原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会(第15回) 議事要旨

1.日時

平成30年4月5日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)の今後の取組の方向性
  2. アカデミアの取組(非公開)
  3. 喫緊の課題とりまとめに向けて

4.議事要旨

(上坂主査) それでは、少し早いですけれども、ただいまから第15回核不拡散・核セキュリティ作業部会を開催いたします。
 本日はご多忙にかかわらずご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の議題です。お手元の議事次第に書かれておりますように、1、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)の今後の取り組みの方向性。2、アカデミアの取り組み、3、喫緊の課題のとりまとめに向けてとなっております。
 本日の議題のうち、2のアカデミアの取り組みは、第9回の作業部会で決定しました参考資料3、技術開発俯瞰図の策定に向けた本作業部会の公開のあり方に基づき、議論の過程で核セキュリティ等の観点で機微な情報を含む意見交換を行うため、本議題を非公開とさせていただきますが、よろしいでございましょうか。 それでは、本議題につきましては、一般の方は傍聴できませんので、ご了承お願いします。
 それでは、次に、事務局より本日の出欠と配付資料の確認をお願いいたします。
(春日補佐) それでは、事務局より確認させていただきます。
 まず、今年度より核不拡散科学技術推進室室長補佐に着任いたしました春日でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。 本日は、中島委員がご欠席となりますが、8名の委員にご出席いただいておりますので、本作業部会の定足数である過半数を満たしております。続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元のお配りした資料をご確認いただければと存じます。まず、頭紙に本日の席次表を配付してございます。次に、2枚目になりますけれども、こちらのほうは本日の議事次第となっております。次のページから本日の配付資料になっております。資料の欠落等がございましたら、事務局までお知らせいただくようお願いいたします。議事の途中でもお気づきの点がございましたら、お申しつけくださいますようお願いいたします。
 以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございました。それでは、本日の議題に入ります。まず、第1番目ですけれども、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター技術支援の今後の取り組みの方向性です。それでは、ISCNさんから。
(直井センター長) それでは、ISCNの今後の取り組みの方向性ということで、人材育成の部分と技術開発の部分がございまして、人材育成の方は私の方から、技術開発の方は堀の方からご説明させていただきます。
 まず、下のほうですけれども、核不拡散・核セキュリティ分野の国際貢献の意義と重要性ということで、人材育成、技術開発相互に共通な国際貢献の意義と重要性をまとめてございます。原子力平和利用を支える重要な要素である3Sのうちの2つの要素、それから、原子力先進国である日本。また、核兵器による被爆国ということで、核不拡散・核セキュリティを国際的に指導していく役割を持っていると。また、保障措置ですとか核物質防護体制の整備・実施に豊富な知見を有すると。また、核セキュリティにつきましては、そういったイベントが起きますと国境を超える脅威となるということで、各国の態勢強化だけではなくて国際協力が必須であると。それから、日本の知見を広く世界と共有することで諸外国の核不拡散・核セキュリティ能力強化に貢献できると。そういうことで、各国の態勢の強化ということは、最終的には日本の核不拡散・核セキュリティ強化につながると。
 こういうような背景のもと、2010年の核セキュリティ・サミットにおいてコミットメントがなされたという風なことでございます。
 続きまして、ISCN設立当時からの人材育成支援事業の基本方針ということで、平成22年4月にワシントンの核セキュリティ・サミットでコミットしていただいて、その後、8月から12月にかけて外部の専門家の方に集まっていただいて、外部の先生方にお集まりいただいて、こういうセンターをサミットで作るというようなコミットメントが出たんだけれども、どういうふうに作っていったらいいかというようなことをご議論いただきました。それで、この支援事業の基本方針でございますけれども、まず、ISCN、JAEAによるトレーニングの重要性ということで、その当時、アジアでは自国で原子力発電導入の実績がほとんどないというようなことですとか、日本国内においても核セキュリティに関するトレーニングの機会がない。トレーニングを必要としている人材はアジアに多くいるんだけれども、受け皿が非常に限られているというような状況でございました。
 それで、JAEAは原子力事業者としての保障措置・核物質保護実施の長い経験を有するというようなことと、既存の国際協力の活用ができると。それから、JAEAの実際の施設を使用して実践的なトレーニングが提供できるだろうというようなことが背景にございまして、この報告書の中でまとめていただいた基本的な考え方としまして、核不拡散・核セキュリティの国際的な共通枠組み、及びIAEAのガイドライン等を考慮しつつ、日本が原子力平和利用を進める中で培った経験、地域や各国の特徴を生かした人材育成に取り組む。それから、対象国の管理監督層及びトレーナー育成を目指したトレーニングを実施して、アジア地域での人的ネットワークを構築すると。それから、支援対象国のさまざまなニーズに対して地域に共通する重要項目を優先順位をつけて効率的に実施すると。
 それから、支援対象国としましては、サミットにおけます我が国のナショナルステートメントですとか、我が国の海外原子力事業展開、そういったことを考慮しまして、アジアを中心とした諸国のうちアジア原子力協力フォーラム(FNCA)参加国、アセアン参加国、それから、我が国と原子力協定を締結している、または交渉中の国、特段の理由のある国を支援対象とするというようなことで、支援対象国につきましては毎年度見直しを行って、関係省庁と調整の上決定するというようなことで進めて参りました。
 その次のページは、幾度となくお出ししてる国内外組織の連携体制でございますけれども、国内では、文科省さんから政策ニーズと連携というようなこと等ご助言いただきまして、また、内閣府、外務省、経産省、規制委員会、警察庁、そういったところと連携をしながら、また、海外では、アメリカ、欧州、IAEAと協力をして、最終的なターゲットとしてはアジア諸国――アジアの中でも韓国、中国のようにCenter of Excellenceを持っている国とは、そういったトレーニングを提供するサイドとして協力をしてまいりました。 その次の下のところですけれども、当初、この報告書の中で短期、中期、長期ということで、3つも目標を立てましてやってまいりましたけれども、まず、短期の目標ですけれども、IAEA、米国、EUのカリキュラムを参考にしたトレーニングの国際共同実施ということで、これはもう達成してございます。それから、中期目標として自立したトレーニングの実施、日本の特徴を付加したトレーニングの開発・実施、これも達成してございます。
 それから、長期ですけれども、内外のベスト・プラクティスや最新の技術等を取り入れた日本独自のトレーニングの開発・実施ということで、これにつきましてもおおむね達成をしてございますそれから、本日の資料にも添付されておりますけれども、昨年の6月まとめていただきました中間とりまとめの中におきましても、ISCNについては核不拡散・核セキュリティにおけるこれまでの研究開発や人材育成事業の実績について米国やIAEA等を初めとする国際社会からも高く評価されており、その経験を生かして今後も継続的に人材育成関連の取り組みを展開していくべきであるというような記述をしていただいております。
 その次のページに移っていただきますと、これまで実施して参りました経験を踏まえまして、現状の分析を行っています。まず、核不拡散・核セキュリティの国際的地域課題でございます。核セキュリティについては、アジア諸国、特に核セキュリティに関する国内体制の整備・支援が依然として必要な状況が続いております。国際条約の普遍化の促進ですとか、核物質防護に関する体系的なトレーニングの提供、それから、政策立案者――政府関係者に対する意識の啓発、それから、核セキュリティ文化の醸成、トレーニングセンターそのものの支援をしていくというようなことが必要になっておりますし、国内につきましても、新たな脅威として内部脅威ですとか、放射性物質のセキュリティ、それから、大規模イベントに対する新たな脅威というようなことで、それに対応する人材育成が必要というようなことで、関係政府機関等への支援、それから、核セキュリティ文化の醸成・強化といったところで支援をしていく必要があると。
 それから、核不拡散――保障措置の方ですけれども、こちらの方もアジア諸国は国際条約の批准、例えばアディショナル・プロトコルですとかそういったものがまだ批准されていない国がございますので、そういった批准を支援する。それから、国内体制の整備・支援が依然として必要な状況ということで、保障措置に関する体系的なトレーニングの提供ですとか、政策立案者への意識の啓発といったところも必要になってくると。
 それから、国内におきましては、もうほとんど整備されているんですけれども、次世代の人材育成が必要になってくると。それから、IAEAの支援として再処理施設の査察官のトレーニングなんかも提供していますけれども、こういったIAEAへの活動が拡大していますので、効果的な検認活動のためにもJAEAの施設を使ったIAEAの査察官の能力強化・支援が必要になるだろうというふうに分析をしてございます。
 それで、ターゲット層として核セキュリティの方と、それから、保障措置の方をまとめてございます。そして、これらの分析を踏まえまして今後の方向性というところをその次のページでまとめております。
 まず、核セキュリティの方ですけれども、トレーニング計画、継続的に実施をしていくべきという風に考えているところは、コンスタントなニーズがあって、また、すべての関係者が取得すべき包括的な内容のコースについては、コアコースとしてこれまでどおり毎年開催することとしていきたい。コアコースとしましては、アジア・国内向けの核物質防護の基礎コース――2週間の基礎コースでございます。
 そして、この上記の包括的なコースではカバーし切れないもの、テーマですとか対象者を絞ったより具体的・実践的な選択コースとして新規に開発して、ニーズに応じて年に1から2コースを提供するのがいいのではないかということで、IAEAのコースを活用する、アメリカやEC/JRCが持っているコース、または他国のCOEとの共同開発も視野に入れつつ、ISCN独自のコースとして開発を目指していくと。そして、選択コースのトピックスとしましては、核物質防護システムの評価手法ですとか放射性物質のセキュリティ、それから、核セキュリティ文化ですとか大規模イベント時の核セキュリティ、内部脅威対策、核鑑識、輸送セキュリティ、サイバーセキュリティ、こんなようなコースが挙げられるかと思います。 それから、拡充をすべきというところでは、これまでもやってきているんですけれども、国内外の大学との連携による若手の専門家の育成ということで、大学における核セキュリティ分野のカリキュラムの開発を支援するとか、講師の育成を支援するというようなことをやっていったらいいのではないかというふうに考えてございます。それから、トレーニング計画の保障措置――核不拡散のほうですけれども、こちらもコンスタントなニーズがございまして、また、関係者が習得すべき包括的なコースにつきましてはコアコースとしてこれまでどおり毎年開催するということで、国内計量管理制度コース(SSAC)のコースですとか非破壊分析コース、こういったところはコアコースとして継続すると。それから、IAEAの査察官向けとして、再処理施設での査察官の育成コース、これも継続してやっていくと。それから、新規のコースも核セキュリティのほうと同様、コアコースではカバーし切れないテーマを絞った具体的な実践的な選択コースとして新規に開発して、1つか2つ年にやっていくと。それで、これにつきましても同様にIAEAのコースの活用、それから、EC/JRCですとかアメリカ、他国のCenter of Excellenceとの共同開発も視野に入れつつ、独自のコースとして開発を目指すというようなことで、センターコースとしましては基準対象施設向けのNMACですね――このNMACは保障措置ではなくどちらかというと核セキュリティに計量管理をいかに生かすかというようなところでございます。それから、少量議定書国の保証措置ですとか、IAEA査察官向けとしましては使用済み燃料の検認技術としてDCVDの検認技術ですとか、輸出管理をやっていくべきではないかと。 また、拡充すべきところでは、トレーニングツールの開発ということで、バーチャルリアリティーのシステムで核セキュリティで扱っているんですけれども、それを保障措置トレーニングに拡大していくということと、実際の核物質を扱うことのできるトレーニングラボの整備というようなことをやっていくべきではないかと。それから、最後に、人材育成支援事業における国際連携・協力ということですけれども、この事業実施に当たって展開してきましたDOEですとかEC/JRC、IAEA、日中韓のCOEの連携、アセアン、その他既存のイニシアティブさまざまなものがございますけれども、こういうネットワークなどの国際協力は効果的・効率的に事業を実施する上で不可欠になっているので、引き続き積極的に連携していくということで、FNCAですとかAPSN、ASEAN Center for Energyとの連携、それから、他国のCOEとNSSCの支援、相手国のニーズに応じてより細やかに対応できる二国間協力についても、先方のニーズに応じて引き続き実施していくべきだというようなことでございます。
 続きまして、技術開発の方。
(堀副センター長) 続きまして、核不拡散・核セキュリティ技術開発の今後の取り組みの方向性に関して、15ページに書いてあります5項目について報告させていただきます。
 最初に、3月にワークショップ――これは外部の委員の方から評価を得るためのワークショップですが、その結果について報告しまして、2から5に書いてあります今年度以降実施する内容について説明させていただきます。まず、16ページの技術開発に関するワークショップですが、これは核セキュリティ補助金の一環で進めておりますアクティブ中性子非破壊測定技術開発と、先進的プルトニウムモニタリング技術開発のこの2つのプロジェクトに関して3年の区切りを迎えることに当たりまして、実装に向けた取り組みとしてその成果を国内外の関係機関と共有するというのと、それと、招聘したIAEA、それから、米国DOEなどの外部専門家の方から、これらのプロジェクトについて評価を得ることを目的として実施しております。今年の3月12日から15日まで東海で開催しておりまして、1日目、2日目がそのオープニングセッションと、それぞれのプロジェクトに関するプレゼンテーション、それから、ディスカッションになっております。それから、3日目がNUCEF、東海再処理工場で装置のデモンストレーションとなって、最後の4日目で評価セッションということで評価を受けております。評価者としましては、IAEAのSGTS――これは保障措置局のテクニカルサポートの部課、それから、DOEのNNSA、それから、フランスの放射性安全の研究所であるIRSNの方、それから、EC/JRC――欧州委員会の方、それから、オークリッジ国立研究所の方5名に加えまして、外部からの参加者として13名、文科省、日本原燃、電中研、大学、メーカー、あと、IAEAの保証措置の実施部――査察をやっている者と、それから、米国のロスアラモス国立研究所といった方が参加しております。
 17ページに行きましてその結果ですが、まず評価の結果につきましては、両プロジェクトともに事業の意義を達成したという評価を得ております。また、加えて以下の点が評価されたということで、1つは、欧米の研究機関との協力で技術開発が行われていること、若い研究者の指導が行われたこと、ジャーナル等への論文報告が行われたこと、それから、シミュレーションに基づいて実験が行われていることについて評価を得ております。それぞれのプロジェクトに関しましては、先進的プルトニウムモニタリングに関しては保障措置の適用に加えてスラチの沈殿の移動のモニターが可能で、安全の目的で適用の可能性があるという点、それから、アクティブ中性子非破壊測定技術開発については、この4つの技術があるんですが、そのテクノロジーエビデンスレベルが2から5ということで、5ですと、大体、原理実証が働いたということになるんですけれども、原理実証が進められつつあるという点、それから、各データの必要性等、今後の課題について多くの意見が出ております。このワークショップの評価等を踏まえまして、今後の事業を進めていきたいということで考えております。
 2ポツが核鑑識技術開発ですが、これにつきましては、平成24年から26年にかけて基本的な核鑑識技術の整備を行っておりまして、今年度は、27年度から迅速化・確度向上を目指した核鑑識技術の高度化というのを行っておりますが、それを行うとともに、30年度から35年度にかけまして核・放射線テロ事象後を対象とした核鑑識に関する技術開発を行っていく予定にしております。これは実際にテロ事象が行われますと爆発等によって従来のシグネチャーと違ったシグネチャーが出てきますので、そういったシグネチャーをどのようにして拾って分析していくかというような技術開発になってまいります。その後、平成31年度以降ですが、革新的な核鑑識技術開発ということで新たな微細な構造分析資料の技術であるとか、あるいは、レーザーを使用した質量分析技術、それから、AIの技術を利用したシグネチャー分析等を実施していく予定にしております。
 それから、スライドの19が核共鳴蛍光――NRFの技術開発ですが、これにつきましては平成23年から26年まで原理的な試験をやっておりまして、これは高強度・高エネルギー単色ガンマ線を使って重遮蔽された遮蔽体の中にある核物質等の分析を行う技術ですが、この結果、高度単色ガンマ線の発生技術を確立しておりまして、今、平成27年から31年にかけまして技術立証試験のためのプロジェクトを行っているということで、ニュースバルの放射光施設を使って実際に試験を行うということで、31年度まで実施する予定にしております。また、並行してシミュレーション高度の作成等を実施しております。31年度以降につきましては、その結果を受けまして、例えばBHS――アメリカン・ホームランド・セキュリティ省との情報交換を行ったり、あと、ウランやトリウムを使った試験等を行うことも考えております。
 それから、4ポツがアクティブ中性子非破壊測定技術開発に関するもので、1と2と3の3つの展開を図る予定でして、1つが統合装置技術開発ということで、これまで実施してきた技術開発を踏まえまして、下に書いてありますDDA、PGA、NRTA試験装置を作成して試験を行う予定をしております。これは、NUCEFにおいて実施する予定にしております。 この装置の試験によりまして、核物質の性状の把握能力、あるいは、核物質中の核分裂性核種の量的把握能力を評価することを目的として行う予定にしております。今後の展開としましては、このDDA、それから、DGA、実装融合装置等の開発によって将来的なセキュリティですね、港湾等における小型の不審物発見装置として使える可能性が出てくるんではないかなと思っております。それから、21ページ目の実装型遅発ガンマ線分析測定システムの開発ですが、これはこれまでの開発を踏まえまして高放射性物質中の核分裂性核種比の定量分析を目指して、例えば再処理施設のグローボックスにとりつける、非破壊測定研修のモデル装置の設計、それから、試験対応に用いる実証を欧米の協力で実施するということで、ECのJRCと協力して30年度から33年度まで、こちらは実装型遅発ガンマ線分析非破壊測定という、ここに書いてありますような装置を作って実際に試験を実施していきます。その結果を受けて、34年度以降は実装型のシステム開発をして将来的な施設への適用を目指していく予定にしております。 それから、4.3がレーザー駆動中性子源開発でして、このアクティブ中性子NDA技術のうち中性子共鳴透過解析法(NRTA)につきましては、将来小型化を目指すために、今、短パルスの中性子源発生装置のプロトタイプの開発を行う必要があります。それで、そのためにレーザー駆動の中性子源の開発を行う予定にしておりまして、これは国内の大学等と協力して実施する予定にしております。下に書いてありますのは、このレーザー駆動中性子源の開発ということで、レーザーで駆動する中性子源を使って模擬試料に当てて、実際に検出するという試験を平成33年度ぐらいまで行う予定にしております。この結果を受けて、将来的には中性子源を用いたNRTA装置の開発を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、最後は、核セキュリティ事象における魅力度評価に関する研究ということで、これは日米の核セキュリティ作業部会(NSWG)のもとで実施している共同研究でして、核燃料サイクル施設に対する核セキュリティ上の3つの脅威である、核起爆装置(NED)及び核放射性物質の飛散装置(RDD)の製造を目的とした盗取、それから、原子力施設の妨害破壊行為(サボタージュ)に対して、包括的に核物質等の魅力度を評価する手法を共同開発するというものです。それに加えまして、魅力度を削減する概念と技術についても開発する予定にしております。既に、アメリカとはキックオフ会合と第2回会合の2回会合を行っておりまして、研究の方向性等の議論をしておりまして、30年度から本格的に実際にNEDとかRDDの製造シナリオの分析、あるいは、サボタージュのシナリオ分析をしたり、あるいは、評価手法の分析・計算、あと、実際に魅力度指標のための分析・計算・試験等を実施して、代表的な核燃料サイクル施設の物質及びプロセスの評価を行う予定にしております。 それから、31年度以降、その魅力度評価手法の開発を踏まえて、魅力度を削減する概念等の開発をしていく予定にしております。これによりまして、脆弱性評価が向上したり、あるいは、核セキュリティの装置の最適化が図られるというふうに考えております。
 以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。それでは、ただいまのご説明に対してご質問、ご意見あればお願いいたします。どこからでも結構です。よろしくお願いします。
(小松崎委員) 少し教えていただいてよろしいでしょうか。最後の新しい技術についての質問ですが、個々にどういう技術かということは十分に理解できたんですけれども、やらなければならないことが何なのか、つまり、解決すべき課題が何で、この技術によってどういうところが解決されることを希望しているのかや、各課題は別として依然として残されている技術課題は何なのかとか、私たち外部の人間から見ると、今、先生方が取り組んでいらっしゃるこの取り組みが全体の解決の中のどの部分に役に立って、まだ不十分なところや、もうこれ以上やらなくても十分なところはどこなのかといった全体像が理解しにくいなという感じがいたしました。技術系の人がこれを読み、自分の技術領域で協力できるところがありそうだなとか、多分に技術の連携を促進するためにも、この技術の意味合いというのがもう少し明らかになっていたほうがいいのではないかなという感じがいたしましたが、いかがでございましょう。
(堀副センター長) ありがとうございます。次回以降、その辺も含めて説明したいと思います。
 我々がやっている分野というのは科学技術の中でも一部でして、具体的に言いますと核鑑識という分野を確立していくというのと、核策定と核検知という分野、それから、最後に説明しました魅力度を評価するということで、それ以外の、例えばサイバーセキュリティであるとか、あと、今日先生方が説明されるような分野は余りやっていないんですけれども、そういった分野に特化して、我々としてはまず核鑑識――今までなかったんですけれども、そういったもし押収されたものをきちっと犯人を特定して裁判まで持っていくというようなものであるとか、あるいは、いろんな港湾とか空港で持ち込まれる核物質を検知するものについて抜けがなく測定できる技術開発といったことを目的としております。それについては、かなり網羅的にできつつあるんではないかというふうに考えております。
(小松崎委員) 済みません、追加の質問なんですけれども、一般的にも鑑識というのは大事なものですが、鑑識の中にも、例えば犯人を特定するための調査など、いろいろ分野が分かれていますよね。そうすると、核鑑識という言葉だけでは通じないと思いますので、それを例えば、不正に持ち出されるものを早期発見するための鑑識技術、ディテクション技術なのか、それとも、核物質がどういう由来でここにあるのかなど、いわゆるトレーサビリティなのか、つまり、鑑識技術そのものが目的ではなくて手段でしょうから、鑑識技術が目的としていることをもう少し明確にしていただくことが連携を進めていく上で効果的ではないかなと、こういう意見も受けとめていただけるとありがたいと思います。
(堀副センター長) 了解しました。ありがとうございます。
(上坂主査) ほかにいかがでしょう。
(喜多委員) 技術開発にあわせて、それに必要なリソースを時々出していただいていると思うんですが、あわせて示していただけるとわかりやすいと思います。こういうリソースを注入して、どのようなインパクトが得られるのか――インパクトを計ることは難しいと思うんですけれども、それもあわせて示していただくとありがたいし、わかりやすい。
(堀副センター長) わかりました。
(小松崎委員) 戻って済みません、前段のほうで教育プログラム等に関するご説明をいただいたんですが、短・中・長という――6ページですね。例えばこの短期については2010年に完了という言い方をされていましたよね。これはそれ以降どうなっているのかなと。例えばトランスファーが終わって各国で継続的にそれが実行されているとか、皆様方がやられたことがその後継続的にどのような効果に結びついているのかといった継続性について少し気になりました。それから、もう一つ申し上げますと、技術がここのところ急速に進歩していて、例えば自動運転の普及で一気に画像処理が進んだとか、レーザーの技術が進んだとか、他分野での技術のスピードというのは非常に早いんですよね。
 特に、サイバー分野での技術が大きく変わってきているので、こういう教育のプログラムにそういう世界の技術の潮流みたいなものが常にアップデートされやすい構造が必要ではないかなと思うんですね。何となく、ある時期に決まったことをきちっとやり続けているということ、これは一番大事だと思いますが、プラス技術の革新に追随するような、そういうアップデーティングのための仕組みということももう少し前面に出していただいたほうが安心ができるんじゃないかなと感じました。
(直井センター長) ありがとうございます。基本的にIAEAのコースですが、アメリカが開発したコースは、講義と、それから実習と2つの組み合わせでやっていくんですけれども、それにISCNのトレーニングセンターではそれ以外の、例えば実習フィールドを使った研修ですとか、それから、あとは実際に保障措置ではJRR3の中に入ってデザインベリフィケーションの実施をするとか、そういうようなことで、IAEAのコースプラスアルファのところで常にアップデートしております。それから、新しい技術に関しましては、例えばスキャンニングレーザーセンサーなんかが最近日本の原子力発電所でも取り入れられたり、あとは、熱線カメラですね、赤外線カメラなんかが検知に使われるというようなことが主流になってきたら、そういうようなところはアップデートして、絶えず新しいものを研修の中に取り組むと。それは絶えずPDCAを回しながらこういうコースもやってきております。
(小松崎委員) というと、その新しい技術を導入すべきかというようなことを立案したり評価する機構はどのような感じになっていますか。
(直井センター長) 今は、国内のトレーニングコースをするときには、国内の発電所のPP管理者の方が参加されまして、その中でさまざまな意見をいただきます。そういう意見を踏まえて、我々としてはやはりこれはもう日本の国内ではこういうセンサーが主流になってきているぞということを踏まえて、じゃそれを入れましょうというようなことで、文科省さんと相談をしながらそういうアップグレードを図っているというようなことをやってきています。
(小松崎委員) わかりました。
(上坂主査) この成果の、特に国際協力、人材育成、その成果がございますし、大学も本当に教えていただいておりまして、本当に非常に成果があると思います。 一方、技術開発なんですけれども、この19ページですね。これ確かにコンプトン・ガンマで、論文が一杯出て、論文実績が出たことは事実です。が、例えばこの右側の、エネルギー回収ライナックなんですけれども、25mの規模を使って核鑑識というのは民間実装を考えた場合に、もうそろそろ見直していくべきと思います。それがまず一つ。そのような経験を踏まえて、22ページですけれども、今度中性子源をレーザーで実現というのですが、しっくりしません。実は私は、中性子捕捉療法とそのための中性子源について、治療法としての技術ガイドライン作成のための、厚労省と経産省による技術ワーキンググループをやりまして、もう報告書が出ています。それで、中性子源の10タイプぐらい挙げて、強度も大きさもコストも調べています。その中にこれは入っていません。ですから、他の技術に比した優位性を、しっかりと評価した上でやるべきと思います。サイズ、強度含めた、性能比較もしっかりやってほしいですね。レーザー・コンプトンも、もう5年もやっているんで。
(堀副センター長) まず1点目の核共鳴蛍光(NRF)-NDA技術実証試験については、確かに大型というのは大きな課題になってくるんですけれども、例えばホームランドセキュリティ(米国国土安全保障省)なんかでも同じものの装置の開発をしていまして、潜在的なニーズはあるということで……
(上坂主査) アメリカでも物すごい勢いで開発やりましたけれども、あまりうまくいっていない。コンプトン・ガンマでやりましたがあれだってうまくいってないし、コンプトン・ガンマも使ってないですし。だから、アメリカでやったじゃなくて、やったけどどうなったか。それを出してお見せしていただきたい。
(堀副センター長) 今、NHS(米国国土安全保障省)と協力を進めるべく、まだ取り決めができていないんですけれども……
(上坂主査) 装置開発の人はやりたいって言っているけれども、受けるほう、使う人から見ると本当に25mの装置で使うかという別の視点から考える必要があるかと思います。
(小泉様) レーザーに関しましてはNRTAを使いますと分解能が高くなって、
(上坂主査) なんですか。
(小泉様) 中性子をパルス状に出して、それを試料に通して、硬化した中性子で、調べると …
(上坂主査) 要は、安定しているとか強度とかね。
(小泉様) だから、そこらへんのところを考えまして、レーザー中性子になりますと非常に短いパルスが出てくる。今は…
(上坂主査) でも、固体ターゲットになってしまうと、固体内で反応がおきてしまうと、中性子パルスが散乱で長くなってしまうと思ってしまうのですけれども。
(小泉様) ええ、個体のほうもローテーションを見るとか、レーザーのほうは……
(上坂主査) そういうのを皆さんにわかるように説明していただかないと。安定性を含めですね。強度、安定性を。
(小泉様) はい、わかりました。
(上坂主査) それから、この放射線源ですかね、これ。
(小泉様) ええ。
(上坂主査) 中性子源は放射線源の定義ですね。ほかにいかがでございましょう。
(多田委員) 17ページにTRLについて触れられていて、2から5と書いてあるんですけれども、各々の段階でどうあるべきか、それに対して今現状が2だったからよいとか5だったからよいとか、そういう評価がないと、今ここの断面で2から5であると書かれても、意味がないのではないでしょうか。
(堀副センター長) 短くまとめるためにそういう表現をしたんですけれども、実際には非常に細かく評価をしておりまして、総じて言えば、どの事例においても以前よりもこの研究によってそれぞれの技術成熟度が上がったということが言えます。
(多田委員) そう書いたほうがいいと思います。始めたときはこうだったんだけれども、こうなったという記載にした方がいいと思います。限られたスペースなので記載が難しいのであれば、むしろないほうが説明としてはすっきりするんじゃないかと思います。
(上坂主査) ほかに。 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2のアカデミアの取り組み。
【議題2は非公開】
 それでは、次の議題に移りたいと。それでは、議題3の喫緊の課題のとりまとめに向けてについて事務局よりご報告をお願いします。これは非公開じゃないですね。
(嶋崎室長) では、よろしくお願いいたします。資料3をご覧いただければと思います。
 特段新しいことでは全くなくて、現在の議論、下線を引いておりますが、ばらばらになって恐縮ですけれども、この後2回ぐらい、昨年6月に中間まとめをいただきまして、大きな課題としては、議論頂きましたれども、今、注力すべき課題は幾らか、何か。その時、技術開発課題、特に核不拡散・核セキュリティ研究開発、人材育成、それぞれについてどういうところについて今取り組むべきかということについてご議論いただきたいと思いますけれども、前回の会合では、特に、他分野ですね。ほかの技術革新が進んでいる分野、AIとかサイバーセキュリティ、新たな技術に基づく脅威への対応といったものをどういうふうに適用していくのか。あるいは、逆に対応するほうでもこういったセキュリティ一般でホットな技術開発、原子力分野に限らない分野ですね。こういったものをいかに原子力分野へ取り込んでいくのか。でございます。
 先ほど大学における現状とか、あるいは、その技術開発の一端をご紹介等いただきましたけれども、一番下にまとめて書いてございますけれども、技術開発及び人材育成、それぞれについて大学あるいは企業との連携をどういった形で促進をすることがいいのか、これは中間まとめでも大きな課題として挙げられていますけれども、具体方策についてアイデアがあればぜひ活発にご議論いただければと思います。人材育成についても、今日少しご議論あったかと思いますけれども、今後、いろいろここに書いてございますけれども、特に、ISCNをどういうふうに使っていくのかということを一つの軸として、どうやってその原子力分野の人材の育成をしていくのかという広範な観点について本日はご議論いただきまして、また、そのご議論に関する内容も踏まえて、今後この作業部会として発信していくメッセージについてさらに議論を深めていってただきたいと思いますので、ここに今日ご用意したものは本当に簡単なメモとして見ていただいて、これに限らず、今後取り組むべき課題について今日は少しお時間をいただいてご議論いただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
(上坂主査) それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等お願いします。
(小松崎委員) 今、嶋崎室長から伺った話で、例えば人材育成戦略の中の丸の3つ目ですか、原子力分野が若い人材にとって勉強したい分野であると思わせるために必要な取り組みの検討というのは、私はこれ非常にもう長期にわたってもしかしたら一番大事なテーマかなと思うぐらいなんですが、そういう意味で、今のこの原子力を勉強する分野の大学や大学院の現在の状況というのをもう少し教えて頂けないでしょうか。例えばもうそういう分野の名前が消えていったとか、私は通信という分野中心なんですが、今通信という文字が残っている学科はほとんどないんですね。情報というのに全部シフトしています。ですから、原子力と今の教育環境というのが現状どうなのか、それに対して佐藤先生がどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかなというのが伺えたらありがたいなと。
(佐藤様) 名前が量子エネルギー工学、学部は量子サイエンス、他大学を見ると、環境とエネルギー、もしくは機械とエネルギーとかですね、唯一、専攻名を残しているのは、京大の原子核工学専攻、あとは東海大の原子力工学科、東京都市大学の原子力安全工学科、その3つなんです。そのほかは、カリキュラムに組まれている、例えば、東北大学でいいますと、機械系の中に原子力分野のカリキュラムが組み込まれて、基本的なこういうところを教えるような体形になっている。学生さん自身が機械系を志望して、難しいときに、そのときは最後に、原子力を選ぶという。
(上坂主査) まず、文科省さんがいろいろな委員会でやっています。例えば原子力年鑑という書籍を毎年出していますが、それには私の監修で原子力教育の章を書いています。全体概要がそこに書いてあります。原子力年鑑は、毎年更新しています。それに書いてありますが、学科・専攻は名前が変わって分野が広くなって、機械とか電気とかと組んで運営をやっているが、原子力基礎の教育が薄くなっている。ですから、私が学生だった頃30年以上前の、がちがちの原子力工学の教育は今なくなって、学部、大学院だけの教育では本当に使いものにならないと思います。ですから、例えば、社会人が大学院でもう1年やるとか、社会人教育と見直さなければならない状況になっているのが現実です。そういう状況というのは、TMI、チェルノブイリから、30年前からもうそうなっている、今だからということではない。当時から、人気がなくなっていた。
(佐藤様) 私のほうは福島の事故以降では、やっぱり何とかしないと思っていた学生がいましたが、4、5年たってくると減少しています。
(上坂主査) それとあと、最近また、修士を出た学生の原子力業界への就職率が減っていますよね。それが、その前の学生は事故時にはもう大学生になっていたのですが、最近修士を出る学生は、そのころ高校生でした。ですから、、将来を考え出すときに事故が起きた。だから、他の選択肢と比較して選んでいったという結果という傾向はあるのではないかと思います。研究ですが、核燃施設にしても実験施設にしても、もうどこにもあるという時代ではないので、ネットワークで共同運用という形で共用できるようにしたいです。それも大学だけじゃなくて社会人、社会に出ても使用できるような仕組みにしないと、学生と若手が十分な知識と経験、実験に基づいた知識が得られない。
(佐藤様) 大学の状況について、安全管理が重視されていることを先生としても伝えなきゃいけないんだけれども、教員削減等で実験指導が十分でなく、学生の間でも事故が発生しているんです。そういう研究の安全管理が、技術が伝わっていないのね。要するに、もう研究費がつかないですから、自分で書きなさいと。
(上坂主査) 運営費交付金は毎年削減されますから、足らない分は競争的資金で2、3年 をとって、ですよね。ですから、こういう重要なベースロードがやはりキープされていないのが問題と思います。
(佐藤様) インパクトあることを、イノベーションしなきゃとか言うんですけど、その前に目の前の基礎的なことをちゃんとやらないと。
(嶋崎室長)文科省としては、いわゆる原子力に特化した、いわゆる競争的、公募型の研究費を幾つか対応しておりまして、また、規模が大学でやっている規模と比べるとやはりごくごく限られたものになってきておりますので、これですべてをカバーするというようなことではないということがありますので、例えば喜多委員とか民間の立場から見たときに、まさにそのワークフォースの卵だちである学生、人材育成については企業や民間サイドから見て今どんなふうに見られているかというのをもしよければ教えていただきたいです。
(喜多委員) 産業界から見ると大学の教育は当然、しっかりした工学の基礎を学んできてほしい。原子力についても。それ以上のものについては、特に大きいところでは企業内の教育を中心に行うという感じだと思うんです。けれども、もうちょっとできるんではないかなと思うのが、産業界と大学との協力による教育ですね。それはまだもっとやっていく余地があると思います。
(松浦戦略官)原産協会さん、原子力人材のネットワークを作られて、幾つか分科会がありますが、やっぱり産業界と大学と連携した形でこの分野の人材育成を図ろうと。JAEAさんとQSTさんも入っていますので、そういった中で大学の運営費交付金とか、なかなか基盤整備に、この部分に割けないという、そこがよくないのかもしれないですけれども、なかなかそこが構造的な問題があるので、必要があればもう少しその辺の取り組みが理解を得られれば。
(喜多委員) 例えば岡山大学などででは、そういう分野でやろうとしてやってきたんですけれども、そこがつぶされてしまったり、私も入って一緒になってかかわったんですけれども、余り重点と考えられないところはどんどんつぶされる。それもいきなりつぶされてしまうような感じで、一緒に産業界との協力もつぶれてしまうような、非常に厳しい状況が続きますね。
(上坂主査) 教育もやっぱり短期じゃないですよね。ずっと続きますよね。しかし単年度で終わるんですよ。だから、あとは自分でやりなさいって。
(松浦戦略官) ちょうど福島の事故の前は原子力ルネサンスなどがあって、多少新設学科ができたりとかして、そういう雰囲気が出てきた中で福島の事故があって、それで非常に厳しい状況が続いて、そうしたら、廃炉を含めた人材も必要ですし、ただ、廃炉は大変魅力的だとは思うんですけれども、廃炉が決して魅力的に思われないというのがあるので、そういった取り組みが必要では。
(喜多委員) 例えば研究開発や人材育成について、産業界からのニーズ出しと、大学側からのシーズ出しを行い、ニーズとシーズをマッチングさせるような場が必要なんじゃないかなということは、原産協会でも意識を持っていまして、そういった場を作れないかと検討していこうかと思っています。上坂先生に主査を担って頂いており今後考えていきたいところです。
(上坂主査) フランスの状況とか海外の状況、ロシアとかヨーロッパの状況を見ています。そういう施設共用ですけれども、日本の場合規制が非常に厳しい状況が現実なので、そのような施設を使った教育は国際的にやらせていただくのもいいかなと思いますね。今、海外の方が、かなり元気がいいです。アメリカのアイダホとか、どんどん新型炉を検討しています。そういうところに行って刺激を受けて帰ってくるとか、または、炉設計を一緒にやるとかですね。
(嶋崎室長) サイド情報として紹介させていただきたいのですが、この日米間の協力もご議論している中でも別の基盤部会でも申し上げましたけれども、使える施設がどんどん少なくなってきている中で、教育・訓練の場が減少していると。その中で本当は基盤インフラを国内でしっかり作るというのが目標なんですけれども、すぐ来年できるとかということがありませんので、国際的によく使われている施設なんかを使ってそういった研究協力、教育訓練の場としてコラボレーションを進めていくというのが日本としても文科省としてもぜひ進めていくべきと思っていて、そういうときに、大学側としてもテーマとかそういう議論をする場に協力いただきたいですし、企業としてもその先にこういうニーズが日本側であるんだという、もしくは、精神的なもの以外にもファイナンシャルな部分も含めて、オールその業界でそういったアクティビティを支えているということがあると、協力も迫力が出てくるという。大学の方々が研究をする場を求めていっているだけというふうに映らないほうが交渉としてはいいかなと思って、まだ、そこは別途ほかの委員の方々にもご相談させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(喜多委員) 原産協会でも毎年、原子力産業動向調査を行っておりまして、そこの中で、イノベーションについて何をやっていますかと、例えば技術訓練を強化しているんであればどういうことをやっているのか、そういうのも今後調べてみようかなと考えております。
(上坂主査) 文科省さんが日英の協力をどうやっていくかという内容で、先週の原子力学会でそのセッションをやりました。イギリスから15人ぐらい参加して、大使館からも来ていたんですね。大盛り上がりでしたね。だから、あのように海外とコラボしてどんどん国内を盛り上げていくということがとても重要だと思います。あとは、OECD/NEAでもNESTという新しいプロジェクトでマグウッドさんが肝いりで行っている。研究施設を共用しようという要素ももありますね。
(嶋崎室長) 廃炉の担当室長をやらせていただいているんですけれども、JAEAの廃炉を一応少しテーマにして、東大の浅野先生など、ロボットの遠隔技術をテーマにしているんですけれども、今、ほかの大学だとか産業界で、どっちかというとリソースがないので、持ち寄って海外から人をできたら学生とセットで来てもらって、ここに来ればこんなことが学べるという拠点を国際的に作っていこうという取り組みなので、ぜひぜひそういうところにも。
(上坂主査) なかなか国内のことだけを考えると暗くなってしまいますね。
(佐藤様) 私、半分原子力で半分は専攻で製錬をやっていますけど、経産省も資源大学校をやっていますけれども、今度は東北大のほうで金属資源プロセスセンターを作って、そこで残そうという状況ですね。その後に原子力ですが、先ほど人材育成とか学生の話をされたんですけれども、もっと深刻なのは教員を養成しないと…30代、40代の教員がこの先必要です。
(上坂主査)規制庁さんがやっている人材育成の会議の中で、ある中核の大学の先生が、原子力安全の講義ができる先生がなくなってきますとか言いますね。そういう状況です。
(上坂主査) それでは、もうそろそろ時間ですけれども、本日議論した議題は終了になりましたがほかに何かご意見とか連絡事項ございませんでしょうか。ないようでしたら、事務局からお願いいたします。
(春日補佐) それでは、事務局からお知らせをいたします。次回の作業部会の開催につきましては、後日日程調整をさせていただきたいと考えております。また、本日の作業部会の議事録及び議事概要案につきましては、準備ができ次第、電子メールにて確認を依頼させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
(上坂主査) それでは、以上で第15回の核不拡散・核セキュリティ作業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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研究開発局開発企画課核不拡散科学技術推進室、研究開発局研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))