資料2-1 新たな科学技術の実装による社会変革を目指した共創の推進(事務局作成たたき台)

1. 背景

 グローバル化やデジタル革命の進行など経済社会の構造が急速に変化する「大変革時代」が到来し、様々な新しい社会課題が生じており、その解決を図るために科学技術イノベーションが大きな役割を果たすことへの期待が高まっている。 
 新たな産業、ビジネスの創出という観点からは、本格的な産学官連携によるオープンイノベーション推進の重要性が叫ばれているが、イノベーションのスコープはそれにととどまるものではない。例えば、欧州で提唱されているオープンイノベーション2.0のように、企業、研究機関、大学等によるエコシステムの中に、市民や顧客、ユーザーをも巻き込んで社会的共通課題の解決を図る動き(※1)がある。
 そもそもイノベーションは、最終的な価値に目を向ければ社会変革を扱ったものとされているが(※2) 、ソーシャル・イノベーションの概念(※3) が近年盛んに議論されていることからも、イノベーションがもつ社会変革の側面が注目されてきているといえる。このような潮流を受けて、第5期科学技術基本計画においては、「科学技術イノベーションにより、未来の産業創造と社会変革への第一歩を踏み出すとともに、経済・社会的な課題への対応を図るためには、多様なステークホルダー間の対話と協働が欠かせない。このため、科学技術と社会とを相対するものとして位置付ける従来型の関係を、研究者、国民、メディア、産業界、政策形成者といった様々なステークホルダーによる対話・協働、すなわち「共創」を推進するための関係に進化させることが求められる。」とされている。
 この「共創」の推進に当たって最近特に重視されている取り組みが、新たな科学技術の社会実装から社会変革に至る過程において生じ得る倫理的・法制度的・社会的課題:Ethical, Legal and Social Issues(以下「ELSI」という。)について、人文社会科学や実践者の視点を中心として構造面を含めて可視化、定式化していくことや、多様なステークホルダー間での、目指す社会変革の姿やそこに至るまでに解決すべき課題に関する共通理解の形成、解決策模索のための科学コミュニケーションである。
 以上の問題認識に基づき、以下の章では、ELSIの探索・解決に対して人文社会科学と自然科学がいかに連携して取り組むべきか、これらの課題を解決し、望ましい社会変革を実現するための「共創」を駆動する科学コミュニケーションはどうあるべきか、さらには、これらの取組の担い手となる人材をどのように育成すべきかについての考え方を示す。

2. ELSIへの対応について

(1) 共創的科学技術イノベーションにおける調整型アプローチと再構成アプローチ
 第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)においては、科学技術イノベーションと社会との関係深化として、多様なステークホルダーによる対話・協働に基づく共創的科学技術イノベーションの推進が謳われており、新たな科学技術の社会実装に際しては、国等が、多様なステークホルダー間の公式又は非公式のコミュニケーションの場を設けつつ、ELSIについて人文社会科学及び自然科学の様々な分野が参画する研究を進め、この成果を踏まえて社会的便益、社会的コスト、意図せざる利用などを予測し、その上で、利害調整を含めた制度的枠組みの構築について検討を行い、必要な措置を講ずることが求められている。
共創的科学技術イノベーションのあり方として、新しい科学的知見や技術を起点としたイノベーションと、社会問題や期待、社会的動向を起点としたイノベーションが想定される。そして社会との共創のあり方については、前者には調整型アプローチが、後者には再構成型アプローチが求められる。

1  新しい科学的知見や技術を起点とした調整型アプローチ
 従来、新しい技術開発に成功し、それを社会実装していくという流れが多かった。この場合、この技術の環境適合性、ヒューマンインターフェイスなどの科学的研究によって社会実装のための配慮を行うことに加えて、新しい技術に伴う法制度の未整備、人々の価値観や順応性とのずれなどの課題や懸念を解消することによって社会(国民)の視点に立って新しい技術が受け入れられる環境を整えることが不可欠となる。言い換えれば、新しい技術が社会実装されるに当たっての社会(国民)への影響を多面的に俯瞰する広義のテクノロジー・アセスメントなどの必要性である。例えば、情報処理等の研究進展に伴う自動運転技術の社会実装においては、自動運転に起因する事故発生時の法的責任の所在の問題など、社会の視点に立った環境整備を含む広義のテクノロジー・アセスメントが必要となる。
 したがって、これらの視点から課題解決するためには、科学技術の研究開発活動と並行してステークホルダー間で検討・調整するアプローチ(調整型)が求められる。この場合、個別技術の特徴に応じて具体的な課題や懸念が抽出され、それに対応する解決策、解消策を検討することが必要である。そのため、できるだけ早い段階から各研究開発課題に対して個別に具体的な措置を講じることが重要となる。

2  社会問題や社会動向等を起点とした再構成型アプローチ
 他方で、社会(国民)の観点から社会問題を俯瞰・分析し、現在あるいは将来の社会における様々な社会課題を特定して、その解決のために求められる研究開発テーマ等を検討するという再構成型アプローチも重要である。とりわけ、研究開発者からは盲点となっている課題を掘り起こすことも含め、社会(国民)からの研究開発者への課題提案が期待される。例えば、先に触れたSDGsの目標群は社会課題の典型と言える。また「環境と人間活動が相互に影響しあう複雑な地球環境システムの理解と、地球規模の課題の解決に向けて、自然科学・人文科学・社会科学など、あらゆる分野の参加を呼び掛け、社会のパートナーとの連携・協働により、研究を企画、実行し、研究成果を活用 」することを目指すFuture Earthプロジェクトなども、再構成型アプローチの一例である。
 このようなアプローチの場合にも、社会(国民)からの要求に応えるために有効な科学技術を特定していくことが必要となるため、検討の初期段階から研究開発者とそれに係るステークホルダーが協働することが重要である。

(2)社会の課題や懸念に応える対応策の検討
 これら調整型、再構成型のいずれの場合であっても、ELSIをはじめとした社会課題や懸念の発見と、その解決策、解消策の検討にあたっては、研究開発者や社会(国民)など、多様なステークホルダーの相互作用が不可欠となる。とりわけ、今後は社会課題への対応が強く求められると考えられ、研究開発の取組の方向性も、従来の調整型アプローチだけではなく再構成型のアプローチにより重点を置くことが重要となる。
 また、EUではELSIを発展的に継承した概念として「責任ある研究とイノベーション:Responsible Research and Innovation(以下「RRI」という。)」が提唱されているが、このRRIでは、研究開発がどのような方向に展開するかの予見(anticipation)を誰が行うのかがカギとなると指摘されている。予見を、専門家だけに閉じられた空間で行うのではなく、科学技術の影響を共有することになる市民に開かれた形で行うことが重要であり、これは調整型アプローチに必須である。一方で、再構成型アプローチは社会問題を起点とするが、それを解決するための具体的な技術課題が絞り込まれた後は、その技術課題を社会(国民)の側がどのように受け入れていくかが再び問題となる。その意味で調整型アプローチと同型の課題が生じる。したがって、上記調整型と再構成型は円環的に補完される。
 新しい科学技術の社会的受容に関しては、現行の法制度や価値観などに照らして、当該科学技術が内包する課題を明らかにし、それを具体的な人文社会科学的課題として定式化することが必要となる(以下「社会技術的活動」という。)。
こうした社会技術的活動は、従来から一部の事業の一環として行われてきているが、それにより得られた情報や知見、ノウハウ等は必ずしも系統的に蓄積されていないと言える。また、個々の事業において社会技術的活動に従事していた者も事業の終了とともに四散し、継続的な社会技術的活動への従事ができておらず、持続的な人材育成という観点が見過ごされている。この結果、新たな社会技術的活動を実施する際に、従前の活動の知見やノウハウ等が十分に活用されず、また、社会技術的活動を適切に行える人材もいないという状況が生じている。
今後、多くの場面で社会技術的活動が重要になってくる流れがあることを踏まえ、人材育成の観点を取り入れた継続的な取組の実施とともに、社会技術的活動の情報や知見、ノウハウ等を体系的に蓄積し、活用できる仕組みを整備することが必要である。

3.科学コミュニケーションについて

(1)科学コミュニケーションの役割の変遷
 社会の発展や経済の成長が科学技術の成果や使い方に大きく依存するようになっている現代においては、科学コミュニケーションは、正確な科学技術情報を提供し、科学技術の楽しさ、科学技術の正の側面を伝えるだけではなく、科学技術の持つ負の側面も正しく伝え議論を促すことや、広く公共に資する人道主義に基づいた社会課題の解決や利害の調整に関わることも、より一層求められるようになっている。そして、そのような社会課題の解決や利害の調整においては、当然ながら、従来の科学コミュニケーションが想定していた役割では対応出来ない複雑な意思決定のプロセスが存在する。従って、時には利害の対立を科学コミュニケーションが正面から扱わざるを得ない状況が発生する。このような「痛み」を伴う科学コミュニケーションが、社会と科学技術の関係深化に伴い増加してきている。
 科学コミュニケーションの役割が拡大している中、科学と社会をつなぐ架け橋として期待される科学コミュニケーターは、科学館や研究機関をはじめとしてその活躍の場を広げてきた。その育成も科学館、博物館、大学等において広がりを見せてきた。
 科学コミュニケーターは、第3期科学技術基本計画において「科学技術を一般国民に分かりやすく伝え、あるいは社会の問題意識を研究者・技術者の側にフィードバックするなど、研究者・技術者と社会との間のコミュニケーションを促進する役割を担う人材」とされた。その後の第4期科学技術基本計画においても「国民と政策担当者や研究者との橋渡しを行い、研究活動や得られた成果等を分かりやすく国民に伝える役割」を担うとされてきた 。科学コミュニケーターはこのような考えの下、科学と一般市民をはじめとする社会をつなぐ役割として科学館や大学等で育成され、科学を社会に伝え、社会の声を研究者等の専門家に伝える活動を行い、科学技術と社会の関係の深化に寄与してきた。
 第5期科学技術基本計画においては、その策定に当たり、科学技術と社会の関係深化における「共創」の重要性が指摘 され、共創的科学技術イノベーションの推進という考え方が提示されるとともに、対話・協働の場における科学コミュニケーターの活躍の必要性が述べられた。このような科学技術基本計画の変遷に示されるように、科学コミュニケーションの活動は多様化、複雑化してきた。例えば、家庭における科学に関する会話、科学館の職員と来館者の対話、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、インターネット、テレビ、新聞等のメディアの情報発信、研究の場における研究者同士の議論、誤った科学に関する「風説」や「解釈」への対応、サイエンスカフェで行われる専門家と市民の対話などが挙げられる。そして、それらの活動の規模、構成員、扱われる知識の内容、量も様々である。
 科学コミュニケーターは現在、企業、行政にも活躍の場を広げつつあるが、第5期科学技術基本計画においては、その活躍の場を「科学館、博物館等」としているように、依然として科学コミュニケーションの中心が科学館等である現状を示している。
近年、超スマート社会であるSociety5.0の実現や国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の達成などに社会的関心が集まっており、それらをいかに進めるべきかを考えることは重要な社会課題である。これに加えて、高齢化や人口減少などの既に顕在化している社会課題や、今後顕在化する社会課題にも適切に対応していく必要がある。そのためには、科学技術の活用が重視される場合が多いことは確かであり、そこでは科学コミュニケーションが新たな役割を果たす必要がある。
 このような状況を受けた取組として、例えば、国内では、国立研究開発法人科学技術振興機構の社会技術研究開発センターにおいて、多様なステークホルダーが関与し、社会課題の解決のための研究開発を行っている 。
 世界に目を向けると、2006年に国連が責任投資原則 を定めて以降、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)投資、いわゆるESG投資が意識されているが、SDGsと相まって企業の経済活動においても社会課題に取り組む機運が高まっている。また、前述したとおりEUではELSIを発展的に継承した概念としてRRIが提唱されているが、そこでも、イノベーションの早い段階からの一般市民やステークホルダーの参加が提案されている。

(2) 科学コミュニケーションの必要な機能
 以上のとおり、科学コミュニケーションは科学と社会、そして各種の学問分野等様々な事象をつなぐ役割を期待されている。それぞれのコミュニケーションの場において、通常理解が難しい科学技術等に関する知識(用語、概念等)をその場の各参加者が理解することは参加者同士がつながるための第一歩である。そのため、対話の場において科学技術等に関する知識を翻訳することは科学コミュニケーションに必要とされる最も基本的な機能である(知識翻訳)。特に、研究現場や成果の社会実装の場においては、高度化、細分化された専門知識をもとに各ステークホルダーの共通理解を形成することが必要であるため、自然科学のみならず、人文社会科学を含む広範な学問分野に係る知識翻訳が欠かせない。【知識翻訳機能】
 科学コミュニケーションは、何か一つの結論を得る目的での議論に尽きるものではないが、科学技術の社会実装の場においては、対象となる科学技術がどのような形、方法ならば受け入れ可能となるか、といった問題について一定の合意を最終的には得るための科学コミュニケーションが必要になる。この場合の科学コミュニケーションには、中立な立場で議論を収れん(コンバージェンス)させ、又は収れんに向けより活発に建設的な議論を進め、各ステークホルダーがその結果を自らのものとして受け止められるようにするための対話・調整機能を果たすこと求められる。【対話・調整機能】
 そして、今後求められる役割を果たすには、前述の知識翻訳機能、対話・調整機能を果たした上で、社会課題に関する議論を建設的な方向に導き、研究開発者と多様なステークホルダーや一般市民が「共に創る」ことにより科学技術イノベーションへと発展させていくことが必要となる(コーディネーション機能)。その際、社会課題などへの対応策(政策、新たな科学技術の社会実装、共創活動等)について研究開発の初期段階より多様なステークホルダーが共に考慮し、相対化し、反省的に見直す機能(リフレクシヴィティ)も重要となる。その際、見直す対象については予断を持たず、常に全体を俯瞰する必要がある。【共創のためのコーディネーション機能】
さらに、前述の知識翻訳機能、対話・調整機能に加えて、共創のためのコーディネーション機能まで果たすためには、対話の参加者に広範な知識(自然科学だけでなく、人文社会科学を含む学問分野全般)、社会貢献の意識、課題探索力、解決方法の構想力、立場の異なる人々をつなぐコミュニケーション能力(様々なステークホルダーの利害を理解、分析できることなど)などが重要となり、これらの能力を総合的に備えた科学コミュニケーターが求められる 。
 このように、科学コミュニケーションに備わるべき必要な機能は、社会の変化に伴い、社会課題に対応するための機能を含むように変化してきている。しかし、社会課題の解決過程や社会が科学技術をどう受け入れるかの合意においては、「痛み」を伴う科学コミュニケーションをさえも超えた意思決定のプロセスも存在しており、科学コミュニケーションには限界が存在することに留意すべきである。

4. 人材育成について

(1) ELSIに対応する人材の育成
 社会問題の俯瞰・分析を通じての社会課題の特定や新しい科学技術の社会実装に係る課題や懸念の解消にあたっては、人文社会科学的な視点や実践的志向を持った者が主体的に関わっていくことが重要である。とりわけ、新しい科学技術の社会的受容に関しては、現行の法制度や価値観などに照らして、当該科学技術が内包する課題を明らかにし、それを具体的な人文社会科学的課題として定式化することが必要となる(以下「社会技術的活動」という)。そして、このような人文社会科学的課題を研究開発活動に反映することが必要である。しかし、人文社会科学研究においてこうした活動は一部にとどまっており、また、人材も積極的に育成されていないのが現状であり、今後、こうした活動に適切に対応できる人材を育成していくことが課題である。例えば、上記の調整型、再構成型それぞれのアプローチに係る具体的な取組事例についての分野横断的なケーススタディを行うことなどを通じて、その解消方策を検討することができる人材を育成することが有益であると考えられる。
 また、多様なステークホルダーとの相互作用を促進するためには、自然科学、人文社会科学の研究者のみならず、社会(国民)の参加も必要となる。そのため、社会(国民)に対して、社会問題と新しい科学技術の対話に資する情報や観点を発信することが重要である。新しい技術に関する正しい理解に基づき、社会に与える正負両面の影響を伝え、社会(国民)の参加を促すことのできる人材を育成することも有益であると考えられる。こうした取組を促進する方策を継続的に実施することを通じて、研究者のネットワークの構築や継続的な人材育成を行うことが必要である。

(2) 科学コミュニケーションに関する人材の育成
 科学コミュニケーションは、議論の場における知識翻訳機能、対話・調整機能に加え、共創のためのコーディネーション機能を果たす必要がある。特に、社会課題の解決に取り組む、または新たな科学技術の社会実装を行うための議論においては、当初は各ステークホルダーの関心が異なり、立場の違いが目立つことなどから、各ステークホルダー間の摩擦が起こることが多い。そのため、科学技術と社会の相互作用のあり方や現在の社会環境を踏まえた適切なステークホルダー間のコミュニケーション手法、意思決定のための合意形成手法の開発など、様々な科学コミュニケーションについて研究を行うことが重要であるとともに、科学コミュニケーションの担い手である科学コミュニケーターの育成においては、コミュニケーションに関する多様なスキルについて習得することに加えて、多様な経験を通じて公共的役割を果たそうとする志をかん養することが非常に重要である。従って、科学コミュニケーターの育成過程において求められる機能を果たすための能力等を明確化し、それを体系的に習得するとともに、実践を通じて能力等を高められるようなカリキュラムの作成と、実行が必要となる。
 そのため、科学コミュニケーターの育成機関は、従来の科学コミュニケーションに求められる能力等に加え、より深く社会課題の解決に関わるために必要となる能力等の育成に努めるべきである。
国は社会課題の解決に取り組むための科学コミュニケーション手法に関する研究とともに、科学コミュニケーターの育成に有効なモデルの構築を目指す取組を行うべきである。
 研究者は、研究の内容や成果を社会に伝えるだけでなく、社会と研究をつなぎ、研究が社会にもたらす価値をより高めるために、研究者自らが科学コミュニケーションに携わる必要があることを認識する必要がある。さらに言えば、研究者自身が社会において多様なステークホルダーの一員であるから、科学コミュニケーションは研究活動を構成する重要な要素であるとの認識を研究者個人のみならず研究機関、学術団体等が持つ必要がある。
 以上述べてきたように、科学コミュニケーションとは、文理を問わず学問の諸分野を「つなぎ」、社会課題の解決に向けて多様なステークホルダーを「つなぐ」重要な役割を担う優れて知的でかつ専門的な活動である。日本経済団体連合会の大学改革に係る提言 においても、新たな科学技術の社会実装の際に自然科学と人文社会科学の連携、融合による対応が必要であることに言及されているが、この場面でも科学コミュニケーションの果たす役割は大きい。このように、科学コミュニケーションの機能は様々な場面で必要とされていることがもっと広く認識されるべきである。また、科学コミュニケーターや、研究者自身が行う科学コミュニケーションの取組は、科学と社会の関係が深化した現代においては科学技術を有効かつ適切に活用して様々なステークホルダーや一般市民と共に価値を創造し、科学技術が社会と共にあるために不可欠な活動であるとの理解が研究者、研究者コミュニティーの間に深く共有されることが必要である。



(※1)  オープンイノベーション協議会、「オープンイノベーション白書」(初版)平成28年
(※2) 大室悦賀(2009)、「ソーシャル・イノベーション理論の系譜」、京都マネジメント・レビュー、第15号、pp.13-40
(※3)   ソーシャル・イノベーションは、例えば谷本寛治・編著、「ソーシャル・エンタープライズ―社会的企業の台頭」, 2006, 中央経済社)によれば、「社会的課題の解決に必要とされる社会的商品やサービスの提供、あるいはその提供の仕組みの開発」と定義されている。

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