令和8年1月22日(木曜日) 14時00分~(最大2時間程度)
対面及びオンライン会議の併用
富田章久主査、小林研介主査代理、青木隆朗委員、川上恵里加委員、丹治はるか委員、早坂和弘委員、畑中美穂委員、山田真治委員、山田真希子委員
田渕敬一量子研究推進室長、坂元亮介室長補佐、安井里沙機構・総括係長 他
【富田主査】 それでは、議題(2)に移ります。議題(2)は、議事運営についてです。
事務局より説明をお願いいたします。
【安井係長】 ありがとうございます。
本議題におきましては、量子科学技術委員会の運営規則及び量子科学技術委員会の会議の公開に関する手続について審議を行っていただくものです。それぞれについて御説明いたします。
まず、資料2-1にございます量子科学技術委員会運営規則(案)についてです。こちらは量子科学技術委員会の事務的なルールを定めるものです。
例えば、第2条のところにおきましては、小委員会ですとか作業部会を委員会の下に特定の事項を調査するために置くことができるという内容ですとか、第3条におきましては、委員会につきましては、委員会に属する委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができないことですとか、第4条におきましては、書面による議決に関する取決めがございます。第5条につきましては、委員等の欠席に関する規則を設けております。第6条に関しましては、会議の公開のルールについて定めるものになります。第7条におきましては、議事録の公開に関するものを定めるものになります。こちらの内容を、運営規則(案)として御提案させていただきます。
次の資料2-2を御覧になっていただければと存じます。こちらは量子科学技術委員会の会議を公開するに当たりまして、その手続について定めるです。
第1項では、こちらの会議につきましては、文部科学省のウェブサイトに情報を掲載することなどを定めております。また、第2項では、傍聴に関する取決めを定めております。第3項に関しましては、会議の撮影ですとか録画・録音に関するルールを定めております。また、第4項にその他の項目について定めております。
簡単ではございますが、今回、量子科学技術委員会の運営規則(案)と量子科学技術委員会の会議の公開に関する手続について(案)を御提案差し上げるものです。御審議いただけますと幸いです。
【富田主査】 ありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
ないようでしたら、本案を本委員会の運営規則などとして決定してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【富田主査】 ありがとうございます。それでは、異議なしとして決定いたします。
続きまして、議題(3)に移ります。議題(3)は、第13期の量子科学技術委員会の活動についてです。
こちらも事務局より説明をお願いいたします。
【安井係長】 ありがとうございます。
本議題につきましては、今回が初回になります第13期量子科学技術委員会の活動について審議をお願いするものになります。
一番最初のところ、第6期科学技術・イノベーション基本計画に対する取組というところを前提といたしまして、各部会・委員会に関する研究及び開発等に関しましては、昨今、量子科学技術分野は日本成長戦略本部の戦略分野に位置付けられるなど、産業競争力ですとか経済安全保障を確保する観点でも大変重要な技術領域でございます。こういった量子技術イノベーションの加速に向けましては、産業競争力の強化と並んで、基礎学理の探究から応用研究に至る研究開発や量子分野の人材育成などの更なる推進が不可欠です。
これらの観点を踏まえまして、下に黒い丸を2つ並べております事項を、本量子科学技術委員会の活動の主な部分として定めたいと考えております。
1つ目が、量子技術に関する研究開発及び人材育成等の在り方、2つ目が、事業9年目、つきましては、次年度に予定しております「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」の中間評価等を審議することです。
また、自然科学の「知」と人文・社会科学の「知」の融合である「総合知」の創出・活用に向けたものといたしまして、政府全体の取組の進捗状況ですとか世界的な動向等も踏まえまして、本委員会におきましても適宜検討することといたしたいと考えております。
この内容について、ぜひ審議いただきたく存じます。
【富田主査】 ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、御意見などございますでしょうか。皆様から疑問点であるとか、こういったこともというようなことがありましたら、ぜひ。
早坂委員、どうぞ。
【早坂委員】 NICTの早坂です。2つ目についてちょっと御説明をお願いしたいのですけれども。
「総合知」の創出・活用に関して、ある程度具体的なイメージがあるような例を一つ挙げていただくとイメージしやすいのかなと思うのですが、この文章ではイメージできる範囲がちょっと少ないかなと思うので、何か事務局のほうでお持ちの例示があれば、お願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【安井係長】 ありがとうございます。
「総合知」につきましては、こちらの在り方についてもぜひ委員会の中でも御審議いただきたいと考えているところではございますけれども、やはり量子分野につきましては、基礎学理のところから、また、ユースケースについても大変幅広く想定されるものと考えております。ですので、量子技術分野につきましては、量子という分野のみならず、様々な分野との融合というところが考えられると思っておりますので、そういった部分を組み合わせるというところも含めまして、「総合知」というふうに考えているところでございます。
【早坂委員】 そうすると、学理的なところからユースケースまで含めて、全体の中で量子を含めた自然科学の「知」と、人文・社会科学の「知」が交わる融合的なところを総合的に捉えて今期検討していくという理解でよろしいでしょうか。
【安井係長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。
その上で、本委員会につきましては、やはり文部科学省としての役割というところを主眼に置きながら考えたいというところもございますので、社会実装ですとか、そういったユースケースの融合というところも踏まえながら、その中で、文部科学省、アカデミアとしての在り方ですとか、そういうところに焦点を当てて議論をしていきたいと考えております。
【早坂委員】 分かりました。ありがとうございます。
【富田主査】 量子技術を社会に広げていく際に、様々なことがあって、そういった意味での知のエコシステムといったものを考えていくというのは一つの考え方かと思います。
それからもう一つは、やはり社会科学的なことだけではなくて、人文科学的なところで、例えば、山田委員が御専門のような脳であるとか人間の意思決定といったところというのは、まさに量子と人文科学、心理学ですとか、そういったものが交わるところでありますので、そういったところでの新たな発展というのもフォーカスに入るとか、そういった理解でよろしいわけですね。
【安井係長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりでございます。
【富田主査】 何か山田委員から御意見とかはございますでしょうか。
【山田真希子委員】 ありがとうございます。
量子論は「観測」と「記述」の在り方を問い直してきた学理でもあり、量子計測・量子センシング、量子材料・計算等を通じて、生命現象の理解や医療・創薬の高度化につなげる「量子生命科学」の展開も重要になっています。加えて近年では、意思決定や判断の文脈で量子確率の枠組みを応用する「量子認知」も発展してきています。こうした学理・技術・数理を、生命・人間・社会の課題設定や評価の議論につなげられる点は、「総合知」の観点でも意義があると考えます。
【富田主査】 ありがとうございます。
他に何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
量子技術が研究開発及び人材育成と大変広いテーマをやっておりまして、何でもありなのかなというところもありますけれども、特に何かこういったところに重点を置いたほうが良いとかというようなことがもしございましたら、御意見いただければと思いますが。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。
人材育成というところが、やはり今かなり重要になってきていると考えております。というのも、今、社会実装に向けて、量子技術がいろいろな企業等でも実際に開発の対象となってきているのですけれども、そういった中で、若い研究者になり得る方々がやはり産業界に出ていく。これは喜ばしいことではあるものの、そうすると、基礎研究を担う若手の研究者が減っていっているというところも、どうしても別の側面としてあるかと思っておりまして、結局のところ、やはり入り口、もっとさらに若い世代、大学生もそうですけれども、もう中高生からそういった基礎的な部分にも目を向けた教育とか、あとは、体験の機会なんかを重点的に設けていくことによって、その先で、もちろん基礎科学に興味を持っていただくのでも良いですし、企業、産業界に入っていただくのでも良いのですけれども、そういった幅広い興味を持ち得る人材というのをかなり早い段階から育てていくのが重要かなと思っております。
【富田主査】 大変重要なポイントであると思います。これから、量子も含めてですけれども、いかに若い人たちに対して、基礎科学分野に対して興味を持っていただくかということが大事になってくるというのは確かで、また、量子というのは、どうしても、皆さん御承知のとおり、なかなかイメージしづらくて、入ってくる人に障壁があるかなというふうに言われているものですから、その辺りも含めて、どのようにしたら良いかということも、ぜひこれから機会を持って考えていければと思います。
【小林主査代理】 東京大学の小林です。
2番の自然科学と人文・社会科学の融合である「総合知」というのは非常に幅広いと思うのですが、こういうものの中に、例えば、量子科学技術というのが人類にとってどういう良い影響、多分悪い影響があってはいけないと思いますが、ただ、そういった正と負、どういった影響を与えるかという大きなビジョンというのはきっと議論する必要があると思っていて、それはやっぱり(2)に入ってくるという理解でよろしいんでしょうかね。
【安井係長】 おっしゃるとおりと考えております。
【小林主査代理】 ありがとうございます。
【富田主査】 ありがとうございます。
【山田真希子委員】 山田です。今の観点は重要だと思います。量子科学技術が社会に与える影響については、便益だけでなくリスクも含めて、どの場面で、誰が、どの程度、どの技術を利用することを許容できるのか、また当事者として使いたいと思えるのかといった受容性・社会需要性を、技術開発と並行して検討していく必要があると考えます。そのためにも、ELSIの観から、必要に応じて専門家の知見を伺い、相談できる機会を設けることが有益ではないでしょうか。
【富田主査】 ありがとうございます。
この今後の活動に関しては、また後で最後のときに少し時間を取りまして詳しくお話しいただきたいと思いますので、またその折にでもぜひよろしくお願いいたします。
それでは、今回の事務局の提案に関しまして、特に修正等はないと考えておりますけれども、よろしいでしょうか。細かい字句に関しましては、主査の私に一任していただければと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【富田主査】 ありがとうございます。それでは、異議なしといたします。
それでは、続きまして、議題(4)に移ります。分野別研究開発プランの変更についてということですが、こちらについても事務局より説明をお願いいたします。
【安井係長】 ありがとうございます。
本件議題につきましては、量子科学技術分野研究開発プランとして定めております2つのプランに関しまして一部変更を行いたく、審議をお伺いするものでございます。
まず、背景について御説明いたします。
本会議の親会議でございます研究計画・評価分科会におきましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画も踏まえまして、文部科学省において重点的・戦略的に推進すべき研究開発の取組や推進方策を定めるために、分野ごとに「分野別研究開発プラン」として分野別の委員会、今回で言いますと量子科学技術委員会で作成いたしまして、研究計画ですとか評価分科政策を決定することといたしております。
上記の運用に基づきまして、量子技術委員会では令和4年に「光・量子技術分野研究開発プラン」及び「量子ビーム分野研究開発プラン」を策定しております。これに基づいて中間評価等を進めてまいりました。これらのプランにつきましては、参考資料としてお送りしておりますので、御参照いただければと思います。
「量子ビーム分野研究開発プラン」を含みます量子ビーム関連政策につきましては、量子科学技術委員会の下に量子ビーム利用推進小委員会を設置いたしまして、この委員会で議論を実施してまいりました。
次に、審議体制の変更についてです。
令和7年度からは、量子ビーム利用推進小委員会の調査検討事項であった先端的な量子ビーム技術の高度化及び利用促進方策については、科学技術を支える先端的な研究施設・設備等の研究基盤の整備・共用・高度化や複数領域に横断的に活用可能な科学技術に関する重要事項について審議する科学技術・学術審議会研究開発基盤部会の下に置いております量子ビーム施設利用推進委員会で議論することとなりました。
こういった背景を踏まえまして、これまでの御説明のとおり、先端的な量子ビーム施設の高度化及び利用促進方策の審議・評価の実施主体が整理されましたことから、現行の「量子ビーム分野研究開発プラン」、この委員会で定めておりますプランで扱っております特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律に基づく大型研究施設(Spring-8/SACLA、J-PARC、NanoTerasu)の評価等につきましては、量子ビーム施設利用推進委員会で一体的に審議することとさせていただきまして、現行の「量子ビーム分野研究開発プラン」としては、廃止することとしたく考えている次第でございます。
こちらの内容について、ぜひ審議いただけますと幸いです。
【富田主査】 ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、御意見などございますでしょうか。令和7年度より別の組織体で、量子ビーム施設利用推進委員会で量子ビームの運用に関しては一体的に議論するということで、本委員会ではそちらのほうを外すことになるということでございます。特に御質問、御意見等はございますでしょうか。
どうぞ。
【川上委員】 理研の川上です。
この新しい変更は、とても良いと思っております。と言いますのも、これまでSPring-8、J-PARC、NanoTerasuの評価をこの委員会の中で行うということがあったのですけれども、私は個人的に専門から大きく離れているので、他の委員の方もそうだったかなと思うのですが、どのように評価すれば良いか分からないということがあったので、とても良い変更だなと思いました。
【富田主査】 ありがとうございます。
他に御意見、御質問などございますでしょうか。
ないようでしたら、こちら、本案にて、分野別研究プランの変更ということで御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【富田主査】 ありがとうございます。それでは、こちらは原案のとおりといたします。
最後になりますが、議題(5)に移ります。量子技術に関する動向についてです。
こちらに関しては、まず、文科省研究振興局基礎・基盤研究課量子研究推進室の坂元室長補佐より御説明をお願いいたします。
【坂元補佐】 よろしくお願いいたします。改めまして、文部科学省基礎・基盤研究課量子研究推進室の室長補佐をしております坂元と申します。よろしくお願いします。
まず冒頭、現在取り組んでいる政策について御説明させていただきます。
今回このようなものを設けている趣旨としましては、冒頭、室長の田渕からもお話しさせていただいたとおり、当省で進めているQ-LEAP事業等も来年度で9年目を迎え、また次の政策を考えていくという段階になっているところ、これまで10年程度のいろいろな動きがある中で、どういったものを捉えていくべきかというところで、現状我々も課題認識として、ページ1にお示ししたような課題認識を持っているところでございます。こうしたところに関して先生方の御知見や御意見をいただければと思っておりまして、そのためのまず背景として、この量子技術に関する政策動向について御説明させていただければと思います。
課題認識のところはまた最後に出てきますので、改めて詳細を御説明できればと思いますが、大きくは、量子技術分野の研究開発の現状であるとか、先ほど少しお話もありましたが、量子技術分野の人材育成の在り方、それ以外にも、分野横断的な連携の在り方だとか環境面での課題、また、制度的・構造的課題もあるかと思いますので、その辺りの御知見等いただければと思っております。
それでは、早速、まず政策動向について御説明させていただければと思います。3ページ目から御説明させていただきます。
日本の量子政策の流れとして、過去10年程度の動きを御説明させていただければと思います。まず2016年に定められた第5期科学技術基本計画において、初めて量子技術が重要な基盤技術として位置付けられ、文科省として初めて体系的な取組方策を2017年にまとめております。その後、文科省から量子技術に関する検討というものを始めていおり、内閣府の方でも量子技術イノベーションに係る有識者会議を設定しまして、2020年には、この会議から「量子技術イノベーション戦略」として、国として初めて量子技術の研究開発に係る戦略を出させていただいております。さらに、その2年後に、最初の戦略に関しては研究開発に関するところが主だったものだったのですしたが、実現すべきビジョンや目標、社会的な側面も含めて検討すべきということで、「量子未来社会ビジョン」というものを定めております。
さらに、次のページにいっていただいて、この未来社会を実現していく上で、量子技術の実用化・産業化といったところの戦略も必要だろうということで、2023年には、「量子未来産業創出戦略」を取りまとめております。その後、また毎年いろいろな文書を出しているところではあるのですが、2024年、2025年には、この戦略をどう実現していくかというところで、推進方策をそれぞれまとめております。2024年の段階では国際的なグローバルな視点を入れていく、2025年においてはエコシステムの構築といった観点から、それぞれの文書を出させていただいております。
そして、冒頭にも話がありましたが、昨年の11月には、日本成長戦略という、現在の政権において検討すべきとなっている戦略において、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、産学連携、国際標準化といった多角的な視点からの総合的支援を行う戦略分野の一つとして、量子分野が位置付けられており、過去10年間で、この「量子」が大きく政策的にも取り上げられるようになってきたという経緯がございます。
次のページ5に関しましては、今述べさせていただいたそれぞれの位置付けを大きく整理しているものでございます。詳細はこの後の資料で御説明させていただきますが、現在この3戦略と推進方策ができているところ、この検討自体は成長戦略との兼ね合いもあるかと思いますが、現状、令和8年度において内閣府の方においてもこの戦略を統合して、抜本的な見直しを実施するというような状況になっているところでございます。
6ページ目からは、それぞれの戦略のもう少し詳細な説明をさせていただきます。
内閣府で令和2年に定めております「量子技術イノベーション戦略」に関しましては、量子技術を、将来の経済・社会に変革をもたらし、安全保障の観点からも重要な基盤技術であると位置付けております。その中で、我が国においても「量子技術イノベーション」を明確に位置付けて、日本の強みを生かし、重点的な研究開発や産業化・事業化を促進することを目指すということで戦略を策定し、トップを目指すところとして、量子コンピュータのソフトウェア開発や量子暗号などといったところで定めています。
これを実現するために5つの戦略として、下に書かせていただいているこの5つを示しました。特にポイントとして、重点領域の設定として、「主要技術領域」、「量子融合イノベーション領域」を定めて、量子コンピュータ、量子通信・暗号、量子AI、量子セキュリティといったものを分野として特定しております。
また、量子拠点の形成というところで、これも後ほど資料としてはございますが、「量子技術イノベーション拠点」という国際ハブを創っていこうということを示して、現在こうした政策も進めてきております。
国際の視点ということについても、多国間・二国間の協力枠組みを早期に整備していこうということを重点推進項目として定めております。
次のページ7に示しているものは、この量子技術イノベーション戦略において、量子技術イノベーション戦略が対象とする技術範囲として定めているものでございます。これは後ほどお示しする課題認識のところの参考になればというところで、資料としてつけさせていただいておりますが、先ほど述べさせていただいた重点領域として中心になるような量子通信・量子暗号、量子情報処理、量子計測センシングというところと、また、融合領域として、量子セキュリティ、AI、量子生命技術といったところがこの戦略において特定されているところでございます。
続いて、令和4年に定めております「量子未来社会ビジョン」、8ページ目になります。こちらはコロナ禍におけるDXの進展やカーボンニュートラル、また、量子コンピュータの研究が急速に発展してきたといったところから、急激に変化する社会環境に対する量子技術の役割が増大しているだろうというところがございました。そうした中で、経済安全保障上も量子技術が極めて重要な技術であるということから、量子技術による未来社会ビジョンやその実現に向けた戦略を検討するというところをもって、未来社会ビジョンが策定されております。
今回、この中では具体的2030年に目指すべき状況として、下に書かせていただいている3つを定めていまして、なかなか野心的なものではございますが、国内量子技術の利用者を1,000万人に増やしていこうということ、量子技術による生産額を50兆円規模にしていこうということ、また、未来市場を切り拓くユニコーンベンチャーを創出していこうということが目標として掲げられています。
また、推進していくために必要な考え方としては、中心に書いております古典とのハイブリッドや技術の利活用を促進するということで、テストベッドの整備、スタートアップを創出していこうというものを基本的な考え方としております。
続いて、令和5年の「量子未来産業創出戦略」に関しましては、この産業をどうしていくべきかという、目指すべき量子産業の方向性というものを定めております。特に、こちらは多様な産業の参画が必要だろうというところで、量子だけではなく、量子と他の分野に使ってもらうという状況からユースケースを創っていく、そして、そのためには、全ての産業が量子技術にアクセスして利活用できるものが必要だろうというところで、3つの視点、コラボレーション、アクセシビリティ、インキュベーションという視点を持って進めていくべきだということを定めているものになってございます。
続いて、この戦略を踏まえて、政府で実際どのような取組が進められてきたか、御説明させていただければと思います。
11ページ目になりますが、政府で現在どのような量子政策の推進体制になっているかといったところでございます。量子政策の司令塔としましては、戦略ロードマップを策定している内閣府(CSTI)でその役割を担っております。そこでは、先ほど申し上げた量子技術イノベーション拠点の連携の推進や、SIP・BRIDGE・ムーンショットといった事業の推進を行っております。
また、総務省においては、量子通信技術に関する研究開発及び社会実装を推進するというところで、代表的な取組としましては、量子暗号通信網に関する研究開発支援であるとか、量子インターネット実現に向けた要素技術の研究開発、QKDネットワークの技術実証といったところを取り組んでおります。
また、経産省においては、量子コンピュータ等の産業化に向けた研究開発に加え、ユースケースの創出といったところを支援しております。テストベッド環境の整備といったところもございまして、代表的な取組の中では、1ポツに書いてあるような次世代量子コンピュータ実現に向けた研究開発・人材育成・ユースケース創出のためのNEDOのプロジェクトであるとか、テストベッド整備というところで、産総研G-QuATの整備であるとか、スタートアップ、標準化といった取組も行っております。
文部科学省は、この中で基礎基盤的研究から応用研究まで幅広く中長期的な研究開発支援を実施する、また、大学・国研の研究基盤・人材育成を強化するということを行っております。取組については、後ほど詳細がございますので、そちらで御説明できればと思います。
これまで何度か述べさせていただいた量子技術イノベーション拠点(QIH)につきましては、ここに書かせていただいているとおり、基礎研究から技術実証、オープンイノベーション、知的財産管理、人材育成等に至るまで産学官で一気通貫に取り組む拠点として、令和2年の戦略において定められています。
また、ここから5年程度経ちまして、「量子エコシステム構築に向けた推進方策」では、それぞれの拠点自体は出来上がってきているものの、この拠点間の連携も必要だろうというところで、QIH内の連携を強化させて、エコシステムの土台を強固にすべきということが提言されております。こちらについては、令和7年度の内閣府の補正予算で連携強化をするという取組が進められているような状況でございます。
また、このエコシステムという観点では、産業化の動きも重要でございまして、直近のものとしましては、13ページになりますが、令和3年9月に新産業創出協議会ということでQ-STARが設立されまして、産業界主体の出口指向の取組を進めているところでございます。こちらも随時増加しているところのようではございますが、2025年11月の時点では、もう既に141社が加盟して動くということで、活発な動きがされているところでございます。
続いて、14ページには、国内の量子関連スタートアップの状況を示させていただいております。2017年までは2社程度だったところが、2018年にQunaSys等を設立され、現在、2025年のところでは16社以上のところに進んできておりまして、量子スタートアップの中身に関しましても、コンピュータに取り組んでいるようなOptQCや、ここには書かせていただいていないですが、Yaqumoなどが出てきておりますし、部材に取り組んでいるQuELや、量子センサに取り組むQuantum Zeroや、Type-I Technologiesといったところも出ておりまして、コンピュータ、ソフトウェア、量子センシング、いろいろな技術を実装に進めていくスタートアップというものも出てきております。
15ページに関しましては、国際的な動きになります。
令和2年のところで国際的な動きが重要といったところも出てきておりますが、昨年が国際量子科学技術年といったこともあってか、かなり多くの国が国際協力を重要な視点として持っておりまして、2025年だけでも6か国と協力覚書を結んで、また、今月に入りましても、シンガポールと内閣府の特命担当大臣の間で量子技術分野における協力覚書を結んでいるというところで、また、国際的にどう進めていくかというところも重要な視点になってきているのかなという認識でおります。
最後に、文部科学省の取組について御説明させていただきます。
17ページに文部科学省の量子技術に関する予算という資料をつけさせていただいております。全体額としては、基金として措置されている金額の按分額も含めて326億円と書かせていただいておりますが、横断的な取組として、JSTの事業であるとか、それぞれコンピュータ、セキュリティ・ネットワーク、ソフトウェア、計測・センシングといったところに対してQ-LEAP等の事業で支援をさせていただいている状況でございます。
また、イノベーション創出のための基盤的取組として、量子拠点の体制強化については、理研だとかQST、NIMSといったところを、それぞれ法人として施設整備等で支援させていただいていたり、JSTの協創の場形成支援プログラムによって、産学連携の拠点を構築するという取組も進めております。人材育成、アウトリーチ活動につきましても、Q-LEAPというプロジェクトの中で進めているところでございます。
ページ18以降に関しましては、当室で所管しております光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)についての簡単な概要を載せさせていただいております。
こちらは、文部科学省の量子に特化したプログラムとしては唯一のものかと思いますが、内容としましては、量子科学技術を駆使して、経済・社会課題の非連続な解決を目指すものとして立ち上げられまして、平成30年から最長10年間という長期的なプロジェクトになっております。
予算額の規模としましては、令和8年度の予算額として45億円となっており、支援内容としましては、3つの技術領域、量子情報処理、量子計測・センシング、次世代レーザーに関して支援をしております。中身としては、国産量子コンピュータの開発や量子ソフトウェア、量子AIといったところへの支援、また、量子センサによる脳磁等の測定や、それを生命に応用していくという取組も支援しております。次世代レーザーの部分では、加工技術等の支援をしております。
さらに、技術だけではなく、人材領域というところで、人材育成プログラムの開発・提供も行っております。
これまでの8年弱の取組の中で、どういった成果が出てきているかといったところがページ19以降になります。
19ページ目では、国産量子コンピュータの開発をしております理研において、2023年に初めて64量子ビットの国産実機を公開するというところに成功しておりますし、令和7年度、今年度中には、次世代機、144量子ビットのものの公開が行われる予定となっております。こうした量子ビット数を拡大するといったところに関しては大分進んできている中で、今後については、またエラー率の改善を目指す、質を上げていくといった研究開発にも取り組んでいくこととなっております。
20ページに関しましては、量子計測・センシング、次世代レーザーの領域における研究開発の状況でございます。
量子計測・センシングでは、「NVセンタ」を特に重点的に支援させていただいておりまして、その中で、脳磁計測や電気自動車の電池モニタというところへの実証支援が進んでおりまして、こういったところは一部企業とも連携するような状況になってきております。
また、次世代レーザーのところでは、AIと学理両面からレーザー加工技術の開発を進めていくところを支援しておりまして、加工技術によって赤外吸収フィルターを作製しまして、そちらが世界で初めてミリ波宇宙観測望遠鏡に実装されるというような成果の創出にも至っているところでございます。
背景の説明としては最後になりますが、21ページに人材育成の状況について書かせていただいております。
人材育成については、これまで幾つかのプログラムを進めきておりますが、それらは今年度で一旦区切りになるので、令和8年度からまた新しい取組というところも開始しようとしておりまして、左側がこれまでの取組、右側の緑の部分が新しい取組となっております。
これまでのQ-LEAPでの人材育成のところでは、コンテンツ開発を中心に支援しておりましたが、令和8年度からは、新たに高校生や高専生によりアプローチといったところを重視していくプログラムであるとか、量子技術分野の出口、ユースケースの話もありますが、出口の重要性も増してきているところを踏まえて、それを支援するようなプログラムを実施していければと考えております。
緑のところが具体的なプログラムになります。1つ目の量子人材の活躍機会拡大プログラムに関しては、量子人材の出口拡大を目的としまして、量子技術の活用や産業化に関心がある企業と量子を学んだ学生をはじめとした人材をマッチングさせるためのプログラムを通じて、企業の中でも量子が分かる人材を増やして、ユースケース拡大等に取り組んでいければと思っております。
また、高専エンジニアリング人材育成事業につきましては、コンピュータ等を開発して進めていくためには、実際に手がより動くエンジニア人材といったところの重要性も増してきているという声も聞いておりまして、そうした基盤を拡大するために、高専において量子技術を体系的に学ぶためのモデルカリキュラム等を整備するための支援を行えればと考えております。
最後、先ほど少しお話もありましたが、もう少し若年層の段階から量子技術に関心を持っていただくというところで、また、量子分野はどうしても学科レベルであるというよりも、やっぱり研究室を知っていないとなかなか学習ができないというようなところの声もあるので、高校生の段階でそういったところを知ってもらうことも重要ではないかというところで、進路選択等の検討ができる機会を提供するために、高校生向けにプログラム開発や、実際に出前授業を通じてアプローチしていくような取組ができればということを今考えているところでございます。
以上が量子技術政策のこれまでの背景であるとか、文部科学省で行っている取組になります。
こうした背景等も踏まえまして、我々としては今後どういう展開をしていくべきかといったところを考える上での課題認識として、22ページに示させていただいていることを考えております。
1つ目、量子技術分野の研究開発の現状の部分に関しては、過去5年から10年間の量子技術分野、いろいろな進展があったと思いますが、その中で特に注目して捉えておくべき動向や、研究環境等がどのように変わってきたか、また、社会実装に向けていろいろ進んできているところではありますが、その中でまだどのようなギャップがあるか等でいろいろ御知見等いただければなと思っております。
また、国際動向等を踏まえて、先ほど示したところで、量子技術とはこのような範囲を対象にしますといったところもありましたが、昨今の研究トレンド等を踏まえながら、新たに創出されつつある研究領域や、重要性が増している領域等があるというところであれば、その辺りの御知見もいただければなと思っています。
プレーヤーも、産業界の参入拡大であるとか国際的な連携の動きも出てくる中で、こういうプレーヤーの多様化が進む中で、アカデミアとしてどういった役割を担っていくべきかといったところについても御意見いただければと思っております。
人材育成に関しましては少し述べましたが、量子教育の現状がどのようなところにあって、そのための課題としてどのようなものがあるか、例えば、学部・大学院教育における位置であるとか、分野横断のところが必要ではないかといったところ、また、ここだけに限られるものではないですが、こういった視点等から御意見いただければと思います。
最後、その他に関しましては、大学間、産学官、国際といった分野横断・組織横断の連携の状況であるとか、研究開発を進める上で、研究環境面、設備だとか、計算資源へのアクセスだとか、そうしたところも重要かと思いますので、環境面としてこういったところの整備が必要だというところがもしあれば、御意見いただければと思います。
また、それ以外に関しましても、制度的にこういったところがなかなか進める上で課題だとか、構造的課題といったものがもしあれば、御意見いただければと思います。もちろん、これだけに限らず、いろいろ日頃の中で感じられている課題だとかがございましたら、いろいろ御知見いただければと思っております。
少し長くなりましたが、以上になります。
【富田主査】 ありがとうございました。
それでは、これから、ただいまの説明を踏まえまして、意見交換をお願いしたいと思います。
本日、特に何かを決めるというものではなくて、これから議論を進めていく上で論点を出していくというのが主な目的かと思いますので、できるだけ幅広にいろいろな意見を言っていただければなと思います。
また、本来はテーマごとに順番に話をするというのも一つのやり方かもしれないのですが、取りあえずは皆様から思うところをいろいろと、今回文科省の問題意識も含めて、お考えを聞かせていただければなと思っております。
それでは、皆様からの御意見をいただきたいのですが、とは言いつつ、取りあえず文科省の課題認識にあるとおり、量子技術の研究開発、ここ10年間ぐらいで大きく状況は変わってきていまして、量子コンピュータも、インスパイアみたいなものから、NISQ、そして、さらにはFTQCがそろそろ見えてきているという状況もありますし、他の分野でも、量子計測分野、センシングも実用化がかなり見えてきていると。そういった状況がある中で、どのように我々として、アカデミアの立場から、こういった社会に対しての貢献をしていくかといった辺りをまず考えてみたいと思います。
それから、あともう一つは、産学連携、国際連携といったことも含めて、どのように研究開発を今後進めていくべきかといった辺り、これについても、御意見というか、問題意識というものを共有していきたいと思っております。
ということなのですが、皆様、何か御意見。どうぞ。
【山田真治委員】 日立の山田です。ありがとうございます。
私自身は、CRESTやQ-LEAPなどの事業で、この10年ぐらい、横から量子技術分野の進展を見させていただきましたけれども、すばらしい進歩があったと思います。
これまでの状況を私自身の勝手な整理で言うと、10年前は本当に特殊なイノベーターと言われる人が量子に取り組んでおられ、文科省とか国のプログラムを使ってどんどんと裾野を広げていって、アーリーアダプターと言われる人たちが入ってきてくれているのが現在。今後、これをアーリーマジョリティにどうやって移していくかというのが、まさに考えないといけないと思っています。
その点において、意外とまだやるべきことがあるかなと思っています。そもそも論のところで、量子技術とか量子人材と言われるものが、定義やどういう意義や価値を持っているかを説明する努力をもっともっとしないといけないのではないかなと。
別な言い方をすれば、アーリーアダプターまでは、どちらかというとキュリオシティ・ドリブンというか、わくわくドリブンみたいなもので、そういう資質を持った方が飛び込んできたと。だけど、これからはやっぱり、ちょっと表現は分からないのですが、もう少し合理的というか、イノベーション・ドリブンというか、一体どんなイノベーションが本当に起こりそうだというようなことを頭で理解できるようになると、先ほどのマジョリティの人たちが関心を向けてくれるのではないかなと思います。まさに、課題認識で挙げられている社会実装もそうですし、人材育成にもそのベースとして、今申し上げたようなことにも取り組んでいただけたらと思います。
以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。
これからの産業化も含めて、どういった人を呼び込んでいくかというのは重要な課題かと思います。量子技術というものそのものを進めていく人材が必要なのはもちろんですけれども、それをいかに社会に伝えていくかといった人々、それから、それを社会の中で、言葉は悪いですけど、メイクマネーしていく人たちということですね。そういった人たちをいかに育成していくか、あるいは、呼び込んでいくかというのは、一つの課題かと思っております。そのために、我々はどういったものを見せていくべきかとか、そういったところはこれから重要かと思うのですが。
【早坂委員】 NICT、早坂です。今の山田委員の御発言にちょっと質問をしたいのですが。
そうすると、ちょっと思い浮かぶのが、量子コミュニケーターとか、そういった人がいて、うまくその価値とか大切なところを一般社会に向けて話してくれるのは一つだと思うのですが、山田委員が思っているのは、そういったものも一つ入りますか、あるいは、もっと別な方向になっていくかということをお聞きしたいんですが。
【山田真治委員】 例えば、今、量子技術や量子人材と言っているときに、恐らく言う人によって違うことを思っているかもしれない。例えば、量子人材とは、量子技術を使う人なのか、量子を深く考える人なのか。量子ネイティブとは、理屈は分からなくても量子のプログラムを組めるよという人をいうのか、量子論に遡って考えて、そちらの方向からイノベーションを起こす人なのかも、私自身の勉強不足ですけど、恐らく定義されていないのではないかと思います。
それから、量子というのも、これは致し方ないところはあるのですけれども、こんなことが起こるかもしれないよねというSF的な描写を少し添えているだけで、もう少しリアルなところに引き戻したところでのイノベーションの可能性のアピールが欲しい。量子が万能で、あらゆることが夢のようにできるとは、それは思ってはいけないことなので、見識を持って制約条件を設けた上で、真摯に量子の価値というのを見極める必要があると考えます。
ですから、量子研究とか量子産業に関わる人が増えれば良いというよりも、その手前のそもそものところがちょっと気になっているということです。
【早坂委員】 なるほど。そうですか。そうすると、量子技術自体の研究というよりは、それから一つメタレベルに立って、それがどういうのに役立つのかとか、そういったところが今まで考えてこられなかったのではないかという疑問があって。
【山田真治委員】 もう一回考えても良いのではないかということのほうが正しいかもしれません。もちろん、国でしっかりと戦略を立てられて、この5年、10年走らせてきて、これ、良い方に行っていると思うのですよ。なので、フェーズが変わるこの時点で、原点をもう一回再確認してみるというのは、意味のあることではないかなと思います。
【早坂委員】 なるほど。そうすると、私としてイメージするのは、量子を盛り上げましょうと言った時に、じゃ量子人材を増やしましょうという感じで、みんな思っていることがばらばらなのだけれども、ついそう言ってしまうのだけれども。
【山田真治委員】 ちょっと待ってという。
【早坂委員】 そこで、本当の価値はどういうところにあるのかとか、どこでイノベーションが本当に起きそうなのかというのをもうちょっと真剣にディスカッションして、訴えていくのが良のではないかという問題意識ということですね。
【山田真治委員】 そうです、そうです。
【早坂委員】 分かりました。ありがとうございます。
【山田真治委員】 決して今の動きを止めようということは全く申し上げておりません。
【早坂委員】 ありがとうございます。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。今の山田委員と早坂委員の御意見に関連してなのですけれども、私も実はQ-LEAPの人材育成に過去に関わらせていただいておりまして、そのときは実験キットの作成を行っていたんですけれども、その趣旨としましては、もちろん大学の研究室レベルで量子技術の研究に携われる方たちというのはもう大いにそこで専門的にやっていただいたら良いと思うのですけれども、そうではなくて、そういったリソースにアクセスできないような方たち、企業の方たちであるとか、もしくは、それこそ高専生であったり高校生であったりという、まだその段階まで達していないような方たちにも、全てを体験していただくことはもちろん難しいのですけれども、ちょっとその一部を手を動かして一回自分でやってみるという経験、体験を通して、少しでも身近に感じていただくことができたら、もうそこで入り口がつくられていて、そこから興味を持ってもう少し先に進んでいただけるような基盤ができるのではないかと考えて、そういった形の実験キットを開発しておりました。
そのときに考えていたのが、やはり先ほど山田委員もおっしゃっていたとおり、もちろん量子技術に興味を持って、それを勉強したいというすごく強い志を持っていらっしゃる方たちも非常に重要な一方で、実際最終的に量子技術に関わるかどうかは分からない、もしくは、全く違う分野で活躍されるような方たちが、それでもそこに至るまでの人生のパスのどこかで量子技術に関する何らかの知識とか体験とかに触れられていれば、そこが量子とのつながりになり得るのかなと思っていて。そうすると、社会のいろいろな部分にいらっしゃる方たちが緩やかにでも量子技術とコネクションを持っているような状態で、そういう社会が出来上がった中で、量子技術をどうしていくかというような議論ができると、より有意義な、ある程度イメージを持っていろいろな分野の方が量子技術について議論できるというような素地ができるのではないかなと思っておりますので、先ほどの御指摘は非常に重要だと思います。
ありがとうございます。
【小林主査代理】 多分今の話の流れと関連していると思うのですが、今日これまでの歩みをとても丁寧にまとめてくださって、非常に良い資料であると思います。まずは、本当にありがとうの御礼を申し上げます。
それで、3ページとか4ページというのを見ていると、この10年にわたって文科省の方が本当にいろいろな手だてをされてきていて、それが非常にうまくかみ合って、時代の流れともマッチして、非常に良い形でこのような現状を生み出してきているんだなということが、3ページと4ページを見て非常によく分かります。私も大学でこういった量子関係の研究をしている者として、非常にありがたいと思っております。
それで、5ページ目の方で、令和8年度にこれらの戦略の統合及び抜本的な見直しを実施予定というのは、きっとこの流れを踏まえた上でどうしていくかということではないかと思っているのですが、あるいは、そもそも量子とはどういうことですかみたいなことも踏まえているのかなとも思ってはいるのですが、ちょっとここの部分をお伺いしたいですね。抜本的な見直しを実施予定ということの背景、その心というか、その意図、なぜ必要か。多分ここで議論になっていることとすごく関わりがあると思うので、お伺いしたいなと思います。
【坂元補佐】 ありがとうございます。
こちらの議論に関しましては、内閣府にある量子技術イノベーション会議において今後議論されていく予定のものではございますが、最初にできた量子技術イノベーション戦略というものが令和2年というところで、そこから5年以上期間がたってきている中で、ここに関する技術ロードマップ等をここでは策定しているのですけれども、その技術ロードマップも改めて見直していく必要があるのではないかといったところもありまして。
また、今戦略が幾つか分かれているところではありますが、文書が5個と増えてきている中で、それはやっぱり一体的に、先ほどありました全体を俯瞰して見直す必要があるだろうといったところと関連するのかと理解しておりますが、そうした文書がいろいろある中、それを統合的に見て、きちんと戦略を立てるべきというような視点から、この量子技術イノベーション戦略というものを見直すべき段階にあるのではないかというような議論が今なされているという理解をしております。
【小林主査代理】 なるほど。また続けて、東大の小林ですが、そこは本当に大事なところだと思っていて、多分、過去10年ぐらいで非常に大きな進展があったからこそ、さらにそれを進めるにはどうしたら良いかということで、きっとそういう意味で抜本的という言葉を使っていると。
そのときに、量子技術とか量子ネイティブ、量子人材、そういったものが一体どういうことをイメージしているのかというのを国として考えるという部分は、きっとここにも入ってくるということですよね。そこはものすごく大事なポイントで、それこそ最初に総合知と言いますか、やはり量子というものが人類をどれだけ豊かにできるのかというところだと思うのですよね。だから、ここの部分でどういうふうに決めていくか、誰がどのように決めていくかという部分に関して、ここは結構大事だなと私は感じております。この辺はどのように実施することになっているかというのは、多分、現段階では分かっていないのですよね。
【坂元補佐】 そうですね。現状、明確にどういう段取りでというのはまだ決まってはいないところではありますが、こうした戦略の見直しと、今回ここで議論いただくようなことは、ある程度接続というか、連携しながら進めていく必要があるかとは思っているところでございます。
【小林主査代理】 どうもありがとうございます。
【山田真希子委員】 QSTの山田です。
量子技術の進歩を社会的アウトカムと結びつけて捉える観点として、ウェルビーイングにどのように寄与しえるかを整理することは有用だと感じました。量子技術は、必ずしも幸せを直接生むというより、社会の選択肢を広げる基盤技術として働く面が大きいのではないかと思います。
例えば、量子センサの医療・創薬への応用は健康・安心に、量子暗号は社会の信頼に、材料探索などはエネルギーの持続可能性に結びつく可能性があります。一方で、格差、プライバシー、過度な期待といったリスクも想定されます。
そのため、技術の性能指標に加えて、例えばウェルビーイングをアウトカムとして組み込む評価設計を検討できると良いのではないか、という問題提起です。
【富田主査】 ありがとうございます。
今後どのようにこの戦略を、これから見直していくかということについて、一つ評価軸を与えることと思います。
お待たせしました。青木先生、お願いします。
【青木委員】 早稲田大学の青木です。
量子人材の育成に関して、丹治先生も会議の冒頭でおっしゃったのですけれども、大学院生、大学生よりももっと若い世代、中高生とかにアプローチして、彼らに量子を知ってもらうというのは非常に重要だというのは、私もそう思いまして、21ページに、R8年度は新たに高校生や高専生にアプローチするプログラムを実施することを予定しているとあって、これは非常にすばらしいことだと思うので、ぜひ積極的に進めていただければと思います。
例えば、高校生向けの人材プログラム、ここに書かれていることは、こういうことを通して量子を知ってもらうと。その時に、知ってもらうことで、先ほどから議論されているような量子がどういうことに役に立つのかみたいなことをより多くの人に考えていただくという、それも一つの大事なポイントですけれども、一方で、科学技術として量子技術の開発を担う人材、あるいは、その学理の探究を担う人材、そういう意味で、まさに量子中心の研究者、あるいは技術者を育てていく、育てていく前に、そういう道を若い世代に選んでもらうというのも併せて大事だと思います。
そういう意味で、量子人材をどう定義するかは、きっと育てるべき具体的な量子人材というのはいろいろあって、それぞれをもっと具体化してアプローチしていくと同時に、ここで申し上げたいのは、科学技術の開発、学理の探究を担う人材という意味で、我々のように大学で量子の研究をしている研究室に入って、その分野でアカデミアの中心で研究をしていくとか、企業に入って量子のハードウェアを開発するという人材ももちろん大事なのですけれども、このページで、ちょっと私、目に留まって、これも重要だなと思ったのが、高専エンジニアリング人材育成事業のところに、量子技術の産業化を支えるエンジニア人材層の厚みを増しと書かれているんですけれども、量子技術の産業化も、あるいは、そのハードウェアを開発する人材と考えたときに、量子のハードウェアって、御存知のとおり、非常に幅広い物理系があり、それぞれの物理系にそれぞれ特有の技術の下にそのハードウェアが開発されて、その特有の技術で最も大事なものは、実は量子の技術ではなくて、古くからある古典の技術であると。
例えば、私の近いところで言えば、オプティクスであるとか、レーザー光学であるとか、あるいは、アナログの電気回路の技術とか、そういう古いけれども量子のハードウェアにとっては実は重要な技術分野というのは、世の中的には古い分野なので、担う人材がどんどん減っていると、あるいは、担う人材の年齢層がどんどん上に上がっていって、それを引き継ぐ若い世代が育っていないということがあるように感じますので、そういう技術が量子にとって非常に大事であって、それが次の社会を支えるのだということが若い世代に伝わって、その領域のまさにエンジニアが育っていくような仕組みがうまくできると良いかなと思いました。
以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。
幾つかの論点ございましたけれども、やはり量子の技術の価値はどういったものか定義をきちんとするべきだと最初の山田委員の御発言にもありました。やはりそういったところで、社会の中で量子が担っていく役割がいろいろあって、それをセグメント化したときに、それぞれに対してどのようなスキルを持った人材が必要かということを見ていくと、人材育成の在り方というのもおのずから出てくるのかなというふうなことを、今皆様の御意見を聞いて思ったところです。
さらに、今の青木委員の、実は古典の技術がすごく大事だというのは、現場にいる皆さんうなずかれているところかと思いますけれども。実際、非常に恐ろしい時代ですよね、今、状況は。それをどのようにこれからやっていくかというのは、単に量子だけではなくて、実は半導体産業も同じような問題を抱えているはずで、そのような部分の手当てというのも、これはもう日本全体として必要なことなのではないかなと思ったところです。
どうぞ。
【小林主査代理】 東大の小林です。
今の青木委員の御発言、あと、富田委員の御発言、私もそのとおりだなと思って聞いておりまして、量子力学の量子の方は非常に抽象的で結構格好良かったりもするんですが、それを実装しようとすると、実はめちゃめちゃ泥臭くて、やはり一言で言うと総力戦なのですよね。あらゆることをそれなりにちゃんと広く知っておかないと、多分実装していくという研究開発の現場では難しいと思います。なので、人を育てるときに、そこら辺をどのようにして伝えていくか。つまり、現場では非常に泥臭い部分もあって、でも、そういうところを乗り越えないと本当に格好良いものはできないというのがあると思うのです。量子もまさにそういうところだと思うのですよね。
ここの21ページには人を育てましょうということが書いてあるのですけれども、私、もう一つ重要だと思っているのは、人を育てる人をまず育てていかないといけないと思っておりまして、今申し上げたような総力戦とか、すごく幅広いものづくり、そういったものに対して広い視野を持っている人がやっぱり若い人を勇気づけるような、それで、いろいろなことを試してみようよみたいなことを言える人が若い人を育てるようになると非常に良いなと思っているんですよね。
そういう意味では、日本は、日本のものづくり、物質科学ってすごく強くて、大学に行って、大学にもたくさんのものを作っている研究室もありますし、あと、実は小さい中小企業というのがあって、町工場みたいなところがあって、結構良いものが本当に手軽に手に入る。そういうのをヨーロッパの人に言うと、うちの国はそういうものは手に入らないって言うのですよね。だから、そういった小さな町工場とかが持っているエッジの効いた技術とかはきっと本当にすごく重要で、実際、超電導量子ビットの世界でも、日本の同軸ケーブルは非常に世界的にも役に立っていることは有名な話で。
ということで、ちょっと長くなってすみませんでしたけれども、量子と言ったときに、やはりそれは総力戦であり、それを教えるというときに、教えられる人を育てるということがやはり必要であって、だから、もうちょっと上流のほうの視点もこの21ページに入っていると良いなと思いました。
私から、ちょっと長くなりましたが、以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。
【山田真治委員】 日立の山田です。
今委員のお話を聞いていて、強かった技術がどんどん枯渇していく、継承できていないというのは、本当にいろいろなところで聞きます。なので、しっかりした対策を考えたほうが良いかなと、青木先生の投げかけに全く賛成です。その際に、なくなって困る技術というのが、量子技術と我々が言う量子情報とか量子暗号通信などのレイヤーの話なのか、それらを下支えする基盤技術・コア技術のレイヤーなのか、両方をマッピングしてみると良いと思います。本当にどうにもならなくなるのは基盤技術が枯れたときということもあるので、もし検討をされるときには、ご一考いただけたらと思うのが一つでございます。
もう一つは、今小林委員のお話を聞いていて、人材育成とか人材開発と言うときに、中学生からか、高校生からか、大学生からかはありますが、学生と企業人に、割とフォーカスすると思うのです。ところが、教える人を育てるということで言えば、まさに半導体は典型なのですが、思いつきですけれども、シニア人材というものに一度着目されてみたら良いのではないかなと。半導体で世界と戦い、世界でトップを張っていたのはもう今やシニア人材ですので。富田先生もよく御存知のように、彼らが一番肌感覚で技術が分かっているところがあるので、教える人ということで言えば、そこを一度見てみるというのは良いことかもしれないと、ちょっと伺いながら思いました。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。今の山田委員のお話で、まさにシニア人材というのを、私もそういう関連したお話でちょっと意見を申し上げようかと思っていたのですけれども。
本学で、ある機関を定年で退職されて、週一回電子回路を作ったり、学生に指導したりするために来てくださっている方がいらっしゃるのですけれども、やはりそういう方がいらっしゃって、学生と直接やり取りをして、お持ちのすごい技術を継承してくださるというのが、今すごく価値のあることだなと本当に実感をしているところで、山田委員がおっしゃっているように、今、企業で退職される方々がこれからますます増えていくときに、高校生とか中学生とかが、そういう方たちの実際に物を作っていらっしゃるところを見たりとか、一緒に何かやらせていただいたりするような機会をマッチングみたいな形でつくれると、やはり体験したことのあるものというのは、記憶の中にも残りやすいし、イメージが湧きやすいので、その後の進路として考えやすいというところもあると思うので、そういう形でそういった人材を生かしていけたら良いのかなと思いました。
今、高校生の興味を聞いていると、やはり情報分野に偏っている傾向があって、私はそれに非常に危機感を覚えていて、ハードウェアを作れる人材になりそうな人たちがみんな情報に流れていってしまっている。情報分野ももちろん人材が厚くなければいけないので、それをみんな引っ張ってきましょうという話では全くないのですけれども、ただ、やはり情報に流れていきがちである理由は、情報機器というのはちまたにあふれていて、家庭でも触れることができるという、非常にイメージの湧きやすいものになっているからかなと思っておりまして、とにかく早いうちから多様な体験ができるような仕組みがあると、いろいろなそれぞれが持っている興味とか特性とかに合った適切な場所に幅広く人材は散らばってくれるのかなと思っております。
以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。
そういった意味では、電通大の実験キットというのは重要なものなのかなというふうに。
【丹治委員】 そうですね。実際ここで作れたものは本当に限られているので、そんな大それたことはこれに関しては言えないのですけれども、一般論としては、やはり手を動かせると良いのかなと思っております。
【富田主査】 ありがとうございます。
【川上委員】 皆さんの意見を聞いていて、本当にそうだなと思うことばかりで、リピートしてしまうだけかもしれないのですけれど、先生方皆さんおっしゃっているように、本当に泥臭いアナログな技術が継承されないで失われてしまうのではないか、それで量子技術の開発もできなくなるのではないかというのは、現場にいる人はみんな思っていることなので、それをリピートさせていただきたいというのと、あとは、間口を広くしてたくさんの人に量子を知ってもらってというときに、宣伝をするときに、実際にハードウェアを作るのは泥臭いこともいっぱいあるんだよというのも入れていただけると良いかなと思っていて。結構新しく参入してきてくれた方とかからは、量子ビット1個作るのとかは簡単に作れるとか思われている感じのこともあると、泥臭くやっている人間からすると、ちょっとその乖離がつらいというのとかもあるので、あとは、きらきらした量子の世界に飛び込んできた若い人が、実際に研究室に入ってやれることはハンダづけとか、そういうことになると失望しちゃったりするのかなというのもあるので、でも、実際は、そこを突き詰めた先に新しい技術があって、量子の現象が見えるのであるので、そこまで伝えられて間口を広げられたら良いなと、皆さんの意見を聞いていて思いました。
以上です。ありがとうございます。
【富田主査】 ありがとうございます。
先ほどの価値という話もありますけれども、泥臭い技術と言うけど、泥臭いだけじゃなくて、それが実はきらきらした量子につながっているのだというというところがなかなか見えてきていないのだと思うので、そこが見えると話が随分変わってくるのかなというのは、おっしゃるとおりかと思いました。
早坂委員。
【早坂委員】 NICT、早坂です。
今、人材育成を含む議論になっていて、若い世代からシニアの世代まで必要だよという話があって、ちょっと真ん中が抜けていたと思うので、ミドルのところの層に対する教育ということでちょっとお話ししたいのですが。
NICTで「NICT Quantum Camp」というプログラムを5年前からやっているのですね。それはもう高校生から社会人までオーケーということで、社会人で量子のことを勉強したいという方は結構いるのですよね。会社で量子事業を始めたのでそれを理解したいとか、あるいは、大学の時に量子を真面目に勉強してこなかったので勉強したいとか、結構いらっしゃって。それを、高専生とか高校生、大学生を含めて、社会人も含めて、一つのチームをつくって学習をすると、社会人のミドルエイジの方って、すごい引っ張ってくれるんですよね。量子も学べるということで、非常に良い感じなのですが。
ただ、そういう方が量子を学ぼうとすると、今なかなか学べる場所ってなくて、さっき何かそういうプログラムが書いてあったかとは思うのですけれども、アクセスするところがなくてNICT Quantum Campに応募してきたというのをお聞きしたので。そうすると、ちょうどミドルエイジというのは子供さんがいて、子供さんに対して量子を語ってもらえると、文科省として指導する必要は、そこはないわけですよね。親が指導してくれるわけで。
ということで、今お聞きして思ったのは、全ての年齢層に量子を訴えていく教育の場が文科省で保障できると良いのかなと思ったので、ちょっと補足させていただきました。
以上です。
【小林主査代理】 東大の小林です。
今の議論というのはとても重要なことであると思っていて、21ページの部分を見ると、量子技術というのが突然世の中に現れたように見えるかもしれず、でも、本当はそうじゃないということを各委員がいろいろな言葉で語っていると思うのですよね。なので、量子技術をやりましょうと、そういうふうに大号令をかけてしまったときに、じゃ量子技術って何だとか、そもそも何だという話になっていくと思うのですけれども、やっぱりその部分を上手にロジックをつくらないといけないと思うのですよね。
恐らく日本がこの分野で本当に世界をリードできるとしたら、やっぱりものづくりだと思うのですよね。すばらしい素材があって、そういうものの上にあって、今あったように、シニアの人材が非常に役に立つというか、シニアの人材の活躍の場がある。そのときに多分シニアの人材の方って、自分が量子人材だとは思っていないと思うのですが、でも、本当はそうじゃないということなのですよね。だから、その辺には、旗振りをするときの号令と受け止める側との間でやっぱりちょっと乖離がある。なので、日本が非常にすばらしいものづくりとか、古くからある半導体技術がこういうところに実は役に立つのだというようなことが、やっぱりこういうところに書かれていると良いなと。
量子とすごく言って、新しい人しかウェルカムじゃないみたいな感じにしてしまうと、やっぱり人は育っていかないので、これまでの技術を生かして、実際には総力戦であると。だから、やはり選択と集中では勝てないので、多様性を担保するというような、そういった裾野がないと頂上も高くならないので。多様性を担保するという、それは日本の場合、やっぱりものづくりであると。それはやっぱり半導体とか、そういったところで非常に活躍した人々とかも入っているのだよとか、そういった視点がこういう中にあると良いなと。そうすると、既存のものを生かした上で発展することになる。
これを見ていると、本当に量子技術が突然出てきて、それにキャッチアップしないといけないというふうにも見えちゃうかなと思うのですよね。だから、それは確かにきらきらしていて、川上委員が言ったみたいに、きらきらしたところへ入っていったら、ハンダづけをしてがっかりするというふうになると、それではもったいないかな。今いろいろな話を聞いていて、そういうことを思いました。
【山田真治委員】 日立の山田です。
今小林委員がおっしゃった周辺ということで思い出したのですけど、量子技術を強化し始めた初期の頃には、産業として周辺産業も大事にしようという考え方があったと思います。典型的なのは希釈冷凍機などで、欧州では周辺機器がどんどん産業化されてきました。もちろん、量子コンピュータや量子センシングをコアとして据えながらで良いと思うので、それを支える周辺の人材や産業を文科省なりに育てようというメッセージは忘れないで書いていただいていたほうが良いのかなと、お聞きして思いました。
以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。
確かに、今人材育成に話をフォーカスしたときに、実は人材育成と言いつつ、我々にとって必要な技術というものが、そういったものを担う人材が欲しいという議論をしているのだとも感じられます。今山田委員がおっしゃったような、例えば、基盤技術をプロモートするような研究開発プロジェクトであるとか、そういったものも含めた研究開発の施策の中で、全体として人も育つし、技術も継承されて、発展させていくという、そういった形ができるのが最も良いのかなと思いました。
あともう一つ思ったことというのは、やっぱりキーワードとして多様性というのがあったかと思います。どうしても日の当たる分野が量子技術の中でもあって、そこにどうしてもフォーカスしてしまうという部分があるかと思うのですけれども、やはりそれだけではなくて、いかに将来に向けた多様性を担保するかというところも一つの重要なところかなと思っております。それは今、産業としてはなかなか芽が出ていない部分をいかにやっていくかといったところも一つの重要なことかなというのも、多様性という言葉だけからなのですけれども、ちょっと思ったこととして付け加えさせていただければなと思います。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。
もう本当に簡単なコメントなのですけれども、私たち、どうしても地道な作業のことを泥臭い泥臭いと言ってしまいがちなのですけれども、それを、もしかすると泥臭いと言うのではなくて、もう少し格好良い位置付けで語ったら若い世代にも違う形でアピールできるかなと思っていて、プロモーションビデオみたいな形で、ものづくりの、それこそ小さな町工場の職人さんがすごいものを作っている格好良い映像みたいなものでアピールするのも一つの可能性かなと思いました。
以上です。
【富田主査】 ありがとうございます。
他には何かございますでしょうか。この議論はもうどんどん発散して構わないと思っていまして、これは今日で終わりというわけでもなく、これからどんどんと話をしていく中で、話題が絞られてくるかと思いますので。
【山田真治委員】 ちょっと別な話をしてもよろしいでしょうか。
【富田主査】 どうぞ、お願いします。
【山田真治委員】 最後の課題認識のスライドに書いてある制度的、構造的課題に関して、私の知っている限りの範囲でですけれども、文科省や他省庁の努力があって、研究がやりやすくなってきたという声は研究者から聞こえています。
何を言っているかというと、何年か前までは、あの事業とこの事業とどうやって成果を切り分けないといけないのだろうと、結構多くの研究者から聞いていました。最近は文科省側から積極的に、成果の切り分けよりも、とにかく良い成果を出すことを優先して考えてくださいというメッセージを出していただいているので、先ほどのような困り事は聞こえてこなくなりました。ありふれた言い方では、研究者ファーストで制度を創る、あるいは、制度を運用する、ことはぜひこれからも進めていっていただけたらなと思います。
【富田主査】 ありがとうございます。
どうぞ。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。
今の同じスライドの一つ上の項目にある研究環境面の課題というところなのですけれども、こちらもまた人材の話とつながってしまうかもしれないのですが、研究をする上で、先ほどお話したような電子回路であるとか機械工作であるとかという、そういう技術的なサポートをしてくださる方たちというのがやはり非常に重要だなと思っていまして、欧米の大学とかですと、もうそれ専任の職員の方たちがいらっしゃって、手厚くサポートをしてくださっているというような環境を見聞きすることが多いんですが、やはり日本だとなかなかそこまでには至っていないという印象があるんですけれども、最近は設備に付随する人に関しても御支援いただけるようになってきているというのが非常に大きいなと思っておりまして、ぜひその方向性は継続していただけたらと思います。
【小林主査代理】 東大の小林です。
ここの課題認識も非常に重要ですね。
実は、先ほどから総力戦だということを申し上げていて、そのときに、やっぱりいろいろな装置を使える、特にあまり大きくない大学とかでいろいろな実験装置を使えるということは非常に重要であって、実は私の研究室でも、ARIMから非常に大きな御支援をいただいていると思っていますというか、御支援をいただいているから、ARIMを利用させていただいていて、非常に助かっているというのがあります。
裾野を広げたり総力戦を実行するためにはいろいろな人が関わる必要があり、地方大学、それほど大きくない大学でも、そういった若い人がそういうことに関われる場を提供しているのは、やっぱりARIMというのはそういう機会を広げている、可能性を広げていると思うのですよね。だから、例えばこういった中に、ARIMの事業、非常に良い部分があるので、文科省としては、ARIMとの連携も強調されてはと考えます。
【坂元補佐】 ARIMは、量子ではなくナノテク・材料の分野の施策としてやっている関係上、あまり明示的に言及していないですが、マテリアルリサーチインフラとして量子予算上は記載しています。なので、一緒に関わるものだという認識は持ってはおります。
【小林主査代理】 分かりました。
なので、何が言いたいかというと、量子に興味を持った人が、この資料だけではARIMには届かないもののナノテクも量子に結びつくものでありすごくいいことをされているので、ARIMをこういう中でも宣伝されてはいかがかな思いました。
ちょっとおこがましいんですが、そういうふうに今思いまして。我々、非常に役に立っています。本当にありがとうございます。
【富田主査】 どうぞ。
【丹治委員】 電気通信大学の丹治です。
また全然違う話なのですけれども、電子ジャーナルにアクセスしづらいという状況はどんどん厳しくなっているところなのですけれども、オープンアクセス化などでいろいろ対策をしていただいているとは思うのですが、今ですと、電気通信大学、本学のような小さな大学ですと、もう本当に購読料が払えないので、主たる論文誌、例えば、私たちの分野ですとNature Physicsが読めないとか、そういう、これでどうやって研究をしていったら良いのだろうというような状況になってしまっているので、具体的にこうしたら良いというふうな提案は全然できなくて恐縮なのですが、その辺りに関しても引き続き御検討いただけますとありがたいです。
【山田真希子委員】 QSTの山田です。
量子技術を社会実装へつなげる上でも、人文・社会科学との接続を進める上でも、確率・統計やモデル思考などの数理リテラシーを文理横断の共通基盤として強化することが重要だと感じています。こうした基盤が整うと、量子計算・暗号・センシング等の技術理解や、その一例として量子確率の議論も含め、分野間の対話が円滑になると思います。
以上、コメントです。
【富田主査】 大事な話だと思います。
今、AI、データサイエンスでは、各大学でも全体にわたって受講できるような仕組みが多分できつつあると理解しているのですけれども、そういったようなことがもう少し広く数理ということでもあると良いのかもしれないですね。
あと、先ほどの共用設備という意味で言うと、QIHの連携ということがあるけれども、そのQIHもやっぱり各拠点でとどまらないで、拠点に入っていない大学の研究者もそういった設備が使えるようになると、もう少し楽にはなるのかなと。それって、すごくQIHの拠点の人が大変になっちゃうので、そうすると、やっぱりそのために設備をメンテナンスする人が別に要るという話になっちゃうと思います。今大体拠点は研究者が全部メンテナンスをやっているはずなので、その上他の人の面倒なんか見てられないよ、ってなると思ってしまうので、やはり制度的な支援は要るのかなと思います。
早坂委員。
【早坂委員】 NICT、セキュリティ拠点ということでやっているのですが、常勤職員って本当にいなくて、予算で定常的に、先ほど丹治委員のお話にもありましたが、テクニシャンを雇える。そういったお金が、研究費とは別な部分でやっぱり必要でして。
あと、もうちょっと話は別になるのですが、国際連携のファンドがJSTのものであるのですけれども、10機関が連携で入るようなファンドがついたときに、共同研究契約を受けた側で結んでくださいみたいなことを言われるのですけど、そうすると、そういう人材っていないのですよね。QIHもそうですけど、いろいろなファンドで、研究以外の部分って結構大きくて、その辺のところを、当事者が今現場で手当てする必要があって、そこは何か予算化できて、人もつけられるようなところがないと。
海外と比べると、そこって結構充実していたりするのですよね。専門職の人がいらっしゃってということで。日本では、予算的に比較すると良いのですけれども、そういうところが結構欠けているかなと思うので、富田主査がおっしゃられたように、QIHの運営とか、テクニシャンとか、そういうところの周辺のところでもうちょっと充実すると、研究サポートの部分が制度化されて、予算化されて人がつくと、かなり加速されるのではないかなと。
QIH、本当に大変です。富田主査はいつも見られていると思うのですが。
【富田主査】 現状は分かって言っているのですが、本来はそうあるべきだという。
【丹治委員】 そういうところでシニア人材を装置のメンテナンスに充てられると良いかなと。
【小林主査代理】 東大の小林です。
さっきARIMは役に立っていてありがたいと申し上げましたが、だから、ARIMを実際に支えてくださっている研究者は、実は結構大変な思いをされているということもちゃんと言わないといけないと思いました。彼らは、実は自分の研究というか、自分の本務を犠牲にしている可能性があって、やっぱりそういうのを考えると胸が痛かったりします。
なので、こういう書面を見ますと、研究を加速しましょうというのはすごくうたわれているのですが、研究者が本当に必要としているのは、研究支援を手厚くしていただくということではないかなと。みんな、自分は研究しているので、自分で精一杯頑張っているので、それをさらに加速しろと言われても無理な部分があります。なので、やはり一緒になって走ってくれる人とか、あるいは給水所みたいなものがもっとあると最後まで走れるというか、そういった支援を手厚くする。例えば、ARIMを手厚くする、あるいはQIHでサポートするような人をパーマネントとして雇うというのがめちゃめちゃ重要だと思います。
そういう人って、実は成り手はいるのですよね。やっぱり研究者の中でも、ポスドクとかをやって、中には自分で研究するよりも研究者をサポートしたいという研究者が、だんだん三、四十代になるとやっぱり出てきて、そういう人がやる気を持って働ける場所、研究を経験もしているけど、トップの研究者を支えるようなことをしたいと思う人はいるのです。今の日本のアカデミアの現状って、実はそういう人にとってはちょっと居心地が良くない可能性があると思います。そういう人を活用というのもちょっと嫌らしい言葉ですが、多分それが裾野を広げるということだと思うのですよね。だから、そういう人が本当の意味での量子人材なのかもしれないですよね。だから、少なくともそういう人も含めるべきですよね。
【富田主査】 どうもありがとうございます。
そろそろ時間になってきましたので、これで終わりたいと思います。
皆さん、大変活発な御意見いただきまして、いろいろな論点から貴重な御意見をいただけたと思います。こういったことを今後さらには具体化していって、今回の施策にも役立てていただきたいと思いますし、今後の議論に進めていきたいと思っております。
ということで、本日の議事は全て終了でございます。
事務局から連絡事項をお願いいたします。
【安井係長】 本日はありがとうございました。
次回の委員会日程等につきましては、事務局より追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
【富田主査】 ありがとうございました。
それでは、今日は長時間にわたる活発な御議論、大変ありがとうございました。
それでは、閉会といたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
研究振興局 基礎・基盤研究課 量子研究推進室