令和6年12月5日(木曜日) 10時00分~12時00分
オンライン会議にて開催
1.核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組等について
2.JAEA/ISCNにおける今後の取組等について
3.研究用原子炉における核不拡散/核セキュリティ関連の動向と実例
(有識者ヒヤリング(京都大学・宇根﨑教授))
【池尻室長補佐】
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第27回核不拡散・核セキュリティ作業部会を開催いたします。
本日は、お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。
今回の作業部会におきましては、オンラインにて開催いたします。これに関連した確認事項などもありますので、議事に入るまで事務局にて進めさせていただきます。
まず、オンライン開催についての留意事項を御説明いたします。
委員の皆様におかれましては、現在、遠隔会議システム、WebEX上で映像及び音声が送受信できる状態となっております。
御発言される場合は、挙手ボタンを押していただくと、挙手マークが表示されますので、順番に事務局より指名いたします。もう一度ボタンを押すと挙手マークが消えますので、御発言いただいたあとは挙手ボタンを押して手を下ろしてください。
会議中にビデオ映像及び音声が途切れている場合、その時間帯は御退出されているものとみなします。遠隔会議システムの接続の不具合等が生じた際は、随時事務局宛にお電話にてお知らせください。
傍聴される方におかれましては、ビデオ映像及び音声をオフとしてください。議事進行の妨げとなる行為を確認した場合は、遠隔会議システムから御退席いただきます。
議事録につきましては、事務局にて会議を録音し、後日議事録を作成いたします。事務局以外の会議の録画及び録音はお控えください。
以上が本日の進行に当たっての留意事項となります。
本日の議題は、お手元の議事次第に書かれているとおり、1つ目、核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組等について。2つ目、JAEA/ISCNにおける今後の取組等について。3つ目、有識者ヒアリング京都大学宇根崎先生より、(4)その他、となっております。
最後に、事務局より本日の出欠と配付資料の確認をいたします。
本日は全9名のうち、葛西先生と高橋先生を除く7名に御出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしております。
加えまして、議題2の発表者として、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの井上センター長、山口副センター長、野呂室長。議題3の発表者として、京都大学宇根崎教授にも御出席いただいております。
なお、事務局としては、文部科学省より有林原子力課長、馬場戦略官、河原企画官(原子力国際協力担当)、室長補佐の私、池尻が出席しております。
続いて、本日の配布資料ですが、今回は委員の皆様及び傍聴の登録をされた方に事前にメールにて配布資料をお送りさせていただいております。会議中、遠隔会議システム上でも資料を表示いたします。
本日の配付資料は、資料1が核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組等について。2つ目がJAEA/ISCNの今後の取組等について。3つ目が研究用原子炉における核不拡散・核セキュリティ関連の動向と実例について、となっております。資料の欠落等がありましたら事務局までお知らせください。また、議事の途中でもお気づきの点がございましたら、お申し付けください。
それでは、これから議事に入りますが、運営規則第5条、会議の公開の規則に基づき、本会議及び会議資料は公開いたします。
また、同規則第6条に基づき、本日の議事録についても後日ホームページに掲載いたします。事務局からは以上でございます。
ここからの進行は出町主査にお願いしたいと思います。それでは、出町主査、よろしくお願いいたします。
【出町主査】 池尻さん、誠にありがとうございます。
本日は御多忙に関わらず、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
議事に先立ちまして、今回委員の先生が1名交代になっておりますので御紹介したいと思います。
今回から、中熊委員に代わりまして、新たに大塚康介委員に御就任いただいております。大塚委員、一言御挨拶をどうぞよろしくお願いいたします。
【大塚委員】 電気事業連合会の大塚です。聞こえていますでしょうか。
【出町主査】 はい、聞こえております。
【大塚委員】 この度、新しく委員となりました。
事業者の経験、知見を活用して、部会に貢献したいと考えてございます。皆さん、よろしくお願いします。
【出町主査】 よろしくお願いいたします。大塚委員、誠にありがとうございます。
それでは、本日の議題に入ります。まず議題1の核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組等についてでございます。事務局殿より御説明をお願いいたします。
【池尻室長補佐】 その前に高橋先生が入られましたので、本日の委員は9名のうち8名参加されていますので、そこが変更になっております。よろしくお願いいたします。
【出町主査】 承知いたしました。高橋先生、ありがとうございます。
【高橋委員】 皆さん、遅れて申し訳ありませんでした。
【河原企画官】 よろしくお願いします。
それでは、事務局の方から御説明いたします。文科省原子力国際担当の企画官をしております、河原です。
核不拡散・核セキュリティに関する最近の取組ということで、まず頁をめくっていただいて1頁目ですけれども、この資料は今年の9月に開催されましたIAEA総会での上坂原子力委員長による政府代表演説の内容を示しております。
その代表演説の核セキュリティの項目の中で、赤字で示しておりますけれども、国内では、国際社会の脅威となり得る核物質の最小化に取り組んでいること。それから、JAEAから全ての高濃縮ウランなどの撤去が完了したほか、京都大学、近畿大学の研究炉から高濃縮ウランの撤去や低濃縮化による教育研究活動の継続の取組を着実に進めていくということを発信しております。
また併せて、日本はIAEA協働センターに指定されているJAEA核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)におきまして、核不拡散・核セキュリティ分野での人材育成支援及び研究開発に長年取り組んでいること。
また本年、ISCNはトレーニング施設を拡充したほか、IAEA核セキュリティ教育ネットワークに新規に加盟したと。これによりまして、貢献をさらに強化していきたいといった内容を対外的に発信しております。
次の頁2頁目は、このIAEA総会の期間中に、京都大学の臨界集合体実験装置(KUCA)に関する日米の共同声明を発出しております。
京都大学のKUCAにつきましては、これまで高濃縮ウランのアメリカへの返還を進めてきておりますが、この度、低濃縮燃料が完成したことから、日米政府間で共同声明を発出したものです。
共同声明の内容については記載のとおりですけれども、高濃縮ウランの最小化と低濃縮化に向けた日米の共同のコミットメント、それから京大KUCA向けの低濃縮燃料製造の取組、先進的な燃料の設計・製造に関する研究開発の成果などが盛り込まれています。
今年の9月17日にウィーンで共同声明に署名をいたしまして、翌日プレス公表をしております。署名者は、文科省から清浦審議官、アメリカ側からNNSAの筆頭副長官補との間で締結しております。
製造した低濃縮燃料につきましては、KUCAに今後順次搬入されまして、その後、規制庁への申請を経て、2025年度中の再稼働を予定しております。
今後、KUCAを活用しました先進的な研究、それから人材育成への貢献に期待をしているところであります。
続いて、3頁目につきましては、先ほどのプレス発表した際の文科省の資料をお示ししておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
続いて、4頁目ですが、核セキュリティのアジア協力の取組として御紹介をしたいと思います。
FNCAというアジア原子力協力フォーラムという枠組みが日本主導でありますけれども、その中の一つの取組として、核セキュリティ・保障措置に関する国際ワークショップを毎年開催しております。
今年の10月にカザフスタンで会議が開かれまして、日本からはプロジェクトリーダーとしてISCNの堀さんが出席されています。
内容としましては、アジェンダの例えばSession3にありますように、放射性物質と核セキュリティに関する意見交換、それからSession7にあるとおり、放射性物質の盗取時の対応シミュレーションに関する机上演習などを行っております。
結果としましては、2つ目のポツにありますが、3か年のアクションプランについて、加盟国間でのディスカッションを実施しまして、核セキュリティ文化醸成のための良好事例の共有、それからRIセキュリティ、AI・サイバーセキュリティといった新たな脅威への対応などについて今後取扱うことで合意をしております。
また、ホスト国のカザフスタンからは、ドローン技術への対応について関心があるというような意見も寄せられております。
これらのアジアの国々からのニーズを踏まえまして、今後ISCNのトレーニングコースなどの設計にも活かしていきたいというふうに考えております。
続いて5頁目ですが、これは文科省の中における政策的な検討状況の御報告であります。
この資料は、本作業部会の親委員会である原子力科学技術委員会におきまして、今後の原子力科学技術に関する政策の方向性の中間まとめというものを今年の8月にまとめておりまして、その中の核セキュリティに関する関連の記載になっています。
中段の方に、これまでの実績と評価とありますけれども、ISCNではアメリカなどとも連携しまして、不正に取引及びテロなどで使用された核物質の起源の特定に資する核検知・核鑑識に関する技術開発成果を、国際社会と積極的に共有するなど、核不拡散・核セキュリティ強化にこれまで貢献してきたこと。
それを踏まえて、今後の取組に関する基本方針として、国内外のニーズや原子力を取り巻く状況を踏まえまして、核不拡散・核セキュリティに関する技術開発成果の社会実装に向けた取組を進めること。特に、核鑑識については、核テロ対策の一つとしてのプルトニウム核鑑識技術開発を実施するとともに、国内外の核鑑識能力の強化に向けた技術的な支援を推進することを盛り込んでおります。
また、併せて6頁目には、人材育成に関する記載も盛り込んでおりまして、<これまでの実績と評価>として、ISCNではこれまで約100カ国6000名以上に対するトレーニングを実施しており、国内はもとより、特にアジア地域を中心とした同分野の人材育成支援の国際的な拠点として活動を推進してきたこと。また、核セキュリティ分野のIAEA協働センターとして、IAEA核セキュリティ支援センター国際ネットワーク活動を主導し、若手人材育成プログラムを立ち上げるなど、IAEAによるアジア地域を中心とした核セキュリティ強化の取組を積極的に支援していること。
これを踏まえまして、今後の取組に関する基本方針として、今年5月にISCNが新規加盟したIAEA核セキュリティ教育ネットワーク(INSEN)とも協働し、トレーニングカリキュラムの開発やインストラクターの養成を実施するとともに、開発する教材を国内外に提供することと併せて、国内核セキュリティ分野の人材確保、リテラシーとしての核セキュリティ教育を検討するとともに、国際協力等の取組を積極的に展開することなどが盛り込まれております。
これらを踏まえまして、次の7頁目ですけれども、来年度の文科省の概算要求の内容を最後に御紹介したいと思います。
7頁目は、核セキュリティの関連業務といたしまして、前年度から約3000万円程度の増要求をしております。
左側にはISCNの人材育成の取組が入っておりまして、特に3ポツ目に記載のとおり、来年度はサイバーセキュリティなどの新たな脅威に対応するトレーニングを開発・実施すること。
それから、4ポツ目にありますように、本年のINSENへの新規加盟を契機としまして、来年度INSENの有識者などを招いた国際シンポジウムを開催し、トレーニングカリキュラムの高度化、教材開発による大学連携等を推進することとしています。
また、技術開発の分野では、右下にありますように核鑑識技術開発について、令和7年度にアメリカとの共同による新しいプルトニウム核鑑識に関する研究を開始するために、プルトニウムを取り扱うためのグローブボックスやフード等の設置など、ラボの整備を継続することとしています。
一番下には、高濃縮ウラン返還に関する支援といたしまして、近畿大学の原子炉に残る高濃縮ウラン燃料の返還に関する具体的な準備のために、輸送計画の詳細化等を実施することにしています。
最後に8頁目ですけれども、核不拡散・核セキュリティに関する国際機関との協力ということで、いずれも前年同要求となっています。
左側が原子力平和利用調査等事業拠出金の一部として、IAEA核セキュリティ局に拠出金を出して、同分野に関する活動調査検討を行うものです。ISCNから専門家をコスト・フリー・エキスパートとして同局に派遣をしております。
その中で、IAEAと共催によるトレーニングコース、それからワークショップの企画立案、IAEA核セキュリティ訓練センターネットワークの運営支援、IAEAが策定するガイダンス文書の作成支援及び情報収集等にあたっていただいております。
また、右側は先ほど御紹介したアジア原子力協力フォーラムFNCAの取組の一つとして、2011年より核セキュリティに関するプロジェクトを開始しておりまして、年1回ワークショップを開催しているということで、例えば机上訓練の実施ですとか、良好事例の共有、それから核セキュリティに関するワークショップの開催などを行っております。
これらの事業を通じまして、核不拡散・核セキュリティの強化に向けた取組を進めていくこととしております。私からの説明は以上です。
【出町主査】 河原企画官殿、誠にありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、委員の皆様からの御質問や御意見がございましたらお願いしたいと存じます。もしありましたら挙手ボタンでお願いいたします。
では、私から2点ほど。最初の上坂委員長、原子力委員長のことですけども、これは日本側からこういう取組をしています、していきますよ、ということを政府代表として演説されたと思うのですけども、これは日本側に対する要望とか、提言というものはこれはないものでしたっけ。というか、何かありました?
【河原企画官】 1頁目に記載している内容は、日本として、これからIAEAとの関係で取り組んでいくこと、あるいは原子力の分野で重視していることについて発信をいただいたということですので、日本に対する要望を総会の場で受けるというようなところとはまた別の観点にはなっています。日本から、特に積極的に発信していきたい内容について盛り込んでいると、そういう理解です。
【出町主査】 分かりました。そういう場なのですね。承知いたしました。ありがとうございます。
あともう1個だけ、7頁ですが、ISCNさんで魅力度評価に取り組んでいらっしゃることですけれども、これは今、盗取が対象なのですね、今のISCNさんのこれ。これは盗取が終わったあとに、さらにサボタージュ、妨害破壊行為までこれは広げられる御予定というか、あるのかどうかということがちょっと気になるところです。
【河原企画官】 次の説明で、ISCNの井上センター長の方から、技術開発も含めたロードマップの案について説明をいただく予定ですので、詳細はそちらで確認をいただければと思いますが、魅力度評価に関しては、サボタージュに関する研究についても一定程度盛り込んでいますし、その成果の取りまとめを来年度中に行っていくということですので、御指摘の内容も含む形で取り組んでいくと承知しております。
【出町主査】 分かりました。ありがとうございます。
詳細はまた次の御説明で聞けるということですので、そちらの方もあわせて確認したいと思います。そのほか、委員の皆様から御質問、御意見ございませんでしょうか。
【高橋委員】 すみません、高橋です。よろしいでしょうか。
【出町主査】 お願いします、高橋先生。
【高橋委員】 すみません、参加が遅れて申し訳ございませんでした。
私はどちらかというと、サイバーセキュリティの観点から、この委員会に関与しているというところもあるのですけれども、実際に核セキュリティに関して言うと、フォレンジックであるとか、いろいろな側面があると思います。サイバーセキュリティと、核鑑識と、あとはそういった不拡散等はなかなかうまく結びついておらず、かなり別の側面があると思います。例えばいろいろな面で協力しているというお話が今あったのですけども、特定の国の名前を出すのは避けますけども、ここに入っているある国は、サイバーセキュリティの面では完全に対立した、懸念しなければいけないような国も中に入っています。一括してこの核セキュリティを考えるということは重要だと思うのですけども、その中でやはりサイバーの部分の国と国との関係性の難しさみたいなところは、今までの御報告中でどう考えられているのか、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【河原企画官】 高橋先生、ありがとうございます。
サイバーセキュリティに関しては、ISCNの方で先行的にトレーニングコースの検討を進めておりまして、また文科省の概算要求の中にも来年度盛り込んでおりますので、具体的なトレーニングコースの設計というものをこれから本格化していくという段階ではあります。
ただ、国によって付き合い方に一定の温度差も生じるという認識もありますので、今考えておりますのは、IAEAと共催する形で、加盟国に対してトレーニングコースを提供するということを想定しておりまして、具体にどの国からどういうニーズがあるかとか、その辺はこれからのところもありますので、よく見極めて対応していきたいと思います。ありがとうございます。
【高橋委員】 ありがとうございます。
【出町主査】 高橋先生、誠にありがとうございます。
そのほか意見、御質問、委員の皆さんからございませんか。関連して私から、今サイバーセキュリティのISCN等での教育というものは、具体的にどんなことをされるのか、ということを教えていただければと思います。
【河原企画官】 具体的な内容は、このあと井上センター長から詳しく話がありますので、そちらで確認いただくのがよいかなとは思いますが、ISCNの設備予算を確保して、今年の5月に実習フィールドを新しく整備しています。
その中には、サイバーセキュリティのトレーニングコースにも使える機器についても導入していまして、そういった内容を各国の参加者に提供していくというものだと理解しています。
【出町主査】 今の御説明は、サイバーセキュリティ対策としてどういうようなネットワーク設計にするかということの教育訓練が中心ですよ、ということですね。
【河原企画官】 そうですね。
【出町主査】 攻撃されたときにそれを検知するとかではなくて、予防の方ということですね。承知しました。ありがとうございます。
【井上委員】 すみません、井上です。
【出町主査】 井上先生。
【井上委員】 お聞きしたいことがありまして、少し前の質問にも関わるところではありますけれども、今回政府代表演説ということで、これは日本のことが書かれていますけれども、他国の代表の演説の中で、何か日本と関わって気になるようなところがあったりしたら、そういったところを教えていただきたいなと思っておりますけれども、分かる範囲で結構です。
【河原企画官】 ありがとうございます。
総会には私も参加していたのですけれども、残念ながら他国のステートメントをつぶさに確認した訳ではありません。外務省の方でフォローしているところもありますので、その点は後ほど確認をして、必要な情報があれば委員の先生方にも共有したいと思います。
【井上委員】 ありがとうございました。
【出町主査】 すみません、あとお二方挙げておりますので、全画面にして今気づきました。申し訳ございません。
【事務局】 お三方だと思います。上田委員と黒崎委員と小澤委員が。
【出町主査】 3人ですね。全画面が出なくて申し訳ありません。順番が分からないですけど、一番私の画面で手前に見えていらっしゃる上田委員、最初でよろしいでしょうか。申し訳ございません。
【上田委員】 ありがとうございます。原子力産業協会の上田です。
私から2点コメントいたします。まず1頁目のところの第68回IAEA総会の政府演説の中で、国際社会の脅威となり得る核物質の最小化の具体的な取組、国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)ミッションの受け入れ、JAEA/ISCNの人材育成活動や研究開発を通じて言及いただいたことで、国際的な核セキュリティに対する日本のコミットメントを示せたかと思います。
日本は9年以内に3回目のIPPASミッションを受けており、このような活動は核セキュリティにおける日本の信頼性を高めるものです。引き続き、ISCNの活動を含めまして、核セキュリティ分野におけるIAEAとの連携強化をお願いいたします。
2点目ですが、FNCAの核セキュリティ・保障措置に関するワークショップにおいて、核セキュリティ文化醸成のための良好事例について、参加者間で共有が行われたとのことですが、ぜひ国内関係者へも良好事例を展開いただきたいです。
今後の原子力科学技術に関する政策の方向性の中間まとめの中で、リテラシーとしての核セキュリティ教育の検討に言及されていますが、核セキュリティ文化は、その中心となるものと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。私から以上です。
【出町主査】 上田委員、誠にありがとうございます。
今2点コメントいただきまして、1点目がIPPASのことですね。これについては、コメントというよりも、これからもどうぞよろしくという意味だと思います。
2点目、国内展開については、どういうそういう体制があるのでしょうか。
【河原企画官】 ISCNでは、国内向けに、核セキュリティ文化醸成に関するワークショップ、あるいはシンポジウムを毎年開催しておりますので、海外にのみならず、国内に対しても核セキュリティの文化醸成に関する取組は行っておりますし、これからも継続していきたいと考えております。
【出町主査】 上田委員、いかがでしょう。そんなところで。
【上田委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【出町主査】 ありがとうございます。
私もよくISCNさんのイベントに参加しています。ありがとうございます。
続きまして、私の見えている画面上の順番で、小澤委員、よろしくお願いいたします。
【小澤委員】 小澤でございます。御説明ありがとうございました。
4頁目の一番下の結果概要のところで、2つ目の丸の一番下、3行目のカザフスタンからはドローン技術への対応に関心があると。
ドローン技術は、もはや当たり前のようになってきていると思うのですけれども、核セキュリティについては、脅威側とセキュリティを強化する手段についてもあるかと思うのですけど、この辺の動向みたいなものは何かトピックスはございますでしょうか。
【河原企画官】 このワークショップ、実は私自身は参加していなかったので、詳細にどういう要望なり、話があったのかということを承知していないのですけれども、一般的な話として、ドローン技術が高度化してきていて、それを原子力施設に対する攻撃の手段として用いた場合に、どのように対応していくべきかといったところは、各国共通の関心事項でもあるのかなと思っております。
他方で、IAEAの方で具体的なガイドラインが整備されているとか、そういう動きはまだ聞いていないというところもあるので、各国のニーズやIAEA自体の取組や検討状況に応じて、日本も必要な取組を今後考えないといけないと考えております。
【出町主査】 ありがとうございました。
【小澤委員】 ありがとうございます。
【出町主査】 今の御回答で、ISCNさんとしてはドローン対応というものはどんな感じにやって、もう始めているのか、それとも今議論中なのか、ということが、どういう状況なのですかね。
【河原企画官】 よろしければ、井上センター長から簡単に御紹介いただければと思います。
【井上センター長(ISCN)】 ISCNの井上でございます。
ドローンにつきましては、人材育成支援、トレーニングの観点からは、トレーニングをやったときに参加者の方からドローンについてはどうなのか?というような質問を、3年4年ぐらい前からございましたので、少し前に一度調査をしております。
その調査は、あくまでもインストラクターが、そういった質問に対してどう答えるのか、答えるための定量的な情報を得るということを目的に、非常に簡単なものではありましたが調査をしております。調査をしておりますということしか、現段階で申し上げられないのですが。
【出町主査】 分かりました。
具体的に開発とかの計画をしているわけでは、もちろんないわけですね。
【井上センター長(ISCN)】 はい。技術開発の広域サーベイの分野で、広域の中でやったことはございます。
もう少し詳細が必要でしたら、山口副センター長からお話をさせますが。
【出町主査】 広域調査というものは、ドローンを使って放射性物質の分布とか、素材をスキャンするというもののことですね。
【井上センター長(ISCN)】 はい、そうですね。
【出町主査】 分かりました。ちょっと余談ですけど、SEECATに何回か行かせていただいたとき、参加したときに、結構自衛隊の防衛調達、防衛省ですね、そういうブースを持っていて、結構ドローン対策技術は作っているみたいな、そういうところと関連、今後連携ということはあり得るのでしょうか。なかなか難しいのかな防衛省さんだと。
【井上センター長(ISCN)】 技術開発という観点では、山口の方がSEECATには毎年出ておりますので、山口副センター長の方にこれから回答させてよろしいでしょうか。
【出町主査】 はい、お願いいたします。
【井上センター長(ISCN)】 では、山口さんお願いします。
【山口副センター長(ISCN)】 山口でございます。 今主査の方からありましたSEECATですけれども、こういう場でドローンの動向などは調査してございます。端的に申し上げると、ドローンは既に戦争に使われているということで、非常に技術の進歩は早いものです。
今年のSEECATにおきましては、ドローンのジャミングであるとか、スプーフィング、それからジャミングを解除するような技術、そういう技術が多く展示されてございました。
そして、ISCNでの開発の方向性といたしましては、ドローン自体に対して、我々は原子力研究開発機関ですので、直接ドローンに関して開発するというところは今のところは考えていないというところでございます。
ドローンを使って、我々の強みである、例えば放射線計測の部分であるとか、そういうことはあったとしても、ドローン自体の開発というものは今考えていないと、そういうことでございます。
【出町主査】 承知しました。ありがとうございます。
技術そのものを開発することも大事かもしれませんけど、まずISCNさんなので、私の意見ですけども、可能であれば机上訓練の中にドローンがやってくるシナリオなどというものが可能であったら、入れればいいのかな、と思ったりもします。これは意見なので、要望ではございません。
では、最後に黒崎委員殿、お願いいたします。
【黒崎委員】 どうもありがとうございます。
私の方からは質問ではなくてコメントですけれども、この前の頁の3枚目とか、あと2枚目の方で、KUCAの低濃縮化について、日米共同声明であるとか、あるいは文科省の方からプレスリリースをしてくださいました。
我々は、このKUCAの低濃縮化にすごく力を入れてやっているのですけれども、なかなかいろいろな方に知られる機会がないといいますか、物が物だけに報道といいますか、情報公開は慎重にしなくてはいけないのですけど、それでもKUCA、こういう形で燃料を低濃縮化しているし、あとこれからもこれを使って研究教育していくのだという、そういうところうがすごくいろいろな方に知っていただきたいと思っていまして、その意味で、こういった形で文科省さんの方から報道発表していただいたことは非常にありがたいと思っています。
なかなかセキュリティの関係でオープンにできないことは多いと思うのですけれども、可能な範囲で広く一般の方々にも知っていただくような、そういう試みをしていただければと思っております。以上です。
【出町主査】 黒崎先生、誠にありがとうございます。
京都大学さんにおける低濃縮化の活動、非常に御苦労されていることは重々存じ上げておりまして、文科省さんがこれを報告いただいたというのがいろいろな面で良いことだと思っております。
この件について、文科省さん何かございます?
【河原企画官】 黒崎先生、ありがとうございます。
前回の部会でも、黒崎先生の方から高濃縮ウランを返還するだけではなくて、低濃縮化して、しっかり活用していくことが重要だという、それを外向けにきちんと発信していくことの重要性について御指摘をいただいていまして、それらも踏まえて、文科省としても、IAEA総会などの機会を捉えて発信をしてきたということであります。
今日、宇根崎先生にもこの後講演をいただく予定ですので、京都大学の取組を広く知っていただくとともに、今後の活用に向けて前向きな取組として発信できるとよいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
【出町主査】 よろしいでしょうか。
【黒崎委員】 はい。
【出町主査】 誠にありがとうございます。では、以上ですか。議題1についてはよろしいでしょうか。
では続きまして、議題2の方に移らせていただきたいと思います、議題2は、「JAEA/ISCNにおける今後の取組等について」ということで、井上センター長より御説明お願いいたします。
【井上センター長(ISCN)】 出町主査、ありがとうございます。
それでは、ISCN、JAEAにおける今後の取組等について報告をさせていただきます。次、お願いいたします。
本日はこの5件のトピックスについて報告させていただきます。次、お願いします。
まず、1つ目の人材育成支援、技術開発のロードマップについて、でございます。
ロードマップそのものにつきましては、以前も御紹介しておりますので、この中における来年度、2025年度の計画、予定について御紹介いたします。次、お願いします。
令和7年度におきましては、文科省さんからも御紹介がございましたように、昨年度末に整備拡充完了しました、ISCN実習フィールドを活用したトレーニングの開発実施ということで、サイバーセキュリティコースの開発・実施を予定しております。
先ほど高橋委員の方から、サイバーセキュリティについて言及いただきましたけれども、どちらかというと我々がやるサイバーセキュリティというものは、IAEAの文脈ではコンピュータセキュリティのカテゴリーになるかと思います。核物質防護システム、核セキュリティシステムというものが機微なデータを扱いますので、インターネットへの接続をしていないクローズドのネットワークで構成されます。そういったところにアタック、攻撃を受けない、あるいはいろいろなデタランスを受けないようにするためにはどうしたらよいか、というようなところを実践的に行うというコースを予定しております。
それから、海外の機関との連携強化ということでは、IAEAの協働センターであること、それから核セキュリティ支援センターネットワーク、それからIAEAのミッションへの専門家派遣を通じて、今後、来年度も積極的に協力をしてまいります。
また、IAEAのリーゼ・マイトナープログラムの実施にも協力する予定でございます。
それから2026年度になりますが、マリー・キュリー奨学生スクールの日本招致に向けて働きかけを行ってまいります。
ASEANにつきましては、ASEANエネルギー協力行動計画(APAEC)というものがございまして、これのフェーズ2が来年で完了するということで、それ以降の協力について協議をしているところでございます。
関係省庁との意見交換、情報交換は積極的に行ってまいります。
それから、トレーニングツールの整備としましては、実習フィールドのPP設備についてのビデオ教材の開発に着手をいたします。。
それから、VRシステム、核セキュリティ機器の経年劣化にも計画的に対応していきたいと存じます。
大学における核不拡散・核セキュリティ教育強化、人材育成の機運の醸成及び支援活動という観点で、INSENの年次大会の来年度ホスト開催を予定しております。その時期につきましては、7月よりも遅くなるということが2日前に連絡がございまして、日程調整を行うところです。
それから、INSEN有識者を招いたシンポジウムの開催、
原子力コンソーシアム(ANEC)を通じた国内向けの核セキュリティ教育教材の提供といったことを予定しております。次、お願いいたします。
技術開発のロードマップでございますが、ここの2025のところでございます。次、お願いいたします。
基本的には、現状の取組を継続し、一部成果の取りまとめに入ってまいります。
核鑑識の技術開発につきましては、プルトニウム核鑑識のラボ設備の整備を行ってまいります。
それから、アメリカのDOEと、Puの核鑑識についての共同研究の着手開始に向けて協議をしてまいります。
こういった技術開発成果、それからPuの核鑑識を含みます今後の方向性は、IAEA技術会合で報告・レビューをしてまいります。
アクティブ中性子非破壊測定技術開発につきましては、各々これまでの成果の取りまとめを開始します。
それから、一部実証、開発成果の取りまとめを予定しております。
広域につきましては、新たなネットワーク技術を用いた遠隔試験内容を拡大して継続実施します。。
魅力度評価研究、これにつきましては、先ほど出町主査の方から言及がございましたが、サボタージュの評価手法の開発を行っておりまして、これと当初との統合、それから評価手法の応用の検討をしてまいります。
IAEAなどに対して、評価手法のアウトリーチの方法を検討してまいります。次、お願いいたします。
2つ目のトピック、INSENの活動状況についての情報収集の御報告でございます。
INSENにつきましては、以前も御紹介したと思いますので簡単に申し上げますと、IAEA、教育機関と研究機関、その他の関係機関にて構成されるネットワークでございます。
今年の我々の活動としましては、年次会合とワーキンググループ会合の2つに参加をしております。このネットワーク、3つのワーキンググループがございまして、ワーキングループⅠ、Ⅱ、Ⅲとございます。
今年は会合に参加をして活動情報を収集したというのが実績でございます。次、お願いいたします。
1つ目が8月に開催されましたワーキンググループ会合でございます。これは対面でウィーンで開催されまして、約40名が参加をしております。
ISCNとしては、ワーキンググループ1の中のパネルセッションでの発表ということで貢献をしております。
このときですけれども、通常ワーキンググループに分かれての会合ですとか、そういった議論が中心になるのですけれども、今回はINSEN事務局が特定した4つの課題(Topical Area)に関する議論が中心となりました。
INSENの大きな課題はドナー国による拠出金が減少している傾向で、INSENの活動の成果を効果的にアピールしていくことが必要というふうに認識をされています。それの課題に対する4つの議論があったということでございます。
パフォーマンス評価ですとか、教育、共同研究、コミュニケーション戦略といったものが取り上げられたという報告を受けております。次、お願いいたします。
毎年行われております年次会合でございますが、これが10月にオンラインで開催をされております。新規加盟組織として、日本を含めまして7機関がありました。約70名がオンラインで参加をしております。
会合の内容としましては、核セキュリティ教育のカリキュラム開発・ジェンダー平等の推進、各ワーキンググループの活動報告など。それから、IAEAによる核セキュリティや知識管理に関する情報提供がございました。
ISCNとしましては、1日目にジェンダーバランスに係るパネルにパネリストとして参加をしております。
2日目にISCNの新規メンバーとして活動を紹介するというプレゼンを行っております。
あとINSENのワーキンググループⅠにおける活動報告、それからINSEN主催のICONS 2024サイドイベントの結果報告にもパネル参加をしております。次、お願いいたします。
年次会合、次回来年INSENのアニュアルミーティングを日本でISCNがホストして開催する方向であるということをアナウンスされました。現在7月という予定でしたけれども、IAEA側の事情で9月から11月の間で日程調整したいという連絡が2日前に来ております。
次の年次会合に向けて、どういった課題、どういったトピックを取り上げるかという議論がございまして、参加者の関心の高いトピックとしましては、ここに書いてありますような割と最近の核セキュリティの脅威、新しい脅威ですとか、SMR、新しい原子炉、原子力に対する核セキュリティの確保に向けたような話がございます。人材育成ももちろんでございますし、核セキュリティ文化の良好事例の共有といったニーズもありました。
それから、実施方法の提案ですけれども、パネルディスカッションをやるとか、学生によるポスター発表、ハイレベルな専門家の招待。それからWINS、世界核セキュリティ協会ですけれども、こういったところを呼ぶ。それから、OECD/NEAのジェンダー・バランスタスクグループというものがございまして、そこを招聘する。核セキュリティ教材に関するコンテスト、賞の創設をしてはどうかと。あとは施設見学。こういった意見が出ておりまして、こういったものをベースに来年度のアニュアルミーティングのプログラムを、まずIAEAと我々で検討をしてまいるという方向でございます。次、お願いいたします。
今後のINSENとの協力との方向性でございますけれども、この連携を活用しまして国内外の大学における核セキュリティ教育をやっていこうというような機運の醸成、それから支援を強化していくということをしていきたいと思っております。
国内でINSENの教材を活用して、原子力コンソーシアム(ANEC)を通じて提供するとか、ということを考えております。
それからISCNの人材育成支援事業の効率化ということで、INSENを使った共同教材のレビューですとか、カリキュラム開発、インストラクター養成でINSENをうまく使っていきたいというふうに考えております。
あとは、ISCNの強みを活かしてINSENにも貢献していくという方向も取り組んでまいります。
今後は何度も出てまいりますが、来年日本で行う年次大会におきましては、1日を日本向けプログラムに割いていただくという計画でございまして、その中で、「ISCN夏の学校」プログラムとの連携を図るようなイベントをやっていきたいと思います。
また、INSENの有識者を招いたシンポジウムの開催を2026年Q1辺りに予定をしたいと思っております。次、お願いいたします。
3つ目のトピックでございます。技術開発成果のエンドユーザーへのアプローチということで、SEECATの展示会に出展をしたという報告でございます。
先ほど、山口副センター長からも補足しましたけれども、今年のSEECATテロ対策特殊装備展は10月9日から11日東京ビッグサイトで行われておりました。
我々ISCNとしては、21年より継続して出展しておりまして、今回4回目の出展となりました。
我々の方で出展しましたのは、ハイブリッド型ガンマ線検出器の試作品と核セキュリティ用無人パトロール装置を展示しまして、3日間で155名の方にブースに来訪いただきました。
それから、核セキュリティ技術開発成果を警備・防衛、治安・危機管理等関係者に説明しておりまして、RNテロ危機対応、製品の試作、成果の展開といったことで意見交換を行っております。
次のポツは、例年に比べドローン、無人航空機関連の出展が多かったこと。それから、RNテロ対策に関連する放射線検出器、除染装置、核シェルターといったといったものの出展がありまして、情報収集をしております。
この次ですけれども、今回初ですが、SEECATの国際版になります、Intersec2025、年明けドバイで開催されますが、こちらの方にも出展を予定しております。
こちらはJAEAの中のISCNの事業をレビューする会議体がございまして、そちらの委員の先生から御提案をいただきまして、それに基づいてこの出展を決めたという経緯がございます。
140か国を超えるところから警備・防衛、治安・危機管理等の関係者が来られるということですので、そういった方々に向けた展示、アウトリーチを行いたいと存じます。次、お願いいたします。
4つ目のトピックスでございます。次、お願いいたします。
前回、ここの委員の先生方から私どものトレーニングへの参加者、どういった参加者がいるのかという御質問をいただきましたので、少し詳細に分析した結果を共有させていただきます。
まず発足以来、昨年度までで一度締めて分析をしておりますが、240コース、6000名を超える参加があったと。
真ん中の円グラフにございますように、海外からが60%、日本人が40%という割合になります。この60%はアジアを主とするわけですが、40%に当たる日本人については、多くが国内向けの核物質防護のコースへの参加者になります。
向かって左側のグラフでございますが、参加者の70%が核セキュリティのコースへの参加者であったということ。約20%が保障措置系のコースへの参加者でございます。
2年ぐらい前は、核セキュリティのコースの参加者が60%でございましたので、核セキュリティコースへの参加者が増加している傾向があるということが言えます。
向かって右の円グラフになります。技術的なトレーニングコースと座学で構成するセミナー系のコースの参加者の割合でいくと、技術的なコースが約60%で、座学で重要性認識をしていただくコースが40%程度になります、ということで、技術的なトレーニングというところがJAEA/ISCNの強みでございまして、こちらへの参加が6割を占めていて、強みを活かせているのではないかというふうに考えております。次、お願いいたします。
その参加者の地域分布でございます。4割が日本人、残りの60%のうちの4割がアジアでございまして、残りの20%が御覧いただきますように中東、欧州、その他、というふうなところからの参加がございます。次、お願いいたします。
これはトレーニングコース種別ごとの開催数と参加者の変化を年ごとのグラフにしております。棒グラフの方が参加者数を表しておりまして、開催数を折れ線グラフで示しております。
2020年、2022年に回数がぐっと落ち込んでおりますのは、トレーニングコース数、参加者数が落ち込んでおりますが、これはコロナのためでございまして、オンラインで開催をしたものがございます。
それからに2023年には、開催数、参加者数ともに、コロナ前よりもほぼ同水準まで回復をしてきたということが見ていただけるかと思います。次、お願いいたします。
トレーニングの実施形態と参加者数の関連を円グラフで示しております。我々のトレーニングは、ISCNが主催をするもの、それからIAEAのトレーニングをホスト開催するもの、またほかの組織と共催をするものというものがございます。
ISCNが主催するものの中でも、円グラフの上から時計回りに見てまいりますと、海外向け、いわゆるマルチで行うものが11%、2国間で行うものが30%、それから国内向けに行っているものが35%、保障措置ですけれども、IAEAの査察官向けに行っているものが3%弱でございます。それから、IAEAのトレーニングをホストするというものが12%、ほかの組織との共催が10%弱という分布になっております。大体80%がISCNが主催して行っているものということになります。次、お願いいたします。
最後の5つ目のトピックスでございます。次、お願いいたします。
国内学会との連携ということでございます。ISCNの成果の最大化、それから民間や大学等の交流・連携等を目的といたしまして、国内学会との連携というものは重要だというふうに認識をしておりまして、特にこれまで原子力学会の核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会、それから日本核物質管理学会というところとは密接に連携をしております。
最近の成果としましては、今年9月5日に核不拡散等連絡会とINMMJ共催で核セキュリティウェビナーを開催しております。原子力委員会とISCNは協力という位置づけでございまして、ロシアのウクライナ侵攻に関わる核不拡散や核セキュリティをめぐる国際動向、またこの戦争による影響について現状をレビューし、武力紛争時に原子力発電所の安全確保、保護に係る取組について議論を深めることができました。ISCNよりは政策研究の成果を紹介しております。
また、核不拡散等連絡会では、今年9月の東北大学で開催されました原子力学会2024秋の大会におきまして、学生連絡会と合同で、「将来世代のための原子力の平和利用の3Sに関する討議」というものを開催して、学生さんとともに保障措置、核セキュリティを含む3Sの重要性、それからそのシナジーについて議論を深めております。次、お願いいたします。
これが先ほど核セキュリティウェビナーでISCNから紹介をしました政策的研究を1枚にまとめたものでございます。
「ロシアのウクライナ侵攻に起因した核不拡散・核セキュリティ上の課題と対応策の検討」という政策研究を実施しておりまして、その概要を御紹介したものでございます。詳細は割愛させていただきます。次、お願いいたします。
今年の新しい取組でございまして、放射化学討論会への参加をしました。この目的としましては、化学関係の学会等に積極的に私どもは出て行っていなかったことはございますけれども、核不拡散・核セキュリティ・核軍縮、こういった分野にも放射化学の適用分野があるのですよ、ということを宣伝することを目的としておりました。
また放射化学との観点では重要な一つの出口になり得るということと同時にISCNの活動を紹介しております。
こういった分野の、ISCNだけでなくて、この分野の認知度を向上させる、それから人材確保につなげる。また共同研究の相手先として裾野を広げていくということを目指しました。口頭発表3件、ポスター2件を、口頭発表はシリーズで発表しまして、放射化学に類します、核鑑識、CTBTを中心に紹介してまいりました。
成果としましては、現状認知度は低いのですけれども、関心がある方々は一定程度いらっしゃるということが確認できましたので、アプローチ次第で我々の分野に引き込めるというか、裾野を広げられる可能性は十分にあるという手応えを感じております。
まずは大学の先生方にISCNの事業内容を説明しまして、施設見学等を開催して、学生さんとの意見交換に結びつけられれば、というふうに考えております。
また、学会の場でいただいた主な意見を下に書いておりますけれども、核鑑識につきましても、これだけで一つのセッションができるのではないかという意見ですとか、一方、認知度が低いのは我々のISCNの宣伝が足りないという御指摘もいただいております。
CTBTの方につきましても、放射性のキセノンが日常的に観測されていることをこれまで知らなかったので興味深いというような御意見をいただいております。次、お願いいたします。
核物質管理学会でございますけども、これは先生方よく御存知とは思いますけれども、国際的な核物質管理に関する専門家の集まりでございまして、1977年に初の核物質管理学会は米国本部でございますが、その本部から見たときには初の国際支部として創立されておりまして、現在でも支部としては世界最大の会員数を誇ってございます。
ISCNの関係者からは人的な貢献を行っておりまして、私は現在会長を務めておりまして、あとは理事、それ各種委員会メンバーもISCN、それからJAEAから出ております。
今年11月27日28日、東大の山上会館で年次大会が開催されまして、直井原子力委員から講演をいただいたほか、セッションにおきまして発表を行っております。
ISCNから10件の発表を行っております。ポスター1件(夏期実習)というものがございますが、ISCNの夏期実習に参加された学生さんの成果をそのまま学会発表していただくという活動につなげることができまして、大変幸いなことに、この学生さんが最優秀発表賞をいただくことができました。大変本人にとってはモチベーションが上がることになったかと思います。
また、その他、今年は口頭発表の優秀論文賞2件、最優秀論文賞1件、それから功労賞、全てISCNが受賞をさせていただくということになりましたし、若手の学生ポスターセッション、最優秀発表賞は今年の夏期実習生さんが受賞されましたほか、昨年度、ほかの学生さんも1人優秀発表賞を受賞されるなど、核鑑識、アクティブ中性子、それから人材育成の分野での受賞をいただいたということを申し添えておきたいと思います。次、お願いします。
次に、来週開催いたします国際フォーラムの御案内をさせていただければと思います。
毎年行っているものですが、今年度は大学における核不拡散・核セキュリティ・核軍縮の人材育成支援の強化に向けて、というサブタイトルを設けまして、大学と研究機関との連携、それから国内とアジア地域、国際的な連携について、必要な取組ですとか、将来像といったものを描き出すということを目的としております。
2025、来年以降のマイルストーンイベントというものも計画をしておりまして、こういった一連の機会を通じて、国内における核不拡散・核セキュリティ・核軍縮教育の機運を盛り上げるための狼煙を上げるといった位置づけとしております。
来週の12月10日午後13時半~17時半、対面とオンラインのハイブリッドでございまして、対面につきましては東京のイイノカンファレンスセンターで開催いたします。
原子力分野、RI利用分野、それから今回RIセキュリティの教育ということも視野に入れておりますので、RI利用分野、それから大学関係者、学生さんといったところを対象に、対面50名、オンライン150名を予定して、計200名を目指しております。日英の同時通訳をつけます。今年もISCN夏の学校の代表学生によるパネル参加を予定しております。次、お願いいたします。
プログラムでございますが、第Ⅰ部、第Ⅱ部構成、第Ⅰ部は基調講演等でございまして、IAEAの核セキュリティ部の教育訓練開発ユニット長のMarinaさんから講演をしてもらいます。
また、もう一つ基調講演Ⅱとしまして、ANECの担当してくださっております、北大の小崎先生から、ANECの御紹介と、また教育のあり方ということを御講演いただきます。
私の方から基調講演としまして、事業報告を簡単にさせていただいた後に、パネル討論に入りまして、パネル討論では、ここの委員でございます井上委員にモデレーターを務めていただきまして、パネリストとしてはASEANのエネルギーセンターのアソシエイト・シニアリサーチャーのRullyさん、それから欧州の原子力教育ネットワークENENのエグゼクティブディレクターのGabrielさん、それから、東海大学の堺教授、夏の学校の学生代表としまして、明治大学の落合さん、それから、ISCNからは能力室の野呂室長がパネリストとして登壇する予定でございます。次、お願いいたします。
以上でございます。
【出町主査】 井上センター長殿、誠にありがとうございます。ただいまの御説明に対しまして、委員の皆様から御質問、御意見等がございましたら、挙手ボタンでお願いいたします。小澤委員殿、お願いいたします。
【小澤委員】 ありがとうございます。小澤でございます。
来週の国際フォーラム、良いプログラムで大変楽しみだなと思っております。
質問といいますか、コメントといいますか、11頁目ですけれども、参加者の関心の高いトピックと書いてあるところに、SMRとボヤッと書かれていて、今新聞とかでSMRという言葉がたくさん出てくると思うのですけど、核セキュリティの分野でいうと、例えば、普通に30万kW級の軽水炉だと大型とあまり変わらないし、高速炉だと、炉型の問題であって、大きい小さいの問題ではないです、というメリハリですかね。
ほかには、高温ガス炉だと、違うプレーヤーが入ってくるとか、括弧の中に書いてある浮体型を含むというのは、多分移動が問題になるかなと思ったり、いろいろな懸念といいますか、脅威の種類があると思うので、その辺が明らかになると、今後もここは気をつけた方がいいと、ここは従来の延長でもあまり変わらないみたいな、そんなメリハリがつくのではないかなというふうに思いました。コメントというか、感想みたいな話になりますけれども、以上です。
【出町主査】 ありがとうございます。
今のはコメントですね。特にSMRについては、関心の高いところだと思いますので、次回の年次会合が楽しみでございます。ありがとうございます。
順番でいくと、多分上田委員が次に挙げられたと思うのですけど、いかがでしょう。
【上田委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
私からは2点を申し上げたいと思っております。
まず、次回INSEN年次会合をISCN様ホストで日本に誘致いただきまして、敬意を示したいと思います。
実施方法の提案の中に、学生によるポスター発表が含まれていますが、多くの学生や若手の方に関与いただくことに大変賛成いたします。
また、核セキュリティの現場を受け持つ、産業界関係者も巻き込んだ内容にしていただければと思っております。
開催時期につきましては、これから調整ということでしたが、開催地についても、これからも調整ということなのでしょうか。
2点目ですが、原産協会も協賛しております、危機管理産業展の特別併催企画展のテロ対策特殊装備展SEECATに初めて参加しました。ISCN様のブースも訪問いたしましたが、多くの警備・防衛、治安・危機管理関係者が集まる中で、核セキュリティに係る技術開発成果を御説明いただきまして、核セキュリティ、ひいては原子力利用の理解向上に資するものと思います。引き続き、このような活動には期待いたしますので、よろしくお願いいたします。
【出町主査】 ありがとうございます。
今1つ目の方は御質問だったと思うのですけども、井上センター長殿、この開催場所は決まっているのでしょうか。
【井上センター長(ISCN)】 ありがとうございます。
7月開催のときは茨城地区を考えておりました。会場の確保ができるかどうかにもよるのですが、ISCNの実習フィールドの見学を予定したいと思っておりますので、まずは茨城地区を第1選択肢というふうに考えております。
【出町主査】 なるほど。
ISCNさんの中か、もしくは例えば量研機構さん、あの辺とかのあたりということですかね。
【井上センター長(ISCN)】 年次大会は100人以上、100人を予定してくれというふうに事務局から言われておりまして、そうしますとちょっとISCN、しかもブレークアウトセッションができるようにしてくれということですので、そうしますと、ちょっと私どもの施設では難しいかなと思っておりまして、ホテルの会場ですとか、そういった外部の会場を中心に考えたいと思っております。
【出町主査】 分かりました。ありがとうございます。
御質問については今の1点、2つ目はコメントだと思います。誠にありがとうございました。
引き続きまして、布目委員からも手が挙がっていらっしゃいますのでお願いいたします。
【布目委員】 布目でございます。井上さん、御説明ありがとうございました。
INSENとの活動は非常に良い活動だと思っておりまして、日本からはISCNさん以外にも、東大と東京科学大が委員になっていると理解しておりますが、国内としての3組織の連携を具体的に何かされているようなことがあるのであれば、連携という形で、このINSENに参加していくということも重要なことではないかと思いますので、その辺を教えていただければと思います。
学会活動も非常に重要で、連携というふうにおっしゃっていましたけれども、原子力学会の年会大会などで、核セキュリティ関連について、最近少し御発表などが少ないなと、学会の年会などに出席していて思うのですが、その辺は学際的なアウトプットに関して、今後どのように力を入れていかれるおつもりなのか、他の学会にも出ていかれるということなので、その辺の具体的な、先が見えるようであれば教えていただければと思います。以上でございます。
【出町主査】 ありがとうございます。
なかなか難しい御質問だと思うのですけど、センター長、いかがでしょうか。
【井上センター長(ISCN)】 ありがとうございます。
まず、INSENのアニュアルミーティングでの東大さんと、それから東京科学大さんとの連携ということでございますけれども、これからまた日程調整をしながらプログラムの内容をIAEAと協議していくと。その中で1日、日本向けプログラムのための時間をくださいということは、IAEA側にも了解してもらっておりますので、この1日のプログラムをどうするか、というところでは、東大のPOCである出町先生ですとか、東京科学大のPOCの相楽先生ですとか、先生方にも御相談させていただきたいなというふうに思っております。
それから2点目、学会に対するアウトプットでございますけれども、従来2つの学会を中心にアウトプットしてきたところでございまして、今年は新たに放射化学会に出ていったと。どんどんやりたいところではございますが、やはりリソースの関係もありますので、ただそうは言っても、今まで化学系にあまりアプローチをしていなかったというところがあったので、今年は放射化学会に出ていったという背景がございます。
では、これからどんどん広げるかというと、そこはリソースと効率化、効果的か、というところ、効率的なところを見ながら最適なところをやっていきたいなとは思っております。
【出町主査】 ありがとうございます。
私からもINSENの方は、東大と東京科学大とJAEAさんと三者がメンバーですけども、次回御相談させていただいて、ぜひ役割分担的なところを事前に御相談できればと思います。よろしくお願いいたします。布目委員、よろしいでしょうか。
【布目委員】 ありがとうございます。
ぜひ学会の方へのアウトプットも力強くお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【出町主査】 ありがとうございます。
では順番に、次は文科省の河原企画官、どうぞお願いいたします。
【河原企画官】 すみません、お時間いただきまして。
先ほど井上委員の方から御質問のありました件について、簡単に調べましたので御報告だけさせていただければと思います。
先ほどご指摘いただいたのが、IAEA総会の際に、他国からどういったステートメントなどが述べられていたかということでありまして、IAEA総会、まず全体を通して、原子力安全、核セキュリティの状況に関しての決議をIAEAとして取りまとめているというものがございます。
そのほか、グロッシー事務局長からも演説をされておりまして、ウクライナ情勢などを踏まえて、核セキュリティについては、加盟国にとって依然として最優先事項であるということ。
それから、IAEAとしても、核セキュリティ訓練・実証センターを通じて貢献していきたいというようなことが述べられておりました。
また、各国の政府代表演説におきましても、ほとんどの国が核不拡散や原子力平和利用に関するIAEAの役割に言及をしておりまして、特に欧米諸国の多くは、イランの核問題ですとか、北朝鮮の核兵器開発、それからウクライナに関する原子力安全、核セキュリティの確保の重要性に言及をしていたという状況であります。
私も会場におりましたけれども、他国と比して、日本の先ほど御紹介したような高濃縮ウランの返還ですとか、ISCNの取組などを通じた、核不拡散・核セキュリティ分野の取組については、かなり積極的に貢献しているというような印象を持っております。すみません、お時間いただきました。
【出町主査】 補足説明いただきまして、誠にありがとうございます。
IAEAからの会場の状況からは日本の取組というものが高い評価をいただいているという印象ですかね。誠にありがとうございます。
もう一方いらっしゃった気がするのですが。高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。
またサイバーの話で恐縮ですけども、最初の御説明の方でJAEAさんの取組は、主にITサービスセキュリティでも情報セキュリティに係るITの部分にやはり注力されているというお話がありました。最初のスタートポイントとしては、そこがもちろん核的な情報を守るという意味で重要だと思うのですけども、やはりサイバーセキュリティといったとき、やはりITだけでは完全に片手落ちで、そことやはりOT、いわゆる制御システムセキュリティと呼ばれる実際のサイバーアタック、本当の物理的な攻撃がOTにされるという状況をどう防ぐかという点が極めて重要です。ITは分かっていても、それがOTになかなか応用できないという場合もありますので、ぜひ今後、研修なり、そういった中で、そういったITからOTへの発展というところを御検討いただければと思います。以上です。
【出町主査】 ありがとうございます。センター長、一応いかがでしょう。今後の検討に加えていただくことは可能ですか。
【井上センター長(ISCN)】 どちらかというと、我々がやろうとしているものはOT寄りではないかなと思ったのですけれども、すみません、ITとOTの区別を私がちゃんと理解をしていない可能性はございますけれども、具体的には我々は模擬CAS、模擬の警報監視ステーションというものを持っていまして、そこを使ってクローズドの核物質防護システム、監視システムというものがあると。
そこに対して、例えばサーバールームですけれども、基本例えばUSBのポートなのかは完全にロックしておかなくてはいけないわけですが、そういったもののロックがちゃんとされているか、というところを確認する必要があるというようなところですとか、ブロック図にないような機械が、ボックスなどがそこに置かれていないかですとか、そういうところをチェックするというような実習を中心にしたメニューを今考えております。
多分インターネットを通じたサイバーアタックというものは、結構IT関係で、そういったトレーニングは非常に多くあるようですので、またISCNとしてはその辺の知見はあまりございませんので、そこはITの専門の方におまかせというか、ITの方でカバーをしていただいて、我々は現場の核セキュリティのシステムをどう守るか、というところが強みだと思いますので、そこにまずは特化していきたいと思っております。
【出町主査】 ありがとうございます。
すみません、私のOTの理解が間違っていたら申し訳ございません。
OTは、サイバーが突破してきたあとの機器の不具合とかを見て、異常を検知するとか、そういう対策をするというものでよろしかったですか、高橋先生。
【高橋委員】 いわゆる制御系ですね。
一番分かりやすいものは、例えば今USBの内部脅威者によるアタックの話があったかと思うのですけども、そういったものを基本的に排除していくというところが、まず最初は大事だと思います。
ただ実際にそのアタックに関してはこれあまり詳しく核セキュリティの話は言えない部分もあるのですが、例えばカメラサーバーへの攻撃ですね。実際に今、カメラは全てITでつながっているので、そういうサーバーにアタックが起こって、実際の監視ができなくなる。そうなったときには、外部からの物理的な侵入に繋がる脅威ということを当然考えなくてはいけない。そういったところまで連携して、やはり考えていく必要があるのかなというのが私の認識です。
【出町主査】 なかなか難しいですね。
井上センター長、コメントをいただいたので、一応すぐできるとは私はなかなか発足は難しいと思うのですけども、どこかに検討として、テーマとしてどこかに入れておくということで、テーマというのはおかしいですね。検討事項として入れていくということは可能でしょうか。
【井上センター長(ISCN)】 我々はまだサイバー、コンピュータセキュリティのトレーニングをこれからやっていこうというところですので、その中で、要はアタックの後のこと、というところまでまだ行っておりませんので、その先には考えてみたいと思います。ありがとうございます。
【出町主査】 高橋先生、よろしいでしょうか。
【高橋委員】 はい、よろしくお願いいたします。
【出町主査】 そしてあとは井上先生、失礼いたしました。お願いいたします。
【井上委員】 私の名前が呼ばれましたでしょうか。
【出町主査】 はい、そうです。
【井上委員】 ありがとうございます。
井上センター長、大変御丁寧な御説明ありがとうございました。
私の方は技術的なところではなくて、3頁の人材育成支援事業ロードマップのところですけれども、大学における教育支援ということが書いてありまして、もちろんこの領域というものは非常に専門性が高いので、まず基本的には大学からいろいろなことを教育していくということになると思いますけれども、ISCNさんのリソース問題とか、これは本当に誰がやるべきか、という問題もありながら、そういった分野にすごく興味を持ってくださる高校生とか、そういった方に対してのアウトリーチみたいなものというのは何か考えておられるのでしょうか。大学がやればいいとか、国がやっていただくのがいいのではないかとか、いろいろあると思うのですけれども、その辺りのことを。
【井上センター長(ISCN)】 井上先生、ありがとうございます。
まずは大学からかなと思っておりまして、確かにリソースの問題もありますし、ただ大学ですとANECですとか、そういったネットワークを使って効果的に効率的にできるのではないかというところもありまして、またINSENも大学がメインでございますので、そこからまずやってみたいなというふうに思っております。
高校、それ以下につきましては、どのようにやっていくのかというルートをまだ見つけられておらず、将来的なこれからの検討課題かなというふうには思っております。
おそらく大学をやっていくと、大学生たちはこういう話は高校中学のうちに聞きたかったという声があるというのは過去の学生セッションでもありましたので、まず大学からアプローチをしてみたいと思います。ありがとうございます。
【井上委員】 プライオリティとしては私もそうなのかなと思います。
【井上センター長(ISCN)】 ありがとうございます。
【井上委員】 ありがとうございます。
【出町主査】 井上先生、誠にありがとうございます。
今のものに関連して、東大の方では毎年1回か2回高校生のためのオープンキャンパスというものをやっております。もしかしたら、そちらを御活用いただけるかもしれないなと。これもなかなかハードルが高いかもしれませんけど、よろしくお願いいたします。
そのほか御質問はいかがでしょうか。井上先生はよろしかったでしょうか。
【井上委員】 はい、大丈夫です。
ちょっと無理なお願いといいますか、ちょっと無理な質問だったので、大変恐縮しております。ありがとうございました。
【出町主査】 ありがとうございます。
では、ただいまの資料2に関する御説明と御質問、コメントは以上とさせていただきます。誠にありがとうございます。
3つ目の議題に進ませていただきます。次の議題は、有識者ヒアリング、研究用原子炉における核不拡散/核セキュリティ関連の動向と実例ということで、京都大学の宇根崎先生からの御説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【宇根崎教授(京大)】 出町先生、ありがとうございます。声は聞こえておりますでしょうか。
【出町主査】 よく聞こえております。
【宇根崎教授(京大)】 ありがとうございます。
それでは、本日はお招きいただきましてありがとうございます。京都大学宇根崎でございます。「研究用原子炉における核不拡散/核セキュリティ関連の動向と実例」と題して、具体的には試験研究炉の燃料の低濃縮化というところを中心にお話をさせていただきます。
本公演内容ですけども、実は2023年、昨年の3月にあった日本原子力学会の2023年の春の年会において、先ほどからも名前が出てきておりますが、核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会セッション、企画セッションにおいて私が概要をお話させていただいた内容です。
そしてさらに、それを受けて、日本原子力学会誌の学会誌ATOMOΣの方に解説記事で5頁ほどでまとめさせていただいたものであって、そのあとも核物質管理学会であったり、東京大学の講義の中でもお話させていただいたことがありますので、本日御出席の委員の皆さんは何回も聞いたことあるよ、とおっしゃる方がおられるかもしれませんが、さりとて、もちろん最近のアップデート、先ほど黒崎所長からもありましたし、それから河原さんからもありましたように、近年のKUCAの低濃縮化の進捗状況とか、それを踏まえた今後の展開というところを含めてお話をさせていただこうと思います。このような内容になっております。
結論としては、試験研究炉の低濃縮化というものは、核不拡散とか、核セキュリティ関連の具体的なアクション・成果として認識できるものだよ、ということを大きなメッセージとしてお伝えさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。では、次のスライドをお願いいたします。
そもそも高濃縮ウランというものが、核不拡散・核セキュリティ上やばいものが、なぜ試験研究炉に使われているのかというところについて少し御説明差し上げたいと思います。
試験研究炉というものは小型の炉心で、できる限り出力密度を上げる。そのことによって、高中性子束を実現するという、そういうデバイスでありまして、実は発電用原子炉とは全く正反対と言ってもいいぐらいの炉心設計のコンセプトです。
いわゆる中性子経済という概念から言うと最悪の状況を作り出して、そして核分裂の連鎖反応に寄与し得る中性子をなるべく無駄に作って、その無駄な中性子で実験をするという、そういうコンセプトなわけですね。
これを実現するためには小型炉心で高出力密度を出力するために高濃縮ウランを使うのが一番手っ取り早いということで、大多数は濃縮度93%前後ですけども、1960年代から米国、ソ連が各国に供給しております。
特に米国は、アイゼンハワー大統領のAtoms for Peaceの宣言を受けて、世界各国の原子力平和利用を推進するための試験研究炉の建設のためにこれを供給していました。
この高濃縮ウラン、93%、濃縮度90%を考えますと、これは原子炉の中で、試験研究炉の中で燃焼して使った後も、実はU-235の相対的な濃縮度が軽く20%、国際基準で言う高濃縮ウランの20%を軽く超えたような状態になっていますので、実は使用済燃料も高濃縮ウランのままという状況になります。次のスライドをお願いします。
そのために、高濃縮ウランを使った試験研究炉の継続した運転のためには、当然、高濃縮ウラン燃料そのものを供給し続ける必要がある。なので、燃料製造工程を含む燃料チェーン全体ですね、試験研究炉の低濃縮化とか、高濃縮ウランの撤去というものは、試験研究炉だけにとどまらず、製造、貯蔵、輸送、使用、使用済燃料処理で、全てのサプライチェーンの中で高濃縮ウランが存在するというものがあります。
それと右のグラフ、これは少し古いデータです。2016年頃のデータと思いますが、軍事部門、それからMilitary、Naval、Excess、Civilian、Disposed ofというふうに書いてありますが、当然軍事部門における在庫量、軍事目的ですけれども、これに比べると少ないものの、Civilianというところ、ここは試験研究炉向けの燃料がほとんどでありますが、世界全体で50ないし60と、非常にざっくり言って50t程度の高濃縮ウランが存在して、これは当然でございますが、核不拡散・核セキュリティの面で大きなリスクであるということが国際的な認識であります。次のスライドをお願いします。
この試験研究炉のサプライチェーンに存在する高濃縮ウランがどこに存在しているかという分布図を書いたのがこれで、これはさらに古い資料で2006年程度時点のものでありますが、高濃縮ウランで運転されている2006年の時点では、ロシアに32基、アメリカに8基、フランスに4、中国4、日本4、その他20という数になっています。
日本は、そのうち、当時FCA、YAYOI、KUCA、UTR-KINKIの4基だったのですけども、本日の委員会でも文科省の河原さんの方から御説明がありましたように、FCAとYAYOI、KUCAの高濃縮ウランは全量撤去済みで、現時点、本日時点でHEU利用炉で残っているのは近畿大学の研究炉のみの1基というふうになっています。
さらに、パイグラフの右側の方ですけども、これは年間どの程度高濃縮ウランの供給が必要であるかというところを示したもので、年間大体490kgです。いわゆるSQ、Significant Quantityという、IAEAの保障措置に定義される用語で、1つの核爆発装置の製造の可能性を排除し得ない核物質量が、大体ウラン-235量の25kgなので、ざっくり言うと、およそ20SQ、もちょっとかみ砕いて言うと、20個の核爆発装置が製造し得るだけの物量が年間必要であったと。2006年当時は必要であったということ。これがサプライチェーン上にあると思うのですね。
それから、代表的には7基の試験研究炉で、後ほど申しますが年間の高濃縮ウランで約80%消費しているという、このような状況がありましたし、現在でも続いているというのが現状です。次のスライドをお願いします。
それで、試験研究の低濃縮化というものは2つのステップがあって、当然ですけども、高濃縮ウランを使い続けることをやめるために、低濃縮ウラン燃料、これは濃縮度20%未満です。IAEAの基準で言うと。それを以下にするという転換というものです。
それから、高濃縮ウランを撤去すると。例えば我が国では、米国への撤去をやっています。
米国は海外からのHEUの撤去ですね。米国の立場からすると、高濃縮ウランの回収ですけども、これを核不拡散政策上の最重要課題として、ここにあります、ちょっと長ったらしいあれですけど、"Foreign Research Reactor Spent Nuclear Fuel" (FRR SNF) Acceptance Programとして、条件付きで海外からの高濃縮ウランを実施しておりまして、1996年からの10年間刻みでの回収、それが10年間延長されて、2016年までとなって、日本は例外的措置で引き取り期限を2029年まで延長をしてもらっているということであります。
試験研究炉の運転を継続するためには、低濃縮化して高濃縮ウランの撤去の双方が必要ですし、運転終止の場合は高濃縮ウランの撤去のみということで、残念ながら例えばFCAとかYAYOIの場合はこういうふうな状況になりましたが、ただ世界的に見ると、低濃縮化するための運転ライセンス取得が困難な場合、高濃縮ウランの撤去により運転を休止せざるを得ないケースが実はいくつかあります。国際的にも大きな問題として、全体の政策、高濃縮ウランの回収政策を進めている米国のエネルギー省へ大きな問題提起等をしたという、そういうふうな経緯がございます。次のスライドをお願いいたします。
そして、高濃縮ウランから低濃縮ウランに転換するためには、低濃縮ウランと高濃縮ウランと同等の、いわゆる核特性、例えば臨界性であったり、炉心の安全特性、それから重要なものが中性子束ですね。そういうものが、ほぼコンバーチブルなものがあるのが理想的ですけども必要であって、ただ必要によって炉心設計を一部変更する必要があります。この辺りの詳細は割愛しますが、高濃縮ウランの過去に使われている、現在も使われている高濃縮ウランの大部分はウランアルミニウム合金燃料で、そして、もしも同じ科学系の燃料を使うとするならば、これは簡単な算数ですけども、同じ燃料の中のU-235を同じようにするためには、密度を93%/20%なので、大体5倍にする必要があります。ウランアルミ合金の特性上不可能であるので、別の形態のもの、高密度の燃料、高ウラン密度の燃料を採用する必要があって、現時点では実用化されているものとして、ウランとシリコンの合金化合物で、ウランシリサイドというもの。これは実用上限が4.8gU/ccです。
より高密度燃料が必要な場合は、ウランモリブデン合金ベースの燃料、これを使うということで、この2つを使って、今様々な製造開発がされているのですけども、後者については、まだ高燃焼時の燃料挙動の劣化の解決に向けた最終段階にあって、実は工業的供給の目途は依然として立っていない状況です。
前者のウランシリサイドについては、工業的な供給が、フローが成り立っているというものであります。次のスライドをお願いします。
この辺りも、本当に定性的な話にはなるのですけども、高濃縮ウランの燃料で運転していた燃料を低濃縮化すると、同じウラン量を装荷したとしても、U-235は当然増えるので、U-238が中性子を吸収してしまうので臨界性は劣化します。
なので、この分をコンペンセートするために、U-235をさらに10%から20%追加する必要があります。
そうしますと中性子束は一般的に低下します。特に熱中性子束は低下しますし、それからウランの量が増えるので、中性子スペクトルも変化するので、高濃縮ウランで運転していた試験研究炉を低濃縮燃料に変えると、一般的に中性子の利用特性が変化します。そして、ほとんどの場合は劣化します。
これは高中性子束を叩き出すために特化したような特殊な試験研究炉、後ほど説明しますが、それにとっては致命的な影響で、例えば、炉心設計の変更、出力上昇、実験設備そのものの設計変更が必要となるということで、中々、一筋縄ではいかないという状況です。次のスライドをお願いします。
特に課題となるのがハイパフォーマンス試験研究炉というもので、特にアメリカで5基あります。これは高中性子束や中性子高度利用のためで、その中には例えば材料照射のために特化した試験研究炉が複数あります。
これは実は既存のLEU燃料、先ほど申しましたウランシリサイド燃料では低濃縮化ができない。なぜかというと高中性子束場を形成することができない。存在意義がなくなるというロジックで、今現時点でもウランモリブデンベースの高ウラン密度燃料を用いた高濃縮ウラン燃料を用いた試験研究炉は継続中です。
そして、先ほどお見せしたグラフと同じですけど、アメリカのATR、HFIR、それからMURRですね。この3基で実は世界の年間の高濃縮ウランの研究炉の約半分を占めるという状況であります。
なぜなら顕著な量の燃料供給が要求されるハイパフォーマンス試験研究炉の低濃縮化には、様々な技術開発が必要となってきていますし、それから欧州においても、ドイツのFRM-ⅡとベルギーのBR-2というもの、これについても同様の状況で、世界の年間HEU供給量の15%程度を占めるということで、これが一つの大きな課題になっていて、依然として、これが解決しない限り高濃縮ウランというもののリスクが存在し続けるという状況になっています。次のスライドをお願いします。
これは本当にバッと御覧いただく程度のものですけども、こういうふうにかなりエクストリームな特殊な設計のものが多くて、特性をいかにして担保するか、またこの特殊な形状の燃料をいかにして製造するかということで、長期間かけて国際的な試験研究、燃料開発が進められているという状況です。次のスライドをお願いいたします。
ただ、そのための困難、様々な技術的な困難があるので、低濃縮化達成まで長期間必要という見込みで、さらに出力が非常に高いので、大量の、しかもイノベーティブな低濃縮ウラン燃料、商業的に安定供給できるサプライチェーンの確立も必要ということで、現時点では残念ながら明確なタイムライン、マイルストーンというところは見えていないところです。おそらく2030年の中頃ごろまでかかるのではないかというふうに個人的には感じています。次のスライドをお願いします。
それで話を戻しまして、試験研究炉の低濃縮化について、アメリカ米国の高濃縮ウランの回収の政策、それから低濃縮燃料の研究開発の大きな2つのプロジェクトの概要を説明いたしますが、まず低濃縮化については、RERTRプログラムというものが1978年にDOEに立ち上げられました。かなり昔から立ち上がっています。
これは試験研究炉の低濃縮化に関する技術開発、それから国際協力の推進と、それから特に重要なステークホルダー間の調整で、毎年RERTRインターナショナルミーティングというものを開催して、技術概要報告、それから低濃縮化そのものの報告等々をやっています。
片や、高濃縮ウランを回収するので先ほど申しました、FRR SNF acceptance programというものがあって、これを当初の設定では2009年の時限付で米国が引き取る。これはRERTRを通じて低濃縮化をサポートすることと、高濃縮ウランの回収をアクセプトすることで、低濃縮化に対するインセンティブを高めるという、そういうふうなものでもありました。では次、お願いいたします。
すみません、ちょっと時間が超過しているので、ここからは加速します。
それで日本は、この低濃縮化、それから高濃縮ウランの撤去、低濃縮化に関しては、非常に優等生でありまして、例えば、東京大学や機構さんからもこういうふうに実際に撤去を進んだ。それから、KUCAについても、45キロの高濃縮ウランの撤去が進んだということ。
それから、続きまして近畿大学さんについても、高濃縮ウランの撤去及び低濃縮化の実現を決定するということで、2022年に3つの大きなアナウンスメントがあったということで、国際的にも非常に高い評価を受けております。文科省には非常に多大な調整等々いただきまして感謝いたします。次のスライドをお願いいたします。
ちょっと具体的なところをお話させていただければと思います。京都大学は、KURという5000kWの試験研究炉を持っていたのですけども、これは2006年に高濃縮ウランを用いた運転を終了して、それに先立って、1997年から2007年にかけて複数回の輸送により高濃縮ウランの使用済燃料を全て返送しました。これは第1回の核セキュリティサミットで、日本の成果として発表されております。
2010年に低濃縮ウランを用いた炉心の性能試験に合格して、運転を再開して現在に至っております。次のスライドをお願いいたします。
それで低濃縮燃料を作る際には、燃料の形状を同一とする。そして、例えば炉心の臨界性とか、核特性の変化を最低限とすると。それから実験特性の劣化を最低限にするということで、結果として、ウランシリサイド燃料を使って、3.2gU/ccというものを使うことによって、実は高濃縮の時代と全く遜色のないパフォーマンスをたたき出すことを実現しています。次のスライドをお願いいたします。
続きまして、今まさにオンゴーイングのKUCAの低濃縮化について御説明します。
KUCAというものは、いわゆる臨界集合体装置というもので、原子炉の炉心の核特性そのものを研究するための実験装置、小型の原子炉で、KUCAの場合は非常に面白い構造になっています。
御承知の先生方も多いと思いますが、1つの原子の中で3つの炉心を組む場所ができる。しかも、それが2種類あって、軽水減速反射炉心と、それから、これは漢字が間違っていますが、ソリッドですね。ソリッドモデル、固体はソリッドです。ポリエチレンとか黒鉛を使って原子炉を構成するものがあります。これが2つあります。
これは実は日米間の協議、実は水面下の協議は2005年頃から着手していますので、もう20年ぐらい前から舌歯聞かせています。
RERTRプログラムで低濃縮化できる試験研究炉は、およそ目処がついたので、米国として引き取りプログラムの対象外であった施設や高濃縮ウランを新たなターゲットに加えたいということで、KUCAに目がつけられたと。
ただ、KUCAの運転は継続させる必要があるということで、人材育成、それから基礎研究、それで低濃縮化できないと高濃縮ウランができないということで、水面下で合意して、低濃縮化して実験性能が保たれるのか、それから低濃縮ウランの燃料を使って、安全特性が損なわれないか、高濃縮ウランを既存の輸送容器で運搬できるか、というところの議論をスタートしました。次のスライドをお願いします。
それで、まず研究、R&Dということで、米国のアルゴンヌ国立研究所と炉心核特性評価のフィージビリティスタディを長年やって、低濃縮ウランを装荷したときの炉心の特性を確認して、低濃縮燃料で運転が可能であると判断されました。
それから、これは当たり前のことかもしれないのですけども、実はKUCAは臨界集合体なので、使用済燃料が発生しません。ということは、燃料の払い出しというもの前提とした施設の設計になっていないので、高濃縮ウラン燃料を輸送容器で輸送することができて、しかも物理的なスペースが確保できるかと。本当に当たり前の事を、当たり前と思われるのですが、そういうことから確認をしました。
それで、これができるということで、2016年の第4回核セキュリティサミットの日米声明でこれをアナウンスして、2021年に高濃縮ウラン燃料を用いた運転を終了して、2019年から2022年かけて、複数回の輸送により高濃縮ウラン燃料全量を米国に返送しました。そして、すみません、4点目のポツですが、ちょっとうっかりしてアップデートを忘れていたのですけども、2022年4月に設置許可申請を経て、そして現在は、というところは無視してください。設工認が通って、低濃縮ウランの燃料の製造が進んでおります。失礼いたしました。次のスライドをお願いします。
ここの訂正の部分は後ほど説明します。低濃縮化の燃料の炉心のフィージビリティスタディについては、様々なことをやっているのですね。国際会議ベースでも多数の研究成果を発表することができましたが、燃料板の構造は不変で、低濃縮ウラン密度を調整して、互換性を最大限確保して、なおかつ少し欲張って、低濃縮化することによって、今まで出来なかった実験ですね、具体的に言うと中性子スペクトルの範囲を広げるということまで欲張って設計をいたしました。では、次のスライドをお願いします。
片や固体減速架台向けの低濃縮ウランは、このような大体一辺が5cm程度の小さなもので、これは実は製造メーカー、具体的に言えば、フランスのフラマトム社ですが、ここでも製造した実績がありませんでしたので、まずそれの燃料製造の技術開発を日仏米の共同研究として取り組んで、そしてさらに欲張って、せっかく技術開発を一からするのだったら、今まで誰も使ったことがないウランモリブデン合金分散型燃料を使おうではないかということで、これも数年間にかけて技術開発を行いました。次のスライドをお願いします。
そして、それと同時に高濃縮燃料を2019年から2022年にかけて、高濃縮ウラン燃料全量を米国に返送して、これが2022年8月に正式にアナウンスされたというのが先ほどのとおりでございます。次のスライドをお願いします。
そして、この低濃縮化ですけれども、先ほど申しましたが2000年代の初頭から、高濃縮ウランの低減化、要するに国際的な核不拡散とか核セキュリティ強化のための日米政府間プロジェクトという観点がまず一つあって、それから、学術的には濃縮度20%未満の臨界実験データというものが不足しているということで、炉物理とか核データの観点からの機能アップというところがまず一つあったのですけども、2020年頃から皆さん御承知のようにHALEU、High-assay LEUというものが急に米国が主導して革新炉向け燃料として研究開発が推進されています。
USDOEが2020年に採択したADRPというものの10基中9基がHALEUの使用を想定するということで、実はこの1~2年でKUCA低濃縮化とHALEUというものが合体して、アメリカ、それから我が国とかで認識されるようになって、現時点ではKUCAはHALEUを用いた系統的な炉物実験が可能な世界で唯一の施設として位置付けることができるようになっております。次のスライドをお願いします。
そして、先ほど訂正と申したのですけども、進捗でございますが、2023年8月に低濃縮ウラン燃料を製造して、製造の設工認を承認して、そして燃料製造が開始して、今年に入ってから軽水架台用燃料の製造が完了、10月に輸送受け入れが完了しています。それから同時に10月に固体減速架台用の燃料が完成して、製造工場での事業者検査が行われています。
以降、2025年度、26年度にかけて輸送を開始するということで、おそらく2027年、2028年ぐらいまで続けて追加的な燃料を製造して輸送するということになります。次のスライドをお願いします。
このような見た目です。見た目はアルミのようなものですけども、これは10月23日、約1か月前にこれが無事に届きました。
ウラン濃縮度が19.75%、ウラン密度が4.8gU/㏄のものであります。次のスライドをお願いします。
これを燃料要素の組立点検をして、きっちり部位へと組み立てられるかということで確認して、これがある意味世界初めてのHALEUの燃料を使った臨界集合体向けの燃料集合体であります。次のスライドをお願いします。
そして、同時に固体減速架台用燃料の製造工場での検査が完了して、これは初期装荷の燃料として600枚これが完成して、これを来年の夏頃に輸送するということで計画いたしております。次のスライドをお願いします。
このような形で我々の従業員が行って、現場で確認して検査をやっています。具体的に進んでいるということです。次のスライドをお願いします。
KUCA低濃縮化後の研究開発利用ですけれども、特徴としては先ほど申しましたように、臨界集合体として世界で実は初めて低濃縮化されるものでありますし、それからU7-Mo、ウランモリブデン低濃縮燃料で運転される世界で初めての試験研究用原子炉であって、またHALEUを用いた世界で初の系統的な臨界/未臨界実験ができるということで、今後、基礎研究としては原子炉物理とか原子炉工学も当然ですけれども、HALEUを含む濃縮度5%超ウランにかかる核データのV&Vとか、試験研究炉の低濃縮化ということもありますし、それから、KUCA運転利用特性の拡充による、原子力/放射線利用関連の研究開発ニーズへのさらなる対応とか、人材育成のプラットフォームの展開というものが個人的には期待しております。次のスライドをお願いします。
それで、いろいろ研究開発テーマとして注目すべきトピックスがあって、炉物理的には濃縮度20%の臨界実験データの拡張、ハイパフォーマンス試験研究炉の低濃縮化への貢献、基礎的なデータを提供することによって、それを加速することで世界的な核不拡散・核セキュリティリスクを低減することになる。Pro-Xプロジェクトにも関連ということで、するかもしれませんし、HALEUを利用した革新炉燃料開発。
先ほども少しありましたが、例えばHALEUの輸送とか、保障措置とか、核セキュリティ技術のための開発のための実際の実験プラットフォームとしても活用できるのかと思っていますし、それから、発電炉、例えばSMRとか、事故耐性燃料も含めた革新的な燃料を使った発電炉利用、応用等にもいいと思います。
ただ、こういうターゲットとしても、模擬性というものをいかに評価するか、というところが新たな研究テーマとして加わったというふうに認識しています。次のスライドをお願いします。
以上、まとめでありますが、試験研究炉の燃料供給チェーンでは高濃縮ウランが存在して、民生部門における高濃縮ウランの低減というものは、試験研究炉の低濃縮化というものは非常に大きなものです。
我が国の近年の努力は、近年の日米の核セキュリティ政策上最大の具体的成果があって、そして、海外のハイパフォーマンス研究炉の低濃縮化というものは民生部門における高濃縮ウランのサプライチェーン断ち切るための最後のアクションであって、民生部門における核不拡散・核セキュリティの具体的な成果として、試験研究炉低濃縮化が果たしてきた役割が、我が国の貢献も含めて、大きなものであるというふうに認識している次第であります。
すみません、時間を超過して申し訳ございません。以上で終わります。ありがとうございました。
【出町主査】 宇根崎先生、誠にありがとうございます。詳細な御説明、京都大学における取組について御紹介いただきまして誠にありがとうございます。
ただいまの御紹介に対しまして、委員の皆様から御質問、コメント等がございましたらよろしくお願いいたします。あまり時間がないので、たくさんは聞けないかもしれないのですけども、では、私からちょっと、今のところは挙がっていないかな。
私から一つ。今回は大変な取組で低濃縮化を達成されたわけですけども、この会の観点からして、一つ気になったのが、多大なこういう活動を学生さんとかの教育にどんな形で活かしていくのかな、ということがすごく気になりまして、御教示いただければと思います。
【宇根崎教授(京大)】 ありがとうございます。
実は、高濃縮ウランの返還というものはすごく機微なもので、学生さんが関与することができなかったのですけど、低濃縮化のフィージビリティスタディのところでは、例えば核特性の評価等で学生が中心のテーマになったり、そういうふうになっています。
それから、低濃縮ウランが入ってきているということで、実は試験的に製造した物がいくつか入っていまして、それを使って当方の学生がHALEUの3Sという観点で今現時点は核物質検知を具体的にU%濃縮ウランを使って、高濃縮ウランとの特性を変えていくとか、評価するとかいうことを、実際に低濃縮ウランを、HALEUを使った実験ということを既に始めています。
それから、今後低濃縮ウランが入ってきた暁には、それを使った、例えば輸送容器の臨界性のためのベンチマーク実験をやったりとか、保障措置、例えば、マイクロリアクターなどの場合には、燃料、炉心の原子炉の中にも全部燃料が一体化して開けられない、そんな状態で、例えば保障措置をどうやってするのかという、そういうものを実際に模擬的にシステムを作って実験できるということで、今後HALEUは使えるということを大々的に宣伝して、国内外の学生さんに何か研究テーマを提供できるのではないかというふうに期待しております。だから、これからが本番というふうに考えております。
【出町主査】 分かりました。ありがとうございます。
これは低濃縮化の過程においても、機微情報以外のところは学生さんも参加している部分があるし、さらにこれからそれが加速するということですね。
【宇根崎教授(京大)】 はい、そうでございます。
【出町主査】 ありがとうございます。
小澤委員からも手が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。
【小澤委員】 詳しい説明ありがとうございました。
簡単な質問ですので御容赦いただきたいです。
まず、高濃縮化ウランでなければならない研究ニーズというものは、もうなくなったということでいいのかどうかというものが1つ目。
もしそうであれば、アメリカの返却プログラムというものは、日本から見るとありがたい話ではあろうかと思うのですけど、そういうものは返却の動機の一つになっているのかどうかというものが2つ目です。
【宇根崎教授(京大)】 ありがとうございます。
実は非常に難しいところで、高濃縮ウランでないとできないという、実験とかもあるのですけども、例えば、高濃縮ウランを使った臨界データの取得とか、そこは幸いにして、この高濃縮ウランを返還するという、KUCAの場合ですけれども、決まった時点で系統的にほぼやり尽くしたという感じです。
それで、やはりできなかったことというものが、できなくなるということも若干あるのですけれども、むしろ低濃縮化することによってできることが増えると、そっちがあるのですね。プラスマイナスのところで、メリットがより大きいということで低濃縮化に踏み切ったということであります。
なので、そういう意味で言うと、これは我々としては、ある意味新しい研究ができるようになるというきっかけであることと、それから高濃縮ウランを返還するということは当然ですけども、核不拡散・核セキュリティ措置の観点から非常に大きなものなので、実はセキュリティ面の措置ですね、いわゆるフィジカルプロテクション、核物質防護措置がワンランク下がって、それは我々の施設の管理であるとか、管理面を軽減するし、それから研究者の皆さんが、より気軽に研究所に来ていただいて、簡単に言えば出入り管理が楽になったという、そういう大きな副次的なメリットもあるので、個人的には非常に全体のプラスマイナスとしては、非常にプラスになっているのではないかと考えています。
それから、黒崎先生が冒頭申しましたように、これからこれを使って、国際的な研究協力等もやっていく。それから、引き続き人材育成も継続できるということで、全体的に言うと大きなプラスであるというふうに私は認識しております。
【小澤委員】 ありがとうございます。
そうすると、3頁目に燃料チェーンの中身が書いてあるのですけど、原子炉の中で使用中、あるいは使用済燃料とかキャスクかどこかに入れて封印しているとすれば、封印と査察の受け入れで、外から見た、外国から見た懸念が実態としては低いのではないかなと思うのですけど、その辺はどうですか。きっかけとしては。
【宇根崎教授(京大)】 きっかけとしては、ごめんなさい、高濃縮ウランの?
【小澤委員】 高濃縮ウランの方です。
【宇根崎教授(京大)】 高濃縮ウランの時代の。
【小澤委員】 きつくてしょうがないという話であれば、今の話ではないと思うのですけど、実態として大変だった度合いがどうだったのかな、ということでは。
【宇根崎教授(京大)】 そう、やはり例えば、査察は毎月あるとか、そういうところもあります。
それから、核物質防護も区分1だったので、要はかなりのセキュリティの条件が求められていたという、そこは大きくありますね。
【小澤委員】 なるほど。だいぶ程度が楽になるという意味ですよね。
【宇根崎教授(京大)】 めちゃくちゃ楽になりましたね。
【小澤委員】 ありがとうございました。以上です。
【宇根崎教授(京大)】 ありがとうございます。
【出町主査】 ありがとうございます。そのほかいかがでございましょうか。
宇根崎先生、改めまして誠にありがとうございます。
【宇根崎教授(京大)】 すみません、時間を超過してしまいまして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
【出町主査】 ありがとうございました。
では、以上をもちまして、本日予定していました議題は終了でございますけども、そのほか、全体を通して御連絡とか、御意見とか、連絡事項等はございませんでしょうか。
では最後に、事務局さんにお返しいたしますので、もし連絡事項等がありましたらお願いいたします。
【池尻室長補佐】 最後に事務局から連絡事項等を説明させていただきます。
本日の作業部会の議事録案につきましては、出来次第メールにて確認依頼をさせていただきたいと思っております。確認が終わりましたら、ホームページ上でも公開させていただきます。
次回の作業部会の開催日程や内容については、出町主査とも相談させていただき、別途連絡させていただければと考えております。
御多忙のところ恐れ入りますが、委員の皆様におかれましては、引き続き何卒御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。以上です。
【出町主査】 ありがとうございます。
ちょっと時間が超過して申し訳ございません。以上で第27回の核不拡散・核セキュリティ作業部会を閉会させていただきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。誠にありがとうございました。
【全員】 ありがとうございました。
研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付
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