量子科学技術委員会(第9期~)(第25回) 議事録

1.日時

令和3年12月17日(金曜日) 9時00分~11時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 量子技術イノベーション戦略の見直し及び量子科学技術委員会の進め方について
  2. 量子技術イノベーション拠点内外の連携による人材育成等の裾野拡大について
  3. 若手研究者育成について(量子分野への持続的な支援、国際的なリーダーの育成等)
  4. その他

4.出席者

委員

上田主査、岩井委員、岩本委員、大森委員、川上委員、小杉委員、早瀬委員、波多野委員、平野委員、美濃島委員、向山委員、山田委員
【外部有識者】萬副センター長、馬場所長、角屋教授

 

文部科学省

迫田量子研究推進室長、山村量子研究推進室機構・総括係長、百合量子研究推進室行政調査員、古関量子研究推進室係員

 

5.議事録

【山村係長】皆さん、おはようございます。それでは定刻になりましたので、第25回量子科学技術委員会を開催いたします。本委員会の事務局を担当させていただきます、文部科学省量子研究推進室の山村と申します。どうぞよろしくお願いします。
 皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございます。本日は12名の委員に御参加いただくこととなってございます。岩井委員、岩本委員は10時頃からの御参加となってございます。根本委員、湯本委員は御欠席となります。
 本日の配付資料は、ただいま投影させていただいております議事次第に一覧を記載してございます。全ての資料は事前に送付してございますけれども、補足などございましたら事務局まで御連絡ください。説明の際は画面に共有する予定でございます。
 次に、オンライン会議の留意事項について御説明いたします。
 通信を安定させるため、御発言されるとき以外は可能な限りマイクをミュートにしてください。発言される際はミュートを解除してください。議事録作成のため速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号に、お電話をお願いいたします。
 なお、本日は会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるWebexでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
 事務局からは以上になります。
 以降の議事進行については、上田主査にお願いいたします。
【上田主査】上田でございます。おはようございます。今日も朝早くから参集していただきまして、どうもありがとうございます。
 本日は議題が3つございます。まず、1つ目の議題として、量子技術イノベーション戦略の見直し及び本委員会の進め方について、事務局から説明がございます。
 その後、2つ目と3つ目の議題としまして、量子技術イノベーション拠点内外の連携による人材育成の裾野拡大につきまして、また、若手研究者の育成につきまして、それぞれ有識者または委員からの御発表、意見交換がございます。
 それでは、議題1に移ります。事務局より御説明をよろしくお願いいたします。
【迫田室長】皆さん、おはようございます。量子研究推進室長の迫田と申します。どうぞよろしくお願いします。私、8月1日に量研室に着任いたしましたので、御挨拶させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1-1に基づきまして、今、政府全体の量子戦略の見直しの動きであったり、また、この委員会との関係性等につきまして御説明さしあげます。
 2ページ目をお開きいただければと思います。量子技術イノベーション戦略は、昨年1月に策定いたしましたけれども、その後のコロナ禍による社会のDX化であったり、またカーボンニュートラル社会の実現であったり、また一番大きな動きとして国際競争の激化ということで、グーグルだったり、IBMだったり大変野心的なベンチマークを発表されていて、想像以上に早くサービスインをされたり、また今後サービスインをされる見込みの企業が増えております。こういった状況を踏まえまして、我が国としても量子技術を使ったビジネスや産業をいかに振興していくのかということについて、やはりいま一度検討しなければいけないということで、今、見直しについて議論をしております。
 当然、ただビジネス、ビジネスといいましても、先立つ技術がなければ全く成り立ちませんので、技術開発のほうも加速、充実をしていく必要があるということで、今、議論を進めております。
 3ページ目でございます。こういった背景を踏まえまして見直しの論点としまして、一番最後に書いております将来の量子技術の社会実装であったり、量子産業の在り方、出口戦略を明確にするため、今、戦略の見直しを行っております。
 次の4ページ目でございます。今、議論をしているところなんですけれど、その論点としまして、何点か挙げております。最初に、未来社会におけるQXの位置づけということでございまして、Quantum Transformationを、我々はQXと呼んでおりますけれども、量子技術だけではなくて、いろいろな社会と接続して産業としてしっかりと成り立つだろうと。例えば材料であったり金融であったり、そこのユーザーが使ってサービスを提供して、初めてマネタイズができて、研究開発であれ、またハードウエア、ソフトウエアの産業が潤う、売上げが上がるということもございまして、様々な社会、分野と接続していくことが重要であろうということで、未来社会におけるQXの位置づけということを、論点の一つとして掲げております。
 この真ん中のセクションが量子技術特有の問題でございます。量子コンピュータの国際競争力をどうしていくかという問題であったり、またアプリケーションの開発をどうしていくのか、量子的技術の普及・高度化、量子暗号通信であったり、また昨今研究が進められております量子インターネットなどの技術の開発も、期待されるところでございます。そして、これは量子分野だけではございませんけれど、量子ベンチャー企業の振興ということで、今、市場がない状況において市場をつくるという意味合いでは、ベンチャー企業のほうにもかなり活躍の場、機会というかチャンスがあるのでないかということで、そのベンチャー企業の振興ですね。特にアプリケーション分野かと思いますけれども、そういったところで力を発揮できる分野じゃないかと思います。
 ただ一方で、このベンチャー企業も全分野、量子以外も含めて低調であるということもありまして、いかにベンチャー企業を生み出していくかということも重要かと思います。
 プレイヤー人材の育成ということでございますが、ハード、ソフトともに慢性的に不足しております。これはもう皆さん、身にしみて理解されていると思いますけれども、こういったところをしっかりと、短期的にはヨコであったり、また長期的にはタテの分野で、人材の育成・拡充をしていくことが必要ではないか。
 これらを重要な論点として掲げているところでございます。
 その下に国際連携だったり、産学連携体制であったり、アウトリーチ、そういったことも論点の一つとしております、今、8拠点ほど量子拠点を設けまして、推進しているところでございますけれども、国際連携、産学連携体制について今後も強化していく必要があろうということで、ここの強化方策についてまず議論をしているところでございます。
 特にこの委員会では、今、内閣府のほうの量子委員会のほうでオールラウンドに検討しているところなんですけれども、文部科学省の役割としましては、この人材育成の部分について重点的に議論する必要があろうかということで、今回、この量子科学技術委員会を中心として、人材育成を論点として議論を進めていきたいと考えています。
 具体的には、4つの人材育成の視点があるのかなと思っています。これは後ほど具体的に、詳細を事務局からまた御説明いたしますけれども、1つ目はタテの線ということで、例えば若い高校生の段階から、また、小中学生の段階から長期視野にわたって、我々は量子ネイティブとか呼んでいますけれども、若い頃から量子の素養、量子技術に触れて、将来の研究者であり、また産業の担い手を育成していく、そういった視点があろうかと思います。ただ、このタテの線で育成していると結構時間がかかるというところもございますので、やはりヨコの線ということで、他分野であったり、他業界から寄せていくといったことも必要かと思います。御存じのとおり、量子コンピュータは、システムとして実現していくためには、量子技術のみならず古典コンピュータの世界であったり、またはリアルテック、例えば冷凍技術であったりとか、様々な量子技術以外の分野の技術開発とも連動させながら進めていかなければならないと思います。アプリケーションにつきましても、AIであったり、様々なアプリケーション開発のベンダーさんと連携しなければいけないと考えています。
 ですので、様々な他分野の業界の方々と連携して、ヨコの人材育成もしていく必要があろうかと思います。要すれば、競技人口を増やしていくというところが重要な論点かと思います。
 3つ目の論点としまして、研究開発の文脈で言うと今、大学研究機関が中心に研究開発を進めておりますけれども、最終的には産業界のキャリアパスを考えますと、大学のほうに就職するという方もいらっしゃいますけれども、主にはその人材の受け手となる産業界がしっかりと成長しなければいけないということもございますので、産業人材育成も視野に入れて、産業界と大学が連携しながら、いかに産学の人材育成をしていくのかということも、論点の一つかと思います。
 4つ目の論点としましては、国内のみに閉じずに国際的な動向も踏まえながら、また国際競争力ある技術を育成する観点から、国際人材ですね、行ったり来たり、エクスチェンジといいますか、そういう人材交流をする、国際交流をしていく、そういったところも強化の一つかと思います。
 以上、この4つのポイントを中心にこれから議論し、そして最終的には、年明け2月か3月頃に、内閣府で今検討しております会議のほうに、この議論の結果を報告できたらと思いますので、お願いします。
 本体の内閣府のほうのスケジュールでございますが、5ページ目でございます。今後の見直しのスケジュールと書いております。
 令和3年、本年の10月7日にキックオフをいたしまして、3月末までに見直し案を一定程度固めるということを考えております。そして4月、6月ぐらいに最終的に決定しまして、その後、例えば、令和5年度分になりますか、概算要求であったり、またその後のいろいろな制度、仕組みに反映していきたいと考えております。
 我々、具体的にはQ-LEAPを中心に人材育成プログラムを策定、実施しておりますので、そういったところを核としながら、改善または充実を図っていきたいと思いますので、ぜひとも皆様から御知見を賜ることができましたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
【山村係長】次に、資料の1-2について説明させていただきます。
 2ページをお願いします。本委員会の進め方についてということでございますけれども、先ほど迫田から御説明したとおり、ワーキングと並行してこの委員会を進めさせていただきまして、本年1回、来年1回の計2回をもって検討した結果を、ワーキンググループに報告するということで、見直しに反映させていくということで進めたいと思っております。
 次のページをお願いします。こちらが、事務局として掲げている4つの論点でございますけれども、先ほど迫田から詳しく御説明させていただきましたが、拠点内外との連携を大きく1つ目に掲げさせていただいております。次に2つ目、若手研究者育成ということで短期のヨコからの流入を図るための施策ですとか、タテからの流入を図る施策、あるいは国際的な連携というところを掲げております。3つ目が、先ほど申し上げたタテから育成していくという論点でございます。4つ目が、最後、技術開発したものが産業界に受け取られて発展していくということが大事かと思っていますので、産業界と連携した人材育成ということで、挙げさせていただいております。
 次をお願いします。具体的に本委員会の検討のスケジュールでございますけれども、本日、拠点内外の連携による人材育成と若手研究者育成ということで議論することになっておりまして、令和4年1月28日、次の量子委員会において、量子ネイティブの育成あるいは産業界と連携した人材育成ということで議論して、最後に議論の取りまとめを行いたいと思います。
 その議論の結果を踏まえまして、2月中旬の戦略見直し検討ワーキンググループにおいて、上田主査から検討結果の御報告をいただくと、そういう流れで考えてございます。
 事務局からは以上になります。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 ただいまの御説明に関して、何か質問はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議題2に移らせていただきます。量子技術イノベーション拠点から、理化学研究所の萬副センター長、量子科学技術研究開発機構、QSTの馬場所長、東京工業大学の波多野委員に、それぞれ拠点における取組や今後の方針について、御発表いただきたいと思います。その後、質問を含めて意見交換の時間を設けさせていただきます。
 まず、理化学研究所の萬副センター長から、御発表をお願いいたします。
【萬副センター長】萬です。それでは、理研RQC、RQCというのは、この4月からできました量子コンピュータ研究センターの略ですが、RQCにおける連携についてというタイトルで、御説明をさせていただきたいと思います。次をお願いいたします。
 もちろん既にご存じのことと思いますが、量子技術イノベーション拠点が8拠点設定されて、進められております。この御覧の8拠点が入っておりまして、私ども理化学研究所はそのヘッドクオーターとして、一応取りまとめをするという役割も担っております。ただし、各研究領域はそれぞれ異なっておりますので、どちらかといいますと一体となって横断的にすべき取組を強化するというような立てつけになっております。
 現在は、国際連携、人材育成、産学連携、知財・標準化などにおいて、8拠点を横串にして課題共有、あるいは方針、提言活動を行うということで進めております。この中に人材育成というのも入っておりまして、量子技術の発展を担う若手研究者、研究リーダーのための環境整備というようなテーマも入って、議論が始められているという状況であります。次、お願いいたします。
 ここからは、理研量子コンピュータ研究センターの状況にフォーカスして御説明させていただきたいと思います。
 まず、この組織を簡単に御紹介します。様々な量子コンピュータのプラットフォームの研究開発を進めております。プラットフォームによっては、研究開発のフェーズが基礎的なところ、あるいは実用化まで見たような研究開発が必要なところ、様々でございます。基礎科学と実用化、この両面で進めていくということで、御覧いただいて分かりますように、超伝導、電子系、原子系、光系、半導体、そしてそれらと連携する理論の研究から構成されているということになります。
 理研の中には、真ん中の図のところに書いてありますが、量子情報の物理あるいは計算科学、情報科学、数理科学、光量子技術、物性科学に非常に強いセンターもございますので、こういったところとも連携しながら進めていくというような体制になっております。
 次、お願いいたします。量子コンピュータ開発拠点という形で理研は定義されておりますが、その量子コン拠点ならではの人材育成ということで、基本的な考え方をお示しいたします。
 研究開発の強力な推進ということが私共の基本的なミッションになりますので、そこをてこにして、機会や場の提供を特徴とする人材育成というところが目指せるところなのではないかと思っています。大きい点で言いますと、量子コンピュータの試作機の研究開発をやります。これは非常に総合的な科学・技術を集積して蓄積する、そういうような活動になります。すなわち、ここの研究開発に携わることによって、様々な領域の技術や科学に触れる機会というものが提供できるという特徴があると思います。
 それから、当然理論やアプリケーション、ミドルウエアというようなソフトウエア系と言われるような研究と、ハードウエアをゴツゴツ作っているという両方が出てくるわけですが、この両者が共に議論する場というものがつくり上げられるという特徴がございます。
 それから、こういったことを通して、幅広に国内外の研究機関と連携ができるだろうと。産官学、それから分野としても、いわゆる狭い意味での量子情報物理にとらわれない分野も含めた交流ができます。それから機会の提供ということで、主に蓄積する製造技術の共用とか、あるいは実際に作った実機マシンの利用という形での機会の提供ということができるだろうと思っております。
 また、試作機などを作るという社会的なインパクトの強い成果を実証するということで、産業界に対する刺激というか広がりを契機として、若手研究者への多様なキャリアパスの構築へ貢献できないかと考えています。アカデミアの中でのキャリアパスを作るというのはもちろん理研としてはしっかりやっているんですが、量子の世界が産業界に広がって別なキャリアパスができてくるというところも誘発できないかということを考えているということです。次、お願いいたします。
 前のページが基本的な考え方で、それに基づいて今どうなっているかというのが、このページです。
 まず、共同研究という観点ですが、これは大学、国研、企業、幅広に共同研究をやっております。大学でしたら大学院生、企業でしたら企業研究者が来て、育成にも貢献していると。15件ぐらいありまして、例えば超伝導量子ビットで重要なものはジョセフソン接合というものですけれど、これをこれまでのやりかたとは違う形での集積技術研究を、ある企業とやっています。あるいは、ある別の国研が持っている非常に強い薄膜の成膜技術と、私どもで作りたい高品質な超伝導回路の設計、そしてさらに別の大学が持っている、特徴ある物性評価の技術を組み合わせるような共同研究というようなことも行っています。
 それから産業界との大きな連携としては、この4月から富士通さんと連携いたしまして、理研の制度であります企業連携センターというのを設立しております。量子コンピュータの大規模化に向けたハードウエアや基盤技術の開発、実機の開発、アプリケーション開発を、産業界の立場から推進していただくことを我々が支援するという形になります。
 それから、理研は科学技術ハブ共同研究プログラムというものを持っておりまして、国内大学と共同研究を推進することを実際に実施しております。
 設備共用の観点で言いますと、超伝導量子コンピュータ開発用の機器になりますが、それを理研外共用機器として整備して、他の機関の方々が利用できる環境を構築しました。この7月頃から動かしていますけれど、基板洗浄とか薄膜製造、フリップチップボンダーというような、製造装置を中心に進めています。今のところ、利用料を取るとか、そういうことではなくて、共同研究契約ベースで内容を決めて進めていくということで、取り組んでおります。
 それから、こちらは2022年度ですが、開発中の超伝導量子コンピュータのクラウドサービス化を実施して、外部機関への利用機会を提供しようと計画しております。ハードウエアはQ-LEAPのプロジェクトを活用し、ミドルウエアとかシステム的なところは、阪大などの他機関とも連携して、効率的に構築するという形で進めています。
 それから、これはまだ検討中ですけれど、理研は富岳をはじめとして、非常にたくさんの計算機リソースを保有しておりますので、これをうまく活用した量子コンのシミュレータの活用とか提供ができないかというのも、併せて検討しているという状況でございます。次、お願いします。
 教育面ですが、Q-LEAPの人材育成プログラムに、理研のRQCのPIが参画しておりまして、オンラインコースとかサマースクールにも一応貢献しているというようなことをやっておりますし、連携大学院制度を使って、大学院生を研修生として受け入れていると。これは19名ぐらい来ています。
 それから、博士課程の若手研究者を非常勤として採用するような制度を理研として実施していまして、今のところ1名ですけれど、活動しているという状況です。
 それから、人材育成に絡んだイベントの開催ということもやっております。理研はQ-LEAPの量子情報処理領域のヘッドクオーターの役割も務めておりまして、その主催の人材育成企画イベントというのを、ここ数年やっております。これは量子コンピュータのソフト、ハード、入門的なセミナーとか、人的な交流というのを目指すものなんですが、例えばソフトウエア合宿、この写真はその模様ですけれど、宿泊して量子ソフトウエアに関するプラクティカルな練習、それからあるべき姿をグループに分かれていろいろ考えるとかいうような、ワークショップ的な合宿です。こういったこととか、量子コンピュータに関心はあるが、ちょっと分野が違っているというような方々を集めた異分野横断ワークショップ、あるいは、非常に力を持っている拠点に訪問して、そこで交流会をやるというようなこと、産総研で開催しました。そういったこともやっています。
 国際シンポジウムも開催しておりまして、若手研究者セッションとか、チュートリアル企画なども行って、若手の研究者へ向けた機会を提供すると。これは全8拠点が参画しているイベントです。次をお願いいたします。
 これは最後のページですが、まとめというか、少し要望めいたことも含めて書かせていただきました。
 連携という観点では、この分野が世界的に急速に成長しているということで、先ほど迫田室長がお話しされておりましたような、量子分野だけで何とかするということだけではなくて、量子分野と近い関係を持っていく、分野間の壁を越えた有効な連携戦略とか仕組みづくりというのが、非常に重要だなと感じているところであります。
 それから、同じ連携でも産業化に向けた形では、やはり技術シーズとニーズの両方の立場を理解して、コーディネーションしていくような機能というのが非常に必要だと感じているところです。
 一方、研究競争力を向上させるという視点では、海外との交流というのも非常に重要だろうと思っております。特に人的なものですね。そういったところを強化していくことも重要だと考えております。
 それから、人材育成という視点ですと、理研のPIとしてはやはり研究というのもやらなきゃいけなくて、育成と研究の両立というのはリソース的には制約があって、教える側の人材の厚さ、量がやっぱり足りてないというのも、感じているところです。量子技術に参画していただく方々へは、学も産も官も皆そうですが、ゼロベースから教えていくことになります。それを都度やっていく事は負担になります。基本的なものとか共通的な知見というのをうまくまとめられないのかなと感じるような次第です。
 それから、インターンシップとか短期滞在で、特に若い方にいろんなことを感じていただくというのは非常に重要なことだと思っておりますが、そこはそこで費用がかかります。いわゆる研究のプロジェクトというところから出費するのには一定の限界がありますので、使いやすくてフレキシブルな予算の立てつけというのも必要なのかなと思います。
 それから設備の共用化ということを進めていて感じるのが、製造技術とか評価技術、こういったものが研究開発の途上にありますので、研究開発向けの使用とのマシンタイムの問題が出てきます。集中して研究としての大型成果を出すことと、広く共用することのトレードオフというのをどうするのかということも考えているところであります。
 まとめとして言うとすると、量子人材の視野を広げる、外部からの人材参入を進めるということが、今後は重要だと考えております。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、QSTの馬場所長より御発表をよろしくお願いいたします。
【馬場所長】皆様、おはようございます。QSTの馬場でございます。それでは、資料を共有させていただきます。スライドを御覧いただけますでしょうか。
 それではQSTから、量子技術イノベーション拠点の量子生命拠点における人材育成等の取組につきまして、御紹介申し上げます。
 これは先ほど迫田室長から御説明があった、量子科学技術委員会における4つの今後の議論の視点に基づきまして、赤い字が、現在QSTで取り組んでいる状況をまとめたものでございます。これ、全ての詳細を御説明する時間はございませんので、この後、主要なところだけ御説明しますが、それぞれの項目に関連のスライド番号を書いておりますので、もし御興味ある項目がございましたら、また質疑応答でいただければと思います。
 現在、QSTでは量子生命科学研究所を拠点の中心としまして、来年度、新棟を建てる予定になっております。少し量子生命科学の領域につきまして振り返りますと、量子生命科学領域は、2016年にQST発足時、平野理事長の強力なリーダーシップの下に学会の設置、2019年の領域、今の研究所に相当するものを設置いたしまして、本格的に開始いたしました。学会も発足し、これは今、平野理事長が会長でございますが、毎年、国内学会を開催し、国際シンポジウムにつきましても、Q-LEAPの波多野先生のフラッグシップと連携した国際会議、今年の拠点の国際会議を含め、毎年、国際会議を実施。その間、国内外の連携を強化するとともに、昨年8月からQ-LEAPのフラッグシップが開始されまして、今年の2月に拠点の設置、それから研究所への改組ということで、この2年9か月の間に、急ピッチで取組を進めております。
 実は、私は現在、研究所長を仰せつかっておりますが、このお話を平野理事長からお引き受けするに当たりまして、量子科学技術と生命科学医学はかなり異なる分野なので、最大限の努力はしますが、これを融合するのは非常にチャレンジングで、夢のあるお話なんですけれども、時間がかかると思いますというふうに申し上げましたところ、平野理事長からは、戦国時代に一晩で城を造った武将もいるやに聞いているというふうに叱咤激励されまして、残念ながら一晩ではできませんでしたが、2年9か月で現状まで至っているという状況でございます。
 現在、20の国内大学、国研、12の海外大学、10の企業との連携体制を構築いたしております。例えばイギリスですとオックスフォード大学、サリー大学に入っていただいておりますが、実は昨晩もケンブリッジ大学から、我々の取組状況をいろいろインタビューを受けたところでございまして、将来的にはケンブリッジとも連携していきたいと考えております。米国では、ハーバードメディカルスクールやNIHのNCI等、医学系の方との連携を進めていただいておりまして、UTサザンウエスタンのメディカルセンターの研究者とはクロスアポイントメントで連携を進めております。
 装置の共用、最先端の装置を文部科学省の御支援で入れていただいて、この建物ができますと、ここに全部集約するわけですが、現在は別の建物がございますが、既に供用を開始しております。それから企業スペース等をここに設置することで、企業との連携を強化するとともに、出口戦略、人材育成を強化していく予定です。
 人材育成につきましては、このスライドで書いているとおりでございますが、例えば瀬藤先生が進めておられるさきがけとの連携、量子生命科学会等の学会、その若手の会との連携、さらには高校生等をターゲットとした量子ネイティブの育成を進めるとともに、企業との連携、それから拠点との連携。特に企業では、Q-STARとの連携は当然ですが、量子生命科学ということで、製薬協に参加している製薬企業との連携も、今、製薬協と議論を進めているところでございます。バイオインダストリー等の企業との連携も進めております。
 非常にビジーなスライドで恐縮ですが、これは現在、既に連携している大学等でございまして、特に特徴があるのは医学・生命科学系のかなり多くの大学、特に医学系の先生に非常に御興味を持っていただいておりまして、多くの大学との連携を進めています。大学はそれぞれ、量子科学技術あるいは生命科学で、トップの先生方がいらっしゃるところを中心に連携を進めておりますし、大学フェローシップ創設事業に、量子の分野で採択されている大学との連携を進めております。一部の大学ではクロスアポイントメント等で先生方と連携するとともに、現在、東北大学の医学部、千葉大学の理工系の大学院と、新たな講座やコースの設置に向けた準備を進めているところでございます。
 これは、さらにQSTが、先ほど御紹介した以外の大学等との連携を、共同研究を進めている大学のリストでございます。
 量子生命科学研究所は、現在19グループございまして、約100名の研究者が研究しておりますが、そのうちの4つのグループは、各大学等からのクロスアポイントメントでGLをお願いしておりまして、大学との強固な連携体制を構築しております。それから、連携ラボ、京都大学、名古屋大学のラボをQSTの中に設置しておりまして、私、主は名古屋大学ですが、私の研究室の学生、ドクターの学生等がQSTで研究を進めたりしているところでございます。
 この間、一つ非常に大きな重要なポイントは、Q-LEAPとのフラッグシッププロジェクトに採択されたということでございまして、荒川先生がPDのところで3つのテーマを進めておりますが、それぞれ総括は大学の先生にお願いしていますので、全員の先生にQSTとのフォローアップあるいは兼務をお願いして、QSTが主導的に全体を進めています。
 この中で若手の人材育成を進めるということで、30代から40代の人が約6割いる中で、人材育成を進めているところでございます。この中に企業10社入っていただいて、さらには、波多野先生のフラッグシップとの連携も強固に進めている状況でございます。
 これがQ-LEAPだけを見た場合の連携状況でございまして、赤い線を引いたところが生命科学系・医学系のグループが入られている機関でございまして、非常に多くの生命科学系・医学系のグループに入っていただいて、この量子生命科学という領域の発展を加速するような体制を組んでいるところでございます。
 例えば、生体ナノ量子センサー、Q-LEAPの中の1つのグループAですが、ここでは量子センサーの開発と生物研究応用ということで、これまでなかなか組織的に連携することのなかった研究者を、御存じの方も多いと思いますが、東京大学の医学系研究科の上田先生、この先生は医学もよく理解されますし、量子技術についても造詣が深いということで、上田先生を中心にそれぞれのグループについて、QSTの主要なメンバー、五十嵐と湯川が中心になって、この連携を進めると。さらには企業との連携を進めるような体制で、大学とQSTとの連携体制を進めております。
 この中で今、プロジェクトを開始して1年少したちましたけれども、もう既にナノ量子センサーを、脳神経科学、免疫学、がん科学、細胞生物学、再生医学で、それぞれのトップの先生方に応用していただいているところです。
 そのためのキーになる取組の1つとしましては、QSTに量子センサーを計測できる技術を設置して、供用をそれまで進めていましたが、特に医学系の先生方の近くにその装置がないと、特に臨床サンプルを扱うとき、臨床サンプルはなかなか外部に持ち出すことができませんので、現在、北海道大学、名古屋大学にそれぞれ、QSTと少し性能の異なる、得意分野の異なる装置を設置して、この中で各大学の先生方が量子生命科学の研究を促進できるような体制を、構築しているところでございます。
 今後はQ-LEAPの先生方のみならず、ほかのQ-LEAPに参画されていない、我々と連携していただいている先生方にもこういったものを活用いただいて、研究をさらに加速していく予定でございます。
 Q-LEAPの下のBのグループでは、超高感度MRIの開発を行っていますが、これは残念ながら米国、ヨーロッパに少し後れを取っているところでございますが、幸い根来先生という、まだ30代の非常に若手の、先生方よく御存じの先生ですが、大阪大学の北川先生と御相談し、彼をこのQ-LEAPが終わる10年後には世界のスーパースターに育てるために、彼を中心として、MRIの装置開発、資料開発、応用、医薬、医学、薬学への応用グループを強固に、彼がリーダーシップを持って進めております。もう1人、QSTからは、根来先生と連携する形で高草木先生が入っていまして、実は現在、コロナ禍にありまして今、NIHに留学しておりまして、NIHと連携する強固な体制を構築し、我が国に超高感度MRI/NMRを実施できるような設備の設置を進めております。ここでも、文部科学省、量研室並びに量子科学技術委員会の先生方に大変御尽力いただきまして、MRIの超高感度化のための装置分の設置を、今進めておりまして、岐阜大学の医学部とQSTにそれぞれ、小さい動物から大型の動物、サル、ブタまでをターゲットに研究できて、将来の人への臨床開発を加速するための体制を構築し、新棟が出来上がったときには、全国からこういったものを使った研究を医学部の方ができるような体制が、完成するような状況でございます。
 3つ目のグループC、これは非常にベーシックなサイエンスで、例えば光合成とか嗅覚、遺伝子変異、磁気受容といった、生命現象の中で量子理論的な現象を解明するためのグループでございますが、ここでも現在、QSTのグループ、東大のグループ、埼玉大のグループが、それぞれの生命現象の中の量子コヒーレント状態等を計測する技術を今、開発しておりまして、それが完成したときには、一、二年後には供用できるような状況で、この中での供用はもちろんでございますが、このQ-LEAP外の先生方への供用で、この分野の研究をさらに活発化していきたいと考えております。
 これは、我々がQ-LEAPの申請書に書いた人材育成の我々の目標でございますが、ここに記載したようなことを進めていく予定でございます。例えば、我々が少し今、参考にさせていただいていますのが、先ほどのグループCの代表をしていただいている神戸大学の田中先生が、2014年から、コロナ禍の前から、遠隔講義として計算生命科学の基礎というので、これは今年度のカリキュラムですが行っておられます。まずはこの中に量子生命科学のカリキュラムを入れて、毎年、企業の方も含めて多くの方が受講されているようですので、こういったもので今後、教育のカリキュラムを構築していきたいと考えております。
 それから、この分野をより研究者の方に紹介するために、昨年度様々な雑誌で、これは工学系の雑誌、これは医学系の雑誌ですが、そういうもので量子生命科学を特集していただきました。今年になりまして量子センシング、それから量子を使ったバイオセンシングの著書を発刊することで、この分野の連携をさらに加速していっている状況でございます。
 最後に、量研室から国への要望もあったら出してくださいということでしたので、ここに記載のようなことを、我々としては国として御支援いただけると、さらにこういった研究開発、あるいは人材育成が加速するものと考えております。
 以上でございます。御清聴ありがとうございました。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 続きまして、東京工業大学の波多野委員から御発表をよろしくお願いいたします。
【波多野委員】おはようございます。東京工業大学の波多野でございます。
 私もQSTの量子部門とクロスアポイントをしております。ダイバーシティーな人材の交流を図っているところでございます。
 私のほうからは、量子センサー拠点の一つでありますQ-LEAP量子計測・センシング技術領域の、私たち、量子生命に対して量子個体と呼ばれているんですけど、そのフラッグシップの現状と課題と、どうしたらいいかという御提案をしたく、皆様に御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしく御指導お願いいたします。
 こちらはサマリーでございますが、まず、我々の立ち位置をお示しした後に、人材、そして、海外との連携ですね、そして、ここが今日御議論いただきたいところで、新規参入の企業やアカデミアに対して柔軟に機能する、研究エコシステムをどうつくっていくかというところを、たたき台として議論いただければと思います。
 まず、Q-LEAPでの我々の立ち位置でございますが、先ほど迫田室長からも御説明がありましたように、超スマート社会の中で、現在Q-LEAPのフラッグシップとしましては、プロトタイプをTRL6によるポテンシャルを示して裾野を拡大したいと。そのための量子計測の高度化、材料の基盤とか周辺技術を構築して、本格的なQXによって未来社会、Society6.0になるか分かりませんが、そこにちゃんと示していきたいというふうに考えております。
 先ほど御説明ありましたように、Q-LEAPの量子計測・センシングの領域はこのような運営体制になりまして、私たちはちょうど3年経過いたしました。それと、こちらが馬場先生の量子生命のフラッグシップでございますが、実は私のところには基礎基盤の研究が13機関、一緒になっておりまして、その中では、資金の管理とか計画書や報告書などの管理とか、それも担当させていただいています。その中には、私立大学や地方大学もかなり含まれております。
 そのフラッグシップのところだけを取り上げますと、企業が5社と国研が2つ、そして私立大学、地方大学から構成されておりまして、物理の基礎、基礎基盤技術、そして応用のところ、それをつなぐセンサーシステムレイヤーというのを東工大に位置づけてございます。分野は、レイヤーを超えて一気通貫で進めております。海外との連携も有効に活用しています。
 こう見ますと、先ほど萬さんがお示しになられました拠点、これがもう、1つのところにとどまっておりませんで、デバイス、センサー、マテリアル、量子生命と、ここの中も融合するような形のチームになっていることに改めて気がつきます。東工大は量子センサーの拠点でございますが、これは上妻教授が代表を務めておりまして、JSTの未来、社会、競争の場というプログラムで進んでおりまして、その中の一部として、このQ-LEAPのフラッグシップを入れていただいています。
 こちらは研究計画ですが、とにかくマイルストーンを定めて、レイヤー間でコンカレントな研究を推進しております。レイヤーの連携の例でございますが、物理のところ、そして材料、デバイス、システム、このような小さいものはもうできています。それを生体に応用するというのが、レイヤーのイメージでございます。
 特に量子材料につきましては日本が強いところでございますが……。
(通信遮断)
【山村係長】上田先生、文科省の山村です。ちょっと通信が回復しないようですので、一旦、次の角屋先生の御発表に移ったほうがよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。
【上田主査】分かりました。
 それでは、広島大学の角屋先生、プレゼンテーションよろしくお願いいたします。
【角屋教授】広島大学の角屋でございます。おはようございます。私、この委員会の委員ではございませんで、多分、座長の上田先生からの情報で、ちょっと話をしてくださいみたいなことになったのです。ですので、全体のことを把握しておりませんので、ちゃんとお話しできるかどうか分からないんですが、広島大学の立場から見てということで、少し話をさせていただきます。では、次のページお願いします。
 これは、もう今さら言うまでもないんですが、先ほどからいろいろお話が出ておりますように、量子技術分野、量子分野というのは、関連している範囲がとても広いということが言えるんですが、その中で拠点に入ってそこに直接関わっておられるグループと違う、外においては、いろいろなものが全部そろっているわけではなくて、部分的にここは強いみたいな、そういう状況があったりするというのが一つ、外の立場としては特徴かなと思います。次のページお願いします。
 これも今さらということですが、今回考えるに当たって、私なりに観点を整理してみたわけですが、拠点と拠点の外の間の連携というのが基本的な話題ということでしたので、それに関係するところをちょっと整理してみたわけです。そうすると、当然、研究・技術情報の交換、共同研究は下のほうにありますけれども、単に情報の交換ということもあるでしょうし、今までお話たくさん出ていますが、人材交流の問題、それから共同研究をどういう形でやるのかみたいなことがあると思います。
 もう一つ、これも何度も出てますけれど、人材育成とか、リクルートというのはちょっと言い方が変なんですが、これはこの後ちょっとお話しします。次のページお願いします。
 先ほどもちょっと言いましたけれども、今まで広島大学が拠点とあまり関わっていないと思うのですが、私も広島大学の全てを知っているわけではございませんので、個人の感想ですと、変なことを書いていますけど、私が知っている範囲でちょっと眺めてみるとという話です。
 教員とか研究員で考えると、ほとんど教員ですが、狭い意味での量子技術に直接関係する、量子計算機とか量子通信に直接関係するような教員は、いないわけではないのですけれども、非常に少ない。それから、それに近いという意味では基礎的な部分に当たる量子工学であるとか、理論だけの実験あるいは量子物理の理論であるとかという教員はぱらぱらいるという状態です。一方、間接的な部分でいうと、数学であるとか、もうちょっと広い意味での物理学ですね。その中には宇宙、素粒子物理、あるいは固体物性とか、光ですとフォトニック構造もあるかもしれないですが、フォトニック構造はほとんどいないのですけれども、数学、物理学に関しては広島大学は非常に、人材としては結構豊富かなという感触を持っております。さらにもっと周辺でいきますと、いわゆるケミストリーですかね、材料と言ってもいいかもしれないですけど、これも広島大学は非常に教員、研究者、割と充実している状況かなと思っています。
 ということで、結局広島大学の教員の状況としては、狭い意味での量子技術に直接関わる、あるいはかなり人間というのはそんなには多くない、そういうこともあって、これまで拠点とかの連携があまりなかったなと思うんですが、そういう状況でありますが、一方で、ちょっとその外を見ると、割といろんな人がいるというふうに思います。
 一方、博士課程後期は、今、広島大学はいわゆる医学系を別にしますと、理工系はもう2つの研究科になっておりまして、先進理工系科学研究科というのと統合生命科学研究科、2つの研究科になっております。その中にたくさん、昔で言う専攻がある状態なんですけれども。その中で、この後にお話ししたいんですが、文部科学省が今年の2月頃でしたかね、リサーチフェローシップという制度を始められまして、それに広島大学も応募しまして、採択をいただいたという状況です。実は、私はその中の量子分野の指導教員をやっているわけですけれども、量子分野は1年間に6人の学生をフェローシップに選ぶ、マテリアルはもっと多くて24人です、あと情報・AIが10人、こういう状況になっております。
 この中で、量子分野なんですけれども、先ほど申しましたように狭い意味での量子技術に関係する教員は少ないこともありまして、この量子分野はかなり広く捉えておりまして、基礎的な部分、あるいはやや間接的なというふうに入る部分も認めるというふうに考えております。そういうことで宇宙物理学とか、素粒子物理学とか、数学とか、そういう学生さんが結構そのフェローシップに応募されてくるという状況になっております。
 一方、物性物理学といいますか、あるいは材料科学のほうに近いところは、大抵はマテリアル分野のほうに採択いただく、応募するという形になっております。今年度から、また新しく次世代研究者挑戦的プログラムですか、担う必要がないのも始まっておりますが、これについては、まだ中身がもう一つよく分かりません。次のページお願いします。
 ということで、ちょっと急ぎ過ぎかもしれないですけれども、あまり申し上げることはないんですが、現状、広島大学から見て連携をどういうふうに、どういうところから入っていくのがよさそうかと考えたとき、もちろん研究あるいは技術情報を交換するということも重要ですが、それに関しては、まず拠点のほうから、うまい具合に情報を提供、あるいはサーキュレートしていただくということがありがたいかなと。
 その中で一つだけコメントすると、やっぱり先ほどからかなりお話が出ておりますけれども、関連分野が広いわけですけれども、その関連分野におられる方々が、自分がこの量子分野に貢献できるという何か道筋みたいなものが見えるような形で、うまく情報提供なりされると、やりやすいかなと。というのは、広島大学もそうですけれども、なかなか他分野の状況というのは見えないわけです。ですので、その辺上手にやっていただくといいのかなと思っております。
 研究の遂行については今後のことということで、ちょっと後に回します。今すぐどうこうというわけではございません。
 一方、先ほどちょっと申し上げましたけれども、リサーチフェローシップというのが今年から始まっていて、広島大学、量子分野では1年で6名選ぶんですけれども、ほかの大学の状況はどういう学生さんが選ばれているのかよく分かりませんが、量子分野で採択されている大学も、10大学ぐらいあったかなと思います。そこも関係あるかもしれないんですけれども、ここら辺をうまく使っていただいて、人材の広がりというのをつくっていただくといいんじゃないかなと思っております。
 そういう意味で、リクルートという意味は、広島大学特有かもしれませんが、ちょっと周りにある分野から人材を上手に引っ張ってくるというのが結構いいのかなと思います。というのは、先ほど申しましたように、数学とか物理、宇宙物理、素粒子物理の人間とかは、学生さん、先生方もそうですけれども、ちょっと視点を変えていけば、この量子技術、量子科学にかなり貢献いただけるのではないかなと感じるわけです。そういう意味で、ちょっと他分野から人を引っ張ってくるという意味でリクルートという言い方になっておりますが。
 それについては、まずは情報提供と関係しますけど、やっぱりシンポジウムなり何なりをやっていただく。先ほどから理研の拠点のほうで、今いろいろやられているというお話をお伺いしましたが、この辺の情報をもっと広くお送りいただくといいかなと感じております。あと、場合によっては集中講義のようなもの。これはオンデマンドのビデオみたいなものでもいいのかなという気もするんですが、こういうものを何か作っていただいて、自由に使える、もちろん申し込めばということになると思いますが、使えると、こういうフェローシップというのは、いわゆる大学院の学生の教育の中で、少しずつ量子技術に目を向けてもらうことが可能になるんじゃないかなというふうに感じます。
 もう一つ、2番目は学生の周辺分野といいますか、先ほどから申し上げておりますように、数学とか、広い意味では物理学の学生が、キャリアを選択する際に、必ずしも宇宙物理学、素粒子物理学、数学とかは、研究者は大学にアカデミックに残るのも、昨今、なかなか難しいわけですし、キャリアパスをいかにつくっていくかという中に、この量子分野というのはまだまだ、道が広がっていくんじゃないかと思えるので、そこをキャリア選択に入れてもらおうというのが、一ついいんじゃないかなと思うわけです。
 その中で少しお願いしたいのは、一つは、現在の学生に対するインターンシップです。先ほどこの負担が大変だというお話があったので、そこは文科省のほうに制度設計を頑張っていくということにして。インターンシップは短期、1か月ぐらいかな、とにかく今、研究テーマは研究テーマでドクターを取っていただくのがいいと思うので、ドクター取った後の行き先として、量子分野に目を向けてもらうというのがいいんじゃないかなというふうに感じております。
 そういう意味では、あまり長期の、あるいは研究成果を期待するようなものではなくて、少し導入的な部分でのインターンシップというのをやっていただけるとありがたいかなと思っております。その後もちろんポスドクという形で、いろいろな研究員として採用されるのが多いと、なおよろしいということですが、そのときもやっぱり異分野から人を採るとなると、少し長い任期の研究員でないと難しいかなという感じはいたします。
 あと、先ほどのシンポジウムとか集中講義をうまく利用すると、学生じゃなくて助教とかの若手の先生方が、周辺分野の先生方が、自分のテーマの中に量子というのを入れ込んでもらえるというふうにもなっていくのかな、なんてことを思っています。そういう意味で、まずはこの辺りからなのかなという感じておりますが。
 そのときに、右にポンチ絵がありますけれども、拠点のほうとどうやって連携、どう連絡をすればいいのか、よく分からないので、何か窓口を設定していただいて、その窓口はここですよみたいな、こういうことやりますよみたいなものを大学のほうにうまくサーキュレートしていただけると、そこを通じて、まずはつながっていけるかなと。将来的にはもちろん共同研究とか、そういったところにもつながっていくと思いますので、そういうパスを、まずは何かちょっと考えていただけると、とてもありがたいと感じております。
 ちょっと勝手なことばかり申し上げました。以上です。ありがとうございました。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 それでは、先ほど途中で切れました波多野先生、残りをよろしくお願いいたします。
【波多野委員】皆さんの貴重なお時間をいただいておりますのに、すみません。今の角屋先生のお話を伺っていて、それに関連するところも含めて、ちょっと御紹介したいと思います。よろしいでしょうか。この辺りまで多分。Q-LEAPのことはもう省かせていただいて。
 企業の裾野を広げるためにプロトタイプ、一例としてはEV用のプロトタイプを作って、今もう矢崎さんという企業の中でテストしているというようなところをお伝えしたかっただけです。これちょっと動画になっているんですけど、もう時間がございませんので省かせていただきます。
 最初は企業とのやり方で非常に困ることも出てきまして、やはり産業界に広げていくルールを決めないといけない。参加していただいている企業、後から入ってきたところとはやっと合意ができて、進めています。あとは、もっと量子に参入したい方々とか、NDAを結んで共同研究を始めているんですけれど、そういうところの仕組みというのを今後どうしていくかというところがまだ課題でございます。勉強会としましては、応用物理学会の中に固体量子センサー、企業の方々30社含むところを構築いたしました。
 そこまで来て、もっと個別の共研とかコンソというところになってくると、やはりQ-LEAPのプロジェクト遂行とか研究リソースのミスマッチに課題がありまして、逆に言うとミスマッチが解消する方策さえあれば、角屋先生からいろいろ御要望がございましたが、一緒にやっていけるんじゃないかと感じています。やっぱりこれだけ今、企業から、センサーの応用とかデータの活用とか、材料から、これだけの引き合いがありますので、何とか企業側にも、産業界にも裾野を広げていきたいと感じています。
 そこで、ちょっとまだ考え途中なんですけれど、産学間のミスマッチを解消して社会実装を目指すための研究エコシステムができればなと思っています。量子センサーを、どちらかといえば基礎から学びたいという企業ニーズを国プロの枠組みでは満たせておらず、非常にミスマッチが起こっています。産業界ではセンサーに対する強いニーズがあるんですけども、まだ量子に着手するという段階であって、その手ほどきからの連携が求められています。
 だけど、こちらとしては、もうTRXをQ-LEAP目指さないといけないしと、直接結果に結びつきにくいので、なかなかやるのが難しくて。特にQ-LEAPはこういう多くの研究機関のマネジもしないといけないので、非常に厳しい状況です。
 そこで、企業の需要側と大学・国研連携、さらに全国津々浦々広げて、こういう連携ができないか考えておりますのは、ダイヤの量子センサーは室温で実体験ができるので、量子技術の教育的なツールとしてはすごく有効で、普及のバリアも低いかなと考えています。そこで、まずこの生産性を上げるためにも、企業への導入機会を広げるためにも、有効ではないかと考えています。
 そこから、この教育の協力、そして企業からは社会実装というか、どういう市場があって、どういうものが利用可能かとか、どうやって標準化していくかというような、その資源を提供していただくというところで、いろいろ協力してできないかと思っています。総力戦を持ってすれば、社会実装の開拓や量子ベンチャーの企業、その中で学生や若手からベンチャーが出てきたり、教育ビジネスを推進したり、人材を育成することができるのではないかと。もう既にいろいろな試みが他の拠点ではなされているかもしれませんが、量子センサーとしては、それができるかもしれないと思っております。
 そして人材の活用でございますが、先ほど角屋先生おっしゃったように、このリサーチフェローシップ、非常に優れた博士のサポートが始まりました。課題はキャリアパスやインセンティブ、就活の方法や時期であると考えています。
 本当に量子ダイバーシティーを進めないといけないということで、人材も不足しておりますので、これはイノベーションの資料にありますが、さらにシニアの活用も考え、もう今、我々は実際に行っていて、特に高度なアナログの技術を持ったシニアが、今、我々のところでは活躍しています。
 それと、そろそろ参画企業へのキャリアパスが出てきまして、参画企業からの社会人博士や派遣研究員、クロスアポイントメントを推進する。あと、実は私のところの助教は、MIT、ハーバードのコンペティターから移籍してきました。この大きなプロジェクトが、中での人材の流動とかシニアの活用、そして私たちの研究室の3割が高専出身者なんですけれど、すごく活躍しています。そして卒業生との共同研究が私のところでもそろそろ始まりまして、現場では量子を普及させるためにこういうことをしております。
 それで、もっと学生たちが知の共有をできないかということの試みとして、知の自律的共有システムと呼んでいるんですけれども、研究室を中心に企業のメンバーや、特に東工大の電気系は量子が選択科目で、それを受けていない子もいると。というところで、基礎講座とかいうことを行っていて、それを企業の方にも今広めています。それは、いろいろな大学にも広められるのではないかと思っています。
 これは一つ輪講の例ですけれども、上田先生の有名な御著書ですけれど、これをみんなで勉強しているという、こういうのも全部録画していますので、そういうのを広めていきたいなと思っています。センサーは、ノイズとは何かというところから、これ、全部動画になっているんですけども、共有していきたいと思っています。
 一方、装置やコア技術のオープン利用を促進していまして、学生とか若手、企業の人が参画できるように、運用は教員と学生がやっていて、そこがちょっと課題で、サステナビリティにそれができるかというとなかなか難しいのと、メンテナンスや修理費の確保とか難しいんですが、ダイヤモンドの材料とか、共焦点顕微鏡とかいうのはフルオープンにしていまして、その利用の報告をいただければ、1時間1,000円とかそんなもので使えるように、どこの大学生でも、どこの企業の方でも、若手の方でも使えるように、今推進しているところでございます。
 もうちょっと高度な技術職員が必要だなと考えています。また海外からも利用したいという、相互利用もそろそろ検討すべきで、そこはちょっとオープン・クローズド戦略に検討が要すると思っております。
 国際連携でございますが、コロナ禍で少し行き来は中断しておりますが、特にドイツにすごい大きな拠点ができまして、これはNVセンターのパイオニアの、シュツットガルトの中に、Center for Applied Quantum Technologyというのが10月に、4年がかりで建物を造りまして、一切、金属は使ってないと。磁場の影響を全部遮断して、グラスファイバーで造っているらしいんですけれども、そういうところができましたが、そういう先方の先端利用を有効に活用して、こちらからもコアの技術を提供できるような、世界の共通プラットフォームができればと思っています。あとサテライトオフィスを整備するとか。その場合課題は、Q-LEAPのテーマの扱いとか、先方と連携している企業への対応というのは、何かルールをつくらないといけないかと思っています。海外はベンチャーがどんどんできていまして、日本はまだこれからというところですので、そこも一つの課題でございます。
 以上、最初にお示ししました、こちらがサマリーでございます。ありがとうございました。
【上田主査】波多野先生、どうもありがとうございます。
【波多野委員】失礼しました。
【上田主査】それでは、意見交換に移りたいと思います。ただいまの御発表につきまして御質問、御意見、あるいは今後の人材育成などの裾野拡大の在り方について、御議論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
【小杉委員】小杉ですけれど、よろしいでしょうか。
【上田主査】どうぞよろしくお願いします。
【小杉委員】最初の理研の量子コンピュータ研究センターのお話の、最後のまとめのところ、19ページに共同研究のこととか、設備の利用、人材育成、人材交流の話もあって、私、大学共同利用機関でずっとやってきた者としては、まさに大学附置の共同利用・共同研究拠点も同じですけれど、大学共同利用的なことをやらないと人材も出していけないかなというのが書かれていると私は理解しました。
 そこで質問が2つほどあって、こういうリアルな設備や人がいるところに、外部から人が集まるということで、大学共同利用では、旅費や研究費もしっかり制度的に確保されているので、しっかりやっているわけですけれど、理研のような研究開発法人というのはなかなかその辺り難しいのかという点。
 それからもう一つ、共同研究、共同利用というのは、ボトムアップ的に広くアイデアを集めるというところが結構重要なので、その辺りは公募をして、さらにそういうのを審査するときには、内部で決めずに外部の委員の方も入って、コミュニティー全体で共同研究や共同利用を選んでいくというようなことをやるんですけれど、そういうことを理研のほうでも考えておられるのか。
 その2点、質問があるんですが、いかがでしょうか。
【萬副センター長】よろしいでしょうか、萬からで。
【上田主査】はい、よろしくお願いします。
【萬副センター長】まず、基本的には、まだ設備共用化ということ自体が始まったばかりで、例えば代表的なのはナノテクプラットフォームというのがあると思うんですけれど、ああいったような制度的に洗練されたような形にはなっていないと。これが大前提になっているのが状況です。
 ですので、例えばインターンシップ、短期滞在の費用についてあるところまでは運営費交付金や緊急プロジェクトの共同研究の中で費用的には賄えるんですが、「使いやすくフレキシブル」と書いたのは、そういう育成的な目的の場合は、必ずしも年次計画で上げられるようなものでもないというようなところがありまして。研究プロジェクトであれば、こういう研究でこういう成果を出すために、ある一定期間、誰々が必要ですというようなロジックが必要ですけれど、人材育成というのはもう少し違った側面もあるのかなと。
【小杉委員】ええ。いろんなアイデアが出てくるので、最初から決めたことではありませんよね。
【萬副センター長】そうですね。そういうところのフレキシビリティがある、あるいは予算も繰越しできるか、できないかとか。そういうようなところをちょっと挙げさせていただいたということになります。
【小杉委員】はい、分かりました。
【萬副センター長】設備共用化は、制度設計的にもナノテクプラットフォームのような洗練されたところまで行っているわけではございません。今、リアルに研究開発で使って立ち上げているものを一緒に使っていただくというふうになりますので、共同研究的なところで一緒に立ち上げ、技術を作っていくという視点となり、ナノテクプラットフォームのようなものとは当面多少やり方が変わってくるのかなと思っているところです。
【小杉委員】共用まで行けば、使い方も決まっているので、そういうところでのサポートは国でもいろんな施策あるんですが、こういう萌芽的なところで、いろんな人に入ってもらうためには、そういう決まった使い方ではない形でのことを考えないといけないので、そういうところが結構重要かなというふうに思いました。
【萬副センター長】量子の場合は、まだ技術全体が萌芽的な状況なのかなと思っております。例えば理研の他の領域では完全に共用が制度としてうまく回っているところもあります。テーマを募集したり採択したりというところを、人的リソースまで含めて手当てがなされているところがあります。
【小杉委員】ええ、それはまさに設備共用までいけば、そうだと思うんですけど、今はまだ、そういうところではないと。
【萬副センター長】はい。まだフェーズとしては、そこまでは行ってないのかなというふうな認識です。
【小杉委員】はい。ありがとうございました。
【上田主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
【平野委員】平野ですけれど、いいでしょうか。
【上田主査】どうぞ、よろしくお願いします。
【平野委員】今、4人の先生方の御発表を聞いていまして、最初に文部科学省からのまとめもありましたけれど、やっぱり全体に共通しているのは、いかに連携するかということと、人材育成ということになると思うんですよね。最初に文科省も言われたように、短期的に見たら、いかに異分野融合あるいは企業との連携ということが、この分野を進めていくためにも大事だけど、短期的に人材育成をするということでも非常に重要ということで、これ、中身の問題だと思いますね。いかにどういう工夫して、これをやっていくかと。それはそれでどんどん進めていかれたらいいと思いますし、それぞれの拠点は既にもうそういうことをやっておられる、Q-LEAPも含めて全部やっているんですけど。
 やっぱり一番難しいのは、いかに量子ネイティブを育てるか、要するに長期的に立って、文科省的に言えば縦の人材育成をどうするかということだと思うんですね。それは多分、ここだけで議論しててもうまくいかなくて、恐らく初等中学校、小学校からの教育課程のプロジェクト、カリキュラムとか、そういうところにも踏み込んでいかなければならないんだと思うんですけど。
 取りあえず聞いていて、今、我々として、あるいはこのコミュニティーとしてできることは、恐らく、馬場先生が一つ例を出された、神戸大学での遠隔講義ですね。こういうオンラインの講義をもうちょっとシステマチックに、それぞれの立場で、あるいは共同してつくるとか、例えば小学生向きあるいは中学生向きのこういうシリーズをつくるとか、高校生向けのやつをつくるとか、大学・大学院生向きをつくるとか、専門家に向けてつくるとか。そういうものをもう少し、学会とかどこかが中心になってつくっていくと。
 それが、今現在、萬先生も御指摘いただいたように、教える側も人材不足なわけですよね。資金難もあって、シンポジウムしたり、インターンシップするとしても、滞在とかにいろいろお金がかかる。もちろん、そういうことをどんどん本当はすべきなんだけれど、人材不足を解消するためにも、費用的効果を考えるためにも、このオンラインのオンデマンドの講義、こういうのをつくっていくのがいいんじゃないかと私は思いますね。
 馬場先生が説明されたように、我々のところでやっている量子生命拠点ではそういうことをやろうとしていますし、私がつくった量子生命科学会でも、そういうプログラムをつくって、全国に配信するとか、そういうことが、取りあえずはいいんじゃないかと思いました。それをばらばらでやるのか、どこかで相談してやるのか、具体的なことはまた別にして。
【上田主査】ありがとうございます。教育啓蒙プログラムを各拠点で、提供、発信していくということですね。同様に、いろんな拠点からそういうものが出てきたところをワンストップのポータルのようなものをつくって、そこにアクセスすると全てが分かるような、こういうポータルがあると、なお、そういう情報が有効に活用できるのではないかと思いました。
 そのほかにいかがでしょうか。
【平野委員】そういうのを文部科学省がまとめるのかはともかく、どこかでワンストップ機能があれば非常にいいですね。
【上田主査】そうですね。そこにアクセスすると、生命系のものとか一般講演、あるいは専門的な講演、全て分かるようにすると、アクセシビリティの点からも大変いいんじゃないかなと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
【山田委員】よろしいですか。山田です。
【上田主査】はい、どうぞ。
【山田委員】今まで先生方から言っていただいたことは同感です。少し違うところは、量子人材を増やすために、量子人材になればどういう嬉しさがあるかを共有できれば良いと思います。例えば、就職において魅力的な人材である、すなわち、量子人材は、多くのテクノロジーミックスであることをアピールするのか、数理人材のように分析力や洞察力をアピールするのか、など。量子人材ってどんな魅力がある人材なんだということを言えるようになっていれば良いというのが1点でございます。
 もう1点、これは萬さんとか角屋先生も言われたように、つなぐ人たちが非常に大事だと思います。量子人材に関しての私のイメージは三重の的で、真ん中に量子プロの集団がいて、最外層には関係者、ユーザーという人たちがいて、その間をつなぐインタープリテーターがいる。それぞれ使う言語が違うものですから、そこをつなぐ人たちをどう育成するかが重要です。
 更に付けくわえさせていただくと、もし政策として進めるとしたら、目標があったほうが、厳密ではなくて、一体量子のプロって何人ぐらいいればいいんだろうとか、その翻訳家って何人ぐらい、国として育成するべきなのかというような目安を、共有しておくのが良いのではないかと思います。可能であれば、ですけれども。そんなふうに感じました。
 以上です。
【上田主査】どうもありがとうございます。人材供給という観点からいうと、学生にとって最もインパクトが大きいのは、将来のキャリアですね。幸い、最近量子というのは、昔はテクノロジーセクターだけだったわけですけれども、最近はもうファイナンスとか、AIとかいろんな方面での、実際の企業さんサイドで量子人材を必要とされてきていると思います。それは現場の研究者はよく分かっているわけですけども、そういうことを学生の皆さんとかあるいは高校生の皆さんに、効果的に周知することができるとよいですね。皆さんそういうことも思い描きながら、自分の量子のキャリアを選択されるのではないかという気がします。
 量子インタープリターについてはまさに御指摘のとおり、これだけのいろんな拠点が入ってきますと、タックスペイヤーに対する説明責任の観点からも、専門家だけでの議論だけではなくて、一般の皆様にも、現在何が行われているかということを伝えられる、インタープリターというかコミュニケーターが、ますます必要になるんじゃないかなと思います。ここなんかは、やはり量研室にもぜひ御検討いただければと思います。
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【小杉委員】ちょっと一言、よろしいですか。先ほどリモート教育というのは入り口では非常に重要だというお話があって、それを各拠点でばらばらでやるのではなくて、共通でというのは、非常にいい試みだと思います。ただ、量子ビーム関係でもそういうことはやってはいるんですが、やっぱりリアルに研究の現場に入るというのは結構重要でして、見学とか、今のコロナ禍ではなかなか難しいんですけれど、現場を見せて、現場でインターンシップなど、理研のほうでは予算がなかなか苦しいというのはありましたけれど、そういうのを実際体験していただくというほうも重視しないとという印象を持ちましたので、コメントさせていただきました。
【上田主査】ありがとうございます。実地にいろんな拠点に出向いて、それを経験していただくという観点からの御発言だったと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
【美濃島委員】よろしいでしょうか。美濃島ですけれども、波多野先生から情報提供いただいた、エコシステムというところに質問があるんですが。
 産業界からは、量子に関しては手ほどきからの連携が求められているというのは、非常に私も共感するところで、プロジェクトではなかなか枠組みとしてミスマッチがあるというのは、そのとおりと思って拝聴したんですが、それをどのように解決されているかということで、もう少しお伺いしたいんですが。
 実際に進められる場合、やはり予算ですとか、仕組みが必要になってくるかと思うんですが、それに関しては、参画される企業さんから予算を出していただくような、そういう仕組みを考えていらっしゃるのでしょうか。もしそうでしたら、大企業さんしか参加できない可能性もあるのかなと思いまして。結構、中小規模の企業さんたちも興味を持たれていて、特に御自分たちだけではできないので、大学などに協力を求められているところがあると思うんですけど、そこはどのようにお考えでしょうか。
 あと、その場合やはり何らかのお金を出していただいたりすると、成果が求められるかと思うんですが、そこについてはどのようにお考えかということを、教えていただけますでしょうか。
【波多野委員】ありがとうございます。先ほどいろいろ問合せがあるところは、それこそダイヤモンドの磨くのが世界一という方々、もう本当に町工場の方から、大企業の方からいらっしゃるんですけど、でも、そこは差がなく、やはり皆さん量子に触れてみたいという方がいらっしゃるので、そんな共同研究費はもちろんないですし、でもこちらとしては裾野を広げたいという、Q-LEAPとしてもそれは(音声途切れ)だというふうに認識しているので、そこはまだちょっと解決できてないところです。
 ですので、美濃島先生はじめ皆さんと、そういうエコシステムがつくれればなと。光のところは美濃島先生や林先生の例みたいなのができればすごくいいんですけど、先ほどの量子コミュニケーターに加えて、そういうところの、まだ初心者というか新規に参入する大学や企業の方への、何かそういう拠点というか、そういう仕組みが必要だというふうに考えています。
【美濃島委員】では、まずはQ-LEAPの枠組みをうまく使うようなことを考えているようなイメージですか。
【波多野委員】いや、それではちょっと限界があるなと、今考えています。
【美濃島委員】また新たなものを。
【波多野委員】(聴取不能)つくらないとと思っています。
【美濃島委員】そうですか。ありがとうございます。
【上田主査】実際にいろんな大学、あるいは高校生、それから中小企業まで含めて、量子のポテンシャルに関心を持っている方はどんどん増えているというふうに感じます。確かに、そういう方が参入しようとしたときの、最初のヘルプをどうすればいいか、それに対する上手なエコシステムを国全体でつくることができると、日本全体での量子科学技術の、長期的に見たブーストにつながると思われます。こういう観点からの御指摘と回答だったと思います。
 確かに、これはQ-LEAPだけの枠をかなり超えた重要な課題であるというふうに承りました。ありがとうございます。
【山田委員】先生、ちょっとよろしいですか。一言だけ。
【上田主査】はい、どうぞ。
【山田委員】先ほどナノテクプラットフォームというお話がどなたかからありましたけど、同じように参考になるのが、その中の大型放射光施設、SPring-8とか、東北放射光とか、あるいはJ-PARCだと思います。公開、非公開の使い分けや、産業用にビームラインを分離してみたりとか、トライアル利用をやってみたりとか、あとは導入用のレクチャーをやったりしています。これまで馴染みがなく、手を出しにくい施設を利用していただくために、相当な御経験と苦労をされているようなので、そこは一つ参考になるのかなと思いました。
 以上です。
【上田主査】ありがとうございます。
 そのほかに御意見とか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、引き続き議題2に移らせていただきます。若手研究者育成について、川上委員より御発表をよろしくお願いいたします。
【川上委員】よろしくお願いします。理化学研究所、川上です。量子分野への持続的な支援、世界で活躍できる卓越した量子人材の育成に関して、先生方と違って、まだ私は若造なので、俯瞰的な意見はできないと思うんですけど、個人的な経験に基づいて、ついこの間までポスドクでしたので、若手研究者がこういう感じで思っているんだなというふうに聞いていただければと思います。次、お願いします。
 量子分野への持続的な支援ということで、支援にはいろいろあると思うんですけれども、まず研究費がなければ研究できないということで、金銭的な面でのことを考えてみると、私が知っている範囲で量子系の大きなグラントというのはこういうふうに変遷してきたんだろうなと思っていて、知らないものがほかにもいっぱいあると思うんですけれども。2009年から2013年はFIRSTがあって、その後、ImPACTがあって、2016年からCRESTとさきがけで大きな予算がついてきてという感じで、自分の経歴と比べてみると、割と日本の量子系のグラントに支えられてきたなと思っています。
 慶応の伊藤先生のところで修士をやらせていただいて、そのときは伊藤先生がFIRSTに参画していて、その恩恵を大分受けたなと思っていますし、OISTでのポスドク時代にはさきがけをもらっていて、大分恩恵を受けたなと思っております。次、お願いします。
 なんですけれども、先ほどのお話の中に出てきた、根来さんがよく言っているんですけれども、このFIRSTが終わってからCRESTが始まるまでは、日本の量子は冬の時代だったなとすごく言っていて、そこを生き残るのが大変だったって、すごくおっしゃられていて。私はその頃ちょうどオランダにいたので、日本の冬の時代を知らないんですけれども、大変だったという話は聞いています。
 その頃オランダはどうだったかというと、行ったばかりの2011年頃は、そこまででもなかったんですけれども、2014年ぐらいから、もうどんどん、どんどん盛り上がってくる感じで、ヨーロッパのERCのお金がついたりとか、2015年頃にはインテルとかマイクロソフトとかが参入してきて、産業界のお金も出てきて、もうどんどん、すごい勢いで研究室がでかくなるという感じで。ここからここに行くときに、人数は本当に100倍ぐらいになったんじゃないかというぐらい、大きくなったんですね。
 私は2014年頃に研究結果が出て、2015年ぐらいに本当は卒業する予定で、その頃、その後どこに行くかみたいな話を指導教授としていたとき、指導教授に、量子コンピュータ系の研究をしたいんだったら、卒業後は日本に帰らないで、ほかのところへ行ったほうがいいんじゃないかというふうに言われて、そのとき結構びっくりして、そんなことを言うんだと思って。どういう意味? というふうに聞き返したんですけれども。びっくりした理由は2つあって、そういうことを言っちゃうんだということもびっくりして、2つ目は、日本のそういう事情について詳しいんだということにびっくりしたんですけれども、指導教授のほうは別に、そんなすごいことを自分が言ったとは思ってなくて、普通に冷静に考えてそうだということを、そのときに教えてくれた内容は、日本の内部事情に私よりも全然詳しくて、どういうことが起こっているのか分かっているんだなというふうに思っていたんですけれども。
 その後、2015年の卒業しようと思っていたとき、いろいろあって1年ぐらい卒業できなくなって、結局2016年に卒業することになって。その頃には、何か日本のほうもいろいろ量子が盛んになってきているという話を聞いたので、それで日本に帰る決断ができたというのも、個人的にはあるなというふうに思います。2015年にポスドク先を探していたら、その行き先は日本ではなかっただろうなと思っています。次、お願いします。
 それぞれのグラントについて見ていくと、FIRSTは先駆的だったのかなと思っていて。すみません、海外のこのときの状況を知らないんですけれども、修士の学生から見ると、何かすごいことが起こっているんだなというふうに、勝手に思っていました。先ほども話したんですけれども、この感じで続けていれば、日本の状況も今ほどビハインドじゃなかったのかなと、こういうこと言っていいのか、よく分からないですけど、これは皆さんも思われていることなのかなと思って。
 何か今回その見直しがあるという話を聞いたときに、私は何かネガティブに考えがちの人間なので、これはもう一回冬の時代に戻るかなというふうに思ったんですけど。そういうわけではなくて、もっと盛り上げていこうという意味の見直しだったのかなと、最初の前半のお話を聞いて思ったんですけれども。もしここで何かまた冬の時代が到来するのであれば、もし日本だけがそうなるのであれば、海外に流出するよねというのもあるし、この盛り上がりが、日本は多分10年ぐらいヨーロッパとかより遅れているので、その間に世界の量子人材は、先に盛り上がったところに集まった感もあるので、それで人材を呼び込むのが難しいのかなというのもちょっと思います。次、お願いします。
 量子分野への持続的な支援というか、分野としての持続的な発展について考えるときにすごい思うのが、いろんな方が参入して売れているのはいいんですけど、発信する研究者がメディアプレスとかを出すとき、何かすごい、もう何か量子コンピュータできたような感じで書いてしまうのも原因だと思うんですけれども、量子コンピュータがすごい産業界にのって、それで何か利益出せるみたいな感じで、ほかの方々が来ていただいて、それはうれしいんですけれども、いろいろ何か知っていただくうちに、まだ全然できない、駄目じゃん、量子みたいな感じで、すぐ諦めていなくなっちゃうというのを見ていると、何かもったいないなという感じがあって。もうすぐできそうみたいな感じで、若干だましてる感じのことをするのはいいのかな、それは逆効果になってるんじゃないのかなと私は思っていて。皆さんの御意見をお伺いできればうれしいと思います。次、お願いします。
 一つ一つのグラントについて見させてもらったんですけど、あくまでも私の個人的な主観で、このFIRSTについて修士の学生として参加した人間の一つの意見として聞いていただければと思うんですけれども、私はこの最初のほうのFIRSTのときに、修士の学生として参加させていただいていたので、熱海の領域会議と、震災後すぐの京都のサマースクールに参加させていただいたんですけれども、何かもう、日本の量子のすごい先生たちが集まっていて、すごいなと思って、すごい楽しかった覚えがあります。自分の研究分野以外の量子の情報の話に触れることができたので、Ph.Dのときの研究分野を選ぶ参考になって、同世代の学生とも知り合いになれて、根来さんともここで初めて知り合った覚えがあります。
 あと、京都のサマースクールのとき、この頃ちょうどSurface codeが有名になり始めてきた頃だったんですけれども、Surface code自体はもうちょっと前にできていると思うんですけど、私は全然知らなくて、この京都のサマースクールで初めて、そういう新しい量子誤り訂正があるんだということを知った覚えがあります。次、お願いします。
 さきがけなんですけれども、ありがたいことに、さきがけをいただくことができて、このさきがけ予算のおかげでポスドクの間も自由に研究ができたと思います。OISTの場合は、先生方がひもつきでない予算を持っていて、それでポスドクを雇えるので、それも自由に研究ができた理由の一つではあると思うんですけれども、ラッキーだったなと思います。
 あと、領域会議で、日本の若手量子研究者と知り合いになれたというのもあります。FIRSTのときに知り合いになれたこともあるんですけれども、もちろんそれだけでは足りなくて、しかも5年も海外にいたので、全然分からなくなっていたので、このときに初めて知り合えた方もいて、すごいうれしかったと思うし、いろいろ勉強になって、今もお互いに刺激を受け合ってできているなと思います。
 JST予算についていいなと思うことは、CRESTでもきっと領域会議があるんだと思うんですけれども、研究者同士で交流させる方式、お金をあげて終わりじゃなくて、研究者同士で集まっていろいろできるのがいいなと思います。あと、JSTの予算は、海外の大学に在籍していても取れるのもいいなと思います。これは日本人の方だけですけれども、日本人の方が海外の大学に在籍しても、そこでJSTの予算を取って、JSTの予算を使って研究できるというのは、すごいいい制度だなと思います。あと、CRESTの分担者に海外の研究者を入れることもできるというのもあって、私のいたオランダのレオコーベンフォーベン先生も、日本のCRESTの分担者だったのかな、それでお金をもらっていて、そのことを、いろいろ表彰されていろいろな人に感謝を述べる際に、そのことへの感謝を毎回、述べるんですよ。若いときに日本から結構なお金をもらって研究できたので、それが今の研究につながっているということで、それを毎回、謝辞を述べられているのですごいことだなと思うし、オランダにいたとき、JSTの資産マークがついているのをいっぱい見て、こんなところにも生きてるんだなというふうに思った覚えがあります。次、お願いします。
 世界で活躍できる卓越した量子人材の育成ということなんですけれども、私はオランダでPh.Dを取って、そのときの同級生が今、世界各地でPIになっている人がすごい多いので、みんな結構ワークショップとかもオーガナイズするようなポジションになってきて、その際に知っているということで呼んでくれたり、海外でワークショップとかオーガナイズするときは、日本よりももっとダイバーシティーを考えるみたいで、女性を入れなきゃというのもあるんですけれども、アジア人を入れなきゃというのもあるらしくて、それで私1人入れとけば、それでダイバーシティーになるからという、安直な考えで呼ばれるときもあるんですけど。そういう感じで、いいことがいろいろあるなと思います。
 それで、私は行った側なんですけれども、海外の人を日本に呼ぶというのもすごい重要だと思っていて、両方ともやっていく必要があるんじゃないかなと思います。次、お願いします。
 今、コロナ禍の状況で、日本から海外に行くことはできるんですけれども、日本から海外に行くというのは何を指しているかというと、日本から海外のポスドクに行ったり、日本から海外の博士課程に留学することはできるんですけれども、逆はできなくされている。各研究機関によってもいろいろ違うし、文科省、外務省の規制も時々変わったりするんだと思うんですけれども、つい昨日なんですが、文科省から留学生に向かって動画配信されていて、来られないですみません、オンラインですみませんみたいなことがあって、それでツイッターがすごい荒れているのを見たんですけれども、それはどうなんでしょうかね。
 私がいる理化学研究所では、国がやっている、文科省、外務省よりもひどい規制があって、全く海外から人を呼べない状況で、私も理研に来てから5人ぐらい呼べなかったことがあって、何かどうしようもない状況になっていて。どうすればいいんですかねという感じだと。どうしても人材交流が必要だと思うのでオンラインでやっているんですけども、オンラインでやるにも限度があるので、ちょっと、どうにかしてほしいなという思いはあります。次、お願いします。
 それで最後なんですけれども、人材育成をするにも人が足りないという話もあったんですけれど、私のほうは逆に、学生さんとつながりたくてしようがなくて。インターンに来てもらってもすごいうれしいし、今、東大の学生さんに週2日の半日だけでアルバイトに来てもらったりしているんですけれども、そういうのでも全然ウエルカムですし、出向いて量子コンピュータについての基礎的な授業をさせていただいてもいいですし、自分の研究分野について説明させていただいてもいいですし、留学に興味がある方に向けての説明でも、女子学生に対する何かお話でもよいので、何か大学の先生方、機会をいただけるとうれしいですという感じです。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
 以上です。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 それでは、意見交換に移りたいと思います。ただいまの御発表についての御質問、意見、また前半の議題の発言も踏まえまして、今後の若手研究者の育成方法について、御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
 では、岩本委員、お願いします。
【岩本委員】すみません。講義のためにちょっと遅れてきまして、ひょっとしたら前にも議論があったことを言うかもしれませんが、その場合は御指摘いただければと思います。
 川上さん、どうもありがとうございました。ぜひ講義もよろしくお願いしたいと思いますが、2点ちょっとありまして。
 1点目は、まさに川上さんの御経験で、学生時代、たまたま伊藤先生、量子に関係するところにおられたということで、いろんなチャンスを得て、その世界に入られたと思うんですが、一方で、今のいろんな枠組みを見てみますと、最初にどこにいるかということが、かなり大きなファクターになってしまっているような印象を持っています。その観点から、より裾野を広げる、より若い人に参入していただくために、どういった施策が必要と思われますか。周りを見ていただいたときに、そういう方がおられれば、そういう方の例を教えていただければと思いますし、もしおられないとすると、それはちょっと大きな問題かなと思いますので、その点についてコメントをいただければと思うのが1点目でございます。
【川上委員】分かりました。大学に量子をやっている先生がいらっしゃる方は、それでそこの研究室に行っていただくというので、私と同じような状況になると思うんですけれども、大学に量子の先生がいないという方は、結構、Q-LEAPの野口さんがやっておられる教育のやつに参加したとき、学生の方と話すと、自分の大学には量子をやっている先生がいない、でも自分は量子がやりたい、でも修士とか博士とかから分野を変えるのがすごい不安だということを言われるんですね。私はずっと量子をやっているんですけれども、毎回分野を変えているんで、どれだけ変えるのって周りに言われるぐらい変えてるんで、全然変えても平気だよって言っちゃうんですけど。実際、平気だとは思うんですよ、移り先の指導教授の理解があれば。
 なので、もうちょっと学部でやって、修士でやって、博士でやってという、何か6年間コースみたいなのを、学生さんがそれを思っちゃっているというのが問題で、もっと気軽に大学の研究室も移れたらいいんじゃないかなと思いますね。
【岩本委員】ありがとうございます。すごくそのとおりだと思います。その点でQ-LEAPの活動が、そういう一つの取組になっているというのは、伺って大変よかったと思います。
 学生もそうなんですが、研究者にとってもやはり量子技術はかなり進んでいますので、例えばポスドクのときに分野を変えて、新しく量子に入ろうというのは結構障壁が高いですよね。それは知識も、実験設備もそうだと思いますけど。そういう施策、そこをサポートされるような取組があってもいいかなというふうに、今伺っていて思いました。
【川上委員】すみません。それに関してコメントしてもいいですか。今おっしゃっていただいた、博士からポスドクとかで専門分野を変えることについてですよね。それは、私、結構変えた人間として言わせていただけると、変えたときに日本の先生から、そんなことはしちゃ駄目だみたいなことを言われたり、業績がまた1からカウントされることになる、今までの業績は専門分野を変えたらカウントされなくなるんだよと、すごい言われたことがあったので、日本でずっとやってきた方は変えにくいのかなと思っているのがあります。私がいたところでは、むしろ変えないやつはおかしいぐらいな感じだったので、全体的なその風潮を変えていただけるのがいいのかなというふうに思います。
【岩本委員】分かりました。ありがとうございます。
 川上さん、海外におられてそういうマインドを身につけられたんだと思います。日本の学生さんも、少しそういうところを身につけていただく必要があるかなと思いました。
【川上委員】いや、学生さんというよりは、先生方にそういうことを言わないでほしいというのが。
【岩本委員】我々も含めてですね。すみません。
 もう1点だけ。最後におっしゃられた、行くことも入ってくることも重要だという指摘なんですけれど、特に今は入れなくて、理研でもそうなのか分かりませんが、日本の研究の現場でかなり、海外の学生さんですとか研究者の方って活躍されていると思うんですが。それによって研究力の低下というか、というのと、海外に対するプレゼンスの低下というのがあろうかと思うんですけど、そこはかなり、やはり深刻に。
【川上委員】相当深刻ですよね。一時的だったらよかったんですけれど、もう2年ぐらいやっているんで、もう海外の研究者にも日本には行けないということが結構出回っているので、もう最初から選択肢として考えてもらえなくなってきてると思いますね。
【岩本委員】そうですね。うん。大学の立場で言いますと、私の大学であれば東大ですけれども、留学してこようという学生さんも、合格していても最後は諦めてしまうようなケースも出てきていて、ちょっと長期化し過ぎていますので、本当に困っている気が、私もしています。
 大変興味深いお話、ありがとうございました。
【上田主査】波多野委員、お願いします。
【波多野委員】ありがとうございます。川上さんの御意見はストレートで、すごい分かります。ありがとうございます。
【川上委員】すみません。
【波多野委員】いやいや、本当にそのとおりだと思います。
 1つだけ。特にエンジニアの学生はドクターに、本当になかなか、量子をやらせるとすると、やっぱり博士まで行かないとって思うんですけど、先ほどサマースクールで感動したとおっしゃっていたと思うんですけれど、ちらほら私も量子の方から伺うんですけど、そこ、何が刺さったんですか。
【川上委員】サマースクールですか。京都のスクールですか。
【波多野委員】京都か、よく分からないんですけれども。
【川上委員】京都のサマースクールは何が一番刺さったか。割とSurface codeが感激したというのも、先生方の研究内容自体に、何も分かってなかったから、そういういろんなことが進んでいるということも知らなかったので、最先端の研究内容に触れて感激したというのが一番大きいですかね。
【波多野委員】分かりました。それは割と基礎的な知識がないと、そういう学生には通じないものですか。
【川上委員】そうですね。
【波多野委員】じゃあ、初心者にはまだ分からない。
【川上委員】そうですね。量子誤り訂正のこととかは、基礎的知識がないと、それは感激できないでしょうね。そうだと思います。
【波多野委員】ありがとうございます。
【上田主査】ほかにいかがでしょうか。
 岩井委員、お願いします。
【岩井委員】大変面白い話だったんですが、1つ教えていただきたいんですけれども。初めのほうで、量子コンピュータ、もう、すぐにできそうだみたいな宣伝をして、いや、実はそうじゃないんじゃないかみたいな、そういう状況が起こったことがあるっておっしゃったんですが、それは一般的な社会というか、学生さんたちもそういう反応を示すということなんですか。
【川上委員】いや、学生さんたちではないですね。私は、言われてみれば、学生さんではそういう例は見たことないですね。企業の方とかですね。
【岩井委員】なるほど。分かりました。いや、それならいいんですけど、ちょっと心配したのは、学生さんが、ロングタームでこれからどんどん発展していって、大分かかるかもしれないけど将来できそうなものに対してあまり積極的じゃないんだとすると、ちょっとゆゆしき問題なんですが、そんなことはないってことですね。
【川上委員】それはないと思います。学生さんは割と、もっと辛抱強い感じがしますね。
【岩井委員】企業が辛抱できないって話なんですか。
【川上委員】でも企業の方、しようがないと思うんですけれども。利益を求めなきゃいけないんで、しようがないと思うんですけども。そういうのが何か、ちょっともったいないなと。ネガティブな印象を持たれちゃうというのがもったいないなとは思います。
【岩井委員】でも、外国はそんなこともないんですよね。外国の企業はどうなんですか、それは。
【川上委員】そうですね。確かに、もっとロングタームで考えていますよね。言われてみれば。
【岩井委員】もしそうだとすると、それは。
【川上委員】体力じゃないですか、その企業の。研究開発費に投資できる、投資してそれが返ってこなくても大丈夫だという、その予算規模的な体力の違いなんじゃないですかね。分かんないですけど。
【岩井委員】それやってると結局、今のスマホみたいになっちゃうので、全部。
【川上委員】ガラパゴスになるってことですか。
【岩井委員】いや、あれはガラパゴスが割とよかったからスマホの開発が遅れて、それで全部外国が、基盤技術をつくっちゃったみたいになったわけですけれども。
 企業も将来のことを考えると、それでいいのかなとやっぱり大分不安なので、ちょっとその話を聞いて心配になったという話です。
【川上委員】国内での企業とのということですよね。日本の場合は、海外の企業からというのは無理なんですかね。
【岩井委員】それもとてもいいと思うんですけれども、国力の問題からすると、日本の企業も頑張ってもらわないと、心配は心配ですよね。
【川上委員】それは、そうですね。量子だけの話じゃなくなってくるのかもしれないですけど。
【岩井委員】だから、それは各企業も国も、全部一緒に考えないといけないことですけれども、ちょっと不安な状況かなとちょっと思ったので、お尋ねさせていただきました。
【川上委員】私はオランダにいたので、オランダの場合は、アメリカの企業ばかりから研究費をもらっているのを見てきたので。
【岩井委員】なるほど。そうなんですか。
【川上委員】はい。
【岩井委員】オランダは別にそれで困らない。オランダはオランダで、国としてはそれはそれで大丈夫なんですね。利を得ることができてるんですね。
【川上委員】別に、そこに何か危機感を持っているという話は、私は聞いたことがないですけどね。
【岩井委員】なるほど。ありがとうございます。勉強になりました。
【上田主査】早瀬委員、お願いします。
【早瀬委員】慶応大学の早瀬です。非常に率直な意見ありがとうございます。それから、慶応の川上さんの出た学科にいるので、OGの人がこれだけ活躍しているのは非常にうれしく思います。
 大学生が量子の世界に進む上で、2つぐらいハードルがあると思っていて、1つは博士課程に行くかどうかという部分と、ドクター取った後に本当にその道で、例えばPIになるぐらいまで突き進むかという、その2つがあると思うんですけど。
 まず1つ目は、川上さんはあるきっかけがあってドクターへ行くというふうに決めたみたいですけれども、実際はその学科でも、博士課程行くという学生は物すごい少ないんですね。どっちかというとネガティブな印象があって、博士課程行く? と言うと、いや、やっぱりみんなどんどん就職するのが、それがデフォルトでしょうという風潮があるんですけれども、どうにかして博士課程に行こうと思わせるような、学生さんに思ってもらえるような、何かいい案というか、どういったところがハードルになっているかという部分を、若手の方から何か意見があればお聞かせいただけないでしょうかというのが1つ目です。
【川上委員】私の場合は、一番ハードルだと自分の場合に思っていたのは、金銭的な問題で、修士のときが一番きつかった。すみません。最初、持続的な支援というのは、何か1人の人間に対する持続的な支援かと思って、勘違いして作ったスライドがあったんですけど、そのときに思ったのが、学部のときは結構バイトする時間もあって、日本学術振興会の奨学金ももらったりしていて、割と回せてたんですけど、留学しているときは、2年間フランスに留学してたんですけど、フランス政府から奨学金をもらったりもして、結構金銭的に回せていて。修士のときが、研究する時間がすごい長くてバイトする時間はないし、日本学術振興会からは借り入れる奨学金ももらってたんですけれども、授業料も払わなきゃいけないし、めっちゃ生活が苦しかったんですね。博士に行って、たとえ学振がもらえたとしても、授業料は、今は変わっているかもしれないけど、授業料は払わなきゃいけないというので、どうやって生活していくんだと思っていたときに、私は海外に留学する奨学金に応募しまくって。そのときに1つ、通していただいて。これで海外に留学したら生きていけるという状況になったので、日本ではPh.Dを取れないけど、海外では取れるという状況になったので、私は金銭的な支援が一番問題なんじゃないかなと思ってます。
 オランダの場合は、金銭的な支援ができない限り、たとえ学生本人がいいと言ったとしても、博士に進学させてはいけないというふうになっているんですよ。そういうところが一番違うんじゃないかなと思っていますね。
【早瀬委員】なるほど。ありがとうございます。そうですね。金銭面はある程度はよくなってきていると思うんですけど、やっぱり海外と違って比較的、特にアメリカはドクターの学生にお金を払ってきてもらっているというようなところがあって、逆ですよね、日本は。そういうところは非常にハードルは高いのかなと思うので、貴重な意見ありがとうございます。
 それから、もう1点は、やっぱり量子の研究室、特にハードウエアの研究室って物すごくお金がかかりますよね。そういう意味で、スタートアップが非常にハードルが高いと思うんですね。先ほど冬の時代って言っていましたが、これ、語弊があるかもしれないですが、川上さんは比較的恵まれているほうだと思うんですよね。でも、多分それはすごいラッキーなほうで、本当にラッキーじゃないと、それまでの研究室立ち上げられないというのがあると思うんですけど。なので、これは意見というよりコメントですけれども、川上さんではなくて文科省のほうに対するコメントですけれども、やっぱり持続的な経済支援というか、特に若手への経済支援というのは必要かなと思いますね。で、短期的に、たまたまCREST、さきがけがある期間しか支援できないってなると、なかなか若手が参入しにくいので、そういう意味では持続的な支援というのが必要かなと思います。
 そういう意味では、川上さんから見て、金銭的なことも含めて、金銭的以外のことも含めて、どういった支援があると、若手の人が助かると思いますか。
【川上委員】早瀬先生のおっしゃったとおり、確かに持続的にはなってないですよね。さきがけ当たったらラッキーだったけど、終わっちゃったらどうしたらいいか分からないみたいな感じになりますよね。どうなんですかね。私はたまたま今、理研に採用していただいて、ある程度の研究環境もいただいて、すごいラッキーだと思うんですけど、そんな人、日本にほとんどいないし、チャンスも転がってないですよね。
 海外はどうなのかって見たら、スタートアップでも、私と同じぐらいの年齢というか、私のデルフトのときの同期で、スタートアップを2億円ぐらいもらって研究室を立ち上げている人とかがいっぱいいるので、それと比べると、日本はそんなことやってるのはOISTぐらいしかないんで。でも、理系の先生方には、それが日本なんだよ、変えられないよみたいなふうに言われたので、変えられないのかなと諦めさせられてる感じなんですけど。変えられないんですかね、そういうのって。同じようにできたらいいと思うんですけどね。無理なんですかね。
【早瀬委員】そこで諦めちゃうと、ちょっともったいないですね。非常に優秀な人が。だから、スタートアップの部分はやっぱり海外は恵まれていると思うので、もうちょっとそういったところを充実させていくというのは重要だと思いますね。
【川上委員】海外ばっかりいいと言っているふうに聞こえちゃうのも、ちょっとあれだからということでもないんですけど。すごい思ったのは、デルフトを卒業した後に、ほかのアメリカとかイギリスとか、いろんなところからも来ないかって声かけていただいたんですけれども、全部先生が取ってきたプロジェクトで雇われるポスドクだったんで、それだと自分のやりたい研究ができないなというふうに思って。もちろん、ヨーロッパとかアメリカにもあるんですけど、若手が応募できる研究費が。でも、日本は科研費もあるし、JSTのさきがけとかもあるし、博士を取ったら、ある意味で本当に年配のシニアの研究者の方々と同等に扱ってくれるんだなというふうに思ったので、その制度はすごいいいなと思ったんで、それはやめないでほしいなと。科研費とかJSTのやつとかは、すごいいいと思うので、やめないでほしいなと思いますね。
【早瀬委員】ありがとうございます。うちでもぜひ講義を、よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
【上田主査】他にいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、川上委員、どうもありがとうございます。
 本日いただいた意見は事務局で整理いたしまして、本委員会の取りまとめに反映させていただきます。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたら、よろしくお願いします。
【大森委員】ちょっとよろしいですか。今の川上さんの話に限ったことじゃないんですけど、一般的なコメントを一つ、お伝えしてよろしいでしょうか。
【上田主査】どうぞ。よろしくお願いします。
【大森委員】人材育成一般に関しての話なんですけれども、人材育成のときに、必ず量子ネイティブという話が出てくるんですけど、量子ネイティブの育成というとき、何となく暗黙のうちに前提として、大学生とか大学院生とかが対象となることが多いんですが、私、個人的にはもうちょっと下の世代、例えば高校生であるとか、極端な話だと中学生、小学生、この辺りの若年層を対象にすると、非常に効率的じゃないかというふうに思っています。
 そう思う根拠は、実際中国なんか、そこら辺すごく活発にやっておりまして、例えば国際会議で欧米の著名な、我々の分野だとノーベル賞候補と言われているピーター・ゾラーとか、ノーベル賞受賞者のデーヴィッド・ワインランドとか、ああいった人たちを呼んだとき、会議のサイドイベントとして、小中学生向けの講演者と触れ合う会というのを企画するんですね、彼らは。そこで、ピーター・ゾラーとかデーヴィッド・ワインランドが、自分の研究を分かりやすく小学生に伝える。そうすると、小学生が物すごく活発にナイーブな質問をして、講演者はとても困ってしまうというようなことが起こっております。
 実際、日本でも小学生から量子に興味を持っている子供って、大変多くいると感じておりまして、例えば、私の個人的な経験ですけども、市民向けの講演とかをすると、小学校中学年ぐらいの子供たちが最前列に座って、かぶりつきで聞いている。そういったことが少なからずあります。こういった非常に若年層から、量子技術だけじゃなくて、量子技術の根底にある量子物理学の面白いところですね、例えば我々の常識と非常に違う側面であるとか、そういったことに非常に若い子供たちは興味を持っているという事実がありますので、ぜひ、こういった若年層、小学校、中学校、この辺りの子供たちを対象に啓蒙的なイベントを企画していくと、何年かたって、効率的な結果が生まれるんじゃないかというふうに感じております。
 ただ、これは文科省とか我々研究者だけが頑張ればできることじゃなくて、やっぱりマスコミの皆さんと協力しないと、なかなか難しい部分がありますので、その辺りが課題になってくるのかなと思っています。
 実際、そういった動きが中国では非常に、エフェクティブに効いているという話をよく聞いています。市民の間での量子技術に対する認知度、あるいは重要性への理解というのは、日本よりは格段に進んでいると聞いておりますので、そういったところを、競争相手とはいえ、よさそうだと思うところは日本も試してみるといった姿勢で臨むのも、一つのアプローチかなと思っております。
 以上でございます。
【上田主査】どうもありがとうございます。確かに、大学生以上になると、将来のキャリアを意識して専門を選ぶ傾向が強いように感じますが、小中高校生の場合は、やはり夢とか憧れによって心に火がつくということがとても大切で、そういう方に対してどうアプローチするかということは、非常に重要な課題だと思います。
 今、大森委員の御指摘のように、一流の研究者によるこういう講演会、交流の場というのも極めて重要で、同時に最近の若い人は、実はあまりテレビとか見なくて、ユーチューブを見ると、私は聞いたことがあります。そうしますと、先ほどのワンポータルの議論もございましたように、質のいい講演とかを1つのポータルを通じて、ユーチューブなどで提供することによって、その場に行けない人にもアクセス可能になるという意味で、デジタル時代のいろんな新しい可能性も開けるのではないかと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。では、最後に事務局から、連絡事項がありましたらお願いいたします。
【山村係長】ありがとうございます。量研室の山村でございます。ちょっとだけ資料4を、今画面に共有していますけれども、紹介させていただきます。
 本日、議事としては取り上げておりませんけれども、資料4として、分野別研究開発プラン(仮称)及びその評価についてというものを、資料が多いんですが、配付してございます。こちら、本日、詳細は御説明しませんけれども、本委員会の親会議である研究計画・評価分科会の事務局において検討されているものでございます。内容といたしましては、文科省の政策評価の政策体系で、今後、各分野の委員会において既存事業を端的にマッピングするような研究開発プランといったものを作成するということと、その評価方法についてというもので、方針として我々委員会のほうに示されているものでございます。
 こちらについて、委員会のほうに意見照会という形で来ておりますので、後ほど量子研究推進室のほうから改めて本件の経緯ですとか、委員の先生に御意見いただきたいポイントなどをまとめたものを、メールで意見照会させていただきますので、お手数ですが、後ほど御確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【上田主査】どうもありがとうございます。
 では、本日は長時間にわたる御議論、どうもありがとうございました。次回はウェブ会議で、1月28日金曜日10時からの開催予定でございます。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。
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