第10期 環境エネルギー科学技術委員会(第2回) 議事録

1.日時

令和元年5月27日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価の実施について
  2. 最近の環境エネルギー科学技術分野の動向について
  3. 今後の環境エネルギー科学技術分野における研究開発の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

高村主査、石川委員、沖委員、奥委員、加藤委員、堅達委員、佐々木委員、嶋田委員、清水委員、竹ケ原委員、中山委員、本郷委員、本藤委員、山地委員

文部科学省

千原大臣官房審議官、横地環境エネルギー課長、林開発企画課長、佐藤環境科学技術推進官、三木課長補佐、佐藤専門職、加藤係長

5.議事録

【高村主査】 それでは,時間になりましたので,ただいまより科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第10期の環境エネルギー科学技術委員会の第2回会合を開催いたします。先週に引き続き,本日はお忙しい中をお集まりいただきまして,ありがとうございます。
まず,事務局から本日の出席者と資料の確認をお願いいたします。
【加藤係長】 おはようございます。文科省の加藤と申します。本日,御出席の委員数は,16名中14名と過半数に達しておりますので,委員会は成立となります。
続きまして,資料の確認ですが,議事次第と資料1から3がお手元のタブレットにあることを御確認ください。もしタブレットに不具合等がございましたら,事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。
事務局からは以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,本日の議題でございますけれども,議事次第にありますように四つの議題を予定しております。委員の皆様から忌憚(きたん)のない御意見を頂ければと思っております。なお,本日の会議終了時刻は,12時を予定しております。
それでは,早速ですけれども,議事を進めてまいります。議題の1ですが,研究開発評価の実施についてということで,事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【佐藤環境科学技術推進官】 皆様,おはようございます。それでは,統合的気候モデル高度化研究プログラム,略して統合プログラムと呼んでおりますけれども,こちらの評価について説明させていただきます。今年度は,このプログラムの中間評価の年に当たります。実際の中間評価報告書案に基づく評価は次々回に実施していただく予定にしておりますけれども,今回は統合プログラムの概要とその周辺情報について説明させていただきます。
早速,周辺情報ですけれども,1ページおめくりいただきまして2ページ目をごらんください。こちらは世界経済フォーラム調べによる,影響が大きいグローバルリスクを表しております。この表の見方ですけれども,まず水色が経済的なリスク,ピンクが社会的なリスク,オレンジ色が地政学的リスク,そして緑色が環境に関するリスクを示しています。この表が示しておりますように気候変動の緩和と適応の失敗ですとか,異常気象ですとか自然災害といった気候変動の影響が懸念される環境管理のリスクが近年上位にランクインしております。正に気候変動対策,待ったなしといった状況であることが分かります。
1ページおめくりください。3ページ目ですけれども,大きな国際的な動向としてパリ協定の発効がございます。2015年11月,COP21におきましてパリ協定が採択されました。パリ協定の要素につきましては,水色でハッチングしているとおりでございます。これについては2018年,COP24においてパリ協定の実施指針が採択されまして,いよいよ制度設計段階から実施の段階へ移っているという状況であります。
それでは,実際に気候変動の実態と影響はどうなっているのでしょうか。こちらについて4ページの図表をごらんください。この図表を見ても分かりますように世界平均のCO2濃度は年々上昇していることが分かります。同様に世界の年平均気温についても上昇していることが分かります。日本においても大雨,1時間雨量50ミリメートル以上の発生回数も徐々に上昇しているという状況が分かります。写真を見ても分かりますように強い日射と高温によるブドウの着色不良やリンゴの日焼け,高温条件下で発病するイネ紋枯病の被害,ライチョウの個体数減少予測についてもこのような状況になっています。
1ページおめくりいただきまして5ページ目です。世界的なパリ協定の動向ですとか,先ほどお示ししました気候変動の実態と影響に基づきまして,我が国におきましても気候変動適応法が2018年6月に成立し,12月に施行しております。この適応法では地域での適応の強化,情報基盤の整備などが柱とされています。また,国の責務としても科学的知見の充実及びその活用,情報の収集,提供の体制確保等が規定されています。
また,これに伴いまして気候変動影響評価をおおむね5年ごとに行い,その結果等勘案して計画を改訂していくということになっております。この法律に基づいた気候変動適応計画についても,2018年11月に閣議決定されています。この閣議決定の中には,水色のハッチングの中にもありますように,気候変動等に関する科学的知見の充実及びその活用ということで,この計画に基づきまして文部科学省ではDIASですとか,この統合プログラムですとか,SI-CAT,こういったプログラムを進めているところでございます。
続きまして6ページ目です。気候変動適応策と気候変動研究について,その関係と適応策までの流れについて説明いたします。まず,左側ですけれども,気候変動研究ということで,まずは宇宙からの観測,海洋からの観測,極域観測などを通じて気候変動の実態の把握を行います。それらに基づきまして気候モデル開発,気候変動メカニズムの解明,気候予測データを創出する,こういったことで気候変動研究を行っているところでございます。これらで得られた気候予測データを影響評価・適応策を担っている省庁に提供し,これで影響評価・適応策が行われるわけであります。この影響評価・適応策の中からニーズが出てきたものについては,また気候変動研究へフィードバックをして研究が行われているというふうになっております。先週金曜日にも国交省,文部科学省,統合プログラムの共催シンポジウムということで適応策,影響評価から見た気候変動研究はどうあるべきか,というような議論が行われたところであります。
1ページおめくりください。7ページ目です。いよいよ文部科学省における気候変動予測研究の変遷について説明いたします。文部科学省による気候変動研究は,もう18年程度の歴史を有しています。初めは平成14年度から人・自然・地球共生プロジェクトがスタートいたしまして,このときは地球シミュレータによるモデル開発と実験の初挑戦が行われました。また,19年度からは21世紀気候変動予測革新プログラムがスタートいたしまして,このときから社会の必要に応える気候変動予測という試みとして様々な取組が行われてまいりました。24年度からは気候変動リスク情報創生プログラムがスタートいたしまして,このときから気候モデルを活用したリスク情報創出に関する研究開発が行われました。そして,平成29年度から今行っております統合的気候モデル高度化研究プログラムがスタートしたところであります。今年は3年目ということで,まさしく中間評価の年に当たります。この統合プログラムでは,創生プログラムで成果を上げた独自の気候変動研究体制について,研究に対して統合的に取り組むよう設計段階で組み込んで進めているところであります。この気候変動予測研究を発展させながら,国内の気候変動対策への貢献と我が国のプレゼンス向上に挑戦しているところであります。
それを具体的に示しましたのが8ページの図であります。この統合プログラムは大きく四つのプロジェクトチームで構成されています。具体的には全球規模の気候変動予測と基盤的モデル開発をするチーム,こちらは東大に代表をやっていただいておりますけれども,このチームと,その下にあります炭素循環,気候感度やティッピングエレメントの解明をするチーム,こちらはJAMSTECに代表になっていただいております。その次,右に移りまして統合的気候変動予測をするチーム,こちらは気象業務支援センターに担っていただいています。最後に統合的ハザード予測をするチーム,こちらは京大を代表チームとして推進しております。これらの四つのチームが連携しながら,この統合プログラムというのを進めているところであります。
大きくに分けますと,左の二つが全球規模の気候モデルを行い,真ん中の統合的気候変動予測で日本周辺のモデルということで,ダウンスケーリングを行い,最後に統合的ハザード予測ということで,これらで出てきた情報を基にいかにハザード予測をしていくのかということで流れている,そういったプログラムになっています。文部科学省の気候モデル研究事業で開発した,この我が国独自の気候モデルはIPCCにおいて世界トップクラスの利用数を誇っておりまして,報告書作成においても大きく貢献しているところであります。また,創出された気候変動予測情報は,先ほど申し上げましたように気候変動影響評価ですとか,適応策の基盤として活用されているということであります。
また1ページおめくりいただきまして,この統合プログラムの構造について説明いたします。先ほど申し上げましたように四つのプロジェクトは,それぞれ代表機関を設けておりまして,これらが連携しながら成果を創出しているところであります。このプロジェクトをPDとPOの方々に進捗を確認し,適宜適切にアドバイスを頂きながら事業を進めているところであります。実際の成果については,次々回のときに評価報告書に基づいて詳しく説明させていただきたいと思っております。
最後,10ページに移りまして気候変動に関する懇談会について説明させていただきたいと思います。こちらは気候変動に関する研究開発を実施している文部科学省と定常的に気候変動に関する業務を実施している気象庁が気候変動研究においてより連携していきましょうということで,気候変動に関する科学的充実を図るために懇談会を開いているというところであります。具体的には,この懇談会の助言を受けまして気候予測データを整備しまして,気候変動の実態と見通しの評価レポート,これは2020年に策定することになっておりますので,この評価報告書に反映することとしております。この中においても,下の方の水色のところにありますけれども,統合プログラムは大きな貢献を果たすことを予定しておりまして,気候モデルの開発,気候変動メカニズムの解明,気候予測データの創出という観点で役割を果たしていきたいと思っております。
統合プログラムの説明については以上です。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明いただきました研究開発評価の実施について,委員から御質問,御意見などありましたらお願いしたいと思います。札を立ててお願いいたします。
沖委員,お願いいたします。
【沖委員】 ありがとうございます。中身については,私も多少関わっているので結構ですが,2ページ目の世界経済フォーラムの影響が大きいグローバルリスクの中で,水危機というのは,気候変動が悪影響を及ぼす影響の中でも非常に大きくて,移民や難民,テロなどにも関係するということが言われていて非常に重要な事項だと思うのですが,今回のこのスコープから外されているのはなぜでしょうか。
【佐藤環境科学技術推進官】 御質問,ありがとうございます。出典の世界経済フォーラム「第14回グローバルリスク報告書」のカテゴライズでは,水危機が環境的リスクのカテゴリーではなく社会的リスクのカテゴリーに分類されているものですから,我々,そのまま用いて表しているということであります。
【沖委員】 内閣府の総合科学技術イニシアティブでは,水,水循環などは環境エネルギーで見ていたと思いますし,こちらでもそういうプログラムをやられていたと思うのですが,それとの対応についてはいかがでしょうか。
【佐藤環境科学技術推進官】 沖委員の御趣旨はよくよく存じ上げております。2ページ目の表はファクトとして御提示したものでありますが,先生御指摘のとおり,水危機というのは内閣府や文科省における環境エネルギー政策の中心的テーマの一つであると認識しておりますので,こちらについては引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っております。
【高村主査】 ありがとうございます。今御説明があったように,このスライドの2枚目でしょうか,気候変動に関連するものが,例えば大規模な非自発的移住なども多分その一つだと思いますけれども,この報告書,経済フォーラムの整理では気候変動と区別して整理されていること,それから,我々が課題を整理していくときの示唆ある御発言だったと思います。
では,本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 御説明,ありがとうございます。それで,私から企業の動向,私の知る範囲での企業の動向について御紹介させていただき,またお願い的なものがあります。今,企業でも適応のリスク,気候変動のリスクというものについて考えなければいけないだろうというところになってきます。ただ,現実において全ての事業が必要なわけではなくて,例えばインフラ系の投資,例えば,ガスパイプラインだとか,送電線だとか,あるいは港湾BOTなどの事業においてやはり将来の気候変動リスクというのは考えた方がよいのではないか,ということになってきている。そうした中で,せっかくこれだけの研究をやっていらっしゃるので,これを何とか民間の事業でも使えるように情報提供していただきたいというのがあります。
ただ,もちろん不正確な使い方,不適当な使い方をするというのはよろしくないというのは科学者の方からよくお聞きする点ではありますけれども,正確を期すために何年もかかるよりは,今ある情報でどこが限界なのかを言っていただいた上で企業に提供していただくと非常に役に立つ。これは身勝手な言い方かもしれませんけれども,企業の側で使ってみることで,また科学の研究の方にもフィードバックできるのではないかと思いますので,科学研究の分野の,あるいはその少し隣ぐらいで企業での使い方,こういった点についても御検討いただくと有り難いなと思っております。
それから,先ほどの四つのグループのときに左側がグローバルなスケールで,右側の方が日本と,四つのグループを分けていらっしゃいましたけれども,気候変動リスクについて特に企業で必要としているのは海外の方なのです。日本であれば,ある程度土地勘もあるでしょうけれども,海外の事業の方が土地勘もないし,情報不足なので,そういった点において程度の差はあるとは思いますけれども,海外についても御検討いただけるといろいろなところで使って,いいフィードバックができるのではないかと思います。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
ほかに御質問,御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。先ほど本郷委員から御指摘があった点は,環境省で適応法に基づいて定期的に気候変動の影響評価をしていると思いますけれども,そこでもやはり企業が実際に自らのリスク分析,あるいはその評価に使える情報をというリクエストがあるということについては御指摘があったところで,大変符合している,共通している御指摘だと思います。
ほかには,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは,評価票の案が策定をされましたら,本委員会で改めて議論をすることになりますので,それを踏まえて更に御意見を頂ければと思っております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,議題の2に移ってまいります。議題2ですけれども,最近の環境エネルギー科学技術分野の動向についてということで,初めに,前回も中山委員から御発言の中で御紹介いただきましたが,企業動向について,より詳細にお話を頂ければと思っております。今回,そういう観点からCOCNの提言について中山委員から御説明を頂ければと思います。それでは,中山委員,お願いいたします。
【中山委員】 COCN,一般社団法人産業競争力懇談会の企画小委員の立場として,昨年度公開いたしました提言「2050年に向けたエネルギー分野の技術的課題とブレークスルー」を簡単に紹介いたします。COCNでは年度末頃に活動内容を提言として公開していますが,年単位だとタイムリーではないということもありまして,昨年度より,時々の政策課題等重要な内容に関しては,都度コンパクトな提言を公開する,という活動を強化しています。エネルギーに関しては,昨年度,エネルギー情勢懇談会の提言,それを受け第5次エネルギー基本計画が閣議決定されましたが,これに関して我々産業界の思うところをまとめたのが本提言です。
背景が1ページ目にありますが,基本的な姿勢としてはエネルギー基本計画を支持した上で,今後,長期の非常に高い目標に向けて,どこに今後注目していくかということを六つの視点でまとめています。2ページ目が現状認識であり,2050年の80%GHG削減という高い目標,これを国内,海外も含めてやるかと,そういった議論はありますけれども,ここでは日本で80%削減と考えたときにどういうイメージかということを頭の整理として記載しております。
円グラフ,ここは2015年の日本のCO2排出量12億トンを部門別で見ており,全ての部門で排出量を減らす必要はありますが,特にインパクトの大きい,電力を中心としたエネルギー転換部門と産業部門,ここを抜本的に削減する必要がある,そういう認識に立ったものでございます。その中で2ページ目の中段から,それぞれの項目に関して一言コメントという形で書いております。
一つ目が再生可能エネルギー,ここでは特に太陽光,風力を中心とした変動再エネに言及しております。やはり日本の地理環境を考えて再エネが主力電源化するといったときには太陽光,風力,これをどう使っていくかがポイントになります。
三つ項目があり, 1は,技術というよりはコスト削減,そのための規制緩和の話です。太陽光,風力は世界的には非常にコストが下がってきているのは,皆様も御存じのとおりですけれども,それがそのまま日本には適用されていないというのが現状です。規模の話,設置するための規制,送電網との連携,様々なところで,日本での導入にはコスト高になっており,そこを考えていく必要があるというのが1でございます。
2・3は,調整力の技術的な話を書いております。2は2次電池に関する内容ですが,太陽光,風力等の変動再エネは2次電池とセットでコスト評価し,システムとして低コスト化を実現することで主力電源化が見えてくる。そこには当然,蓄電池材料のブレークスルーや,周波数,いわゆる慣性力,これにどう対応していくか,そういうところに関しましてもシステム面のブレークスルーが必要だといったところがございます。
3は,今,調整力としてメインに使われている火力,これをどう扱っていくかというものです。ドイツでも太陽光導入に伴い,調整力としての石炭火力によるCO2排出がむしろ増えた,という話もあります。変動再エネの利用拡大に伴い,火力は最低限どれくらい必要か,という数値は様々な機関から出されていますが,やはり火力,回転機を回している電源としての重要性ガあり,火力を使うならその燃料をどうしていくか。当然,当面は石炭からガスシフトという話があるとは思います。あとは混焼・専焼の水素発電という話もございます。さらには,後にも出てきますけれども,CCU,燃料をCO2ベースで作るといったところ,こういった原料の多様化といったことも全体のストーリー,シナリオとして考えながら,火力をどう扱っていくか,真剣に考えていく必要があります。
めくりまして3ページ目でございます。本委員会では扱わないという話かもしれませんけれども,二つ目は原子力です。これに関しては国全体でも議論自体がなかなかできていない状況ということで,COCNとしての問題意識を幾つか書いております。将来に向けて取り組みは維持・発展させる必要がある,ということが基本的な考え方です。1は,これまでの大型とは違う中小型炉・次世代炉で,安全性を担保して,経済性,核廃棄物の最小化を目指す取組を考えていくべきであろうというところ,当然,今あるものに関しましては2のバックエンドの課題,これは引き続き検討していかなくてはいけない。
そうしたところで必要になるのが3の地質,地盤の科学的知見,どういったところだったらどれぐらい安全性が担保されるといったところを国の中でも共通理解として得ていく必要がある。さらに,このままでは,どんどん原子力に関わる人材がいなくなることも議論する必要がある,そういう問題意識で記載しています。
3ページ目の下の段,三つ目に移りますけれども,水素の話でございます。こちらは佐々木委員からお話しいただくのが適切かもしれませんが, CO2フリー水素は,電力とともに2次エネルギーの主力電源になり得る可能性があるといったところ課題を記載しています。まず1の多様な使い方ですが,日本では水素利用はFCVと水素ステーションで,最初絵が描かれましたが,それ以外に,先ほど申しました火力として使う方が規模は大きいですし,地産地消では燃料電池も活躍します。地域特性に応じた水素の使い方を考えていく必要があるのと,後ほどCCUでも出てまいりますけれども,水素を還元剤として使う,例えば水素還元で鉄を作るとか, CO2を水素還元して化学原料を作るとか,様々な場面での水素の役割を改めて確認しなくてはいけない。
ただ,そのためには2のコストが課題です。今,水素コストの目標値が設定されており,最初の段階では海外から安価な水素を導入するという絵が描かれております。CO2フリーということで水電解や,化石燃料+CCSによる製造をベースにしながら貯蔵,輸送技術の効率を上げることでコストを下げていく,こういった努力は継続しないといけない。3は,先ほどの用途の話と重なるところがございますので割愛いたします。
さらに, 四つ目がCCUS,UとS,両方とも書いております。CCSに関しましては,基本,埋めるだけなので,コストアップにしかならず,日本には適地が限られているという問題もあり,これを導入するかどうかは政策面の検討課題がある。あとはCCU,今,カーボンリサイクルという名前の下,技術ロードマップ作成等も行われているところですが,やはりCO2削減規模のポテンシャルが重要です。そういったところを踏まえながら,実効性のあるCO2排出削減のためにどうやっていくべきか,そういった議論を進めていく必要があります。当然,将来的には技術的な課題はありますけれども,人工光合成というような長期的な取組というのは当然やっていくべきという話です。
五番目は,NESTIの一丁目1番地でも書かれておりましたシステム・オブ・システムズの話でございます。様々な要素技術のブレークスルーはありますけれども,それを統合するシステムとしては当然進めていくべきということを記載しております。
めくりまして5ページ目のところであります。最後の6番目が産業部門における省エネルギー技術です。日本の産業界は,もう雑巾を絞っても出ないというぐらいまで省エネが進んでいるという話はありますが,今の取組の延長線上では厳しいというのが共通認識です。そこは引き続き努力するということに加え,やり方を変える,先ほどの鉄鋼の話もありますし,ケミカルの話もありますけれども,そもそも既存の事業,やり方の延長ではなく,現時点ではまだ実現性が見えないかもしれませんが,抜本的にモノの作り方を変える,そういったところも産業界自身もトライしていく必要がある,ということを記載しています。
これらを受けた取組として二つ。まずは,5ページ目の中段のところ,エネルギー情勢懇談会提言にあった科学的レビューメカニズムです。いろいろな打ち手がある中でそれぞれトライしてみる。それをレビューしていくというものですが,なかなか具体的な姿が見えてこないので,そこは引き続き産業界から要望していく必要があると考えております。
次に5ページ目の下なのですけれども,前回も申しましたけれども,やはり基礎的な研究開発に根差す取組が多くなると思っております。実証,実装までには非常に時間がかかるような難易度が高い技術開発を,国レベルでも長期にわたり支援できるような継続的な大型プログラムを走らせるべきというのがCOCNの考え方です。
現状,この内容を土台にして,更なる深堀検討を進めようというふうにしているところでございます。私からは以上になります。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,今,中山委員から御紹介いただきました御説明について,御質問,御意見等ございましたら頂ければと思います。山地委員,お願いいたします。もしよろしければ,簡単に自己紹介をしていただければと存じます。
【山地委員】 私は9期から継続して参加していますが,地球環境産業技術研究機構――RITEの研究所長を務めております山地でございます。よろしくお願いします。
この提言,非常にバランスよくまとまっていると思います。特になかなか皆さん,言い出せない原子力のことをきちんと取り上げていること,それから,Society5.0というのは表記はされていませんけれども,5番目のところはそれに当たるところ,非常にバランスがいいと思うのですけれども,ただ,6番目の産業部門における省エネルギー技術というのが,もう一つ読んでも具体的に中身がつかみにくいのですけれども,要するに電気は除くということだから,高温の熱エネルギーとか,そういうところかと思うのですけれども,もう少しこの6番目の項目について説明が欲しいと思うのですが,いかがでしょうか。
【高村主査】 幾つかまとめて中山委員に御回答をお願いしようと思います。本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 ありがとうございます。私も非常にまとまった勉強になりました。質問なのですけれども,例えば私,ASEANの長期的なサステイナブルなエネルギーストラテジーだとか,そういった研究者の人たちと一緒に仕事をすることが多いのです。そうした場合にどういう技術,どういうオプションがあるのかといったときに,一番大きな前提になるのが,どれだけCO2排出に対するコストがかかるか,どういう政策が入るかによって技術の優位性が変わってくる。例えば実質的にかかるコスト,規制コストも含めて,それが10ドル/tCO2のとき,30ドル/tCO2のとき,100ドル/tCO2のときでは全然違う。
例えば今,CCUSの話がありましたけれども,例えばアメリカとかであれば30ドルぐらいの実質的なカーボンコストがあるとコマーシャルにできるとか,ASEANで言うとインフラがある程度,輸送,貯留のインフラができれば石炭火力でCCSができるかもしれない。そうしたとき,再エネと出力変動対策のためにバッテリを組み合わせた仕組みとの価格競争はどうなるかとか,いろいろ検討します。今回のこのCOCNの場合,そういう政策によって技術の優位性が変わるということをどういうふうに,例えばコスト,数値的に示しているかどうか分かりませんけれども,どういうふうに評価されて,どういう前提を置かれているのか教えていただければと思いました。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,竹ケ原委員,お願いいたします。
【竹ケ原委員】 御説明,ありがとうございました。金融界から見ても非常に勇気付けられるような内容になっています。先回も申し上げましたが,きょうの午後,金融庁,経産省主導でTCFDのコンソーシアムが立ち上がるのですけれども,今,我々が,正に直面している気候変動の履行リスクをどう金融界として判断するかという話になっています。これ,実際にはポートフォリオの話になっている。例えば2050年のバランスシートを見たときに化石燃料に過度に依存している産業をどれだけ残高として持っているか。これが場合によってはリスクになって計上しなければいけない。リスクの話はある程度進んではいるのです。ですが,TCFDのフレームワークにもあったようにオポチュニティのところをどう見るかというところがまだまだ非常にふわふわしています。
特にこのまま行きますと,石炭火力の話が今すごくフォーカスされているのですが,他方,エネルギー多消費産業に分類される素材産業,ここのところが下手するとリスク資産としてだけ議論が進みかねないところがあるのです。ところが,先ほどおっしゃっていただいた,例えば水素の還元力を利用してプロセスを変えていくという話になると,これは製鉄プロセスや化学プラントの位置付け自体が変わってまいりますし,ましてや水素に移行するとなるとまたガラッと変わってきます。実は今,欧州の金融機関などと議論していましても,そこら辺の話,非常にふわふわしていまして,取りあえず移行リスクについては各産業が出してくる戦略を見ないと分からない。
これは一般論なのですけれども,今,評価しようとするとCDPですとか,いろいろなこのリスクをしっかりと見るような外部機関の評価があるので,取りあえず,そこでつまびらかになっている情報で仮説を置いて検証しようではないかという話になっています。そうすると,今申し上げたようにリスクが先に立ってしまうという話になりますので,本当にこの御議論,特に科学的な裏付けと,今,本郷委員のおっしゃったように,コスト的に実はこれがアベイラブルなのだというシナリオ,これはふわふわしたものでも結構なので出していただけると,これを先駆的に取り入れる金融機関が多分出てくると思いますので,是非この方向でより見える形で進めていただければ有り難いと思います。
以上,感想でございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
では,堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 2050年に向けて非連続のイノベーションですとか,ブレークスルーということで,こちらの部分で競争力を高めていくという,その考え方そのものはいいと思うのですけれども,非連続のイノベーションという言葉が前回の議論でもやや立ち過ぎるといいますか,これは飽くまで,できたらノーベル賞みたいな話,夢のブレークスルーとか,そういうことで,確かに2050年を目指すのにはとても必要なことなのですけれども,今,世界が本当に直面している課題というのは,2030年までの,あとわずか11年の間に急速に脱炭素化を実現して,CO2を減らすということもそうですし,今ある技術である再エネをもっと入れていくことで,現実的にCO2の排出量を減らしていかないと温暖化の加速を止められないという,そのことに世界の産業界も気付いていると思っていて,RE100という動きがありますけれども,それについても世界中の企業,日本でも19社も入ってやっている。
そのときに彼らが今直面しているのは,2050年のブレークスルーというよりも何よりも,今なぜ世界と同レベルで再エネが入っていかないのかという目の前にあるボトルネックを取り除く,クリアするというところが皆さんお悩みになっていらっしゃる。是非この2030年までの10年が勝負だという観点をどう産業界の方が考えておられるのか,実は10年で産業,本当は日本がソーラーパネルとか風力とか,トップランナーに近い能力を持っていたのに今や全然産業競争力を持たないという,10年でマーケットのシェアが引っくり返ってしまうというぐらい世界はスピード感を持って動いているので,そのあたりのお考えを聞きたいということと,あと産業界が“乾いた雑巾”という言葉を今おっしゃいましたけれども,省エネが世界最高レベルだということをおっしゃいましたけれども,実はこの10年の間にそうでもない,世界の省エネの水準に追いついていないところもあるというような別の物差しで見ていらっしゃる方もおられます。そのあたり,先ほどお話もありましたけれども,どれくらい省エネということについてエビデンスというか,データで分析しておられるのか,質問したいと思います。
【高村主査】 ありがとうございます。
加藤委員が札を上げていただいているかと思いますが,ほかにございますでしょうか。では,加藤委員の御質問,御意見を頂いて,中山委員に御回答いただければと思います。それでは,お願いいたします。
【加藤委員】 ありがとうございます。産業界が,基礎的な研究も長期的にしっかりと展望を持ってやるべきということを言っていただいているのはいいと思います。すごくそういう面でうれしいという感じで聞いていたのですけれども,それで例えば具体的には,本当に科学技術的にCO2の還元や水素の製造に関して,十分に水素をエネルギーとして使っていく,あるいはCO2の還元で根本的な解決をするというのは,かなり難しいと皆さん分かっていることであります。これと一方にある短期的な解決ということと,どうやって折り合いをつけていくかというのは非常に難しいのではないかと思います。具体的な対策の方はいろいろ考慮されていると思いますので,私がお聞きしたかったのは次の1点です。つまり,水素エネルギーでの循環を作っていくために,お話の中ではもちろん製造の技術の方,貯蔵の技術の方,キャリアの方法論の開発とかいうのはもちろんあるのですけれども,その中で水素を外から買ってきてみたいなことを言われたので,それはどういうことを考えておられるのかというのを質問としてお聞きしたいです。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,中山委員から御回答をお願いできますでしょうか。
【中山委員】 様々なコメントを頂きまして,ありがとうございます。順を追って答えていきたいと思います。
まず,産業部門の具体的なところは,御指摘のとおり,まだ深堀はできていないのが実情です。排出量が多い鉄鋼,セメント,化学などの業界で,それぞれCO2を排出するプロセスは,明確に分かっていますが,我々として今回コメントしたのは,こういう方法論というのも可能性があるのではないか,というところにとどまっており,それを実装するためにどういった課題があるのかは,掘り下げていくべき課題だと認識しています。
次に,いろいろな技術のオプションで国際的なコスト面でお話を頂きましたけれども,正にそこが非常に難しいところと思っております。今ある様々な技術を,経済性を度外視し,日本国内で閉じてやれば,物としてでき得る,エネルギーとしては発生させ得るということはあります。ただ,それを世界的な産業競争力と見たときに,日本だけエネルギーコストが高い状況で産業が成り立つのかといったところが非常に難しい課題。そういう意味で,やはりエネルギーというのは,S+3Eの中を満たす,経済性の面で皆さん使えるという状況がベースにあってこそ,産業としても国民生活としても成り立つものですので,コスト比較はもちろん重要ですが,国としてどういう施策を入れていくかというのは別課題かなと感じています。
あと2030年,RE100に向けたといったところでコメントを頂いたところでございます。2030年に関しましては,電源構成としてはゼロエミ電源を44%入れるという目標に対し,再エネ,特に太陽光を中心とした変動再エネは日本全体としても伸びてきていますが,御存じのとおり原子力の稼働の問題があり, 44%という数字は非常に難しく,ここはもっと議論の必要があると思っております。次にRE100の流れに関連して,冒頭に申し上げましたとおり,今,再エネが世界的に大量導入されているというのは, CO2の話もございますけれども,一番の要因はコスト,これがほかの電源に比べて安くなったこと,と認識しております。それを実現するために,変動をどう吸収するかという話はございますけれども,日本で大規模,コストを下げて再エネを導入するためには何が必要かという議論は当然必要であり,再エネのところにも書いております。それが基本的な見解となります。
最後に海外からの水素ですが,これはCOCNというよりは,国の水素ロードマップで,今最も安くて大量に導入できるという可能性があるのが海外からの水素,と書かれているもので,ここは佐々木委員に補足いただくのが良いかと思います。いかがでしょうか。
【佐々木委員】 今の水素のところでフォローさせていただきますと,日本の再エネで水素を作ってやりたいというのが,ある意味で一番の目標でもありますし,もちろんそれに向かって我々も頑張りたいと思っています。多分,そういうことは九州とか,北海道とか,東北などではかなり実現性が高いと思いますけれども,他方,日本の場合には東京を始め,かなり集中的に皆さんが住んでいるところがありまして,そこで全てその電気を例えば再エネでやろうとすると,かなり現実的には難しいというのはあります。他方,海外でいきますと,再エネの価格は日本の10分の1ぐらいで本当に安く入手できるようなところもありますので,むしろ,海外の再エネをうまく使って,それを日本に持ってくるということをすれば,同じような効果が地球全体で見られるということで,海外からCO2フリーの水素,できれば再エネの水素を持ってくるというような研究開発もしっかりとやっていますということかと思います。
【中山委員】 ありがとうございます。もう1点,最後,抜けていたところで,日本の省エネ技術の評価といったところで御質問いただいたところでございますけれども,数値としてエビデンスは持ち合わせてはいませんが,今,日本の製造業で,どこを見ても最新の設備がそろっているという状況にはなく,老朽化の中で,それを工夫しながら運転し対応しています。石油業界でも,石油精製で最新の大規模なプラントが海外で建つと,省エネという観点ではやはり負けます。日本では,新たに設備投資をしてコストを上げても省エネを追うか,過去からの装置をうまく使い回してコストと省エネのバランスを取るか,という視点になります。ただ,日本でいろいろ省エネ技術が生み出されて,それが最新の機器に組み込まれ,海外で使われている,という事実も申し添えたいと思います。
【高村主査】 ありがとうございます。
恐らくこの後の議論にも関わるかと思いますし,議題の3のところで研究開発の在り方について改めて,もう一度御議論いただける機会がございますので,きょう,中山委員から御提示,御説明いただいた点について関わって,もし何かありましたら後の議題で是非御質問,御意見を頂ければと思います。
それでは,この議題の2についてですけれども,続いて政府の動向としてパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略について,まず事務局から御説明を頂ければと思います。その後に懇談会の委員として参加させていただきましたので,私の方から少し補足といいましょうか,コメントをさせていただくという形にさせていただければと思っております。
では,まず事務局から御説明をお願いいたします。
【三木課長補佐】 ありがとうございます。今,主査からお話を頂きましたパリ協定の長期戦略の関係,前回の会議に御出席いただいた先生方には少し経緯的なものもお話をさせていただいたかと思いますけれども,パリ協定で長期戦略というものを提示していくということが求められている中で,日本政府としてしっかりとそれを対外的に出していきましょうということで,今,政府の中で検討が進んでおります。先日までは有識者の先生方にお集まりいただいたパリ協定の長期戦略の懇談会という形で,こちらは高村主査に御出席を頂いていたものがございまして,その懇談会の提言を踏まえまして,現在,政府内で実際に対外的に提示をする長期戦略を策定中というような状況でございます。
その政府の方で検討している長期戦略については,5月16日までパブリックコメントを実施しておりまして,そのパブリックコメントの意見を今どういうふうに反映させるかということで政府内での調整が進んでいるような状況というのをまず事前のものとして御承知おきください。このあと,パリ協定の長期戦略の懇談会での御議論や,そこでの先生方の思いのようなところは,高村主査から御紹介いただきますが,当方からは,そのパブリックコメントにかかっていた案について簡単に御説明をさせていただくということと,具体的に,その長期戦略に基づいて技術的なところとして,どういうふうな課題があって,どういうところに我々は向かっていかないといけないのかというところにつきましては,当省の開発局長と経産省の産技局長が合同の検討会を実施しておりまして,その中での技術課題等の特定というところで議論をさせていただいていたところでございまして,そちらの議論のところも今回紹介できればと思ってございます。
では,資料の御説明をさせていただきます。まず,資料2-2をごらんください。資料2-2でございますが,こちらはパリ協定長期戦略案のポイントというふうになってございます。先ほど申し上げたパブリックコメントで御提示をさせていただいている現状の案でございます。基本的な考え方のところでございますけれども,最終到達点としての脱炭素社会を掲げましょうということ,野心的に今世紀後半,これはパリ協定の目標を実現することを目指すということですが,できるだけ早期に実現することを目指して2050年までに80%の削減に大胆に取り組むということで書いております。※が入っておりますけれども,ここは積み上げで,これをやって,あれをやってという形で示していくということではなくて,最終的なあるべき姿というところをしっかりと示していき,そこに向かって社会全体がいろいろと協力をしていきながら頑張っていきましょうと,そういうようなスタンスで書かせていただいているものでございます。
また,政策の基本的考え方ということで,先ほど来少し御議論があった非連続なイノベーションを通じた環境と成長の好循環の実現ということ,また,取組を今から迅速に実施するということ,世界への貢献,将来に希望の持てる明るい社会を描き行動を起こすというところで書かせていただいているものでございます。これが基本的な考え方ですけれども,左側,第2章のところに各分野のビジョンと対策・施策の方向性というところがございます。第1節のところに四つ書かせていただいておりますが,こちらは先ほど中山委員から御紹介があったところでも,どういったところがCO2をたくさん出しているかという,冒頭,円グラフがあったかと思いますけれども,エネルギー転換部門,また,産業部門,あとは運輸,こういったところをしっかりやらないといけませんというのがあのグラフから分かるわけですけれども,この各分野のビジョンのところにも,そういったところで分類がなされている。そこに加えて地域・くらしというところが入ってございます。
エネルギー,エネルギー転換部門については,再エネの主力電源化,火力のところでございますけれども,ここもパリ協定の長期目標と整合的にCO2排出削減をしていきましょうということです。あと,お話がありましたCCS・CCUのこと,こちらは最近,カーボンリサイクルということで中山委員からも御紹介がありましたが,旗を掲げながら頑張っているところでございますけれども,そういったもの。また,水素社会の実現,再エネを導入していく際の蓄電池ですとか,原子力,省エネ,こういったところを取り上げてございます。また,産業のところ,脱炭素化ものづくりということで書いておりますけれども,先ほどこれも御紹介がありましたけれども,ゼロカーボン・スチールのような話,水素を還元剤で使ってやっていきましょうというような話ですとか,あとバイオマス,CCUによる原料転換等々書かせていただいております。
また,運輸というところでWell-to Wheelという形で書いておりますけれども,交通インフラのことも書かせていただいておりますし,地域・くらしということで,これは後ほど,高村主査の資料にも入っていたかと思いますが,地域循環共生圏という形で書いているというところがございます。また,吸収源対策ということで森林等々,そういったものについても触れているというのが第2章でございます。加えまして右側,第3章のところでございますが,こちらは横断的な施策という形で書いております。左で取り上げている,2章で取り上げている個々の技術についても触れてはおりますけれども,そういったものを統合的にやっていくというような話,加えて経済社会システムというところで見たときのグリーン・ファイナンス等の位置付けですとか,ビジネス主導の国際展開,そういったところの横串の切り口で書いているところが第3章になってございます。
左下が4章,その他となっているところに人材育成ですとか適応,そういったところも書いておりますし,カーボンプライシングの議論のあったところも記載がございます。第5章,右下,長期戦略のレビューと実践ということで,レビューについては6年程度を目安として,情勢を踏まえた検討を加えるということで必要に応じて見直しをしていきましょうということになってございますが,ある意味,エネルギー基本計画等々でも先ほど御紹介にあったメカニズムのようなお話ですけれども,やはり状況,状況を見ながら,しっかりと戦略を練り直しながらというか,その場,その場で実際に効果の高い,フィージビリティの高いものを導入していくということも必要だというところもあって,こういったものが入っているという状況でございます。具体の中身については,資料2-3にかなり長い文章で書かれているところでございまして,こちらを御紹介していると時間を使ってしまいますので,今回は割愛をさせていただきます。
加えてということで,資料2-4をごらんいただきたいのですけれども,資料2-4が先ほど申し上げた経産省と当省の局長の勉強会といいますか,懇談会という形でさせていただいたものの議論の状況でございます。個別の議論の前に評価検討会,どういう形でやっていたかというのが1ページ目に載ってございますが,この委員会の委員の先生には,佐々木委員と山地委員にも御出席を頂きながら議論をしていただきました。具体的には,左下,大規模なCO2削減に効く革新的エネルギー・環境技術一般ということで,時間もない中でかなり議論を重ねているところもございまして,まず,テーマとして掲げたのが水素,CCUS,再エネ・蓄エネ,パワエレというこの4分野について,特にというところで取り上げているところでございます。当然,これ以外にも想定されるリスクというのはあるのだとは思うのですけれども,まずは短期間でやっていく中でということで取り上げた4分野ということになってございます。
2ページ目,3ページ目,4ページ目につきましては,全体のお話の中でのことですので,時間の関係上,説明は割愛させていただければと思います。5ページ目以降は,今掲げた四つのテーマにつきまして,個々の部分について簡単に取りまとめをしている部分にございます。取りまとめ案となっておりまして,実はこれ,まだ中間取りまとめという形で正式に取りまとめができていない状況でございまして,議論の途中で外に出しているものでございますので,そういうふうになってございます。
まず,5ページ目,水素でございますが,左側,水色の枠の中にあるとおり,根本的課題は安価で低炭素な水素の供給というところ,先ほど佐々木委員からもございましたけれども,こういった現実的にまず水素を大量に普及していく中で必要なところというのも考える上で,こういったことを考えていかないといけないわけですけれども,その点,その部分で価格,コストということでいきますと,中段にあるように天然ガス相当価格の水素が最低限必要でしょうということは,これは産業界のいろいろな方々からも御意見を頂いたところでございます。また,再エネ,水電解からの水素製造は価格面,規模面ともにブレークスルーが必要ということで,実際にそのニーズに焦点を当てて議論してみたところ,こういった御意見を頂いたということになってございます。
右側,実用化を見据えた長期的な研究開発の方向性ということで,水素製造のより一層のコストダウンというところで革新的な技術シーズということを探索,引き続きやっていかないといけないというお話ですとか,純水素というところを製造していく,今は製造して,それを使ってという形のお話が中心なわけですけれども,そうではなくて水とCO2から炭化水素を直接合成するというような形で,エネルギーロスが少ない形での反応系を見つけていくような技術の可能性ということを考えていったらどうかということが言われております。また,水素キャリアの合成・脱水素に必要な投入エネルギーの抜本的削減というところで,ほかの方法がないかということを検討しているという状況です。
CCUSでございますけれども,左側に先ほどと同様いろいろと書かれておりますが,こちらも投入エネルギー,コスト,より一層の改善が必要というような評価になってございます。CCSの貯留ポテンシャル・技術はあるが,となっておりますけれども,EORを除きCO2貯留そのものに経済インセンティブは存在しないということ,これはコストにしかならないと先ほど話にありましたけれども,そういうふうなことを書いています。加えて,CO2有効利用,CCUのことですけれども,これはCO2削減量が課題というふうに書いてございます。
実際,そのものとして化成品などにするといったときに,それでCO2がどれだけ削減されるかというと,さほど分量的にはございませんので,では,どうしますというのがCCUとしての課題がございます。そこを炭化水素でエネルギー源に変えていくということになれば,またこれは別のポテンシャルがあるという形になるのですけれども,そういうふうな話になってございます。ほとんどのプロセスで必要となる水素がボトルネックです。これは先ほどの水素のところと関係するところでございまして,御指摘いただいております。また,ネガティブエミッション技術,DAC――Direct Air Capture,あとBECCS等も近年注目されていて,そこも考えていってはどうでしょうということでございました。
右側,CO2分離回収,CCS,CCU,ネガティブエミッションとそれぞれ書いてございます。特にCO2分離回収というのを特出ししているのは,ここでエネルギーが一番使われている,コストが一番かかってしまっているというところがございまして,ここのブレークスルーが必要ではないかということが議論の中で出てきたということで,特出しして書かれているような形になってございます。CCS,CCUのところは左側で御指摘いただいたような話が書かれているということでございます。
1枚おめくりいただいてパワエレです。パワエレについては,簡単にイメージをすると,これから再エネを使っていきましょうといったときに,当然,システムで考えていくということ,系統を接続していって,どうやっていきますかという話になるわけですけれども,そのときの調整ということで言うと,やはりパワエレ,非常に重要になってまいります。その場合にどういうふうにパワエレを今後やっていかないといけないかというところが議論の中心だったと考えていただければ結構です。今申し上げたような話がある中で,中段,上から三つ目のところからにしますけれども,次世代半導体の研究開発は世界トップレベルの顕著な成果が日本としては出ている,創出されつつあるというところではありますけれども,海外トップメーカーが更なる大口径化とか,そういうコスト低下という取組の中で日本としてもしっかりとその点,改善していくという,技術開発が必要ではないでしょうかという話。
あと,いろいろ研究開発をしているわけですけれども,そういうことではなかなか産業化というところにつながっていかないところもありますので,量産品モジュールの共通化・標準化ですとか,あと磁性部品等の受動素子,半導体の周辺の素子になりますけれども,そういったもののコスト削減なども必要になるのではないかということ。あと,高性能な受動部品や高度な実装技術等が必要ということで書かれております。右側に書いてあることは,今申し上げたような必要なところに対し,しっかりと研究開発をしていきましょうということが書かれているところです。
最後,再エネ・蓄エネですけれども,こちらはどちらかというと右側でお話ができればと思いますが,ベースとなる話としては,大規模蓄エネ技術の低コスト化と書いておりますけれども,再エネは変動電源ですので,きちんと蓄エネという形でやっていくための技術が必要です。そことして考えられるのが定地用であればフロー電池の開発のような話ですとか,あと安全性の高いリチウムイオンというところの蓄電池の開発。また,蓄熱を使ったシステムですとか,あと車載用蓄電池の中古品等,これは電気自動車がどんどん今後作られていっていて,それが買い替え等で廃棄されるときに蓄電池として中古品が大量に出てくることが想定されるわけですけれども,そういったものの活用というところで劣化評価などしっかりとやっていけば,実は活用できるのではないかということ等々,議論が行われておりました。あとは火力発電の柔軟性向上というところ,あとは需要側の調整力のポテンシャルの追求,生産付加価値を提供する電化の促進ということで,それぞれ個々に書いておったというところでございます。
そういった個別の議論があった上で,我々としてしっかりやっていかないといけないことということで9ページ目,書かれているところですけれども,これは先ほど申し上げたように文科省と経産省が合同でやっていた検討会ですので,我々としてしっかりと連携をしていかないといけませんという議論をさせていただいております。特に文部科学省,基礎,基盤的な研究開発,しっかりやっていくということが目標というところはありますけれども,それがしっかりと社会実装されていくですとか,産業界とのつなぎの部分をやっていかないといけないというのは,事実でございます。
そういった部分,経済産業省としっかりと手を組みながら,シーズを作っていく段階からきちんと連携できないかですとか,また,その技術開発を産業界側で進めていったときに,そこでの課題というものをフィードバックしていただいた上で,更にそのアカデミアの中で深堀していけないか,そういうような話というのは当然議論がございまして,我々としても,これまで経済産業省,NEDOがやっているプロジェクトと我々がJSTにお願いしながらやっていただいているプロジェクトの,そこの合同の研究開発ボードのようなものを作ったりしながらやっているところはございますけれども,そういったものをしっかりと更にやっていくということ。加えて,そこの下側,研究開発プログラム運営(案)というのを書いておりますけれども,アイディアベースでこういったことができないかというのが議論としてなされたというところでございます。
また,横断的な話になりますけれども,10ページ目に書かれているLCA技術評価を通じた客観性担保というところでございます。LCA評価自体は今でもいろいろな主体が実際やって,社会に対して,こういう方法でやりましたということで提案をしているところではございますけれども,そこできちんとどの程度客観性が担保されているかというのが我々としてもしっかりとうまく示せていないというか,政府としてこれをうまく使えていないというところがありますので,こういったものを検討しながら社会に対してきちんと各技術の客観性の担保というのをしていかないといけないのではないかということが御議論されたということでございます。
最後,11ページにあるのは,革新的環境イノベーション戦略の策定という形になってございますけれども,こういった我々検討会をして2省でやっていたところですけれども,政府全体として革新的環境イノベーション戦略という形で年内にこういった戦略を作っていこうというような話が今起こってきているところでございますので,こうした議論も我々としてはしっかりと関わっていきながら,政府として2050年に向けてやっていきたいと思っているというところでございます。
少々長くなりましたが,私からは以上です。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,若干の補足という形でありますけれども,資料2-5で少しコメントといいましょうか,意見を申し上げたいと思っております。たくさん資料を付けておりますが,簡単に申し上げたいと思います。御存じのとおり,スライドの3にございますように,パリ協定の下で長期戦略を2020年までに出すということになっております。G7の伊勢志摩サミットの折にそれよりも十分先駆けてG7諸国は提出するということになっておりまして,今回,G20の前にということで懇談会を立ち上げて提言をまとめ,そして先ほど三木補佐からありましたように,それを基に既に政府案がパブリックコメントに掛かっております。
スライドの4で各国,特に主要先進国の状況について付させていただいております。まだ戦略を出していないのは,G7の中では日本とイタリアが残っているという状況でございます。スライドの5は,この間の経緯を時系列で御紹介をしているものであります。スライド6は,その長期戦略策定に向けて総理が指示を出された,未来投資戦略2018の閣議決定の折にその方向性について示されたものであります。一つ留意をしていただければと思いますのは,この戦略はパリ協定の下のもので,脱炭素社会を目指す気候変動の戦略ですが,同時に成長戦略として書くことが求められているという点でございます。
次のスライドはメンバーでございます。このとおり経済界,金融界,それから,自治体,8期までの主査を務めていただいておりました安井先生もメンバーで参加をしてくださっています。その後,長期戦略の提言のポイントと書いております。政府案になると大部なものになってなかなか骨格がつかみにくいので提言を使って御説明することが多いのですけれども,これは三木補佐から御説明が既にございましたので,このままにしたいと思います。資料2-2で,政府で骨子を作っていただいておりますが,こちらも大事だと思いますけれども,提言で強調したことが余りうまく書けていないところもあるかと思います。この資料2は文科省が作られたわけではないのですけれども。そうした点を2,3申し上げようと思うのですが,一つは水素の関係でいきますと,提言の中ではかなり明確にCO2フリー水素ということを強調しております。これはコスト目標も含めてです。
それからもう一つは,産業部門に関するスライドの10のところですけれども,製造プロセスの脱炭素化もそうですが,化石燃料に依存しないマテリアルの開発,転換といったことを強調しております。これは政府案の中にもプラスチックの関係も含めて,かなり書いていただいているかと思いますが。3点目ですけれども,同じくスライドですが,経済界の委員からも強調されておりましたのは,日本の産業の大半を占める中小企業,サプライチェーンを担っている中小企業の脱炭素化についての支援の必要性をかなり強く書いておりまして,そのためにこそエネルギーの脱炭素化,低炭素化が必要だと提言では書いています。エネルギーの脱炭素化,低炭素化,特に電力の脱炭素化は,先ほど議論がありました水素のコスト低減を含め,様々な技術のコスト低減の基礎であるという認識でございます。
さて,少し飛ばしましてスライド13からでございます。言うまでもございませんが,今回の提言,あるいはその提言に基づいた日本の長期戦略案は,2050年までに80%,これはここ10年の目標でございますけれども,2050年,その先できるだけ早期の脱炭素社会,温室効果ガス排出実質ゼロの実現を掲げたというところが一番重要なところかと思います。議事要旨が官邸のホームページに出ておりますけれども,産業界,経済界,様々な代表の方が集まる中で,いつまでにどういう方法でという点についてはいろいろな意見がありましたが,しかしながら,最終的に温室効果ガス排出実施ゼロの実現を目指すことについては,当初から大きな異論がありませんでした。日本の長期戦略についていろいろな御意見を頂くのですけれども,1.5度の努力目標の実現というのを真正面に掲げた長期戦略は初めてだと思いますし,脱炭素社会,特に温室効果ガス排出実質ゼロを明確に掲げた長期戦略はG7では初めてだと思います。
ただ,スライドの14に書いていますように,この後,イギリスを含め,2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロといった目標が出てくる動向にございまして,そういう意味では,日本の長期戦略は「できるだけ早期に」という書き方をしておりますけれども,今後の施策,そしてイノベーションをどうやって作っていくか,加速していくかが課題だと思います。
さて,スライド16ですが,先ほど長期戦略は成長戦略として書いていると申し上げましたけれども,冒頭の総理の指示でもございましたけれども,温暖化対策を単に削減のコストだけから捉えないで,むしろ,温暖化対策の推進によって経済成長を図り,地域の活性化などの社会的課題の解決を同時に図るという考え方が基底にございます。その総理の御発言は次のスライドで御紹介をしております。
最後ですけれども,こういう議論になった背景,共通認識を御紹介しておきたいと思っております。一つは,先ほど中山委員からもありましたように,再エネのコスト低下が導因になっていると思いますけれども,とりわけ電力分野でのエネルギー転換が急速に進んでいるという点。それにより,スライドの19でありますけれども,経済が成長しても,エネルギー需要が増えてもエネルギー起源のCO2の排出量が増えないという可能性があるということが14年~16年の経験で見えてきたこと。残念ながら,ここにも書いていますように17年,18年は増えているのですが,これは,エネルギー需要の増大に伴ってガスの消費量が増えています。再エネも拡大していますが,エネルギー需要が増えた分,化石燃料,特にガスの使用が増えて排出が増えているということでございます。
スライドの21は,総理の御発言の背景でもあるのですけれども,非常に大きなお金がこうしたエネルギー転換,あるいは脱炭素に向けて流れているという認識が今回の長期戦略,温暖化の戦略でもあり,成長戦略でもある戦略の背景にございます。懇談会の議論の中でも,日本のメガバンクはESG投資額のランキングは非常に高い,世界でもトップレベルなのですけれども,日本への投資が少ないという問題意識が経済界,金融界の委員から御指摘があった点です。スライド33に書いていますが,なぜ投資が日本に来ないのかという議論が懇談会の場でもございまして,投資を喚起する一つの条件として長期的な明確な目標,政策,一貫した目標の提示ということが必要だという認識がこの長期戦略において野心的なビジョン,目標,社会像を示す必要があるという背景の一つになっております。
スライド23,24は,この間の気象関連の損失額が増えていることを示すものです。これは昨年の自然災害の経済損失額ですが,4位,5位は日本の台風21号と7月の西日本豪雨です。こうした気象関連の経済損失の増大についてもこの戦略の背景にはございます。そして,既に2050年排出実質ゼロを目指す自治体,企業が出てきているというのもこの戦略の野心的なビジョンを作った背景の一つにございます。
最後にイノベーションについてです。先ほども,それから,前回も議論がございましたイノベーションは,この委員会にとっても非常に重要なポイントだと思います。長期戦略の懇談会では,私の理解ではイノベーションに二つ軸があって,一つは,今ソリューションがないものにどうやって技術の革新でもって,そのソリューションを提供するのかという軸と,もう一つは,これは経済界の委員からも非常に強く示されましたが,実は今,技術のシーズはあるけれども,これが市場化,あるいは実用化,普及をするために何らかの手だてが必要ではないか。それは技術革新でもあり,場合によっては,先ほど本郷委員がおっしゃったような社会的な,需要側の,あるいは市場側への対応,施策も含めてです。これは恐らく念頭にある一つの例は,燃料電池車で,これは新時代自動車戦略の中でも議論されていますが,インフラがどうなるか,制度がどうなるかで技術の普及というのは異なる。
逆に,そこがうまく対応できないと幾らいい技術があっても普及のハードルとなる。普及がなければコストが下がらない。更に技術が,市場が広がっていかない。こうした問題意識から,経済界も含めて,今,ソリューションがないところへのイノベーションの創出と同時に,シーズがある技術を技術革新も含めていかに普及をし,実用化していくか。コストを下げるイノベーションというような言い方をされている箇所もございますけれども,こうした問題意識がございました。
さて,以上が私から追加で補足をさせていただいた点でございますけれども,事務局からの御説明,それから,ポテ研と言っておりました,佐々木委員,山地委員,そして安井先生も御参加いただいた検討会について御紹介いただきましたけれども,この長期戦略に関して,あるいはそれに関連して何か御質問,御意見がございましたら頂ければと思います。佐々木委員,お願いいたします。
【佐々木委員】 佐々木です。補足に近いのですけれども,2点だけコメントさせていただきたいと思います。これは別の会議体でもいろいろなところで言うようにしているので,少しかぶりますけれども二つ発言させていただきます。
一つは,ポテンシャル検討会につきましては,研究開発局長様を始め,関係課様に非常に御尽力いただいたということで関係者の一人として心より感謝申し上げたいと思います。その中で皆さん方も少し驚かれていると思いますけれども,水素が至るところに出ていて,一番面食らっているのが正に私そのものなので,これを本当にどう実現するかというのは正直非常にプレッシャーというか,頭を悩ませているところがございます。ですから,有り難いのですけれども,結構ハードルが高いというのは正直ベースで申し上げたいと思います。
実は,これを本当に実現しようとすると,結構,日本って研究インフラもあって,研究費もないわけではないのですけれども,今一番欠けているのは若い人材が本当に手薄になっているので,いつも言っているのですけれども,予算が付いても,これをやれる人がほとんどいないという,今の大学改革の方でそういうところに関わっているのですけれども,本当にそこが極めて深刻で,一番ボトルネックになると思います。ですから,大きな予算を付けていただいて,財務省と折衝していただいても,そこに手を挙げられるような若い人材が非常に薄くなっているというところでございまして,そこが多分ボトルネックになるかと思います。
これは別のところでもお話ししたのですけれども,ほかの省庁,特に経産省とか環境省とかは,フォーカスしたものに集中投資しようということに当然ならざるを得ないのですけれども,だからこそ,文科省については,こういういろいろな分野のシーズを育てるというところが役割だと思います。ですから,できるだけ予算はそんなに大きくなくてもいいのですけれども,広く薄く長くきっちりと腰を落ち着けた研究ができるというところがポイントかと思います。それで,先週,この環境エネルギー科学技術委員会に出させていただきまして,幅広くされているというのはよく分かりました。ただし,いわゆる内局の事業としてエネルギーというのがGaNだけなのですと言われるとエネルギー関係の研究者としては少し違和感をもったところがございます。
そのあたり,どこがやるかは別として,これから政府を挙げてやると思いますけれども,特に文科省にお願いしたいのは,いろいろな研究費は多分公募で出てくると思います。一番ネックなのは,先ほど申し上げたようにポスト,要は若い人とか,いろいろな新しい異分野の人がここに入ってくるという,そのポストがないというのが,一番の根幹にあります。そこはなかなか1年とか3年の公募事業とか,最近はステージゲートということで本当に人を雇っても2年やったら3年目,雇えるか分からないという,多分,そういう事業が余りに増えていますので,むしろ文科省はそういうことをやるポストを確保するというところが大事なのかと思っています。
実は似たようなことが,例えば我々,エネルギーのWPIを,九大でやらせていただいたのですけれども,そこは研究費を付けていないのです。むしろ,ポストを10年間確保して,そのかわり研究費はどんどん取ってきてくださいと。そういうようなところ,ポストを付けるというのはやはり経産省にはできなくて,文科省かと思いますので,ポストを付けて,それも特定の大学だけではなくて,いろいろな大学にメンバーがいて,本当にオールジャパンで,例えば再エネ,蓄エネをやりましょうとか,パワエレもそうですし,水素もそうですし,CCUSをやりましょうというようなオールジャパンのチームをバーチャルの一大研究所を作るみたいな方が文科省の特徴は出せるのかと思います。
それから,2点目のコメント,手短なのですけれども,こういう話をしてポテ研では経産省が経済性を確保できるような技術開発を集中的にやって,環境省は環境性を追求できるようなところを追求するというところで,その根幹のところが文科省ということをお話しさせていただいているのですけれども,最近,そういう話をいろいろな方とすると,いや,その3省だけではなくて,正にきょう,政策投資銀行の方がいらっしゃいましたけれども,金融庁とか,そういう人も入れてほしいと。というのは,むしろ,今,世界的に一番大きな動きをしているのは,正に世界の金融界がさっきのリスク資産のところを本格的に議論していると,そこが極めて大きな動きでありますので,きょう,金融庁との議論がされているというのは非常にうれしいと思いましたけれども,そういうところも巻き込んでやっていただきたいと思います。
あと,例えば技術開発をされているモビリティ関係の方と話をすると,国交省が入らないと規則が決まらないので,結局,社会に入っていかないというのもありますので,国交省も当然関わると思います。最近は政府の方もイノベーション政策,大学改革,ムーンショット,SIPということで集中的にこの科学技術,特に脱炭素も含めたところで投資しようという動きがあります。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の中にも橋本先生,上山先生を始め,こういうところを是非応援したいという先生方もおられますので,是非,彼らもうまく味方に入っていただいて,オールジャパンでやるということをG20で是非アピールしていただければ有り難いかと思います。そういうようにして日本全体で背負っていただけるのでしたら,多分,ここに挙げたハードルが極めて高いところもどうにか我々頑張れるのかと思いますので,是非政府を挙げた取組をよろしくお願いいたします。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,本郷委員,その後,沖委員,お願いいたします。
【本郷委員】 ありがとうございます。3点ございます。ただ,最初の2点は佐々木委員とほぼ同じような内容でございます。1点目は,私は技術とかサイエンスの隣の方から,つまり開発・研究ではなく利用者の立場なのですけれども,そこから見ていきますと,例えば2050年とか遠い将来ですので,不確実性が非常に大きい。不確実性がある中で特定の分野に集中していくというのは,逆にリスクがある可能性がある。経済産業省と文部科学省の合同でやられたというのは非常に画期的なことだし,内容も非常にすばらしいと思う中で,文部科学省らしさ,佐々木委員の言葉で「文部科学省らしさ」と使っておりましたけれども,正にその点を出すためには,むしろ,不確実性の視点から様々な分野の研究に分散投資を考えるということが適当ではないかと思います。また,シーズという言葉がありましたけれども,逆に考えるとむしろ,しなければいけない,必要なところ,ディマンド側から考えていく,そういう整理があってもいいのではないかという気がいたします。
そうした場合,もう一つ課題になるのは,いろいろな技術オプションがある中で,どの技術がよくなるかというのは分からないわけで,効率的に支援するためには,ある程度,競争環境を整えておく必要がある。しかし,この研究分野で競争環境を整えるというのは非常にリスクが,実際,携わる人にとっては非常に個人的なリスクもあるわけですので,ある種セーフティネットを作らなければいけない。それが二つ目のポイントでして,その研究体制,佐々木委員はコストと言われましたけれども,人件費の部分をよく見てあげないと,なかなか持続できない。例えばCCUS,水素にしても,なかなかこれから数年先で出て来る話ではなくて,2030年以降,2040年とかそういうタームで考えてみたとき,現在の予算制度ですと5年になってしまうわけですが,この5年という枠組みを変えない限りなかなか安定して研究者は研究に専念できないというところがあるので,前年度のときも申し上げたかもしれませんけれども,この予算制度の5年という枠組みをそろそろ見直しした方がいいのではないか,これが2点目でございます。
それから,3点目,最後の資料のところにLCAの話が出てきました。ただ,LCAは総合的な効果を考える上で重要ですが,経済政策的に見ていくと,ちょっと不思議なところがあるのです。その企業の責任範囲,環境用語で言うと,バウンダリーという言葉を使う場合もありますけれども,企業の責任範囲があるので,自分の責任範囲を超えてどこまでやっていくかというのはなかなか規制としては作りにくい話ではないかと思います。むしろ,考え方としては産業連関表的に付加価値ベースの産業連関表,あるいはCO2ベースの産業連関表というような形で整理することによって,少し変な言い方ですけれども,ある特定の分野を見たときに,ある段階では最適な解であるけれども,その周辺・前後に大きな環境負荷,エネルギー負荷をかけてしまっては意味がないので,そのバリューチェーン全体の中での最適化を図ることが見えてくるのでないかと思います。産業連関表的な使い方をするという意味でのLCA,そうした考え方で文部科学省が取り組まれたら非常にユニークになるのではないかという気がいたします。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,沖委員,お願いいたします。
【沖委員】 先週の会議で申し上げましたが,やはりこういう技術が本当に社会に実装されるかどうかという点についての観点があった方がいいのではないかと思います。今お示しいただいたのは技術オリエンテッドで,技術がこういう対策を非常にドライブしてきているというのは多分正しいと思いますので,それでいいと思うのですが,コストの面でというのが,イギリスはコストを下げられる,では,どこまでコストを下げたらみんなが受け入れるのだろうかというところに関しては,もう少し社会システムとか,あるいはコスト,規制とか,CO2の性能が悪いものは市場に出さなくする規制とか,そういうものを含めて実装についても研究があったらいいのではないかと思いました。先ほどお話があった中で海外との競争力という話がありましたが,その辺,分からなかったのは,海外でCO2を削減する技術,製造に関して削減する技術があれば,もうそれを輸入せざるを得ないのではないか。その技術に関して国境があるのかどうかといったところがちょっと分からなかったというのが一つございます。
それからもう一つは,コストの話に関しては,今非常に先行的な方々はコストが高くても,とにかく2030年までに削減すべきだということをおっしゃる方もいて,そういう意見とどう折り合いを付けていくかということに関する社会的選択がどうなるのかというところがやはり一番技術開発をしていて分からないところなのではないかと思いますので,そこら辺についても研究いただければいいかと思います。先ほど佐々木委員から教育というか,研究者が足りないという話がございましたが,大学の先生は,社会に出ても,まあ,出ていないからかもしれませんが,同じことをやり続けるのをよしとする。ほかは,普通,企業に入っても,会社に入っても自分の専門というのは必要に応じてどんどん変えていく。
必要なことをやっていくというのが社会では普通だと思うのですが,どうも大学の先生だけはさぼっていて,自ら進んで新しいことを学んで専門を広げたり変えたりしたがらない。恐らく,今はそれを変えていく必要があって,博士を取った人材でも必要に応じてどんどん自分のそれまでのキャリアを生かしつつも,こだわらずに新しいことに挑戦していくというような学術界にしていく必要があるのではないかと思います。さらに,新しい分野に行ったときに,おまえ,別の専門分野の人でしょうという暗黙の抵抗が多分いろいろあって,縄張りというのがあるのかという気もしますので,その辺,いかに予算を配分する側はうまく設計するかということで,必要な分野に必要な人が集まって新しい視点からの研究開発が進むということになるのかという気がいたしますので,まだまだ工夫のしどころとか,押しどころはあるのではないかと思います。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。堅達委員,お願いします。
【堅達委員】 今,水素のこととか言っていただいて大変よく分かったのですけれども,私も水素の可能性は大事だと思うのですけれども,高村主査もおっしゃったようにCO2フリーの水素というのと,そうではない水素というのを結構シビアに考えていかないと,ガラパゴス技術になってしまうと言われる危険性はあるという,それはEUとかがタクソノミーということでサステイナブルなものの定義付けみたいなことをしていったときに,水素もLCA上,CO2フリーではない水素は温室効果ガスとむしろ一緒であって,途中で(CO2を)出しているということの方の位置付けの方が大きくて,このサステイナブルであるということに寄与するかどうかということを今非常にシビアに見ているというような現状もあります。
だから,一生懸命1点ポイントでそこだけ突破して頑張ろうとすると,世界がルール攻めで攻めてきたときに,気が付いたら,はしごを外されていたというようなことのないように,くれぐれも日本が今,優位性を持っている分野なので,大事にそこを育てていってほしいと思うし,時間がかかる技術だとも思うので,そこはもう本当に若い人がしっかりと安心して研究が続けられるような,大学改革そのもののベースをしっかりと整えるということも頑張っていただいて,やっていただきたいと思うのですけれども,是非そこは海外の動向にも注意をしながら,1点だけ張っていたら間違ってしまったということのないような研究を進めていただきたい。
イノベーションという言葉が日本ではそういうテクノロジー面でのある種,ポンと飛ぶようなブレークスルー系のものだけで言葉の意味としてよく使われるのですけれども,海外ではイノベーションというのは,実は仕組みだったり,制度だったり,社会の中でのイノベーションということも,耳で聞いたイメージとかニュアンスでも,テクノロジー分野だけではないイノベーションのことをかなりウエイトを置いて言っていると思うので,車の両輪で2050年を目指す,本当にノーベル賞を取れるような,そういうものを日本から出していくというブレークスルーを目指す非連続のイノベーションと,一方で今あるものを普及させるためにちょっとしたアイディアや仕組みを変えることで,どんどん法律とか規制を変えることでもっとイノベーションが入っていくという,そこを車の両輪と考えるという考え方を是非やっていただけたらなと思います。
【佐々木委員】 今のを手短にフォローさせていただきますと,ちょうど燃料電池自動車が出て,これは究極のエコカーだと胸を張ったら,いろいろお叱りを受けまして,水素も化石エネルギーから作っていれば,結局,ガソリンが水素に変わっただけで全然地球環境の問題,効果がないのではないかというのはよくお叱りいただきました。ただし,では,電気自動車がいいのかというと,今の電気のほとんど,9割ぐらいが化石エネルギーですから,なかなか両者ともまだ力不足かなというところだと思います。水素ももちろん,究極の目標はおっしゃるとおりで,CO2フリー水素で,我々もそれに向かって当然やっています。
ただし,いきなり世の中を全部引っくり返すというのは,余りにハードルが高いので,結局,何をしているかというと,まず水素を使えるような社会にして,そこで使う水素を少しずつCO2フリーにしていこうという,要は我々もいきなり2階に飛び上がることはできませんので,階段を一歩一歩上がっているということです。化石エネルギーで走るガソリン車を,化石エネルギーで作った水素で走るだけで,実は燃料電池,効率はかなり上がるのです。それだけでもCO2の排出は,4割ぐらいは減らせています。それを4割ではなくて8割,9割,100%にしようということで,CO2フリーの水素を増やしていこうというところですし,そこはまだまだ技術開発が必要だということで,今,階段を一歩一歩登っているという段階です。いきなり2階に登るというのは難しいので,一歩一歩登っているということで御理解いただきたいと思います。ありがとうございました。
【高村主査】 ありがとうございます。
では,まず本藤委員,そして奥委員,嶋田委員,お願いいたします。
【本藤委員】 横浜国大の本藤でございます。今のお話と少し論点がずれるかもしれませんが,エネルギー分野,環境分野の技術開発におきましても,当然,世界に伍(ご)して競争していかなければいけない。そのときにコストの低減というのは極めて重要で,これに関する技術開発は当然進めていかなければいけない。一方で,端的に申し上げますと,やはりあるべき社会の姿,ありたい社会の姿,それを横目で見ながら長期的な技術開発をしていかなければならないのではないかと考えております。といいますのは,水素にせよ,再エネにしろ,基本的に第一義的には,エネルギーを供給する技術である。そうすると,第一義的にはやはり安くエネルギーが供給できればいい。しかし,今では,それだけではなくて,あるべき姿としてCO2削減は,これは必ず必要となっております。
それに加えて,先ほど主査からも御説明,御指摘がありましたように,ほかの社会課題を同時に解決することで,コストも安くなる可能性が出てくるわけです。そのときに重要なのは,人によって,ありたい社会の姿が違っているかもしれない,ということです。ありたい社会の姿が異なれば,どの社会問題の解決を重視するかも異なります。そうすると,リソースを投資する技術開発の優先順位が変わってくるかもしれない。なので,もちろん共通してこの技術がいいというのがあればいいのですけれども,この不確実でなかなか先が見えない社会において,それがなかなか見つけられないとなると,やはりあるべき姿,ありたい姿というのを常に横で見ながら技術開発を進めるということが非常に重要なのではないかと思っています。
特に,一言だけ最後に申し上げますと,インフラの在り方,エネルギー供給と需要のインフラの在り方,これは大変重要になるのではないかと思っています。というのは,我々の社会の在り方とエネルギーインフラは非常に密接に結び付いており,それが社会を規定しまう可能性もある。また,技術開発も規定してしまう可能性がある。したがって,個別技術の開発というのも非常に重要な課題であり,それに焦点をあてて議論をするのももちろん必要なのですが,インフラがどうあるべきかという議論があってもよろしいのかなと思いました。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,奥委員,お願いいたします。
【奥委員】 高村主査が作ってくださった資料の31ページのところに関連してなのですけれども,特に実用化・普及のためのイノベーション,これを推進していくためには明確な目標とビジョン,これが必要だと。日本はこれまでも確たるビジョン,特に長期的なビジョンが欠落しているというようなことは指摘されてきたところでありますが,それにあわせて,この政策・制度の変革も必要だと思います。これが長期戦略案の中に書かれたということは非常に重要なことだと思っております。更にその先に,その長期的な目標,ビジョンをどういう政策手法で担保していくのかといったところについての言及は,まだここにはなされていないというところがやはり,現状から言うとこれまでと何らの違いもないと逆に言ってしまえば言えるところかなとも思っておりまして,もう少し前の方のスライドでは,イギリスをはじめとして法的に長期目標の数値化をしているわけです。
法的な根拠付けをしっかりとしているというようなところは,日本はまだそこまで踏み込めていないというところでもありますし,さらには,それでは具体的にイノベーションを進めていくといったときに,それは政策や制度を見直す中で担保していくとは言っているけれども,具体的にどういった政策手法,それが法的なものなのか,経済的なものなのか,情報的なものなのかいろいろありますけれども,もう少しポリシーミックスの全体像をしっかりと示す中で,こういったポリシーミックスを図っていくことによって,最終的には長期目標が達成されるのだといったところ,結局は明確なロードマップ,それが経済界に対しての強いメッセージにもなっていくということで,イノベーションを更に推進していくということをバックアップしていくということにもつながっていくので,その政策・制度という言葉が何度もこの長期戦略案の中には出てきておりますが,更には途上国に対してもそれを促していくというようなことが書いてありますけれども,どういう政策でどういう制度なのかということについての記述はないわけです。なので,そういう意味で具体的なポリシーミックス像というものを更に踏み込んで示していく,そういう必要があるのではないかと思います。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
では,嶋田委員,お願いいたします。
【嶋田委員】 日本の温室効果ガス排出量,今,15%ぐらい家庭が出ていて,埼玉県も実は20%を超えるぐらいのシェアを持っているのですが,ほかの産業部門,業務に比べるとなかなか減らせない。ほとんど減らせていないというのが実態で,同じような問題を国も埼玉も抱えていると思っています。その最大の原因というのはやはり住宅のエネルギー効率の悪さなのですけれども,そのあたりが余り長期戦略の中では書かれていないと思いました。住宅の場合には30年とか40年使うので,いわばストックでして,なかなかそこを改善するのは難しいわけですけれども,だとすれば今すぐに取り組まなくてはいけない課題だと思います。
なかなか国交省は,規制に関しては慎重で,義務化などはすぐには取り組まないわけですけれども,そういう意味では戸建てというのは非常にエネルギー効率が悪いという意味では,集合住宅化みたいなことが必要だと思っていまして,コンパクトシティ化であるとか,スマートシュリンクみたいなことを考えていかなくてはいけない。ほかの先生方からも社会システムであるとか,インフラの改善みたいな視点,御指摘がありましたけれども,正にそういったことをしていく必要があるのだろうと思います。そのあたりは国交省の仕事なのかもしれませんが,研究という部門では多分,文科省がいろいろと情報提供するようなことをしていける可能性があるのではないかなと感じました。
【高村主査】 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。次の議題にも関わるところでありますけれども,特定の質問はなかったかと思いますけれども,事務局から何かコメントなりお答えはありますでしょうか。ありがとうございます。私も基本的に委員のみなさまの御意見に同意いたします。二つだけ補足して申し上げると,先ほど嶋田委員からありました住宅に関しては,懇談会の提言には余り書けなかったのですけれども,今の政府案はかなり踏み込んで書いてくださっていて,2030年に新築平均で住宅・建築物をネットゼロエネルギーの住宅・建築物にする。2050年,今世紀後半のできるだけ早期に既存の住宅・建築物も含めたインフラ,ストックベースでネットゼロエネルギーにするということだったと思いますので,ある意味では非常に野心的な目標を掲げていただいているかと思います。
ただ,嶋田委員がおっしゃった点だと思うのですけれども,奥委員もおっしゃっていたように,戦略は50年の,どちらかというとビジョンを書くところに力点を置いていまして,具体的な施策については書いていないです。合意ができた施策については書いていると思いますけれども,特に短期的な,例えば30年といったより具体的な施策,政策については,今年行われる国の温対計画の見直しの中に,長期戦略に従った施策が書かれないといけないと思いますし,イノベーションについては,先ほど御紹介があった革新的科学イノベーション戦略の中で練られていくのだろうと思います。しかしながら,いずれにしても,戦略を絵に描いた餅で終わらせないことが必要だという御指摘だと思いますが,それは私も全く同感でございます。
さて,もし,御意見が追加でございませんでしたら,次の議題も今の議論と十分に関わっておりますけれども,議題3に移ってよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは,議題3でございますけれども,今後の環境エネルギー科学技術分野における研究開発の在り方についてということで,事務局から御説明をお願いいたします。
【三木課長補佐】 ありがとうございます。前回に引き続きというところではありますけれども,環境エネルギー科学技術委員会,第10期に関しては,第6期の科学技術基本計画,こちらの方に対していろいろとある種,打ち込みといいますか,我々としてこの分野で必要なことというのをしっかりと意見をしていくということをしないといけないという文脈の中で種々,きょうの御議論も含めてさせていただいているところでございまして,そこに向けてということで,第1回の環境エネルギー科学技術委員会で頂いた主な意見というのを資料3にまとめてございます。
1回,先生方にざっとお話を頂いただけですので,まだこれで何か方向性が出ているようなものでも全然ないのですけれども,前回御欠席されていた先生方もいらっしゃいますので,ざっと御紹介をさせていただきますと,資料3,まず,文科省としての役割の位置付けという形で書かせていただいておりますが,全体として最初のところで環境エネルギー分野の動きや速度,規模感は明らかに変わっている,これは主査からの御指摘だったような気がしますけれども,実際,そういった変化というところ,しっかり対応していかないといけませんという話ですとか,また,日本は欧州と比べて,問題が生じてから対応するまでに時間がかかる,これは先生からの御指摘だったような気がしますけれども,しっかりと政府が機動的に取り組んでいく必要があるのではないかとか,そういった話,全体の話がありつつ,あと,きょうも少しお話しいただいていますけれども,文科省というところは多様な分野のシーズを薄く広く支援し基礎を育てていくというような話も頂いております。これは文科省として,この分野に対してどういうふうな役割を持ってやっていくかというところで頂いたものをざっとここでまとめさせていただいているのがこの部分になってございます。
また,下に進んでいっていただきますと,基盤となる科学的知見の重要性というところで,適応のお話の中でということもございましたし,全体の話の中でというところもありましたけれども,今,当省で中心的にさせていただいているような地球観測,予測,リスク評価みたいな,こういったところの重要な知的基盤というところをしっかりやっていくことが必要ですし,その必要性というのを打ち出していくべきでしょうというようなお話がありましたし,一番下,ここ最近,お話として今まで余り出ていなかったところでいくと,そのページの一番下にある適応策を広げるにはというところですけれども,通常の普及啓発だけではなかなか限界があるというところもあって,ナッジを御紹介いただいておりましたけれども,人の行動というところに着目しながらやっていくということも必要ではないかというようなお話も頂いてございました。
また,これが中心的な議論になるかと思いますけれども,2ページ目にあるようなイノベーションの観点でざっとまとめさせていただいておりますが,大きな危機に対して社会が追いついていないという状況下において革新的な科学技術はどのように貢献できるかが課題です。これが一番大きな命題になりますけれども,そういったことを御指摘いただいた上で,種々御指摘を頂いております。
きょうのお話の中でもイノベーションというのをどういうふうに考えるかというところで,主査の資料にもあったように,その普及の部分でイノベーションというところもしっかりと見ていかないといけないと思いますが,前回,江守主査代理からお話があったところでいきますと,中段,イノベーションにはラディカルなイノベーションと破壊的イノベーション,二つの側面があるけれども,後者を視野に入れられているかとか,逆に言うと,これだけではなくて,これは多分クリステンセンの議論を引いていただいたと思いますが,もっと我々としてイノベーションというものを広く捉えるというか,真正面からしっかりと捉えるということが必要なのだろうというところで御議論を頂いたと認識をしています。
あと,その下のところであるような技術の改良も研究開発成果の一環であり,社会実装の取組対象に包含してもらいたいというような話がありますけれども,これはきょうの御議論の中でも社会実装というところをしっかりと,というところともかなり関連するところかなと思ってございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
先ほどまでの議論で随分,関わる議論が出ているかと思いますので,それは事務局で是非反映をしていただければと思います。前回の議論のポイントを御説明いただきましたけれども,いや,これにもう少しこういうことを付け加えた方がいいというようなこと,あるいは文科省の政策全般に関して,科学技術政策,環境エネルギー分野の科学技術政策に関して何か御質問,御意見がございましたら,ここでいただければと思います。前回,清水委員,本藤委員,山地委員が御欠席でしたので,是非御発言いただければと思います。山地委員,その後,清水委員,お願いいたします。
【山地委員】 ありがとうございます。前回欠席で申し訳ありませんでした。全般的なことということで少し発言させていただきます。文科省の役割ということでございますので,これは環境エネルギー分野に限ったことではないのですけれども,教育と研究という大きく両面があるかと思います。教育の方から言うと,きょうも随分いろいろなところで出ていますが,人材育成というところに行くのでしょうけれども,文科省はもちろん初等中等教育から高等教育までカバーしているわけですけれども,私がよく見るのは大学院生とか,そういうレベルです。これは先ほど沖委員から話があったかと思いますが,要するに大学院重点化で博士がいっぱいできているのですけれども,うまくいっているようになかなか,私の目から見ると見えない。
結局,狭い分野で生きていこうという人をいっぱい作っているような気がして,本人のためにも不幸だし,社会にとっても望ましくない。もう少しいろいろ分野を切り替えられる,そういうタイプの人材が欲しい。これは教育の中でも本来やるべきことで,私の分野の外国人研究者には文学部を出て,経済学で修士,物理でドクターを取るという日本では考えられないような人がいるのです。省エネルギーの研究者などで。だから,それぐらいのフレキシビリティのある人材を育てるという方に切り替えていっていただきたいというのが一つ。だから,これは環境エネルギー分野に限らない。
もう一つ,研究ですけれども,これもそうなのですけれども,やっぱり文科省の役割というと基礎基盤研究の方にどうしてもウエイトがあると思うのですね。イノベーションで出口志向とか,社会実装とか言われるのは結構なのだけれども,やっぱり役割というふうに言われると,私は基礎基盤の方にあると思います。そういう点でも少し懸念されるのは,これも佐々木委員がおっしゃったと思いますが,今のImPACTとかSIPもそうだし,研究資金の多くが競争的資金になっているわけです。
これって期限もありますし,それから,人もとれるようになったのだけれども,それも先ほど言ったように特任何とかという形で,やっぱり5年とかいっても短期です。人生から言うと,研究する立場から言っても。佐々木委員はたしか薄くと言ったけれども,薄くなくても結構なのだけれども,長期安定的な研究ができるというのが基礎基盤研究に非常に重要なのです。だから,競争的資金も分かるのだけれども,その運用次第だと思うのです。そこで長期安定的にじっくり取り組めるような研究資金環境,やはりこれは大事ではないかと思います。昔に戻ってはいけないのでしょうけれども,そういうのが文科省の役割だと思います。
もう一つ,そこのところで言うと,競争的資金というのは,実はよさそうなのですけれども,いざやってみると皆さん方,そうなのでしょうけれども,選考される側,選考する側になって,手間がものすごくかかっていますね。世の中って取引コストというのがあって,有名なノーベル賞をもらったコースという経済学者は,なぜ会社ができるのかという問題を取り上げて,取引コストを最小化するために組織ができていると言っています。ですけれども,競争的資金で,しかも,コンプライアンスだと言い出すと,手間をかけようと思ったら幾らでもかかる。しかも,文科省みたいに,言い方は悪いですけれども,資金が税金で,手間は幾らかけてもいいとなると,この取引コストに当たる部分が余りにも大きくて,これも望ましくないのではないか。
今,もうデジタル化の時代で,Robotic Process Automationとか,そういう時代の中では,何となくものすごくおくれているなという感じです。ついでに余計なことを言うと,学術会議ですね,一番感じるのは。交通の精算とか定足数とか,意思の表出とか,時間がかかり過ぎて機動的に全然運用できていない。やはりそのあたり少し考えていただきたい。
【高村主査】 それでは,清水委員,お願いいたします。
【清水委員】 初めまして,三菱ケミカルの清水と申します。前回,欠席いたしまして申し訳ございませんでした。私は,三菱ケミカルで研究開発を担当しておりますし,国のナショプロ関係の仕事もいろいろやっておりますので,いろいろ思うところがあるのですが,本日は,三つ申し上げたいと思います。
まず1点目は,冒頭から繰り返し各先生方,おっしゃっているとおり,我々が,こういった非常に大きな,しかも,長期的な課題に取り組むに当たって,企業側としましても,例えば人材であるとか,あるいはいろいろな研究資源であるとか,そういったものを,あるリスクを負って投資しますので,文科省が長期的,安定的にそういった基礎研究を支援していただくことの必要性というのが,我々にとって非常に重要であるということであります。また,正に山地委員が言われたとおり,使い勝手のよいナショプロの在り方も重要であると考えます。税金でありますので,もちろんコンプライアンスは重要なのですが,企業にとっても使い勝手のよい資金の使い方みたいなものが実現できると非常にいいかと思います。
2番目は,人材に関して申し上げます。実は,我々自身も,既に,新人の採用が従来に比べて難しくなっているということを感じつつある状況でして,アカデミアと全く同じような状況になりつつあります。昨今,特に国立大学や有力私大を中心に,そういった有力大学に対して支援なり,研究資金なりが集中的に投じられる傾向にある一方で,地方大学にいる非常に優秀な人材が,与えられた研究環境が有力大学に比べて劣るために,その力を十分発揮できていないという側面があるのかと感じております。もちろん資金の使い方には,制約がありますが,地方大学の支援ということも視野に入れる必要があるのではないかと我々研究の現場としては感じます。
3番目は,社会実装について申し上げます。正直言いまして,基礎研究の段階は,時間はかかるのですが,科学技術的なブレークスルーも可能です。これに対して,資金的な面も含めて,乗り越えるのが困難なのは,社会実装,例えば,パイロットプラントであるとか,プロトタイピングであるとか,本当に社会に物を出していく,あるいは技術を出していくという段階です。
例えば皆さん御存知のように,弊社は人工光合成を進めておりますけれども,これは,本格的に水素を大量に作ろうとすると,初期投資が相当かかります。
ですが,一旦償却が終わってしまうと原料はただですし,エネルギーもただですから,この技術を使うと,極めて安価な水素が実現可能です。問題は,相当な金額の初期投資をした後,償却の間をどれぐらい耐えられるかという点にあります。そこで,そういった償却をうまく支えていただけるような仕組みがあると,これはもちろん文科省の仕事ではなく,もしかしたら政府全体に関わる仕事かもしれませんけれども,そういったものがあると我々が今作っているような革新的な環境技術も,社会実装が進むのではないかと考えます。
以上でございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,本藤委員,お願いいたします。
【本藤委員】 もうお時間もありませんので手短に二つほどです。一つは,もう既に何回も皆様から御発言いただいている人材に関してです。これはもう同感です。特に先ほど山地委員から御紹介のあった,複数の専門分野に深い知見を持つ人材の育成というのが,これから多分,重要になってくるだろうと思います。特にエネルギー分野,環境分野は,社会と密接につながった分野ですから,やはり複数分野というのは非常に強みになってくるはずです。
ただ,これの難しいところは,時間がかかる。多分,今までの教育システムの中ではなかなか完結できないのではないかと思っています。実は,私は30年前とは言いませんが,25年前くらいに,山地委員の部下でありまして,その下でいろいろ鍛えられました。大学で学んだ内容とは異なる分野の勉強を,働き始めてからもしており,それが多少は身になっているのかと思っております。将来的に教育システムの在り方も抜本的に変えなければいけないかもしれませんが,複数専門分野を持つ人材の教育,これが重要なポイントだと思います。これが1点目。
それから,2点目は,これは先ほどの発言につながることなのですが,やはり文科省でやっている事業というのは,基礎基盤の技術開発だとは思います。ただ,その基礎基盤の技術もいつかは社会に実装されるということを考えれば,端的に言えば科学的合理性だけに基づかず,やはり社会的な合理性にも目を配って,研究開発の在り方を考えるべきではないかと思っております。そもそも合理性は何かという話になると際限なく深くなってしまいますので,ここでは述べませんけれども,端的に言えば,ある一つの狭い専門分野の観点ではすごくすばらしい知見は得られているかもしれないのだけれども,社会から見たらどうなのかということは,やはり常に目を配らないといけないのではないかと思っております。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
沖委員,お願いいたします。
【沖委員】 1点だけ。今,皆さんがお話ししたことで,今回,最後の資料3で欠けているのではないかと思いました点は,何のために環境エネルギー分野の研究をするのかというところが,先ほどのビジョンの中でも最終的にこういうのがいいとか,あるいはこうありたいというところがなくて,やはり各論にとどまっていて,そうなってきますと,例えば私は破壊的なイノベーションが必要なのかどうかというのを判断するためには,私たちはどうありたくて,何を成したいから,それにはこれが必要だとか,それにはこれはむしろ副作用が大きいとか,そういう議論ができるためにも究極の目標というところ,私たちは何のためにこの研究を開発するのだろうというのを是非,1パラグラフでも,2パラグラフでも設定していただけますと,その後の見通しがよくなるのではないかと思います。ありがとうございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
ほかに御発言,御希望の先生はいらっしゃいませんでしょうか。石川委員,お願いいたします。
【石川委員】 今の沖委員の話,正にそのとおりで,私の方から2点ありまして,一つはやはり大きなビジョンというか,誰のために何をするのかというところをもう少し明確に我々議論する必要があるというのが一つ。
それから,人材育成のところに関しては,特に最初のところで,恐らくこれは機動的な取組が必要というのですけれども,人材プールというような考え方というのは非常に重要で,コミュニティが小さくなっている中で誰がそれを担っていくのかというところで,若手の育成というのが必要だというのはありますけれども,それはとても時間のかかることで,今,誰がここに回せるのかとか,人材のネットワークプール,ネットワーク化というのが,今,求められているものですので,そういうところに関しても研究開発として新しい人を呼び込んでくるのに加えて,今,既存の人材をいかにネットワーク化するかということを追加で入れていただきたいと思っております。
【高村主査】 ありがとうございます。
堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 この環境エネルギー分野だけではなくて,日本の大学で学ぶということがなかなか経済的にも行けない人が増えていたりするようなこともあったり,中国とか,ものすごく巨額のお金を使って勉強,学生を育てている国との間に開きが出てきていたりしていて,そもそも今正に沖委員がおっしゃったように,何のためにこれをやるのかということで,本当に地球の危機でもあり,人類生存の危機でもあり,日本の産業がしっかりとサステイナブルに伸びていけるか,大変大切な分野だということを理解すると,これは財務省の問題かもしれませんけれども,やはりお金もしっかりと投じて,ポスドクの人が涙ながらになかなか不安定な気持ちでしか研究ができなかったり,中には自殺をしてしまうような人まで出るような,今,日本の教育,研究環境が置かれている状況を,そもそもこれを機会にもっとここを優先して教育と研究開発にお金を投じていこうという機運を国全体で作らないと,小手先の改革だけをしていても,率直に言って全然スピード感のある人材育成にはつながらないと思いますし,若い人が研究というものを面白く感じてやってくれるという環境にならないのではないかという,すごい危機感を持っていますので,特にこの環境エネルギー分野はもとより,全般にここをもっと大事にする国になってほしいと思います。
【高村主査】 ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。特定の御質問はなかったと思いますけれども,何か事務局からコメントなり回答はございますでしょうか。
【三木課長補佐】 ありがとうございます。何かお答えをするというような中身が今あるわけではないですけれども,特に最後のビジョンの話,これは極めて重要だと思っています。ただ,他方でこの環境エネルギー分野といったときには,基本総論賛成の中で各論をどうするというときに種々絡み合うものがあるというところが,先生方御存じのとおり,そういう状況になっている中で最大公約数的に何がまず示せるのか,その上でそこを解きほぐしながら,我々としてどの部分をマイルストーン的に置いていけるのかというのは,少なくともこの環境エネルギー科学技術委員会の中では,私としてはやっていきたいと思っているところです。ほかの先生方とも一緒にさせていただければと思っております。よろしくお願いします。
【高村主査】 ありがとうございます。
長期戦略では,少なくとも脱炭素の文脈でビジョンを書こうと頑張りましたけれども,皆様からもいろいろコメントを頂くように非常に難しいのですが,どういう目指すべき社会像といいましょうか,ビジョンに照らして,この分野,環境エネルギー科学技術の展開を考えていくのかという問題提起を頂いていると思います。
また,人材や競争的資金の在り方も含めて,多分,この委員会を超えたいろいろな課題,恐らくここにいらっしゃる事務局が,こうしたいと長年思っていらっしゃることもあるのだと思いますけれども,委員会を超えた課題も御提示を頂いていると思いますので,恐らくほかの分野にも共通している課題と,同時に環境エネルギー科学技術の分野で,これから例えば事業,プログラムを作っていくときに具体的にどういう手だてが打てるかということもまた同時に考えていきたいと思います。
何か御質問,御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日,予定をしております議題は以上となりますけれども,特に何か委員の皆様から御発言の御希望がございましたら。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは,事務局から御連絡をお願いいたします。
【加藤係長】 本日の議事録は,後日,事務局よりメールで委員の皆様にお送りさせていただきます。修正等あれば御指摘をお願いいたします。最終的には文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきます。また,次回の会合については,6月24日の午前10時を予定しております。よろしくお願いいたします。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,今期第2回の環境エネルギー科学技術委員会をこれで終了したいと思います。きょうは,どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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