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第10期 環境エネルギー科学技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

令和元年5月20日(月曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 環境エネルギー科学技術委員会の主査代理指名及び議事運営について(非公開)
  2. 環境エネルギー科学技術分野に係る主な文部科学省の取組について
  3. 環境エネルギー科学技術委員会の今後の進め方について
  4. 今後の環境エネルギー科学技術分野における研究開発の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

高村主査、江守主査代理、石川委員、沖委員、奥委員、加藤委員、堅達委員、佐々木委員、嶋田委員、竹ケ原委員、中山委員、波多野委員、本郷委員

文部科学省

佐伯研究開発局長、千原大臣官房審議官、横地環境エネルギー課長、林開発企画課長、佐藤環境科学技術推進官、三木課長補佐、葛谷課長補佐、森課長補佐、亀井専門官、加藤係長

オブザーバー

科学技術振興機構研究開発戦略センター 中村フェロー/ユニットリーダー

5.議事録

【高村主査】 それでは,ここで第10期の委員会を開始するに当たりまして,文部科学省から,研究開発局の千原大臣官房審議官より御挨拶を頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
【千原大臣官房審議官】 文科省審議官の千原でございます。
先生方におかれましては,本日,大変御多忙の中,御出席を賜りまして,誠にありがとうございます。
また,委員の先生方におかれましては,第10期の環境エネルギー科学技術委員会の委員をお引き受けくださいまして,厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
さて,本委員会が対象としております環境エネルギー分野につきましては,先生方御案内のとおり,国内外で非常に注目をされている分野でございます。例えば,先ほど主査から御挨拶の中でございましたSDGsにつきましては,経済,社会,環境をめぐる広範な課題の一つとして,気候変動対策や環境保全等が位置付けられてございます。
また,昨年来,IPCCの各種特別報告書の議論,公表,それから,実施指針の採択が行われるとともに,現在,我が国におきましても,長期戦略の策定が進められるなど,パリ協定に関わる動きが加速をしてございます。加えて,世界的には,海洋プラスチックが問題となっております。
こうした状況の中,企業の環境面への配慮が投資の判断材料とされて,いわゆるESG投資も大幅に拡大してきておりまして,環境と成長の好循環とも呼ぶべき変化が世界規模で進んでございます。
このように,国内外で本分野の重要性が増す中,文部科学省といたしましては,環境エネルギー分野の研究開発を通じまして,社会課題の解決に貢献していきたいというふうに考えております。
政府といたしましては,これも主査が先ほど御言及いただきました,次の第6期科学技術基本計画に関する議論が今後,本格化する予定でございまして,本委員会では,環境エネルギー分野に関する研究開発の推進方策についても御審議をお願いしたいと思っております。
文部科学省といたしまして,本委員会での御議論をしっかりと踏まえて,環境エネルギー科学技術の研究開発を強力に推進してまいりたいと考えてございますので,先生方におかれましては,忌憚(きたん)のない御議論を頂きますよう,お願い申し上げまして,簡単ではございますが,御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【高村主査】 千原審議官,どうもありがとうございました。
それでは,議題(2)に移ってまいります。議題(2)は,環境エネルギー科学技術分野における主な文部科学省の取組についてでございます。
事務局から文部科学省における取組等について,説明をお願いいたします。
【三木課長補佐】 それでは,説明させていただきます。環境エネルギー課補佐をしております三木と申します。よろしくお願いいたします。
それでは,資料2をごらんください。「環境エネルギー科学技術分野に係る主な文部科学省の取組について」ということで,資料を用意させていただいております。
先ほどからお話が出ていますとおり,環エネ分野,かなり広うございます。エネルギーや環境といっても,かなり多様な分野に広がっている。先ほど,審議官からの御挨拶にもありましたけれども,プラスチックの話なんかも最近盛り上がっておりますが,そうした話も含めて,いろいろございます。その中で,現状文部科学省が注力している課題というところで御紹介をさせていただく予定でございます。
なので,これに限るということではなくて,今後,この委員会等々で御議論されたことを踏まえまして,我々としても注力していくべき分野を検討していくことになりますので,先生方からは忌憚(きたん)のない御意見を今後頂ければというふうに思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それでは,資料の方ですけれども,まず,2ページ目をごらんください。背景事情のところで,先ほどから話題になっておりますSDGsの資料を入れさせていただいております。もともと2015年の国連サミットで,全会一致で採択をされておりますけれども,そちらを踏まえまして,2016年に政府としてもSDGsの実施指針という形で公表させていただいておるのが下の八つの優先課題というものでございます。
この中でも,省・再生可能エネルギー,気候変動対策,循環型社会というものが5に入っておりますし,これ以外の部分についても,実は,環境エネルギー分野はかなり広く関わっておりまして,当然,3の科学技術イノベーションみたいな話は当委員会としては一丁目一番地の話でございますし,強靱(きょうじん)な国土という形で言われていますけれども,適応の話を含めまして,こういったところで扱っているところです。
余り文部科学省として取組ができておりませんが,6の生物多様性,森林,海洋の環境の保全というところは今後しっかりやっていかないといけないであろうというふうに思われる分野でございますし,安全・安心社会というのが7にございますけれども,こうしたところにも我々としてはしっかりと関わっていかないといけないと思っております。
SDGsは相互に関連する課題になっているところもありますけれども,我々としては,大半が分野として議論していけるような話かと思っておりますので,できるだけこういった大きな枠組みの中で頭を使いながらやっていければいいと思ってございます。
1枚進んでいただきまして,パリ協定の発効のことを書かせていただいております。先生方はほとんど御承知かもしれませんけれども,もともと世界共通の長期目標としては2度目標を設定し,さらに,昨年,1.5度の努力目標に対して,特別報告書が,IPCCから出ましたけれども,そうした国際的な枠組みが,2016年に発効されてございます。
更に進んでいただきますと,先ほど話にあった長期戦略の話が4ページ目に載せてございます。こちらは高村主査にも委員として,政府の全体での会議に参画していただいておりましたけれども,懇談会として,こちらの方の提言を出していただいたというものになってございます。この提言のポイントにありますけれども,中段,赤字にしておりますが,非連続なイノベーションが不可欠である。パリ協定に基づくそうした低排出型の経済社会発展のための長期戦略の中では,こういったイノベーションを活用しながらやっていきましょうということも位置付けられておりますので,この観点で我々としてやっていけることはないかということを考えてございます。
更に1枚おめくりいただきまして,少し今の緩和と呼ばれるような方向性とはまたちょっと違う適応の方になりますけれども,気候変動適応法というものが,昨年,成立をしてございます。こちらの適応法に基づいて,従来からありました政府の適応計画も改定をしたというのが昨年になります。こういった適応計画,適応法に基づいて,自治体としてしっかりと自治体の適応計画を作っていくということもありますし,国としても,しっかりとそうした適応計画というものをやっていかなくてはいけないという形になってございます。
1枚進んでいただきまして,事業工程表となってございます。ここからが当省の中で進めている事業になってございまして,後ほど,この概要についてはそれぞれ説明させていただきますが,気候モデルを高度化していくようなプログラムが一番上の統合的気候モデル高度化研究プログラムになってございます。
さらに,その下,地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム,DIASと呼ばれておりますけれども,地球環境ビッグデータを統合解析するようなシステム,ストレージだけではなくて,解析空間を持つようなシステムを作りまして,地球規模課題の解決に資するようなアプリケーションの開発や活用ということを進めてございます。
更にその下,気候変動適応技術社会実装プログラム,SI-CATと呼んでおりますけれども,こちらはこの適応に必要な情報の創出や,また,そういった情報をどうやって自治体がうまく活用していけるかというところで,自治体と連携をし,いろいろと議論しながら進めております。
更にその下,JSTのフューチャー・アースというものがあり,これはトランスディシプリナリ研究です。それぞれのステークホルダーとしっかり議論しながら,前へ進む研究を進めていくというようなものになってございます。その下に進むと,エネルギー分野で省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究というものがございます。これは窒化ガリウムの事業になってございます。
さらに,JSTで,緩和に係るエネルギー分野の研究開発事業が2本と,少し毛色が変わりますが,社会シナリオ研究というものでLCSの事業があります。また,理研でもセンターが二つあり,そういったものの事業もやってございます。
こうしたそれぞれやっているものについて,ここからは少し細かめの資料を用いて説明させていただきます。
7ページ目になりますけれども,環境科学技術全体の話です。先ほど説明をしました統合的気候モデル高度化研究プログラムとDIASとSI-CATです。これを三位一体でやっており,統合的気候モデル高度化研究プログラムで作ったモデルによって出てくるシミュレーション,若しくは,そのシミュレーション結果に係るデータを使って,先ほど申し上げたDIASの中で統合的なアプリケーションでいろいろ新たなデータを創出したり社会課題を解決するようなアプリケーションを作ったりしております。
さらに,そのSI-CATですが,統合的気候モデル高度化研究プログラムで作ったシミュレーション,気候モデルを,更に自治体が使いやすいようにモデルを高度化したり,そこから創出されるデータをもう少し自治体が使いやすいように加工したりしています。
こういった三位一体でやっていくということに加えて,フューチャー・アースでは,先ほど申し上げたような多様な社会ステークホルダーを意識しながら研究開発を進めているというのが環境科学技術の研究開発になってございます。
それぞれ個々の細かい研究プログラムの資料を後ろに付けさせていただいております。11ページ目はフューチャー・アースの資料も付けさせていただいておりますが,こちらの方は時間の関係で割愛をさせていただきます。
続きまして,12ページ,エネルギー科学技術の研究開発ですけれども,先ほど簡単に申し上げた徹底した省エネルギーの推進ということで書いてある次世代半導体の研究開発でございます。
こちらは更に1枚進んでいただいたところに細かい話が載ってございますが,かなり資料がビジーになってしまっていて恐縮ですけれども,半導体は,いろいろなところで使われておりますけれども,ここを更に高度化していきましょうというものでございます。
通常,シリコンが半導体では使われておりますけれども,これは熱の損失がかなり強くて,エネルギーをかなりロスしてしまうというところに課題を持っておりまして,それをこの窒化ガリウム,GaNに置き換えていくための研究開発を進めていくということで,ノーベル賞を取られた天野先生に中心となっていただいているプログラムになってございます。
一般的に,ACアダプタの中に入っているパワー半導体や,高周波,通信衛星等で使うような半導体,さらに,発光デバイス,そういった用途を考えながら,研究開発を進めております。
1枚進めていただきまして,先端的低炭素化技術開発,ALCAというものがございます。これと併せて御説明させていただきたいのが,次のページの「地球規模課題である低酸素社会の実現」領域です。どちらもJSTで行っているファンディングの事業でございます。それぞれ細かい課題を例示させていただいて,研究者の先生方から手を挙げていただき,そこに対して研究開発の支援をしていくという形になってございます。低炭素化,脱炭素化していくような科学技術であれば,基本的にはどういったものでも手が挙げられるような仕組みになってございます。
ALCAと2枚目のその「低炭素社会の実現」領域の違いというものにつきましては,ALCAは2030年社会実装を目指した研究開発プログラムになってございまして,こちらの方は新規採択を終えております。今,研究開発をしているものは,できるだけ社会実装につながるような形で,例えば,研究開発フェーズがかなり実用化に近いところでの経産省,環境省の事業に受渡しをしていくですとか,若しくは,直接,企業にシーズを受渡すことに力を入れております。
他方で,「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域でやっているものについては,2050年の社会実装を目指しておりますので,その基礎研究として,ここ数年で始めたところになってございまして,シーズを磨いているところというような状況になってございます。
更に進んでいただきまして,16ページ,低炭素社会実現のための社会シナリオ研究事業ということで,こちらは左下に幾つか書いておりますけれども,各個別の技術シナリオというものですとか,また,そういった技術シナリオをベースにしたような定量的な経済・社会シナリオ,そういったものを研究し,社会に対して発信をし,あるべき社会像はどういうものだろうというところを,技術に基づいて分析をしてみるという,JSTで行っている事業になってございます。
その後,創発物性科学研究事業というものと,更に1枚進んでいただくと,環境資源科学研究事業というものがございますけれども,これらにつきましては,理研でそれぞれセンターを持って進めているものになってございまして,創発物性につきましては,物理ですとかエレクトロニクスですとか,そういったところの横断的な融合領域ということでしているもの,環境資源科学研究事業については,いわゆるバイオですとかゲノムエンジニアリングですとか,そういったものを中心にしている研究事業になってございます。
19ページ,20ページは飽くまで御参考という形ですけれども,現在の政府基本方針等に係るエネルギー分野,環境分野の位置付けを載せさせていただいております。冒頭お話もありましたけれども,この分野,かなり注目をされている分野でございまして,本当に多様な戦略等にも記載をされております。我々としても,しっかりとこういった戦略に基づきまして,また,戦略に振り回されるだけではなくて,自分たちでしっかりと頭を使って,先生方の御知見も活用させていただきながら,前に進めていければというふうに思っております。
以上でございます。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明を頂きました文部科学省の環境エネルギー科学技術分野に関わる取組について,各委員から,御意見,御質問がありましたら,御発言を頂きたいと思っております。第10期から御参加の先生方もいらっしゃるかと思いますので,もしお尋ねになりたい点等ございましたら,遠慮なくお願いいたします。札を立てていただけますと,大変助かります。
この後,追加でもちろん御質問を頂く機会はあるかと思いますが,もし今の時点でないようでしたら,次の議題に移ってまいりますが,よろしいですか。
それでは,議題(3)でございます。議題(3)は,環境エネルギー科学技術委員会の今後の進め方についてでございます。
本委員会で御議論を頂きたい事項,それから,研究開発課題の評価の実施,これは環境エネルギー科学技術委員会の重要な役割でもございますけれども,こちらについて,事務局から御説明をお願いいたします。
【三木課長補佐】 引き続きまして,三木から説明をさせていただきます。資料3-1をごらんください。
資料3-1ですけれども,「第10期環境エネルギー科学技術委員会の今後の進め方(予定)」という資料があるかと思います。そこの上側ですね,10期本委員会の議題という形で書かせていただいているところが中心になります。今期の委員会では,御挨拶にもありましたように,第6期の科学技術基本計画や2050年までの温室効果ガス排出削減目標,パリ協定の話等を見据えた我が国が取り組むべき環境エネルギー科学技術の方向性の議論,また,研究開発課題の評価,これは先ほど御説明をした事業の評価というものもこの委員会の本務になってございますので,こうしたものをしてまいります。
また,政府における取組の報告と書いておりますけれども,関係の予算,先ほどの事業も予算の事業になるわけですけれども,そうしたものの御報告ですとか,国際会議ですね。我々として,かなり多くの国際会議,主催するものもあれば,共催するものもございますので,こうした動向も御報告させていただきます。また,その中で質疑応答等をさせていただきながら,次回の会議でどうしていこうというものを我々の参考にもさせていただきたいと思ってございます。
直近の今後のスケジュールを下に書かせていただいております。中心に環境エネルギー科学技術委員会の欄を作らせていただいて,左右に,左側は我々の委員会の親会になりますけれども,計画・評価分科会のスケジュール,さらに,右側は総合政策特別委員会,こちらは6期の科学技術基本計画を中心に議論する委員会になりますけれども,そちらのスケジュールを入れさせていただいております。
4月17日に計評分科会で本委員会の10期の立ち上げについてお話があり,きょう5月20日に第1回の会議を開かせていただいております。先生方には,お忙しい中,大変恐縮ですけれども,来週,もう一度開催させていただくというふうになってございます。さらに,6月24日,8月5日と,ここ数箇月で何度か委員会を開催するような形になってございます。
去年やおととしを考えると,こういう感じではなかったのですけれども,その主要因は,右側に総合政策特別委員会のスケジュールを載せさせていただいておりますけれども,こちらになってございます。6期計画の検討というところがかなり急ピッチで進められるというところです。
その中で,環境エネルギー科学技術の関係は個別の技術として打ち込んでいくというような話も当然ありますが,社会として,その背景事情として,これだけは必要性や緊急性を訴えられている分野ですので,そうしたところも踏まえて考えていきたいというふうに思ってございまして,この総合政策特別委員会へのフィードバックをしっかりとできるように,この最初の数箇月間で,環境エネルギー科学技術委員会,複数回開催させていただくという形にさせていただいてございます。
最終的には,総合政策特別委員会の方も,9月,10月に最終取りまとめというふうになってございますので,この間,委員会と総合政策特別委員会の中でのやり取りも何回かさせていただくことになろうかと思いますし,計画・評価分科会との関係では,先ほど申し上げした評価に関して何回か往復をしていくというような形になろうかと思いますので,御協力をお願いできればと思ってございます。
引き続き,資料3-2をごらんいただければと思います。
資料3-2は,開いていただきますと,「研究開発プログラム評価」ということで資料を付けさせていただいてございます。こちらは計画・評価分科会での資料をそのまま使わせていただいております。
第9期の委員の先生方は,少し記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんが,簡単に申し上げますと,先ほど私から,各事業の評価をしていただきますというお話を申し上げたのですが,本当に事業の評価だけしていていいのか,その事業が属する分野,我々でいえば,環境エネルギー分野になりますけれども,そういった領域全体の評価というもの,世界での位置付けというものをしっかりと見ながら,研究開発を進めていった方がいいのではないかというような議論がございまして,この研究開発プログラム評価というものが打ち出されたのが第9期の計評分科会になってございます。
ただ,これには経緯がございまして,このプログラム,領域全体を一遍に俯瞰(ふかん)してやっていけるような指標の設定というのが極めて難しいというようなところで,9期の先生方には論文や特許等の状況で分野,プログラムを見ていったらいいのではないかというような御議論を頂いたのですけれども,では,どの分野の論文をこの指標の中に入れていくか,どういった特許をそのプログラムの中に評価する指標として入れるかというところでかなり御議論がございました。
ということで,その研究開発プログラム評価を今後やっていきましょうということにはなっているのですけれども,計画・評価分科会の方で,その方向性をしっかりと定めて,各委員会に下ろしてくるというところまでまだ来ておりません。今後,こういった領域全体のプログラム評価ということがあるであろうということだけ御承知おきいただければと思っております。
その前提で,ページを見ていきますと,2ページ目,プログラム評価の試行的実施についてというのが今の資料3-2の2ページ目に入っていますけれども,方向性を決めていくに当たって,幾つかの委員会においては,そのプログラム評価の試行的な実施をやっていこうというような話になってございます。
これはほかの委員会になるのか,当方の委員会になるのかというのはまだ議論がされていませんのであれですけれども,そういった対象になれば,我々としても試行的に実施していくことになろうかと思います。細かい話は,先ほど申し上げたように,余り議論されてないものになってございますので,そこは割愛をさせていただきます。
4ページ目,スケジュールが書いてございますので,こちらだけ参照いただければと思いますが,もう既にこのスケジュールとややそごを来すというか,もう5月に入っていますので,ちょっと我々としてもどうしていくかというのはあるのですけれども,分野別委員会というところの我々事務局の自己評価というのが,試行をやるのであれば,これからさせていただいて,各委員会は9月,夏の終わりから秋口にかけて委員会を開催して,その外部評価という形でやっていくというようなことが言われております。この場合,試行的実施を環境エネルギー科学技術委員会でやっていくということになれば,各先生方にも御報告をさせていただきます。
加えて,資料3-3は,先ほどのプログラム評価ではなく,事業の評価についてです。
事業の評価なのですけれども,1ページ目の2.中段以降のところを見ていただければと思いますが,具体的に対象になるものは三つございます。一つは事前の評価,我々として,新規に事業を立ち上げるといったときに,そういったものを事前に評価するもの。(2)の中間評価,これは既に走っている事業を中間的に3年目に評価するというもの。事後評価,これは事業が終わった翌年度ですね,に行うものになってございます。
当委員会としては,(2),(3)でやるものというのは決まってございまして,先ほど御説明した統合的気候変動モデル高度化研究プログラム,こちらは中間評価が実施される予定です。加えて,事後評価ということで,SI-CATについても行っていくというのが予定されております。また,事前評価は,これは我々として新規事業を立ち上げる際には,先生方に事前に御相談をして評価を受けさせていただくということになりますので,2年間ございますから,可能性としては2回あるわけですけれども,それも中身が決まり次第,ここで御相談をさせていただければと思います。
後ろについては,評価方法ですとか,留意事項等々,細かい話が書いてございます。これは,実際にするときには改めて御説明をさせていただきますので,今はこういったものがあるのだということで,先生方もながめていただければ結構かと思います。
少し長くなってしまいまして恐縮ですけれども,御質問等あればと思います。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明がありました資料3-1,3-2,3-3について,御質問,御意見がございましたら,御発言をお願いできればと思います。ネームプレートを掲げてお知らせいただけると助かります。本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 御説明,ありがとうございました。
科学技術を社会にフィードバックする,あるいは,評価をすることで世界の中で位置付けを明確にし,社会での利用を後押しすると言うことは,方向性としては非常に重要で,社会的にもアクセプトされ,また高く評価されるものだと思います。
私の質問は,科学技術というのは,どこの時点で何を軸に評価するのが適当なのだろうか,ということです。実際に社会で使われているか,で評価するということであるとすれば,随分先のことが多いし,特に基礎的な研究だとすると,何と比べて評価するのが適当なのか,そこの位置付けが難しいと思います。技術でも,投資環境,政策とかが利用される環境が整ってなければ使われないので,技術単体だけで評価できる世界ではないような気がしますので,評価するというのは非常にいいことですけれど,何と比べて,その評価軸,それについて,今持っていらっしゃるイメージを教えていただければと思います。
【高村主査】 ほかの委員からもし何か関連して,あるいは,関連してなくても,御質問,御意見がありましたら頂いて,まとめて事務局にお伺いしようと思いますが,いかがでしょうか。堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 今期が初めてなので,親委員会の計画・評価分科会と言っておられるところと,それから,実際の私たちがやるところと,第6期の科学技術基本計画を立てていく部会の関係性というか,メンバーは誰が共通していて,どのように私たちの議論が反映されるのかという辺りのスキームをもう少しだけ御説明いただければ,有り難いかと思います。
【高村主査】 ありがとうございます。波多野委員,お願いいたします。
【波多野委員】 本郷委員の御発言,御意見とも少し類似しますが,環境エネルギーの評価の位置付けを確認させていただきたくお願いします。各省庁,内閣府や経産省などと比較した,文科省の環境エネルギーに関する事業の位置付け,例えば目標や目標達成時期,社会への貢献度,領域・分野などの違いはいかがでしょうか。今後,研究開発を評価していくときの考え方をお教えいただければと思います。
【高村主査】 ほかに御質問,御意見はございますでしょうか。
それでは,三人から御質問が出ているかと思いますが,御回答をお願いできますでしょうか。
【三木課長補佐】 ありがとうございました。
まず,形式的なところもありますので,堅達委員の方から回答させていただきますけれども,どういうふうなスキームになっているかという話ですけれども,我々,環境エネルギー科学技術委員会は,計画・評価分科会の下に複数の分野の委員会がぶら下がっているのですけど,そのうちの一つになります。
ですので,こちらの委員会で事業評価に関しては評価をさせていただいた上で,評価の結果を案という形でまとめさせていただきます。この案を,高村主査,計評分科会の委員になっていただいてございますけれども,高村主査から計画・評価分科会の方に御報告いただいて,計画・評価分科会が決を取るという形になっており,そちらで最終的に決定をしていただいて,公になった評価という形を取るというのがスキームになってございます。各事業,同じような御報告という形で,先ほど,計評分科会とのやり取りをという話をしましたけれども,そういった形での往復がございます。
ですので,各委員会の主査の先生方は,計評分科会にも関わっているという形になっております。
評価のところですね。本郷委員と波多野委員から頂いておりますけれども,根本的なお話として私も毎度,頭を悩ましておりますが、形式的な話だけさせていただくと,それぞれの事業について言えば,当然,その事業の設定の段階で,各技術課題レベルでの目標であったり,スケジュールというものがしっかりと定められるというのが通例かと思ってございます。
そして,こちらのそのスケジュール,技術課題ごとの進捗というのをしっかりと把握をし,そこの進捗に遅れがあれば,PDないしPO等を中心に,その事業のPD,POが中心になって,本当にスケジュールのリカバリーができるような状態かどうかとか,あと,実際にできそうであれば,そのためにどういうふうな手当てを取ればいいか。若しくは,取れない,その技術課題がそのままストレートに研究開発を進めても取れないというふうになったら,別のルートとして何か考えられるものがあるかとか,そういったものをしっかりと検討していただいて,評価をしていくことになります。
きちんと進捗していれば,それで事業評価としては良かったという話になりますし,更に言えば,それの進捗が更に進んでいるという話になれば,社会実装に向けて,前倒ししていくようなスケジュールの変更ということも考えられるとは思いますけれども,そういったところで評価をしていくというのが通例かと思います。
ですので,事業の途中で出てきた成果がどうだというよりは,むしろ目標設定のところがかなり重要になってきますので,その目標設定のところで,社会実装を見据えたような事業なのか,それとも,社会実装を目指すための概念実証のPOCの設定をしたような,そういった事業なのかとかによって,この各事業の評価というものの中身も変わってまいります。
そして,波多野委員から,経産省等との違いといいますか,そういうような話もございましたけれども,それも目標設定のところになってくるのだと思います。先ほど,事業の説明の中で,未来社会事業の低炭素領域の話は2050年の社会実装を目指したような事業ですというような話をしましたけれども,こういったときに,その2050年の社会実装される,されないというようなところで評価というのはできないわけです。
我々としても,2050年まで,当然,目を行き届かせて最後まで見届けるということはできる範囲でやっていく必要はあるかもしれませんけれども,研究開発という意味でいうと,それの基礎的な部分をしっかりとやっていくということ,基礎基盤的なところをしっかりやっていくというのが我々文部科学省としてしっかり取るべきスタンスだと思っていますので,そのための目標設定をどうしていくかというところは,その事業の立ち上げの段階で専門の先生方等々と議論をさせていただいて設定をしていくということで,そこを担保していくということと思ってございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
あともう一つ,堅達委員が御質問になった,第6期の科学技術基本計画の検討とこの委員会の関係について,もし御説明を頂けるようでしたら,お願いしたいと思います。
【三木課長補佐】 先ほどの資料3-1を改めて見ていただければと思いますけれども,資料3-1の関係でいきますと,総合政策特別委員会は別に環境エネルギー科学技術委員会の親会というわけではございません。スキームとしては別の委員会という形になっておって,総合政策特別委員会の中身は,その科学技術基本計画を考えていくというふうな中身になっているというだけです。
ただ,各分野に関しては,この総合政策特別委員会に各分野の委員会から,こういうことをやってみたらどうかという提案をするような機会が設けられる予定になってございます。我々としては,そこに向けてしっかりと中身を詰めていくということです。先ほど申し上げたような広い視野的,視点的なものであることもあれば,個別の技術として,この領域であれば,こういうことをやっていった方がいいでしょうというような話,粒度はいろいろあるかと思いますけれども,そういう関係性になってございます。
総合政策特別委員会の委員会のところに9月から10月に最終取りまとめに向けた議論というふうにありますので,そこまでの間に,我々として,事務方が総合政策特別委員会に説明に行くのか,それとも,各委員会の主査に御出席いただいて御報告いただくような形になるのかというのはまだ聞いてはいないところですので,定かではありませんけれども,この10月の取りまとめに向けて,議論をしていくことになるというところでございます。
【高村主査】 ありがとうございます。お三人の委員の先生方,よろしいでしょうか。
ほかに御質問,御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,こちらの議題について,特にこの資料3-3に該当するかと思いますが,第10期の研究評価計画について,特に御異論はなかったというふうに思いますので,こちらを承認するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは,この原案のとおり決定をしたということで,これに従って,第10期の評価を行ってまいります。
それでは,議題(4)に移ってまいります。議題(4)ですけれども,冒頭に少し申し上げましたが,この分野の研究開発の基本的な位置付けと方向性という点については,第9期でも議論を進めてまいりました。今期も議論を引き続きしていただきたいというふうに考えております。これも先ほどの議論にもありましたように,第6期の科学技術基本計画等へのインプットという観点からも,非常に議論の重要性というのは増していると思います。
まず,これまでの議論について,事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【三木課長補佐】 それでは,引き続きまして,御説明をさせていただきます。資料4-1をごらんください。
高村主査からも,御紹介を頂きましたけれども,第9期の後半で,基本認識という形で,たたき台を先生方にお示しをさせていただいて,いろいろと御意見を頂いき,まとめたというのがこの資料4-1になってございます。
そもそもの認識として,このペーパーを御議論いただく前提というのが,先ほど申し上げた第6期の基本計画に向けて,科学技術基本計画に向けて,我々として,今,社会がどういうふうな状況になっているかというところをまず9期には整理をしたかったというところで,先生方の御知見を頂いたというところがございます。
そして,今度は,具体的にどういうふうな方向性でやっていくのがいいのかというところの御知見を加えていかないといけないというふうに思ってございまして,まず,今現状,認識をしているこの資料4-1というものを御紹介させていただくということと,この後,JSTのCRDSから,環境エネルギー分野の科学技術の俯瞰(ふかん),どういった分野が今,注力をされているですとか,どの分野が各国,どういうふうに動いているというところを御紹介させていただいて,先生方にまず頭の素地の部分を作っていただいてということを考えてございます。
まず,その資料4-1,9期にお話しさせていただいたというところになりますけれども,文章のファイルでずっと並べて,ページ数7ページあるものなので,ざっと御説明させていただきながらになるかと思います。
冒頭,私の方から,事業の説明をさせていただいた際にもペーパーは入っていたのですけれども,SDGsですとかパリ協定,こういったところというのは,我々として,外せない,本当に社会,世界全体で基本的なベースになるようなところかと思っています。
その中でも,パリ協定に関しては,昨今本当にすごいスピードで動いていまして,昨年,実施指針が採択をされて,本当に社会がそちらに動き出すと,実際に制度設計段階から実施段階に移っていくというところにフェーズが変わったというふうに思っておりますし,我々としても,長期戦略というものを我が国として打ち出していくというような話のタイミングになってございます。
それが冒頭の一つ目のパラグラフに書かせていただいておることになってございますが,それを受けまして,我々としても,ここまで,政府全体ではいろいろな戦略等を打ち出しながらやってきたということが二つ目のパラグラフで書かせていただいてございます。冒頭から始まっているところは,「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを位置付けた」と書いてある地球温暖化対策計画の話が書かれています。
その後,中段以降,我々はNESTIと呼んでいますけれども,エネルギー・環境イノベーション戦略というものがCSTI決定で決められて,実際の温室効果ガスの抜本的な排出削減を実現するイノベーションを創出することを目的としまして,研究開発をどういう領域でやっていくといいのかということで施策のリストアップ,分野のリストアップをさせていただいたというのがエネルギー・環境イノベーション戦略になってございます。
加えまして,昨年度,環境基本計画も閣議決定をされてございます。ここで強く書かれていたということの一つでもあるかと思いますけれども,金融の側面です。今期,竹ケ原先生にもこの委員会に入っていただきましたけれども,正にこういったところに我々としても視点を置いておかないといけないという部分もあるかなというふうに思ってございまして,ESG投資等をはじめとするそういった環境配慮型の投資というものを,考えていない企業にはもう今や投資が集まらないという,そういった社会情勢の中で,我々として,どうやってそういった積極的な投資が集まってくる分野,こういったところで頑張っていけるのかということです。研究開発自体もそういったお金を使いながら進めていくということも当然ありますし,それが日本の国力につながっていくというような話もございますので,そういった観点での部分というのは書かせていただいてございます。
さらに,40行目以降のところ,こちらはノーベル経済学賞のお話を書かせていただいておりますけれども,ここを書かせていただいた趣旨は,最後の文章のところで書いておりますけれども,文理分け隔てなくというところはキーワードだと私も思ってございます。
経済学賞の中で,この環境経済学の分野が取り上げられ,かつ,受賞したノードハウス氏の評価モデルというものは,IPCCの議論でも使われているような,そういったものになってございます。経済学の方,また,そのスピーチで述べられているように,他分野の方がこの問題に取り組まれているというところを我々は意識しながら進めないといけないということを書かせていただいております。
さらに,その52行目以降については,IPCCの各種報告書の話ですとか,あと,その中で,1.5度報告書で書かれていた話,かなり切迫した状況になっているというところを書くために,扱いをここで取り上げさせていただいております。
61行目以降ですけれども,そうした状況を考えると,しっかりと革新的な脱炭素技術という研究開発を進めないといけないということ,加えて,その研究開発を進めるだけではなくて,社会実装につなげられるものについては,確立された技術を着実に社会実装につなげていくと,そこのつなぎの部分というものをしっかりやっていかないといけないということを書かせていただいております。
パリ協定目標の達成に向けてということで書いておりますけれども,65行目以降はエネルギー基本計画に書かれていたこと,特に技術を特定技術に絞ってはいけないということ,これだけ技術の進展がスピーディーに起こっていくと,今の段階で一番有力な技術が1年後には有力でない技術である可能性もあるということです。
そういった中で,我々はきちんといろいろなシナリオを想定しながら,技術の決定というのをそのとき,そのときのエビデンスを見ながら決定していかないといけないということをエネルギー基本計画でも言われておりまして,重要だということで取り上げさせていただいておるというところでございます。
その後,75行目以降,気候変動適応戦略イニシアチブと書いておりますけど,これは先ほど私から御説明した3事業,環境系の気候モデル高度化研究プログラム,社会実装プログラムのSI-CAT,DIAS,この3事業のことをまとめて気候変動適応戦略イニシアチブと言っておりますけれども,こういった研究成果です。
こういったものをはじめとした研究成果というものは基盤的な研究になるということもありまして,「2度目標が達成されるか否かに関わらず,既に気候変動に伴う温暖化は起こっていること,また今後影響の深刻化が見込まれることを示唆している」と書かせていただきましたけれども,やはりベースになるところというのをしっかりと我々も把握をしていく必要があります。加えて,実際,分かりやすいところでいくと,去年の熊谷の41.1度というのを事例的に書かせていただきましたけれども,こういったことも実際に起こっているというところで,少し切迫感を書かせていただいたというところでございます。
さらに,そこから下も今申し上げたような基盤的な話になりますけれども,DIASや統合等をやっているという関係もあって,基盤的なデータ,ベースになるようなデータを取っていくようなもの,さらに,それを使ったシミュレーションを行っていくということに注力をしながらやってきたというところがございますけれども,そういった基礎基盤的な研究開発というところで,しっかりとやっていかないといけないと思っております。95行目以降,書いていますけれども,基盤的情報の重要性というところを改めて認識をして,エビデンスに基づいた政策形成を進めていかなければならないということを書かせていただいてございます。
そこからは社会実装の話ですとか,世界市場の獲得ですとか,そういったことも重要ですということは書かせていただいてございますけれども,時間も長くなってきましたので,割愛をさせていただきます。
121行目以降のところに,一般論的なことも入ってございますけれども,結構これが,核かと思っています。環境というのは本来どういう意味かという話ですとか,エネルギーというものがどういうものが入っているかというのを書いた上で,環境エネルギー科学技術といったときに,本当に対象が広いということは意識をして我々として取り組んでいかないといけないというふうに思っております。
特にその環境とエネルギーというところ,128行目の後段からですけれども,この相互の関連性というのをしっかりと意識をして,先ほども申し上げたような文理融合というような,そういったものも意識をして,研究開発を射程に入れていくということが求められているということは我々としても頭に置きながら,この委員会での御議論というのを進めていただいて,先生方はそういった大所高所の視点で我々に御知見を頂けるものと思って,ここの委員に御就任を頂いておるわけですけれども,そうしたことを我々事務局側も意識をしてやっていければと思ってございます。
そのまま下に行くと,気候変動リスクの話を書かせていただいております。このリスクという考え方が研究開発のときに忘れられがちというところもあるのですけれども,しっかり気候変動のリスクをマネジメントしていくということです。気候変動というところでいけば,そのリスクをマネジメントしていくために,どういうふうな研究開発が必要だろうということで考えていくと,当然,緩和策のようなCO2を削減していくようなものも必要ですし,温度が上昇していく中で,自治体はどうしていくのだというような適応という観点もリスクマネジメントという観点でしっかりと研究開発していくということも重要なのではないでしょうかということで書かせていただいております。
そうしたことを前提に,環境エネルギー分野はいろいろあるのですけれども,気候変動という課題が切迫しておるので,当面はそちらのリスクを定量化してやっていくということが必要でしょうということで述べているのが141行目以降の話になってございます。
というところで,基本的な認識はこういうふうにまとめさせていただいておりますけれども,ここまででお話の中でもいろいろ出ているとおり,気候変動を中心にやっていきましょうというふうに言っておりますが,当然,先生方の中での今のバックグラウンドからいけば,もっとこういうこともやった方がいいというような御提案もあると思いますし,我々としても,これだけ一辺倒でやっていけば,それでいいというわけではないというのは重々認識をしておりますので,今後,このドキュメントはリビングドキュメントとして随時,先生方の御意見を反映させていきながら,更新をして,6期計画の打ち込みに向けて検討していければなというふうに思ってございます。
以上でございます。
【高村主査】 ありがとうございました。
続いて,環境エネルギー分野の研究開発の俯瞰(ふかん)報告について,CRDSより御説明を頂きます。本日は,環境・エネルギーユニットのリーダーの中村ユニットリーダーにお越しいただいております。
お話を頂く前にですけれども,この議題(4)は,先ほどの事務局からの御説明,それから,中村ユニットリーダーからの御報告を受けて,それぞれの委員から,第10期最初の会議ということもございますので,お一人3分ずつをめどに御発言をお願いしたいと思っております。その中に,事務局への御質問,それから,中村ユニットリーダーの御報告に関する御質問,御意見なども含めて御発言いただこうという予定でおります。
それでは,中村様,よろしくお願いいたします。
【中村ユニットリーダー】 よろしくお願いいたします。研究開発戦略センターにおります中村と申します。本日は,私どものユニットの上席フェローの佐藤が出席できればと思っていたのですが,所用にて不在にしておりまして,代わりに中村の方から説明させていただきます。
資料4-1をごらんください。「研究開発の俯瞰報告書 環境・エネルギー分野(2019年)」というものが,この春,できましたので,こちらをベースに,議論のたたき台といいますか,一つの資料としてごらんいただきたいと思いまして,御用意いたしました。
スライド2をごらんください。初めに少しだけ簡単に自己紹介させていただいた上で,本題に入らせていただきます。
次のスライドをごらんください。スライド3です。研究開発の俯瞰(ふかん)報告書,きょう御紹介させていただくものというのは,私どもの研究開発戦略センター,略称CRDSと呼んでおりますが,このセンターの中の業務の一つとしてやっております。このCRDSといいますのは,科学技術振興機構,JSTと呼ばれる中の一つの部署ではございますが,国の科学技術イノベーション政策に関する調査,分析ですとか提案を中立的な立場に立って行う組織として設置されたものでございます。組織図はごらんのとおりのものでございまして,私ども,環境・エネルギーユニットにおります。
次のスライドをごらんください。主な業務の大きい流れとしてごらんいただきたいのですが,向かって左側がいわゆるインプットとして,科学技術分野としてどういうものが行われているか,あるいは,社会的な期待としてはどういうものがあるのか,あるいは,海外でどういうことが起きているのかということをインプットしまして,中央の白い部分ですが,戦略プロポーザルですとか,研究開発の俯瞰(ふかん)報告書ですとか,その他のいろんな報告書の形でアウトプットを作成しております。
こういったものをベースに,向かって右側の方にございます関連府省ですとか,私どもの本体にあるJSTですとか,その他関係機関に情報提供,あるいは,提案という形でインプットさせていただいております。
今回御紹介するのは研究開発の俯瞰(ふかん)報告書と申しまして,4月25日に公開をさせていただいたものでございます。戦略プロポーザルというのが少しテーマを絞った内容を取り扱っているものに対して,この俯瞰(ふかん)報告書は,広く浅く,その分野を押さえようという趣旨でまとめておるものでございます。
次のスライドをごらんください。その俯瞰(ふかん)報告書を作成する過程におきましては,環境・エネルギー分野に関連する学協会様,合計27法人の方に御協力を頂いております。そちらの法人様の方から適切な有識者の方々を御紹介いただく等をしていただきました。俯瞰(ふかん)ワークショップというものを挟んで,その原稿を客観的に見るですとか,レビューをするですとか,そういったプロセスも経ながら,延べ90名の専門家の方々に御協力を頂きながら,作成をしてまいりました。目次としましては,大きくはエグゼクティブサマリーやはじめにもございますが,大きくは1番が総論的なパートで,2番が各論的なパートという構成になってございます。
以降,スライド6からが本題に入ってまいりたいと思います。はじめに,総論パートの部分を少しなぞって行かせていただきます。先ほどの環境エネルギー課の資料にもあったように,この分野を取り巻く社会的な期待としましては,持続可能な社会の構築,あるいは,実現ということに対して,この分野への期待が大きいということであります。
その枠組みとしては,SDGsですとか,パリ協定,昨今ですと,循環型経済というものがあるということです。その下の3EプラスSは,いわゆるエネルギー分野では非常に大前提として掲げられている三つのEとS,安全性のSをまとめたものでございます。こういったものがこの分野を取り巻く要請としてあるということでございます。
右側にございます図は,御案内の世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書の中の2018年版ではございますが,上位5位の中には,この分野と関連するリスクが世界的にも強く認識されているものであるということを示しております。
次のスライドをごらんください。こちらはそのそういった社会の期待を踏まえて,現状どうかということの図でございますが,期待とは裏腹というか,世界人口はこれからも増加を続ける見通しにあるということと,その人口を支える上でのエネルギー源としての石油需要は今後も増加が見込まれているということでございます。それに伴う形で,CO2の排出量もまだまだ増加を続けているというのが現状です。
ESG投資というものが,こういう状況に対して,一つ大きな変化のドライバーになりつつあるということで期待が高まっているところですが,我が国に関連するところでは,一つ,このいわゆる投資の引揚げという形で,ある特定の研究開発分野に対する資金の流れが大きく変わる,変わりつつあるという状況がございます。
それ以外には,海洋プラスチックごみ問題というのが国際的には議論として注目されているというものでございます。
次のスライドをごらんください。こちらの細かい図,文字で恐縮ですが,各国の科学技術イノベーションに関連する政策動向というものをまとめさせていただきました。
一番上の日本の部分は既に御案内のとおりということでございますが,米国をごらんください。米国は,現政権下においては,アメリカ第一エネルギー計画というのがエネルギー分野においては一つの大方針としてございます。国の大きい方向性として,やはり国家安全保障と国内産業の保護強化という観点から,エネルギー計画もそれに準じたものになっているという認識でございます。
そういう中で,いろいろな政権側の方針が出るわけですが,一方では,太字にございますが,予算審議の経過を見ますと,政権の方針と実際の議論,議会での結論というのに大きなギャップがあるというところもございます。例えば,エネルギー関連の研究開発のある部局は廃止の方針が出される一方で,予算としての審議結果は前年度で増加するようなことも起きていたということでございます。アメリカの環境分野における気候変動対応は消極的ではありますが,自治体レベルですとか,民間,あるいは,アカデミアレベルでは機運も継続しているというところはございます。
EUに関しては,いろいろな戦略を発信しているというところがございます。特にエネルギー分野においては非常に積極的な方針を出しています。一方で,そのEU圏内でのエネルギーネットワークの連携強化を進めるということもしっかりしているというところでございます。野心的な目標設定と,それの一方で,ちゃんと安定したエネルギーネットワークを確保するということを両にらみでやっているというふうに見えます。あとは,海洋プラスチックごみ問題対応関連で,循環型経済に関するリーダーシップを発揮しようとしているのもEUの特徴と感じられます。
中国に関しましては,非常に大きな計画,5か年計画の下で,環境と経済の両立を重視した形の方針が取られているところでございます。研究開発,あるいは,科学技術イノベーション政策ということでは,一番下の太字にございますように,全方位的に研究開発を強力に推進しているというふうに捉えております。その背景には,豊富な資金と人的資源というのがあるというところが強みではないかと考えます。
EUに関連して,右側に独,仏,英のものを書かせていただいておりますが,ドイツとフランスで言及させていただきたいのは,いずれの国も非常にクリーンエネルギーの移行に関して積極的な姿勢を示している一方で,実態としてはCO2の排出低減はまだ見えていないということが言われております。ただ,ドイツは特に「ハイテク戦略2025」ですとか,「コペルニクス・プロジェクト」など,環境エネルギー分野に関連の深い戦略の中でも着実に推進しようとしている様子が見えます。
イギリスは,EUからの離脱という背景もありますが,新たな研究助成機関を統合した組織を発足させた中で,強力に推進しようとするような積極性もかいま見えるという状況でございます。
スライド9番と10番は,これから各論パートに入っていく段階での冒頭のものでございますが,エネルギー分野と環境分野,どういうふうに捉えているかというものをそれぞれ図に示したものでございます。この以降の各論パートでは,このスライド9番と10番でお示ししている中の青字にしている部分を,いわゆる研究開発領域という一つ一つの各論パートにして設定して,まとめてございます。
スライド11をごらんください。その研究開発領域というのは,赤枠でくくらせていただいた1番から26番の合計26の研究開発領域でございます。向かって左側にございます1番から15番は,エネルギー分野に関連する研究開発領域名です。1番がエネルギー資源探査や開発技術,ここにはCCSも含みますが,そこから始まって,15番のエネルギーシステム評価まで。向かって右側の16番,気候変動観測から26番の健康・都市生活までを環境分野に関連する研究開発領域として,それぞれまとめさせていただいております。
次のスライドでごらんいただくに当たっては,この26を御説明するのは少し数が多いものですから,中央の青字でまとめたような大きく七つの領域群にして御紹介させていただきます。
次のスライド12をごらんください。大きく七つのくくりにさせていただいていますが,見方としましては,例えば,左上のエネルギーシステム,エネルギー利用に関しましては,研究開発領域の番号で申し上げますと,1番,9番,10番,15番を含んでいる,つまり,その右側の少し小さな図でございますが,エネルギー資源探査・開発技術,電気エネルギー利用,熱エネルギー利用,エネルギーシステム評価の四つを含んでいるこの大きな枠組みというふうにごらんいただきたいと思います。
この研究開発領域の中で,どういったトレンドといいますか動きがあるかというものを文字にしたものが黒字でございますが,エネルギーシステムとしては,電化推進,つまり,再生可能エネルギー由来の電力エネルギーを使うということの推進。一方で,そういう再生可能エネルギーの変動性というのをいかに保障するかというところがこの分野の一つの課題になっているということを書いております。
これに対して,赤字で書いておりますけど,日本の現状としましては,エネルギーマネジメント分野で電力系統の安定化ですとか,新しい技術を活用したサービス開発のための研究等が盛り上がりを見せているということでございます。
こういった社会的な注目の高まりと研究開発としての取組の盛り上がりを踏まえて,オレンジ色の矢印を,大きなトレンドとしては右肩上がりのトレンドというふうに表現させていただきました。
小さな図表の中のものは,日本の現状としまして,基礎研究,あるいは,応用・開発研究のレベルで,その日本の状況が良いのか,良い場合には二重丸,余り良くない場合には三角ですとかバツと描きます。それが上向き調子なのか,現状維持ぐらいなのかというものを表現させていただいております。
この図をごらんいただく際には,1点,補足させていただきたいのは,こちらは,先ほど冒頭に申し上げましたように,90名の有識者の方々に御協力いただいたエキスパートによるレビューということで,主観的な評価でございます。ですので,ごらんいただく先生方によっては少し印象が変わる場合もございますが,ここは一つ,こういう主観的な評価であるということを踏まえての見方をお願いしたいと存じます。
この表をごらんいただく中,あと2点ほど御紹介させていただくと,先ほどごらんいただいたものの下,集中電源,大規模発電,ここには火力発電ですとか原子力,燃焼分野,トライボロジー,トライボロジーとは,摩擦ですとか,そういった分野になりますが,こういう分野においては,大きなトレンドとしては下向きにしております。
ただ,これは研究開発の状況として,日本の現状をごらんいただくと,丸ですとか二重丸,あるいは,上向き調子ということで,非常に日本は強みがある分野だということでございますが,ただ,昨今の社会的な状況としては,冒頭申し上げたように,ESG投資の絡みですとか,そういったもので,この分野を取り巻く状況が必ずしも追い風ではないという意味で,下向き調子に矢印を表現させていただいております。
それ以外には,右側,環境分野をごらんいただきますと,非常に上向き調子ですし,いろいろ二重丸もたくさんごらんいただけると思いますが,環境観測に関しましては,気候変動観測ですとか,水循環,生物多様性,生態系の把握というところを含んでおりますが,特に水循環において,国際的に日本の貢献度が高い,あるいは,強みを発揮しているという意味で,非常に高止まりの印象ということで横向きにして表現させていただいております。
長くなりましたが,次のスライドに移らせていただきます。スライド13をごらんください。こちらは近年,その俯瞰(ふかん)の中で幾つか見られた研究開発ですとか技術の事例ということで,こういうものを挙げさせていただいておりますが,左上のエネルギー需要分析技術に関しましては,いわゆる一つ一つの住宅,世帯におけるエネルギーの利用の実態というのがデータとして取れるようになってきているというものでございます。いわゆるスマートメーターというものを使うことで,その中での機械学習によるこの推定技術によって,家電単位でいつ頃どういうふうに使われているかということが推定できるようになってきているということで,こういったものをエネルギーの使われ方として分析していくということが対象にできるようになってきつつあるという事例でございます。
あるいは,下の方のエネルギーブロックチェーン技術に関しましては,こういったブロックチェーンという技術がこういった分野にも応用されつつあるということの事例になります。ただ,こういったものを裏付けるような科学的な知見ですとか理論とかという部分はこれからのところなのかもしれません。
地球観測衛星に関しましては,日本においては非常に世界的にも注目されるような衛星を保有しているということで,こういったものから得られるデータがどう生かせるかということがやはり重要なところになってございます。
右側の方,右上はオペランド計測と計測化学,いわゆる化学産業において,こういった化学反応というのは非常に重要なものになりますが,この化学反応において,実際に触媒がどういうふうに機能しているかというものが,微細なスケールで分かるようになってきているという状況がこれからのサイエンスにおいて重要な新しい展開を作っていくのではないかという事例でございます。
次のスライドをごらんください。スライド14は,こういった研究開発のトレンドを一つの結論としてまとめたものでございます。大きく五つのキーワードでまとめたものでございます。今後,現状において,また,今後の見通しとしても,この五つの,Z,ゼロエミッション,A,アダプテーション,サーキュラー,スマート,セーフティ,五つのキーワードを一つ,ないし,複数を含むような研究の方向性というのがこれからの当面の方向性ではないかというふうにまとめております。
中央に,その頭文字を並べたZACSSというのは私どもが勝手に並べたもので造語でございまして,ほかで何か広く広まっているというものではございません。
次のスライドは,それぞれのZ,A,C,S,S,それぞれの課題,展望と考えられる重要課題というものを幾つか例として上げさせていただいたものでございます。
最後は,少し研究開発動向ではなく,もう少し横断的な基盤的な状況について御紹介させていただきたいと思います。スライド16をごらんください。こちら,環境・エネルギー分野と関連が深いと思われる学会の会員数を,2004年度と2014年度の会員数をアンケートベースで調べたものでございます。黒い三角は減少を表しているのですが,多くの分野,学会,学協会において,会員数は非常に数千人規模で減少しているという状況がございます。
ただ,こちらは2年前にこの委員会で御紹介させていただいた際にも御指摘いただいたのですが,ほかの分野と比べてどうかと申し上げますと,右下のオレンジでくくった部分がほかの分野,いわゆるライフサイエンスですとか情報通信の分野ですが,同様に減少傾向は見られるということで,環境・エネルギー分野に特化した減少ではないのですが,この研究者コミュニティの数の減少というのがあるというのが非常にこの分野を取り巻く状況としては重要でございます。
新規参入という意味では,次のスライドをごらんください。大学院生の入学者数の推移ということでも,恐らくこの分野を支えている大きなポーションである農学,工学,理学の博士課程入学者数というのは数が減っているという状況がございます。
スライド18をごらんください。こちらは科研費データベースの中で,過去10年分の環境分野,あるいは,エネルギー分野の採択課題を分析した表になります。対象としましては,スライドの上の方に小さく書いてございますが,基盤S/A/B,若手Aという,比較的大きな枠組みの課題です。これを対象に,エネルギー,あるいは,環境分野においてどういう採択課題があったかというものを,その採択された大学と,あとは,その課題の研究区分を棒グラフ,積み上げ棒グラフにしております。
向かって左側,エネルギー分野をごらんいただくと,オレンジ部分が工学でございまして,比較的大きな部分を工学が占めているというものでございます。右側の環境分野におきましても,灰色のところは工学でございますが,やはり環境分野の中でも,理学ですとか農学に加えて,工学というのが大きなポジションを占めているということがこの図を見て分かるということでございます。これをお示しして申し上げたいのは,理学,農学に加えて,工学系分野というのもこの分野の大きなコミュニティであるということでございます。
19番は,御案内の論文数の動向で,日本が世界的に相対的な位置を非常に下げているということを示したものでございます。
スライドの20番は,研究開発投資として,これは総務省統計局の科学技術研究調査の結果になりますが,上側は,純粋に金額を積み上げたものでございますが,環境分野やエネルギー分野というのは産業界において研究開発投資が非常に大きいと,つまり,産業界が主体の分野であるということを示しております。
その産業界は,スライド21をごらんいただきますと,環境エネルギー分野に関連する産業の裾野というのは極めて大きく,広いというふうなものを表現したものでございまして,向かって左側,図で青字に太字にしたようなものが環境エネルギー分野とも関連が深い産業ではないかと考えておりますし,向かって右側の環境分野の国内市場規模に関しましても非常に大きな金額を推定されているというものでございます。
以上,少し後半は駆け足になってしまいましたが,こちらの分野の俯瞰(ふかん)の状況として御紹介させていただきました。ありがとうございます。
【高村主査】 ありがとうございます。大変興味深いデータ,情報を頂いていると思います。
自由討論に移ってまいりますけれども,波多野委員が4時半ぐらいに御退席と伺っておりますが,もしよろしければ,最初に口火を切っていただけると有り難いと思いますが,いかがでしょうか。
【波多野委員】 御配慮,ありがとうございます。
先ほど質問させていただきましたように,この技術のどの辺りをターゲットにして,時期というか,実現時期というところを質問させていただきましたので,もう回答を頂いておりますので,ありがとうございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,自由討議に移ってまいります。各委員から,事務局からの資料4-1に基づく説明,それから,中村様からの4-2に基づく御説明を受けて,先ほども申し上げましたように,最初の第10期の会議でございますので,それ以外の点について,例えば第10期でこういうことやってみたいとか,あるいは,こういう環境エネルギー科学技術分野の研究開発が必要だといったような幅広い観点から,御意見,あるいは,御質問を頂ければというふうに思います。
お一人3分をめどにお願いをしたいと思います。あいうえお順でお願いしてもよろしいでしょうか,石川委員。どうぞよろしくお願いいたします。
【石川委員】 海洋研究開発機構の石川と申します。今期から委員となりましたので,皆さん,よろしくお願いいたします。
最初に,私の簡単な自己紹介ですけれども,この分野においては,私は気候変動の適応に関する技術を社会実装するプログラム,SI-CATの方で,近未来予測,それから,ダウンスケーリングといった技術開発を担当しております。もともと専門は海洋物理で,数値モデリングをずっとやってきたのですけれども,その中で,実際にデータセットを作り,使っていただくということをSI-CATではやってきました。
まず,中村先生に質問なのですけれども,適応という分野のところの状況,確かに私も非常にいろんなところからの期待を感じていて,これからますます重要だと思っております。
この中で,後半の方では適応というより環境分野においては農学が非常に大事だということだったのですけど,我々の大きなデータセットのユーザーとしましては,水循環や防災などの方々に加えて,農林水産業というのは非常に気候変動の影響が大きいというふうに期待されていますが,この中では,農林水産業と温暖化,環境というものの関係が見えにくかったので,そこら辺,どのように考えておられるのかというのは追加で説明いただければと思っております。
【高村主査】 事務局,中村様への御質問は後でまとめて御回答いただきたいと思います。
【石川委員】 はい。その話も踏まえまして,今回,資料4-1の方にも書いてありましたが,我々が作っている基盤的な情報というのは非常に重要であるというのを改めて強調させていただきたいと思っています。
特に統合プログラム,それから,SI-CATで作っているデータセットというのは,我々の研究プロジェクトの中だけではなく,広くほかのプロジェクト,ほかの方々にも使っていただいているデータでありまして,実際,我々がデータセットを作っていくことをしない限り,このデータは更新されていかないという意味では,日本の基盤的な情報を支えているプロジェクトであるというのは強くアピールしていきたいと思っていますし,また,これを引き続き高度化していくというのは非常に重要な課題だと思っています。
一方で,もう一つは,この中村先生の資料にもありましたが,コミュニティの減少というのも大きな問題になっています。ニーズが高まっていることと,それから,担い手が減っているということを考えると,人材育成というのも,直接的に大学がどうこうというレベルではなく,広い意味での人材育成というのは非常に重要な我々にとっての課題であるというふうに認識しています。
特に適応法が成立した際に,地方自治体において,適応センターを作りなさいということが適応法案の中に入っているのですけれども,その適応センターにおいて誰が何をするのですかということに関して我々のところにもよく相談が来ます。
実際に,専門家が入っていければ一番いいのですけれども,少なくとも,専門家とコミュニケーションが取れる自治体の方々というのは必ず必要になってくるポジションなのですが,そこの担い手というのは非常に少ない。そういう意味での社会人教育や我々の技術開発の普及啓発を含めた人材育成というのはこれから非常に重要な課題になってくるのではないかと考えております。
【高村主査】 ありがとうございました。
それでは,この机の並びでお願いしようと思います。沖委員,お願いいたします。
【沖委員】 先ほどの学会数でいいますと,微増と健闘を続けております土木学会と水文・水資源学会におります沖と申します。
今御提案いただいたこれらの研究施策を環境エネルギー課でやられるに当たって,環境プラスチックごみに関する研究を,5年前,10年前から続けていられたらよかったなというのが一番の感想でございます。
実際に,国際政治の場で議論されるようになった際には,それぞれの所管する個別の官庁が予算を取るということをやられると思うのですが,そうでない基礎研究の段階で,研究者がやっているのだけれども,行政に将来,非常に密着しそうなテーマを拾って育てていくというのが恐らくこの環境エネルギー課の一番のミッションではないかと思います。そういうテーマを是非探していただきたいと思いますし,この委員会を通じて私も微力ながら貢献できればいいと思っています。
そういう意味で,私が今,もしかすると,と思いますのは,先ほどからも話が出ておりますけれども,社会科学と科学技術の連携というのをもっと強化していく必要があるのではないかと考えます。
文科省の科学技術政策の中で,是非,環境エネルギー課がSDGsはうちで所管しますというふうに宣言をしていろいろやっていただけたらいいと私は思っているのですけれども,例えば,SDGsで誰一人取り残さないということをキャッチフレーズにして頑張っているわけですが,それは功利主義でいう最大多数の最大幸福というのと明らかに矛盾するのではないかと思います。
これをどう考えるかというのは,社会科学の方,高村主査のように制度論の方だけではなくて,本当に哲学的な,そして,経済学的なことも踏まえながら研究をされている先生方からの意見を踏まえて,私たちは何のために科学技術を振興し、社会貢献しようとしているのかという議論をやらないといけないでしょう。
気候変動対策はSDGsと相乗効果があるという点は放っておけばよい,で済むと思うのですが,トレードオフが深刻であるというのが,最近,論文が出ています。私が非常に印象深く思ったのは,つい先日,『Nature Sustainability』に出たフジモリさんたちの論文ですが,1.5度目標を真面目にやろうとすると,数億人の人たちが追加的に飢餓リスクにさらされるそうです。それでも,水没してしまう島嶼(とうしょ)国を守るのかということを国際社会は突き付けられているのかもしれません。
これをどう考えるかに関しては,私たちはどこか遠くでじわじわと殺してしまう人たちのことよりは,目の前に出てくる映像の衝撃の方に動かされやすいとか,そういう心理学的なこともございますし,そういうのも踏まえた上で,国際社会はどう動くべきであって,私たちはどう考えていくべきか,それを支える科学者はどうすべきかということを検討していく必要があって,そういうことができるのは正にこの環境エネルギー分野ではないかと思いますので,そうした科学技術の振興を是非やっていただきたいと思います。
また,気候変動を先行してやられるということで,それは構わないのですが,気候変動の悪影響は,全て水を通じて社会に影響を及ぼすと思っていますので,先ほどの御報告でも,WEFで水危機というのは必ず入っていて,グローバルには水危機の世界的な管理というのをやらなければいけない。それは国内の話ではなくて,むしろ世界の話なので,そこについては世界のそういういろんな分野を研究できる文科省の事業としてやられる価値があると私は思っています。
もう一つ,生物多様性というのがやはりなかなか取り組みにくいし,環境省もあるのでやりにくいとは思うのですけれども,まだまだ潜在的な研究者はたくさんいらっしゃると思いますので,環境エネルギーという枠組みで非常に密接なことができる研究課題を是非探していただくのがいいのではないかと思います。
最後に,本郷委員の御専門かもしれませんけれども,科学技術への投資と科学技術を利用した投資の両方があると思います。それについて,社会課題を解決するから社会科学技術に投資するということもあるでしょうし,それに対する説明責任を果たすということもあると思うのですが,それらも含めて,是非,社会科学と科学技術,エンジニアリングの一体的な運用を是非この場でやっていただければというふうに期待いたします。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,奥委員,お願いいたします。
【奥委員】 首都大学東京の奥でございます。専門は行政法と環境法の分野でございまして,学会は,環境法政策学会ですとか環境アセスメント学会というところに所属しておりまして,先ほどの表には載ってない学会ですけれども,環境関連の研究に貢献する学会でございますので,今後は是非カウントしていただければなと思います。
私は,地方公共団体の環境関連の委員会,審議会に関与することが多いのですけれども,これまでの科学技術基本計画においても,それから,文科省が所管されている様々な環境エネルギー関連のプログラムにおいても,社会実装というのがやはり最終的には目指されているところだと思います。
その社会実装を図っていく上で,そこにつなげていくという上では,やはり国民生活なり,その事業者の活動なりに全てそれが組み込まれていくということを確保していく上で,地方公共団体の役割というのが必要不可欠ではないかと思っておりまして,そういう意味で,例えばSI-CATもそうですけれども,気候変動の分野,生物多様性の分野,それから,安全安心の分野,いずれの分野にしても,やはり最終的にはその足元からの取組をしっかり,地方公共団体のレベルにおいてやっていただくということが重要です。
そこで,いろいろな委員会に関わっている中で,やはり文科省のプログラム,SI-CATもそうなのですけれども,例えば,様々な環境審議会の場で,今,適応計画は作らなくてはいけないという,そういう認識は持たれてはいるのですけれども,どうやってそれを作っていこうかといったときに,なかなかSI-CATという言葉自体,思い浮かばないといいますか,そういう現場の実際の行政担当者のレベルにおいて,文科省がやっているようなプログラムの認識が持たれていないというのが実情だと思います。持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが,多くの自治体においてはそうでないという印象を受けております。
なので,そういう意味では,しっかりと,地方公共団体に対しても,先ほどの人材育成もその一環かもしれませんけれども,認識を持っていただくような努力というのを,環境省と一緒にやっていただく必要があるかなというふうに思っております。
それから,実際のプログラムをやっていく中で,やはり地方公共団体の計画立案なり,具体的なその施策に資するという意味では,地方公共団体と一言で言いましても,広域自治体と基礎自治体がありまして,また,基礎自治体においても,政令市,中核市なのか,一般の市町村なのかでその持っている権限がそれぞれ違いますので,都市計画に例えばしっかりと反映してもらうといったときにも,どこにその計画決定権限があるのかといったようなところで,その自治体が求めている情報であったり,知見であったりというのは異なってくるということが実際にはあるかと思います。
なので,いろいろな自治体の持っている権限の違いによって,どういう情報を必要としているのかということにも留意する必要があると思いますし,それから,都市部と非都市部の自治体でも状況が全く違いますので,そういったところにも,どういうふうな情報をどのように届けていくのかというところにも留意していく必要があると思っておりまして,そういったこともしっかりと念頭に置きながら,社会実装というのは実際には考えていく必要があるかなというふうに思っております。
以上でございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,加藤委員,お願いいたします。
【加藤委員】 北海道大学の加藤でございます。私は,前期から引き続き,今期も入らせていただいています。専門は化学,ケミストリーなので,余り環境エネルギーといって直接専門的なことを何かやっているかというと,実は何もやってないので申し訳ないと思って,いつも勉強させてもらう立場でいます。環境から見ると,時々,今回のプラスチックの話もそうですし,化学は少し悪者的なところもあるのですけれども,それを解決していくのはやはり化学,ケミストリーを含む科学技術であることには間違いないという信念は持っていますので,是非そういう立場から何か貢献できればいいと思っております。
それで,この環境エネルギー科学技術委員会はいういろんな立場で,いろんな分野の方が文理融合型で出ていますし,多様性が重要ということもある場だと思っていて,それが今までは何か少しついていけないなというところもあったのですけれども,徐々にこれはすばらしい委員会ではないかというふうに感じるようになっています。
そういう意味では,非常に文科省の中でも重要な委員会ではあるのは間違いなくて,いろんな問題を総合的に解決でき,環境エネルギー自身が非常に重要な課題でありますので,是非,ここで私も更に勉強しながら,貢献したいというふうに思っております。
「環境・エネルギー」は,きょうの中村先生の報告書のところでもそうですが,点が入っていたり,入っていなかったりしており,この委員会は点が入っていません。これは,点はないはずだと私は思うというのが感想です。
諸外国を見ると,特に中国のところで,豊富な資金,豊富な人材,これで課題等の解決をできるというようなことが述べられておりますし,そういうところが日本ではどうしたらいいのだろうかということを,考えなければいけないなということを感じています。
やはり対応するのにお金も人も限られているというところが,日本は知恵を絞るしかないというようなところで,世界に対して,別に対抗するわけではないのですけれども,しっかりと世界の中で立場を維持していく,貢献していくということが重要かと思いました。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,主査代理をお願いししています江守委員,お願いいたします。
【江守主査代理】 ありがとうございます。僕は,自分のことを申し上げると,元は気象学の分野で気候変動の予測の研究に参加した者ですけれども,最近,自分では直接それはやっていないので,そのせいで,よく評価とか,そういうところに呼ばれるようになっているのかなという感じがしておりますが,現在は気候変動問題の関係のいろんなところの議論に首を突っ込んでおります。
それで,僕はこの委員会は何期かやらせていただいておりまして,ずっと,前回のこういう機会にも同じようなことを申し上げたかもしれないのですけれども,問題意識を持っていますのが,イノベーションって何だろうということがありまして,いろいろ教えていただくのですけれども,自分でも勉強して,だんだん分かってきたところです。
それで,特にきょうの資料2でも御説明がありましたパリ協定長期戦略ですね。その中で,非連続なイノベーションということが非常に強調されて言われるようになったわけです。その非連続なイノベーションって何だろうということを非常に問題意識を持って僕は考えたいと思っています。これはこの委員会の中で非常に重要なテーマになるのではないかと思っています。
それで,にわか勉強ですけれども,クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』というのをちょっとだけ勉強して,それの言葉で申し上げると,非連続イノベーションというのは,ラジカルなイノベーションなのか,ディストラクティブなイノベーションなのかということがあって,ここで脱炭素ものづくりとかでいろいろ具体例が出てきて,そこに書いてあるようなものというのは,ラジカルかもしれないけど,ディストラクティブではないものも書いてあるのではないか,つまり,その意味は,今の大企業がやろうと思えるようなものが書いてある。それは,いかに全く新しい技術であっても,今の大企業の視野に入っている,バリューネットワークの中で受け入れられるようなものが入っている。
一方で,ディストラクティブなイノベーションというのは,大企業がそうしている間に,どこか違うところでどんどん進んできたイノベーションが,やがて突然市場で選択されてしまって,今の大企業の存在を脅かすような,そういうことが起きるというのがディストラクティブという話だと思っていますけれども,そちらに我々は,我というのは,この委員会であったり,あるいは,非連続のイノベーションを議論している政府の別の人たちであったりが,どれぐらい視野に入っているのだろうかということがずっと問題意識としてあります。
そういう意味で,今回,CRDSの御説明これを伺って,中村さんに質問させていただきたいのは,この俯瞰(ふかん)報告書の御説明の中で,海外動向の調査比較ということが書いてあって,事例の中にも幾つかスタートアップの事例というのが書いてあるのですけれども,どれぐらい,例えば,アメリカのシリコンバレーのクリーンテックのスタートアップがいっぱいいて,ベンチャーキャピタルがいっぱいいて,そのイノベーションカルチャーみたいな,エコシステムみたいなものが何かすごく動いていると思うのですけれども,そういうものというのをどれぐらい把握されて,こういう日本の議論に反映していらっしゃるかということをお伺いしたいというのが質問です。この委員会の中でもまたそういう発言を度々させていただこうかと思っています。
最後に,先ほどの沖委員の御発言に呼応して思ったことがあるので申し上げると,人文社会科学の議論をもっと入れた方がいいというのは,僕は非常に同感で,たまたま,おとといに,日本哲学会のシンポジウムというところで気候変動の話をしてきたのですけれども,そこで,ある哲学者の,東大のサトウさんという方が,3EプラスSという,きょうの議論にも出てきた話を持ち出して,5Eにするべきだという話をなさっていまして,5Eというのは,3Eにプラスして,EthicsとEmpathyというふうにその方は言っていたのですけど,僕はEquityもいいなとか思っています。それは何で思ったかというと,この3EプラスSというのは,多分,功利主義的な価値観で出てきているのであって,もっと違う規範的な枠組みで入れていくと,もっとEが並ぶかもしれないということです。
そういう議論というのは,このきょうの議論では3EプラスSが前提の一つになってこういう話をしていますけれども,それを見直す意味で取り入れていくと,非常に意義があるのではないかというふうに思いました。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,堅達委員,お願いいたします。
【堅達委員】 今期から委員を務めさせていただきますNHKエンタープライズの堅達と申します。第9期のときに客員的に講演をさせていただいたので,そのとき,私の仕事を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんけれども,この10年ほど,気候変動を中心に,環境の番組をNHKで作り続けております。「“脱炭素革命”の衝撃」といったNHKスペシャルや,4月には,「“脱プラスチック”への挑戦」という番組を作らせていただいて,脱ばっかりやっている堅達だというふうに覚えていただければと思います。
きょう聞いていて一番ショックだったのは,この大切な環境エネルギーの分野に入ってくる人材が非常に縮小傾向で,今やらなければいけない問題なのに,縮小傾向にある。ここはやはりこの問題の重要性が,メディアの責任もあるのですが,国民に本当に十分に伝わっているのかという観点からみときに,今,よく言われるスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん,今週号の『タイム』の表紙にもなっていますけれども,「家が燃え盛っているときに,どういう対応を大人は取ってくれるのかと,私たちの未来を奪わないで」と言っている,あの子供たちの声に応えるだけのスピード感だとか緊急性みたいなものをしっかりと認識して,科学者だったり,あるいは社会科学者だったりがしっかりとこの問題の重要性を伝えられているかということです。グレタさんのデモでも,海外では163万人の若者が,デモ,ストライキを行っているのですけど,日本は100人ぐらいしか参加していないというあまりの彼我の差というものを感じたときに,やはりこの問題の重要性を考えなければ,この分野を研究しようという若者が科学界に入ってくるということも減ってまいりますし,そういう視点を持って,是非研究というのもやっていっていただきたいなと思います。
この野心的目標とか,国がここを目指すのだという長期戦略もそうですが,もっとそこはパシッと言わないと,やはり入ってこないというところもあって,1.5度報告書も出た中で,本当の意味でこれが大事な問題だというところが伝わっていないのではないかと思いました。
今後,IPCCの新しい報告書が出てきて,先ほどもおっしゃっておられましたけど,土地利用の報告書等を読めば,農業とか,林業とか,森林とか,そういったところがどれほど大事かというところもあるし,ここの分野もしっかりと研究していかなければいけないですし,海洋と雪氷圏の報告書,9月に出ると思われるものは,衝撃的な1メートル以上の海面上昇というものが出て,海洋王国の日本では大変なことにきっとなると,南極が溶け続けているといったようなこういう情報もあります。それを受けて,欧米の研究機関は非常に機動力を持って,数十億円,そこがクリティカルだと思ったら,ぱっと投入して動くだけの機動力があります。もし,3メートルぐらい溶けて海面上昇したら,ニューヨークとかロンドン,東京も大変ですけど,そういう機動力みたいなものというのが研究に求められているということがありますので,是非,中国などの圧倒的な資金量に負けないためには,日本は機動力を発揮できる国になって,研究が進められて,このクライメート,今,チェンジどころか,クライメート・エマージェンシーという言葉が出ている状態の中でのこの計画だということを認識,共有できたらと思っています。どんどん人材が入ってくることを非常に望んでいます。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,佐々木委員,お願いいたします。
堅達委員から中山委員までは,今期新しく就任いただいている委員の先生方です。どうぞよろしくお願いします。
【佐々木委員】 九大の佐々木です。研究分野は,最近は水素エネルギーの佐々木ということになっていますけど,もともとは材料工学を勉強して,原子核工学も勉強して,原子力だけではなくてということで,核融合とか研究していた中で,燃料電池の研究を30年ぐらい前に始めたということで,それ以降は,ずっと水素エネルギーの研究をしております。
あと,最近は産学官連携担当副学長なので,産業連携・地域支援部会にもお世話になっていますし,最近,大学改革でもいろいろ引継ぎをされているので,さっきの研究人口の減少とか,大学のランキング低下というところで我々も非常に悩んでいるところでございます。
きょうは資料4-1,資料4-2を見させていただいて,非常に分かりやすくまとめていると思います。なので,方向性とか,全体的なことについては特に,それでいいのではないかなと思います。
他方,同じような文章を,経産省でも見るし,環境省でも見るし,ほかの省庁でも見るので,方向性は政府全体で当然一致されているというのは当然いいことなのですけれども,やはり我々が議論すべきなのは,役割分担をもう少し明確化した方がいいかという感じが改めてします。
というのは,内閣府というのは,最近,SIPもそうですし,今度始まるムーンショットもそうなのですけれども,政府としてこれを強化したいというところに集中的に予算を投資するという観点ではもちろん内閣府がやるべきことだと思いますし,実際,社会実装をするときに,経産省は経済性が成り立つようなものから着実に入れていくと,産業を作っていくということと,逆に,環境省というのは,脱炭素社会実現という理想からバックキャストしてできるものを追求,チャレンジしていくという役割があると思います。
それを考えると,文部科学省で,環境エネルギーをやるときに,私はほかの省庁とアプローチは全然違っていいのではないかと思います。社会実装という言葉はいろんなところに出てくるので,我々も基礎研究をやりながら,社会実装まで考えなさいということで,多分,隣の建物の財務当局から言われるのかとは思うのですけれども,そもそも,本質的にやっぱりサイエンス,科学技術を考える上で,いろんなシーズをたくさん持っているのが大学であり,科学技術の強みではないかと個人的には思います。
なので,こういうような脱炭素,環境エネルギーをやる中で,文科省には,他省庁とは決定的に違って,是非幅広く薄く,地道に長くやっていただくというところが,やはりほかの省庁では逆立ちしてもできないところかなと思いますし,その中で,環境エネルギー関係,2050年に向けてということですから,いろんな技術シーズを育てるというのが一つ,それと,2050年というと,この会議のメンバーもいないわけですから,そこを背負える若い人を一緒に育てるという,この二つが文科省がやる環境エネルギーの研究開発の根本にあるべきではないかと思います。
私,ヨーロッパに10年いたのですけれども,帰ってきて,一番違和感を覚えるのは,日本の研究プロジェクトは,結構装置が買えたりとか,初年度ぐらいにぼんと予算が付いて集中的にできるというのはあるのですけれども,少なくとも,私は,ヨーロッパの二つの国にいたのですけれども,基本的に,研究開発プロジェクトというのは若い人を雇うためのお金がほとんどです。
つまり,例えば3年間,5年間,若い人が,博士論文をまとめる。要は,大学院生を3年間なり5年間なり雇用するための予算を付いたりとか,あとは,日本でもあり得ると思うのは,例えば若い研究者に10年のポストを基金化して用意するとか,10年は難しくても5年でもいいと思うのですけど,やはり何かそういうところがあると,若い人はチャレンジもするし,ばりばり論文を書けます。欧米って論文数が増えているといっても,書いているのは彼らなのです。
ですから,そこにお金がまだまだ行ってないというところがありますし,それを内閣府とか経産省に要求する,お願いする話ではないと思いますので,文科省が環境エネルギー分野で本当に将来の技術シーズと将来を担う人を一緒に育てる,そういうような方向にプロジェクトがシフトしていただければいいかと思います。
幅広くということになると,逆に何か特定の分野,これがいいとか悪いとかいう議論はあんまり意味がなくて,むしろ,若い人が自分はこんなことができると,2050年に向けて自分はこんなことができるのだというのをむしろどんどん吸い上げて,日本全体でいろんなシーズを出していくというのが,文科省の環境エネルギー施策の中でいろいろ出てくれば,非常に有り難いのではないかと思います。
いろんなことが交ざっていますけど,コメントとさせていただきます。ありがとうございました。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,嶋田委員,お願いいたします。
【嶋田委員】 埼玉県環境科学国際センターの嶋田でございます。今回,初めて参加をさせていただきました。自治体枠なのか,あるいは,日本で一番温度の高い県枠なのか分かりませんけれども,よろしくお願いいたします。
環境科学国際センターという名前なのですが,なかなか説明が必要でして,いわゆる公害センター,地方の公害研究所で,地環研などと呼ばれているところの一つです。もともと公害なので,大気汚染とか水質の汚濁とか廃棄物の問題とか,そういったところをやっていたのですが,当センターでは,2010年に温暖化対策担当というのができて,温暖化に関する研究にも取り組んでおります。地方の環境研究所の中では少々珍しいところです。その後,環境省のS-8とか,あるいは,RECCAとか,SI-CATなど適応に関する研究に参画をさせていただいております。
二つほど,まだこれからの議論だと思いますが,要望というか,こういうことがあったらいいなということをお話しさせていただきたいのですが,まず,地方のいろいろな事業,特に温暖化関係の適応策に関する事業に関しては,なかなかエビデンスが十分ないと感じていまして,どちらかというと,予算の枠だとか,あるいは,いろいろとしがらみとか,物理的な障害とか,そういったことで事業というのは決まってしまうことがあります。そういったものに対するエビデンスをきちっと文科省としては提供できるような枠組みというのがあるといいなと思っています。
具体的には,SI-CATの中では,JAMSTECの御協力を頂きながら,熊谷にスポーツ文化公園というところがありまして,今年,ラグビーのワールドカップが開催されますが,暑い時期にやらなければいけないということがあって,県ではいろいろと木を植えたりとかということをやるのですけれども,そのときに,どうやって木を配置した方がいいのかとか,恐らく最適なものがあり得るのだということがあって,それをJAMSTECさんの地球シミュレータで計算をしていただいて,何度下がるとか,木の植え方をこうやった方がいい,みたいなことを提案して,それが実際に施策に反映されたという事例があります。そういったことは今まで全くやったことがなかったというふうに土木部局が言っていまして,そういうことが重要なのかなと思っています。
そのためには,ツールみたいなものがたくさん提供できるといいなと思っていまして,それは文科省の仕事というよりは,場合によっては環境省であるかもしれませんし,その辺とコラボして,実は,SI-CATの中にもSI-CATアプリという構想はあったのですけれども,そういったものにまた是非チャレンジをしていただきたいということがあります。
あと,もう一つ,埼玉県は非常に暑いということで,以前は熱中症搬送者数が数百人ぐらいであったのが,2010年には3,000人を超えて,昨年は6,000人を超えるということになりました。多くの方も亡くなっています。
埼玉県は何もやっていなかったのかというと,そんなことはなくて,いわゆる普及啓発,クーラーを入れましょうとか,水を飲みましょうとか,様々な活動をやっていったのですが,なかなかおじいちゃん,おばあちゃんたちにそう言っても,クーラー付けるのは慣れてないとか,気持ち悪くなるとか,そんな話もあって,普及啓発の限界というのも見えてきたというふうに感じていまして,何か別の方法というのが絶対あるはずだと思います。
既にもうやっているかもしれませんが,いわゆる行動経済学的な手法,ナッジみたいな,そういったところで人の行動を変えていくということに取り組む必要があるのではということを思っていまして,多分,東京都なんかもかなり動き出しているということを聞いていますし,埼玉県でも何とかしたいと思っています。なかなか専門家がいないということがあって,そういった研究の成果みたいなものは余りないかもしれませんが,そこに是非取り組んでいただきたいというふうに考えています。
いずれにしましても,自治体としては,いわば最下流のところで,社会実装を現場でやっているというところでありますので,そういう視点でいろいろと発言をできたらなというふうに考えているところです。よろしくお願いいたします。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,竹ケ原委員,お願いいたします。
【竹ケ原委員】 日本政策投資銀行の竹ケ原と申します。今回から参加させていただきます。私は金融界からだと唯一の参加だと思うのですが,環境エネルギー分野というのは,間違いなく,資料の中でも御紹介いただいたとおり,金融界でも非常に大きなテーマになっています。
幾つかキーワード的に申し上げると,資料にもあったESGですね。これは,環境,社会,ガバナンスの省略形なのですけれども,要するに,非財務情報,すなわち数字では表せないところをしっかりと見ましょうという話であります。その心は,長期投資なのです。
リーマンショックの際,余りにも短期主義に走ってしまった結果があの信用リスクでしたので,もっと長い目で投資をしようと思ったら,足元で儲かっているかどうかも大事なのだけど,それ以上に,長期間,その会社のビジネスモデルがちゃんと維持できるかが重要だ。そこを見ようと思うと,数字に表れてないところにまで目配せしなければいけない。例えば,気候変動が2℃シナリオ,1.5℃シナリオの方向に進んだ場合でも,強いビジネスモデルが維持できているかどうか,しっかりと見ましょうという話です。
日本では,わずか数年,2015年以降,急激にESG投資の影響力が増してきたので,まだ評価する側も,される側も落ち着きがないところがあって,非常にばたばたしている状況が一つあります。
そうこうしているうちに,これを気候変動問題に特化させた形で,TCFDというのが入ってきました。これは気候変動に係るリスクやオポチュニティを,最後は,メーンストリームである財務報告書やアニュアルレポートで示せという,非常に難しいことを要求するガイドラインなのですが,G20の依頼が始まったことからも分かるように,金融当局が,気候変動リスクが金融市場のシステマチックリスクにつながることに非常に強い危機感を持った結果であり,対応せざるをえない話です。
気候変動に関する物理リスク,先ほどもお話がありましたが,海面が上昇してこのぐらい被害が出るかもしれない,といったリスクは,一定の仮定のもとである程度の想定は可能なのですが,移行リスク,すなわち,脱炭素・低炭素社会に移行する過程で,カーボンプライシング等が導入されることによるエネルギー多消費産業への影響や,そこにお金を貸している金融機関のポートフォリオへの影響などを計測して開示するとなると非常に難しい話です。
奨励をされているツールとして,多分,世界ではシェルぐらいしか本格的にはやったことがないシナリオ分析があり,IPCCやIEAによる既存シナリオを活用していきましょうという話になっています。どのような方法を取るにせよ,ESG投資家に対して,長期のビジネスモデルの強さを示すべく,TCFDでシナリオ分析をして,リスクやオポチュニティを示す場合,技術,科学技術がどうなるかは大きな変数です。
先ほど来,先生方の御発言で非連続なイノベーションということが出ていますけれども,これは本当によく金融界でも議論されるのですが,例えば2050年の世界を描いて,もう内燃機関はなくなりますというコンセプトを出している自動車メーカーがあります。これを評価する投資家がいる一方,余りにも非連続過ぎて,現状の中計,足元の計画と全くつながらないではないかと,バックキャストできない未来を描かれても困るという投資家もいて,まさしく,イノベーションを実装できるかどうかで,描かれた絵がフィージブルか,フィージブルじゃないか,変わってくる。金融の在り方も変わってきます。
そうなると,個別の技術はいいのですが,技術全体を俯瞰(ふかん)して,低炭素,脱炭素に向けて,こういうイノベーションがこのぐらいのスケジューリングで実装できそうだという分析がすごく大事になってきますので,これは,この場しか多分できないような気がいたしますし,ここで得られた知見というのが金融界にもすごく影響をもたらしますので,できるだけここでの議論を金融界に持ち帰りたいと思いますし,金融界の声をこの場でお伝えしたいなと思っています。
もう一つ気になっているのがヨーロッパでして,サステーナブル・ファイナンスという言葉を彼らはよく使います。脱炭素社会の実現に向けて猛烈なコミットをしているので,追加的に莫大(ばくだい)な投資が必要になってくる。公的資金では全く足りないので,民間に有り余っている金をそこに入れようとするのですが,そこでグリーンの化けの皮をかぶった資金が入ってくるのは避けなければならないということで,今,EU委員会で,タクソノミー,何がサステーナブルかをきちんともうカタログにしてしまって,これに当てはまるものがサステーナブル・ファイナンスだと定義しよう,透明性を確保しようという話になっています。
一見,すばらしいと思うのですが,何が透明か,何がサステーナブルかの定義は,今,再三議論されているように,どのイノベーションが実装されるかで変わってくるような気がするのです。今の段階で,水素社会というと,ヨーロッパの連中にとってはすごく夢物語になると思いますけど,日本の場合はもう少し現実味を持って議論ができるような気がします。
ですから,実は,ヨーロッパがまたタクソノミーを作り,これをISO化し,サステーナブルは何かしら主導権を取ろうとしているのですけど,実は,そこはここの議論がこうしたトレンドに対して一矢報いるというか,少なくとも材料を追加できる議論になるのではないかと期待もありまして,その辺りも是非議論できればと思っています。
あと,もう一つだけ。金融実務では,新しいすばらしいイノベーションが対象になる一方で,例えばドイツ,スウェーデンの木質バイオマスのガス化プラントなど,乾燥したヨーロッパの木材向けに開発された機械が,日本の木材を入れたら,途端に動かなくなるといった話がよくあります。
実は,既に確立した技術であっても,日本の環境下だとうまく回らない。それがどうやったら回るようにするのかと,ちょっと改良みたいな話で,全然イノベーションではないのですけど,実際,実務の世界ではそういう知見も求められています。
この場でお願いするのは筋違いな話かもしれませんが,できたら,既に実用化されている技術の改良,実装,それを含めて実装と呼んでいただけるのであれば,何かその辺りの議論もする時間があったら,うれしいと思います。これはもう全くの希望でございますが。
以上でございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,中山委員,お願いいたします。
【中山委員】 JXTGエネルギー,中山と申します。というよりも,この場に関しましては,私はCOCN企画小委員の立場として呼んでいただいていると認識しておりますので,冒頭に,COCN,産業競争力懇談会に関して紹介させていただきます。
COCNは国の持続的発展を狙い、産業競争力の強化、科学技術の推進、イノベーションの創出に関わる政策を、産学官の対話と連携を重視しながら提言として取りまとめ、実現をはかることを目的にした団体で、会員企業は50社程度とこぢんまりとしていますが、手弁当精神で産学官が連携し、議論をする中で、イノベーション創出にむけた具体的なシナリオを提言として毎年公開しております。こうした提言は、企業を中心に,産学連携等を通して,それを具体的なアクションに結び付く事例が多いことから、存在感を示すことができていると思っています。
エネルギーは産業競争力を支える基盤であり,COCNの中でも,今後どうすべきか,具体的な提言ができないか、ということは議論していますが、非常に悩ましいのが、将来に向けての課題は明確ですが、どこに注力していくかが打ち出し切れていないというところです。例えば、冒頭,NESTIの話もありましたけれども,戦略を受けて、いざ具体的な大きなプロジェクトメーキングの話になると、余り出てきていないと感じています。
エネルギーでは、化学反応も単純な物質を扱うことが多く、関連する研究開発も非常に長らく行われていて,これまでは反応の効率が低いだとか,経済性が成り立たないということで実用化には至ってない,そういったものが多いと思っており、こうした非連続なイノベーション創出の候補になる要素技術に対し,2050年を目指して,基礎研究として実直に推進していくと,そういったことも文部科学省からの視点としては重要かというふうに思っているところでございます。
あと,COCNの中でもそうなのですけれども,この会議でも意識していきたいと思うところは,やはりその技術が実用化されたときのインパクトに関し共通認識を持つということです。技術のポテンシャルを、量的なイメージも含めてしっかりとLCAとして,皆さんで共有,共通認識を持つといったことが重要かというふうに思っております。
やはりエネルギー,環境が重要と言われる中で,環境エネルギー技術というのも含まれるというのは事実かというふうに思っております。その技術がブレークスルーしたときに,世界・日本のCO2排出に対して,どれぐらいインパクトがあるだとか,そのブレークスルーに向けたボトルネックがどうだとか,そういった,時間軸も含めて,共通認識を持った上で,研究開発を推進できればというふうに思っているところでございます。
以上となります。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,以前から委員をお願いしておりますけど,本郷委員,お願いいたします。
【本郷委員】 私の職歴を簡単に紹介いたしますと,途上国などでの事業への融資であり,そのかなりの部分は,融資が難しい国の難しい事業に対し,ファイナンスでした。幸いに,焦げ付いた債権は一度も作らなかったと思っています。
最近は,経済と環境,こういったところを分析的に見ています。私のアプローチのキーワードは二つありまして,エクスターナリティ,すなわち外部不経済,それから,もう一つは,手法としての市場経済というところであります。基本的には,環境とエネルギーに関する科学技術の分野に関して言うと,相当に出口に近い部分,ある程度プルーブンになった技術をいかに使っていくか,そういったところをやっています。
今回の委員会は,どちらかというと,更にその上流というか,かなり早い時期の方に入ると思っています。私の過去の経験からコメントをいたしますと,三つ,四つほどございます。
まず,一つは,技術,基礎研究から技術,商業化に近いところへ行って,それを社会実装につなげていくという話なのですが,これは相当長期の問題です。例えば,先ほど紹介されてありました海水淡水化の逆浸透膜法(RO)の話でも,恐らく最初に使われたのはNASAの宇宙衛星からで,きっとその前に更に長い研究があって,そして,初めて実際に使われているわけです。そして海水淡水化で広く使われるためには、また長い時間がかかる。そうした長い時間をどう見据えていくか。実際の利用までを考えれば,これは文部科学省の範囲だけではできる話ではないので,いかにほかの省庁での検討・取組とつなげていくかというのがまず一つ,あるのかと思います。
それから,もう一つは,実際に社会実装をしていくためには,技術の改良だけではなくて,やはり政策があって,政策がいわば需要を作って,そして,それに技術が使われていき,そして,また,使われることで改良が繰り返されていくというサイクルがあると思います。需要が重要だという視点からは,(産業界だけでなく)沖委員から御指示,御指摘のありました社会学,社会関係のところとの接点もよく作っていくというところが大事なのだろうと思います。
それから,もう一つは,技術の関係で申しますと,長期の技術開発については不確実性が非常に高い。ある種,目標がはっきりしているのであれば,それに対して正解というものが初めから分かるわけではないので,分散投資をしていくというような発想も必要でしょう。しかし,企業にとって,分散投資というのは必ずしもできる話ではないので,政府,政策側からは鳥瞰(ちょうかん)的に俯瞰(ふかん)して,政策として分散投資を進めていく,そういう視点が必要なのではないかというふうに思っています。
どうしても,企業側で見ますと,この技術はいいぞとのめり込む傾向にありますし,それから,得手不得手の得手の部分だけが目に付くところがありますので,是非中立的な遠目で遠くから見るというようなアプローチ,これは政策側で必要なのではないかなと思います。
最後にもう一つあるのですけれども,何が目標になるのか,実はそこが難しいというふうに思っています。別の言い方をすれば,社会的な課題が分かれば,それに対して世界は向かっていく。だから,それに対してソリューションとなる技術もおのずとわかってくるのですが,そもそもその社会的課題というのはどこにあるのか。これがなかなか難しいところではないかと思っています。
社会的課題をどうやって見つけていくか。その先ほどエシックスの話がありましたけれども,私もあんまりそういう方法を考えたことがなかったのですけれども,社会的課題を見つけるという視点というのもあっていいのかなというふうに思いました。
以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,私からも幾つか申し上げたいと思います。その後,今まで出ている御質問は中村さんへの御質問だったと思いますので,中村さんに御回答をお願いしたいと思います。
既に,委員の先生方が御指摘になった点と問題意識を共有するところがあるのですけれども,まず,第1点目ですけれども,事務局からも御紹介があったように,この環境エネルギー技術分野の流れといいましょうか,展開の速度感,規模感が大きく変わってきているという感じを持っております。
それはそれを求める社会のニーズという点でもそうなのですけれども,例えば例を申し上げると,ビジネスの分野で,脱炭素に向かうビジネスの行動が,場合によっては国よりもかなり早く大規模に起こっているように思うわけです。これは先ほど竹ケ原委員がおっしゃったように,金融の役割が非常に大きいと思っております。
この金融の流れを作った,私自身が一つの要因と思いますのが,気候科学が示した「カーボンバジェット」といった考え方,これは自然科学の研究の成果として得られた知見ですけれども,それが金融,あるいは,金融分野の経済学の研究によって,投資のリスクに転換をして,ビジネスリスク,投資のリスクとして実際に見せることができるようになったことです。
こうした学問分野を超えた連携が大きな社会の変化を作っていく,そうした知見を提供している。今,一つの例として申し上げましたけれども,そういう意味での気候科学の役割,それから,学際的な科学の連携が大変重要だと思っております。これがまず一つです。
そういう意味で,基盤となる気候科学,それから,石川委員もおっしゃいましたけれども,予測の高度化,精緻化,リスク情報の高度化,精緻化,それを支える観測といったような,こうした基盤的な科学を,本当は恒常的な不可欠な活動として予算措置がされるべきだと,従来から申しあげておりますけれども,その点はもう一度繰り返し申し上げておきたいと思います。
それから,二つ目は,今申し上げた点に関わりますけれども,これは研究者としてのエシカルな問題にも関わってくるのですが,気候変動にしても,生態系にしても,これだけ大きな危機的な状況が感じられ,予測される中で,しかしながら,社会の側の対応はそれに追い付いていない。それゆえ科学が問題にどのように対処するのか,目指すべき社会像にむけて社会を変えていくために科学がいかに貢献できるのかという議論が,科学者の世界で始まっていると思います。「トランスフォーメーション・サイエンス」とか「トランスフォーメーション・リサーチ」という議論がされ始めている。言い方を変えると,科学はこういう社会的問題にどういう立ち位置を取るのかという問題でもあると思います。
江守委員と三日ぐらい前に御一緒したところで,江守委員が御紹介されていた研究がありましたけれども,特にパリ協定の下で起きている,先ほどの金融が生じさせているような変化は,実は技術が生じさせているのではないか,そういう仮説を出している研究論文を御紹介されたと思います。私もそういうふうに考えるところがあって,例えば,再生可能エネルギーのコスト低下,これが気候変動に関する問題のナラティブといいましょうか,フレーミングを大きく変えつつある。つまり,気候変動対策のコストを下げるという点でもそうですし,あるいは,エネルギー転換によるプラスの副次的効果,便益があり、気候変動対策はコストの問題ではないといったフレーミングで語られるようになる。
つまり,負担の配分という考え方から,対策を取ることにより便益があるので,ポジィティブに協働していく協力ゲームへ転換するという,こうした転換,社会の変化を起こしているドライバーが技術であるというものです。
先ほどのトランスフォーメーション・リサーチ,あるいは,トランスフォーメーション・サイエンスの観点から言うと,何がそういう変化を起こすティッピングポイントなのか,あるいは,レバレッジポイントといった言い方もされますけれども,何がそういう変化を引き起こすイノベーションなのか,トランスフォーマティヴ・イノベーションなのかという課題は是非考えてみたいと思っています。
3点目は,それに関わるのですけど,どうしたらそういうイノベーションが起こるのか。これは先ほど,既に本郷委員がおっしゃってくださったように,国の長期戦略の議論の中でも,どうやって要素技術が,イノベーションが社会の中で展開していくのか,市場化されるのか,汎用化されるのかというところに大きな関心がありました。そうした問いも含めて,実はイノベーションそのものを科学するということが実は大切なタイミングになっているのではないかという問題意識であります。
最後は,イノベーションについて,これは親委員会のところで申し上げたのですが,今起きているイノベーションの多くが,従来の分野を超えて起きている。例えば自動車,モビリティが典型的でありますけれども,エネルギーの分散化,脱炭素化,デジタル化,自動化といったような,本来のモビリティの範囲を大きく超えてイノベーションが起きている。環境エネルギー分野もそういうことが起きていると思うのです。
きょう,中村さんから御紹介いただいた中のドイツのコペルニクス・プロジェクトもそういう一つだと思います。余って捨ててしまう再エネ,ある意味ではゼロコスト,ネガティブコストの再エネを使って,化学原料や燃料,熱の形でそれを貯蔵する。
これは,先ほど申し上げた世の中を大きく変えてしまうような,あるいは,イノベーション,技術の価値といいましょうか,技術の役割を変えてしまうようなところがあるイノベーションを作り出すものではないかと思います。ドイツの専門家の方のお話を先日伺ったのですけれども,燃料や熱を本当にゼロコストの再生可能エネルギーで対応できるとすると,水素や蓄電池といった技術の役割は何かという問いを提起していらっしゃいました。
そういう意味で,今起きているイノベーションというのは,従来の我々の感覚とかなり違う要素を持って動いているということを考えながら,これからの議論を進めていけるといいと思っております。
それでは,中村さんの方からお答えを頂けますでしょうか。
【中村ユニットリーダー】 ありがとうございます。御質問いただきました石川委員と江守委員の御質問に対して,お答えをさせていただきたいと思います。そのほかの委員の先生方にも非常にたくさんの御示唆を頂きまして,これを今後の活動に是非生かさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
まず,石川委員の適応に関連する話題として,農林業,農林水産業への関連というのは非常に大きいということで,取扱いはあるかということですが,今回の2019年版におきましては明示的にその領域は設定しておりません。気候変動予測ですとか,観測の部分で少し言及をしているという形になっております。
明示的に取り組んでいたのは前回の2017年版で,農林水産業に関するものを領域として設定しておりまして,私どもとして見ていないということではなく,引き続き,ウオッチをしております。また,今年度は,そういう意味ですと,我が国においては,社会状況等も踏まえると,中山間地域における農業という観点で,防災と環境,気候変動という影響を捉えてみたいということを私どもなりにも今調べたりしています。
もう一つ,江守委員から御指摘いただいたベンチャーキャピタルですとかベンチャー企業の動向というものをどういうふうに押さえているかということに関しまして,この俯瞰(ふかん)の中におきましては,本文の中では,今回の資料には含まれておりませんが,少しだけ紹介をしている事例がございます。
それを申し上げますと,例えば,民間非営利組織のXプライズ財団がやっているXプライズ,JAMSTECもチャレンジをされていらっしゃるものがありますが,そういう非常に夢のある技術開発コンテストに対して,環境エネルギー分野としてどういうテーマ立てがあるかですとか,あるいは,世界的な実業家ですとか創業家の方々が連合体を作ったブレークスルー・エナジー・ベンチャーズというような取組,ああいったところでも,やはり環境エネルギー分野に関連するテーマが採択されているものがありますので,そういうところでどういうものが興味を持たれているかというのは少し記載をさせていただいております。
ただ,それだけに限らず,やはりエネルギー分野も環境分野も非常に多くの先進的な取組というのがあるものですから,そこはできるだけ注意はしていきたいとは思っているところです。
今回の資料におきまして,1点だけ,その点では言及させていただいておりましたのは,スライドの13のこの直接空気回収技術のところに上げさせていただいた幾つかの会社です。こちらも幾つかは,私どもが把握しているものとしては,大学発のベンチャーが長年,この実装に向けて取り組んでいらっしゃる事例というふうに認識しております。こういったところは,多分,国のお金もかなり入っているであろうということを推察していますが,十分にそこは押さえ切れてはおりません。
一方で,こういった取組が今,ボトルネックとして抱えているのが,そのコストの問題ですとか,そういうところをどうクリアしていくかというところに取り組んでいる様子だということは調べたりはしているところです。
御指摘いただいた大変重要なところで,今後の俯瞰(ふかん)活動に生かさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【高村主査】 ありがとうございます。
事務局から何かございますか。
【三木課長補佐】 ありがとうございます。私自身,この10期の委員会が,科学技術の個別技術だけの議論にならないようにということで意識をしてやっていきたいと,事務局側としては思っているところです。それは,いろいろな先生方に入っていただいているという,この状況を見ていただければ,そこの意志はある程度分かっていただけるかというふうに思うところではあるのですけれども,まさしく社会自体がどうやって動いていくかとか,それがどういうふうに社会実装までつながっていくかという,この社会実装というのも,今の先生方のお話を考えたときに,単純にそう簡単に出ていくわけではない中で,どういった過程を経て,それを文科省として支援していくのかであったり,我々自身がそれを技術開発の中でどういうふうに組み込んでいくか,そういうことも考えながら,先生方からいろいろ御知見を頂きつつ,また,我々自身も勉強しながら進めていければと思ってございますので,今期,よろしくお願いできればと思います。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,最後の議題ですが,議題(5)のその他に参ります。
本日予定されている議題は以上ですが,何か委員からございましたら,お願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは,最後に,文部科学省から研究開発局の佐伯局長にお越しいただいておりますので,御挨拶を頂きたいと思います。佐伯局長,どうぞよろしくお願いいたします。
【佐伯研究開発局長】 恐れ入ります。本当に最後の最後になって参りまして,大変な遅参で,失礼いたしました。
もう既に事務局を含めて,いろんなお話があったと思いますが,今,パリ協定に基づく長期戦略,あるいは,それを踏まえたイノベーション戦略の議論が進んでおりまして,非常にこの分野は,旬で,なおかつ,社会的な関心も高くなっておりますので,この委員会での御議論というものに大変期待しておりますし,また,その結果をしっかりと踏まえて,政策を進めていきたいと思っています。
実は,遅参した理由の一つが,この直前まで,記者会の各メディアの論説委員の方々との懇談会がありまして,そこは科学技術白書と,それから,研究力向上改革2019という研究力をどう向上していくかということをまとめたプランの紹介に関して議論してきたのですが,そこでも,懇談なものですから余り内容は御紹介できませんが,かなり辛辣な批判も含めて,いろんな御議論がありまして,研究費の在り方はどうなのか,あるいは,評価が少々過剰になっていて非常に大学が疲れているという話がございました。
その一方で,大学,大学院の出口管理が出ているのか,そこで学んだ博士課程,博士を取る方々が本当にどのぐらいの能力を持っているのかというような指摘もございまして,企業や社会との関係はどうなるかというような,かなり現場目線と言ったらいいのでしょうか,いろんな御指摘がございました。
ただ,その議論を聞いた後でここに来て,最後の方の御議論を伺っていますと,正にこの環境エネルギーの分野というものは,それを一つ体現している場所といいますか,先ほど主査の話もありましたけれども,まず,アカデミアとしてどういう貢献ができるかという視点もありますが,同時に,産学官金も含めた,それらが一体となって作業をすることによって,初めて様々なイノベーションを生み出すということもあるかと思います。
その意味で,皆様方の御議論の中で,そういった幅広い連携も含めて,日本としてのこの環境エネルギーの部分で将来を作っていく,あるいは,世界に貢献していくというものを少しでも作り上げていけたらと思っておりますので,そういった視点も含めて御議論をお願いできればと思います。
本当にきょうはありがとうございました。
【高村主査】 佐伯局長,どうもありがとうございました。
それでは,最後に,事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。
【加藤係長】 本日,公開部分の議事録は,後日,事務局よりメールで委員の皆様にお諮りした後,文部科学省ホームページに掲載することで公表させていただきますので,よろしくお願いいたします。
また,旅費手当に関する諸手当の請求に当たっての確認についてという紙をお配りしておりますので,御確認いただきまして,お帰りの際に事務局に御提出ください。
今期より新たに委員に御就任の先生方におかれましては,事務手続に関する委任状もお配りしておりますので,併せて御確認の上,御署名いただき,御提出をお願いいたします。
次回の委員会は,来週27日,月曜日,午前10時からとなっております。引き続き御議論のほど,よろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
【高村主査】 ありがとうございます。
それでは,これをもちまして,本日の環境エネルギー科学技術委員会の第1回会合を閉会いたします。また来週,よろしくお願いいたします。本日は,どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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