核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第28回) 議事録

1.日時

令和4年10月28日(金曜日)14時00分~16時00分

2.開催方法

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1) 原型炉開発に向けたアクションプランの見直しの検討について
(2) 第2回中間チェックアンドレビュ―の見直しの検討について
(3) 原型炉研究開発ロードマップの更新の検討について
(4) 令和5年度原型炉開発共同研究の公募テーマについて(非公開)

4.出席者

原型炉開発総合戦略タスクフォース

笠田竜太主査、坂本瑞樹主査代理、伊神弘恵委員、奥本素子委員、木戸修一委員、古賀麻由子委員、近藤正聡委員、坂本隆一委員、鈴木隆博委員、蓮沼俊勝委員、東島智委員、福家賢委員、藤岡慎介委員、横山須美委員

有識者

坂本宜照量子科学技術研究開発機構グループリーダー、今川信作核融合科学研究所教授

文部科学省

稲田剛毅研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐、吉原誉夫核融合科学専門官、長壁正樹科学官、梶田信学術調査官

5.議事録

【笠田主査】それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。本日は、御多忙のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、第28回核融合科学技術委員会原型炉開発総合戦略タスクフォース(以下、タスクフォース)を開催いたします。今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンラインにて開催します。司会進行は、本タスクフォース主査の私、笠田が担当いたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局より、定足数及び配付資料の確認をお願いします。
【吉原専門官】核融合科学専門官の吉原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは委員の御出欠につきまして、御連絡申し上げます。本日の御欠席は吉橋幸子委員、それから、奥本素子委員が別用務のため遅刻されるとの連絡がございました。全15名のうち、13名の委員に御出席をいただいております。過半数を超えておりますので定足数を満たしていることを御報告いたします。
 続きまして、本日の配付資料でございます。一部非公開とさせていただいておりますが、議事次第に示しているとおり、資料1から4及び参考資料の1から3となります。会議中はZoomの画面共有システムを使って、事務局より資料を表示させていただきます。また、各委員におかれましては、発言いただく際、ミュートを解除の上、画面の下にあります「手を挙げる」ボタンを押して発言いただきますようお願い申し上げます。
 なお、今回は、議題4「令和5年度原型炉研究開発共同研究の公募テーマについて」におきまして、量子科学技術研究開発機構(QST)及び核融合科学研究所(NIFS)から御説明いただく予定としておりますので、QSTの坂本宜照グループリーダー、NIFSの今川信作教授にも参加いただきます。よろしくお願いいたします。以上でございます。
【笠田主査】ありがとうございます。本タスクフォースは、核融合科学技術委員会(以下、委員会)運営規則に基づき、議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。
 それでは早速、議題1に移りたいと思います。第26回及び第27回のタスクフォースでは、原型炉計画の目標や実施時期の変更、そしてアクションプラン(以下、AP)の項目別に前倒し案の検討を行いました。これを受けて、本日はさらに議論を進めていたきたいと考えております。
 内容が関連しておりますので、議題1、2、3について、資料1、2、3に基づいて私からまとめて説明させていただいた後、議題ごとに、順に意見交換をさせていただきます。
 資料1が核融合発電の実施時期の前倒しに関する検討を踏まえた原型炉開発に向けたAPの検討についてです。資料2がこれまでの議論に基づいたAP構成表の改訂案です。資料3がAP項目別解説の改訂案となっています。では、資料1から始めたいと思います。まず、今回の前倒しの検討に至った経緯から始まっております。「1.はじめに」ということで、この検討の大前提として、2050年のカーボンニュートラル達成を目指して、核融合エネルギーに対する期待がかつてないほどに高まっています。米国では商業核融合発電の実現を加速するための10年戦略を策定することを宣言し、安全規制体系の整備に向けた動きを始めています。英国では国家核融合戦略を発表し、2040年代の核融合発電の建設を目指すとしています。中国においては、ITERと同規模の工学試験炉CFETRの建設を独自に進め、2030年代までに原型炉に改造する計画を進めております。民間セクターにおいても、欧米を中心に我が国でも核融合スタートアップ企業に対する投資が活発化しているという状況にあります。
 という背景の下に、我が国では、委員会に設置された本タスクフォースにおいて、2017年12月に「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」を策定し、(1)核融合原型炉の開発に必要な戦略、(2)原型炉に求められる基本概念と技術課題解決のための開発の進め方、(3)原型炉段階への移行に向けた考え方、を示すとともに、同年12月に原型炉の技術開発課題の項目ごとに解決のためのAPを作成し、実効的なフォローアップと時宜を得た体制整備の進捗確認を実施することとしました。
 さらに、2018年7月には「原型炉研究開発ロードマップ(一次まとめ)」(以下、ロードマップ)を示し、1.開発の重要度と緊急性、2.国際協力の観点に基づいて整理しました。その後、原型炉の目標(1.数十万キロワットの電気出力、2.実用に供し得る稼働率、3.燃料の自己充足性)に見通しを得るための概念設計の基本設計が、原型炉設計合同特別チーム(以下、合同特別チーム)によってまとめられました。
 昨年度の委員会においては、核融合原型炉に関する第1回中間チェック・アンド・レビュー(以下、CR)の報告書が取りまとめられ、第1回中間CRの項目はおおむね達成されていると評価したところでございます。この中で、核融合発電の実現時期の前倒しが可能か検討を深めること、前倒しを行う場合、第2回中間CR時点での達成目標や原型炉研究開発の優先順位を再検討することを委員会より指摘されております。
 本報告書は、タスクフォースにおいて核融合発電の実施時期の前倒しを検討した結果をまとめたものでございます。検討に当たっては、以下のような考え方で進めました。
 まず、前倒しの検討の前提となる原型炉計画の目標や実施時期の変更について議論しました。続いて、現行APの項目である0番から12番の項目に、新たにサイト整備を取り扱って、前倒しに伴う変更点を議論しました。なお、13番ヘリカル方式、14番レーザー方式については、前倒しによる変更はないため、今回は対象としておりません。最後に、前倒しに対応する第2回中間CR及びAPの見直しを行い、加えてロードマップの更新について検討しました。ここまでが経緯と実施した内容になります。
 続いて、「2.核融合発電の実施時期の前倒しの検討における第1期の目標設定と実施時期」についてです。今回の検討において大変重要である核融合発電の実施時期の前倒しの検討における第1期の目標設定と実施時期というものを定義しております。前倒しでは、2040年代の原型炉運転開始を仮定し、そこから概念設計、工学設計、建設、組立ての期間をバックキャストして設定しました。この場合、段階的に原型炉の性能を上げる(運転領域を広げていく)として、表1に示すように、第1期(発電実証)と第2期(定格発電実証)を設定しました。第1期は、第2期目標を速やかに達成できるようにしつつ、増殖ブランケットによる発電を早期に実証するマイルストーンとしました。この新たに設定した「低出力及びパルス運転」に必要な技術開発を加速・重点化することで、2035年のITER燃焼実験の直後から原型炉建設に着手し、10年後に原型炉による発電実証を目指すことが可能となり、現在の計画から5年程度の前倒しの可能性が示されたということになっております。
 続いて、「3.核融合発電の実施時期の前倒しの検討」についてです。核融合発電の実施時期の前倒しの検討ですが、前項の検討結果を基に、前倒しAPを検討しました。まず、検討の基本となる項目である「0.炉設計」において、以下のような前倒しの実施が必要となることが示されました。移行判断までに製造設計を完了するため、ITER技術ベースに概念設計段階で高水準まで進め、炉本体設計を3年短縮します。コスト評価、候補地選定、建設サイト評価・選定を2、3年前倒しして実施し、製造設計の開始前に完了させます。建設サイト評価に必要となるため、安全規制法令及び安全評価についても3年前倒します。中性子照射データの取得のために、第1期(パルス運転)においてもデータベース更新を継続します。
 以上の炉設計の前倒しを基に、各項目の前倒しを検討したAP構成表及びAP項目別解説を示したのが資料2と3になります。資料2はこれまでのAPと同様に、AP構成表は表形式で示したものです。資料3はAP項目別解説で、項目別の補足説明、特に留意すべき点について附属するものです。これが資料3です。本検討の中で示された項目別の特に留意すべき点について以下に列記するという、ここから先は本日この後議論して以降、まとめる予定です。
 続いて、資料2を説明します。こちらはAP構成表の改訂案になります。
 まず初めに、構成表の見方です。この見方は現行のAPから変わっておりません。横軸が年代になっていまして、一番上に合同特別チームの活動フェーズが定義されています。これに対して項目別の課題名があって、それの研究計画の主な線表が出ております。それぞれの小課題について、アクションの開始、実施機関記号、アクション名、終了年の順に記載しておりまして、黒字の年数のところが開始事項で、赤字が完了事項ということになります。米印は2045年以降も継続するという意味になっております。
 注意書きにありますように、完了時期の(19)とは、2020年に予定される第1回中間CRの前までを意味しています。直接の実施ではなく、全体調整等を行う機関は、タスクフォースや合同特別チームのように緑字で、位置は実施期待機関の後ろに記載されています。責任を持って実施することが期待される機関・組織の記号というものがここで書かれています。
 これを基に、「0.炉設計」のところを説明いたします。2015年から2035年頃の合同特別チームの活動フェーズに対して、重要なポイントとしては、概念設計、小規模技術開発が2025年頃の後に終了して、工学設計段階に移り、その後、製造設計に移ることになっています。その工学設計段階の中で建設サイトの評価・選定が、建設候補地の選定の後に出てくると、ここが非常に重要なマイルストーンになっております。また、安全確保方針案の策定、安全要求・解析・評価並びに法令準備、そして安全法制の整備と候補サイトでの安全評価が重要な実施項目になっております。物理・工学・材料データベースの構築を進めていき、JT-60SAや材料照射成果に沿ったデータベース更新を進めていくというような改訂案になっております。
 続いて、「1.超伝導コイル」です。これは大きな変更はなかったと思いますが、2035年頃までに製造設計を終えるというような形になっております。
 続いて、「2.ブランケット」です。幾つかのマイルストーン、例えば、ITER-TBM(テストブランケットモジュール)製作実績は変更していませんが、設計の前倒しに基づいて、原型炉ブランケットシステムの概念基本設計、概念設計、工学設計、製造設計が前倒しされております。また、TBS(テストブランケットシステム)・補完試験装置の設計や試験計画、コールド試験データの取得から、ITER-TBSによる設計・製作技術の妥当性実証というのは、こちらもITERの部分ですので現行の構成表と同じく書かれています。また、三重水素工学試験の計画と設備設計、三重水素挙動解明・取扱技術の確立といったものも基本的には書かれていた内容ですが、このように早まった形になっているということになります。
 次のページの構成表も「2.ブランケット」ですが、ここでは原型炉リミターシステムなどがあります。概念設計を2025年頃に終わらせて、原型炉ブランケットシステムの工学設計に移り、製造設計に移っていくというような流れになっております。また、リチウム確保技術の確立やベリライドブロックの製造技術確立なども2025年頃後に終わらせて、次の段階に進むということになっております。
 「3.ダイバータ」に関しては、議論もございましたが、基本的にはダイバータシミュレーションコードの開発とその検証、プラズマ実験による制御手法の開発と実証が続いています。その中でダイバータ機器特性評価や先進ダイバータ概念の評価を踏まえて、現在、ダイバータの概念設計と運転シナリオ構築、ダイバータ機器適用性判断というのを前倒しして進め、ダイバータの工学設計と製造設計につながっていくというプランになっております。また、中性子照射の影響、保全や補修技術の評価と開発も、このように前倒しして進められていくというような形になっています。
 「4.加熱・電流駆動システム」に関しては、今回の前倒し案における第1期と第2期で、早める部分と後送りする部分が明確に分けられております。まず、基本的にはITER/JT-60SAを通じた工学基盤技術開発というのが重要ですが、そういった中で開発された技術やITERに関する経験等を踏まえて、原型炉に向けた基盤技術開発を行っていきます。特にECHシステムが第1期に向けて重要な設備になりますし、NBIに関しては耐放射線材料の開発や高信頼性の基盤技術、連続運転等可能になっていくものを行っていきます。最重要なのは、第1期のパルス運転に間に合うような技術開発をしていくというプランです。
 「5.理論・シミュレーション」に関しては、原型炉開発の前倒しに間に合うように様々なシミュレーション群の整備が必要になります。当然、このシミュレーション群を支えていくインフラとして、前倒しに関わらず、スーパーコンピューターの重要性及び必要性が指摘されました。それは次のページの原型炉制御シミュレータという項目にも当然関係しています。
 「6.炉心プラズマ」に関しては、ここはJT-60SA、ITER及びLHDの経験並びにプラズマ制御手法の確立を踏まえて、原型炉の炉心プラズマの制御に向けた理解を進めていくという内容になっております。こちらもダイバータや加熱などの分野と整合が取れるような前倒し案になっているということは確認されております。
 「7.燃料システム」に関しては、ここはTBM計画を含むITERでの実証が一つの重要な点になっており、三重水素(トリチウム)大量取扱施設設計検討や、施設建設/技術実証というものを前倒しして進めていく必要があります。パイロットプラント規模でのリチウム確保技術確立、プラント規模でのリチウム確保技術実証という、こちらも「2.ブランケット」のところでも出ていましたが、燃料システムとしても当然特出しされています。また、三重水素をどのように製造していくかという検討や、その確保方策、あるいは初期装荷の燃料である三重水素をどのように確保していくかを、明確に規定していく必要があり、前倒しつつ考えていくということになっています。
 「8.核融合炉材料と規格・基準」に関しては、第2回中間CRまでに原型炉に要求される材料スペックの明確化等を進め、低放射化鋼の大量製造技術やブランケット構造体製作技術、炉内機器品質管理・保全技術を確立させていきます。重要なのは微小試験片技術の信頼性評価というのが、これまでのデータが微小試験片技術で取られていることもあり、この核融合原型炉独自のガイドラインの策定や規格化に向けたアクションが必要であるということも示されています。
 複合環境での構造健全性検証なども必要であり、ここも前倒ししていく必要があります。原子炉による重照射環境のデータの検証はこれまでのデータだけではなくて、限られたデータから信頼性のある規制基準をつくれるように統計性でどこまで評価すればいいのかといった部分をしっかりとやっていく必要があります。接合被覆部・環境影響に関する照射データの取得も前倒しする必要があります。
 また、そういった中で、当然こちらの分野でも「5.理論・シミュレーション」に関わる核融合中性子特有の照射影響の解明や照射劣化モデルの構築などが必要ですし、材料規格化に向けた学協会の活動も重要であることが指摘されております。先進ブランケット材料に関しては、これまでどおり先進ブランケット材料の利用方法を明確化し、データベースを充実させていくことが必要だと指摘されております。
 その他の材料に関して、増殖機能材料といったものが前倒しされております。ダイバータ材料に関しては、「3.ダイバータ」でも示したとおり、現在考えられているダイバータ概念に使われるような材料の照射データを整備していく必要があります。計測・制御機器材料も同様です。
 大きく変わったのは核融合中性子源のところで、核融合中性子源の設計・建設に関しては2042年まで続いていきますが、その後、実際の核融合中性子源照射試験は2043年の案になっております。第1期の建設段階においては、原子炉照射を行い、日本独自の核融合中性子源においては、照射試験ができる環境や、最終的には経済性につながるような重照射の環境づくりを前倒しして成し遂げるという案になっております。
 「8.核融合炉材料と規格・基準」の新たなところで、炉構造(真空容器及び配管)などがあります。三重水素の閉じ込め境界である真空容器等の概念設計あるいは工学設計、製造設計を定義し、それに関する構造規格もAPに定義されたというのが新しく加わったところです。
 「9.安全性」に関しては、基本的には現行の構成表と変わりませんが、前倒しに伴って、安全性評価あるいは安全審査への道のりを前倒ししております。
 「10.稼働率と保守」に関しては、当然こちらも前倒ししているという内容になっております。
 「11.計測・制御」に関しては、こちらも前倒ししますが、基本的には計測器等を使いながらというところがございますので、2035年以降も継続して開発等を進めていくという内容になっております。
 「12.サイト整備」が新たに加わったポイントになります。この項目が、今回特出しした部分です。設計検討においては、立地の特殊性、特徴に依存する項目がございますので、立地条件を検討しつつ、建設地の候補の選定を行って、サイト整備の予備調査や関連法規・条例等の申請につながっていくというような計画になっています。これに基づき、建設地候補を選定することを踏まえて配置計画が進んでいき、実際に核融合原型炉を立ち上げるには外部電力、あるいは給排水設備も必要ですので、これらの設計が必要になります。実際の建設設計、建設工事の情報収集を2030年頃から始めることになっております。
 「13.社会連携」に関しても、現行の構成表から大きく変わるところはありませんが、やはり、「12.サイト整備」を特出しすることによって、逆に「13.社会連携」の位置づけがはっきりと見えてくるのではないかと考えております。
 次に、「14.ヘリカル方式」と「15.レーザー方式」は、基本的には変わっておりません。
 これで一通りAP構成表の改訂案説明をいたしました。
 APの項目別解説に関しては、ここでは詳細は述べませんが、これも全て改訂案となっております。各委員におかれましてはいろいろ気になる点がございましたら、ここで議論していただければと思う次第です。
 資料1から説明いたしましたが、まず意見交換の前に、ただいま説明した内容について御質問がありましたらお願いいたします。
 では、特に御質問がないようですので、意見交換に入りたいと思います。順番に、資料1、2、3の中で、まずAP、次にCR、最後にロードマップの順に議論していきます。まずはAPについて、資料1、AP構成表及びAP項目別解説の改訂案について検討いたします。参考資料1として現行のAPを準備しましたので、そちらも参考にしていただきながら、御意見をお願いいたします。福家委員、お願いいたします。
【福家委員】AP構成表の「0.炉設計」の部分について、質問いたします。資料では黒字が開始事項、そして赤字が完了事項となっています。例えば、完了事項について、コスト評価のところは2028年終了となっています。一方で、例えば、炉本体の設計は赤字にはなっていませんが、完了時期の年数は赤字になっています。この年に終わるんだろうということは分かりますが、赤字にした方針を確認したいと思いました。これは炉設計だけではなく、他のところにも全て関わる部分なので、確認させていただければと思います。
【笠田主査】数字だけでなくて、文字も赤くなっているものもあるし、文字が黒くなっているものもありますが、これの意図は何かという御質問ですね。東島委員、お願いします。
【東島委員】例として「0.炉設計」について、黒字になっている資料の一番左上の項目に沿って説明します。2015年に特別チームが物理・工学ガイドラインを進めます。CR1、2、それから移行判断の三つが資料の2020年頃、2025年頃、2035年頃にある縦の線になっているわけですが、それより前の段階で、つまり2015年から2020年頃の枠の中で、2019年頃に終わるので、2019年のところは赤になっています。一方、この項目は2015年に始まっているので、黒字になっています。
 先ほど福家委員がおっしゃったコスト評価のところは、2018年が開始時期で、2028年が完了時期となっており、それは資料の枠を3つの枠にまたいで記載してあります。ですので、2028年に終わるという意味で、枠の左から順に黒字、黒字と来て、最後が赤字になっているという考え方です。赤字のコスト評価と同じ枠の中に例えば、建設地候補選定がありますが、2026年に始まって、2027年まで行うということで、完了時期の数字は赤になっていますが、2026年に始まっていますので、黒字で書いてあります。この考え方になっていないところがあるとすれば、それはもう1回見直さないといけないですが、それが基本的な考え方と思います。
【笠田主査】例えば、真ん中の「(16)特/TF:燃料サイクル戦略」というのが全部赤字で書いてあるのは、もう前の活動フェーズから始まっていて、真ん中の枠では2026年で完了するということで、赤字で記載されているということでよいでしょうか。
【東島委員】そうですね。CR2の頃に、それが完了するということになっています。
【笠田主査】基本的にはそういうことになっていると思いますが、そうなっていないものにお気づきでしたら、後ほどでもいいので御指摘ください。資料1に関して、これまでの経緯と、第26回及び第27回のタスクフォースで検討した内容なので、基本的な考え方は表1のところにまとまっています。表1のところはもう既に議論を前回のタスクフォースまでにやっていると思いますが、こちらに関して何かございますか。東島委員、お願いします。
【東島委員】表1の次のページにある、「…以下に列記する。」のところは、先ほど笠田主査から御説明いただいたような、ダイジェストみたいなものをここに書いて、特に第1期に向けて、こういうところがそれぞれの項目で変わったと分かるように、ここに書いてはいかがかと思います。主には笠田主査がおっしゃったとおりのようなことがここに書かれるとよいと思いました。
【笠田主査】先ほどは、私がこれまでの議論の中で特に気になったところを述べていたところがあって、過不足がおそらくあると思うので、各委員より、特に書いておいた方がいいという部分があれば、再度おっしゃっていただくのがよろしいかと思います。そういった点において各担当から、0番から15番までございますが、私が述べてないところや、述べ方をこうした方がいいのではというところがあれば御指摘願います。
 例えば、「0.炉設計」はもう第26回で議論しているので、特に問題ないと思いますが、「1.超伝導コイル」以降が反映されているかなどを御指摘いただければと思います。特に項目としては変わっておりませんが、前倒ししますと言った可能性もありますが、それでよかったですか。
【木戸委員】考え方はそのとおりでありまして、項目は特に大きくというか、項目は変わっていません。全体的に少しずつ前に寄せてきた形になっていますので、先ほどの御説明でよいかと思います。
【笠田主査】では、「2.ブランケット」に関しては、こちらはいかがでしょうか。加わったのはリミターシステムのことでしたよね。近藤委員、いかがでしょうか。
【近藤委員】先ほどの説明でよろしかったと思います。
【笠田主査】はい。このような形で進めます。「3.ダイバータ」はいろんな議論があったと思いますが、坂本隆一委員、いかがでしょうか。
【坂本(隆)委員】AP構成表の項目自体はほとんど変わっていないと思いますが、項目別解説で補足というか、変更が反映されているので、これでよろしいかと思います。
【笠田主査】では、「4.加熱・電流駆動システム」は第1期、第2期に分かれたというところがポイントだと思いますが、伊神委員、いかがでしょうか。
【伊神委員】第1期はECHで、特にECHの高信頼性や高周波数化の方を少し前倒しというところと、第2期でNBIをしっかり開発していくというところで、現実的なところを押さえて改訂されていると考えています。
【笠田主査】続きまして、「5.理論・シミュレーション」です。こちらではスパコンがやはり重要というのがポイントだったと思いますが、鈴木委員、いかがでしょうか。
【鈴木委員】ポイントとしてはスパコンが話題として出ました。それから、検討のスケジュールとしては、シミュレーション要素コードについては早めに仕上げるということになっていたので、よろしいかと思います。
【笠田主査】「6.炉心プラズマ」に関しましてはいかがでしょうか。
【鈴木委員】こちらも2段階に分けたことで、最初の1段階での原型炉で使う技術について早めに実証するということでよろしいかと思います。
【笠田主査】続きまして、「7.燃料システム」です。東島委員、お願いします。
【東島委員】燃料システムについては、もともと、より少ない三重水素で運転していく計画で、三重水素をより効率的に使うという意味で、ペレットの混合システム等があります。現状、それらは第2期に向けて開発を進め、むしろ第1期ではITERの既存技術でやっていくということが書いてあるので、いいと思います。
 一方、前倒しに当たって、特に規制の対応が必要と思っていますので、そういう意味では許認可のデータ取得に必要な三重水素大量取扱施設が書かれていますので、一応全てのものがこのとおりになっているかなと思います。
【笠田主査】「8.核融合炉材料と規格・基準」に関しては、吉橋委員が今日、御欠席なので、私から説明します。
 海外炉を含めた原子炉を駆使した材料照射データの取得を、統計性という観点からしっかりと取得していくことが大事であります。それで第1期のパルス運転に間に合わせていくことが前倒しにおいては必要であります。その場合、核融合中性子源を使った研究というのは第2期以降に反映していきます。実用化に向けて、重照射データというのは非常に大事になってきますので、第1期及び第2期に反映した形での核融合中性子源の役割が再度定義されました。こちらに関しまして、他の委員から、御指摘ありますでしょうか。
 「8.核融合炉材料と規格・基準」はそういった形で、続きましては「9.安全性」について、福家委員お願いします。
【福家委員】先ほど笠田主査から御紹介いただいたように、安全審査に向けた活動を前倒しするということですので、これについてはそのとおりだと思います。それに伴って、当初懸念していた照射データの話は、第1期がパルス運転ですので、工程的には問題ないだろうと思っています。ただ、少し懸念があるのは、V&V実験に必要となるデータに関しては前倒しをしていかなければいけませんので、フレキシブルに前倒しする必要があるだろうと思っています。
【笠田主査】その最後のポイントは、しっかりと述べておいた方がいいと思います。
 「10.稼働率と保守」はいかがでしょうか。稼働率と保守も、基本的には前倒しに向けて、各項目を前倒ししていくということだと認識しておりますが、それでよろしいですかね。特になければ、次に行きます。「11.計測・制御」について、お願いします。
【東島委員】これについては、2035年までに開発することは変わらないと思っています。一部制御の部分は前倒ししていますが、ほぼ従来どおりのものが改訂案に書いてあると思っていますので、大きな変更は、特にはございません。
【笠田主査】続きまして、「12.サイト整備」です。こちらは新規の部分ですが、当然、前倒しを検討するといろいろなことが見えてくるので、改訂案のように書き起こされたと思っております。よろしいですかね。では続きまして、「13.社会連携」について、いかがでしょうか。
【奥本委員】そうですね、特に現状把握の部分をいつの段階で入れるかというのをサイト選定と同様に、今、話し合っているところです。核融合に対して、ネガティブな意見が一部の方から出されると、サイト選定等で反対運動が起きると想定されます。早めにどういう形での社会連携のネックがあるのかということを把握して、そしてアウトリーチ活動につなげていって、最終的に、こうするときには社会と連携しながらやっていくと、そういう絵が描ければと思っています。ただ、あまりに先の社会の意見を聴取してしまうと実装段階での乖離があるので、その辺は先生方とも話し合いながら、時期を見定めていきたいと考えています。
【笠田主査】よりよいエンゲージメントの在り方を検討していくことがやはり大事だということが、サイト選定というのを特出しすると、より明瞭になったので、そこを意識してアクションしていくということは大事かと私も思います。
 続いて、「14.ヘリカル方式」と「15.レーザー方式」に関しては変更がないということで、参考資料も含めてつけておりますが、坂本隆一委員、藤岡委員、よろしいですね。
【坂本(隆)委員】はい、承知しました。
【藤岡委員】はい、結構です。
【笠田主査】AP項目別解説はよろしいですかね。ここも主査預かりということで、やはり文言の説明なので、どうしても必要な修正が生じる可能性があると思いますので、そういったものがあれば御指摘いただければと思います。
【梶田学術調査官】少し細かい点ですが、例えば、燃料システムのところで紫字があったのですが、これは緑字と同じ意味でしょうか。
【東島委員】基本的に紫はないはずです。そこは多分、黒字だと思います。
【笠田主査】紫字になっているのは黒字の間違いということで確認できました。APに関しまして、他にございますか。重要なところも含めて、御意見ありがとうございました。この辺りも、先ほどの資料1の最後のところに、各委員からおっしゃっていただいた点も含めて私でまとめて、事務局と調整したいと思います。
 続きまして、CRについて、検討したいと思います。参考資料2として、現行のCR項目の一覧表を準備しました。こちらを基に、前倒しを前提として、第2回CRまでの達成目標や、原型炉段階への移行判断の内容を改訂する必要があるのかどうか、改訂する場合にはどのような内容の改訂が必要か、盛り込むべき内容や修正すべき事項など、改訂の方向性について御意見を伺いたいと思います。この真ん中の第2回中間CRまでの達成目標の部分と右側の原型炉への移行判断の部分について、まず改訂する必要があるのかどうかというところや、気になるところを御指摘いただいて、議論の足がかりとなればと思いますが、いかがでしょうか。
【坂本(瑞)主査代理】CR項目の改訂の方向性ということでの意見です。今、笠田主査からAP構成表等々の御説明がありましたが、やはり前倒しの議論をするということで、時期や内容も大きく変わってきております。このCR項目、参考資料2ができた当時の段階と状況も大きく変わっていますので、やはり見直すべき方向で考えるのがよろしいと思います。
 あと、この表では、中間CR1、2、原型炉段階への移行という3段階となっていますが、その後、原型炉を造った後の社会情勢も変わることや外的要因も変わることを踏まえて、CR2だけではなく、例えば、CR3など、少し区切りを入れながらやっていくということも検討する項目に入るのではないかと思いました。
【笠田主査】そうですね、特に候補地選定というのが明確に見えてきましたので、その候補地選定に至るときには、やはり何らかのCRが必要であろうということにつながるのだと思います。そういう意味で、第2回CRの後に、もう1回CRが入るだろうと思います。ただ、今議論するには材料がそろっていないと思うので、CRをするということが大事かなと思いました。東島委員、続きましてお願いいたします。
【東島委員】まず、私も坂本主査代理がおっしゃったとおり、第2回中間CRの後から原型炉への移行判断する間に、少なくとも製造設計の段階への移行と、あと笠田主査がおっしゃった候補地の選定の際に、これらはほぼ同時期だと思うのですが、CRが入るだろうと思います。やはり、後戻りできないところに関してはCRをするのがいいだろうと思います。ですので、ここの部分は、その後戻りできない部分というものを今後、第2回中間CRのときに、第3回中間CRをいつ頃と想定してやりましょうというような議論をし、CR項目はこれですよというものを立てるといいのかなと思います。ただ、今の時点ではなかなか見通せないので、3回目のCRの実施の是非や時期については、第2回中間CRの頃などとするといいのではないかなと考えます。
 次に、このCR項目の中で、前倒しの案が出てくるのだとすると、まず方針が大きく変わっているのは、「4.原型炉に関わる材料開発」のところではないかと思います。ですので、ここは少なくともパルス炉に必要なデータをそろえていくというところで第2回中間CRの見直しの対象にしてはどうかと思います。
【笠田主査】非常に重要な議論の方向性をまとめていただいたと思います。まず全体的な話です。3回目のCRを入れるというのが一つのポイントだと思います。もう一つは、特にこの表で言うと「4.原型炉に関わる材料開発」の部分です。パルス炉に対応すると、既にAPの改訂案で説明したとおり、核融合中性子源の建設時期、実施時期が変わってきているのは明確ですので、やはりここの書きぶりは当然変えていかなくてはいけないかなと思います。また、照射データの取得に関しても、より重要性というのか、位置づけが変わってきている部分がありますので、そこの項目としての書き方も考えなくてはいけないかもしれません。坂本隆一委員、お願いいたします。
【坂本(隆)委員】パルス炉に関してですが、パルス炉の条件で見直しをするということはもちろん良いとは思いますが、その場合、定常炉に対するCRはどこで行うようになるのかということが少し不明確になることを心配しました。
【笠田主査】基本的には、原子炉照射は定常炉に向けて、照射量という意味でやっていくはずなので、それは一つの部分を構成していると思いますし、当然海外の動向も重要なポイントになってくる議論だと理解しております。海外の核融合中性子源あるいは照射場を利用していく、利用性の検討というのも一つのポイントになるかもしれないと思っています。当然、第2期に向かっていく中で核融合中性子源を建設するところで考えていくというところもあるので、坂本隆一委員のおっしゃるところは、第2回中間CR項目でどのようにそこを位置づけるかということでしょうか。
【坂本(隆)委員】そうですね、第2回中間CRのときで良いと思いますが、将来的に定常運転に移行する、そのためのCRはどこで行うかということは、ある程度明確にしておいた方が良いと思いました。
【笠田主査】それはおそらく、核融合中性子源を建設するという判断の部分になるわけですよね。
【坂本(隆)委員】はい、そうですね。核融合中性子源に関する文言が入ってないといけないような気がしました。
【笠田主査】どこかにはないと何か、ここから核融合中性子源が抜けてしまうとどこにも見えなくなってしまうのは、確かにおかしい気はしますよね。3回目のCRのことは第2回CRに判断するとはいえ、そうするとここから核融合中性子源の話がなくなるのは、少し問題があるように思いますが、東島委員、その辺りどう思われますか。
【東島委員】そういう意味では、条件を変えたくはないのですが、「4.原型炉に関わる材料開発」における原型炉への移行判断を少し変えるのかなと、坂本隆一委員のコメントを受けて、思っておりました。
【笠田主査】他の観点も含めて、委員の皆様、ございますでしょうか。基本的には、おそらく「4.原型炉に関わる材料開発」の部分が一番重要で、前倒しにおいては変更が大きく検討される部分だと思います。あと私は前年度のタスクフォースのときにも言ったかもしれませんが、「3.ITERによる統合化技術の確立」の部分も個人的には気になっています。というのは、ITERの運転開始とITERの機器製作・据付・調整に関わる統合化技術の取得について、取得はいいですが、ITERの運転開始というのは、マイルストーンとしてどうなのかなという部分はあります。何となく二つ目だけで十分ではないかというような気はしています。前倒し案において、原型炉が前倒しするという観点においては、ここは二つ目だけで十分ではないかなと思っていますが、その辺りどう思われますか。坂本隆一委員、お願いいたします。
【坂本(隆)委員】ここに関しては、ITER運転の開始というのは、運転ができるような技術を取得したということを言いたいのではないかと思います。
【笠田主査】そうなんです。だから実は二つ目と一緒なんですよね。少なくとも私はそういうふうに思っています。第2回中間CRまでの達成目標の中で、何となくこれだけ他と異なっていて、ITER運転開始というのは、ただ開始するだけなので、マイルストーンではなく、むしろ坂本隆一委員がおっしゃったとおり、チェックする部分としては二つ目の統合化技術が取得されたことが大事だと思います。坂本瑞樹主査代理お願いいたします。
【坂本(瑞)主査代理】私も笠田主査の御意見に賛成です。ITER運転の開始というところの捉え方は人それぞれ違ってくるかもしれませんので、先ほど坂本隆一委員が言われたようなことも観点として入っていると思います。ただ、プラズマの点火ができるかという観点を入れているのかどうかといった何の観点を入れているのかということを明確化することはやはり大事だと思いました。超伝導コイルが冷えて、しっかりシステムとして出来上がっていれば、もう装置として運転開始されているというようにするのか、どの観点を入れるのかというところを明確にして見直すというのもありなんだろうと思いました。
【伊神委員】同じところで、二つ目だけでもいいとは思いますが、それでも何か少しあいまいな書き方かなと思いました。先ほども意見が出ましたが、超伝導コイルを冷却したらよし、真空にしたらよしなのか、本当にプラズマが点火したらよしなのか、それともそこはあんまり厳密に決めない方がいいのか、何をもって技術の取得ができたと判断するのかというのは、どう考えればいいんでしょうか。
【笠田主査】おそらく技術の取得ができたというのは、原型炉に反映できるものが、ITERから吸い出せる技術は全部、この建設段階できっちり得られましたと言えればいいと思います。この原型炉計画にとってのCRなので、そういうことが言えればいいです。そのため、私は、わざわざあいまいさをこうして残すよりは、一つにまとめてしまった方が、原型炉計画にとっての位置づけの観点で、第2回中間CRでの達成項目における「3.ITERによる統合化技術の確立」は明瞭になるかと思った次第です。ここだけではなくて、他の点でも何かございますでしょうか。東島委員、お願いいたします。
【東島委員】同じところに関してですが、統合化技術が確立されたのは、確立された上でシステムとしてのITERが動き始めるという意味で運転開始と書いてあるとも理解できます。あえて言うならば、ITERの機器製作・据付・調整に関わる統合化技術の取得、そして運転開始を一つにすると、何となく技術が全部手に入ってから初めて動かせるものというように思うので、二つに分けて書いたのかと思います。ですので、技術の取得後に運転となっていればまだ違和感がなかったのかもしれませんが、先に運転開始と書いてあるので違和感があるのかなと思います。もし笠田主査と坂本瑞樹主査代理がおっしゃるとおりだとすると、技術取得の部分で、括弧して書く等、要は全部できた上で運転していると明確にすることなのかなと思います。
【笠田主査】最終的に、移行判断のところで運転・保守を通した統合化技術を確立したと認識されるような、何らかのマイルストーンが必要かなと思った次第です。
【東島委員】そういうことであれば、私も特に異論はございません。
【笠田主査】他の項目で気づいた点等ございますか。特に前倒しにおいて、変更が必要なのは「4.原型炉に関わる材料開発」であり、「3.ITERによる統合化技術の確立」も一部、表現を修正できれば修正すること、あと前倒し案に伴い他に特出ししておくことは、大丈夫でしょうか。特にプラズマ運転技術等は、第1期、第2期を反映して書きぶりを変える必要等はございませんか。「2.原型炉を見据えた高ベータ定常プラズマ運転技術の確立」の特にJT-60SAによる高ベータ非誘導電流駆動運転の達成という部分は、第1期、第2期で位置づけ等、少し変わってきていませんか。
【鈴木委員】定常炉の段階で必要になる技術というのを、今、原型炉の移行判断の段階で仕上げることになっていますが、それ自体後ろ倒しにするは可能かと思います。ただ、シミュレーション等での検証を考えると、今のままでもよいのかなと思います。
【東島委員】ここは数字が書かれていないので、その目標とするものは、最終的に原型炉段階への移行判断ではβN=3.5以上と書いてあります。ここは多分これでいいと思いますが、第2回中間CRでの達成目標はそういった数字が入っていないので、パルス炉といっても、今回、2時間の運転を我々は想定しました。現時点の実績から考えると、十分に定常運転に見えますので、そういう意味では、ここはこのままでいいのかと私は思います。
【伊神委員】この場合の非誘導電流駆動というのは、パルス炉なんだけれども、そのパルス炉の2時間の運転の中で、ほとんどオーミックのないようなプラズマで、高ベータのプラズマをつくれたらよいという認識でいいでしょうか。
【東島委員】第1期及び第2期で目指す装置性能を思い出していただきたいんですが、βN=2.6ぐらいを狙っていこうという話だったと思いますので、それは十分高ベータかなと思います。一方、非誘導電流駆動に関してはもともと想定していたものと若干中身は変わってきているかもしれませんが、やはり目標をここで掲げておかないと、その後の展開がなかなか考えにくいかなと思います。
【伊神委員】2時間の運転の中で非誘導電流駆動の状態を作って、高ベータを目指すと明記しますということですね。
【東島委員】JT-60SAの運転は100秒でしかないので、それからすると長い運転時間を目指すわけで、少なくともその100秒間の運転の中でそういった状況が作れていなければ、別に100秒で全部やらなければいけないというわけではないと思います。ですが、非誘導電流駆動の状態で運転ができることを達成しておくことは非常に重要なことかなと思います。
【伊神委員】その状態ができると実証するということですね。
【東島委員】はい、そうかと思います。
【坂本(瑞)主査代理】今の議論に関係して、とても大切な観点だと思いました。そういう意味で、今、東島委員が言われたのは、電流拡散時間よりも長く運転時間を取るということですね。どこの時間で決めるのかというのは、電流拡散時間よりも長く維持できれば、それはもちろん100秒よりも十分短いんだと思いますが、そこまでいけば、あとは定常運転に向かってマイルストーンを超えたということになるので、それは十分100秒の中でできるという、そういう考え方でよろしいですよね。
【東島委員】はい。
【坂本(瑞)主査代理】この議論はJT-60SA立ち上げのときからずっと議論されてきたので、そういう認識だったと思います。よろしくお願いします。
【笠田主査】他の項目はよろしいでしょうか。変更は特に必要ないということで、炉工学技術開発等も大丈夫ですかね。
 ありがとうございました。それではこれで、CR項目の表に関する変更点に関しましてまとめます。「4.原型炉に関わる材料開発」の原型炉に関わる材料開発のところは、特に核融合中性子源の取扱いの部分の表記を前倒し案に対応した形に変える必要があるということと、「3.ITERによる統合化技術の確立」のITERによる統合化技術の確立というところが、より皆さんでイメージしやすいものにしっかりと表現を変えた方がいいのではないかという議論と御意見をいただきました。そういった方向でこちらも修正案、前倒し案としてまとめて、主査から御提示できるようにしたいと思います。ありがとうございます。
 もう一つ重要なポイントとしては、3回目の中間CRを入れる必要があり、その項目は第2回中間CRを実施する際に検討すべきであるということも御意見としていただきましたので、これも盛り込みたいと思います。
 最後に、ロードマップについて検討したいと思います。参考資料3を御覧ください。こちらは現行のロードマップになっております。こちらを参考にしながら、前倒しを前提として、ロードマップについて改訂する必要があるのかどうか、改訂する場合にはどのような改訂が必要か、盛り込むべき内容や修正すべき事項など、改訂の方向性について御意見をお願いいたします。
 まず、改訂の必要性があるかどうかというのは、これはどう考えてもAPと整合が取れない部分が出ていますので、改訂は必要かと思います。皆様より改訂のポイントについて、改めて御指摘いただけるとまとめやすいので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。坂本瑞樹主査代理、お願いします。
【坂本(瑞)主査代理】APのところでもCRのところでも議論がありましたが、「3.核融合中性子源」は、やはりここでも見直すべきところになっていると思います。それ以外もあると思いますが、議論の流れからすると、そこは変えるべきところだと思いました。
【笠田主査】ここはもう明確に書き直す必要があると思いますので、皆さんも同意されるポイントかと思います。他にいかがでしょうか。
 特に重要なポイントとしては、資料の左側に「国際協力で推進」と「国内独自技術として推進」というように分かれていて、その辺りも含めて、よく見ていただければと思います。坂本隆一委員、お願いいたします。
【坂本(隆)委員】「4.原型炉研究開発」に関して、第4段階に社会受容性と経済性の見通しを得た工学設計の完了と書いてありますが、これはおそらく前倒しになるので、書き直す必要があるかと思います。
【笠田主査】そうですね、APの構成表の一番上の段のところに対応していないと、そもそもおかしくなってしまうので、この辺は根本的に修正が必要であろうと思います。
 あとはいかがでしょうか。あまり原型炉の方では議論していませんが、「2.JT-60SA」の統合研究段階、拡大研究段階という書き方について、変更は必要ないでしょうか。
【東島委員】書き方は変わってはいないと思います。あえて言うなら、どこまでが初期研究段階なのか、統合研究段階なのか、どこからが拡大研究段階なのかというのは、BA活動(フェーズⅡ)が2025年まで線を引いてありますが、これが今、少なくとも2025年より後に来ていて、それに合わせて全体としてスケジュールは変わっているかなと思います。ですので、少し線の位置を動かした方がいいのかもしれません。
【笠田主査】そこは最新の状況に合わせて、改訂となれば、そういうことになろうかと思います。
 あとは、「6.大型ヘリカル研究」と「7.高出力レーザー研究」は特に変更はないわけですし、「5.ブランケット開発」は前倒しに合わせた書き方になると思います。「4.原型炉研究開発」も前倒しに合わせた書き方について、特に書く内容を変えるというのはないと思いますが、いかがでしょうか。何か加えるべきところ等はありますか。
【木戸委員】今回、前倒しの一つのポイントとして、2035年の移行措置前に製造設計を行うというのがあるかと思うんですが、その辺りは表現を明確にした方がいいかなと思います。
【笠田主査】そうですね、設計段階はこの図には入っていないんですよね。原型炉の概念設計や製造設計等、そういう書き方はこのときはしていないですが、それは現行のロードマップの書き方を踏襲するか、それとも新たに書いた方が見えやすいか、木戸委員は、そこは書いた方がいいとお考えですか。
【木戸委員】結構大きなポイント、特徴かと思ったものですから。
【笠田主査】委員の皆様、本件につきましていかがでしょうか。その方向で一度書いてみるというのもあってもいい、あるいは、ロードマップはあまり煩雑になり過ぎないというのは大事だと思います。そこのあんばいは書いてみないと分からないところもありますが、製造設計の移行の部分で、サイト選定というのがおそらく大事なポイントになっていて、この社会連携活動のところにサイト選定関係のマイルストーンを記載すべきと考えてよろしいでしょうか。委員の皆さん、この辺りも含めて、いかがでしょうか。
 「原型炉に向けた社会連携活動の実施」というのは、このロードマップだと2035年からようやく始まるようになっていますが、これが少し書き方を変えなくてはいけないと思います。原型炉に向けた社会連携活動はこれより前から始めてなくてはいけなくて、サイト選定より前に何らかの、社会連携活動はあると思うので、この「8.社会連携活動」のところは前倒し案に即した書き方にした方がよろしいですかね。
 現行のロードマップは、2035年の移行判断に全部、目標達成が求められる時点や次段階への移行判断が求められる時点があります。しかし、サイト選定は、その前に候補を選定するなど、それなりに重要なマイルストーンだと思いますが、それはやはり書いた方がいいですか。
【木戸委員】先ほどの話で、時期は決まっていないにせよCRが1個増えるというお話で、それがサイト選定と、先ほどの製造設計着手の前に来るような形なので、やはりそこは一つ大きな今回特徴かと思います。少なくとも私はそう思いました。
【笠田主査】では、その辺りを反映する方向で書いてみるということになろうかと思います。
 これまで出てきた意見としましては、まず一番重要、大きな変更点は、全体として全部前倒しになるということを踏まえて、「3.核融合中性子源」であります。もちろん、あとは、「2.JT-60SA」に関しましては、時期が少し変わってくる部分があります。あとは、「8.社会連携活動」あるいは製造設計、核融合原型炉設計の段階と候補地選定の部分で、主に決まってくる中間CR3という部分をしっかりと示すという変更の方向性でよろしいでしょうか。何か盛り込み足りないもの等ございませんか。
 では、こちらのロードマップの件に関しましても、改訂を進めていくということで、皆様の合意が取れましたし、改訂する内容に関しましても、口頭ではございますが、ここで意見の集約ができたかと思いますので、あとはこちらで持ち帰って、まとめていきたいと思います。
 活発な御意見いただきましてありがとうございました。ただいま頂戴した御意見を踏まえまして、資料1、AP構成表、AP項目別解説の改訂案については、必要な修正を施させていただきます。また、CR、ロードマップにつきましては、頂戴した御意見を踏まえまして改訂案を作成させていただきます。その上で、次回の委員会で、私からタスクフォースでの検討結果として報告させていただきます。
 なお、今後の修正及び改訂案の作成に当たりましては、主査である私に御一任いただければと存じますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。主査に御一任いただくということを了承いただいたものとさせていただきます。
 それでは、議題4に移りますが、ここからは非公開の議題ですので、傍聴者の方は御退席いただきますようお願いします。
 
(議題4は非公開議事)
 
【笠田主査】本日用意しております議事は以上ですが、この他に報告、審議すべき案件はございますでしょうか。
 今回で、今年度予定されているタスクフォースは終了になります。委員の皆様におかれましては、本当にお忙しいところ大変重要なタスクに関わっていただき、このタスクフォースに積極的に御参加いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 それでは、本日のタスクフォースはこれで閉会いたします。御多忙の中、本当に御出席いただきありがとうございました。

―― 了 ――
 

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

   髙木、坂本
   電話番号:03-6734-4163

(研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)