資料2-1 保障措置について

平成23年7月12日
事務局

1.保障措置の概要

保障措置とは,核物質が平和目的だけに利用され,核兵器等に転用されないことを担保するために行われる検認活動のことをいい,以下のような活動を通じて,我が国が核物質を平和目的のみに使用していることを示している。

(1)計量管理
原子力事業者は,原子炉等規制法に基づき,施設で核物質を取扱う場所を定め,その区域で一定期間に搬入・搬出される核物質の増減,現在の核物質の在庫の量を管理し,国に報告する。
国は,原子力事業者から受け取った報告を取りまとめ,国際原子力機関(IAEA)に提出している。

(2)封じ込め・監視
国及びIAEAは,核物質が密かに移動されていないことを確認するため,核物質が入れられた容器の蓋や原子力発電所における燃料の出入り口等に「封印」又は「監視カメラ」を取り付け,常時核物質の移動を監視している。

(3)保障措置検認(査察)
国及びIAEAの査察官は,日・IAEA保障措置協定及び原子炉等規制法に基づき,実際に原子力施設に立ち入り,以下の査察活動を行っている。
・施設に保管されている記録と国に報告された報告内容との整合性の確認
・記録どおりに核物質が存在することの確認(核物質の形態に応じて,刻印番号,核物質からの放射線の測定又は採取した試料の化学分析を行う)
・封じ込め・監視の結果の確認と必要な装置の保守

保障措置において問題が発生した場合,我が国の平和利用の目的に疑念を抱かれる可能性がある。

2.保障措置検認(査察)で行う核物質の存在確認の概要

1.(3)の保障措置検認で行なわれる記録どおりに核物質が存在することの確認については,各々の施設の類型ごとに以下のような方法により行われる。

(1)アイテム施設(核物質が密封されたまとまりで取り扱われる施設:軽水炉,高速炉,使用済燃料貯蔵施設,研究炉,臨界実験施設等)
密封されたまとまり(燃料集合体など)の員数勘定,非破壊測定による検認を行う。
例えば,軽水炉では,員数勘定として新燃料集合体,使用済燃料集合体それぞれの体数,刻印の確認を行い,必要に応じて燃料の非破壊測定を行う。非破壊測定では,ランダムに選択した使用済燃料集合体からの中性子を測定し,その集合体が実際の燃料集合体であること,燃料集合体を構成している燃料棒が抜き取られていないことを確認する。
事故前の福島第一原子力発電所は,アイテム施設としての保障措置が行われてきた。

(2)バルク施設(核物質が施設内で密封されていない状態(粉末状,液体状)で取り扱われる施設:濃縮施設,燃料加工施設,再処理施設,研究施設等)
重量測定,非破壊測定,サンプリングによる分析を行い,核物質の量を確定することによって検認を行う。
例えば,再処理施設では,工程内のタンク内の液体の量の測定及びそのサンプリングを行い,その核物質濃度分析値から核物質量を計算する。その計算された核物質量と申告値を比較して,施設が核物質を不正使用していないことを確認する。

3.福島第一原子力発電所における溶融燃料の検認

現在は,福島第一原子力発電所1~4号機には全くアクセスできないため,通常の査察は実施できない。IAEAと査察についてどうするか検討中であるが,将来,燃料を取り出すこととなるときには,検認が必要となるため,測定手法の開発が必要である。

以上

お問合せ先

研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当)

(研究開発戦略官付(核融合・原子力国際協力担当))

-- 登録:平成27年04月 --