量子科学技術委員会(第9期~)(第27回) 議事録

1.日時

令和4年8月3日(水曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 「量子未来社会ビジョン」について
  2. 量子科学技術委員会による量子科学技術に関する研究開発課題の評価について
  3. 分野別研究開発プランについて
  4. その他

4.出席者

委員

上田主査、岩井委員、大森委員、川上委員、小杉委員、根本委員、平野委員、向山委員、山田委員
 

 

文部科学省

迫田量子研究推進室長、山村量子研究推進室機構・総括係長、正岡量子研究推進室係員、林研究環境課専門職、小原研究環境課行政調査員

 

5.議事録

【山村係長】文部科学省量子研究推進室でございます。出席予定の委員がまだそろっていないのですけれども、5分ほどたちましたので始めさせていただきます。よろしくお願いします。
 皆様、お忙しいところありがとうございます。第27回の量子科学技術委員会を開催いたします。
 本委員会の事務局を担当させていただきます、私、文部科学省量子研究推進室の山村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございます。本日は、今、8名の委員に御参加いただいておりまして、湯本委員は御欠席と伺っておりますけれども、岩本委員、早瀬委員、美濃島委員は、ほかの会議の業務と重なっておると聞いておりまして、可能であればつないでいただけるということですけれども、基本的には傍聴での参加とお伺いしております。根本委員がちょっと入られていないのですけれども、今、8名の委員に御参加いただいているという状況でございます。
 それでは、画面に資料を投影させていただきます。今、御覧になって御確認できますでしょうか。よろしいでしょうか。
 本日、配付資料を議事次第に一覧として記載しております。全て資料は事前に送付しておりますけれども、不足等ございましたら事務局まで御連絡ください。説明の際には画面に投影して共有しながら進める予定でございます。
 次に、オンライン会議の留意事項について説明いたします。通信を安定させるため、御発言されるとき以外は可能な限り、マイクをミュート(マイクオフの状態)にしてください。御発言される際は、ミュートを解除(マイクオンの状態)にしてください。議事録作成のため、速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をよろしくお願いいたします。会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号にお電話をお願いします。なお、本日は会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるZoomでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 事務局からは以上になります。以降の議事進行については上田主査にお願いいたします。
【上田主査】上田でございます。本日はどうぞよろしくお願いします。
 本日の議題は3つございます。まず1つ目の議題としまして、本年4月に公表されました「量子未来社会ビジョン」につきまして、事務局から報告がございます。その後、2つ目の議題として、文部科学省の政策評価の指針に基づき、研究開発課題の評価を行います。最後に3つ目の議題としまして、分野別研究開発プランの策定につきまして審議を致します。
 それでは早速、議題1に移ります。「量子未来社会ビジョン」につきまして、事務局の説明の後、質疑応答を行います。事務局より説明をお願いいたします。
【迫田室長】皆さん、こんにちは。お忙しいところ、本日御出席いただきまして、ありがとうございます。文部科学省量研室長の迫田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1-1でございます。「量子未来社会ビジョン」につきまして御説明いたします。4月22日に決まりまして、決定いたしまして、もう3か月ぐらいたちまして、やや古い情報となりますけれども、この会議の場で御説明していなかったところもございまして、改めて御説明を差し上げたいと思います。
 この「量子未来社会ビジョン」の策定の経緯でございますけれども、2年前に量子技術イノベーション戦略を策定いたしまして、やや量子技術の研究開発に寄った技術ロードマップであったり技術戦略として策定しておったところなのですけれども、その後の民間企業のかなり野心的な目標を掲げた事業化であったり、また国際競争の激化等に伴って、量子未来社会ビジョンとして、やや社会実装に近いような形の戦略を策定させていただきました。
 これは、では2年前の量子技術イノベーション戦略はなくなるかというと、そうではなくて、量子技術イノベーション戦略を技術戦略として進めながら、その出口となる量子未来社会ビジョンも、量子技術による社会変革を目指した戦略として同時に推進しましょうということで、2足のわらじといいますか、両輪でやっていくというような立てつけになっております。
 このビジョンの3つの基本的な考え方でございますけれども、基本的考え方1としまして、量子技術が左側のテクノロジーですけれども、右側には社会経済システムとして各分野の、創薬・医療であったり材料であったり金融であったり、右側に社会経済の全般的な活動もございますけれども、そことしっかりと連携していきましょうということを基本的な考え方としてうたっております。特に連携する際に従来型技術システムとしっかりと融合していくということで、ハイブリッド型ですね、量子技術だけスタンドアローンではなくて、様々なところと連携しながら、何といいますか、システムの中に取り組んでいくと。これをもってして量子技術を社会でしっかり活用していき、産業の成長機会の創出であったり社会課題の解決をしていくといったところをうたっております。
 基本的考え方、2番目としまして、右下にございますように、こういったところで連携していくためにも、社会経済システムの各分野の産業界の方々が使いやすいような量子技術の利活用促進の環境をつくっていきましょうといったところを、考え方2としてうたっております。量子コンピュータ・通信等のテストベッド整備等を行っていきましょうといったことを示しております。
 3つ目でございますが、今後どういったビジネスパターンであったり技術方式が勝つのかどうか、なかなか不透明な市場であるものの、一方でかなりこれから伸びていく市場であるといった中で、やはり柔軟な判断であったり発想であったり、そういった発想で、ビジネスを精力的に展開できるスタートアップ企業がやはりかなり活躍するプレーヤーになるだろうということもございまして、スタートアップ企業の創出・活性化といったところも、基本的考え方3として示しているところでございます。
 最終的には、経済成長のみならず、カーボンニュートラル等の人と環境の調和であったり、また心豊かな暮らしということで、健康・医療も含めて、また安全・安心の確保も含めて、ウェルビーイングも目指していきましょうということで、大目標としてこの3つをしっかりと大事にしながら推進していきましょうということを描いております。
 このページは、今申し上げたように、3つの大目標に向かってしっかりやっていきましょうということを示しております。想定される2030年ぐらいまでのシナリオとしては、DX化であったり、またSociety5.0のさらなる進展であったり、またBeyond5G、6G、7Gの民生利用開始で通信料も膨大になりますので、それに応じて、古典コンピュータでは、古典情報通信処理の技術ではなかなか限界があろうということもありますので、量子コンピュータもうまく活用しながらやっていく必要があろうということもうたっております。また、温室効果ガス46%を2030年までに削減しなければいけないと。今と恐らく結構、異次元の取組も求められるというときに、Quantum leapのような、量子技術を活用した社会変革といったものも求められるのではないかといったところもうたっておりまして、また、生産年齢人口減少ですね。生産性革命をしっかりとやっていかないと、経済的に立ち行かないといったところもございますので、そういったところで量子コンピュータも活用していくだろうというところもうたっております。また、経済安全保障の重要性増大ということでございまして、こういった、我が国としてしっかり押さえるべき安全保障技術にも関わるものでございますので、しっかりと我が国として人材・技術も確保していくといったところも含めて、シナリオを描きながら、今後しっかりと技術開発または社会実装をしていくといったことを示しております。
 これは一般向けといいますか、いろんな様々な分野に使えますよといったところを分かりやすく示したようなものでございます。なかなかこれも、すぐに実現できるようなものとか、またかなり遠いものとか、様々ございますけれども、今のところはいろんな可能性をしっかりと示して試していくトライ・アンド・エラーの段階かなと思いますので、幅広に産業の活用分野といったことを示しております。
 先ほどハイブリッド化と申し上げましたけれども、スパコンと量子コンピュータの連携であったり、あとセキュリティ・ネットワークでも、何が何でも情報通信に量子暗号通信みたいな高度なものを使う必要はなくて、秘匿性の低いものは古典技術を使って送るとか、また秘匿性の高いものは量子技術を使っていくとか、そのような補完関係を今後築くだろうということも示しております。
 2030年に目指すべき状況としましては、利用者を1,000万人にしましょうとか、50兆円規模にしていきましょうとか、ユニコーンベンチャー企業を創出していきましょうなどといったような具体的な数値目標も設定しているところでございます。
 具体的にこういったビジョンに向けてどういった取組を行っていくのかというところでございますが、青地のところが、量子コンピュータ、ソフトウェア、セキュリティ・ネットワーク、センシングの、大きな4つの柱の研究開発の取組でございます。
 量子コンピュータにつきましては、ハイブリッドでしっかりと、スパコン、古典コンピュータと連携しながらやっていきましょうとか、しっかりと、海外に比肩する国産量子コンピュータも研究開発を強化していきましょうと。また、産業界への総合的な支援ですね。これは産総研さんのほうで今後強化していくという予定でございますけれども、こういったところもうたっております。
 また、量子ソフトウェアにつきましては、利用環境を整備して、ソフトウェア開発環境をしっかりと充実させていきましょうとか、また他分野ですね。材料、金融であったり、創薬であったり、量子以外の分野の方々としっかりと融合しながらソフトウェアをつくっていきましょうということもうたっております。また、結構、施策の全体の大体、予算構成としてハードウェアが今、予算の中で多いので、やはり最後のサービスのところまでしっかりとつなげるためには、社会に価値を提供するアプリケーションづくり、ソフトウェアのところもしっかり充実させていきましょうということで、国プロの充実・強化を図っていくといった予定でございます。
 量子セキュリティ・ネットワークにつきましては、ここも先ほど申し上げましたとおり、量子・古典で一体的なセキュリティを確保していきましょうとか、また評価・認証制度などを支援していくといったこともありますし、また、今、中継的ネットワークといって、トラステッドのほうで、若干途中で電子化する処理もしていますけれど、中継器がありますけれども、それを本当に量子状態で中継するような、量子インターネットの国プロの立ち上げといったところもうたっております。
 また、量子計測・センシングということで、しっかりとこれはテストベッドを整備しながら、応用・拡大をしっかりやっていきましょう。または、なかなかまだ企業の認知度も低いところもございますので、利用企業の発掘であったり事業化支援も行っていく。そして、これはちょっとセンシングの中だけではないのですけれども、これらの量子コンピュータ、セキュリティ・ネットワークであったりセンシングの基盤となる量子マテリアルもしっかりと我が国として確保するような、そういったサプライチェーンの構築であったり研究開発の高度化も行っていきましょうといったことも示しております。
 下に、だいだい色のところですけれども、イノベーション創出のための基盤的な取組ということで、スタートアップであったり、また量子拠点の体制強化であったり、人材の育成・確保であったり、量子技術の知財化・標準化、産学官連携、アウトリーチ活動、経済安全保障等も、しっかりと基盤としてやっていきましょうといったことを示しております。
 といったような、以上の構成でございまして、今回は4月に取りまとめて、これから政府として様々な施策に展開していくといったことを予定しております。
 次に、文科省として、これに基づいてどういった取組をするかということでございますけれども、量子コンピュータに関しましては、よく新聞報道にもありますとおり、Q-LEAPで、国産量子コンピュータのテストベッドを今年度中に構築して、利用環境を整備していくといったところを予定しておりますので、しっかりと着実に推進していくとともに、様々な方が利用できるような環境も整備していくといったところも検討しております。また、その後の、今年度中に公開した後もバージョンアップをしていくべく、次世代機開発もしていくといったところも予定しております。また将来、Q-LEAPでやっているのはNISQですけれども、その先の誤り耐性型コンピュータの研究活動も抜本的に強化していくということで、ムーンショット型研究開発制度も充実を図っていくといったことを予定しております。また、大きな大目標を掲げたQ-LEAPであったりムーンショットであったり、そういった国プロは進んでいるのですけれども、人材幅、広い発想を持った若手人材を育成すべく、量子コンピュータの大規模化・実用化に向けて、まだまだ幅広いブレークスルー技術が必要とされていますので、その担い手となる若手人材であったり、またはその基礎研究を推進していくといったことも予定しております。
 また、右側にございます「量子ソフトウェア」ということで、ソフトウェアのほうもしっかりと抜本的に拡充していく。また、共創の場というCOI-NEXTのところで、しっかりとこのR4年度に、今年度中に開始する予定ですけれども、今まさに審査中でございますけれども、ここもソフトウェア関係の拠点を強化していく予定でございます。
 計測・センシングにつきましても、利活用をしっかりとやっていくといったところでございます。
 基盤的取組としましては、右側にございますとおり、今回、拠点を強化しまして、従来8拠点だったのですけれども、2拠点ほど、OISTさんと東北大学を追加しまして10拠点となりました。ここをしっかりと機能強化していくといったところを考えております。特に、既存の拠点についても理研がヘッドクオーターになっていますので、しっかりと中核拠点機能を強化するとともに、またQSTであったり産総研も、しっかりと強化していくといったことを考えております。すみません。文科省マターで言うとQSTのほうですね。しっかりと量子マテリアルの研究開発・供給基盤の強化をすべく、拠点を強化していくといったことでございます。
 人材育成・アウトリーチ活動につきましては、ここはやはり人材育成というと、我々の文科省がかなりやらなければいけないところかなと思いますので、産業界も含めたリカレント教育的な教育プログラムの提供であったり、また学生・若手、今、高等教育段階の教育プログラムを充実させていますけれども、国産量子コンピュータもできますので、そういったものを実際に利用しながら、体験型の人材育成メニューも充実させようと考えております。また、材料、金融など様々な分野と融合して、人材育成であったり、あとはアウトリーチというか、若年層向けに科学館展示だったりSNSであったり動画であったり、様々なところと連携しながら、量子ネイティブの育成もしていくといったところでございます。
 先日、今日も行われているんですけど、高校生向けの量子教育ですね。量子分野のコンピュータの教育が川崎市で今、行われておりまして、そういったところの知見も、私も先日ちょっと見学させていただいたのですけれども、そういったところも参考にさせていただきながら全国展開できればなと考えています。また、教育プログラムであったり、いろんな情報が散逸しているので、情報を一元的に発信するポータルサイトも作りたいと思いますので、これも近々ローンチする予定でございます。
 以上で、文科省の取組方針でございますけれども、今後も充実させていく予定でございますので、また何かお気づきの点等ございましたらアドバイス等いただければ幸いでございます。
 私からは以上でございます。よろしくお願いします。
【上田主査】ありがとうございました。それでは、質疑応答に移りたいと思います。ただいまの御説明につきまして御質問等があれば、お願いいたします。時間は15分程度を予定しております。
【小杉委員】よろしいでしょうか。小杉です。
【上田主査】どうぞ、よろしくお願いします。
【小杉委員】私は量子ビーム利用推進小委員会を担当しているのですけれど、量子ビームを使った研究というのがどういうふうに量子技術に絡むかというのは以前から気になっていて、なかなか小委員会では議論できなかったのですけれども、最後の資料1-2の下のほうに量子マテリアルというのがありますし、いろんな意味で量子マテリアルを計測・解析するというところは量子ビームの貢献する部分ではあると思うので、この辺り、今後は小委員会で議論する場というのは必要かなとは思うのですけど、どのようにお考えなのでしょうか。ちょっとお伺いしたいのですが。
【上田主査】事務局からよろしくお願いします。
【迫田室長】ありがとうございました。量子ビームを使っての量子コンピュータへの貢献といいますか、シナジーにつきましては、このたび、右下にございますとおり、QSTの高崎研が、この量子ビームを使いながら量子コンピュータの、またセンシングも通信もそうなのですが、大本となるダイヤモンドNVの高度化であったり、そういったところを今後、強化していこうということで、QSTを中心に、これから、何といいますか、研究開発であったり体制強化もしていくといったことでございます。ですので、量子ビーム全体として、発足に伴って今後、具体的な取組をどうしていくのかというところも検討していきますので、ぜひ御知見等、御意見等、今後頂ければ幸いでございます。
【小杉委員】量子コンピュータというワードとはつながらないのですが、材料系の新しい量子相とか機能という意味では、量子現象が必要な材料というのは結構見つかっているので、そういうものをここで取り上げるのか取り上げないのかというのは、量子ビームを使うか使わないかのところに絡んでくると思っています。コンピュータとはちょっと違う観点ではあると思うんですが。
【迫田室長】あくまでもコンピュータ自体を開発するのではなくて、コンピュータであったりセンサーの素材となる、素材というか大本となる、基盤となる材料づくり、量子マテリアルづくりですので。
【小杉委員】素子とか半導体とか、そういうところからの機能ですかね。
【迫田室長】そうですね。
【小杉委員】分かりました。ちょっと考えてみます。
【迫田室長】ありがとうございます。
【小杉委員】ありがとうございます。
【上田主査】では山田委員、お願いします。
【山田委員】ありがとうございます。1点目はここで出ている拠点に関してです。拠点が多く、例えば企業が関わろうとする際に、入り口が多い、多過ぎると懸念します。それゆえに、中核拠点の役割りがより重要になってくると思います。周りに従えている各拠点をどうやってつないだり生かしたり、情報を受け渡したりというようなことを、どう強化するかのお考えを聞かせて下さい。
 2点目は、ビジョンの箇所で幾つかKPIを立てられていたと思います。利用者数1,000万人とか、それから生産規模とか。我々が向かうべき方向を共有するために、指標を立ててアクションすることは賛成なのですが、立てた目標数値をどう運用するのかのお考えを教えていただけたらと思います。
 以上です。
【迫田室長】ありがとうございます。これに関して、では私は内閣府の立場として回答させていただきます。これは内閣府の戦略ですので。
 1点目の、この量子技術イノベーション拠点につきましては、結構増えたというところもありまして、何か拠点というと結構、本当にもう少し集約したほうがいいのではないかとか、いろんな意見がございました。今後、この報告書の中でもありますとおり、Q-STARという、もう山田先生は御存じかと思いますけれども、こういった産業団体の集まりもございますので、こことQIH、量子技術イノベーション拠点がどういうふうに連携していくかとか、また、例えばQ-STARに所属していないような企業さんが駆け込むときに、駆け込み寺として相談するときに、どこに連絡すればいいのかとか、今、理研でヘッドクオーターとなっていますけれども、本当に何といいますか、理研だけだとパンクしてしまう可能性もありますし、または、ほかのところとアライアンスを組みながらどういうふうに分配していくのかというところは今後議論のしどころだと思いますので、まさにこれから実行しようというところでございます。
 もう一つ、何でしたか。
【山田委員】KPIですね。
【迫田室長】すみません。KPIにつきましては、これは1,000万人と言ってしまったんですけど、計測方法、スケーラブルなもので、ちゃんとメジャラブルというか、ちゃんと計測できるものではないといけないと思うのですけれども、その計測方法も含めて、これから検討していく予定でございまして、来年度に検討しようかなと思っていまして、毎年計測していこうかなと思っております。
 ただ、一方で結構、これはいろいろと、この審議会の公開の場であれなのですけれども、実際に例えば今、電車遅延したときにダイヤグラムを、ダイヤを見直すときのところに、実証実験として、あるベンチャーさんとか、アニーリングを使って最適化して、ダイヤを、何といいますか、見直しているとか。今、熟練の皆様が、どちらかというと人手でダイヤグラムを変更しているのですけれども、そこをコンピュータで置き換えるとか、そういった実証実験もやっております。そういったときに、何といいますか、利用者というと、沿線の人たち500万人とか300万人とか、沿線利用者が利用しているのではないかになると、大分、積み増してしまうことになりますので、ここもどのように定義すれば適正な数字になるのかというところは今後検討かなと思っております。やり方によっては、既にもう達成していますということが言えなくはないので、そういったことがないように、適正にどういうふうに計算するかは今後、政府内で検討していく予定でございます。
 以上となります。ありがとうございます。
【山田委員】ありがとうございました。よろしくお願いします。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。岩井委員、お願いします。
【岩井委員】ありがとうございます。先ほどから話題になっていますけれども、この右下の「量子技術イノベーション拠点の体制強化の概要」という絵なのですけれども、やはりちょっと分からなくて、意図的にいろんな意味を持たせるように描かれているのかもしれませんが、これは要するに各拠点の枠組みが、例えばソフトウェアとかセキュリティとか、割と具体的な目標がはっきりしているものもありますけど、例えば生命とかマテリアルとか、もう少し、何というか、目的ではなくて、割と分野とか手段が拠点名になっているところもあって、その拠点それぞれによって成り立ちがちょっと違うようにも見えるのですけれども、その辺りの関係性がもう少し分かるような形、どういう役割を担っているのかというのが私自身もよく分かっていないのですけれども、これはそういう図にはできないんですかね。あるいは、そういうのは、あえてここでは分からないようにしているというか、そこのところはもう少し、漠然とした絵のほうが分かりやすいという意図でこういうふうにされているのか、その辺りのことを少しお伺いしたいのですけれども、いかがでしょう。
【迫田室長】ありがとうございます。結構あまり、よく行政にありがちな高度な意図はなくて、今のところ10拠点ありまして、真ん中にヘッドクオーターとして、代表として、代表理事というか、取りまとめとして理研がありますということを示した図となります。それで、おっしゃるとおり、私も最初、前は8拠点のときもあったんです。なので、そういったときも、確かにあまり何か、なかなか一般には認知度も低いですし、分かりにくいかなと思いますので、そういったところは今、ホームページで公開しておりまして、役割分担であったり、どういった出口につながるのかというところは、今後、情報提供として改善しないといけないなと考えております。
 こういった点では、先ほど御紹介を差し上げたとおり、情報を一元的に公開するようなポータルサイトみたいなところを作って、ここを見れば大体どんな活動をしているかどうか分かるみたいな、そういった情報提供の仕方も改善していく予定でございます。おっしゃるとおり、まだ結局、政府の取組はどんなことを今しているのかというところについては、未来社会ビジョンとともに、またホームページもしっかりと充実させていかなければいけないところは問題意識としてございまして、改善していきたいと考えております。
【岩井委員】すみません。私自身が勉強不足なのが悪いのですけれども、私自身も、この10拠点でしたっけ、その役割が、ある程度、この絵から想像できることもあるのですけれども、割とマテリアルとか生命とかというと漠然としているので、そういうものと、ほかのものがどういう関係にあるのかというのは、そう簡単でもないような気がするのですけれども、その辺りは、やりながら詰めていこうという感じなのか、それとも文科省としては割とはっきりした意図を、ここには書いていないけど、その意図があるのかというあたりは、どう考えたらいいのか。ちょっと、もし具体的なものがあれば教えていただきたいなと思います。
【迫田室長】どちらかというと、やりながら、トライ・アンド・エラーで改善していきましょうというところが正しいのかなと思います。きっぱりと、例えば大阪大学さんは量子ソフトウェアしかやっていないかというと、そうではなくて、ハードのところもやっているところもございますので、ある意味、何といいますか、それぞれの得意分野というのは生かしながら、大まかにこういった分類で、拠点といったものが責任を持ちますよというところになっております。
 それで、実際には何か、もうおっしゃるとおり、コンシェルジュ的な、何かどこか一元的な窓口があって、あなたはここですよねとか、そういった何か情報提供ですね。これは誰か人がやるのか、最近はやりのAIがやるのか、ちょっと分からないんですけど、いろいろとそこは本当に、ニーズのある方がシーズにつながるような仕組みといったものを構築していきたいなと考えております。ありがとうございました。
【岩井委員】やる側からすると、運用する側からすると、その辺はあまりはっきり決めないほうがやりやすいと思うのですけれども、外から見たときには分かりやすくしておいたほうがいいのかなという、やる側と見る側の二元的に管理しないとうまくいかないのかなという感じが、ちょっと今見ていて思いました。
【迫田室長】ありがとうございます。
【岩井委員】ありがとうございました。
【上田主査】それでは次に大森委員、お願いします。
【大森主査代理】迫田室長、どうも取りまとめ、御苦労さまでした。すばらしい資料であると思います。
 昨日アメリカから帰ってきたのですけれども、向こうでいろいろコアの人たちと、最新の動向について、政界・財界も含めて、いろいろ意見交換をしてきました。アメリカは、もう量子テクノロジーも、第1期の何となく量子はすごいというフェーズはもう完全に終わっていて、その辺はストックマーケットなどにも反映されている部分があって、今後、例えば投資家のマインドをずっとキープするためには、いよいよ、室長も先ほど言われていたように、社会の実問題にどういうふうに具体的に対応できていくのかという道筋が見えるようなプレゼンテーションをしていかないといけないなというのを痛感してきました。そういう意味では、やっぱり日本の量子技術政策に関しても、何となく、こういったネットワークで量子技術が恐らく進展していくだろうというような政策よりは、今後は将来に向かって、やっぱり要らないところは切る。要るところだけ残す。要るところだけ残して、シャープにこれから何をやるか、何ができるかといったことを具体的に示していけるような、産、学、あと政治の3つの連携というのが、より重要になってくるような気がしますので、ぜひ、この取りまとめは非常によい取りまとめなのですけれども、今後そういったアメリカ等の、先を走っているsocietyの動きも眺めながら、よりブラッシュアップしてシャープなものにしていく必要があるなと感じております。以上です。
【上田主査】ありがとうございます。そのほか御質疑、御議論はありますでしょうか。
【迫田室長】迫田でございます。ありがとうございます。御無沙汰しています。
【大森主査代理】どうも御苦労さまです。
【迫田室長】いえいえ、とんでもないです。ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、今、量子業界は期待値投資というか、まだこれからの将来性というところで投資が活発化しているかと理解しておりますけれども、ただ、ずっとそれを続けていくと、いつかはじけてしまうところがございますので、もうアメリカが、そこはそういった状況になりつつあるところでございますね。
【大森主査代理】そうですね。アメリカは今、そういうフェーズに入りつつあるような気がします。
【迫田室長】なので、見える化をしっかり図っていくために、Q-LEAPでもTRL6という、ちょっと高めのところを目指していますし、また来年度から始まるSIPというプロジェクトで、社会実装に近いものについては、しっかりとディスプレーというか、ショーケースになるようなものを見せていきましょうといったことも画策しておりまして、持続可能な量子技術になるように。
【大森主査代理】そのとおりです。
 いきなり社会実装を、もう一気に達成しろと言っているわけではなくて、着実に社会実装に向けて進展している、あるいは検討している、議論を進めている、政界・財界を含めて議論を進めている。こういった姿を真摯に見せ続けていくことが、量子技術政策をよりよい方向に導いていくエッセンスだと思いますので、その辺りをぜひ検討していただいて、我々も御協力できることがあれば精いっぱい御協力いたしますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
【迫田室長】ありがとうございます。頑張ってまいります。
【上田主査】ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
 では、どうもありがとうございます。文部科学省におかれましては、これまでいただいた御意見にも留意しながら、今後の取組をお進めになるようにお願いいたします。
【迫田室長】ありがとうございました。
【上田主査】それでは、議題2に移ります。研究開発課題の評価についてです。事務局より御説明をお願いします。
【山村係長】ありがとうございます。事務局の山村でございます。
 議題2に関しては、政策の評価ということで、今回対象になっているのがQ-LEAP事業と次世代放射光施設の事業となってございますので、今回その2つの事業について評価をいただくという議題でございます。
 評価の位置づけをまずちょっと説明させていただくのですけれども、こちらは、量子委員会の上の親会議の研究計画・評価分科会における評価の指針のペーパーでございます。
 「評価の目的」としましては、大元に遡ると、行政機関の評価の法律というものがございまして、その法令に基づいて、多額の資金を要する研究課題に関しては行政が評価をしなければならないというふうに決まっております。それを具体化したのが、この指針でございますけれども、中身としては、その事業の実施の当否を判断するとともに、実施されている研究開発の質の向上や運営改善、また計画の見直しなどにつなげることを目的としたものでございまして、先ほど申し上げたとおり、多額の費用を要するというところの具体的な数字としましては、総額が10億円以上を要することが見込まれる事業ということになってございまして、事業を開始する前の事前評価であったり、事業を実施中の中間評価、また事後評価を行うということになってございます。今回はQ-LEAP事業と次世代放射光事業なので、ここにありますような中間評価を行うものとなってございます。
 「評価の流れ」としましては、分野別の委員会ですね、量子であれば量子委員会が評価を実施して、最終的には先ほど申し上げた研究計画・評価分科会で決定するという流れになってございます。
 「評価結果の活用」というところでは、中間評価結果を基に、文科省の政策評価及び概算要求の内容の検討等に活用するということになってございますので、本日の議論も踏まえまして、夏以降の概算要求につなげていければと考えてございます。
 それから、もう少し留意事項がございますけれども、こちらは利害関係者をあらかじめ明確に定めることというふうにされておりまして、これは、次の資料2-2でまたお示ししますけれども、評価対象課題に参画している者、被評価者と親族関係にある者、利害関係を有すると自ら判断する者、分科会において、評価に加わらないことが適切であると判断された者というのが、上の計画・評価分科会における利害関係者の範囲ですので、後ほど説明しますけれども、量子委員会でも、この利害関係者の範囲を踏襲して進めていきたいと思います。
 最後に、評価の基本的な考え方です。どういったことを評価するのかというところですけれども、研究開発課題の評価について、研究開発課題の性格、内容、規模等に応じて、進捗状況を確認するとともに、必要性、有効性、効率性という観点から適切な評価項目を設定の上、評価を実施するというふうなことになってございます。なので、こういった3つの観点から、本日、2つの事業について評価を行っていただきます。
 もう一個、資料2-2ですね。資料2-2の、利害関係者の範囲についてですが、先ほども申し上げたとおり、評価を実施するに当たって利害関係者の範囲をあらかじめ定めることというふうになっておりますので、先ほど申し上げた分科会での評価の利害関係者の整理に基づきまして、量子委員会でもそれを踏襲した利害関係者の範囲を定めております。
 一旦、評価の立てつけ等について、事務局からは以上でございます。
【上田主査】ありがとうございます。ただいまの説明について、何か御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは今回の評価課題のうち、「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」の中間評価に移ります。中間評価(案)につきまして、事務局より御説明をお願いします。
【山村係長】ありがとうございます。引き続きまして事務局から、まず初めにQ-LEAPの中間評価結果の案ということで、事務局で作成した案を御説明させていただきます。
 今回、利害関係者は先ほど範囲を指定しましたけれども、こちらにあるように、米印の委員に関しては、本日、利害関係者の1つ目の条件ですね。研究開発事業に参加されている委員になってございますので、本日、評価結果に直接関わるような御発言というのは控えていただきますけれども、事実関係等の発言については排除しませんので、そういった事実関係の発言のみで、すみませんがよろしくお願いします。なので、大森委員、岩井委員、川上委員、根本委員、早瀬委員、美濃島委員、湯本委員が、本日、利害関係者となってございます。
 ここから中間評価の概要ですけれども、資料も膨大なので、ポイント、ポイントに絞って説明させていただきます。最初のほうはちょっと割愛させていただいて、こちら、Q-LEAP事業の概要でございますけれども、簡単に説明いたしますと、Q-LEAPというのは、経済・社会的な重要課題に対して、量子科学技術を駆使して非連続的な解決(Quantum leap)を目指す研究開発プログラムということになってございまして、この右側にあるような3つの技術領域ですね、量子情報処理、量子計測・センシング、次世代レーザーについて、研究開発としてPDを任命しまして、PDのほうで的確なベンチマークを定め、きめ細かな進捗管理をする事業となってございまして、研究開発課題としては2種類ございまして、1つはFlagshipプロジェクトというものがありまして、そのFlagshipプロジェクトはヘッドクオーターを置きまして、ヘッドクオーターが研究開発マネジメントを行うとともに、事業期間全体を通じてTRL6まで研究開発を行い、企業への橋渡しを目指すものとなってございます。もう一種類、基礎基盤研究については、Flagshipプロジェクトと相補的かつ挑戦的な研究課題を選定して実施するものとなってございます。
 それから、3つの技術領域に加えまして、令和2年度から人材育成プログラムの開発ということで、領域4つ目として人材育成プログラムにも取り組んでいるといった事業になってございます。事業総額は、36億5,000万といった規模になってございます。
 こちらはQ-LEAPの運営・実施体制でございますけれども、文科省の下に、有識者から成るガバニングボードを設置しまして、プログラム全体のマネジメントをここで行うということになってございます。各課題については、先ほど申し上げたプログラム・ディレクターを置きまして、プログラム・ディレクターの下で各技術領域において運営がなされるということになってございまして、そのプログラム・ディレクターの助言とか補助を行う役割としてアドバイザリーボードというものを設けております。こういった布陣で、Q-LEAPの事業運営がされているものでございます。
 こちら、研究開発課題と研究開発代表者一覧になっておりますけれども、こちらの説明は割愛させていただきます。
 ここから中間評価の具体的な評価票になってございますけれども、こちらもポイントに絞って、簡単に飛ばし飛ばしで説明させていただきます。こちら、1枚目は、文科省の施策との関係ですとか、本事業が指定しているアウトプットの指標として、論文の掲載数ですとか学会等の活動数といったものがあります。それから、アウトカム指標としては、トップ10%論文ですね。本事業において創出されたトップ10%論文の割合ということで示しておりますけれども、基本的には堅調に伸びているということですとか、トップ10%論文もしっかり30%超えで創出されているということが見て取れるかと思います。
 ここから実際の評価結果になってございますけれども、評価結果、1の丸1「課題の概要」というところは、先ほどの説明と重複するので割愛させていただきます。
 「課題の進捗状況」というところから御説明させていただきますけれども、課題の進捗状況としましては、Q-LEAPにおいては10年間のプロジェクトなのですけれども、5年目と8年目でステージゲート評価というものをやることになってございます。こちらのステージゲート評価では、PDが設定したマイルストーンに対する達成状況の観点から、研究開発の継続や変更あるいは中止について厳格な評価を実施することとしております。今回、事業開始から5年がたちましたので、本年の5月から6月にステージゲート評価を実施しまして、取りまとめた評価結果がこちらになってございます。今回、全領域で21件の評価対象課題がございまして、A評価・S評価というものが評価項目を満たしているもの、S評価は評価項目を満たしながら、さらに優れた成果が上がっているものということになってございます。B評価は、評価項目をほぼ満たしているもののちょっと及ばないというところで、継続するために事業の見直しが必要であるというもの、C評価は評価項目を達成しておらず中止というものでございます。
 こちらは見ていただけると分かると思うのですけれども、全21課題に対して、およそ8割超えの課題が、評価項目を満たすA評価以上ということになっておりますので、今回、研究開発の進捗状況としては順調であると、事務局としては考えてございまして、そういった評価結果をこの辺に書かせていただいているというところでございます。
 それから、人材育成のところにつきましても令和2年度から開始したものでございますけれども、標準カリキュラムの作成を目指す共通的コアプログラムにおいては、開発したカリキュラムも既に使って集中講義への試行的実施等に着手しているほか、独創的サブプログラムというふうに位置づけた人材育成プログラムにおいては、各大学の特徴を生かした人材育成をしていただいているものでございますけれども、こちら、およそ250名を超えるようなオンラインのサマースクールを実施したり、あるいはリアルタイムでの動画配信による実践的な講座によるアプリケーション開発なども行っておりまして、こちらも顕著な成果を上げていると考えてございまして、こういった特徴のあるプログラムにおいても顕著な成果を上げるとともに人材の裾野拡大に貢献していると判断してございまして、事業の進捗状況としては順調であると評価できると、事務局案としては整理してございます。
 ここから今回、進捗状況も踏まえまして、必要性、有効性、効率性の3つの観点から、この事業を再評価せよというような評価の指針になってございまして、まず1つ目の必要性でございますけれども、こちらの評価項目としては、科学的・技術的意義ですとか社会的・経済的意義みたいなところがしっかりあるかというようなところになってございます。こちらは、先ほど量子未来社会ビジョンの説明も差し上げましたけれども、そもそもこの事業が始まったのが平成30年からなのですが、その後に量子技術イノベーション戦略というものが、国の戦略ができたということで、その中で量子技術は、しっかり我が国の経済・社会等を飛躍的に非連続的に発展させる鍵となる革新技術というふうな位置づけもされておりまして、この戦略において重要な技術分野である、量子コンピュータ、量子計測・センシング、あるいは量子AI、量子生命みたいなものの研究開発を担う中核的な事業の一つとして、Q-LEAPというものが位置づけられているというふうな評価。あるいは、先ほど申し上げた量子未来社会ビジョンについても、その社会実装を目指すということになっておりますが、FlagshipプロジェクトでTRL6というところまで研究開発を行って、企業等への橋渡しを目指すFlagshipプロジェクの必要性は極めて大きいというもので、総合的に見まして、本事業を引き続き推進する必要性は極めて高いと評価できるということで、評価結果をまとめております。
 「今後は」というところは、先ほど申し上げた概算要求につなげていくという観点でありますけれども、こちらは先ほどの戦略、未来社会ビジョンといったものを踏まえて、量子技術あるいは本事業に対する重要性の高まりが、当然、見込まれますから、本事業における研究開発の取組を一層、加速・強化する必要があるということで、事務局案としては提示させていただいております。
 それから2つ目の、有効性の観点でございますけれども、こちらは研究開発の質の向上への貢献、あるいは人材の養成について、有効的な取組がなされているかというものでございます。こちらについては、先ほど申し上げた運営体制ですね、ガバニングボードであるとか、PDであるとか、アドバイザリーボードであるとか、そういった実施体制を構築しておりまして、特にPD、アドバイザリーボードにおかれましては、年に2回、領域会議を開催して、きめ細やかに進捗状況を把握するとともに、PDからガバニングボードへの進捗報告も年に1回程度実施しておりまして、事業全体としてしっかりマネジメントをするような体制を構築しているというようなところでございます。
 また、研究開発の中身については、PDが指定する評価項目に従って、10年間のプロジェクトですけれども、しっかり5年目と8年目にステージゲート評価を実施するということになっておりまして、しっかり研究開発の質の向上が図られるように、緊張感を持って事業を実施するような体制を整えているということで、評価するポイントとしております。
 それから実際、具体的に研究開発課題を行っていただく際には、Flagshipプロジェクトにヘッドクオーターを配置いたしまして、そのヘッドクオーターを中心に民間企業等と幅広い共同研究を進めていただくというふうな体制を構築するとともに、こうした産学連携の体制が、研究開発のみならず、企業との人材の交流の場としても機能しているですとか、あるいは研究者の受入れであるとか共同イベントの開催、また共同研究先の企業への学生の就職みたいなところで、人材育成のエコシステム形成に向けた好事例も創出され始めたところですという評価ポイントを書いてございます。
 人材の養成につきましては、先ほど申し上げたとおり、こちらにほぼ同じ内容を書かせていただいておりますけれども、共通的コアプログラムあるいは独創的サブプログラムにおいて顕著な成果が出ていると認識しておりますので、基本的には、この辺に書いてありますとおり、研究開発の質の向上への貢献の有効性は高い、あるいは人材育成に関しても有効な取組を展開していると評価できると結論づけております。
 「今後も」というところにつきましては、量子未来社会ビジョンの政策的要請等も踏まえまして、引き続きPD等による事業運営体制に基づきまして、社会実装に向けた研究開発や人材育成を強力に推進することが望ましいとしていまして、具体的には先ほど申し上げた産学連携体制のところですね。研究成果を活用した事業化支援ですとか、産業界への技術支援・共同研究・人材交流のさらなる促進等のための機能を強化することが必要である。
 ただ、人材育成に関しては、独創的サブプログラムの課題が2件、今年度で終了するというところも含め、後継事業を立てるといった観点も踏まえまして、取組を充実・強化すべきであるということで、先ほど迫田から申し上げたとおり、学生や若手研究者向けに最先端の量子技術の利用環境を提供して、事業化等に結びつけるための体験型のプログラムの実施であったり、材料、創薬・医療、金融といった幅広い分野の人材育成、あるいは若年層に向けたアウトリーチ的な教育プログラムの提供・情報発信・アウトリーチ活動にも取り組むことが必要であると書かせていただいてございます。
 最後に効率性の観点でございますけれども、効率性の観点は、基本的にQ-LEAPの特徴としましては、PDに権限を集中させるというような事業になってございまして、ガバニングボード、アドバイザリーボードと重層的な体制を組みながらも、PDに権限を集中させることで、機動的・効率的に事業を実施できるような体制を整えているということと、先ほどから申し上げているように、Flagshipプロジェクトにおいては、ヘッドクオーターを配置することによって、研究開発以外の業務を必要最小限にとどめるということで、研究実施者には研究に専念できるような環境を整えているというところでございます。なので、効率性の観点でも、引き続き本運営体制・実施体制で事業推進を行うことが望ましいという結論にしております。
 最後に、では評価結果の総括的なところでございますけれども、今回、評価は、課題の継続、中止、方向転換の3つの中から1つ選べというふうなことになってございまして、こちらは継続ということで、事務局としては提案させていただいております。その理由としましては、先ほどから申し上げているように、事業の進捗状況は順調でありまして、必要性、有効性、効率性のいずれも認められるということで、継続すべきと評価しております。その際、今後の取組としましては、研究開発の加速・強化、事業化支援・産学連携の強化、人材育成の充実・強化等により一層取り組む必要があるということで書かせていただいております。こういったQ-LEAPの全体の評価として、今回まとめたものでございますので、こちらについて御議論いただければ幸いでございます。
 事務局からは以上でございます。
【上田主査】ありがとうございました。それでは、評価に移ります。ただいまの御説明について、御質問や御意見をいただければと思います。時間は15分程度を予定しております。
 なお、先ほど事務局から説明があったとおり、本事業に関しましては、大森委員、岩井委員、川上委員、根本委員、美濃島委員、湯本委員が利害関係者となっております。つきましては、利害関係者の各委員におきましては、御自身の参画する研究開発の課題の評価に関わる御発言はお控えいただき、事実関係などに関する御発言をお願いいたします。それでは、御質疑・御討論をよろしくお願いします。
 それでは、私から質問をさせていただいてよろしいでしょうか。
【山村係長】よろしくお願いします。
【上田主査】本Q-LEAPは3つのフラッグシッププログラム、PDの下に4つの領域がございましたが、それぞれ全てについて同じ評価と理解してよろしいでしょうか。あるいは、今回の評価は、全体の領域に対する1つの評価と理解してよろしいのでしょうか。
【山村係長】ありがとうございます。今回の評価は、全体の領域に対する1つの評価になってございますので、各事業、技術領域でそれぞれ濃淡はあるかと思いますけれども、全体的に見て順調に進捗しているのではないかということで、1つの評価をいただくものということでございます。
【上田主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 先ほど利害関係者で名前が挙がった委員につきましても、御自身の評価に関わるもの以外は結構ですので、どうぞ御自由に御発言をよろしくお願いします。
 それでは、私からもう一つ質問させてください。本Q-LEAPに関しましては、全体の上にさらにガバニングボードがございまして、そこから全般的な、大所高所にわたる御評価を常々いただいていると思いますけれども、そこからの何か、評価に関するインプットというのはあったのでしょうか。
【山村係長】ありがとうございます。今回、例えばステージゲート評価につきまして、最終的にはガバニングボードなのですけれども、PDが基本的には決めるというような体制にはなってございますけれども、最後、ガバニングボードに上げて、しっかりガバニングボードでも評価をいただいているというようなことになってございます。それで、ちょっと具体的になかなか申し上げにくいのですけれども、ガバニングボードでも、有識者の先生方から、全体の領域を見られて、ここの課題がどうであるとか、この課題がどうであるとか、あるいは国際的な情勢とかを踏まえて、評価項目が正しいものであるかとか、結構細かいところまで見ていただきました。特に、大学内の体制がどうであるとか、そういったところまで含めて、ガバニングボードの先生にも見ていただいた上でコメントをいただきまして、最終的にはああいった評価につながったものになってございます。すみません。個別のコメントについては、あまり公表事項でもないので差し控えたいと思いますけれども、ガバニングボードの先生からも御意見をいただいた上での評価ということにしてございます。
【上田主査】ありがとうございます。委員の皆様からいかがでしょうか。
 それでは根本委員、よろしくお願いします。
【根本委員】ほかに御質問がないようでしたら1つだけ教えていただきたいのですけれども、9ページ目の、評価のところで、件数の割合が結構、領域によって、ばらけているように思うのですけれども、これは領域ごとの評価で絶対評価という理解なのでしょうか。それとも何か共通の割合みたいなものを満たさなければいけないみたいな指針があるようなものなのでしょうか。
【山村係長】ありがとうございます。全体的な指針としましては、PDがもともと各領域ごとに評定項目というものを定めておりますので、それぞれにおいて、S、A、B、Cという評定項目を満たしており特に優れたところが認められるか、評定項目を満たしており継続実施が妥当であるか、また評定項目をほぼ満たしているがといった、S、A、B、Cのところの評価の項目自体は共通でやっていただくと。ただ、満たしている、満たしていないの御判断につきましては当然、PDの御判断になってきますし、満たしていなくても、BにするかCにするかみたいなところも、ここは各技術領域において、PDの裁量によって、ある程度厳しめにするか、そうでないかというところは、お任せしているというようなことでございまして、今回どちらかというと量子計測・センシングのほうが、PDの方針で厳しめに御覧になられて、こういったばらけた数字の結果になられたのではないかなと推測しておりますけれども、なので、量子計測・センシングが特段劣っているとか、そういうわけではなくて、あくまでPDの方針として、こういった評価になっているということでございます。
【根本委員】ありがとうございました。
【上田主査】それでは向山委員、お願いします。
【向山委員】大阪大学の向山です。このページの、評価のところで少し教えていただきたいことがあるのですけれども、このページの中に、「PDが設定したマイルストーンに対する達成状況の観点から」という文言がありまして、もちろん評価軸はこれだけではないとは思うのですけれども、Q-LEAPのように長い期間のプロジェクトというのはすばらしいプロジェクトだと思うんです。それで、期間が長くなればなるほど、当初の想定とは違った方向に行くことも必要ですし、フレキシビリティーは大事だと思うんです。それで、そういう観点で評価することもやはり大事かなと。何か問題が生じたというときに、その問題が予見できないようなものであれば、むしろその問題を見つけたこと、課題を明らかにしたことの成果であると思うんです。そういう観点も、ぜひ入れていただくのが大事かなと私は思うのですけれども、その辺はどのように、これはPDの先生の御判断という形なのでしょうか。しっかり御判断されているのだとは思うのですけれども、その辺は、どのぐらい評価されているのかという、もし何か指標などあれば教えていただきたいのですが。
【山村係長】ありがとうございます。恐らくそういった予期せぬトラブルみたいものは当然あると思いますし、量子の分野、特に量子コンピュータみたいなところは国際競争が激しい分野になってございますので、今回、理研のフラッグシップみたいなものでも、結構、今、マイルストーン自体は達成していますということで評価させていただきましたが、今後のところで、例えば当初、100量子ビットみたいなところを事業終了のところで達成するみたいな形になっていたのですが、それが果たして国際情勢に照らして適切かどうかという議論もありまして、その辺はなるべく前倒しでやっていきましょうと。そういったところをPDと話し合って決めている分野もございますし、センシングのほうにつきましても、ちょっとこれはトラブル的なものではないですが、世界的に見て、国際的に見てとか、国内の量子技術の体制的な面で見ても、なかなか、ここでしかできない技術も当然あるのではないかと。そういった、何でしょう、技術単体もそうですけれども、周辺の何か発展なども踏まえて、達成状況としては特に優れたものではないかもしれないですけれども、ここでしかできないことがあるよねという観点で、継続実施が必要ではないかとか、そういった周辺状況も踏まえて評価をしているところもございますので、そこは最終的には、おっしゃるとおり、PDの判断にはなりますが、その辺は柔軟に取り入れられているのかなと、事務局としては思っております。
【向山委員】分かりました。ありがとうございます。特に後半に入ると、よりそういう視点も大事なのかなと思いましたので、御発言させていただきました。ありがとうございます。
【上田主査】Q-LEAPに関しては、アドバイザリーボードも含めて専門家の先生方が、かなり領域の発表も含めて、きめ細かにずっと同じ研究を追っている形になって、見ている方々がそれぞれの分野の専門家の方々ですので、今、向山委員がおっしゃったことは、多分、皆さん理解した上で適切なアドバイスがなされているのではないかと思います。
【向山委員】ありがとうございました。分かりました。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございました。ただいまいただいた御意見につきましては、事務局にて評価案に適切に反映いたします。今後は本委員会の親委員会に当たる研究計画・評価分科会におきまして、私から報告し、審議させていただく予定です。
 続きまして、評価課題のうち、「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進」の中間評価に移ります。中間評価案につきましては、量子ビーム利用推進小委員会で主査を御担当されている小杉委員より御説明をお願いします。
【小杉委員】小杉から御説明いたします。
 この評価の前に、小委員会で中間評価報告書という形で6月14日に確定したものを出しておりますので、それを踏まえて中間評価票(案)が事務局等で作成されたという背景があります。後で資料2-5を詳しく御説明いたしますが、まず資料2-4のほうでの説明としましては、4ページ「官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進」ということで、これは令和4年度、今年度の予算案になっております。
 左の下に、全体の推進のスケジュールが書かれておりますが、2019年度から国の予算がつき始めたということです。その前には平成29年に、こういう放射光施設を造るべきであるというところを小委員会で最終報告をし、平成30年、2018年度で、パートナーを選定したという流れです。
 この左の下の図にありますように、パートナーがやる部分はオレンジ色になっていて、国がやるところがブルーになっております。ここで国と言っていますのは、QSTが担当するということで、この小委員会でQSTに決定したという背景がありますし、パートナー側は、右の四角に囲われている最初にありますように、代表機関としては一般財団法人光科学イノベーションセンターですけれど、それ以外に県と市、東北大学、それから東北の経済連という5組織をパートナーとして決定しています。
 それで、左の図「スケジュール」にありますように、国は加速器を造り、ビームライン10本のうち3本を造る。パートナー側は、ビームライン10本のうち7本を造って、あと建屋を造って、土地は東北大のキャンパスを使う。建設に係る予算については、この中の真ん中あたりに書いてありますけれど、総額380億のうち、国が200億、パートナーが180億ということになっています。そういうところで、現在2022年度で、3年を超えたところでの中間評価ということですが、まだ建設が終わっていませんので、引き続きやっていただかないと困るので、その際の課題等を検討したというところです。
 次のページからは報告書本文になりますが、これは事業を始める前の事前評価とか、今回、小委員会で作った中間評価報告書とかからピックアップしてまとめたものですけど、最終ページのところだけ説明しますと、結論としましては、まだ建設の途中ですし、次の11ページですね、先ほどの評価と同じように継続が妥当であるというところで、必要性、有効性、効率性という評価項目を立てて評価した結果、すべて妥当であるということになっています。
 さらに、下の「その他」のところに書いていますように、中間評価報告書では、指摘事項として、完成した時点で絶対に達成してほしいということと、完成した後の運用期になったところで検討してほしいということを含めてあります。
 次に中間評価報告書、資料2-5の御説明をしますが、この報告書を作る経緯が、18ページ、最後のページに書いてありますので、ちょっとそこをお願いします。3月から4回、開催しました。3月では、事前評価等の資料など、事業を始める前の課題、どういう計画でやってほしいかというところの、いろんな要件を確認しながら、今回の評価項目を委員会で検討しました。それをもとにQSTとパートナー側に宿題を出して、それに対する回答書をいただいた上で、4月に詳細を検討しました。QSTとパートナーに対する質疑応答も実施しました。委員の中に2人、利害関係者がおりましたので、その方には、報告や質疑応答には対応いただきましたが、評価結果をまとめる議論時には退室していただくという、かなり厳密にやりました。本来4月に現地視察をやる予定だったんですけど、地震の影響で5月に延期になりました。5月では4月に出た追加宿題に対するQSTとパートナー側の追加回答をいただきさらに質疑応答をしました。その後、6月にこの報告書を仕上げたという経緯です。
 では、報告書4ページから御説明いたします。この四角の枠に入っているところが、事前評価等で上がっている要件から今回、QSTとパートナー側に宿題として投げた、具体的にそれぞれ説明してくださいという評価項目です。それに対する回答が、下の「進捗状況・対応状況」にまとめてあります。
 最初は(1)「計画の進捗状況」ですが、結論としましては、次のページの真ん中あたりですが、2年間のコロナ禍も含めて3年ちょっとやっているわけですけれど、国側とパートナー側でうまく協力体制を組みながら、スケジュールが予定どおり進捗しているということが確認できました。現地視察でも建屋が完全に完成しているというのは確認できましたし、加速器のコンポーネント等も調整中というところも把握できましたので、間違いなく進むだろうというところです。
 1点、特筆すべきこととしては、まだ最終決定ではないのですけれども、実験ホールが非管理区域にできそうだとの説明を受けました。日本にある放射光施設は、施設に入るところから管理区域ですので、いろんな手続を踏まえないと中に入れない、見学も限られている、という状況ですけれど、この次世代放射光施設、最近名前が決まって、Nano Terasuという名前になりましたけれど、Nano Terasuにおいては、X線の実験ハッチで囲まれている中が管理区域で、ハッチの外は非管理区域で、施設には自由に出入りできそうだというところです。NanoTerasuで実現できたからと言って、日本の放射光施設全体がそうできるかというと、それは簡単ではなくて、クリアしないといけないいろんな条件をクリアする必要があります。なかなかハードルが高い条件をこの施設はクリアできそうだということです。最終決定ではありませんけど、非常に明るい方向性が見えてきたと思います。
 それから、(2)「開発」ですが、基本的に加速器を中心とした開発状況になります。我々はどういう次世代放射光施設が要るかという議論を踏まえ、光源性能のスペックとかの目標値を指定して、それを受けて事業をやっていただいたというわけなので、しっかりこの目標をクリアした設計になっているかというところを、今回報告いただいて確認したということです。
 これに関してはこれまでいろんな報告書がそれぞれの組織で出ておりますので、それも参考にしたというところで、評価結果としては、初期計画は妥当であり、加速器は間違いなくできるだろうというところですけど、まだ完成はしていませんので安心はできませんが、順調に進捗しているというのは確認できたということです。
 次に(3)「ビームラインの開発、高度化、運用」ですが、ビームラインは、10本のうち3本がQST、国側で、7本がパートナー側ということですけれど、その役割分担については、それぞれ進捗状況はそれぞれの予算状況もあって、いろいろ進め方が違う部分もあるのですけれど、統一が取れた形で進んでいるということを報告いただきました。その辺が7ページです。
 これもこれまでいろんな報告書が出ておりますので、それに沿ってやっているというところです。ただ、まだ立ち上げ中ですので、完成した後の運用や、世界的な競争の中でもやらないといけないので、高度化という計画も入れていかないといけないことなどは今後の課題であるというところです。
 (4)「産学連携」ですが、これはパートナー側が特に使用料等で収入を上げていかないと運営できない組織ですので、産学連携がキーワードになっております。また、まだ最終決定ではありませんけど、NanoTerasuはSPring-8等と同様な共用施設となる予定ですので、産学連携、イノベーションへの貢献は非常に重要です。産学連携……、次のページをお願いします。下のほうです。利用料金の設定とか、民間へのサービス内容とかの検討状況をヒアリングしつつ、資料も出していただきました。
 結論としては、その下です。産学連携の検討は進んでいますが、まだ装置も完成しておりませんので、具体的な運用期においては具体性が問われます。民間もかなり関心を持って、パートナー側との連携、加入金を払うという形で民間等が入ってきているというのは確認できましたけど、まだ最終的な加入目標までは到達していないので、今後2年間の努力が非常に問われます。現在、その辺りを含めて検討をしっかりやっていることは確認できましたけれども、運用期には具体的に始まりますので、その辺り、さらに検討が必要であるという結論になっています。
 (5)「人材育成」ですが、利用系は既に、放射光施設は日本にいっぱいありますので大きな問題はないかもしれないのですが、施設系の人材というところがこれからの課題になっています。
 評価結果としましては、10ページです。パートナー側はこれから本格的に雇用を始めるところで、今、公募中というところもありますので、運用期に向けてどれぐらい人材を確保できて育てていくかというのは、まだ具体的に見えないので、今後運用が始まって、どういうふうに利用者支援をやっていくかというのは今後の取組みにかかっているという結論です。
 (6)「国内外の連携」ですが、設計時期あるいは立ち上げ状況の中での連携は進んでおりますけれど、その後の、利用が始まってからの連携というのが、まだ中長期的には課題ですので、評価結果として、運用期に向けての検討が不可欠であるという結論になっています。なお、(1)から(6)の各項目の評価結果が、中間評価票(案)に書き込まれております。
 次は4「今後の重点的な課題及び推進方策」ですが、3年後にはまた評価をするということですので、次のページです。(1)「着実な整備完了・運用開始に向けて達成すべき事項」のところは、3年後に完成したときには絶対ここまではやっていただきたい項目として、①については、パートナー側は収入を得ながら運営していくというスタイルですので、しっかり予算が確保できていないと始まりませんので、その辺りを確認するというところです。また、国側も、完成した後の運用の予算というのはまだ決まっておりませんので、その辺りもしっかり確認しないといけないということです。
 ②は、そのちょっと下ですが、QSTとパートナーが一体的に課題も公募し、選定して、利用する場合には、利用の支援体制とか、料金設定とか、民間の場合は非公開利用の料金設定とかの整備がもう3年後には始まっていないといけないし、その辺りを確認するというところになっています。これが3年後に必ずやっていただきたいというところです。
 それから最後、12ページ(2)「研究成果の最大化、産学官の利用促進等に向けて中長期的に取り組むべき事項」ですが、運用開始後、十年、二十年、SPring-8も25年を超えていますので、二十年、三十年を見越した形での、①は成果の最大化に向けた検討も、運用が始まればすぐ始めてくださいよと、念押しのための項目を挙げています。高度化も、完成して終わりではなくて、手を加えないといけないという問題が②。それから③は、イノベーション、産学連携のところですね。あと④人材育成、最後は⑤国際連携。次もこういうところの取組を確認しますよという宿題も出しつつ、この報告書をまとめました。
 説明は以上です。
【上田主査】ありがとうございます。それでは評価に移ります。ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見をいただければと思います。時間は5分程度の予定です。
 大森委員、お願いします。
【大森主査代理】小杉委員、どうも取りまとめ、御説明、ありがとうございます。素朴な質問で申し訳ないですけれども、軟X線が強いビームはほかにもあると思うんですけど、東北大学の施設が軟X線を目玉にしていて、なおかつ産業利用を見込めるという、特徴的なところというのは、どういうところなのでしょうか。
【小杉委員】1つは、産業界でも、SPring-8がよく使われておりますけれど、基本的には金属等の重元素が多くて、軽元素はなかなか分析できないというところがあって、軟X線によって初めて軽元素の実験ができることに加え、単に軽元素、元素分析ではなくて、こういう高輝度のビームというのは、顕微鏡、イメージングの手法には非常にパワフルですので、実際のリアルな材料の不均一な分布をしっかり調べられることがあります。さらに、これは軽元素で調べられるということと関係しますが、最近の全体の量子ビームの流れですけれど、単にスタティックな構造を決めるというよりは、その場観察というか、オペランド観察というのですけれど、例えば、電池でも実際、機能している電池の変化を調べるというところが重要でして、そういう意味で、軽元素で、その場観察で、不均一な材料を調べるという意味では、こういうNano Terasuというような光源が必要である背景にはなっております。
【大森主査代理】ほかにも軟X線が出る強い光源というのはあると思うんですけど。
【小杉委員】どういう意味でしょうか。
【大森主査代理】UVSORとか、強いと思うんですけど。だからそういった意味で、軟X線が強い光源をつくるという、産業利用まで含めてつくるという意義はどこにあるのかなと思った。いや、前からお聞きしているんですけど、小杉委員のような専門家の方にお聞きする機会がなかったものなので、この機会に教えていただこうと思ったんですけど。
【小杉委員】輝度が高いというのは、光源が強いというイメージしか持たないかもしれないのですが、平行ビームに近いような指向性の高いビームになっているので、空間コヒーレンスが使えます。空間コヒーレンスが使えると、材料も結晶化していなくても構造が決められるというところは非常にパワフルです。
【大森主査代理】だから、空間的な分解能も高くなるということですか。
【小杉委員】そうです。それがナノビーム、Nano Terasuという名前の由来でもあるんですけど、普通の光源だと100ナノぐらいが限界だと思いますけど、NanoTerasuでは1桁のナノは、頑張ればいくかもしれないです。
【大森主査代理】なるほど。それによって産業利用が促進されるということですね。
【小杉委員】そうですね。産業利用は本当に、材料の不均一なところが分からないと始まらないので。
【大森主査代理】なるほど。分かりました。どうもありがとうございます。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
【小杉委員】私から、今回事務局で作っていただいた資料を見て、ちょっと質問があるのですけれど。
【上田主査】どうぞ。
【小杉委員】資料2-4ですが、その次のページです。利害関係者は小委員会ではこのように書いています。細かいところですけど、日付が、小委員会が発足した日付になっているのですけれど、その前のページの量子科学技術委員会が、今日の8月現在と書かれているので、そこを直したほうがいいということと、量子科学技術委員会には利害関係者がいないことになっているのですけれど、平野委員はQSTの代表なので利害関係者ではないかということの2点に気付きました。ちょっと細かいコメントで申し訳ないです。
【平野委員】平野ですけど、私も、利害関係者ではないかと思って聞いていました。
【山村係長】失礼しました。ここは事務局のミスかと思います。私のほうで訂正させていただきます。
 その後も、あれですね。委員の名簿のここも、最新の名簿に更新するということで、研究環境課様と調整したいと思います。御意見ありがとうございます。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ただいまいただきました御意見につきましては、事務局にて評価案に適切に反映いたします。今後は、研究計画・評価分科会へ小杉委員から報告し、御審議いただく予定です。
 それでは、議題3に移ります。分野別研究開発プランについてです。事務局より説明をお願いします。
【山村係長】事務局でございます。3つ目の議題をよろしくお願いいたします。
 分野別研究開発プランということで、こちらは何かというと、親委員会である研究計画・評価分科会からの依頼ということで、作成せよということで依頼がありましたので、今回御審議いただくものでございます。
 「策定に当たって」ということで、これは分科会から示されているペーパーでございますけれども、色をつけたところを中心に御説明させていただきますが、背景としまして、第5期科学技術基本計画というものが平成28年に取りまとまったところでございまして、文科省としては、その基本計画に対応するための研究開発計画というものを取りまとめて、これまで計画に基づき研究開発を実施してきたところでございますが、近年、量子戦略をはじめ、バイオ戦略、AI戦略など、CSTIを中心とした政府全体での分野別の戦略計画が策定され始めたということ、また科学技術・イノベーション基本計画ですね。これは、第6期科技・イノベ基本計画になってございますけれども、こちらも令和3年3月に閣議決定されましたということで、今後、この研究開発計画のところを、平成29年につくったものを改定するということは、そういった事情も踏まえまして行わず、それぞれ分野別の委員会において、分野ごとのまとまりで実施する取組・推進方策を分野別研究開発プランとして、委員会ごとに作成して、研究計画・評価分科会で決定するといった方針が決められたというところでございます。
 なので、このプランというものは、あくまで研究開発計画の考え方を踏襲いたしまして、先ほど実施したような中間評価みたいなものが効果的にできるように、効果的なフォローアップの実施が可能となるように、本プランの体系と文部科学省における政策評価の体系を整合させるような考え方を持ってプランを作成せよといったところで依頼されているものでございまして、基本的な考え方としましては、分野ごとのまとまりで実施する取組・推進方策を、分野別研究開発プランとして取りまとめると。なお、プランが取りまとめられ次第、研究開発課題ですね、もともとの研究開発計画は廃止するものとするということで、分科会事務局より示されているものでございます。
 上田先生、この後、質疑の時間を設けておりましたけれども、多分続けてプランを説明させていただいたほうがよろしいかと思いますので、そのままプランの中身の説明に移らせていただきますけれども、よろしいですか。
【上田主査】分野別開発プランですね。
【山村係長】そうです。
【上田主査】それでは、引き続きよろしくお願いします。
【山村係長】恐らく、この進め方についての質疑というよりも、本体を見ていただいたほうが早いかなと思いましたので、こちらをお示しいたしますけれども、こういったプランとしては、分科会事務局よりフォーマットとして、こういった文科省の政策体系の下で、どの施策目標に位置づいているかというものと、この2ページ目の線表ですね、どういった事業が行われて、どういったタイミングで評価をすると。あるいは指標がどういうふうになっているかというのを一覧できるようなものとして、プランとして作成せよというお題目で来ているものでございます。
 今回、量子委員会と量子ビーム小委員会で、2つ、所掌する事業があります。2種類、2分野の所掌する範囲がございますので、2つ、プランを作成するということになっております。1つ目が、光・量子技術研究開発プランという名前にしておりますが、こちらの文科省の施策目標の中で、「未来社会を見据えた先端基盤技術の強化」という施策目標がございまして、こちらの概要としましては、我が国の未来社会における経済成長とイノベーション創出、ひいてはSociety5.0の実現に向けて、幅広い分野での活用の可能性を秘める先端計測、光・量子技術、ナノテクノロジー・材料科学技術等の共通基盤技術の研究開発等を推進するといった、大きな文科省の施策目標がございまして、その中の光・量子技術のところについて、光・量子技術研究開発プログラムとして、内外の動向や我が国の強みを踏まえつつ、中長期的な視野から、21世紀のあらゆる分野の科学技術の進展と我が国の競争力強化の根源となり得る量子科学技術の研究開発及び成果創出を推進するといった、文科省の政策体系がございまして、そういったところにひもづく事業をマッピングしたものが、この下の線表になってございます。
 大きく4つ、事業があるように見えるのですけれども、この上の3つの事業は、もう平成30年度で終わった事業でございまして、今、量子委員会で所掌している事業としましては、先ほど説明した光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)のみになってございます。
 アウトプット指標、アウトカム指標も、先ほど中間評価の中でちらっとだけお話ししたような指標をモニタリングしていくようなものになってございまして、こちらは今回、中間評価、2022年に実施したものでございますが、次、ちょっとこれは書き切れていないのですけれども、入っていないですけれども、令和9年に次回の中間評価をやるものとなってございます。
 もう一つ、量子ビームの研究開発プランというものがございまして、こちらは施策目標は8-3で、オープンサイエンスとデータ駆動型研究開発等の推進といった文科省の施策目標がございまして、こちら、研究の飛躍的な発展と世界に先駆けたイノベーションの創出、研究の効率化による生産性の向上を実現するため、情報科学技術の強化や研究のリモート化・スマート化を含めた大型研究施設などの整備・共用化の推進、この辺が関わってくると思いますけれども、次世代情報インフラの整備・運用を通じて、オープンサイエンスとデータ駆動型研究等を促進し、我が国の強みを生かす形で、世界の潮流である研究のデジタルトランスフォーメーション(研究DX)を推進するといった文科省の施策目標がございまして、プログラム、この中で、量子ビーム研究開発プログラムとしては、先ほど申し上げた大型研究施設の整備・共用化の推進のところでございますが、研究DXを支える大型研究施設、SPring-8、SACLA、J-PARC、次世代放射光施設(Nano Terasu)や全国の研究施設・設備・機器の整備・共用を推進し、研究成果の一層の創出・質的向上を図るというようなものになってございまして、こちらは、こういった線表になりますけれども、一番上が先ほどの、次世代放射光施設の推進でございまして、その下2つが、SPring-8あるいはSACLA、それからJ-PARC、それぞれ4つの施設の整備・運用を推進していくというところで、こういった線表になってございまして、今回、2022年に次世代の中間評価があったというところでございます。
 こういった、各委員会で所管する事業をマッピングして、適切な指標をモニタリングしながら、適切な時期に中間評価等を行っていくためのものとしてプランを作成するということで依頼が来ておりますので、今回こういった案で御審議いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
【上田主査】ありがとうございました。
 それでは審議に移ります。ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見をいただければと思います。時間は5分程度を予定しております。
 小杉委員、よろしくお願いします。
【小杉委員】量子ビームのところなのですけれど、今回の中間評価もそうだったのですけれど、大目標が、オープンサイエンスとデータ駆動型という、DX関係の中に入っているのですが、そういうところで、次世代放射光、Nano Terasuのところが位置づけられるとすると、Nano TerasuがDXのことを前面に出した施設としてやっていないといけないんですけど、実はNano TerasuはDXの話の前から始まっていて、必ずしもDXのところをしっかりやるというのが、意識としてはなかった状況で、今回の中間評価報告書でも中長期的なところでDXの課題に取組むという感じでは書いているんですけど、こういう大目標になると、中長期というよりは最初からDXをしっかりやってくださいよという形になるのではないかというふうに見えたのですが、その辺り、事務局的にはどうなのでしょうか。
【山村係長】研究環境課から補足があれば補足していただきたいのですが、私のほうからお答えいたしますと、これは、政策評価の立てつけ上、1個、何か大目標を定めてくださいというところで、今、SPring-8、SACLA、J-PARC、Nano Terasu、全部含めた形で8-3というところを設定していますけれども、すみません。分科会から示されている様式上は、ここに、この施策目標8-3以外にも、関連する施策目標を書いてもよろしいというか、書くべしという題目で来ておりますので、今おっしゃられた研究DX以外のところについては、この辺に関連する施策目標みたいなものですね、先ほど、光・量子で言えば9-1でしたけれど、そういったところを記載していくような形になるのではないかと思います。
 環境課から何か補足があればお願いいたします。
【林専門職】ありがとうございます。研究環境課の林です。
 こちら、今の記載ですと、立てつけ的に、リモート・スマート化を、何というんですか、前面にのように見えてしまうということなのですが、事務局からも申し上げたとおり、見え方の部分は検討しつつ、ただ一番下に、こちらのページに上位施策と書いてあるように、官民協働の仕組みで建設が進められている次世代放射光施設の着実な整備や活用を推進するとともに、大型研究施設や大学、国立研究開発法人の共用施設設備について、リモート化・スマート化を含めた計画整備を行うということは、より上位の施策となっております。そういった観点から今後も進めていくのかなと考えております。
【小杉委員】ありがとうございました。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。
【山村係長】小杉先生、こちら、もともと示されているフォーマット上は、本研究開発プランと関わる可能性がある横断的な分野について記載することができるというふうになっていますので、この辺に先ほどの御指摘を踏まえて追記していく形も、環境課さんと相談しながら検討したいと思います。
【小杉委員】よろしくお願いします。DXについては、既存の施設は補正予算等でいろいろ手がけている部分はあるんですけど、Nano Terasuについては、そういう予算の対象ではなくて、まだ建設中で、最初からDXをやるという計画は含まれていなかったので、今後DXをどうするかというのが気にはしていたんですけど、ほかの目標もここで書けるということであれば大丈夫です。
【山村係長】すみません。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございました。ただいまいただきました御意見につきましては、事務局にてプラン案に適切に反映し、研究計画・評価分科会にて報告いたします。
 本日予定していました議事は、これで終了いたしました。最後に事務局より連絡事項があれば、お願いいたします。
【山村係長】事務局の山村でございます。本日はありがとうございました。
 今回御議論いただいた中間評価と分野別研究開発プランについては、今後、本委員会の親会議に当たる研究計画・評価分科会において、本日の御指摘を踏まえて修正した上で提出させていただいて、審議された上で決定されるということになってございます。
 次回の量子委員会につきましては、今年度内に1回程度を予定しております。詳細については、事務局から追って御連絡を差し上げます。
 事務局からは以上でございます。
【上田主査】ありがとうございます。
 本日は、長時間にわたる御議論、ありがとうございました。それでは閉会といたします。どうもありがとうございました。

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