原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会(第12回) 議事録

1.日時

平成29年5月10日(水曜日)10時00分~11時30分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局 会議室1

3.議題

  1. 核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置について
  2. 核不拡散・核セキュリティ作業部会における「今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について」(中間とりまとめ)(素案)
  3. 技術開発俯瞰図について(非公開)

4.議事録

(釜井室長) 定刻になりましたので、ただいまから第12回核不拡散・核セキュリティ作業部会を開催いたします。
 本日はご多忙にもかかわらず、各委員の皆様におかれましてはご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 平成29年度より改選の時期を迎えております科学技術・学術審議会がございまして、第8期から第9期へと期が変わったわけでございます。
 このような中、今週の月曜日になりますが、5月8日に原子力科学技術委員会が開催されまして、今期においても継続して、重要性に鑑みて、核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置をすることが決定されました。
 第9期におきましても、当作業部会の親委員会に当たります、原子力科学技術委員会の主査からの指名を受けまして、上坂先生に本作業部会の主査を務めていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これからの進行は上坂主査にお願いしたいと存じます。
(上坂主査) わかりました。それではよろしくお願いいたします。
 本日はご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は第9期最初の作業部会となりますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議題ですけれども、お手元の議事次第に書かれておりますように、「(1)核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置について」、「(2)核不拡散・核セキュリティ作業部会における「今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について」(中間とりまとめ)(素案)」、「 (3)技術開発俯瞰図等について」となっております。
 また、本日は第9期最初の作業部会ですので、議題1の資料1-6におきましては、昨年度と同様に核セキュリティ等の観点で、機微な情報を含む意見交換を実施する可能性があるため、技術開発俯瞰図の策定に向けた作業部会の公開の手続きについての案を諮らせていただきたいと考えております。
 それでは、よろしいでしょうか。
 次に、事務局より、本日の出欠と配布資料の確認をお願いいたします。
(道川補佐) 本日は尾野委員、中島委員、布目委員が欠席ということで、10名中7名の委員にご出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしております。
 続いて、本日の配布資料の確認をさせていただきます。配布資料は全て右上に番号が付いております。資料を1つずつ読み上げますので、不足していないかどうかご確認をお願いいたします。
資料1-1「核不拡散・核セキュリティ作業部会委員名簿」、資料1-2「核不拡散・核セキュリティ作業部会の概要」、資料1-3「原子力科学技術委員会運営規則」、資料1-4「原子力科学技術委員会における作業部会について」、資料1-5「核不拡散・核セキュリティ作業部会の公開の手続きについて」、資料1-6「技術開発俯瞰図の策定に向けた本作業部会の公開の在り方(案)」、資料2「今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について(中間とりまとめ)(素案)」となっております。最後になりますが、参考資料1「技術開発俯瞰図の策定に向けた本作業部会の公開の在り方」となっております。
 また、各委員からいただきましたコメントをとりまとめた前回の議事録案をメーンテーブルにのみ参考配布しております。議事録案に対する追加コメントがありましたら、5月24日水曜日までにお知らせいただきたいと思います。
 資料の欠落等がございましたら事務局までお知らせください。議事の途中でもお気付きの点がございましたらお申しつけください。
 以上でございます。
(上坂主査) よろしいでしょうか。それでは、早速、本日の議題に入ります。
 まず、議題1「核不拡散・核セキュリティ作業部会の設置について」でございます。
 事務局よりご説明をお願いいたします。
(釜井室長) それでは、資料1-1から資料1-6に沿って、説明をさせていただきます。
 資料1-1については委員名簿、本委員会の委員名簿でございまして、当省といたしましては、これまでどおり10名の先生に全て継続して務めていただきたいというふうに考えております。
 なお、小松崎委員の肩書が若干変更になりまして、それは反映させていただきました。
 以上です。
 それから、資料1-2をご覧ください。こちらにつきましても、原子力科学技術委員会 核不拡散・核セキュリティ作業部会の概要ということで、従前のとおりでございます。
 1つ飛ばしまして、資料1-4をご覧ください。こちらにつきましては、平成29年5月8日、今週月曜日の原子力科学技術委員会で決定されておりまして、2番目にあります核不拡散・核セキュリティ作業部会、本委員会を含む7つの作業部会の設置が決定しております。
 それで、主な検討事項ですけれども、原子力科学技術委員会の決定に従って、簡単な記載として書かせていただきました。これも従前のとおりでございます。委員会の成立要件も従前のとおり、定足数に関する扱いも従前のとおりでございます。
 それから、資料1-3をご覧いただければと思いますが、これも原子力科学技術委員会の運営規則でございまして、今週月曜日の原子力科学技術委員会で決定されております。内容は従前のとおりでございまして、第4条のところに、会議の公開・非公開に関する記載がされております。昨年の公開・非公開の取り扱いでも、これを踏まえて本作業部会として公開・非公開、核セキュリティに関する機微な情報を含むものについては非公開とすることについて、決定していただいたというふうに承知しております。
 資料1-5をご覧いただければと思いますけれども、こちらにつきましては、核不拡散・核セキュリティ作業部会の公開の手続きということで、傍聴、報道関係者、会議撮影等に関する扱いということで、こちらも従前のとおりでございます。
 資料1-5については、よろしければ、この場でご了承をいただければと考えております。
 資料1-6が、昨年の扱いと一緒ですけれども、技術開発俯瞰図の策定に向けた本作業部会の公開の在り方(案)ということで、ご了承いただきたいというふうに考えてございます。
 最初の1.の「背景」のところの中ごろからなのですが、先ほどご紹介申し上げました原子力科学技術委員会の運営規則の第4条を踏まえまして、原則、公開としています。
 ただ、第7回作業部会におきまして、今後の技術開発俯瞰図策定に向けた議論の過程で、核セキュリティ等の観点で機微な情報を含む意見交換を実施する必要が生じる可能性があり、非公開で議論を行う方が適切な場合もあるとの指摘がございました。このため、第7回以降の作業部会において、可能な限り会議を公開するという前提条件ではございますが、包括的かつ正確な情報の把握、率直な意見交換のため、俯瞰図とりまとめに向けた本作業部会の公開の在り方について整理を行っているということで、3.の公開・非公開の態様のところなのですが、これも従前のとおりなのですけれども、公開部分につきましては、一般からの傍聴可とし、議事録公表する。非公開部分については、一般には公開せず、委員、事務局のみが会議に参加するものとするが、議論の深化に資すると考えられる場合は、本分野の専門家を参加させることができるということでございます。
 今後の作業部会の取扱いといたしましては、今日の作業部会につきましては、先ほど上坂主査からご指摘ありましたとおり、技術開発俯瞰図については非公開、それから第13回の作業部会で、今、日程調整させていただいていますけれども、中間とりまとめ(案)諮らせていただく際には公開という扱いですが、継続的にご審議をいただきます技術開発俯瞰図については、非公開というふうな扱いでさせていただければと考えております。
 後ろのページについては、運営規則の抜粋でございますので、割愛させていただきます。
 私からは以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ご質問、ご意見あれば、おっしゃってください。
 ここまでの経緯や決め事、特に公開・非公開の取り扱いの確認だと思います。いかがでございましょうか。
 また後でご指摘して結構です。よろしければ、資料1-6に基づきまして、本日の議題のうち、議題(3)「技術開発俯瞰図等について」、核セキュリティ等の観点で機微な情報を含む意見交換を実施する可能性があるため非公開とさせていただきますので、ご了承をお願いいたします。
 では、次の議題に移りたいと思います。
 議題(2)「核不拡散・核セキュリティ作業部会における「今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について」(中間とりまとめ)(素案)」です。
 本素案につきましては、昨年から今後の核不拡散・核セキュリティに関する技術開発課題についてまとめた研究開発俯瞰図をまとめるべく議論してきたわけでありますが、俯瞰図の議論をする上で、各委員々から、全体としての研究開発や人材育成の推進の在り方についてまとめたほうがよいとの議論向になり、事務局と私、主査で作業いたしまして、各委員の皆様からの意見もいただき、このようなとりまとめの案になっているかと存じます。また、本部会の指摘を受けて、関係省とも調整を事務局からしていると承知しております。
 本部会としては、今後とも俯瞰図を含め継続的に議論していきますが、本案の研究開発の進め方につきましては、次回の6月の本部会をめどに中間とりまとめを行い、文部科学省や関係機関の今後の取組に反映できるところはしていただくことを検討していただきたいと考えております。
 そういうことでございますので、それでは事務局からご説明をお願いできますでしょうか。
(釜井室長) それではご説明させていただきます。
 資料2の核不拡散・核セキュリティ作業部会における「今後の核不拡散・核セキュリティ研究開発の進め方について」(中間とりまとめ)(素案)をご覧いただければと思います。
 先に経緯申し上げますと、平成28年5月に行いました第7回の本委員会から第11回の5回にわたりまして、最初は、俯瞰図に向けた検討、それからニーズ調査行っていたわけですけれども、先ほど上坂主査からご指摘がありましたとおり、複数の委員からいわゆるハードとしての研究開発ですとか、技術の推進方策ということではなく、全体としての人材育成を含めた文科省のミッションですとか大学の役割、それから全体としての推進方策、報告書というふうな形でまとめた方がいいというご指摘を複数いただきましたので、いろいろ調整させていただきまして、こういった素案にさせていただいております。
 それで、前回3月からの進捗度といたしましては、各委員に個別にご相談させていただいてご意見をいただき、まだ抽象的な書きぶりではございますけれども、ブラッシュアップさせていただいたところでございます。また、後ほどご説明をいたしますけれども、規制庁、科警研、外務省等の関係省にも協議をさせていただきまして、こういった記述であれば、中間とりまとめとして今回、公開の場で議論させていただくことも問題ないということについての確認までは取れているところでございます。
 ですから、仮に6月を中間的なゴールとしてとりまとめるに当たっては、ブラッシュアップしていきますけれども、こういった方向性であれば、おおむね公開の場の報告書としていいのではないかというふうな見込みは立っているところでございます。
 それでは、順にその説明をさせていただきます。
 まず、「はじめに」ということなのですけれども、最初の3つの段落は、これまでの取組ですとか、あるいは核セキュリティ・サミットのプロセス等について書かせていただいておりますけれども、4段落目以降は、このような中で、核不拡散・核セキュリティの我が国全体としての取組のうち、文部科学省は、人材育成や研究開発の役割を担っており、今後、当該分野を戦略的かつ効果的に推進していくことがますます重要になっております。これを受け、核不拡散・核セキュリティ作業部会において、有識者、学会、研究機関、関係省庁の協力を得ながら、核不拡散・核セキュリティ分野の国内外のニーズ、本分野における我が国の強みや研究開発課題等を整理し、核不拡散・核セキュリティ分野における研究開発の今後の推進に当たっての基本的な考え方、課題、今後の施策向性をとりまとめた、というふうにさせていただきました。先ほどご説明いたしましたように、必ずしも技術のみに立脚した俯瞰図に限定されないような形の書き方にしております。
 それで、次の段落ですが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のようなタイムリーな文科省のミッション、それから核不拡散・核セキュリティを担保するに当たっては、やはり長期的な取組が不可欠であるというふうなご指摘を五十嵐先生からいただきましたので、関連の取組を継続的に行っていくことが不可欠である。とりわけ、人材育成や研究開発のような活動は、長期的な視点で長期に渡って行っていくことが不可欠であるというふうに書かせていただきました。
 他方、複数の委員から、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会もありますし、あとは、上坂主査からご指摘いただきまして、米国の新政権においても核セキュリティが重要政策課題というふうな報道もあるということを書かせていただきました。
 1ページ目の最後の段落ですけれども、このことから、我が国として今後ますます核不拡散・核セキュリティに関して、しっかりと行っていくことが必要であるというふうな形にさせていただいております。また、今回の議論をいただいた皆様からのご指摘のキーワードとして、やはり関係機関同士の連携ということが大事だということと、我々としては、人材育成・研究開発担っていくのですけれども、社会的要請に応えていくということも視点として重要ですので、そういったところを書かせていただきました。
 2ページ目の「2.核不拡散・核セキュリティを取り巻く状況」につきまして、国際的な議論なのですが、ここについては我々で文案を作成して、外務省にも細かいところを見ていただいているところでございます。
 具体的には、国際的な議論としましては、いわゆるオバマ大統領のときの核セキュリティ・サミットのプロセスがあるわけです。それで、2つ目のポツのところですけれども、2016年3月米国のワシントンD.C.で開催された最後のサミットである第4回サミットで、サミット終了後も引き続き核セキュリティ強化に取り組むため、IAEA、国連等の国際機関・枠組みにおいて引き続き議論されていくことになり、IAEAが核セキュリティ強化の取組について中心的な役割を果たすこと、また、各国が今後も核セキュリティ強化に向けて努力していくことが確認された。つまりフォローアップが大事だということです。
 昨年12月に開催されましたIAEA核セキュリティ国際会議、こちらにつきましては、ISCNの直井センター長、堀副センター長が参加されていると思いますけれども、我が国からは、核セキュリティ・サミットでコミットした核物質の最小化と適正管理の取組を引き続き実施すること、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターを通じた核セキュリティ分野の人材育成・能力構築支援を継続すること、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けたテロ対策強化のため、大規模国際行事の核テロ対策に知見を有するIAEAとの協力を行っていくことを表明したというような形になっております。
 (2)は日本の取組ということなのですけれども、第1回のサミットにおきまして、「アジア地域を中心に、核セキュリティを強化するためキャパシティ・ビルディング支援を行うためのセンターをJAEAに設置すること、核検知・核鑑識技術開発を日米等の国際協力で実施し国際貢献すること」との声明を、首相レベルで出しまして、以後、ISCNを中心に、核不拡散・核セキュリティの確保に向けた取組を行っているということです。
 3ページ目上から7行目以降になりますけれども、出町先生等から、学会の活動も非常に活発ということですので、是非そういったところも書いたらどうかというふうなご指摘をいただきまして、学会における自主的な活動として、日本原子力学会では、原子力に携わる全ての関係者が、核不拡散・保障措置・核セキュリティに関する状況を十分認識した、原子力技術の研究開発を推進することが必要かつ重要とした上で、2007年より核不拡散・保障措置・核セキュリティ連絡会を設置し、継続的に開催している。また、2015年より同学会標準委員会の下に設置したSafety & Security分科会において、福島第一原発事故を踏まえ、安全と関連して核セキュリティ強化に関する検討が行われている。さらに、核物質管理学会日本支部においても、核セキュリティ強化に向けた研究会等が開催されているというふうな形にさせていただいております。
 それから、環境整備の関係では、規制庁に見ていただいていますけれども、旧RI法に基づいた取扱い書かせていただいております。
 このように、国内外において核不拡散・核セキュリティに関する重要性・必要性が、否応なしにも高まっているのだというふうなことを明確に書いた方がいいというご指摘を五十嵐先生からいただきましたので、こういった記載にさせていただいております。
 それから、「3.核不拡散・核セキュリティ研究開発の今後の推進に当たっての基本的な考え方」ですけれども、基本的な考え方といたしましては、現在、過去4回のサミットの議論を初めとする国際的な情勢を踏まえ、核不拡散・核セキュリティの取組として求められていることは、核物質その他の放射性物質のセキュリティ強化・規制を含む、核物質等の適正管理、核セキュリティに関する条約の順守及び核セキュリティ強化に向けた人材育成支援・研究開発、人的資源の開発、教育及び訓練を通じた核セキュリティ文化の促進のための協力及びこれらの分野において国際会議でコミットした取組の履行、実施を挙げております。こうした全体の取組の記載についても、不十分かもしれませんが、関係省庁に確認をいただいているところでございます。
 3.(2)からが文科省の役割ということなのですけれども、前回、3月の委員会におきまして、私ども事務局も整理ができていなかったということもありまして、おわび申し上げたいと思うのですが、多田委員、それからご欠席いただいている尾野委員から、この作業部会のとりまとめはどういう形でとりまとまっていくのかというご指摘をいただきまして、その後、いろいろ整理をいたしました。本作業部会は、あくまで文科省の作業部会でございますので、全体の取組を記載した上で、今後の施策の反映については、大学ないしは研究開発活動の支援ということに対しては、文科省のミッションとしてできるわけなのですけれども、それ以外のところについては、いわば、つなぐことはできるとは思いますけれども、我々、直接的に所掌に基づいて責任を負っている分野について今後の予算措置なのか、別の措置なのかわかりませんけれども、そういったところに反映していくというふうな整理をさせていただき、文科省の役割、つまり、支援とか推進とかを含む文科省、大学、それから研究機関の役割に特化した形で書かせていただいているところでございます。
 文部科学省は、人材育成、科学技術、研究開発等を担う担当省庁として、核不拡散・核セキュリティにおける人材育成や研究開発の取組を行うとともに、研究開発の成果を社会につなげていくこと、また、当該分野における技術的、科学的な動向を把握していくこと等により、我が国の核不拡散・核セキュリティの確保に貢献していく必要があるというふうにさせていただいております。こちらも時間がなかったので書けなかったのですが、技術的な動向とかそういうふうなのもあるかと思いますが、ある委員の先生から、社会の在り方とか、そういうふうなのを踏まえて我々も社会につなげていくという視点がやはり必要なのではないかという指摘もいただいておりますので、よろしければ、6月に向けてそういった記載というのも追加していきたいというふうに考えております。
 (2)は、文科省の役割ということで、こちらも読み上げさせていただきますけれども、文部科学省としては、核不拡散・核セキュリティの確保という国際的要請に応えるため、核セキュリティのためのキャパシティ・ビルディング並びに研究開発を行う必要がある。併せて、核不拡散・核セキュリティを今後持続的に確保していく上で、人的資源の開発、教育及び訓練を通じた核セキュリティ文化の醸成のための協力を行う必要がある。さらに、我が国において効果的・効率的に核不拡散・核セキュリティを確保するために、幅広く様々な取組を相互につなげて実施していく必要があるところ、文部科学省、大学、研究機関同士が連携し、人材育成、研究開発に取り組める体制を構築する必要があること。それから、ISCNについては、これまでの研究開発や人材育成支援の実績をIAEA等からも高く評価されており、そのような経験を国内向け人材育成にも生かす等、今後も継続的に事業を展開していくべきであることというふうに書かせていただいております。
 「4.課題」ということで、我が国にとって、核不拡散・核セキュリティに関する人材育成や研究開発は必要であるが、特に研究開発は、成果展開のターゲットを明確にし、ニーズを踏まえて戦略的に実施する必要がある。そのための課題を以下に示す。
 読み上げますけれども、1ポツ、詳細にわたる研究開発分野、我が国の今後の状況や将来も見据えた、推進すべき研究分野の明確化。
 2ポツ、核不拡散・核セキュリティの取組を今後持続可能なものとし、将来にわたる安全・安心を確保する担い手としての人材育成。
 3ポツ、受益国のニーズやほかの国の研究拠点・中核研究拠点との役割分担を踏まえた人材育成戦略の策定及び核不拡散・核セキュリティ分野に人材を引き付けるための更なる取組。
 4ポツ、研究分野と社会実装への隘路の解消ということで、実用化への道筋の明確化、それから、いわゆるシーズサイドとユーザーとの連携の強化、それから、関係行政機関間との連携が重要であるということです。
 「5.今後の施策向性」ということで、先ほど申し上げました核不拡散・核セキュリティ研究開発ということで、いわゆるハード的な意味合いについての研究ですとか、技術に関する記述ということで、そこを(1)に書かせていただいたということです。
 こちらにつきましては、昨年夏に行いました関係省等へのニーズ調査の結果を踏まえて行っていくというふうなことになると思います。
 それで、考慮すべきものとしては、丸1 として、核不拡散技術・核セキュリティ技術・研究開発のニーズということで、こちらにつきましては、昨年9月に行われました第8回のニーズ調査結果として公開の場で報告しておりますけれども、それを踏まえて、対応していくということです。
 丸2 といたしまして、核不拡散技術・核セキュリティ研究の今後向性、いわゆる俯瞰図なのですが、ここは申しわけないのですけれども、機微技術を含むため公開の在り方の決定に基づき非公開ということにさせていただきたいのですが、そこについて扱う際にも、以下の丸に記載されているような点を考慮し、実施すべきではないかということで、丸が4つあります。日本の強み(国際的な動向調査)、それから、国際協力の観点も踏まえて整理すること。去年の議論でも、日本として優位性のあるところを考えていかないといけないというふうなことを礒先生等、複数の委員の先生からご意見をいただきましたので、そういったところを書かせていただきました。
 あとは、研究開発の推進に当たっては、リスク、脅威は何かを分析・評価した上で、最適化して行っていくという点。
 それから、本分野を取り巻く状況として、サイバーセキュリティの関係ですとか、IoTが急速に進展する中で、これらの対応も必要ですし、例えば社会実装に向けては、グローバルな視点で社会実装していくということが大事でありますので、それを踏まえて戦略を考える必要があること。
 それから、限られた時間でご議論をいただいていましたので、今後も継続的に、国際協力も含めて俯瞰的にさらに分析していく必要があるということを書かせていただいています。
 「(2) 核不拡散・核セキュリティ研究・技術を支えるもの」といたしましては、いわゆる人材育成がメインとなっておりますけれども、ソフトなところとかを含む周辺の支援とか、そういうふうなのを含んでいるところでございます。
 人材育成のところですけれども、今後も核不拡散・核セキュリティの取組は不可欠でありまして、当該取組を維持して取り組んでいく上でも、中長期的な視点での人材育成が不可欠。同時に、そのような人材育成が可能となるよう当該分野に対する社会からの理解、それから、核不拡散・核セキュリティ技術に関する意識を高めるようとする取組も重要だという点については、複数の委員からご指摘をいただきましたので、記載させていただいております。
 あとは、残りの丸につきましては、まずは大学の役割と文科省の大学への支援ということを書かせていただいていますけれども、繰り返しになりますが、今回の本作業部会におきまして、大学の役割として核セキュリティ、核不拡散に関する人材育成を行っていく上で、改めてそこに対する期待がなされてきたということと、やはり文科省として、そういった活動についてきちんと支援をしていかなければならないということを、繰り返しご指摘をいただきましたし、今回ご欠席いただいている尾野委員からも、そういったコメントというのをいただいておりますので、こういった記載にさせていただいています。
 まず、大学の役割ということなのですが、人材育成を行う機関として、大学等の教育・学術研究機関の果たすべき役割は大きく、核不拡散・核セキュリティの人材育成を持続的に行っていくことに対する貢献が期待されている。大学が課題を明確にしつつ、これらの人材育成を担っていくことが重要である。
 文部科学省の役割等といたしましては、人材育成により持続的に核セキュリティを実現していく中、大学のような学術研究機関が本来の目的を果たせるような配慮、具体的に言うと、機密指定の解除(declassify)これだけではないと思いますけれどもdeclassifyが必要であるとともに、ここからは尾野委員からのご指摘でありますけれども、各機関の規模といいますか、それぞれのキャパシティも考慮に入れて、効果的かつ効率的に核不拡散・核セキュリティのための取組を行っていくことが必要ではないか。
 あとは、これも複数の先生からご指摘いただいていますけれども、原子力の分野全体ということだけではなくて保障措置ですとか、核セキュリティ分野に特化したような人材育成プログラムが必要なのではないかというふうな指摘をいただいておりました。
 他方で、ISCNの役割につきましては、国際的にもかなりブランドとして、ある程度、醸成されているというのもありますし、サミットレベルにおきましても、いわゆるトレーニング、事業者・研究者に対するトレーニングとして、ISCNの役割というふうなのは重要だと思いますので、そういったところについても引き続き行っていくということだと思います。
 それから、ISCNと大学間の連携という点でも重要でございまして、核セキュリティを持続的に確保する上でも、人材育成を担う大学が役割を果たして、裾野を広げていくことということと、ISCNと大学との連携を含みます拠点間のネットワークの構築というのも必要なのではないかと思っています。
 「丸2 その他のソフト的な対応」といたしまして、研究開発等については、今後は分野限定せずに、国内外の機関とも連携していくことが重要だということと、あとは、これは小松崎先生を含む複数の先生からのご意見なのですが、サイバーセキュリティや人の動きに着目した防止策の重要性、それから、千崎さんに説明をいただきましたけれども、アジア原子力協力フォーラムの核セキュリティ分野の取組というのも、プロジェクトを作ってやっていますので、こういったところを活用してアジア展開をやっていくといいのではないかということ。
 それから、「(3)国際戦略」といたしましては、外務省からもこういった国際戦略というふうな視点でも是非やってくれというふうな形で支援いただいておりまして、IAEA等の国際機関との協力・貢献というのがありますし、実質的な活動として、例えばISCNと世界核セキュリティ協会(WINS)との関係であるとか、ワークショップの開催等もあります。あとはやはり核セキュリティの関係ですと、米国との関係というのがやはり非常に重要だというふうなことは、外務省からも指摘をいただいているところでして、今年6月末に行われますけれども、日米核セキュリティ作業グループ(NSWG)の枠組みを活用した協力もあるのではないか。それから、アジアとの協力については、FNCAの枠組みですとか、日中韓の枠組みですとか、ISCNの人材育成等を活用してやっていくといいのではないかということです。
 「(4)社会実装につなげるための取組」といたしましては、基礎研究分野から社会実装につなげていくための取組として、既存の基礎研究であっても研究が進展する上で社会的なニーズをこれまで以上に参酌すること、それから、あるべき今後の社会を踏まえて新たな研究開発を行っていくこと等が、重要な視点としてあります。
 「(5)関係省、関係機関間の連携」といたしましては、核不拡散・核セキュリティは多岐にわたる取組であり、社会からの要請や実装に向けた視点も今後ますます必要となるので、関係省・関係機関間の一層の連携が必要だというふうなことについて、記載させていただいています。
 以上でございますが、補足させていただきますけれども、今回ご欠席されています尾野委員、中島委員、それから布目委員には、何度かコメントをいただきまして、本案でご了承いただいておりますので、この方向性に基づいて、6月に向けて準備すればいいのではないかということ。それから関係省についても、繰り返しになりますけれども、ニーズ調査を行った省庁、科警研ですとか、あとは国交省、それから国家安全保障局等もありますけれども、それに加えまして外務省、経産省にも照会を掛けて問題ないというふうな回答をいただいているところでございます。
 あとは、6月に向けて、よろしければ、少し文言的にこなれていない点ですとか、大学と文科省の役割等で、順番が必ずしも整理されていないところとかはありますので、そこについてはブラッシュアップさせていただきたいというふうな点でございます。
 また、これは五十嵐委員からご示唆いただいたのですけれども、核セキュリティと保障措置(SG)に関する現状と課題を簡単に最初にまとめるといいのではないかといったご指摘がございましたので、そういったところを書けないかということを検討させていただきたいと思っております。
 以上でございまして、こういった方向性でよろしければ、上坂主査から発言いただきました、6月の中間とりまとめに向けまして、まずは今日のご議論を踏まえまして、各委員の皆様と個別にご相談させていただきながらも、関係省にも再度、相談いたしまして、中間とりまとめに向けて準備していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
(上坂主査) ありがとうございます。
 非常に丁寧にご説明、各要点を強調してご説明いただいたかと思いますが、いかがでございましょうか。
ご意見、コメント等ございましたら、よろしくお願いいたします。
(喜多委員) 個別のことは別途ご相談させていただきますけれども、全体的に、核セキュリティに重点が置かれていて、核不拡散についての言及が少ないように思います。
 特に、日本の国際情勢を見ますと、北朝鮮のように核不拡散の努力の失敗という失敗例があるわけです。この作業部会でやるかどうかは別にしても、そこから何を学ぶのか、同じようなことが起こらないためにどうするのか、あるいは核技術の密輸等、そういった視点も必要なのではないかと思います。
(釜井室長) そうですね。まだ、ポイントにしかなっていない部分もありますし、あとは個別に核不拡散と核セキュリティに対する現状と課題みたいなのを整理していく上で、肉付けをしていきたいと思います。そういったときに、喜多先生のコメントを受けまして、よろしければそういったバランスみたいなのを考慮して作業を進めさせていただきたいと思います。
(上坂主査) そうですね。あと、まだセキュリティに重点が置かれているという点ですね。
(喜多委員) 今、ホットな部分はそこですので、それはそれで結構だと思いますけれど。
(上坂主査) ただ、国外ではトランプ政権のことやいろいろなことがありますし、必要な視点からのご指摘だと思いますが、いかがでしょうか。
(小松崎委員) 参考ですが、実は、セキュリティというのは、私たちが日本で一番先に使い始めた会社です。それで、今も少々混乱があるのが、セキュリティというと、一般的に防犯というふうに非常に狭く捉えられる傾向があります。
 ところが、私たちがこの言葉を使ったときには、防犯はワンオブゼムとして考えていまして、医療もセキュリティなのです。つまり、人が生存を続ける、自分だけではなくて、自分のコミュニティとか自分の国とか、生き続けられるために必要な要素というのは全部セキュリティの対象であります。極端な例を申し上げると、国連の安全保障理事会は英語で言うと、Security Councilなのです。ですから、本来のこの意味合いで使うならば、本当は核セキュリティといったら、その中には核不拡散は入らなければいけないのです。
 それから、今回、文科省さんがまとめられたこの文章を読むと、ここで実現したようなことがうまくいけば、核不拡散も同時に実現されるというふうに読めなくもないです。つまり、盗まれないとか、きちんと管理されているということが行われていれば、結果としては拡散しないのです。ですから、もしそういうふうに見たときに、それだけでは不十分で、やはり特定の施策を核不拡散というところにフォーカスしてやらなければいけないものが漏れているとしたら、ここに、喜多さんおっしゃるように、盛り込んでおいた方がいいような気がします。言葉は今さらいじる必要はないと思いますが、核不拡散特有のものをきちっと入れておくという確認は必要なような気がいたします。
(釜井室長) そうですね。おっしゃるとおり、私ども書いていて、正直、ジレンマがあるのは、核不拡散と核セキュリティ、それから核セキュリティの概念が結構違ったりする中で、どこまでのところが共通ニーズで、どこまでのところが個別ニーズかというのはやはりあると思います。
 共通的なところについては、一緒にやっていければいいのだと思いますけれども、個別のニーズ、例えば核不拡散に特化されたような形の取組で、文科省として漏れがあるかどうか。6月にまとめるものとして恐らく期待されているのは、概算要求も含めてなのですけれども、文科省としての必要な取組の施策に、我々として提言したら、反映させていかないといけませんので、そういった今後の取組として抜けがないような形で、6月に向けて精査させていただきたいというふうに思います。
(小松崎委員) あと、非常にテクニカルなことを言うと、文言の中に核セキュリティということだけ書いてあるところに、あるバランスで核不拡散・核セキュリティというのを入れておくと、それを意識しているのだぞということは文章から通じますよね。
(釜井室長) わかりました。
(小松崎委員) 文章のテクニック上の問題だと思いますけれども、個人的には、十分、核不拡散のことも盛り込まれているとは思いますが、言葉として不十分なのかもしれないので、そういう表現上の工夫もご検討されたらいかがかと思います。
(釜井室長) わかりました。是非、参考にさせていただきます。ありがとうございます。
(上坂主査) 室長がご説明された社会の違い、核不拡散、核セキュリティにつきまして一言申し上げたいと思います。今、原子力学会の教育委員会では、センター等のSと、セキュリティ、セーフティのSについての議論をしており、次回の理事会、どうしようかとかという議論のときに、やはり安全文化の中で、我々日本は福島事故から6年たって、日本からどういうセーフティ・カルチャーが発信されているかというのは、世界に問われているという議論が挙がっている。私は喜多さんとIAEAのスクールをやっているもので。
 現在、WANOとかINPOで安全文化とはどのように言われているかというと、まずは個人の安全に対する取組と責任と言われています。個人レベルの安全へのこだわり、こだわりはcommitmentという英語になっています。2番目が、経営層の安全に対する取組と責任、経営層の安全へのこだわり、あと、マネジメントシステムの構築と役割、管理体制となっています。個が非常に重要で、個と組織が重要といっています。
あと、社会や安全文化の違いなのですけれども、TMIを経験したアメリカやチェルノブイリを経験したロシアの安全文化を、日本は福島事故の直後に輸入したのではないかなという実感が私にはありました。といいますのも、例えばアメリカで見るとTMIがあった後、NRCという規制組織を作って、一見、規制対事業者というような関係を作ったように、日本でも同様なことがありました。
 ただ、アメリカのNRCやロシアのロスアトムというのは非常に大きな組織で、自分たちで研究炉も持っているし、教育設備も全部持っており、個が非常に強いのです。個が強い上で、規制対事業者というような関係をつくっているのです。個が強いので規制側と事業者側の知識がお互いに共有できるのです。それを協調、協力と言ってしまうと、日本では非常に不謹慎なのですけれども、それを不謹慎とすると、セキュリティも我が国において防犯とか犯罪とかテロリズムを発電所やJAEAや大学に直輸入していいのかという議論を原子力学会の教育委員会でしておりました。そうすると、例えば、安全文化という言葉があるのだったら、核セキュリティ文化というものを作っていくところまで、これからの議論だと思うのですけれども、そういうような社会の違いによる核セキュリティ文化の違いのようなものも、若干盛り込めないかなという気がしますが、多田委員、いかがでしょうか。
 急に振ってしまいましたが、今日、尾野委員がいらっしゃらないので、事業者あるいは企業さんとして、発電所の中でのセキュリティと考えた場合、本当に監視で悪い人を監視するというよりは、それよりも組織が縦割りとか、個が知らないとか、個の知識が足らないとか、あるいは、ある人に仕事が集中し過ぎていて不満がたまっているとか、そういうところの課題が、悪い人を探すことよりも重要であって、そして、それを見つけたら、法律を破ったからパニッシュメント、罰を与えるのではなくて、教育するのが重要だと思っています。育てる。それも、今、小松崎委員より医療とおっしゃられまして、そうなってくると、人ですから、医療とまでは言わないけれども、我々は産業医というシステムを持っているのです。産業医は労働基準法なのです。そして産業医がいると、これはメディカルまでいくのだったら医療にいって、それでそういう情報を分析して、クラシファイして、組織改善、個の教育に持っていく。そういうような核セキュリティ文化的なもの、いい日本語がないのですけれども、constructive、建設的とか、あるいは法律みたいに、破ったら罰するのではなくて倫理的なものとか、そういうセキュリティが日本には必要ではないかと思います。実は、私のほかに中島委員も非常に警戒感をもっており、大学のような小さな機関で、悪を見つけるセキュリティになってしまうと、やっていけない面があるのです。そういうこともございまして、多田さん、いかがでしょうか。
(多田委員) 個の意識というような話ですが、実は6ページの一番上のところを少々気になっておりました。ここに核不拡散・核セキュリティ技術に対する意識を高めるという言葉が入っておりまして、誰の意識なのだろうというのがちょっと気になりました。文脈からいうと、社会の意識とも取れるし、そうではなくて、ここは今上坂主査がおっしゃられたような、携わっている人の意識とも取れるし、誰の意識なのかなというのは、読んでいて気になっていたところです。
 私はメーカーなのでメーカーの話をいたしますと、やはりどちらかというと、安全文化の中の1つとして捉えているセキュリティ、逆に言うと、余りフォーカスしていないかもしれないというところはあるかもしれません。ただ、安全文化の中で捉えております。
 それからもう1つは、技術者倫理ですね。安全文化と技術者倫理については、メーカーの中では、担当者全員に周知して、勉強してというような、そういう教育はなされているというふうに認識はしています。
 それをどこまでこの文章に書いていくのかとかという話はあるかもしれませんが、書けるとしたら、さっきのところの意識を高めるといったところの意識、誰の意識というところかなというふうに思いました。
(上坂主査) 私の所属は小さい組織なのですけれども、今、廃止措置中であり、かつ核物質主要施設、RI主要施設で働く人間として、やはりそういう悪い人を見つけるようなセキュリティよりも、やはり組織間の壁とか仕事の集中とか、そういうのを是正したり、人を教育したりしていくほうが、結果的にはセキュリティが高まることになるような実感があるのです。そこには、技術は教育していけばいいのですけれども、やはりマインドも重要なのです。その点、五十嵐委員、いかがでしょうか。そこは、かなり理系的な、これを知っていればいいという話ではないのです。
(五十嵐委員) 上坂主査の質問の回答になるのかはわからないですけれども、私はこの委員会で核不拡散と核セキュリティというものがどういう部分を指しているかということが、一般の人にはわかりにくいと思うので、先ほどのご意見にもあったように、核不拡散の部分の記述が少ないと言われる部分が、どの部分を指しているか等を「はじめに」の前に、一般の人にもわかるように書いてみてはどうかというようなご提案をいたしておりました。それはなぜかといいますと、この部分が重要だというためには社会の理解が必要であって、やはり人材育成のためには大学だけではなく、初等教育から社会で重要なことであるということを伝えていかなければいけないと思います。ここで触れられているような社会との連携の中には、この分野はもっと広報した方がいいという部分がある一方で、この作業部会も非公開にする部分があるということで、非常に難しいという部分もあります。
 話は変わりますが、誰のための、何のための安全か、セキュリティなのかということは明確にした方がいいと思います。また、そのために様々な立場があると思いますので、そこについては、柔軟性を持った議論も必要かと思います。例えば大学であるとか、そういうところでの考え方というのは個別にあると私も思います。
 ただ、本文書を出していくにあたって、非常に国際的にも注目されていると思いますので、日本だけの特別な部分をあまり強調するというよりは、国際的に非常に理にかなっているものを出していく必要があるかと感じました。
(上坂主査) 日本だけという言い方は少し違っていて、安全文化は福島事故を受けて日本の安全がどれだけ向上したかというのが今、大分、形が出てきたという意味で、それは世界共通のことだと思っています。
(五十嵐委員) 先ほどの言い方は悪かったのかもしれませんが、国際的にも理にかなっている日本だからこそ出せるものを出せていけたらいいなというふうに言いたかったのです。
(上坂主査) そうなのです。日本から発信する世界スタンダードとして出せればよいのです。
(五十嵐委員) そうですね。そういうことができれば良いと思います。
(出町委員) 2つあると思いますが、核セキュリティに関する技術の開発と、上坂主査、五十嵐委員がおっしゃった核セキュリティ文化、両輪だと思います。例えば、規制に準じていないということが見つかったら、すぐ罰するというのではなくて、個人の意識を高めることが重要だと思います。これは核セキュリティ文化の中にも入っていると思います。おそらくこれはISCNでもやっていると思いますが、個人と個人、個人と上司、組織と上司の関係の風通しをよくするというものも、核セキュリティ文化に入っています。技術は技術で開発する。それをどう運用するかというのは核セキュリティ文化として個々に取り組むということは両輪としていいことだと思います。
 技術ばかりではなくて、実は風通しをよくするという考え方は国際的に見てさほど強くはないのです。IAEA等のセキュリティ文化の中では、個人の意識を高めましょう、マネジメントの意識を高めましょうという考え方が強く、風通しの部分を強調するというのは、日本的な核セキュリティ文化かもしれません。
(上坂主査) そうですね。オリンピックのおもてなしではないけれども、そういうところはかなり日本が強いところなので、そこは議論を始めていっていいのではないかと思います。
 (釜井室長) 今のご指摘を踏まえて、よろしければ、どういうふうな形で書けるかというのを事務局で検討させていただきたいと思います。
 先ほど出町先生がおっしゃいましたけれども、恐らく両輪なのではないかというふうには思っていまして、今のところの構成の立て付けでいうと、やはりハード的なものだけだと、片肺的なところというのがあるので、ソフト的なところの対応というのは、今のこれの構成になっていると思うのです。
 人の動きに着目したというのも、多くの先生から出していただいているので、そこはやりますが、恐らく、今の話を拝聴していますと、日本の文化というふうな、核セキュリティ文化、核不拡散文化の醸成というのは、IAEA等いろいろな国外においても、やはり文化の醸成というのは大事だということがありますが、それをどういうふうに日本的にカスタマイズするかということが課題かと思います。
 先ほど五十嵐先生がおっしゃったような、日本独自のものにするというよりも、日本の状況を加味した上で、こういうふうにやると、さらに効果が上がるというような前向きな発信の仕方で、何ができるかというところを考えていくということでしょうか。
(上坂主査) これはどの組織でも同じで、欧米はかなり役割分担が強い社会だと思うのです。しかし、両輪だというのは日本独自の特徴であるので、そういう議論もここに含めていただけるとよろしいのではないかと思います。
 (釜井室長) そうですね。あと6ページ目のところは、多田委員からご指摘いただいた意識というのは、確かに誰の意識かわからないところがありますので、おっしゃるとおり、明確化させていただければというふうに思います。
(上坂主査) わかりました。ブラッシュアップして、次の作業部会で再度議論させていただきます。本日は、ありがとうございました。

【議事概要】
議題(3)技術開発俯瞰図についてについて事務局より説明を行った。
以下非公開

お問合せ先

研究開発局開発企画課核不拡散科学技術推進室、研究開発局研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))