量子科学技術委員会(第9期~)(第24回) 議事録

1.日時

令和3年6月30日(水曜日) 15時00分~16時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 議事運営について
  3. 量子ビーム利用推進小委員会の設置について
  4. 量子技術イノベーション戦略の取組状況について
  5. 量子科学技術委員会における今後の検討事項について
  6. 令和3年度量子科学技術委員会研究評価計画について
  7. 量子科学技術委員会における今後のスケジュールについて

4.出席者

委員

上田主査、岩井委員、大森委員、川上委員、小杉委員、早瀬委員、波多野委員、平野委員、美濃島委員、向山委員、山田委員

文部科学省

河原量子研究推進室長、萩谷量子研究推進室長補佐、戸辺量子研究推進室機構・総括係長、古関量子研究推進室係員

5.議事録

【戸辺係長】 それでは、定刻になりましたので、第24回量子科学技術委員会を開催いたします。本日はお忙しい中、11名の委員に御出席いただきまして、ありがとうございます。
本委員会の事務局を担当させていただきます。文部科学省量子研究推進室の戸辺と申します。どうぞよろしくお願いします。
皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございます。まず最初に、本委員会、初めてですので、量子研究推進室長の河原より一言挨拶させていただきます。室長、よろしくお願いします。
【河原室長】 皆さんこんにちは。量研室長の河原です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。量子科学技術委員会につきましては、本日の委員会から新しい期に入りまして、メンバーも新しく、波多野委員、川上委員、向山委員、山田委員に加わっていただいております。量子科学技術の推進に向けまして、ぜひ活発な御審議をお願いしたいと思います。
昨年1月に政府の量子戦略が策定されまして、拠点の形成であるとか、国際連携を含めて、戦略に基づいた取組が進みつつあるという状況であります。量子分野につきましては、国内外の動きも非常に速いということもありますので、戦略自体の機動的な見直しも今後必要となってまいります。この委員会においては、ぜひ研究開発や人材育成、連携をはじめとしまして、量子分野で今後新しく取り組んでいくべきような事柄についても御審議をいただきたいと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。
それではまず、会議に先立ちまして、オンライン会議の留意事項について説明させていただきます。まず、通信を安定させるためでございますが、御発言されるとき以外は可能な限りマイクをミュートにしてください。御発言される際はミュートを解除、マイクオンの状態にしていただければと思います。議事録作成のため、速記者を入れてございますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。会議中、不具合などトラブルが発生した場合、事前にお知らせしている事務局の電話番号に電話をお願いいたします。
なお、本日は会議公開の原則に基づきまして、報道関係者や一般傍聴者によるWebexでの傍聴を認めておりますので、御了承いただければと思います。
続いて事務局より資料の確認をいたします。議事次第にございますように、資料1から7と、参考資料1から3を事前にメールでお配りしております。画面に適宜、資料をその都度共有させていただきますので、もし見えにくい場合は、大変恐縮でございますが、事前にお送りしている資料を御覧いただければと思います。会議の途中で資料の不備等、お気づきになりましたら事務局まで御連絡いただければと思います。
続きまして事務局より、本委員会の設置経緯及び趣旨等について御説明いたします。参考資料1にございますように、科学技術・学術審議会令第5条第1項に基づきまして、科学技術・学術審議会の下に研究計画・評価分科会を置くことが定められてございます。参考資料2にございますように、研究計画・評価分科会は、研究計画・評価分科会運営規則第5条第1項に基づきまして、特定の事項を機動的に調査するため委員会を置くことができると定められてございます。これに基づきまして、参考資料3にございますように、令和3年4月21日に開催されました研究計画・評価分科会において、本委員会、量子科学技術委員会が設置されました。なお、本委員会は4期目を迎えます。
参考資料2の評価分科会運営規則第5条第2項におきまして、本委員会の委員は、「委員会等に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、分科会長が指名する」と規定されてございます。これを受け、研究計画・評価分科会の分科会長より、資料1のように委員を指名させていただいております。また、同運営規則第5条第3項に基づきまして、上田委員が本委員会の主査に指名されております。
それでは、これからお1人ずつ委員のお名前をお呼びし、順に御紹介させていただきますので、その際に、委員の皆様から一言頂戴させていただければと思います。
まず、本委員会の主査であられます上田委員。
【上田主査】 主査を拝命いたしました東京大学、上田でございます。量子科学技術は量子情報、量子計算、材料開発、センサ、半導体技術にとどまらず、現代文明の基礎基盤に広く浸透しております。また、アカデミアの最先端の研究課題が産業界の目指す方向と直結しているという、ユニークな特徴がございます。この意味で、本委員会は、当該分野の研究、教育にとどまらず、我が国の産業の将来に資する様々な課題に対処していくミッションがあると考えております。大変重責であり、また微力でございますが、量研室の皆様、委員の皆様、そして関連する皆様の御助力を仰ぎながら尽力する所存でございます。どうぞよろしくお願いします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。
続きまして、五十音順に御紹介させていただければと思います。まず初めに、岩井委員。
【岩井委員】 東北大学の岩井と申します。よろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 よろしくお願いします。続きまして、大森委員。
【大森委員】 自然科学研究機構分子科学研究所の大森でございます。よろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 続きまして、川上委員。
【川上委員】 理化学研究所の川上恵里加です。よろしくお願いします。
【戸辺係長】 続きまして、小杉委員。
【小杉委員】 高エネルギー加速器研究機構物質科学研究所の小杉です。よろしくお願いします。
【戸辺係長】 続きまして、波多野委員。
【波多野委員】 東京工業大学工学院の波多野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 続きまして、早瀬委員。
【早瀬委員】 早瀬です。慶應義塾大学です。よろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 続きまして、平野委員。
【平野委員】 QSTの平野です。よろしくお願いします。
【戸辺係長】 続きまして、美濃島委員。
【美濃島委員】 電気通信大学の美濃島です。よろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 続きまして、向山委員。
【向山委員】 大阪大学の向山敬と申します。よろしくお願いいたします。
【戸辺係長】 最後に山田委員。
【山田委員】 日立製作所の山田です。よろしくお願いします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。なお本日は、岩本委員、根本委員、湯本委員は欠席となります。
それでは、同運営規則第5条第6項に基づきまして、本委員会の議事は上田主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(主査代理の指名について(非公開))

(傍聴者入室)

【戸辺係長】 事務局ですが、傍聴者、入室完了いたしました。
【上田主査】 ありがとうございます。
それでは、大森主査代理より一言御発言願います。
【大森主査代理】 上田主査、ありがとうございます。
大森でございます。主査代理を務めさせていただきます。先ほど河原室長も言われたように、最近、欧米など諸外国のポストコロナ政策で量子技術への投資が一層活発化しております。それに伴い、日本の量子技術を取り巻く情勢も刻一刻と変化してまいりますので、これまで以上に国際的な視点から柔軟に議論することが重要かと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
続きまして、議題(2)に移ります。本委員会の運営規則等について、事務局より御説明願います。
【戸辺係長】 ありがとうございます。委員会の運営に必要な事項のうち、科学技術・学術審議会令、科学技術・学術審議会運営規則並びに研究計画・評価分科会運営規則に定められていない事項につきましては、本委員会の運営規則等として定めておく必要がございます。
ちょっと事務局のパソコンが共有ができない状況になってございまして、大変恐縮でございますが、御手元に資料を御準備いただいた上で御覧いただければと思います。大変申し訳ございません。
資料2-1及び2―2に、「量子科学技術委員会運営規則」、並びに「量子科学技術委員会の会議の公開に関する手続きについて(案)」という資料がございます。基本的にはこの当委員会の運営規則を定めてございます。小委員会及び作業部会が設置できるということ、議事に関すること、すなわち過半数を出席しなければ会議が開催されないという旨、また、書面による議決ができるということ、欠席に関する事項、会議の公開に関する事項、議事録の公開、主にこういった事項が記載されてございます。
また、公開に関する手続という形で、一般傍聴者に関する事項、報道関係傍聴者に関する事項、委員関係者及び会議の作成・録画といった事項が記載されております。基本的に、内容につきましては前期と変わらない内容となってございますので、基本的には踏襲という形を取らせていただいています。説明は以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。それでは、本案を量子科学技術委員会の運営規則等として決定してよろしいでしょうか。
(異議なしとして了承)
【上田主査】 それでは、異議なしとして了承いたします。
それでは、議題(3)に入りたいと思います。「量子ビーム利用推進小委員会の設置について」、事務局より御説明お願いします。
【萩谷補佐】 事務局より御説明いたします。ただいま決定いたしました、本委員会運営規則第2条第1項に基づき、量子ビーム利用推進小委員会の設置について御説明させていただきたいと思います。
資料3-1を御覧ください。名称が「量子ビーム利用推進小委員会」でございます。調査事項は、「先端的な量子ビーム技術の高度化及び利用促進方策について調査検討を行う」ということとさせていただければと思います。
こちらの量子ビーム小委員会は、2016年に発足したものでございまして、今まで、次世代放射光施設の整備に関する議論や、量子ビーム施設の利用促進に関する議論などを行ってまいりました。今期も引き続き、量子科学技術委員会の下に、量子ビーム利用推進小委員会を設置させていただき、議論を推進していきたいと考えております。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
それでは、本案のとおり、委員会に量子ビーム利用推進小委員会を設置することを決定してよろしいでしょうか。
(異議なしとして了承)
【上田主査】 ありがとうございます。それでは、異議なしとして了承いたします。
ここで、量子ビーム小委員会において議論する事柄について、事務局より御説明願います。
【萩谷補佐】 事務局より御説明いたします。資料3-2を御覧ください。
まず、資料3-2の1ページ目を御覧ください。こちらは今年の2月に、量子ビーム利用推進小委員会で決定した、我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方の取りまとめでございます。前回の、先期の最後の量子科学技術委員会でも、小杉主査から御説明いただいた内容でございますけども、改めて、簡単に御紹介させていただきます。
まず、背景といたしましては、欧米やアジアで量子ビームの大型研究基盤の整備や高度化が急速に進展している中で、我が国でも次世代放射光施設の整備が開始したところでございます。これらを踏まええて、我が国の各量子ビーム施設の役割や、ユーザの分布やニーズにも大きな変化が想定されるということで、我が国の研究力、産業競争力の維持・向上のためにはどういった戦略を練るべきかというような問いかけに対し、放射光や中性子、イオンレーザー、イオンビームなどの各種量子ビーム施設を一体的に捉えた上で、各施設への調査やヒアリングなどをこの小委員会で実施してまいりました。
それで各施設を取り巻く様々な課題を洗い出しまして、これらに対する推進方策について報告書として取りまとめたものがこちらでございます。内容に関しましては、一番下の今後の推進方策のところに、整備計画の策定であったり、ユーザ支援の強化、複数施設の連携や利活用の促進、国際連携、人材育成などのトピックを挙げさせていただいております。これらは大きな方向性を取りまとめたものでして、これらを踏まえて、じゃあ具体的にどうしていくかということを、今後しっかり詰めていきたいと考えております。
2ページ目を御覧ください。次期量子ビーム利用推進小委員会における論点として、以下3点、挙げさせていただいております。まず1点目が、こちらの、先ほど御紹介いたしました取りまとめを踏まえて、どういった施策を具体化していくかというところでございます。例えばプラットフォームの構築・推進であったり、各施設におけるDXの推進、また人材育成などについて、どのように進めていくかということを小委員会で議論していきたいと考えております。
2点目が、次世代放射光施設に関しまして、こちらは2023年度に整備が完了する予定でございますけれども、引き続き、整備状況ヒアリングであったり、運用に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に3点目でございますけれども、既存の大型研究施設でございますSPring-8、SACLA、J-PARCに関しまして、中間評価を数年前に行っておりますが、引き続きそちらの内容を踏まえて、フォローアップということで、これらの既存の施設についてもさらなる利活用推進について小委員会で議論していきたいと考えております。
以上でございます。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
では、私のほうから1つ質問させていただいてよろしいでしょうか。
【萩谷補佐】 お願いいたします。
【上田主査】 このDXの推進につきまして、これは大変重要な課題だと思いますけども、これを推進するために新たな人材の投入とかが必要になる可能性があると思われますが、これについてはどのようにお考えになっておられるのでしょうか。
【萩谷補佐】 ありがとうございます。まさにこちらのDXに関しましては、今までの施設を運営してきていただいた人材に加えて、データサイエンスとか、そういった新しい分野の専門知識が必要になってくるということは先の小委員会でも、特に議論が進んできた中で、そういったデータ関係、DXを担える、かつ量子ビーム施設のことが分かる人材というものをどのように育てていくかですとか、どのように人材を引っ張ってくるかということが課題であるということまでは、議論は当然しておりまして、今後、じゃあそれを踏まえて、どのようにそれを推進していくかというところがまだ議論が進んでいないところでございますので、そういったことは今後の課題であると考えております。
【上田主査】 ありがとうございます。
そのほか、御意見ございませんでしょうか。
【平野委員】 QSTの平野ですが宜しいでしょうか。
【上田主査】 よろしくお願いします。
【平野委員】 特に検討していただきたいこととして、現在のコロナ禍にあって、遠隔実験など様々な実施方法があると思います。今、SPring-8でどのように実施されているのかよく存じ上げておりませんが、次世代放射光施設においても是非、遠隔で実験できるような、そういう工夫を検討したいと思います。我々QSTは現在、ITER計画に基づき、フランスに実験炉を建設中ですが、その実験炉を日本から遠隔で操作できるよう、インターネット配信によりリアルタイムでこちらからいろいろなデータを送り、さらに向こうで取得したデータを再びこちらへ送るなど、そういったやり取りしながら遠隔で実験できるようなシステム構築していますが、次世代放射光施設でもそういうことができれば非常に共同利用がしやすくなると思うので、ぜひ検討していただければと思います。よろしくお願いします。
【上田主査】 ありがとうございます。
【萩谷補佐】 御指摘ありがとうございます。次世代放射光施設の遠隔化、自動化に関しましてもしっかり検討してまいりたいと思います。
【上田主査】 関連しまして、これからの時代、リモート社会における遠隔操作のスキルと技術をアップしていくことは極めて重要だと思います。同時に、これは非常に大規模施設ですから、その際にセキュリティ、サイバーセキュリティについても十全な配慮をした上でシステムを構築することが、いろいろな意味で重要じゃないかと思われます。
ほかに御意見ございませんでしょうか。
【大森主査代理】 大森でございます。よろしいでしょうか。
【上田主査】 よろしくお願いします。
【大森主査代理】 最後の論点の一番最初、3つのうちの一番上のポイントの一番最後の行に「人材育成について」というのが挙がっていますけれども、一般的に、放射光施設をはじめとして、量子ビーム施設というのは、最近、人手不足のところが非常に多くて運営に苦労している施設がたくさんあると思います。この点について、人材育成は非常に重要だと思うんですけども、具体的な方策を考えないと、なかなかこの部分が好転していかないと思うのですが、それについては、小杉委員にお尋ねするべきかもしれませんけれども、具体的な方策が、何かお考えのことがあるのでしたら御教示いただきたいと思います。
【小杉委員】 私が答えたほうがいいですかね。今後も小委員会で検討になるかと思いますが、今まで一般的に量子ビームの人材育成というのはユーザサイドの目線が多くて、ユーザを増やしていくというところがあったと思うのですが、最近施設系の人材が非常に不足しているという状況もありますので、いろいろな施設の状況も踏まえながら、日本に量子ビーム施設はたくさんありますので、その辺りを、全体を見ながらどう育成するかというのは今後の小委員会の議論になるかと思います。
各施設にユーザ組織がそれぞれあるので、その辺の状況も踏まえたり、学会等でもいろいろ把握はされていると思うので、その辺、必ずしも放射光の人材、あるいは中性子の人材というふうに縦割りで考える必要もないかと思いますので、日本全体を広く考えて、どういう施策を打っていくかというのを小委員会で議論しつつ、量研室にも理解いただいて、支援をいただきたいというところが、前期、小委員会の主査をしていた者としては、そういう説明になると思います。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
ほかに御意見。どうぞよろしくお願いします。
【波多野委員】 波多野でございます。今の御意見、とても重要と思いました。文科省さんの研究開発基盤部会でも、日本全体の大型施設やプラットフォームを産官学でどのように活用し、運営していくか、またDXやリモート化に伴うサイバーセキュリティの問題、さらに技術支援員を含む人財育成、DXを担う人財の育成、などの共通課題を、研究分野の枠を超えた広い視点で議論されつつあると認識しています。そのような状況ではございますので、小委員会では、量子ビームでの固有な課題を議論いただくとともに、全体の議論にも加わっていただくと、効率よく進展するのでは、と思います。そのような垣根を越えた中で議論は既にされているんでしょうか。
【萩谷補佐】 御意見ありがとうございます。おっしゃるとおり、研究DXやセキュリティの問題というのは、量子ビーム施設に限らず、科技術全体の今後の課題となってくるところで、文科省全体としてでも、しっかりその全体の方針に従って、量子ビーム施設も考えていかないといけないということは承知しておりまして、まだ少し、一まず量子ビーム施設でDXをどうするかということの議論を先の小委員会でしてきたところでございますので、今後はその全体の枠組みの中で、どう進めていくかということも含めて議論していきたいと思っております。
【波多野委員】 ありがとうございます。
【上田主査】 ありがとうございます。
そのほか、御意見とかございませんでしょうか。
【岩井委員】 ちょっと質問させていただいてもよろしいでしょうか。
【上田主査】 よろしくお願いします。
【岩井委員】 東北大の岩井ですが、資料3-2 我が国全体を俯瞰した量子ビーム施設の在り方(取りまとめ)概要の中の、「今後の推進方策」のところで、(1)番の「量子ビーム施設の設備計画の策定およびDXの推進」のところに、「各施設の位置づけの明確化」とか、「施設間の連携促進のためのプラットフォームの構築」ということが書いてあるんですが、もう少し、具体的にどういうことをお考えなのかちょっとお聞きしたいんですけども、教えていただけないでしょうか。
【萩谷補佐】 ありがとうございます。こちらは、例えば放射光施設であれば、様々、日本国内にも9つぐらい施設がある中で、それぞれ軟X線であったり硬X線であったり、そういった特色、あとは産業利用が特に強い施設とか、そういった特色がある中で、ユーザがどういう、各施設について、特に例えば、施設の利用に慣れてないユーザが、施設を利用するに当たって、どの施設を使うのが適切なのかとか、そういったところでしっかり方針を決められるような枠組みづくりなどを検討してまいりたいと考えておりまして、今、徐々にプラットフォーム、放射光施設のプラットフォーム化のような議論は進んでいるところでございますので、そうしたところを今後しっかり検討してまいりたいと考えております。
【岩井委員】 ありがとうございます。軟X線の高輝度光源ができたということで、とてもすばらしいことだと思うんですけども、どの施設もそうだと思うんですが、世界各国でいろいろな施設、大型施設がある中で、どういう戦略で、どの分野で国際競争に勝っていくのかという、その戦略がとても大事だと思います。(4)番の「国際的な連携・協力拡大」というところに、「中核拠点の設定」とかも書いてあるので、そことも関係するんでしょうけども、どの分野で勝算があって、それをどういうふうに戦略を進めていくのかという、そこをどう決めていくのかということをちょっとお聞きしたかったんですけども、それはどうなんですかね。どういうプロセスでそれを詰めていかれるんですか。難しい話だと思うんですけども。
【萩谷補佐】 すみません。ちょっと今、詳細にお答えすることができないんですが、今期の小委員会では、まさに海外の動向の中で、今の量子ビーム施設、特に大型施設でございますけども、国内の大型施設がどのような位置づけにあって、その中で今後どういうような戦略を練っていくべきなのかということも、今期の小委員会では議論していきたいと考えております。すみません、ですので、今ちょっとまだ、しっかりしたお答えをできる状態ではないのですが。
【岩井委員】 分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】 ありがとうございます。
そのほかございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。それでは、次に議題(4)「量子技術イノベーション戦略の取組状況について」、これにつきまして、事務局より御説明、よろしくお願いします。
【河原室長】 量研室の河原です。資料4を御覧ください。量子技術イノベーション戦略に基づく政府の取組状況について御説明をいたします。主に量子イノベーション戦略と予算に関わる概観と、それから研究拠点に関する動き、それから国際連携と人材育成について御紹介したいと思います。
まず3ページ目、お開きいただきまして、「量子技術イノベーション戦略」でありますけれども、昨年の1月に、我が国初の戦略として取りまとめております。大きく3つの柱を掲げておりまして、「重点領域の設定」「量子拠点の形成」それから「国際協力の推進」という3点であります。
重点領域については、量子コンピュータ、通信・暗号、量子AI、セキュリティという各分野を設定しておりまして、量子拠点につきましては、今8つの研究開発機関を指定して、拠点形成、それから拠点間の連携というものを進めております。
国際協力については、多国間、2国間の枠組み、特に米・欧との関係を基軸とした協力関係の構築というのを進めているという段階であります。
それから4ページ目ですけれども、この量子イノベーション戦略をフォローアップするという意味で、政府全体の有識者会議が立ち上がっておりまして、座長が五神先生、東京大学の総長と書いていますが、前総長に座長をお願いしておりまして、政府側も、各省の局長クラスが参画している会議でございます。直近は今年の4月に開かれておりまして、四半期に1回程度のペースで、この戦略の取組状況のフォローアップと、あと追加的な取組をすべき事項について議論を行っているというものであります。
5ページ目をお開きいただきますと、政府全体の量子予算の概観がありまして、右上のところに総額が書いておりますけれども、今年度、令和3年度の予算規模としては約250億程度、それから前年の予算が205億程度ですので、40億ちょっとの増額になっていると。それとは別に、補正予算として、昨年度、令和2年度の補正予算額は大体100億ぐらいと。こういったオーダーになっております。年々、量子予算については拡充を進めているということであります。
次の6ページ目ですけれども、先ほどの5ページ目が政府全体の予算でありまして、6ページ目が文科省に限った予算規模であります。政府全体から見ると、大体8割弱が文科省予算ということになっておりまして、特に研究開発にかかる部分と、それから拠点形成、それから人材育成と、こういった予算を用意しております。この中では、左上ですけれども、Q-LEAPのプログラム、それから右側の「産業・イノベーション戦略」では、研究開発法人の拠点形成にかかる経費ということで、QST、理研、NIMSに対する運営費交付金と補正予算の施設整備費等を措置しているというものです。
一番下の「人材戦略」に関しては、今年度の新規事業としまして、大学フェローシップ創設事業というものを用意しておりまして、その中で量子は重点分野に挙がっているということであります。
続いて7ページ目以降が量子拠点に関する取組でありまして、8ページ目をお開きいただくと、量子イノベーション戦略において、基礎研究から技術実証、人材育成、それから産学連携まで、一気通貫で取り組む拠点として、その拠点の整備というのが明記されております。
これに基づいて、国内8つの拠点での研究開発の取組がスタートしておりまして、この拠点の絵にありますように、中核組織として理研を指定して、その周辺にある8つの研究機関でそれぞれの分野の取組を進めていると。
それから拠点横断的な連携の強化というものも進めております。特に「活動例」にありますような国際連携、それから産学連携、人材育成、こういった各分野での取組を今年度から本格的に始めているという状況であります。
9ページ目ですけれども、これらの拠点の発足を記念いたしまして、今年の2月に発足式典を開いております。政府側からは内閣府の井上大臣、それから文科省の高橋副大臣、理研の松本理事長のほか、関係する拠点の拠点長も参加してもらい、それから海外の出席者としまして、米国のOSTPの量子室長からも挨拶をいただいているというものであります。
10ページ目ですけれども、具体的な拠点の取組としまして、各分野ごとに分科会を設けまして、検討を今進めているところであります。特に国際連携分科会においては、年末に予定しております、拠点をテーマとした国際シンポジウムに関する企画を今進めておりますし、それから産学連携、人材育成等についても順次立ち上がるという状況であります。
2ポツ目にありますけれども、「国際シンポジウム」につきましては、特に米・欧との連携を強化するという観点で、量子の各分野の研究者、それから政策立案者、産業界からの参画を得ながら、今年の12月初旬頃に開催するということで、理研を中心として検討を進めているところであります。このシンポジウムの中で、特に米国・欧州との協力の具体化を図るような個別の会合も別途用意したいということで今、検討を進めております。
続いて11ページ目以降が各拠点の概要でありますが、ちょっと細かいのでの、後ほど御覧いただく部分でもいいかと思いますけれども、まず11ページ目の左上が理研でありますが、ここは中核拠点としての機能に加えて、自らの研究開発も進めておりまして、超電導、それから光方式の量子コンピュータの開発、それから右側にあるQSTは量子生命に関する研究開発を進めております。
12ページへ行っていただくと、左側のNICTでは、量子セキュリティということで、量子暗号通信に関する取組、それから右側の産総研では量子デバイスの開発を進めているというものであります。
それから13ページ目の左側、NIMSですけれども、NIMSでは量子マテリアルに関する取組を進めておりまして、右側の利活用拠点、これは東京大学と企業連合ということで、特に東大においては、昨年、量子イノベーションイニシアティブ協議会というものを立ち上げまして、IBMのゲート型コンピュータの実機を活用した、ユーザ企業などを巻き込んだ取組を進めているというところであります。
それから14ページ目には、各大学の取組として、阪大の量子ソフトウエア拠点、それから右側の東工大においては量子センサ拠点ということで、ダイヤモンドNVセンター、それから量子慣性センサに関する取組をそれぞれ進めているという状況であります。
15ページ目には、これら拠点の横断的な取組を今後強化していきたいということで、真ん中にありますけれども、量子技術イノベーション拠点推進会議というものを、理研を中心として立ち上げておりまして、右側にありますような、各分科会ごとに幹事となる研究機関を指定して、取組を進めていくということになっております。
「活動体制」の下にありますように、各課題において、拠点のみならず、その外の機関であるとか、各大学、それから学会などとも連携しながら、国内の連携体制を構築していきたいと考えております。
続いて16ページ目には、拠点推進会議の1回目のメンバーが書いていますけども、今年4月に記載のメンバーで1回目の会議を開いております。基本的には理研の小安理事を中心としまして、8つの拠点から拠点長クラスが出席をして、分科会の設置、それから国際シンポジウムの開催方針等について議論をしているところであります。
17ページには、その各分科会の概要が書いておりまして、今後、横串的な課題を取上げながら、個々の拠点としての研究開発の取組に加えて、拠点間の連携についても強化していくということを今、検討しております。
続いて18ページ目以降は国際連携に関する取組ということで、特に最近、動きが大きいところですけれども、19ページ目には各、アメリカ、欧州、それから中国の動向が書いておりまして、これらの国々に対抗すると。世界を我が国がリードするために、研究開発投資をさらに強化していく必要があるということ、それから8つの拠点が国内で整備されておりますので、それぞれの各拠点での研究開発の取組と国際的な連携、これをセットで進めていきたいと考えております。
20ページ目には、「国際戦略の取組状況」ということで、これは1年半前ですか、2019年の末に開催した日米欧の国際シンポジウム、それから日米の間では、「東京声明」というものを結んで連携強化を図ることにしております。日EUの枠組みでもバイ会合、バイ会談を開いておりまして、記載の分野での協力を今後強化していくということが合意をされています。
21ページ目は、特に日米の関係では、この「東京声明」に基づきまして、今後、後ほど御説明しますが、文科省とDOEとの間でのProject Arrangementを今月署名しておりますし、また、年末には日米欧の中で国際ワークショップを開催して、具体化を図っていきたいということであります。
22ページ目には、日米首脳会談と日EUの首脳協議の結果が示されておりまして、まず、日米首脳会談、この4月にワシントンで開かれておりますけれども、量子科学についての研究、それから技術開発における協力を深化すると。特に、「日米競争力・コアパートナーシップ」の中で、共同研究や研究者の交流を通じた、研究機関間の連携、パートナーシップを強化するということが合意をされております。また同時に、日EUの枠組みでは、5月になりますけれども、同じように量子技術に関する研究機関の協力を強化するということで、首脳間でも、米欧との量子分野での協力というのが合意をされているという状況であります。
それから23ページ目には、先ほど御紹介した、DOEと文部科学省との間で、この日米首脳会談を踏まえて、量子情報科学に関するProject Arrangementというものを締結しております。特に首脳会談の声明にもあったとおり、研究機関間の協力を強化するということで、対象する分野は結構幅広く、通信、コンピューティング、デバイス、センサ、材料などの分野で、人的交流であるとか、共同研究を強化していくというものでありまして、6月17日の日米の実務者会合で、局長級で署名をしております。
これに基づきまして、「今後の予定」とありますが、我が国の8つの拠点と、米国の量子研究拠点の間での研究機関間での協力をこれから具体化していきたいと考えておりますし、先ほど御紹介した、本年12月上旬に開かれる国際シンポジウムにおいても、具体的な内容の検討を進めていきたいと考えております。
最後に、24ページ目以降が人材育成に関する取組状況でありますが、25ページ目に書いておりますのが、特に量子分野の若手研究者であるとか技術者の育成、それから「量子ネイティブ」の育成を進めていくということで、これも戦略に基づいた取組として、関係府省の中で、それぞれ記載の事業が今現在走っているというものです。特に文科省においては、左下のQ-LEAPのところで、昨年度から新しく人材育成プログラムを立ち上げまして、それぞれフラッグシッププログラムと基盤的な研究を進めているものであります。
それから、先ほど御紹介した大学フェローシップ事業というものも新規で始まっているという状況であります。
26ページ目以降は、Q-LEAPで新しく始めている人材育成の取組の概要でありますけれども、例えば26ページ目にあるとおり、標準カリキュラムの開発ということで、NIEの根本先生、本委員会の委員でもありますけれども、代表となりまして、関連する大学とも連携した取組を今進めてもらっています。
それから27ページ目には、量子アニーリングの人材育成プログラムということで、東北大学の大関先生、それから28ページ目には、量子技術のオンラインコースであるとかサマースクールの実施ということで、京都大学の野口先生が採択をされております。
29ページ目は、今年度の新規採択としまして、量子計測・センシング分野での人材育成プログラムということで、電気通信大学の岸本先生が代表となって新しく取組を進めていくということになっております。
それから最後に、30ページ目には大学フェローシップ創設事業ということで、これは新規事業でありますけれども、博士課程後期学生の処遇改善ということで、「分野指定型」というものを真ん中に書いておりますけれども、量子はその重点分野の1つとして指定をされております。31ページ目には、実際に採択された研究機関が示されておりますけれども、計、国内10機関で150名程度が支援対象となっているということであります。
以上、雑駁ではありますが、私からの説明は以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に関しまして、何か質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いします。
【早瀬委員】 早瀬ですけど、発言よろしいでしょうか。
【上田主査】 どうぞ。
【早瀬委員】 人材育成は非常に重要で、最後に紹介していただいた博士課程の学生に対する処遇をアップするというのは非常に重要だと思うんですけれども、すみません、この創設の経緯とか、詳しいことは分からないので、ちょっと当てが外れた質問かもしれないんですけれども、支援対象が、一応国公私立大学となっているんですけど、実際、採択機関がほとんど国立と公立大学に限られているというのは、それは何か理由があるんでしょうか。
【河原室長】 実際、申請自体は国立に限らず来ている部分あると思います。採択された結果はこういう結果だったということでありますけれども、特に各分野によって採択される機関というのも変わってくると思うので、量子に関しては、初年度はこの機関で採択がされているという状況であります。AIとか、分かりませんけど、マテリアルとか、他分野ではまた違った結果になっているかもしれません。
【早瀬委員】 なるほど。もちろん重点的に支援する対象を決めるということかもしれないですけれども、私立大学もかなり学生の人数いますし、実際、我々の大学ですとか、かなり量子の研究、あるいは教育に力を入れている大学、私大もたくさんあるので、その辺り、ちょっと配慮していただけるとありがたいなということです。ありがとうございます。
【戸辺係長】 量研室、戸辺です。すみません、1点ちょっと制度のことなんですけど、ここの本制度という一番下の部分を御覧いただくと、補助率という形で、3分の2は国の支援で、それ以外の部分については自分の大学で持ち出すことになっていますので、そういった関係で、盛んなところから必ずしも応募があったかどうかというのはちょっと分からないという、そういう状況になっています。
【早瀬委員】 なるほど。じゃあ、やはり税金使う関係で国立大学に比重があるということですか。
【戸辺係長】 いやいや、そういうのではなくて。
【早瀬委員】 違います? そういうことではなく?
【戸辺係長】 応募の時点で、多少そういう意味で言うと国立のほうが多かったということはあるかもしれないです。別にスクリーニングをそこでかけているというわけではないので、そこの事情が、必ずしも研究の進捗の状況だけで応募が来るということではないということを御理解いただければと。
【早瀬委員】 はい。別にクレームをつけているわけではなくて、最終的な目標が量子ネイティブのそういった学生、将来活躍する人材を多く輩出することが目的であるとすると、その点で有効活用していただければありがたいと思います。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
ほかに質問等ございませんでしょうか。
【大森主査代理】 大森でございます。1つよろしいでしょうか。
【上田主査】 どうぞよろしくお願いします。
【大森主査代理】 全般、一般論としてですけども、今後、量子技術を推進していくために一番重要なことの1つは、これまでも何回もお話出てきましたけど、企業の参入だと思うんですけども、この辺り、やっぱり米国と決定的な開きがありまして、それを埋めるためにいろいろな取組というのをこれまでやられてきたと思うんですね。先ほど、室長の御説明の中にもあった利活用拠点なんかもその1つだと思うんですけども、実際問題として、やっぱり米国並みに企業の参入が活発になっているような状況というのはなかなか具体的に見えてきてないんですけども、1つは、やっぱり企業が量子技術を使って本当に解決したいと望んでいる実問題の具体的な掘り起こしみたいな作業というのが必要になってくるような気がします。
それとともに、本当に必要な実問題、解決したい実問題に対して、例えば研究開発者側は、どの程度の性能を達成しないといけないかとか、そういった具体的な、定量的な議論みたいなものを、フランクに意見交換するような場というのが非常に大切になっていくと思うんですけども、その辺りについては、どのようにお考えかというのを室長から御教示していただきたいと思います。
【河原室長】 大森先生、ありがとうございます。産業界の取組との連携というのは我々も非常に重要だと考えておりまして、特に最近、量子の新産業創出協議会というものが立ち上がる予定になっております。5月の末に発足式を開きまして、今年の夏ぐらいに正式に立ち上げる予定になっておりますけれども、特に量子の関連のベンダー企業ですね。東芝であるとか、日立、NEC、富士通、NTTと、そういったところが中核になって、ユーザ企業を巻き込んだ形で今コンソーシアムを構築しようという動きがありますので、そこと、例えば量子の拠点であるとか、研究者サイド、アカデミアとのつなぎというのを今後、考えていきたいと考えております。
【大森主査代理】 ありがとうございます。
【山田委員】 よろしいですか。山田ですけれども。
【上田主査】 どうぞよろしくお願いします。
【山田委員】 企業から入っていますので、少しコメントさせていただきます。量子技術に対しては、我々も含めて非常に期待が高いのですけれども、一方で、イノベーションに直結するかどうかが、見えているようで見えてないというところがあり、投資に迷いが生じるというのがあります。ですので、大森先生に言っていただいたように、このような利活用拠点で、喧々諤々と組織を超えて議論していただくのも効果的でしょうし、先ほど出ました国際連携も含めて、とにかく成功事例をつくるということも非常に大事です。
また、量子技術のスプレマシー、優位性を評価するシステムや機関が必要だと思います。通信にしても、コンピューティングにしても、センシングにしても、現在は、研究当事者が自分の技術の優位性をアピールしている状況なので、例えば、公的な機関で性能の客観評価がされると、量子技術の優位性が受け入れられやすくなると感じます。勘違いかもしれませんし、個人的な意見でございます。以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
そのほか御意見とかございませんでしょうか。
【美濃島委員】 よろしいでしょうか。
【上田主査】 どうぞよろしくお願いします。
【美濃島委員】 電気通信大学の美濃島です。拠点に関してなんですけれども、拠点間の連携を強化するというのは、もちろん非常に重要な取組だと思うんですが、やはり量子科学技術に関しては、裾野を広げていくということも重要で、大学、研究所、企業も含めて、分野も非常に重要かと思うんですけれども、拠点に現在名前が入っていない、そういった人たちとか組織とか、分野等を取り入れていく何か仕組みというか、そういったものについての取組について教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【河原室長】 ありがとうございます。拠点の周辺の機関をどう取り込んでいくかというのは、まさに今後の検討事項で重要な論点だと思っています。次の、今期の委員会で議論すべき論点にも実は挙げているところでありますけれども、まず拠点を整理していますので、そこを中核としながら、周辺の研究機関をどう巻き込んでいくかという観点と、そもそも地方大学とか私立大学の独自の取組にどういった支援をしていくか、その両面を、ぜひ今期の委員会でも具体策を議論していきたいと考えております。
【美濃島委員】 ありがとうございます。連携が重要というのは皆さんお分かりだと思うんですが、ぜひ何か仕組みとして、どうやって広げていくかとか、新しい力を取り込んでいく、そういった仕組みとして何か整備ができればいいのかなと思います。よろしくお願いします。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
【向山委員】 大阪大学の向山ですけど、よろしいでしょうか。
【上田主査】 どうぞよろしくお願いします。
【向山委員】 国際連携のことについて少し御質問させていただきたいんですけれども、資料の何箇所かで枠組みの構築ということがされている、するということが明記されているんですけれども、具体的な方法というんですかね、私の感覚ですと、やっぱり世界が無視できない人たちになると、国際連携は非常にやりやすくなると思うんですけれども、そういう視点で資料を読みながら感じたのは、この具体的な枠組み、やり方というのは、どんなものになるのかなというのをすごく興味を持ったんですけれども、何か現時点でイメージされているものはあるんですか。
【河原室長】 どういったものをその枠組みと捉えるかにもよりますけれども、1つには、政府レベルで協力の合意をするというのは大きな枠組みの1つでありまして、先ほど御紹介したような、首脳間での合意事項、それから役所間での取決めとして、DOEと文科省での覚書の署名であるとか、そういったものを基にしながら、具体的な研究機関同士で、どういった協力を具体化していくかということになるとは思っています。ですので……。
【向山委員】 人材が交流しやすい形にはなると思うんですね。あとは本当に日本に来たくなるとか、日本の人材が外に行って、経験を積みたくなるという、ドライブするような環境、状況をどうつくるかというのはすごく重要なのかなと思いました。具体的なアイデアがあるわけではないんですけれども。
【河原室長】 先ほど御紹介した首脳間の合意事項とか、こういったProject Arrangementの合意に基づいて、具体的に今後、人的な交流であるとか、共同研究を促進していくというフェーズに入っていきますので、そういったところで、国として予算的な支援とか、コストドライバーできるような枠組みというものも併せて今後検討していきたいと思っています。
【向山委員】 分かりました。ありがとうございます。あと、すみません、このままもう1個、質問させていただいてもよろしいですか。
【上田主査】 どうぞ。
【向山委員】 先ほどの大森先生の企業を巻き込む方法のところとも関係するんですけれども、他国で、例えば特許、どういうキーワードでどういう企業が特許を出しているかみたいなことを調べているような組織というのは日本の中であるんでしょうか。そういうところから情報をいただけるような、そういう仕組みというのはあるんでしょうか。日本側で今度、いろいろな企業を巻き込むときに、ヒントにならないかなと思ったんですけれども、その辺りいかがでしょう。
【河原室長】 ちょっとその点については、事務局にあまり知見がないので、ぜひ委員の先生方からコメントいただければと思います。
【向山委員】 例えば先ほど拠点を構築している8つの拠点、領域というのでしたか、ありましたけど、この拠点の中には、例えばそういう部門、部署みたいなものはつくられているのでしょうか。あまりそういう視点ではつくられていないのですか。
【上田主査】 じゃあ、私のほうから少しお答えします。それは大変重要な視点で、知財をどう捉えていくかということとも広い意味で関係がございまして、まさにたくさんの拠点ができました。それぞれのところで重要な知財が生まれつつあります。それを国全体としてどう取りまとめていくかということについては、例えばJSTとかを中心に、今、検討が進んでいるところです。ただ、正式な組織はまだ完成しておりません。それが私の理解です。もし何か修正がありましたらよろしくお願いします。
【向山委員】 分かりました。ありがとうございました。
【河原室長】 先ほど御紹介した拠点連携の文脈の中で、例えば17ページに分科会の概要が書いてあります、知財標準化については、各拠点の知見を共有して、先ほど、何というんですか、オープンクローズド戦略をどうしていくかというような議論ができる場は整理しておりますので、各拠点ごとにばらつきはあると思うので、そういったところで、どういった知財に対する取組をする必要があるかといったところは検討を進めていきたいとは考えております。
【向山委員】 分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。どうも活発な御議論ありがとうございます。それでは……。
【川上委員】 すみません、理化学研究所の川上です。
【上田主査】 どうぞ、よろしくお願いします。
【川上委員】 すみません、いいですか。量子コンピュータ利活用の企業連合のところですけれども、これは量子コンピュータをどういうふうに使うかについて話しているということですか。すみません、これは量子コンピュータをどういうふうに企業で使っていくかについて話しているということですか。そういう話をしているという理解で大丈夫ですか。
【河原室長】 そうですね。
【川上委員】 そうなんですね。何か、すごく違和感を感じたのは、海外だと企業との関連がすごい、何というんですか、企業の交流がすごく活発でみたいな話をされていて、その流れでこの話も出てきたのかと思って、そういうこともあって、こういう動きもあるのかなと思うんですけど、海外の企業の関わり方はこういう関わり方ではないような気がして、間違っているかもしれないんですけど、何というんですか、ここまで、どうしたらお金になるのか、見えないから入りづらいという話もあったと思うんですけど、多分GoogleとかIBMとか、そういう目線で見てやっているわけではなくて、あくまでも、ほんとに身になるか分からないけど、基礎研究で何か面白そうだからやる、体力もあるしということでやっているのであって、海外でやっている企業と大学とかの連携と同じような感じではないのかなと思ったのですけど、海外でもこういうふうに、企業はどう使うかを考えてという感じの取組もやられているんですかね。日本独自のやり方なのかなと思ったんですけど、これは。
【河原室長】 私が承知している限りだと、IBMの実機については、今、ドイツと日本に導入が決まっていて、ドイツでも同様に、ユーザ企業を巻き込んだコンソーシアムというのを立ち上げて、まずはお試しで量子コンピュータを使ってみると。試行錯誤すると。そういった取組がドイツでも行っていますし、日本でもこれから始まるという段階だと理解しています。
【川上委員】 これは、IBMのを使うというのがほかの国で起こっているのはいいと思うんですけど、何か、このIBMのビットを使うのを、企業が使い方を考えることを、何か企業と大学の交流の、もちろんあっていいと思うんですけど、やったほうがいいと思うんですけど、何か主なものというふうな話をすると誤解を生むんじゃないのかなと思って。世界では、何というか、そういう関わり方ではないということ、主流ではないんじゃないかなと思ったのでコメントさせていただきました。すみません。
【河原室長】 主流ではないというのは、どういったものが逆にあれですか、海外では取り組まれている。
【川上委員】 Googleとかだと、何というんですか、出してくる予算規模も違うし、何というんですか、関わってくるやり方も違うし、ここ、金融系とかだけ見ると、ほんとにエンドユーザの部分だけやるという感じだと思うんですけど、例えばインテルとかとやっているのを見ていると、ほんとにインテルの技術も取り入れてみたいな、そういう技術のやり取りとかがあってというのとは大分違うので、同じ文脈で語らないほうがいいのかなと思いました。
【河原室長】 今回、東大に導入されるIBMについては、クラウドで使う実機のほかに、テストベッドとして東大のキャンパスにも別途導入されると聞いていて、そのテストベッドのほうでは、特に周辺機器の開発とか、人材育成にも活用されると聞いていますけど、研究開発要素も同時に備えるという理解ではありますが、上田主査のほうで何か……。
【川上委員】 そうなんですね、IBMのものを使って新たな技術も開発するということで、それはIBMからも技術が提供されて、こちらからも技術を提供してという感じで進めていくということですか。
【河原室長】 はい。そのように理解しています。
【川上委員】 それに、ここに書いてあるユーザ企業の方も関わってくるということですか。
【河原室長】 はい、そう理解しています。
【川上委員】 そうなんですか。なるほど。じゃあ、この中で見ると、横河電機さんとか、トヨタさんとかが持っている技術を提供していく可能性もあるということですか。
【河原室長】 それは今後の取組になりますけど、そういったところも対象には入ってくると思います。
【川上委員】 そうなんですね。じゃあ使うだけではないということですね。
【上田主査】 私の理解では、これはデュアルトラックで、まずIBMが、ドイツに次いで、2番目に海外に設置するIBM Oneというのは、これは、川崎に設置してて、単なるユーザとして使用されます。
【川上委員】 はい。
【上田主査】 もう一つは実機ですね、恐らく2世代ぐらい前の実機を東大に、実際に搬入して、それは中身をいじりながら共同で、IBMが強いところもあるし、日本の企業が強いところもありまして、そこは双方が関心を持って共同研究を取り組むというふうに私は理解しております。
【川上委員】 分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】 はい。どうもありがとうございます。
非常に活発な議論、どうもありがとうございます。それでは引き続きまして議題(5)、「量子科学技術委員会における今後の検討事項について」入りたいと思います。事務局より御説明、よろしくお願いします。
【河原室長】 ありがとうございます。では資料の5を御覧ください。資料5では、今期の量子科学技術委員会における活動内容について記載しております。(1)にありますとおり、先ほど御紹介した量子科学技術分野においては、昨年1月に戦略を策定しておりまして、それに基づいた拠点の整備、ファンディングの強化等が進められているという状況であります。この状況を踏まえて、今期の委員会において、下に記載しているような点について検討を進めることとしてはどうかということで案を記載しております。
まず1点目に書いておりますのが、イノベーション戦略を踏まえまして、文科省として今後重点的に取り組むべき事項として、拠点の推進方策、それから研究者育成や人材育成の方策、それから国際連携の具体的な進め方、こういったところをさらに議論をしていきたいと。
それから2点目に書いておりますのが、次世代計算基盤を見据えた量子コンピュータの将来像と書いておりますけれども、この点は2つの側面がありまして、今、文科省の中で、富岳、ポスト富岳に向けた検討が進められております。実際にできるのはさらに10年後ということですけども、実際にスパコンを活用した、量子のハードであるとかソフトウエアの開発をどう進めていくかという観点と、スパコンのアプリケーションとして、量子が得意な分野で、ハイブリッドでどこまで活用が可能になるかといった点、それからIBMであるとかGoogleとか、世界の量子コンピュータの開発の動向を見据えながら、我が国の取組として、量子コン自体の将来像も描いていく必要があるのではないかという点について議論を進めていきたいと考えております。
それから3点目に書いておりますのは、先ほども議論になりましたけれども、地方大学であるとか私立大学の特色を生かしたような多様な取組をどのように推進していくか、それから、量子人材の裾野を拡大していくかといった点も重要だと考えております。特に8つの量子拠点と周辺の大学や研究機関との連携の観点と、それから多様性や裾野の拡大を図るという意味で、地方大学等への支援をどのような形で進めていくかという点を挙げておりまして、特に地方大学支援に関しては、年度内に政府の支援パッケージを別途取りまとめるという動きもありますので、そういった中で、量子をどのように位置づけていくかといったところも併せて検討していければと考えております。
特に下の2点ですね、次世代計算基盤と地方大学支援の2つについては、この委員会の中で別途有識者にも来ていただいて、ヒアリングをしながら検討を進めていければ考えております。
その下にある量子ビーム小委員会については、先ほど御紹介した論点について、別途小委員会での議論を予定しております。今回特に量子委員会で議論すべき論点については、各委員からも、ぜひコメントをいただきながら、今後の活動につなげていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【上田主査】 ありがとうございます。本件は今後の検討事項に関わることですので、全ての委員からそれぞれ1分程度で御意見を賜りたいと思います。それでは、よろしくお願いします。もしよろしければ、名簿の順番にそれぞれ御指名させていただきます。まず、岩井委員のほうからよろしくお願いします。
【岩井委員】 岩井です。ちょっと今、この話を聞いて思ったんですが、地方大学、私立大学等の特色を生かした多様な取組を推進とかということがあったんですが、これは、先ほどの拠点の話とかとは独立の話なんですか。
【河原室長】 基本的には独立したものです。
【岩井委員】 そうですか。地方大学や私立大学の支援というのはとても大事なことだと思うんですけども、もうちょっと差し迫った問題として、さっきの拠点……。そもそももう一つ質問したいんですけども、時間スケールとしては、あの拠点というのは、どれぐらいの時間続いて、どれくらいの時間で目標達成しようとしているものなんですか。
【河原室長】 それぞれの拠点によってタイムスケール変わりますけれども、政府の支援という意味では、おおよそ10年単位で予算が出ていたり、あるいは運営費交付金で進めている部分もございます。
【岩井委員】 かなり長い期間でやるものですよね。そうすると必然的に、もちろん各拠点の組織の中で、いろいろな更新みたいなことはされていくと思うんですけども、それと同時に、先ほど美濃島先生がおっしゃっていましたけど、どんどん新しい研究のネタみたいなのが取り込まれるシステムがないと、うまくいかないような気がするんですね。10年とかの計画なので。うまくそこに地方大学、私立大学の何かの、拠点の外にある、いろいろな研究グループのアイデアとかが取り込めるシステムみたいなものをつくるというのはとても大事なものだと思います。
実はこの話は、今回初めて出てきた話じゃなくて、何回か前、複数回前の委員会でも同じような議論がなされたような記憶があります。要するに、それが全く今回も取り込まれてないなと思って先ほどの議論を聞いてたんですが、その辺りはどうなんですか。そういうシステムというのは、あるいは原理的にそういうことは、今の拠点というシステムでは難しいとか、そういうことがあるのでしょうか。
【河原室長】 原理的にとおっしゃったのは、仕組み上できるかという意味ですか。
【岩井委員】 はい。今、拠点として、この大学やこの研究機関がこういうことをやりますという、拠点という形になっていて、皆さん一生懸命やっているわけですね。そういうことを続けながら、なおかつ、新しいアイデアをやっているグループがあったら、そういうところがその拠点に参加するとか、そういうことを、何というか、毎年毎年そういうことを考えるシステムというのをつくっていくことはできるんですか。
【河原室長】 例えば拠点を構成しているのは、大半が研究開発法人ですので、他大学の研究者にも参画いただいて、新しい要素を加えていくというのは十分あり得ると考えています。ですので、今の拠点の中でも、新しい要素というのは取り入れられることができますし、各地方大学とか私立大学自身の取組に対する支援というのも、そこは2つ、分けて考えたいと考えています。
【岩井委員】 そうですか。じゃあ、あくまでさっきの拠点の話は、各拠点でそういうことを考えていくという、そういう話なんですね。
【河原室長】 はい。拠点の中でも考えますし、それとは並行して、各地方大学、私立大学に対する直接的な支援というものも並行して考えていく必要があるのではないかということです。
【岩井委員】 そうですか。分かりました。ありがとうございます。
【上田主査】 ありがとうございます。
それでは引き続きまして、大森委員からよろしくお願いします。
【大森主査代理】 1つは先ほど話しました企業との取組等ですが、これは重複になりますので、もう申し上げませんけれども、もう一つやっぱり国際連携が今後大事になっていくと思いますので、その中でも、例えば本委員会であんまり議論してこなかった、協調領域と競争領域をどう切り分けるかとか、量子技術本体だけじゃなくて、例えばエネーブリング技術とかインフラ、ユースケース、マーケット等、あるいは公的な機関とプライベートセクターがどのように協調するか。あとオープンイノベーションとIPプロテクションをどう両立させるか。あるいはこれは、これまでの議論にも出てきましたけど、若手の育成とかですね。あと量子技術が普及してくるにつれて、そのテクノロジーに付随する倫理の問題とかも重要になってくると思いますので、そういった議論、欧米ではもう既にかなり議論されている面なので、日本でもこういった新しい視点でいろいろ議論していくことが大事かなと思っております。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
それでは引き続きまして、川上委員からお願いします。
【川上委員】 国際連携に関してなんですけれども、コロナ禍ということで、実際に行き来して会ったりするのがすごい難しいということで、それはZoomとかでもどうにかできるんですけども、何か、海外からの研究者が日本に入ってきて、普通にポスドクとかで働いたりすることに関しても、今は全然入国できなくて、新しいプロジェクトは来れないというのがあって、逆はできるんですけど、日本から海外に行くことはできるんですけど、逆が全然、ビザが下りなくて入ってこれないということがあるんで、これをどうにかしてもらえないかなと思います。すみません、以上です。何とかならないんですかね。
【上田主査】 量研室さんのほうで何か情報をお持ちでしょうか。
【川上委員】 すごい何か、オリンピック選手は、長期じゃないですけど、オリンピック選手は日本に入国できるのに、ポスドクの人は来れないんだなというの、すごい思います。別にこれ、量子とか関係なくて、別にアカデミックだけじゃなくて、みんなそう思ってることは多いと思うんですけど。何か、日本からは行けて、海外からは来れないんで、どうしても人材はどんどん、いい人材は流出していきますよね。ということが今、実際にすごい起こっていると思うので、これは分かっておいてほしいです。
【戸辺係長】 量研室でございます。すみません、今の御質問は、基本的に入国に関する制限とか、そういったお話だと思います。今おっしゃったように量子の関係だけではないと思うんですが、ちょっとそれは、そういった問題というのは恐らく大学のアカデミアのほうでも声があるということは、別途、別なところからも、高等教育局等からもお聞きしておりますので、それは政府全体の話になりますので、ですからここの委員会だということではないかもしれませんが……。
【川上委員】 そうですね、すみません。
【戸辺係長】 一応、そういった問題があるということは承知しております。また、そういった形で今、例えばリモートで、来なくても研究ができるように何とかやっているというふうなところも……。
【川上委員】 そうですね、理論の人はそれでいいと思うんですけど。
【戸辺係長】 雇用についても何かそういった遠隔での雇用という形でもできる、何とかやり繰りしているという現状は……。
【川上委員】 そうですね、それでできるところはいいと思うんですけど、実験だとどうしても難しいと思うんで。
【戸辺係長】 おっしゃるとおりです。だからそういった部分も含めて、今後どういうことがあるかというのは高等教育局のほうともちょっと別途、相談できるところは相談するというのは、そこからスタートかなというふうに思っております。ありがとうございます。
【川上委員】 はい。よろしくお願いします。
【岩井委員】 ちょっとだけ今の話いいですか。
【川上委員】 はい。
【岩井委員】 外から入ってこれないって話なんですが、教育目的の人はビザが下りるというふうに大学では言われていますけど。
【川上委員】 そうなんですか。なるほど。
【岩井委員】 うちもJSPSの外国人特別研究員が来れなくて困っているんですけども……。
【川上委員】 ああ、そうなんですか。
【岩井委員】 研究目的だと来れなくて……。いや、文科省にお伺いしたいんですけれども、それはどういうことなんですか。教育目的は入ってこれて、研究目的は入ってこれないというのは、ちょっとこれ、どうにかならないんですか、本当に。つまり原理的には……。
【川上委員】 ビザの種類が違うからということですか。教授か研究かで入りやすさが違うんですかね。
【岩井委員】 というふうに言われています。
【川上委員】 そうなんですか。
【戸辺係長】 それはあれですか、教育目的とは学生という意味で言っています? それとも……。
【岩井委員】 学生も入れるし、教員も、例えば教授が、その人が来ないと授業ができないとかという理由だと、大学は大使館に対してそういう要請を出せて、大使館は、それは受けると言っているんです。だけど研究目的だと、大使館のほうは、在外の大使館はそれを受けられないと言っているんです。そのやり取りは、僕、実際に自分でしましたから。
【戸辺係長】 ちょっとすみません。把握している情報を持ち合わせていないので、確認させていただきたいと思います。
【岩井委員】 お願いします。とても皆さん困っていると思うので、よろしくお願いします。
【上田主査】 特に10月から、大学院生の留学生が入国できないと、せっかくいい学生が日本を選んでいただいたのに、彼らはほかの場所を選択するというのは大いにあり得ることなので、確かに非常に重要な問題ですね。ありがとうございます。
それでは引き続きまして、小杉委員のほうからよろしくお願いします。
【小杉委員】 私は下の量子ビームの観点からですが、量子ビームから上の量子技術のほうを見たときにどう感じるかというのをちょっとコメントさせていただきます。量子ビームのほうは、拠点というか施設を置けば、そこで広くオープンに共同利用なり共用を始めて、海外との競争の中でいろいろな新しい技術を導入して次に向かうというのを普通のようにやっています。それに対して、量子技術のほうは、拠点は、今、バーチャルではなくて実際置いているわけですけれど、そういうところがどれくらいオープンにやっていくかは結構重要という気がするし、それが果たして、その10年で終わるものではないような気もしますので、例えば大学共同利用機関に拠点を置けば、それは自然と大学共同利用機関のミッションとしてオープンにやっていくというのは当然のことで、そこで地方大学であろうと、旧帝大であろうと、区別なくいい研究を取り上げるというのは普通にやっていることだと思います。しかし、法人化以降、法人単位で考えるところが割と中心になっていて、そういう影響もあって3番目には地方大学をどうするかとかの項目は立っていますが、そういうのとは違う形で育てていかないといけないのではないかと思います。多分拠点というのが本当に
ワークしていくには、単にどこかの大学を中心に予算つけて、ほかとの連携をやってというようなつくり方では先々どこかで止まってしまうんじゃないかなという危惧を感じました。その辺り、今後議論していただければというのが、量子ビーム施設を普通のように共同利用したりオープンにやっている観点から感じた点です。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
それでは引き続きましては、波多野委員のほうからよろしくお願いします。
【波多野委員】 波多野でございます。拠点について厳しい御意見をいただいたところですが、実際私も量子センサの研究に従事しておりまして、先ほどもご意見がございましたが、量子に関わる人材不足を実感しています。海外に比べて圧倒的に少ないです。特に欧米では、研究分野や研究者の流動性がございますので、分野を超えて量子に人が集まってきています。そもそも量子科学技術は分野を超えて融合しなければ社会的な課題にチャレンジできないと考えています。私は電子工学が専門ですが、量子技術を社会実装につなげるためには、エンジニアの力が必須と考えますが、量子人材はまだ増えておらず、情報収集して様子を見ているといったフェーズです。一方最近、国として半導体技術を再起動しようという状況ですので、人材の取り合いになることが予想されます。少しづつ量子にエンジニアが向いてきた状況でしたが、分散してしまいそうです。より一層の博士人材の育成の強化、海外との人材の交流、シニア人財の活用、などを加速しなければならないと思います。
もう一つは、今度は私から量子ビームに対して申し上げるとしますと、海外はプラットフォーム、研究をうまくビジネスにつなげていると感じています。量子コンピュータのIBMQや、ベルギーのimecなど、上手と思います。日本の量子技術に参画していらっしゃる企業も、研究をどうビジネスにするかも含めて、日本全体の研究の活性化が必要と、現場の一人として感じています。私も努力したいと思っています。以上です。
【上田主査】 ありがとうございます。
【上田主査】 ありがとうございます。
では引き続きまして、早瀬委員からよろしくお願いします。
【早瀬委員】 早瀬です。様々な方からコメントあったので、私からは違う視点で2つほどコメントしたいと思いまして、やはり人材育成というのは非常に重要なんですけど、諸外国に比べて、欧米や中国に比べて、特に博士課程の学生が減っているというのは日本ぐらいなんですね。それをどうにかしないとやはり将来、量子だけではなくて、科学技術を背負っていく人材というのは育たないと思います。
先ほど博士課程の在学中の学生への支援が始まったというのは非常にうれしいニュースなんですけれども、やはり在学中だけではなくて、将来どういった職に就けるかとか、そういったところがやはり学生視点で言うと重要で、そういう中で言うと、学生から見ると、やはり博士課程出た後の未来というのはなかなか描きづらいというのが日本の現状なのかもしれないと思いまして、アメリカなんかと比べると、アメリカだと、博士課程を出ると待遇もよくて、就職先も様々あってというところがあるので、博士課程を目指す学生というのは増えていると思うんですけれども、やはりその辺り、学生がいい未来を描けるように、研究の上での企業連携だけではなくて、ぜひ企業の方に、博士課程を出た学生を積極的に採用していただけるような仕組みを国から働きかけていただけるとありがたいなと思います。難しいかもしれないですけど、それが1点です。
あともう一つは、やはり企業が参画するというのは非常にこれから重要だと思いまして、そういった企業の参画が始まっているとは思うんですけれども、やはり先ほどの企業連携で言うと、大きい会社が主な先というのですか、量子に取り組むような余裕がある会社ということで言うと、大きい会社が主なのかもしれないんですけれども、今後のことを考えると、そういった大きい会社だけではなくて、何というんですか、ベンチャーのような、量子ベンチャーというんですか、そういったところをうまく調整していくということが重要だと思います。特に量子コンピュータの利活用という意味においては、何というか、あまり大きい、ハードウエアの開発でなければ、大きい資本とか要らないと思うので、そういったベンチャー企業をうまく、ベンチャー企業というんですかね、現在、量子を研究している人がベンチャーを立ち上げるでもいいですけれども、そういったところも視点に入ってくるといいのかなと思います。以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。それでは平野委員、よろしくお願いします。
【平野委員】 皆さんも盛んに言っておられますが、やはり人材育成は非常に重要であると思います。量子科学の人材育成、例えば我々QSTが今進めている量子生命分野においては、理工系と生命科学の学問領域という大きな壁があります。しかも今後は、やはり量子科学技術というのはライフサイエンスに広げていかねばなりません。ライフサイエンスに広げていくとなれば、これはもう無限大に広がっていく可能性があります。
そうしたときに、そういう人材をどうやって育てるか。我々も量子生命学会など創設したものの非常に悩んでいるところですが、それは多分、大学や国研など、様々な量子科学技術の拠点、そういうところが密に連携して進めていかねば、なかなか人材は育たないのではないかと思います。
そういった意味でもっと大きな壁は、自然科学の知と人文・社会系の総合知です。この壁はとても大きく、何も量子科学技術だけに関係するのではなく、全ての科学技術に関係すると思います。例えば私の専門の免疫学やライフサイエンスにおいて例示すると、今やライフサイエンスも究極のところまで来ており、ご存知のように、Genome編集や再生医療など、量子力学的な観点から生命を極めていったときに、神の領域に至ることが考えられます。例えば一番分かりやすい話を申し上げますと、人間は幾ら頑張っても120歳ぐらいまでしか生きることができませんが、これは生物学的寿命であり、ネズミなどは2~3年と決まっていますね。ところがGenome編集や再生医療を駆使すれば、これを突破できる可能性があります。そうすると、人間は120年、200年、あるいは1000年も生きることができるような、そういうことが行われてしまう可能性があります。
何もこれにブレーキをかけるわけではありませんが、そこにやはり人文・社会系の人との総合知というのは、科学技術あるいは自然科学を研究している者にとっては最も重要であると考えます。こういった点についてはやはり、この委員会でどこまで議論できるか分からませんし、今後のスケジュールにもなく、少し気になりましたのでよろしくお願いします。
【上田主査】 どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして、美濃島委員、よろしくお願いします。
【美濃島委員】 まず1点目は拠点のオープン化ということで、いろいろな御意見、既に出ているんですけれども、1点ちょっと付け加えさせていただくと、人材育成、波多野委員もおっしゃられた人材育成と拠点のオープン化は非常に重要な観点があると思うんですね。それは拠点だけで閉じてて、そこで非常にすばらしい人材、若手人材がいっぱい育ったとしても、その人たちが、そこの拠点の中で職を得るということはかなり難しいわけですね。ですので、そこで育った方々は、やはり外の、拠点でないところで職を得るということに、多くの場合なると思うんですね。ですので、やはり拠点だけではなくて、やはり裾野を広げて、いろいろなところ、地方大学、私立大学とか、単に何か、そこだけの特出しとかいうんじゃなくて、裾野を広げて研究、量子の分野全体を、盛り上げておかないと、人材の出口がなくなるということになるので、ひいては、せっかく盛り上げた拠点のアクティビティが、結局下がっていってしまうというふうになるのではないかということです。この視点は、この委員会で前にも何回か出ていると思うんですけども、やはり出口という、その先のことも考えて全体の裾野を上げておく必要があるというところをもう一回申し上げたいのが1点なので、ぜひこの拠点というのと、人材の裾野拡大という観点は連携した形で検討していただきたいというのが一つです。
あともう一つは、日本の非常に大きな問題で、博士課程の学生が少ない。日本の特化した非常に大きな問題で、それに対していろいろな取組、今日も御紹介いただいたのとかあるのはすばらしいと思うんですけど、どうしても短期的というか、限られたところだけというふうになっているのはやはり問題で、もっと定常的に、そういった博士課程の学生に支援するということが必要じゃないかと思うんですね。だから例えば、日本の中では学振の、JSPSのフェローシップという定着した仕組みがあるわけなので、例えばその中にも量子とか、そういう観点とか、できるのであれば博士課程に進学したいと望んだ学生のほとんど、もちろん適してない人というのをネガチェックするというぐらいのイメージで、全ての学生に支援があるというぐらいの大きな支援を国としてしないと、もうこの状況というのは打破できないんじゃないかという非常な危機感を感じているんですね。
だから今までみたいに優秀な学生に支援する、すごく優秀な学生に支援するというところも重要だと思うんですけど、ある程度見込みがある学生は、もうみんな支援するぐらいの裾野の拡大という定常的な仕組みを考えていく時期じゃないかなと思っています。それを、日本全体の問題ということではもちろんそうなんですけれども、それが今重要な分野と言われている量子の分野から声を上げていって、必要性を訴えて、それを取り込んで定着させていくというような立場に量子の技術があるんじゃないかと思っています。
3点目なんですけど、ちょっと人材育成というところでリカレント教育みたいな話が全然出てきてないのかなと思ったんですけども、もちろん若手とか量子ネイティブという育成もあるんですけど、いろいろな形で裾野を拡大という意味でいうと、先ほど中小企業は独自でやっていくのは難しいという観点が出ていたかと思うんですけど、同じように教育、量子を取り入れて、量子の側から人材を育てたいと思ってもやはり厳しいというところはあると思うので、そういったところに今リカレント教育というのが積極的に取り入れられていくべきなのかなと思いますので、そういった観点も入れていただけたらなと思っています。以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは引き続きまして、向山委員からよろしくお願いします。
【向山委員】 直接の今後の議題と関係あるか分かりませんが、ちょっと自由にコメントさせていただこうと思うんですけれども、私はどちらかというとプレーヤーとして、ふだん物事を考えている時間が多くて、そういう視点から、自分の研究も含めてちょっと考えたときに、量子の研究は、どうしても大きなブレークスルーをもたらそうと思ったときに、技術の進展みたいなものが多かれ少なかれあると思うんですけれども、この直近で、本当に技術の進展があまりにも速くて、日々、技術開発をしているような状況になっていて、海外のグループと競争するとかいうときにも、やはり技術がどれぐらい速く発展させられるかというところに非常に苦労したり時間をかけるということが多いと思うんですね。
先ほどの、企業とどう連携するかみたいな議論と関連してくることなんですけれども、プロジェクト、量子技術、拠点等のアウトプットそのものを企業の方に興味を持ってもらうということもあると思うんですけれども、そこで開発している要素技術みたいなものの部分も、企業の方に例えば興味を持っていただけたり、ベンチャーみたいなものと、そういうような仕組みを使ってアウトプットしていくみたいなことが構築できると、若手の人材の出口にもなり得たりすると思うので、そういった方向での議論も、もしあり得るのであれば意味があるのかなと感じております。以上です。ありがとうございます。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは最後に山田委員からよろしくお願いします。
【山田委員】 1つは先ほど量子ビームのパートで、オンライン化も含めたRXが必要だという話があったと思いますが、量子コンピューティングやセンシングも同様だと思います。RXは拠点活用や地方大学の活躍とも少なからず関連しますので、まずは、拠点設計において何か試していただけたら良いと期待します。
それから、2項目目の、計算基盤を見据えた量子コンピュータの将来像にというのは、やはり重要だと思っています。富岳から量子コンピュータにどうつなぐかのようなイメージに留まらず議論いただきたいと思います。、現在検討されている量子コンピュータは、方式によってはクラウド側にしか置けないシステムもありますし、方式によってはエッジ側に置けるものもあります。ですから、色々なオプションが考えられますので、コンピュータシステムの可能性をきちんと考えることは非常に有益なことだと思いますので、この活動は、ぜひ進めていただけたらなと思います。以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは続きまして、議題の(6)です。「令和3年度量子科学技術委員会研究評価計画」につきまして、事務局より説明をお願いします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。ちょっと時間も押しておりますので、主査、すみません議題の6と7を統合して、一括して説明したいと思いますがよろしいでしょうか。
【上田主査】 どうぞよろしくお願いします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。
それでは、資料の6を御覧いただければと思います。こちらは「令和3年度量子科学技術委員会研究評価計画」という題で資料6を用意させていただいています。こちらは親部会の研究計画・評価分科会のほうから作成するように依頼されておりまして、本資料を作っております。基本的に文部科学省の研究開発事業につきましては、事前評価、中間評価、事後評価ないし追跡評価、こういったものが必要になってございます。それについて、今年度の予定という形で示しているところでございます。我々どもの都合ですが、量子研究推進室として一番大きい事業はQ-LEAPとなっておりまして、それとあとはSPring-8、J-PARC、次世代放射光といった、そういった事業になりますが、今年度につきましては、新たに立ち上げる事業というのはございません。ですから事前評価ということでは、今年度は対象なしと。中間評価につきましても、研究開発プロジェクト、中間評価は、ちょうど終了時期の真ん中ぐらいでやるということになっておりまして、Q-LEAPですと、ちょうど来年に当たると考えています。したがって、今年度については中間評価も課題はなしということで、事後評価、追跡評価についても現時点は予定されていないという状況になってございます。
続いて資料の7につきまして御説明させていただきます。こちらが量子科学技術委員会の今後のスケジュールということでございます。今、委員の皆様に主な検討事項について御議論いただいたところでございますが、スケジュールにつきましては資料7の部分でございまして、第2回を9月から11月に開催したいと考えております。第3回を1月から2月といった形で、大体年に3回ないし、必要があればあと1回、4回という形で、この量子科学技術委員会を開催したいと考えてございます。説明は以上でございます。
【上田主査】 どうもありがとうございます。
それでは、これまでの議事に関しまして、全体を通じて何かもしコメント等がありましたらよろしくお願いします。
よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは本日の議事をこれで終了したく思います。委員及び参加者の皆様の御協力に感謝いたします。
それでは事務局から伝達事項等がありましたらよろしくお願いします。
【戸辺係長】 ありがとうございます。本日は長時間にわたる審議、本当にありがとうございました。本日いただいた御意見を基に、次回以降の委員会において、今後必要な取組に関する具体的な検討を進めていきたいと考えております。また、次回の委員会の日程につきましては、時期が近づきましたら委員の皆さんに御案内したいと思っております。今後とも文部科学省の量子科学技術に関する取組に御協力、御理解をよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【上田主査】 以上をもちまして、第24回量子科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――

 

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