原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会(第13回) 議事録

1.日時

平成29年6月19日(水曜日)10時00分~11時30分

2.場所

文部科学省 10階 政策課会議室

3.議題

  1. 今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(案)
  2. 核セキュリティを支える技術開発に係る国際シンポジウム(第3回核鑑識)の報告

4.議事録

(上坂主査) それでは定刻となりましたので、ただ今から第13回核不拡散・核セキュリティ作業部会を開催いたします。
 本日はご多忙にもかかわらずご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 本日の議題は、お手元の議事次第に書かれているとおり、1.今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(案)2.核セキュリティを支える技術開発に係る国際シンポジウム(第3回核鑑識)の報告となっております。
 まず、人事の異動のお知らせがございます。
 礒章子委員が一身上の都合により6月13日付けで辞任されましたのでご報告させていただきます。
 次に、事務局より本日の出欠と配布資料の確認をお願いいたします。
(道川補佐) 本日は小松崎委員、中島委員、尾野委員が欠席ですが、9名中6名の委員にご出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしております。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。
 資料は全て右肩に番号が記されております。まず資料1-1ですが、今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(案)となっております。続きまして、資料1-2は横長の資料となっておりまして、今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(概要)(案)となっておりますs。続きまして、資料2ですが、核セキュリティを支える技術開発に係る国際シンポジウム(第3回核鑑識)報告となっております。最後に、参考資料1は、技術開発俯瞰図の策定に向けた本作業部会の公開の在り方となっております。
 配布資料は以上となっております。資料の欠落等がありましたら事務局までお知らせください。議事の途中でもお気づきの点がございましたらお申しつけください。以上でございます。
(上坂主査) はい、よろしいでしょうか。ご確認ください。
 それでは、本日の議題に入ります。まず、議題1の今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(案)です。
 本中間とりまとめ案につきまして、前回の核不拡散・核セキュリティ作業部会において素案のご議論をいただきましたが、前回のご議論を踏まえて、私と事務局のほうで加筆、修正させていただき本日中間とりまとめ案とさせていただきました。本とりまとめ案につきまして、既に各委員の皆様にお送りいただいているところでございます。
 本日、議論いただいたものを中間とりまとめとして決定していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局よりご説明をよろしくお願いします。
(釜井室長) 文部科学省の釜井です。資料1-1、それから資料1-2についてご説明をさせていただきます。
 主査のほうから紹介がありましたとおり、5月10日に本作業部会における中間とりまとめの素案を提示させていただいたところですが、その後議論を踏まえて主査と事務局で修正し、再度委員の皆様にご照会をさせていただきコメントをいただきました。あわせて関係省庁にも再度見ていただきまして、中間とりまとめ案ということで今回提示をさせていただいているところでございます。
 今日は時間の余裕もございますので、資料1-1につきましては、読み上げをさせていただければと考えております。
 今日、ご欠席の中島先生などからも追加のコメントをいただきました。それを反映しているつもりでございます。
 1ページ目の目次は割愛させていただきまして、はじめにというところから読み上げさせていただきます。
 近年、核不拡散や核セキュリティ体制強化に向けた世界的な流れが加速している中で、我が国として、これまで蓄積してきた経験や高度な研究・技術力を通じて、国際的な核不拡散・核セキュリティ強化への貢献や、我が国の保障措置システムの高度化・効率化に資する基礎研究等、関連の施策を講じてきた。
 国際的には、潜在的な核テロヘの懸念の増大による核セキュリティ強化の必要性に対する認識の高まりを受け、2010年以降、継続的に核セキュリティ・サミットが開催され、首脳レベルでも核テロ対策に関する基本姿勢や取組状況、国際協力の在り方等について議論されてきた。
 国際的なところについては外務省のほうに再度確認いたしまして書かせていただいております。
 2016年春の第4回核セキュリティ・サミットをもってサミットプロセスは終了したが、核セキュリティに対する国内外の関心は引き続き高まっており、国際原子力機関(IAEA)等の国際機関・枠組み、日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)等で議論され、各国の対応状況についても継続的にフォローアップがなされている。
 我が国において、核不拡散・核セキュリティを担保することにより、社会の安全・安心を確保し持続可能な社会を構築していくためには、関連の取組を継続的に行っていくことが不可欠である。とりわけ、研究開発や人材育成のような活動は、長期にわたって着実に行われることが不可欠である。
 他方、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定される中で、短中期的な視点にも立ち、我が国の核不拡散・核セキュリティの確保につながる取組を行うことも非常に重要である。また、米国の新政権においても核セキュリティは重要政策課題と引き続き重要とされている。
 今後、我が国としては核不拡散・核セキュリティの確保に関して一層の注意を払って対応していくことが重要である。
 これらの状況の中、核不拡散・核セキュリティの確保に当たっては幅広く様々な取組を相互につなげて実施していく必要がある。文部科学省は研究開発や人材育成の役割を担っており、これらを戦略的かつ効果的に推進していくことがますます重要になっている。今後、大学、研究機関等と連携し、当該分野の研究開発や人材育成等に取り組み、社会的要請に応えていく必要がある。
 これらの状況を受け、核不拡散・核セキュリティ作業部会において、有識者、学会、研究機関、関係省庁等の協力を得つつ、核不拡散・核セキュリティ分野の国内外のニーズ、本分野における我が国の強みや研究開発課題等を整理し、核不拡散・核セキュリティ分野における研究開発の今後の推進に当たっての基本的な考え方、課題及び今後の施策の方向性をとりまとめた。
 外務省のほうで全体的に文言は修正、確認していますけれども、米国の新政権における現時点の状況では、核セキュリティがオバマ政権のときと比較しても引き続き重要課題とされているということなので、そこは重要だということにしたほうがいいのではないかというコメントでしたので、そういった形で修正させていただいております。
 続きまして、2ページ目、3ページ目をご覧になっていただければと思います。
 2.として核不拡散・核セキュリティを取り巻く状況ということでございますが、(1)国際的な議論ということでございます。
 2009年4月、オバマ米大統領がプラハにおいて演説を行い、「核テロは地球規模の安全保障に対する最も緊急かつ最大の脅威」とした上で、核セキュリティ・サミットの開催を提唱し、2010年以降、約50か国、3国際機関が参加し、計4回の核セキュリティ・サミットが継続的に開催されてきた。
 2016年3月に米国のワシントンD.C.で開催され、同サミットの最後となった第4回会合では、核セキュリティ・サミット終了後も引き続き核セキュリティ強化に取り組むため、IAEA、国連等の国際機関・枠組みにおいて引き続き議論されていくことになり、IAEAが核セキュリティ強化の取組において中心的な役割を果たすこと、また、各国がそれぞれ、今後も核セキュリティ強化に向けて継続的に努力していくことが確認された。
 その後、2016年12月に開催されたIAEA核セキュリティ国際会議においては、我が国からは、核セキュリティ・サミットでコミットした核物質の最小化と適正管理の取組を引き続き実施すること、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)を通じた核セキュリティ分野の人材育成や能力構築支援を継続すること、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けたテロ対策強化のため、大規模国際行事の核テロ対策に知見を有するIAEAとの協力を行っていくこと等を表明した。
 ということで、こちらにつきましては国際的な議論の紹介ということで、外務省のほうに確認していただいております。
 (2)といたしまして、国際的な研究・技術開発とそれを支えるものの現状と課題ということですが、こちらにつきましては、5月10日の本委員会、第12回会合におきまして、五十嵐先生のほうから核不拡散とそれから核セキュリティの研究技術開発に関する現状と課題をちょっと簡単にとりまとめたほうがいいのではないかとご指摘をいただきましたので、主査と相談の上、ちょっと書かせていただきました。
 丸1 で核不拡散(保障措置)研究・技術開発ということですが、各国がIAEAと締結している保障措置協定に基づいて、施設者は核物質の同定、測定等を行い、計量管理を実施し、IAEAは当該国において、核物質の転用や未申告活動が行われていないことを確実にするために、測定、検認、検知、封じ込め、監視等の技術的手段を適用している。
 2つ目のポツとして、IAEA自身は技術開発を行わないが、保障措置の技術的課題・ニーズを、長期R&D計画、2年間の開発実施支援計画といった文書で公表し、加盟国がIAEAのニーズを踏まえ、主に加盟国支援計画(MSSP)の下で技術開発を行い、その成果をIAEAに提供している。
 IAEAの加盟国はIAEAのニーズ・課題を踏まえて研究開発を実施しており、IAEAの長期R&D計画2012-2023では、未申告活動や申告施設の不正使用を検知する技術、使用済燃料の部分欠損を検知する非破壊測定(NDA)技術、新しい施設に対する保障措置技術等といった中長期的なIAEA保障措置の技術開発のニーズ・課題が挙がっている。
 丸2 として核セキュリティ研究・技術開発ということで、3ページ目です。
 核物質、放射性物質、関連施設及び輸送を含む関連活動を対象とした犯罪行為又は故意の違反行為に対抗するために、各国は核セキュリティ措置としてそれらを予防・検知・対応する手段を適用している。
 核セキュリティの脅威として、核物質・放射性物質の盗取、妨害破壊行為、不法移転、その他の不法行為が想定されており、IAEAは、それらに対抗するための勧告、実施指針等の文書を作成し、各国は、それらの文書に従って、核セキュリティ強化のための対応を行っている。
 IAEAの文書の中で、核検知、核鑑識技術等の核セキュリティ研究開発の重要性が指摘されているが、核セキュリティ上の脅威はその国によって異なることから、実効性のある核セキュリティを担保する上で、その国の状況やニーズに即して開発が行われることが必要である。
 丸3 として、核不拡散・核セキュリティ研究・技術を支えるもの、いわばソフトとか人材育成ですけれども、各国は、IAEAと締結している保障措置協定に基づいて、核不拡散(保障措置)を担保する人材育成等の取組を行っている。
 また、核セキュリティ上の脅威はその国によって異なることから、その国の状況やニーズに即した核セキュリティに関する人材育成等の取組を行っている。
 なお、IAEA核セキュリティ国際会議における「核セキュリティに関する国際会議閣僚宣言」では、「国内・域内の核セキュリティ強化のためのセンター(COE)等の活用を含め、教育訓練の機会の提供等を行うためのIAEAとIAEA加盟国の努力を支援する」と表明しており、IAEA加盟国は上述の取組を引き続き実施していく必要がある。
 (3)として、日本の取組として、上述のとおり、核不拡散や核セキュリティにおける体制・技術開発の強化に向けた世界的な流れが加速していく中で、我が国は、第1回核セキュリティ・サミットにおいて、アジア地域を中心に核セキュリティを強化するためにキャパシティ・ビルディング支援等を行うためのセンターを日本原子力研究開発機構(JAEA)に設置すること、また、核検知・核鑑識技術開発を日米等の国際協力で実施し国際貢献すること等を表明し、関連の取組を行っている。
 研究開発・人材育成の観点では、JAEAは上述の核セキュリティ・サミットの発表を受け2010年12月に設置されたISCNにおいて、核鑑識、核検知・測定による研究開発や、核物質防護実習フィールドでの実習、ワークショップの開催等による人材育成支援を行っている。
 1枚めくっていただきまして、4ページでございます。
 核物質の最小化と適正管理に関する取組としては、第4回核セキュリティ・サミットの「核セキュリティ協力に関する日米共同声明」で表明したとおり、JAEAから高速炉臨界実験装置(FCA)の機微な核燃料の撤去を完了した。今後、上記声明で表明した京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の低濃縮化を通じた高濃縮ウラン燃料の全量撤去等の取組を実施していく。
 学会における自主的な活動としては、日本原子力学会において原子力に携わる全ての関係者が、核不拡散・保障措置・核セキュリティに関する状況を十分認識した上で原子力技術の研究開発を推進することが必要かつ重要とした上で、2007年より核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会を設置し、継続的に同会合を開催している。また、2015年より同学会標準委員会の下に設置したSafety&Security分科会において、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、安全と核セキュリティのインターフェイスに関する検討が行われている。さらに、核物質管理学会日本支部においても、核セキュリティ強化に向けた研究会等が開催されている。
 環境整備の観点では、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」の改正法が2017年4月7日に成立し、今後、同改正法に基づいて、危険性の高い放射性同位元素を取り扱う事業者に対し、防護措置を義務づけ、テロ対策の充実・強化を図ることとされている。このように、国内外において核不拡散・核セキュリティに関する重要性・必要性は否応なしに高まっていると言っても過言でない。
 学会における活動につきまして、文言について出町先生のほうからコメントをいただいて反映させていただいております。
 5.のほうに移らせていただきまして、核不拡散・核セキュリティ研究開発の今後の推進に当たっての基本的な考え方ですけれども、こちらにつきましては全体的に素案の段階からほとんど変えてなくて、文言とか形式を少し修正、反映させています。あとは5月に行われた前回の委員会において、核セキュリティ文化の話について少し議論がありましたが、その関係を盛り込んでおります。
 (1)の基本的な考え方、最初のほうから読ませていただきます。
 現在、核不拡散・核セキュリティの取組として求められていることとしては、過去4回の核セキュリティ・サミットの議論をはじめとする国際的な場において、核セキュリティに関する条約の順守、核物質及びその他の放射性物質のセキュリティ強化・規制を含む核物質等の適正管理、核セキュリティ強化に向けた研究開発、人材育成支援、人的資源の開発、教育及び訓練を通じた核セキュリティ文化醸成のための取組の促進及び核不拡散・核セキュリティにおいて国際会議等でコミットした取組の実施等が挙げられている。
 これらのこともあり、今後、我が国が核不拡散・核セキュリティを担保していく上で、核不拡散・核セキュリティにおける研究開発や人材育成を行っていくことは、我が国において極めて重要である。
 文部科学省は、科学技術、研究開発、人材育成を担う担当省庁として、核不拡散・核セキュリティにおける研究開発や人材育成の取組を行うとともに、研究開発の成果を社会につなげていくこと、また、当該分野における技術的、科学的な動向を把握していくこと等により、我が国の核不拡散・核セキュリティの確保に貢献していく責務がある。
 今後出てきますけれども、これまでの数回の議論で、研究開発を行っていくことは重要とご指摘をいただいている一方で、どういうふうに社会に実装していくかのロードマップといいますか、そのようなものを作っていくことが一種の重要な視点だったと思います。
 (2)を読み上げます。文部科学省の役割として、核不拡散・核セキュリティの確保という社会的・国際的要請に応えるため、核セキュリティのためのキャパシティ・ビルディングを行う必要がある。
 まず、核不拡散・核セキュリティを確保するため、本分野における研究開発を促進する必要がある。さらに、核不拡散・核セキュリティを今後持続的に確保していくため、人的資源の開発、教育及び訓練を通じた核不拡散・核セキュリティ文化の醸成に努める必要がある。
 加えて、我が国において効果的・効率的に核不拡散・核セキュリティを確保するため、幅広く様々な取組を相互につなげて実施していくことが重要であることから、文部科学省、大学、研究機関同士が連携し、研究開発、人材育成に取り組める体制を構築する必要がある。
 ISCNについては、核不拡散・核セキュリティにおけるこれまでの研究開発や人材育成支援の実績について米国やIAEA等をはじめとする国際社会からも高く評価されており、その経験を活かして、今後も継続的に人材育成関連の取組を展開していくべきである。
 これは出町先生のほうからご指摘をいただいたのですが、人材育成関連はよろしければ後で追加させていただきます。
 6ページに移らせていただきます。4.の課題を読み上げさせていただきます。
 我が国にとって、核不拡散・核セキュリティに関する研究開発や人材育成は必要不可欠である。特に、研究開発を行うに当たっては、成果展開のターゲットを明確にし、ニーズを踏まえて戦略的に実施する必要がある。また、人材育成を行うに当たっては、研究開発や技術を支えるものとして、大学、研究機関等と連携し、中長期的に行う必要がある。そのための課題は以下のとおりである。
 国内外の状況や将来も見据えた、詳細にわたる研究開発分野及び推進すべき研究分野の明確化及び推進すべき研究分野を本格的に推進する体制の整備、それから、研究開発と社会実装への隘路の解消ということで、実用化への道筋の明確化、ユーザーとの連携の強化、関係行政機関間との連携、核不拡散・核セキュリティの取組を今後持続可能なものとし、将来にわたる安全・安心を確保する担い手を育成するため、文部科学省、大学、研究機関等の役割分担を踏まえた人材育成スキームの構築及び核不拡散・核セキュリティ文化の醸成、受益国のニーズや他の国の研究拠点・中核研究拠点との役割分担を踏まえた人材育成の取組や核不拡散・核セキュリティ分野に国内外の人材を引き付けるための更なる取組。
 それから、5.に移ります。我が国の核不拡散・核セキュリティを確保する上で、研究開発・人材育成の取組を行うことは非常に重要である。また、それらの取組を行う上で、関係省庁、関係機関間の連携並びに海外との連携も重要である。なお、研究開発を行うに当たっては、社会実装につながっていく取組を行っていくことが重要である。
 (1)核不拡散・核セキュリティ研究開発ということで、核不拡散・核セキュリティ分野の研究開発を行うに当たって、国内外の状況や将来も見据え、詳細にわたる研究開発分野及び推進すべき研究分野を明確化する必要がある。
 丸1 研究・技術開発のニーズとして、核不拡散・核セキュリティ研究・技術開発に関するニーズの把握ということで、成果展開のターゲットを明確にし、ニーズを踏まえて戦略的に実施する必要があるため、昨年、研究・技術開発を実施している研究機関等及び研究・技術開発成果を技術移転していく可能性のある機関からヒアリングを行いシーズ、ニーズを把握した。
 去年、夏のニーズ調査の資料を付けさせていただいております。
 継続的に関連省庁等へのヒアリングを実施するなど、ニーズ等を把握していくことが重要ということでございます。
 あとは核不拡散・核セキュリティを支える技術開発に係る国際シンポジウムということで、主にJAEAのISCNを中心にシンポジウムを開催しております。国内外における技術開発のニーズ・課題に関する情報収集・共有や国際協力・連携の促進等を行うため、ISCNにおいて2015年度より国際シンポジウムを開催している。
 継続的に上述の情報収集・共有、国際協力・連携の促進等の取組を行うために、国際シンポジウム等を開催していくことが重要ということでございます。
 丸2 として、今後の方向性ですが、研究開発を行う際には、上記ニーズ調査、国際シンポジウムだけでなく、以下のような点も考慮し、核不拡散技術・核セキュリティ研究の今後の方向性を記した俯瞰図を作成し、実施することが重要である。
 こちらは報告書に加えて、今回、数カ月にわたって議論をいただきました俯瞰図俯瞰図につきましては、こちらの機微性に基づいて本委員会で決定した公開の在り方に基づいて非公開とさせていただいておりますので、非公開という扱いで、今回の資料には付けていませんが、俯瞰図を作成するに当たって、どんなことを考慮すればいいかということをちょっと定性的な記述として書かせていただいているところでございます。
 順に申し上げますと、日本の強み、国際的な動向調査、国際協力の観点も踏まえて整理すること。核不拡散・核セキュリティ分野の研究開発の推進に当たっては、核不拡散・核セキュリティ上のリスク、脅威は何かを分析・評価した上で、研究開発を最適化して行っていく。
 他方、核不拡散・核セキュリティを取り巻く状況として、サイバーセキュリティに関する課題が世界的に顕在化し、モノのインターネット、IoTが急速に進展する中、これらへの対応及びグローバルに社会実装していくことが必要になる。これらを踏まえて対応を検討していくこと。
 今回、IoTの話、サイバーセキュリティに関するもの、課題を顕在化した上で対応が必要だということを小松崎委員のほか、複数の委員からご指摘いただいておりますので、付け加えさせていただいております。
 最後のところについて、これまで限られた図案で俯瞰図について精査を実施してきたところでございますけれども、国際的な動きが非常に早い、米国の新政権の状況もございますので、国際協力の観点も踏まえて、さらに時間と労力をかけて継続的に精査・分析していくことが必要だということでございます。
 (2)としまして、核不拡散・核セキュリティ研究・技術を支えるものということで、数カ月にわたってご議論いただいたときに、ほとんど全てと言っていいほどの委員からご指摘をいただいたのは、大学等における人材育成の役割ということでございます。
 最初、秋の時点では、やはりハードという点に着目して研究開発とかのスコープしかなかったわけですが、議論を重ねる上で、特に大学、ISCNの役割も重要でございますけれども、大学等における役割のほうに今一度焦点を当てて、こういった分野をやっていくことが重要だということで書かせていただいているということで、7ページ目の(2)を読ませていただきます。
 核不拡散・核セキュリティの取組を持続的に取り組んでいく上でも文部科学省、大学、研究機関等の役割を明確にし、中長期的な視点で人材育成を行っていくことが不可欠である。同時に、そのような人材育成が可能となるよう核不拡散・核セキュリティに対する社会からの理解を得ることも重要である。また、核不拡散・核セキュリティ技術に対する意識を高めるような取組も重要である。これらの取組を行うことで、人材育成スキームの構築及び核不拡散・核セキュリティ文化の醸成を図る。
 丸1 として人材育成ということで、大学等の役割ということですけれども、学部・大学院レベルの学生や研究生レベルに対する人材育成を行う機関として、大学等の教育・学術研究機関の果たすべき役割は大きく、核不拡散・核セキュリティの人材育成を持続的に行っていくことに対する貢献が期待されている。大学等が課題を明確にしつつ、これらの人材育成を担っていくことが重要。大学等が役割を果たすための推進方策として、主に文部科学省の役割というか責務について、他方、上記のように人材育成により持続的に核セキュリティを実現していく中、大学のような学術研究機関が本来の目的を果たせるよう配慮した取組の検討、例として、機密指定の解除(Declassify)が必要であるとともに、各機関がそれぞれのキャパシティも考慮に入れ、効果的・効率的に核不拡散・核セキュリティのための取組を行っていく。
 原子力の分野全体のみならず核不拡散・核セキュリティ分野に特化したような人材育成プログラムの必要性。また、これらの研究開発を支えるための分析等を担う支援人材の育成も重要な視点。
 ISCNの役割ですが、IAEA総会、核セキュリティ国際会議において、セミナー・トレーニング等を通じた核不拡散・核セキュリティに関する国際的な普及啓発、文化の醸成等の重要性が指摘されており、こうした要請に対応する上でISCNの継続的な取組が重要。
 それから、ISCNと大学との連携ということで、核不拡散・核セキュリティを持続的に確保する上でも人材育成を担う大学が役割を果たし裾野を広げていく。
 それから、効果的・効率的に核不拡散・核セキュリティに関する人材育成を行っていく上で、ISCNと大学における拠点機能、拠点間ネットワークを構築していく。
 その他のソフト的な対応として、研究開発等についても今後は分野限定せずに、国内外の機関とも連携していく。それから、人の動きというのがあったと思いますけれども、サイバーセキュリティや人の動きに着目した防止策を講じることが重要。
 それから、ISCNの活動のみならず、アジア原子力協カフォーラム(FNCA)の核セキュリティの取組も今後のアジア展開に貢献していく。
 千崎JAEA兼FNCA核セキュリティのプロジェクトリーダーのほうから説明していただきましたけれども、FNCAの枠組みを使って今後のアジア展開に貢献していくことができるのではないか、ということでございました。
 9ページ目の最初の段落のところですけれども、核セキュリティ文化という話題で、議論を踏まえて主査と相談して書かせていただきましたが、研究機関等における核不拡散・核セキュリティの取組を実効性のあるものにするために、各機関等が自主的に取り組む核不拡散・核セキュリティ文化の醸成も重要であり、このような核不拡散・核セキュリティ文化の醸成に当たって研究機関等は、原子力学会等のコミュニティと協働して取り組んでいくことが期待される。
 (3)として国際戦略ということですけれども、ISCNの人材育成支援や研究開発活動の実績はIAEAや国際社会の場からも既に評価されているが、核不拡散・核セキュリティを実効あるものにしていくため、また、国内に閉じられた活動のみでは自ずと実効性に限りがあることから、国際的な視点は不可欠であるため、以下の点に留意しつつ、これらの分野の国際協力を進展させていく。
 IAEA等の国際機関との協力・貢献。それから、国際的な活動との連携例ということで、ISCNと世界核セキュリティ協会(WINS)との国際会議、ワークショップの開催等。
 それから、日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)の枠組を活用した協力。それから、アジア地域との協力、ISCN人材育成、先ほど申し上げたFNCA、それから日中韓のCOE協力枠組の検討等ということです。
 (4)として、基礎研究から社会実装につなげていくための取組が重要ということで、既存の基礎研究であっても研究が進展する上で社会的なニーズをこれまで以上に参酌すること。あるべき今後の社会を踏まえて新たな研究開発を行っていくこと、ということです。
 我々のほうの責務、取組としての必要性ですが、関係省庁、関係機関間の連携ということで、核不拡散・核セキュリティは多岐にわたる取組であり、社会からの要請や実装に向けた視点も今後ますます必要となることから、関係省庁・関係機関間の一層の連携が必要ということでございます。
 これははからずもこういった部会で審議して、我々事務局のほうで規制庁とか外務省とか、警察庁もそうですけれども、かなり連携をさせていただきましたので、我々としてはそういった取組、ネットワークのほうもおかげさまでできましたので、今度とも関係省庁間での協力をやっていきたいと考えております。
 それから、参考といたしまして、17ページ目を見ていただければと思います。
 9月5日の部会で、ニーズ調査の説明をさせていただきました。こちらにつきましても公開を前提として確認していただきまして、各省庁、各機関のほうからも問題ないということで、抜粋になりますけれどもつけさせていただいております。それから、開催実績も添付したいと考えております。
 資料1-2のほうをご覧ください。中間とりまとめの概要の資料を準備させていただいていますが、こちらにつきましては本文に応じてブラッシュアップをさせていただきまして、今回の部会でとりまとめをいただけるということでございましたら、上部委員会である原子力科学技術委員会で上坂主査のほうから説明していただくということを考えております。資料1-2については今回の委員会で審議ということではなくて、あくまでこういったものを一応準備していますということで配布をさせていただいています。
 事務局のほうからは以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。ご丁寧にありがとうございます。
 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします。また、これまでに至るまで各委員の皆様からも多大なご尽力をいただいたところでございますが、もし委員の皆さんからもご感想のようなものがありましたら、あわせてご発言いただけますと幸いです。
 どうぞ、どこからでも結構です。
(五十嵐委員) 大変よくおまとめいただいてありがとうございます。
 様々なことを入れていただいて、関係省庁との関係、文化の醸成という言葉も入れていただいてよかったと思います。
 1つ残念な事故が先日ございまして、核テロ、高いレベルでのセキュリティのお話をしている中で、大変残念な事故だったと思います。あのことについてはこういった会議で取り上げる必要もないというべきことなのか。私のようなものとしては報道で知るしかないので、ちょっとどういう状況であるのか、お話を伺いたいということと、そういう意味で、これまでの会議で申し上げるのが足りなかったかという部分があって、社会とのつながりという中で、専門家の中でもニーズ把握、情報発信というものの重要性、それが専門家の中だけで閉じなくて、もっと社会一般の方にわかりやすく伝えていく部分であるとか、今回の事故のように、作業を預ける方たちにもきちんとそういった意識が伝わっているかという部分をもう少しこういった報告の中に入れていかなければいけない、文化の醸成という中には一般の方も含めているということを私の立場でもっと申し上げてくるべきだったかと、ちょっと反省も込めてご質問させていただきます。
(上坂主査) ありがとうございます。
 非常に重要なご指摘だと思います。先週重大な事故が起きまして、事実、難しい測定があるものですから、段階を追って情報が出てきて、結果的に現状の報道では当初言われたほどの健康被害がないのではないと、内部でのプルトニウムは検出されてないとかありますが、引き続き私も関係者と連絡を取り合っており、引き続き調査中・精査中であると伺っております。
 この件、釜井室長お願いします。
(釜井室長) やはり文部科学省としてJAEAを所管する上で今回こういうふうな事態に至ったということについて残念です。
 実際に、資料が手元にありませんので、説明できる範囲で説明いたしますけれども、袋のようなものを作業しているときに、破裂して粉みたいなものが飛散したということで、今、QST、量子科学技術研究機構にあります放射線医学総合研究所、昔は放医研ですが、そちらのほうでまだ分析をしているところでございます。今のところ、当初プルトニウムの汚染、内部被爆があるのではないかということで、それについて今は計測ができていないということ、他方で、昨日の報道にもありますとおり、アメリシウムの内部被爆があるかもしれないということで、バイオアッセイも含めて調査しているところでございます。委員の先生にも我々のほうから随時情報提供をしていきたいと思います。
 核セキュリティ、核物質防護、安全性の配慮、核物質防護上などありますけれども、実際に今回、資料で書いておりますが、社会の理解を得るということと、あとはうまく書ききれてないところがありますが、社会一般としての受容性の理解ということと、原子力従事者としての意識の向上というのは若干違うと思います。
 一人一人の意識の向上というか、そういうことで何が書けるかということについて、今指摘をいただきましたので、上坂先生とご相談して、どういった記述ができるかというのは考えていきたいと思います。ありがとうございます。
(上坂主査) もし可能であれば、直井さんから。
(直井センター長) 核セキュリティ文化というよりは、やはり原子力安全に関わる文化の欠如があったのかというところではないかと思います。
(堀副センター長) 私のところでも核物質とか、RIを少量ですが扱っていまして、今回のケースは何年間も放置していた核物質があったということが1つと、あとその作業をするに当たってリスク評価が十分だったか。作業中にも音がしたとかありますので、そういう安全上、問題があるような予兆、予兆といいますかそれを関知できたのではないかという問題がありますので、早速放置されている物質がないかどうか確認しています。長い間、缶に収納されて開けたことがないものとか、あるいは作業に際してのリスク評価をもう一度やり直すということで、今そういった作業をしているところです。事実関係はまだこれからですが。
(喜多委員) 私の社内でもどうなっているのか事実関係を調べるという話があり、JAEAのホームページは見ましたが、情報がなくて、何でもかんでも出せるものではないかもしれないけれども、わかっている範囲は確実に出していただいたほうが、客観的に何が起こったのかというのはトレースできますので、そこのところぜひお願いできればと思います。
(釜井室長) ありがとうございます。喜多先生。
 前に、申し上げましたとおり、いずれにしても調査をQSTでとやっていただいている最中ですが、随時発信することが大事だと思います。
(多田委員) JAEAさんのホームページには、昨日までで第3報までは出ています。現場の写真とかたくさん入ったようなものが出ているので、今、世の中に出ているのはそれが一番詳しい情報だろうと思います。
 私もこれは核セキュリティ文化の話かというとちょっと今回の事故は違うだろうなと思いますが、そもそもなぜあの作業をしていたかというのは、実は核セキュリティにちょっと関係したようなお話なのかなと。というのは、もともときちんとあるべきものをちゃんとしたところに保管してあったのかという指摘が規制庁からあって、それを確認している作業だったはずなので、もともと少しそういった文化が薄れていたというところがあったのかもしれないなと思いました。単なる感想です。
(上坂主査) 私も放医研、QSTの方と連絡を取りましたが、非常に慎重で、非常に難しい測定だから、1週間ぐらいかけて3度ぐらい体内と体外の計測をしてから公表したかったようですけれども、なかなかそういうわけにいかないので、その時点での推測の数字も含めて出さざるを得なかったということのようです。毎回少し変わるということがあるということは、それだけ難しい測定だということはQSTの方から伺っております。
(釜井室長) 先ほど五十嵐委員、喜多先生のほうからご指摘がありましたが、核セキュリティという観点に焦点を当てた上で、どういう記載ができるかというのは、また主査にご相談させていただきます。
(上坂主査) 恐らく核物質防護の観点で、規制上のバックフィットをかけたのだと思います。封印したのは30年近く前ということですが、例えばこのファイルなんかをずっと車の中に置いていると、1年弱でぼろぼろですよね。UVでぼろぼろになるぐらいだから、40年間放射線のあたるところに置いておいたら、かなりビニールは劣化します。
 安全とセキュリティの関連を考えたんですけれども、前回の議論で小松崎委員から内部要因という指摘があって、一般のセキュリティ、セコムさんから内部要因が重要であるというご指摘があり、また我々に対してそのための資料をご提示していただいて、私も早速読みました。
 私のところも東大の東海の施設も廃止措置中で、核物質もありますし、RIもたくさんあるという施設なので、そこでの環境や設備の劣化状況、それから規制が非常に厳格であるということ、そういう中で作業員のメンタル的なところ、前回もそういう話が、セキュリティにおいては重要であるということが小松崎委員からもご指摘があったので、その観点を今後考慮していくとより内からも強いセキュリティ対策ができないかなと思っております。
 ですので、いかがでしょうか。今のご指摘は重要で、そこのところはどういたしますか。
 非常に砕身ですけれども、非常に事は重大なので、それを時系列的には我々は知っているわけだから、盛り込む必要があるかもしれません。ちょっと相談させていただけますか。重要なご指摘、ありがとうございました。
 それ以外にはいかがでしょうか。
 報告書は事務局と私のほうで調整の後に最終版とさせていただきたいと思うので、可能であれば委員の先生方からご意見をいただければと思います。
 多田委員、いかがでしょうか。
(多田委員) 今日ひととおり読み上げていただきましたけど、非常によくまとまっているのではないかと思います。特に、付け加えるようなことは私からはありません。
(上坂主査) 出町先生、いかがでしょうか。
(出町委員) 大丈夫です。
(上坂主査) 布目委員は。
(布目委員) ありがとうございます。特にコメントはありません。
(上坂主査) 喜多委員。
(喜多委員) 人材育成関係をいろいろ盛り込んでいただいてありがとうございます。
(上坂主査) 五十嵐委員、ほかの観点からはよろしいでしょうか。
(五十嵐委員) 今、申し上げた点について、情報発信、社会とつなげていくことや実装のほうのポイントが重くなっているんですが、社会連携には情報発信のほうもあるということをもうちょっと入れていただけると。
(上坂主査) そうですね。社会発信という面が重要ですね。
 ほかによろしいですかね。
 今回、人材育成も当然必要だということで盛り込んでいただいております。核不拡散・核セキュリティの研究開発といいますとJAEAのほうからご紹介がありましたように検出技術、鑑識の技術。それからソフト的なバーチャルリアリティ、訓練用のソフトウェア、ハードとソフトの研究開発があったと思います。そこでの人材育成は当然必要かと思います。
 核セキュリティ、核不拡散に携わる方、あるいは管理される方の人材育成ということであれば、原子炉の安全を規制していく方が原子炉の保守の経験があることが望ましいということと同じように、核セキュリティ、核物質ですから、そういう方は、核燃料、核物質を取り扱った経験があるということは望ましいかなと思います。
 今、研究炉に関してはようやく近大炉と京大炉が動き出して、JAEAさんも小さい炉から動き出すということで、大学や研究機関でも研究炉の運転や使用経験、また再開されるということで、そういう意味で、核不拡散・核セキュリティの人材育成に関しては、やはり核燃料、核物質を使える施設がしっかりとあるということが非常に重要だと思います。
 委員の先生方におかれましては貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 本日いただきましたご意見等を踏まえ、私と事務局のほうで修正案を作成させていただきたいと思います。
 修正案につきましては、後日メールでお送りさせていただきまして、確認をお願いしたいと考えておりますが、最終的なとりまとめにつきまして、私にご一任いただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、中間とりまとめまで本作業部会として精力的に議論させていただきましたが、各委員の皆様のご協力を心より御礼申し上げます。
 他方、継続的な議論も引き続き必要な検討項目もありまして、今後本作業部会は引き続き開催させていただき、最終とりまとめ等に向けて引き続き審議させていただきたいと思いますので、委員の先生方におかれましては引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 もうご辞任ということで今日はいらっしゃいませんが、礒章子委員は保障措置の観点で的確な意見とコメントを常にいただきましたので、改めてここで感謝申し上げたいと思います。
 なお、本作業部会で中間とりまとめを議論させていただきましたことにつきまして、文部科学省を代表して、松浦戦略官より一言お願い申し上げたいと思います。
(松浦戦略官) 委員の皆さま方、今回の中間とりまとめにご協力をいただきまして本当にありがとうございました。
 昨今のような情勢の中で、核不拡散、核セキュリティの分野はますます重要性が増しておりますので、そういう中で文部科学省、JAEAとしてはやはり長期的な視点を持ちながら研究開発、人材育成、そういったことを図っていかなければいけないという役割があります。その中で今回の中間とりまとめが予算要求含めた非常に重要な道しるべになるということで、皆様方のこれまでのご協力に本当に感謝いたします。
 これから夏の概算要求がございますので、今回の中間とりまとめを参考にして、予算要求、年末の政府予算、とりまとめに向けて頑張ってまいりたいと思っています。
 ありがとうございました。
(上坂主査) ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 議題2の核セキュリティを支える科学技術に係る国際シンポジウム第3回核鑑識の報告につきまして、議題にあげさせていただくことになりましたが、先般6月2日月曜日にJAEAが主催して、国際技術シンポジウムが開催されました。その概要についてISCNの堀副センター長より発表をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(堀副センター長) こういう機会を与えていただきましてありがとうございます。シンポジウムについて報告させていただきます。
 目次にありますとおり、技術シンポジウムは何か、そして、今回行いました技術シンポジウムの概要、結果、まとめという流れで報告させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、2ページですが、技術シンポジウムにつきましては先ほど釜井室長のほうからもお話がありましたけれども、ここに書いてあります4つの目的で実施しております。1つは、機構が開発しています核不拡散・核セキュリティに関する技術開発の成果の展開。あるいは、関係機関の技術開発成果の共有。それから、この分野の国内関係機関の協力・連携の強化。技術開発ニーズ、課題に関する情報収集共有。そして、この分野における国際協力連携の促進ということでございます。
 下のスライドでこれまでの実績を書いておりますが、平成27年度から今回3回目ということで、第1回目は核不拡散・核セキュリティを幅広く扱いまして、特にサイエンスコミュニティの形成に関する議論を行いました。去年10月ですが、核検知技術開発に焦点を当てまして、その取組、成果展開、日本の強み等について議論を行っております。第3回ということで、今回、核鑑識に焦点を当てております。
 下に、参加者の推移が出ておりますが、第2回では核検知ということでメーカーさんが増えて、今回は大学の方が増えたということで、あとでちょっと説明しますが、150名くらいの参加者でございます。
 次の3ページ目に技術開発のシンポジウムの目的ということで、今回は核鑑識の理解増進を図るということと、それから技術開発に関わるニーズ、各国の取組について議論をする。それから、核鑑識に関するネットワークラボのライブラリ開発、分析技術開発、そういった能力を構築する、あるいは向上するための取組について議論するということで、シンポジウムにつきましては、セッション1が基調講演、セッション2、3がパネルディスカッション、パネルディスカッションの最初が技術開発ニーズについて。それから、2つ目のパネルが核鑑識のネットワーク化を主題としたディスカッションをしています。
 それから、3ページ目の下に概要を書いておりますが、場所は東工大のくらまえホールで行っております。JAEA主催で、東工大の共催、外務省の後援をいただいております。参加者は148名で、メーカーさんから32名、大学の先生と学生の方をあわせて29名、官公庁の方、大使館の方になっております。プレスの方は4社でございます。
 ここから概要報告になります。まず、基調講演は招待講演が2件。原子力委員会の中西委員、それかヨーロッパ共同体共同研究センター(EC/JRC)のAbousahlさん、特別講演はIAEAのDavydovさん、ISCNの富川でございます。
 4ページの下から概要ですけれども、中西委員からは原子力利用に関する基本的な考え方、日本のRI利用について紹介がありました。核鑑識の基本はRIとの起源を明らかにすることで、放射化学が非常に重要であるという指摘をされました。核セキュリティの確保と核鑑識研究に関して国内外の研究機関、大学等の連携に期待します。というお話がありました。
 それから、AbousahlさんからはECの核不拡散・核セキュリティに対する取組について紹介がありました。核鑑識に関しては、IAEAとの取組を締結して協力していくこと。それから、GICNTへの支援の実施ということ。核セキュリティトレーニングセンターを設立し、28カ国が核鑑識を含む演習に参加しているという話がありました。
 それから、5ページ目にいきまして、特別講演ですが、IAEA のDavydovさんからは、ITDBという不法取引データベースによると、3,068件の不正取引があったということで、核鑑識の役割は核セキュリティイベントに関連する訴訟手続を助けるために核・RIを含む証拠を検査することであり、核鑑識のゴールは、人、場所、物、イベントを結びつけるという話がありました。また、IAEAは、Coordinated Research Projects(CRP)を通じて、核鑑識研究の発展を促し、国家間で情報を共有を図っている、という話がありました。
 それから、ISCNの富川のほうからは、核鑑識技術の高度化、特に迅速化、正確性の向上が重要だということで、ISCNの取組を報告しております。
 5ページ目の下のスライドですが、パネルディスカッション1、これは技術開発に焦点を当てた議論ですが、MayerさんというEC/JRCの方、核鑑識国際技術ワーキングループ、ITWG、この主要なメンバーの方、パネリストとして、Davydovさん、IAEAの方、アメリカの国土安全保障省、DHSのWongさん、それから、科警研の土屋さん、ISCNの大久保が参加して議論いたしました。
 6ページ目の上のスライドですが、まず、Mayerさんのほうからは、ITWGの取組について紹介がありました。核鑑識ガイドラインの策定、人材育成、エクササイズの作成、専門家同士の議論の場所の提供を行っているということ。
 また、爆発によって飛散した放射性物質の鑑識における技術的課題として、拡散、蒸発、再凝縮が起こり、ほとんどのシグネチャが変化してしまうということで、そのための技術開発が必要だということで、その取組について紹介がありました。
 DHSのWongさんからは、米国において国家核鑑識技術センター、FBIやDHSとかエネルギー省が構成しているセンターですが、ここで核鑑識の技術開発を行っているという紹介がありまして、特に、分析手順の開発とシグネチャの両方の開発が必要であり、標準物質を揃えるためには国際的な協力関係が必要である、という点を紹介されました。また、人材育成が必要で、博士号を有する専門家を集めて核鑑識に必要な分野横断的な教育を始めている、という紹介がありました。
 それから、6ページ目の下のスライドで、科警研の土屋さんからは、科警研では鑑識科学のR&Dとか、科学捜査研究所のトレーニングを実施しているという照会がありました。それから、現場隊員の被ばく管理のために、遮蔽物質の開発や実際の核物質を用いた訓練・評価を行っているそうです。それから、核鑑識では、試料採取から最後の特定までの核鑑識のフレームワークを強化する必要があるという点を指摘されています。
 ISCNの大久保からは、JAEAの取組を紹介しました。JAEAに法執行機関から分析依頼が来るということは予想されておりますが、このために分析計画の立案、サンプル分析、結果の解釈をスムーズに進めるための体制作りが必要である。という指摘がありました。
 それから、7ページ目がパネルディスカッションの2つ目のほうです。核鑑識の能力構築とか、国際協力に関するものですが、私がモデレータをしまして、参加者はIAEAのDavydovさん、それからカナダの原子力安全委員会、CNSCのEl-Jabyさん、この方は核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ、GICNTの主要メンバーでもあります。それから、韓国の核不拡散核物質管理院、KINACのHANさん。タイ原子力平和庁のBiramontriさん。それから、ISCNの木村がパネラーとなりまして議論を行っています。
 7ページ目の下のスライドですが、El-Jabyさん、10年以上カナダは核鑑識技術開発に取り組んでいて、核鑑識の運用能力及び起源評価のための参照データの開発を行っている。国家安全保障体制に核鑑識も組み込まれており省庁間連携が進んでいる、ということでした。アメリカとカナダは、相互に核鑑識協力を要請する手続を確認する演習を行ったことがあり、それが効果的であったそうです。それから、GICNTの活動に関して、核鑑識で求められている能力と現状とのキャップを診断する自己評価ツールの開発、それから核鑑識の演習が重要なんですけれども、そのためのガイドブック、Exercise Playbookを開発中ということです。
 それから、KINACのHANさんからは、韓国では、KINACが核鑑識技術開発を担っており、IAEAガイドラインに基づいて、国家緊急対応計画の策定それから核鑑識ライブラリの開発を進めていると紹介がありました。また、核鑑識には省庁間連携が不可欠であり、2011年から国内関係機関を対象としたワークショップを開催している、という紹介がありました。
 8ページ目の上のスライドですが、タイのBiramontriさんからは、タイでは2011年のASEAN地域フォーラム、ワークショップを開催しているという点。それから、米、欧州、オーストラリア等の協力で核鑑識研究所の資機材を整備し、また人材育成に努めているという点の紹介がありました。また、2016年に核鑑識に関するワークショップをASEANにおいても開催し、各国の関係者に核鑑識に関する情報を提供している、という話がありました。
 それから、ISCNの木村のほうからは、ISCNがIAEA、GICNT、FNCA等の会議、作業部会へ参加し、演習や試験等にも参加し、核鑑識技術の向上に努めている、という紹介がありました。
 8ページ目の下がシンポジウムの結果です。
 まず、1点目としては、米国、EC、カナダ、韓国、タイ、日本の核鑑識技術開発・能力構築に関する取組について共有が図られた。それから、核鑑識におけるIAEA、GICNT、ITWGといった国際機関・枠組みの役割・重要性を確認した。核鑑識技術開発のニーズとして、飛散した放射性物質の鑑識、新しい年代測定法、画像認識法、新しいシグネチャの開発等が重要であることを確認した。それから、核鑑識能力構築におけるシナリオ型演習、良好事例の共有、国際協力の重要性を指摘したという点があります。
 最後に9ページ目のまとめとして、今回のシンポジウムにつきましては、目的としていた核鑑識の理解増進、核鑑識の技術開発のニーズ、各国の取組状況、核鑑識に係るネットワーク化、地域協力等について議論を深めることができたということで、概ね目的が達成できたと考えています。また、サイドミーティングを行いまして、DHSやKINACと今後の協力・連携について議論を開始することができたという成果もありました。
 来年度、第4回目となる技術シンポジウムを開催する方向で検討しておりまして、どういったテーマに焦点を当てて議論するかについて検討しています。
 以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。いかがでしょうか。
 とても参加者が多かったです。よかったです。
 ご質問等はございませんでしょうか。
 メーカーさんから32名のご出席ですが、検出器メーカーの方ですか。
(堀副センター長) まず、大きなメーカーで日立、東芝、三菱、前に核検知をテーマとしたときに登壇されたポニー工業さんとか、あとヒューテックとか、そういう検出器メーカーに参加していただいています。
(上坂主査) 電力さんはいかがでしょうか。
(堀副センター長) やはり核検知のときも少し人数が減りましたが、核鑑識になって多分少し減っています。
(上坂主査) やはり三菱、日立、東芝さんはやはり鑑識技術システムに携わっている方でしょうか。
(堀副センター長) 日立さんは分析の方で。
(上坂主査) 研究所なんかで分析をやられている方ですね。
 核セキュリティ・核不拡散、それから鑑識でシンポジウムをやると非常に参加者が多くて、特に学生さんも30名程度、学生さんの参加も多いですね。これをぜひ人材育成に生かしたいと思います。関心はいろいろあるんですよね。かつ国際協力なんで、これは国際シンポジウムなので当たり前ですけれども、登壇者のほとんどが外国の方です。国際性もあるということです。それからあと、規制等々もありますから文化系出身の方も当然多いです。
(直井センター長) 6月1、2日に、GICNTのプレナリという77カ国から250名の専門家の方が集まった会議が東京でありました。それにバックトゥーバックで企画したということで、GICNTのプレナリの中でもこういうサイドイベントをやりますということを情報としてホームページで外務省さんが流していただきました。そういった観点で10名ぐらいのGICNTに参加された専門家の方がパネリスト以外、参加者として来ていただいたというのがありました。そういった観点で外務省に後援していただいたということです。
(上坂主査) そういうのも1つの方策ですね。
 ぜひこれも重要なので、今日ここまでの実績をやりましたが、3回目ということで、ぜひ半年に1度はやっていただくということでお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 以上で、本日予定しておりました議題は終了となりますが、その他にご意見、連絡事項等はございますか。
 事務局からお願いいたします。
(道川補佐) 事務局からお知らせいたします。次回の作業部会につきましては、後日日程調整をさせていただこうと思います。また、本日の作業部会の議事録及び議事概要案につきましては、でき次第メールにて確認依頼をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。
 次回の私が報告しなければいけない科学技術の学術審議会、研究計画評価分科会でしょうか。
(釜井室長) 原子力科学技術委員会の次回の開催日程につきましては夏ごろというふうに承知しております。
 主査のほうからおっしゃっていただきましたとおり、主査のほうのご一任となっていますけれども、今日五十嵐先生のほうからご指摘をいただいた点を含めて修正したものをご相談の上、メールでお送りさせていただきます。
(上坂主査) それでは以上で第13回核不拡散・核セキュリティ作業部会を終了いたします。
 ありがとうございました。

お問合せ先

研究開発局開発企画課核不拡散科学技術推進室、研究開発局研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))