第10期 環境エネルギー科学技術委員会(第8回) 議事録

1.日時

令和2年11月10日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催。

3.議題

  1. 環境エネルギー科学技術分野の今後の方向性について
  2. 研究開発課題の評価について
  3. 他委員会等の動きについて

4.出席者

委員

高村主査、江守主査代理、石川委員、沖委員、奥委員、加藤委員、堅達委員、佐々木委員、嶋田委員、清水委員、竹ケ原委員、波多野委員、本郷委員、本藤委員

文部科学省

堀内大臣官房審議官、土居下環境エネルギー課長、清水課長補佐、葛谷課長補佐、堀川地球観測推進専門官、對崎専門官、三村係長

5.議事録

【高村主査】ただいまから科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会第10期の環境エネルギー科学技術委員会の第8回会合を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、委員の皆さま、そして傍聴の皆さま、ありがとうございます。
まず事務局から、人事異動があったということですのでご紹介いただいて、続けて本日の出席者そして資料の確認をお願いしたいと思います。事務局にお願いいたします。
【三村係長】事務局より、研究開発局の人事異動についてご報告いたします。研究開発局審議官に堀内が着任いたしておりますので、一言ごあいさつを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
【堀内大臣官房審議官】高村先生、どうもありがとうございます。研究開発局担当の審議官をしております堀内と申します。よろしくお願いいたします。環境エネルギー科学技術委員会に、皆さまお忙しい中ご参加いただきありがとうございます。
環境エネルギー分野については、先般、総理のほうから、所信表明演説において、わが国として2050年までに脱炭素社会を実現するというような非常にインパクトある目標が掲げられました。また地球温暖化対策の本部においても、総理から脱炭素技術の開発や経済社会の変革などを進めるよう指示があったというところです。今非常にこの分野は注目を集めているところであります。
文部科学省としては、この分野において基礎・基盤研究というようなところを担当しているわけでありまして、これまでも全ての気候変動政策の基礎となるような気候変動予測情報の創出であるとか、世界初の次世代半導体の結晶成長技術の確立など、脱炭素化技術の開発などについて成果を上げてきております。今後、2050年ということなので、簡単に言えば30年ぐらいあるわけですけれども、脱炭素社会の実現という非常に課題の多い目標、高い目標に向けて、技術開発・社会変革に向けた努力をしていかなければいけない中で、われわれの役目、基盤・基礎のところ、科学的知見というものが非常に重要になってくるのかなと、またそういったところから積極的に貢献していかなければならないのかなというように考えておりまして、本日も皆さまからご意見を頂戴しながら、貢献を少しでも多くしていければということで考えておるところでございます。
今後ともいろいろな課題、また取り組みなどをご議論いただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上です。
【三村係長】事務局でございます。本日のご出席の委員は、現時点で過半数に達しておりますので、委員会は成立となります。中山先生、山地先生につきましては、本日、ご欠席と伺っております。
それでは本日はオンライン会議になりますので、委員会の進め方について簡単にご確認させていただきます。
まずウェブ環境の安定のため、ご発言されていないときには、音声と画像をオフにしていただくようにお願いいたします。また、ご発言をいただきたい場合には、手を挙げるボタンを押していただくようにお願いいたします。
指名を受けてご発言をされる際には、マイクとビデオをオンにしてください。
挙手ボタンの使用についてですが、画面中央下のほうに丸形のボタンが並んでおりまして、そのボタンの中に人の形が描かれた参加者ボタンがございます。その参加者ボタンをクリックしていただき、画面の右側のほうに表示される参加者リストの下に手の形をした四角のボタンが挙手ボタンになります。ご発言される際はこのボタンをクリックしていただきまして、ご発言が終わりましたら再度挙手ボタンを押して挙手を解除していただければと思います。また、挙手ボタンの利用が難しい場合は、ビデオをオンにしてお知らせください。
傍聴者の方へお願いですが、万が一システムトラブル等で傍聴不可となった場合には、後日公開します議事録をご確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【高村主査】ありがとうございます。事務局のほうでご対応をお願いいたします。
それでは、本日の議事次第にありますとおりですけれども、3つの議題を予定しております。委員の皆さまから忌憚のないご意見を頂きたいというふうに思っております。本日の会議終了時刻は18時を予定しております。
それでは早速ですが議事を進めてまいります。議題の1ですが、議題の1は環境エネルギー科学技術分野の今後の方向性についてでございます。先ほど堀内審議官からもご紹介がありましたように、先月10月26日ですけれども、内閣総理大臣の所信表明演説で、わが国として2050年までに脱炭素社会を実現するという、非常に明確な目標が表明をされたところでございます。令和3年度の概算要求について事務局からご紹介をしていただいた後に、こうしたこの間の動きも踏まえて自由討議をしたいと思っております。
それではまず事務局からご報告をお願いできますでしょうか。
【清水課長補佐】それでは事務局から、令和3年度の文部科学省の概算要求の概要について簡単にご説明をさせていただきます。
先ほど高村先生からもありましたけれども、2050年の脱炭素化ということで、これまでの日本の目標がさらに引き上げられたが、文部科学省としても基礎・基盤的な研究といったところを中心に、今後予算要求も含めて頑張ってまいりたいと思います。具体的な令和3年度の予算要求について、今資料として映しております1枚紙を基に順番にご説明をさせていただきます。
まず1つ目は、デジタル化時代を支える徹底した省エネルギーの推進というところで、革新的なパワーエレクトロニクスの創出基盤技術の研究開発を推進してまいりたいと思います。この事業は2014年に青色発光ダイオードの関係でノーベル賞を受賞いたしました名古屋大学の天野先生を中心に、これまで窒化ガリウムの結晶作成技術等に関しての研究開発を5年間で進めてまいりました。ちょうど令和2年度にその事業が終わることになっておりまして、令和3年度からその研究成果を生かした、今度は半導体のみならず、周りの受動素子や回路システムなどの研究を一体的に行う研究開発を行ってまいりたいと思います。これまでの研究開発の中でも、p型イオン注入の活性化など、世界初となる技術を日本としてさまざま生み出しております。そのような研究成果を生かし、世界に先駆けて次世代半導体、革新的なパワーエレクトロニクスを開発していくということで、引き続きしっかりと予算措置をしてまいりたいと思っております。
2つ目ですが、次世代蓄電池の研究開発の推進というところでございます。次世代蓄電池は電気自動車等に不可欠な要素となりますけれども、次世代蓄電池ということで、これまでJSTのALCA事業の中で研究をしてまいりました。
目指すところとしては、現在リチウムイオン蓄電池の延長線上にはない全く新しいタイプの蓄電池を開発し、従来のリチウムイオン電池の10倍のエネルギー密度、また10分の1のコストの実現というところを焦点に当てて研究をしてきたところでございます。令和2年度からは、さらに電池特性に係る基礎的な課題解決のための基盤研究拠点を設置することを目指しておりまして、引き続き令和3年度においても措置をしてまいりたいと思っております。
3つ目ですが、革新的な脱炭素化技術の研究の推進というところでございます。こちらは革新的なイノベーションを起こすための多様なシーズ創出を支えるための事業でございます。2050年の社会実装を目指しまして、さまざまな戦略を踏まえて、温室効果ガスを大幅削減するための従来技術の延長線上にはない革新的なエネルギー技術を生み出していくといったことを強力に推進しております。
4つ目ですが、地域の脱炭素化加速のための基盤研究の推進というところで、こちらは完全に新規事業ということで考えております。大学の力を結集した地域の脱炭素化加速のための基盤研究開発ということで事業を立ち上げてまいりたいと思いますが、地域の脱炭素化の計画を立てる、あるいは戦略的な取り組みを進めていくために、共通に必要となるような社会的技術等の知見を創出しようというものでございます。こちらは人文社会科学の知見も活用しながら、大学と地域が連携をして、地方の脱炭素化を進めていくための知見を生み出していくような研究開発を進めてまいりたいと思います。
最後ですが、地球観測・予測情報を活用して環境エネルギー問題に対応です。こちらは気候変動適応戦略イニシアチブというところで、このプログラム自体は継続してやっていくものでございます。気候変動メカニズムの解明、高精度の予測情報の創出といったところを通じて、防災等にも生きるような形での情報・知見を創出していくということで、これまでの日本の優れた気候モデルはIPCCなどの国際枠組においても多く使われております。そのような研究開発を引き続き行っていきたいということが1つでございます。
もう1つは、さまざまなところでの地球観測ビッグデータや、予測情報に関するデータを蓄積・統合・解析するシステムであるDIASをしっかりと運営してまいりたいということ、また、データ利活用の観点から、しっかりとデータの利用拡大を進めていくということでございます。異常気象の発生確率の予測や、リアルタイム浸水予測などによる防災などへの貢献が考えられます。こうした実際の社会的な課題解決のためのデータ利活用を積極的に進めてまいりたいと思います。
簡単ですが以上となります。
【高村主査】どうもありがとうございました。それではただいま概算要求についてご説明をいただきましたけれども、この件に関してご質問・ご意見がありましたらお願いいたします。この資料についてスペシフィックなご質問、クラリフィケーションなご質問に限らせていただいて、むしろこうしたことも踏まえて、今後の環境エネルギー科学技術分野の方向性については、この後委員からご議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。資料の1に特化したご質問がもしございましたら、今の段階で手挙げ機能を使ってお知らせいただくか、私のところはたぶんチャットを見ることができますので、チャットで教えていただければと思います。よろしいでしょうか。もしございましたら、この後の自由討議の中でご質問いただいても結構でございます。
それでは、今、先出しをしてしまいましたけれども、資料の1で概算要求についてはご紹介があったところでありますけれども、先ほど清水補佐からも、それから堀内審議官からもありました、2050年に脱炭素社会を目指すという総理の所信表明演説を受けて、こうしたこの間の動きを踏まえた上で、これまでもいろいろ議論いただきましたけれども、今後の環境エネルギー科学技術分野の方向性についてご意見があれば頂きたいと思っております。
事務局から事前に、ご発言を希望、資料を提出される方には資料をというふうにお願いをしていたかと思いますけれども、私が伺ったのは、2人から資料を頂いているというふうに理解をしております。1人は本郷委員、そしてもう1人は佐々木委員だと思いますけれども、他にもし、もちろん資料なしでご発言をいただくといたしまして、議論の皮切りを務めていただくということで、本郷委員からお願いをできますでしょうか。その後、佐々木委員お願いいたします。
【本郷委員】ありがとうございます。私は科学技術の専門家というよりは、むしろ企業のほうで長期の戦略を分析・アドバイスしている立場でございます。そういう立場から見て、この2050年ネットゼロのための科学技術予算、どういう考え方があるのかなということで、ざっくばらん、素朴な意見でございますけれども、3点ほど紹介させていただければと思います。
1点目は需要側からの発想というものを科学技術予算では取り入れていただけないか。というのは、企業というのは、やはりこの2050年に比べればはるかに短い期間で収益を上げるということもあるので、どちらかというと手元にある技術をいかに使っていくか、こういうような傾向が強い。つまりは、これは使えないかという発想なのですね。むしろこの科学技術予算にはそうではなくて、必要なものは何かと、そういうような発想から、2050年にはどんな世界があって、そこで必要なものは何かというような形で考えていただくというのも一つかなと思っています。
2点目は、選択と集中から分散投資への変換ということでございます。2050年というのはやはり相当先の話でございます。そうしますと、いろいろ今やっていることが成功するかどうか、その成果については不確実性があるわけです。そういうことであるならば、ちょっとやり方を変えて、同じ目的の同じことを狙う技術があるのであれば、複数の技術に科学技術予算を割り当て支援するという考えはないだろうかと。日本はどちらかというと、一つに絞りオールジャパンというような形で取り組むということが多かったわけですけれども、ちょっと発想を変えて、これだけ長期の話になると、むしろいろいろなものに分散投資をし、それはひいては研究開発の中での競争原理というものが働くような環境ができるのではないかという提案です。これは詳しくは存じ上げておりませんが、米国National Laboratoryを見ますと、同じ目的に対し、例えば二酸化炭素地下貯留とかであれば、それに対して2つ3つ別々のNational Laboratoryにお金を出し、そこから先に企業との共同研究を行うとかやっております。そうした例もありますので、この複数の技術に分散投資するというような発想があってもいいのかなと思いました。
3番目は研究人材の話でございます。やはり5年というのは短いのではないかなと。先ほどの次世代パワーエレクトロニクスの話もありましたけれども、タイミング良く見ていくと、レビューして見極めていくということは必要なのですけれども、やはりどうしても5年というのは短いのではないかなと。それから研究者にとっても、その5年の間で結果を出さなければ、ある程度見えることを出さなければいけないということで、やはり落ち着いて研究できる環境ではないということもあるので、そういう意味で、中間見直しはあるけれども、10年に延長できないのかなということを、産業側のほうから見てみますと思いました。
それから人材の関係で言うと、研究に専念できる環境、いろんな先生方を拝見していますと、手続きだとか非常に大変そう、事務処理が大変そうでございます。そういう意味でも研究に専念できる環境を提供してあげられないのかなと。ただ一方で、異分野あるいは企業・産業との交流をすることによって、集中するところと、それから広く需要サイドを見ていくという話と同時にバランスをとると、そういうような環境、場所を作ってあげることはできないのかなと、そんなことを思った次第です。
【高村主査】ありがとうございます。それでは佐々木委員にお願いをしたいと思います。すみません、全体の質疑の時間は限られておりますので、事務局から勝手ながら2分というふうにお願いをしておりますが、ご協力いただけるとありがたいです。それでは佐々木先生、お願いいたします。
【佐々木委員】それではお示ししている資料、脱炭素社会実現に向けた研究力基盤の重要性ということで、佐々木のほうから発言させていただきます。何度も出ておりますけれども、総理が所信表明演説で脱炭素社会の実現ということを明言されました。脱炭素化に貢献したいというのが、本委員会の委員の皆様方の思いだと思います。他方、大学の現場を振り返りますと、グリーンイノベーションのまさに研究現場では、この2050年へのグリーンイノベーションのけん引役となるべき、主役となるべき博士課程の学生がどんどん毎年のように減少しているという状況でございます。なので、やはり我々に何ができるかということを考えるときに、この委員会の委員も2050年には皆さんリタイアしているわけでありまして、だからこそ、今こそわれわれは未来を担う人材への投資ということを明言するべきではないかと思っております。
そういうことを考えますと、例えばですけれども、博士課程の学生への支援ということになりますと、特別研究員制度というすばらしい制度がございます。例えばこういう制度の中で、脱炭素研究枠のようなものができると、やはりそれにチャレンジしたいという方々が腰を落ち着けて博士研究に従事できるというのが1点目でございます。
さらに2点目で、先ほども概算要求でありましたように、文部科学省さんにもいろんな研究資金をご用意いただいております。そういう中で、博士課程の学生や修士課程の学生がリサーチアシスタントなどで参画して、文部科学省の事業の中でグリーンイノベーションにチャレンジできると良いです。
最後に、事業が例えばあと1年2年となったときでも、それから博士研究をやりたいという方には、少し研究期間を延長して、その博士課程の学生への支援分だけでも基金化し、研究を継続できると、さっき5年という話がありましたけれども、それとも似ているかもしれませんけれども、そういう形で未来を担う人材へ投資していただきたいと思います。堀内審議官からお話がありましたように、基礎・基盤の部分はやはり文部科学省さましかできないことだと思います。ぜひご検討いただきたいと思います。
私からは以上です。
【高村主査】ありがとうございます。
それでは資料をご準備でない委員も含めて、ご発言があればお手を挙げていただきたいと思います。それではまず加藤委員、お願いいたします。その後江守委員、沖委員にお願いしたいと思います。
【加藤委員】ありがとうございます。加藤です。
今の佐々木先生のご意見に全く賛成なので手を挙げたのですけれども、前から言っているように、文部科学省ではやはり人材を育成していかなければいけなくて、博士課程の学生に給与を出そうというのは、大学側の現場の人間がお願いしているところであります。ぜひこれは、環境エネルギーに限らず、研究力を付けていくためにも、またこういう長期の30年にわたってのプロジェクト的なことをやっていくためにも人を育てるということは非常に重要かなと思います。
それで、この概算要求の中で、今の目的に関しては、未来社会創造事業だとか、あるいは今度新しく予定される地域の大学を利用するというような、そういうプロジェクトで行われていくのだろうと思って全く賛成ですけれども、そういうところにおいてもやはり多様性のある研究をしていくということに配慮していただければいいかなと思っています。
もう1点だけ。脱炭素社会という言葉がもう定着してしまったので今更ですが、科学の分野から見るとやはり違和感があって、そこは省略し過ぎだろうと思うのです。正確には脱炭素エネルギー社会ですよねということを世の中に訴えていきたいなと思っています。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。それでは江守委員、お願いいたします。その後沖委員、その後堅達委員お願いいたします。
【江守主査代理】僕は以前から言っていることの繰り返しになるのですけれども、2050年脱炭素ということになって、やはり改めて思いますのは、やはり革新的技術が必要だというような捉え方というのは、すごく首相の演説にしても出てきていると。そこで水素であるとかカーボンリサイクリングということになってくるのですけれども、それらはもちろん重要ではあるのですけれども、僕はいろいろな人の話を聞いていて、認識としてはやはり脱炭素の幹の部分というのは再生可能エネルギー、特に太陽・風力がどんどん安くなって、大量に入って、それが大量にちゃんと系統に接続されて、そしてそれらで需給のバランスがちゃんと制御できるようになると。これはストレージとかデマンドレスポンスとかそういうことも含めてですけれども、そういうふうになることであって、そこに水素だとかカーボンリサイクリングということが最終的には必要になってくると、そういう基本的な姿なのかなと思っているわけですよね。再エネが相当たくさん入ってこないと、水素であるとか、カーボンリサイクリングがどうしても必要だというふうにはなってこないのではないというのが僕の理解です。
そうであるとしても、今から研究開発をしておくことというのはもちろん大事だと思いますし、あるいは早期に実用化すれば非常にメリットがあるかもしれないし、あるいは日本は競争力がありそうだからそこに投資をするんだということはもちろんいいと思うのですけれども、それだけをやっていればいいような感じの世の中の捉え方に誤解されないようにしながら、議論を丁寧に進めていくということが必要ではないかなと常々思っておりますし、今回も思っております。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。それでは沖委員、お願いいたします。その後堅達委員、お願いいたします。
【沖委員】今、江守委員のおっしゃったとおりだと思っていますが、江守委員がおっしゃらなかったのは、たぶん本日までいろいろなところでお話しになられ過ぎたのだと思いますけれども、今年はCOVID-19の影響で、それなりの社会的影響を及ぼしたにもかかわらず、4%から7%、あるいは推計によって8%ぐらいのCO2の排出削減にしかつながらない。世界的には温室効果ガス排出の3分の2からせいぜい4分の3にしかならない、CO2の排出のしかも7、8%である。ところが2050年までに0にしようと思ったら、毎年7、8%さらに指数関数的に減らしていかなきゃいけないということで、これは今までの延長で頑張ろうといって、掛け声で何とかなる話ではないというのが恐らく共通認識かと思います。
そうしたときに、まさに江守先生のおっしゃったとおりなのですけれども、技術で水素や蓄電技術に加えて太陽光・風力をたくさん入れなければならないとなると、まずは生物多様性に対する影響というのが本当にどのぐらいに抑えられるのか、あるいは土地利用が、希薄なエネルギー源ですから大量な土地が必要になって、海上風力にするのであれば海上でまた海洋生態系にどういう影響があって、それから地元の漁業にどういう影響があってというふうに、社会的な影響というのが出てくると思いますので、そこには技術開発に加えて、政策制度をどう設計するかといった社会科学的側面、それからそれらを社会に実現していくに当たってどのぐらいの資金が必要で、誰がそれをどういうふうに支払っていくのかという経済的な制度の問題、さらには社会構造が変わっていって、失われる仕事と新しくできていく仕事があると思うのですけれども、それらがどういうふうにトランジションできるのかといった社会倫理的な側面といったことについても、一体としてやっていかない限りは、技術はあるけれども実際に社会には使われずに、なかなか目標に向かって社会が変革していかないということになるのではないかという気がいたします。
また、日本全体として現在そういう気候変動の対策の影響も含めて、グローバルに見るという研究が全くなくなっているような気がしますので、その辺についてもきちんと技術開発だけではなくて社会的な研究も含めてやっていくべきではないかというふうに考えます。
最後に、本郷委員が最初におっしゃった、5年は短くて10年はというのは、一研究者としてはそうなると、いったん獲得できると腰を据えて取り組めるので良いなと思うのですが、他方はそこまで甘やかされなくてもいいかなという気が個人的にはいたします。それよりも問題は、最近ステージゲートということで、非常に短い間に可能性を見て、うまくいきそうになかったらさっさと切るというふうなやり方がはやっているように思いますが、本当に大事な課題であればそれは逆で、うまくいかないのであれば何とかうまくいくようにリソースを投入するとか、体制を立て直すというほうが筋ではないかなと普段思っておりますので、また皆さまでご検討いただければと思います。
ありがとうございます。
【高村主査】ありがとうございます。それでは堅達委員、お願いいたします。
【堅達委員】よろしくお願いいたします。私はやはり、今回2050年カーボンニュートラルということを日本がようやく打ち出したということはすばらしいことだと思いますが、世界もそれ以上にスピード感を持って、イノベーション競争であり、パラダイムシフトの競争をしていると。そういうことを考えますと、われわれがやっているこの予算規模というのは本当に適切なのかというのを、先ほどの概算要求を聞いていて思いました。バイデン新大統領になれば、アメリカは200兆円規模のグリーンリカバリー政策を行うといわれていますし、たった1社のAmazonのベゾスさんだけで1兆円規模の気候変動に関する研究などにお金を投じるという中で、今の日本のこの分野における予算の投じ方というのが、正直言って足りないのではないかということを強く感じています。日本学術会議の問題が今論じられていますけれども、これもたった10億円しかお金が投じられていないというような状況で、世界と比べれば科学というものを大切にしているというメッセージが伝わってこないと。そういう中で、本当に本気で脱炭素を実現するのであれば、われわれはここに、やはり人類と日本の産業と暮らしの生存を懸けてお金を投じるんだということをもっとしっかり見せていくということが大事だと思います。
そのためには、漠然と2050年までに0といっているだけで、今、残念ながら日本には具体的なロードマップがないわけですね。ここをきっちりやはり2030年までに、どこをどこまでやるのかということを、研究も含め、また、仕組みを作っていくというテクノロジーだけじゃないイノベーションの分野も含めて、ロードマップをしっかり見せていくということが大事ではないかと思います。その際、今もお話が出ているとおり、一番大事なのは人材育成、これは安心して学問を研究できないという今の日本の環境のお粗末さというのは何としても改善しなきゃいけませんし、あとはやはりこの気候変動という問題、コロナもそうでしたが、総合知、集合知というものが問われているので、いかに学際的な研究をちゃんとやれるのか、先ほども言った仕組みのイノベーションという観点では、人文分野の知見をどんどん理系と合体させていくということが必要だということを改めて強く訴えたいと思います。
最後に、このデジタル・トランスフォーメーションということは、今コロナ後注目されていますが、やはりこれがサステナブル・トランスフォーメーションということとパーパスというか、目的が合致してその交差するところをやっていくという覚悟が、特に環境エネルギー分野では必要ではないかと思います。ぜひそういう方針を明確にして、スピード感を持ってやっていただければと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございました。ほかにご発言ご希望の委員はございませんでしょうか。手挙げ機能、あるいはチャットでお知らせいただければと思いますが。
江守委員、もう一度でしょうか。よろしいでしょうか。お願いいたします。
【江守主査代理】すみません、ありがとうございます。
先ほど沖委員におっしゃっていただいたことで、その対策技術の社会的な影響とか倫理的な課題とか、そういうことを含めた検討が必要であるという認識に全く同意しておりまして、これは宣伝ですけれども、JSTのRISTEXのELSIのプログラムというところで、まさにそういった脱炭素化技術のELSIという研究プロジェクトを僕が代表で始めさせていただきましたので、そちらで良い成果を作っていきたいというふうに思っています。皆さんとも一緒に議論させていただきたいというふうに思っています。
ありがとうございます。
【高村主査】決意表明いただいてありがとうございます。他にございますでしょうか。もしなければ、すみません、私は先ほど、たぶん事務局が送ってくださっているのですけれども、直前に事務局に資料をお渡ししていまして、もし事務局のほうで共有をいただけるのでしたらお願いできればと思います。
3枚目の資料をお願いしていいでしょうか。ありがとうございます。
もう既に私が申し上げようと思ったことは、今まで委員からご発言をいただいてしまっておりますが、今回明確な総理からの日本の2050年までに脱炭素社会、すみません、加藤先生の前で何ですけれども、脱炭素社会の実現を目指すというそういう目標を掲げられたことは、長期の視点を持った科学技術政策にとっては、私は非常に追い風だと思っております。つまり明確な目標を、未来社会像というのが示されたことで、そこに少なくとも、先ほど沖委員からもありましたように、今のままの社会システムの延長線上ではそこにたどり着かないので、どこに課題があるか、とりわけ科学技術政策の観点ではどこにイノベーションが必要かというのが明確に見えてくるということだと思います。それは、これは加藤委員とか本郷委員もおっしゃっていたと思いますが、個別の技術を名指して決めるというよりは、社会がどういう社会にありたいと思っているかという社会のニーズ、あるいは本郷委員のお言葉を借りると需要側ということかもしれませんけれども、そこから見たときにどういう技術、どういう革新が必要なのかということが見えてくるという意味で、長期的な視点を持った科学技術政策にとって非常に良い追い風だと思います。
次のスライドをお願いいたします。ここももう既に何人もの委員から言われたので繰り返しませんが、2019年のパリ協定の長期成長戦略を作ったときも同じようなメッセージをしていまして、将来技術の研究開発が重要と、もう1つは日本が持っている技術開発のシーズをどうやって商業化・実用化していくかというところのイノベーションを考える必要があるという点であります。これは先ほど本郷委員がおっしゃった需要側から見たということでもあると思いますし、あるいは江守委員や沖委員がおっしゃった社会の側の変革ですとか、江守委員なんかは社会のイノベーションといったような言い方をされていると思いますけれども、これは科学技術のイノベーションにとって、やはりそれが社会に実装されていくためにはコストが下がる、あるいは社会に普及するためのインフラを含めた社会側の対応が必要だということだと思います。これは既に長期戦略で指摘をしていたのですけれども、昨日の経済財政諮問会議で、経済団体、経済界の4人の委員の合同意見として、グリーン需要の拡大が必要だという、そうした意見が出されておりますけれども、これもその線に沿ったことだと思います。そういう意味では、科学技術政策の側において、やはりこの決め打ちの技術開発だけでなく、社会のニーズに照らしてどう科学技術の研究課題を設定していくかということが、ある意味ではチャレンジだというふうに思っております。
最後の点は、セクターカップリングと書いていますが、
電力・モビリティ・建築物そしてデジタル、こうした今までですとそれぞれの技術課題を語っていたものが、セクターを超えたイノベーションで脱炭素化を目指すという、そうした動きが急速に広がっているように思っております。
これもですから科学技術政策にとってのやはり非常に大きな課題で、例えば今、環境エネルギー技術について議論する委員会ですけれども、デジタル情報技術、そして例えばモビリティなどとどういうふうに融合した技術開発課題を設定していくかという課題でもあるというふうに思っております。
すみません。長くなりましたが以上でございます。ありがとうございました。
他にご発言ご希望の委員はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、もし事務局のほうから何かご意見ご発言ございましたらお願いいたします。
【三村係長】事務局から1点発言させていただきます。
【高村主査】お願いいたします。
【堀内大臣官房審議官】堀内のほうから発言させていただきます。ご意見ありがとうございました。私どものほうも、今頂いた意見を文科省として全く分かっていないというわけでもなく、なるほどなというものばかりでありました。
幾つか述べたいことがあるとすれば、まず博士課程の支援ということについては、私どものほうも2桁億規模の支援を今準備しているところであります。その支援の施策がだんだんと浸透していけば、研究環境を、いろいろ生活も含めて、また支援を受ける年限も長く取ったような施策を用意しておるところなので、その成果などまた見ていただければと思うところです。また、幾つも、何人もの先生方からも頂戴している、この分野の他の分野と比べてやはり特徴があるのは、やはり社会との関係というのがとても大事でありまして、そういった意味で、先ほど予算の説明の中でもありましたが、地域の脱炭素化加速のための基盤研究の推進ということで、8,000万ほど、まだ少ない金額なのですが新規で積ませていただいておりまして、これは人文社会科学の知見を特にこの考え方のところに入れていかれないかということで、私どものほうはこの環境分野に限った形で要求させていただいているところであります。これからやり方、進め方なども検討していきたいと思いますので、そういった意味で、今、結構ご賛同いただけるような意見もあったので、またご相談をさせていただければというふうにも思っております。どうもありがとうございました。
【高村主査】堀内審議官、どうもありがとうございました。大変有望な取り組み、あるいはこれからのプロジェクト・プログラムの立ち上げの可能性についてもご説明いただいてどうもありがとうございます。
それでは他にもし委員のほうから追加でご発言の希望がなければ、次の議題に移ってまいります。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは議題の2に移ってまいりますけれども、気候変動適応技術社会実装プログラムSI-CATの事後評価についてでございます。
議題に入る前に、幾つか留意事項がございます。事後評価、これを実施していくに当たりまして、公正で透明な評価を行うという観点から、第10期の環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画で定めているとおりですけれども、利害関係者は原則として評価に加わらないようにするということが必要となります。具体的には、評価対象課題に参画をしている者、2つ目には被評価者、実施課題の代表者と親族関係にある者、33つ目でありますが利害関係を有すると自ら判断する者、そして4番目に分科会において評価に加わらないことが適当であると判断をされた者、これに該当する方がこの委員会の委員にいらっしゃる場合には評価に加わることができないという規定になっております。
ご退席いただく必要はございませんけれども、従いまして評価の議論の中ではご発言を控えていただくことになります。
今回、SI-CATに積極的に関わっていただいた委員が多くございまして、今回ですと江守主査代理、それから石川委員、沖委員、嶋田委員、本郷委員が、4つの観点から利害関係者に該当いたします。先ほど言いましたように、退席をいただく必要はございませんので、このまま議論を聞いていただければと思いますけれども、議論の中でご発言をいただくことはできませんので、その点はご了承をいただければと思います。よろしいでしょうか。実は私が利害関係者という方がいれば、今教えていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。
それでは事務局から当該評価についてご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【葛谷課長補佐】事務局より気候変動適応技術社会実装プログラム、いわゆるSI-CATについてご説明させていただきます。資料については資料2-1と2-2を用いて説明させていただきます。
まず資料2-1の3ページ目をおめくりいただければと思います。
事後評価につきましては、鬼頭主査をはじめとしたこちらの事後評価調整グループのメンバーの方々にご協力いただきまして作成しております。環境エネルギー委員会からは、奥委員と竹ケ原委員にご協力いただいているところでございます。
続きまして4ページ目につきましては概要について、資料2-2を用いてご説明させていただきたいと思います。SI-CATにつきましては、平成27年度から令和元年度の5年間の事業で進めております。この真ん中のほうに技術開発機関、そして下にモデル自治体、右側に社会実装機関、大きく3つの機関が連携して進めました。具体的にはモデル自治体や社会実装機関が地方自治体から得られたニーズを踏まえまして、左側にあります①番②番のところで気候変動の予測データを創出し、その結果を用いて③番のところで影響評価技術を用いまして影響評価をしております。その結果をモデル自治体などが活用して、適応作を立案・推進していくというものでございます。
続きまして、また資料2-1に戻っていただければと思います。
5ページ目でございますけれども、予算額につきましては5年間で約23億円でございます。課題体制でございますけれども、PDについては、木村先生が平成30年10月まで、それ以降につきましては三上先生にお願いしているところでございます。
課題1につきましては、社会実装機関として科学技術振興機構、課題2でございますけれども、こちらは予測技術の開発ということで、海洋研究開発機構が担当しています。
続きまして6ページ目でございます。影響評価技術開発ということで、国立環境研究所が担当しています。またこのページの上から2つ目に埼玉県、下側に長野県といった形で、実際に自治体などにも入っていただいて取り組んでいる事業でございます。
続きまして、SI-CATの事後評価についてご説明していきたいと思います。
まず8ページ目をごらんいただければと思います。
SI-CATにつきましては、こちらの中で各指標を定めておりまして、その中でアウトカム指標というものが特徴的でございますので、こちらを抽出してご説明します。この成果が気候変動適応策の中で実際に活用された数というものを示しております。こちらにつきましては、目標値24に対しまして、令和元年度は27というところで、目標を上回る成果を出しているところでございます。
続きまして具体的な評価結果についてご説明させていただきます。
下側でございます。まず必要性でございます。必要性につきましては、評価項目としては、国費を用いた研究開発としての意義、そして評価基準としては、適用計画に科学的根拠を与え、そして諸課題に効果的に対応する手段の一つとして社会に定着させることができているかというものでございます。
具体的には、平成28年11月のパリ協定発効以降、わが国では平成30年12月に気候変動適応法が施行され、国の責務として科学的知見の充実等が規定されております。また同法に基づき、適応計画や、地域においては地域気候変動適応センターの体制の確保が進められているところでございます。一方で、民間においてでございますけれども、ESG投資や気候関連財務情報開示タスクフォース、いわゆるTCFDにおいて評価等が進められ、その中における気候変動の予測情報の必要性が高まっているところでございます。
続きまして次のページ、9ページをご覧いただければと思います。そのような中、本成果におきましては、予測データや影響評価結果という科学的知見が実際に適用計画等に反映されている実績もございまして、具体的に本プログラムを通して得られた科学的知見について、それぞれ以下のとおりまとめているところでございます。
真ん中のほうにございます、代表的なものだけピックアップしてご説明させていただきます。
予測データについて、まず1つ目でございますけれども、2℃上昇を対象とした世界を対象に確率的評価可能な大規模アンサンブルシミュレーションデータ、いわゆるd2PDFというものでございます。100年に一度、200年に一度など、異常気象などの評価が可能なデータセットを作成しております。また予測データの下、一番下のポツでございますけれども、モデル自治体のニーズを踏まえ、佐賀県の高潮、中部山岳の積雪などの評価をしているところでございます。
続きまして、気候変動影響評価技術でございます。こちらについて、上から2つ目でございますけれども、モデル自治体のニーズを踏まえまして、予測データ結果を用いまして、例えば稲の発生率を推計するモデル、熱中症リスク評価モデルなどを開発しているところでございます。
続きまして10ページ目、次のページをご覧いただければと思います。
社会実装機関、いわゆる適応計画を社会に定着させる取り組みについては以下のとおりでございまして、まず一番上のポツでございますけれども、全国自治体へのアンケート調査、聞き取り調査、またワークショップ形式によって適応計画に関する行政ニーズを具体化する一方で、科学的知見の取り扱いの難しさなど、そういう課題について知見を得ているところでございます。また、一番下のポツでございますけれども、本プログラムの研究成果の取りまとめとして、気候変動適応技術社会実装ガイドブック、こちらはURLが下のほうの注釈にございますので、お時間があるときにご覧いただければと思いますけれども、一般の方、行政向けに関して、これらの成果をまとめたものを作成しているところでございます。
実際にこのようなプログラムの取り組みを通じまして、例えばでございますけれども、平成30年の気候変動適応法の成立にも貢献しているところでございます。また、今、文科省・気象庁において取りまとめをしております、気候変動評価レポートなどにも活用されているところでございます。
続きまして次のページでございます。
モデル自治体などでもこの成果は使われております。その結果、地域気候変動適応センターの設置につながった事例もあります。さらに、PD等のニーズ調査、意見交換などによりまして、当初より参加しているモデル自治体に加えまして、連携を希望する自治体として大阪市・京都府など多くの自治体が参加していただいているところでございます。
以上より本プログラムについては必要性が高いと認められております。
続きまして有効性でございます。有効性の評価項目については2つございます。
1つ目が実用化・事業化・社会実装に至る全段階を通じた取り組みとなっているか、そして人材の養成についてでございます。評価基準については、科学的知見が社会実装に至る取り組みとなっているのか、また人材につきましては知見が拡充する研修等を実施しているのかというところでございます。具体的な評価につきましては、本プログラムで創出されたデータにつきましてはDIASから広く公開しているところでございます。また、環境省が運営しております気候変動適応情報プラットフォームA-PLATとも連携しているところでございます。
このように成果につきましては、誰でも活用できるような状況にしているところでございます。また、社会実装に至る取り組みといたしましては、一番下のポツにございますけれども、本プログラムで開発しました気候予測データについては国交省における治水計画にも反映されているところでございます。
次のページをお願いします。また、次のページの上のポツでございますけれども、環境省における地域適応コンソーシアム事業においてはSI-CATの研究参画者も協力し、地域における科学的知見を活用した適応策に貢献しているところでございます。また次のところ、埼玉県の事例でございますけれども、2019年ラグビーワールドカップ会場における暑熱環境緩和の設計に本成果が活用されているところでございます。
続きまして、下側にございます研修等についてでございますけれども、最初のポツでございます。全国規模を対象としたシンポジウム・フォーラム等を活用して、気候予測データ等の知見の拡充に努めております。また2つ目のポツでございますけれども、こちらにつきましては影響研究者や地方自治体、若手研究者を対象とした実習を重視とするダウンスケーリングセミナーというものも実施しておりまして、スキルアップとともに人的ネットワークの形成につなげているところでございます。
次のページをお願いいたします。
以上より本プログラムの成果につきましては、適応策等の策定・検討にも活用されているところでございますし、併せて人的ネットワークにも貢献しているところでございまして、有効性が認められていると判断しているところでございます。
続きまして効率性でございます。効率性につきましては、評価項目については研究開発の手段やアプローチの妥当性、そして事業計画・実施体制の妥当性になっております。評価基準につきましては、まず1つ目が実施内容は妥当なアプローチとなっているのか、2つ目が事業計画は研究実施上において適切な体制になっているのかというところでございます。
まず研究の実施内容でございますけれども、本プログラムにつきましては最初のほうでご説明させていただきましたとおり、研究においても予測研究そして影響評価の研究者、また自治体、様々な機関が入っているというところでございまして、研究開発当初におきましては中間評価の時点でも評価を頂いておりますけれども、かなり研究の進め方につきまして苦労しているところがございます。その点につきまして、PD・サブPDの関係者の方々の意見交換等を含めまして、このページの下から7行目でございますけれども、共同で計画するco-design、共同で成果を出していくco-productionというように、共同で様々なことを進めていくというアプローチに見直しまして、社会実装に有効な研究体制を再構築しているところでございます。具体的にはPD・サブPD・技術開発機関・社会実装機関など関係機関全てが参画するプログラム運営のためのコア会議を開催し、またアドバイザー等のマネジメントを受ける会議などを開催して進めているところでございます。
次のぺージです。
また人文社会科学を含む多様な研究者が強く連携をすることが重要でございますので、co-design、co-production、co-disseminationという形のいわゆる超学際研究手法を使って、有効な成果を創出するためのアプローチを実施してきております。
また、続きましてプログラムの研究計画・体制についてでございますけれども、中間評価時の見直しに係るコメント、こちらについては注釈のほうにございますけれども、その際には環境省との連携も十分視野に入れて、プログラム成果の社会実装、一層成果利用の拡大に向け徹底した最適化を行うべきであるというコメントや、気候変動適応法の施行などを踏まえまして本プログラムを見直しております。具体的には3行目の後半部分からでございますけれども、SI-CATアプリ、当初予定していたものについてはA-PLAT側で実施することとし、また3つのサブ課題については環境省事業で実施することとしております。
以上より、本プログラムで展開された超学際研究手法の活用や、研究体制・手段の見直しなどは妥当であり効率性があると考えているところでございます。
続きまして、基本計画等への貢献状況でございますけれども、こちらにつきましては適応計画のための科学的実験が充実し、実際に適応策が加速されているというところから、十分実施されていると評価しているところでございます。
続きまして次のページ、総合評価でございます。総合評価については、まず1つ目のパラでございますけれども、本プログラムの成果が国交省や地方自治体の適応策等に活用されているというところが1点目でございます。
2点目でございますけれども、公開シンポジウム、自治体フォーラム等を活用した科学的知見の拡充や、さらにこれらの成果が地域の実情に即した適応策の策定に結び付くような取り組みを展開しているという点でございます。
また最後でございますけれども、様々な多様な関係機関が多くいる本プログラムにおいて、人文社会科学を含む多様な研究者が強く連携し、co-design、co-production、co-disseminationという形の超学際研究の手法を活用したというところで、有効な成果を創出したアプローチが行われていると考えております。
以上より、本事業の目標は十分達成されたと考えております。
評価結果概要でございますけれども、こちらについてはまず大きな点といたしましては適応策につながる成果を創出している、そして2つ目が、これらのプログラムを通じて研究者と自治体間の人的ネットワークの構築に貢献している、そういう点から重要な取り組みだったと評価しております。
今後の展望でございますけれども、気候変動に伴う極端気象現象というのは今後も増加・強大化することが想定されております。その上におきまして、防災、農業さまざまな分野で適応策の検討が進むことが想定されます。その上におきまして、今成果で得られました科学的知見が重要になると判断しておりますので、ただ一方でSI-CATにつきましては後継事業がございません。このため最後のページでございますけれども、本プログラムの成果うち予測研究が、文科省のもう1つのプログラムである統合的気候モデル高度化研究プログラムに活用され、影響評価に係る研究については、環境省の総合推進費などで実際に引き続き活用され、成果を発展させていっているところでございます。これにつきましては継続して進めていくことが重要であると考えております。
説明は以上でございます。
【高村主査】ありがとうございました。それではただいまご説明をいただいた事業評価結果について、ご質問・ご意見を頂きたいというふうに思っております。同じようにご発言をご希望の方は手挙げ機能でお知らせいただくか、あるいはチャットで教えていただければと思います。いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは竹ケ原委員、お願いいたします。
【竹ケ原委員】どうもありがとうございます。メンバーに加えていただいた観点から申し上げたいと思います。
この点の社会実装を考える上で、やはり金融との接続というのはとても大事なポイントになるかと思います。評価結果にも書いていただいていますが、現在、金融界で気候変動といえば、TCFDを使った情報開示が大きな関心事になっています。TCFDのフレームワークでは、脱炭素社会に向けたリスクを、大きく移行リスク、トランジションリスクと物理リスクとに分けて考えますが、今のところ、金融機関の多くは移行リスクの議論に終始しています。具体的に言うと、カーボン・プライシングが入ってエネルギーコストが上昇することと、それを回避するために講じる、例えば再エネ導入などの対応策のコストベネフィットアナリシスみたいな話になる訳ですが、広く投融資の対象となる産業界を見渡せば、業種によっては物理リスクにかなりフォーカスするところがあります。第一次産業や食品産業が代表例です。農産物ですとか水産物が実際に気候変動の影響を受けて、収量が減少してしまったり、価格が上昇したりすることの直接的なリスクが問題になります。その結果を最終的にはコストに落として議論する必要があるというのがTCFDなのですが、そうすると本当に仮定に仮定を重ねる議論になりかねないことから、前提としてデータがきちんとした科学的な知見に裏付けられているかがすごく重要なポイントになってきます。
今回のこのプロジェクトは、まさにその背景を与えていただいていますので、今後、金融界での活用も十分期待できるのではないかと思います。具体的には、今、地域金融の世界でもTCFDを使った議論を深めていこうという話が広がっています。その場合、地元の自治体と地域の金融機関が連携して、地域課題を特定して議論することになります。例えば、北海道で水産加工業をどうサポートしていくかを道庁と地元の地銀が議論するという話になるのですが、自治体がこの成果を踏まえて、適応について知見を持っているとなれば、金融機関もTCFDのフレームワークを使って割とスムーズに議論に入っていけますので、今後地域での活用も期待できるのでは、と思います。そういった意味で、金融面から見ても、この事業は非常に意義が高いというのが、私が拝見した際の印象でした。
加えて、先ほどのご説明ありましたけれども、この種の議論が煮詰まったときの研究体制の再構築、共同を重視した形で、co-productionですとかco-designというアプローチを取られて奏功したというご説明でしたが、この点は恐らく本件に限らず非常に汎用性のあるブレークスルーなのだろうなというのが感想です。
以上です。
【高村主査】それでは本藤委員、お願いいたします。
【本藤委員】ありがとうございます。評価結果のご提案に関しては全く異論ございません。お聞きしていて、また拝読して、適切に大変よくまとまっているかと思いました。
それで、少し簡単なコメントをさせていただきたいと思います。資料の16ページ目に当たるところですね。今後の展望というところになります。この研究プログラムは超学際研究の手法を活用して、複数の研究者、それから自治体など、さまざまな人々が関わり合って成果を出してきたということで、この点は非常に重要な点だと思います。
その一方で、その下に書いてある問題点というか、課題もかなり重要だなと思っています。16ページ目のところに書いてあるように、超学際研究の手法を活用して、より効果的に適応策が策定されることが期待されるものの、ほかの自治体がモデル自治体と同様の体制・能力・必要なデータを準備できているわけではないとあります。自治体をどう数えるかによりますけれども、基礎自治体レベルで数えれば1700以上あると思います。そういった自治体が全てできるわけではないという点を認識しておくことは重要と思います。この点に関して、本日ご説明のあった資料1の地域の脱炭素化加速のための基盤研究の推進という新規の事業において、ぜひ継続して検討戴きたいと思います。小さな自治体、あまりリソースのない自治体で、どうやってうまくこの先端的な知識、科学的知見を生かしていくのかどうかということが検討され議論されると私は非常に良いかなと思いました。
以上、意見です。ありがとうございました。
【高村主査】ありがとうございます。大変建設的なご意見を頂いたと思います。他にご質問・ご意見ございませんでしょうか。手を挙げていただく、あるいはチャットでお知らせいただければと思いますが。もし可能でしたらですが、事後評価のグループにご参加いただいた、竹ケ原委員から先ほどコメントを頂きましたが、同じくご参加いただいた奥委員から、もし何か補足なりご発言ございましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
【奥委員】今、既におっしゃったことと重なってしまうのですけれども、私もこのプログラムに参加されたモデル自治体においては非常に有意義な成果が得られ、そして少なからず他の自治体にもデータの活用が広がっていると、これは非常に良い方向だと思っております。
ただ一方で、やはり基礎自治体をはじめとして、まだまだ多くの自治体がそもそもこのプログラム自体の存在すらご存じないようなところというのがありまして、そういったところに今プログラムの成果について広く知っていただけるような、そういう機会をぜひ持っていただくと同時に、今後後継のプログラムがないというお話でしたけれども、他のプログラムとのうまい接続を図っていく中で、実際により多くの基礎的自治体においても成果が具体的な適応策の策定にしっかりとつながっていくようにフォローしていただくということが重要だなと思っております。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。他に委員からこの事後評価に関してご発言のご希望はございませんでしょうか。SI-CATは関わられている、参加の研究機関も非常に多く、委員の相当数もそういう形で利害関係者に該当しているケースが多いので、ご発言者が限られているとは思いますけれども、よろしいですか。もしご発言の希望があればお願いしたいと思いますが。
ありがとうございます。波多野委員、お願いいたします。
【波多野委員】波多野でございます。超学際で地方自治体を含む具体的なプログラムの効率的な進め方をお示しいただきました。ありがとうございます。
併せて私はガイドブックを拝見しましたが、すばらしい社会実装ガイドブックと感じました。SI-CATの編集委員会から出されていまして、具体的でデータに基づくガイドブックであり、地域のニーズもとらえており、今後も各自治体で活用されると思います。次のステップとして、地球温暖化は世界的な課題ですので、海外との連携や国際共同研究が重要になると思います。海外の予測データ・影響評価技術、取り組みや知見がどれぐらい参考になるのか、このその辺をどう取り入れる、また位置付けてらっしゃるかを伺いたいです。
【高村主査】ありがとうございます。こうした知見を海外にどういうふうに生かされているのか、生かす可能性があるのかというご質問かと思います。
あとは生かすのか、あと両方、お互いどう海外との研究を進めていくかというところもお願いします。この点については、もし今回答が難しいようでしたら後で事務局あるいは事後評価に関わられた先生のところからもし何かコメントがあれば頂こうと思います。波多野先生、ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
もうこれは今までの事後評価の中でも指摘されておりましたけれども、このSI-CATのプログラムをちょっと拝見しておりまして、非常に大きな成果が現れたプログラムだったのではないかと思います。もちろんこれは気候変動のリスクを評価するという、研究開発の側面もそうですけれども、何人かの委員から既にご指摘がありましたように、やはり地域のニーズを捉えて、そこからまた研究課題も設定をし直して、研究開発のデザインということも、ある意味では実際のこのプログラムの遂行の中で研究者の側にも非常に大きなチャレンジでもあったと思いますけれども、大きな成果、経験というのがあったのではないかと思っております。
併せてSI-CATに関して言うと、こちらももう既に評価の中で触れてありますけれども、当初からやはり環境省等との連携というのを進めていらして、実際にその研究成果の横展開あるいは研究成果の後継を、こうした他省庁との連携でその成果を生かしていっているということも、このSI-CATの非常に大きな、これは研究運営上もマネジメント上も非常に大きな経験を生んだプログラムだったのではないかと思っております。
ご発言の中でも、やはり竹ケ原委員の金融との接続、あるいは本郷委員からありましたように新しい地域の脱炭素化プログラムとの連結、あるいは海外への展開あるいは海外との学びといったようなご指摘も、そうしたよりこれまでの成果をどう拡張し展開するかという観点からのご意見だったように思います。
他に評価についてご意見・ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。清水委員、お待たせいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
【清水委員】私からは、質問させてください。今後の展望のところで、極端気象現象の増加・強大化が挙げられていて、まさにわれわれが実感しているところです。例えば、記憶に新しいところでは、熊本県の球磨川の大きな水害による被害がありました。今回起きたこうした現象も、例えば100年に1回の豪雨といった表現がなされていますが、こうした現象は、ここで開発されたようなモデルで十分予想できるレベルのものなのか、それとも、16ページにあるように、今後の高度化研究を充実させないと予測できないレベルのものなのでしょうか。それが私の質問です。
【高村主査】清水委員、ありがとうございました。他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、事務局あるいは事後評価のグループご参加の奥委員あるいは竹ケ原委員からもし何かございましたらお願いしたいと思います。事務局のほうから、清水委員からの具体的なご質問があったように、幾つかの先生方から特に将来の課題、展開の方向についていろいろなご意見を頂いたと思いますので、可能な限りで結構ですのでお答えいただけますでしょうか。
【葛谷課長補佐】事務局より回答させていただきます。
まず先ほど頂きました、熊本県で起きました豪雨について、今の予測技術で実際に予測できたものかどうかというところでございますけれども、結論から申し上げますと、まだ高精度化が必要という状況でございます。具体的に申し上げますと、今の予測データというのがメッシュといって、何キロ×何キロのメッシュでそれぞれ予測情報を出しているところでございますが、まだ5キロメートルというところで、まだまだ粗い状況でございます。これをやはり1キロとかそういう狭い範囲にして、山岳地帯とかそういう地域に合わせた情報を作らないと難しいというのが現状でございます。その意味で、先ほどの今後の展望の中に記載させていただきます、統合的気候モデル高度化研究プログラムでそういう球磨川のほうで起きたような豪雨についても予測可能になるような技術開発を進めているところでございます。これがまず1つ目でございます。
また、先ほど波多野先生からございました、海外との関係でございますけれども、適応策という意味では、やはり地域の実態に即したところになりますので、なかなか海外の連携は難しいところでございますけれども、予測データ・影響評価技術という点につきましては、海外との連携、海外との共同研究というのは重要でございまして、こちらにつきましては先ほどと同じく統合的気候モデル高度化研究プログラムの中で、国際共同研究などを通じて実施しているところでございます。
あと、さまざまないろんなご意見を頂きまして、例えばTCFD等での活用などが今後加速化したりする点については、まさにそのとおりと思っておりまして、企業等々とも意見交換を進めているところでございますので、引き続きその活動を進めていきたいと思っております。
事務局からは以上です。
【高村主査】ありがとうございます。本日、事後評価についてご意見頂きましたけれども、基本的には原案の内容を大きく変える必要があるというご意見ではなかったかと思っております。従いまして、本日頂きましたご意見を改めて私と事務局のところで確認をいたしまして、場合によっては少し修正が必要なところがあれば修正をさせていただこうと思います。もしご同意をいただけるようでしたら、私のほうに一任とさせていただいて、その結果を委員の皆さまに共有をさせていただくという形でいかがでしょうか。特にご異議がなければ、そのような扱いとさせていただければと思います。先生方に見ていただいた後に、基本的に恐らく修正はあっても非常に限られたものだと思いますけれども、環境エネルギー科学技術委員会としての次回の研究計画・評価分科会に報告をしたいと思っております。そのような手続きでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそのような形で報告をさせていただきます。
それでは最後ですけれども、議題の3に移ってまいりたいと思いますが、こちら議題の3に関しては、環境エネルギー科学技術委員会と違う他の委員会等の動きについてであります。とはいえ、一緒に環境エネルギー科学技術に関わる動きがこの間ございますので、事務局からまず科学技術学術審議会の研究計画評価分科会、地球観測部会でまとめられた、今後10年のわが国の地球観測の実施方針のフォローアップについて、そしてもう1つは革新的環境イノベーション戦略のフォローアップを行うグリーンイノベーション戦略推進会議、こちらの中間報告についてご説明をしてもらいます。その後で、3つ目ですけれども、親委員会であります研究計画・評価分科会のところで、前回も少し前出しをさせていただきましたけれども、そちらの研究計画・評価に関する今後の進め方について報告をさせていただこうと思います。
それではこの3つについて報告をした後に、まとめてご質問・ご意見を頂こうと思います。まず事務局から、今後10年の地球観測の実施方針のフォローアップについてお願いできますでしょうか。
【堀川地球観測推進専門官】それでは今後10年のわが国の地球観測の実施方針のフォローアップ報告について、事務局よりご説明いたします。
まず報告書についてご説明する前に、本報告書の取りまとめの経緯について簡単にご説明をさせていただければと思います。
平成28年に地球観測推進部会にて、今後10年のわが国の地球観測の実施方針が策定され、この実施方針では国内外の地球観測の動向や社会情勢の変化に対応しまして、概ね3年から5年程度を目安に地球観測推進部会が中心となりまして見直し・フォローアップを行うこととしております。実施方針策定から4年が経過していることから、今年度4月開催の地球観測推進部会で中間取りまとめを行いまして、さらに8月開催の部会でウィズコロナ・ポストコロナ社会における地球観測の貢献や今後のあり方を委員の先生方にご議論いただきました。それを踏まえまして、最終取りまとめとして、今回の実施方針のフォローアップ報告書を取りまとめております。
それではフォローアップ報告書についてご説明させていただきたいと思いますが、本日は時間の制約もございますので、資料3-2のフォローアップ報告書自体につきましては別途ご確認いただきまして、資料3-1、画面に映っております概要資料を基に説明させていただきます。
資料3-1の1ページ目をご覧ください。本資料はフォローアップ報告書の概要資料となります。
報告書の各章の国内外の動向、地球観測に係る取り組み状況、実施方針を進める上での今後の方向の要点をまとめておりまして、それぞれご説明いたします。
まず現状の実施方針策定以降の国内外の動向でございますが、SDGsの実施方針やアクションプランには地球観測関連事業が盛り込まれていることや、またCOPやIPCCなどの気候変動、防災・減災、生物多様性に資するさまざまな取り組みが実施されています。産業界においても、企業のESG投資やTCFDの動きもありまして、地球観測データや予測データへのニーズがますます高まっておりまして、客観的根拠として地球観測が果たす役割や期待が高まってきております。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴いまして、国際協力等を含めた観測活動などのあり方の転換や、新たな社会経済活動における地球観測データの役割の変化など、さまざまな影響が懸念されているところでございます。
次に資料右側のわが国の主な地球観測に係る取り組み状況についてです。これまで関係府省庁・機関が協力しまして、衛星・航空機・船舶・地上からの統合的な観測の充実に努めてきておりまして、世界有数の高い観測能力をわが国は有しているところでございます。また予測技術の高度化や効果的・効率的にデータの利活用が可能なデータ基盤の整備を含めたさまざまな取り組みを実施している一方で、継続的な地球観測の実施に課題が存在しております。また予測技術の高度化や地球観測データの爆発的増加への効率的・効果的なさらなる対応が必要となっております。
このような国内外の動向や取り組み状況を踏まえまして、資料の下半分に緑色の文字で記載しております各項目、地球観測情報を現場につなぐ取り組みの強化などをさらに強化していくこととしておりまして、実施方針を進める上での今後の方向についてそれぞれご説明いたします。
最初に、地球観測情報を現場へつなぐ取り組みの強化につきましては、地球観測データをエンドユーザーに利用できる情報に変換をして、データ利活用による課題解決を推進するために、人材育成や体制、データ基盤の整備を求めていくこと、またエンドユーザーの巻き込みや、人文社会科学との融合などを積極的に進めていくことを求めております。
次に地球観測インフラの長期性・継続性の確保につきましては、地球規模の観測インフラを社会インフラとして、機器の開発を含めて維持・継続・発展させて、Society5.0に貢献する信頼性の高い観測データの長期的な取得・蓄積・提供をすることとしております。
次に予測情報の高度化につきましては、気候変動に伴う将来予測、意思決定に重要な基盤的情報の創出に向けて、地球観測データを効果的に用いた気候モデルの高度化や予測情報の高精度化を行いまして、地球観測データの統合的な利用に資する情報の提供を促進して、適応策の意思決定に役立てていくことが重要であるとしております。
最後でございますが、共通的・基盤的な取り組みの推進とイノベーションへの貢献について、長期的・安定的な運用やDXへの貢献、データ基盤間の連携等を進めるために、データ基盤インフラの強化及びデータの統合化・利活用を促進していくことを求めております。またウィズコロナ・ポストコロナ社会に対応した地球観測に関わる研究活動として、感染症対策への貢献やリモートでの連携等を進めていくこと、企業のESG投資やTCFDの産業利用促進へのさらなる取り組みを強化することとしております。さらに分野間の連携や多様なステークホルダーの関与、人材育成、国際的な取り組みの促進・貢献、地球観測によるイノベーションへの創出に取り組むこととしております。
駆け足となってしまいましたが、以上でフォローアップ報告書についての説明を終わります。
【高村主査】ありがとうございました。それでは続いてでありますけれども、資料の4-1かと思いますが、グリーンイノベーション戦略推進会議の中間報告について、事務局からご説明をお願いいたします。
【對崎専門官】事務局でございます。続きましてグリーンイノベーション戦略推進会議の中間報告でございますが、こちらは10月13日に取りまとめられたものとなりまして、古新聞になり恐縮でございます。
革新的環境イノベーション戦略については皆さんよくご存じかと思いますが、本年1月にグリーンイノベーション戦略推進会議の下、府省横断で決定されたものでして、この中にはイノベーションアクションプランとして、5分野16課題、39の技術テーマにつきまして、開発内容とか実施体制、実装までの行程等を記載したものでございます。それに加えまして、さらにそのアクセラレーションプランとして、制度的な整備、民間投資の増大や国際貢献といったものを戦略全体としてまとめているものでございます。
2ページ目以降に、その39の技術テーマにつきまして、赤枠で囲っているのが、既にグリーンイノベーション推進会議の下のワーキンググループで議論をされたところの事項でございます。これが4ページまで続いておりますが、3回ほどワーキンググループのほうは開催されておりまして、その中で議論したものを記載してございます。
少し飛ばしていただきまして5ページ目が、このイノベーションアクションプランの39の技術テーマは、大きく分けるとこの5つの重点領域に分類されております。それが非化石エネルギー、エネルギーネットワーク、水素、カーボンリサイクル(CCUS)、ゼロエミ農林水産業の5つでございますが、こうした5分野が今後重点的に取り組むべきということでまとめられているものでございます。
6ページ目以降、資料の4-2ということになりますが、ワーキンググループからの報告ということで、そのときの資料をお付けしております。次のページでございますが、ワーキンググループの議論のまとめとして、その39の技術テーマに関してイノベーションダッシュボードというものを作って、いつまでに何をするのかということを民間有識者等もヒアリングをした上で、少し具体化したものを議論したものについては公表をしております。その中では、技術の確立だけではなくて、社会実装や普及ということを目指すために、そのための仕組み・仕掛けや官民連携、また民間投資の拡大等が必要であろうということが中間まとめにおいて議論されています。その上で、例えばということで今まで議論したもの、製造業・農林水産業でのCO2削減や、モビリティといった分野や、そうした分野についてこういうことが必要であるということを少し個別に書いているのが矢羽根のところの3つでございますが、いずれにしてもその低炭素化のためのCO2循環・固定化、CO2フリーの燃料や電動化といった共通的な事項が繰り出されているというものでございます。
文部科学省として重要だと考えているのは、一番下のポツでございますが、革新的技術を担う人材の育成や基盤となる技術の社会実装の形態を見据えた個別技術の開発、また脱炭素と他の社会課題解決を両立する社会変革の促進の観点等も併せて議論していく必要があるのではないかという部分は、文部科学省からも主張して、このような中間まとめとして記載をいただいているところでございます。
次のページでございますが、この推進会議の取りまとめをどうしていくかということは、実は最後にお話をと思うのですけれども、この10月13日の時点の段階ではプログレスレポートという形で、39のテーマを一通り洗いましょうということでした。その上で、重要な技術というものをあぶり出した上で、それを政策につなげていくというまとめを当初は検討していたところでございますが、きょう何度もご議論になっている、総理の所信を踏まえた2050年のカーボンニュートラルの実現ということに向けては、こうした技術革新も含めた技術の進展や社会実装というものをより加速していく必要があるだろうということで、改めてグリーンイノベーション推進会議は、実はあしたも開催される予定でございまして、そこで年末に向けて実行計画というものを重要分野について作るという議論を進めていく予定でございます。中身としては、この中間取りまとめにあるように、個別の課題について重要技術領域というものを整理して議論していくというところは変わっていないのでございますが、よりその動きを、流れを加速するという意味で、あした以降また議論を進めていくというところでございます。
3ぺージ目以降は、ワーキンググループで個別にまとめを行ったものを記載しておりますが、いずれも要素技術の重要性や基盤技術の重要性といったものはしっかりと書き込んでございますが、ここはご参考なので別途ごらんいただければと思います。
以上でございます。
【高村主査】ありがとうございました。それでは3つ目、最後ですけれども、今後の研究計画・評価の進め方について、前回のこの委員会でもご報告いたしましたけれども、研究計画・評価分科会の事務局から改めて各分野の委員会、環境エネルギー科学技術について言えばこちらでありますけれども、検討してほしいという要請がございましたので、そちらについてご説明をしたいと思います。資料の5-1、それから資料の5-2がそれに関わるところでございます。資料は出せますでしょうか。ありがとうございます。
資料の5-1を今ご覧いただいているかと思いますけれども、前回の委員会で報告をした通りですが、今後の研究計画・評価のあり方と仕組みについて、研究計画・評価分科会で新たな提案がございました。その内容というのは、これまでの研究開発計画のやり方を今期限りで廃止をして、これまでご存じの先生方も多いかと思いますけれども、それぞれ大きな目標、中目標と言いましょうか、あるいはさらに細分化した目標の設定を横断的に行い、各委員会がそれぞれ指標等の設定をするというやり方を取っておりましたが、来年度から分野別研究戦略・計画、これは仮称ですけれども、あるいは分野別のプログラムというものを分野ごとに策定をして、計画と評価を実施するという方向での提案であります。
分野別の研究戦略・計画については、現行の研究開発計画に代わるものとして、各分野別委員会が個別にこの分野について設定をする。その中で、各分野での研究開発推進の必要性、あるいは重点的・戦略的に取り組むべき研究開発領域やそれに基づく計画の設定をする、記載をする。さらには各分野に共通をする横断的な留意事項について記載をするということなどが検討されているところであります。この計画は革新的環境イノベーション戦略、先ほどご紹介ありましたが、こうしたいわゆる政府のイノベーション戦略も踏まえた上で、来年度末を目途に各分野別委員会で審議し、議論し、取りまとめを行うという、スケジュール感が想定をされております。
また分野別プログラムについては、これまでの研究開発プログラムに代わるものとして、先ほどご紹介しましたいわゆる分野ごとの研究戦略、研究計画と整合する形で、エビデンスに基づく政策の立案として、その基盤として作成をするということが検討をされています。今、エビデンスと申し上げましたが、このエビデンスというのは例えば研究動向ですとか、先ほどの脱炭素社会の話じゃないですけれども、社会の要請ですとか、それから先生方の専門から見たときのご意見等々を使い、さまざまなデータ等に基づいた、そうした各分野の研究戦略・計画を立て、プログラムを設計するということであります。
こうしたことが今想定をされているわけでありますけれども、まだ検討の単にスタートに立ったところでございますので、研究計画のあり方、あるいは研究評価のあり方について、今、分野別にという提案をされておりますけれども、ご意見を頂きたい、あるいは留意をすべき点等があればご意見を頂きたいと思っております。
資料の5-1と資料の5-2についてでありますが、私からは以上でございます。
以上、資料3-1、資料の4-1、資料の5-1、5-2についてご説明をいたしましたけれども、この3つについてまとめてご質問・ご意見などがあれば頂きたいと思っております。同じように手挙げ機能あるいはチャットで発言のご希望をお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは本郷委員、お願いいたします。
【本郷委員】ありがとうございます。非常に興味深い、また戦略的な内容で、すばらしいと思いました。ただその中で、私が一つ思ったのは、2050年、これを目指しているのは日本だけではないということです。それで、例えばアジア、こういったところとの協力というのはできないのかなと思います。日本と同じような状況にある国もあるわけです。例えばシンガポールであれば、面積を考え、地形的なことを考えると、再エネだけで全てのエネルギーを賄うというのはなかなか難しいということで、政府は相当、今、一生懸命に物事を考えだしていますし、また日本のネットゼロエミの話を聞いて、オーストラリアではこれから化石燃料をそのまま輸出するのは難しいということで、水素の研究に本格的に乗り出そうという話も出てきていると聞いています。これらのこともあって、普及段階ではありませんが、研究段階からも同じく共通認識あるようなところの国と協力するということも考えてはいいのではないかなと思います。もちろんこれはエネルギーだけではなく、適応のほうも同じですし、もう少し海外、特にアジアとの関係を重視してはどうだろうかと思った次第でございます。
コメントでございます。以上です。
【高村主査】ありがとうございます。今のご発言は資料の3-1の観測についても、あるいは資料の4-1、主には資料の4-1からお話しをいただいたかと思いますが、共通してやはりとりわけアジアを中心とした国際的連携の必要性を考慮する必要があるというご発言だったと思います。ありがとうございます。
それでは続いて清水委員、お願いいたします。
【清水委員】三菱ケミカルの清水です。
革新的環境イノベーション戦略の全体像というところで質問があります。具体的には、第1回ワーキンググループのまとめのCO2分離回収分野の部分です。本日、繰り返し述べられているとおり、2050年の脱炭素社会というところに向けて、CO2の分離回収技術というのは非常に重要です。われわれ化学メーカーにとっても、CO2の資源化という点で密接に関連するので、社会の動向等も含めて注視しております。ところで、ここにワーキンググループのまとめとして、「既に立ち上がる市場で日本がリードしている」という一節があります。この点についてお尋ねしたいのですが、具体的にどういう市場で、また、どういう技術でこのCO2分離回収分野で日本がリードしているのか、そこをご説明いただけないかなと思い質問いたしました。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。一連の質問・意見を頂いた後に、事務局のほうにお返ししようと思います。
では続いて嶋田委員、その後堅達委員、加藤委員にお願いいたします。では嶋田委員、お願いいたします。
【嶋田委員】 3-1の地球観測に関する実施方針の件ですけれども、お願いという感じではあるのですが、以前は、例えば20年ぐらい前までは、ランドサットのデータを埼玉県が、
県の機関が入手しようとすると、ワンショット20万円とか30万円とかいう見積もりが出てきて、とてもではないけれども入手ができないということがあって、諦めるなんていうことがよくありました。今は決してそうではなく、さまざまなリモートセンシングデータについては入手しやすくなったとは思います。ただ、今でもまだまだ入手のハードルは高い、特に予算的なハードルは高いところがあって、十分な研究がそれで進まないということが起きていたりすると思っています。そういう意味で、リモートセンシングデータを活用して緩和や適応に使っていくためには、オープンデータ化みたいなことをより積極的に進める必要があるのではないかなと思っていまして、そのことは国内の気候変動対策を進めるだけではなくて、海外の支援にもつながるものだろうというふうに思っています。ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。それでは堅達委員、その後加藤委員、お願いいたします。
【堅達委員】今ほどもCCUS等のお話もありましたが、私ももちろん研究としてこの分野の研究をしていくことは大事とは思うのですが、やはり2050年でカーボンニュートラルを達成しようと思うと、そもそも化石燃料に頼っていては全く実現不可能なわけで、あまりにもCCUSに頼ることを前提に、石炭がまだまだ残り続けるというビジョンの下に研究を進めていくのは、結構世界のトレンドから見たら大きなリスクがあるのではないかと思います。ですから、石炭あるいは化石燃料をそもそも根本的に減らしていかなければならないという、化石燃料を使わない発電に、まさに再エネを含めたそっちに移行しなければならないという中で、この研究を進めていくことに対する考え方というのを改めてもう一度整理していただけたらというのが1点です。あと私も今、農林水産業におけるゼロエミというのが、とても世界的には重要なテーマだと思うのですが、日本ではなかなかこのことがまだ知られていないし、重要だというふうに認識されていないし、対策も遅れているというふうに思います。この辺り、今、研究の分野においてどれくらいの力を入れて、スピード感を持ってやっていこうとしているのか、重要性をちゃんとメッセージとして伝えるということがなされているのかというところをぜひお尋ねしたいと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。それでは続きまして加藤委員、その後沖委員、お願いいたします。
【加藤委員】私は資料の5-1のほうのことで少し教えていただきたいと思って質問します。
計画分科会での仕組みが変わるということで、分野別にされるということは確かにやりやすい面もたくさんあるかと思います。けれども、それを個別に出していいのですかというか、それをどういうふうに俯瞰して全体の計画を立てなければいけない問題、今言っているような脱炭素社会に向けてというのもその一つになるかもしれませんけれども、そういうところはどのようにやっていかれる予定なのか、ということを教えていただきたいと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。
それでは沖委員、申し訳ありません、お待たせしました。よろしくお願いします。
【沖委員】地球観測のところで1つだけ教えてください。今後10年のわが国の地球観測の実施方針概要のところで、課題解決型の地球観測を施行していくべき、社会の役に資するためには一つの方向なのだと思うのですけれども、地球観測の特徴として、あるとき役に立てようと思って観測し始めても、実際に役に立つまでに多少データの蓄積が必要であるところについてです。しかもどういうデータが役に立つかというのはなかなか事前に予測するというのが難しいというときに、結局あらかじめこういうのが役に立ちそうだという項目を絞って、それについてきちんと継続的にやることができればいいのですけれども、なかなかそれが今までできていなかったのではないかと思うのですけれども、その辺に関して、つまり長期的にやるということと、本当に役に立てるというところのつながりが今回何か新しく整理されたのかどうか教えてください。
以上でございます。
【高村主査】ありがとうございます。3つ通して、他に委員からご質問・ご意見ございませんでしょうか。石川委員お願い致します。
【石川委員】石川です。
今、私のほうから3-1の観測のところについてのコメントと質問で、1つは今、沖先生がおっしゃっておられたところで、今回の中でも、例えば観測インフラを社会インフラとして維持・継続というのは非常にすばらしいことで、やっぱり地球観測というのは長く取るということが非常に重要なので、しかもそれが今後も続くというところがしっかり書き込まれてあるのは良いことだと思っております。一方で、やはり課題解決というと、問題に合わせて機動的な観測をしなければいけないというところのバランスというか、その両立というのは何か考えておられるのかというのが質問です。それに合わせたところで、例えば今回書いてある、エンドユーザーの巻き込み、人文社会科学と融合というところは、具体的にこの課題解決型というところとリンクしていると思うのですけれども、何か具体的な方策みたいなものと関連しているのかというのをお聞かせいただければと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。他にご発言を希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。とても重要なご指摘、ご質問もあったと思いますので、それぞれ資料の3-1、資料の4-1、そして最後に私のほうから評価についてお答えをしたいと思います。
それではまず観測について、お願いできればと思いますが。
【葛谷課長補佐】事務局葛谷からご説明させていただければと思います。
まず1つ目の、嶋田委員から頂きましたリモセンデータのオープン化につきましてでございますが、こちらについては今年度取りまとめられた宇宙基本計画のほうにおいても、衛星データのオープン化というところが一つの大きな項目として挙げられております。その中で衛星データについてオープン化を進めていくというものがございますので、こういう政府方針に基づきまして、今後関係機関においてそれぞれ進められていくものと理解しているところでございます。
続きまして、沖委員からいただきましたデータの蓄積というか、課題解決型というところで、実際に観測したデータが直ちにそういう課題解決に使われるかどうか分からない状況のものもあるというお話でございますけれども、その点については指摘のとおりでございます。ただ、一方でどのデータがどの課題に使われるかどうかというものについては、当然最初にある程度想定をして進めていきますけれども、その後そのデータが違う用途に活用される点もあり得るというのはございますので、そういう観点で、石川委員からもございましたけれども、データの継続性、ここがすごく重要だというところを本報告書にも記載しているところでございます。
観測というものは継続性が重要でございまして、実際にやはり観測というものにつきましては、エビデンスデータでやはり地味な活動というところもございます。観測部会では、文科省だけではなくて関係省庁全ての省庁に関して関係するところを取りまとめたものでございますが、観測に係る予算確保や継続な観測は重要視すべきという点をまとめているところでございます。
最後に石川委員から頂きました、人文社会科学との融合について何か想定されているものがあるかという点でございますけれども、現時点ではこれだというところはないのですけれども、DIASを通じて、観測データ、地球環境データを実際に社会の課題解決への貢献に使っていくというところについては、サイエンスの研究者だけではなくて、人文社会科学の知見も必要だという意図もございまして記載しているところでございます。
事務局からは以上でございます。
【高村主査】ありがとうございます。資料の4-1についてもお答えいただけますでしょうか。
【對崎専門官】事務局でございます。まず清水委員からご指摘ございました、分離回収の点でどういうところに日本に強みがあるかということですけれども、議論の詳細は確認する必要がありますが、吸着材とか分離膜とかプラントエンジニアリングみたいなところで、かなり一体的にやっているというところの強みを議論されていたかと思いますが、詳細な議論は少しこれまでの経緯もございますので、詳細なリンク等を別途お伝えできればと思いますので、そちらをご参照いただければと思います。
また堅達委員からご指摘ございました、農林水産業におけるゼロエミですけれども、こちらはおっしゃるとおり非常に重要だとわれわれも考えておりまして、文部科学省としてはゲノム編集技術を使ったバイオマスのさらなる利活用など、基礎・基盤的な部分にはかなり貢献できるのではないかと思っておりますが、こうしたものも実際は実装とか実証を考えると、農林水産省とか民間企業との連携も必要になってこようかと思います。こうしたものは、先ほどこの説明の中で申し上げた、年末に向けた実行計画のほうでもバイオマスは何らかの形で入れ込んでいくことになると思いますので、また引き続きそうした議論にも文科省として参画をしていきたいと思っております。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。
加藤委員からご質問があった、研究計画・評価についてでありますけれども、加藤委員のご指摘のとおり、研究計画・評価分科会でも、この提案に対してのやはり分野を超えた共通した視点というのは、やはり分野を超えた研究開発課題というものをどういうふうに推進できるのか、分野だけに閉じこもった研究開発にならないようにするにはどうしたらいいかという点でございました。ですから、各研究開発エリア、分野ごとの検討をする際に、ある意味では他領域も踏まえた研究開発課題の設定ということが私たち自身にも求められると思いますけれども、そうしたものをどうやって仕組みとして担保するかというところが、まさに研究計画・評価分科会の課題にもなりますので、ぜひこの点については委員の先生方のお知恵を頂きたいと思っております。頂いたご意見については分科会のほうに報告を改めてしたいと思います。ありがとうございます。
他に全体を通してご意見・ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それではこれで本日予定していた議題3つを終了いたしましたが、もし全体を通して追加でご質問・ご発言ご希望がなければですけれども、事務局のほうから事務連絡をお願いしたいと思います。
では事務局のほうでお願いいたします。
【三村係長】事務局より、一言土居下課長よりごあいさつ申し上げます。
【土居下環境エネルギー課長】環境エネルギー課長の土居下でございます。
本日は盛りだくさんの内容でございましたけれども、ご議論いただきましてありがとうございました。総理の所信を踏まえたご意見も頂戴し、またSI-CATの事後評価もしていただきまして、今走らせているプロジェクトにつきましては、足元をきちんと固めながらも、将来を見据え、どういったことをやっていくか、新しく取り組んでいくことは何かというところをたくさんご意見頂きました。省内でも頂いたご意見を検討しつつ、他省庁ともこれから連携しながら実行計画を作っていくわけでございます。そういった中で文科省としてどういったことをやっていくべきかということを引き続き検討しまして、研究開発を加速化して、より実装に向けての橋渡しをよりよくしていく等、貢献していきたいと思います。
本日は多大なご議論をいただきましてどうもありがとうございました。また本日に限らず、ご意見等ございましたらお気軽にご連絡いただければと思います。また引き続きよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。
【高村主査】ありがとうございました。
【三村係長】事務局より事務連絡を申し上げます。本日の議事録は後日事務局よりメールで委員の皆さまにお送りさせていただきます。修正等あればまたご指摘いただければと思います。最終的には文部科学省のホームページに掲載することで公表させていただきたいと思います。
以上です。
【高村主査】ありがとうございます。これをもちまして環境エネルギー科学技術委員会の第8回会合を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。


 

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