核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第22回) 議事録

1.日時

令和2年12月15日(火曜日)16時00分~18時00分

2. 開催方法

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3. 議題

(1)アクションプランの進捗状況調査-その2
(2)第27回ITER理事会及び第26回BA運営委員会の開催結果について

4. 出席者

 委員

岡野主査、伊神委員、今澤委員、奥本委員、笠田委員、木戸委員、坂本委員、中島委員、蓮沼委員、東島委員、福家委員、藤岡委員、吉橋委員

 文部科学省

岩渕研究開発戦略官、加々美室長補佐、川窪核融合科学専門官、長壁科学官、近藤学術調査官

5. 議事録

【岡野主査】 それでは,始めたいと思います。本日は,御多忙のところ御参加いただきありがとうございます。定刻になりましたので,第22回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催いたします。今回も,新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催いたします。
それでは,議事に入る前に,事務局より,定足数の確認,配付資料の確認をお願いいたします。
【川窪専門官】 事務局の川窪でございます。本日の御出欠ですが,全員御出席で定足数を満たしていますことを御報告いたします。
次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。今回は,委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに,事前にメールにて配付資料を送付しております。会議中,遠隔会議システム上では資料を表示しませんので,各自お手元で御確認いただきます。
以上です。
【岡野主査】 ありがとうございました。
本委員会は委員会運営規則に基づき,非公開の部分を除きまして,議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され,ホームページ等で公開されます。
続きまして,議事1の「アクションプランの進捗状況調査-その2」に入りたいと思います。
第1回中間チェックアンドレビューに向けて,タスクフォースでアクションプランの進捗状況を調査し,核融合科学技術委員会に報告する予定です。前回のタスクフォースでは,本調査の実施方法について協議いたしました。それを踏まえて,今回は委員の皆様から調査結果を御報告いただき,個別課題,そして,全体について議論していきたいと思います。
それでは,まず私の方から調査の概要というか,全体についてお話しして,それから,個別の課題について入りたいと思います。
資料1は,次のチェックアンドレビューに向けての重要な資料になりますが,アクションプランは2020年までで終わっているわけではなくて,2035年頃の原型炉の建設を開始するところまで継続的に計画されているわけです。したがって,今回のフォローアップでも,原型炉の建設段階までに向けて進めるアクションプランとして,現時点で見てどう評価できるかを述べているはずです。
現時点でぎりぎり間に合っていても,例えば,今後はうまくいかなくなりそうなことがあるなら,それを指摘しておく必要があります。同様に,核融合開発は,常に長期的視野で先も見て評価していかないと,気がついてみたらできなくなっていたということになりかねないわけですね。したがって,本フォローアップでは,次のチェックアンドレビューのことを考えつつも,それより先の視点まで含めてコメントがなされている部分が多々あります。
例えば,今から準備しておかないと,今は大丈夫でも数年後には間に合わなくなると思われるものがあれば,単に現状では順調と評価してはいけないと思います。この点では,ある時点での達成度を問うチェックアンドレビューと,35年を見据えての本フォローアップは,ベースが異なるという点を念頭に置いていただきながら,各個別の報告を聞いていただければと思います。
それでは,各課題についての担当の委員から御説明を頂きますが,質問などは,全部の課題が説明し終わってからにしたいと思います。
まず,課題0「炉設計」については,私から説明したいと思います。
炉設計が0になっている理由は,後から付け加えたからではなくて,言うまでもなく,全体をカバーしていて,もちろん他の部分とも整合を取りながら調整している部分なので,0となっています。
項目は,炉概念と建設計画という小課題名,それから,もう一つ,次が機器設計,それから,安全確保指針,物理・工学・材料データベースという,こういった小課題があって,そのアクションについて,更に細かな課題が乗っているわけですね。
時間的に,本日は全体を読んでいくわけにはいかないのですが,全体を見ていただければ,第1回のチェックアンドレビューまでに完了予定のアクションというのは,基本的にほとんど達成されておりまして,チェックアンドレビューに向けての進捗はおおむね順調と判断して大丈夫だと思います。
加速が必要というのも少しありますが,例えば,原型炉TBM目標というところに加速が必要と書いてありますが,これは先進ブランケットですね。つまり,原型炉のそのものに使う予定の水冷却のブランケットではなくて,何らかの形の先進ブランケットの成立している検討がまだ不十分だということを言っていますが,これは将来を見ての話になっています。実際に現時点では,NIFSとか大学が参加してくるのは,加速の下地ができてきていますので,これで今はまだ不十分な部分もあるけれども,このままいけば大丈夫だろうと判断できます。
それから,安全確保更新の検討が不十分ということで,加速が必要になっておりますが,これは現時点で十分ではない部分もあるにはありますが,現時点でチェックアンドレビューについて心配しているというよりは,人材が不足しているというところから起こってきていることなので,今はすれすれ何とかなっているけど,この後このままではいかんというので,典型的な加速が必要になっていると思いますね。加速が必要というのは,それぞれ私の判断として見ているものです。
今後,第2回中間チェックアンドレビューが25年にあるので,それに向けたアクションの対応が開始されていますが,それが開始されたものは,例えば,26年終了とか,そういったものですね。2021年から始まって,あるいは,20年から始まって21年終了といったもの。この絵でいくと,ピンクになっている部分がそうですかね。こういった部分が新しく開始された部分なので,こういったところは,もちろんまだ始まったばかりか,まだ着手していない部分もありますけど,今後のためを考えると,R&Dの予算が必要になってくるので,今のうちから考えておく必要があると思います。評価はしませんが,今後の対策が必要という部分になります。
炉設計については,以上になります。
それでは,続いて,木戸委員から,資料1の課題番号1「超伝導」について,お願いできるでしょうか。
【木戸委員】 では,超伝導コイルのところを説明させていただきます。
私の方で研究会に出たり,学会の場でいろいろな関係者の方の会話を聞いたりして,状況を確認した結果をまとめました。
基本的に第1回のチェックアンドレビューまでの完了項目ということは,おおむね対応したと判断しております。そして,次の5年で実証が終了ということで考えています。
内容についてですけれども,まず超伝導の設計全般につきましては,コイルはITER同様のニオブ酸スズのケーブルインコンジット導体を用いたラジアルプレート方式,これを基本のベースと設計されています。
そして,導体につきましては,ITER-CSインサートコイルの試験結果,これを外挿することによって,一応短ピッチの撚線導体が成立する見通しになっております。ただし,これにつきましては,あくまで外挿ですので,やはり今後,導体の試作と試験の実証というものが必要になってくるというのが今回の評価であります。
そして,並行してコスト低減についての検討も進めておりまして,特に矩形導体のレイヤー巻き線の検討が今始められております。これを実際に実現するためには,ITERにはない耐放射線性の絶縁体,こういったものの検討がまた必要になってくると思っております。
いずれにせよ,今後,これらのものを合わせて,極低温の構造材や試験装置,コイルの試作,こういったものが最終的には実証があと5年の間である程度必要になってくると思いますので,こういったことに対するR&D全体の予算計画というものが,特に超伝導コイルは,割とほかの機器に先んじて検討が進んでいると思っておりますので,まずほかの機器のR&Dが進む前に,できるだけ早めにR&Dの予算を計画して,長い期間にわたっての予算の平準化ができるようになればよろしいかと思っています。
基本的に進捗度としては,ほぼ順調になっておりますが,導体の試験設備の検討につきましては,今後の試験計画も含めて加速が必要と考えております。
超伝導コイルは以上です。
【岡野主査】 木戸委員,どうもありがとうございました。
それでは,続きまして,課題番号の2番「ブランケット」につきまして,笠田委員,お願いいたします。
【笠田委員】 ブランケットについては,大きく分けると,固体増殖・水冷却ブランケット,原型炉に最初に入れるブランケットの部分と,先進ブランケット,原型炉TBMを想定した先進ブランケットという項目に大きく小課題が分かれています。
私のところは,前回のフォローアップを上段に,それぞれの項目,下段に今回のフォローアップを入れて,どの程度変わってきたかというのが分かるように残してあります。私自身が分からなくなってしまうので。
そうやって比較してみると,例えば,順調だったものが,加速が必要になっているものというのは,期限が非常に長くて,例えばデータベースの構築というのは,最初は順調に進んでいたと思っていましたけれども,やはりやっていく中で,こういったデータベースも必要であるというのが分かってきて,加速が必要というのが一部ありますという意味です。
基本的に順調というものは,実はあまり多くはなくて,加速が必要となってはいますけれども,それでも進捗というのは,やはり前回のフォローアップと比べてみるとありまして,例えば,TBMと補完試験装置の設計試験計画,及びコールド試験施設によるデータ取得というのは,具体的にQST六ヶ所に今建屋が建設中で,装置整備も順調に進捗していると。それができたら,急いで加速してデータを取得するというふうな意味合いでございます。
そういったことで,固体増殖ブランケットというのは,きちんとこのアクションプランに則(のっと)って手当てがされて進んでいる部分も効果があると思います。
一方,先進ブランケットに関しては,前回に引き続き,今回も加速が必要ですけれども,それでも未着手だったものに着手されています。これはNIFSの方から原型炉研究開発共同研究も始まりましたし,全く着手していないという項目はなくなってきて,なおかつ,そういったものを今後幅広く展開して,かつ加速していく必要があるという評価結果になっております。
以上です。
【岡野主査】 笠田委員,どうもありがとうございました。
それでは,続いて次に行きたいと思います。資料1,課題の3の「ダイバータ」の方,坂本委員,お願いいたします。
【坂本委員】 ダイバータについて説明させていただきます。
ダイバータは,小課題として,ダイバータ開発目標の整合性確認と炉設計への適用,プラズマ運転シナリオ,材料・機器開発,粒子制御と分けられています。
見ていただければ分かるように,多くの研究や幾つかのワーキング活動が行われてきており,多くの成果があるものの,その進捗度を鑑みると,加速が必要というものが多くなっています。
御存じのとおり,ダイバータの主な機能はプラズマ粒子の排気ですが,プラズマを集めて粒子を排気しようとすると,熱も集中してしまうため,ダイバータターゲットへの熱負荷の問題が非常に大きくなっています。
そして,原型炉の初期フェーズで,ダイバータとして,ITER同様に,タングステン・銅合金の水冷却方式を選択するのであれば,デタッチメントプラズマの実時間制御が不可欠な要素になります。現時点では,デタッチメントプラズマ実験を行うことができるトカマク装置が日本にはありませんので,その理解が不十分であるということが挙げられます。
そのために,このアクションプランの中では,デタッチメントプラズマの素過程の理解と,それに基づく制御シナリオの確立を目指したアクションプランが策定され,それに沿って研究開発が行われていますが,現時点では,多くの項目で加速が必要となっています。
また,材料・機器開発に関しては,中性子照射影響やプラズマ照射影響が挙げられています。中性子照射を受けた材料が熱負荷を受けたらどのような挙動を示すかということを研究するために,実験装置や,ダイバータ級の高密度プラズマ実験装置が提案されています。これらの装置に関しては,このアクションプランには挙げられていますが,その実施責任者がまだ決まっておらず,それらを決める必要があるという段階であります。
以上です。

【岡野主査】 ありがとうございました。
ダイバータ,非常に難しい問題をたくさん含んでいるので,課題はたくさんだと思いますが,チェックアンドレビューへ向けての状態,現在の状態で見れば大丈夫ですよね。
【坂本委員】 そうですね。できるところでは進んでいます。ただ,JT-60SAやITERでの実験が必要だというところです。
【岡野主査】 正に私が最初に言った長期的展望に立てば,まだ課題があるという意味だと私は理解しましたけど。ありがとうございます。
そうしましたら,課題番号4の「加熱・電流駆動システム」,伊神委員,お願いいたします。
【伊神委員】 加熱・電流駆動システムについて説明させていただきます。
小課題名としては,技術仕様の決定,高出力・定常化,高信頼性,高効率化という項目に分かれておりまして,特に高出力・定常化という,主にQSTが担当して,ITERに向けて行っている,その計画に載っているような項目については,どちらも非常に順調に進んでおります。
もう一つ,技術使用の決定については,こちらは実施担当としては特別チームとQSTということになっておりまして,こちらの項目につきましても,基本仕様は少しずつ定まってきて,検討も始まっているという状況になっております。
ただし,高信頼性の項目のところでは,ECH,NBIとも,この先を見据えて必要なこと,現状,ITER計画での実施項目にはメインには入っていないようなものに対しては,概念設計等の着手とかも入っておりますが,例えば,専任で時間を割いてやっている人がいないであるとか,必要な機器を開発するための予算がないであるとか,そのような状況になっておりまして,推進には加速が必要な状態というふうに判断しております。
特に,加熱・電流駆動というのは,コイル系もそうですけど,定常運転というのが欠かさず求められるものでありますけれども,現状,まだ電子レンジのマグネトロンのように,スイッチをぽんと押したらいつまでも安定にパワーを入れられるというものが現状ではまだないというのが実際でして,ITERにおきましても完全定常運転ではないわけですから,そのために原型炉ではずっと運転するということで,更にシステムをブラッシュアップしていかなければなりません。そのために必要な開発,それから,実機を用いた開発や概念設計に対しては,まだ体制が不十分で,特に,誰がやるということに対して明確になっていないというのが問題というふうに捉えております。
そこの点を踏まえまして,全部が順調というふうには判断できかねるのですけれども,一応問題の洗い直しと,それに対してやっぱり体制整備が必要だということで報告させていただきます。
以上になります。
【岡野主査】 伊神委員,どうもありがとうございました。
それでは,引き続きまして,課題番号5の「理論・シミュレーション」につきまして,中島委員の方からお願いいたします。
【中島委員】 それでは,理論・シミュレーションに関して,フォローアップの結果についてお話しいたします。
前回のフォローアップのときには,特別チーム理論シミュレーションWG等で具体的な開発・利用計画を策定中という段階でしたが,WG等において,2025年頃までの開発・利用計画の議論,及び,その計画の提示というのが行われた。それを踏まえた形で,実際7つの課題がありますが,アクションプランの進捗そのものは,全般的に見て堅調である,しっかりしていると,そういうふうに判断しています。
ただ,現時点では正にそういう評価になりますけれども,2022年以降の利用可能な計算機資源が不確実だということ。そして,前回のフォローアップからも指摘されていましたが,ほとんどの分野で人的資源の不足というのがやはり見られる。ですから,最初に岡野主査が言われたように,2035年等を見据えた流れの中で見ていく。やはりこういった将来的な不確実要素というものをクリアしていくことが,今後の進展のためには是非必要であるというのが,全体としてのまとめになろうかと思います。
以上です。
【岡野主査】 中島委員,ありがとうございました。
それでは,次は,課題番号6「炉心プラズマ」につきまして,東島委員と藤岡委員,お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【東島委員】 それでは,東島の方から御説明したいと思います。
6番目の炉心プラズマに関しましては,プラズマ設計という課題があって,それ以外は個別の装置ごとに書いてあるという構成になっていて,それに加えて,プラズマ壁相互作用の研究,それから,先ほどの課題番号5と重複しますけれども,モデリング/シミュレーション研究ということで,プラズマ研究に関する部分が一通りシートとしてまとまっています。
全体を見て,第1回の中間チェックアンドレビューに必要なアクションについては,おおむね順調に進んでいるということが確認できました。今回,特に,例えばJT-60SAの研究計画とか,ファーストプラズマへのアクションに関しては,非常に順調かなと思っております。
それから,プラズマ設計などは,もともと書いてあったものは2019年に終わるべき課題であり,これはきちっと終わっておりまして,また2020年からスタートする課題も実際に着手できているということで,現時点では順調と思っております。
一方,LHDに関する粒子制御技術の実証については,これまで1時間程度の放電実験がなされているわけですけれども,この中では,壁が飽和する効果を期待していたのですけれども,これまでのところ飽和していない状況だというわけですね。ですから,壁排気が効いているような状況ですと,まだ定常性という意味ではここのデータは足りていないのかなと思いますので,この部分については19年に終わる課題にはなっておりますけれども,今後,引き続き対応が必要と思っております。
それ以外の部分についてもおおむね順調ですので,ここでは特に,時間もありますので,申し述べないということにさせていただきます。
以上です。
【岡野主査】 東島委員,どうもありがとうございました。
藤岡委員から何か追加コメントみたいなものはありますか。
【藤岡委員】 いえ,特にございません。
【岡野主査】 ありがとうございます。
そうしましたら,次に行きたいと思います。次の課題番号7「燃料システム」は,また東島委員,お願いいたします。
【東島委員】 こちらも同じく第1回の中間チェックアンドレビューまでに完了すべきアクション,コメ印が付いているものについては,基本,もう既に達成できているということが今回確認できました。そういう意味では,比較的順調に進んでいると思います。
ただし,一部に関しては,研究を進めるに当たって,新たに課題が出てきているようなものもございますので,こういうところは今後対応を,期限までにはできると思うわけですけれども,対応が必要かなと思っております。
特に,一番下のTに関する部分については,Tを確保する方策の検討については,これまでも非常に順調に進んできたかと思っておりますが,それをやはりプラント規模でやろうと思うと,産業界とのリンクとか,こういうところが非常に重要になると思っております。ですから,ここの部分については,何らかの支援,加速等が必要と思っているところです。以上です。
【岡野主査】 東島委員,どうもありがとうございました。
それでは,引き続きまして,課題番号8「核融合炉材料と規格・基準」につきまして,笠田委員,吉橋委員,お願いいたします。
【笠田委員】 (1)(2)については,笠田から説明させていただきます。
材料関係,幅広くあるので,(1)(2)(3)に分かれていますけど,(1)はブランケット構造材料です。こちらも上段が前回のフォローアップ,下段が今回のフォローアップとしてまとめております。
低放射化フェライト鋼に関しては,基本的に非常に進んでおりまして,特に中間チェックアンドレビューで項目に挙がっている80dpa照射のデータの検証などは,順調に進んでいると評価されました。
それで,大量製造技術に関しては,引き続き極めて順調ということで,特徴的な成果となっていると思います。
一方,80dpaのデータの取得は極めて順調ですけれども,その検証は加速が必要で,今後,検証を続けていくとなっています。
やはりその照射効果をどう取り入れて構造設計していくかというのは,核融合構造設計に関しては非常にチャレンジングな課題ですので,これはものづくりの上でベースとなる部分で,分かりにくいところもあると思いますけれども,いろんな分野の協力を得つつ,独自の設計のフィロソフィーに関わってくるところも検討を進めているというふうに聞いておりますので,加速しつつ進めていくと。
先進ブランケット材料に関しては,先ほどの先進ブランケットとも関わるというか,1対1ですけれども,前回加速が必要に対して,今回も加速が必要ですけれども,いろいろな分野で開発が進められている材料を核融合に取り入れるという観点で,先進ブランケット概念の検討とともに,絞り込みが始まっているというところが今回の評価だと思います。
(2)ですけれども,こちらはまずは機能増殖材料で,こちらも基本的には加速が必要とはされていますけれども,要素技術の開発,新技術の開発には成功していて,その実用化及び事業化の促進が期待されているというのが,増殖・増倍材に関しては新たな視点だと思われます。要するに,ほかの分野と関連して核融合炉のオリジナルな技術を伸ばしていくというのが,そういった軸が示されています。ただ,やはり加速が必要であるとなっています。
ダイバータ材料は,既にダイバータの項目で示されたところとリンクしていますけれども,やはり原子炉照射影響評価というのが非常に限定的で,照射場を確保する必要があるというのがコメントとしてつけられています。やはり中性子照射,点だけではなく,線である程度つなげていかないといけませんので,そういったところで,まだまだ原子炉照射
は非常に重要であると。
今後,ダイバータのデザインに依存しますけれども,やはり既存のダイバータのヒートシンク材料が,タングステンもそうですけれども,どこまでもつのかというところと関係してきて,やはり並行して新素材開発を大学等で進めていくのは非常に好ましいことではあるが,やはり基礎研究にとどまっているという現状です。このあたり,プロジェクト化するのであれば,きちんとデザインと連携してやっていく必要があるということになります。
計測制御機器材料に関しては,前回と変わっておりません。もう既に必要と思われるデータベースに関連する報告書はNIFSの研究会でまとめられていて,それ以降,それ以上のものはございませんが,それをやはり原型炉設計の原型炉工学フェーズに必要であるだろうというふうな指摘がされています。
そういうところで,ハンドブックも,低放射化フェライト鋼を中心に作られています。ほかの材料は未着手ですけれども,やはり低放射化フェライト鋼やタングステン等,確実に使われる材料できちんとまとめていくというのが,まず第一歩だと評価されています。
あとは,吉橋委員,お願いします。
【吉橋委員】 では,核融合中性子源につきましては,吉橋の方から報告させていただきます。
2025年の建設を目標にしています中性子源,A-FNSですけれども,今年度,機器等の仕様をまとめました「概念設計書」,それから,マネジメントをまとめた「工学設計活動計画書」が今年度中に提出されるということで,進捗としては極めて順調とさせていただきました。
ただ,2025年建設ということと,中性子源は,先ほどの笠田委員にもありましたけれども,タングステンであるとか,ダイバータの材料照射にも大きく関わってくることになりますので,今後としましては,NIFS,大学の他の研究機関等も含めて,連携を含めて,設計どおり順調に進めていく必要があるのではないかということは指摘しております。
以上になります。
【岡野主査】 笠田委員,吉橋委員,どうもありがとうございました。
この項目は,同じ一つの小項目とは言っても,三つ分ぐらいあって,御苦労をかけたと思いますが,ありがとうございました。
それでは,課題9「安全性」について,福家委員,お願いいたします。
【福家委員】 安全性については,日欧協力ということも活用されて,これまでのところ順調に推移していると考えられます。従いまして,次回のチェックアンドレビューに関する項目にしては,クリアできているのではないかなと考えております。
解析・評価の方では,特別チームの方で基本的なコード整備が行われておりますし,また,若干ではありますけれども,若手人材も確保されて,そして,技術者の育成,こういうものにも努力されていると思います。
ただ,今後,許認可取得という,そういう大きい目的のことを考えますと,大きい項目としては,三つの点に注力する必要があると考えています。
一つは,設計のステージごとに許認可当局からの設計フィードバックを受けられるような体制,これを構築する必要があると考えています。これは原子力でもそうですけれども,規制側と事業者の方でディスカッションしていくうちに,どんどんゴールが変わることはよくありまして,それがコストオーバーランにつながってしまっています。これはアメリカで非常に顕著にこういう傾向が見受けられますので,ステージ毎のフィードバックが必要だろうと思います。
ただ,今,残念ながら,日本ですと,そういう相談ができるような体制が,許認可当局含めて,今,構築されつつあるというところですので,体制構築に関しては,国の方にも御尽力いただく必要があるのかなと思います。
二つ目は,その許認可業務を担う若手人材を,今から拡充していくことが必要だということです。これは,安全を語る人というのは,プラント全体のことを理解しませんと,これは許認可当局と闘うことができませんので,そこが非常に重要だと思っております。
それから,三つ目ですけれども,日欧協力によって使用するコード,準備はされていますけれども,このコードのブラックボックス化を許認可では認められないというか,中でどういう計算がされているのか,どういうシナリオで計算がされているのか,そういうものを,ものによりけりだとは思いますけれども,国産化を目指していくということ。そして,それに必要なV&Vのデータをどのように蓄積していくのかということ。このところについては,今後の加速すべき検討事項だと思っております。
以上です。
【岡野主査】 福家委員,どうもありがとうございました。非常に大事なところだと思います。
それでは,続きまして,課題10「稼働率と保守」について,蓮沼委員,お願いいたします。
【蓮沼委員】 10番,稼働率と保守に関しては,おおむね順調に進んでいると理解しています。2019年までの基本概念設計や要求条件をおおむね満足していると判断しております。
一方で,2020年からの概念設計については,これまでの設計の中から摘出された技術課題,特にダイバータやバックプレートの再利用構造であるとか,ホットセル機器であるとか,こういったところに更に検討を加えて,炉構造と遠隔保守機器の設計統合を24年までに進めていく必要があります。これらについては,チェックアンドレビューについて加速が必要であると判断しております。
具体的には,表中に記載しておりますけれども,炉構造・遠隔保守機器の設計,それから,ホットセルの処理工程への設計,この辺に関しては,産学の支援,あるいは,予算措置が必要になってまいりますし,構造基準の専門家への補充,それから,廃棄処分,利用基準に関わる専門家の補充等,人材の面でも拡充が必要かなと判断しています。
大きいところは以上です。ありがとうございました。
【岡野主査】 蓮沼委員,どうもありがとうございました。
それでは,次は,課題の11「計測・制御」について,今澤委員,お願いいたします。
【今澤委員】 この課題は,小課題としては五つのグループで,トータルとして27のアクションがありますけれども,少し見方を変えて,三つの領域に分けて説明させていただきます。
まず,この27のアクションは三つの領域に分けると見通しがつきやすいですけれども,第1の領域は,まず理論的な取組です。安定限界や,運転許容範囲を理解するのに理論的に取り組むというアクションがありますけれども,これらのアクションは,まず第1回チェックアンドレビューに向けては,順調に活動が推移しています。ただ,第2回のチェックアンドレビューに向けては,検討しなければいけない項目が一気に増えますので,今の体制,人材では不十分ではないかなと危惧しております。
二つ目の領域は,計測装置を設計するというアクションです。第1回チェックアンドレビューに向けたアクションは,基本的に順調に推移していまして,NIFSの核融合研の共同研究でレポートが2編まとめられつつありまして,非常に順調に推移しています。ただ,第2回のチェックアンドレビューに向けては,やはり心配なところがありまして,まず一番心配なのは,特別チームの中の常任スタッフで設計に専任している方がいらっしゃらないのは少し心配です。第2回チェックアンドレビューに向けては,多くの設計項目があろうかと思いますので,専任の方が必要になってくると思います。
最後に,三つ目の領域としては,ITERやJT-60SAなどを使った実験的な検証というアクションです。今のところJT-60SAが,順調に計画が進んでいますので,それに関連するアクションは順調に進んでいます。ただ,第2回チェックアンドレビューに向けてと考えますと,ITERの計画が進むかどうか,又は,計測装置の照射試験のために,A-FNSが予定どおりに建設,稼働するかといったところをフォローアップしていく必要があると思います。
私からは以上です。
【岡野主査】 今澤委員,どうもありがとうございました。
次が,課題の12になりますね。「社会連携」について,奥本委員,福家委員,藤岡委員,お願いいたします。
【奥本委員】 では,まず私から説明させていただいて,先生方に補足していただこうと思います。
社会連携活動は,もともとアウトリーチヘッドクオーターを設置するということが目的に掲げられておりまして,それが実際にもう設置されて,前回の会議のときにも報告あったように,とても活動的に活動を実施されているという段階なので,全ての項目を,現在のところ,実際の社会連携活動は実施されているという点においても,極めて順調という形で評価しております。
ただ,必要な措置としましては,やはり先生方のこれまでの努力というか,本当にボランティア精神でやられているところも多くて,経済的な部分の支援や,また人材的な部分の支援というものが十分でない場合,今後,こういうふうな積極的な活動をどれだけ持続可能な形にできるのかということを指摘させていただいております。
また,アウトリーチ人材育成だったり,社会連携活動,全てヘッドクオーターが現在担っていますが,ヘッドクオーターだけで全てのことが推進できるとも限りませんので,特にアウトリーチ人材育成だったり,社会連携活動全体的な部分は,ヘッドクオーターだけではなく,社会連携のネットワークというものを広げて今後活動を実施していく必要があるということを,必要な措置の方に追記させていただいております。
私の方からは以上ですが,先生方からほかに何か追記ありますでしょうか。
【藤岡委員】 藤岡ですけれども,追加することは特にございません。
ただ,前回,加速が必要という評価がほとんどだったのに対して,今回,極めて順調というふうに大きく飛んだというところは,非常にすばらしいことではないかなと思いました。
以上です。
【福家委員】 福家ですが,私もコメントはございません。
この活動を今後どのように継続していくのかということが大事だと思います。そして,その継続に当たっては,PDCAを回すこと。一体どういうことを達成できれば,この社会連携活動というのがうまくいったということになるのか,その目標を定めていくことが必要になろうかと思います。
以上です。
【岡野主査】 ありがとうございました。これは非常に重要なところなので,大変順調に進んでいると聞いて安心いたしました。ありがとうございます。
次が,13番ですね。「ヘリカル方式」について,坂本委員,お願いいたします。
【坂本委員】 坂本です。ヘリカル装置について説明させていただきます。
ヘリカル装置に関しましては,既存の知見の延長上に確実な展開を目指す原型炉開発とは異なる先進的な観点から,ヘリカル炉の成立を目指した概念設計を行っています。そして,ここにありますように,ヘリカルプラズマ,炉工学・炉設計,数値実験炉の三つのパートからなります。各課題に関して,概ね順調に進展しています。
ヘリカル炉設計としては,現時点では,新しい概念の探索を行っていますが,今後は,LHDを用いたプラズマ実験や,理論研究の炉設計への反映や,相互の連携の強化によって,信頼性の高い炉設計や精度の高いシミュレーションモデルの構築などが求められると考えています。
以上です。
【岡野主査】 ありがとうございました。
それでは,次が最後になりますが,課題14の「レーザー方式」,藤岡委員,お願いいたします。
【藤岡委員】 レーザー方式に関しましては,小課題としましては,物質・プラズマ相互作用の総合的理解,液体金属壁の開発,ペレット製造・入射技術,そして,Tの貯蔵・ハンドリング技術,最後が過酷環境下における計測技術というふうになっております。
念のために確認しておきますと,これはレーザー方式による原型炉の開発ではなくて,レーザー方式の技術を使って,トカマク型の原型炉にいかに資するかという視点でまとめている点は,もう一度確認させてください。
全体のまとめといたしましては,パワーレーザー及びレーザー方式で培った技術が原型炉開発に活用するという研究が着実に増加しているという点は評価できます。これは,ある種,原型炉開発というのをオールジャパンでやるということに対して,実際にそういうことが,今までレーザーとトカマクというのは近くて遠い関係だったのが正直なところですが,そういう壁がなくなって,全体をまとめて動いているという象徴になるのではないかと考えております。
原型炉開発共同研究の一環として,T取扱い施設を使って固体のDTに関する物性評価の研究が始まったという点が,一つ注目できると思います。
一方で,複数の研究計画が,原型炉開発とか核融合エネルギー開発を最終目的としていない,競争的資金を使ったような研究のバイプロダクトであるという面も,一つ指摘させていただければと思います。
以上です。
【岡野主査】 藤岡委員,どうもありがとうございました。
これで個別の御説明は一通り終わりましたので,それでは,全体はこの後またお聞きしますが,個別の課題について御意見がございましたら,あるいは質問がありましたら,お願いいたします。
【坂本委員】 よろしいでしょうか。
【岡野主査】 どうぞ,お願いします。
【坂本委員】 課題8の中性子源に関連してですが。中性子照射したダイバータ材料の熱負荷試験というものをダイバータから提案させていただいています。その重要性は指摘されていますが,計画がまだ具体化していません。
中性子照射された材料は,やはりホットラボの中で熱負荷試験をせざるを得ないので,中性子源の建設とリンクして,ダイバータ材料の中性子照射後試験も一緒に議論して、中性子照射とリンクした研究ができるようになると良いと考えています。是非,その辺をお願いしたいと思っています。
【岡野主査】 御意見ありがとうございました。
その点は,前からやっていただいているダイバータWGでも,そういう指摘が既にあって,青森に作るはずの中性子照射装置とセットでというか,そのそばに置きたい,そういった御意見が書いてありましたよね。
【坂本委員】 そうです。ホットラボの中に作るのが実際的なので,そのように考えております。
【岡野主査】 その点が必ずしも共同で進んでいないという御指摘だと思うので,少し体制を考えながら進めていかないと,独立ではできないものなので,今後の重要な課題になっていくと思います。
【坂本委員】 よろしくお願いします。
【岡野主査】 ありがとうございます。
【吉橋委員】 すみません。この件,中性子源担当というか,見ています吉橋ですけれども。
QSTの方でも,照射モジュール,照射した後のところの建設というのはやはり課題になっていまして,その辺について,NIFSであるとか,大学であるとか,もう少しいろんなところとQST自身も相談したいということ,協力しながらやっていきたいということでもあったので,皆で協力してやっていくような体制を整えるのがよいかなと思います。
【坂本委員】 ありがとうございます。
【笠田委員】 本件,笠田からもよろしいですか。
【岡野主査】 どうぞ。
【笠田委員】 アクションプランの今後のチェックアンドレビュー後の動きとして,今,中性子源は,その材料の中に,(3)として,一つの項目でぽんと書かれているだけなので,そういった中性子源にまつわるほかの材料とかシステムと関係してくる課題が,中性子源として見えづらいですよね。ほかの項目に散らばってしまっていて。それは今後,もしもアクションプランを改定していくという動きがあれば,一つ考慮していかなくてはいけないところかなと思いました。
以上です。

【岡野主査】 御指摘ありがとうございます。そのとおりですね。
背景を言えば,このアクションプランを書いているときには,中性子源の名前もはっきり決まっていなく,計画の方もあまり書けなかったようなところがあって,あえて必要なところに書き込んだというところがございますけれども,おっしゃるとおり,現時点では,もう推進しているわけですから,項目が一つあってもいいぐらいの勢いかなとは思いますね。
書いていないことというのはなく,つまり,この項目が落ちているということはないですよね。分散しているということですよね。
【笠田委員】 分散していますね。例えば,Tのところにも当然関わってきますし,ダイバータ,ブランケット材料,あとは,燃料システムですよね。そういったところにかなり広範に散らばっているので,塊感があるように見せないと,中性子源の1章も見えづらくなってしまうので,今後,そこは考慮していく必要があると思います。
【岡野主査】 おっしゃるとおりですね。重複があってもいいので,そういった項目を引き出してくるといいと思いますね。関係が強いからこそ重複するので,それは炉設計でも,安全性とかぶっているところとか,いろいろありますから,それは重複されて書いてあってもいいと思いますけど。相互に矛盾していなければね。二つの項目が違うことが書いてあるみたいになってしまうといけないですけど,打合せしながら,別の項目でアクションプランに書き込めば。新しいアクションプランの中身を作るというのではなくて,整理の仕方なので,それはできることだし,やるべきだと思います。
そのほか,いかがでしょうか。近藤先生,お願いします。
【近藤学術調査官】 ありがとうございます。学術調査官の近藤です。ありがとうございました。
2点ございまして,この書類の文言の細かい部分ですので,表現に関しては,今日のディスカッションを踏まえて改善される部分があると思いますが。
まず1点目,ちょっとお聞きしたいのが,原型炉の初期装荷Tの入手法として,重水炉というワードが出てきますけれども。
【岡野主査】 それ,課題の何番を御覧になっていますか。
【近藤学術調査官】 7番の初期装荷Tという項目ですが。
【岡野主査】 はい。
【近藤学術調査官】 その中で,順調に進んでいるということで,見通しを評価されているところだと思いますが。この部分,重水炉からTを入手するということですけれども,日本には今,重水炉が当然ないわけですが,このあたり,どういう入手法を検討されているのかも詳しく教えていただきたいなと思いました。よろしくお願いします。
【東島委員】 それでは,東島の方からお答えすればよろしいでしょうか。
【岡野主査】 お願いします。
【東島委員】 ご指摘の部分は,まずプロセスを検討するというアクションになっていますので,こういうことが可能であるということが検討できていればよいというのが私の理解です。
むしろ,実際に初期装荷Tの確保方策をやるというのが,その下にこの2020年から加わっているわけですけれども,これは主にITERに向けて実施するものであるため2023年ぐらいの期限を切ってあるということですね。
そう思ったときに,現時点で,例えば,ITERのシナリオを考えると,特にカナダの重水炉から入手するということが十分想定されていまして,現状,何グラムぐらいだったかというのは,すみません,今,手元に数字がありませんけれども,ある程度の量が入手できるということが分かっていると。
もちろん,実際には,重水炉からTを得るだけではなくて,例えば,DDで最初はスタートしましょうということもあるし,また,高温ガス炉でも製造もできるという,幾つかのシナリオがあるということで,まずは順調に進んでいたというのが,19年までの動きです。
以降は,それをどうやって実際に得ていくかという部分が,次のアクションとしてあるわけですけれども,こちらはそれを引き継いで検討を開始しているということで,私としては,もちろん23年までに決着がつくのかと言われたときに,どのくらい自信があるかと言われれば,確かに難しいところではありますけれども,現時点では,この活動を続けていけば,同じように結論が出るのではないかと思っているということです。
【近藤学術調査官】 分かりました。ありがとうございます。
先生,もう1件,別件がありまして。
【岡野主査】 すみません。その前に,今の件で,岡野ですが。
恐らく近藤先生の御心配は,重水炉からTを入手するということが書いてあると,日本に重水炉を建設すべきというふうに聞こえないかという,私はそう見えないですけど。単に,みんな分かってはいますけど,読む人によっては,「あれ?」ってびっくりするかもしれないので,カナダのCANDUとか,カナダの重水炉とか,カナダから買うとか,ちょっと工夫は可能ですか。
【東島委員】 表現は変えられると思いますけど。日本に重水炉がないのは,すみません,私の中では自明ですので触れませんでした。
【岡野主査】 そうですよね。でも,韓国にもあるなとか,いろんなことが頭をよぎりますから。
【東島委員】 それは,確かに韓国にもありますね。ですけど,想定するのは,やはりカナダかなと思います。
【岡野主査】 カナダですよね。そこは分かりやすく書いておいた方が。恐らく核融合以外の人だと,核に関連している人でも「あれ?」と思うかもしれないので。自明なことですが書き加えたいと思います。
【近藤学術調査官】 ありがとうございます。
【岡野主査】 カナダの重水炉で大丈夫ですかね。例えば。
【東島委員】 それで大丈夫だと思います。現状は,やはり一番の圧倒的なソースなので。
【岡野主査】 そうですね。ありがとうございました。
【近藤学術調査官】 すみません,もう1件ありますけれども。
【岡野主査】 もう1件,お願いします。
【近藤学術調査官】 次,笠田先生が説明くださった先進ブランケットの部分ですが。
【岡野主査】 8番ですね。
【近藤学術調査官】 8番の部分です。先進ブランケットに関しては,私の方で気がついた点が1点ございまして。
この8番に関しては,核融合研と大学が進めている液体燃料増殖材のタイプのブランケットを先進ブランケットと表現していますが,今度,ヘリカルの課題で,下の方を見ると,13番,長寿命液体ブランケットという表現になっていますが,これは基本的には二つともほぼ同様のものを指しているというように思います。
それで,当然ミッションは違うわけですけれども,片方は加速が大きく必要で,もう片方は順調というのが,ちょっと整合性,そのまま読むと取りづらい部分があるかなと思いますので,これは少し整理していただけると,いろいろ分かりやすいのではないかなと思いましたけれども。笠田先生がもしよろしければ,回答いただけないでしょうか。
【笠田委員】 多分,核融合研のミッションとしてやっている部分のトカマクに貢献できる部分として,このアクションプランには出ていて,非常にフィージビリティみたいな話だと思うので,それは極めて順調ということで多分評価でいいと思いますよね。ヘリカルの。
ただ,トカマクの方のロードマップで書いている部分は,それ全体の話になりますので,フィージビリティの先を見据えた話になっているので,やはり加速がないというふうに仕分けられていると思います。そこが評価の違いに出ているのかなと思います。
ただ,ヘリカルの方の評価は私がしたわけではないので,分からないです。多分,心はそういうことなのかなというふうに思われます。
【坂本委員】 補足してよろしいですか。
【岡野主査】 お願いします。
【坂本委員】 笠田先生が言われたとおりで,ヘリカルでは,まず概念設計,それが成り立つかどうかということを検討し,研究が進んでいるという観点で,順調ということになっています。
一方で原型炉の先進ブランケットは,実際に使用する機器として設計しないといけないので,笠田先生が言われている通り,「加速が必要」と書くことが必要という理解で良いと思います。
【岡野主査】 そういう感じだと私も思います。むしろヘリカルの方は,最初に立てた目標に対しては進んでいるということだけれども,だからといって,NIFSに液体ブランケットを使ったTBM,原型炉用に作ってくださいと言われたって,まだできる段階にはもちろんなくて,そんな技術は世界にまだないので,開発は今後必要というのが,笠田先生の書き方かなという感じがしますが,そんなところではいかがでしょうか。
【近藤学術調査官】 ありがとうございます。
成立性というのが,実現可能性ということで,フィージビリティというふうに表されていると思いますけれども,ただ,捉え方次第によっては,やはり原型炉TBMに加速が必要という表現がつく中で,果たしてヘリカル炉もTBMとしてフィージビリティが十分得られているかというのは,やはり疑問に思う部分がありますので,その部分のワードを切り分けて少し整理されると,より分かりやすいのではないかなと思いました。
私の方からは以上です。
【岡野主査】 おっしゃることはよく分かるので,目標の定め方が手前だったか,2035年だったかの違いのような気がするので,何か書き換えられる言葉があれば,見直してもらえばなとは思いますが。
【坂本委員】 ヘリカルの課題のところに,ブランケットの成立性ではなくて,ブランケット概念とか,そういう言葉にしたらよろしいですかね。
【岡野主査】 そうですよね。今ので大丈夫だと思います。
【坂本委員】 それは書き換えます。
【岡野主査】 はい。
【近藤学術調査官】 そうしていただけると,より分かりやすいのではないかなと。すごく短いワードの中で的確に捉えなければいけないので難しいですが,今のような表現にしていただけると誤解がないのではないかなと思いました。よろしくお願いいたします。
【坂本委員】 ありがとうございます。
【岡野主査】 どうもありがとうございました。
そのほか,何かないでしょうか。個別のところでお願いしていますけれども。
木戸委員,ではお願いいたします。
【木戸委員】 木戸です。6番炉心プラズマのところと,13番のヘリカルのところについて,LHDですけれども。昨今の情報から,LHDのマスタープラン落選という話がありまして,そういった点では,原型炉の方のトカマクの進捗に影響が出ないかということをお聞きしたいと思います。

【岡野主査】 これは誰が答えられますか。
御質問は,ヘリカルの進捗とトカマクの原型炉の進捗との関係ですか。
【木戸委員】 はい。特に,そういう意味では,6番炉心プラズマのところに粒子制御で加速が必要と書いてあって,より長時間放電での粒子制御技術の検証が必要とありますが,これに対し,LHDの影響は生じないのでしょうか。
【東島委員】 プラズマのところだとすると,私がお答えすればいいのかなと思います。
そういう意味で,LHDの今後の件と,ここに書いてあることは,私,必ずしもリンクしていないと思って書いております。
どういうことかと申しますと,現時点で,多分ここで重要なのは,粒子制御に関して,やはり壁の影響がないというところで,きっちりデータを取りましょう,そういう状況でのヘリウムの状況を調べましょうということについて,そういう意味では,こう言っては何ですけど,遅れていたのかなという理解です。
ですので,今後の,例えば,軽水素と重水素の閉じ込めの性能とか,そういうことではなくて,純粋にこの部分は,粒子制御としての実証の部分が遅れていたという,そういう認識です。
実際に,長い放電,それは着いているプラズマにも依存するわけで,この部分については,例えば,3時間ぐらいを今御提案いただいているわけですけど,3時間だからといって満足するかというのは,また分からないと思います。そういう意味で,実際の炉心に相当するようなプラズマで,この部分は調べていくというのが実態のところなのかなという理解です。
ですので,繰り返しになりますけれども,必ずしもNIFSやLHDの今後と,ここは必ずしもリンクしないという理解です。
【木戸委員】 分かりました。
【東島委員】 回答になっていますでしょうか。
【木戸委員】 ありがとうございました。
【岡野主査】 よろしいですか。この問題は。
リンクしないのかなとは私も思ってはいましたけど。それでは,これは,このとおりで,変えないでいいということでよろしいですかね。
そのほか,個別で何かございますか。
長壁先生,お願いします。
【長壁科学官】 科学官の長壁です。私,職場の方で地元対応の説明をしています関係で,書類の文言の一人歩きが気になります。
そういう観点で申しますと,例えば,9番のところの安全性で,「定常運転時に放出されるTの拡散に伴う」の「定常運転時に放出」というのが,これ,切り取られやすいなという気がして,表現をもう少し工夫した方がいいのではないかと思いました。
あと,もう一つ,10番の安全性の「最大の放射化レベルであるブランケットが発生する有害核種」というところの,この「有害」の意味合いが,私,分からないので,教えていただけると有り難いなと。
【福家委員】 福家です。今の文言の部分に関しては,適切な言葉に直したいと思います。
あと,10番ですか。安全性のところは10番でしたか。
【長壁科学官】 そうですね。有害な核種というのが10番のところに。
【福家委員】 これも多分,言葉の問題だと思います。「T=放射性物質が出てくる=有害」というところの書き方だと思いますので,ここのところ,少し修正をしたいと思います。
【長壁科学官】 特に,今の有害という言葉は,ケミカルな意味合いなのかなとちょっと思ってしまったので。安全性という話は,その前でちょっと話をされているので,そこが,言葉の使い方を統一された方が。
【福家委員】 そうですね。そのようにいたします。
【岡野主査】 岡野ですが。私が読ませていただいて思ったのは,まず「有害」の方から言うと,1200の核種を調べられて,実は,その核種は有害だからと言われたというよりは,多分,全核種を調べて,その有害性を調べたという意味ではないかなと思いましたが。そうであるとすれば,有害核種ではなくて,核種1200でいいような気もしますが,いかがでしょうか。
逆に言うと,有害ではない核種なんて,もう極端にたくさん吸えば酸素だって死ぬかもしれないし。そういった意味では,どんな核種だって,ものすごく大量に取れば有害になるわけだから,有害核種というのはあえて定義しなくても,核種1200で,その有害性をチェックしたというのでよいような気がします。
検討いただければと思いますが。
【福家委員】 安全性の部分については10番との整合性を検討いたします。
【岡野主査】 それと,1番目は何でしたっけ。
【長壁科学官】 9番のところの,定常運転中に放出されるというのは,何か大量にガスとか出しているような感じがしてしまいますので,表現に気をつけた方がいいかなと。燃料がもったいないですから。
【岡野主査】 第一に,定常運転というのが,ほかのところにも使われる,パルス運転になったら出ないのかみたいな話になりかねないので,定常という言葉は使わずに,運転中とか,運用中とかいうのでいいような気がします。
そこでの放出については,これは安全基準をはるかに満たすものではあるものの,当然ながら,どんなものでも出る可能性があるし,例えば,火力発電所だって,排気には有害物質がある一定レベルでは含まれているはずだし,出ないと言うのはよくないと思うのと,それから,私の意見ですけど,言葉の一人歩きがいけないのでとか,誤解されるのでというのは,過去においてよく聞いてきた言葉ですが,それによって,本当はあっていいはずのものがどんどん削られていって,いつの間にか,長い目で見たら変になっているというのはよくあるので,私は,定格運転中でも,基準値よりはずっと低いけど出るというのは,別にあっていいと思います。
それで,それを指摘されて説明できないようではいけないので。もちろん,説明しても聞かない人も世の中に入ると思いますが,書いてあってもいいとは私は思いますね。書き方は工夫する必要はありますけれど。
【長壁科学官】 すみません。私は,そこの点,同意いたします。今,そういう点では,説明するというのは非常に大事だと思います。
ただ,表現の仕方をもう少し工夫頂いたほうが良いと思います。【岡野主査】 定常運転はやめますか。これは。
【福家委員】 今回は,定常のところの評価をしたということで,その定常という言葉が入っていますが。
【岡野主査】 そうですね。でも,定常と言ったら,電流駆動とみんな思ってしまうので。これは運転中とか,運用中とかで。
【福家委員】 承知しました。
【岡野主査】 ありがとうございます。非常に大事なポイントだと思います。
そのほか,気になるところとかありますでしょうか。
そうしましたら,伊神委員,お願いいたします。
【伊神委員】 ありがとうございます。
先ほども話題に出ました炉心プラズマのところの粒子制御の話で,炉心プラズマの性能を持つプラズマで,壁による排気が飽和する状態というのを受け持っての研究を推進する必要があるということでしたけれども。仮に,例えば,JT-60SAなり,ITERなり,その他,そういう炉心プラズマのプラットフォームで,そのようなデータが取れそうな装置でも随分研究していけるというような見通しがありますか。
【東島委員】 私がお答えしてよろしいですか。
【岡野主査】 お願いします。
【東島委員】 それには二通りの考え方があって,壁が排気する効果を忘れられるような排気量があっても良いのです。そういうこともJT-60SAでは想定していますので,アクティブに粒子制御ができると思えば,壁の効果は無視できると。むしろ,だからトカマクとしては長時間の放電が打てない中,そういうところを狙っていこうというふうに考えているということです。
逆に言うと,LHDに期待したのは壁排気の効果です。それは完全にどうなるのかというところについて,19年度に決着するということだったという理解です。
【伊神委員】 これから凌駕する排気でもってやっていけそうだという理解でよろしいでしょうか。
【東島委員】 JT-60SAでは,運転開始時にはついていませんけど,次の改造後に,そういう段階的に排気速度を変えられるようなことを考えていますので,そこで十分試せるかなと思います。
【伊神委員】 それは将来的にトカマク炉でずっと定常運転しているときに,同じような運転体制でいけるという見通しですね。
【東島委員】 いえいえ,そうではなくて,それはあくまでも壁が飽和する条件というのはあるわけで,だから,そこをLHDには期待したわけです。それぞれ区別できて,要するに,放電時間が短いものに関しては,放電時間が長いものに関しては,ということです。
ですので,最終的な原型炉は年オーダー,年ぐらいで動かないといけないと思ったときに,それは当然,壁の効果というのが出てくる,無視できる,若しくは,炭素を使わないということかもしれませんけど,そういう領域でやられると思います。
【伊神委員】 そこら辺は,まだ完全には決まっていないというか,炭素抜きでいけば心配ないというわけですか。
【東島委員】 炭素がなければ,そこは十分に壁排気の効果は小さくできると思っていますが。
【伊神委員】 ありがとうございます。
【岡野主査】 原型炉では炭素は使っていないですよね。基本的に。それは違うものであると思いますが,ITERが動いて曲がってくることもあるだろうし,それはこれからということになりますね。見通しがないということはないと思いますが。今後の実験に期待したいということだと思います。
東島委員,お願いします。
【東島委員】 ダイバータのところですけれども,非常に記述が多いなと感じています。今回のフォローアップで重要であるのは,関係者がたくさんいますけれども,全体として,その項目が全日本で押さえられているということと,まず思っています。
そう思ったときに,すみません,私,QSTの所属なので気になってしまいますけど,QSTとしては,例えば,ダイバータ級の形状,高密度プラズマ実験装置の開発と実験のところで,例えば,未検討とか,寄与は可能などと書いてありますけど,この表現は削除していただいてもいいと思います。
一方,その次の項目で,デタッチメントプラズマの方,実験制御の開発に関しては,JT-60Uでの検討は未着手って,今更実験を完遂したJT-60Uでもないと思うので,これは,どういうことなのかなと気になるところです。こういうところは見直しをしていただけると有り難いなと思うところです。
【坂本委員】 二つ目の件は修正します。一つ目の実験施設が必要というところに関しては,やはり何らかの提案をしないといけないと思っているので,今は問題提起ということで書いています。
【東島委員】 すみません。基本的に,QSTではこの施設は考えていないと思います。
【坂本委員】 なかなか難しいと思っています。
この件に関しましては,小型パイロット装置は筑波大学で建設が始められて,検討が進められていますが,やはり大規模装置というのは,大学レベルでできることではないので,大規模装置をどうするかということは,必要な検討事項だと思っています。
【東島委員】 それをQSTがやるのかというところを,逆に言うと,ここで割り振られても困りますので。
【岡野主査】 これはダイバータWGでも議論された内容なので,ここに入っていると思いますけど,QSTがやるという話にはなっていないと思うので,大学の中で何かが必要ではないかという提案だったと私は思っています。
【東島委員】 そうです。私もそういう理解です。
【坂本委員】 QSTでは予算要求が難しいということが,ここでは書かれてあります。しかしながら,予算規模が大学で実施できるものではありません。
【東島委員】 だとすると,そういう書き方にしていただきたいと思いますけど。分担しているというのがこの書き方だと思うので,何もやっていませんねと言われるのは困ります。
【坂本委員】 分かりました。そこは,もっと具体的に,どういう状況かということを書くようにします。
【岡野主査】 これをQSTがやるという話になっていることは過去にないと思うので,重要だと思いますが,別の,今はまだできていないけれども,今後予算要求するなりして,必要になるという項目ですね。何かがそれを果たしていないとか,そういう話ではないような気がします。
【坂本委員】 はい。
【岡野主査】 日本でできなかったら,海外にはないのとか,いろんなことを言われた上でやっていかないといけないので,今後,非常に議論していく必要があると思いますね。
今澤委員,お願いします。
【今澤委員】 私からは,14番のレーザー方式についてコメントがあります。
先日,核融合学会の年会のインフォーマルミーティングを拝聴しましたけれども,その際に,非常に活発に議論されていまして。このレーザー核融合の発電実装みたいなものを検討していくと,核融合システム工学みたいなものに貢献できるかみたいな議論を皆さんでされていまして。その心というのは,レーザー核融合は炉がシンプルになるので,全体像が見渡しやすくて,それによってプラント全体の検討みたいなもの,学術的な理解も深まるみたいな,そういうような話だったと理解していますけれども。そういったすごくポジティブなところがあるので,チェックアンドレビューの報告書でも反映できたらいいのではないかと思いました。
【藤岡委員】 藤岡です。
【岡野主査】 お願いします。
【藤岡委員】 コメントありがとうございます。
御指摘のとおりで,そういうふうな統合システムを作るというのは,確かに,この今の報告書の中には入っていないけれども,一言書き加えるのは可能かなと思いました。ありがとうございました。
【岡野主査】 エネルギー全体は,循環する方式はレーザーと磁場と違うものの,Tを燃して循環させて,エネルギーも出してというのは,そこは同じなので,大きな寄与は可能かなとは思いますね。何か書ける方法があれば,書いていただいていいと思います。
【藤岡委員】 了解しました。
【岡野主査】 さっき近藤先生から手が挙がったような。お願いします。どうぞ。
【近藤学術調査官】 課題名,12番の社会連携のところ,奥本先生に報告いただいた部分で,お聞きしたいのですが。
全体的には,先生がおっしゃったように,アウトリーチHQが立ち上がって,活動を積極的に開始してということで,図書も出版されるということも聞いていますし,分野の違う,天文学とかとの共創という形で核融合がアウトリーチしているということもすばらしいと思いますが。
1点,お聞きしたいのは,全体的に進み方は順調だということで賛同しますが,例えば,アクションプランに書いてあるワードで,科学界,経済界,そして市民など,立場の異なる多様な視点から評価する活動を行うという部分があるわけですが。こういった,いわゆる経済性や,あとは,最近非常に重要な環境負荷とか,こういった部分に関して,どういった活動が,今後も含めてできそうか。もし何か御存じでしたら,御報告いただけますといいかなと思いました。よろしくお願いします。
【奥本委員】 この件に関しては,リスク評価の検討が立ち上がるということで,リスクコミュニケーションも含めて,アウトリーチHQの活動が発展するということをお聞きしています。
リスクコミュニケーションは,正にそのような経済的な部分や,安心・安全の部分を含めてコミュニケーションしていくところで,なおかつ,最近では上流工程といって,まだ実装化しない科学についてもアップストリーミングでコミュニケーションするというのもリスクコミュニケーションの一つになっているので,その部分がリスクコミュニケーションの研究会で話されるのかなと思いまして,その部分を包含していると現在のところは評価しています。
ただ,今回も評価の部分に付け加えたように,そういうものは,アウトリーチHQ単独ではできない活動になっておりますので,やはりネットワーク化や,コラボレーションというものが必要になってきますし,今後,アウトリーチ活動全体を核融合でどのような形で分担し,そして拡張していくかということは,話し合いながら,このマップ自体の活動の目的みたいな部分も修正する時期に入ってきているのかなと,社会連携に関しては思います。
【近藤学術調査官】 ありがとうございます。
今おっしゃったように,様々な活動を展開していく上で,必要な措置というので,具体的に何かお考えになっている,これは絶対に必要だというものはありますでしょうか。
【奥本委員】 福家先生がおっしゃったように,やはり今のところ,活動自体は,もう計画も立てて活動も実施されていますけど,それをどう評価していくかという評価の仕組みを,今後,アウトリーチHQの部分にはつけていく。その上で,これまでのたくさんやられていた活動をまたブラッシュアップして,新しいヘッドクオーターの活動計画や,今後の展開というのを作っていく段階かなと思っておりまして。それなので,現在,この1年半の間は,もう活動は実施されたというふうな形で,実際の計画としては順調。ただ,それを今後どういうふうに発展させていくかということを,再検証する時期に移ったのかなというふうに理解しております。
【近藤学術調査官】 ありがとうございます。
ネットワークをなるべく広げて,最大化できるように,私も微力ながら協力したいと思いますが。
あと,例えば,予算的な部分とか,そういった課題とかも出てくると思いますので,そういった点も具体的にディスカッションしていく必要があるのではないかなと思いました。もし必要であれば,必要な措置の部分に,そういったことも記載いただければと思います。
私の方からは以上です。
【奥本委員】 ありがとうございました。
【岡野主査】 ありがとうございます。先ほどの奥本委員の説明のところでも,ボランティアのままでは続かないと御指摘されたし,福家委員からは,目標を定めてPDCAを回す必要があるという発言があったと思いますけれども,まさしくおっしゃるとおりだと思いますね。
現状は,このヘッドクオーターは非常に順調に,みんなが頑張ってはくれているけど,ボランティア活動からはあんまり踏み出していないなという印象は持っていて。実は,ヘッドクオーターを作った理由は,ボランティアでは続かないというところから始まりましたけど,必ずしもそこを脱却できていないのは,気になりますね。
ですから,日本中のみんなが,それぞれが独立してやっていて,ほかの人がどんな活動をしているかも知らないままに,それぞれが頑張っていた時代よりは,ヘッドクオーターができたことで,はるかに効率は良くなったけれども,もう一つ先に行くためには,近藤先生がおっしゃったように,やはり何らかの予算があったり,人が採れたり,組織があったりという,何かの背骨を一本作らないと,一本立ちできるようになっていかないなという感じはしています。
書いたときは,どうすれば,どういう活動があり得るかが,まだこのアクションプランの最初のときには必ずしも定まっていなかったので,現状のような書き方になっていますが,今後,是非,項目そのものも見直していただいて構わないと思いますし,体制についても見直していただいていいのかなと。体制を見直すには,それなりに予算措置も要りますから,できるとは限りませんが,提案としては,そういう方向でやっていっていただければ,活動も活発になるかなと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
ところで,個別の質問をと言ってしまったので,全体について御意見があれば,お願いできるでしょうか。よろしいでしょうか。
東島委員,お願いします。
【東島委員】 全体的なことに関してなんですけれども,まず個別の部分に,例えば,人材育成が重要であるとか,予算的な措置が必要であるということが書いてありますけど,それは多分,本当は全部の項目に当てはまると思うので,そういう意味では,できれば個別の部分からは抜いて,どこかまとめた形で書く方がいいのではないかという気がしておりますというのが1点目です。
それから,今日の資料でいきますと,皆さん,例えば,施策の加速が必要みたいなことをおっしゃったわけですけど,加速が必要というからには,何か念頭に置くものがあって,例えば,委員の間でそのスケジュール感が共有されて初めて加速が必要だという議論になるのかと思います。
もちろん,19年に終わっていないといけないものが終わっていないのは,それは加速が必要,誰でも分かりますけど,例えば,35年までに用意すればいいものが,加速が必要だと言われたときに,今日の議論ではついていけないところがあると思います。ですから,岡野先生にちょっと交通整理をしていただくといいのではないかなと思いますが,いかがでしょうか。
【岡野主査】 それはよく分かります。実は,今回は加速が必要となるところの基準点を十分すり合わせる時間がなかったので,ほんの少しでも加速が必要なものは,みんな加速が必要になっていますが,十分考えていただいて,場合によっては,2020年までにできていれば,順調とか非常に順調と書いてある項目もあって,そこは非常に調整が必要だなとは考えています。今後,少し調整させていただきたいと思っています。
基本的には,アクションプランに書いてあるものを,順番に来ているかどうかを見ながら,その先も考えて,加速が必要なのかどうかという判断をすると思いますけれども。やはりものをアピールするという意味でも,重みをつけて,順位づけをある程度して書いていく方がいいのかなという戦略的な考えもあるので,皆さんと今度重みづけを相談したいとは思っています。
人材については抜くとおっしゃいましたけど,人材が重要というのは,アクションプランの最初の報告書には,しっかりと別途書いてあります。そこに書いてあるから,ここから抜いていいかというのは,危ないなという気はしていて。必要でないところはないですけど,特に危ないなと思うのも確かに思いつくので,そういったところもある程度濃淡をつけて書いておいた方がいいのではないかなと私は感じましたけど,皆さんの御意見はいかがでしょうかね。
【東島委員】 そこは,私は岡野先生に御一任します。
【岡野主査】 みんなが,人材が必要と書くため,説得力がないというのはありますが,実際必要だと思うので,そこはうまく書く必要がありますかね。
全体として書くならば,炉設計のところで,「全体として」と書くとか,そんなことも考えられるとは思いますけど,少し考えたいと思います。これはいつも問題になって,人材について全員が書いたらどんどん薄まってしまうよねという議論は,前も出たことがありますね。少し調整したいと思います。
そのほか,全体,いかがでしょうか。
今澤委員,お願いします。
【今澤委員】 今回の進捗状況の評価そのものというよりは,今後についての質問ですけれども。今回作った一覧表は,今後どうやってアップデートしていくか,アクションを増やすことや変更するといったことは,どうやって行っていくのか,フォローアップも必要だと思いますけれども,それはどういうふうに実施していくのかというところが聞きたいです。
【岡野主査】
アクションプランのフォローアップと変更は違う話で,今は,最初に決まったアクションプランの第2回のフォローアップをしたわけですね。そのフォローアップをしているうちに,この項目はこう書いてある方が実は使いやすいとか,場合によっては,これと順番を入れ替えたいとかいうような希望もたくさん聞こえているわけで,アクションプランというのは,順次見直すということで作ったものですから,次のステップは,フォローアップではなくて,アクションプランの見直しになるだろうなと思っています。それは多分,今後計画されると思いますが,残念ながら,この期のタスクフォースでは,そこはできないので,次のタスクフォースに委ねたいと考えています。
それから,フォローアップについては,毎年フォローアップしていくというのはあまりよろしくないので,何年かに一回,適宜フォローアップして,2025年の次のチェックアンドレビューに備えていくということかなと考えていますが,それも今期は申し送りする程度しかできませんので,今後,次の世代のタスクフォースにやってもらうことかなと考えています。
【今澤委員】 分かりました。ありがとうございます。
【岡野主査】 簡潔に言えば,次はフォローアップではなくて,アクションプランの修正を考える段階ですよね。一言で言えば。
それでは,藤岡委員から手が挙がっています。お願いします。
【藤岡委員】 先ほどお答えになっていたことと関係しますけど。今回のフォローアップの中で,実際足されたものはありますね。東島様と担当した部分に関しては,足したものに関しては,2020年度追加というふうなコメントを書かせていただいています。
ただ,ほかのアクションに関して,足されたけれども,それがクリアに書かれていないという分もあると思うので,今後,履歴を追うためにも,何らかの形で,1の時期で足されたのかとか,そういうのは残した方がいいのではないかなと思っております。

【岡野主査】 ありがとうございます。
そうですね。足されたのは,2020年度開始というものがあった場合に,それはどうしましょうかという質問が前にあったので,それはもう2020年度なので,まだ始まったばかりですから,あるいは,チェックアンドレビュー後に開始するというものであれば,仮に未着手であっても項目は増やしておいた方がいいねと申し上げて,それが必ずしも伝わっていなかったかもしれないので申し訳ないですけど,そういうもので追加されている項目はあります。
ただ,それはアクションプランの変更ではなくて,フォローアップには出てきていなかっただけなので,追加した項目には表示をつけた方がいいですかね。
明快なのは,2020年以降に始まっている項目が追加されていますよね。もしも時間があれば,表示をつけた方がいいかもしれませんね。ただ,赤とか青とかでつけると,印刷が全部カラー印刷になってよろしくないので,記号で何かつけていった方がいいかもしれません。それは後で皆さんにお聞きしたいと思います。記号をつけてもらえるかどうかですね。
よろしかったでしょうか。
それでは,大分議論させていただきましたので,本日審議したアクションプラン進捗状況フォローアップの内容については,今日の御意見にも沿っていくわけですが,全体として見直したときに,私も見まして,表現の揺らぎとか,若干の誤植などもありましたし,それから,幾つか御指摘があったように,結構たくさん書いてあるというのもありますが,たくさん書いてあるのは,情報がたくさんあって,私は悪いとは思わないですが。例えば,ブランケットや超伝導コイルのような繰り返される名称は,これは科学技術委員会に見せるものなので,そういったものを繰り返し書くよりは,例えば,ブランケットはBLKで,スーパーコンダクターはSCとか略すなどして,あくまでも意味の変わらない範囲での調整というのをしたいと思っています。そういう範囲ですが,読みやすくなるように精査・修正した上で,公表したいと考えています。
今,多数のものに記号をつけるというのも,その中に含めていいかなと思っているので,皆さんにもお聞きしますが,年末でもあって,時間も限られていますので,もう一回タスクフォースを開くというのは難しいので,この件に関しては,私,主査に一任いただければ有り難いと思いますが,よろしいでしょうか。これから皆さんに聞きながら,今日出た議論に沿って調整するのと,それから,見やすくするといったことをしたいと思います。もちろん,皆さんに御報告しながらやりたいと思います。
それから,もちろん,本件については,頂いた御意見を踏まえた上で,次回の核融合科学技術委員会に私から報告するということにしたいと思います。
それでは,この議事はこれで一旦締めさせていただいて,次に行きたいと思います。議題2は「第27回ITER理事会及び第26回BA運営委員会の開催結果について」でございます。岩渕戦略官,お願いいたします。
【岩渕戦略官】 文部科学省,岩渕でございます。よろしくお願いします。資料2-1と2-2を紹介させていただきます。
まずは,これまでフォローアップの議論を聞かせていただき,委員の任期の都合で,本来はもう少し時間をかけて議論すべきところを,非常に急ピッチに検討いただいたことについて,まずは御礼を申し上げます。非常に濃い内容をまとめていただいたと,重く受け止めます。
この資料が,来年行う核融合科学技術委員会のチェックアンドレビューのそのまま評価資料ではないものの,重要な参考資料で,来年のチェックアンドレビューに向けて大きなインプットを頂いたと受け止めております。
それでは,資料2-1を御説明させていただきます。まず,11月に開催されたITER理事会の結果について御報告いたします。
資料2-1の1ページ目にありますとおり,11月18・19の2日間で,オンラインで開催されました。議題としては,ITER計画の進捗報告等が議論されたということで,2ページ目を御覧いただければと思います。第27回ITER理事会の結果概要です。1ポツ,ITER計画の進捗,2ポツ,TBM試験計画への参加極の決定という2ページ目です。
まず1ポツ,ITER計画の進捗ですが,今回のITER理事会は,コロナの影響を見極めるというところが非常に大きな議論になりました。こちらについて,おおむね数か月間の作業の遅れ,多くの国で調達の遅れが出てきている。工場がロックダウンのために労働者が集まらないなど,いろいろな理由があるようです。日本は,それと比べると遅れは少ないということでありました。しかし,まだ欧州を中心にコロナの影響が収まらない。この調達の遅延というのが,どのぐらい拡大するのかも議論されました。更に遅れがあるのではないかという話もありました。
というような議論の中で,今回,新型コロナウイルスによる影響を全体的に評価できるまでは,現状のスケジュールを維持するということで合意がなされました。すなわち,2025年のファーストプラズマ,2035年,核融合運転という予定は,このコロナの現状はあるけれども,現状はスケジュールを維持する。しかし,コロナの影響は更に続いていくので,恐らくまたコロナの影響分析をしっかり行って,こうしたスケジュールに影響があるのか議論される。これはITERの全体スケジュールに係る大事な点ですので,我々も注視していきたいと思います。
二つ目,TBM試験計画です。これは,数年来にわたって関係国間で,TBM試験計画にどの国が参加できるのか,協議がなされてきました。今回のITER理事会の結果として,参加ができる四つのTBM機器が確定いたしました。日本が提案する水冷却のTBM,これの参加が無事に決定されました。これは非常に良いニュースだと考えます。
その他の参加国は,中国のブランケット,EUのブランケット,そして,EU・韓国が共同で取り組むブランケット,日本のものも含めて,この四つが選択されたということです。
こちらがITER理事会の結果の概要でした。
引き続き,資料2-2で,直近のBA運営委員会の結果を御報告いたします。
資料2-2の1ページにございますが,12月2日にオンラインで開催した第26回BA運営委員会の概要で,BA3事業について進捗状況の報告が行われました。
先般も岡野主査から御示唆を頂きましたが,BAの資料ですので,IFMIF/EVEDA,IFERC,STPの順番に記載させていただいております。
2ページ目を御覧いただきますと,第26回BA運営委員会の結果概要ということです。IFMIF/EVEDA,IFERC,STP,それぞれの進捗状況について,報告がありましたが,こちらもコロナの影響が非常に心配されたところです。スケジュールの遅延についての分析も行われました。
結論としては,各事業とも,コロナの影響はうまくコントロールできていて,事業は順調に進展しているというふうに基本的な評価ができるのではないのか。もちろん,日欧間の人的な往来が妨げられている面もあり,困難もあったわけですが,例えば,IFERCの事業長が六ヶ所に無事着任できたということもあり,徐々に人的な交流も再開できつつあると言えます。
また,今回のBA運営委員会でも話題になりましたのは,JT-60SAのファーストプラズマがいよいよ近づいてきたこと。コンディショニングも比較的順調という話をQSTからも伺っておりますが,こうした状況について日EU間で状況を確認し,日EU外交の大きな成果ということで,これを外交的にも祝すべく記念式典を開催するということで調整を行うという議論がなされました。
次回のBA運営委員会については,来年の4月に開催を予定しています。
私の方からは以上でございます。
【岡野主査】 どうもありがとうございました。
それでは,この資料について,御説明について御意見などがありましたらお願いいたします。
そうしましたら,私から一つお聞きしてよろしいでしょうか。
【岩渕戦略官】 お願いします。
【岡野主査】 資料2の方のBAですが。いつもこんなことしか言っていないような気がしますけど,このBAの説明の中に原型炉という言葉は一つもないのに愕然としますが,これは何となくBA運営委員会は原型炉への興味はなくなったかなという,私はそんなイメージを持ってしまいますね。
もちろん,国際協力でやることだから,相手が日本と一緒にやることは,ITERとIFMIFとSTPだと言うなら,それはもう仕方がないですけれども。日本側で原型炉をやる体制ができていれば,BAのこの報告の中に原型炉という言葉が消えても,そんなには心配しないですけど,今のところ,日本はBAで沿って原型炉をやるということになっているので,そこをどう日本側が頑張るかですね。そこのあたりを是非戦略官にはお願いしたいなと,私はこの報告を見て感じました。
【岩渕戦略官】 重要な御指摘,御指導,ありがとうございます。
IFERCに関する事業報告書の中には,原型炉という言葉は当然出てくるわけですが,御案内のとおり,そこに置かれる比重については,御指摘の面もあろうと思います。
そもそも,原型炉をBAという枠組みの中で捉えていること自体についても御指摘されていると思いますが,そこは核融合科学技術委員会のチェックアンドレビューにおいて,チェックアンドレビューの項目そのものではないですけれども,議論があろうと思いますので,今の岡野主査からの御指摘についても,肝に銘じて来年のチェックアンドレビューに臨みたいと思います。
【岡野主査】 是非,そのようにお願いしたいと思います。これは原型炉設計をやっているみんなの気持ちだと思うので,何か日本の中で体制があったなという感じになるといいと思いますね。是非よろしくお願いします。
私だけがしゃべってしまいましたけど,そのほか,いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは,時間も迫りましたので,本日,用意しております議事は以上ですが,このほかに,こういうことは違う,何か別途報告,審議すべき案件はございますか。
それでは,本日の原型炉開発総合戦略タスクフォースは,これにて閉会したいと思います。
御多忙の中,御出席いただきまして,本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

―― 了 ――

 

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研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

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