核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第25回) 議事録

1.日時

令和3年11月30日(火曜日)10時~12時

2.開催方法

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1)  第1回中間チェックアンドレビュー目標とアクションプランの進捗状況との連関について(再検討)
(2) 「第2回中間チェックアンドレビュー達成目標」 と「アクションプラン」の見直し方法について
(3) 原型炉に資する研究成果について
(4) 原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化について(非公開)

4.出席者

 原型炉開発総合戦略タスクフォース

  笠田竜太主査、坂本瑞樹主査代理、伊神弘恵委員、今澤良太委員、奥本素子委員、木戸修一委員、古賀麻由子委員、坂本隆一委員、中島徳嘉委員、蓮沼俊勝委員、東島智委員、福家賢委員、藤岡慎介委員、横山須美委員

 有識者

 坂本宜照量子科学技術研究開発機構グループリーダー
 今川信作核融合科学研究所教授

 文部科学省

 岩渕秀樹研究開発戦略官、田村泰嗣室長補佐、川窪百合子核融合科学専門官、長壁正樹科学官、近藤正聡学術調査官

5.議事録

【笠田主査】  それでは,時間になりましたので,本日は,御多忙のところを御参加いただき,ありがとうございます。定刻になりましたので,第25回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催します。
 今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から,オンラインにて開催します。
 それでは,議事に入る前に事務局より定足数の確認,配付資料の確認をお願いします。
【川窪専門官】 委員の皆様の御出欠ですが,吉橋幸子委員が御欠席で,その他の委員の皆様は出席されています。本委員会の定足数は過半数(8名以上)でございます。本日は,14人の委員に御出席いただいておりますので,定足数を満たしていることを御報告いたします。
 次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。今回は委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに事前にメールにて配付資料を送付しております。会議中,遠隔会議システム上では資料を表示しませんので,各自お手元で御確認いただけますようお願いいたします。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 本委員会は,委員会運営規則に基づき,非公開の議題を除いて議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されます。本日は,議題4で予定しております「原型炉研究開発体制の強化のための大学等の連携強化について」は,議事を公開することにより審議の円滑な実施に影響が生じるものと認められますので,委員会運営規則に基づき,非公開とさせていただきます。議題4になりましたら,傍聴者の方々には御退席いただきますので,御了承ください。
 本日は,議題3及び議題4の説明者として量子科学技術研究開発機構の坂本宜照グループリーダー,議題4の説明者として,核融合科学研究所の今川信作教授に御出席いただいております。
 それでは,議題1「第1回中間チェックアンドレビュー目標とアクションプラン進捗状況との連関について(再検討)」に入ります。前回の原型炉タスクフォースで議論いただいた後に核融合科学技術委員会において議論いただきました。そこで委員会からの御意見を報告して皆様に改めて審議いただきたいと思います。岩渕戦略官から御説明をお願いいたします。
【岩渕戦略官】  それでは,資料1-1に基づきまして御説明いたします。「第1回中間チェックアンドレビュー(CR1)目標とアクションプラン進捗状況との連関」と題する横長のエクセル表です。この資料は,前回,9月27日のタスクフォースで御審議を頂いたものです。その後,この連関表については,10月12日に開催された親委員会,核融合科学技術委員会に報告をされ,審議がなされました。この際,委員会の方から幾つか指摘事項があり,その指摘事項を踏まえた修正案を本日,改めて示しております。この新しい連関表,特に修正点を中心に御確認いただければと思います。
 委員会からの指摘事項は,2点ありました。1点目は,1ページ目の2番,原型炉を見据えた高ベータ定常プラズマ運転技術の確立という項目のうち,評価軸/視点という欄の部分です。この欄の赤字の部分が修正点ですが,原案では,1つ目のポツではITERによる非誘導電流駆動プラズマ実現に向けたJT-60SA研究とダイバータを含む統合シミュレーション研究が行われているかという書き方でした。この評価軸/視点の記述方法については,少し精査が必要という指摘が委員会からありました。
 CR1までの達成目標という欄を見ますと, 1つ目には準備研究の遂行,JT-60SAによる研究の開始,この2つの項目が達成目標として掲げられています。評価軸/視点の部分は,主としてこの準備研究の遂行に関わる視点です。また,評価軸/視点の3つ目にJT-60SAによる研究が開始されたかということで,達成目標の後段に関することはそこに書かれているので,達成目標に照らし合わせて,この評価軸/視点の記述が適切になるようにという観点から,今回の案では,「JT-60SA研究の計画策定が完了し」という形に補足,修正いたしました。
 なお,委員会における議論では,CR1までの目標として, JT-60SAによる研究の開始ということに関して,まだトカマクプラズマの点火までは実現していないという状況についても問題意識が示され,第2回中間チェックアンドレビュー(CR2)までの課題として何らかの議論が必要ではないかという趣旨のコメントもあり,その点は委員会で議論がなされていくものと認識しています。
 2つ目の修正点は3ページ目,「6.原型炉設計」という部分です。そのうち,6ポツの中の現状分析という右から3列目の部分について,委員会から修正のコメントがありました。これは(1)と(2)の記述として,もともと現状分析として書かれていたものを逆にした方が良いという指摘です。(1)は原型炉全体目標の策定という達成目標に関する現状分析,(2) は原型炉概念設計の基本設計という達成目標に対する現状分析ですが,この(1),(2)の現状分析を逆にした方がより適切な記述ではないかというのが委員会からの指摘でした。
 この点について,主査とともに,事務局の方で検討したところ,確かに逆にした方がよりそれぞれの項目の現状分析としてふさわしいと考えましたので,この委員会の御指摘どおり,現状分析を入れ替えるという修正を行っております。
 以上,委員会からの御指摘を踏まえて修正を行ったポイントを御説明しました。御審議をよろしくお願いいたします。
【笠田主査】  
 ただいまの御説明に対し,御質問等がございましたら,お願いいたします。一応,念のために私から確認ですけれども,SAの方のトカマクプラズマの開始の件というのは,どう考えるかというのはタスクフォースではなくて親委員会の方できちんと議論していただくという理解でよろしいでしょうか。
【岩渕戦略官】  はい。事務局としては,CR1までの目標が達成されているとして、その評価は終えた上で,CR2に向けて様々な課題があると指摘し,委員会がまとめるCR1レポートの中で,その記述ぶりを考えていくと理解をしております。
【笠田主査】  はい。了解いたしました。
 ほかにございますか。この件は,上委員会からの指摘に関して,こういった形で修正するということで,タスクフォースとしても皆さん御了承いただいたということで,それでは,この議論は閉じたいと思います。皆さん,ありがとうございました。
 それでは,続きまして議題2,第2回中間チェックアンドレビュー達成目標とアクションプランの見直し方法について,に入ります。前回のタスクフォースでは, CR2の目標改訂,特に発電実現時期の前倒しに関する検討を行いましたが,その審議結果については,私から核融合科学技術委員会に報告し,了承されました。今後はQSTを事務局とし,産学が連携する原型炉設計特別合同チームにおいて現場レベルでの技術的な検討を始めていただくことになります。そして,CR1の報告書を取りまとめた後に現場での検討結果の報告を受け,国内外の情勢も踏まえつつ,CR2達成目標とアクションプランをこのタスクフォースで委員会とともに一,二年かけて審議することを想定しています。
 そこで,本日は原型炉タスクフォースにおけるCR2達成目標とアクションプランの見直しの具体的な方法について検討していきたいと思います。原型炉タスクフォースにおいては,これまでアクションプランを中心にその進捗状況の調査を行ってきました。CR2に向けては発電実現時期の前倒しの可能性を含む原型炉設計特別合同チームによる予備的な検討を踏まえて,アクションプランをどのように変える必要があるのかを考えていく必要がございます。我々タスクフォースとしては,CR2達成目標とアクションプランの見直しの議論を併せて進め,委員会でその議論の経過を報告し,特にCR2達成目標については,最終的に委員会において決定していただくこととなります。そのような方針でこの審議を進めていきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 御説明が長くなりましたけれども,御意見はございますか。よろしいですかね。それでは,御賛同いただけたと思いますので,そのような方針で進めていただきたいと思います。ありがとうございます。まず,第2回中間チェックアンドレビューに向けたPDCAの進め方についてですが,QSTが事務局を務める原型炉設計特別合同チームのお考えを御説明いただきます。東島委員,お願いいたします。
【東島委員】  それでは,資料2-1に沿ってお話しさせていただきます。具体的にはPDCAの進め方です。まず,2枚目,これは前回のタスクフォースでお示しした図になっております。基本的に現状はCR1で求められていた設計概念設計の基本設計が終わったということで,こういった基本パラメータ,それから,この概念の特徴をお示しいたしました。この中では,いつ頃に何をしていくのかということも決めてきておりまして,決めてきたアクションプランやロードマップに従って着実に進めてきました。ですので,まず,これを念頭に置いて我々は進んできました。
 一方, 3ページ目で,前回のタスクフォースで何を申し上げたかというと,やはり加速の時期を検討するというときに,何かしら目標を仮置きしないといけないということを申し上げて,その際には加速するときに原型炉の性能というのは段階的に上げてはいかがでしょうかと提案しました。段階的とは,運転領域を広げていくようなことを想定しましょうということで,ここに書いているような項目について,こんなことを考えてもいいですよねということを申し上げて,皆様に御了承いただいたということかと思っています。
 ですので,このことについて我々タスクフォースとしては,1個1個御議論いただいて,それはもちろん特別チームからのインプットになるかもしれませんが,きっちり議論を積み上げるべきではないか。その上で,アクションプランやロードマップの更新,見直しにつながると前回申し上げて,ここも御賛同いただいたと思っております。
 それでは,具体的にその仮置きするものとして何か,まず1つの概念がないと話が進みませんので,今日,新たにお示ししたいのは,この段階的シナリオというものになります。4ページ目です。ここでは今,特別チームを含めてQSTの方では,1期,2期というふうに分けてはどうかと考えています。3期は事実上の商業炉相当みたいなものかなと思っていますので,ここであまり議論をしなくてもいいのかもしれません。第1期,ここは発電実証ですが,先ほどの問題意識の中で申し上げた,例えばパルスでもいいかもしれないですし,核融合出力がもう少し低くてもいいかもしれないと考えております。
 そのときに材料に求められる中性子の負荷として,例えば10dpaから20dpaみたいなところを狙うというのが第1期として,その代わりその時期としては例えば,2040年代半ばぐらいは一旦考えてはどうかと思っています。そのときの条件としては,今,低出力と申し上げたのですけれども,例えば1ギガワットの核融合出力で,パルスですから例えば2時間ぐらい,これはITERから見て十分長いぐらいの時間というものを想定しましょうということです。それから,核融合炉なるものは自分で電力を消費する割合が非常に大きいですので,正味の電気出力として少なくとも電力系統に電気を供給できるということで1以上と書いていますが,こういうものを最初に想定してはいかがかと思っています。
 それで,ここでしかるべき必要なものをそろえたら,速やかにもともと言っていたJA-DEMOの領域へ入っていくということで,まずはそういう意味で核融合なるものが電気をきっちり電力系統に供給できますよというところをお示しするのが2040年代半ばで,第2期は実際に定格の出力で連続運転,それで核融合,中性子の負荷としてはもともと想定していたような20dpaから40dpaというような領域を見越すと,この間は例えば今の設計でいくと,ブランケットは2年から4年ぐらいの交換時期に相当すると思っています。当然ですが,もともと言っていた核融合出力の1.5ギガワットで,三重水素の増殖比については1.05というようなところを狙っていくというところで,このような形で早めるというときに,このようなシナリオを書いてはいかがかなと本日御提案するものです。
 とにかく,皆様と共有した形で技術的な課題を検討していかないといけないと思っていますので,このようなことを御提案しているのであって,必ずしもこの実際に検討した結果が2040年代半ばでなくて, 2040年代後半となるということは,当然,これからの検討で変わっていくものと思っています。ですので,この2040年代半ばも,今は単なる仮置きです。そうしたときに,まず見直しの検討の方針ですけれども,1つは,今回の第1回中間チェックアンドレビューの取りまとめに当たっての目標となる第2回中間チェックアンドレビューの課題があるわけです。
 6ページ目は,もともと核融合科学技術委員会でお示しいただいているチェックアンドレビュー項目です。これについては,今,第2回の達成目標が書いてあるわけですけれども,この中身を,今の時期に,少なくとも第1回中間チェックアンドレビューが終わった後に,ここが次の5年ないしは6年,次の第2回までにここまで行くというところがやはり共通の認識としてないと,核融合の研究開発を行っている者としては,どこへ進んでいっていいのか分からないので,現状の例えば第2回中間チェックアンドレビューに向けての項目は,このままのとおりに掲げておくのだけれども,今やっている見直しの結果として,ここは変わり得るのではないかというようなことを書いてはどうかと思います。
 具体的に先ほどパルス炉で,かつ核融合出力を下げることになると,きっと見直すことになりそうなのは,4番の第2回チェックアンドレビューの,材料に係るところの開発ですね。それからあと,原型炉を見据えた高ベータ定常運転,2番の中の部分とかが,きっと少し目指すものとして変わってくると推測いたします。この辺について,皆様と議論して決定していけばいいかと思います。
 次に,目標の仮置きに当たっては,最終的には原型炉段階への移行判断,これが最終的なチェックアンドレビューですが,その中で実際にはそれに向けて第2回があって,このチェックアンドレビューがあるわけですが,この辺の達成しておくべき項目とか,優先順位が当然変わってくると推察いたします。それから,パルス炉というふうに今回新たに目標としないといけないものが出てきていると思っていますので,今考えている技術開発,こういった新規に必要となる技術が含まれているのかというところも皆様と御議論したいと思っております。
 また,規制の申請や準備,規格・基準の整備といったこれまでの知見や検討を踏まえると,特にこれから準備が必要となるような項目が今のアクションプランやロードマップで読めるのかというところも御議論いただくべきと思っています。ですので,こういうところでまず仮置きをした核融合の最初の第1期としての共通認識を得つつ,原型炉開発に向けたアクションプランの議論を進めていくべきではないかと思っております。
 それから,実際に原型炉の初期の目標,実施時期をいつにするのかについては,アクションプランやロードマップの更新とともに,最終的に決定していくということでいかがかと思っております。
 以上,簡単でございますが,私からの説明,提案になります。
【笠田主査】  ありがとうございました。
 本件に関しまして御質問,御意見等ございましたら,お願いいたします。 では,私からですが,タスクフォースの方では,こういった見直しに関しまして技術的な検討を特別チームとともにやっていくというところは,私もそう考えていますが,チェックアンドレビュー項目に7の社会連携があります。技術的な観点だけではなくて,社会的な観点でどう議論していくかは,タスクフォースというよりは,例えばアウトリーチヘッドクオーターとか,核融合科学技術委員会とかでの議論が大事かなと私は考えています。そういった点は皆様にお聞きした方がいいかと思いますが,皆様から特に御意見等ございますか。
坂本委員,お願いいたします。
【坂本(隆)委員】  この前倒しの件で気になるところは,2040年代半ばにDD調整というのがあり,その後,DTパルス運転になっているのですが, DTパルス運転をして,10から20dpaの照射があるということは,放射化したブランケットをリモートハンドリングで交換しないとならなくなるということなので,全てをリモートハンドリングで行うことが現実的かどうかの検討が必要かと思いました。いきなりDD調整をするのではなく,ITERと同じようにノンニュークリアなフェーズでリモートハンドリングのテストを行う,検討をするかどうかをお聞きしたいと思います。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 東島委員,いかがでしょうか。
【東島委員】  ありがとうございます。今おっしゃったような議論がQSTの中でも行われて,その結果としてやっぱり発電時期は何年になるのかが重要かなと思っております。ですので,今のご質問にお返しすると,建設をやりながらそういったリモートハンドリング,実際に遠隔保守でできるような技術開発を十分進めておいて,実際にはプラズマをつけて直ちにDTに移りたいと考えています。ですので,こういったところも現実的なのか,我々の知見でそういうことが可能なのかをタスクフォースで御議論いただくことにさせていただければと思います。
【坂本(隆)委員】  ありがとうございます。
 それともう一つ,前回と同じ質問になるのですが,TBRの目標を下げるということに関して,この段階的シナリオのページを見ますと,第2期ではTBRが1.05以上となっているのですが,第1期ではTBRの目標が特に書いてありません。前のページを見ますと,TBRがおおむね1と書いてあるのですが,この第1期でのTBRの目標は全く何も考えないのではなく,おおむね1を目指すということでしょうか。
【東島委員】  はい。おっしゃるとおりです。これは前回お答えしたとおり,1ぐらいを目指すというところで,全くゼロでいいということを想定はしておりません。それが結果的に0.95になるのか,0.98になるのかというところはあるかと思いますが,1前後は当然目指さないと,全くトリチウムを世の中から全部そろえていくというわけにはまいりませんので,その部分はおっしゃるとおりかと思います。
【坂本(隆)委員】  ありがとうございます。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 ほかの委員の皆様,御質問等ございますか。こういった検討案を基に今後議論していく方向で進めたいと私も思いますので,皆様の御協力をお願いしたいと思います。東島委員には引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして,この議事の2,アクションプランの改訂に向けてタスクフォースでの役割分担やスケジュールについてとなります。まず,初めに役割分担ですけれども,私から資料2に基づきまして説明いたします。こちらにはアクションプランの改訂に向けたタスクフォースでの役割分担について表に示しております。私からの案です。こちらはアクションプランの各課題に対応した表になっております。参考までに第10期の,前期のときの担当も書かれております。今期,第11期の担当案が一番右の列に書かれております。こちら,新しく名前が加わっている,あるいは変更になっている点は太字として記載しております。細字の方は前期に引き続きという形になっております。
 大きな違いといたしましては,新しく委員に入っていただいている古賀委員と横山委員にそれぞれの専門性を鑑みて,古賀委員には燃料システム,横山委員には安全性のところに入っていただいております。また,今回,前期と一番大きな違いは,主査が私になっているところで,専門性から岡野前主査のときとは状況が変わりましたので,私はブランケットから抜けさせていただきまして,代わりに文科省から近藤学術調査官に入っていただいております。
 そして,炉心プラズマの方も東島委員がどちらかというと全体の今後説明を担当されますので,こちらも科学官の長壁さんに入っていただいております。また,新しく入っておられます委員の坂本瑞樹先生に御専門性のところも鑑みてダイバータに入っていただいているとともに,やはり炉設計がプラズマの観点等は私では物足りないので,こちらにも入っていただいています。特に文科省のお二方には全体を見ていただく必要がある中で,やはり専門性に立脚したところもサポートしていただきたいということで,私の方から提案させていただいているところです。
 以上,こういった形になっていますが,御意見等ございますか。特になければ,これでお引き受けいただいたということで進めさせていただきたいと思います。かなり大変な作業になるとは思いますが,皆様,お忙しいところとは存じますが,よろしくお願いいたします。
 それでは,次にこの議事の2番目,PDCAスケジュールについて,東島委員から御説明をお願いいたします。
【東島委員】  資料2-3に沿って御説明したいと思います。本日,ここで御提案するのはスケジュールについてです。2枚目をご覧いただいて,JA-DEMOの段階的なシナリオを先ほどお見せしましたが,第1期,この発電実証に想定する目標や実施時期及びその後の第2期の目標や実施時期に対して,現行のアクションプランの課題ごとに議論・検討を行って,結果を積み上げていくことを御提案したいと思います。
 例えばタスクフォースの会議が3回ぐらいあると想定すると,第1回には,全14項目のうち半分ぐらいを御議論いただきたいと思います。2回目は残りの部分と,更に加えて必要であればというところが,実はこの特別チームと話をしていて重要だと思っていますが,新たに加えるべき課題も含めて御議論いただいた方がいいのではないかと思います。ここでは都合上,ゼロから7,8から14と並べていますが,第1回と第2回に取り扱う課題は,議論した上で,若しくは準備の状況等を踏まえた上で決めていただければと思います。
 3回目は,その取りまとめだと思うと,1回目,2回目の議論,検討を踏まえてアクションプランの改訂,それから,JA-DEMOの1期,2期,要は何年にどこまでやるか決定をしていただきたいと思います。それをもって,これからの5年間なり,第2回中間チェックアンドレビューの項目は,先ほどお示ししたものから何か変わるのか。さらに,必要であれば原型炉の段階への移行判断その判断の中身の見直し等も,委員会の方に御提案していくところで,最終的にロードマップの改訂も御提案するという考えです。
 ただし,今回のJA-DEMOの計画の改訂は,我が国の核融合エネルギー開発の方向性を大きく変更する可能性がございますので,この検討に長い時間を要すると研究開発に遅延,遅滞が生じるかもしれません。だとすると,まずは来年の12月ぐらいまでにこの更新をするということで提案をしたいと思います。 
【笠田主査】  ありがとうございます。
 それでは,本件に関しましても御意見がございましたら,お願いいたします。まず,私からですが,第1回で炉設計というものの議論を行って,大枠のところがここで見えてくると思う一方で,その第2回でそれと関連して例えば安全性とか,社会連携とか,ほかのセクター,ステークホルダーと話をしていかないといけない部分というものをタスクフォースで一方的に何か提案したとしても,それを一度,多分,上委員会と話をしなくてはいけない気がしています。第2回と第3回の間にそこを1回パスするというイメージがよろしいでしょうか。
【岩渕戦略官】  主査の御指摘はごもっともと思います。最終的に委員会でどのような審議をするかは,委員会自身が御判断されることですが,社会連携については,確かに親委員会の役割は大きくなってくると思いますし,安全に関するような話になると,文部科学省の審議会を超えた議論も必要かもしれません。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 そういった意味では,これは正にPDCAのスケジュール感ですので,PDCAが1回で回る部分と回らない部分があると思いますので,その際はよろしくお願いしますということで,ほかに御意見等ございますか。木戸委員,お願いいたします。
【木戸委員】  東島委員から3回ということで御提案いただいていますが,この裏に,例えば1回目,これだけの7つもの項目の議論をとてもこの1回では細かく議論はできないので,例えば非公式のタスクフォースの中で議論をするとか,あと,個別に各項目の担当の委員が,例えば前回のようにQSTさんの御担当者とか,その分野の専門家の方と議論をした上で,ここに上げていくという,その前段階の下積みの議論があるという理解でよろしいでしょうか。
【笠田主査】  私は,その理解でおりますし,東島委員もその心づもりでの御提案と思います。東島委員,よろしいでしょうか。
【東島委員】  はい。御理解のとおりでよろしいかと思います。
【木戸委員】  はい。分かりました。
【笠田主査】  どの程度個別でやるか,全体で,非公式会合についても個別でできる部分と,やはり全員,なるべく集まってやった方がいいところもあると思いますので,その辺の細かいスケジューリングは,私と坂本主査代理と東島委員を中心に検討はしていきたいと思います。
【木戸委員】  はい。分かりました。
 あともう1点,いわゆる特別チームの方の,この各項目,アクションプランの項目ごとの御担当者というのは,また前回,チェックアンドレビューの確認を行ったときのように設定いただいて,その方との議論を密にして技術的なところをまとめていく,委員の方で整理していくという考えでよろしいでしょうか。特別チームのメンバーは,あてがっていただくという理解でよろしいでしょうか。
【笠田主査】  東島委員,それでよろしいですか。
【東島委員】  それに関して申し上げたいのは,実際に今いろいろな検討を並行的に進めておりまして,タスクフォースの委員の方々の御要望にお応えできるかどうかというのが,なかなか難しいところもあると思います。ですので,私としては,タスクフォースの中での議論とさせていただきたいと思いますので,そういう意味では何かございましたら,私の方におっしゃっていただいて,特別チームの間は私がつなぐような格好にさせていただければと思います。
【木戸委員】  分かりました。では,どちらかというと個別にというよりは,全体のタスクフォース,委員の中での運営の中でいろいろやっていくということですね。
【東島委員】  そうですね。
【木戸委員】  分かりました。よろしくお願いします。
【笠田主査】  非常に東島委員の負荷が大きいところですが,その辺りはよろしくお願いします。
 ほかにございますか。この中でヘリカルとレーザー方式に関しましては,基本的には東島委員ではなくて,それぞれの適切な方に対応していただくことになりますので,この中では例えば坂本隆一委員,そして藤岡委員には,その心づもりでいっていただきたいと思います。
【坂本(隆)委員】  了解です。
【藤岡委員】  了解しました。
【笠田主査】  ありがとうございます。坂本隆一委員,お願いいたします。
【坂本(隆)委員】  ヘリカルとレーザーに関して,特にヘリカルだとプラズマなどの他の項目の中にもヘリカルから寄与できるところが入っているかと思います。今回,前倒しの議論をするに当たって,ヘリカルとレーザーを明示的に出す必要があるか少し疑問に思いました。各必要な項目の中に個別に入れた方が良いとも思いました。
【笠田主査】  それに関しましては非常に難しいところで,個別の,例えば炉心プラズマの中にヘリカルを入れ込むとか,燃料システムのところにレーザーを入れ込むとか,そういった意味ですよね。
【坂本(隆)委員】  そうです。既にそういう構造にはなっているところもあります。
【笠田主査】  そうですね。部分的にはなっています。ご懸念としては,この13,14として,今後特出しをする必要があるかどうかということですね。
【坂本(隆)委員】  そうです。
【笠田主査】  考え方も関係してくるとは思います。
【坂本(隆)委員】  ヘリカルとレーザー特有の炉設計が入っていますので,何か話がずれていくような気もしております。
【笠田主査】  この件に関して藤岡委員の方のお考えは,いかがでしょうか。
【藤岡委員】  私もこれを見ながら考えてはいたのですが,自分自身の中でまだ整理ができていなくて,レーザーとヘリカルを特出しした方が,まあ,特出しというか,こういう見えるような形にした方がいいのか,それとも入れた方がいいのか。まだロジックはできていませんが,私の中では出しておいた方が,各項目はアクションプランとして明記されているので,それを踏襲した方が良いと思います。
【笠田主査】  本件につきましては,今すぐ決める必要はなく,この議論の中で特に出した方がいいということであれば,このまま引き続きということでよろしいかと思いますが,坂本隆一委員,それでよろしいでしょうか。
【坂本(隆)委員】  はい。それで構いません。
【笠田主査】  非常にいろいろなことが関わってくるので,こちらの方も重要な検討事項だと私は思いますので,引き続き御検討の方よろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。それでは,今後は東島委員にはお手数ですが,この非公式会合の方も含めて順次対応していただくことになりますので,各担当の先生方は,それぞれの見直しに関しまして,そのような心づもりで準備いただければと思います。引き続き御協力,よろしくお願いいたします。
 それでは,役割分担については,当面,このとおりやっていくことになりますので,今の件も含めまして再度審議していくことといたします。
 それでは,議事3「原型炉に資する研究成果について」です。原型炉に向けて現在様々な研究が行われていますが,本日は,量子科学技術研究開発機構の坂本宜照グループリーダーから,その研究の一端を御説明いただきます。坂本GL,よろしくお願いいたします。
【坂本(宜)GL】  QST六ヶ所研究所の坂本です。それでは,原型炉に資する研究成果について,特に共同研究の成果という観点で説明いたします。
 2ページ目ですが,現在,検討中の原型炉は技術的実現性を重視しまして,主要機器であるトロイダル磁場コイルや増殖ブランケット,また,ダイバータについてはITER技術基盤の延長に概念を構築してきたというのは,これまで御説明してきたとおりです。一方で,当然,ITERにない技術開発がございまして,それらについては産業界の技術や経験,更に大学等の未踏技術の解決方策を取り入れながら概念を構築してきたところです。そこで,私の今日の報告では,共同研究で得られた研究成果が原型炉のどういう部分に貢献,あるいは役割分担しながら進めてきたのかといった観点で説明いたします。
 3ページ目,超伝導コイルにつきましては,ITERの実績を特に重視して,基本的にITERの方式を採用しております。国内の専門家の意見を集約して,設計のベースラインもこの場で策定してきておりまして,一方でITERでは製作精度への要求が厳しくて,何とか緩和できないかという御意見が設計活動の初期の段階からありました。そこで特別チームでは,原型炉では補正磁場コイルによって要求精度を緩和しようということで検討しまして,最終的にITERの2倍から4倍程度まで製作精度を緩和して,JT-60SA並みにできることを示してきました。また,最近はコスト低減の観点から,ITERでは採用が見送られた矩形導体方式の検討を進めてきているところです。
 このように超伝導コイルの設計を進めてきていますが,こういった大型のコイルを作るとインダクタンスが増加することもあって,それに伴ってクエンチ時の放電時定数も増大するという問題があります。そこで,共同研究によりまして,クエンチ時に生ずる導体のジュール熱と構造体であるラジアルプレートに誘導される渦電流によるジュール熱を主な熱源として,導体温度の過渡変化を解析いたしました。その結果,導体ジャケットの許容温度が150ケルビンなのですけれども,それ以下にするためには放電時定数を30秒以下にする必要があるということをこの右下の図に示しているのですけれども,そういったことを共同研究で明らかにしながら進めてきております。
 次,4ページ目のブランケットについてですけれども,増殖ブランケットについては,ITER-TBMと同じ固体増殖・水冷却方式の概念の採用をしております。設計チームでやっておりましたのは,補強リブ構造による筐体の耐圧構造化と三重水素増殖比の両立という観点で設計を進めるとともに,パージガスによる三重水素の流動解析等の設計検討を実施してきている一方で,ブランケットの試験モジュールとして,原型炉に導入する先進ブランケットの概念の検討については,共同研究の中で,役割分担して進めてきているところです。これまでに液体金属を用いた先進ブランケット概念の検討を進めておりまして,その中で特に磁場中における液体金属の流路の設計や,腐食に関する研究成果が得られております。
 次,5ページ目,ダイバータについてですが,ダイバータに関しましてもITERの技術基盤に基づいた設計ということで進めてきております。それで,原型炉の条件において放射冷却によるダイバータ熱負荷低減シナリオの評価に基づいて,ダイバータプラズマの設計ウィンドウの評価をこれまで進めてきています。その際,ダイバータシミュレーションコードの高度化に向けては,共同研究において右下に示しているような,例えば定常高密度プラズマ装置によって基礎データを取得して,それで詳細なモデリングを作り,そういうものを実装しながら,こういった設計ウィンドウを評価してきているところです。
 これらの解析は,定常状態に対するものですが,一方で,原型炉では非定常のパルス状の熱負荷等が来たときにどういうふうになるかといったことも重要で,その部分については共同研究によって研究開発を行ってきている状況です。例えば右上側に示している共同研究の結果では,プラズマ対向材が溶融する程度のパルス熱負荷が加わった場合に,その溶融した金属が蒸気に変わることで,それによって上流から流れてきた熱が散逸されて,熱負荷そのものが低減されることが期待されるわけですけれども,そういったことを大学の装置を使って実験するとともに,その実験結果に基づいてシミュレーションを行う。そういったことをやって,そういったパルス状の高い熱負荷が加わったときにも対向材の損傷が90%程度低減されることが研究結果として示されています。
 次,6ページ目ですけれども,原型炉の加熱・電流駆動については,特別チームではNBIとECRFを併用する方針で検討を進めてきております。メインの電流駆動は1.5MeVのNBIを使用して,制御ツールとしてECRFを利用する計画を考えています。これまでNBIとECRFの入射ポートの配置を検討してきて,例えばNBIについては,イオン源はメンテナンスする必要があるので,ホットセル側に配置し,すぐ近くに,片側にそういったものを全部並べると,トロイダルコイルの転倒力を支えるシアパネル等が設置できなくなることがあるので,ECについてはNBIと反対側に配置する検討を進めてきております。また,NBIについては,核融合中性子が直接イオン源に入射しないようにするために,左下に概念図を書いていますけれども,偏向コイルを使ってビームを曲げる検討,あるいはビームライン内部の排気系の検討もやってきております。
 一方,ECRFについては,大学との共同研究を中心に検討を進めてきていて,役割分担的に進めています。例えばECRFの入射方向の検討,あるいはシミュレーションコードを高度化することによりまして,EC駆動電流の詳細な評価が進展いたしました。例えば非線形のクーロン衝突をシミュレーションコードで考慮することで,ECによる電流駆動効率が従来の評価よりも約25%改善するといった結果が得られています。
 次,7ページ目です。理論・シミュレーションについては,様々な課題等があります。この分野についても,多くの大学と協力して共同研究を進めているところです。右側に2つだけ示していますが,右上には現在の検討している原型炉の磁場構造を使って3次元のMHD平衡を評価して,アルファ粒子の閉じ込めに与える影響等を評価しています。また,同時にSOL領域の磁力線構造も3次元的に評価することで熱負荷が集中する場所を,第1壁の熱負荷が集中する場所を同定しているところです。
 また,右下に示していますのは,放射損失を促進,ダイバータの熱負荷を低減し放射損失を促進するために使用するアルゴン不純物に関する蓄積量の密度依存性を明らかにしています。これはダイバータを守るためにアルゴン不純物を入れたときに,それがコアの中に溜(た)まってしまうと核融合出力も下がってしまうことがあるので,その辺を定量的に評価することで大事な研究になっています。
 燃料システムについては,三重水素のインベントリを低減することを考慮した概念として真空容器から排気したガスから不純物を取り除いて直接燃料として入射するダイレクトリサイクル概念を検討しています。一方で,三重水素について冷却水に移行するものや,保守時に三重水素を除染するためのものは,共同研究で定量的にデータを蓄積しているところです。
 次,9ページ目ですが,稼働率と保守に関しては,保守方式について,ブランケットは上側から引き抜いて,ダイバータは下側から引き抜いてホットセルで保守する。それぞれのダイバータ,ブランケットは独立に交換して,あといろいろな作業工程等分析して産業界の方に評価して頂き,全部で16の交換ポートがありますけれども,4つを並行作業することで時間短縮して,最終的には稼働率70%程度が目指せる原型炉の検討を進めております。一方,バックエンドのシナリオといったところについては,共同研究によって進めてきております。運転計画を考慮して運転時及び廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の特性を評価して,それに基づいて処分に至る管理シナリオの予備検討を進めています。
 次,最後,核融合の材料についてですが,ブランケットの構造材料については,様々な負荷がかかり,熱疲労や中性子損傷,腐食等,そういった課題があります。最終的にそういったものを試験,評価して,核融合環境下での材料の健全性実証と構造設計基準を策定していく必要がございます。これについては,様々な研究を,共同研究を実施していて,例えば上側に示しているのは多軸応力下での健全性評価です。右下に示しているのは,非破壊検査技術に関する研究というもので,こちらは水素をトレーサーに用いた技術開発を進めています。
 最後,11ページ目ですが,まとめとして,原型炉の設計活動では, ITERの技術基盤や産業界の発電プラントの技術に加えて,共同研究を通じた大学等での共同研究により原型炉の基本概念を構築しました。少しつけ加えておきたいのは,そういった研究成果だけではなくて,こういった活動を通してプラズマ物理から材料や工学分野までの幅広い分野の研究者が共通の目標を設定して,下側に写真を示しておりますけれども,こういった原型炉開発共同研究の成果報告会といった場でいろいろな成果を共有するということができているということです。
 もう一つは,共同研究に参加している職位の内訳を見てみますと,これはQST分だけ示していますけれども,ポスドクや学生さんが実数として90名,参加しており,将来の原型炉研究開発を担う人材育成にも非常に有効に機能していることが分かります。これも重要な成果だと考えております。今後も概念設計の完了に向けては,まだまだ未解決の課題等がありますので,今後も共同研究の枠組みを生かした大学との一層の連携が必要であろうと考えております。
 【笠田主査】  坂本GL,ありがとうございました。非常に盛りだくさんの成果が得られていることがよく分かりました。
 皆様より御質問等ございましたら,是非お願いいたします。藤岡委員,お願いいたします。
【藤岡委員】  藤岡です。非常に分厚い報告,ありがとうございました。いろいろな結果が得られているのですが,こういう結果のアーカイブ化というか,単に図として保存するのではなくて,そのデータの数値そのものをQST若しくは原型炉を担う機関が蓄積する仕組みは今あるのでしょうか。
【坂本(宜)GL】  はい。そういったことを目指して共同研究を活用したデータベース構築をしておりますので,そこはしっかりやってきていると思います。
【藤岡委員】  分かりました。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。最後のまとめのところにQST共同研究参加者の内訳をまとめていただいて,ありがとうございます。教授,准教授,講師,助教の人数比は,今の大学の一般的な比とそれほど変わらないので,大学の方が普通に参加できているということで,大変すばらしいと思いますし,要するに教授だけが取っているとか,そういうことではなくて若手の教員まで幅広く参加しているというのは大変心強いと思います。また,ポスドク,学生に関しましても,恐らく教授1人につき2人ぐらいは参加している形になっていると思いますので,比較的多くの人材育成に貢献されているなと思いまして非常に心強く思いました。
 一方,もうしばらくこのQSTの共同研究は原型炉に関して続いていると思いますが,これに参加した,学生,ポスドク,あるいは若手の助教さんも入るかもしれませんが,キャリアパスという観点で,データがないにしてもどのような印象を受けているか。要するに例えば六ヶ所研にもともとこれでやっていた若手が入ってきたとか,そういった事例というのは出てきていますか。
【坂本(宜)GL】  そういう事例は出てきてはいます。残念ながらそれほど多くはないのが現状です。
【笠田主査】  なるほど。いろいろな産業界や,関連する産業界に行っている方もいるような気もしますので,そういったところも何か見えてくると,なお一層若手にとっては参考になるかなと思いました。
【坂本(宜)GL】  そういう意味で,こういった共同研究を通して学生さんと話をするときに,私,いつも紹介するのが,文部科学省さんのホームページに研究者だけではなくて産業界の方々のキャリアパスが非常によくまとめられているので,是非そこを見てくれと申し上げています。核融合をやるときに研究者だけではなくて,産業界からそういったところ,貢献していくのが今後ますます大事になるといった話をさせていただいております。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 近藤学術調査官,お願いいたします。
【近藤学術調査官】  ありがとうございます。坂本GL,成果報告,ありがとうございました。お聞きしたい点が1点ございまして,特に今,笠田先生からありました人材育成の部分で,私も非常に感謝しています。学生の内容として,大学院生と学部生と,大学院生は博士後期課程と博士前期課程とありますが,学部生も共同研究に参画できるような状況でしたでしょうか。
【坂本(宜)GL】  学部生は入っていなかったのではないかと思います。
【近藤学術調査官】  そうですよね。そんな気がしましたが,これは要望というか,お願いでもありますが,いわゆる卒業研究に相当する特定課題研究の段階で,こういった最先端の共同研究に触れることができると,進学意欲が高まり,キャリアパスとしての可能性が早い段階で見いだされることがあると思います。
 一方で,その学部生を大学院生と違って研究者としてみなすかという部分は,手続上の問題もあるとは思うのですが,できたら早い段階でチャンスを与えてもらえるような仕組みづくりをしていってもらえるといいという気がしております。今,大学の方も仕組みが大きく変わってきておりまして,学部の早い段階から研究に携わる学生もちらほら出てきておりますので,学部生というのも少し含めてもらえるといいのではないかと思いました。
 
【坂本(宜)GL】  ありがとうございます。よく確認して検討させていただきたいと思います。
【笠田主査】  そういった観点では,これは開発研究であって,開発主導ですけれども,大学が参加していくという点では,学術的な成果,どういった論文が出ているのかといった,多くの研究者に関わってくる,世界的にも注目されていることが分かるような,ある意味,我々のコミュニティーにとって評価できるような指標で,どのようなインパクトが与えられているかという観点もどこかでまとめていくと,大学としては非常に有り難いと思いました。
 何でもかんでも「Nature」とか,「Science」とか出せということは,我々のコミュニティーはなかなかないと思うのですけれども,それにしてもやっぱりいろいろな方から言及されているというのは,設計段階として非常に重要だと思いますので,そういった観点も今後促進していけばいいかなと期待しております。
 何か技術的な観点で御質問等ございましたら,お願いいたします。私からばかりで恐縮ですが,かなり増殖ブランケットの設計が,いろいろな検討がされていてアクティブに変わってきている印象があるのですけれども,その辺りのほかの項目との連関は大丈夫でしょうか。
【坂本(宜)GL】  今,主にブランケットがいろいろ検討を進めているのは,より耐圧性を向上しつつ,三重水素を確保するところで,基本的な概念,固体増殖,水冷却といったところからは離れていないので,ほかへの影響という意味ではないと思います。
【笠田主査】  そうですか。あとは,先進ブランケットの概念が,今後のアクションプランの再検討も関わってくるところだとは思うのですけれども,今のところ,大学との共同研究で行われているということで,新しい方針でもそういったところが続けられればと思います。続けられるのかなと個人的には思うのですけれども,何かこの辺りの連携というところで具体的な話がございますか。
【坂本(宜)GL】  今,大学の先生方のおかげで液体金属を高磁場中で流す,その手法というのは大分見えてきたと思います。今度はテストブランケットモジュールという形で原型炉に入れる際には,プラント設備との取り合いがあるので,より設計チーム,建屋の設計,プラントの設計等とも連携を強めていく必要があると考えています。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 個人的にNBIのことがずっと気になっていて,原型炉初期では間欠的な運転だとしても,結局,最終的には連続運転可能にしなくてはいけないと思うのですけれども,そういったR&Dと設計の要求とのタイミングは,NBIの専門の方々と取れているんでしょうかね。
【坂本(宜)GL】  その辺は本日のタスクフォースの最初の方の議題とも非常に絡むとは思いますが,そういったところも含めて調整していかないといけないと思います。NBIについても,ITERと同じものをそのまま適用ということでは,発電としては不十分なので,幾つか重要な技術開発の項目があるので,いつまでにレディーになっていなければいけないと設定した上での計画を今後立てていくのだろうと考えています。
【笠田主査】  近藤学術調査官,お願いいたします。
【近藤学術調査官】  もう1点だけコメントさせていただきたいのですが,欧州もかなり興味を持っているテーマがありまして,それは初期装荷燃料をいかに確保するかという部分です。今日,御報告いただいた内容は,原型炉の設計に関わる全てではないと理解していますが,このタスクフォースであったように,原型炉の成立性を担保していく上でやはり初期装荷三重水素をどんな方法で確保できるかという部分に関しては,今日,特に説明がなかったのですが,大学の方がもしかしたら,何かそういった基礎研究を進められる部分もあると思いますので,御検討いただけると良いと思いました。
【坂本(宜)GL】  ありがとうございます。
【笠田主査】  坂本瑞樹委員,お願いいたします。
【坂本(瑞)主査代理】  詳しい御説明,ありがとうございました。共同研究も非常に進んでいるということで,よく理解できました。一方,例えば大学の共同研究ですとかなり先進的なことをやり,野心的な取組をすると思います。一方,やはり原型炉設計は,ある程度保守的なところも必要であって,今までの御説明の中で得られた結果を建屋とすり合わせていくことも言われていましたが,今後,大学のそういう研究を横のつながりを持って原型炉設計に結びつけていくことを,グループリーダーの坂本さんの方でオーソライズしていくというようなQSTの方針はありますか。つまり,今は個別のように見えるものをまとめていって,設計に結びつけていくという活動は検討されているでしょうか。
【坂本(宜)GL】  ありがとうございます。そういう意味で,共同研究については個別で,もちろん会合等進めているわけですが,横のつながりで情報を共有する場をきっかけに,炉設計の,設計本体のチームとのインタラクションが,今後増えてくるだろうと思っていますので,そういう機会をしっかり取って連携を密にしてやっていければと考えています。
【坂本(瑞)主査代理】  ありがとうございます。そういう1つのテーマから横に広がるというのは非常に大事だと思いますので,大変有り難い共同研究かと思います。よろしくお願いします。
【笠田主査】  ありがとうございます。
 ほかにございますか。では,よろしいですかね。ありがとうございます。坂本GL,ありがとうございました。
【坂本(宜)GL】  ありがとうございました。
【笠田主査】  それでは,議題4に移りますが,非公開の議題となりますので,傍聴者の方は御退席いただきますようお願いします。

(以降、非公開議事)


 

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(研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)