核融合科学技術委員会 原型炉開発総合戦略タスクフォース(第15回) 議事録

1.日時

平成30年2月27日(火曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省12階総務課会議室

3.議題

  1. 原型炉開発ロードマップの策定について
  2. アクションプランのフォローアップ方策について
  3. アウトリーチ活動の推進について
  4. その他

4.出席者

委員

岡野主査、笠田主査代理、池辺委員、石井委員、柏木委員、坂本委員、澤委員、竹永委員、西村委員、福家委員

文部科学省

松浦研究開発戦略官、阿南補佐、野田核融合科学専門官、上田科学官、秋山学術調査官

オブザーバー

池田量子科学技術研究開発機構六ヶ所核融合研究所副所長

5.議事録

【岡野主査】  本日は、御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、事務局は定足数の確認をお願いします。
【野田専門官】  本日出席の委員は9名でございまして、あと1名、池辺先生が遅れて見えるものと思われます。来られましたので、10名御出席ということで、過半数6名以上でございますので、定足数は達してございます。
 以上でございます。
【岡野主査】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまから、第15回原型炉開発総合戦略タスクフォースを開催します。
 なお、委員会の運営規則に基づき、本タスクフォースは、原則として議事を公開いたします。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されますので、御承知おきください。
 また、本日は、合同チームから、QST六ヶ所研究所の池田副所長に調査報告を御発表いただくため御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
【池田副所長】  よろしくお願いします。
【岡野主査】  それから、議事に入る前に、1点御報告させていただきます。
 一昨年から議論してまいりました核融合原型炉研究開発に向けての報告書につきまして、既に御案内のとおり、昨年12月の核融合科学技術委員会において最終的に決定されております。本日、冊子をお配りしております。委員各位の御尽力に改めて御礼申し上げます。
 それでは、次に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【野田専門官】  配付資料一覧については、議事次第に記載しておるとおりでございます。資料1から3、参考資料は1から5までございます。また、いつものように、ファイルにとじた参考資料も机上に置かせていただいております。
 議事を進めていく中で、落丁等ございましたら、事務局の方にお知らせいただきたいと思います。
 以上でございます。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは、早速議題(1)原型炉開発ロードマップの策定についてに入ります。
 本件については、前回のタスクフォースで、ロードマップの作成方針を議論していただき、おおよその共通認識が得られたところです。また、ロードマップに盛り込む要素のうち、当面の課題として今年の夏までに明らかにすべきこととして、開発の優先度、国際協力などがあるということを確認いただきました。本日は、それらの当面の課題について御議論をお願いしたいと考えております。
 最初に、事務局から説明をお願いいたします。
【松浦戦略官】  それでは、資料1を御覧ください。原型炉開発ロードマップにおける「開発の優先度」「国際協力」の考え方を御議論していただくために、事務局の方で御用意いたしました。
 2枚目をめくっていただきますと、参考が付いてございますが、これは昨年の11月28日に、ロードマップの作成方針についてということで御議論いただいたものを整理しているものです。思い出していただきますとおり、アクションプランの定義、ロードマップの定義、それにロードマップの作成に当たる留意事項ということで、特にロードマップの定義にありますとおり、ロードマップは、原型炉の実現に向けた戦略を核融合コミュニティのみならず社会に対して分かりやすく示すため、アクションプランの実施に当たり、開発の優先度や主要なマイルストーン、項目間の連関、主体となるべきQST・NIFSの役割と責任、国際協力やファンディング方法等の推進方策を俯瞰的に整理したもの。(分量としては1ページから数ページ程度)
 このロードマップの作成に当たっての留意事項として、主要なマイルストーンの設定に当たっては、チェックアンドレビュー項目との整合性をとること。あと、大規模な投資が必要なハードウェアの整備スケジュールを示すことが必要ではないかという御議論でした。
 これを基に、今回、開発の優先度と国際協力に関して、特にこのとおり、事務局の素案としてまとめています。
 まず開発の優先度ですが、アクションプランに示された開発課題のうち、限られたリソースの中で優先的に実施すべき課題を抽出に当たっては、(1)から(4)に示すような観点に基づくことが必要ではないか。
 チェックアンドレビュー項目を達成するために真に必要な課題を優先する。
 早期に建設や設計を開始しなければいけないチェックアンドレビュー項目や移行判断に間に合わなくなる課題を優先する。
 課題間の相関関係を考慮して戦略的に課題を選択する。
 こういった3つの観点で優先度が高いとされた課題を、更に我が国独自で実施すべきか、あるいは、国際協力も使ってどういうふうにやるかといったことは、特に2ポツの観点から別途検討していくと。
 国際協力については、例えば、(1)これまでの研究開発の実績により我が国に高度な研究開発基盤があって、他国に対して指導的立場に立つことができる課題は国際協力で指導力を発揮できるのではないか。
 また、国内研究開発との相補性で、国際協力での実施が効率的と考えられるものは国際協力で実施する。(1)に対して、何が何でもというよりは、得意なところをお互い補い合ってやるというような考え方です。
 (3)特に大きい開発ものというのは我が国単独でやるにしろ、リソースがやはり限られてくる。そういった場合に、やはり国際協力でリソースも分担しながらやるというのが、特に効率的ではないかという考え方です。
 本日お配りしている中で、参考資料2から5がありますが、これは諸外国、特に欧州、中国、韓国の原型炉のロードマップがどうなっているかというものを集めたものです。参考3から5は、それぞれ欧州、中国、韓国について資料が付いていますが、資料2は、文科省の方で簡単にまとめましたが、欧州は、2020年までに前概念設計を終わって、2020年から概念設計をやり、今世紀中葉までの発電を目指すということをうたっております。この欧州のロードマップは2012年に作られて、聞いているところだと、また近々改訂をしたいということです。
 参考資料3には、これは2017年9月に京都で開催されました国際シンポジウムのときのプロシーディングを付けておりますが、これがその経緯とか最近の状況について詳しく書いてございます。
 また、中国は、CFETRという原型炉に先立つ工学炉を作ると。この設計も徐々に始めているということは聞いておりまして、国際的にも、中国はかなり野心的に原型炉に向けて進んでいると認識されています。
 韓国については、現在はフェーズ2にある原型炉のコア技術の開発ということで、原型炉については、段階的に行うということを現在うたっているというふうに我々は承知しております。
 あと、ここに書いてございませんが、アメリカは、昨年の末にNational Academy of Sciencesがプラズマ燃焼の研究についての戦略の検討の中間取りまとめを出しておりますが、アメリカは原型炉に対する戦略はむしろないと。他国はあって、そういったものを作るべきではないかという議論があって、ちょうどその26、27日にサンディエゴでワークショップが開かれていまして、日本からも、原型炉については、委員会の主査である小川先生がサンディエゴに行って説明をしています。そこには、更に韓国とか中国とか、欧州は2月1日にITERのサイトをアカデミーの委員会が視察している際に説明をしているという状況で、国際的にも原型炉に向けてのロードマップとか戦略をどういうふうに作るとか、あるいは、他国が作っているものをどう見るかという議論がだんだん盛んになってきているという状況です。
 以上です。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは、資料の内容についての御質問も含めまして、各委員より御発言をお願いいたします。本日は、何らかの結論を出す必要まではないと思いますので、自由な意見交換ができればと思います。よろしくお願いします。何かございませんか。
 そうしたら、まず私から申し上げますけれども、当初の目指すところでは、ロードマップはこの時期にはできているかなというイメージを持ってはいたんですが、諸般の事情でちょっと遅れてはおりますけど、私が迷っていたのは、ロードマップがどんなものが求められているかというのが、やっぱりそれぞれが考えているものは違っているなという気がしておりまして、今回、こうしてきっちり定義していただいたので、これで、これに基づいて出せるかなという気がしておりますが。1ページ程度としっかり書いていただいたのと、優先順位を明らかにするという、それから、特に大きなお金が掛かりそうなものを明示すると書いていただいたので、かなりざっくりした見やすいものにするということなのかなと思っています。
 印象として、皆さんにもう一度見てほしいんですけど、以前の2008年のものがございまして、皆さんの机の上の資料の4番という資料、この59ページというところに載っているんですよ。これが2009年当時のロードマップだったんですね。今考えているロードマップって、ざっくり言って、こういうイメージなのかなと私は思い始めたんですけど、これは正しいですか。最初は、アクションプランはあんな細かいものを作って、2009年にこれを作った頃は、アクションプランもなくて、ワークブレークダウンストラクチャーも全然なくて、この背景はゼロで何となく作ったというものだったんですけど、今は背景がしっかりありますが、だけど、表に出してくるのは、こんなイメージのものだと思っていていいかどうかを皆さんで議論してほしいと思うんですけどね。
 だから、この中に主要な装置が書いてあったり、その開始時期のマイルストーンが書いてあったり。逆に言うと、この範囲、見える範囲でしか書けないので、細かいものは相当落ちるということになりますね。そういう感じで進めさせていただけるのであれば、何となく描けそうな気がしてきますね。
 もう一つ質問は、これはきょう戦略官がお話ししておりましたけど、国際協力というものですね。これは以前は、2008年に作ったロードマップでは、ロードマップ、ワークブレークダウンストラクチャーの何百もある項目一つ一つに、これは国際協力、これは国内へ返す、これは外国から買ってもいいというのが、全部マークが付いていたんですね。そういうものは求められていないですよね。どのぐらいの密度のものが必要なんでしょう。
【松浦戦略官】  アクションプランに全てそういうことを明記するかどうかという御議論かと思うんですが、このタスクフォースと委員会で出された結論というのは、やはり予算要求とか、そういったところの裏付けになっていくものになると。長期の投資が必要になるもの、あるいは、ブロードアプローチについても、2020年4月以降はBAのフェーズ2というふうな時期に入ってきて、それを日欧間で合意の下に進めていく。その法的枠組みも含めてやっていくと。そういう枠組みを作ったり、予算を取ったりとか、ある程度その仕込みにも時間も掛かり、かつ、裏付けもきちんと必要なものについてはしっかりと明記をすると。
 そこにはっきり書いていなくても、ある程度進められるものというのはそれほどハイライトする必要はないと思うんですが、やはり大物とか、時間が掛かるもの、あるいは、海外との協力をきちんと、日本のスタンスも含めてしっかり議論して、コミュニティのコンセンサスも取ってといったものは特にハイライトすべきと。そういう主要なものをきっちり戦略を示したものがロードマップになるのかなと。
 私の理解ですけど、アクションプランって、ある程度地図みたいなもので、最終的に原型炉という目標に向かって、どういうルートで、どこを戦略的に通っていくかとか、そこを通るに当たってのやり方とかをきちんと書くのがロードマップなのかなと。
 特に直近は、やはり今年の夏ぐらいまでにある程度の考え方を示していただけると、平成31年度の概算要求に間に合うと。平成31年度概算要求は2019年度予算ですけれども、更にもう1年、2年後には、BAのフェーズ2の期間も入ってきますので、やはり2020年以降、更に2回目のチェックアンドレビューのある2025年以降に、そのあたりには原型炉に向けた工学設計活動の開始の適否も判断するというのがチェックアンドレビュー項目に書いていますので、そういったところを見据えて、今、直近、どこに重点を置いていくかといったものを、特に分かりやすく意思表示するのがロードマップなのかなと思っています。
【岡野主査】  大体概念は分かってきたんですけど、そうすると、ロードマップには、例えば、BAとか、JT-60SAとか、そういったものは国際協力で推進するというのが何かの形で明示されていると望ましいですよね。
【松浦戦略官】  おっしゃるとおりです。
【岡野主査】  別途冊子が10ページ付いているとかいうんじゃなくて、見て、これは今すぐやらなければ、これは国際協力をやらなければいけないから日本もしっかり付けなければとか、あるいは、これは日本で独自で開発しないといけないので、是非これは日本に設備を作らなければというのがそれなりの形で見えるものということですね。そういう感じですよね。
【松浦戦略官】  そうです。
【岡野主査】  皆さんのイメージはどうでしょうか。大体皆さんの共通のイメージを持っていかないと、おかしなことになってしまうと思うので。当初目指していたものとは結構違うので、ちょっと頭をリセットして考え直さないといけない。
 唯一、私は、この59ページの昔のやつで大いに問題だと思っているのが、年号が入っていないんですよね。これはどうなんでしょうね。年号は入ってもいいですか。35年とか、2025年とか。
【松浦戦略官】  むしろゴールを明確にする意味では、あった方が。
【岡野主査】  そうですよね。
【松浦戦略官】  特に、チェックアンドレビューの時期とか項目との整合性を取るためにも、そこはきちんと。1年単位である必要は必ずしもないと思いますけど、やはりある程度主要な時期というのはありますので。
【岡野主査】  その辺も、これを作ったときは、え、年号がないのかと私は驚いた覚えもありますが、今回はきちんと時期が分かるようなものにするという。時期が入っていないロードマップって、今御覧いただいた海外のやつを見ても、そんなものないですよね。日本特有の文化かもしれません。今度はちゃんと入れられるということになると。
 私ばっかりいろいろ言ってしまいましたが、皆さん、どうでしょう。何か御意見があれば。別の御意見でも、参考にしたいと思うので、言っていただければと思います。
【竹永委員】  もともとロードマップを作るということで、59ページに近いようなイメージを持っていたんですけど、この中の学術研究は今回余りハイライトされないのかと考えています。その上の開発研究と、あとITERのところを、もう少しお互いの研究の相関が分かるような形で整理するのかなというイメージだったので、今議論されたような方向というのは、私はもともとそう考えていたところです。
【岡野主査】  相関というよりも、こういったITERとBAの関係とか、そういう個別技術の関係でよろしいわけですよね。ワークブレークダウンストラクチャーみたいに、本当にこう行って、こう行って、こんなになっていると、見えなくなってしまうので。
【竹永委員】  見えなくなってしまう。どこでどういう結果を得て、それをどこに反映するかとか、大きい流れが分かるのがいいのかなとは思っています。
【笠田主査代理】  その考え方において国際協力というところが特出しされていて、何となくうがった聞き方をすると、リソースが限られているのでなるべく国際協力でやりなさいよというふうに逆に見えてしまって。というのは、我が国で守るべきコア技術というのの定義に関する作業とか、そういったものがちょっと明確に示されていないんですけれども、そこはどう考えるべきですか。
【松浦戦略官】  国際協力は効率的、節約のためという趣旨もあるとは思いますけれども、逆に、やはり日本だけではできないところもありますし、BAとかITERでこれまでやってきて、あるいは、日韓とか日中とかもバイの協力をやってきていますし、そういったこれまでの蓄積も踏まえて、更にどうしていくかと。
 特に、何回か申し上げていますけど、BAについては、この先どうやっていくかという日本のポジションをはっきりさせるためにも、特に60も完成した後どうやってやっていくのかなと。あるいは、中性子源についても、EVEDAができた後どうするのかとか、IFMIFに向けて、欧州もDONESの実現に向けていろいろ動きが活発化してきているように見受けられますし、日本もどういうスタンスで臨むのかとか、そういったところ、諸外国の動向とか、これまでの経験も見据えて、日本としてどういうポジションでいくのかといったところを明らかにした上で、国内でやるならどうやるかとか、そういう議論なのかなと。決して予算の節約のために国際協力ありきというわけではないとは思いますけれども。
【岡野主査】  私の理解を申し上げると、あくまでこれは私の理解ですけど、国際協力をここにしっかり示すということは、逆に、日本の国内でやらなきゃいけないものも分類されるはずだし、それはロードマップに重要な主要なものが書かれるでしょうと。それから、昔分類した、場合によっては買えばいいんじゃという種類のものは、逆に言うと、表面に表れないということになるのかなと。
 ですから、その意味では、国際協力をやりますと、日本でしっかりやっていかなきゃいけないものは明示されるんだろうと思っているのと、それから、ここからが私の理解ですが、国際協力でやるということは、さっき戦略官おっしゃったように、予算を取るという意味でも、それなりの特殊な意味があるので、その点も配慮しながら、国際協力で是非やりたいというのを挙げていくと、いろいろな意味で核融合の推進につながるかなというふうに考えて分ければいいんじゃないかと思います。
 ただ、日本ならではの問題点というのはもちろんあるんですね。例えば、水冷却のブランケットとかは、日本しかやっていない。主要オプションとしては日本だけですから、そういうところはしっかりと別途やるんだというのを書かないといけないですよね。
 どうぞ。
【柏木委員】  今教えていただいた59ページのロードマップ、こういう感じをイメージされているということなんですけれども、確認というか、イメージなんですけれど、古いロードマップですと、ここに大きな黄色の枠があって、ITERに特化したものと、ITERではあんまりやらなくて原型炉に特化したものというのは、あんまりはっきり大別されていなくて、全体が必要なものという感じに見えるんですけど。次に作るロードマップというのは、やっぱりITERとかSAを通じてやるべきことと、それとは、更に原型炉で主要になってくるものというのが分かるような感じで書くのかなというふうにイメージしているんですけど、それはどうなんですか。
【岡野主査】  それはもちろんだと思います。これは全体でぱっと見たイメージの粗っぽさという意味で御紹介しただけであって、こういうふうにJT-60SAがあって、ITERがあって、原型炉という、こういう順番にはならないと思いますね。だって、もうITERは走っていますし、JT-60SAも程なく改修が終わって走り始めるから、形は、印象はこんなものだけど、既に走っているものもあるし、ITERは、逆に言うと、ITERでやることって、もうほとんど決まっていて、ほとんどが原型炉のことを我々は書けばいいんだと思っているので、飽くまでこれは印象、印象はこんなものですよねといった意味で、内容は違うと。
【柏木委員】  分かりました。イメージのすり合わせをちょっとさせていただきました。
【岡野主査】  あと、加熱とかは、開発がITERと非常にリンクしていますよね。
【柏木委員】  そうですね。
【岡野主査】  そこも書く工夫が必要だと思いますね。ITERを待っていれば自動的にできるわけでもないし。
【柏木委員】  そのとおりですよね。
【岡野主査】  当然ながら、ではないし、でも、ITERを大いに使って開発しなきゃいけないものでもあるので、そういうのが分かりやすく書ける仕組みが欲しいという気はしますね。何かイメージ図を書き始めてから議論していただくことになるかなという気がしますけど。
【西村委員】  1ついいですか。テンプレを付けていただいたロードマップの定義のところで、前回、私、幅広いということをちょっとお話ししたんですが、ここでは加えられていなくて、そのまま俯瞰的にという状況ですので。これはこれで、私、よろしいと思いますけど、あえて幅広いというお話をもう一度させていただきます。
 それと、この第二段階、第三段階、第四段階の議論のときに、核融合学というふうに書かれているんですね。それは、最近、残念なことに、科研から核融合学というものが消えたというか、形が変わったというか、そういうふうになっているんですが。幅広い立場から、やはり学術研究のベースになる部分というものは書かれていた方が、大学の参加という意味、それから、インターナショナルコラボレーションを幅広くやるという意味においても、学術研究のスタンスはあった方がいいと思いますね。あるべきだと思います。
 ここの核融合学は、第二段階のところに書かれているのは、今としてはもうないんですけれども、ITERの進展だとか、原型炉に向けての材料開発とか、トリチウムの話が、そこにはトリチウムというキーワードが抜けているような、これから付け加えることになるのかも分かりませんが。そういうことを含めて、核融合学と同時に、炉工学ですね。一番下に炉工学の基礎研究という言葉が残っていますけれども、この下の部分が、ITERなり、それから、更に原型炉へ向かって、ある種バックアップしていく。例えば、強力中性子源のお話もそうだと思いますし、SAはもう絶対に成功させなければならない。SAが滑るとアクションプランも全部滑ってしまいますから、SAはもう絶対ですけどね。そういうものも、SAも学術研究の意味において非常に重要なマシンですから、それぞれ大学のグループも参加していただけるようなという意味で必要かと思います。
 先ほどロードプランの目的が、とにかく原型炉に向けて、原型炉を実現するためにというところをはっきり書かれているわけで、ということは、この59ページの絵の第三段階の部分をうまく書くか、要は、そういうことになりますよね。結局、第四段階への移行へ向けてということなので、第三段階のところに、先ほどの柏木さんのコメントも含め、ここをもう少し整理をして、多分、大学側の、LHDももう今DDに入っていますので、この当時の状況から、改めて現在、それの改訂をしていくと。何となくそんなふうなイメージを持ちます。
【岡野主査】  今、もう既に我々は第三段階に走っているわけですから、第三段階をメーンに書いて、ただし、第四段階にどう移行するかというのが35年ですし、移行後も、実用炉を目指していますというのが見えるロードマップでないと、一般にアピールがないような気がするので、一応一番右端は実用化だと私は思う。とりあえず原型炉を作ればいいんですみたいなのを出しちゃうと、それは評判が悪いと思うので、やっぱり一番右端は実用化だと思うんです。主に、戦略官おっしゃったとおり、今一番重視しなければいけないのは、第三段階をうまく進めて第四段階へシフトすることだというのはもう間違いないですね。だから、そういうふうに書かれると思います。
 御発言の中で1つ気になったの点
、SAは学術研究ではないですよね。もちろん、この上のITERと並ぶところに出てきますよ。言うまでもなく。
【西村委員】  もちろん。でも、SAが作り出すプラズマ、それから、周辺の工学的な意味も、それぞれの大学の先生がどういう形で関わっていただけるかによりますが、もちろん1つの大きなターゲットは、原型炉に向けての話ですけど、同時に、新しいプラズマの装置ですから、いろんな先生方が、PSRのようなお話も含めて、それに参加してもらってもいいと思いますけどね。
【岡野主査】  いや、それはもちろんそうなのではないですか。その大部分は原型炉に使える技術であるだろうし、仮に原型炉には使えないような先進的技術であっても、将来のためには必要な技術に違いないものがあるので、そういうものは学術として今は進めておく、そういう理解だと思うんで、一番下に学術という線があるのかどうかは今後議論しますけれども、我々の認識は、学術は要らないからなんて言っていることは絶対ないので、あることは確かですね。入れるのが戦略上有利かどうかは、ちょっと考えた方がいいかなとは思いますが、あった方がいいということになるならば、下に学術という、こういう線が入ってもかまわないと思います。
 LHDを書くと、私は、LHDと書くと、困る人がいないかなという心配があるんですけど、大丈夫ですか。逆に。
【西村委員】  それはまたもう少し、この二、三か月かぐらいの間に話は進むと思いますけど。
【岡野主査】  そこは議論させていただかないと、LHDをそのままずっと線を50年まで引いておくわけにはいかないでしょう。
【西村委員】  いや、それはないですね。ないです、それは。
【岡野主査】  そうすると、必ず困るんですよ。どこかで。
【西村委員】  困るというか。今、だから、NIFSでもそういう議論はされているので、多分、4月か5月とかには何らかの形には、中間報告か、どういう形か分かりませんけれども、ポストLHDの話は出ると思いますから。
【岡野主査】  それは、出てきたからといって、別に正式ではないので、それをここには書けないですよ。絶対に、言うまでもなく、それは。だって、それだったら、どこかの研究室が、我々はこうすると言ったら、それも書かなきゃいけなくなっちゃうじゃないですか。それは駄目ですよ。そういう誰かの都合をここに書くんじゃなくて、日本の原型炉に向けた戦略として、ここで承認されたものが書かれると、そういうスタンスでなければならないと思います。
【西村委員】  そうですね。
【岡野主査】  どうぞ。
【柏木委員】  今、今のお話全般を聞いていて思ったんですけれども、このロードマップを、これから仮にもし一般の人が見たときに、やっぱり核融合が実用化できるんだなというようなものになっていなくてはいけないという観点で考えると、やっぱり学術研究は大事なんですけど、余り学術研究を強調し過ぎると、いつまでたっても研究だなという印象を与えないようにしなくちゃいけないと思うので、学術研究は大事なんだけど、どっちかというと、産業応用とか、波及効果、学術も含めて、ありますというようなイメージの方がいいのかなという気がいたしましたが。そうすると、核融合をやっていると、実用化があって、それ以外に、幅広い産業の方も学生も入ってこられるような広がりがあるというイメージだといいのかなという気がいたしました。
【岡野主査】  ある程度産業への展開ですね。それが、この絵では、矢印が今一つも出ていないですよね。実用化とか。実用化というのは、核融合炉の、ではなくて、核融合研究からの波及効果みたいな矢印があったらいいのかもしれないという、それはおっしゃるとおりですね。
【柏木委員】  それだと、学生さんも、幅広く、こういう分野ですと広がりがあると感じられますかなと。
【岡野主査】  産業界みたいな図が、線があればいいのかもしれないですね。具体的に言えないので難しいんですけど。どうでしょうね。何か御意見はないですか。例えば、こんなものなら入れられそうだねという。
【西村委員】  そういう意味では、これは第四段階以降は、学術研究と上下の矢印、インタラクションがないという絵になっていますね。
【岡野主査】  開発研究としての展開に入れれば、矢印が付くという。
【西村委員】  これは、でも、原型炉とは別の展開という棒が引いてあるんですね。そのあたりも、原型炉と学術研究はインタラクションがないというのは、ちょっと言い過ぎじゃないかなと思いますけどね。
【岡野主査】  おっしゃることは分かりますが、引いたら引いたで、学術研究も全部原型炉に矢印を引っ張るべきという人が必ず現れるんですよ。
【西村委員】  なるほど。
【岡野主査】  ですから、薄い線で書いておくとか、何か工夫をしなきゃいけないんだけど、それによって、ややこしい線が増えるばかりなので、誰が考えても関係ないわけないだろうというものが暗に入っているんじゃないですか。学術研究が何の役にも立たないなんて、どこにも書いていないですから、矢印が全部ここにないじゃないかと言い始めたら、さっき私が申し上げたように、みんな矢印が上へ行ったり下へ行ったりしていて、分からないロードマップになっちゃう気がするんで、明らかなものは書かないでいいんじゃないかという気はしますけどね。
【竹永委員】  アクションプランがあってロードマップなので、アクションプラン自体が、そんなに学術研究と開発研究を分けて意識して書いているわけではないので、余り学術研究、開発研究という考え方ではなくて、アクションプランを基に、それを分かりやすく示すロードマップという意識で書いた方がいいのかなとは思っていますけど。
 その中で、いろいろ学術研究と開発研究の関係みたいなのが出てくるんだとは思いますけど、あまり両者を分けたような形で書くべきではないんじゃないかと思っています。
【笠田主査代理】  私も竹永さんに同意で、やっぱり素直に、ロードマップというのはアクションプランの上にあって、ロードマップを読んで分からないことがあったら、アクションプランを見ればすぐ理解できる、そのまた逆もしかりというふうになっていなくて、ここで新しい観念を導入してしまうと、もう作業も全く違う作業になりますし、やっぱりここはきちんと明確にメッセージを、アクションプランの上位概念のロードマップというか、アクションプランに対して方向性を明確に示すロードマップにすべきだと私も思います。
 学術研究に関しては、多分、人材育成とか、そういったもので、別途またそれは、これまで議論してきたものをまとめた図が、多分、このロードマップと対応して出てきてしかるべきで、学術というのは学術だけで成り立つのではなくて、人がいないと成り立たないわけですから、多分、そういった枠組みの中で書いた方が、例えば、大学側の人間としては、いろいろな人材育成のプロジェクトと関連して、外に示しやすいのかなと私は個人的には思いますけれども。
 学術研究を余りこういうところに出しちゃうと、じゃ、『Nature』の論文何本出ますかって周りから評価されることになりかねないので、私は、核融合に関しては、それはあんまり今後の世の中で得策ではないと思います。全く目指しているものが、同じ学術でも、多分、価値観が違うので、それはあんまり得ではないと私は個人的に思います。
【上田科学官】  私は、ダイバータの報告書でも、工学につながる学術研究、基礎研究ということが重要であるということをずっと言ってきたんですけれども、このロードマップを見ると、やっぱり学術研究と工学研究がどうも乖離している、矢印でつながってはいるけれども乖離している感じがします。
 そして、一番下に炉工学の基礎研究とあります。むしろ学術研究よりは、工学基礎研究という言葉をもうちょっと大きく出して、それと開発研究の間に密接なつながりがあって、さらに、柏木委員の言われたような応用、波及効果というようなところがうまくまとめられれば、大学も産業界も研究所もみんな一体になって進めていけるという、そういうロードマップができるのではないかという印象があります。
【松浦戦略官】  きょう、資料1で優先度と国際協力を書いていますけれども、ロードマップは、それ以外に、QSTやNIFSの役割、責任、あるいは、ファンディング方法というのを書いていますけれども、以前あったアクションプランで「大」という、大学がやることが期待されるという項目を、実際に大学が本当に責任を持ってやるにはどうすればいいかという議論があったと思いますけど、タスクフォースというよりは、親委員会で議論すべきマターとして、大学にこういうアクションプランに向けて責任を持って取り組んでもらうためには、やはりファンディング方法を含めて、別途その仕掛けが要るのではないかと。そっちの方の議論も今進めていますので、そういった意味では、アクションプランに書いてあることで、大学に期待されるところをどうやってすればいいかというのも、最終的にはロードマップに書かれると。
 あわせて、長期的な取組ですし、人材育成というのも当然ロードマップに書かないといけないということで、きょう、特にアクションプラン、タスクフォースだと技術的な検討も中心になると思いますけれども、親委員会では、更にそういった推進方策の方も含めて、最終的にはロードマップに結集されるのかなと期待しています。
【岡野主査】  ありがとうございます。
 今の御指摘で私はちょっと思ったんですが、ファンディングを検討いただいているということなので、大学にもアクションプランを実施するためのファンディングは今後考えられるということではあるんですが、そういう意味では、学術研究というふうに書くよりは、アクションプランには「大」と書いてあるわけですから、大学が受皿を見えるようにロードマップに書くといいかもしれないですね。それで、それなりに矢印があって、それはお金の流れなわけではないですけど、きちんと矢印が相互にあって、大学の寄与もきちんと反映されるという、そういう書き方はあっていいという気はしますね。
 確かに、それは、きっとそれを反映しようとしたのが、59ページの一番下の小さい炉工学の基礎研究というやつなんじゃないかなという気がしますけど、これはちょっと下にあり過ぎですよね。確かに、この頃はプラズマ物理が中心で作られた時代ですから、こうなってしまったんだと思いますけど、今やこんなことではあり得ないと思うのでね。
 今、いろいろ非常に良い意見を頂きましたので、うまく反映したものを作っていきたいと思います。
 ほかに、どうぞ。
【澤委員】  開発の優先度を議論するに当たって、チェックアンドレビュー項目というのが当然ターゲットになるんですけれども、このチェックアンドレビュー項目間に優劣はないというふうに考えてこの議論をするのか、チェックアンドレビュー項目の中にも更に優先度というのがあるのか。そこで、そのターゲットになるチェックアンドレビュー項目がフラットに全部達成しなければいけないという観点で、この実施の課題の優先度を議論するということを一度ここで合意しておかないと、議論がまた発散するのかなと思うんですが。
【岡野主査】  そうですね。その辺、私は考えがありますけど、皆さん、御意見はいかがですか。
 少なくとも言えるのは、最後の段階のチェックアンドレビュー項目は、絶対に全部達成しないと駄目ですね。それは迷いはないということだと思います。その途中経過について、全部達成しなければ次に絶対進ませられないかどうかは、合意しておかないといけないですよね。
【坂本委員】  最後の項目というのは、チェックアンドレビューというよりも、移行判断の項目ということですか。
【岡野主査】  移行判断。移行判断だから、核融合業界の中で決められることではないですよね。
【澤委員】  途中の段階も優劣があるというよりは、時期がずれるだけで、優劣は変わらないと思うんですけれども。
【岡野主査】  そう言っていただいたんであれですけど、仮に1項目遅れているねというのがあっても、進めそうだったら進んでもいいかなというような、それは私の考えですね。でも、大学入試みたいにきちんと考えれば、不合格だったら不合格ねということにしたい人だっているかもしれないけど、そうすると、きっと物事はうまく進まないですよね。何かは遅れてしまう可能性があるので、ある程度のフレキシビリティは認めながらやっていくべきかなとは思います。
【澤委員】  もともと中間のチェックアンドレビューは、ある程度時期的な曖昧さを残して定義されていると思うので、それでいいと思うんですけれども、とにかく項目間の優劣はなくて、全て達成するということを前提にロードマップは考えていくと。
【岡野主査】  原則としては、優劣があるとは絶対言うべきでないと思います。
 どうぞ。
【柏木委員】  最終的には全部達成するというふうにおっしゃったんですけど、やはり途中段階としては、当然、先ほどから出ているファンディングと関係しているわけですから、まさにロードマップで優先順位を付けたところで、やっぱりそれが絶対達成されるというのが大事で、そのほかのところは若干遅れてもいいみたいな判断があるということですよね。
 だって、それじゃないと、全部についてお金が付くんだったら一斉に進みますけど、やはり今求められているのは、まさに優先順位を付けてやってくださいと言われているのかなと思っているんですけれども。
【笠田主査代理】  優先順位というよりは、まず先に判断がそれこそいろんな項目で必要ではないですかね。例えば、加熱手段は何を使うんですかとか、マテリアル何をするんですかとか。
【柏木委員】  そちらの方ですか。
【笠田主査代理】  そちらの方が、私、何となくハードルも高いし。
【柏木委員】  例えば、いろんなオプションがある中でとか、そういうことで、そこで重点化していくというイメージではないかということですね。
【笠田主査代理】  それが、それぞれの項目の責任者、専門家の中での判断、今、ダイバータワーキンググループでも、ダイバータに関しては、判断のためのいろんなリストは作られていると思うんですけれども。それが、要するに、全く全然違うコンポーネントの優先順位というのはまずなくて、それは全部ないと多分できないわけですから。でも、それぞれのコンポーネントなりそれぞれの要素技術の中での判断という方が、私は大変、かつ、ファンディングに向けてやらなくてはいけないことかなと思うんですけど、いかがでしょうか。
【柏木委員】  ただ、資料1の1番、開発の優先度、(2)というところに、早期に建設や設計を開始しなければチェックアンドレビューや移行判断に間に合わなくなる課題を優先するとあるので、それは、今言ったようなオプションの中の優先順位ではなくて、やっぱり各項目の優先順位だと思うのですが。
【笠田主査代理】  それはそうです。
【柏木委員】  そういうところをロードマップでは際立たせていくのかという気がしたんですけれど。
【澤委員】  私は、1番で、まず絵に描いた餅というか、理想なるロードマップを考えた上で、2番とかの話で、ここでやれるもの、やれないものという判断がまずあって、そこで優先度がまた変わってくるのかなと思う。それが戦略なのかと思うんですが。まず1を議論した上で、次のステップとして2があって、ファンディングも含めて、戦略と言えるロードマップを作っていくということになるのかと。
【石井委員】  私がぱっと読んだときは、チェックアンドレビュー項目というのは全部クリアするのかな。ただ、そのチェックアンドレビュー項目の中には、予算を早期に投入しないと、ある時期までに達成できないチェックアンドレビュー項目があるから、そういうのを見て予算配分、人の配分を考えましょうということで、チェックアンドレビュー項目の優劣というよりは、どちらかというと、達成するためのある種のリソースの配分みたいなのを考えないといけないなというような、ここの1、2のあたりの書き方なのかなと思いました。
 岡野先生がおっしゃったように、最後の2035年のチェックアンドレビュー項目というのは多分全部達成しないと移行判断できないと思うんですけど、その間にある25年とか、その辺のは、多少項目によってずれがあったりもするんでしょうけど、そこは、ただ、35年までには、こうすれば結果が出せるというような対応策みたいなのが見つかれば、多少ずれていってもほかには影響しないというような形になるのかなと思っていましたけれども。
【柏木委員】  私も同じで。そうすると、最後のところがあるにしても、そこに行く途中にそういう優先順位で前後が出てくるというイメージではないかなと思ったということですね。
【岡野主査】  そういう自由度はある程度残しておかないと、うまくいかなくなってしまうという心配をしているわけなんですね。
【石井委員】  そうですね。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 以上で、結構御意見がおおよそ出そろったかなと思いますので、それでは、本日頂きました御意見を踏まえまして、次回、6月か7月頃のタスクフォースにおきまして、ロードマップに盛り込むべき開発の優先順位、国際協力についての案を御提案できればと考えております。
 予算申請のことを言っていただいたので、そこまでにもうおおよそのものは出ていないといけないと思いますので、次回のタスクフォースまで何もしないでいいわけにいかないですから、また皆さんとメール等で、こういうのではいかがでしょうという議論を進めながら進めていってはどうかなと私は思っていますので、よろしくお願いします。
【西村委員】  何とか概算要求には貢献できるように。
【岡野主査】  それが最重要ですと言っちゃったらちょっとまずいんですけど。
【西村委員】  私もそれは言いませんけど。
【岡野主査】  それはまずいんですけど、でも、今年何とかしないといけないことはちゃんと守るようにしたいというふうに作りたいと思います。
 それでは、議題(2)のアクションプランのフォローアップ方策についてに入りたいと思います。
 フォローアップについては、前回のタスクフォースでも意見交換をいたしましたが、NIFS、QSTについては、窓口の坂本委員、竹永委員を通じて、それから、大学関係は、項目に応じて、その項目との関係が深い研究者を通じてフォローアップを始めましょうということでありました。
 それで、3月の核融合科学技術委員会において現状を報告する必要がございますので、報告のためのフォーマットのようなものを用意いたしました。事務局からひとつ説明をお願いいたします。
【野田専門官】  資料2の1枚目は、前回ここで議論いただきました内容を、つまり、どういった考え方に基づいてフォローアップを行うのかについてをまとめたもので、簡単に申し上げますと、去年の12月にお認めいただいたアクションプランに基づきまして、2020年頃、それから、2025年から数年以内のチェックアンドレビューに向けて、タスクフォースがアクションプランの進捗状況を調査し、核融合科学技術委員会に報告するということでございます。
 3番のところは、具体的な方法として、0~14の項目ごとにフォローアップを行う。それから、具体的には、担当委員が、関係機関の状況を取りまとめて、別紙様式による報告書を作成する。当面のスケジュールが、3月28日開催予定の核融合科学技術委員会に1回目の報告。それから、その後も、第1回チェックアンドレビューに向けて、随時報告書を更新し、定期的に核融合科学技術委員会へ報告を行うというものでございます。
 それで、2ページ目の別紙様式に基づいてフォローアップの報告書を作成していただいたらいいのではないかということで、作成しておりますけれども。これは炉設計を例に作成して、右の方が、小課題でありますとか、具体的なアクション、期限ということで、これは2019年までに終わらせるということがアクションプランに書かれていて、その右の第1回チェックアンドレビューまでの完了事項に印が付いているのが、1回目までに終わらせるということが想定されているところにマークが付いております。なお、第1回チェックアンドレビュー以降に開始する事項については、ここには書かれておりません。
 その右側が、実施期待期間ということで、「特」ですとか、「TF」ですとか、「Q」ですとか、「N」ですとかというのを書かせていただいております。
 その右側が、各委員に御記載いただきたいところでございまして、進捗状況のところは、誰が、何を、どれだけ行っている状況かを書いていただく。
 その次の進捗率、これはプルダウンで選んでいただくということで、進捗状況が「極めて順調」であるか、「順調」であるか、また、「加速が必要」であるかというのは分かりやすく示していただきたいということ。
 その次は、各委員がどう評価するかということでございますが、期限までの期間に対して現在の進捗状況がどう評価されるのか、期限までの達成の見通しはどうかというような評価を書いていただきます。
 一番右側が、必要な措置ということで、課題を達成するために必要と考えられることについて、ここに記載していただくということでございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
【岡野主査】  ありがとうございます。
 それでは、皆さん、御意見がありましたら、聞かせていただければと思います。
 私のイメージは、正直言って、どうしようと思っていたのか、こうフォローアップの中でできる感じになってきましてね。横に並んでいるアクションは、もちろんアクションプランの最新版の一番左にある項目が並んでいるので、それぞれ、最新版に基づいて書いていただければと思います。
 今、私、びっくりしたので、ここに載っているのは前に承認された版で、最新版ではないので、項目がかなり違いますね。整理されていますので、それではないです。皆さんの手元にはきっと最新版があるはずだと思いますので、そちらを使ってください。必要であれば、もちろん、もう一遍お送りしますけど。
 ほぼ最終版は、去年の7月頃のはずですね。7月ぐらいですよね。ほとんどその後変わっていないですよね。必要なら、言っていただければ、再度お送りします。
【笠田主査代理】  リストに載せるものは、現在もう始まっているものだけでいいという理解でいいんですかね。一応全部書いておいた方がいいのか。
【岡野主査】  20年までにやらなければいけないものではないでしょうか。
【笠田主査代理】  今始まっているべきものを全部書けばよくて、将来始まるものは書かなくてもいいという。
【岡野主査】  いいような気がしますけどね。どうでしょう。そうすると、すごく長くなりませんか。
【笠田主査代理】  もちろん、長くなるんですけど、どっちの方がいいのかなというだけで。
【竹永委員】  例えば、この原型炉TBM目標というのがありますけど、開始が19年なんですね。まだアクションプラン上では始まっていないんですけど、それでもやっぱり書いておくのでしょうか。
【笠田主査代理】  今後抜けがないようにという確認のために、書くだけ書くとか。
【竹永委員】  ここの進捗状況も書くのでしょうか。
【岡野主査】  そうすると、進捗状況のその次の進捗率のプルダウンメニューのところも増やさなければいけないですよね。それをやると、現在調整中とか、開始に向けて準備中とか、そういうプルダウンメニューが要りますよね。どうでしょうね。
【笠田主査代理】  でも、始まっていないものを入れちゃうと、やっていないみたいな感じの印象になっちゃうので、別に。
【岡野主査】  開示するときに、やっていないイメージになりますね。そこはどうですかね。御意見を頂ければと思います。
【澤委員】  今後、第1回チェックアンドレビューまでこれを継続してフォローしていくのであれば、まだ始まっていないものでも、それまでに始まるものは入れておくべきなのではないでしょうか。期限の横に開始時期を入れたらいいのかなと思うんですが。
【笠田主査代理】  もう1列増やして。
【岡野主査】  なるほど。開始時期が書いてあればいいということですか。
 あるいは、まだ始まっていないものは、進捗状況のところに、何年に開始予定と書くとかですね。そうすれば、フォーマットを変えなくても分かりやすいかなという気がしますが、いかがでしょうか。そのときは、進捗率のところは選ばない、空白ということでどうですか。ゼロと書きたくはないので。
 そうしたら、2020年までにはやらなければならないメニューは全てある。始まっていないものは、何年に開始予定と書かれる。プルダウンメニューの進捗率は選ばないと。
【石井委員】  始まっていないというのは、アクションプラン上、始まっていない。でも、調べてみたら、どこかの大学の先生は始めていたというのは、拾ってくる。
【岡野主査】  拾っていいんじゃないですか。
【石井委員】  そういう意味では、全部一通りわっと項目を書くと。
【岡野主査】  そうですね。前倒しでやられているのは拾いたいですね。
【石井委員】  ええ。そういうのもあると思うんですよね。
【岡野主査】  それは、是非、じゃ、やっぱり全項目入れましょうか。もしも前倒しでやっていたら拾ってください。
【竹永委員】  そうすると、調査しないといけなくなりますよね。
【岡野主査】  それはそうですね。
【笠田主査代理】  それは調査なんでしょう。
【竹永委員】  何かの項目と一緒に調査できれば、それはそれでいいんですけど。
【笠田主査代理】  いや、一回これで3月までにまとめて、例えば、連合講演会みたいなところで、こんなチェックアンドレビューですけど、どなたかやっている人はいませんかというのは、やっぱりヒアリングを公の場でやっていけばいいんじゃないですかね。いや、うちは実はやっていますよとなれば。
【石井委員】  ヒアリング方法も工夫しないといけないとは思いますし、全部拾い切れるかどうかというのも、よく分からない。
【笠田主査代理】  少なくとも見えているものしか評価できないですよね。
【岡野主査】  特別チームに全く聞こえていないものだったら、ここには書かれなくても仕方がない気はしますけどね。つまり、どんなに小さくても、やっていると言おうと思ったら言えるかもしれないから、最低限度、特別チームとある関係を持って、アウトプットが特別チームに反映されているものだけですよね。だけは言い過ぎか。でも、全く知りませんとは。逆に、もしも知らなかったら、特別チームに問題がありますよね。
【石井委員】  そうですね。その先生のところに行かないといけないですから。
【岡野主査】  知らないのは問題があるので、知らない範囲でやっているものはないと私は信じたいので、特別チームが把握しているという前提でいいのではないでしょうか。言い始めれば、個人的にやっているとかいうのもあるかもしれないですかね。それは違うんじゃないかな。
 どうぞ。
【柏木委員】  進捗率の欄のプルダウンメニューの内容は分かりやすくていいと思うんですが、進捗率というのとこのプルダウンメニューの内容がちょっと離れているのと……。
【岡野主査】  すみません、何がですか。
【柏木委員】  進捗率ですね。進捗率の中のプルダウンメニューの「加速が必要」とかいうような分かりやすい状況説明というのはいいと思うんですけど、でも、これは項目的には進捗率なので、率ですよね。どうするんでしょう。これ、例えば……。
【石井委員】  多分、言葉の問題で。
【柏木委員】  いや、チェックアンドレビューに向けて、例えば、「極めて順調」だったら、その年に完成みたいな、終了みたいな感じになるんですかね。
【笠田主査代理】  要するに、チェックアンドレビューまでに目標達成、期限までに達成できるということが「極めて順調」なんですよね。
【柏木委員】  なるほど。そういうイメージですかね。
【岡野主査】  これは状況報告書ではなくて、これをもってチェックアンドレビューに臨むわけではないですから、ここはあくまでも「極めて順調」が並んでくれることが今年の目標ですよね。
【柏木委員】  じゃ、もうここはそういう書き方でしたら、これ、文言は、進捗率ではなくて、進捗状況ですか。
【岡野主査】  それは隣にあるんですよね。
【柏木委員】  でも、率と言ったら、パーセントとか。
【岡野主査】  最初はパーセントで書く話だったんですけど、それはちょっと難しいねという議論もあって、こういうふうに書いてみましたけど。例えば、これ、上からそれぞれ80%、70%、60%とかにパーセントを割り当てちゃえばいいのかもしれないですけど、それは分かりにくいですよね。個人差もあるので。
 もう少し進んできたら……。でも、率で表せるものと、0か100かのものとあると思うので、やっぱりこれぐらいしか今は書けなくないですかね。
【柏木委員】  じゃ、岡野主査としては、ここは進捗率という言葉をやっぱり残しておきたくて、ただ、今の時点では、評価としては、「極めて順調」とか「順調」という感じでいいんじゃないかというイメージなんでしょうかね。
【岡野主査】  率という言葉には、確かに、私もあれっと思いますけど、もっといい言葉が何かありますか。進捗判断とか、そんなのですか。
【上田科学官】  進捗度ですか。
【岡野主査】  進捗度。なるほど。
【上田科学官】  率だと、やっぱりパーセントの気がします。柏木委員が言われたように、数字が出てくるので。
【岡野主査】  確かにね。進捗度、いいですね。進捗度にしましょう。すごいですね、日本語。いろいろと微妙なニュアンスが。
【笠田主査代理】  やっぱり一番重要なのは右側なんですよね、これ。
【岡野主査】  そうです。
【笠田主査代理】  課題達成のために必要な措置をあぶり出すことなんですよね。
【西村委員】  あとは最終ゴールですね。100%というものが、例えば、ガイドライン、これぐらいのもので100%と思う、そのターゲットというか、到達地点というか、それがどういうものであるとイメージするかによって、その判断というか、それはちょっと変わりますよね。基本概念設計、どこら辺までできると、一応できたと言えるかという、その判断。そういうイメージは多分人によってかなり違うかもしれないと。
【笠田主査代理】  そこの違いがあるかどうかがあぶり出るのも、今回、見えるということの価値ではないですか。
【岡野主査】  もちろん、もちろん。次第に収束していきそうな気はしますし、原型炉だと、設計が今進んでいますから、例えば、あるパラメータをここまでというわけにはいかないところもありますけど。どちらかというと、これ以下は駄目というのはかなり見えているので、最低でもそこまでは行かなければいけないというのは分かりますよね。
 そういう意味から言うと、100%というのはなかなかないんじゃないですか。実を言うと。前に起きちゃったら駄目なんじゃないですか。
【西村委員】  いや、今、岡野さんおっしゃる、どこかのあるパラメータ、個別のパラメータは、もちろんそれは議論でしょうけれども、とにかくトータルとして、概念設計図書みたいな――ごめんなさい、私が勝手に思っているだけかもしれないんだけど、そういうものを作り上げると思うと、ちょっと大変だなと。
 だから、それは、ごめんなさい、人によってイメージが違うので、PDCAを回すというのは、確かにそれは1つの、皆さんの理解がどういう状況であるかということも分かってくる、それも大事なことだと思いますけどね。
【岡野主査】  よろしいでしょうか。
【竹永委員】  QSTの窓口は私になっていますけど、ここは進捗状況のところだけをまとめればいいんですかね。進捗度とかは、それを見て委員が判断する。
【岡野主査】  いや、研究者に聞いていただいて、ここを書いてもらうのがよろしいのではないでしょうか。その方が。
【竹永委員】  進捗度も、やっている人が判断するんですか、これは。
【岡野主査】  そうせざるを得ないんじゃないかな。僕らが判断しますか。僕が間違っていたかな。
【石井委員】  難しいですよね。おっしゃったように、ゴールというか、ターゲットがどこだという理解が、我々とやっている先生方と同じであれば、80%とか80%でないとお互いに思えるでしょうけど。
【西村委員】  いや、だから、それはやってみないと分からないというのが、今の竹永先生のコメントですよね。それ、回してみないと、どういうふうに認識が違うかということ自身も。違うだろうとは思いますけど、どれぐらい違うかと言われると、やってみないと分かりませんよねという、そういうふうに私は理解したんですけど。
【岡野主査】  だから、この進捗度を誰が入れるかというのは、ちょっと議論しておかないといけないですね。担当者の方が入れる。
【竹永委員】  やっぱり担当者なのではないですかね。担当者が、いつまでに何をやるというイメージを持っていますから。
【岡野主査】  じゃ、ヒアリングしていただいて入れていただくということですかね。それはそうですね。
【坂本委員】  担当者というのは、実際に研究をされている方ということですか。
【竹永委員】  いや、我々です。
【坂本委員】  委員ということですね。
【岡野主査】  我々ね。研究者にはヒアリングしていただくということで。
【坂本委員】  そうですね。そうじゃないと、複数の機関があって、複数の答えがある場合もありますので、やはり担当する人がやらないと。
【岡野主査】  そうですね。そうだと思います。
 こんなことを言っていいかどうか分からないですけど、核融合研究で進捗度を今判断すると、加速が必要、ばっかりになっちゃうんじゃないかという気がしますよ。みんな加速が必要だと思うので、頑張らなきゃいけないねという。
 そういう判断じゃなくて、研究者の努力として、目標に向かってどのぐらい進んでいるかというので判断してください。核融合研究として、まだ実用炉には不足だねというので加速が必要ではちょっと困るので。その辺はさじ加減があって、各委員に判断していただいていいと思います。
 なかなか難しいと思います。やってみてから、またちょっと考えましょう。一回もやってみていないので、いろいろと発生するかもしれない。やってみてから考えることにしましょう。
【野田専門官】  岡野先生、開始年度は、枠は作らなくて。
【岡野主査】  開始年度は作らなくていいと思います。まだ開始予定のものは、進捗状況のところに書くことにしたので、要らないと思います。
【野田専門官】  はい。
【岡野主査】  進捗率を進捗度に変えてください。その1点だけですね。
【野田専門官】  はい。
【岡野主査】  それでは、この修正後のフォーマットに基づきまして、3月28日開催予定の核融合科学技術委員会に進捗状況を報告することといたします。といっても、あと1か月ですが、大丈夫でしょうかね。1か月でできる範囲で、ちょっとお願いします。
 改めてフォーマットのファイルは事務局がお送りしますので、各委員において記入していただき、事務局へ返送していただければと思います。
 本来であれば、委員会に報告する前に、このタスクフォース全体を確認した方がよいのですが、今回、時間の関係もありますので、基本的には各御担当分を単純にまとめたものを委員会に報告するということにいたしたいと思います。ただ、委員相互では見られるようにしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
【福家委員】  締切りは、後日御連絡ということですか。
【岡野主査】  そうですね。締切りは後日、少なくとも28日よりは大分前ということになりますけど。
【野田専門官】  そうですね。28日の数日前になるかと思いますけど。
【岡野主査】  編集はしないという前提ですから、10日前とかいうことにはならないのではないかと思いますけど、なるべく時間を取りたいと思います。
 イメージとして、3月20日ぐらいでしょうかね。20日が何曜日か見ていないんですけど、1週間前以内ぐらいで大丈夫ですか。
【野田専門官】  はい、分かりました。
【岡野主査】  そのぐらいのつもりで、皆さん、お願いします。
 それでは、議題(3)アウトリーチ活動の推進についてに入ります。
 社会連携、そして、アウトリーチ活動は、アクションプランの一項目として、本タスクフォースでも取り組むべき課題です。本日は、原型炉設計合同特別チームの方で調査をされた、他分野におけるアウトリーチ活動の取組についての御報告を頂きます。
 早速ですが、池田副所長、よろしくお願いいたします。
【池田副所長】 私の話は、原型炉設計合同特別チームとして、他の研究開発法人がどういうふうにやっているかというのを調査しましたので、今日はその辺を御紹介したいと思います。
 では、まず2ページ目、調査の方針ですが、御存じのように、「核融合原型炉研究開発の推進に向けて」では、アウトリーチをもっと強化することが求めております。ヘッドクォーターをどうするかという話もありますが、とりあえず、核融合研究分野のアウトリーチを考える上で、他の研究開発法人がどのようにやっているかというのを調べ、それを参考に、原型炉の推進の全日本体制を考えていけばよいのではないかと思い、調査をさせていただきました。
 調査としては、まずホームページ、それを基にヒアリングをさせていただきました。
 3ページに示すようにホームページにつきましては、公開されているホームページを見ながら、どのような広報活動をやっているかを、特に、インターネットとかテレビ放送など、メディアを使って大多数の方に向けた広報活動の実績を留意しながら調べました。ただし、ホームページというのは、現時点でも随時更新しておりますので、この調査は、大体昨年の8月のものをベースにしております。
 調査対象としては、文科省所管の研究法人を主にピックアップするとともに、昔、核融合研究を行っていたので産総研、それから、最近の研究法人で一番新しいのが日本医療研究開発機構なので、何か新しい対応があるかなと思い調べました。システマティックに行った訳ではありません。
 4ページは昨年8月頃のバージョンなので、現時点のJAXAのホームページはまた違っておりますけど、JAXAの場合、見ていただければ、ホームページとして1枚目が出て、その中にメディア情報として、メディア関係の方にこういうものをJAXAとしては準備していますよということが分かります。
 このように各法人のホームページを見ながら、5ページから、各法人のホームページの構成、広報関係のページがどういうものがあるか、インターネットの配信はどうか、テレビ等の放送はどうか、その他として、これは私個人の感覚でもありますが、気に付いたことを整理させていただきました。
 まずJAXAですが、ホームページの構成は4項目になっており、このうち、特に「ファン!ファン!JAXA!」という、明確にJAXAに興味あるファンの方のためのホームページが作っております。広報関係につきましては、細分化していきますと、先ほど言った「ファン!ファン!JAXA!」以外に、メディア対応等、いろんなものをやっています。
 インターネットにつきましては、メディア対応の中に「ソーシャルメディア」の項目というのもありますし、Facebook、Twitter等々、かなりのものを準備しながら、インターネットに発信しています。それから、「きぼう」とか「ロケット打ち上げ」というのを画像配信しています。
 テレビ等については、ホームページそのものにリンクしていませんけど、多くのテレビに放送を取り上げられているという実績があります。
 それから、特に気が付いたところとしては、公開情報として「見よう」「知ろう」「行こう」「楽しもう」と、結構分かりやすいキャッチフレーズをしながら、一般の方が興味を持つような工夫をしているのかなと思いました。
 次に、JAMSTEC、海洋研究開発機構ですけど、ホームページには広報活動がありまして、その広報関係ページの中に、お知らせというのがしっかりあり、そこでは、テレビに出ますよとか、ラジオに出ますよとかいう話があります。ちょっと古いデータですが、2017年1月から7月で、21件のテレビ放送等があるということで、かなり積極的にそういうのを外部に発信していると思います。その他、画像配信もいろいろあります。
 それから、理研、物材研、JAEAですけど、同じように、ホームページ自体については、広報活動というのはございます。情報発信とかメールマガジンというのはありますが、インターネット配信は少しずつ頑張ってはいますけど、テレビ放送等は、あんまり意識していないようで、現時点はホームページ配信で閉じるように印象を感じたところです。
 それから、KEK、NIFS、QSTですけど、KEKについては、インターネット発信については、「カソクキッズ」といいまして、漫画を作って、子供たちに分かるような発信はしておりますけど、やはりホームページまでで、メディアに対しては、あんまり強く意識していないように思いました。
 NIFSについては、広報関係も幾つかありますが、私の印象としては、一杯あって逆に分かりづらいと思いました。いずれにしろ、メディアについて意識はしていると思いますが、ホームページ自体には、そういうのは特にありません。
 私どものQSTのホームページですが、広報関係の情報はあんまりなく、むしろ部門ごとに行くと分かるような構成です。ですから、この表には書いておりませんが、QSTの中のホームページの核融合エネルギー開発部門に行くと、ある程度一般の方に向けたコンテンツがありますが、そこにたどり着くにはワンクッションあります。
 それから、国立情報学研究所、ここは、私どもでやっております遠隔実験で御協力を頂いたので調査をさせていただきました。ここは情報の研究機関としては、インターネット等は、動画をかなり出しております。ただし、若干専門的なこともあって、現時点ではテレビ発信することは少ないのかと思いますが、インターネットをかなり意識して、いろんなものを作っているように思いました。
 産総研ですけど、産総研については、ホームページの中にも「一般の皆様へ」というのはあります。あと、広報関連としては幾つかあって、テレビ番組出演情報というのもありました。そういう意味では、産総研の場合も、2017年1月から7月で、32件のテレビ番組等があり、産総研も結構テレビを意識しているなと思ったところです。
 それから、最後、日本医療研、これは先ほど言ったように、一番新しい研究開発法人ということで調べたのですが、できたばかりで、また医療ということもあるのか、ほとんど一般の方に向けた広報的なものはございませんでした。
 以上、ホームページを見た中で、外部発信、テレビとかインターネットに力を入れているという意味で、宇宙航空研(JAXA)、海洋研(JAMSTEC)、産総研が積極的と判断し、そういうところではどのようにやっているのかを、実際伺って聞いた結果が、9ページ以降でございます。
 JAMSTECの方からは、主に広報部の事業説明資料を基にいろいろ説明を受けました。それから、JAXAの方は、28年度の事業実績報告等を資料に、これはホームページを調べていくと、公開されている資料が出てまいります。それから、産総研の方は、主にパンフレットを中心に説明を受けました。
 ただし、ここで書いてあります資料は、あくまでも当方でヒアリングした私ども理解であって、数値も含めて、正式には各法人の広報担当に聞いていただきたいということが前提となります。
 それで、まず広報体制でございますが、JAMSTEC、JAXA、産総研、いずれも本部組織に広報部がぶら下がっているということが見えます。
 JAMSTECの方では、広報課としては、施設見学等と、出版とか、そういうのを担当しています。それから、出版物については、サイエンスライターを連れてきて、研究者にインタビューそうで、研究者にそのまま書かせるよりは、そういうサイエンスライターの専門家を引き入れることによって、研究者の負担を減らす、かつ、分かりやすい内容になると述べておりました。そういう中で、研究者の資質とアウトリーチの活動の資質というのは違いますので、その辺を考慮しながら進めていますということが、印象に残った話です。
 JAXAの方ですが、基本的に一元的に広報部が報道・メディア対応をやっております。また技術系のスポークスマンというのを設けまして、ある項目についてはこの人に聞いてくださいという方を決めて、それをメディアに配っているとそうです。ですから、メディアの人が何か質問があったら、直接そこに聞きに行くそうです。それから、本部だけではなくて、各事業所、各事業部門に広報担当を置いておりますというお話でした。
 また理事長のプレス発表というのをかなりやっています。先進的な研究の取組とか、社会を先導するとか、成果を活用して、社会課題の解決に貢献している姿、こういうのを意識しながら、かなり準備して理事長のメディアの会見を行っているそうです。
 後ほどもう一度御説明しますけど、そういう意味で、広報担当者とかスポークスマンというのは、どうやって伝えればいいかという、そういう専門の訓練を受けているそうです。
 それから、産総研の方ですが、現在の産総研の理事長は、産総研の技術を産業界に売り込むというようなことを強く意識されているように思いました。そういう意味で広報活動も産総研で行っていることを分かりやすく説明するということが重要であり、企画本部長並びに副本部長が経営直轄として広報活動をやる体制であり、理事長も直々に指示するそうです。パンフレットとかコンテンツとか、そういうものをとにかく分かりやすくするというとの説明を受けました。
 次の11ページから14ページは、JAMSTEC、JAXAでの広報活動の実績例です。例えば、11ページはJAMSTECでやっているいろんなメディア発信の話ですけど、その辺を改めて15ページから、表で説明させていただきたいと思います。
 まずJAMSTECですけど、プレスリリースは48回で、新聞が約600件、報道が約100件。記者説明会が年5回やっています。それから、これらを通じて科学番組の政策担当者と情報を密にやっているそうです。
 またテレビに取り上げていただくことはかなり意識しているそうです。そういう意味では、BS放送は、地上波よりも専門的な議論ができるので、メディア担当者といろいろ相談しているそうです。またJAXAの方にも言われましたが、NHKスペシャルというのは非常に重要であり、視聴率7~8%あると、日本人の約500万人が見ていることになるので、同番組に取り上げることが非常に大事と考えているそうです。
 JAXAの方ですが、プレスリリースは約260件、理事長会見等が34回、記者勉強会も33回実施しているそうです。
 JAXAの方では、こういう記者会見をライブにし、それに聞いている人の書き込みをJAXAで分析、サポーティブなコメントだったとか、そうじゃなかったかを踏まえて、それを次回の広報活動に反映させるそうです。
 それから、動画公開というのは135本で、コンテンツも圧倒的に多いですね。
 またテレビに出ると、そのテレビの視聴率を考えて、広報換算値というのが出しております。JAXAの場合は、いろんな民間会社と比較をしたときに、全国5位で、広告料が150億に相当するコンテンツがテレビに出たと評価しており、評価委員会の資料になっております。
 産総研も、とにかくメディアとの連携は力を入れているそうです。特につくばに本部があることもあって、つくばでは密にメディア対応を行っているそうです。プレスの懇談会は、年3~4回やっており、特に一般の人が関心ある内容でなるべく開いて、いろんな人を取り込むように工夫しているそうです。
 ここの記載の参考情報は、ちょっと古い情報ですが、第3期の中期計画では、プレス発表300件以上だそうです。
 それから、メディア以外、どういうことをやっているかですが、JAMSTECの施設見学は、目標が年間3万5,000人以上ですけど、一昨年が4万3,000ということで、かなり多くの人が来ているそうです。
 JAMSTECの特徴は、船があることです。自治体から要請があったら、その場所を船の運航計画に入れて、その自治体が、今度こういう船が来ますよと言って、自治体が一般の方に宣伝してくれるそうです。そういうことで、2万人以上も見学に来ていただいているそうです。
 あと、広報誌を出します。それから、これはどこでもやっているでしょうけど、出前授業をやっています。
 また人材育成ということもあるでしょうが、JAMSTECが昔からやっている、小学生を対象にして海洋に対して絵はがき募集の活動があり、絵はがき応募者の上位10名を船に乗っていただくそうです。
 それから、水族館の職員と連携しながら、水族館の施設見学とJAMSTECとの交流をやっている話もありました。
 次ページに行ってもいいんですけど、そのまま同ページの横のJAXAに関して説明したいと思います。
 JAXAは、施設見学が圧倒的に多くて、50万人以上です。それから、シンポジウム、タウンミーティング等を積極的に行っています。JAXAでも、全国の科学博物館とは密に連携を取って、いろんな宇宙の特別展示を掛けているそうです。
 それから、外部機関と連携して、例えば、LINEの七夕プロジェクトというのがあって、そこに大西宇宙飛行士がライブ中継をすると、そのLINEで聞いている人が140万人いたそうです。それから、川崎フロンターレクラブ創立20周年にサッカー場に5万人入って時に、大西宇宙飛行士がライブで宇宙からリンクさせるとかすることで、いろんな場を利用しながらJAXAをアピールしているそうです。
 それから、産総研ですけど、施設見学では、つくばを中心に1万4,000人ぐらい、それから、常設展示の「サイエンス・スクエアつくば」では、5年間で18万人ぐらい入っているそうです。また広報誌とか出前授業等もやっています。
 次のページですが、JAMSTECとしては、一般の人だけではなくて、業界に向けた発信ということで、無人潜水艇の国際コンテストに、民間と大学とJAMSTECの合同チームを作っており、そのために資金を一般から募集するようなことをやっているそうです。
 それから、SNSでは、先ほど言ったようなFacebookとかTwitterもやっていますけど、例えば、ニコニコ動画でしんかい6500をライブ中継したときには、30万人がライブを見たそうです。特にライブの場合、研究現場をそのまま流しますので、視聴者である国民と研究の現場の一体感が伝達できるということで、そういうこともあって、JAMSTECとしても、研究現場をなるべくライブで流すような方向を考えたいそうです。
 それから、JAXAの方も、先ほどの続きですけど、いろんな機会を捉えて、宇宙に関心を持ってもらいたいと広報活動をやっているそうです。例えば、ポーラ化粧品とか、女性誌「アンアン」とか。こういうのを何でやっているかというと、宇宙というのは比較的男の人は関心を持つそうですが、これからは女性にもっと知ってもらいたいという視点で、ポーラ化粧品の広報誌に載せたそうです。結果的には、発行部数60万部の広報誌にJAXAの記事を載せることができたそうで、結構そういうことをいろいろ考えてやっております。
 また、東京コミックコンベンションセンターのブース出展では、来場者が1日で3万人来るそうです。JAXAとして宇宙服等を展示することで、来場者全員がJAXAを見るかどうか分かりませんけど、機会をつかまえてJAXAの活動をアピールするということです。
 あと、JAXA特有の活動としては、国民の意識調査をやっています。JAXAが設立した2003年以降、毎年、認知度の調査をやっています。当初は23%しかJAXAのことは知られていなかったようですが、例の「はやぶさ」の帰還の年には、一挙に認知度は79%まで上がって、現在は90%の国民の人が、JAXAと言えば何をやっているか分かっているそうです。
 また学校教育ですけど、なかなか考えているなと思うのは、宇宙航空を学校の授業に取り入れてほしいということで、中学校とか小学校を連携校として年間80校設定し、そこで宇宙の教育をしていただくための、教員向けの研修や養成を行っているそうです。年間1,000位の学校の先生に宇宙を知ってもらうことによって、生徒たちに宇宙をどんどん知っていただく、そういう戦略を採っているということでした。
 次の18ページですが、お話を伺い私自身が印象として残った内容です。JAMSTECの方から広報活動の最終目標は、国民の海洋に関する理解増進ということに貢献することだが、逆に、目標設定をどうするが、結構難しいなと述べておりました。ですから、何をすれば良かったというのが難しいということです。
 あわせて、昔だったら新聞に載れば良かったが、今、若い人は新聞を読まない、むしろSNSが主流となっている中で、どういうふうにやっていくかというのが、今後、広報活動の課題という話もお聞きしました。
 あと、もう一つは、これは、今後核融合としても考えた方が良いと思った話ですが、海洋に興味ある人というのは、一般的に科学一般に興味を持っている人が多いので、JAMSTECとしても、単に海洋だけではなくて、宇宙とも連携するとか、場合によって核融合も連携して、科学一般に底辺を広げて訴えるようなイベントをやったらどうかという話も、打合せするときにありました。
 それから、JAXAですが、説明責任を果たすことということと、JAXAの事業の認知・理解・支持を得ると、この2つを重点的に行うこと。そして認知・理解・支持というのは、すぐはできないので段階的にやっていくとの戦略を考えて進めていることが印象に残っております。
 それから、JAXA広報部として、毎年、目標を設定しており、一昨年であれば、宇宙ステーション、それから、地球の課題、これは温暖化のイメージだと思います、あとH3ロケットとか、そういう重点的な課題を決めて、それをどうやって知っていただくか、そういう作戦の下に広報活動を行っていることでした。
 産総研の方は、これは中期計画の位置付けなのですが、第3期中期計画では、「企業や一般国民との直接対話を通じた広報の強化」と書いてあったのですが、第4期中期計画では、「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」の中に「【橋渡し】機能の強化」ということ記述となりました。最初に述べたのですが、一般企業に産総研の技術を売り込むというか、受託研究収益を上げるという意味もあって、産総研の技術をもっと知ってもらうということが広報活動に強く出ているという話でした。
 こういう話をお聞きしながら思ったこととしては、いずれの法人につきましても、理事長直轄で、広報の専門家を設けております。メディアについては、日常的に密な連絡を取るようなネットワークができている。メディアから見ると、誰が責任者というのを明確にしている。加えて、博物館や他の機関との連携をかなり密にとっていますというのが、この3法人いずれも言えるのかと思います。
 そういうことを踏まえて、たまたま縁があって、メディアの報道局の方と意見交換する場がありました。そこで核融合について、どうしたら一般の方に分かっていただけるでしょうかという、話をした際の内容が19ページです。
 まず初めに核融合を知っていますかねとお聞きしたところ、ほとんどの方は知りませんねというのが、その報道局の方の核融合に関する印象でした。
 そのとき言われたのは、報道局としては、国民の皆さんが、どんなときに新しい分野を知りたいと思うのか、それをいつも報道局は考えていますということです。ですから、知らない人に対して核融合をメディアに取り上げてほしいと思うならば、そういう意識をして、いろんなコンテンツを考えてほしいという話でした。
 と申しますのは、そのとき、私どもから、国際協力という点で、ITERとかBAの話も説明したのですが、報道局の方からは、単純に国際協力とか先端科学の話というのは、年がら年中、報道局に来ている。報道局としては、なぜ、それを今、採り上げるのか、それがないとなかなか採用する上司に持って行けないという話でした。こうすればいいという、結論的な話をしたわけではありませんが、そういうことを意識しなさいと言われました。
 それから、アウトリーチ活動についてのコメントですけど、やはり報道する立場からすると、子供とか女性とかが面白いと思わないと、なかなか報道は難しいそうです。ですから、具体的に、それをやって、我々の日々の暮らしに対して何の役に立つのというのを分かりやすく説明してほしいとのこと。そういう意味では、医療とかというのは非常に分かりやすいということを述べておりました。
 それから、そういう内容を報道関係に持っていくときには、資料は1枚程度にしてほしいとのこと。先ほど言ったように、報道関係にはいろんな資料が来ているので、ぱっと見て、タイトルを見て、これは面白そうだなとか、そういう引っかかるものがないと、もうそれでボツになるそうです。そういう意味では、電車のつり革の見出しは勉強した方がいいそうです。ああいうのを見て、うまく報道関係にアピールできるようなことを考えてくださいと述べておりました。
 それから、核融合というのはあんまり日々の報道に出てこないが、核融合に関係しそうなイベントが起きたときには、そういうときこそ、世の中に核融合というのは何ですかというのをすぐ出せるような用意をしたらどうですかとのコメントも頂きました。北朝鮮の水爆の話もありましたし、それから太陽風の話がたまたま話題にありましたが、そういうときに、地球でも太陽風と同じような研究をやっていますとか、そういうような、ぱっと出せるようなものがあると、報道局としては、もしかしたら取り上げるかもしれないなとかいう話がありました。
 あと、研究現場の方が、地元のメディアへの説明会とか、子供への説明会とか、そういうことをしっかりやってくださいとのコメントがありました。それらを通じて、どうしたら一般の人に分かっていただけるかというスキルが上がるとのことです。そういう地味なこともやられたらどうですかという話でした。
 今までが、いろいろ聞いた内容を整理したものです。
 次に強化ということですが、核融合としましては、ITER建設も含めて多額な国家予算を投入しているといるのも関わらず、一般の方が知らないということで、我々の活動をしっかり知っていただくということが大事だと思います。そういう意味では、私ども、QSTの立場もあり、QSTとして施設公開もやっていますけど、地元の人しか来られないので、そういう限られた地域だけでは全然足りないと思います。したがって、メディアとかSNSを使って積極的に発信するようなことが大事ではないかと思っております。
 強化に関する2番目と3番目は同じようなことを言っているのですけど、今回の調査を踏まえますと、やはりメディアを積極的に活用するためには、現場と一般の方の間を取り持つような専従の実施機関が鍵となっていると思います。そこで分かりやすいコンテンツを作成するとか、メディア等の外部機関との密なネットワークを構築して、そこにいろんなコンテンツを提供するということが大事かなと思っています。
 次の項目も似たようなことを書きましたが、研究者とは別に、そういう広報活動の専門家を外部から招請するとか、そういうための経費というのも必要ではないかということです。
 あわせて、先ほど言ったことに絡みますけど、世の中の動きを見ながら、なぜ今かというのを意識して、いろんな核融合の活動を発信していくべきではないかなということを思います。
 最後、参考ですが、こういう調査を踏まえた上で、これはQSTとしての活動になりますが、我々の活動をライブで出しましょうということで、ニコニコ動画をやっておりますドワンゴに、核融合でこういうことがありますよというのを売り込み、提案させていただきました。
 この例は、JT-60SAの超伝導コイルの輸送を、世界最大級の輸送機のアントノフでヨーロッパからやってきますということで、どちらかというと、世界最大級の輸送機という方が、ドワンゴというか、ニコニコとしては面白いということだったのですが、その打合せの場で、やりましょうという話になりまして、結果的には、5万人のフォロワーが付いて、3万5,000人のコメントがありました。そのライブ配信の中では、いろいろ核融合を説明する機会も頂きましたし、JT-60とか超伝導コイルの説明もできたということで、放送後のアンケートの結果でも、多くの方が「まあまあよかったですよ」という評価を頂きました。NIFSさんは既にやっておりますが、QSTとして、こういうニコニコ動画をやるのは初めての経験であり、こういう形をもっと活用しながら、一般の方に訴えていくことも今後大事ではないかなと思ったところです。
 以上でございます。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御発表への御質問あるいは御意見などありましたら、お願いいたします。
【福家委員】  私も、このアントノフはQSTのホームページで見たのですが、私が着目したのは、プレス発表の数です。ここ二、三年でQSTさんとしては、約80件ぐらいのプレス発表がなされているのですが、ITER関係がそのうちで多分5~6件ぐらいで、ほとんどが医療関係のプレス発表が多いんですけれども、同じQSTの中で、医療関係の方のプレスの体制と、こちらの核融合の方のプレスの体制というのは、かなり件数として違いがあるようなんですが、何か違いがあるんですか。
【池田副所長】  それは、私が答えるのかどうか、竹永さんに。
【竹永委員】  基本的には変わりはないのですが、どうしても医療関係というか量子ビームが多いと思います。量子ビームは、一般に向けた応用研究をやっていますので、多くなるというのはあります。
 核融合は、ITER計画を進めていく上での進捗の報告が主ですので、どうしても件数としては、量子ビームに比べると減ってしまという実情はあります。
 体制というか、意識の違いは、もちろん各部門間であるとは思うのですけど思いますが、やっぱり研究に即した形でそういう違いが出ているというのが実情だとは思います。
【福家委員】  そうすると、どちらかというと、ネタづくり力を強化しなければいけないということですか。
【竹永委員】  量子ビームのような件数を稼ぐには、それは無理だと思うので、本来で言えば、一個一個の大きさみたいなところで勝負しないといけないのかもしれないですけど、ITERが建設段階、SAも建設段階にある中で、プレスネタというのはなかなか難しいなというのが実情としてはあります。
 その中で、柏木委員のところは、プレスネタは結構いっぱい出して。研究現場から、こういう成果があったのでプレスへ出したいという希望が出てきたら、私のところの室中で検討して出すことにしていますが、やっぱり現場の人の意識も、割とプレスへ出そう出そうと思っているところと、あんまり積極的ではないところがありますけど、なるべく成果をアピールしていきたいと思ってはいます。ただ、どうしても数となると、他の部門に対してちょっと勝負にならないというのが実情ですね。
 何か現場の意見としてあれば。
【柏木委員】  どうしても核融合のプロセスの中でマイルストーン的なもので発表しようとすると、そんなに件数は、年に1個とかいう感じになってきます。また、プレスすることでも、結構労力を使うので、なかなか大変であり、それで、出すには、バックアップ体制も含めて、敷居が高くなるというところはあるかなと思います。
【笠田主査代理】  プレスリリースの件数を稼ぐことが目的ではなくて、リリースしてもリリースしっぱなしで、全然返ってこないことの方が多分問題だと思います。
【柏木委員】  ただ、ここにもありましたけど、たくさんのお金を使っているという研究なので、できるだけ皆さんに報告しなくてはいけないなという思いはあり、できるだけ拾い上げたいとは思っています。
【笠田主査代理】  現場の研究者に負担が掛かるような現状のシステムが、プレスリリースの件数という評価がいいかどうかは別として、妨げているのであれば、やっぱりそういう専従の、きちんと適切なプレスリリースの仕方を熟知したような人が担当している方が望ましいと思います。大学は必ず、今私がいる大学も前にいた大学でも、そういう人たちがいますので、当然、いるべきだと私は思います。
【池田副所長】  この間、私、いろいろ、メディアの記者とかドワンゴの人と話したのですけど、ドワンゴの場合は、商売もあるので、どれだけフォロワーが付くかという視点で議論します。例えば、今回のアントノフは、どっちかというと、航空機輸送を見せる配信でしたが、六ヶ所研でやろうとしていることを配信するには、やっぱりストーリーを作ってほしい、見たら面白いとか、例えば、頑張っていたとか、シナリオとかを考えて、フォロワーが受けるようにしてほしいということを述べておりました。
 それが研究者としてやることかは置いといて、やはり一般の人に受けようと思うと、そういうことも考えながら、一般の方と研究現場をうまく引き継いでいかないと、単に自分たちが研究をやりました、世界トップだと言っても、受け取る方は、「何だ、それ」になってしまいます。今回、いろいろ調査して思ったのは、そういうことをもっと意識していかないと、ひとりよがりになってしまうので、我々がすごくいい結果だと思うことと、一般の人がそう思うためのワンクッションをどうやってやるかということについて、もうちょっと戦略的に、これはQSTというよりは、核融合部門として、ヘッドクォーターの議論もありましたが、その辺が大事ではないかなと思っているところです。具体的にどうするかというところまでは行ってませんが。
【池辺委員】  今のに関連して質問ですけれども、ドワンゴが言っていたのは、もっと研究者の人となりみたいな、そういう結構人間くささとか、そういうところにコンテンツの魅力があるというような意見だったのでしょうか。
【池田副所長】  アントノフの話は、私は直接タッチしていませんが、その前に、六ヶ所研での内容で御相談した際、ニコニコ動画の場合はライブなので、いろんな人から直接質問が来ます、それにちゃんと的確に答えることに価値があると言っていました。ですから、例えば、今回のように、核融合は何とか、超伝導コイルは何と言われたときに、ちゃんと答えることが非常に大事で、それをやって初めて聞いている人と現場が結び付くそうです。
 ですから、ドワンゴの方は、やるに当たっては、適切な回答をする人をちゃんと置いてほしいということを強くおっしゃっていました。だからこそ、ライブに意味があるということを強くおっしゃっていました。
【池辺委員】  なるほど。
【坂本委員】  質問いいですか。これは、ただのライブ放送ではなくて、インタラクティブなやりとりもできる放送ですか。
【池田副所長】  ニコニコ動画は、そうなります。ニコニコ動画の場合は、それを見た人が書き込むのです。先ほどのJAXAの例でも、いろいろ聞いている人が書き込んで、「これ、何」とかの質問を受けるそうです。もちろん、変な人もいっぱいいるそうで、本当にどうしようもないようなコメントもあるのですけど、その中に、本当に聞きたいこととがありますから、それをちゃんと回答してくださいとのことです。そのときに、研究現場なりの人が、これはこうですよということを述べると、またそこに質問が出ますので、それらを聞いている人は、そこでいろんな質問に対して答える場をもらうことになりますから、結構有益な場だと思っております。
【坂本委員】  そうですか。ありがとうございます。
【澤委員】  ニコニコ動画の場合、どういうリンクから人が入ってきたか、そういう分析もできるのですか。
【池田副所長】  すみません、私は聞いていないで分かりません。
【竹永委員】  リンクからは難しいのではないですかね。
【澤委員】  どういう入り口で皆さんここにたどり着いたのかという経路が分かりませんか。
【笠田主査代理】  ある程度は分かると思いますけど。ネイティブで、検索、オーガニックサーチで来たのかとか、そういう分析は掛けられたデータはあると思うのですけど、それは頂けるものかどうかはちょっと分からないですね。
【池田副所長】  多分、JAXAでは、理事長の会見を民間会社に出して分析すると言っていましたから、どこまでかはよく分かりませんけど、いろいろそういうことはやっているみたいです。
【柏木委員】  私も今回アントノフの配信を家で見ていましたが、面白かったのは、子供が見ていても飽きないということです。皆さんがコメントをくれるので、飛行機を待っている間も、みんなの期待感で一緒に楽しめて、そして来て、その後、核融合の説明があって、そのままずっと聞いていられるというのが、一方通行というよりは、やっぱり相互にコミュニケーションがあるというのがなかなか面白いのかなとは思いました。
【岡野主査】  そういう点で言うと、必ずしもマイルストーンがあるときにしか発表できないわけではないような気がしますよね。自分で狭めちゃっているような気がして仕方がないんですけどね。JAXAはマイルストーンがたくさんあるから、発表をたくさんできているんですって、しょっちゅう打ち上げているわけでもないような気がしますから、核融合は、やっぱり努力不足というのではなくて、広報体制が明らかに不足しているかなという気はしますね。
【笠田主査代理】  例えば、ITERの建設現場からの生中継、最近、始まりましたよね。ITERに特化サイトのライブカメラとか。あれも、日本だと、結局、英語のコンテンツで流しっぱなしで、何も翻訳してくれる人がいない。あれ、面白いんですよ。結構人がうろうろしており、大きさの感覚も分かります。そういうのをちゃんと、ここに何が入りますよとか説明してくれるような、あるいは、誰かが現地に行って、カメラを持って、ドワンゴじゃないですけど、ライブ中継をするとかどうでしょうか。
 核融合って、コンテンツはいっぱいあると私は思っているのですけど、現場で大型装置を扱っている人ほど、「見せるものないね」とよく言っているのですが、いや、全然そんなことないと思います。
 あと、例えば、核融合と宇宙とか、核融合と深海とか、異分野との親和性もすごく高くて、何とでも組めるのですよね。ただ、それって、中にいる人には分からないですよ。やっぱりちゃんとそういうコミュニケーションを専門としている人が、そういう部分を統括して、かつ、きちんと核融合の利益増進とか社会との対話を進められるようなヘッドクォーター的なものもちゃんとあって、相補的にやっていけると、非常にいい方向に、社会にとってもいい方向に行く可能性があるのではないかなと私は思います。
【岡野主査】  ありがとうございました。
 いいまとめをしていただいたので、時間の関係もありますので、本日は、このあたりでこの議論を終了させていただきたいと思います。
 池田副所長におかれましては、お忙しい中、本当にどうもありがとうございました。
 時間も押しておりますが、本日用意しております議題は以上ですが、このほか、特に報告、審議すべき案件はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで閉会させていただきます。次回のタスクフォースの日程は、6月か7月頃を予定しておりますが、具体的な日程については、事務局で調整の上、後日御連絡を差し上げます。
 では、本日は、御多忙の中、御出席いただき、本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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