大強度陽子加速器施設評価作業部会(第9期)(第5回) 議事録

1.日時

平成30年5月31日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 15階 1会議室

3.議題

  1. 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中間評価について
  2. その他

4.出席者

委員

菊池主査、福山主査代理、石切山委員、鬼柳委員、久保委員、熊谷委員、住吉委員、高梨委員、田村委員、山縣委員、横山委員 

文部科学省

佐野科学技術・学術政策局長、西山量子研究推進室長、大榊量子研究推進室室長補佐、吉居学術機関課専門官、松本原子力課専門職 

オブザーバー

斎藤J-PARCセンター長、小関J-PARC副センター長、二川J-PARC副センター長、金谷J-PARCセンターMLFDiv.長 

5.議事録

【菊池主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第5回大強度陽子加速器施設評価作業部会を開催いたします。本日は、皆様お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、委員は全員御出席の予定ですが、長我部委員は遅れていらっしゃる予定です。
 J-PARCセンターからは齊藤センター長、小関副センター長、二川副センター長、金谷MLFディビジョン長に御出席いただいております。
 本日の会議は、作業部会の運営規則に基づき、公開という形で進めさせていただきます。
 まず、事務局より配付資料の確認等をお願いいたします。
【大榊補佐】  それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御確認ください。議事次第のとおり、資料1から資料3、また、参考資料を配付してございます。また、これまでの作業部会の資料及び前回の中間評価までの報告書等につきましては、ドッチファイルに束ねてございます。資料に不備等ございましたら、事務局まで御連絡ください。
【菊池主査】  それでは、本日の議事に入ります。まず議題1の前回部会の議論等について、事務局から御説明をお願いいたします。
【大榊補佐】  それでは、資料1についてでございます。資料1は、前回の議事録でございます。議事録につきましては、何かございましたら、作業部会の終了までにコメントを頂ければと思ってございます。
 また、いつも前回作業部会の議論をまとめさせていただいてございましたが、前回は報告書の議論をしていただいてございまして、今回御議論いただく報告書の方に含めてございますので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
 以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございます。前回作業部会の議事録案ですが、何かコメント等ありますでしょうか。何かあれば、本作業部会終了までにコメントをお願いいたします。
 それでは、2番目の議事に入りたいと思います。「大強度陽子加速器施設中間評価報告書(案)」について、まず事務局から報告書案の御説明をお願いいたします。
【大榊補佐】  それでは、お手元の資料2を御覧ください。「大強度陽子加速器施設中間評価報告書(案)」ということで、前回の素案から修正・追記したところを中心に御説明をさせていただきます。
 まず、おめくりいただいて、2ページ、3ページのところでございます。「前回中間評価以降の取組」、それから、「これまでの主な成果」という点につきまして、少し構成の変更をいたしました。論文の成果をもう少し分かりやすく記載するという観点で、引用数とか、論文がどの程度注目されているかとか、そういった点を少し追記させていただいたところでございます。
 また、おめくりいただきまして、19ページまで飛ばさせていただきます。この間は少してにをは等修正してございますけれども、大きな内容の変更等は行ってございません。19ページ以降に、「新たな論点」と「評価のまとめ」という形で少し記載をしてございますので、御説明をさせていただきます。
 6ポツの「新たな論点」の方を御覧いただければと思います。前回御議論いただきました「経営的視点の導入」、それから、「本格的産学連携の実施」、「成果指標の検討」について、前回の御議論をまとめさせていただきました。「現状」は、J-PARCから従前ご説明をいただいた内容でございますけれども、「今後の課題と推進方策」と致しまして、J-PARCの運営に経営的視点を取り入れて、施設の経営基盤を強化していくべきと。その際、経営の専門家の活用が重要であるといったような内容を記載したところでございます。
 また、MLFにおきましては、例えば共用ビームタイム枠の導入など、より効率的・効果的な一体的運営に取り組むべきということを記載してございます。また、他施設、JRR-3とか小型中性子源といったようなものとの連携によって、コミュニティ全体として効率的・効果的な取組を検討するということも併せて記載をさせていただいたところでございます。
 それから、19ページの下の方にございます「本格的産学連携の実施」につきまして、「今後の課題と推進方策」を20ページに記載してございます。20ページ中段のところを御覧いただきますと、「今後の課題と推進方策」と致しまして、コンソーシアムの設立に関して、非競争領域におけるニーズの課題の設定が重要であり、そうした課題探索に注力するべきという御指摘。それから、成果非公開課題に対して、利用者側の意見も取り入れて、ニーズに即した利用料金を検討するべきといった内容。それから、実験支援から解析結果の解釈までの一貫したサポートなどの付加価値の高いサービスの提供とか、施設を利用した人材育成、そうしたようなもので持続的な正のサイクルが構築されるような取組が重要であるということを総じて記載をさせていただいたところでございます。
 それから、(3)「成果指標の検討」という点でございます。20ページの中段以降でございますが、「現状」としまして、MLFの年間の論文の総数、Top10%論文が増加傾向にあるといったような事実関係を記載したところでございます。「今後の課題と推進方策」として、20ページの後段から21ページ前半のところまで記載をしてございます。質の高い研究成果を効率的に創出していくために、論文分析を含めた研究力分析、ベンチマークないしIRによる研究組織評価とか、MLFの特長を適切に評価できる指標の検討を行い、課題審査等に活用していくべきということを記載させていただきました。
 また、指標の検討において、施設の成熟度、産業利用成果も取り込む工夫が必要であるといったことも書かせていただいているところでございます。また、次のポツにございますが、論文化率を改善するような取組を実施するべきと。その際、施設側から利用者へのサポートが重要であるといった点もまとめて記載をしたところでございます。
 これらの内容を踏まえまして、「評価のまとめ」を7ポツで記載しているところでございます。21ページの中段からでございます。前回中間評価から現在までに、ニュートリノ実験において、物質の起源に迫るニュートリノ振動に関する重大な発見とか、ハドロン実験施設ではハイパー核による荷電対称性の破れといったような新たな知見が得られているという内容。それから、MLFについて、次世代電池材料、また高性能タイヤの開発など、基礎から応用に至る多くの成果が創出されていると。いずれも今後とも学術・産業の幅広い研究分野において数多くの利用と成果の創出が期待されるという内容を書かせていただきました。
 また、前回の指摘事項に対しておおむね着実な取組が行われていると評価を書かせていただいているところでございます。また、我が国の科学技術イノベーション政策における重要な大型研究基盤施設として、引き続きJ-PARCの開発、利用を行っていくことが重要であるというような内容を総合的に記載したところでございます。
 また、運転開始から10年が経過しておりますので、施設の安定運転の達成を見越した先見的な取組を実施していくべき時期に来ており、施設全体を通じた今後の展開として、以下の点に留意して取り組むべきであるということで、21ページ、22ページのところにそれぞれの各ポツで記載をしたところでございます。
 1つ目の四角でございますが、「施設の計画」ということで、少し御議論を踏まえてまとめさせていただいているところでございます。利用者の獲得、成果の創出、国際研究拠点化等の最も重要な基盤となる安定運転の実現を第一としつつ、世界トップの成果を創出し続けていくため、所期目標のビーム強度の早期達成を目指すというふうに書かせていただきました。ニュートリノ実験施設については、国際的な学術動向も踏まえ、技術的な検証を終えている1.3MW(メガワット)への計画的な増強について検討すべきというような書きぶりとしているところでございます。
 おめくりいただいて、22ページ、「施設の運営」というところでございます。J-PARCの運営について、今ほど6ポツのところで申し上げましたような内容でございますが、J-PARCの運営に経営的視点を取り入れ、例えば更なる財源の多様化、固定費の圧縮による維持費の削減と施設の高度化への重点的投資などを含む、中長期的な経営計画を検討・策定し、経営基盤を強化していくということを書かせていただきました。同じように、経営の専門家の活用が重要であると書いてございます。
 次のポツでございますが、利用者の利便性、効率的な運営の観点も御議論いただいたところでございますので、J-PARCとしての一体的な組織運営とかオープンアクセスの推進について、投資対効果を踏まえた具体的な検討を進めるべきというふうにまとめさせていただいたところでございます。
 また、「中性子利用の振興」の点でございます。2ページのポツの3つ目でございますが、J-PARCは日本全体の中性子利用の振興に係る課題を大学、施設、企業等の組織横断的に議論する場を提供し、その中核として主導的な役割を果たすべきとしております。また、これまでに蓄積された人材、施設、ネットワークを最大限有効に活用することが重要であると書かせていただきました。
 また、次のポツでございますが、質の高い研究成果の効率的な創出という観点でございます。先ほどのIRによる研究組織評価、それから、MLFの特長を適切に評価できる指標の検討を行って課題審査に生かしていくということでございます。
 3つ目のポツでございますが、MLFの生命科学用実験装置の整備について、重要な研究開発課題、イノベーション創出を加速する仕組み等の検討を、ユーザーコミュニティが主体となり施設とともに進めていくことが求められるというような書き方としてございます。
 また、安全の観点でも御議論いただいたところでございます。「また」という形で、J-PARCの運営は安全第一として行われるべきであって、安全文化の醸成、安全管理体制の不断の見直しを継続するという点と、地元住民はじめ、国民全体からの理解を促進し、J-PARCが広く開かれた施設となるよう活動を継続していくことが重要であるという内容も記載させていただいたところでございます。
 最後、8ポツの「おわりに」のところは、これは総論を書かせていただいてございます。23ページにございますように、J-PARCにつきましては、我が国の科学技術イノベーション政策における重要な大型基盤施設としてその果たすべき役割は大きいと書かせていただいてございます。J-PARCが今後、科学技術・学術の振興と産業の発展に貢献し、我が国の未来を築いていくことを期待するといった内容も書かせていただいたところでございます。
 関係者におきまして、本中間評価の結果を踏まえ、課題に適切に対応し、研究開発成果の最大化が図れるよう取組を進めていってもらいたいということ。それから、今後、内外の動向を踏まえつつ、おおむね5年後を目安に本中間評価報告書での指摘事項、課題等について、今回と同様でございますが、改めて評価を実施することが適当であるという内容も追記をしたところでございます。
 ごく簡単になぞった形で申し訳ありませんが、以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 それでは、今御説明のありました報告書(案)につきまして、御議論をお願いいたします。まず前半の部分では、6ポツの「新たな論点」、7ポツの「評価のまとめ」を中心に御議論をいただければと思っております。その後、全体というふうに移っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
【山縣委員】  最後のまとめの方の「評価のまとめ」の中にもあるのですけれども、生命系の装置の件で、少し現状を。もちろん施設側の方からもいろいろ現状を出していただいていますけれども、ちょっとお話ししたかったのですけれども、適当な機会がなかったので、最後ですので少しお話しさせていただきます。
 生命科学における中性子利用に関しては、大型研究費であるCRESTの構造生命科学の中の中間評価に2年ぐらい前だと思うのですけれども、ヒドロゲナーゼの中性子の構造解析は高く評価できるというふうなことが公表されています。それから、昨年度終わった光・量子融合連携研究開発プログラムの中に、中性子と放射光の連携利用によるタンパク質反応プロセスの解明という課題があり、それの中間評価があって、これは中間評価においてはS評価になっておりましたけれども、その評価の中の文言に、現在J-PARCでは、茨城県のビームラインBL03がタンパク質結晶の測定ができる唯一のビームラインであるが、タンパク質専用のビームラインが新設されれば飛躍的な発展が期待できるので、早期実現を望みたいということと、別の項目で、J-PARCにおいて大分子量タンパク質構造解析専用の中性子回折装置が建設されることを期待するといった内容が公表されておりました。これは両方ともJSTのホームページです。
 あと、学会でいうと、日本蛋白質科学会、それから、日本結晶学会、それから、日本生物物理学会、それから、日本放射光学会等の年会で、タンパク質の中性子回折に関わるシンポジウムとかワークショップが結構頻繁にこの5年間は行われていたと思います。
 そのような中で、特に学術的な意義があって、将来のイノベーションにもつながるということだと、これは前から出ているところだと思いますけれども、光合成に関係する光化学系PSIIとか、チトクロムC酸化酵素のように非常に大きな膜タンパク質複合体の構造と機能解明というのは非常に詳細なところまで現状は来ているわけです。
 それで、やはり水素の位置の決定による、水素を含む全原子レベルでの機能解明を是非やりたいということをそれらの研究者が言っておられます。それと同時に、この分野は、すごく日本が突出しているのかというと、決してそうではなくて、非常に世界的な競争の中にある。それで、こちらにもあるように、大型装置、格子の大きい大型結晶の構造解析ができるようなビームラインもどこかで建築中と書かれていたのがありましたね(ESS)。そうすると、そちらにデータを取りに行くとかいうことがないように、やはり日本でも作っていただきたいということを思っております。
 以上です。どうも。
【菊池主査】  山縣委員、そうしますと、この評価のまとめのところにもう少し具体的に踏み込んだ文言が必要ということでしょうか。
【山縣委員】  もう少し、はい。
【菊池主査】  ちょうどこの施設の計画のところに何かしら付加した方がいいという御意見と考えてよろしいですか。
【山縣委員】  少し追加していただくことがあれば。
【菊池主査】  ほかの委員の皆様はどのように。
【高梨委員】  そういう計画が実際にあるのですか。
【齊藤センター長】  我々の方としましては、大型タンパクを測定するためのビームラインは随時概算要求させていただいているところですが、今のところ、残念ながらまだ実現できていないので、是非とも、今、山縣委員がおっしゃったように施設として盛り上げていきたいと考えております。
【高梨委員】  それでしたら、産業界からの、あるいは学術面からの期待が非常に高いので、そういうものを随時企画しているという文言は入ってもいいと思います。
【西山室長】  よろしいですか。事務局の方で少し議論のおさらいなのですけれども、生命科学分野の実験装置については、第2回のこの評価部会でJ-PARCの方からプレゼンいただいて、議論もされております。この案は、事務局の方で第2回の議論を基に作っているところです。その議論を踏まえると、ニーズが高いのは特に否定をしていないというか、むしろ重要だというのはおっしゃるとおりだと思うのです。今、学術研究の分野でも、短期・中期・長期の戦略とかが必要になってきている段階だと思っているのですが、単にニーズが高いだけで大きい費用のかかる装置を導入するのは非常に難しい状況があるわけです。いかに投資対効果を高くする仕掛けもきっちり議論をして装置の導入をしていくということが大前提だろうと思っています。例えば、学術の方からいろいろなニーズがあるのは承知をしていますが、その先の産業応用等も含めて、この装置を導入することによって成果の利用等が幅広く進んでいくのかという仕掛けもまずはきちんと議論をしていただいて、その上で考えていくべきだろうということで第2回の議論は終わっていたと思っていまして、そういったことでこういった評価案になっているというのが現状であります。
【菊池主査】  ありがとうございます。
【高梨委員】  今のお話はこの中間報告書の中のどこかに入ってらっしゃるのですか。
【西山室長】  中間報告書のページ数で申し上げますと、10ページです。10ページの真ん中辺に枠囲みがありまして、「対応状況」として、タンパク質の構造解析については学術的には意義が高いということはポツのところで書かせていただいています。議論の結果として、「今後の課題と推進方策」として、今申し上げたことが書いてあるという状況であります。
【高梨委員】  となると、7の「評価のまとめ」のところに入れるかという話ですか。そういうふうになりますか。
【西山室長】  ですので、10ページの議論を改めてこの場で行っていただくか、その上で、最後の評価のまとめの書きぶりが変わってくるのだと思います。
【田村委員】  少しよろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【田村委員】  全般に、実はこの評価報告書案というのは、事務局がお書きになっているせいだと思いますけれども、かなり消極的な、やはりお金のことをどうしても気にされますので、こういうものもやるべき、やるべきというふうにはなかなか書けないという前提で書かれているなと感じております。それはもちろんきちんと評価をした上で、厳しく選別した上で必要なものを整備していくというのは当然なのですけれども、この委員の間で少なくともそういうものの必要性をみんなで認識しているのであれば、例えば10ページの「今後の課題と推進方策」のところの書き方をもう少し積極的な書き方をされるのがいいのではないかと僕も思います。
 実は同じことをニュートリノとハドロンに関しても思っておりまして、後でそれは御議論させていただきたいのですけれども、全体に対してそういう印象があります。いかがでしょう、皆さん。
【住吉委員】  ニュートリノのところに行っていいですか。
【菊池主査】  はい。
【住吉委員】  例えばさっきのまとめのところの施設の計画のところに、21ページの下から2行目、「国際的な学術動向も踏まえ、技術的な検証を終えている1.3MW(メガワット)への計画的な増強について検討すべき」と書いてあるのですけれども、前回4回目でもう検討の話はかなりされていたのかなというのと、ニュートリノが1.3 MWに行かないと、今、日本がニュートリノを牽引(けんいん)しているというところが、アメリカに追い抜かれるという話が前回あったのを考えると、例えば技術的な検証を終えている1.3 MWの増強について、時機を逸することがないように実現を目指すべきというくらいにしていただけると嬉(うれ)しいなと思いました。
【田村委員】  全く私もそう思っています。それから、ここは国際的な学術状況も踏まえてですから……。
【住吉委員】  ええ、そこが書いてあるので。
【田村委員】  非常にネガティブな印象を与えるのですね。状況によってはやめた方がいいみたいなニュアンスにも取れるので、実際は日本が今、本当にリードしているわけですから、このただし書は取ってしまうべきではないかなと思っておりました。
 あと、検討すべきというところも、実現を……。
【住吉委員】  目指すべきとかね。
【田村委員】  目指して努力すべきだというふうにしてほしいなと思いました。
 そういうことを言い出すと、実は後で申し上げようと思ったのですけれども、前回言うべきだったかもしれないのですが、それ以前の、このまとめの前の部分は全体的にそういう傾向があって、特にやはり私もニュートリノとハドロンのところが気になるのです。
 すいません、言いたいことだけ言わせてください。9ページの、これは「加速器・ニュートリノ」の「今後の課題と推進方策」です。これの2ポツ目ですけれども、ここは同じことが書いてありますが、後半のところで、「また、国際的な学術動向も踏まえて、技術的な検証を終えている1.3MWへの計画的な増強について検討すべき」と。これはさっきのまとめの方にあった文章と同じなので、これは是非、「国際的な学術動向を踏まえ」というのを消していただいて、消していただくだけではなくて、J-PARCセンターの方から何度か、ニュートリノの研究がいかに画期的な状況にあるかと。ただ、更なる増強をしないとノーベル賞は取れないよと、そういうようなお話があったので、「国際的な学術動向を踏まえ」の代わりに、例えば、「今後もニュートリノ研究で世界をリードし続けるために」というような、現在の研究の状況をきちんと認識したということを入れてほしいなと思いました。それで、増強の実現について努力すべきだとしてほしいと思いました。
 それから、3つ目のポツですが、「財政環境や国際競争の状況、設備の整備状況を踏まえ、ニュートリノ実験とハドロン実験へのビームタイム割振りについて検討する等、費用対効果の高い戦略的な研究推進が重要である」と。これはもう本当にお金が限られていてどうしようもないというときに、これは必要であるというのはもっともなのですけれども、この会では実はこういう議論はほとんどしていないと思うのです。この会では、財政的には大変なのだけども、重要なところなのでどうにかしてほしいというお話があって、我々も、そうですね、どうにかなりませんかねという話はしたのですが、もうお金は限られているのだから、その中でもっと厳しくやりなさいよというような議論は、もちろんそれは当然だとは思いますけれども、そういう議論を特に強調してここではやってはいなかったと思います。
 ですので、まず僕の意見としては、「財政環境や」というところはとりあえず消していただいて、国際競争の状況、設備の整備状況を踏まえ、戦略的な研究推進が重要であると、それぐらいにしていただくとどうかと思います。このニュートリノ実験とハドロン実験のビームタイム割り振りというのはかなり細かい話でもあるようですけれども、実際はこれ、限られたお金の中でどちらにどれだけビームタイムを出すかというのは重要なのですが、そもそもやはり一番必要なのは、特にニュートリノは今すごい状況にありますが、どちらも本当に画期的な成果を上げつつあるところで、ビームタイムがいつも足りなくて、それで、せっかくここまでいい施設ができてきたのに、それが十分成果を、本来ならもっと出すべきところが出し切れていないし、今後も将来が心配であるというふうに多くの人は思っているのです。そういうこともあって、ビームタイム割り振りとか費用対効果というのは、ここからは削除していただきたいと思いました。
 それから、最後のポツのところ、代案を書かせていただいたので、読み上げさせてください。
「世界をリードする画期的成果が上がりつつあるニュートリノ施設とハドロン施設では、ビーム強度増強とともに十分なビームタイムの確保が極めて重要であり、関係者の一層の努力を希望する。」
 その後に、今の国際競争の状況、設備の整備状況等を踏まえ、戦略的な研究推進も重要であると、そういうふうにしていただけたらなと思っております。
 さらに、すいません、あともう一つ。12ページの、これはハドロンの最後のところなのですが、「引き続き、学術コミュニティのニーズを踏まえた装置整備の優先順位を明確にしつつ、ビームラインの整備を進めるべき」と、これは全くそうだと思いますが、あと、ハドロン施設の拡張の話とか将来計画の話が今回大分あったと思うのです。それで、そういうものに対してこの委員会でポジティブに考えているのであれば、それを付け加えてもいいのかなと思います。入れさせていただけるのであれば、例えば、「また、ハドロン施設拡張計画などの施設設備の高度化・効率化を目指した計画の実現に向けて努力すべきである」というような、何かそういう文を入れてほしいと思いました。
 やはり、どんなすばらしい施設でも、特に原子核の分野はそうかもしれませんが、長年同じ装置を使っているとすぐ陳腐化して、ほかの外国の装置に抜かれて、急にその成果が出なくなるということがありますので、今、世界一なのですけれども、今のうちに更に高度化・効率化を目指した将来計画を進めるというのは、これはどこの施設でも当然、お金のことはもちろんあるのですけれども、どこの施設でも考えていることですので、それは応援すべきなのではないかと思いました。
【菊池主査】  はい。
【西山室長】  事務局から失礼します。冒頭で国の財政状況みたいな説明をすればよろしかったのかもしれませんが、お集まりの先生方の皆様は、そこら辺はもう十分御認識だと思い、敢(あ)えてそういうことはしていませんでした。当然ながら、我々、先生方の学術的な高度な研究をきっちり実現するために使命を負っていると思っているのですが、他方で、本作業部会は、文部科学省の科学技術・学術審議会の下に置かれる作業部会ですので、優先順位だとか、国の財政状況の中でどうきっちり費用対効果の高い研究をしていくかということは重要だと思っています。その点は資料をもって御説明等はしておりませんが、ある程度もともと共通認識はあってこの作業部会で議論を進めていただいたのかなと思っています。ですので、学術的な重要性を、例えば学会とか日本学術会議等の場でいろいろ御表明、御意見いただくのは良いと思うのですが、この作業部会では、やはりそういった財政状況等も一定程度御勘案いただいた上で御検討いただくべきかなと、こういうふうに思っております。
【熊谷委員】  少しいいですか。今の話に関連しているのですが、おっしゃるとおりで、財布の中身が限定されているわけです。そのときに、お金がもうないといったときに、サイエンスをやりたいといったときに、いつまでも国の財布の中だけを期待していていいのかなという気はするのです。だから、もっと別の予算枠を利用者側も施設者側も何か獲得するような、何か考え方を転換するようなことが必要ではないかなと。そうでないと、いつまでも、「何とかを希望します」とか「できたらいいですね」で終わって、実現をしないということになるのではないかと思うので。この作業部会の中間評価で、そういう予算の新しい枠組みたいなものも少し何か検討をするような提言もあってもいいかなと。そうでないと、お金が無いのにずっと停滞して、あとは奈落の底に落っこちていくということになってしまうわけで、それを避けるための何か柔軟な枠組みを考えるということを提言するというのはいかがなのですかね。
【菊池主査】  はい。
【横山委員】  今の御議論の続きで、お財布の別口を考えるべきという御意見はそのとおりだと思います。少し小さいかもしれませんけれども、案として、クラウドファンディングみたいなものが昨今は研究分野でも非常にはやっております。小口ではございますけれども、認知度を広めながらポジティブな応援をいただくという意味では、そういう小口の活動も必要かなというふうに拝聴しておりました。
 関連してなのですけれども、6ページから7ページにかけての広報関係のことを少しコメントさせていただきたく思います。国民からの支援を財政的にも得ていくという意味で、6ページの一番下の前回中間評価の指摘、「国民の信頼と支持を得ていくためには、効果的な広報を通して」という文章がございます。それに続いて文章をまとめていただいているのですけれども、2つほど足していただくとよろしいかなと拝見いたしました。
 まず四角の中に、国際的な拠点となっていることが国民に見えているかというようなところでございますが、前回評価の後、梶田先生がノーベル賞を取られて、そして、ニュートリノが今、J-PARCですごいんだというアピールを、講演会などを通じて梶田先生にも来ていただいて、齊藤センター長を中心に非常に華やかに開かれていると思います。そうした国際的なリードを取っている分野であるということが国民にも見えるように、イベント等でもそういうアピールをしていたというような事実を1つ付け足していただきたいと思いました。
 もう一つは、事故からの復帰というのでしょうかね、そういうことがここの表記にはございませんけれども、事故があって安全対策をしただけではなく、地域住民や情報の流れとしてどういうふうなことをしなければいけなかったのかという情報面での危機管理も恐らくJ-PARCは非常に会得したのだと拝見しております。そういう意味では、何かネガティブなことがあったときにも、地域住民の信頼を落とさず、情報を開示していくようなシステムを構築したというような、ネガティブな経験をポジティブに変換したというような文章を1つ入れていただくとよろしいのかなと思いました。
 あと、コメントです。続いての7ページの上の方、「今後の課題と推進方策」のところに、プロモーションという言葉が何度か出てきてございます。前のページにもサイエンスプロモーションという、プロモーションという言葉が出てございます。恐らく経営のことを意識されて、ユーザー層を増やしていくようなことを意図してプロモーションとお使いになっているのかなと思うのですが、やはり学術研究の場においては、販売促進を意図するようなプロモーションという言葉は余りなじまないところもある。もちろんユーザーを増やしていくときのような、顧客を得ていくというような意味ではお使いになると良いと思うのですが、特に巨額資金を使っての国民の信頼を得るという観点においては、やはりコミュニケーションあるいは広報という言葉が順当だと思いますので、プロモーションを使うところと、あるいはコミュニケーション、広報という言葉を使うところを分けてお使いになっていただくとよろしいかなと拝見いたしております。
 以上です。
【鬼柳委員】  いいですか。
【菊池主査】  はい。
【鬼柳委員】  9ページに、「安定運転を第一としつつ、1MW出力を着実に目指していくべき」ということで、これはまさにそのとおりなのですけれども、実際に安定運転というところでは、まずはターゲットをどうするかということがキーポイントであると。
その後で、トラブル対策のところ、18ページに、ターゲットは今こんなふうにしていますということと、それから、交換の期間を短くしましたということは書いてあるのですが、今後、ターゲットをどうするかと。これから使用済みターゲットを調べたりして、更に良いものを作っていくというようなことをやっていくわけですけれども、そういうターゲット開発についてはもう少し表に出して書くべきではないかなと。中性子のアドバイザリー委員会でも、やはりターゲットについてはとにかく安全に長期にきちんと使えるものを開発しろということが提言されていますので、より具体的に入れてもらえたらいいのかなということを思っています。
 それから、少し後ろの方ですが、19ページですけれども、「新たな論点」について。ここの「経営的視点の導入」の「現状」のところでは、J-PARCが10年経過して、経年劣化対策が必須であり等書かれているのですが、「今後の課題と推進方策」では、そういう背景がなくて、経営的視点を取り入れということになっていってしまっているので、最後までその文章だけが残っていると、そこを何のためにするのかと。単に経年対策だけではなくて、全体合理的に施設のいろいろな装置の共通化とか、細かいことを言えばそういうことも含めて考えるのだと思うのですけれども、もう少し具体的に分かるようにした方が良いのではないかなという気がします。
 それから、もう一つは、個人的に分からないというか、中性子科学会としてもこの辺きちんと説明したいところなので。経営の専門家というところを、具体的にどういう方をイメージしたら良いのか。会社の経営の専門家ではないのだと思うのですが、これは何か具体的にどういう人というのはイメージがあるのでしょうか。
【西山室長】  鬼柳委員の最後の質問について、事務局の方で考えているものと、もしかしたらJ-PARC側で今御検討しているものが違うかもしれませんので、我々の方を少しまずお答えした上で、もし御意見があれば、J-PARCの方から。
 経営の専門家の関係については、まず資料としては、前回の作業部会の資料2で、J-PARC側から新たな論点についての方針、取組状況、取組方針等を御説明いただいています。その中の資料の6ページ目のところでも、将来的には経営の専門家を交えてのJ-PARCの運営についての議論も視野に入れているということが記載をされております。基本的にはそういった議論を踏まえて、この評価の案は作成をしております。
 我々考えておりますのは、この記載の上のところにあるとおり、前回の議論でもございましたが、財政状況も非常に厳しい中で、他方でこのJ-PARCの施設は非常に重要な施設だと思っています。いかに財源を多様化するか。それは国側も、これまでこの部会でも申し上げていますとおり、今、科学技術の予算が非常に厳しい中で、全体として文部科学省の科学技術予算は微減になっています。その中にあっても、J-PARCの予算は微増の形でこれまで予算措置をしていると。これはJ-PARCに対する文部科学省の高い期待の表れだと思っていただいて良いかと思っています。
 そういう中でも、国の資金だけではなくて、これは宇宙の起源に迫るような研究だとか、生命の起源に迫るような研究だとか、非常に国民的な関心も高い分野と思っていますので、そういった意味で、先ほどおっしゃったクラウドファンディングだとか寄附だとか、いろいろな形で財源の多様化を図る余地はあるのだろうと思っています。また、最近は国の方でも財源の多様化については、法律ベースでも議論が進んでいます。研究開発力強化法というのがあるのですが、これを改正して、例えば研究開発法人が直接研究開発法人の持っている技術シーズをベースに事業化する場合に出資をするようなこととか、若しくはそういった活動の中で株を得る、ゲインをするようなそういった取組も行われようとしています。
 そういったいろいろな手段を活用して財源をいかに多様化していくか、これは1つの経営だと思います。また、そういったいろいろな手法で経営基盤を強化していく中で得た収入を、どこに集中的に投資していくのか。これは今後のJ-PARCで質の高い研究成果をどういったところできっちりと出していくのかといいったこともあるかと思います。そういったことを総合的にきっちりと検討し実現していく、そういう能力を持った方に是非参画をいただいてJ-PARCのより高度化を図っていく。そういう取組を、今後10年先、20年先を睨(にら)むとやっていく必要があるのだろうと思っています。
 そういったことから、広く経営の専門家を活用していった方が良いのではないかと、そういう趣旨で記載をしています。なので、かなり広いイメージで書いています。詳細については今後しっかり検討していく必要があるかと思います。
【鬼柳委員】  具体的に今このような人というか、このようなところで働いている人というのがあるわけではない?
【西山室長】  当然ながら、具体的な氏名等があるわけではありません。
【鬼柳委員】  今まであるのとは違ったタイプの人ということに思えるのですが。
【西山室長】  これまでJ-PARCの組織運営体制は、基本的にはJAEA、KEKのサイエンスで非常に成果を出してきた方々が組織運営を担っていると思っております。それ以外に、新しい活力というか、新しい視点を持って経営感覚に優れた人に、こういった財源の多様化、若しくは組織を高度化していくためにどういったエマージングな分野に重点的に取り組んでいくかといったことの議論をしていく必要があるのではないかと、そのように思っています。
 J-PARC側の方でまた違うことを考えていれば、そこは言っていただければ。
【齊藤センター長】  よろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【齊藤センター長】  僕らが考えているのは、基本的に、財源、やはりインカムと支出のそれぞれの管理をしっかりできることだと思っております。やはり財源の多様化というところは我々も取り組んでいこうと思っていますし、実際に今後そこは手を掛けていくべきだと思っています。イメージとしては、アメリカの大学の経営みたいなところでファンドレイザーとして関わっている方々というのは1つの例だと思います。ですので、そこは我々も視点の1つとして捉えた上で、かつ、先ほど横山委員の方から言っていただいたクラウドファンディング。これは、非常に重要と思っています。これは少しずつでも関わっていただくという、コミットメントの意識が醸成されることの方が実は大きな効果だと思っています。ですので、そこを併せて収入の一部として多様化していってというのをまずやるべきだと思っています。
 我々が経営ということを考えたときに一番難しいことになっているのは、お金というのはやはり色(種類)があるというところです。例えば先ほど「株を買って」というようなお話が多少出たと思うのですけれども、株を買えるお金というのは決してそれは補助金ではないわけです。やはり色が限定されているところはありますので、我々が経営を行っていく上での制限として一番難しいなと思っているのは、実はそういうお金の色です。そこの色の制限の中でうまくマッチングさせながら、支出部分をどういうところに投資していくべきなのか、どういうところから成果を上げるべきなのかということを考えていくのは非常に重要であります。
 これは例えば、我々全く経験が無いわけではなくて、国際コラボレーションをやると、やはり様々な国々からの様々なタイプのファンディングがやって来て、それの色をきちんと見分けながら使っていくということ、効率的に使っていくということをやってきています。そういう国際コラボレーションの中では、実は実際にアカウンタントをやっておられた方々も経営の中に取り入れているのです。そういうことを我々としてはイメージしているということです。
 ですので、今、実は西山室長がおっしゃったことと大分一致しているのではないかなと思っていますが、ここはまだまだ議論を深めていくと、やれること、やれないことはきっと出てくるのだと思いますので、是非その辺は御指導いただきながら、我々も前向きに取り組んでいきたいと思っております。
【鬼柳委員】  経営の専門家の方は質問でございますので、別で。前2つの方が、私としては報告書に直(じか)に関係するところです。
【菊池主査】  では、福山主査代理、お願いします。
【福山主査代理】  今の、経営的視点、つまり国の財政状況を踏まえてその中で研究活動を展開するにはどうしたらいいかというお話。J-PARCは大きな予算を使って、まさにそれが重要な課題になっている。その際に、私は中性子、MLFに話を限りたいのですけれども、既に国が大変投資したものをいかにフル活用するかという視点も同時に大事。新しいものが欲しい、だから、お金が必要ってそれは絶えずあると思うのですけれども、むしろ今あるものをいかに使うかというのは、これは頭の使いどころの1つじゃないかと。
 そういう点で、評価のまとめで、MLF、中性子に関して、中性子利用の振興に関わる課題を大学、施設、企業等ともかく関係者が組織横断的にきちんと議論する場を提供する、その主導的役割を果たすと。まさにこれ、重要で、今あるものをいかに有効活用するか。その際に、その中からいかに良いサイエンスを見つけ出して、創出するかという、そういうサイエンスのフォーラムを作るということも含まれていると期待して、これは今、J-PARCの中性子にとって非常に大事なことではないかと。
 その視点で、そういう場を用意して、それで、中性子の実際ビームを使って良いサイエンスをやるというときに、ビームが使いにくかったらこれはやはり困る。その際に、ここで議論があったと思うのですけれども、19ページのところに触れていただいているのですけれども、共用ビームタイム。つまり、J-PARCは、所有者が複数いて、ビームラインの所属がそれぞれ違う。運営も違うところがある。これをそのまま放っておくと、やはりさっきの趣旨の今あるものをより創造性豊かに使うという視点から非常に差し障りが、ロスがあるのではないかと。
 そういう点で、せっかく19ページに御指摘いただいていること、共用ビームタイムというのは象徴的な1つのキーワードだと思うので、そういう趣旨のことを、中性子利用の振興の場を提供する云々(うんぬん)と書かれているところに明示的に入れられた方が、当事者、ユーザーがいろいろこれから活動しやすいのではないかなと思います。これは先ほどのファンディング、経営の根幹をどうするかという、それほど大きな話ではないですけれども、今あるものを有効利用するという点では、中性子の関係からは重要なポイントの1つかなと思っています。
 以上です。
【菊池主査】  そのほか。
 はい、久保さん。
【久保委員】  すごく簡単ですが、強い意見が1つあります。7ポツから始まる「評価のまとめ」の中に、ミュオンという言葉が一度も出てこないのです。ですので、22ページの「中性子利用の振興」のところに「中性子・ミュオン」若しくは「及びミュオン」と書いていただくか、その次の行も「中性子利用」のところにミュオンも入れていただきたいと強く要望いたします。
 それと同じようなことなのですが、11ページの「ミュオン」のところの最後のところ「ハドロン」のすぐ上ですが、「Sライン・Hラインの整備に向けた取組を進めていくべき」という少し持って回ったような言い方があるのですが、これは整備を進めていくべきというふうにストレートに書いていただくことはできないでしょうか。それをお願いしたいと思います。
 それから、やはり先ほど福山先生に御指摘いただいたことなのですけれども、組織がいろいろあるということで、19ページの6の「新たな論点」のポツ2つ目のところに「未(いま)だ組織間の壁が存在する」という現状の指摘がありますが、それに対して「今後の課題と推進方策」は余りはっきりしていなくて、2つ目のポツのところの「より効率的・効果的な一体的運営」という、これが回答になっているのでしょうか。そうすると、これよりももう少し強めのことを書いた方がいい、福山先生のお話はそうだと思いますけれども、私もそれには大賛成です。
【田村委員】  よろしいでしょうか。
【菊池主査】  はい。
【田村委員】  すいません、先ほどの話に戻らせていただきます。もちろん室長のおっしゃるのももっともだし、もちろんそれは分かっております。それはというのは、予算状況ですね。だから、それはこの委員会が何を目的としているかということに関わってくると思うのです。だから、単にこれだけの予算の中でどう効率よくすべきかだけ考えてくださいという、そういうミッションであれば、そういうふうに書くだけで良かったのですけれども、やはりJ-PARCというものを考えたときに、どうあって欲しいかというのを書き、それで、財源的に難しければ、それに向けて、先ほど熊谷先生がおっしゃったような、別の財源を考えるなり、もっと多彩ないろいろな、クラウドファンディングなり何なりという非常に広い財源の確保に向けた努力をすべしということは、それは書くべきだと思うのです。
 だから、実現しそうもないから書かないということでいいのかというのが僕の疑問であります。限られた枠の中だけの評価でいいのかということです。もちろん本当にきちんと厳しく評価した上で重要なものからやっていくというのが、それは当然のことなのですけれども、僕の印象は、その見方だけで書いてしまうと、これを読んだ若い人とか周辺の人たちが、その程度、そういうふうに思われている施設なのかというふうな印象を持たれるのではないかなというのを少し危惧しました。
 あと、特に、福山先生がおっしゃった、今ある装置を最大限に生かすという観点は明示的に確かにもう少し入っても良いかなと思います。そこでいうと、少し話が変わりますが、先ほどのところに戻りますけれども、「評価のまとめ」の最初の「施設の計画」のところで、ここはビーム強度の増強だけを書いてあるのですけれども、最初に「安定運転の実現を第一としつつ」というのはあるのですが、とりあえず財源のことはあるのですけれども、やはりビームタイムの確保もここに入れておいていただいた方が良いかなと思います。それで、例えば2行目の、世界トップの成果を創出し続けていくため、十分な運転時間の確保とともに、所期目標のビーム強度の早期達成を目指すというような形で、やはりビームタイム確保というのはまとめのどこかに欲しいなと思います。
【菊池主査】  今の田村委員の御意見に対して、補足することがありましたら。ビームタイムのことを入れるか、どのように入れ込むかということは皆さん御納得でしょうか。
【住吉委員】  少しいいですか。前にこの話をしたのですけれども、1,500億円ぐらいかけてつくったわけですね。例えば1,500万円のベンツを買って、ガソリンがないからガレージに置いておくというような無駄なことをしているのではないかという印象を持つことがあるので。やはり、あと、さっき福山先生がおっしゃった運転時間。有効利用のために少し予算を何とかするというのは、初期投資1,500億円して、もうあとはほとんど眠らせて半分動いてないというようなことがあっては、やはりかなりもったいないことが起きているのではないかなというふうに、私はそういう印象を持っています。だから、そういう意味では、運転時間確保というのは重要な要素だなとは思っています。
【福山主査代理】  議論の経緯は忘れたのですけれども、装置自身の制限、制約のためにビームタイムを十分取れないというのではなくて、例えば電気代が足りないとか、そういう……。
【住吉委員】  それです。そこですね。
【福山主査代理】  それだけでしたか。
【住吉委員】  ええ、少しもったいないなというのは。もちろんターゲットで止まっていたとかそういうのはもちろんあるのですけれども、やはり律速しているのは電気代と僕は認識しているのですけれども、そうではないですか、齊藤先生。
【齊藤センター長】  確かに電気代です。MLFの部分とメインリングを扱っている素核の部分と多少事情が違っているところもあるのです。MLFの部分の方は、これは比較的、9サイクルという、最終的なゴールに向けて大分順調に伸ばしていただいて、もうぎりぎりのところまで引っ張っていただいているという認識を持っています。
 メインリングの部分は、これは同じように努力していただいていると常々感じているところではあるのですけれども、どうしてもやはり電気代の占める割合が大きくなっていまして、我々としてはビームタイムをしっかり確保したいので、なるべく確保するのですけれども、その結果として起こっているのは、メンテナンスのコストが十分取れないために、ダウンタイムが比較的大きいような故障が起こり始めているというところです。
 最終的には、こちらの方も9サイクルに向けて運転を続けていたいところなのですけれども、現時点では4.5サイクルぐらいのところで推移しているというところです。どんなに頑張ってもそれぐらいということです。それは皆さんの御認識が正しくて、電気代が高騰したことに大きく理由はあるわけですけれども、今後やはり我々としてはもっと効率的な運営を行っていくという努力は続けていくつもりです。とはいえ、一番主要な部分はやはり電気代であるということは正しいと思います。
【菊池主査】  それでは、こういう案はどうでしょうか。「新たな論点」のところに「経営的視点」というのを今回新たに取り入れたところですので、「今後の課題と推進方策」の1ポツのところに、やはりこれまで獲得してきた競争優位性を更に高めていくために、そして、施設の有効利用を促進するために、この経営的視点を入れて、維持費の、削減と書かずに、もう少し別の文言でプラス思考の文言を入れて、それに向けた重点投資というふうな具合に持っていければ、何か皆さんの御意見を大体反映できるのではないかなとは思ったのですが。
【福山主査代理】  財源の有効利用ということですね。
【菊池主査】  はい。それで初めて財源の多様化の意味が出てくるのではないかなということで、いかがでしょうかね。
【高梨委員】  あと、よろしいですか。その方向性については私も全然良いと思うのですが、この報告書の立て付けが少し分かりにくくなっているような気がするのです。何かというと、1ページ目、「本中間評価の位置付け」で、前回の中間評価における指摘事項への対応状況をまずは明確にしますとおっしゃっていて、その後に、今後の運営に関わる課題と方向性というふうに2つ立てているのですが、その後に続くところがすーっと来てしまっているから、2番目の後者の部分のところが浮き上がっていないと思うのです。
 ですので、4のところと、例えば5、6の辺りをもう少し独立させて、今、菊池先生がおっしゃったこと、ここで議論したことをもう少し光を当てた形でまとめていただけると伝わりやすいのかなと思いました。
【菊池主査】  「新たな論点」に至る導入の部分が必要と、そのように考えてよろしいでしょうか。
【高梨委員】  そうですね。おっしゃっていることはすごく分かるのですが、余りにもぱーっと。複雑な議論を非常によくまとめてくださってはいるのですが、光の当て方で大分違ってくるかなというふうには思っております。大変な作業だと思いますが、是非お願いします。
【菊池主査】  今の案に関して、新たなポツを設けることの代わりとしまして、例えば6ポツの「新たな論点」を、(1)にすぐに入らずに、そこの部分に、なぜ新たな論点が必要だったかというふうな背景……。
【高梨委員】  そうですね。
【菊池主査】  それを1行なり2行なり足していただければ、恐らく今皆さんの非常に貴重な御意見がほとんど反映できるのではないかなと。
【高梨委員】  それか、すいません、5ポツのところ、前回の中間評価以降に起きた事象として、(1)と(2)、あくまで不具合の話が来てしまっているので、J-PARCが運営されてからこういうふうに経営課題というか課題が変わってきたよというところをきちんと書くというのも1つかなと。6の(1)の前に出すか、あるいは5の後ろに置くかというふうな話なのですけれども、やはりそこの課題が浮き上がってきていないと、6が生きないという。
【菊池主査】  事務局の方から案はありますか。
【西山室長】  5ポツの方は、事務局の方で案を作ったのは、これはどちらかというと、いわゆるトラブルとかそういった事象を中心にどういう対応をしたかということはやはりこの評価部会できちんと見ておく必要があると思っていまして、そういう意味で5ポツを記載しております。
 ですので、6ポツの(1)の前のところに、導入として、なぜ今後、経営的視点だとか、本格的な産学連携等が重要になってくるかというので、先ほど冒頭、委員がおっしゃったところの内容をひもとくような形で記載できればと思います。
【菊池主査】  今の案でいかがですか。
 あと、残り少し時間がありますが、「新たな論点」及び「評価のまとめ」、更に全体に関しまして、皆様の方から御意見あれば。
 はい、田村先生。
【田村委員】  すいません、確認ですけれども、一応これ、今回が最後という形なのでしょうか。
【菊池主査】  はい。
【田村委員】  これ、最後はどうやって確認することになりますか。
【菊池主査】  最後の確認のところは、最後のところでまたそこの議論のところに入れると思いますので。
【田村委員】  それでは、少し申し訳ないのですが。少しくどいようですけれども、先ほど私が申し上げた、もう少し積極的に書いて欲しいというところなのですけれども、それはそのようにしていただいた上で、今の6ポツのところに、実は財政的にこういう状況にあると。だから、経営的視点を取り入れて、例えば多様な財源の確保にも努力すべきだとか、そういうことを書くということでよろしいのでしょうか。
【菊池主査】  はい。恐らくそう……。
【西山室長】  事務局の方で後ほど、頂いた御意見を基に作業をさせていただくのですが、当然ながらこれまでの御意見も踏まえて作業をします。他方で評価部会は、繰り返しになりますけれども、これは国の学術審議会の評価部会ですので、当然ながら言いっ放しではないようにした方がよろしいかと思っています。それこそ言いっ放しの方が、これは評価部会としてあまりよろしくないと思うのです。ですので、例えば財源の多様化等にしても、具体的にどういったことができるのかということも、やはりきっちり議論をした上で、責任ある内容を書いていただくのがよろしいかと思っております。ですので、そこはやっぱり学会だとか研究会とは少し性格が違うものだと思いますので、そういった立場でどういったことが書けるのかということを事務局の方でも検討したいと思います。
【鬼柳委員】  次回の中間評価も今回と同じような書きぶりになっていくわけですね。要するに、指摘事項があって、こうしなさいと。それに対してどういうふうにしたかという。だから……。
【西山室長】  前回の中間評価は平成24年にしていますが、そのときも基本的には同じような形で、今回についても、24年当時の中間評価を基に、どういった進捗があったか、それに対する評価と、今後の課題・推進方策を議論する。それが5年ごとにきちっきちっとやっていくという形になるかと思います。
【菊池主査】  それでは、御議論は尽きることがないと思いますが、ここで一旦区切らせていただきまして、次の議題に進みたいと思います。次の議題の中で引き続き御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、大強度陽子加速器施設中間評価票(案)についてということで、事務局から御説明お願いします。
【大榊補佐】  それでは、資料3と参考資料を横に置いて御説明をさせていただきます。資料3について御説明をさせていただきたいと思います。参考資料の方は、「平成29年度研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価の実施について」という資料をお配りしてございますが、この中に今回まとめさせていただきたいと思っております中間評価票の様式が入ってございますので、それを御参照しながらという形になろうかと思います。
 資料3でございますが、今後研究計画・評価分科会(計評)にて評価を実際に行っていただくに当たりまして、この様式を作成いたしまして、この報告書の内容のエッセンスを盛り込んだような形としてございますが、この評価書類を今後計評に上げていくという形になってまいります。
 おめくりいただいて1枚目のところに1ポツ、2ポツ、3ポツというページがございます。課題実施期間・評価時期と、それから、研究開発概要・目的と、それから、研究開発の必要性等を記載してございます。これはいずれも事実関係と、それから、3ポツの研究開発の必要性等につきましては、これは事前評価を平成12年に実施してございますが、この事前評価をそのまま抜粋しているところでございますので、実際の中身の話は、更におめくりいただいた「中間評価票」というところで記載してございます。それ以外の部分につきまして、ポツのところは参考というか事実関係を記載したものでございます。
 おめくりいただいて、「中間評価票(平成30年5月現在)」というところの四角囲みのページをごらんいただければと思います。こちらに計評に今後上げていく評価票を書いてございます。大強度陽子加速器施設J-PARCという課題名と致しまして、2ポツ以下に評価結果を記載しているところでございます。
 まず、この様式に従いまして課題の進捗状況を書かせていただいております。この評価は5年に1度の評価でございますので、5年間の進捗状況を書かせていただいてございます。報告書でいうところの冒頭の方にございましたような、これまでの主な成果とか、前回中間評価以降の取組を中心に抜粋をする形で記載させていただいているところでございます。例えばビーム出力について、所期目標のビーム強度の実現に向けて準備を進めているという話とか、あと、MLFにつきましても、現行の実験装置の話、それから、現時点において、次世代の太陽電池に係る基礎研究とか高性能タイヤの研究開発が行われているといったような事実関係等を記載させていただいたところでございます。この中に中性子の容器の不具合の話と、それから、ハドロン実験施設の放射性物質の漏えい事故の件についても併せて記載をしているところでございます。
 それから、評価票の中に、「前回評価の指摘事項への対応状況」ということで、これも報告書の方から一部記載をするような形にしてございます。前回中間評価の指摘事項に対して、おおむね着実な取組が行われており、各実験施設においても質の高い研究成果を上げているということで、各項目に対する対応状況を(1) 、(2) 、(3) 、(4)という形で記載したところでございます。「研究能力の更なる向上」につきましても、先ほど来御議論いただいた報告書の内容を書き込んだような形としてございます。同様に、「教育及び研究者育成の役割」という点、それから、「国際研究拠点化の役割」、「中性子線施設の共用の促進の役割」につきましても、それぞれ報告書のまとめ、若しくは各項目のところから一部抜粋するような形をとって記載をしたところでございます。
 それから、おめくりいただいた「その他の論点」のところでございます。(1)「経営的視点の導入」と、(2)に「本格的産学連携の実施」、(3)に「成果指標の検討」というところで、すなわち、「新たな論点」のところをここに記載したところでございます。こちらにつきましても、先ほど報告書の方で御議論いただいたところでございますが、同様に、経営的視点の取り入れとか、本格的産学連携のための取組、成果指標の検討という内容をそれぞれ抜粋するような形で記載したところでございます。
 それから、(2)でございます。「各観点の再評価」という項目を御覧いただければと思います。こちらにつきましては、研究計画・評価分科会の様式に沿って、必要性、有効性、それから、効率性という点を、少し視点を変えて評価をするという形をとってございます。「必要性」のところでございますけれども、J-PARCの意義と、それから、社会的な意義・貢献、それから、科学的・学術的な意義といったようなものについて記載しつつ、今後我が国の科学技術イノベーション政策の着実な推進に関して、J-PARCの貢献がますます期待されているという内容を書かせていただいたところでございます。
 また、「有効性」でございますけれども、原子核・素粒子物理学分野と書いてございますけれども、ニュートリノ振動の観測をはじめとした新しい知の創出への貢献、また、当該分野において世界をリードする我が国の学術的地位を支えているということ、それから、物質・生命科学分野につきまして、物質機能の解明から実製品開発に至る、基礎研究から社会実装に至る全段階を通じた取組が行われているということ、また、施設全体としまして、人材の育成、知的基盤の整備に貢献しているという点に有効性があるという形で記載をさせていただいたところでございます。
 それから、更におめくりいただいた「効率性」のところでございます。J-PARCにつきましては、御案内のとおり、JAEAとKEK、2つの研究機関が共同で運営をしているということでございますが、運営の効率性とか、利用者の利便性の観点から、J-PARCセンターとして一体的な運営に取り組んでいるということが効率的であるというような書き方をしてございます。今後、中長期的な計画の下、安定的で持続的な運営に努めていくことが重要であるというような書き方をさせていただきました。
 最後、(3)「今後の研究開発の方向性」のところでございます。ここには、様式上、本課題が継続、中止、方向転換、いずれかを記載するようにという観点で書くようにという内容になってございます。ここにつきましては、皆様に御議論いただくこととはなりますが、継続という形でまず事務局の案としては書かせていただいたところでございます。内容としまして、J-PARCは今後、数多くの利用、成果創出が期待されて、我が国の科学技術イノベーション政策における重要な大型研究基盤施設として、引き続き開発、利用を行っていくことが重要という内容を書かせていただきました。
 また、「今後の方向性」でございます。先ほども報告書の中で取り上げさせていただいておりますけれども、運転開始約10年ということで、施設の安定運転等を見越した先見的な取組を実施していくべき時期に来ており、施設全体を通じた今後の展開として、以下の点に留意し取り組むべきであるということで、こちらにつきましても、報告書の中を少し抜粋するような形で記載をしたところでございます。
 また、一番下のところでございますが、J-PARCの運転の安全の観点のところも少し触れさせていただいてございます。報告書でいうところの5ポツに当たりますが、この観点についても記載をしたところでございます。
 以上でございまして、この中間評価結果は、報告書の内容を適宜適切に反映していくような形になりますので、先生方から御意見いただいて報告書を修正する際には、こちらも併せて修正される形とはなりますけれども、様式の観点で、必要性、有効性、効率性の観点のところは少し報告書と観点が違いますので、そうしたところも含めて御議論いただければよろしいかなと思っております。
 以上でございます。
【菊池主査】  はい。
【西山室長】  少しだけ補足を。先ほど大榊補佐の方から御説明したとおり、この研究計画・評価分科会宛てのJ-PARCの中間評価結果については、本体の方の、先ほど御議論いただいた資料2の方の中間評価報告書のある意味抜粋という形になります。ですので、先ほどの議論があった結果、本体の方の報告書を修正すれば、自動的にこちらの方も修正をするという形になります。
 その観点でいいますと、「経営的視点の導入」等については、多くの議論がございました。現状、この中間評価票を見ると、「その他の論点」という形になっていて、これだと重要性が伝わらないというか、どちらが大事なのだという話になりますので、そこは例えば、今後重要となる事項とかいう形で変えさせていただいて、「経営的視点の導入」と「その他の論点」の間のところに導入部分を入れて、なぜこういったことが大事になるのかということも適切に挿入をするように修正はしたいと思いますので、その点だけあらかじめ付け足します。
【菊池主査】  ありがとうございます。
 それでは、今の御説明ありました中間評価票(案)について御議論をお願いいたします。
【熊谷委員】  いいですか。
【菊池主査】  はい、熊谷委員。
【熊谷委員】  この中間評価票の中に、このJ-PARC施設というのは大強度というのが一番の重要なキーになるところだと思っているのですが、今後、所期の目標に達して安定運転をすると、多分ハードとして一番考えないといけないのは、放射線による劣化だとか、そういうことをきちんとメンテナンスをしないといけないのだと思うのです。そういうことがこの評価票にはどこにもないのですが、やはり安定運転をするということがこの施設の最大の売りのわけだから、やはり何か少しネガティブというよりは、車でもメンテナンスしないと動かないわけで、同じようなことをどこかで、「その他」でも、何か先ほど「その他」にという話もあったとは思うのですが、きちんと入れた方がよいのではないかなと。
 なおかつ、そこは、例えばかなりの放射線劣化で機器を換えようとしたときには、年次計画をきちんと立てて予算化もしないとできないのです。多分、それが、利用をきちんとするときの制約になるのも非常に困るような気がするので、それは別途きちんと対応するということが必要かとは思います。
【齊藤センター長】  よろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【齊藤センター長】  今御指摘のとおりでして、経年劣化等についても、これは既に監督官庁の文科省の方と十分に、我々のプランを提示しながら議論を進めているところでありますが、これもやはり対策を打てば見えてくるまた別の問題が必ずあるはずですので、そういうことも含めて先取りして対策できるように我々としては努力しているところですので、今の観点を盛り込んでいただくことに私も大いに賛成したいと思っています。
【菊池主査】  (3)の「今後の方向性」のところに、運転開始から約10年が経過と、ここにありますので、今、熊谷委員のおっしゃったようなことを少しここに……。
【熊谷委員】  追加するような。
【菊池主査】  追加するという形でいかがですか。
 あと、そのほかよろしいですか。
【鬼柳委員】  今の話は、前の資料の7番目のところにも入るのですよね。「評価のまとめ」のところに一文を入れなければいけないですね。
【西山室長】  今の御議論は大事な話ですので、事務局の方で入れることで検討します。
【菊池主査】  山縣さん、生命科学の方の部分はここの記載で十分ですか。
【山縣委員】  何か少しだけ文言とかを入れたりとかをしていただければいいかなと。
【菊池主査】  「中性子利用の振興」のところにも、生命科学用実験装置の云々(うんぬん)という文言が……。
【山縣委員】  まとめのところですよね、先ほどのね。
【菊池主査】  はい、まとめの、「今後の研究開発の方向性」の「今後の方向性」のところに、最後の「中性子利用の振興」の3つ目の四角のところ。
【山縣委員】  恐らくそこはそれでほぼもう。
【菊池主査】  よろしいですか。
【久保委員】  よろしいですか。
【菊池主査】  はい。
【久保委員】  大体建設フェーズが終わり始めたところだと思うのですけれども、そうすると、次の施設ということを考えなければいけなくて、第二ターゲットステーションもそうかもしれませんけれども、次のフェーズに進むための計画についても着実に検討していくべきだというような文言が私には見えないのではありますが、すいません、どこか書かれていますか。それも入れた方がいいのではないかと思います。
【西山室長】  今先生がおっしゃったのは、例えばMLFの第二ターゲットステーションとはまた全然別の話でしょうか?
【久保委員】  いえ、そういう話。
【西山室長】  第二ターゲットステーション?
【久保委員】  はい。例えばそうですけれども、それに限らないことではありますが。
【西山室長】  本体の報告書の方ではその話は入れてありますが。
【久保委員】  ありますよね。
【西山室長】  その中で大事な話というか要点だけこちらの方に記載をしていますので、もしそれも入れる必要があれば入れるということだと思うのですね。
【久保委員】  はい、そうです。ですから、それは私としては大事な論点だと思っているわけですけれども、いかがでしょうか。
【田村委員】  少なくとも検討を進めなくてはいけないということは、最後のまとめにもあっていいのかなと思います。個別にこれをやるべしとまでは書けませんけれどね。
【久保委員】  そうではなくて、今から始めないと次の世代が育たないので、何も分からない人たちだらけになってしまうと、次が……。
【田村委員】  なので、個別の話というか、むしろ……。
【久保委員】  常にという意味ですね。
【田村委員】  常に今後の計画をしっかり考えていくという、そういうことですね。
【久保委員】  そうそう、施設として。
【西山室長】  それは本体の方にもそういう趣旨は必ずしも明確ではなかった気がするので、こちら(報告書)の方はまずは少し検討させていただいて、その上で必要なところをこちら(評価票)に抜き出すという形で。
【久保委員】  はい。
【鬼柳委員】  本体は、ここに少し第二ターゲットステーションに触れていただけですね。
【西山室長】  はい。
【菊池主査】  そうしますと、それは「施設の計画」という中に……。
【鬼柳委員】  最後にですね。
【久保委員】  そうですね。
【菊池主査】  もう一箱というか、一ポツを入れるというふうな認識でよろしいですかね。
【久保委員】  はい。
【鬼柳委員】  一箱というか、1行ですね。
【高梨委員】  よろしいですか。この中間評価票の3ページ、「前回評価の指摘事項への対応状況」、ここの記載はこれが基本的にいくのですか。それとも、何かもっと付け足すとか何か考えられるということですか。
【大榊補佐】  基本的に報告書の内容を抜粋してございますので、報告書に変更があれば書きますし……。
【高梨委員】  そういう意味ではなくて、まだ粗々の状態で、今日案を出しましたという状況ですか。それとも、もう結構これが完成品みたいなイメージですか。
【大榊補佐】  御議論いただいて、最終的に完成品となるという認識ではいますが、ある程度固めた形で書かせていただいたつもりではおります。
【高梨委員】  分かりました。では、それを踏まえてなのですが、親(計評)の方の議論のときに出てくるものとしては、もう少し具体的な記述があっても良いかなと思います。例えば(3)に「国際研究拠点化の役割」がありますね。そこで、「多くの外国人ユーザーを受け入れるとともに」というふうにあるのですが、もう少し具体的に数字があってもいいかなと思います。その他もろもろ……。
【大榊補佐】  定量的な評価をということですね。
【高梨委員】  結構丸めてしまっているので、読む側(がわ)としては、具体的に示していただいた方がイメージができやすいし、本当に有効なのかとか、きちんとやっているのかというのが分かって良いかと思います。
【菊池主査】  ここの具体的な数字を入れるということは、目標数字を入れるということですか。
【高梨委員】  いえ、これは対応状況なので……。
【菊池主査】  対応状況なので、現状のを。
【高梨委員】  はい、既にある状況だと思いますので。
【菊池主査】  それに関しまして、自分の企業での経験からしますと、具体的な数字を入れたとき、プラスに反応される場合と、実は読み手によっては非常にマイナスに受け取ってしまう、この両極端が出てくるということがあります。なかなか具体的な数字を入れるといったときに、そこの視点を私たちがあらかじめガイドしておかないと、数字そのものが独り歩きしてしまって、なかなか答申の中の心が伝わらない可能性があるのかなと少し懸念はしておるのですが、事務局の方いかがですか。
【西山室長】  難しい御指摘ですけれども、例えば論文の関係等もご議論いただきましたけれども、海外の類似の施設と比べて出力当たりの論文数だとか、Normalized Citation Impactの話だとか、海外と比較しても非常に良いデータが上げられているということもございますので、そういうふうにきっちり言えるものはきちんとアピールするということで修正をしたいと思います。
【菊池主査】  高梨委員、それでよろしいですか。
【高梨委員】  はい。必ずしも上の委員会で評価する人たちがこの分野をよく分かっているかというと大きなクエスチョンマークがあるので。大事なのは多分、他国と比べてどうかとか、前年度と比べてどうかとか、先ほどガイドとおっしゃった、そういう文言が少し入ると違うかもしれません。
 以上でございます。
【菊池主査】  そのほか、皆様の方からありますでしょうか。もしなければ、議論は一旦閉じるということで、よろしいでしょうか。
 それでは、皆さん御議論ありがとうございました。中間評価報告書又は評価票について、追記修正等が少しあるかなと思いますので、そこの部分、事務局の方が手直しをしてくださると思います。本日皆様から頂いた御意見を基に報告書の最終版に上手に適切に反映すると思っておりますので、その内容につきましては、できれば主査一任ということでよろしいでしょうか。非常に論点が散らばっているようなことがあるという部分は、あらかじめ皆さんとメール等でのやりとりは必要に応じてやらせていただきますが、基本的には主査一任という形で進めさせていただければと思っておりますが、よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございました。それでは、以上のような形で進めさせていただきますので、この中間評価報告書及び評価票については最終案を作らせていただきたいと思っております。
 それでは……。
【田村委員】  よろしいですか。主査一任で良いのですけれども、一応最後に最終形は回していただけると思ってよろしいですか。
【菊池主査】  それはそういう形でないと、皆さん委員の役割だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、全体を通じまして御質問ありますでしょうか。
 もしなければ、本日の作業部会をもちまして、J-PARC中間評価の報告書はおおむね取りまとまりましたというふうに思っておりますが、最終形は皆さんとメールで確認するということでよろしくお願いします。
 また、佐野局長から御発言を求められておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【佐野局長】  国会対応で遅参しまして、申し訳ございませんでした。
 今回の作業部会で取りまとめていただいたことに関しまして、一言皆様に御礼申し上げたいと思います。本作業部会は5年に1度のJ-PARCの中間評価を行うため、5回にわたりまして、会議とか現地調査を通じまして委員の皆様に大変精力的に御審議をいただきまして、本日区切りを迎えることができました。菊池主査、福山主査代理をはじめ、委員の皆様方に深く御礼申し上げたいと思います。
 先ほど、本日の意見を追記、反映させた形で報告書を最終的にまとめていただくということになりましたが、これまでのニュートリノ、ハドロン実験施設やMLFの研究成果についての御議論に加えまして、今後国際研究拠点としての更なる研究能力の向上にどのように取り組むべきか、貴重な御指摘や御意見を賜りました。また、新たな論点として、今後どのようにJ-PARCが経営的視点を取り入れていくべきかについて、あるいは本格的産学連携の実施等を進めていくべきかについて非常に重要な御示唆を頂いたものと思っております。
 一方、J-PARCにつきましては、かなり長期の事業だと思っております。今回J-PARCが運転開始から約10年という区切りの時期を迎えているところでございますが、今後のJ-PARCの更なる発展に向けましても、これまで得られた多様な研究成果を対外的に分かりやすくまとめて発信していくことが大変重要ではないかと思っているところでございます。
 このため、文部科学省におきましても、今後このような発信をしていく社会との関係において、J-PARCの位置付けをきちんと示していくということが重要であると思いますので、J-PARCとともにそのような発信活動も進めてまいりたいと思っております。また、これまで以上に多くの質の高い論文を創出していくための方策につきましても、J-PARCとともに検討してまいりたいと思います。
 今回おまとめいただくことになります中間評価は、今後5年間どのようにJ-PARCを運営していくかにつきましての方向性を決める1つの出発点となるかと思います。文科省といたしましても、本報告書を基にJ-PARCの関係者の皆様とともに更なるJ-PARCの発展と成果の創出に努め、今般御指摘いただきました新たな論点に対しまして真摯に取り組んでいきたいと思っております。これからもどうかよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
【菊池主査】  はい。
【齊藤センター長】  すいません、局長の後に申し上げるのは非常に失礼に当たると思いながら。多くの委員の方々に本当に長い時間を掛けていただき、非常に濃い内容で議論していただいたと思っています。そして、本当に皆さんの御期待がひしひしと伝わる御議論であったと感じています。我々こうしてJ-PARCという施設を運営させていただいておりますけれども、当初の目標、多くの方々が期待した内容に対して、まだ十分に応えられていない可能性が大いにあると感じておりまして、そこを更に発展させるためにどういうやり方ができるかというところにおいて多くの御示唆を頂いたと考えています。
 報告書としては十分にまとまった形になっていますけれども、我々としましては、ここで議論いただいた全ての内容を心に刻んで、J-PARCをより価値のある施設にしていきたいと思っています。もちろん局長以下、多くの方々の御指導を頂きながら進めてまいりたいと思っております。本当にこの御議論ありがとうございました。そして、今後ともよろしくお願いいたします。
【菊池主査】  ありがとうございました。J-PARCが本当に世界に誇る日本の最高の施設ですよ、という形でますます発展していただければと思っております。そして、私の方は産業界のものですから、いろいろな先生方が新しいサイエンスを作ってくださったら、それをいかにエンジニアリングに落として何か産業に結び付くものをやるということが私たちの使命だと思っております。更にそこからまた新たなサイエンスができていくような、そんな場所になるJ-PARCということを期待しております。今後ともますますの発展を御期待しますので、よろしくお願いします。
 また、最初の2回の作業部会は、福山主査代理に全ての進行をお願いしたところもありまして、また、皆さんとも十分なコミュニケーションもできていなかったかなと思いながらこの役割を務めさせていただきました。本当にありがとうございます。
 それでは、事務局の方から何か連絡事項がありましたら、よろしくお願いします。
【大榊補佐】  それでは、大強度陽子加速器施設評価作業部会でございますが、本日最終回でございます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中長期間にわたりまして御審議を賜りまして、どうもありがとうございました。
 本日の資料でございますが、後日、文部科学省のウエブサイトに公表させていただきます。
 また、本日の会議録でございますが、委員の皆様にメール等で御確認させていただいた後、文部科学省のウエブサイトに掲載させていただきたいと思います。
 また、報告書につきましても、主査と相談の上、先生方に御確認をさせていただくという流れを取らせていただきたいと思ってございます。
 また、本日の資料につきまして郵送を御希望の方は、封筒に入れた後、机上に置いたままにしていただければと思います。また、不要な資料とか紙、ドッチファイル等につきましては、机上に置いたままにしていただければと思います。
 以上でございます。
【菊池主査】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、大強度陽子加速器施設評価作業部会を閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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