令和6年11月1日(金曜日)14時30分~16時30分
オンライン開催
(1)原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて
(2)その他
坂本瑞樹主査、伊神弘恵委員、大山直幸委員、奥本素子委員、木戸修一委員、古賀麻由子委員、近藤正聡委員、坂本隆一委員、鈴木隆博委員、馬場貴志委員、福家賢委員、藤岡慎介委員、横山須美委員、吉橋幸子委員
坂本宜照 量子科学技術研究開発機構核融合炉研究開発部核融合炉システム研究グループリーダー
清浦隆大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、久島鉄平核融合科学専門官、安原亮科学官、梶田信学術調査官
【坂本(瑞)主査】 本日は御多忙のところ、御参加いただきましてありがとうございます。定刻となりましたので、第37回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開会いたします。
今回はオンライン形式にて開催いたします。司会進行については、全体の進行は主査の私、坂本が担当します。
それでは、議事に入る前に、事務局より、定足数及び配付資料の確認をお願いいたします。
【久島専門官】 ありがとうございます。核融合科学専門官の久島でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の委員の御出欠でございます。本日、武田主査代理の御欠席をお伺いしております。また、奥本委員も少し遅れられるということで事前にお伺いしてございます。
しかしながら、委員15名中過半数を超えておりますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
本日は、オンライン形式による開催となってございます。発言いただく際には画面下にございますリアクションから「手を挙げる」ボタンを押していただいて、ミュートを解除の上、御発言いただきますようよろしくお願いいたします。
最後に、本日の配付資料でございます。議事次第に一覧で示させていただいてございますとおり、資料1及び参考資料1から7となってございます。会議中はZoomの画面共有機能を使いまして、事務局より資料を表示させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
本タスクフォースは、核融合科学技術委員会運営規則に基づき、議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御承知おきください。
また、本日は議題1の説明者として、量子科学技術研究開発機構(以下、QST)核融合炉システム研究開発部の坂本宜照核融合炉システム研究グループリーダーに御出席いただいております。
それでは、本日の議事に入ります。議題1、原型炉研究開発ロードマップの見直しについて、に入ります。
これまで、原型炉の早期建設の肝要性、ITER計画の進捗状況や、諸外国で掲げられている野心的な目標を踏まえて、原型炉に向けた方針の見直しが必要ではないかという問題意識の下、原型炉タスクフォースにおいて議論を行ってまいりました。
そして、2030年代の発電実証を目指すとした閣議決定を踏まえ、今後どのような原型炉ロードマップの見直しが考えられるかというところについて、引き続き様々な議論を行う必要がございます。
今後の議論の案の1つとして、本日は、前回、QSTから御説明がありました原型炉の御発表のうち、プランDを前提とした発電実証のさらなる前倒しの可能性について、内容を改定更新したものを御発表いただきたいと思います。
それでは、発電実証のさらなる前倒しの可能性について、QST、核融合炉システム研究開発部の坂本宜照核融合システム研究グループリーダーより御説明をいただきます。
坂本グループリーダー、よろしくお願いいたします。
【坂本(宜)GL】 よろしくお願いいたします。それでは、発電実証のさらなる前倒しの可能性についてということで、QSTの坂本宜照から説明させていただきます。私は、産学が連携するオールジャパン体制の設計チームである原型炉設計合同特別チームのリーダーも務めております。
本日は説明の時間が十分にあるということですので、今、主査からお話のあった部分も含めて、背景的なところからお話しさせていただきます。
昨年4月にフュージョンエネルギー・イノベーション戦略が策定されて以降、政府においても様々な取組がなされておりましたが、今年6月に、2030年代発電実証を目指すとした閣議決定を踏まえて、社会実装につながる、科学的・技術的に意義のある発電実証を可能な限り早期に実現すること、また、数十万キロワットを超える定常かつ安定した電気出力といった、原型炉目標の見直し等の観点に留意しつつ、原型炉に向けた方針を見直してはどうかとの方針が、7月10日の第35回原型炉タスクフォースで示されております。
その方針を受けまして、私たちは技術的な観点から検討を行いまして、前回8月19日に開催されました第36回の原型炉タスクフォースでも、本日と同様のタイトルで説明させていただいております。本日は、その後の検討も含めて、原型炉のプランDの改定更新ということで説明させていただきます。
ここで、プランDとは、前回の原型炉タスクフォースの資料1の13ページに記載があるのですけども、原型炉の第1期目標を発電実証として、後に多段階で改造するプランのことになっております。ちなみにプランAというのは、特別チームを中心にこれまで検討を進めている、ITERよりも大きなプラズマの主半径8.5メートルで、JA DEMOと呼ばれる装置です。プランBについては、ITERサイズの原型炉として、特別チームの1年前の全体会合で議論をキックしたというプランになります。プランCについては、発電実証を主目的とする装置の建設であり、第34回の原型炉タスクフォースで武田主査代理より御説明があったプランと理解しております。ということで、本日は原型炉プランDの改定更新について御説明させていただきます。
では、2ページ目をお願いいたします。まず、発電時期のさらなる前倒しの検討に向けてというところですけども、御存じのように、令和4年に第1回中間チェックアンドレビューでの指摘を受けて、アクションプランに沿った、JT-60SA及びITERから原型炉への統合技術戦略に基づいて、運転開発の目標をITERから技術ギャップの小さい低出力パルス運転による早期発電実証と、商用炉段階に向けた定格出力、連続運転による発電実証の2つに分けることで、発電実証の5年程度の前倒しができるということが、このタスクフォースにおいて検討されておりました。
その後、近年、各国政府の2030年代の早期発電実証に向けた政策に基づいて、例えば中国では、これまでの原型炉タスクフォースでも御説明ありましたけども、「CRAFT」と呼ばれる大規模なR&D施設群が整備されまして、既にトロイダル地場コイルの試作等が始まっていると伺っております。また、英国においては、カラム研究所を中心に、原型炉、商用炉に向けたR&D施設の整備が進められているといったところです。
我が国におきましても、昨年4月に国家戦略が策定されて以降、フュージョンエネルギーによる2030年代の発電実証に向けた機運が高まっているとともに、実際に様々な取組が展開されているということも、これまで原型炉タスクフォースの事務局から御説明がありました。
また、ITER計画における技術開発といったものが、これまでスタートアップの起業ですとかビジネスの基盤にもなっているということも鑑みますと、今回このような、政府主導で原型炉による発電実証のさらなる前倒しを検討するということは、スタートアップを含む産業界の取組をも後押しするということは間違いないと考えております。
このことは、フュージョンエネルギーの社会実装に向けて、我が国の技術的優位性を確保することにつながるものでありますが、逆に申しますと、さらなる前倒しによってR&D施設の整備に取りかからなければ、技術的優位性を失うのではないかと思われます。
では、3ページ目をお願いいたします。ここで、まず原型炉設計合同特別チームを中心にこれまで検討を進めてきました原型炉概念「JA DEMO」について説明させていただきます。
このJA DEMOは、最初、検討を始めるときに、その設計方針としてまず考えたことは、立ち上がったのが2015年だったのですけども、ちょうどITER建設期に当たりまして、そういった時期は原型炉に向けた大規模なR&Dの実施は見込めないだろうということを想定しまして、技術的に見通し得る原型炉の概念というのを構築するために、主要機器であるトロイダル磁場コイルや増殖ブランケット、またダイバータについては、ITERの技術基盤の延長に概念を構築したというところがございます。
また、ITERにない技術につきましては、産業界の発電プラント技術及び運転経験、並びに大学等による未踏技術の解決方策を取り入れた概念としております。
炉心プラズマにつきましては、ITER及びJT-60SAの想定成果に基づいた概念として検討してきております。
このような設計方針の下、核融合科学技術委員会の提示した原型炉の3つの目標、真ん中のオレンジの枠で囲ってございますけども、すなわち、数十万キロワットの安定した電気出力、また、実用に供し得る稼働率、燃料の自己充足性に見通しを得る基本概念というものを構築することができました。
その結果、左下に基本パラメーターと装置本体の鳥瞰図を記載してございますけども、ITERの主半径は6.2メートルですけども、それよりも二回りぐらい大きい8.5メートルの装置になっております。これは、発電するために核融合出力を高めるということで、ITERの3倍に相当する1.5ギガワットの核融合出力を発生することができます。
こういった仕様によって、電気出力というのは、タービンの発電端で約640メガワットの電気を発生することになります。ただ、核融合炉というのは、プラズマを加熱する装置ですとか、あるいは大型の超電導コイルを冷却するための液体ヘリウムとか、そういった冷凍系に大きな電力を必要とするということがございまして、最終的に送電端から送ることができるのは半分をちょっと下回って、250メガワット以上程度の見込みの設計となっております。
この装置を検討するに当たって考えたことは、もともと核融合科学技術委員会の目標では、安定した電気出力ということで定常核融合炉の概念が求められていたのですけども、トカマク装置の定常運転というのは、プラズマのパラメーターを最適化するのに多少時間がかかるだろうということです。そういうことを考えたときに、装置ができてから何年もかかって発電を実証できたというのでは、社会に応えることはできません。そういうことで、パルス運転でもいいから、とにかく装置ができたら発電を実証できるようにしようということで、多少、中心ソレノイドコイルという機器に余裕を持たせまして、同じ装置で2時間程度のパルス運転と定常運転ができるといった、運転柔軟性を備えた装置というものを設計いたしました。
さらに、そのパルス運転を行うときにも、定常運転を行うために必要な、小さいですが右側に表を書いていますけども、下から4番目のβN、これはプラズマの規格化β値というもので、プラズマの圧力の指標になっております。
これが定常運転では3.4と比較的高い数値になっておりますけども、パルス運転では、こういった企画化β値、βNですとか、その上に書いてあるHHというのはプラズマの閉じ込めの指標、閉じ込め改善度というもので、閉じ込め時間に相当するものです。
この2つを、定常運転に必要なものよりもかなり緩めると。そうすると、装置ができてからすぐに運転できるようなプラズマパラメーターのセットでパルス運転ができるような、そういった装置になっております。
パルス運転では、定時運転では1.5ギガワットの核融合出力が発生するのですけども、1ギガワットの核融合出力を発生して、2時間のパルス運転ができるということになります。こういったことで、早期の発電実証もできますし、あるいは、そういったことを使って機器の試験運転もできるというような装置になっております。
このスライドの上側にロードマップというのを示してございますけども、これは2018年に核融合科学技術委員会が策定したものを簡略化して書いたものです。このロードマップでは、今世紀中葉の発電実証――右側はそこまで書いていないのですけども、今世紀中葉の発電実証を目指したロードマップになっております。今回閣議決定された2030年代発電実証を目指すということを考えると、ここに書いてある工学設計・実規模技術開発、約10年取っております。この期間を相当短縮する、あるいは合理化するというような計画の変更が不可欠になるだろうと考えております。
4ページ目をお願いいたします。そういったことを考えて、どのようなことが考えられるかというのを、ここのスライドで述べさせていただきます。
前倒しを行うためには、シンプルに実規模R&Dの期間を短縮することによって、建設に早期に着手するということ、もう1つは、建設期間そのものを短縮するということが必要になるということです。
一方で、ITERの建設経験を踏まえますと、ITERよりも大型化していると先ほど説明させていただきましたJA DEMOの建設工期を短縮して前倒しするということは、なかなか簡単ではないだろうなと考えているところです。
特に、JA DEMOのトロイダル磁場コイルは、既存の大型加工機では加工することができないという産業界の方々の御意見も、特別チームでありました。またさらに、ITERを超える大きさのトロイダル磁場コイルは、輸送するに当たっても難しいということがあって、原型炉の建設サイトに大型の加工機を設置して製作する必要が出てくるということもありました。そういったことも考えると、建設あるいは製作期間を短くするというのは難しかろうということです。
そこで、令和4年に原型炉タスクフォースが示した加速案をさらに前倒しするということを考えると、例えば製作実績があるITERと同じとトロイダル磁場コイルを採用すれば、一度つくった経験もあるので、製作工期というのは短縮できるのではないかと考えられます。
あるいは、もっと小さいコイルであればさらに短縮できそうにも考えられるのですけども、高いエネルギー増倍率を持った、燃焼プラズマで確実に発電実証を行うためには、ITERサイズが必要になるというところです。
したがって、原型炉計画を前倒しするには、ITERサイズの原型炉において運転開発フェーズの目標を設定して、まず早期に発電を実証し、その後、段階的に機器を改良することで、商用化をも見据えた技術開発を行うアプローチ、つまりプランDというものが必要になると考えられます。
また、早期発電実証に必要な最小限のR&Dを先行して実施することで、建設の早期着手というものも可能になると考えます。さらに、もともと運転の途中で定期的に交換する必要のある、ブランケットやダイバータといった炉内機器の高性能化ですとか、あるいは加熱装置の定常化とか効率化、後で改造することができるようなものに関するR&Dは、必ずしも建設開始時に完了している必要はないのではないかと思います。原型炉の建設と並行して開発することで、その分前倒しに有効になると考えております。
このような高性能化や効率化といった技術開発は、原型炉計画以降の社会実装段階に向けて、原型炉計画と並行して当然開発すべき技術でありまして、特に、この部分に民間の力を導入することで、民間によるフュージョンエネルギー機器産業ですとかフュージョンエネルギー発電産業への展開も見込めるのではないかと考えまして、そうすることで、我が国の技術的優位性の確保、サプライチェーンの確保になると考えております。
前回の第36回の原型炉タスクフォースにおいて、ITERサイズのトロイダル磁場コイルや真空容器に増殖ブランケットを導入した場合の発電規模や、多段階で改造する計画案を説明させていただきましたが、本日はこれらの改定更新について説明させていただきます。
5ページ目をお願いいたします。ここで、原型炉計画のさらなる前倒しの考え方というものを整理させていただきました。
まず、ITERサイズの原型炉により発電を2030年代に実証するということにつきましては、先ほど触れましたけれども、ITERと同じ炉心機器を想定することで、設計やR&D、さらには試作等を大幅に簡略化できるということ、また、我が国は、ITERの調達でトロイダル磁場コイル等の重要な機器を製作したという実績とともに、JT-60SAの建設で装置を統合化する技術というのを磨いており、優れた技術力を有しているということがあります。さらに、核融合科学技術委員会が提示しました原型炉の目標を達成するために必要な技術を、およそ10年にわたるであろう原型炉の建設と並行して開発を行う戦略的R&Dの進め方、こういったことによって、原型炉建設に最短で着手することが可能であろうと考えております。
次に、重要な発電実証の目安というものをどうするかについても議論を重ねてまいりましたけども、我々がやるに当たっては、どんな規模でもいいから発電ができたというレベルではなくて、将来的に商用炉を見通せる最低限のレベルというのは何だろうかと考えました。そこを目指すに当たっては、先ほど申しましたけども、核融合炉はプラズマ加熱や超電導コイルの冷却等に数十万キロワットの大電力を必要とするということがあるので、最低限それらに消費する電力を自分自身で賄うことができる、つまり、正味の電気出力としまして0以上になることを目安に考えました。
例えば、発電端でタービンの出力として数十万キロワットの電気出力というものが得られていれば、設備の効率化とかに必要な技術開発というのを別途実施することで、その分がそのまま正味電力を増大させることができると考えられます。
また、多段階の運転開発期の目標を設定するということで、機器を段階的に改良することでプラント規模の発電実証を目指すということは、同じ装置でありながら、段階的に複数の役割を担うということも可能であると言えると思います。そうすることで、いろいろな装置を複数つくるのではなくて、トータルのリソースの合理化にもつながるということではないかと思います。さらに、商用炉に必要な技術開発も、原型炉に並行して開発して、運転開発段階の後半に導入することで、性能を段階的に向上させ、商用化への技術ギャップを最小化することができ、フュージョンエネルギーの社会実装に貢献できると考えています。特に、この部分に民間の力を注ぐということは、我が国が機器製作やサプライチェーンを確保することにつながると考えております。
では、6ページ目をお願いいたします。まず、前回の原型炉タスクフォースで御説明したものとかなり重複するのですけども、ITERサイズの原型炉の発電規模ということで、再度御説明させていただきます。
ITERと同じサイズのトロイダル磁場コイルや真空容器に、JA DEMOで設計が進められている増殖ブランケット――増殖ブランケットというのは、発電するための熱の取り出しの機能ですとか中性子の遮蔽、さらには燃料である三重水素の生産を行うものですけども、これを導入した場合にどの程度の発電規模が見込まれるかということを、このスライドに示しています。
ITERと同一のトロイダル磁場コイルの真空容器を仮定して、その中に、JA DEMOで検討している奥行きが50センチの増殖ブランケットと60センチの遮蔽領域というものを確保すると、右の図に示しているように、プラズマの断面がITERよりも大幅に小さくなってしまいます。
この右側の図でグレーに塗り潰しているのが、トロイダル磁場コイルを示しております。その内側に点線で書いているのがITERのプラズマの断面です。さらにその内側に実線で書いておりますのが、ITERサイズの原型炉のプラズマ断面になります。見たまま、非常にITERよりもすごく小さなプラズマしか生成できないということになります。
ちなみに、右下にはラジアルビルドという、装置内側からの、どういった機器のサイズが並んでいるかというのを示しておりますけども、ITERでは奥行き45センチの遮蔽ブランケットのみが設置されているということです。それに対して、原型炉では50センチの増殖領域と60センチの遮蔽領域を確保する必要があるというところです。このような小さいプラズマになるので、JA DEMOで想定するプラズマ性能を仮定しても、発電端出力、タービン発電機の出力は100メガワットにも及ばないということが、システム構造の解析で出てきます。
さらに、先ほど言いましたように、原型炉の運転に必要な電力を差し引くと、正味の電力というのは大幅にマイナスになってしまうということがございます。ただし、いくつかの変更あるいはトレードオフを許容すると、正味の電力を得ることが可能になるということが中段のところに書いてございます。例えば、増殖領域を20センチほど薄くするということをやりますと、その分プラズマの体積も大きくなりますので、発電端出力で100メガワット、正味の電気出力が辛うじて得られるというようなことにはなります。ただし、三重水素の増殖比というのは、増殖領域を薄くしたことで、12%程度ですが減少するという、これがトレードオフです。
さらに、その状態から遮蔽領域を20センチ薄くすると、発電端出力が200メガワットで、50メガワット程度の正味電力の見通しが、運転領域として得られるということがあります。
あるいは、この後御説明させていただくのですけども、ITERの遮蔽ブランケットと同じサイズで発電に特化した発電ブランケットを設置すると、プラズマのサイズを維持することができるので、そういったことで正味電力を確保することもできると考えられます。ただ、この場合、三重水素の生産はできないというトレードオフが出てくるというところです。
こういったことから、まずは正味電力ゼロを当初は目指しつつ、その後にITERやJT-60SAに加えて各種のR&D、建設期に実施するR&Dの成果を取り込むことで、フュージョンエネルギーによる100メガワットクラスの発電実証を目標として定めることが可能ではないか、そして、これには十分な意義があるのではないかと考えているところです。と申しますのも、繰り返しになりますけれども、この規模の発電を実証していれば、プラス精度の向上ですとか、システム効率を改善するということで、所内で消費する電力を低減して、正味電力を増大することが可能になるということがあります。
では、7ページ目をお願いいたします。
以上のことを踏まえまして、原型炉の運転期として、装置完成後すぐに発電実証を行うシステム統合運転期、次に、燃料増殖を実証するブランケット機能試験期、さらに、定常運転を実証する拡張運転期の3つの段階を設定しました。この各段階における目標の概要と装置の仕様を、このページの表にまとめております。
簡潔に申しますと、炉心プラズマとして、まずITERのベースラインのシナリオ、次にJA DEMOで想定していたプラズマのシナリオ、さらに第3期にはJT-60SAで見通せるプラズマのシナリオへと、段階的に性能を高めていきつつ、プラズマの運転パルス時間を数分、数時間、定常と延ばしていく多段階運転開発の中で、原型炉に求められる目標を一つ一つ達成していくことが可能ではないかと考えているところです。
少し詳しく御説明させていただきますけども、まず、装置完成後にすぐに発電実証を行うシステム統合運転期では、目標として数分間の短パルス運転で、正味電力ゼロですけども、200メガワット程度の発電端出力を得ることを目標に掲げております。
装置の仕様としましては、先ほど申しましたけれども、ITER遮蔽ブランケットと同じサイズで発電のための熱を取り出すことができる発電ブランケットを設置するものです。これによりまして、ITERと同じサイズのプラズマ領域を確保することができるので、エネルギー増倍率Qが10のシナリオと呼ばれておりますITERベースラインシナリオのプラズマを発生させて、核融合出力500メガワットを400秒間維持することが可能になると。
さらに、加熱・電流駆動装置としては、システム効率も高くて技術的に開発が既に進んでおります電子サイクロトロン加熱を想定することで、確実に発電実装を早期に達成できると考えております。
第2期の燃料増殖を実証するブランケット機能試験期におきましては、第1期の目標に加えまして、JA DEMOで検討を進めている増殖ブランケットに交換して三重水素を生産するとともに、数時間程度の長パルス運転を行うことで、三重水素の自己充足性ができているかということを確認することを目標に掲げております。また、ブランケットの交換作業によりまして、交換の手順ですとか交換にかかる時間を確認することができまして、保守シナリオの確認とともに稼働率の見積りに資するということができると考えております。
第2期の装置の仕様としましては、ITERベースラインシナリオよりもプラズマ性能を高めたJA DEMOのシナリオをベースにすることで、増殖領域を確保したことで、プラズマが小さくなっても、核融合出力としては第1期と同じ500メガワットを確保しまして、エネルギー増倍率もQ=10程度としております。
加熱・電流駆動装置としては、電流駆動効率の優れた中性粒子ビームを導入することを考えておりまして、それによりパルス幅も伸ばすことができるというところです。さらに、パルス運転でも定常の電気出力が得られるように、オプションとして蓄熱システムというものを考えてもいいかなと思っております。
燃料増殖に関しましては、先ほど申しましたようにJA DEMOの増殖ブランケットを導入することに加えて、三重水素の増殖比を高められるように、計測器の設置領域の合理化ですとか、あるいはダイバータをITERよりも小型化するといった検討を行って、ブランケットの厚さを薄くして、少しでもプラズマ体積を大きくして電気出力を高められないかということも検討したいと思っております。
保守シナリオについては、先ほど申し上げたとおりです。
第3期の、定常運転を実証する拡張運転期におきましては、第2期までの目標に加えまして、JT-60SAで達成が見込まれるプラズマ運転シナリオを採用して、核融合出力で500メガワット以上、100メガワット程度の正味電力を定常運転で達成することを目標に掲げております。
こうすることで、三重水素の生産・循環を定常運転で行うことで、原型炉の目標の一つである三重水素の自己充足性を実証することができると考えています。
この段階には、JT-60SAやITERの成果の反映だけではなくて、原型炉の建設期に並行して開発を進める加熱・電流駆動装置の高効率化ですとか、先進増殖ブランケットといった先端技術を取り入れて、正味の電気出力を最大化するということが想定できます。
また、右端にオプションの第4期として書いているのですが、原型炉を活用した社会実装に向けた開発期というのがあってもいいのではないかと考えております。
フュージョンエネルギーの社会実装が想定される今世紀中葉以降では、発電だけではなくて、熱の利用ですとか水素製造、あるいは中性子の利用など、様々な用途に使われるだろうということが想定されますので、このような取組も組み込むことで、原型炉による発電実証の前倒しだけではなくて、フュージョンエネルギーの社会実装も前倒すことができるのではないかと考えております。
8ページ目をお願いいたします。このスライドには、第1期の装置パラメーターについて、暫定値ではもちろんあるのですけども、まとめさせていただいたので、説明させていただきます。
左側の表には、ITERベースラインシナリオと第1期の装置パラメーターの一覧を示しております。多少細かい、専門的なパラメーターになって恐縮ですけども、上側の行には装置サイズですとかプラズマの形状に関するパラメーター、表の中段には核融合性能、発電に関するパラメーター、下側にはプラズマの性能に関するパラメーターを記載しております。
第1期の基本仕様は右側の赤枠で囲っている部分ですけども、繰り返しになりますが、ITERベースラインシナリオ、ITER遮蔽ブランケットと同じサイズの発電ブランケット、電子サイクロトロン加熱のみで構成されます。
この表の左側のITERのベースラインの列と、黄色の文字で第1期発電実証の列、この2つを御覧いただきますと、上段側のサイズや範囲に関するパラメーター、下段側のプラズマ製造に関しましては、ほぼ全て同じパラメーターになっているのが見て取れると思います。
このとき、中段に書いてありますPgrossというのが発電端出力です。これが約200メガワット、188メガワットでありまして、Pnetと書いてある正味電気出力、これが7.31メガワットで、若干プラスになっておりますけども、消費電力が正になっているというところです。このように、ここに記載してある基本仕様で、正味電力ゼロの発電を実証することができると考えております。
第1期の初期運転として、真ん中の列に書いておりますけども、ここにはエネルギー増倍率Q=5として、プラズマ電流が10メガアンペアのパラメーターを記載しておりますが、こういった本当に初期の部分では、プラズマの性能を若干高めても、正味の電気出力というのは大幅にマイナスになるというのが分かります。
以上が、ITERと全く同じ装置をつくって発電ブランケットを設置した場合ですけども、この段階でも、より魅力を高めるために、3つのオプションを右側に記載させていただきました。
1つ目は、磁場強化オプションです。現在検討中のJA DEMOでは、高強度の低温鋼、これは超電導コイルに使いますけども、それを想定しております。そうすると、TFコイルの設計応力を増大させることができると。さらに、トロイダル磁場コイルの導体の高電流密度化というのを検討しておりまして、これをITERの設計に取り入れることで、約0.35テスラ程度の強磁場化が可能で、16メガワット程度の正味電気出力を増大させることが可能になります。
また、2つ目のオプションは、燃料生産のオプションです。ITER遮蔽ブランケットと同じ厚さの発電ブランケットの内部に、JA DEMOでも検討しております燃料生産のための機能材料を装荷することで、三重水素の生産が可能になります。
例えば、増殖領域を20センチ確保すると、実際にプラズマの運転で消費する三重水素の75%を確保することができると。もし25センチ確保すれば84%の三重水素を生産することができるというので、これは発電だけではなくて、その領域に燃料生産の機能を積めるということは極めて有効ではないかなと思います。
3つ目は、小型化のオプションです。発電実証として、100秒程度というので問題ないということであれば、この後、第2期、第3期で増殖ブランケットを入れるとプラズマが小さくなるということもあって、中心ソレノイドコイルが過剰な容量になるので、そこはもっと小さくてもいいということもありまして、そういったことも考えると、プラズマの主半径を6.2メートルから5.8メートルに小さくすることも可能になります。
その際、あまり無理のないプラズマ性能向上、ここに書いていますけども、βN2.3とかHH1.2といったことで、正味電力ゼロを、装置を小型化にしても達成することが可能になるというところです。
9ページ目をお願いいたします。このスライドが最後のスライドかと思うのですけども、第2期と第3期の装置パラメーターの暫定値をまとめております。
この段階では、三重水素の自己充足性の確認及び実証をするために、表の下側に増殖領域と遮蔽領域の厚さと三重水素増殖比というのを追加しております。
ここで示している例では、増殖領域は三重水素の増殖比、TBR1.05を達成するために50センチ確保しておりまして、その分、遮蔽性能を犠牲にしているというところでございます。第2期と第3期の基本仕様は、右側の赤枠に示しているところで、先ほど説明したとおりになっております。
また、この第2期、第3期のオプションというのを一つここに記載させていただいておりますけども、第2期では炉心プラズマパルス運転、数時間のパルス運転ですけども、これも定常的にグリッドに送電するオプションというのができるのではないかと。第2期では数時間のパルス運転を行うのですけども、その熱を一度ためてから発電するという蓄熱システムを導入することで、定常的にグリッド送電を実施することが可能になるのではないかと思います。
また、このような蓄熱システムを導入すると、例えば先ほど触れました第4期でのフュージョンエネルギーの多面的な活用への利用も想定されますし、蓄熱システムを用いた装置起動電力に利用することも可能になると考えております。
以上のことから、正味電力ゼロによる発電実証と、燃料の自己充足性の実証といったことを目標としつつ、その後に、ITERやJT-60SAに加えて、原型炉建設期に並行して実施する各種のR&Dの成果を踏まえて、フュージョンエネルギーによる正味電力100メガワットクラスの発電実証を目指すということには、十分な意義があるのではないかと考えているところです。
では、10ページ目をお願いいたします。最後に、この写真は、今年の8月に、特別チームの全体会合を東京地区で開催させていただきまして、その時の集合写真です。
もう8月の段階からも特別チームのメンバーは増えておりまして、現在総勢211名という状況です。このときは皆さん、お忙しい中にもかかわらず、約半数に相当する100名に及ぶ方々が、2日間にわたって参加いただきました。
以上、御清聴ありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 坂本グループリーダー、ありがとうございました。
ただいま、プランDを前提としたときの発電実証のさらなる前倒しの可能性について御説明いただきました。御説明内容について、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。
藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 大変詳細な御説明ありがとうございます。3つほど質問させていただきたいのですけれども、まず1つ目、トリチウムですけど、今日のお話を聞いていると、なおトリチウムはあるのが前提という感じがしたのですけど、もともとこの手の議論をするときに、トリチウム確保壁みたいなのも想定されていたと思うのですが、その辺の、トリチウムをどう確保していくのかというのは、見通しが立っているのか、それともそういう確保壁が必要なのかというのが1つ目の質問です。
2つ目の質問は、ブランケットを適宜入れ替えるみたいなことなのかなと理解したのですけど、そうなると廃棄物が出てくると思いますので、廃棄物に関してはどう考えておられるのかが2つ目です。
3つ目は、多分今回はあえてだと思うのですけど、表の中にあんまり年が書かれていなくて、2030年中葉というのは、ここの何期の中で大体どこがそこに相当するのかというのを教えていただきたいと思いました。
以上3点です。
【坂本(宜)GL】 御質問ありがとうございます。最後の、第1期、第2期、第3期はいつ頃かということに関しましては、当然2030年代発電実証が前提で検討しておりますので、第1期というのが2030年代最後の部分になります。
その後は、目的を達成したらどんどん新しいものに入れ替えていくのがいいのではないかと考えておりまして、例えばですけども、第1期の目標を達成したらすぐに改造に取りかかって、5年ぐらいのサイクルでやっていけば今世紀中葉にいろいろな意味で社会実装につながるのではないかとイメージしております。
最初のトリチウムの確保については、これは非常に大事なところです。これまで特別チームでも、あるいはほかのところでも検討されているのは、最初は重水素だけを使った運転をして、重水素の核融合反応で出てきた三重水素を回収して、それを混ぜていくことで、どんどん増殖ブランケットで三重水素を生産することができると考えます。これにはそれなりに、発電しないのに所内電力をいっぱい使うということがありますけども、それによって確保はできるということがあります。
あともう1つ、九州大学の先生との共同研究で進めておりますのは、高温ガス炉の中に、空いている領域にリチウムを装荷させてもらって、そこで高温ガス炉で三重水素を生産するというものです。先生の見積りですと、1年間で600グラムぐらい生産できそうだということもありますので、そのぐらい生産できると、今考えているようなパルス運転のものでは燃料を賄えるかなと。大体、通常500メガワットの核融合出力で、1日ずっと停止することなく運転すると、75グラムぐらい常に循環させる必要があるので、そういった規模の調達ができるかなと思っています。
ただ、先ほどオプションで示した、発電ブランケットではなくて、そこに機能材を入れると、75%とか80%を超える量が確保できるので、これは極めて有効かなと思っています。
あと、廃棄物に関しては、第1期・第2期がパルス運転だと思うと、この部分では、ブランケットは入れ替えるものの、かなりの部分はそのまま再利用してできるかなと。そこは設計次第ですけども、そういったことができると思っています。
【藤岡委員】 ありがとうございました。大変分かりやすく教えていただきました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
坂本隆一委員、お願いします。
【坂本(隆)委員】 ありがとうございました。非常に細かく検討していると思いましたが、いくらか危惧する点があるので、少しコメントさせていただきます。
まず1つは、ブランケットスペースを考慮すると、将来的に小半径がITERの6割程度になってしまうというような発表だったのですが、より高性能なプラズマが必要となる本格的な稼働時期において、プラズマを小さくしてしまうという計画は、原型炉の重要な目標、例えばトリチウム自己充足性など、を達成することを困難にするのではないかと危惧しました。
また、段階的な目標設定というのは適切な判断だと思うのですが、第1期で発電実証のためのD-T放電をしますと、真空容器内の放射化によって、その後のインベッセルコンポーネントの改造作業が非常に困難になることや、藤岡先生と同じことになりますが、廃棄物の保管に必要なホット施設の建設のための費用の増加などを懸念しています。
いくらパルスといっても、この数分間というのはITERのニュークリア運転と同じ照射量になるので、放射化の問題というのは避けられないのではないかなと思っています。
ですから、発電実証を原型炉の初期の段階で行うことが、本当に科学的・技術的な観点から、核融合炉の社会実装の早期実現につながるのかどうか、また費用対効果にかなうものかというものを、きちんと評価することが必要ではないかと思いました。
そのような観点から、スタートアップ企業が発電実証を早期に行うことを掲げて挑戦していることと、国が実施する原型炉開発計画が競合するようなスケジュールや目標設定にする必要があるのか?ということを聞きたいと思いました。
【坂本(宜)GL】 御指摘ありがとうございます。今、いくつか御懸念されていたうち、放射化物の発生についてありましたけども、もともと想定している原型炉というのは、より中性子を浴びて行うわけですよね。
原型炉というのは、我々は原型炉をつくることが目的じゃなくて、原型炉を使って商用炉をつくって社会実装することですよね。そのための練習じゃないですけど、試験というか経験、商用炉段階では当然、もっと強く中性子の照射を浴びて放射化した機器がたくさんできます。そういったものをこの規模で、原型炉の段階でやっておかないと、商用炉につながらないと考えているのです。
例えばスタートアップとかで、非常に小規模な発電を実証して、システムを全体としてインテグレーションしたものをやってみせるというのは、それはそれで意義があると思うのですけども、それだけでは商用炉にはつながらないと考えています。
今考えている、できればJA DEMO、さらにはITERサイズでも、もちろん大丈夫だと今思ってきているところですけども、こういった中性子照射による機器の放射化、それをどういうふうにリモートで遠隔保守して、それをどう保管して、リサイクルして、その時にどういった問題が出てくるか、商用化に当たってはどういった改良点をすることができるかというのを、この原型炉の中で経験して実証していかないと、商用炉にはつながらないと考えているので、先ほど御指摘いただいたその部分は、むしろそこは原型炉でやらなければならないと考えております。
あと、小さいプラズマで、というのは、ITERサイズの原型炉にしたときに一番問題になるのは、先生御指摘のプラズマの領域が確保できないというところが一番の問題です。
それで、今回、第2期・第3期で一応示したのは、増殖領域を確保しつつ、中性子の遮蔽領域を犠牲にしてということを考えています。
そうするとどうなるかというと、例えばJA DEMOでは、1年間フルで1.5ギガワットの核融合出力で、20年ぐらい装置を運転できるような設計になっていたのですけども、このぐらい薄くすると2年程度で、トロイダル磁場コイルの絶縁材が、今のITERで使っている絶縁材だとそのぐらいの寿命になるだろうと思っています。そこで、そういうトレードオフを考えながらやっていくのかなと思います。
あと、期待するのは、スタートアップが装置をインテグレーションしてやるということだけじゃなくて、将来、機器サプライチェーンというか、そういったところをしっかり日本が確保するという意味では、高性能な炉内機器を開発するというのは極めて有効だと思っているのです。
そういう意味で、ブランケットについて言えば、薄くても、燃料を生産できて遮蔽機能も高い、そういうブランケットというのはこのJA DEMOにとどまらず、どんな形式の核融合炉にも極めて有効な機器になると思います。
そういったものをぜひ、10年ぐらいかかる原型炉の建設期にスタートアップが開発して、それをこの原型炉の第3期に導入することで、プラズマ領域も確保しつつ、燃料の自己充足性、あるいは遮蔽機能を強化することで装置の寿命を延ばす、そういった取組が必要なのではないかと考えております。
以上です。
【坂本(隆)委員】 ありがとうございます。おそらく目指している、考えていることは一緒だと思うのですが、最初の放射化に関するところについては、練習をわざわざ実環境でしなくても、大型のものをニュークリアじゃないところで練習することも可能ですし、そこは切り分ける必要があるかと思いました。
ここでいきなりニュークリアな環境に装置をしてしまいますと、本当に改造が必要なときにいろいろな制約が出てきてしまうということは、開発を遅らせることになるのではないかということを危惧しますので、一応、意見として申し上げさせていただきます。
【坂本(宜)GL】 でも、それについては当然、R&Dとして別途、ノンニュークリアのところで、実際に遠隔保守を試験するための施設というのは必ず必要になります。
そういったものを、原型炉建設に先立って、研究開発施設として整備して、遠隔保守の技術を磨く、そこで、ニュークリアな環境でも実際にリモートでできるようなものを開発していくことが大事だと思いますし、恐らく今から10年以上先は、よく言うデジタルツインとか、そういったものも駆使しながらできるようなものを開発していくと、より商用炉の段階でも魅力的な、さらに稼働率も上げるようなものができていくのではないかと思っております。
先生が言われるように、いきなりニュークリアのときにやっても大変なので、事前にノンニュークリアなものを、例えば遠隔保守に関する開発の施設というのは優先度が高いのではないかと思います。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。今の坂本隆一委員の御指摘は非常に重要なものですので、開発・設計の段階でしっかり反映させて、今考えながらやられているということについても、それは引き続き御検討いただきたいと思います。
近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】 坂本さん、説明ありがとうございました。私からもブランケットになってしまうのですけど、確認ですが、今お示しいただいているスライドのもう第1期から、まさにQSTが開発されている最新型の個体増殖材、そしてベリライド、この辺りを使ったフルブランケットで設置されるという理解でよろしいでしょうか。
【坂本(宜)GL】 第1期は、まずここで書かせていただいたのは発電に特化したものです。というのは、今、例えばQSTからリチウムとベリリウムについてのスタートアップが立ち上がっていますけども、あそこがしっかりリチウムとかベリリウムを大量に生産することができるようになれば、第1期の最初からそこで装填するのがいいかなと思っています。
で、話が戻るのですけど、当初このJA DEMOを検討したときには、ITER運転開発期にはあまり大型のR&Dは進まないだろうと考えて、かなり保守的なことで設計を進めたのです。けれども、今、明らかに状況は世界的にも変化していて、ITER建設期だけれども、民間投資が増大することで、いろいろな開発が並行して、あるいは先行して進むようになったということがあるので、そういったことを第1期からどんどん取り入れていけるのではないかなとは考えています。
【近藤委員】 具体的に、第1期のブランケットは、どんな構造のどんなものになるのですか。
【坂本(宜)GL】 その辺の設計はまだこれからです。
【近藤委員】 そうですか、分かりました。第2期は、私が今申し上げたようなブランケットになると思うのですが、ここ、補足的に議論させていただきたいと思います。ワードが似たようなものがありましたが、「燃料増殖」というのと「自己充足性」という部分、あとは「TBR」と「ネットTBR」というワードがいろいろ出てくるので整理させていただきたいのですけど、8ページ目を見せていただけますか。
ここで、燃料生産オプションで、TBRが1に行かないのだけれども生産が可能というようなことをお示しいただいていまして、これは本当にすばらしいことだと思うのですが、私のブランケット担当の者から申しますと、これはネットTBRのことを指すという理解でいいですよね。
だから、システム全体で0.75をつくれるとか0.84をつくれるということになるので、先ほどの図のスライドの燃料増殖という観点からいうと、特定のエリアの入ってくる中性子に対する増殖性能のようなものを見ると、エンジニアリング的なローカルのTBRというのが1を超えるから、だから燃料増殖実証ができるというような理解でよろしいですね。
それで、その後にあるのが、自己充足性の実証につながっていくということで、ですから、第2期である程度、このブランケットであればTBRが1を超えそうだという見通しが十分に得られる、そういうような理解をしたのですけど、それでよろしいでしょうか。
【坂本(宜)GL】 そうですね、先ほどの0.75とかは、第1期のオプションで今考えているものです。これは、オプションでやれば、例えばパルス幅が100秒、数百秒のパルス幅でどのぐらいの三重水素が生産されたかというのは、回収した上で、その回収した量が計算と合っているかというのを、ここで確認することもできます。
第2期のときは、数時間と長いものと、あとはフルの増殖を考えているので、ネットTBRで1を超えるものです。そのレベルの確認ができると。
【近藤委員】 分かりました。
【坂本(宜)GL】 第3期は、燃料の自己充足性というのは、TBRだけじゃなくて、実際に定常的に燃料を生産して循環させます。回収したやつをまたプラズマに戻して、そこで発生した中性子を使って三重水素をブランケットで作ってという、そういうサイクルが本当にしっかりと停止することなく運転できますねというのが、三重水素の自己充足性の実証なので、これが第3期の定常運転でやることだという理解です。
【近藤委員】 分かりました。確認ですけど、第1期の発電ブランケットの詳細は決まっていなくて、ただ、オプションとして設置するものは、増殖ブランケットのコンセプトにかなり近いものになるという理解ですかね。
【坂本(宜)GL】 そうですね、気持ち的には、この燃料生産オプションは取り入れるべきじゃないかなと考えています。
【近藤委員】 この燃料生産オプションは、部分的なものですか、フルブランケットですか。
【坂本(宜)GL】 フルで考えています。
【近藤委員】 そうですか、分かりました。では、第1期で燃料増殖評価というものができるといいなとも思っています。
私からは以上です。
【坂本(宜)GL】 ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
福家委員、お願いします。
【福家委員】 御説明の中で、時間的な問題を優先させるため、TFコイルはITERと同じレベルのものにするという話がありました。産業界にとってはITERと同じものをつくるのであれば、さらに大きなものをつくるよりは簡単にできるのだろうと思っており、一つの大きな判断だと思いました。
一方で、技術的な観点から見ますと、時間的な優位性は確保できるのでしょうけども、技術的な優位性というものが、時間を優先することによって失われることがないかという懸念を持ちました。
今の御説明で、いろいろなトレードオフをやりながら技術開発を進めていくということのお話がありましたので、少し安心したところはあるのですけれども、各国ともいろいろな開発が進められていく中で、我々が時間を短縮することによって獲得できなくなる技術はないのか、即ち、我々が実証しようとする技術が、実証したときに陳腐化していないかという懸念です。
我々が実証した2,3年後に、ほかの国がもっと優れた技術を実証すれば、その時点で技術的優位性は全く失われてしまうわけですので、そこら辺については、少し心配しているというのが、私の感想でございます。
それで、特に1つだけ確認しておきたかったのが、ITERの場合、日本で納入した機器は全体の10数%かなと思うのですけれども、今回のJA DEMOをつくるときにおいて、大部分を国産化できるのでしょうか。一般的に海外調達をやりますと工期は延びる方向になりますので、そこら辺についての見通しというものを教えていただければと思います。
私からは以上です。
【坂本(宜)GL】 御質問、コメントありがとうございます。最初の、御感想とおっしゃっておられた部分ですけども、トレードオフとともに、新しい技術を導入するときとかはリスクとのバランスだと思っています。
今回、私のほうで御説明させていただいたのは、まず2030年代発電実証の閣議決定を前提として、それをやるために技術的にはどういうことができますかというものに答えたもので、今回のようになっています。
そういったことで、もう技術的にこなれたというか、一回作ったことがあるITERをそのままを使うとか、そういった意味で検討した結果を示させていただいたというところです。
恐らく将来的には、ITERと同じニオブ酸スズの低温の超電導コイルじゃなくて、高温超電導とか、そういうのは目指すべきなのだろうと思います。それは液体ヘリウムとか、それも大量に使うということもあったりするし、電力もかかるしということがあって、そういう方向だと思うのですけども、現時点でこの規模の高温超電導を使った装置を考えるというのは、私個人的にはまだリスクが高過ぎるということで、今はまだここには入らないかなというのが考えているところです。
あと何でしたっけ、御質問いただいた大事なところだったと思います。
【福家委員】 国産化の話です。
【坂本(宜)GL】 国産化の話ですね。そういう意味で、一番時間もかかって大変なのがトロイダル磁場コイルということで、トロイダル磁場コイルは線材の生産から導体、あとはコイルのところまで、日本はその技術を一通り持っているというところです。
あとは、日本が調達していない部分というのがあれば、そういったところは、ITERからのレッスンズラーンドも含めて確保していかなければならない、ということだと思います。
あと、実は電源系に関しましても、核融合炉は結構大規模な電源を使うので、そういったところでも、電源に必要な部分で、これは今、日本ではつくっているところはないよという声も産業界の方との議論であったりするので、そういったところも含めて、今後、委員のおっしゃる御指摘はごもっともなので、精査していかないといけないと思います。あるいは、優先的に国内で確保しなきゃいけない技術は何なのかというところというのは整理して、戦略を立てていくというのが、我々というよりも原型炉タスクフォースを含めて議論されていくのだろうと考えております。どうもありがとうございます。
【福家委員】 ありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
吉橋委員、お願いします。
【吉橋委員】 御説明ありがとうございます。今回、ITERと同じサイズにして早期に実証していくというのは、すごくいいことだなと思っております。
ただ、今回の話の中で、「発電実証」という、「発電」という言葉はたくさん出されたと思うのですけれども、発電実証していくということは、もちろんプラズマのこともあるのですけれども、さきにブランケットの話もいくつか出ていたと思いますが、どうやって熱を取り出していくのかとか、中性子をどうやって扱うのかとか、そういったところが非常に発電実証というところでは重要なのではないかなと思っています。
そういう意味で、7ページ目の第1期から第4期までということを見ていると、そういった熱の取り出しだとか、ブランケットで増殖性能を見ますよというようなところはしっかり書かれているのですが、発電と簡単におっしゃっていたのですけれども、その辺のことをどういうふうにお考えなのかなというのが見えなかったというのがまず1つです。
それから、今度は発電という話をここで大きく出すと、これは社会に向けてですけど、今回こういうことを出していったときに、もう発電できるのだというのをあまり社会に見られてしまうと、これはあくまでも発電実証炉だと思うのです。商業炉のように思われてしまって、これからまだたくさん検討していかなければならない項目がある中で、何かトラブル等によってうまくいかないことはあって、どんどん修正していくのだと思うのですけど、そういったときに社会に、「あれっ、発電もうできるんじゃないの?」と思われてしまうのが危険だなと思ったので、その辺りのすみ分けというか説明というか、そういったところはしっかりしていただきたいということです。
特に第4期で「社会実装」という言葉が出ていて、そういうのは非常に、こういうものをつくるときに最終的に社会実装できますよということも重要だと思うのですけれど、そこが独り歩きしてしまうと、それまで細かくいろいろなことを検討していこうといったところが見えなくなってしまうというのが、少し危惧されるところかなと思いました。
私からは以上です。
【坂本(宜)GL】 コメントいただきありがとうございます。まず、発電については、最初に検討する前提で、開発課題を増やさないということもあって、新しい発電方法、核融合は夢のエネルギーだから夢のような発電方法を、というのはやめたのです。冷却水の三重水素の問題もあります。そのため、基本的にはブランケットで、水で熱を取り出す、非常にこなれた技術で発電しようということで考えています。
【吉橋委員】 お湯を沸かす形の発電であることは十分承知しているのですけれども、今まで、こういったブランケットを使って本当に熱を取り出して水を、ということが実験的にいろいろされているわけではないので、これからやっていくところになるわけですよね。なので、その辺りの、新しい夢の発電でというようなことではなくて、しっかりと熱はこんな形で取り出せます、それはこういうふうに実証しますというのを、きちんと検討される必要があるかなと思った次第です。
【坂本(宜)GL】 ありがとうございます。そういう意味では、ITERの原型炉で最も重要な機器ってブランケットなのですよね。それが中性子とブランケットの関わりで、そこのリスクを下げるという意味では、核融合中性子源とかを使って、発電もそうですけど、燃料の生産といったものがしっかりと計算どおりになるかというか、外挿性を持って、計算と合うかとかいうのをやっていくことで、リスクを下げてやっていくことができるだろうと考えますし、非常にそこが大事なところだと思っています。
あと、発電発電ということが、私も何回も言って、後で数えてみようかなと思いますけど、今回の依頼が、2030年代発電実証に向けて、技術的にどういうことが考えられるかということがあったので、それでかなり「発電」ということを強調させていただきました。それが社会の求めているものだと理解しているので、そこをあまり言い過ぎたらがっかりするのではないのか、というのは、私は考えておりません。というのは、そこで社会の人たちが、「何だ、そんなことだったの」とならないようにするためには、このぐらいのことをやる必要があるのではないでしょうか、というのが私の話です。
多分、スタートアップさんとか、段階的にマイルストーンを達成していく中で、とにかく中性子を発生させて、それで少しお湯を沸かすのか分からないですけど、そういうことで、むしろ、「え、そういうことだったの、でも進んだね」ということよりは、もうちょっと、数十万キロワットというタービンがしっかりと回ったのだね、というようなところまでやっておきたいと考えております。そういったことで今回お示しさせていただきました。
【吉橋委員】 ありがとうございます。その辺り、我々というか、ここではとてもよく分かる御説明だと思うのですけれども、「発電」ということが、電気がもうもらえる、これはもうできたものなのだということを、世に勘違いということがないような、今後いろいろなところでの御説明が必要だなと思いました。
さっき中性子源という話も出てきたので、最後に一言だけお話しさせていただくと、この辺、中性子源を使ってやっていくしかないと思いますので、今後、DONES等々を御検討されていると思うのですけれども、そういうところが円滑にきちんと実験ができるような仕組みというのはつくっていかないと、我々中性子源に関係している者たちもそうですけれども、みんなで考えていかなければいけないなと思います。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。重要な御指摘でした。「発電実証」ということに関しては誤解のないようにしていかなければいけないというのは、特別チームもそうですし、原型炉タスクフォースの私たちも同じことになります。
一方、前回の原型炉タスクフォースで武田主査代理から御質問があって、どこをゴールにするのかというところで、戦略官からもお答えいただきましたが、統合イノベーション戦略というところがゴールになるということで、2030年代発電実証というところからバックキャストして考えるというのが私たちの形ですので、それをしっかり検討していただいたのが坂本グループリーダーということで、どうしても、ゴールを発電実証というところに置いていますからこういう議論になってくるので、それはしっかりやっていただいたということだと思います。
独り歩きするかしないかということに関しては、原型炉タスクフォースでもしっかり議論して、誤解のないようにしていかなければいけないのだと思います。ありがとうございました。
伊神委員、お願いします。
【伊神委員】 よろしくお願いします。私は炉心プラズマのパラメーター設定について伺いたいと思います。
8ページの第1期の装置パラメーターで、まずITERのベースラインというものがあって、ほぼ同じパラメーターのものをこの黄色の発電実証のときに達成するというようなシナリオかと理解しておりますが、ITERベースラインはNBIありきなのではと思うのですが、こちらは電子サイクロトロン加熱のみで達成するということで、あと、オーミックコイルでオーミック電流を流して、このパルス幅で達成するという考えにされているかと理解しております。
それで、電子サイクロトロン加熱のみで高イオン温度、このQ=10というところまで持っていけるという勝算というのが、現在どのぐらいの確度で得られているのかということについて伺いたいと思います。
もう1つ、第2期の装置パラメーターのところで、こちらはブランケットスペースが大きくなって、逆にアスペクト比が大きくなるというふうに進むということですけれども、このときアスペクト比も変わってしまいますが、このときに見込んでいる大きなQ値というものが達成できそうなのかというところは、どの程度の、スケーリング則とかもあるかと思うのですけれども、確度で現在この見込みを示されているのかということについて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
【坂本(宜)GL】 非常に私も気にしている鋭いところを御指摘いただきましたけども、まず、ECで大丈夫なのかと。ITERはNBIだよねと。ITERも今、NBIの1メブのNBIの長パルスってかなり技術的に大変なところもあって、ECを増強するという話も出てきています。
物理的には、電子加熱ということであればNBIもECも本質的には変わりません。波と粒子でどっといじるのとではまた違うと思っているところもあるのですけども、そういったところについては、私はJT-60SAで、ECHを、大電力のECを入れてどうなのかというのをしっかりやった上で、そちらに進みたいなと考えています。
そういう意味では、どのぐらい勝算があるかというのは、そこはさっき私が口で言ったみたいに、物理的には電子加熱ですから大丈夫じゃないでしょうかではなくて、JT-60SAでECを使った主加熱で、そこでしっかりとした見通しを持ってやっていく必要があるだろうなと思っています。
あと、ITERでの、NBIだけじゃなくて非誘導電流駆動の割合というのは非常に小さいものです。ITERのプラズマ、NBIとかブートストラップもそうです。なので、NBIをECにしても、パルス幅というのはそんなに大きく変わらないかなと思っています。そこはしっかりと当たっていないのですけども。
先生の御指摘は、NBIで非誘導の電流も流すから、それでパルス幅も維持できているのがITERじゃないのということもあるのかなと思ったのですけど、そこは、ITERは非誘導の割合がすごく少ないので、そんなに極端に大きな影響があるわけではないのではないかなと考えているところです。
【伊神委員】 非誘導の割合が大きいというのは、もちろんオーミックの割合が少ない代わりにブートストラップとNBによる電流駆動で閉じ込めをつくるというところなのですけれども、この第1期の場合はNBが入らないので、ただ、ECというのは電流駆動効率が悪いですから、その分オーミックに頑張ってもらうがゆえにパルス幅は限られると理解しているのですけれども。
【坂本(宜)GL】 そうですね、それは影響あると思うのですけど、もともとNBIによる電流駆動もITERのプラズマは少ないのです。私、今、正確な数字はないですけど、御指摘はしっかり検討しておきたいと思います。
あと、Q=10というと、アルファ加熱が7割弱ぐらい主加熱を担うので、そういう意味ではかなり電子加熱になっているのです。なので、NBIをECに置き換えても、7割以上がアルファ加熱でやっているし、残りの部分をNBでやっていたのをECに置き換えるという意味では、そんなに大きな影響はないのではないかと思っているところです。
一方で、先ほど申しましたけども、その辺はJT-60SAの役割が非常に重要になってくるのではないかなというところです。
【伊神委員】 どちらにしろ、同じように電子加熱はよくされるという系なので、ITERがうまくいくのだったらうまくいくのだろうねという希望は持てるかと思うのですが、なかなか、イオンのほうを上げるというシナリオですね、そこら辺はJT-60SAのほうでしっかりやっていただきたいなと思います。密度で衝突だけで本当にそこまで持っていけるのかというあたりも、研究の進展を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
木戸委員、お願いします。
【木戸委員】 私自身も、今回の目標を見直して発電実証を早期実現するという考え方自体は賛成でして、あと今回、ITERと全く同じトロイダルコイルを使って、とにかく最初に第1期として発電を実証するということ自体はめどが立ったということで解釈したのですけど、確認したいのは、このトロイダルコイルは多分最後まで変わらずに同じものを使い続けるということですけど、現状、今回いろいろ概算であったとしても、この後、第2期から第4期にわたっていろいろ炉内構造物とかほかのものを改造、バージョンアップしていくことで、最初に原型炉として考えていた商用炉につながる道というところまで、今のITERのトロイダルコイルそのもので示せるということで、一応そういうめどを立てているという理解でよろしいですか。
【坂本(宜)GL】 その部分は、今回の原型炉タスクフォースでの大事なところだと思うのですけど、冒頭、主査からもお話がありましたが、当初、核融合科学技術委員会で掲げていた目標を変更するということも必要なんじゃないかという点に関して言えば、今回私が話をさせていただいたところは、数十万キロワットの安定した電気出力というのは、少し目標を下げざるを当然得ないだろうと。装置が小さくなっているので。だけども最低限、正味電力がゼロ以上、そこは目標としつつ、このITERサイズで行うときには、さらに10万キロワットとかそれ以上の部分は目指すというあたりが妥当かなと考えます。
一方、燃料の自己充足性については、これはしっかり目標の中に入ってもいいのではないかと思います。
あと、稼働率の実証については、結局、稼働率、いろいろな考え方がありますけども、運転時間と保守にかかった時間で見積もることができると思えば、装置を改造していく中で、配管を切ったりなんだりしてどのぐらい時間がかかった、物の輸送にどのぐらい時間がかかったというのを積み上げていくことで確認することができます。確認した後に、実用に供する稼働率を目指すためには、ここの作業時間を短くするための工夫をどういうことがあるか、あるいは同時並行で、今だと16セクターあるので、パラレルでどのぐらいやる必要があるかといったことを考えてやっていく。
だから、原型炉で実証するというのは一歩下げてというのが、今回の30年代発電実証をしたときに見直す目標かなと、今思っているところです。
【木戸委員】 分かりました。もう最終目標も若干下げるということは理解しましたので、それは私自身も反対する気はないです。
あと最後に1点、そうなってくると、このITERそのものとの区別というのが外から見ると難しくなってくるような気がします。外の方から見て、ITERがあるのにわざわざ同じようなトロイダルコイルのものを日本でつくるということに対しては、そういう位置付けの違いというのはどういうふうに考えたらいいですか。
【坂本(宜)GL】 ITERのトロイダル磁場コイルと同じものを使って悪い理由は、多分ないと思うのですよね。今、前提になっているのが2030年代発電実証と。そう思えば、ITERと同じものを使うというのが一番合理的だと考えます。
ただ個人的には、間に入るのであれば、もう少し磁場を高めるようなものを入れ込んでおいたほうが、商用炉第1号機とかそういったところにはつながりやすいだろうと思っています。
あと、例えばプラズマの面で言うと、ITERの役割は、原型炉には計測器が少ない、とかがあげられます。そうすると、まず第1期で発電実証した後に、プラズマの開発も進めていくときに、デジタルツインではなくてITERがあるとリアルツインになるのではないかなと思うのです。原型炉は測れていないのだけども、ITERは50種類ぐらい計測器がついているので、こういうことが起きたときにはプラズマの中で何が起こっているのだということが分かるので、リアルツインで、うまく一緒になってやっていけるのではないかなと。
【木戸委員】 なるほど、ありがとうございます。非常によく分かりました。大丈夫です。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
鈴木委員に移る前に、今ちょうど木戸委員から御質問がありましたので確認させてください。坂本グループリーダーが言われたのは、この8ページ目にある強磁場化オプションということですか。こちらを仕込んでおくということでしょうか。
【坂本(宜)GL】 そうですね、これは1つです。今、JA DEMOで考えて、非常に小規模でありますけどもR&Dも進めているというところです。
【坂本(瑞)主査】 これが間に合えば、それを仕込んでおいて、その分を余力とするということでしょうか。
【坂本(宜)GL】 そうですね。そのようなイメージです。
【坂本(瑞)主査】 その時、線材の開発は必要ですか。
【坂本(宜)GL】 線材については、高強度化という意味で、物材機構の先生とか大学の先生、メーカーも含めて、小規模ながらR&Dを進めているので、そういうのは可能な限り反映させるべきではないかなと思います。
【坂本(瑞)主査】 分かりました。ありがとうございました。
そうしましたら鈴木委員、お願いいたします。
【鈴木委員】 私からは、まずITERのサイズの装置で、フル発電ブランケットというのをつけることでいろいろできるということが分かりました。その上で、先ほど伊神委員からもありましたけど、JT-60SAがそもそも目的としている、ITER支援というところのJT-60SAの役割が重要であるということを再確認することができたと思います。
私からのコメント1つ目については、まず、第2期は今、JA DEMOシナリオとなっていますけど、そもそもJA DEMOを達成するためにはJT-60SAのシナリオ開発というのは不可欠ですので、βNが3.4と高いですので、まず、そこでJT-60SAの貢献が不可欠ですということと、JT-60SAとしてはもちろん貢献したいと思っています。
それで、第2期については中性粒子ビーム加熱が入っているので、数年前に当時の原型炉タスクフォースで検討していた第1期、第2期という考え方からいくと第2期に相当しているわけで、当時の第1期で想定していたECだけの場合でやると、今回の第2期の放電というのはどのくらいの時間になるのでしょうかというのが1つ質問です。
【坂本(宜)GL】 第1期というのは、ここに書いてある第1期のことでしょうか。
【鈴木委員】 ややこしいですね。前に、2年前ですか、やっていたときのものです。
【坂本(宜)GL】 あのときは、第1期は確かにECだけでやって、ただ、第2期はここに書いてある第2期と違って、定常運転だったので、どっちかというと第3期寄り、JA DEMOのサイズを使った第3期というのが、当時の第2期です。
【鈴木委員】 当時の定常運転のβNの状態でNBが入っているのが、今の第2期というものですよね。
【坂本(宜)GL】 第3期ですね。第2期は数時間の長パルス運転です。
【鈴木委員】 分かりました。ただ、装置のサイズが違うので、自発電流の割合とかが違って、結局第2期のβNではフルCD(電流駆動)になっていないのですけど、プラズマの性能としては、第2期というのは、当時の定常運転しているときのβNですよね。
【坂本(宜)GL】 そうです。おっしゃるとおりです。
【鈴木委員】 ややこしくてすみません。
なので、今回の第2期というのは4時間のプラズマの運転になっているのですが、これからNBを抜くと、運転は何時間になるのでしょうかというのが質問です。
【坂本(宜)GL】 それはしっかりと評価していないので、申し上げることはできないですけれども、半分ぐらいになるかもしれないですね。
【鈴木委員】 分かりました。そこが中性粒子ビーム加熱の開発とかそういうところを考えて、第2期の段階で中性粒子ビーム加熱の長時間開発が十分できていなかったときに、この第2期のリスクというのがどのくらいあるのかなというのが考えたところでした。
【坂本(宜)GL】 ありがとうございます。
【鈴木委員】 もう1つは、現在と早期発電実証というところでギャップを大幅に埋めていただいたおかげだとは思いますけど、逆に言うと第3期から商用炉へのギャップが開いているのかなという気がしまして。第3期から本当にペイする商用炉に行くときに、トロイダルコイルのサイズとかを大きくして、発電端の電力を増やしていくということが必要になってくるかと思うのですけど、その辺りの検討というのはこれからしていくべきなのかなというのがコメントです。
【坂本(宜)GL】 ありがとうございます。そういう意味で今回は、例えばJA DEMO、8.5メートルをつくったときに、商用炉って8.5メートルですかと考えると、恐らく違うのですよね。ITERのサイズとか小型化を志向していて、イギリスの言っているSTEPというのはかなり敷居が高いと思うのですけども、本当に世界に100台とか何百台とかになる頃には、相当小型化志向したものが必要になってくると思っています。そういう意味で、今このITERサイズにしたときに、これが本当に商用炉に対して技術ギャップが開いたかというと、必ずしもそうではないかなと思います。
もう1つ、昨今の状況で大きく変わったのは、民間投資も増えて、この原型炉を建設している間にいろいろな技術開発をできるようになったということがあると思います。日本においてもムーンショットで大きな予算をつけて先進的な技術開発が行われるとか、そういったことをうまく取り込むことで、むしろ社会実装は早まるようになったなというのが私の持っている印象です。
【鈴木委員】 ありがとうございます。今のお話を聞いて一つ思ったのですが、第3期のJT-60SAシナリオというのができていたとすれば、βNは4.3まで行っていますから、今までのJA DEMOよりはるかにβNとしては高くて、そうすると、より従来のJA DEMOより小型で同じような核融合出力を出せるようなものができると今思いました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。今の鈴木委員の御指摘は先ほどの福家委員の御懸念とつながっていて、ITERサイズでITERと同じものだけで行くのではなくて、そこまでの間に強磁場化とか小型化とか超電導コイルの開発とか、技術開発で私たち日本での技術的優位性をずっと求め続けていかなくてはいけないということですね。ありがとうございます。
横山委員、お願いいたします。
【横山委員】 横山です。私からは、非常に感想的なことになるかもしれないのですけれども、今、フュージョンエネルギーの安全確保のタスクフォースにも参加させていただいていて、私の場合には安全性というところが専門ですので、環境安全というところが専門分野になります。
そういう観点から、今御説明いただいたことですが、段階的に進めていくというのは、非常に安全規制というところを考えていく上でも、安全確保のタスクフォースの中でも、いくつかスタートアップさんの話を聞いて、それからJA DEMOのお話を聞いて、今の安全規制RI法の話を聞いてということを考えると、かなりスタートアップとJA DEMOに関してはギャップがあるなというか、サイズも考えなくてはいけないこともたくさんあるなというところで、こうやって段階的にやっていくということを示していただくと、非常に現実味をもって安全規制ということも考えられるのかなと思いました。
スタートアップも並行してやっていくことで先が見えてくるというか、ただ、人材もコストも分散してしまうところが一つ懸念もあるかなと思うのですけれども、そこでより多くの人材が生まれて、それに投資していただく企業の方も出てくるのかなと思います。この分野がどんどん成長する上では、スタートアップと並行していくことが非常に重要なのかなと思いました。
先ほど、スタートアップに非常に期待するということがあったのですけども、スタートアップの期待が応えられないということになると、この計画がうまく進まないということになってしまうと残念なことになってしまいますので、当然お考えなのだと思っていますけれども、代替の手段も考えつつ、発電実証を目指していただきたいと思っております。
以上になります。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。
伊神委員、お願いいたします。
【伊神委員】 度々申し訳ございません。第2期・3期のJT-60SAシナリオベースとありますが、このアスペクト比が随分小さいのを想定されていますけど、これはJT-60SAで確かめられるのですか。
【坂本(宜)GL】 先ほどそれを御質問されて、そこを答えなかったなと思ったのですけど、アスペクト比で高いのは不本意なのです。第3期のときには、増殖ブランケットが薄くても三重水素の生産ができるようなものが開発されているのが望ましいです。アスペクト比がどうしても高くならざるを得ないときは、もう炉内コイルで上限値安定性とかハイベータの領域にアクセスするような、そういったものを、むしろ原型炉側からJT-60SAに要請を出さなくてはいけなくなるのだろうなと思っています。
御指摘のように、このアスペクト比が高いというのは、なかなかしびれるところなので、ここをどういうふうに緩和して、あるいはどういう戦略でやっていくかというのは非常に重要な御指摘です。
【伊神委員】 流れとしては低アスペクト比に寄ってきたというのが歴史的な流れかと思うのですけれども、ここでハイアスペクトが出ているので、かなり心配なところがありまして、その辺りと、技術の進歩でブランケットを薄くというあたりがうまくマッチできるのかなというのが、懸念としてコメントさせていただきます。
【坂本(宜)GL】 ありがとうございます。あと、低アスペクトの最たるものというか、例えばイギリスのSTEPの概念設計が最近どんどん出てきていますけど、あれを見ると、アスペクト比を下げて、カッパーを上げているのですよね。それでプラズマの性能を確保して――そこまでどうやって立ち上げるかというのが非常に大きな問題だと思うのですけど、あの設計を見ていても、主半径は小さいですけども、実はトロイダル磁場コイルは縦方向にすごく長くて、ITERの2倍ぐらいだったかな、かなり大きいのですよね。そういう意味で、小型といっても本当に小型になるのだろうかというようなところも、最近ふと思っていたところがあるので、そういったことも含めて、どこが商業化に向けて最適なのかというのは議論を深めていかないといけないかなと思います。
【伊神委員】 ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
大変貴重な御意見、コメントをいただきましてありがとうございました。
今、2030年代発電実証というところからバックキャストして、プランDという御説明をいただきました。7月10日の原型炉タスクフォースの委員会で、原型炉に向けた方針を見直したらどうかということが提示されまして、その中には、今この3ページに書いてある、原型炉の目標の見直しも含めてはどうかというお話でした。
今のプランDで、今までの議論だと丸2、丸3についてはまずできそうだということを、今、坂本グループリーダーから御説明いただいて、丸1の数十万キロワットというところが、今回少し厳しいだろうということです。この辺の見直しになってくると思いますが、今の皆様の意見、コメントをお聞きしますと、その辺りを見直して、今のプランDのようなステップを踏んでいくというところがより適切であろうということだと思います。
もちろん、坂本隆一委員の言われたようなところも懸念をしっかり確認しながら、そう進めていくというようなところが皆さんの御意見と受け止めましたが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 今、主査の坂本先生がおっしゃってくれたように、その案には賛成ですけれども、今日冒頭、藤岡先生からも質問がありましたように、どういうスケジュールでやっていくかという部分がすごく大事で、今日あまり議論にならなかったのは、今日はその可能性を検討いただいたということで、坂本様から設計の内容について御紹介いただいたのですけども、もしこのスケジュールで進めていくとなった場合にネックになるのは、いつから関連施設を開始して、どこでそのサイトを決めていくかというような部分になってくると思うのです。
だから、今日はその可能性を検討するということで主査にまとめていただいて、そこにリアリスティックをどう求めていくかという部分は、また全く別の問題なんじゃないかなとは思っております。
以上です。
【坂本(瑞)主査】 大変貴重な御意見ありがとうございます。おっしゃるとおりで、もう坂本グループリーダーのほうでいろいろとタイムスケジュールについても御検討いただいていると思いますので、今後、そのリアリスティックなタイムスケジュールというところをしっかり見ながら考えていくという形でいかなければいけないと思います。おっしゃるとおりです。
今日の議論を核融合科学技術委員会に御報告することになると思いますので、そういうところも考えていくということで進めたいと思います。
坂本グループリーダー、ありがとうございました。
【坂本(宜)GL】 どうもありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 大変詳しく御説明いただきました。あと、貴重な御意見もありがとうございました。
そうしましたら、質疑応答はここまでとさせていただいて、事務局より、原型炉タスクフォースにおける今回の議論を核融合科学技術委員会に報告することなどについて、御説明いただきたいと思います。
事務局より、よろしくお願いいたします。
【馬場戦略官】 戦略官の馬場です。本日は活発な御議論ありがとうございました。今、坂本主査から話があったとおり、今後の流れなどについて、事務局から御紹介したいと思います。
まず、そもそも本日議論をしていただいたところについては、最後に近藤先生からお話があったとおり、まず、我々が求められているものとしては2つございました。
1つは2030年代の発電実証に向けて、もう1つは、まさにITER計画のベースラインの見直しを受けて、原型炉開発に与える影響というところがどうなのかというところを、まずは検証するというのが最初のフェーズだと思っています。
7月10日以降、核融合科学技術委員会並びに原型炉タスクフォースで議論した結果については、11月の恐らく12日に開催される核融合科学技術委員会において、まずはこのITER計画ベースラインがあっても研究開発への影響は最小化でき得るのではないかという話と、ITERで培った技術、先ほどリアルツインという話もありましたが、そこで実証されたようなものを使うことによって、より最小化できるのではないかというような御議論だったかと思います。
そういった内容については、坂本主査から次回11月12日の核融合科学技術委員会にも御報告いただいた上で、改めてITER計画のITER機構からの提案の妥当性を含めて審議いただいた上で、ITER理事会、今のところ11月20日・21日に予定されています、その時の日本としての議論に生かしていきたいと現時点で考えているところでございます。
加えて、今日の議論はあくまでも可能性、どちらかというと技術的な実現可能性というところに関して議論をしていただいたと思います。当然ながら、今日お示しいただいたパラメーターなどについては暫定値ということで、まだまだ検証が必要だと我々も理解しています。
今後、12月以降も、よろしければこの原型炉に向けた議論というのは継続させていただいて、できれば、国家戦略の改定も見据えておりますので、そういったところにも適切にインプットしていきたいと思っております。
特に今回の議論は、参考資料1の右側でいうと丸1ではありましたけれど、丸2の原型炉実現に向けた基盤整備の部分、例えば、研究開発に加えて人材育成、アウトリーチ、拠点化、そういったところについて本日は議論できなかったので、次回、できれば議論していきたいと思っています。
特に、例えば人材育成の観点でいうと、12月には、委員の皆様の中には協力いただける方もいらっしゃいますが、ITERインターナショナルスクールというものもございますし、またアウトリーチについても、坂本主査からアウトリーチヘッドクォーターの活動であるとか、あとは吉橋委員からも、適切な社会的な受容性といったところに関しても議論をさらに深めていくべきだと思っておりますし、イノベーション拠点化についても、我々しっかりと取り組んでいきたいと現時点で思っているところでございます。
また、先ほどの、できればロードマップの横の表に戻っていただければと思います。実は自分も本日、QSTの那珂研究所から参加させていただいているところでありますが、先ほど内閣府科学技術政策担当大臣の城内大臣が、JT-60SAを視察しております。
視察したときに申し上げたところとしては、人材育成の重要性や、あとは国際連携に関していうと、ちょうど来週の月曜日には、G7の首脳会談で盛り込まれたG7フュージョンエネルギーワーキンググループというものがローマで開催されますし、また水曜日、11月6日には、IAEAが主催するワールドフュージョンエネルギーフォーラムというものも、ローマで閣僚級会合という形で開催されるなど、国際連携というものがITER、BAに加えて広がっている中で、日本としてもしっかり役割を果たしていきたいというような発言もありました。
加えて、官民連携の重要性というところもありまして、スタートアップの話もありましたが、日本として、民間の技術力といったものもうまく巻き込みながら進めていくことの重要性などについて、人材育成、国際連携、官民連携といったところについての発言が大臣からも指示があり、そういったところも踏まえて、国家戦略の改定にも生かしていくというような話がありました。
事務局としては、本日活発にいただいた議論については、ロードマップ等にも盛り込みたいと思っておりますし、最後に御発言があったとおり、リアリスティックな計画というところも、今、統合イノベーション戦略では、必要な国の取組を含めた工程表というものをつくるということも求められていますので、バックキャストで考えていけるといいかなと思っております。
その際には、本日はどちらかというと、この丸4の議論が中心ではありましたが、吉橋先生からおっしゃっていただいた中性子源について、海外でも検討が進んでいるDONESの扱いをどうするのか、また、研究開発でいえば丸4の部分、いろいろと項目がありますし、ブランケットの部分についてもどう目配せしていけばいいのか、この辺りについても、今後、ITERのベースラインの見直し、また2030年代発電実証を目指すJT-60SA等々の状況を踏まえての改定というところも、この原型炉タスクフォースでも議論していきたいと考えているところでございます。
いずれにせよ、本日議論いただいた内容については、坂本主査から核融合科学技術委員会に御報告いただきつつ、また、原型炉の具体的な方向性等については、この場で継続的な検討をしながら、ほかのサイトであったり安全性であったり、そういったところについても、議論の内容についても議論していただきたいと考えているところでございます。
長くなりましたが、事務局としては以上のように考えているところでございます。
私からは以上です。
【坂本(瑞)主査】 馬場戦略官、ありがとうございました。
本日の議事はこれにて終了になります。事務局から連絡事項等ございますか。
【久島専門官】 ありがとうございます。
次回の原型炉タスクフォースの開催でございますけども、事務局からまた追って日程調整の御連絡をさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 久島専門官、ありがとうございました。
本日の原型炉タスクフォースはこれで閉会といたします。御多忙中、御出席いただきましてありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付
電話番号:03-6734-4163