第10期 環境エネルギー科学技術委員会(第4回) 議事録

1.日時

令和元年8月5日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. 最近の環境エネルギー科学技術分野の動向について
  3. 今後の環境エネルギー科学技術分野における研究開発の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

高村主査、江守主査代理、石川委員、奥委員、加藤委員、堅達委員、佐々木委員、嶋田委員、清水委員、竹ケ原委員、中山委員、波多野委員、本郷委員、本藤委員、山地委員

文部科学省

千原大臣官房審議官、横地環境エネルギー課長、林開発企画課長、石川環境科学技術推進官、葛谷課長補佐、佐藤専門職、加藤係長

5.議事録

【髙村主査】 それでは,時間になりましたので,ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第10期環境エネルギー科学技術委員会の第4回会合を開催いたします。本日は,お忙しい中,そして大変暑い中をお集まりいただきまして,どうもありがとうございます。
まず事務局から本日の出席者と資料の確認をお願いできればと思います。
【加藤係長】 おはようございます。事務局より出席者及び資料の確認をさせていただきます。本日御出席の委員数は,現時点で過半数に達しておりますので,委員会は成立となります。本日,沖委員が御欠席になります。
資料の確認の前に,事務局から人事異動の御報告をさせていただきます。7月より環境科学技術推進官に石川推進官が着任しております。
【石川環境科学技術推進官】 7月16日付けで環境エネルギー課の環境科学技術推進官に着任いたしました石川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【加藤係長】 次に,資料の確認ですが,お手元のタブレットに議事次第,それから資料の1から3まで入っていることを御確認ください。またメイン席のみに机上配付資料ということで参考資料も付けておりますので御確認ください。もし,不具合等ございましたら挙手でお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
事務局からは以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,本日,議事次第にありますとおり4つの議題を予定しております。委員の皆様から,忌憚(きたん)ない御意見を頂ければと思います。本日の会議終了時刻は12時を予定しております。
それでは,早速でありますけれども,議題の1であります気候変動適応戦略イニシアチブ(統合的気候モデル高度化研究プログラム)の中間評価についてです。
この議題については,議題に入る前に留意事項がございます。中間評価を実施するに当たりまして,公正で透明な評価を行うという観点から,第10期の環境エネルギー科学技術委員会における研究評価計画で定めましたとおり,原則として利害関係者が評価に加わらないようにするという必要がございます。具体的には,評価対象課題に参画をしている者,被評価実施課題の代表者と親族関係にある者,利害関係を有すると自ら判断する者,そして分科会において評価に加わらないことが適当であると判断をされた者,これらの4つに該当する委員がいらっしゃる場合には,評価に加わることができないという定めになっております。そのため,その場合には御発言を控えていただくということになります。
今回の統合的気候モデル高度化研究プログラムに関して言いますと,江守主査代理が利害関係者に該当いたしますので,本議題の議論には加わらないということであらかじめ御了承いただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは,事務局から評価等について説明をお願いしたいと思います。
【葛谷課長補佐】 事務局より統合的気候モデル高度化研究プログラムの中間評価(案)について御説明させていただきます。まず今回の中間評価につきましては,研究代表者より提出されました自己中間評価シートを踏まえまして,本委員会の石川委員に主査を務めていただいております中間評価調整ワーキンググループにおいて原案を作成いただいております。本日は,ワーキンググループに代わり,事務局より内容を説明させていただきます。なお,自己評価シートはメインテーブルのみに配付しておりますので,必要に応じて御参照いただければと思います。説明については資料1-1及び1-2を用います。
まず,資料1-2をごらんいただければと思います。資料1-2の2ページですけれども,先ほど申し上げました中間評価調整グループのメンバーを記載しております。計5名のメンバーで構成されます中間評価調整グループにおいて,中間評価案を取りまとめていただいております。
続きまして,3ページをごらんいただければと思います。課題の実施期間でございますけれども,5年間を予定しております。今年度は中間評価ということで3年目に該当しております。
続きまして,研究目的でございますけれども,国内外の気候変動対策に活用されるよう気候変動モデル等の開発を通じて気候変動メカニズムの解明や予測情報を創出するというものが目的でございます。
続きまして,3ポツの必要性等につきましては,必要性,有効性,効率性について,こちらは事前評価のときに取りまとめていただきました内容をまとめております。別途,本評価案の個別評価で触れますので,今回は割愛させていただきます。
続きまして,4ページ目をごらんいただければと思います。予算執行額につきましてはごらんのとおりであり,約6億円の予算規模で推移しております。
5ポツの課題実施体制につきましては,A,B,C,Dの4つのテーマで本事業は実施しておるところでございます。PD・POについてもごらんのとおりでございます。
続きまして,6ページですけれども,中間評価案でございます。こちらにつきましては,右上にございますが,2019年6月現在のものを取りまとめております。目標については,大目標,中目標がございますけれども,概略して申し上げますと,気候変動のメカニズムの解明,気候変動予測モデルの高度化を進め,気候変動予測情報を創出し,将来の予測に基づく温暖化対策目標やアプローチの策定,そして気候変動適応策の策定に貢献するというものでございます。
その下にアウトプット,アウトカム指標がございます。アウトプット指標につきましては,査読付きの累積論文数という形で設定しております。併せてアウトカム指標につきましては,国際共同研究等の海外連携実績ということでございます。どちらにつきましても目標値を超えた実績を上げているところでございます。
続きまして,7ページをごらんいただければと思います。こちらから具体的な評価結果になります。評価結果につきましては,AからDの4つのテーマごとに進捗状況等についてまとめております。具体的な内容につきましては,資料1-1を用いて説明させていただきたいと思います。
資料1-1の4ページ目をごらんいただければと思います。まず,そこに領域テーマAとございますけれども,領域テーマAは東京大学が担当しております全球規模の気候変動予測と基盤的モデル開発というものでございます。こちらにつきましては東京大学を中心に,信頼性の高い全球規模の気候変動予測情報を生成するため,全球規模の気候モデル等を開発しているものでございます。こちらの開発を通じて気候変動メカニズムの解明やIPCCの第6次評価報告書のベースとなるCMIP6,第6次結合モデル相互比較プロジェクトといいまして,各国がそれぞれモデルを用いて,ある条件の下,計算をするものでございますけれども,これに参加し,主導的な役割を果たしているところでございます。
こちらに今,3つの項目について具体的な成果をまとめております。こちらにつきましては,中間評価時点まで実施する予定であったものの中で,特に具体的な成果が出ているところについて取りまとめております。ほかの項目についても同様な取りまとめをしておりますので,後ほどの説明については,そこの部分の説明は割愛させていただきます。
まず領域テーマAにおきましては,全球の気候モデルの開発や気候変動メカニズムの解明,IPCCへの貢献の3つの点で大きな成果が出ております。
気候変動メカニズムの解明においては,北極海氷の減少が冬の気候にもたらす影響を評価し,海氷のインパクト評価をしております。この評価につきましては,世界で初めて解明したメカニズムということで,『ネイチャー』関連のインパクトの高い雑誌等にも掲載されているところでございます。
併せてIPCCへの貢献につきましては,先ほど申し上げましたとおり,AR6の根拠となるCMIP6の中核実験というものを計画どおり全て終了させているところでございます。
全球気候モデルの開発につきましては,5ページ目をごらんいただければと思います。特に右側で次世代陸域サブモデル,河川氾濫サブモデルの開発というものを実施しております。こちらの河川氾濫サブモデルにつきましては,世界最高の気象予測機関であるヨーロッパの中期予報センターの次期モデルへの採用も決まっており,世界的に高い評価を得ているところでございます。
続きまして,8ページをごらんいただければと思います。8ページは,領域テーマBでございます。炭素循環・気候感度・ティッピング・エレメント等の解明でございます。こちらにつきましては,海洋研究開発機構を中心に,先ほど申し上げましたテーマAの全球気候モデルに炭素循環・窒素循環や生態系変化等のプロセスを取り込んだ地球システムモデル,ESMと申し上げますけれども,を開発し,CMIP6実験等に参加しているものでございます。
具体的な成果については大きく4つございまして,CMIP6実験向けの地球システムモデルの開発につきましては,先ほど申し上げましたとおり順調に開発を終え,CMIP6の実験をしているところでございます。
ティッピング・エレメントにつきましては,ティッピング・エレメントというものは,気候変動があるレベルを超えたときに,不可逆性を伴うような激変が生じる気候システムというものでございますが,世界に先駆けて南極の棚氷の要素のモデリングを開発しているところでございます。
続きまして,地球-人間システムの相互作用につきましては,気候変動の影響が人間の経済活動や人間活動にどのような影響・作用を及ぼすのかというものにつきまして,モデルを開発しているところでございます。
最後に,環エネ課の事業であるデータ統合・解析システム(DIAS)と連携した予測データの配信ということで,本事業で得られた成果につきましては,国内外の研究者に情報が渡るようDIASを通じて予測データの配信をしているところでございます。
領域テーマBの具体的な内容を1つだけ説明させていただければと思います。9ページをごらんいただければと思います。CMIP6実験向けの地球システムモデルの開発でございます。こちらのシステムにつきまして,具体的には河川やダストによる栄養塩輸送の効果などを取り込んだ点というものが海外研究モデルと比較し特徴的なものでございます。併せて今までできなかった人間活動を含む陸域物質循環の海洋生態系への影響評価なども可能になっているというものでございます。併せて本モデルの開発を通じてですけれども,左下の方にありますコンポーネントモデルの開発・応用でございますが,こちらは燃料消費の際,放出される鉄分というものが海洋生態系にどのような影響を及ぼすのかというメカニズムを解明しているものでございますが,この成果につきましては,『Science Advance』というサイエンス関連の雑誌にも掲載されているところでございます。
続きまして,領域テーマCについて説明させていただきます。13ページをごらんいただければと思います。領域テーマCは,統合的気候変動予測というもので,気象業務センターを中心に,日本付近の詳細な気候予測データを創出しているものでございます。大きく地域の気候モデルの開発や,2点目ですけれども,世界に先駆けて日本付近の2キロメートルメッシュの詳細な予測情報を創出しているものでございます。併せて台風・大雨のシミュレーションということで,温暖化が最悪のシナリオで進行した場合の21世紀末における日本付近の台風出現頻度等の予測をしております。最後に,東南アジア等への展開と国際貢献というところでございますけれども,キャパシティービルディング等を通じて国際貢献を進めているところでございます。
領域テーマCの点について具体的なものとして,14ページをごらんいただければと思います。領域気候モデルの開発というものをしております。こちらは日本付近でございますけれども,左側で,従前,日本領域の気候モデルにつきましては,大気のみをベースとしたモデル開発でございましたが,統合プログラムにおきましては,海洋モデルとの相互作用も取り込んだ形で開発を進めております。これによりまして,日本域の降水量や台風の再現性が上がるとともに,このモデルを用いることによる予測の不確実性の低減というものが期待されているところでございます。
続きまして,Dでございますけれども,18ページをごらんいただければと思います。領域テーマDでございます。統合的ハザード予測でございます。京都大学を中心に,台風,高潮等によるハザードの将来変化や社会影響の分析,あわせて,これらから出てきました適応策に必要なハザード予測情報というものを創出しているところでございます。
具体的にハザードモデルの開発・予測に関して申し上げますと,洪水流出予測モデルの開発を進め,過去ハザードのメカニズム解明というものについては,過去に発生した豪雨や爆弾低気圧等を対象に,ハザードの発生要因の分析を進めております。
社会課題解決の貢献としては,本成果でできる予測情報については,国交省等の検討においても活用されているところでございます。
東南アジアへの展開と国際貢献につきましては,領域テーマCと協働して共同研究を進め,気候変動に伴うハザードの変化の評価等を進めております。
領域テーマDの具体的な内容,19ページをごらんいただければと思います。19ページの中でハザードモデルの開発・予測というところで,下側,高潮・波浪ハザードモデルの開発・予測というもので,RCP8.5,これは世紀末に4度上昇を想定したシミュレーションでございますけれども,海面上昇の推移や,波の高さがどの程度増加するか,などの予測を得ているところでございます。こちらにつきましては,今後3大都市圏の浸水予測を実施する予定でございます。
A,B,C,Dの主な成果については以上でございます。
また資料1-2にお戻りいただければと思います。12ページをごらんいただければと思います。こちらから各観点について再評価をさせていただきます。まず必要性でございますが,4つの点で評価しております。科学的・技術的意義,社会的・経済的意義,国費を用いた研究開発としての意義,そして政策の企画立案・実施への貢献というものでございます。
まず政策的な観点でございますけれども,現時点においても気候変動適応策というものは喫緊の課題であり,さらなる対策が求められているところでございます。併せて気候変動適応法というものが平成30年,昨年の12月に施行されているところでございます。
このような状況において,気象庁と文科省の局長の共催により,気候変動に関する懇談会というものを開催しております。この中で,ニーズ省庁,実際に影響評価をしている省庁側から新たな政策課題として,各適応分野のニーズにかなう予測情報の創出というものが出されているところでございます。また,国交省における検討会等におきましても,ダウンスケーリングの精度等の向上というものの課題が示されているところでございます。
続きまして,科学的な知見という観点で申し上げますと,本プログラムのモデル等の開発を通じて,気象変動のメカニズムを世界で初めて明らかにするなどインパクトの高い成果が出されているところでございます。
また,国際的な観点では,IPCCへの貢献や,東南アジア等へのキャパビルなどの点で貢献しているところでございます。また気候変動予測データにつきましては,国交省などの適応策にも活用されているところでございます。
以上を踏まえ,本プログラムの必要性というものについては,引き続き高いと評価されているところでございます。一方で,新たな政策的な課題というものも示されたと理解しております。
続きまして,有効性でございます。2つについて評価しております。実用化・事業化や社会実装に至る全段階を通じた取組,知的基盤の整備への貢献の寄与の程度でございます。
次のページでございますが,本プログラムの成果につきましては,国交省等の予測情報に活用されているところであり,社会実装に至る取組であると理解しております。
またテーマCとDの連携により,東南アジア諸国との共同研究を通じて気候変動予測のシナリオ作成やキャパシティービルディングを通じた国際貢献を進めているところでございます。
またCMIP6の実験データ,IPCCへの貢献等も進めており,これらの成果につきましてはDIASを通じて国内外の研究者に展開するなど,研究基盤の強化も推進しているところでございます。
以上のことから有効性は引き続き高いと評価しております。
次,効率性でございます。効率性については,手段やアプローチの妥当性,計画・実施体制の妥当性について評価をしております。
次のページをごらんください。まず体制の件ですけれども,全体を統括するPD・POのリーダーシップの下,研究調整委員会や研究運営委員会などを通じまして,各テーマの研究者が双方向にコミュニケーションをし,連携する研究体制が構築されていると評価しております。
また本プログラムの成果というものについては,影響評価の基盤となるなど広く社会課題解決に活用される道筋が見えてきていると評価しております。
以上のことから,効率性につきましても引き続き高いと評価しております。
続きまして,科学技術基本計画等への貢献の状況でございますけれども,基本計画におきましては適応策に貢献するというものがございますが,こちらにつきましては予測情報などが適応策に活用されている点から着実に実施されていると評価しております。
括弧4でございますけれども,今後の研究開発の方向性でございます。本課題は継続と評価されているところでございます。理由につきましては,気候変動適応法が施行され,気候変動研究を国として推進していく必要があるというところでございます。また本プログラムの成果,予測情報が様々な適応策に活用されている点,また各テーマ間で成果を相互に活用できる研究体制が構築されている点,以上より継続して実施すべきと評価しております。
最後に,その他でございますけれども,先ほど必要性で述べました新たな政策的な課題として出されておりますニーズを踏まえた予測情報の創出,こちらが重要だという形で記載させていただいております。
事務局からの説明は以上でございます。
【髙村主査】 ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明いただきました中間評価結果(案)について,御質問,御意見等ございましたら札を立ててお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
それでは,本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 御説明ありがとうございます。
必要性あり,需要性あり,継続という結論について,全く異議のないところであります。ただ,ここで書かれている需要先ですけれども,国交省が例として挙げられておりますが,そうした公的部門だけではなくて,民間部門の方でも,こうした情報に対する需要というのは高まってきているのではないかと思っております。例えばTCFDというのもありますし,それからEUのサステイナブルファイナンスのためのタクソノミーとか,あるいはそれを世界全体に進化させた形でのISOでのサステイナブルファイナンスだとかいろいろな動きが出てきております。こうした動きについては,この後,竹ケ原委員が詳しく御説明されると思います。そうした中で,企業が行っている事業についての気候変動影響によるリスク,こうしたイニシアチブでは物理リスクと呼んでいますが,そうしたものをきちっと分析しなければいけないという要求が出てきております。しかし,よく考えてみると,そのツールがないのです。要求はされているけれどもツールがないというのは,これは困った話で,正に今やっていただいているような研究が非常に役に立つのだろうと思います。
そうしたときに1つ,こちらからお願いなのですが,今,想定されている,あるいはSI-CATのようなところで研究されているのは,特定の事業,特定の地域を取り上げて,詳細なスタディーをされているわけです。それに加えて,今,産業側の方で必要としているのは,実はこういう場所でこういう事業には,どんなタイプのリスクがあるのか,一種スクリーニング的なものが必要になってきているというところです。ですので,もう少し大ざっぱでもいいけれども,この地域でこういうことが起こり得るというようなことをマトリックスで示していただくようなものがあると,非常に需要があると思っています。もちろん,まだ科学の面でも不確実な部分があり,研究を行うことでどんどん詰めていっていただかなければいけないと思いますが,もう一つ使い方として,スクリーニングに使えるようなものも追加的に提供していただくと,より有効に使えるのではないかと思います。
具体的に言いますと,企業の方で必要としているのは,2度のシナリオのときと4度のシナリオのときの影響の可能性で,かつ現在の気象条件からの変化量,それを確率的に示してほしいということです。事業では,例えば降水量であれば,降水量は必ず事業の設計のときに前提として持っていますので,これが将来,気候変動になったときに増える確率が何%あるのかというような情報を持つことができれば,詳細に事業計画に反映することができます。(パリ協定で目標としている2℃上昇と現在のCO2削減政策のままだと近いうちに)起こり得るという意味での2度,4度の2つのシナリオについて,現在からの変化量を確率で示すというようなこともあると非常に助かるというところでございます。
【髙村主査】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 御説明ありがとうございました。
ますますこの研究の重要性というのが高まっているというか,この一,二年の西日本豪雨,今年も九州で危ない雨の降り方がありましたけれども,こういった現状が思ったよりも早く現実のものになっている中で,適応の面でもそうですし,予測をしていくという意味でも,この最先端の研究に日本の英知を集結してやるという意味は非常に高まっていると思います。
一方,今年の夏のように,北極ですとか南極での氷の解け方が思っている以上に加速的に進んでいるということになりますと,正に全球的なそういうメカニズムを解明するという意味においても,日本がそれを主導してやっていくというところが,本当に重要な分野だと思いますので,継続というだけではなく,よりこの分野に力を入れてやっていけるように,どういう体制でどのようなテーマを見付けてやっていくのかが一番,今,非常に急がれているときですので,貢献できることを更にやっていただければと思います。
ただ,せっかくいい研究をやっているのに,やっぱり産業界に対してもまだうまく使える,本郷委員がおっしゃったように,この係り結びのところというか使い方の部分でもったいないところがきっとあると思いますし,メディアとか一般の国民に対しても,今,中間評価で,更に2年後がこの研究の終わりのところだから待っているというのではなくて,どんどん積極的に情報発信をしていただいて,今起きていることを科学者の側から最新のレポートとして出していってもらうというところに是非より一層の傾注をお願いできればなと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】 環境関係の事業の説明を聞かせていただきまして,改めてすばらしい研究が日本でされているということで感心しました。それで,これはエネルギー研究者の不勉強なのかと思いますけれども,この委員会は,環境エネルギー科学技術委員会なのですが,まだ環境分野とエネルギー分野がうまくリンクし切れていないのではないかと個人的に感じていまして,例えばこういう研究はすばらしいと思いますし,例えば我々エネルギーの研究者から見ると,こういうエネルギー技術を開発して,日本そして世界にこれだけ普及させたら最終的に気候変動にどれだけ貢献できるかという何か大きな議論がこの事業が終わった後に,こういうシミュレーターを使ってできると,正に環境分野とエネルギー分野というのが最終的に一体となって,エネルギー関係の技術開発がこんな地球全球規模で貢献できるということが見える時代が来ればいいと思います。是非こういう研究を促進していただいて,最終的にはこの環境エネルギーというのが正に一体となって社会に貢献していく,世界に貢献するという絵が描ければいいと個人的には思いました。
【髙村主査】 ありがとうございます。
奥委員,お願いいたします。
【奥委員】 資料1-2の15ページの括弧3のところですが,科学技術基本計画等への貢献状況,ここに,この研究で創出された予測情報が国・地方公共団体等においても適応策の検討に活用されているということが書かれておりますが,御説明の中では国ですとか,それから国際的にも活用されているという状況は具体的に分かったのですが,地方公共団体における具体的な活用状況についての御説明がなかったように思いまして,どういった具体例があるのか,教えていただきたいと思いました。
【葛谷課長補佐】 資料1-2の14ページをごらんいただければと思います。14ページのところで,本プログラムの成果という文脈の中で,環境省というのが5行目のところにありますが,環境省の気候変動予測及び影響評価の連携に向けた連携チーム等とありますが,この中に,地域適応コンソーシアムという形で地域が一体となって影響評価をしているものがございます。この中においても,この統合プログラムの予測情報というものが活用されているところでございます。具体的に明記したいと思います。
【奥委員】 是非お願いします。恐らくこの環境省のプログラム,これまでもこの委員会で御紹介いただいていたものだと思いますが,地方公共団体にどういうふうに活用されているのか具体的な記述を今おっしゃっていただいたようにお願いできればと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
嶋田委員,お願いいたします。
【嶋田委員】 かなり多くの成果が既に出ていて,我々,地方自治体としても注目をして,是非活用させていただきたいと考えているところです。先ほど地域コンソーシアムとの連携が既に行われているということですけれども,最終的というか途中の段階でも既に環境省で持っている適応状況プラットフォーム,Aプラットへの提供というか実装というのを積極的に進めていただければ,自治体としても非常に使いやすくなるというのが1つあります。
あともう一つは,もう既にたくさん成果が出ている中で,なかなかまだ国民,我々も十分その成果を承知していないということもあるので,やはりメディアへの投げ込みを早い段階でも構わないので,どんどん入れていくということが,主流化につながることなのではないかと思いますので,是非お願いをしたいと思います。
【髙村主査】 ほかに御発言を御希望の委員はございますでしょうか。
この評価では,石川委員に主査を務めていただいておりますので,何かコメントがございましたらお願いいたします。
【石川委員】 皆さんに,まだ少し足りていないところがあるというコメントを頂いて,私の方も非常に勉強になりました。特に産業界への展開というのは,本郷委員はじめ指摘いただいたところですけれども,これについては評価として,今後の必要性として書き込めたらよかったというのは非常に感じております。
また,ここでも出てきますけれども,非常に広い分野,特に緩和から適応までをカバーしているというのは,このプログラムの重要なところでありまして,また,その意味で佐々木委員が発言いただいたようにエネルギーとの関連なんていうのも今後の課題として,あり得るというのは非常に同意するところでありますので,プログラム全体としてはよく連携をとれていると思いますけれども,足りていないところ,それから今後重要になってくるところというのは臨機応変にプログラムを進めていただきたいということを追記したいと思っております。
【髙村主査】 ありがとうございます。
ほかに御発言を御希望の委員は,いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。大変有意義なコメントを頂いたかと思います。基本的には今回,原案の内容について修正を求めるというよりは,むしろ先ほどの地方公共団体ですとか,あるいは経済界,ビジネス,企業の側の社会的ニーズにこれから更にどううまく応えていただくかということについて,大変貴重なコメントや意見を頂いたと思っております。私個人としても,先ほど本郷委員がおっしゃった点については申し上げようと思っていたところで, 2度,4度というと,多分RCP2.6と8.5,特に8.5だと思いますけれども,その研究をどういうふうに重点化していくかということ,それから恐らくもう一つは,地域で使えるという意味でいくと,地域ごとのリスク影響評価ができるような,高度化をどういうふうに図るかといった課題を今後2年,できる限り追究し,あるいはその後の研究につなげていただくといいかと思います。
具体的なところで,先ほど自治体等々についてもAプラットへの反映等々の御意見もございましたけれども,私自身,見ていましても,環境省の気候適応計画を作る際の前提としての気候変動影響評価で,多くの研究参画者が委員で参加されているということもございますが,既に国の影響評価にもかなりのインプットをしていただいていると思いますし,同時に文科省を通じて,気候変動枠組み条約のフォーラムにも観測と併せて貴重なインプットを国際的にも頂いていると思っております。
それでは,基本的に原案の内容について,大きな修正を求める御意見はなかったと思いますので,主査を務めていただいております石川委員と御相談をして,きょう頂いた意見をどういう形で反映できるか,私の方に一任を頂いてもよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは,そのような取扱いとさせていただきまして,次回以降の研究計画・評価分科会に,私あるいは事務局の方から説明をさせていただきたいと思います。
それでは,議題1については,そのような取扱いとさせていただきます。
続きまして,議題の2でありますけれども,最近の環境エネルギー科学技術分野の動向についてということでございます。議題1の議論でも,本郷委員等から御指摘のあった点でございますけれども,今後の研究開発の在り方を考えていく上で,これまでも世界全体の動きですとか,産業界,経済界,金融界の動向等についても議論がございました。今回は,とりわけ金融等の動きについて,特にESG投資に焦点を当てて,竹ヶ原委員から御紹介をお願いしたいと思います。
それでは,竹ヶ原委員,お願いできますでしょうか。
【竹ケ原委員】 ありがとうございます。
それでは,資料2に基づきまして説明させていただきます。本郷委員の御発言にありました研究成果を産業界にどうつないでいくかという点がポイントだと思います。金融自体は,単にお金の流れに過ぎませんが,実は研究成果を産業界につないでいく触媒の役割を果たすことが出来ると,今聞いていて思いました。その辺につながればいいと思っております。
資料2を説明いたします。まず,マグニチュードから見ていただきたいと思いますが,2ページ目です。いろいろな考え方がありますけれども,幅広くとった定義でサステーナブル投資,ESG投資と同義と考えていただいて結構ですが,この残高を集計すると2018年段階で30兆ドル,日本円にして約3,000兆円,かなり大きな金額がサステーナブルを冠した投資になっているというのをごらんいただけるかと思います。
3ページ目ですが,実際それが,全体投資に占める割合を見ていただいても,例えばヨーロッパでは5割ぐらいということですから,いわゆる右から左に動いていくお金の半分ぐらいが,こういった何らかの色が付いた投資になっているということで,もう特殊な投資家が特殊なことをやっている話ではなく,我々の年金の運用ですとかメインストリームの投資家がESG投資をやっているという状況をごらんいただけるかと思います。
5ページ目,いろいろな用語がありますが,我が国ではESGという用語が一般的ですので,こちらの順番で説明しますが,環境,社会,ガバナンスといった財務情報だけでは捉え切れないような,非財務情報に着目した投資が我が国では一般に言われている。これがヨーロッパで言うところのサステーナブル投資とニアリーイコールだと考えていただければ結構です。
7ページ,もともと何でこれが出てきたのか。歴史をひもとけば,1920年代のキリスト教の倫理観に基づく投資までさかのぼる話ですが,直近の契機はリーマンショックといわれています。2008年のいわゆるサブプライムローンに端を発する信用収縮が起きたことへの反省として,余りにも短期主義に走り過ぎた結果があのていたらくであったということで,もう一回本来の投資家の役割である長期投資,いわゆる10年,20年,企業の成長を見極めて投資家として付き合っていく機能を再認識しようという事情があるようです。もし,短期投資で良ければ,足元の決算数字だけで判断しても,例えば次の四半期にもうかるかどうかを大きくは外しません。ですが,今の会社が強く収益力があるとしても,20年,30年,強いままでいるかどうかの判断は,足元の決算数字だけ見ていても分からない。したがって,その会社の強みを支えている非財務的な側面をちゃんと見なければいけないという論法です。
8ページ,これは模式的に示した1つの例です。1970年代は白い部分,有形固定資産,Tangible1 Assetsで企業価値の8割は説明がついた。今日それが逆転していて,2015年では黄土色の部分ですが,Intangible Assets,無形資産で企業価値の8割,要は公認会計士が説明できる割合が2割以下に落ちているという分析も行われているということです。
もう少し模式的に示しますとこんな感じです。我々が通常観察できる企業のパフォーマンスというのは水面上に浮かび上がっている氷山に擬した結果としての財務パフォーマンスですが,当然これを支えている水面下にいろいろな情報があります。短期投資であれば,そこまで水面下の情報を引っ張り出す必要はないのですが,20年,30年という長期間の成長に賭けようとしますと,相当水面下の情報を引っ張り出さなければいけない,そういう考え方がESGだということです。
このトレンドはリーマンショック後,まず欧米から拡大しました。この間我が国の動きは,かなり遅れておりまして,2015年以降になります。欧米中心に拡大してきたESG投資ですが,実はいろいろな類型があります。歴史的な背景もあって,ESG投資,あるいはサステイナブルファイナンスと呼ばれるものの内訳はいろいろです。大きなものを幾つか申し上げますと,ネガティブスクリーニング,これが1番ウエイトが大きいものです。これはいわばセクターごと切り捨てるスタイルです。昔からある宗教の教義に反するギャンブル,武器産業,たばこ,そういったものをセクターごと投資対象から外すというシンプルな考え方です。これに対して今主流になっているのが4番のESGインテグレーションというものです。このインテグレートする対象というのは通常の投融資の判断でありまして,この会社は投資するに足るかどうかという純粋にファイナンス的な判断に,先ほどの申し上げたように非財務的な情報を付加して判断しようということです。繰り返しになりますが,ESG投資ニアリーイコール長期投資です。20年,30年投資をしようとする場合,これから気候変動対応が進み,4℃になっても1.5℃になっても,この会社は投資に値するだけの強い会社かどうかを判断したい。そのために今のBS,PL,決算書だけ見ても何も分かりませんので,そこを水面下で見ていこうとなります。これがESGインテグレーションの考え方です。逆にネガティブスクリーニングであれば,石炭は良くないから,石炭に関連しているセクターは丸ごと投資から落とす,あるいは売上げの3割以上を石炭,化石燃料に依存している産業は落とすといったアプローチを取ります。
実際,12ページの資料を見ていただくと,今見ていただくネガティブスクリーニングがまだかなりのウエイトを占めていることがお分かりいただけると思います。その1つ上がESGインテグレーション,これが近時,急激に伸びています。いわばセクターごとではなくて,その中で相対的にすぐれた会社を選び出して投資していこうということです。
こうしたESG投資が伸びてきた背景事情はいろいろあります。エポックメーキングだったのが国連責任投資原則(PRI)が2006年にコフィー・アナン事務総長の主導により導入されたことです。ここでESGという言葉が初めて出てくるのですが,これが嚆矢(こうし)となって,その後,いろいろなルールの策定や,こういう投資に経済合理性があるというアカデミアの貢献もあって,今見ていただいたような展開になっているということです。
14ページ,その中の1つですが,実は企業が出している情報を評価して,我々投資家の方に伝えてくれる情報仲介機能が発達してきたというのがあります。俗にESGレーティングと言われる存在で,環境,社会,ガバナンスの面から,企業が公表している情報を分析して,金融市場に伝える機能を担っています。我々はそれを参考にしながら投資判断を行うことになります。幾つかの機関がメソドロジーを開示しています。お時間があれば後ほどごらんいただければと思いますが,例えばMSCI,有力な機関ですが,16ページをごらんいただきますと,こんな感じで企業の公表情報を格付しているわけです。具体的には環境,社会,ガバナンスにそれぞれいろいろなリスクがあります。どれだけのリスクにその会社がさらされているのか,それに対してどれだけのマネジメントができているのかとを多面的に分析した上で,加重平均これは,環境,社会,ガバナンス,どこにどれだけ重みがあるか業種・業界によって変わりますが,最終的に格付としてマーケットに提供していくということです。
17ページに,その分析するキーイシューを並べています。環境のところをごらんいただきますと,当然ですが,地球温暖化というのは一番,イの一に上がってくるわけでありまして,このテーマが全ての産業にとって「マテリアル」な情報だということの証だと思います。
今,海外の話を申し上げましたが,今度は日本国内の話です。日本国内,先ほど,2015年以降だと申し上げました。19ページをごらんください。日本版のスチュワードシップコードというのは2014年の2月に金融庁主導で入り,長期投資家として企業の情報に向き合うことが要請されました。これを多くの機関投資家が受け入れたというのが1つのきっかけになるのですが,より直接的なきっかけが2つ目です。我々の年金を運用する世界最大の機関投資家,GPIF,これが2015年9月にPRI,先ほど見ていただいた責任投資原則に署名して,これからESGにかじを切るという宣言をしました。これが一気に流れを変えたわけです。アセットマネジメントという、人から預かって運用する立場の投資家にとって,アセットオーナー,資産を持っている人の意向が一番大切なわけで,その最大のオーナーであるGPIFが,これからはESG投資を重視すると宣言をした以上,この日を境に日本じゅうがESG投資家を標榜(ひょうぼう)するようになったのは当然の展開といえます。我が国では、この四,五年の間に大きな変化が起こったという状況であります。
その変化の大きさが,20ページでごらんいただけると思います。これが日本におけるESG投資残高の推移でありますけれども,2015年9月にGPIFの宣言がありました。以降,26兆が56兆,136兆,231兆と,急激に既存の投資の読替えがESG投資に向かっているというのがごらんいただけるかと思います。ESG投資について,日本では急に聞くようになった背景にはこういう事情があります。
21ページ,その変化は冒頭来ごらんいただいているデータでも把握されていまして,日本の動きは,金額規模ではまだまだですが,伸び率,2014年から16年を見ていただくと,6,692%急激な変化が起こっていることが分かります。欧米で生じた変化にキャッチアップが行われているという状況です。
23ページに飛んでいただくと,企業としては,今まではIRの場でも聞かれなかった非財務情報が注目されるようになってきたということで,どんな情報を出せば自分たちに望ましい長期投資家が付いてくれるのかが大きな関心事項になっています。いろいろな考え方があります。ESGレーティングの評価を上げる対応の1つとして,今多くの企業が参照しているのが伊藤レポート2.0の中で公表された価値協創ガイダンスで、2017年,経産省主導で作られました。
この図は複雑なので,次の24ページに飛んでいただくと,趣旨はこういうことです。伊藤レポート1.0というのは,皆さん御案内のとおり,日本の企業は稼ぐ力が弱いから投資家が付かない,だからROE8%以上を目指そう,コーポレートガバナンスを強化しようといった提言でしたが,そのレポートのバージョン2がESGになったということです。その含意は,まず大前提としてもうかっている会社,稼ぐ力がある会社でなければ投資家は付かないです。これがいわばレポート1.0が示す大前提であるとして,そこで付いてくるいろいろな投資家の中から,真に好ましい長期投資家に付いてもらいたいと思ったら,今稼げている力が10年,20年,30年,仮に気候変動が顕在化しても維持できているということを証明しなさいということです。いわばビジネスモデルの持続可能性をしっかりと説明しなければいけないというロジックです。多くの会社が,自社のビジネスモデルを因数分解して,その強みを棚卸しし,今後いろいろな課題が顕在化してきても、これをしっかりと維持できることを説明しようとしています。投資家もその情報を求めています。この点に関わる情報だけがマテリアルだ,重要だという話になっているわけです。そうするとSDGsの使い方もそこに収れんしてきます。つまり、「当社は、2030年の共通ゴールを認識して成長戦略を描いています。だから当社が頑張れば,当社がもうかると同時に,この社会課題の解決ができます」という説明です。長期目線を持っていて,国際的な共通用語で当社の長期戦略が語れるという会社がマーケットで評価される,そういう時代に入っているということです。
25ページですが,こう考えると、今キーワードは「統合」だといえるでしょう。事業を通じて社会課題が解決できる,あるいは社会課題の解決そのものが事業になっているというロジックで自社の戦略と非財務価値と事業を統合して説明できることが求められています。価値も,CO2が増えたけれども水が減ったみたいに、ばらばらではどうしようもないわけですから,統合的に非財務価値を説明できること,要するにインパクトで語れる会社,そして最終的にはそれを財務情報まで持っていかなければいけない。ここが今,多くの産業界が直面している課題でして,ここをどうするかということになっています。
そこに非財務情報開示フレームワークを上書きするかのように加わってきたのがTCFD,先ほど本郷委員がおっしゃった話です。27ページを見ていただくと,TCFDというのはごらんのとおり気候変動に特化した非財務的な情報をメインストリームの有価証券報告書で開示せよ,要するに金融市場にとっても気候変動はリスクなっていますので,ここをしっかりと開示しなさいというフレームワークになります。
28ページ,具体的にはどんな情報を開示せよということになっているかというと,リスクと機会,この2面であります。リスクについては大きく2つ分けて,移行リスクと物理リスク。先ほど本郷委員のお話にありましたが,恐らくこれ,物理リスクというのは,4℃になってしまい海面が上昇したりいろいろなことが起きてきたときに,自社の工場が水没したりとか,そういう物理的なリスクを計測した上で,そこに対する備えが出来ている,正に「適応」に関する情報を求めているのだと思います。移行リスクの方は,1.5℃ないし2℃に向かうに当たって,当然カーボンプライシングやいろいろな規制が入ってきます。そういった規制が仮に入っても,当社の稼ぐ力が維持できるかどうかをしっかりと示しなさいということかと思います。リスクはその2つです。翻って,当然なのですけれども,こうした変化はビジネスチャンスにもできるわけでありまして,そこの「機会」として開示してください,そういう要請になっています。
今,多くの会社が悩んでいるところですが,29ページに示すように,大きく分けて、まず、ガバナンス。すなわち、そういう戦略がしっかりと経営層の中で議論されているか。次に、そこに向かう戦略がしっかりとできているか。それも複数の気候シナリオ分析をやって,自社の向かう方向を進めなさいという話になっています。これは多分,具体的に言うと4℃シナリオになったときに,物理リスクがこれだけあるけれども,当社は大丈夫だ。1.5℃ないし2℃シナリオに向かった場合,これだけの移行リスクがあるけれども,当社は大丈夫だ。逆にプラスこれだけのオポチュニティーもある。こういうところをしっかりと開示すれば,許されると思います。続いて、それをリスク管理の体制とKPIで示せというのがTCFDになっています。
経産省が中心となって、今,このTCFDを企業として開示に活かしていくか,投資家としてどう見るかという議論をやっています。その一環として,32ページですが,TCFGガイドラインというのを出しています。現在,その改訂の最中ですが,ごらんいただきたいのは32ページの1行目で,ここでTCFDガイダンスは,先ほど見ていただいた価値協創ガイダンスの気候変動特化版だと言っています。つまり,ビジネスモデルの長期的な持続可能性を示せば投資家が付いてくるという話を、気候変動に限定して示せというのがTCFDのガイドラインです。 その中で,例えば業種によってこういうことを出したらいいというのが例示で出しているのが33ページです。例えば自動車については,グリーンハウスガスの排出量だけ出してもしょうがないので,Well to Wheelみたいな観点で,ライフサイクルが,きちんと貢献できているということをしっかりと示すべきであるとか,鉄鋼についても,現状の製鉄プロセスだとどうしても不利になってしまいますから,むしろ水素を用いた製鉄プロセスであるとか,新しい技術について出していこう。化学も同様であります。この辺のキーワードが「非連続なイノベーション」になっていまして,この非連続なイノベーションを絡めて,ビジネスモデルがしっかりと,移行リスクが顕在化しようが,物理リスクが顕在化しようが,大丈夫だというメッセージを出してくださいというのがTCFDですし,その情報を実は機関投資家も,いわゆるESG投資家は待っている状況です。
最後,34ページになりますが,ESG投資というものがメインストリームにはなっています。これは多分,不可逆です。ESG投資家、すなわち長期投資家が求めているのは,今後様々な社会課題が顕在化してきてもビジネスモデルを維持できること,すなわち持続可能性を示してくれということです。企業は,そこに応えるべく,自社の価値創造ストーリーをどう作るのかについて,非常に頭を悩ましている。当然ですが,ビジネスモデルに影響するファクターに限定するということは,マテリアリティのあるテーマに絞るという話ですが,恐らく気候変動問題はどの産業,どの企業にとってもマテリアルです。したがって,今のTCFDみたいなロジックは,どの企業にも非常に重要なテーマになってくるわけです。そこで何とかオポチュニティーも含めて、不連続なイノベーションがもたらす価値を何とか示したいと思っているのですが,ツールがない。先ほど本郷委員の御指摘にあったとおりであります。シナリオ分析をTCFDでやらなければいけない,これも2℃シナリオになったらどんな移行リスクがあるか。これはいろいろ議論がありますけれども,少なくとも物理リスクのときにどう考えたらいいのか。この辺の寄る辺がなかなかなかったりするわけであります。
そう考えますと,今ここで議論されている材料というのは格好のツールになるはずでありまして,まだ産業界がここの研究の成果というのを認識できていない,IPCCを通じて認識しているのかもしれませんが,このあたりがうまく接続すると,先ほど来,先生方の御指摘にあったような話がつながってくる。産業界がこういう情報を理解して使おうとするインセンティブになるのはESG金融です。放っておくと,知らないうちに悪い評価を付けられて株価が落ちる。あるいは気が付いてみたら自社株買いしろとか配当回せという短期投資家ばっかりになって,長期の戦略に付き合ってくれる株主がいなくなっている。そういうリスクを経営者は今,気にしていますので,そこにうまくつなげる意味で,ESG投資について御理解いただくというのは意味があるかと考えた次第でございます。
【髙村主査】 ありがとうございました。
竹ヶ原委員は,個人的にも長く存じ上げておりまして,いろいろ御教示いただいておりますけれども,この分野の第一人者のお一人で,本当に早い時期からESG金融,あるいはサステイナブルファイナンスの分野で,発信をしていただいている方だと思います。改めて整理された説明を受けて,私も勉強になりました。
きょうのこの議論と,頂いた御説明は,次の議題の研究開発の在り方にも関わるものという位置付けでございます。従いまして,ここでは,できましたら御報告を頂いた内容についての御質問に焦点を置いて御質問いただけると大変有り難く思います。併せて是非,議題の3で,こうした動きも踏まえて,文科省としての国の科学技術分野における研究開発の在り方について御意見を頂ければと思っております。
では,いかがでしょうか。
佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】 改めてすばらしい御説明をどうもありがとうございました。
それでESG投資は,例えば地域の産業界にとっても非常に大事なところですし,我々九州にいても,CO2の排出の原単価は下がっているので,そういう関心が高い企業が多いと思っています。
先ほど何回か,企業が,頭を悩ましているというお話がありましたが,逆に,先生から見てどういうところをもう少し企業に頑張っていただければ,例えばこのESGのランキングが上がるとか,評価が上がるというか,投資する側から見て企業にこのあたりをきっちり考えていただきたいみたいな話がありましたら,頂ければと思いました。
【竹ケ原委員】 ありがとうございます。
他省庁の話で恐縮ですが,経産省を中心に,金融庁,環境省が協力する体制でTCFDについての提言をまとめている最中です。投資家サイドと産業界とはある意味で膝を突き合わせて議論していますが,そこで産業界からの要望として,極めて不確実性を伴う将来を評価する話だから,そこをしっかりと分かった上で形式論な評価にはしないでほしいという話があります。あと,先ほど来出ている非連続なイノベーションが大事だという話です。我々はイノベーションの担い手であると。そこを評価してほしいと言うのですが,金融サイドからすると,むしろ是非評価したい部分です。しかし、イノベーションの進捗であるとか,それが気候変動上どんなアウトカムをもたらして企業のリスクを下げるのか,あるいは売上げを増やすのか,こうした点を示すKPI等について,まだコンセンサスを得られていません。難しいとは思うのですけれども,何とかこの部分を示せるように開示を努力していただきたい。我々はむしろそこを見させていただければ,喜んで評価しますと申し上げています。産業界からするとリスクばかり見られているという印象があるようです。そうではなくて,オポチュニティーも正しく見てほしい。イノベーションの力を評価してほしいということです。この辺に双方のジレンマがありまして,正にこのあたり,研究開発の効率性なのか,他に有効な測定法がないか,この部分の情報,これは世界共通のテーマだと思いますが,分かるといいと思っています。
【佐々木委員】 ある政府の大臣クラスの方とお話したときに,この非連続なイノベーションという言葉は,非常にある意味でスケープゴートみたいなところがあって,非連続なので,何が来るか分からないから,自分たちはよく分からない。結局,大学の先生とか,頑張ってくださいみたいな,そういう雰囲気もあって,これを評価するのはとても難しいと思いますし,こういうところをきっちりやっていくのは,もちろん我々,この場だと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,山地委員,その後,江守委員,お願いいたします。
【山地委員】 どうもありがとうございました。
知っているつもりでしたが,いろいろと新しい理解も進んだように思います。その中で少し特化した質問ですが,マテリアリティというのが何となく私にはぴんとこなくて,マテリアルというと非常にタンジブル,我々だと材料とか素材とかに使うので,ここで言っているマテリアルというのは,むしろSDGsとかインタンジブルな感じがするのですが,このマテリアリティというのをもう少し説明していただけませんでしょうか。
【竹ケ原委員】 ここで言うマテリアリティというのは,会計用語から引っ張ってきています。いわゆる重要性の原則というのが会計の世界にありまして,要は重要な情報に絞って開示しなさいということです。そうなると,一昔前までISO 14001の世界でいうところの,著しい環境側面を悉皆(しっかい)的に引っ張り出して,1つ1つPDCAサイクルを回していますと説明することが慫慂(しょうよう)された時代があったと思いますが,そういうことではないのだということです。ビジネスモデルの長期持続可能性にフォーカスしているので,そこに影響するファクターだけに絞って自社の戦略を語ってほしい。それ以外のドネーションなど関係ないことを言われても,我々は評価しない,そういう意味でマテリアリティを使っています。ですからマテリアリティという言葉自体が確かにこの世界で,今ホットイシューにはなっているのですが,そういう意味で,確かにインタンジブルな要素をかなり含んだ用語として使われております。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,江守委員,お願いいたします。
【江守主査代理】 どうもありがとうございました。大変理解が進みました。
2つ質問したいと思いますが,1つは,中期とか長期といったときに,どれぐらいの時間スケールを指しているのかというのをお伺いしたくて,というのは,例えば物理リスクでいったときに,4度に備えようといったときには,4度になるというのは,どんなにRCP8.5で進んだとしても恐らく今世紀後半です。一方で今世紀後半までに掛けたビジネスモデルの持続可能性を見通そうと思っても,なかなか見通せそうな気がしないのですが,その辺がどのぐらいの時間スケールなのかというのが気になったというのが1つです。
もう一つは,今,後から言ったことと,ビジネスモデルの持続可能性をそんなに先まで見通せるのだろうかということと関係しますが,既にいろいろと議論になっております非連続なイノベーションというのをどう捉えるかといったときに,自社が非連続なイノベーションを起こせるように頑張っているというのは,具体的にアピールすればオポチュニティーというか,プラスの材料になるのかもしれませんが,僕の,非常に全く専門外で,自分なりの理解なのですが,非連続なイノベーションというのは,例えば競合他社であるとか,あるいは他国の企業でそういうものが起こって,それが入ってくると,逆にリスクになるというか,自分のビジネスモデルを脅かすような存在にもなるのではないかと思っていますので,この非連続なイノベーションと,その企業のオポチュニティーとかリスクの関係というのはどういうふうに捉えられているのかというのを教えていただければと思います。
【竹ケ原委員】 ありがとうございます。
本質的なところで,しかも2つの質問は多分つながっていますので,説明します。まず中期,企業が通常設定する中期計画はせいぜい3年から5年です。ただ,ここで言う中期,長期というのはもっと長くて,少なくとも最低限2030年,10年先をゴールとするSDGsを使って説明する会社も多いですから2030という時間軸になります。もっとも,それでも10年先に過ぎませんので,企業によっては長期ビジョンを作って,2050年ぐらいをターゲットに置いて,そこからバックキャストをしてきています。ただ,おっしゃるとおり2050年を想定して,例えばある自動車メーカーのように,内燃機関がない世界というのを一応描いてみて,そこからバックキャストするのですが,それが現状の中計,3年,5年ベースのものをリニアに延長していったものとつながるかというと,つながるわけはなく,ここのところのギャップをどう埋めるかというのが,実は大きな課題になっています。そのメーカーは2030年にもう1段階を挿入することできちんとつなぐように努力をされていますが,ESG投資の世界で高い評価を受ける企業は、少なくともそのぐらいのスケール感で絵を描いています。ですから今,多くは長期ビジョンを持っているかどうか,そこがバックキャストしてきて現状の計画とうまく接続できるような設計になっているかどうか,そこはかなり重視して見られるようになっているということです。
そこで,引っ掛かるのはおっしゃるとおりで非連続なイノベーションでして,2050年を想定してバックキャストしろ,だけどその間に非連続なイノベーションが挟まっているとなったら,リニアにつながるわけがない。そこのところをどう考えるかというところは,禅問答みたいなのですけれども,今正にそこが一番大きな課題になっています。しっかりとした会社は例えば2050年を想定した長期ビジョンを出すのですが,そのフィージビリティーをどう考えるのかについて,これを絵に描いた餅ではないかと言う投資家もいれば,むしろ現状から飛躍している方がいいという投資家もいて,その見方によってESGの評価も変わってきます。ですから会社の悩みが尽きないとさっき申し上げた要因の一つはそこでありまして,では一体どっちを信じてどっちの情報を出したらいいのだというのが実はコンセンサスがない状況であります。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,堅達委員,その後,本藤委員,加藤委員,お願いいたします。
【堅達委員】 分かりやすく整理をしていただきありがとうございました。
質問としては,もちろんTCFDに備えていくときに,4度になっても大丈夫だという部分と,1.5度を目指していく上でも,そういうトランジションも含めたリスクについても,こっちもチャンスもあるし大丈夫だということが,何か両並びでおっしゃられていたので,これはもちろん備えるという意味では4度になっても大丈夫だと備えていることは大事だと思いますが,価値創造ストーリーの提示という意味では,4度になったら困るわけで,ある種,1.5度を目指そうということをしっかりと本筋の事業計画に盛り込んでいくことが,どれぐらいESGとしては評価されるのか,本気で1.5度を目指す企業というのは欧米の方が先に出てきていて,日本は今2度を目指すことでもヒーヒー言っている状態だと思いますが,そういう価値創造ストーリーというときに,高い目標,野心的な目標を掲げている企業というのが,今,どれぐらい評価される仕組みになっているのかというあたりを教えていただきたいのと,今の非連続のイノベーションの件で言うと,そんなに測れる尺度がなかなかなくて,もしかするとR&Dというか,どれぐらい研究投資にお金を投じているのかって,そこの目指す世界のビジョンみたいなものが評価されるのかと思いますが,そのあたりを教えていただければと思います。
【竹ケ原委員】 ありがとうございます。
おっしゃるとおり野心的な目標を掲げている企業が評価される,これはそのとおりだと思いますが,それは、先ほど申し上げた長期ビジョンのフィージビリティーが高ければという前提がつくと思います。ただ,それが,出来もしないことを高らかに述べているだけであれば,これは多分,評価に値しないという評価になると思います。理想としては1.5℃を掲げて,そこに向けてビジネスモデルを作っていくのだというメッセージを出しつつ,当然,そうは言っても1社の取組だけでどうこうできる話でもありませんから,最終的に4度になったときに,1.5℃のことしか考えていませんでした,当社は潰れますでも困るわけで,公表するかしないかは別にして,4℃になったときに大丈夫だというシナリオもきちんと作り,経営層で議論しておいてほしい。そこをどう開示するかは御社次第というのはTCFDの考え方です。ですから必ずしも4℃を慫慂(しょうよう)しているわけではないですし,もちろん1.5℃に向かうのが好ましいというのはみんな思っている話ですが,それが描きやすい業種と,本当におっしゃるとおり物すごくジャンプしない限り,そこには到達できないような化石燃料の依存度の高い産業なんかもあるわけで,ここはちょっと個別性があるかという気がします。
あと研究開発の話は,本当に御指摘のとおりで,我々も悩ましいです。あれは人件費の固まりですので,研究開発,R&Dの支出の効率性をどうやって測るかというのは,これはなかなか難しい問題です。先ほど,佐々木委員のお話にも出てきたのですけれども,うまくKPIがとれると,コンセンサスがとれていいというテーマになります。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,本藤委員,お願いいたします。
【本藤委員】 分かりやすい御説明,大変ありがとうございました。
私自身,ESG投資に関して不勉強なので,的外れな質問かもしれませんが,御教示いただければと思います。ESG投資というのは,端的に申し上げると,これは大企業だけを対象としたものなのでしょうか。産業の裾野を支えている中小企業にとって,中小企業もこれに対応していかなければいけないのか。彼らにとって,これはチャンスになり得るのか。若しくはもうリスクでしかない,負荷でしかないのか。大きな企業に関しては非常によく分かるのですが,小さな企業はどうしたらいいのかというのを疑問に思ったので,それに関して教えていただければ有り難いです。
【竹ケ原委員】 ありがとうございます。
実はこの本題はESG金融というふうにしていたのです。おっしゃるとおりESG投資に関して言うと,TCFDがあるように,金融市場の話になってきますので,上場企業,あるいは債券を発行する企業が永続であってほしいというところから来ていますから,基本的には大企業中心になってきます。ところが,その企業をビジネスモデルが持続可能かどうかを評価する際に,大企業は立派ですから,庭先はすぐきれいにできます。ただ,実際にはその企業,ティア1,ティア2,ティア3とサプライチェーンがずっとつながっているわけで,最終的にはそこまできれいでないとリスクはとり切れないという話になってきます。そうすると,今度は企業が,くるっと振り返って自社のサプライチェーンの選別を始めるわけです。そうすると非上場であっても,あるいは中小企業であっても,実は金融とは直接関係なくなるかもしれませんが,大企業とのサプライチェーンに残れるのか,あるいはより評価が高くなって,いろいろな企業から声が掛かるのか,あるいは捨てられてしまうのか,そういう意味での影響はストレートにあると思います。
もう一つ,物すごく迂遠(うえん)ですが,今,地域金融機関,地銀がいろいろ,毎日,新聞で厳しい目でみられていますが,ビジネスモデルがだんだん難しくなってくる中で,もう一回担保に依存しない事業性評価に帰れという話が金融庁から出ているわけです。事業性評価とは何かを考えると,もともと帳簿だけ見て貸していた銀行屋などいなかったわけですから,もともとメインバンクはいろいろな企業の非財務的な情報をしっかりと評価して貸していたはずなのです。今,地方の金融機関がそちらの方向にかじを切りつつありますので,ESGの文脈がサプライチェーンに広がれば、結果的にメインバンクがむしろお金が貸しやすくなる。そういう意味でチャンスになるし,多分,そういうことを代弁できるのはメインバンクである地域金融機関ですから,この会社はこれだけ立派だというふうにフラグを立ててあげると,これがサプライチェーンの目に留まって,思いもよらない大企業から声が掛かって,そういうチャンスにもなると思いますので,そういう意味で上場,非上場関係なく,リスクにもリターンにもなると思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,加藤委員,お願いいたします。
【加藤委員】 どうもありがとうございます。少しお尋ねしたいと思ったのは,今までも幾つか質問の中にも入っていたと思いますが,レーティングの機関である程度評価されるということになると,例えばそこがどういう評価をしているかということに懸かってくるかと思います。結局,方向性を出すというのが。それで企業は当然,投資していただかなければいけないから,それに対応するでしょう。大学も大学評価でかなり振り回されているというところもありますが,評価基準という点は,実際どうなのでしょうか。33ページのTCFDガイドラインというところで見ると,化学のところだけ見ると,製造プロセスの高効率化やGHG排出量の少ない高付加価値製品へのシフトとか,ある意味,当たり前みたいなことしか書いていないのですが,結局どういうふうに評価されるかというところが重要なのではないかと思います。その辺もう少し御説明いただければと思います。
【竹ケ原委員】 先ほどMSCIのメソドロジーだけ簡単に御紹介しましたけれども,それぞれ味付けがありまして,各機関が,多くは会社の公表情報だけで,それなりにしっかりと評価軸を持っていまして,それで分析して点数化して出していく。ただ,問題は,おっしゃるとおりESGレーティングによって評価がばらばらです。GPIFが採用したインデックスに,先ほど見ていただいたMSCIとFTSEというのがあるのですが,これを相関させますと,全く相関性のない散布図になります。ばらばらになります。やはり見たいところとか,評価している重点項目が違うのです。そうすると今度は,格付機関のビューティーコンテストというのが行われて,どこが信用するに足るか,どこが一番人気があるかという話になってきます。二,三社の評価がとても重視される傾向があるのですが,結局多くの会社は,その人たちのメソドロジーを見て,そこにしっかりと対応できるような開示にしていこう,そんな今,流れにはなっています。ですから確かに評価する側もまだまだ発展途上でありまして,まだばらばらの状況が続いているということです。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,清水委員,お願いいたします。
【清水委員】 私もTCFDガイドラインのMETIのポイントについて質問があります。化学メーカーとしては,正にこういったことに取り組んでいるのが現状です。例えば,製造プロセスの高効率化やGHG排出量の少ない高付加価値製品へのシフトであるとか,使用段階での環境負荷低減に資する製品を通じた貢献などですが,こうした貢献を化学メーカーが行えば,地球環境問題に対する貢献は,ある一定程度起こるはずで,それは,当然,お客様や投資家から評価されることになると思います。私の疑問は,だからといって,そうした貢献が,例えば先ほど例に挙げられたプラス2℃,プラス4℃ということが起きたときのビジネスモデルのレジリエンスと,必ずしも論理的にはつながらないのではないかというものです。地球環境問題に対する貢献と、ビジネスモデルのレジリエンスをうまくつなぐツールであるとか理論であるとか,そういったものが,今あるのでしょうか。
【竹ケ原委員】 全く御指摘のとおりで,それがないので経産省がこのガイドライン,今,改訂を作っているのですが,まずは実はTCFD自体の産業分類が,金融を別にすれば、わずか4分類なのです。御案内のとおりで,これでは余りにも雑だろうと,したがって当初の経産省のTCFDガイドラインの概念としては,もっと細かく,各産業に固有の事情があるし,場合によったら企業ごとに違うのだから,もう少し,少なくともカテゴリーを細かく出していったらいい。ただ,具体的にそれを何か例示が必要という中で,代表的に自動車だったり,鉄鋼だったり,化学だったりというところで,例えばこういうところに情報を出すと,よりアップサイドといいますか,オポチュニティーが見えるのではないかと例示を出しただけなのです。ですから,これはまだ発展途上ですし,おっしゃるとおり,これで尽きるとは全く思っていない状況だと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
大変活発な御質問を,それから竹ヶ原委員には御回答を頂いたと思います。
先ほど申し上げましたように,次の議題の今後の研究開発の在り方に関わる重要な示唆を頂いていると思いますので,次の議題のところに議論の場を移していきたいと思います。議題の3ですけれども,今後の環境エネルギー科学技術分野における研究開発の在り方についてということであります。事務局の方から議論のためのたたき台ということで御紹介を頂いて,議論をしたいと思います。
では,事務局からお願いできますでしょうか。
【加藤係長】 まず事務局より資料について御説明をさせていただきます。資料3-1ですが,こちらは直近の総合政策特別委員会での中間取りまとめに向けた骨子案という資料を出させていただいております。現在は,この1ポツの基本的考え方と2ポツのシステムの目指すべき方向性というところの議論について深掘りをしておりまして,その下の今後更に検討すべき事項というところで,各分野委員会での議論が今後ここに集約されるという予定になっております。
ざっくりと内容を御説明させていただきますと,1ポツのところ,Society 5.0の実現に向けて,現在の知識集約型社会を知の力で世界をリードしていくために,知の創造の源泉である基礎研究を強化し,知識集約型価値創造システムを世界に先駆けて構築していくことの需要性,また我が国が持ち得る先端科学技術力・人材を総動員し,また大学改革等も一体となって,新たな科学技術イノベーションシステムを構築するということが1ポツで記載されております。
2ポツ目,科学技術イノベーションシステムの目指すべき方向性ということで,1から5に焦点を当てて議論を深掘りして。具体的には,基礎研究・学術研究の強化,括弧2,大学や研究開発法人のシステムの機能強化,括弧3,研究人材のキャリアパスの多様化,括弧4,データなどのデジタル化の活用というところ,それから括弧5で政策イノベーション,これらを議論しておりますというところでございます。
続きまして,資料の3-2でございますけれども,今までの環境エネルギー科学技術委員会で頂いた主な意見ということでまとめさせていただいております。
それらを踏まえまして,資料3-3というところで,事務局において今後の研究開発の方向性をまとめさせていただきました。こちらを本委員会での取りまとめの骨子になるものと捉えていただければと思っております。
まず点線のところで補足的に説明をさせていただいておりますけれども,総合政策特別委員会より,議論の中で留意すべき事項ということで,幾つか指示を頂いているところです。1つ目が,この分野固有の社会課題や研究領域の状況に照らした事項であるということ。それから2ポツ目,国内外の動向や分野俯瞰(ふかん),つまり我が国の強みや弱みの分析などを踏まえるということを留意することとなっております。
具体的な骨子案,このたたき台の中身でございますけれども,まず1つ目の柱に,環境エネルギー分野の研究開発を取り巻く状況の変化,いわゆる現状認識を記載させていただいております。SDGsですとかパリ協定,それから本年6月に行われましたG20大阪の日本の国際的な発信というところを位置付けさせていただいております。
2つ目の柱として,文科省が推進すべき環境エネルギー科学技術の研究開発課題として,エネルギー分野,それから環境分野と研究シーズの創出というところを記載させていただいております。
3つ目の柱でございますけれども,こちらは研究開発の推進に当たっての重要事項,いわば横串的な,分野横断的な課題ではありますけれども,特にこの分野に特化した事項,この分野に必要な取組ということをより深掘りできればと思っております。具体的には1つ目で,LCAの実施。2つ目に,先ほど竹ヶ原委員からもお話がありましたESG投資をどう活用していくか,3つ目,人文社会も含めた文理融合の取組,4つ目,産学連携の促進,5つ目,データの創出や活用,それからその下,人材育成の強化と国際的な取組の推進ということを記載させていただいております。
今回及び次回の10月の御議論を踏まえまして,その後の総合政策特別委員会に中身を報告させていただくという予定になっております。引き続き御議論のほどよろしくお願いいたします。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございました。
それでは,事務局から論点,たたき台を示していただきましたけれども,こちらについて議論をお願いしたいと思います。先ほど竹ヶ原委員から御報告いただいた内容もそうでありますし,きょう,机上に御用意いただいておりますけれども,NISTEPの調査ですとか,LCSのシナリオ分析ですとか,あるいはCOCNの提言等々の資料もございますので,これらも踏まえつつ,環境エネルギー分野の研究開発について御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 御説明ありがとうございます。
方向性として非常に納得できるところですが,少し私の方から見方を変えたコメントをさせていただければと思います。
1つは,産業との協力ということが盛り込まれているのですが,私の受けた印象は,どちらかというと技術をサプライする側の産業との協力が主に見えます。しかし結局,使う側の方がどうなのか。つまり産業の中でも技術のサプライヤーとユーザーの間には,現実の問題として,大きなギャップがあるケースが少なからずあるので,せっかく産業との対話・協力というのであれば,最終的なユーザーとしての産業との協力というのもあるのではないのかという気がいたします。そうした中で,1つのやり方として,非常にピュアな研究者と,そうした研究から恐らく一番遠いユーザーとの間で人事交流みたいなものがあってもいいのかと思います。長期というのは難しいにせよ,半年ぐらいとかそういった形の交流があったらどうかというような気がいたします。
それからもう一つ,ここで書かれている社会科学との交流,これは非常にいいことだと思います。というのは,社会科学の方では,何が社会的な課題なのかということをよく考えているわけですが,その社会的課題を解決するため,緩和するための技術・科学ということが求められるが十分に理解できていないことが多いと思われます。社会科学との交流というのは是非進めていただきたいと思います。しかし,少し具体的に考えると,何が社会課題なのかというのを考えるのは,実は簡単なようで簡単ではない。それで例えば江守委員が以前,フューチャー・アースを進められていたと思いますが,ああいったところでいろいろな社会科学というか社会的な課題を検討されていた経験があるので,そうした経験をうまくつないでいくみたいなことができればいいという気がいたします。
それから人材関係のところで言うと,是非,海外からの研究者を受け入れる。もちろん日本の研究者も外に行くのだけれども,研究者の国内外での交流が活発になるというのはいいこと,刺激があるのではないかという気がいたします。実際,私のいる民間のシンクタンク,商社のためのシンクタンクですけれども,ここにはアメリカの大学から,社会科学の面ですが,研究者が来ました。二,三週間ぐらいでしたけれども,日本人にはない発想のことをいろいろ説明されていったりして刺激になったので,そういったことも是非やっていただきたいと思います。
そうした3つのポイントがありますが,もう一つ全体的に言うと,技術を特定,技術を絞り込んで書かれています。当然,全てやっていいというわけではないので,優先順位を付けるというのはあると思いますが,先ほど申し上げましたように産業,特にユーザーサイドとの対話あるいは社会科学との対話をやっていくと,もう少し広い可能性が出てくるので,私自身は集中と選択というだけが戦略ではなくて,むしろ長期的な課題には分散投資というのもあるのではないかと思っていますので,そうした意味で絞り込んだ技術,これを見直していくというかフレキシブルに対応できるような仕組みも併せて考えていただいたらよろしいのではないかという気がいたしました。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
堅達委員,お願いします。
【堅達委員】 すみません,文部科学省が推進すべき環境エネルギー科学技術の研究開発課題というところに脱炭素社会を実現するエネルギー分野ということで書いてあるのですが,これは水素,CCUSから始まっていくのは何か順位付けみたいな気持ちがあるのか,単にこの順番で並べておられるのかというところが1つ気になるところと,視点としてサーキュラーエコノミーをこの後実現していかなければいけないという,そのことに対して当然様々な研究を総動員していかないと,新しい素材を生み出したり,ケミカルリサイクル的なことだったり,プラスチックの代替となるような新素材を作っていくことも含めて,相当大規模な研究というのが,世界中で競争が始まっていると思いますし,それには基礎研究をしっかりやるという,何が大化けするかというのは,本郷委員もおっしゃっていましたけれども,分からなかったりするわけで,幅広にいろいろなところを,そういうチャレンジしていくというところも大事かと思いますが,その観点は,どこに書いてあると理解すればいいのか教えていただきたいと思います。水素は大事な部分もあるとは思いますけれども,水素とCCUSから始まるというのが,本当に何というのか脱炭素の優先順位なのかというのは若干疑問を持っていますので,今できることである本当に再生可能エネルギーをきっちり普及させるための様々な技術開発ということについては,何も順位付けがあるわけではないのではないかと思っていますので,そのあたりを教えていただければと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
幾つか御質問があるかと思いますけれども,最後のところで事務局からまとめてお答えいただこうと思います。
それでは,佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】 まずエネルギー関係でこの4つのテーマを書いていただいて,関連する研究者としては有り難いと思っていますし,先ほど水素が1番目に来ているということですけれども,私自身は別に1番に入っているとは全然思っていなくて,この4つの分野を,山地委員とかが入られているエネルギー・環境技術のポテンシャル・実用化評価検討会でかなり議論をして,もちろんほかのものを否定しているわけでは全然なくて,ただしこの4つは,少なくとも頑張らないと駄目だという重い十字架を背負わせられた4つの分野と私は個人的に理解しています。
それで,先ほどのESG投資の中で非連続なイノベーションというところが出てきましたけれども,正にこのエネルギー環境分野で非連続なイノベーションの根幹を支えるのが,文科省ではないかと思いますので,文科省の役割ってすごく大きいというのを改めて感じました。
先ほどの一番初めの事業の中間評価のときに非常によかったと思ったのは,実際の実務をされている気象庁とかと文科省の研究開発局がきっちり連携してやるというすごくいいスキームではないかと思いました。なので,特にエネルギー関係でいきますと,当然,経済産業省が企業をヘッドにしたような実用化中心の事業もされておりますし,環境性が大事なところは環境省がかなり実証のところで中心としてされておりますので,是非,根幹の非連続なイノベーションを出すところは正に本質的なサイエンスのところです。このところが文部科学省の非常に重要な役割ではないかと思いますので,そこのところを具体化するような事業を文科省の方でやっていただく,正に文科省がこの根幹の非連続的なイノベーションのところを牽引(けんいん)できる重要な役割を果たせるのではないかと考えました。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,波多野委員,その後,江守委員,お願いいたします。
【波多野委員】 既に前の2人の先生方の御意見と類似しますが,文科省が推進すべき環境エネルギーの科学技術で,今まで議論されたところの中に,個別ではなくて,エネルギーと環境が独立ではなく,環境とエネルギー,更に社会科学,エコノミー,これは先ほどのESG投資の御紹介でも重要性は認識しましたが,更にセイフティも包含した融合的で包括的な研究開発が今後ますます需要であると考えます。文科省としては推薦すべきテーマかと思います。どうしても個別の技術項目が目につきますので,個別の要素技術ではございませんが,重要な研究開発の課題にそのような融合・包括的な項目があってもいいかと思いました。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,江守委員,お願いいたします。
【江守主査代理】 ありがとうございます。
3つ申し上げたいと思いますが,1つは,先ほどの統合プログラムの議論で僕は発言できなかったので,そのとき伺っていて1つ思ったことで,評価とは関係なく申し上げますが,既に,かなり近いことを佐々木委員がおっしゃったのですが,先ほども佐々木委員の発言を伺っていて,文部科学省の環境エネルギー課で,環境科学技術とエネルギー科学技術をやっていて,それが現時点では十分につながっていないので,そこをつなげるようなことが最終的にはできたらいいのではないかということで,おっしゃるとおりだなと思ったのですが,そのとき同時に思ったのは,それをつなげるためには,1回文科省の外に出て,つなげる媒体として環境省とか経産省が必要なのではないか。そこと組んで,やっと文科省の中でやっている2つの科学技術分野である環境とエネルギーがつながるということが起こるのではないかと思った次第です。現在のこの案にもユーザーのニーズを踏まえた云々(うんぬん)というところで,他省庁という言葉が出てきますし,あるいはそれに,何ていうか,部分的には他省庁と連携した取組というのは既に幾つか始まっているものと認識していますけれども,それを更に広げて統合的に,例えば環境科学技術でエネルギー科学技術をどう統合した活用をしてビジョンを描いていくかというようなところで戦略的に複数の省庁と組んで事業を展開していくというようなことは目指されてよろしいのではないかと思いました。それが1つ目です。
2つ目は,先ほど本郷委員のコメントで,フューチャー・アースとか社会的な課題というお話で名前を呼ばれたので,何かコメントをしなければいけないと思って発言しますが,現時点でフューチャー・アースでそういう議論が十分できているかということは別として,僕の中で考えていますのは,人文社会的な議論として,価値の問題といいますか,それをもっと議論する必要があるのではないかということです。社会的な課題といったときに,それはもちろん社会の中から様々なステークホルダーといいますか,様々な立場の人がどういう課題を感じているかということを科学は社会的な主体と一緒に考えていかなくてはいけないというのがフューチャー・アースの中の1つの重要な考え方ではあるのですけれども,そのときに,何ていうか,うっかりしていると,今までと余り変わらないテクノクラティックな物差しでステークホルダーの発言を並べて課題を抽出するということが起こるのではないかと思っていて,そこに恐らく人文科学みたいなものが活躍しなくてはいけない場所があるのではないかと思っています。一例として,前々回だったか,その前だったか忘れましたけれども,挙げさせていただいて,この資料の3-2にも書いていただいていますのは,例えばSプラス3Eというのがありますが,それはある意味でテクノクラティックな物差しなのではないかと思いますが,そこに別のEを,エティックスなのか何なのか,別にEである必要も必ずしもないのですけれども,足していくというような議論というのは,非常に重要なのではないかと思っています。そういうふうに今までの議論の前提というのに別の視点が入ると,多分,今までどおり考えていた方がやりやすいと思っていた人にとっては,何ていうか面倒くさいので,実際こういうことがどんどん起きるかというと,なかなか実は難しいところがあるのではないかと思っています。それをやっぱり,そういう議論をしなければいけないという雰囲気,そういう議論が促進される仕組みをどうやって作っていくかというところからして考えていく必要があると思います。それが2つ目です。
3つ目は,水素,CCUSの話ですが,僕は,これは,ある省庁のある方から伺った認識によりますと,首相のダボス会議発言で特出しされたのが水素,CCUSなので,行政としてはこれを強調せざるを得ない,これは行政にとっては境界条件であるという認識を伺ったことがあります。これは文科省の皆さんが同じ認識であるかどうかは分かりません。けれどもそういうことというのは,側面としてはあるのかと理解しています。それがいいか悪いかということは別として,そういう何ていうか,やはり政策に政治が与えている影響みたいなものというのは,何らか存在していると思いまして,例えば政治学者がそういうところに分析的なメスを入れていくというのも,恐らく広い意味で人文社会科学に期待されるこの分野への貢献なのではないかと個人的には思っているところです。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,石川委員,その後,中山委員,お願いいたします。
【石川委員】 皆さんの意見を聞いていて,私の言いたいことも大分出てきていると感じましたが,もうあと幾つか追加したいと思います。
1つは,推進すべき研究開発課題というところにも関わってくるのですが,やはり非連続なイノベーションというものというのは,かなり基礎研究からという印象がありますが,そこをどう使っていくかというところについても一緒にやっていかないと,広く浅く投資するというところから育てていく,それが育ったものをしっかりとつなげていくというところを一気通貫にやっていくというのは,文科省だけではないかもしれませんが,文科省が主導するべきところではないかと感じています。
それに関連して,2ページ目になりますが,研究開発を支える基盤的情報創出の利活用のところで,ユーザーのニーズを踏まえたデータの利活用というところですが,利活用だけではなくて,やはりデータを作るところ,それからデータを作るための基礎技術からユーザーとの対話,コデザイン,コワークというのをやっていかないと,実際に必要なものというのはなかなかできてこないと感じておりますので,単にできたものをどう使うかだけではなくて,作るところから一緒にお互いの情報を持ち合って,アイデアを出し合ってやっていかないと,本当に必要なものはできないということで,そこら辺からも含めた研究開発というのが必要になってくるのではないかと感じております。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
中山委員,お願いいたします。
【中山委員】 エネルギー政策に関して,CSTIが議論を開始し12月に取りまとめようとしている革新的環境イノベーション戦略の内容は,当然,今後,文部科学省が推進すべき研究開発課題と密接に関わってくると思いますので,この会議の議論と革新的環境イノベーションの議論をどうリンクさせていくかといったところをお教えください。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,加藤委員,その後,嶋田委員,お願いいたします。
【加藤委員】 ありがとうございます。
私はこの項目の中の人材育成の強化というところで少し気になったので発言させていただきます。というのは,今ずっと,いろいろな先生方からの意見も出ていますように,やはり基礎研究・基盤研究の重要性は文部科学省のやるべきこととしては皆さん,意見は一致していると思います。それに関して言えば,それを行っていく人の人材の育成というのはとても重要であるというのも明らかであります。ここの項目で書いてあるところで気になった点というのは,特にニーズの高い分野における研究開発人材の育成ということで,特化して人材を育成するという雰囲気があり,何かそこに偏りすぎると少し困るかと思います。非連続のイノベーションを実現するためには,多様な人材が必要で,いろいろな分野からの融合も必要ということは書いてありますが,人材も特化ではなく,しっかりと多様な人材を育成する場を設けていただきたいというのが意見です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
それでは,嶋田委員,お願いいたします。
【嶋田委員】 ありがとうございます。
今,文科省の環境エネルギー課ではSI-CATとか,統合も一部あるかもしれませんが,かなり生々しい適応策に関する研究課題も抱えているわけですが,今回の方向性を見ると,地球観測や気候変動予測に関する技術開発に関してはかなり強化をすると書かれているわけですが,適応に関してはほぼ書かれていないということです。環境省が,適応法ができて,そちらの方は主にやっていくというふうに切り分けをしたということであれば,もちろんそれは合理的だと思いますが,全く書かれていないことで多少幅が狭くなる可能性もあるのではないかと思っていまして,そこの見解をお聞かせいただければなと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
本藤委員,お願いいたします。
【本藤委員】 2点ほどございます。具体的なことと,やや抽象的なことです。
具体的なことは,資料3-3の黒い2つ目のところです。文部科学省が推進すべき環境エネルギー科学技術の研究課題開発のことです。ここに先ほど来,先生方から御意見がありましたが,エネルギー分野と環境分野の交わるような革新的技術の推進に関する具体的な項目を入れた方がよいと感じました。例えば,今であればエネルギーと水というのは非常に重要な,かつ長期的な革新的な技術が必要になるところであり,相互に関連しています。しかし,今の記述ですと,一つはエネルギーに関する革新的技術,それからもう一つは地球環境規模課題に関する観測であるとか予測とかであり,後者は何か社会的な課題を直接解決するための技術開発ではないと思います。ですので,エネルギー分野と環境分野にまたがる課題を解決するための技術開発に関する項目を明示的に入れた方がよろしいのではないかというのが1つあります。
もう1点,2点目は,やや抽象的で,私もよく自分で分かっていないのですが,江守委員のおっしゃったことと近いのかもしれません。何を研究開発課題として取り上げるか,何を優先するかというのは,各々が何を大事と思っているか,重要と思っているか,多分,価値に強く依存するかと思っています。もちろん最終的には何か決めなければいけないのですが,ただ,この計画を書く上で,社会があたかも1つの固まりとして,同じ方向を全員が向いているという前提は置かない方がいいのかと感じました。それぞれいろいろな方向を向いていて,それぞれにとって重要なものは異なる。しかし,それは一応考えたけれども,今,これを重要だと文科省としては考えて,こういう価値観の下にこれらの技術課題を選んだのだというような最初の前段が私は必要なのかと思いました。
以上です。
【髙村主査】 ありがとうございます。
ほかに御質問,御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。大変貴重な御意見を頂いたかと思います。
私個人の意見も申し上げたいと思います。前回,前々回の議論,それからきょう竹ヶ原委員から御報告いただいたような,世界,日本の最近の動向を踏まえたときに,特にこの環境エネルギー科学技術の分野の中でも気候予測,それから気候変動の影響リスクの研究,これは統合に表れているようにプログラムを持っているわけですが,それを支える観測も含めて,こうした研究,今まで行ってきた,それからこれから行うこうしたプログラムが,社会的ニーズに照らして非常に高い価値を持ち得る可能性があるということをきちんと踏まえる必要があるかと思っております。これは議題の2で議論をしていたところですけれども,1つの例として,既に何人かの委員からありました,物理的リスクに関して,具体的に予測情報が出されることで,企業が自らの価値創造ストーリーをより積極的に示していけるということは,日本の企業にESG投資,資金の流れを呼んでいくという意味でも非常に重要だと思います。もちろん気候変動の予測も影響リスクの評価も,これはもちろん科学研究としての重要性は言うまでもないわけですが,改めて,やはり今の社会の動きを踏まえたときに,その価値というのが増しているということは是非,総合政策特別委員会の中に,こうした動き,社会的な動向については是非踏まえる記述を頂きたいと思っております。今,少なくとも骨子の段階では,こうした大きな流れ,企業のニーズも含めて,余り記載がないように思っていまして,この点については是非お願いをしたいと思っております。
これと同じ趣旨で,今,環境,特に気候変動の文脈で申し上げましたけれども,正に非連続なイノベーションというところで議論がございましたが,脱炭素に向けたいろいろなイノベーションを起こしていくということでの文部科学省の科学技術政策の重要性も非常に増していると思います。脱炭素というのは,つまり将来のあるべき未来像に向かってどういう社会ニーズがあるかという観点からの課題設定だと思います。ここも,総合政策特別委員会の資料で,この脱炭素社会に向けたイノベーションというところが,全体としてトーンが弱いように思っていまして,ここも是非入れていただけると有り難いと思います。佐々木委員や山地委員も御出席だったエネルギー・環境技術のポテンシャル・実用化評価検討会ですが,ここでの議論を見ていますと,脱炭素という未来像を踏まえたときに,今何が必要なイノベーションの分野かという議論をされていると思っていまして,そういう意味ではこれはよいたたき台だと思いますし,同時に何人かの委員からも御指摘がありましたけれども,これだけでない,幅広いイノベーションのシーズをどうやって拾い上げ作っていくかというのがもう一つの課題としてあるのだと思っております。そういう意味では先ほど本郷委員が冒頭に集中は必要だけれども,同時に幅広い,あるいは本藤委員の言葉でいくと多様性かもしれませんが,いずれにしても脱炭素1点をとっても非常に幅広いシナリオが想定される中で,集中は必要,同時に幅広い多様性をどうやって維持するかという,大変難しい課題ではあるのですけれども,それを両にらみで考えていく必要があるのではないかとは思っております。
具体的なところで幾つか申し上げたいと思います。先ほど申し上げた点にも関わるのですが,1つは気候変動の予測あるいは影響の予測評価に関して言うと,企業がおっしゃっている4℃のシナリオということだと思いますが,RCP8.5のシナリオ分析をどういうふうに強化していくかというのは1つの視点かと思います。
もう一つは,これも何人かの委員から御指摘がありました,地域のレベルでの影響リスク評価ができるというのは,企業にとっても自治体にとっても重要で,その意味でのモデルの高度化が必要だと思いますし,同じ趣旨で,恐らく多くの企業がアジアにサプライチェーンと市場を持っていらっしゃるので,アジアという地域をどういうふうにフォーカスしていくかというのは,全体のプログラムの中では重要な点のように思います。
そしてもう一つは,これは文科省だけではできないところだと思いますけれども,影響リスク評価にしても,一体どういう社会,経済になっていくかというシナリオの設定次第で表れ方が違うと思います。この社会経済シナリオ,これは昔から研究もありますし,しかしながら改めて今,先ほど言いましたTCFDと,あるいは金融の動きを踏まえると求められている情報のようにも思います。このあたりは,今後,重点を置くべき研究開発課題ではないかと個人的には思っております。
それでは,事務局の方に,幾つか質問も出ていたと思いますので,お答えいただける点についてお答えを頂ければと思います。
【加藤係長】 御意見ありがとうございました。
幾つか舌足らずな部分,説明もございましたので,補足もしつつ,回答させていただければと思います。
まず本郷委員から御指摘いただきました集中と多様性の点についてですけれども,2つ目の柱の研究課題のところでもう少ししっかりと書かせていただければと思っております。1ポツ目のところで水素,CCUSと書かせていただきましたのは,「エネルギー・環境技術のポテンシャル・実用化評価検討会」で抽出された課題を4つ書き並べさせていただきました。もちろんこれは飽くまで技術の代表例ということで記載しておりまして,せめて「等」でも付けておけば,広がりをもう少し持ったかと思いますが,これをはじめとしてフレキシブルに対応できるような形でエネルギー技術を推進していくということを入れ込ませていただければと思っております。
また皆様から御指摘いただきましたエネルギー分野と環境分野の連携については引き続き事務局としても考えさせていただければと思います。御意見ありがとうございます。
それから,中山委員から御指摘を頂きました革新的環境イノベーション戦略につきましては,CSTIともしっかり連携させていただきまして,彼らの検討状況も聞きつつ,議論の進捗があればまた御紹介をさせていただきます。
それから嶋田委員から御指摘いただきました適応に関してのところですけれども,ページ2枚目の,データ,基盤的情報の矢印の2つ目のところに少し書かせていただいていたのですが,自治体の気候変動適応計画も含めたユーザーのニーズを踏まえたデータの利活用というところに閉じてしまっているので,利活用だけでなく,もう少し幅広な書き方にさせていただくように,修正させていただければと思います。
それから,そのほか委員の先生方から様々御指摘いただいたところを改めて事務局としても持ち帰りまして,次の委員会までにしっかりと検討させていただきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。
【髙村主査】 ありがとうございます。
今,事務局からお答えいただきましたけれども,次の委員会は10月の予定ということですが,それまでの間でももし何かインプットがありましたら,事務局にお伝えいただければと思います。
それでは,本日,予定をしております議題は以上となりますけれども,全般を通して,あるいはそのほかに委員の皆様から何か御発言,御質問ございましたらお願いしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
江守委員,お願いします。
【江守主査代理】 これも最初の統合プログラムの議論で黙っていなければいけなかったので言えなかったことで,評価とは関係なく申し上げたいと思いますが,本郷委員の御発言の中に,2度,4度の確率分布を持ったリスク情報が欲しいという話があったのですが,この考え方,現在,気候科学者の中で世界的に議論がありまして,今まで気候予測の不確実性というのを確率分布で表せるのが一番客観性があって,数理的な取扱いができて,それを目指していたのですけれども,本当にそれでいいのかという議論が盛り上がっています。といいますのは,予測の不確実性の内,幾つかの種類のものが混ざっていまして,1つはランダムな不確実性で,本当に1週間先の天気が分からないというような意味での,さいころを振ったら何が出るか分からないという意味での不確実性。これは確率的に扱うというのが正当なのですが,もう一つは,認識論的な不確実性といいますか,複数のモデルが異なる予測をしたときに,どのモデルが正しいのか分からない。どれかが現実に近いはずなのだけれども,それがどれなのか現時点では分からないという意味での不確実。そのことも今まで確率分布に入れてしまおうというようなアプローチがあったのですが,それはある意味で少し分かりにくくしているし,ユーザーにとって不確実性の意味をしっかりと伝えていないし,本当にそれでいいのかという議論があって,むしろそれは,別のアプローチとして今提案されているのがストーリーラインというやり方なのですが,複数のモデルが複数のそれぞれにあり得る物理的なメカニズムで異なる将来予測を描くのであれば,それぞれを物理的に整合したストーリーとしてユーザーに説明した方がいいのではないかということが言われるようになってきました。次のIPCCに向けても盛り上がる課題ではないかと思うので,参考までに発言させていただきました。
【髙村主査】 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
本郷委員。
【本郷委員】 企業というか実際に使う場合の身勝手な都合からいうと,ストーリーで説明されてもなかなか理解できないので,ある種割り切りが必要だというところが私の申し上げた確率です。例えば,経済予測の世界でも同じようなツールはあって,いろいろなシンクタンクとか政府の見通しとか全然違うことを言っているけれども,たくさんの予測があれば,ある程度正確なのではないかという割り切り,だから誤りはあるのかもしれないけれども,それが最終的には正規分布になるという前提で,経済予測の世界で使われているようなケースもあるので,産業というか,私,もともと経済のバックグラウンドなので,そういう前提で申し上げたということでございます。今の進んでいる議論というのは,確かに非常に重要なポイントなので,また勉強させていただこうと思います。
【髙村主査】 佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】 いつもそうなのですが,水素の話はいろいろな御批判を,一手に受けているので,1点だけお断りさせていただきますと,水素は何か特別,急に出てきたようなことをよく言われるのですが,水素の話というのはすごく本質的な一歩でして,要は今までは電力会社が電気という使いやすいものをきっちり制御して,世の中のマネジメントをしていた,エネルギーのマネジメントができていたのですが,再エネを含めた変動が激しいものが入ってきたときに,この2次エネルギーの構造を変えないと駄目だという本質的なところが,再エネをもっと入れるには必要であるということと,さっき出てきました製鉄とか化学工業で,脱炭素化を実現するところで,エネルギーの中で電気の割合って実は4分の1とかそのぐらいでしかないのです。ですから日本全体で脱炭素を,世界全体で脱炭素を実現するときに,2次エネルギーの構造を変えていく必要があるというのが発端です。2次エネルギーというと電気が電気的な2次エネルギーで,熱というのが熱的な2次エネルギーですけれども,化学的な形の2次エネルギーで脱炭素が実現できるものが入ってこないと,なかなか,電気もそうですし,製鉄とか産業分野で,脱炭素化は難しい。そこで脱炭素を実現できる化学的な形のエネルギー形態というと,水素ということで,実は数年前から出てきた話です。去年,エネルギー情勢懇談会で2050年の脱炭素社会を考えたときに,やはり水素という2次エネルギーを入れないと中長期的には難しいというところから来ております。なので,私的には,水素を入れれば,何か世の中で脱炭素化が実現できるというプレッシャーを受けて,困っているところがあるのですが,急に出てきたものではなくて,そういうような本質的な2次エネルギーの議論から出てきたということは御理解いただければと思います。
【髙村主査】 ありがとうございます。
堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 今の確率論の話で言ったときに,今,気候変動の世界では,確率としては少ないかもしれないけれども,単に一番起こりやすそうなところだけを注目するのではなくて,起きてしまったら大変なこと,実は起きる可能性が少しだけでもあって,起きてしまったら取り返しがつかないことという,その確率の考え方をしっかり共有できることが必要かと思います。ここ数日でもシベリアで森林火災がものすごいことになっていて,四国の1.5倍以上の面積が今,燃えていて,ロシア政府も,北極圏で人も住んでいないから最初,消火していなかったら,もう大変なことになってしまって,軍を投入して,今,消火に当たっているのですが,そこの煙とかすすが,北極圏に与える影響とか,その予測もしていなかった,予測はされていたのだけれども,悪い方に出てきたフィードバックとか,そういうものがどういうふうに玉突き現象を起こしていくのかとか,今,結構悪い情報としていっぱいそういうことが出てきているときに,今後の研究の課題として,そういうある種最悪シナリオ的なことも含めて研究を備えておくというのは,さっきの4度上昇と同じ考え方だと思いますけれども,そこまで考えないと回らなくなってきているところもありますし,冒頭の統合プログラムもそうですが,フィードバックというところがやはり世界中で今ブラックボックスになっていて,まだまだ分からない未知のゾーンがあるというところで,日本がどれだけ貢献していけるかというところは本当に重要な課題なので,是非,文部科学省のこの重点項目の中でも意識していただければと今のお話を聞いていて思いました。
【髙村主査】 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
先ほど江守委員から問題提起していただいて始まった議論というのは,恐らくモデルあるいはプログラムの結果として出てくるリスク情報を社会の側,きょうは企業とか金融の話が出ましたけれども,そちらがどういうものを求めているかということでもう一度定義し直すといいましょうか,そういう作業が恐らくモデルの側,プログラムの側にも必要だという問題提起をされているのだと思います。それは恐らく不確実性の扱いについても同じだと,話を伺って思いました。これは,大変重要な,今後の研究開発課題に直結していく議論だと思います。是非こちらも事務局でうまく反映をしていただければと思います。
それでは,事務局から御連絡事項をお願いしたいと思います。
【加藤係長】 本日の議事録は,後日,事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等あれば御指摘をお願いいたします。最終的に文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきます。
また旅費,委員手当に関する諸手当の請求に当たっての確認についてという資料をお配りしておりますので,御確認いただき,お帰りの際に事務局まで御提出ください。
次回の会合については,10月23日午前中を予定しております。引き続き御議論のほどよろしくお願いいたします。
本日は,ありがとうございました。
【髙村主査】 ありがとうございました。
それでは,以上で第4回の会合を閉会いたします。どうもお疲れさまでございました。

―― 了 ――
 

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研究開発局環境エネルギー課

(研究開発局環境エネルギー課)