってきますので、そのあたりは、今回は前回回答をいただいているということで進捗状況の御報告があるかなと思ったら特になかったんですが、ぜひ組織的な話については、回答したら終わりではなくて継続的にフォローアップをお願いできればというふうに思っています。
その中で、特に先ほど井口委員からもお話がありましたが、ウラン廃棄物といいますか、アルファ核種を含んだ廃棄物ですね。今回、7ページとか8ページにある施設を見ても、ベータ核種、ガンマ核種だけの施設とアルファ核種がどっさりある施設とありまして、実はそれらを一緒くたに扱っていると全くおかしなことになると思っています。
というのは、ベータ、ガンマ関係はJPDRをはじめとして世界中で事業者さんも含めて廃止措置が終わっているところがいっぱいある。一方、アルファ核種を取り扱う施設に関しては、フランスのマルクール辺りでちょっとありますけれども、なかなか研究開発含めて必要な部分が多いと。そこを恐らく一緒くたに管理をしていくとまずいのじゃないかなと。もうマネジメントが中心になっている部分と研究開発が中心になっている部分とが混在しているような印象を持っていまして、そのあたりをぜひ、井口委員からもウランの量が一応積算されているということでありますけれども、廃棄物の物量はほとんどL3なので関係ないと思うのですが、物量というよりも個人的にはベータ、ガンマとアルファのベクレルがどのくらいあるのかなというのが興味というか、それでプライス、処分費というのは決まってくると思っていますので、そのあたりが情報としてお持ちのころで公開できる部分は公開いただけると、今後の何をやらなきゃいけないかという議論に資せるのかなという気がしているということです。
岡本からは、コメントと質問という意味では、アルファ、ベータ、ガンマ、それぞれの特質に応じた組織と予算と、そういったようなマネジメントの在り方があるべきではないかと、そういうふうなお話です。よろしくお願いします。
【出光主査】 これについて、回答をよろしくお願いします。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構から回答させていただきます。
まず、有用なコメントをいただきまして、どうも大変ありがとうございます。
我々としても、今、主に廃止措置の対象としているのは、ベータ、ガンマ系がメインですけれども、当然、再処理施設を筆頭に、今後アルファ系の施設を順次解体していかなければいけない、あとはウラン系もアルファですから、今、人形峠も廃止措置を進めておりますので、そういったところはちょっと違った考え方をする必要もあるのかなと思っております。
全然一緒くたにするつもりはなくて、今どうしてもメインがベータ、ガンマ系ですので、ベータ、ガンマ系中心のものとなっておりますけれども、後でお話しさせていただきますが、1Fの廃止措置も含めてアルファ系というのは今後大変重要だとは思っております。
その中で、どうしてもアルファ系ですと技術開発要素がゼロではないと思っていますので、ただ、それを研究開発ではなくちゃんと実用に向けた技術開発ということで、うまくちゃんと仕切りながら、マネジメントしながら進めていきたいとも考えておりますので、実際、その辺はもうちょっと先になるかもしれませんけれども、先生方のいろいろな御意見を伺いながらうまく進めていければなと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【岡本主査代理】 アルファ核種を含んだ廃棄物は研究開発というのが極めてウェイトが高いと思っておりますので、しっかりよろしくマネジメントをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【出光主査】 では、児玉委員から手が挙がっております。児玉委員、よろしくお願いします。
【児玉委員】 ありがとうございます。
資料の14ページの②の人的資源のところで、今後の廃止措置に必要となる職員数について云々、簡易評価というふうに書いていただいているのですけれども、ここをもうちょっと詳しく教えていただけますでしょうか。
と申しますのは、恐らくこれだけ長い期間ずっと進めていくに当たって、資金的な制約、なかりせば最大の課題というのは、先ほど岡本委員から話もありましたけれども、組織人事であろうという中で、これをいかに内部あるいは外部を通じて調達していくのか、内部を育成していくのであれば、どのような専門性を持った人をどのように計画的にやっていくのか、その詳細は右に書いていますとおりこれから作られるのだと思いますけれども、この左のところ、簡易評価の中身についても教えていただけますでしょうか。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構からお答えいたします。
必要な人数の簡易評価に関しては、我々廃止措置を進める上で費用を評価するときに当然解体にどれだけ人が必要かという人工数ベースで計算するところも多いのですね、人工数を見積もるところが。そういった過去の実績でどれぐらい人が必要で、これから解体する施設はどれぐらいあってというところから、まだ初期段階なのでかなりざっとした情報ですけれども、そういった形で今後必要な人数というのは評価しています。
これを、これは長期視点で立てた評価なので、実際にここ10年、どれだけのものをどう壊していくかというのがこの後もう少し明確になっていくと、そこで本当に必要な人数をまた精査できると思っていますけれども、まだそこまでは行けてないという状況にはなります。そういった形で今、推算しております。
【児玉委員】 ありがとうございます。承知しました。
【出光主査】 よろしいでしょうか。
【児玉委員】 はい。
【出光主査】 他ございますでしょうか。
すみません、私のほうからも。先ほど岡本委員からもありましたし、井口委員からもありましたが、アルファ核種を含んだ廃棄物とベータ、ガンマ核種を含んだ廃棄物については規制当局の考え方が大分違いますので、そのあたりは今後もうちょっと詳細に検討されたほうがいいかと思います。
他ございませんでしょうか。
なければ、次の議題に移りたいと思います。よろしゅうございますか。そうしましたら、次に議題の3、原子力機構のバックエンド対策に関する国際的なレビューの結果になりますが、これについて説明いただきます。
なお、議題3の後、議題4、この内容も結構関連しておりますので、説明は議題3、4、併せて行っていただきまして、まとめて質疑にいきたいと思います。
それでは、有林室長、よろしくお願いいたします。
【有林室長(事務局)】 文部科学省の担当室長の有林より、資料3に基づきまして説明させていただきます。
こちらは、先ほど申し上げましたが、文科省でバックエンドロードマップが平成30年12月に策定されたことを受けまして、IAEAのレビューを受けまして、この中身につきまして、妥当性やまたは様々な助言をいただくという形で、このたび4月中旬に約2週間にわたりレビューを、ウェブですけれども、受けましたので、その結果を報告させていただきます。この中身自体が、この後、議題4で議論します次期中目中計でどのようにしていくべきかというところにもつながってくるIAEAのレビューですので、そのような観点で御説明をさせていただければと思います。
まず、レビュー全体に関してですけれども、これからの幾つかの課題を説明させていただきますが、レビューの全体としましては、IAEA側からは、原子力機構自体がバックエンドロードマップをつくって、中長期的な将来にわたる方向性を示したということ自体に関しては高く評価されておりまして、原子力機構のバックエンドについて、原子力機構自体が安全で責任ある高水準な管理を引き続き実施できる状態にあるということで、全体論としては大変前向きなコメントをいただいておりますけれども、幾つか今後検討すべき課題というところが提示されておりますので、そこを中心に御説明をさせていただきます。
では、めくっていただきまして、まず1ページ目のところで、ARTEMISのレビュー自体がこちらに示しています観点1から観点7の全部で7つの観点がございますので、それらに基づきまして、提言と助言というような形でレコメンデーション、サジェスチョンをそれぞれもらっておりますので、簡単に御説明をさせていただきます。
では、3ページ目以降、順次御説明をさせていただきます。
まず、3ページ目が1つ目の項目であります全体的な廃止措置プログラムの最適化というところでございますけれども、1つ目の観点の中で、特に1ポツの1、3ページ目になりますが、組織に関しまして、先ほどから議論になっていますけれども、現在の原子力機構の組織自体の責任分担というものが明確にされておらず重複があるように見えるのではないかというところ、そして提言としましては、真ん中にございますけれども、研究開発と廃止措置に係る組織と資源、先ほどもございました、ヒト、モノ、カネというふうな話になったときのその責任をより明確に分離して、それぞれのミッションへの重点を強化するための様々なオプションを検討する必要があるという提言がなされております。
これに関しましては、JAEAでは、先ほどございましたようにバックエンド統括本部を作ったり、様々なバックエンドに特化した予算の確保などを行っておりますけれども、次期中目期間に向けてさらなる取組を図りたいとしているところでございます。
めくっていただきまして、4ページ目と5ページ目に、こちらはプログラムの計画の最適化というところでございますが、まず、今バックエンドロードマップ自体を原子力機構が作っておりますが、こちらにつきましては、長期的な計画としては初期の計画だろうと言われております。4ページ目の提言に書いてございますけれども、やはり長期的な計画を作る際には、その計画の中に資源配分をどのように盛り込むのかというところもしっかりと情報として入れるべきであったり、また助言の1になりますが、特にバックエンドの作業になりますとたくさんの不確定性があるということで、様々な複数のシナリオを考えた上での統合的な計画をつくるべきではないかということを助言でいただいております。
また、助言の2になりますが、こういった様々な拠点ごとにプログラムを走らせますけれども、そういったところの相互の依存性、まさに全体調整が必要であるということ、また助言3としまして、このような計画自体を定期的に見直していく必要があるという指摘がなされてございます。
また、5ページ目のプログラムの計画でございますが、こちらでは、先ほど井口委員からバックエンドロードマップと施設中長期計画で対象としている期間が異なるという御指摘がございましたけれども、このIAEAのレビューにおいても、70年間のバックエンドロードマップに対して10年間の施設中長期計画、そして7年間の中長期目標、そして単年度の年度計画、様々な計画があるのですけれども、どれも時間的にばらばらで、長期的なものの中にしっかりと先ほどのものを入れることも大事ですし、それに対応した短期計画というものを、様々な計画があるのですけれども、体系的にしっかりと位置づけていく必要があるだろうという指摘がなされているところでございます。
こちらにつきましては、原子力機構においても、第4期の中で現行の施設中長期計画を基に様々な作業の改善を図りたいと考えているところでございます。
6ページ目に移りまして、利害関係者との関係で、こちらについても計画を作る上で様々な利害関係者との関係を計画の中に考慮すべきではないかと。特に規制当局との関係になりますと、プログラムの初期の段階においてしっかりとした規制当局との対話を行うべきだという指摘がなされております。こちらにつきましても、原子力機構ではしっかりと計画策定する際にステークホルダーへの影響の緩和措置などをしっかりと検討していきたいというようなところを示してございます。
7ページ目以降、こちらは今度は放射性廃棄物の管理というところでございます。
まず、7ページ目につきましては、こちらは放射性廃棄物のインベントリーということで、先ほど岡本先生からもそれぞれの廃棄物、特にアルファ系だとかどれぐらいの量とございましたけれども、やはりIAEAのレビューの中でも、それぞれ現状もそうですし、これから発生する様々な廃棄物に対してインベントリーをしっかりと持って、そのインベントリーによって将来取るべき対策、まさに不確定性がかなり多い計画になりますので、その不確定性を下げる意味でも、しっかりとしたどのようなものが発生するのかという、そこの一番のおおもとの情報を押さえるべきではないかという指摘がなされているところでございます。
こちらに関しましては、現行、機構で廃棄物の発生量などを抑えているところもございますけれども、さらに各種の組成を詳細に把握するなど、努めてまいる対応を今後考えたいというふうにしております。
また、8ページ目、9ページ目、10ページ目ですけれども、こちらにつきましては、廃棄物の処分施設の問題で、8ページ目につきましてはL2とL3の、まさに浅いところに埋める低レベルの廃棄物につきまして、現行の計画は今後10年間に整備するというふうに言われておりますけれども、それが計画どおりにうまく行かなかった場合に、しっかりと貯蔵容量が満杯にならないように検討するように、戦略を立てて取り組みなさいという御指摘がなされておりまして、こちらにつきましては、原子力機構で、埋設施設が処分をされない場合でも様々な現行施設などを対処することによって対応したいと考えているところでございます。
また、9ページ目では、クリアランスにつきまして、なかなか利用がサイト外への利用ということが難しいところがございますので、さらなる減容技術、除染技術に努めるようにというところを指摘されてございますが、こちらにつきましても、原子力機構において、発生を最小化させる取組とともに、クリアランスの再利用の促進に努めてまいりたいという説明をしてございます。
10ページ目につきましては、L1の廃棄物でございますけれども、こちらもまだ決まっていない点が多々ございますが、こちらもL2、L3と同じようにしっかりした対応を取っていきたいという内容になってございます。
また、11ページ目以降が3つ目の観点で、核燃料物質の管理に関するところでございますが、こちらも廃棄物と同じように、今後しっかりと廃止措置のスケジュールを進めていくに当たって、核燃料物質自体をどのように安全に管理していくのかというところが11ページ目、12ページ目で説明をされておりますけれども、こちらにおいては、しっかりと安全に管理できるような体制を、原子力機構としても継続的に検討してまいりたいということを指摘されているところでございます。
また、13ページ目がもう一つ重要なところでございまして、4つ目の観点としましては、廃止措置のコスト評価のところでございますけれども、こちらにつきましては、先ほどコストの評価の中で何が含まれているのか、含まれていないのかというところがございましたけれども、IAEAのレビューにおきましても、コストの評価手法をできるだけ精度を高めていく必要があるということと、また不確実性とかリスクというところをしっかりと考慮したコスト評価ができるようにということが言われてございます。
こちらに関しましては、機構側においては、今後より詳細な精度の高いコスト評価ができるように、積み上げ方式の高精度な評価方法を開発していきたいということを主張しておりますとともに、また海外のグッドプラクティスなども取り入れて、さらなる不確実性やリスク影響の最小化に努めてまいりたいというふうにしているところでございます。
次が、15ページ目の放射性廃棄物に関するコストの評価でございますけれども、こちらも不確実性が様々ある中でしっかりとしたコスト評価をするべきだということを言われておりますが、こちらも先ほどございました廃止措置と同じように、しっかりと不確実性をリスト化するなどして取り組んでまいりたいという説明がなされているところでございます。
続きまして、18ページ目、6つ目の観点でございまして、こちらが契約の話でございます。
こちらにつきましては、6ポツの1で廃止措置を進めるために、先ほども議論がございましたが、原子力機構内における人材の確保をどのように進めて行くべきかというところで提言や助言がされておりますけれども、こういったところを、各プログラムをつくるときに、いつのタイミングでどれだけの人が必要になるのかというのをちゃんと明確にした上で、訓練だとか検定だとかそういったことをやっていくことが必要ですよということを言われておりますけれども、こちらにつきましては、原子力機構でも人材育成の方法を現在検討しておりますし、またその知識継承など、データベースなどを構築していくなど、知識の体系化に努めたいという検討をしているところでございます。
また、それ以外にもサプライチェーンの話や契約の話というのが19ページ目、20ページ目にございますが、19ページ目のサプライチェーンのほうでは、やはり長期間に影響が及びますので、それに対応できる受託者側もしっかりと育成すべきだというところが指摘されてございます。こちらにつきましては、原子力機構の、今一部福井でスマートデコミッショニング技術実証拠点として、地元のこれまであまり廃止措置に関わってない地元企業に対して、原子力機構が中心となって、福井に廃止措置のモックアップ施設というものを作りまして、まさに地元の企業と一緒に地元の企業が廃止措置に関与できるように育成する事業を行っておりますけれども、そういったものが優良事例として取り上げられているところでございます。
また、契約につきましては、先ほどもございましたけれども、様々な複数年契約であったり、また海外での事例なども参考に、長期的な契約をどのようにしていくのかというところを検討するという形になってございます。
そして、最後21ページ目、22ページ目が技術開発のところでございまして、こちらも不確実性という観点で、様々な技術開発、まさにリスクなどを低減させるような技術開発が必要になるだろうということですので、これも長期的な計画を作る上で、いつの時点でどのようなリスクが発生するのか、またそれに対してどのように技術を開発していくのかというマネジメントが必要だというところが提言されているところでございます。
資料3につきましては、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございました。
では、続きまして資料4の説明に入ります。資料4-1についての説明をよろしくお願いします。
【有林室長(事務局)】 有林から引き続き御説明させていただきます。
これから先生方には原子力機構の次期中長期目標の議論を行っていただきますけれども、実は今資料4-1にございますが、こちらは原子力研究開発基盤人材作業部会、まさに研究開発や人材育成を議論する作業部会でございますけれども、こちらで実はこれまで様々なステークホルダーからヒアリングをし、機構の原子研究開発と人材を今後どのようにして行っていくべきかという提言を議論いただき、またこのような形でペーパーとしてまとめさせていただいているところでございます。
こちらのペーパーですけれども、1ポツの背景から2ポツの次期中目に向けた基本的な考え方というところがございますが、3ページ目のところに3ポツとしまして、次期中目期間中に原子力機構がどのように取り組むべきか、というような業務の内容につきまして、5つの重点分野というものが設定されてございます。この中の重点分野の1、2、3、4につきましては、基本的に研究開発であったりまたは人材育成であったりする部分ですけれども、その中で一番最後の重点分野の5につきましては、これはやはり次期中目を検討するに当たりまして、施設の廃止措置、または研究廃棄物の埋設処分などのバックエンド対策というものは、やはりこれは言及しないわけにはいかないところがございますので、本日これからの先生方に様々御議論いただきますけれども、そういった議論を踏まえた上で、こちらの重点分野の5につきまして、重点分野の1、2、3のところにはそれぞれ詳細な説明がございますけれども、重点分野の5にも本日先生方から御議論いただきました内容をここの中にうまく溶け込ませるような形で、提言自体を、まさに研究開発、人材育成をやった作業部会とバックエンドで議論した作業部会の両作業部会の連名という形で提言を取りまとめさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
資料4-1の説明は以上です。
【出光主査】 では、続きまして資料4-2の説明をJAEAからよろしくお願いします。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒が説明させていただきます。
早速、資料4-2の3ページにお移りください。
まず、ここには今後のバックエンド計画の概要を示しております。中長期計画、それからバックエンドロードマップ、それから施設中長期計画の期間について、ここを見ると図的に分かると思いますが、施設中長期計画は、現行第3期、第4期の期間で作っておりますが、第4期に入るに併せて、今第5期についても作成する方向で検討しているところであります。
処分に関しては、なかなか立地が進まないところもありますけれども、できるだけ早急にトレンチ処分の操業が開始できるようにすること。廃棄物の処理施設の整備に関しては、まずは減容処理等未整備なものの整備から始めて、廃棄体作成の設備、施設の整備を第4期で埋設に向けて準備すること。基本的にはふげん、原科研の廃棄対策を優先し、その後その他の拠点に移っていく形になります。
それから、廃止措置に関しては、3大プロジェクトとして、ふげん、もんじゅと再処理施設がありますが、これはできるだけ廃止措置計画で示している計画にのっとって進めていくこと。それ以外の中小施設の廃止措置に関しては、第3期で当初予定だった4施設、それから第4期では12施設と、順次着実な廃止措置を進めていくような計画を今のところ立てています。
次の4ページ目に移っていただきまして、こういった計画を進めていく上でバックエンドを取り巻く動向としましては、ここで3つ、「処分」と、「福島第1原子力発電所の廃止措置」、それから「核燃料物質集約化」について書かせていただいておりますが、処分に関して、浅地中処分については、原子力機構は研究施設等廃棄物埋設事業として事業計画に沿って対応しております。
それから、ウラン廃棄物とか中深度処分については、昨日の原子力規制委員会でも報告がありましたように、原子力規制庁が規制制度策定を今年度をめどに進めているところです。
それから、②、③に関しては後でまた詳細をお話ししますので、ここでは説明を省略いたします。
次、5ページ目に移っていただきまして、こういったバックエンド計画を進める上での第4期中長期目標期間におけるバックエンド対策の方針として、少しこのように書かせていただいております。
第3期中長期計画期間中において、施設中長期計画の策定、これは2017年ですけれども、これを行って、約半数の研究施設を廃止措置に移行させることにほぼ決定しております。この第3期中長期期間のバックエンドにかかる活動は、大型施設の廃止措置の準備が主体だったのですけれども、具体的に壊したものは比較的小規模の施設です。そこには廃止措置促進費を経営資源から充当し、また複数年契約を導入することなどによって費用の削減を進めて、当初予定を何とか実現しております。
施設中長期計画は、リスクの削減、それから外部組織との約束等を優先して現状作成しており、第4期中長期期間以降はバックエンド対策がさらに本格化して、研究開発とバランスを取りながらバックエンド事業を推進する必要があります。そこには、さらなる経営資源の投入がどうしても必要となります。こういった状況において、我々としては、第4期中長期期間中のバックエンド対策を以下のような方針で進めたいと考えております。
まずは、先ほど組織のところでも話題になりましたように、本部、拠点間の連携によるバックエンド事業の推進体制をより強固なものにしていきたい。それから、様々なファクターを考慮してバックエンド対策の優先順位を見直して、現実的、合理的なバックエンド計画を作成するとともに、それを推進していく。様々な不確実的な要素がありますので、柔軟に計画を変更しながら進めていけるような形をしっかりと作っていくということです。
それから、どうしても今まで廃棄物の処理と処分というのが別々に考えられがちだったのですけれども、それこそ施設を廃止措置することによって大量の廃棄物も発生しますから、放射性廃棄物の発生から処分までの統合的な廃棄物マネジメントをちゃんと確立していく。
それから、こういったバックエンドを進めるに当たっては、電気事業者等と連携しながらバックエンドを進めていくことも重要だと思っていますし、この中で社会の理解を得る努力を尽くすことも重要だと考えております。
それで、資料4-1で簡単に説明がありましたけれども、外部の方から原子力機構の第4中長期に向けていろいろ期待等を表明していただいております。そういった要望等と、それから先ほど説明しました資料2と資料3ですけれども、顕在化した課題、それからIAEAのARTEMISレビューでいただいた提言等から課題を整理して、第4期中長期目標期間中の実施項目の案を定めましたので、この後で御紹介させていただき御意見をいただければと思っております。そういった御意見を反映して実施項目が決まりましたら、達成目標等を決定して、KPIを設定するような作業に順次移っていくことになります。
ページをめくっていただきまして、6ページ目ですけれども、ここで第4期中長期目標に向けた課題を整理しております。今まで説明した中から課題を少し整理して左側にまとめておりますが、大きく課題を4つに分けました。バックエンド体制整備、人材育成等に関しては、今後事業が本格化するに向けて、さらなる体制整備であるとか経営資源の手当てが必要である。それから、バックエンド対策は長期にわたりますので、人材育成であるとか知識マネジメントの仕組みの整備が必要である。
それから、課題2、廃止措置プロジェクトマネジメントの強化としては、一貫した品質を確保しつつ、廃棄物の発生から処分まで統括管理することが必要である。それから、廃止措置の計画の作成とか適応技術の工法選定に係る手法の標準化。我々はいろいろなところに拠点がありますから、てんでばらばらにやらないような形で進めたい。それから、第4期中長期目標期間に終了を予定している施設の廃止措置が今遅れる可能性が現実化しているので、それに対する対策を打つ。
それから、課題3、放射性廃棄物の処理処分ですけれども、課題2でも言いましたが、現実的、合理的、効果的な廃棄物マネジメントが必要である。そういった意味で、施設の整備であるとか廃棄体仕様、それから品質保証の方向の確保をちゃんと整備していく。それから、着実に立地活動を進めていくのが課題です。
それから、課題4としてバックエンドイノベーションを挙げていますけれども、やはり技術開発の効率化、最適化、いわゆる廃止措置、それから廃棄物処理処分を合理的に進めるための技術をしっかりとマネジメントしながら開発する必要があると思います。こういった課題を整理しつつ、後で述べます実施項目として4つほどとの関連をここに示しております。
次、7ページに移っていただきまして、最後に書いてあった実施項目の四つをここに記載しております。
1つ目が廃止措置のプロジェクトマネジメント体制の改善及び強化です。ここでは、バックエンドを効率的に進めるための組織、業務の見直しの検討、それから廃止措置にプロジェクトマネジメントの体制、手法をどう利用するか、それから、我々として少しモデル的なものを設定して実施して、それの効果の実証をしつつ、さらに展開していく。それから、民間企業のノウハウ等の積極的な活用、それから人材育成の仕組みの構築というような項目をここで挙げております。
それから、2番目、デコミッショニング改革のためのイノベーションですけれども、安全性向上、コスト削減、廃棄物発生量低減化に向けたデコミッショニング技術のイノベーションを推進していきたい。そのための仕組みをちゃんと構築していくということが必要になります。
それから、3番目、埋設に向けた廃棄体化等に必要な基準整備及び技術開発ですけれども、技術開発の部分は(2)と少しかぶりますが、バックエンドロードマップ及び施設中長期計画と整合を取りつつ、埋設に向けた廃棄体化に必要な分別及び廃棄体化技術基準等を整備していくということ。それから、効率的な分析、測定手法と合理的な放射能の値づけ手法の開発を進めること。これらをきっちり標準化していくということが課題です。
それから、4番目が埋設事業の推進で、バックエンドロードマップと整合が取れた埋設事業の具体化に向けた技術推進を進めていくことになります。
以降、実施項目について少し詳細にお話しさせていただきます。
8ページ目が、廃止措置のプロジェクトマネジメント体制の改善、強化すけれども、まずは拠点間の連携の強化で、拠点で実施するバックエンド事業に統括本部が深く関与していくことが必要だと考えております。まずは拠点におけるバックエンド体制の強化です。敦賀地区のようにバックエンドのみを進めていて、既に廃止措置の実施体制ができているところはいいのですけれども、どうしてもまだ研究開発とバックエンド事業を両立して実施している拠点がありますので、そういったところで、バックエンド組織の明確化と責任体制をこれから確立していきます。
②ですけれども、そういった明確化された組織とバックエンド統括本部との連携を強化して、そういったところと実際に現場に即して様々な課題を掘り起こして、その対策を連携して対応していくということで、既に会議体等の設置も始まっております。
それから、先ほども申しましたように、モデル事業の実施ということを行っていきたいと思っていまして、幾つかの施設をモデル施設として選んで、拠点とバックエンド統括本部が共同して廃止措置の計画から終了まで一緒に行って、そこから廃止措置の最適化の検討を行います。こういったところにはプロジェクトマネジメント体制を入れて、一緒に進めていくということです。この得られた結果を次の廃止措置に適用して、合理的な廃止措置を確立していきます。
次、ページ進みまして、もう一つ、プロジェクトマネジメント体制の改善及び強化ですけれども、当面の具体的な対応としましては、まずはプロジェクトマネジメント体制の改善及び強化で、これはバックエンドのみならず原子力機構全体でも大型プロジェクトに対してプロジェクトマネジメント制を導入しようという動きがありまして、外部のプロジェクトマネジメントの講座を受講するなどして、プロジェクトマネジメントに長けた人材というのを育成していくことになります。
また、廃止措置を進める上でも、こういったプロジェクトは一部の作業だけじゃなくて最初から最後まで全体を通してしっかりやっていくということで、②ですけれども、廃止措置の最終到達を踏まえて、関係する部署を含めたしっかりとした実施体制をあらかじめ作ってから進める、こういったこともモデル事業の中で取り組んでいきたいと考えております。
それから、民間企業の積極的な活用です。実績があるところのノウハウを取り込みながら、後で各サプライチェーンの構築なども視野に入れながら一緒に進めていくこと、それから、人材育成に関しては廃止措置講座を昨年度から始めておりまして、こういうのをさらに充実していくことを目標としています。
次に、10ページ、デコミッショニング改革のためのイノベーションですけれども、まずは今まで各現場でばらばらにやっていた技術開発を、本質的な戦略の下で進めるために技術開発戦略の策定をする。そういった中で、総合的に優先度を決定して技術開発計画に落としていく。それで、なかなか技術開発予算というのは難しいところもあるので、外部資金を何とか獲得していくということで、実際に今幾つか候補として挙げているのが、コスト低減に関する技術開発ですけれども、廃棄物処理に関するものとしてキャラクタリゼーション手法の開発等を検討しています。
イノベーションの創出に関しては、オープンイノベーションを強化していくことと、そういった技術開発というものを社会実装していくということ、それからイノベーション活動のマネジメントは統括本部が統括して行って、廃止措置の現場と我々基礎研究部門がありますが、そういったところとうまく連携して、それをバックエンド統括本部が推進していきたいと考えております。
次、11ページ目で、廃止措置に向けた廃棄体化等に必要な技術整備とか技術開発ですけれども、廃棄物マネジメント計画の見直しを行っていく。そういう中で、工程リスクの管理が重要で、埋設事業の操業時期と廃棄物の倉庫の満杯化の影響などリスクを適切に評価して管理していく必要があります。
それから、廃棄体製作に向けて必要な基準等を設置と、将来の処分に向けてしっかりとした廃棄体が作れるような準備を行っていくということになります。そういった中で、廃棄体の作成の計画も埋設の操業計画に整合したものとしている。これらに関連する技術開発も併せて進めていきたいと考えております。
次、12ページですけれども、埋設事業に関しては、立地手順の基準に基づいて公正、透明性のある立地選定に向けた立地活動を進めていきたいと考えています。
少し進めますが、次13ページで、今まで挙げた4つの項目以外に幾つか検討したいことがあるので、ここに記載しておりますが、合理的な廃棄物処理処分に向けて、廃棄体製造施設の集約化であるとか処理処分の合理化、それから廃棄物発生量の低減等をいろいろ進めていきたいというふうに考えております。
次、14ページ目、その他と書いておりますが、一つは福島第一原子力発電所の廃止措置との連携です。機構の施設、特に東海再処理施設やアルファ核種取扱い施設と福島第一原子力発電所は、その解体や放射性廃棄物の処理処分に関して多くの解決すべき技術的、制度的な共通課題を有しております。課題例をそこに簡単に示しています。
そのため、これは既存の廃止措置対象施設のバックエンド対策を合理的に進めるためには、機構のバックエンド活動と1Fの廃止措置の研究開発活動の一体的な連携が必要であると考えております。
それから、廃止措置を進めるためにはどうしても核燃料物質を搬出する必要がありますので、機構が保有する核燃料物質の集約や保管の準備をする。また、国際連携もARTEMISもありましたが、さらに活発に進めていきたいと考えています。
あと、次、15ページ、まとめに入っていきますが、次のような課題について、他の事業者と共に規制当局との対話に基づいて合理的な規制の在り方を検討することが必要だと考えておりまして、廃止措置に関しては、廃止措置施設にグレーデッドアプローチを適用するなど合理化を進めていきたいと考えています。
それから、放射性廃棄物の処理処分に関しても、発電所と違って我々はいろいろな廃棄物があって、申請も頻繁になる可能性が高いであるとか、機構の廃棄物以外ですね、医療法の廃棄物をどうやって制度化するか、そういったところをいろいろ進めていきたいと考えております。
最後、16ページですけれども、現状は今までお話したとおりですが、第4中長期目標期間中のバックエンド対策として、バックエンド推進体制は今後長期にわたる原子力機構のバックエンド事業を合理的、効率的に推進していくためにさらに充実を図っていく必要があります。また、放射性廃棄物の埋設事業の開始に向け、放射性廃棄物の発生から処分までを総合的にマネジメントしていく必要がある。これらの対策の検討に当たっては、長期の全体像を見通し、施設中長期目標期間中に達成すべき具体的な目標を今後明確にしていきたいと考えおります。
バックエンド対策を効果的に進めるため、先生方の御助言を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。
では、続きまして、資料4-3の説明を事務局からお願いします。
【有林室長(事務局)】 文科省の有林より、資料4-3に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
この資料の意味ですけれども、先ほど、アルファ核種、まさにアルファ、ベータ、ガンマをそれぞれ別に扱うべきだというところにつきまして、アルファにつきましては、今目黒部長からの御説明にもございましたけれども、東海再処理など様々なアルファを取り扱っている施設を、今後廃止措置をどうしていくかというところがございますが、それとは別に、原子力機構においては、福島のまさに事故を起こしました1Fの廃炉に関しまして、アルファに関する研究開発を行っておりますので、そういったものが、まさに今後発生する原子力機構のアルファの施設の廃止措置に役立つことがあるのではないかという観点で、文科省から原子力機構における廃炉の取組を御説明させていただきまして、その中で原子力機構がどのように関与しているのかというところを簡単に御紹介させていただければと思います。
まず、資料めくっていただきまして、1ページ目、2ページ目が国全体でどのような役割分担で福島第一への廃炉の研究開発をしているかというところですけれども、簡単に申し上げますと、東電や経済産業省が応用的な研究、開発的な研究を行っているのに対して、我々文部科学省は原子力機構、大学と一緒になって、基礎基盤的な研究を行っているところでございます。
そして、3ページ目になりますけれども、今原子力機構においては、福島に全部で五つの拠点を設けておりますけれども、この中で特に右上にございます富岡にあります国際共同研究棟というところ、こちらが司令塔になりながら福島における研究のかじ取りをしているというところでございます。
4ページ目に移りまして、文科省では、国際共同棟を中心にした廃炉の研究を推進する体制としまして、今年度、合計41億円の予算を計上しておりますけれども、この内容につきましては、2番目に下半分のところに、(2)で研究開発の予算がございますけれども、この左下の部分が原子力機構において廃炉研究を実施している部分と、右側のほうは大学等の知見を生かしながら、福島に対する共同研究をやる部分ということで、1Fに関しまして原子力機構が持っている知見、そして大学等が持っている知見を活用するような形で基礎基盤研究を進めているところでございます。
めくっていただきまして、5ページ目に、原子力機構がまさに運営費交付金等で行っている研究に関しましては、特に1F廃炉の中でも燃料デブリの問題や、または原子炉内がどのような状況であるか、また放射性廃棄物をどのように処理処分していくのか、また遠隔操作技術、こういったまさにキーとなるテクノロジーに関しまして基礎基盤的な研究開発を実施しているところでございます。
また、6ページ目に行きまして、こちらは大学と連携するに当たって、やみくもに様々なことをやるのではなく、こちらにございますように廃炉全体の工程というものをマッピング化しまして、赤いところがある意味既存の技術で対応できるところ、そして青いところが基礎基盤的な技術開発が必要なところというふうにこのマップで位置づけておりまして、文部科学省としては、この青いところを大学などの知見を生かしながら赤く変えていくという研究開発に取り組んでいるところでございます。
実際にこの研究開発を行うに当たって、8ページ目にございますけれども、もともとは文部科学省が直接大学を公募しまして、資金を供給して研究開発を行っておりましたが、やはり富岡にCLADSの拠点ができたということを受けまして、平成30年からは原子力機構に補助金を国から渡しまして、原子力機構が中心となって大学等へ直接共同研究をするということを実施しております。
これによりまして、各大学の成果が原子力機構に集中し、そういった成果を生かしながら福島の廃炉に取り組んでいるという体制を作っておりまして、最終的に、9ページ目になりますけれども、平成30年から始まりましたが、ここにございますように様々な機関と研修機構が福島第一のためのネットワークをつくっているというところでございますけれども、こういったネットワークなども生かしながら、まさに1Fの廃炉に向けた研究ではあるんですけれども、そういった中でアルファという特別なものを扱うという点に関して言えば、原子力機構自らのアルファに対する廃止措置としての技術開発としても、この1Fの研究というものを生かせるのではないかというところを、文部科学省側から、本日先生方に御議論いただく際に、前もって御提案をさせていただいたというところでございます。
以上、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございました。
ただいま、議題の3と4の説明を受けました。これから委員の皆様から御意見、質問を受け付けたいと思います。どなたかございますでしょうか。
足立さん、よろしくお願いします。
【足立委員】 まず、すごく基本的なことで申し訳ないのですけれども、途中の御説明によく出てきました廃棄体というのは、具体的に言うとどういうものですか。ガラス固化体とかそういうものも含まれるということですかというのが1点です。
それから、全体を通して、これからの長い計画、それからそれに必要な予算などを立てていくに当たって、これから精査してもっと厳密なものを出していくという話だったと思うのですけれども、そういう計画が国民に発表された後に、3年後、5年後にやっぱりこれができそうにないのでこういうふうに延期されますとか、お金はこれ以上かかりますとか、そういうことが度々あると、信頼性という点でちょっと難しくなるかなと思いますので、非常に難しいことだなというのは今御説明を聞いてよく分かりましたけれども、できる限り精査して、厳密なといいますか、詳しい計画と予算立てをお願いしたいなというふうに思いました。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございます。
では、この件に関しまして、回答ございますでしょうか。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構から回答させていただきます。
コメント、どうもありがとうございました。
また、すみません、用語等、専門用語を使って説明が足らなくて大変申し訳ございませんでした。
廃棄体というのは、放射性廃棄物はいろいろな形で出てきて、それを普段減容したりして保管しているのですけれども、最終的に今放射性廃棄物は埋設処分、地面に埋めて処分しようとしているのですが、そのときにはある程度やっぱり安全性の基準というのがありまして、そこを達成するために加工したもの、埋める直前の段階になっているものを廃棄体というふうに呼んでおります。
それから、費用の評価ですけれども、当然できるだけ詳細に出して、精密に出して公表していきたいと思っていますが、公表の仕方はいろいろ考えなければいけないと思っておりまして、一つは、長期にわたるものというのはどうしても先で技術が革新されたりいろいろなものが変わったりして、どうしても変わってしまう可能性はありますけれども、短期のところだけはできるだけ詳細に出していければなと思っております。
いただいたコメントで、しょっちゅう変えるのはよろしくないということは大変よく分かりますので、できるだけそうならない形で進められるよう検討していきたいと思っております。どうもありがとうございました。
【足立委員】 ありがとうございました。
【出光主査】 では、井口委員、よろしくお願いします。
【井口委員】 元名大の井口です。御説明ありがとうございました。
時間がないので。私が聞きたいことは二つあります。
一つは、資料の4-1の3ページ目で、今回ここでの議論をして、重点分野5にバックエンド関係の提言を書くということになっているのですけれども、ぜひこの中にキーワードとしてプラントライフサイクルということを入れてほしいわけです。重点分野1、2と並べてしまうと、また重点分野1、2の新型炉と原子力開発等では、頭の部分だけやっていてお尻のほうは考えないというふうになってしまうと思うので、ぜひその重点分野5あるいは1、2との議論の中ではプラントライフサイクルというのがどこかでは見えるような形でこの提言の中に入れていただきたいと思いました。これはコメントです。
2つ目は、資料の4-2の次期バックエンド対策の第4期中期目標の話ですけれども、この中で計画を見ると、埋設事業の推進というのはあるのですが、具体的にどうするのかがよく見えないですよね。それで、先ほどのIAEAのレビュー中でも、地元企業というのですか、福井県のスマートデコミッショニング拠点みたいなものは非常に優良な事例だというふうに挙がっていたわけですけれども、もうちょっと地元企業を指導するというんじゃなくて、もしできれば原子力機構がその地元企業と合弁企業なんかを作って、基本的には例えば埋設事業の推進とか跡地の管理、利用等についての検討を行うとか、できればそのクリアランス物についても、ずっと言わば一般普及を図っているわけですけれども、これも進まないという、そういう指摘があるわけですが、できれば特定レベルの廃棄物のリサイクルも含めて、これも地元企業と合弁企業を、例えば機構内に企業を立ち上げて一緒にやるというそんな対応をしないと、なかなか、地元の方に、そういうものを受け入れていただくメリットを感じてもらえないんじゃないかと思うので、もうちょっと突っ込んだ検討をいただけないかというふうに思います。
以上2点です。
【出光主査】 ありがとうございました。
これに対して何か御回答ございますでしょうか。
【有林室長(事務局)】 すいません、文科省から。
1点目の資料の4-1に関しましては、本日、まさに井口先生から今御指摘いただきましたけれども、この議論の中で様々な御指摘をいただいたことを事務局として案を作りまして、また先生方に御紹介をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【出光主査】 2つ目の質問に対しまして、JAEAから。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。御指摘ありがとうございました。
我々もどうしても実際の廃止措置事業を進めていく上で地元企業さんの協力というのは不可欠だと思っておりますので、その辺をうまく進めたいというのは考えていますが、どういうやり方が一番いいのかというのはなかなかまだ結論が出ない状況です。
一つの例は、先ほど挙げた福井のスマートデコミッショニングですけれども、そういった施設をいっぱい造るのはなかなか難しい中で、一番大きな茨城地区でどう進めていくか。そういったところは、今、地元企業さんの意見を聞く準備もしていますし、県を通じた地元企業さんへの説明会等もいろいろ行い始めたところですので、そういった中で、できるだけ最適な解を作っていければなと思っています。
確かに、いわゆる原子力事業者の中でのリサイクルを進めるという意味で、内部に企業体を作るというのは面白いアイデアかなと思って拝聴させていただいたので、そういった今まで検討していなかったようなことも含めていろいろなことを検討していきたいと思っていますので、またいろいろ御意見をいただければと思います。どうもありがとうございました。
以上です。
【井口委員】 ありがとうございました。
福井県のスマートデコミッショニング拠点については、技術サイドはかなりレベルが高いので、もうちょっと地元の企業の方の技術を生かせるような合弁企業みたいなものを検討されたほうが受け入れてもらいやすいのと、まさにそういう議論、新しい事業で何ができるかという議論を、ぜひ地元の企業の方々とのコンソーシアムと言うのですか、そういうものを作って始めていただけるといいのではないかと思います。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございます。
岡本委員、よろしくお願いします。
【岡本主査代理】 ありがとうございます。
私は、バックエンドはグレーデッドアプローチをしっかり適用しなきゃいけないと思っておりまして、グレーデッドアプローチというのは何か規制緩和みたいな間違ったイメージを持たれている方がいらっしゃるのですけれども、グレーデッドアプローチというのは、グレードに応じて、リスクに応じて、しっかりと安全対策を行っていくんだということで、これはログスケールにリスクが変わってきますので、リスクに応じてしっかりバックエンドの安全対策をやっていくというグレーデッドアプローチの思想を、ぜひ頭の真正面に置きながらやっていただきたいと思います。
そういう意味では、先ほど来、言っていますけれども、アルファ、ベータ、ガンマで言うと、グレーデッドアプローチで考えるとベータ、ガンマはリスクもかなり低いと思っていて、アルファはもうかなり、日本の商業炉にとっても、クエスチョンマークになるかもしれないぐらいの、今はコントロールされているので問題ないんですけれども、将来的なことを考えると、大洗の事故なんかもありましたけれども、いろいろ考えていかなきゃいけない、重要なところだと思います。
重要なところ、危ないところにしっかりリソースを割いて、そうでないところは外注なりなんなり、いろいろ今社内ベンチャーみたいな話もありましたが、何かそういうリスクに応じた対応をしっかりやっていただくということが極めて重要だというふうに思いますので、よろしくお願いします。
そういう意味では、毎回そうですけれども、やっぱり12ページの埋設事業なんですよね。今回も事業の説明だけだったのですけれども、ここが極めて重要で、その埋設事業もいわゆる高レベル廃棄物的なものから、L3のようなものもあります。
そういう意味では、まずL3をしっかりと考え、その上でL1、L2を見通しながらアルファも考えていくと。何かそういう埋設の部分、立地の部分をしっかりと前に進めるという形にしないと、何となく7年後に全く同じ絵が出てくるのではないかという、極めて危惧をしていまして、何となくこの辺り、今政府も含めてモラルハザードに陥りかけているんじゃないかと。こうやっておけば7年間そのまま進むみたいな話になっているのではないかというのを極めて危惧をしておりまして、埋設事業が進めば、今日いろいろ出ていきたいろいろな課題は半分ぐらいは進むんですよ。だから、どこにボトルネックがあるか、それからどこにリスクがあるか、グレーデッドアプローチと同じような考え方になるんですけれども、リスクの高い場所、重要なところに重点的に資源を投入していくような、いろいろ政策的な問題もあると思いますけれども、そういう活動をよろしくお願いしたいと思う次第であります。よろしくお願いします。
【出光主査】 ありがとうございます。
回答をよろしくお願いします。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。
重要なコメント、どうもありがとうございました。
グレーデッドアプローチにつきましては、IAEAのレビューにもあったのですけれども、リスクアンドオポチュニティアナリシス、そういったところをしっかりやって、何がリスクで、何が進められるべきかというのをちゃんと考えながら、どういった安全管理をするのが一番合理的であるか、当然、安全が悪くなるといけないですから、そこは最低限守りながら適切に進めていきたい。
当然、岡本委員から御指摘があったように、ベータ、ガンマ系とアルファ系は明確に分けて、そういった発想がなかなか今までできていなかったところもありますので、そういったところを的確に考えて、グレーデッドアプローチを導入しながら進めていきたいというふうに思っております。
私からは以上です。
【出光主査】 岡本委員、よろしいですか。
【岡本主査代理】 後半のほうは多分回答しにくいと思うので結構です。
【出光主査】 そうしましたら、織委員から手が挙がっております。
【織委員】 織でございます。よろしくお願いいたします。
私が気になっているというか特にポイントとなると思ったのは、IAEAの指摘について、どういうふうに真摯に受け止めて対応していくかというところが重要なのではないかと思っています。特に、リスクや機会を把握して、それに合わせたスケジュールを実効性を持って作っていくという、この辺を具体的にどのように考えていらっしゃるのかということと、当然そのリスクに応じて、その時その時のリスクコミュニケーションということがプロセスのそれぞれによって必要になってくる。それぞれのリスクコミュニケーションにおいてステークホルダーが誰かということが異なってくる。それについても、IAEAでステークホルダーアナリシスが必要である、それに基づいたダイアログが必要であるというのはもっともな指摘だなと思っているのですね。ですから、具体的にリスクに応じてステークホルダーが変わっていく、そこについてのステークホルダーダイアログをどのように考えていらっしゃるのかというところを、せっかくコメントをもらっているので、そこをどう考えていらっしゃるかということが1点。
それから、もう1点は、国際的なこういったバックエンドに向けてというのは、なかなか他の国でも難しいところがあると思うのですけれども、もしグッドプラクティカルがあって、英国とかフランスとか、グッドプラクティカルがあって、そこから得るものがあるのか、あるいはそういった技術的な情報あるいはプロジェクトマネージングに関する情報を国際的に共有していくような場みたいなものがあるのかどうかという、そういったことが2点。
それから、最後にコメントですけれども、最終的に目標をどうしていくのかというのは、今のアプローチだと一つ一つ積み上げていって何年後ぐらいに実際どういうふうになっていくかという発想ですれけれども、逆にバックキャスティング的な発想で物事を考えていくということはなさらないのかなと思う。例えば40年とか50年、30年、20年後ぐらいを目標に考えていくと、そこで全ての処理を終わっていくために今何をやらなくちゃいけない、そのためのコストはどうなっていくかという、そういう考え方をしていったほうが落ちがないと思うんですね。今のように一つ一つ最初から下から積み上げていくというやり方では、ある種、大局感がなくなってしまうのではないか。だから、フォアキャスティングというよりはむしろバックキャスティング的な思考でプロジェクトを考えていくという、そういう検討も必要なのではないかなというふうに思います。
以上、3点です。
【出光主査】 ありがとうございます。
JAEAから何かありますでしょうか。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。
御指摘どうもありがとうございました。
なかなかまだ原子力機構ができていないところをIAEAからいろいろ御助言いただいたというのがあって、現状、明確な答えを出せないような状況ではあるのですけれども、日本は海外に比べればリスクコミュニケーションであるとかそのときのステークホルダーとの関連づけというのはあんまりできていなかった、特に原子力機構はできていなかったという認識はずっと持っております。それを今後どうしていくかに関しては、すいません、これから検討しないといけないような段階ですので、明確な答えを今日お話しすることはできませんけれども、十分に意識して進めていきたいなと考えています。
プロジェクトマネジメントに関しても、なかなか今までできていなかったところもあって、今日も簡単にお話ししましたけれども、まずはいろいろなプロジェクトにプロジェクトマネジメント制を導入していきたい。そのためには、そういったものを理解できている人を養成していかなければいけないので、外部の研修等を受けながら少しずつプロジェクトマネジメントが分かる人を増やしていきたいという、まだ初期段階になります。
海外におけるプロジェクトマネジメントを、日本にしっかりはまるかどうかは別として、いろいろ話を聞く機会というのはあるのですけれども、なかなかうまく評価、導入できていないというので、今後そこのところもしっかりと対処していきたいなと考えています。
それから、バックキャスティングに関してコメントをいただきまして、どうもありがとうございました。今までそういった視点で物事を考えてこられていなかったと思いますので、どうなるか分かりませんけれども、少し検討していきたいなと思っております。
以上です。
【織委員】 ありがとうございます。
特にバックキャスティング的な思考というのは、今ここだけではなくて環境政策含め世界的にはバックキャスティング的な方法というのはいろいろなところで取り入れられていますので、ぜひ御検討いただければと思います。
【出光主査】 ありがとうございました。
それから、大越委員から手が挙がっております。
【大越委員】 大越です。御説明ありがとうございます。
私から2点、御質問というかコメントをさせていただければと思います。
1点目ですけれども、廃止措置に関連して、廃止措置、廃棄物の発生から処分まで見通したような形でのマネジメントの強化をされるということで提言されていて、非常にいいことだと思っております。廃止措置を始める前にどういったデータを取るべきかということを、処分まで見通した形で行っていただくことで、処分の段階になって必要なデータを再度取り直すとかというような、手戻りがないような形でデータ取得をしていただければ、マネジメントをしていただければと思います。
廃止措置に関する人材育成の話が盛んに出てくるのですけれども、確かに廃止措置の技術、経験にたけた人間を育成することも重要ですが、廃止措置のもう一つの側面として、廃止措置対象となっている施設の設備、構造、あるいは来歴に詳しい方からのインプット情報というのが非常に重要になってくると思いまして、施設の運用から廃止措置までのリーディングタイムが短い場合はいいんですけれども、長期間になってしまいますと、そういった施設に関する情報にたけた方が退職されたり、あるいは異動していなくなってしまったりとか、そういうことがあるといけないので、施設に詳しい方の情報をなるべく早く集めて、アーカイブしていくようなことを検討していただければと思います。それが1点目です。
2点目が、廃棄体化の技術基準に関するお話が何回か触れられているのですけれども、廃棄体化に関する基準については、廃棄体単独で安全確保するのではなくて、処分施設の立地条件でありますとか、あるいはその処分施設そのものを人工バリア等で組み合わせて安全確保をすることになりますので、そういう意味では立地場所が決まって、そこの自然条件、社会条件等々を踏まえて施設設計を行った上で、処分施設と廃棄体両方を組み合わせた形での基準になってくると思いますので、難しい話だとは思うんですけれども、立地場所を早く決めていただいて、情報を集めていただいて、廃棄体のための基準を作っていくというようなことを進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【出光主査】 ありがとうございます。
JAEA、何か回答がありますか。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。
解体時に発生する廃棄物を、処分に向けてしっかりその時点で評価していくというのは重要だと思います。今まではどうしてもなかなかできてなくて、そのまま保管施設に持っていってしまう、というのがありますが、解体廃棄物の品質のマネジメントというのに今ちょうど取り組み始めたところでもありますので、そういったものをしっかりと進めて、処分するときにもう一度分析したりすることができるだけないような形で、体制をしっかりと構築していきたいと考えております。
それから、過去の施設情報等に関しては、やはり知識マネジメントは重要だと思っておりますが、なかなかうまく取り組めていないのが現状です。できるだけ施設の過去の情報等をデータベース化して、記録してアーカイブ化していくというのは重要だと思って取り組んではおりますが、なかなか必要な情報が明確にならないと、何を聞いて集めたらいいかと言うとなかなか難しいところもあって、現場の人から適切な情報をうまく引き出すというそのノウハウ自身の開発から順次進めなければいけないと思っておりまして、そういったところを少し拠点単位では始めている部分もありますので、そういうのを全所的に展開していきながら進めていきたいと考えております。
処分に関しては、私じゃなくて北嶋さんからでもよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
【北嶋センター長(原子力機構)】 埋設センター、北嶋でございます。
廃棄体そのものの安全性を求める、廃棄体基準を求めるのみならず、処分地を含めた安全性を評価して、それを廃棄体基準にフィードバックするということは重々承知しておりますので、そういった廃棄体基準を整備するに当たっては、できるだけ早く立地を進めたいと考えているところでございます。
以上です。
【出光主査】 ありがとうございました。
時間がなくなっておりますが、最後に葛西委員から手が挙がっております。よろしくお願いします。
【葛西委員】 よろしくお願いします。手短に。
皆さんもおっしゃっておられて、立地、処分地の選定ですが、相手のいることですから大変だと思うのですけれども、資料4-2の3ページの計画の概要を拝見しますと、もう3期の令和3年度には既に『立地』になっておりまして、この辺りの計画でいくと、御説明にあったように第4期の中で終了予定の廃止措置が既に遅れる可能性が出てきているというのは、この辺りなんじゃないかなと思うのですけれども、もし廃棄体が満杯になってしまった場合の何か具体的な案みたいなものを、私たちでもイメージできるように教えていただければと思うのですが。
【出光主査】 回答をお願いします。
【目黒部長(原子力機構)】 原子力機構の目黒です。
当然、当面まだ十分保管容量は確保できているのですけれども、さらに立地等が遅れる場合にも、やはり廃止措置というのは的確に、確実に進めていかなければいけない。施設を解体すればどうしても廃棄物が発生します。それをどう保管するかですけれども、今のところ、建物まで壊さなければ廃止措置対象の施設の中の設備を解体したら、その施設の中でうまく保管していくような形で、新たな保管施設を造らない方法等も検討しながら、何とか対処しようと思っております。
すぐには満杯にならないですけれども、しっかりその辺も第4中長期目標期間で考えながら事業を進めていきたいと考えております。
以上です。
【葛西委員】 ありがとうございました。
【出光主査】 ありがとうございました。
時間がなくなってしまいましたので、もし追加コメントがございましたら、後ほどで結構です、事務局宛てに送っていただければと思います。
私からもあったのですが、岡本委員からもありましたし、あと足立委員、それから大越委員、織委員からもありましたが、埋設事業を前に進めるために、もうちょっと具体的な対策が今後は必要かなと思います。その中で廃棄体の話については、処分地が決まってから技術基準をというのではちょっと遅いのかなという気がいたします。逆にこういう技術基準があるから受け入れてほしいという、そういうところを示せるのかな、また違う方法が要るのではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうかね。
すぐに決めるのは難しいかもしれないですが、処分事業を進めるためには、廃棄体を決めるためには、こうやったら処分が安全にできますよというのを説明しなきゃいけない。そのために、こういう廃棄体にしますよというところが決まっていきますので、その辺りを示せないとなかなか処分地が決まらないのではないかなという気はいたします。一般的なところからでも結構ですので、何らかの対応を取っていく必要があるかなというふうに今感じました。
この件等いろいろございますが、本日の御意見をいただきまして、各委員にメールで内容を御確認いただいた上で、主査の私のほうで取りまとめさせていただきたいと思います。
あと、本提案につきましては、先ほど事務局より御説明がございましたが、原子力研究開発基盤、それから人材作業部会での議論の結果と併せまして、両作業部会の意見をまとめて見える形にして、共同の提言とする方向で進めさせていただきたいと思っております。
そのような点も含めまして、本提言の最終的な取りまとめにつきましては主査の私に御一任いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。そうしましたら、事務局を通じて皆様に御連絡させていただきたいと思います。
本日予定していた議事は以上でございますが、その他、御意見などございますでしょうか。よろしゅうございますか。
(「なし」の声あり)
【出光主査】 なければ、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
【前田専門官(事務局)】
次回の作業部会の日程等につきましては、日程調整の上、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。また、本日の議事録につきましては、こちらで作業出来次第、メールにて各委員の御確認をいただいた後、ホームページに掲載させていただきたいと考えております。
事務局からは以上でございます。
【出光主査】 ありがとうございました。
皆様、本日はお忙しい中ありがとうございました。これにて終了いたします。

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(研究開発局原子力課放射性廃棄物企画室)