原子力科学技術委員会 原子力バックエンド作業部会(第2回) 議事録

1.日時

令和元年12月4日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 16階 16F 1会議室

3.議題

  1. 原子力機構における廃棄物処理の加速に向けた検討状況
  2. 原子力施設廃止措置等作業部会の中間まとめを踏まえた原子力機構の取組状況
  3. その他

4.出席者

委員

出光主査、岡本主査代理、渥美委員、井口委員、葛西委員、鬼沢委員、児玉委員、佐藤委員、澁谷委員、古川委員、柳原委員

文部科学省

松本研究開発戦略官、有林放射性廃棄物企画室長、小林原子力人材・研究基盤室長、廣瀬原子力課課長補佐

オブザーバー

伊藤日本原子力研究開発機構副理事長、三浦日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部長代理、藤田日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部企画部次長、坂本日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部埋設事業センター副センター長、佐々木日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部企画部技術主席、藤平日本原子力研究開発機構バックエンド統括本部企画部技術主幹

5.議事録

【出光主査】  それでは、定刻になりましたので、第2回「原子力バックエンド作業部会」を開催いたします。本日の議題ですが、二つございます。一つ目が「原子力機構における廃棄物処理の加速に向けた検討について」、二つ目が「原子力施設廃止措置等作業部会の中間まとめを踏まえた原子力機構の取組状況について」、あと、その他でございます。本日列車遅れのため、議題の1番と2番を入れかえて行うということでお願いいたします。
 それでは、まず最初に、事務局のほうから出欠と配付資料の確認のほうをよろしくお願いいたします。
【廣瀬課長補佐】  事務局です。現在、委員12名のうち10名の委員に出席いただいておりますので、運営規則に基づきまして、定足数である過半数を満たしておりますのでご報告いたします。なお、岡本委員につきましては、遅れての参加と承ってございます。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日ですが、資料1と2、参考資料2種類の計4種類の資料を配付してございます。資料の欠落等がございましたら、議事の進行途中でも問題ございませんので、事務局まで直接お申しつけください。どうぞよろしくお願いします。
 以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、順番を入れかえまして、議題2のほうからやりたいと思います。
 なお、本日の会議は17時までの予定としておりますが、もし議事のほうがスムーズに進みましたら早目に終わることもありますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題の2につきまして、まずJAEAのほうから資料2に基づきましてご説明をお願いいたします。
【藤平技術主幹】  原子力機構の藤平と申します。
 議題2ということで、原子力施設廃止措置等作業部会の中間まとめを踏まえた原子力機構の取り組み状況ということでお話しさせていただきます。いただいた時間に比べてこの資料のボリュームがありますので、ポイントを絞った説明とさせていただきます。あらかじめご了承ください。
 めくっていただきまして、2ページになります。
 廃止措置等作業部会で出てきた中間まとめの提言に対して、原子力機構ではどのような検討体制で行ってきたかというところになります。
 まず、機構では、バックエンドロードマップ委員会というものを設置いたしまして、この委員会には、副理事長を議長にしまして、外部有識者の方、機構理事、それから主要拠点の所長などを入れた計15名で現在構成した委員会になっております。
 第1回を平成30年6月22日に開催しまして、それ以降、継続して開催しています。この間、去年、平成30年12月26日にバックエンドロードマップという原子力機構のバックエンド対策の長期方針をまとめたものを公表しているという動きがあります。
 めくっていただきまして、3ページ目。
 こちらに中間まとめの提言についての対応状況ということで書いていますが、左側の欄に、AからKまで、中間まとめのとりまとめで出された項目について書いておりますが、今回はこのうちAからGの7項目についてご報告したいと思います。
 めくっていただきまして、4ページになります。
 ここからは個別の項目について説明するというところですけれども、資料の構成として、各項目に対して4ページのような現状と課題、今後の施策の方向性、こちらは中間まとめに記載のある文言を引っ張ってきていますが、そういった資料をまず1枚つけています。それから、めくっていただきまして、5、6、7、8ページと取り組み状況とか現状についてまとめた資料をつけていまして、その後に、9ページということで、それらについての課題とか論点、そういったものを整理したものをつけているという資料構成にしています。
 戻っていただきまして、今度は5ページをお願いします。
 まず、A項目として、研究開発とは分離した目標管理ということですが、そもそも原子力機構の目標管理というのはどのようになっているかといいますと、独立行政法人通則法に基づきまして、中長期目標、中長期計画、年度計画を定めて、法人として達成すべき目標というものが決められています。その中で、中長期目標、中長期計画では、廃止措置はどのように書かれているかというと、右側の青い枠の中に中長期目標の項目というのを書いていますが、この下のほうに青字で書いてある部分、ここに三つありますけれども、こちらで廃止措置について触れているという形になります。
 具体的には、左側の二つ目の黒丸の下の二つ目の矢印のところ、廃止措置に関連する記載というところがありますが、6.(1)で東海再処理施設について、7.でもんじゅ、ふげんについて、6.(4)でそれ以外の施設について、廃止措置をどのように進めていくかという目標が記載されているというものになります。
 めくっていただきまして、6ページになります。
 こういった目標を立てている中で、この目標の進捗管理というのを機構の中で行っていますので、ご紹介です。この表の左側に廃止する施設のステータス、どういった目標を立てているか、その年度は何をやるかというのを記載しまして、それに対して、真ん中の欄では、その年度の中のどのようなことをやるか、その計画に対して実績はどうだったかという実績評価を定期的に行っています。それで、もし遅延が認められた場合、それがカバーできない場合には、どのようにカバーしていくかとか、そういった対策を右側の欄にまとめるというような手法で目標管理を行っています。
 めくっていただいて、7ページになります。
 今度は、当然、廃止措置というものには予算が必要になりますけれども、予算上はどのように扱っているかということをまず載せています。こちらの表の資料は令和2年度予算の概算要求の概要ということで、機構のホームページでも公開されている資料になりますが、その中で廃止措置の予算というのはどこに組み込まれているかということになります。
 例えば、「高速炉研究開発」という予算項目の中にはもんじゅの廃止措置のことが書かれていますし、「バックエンド研究開発」という部分の「うち、再処理技術開発」というところでは再処理施設の廃止措置について書かれている。その下の「うち、廃止措置・放射性廃棄物処理処分研究開発」というところには、ふげんとか、それ以外の施設の廃止措置の予算というのが盛り込まれている、そういった枠組みになっています。
 めくっていただいて、8ページになります。
 今度は、原子力機構法の中で廃止措置はどのように位置づけられているかということになります。当然、国立研究開発法人ですので、個別法として原子力機構法というのが定められています。その法律の中で、その法人の目的、それから目的を達成するための業務というのが書かれておりますが、その中に、いわゆるバックエンド対策、原子力施設の廃止措置ですとか、低レベル放射性廃棄物の中間処理、廃棄体化、そういったものの明確な記載が現状ないという状況になっていまして、法律の中の条文でいくと、これらの業務は「附帯する業務」ということで整理されています。
 めくっていただいて、9ページになります。
 この項目の整理と論点になりますけれども、論点に太字で書いてある部分は中間まとめの提言の文言をそのまま引っ張ってきているところです。中間まとめいわく、「廃止措置等業務は、他の業務から独立した業務・事業目的を設定し、研究開発業務等とは異なる手法で業務に即した管理を行う」ということが書かれているんですが、まず、そういったことをやる必要性、それから、どうしてこういうことをやる必要があるのかという理由をまず明確にして整理する必要があるのではないかということ、それから、「その後に着実な実施を図る」ということが記載されていますけれども、それに当たっては、目標での明確化、予算の区分け、法人としての目的、業務の位置づけ、そういったものを明確化しておいたほうがいいのではないかと考えています。
 それから、次の矢印になりますけれども、今お話しした内容は、次の項目Bということで組織の段階的な分離というものがありますが、そこにも関連する話ではないかと考えています。
 めくっていただいて、10ページになります。
 今度は次の項目Bになりまして、原子力機構内における研究開発部門と廃止措置部門の段階的分離というものになります。
 めくっていただきまして、11ページになります。
 現状、機構の組織体制がどのようになっているかということですが、まず、原子力機構の発足以来、機構全体のバックエンド対策の検討を行う部署というのは存在していまして、それがどのように変わっていったかというのを示したものになります。
 下の図のほうを見ていただきたいんですが、平成17年の原子力機構の発足以来、研究開発組織の中に機構全体のバックエンド対策を検討する部署がありました。それが大きく変わったのが平成29年の4月、バックエンド統括部ができたときで、ここで初めて運営管理組織に機構全体のバックエンド対策を検討する部署ができたという流れになっています。
 めくっていただきまして、今度は12ページをお願いします。
 こちらが、ちょっと細かくて申しわけないんですが、現在の組織体制を示しています。廃止措置とかバックエンドで重要なところといいますと、廃止措置実証部門の設置とが平成30年4月。それから、副理事長を本部長としたバックエンド統括本部を平成31年、今年の4月に設置して、各部門への統括機能を強化したというものがあります。
 具体的には、下の図で言いますと、緑色の部分に運営管理組織としてバックエンド統括本部がありまして、ここが各部門の窓口担当と調整をしながら機構のバックエンド対策を進めていくという組織体制になっています。
 そして、右側の青のところに組織規程を抜粋して書いておりますが、バックエンド統括本部企画部というところでは、機構のバックエンド対策の全体計画、それらの総合調整に関することを行うとしていまして、各部門はバックエンド統括本部の全体計画に基づきバックエンド対策を実施するということが書かれています。
 敦賀廃止措置実証部門、こちらは「バックエンド統括本部の」という記載はありませんが、ここはもんじゅとふげんを担当しているところになりますが、こちらは廃止措置を専門にするということで目的がしっかりしていますし、中長期目標においても廃止措置するということが明確になっていますので、個別の調整という意味ではあまり必要なく、廃止措置に推進するという独立した体制を取っているというものになってます。
 それから、ちょっと細かいところなんですけれども、12ページの右下の緑の枠に統括機能の強化ということが書かれています。各部門にいろいろ調整をする他、実際、業務を推進するために新たな取り組みというのを運営管理組織になってから実施しています。代表的なところで言いますと、機構を横断する取り組み、コスト削減・工程短縮の取り組み、それから現場で困っていることがあれば現場支援をする、そういった取り組みを開始したというものになります。
 めくっていただいて、13ページをお願いします。
 こちらは、原子力機構が発足してからのバックエンド関係の組織の変遷を示しているものなんですが、時間もないのでこちらの説明は割愛させていただきます。
 めくっていただいて、14ページをお願いいたします。
 こちらの真ん中の部分なんですが、中間まとめいわく、「組織の構造及び運営の在り方を改革」するというのがありますが、それにはAの項目で示した目標管理のところで考慮すべき論点についても検討が必要でしょうということ、それから、二つ目の矢印のところに、組織のあり方については、海外はこういうふうになっているという海外事例と比較されることが多いですが、参考するに当たっての留意事項として、組織の状況――過渡的な組織であるのか恒常的な組織であるのか、またはその組織体制に至った背景要因、それから保有施設の状態、廃止措置だけを抱えている組織なのか、それとも研究開発組織も抱えているのか、そういった点を踏まえて検討したほうがいいのではないかと考えているということになります。
 めくっていただいて、15ページをお願いします。
 こちらはC、複数年契約の試行的導入などの外注先企業との契約方法の見直しということですが、中間まとめのどこを見ても「複数年契約」という言葉は出てこないんですが、複数年契約というタイトル出しがありますので、それをやってみましたということで、16ページのほうを見てください。
 今までの廃止措置は予算の確保の状況もありましたので単年度で実施しておりました。ですが、今回、複数年契約を試験的に導入してみましたというものになります。今回、1例だけ実施してみましたが、その結果、複数年契約の効果ということでは、単なる見積もり比較だけにはなりますが、単年度契約の見積もりを3年分合計したものと複数年契約での見積もり1本と比較すると、予算としては約2割安くできそうだというのがわかったということになります。
 ただし、これはこのケースで2割削減されたということですので、複数年契約をやれば何でも2割削減できるというものではないんですが、削減効果については今後も検証が必要であると考えているところです。
 では、その2割はどういった部分になるかというのが二つ目の黒丸の二つ目の矢印、「削減に寄与した部分」というところに書いていますが、約2カ月工期の短縮をできることになりましたので、その分の経費が安くなったと考えています。
 めくっていただきまして、17ページをお願いします。
 ここで、論点の部分になりますけれども、複数年契約につきましては、資金状況を考慮しながら今後も事例の蓄積を行いたいと考えています。それから、実際、契約に当たって、実務レベルで多少、課題ですとか、調整事項が発生しましたので、それについては適宜機構内で検討して、やりやすい環境を整えたいと考えています。
 それから、もう一つ、三つ目の矢印のところになりますが、廃止措置等業務における外注企業と原子力機構との業務分担のあり方ですとか、外注企業に委ねられる範囲を拡大する、そういった検討も必要ではないかということを書いています。それに当たっては、ポツの部分、三つ書いているんですが、まず、今は解体作業だけを外注していますが、それに加えて、廃止措置のマネジメントの部分、解体計画の立案ですとか工事の外注、それから工程管理、そういったものを一括で受注し得る廃止措置の専門会社の育成ですとか設立、そういったことも検討してはどうかと考えております。
 それから、それに当たっては、原子力施設の許可、原子力等規制法における許可ですけれども、そのライセンスの譲渡まではでき得るものかどうか、それから、廃止措置専門会社への発注に際してはいろいろ考慮する点がありますが、施設の規模ですとか作業期間、費用、それから外注するということに対する社会的受容性とか、そういったことも検討が必要であろうと考えているというものになります。
 めくっていただいて、18ページになります。
 こちらは現行の中長期計画期間を超える長期の目標設定、事業管理の枠組みの整備というところなんですが、めくっていただいて19ページをお願いします。
 長期の目標というところでは、冒頭申し上げましたけれども、バックエンドロードマップというものを平成30年12月に公表しておりまして、そこで機構のバックエンド対策の長期方針(約70年)を公表しています。こちらにつきましては、前回の作業部会で概要について説明していますので、今回は説明を割愛させていただきます。
 めくっていただいて、今度は20ページになります。中間まとめでは長期目標期間を超える目標の設定のほかに知識継承ですとか、マネジメントの話が記載されているんですが、こちらについては、主に人材にかかわることということで、Fの項目に含めて検討したいと考えています。
 めくっていただいて、21ページをお願いします。
 今度は、項目のEとして、廃止措置等で発生する放射性廃棄物の処理、管理、処分のあり方の検討という部分になるんですが、これについては本日の議題1となりますので、ここでの説明は割愛させていただきます。
 めくっていただいて、22ページになります。
 今度は、Fとして、廃止措置等に携わる人材確保策の実施の検討ということになります。めくっていただいて23ページなんですけれども、この部分については、正直言ってちょっと悩んでいるというか、どうしたらいいかなと困っている部分になりまして、委員の皆さんのご意見をいただきたいなと思っているところなんですけれども、そもそも人材確保策の検討をする前に、廃止措置の業務に求められる人材像というのがどういうものかということを明確にしておく必要があると考えています。
 この表は、今のやり方、解体作業自体は外注する、それから計画の立案、許認可、現場の安全管理、こういった原子力事業者としてやるべきものは機構の職員がやるということ、それから、効率的に仕事をするためにはマネジメントする人が必要である、そういった現状の仕事のやり方を踏まえて、必要な人たちはこういうものかなとまとめたものになります。例えば、マネジメント業務であれば、求められる能力として、廃止措置業務のマネジメント能力の他、今までの廃止措置の継承知識、廃止措置マインド、それから廃棄体化、埋設に係る知識、解体廃棄物は後段ではどのように扱われるか、そういったことも含めて知っておく必要があるのではないかと考えております。こういったことを踏まえて人材確保・育成をどのようにするかということを考えるんですが、こういったまとめ方でいいのかとか、他のご意見があればお伺いしたいなと考えているところになります。
 めくっていただいて、24ページになります。
 ここでもまた悩んでいることがあるんですけども、廃止措置マインドとは何かということになります。廃止措置の実施に当たっては運転管理マインドから廃止措置マインドへの切りかえが重要であるとよく言われています。ただ、廃止措置マインドというものの明確な定義ですとか、考え方の整理というのはなされておらず、やっぱりちょっと漠然としたイメージの言葉になっているというのが正直な感想です。ですが、実際、人を確保して育成するという観点からいきますと、共通理解のためには廃止措置マインドとはどういうものかという整理が必要ではないかと考えています。
 それで、表のほうに廃止措置マインドの例ということで、比較的細かく書いてあるものを書き出してはいます。これを読んでも、やっぱり明確な言葉の定義としてまとまっていないなという感じになっています。
 それで、こういったいろんな情報をまとめると、下の紫色の部分に廃止措置マインドとはということで書かせていただきました。読み上げますと、「施設の維持と廃止措置は違うものと認識することが必要。廃止措置の目的は、安全を前提に最小のコストで早く廃止措置を行うこと。効率性の観点からは、従来と異なる自由度の高い発想での作業の構築も必要」ということに何となくなりますが、こういったことでいいのかどうか、何か抜けはないか、そういったことについてご意見をいただきたいと考えています。
 めくっていただいて、25ページになります。
 ここで、人材確保策の検討ということで、整理の部分の二つ目の矢印になります。現在検討中の項目ということで、人材確保の決定の部分については単に悩んでいるだけではなくて、ほかにもいろいろ考えています。例えば、大きい施設についてはある程度、人の配置がありますが、一方で原子力機構の中小施設では人があまり配置されていないということもありますので、中小施設での人員確保のため、施設の類似性に着目したグルーピングの検討ですとか、そのグループで廃止措置を協働でやることによって効率的に行うことができないかといった検討を行っていますという話と、あとは、現時点では、廃止措置の経験のある職員がそんなにたくさんいるわけではありませんので、新たに廃止措置業務を担当する職員に対してどういった教育を行ったらいいか、そのカリキュラムはどのように構築したらいいか、そういったことも現在検討しているという話になります。
 そして、論点の部分なんですけれども、人材については、廃止措置に求められる人材像は育成方法も含めてどういったものか、それから、廃止措置マインドの考え方、こういったものを明確にする必要がある。この明確にしたものから機構の廃止措置の人材育成の具体化が必要であろうとは考えているというものになります。
 2番目の矢印のところで、中間まとめでは外部専門家の招聘ということが書かれているんですけれども、外部専門家の招聘に当たっては、専門性に加えて、やはり原子力において配慮すべき事項、例えば原子力の規制はこういうものですとか、国費を使う場合にはこういう制限がありますとか、あとは、ステークホルダーとの関係も重要ですとか、そういった部分を理解したうえで来ていただく必要があるのかなと考えてます。
 そして、めくっていただいて、26ページになります。
 こちらはGということで、複数年契約の試行的取り組みを踏まえたインセンティブ契約のあり方の検討というものになります。こちらでは主にインセンティブ契約について説明をします。
 めくっていただいて、27ページです。
 インセンティブ契約については、前の廃止措置等作業部会でも出ておりますが、コンサルタント会社に外注調査お願いしました。主に国内事例と海外事例について調べるということで、国内事例としては、国費を使っている例として、防衛省のインセンティブ契約というのがありましたので、そちらについて調べたというものになります。
 補足として下の四角の部分を見ていただきたいんですけれども、下線部になりますが、インセンティブ契約というのは特定の契約手法について示しているものではなくて、企業の意欲を引き出すための報奨が約束されている契約方式全般を指すということで、インセンティブ契約といっても単一の手法ではないということを先に押さえていただければと思います。
 めくっていただいて、28ページになります。
 国内事例の調査では、原子力機構の廃止措置には適用は難しいということを調査結果として書いています。下の枠の部分を見ていただきたいんですが、一つ目の丸、もともと防衛省のインセンティブ契約は防衛省で定めた調達方式であること。二つ目の丸、防衛省のインセンティブ契約制度では、発注者の査定、または受注者の申告に基づき、コスト削減の度合いに応じてコスト削減された分の一部を受注者の利益として追加で渡すという仕組みになっているということ。これがどういったものに適用されているかというのを追っていくと、どうも、3番目の丸の1番目の矢印のところですが、大量生産品の調達を前提とした契約方式になっているというのがあります。なので、この方式をそのままそっくり原子力機構の廃止措置に適用することは難しいという結論です。
 めくっていただいて、28ページになります。
 今度は海外事例になります。調査結果ですが、現時点では原子力機構の廃止措置に適用は難しいとしています。
 仕組みがどうなっているかというのがポツのところに書いていますが、1番目のポツで、インセンティブの調達システムにおいては、費用の支払い、それから最低限度の報酬の支払いを約束した上で、作業期間の短縮、必要経費の削減、効率化を図られたときに一定のインセンティブを支払うという仕組みになっています。また、インセンティブの付与基準というのは契約時において発注者と受注者の合意がされているものになります。
 それから、契約金額はコストと報酬というふうに二つに分かれていまして、ちょっとこの部分が現状の日本の商慣習と考え方が異なるというのがあります。具体的には、その下の矢印の部分になりますが、日本の商慣習では直接費、現場の作業費にある一定の割合を掛けた間接費というのを出しまして、その直接費と間接費の合計が契約の金額になり、間接費の一部を利益としているという構図になっています。そして、仮に、作業期間の短縮とか、そういったことで実費削減をすると現場作業費が減りますと、直接費部分が少なくなります。そうすると、直接費が少なくなった分、間接費が減る、利益も減る、そういった構図になってしまいます。なので、2番目の矢印ですけれども、現状の仕組みのままですと、企業が努力して実費を削減しても利益につながらない、むしろ減収になってしまう、そういった構図になっているということがあります。
 めくっていただいて、30ページです。
 こちらは海外のインセンティブ契約の例になります。海外ではどのようにやっているかというのを細かく書いていますが、まず、アメリカでのインセンティブ契約になりますが、こちらについては、連邦政府調達規則というものにインセンティブ契約の仕組みが定められています。
 今回、事例として参考にしているのがハンフォードでの液体廃棄物の固化施設の設計・製作、それから試運転の例になります。そして、ここでどういったところにインセンティブを見ているかというと、右側の表になりますけれども、インセンティブの項目として、コストパフォーマンス、その下のスケジュールパフォーマンス、それからオペレーションパフォーマンス、この三つに分けて、それぞれ成果が認められれば報酬を払うという仕組みになっています。
 そして、特徴的なのが、右側の下のオレンジ色の表になりますけれども、報酬の下限と上限というのが決まっていまして、上限報酬額でいけば約6億ドル、下限報酬額でいくと約8,000万ドルの金額をもらえるという契約になっています。ここのところ、すばらしく成果が上がっても上限報酬額しかもらえませんし、逆に言うと、どれだけうまくいかなくても最低限の報酬はもらえる、そういった契約の方式になっているのが特徴的だと思っています。
 めくっていただいて、31ページになります。
 こちらの論点の部分ですが、現時点では、廃止措置の実績等、そういうのがやはり少ないので、インセンティブの付与基準を適切に定めることが難しいかなと考えています。その下のところですけれども、適切なインセンティブ付与基準を定めるためには、発注者と受注者の間で廃止措置作業についての共通認識、例えば、期間がどれぐらいかかるか、費用がどれくらいか、難しいか簡単か、契約上のリスクはどこにあるか、そういった作業の見積もりというものが合理的にできる必要があるだろうと考えており、両者ともまだ経験を重ねる必要があるのではないかと考えているということと、それだけで本当に実施可能かという部分はあるというところになります。
 そして、もう一つが、下の矢印になりますけれども、インセンティブ補助方式での契約というのが現行の法令に適合し得るかどうか明確にしておく必要があると考えています。というのは、同じ31ページの整理の2ポツ目を見ていただきたいんですけれども、インセンティブ補助方式の契約ですと企業の成果を評価し、利益を上乗せするという形になりますので、報酬を二重に支払うという構図になります。これが国の会計基準などに適合するかが明確ではないのかなと考えています。
 めくっていただいて、32ページ、最後のページになります。
 こちらの提言の中に、知識、知見の蓄積とか、そういった人材に関することがありますので、それについてはFの人材確保のところに含めて検討しますということと、あとは、地元企業の技術力向上につきましては、現状の取り組みとして、地元企業の廃止措置工事への参画を促すことを目的として、非管理区域での解体工事というものを通して企業を育成するという仕組みを始めたというご紹介になります。
 説明としては以上になります。
【出光主査】  有難うございました。
 それでは、ただいま7項目についてご説明がありましたので、これを受けまして委員の皆様からご意見、ご質問等を受けたいと思います。7項目いずれでも結構ですので、何かございましたらお願いいたします。
 井口先生。
【井口委員】  井口です。
最初に、質問というか、確認をしたいんですけれども、7ページのところに令和2年度の予算の概算要求の概要が書いてあって、今回の説明ですと赤字部分がいわばバックエンド関係で技術開発というか、バックエンドの研究開発費用とおっしゃったんですけれども、私の知っている範囲で、例えば、福島関係とか、安全研究の中で直接的に関係するものはないという注意書きがあるところながら、これらの中にもバックエンド関係の技術開発の話が入っていると思うんです。
 言いたいことは、非常に多くの部門があって、やっている内容にすごく特徴があるんですけれども、廃止措置というのは共通基盤の技術ですよね。廃止措置を進める上で、本来は放射線安全管理と同様に廃止措置管理というグループは全ての部門の上か下に共通でまたがらないといけないんじゃないかなと思うわけです。そういうことが今回の説明でよく見えない。新たに統括部門というのをつくられたと言うんですけれど、これも体制図の上にちょんと乗っていて各部門にはあまり手出しをしないというふうに見えてしまうので、廃止措置に関しても全部門に対してある意味では直接的にものを言える、もっと明確に権限を付与するような体制図にするべきではないかなと今日のご説明を聞いて思いました。
 質問としては、そういう福島とか、安全研究の中のバックエンド関係は、実際には統括本部で把握して情報を取り込むというような方向もあるんでしょうか。
【三浦本部長代理】  原子力機構の三浦でございます。
 現時点でそこを明確にはしていませんけれども、我々の通常の業務の範囲で、福島部門であるとか、あるいは安全研究の部門で関連する事項については情報を把握するとかは、今のご指摘からするとまだやや積極的じゃないような形ではございますけれども、意識としてそういうものを取り入れなきゃいけないと認識しています。特に福島部門の、ジオポリマーですとか、そういった開発というのは一緒にやっていかなきゃいけないものだと思っていますし、その状況については、例えば海外協力とか、そういうようないろいろな側面で共有しながら進めているというところになります。
【井口委員】  ありがとうございます。要するに、見える化の観点から、廃止措置の話が、全部門に向かった共通の戦略的な組織ができる、そんなイメージの体制づくりをお願いできればと思います。
 2点目をいいですか。
【出光主査】  はい。
【井口委員】  二つ目は、F、人材確保策の検討で、今回、運転管理マインドから廃止措置マインドという形で、廃止措置マインドとは何かという問題提起をされているんですけれども、これは一番下に書いている項目で廃止措置の中にはやはり知識継承と体系化というのは必ず入ってくると思いますね。若手と、それからベテランの方がある意味ではこういう人材の中に入ってくると思うんですけれども、ベテランの方というのはいわば各施設固有の運転をする知識を持っていらっしゃるので、それをやっぱり生かしてもらわないといけないと思うんですよ。ベテランの方が責任を持って廃止措置の研究開発というか、仕事あるいは業務に従事していただくというのは当然と思うんですけれども、もう一方の若手に関して言うと、廃止措置というのは何となくネガティブな方向というんですか、物を生産するんじゃなくて閉じていくというようなイメージがあるので、我々の名古屋大学の場合が特にそうかもしれませんけれど、学生はあまり廃止措置に興味を示さないんですよ。
 それで、先ほど言ったように、福島なんかのチャレンジングな研究開発に関しては非常にやる気が起こると思うんですけれども、廃止措置の中に若手を取り込む場合に、やっぱり先ほど言ったような、ほかの部門でやっていらっしゃるチャレンジングな研究開発を廃止措置の中でもやるべきではないかと思うわけです。その場合には、若手はとにかく若い余裕のあるうちに兼務で任期3年か5年ぐらいで来てもらって見聞を広めていただき、中堅クラスになって業務が本格化する頃に専任で来てもらうというような形で、若手の方にも廃止措置の業務を早目に経験していただくのがよいのではないかと。そうすると新規のいろんな事業の立ち上げとか施設をつくる場合、ライフサイクルを考えたときに、おしまいのところも若手が考えて研究というか、決断できるようになるんじゃないかなと思うので、基本的には廃止措置はベテランの方が指導するんだけれども、その前段の部分というのは若手の方が兼務でやるような形で、技術、知識の継承、体系化などを若手が引き継ぐと同時に新技術の開発をする、ベテランは廃止措置で今まで培ってきた運転管理のいろんな業務を文書化、あるいは後継者に伝えるようなことを主務とするという取り決めにすれば、単に業務だけをやっているということではなくて、今までのいろんな研究成果やノウハウのいわば技術・情報の移転・継承というのが全体の中でうまくいくと同時に、原子力機構にふさわしい研究開発に繋がるのではないかな、廃止措置についてもそういう流れができるんじゃないかなと思います。
 これはコメントです。
【三浦本部長代理】  原子力機構の三浦です。
 若手に対するインセンティブといいますか、モチベーションを与えるというのは非常に大きな課題だと思っていまして、それをどんな形でやろうかといことについて、先生にはおそらく我々の内情も、ご存じな上での具体的なご提案といいますか、ご指摘をいただいたと思います。確かにそれは一つの方法だし、それを使ってやるというのもありますし、おそらく我々自身がそれを踏まえてもっといろんなことを考えなきゃいけないと思っています。廃止措置はネガティブだねというところから、もっとチャレンジングな部分があって、それを自分たちで変えることによって本当にコストを下げていくんだとか、そういう取り組みもぜひしたいなと思っています。今ご指摘いただいた点はよく考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【出光委員】  ありがとうございました。ほか、ございますでしょうか。
 じゃあ、柳原先生。
【柳原委員】  今の井口先生のご意見に関係するんですけれども、25ページのFで、廃止措置等に携わる人材確保策の実施の検討で赤い字で書いてある「廃止措置に求められる人材像」、「廃止措置マインド」の考え方を定義するのは難しいかもしれないんですけども、僕の経験からいきますと、廃止措置に必要なことはプロジェクトマネジメントをよく理解することだと思います。
 プロジェクトマネジメントというのはどういうことかというと、簡単に言えば、初めと終わりがあって、その終わりに向かって計画どおりに作業が進むかどうかを管理することじゃないかと思うんですね。ですから、そのときに必ず考えなきゃいけないのはコストと期間です。もちろん放射線安全も考えなきゃいけないですけども、それは大前提なんですけども、期間をいかに決められたとおりに進められるかどうか。進められないんだったらどういうふうに目標に向かって進むかということを考える、端的に言えばそういう人材が一番必要なんじゃないかなと思っています。今のはコメントです。
 それから、もう一つだけ。さっきの話に関係するんですけども、中長期計画に廃止措置の部分は全部、技術開発のようなことが書いてあるんですね。廃止措置はもちろん技術開発が必要な部分もあるんですけれども、技術開発じゃなくて実施作業として進めなきゃいけないところが結構多いと思うんですよ。中長期計画でこういうふうに書かれちゃうと、何か技術開発が必要かなということで、実際の廃止措置の作業を進めるのに何か支障はないんですかね。ちょっとそれが気になるところなんですけど。
 以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。今のご質問、コメントに対して何か     ありますでしょうか。
【三浦本部長代理】  ありがとうございます。
 まず、一つ目のプロジェクトマネジメントのところはおっしゃるとおりだと思います。そのような人材をいかにして確保するか、あるいは育てるかということも大きな課題だと認識しています。場合によっては外の経験者を招聘して、その下で育成をしていくというようなことも手ではないかと思っていますけど、難しい部分もあるなと思っています。ご指摘の点は理解したつもりでいます。
 その中で、うまくいかない、間に合いそうにもないな、あるいはコストが高くつきそうだなというときに、それをいかに乗り越えるかというところが、まさに廃止措置のマインドで、今までとは違うやり方を考えるとか、あるいは今まで縛りだったものを乗り越えていくとか、そういった自由な発想が要るんだろうなということも今回の我々の議論の中でも出てきています。我々もこれまでの経験に基づくいろいろな縛りの中でやっぱり動いてしまっていて、そういったことも多分、廃止措置を進める上では少し制約になっているのかなということを感じているようなところがありまして、そういったところを全体に浸透させていくということを考えたいと思っています。
 それからあと、中長計のところでご指摘の点は、5ページの右の箱の中長期目標の記載項目のところでしょうか。上から順番に行くと、例えば6.のところに確かに「核燃料サイクルに係る云々研究開発等」と。その中に(1)というのがあって、この(1)も技術開発と書いてありながら、この6.(1)の中に東海再処理施設における何とかの開発じゃなくてただ東海再処理施設と書かれて、東海再処理施設はこのように措置していきます、ここではガラス固化を進めますとか、そういう書き方になっていまして、法律にあるように、もともとの原子力機構の業務は研究開発ですという中に、いかに実務としての廃止措置を書き込んでいくかといったときに、結果的にお題目のほうには研究開発が残っていて、よく見ると「等」と書いてあるんですけども、そんな状況に今はなっていて、それをみんな認識しながらやっている。
 例えば、7.なんかは、もんじゅ廃止措置だというときにしっかりこれは実証のための活動と。活動というのは研究開発じゃないですよね。そういったことで、我々の意識の中でわけなきゃいけないなという部分はあって、それを分けて書いているつもりなんですけれども。ただ、もう一つ、機構として、あるいは文科省として予算を外部に要求していくには研究開発予算が必要なんだということになりますので、予算の中ではやっぱり大きいお題目のところはこういう形になっている。これは、もとをただせば、いろいろ、法律上の業務の書き方というか、業務自体は当然、研究開発なんでしょうけれども、そういったところに全体的につながっている。廃止措置を主要業務として考えていくときにはそういったところをやはり見直していく必要があるんじゃないだろうかというようなことを考えているというのが趣旨でございます。
【柳原委員】  わかりました。
【出光主査】  いいですか。じゃあ佐藤委員。
【佐藤委員】  今のに関連したことなんですけども、確かにマインドが違うんですね、廃止措置と研究開発において。それは結局、今、こちらの資料の24ページに「廃止措置マインドとは」と書いていますね。施設の維持管理と廃止措置は違うものと認識しているとか、廃止措置の目的次はコストを書いてあって、自由度の高い発想と書いてあるんですけども、こういう廃止措置マインドを持った人間をどうやって組織として扱っていくのか。その場合に、例えば10ページの下の今後の施策の方向性を見ますと、研究部門と廃止措置部門の分離はあまり得策ではないと原子力開発機構では考えているというふうにあるんですね。。しかし、あまりうまくいかないだろうねと書いてあります。
 そうしますと、バックエンド統括本部というのがあって、やっていくと言っているんですが、各施設の廃止に当たっては、先ほど柳原委員の質問に対する答えにもありましたように、バックエンド統括本部が直接、人事的にも管理するのではなくて、例えば研究部門長が廃止措置を管理する、そういう管理をしているということになると、その人物が果たしてほんとうに廃止措置マインドを持って管理できるんでしょうかと。本来、そこはうまく分離しないとなかなか難しいのではないかなと思いますが、いかがなものでございましょうかというのがあるんです。
【三浦本部長代理】  三浦です。
 ご指摘の部分はよく理解できます。例えば、敦賀廃止措置実証部門は廃止措置をする部門というのがあって、実証部門なんですけれども、例えば大洗ですと、新型炉の研究開発をする部門というのがいろんな施設も見ている。これは今まで縦軸、横軸といいますか、部門拠点制とかいろいろ考えてきた中で、一時、施設は拠点の長がコアを管理する、理事長の下に拠点長がいてやるんだ、部門長は研究開発をやるんだということも考えていたことがあるんですけども、一つの拠点が複数の部門長で股裂きにされてしまって、じゃあ予算はどうなっているかというと、部門の研究概算予算は施設で異なるものですから、非常に複雑だったり股裂きになったりして困ったという経緯もあります。さすがに拠点は一つの部門長といいますか、理事長のもとでいろんな知識を持つ方に見ていただいて、現在は、保安規定上で言いますと、ある拠点の主要施設管理責任者は部門長ではなくて担当理事がするんだと。つまり、部門長が二足のわらじを履いたような形で分かれているんですけれども、何とかそこまで持っていったといいますか、今の部門長というか、理事の立場の人が施設の管理の責任を持つと。それは安全も、それから廃止という行為も含めなんですけれども、そういう形の部門拠点制、拠点の保安、施設の管理をどのように体系的にやっていくかという意味ではようやく今のところまで来たなということでして、これは廃止措置というよりは、いわゆる施設のマネジメントそのものだと思います。今ある施設を安全に維持するとか、そういったことも含めて、研究開発の部門長といいますか、理事とは別にまた一つラインを設けるという形になる、あるいはバックエンド統括本部長が全部、現存する理事のラインと分けて持つというのは非常に難しいなと考えています。
 ですが、やはりそこのところは、ご指摘のとおり、それではうまくいかない部分があるんじゃないかということで、そうなりそうなところをよく見て、そこにフィットした形で対応していくというのが今考えられる方法かなと私は思っていますけれども、そこはいろいろなご指摘とかご意見を踏まえてもう少し考えようかなと思っております。ありがとうございます。
【出光主査】  岡本さん。
【岡本副主査】  東京大学の岡本でございます。
 今の件は極めて重要な視点というか、JAEAのマネジメントがどうあるべきかということに極めてかかわってくるので、多分、佐藤委員はそこのところをご質問されたんだろうなと思っている次第であります。
 例えば、今、規制庁なんかも運転している部門と廃止措置の部門の審査は一緒の組織でやっているんですけど、それは世界で日本だけなんですね。NRCは完全に分かれています。その部門が廃止措置になった場合にはそこで見ると。フランスもそうです。ですので、そこはワールドスタンダードにもってかえるということになる。なぜかというと、やっぱり研究開発と廃止措置というのは見ている部門が全然異なるんですね。多分、研究開発は原子力工学が中心になるんですが、廃止措置は土木工学が中心となる。
 そういうようなこともあって、前回、A、B、C、D、E、Fということで研究開発から分離した目標管理の検討、その中で、今の段階ではなかなか難しいと思ってはいるんですけれども、次の中期計画が2年半後ぐらいに始まりますけれども、それではちょっと間に合わないかもしれないので、その次の、例えば10年後にどうあるべきか、10年後にこうすべきでないと廃止措置の安全が確保できない、人材が確保できないと。10年たつと今50代の人はみんないなくなっちゃうんですね。そうすると、30、40の人がメーンプレーヤーになってくるわけですけど、その彼らのために廃止措置、それから研究、そういうものをどういうふうにマネージしていけばいいかということを今から考えて、これは中長期的視点であると思うんですけど、そこを考えた上で短期的視点に反映していく、そういうやり方をしないと、多分、今の視点、今の状況の中から短期的視点をこういうふうに少し変えますとやっていると全然、ゴールのほうに向かっていない形なので、ゴールを明確にした上で、そっちに向かって短期的視点、場合によったら違う方向に行くかもしれませんけれども、10年後にはこっちに来られるような、廃止措置というのは70年かかるという話ですので、そういうストラテジックで長期的なプロジェクトの中で、今の姿をベースに考えるのではなくてやっぱり長期的な視点でぜひ5年後、10年後を目標に、例えば今、バックエンド統括本部のあり方がようやく動き始めたと見ておりますけど、それも、今、三浦さんがおっしゃられたようないろいろな境界条件もよくわかっています。安全上の問題というのもあるというのはよくわかっているんですけども、やっぱりその中では廃止措置に対してしっかりと安全を確保していくということ、廃止措置マインドを中心とした組織をつくり上げていくということを10年後の目標にぜひしていただきたいなと思っています。
 安全の問題から言うと、例えば、J-PARCなんかは原科研の中にあるわけでありますし、QSTも一部、原科研の中にあったりしますので、そういう全く違う組織の中にいるということもたまにあったりするわけです。そういう意味では同じJAEAの中ですから、ここら辺の組織の安全管理の考え方等をいろいろプラクティスとして見直していくのは今すぐではなくていいと思うんですけども、廃止措置の本来あるべき姿についてぜひ長期的にお考えいただきたいと思います。
 その中で、廃止措置マインドという言葉は我々も中間報告書に大分書いたわけですけれども、そこの四角の中に書いてあることは極めて重要な視点であると思いますし、やはりここら辺はIAEAなんかのGSR Part6とか、あとは、原子力学会もそうで、今は標準をつくろとしていますけど、そういうところに向けてもしっかり反映をした上で、定義がないのであったらつくればいいだけだと思っていますので、そういう形のアクティビティーにぜひJAEAさんとしてもつなげていっていただけると、そこの部分は研究開発に近い形になってきますのでぜひお願いしたいなと思います。
 私は細かい点でいっぱいコメントがあるんですけど、短期的視点で少しずつ変えていくんじゃなくて、やっぱり長期的な視点に立って今のところからどういうふうに変えていくべきなのか。例えば、インセンティブ契約なんかも、防衛省なんかがやっているのをプラクティスに新しいJAEA方式をつくってもいいわけだと思うんですね。だから、今すぐにはできなくても5年、10年たてばそういうことができる可能性だってあるわけで、そういう形にしていかないと、廃止措置というのは普通の事業者がやっても大変な作業なわけですから、多分、それを研究機関がやろうとしているというところにもう三段階ぐらい難しいところがありますので、それは今の状況をベースに変えていくのではなくて、あるべき姿を思いつつ、今の姿をそっちの方向に変えていくような視点での検討をぜひお願いしたい。
 このインセンティブ契約のところなんかは、できないと書いてあるのは逆にこうすればできるということの裏返しかなと思って読んでいたんですけれども、前向きに、変える方向での議論をぜひしっかりお願いしたいなと思います。
 以上です。
【佐藤委員】  ちょっとつけ加えてよろしいですか。
【出光主査】  はい。
【佐藤委員】  難しいのは、敦賀のもんじゅとかふげんは廃炉としてああいう大きい形で動いていますからまだこういう管理はしやすいんですね。大体、中小の廃止措置のときに失敗して大事件を起こす例が多いんです、中途半端にやっているから。これはおどし、冗談じゃなくて本当の話なんですね。ですから、そこを考えて。私はもともと企業におりましたけど、企業ではここは絶対分離してやります。ご参考までに。
【出光主査】  はいありがとうございます。
 古川委員。
【古川委員】  協会の古川です。
 何点か聞きたいのと、私はこれを見て随分重い宿題を与えられているんだなと感じましたけれども、実際、この作業部会でこれだけ議論がされて、意見を出していくということだと思うんですけれども、ちょっとひっかかるのは、先ほどの井口委員の内容とほとんど同じなんですけど、組織が変遷してきているんですけれども、実質的には、一番新しい組織を見ると統括本部ということになって、全国をコントロールしていこうという腹だと思うんですけれども、実際、人とカネってどうなっているんですか。ここでコントロールできるんですか。しようとしているのかというのがまず1点。そうじゃないと実際的に現場は動かない。その辺がどうなのかなというのがあって。
 それとあと、もう一つ、これは事業計画統括部というのがありますね。他人さんの組織で申しわけないんですけれども、これってやっぱり、これだけ重いのが実質的に出される中で、要するに機構さんの事業計画統括の全体の中の一部なんですよね、これはきっと。だから、そっちとの関係がどうなのかなというのがちょっとよくわからないというのが2点目。
 それと、研究開発と廃止措置の話は出つくしたのであれなんですけれども、14ページが私はすごく気に入らないというか、海外と比較されることは多いけれども、どうのこうのと書いてあるんですけど、組織の今までの状況だとか背景だとかがあって、実は廃止措置というのは、基本的には今までの状況を踏まえるんだけれども、新しいステージに行くわけですから実質的には違う観点を持たないと要するに先に進めないと。海外との比較で言っているだけの話かもしれませんけど、ちょっと言えば、今までの背景を考えなきゃいけないと。例えば、難易度はわかりませんけれども、実質的には現場の方が今まで維持している知識を継承してマインドを持つように次の若手を育てたのかもしれませんけど、その辺のところがちょっとよくわからないなという気がします。
 あっちに行ったりこっちに行ったりですけれども、大きな組織から細かいところまで申しわけありませんけれど、二、三個教えていただければと思いますけど。
【出光主査】  では、JAEA、よろしくお願いします。
【三浦本部長代理】  お三方の質問に対してちょっと整理ができておりませんけども、近いところから。
 まず、14ページの「海外と比較されることが多いが」というこの表現の仕方については、ご指摘は私も理解いたします。私たちがこれから廃止措置に臨むというときに、いろいろと海外はどうなんだろうかというのを当然参考にしなきゃいけないとは思うけれども、それより、本来、私たち自身がどうしていくべきなのかということを主体的に考えていく、そういう観点をしっかり認識してやるべきだということはよくわかります。そうは言っても、実は我々自身がほんとうに海外のことをしっかりわかっているかというと、これは大事なことだということでいろいろと調べられてはいるんですけれども、その上澄みのところだけを見ていてなかなか本質的なところを理解していないんじゃないかと思っていて、十分参考にできていない。そういう意味でここのところはもう少ししっかり見ておくべきだと考えております。ご指摘のあった、自分たちでしっかり考えるべき、あるいは変えていく主体となるべきということについては、わかりました。
 それから、事業計画統括部、それから組織として実際に握っているのか、正しい表現かどうかわかりませんが、現時点で予算あるいは人事をバックエンド統括本部がというと、本部長は副理事長ですので、ある意味そういう面もありますけれども、実際、組織としてはそこまで、特に予算に関しましては、今お話の中にありました事業計画統括部が機構全体の予算を見ておりますので、その中でも特に中小の廃止措置に係る部分については私どものほうで見ておりますけれども、全体をきちんと見ていくという意味ではまだそこまで把握はしていないというのが実態でございます。これはご質問に対するお答えです。
 それから、事業計画統括部との関係もそういうことになっております。
 【澁谷委員】  ちょっとよろしいですか。
【三浦本部長代理】  はい。
【澁谷委員】  原子力バックエンド推進センターの澁谷といいます。
 私は10年ほど前まで原子力機構の中でバックエンドを実際にやっていた人間でありますので、こういう資料を提出されると、他の委員の方々とは、観点は一緒なんですけど物の見方、視点が違っているかもしれませんけども、そこはちょっとご容赦いただきたいと思いますが、まず一つは、原子力施設と呼ばれるある程度の規模の施設であれば、これは、井口先生もおっしゃったように、プラントライフサイクルというはやり言葉が今ありますけども、その視点で捉えると、設計、建設、運転、発電所であれば停止して廃止措置の準備をして、廃止措置を実際にやっていく、そこまでを我々としては研究開発の一環としてトータルで捉えてやってきました。ですから、廃止措置は後ろ向きの仕事だよとか、技術開発はないんだよとか、そういう観点で職員を指導してきたことはありません。廃止措置もそのプラントの一生を終えるための研究開発の一部だと。そういう意味でいけばマインドなのかもしれませんね。
 私はこの廃止措置マインドの「マインド」という言葉があまり好きではなくて、マインドというのは一体何なんだというのはちょっとわかりません。原子力事業者さんであれば、発電事業をやっていて、廃止措置になったプラントはもう発電しないのですからきっぱりと組織も分けて、かかわる人間たちもきっぱりと分けてということは非常に効率的だし合理的だと思いますけれども、原子力機構の中では多分そんなことはできないだろうなと思います。
 そうすると、廃止措置マインドというのは何かと言うと、基本的には研究開発マインドの中でやっていくんですけれども、その研究開発のやり方、実務は違ってきていますよと。そういう意識を教育していくというか、頭にインプットしていく、そういうのが重要なんじゃないかなと思っています。要は、研究のための研究じゃないですよと。ニーズがあっての研究開発という視点が必要なのではないかなと思っています。
 一つはそれですけど、もう一つは、今の組織は統括部とかいろいろありましたけど、非常に複雑な組織になっていますけど、私が廃止措置にかかわっていたころは余計な組織でした、統括部とかは。統括部と名のつくようなところができると、やはり現場の人とモノ、カネに評価をつけようとする。そうすると、それは言論の自由と合わないところが多々出てきます。そうするとどいうことになるかというと、やはり組織ですから統括部のほうの意見が通ってくる形にもなりかねない。ですから、こういう組織をつくられるのであれば、統括部に携わる職員の方々は非常に優秀な方と言ったら語弊がありますけど、現場に精通された、現場のことをよく理解した方々を統括部の主要な箇所に配置していただきたいと思います。
 あと、廃止措置は単なる後ろ向きの仕事だと皆さんは認識されているかもしれませんけど、今、福井大学の大学院では学問体系化をしようとしています。そいうところでもってきて、原子力機構の中にも研修施設というのはありますので、ぜひ原子力機構の中に廃止措置の体系化をするような研修コースあるいは学校みたいなのをつくっていただいて、まずは自分たちの職員をそこで訓練していくというようなことも取り組んでいってほしいなと思います。
 ちょっと長くなりましたが、最後に、実は機構法の附帯事項の中で廃止措置をやっているというので、70年、2兆円が附帯事項かという話になりますので、機構法を変えるのは大変でしょうけど、機構側の廃止措置の業務というのもきちっと機構法の中に位置づけていただければ非常にありがたいんじゃないかなと思っています。
 それと、もう一つ、最後ですが、イギリスのセラフィールドがありますね。あそこは軍事施設とか、いろいろ事故を起こした炉も持っていますので原子力機構の大洗、東海とはちょっと違う状況ですけれども、ご存じだと思いますけれども、あそこは5年ごとに見直しをかけるような形でセラフィールドプランというのをつくっています。その中には、いわゆる地元のステークホルダー、それからサプライチェーンも含め、今、ここの資料に出ている全ての事項、イギリスのセラフィールドについてはどういう形で廃止措置を国全体としてやっていくかということが非常に細かく計画的に書かれていますので、ぜひそれも参考にしていただきたいと思います。
【出光主査】  ありがとうございました。
【岡本副主査】  反論していいですか。
【出光主査】  短目でお願いします。
【岡本副主査】  ええ。申しわけございません。
 この中間取りまとめをまとめた岡本でございますけれども、今おっしゃられましたセラフィールドはNNLというところがもともとやっていましたけど、今NNLは本当の研究所、別の組織になりまして、NDAがそのかわりをして、今おっしゃられたようなことを全部管理しています。完全に別の、廃止措置をメーンでやる組織です。
 昔、NNLで働いていた方々はセラフィールド株式会社のほうに移行されて、そっちのほうで廃止措置をメーンのタスクとして作業をされています。ですから、本来であれば私はJAEAもそういう形にすることが望ましいのかもしれないなと。というのは、廃止措置のうち研究の部分というのが10パーセントぐらいは残っているんですけれども、残りの90パーセントは基本的にはマネジメント、土木工学なわけです。そこを研究にしがみつくということはまずいので、この間の中間報告としては、ぜひそこをしっかり分けてください、研究をやる片手間に廃止措置をやられたら困りますということを申し上げたということであります。研究の要素がゼロであるとは一言も言っておりませんが、研究の要素よりもマネジメントの要素が極めて重要視される形になってくるので、そこでその10パーセントの研究の部分を一生懸命やっている形にするのはまずいと。
 そういう意味では、本来は最終的なゴールとしてはちゃんと組織も含めて変える形になりますけども、当然、今の境界条件のもとで順番に変えていきますので即には変えられない。そういうマネジメント組織はどうせ屋上屋をかけ始めるので、そこは現場としては非常にやりにくいのはわかるんですけども、最終的にはそれは屋上屋ではなくて直接、別の部門のような形になっていくことが最終的なあるべき姿かなと。
 そこへのトランジェントな形では残念ながらいろいろストレスを生むのかなということは書いてありますが、基本的には、セラフィールドのNNLを見ていたり、アメリカを見ていたり、あとは、スペインとか、各国のいろんなところを見ていると、研究所だから研究をやりながら廃止措置をやっているというのはほとんどなくて、例えば、ちょっと似ているなというのは、フランスの廃止措置等、予算的にもいろいろごっちゃになりながらやっているところがありますけれど、それでもやっぱり廃止措置をやっている連中は廃止措置だけを専任して一生懸命やっていますし、そういう意味では、繰り返しますけども、今ある形というよりは、10年後に本来あるべき姿、ぜひそこに向けて安全を確保する。
 つまり、70年やらなきゃいけないわけですよ。70年といったら、今日生まれた人がもうリタイアしているんですよ。ですから、そういうロングスパンの中ではマネジメントは極めて重要なので、この10年を助走区間としてしっかり残りの60年を運営できる形、そっちの方向に向けた体制づくりをぜひお願いしたいということです。
 以上です。
【出光主査】  ありがとうございました。
【鬼沢委員】  すぐ終わります。私はほんとうに全く素人で、皆さんのお話を聞いていて思いますが、17ページのところに「外注企業に委ねられる範囲を拡大する」とあるように、やはりマインドが違うのであれば、今までの研究部門と廃止措置部門は当然、組織が違ったほうがマインドの移行がしやすいのではないかと思いますし、岡本先生がずっとおっしゃっているように、土木工学の世界にあるんだったら、民間の力をもっとうまく活用できるような形にしていくほうが、70年がもう少し縮まっていくほうがうれしと私は思います。
【出光主査】  ありがとうございました。いろいろあろうかと思いますが、ちょっとこのあたりでとめたいと思います。
 私の個人的な意見も一言だけ言わせていただくと、運転して、施設が廃止措置になった段階で役割が変わりますので、研究開発というのはその段階では廃止措置に関する研究開発、そちらのほうになりますので、今まで使ってきた人たちとはまた全く違うところが廃止措置をやるというほうが話が進みやすいのかなという気はいたします。
 そうは言っても設備の運転とか、そういうのは現場がいないとできませんので、機械設備等の運転、そういったところはそのまま引き継いでやっていただいて、ただ、役割が変わって、それまでは安全にやるためのというところが研究開発を進めるための安全だったのが、今度は廃止措置を安全に進めるために変わっていく、そこら辺が多分、マインドのところに入るのかなと思います。
 私も大学の廃止措置を今やっているところですけども、研究をやっている人間が廃止措置はできないというのはわかりまして、思い出にふけってしまってなかなか自分の装置は壊せない、そういうことがありますので、そこら辺はしがらみもなくばっさり壊せる人たちのほうがいいかと思います。ただ、どこが汚染しているとか、どういったところを気をつけて解体しないと安全にいかないとか、そういった部分は必要かと思いますので当然、現場の人の知見が必要なんですけども、壊す作業は多分、つくった人たちは壊すのは忍びないというのはあると思いますので、そこは分けたほうが早く進むのかなという気はいたします。すみません、ちょっと私情が入っておりました。
 まだほかにいろいろあるかと思いますが、今回発言できなかったことにつきましては、また事務局等に投げていただければそれを織り込んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、時間が少しオーバーぎみになっておりますので、到着されたようなので議題1のほうに戻したいと思います。
【坂本副センター長】  原子力機構の坂本と申します。本日は到着が遅れまして申しわけありませんでした。
 それでは、資料1のほうでございます。先ほどの資料2では21ページのほうで廃棄物関係の話ということでまとめさせていただいたものでございます。タイトルといたしましては、原子力機構における廃棄物処理の加速に向けた検討状況ということでございます。
 これに関しましては、後で出てきますけども、現在、原子力規制委員会の原子力機構バックエンド対策監視チームというところで具体的な検討をしている中でまとめたものでございます。詳しい内容はそちらの会合のほうのホームページに全て載っておりますので、ここでは要約的なところをまとめたものでございます。
 それでは、資料のほうに入らせていただきます。
 捲っていただきまして、1ページ、2ページのところに背景と目的とを出せていただいております。ここは最終的に埋設処分ということへ向けた対応ということに関して検討しているものでございます。ご存じのように、埋設事業に関しましては、原子炉等規制法の第二種廃棄物埋設事業規則というものに従いまして進めるというところでございます。
これまでは仕様規定といいまして、例えば、埋める廃棄体はどのようにつくるかとか、施設をどのようにつくるかとか、まさに細かい規定がございました。ただ、今般、この埋設事業規則の改正がございまして、細かな告示等は廃止されまして、最後にございますように、多種多様な性状の廃棄物に柔軟に対応できる廃棄体の製作及び埋設施設の設置が可能となるものということで、細かい規定が撤廃されまして、事業者のほうでかなり自由度を持って処理を行って、埋設施設を作るということができるようになったものでございます。
 具体的な事例を1ページ目に記載しております。左側の下のほうに四角で囲っておりますが、技術的細目を定める告示での記載例ということで、例えばこれは埋設施設、コンクリートピットの基準でございまして、どれぐらいの強さを持つものとか、厚さはどれぐらいあるべきかという記載がございましたが、こういったものが全て撤廃されまして、右のほうでございますが、具体的な仕様、施工、こういったのを削除して事業者が自由に設計ができるという形になったものでございました。
 2ページ目のほうに行きまして、ちょっと2.は飛ばさせていただきます。3.の廃棄体に対する要求性能の明確化ということで、左側の下のほうに同じく告示での記載例を記載しておりますけど、例えば固形化材料の例といたしまして、固形化材料はJIS規格のセメントを使うということが明確に定められておりました。また、埋める廃棄体の容器といたしましては、これはドラム缶を指しておりますけど、JIS規格のこういったものを使うと明確な告示が規定されておりましたが、こういったものが全て撤回されまして、事業者がどういうふうに安全を確保するかということを証明しながら事業許可へという方向になってまいりました。
 したがいまして、3行目にございましたように、かなりいろんなものに自由に対応できるといったことが出てきておりますので、こういうのを機会にいたしまして、機構としましても、2ページの下のほうでございますが、そのような課題を整理いたしまして、処理処分を合理的かつ迅速にできる対策について検討しているところでございます。
 これが背景と目的でございます。
 では、具体的にどういうことを行っているかということが3ページ以降でございます。
 まず、3ページでございますけども、これは原子力機構の廃棄物を類型的に三つほどにタイプ分けしたものでございます。タイプ1、2、3と書いておりますけども、タイプ1は発電所廃棄物、現在は六ケ所で処分がなされておりますけども、それと同様に色々な施設毎に区分されて処理・処分ができるというものでございます。主な発生施設を下の方に表で記載させていただきますけども、例えば、青森県にあります研究開発センターですと、むつも原子炉施設でございますし、その他も事業所名を書いておりますけども、発生施設から主にどんなものが出て、どんな廃棄物が入ってきているんだと明確にされているものがございます。
 一方、タイプ2というもので、赤く色分けさせていただきましたけども、これは昔の原子力研究所とか、動燃事業団だとか、こういったものが出来たころに色んな施設で当時、研究をやっておりました。そういったものから出てきた廃棄物を、可燃物とか不燃物を分別せずに一つのドラム缶で圧縮処理をして保管していた、こういったものがございます。したがいまして、先ほどのタイプ1とは違いまして、逆に濃度は低いんですけども、研究施設の廃棄物に特徴的な、色んな施設から発生するといったものがございまして、こういったものをいかに合理的かつ効率的に処理、処分していくかという形で検討を進めたものでございます。
 次に、4ページでございますが、これは具体的にどんな中身になるかということを実際の処理過程で性状分けしたものでございます。可燃物とか細かに分析したものでございますが、これに関しまして、分析結果がありまして、例えば金属と可燃物とか、こういったものが出ておりまして、その割合を示したものでございます。年代によって処理の仕方がちょっと変わっておりますけども、例えば左側の図面ですと、不燃物で大体6割、可燃物で3割程度入っていたとか、こういったものが要は一緒くたに処理されていたというものでございます。
 5ページでございますけども、こちらの一部の廃棄物でございますが、鉛とか水銀等といった有害物含まれていたというものでございます。大体数パーセント以内でございますけども、どうしてもこういった一部のものに含まれておりますのでこういったものの処分に関しまして検討したものでございます。
 6ページでございますけども、じゃあ具体的にこういったものはどういったところに課題があるかといったことを示したものでございます。
 上のほうに課題1、2と書いておりますが、先ほどありましたように、可燃物と不燃物が混在して保管されているということで、こういったものの対応ということと、こういった一部の有害物を含むものの対応ということが課題になっております。また、下のほうに課題3と書いておりますけども、こういったいろんな発生施設から入ってきた廃棄物からしましても、放射能の評価方法という課題等も一部ございまして、この点が大きな課題ということで挙げたものでございます。
 7ページに関しましては、具体的な分別作業をしている写真でございまして、上のほうに写真を示しておりますが、実際、廃棄物を1本ずつ取り出しまして、解体いたしまして、廃棄物を取り出して、いわゆる人海戦術で分別して仕分けをしているので、1日1本程度、これ1本やるのに5時間以上かかってしまうといったところでございます。
 以上のことをまとめますと、8ページにございますのは、繰り返しになりますが、課題1から3ということで、こういった部分について、なるべく効率よく、かつ安全に処理、処分できるような形で検討を進めていってございます。
 冒頭に説明させていただきましたけども、原子力規制委員会の原子力機構バックエンド対策監視チームといったところでこれまで5回検討させていただいておりまして、資料に関しても原子力規制委員会のほうで公開されております。今後は、1月以降ですが、そこで取りまとめようと思ってございます。
 具体的に、9ページ以降が検討の中身でございます。詳細は、先ほど言いましたが、規制委員会のホームページに載っておりますので、ここではその要約だけを簡単にまとめたものでございます。
 9ページ、10ページでございますけども、先ほどありましたように、可燃物もかなり含まれているということで、こういったものに対する処分を検討いたしてきたものでございます。あとの細かいところは省略させていただきますけども、例えば可燃物の分解の影響とか、どの程度まで実際処分可能か、こういったことを具体的に評価してきました。
 4にございますように、最終的には分別処理の効率化と軽減するかということで、左の下のほうに一つの図を描いておりますけども、ある程度、可燃物が入ったものと、解体で出てくるような金属とかコンクリート廃棄物との混合で一定の割合で処分を行って、全体の安全対策を行うといったこともできるだろうと考えております。
 また、どの程度含まれているかということに対しましては、右のほうの写真でございますけども、これは高エネルギーエックス線CTといいまして、ドラム缶の外からかなり強いエックス線を当てまして内容物を確認するということで、先ほど7ページに写真がございましたが、人手で細かく中を分けるということではなく、こういった形で内容物を確認するという方法は取れないかということを考えておるところでございます。
 10ページに関しましては、こういったことを対応いたします埋設施設構造も検討したというところでございます。
 あと、11ページ、12ページ、13ページに関しまして、若干含まれている鉛とか、こういったことへの対応ということで、これに関しましても、十分安全性を持って対応できるということと、当然ながら、基本的にはきっちり中身を確認して分別をし、処理を行って、十分こういったものが入らないという方策をとりますけども、若干含まれたとしても、どこまで許容可能かということに関しまして、例えば12ページ等でいろんな試算を繰り返しまして、十分安全性が確保できるということをまとめたものでございます。詳細は省かせていただきます。
 あと、13ページでございますけども、先ほどありましたように、例えば、廃棄物の中身の分析に関しまして、非破壊検査技術というのはどういったものがあるかということを取りまとめいたしまして、先ほどもちょっと例を示させていただきましたけれども、高エネルギーエックス線CTのような形技術を用いまして効率よく中身を確認した上で適正に分別処理を行うといったことを検討していこうとしているところでございます。
 あと、14ページから19ページまでですけども、放射能濃度の評価の加速対策ということでまとめたものでございます。これも基本的には埋設施設からの漏出低減を十分図るということと、もともと研廃全体としては放射能濃度が低いところが多いところはございますので、放射能濃度評価が必要な核種の選定方法といたしまして、そういったことは十分、必要な核種をかなり絞って対応策を進めるということを考えているものでございます。また、埋設におきましては、実際に分析の削減、放射能濃度評価方法の確立とか分析作業自体の削減を行うといったことを考えているところでございます。
 15ページ、16ページ、17ページは実際にどういった評価があるかということと、核種の選定方法について若干まとめたものでございます。かなり細かいスライドではございますけど、例えば、15ページの上のほうにポンチ絵的に埋設施設を描いておりますけども、こういったところに対しまして、真ん中の廃棄物層の上に浸透水の低減層といいまして、普通、トレンチですとこういったものをつけないんですけども、例えば遮水シートなどを想定することによって雨水の浸入をなるべく少なくするとか、こうした工夫をすることによって被ばく線量の低減を図るということでございます。具体的な評価値は下に書いておりますが、例えば一番左端で、今言ったような低減層が全くない場合の被ばく線量に対しまして、浸透水低減層がある場合C-14の被ばく線量を示しておりますけども、例えばそういったことに対しまして浸透水の低減層を設置したトレンチ埋設施設でC-14の被ばく線量を下げることができることを確認できております。
 また、16ページに関しましては、評価方法の提案ということで、従来の考え方ですと、一番被ばく線量が高い核種に対しましてその1パーセント以内を選定するということをなされてきておりましたけども、研廃全体で考えていくと低いという点もございますので、基準線量に対しましてもっと十分低い線量を示す核種については選定をしないとか、こういった方法をとることによって評価を行うべき核種の選定をさらに絞り込むということを考えたものでございます。
 17ページはその事例でございます。先ほどの16ページの被ばく線量の結果に対しまして、今言ったような選定方法、例えば基準線量の1,000分の1以下は選定しないというようなことを想定いたしますと、ここで挙げています、例えば左端が一点破線のところ以下が選定しない基準となりますので、例えば埋設トレンチに対しまして浸透水低減層のような形でより被ばく線量を下げればC-14などは濃度評価の対象にならないというような形をとることは可能かと思っております。
 あと、18ページに関しましては、こういったことで核種選定を行った後の評価方法をどうするかというところでございます。ここは大きく分けて二つございまして、一番上にありますα、β核種の評価が不要な場合ということで、こういった場合は非破壊測定を用いてγ線核種も念のため測定を行うということになってまいりますけれども、なかなかそうもいかないとなった場合には、より合理的な方法をもうちょっと検討しようということを考えているところでございます。詳細は省かせていただきます。
 19ページに関しましては、放射能分析の自動化の開発例ということで、これは福島対応ということで実際に行われている事例でございます。分析技術者が行うのと同等な形で自動的な分析の基本はできているといった事例を示したものでございます。
 20ページのほうは今までの検討結果を述べたものでございまして、課題1から3ということで、例えば、可燃物とか有害物とか、あと、評価方法に対しまして、それぞれ検討を行いまして、ある程度許容出来そうな見込みが出てきたといったところでございます。
 あと、21ページでございます。例えば処理が具体的にどの程度合理的にできるかということを、ちょっとイメージ的ではございますけど、まとめているものでございます。真ん中のところに可燃物とか有害物を含む、先ほど7ページで写真にございましたが、ああいった分別作業ですと、下のほうに主な設定条件と書いておりますが、例えば200リットルのドラム缶を2.3万本程度、1日6人で分別作業を行うということでいたしますと、上の緑の枠のところに書いておりますように、700人・年ぐらいかかるだろうと計算をしておりますが、可燃物の分別がある程度不要になってくれば1桁程度、そういった作業が軽減できるというかなり大きな費用効果は認めるというのは一応、試算結果として示しております。
 今後の対応ということで25ページでございますが、埋設施設に関しましては、先ほどありましたような対策について具体的な施設に反映していくということでございます。廃棄対に関しましては、放射能分析等がまだあっていないので、そういったものを取得した後、この検討を進めていくということと、例えば外部資金を利用して技術の開発等を進めていくといったことを考えています。
 最後に、24ページに先ほどの原子力機構バックエンド対策監視チームでの検討状況というのを簡単に示しております。実際、この監視チームは5月20日が第1回目でございまして、7月、9月と実際開催しております。それぞれ先ほど言いました課題につきまして検討いたしまして、来月以降に検討結果を取りまとめるという形を考えております。
 ちょっと足早でございましたが、以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして何かコメント等がございましたらお願いいたします。
 じゃあ井口先生。
【井口委員】  名古屋大学の井口です。
 課題1、2、3について、1の希釈して入れるというのは何となく理解できたんですけれど、課題2がちょっとよくわからなくて、12ページに受け入れ基準の評価をするということで、これは鉛と水銀がまざったものをトレンチ内で希釈をしてここでも濃度を減らすということで、要するに、本来、鉛とか水銀というと、一般の有害廃棄物でピット処分に近い遮断型処分場に処分され、なおかつ継続的にモニタリングするというような規則があったと思うんですけれども、これはトレンチ型にしていて、一部、廃水は確認しているものの、放射性物質が減衰した後は鉛と水銀はずっと残るわけですよね。そうすると、それはどうするんですか。要するに、例えば、50年あるいは300年経った後、そこの中の放射性物質は消えるんだけれども、水銀と鉛は残るので、その場所の維持・管理は放射性廃棄物の炉規法から一般廃棄物の廃掃法に切りかえるというような考え方なんでしょうか。ちょっと12ページの概念が、トレンチ処分で何でよいのかということと、その先に放射性物質の放射能が減衰した後はどう考えているのか、2点について教えてください。
【坂本副センター長】  まず、最後のほうでございました、例えば産廃のほうの廃掃法に切りかわるかということに関しては、申しわけありませんけど、規制委員会のほうで終わった後どうするかという議論がいずれなされるかと思われます。
 あと、この資料に関しましては、鉛とか水銀、こういった電池の類いなどの塊状のものも確かに一部入っていますので、そういったものはこういったものでちゃんと検出いたしまして、検出されたものはちゃんと分別して取り除くということで、極力、トレンチの中に入らないようにしていきたいと思います。
 ただし、一部、場合によっては入ってくるのがあったときに、埋設施設のトレンチでそのまま捨てるわけではなくて、例えば、一種のいわゆる管理型の処分場に近いような形、場合によってはむしろピットに近いような施設を選定いたしまして、今の産廃の基準を守った形できっちり処分をしていくという形で対応していきたいと考えております。
【井口委員】  課題2は、要するに分別をしたくないということが課題2ですね。それを諦めて、非破壊検査で中身を見て、ドラム缶をあけてそれを取り除くということを個々にするわけですね。
 何かちょっと矛盾しているんじゃないかという気もしますが。
【坂本副センター長】  5ページにありますように、実際、全部はかったわけではないのですけど、一部、分別作業をしたときの内容物を実際に見てみますと、例えば、鉛はどうしても遮蔽で一部使ったりして入っていますけども、実際、入っていても1割、ここでは6.8パーセント程度で量的にはかなり少ないということで、ただしゼロではありませんので、ちょっと繰り返しになりますけど、こういったものをしっかり検出した上で、入っているものはきっちり分別していきたいと考えております。
【井口委員】  わかりました。
【出光主査】  じゃあ古川さん。
【古川委員】  協会の古川です。
 ちょっとこのペーパー自身が、すごく廃棄物を合理的にやるというバックエンド対策でよろしいんだけれども、さっき井口委員がおっしゃったみたいに、何となく分別したくないからこういうやり方をするというように捉えられちゃうようなイメージがするんですよ。だから、そういうことはないと思うんですけれども、そこはやっぱり注意していただかないと。
 例えば、本来なら入っていれば分別しますよ、検査しますよと。じゃあそれを分別するにはこういう機械の例もありますよ、これは何カ月もやったわけだから、でもできなくても、埋設した場合はこうですよという三段論法なんだけれども、これは中抜けしているんですよ。廃棄物を調べました、最後のところは人は年間700人かかりますと。でも、対象物は高々2万3,000本じゃないですか。2万3,000本といったら、10年だったら1年で2,300本だよ。ということは、230日動かせば1日10本検査すればいいということになるじゃない。だから、基本的に、そういうのは機械化するステップがあって、一方でまた安全性のために埋設しても平均してこうですというデータをやっぱりよくとって、そういうペーパーを出さないと。さっき井口委員が言ったみたいに、やりたくないから入っていても大丈夫だみたいなことを初めに言われちゃうと、そういうのはちょっと困っちゃうんですね。そこだけ何となく気になると思います。
【出光主査】  じゃ、柳原委員
【柳原委員】  この技術的な話はいろんな方の批判があっていいと思うんですけれども、廃止措置だとか放射性廃棄の処理、処分というのは基本的にはプロジェクトマネジメントだと思うんですよ。こういう技術的なものにプラスして、プロジェクトマネジメントの観点を入れないとだめで、そうすると、去年出されたJAEAは70年で2兆円の中にこの処分費用は入っているんですか。
【坂本副センター長】  処分費用は入っています。
【柳原委員】  それに対して、じゃあこういうことをやることによって幾ら安くなるのか、また幾ら高くなるのか。そこで意味が出てくるわけですよ。そういう観点の評価を入れることが必要と思います。技術的な話はもちろん必要なのでここはきちんとやるんですけども、さらにプロジェクトマネジメントの観点を入れて、それに対して、だから必要なんだよとか、だからこういうことをやったほうがいいんですよとか、そういう議論が必要になってくるんじゃないかなと思います。
【出光主査】  ありがとうございます。
 じゃあ澁谷委員、いかがですか。
【澁谷委員】  私も柳原先生と同意見でございまして、ぜひ規制庁さんを相手にするときは合理化の数値を出していってほしいと思っています。お金の話が出ましたけども、例えば10年かかるのが2年でできるようになりますとか、この三つの合理化をやったときにお金をどれぐらい節約できる、期間でどれぐらい短くできる、そういうことをきちっと評価した上で規制庁側と調整していただきたいと思います。
【坂本副センター長】  ありがとうございました。
 先ほど古川委員からありましたような件に関しましては、今回、例えば24ページにあります個別の案件を先に検討してしまったところもございまして、そういった寄せ集めで資料をつくったところでございますので、あとは全体のまとめのところでしっかりそういったことをご説明させていただきたいと思っております。
 あと、柳原委員と澁谷委員のほうからあった点も重要だと思っております。また、今回、技術的にどういうふうにできるかといったところは今、検討を進めているところでございますけど、最終的にどういった形で合理化して、捗らせることができるかということは当然、うまく進める形になろうかと思っております。
【出光主査】  よろしいですか。岡本主査。
【岡本副主査】  先日、文科省さんの人材育成事業で学生をモルヴィリエに連れていってきまして、モルヴィリエというのはフランスにあるトレンチ処分場なんですね。そこで処分をやっていて、大分穴を埋めているのを全部見てきたんです。ですけども、彼らのところはそういう単に埋めるだけじゃなくて、こんな分厚いシートで囲っていたり、それがデフォルトの状態になっていて。ですから、安全とコストの関係、例えば、今、柳原先生が言われましたけども、シートをかぶせればコストは当然上がるわけですけれども、ほとんど安全性は上がらないんですね。その上で、やっぱり鉛とかの最終処分場なんかも同じようにシートで囲っているわけですよ、最終的には。
 ですから、そういうことも含めて、むやみやたらに安全性を高めろとは思いませんけれども、そこら辺のところは合理的なところがどこにあるのかをマネジメントのビューポイントでぜひ相対的に評価いただいて、もちろん、それをやると当然、コストもかかるし、埋める量が減るのでいっぱい面積が増えてくるとか、そういう逆のプロスコンスはいっぱいあると思いますけれども、そういう形を踏まえてフランスはこの次の処分場がつくれなくて困っているみたいでありますけども、そういう彼らの困っているところもいろいろ勉強しながら、ぜひ最適化をお願いしたいなと思っているところでありますので、今あるトレンチだけ、今あるやり方だけにこだわらずに、いろんなオプションをぜひお願いしたいと思っています。
【坂本副センター長】  今回はこういったトレンチの形を示させていただきましたけれども、もともと研廃の埋設仕様も、トレンチの半分ぐらいはこういった遮水シートを敷いた施設を既に想定はしておりまして、費用的なものを実際の単価に落とした形でも算定させていただいております。単価で出すと物量との関係があって明確な指標になるかどうかはあれですけど、結構大きな差にはなってきております。ただ、一応、そういったことも実際はやってきておりますので、本当はできればなるべくそういったものを使わなくてきっちり安全を担保できる施設との両方組み合わせを考えながら安全性を見ながらしたいと思っております。
【出光主査】  ありがとうございました。ほか、ございますでしょうか。
 700人・年という結構すごい数字が出ているので、これは規制庁が内容確認をしろと言われたらこれはやらなきゃいけなくなりますので、そうなる可能性も考えつつ、できるところは機械化というところを考えていったほうがいいんじゃないかなという気はいたします。
 ただ、機械化のときに、JAEAさんでいくと機械化というとものすごくいいものを考えてしまって何もかも機械でやらせてしまおうと考えると思いますが、単純作業だけをやらせて、人がやらなきゃいけないところは人に任せる、そういうふうに割り切ってやったほうが多分進みがいいんじゃないかなという気がいたしますので、世界一のすごいものをつくるんだというようなことはあまり考えずに、単純作業を減らす、そういう観点で機械化の方針を考えていただければなという気がいたします。
【岡本副主査】  ぜひこれは被ばく量も含めて書いていただきたいですね。
【出光主査】  被ばく量低減についてもですね。あと、規制庁との対応というのはありましたけど、横で岡本先生が少し言われていましたけど、コストとか、期間とか、そういうのは一切、検討していただけませんので、現状、やれる範囲のところでどういうふうにやりたいという形で交渉しないと、多分、こうなると安くなりますというようなことは全然関係ないよという話になりますので、安全をこういうふうに担保しますよ、その最低ラインというか、その条件を満たすためにはこういうことをやりますというところを決めていくという話になるかと思います。
 逆に、これだけ短くなりますと言うとそれが制限になりますので、何年までにやってくださいねという話になって、それを達成できないと違反ということになってしまいますので、そこらあたりの交渉の仕方は気をつけられたほうがいいかなという気はしますね。
 【伊藤副理事長】  原子力機構の伊藤です。
 処理、処分の加速化について今日はご説明させていただきました。つまみ食い的な資料の取りまとめ方でちょっと誤解があったことについておわび申し上げたいと思いますけれども、最後にいろいろとご指摘のありました規制との関係とかはおっしゃるとおりでありまして、これによってコストあるいは人工の削減だけということを我々も言うつもりはありません。まずはこれをすることによって合理的なリスク低減が加速されるということは言いつつ、税金を使わせていただいている以上、コストの低減にもなるということもあわせて主張していかなくてはいけないと思っています。
 それから、対象とする廃棄物が非常に低レベルの放射性廃棄物ですので、これは廃棄物だけじゃないですけれども、安全規制とか廃止措置も含めて、グレーデッドアプローチというのをどう適用していっていただけるのか、あるいはそれに対して機構としてはこう考えるという提案をしながら、この新しいアプローチについてやはりよく理解が得られるようにしようじゃないかと考えてございます。
 以上であります。
【岡本副主査】  今日ご説明はなかったですけど、統計的推定がこれは極めて有効だと個人的には思っておりますので、数学的なところは統計学の分野では十分うまく説明できるんですけど、それの外れ値の取り扱い、そこのあたりがちゃんと規制側から、それから地元を含めてご理解いただけるような説明をよろしくお願いします。
【出光主査】  ありがとうございます。
【佐々木技術主席】 統計的方法についても検討は進めておりますけれども、難しいところは、外れ値というか、汚染はある程度正規分布に近い分布をするんですけれど、人間の意思であるドラム缶にだけ汚染が高い廃棄物を詰めるというようなこともある程度可能ですので、保管ドラム缶は正規分布ではない可能性があるといった点をどう説明するかといったところが難しいかなと思っています。そういったところを含めて、いろいろな評価をやっている方たちとも協力しながら今後、統計的評価を進めていきたいと思っております。
【出光主査】  ありがとうございました。ほか、ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
【有林室長】  事務局ですけれども、先ほど主査からございました、まさに期間を縮めるためにできるだけ自動化というところにつきましては、今、我々文科省のほうでも実際に機構と一緒に、例えば電力さんが今まさに同じような廃棄体の作業を行っていますけども、そのようなことをやるときにどのような形で合理化をさせていただいているかというところを実際にヒアリングさせていただいたり、また、それ以外に、日本の中でこういったところの短縮化につながるような技術がもしあるようであれば、そういったところも積極的に導入できるような仕組みを取り入れたいと検討しておりますので、そこも十分に配慮していきたいと思っております。
【出光主査】  ありがとうございました。では、ほかになければここで閉じさせていただきまして、もし何かありましたら、これも先ほどと同様、事務局のほうにご連絡いただければと思います。
 その他になりますが、IAEAのほうのフォローアップがあるかと思いますので、その報告だけお願いします。
【小林室長】  原子力課の小林です。昨年12月に原子力機構が発表いたしましたバックエンドロードマップにつきまして、そこで計算されている試算の手法等をIAEAに精査いただき、今後の費用の試算精度の向上ですとか、またバックエンド対策の向上につながる助言をいただくことを目的といたしまして、IAEAが2014年から開始している放射性廃棄物・使用済核燃料管理、廃炉、除染に関する総合的レビューサービスを実施しますということを前回の作業部会でご説明させていただいたところです。その後、本年9月にIAEA、文部科学省、原子力機構との間で準備会合を実施いたしまして、レビューミッションを来年5月に開催する方向で今、事務的に調整をしているところです。
 以上、経過報告をさせていただきます。
【出光主査】  ありがとうございました。ただいまのご報告に対しまして、何かご質問、コメント等ございますでしょうか。
 柳原委員。
【柳原委員】  IAEAの委員は何人くらいなんですか。
【小林室長】  これからIAEAに調整いただくところですが、既にこのレビューサービスはIAEAが他国を対象に10回以上実施しておりまして、公開されている報告書を拝見すると、その国の廃止措置の規模によっても違うんですけれども、5名から10名のところが多いようです。
【澁谷委員】  実際のミッションは何週間ぐらいやるのでしょうか。
【小林室長】  他国の報告書を拝見すると、期間は7日から10日程度のところが多く見られます。
【出光主査】  ありがとうございました。ほか、ございますでしょうか。
 なければ、また引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で本日予定していました議題は全て終了しました。 では、もしほかに特に何もなければ、廣瀬補佐のほう、連絡事項はありませんか。
【廣瀬課長補佐】  事務局でございます。事務局より幾つか連絡事項をお伝えします。
 次回の部会日時につきましては、また日程調整の上、改めてご連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、本日の議事録につきましては、でき次第、メールにて委員の先生方のほうにご確認をお願いすることになりますので、その際はご協力をどうぞよろしくお願いいたします。その後、ホームページのほうに掲載させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【出光主査】  ありがとうございました。
 それでは、第2回の原子力バックエンド作業部会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

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