令和6年8月19日(月曜日)15時00分~17時00分
オンライン開催
(1)フュージョンエネルギーの早期実現に向けて
(2)原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて
(3)原型炉実現に向けた基盤整備について
(4)その他
坂本瑞樹主査、武田秀太郎主査代理、伊神弘恵委員、大山直幸委員、奥本素子委員、木戸修一委員、古賀麻由子委員、近藤正聡委員、坂本隆一委員、鈴木隆博委員、馬場貴志委員、福家賢委員、藤岡慎介委員、横山須美委員、吉橋幸子委員
坂本宜照 量子科学技術研究開発機構核融合炉研究開発部核融合炉システム研究グループリーダー
堀内義規研究開発局長、清浦隆大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐、山﨑久路課長補佐、久島鉄平核融合科学専門官、安原亮科学官、梶田信学術調査官
【坂本(瑞)主査】 それでは、始めたいと思います。本日は、御多忙のところ、御参加いただきまして、ありがとうございます。定刻となりましたので、第36回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催いたします。
今回は、オンライン形式で開催します。司会進行については、全体の進行は主査の私、坂本が担当します。
それでは、議事に入る前に、事務局より新たな事務方の紹介、定足数及び配付資料の確認をお願いいたします。
【久島専門官】 ありがとうございます。前任の日野の後任として参りました、私、核融合科学専門官に着任しました久島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の委員の御出欠でございます。本日は、委員全員がそろわれたということですね。本日の原型炉タスクフォースの定足数でございますけれども、過半数となってございまして、定足数を満たしているということを御報告申し上げます。
また、本日は、オンライン形式による開催となってございます。委員の皆様におかれましては、御発言いただく際には画面の下にございますリアクションから「手を挙げる」ボタンを押していただいて、ミュートを解除の上、御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
最後に、本日の配付資料でございます。議事次第に記載のとおり資料1から資料3及び参考資料1から参考資料5となります。会議中でございますけれども、Zoomの画面共有機能を使いまして、事務局より資料を表示させていただきます。また、本日、研究開発局の清浦審議官にも御参加いただいてございますので、御紹介申し上げます。
事務局からは以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 久島専門官、ありがとうございます。
本タスクフォースは、核融合科学技術委員会運営規則に基づき、議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので御承知おきください。
また、本日は、議題2の説明者として、量子科学技術研究開発機構(以下、QST)、核融合炉システム研究開発部の坂本宜照核融合炉システム研究グループリーダーに御出席いただいております。
それでは、本日の議事に入ります。議題1は「フュージョンエネルギーの早期実現に向けて」です。まずは事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【馬場戦略官】 資料1に基づきまして、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて、戦略の加速に向けた国内外の状況について御説明したいと思います。
まず、諸外国の動向です。こちらについては、過去、この場でも御報告させていただいているところでございますが、皆様、御案内のとおり、各国が国策としてフュージョンエネルギーを推進しているところでございます。アメリカ、イギリス、ドイツ、中国の例を記載しておりますが、先月には韓国においても加速プランを公表しているところでございます。また、2ページ目の一番下に記載のITERにつきましても、前回の核融合科学技術委員会、原型炉タスクフォースの合同開催において、ITER機構の鎌田副機構長からベースラインの提案について御説明があったところです。こちらについては、参考資料2としても配付しているところです。
本日は、この中で特に注目すべき点としてアメリカの状況について御紹介したいと思います。2024年6月、2022に発表したビジョン、Bold Decadal Vision、こちらの2周年記念イベントをホワイトハウスで開催した際に、アメリカとして初めて「フュージョンエネルギー戦略2024」を発表しております。
こちらの概要について、3ページ目にまとめております。3本柱で構成されておりまして、1つ目がパイロットプラントまでの科学技術ギャップを埋めること、2つ目が商業展開への道筋を準備すること、3つ目が外部パートナーシップを構築し活用するということがうたわれており、この国際パートナーシップの中には日米、ITER、IAEA、G7、そういったところも明示されているところでございます。また、その一環にはなりますが、先月にはフュージョンエネルギーの規制に関して法律が制定されています。アメリカの原子力基本法を改正し、核融合装置(fusion machine)というものを定義しており、加速器と同様な規制を行うというところが法定化、明確化しているところでございます。
各国の動向に加えまして、国内の状況については、こちら、既に何度か御報告している内容になりますので、簡単に御紹介したいと思います。まず、こちら5ページ目、11月にITER機構長が総理を表敬しているときの写真になります。岸田総理からはフュージョンエネルギーの早期実現に向けた取組を加速していきたい、そういった発言があったことを踏まえ、本タスクフォースでも議論を重ねてきたところかと思います。6ページ目については、3月、また、6月の際の資料ですが、早期実現に向けて必要な取組として8項目を挙げ、議論を行い、その結果も踏まえ、6月には総合科学技術イノベーション会議において統合イノベーション戦略2024の議論が行われ、先般、閣議決定がされたところでございます。
その中には、例えば8ページ目の一番下のところには、民間企業やアカデミアの予見可能性を高めるため、アメリカやイギリス等のスタートアップが掲げる野心的な発電時期も踏まえつつ、ITER計画/BA活動の知見や新興技術を最大限活用し、バックキャストに基づくロードマップ、こちら、おそらく原型炉研究開発ロードマップの改定になるかと思いますが、そういったものを策定するというところがうたわれているところでございます。
また、本日の後半の議論にも関わる部分として、9ページ目の一番上、冒頭には原型炉実現に向けた基盤整備を加速するため、産学官の研究力を強化するとともに、QST等の体制を強化し、ほかの国研等とも連携しつつ、アカデミアや民間企業を結集して技術開発を実施する体制やスタートアップ等への供用も可能とする実規模技術開発のための試験施設・設備群を整備するということが記載されています。
また、一番下には原型炉開発などのフュージョンエネルギーに関わる人材を戦略的に育成するため、大学間連携、国際連携による体系的な人材育成システムを構築するとともに、リスクコミュニケーションによる国民理解の醸成等の環境整備を一体的に推進するということが記載され、こういった内容が閣議決定しております。
前回、12ページ目の資料において原型炉タスクフォースでも議論してまいりました。国家戦略に基づき、原型炉を早期に建設するということが肝要であることや、3つ目のポツになりますが、ITER計画の進捗状況や諸外国で掲げられている野心的な目標も踏まえ、以下の観点に留意しつつ、原型炉に向けた方針を目指してはどうかということで4点、掲げております。社会実装につながる科学的・技術的に意義のある発電実証を可能な限り早期に実現すること、原型炉目標や原型炉段階への移行判断を見直すこと、ITER計画/BA活動の知見や新興技術を最大限活用すること、原型炉実現に向けた基盤整備として研究開発、人材育成、アウトリーチ活動、拠点化も含めたバックキャストに基づくロードマップを策定することについて、前回の本タスクフォースと委員会の合同開催の場でも御議論いただいたかと思います。
本日の原型炉タスクフォースでは、前回、また、これまでの議論を踏まえ、13ページに記載の以下の点について議論してはどうかと考えております。この下の部分については、前回、核融合科学技術委員会・原型炉タスクフォースをどう今後議論していくかという縦紙の絵があったかと思います。本日の参考資料1で配った資料に基づいて記載しておりますが、まず1として原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けた検討ということで、本日の議題2で扱いたいと思います。また、2として挙げている原型炉実現に向けた基盤整備については、本日の議題3において、その具体化に向けた議論を重ねたいと思っております。
繰り返しになりますが、本日の議題2においては、発電実証を目指すとした閣議決定を踏まえて、検討を行っていただいており、その点について報告後、議論したいと思っております。まず、1番目については、原型炉移行判断の見直しについて、ITER計画のベースラインの改定も見据えた見直し案について議論してはどうかと考えております。また、2番目について、発電実証の更なる前倒しの可能性については、本日、参加いただいている坂本グループリーダーからスケジュールをさらに前倒しすべきとの方針を踏まえ、原型炉目標・設計の変更について、これも前回、委員なども御発言があったことも踏まえて、坂本グループリーダーから御報告をいただくということになります。
その際には、例えば今現状あるプランAとしての原型炉、ITERよりも大きなサイズの目標を掲げているものに対して、例えばプランBとしてITERサイズの原型炉、こちらについては原型炉設計合同特別チームでも、こういった形で既に議論が重ねられてきたものになっております。例えばコイルなどについて、高温超伝導コイルなどを使うということを仮定した場合の検討を行っております。また、プランCについては、第34回の原型炉タスクフォースでの武田主査代理から御提案があった内容、また、プランDとしては原型炉の第1期目標を発電実証として、多段階で改造するという内容です。そういったいろいろな可能性が考えられる中、本日、この後、議題2においてQSTから検討の状況について御説明していただいた後、委員の先生方から御質問、御意見をいただければと考えております。
雑駁にはなりますが、冒頭、国内外をめぐる状況としての説明は以上になります。主査にお返しいたしますので、よろしくお願いいたします。
【坂本(瑞)主査】 馬場戦略官、ありがとうございました。
ただいまの御説明に対し、御意見、御質問などございましたらお願いいたします。武田主査代理、お願いします。
【武田主査代理】 戦略官、主査、大変ありがとうございます。1点だけ冒頭に1つ御質問を申し上げたいと思っております。先ほども閣議決定において、このバックキャストによるロードマップの改定という文言を御紹介いただきましたが、このバックキャストによる議論ということを申し上げるからには、ゴールの最後の出口の部分の定義というものが起点になろうかというふうに思案をしております。
本日、このゴールの部分というものが既に定まっているかどうかという部分も含めての御質問ではございますが、本日であるとか、今後の議論が混線をしないように、ある程度、事務局のほうで、このゴールについての考え方を御整理いただけるとよいかと考えております。少なくとも資料を拝見するからには、この2030年代の発電というものが1つのゴールであると読めますが、そういった解釈で正しいのかも含めて御確認をさせていただければと考えます。
【坂本(瑞)主査】 戦略官、お願いいたします。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。今の御質問については、こちらに記載の統合イノベーション戦略に基づいた御質問かと理解しております。基本的にこちらについては閣議決定されている文書でありますので、こちらがある意味、議論の発射台、スタート地点になるかと思っています。前回、こちらの会議でも御紹介した参考資料1の核融合科学技術委員会と原型炉タスクフォースの流れ図があったかと思います。当然、こういった閣議決定もありますし、前回、鎌田副機構長からプレゼンいただいたとおり、ITERのベースラインの見直しに当たっては、それに伴う原型炉に当たっての影響、そういったものも俯瞰的に議論した上で最終的な判断をしていくというような流れだったかと思います。
最終的に日本としてITERのベースラインについてどうすべきかというところ、また、それを国家戦略の改定を見据えた検討をするに当たっては、我が国としての原型炉、そういったところを見据えた方向性というところも全て包括したような形での議論を最終的にはしていかないといけないと思っています。いずれにせよ、最終的には、そういったものが適合するような形で全体最適を考えた上で設計していく必要があると思っています。バックキャストのゴールに基づいて、今後何をすべきかというところをこの原型炉タスクフォースの場で議論していければいいかなと思っています。お答えになっていますでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 武田主査代理、よろしいですか。
【武田主査代理】 大変ありがとうございます。バックキャストのゴールも含めて、こちらの統合イノベーション戦略の文書がベースになるというお答えだったと理解いたしました。ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見などありましたら、お願いいたします。坂本隆一委員、お願いいたします。
【坂本(隆)委員】 2030年代の発電実証を目指すという社会からの期待に対して、やはり科学技術的な裏付けを持って遂行可能な方針を示すことが私たち原型炉タスクフォースの役割だと思います。発電という言葉は、社会の中で共通の認識がある言葉なので、社会が何を求めている発電とは何か?ということを明確に理解した上で、原型炉に向けた方針を見直す必要があると考えています。
以上、コメントです。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
前々回にも議論がありましたが、やはり科学的な裏付けをよく考えながら進めるということで、それは原型炉タスクフォースでこれからしっかり議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、次の議題として議題2「原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けて」に入ります。先ほど議題1で事務局から御説明があったとおり、本日の原型炉タスクフォースでは、議題2において原型炉研究開発ロードマップの見直しに向けた検討、議題3において原型炉実現に向けた基盤整備について議論を実施することにしています。議題2では、QSTにおいて原型炉移行判断の見直しについて及び発電実証の更なる前倒しの可能性について御検討いただいており、本日はその内容について御報告いただきたいと思います。意見交換は2つの内容を聞いた後で行います。
それでは、まず原型炉移行判断の見直しについて、QST経営企画部の第3研究企画室長でもある大山委員、よろしくお願いいたします。
【大山委員】 QSTの大山でございます。私からは原型炉研究開発ロードマップ及び原型炉移行判断の見直し案について提案させていただきます。
2ページ目をお願いいたします。委員の皆様は、既に御承知と思いますが、我が国における核融合研究開発の方針について振り返りますと、核融合科学技術委員会において「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」が策定されております。この文書には、1.核融合原型炉の開発に必要な戦略、2.原型炉に求められる基本概念と技術課題解決のための開発の進め方、3.原型炉段階への移行に向けた考え方について、が記載されており、チェック・アンド・レビュー項目案の1項目として原型炉段階への移行判断の案が示されております。
その後、第2回中間チェック・アンド・レビュー項目の見直しの議論などを踏まえて、一部見直しを行った原型炉段階への移行判断の案が第34回核融合科学技術委員会で示されております。一方、原型炉タスクフォースにおいて、原型炉の実現に向けた戦略を分かりやすく示すためのロードマップが作成されておりまして、核融合科学技術委員会で承認されております。現在、右下に示している、我々がよく知っているロードマップでございますけれども、現在は、この図に示すロードマップを踏まえて研究開発を進めているというところでございます。
3ページ目をお願いいたします。この表に示すのが第34回核融合科学技術委員会で承認された原型炉段階への移行判断項目を示しております。赤字にしているところがITERの成果が明記されている項目でございます。ITERによる自己加熱領域での燃焼制御の実証では、ITERによるQ=10程度以上の、数100秒程度以上の維持と燃焼制御の実証となっております。2つ目の原型炉を見据えた高ベータ定常プラズマ運転技術の確立では、ITERによる非誘導電流駆動プラズマの実現及びITER燃焼制御の知見を踏まえた統合シミュレーションにより、非誘導定常電流運転の見通しを得る、となっています。3つ目のITERによる統合技術の確立では、ITERの運転・保守を通した統合化技術の確立、安全技術の確認となっています。5つ目の原型炉に関わる炉工学技術開発では、ITERによるトリチウム回収及び核融合中性子源によるトリチウム挙動評価技術の検証となっております。
4ページ目をお願いします。一方、前回の原型炉タスクフォースにおいて、ITERの新ベースライン全体スケジュールが説明されましたが、この資料によれば、図の右下に記載されているように、ITERによるQ=10程度以上の維持と燃焼制御の実証の達成時期が2046年になる見通しとなっております。そのため、原型炉の建設を加速するためには、現在の移行判断の見直しが必要になると考えてございます。そこで、この新ベースライン全体スケジュールにおける主要マイルストーンを考慮して、この下の図にあります赤枠で囲われているダイバータ運転のところと上のほうにありますDT核融合運転、この2つを新たな判断基準とすることで、原型炉段階への移行判断をブレイクダウン、明確化するということを提案させていただきます。
5ページ目をお願いします。具体的にどのようにブレイクダウンをするのかということについて御説明いたします。この真ん中に示す図はJT-60SA、ITER、原型炉、核融合中性子源、それぞれの工程を並べたものでございます。現在は概念設計フェーズにある原型炉の開発工程につきましては、JT-60SAの成果を反映しつつ、ITERの組立と並行して実規模技術開発を行う工学設計フェーズへ移行する必要がございます。
移行判断の項目1につきましては、現在の移行判断では、ITERによるQ=10程度以上の維持と燃焼制御の実証の達成を踏まえて製造設計に着手する、これが原型炉段階の移行判断ということになっておりましたけれども、ITERの研究運転開始期、この図で行きますとSROというところでございますが、このSROにおいてダイバータプラズマが達成できれば、ITERの設計技術基盤を実証したと考えることができますので、それに基づいて原型炉各機器の製造設計を開始できるのではないかという提案をさせていただきます。このようなブレイクダウンをしますと、移行判断時期としては、この図でいくと、ちょうど真ん中の辺り、2035年頃のSRO開始のタイミングで、この製造設計開始の判断ができるのではないかというものでございます。
続いて短パルス低出力の重水素-重水素運転及び重水素-三重水素運転のデータを基にシミュレーションコードを用いてQ=10、500メガワット出力のプラズマ運転シナリオが確立できれば、ITERの建設技術基盤を実証したと考えることができ、それに基づいて原型炉各機器の製作を開始できるのではないかという提案をさせていただきます。この案に基づいて、ここで言う原型炉建設開始の判断としております機器製作の開始の判断ということでございますが、この移行判断の時期としては、2042年頃となります。最終的にITERによるQ=10程度以上の維持と燃焼制御の実証の達成を踏まえて、原型炉における核融合運転を開始するというのが一番この表の右の最終判断というものでございます。現在は1つの項目となっております移行判断の内容をこのように3つの段階に明確化することにより、ITERの新ベースライン全体スケジュールの更新が原型炉開発工程全体に与える影響を緩和することが可能になると考えております。
6ページ目をお願いします。項目2につきましては、JT-60SAにおける高ベータ定常運転領域の実証を踏まえて製造設計を開始するということを提案させていただきます。また、原型炉の工学設計は、統合シミュレーションコードにより作成した原型炉の運転シナリオに基づいていますので、ITERの燃焼制御とJT-60SAの定常運転、この2つの知見を取り込んだ統合シミュレーションコードで原型炉の非誘導定常運転の見通しが得られれば、原型炉でその運転を実現できる可能性は高いと考えられます。そのため、ITERにおいて非誘導電流プラズマの実現を待つ必要はないのではないかという提案をさせていただきます。具体的には、この上の表の移行判断で、赤で取り消し線を記載してございますけれども、この部分は割愛できるのではないかという提案をさせていただいたのが項目2でございます。
項目3につきましては、短パルス低出力の重水素-重水素運転及び重水素-三重水素運転を踏まえてITERの運転・保守を通した統合化技術の確立や安全の確認を行い、原型炉各機器の製作を開始するということを提案させていただきます。
7ページ目をお願いします。項目5につきましては、開発試験施設での成果及びITER、JT-60SA等の実績を踏まえた原型炉工学設計を裏付ける炉工学技術の確立を踏まえて、原型炉各機器の製作を開始することを提案させていただきます。そして、ITERによるトリチウム回収及び核融合中性子源によるトリチウム挙動評価技術の検証を踏まえて、原型炉における核融合運転を開始するというものでございます。
最後に、今回、御提案した見直し案でございますけれども、現状のJA-DEMOを建設することを前提とした場合における明確化のたたき台でございます。今後、原型炉の要件、目標について議論を進めていく中で、ITERと原型炉との間の技術的ギャップが変わるのであれば、今回、御提案した判断の時期や内容をさらに見直すこともあり得るかと思います。
大山からの説明は以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 大山委員、ありがとうございました。
続きまして、発電実証のさらなる前倒しの検討について、QST核融合炉システム研究開発部の坂本宜照核融合炉システム研究グループリーダーからお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【坂本(宜)グループリーダー】 御紹介いただき、ありがとうございました。では、QSTの坂本宜照から説明させていただきます。
2ページ目をお願いいたします。まず、発電時期のさらなる前倒しの検討に向けてということで、令和4年には第1回中間チェック・アンド・レビューでの指摘を受けて、アクションプランに沿ったJT-60SA及びITERから原型炉への統合戦略に基づいて、運転開発の目標をITERから技術ギャップの小さい低出力でパルス運転による早期発電実証と商用炉段階に向けた定格出力と連続運転による発電実証の2つに分けることで、発電実証の5年程度の前倒しというものがこの原型炉タスクフォースで検討されておりました。
その後、各国政府は2030年代の早期発電実証に向けた政策を打ち出しており、我が国においてもフュージョンエネルギーによる2030年代の発電実証に大きな期待が寄せられて、国家戦略が策定されて以降、様々な取組が展開されていることを認識しております。また、政府主導で原型炉による発電時期のさらなる前倒しを行うことは、スタートアップを含む産業界の取組をも後押しし、フュージョンエネルギーの社会実装に向けて我が国の技術的優位性を確保することにつながるものと確信しているところでございます。
3ページ目をお願いいたします。まず、現在の概念設計を実施中の原型炉、JA-DEMOの概要について御説明させていただきます。まず、JA-DEMOの設計方針は、ITERの建設期には原型炉に向けた大規模なR&Dの実施というのは、なかなか難しいだろうということもございまして、技術的に確実に見通し得る原型炉概念を構築するために、主要機器であるトロイダル磁場コイルや増殖ブランケット、これはITERでのテストブランケットモジュールですけれども、あとダイバータ、そういったものについてはITERの技術基盤の延長に概念というものを構築してまいりました。また、当然、発電するのでITERにない技術基盤が必要になるのですけれども、それらについては産業界の軽水炉等の発電プラント技術及び運転経験並びに大学等による未踏技術の解決方策を取り入れた概念としております。
一方、炉心プラズマについては、ITERとJT-60SAの想定成果に基づいた概念としております。これらの設計方針の下、核融合科学技術委員会の提示した3つの目標、すなわち、数十万キロワットの安定した電気出力、実用に供し得る稼働率、燃料の自己充足性に見通しを得る基本概念というものを構築してまいりました。その結果、当然、ITERの主半径6.2メートルよりも、2回りくらい大きくて、主半径8.5メートルとなっております。核融合出力については、ITERの3倍に相当する1.5ギガワットを発生します。これにより発電端での電気出力は約640メガワット発電しまして、ただ、核融合炉、加熱機器等の所内電力、所内に必要な電力が結構大きいもので、送電端での電気出力としては250メガワット以上になるという、そういった見込みでございます。
また、この装置の特徴として、定常運転から2時間程度のパルス運転を行うことができる運転柔軟性を備えたということがあります。さらにそのとき、パルス運転では、右図に少し色を変えて記載しているのですけれども、プラズマに対する要求性能、具体的には閉じ込め改善度ですとか、規格化ベータ値、こういったものを緩和した上で早期に発電実証ができるような概念というのがこのJA-DEMOの特徴となります。
では、4ページ目をお願いいたします。それでは、ここから前倒しの考え方について説明させていただきます。これまでのITERの建設経験、あるいは製作経験といったことを踏まえますと、ITERよりも大型化しているJA-DEMOの建設工期を短縮して前倒しするということは簡単ではないだろうと考えております。特にJA-DEMOのトロイダル磁場コイルは、既存の大型装置では加工できないだけではなくて、輸送も困難なために原型炉建設サイトに大型の加工機を設置して製作する必要があると議論しております。
そこで、これまでに原型炉タスクフォースが示した加速案をさらに前倒しするということを考えますと、製作実績があるITERと同じトロイダル磁場コイルを採用すれば、一度作ったことがあるので、製作工期を短縮できるのではないかということを考えています。あるいはもっと小さいコイルであれば、さらに製作工期を短縮できそうなのですが、高いエネルギー増倍率を持った燃焼プラズマも同時に得ようと思うと、やはりITERサイズにする必要があると考えました。したがって、原型炉計画を前倒しするには、ITERサイズの原型炉で小規模の発電からプラント規模の発電を実証する運転開発フェーズの多段階の目標を設定し、それに合わせてやはり多段階に機器を改良していくというアプローチが考えられるのではないかということで検討しております。
さらに、建設開始までに実施する大規模なR&Dについては、早期の発電実証に必要な最小限のR&Dに重点化することで、原型炉の建設着手を前倒しできるのではないかとも考えております。もともと運転の途中で定期的に交換する必要がありますブランケットやダイバータの高性能化ですとか、あるいは加熱機器の定常化や高効率化に関するR&Dは、民間の力も活用して原型炉建設と並行して開発することで、核融合機器産業や核融合発電産業への展開も見込めるのではないかと考えております。そこで、私たちのところでは、原型炉目標の見直しの議論に資するため、ITERと同じサイズのトロイダル磁場コイルや真空容器にJA-DEMOで設計が進められている増殖ブランケットを導入した場合に、どの程度の発電規模が見込まれるのかといったことを検討しました。
5ページ目以降で、それについて説明させていただきます。まず、繰り返しになりますけれども、ITERと同一のトロイダル磁場コイルと真空容器を仮定して、その中に奥行き0.5メートルの増殖ブランケットと、そのすぐ裏に0.6メートルの遮蔽領域、これを確保する必要があります。そうすると、右側に簡単な図で示しておりますが、ITERのトロイダルコイルの中に2つのプラズマの断面があります。点線がITERで、DEMOが実線で記載されています。ここに示すように、DEMOの、原型炉のプラズマの断面というものがITERよりも大幅に小さくなってしまうということがあります。これは先ほど言った増殖ブランケットと遮蔽領域をITERに加えて追加するとき、ITERは遮蔽ブランケットというふうにあるのですけれども、これは0.45メートルと原型炉に比べればはるかに薄いので、そういった状況なので断面がこれだけ小さくなってしまう、というわけです。
そうすると、ITERよりも小さいプラズマになってしまうということで、たとえJA-DEMOで想定しているプラズマの性能を仮定しましても、発電端出力、発電端出力というのはタービンでの発電機の出力ですけれども、これは100メガワットに及ばない程度になってしまうというのが状況です。さらに原型炉の運転に必要な電力というのを差し引いた正味の電力、これはマイナスになってしまいます。わずか発電しているのだけれども、正味電力は、実際には出てこないという状況です。これがただ単純にITERの中に入れた、増殖ブランケットを入れた状況ですけれども、ただ、これだけでは当然終わらなくて、正味電力を得るためにはいくつか方針があるということで、真ん中に記載させていただいております。
例えば増殖領域を0.2メートル薄くすると、その分、プラズマが直径として40センチ、大きくすることができるので、発電端出力というのが大体100メガワットぐらい出てきます。このときに大体正味の電気出力が正にやっとなるという見通しがシステムコードの結果で出ております。ただ、増殖領域を薄くするので、これだけ薄くすると三重水素の増殖比というのが12%程度減少してしまうというトレードオフがあります。さらに、遮蔽領域です。今度、これを20センチ薄くしますと、発電端出力で、倍で200メガワット、このときに正味の電気出力で50メガワット以上に見通しが得られるというのが状況です。ただ、これについてもやはりトレードオフがあって、今、装置の寿命が、トロイダル磁場コイルの導体に巻いている絶縁材の寿命で制限されているという状況なのですけれども、これとのトレードオフになるというところです。
そのほかにトロイダル磁場コイルの設計応力、これは高強度の低温鋼の材料を開発するですとか、あるいは導体の設計歪みを改善することで、より多くの電流を流すことができるので、そういうことを設計に取り入れますと、磁場強度を上げて発電規模も増大できるということがございます。こういったことから、最初は正味電力ゼロを目指しつつ、その後にITERやJT-60SAに加えて、少し先送りした各種のR&Dの成果を取り込むことで、フュージョンエネルギーによる100メガワットクラスの発電実証を目標として定めることは可能であると考えております。これには発電をするということで十分な意義があるのではないかと考えているところです。と申しますのも、発電そのものを実証していれば、プラズマ性能、その後にはプラズマ性能の向上やシステム効率を改善するということで、所内で消費する電力を下げてやる、そういうことで正味電力を増大することが可能になるということがあります。
では、6ページ目、お願いいたします。最後なのですけれども、原型炉計画のさらなる前倒しについて、仮に運転開発期の目標をここに示す3段階に分けたときに、主要機器の段階的なアップグレードの例というのを表にまとめてございます。例えば第1期に短パルス運転で正味電力はマイナスなのだけれども、ある程度の発電を実証するということを目標とします。このときには、ITERやJT-60SAでほぼ開発済みの主要機器、超伝導コイル、真空容器、加熱機器、炉心プラズマ、こういったものを仮定します。そういった機器で達成すると考えています。
そして、第2期には、今度は長パルス運転をやることと、あとは正味電力ゼロを目指すとともに、三重水素の増殖比が予想どおり、計算どおり、シミュレーションどおりできているか確認するということを例えば目標に置きます。このときまでには加熱装置の長パルス化を行って、長パルス化を行うように開発を原型炉と並行して進める、具体的にはNBIですと定常の負イオン源ですとかジャイロトロン、ECですと定常のジャイロトロンをここまでに開発し、そして第3期には、定常運転で正味の、正の正味の電力、三重水素の自己充足性を実証にするということを目標に置きます。
このときまでには、例えば薄くても必要な三重水素を生産できる改良型のブランケットですとか、加熱機器の高効率化、ここに記載してございますのは、光中性化セルですとか、多段階のエネルギー回収型のジャイロトロン、こういったものをここまでに開発を完了することで目標が達成できるのではないかと考えます。このようにすることで、製作に長期間を要するトロイダル磁場コイルを製作実績のあるITERサイズにすることによる建設期間の短縮と合わせて、炉内機器の高性能化や加熱装置の定常化・高効率化に関する実規模技術開発を原型炉建設と並行して実施することで、先ほど大山から説明のあったITER、ダイバータプラズマの達成を待たずに建設、具体的には製造設計に着手するということも可能ではないかと考えております。
私からは以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 坂本グループリーダー、ありがとうございました。
2点の御説明をいただきました。ただいまの原型炉移行判断の見直しについてと発電実証のさらなる前倒しの可能性について御説明いただきましたが、これに関して御意見、御質問をお願いしたいと思います。ただ、先ほど大山委員もおっしゃられたように、大山委員の発言はJA-DEMOの観点で、坂本グループリーダーは、さらなる前倒しという形でサイズも変わっていますので、2つを混同すると話が混線しそうですので、少し整理しながら議論できればと思います。そこで、まずはJA-DEMOの大山委員の移行判断の見直しについて御意見等ありましたらお伺いして、その次に坂本グループリーダーのご説明について、あとはその2つを合わせた形でさらなる前倒し、今回の議題で大切なロードマップの見直しについてという総合的な討論に入れればと思います。時間は十分にあるようですので、忌憚のない御意見をお願いいたします。
それでは、まず前半の原型炉移行判断の見直しについて、御意見、御質問などありましたら、お願いいたします。藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 御説明、ありがとうございました。御説明を聞いていて思ったことなのですけれども、ITERという文言がたくさん出てくるのは、いろいろな事情があってそこに出てくるというのは重々理解しています。ただ、今日の御説明ですと、ITERという装置そのものよりは、この原型炉判断に必要な要素が確認できることに対して確信を持てるというのが移行判断にとって重要であるというふうなことなのかなと私は理解しました。
そうすると、あえてITERという言葉を使わずに、もう少し明示的に移行判断において必要な要素というのは何かというのを記載して、それがどこで達成されるのかというのは、明記しないというやり方もあるのかなと思ったのですが、例えば最近では海外の民間などがITERよりも先に何かトカマク型の装置を造るのだというような話もあるというふうにお伺いしていますので、そういうところで実証されたというのも、ある意味移行判断に使えるとは思うので、そういうふうに装置にこだわらないという移行判断の基準の作り方というのもあると思うのですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。要素の物理的な課題、工学的な課題が解決された時点で移行判断に入っていくということですが、大山委員、この御意見に対してよろしくお願いします。
【大山委員】 藤岡委員、御意見ありがとうございます。今、藤岡委員が言われたやり方というのも、もちろん1つの見直しの仕方であるかなとは思っております。今回、私のほうから御提案させていただいたものは、基本的に今、核融合科学技術委員会でオーソライズされている原型炉の移行判断の基準そのものは、一切変えずに、それがITERのどのタイミングで達成したとみなすのかというところを3段階に明確化することによって、今回のITERのリベースラインの影響を緩和するという観点で御提案したというものでございます。
一方、私の説明の最後のところで少しコメントしましたけれども、そのJA-DEMOを建設するということを前提とした場合のものを想定しているので、判断基準そのものはみなさないで時期をみなすというふうな提案をしましたけれども、藤岡委員が言われましたように、その原型炉の要件についても議論をするということであれば、それと併せてですね、その要件、要素技術を、何をもって我々達成したのかというところを改めて見直すというやり方というのはもちろんあるかと思っております。そういった議論はQSTから個別に提案するということもありますけれども、この原型炉タスクフォースの中で皆様の御意見を聞きながらコンセンサスを得ていくというプロセスになるのかなと思ってございます。
【藤岡委員】 ありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
坂本隆一委員、お願いします。
【坂本(隆)委員】 ITERの成果を最大限生かす観点から、原型炉への移行段階を段階的に進めると示していただいたのは、1つの方針としてとてもよいかと思います。そして、藤岡委員からのコメントにも関係するのですが、原型炉タスクフォースでの議論では、アクションプランを作って、達成しないとならない要素技術を定義して、その要素技術が満たされたということの代表として、ITERのことが記載されていると思いますので、アクションプランも含めれば、藤岡委員が言われたように、その要素技術を満たしたということをチェック・アンド・レビューでは、しっかりと判断しないといけないのではないかなと思っています。
それと、個別の話になってしまうのですが、2番目の高ベータ定常パルス運転技術の確立に関しまして、統合シミュレーションによって見通しを得ることを核融合運転の判断としていますが、統合試験をして、もう運転開始をするという段階において、装置ができているのに運転を開始しないという判断はないように思います。それを考えますと、このシミュレーションなどは建設開始の判断にすべきではないと思ったのですが、この運転開始という判断はどのような扱いになっているのかを教えてください。よろしくお願いします。
【坂本(瑞)主査】 大山委員、お願いします。
【大山委員】 坂本委員、ありがとうございます。このブレイクダウンを考え、ベースの中で整理していく中で、この3段階目の3つ目、ペンディングとなっているところでございますけれども、ここはまさに坂本委員の御指摘のとおり、装置が出てきていて運転しないのかというようなことも当然、我々の中でも議論になったところでございます。少なくともコミッショニングを始めて、装置が基本的に動くのかというところは当然、始めてでもいいのだというふうには思うのですけれども、一方で、実際に実燃料を使った運転をする上で、何らかのエビデンスのようなものが求められる可能性もあるのではないかと思います。
そういう観点から、それは運転の許認可という観点ですね。だから、規制庁からは、別に、特に装置ができていれば、まず運転してみて、そこで問題なければ引き続き運転していいですよということであれば、特段こういった判断というものは必要ない可能性もございますけれども、今ここのペンディングで掲げたものについては、それなりにきちんと技術的な基盤があって、ITERの知見、JT-60SAの知見を踏まえて、こういったシミュレーションに基づいた運転シナリオをこの原型炉に組み込んでいますという説明をして、じゃあ、これで、実燃料でまず運転させてもらってよろしいですか、といった議論があるのではないかという想定の下にこのような判断を入れているというところでございます。
【坂本(隆)委員】 ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。伊神委員、お願いします。
【伊神委員】 核融合科学研究所(以下、NIFS)の伊神でございます。6ページの項目について質問させていただきます。原型炉段階への移行判断というところと、原型炉製造設計開始の判断というところで、JT-60SAにおけるというところは、何か同じ文言が記載されているのですけれども、これはなぜなのでしょうか。
【大山委員】 すみません。今、御質問があるところは、同じ文言というのは一番左の部分でしょうか。
【伊神委員】 一番左の項目2のところで、JT-60SAにおける原型炉プラズマ対向壁と整合した無衝突領域での安定な高ベータ定常運転領域の実証というところが、移行判断のところにも、設計開始判断のところにも両方記載されているところです。
【大山委員】 すみません、この表の一番左の原型炉の移行判断の列は、今はこの1つの移行判断だけしかないですよというもの、現行の移行判断でございます。
【伊神委員】 それが右側のほうになるということでしょうか。
【大山委員】 それを右の3つに、3段階のどこに今の移行判断の目標が、一体記載をしていくのかという、そういった表となってございます。
【伊神委員】 申し訳ありません。理解がしっかりとしていませんでした。これに関してもう一つ質問なのですが、定常運転領域の実証というのは、そのJT-60SAで行う予定の定常運転の秒数、そこをきっちりやるという理解でよろしいのでしょうか。
【大山委員】 そうでございます。はい。JT-60SAの装置の範囲の中で定常運転シナリオの研究開発を行いますけれども、それで規格化ベータが高いところできちんと定常シナリオが実証できたというものを踏まえて、この製造設計開始をする、そういったものでございます。
【伊神委員】 十分な再現性も確認しつつというところでいいのですよね。1回できたからよしとするのではなく、何回も再現性があるよねというところも当然確認されるという認識で合っておりますでしょうか。
【大山委員】 このチェック・アンド・レビューを今後行いますので、それを原型炉タスクフォースで行うのか、核融合科学技術委員会で行うのか分かりませんけれども、当然、ある程度のデータの蓄積も踏まえてチェック・アンド・レビューしていただくことになろうかと思います。
【伊神委員】 実際、そのチェック・アンド・レビューに係るときに、ある基準を設けて、そこに従って判断していくということでしょうか。
【大山委員】 はい。そう思っております。
【伊神委員】 分かりました。
【大山委員】 チェック・アンド・レビューの一環としてやることになるかと思っておりますので、そこで直前になったときに具体的な基準をもっと明確化するのではないかと考えております。
【伊神委員】 はい。どうもありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
木戸委員、お願いします。
【木戸委員】 ありがとうございます。大山委員から御説明いただいた、この今までの移行判断を3段階に分けるという考え方、ここを補填するために、やはり先ほど藤岡委員からも要素の分解というのはありましたけれども、もともとこういう考え方、ITERによるこの移行判断は、こういうことを実現できたら次に進めるので、今回、ここまで行けばこれが確認できるので、これでいいのですという、何か間を補完するような情報がやはりないと。これを横並びで、この今までの移行判断が3段階に分かれましたと答えだけ見せられても、多分、これで本当にいいのかというのはなかなか難しいと思うので、これはこれであるにしても、やはり間を補完する技術的な説明というのがかなり必要だと思うのですけれども、その辺りはどうでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 大山委員、お願いします。
【大山委員】 御指摘、ありがとうございます。もともとこのような表になっている移行判断基準が出された背景は、坂本委員からも御指摘がありましたけれども、アクションプランの中で各要素技術において必要なものが達成できたかどうかということが背景にはあって、それに基づいてこれが達成すれば達成できただろうという、そういうことでこういうふうになったというのは御理解のとおりかと思っております。
今回、現時点で全てのアクションプランの項目にまで遡って今回の御提案をさせていただいたわけではございませんので、今後このロードマップもしくは移行判断の見直しを進めていく中で、より詳細な議論とか検討もしていくことになろうかと思いますので、現時点ではやっておりませんけれども、その見直しの方向性が原型炉タスクフォースで決まりましたら、分析などは進めていきたいと思ってございます。
【木戸委員】 分かりました。ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。大変貴重な意見をいただきました。藤岡委員から出た各要素をしっかりITERということにこだわらず、物理的な知見として、工学的な知見として達成されたかどうかということを判断しながら、原型炉への移行を考えるということと、その中にアクションプランの各要素というのがあるという坂本委員からの御指摘、あと、それを補完するような説明が必要であろうという木戸委員からの御説明でした。
大山委員から明確に答えていただきましたので大分理解が進んだところですが、1つ大切な要素としては、ITERという文言が出ているのは、私たちはまだ核燃焼プラズマの制御という形では経験を有していないということで、これから原型炉、定常運転をしていくというときには、核燃焼プラズマ、要するに自分で自分を温めているプラズマですから、私たちがこれまで実験したような外部制御でプラズマを維持しているプラズマとは違うので、そこをしっかり確認してから、こういう大きな原型炉に向かっていこうという趣旨があったのだと思います。
大山委員の御説明で、そういうところを、シミュレーションを使って判断できるということが示されたのだと思います。前回の合同会合でも核燃焼プラズマの実制御ということに関しては、鎌田副機構長からシミュレーションで、そういうことは確認できるというお答えもいただいておりました。そういうことで、アクションプランの中でも今、私たちが頑張っても手の届かないところは核燃焼プラズマの制御というところなので、どうしてもITERという名前が出てきてしまうのですけれども、それが違う、また別のところで、スタートアップで核燃焼プラズマの制御というところに行けば、まあ、それはITERにこだわらずということは藤岡委員のおっしゃるとおりですので、今、大山委員が御説明いただいたのは、そういうような意味でのITERということについて、ロードマップの中にあるものをどう考えていくのかという御説明だったと思います。
シミュレーションを使って分かる、分かって確実であるものは、それで判断していくという御意見に関しては、多分、皆さん合意していただいているというようなことでよろしいでしょうか。もちろん、そのシミュレーションのほかにも、それ以外の知見が得られたら、それを積極的に移行判断に随時フレキシブルに反映させて、遅滞なく計画を進める、というように進めることができればと思います。今の移行判断等々の考え方を踏まえながら、さらに前倒しをすることに当たっても、やはりそれをやる判断というものが必要になりますので、今の大山委員の御説明の議論等々を踏まえながら、発電実証のさらなる前倒しの可能性について、坂本グループリーダーから御説明のあった内容について御意見、御質問などありましたらお願いいたします。
武田主査代理、お願いいたします。
【武田主査代理】 大変ありがとうございます。まさに今、主査から坂本グループリーダーの御説明について、移行判断の観点からもということがございましたので、まず、そちらの御質問を坂本グループリーダーにさせていただければと考えております。
本日の委員会でも、冒頭で坂本隆一委員より大変重要な御指摘がございまして、それは発電の定義をどう捉えるのかというような、そういったお話だと考えております。それがグリッドの送電を指すのか、送電端を指すのか、発電端を指すのかということを、お話があった中で、今回、TBRでありますとか、大変バックキャストで建設的な御提案をいただいたと思っておりますが、その観点から、科学的・技術的にこのITER運転開始を待たずに制度設計に着手をできるといった御発言が坂本グループリーダーからございましたが、科学的にいかなる技術的なアチーブメントというものが本案の着手にはどのタイミングで必要になってくるか、特に第1期は現状の技術で製造設計に着手が可能であるのか、もし不可能である場合には何が足りず、その足りない部分を民間も含めたQST以外の知識を担うことで可能であるか、こういったことについて坂本グループリーダーの御意見をいただけないでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 よろしくお願いします。
【坂本(宜)グループリーダー】 説明資料にも少し記載しましたけれども、大きなものとしては、やはりITERにない増殖ブランケットですよね。今、我々、固体増殖、水冷却のブランケットをやっていますけれども、そのほかのいろいろな先進的な概念もあります。そういったものが今の状況で民間投資が増えていたり、ムーンショットがあったり、そういったもので新たな技術開発が進むということを期待しています。そういうのは後から追いかけてくるだろうと。
第1期に向けては、一応、今はITERと同じTFコイルを使って、加熱機器についても同じものを使ってもこのぐらいまではできると思っています。ただ、少し説明しましたように、やはり電気出力的にはかなり寂しいものがあるので、そういった中で、例えば、将来きっと必要になる高強度の低温鋼の開発とかが第1期までに必要かなと考えます。要するに超伝導コイルというのは取り替えがきかない機器になるので、それについては最小限のできるところまでやったものを織り込むという考えを持っています。お答えになっていますでしょうか。
【武田主査代理】 大変ありがとうございます。今のお答えは、第1期については、基本的には技術的に着手可能であるけれども、超伝導コイル等については追加の技術判断を待ちたいというような御意見でしたでしょうか。
【坂本(宜)グループリーダー】 そうですね。第1期、どこまでのものを取り込めるかというのを判断したいということです。
【武田主査代理】 大変ありがとうございます。その上で、もう1点だけ御質問差し上げたいのは、今回、坂本グループリーダーからの資料には、実現時期であるとかについての数字というのはお示しをいただいていないと理解しておりますが、お出しいただいたこちらの案ですと、大体どれぐらいのスケジュールというものを坂本グループリーダーのほうで想定されておられるかということについていただけますでしょうか。
【坂本(宜)グループリーダー】 それについては、まず例えば発電規模とかの目標がこのぐらいでも十分魅力的で、意義があるかという御検討をいただいて、それでも意義があるということであれば、もう少し、例えばトロイダル磁場コイル、ITERと同じものをどのぐらいの期間で製作できるかという、例えばですよ、このことに関して産業界の方とも、そこはよく議論した上で、どのぐらい縮められるかというのがもう少し見えてくるのだろうと思っています。そういうこともあって、今、私の資料では、いつまでにというのは少し、記載は差し控えたというところです。
【武田主査代理】 以上です。大変ありがとうございました。勉強になりました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 御説明、ありがとうございました。発電というか、原型炉の前倒しに向けて非常に様々な検討をいただかれているというのを理解しました。初期の段階では、正味電力がゼロ以下でもいいという判断というのは、ある意味、合理的な判断かなと思います。また、トリチウムに関しても増殖は3期まで待つというのも、いろいろなバウンダリーコンディションを考えると、そういう選択になるだろうなというふうにも理解いたしました。
一方で、やはりトリチウム、増殖をしないということで、つまり、それはずっとトリチウムを消費し続けることになるのですが、その辺、トリチウムというのは、これだけ各国で核融合発電実証というのが盛んに叫ばれていると、多分、今後、戦略物質になってくるのかなという考えなのですけれども、この辺は、トリチウムの確保ということに関しては、どのように考えておられるのかというのを少し教えていただければと思います。
【坂本(宜)グループリーダー】 ありがとうございます。そこは私も非常に心配しているというか、重要な点だなと思っているところです。今回、ここで仮の目標として記載させていただいたところ、第1期は短パルス、第2期として長パルスといっても定常ではないので、消費するトリチウムの三重水素の量はそんなに多くないだろうと考えており、入手が困難であるぐらいとは思っていないです。あるいは入手できる範囲で、ここに記載した目標を、マイルストーンを達成していくということもできるだろうと思っています。そういう意味で、第1期でも第2期でも増殖を全くしないわけではないですよね。
なので、1つ前の5ページ目に記載しましたけれども、少し薄くすると12%必要な量が取れないので、その分をどこからか持ってくる、海外から輸入するのか、あるいは特別チームの共同研究でも検討しているのは、高温ガス炉の中にそういったリチウムを、空いているスペースに置いて、そこで三重水素を生産する。そうすると、年間600グラムぐらい作れる見込みです。そういった試算もあるので、そういうのを使えれば、こういったシナリオでも成り立つのではないかなと。日本だけでやるのも成り立つのではないかなとも考えています。
【藤岡委員】 分かりました。ありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 東京工業大学の近藤です。坂本さん、前倒しに関する様々な可能性、ありがとうございます。技術的な部分、少しお聞きしたいのですけれども、私の個人的な感触では、今、開発なさっている固体増殖材、これ、すごく性能が優れているもので、かつ、多分、この計算は坂本さんの率いていらっしゃるチーム内でかなり詳しく検討されたのではないかなと思うのですけれども、お聞きしたいのは、これ、第1期からフルブランケットで、たしか運転するというような話になっていて、かつ、このときに入れるものは、ITERを参照として6リチウムを十分濃縮したものだったのではないかなと思うのです。
六リチウム濃縮、リチウムには同位体が2つあって六リチウムと七リチウムとあって、トリチウムを作りやすいのは六リチウムであり、六リチウムを濃縮するとTBRが上がるという、そういったポリシーだったと思います。そういった十分に性能のよい増殖材を用いて、フルブランケットで始めた際に、シナリオによってはトレードオフで発電としてのファンクションを重要視する側面と、そうではない時期というのがあるというのは、そうだろうなと思います。
一方で、そういった、いわゆる炉内機器、ブランケットというすごく大きな面積、体積を占める炉内機器、固体増殖材の優れたものでスタートして、なかなかトレードオフだといったときに、第3期に関して、その設計を大きく変えないというか、構造を大きく変えない範囲でTBRをぐっと上げるという、その何か見通しというものは、何かあったりするのでしょうか。そこ、私もブランケットをやっていてなかなか、いろいろなシナリオがあって、そういったシナリオが機能し得るというのは、よく分かったのですけれども、ですから、最終的にやはり核融合炉というものがエネルギープラントとしての役割を持つというものと同時に、我々、エネルギー資源から解放されるという大きな目標を持っているのだと思うのです。
国民の皆さんも、発電というのと同時にエネルギー資源の確保というものがかなり強い関心がある部分だと思うのです。だから、その辺り、第1期、第2期、この辺はよく分かるのですが、第3期にかけて、そこがうまくつながるような、大きな変化なくつながるようなことができるのかという部分、もし今日、話せる範囲で何かありましたら、教えていただきたいと思います。
【坂本(宜)グループリーダー】 私からは、この段階では定性的な話しかできないのですけれども、言われたとおり、今この検討でベースになっているのは、これまでJA-DEMOで検討している固体増殖、水冷却の概念をベースに、リチウムに関しては、六リチウムに関しては90%濃縮をやっています。今、御質問を聞いていて思ったのですけれども、大変なのですけれども、もっと濃縮率を上げるとトレードオフを解消できる可能性もあるなと思ったりもしました。それで、第1期、第2期は、とにかく発電を早期に実証するという社会の要請に応えるにはこれだろうと、第3期に関しては、やはり社会実装を見据えて商用炉につながるものをここまでそろえるのだろうと思っています。
例えば究極のブランケットだと思っているのは、液体リチウムで自己増殖、自己冷却するような、そういったものがやはりバックキャストから考えると、将来的には必要になるのだろうなと思います。そういった究極の社会実装に必要な技術というのを原型炉の建設、あるいは第1期、第2期と並行してやって、第3期に間に合わせる、と。我々のゴールは、原型炉で発電することではなく、社会実装することなので、そこの商用炉と原型炉の技術ギャップをつなぐようなものがここに間に合うように開発できればいいと考えております。
【近藤委員】 ありがとうございます。第3期のトリチウム増殖性能、これはまだ先のことなのでいろいろアイディアがあるとは思うのですが、先ほどおっしゃったように、そこが果たして本当にフィジブルかどうかという部分、ぜひいつかお聞かせいただけるといいのではないかなと思いました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
木戸委員、お願いします。
【木戸委員】 坂本さん、御説明、ありがとうございました。このトレードオフを導入することによって前倒しを行うという考え方そのものは、私は非常に賛成しております。超伝導コイルのところで伺いたいのですけれども、別途行っているトロイダルコイルの寸法の検討会の中では、ITERベースの大きさのコイルではあるのですけれども、磁場としてはやはり原型炉向けに高くなって、強くなっているという考え方で設計を見直されているのですけれども、今回、その辺りはやはり磁場は強くなるという考え方でよろしいのでしょうか。
【坂本(宜)グループリーダー】 そうですね。5ページ目の真ん中にある「また」のところに、寸法検討会でも議論している導体の設計歪みを改善するとか、そういったことも織り込めば磁場も分かって発電規模が大きくなるというのも含められるのではないかとは考えています。
【木戸委員】 そうなると、コイルとしては基本的にITERベースになるので、巻き線作業そのもの、コイル製作は実績があるのですけれども、その分、線材をいじめるという話になっていて、線材開発がやはりかなりポイントになってくるということなので、その辺りは何かある程度つけ加えておかないと、超伝導コイルは、もう開発が要らないというふうに少し誤解を生む可能性があるので、そういったところでは、線材の開発が要るというようなところとか、何かまだ開発が残っているということは、残していただきたいなと思います。
【坂本(宜)グループリーダー】 ありがとうございます。私もそこは非常に大事な点だと思っております。というのも、先ほども言いましたけれども、超伝導コイルは取り替えがきかないので、重点化するR&D項目の1つであろうと思っています。磁場を上げるために必要な部分です。
【木戸委員】 そうですね。はい。ありがとうございます。では、よろしくお願いします。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。私から幾つか質問させてください。今、木戸委員からもありましたトロイダル磁場コイルの話が出たのですけれども、ここにも記載してあるTFC絶縁材の寿命とトレードオフということで、やはり取り替えがきかないということですから、極端に寿命が短くなってしまっては困るわけですけれども、御検討では十分原型炉としての運転期間を保てるという中でのトレードオフというイメージでしょうか。
【坂本(宜)グループリーダー】 そうですね。具体的な数値を述べなかったのですけれども、例えば今ここ20センチ薄くすると、絶縁材には10倍ぐらい放射線がやってくる状況です。今検討している原型炉、かなり余裕を持っているというか、長期の運転ができるようにやっていたのですよね。例えば10年間連続運転して発電の稼働率を実証するとか、そういう意味で、1.5ギガワットの出力で20年間運転できるような仕様になっています。
今、ここに記載してあるものですと、核融合出力はITERと同じぐらいなのですね。ITERよりもいいプラズマ性能を仮定しているのもあるのですけれども、0.5ギガワットで、その対放射性というか、遮蔽が10分の1になるということで、10分の1と3倍で6年ぐらい、フルに運転するぐらいはできるので、最初にパルス運転を行うということを考えると、先ほどの記載した3段階のシナリオであれば十分もつのではないかなと考えています。
一方で、やはりそういった技術開発は大学との共同研究が非常に大事で、今、ここ何年も大学と対放射線性能を上げるための研究開発というのは、共同研究で別途進めているので、それと合わせればより薄くできるかとか、あるいは寿命が必要であれば長くする、といったことが選択できるのではないかと思います。
【坂本(瑞)主査】 分かりました。この文章だけ読むと少し不安になるわけですけれども、しっかり寿命に耐え得るということですね。
あともう一つ、こういう形でサイズを小さくするということは、厳しくなるものと楽になるものというのがあると思うのですけれども、今御説明いただいた以外のところで厳しくなるようなところ、項目、要素というのはありますか。
【坂本(宜)グループリーダー】 1つはやはり、プラズマに関してですけれども、ITERと原型炉での一番大きな違いは、増殖ブランケットがあることなのです。それはプラズマに関して言うと、導体壁が遠いということなのですね。トカマクプラズマはやはり真空容器が近いということがかなり本質的にあるので、そこの部分を例えばプラズマの上限値の安定性だとか、高ベータを得るための制御とか、その辺が難しいところになるかなと思っています。そこは別途、炉内の中にコイルを置くとか、そういったことである程度乗り越えられるだろうと検討を始めているところではあります。
【坂本(瑞)主査】 熱粒子制御などはダイバータとかも大きさが小さくなる分だけ厳しくなるということはないですか。出力が小さくなるから大丈夫なのですか。
【坂本(宜)グループリーダー】 そうですね。出力が今、第3段階でITERと同じぐらいなので、それまではITERよりも楽なので、そこは大丈夫かなと思う反面、あとやはり非接触プラズマを得るためには高い密度が必要なので、その密度がしっかりと得られるかというのは今後詰めていきたいなと思っているところです。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかに御質問、コメントありますでしょうか。伊神委員、お願いします。
【伊神委員】 御説明、ありがとうございました。今さっき坂本さんのほうからITERよりも高性能なプラズマを想定されているというふうに伺いましたけれども、それはスケーリング則とか、何らかの根拠に基づいて、それでも行けそうだという辺りを押さえられているでしょうか。
【坂本(宜)グループリーダー】 これまでトカマクの実験で運転の経験があるところを使っています。JA-DEMOでも想定していた閉じ込め改善度が1.3とか、規格化ベータ値3.4、そこの目標は変えずに今回は検討したというところです。
【伊神委員】 何か根拠があるというのが、なかなか図が疑似になって難しいかもしれないのですけれども、その辺りも分かるといいかなと思いました。コメントです。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございます。
ほかに、いかがでしょうか。よろしいですか。貴重な御議論、ありがとうございました。それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3「原型炉実現に向けた基盤整備について」に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
【馬場戦略官】 事務局です。
それでは、資料3に基づきまして、原型炉実現に向けた基盤整備について御説明したいと思います。繰り返しにはなりますが、早期実現に向けては、これまでも議論を重ねてきたところでございます。前半、これまでの議論の繰り返しにはなりますが、早期実現に向けた取組の加速について、後半、具体的な今後の方向性について御説明したいと思います。
こちらの3ページ目については、先ほどと同じ資料にはなりますが、研究開発、人材育成、アウトリーチ、また、イノベーション拠点化について議論を重ねてまいりました。これまでの会議における主な指摘について、次の4ページ以降に記載しております。こちらは第33回の原型炉タスクフォースにおける主な指摘について、こちらの早期実現に向けて並びに下の原型炉の部分について、まさにこの議題2で議論してきた内容については、この原型炉タスクフォースの議論を踏まえて要素、要求目標、そういったところを見直し等々させていただいたところでございます。
また、QST、NIFS、大阪大学レーザー科学研究所(以下、ILE)、そういったところのイノベーション拠点化についても、こちらに記載のとおり議論をしてきましたし、また、人材育成については、引き続き議論が必要な部分が多々あるかと思いますが、多くの指摘をいただいているところでございます。アウトリーチ活動についても同じように御議論いただいてきたかと思っているところでございます。本日は、この後、それぞれの項目について、研究開発、人材育成、アウトリーチ活動、イノベーション拠点化、その順番で今後の方向性について御説明したいと考えております。
まず、9ページ目の研究開発についても、これも何度もご説明しているページにはなっていますが、今後、研究開発を加速するに当たって、国家戦略も踏まえ、QSTを中心にアカデミア、民間企業を結集して技術開発を実施する体制を構築し、将来の原型炉開発を見据えた研究開発を加速するということについては、方向性自体については合意いただいていたところかと思いますし、また、このアクションプランについて項目別に今後実施するというような形で、大学、企業の更なる参加を促すための仕組みを導入するというところも今年度から既にQSTで進めていただいているところかと思います。
今後、具体的な取組をさらに拡充していくに当たっては、来年度に当たっては、今年度の取組を継続し、特に今考えている方向性としては、前々回、QST、大山委員からもプレゼンがあったとおり、アクションプランの中で特に炉設計の部分については、原型炉概念の統合設計に向けてトカマク複合建屋内の機器・設備の検討や配置設計を実施するとともに、安全性向上・コスト低減等のためのトカマク本体、プラグ設備、安全設備などの基本構造の簡素化の検討や成立性の検討を実施していきたいと思っております。
さらにアクションプランの5番目、理論・シミュレーションにおいては、炉心プラズマ統合コードの開発や10番目の稼働率と保守において、新たに公募を実施するなど原型炉開発に向けて大学や企業の更なる参画を促進していきたいと考えているところでございます。併せて今年度より国際標準化を戦略に主導するため、標準活用加速化支援事業、こちら、国全体で事務局、内閣府中心にやっている取組でありますが、こちらの事業を活用し、今後のサプライチェーン形成を主導し、構成部品・建設等に係る国際標準化を加速するため、調査検討を進めるということにしております。こちらについては先月よりQSTのほうで、多田前ITER機構長を中心に調査検討を進めていただくということで、企業等を巻き込みながら、今後さらに具体化をしていくということを考えているところでございます。
続いて11ページ目の人材育成についても、これも過去何度かお見せしている資料かと思います。2つ目のダイヤにありますが、大学共同利用機関であるNIFSを中核機関として共同研究ネットワーク、これは全国の大学との共同研究ネットワークや各国との協力事業の枠組みなども活用し、大学間連携の総合的な教育システムを構築する。併せて、大学院教育と国内外の大型研究装置との連携を促進するため、QSTとも連携し、JT-60SA/ITER等を活用した人材育成を実施するということについても昨年度構成が示されていたところでございます。
今後については、まず大学間連携による総合的な教育システムの構築に向けては、引き続き俯瞰的に学習できる教育プログラムを提供するに当たって、NIFSを中核として各大学とも連携しながら、また、関連学会、J-Fusion、そういったところを強調することにより総合的な教育システムを構築していきたいと考えております。その下には、従前から申し上げているとおり、大学と密に調整を行うということを考えており、実際、今、NIFSではそういった大学の関係者、産業界を巻き込んだ委員会などアウトリーチ等と統合して立ち上げていただいたところでございます。
また、特に今年度は、繰り返し申し上げていますが、ITER国際スクールを12月にホストを日本が務めることになっており、NIFSにおいて、今、大学と連携して実施する準備を進めております。ほかの国々、ITER参加7極の学生や研究者が日本に集結し、合宿形式で国際的な人脈も形成できるというところで重要な機会ではないかと思っておりますし、また、来年度以降は、このITER国際スクールの経験や先ほど申し上げたような各国との連携、そういったことも踏まえながらFusion Science Schoolを継続的に実施するなど原型炉開発のフュージョンエネルギーに携わる人材を戦略的に育成していきたいと考えております。この際にはバックキャストしたロードマップというところも不可欠だと思ってはいるところでございますし、産業協議会、J-Fusionとの協調というところも重要かと思っています。
また、JT-60SAを活用した人材育成については、JT-60SA国際核融合スクール(以下、JIFS)が昨年成功裏に終えているところでございますが、日欧共同プレス声明を踏まえて実習内容を強化するということで、今年の8月、この8月末に第2回のJIFSを開催することになっております。今回も昨年同様、日欧からそれぞれ10名ずつの博士、ポスドクが参加することを予定しておりますが、今回は共同プレス声明を踏まえて新たに国内外の関連施設への訪問を実施するということで、JT-60SAだけではなくて、六ヶ所、NIFS、また、大学であれば、例えば筑波大学などにもお伺いさせていただくとともに、海外、具体的にはITERやイギリス、そういったところにも実際に訪問するような機会も設けるなど充実していきたいと考えております。
また、13ページ目の(3)ITER機構との連携による人材育成、流動性向上に関しては、4月1日にトロイダル磁場コイルの記念式典をITER機構で開催した際には、盛山文部科学大臣にはPACA国際学校にも視察いただき、こういった若手、中堅の方々が家族も連れて訪問、研究しやすいように、その環境を整えるために必要な取組というものを継続して実施していきたいと考えているところでございます。
アウトリーチ活動については、アウトリーチヘッドクォーターの下、活動するということで、現在、NIFSを中心に様々な取組の具体化に動いているところでございます。最近では、先ほど申し上げた人材育成と同様に人材育成・アウトリーチ委員会というものをNIFSに組織いただきました。学会、大学、QST、また、J-Fusionからも御参画いただいて、今後サイエンスコミュニケーター等による専門的な支援を得てアウトリーチ活動の内容を具体化するとともに、公募による新企画を実施していくということを予定しております。また、来年度はITER機構と連携して、QSTを中心として万博における広報活動支援なども併せて実施していきたいと考えています。
最後、イノベーション拠点化です。こちらについても前々回、大山委員、坂本委員からも話題提供いただいたところかと思います。繰り返しになりますが、現在、各国で大規模投資を実施し、技術・人材の囲い込みが加速する中、日本としても人材・技術の海外流出を防ぎ、日本にとどめるためにもQST、NIFS、大学等の体制を強化し、中間のCRAFTやイギリスのカラムセンター、そういった取組も参考にアカデミア、民間企業を結集して技術開発を実施する体制やスタートアップ等への供用も可能とする実規模技術開発のための試験施設・設備群を冒頭説明した統合イノベーション戦略、そういったことも踏まえて整備していきたいと考えております。
こちらについては、前回、前々回の議論でもありましたが、ITER、BAで得られた技術や人材、サイエンス、研究開発を加速すべく工学設計、実規模技術開発に不可欠な施設、設備の整備に早く着手することが必要だというような御意見もあったかと思いますし、こういった取組がアンカーテナンシーとしての役割を持つため、これまで培った技術、人材活用した産業育成としても重要であると考えております。
また、核融合研究、これもたしか坂本委員の御意見だったと思いますが、大型の実験設備に加えて安全面の管理が必要であるため、QSTやNIFS等の研究機関が産業界に施設、設備を供用することでスタートアップを含めた官民の研究開発力強化にもつながるというふうに考えておりますし、また、坂本主査からも御意見があったかと思います。今後の基盤整備に向けては大型設備だけではなくて、既にある大学等の基盤を活用するシステムを構築することで、既存の設備を踏めて効率的に運用していくという視点が重要であると認識しております。こういった方向性で今議論を深めているところではございますが、今後の方向性について原型炉タスクフォースの議論を踏まえて具体化を引き続き図っていきたいと考えているところでございます。
雑駁ではございますが、事務局からの最初の説明としては以上になります。よろしくお願いいたします。
【坂本(瑞)主査】 馬場戦略官、ありがとうございました。
それでは、今御説明いただいた内容について質疑応答を行いたいと思います。人材育成、原型炉開発、アウトリーチと3つの大切な項目について御説明いただきました。御質問、御意見等ありましたら、よろしくお願いします。
福家委員、お願いします。
【福家委員】 ありがとうございます。アウトリーチについて少しお伺いしたいのですけれども、なかなか難しい活動だとは思うのですけれども、毎年、毎年、具体的にいろいろな数字を決めて、活動の見える化というのがやはり大事ではないかと思うのですね。例えば原子力機構さんなんかですと、今年の見学者は1万6,000人でしたとか、アウトリーチ活動は今年900回ぐらい行いましたとか、3万6,000人ぐらいの方に対して行いましたと、これを毎年お出しになるのですね。こういうように実際に数値を出すと、あ、何か活動しているなというのがコミュニティの中、また、対外的にもやはり見えると思うのですね。こういうことをやっているということをきちんと示していくことが必要だと思うのですが、今、そこで現状、そういう数ですとか、そういう何か目標ですとか、そういうものは何か置かれているのでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 事務局からお願いいたします。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。現時点で、こちらの資料でも特にそういったものを出しているわけではないので、ほかの分野の事例なども参考にしながら、そういったKPIではないのですけれども、具体的なものは設定していきたいと思います。
若干、話はそれるかもしれないのですけれども、我々、当然、限られた人材、特に原子力は特に近い分野だと思っているので、連携して取り組んでいくことが必要だと思っておりまして、最近もその原子力の人材育成の取組については、武田主査代理も御参加いただいて、核融合、原子力ともに重要な分野だというところについても、イベントを開催させていただいたところであります。ほかの分野の取組も参考にしながら、こういったものもきちんとフォローできるように確認、検討していきたいと思いました。ありがとうございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問、いかがでしょうか。武田主査代理、お願いします。
【武田主査代理】 御質問させていただければと考えております。前回もしくは前々回の原型炉タスクフォースで、人材育成の体制について、今後の体制についての議論というものがいろいろ百出して、最後までまとまり切らなかったというような印象を私個人としては持っておりますが、この人材育成、当然、極めて重要な分野だと考えております。
今後、NIFSが中心となって産業界とも連携した教育、立ち上げていかれるということで、そういった御企画、非常な期待感を持って拝見をしているところでございますが、1点、15ページでございましたでしょうか、原型炉タスクフォース内にアウトリーチヘッドクォーターが含まれるような体制図を今回、お示しをいただいたと記憶しておりますが、この図というのは、今後例えば人材育成も含めて原型炉タスクフォースがあのような設定をしていくという図であるのか、もしくは、この人材育成については、前回の御議論のとおり、アウトリーチヘッドクォーターがある程度イニシアチブをとっていかれるのか、この辺りの人材育成の体制について、もう少し御説明をいただけますと勉強になります。
【坂本(瑞)主査】 事務局、お願いいたします。
【馬場戦略官】 現時点では、アウトリーチヘッドクォーターの所掌としては、当然、アウトリーチだけだというふうには思っています。先ほどの御質問もあったとおり、それ以上抱えようとするとなかなか現実的に大変だろうというようなことを考えてはいるので、現時点では、そういうふうに思っています。
他方、NIFSのほうで、今、アウトリーチであったり人材育成、今年度から新たにそういった取組をするに当たっては、いろいろな方の話を聞くという流れの中で人材育成のアウトリーチ委員会というような形で組織をされたというふうには聞いておりますので、今後、ここの議論も踏まえてNIFSを中核に全国の大学、また、産業協議会、そういったところと連携した中で、どういった御提案があるのか、その関係については恐らく直接この原型炉タスクフォースであったりとか、核融合科学技術委員会に随時御報告させていただくことになるのかなとは思っています。
この点については、議論がやはり尽きないというところが、自分も認識しているところではありますが、11ページ目に記載されている3番目のダイヤにあるとおり、審議会、委員会、原型炉タスクフォース、そういったところにおいても随時確認をし、新たな取組についてもエンカレッジしていくようにしていければいいかなと思ってはいます。お答えになっていますでしょうか。
【武田主査代理】 大変ありがとうございます。先ほどの福家委員の御指摘ではございませんが、人材育成については、本当にこれから何人、人がどこで必要でというような全体観を持った戦略立案も重要となってくると考えておりますので、ぜひ原型炉タスクフォースもしくは核融合科学技術委員会等においても議論の場が設けられればよいと考えております。
最後に1点だけコメントでございますが、人材育成の観点、人材維持の観点から、先ほどNIFSもしくはQSTのフュージョンイノベーション拠点の建設をアンカーテナンシーとして技術の継承をするというような御説明もございましたが、私の私見としましてはやはり試験設備の建設ですと、このITERで培われたような構成機器の発注であるとか構成にはつながらないのではないかというような懸念がございますので、アンカーテナンシーとしての役割、この技術の継承と人材基盤の維持という観点からは、早急にこういった実験機器といいますか、炉の建設というものが必要であると主張したいと思います。
以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
続きまして、近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 ありがとうございます。これまでの原型炉タスクフォースでも発言させていただいているのですけれども、アウトリーチヘッドクォーターにはすごく期待をしております。うまく言えないのですけれども、アウトリーチヘッドクォーターの委員会も多分、定期的に委員会を開催されているのではないかなと想像します。毎月であったり、もしくは隔月であったりと思うのですけれども、アウトリーチヘッドクォーターの活動そのものをアウトリーチする必要があるかどうかというのは、僕はそうは思わないのですけれども、とはいえ、やはりそういった活動が分かるようなビジビリティを以前お願いしたと思うのですね。
きっと何か御用意されているのだとは思うのですが、今、馬場戦略官もよく御存じのように核融合、すごく若い層から比較的年配の方まですごく注目を集めている状況で、今まとめサイトのようなもので言うと、文部科学省様のフュージョンエナジーなのかなとは思うのですが、こういったところの連携も含めて、アウトリーチがもう少しまとまった形で動いていくようなものが見えてくるといいのではないかなと思っています。何かインターネットのウェブサイトや、旗印になるようなものは今後公開される御予定とかございますでしょうか。
【坂本(瑞)主査】 事務局からお願いします。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。まず、今の前半のアウトリーチヘッドクォーターの進捗については、今、過渡期というところで、すぐに御案内できるものはないのですが、過去の委員会、原型炉タスクフォースの資料の中でもかつての小川主査であったりとか、アウトリーチヘッドクォーターの状況について、この場だったりとか、学会などで御説明していたと思っています。改めて次回以降、そういった場も設けたいと思ってはいます。これも前々回ぐらいに笠田先生などから御報告があった部分につながると思いますけれども、今年度における活動内容について、例えば各国ホームページの改定の対外発信の強化のようなところは残っており、議論は進んでいます。
今、近藤委員がおっしゃられたのは15ページ目の右上の、今の文科省のホームページにあるものというところは載ってはいるのですけれども、多分、そこでやってきたものとまた大きく今状況が変わってきてはいるというところかとは思います。正直、今日の会議もたくさんのメディアの方も聞いていただけているとは思いますが、全てをアウトリーチヘッドクォーターで管理できるというようなものでもなくなっている中で正しい情報をどう発信していくかというところがまさに問われているタイミングかなと思っています。
その辺りNIFSが今現在、委員会を組織して検討はしていただけているところではありますけれども、また、その大所高所からアウトリーチヘッドクォーター、坂本主査などにも入っていただけてはいるところではあるので、そこでも議論をさせていただきながら、この場でも御報告し、また、足りないところ、漏れているところ、また、誰に届けるのか、さっきの若い人、また、個人的には海外、そういったところも大事だと思っています。そういったところに向けてどう発信していくかというところは、もう少し議論した上で、この場でも次回、御報告、議論、審議させていただければと思いました。ありがとうございます。
【近藤委員】 ありがとうございます。戦略官がおっしゃったとおりで、若い方が興味を持つ部分と小中学生というのでしょうか、もしくはもっと若い方がいるかもしれません。いわゆるビジネスマンの方たちが興味を持つ部分というのは、同じであったり、違ったりすると思うのですね。そういった部分、しっかり戦略を練って、なるべくうまく伝わるように頑張ってもらいたいなと思っています。
私からは以上です。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
藤岡委員、お願いします。
【藤岡委員】 ありがとうございました。質問というか、これは戦略官への質問、意見というか、NIFSへの意見になると思うのですけれども、人材育成の中で他分野の学生であるとか、他分野の研究者、技術者をこういうプログラムの中に呼び込み、その結果としてネットワーキングをしていくということだと思うのですけれども、そう考えたときにやはり、特に学生の立場からすると、インセンティブはやはり単位だと思っています。
そう考えると、単位をこのようなプログラム、せっかく用意するので、参加することで、例えば特別講義のような形で単位認定されれば、それは1つのモチベーションになると思いますが。かといって、各大学単独で動いても全然効果的ではないので、例えばNIFSなどで旗振りをしていただいて、その旗振りの下である程度歩調を合わせた形で各大学がこういうプログラムへの単位認定を各研究科相手にお願いしていくということが必要と思いますので、ぜひそのような体制になればいいなと思いながら聞いておりました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
この点に関しては、また事務局のほうで御検討いただければと思います。戦略官、よろしいですか。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。また、坂本委員からも補足などがあればお伺いしたいと思うのですけれども、まさに藤岡委員がおっしゃるとおり、大学の学生が参加しやすい、また、研究室の方々も送り出しやすい、そういった仕組みをしっかりと作り上げることが大事だと思います。海外だと、例えばサーティフィケーションのようなものを準備して、それがしっかりと認められるようなもの、その辺りなどもあると思いますし、リカレント的な、企業の方がもう1回学び直すとしても、学位が難しいとしても、そういったものをしっかりとNIFSなのか、総研大なのか、逆に裏付けとしての阪大レーザー研としても協力しているというようなやり方であれば、学位は難しくても、そういったサーティフィケーション、証明であれば柔軟なプログラム設計ができ得るのではないのかなと思いました。
貴重な御提案だとは思いますので、我々具体化するときにまたNIFSとも相談して、魅力的なプログラムをしたいと思います。いずれにせよ、先ほどのJIFSの例も、今回、日欧10名ずつ参加されますが、選りすぐりというか、選ばれた方々が参加するということで、恐らく今後、彼らのキャリアパスにも重要な仕組みになるかと思います。そういったものを今回、NIFSでも作り上げられるといいのかなと今お話を聞いて思いました。ありがとうございました。
【坂本(瑞)主査】 ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。今の3番目の議題も非常に重要で、人材育成、技術の伝承、核融合開発にとって非常に重要ですので、事務局、NIFS、QST、あと大学と力を合わせて進めていくことができればと思いますので、また皆様の御協力、よろしくお願いいたします。ほかによろしいでしょうか。馬場戦略官、ありがとうございました。
それでは、本日の議題は、これにて終了となります。事務局から連絡事項等はございますでしょうか。
【久島専門官】 ありがとうございます。次回の原型炉タスクフォースの開催につきましては、事務局から追って日程調整の連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【坂本(瑞)主査】 専門官、ありがとうございます。
それでは、本日の原型炉タスクフォースは、これで閉会いたします。御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
―― 了 ――
研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付
電話番号:03-6734-4163