第8期 環境エネルギー科学技術委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成28年11月1日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 今後の環境エネルギー分野の研究開発について
  2. 研究開発計画(環境エネルギー分野)案について
  3. 平成28年度事後評価について
  4. その他

4.出席者

委員

安井主査、高村主査代理、市橋委員、江守委員、奥委員、加藤委員、小長井委員、関委員、関根千津委員、関根泰委員、田中委員、手塚委員、花木委員、松橋委員

文部科学省

田中研究開発局長、藤吉環境エネルギー課長、樋口環境科学技術推進官、小野専門官、亀田課長補佐、石橋課長補佐、森課長補佐、直井地球観測推進専門官、尾西研究振興局参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付参事官補佐

5.議事録

【安井主査】  それでは、ただいまより、第8期になりますが、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会環境エネルギー科学技術委員会の第7回となります会合を開催させていただきたいと思います。
御多忙中のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、まず、事務局から本日の出席者の確認をお願いしたいと思います。お願いします。
【亀田課長補佐】  本日の御出席の委員ですが、20名中14名ということで過半数に達しておりますので、この委員会は成立となります。
また、後ほど議題(3)の議題に関連しまして、後ほど尾西ナノテクノロジー物質・材料担当参事官補佐に御出席いただく予定となっております。
以上でございます。
【安井主査】  ありがとうございました。
それでは、本日の資料の確認をお願いします。
【亀田課長補佐】  お手元の議事次第にございます配付資料となっております。配付資料、本体資料が資料1、資料2、そして資料2の参考資料ということで学術会議の提言、更に3-1、3-2、4-1、4-2ということで、計6種類、七つの資料がございます。あと、参考資料として参考1から参考4まで資料がございます。なお、参考資料3につきましては、メーンテーブルのみに配布をしております非公開資料となりますので、会議後に回収をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【安井主査】  ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。本日の議事でございますが、お手元の議事次第のとおりでございますが、終了時間は16時ということになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、最初の議題でございます。(1)今後の環境エネルギー分野の研究開発についてということでございますが、議題の(2)でございます研究開発計画(環境エネルギー分野)案についての議論の参考とするために、環境エネルギー分野におきます最近の情勢あるいは知見、動向等を御紹介いただきたいと思っております。本日は二つございまして、一つは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)における動向につきまして、ちゃんと時間どおりお見えになりました江守委員に、それからフューチャーアースに関しましては花木委員に御説明を頂きたいと思っております。それぞれ10分程度の御説明を頂きまして、その後10分ぐらいの議論の時間が取れればいいかと思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
それでは、IPCCにつきまして江守委員、お願い申し上げます。
【江守委員】  ありがとうございます。御心配をお掛けしてすみません。
IPCCについて説明するように仰せつかりまして、僕はいかなる意味でもIPCCを代表する、あるいは日本のコミュニティを代表するわけじゃないんですけれども、ある程度知っている者としてお話をさせていただきます。
おめくりいただきまして「IPCCとは?」、これはちょっと古い資料を共同議長の名前だけ変えてきたものですけれども、世界気象機関(WMO)及び国際連合環境計画(UNEP)の下に1988年に設立された組織でありまして、地球温暖化に関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、政策決定者を始め広く一般に利用してもらうこと。三つの作業部会があるのと、インベントリタスクフォースがあります。インベントリタスクフォースは日本が長年、そのホストをしております。ここに書いてありませんけれども、全体のIPCCの議長は、韓国のホーセン・リーさんという方になっております。
3ページ目ですけれども、過去に作成された報告書。評価報告書というまとまった報告書が1990年、95年、以下のように、最後は2013から14年の第5回までが発表されておりまして、最初、大体5年ごとだったのですけれども、だんだんちょっと延びてきておりますが、それに加えて特別報告書でありますとか、それから、インベントリタスクフォースが作っております温室効果ガスのインベントリを各国が報告を作成する際のガイダンスというものなどがこれまでに作られてきました。
次に行っていただきまして、IPCCの報告書が公表されるまでということで、これが特にIPCCの報告書というのはどれぐらい透明性があるのかとか、どれぐらいよく検討されたものが出てきているのかということを理解する上で重要だと思うのですけれども、あとはガバメントとエキスパートの共同作業であるということを恐らく理解する上で重要だと思いますが、IPCC総会というのは基本的には政府代表が集まる場です。そこで骨子案が決定されて、各国政府・国際機関が執筆者の推薦を行って、ビューロー(議長団)が執筆者の選出を行って、ファーストドラフトというのをオーサーチームが作りまして、それが1回目の専門家レビューというのがあって、それを受けてセカンドドラフトができて、右下の方に行きまして、専門家と政府のレビューというのがあって、ファイナルドラフトができて、そして最後に政策決定者向け要約(SPM)の政府レビューがあって、最終的に総会においてライン・バイ・ラインで承認を受けて、SPMの承認というのがあって報告書は完成するということです。
次の5ページ目は、特記すべき性質としましては、政府間パネルであるということです。世間ではIPCCは科学者の集まりだと思われているかもしれないけれども、政府間パネル、総会に出てくるのは政府であるということです。
包括的・客観的で透明性のある評価であるということを上のようなプロセスで目指しています。
政策に関して中立であること。これはいかなる意味で中立かというのは、よく考え出すと難しいですけれども、そういうポジションを目指しています。例えば、よくIPCCが言ったので2度とか1.5度に抑えなくちゃいけないという言われ方を世間ではされることがありますけれども、そんなことはなくて、IPCCには何度に温暖化を止めるとすればどういうリスクが避けられて、どれぐらいコストが掛かるとか、どういう技術オプションの可能性があるとか、そういうことが書いてあるメニューが示してあって、選ぶのは社会であるということです。レビュープロセスを重視するとか、研究自体を、あるいはモニタリングを自分ではやらないということが書いてあります。
次に行きまして、包括性・客観性を高めるための工夫として幾つか書いてあります。これは先ほど、図を用いて説明したこととかなり重なりますので、全部は読みませんけれども、一部申し上げると、例えば、レビューをやって、レビューは基本的に登録した専門家がインターネットで登録すれば基本的に誰でもドラフトのレビューができます。それでチャプターにつき何千といったレビューコメントが来るのですけれども、それを一つ一つ答えて、どのように答えたかというのを最終的に全部インターネットで公開しています。そのような形で、かなり客観性・透明性ということは意識しています。これはいわゆるIPCCに間違いがあるんじゃないかという批判が2009年ごろに盛り上がったことがありまして、それに応えて、より一段と気をつけるようになっているというふうにも言えます。
以上がIPCCのごく一般的な説明でありまして、次のページからは、研究コミュニティがIPCCの評価に向けてどのように協力をしながら研究をしているかということの一側面としまして、僕が比較的今までつき合ってきた、シナリオを通じた研究コミュニティの連携みたいなものについてちょっと御説明させていただこうと思っております。
前回の第5次評価報告書(AR5)のときからシナリオを通じた連携の考え方は変わりまして、それ以前は、左側に書いてあるように、逐次アプローチ。社会経済・排出シナリオがあって、それに基づいて出てきた放射強制力というか、実際には温室効果ガス等の濃度ですけれども、そのシナリオから気候モデルをWG1が回して、そして影響評価を第2作業部会(WG2)が行うという順番になっていたのですけれども、これだと時間が掛かるということなど、あるいはもっとインタラクティブにすべきだという議論がありまして、右側に書いてあるような、放射強制力というか、濃度のシナリオを代表的なものを先に幾つか決めてしまって、それを基に気候モデリングをやると同時に、それとマッチするような社会経済シナリオの研究というのをやって、それを後で取りまとめて影響評価に使おうと、こういう順番。これは最初考え出されたときには非常にいいアイデアだということで、これでやろうという話になったのですけれども、国際的なコミュニティの取りまとめは非常に大変ですので、思ったより時間が掛かったりして、いろいろ、最初に予定していたとおりには行っていませんけれども、このようなアプローチで今、考えられているところです。
次、8ページ目に行きまして、そのシナリオ一連のプロセスの中で、第1作業部会(WG1)、特に文部科学省が予算をつけているところに大きく関係するところとして気候モデリングのアクティビティーというのがありまして、世界中にグループがあって、モデル総合比較をやっている。それが結合モデル相互比較計画(CMIPs)というふうに呼ばれています。IPCCの第1次の報告書からCMIPsとの関係を並べますと上の図のようになって、ある時期からはアセスメントサイクルに1対1に対応するような形で研究コミュニティがモデルを開発して一連のシミュレーションを行って総合比較をしている。それを基に、8ページの下側にありますようなモデルの結果に基づいたアセスメントの図というのが出てきて、左のグラフにあるようにまとめると、こういう平均とレンジですけれども、実は1個1個、個々のモデルの結果というのが右の絵にあるように存在しているんだということです。
そこからシナリオの考え方の説明なのですけれども、9ページ目の代表濃度経路シナリオ(RCP)というのは、先ほど申しました代表的な濃度経路を先に決めてしまいましょうと。これを基に気候モデルを回すと。社会経済シナリオを待たずに回すというAR5のときから始めた考え方です。
次の10ページ目のShared Socioeconomic Pathways、SSPと呼んでいますのが、これが社会経済シナリオの方がどういう考え方で多様性を考えていくかということですけれども、いろいろ議論がありまして、結果的にここに書いてあるように、横軸が適用の難しさ、適用のチャレンジが、小さい社会から大きい社会という軸で、縦軸が緩和の難しさが小さいか大きいかという軸で、それぞれ4象限プラス真ん中で五つ領域があって、社会経済がどういう状態というのが緩和が難しかったり簡単だったり、適用が難しかったり簡単だったりするのかということをいろいろな人が集まってブレーンストーミングでストーリーラインを作って、今、それに基づいて人口、GDP等の数値が統合評価モデルで作られまして、これを用いて様々な評価を行っていこうということになっています。
その次に、去年の5月のことになりますけれども、AR5と6のサイクルのはざまに、シナリオに関してもう1回考えましょうという専門家会合が出てきました。そこで幾つか重要だと思ったことを言いますと、CMIPsの次期クライメートモデルの総合比較では、この社会経済シナリオも考慮したようなある種比較が入る。ScenarioMIPと呼ばれます。つまり、将来の社会経済の多様な世界像に基づいて気候予測が解釈されることになります。その際に持続可能な開発目標(SDGs)という議論も当然そのときからあったものですから、気候の問題というのは独立してあるわけではなくて、持続可能性問題の一部として、例えば気候の問題が生物多様性とか食料とか水とか健康とか、そういう問題との関わりとか、気候の対策がそういう問題にどう関わるかということもスコープに入れていくべきだという議論はかなりありました。
それから、1、2、3のモデリングを更に連携することですとか、あるいはSSPというのは基本的にはグローバルな視点から作られたものですけれども、地域レベルに落としこむためにステークホルダーと対話したりすることも重要だということが言われました。
それから、ちょっと幾つかのスライドは、今申し上げたことの説明の参考に付けているので、時間の都合で飛ばします。
15ページのスライドまで飛んでいただきますと、第6次評価報告書(AR6)サイクルの報告書作成スケジュール、これはつい数週間前にIPCCの総会がありまして、そこで決まったというのを出席された方から教えていただいたものですけれども、AR6の本体のワーキンググループ1、2、3と統合報告書のほかに特別報告書が幾つか計画されていまして、1番目の1.5度の特別報告書というのは、これはパリ協定でIPCCをインバイトしてこういう報告書を作ってもらうということで決まったものです。そのほかにも海洋に関するもの、土地に関するもの、それとインベントリのガイドラインが改良されるということがそこに書いてあるようなスケジュールで計画されています。
最後に、関連会合のスケジュールとして、シナリオに関する、特に安定化シナリオに関する専門家会合ということがあるということと気候変動と都市に関するワークショップ。特にグローバルなスケールだけではなくて、様々な都市スケールであるとか地域スケールの取組がどういうふうな役割を果たすかというのは一つ注目された観点としてあると思います。そのワークショップが計画されているということです。
以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。
時間をかなり厳守していただきましたので、質疑応答が短く終われば、さっき抜かした部分もちょっと追加でお話を頂くかもしれません。
まず、何か御質問あるいは御意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、例によりまして札を立てていただけると有り難いです。
誰も立たないみたいですね。もう常識的ということで。何かございませんでしょうか。
もしあれでしたら、抜かされたところも、ちょっとすみません、追加をお願いします。
【江守委員】  ありがとうございます。
じゃあ、ちょっと12ページの図を簡単に御説明させていただきますと、これは第6期結合モデル相互比較計画(CMIP6)、今回のAR6に向けた気候モデリングコミュニティの総合比較のプロジェクトで、今度は、CMIPsという総合比較プロジェクトの傘の下に、いろいろなMIP、様々な観点からモデルを比較するプロジェクトをいろいろなグループが立ち上げて、それが円の周りにぐるっと書いてあるものです。そのうちの一つ、右下の方にあるScenariosというものがシナリオMIPというもので、SSPとRCP、つまり社会経済シナリオと気候ターゲットの幾つかの組合せについて気候モデルのシミュレーションを行って評価を行うということです。
次の13ページ、最新の論文が出たのにそれよりも若干古いものを持ってきてしまったのですけれども、社会経済シナリオと気候のターゲットの組合せをどういうふうに選ぶかみたいなものを、こういう感じで行っていたんだという雰囲気だけごらんいただければと思います。横軸が社会経済シナリオでありまして、SSPの1から5というのがそれぞれミティゲーションとかアダプテーションのチャレンジが大きいとか小さいという、違う世界像を描いていまして、それで縦軸に放射強制力で書いてありますけれども、大体何度に安定化するかみたいなものが幾つかのレベルである。一番上のものは安定化させないでどんどん温暖化しちゃうというものですけれども、その組合せ、つまり全マトリックスをやると大変で、気候モデルの人は絶対やりたくないと言いますので、幾つか大事そうなものをマトリックスの中から選んで、幾つかの優先順位を付けて行うというのが今回の総合比較の、特に一番政策決定に関係しそうなシミュレーションのセットになると思います。
最後、14ページは、これはオットマー・エデンホーファーさんという、第5次報告書のWG3の共同議長をされた方がシナリオの会合で話されていたものを持ってきたのですけれども、マルが付けてありますように、Coupled model systemと書いてありまして、今後、気候モデル、影響モデル、それから経済のモデルみたいなものが、より一層緊密に連携してアセスメントを行っていくような姿が推奨されているといったところです。
以上です。
【安井主査】  ありがとうございました。
この段階で少し御質問をお考えいただけたかどうか。はい、どうぞ。
【高村主査代理】  どうもありがとうございました。
スライドの11枚目のところで、聞き漏らしていたら申し訳ないのですが、SSPのregionalizationというのはもう具体的にその動きが何かあるのかどうか。特にアジアでどうかという点についてお尋ねいたします。
【江守委員】  僕がこのときのワークショップで聞いて、その後、論文なんかも探した限りにおいては、アフリカで1か所とアジアで1か所だったと思いますけれども、既に、そのある地域の、例えば農業なら農業の将来像はどうなるかということをステークホルダーと対話しながらシナリオを作るという研究が既に行われて論文が出ているというふうに認識しております。
【安井主査】  ほかに何かございませんでしょうか。どうぞ。
【松橋委員】  非常に丁寧にありがとうございました。
適応についてちょっと教えていただきたいのですが、以前にちょっと適応をやってみようかなと思って試みたことがあったのですが、非常に難しくて。だから一番簡単なものをやろうと思って、海面上昇かなと。ところが、東京湾でやろうとしたのですが、海面がベースで上がってくるというのと、高潮とか、そこに津波が重畳してくる、そういうのをもう確率的に入れて、だから堤防をどれぐらいかさ上げすれば、省で言うと国交省になるかもしれませんが、そのリスクをどのぐらい抑えられるかという分析。それを真面目にやろうとすると場によって全然違うので、単なる海面上昇だけでもかなりの数の研究者を充ててやらないとまともな評価にならないのかなと思ったところなのですが、こういうアダプテーションのことについてどれぐらい具体的、定量的にIPCCで議論が進んでいるのかというのをちょっと教えていただければと思います。
【江守委員】  ありがとうございます。
僕がちょっと詳しくないので、余りちゃんとはお答えできませんけれども、周りでそういう種類の研究を眺めていて持っている印象だけで申し上げると、幾つかの地域に注目したケーススタディー的な詳細なそういったモデリングというのはあるのだと思いますし、適用策のコストも含めた、どれぐらいのリスクが減らせるかみたいな見積りも含めた研究というのはかなりやられているのだろうというふうに思います。それがどれぐらいグローバルピクチャーが描けるかというとまたちょっと違う話になってくるかもしれない。その場合にはもっとむしろ粗い方法で評価するというアプローチもあるのかなという気がしております。
【松橋委員】  分かりました。ありがとうございます。
【安井主査】  ほかに何かございますか。
まだ大丈夫そうですね。ちょっとそれじゃあ、5ページ目で、IPCCの性質・きまりごと、これは一応私は理解をしているつもりなのですけれども、昨日、ある座談会をやりましたら、やっぱり気候感度についての不確実性が高いという主張がいまだにあって、それで、その辺りについては、要するに日本だけなのかもしれないのですけれども、そういう意見をうまくフィードバックして、そこに対して特別に対応をとるような、そういう制度ないしは仕組みをつくるというようなことはあり得るんですかね、IPCCは。
【江守委員】  僕の理解で申し上げると、IPCCはアセスメントレポートを書くときに気候感度はもちろん重要な問題であるとして書いていると思いますし、そういう研究をエンカレッジするかどうかというのは、IPCCというよりはやっぱり研究コミュニティの取組になるのだと思うのですが、僕の理解では、研究コミュニティ、特に、世界気候研究計画(WCRP)、ワールド・クライメート・リサーチ・プログラムの重要な研究項目の中で気候感度、特にそれは雲のフィードバックの不確実性がどのように更に解明していくかということは、中心的な課題の一つと捉えられていて、研究コミュニティの中でそれは非常に多くの研究者が世界中で取り組んでいると思っています。
ですので、気候感度は大事なのに気候モデラーがちゃんと調べてないみたいなことは絶対にないというふうに思っております。
【安井主査】  ありがとうございました。
どうぞ。
【松橋委員】  すみません、度々恐縮です。15ページに1.5度の特別報告書を出すということがあるのですけれども。御説明された中に、1.5度とか2度っていうことの現実性をどう考えるかというのは大分議論のあるところだと思うのですが、非常に粗っぽい計算で、学生や何かと議論するときに言うのですけれども、2度で世界の排出量をどのぐらい抑えれば2度に収まるのかという、例の累積排出量と温度の線形のあれでやると、粗っぽく言うと、毎年2%ずつ削減していけば2度に収まるという感じなんですけど、1.5度だともっと、場合によっては2.5%とか3%近い削減率、途上国も含めてですね、ということになると思うのですが、この辺りの現実性、IPCCの集まる科学者の皆さんがどのように捉えておられるのか。
政治家は余りそこまでは想像しないで、世界が協力して、いい世界にしましょうということで、2度とか1.5度というのをパリ協定で作ったと思うのですが、研究者の側がどのぐらいこれを、どういう空気感で捉えておられるのか、江守先生の感触として教えていただければと思います。
【江守委員】  ありがとうございます。
僕は、1.5度のスコーピングというのがこの間あったのですけれども、僕は出ていませんで、同僚が出てきて、ちょっとその雰囲気を聞いたりとかはしているのですけれども、基本的には科学コミュニティはIPCC報告書の文脈では、科学的に分かることをしっかり書くと。ですので、1.5度と2度で影響リスクがどのぐらい違うのかとか、必要な排出経路どのぐらい違って、それはどんなオプションで達成し得る可能性はあるのかということを書くのだと思いますけれども、当然、実際書いてみれば……あと、もう一つ大事なのは1.5度といったときに、その定義といいますか、当然、先ほども話にあった気候感度の不確実性があるので、気候感度は高いか低いかによっても、1.5度を達成するために必要な排出パスというのが全然違いますよね。気候感度が仮に割と高かったときに1.5度以下に抑えようとすると、もうあと20年か30年ぐらいで世界の排出量をマイナスにしなくちゃいけないみたいな、そういうグラフになりますので、それはもうみんな見て知っているので、それは簡単なことじゃないということはもうみんな分かって、分かりながら議論していると思います。
しかし、報告書のスタンスとしては、まあ、分かっていることを書くのであって、どういう印象をそれで受け取るかというのは社会の側というか政治の側ということであろうと個人的には思います。
【安井主査】  どうぞ。
【関委員】  ありがとうございます。
先ほど、11ページの持続可能性問題の一部としての気候問題というところで、SDGsとの関連という話が出たというふうに伺ったのですが、全体の中の気候変動問題として捉えるということだとは思うのですけれども、具体的に、例えば第6次報告書を作成する中でどのような考慮がなされるのか。どんなふうな形で検討の中に入ってくるのかというところがもし何か分かれば教えていただきたいんですが。
【江守委員】  ありがとうございます。
僕は現時点ではまだ、これからスコーピングがなされて具体的に決まっていくものだと思いますし、どういう取扱いがなされるか分からないのですけれども、第5次報告書の中でもWG2の中で特に可能性との関係というのは随分書かれていて、そこでは単にリスクとかコストとかそういう問題ではなくて、やっぱり社会がどのように変わっていくか、いわゆるウェルビーイングみたいなものがどういうふうに評価されて、それが気候の影響とか政策とか、その波及効果としての様々な問題との関連からどう見ていくべきかとか、多分そういうことが書かれていたんだと思うんです。僕、ちょっとよくは読んでいないのですけれども。
少なくとも第6次でもそういう議論はあるでしょうし、更にどのように強調されるかというのはちょっと現時点では僕はまだ何も言えないです。
【安井主査】  ありがとうございました。
大変いい時間になりましたので、そろそろ次に移らせていただきますが、それでは、フューチャーアースにつきまして花木委員から御報告いただきたいと思います。お願いします。
【花木委員】  花木でございます。きょうは資料2を使いましてフューチャーアースプログラムの最近の進展について御紹介させていただきたいと思います。
めくっていただきまして、そもそもフューチャーアースのどこに特徴があるかということでございますが、フューチャーアースは特定のテーマをやるというものではなく、地球研究の国際的研究連携のプラットフォームだと、そういう言い方ができると思います。その背景には、この目的の最後に書いてございますが、従来の地球研究では実際にはなかなか問題が解決できていない。ただ、科学的な原理を調べるだけでは解決できず、社会とともに研究を計画しなきゃいけない。それを超学際的な研究と言っておりますが、それが必要になってきたということで、このフューチャーアースが始まったわけであります。
3ページにイラストが書いてございますが、先ほど江守委員からも名前が出たWCRP、あるいは地球圏・生物圏国際協同研究計画(IGBP)、生物多様性科学国際共同研究計画(DIVERSITAS)、地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画(IHDP)と、こういった研究が地球に関して研究されてきた。それぞれの分野で日本の多くの研究者がここに関わってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、なかなかこれらが社会の問題の解決につながっていないということで、この図の上の方に時計回りに見ていくと、Rio+20のときに、2012年にフューチャーアースの提案があったと。そしてフューチャーアースがスタートしたということでございます。
スタートしてから、どういったドキュメントが作られたかということが4ページに書いてございます。2013年の11月にフューチャーアースの初期設計報告書というのが作られました。ここで三つの大きいテーマを決めました。A、B、Cと書いてあるものでございます。それから、2014年の11月にフューチャーアースの2025ビジョンというものが決められまして、八つのチャレンジ、水・エネルギー・食料、脱炭素化、海洋などの水資源、都市、農村、健康、持続可能な消費、持続可能性への社会の転換と、こういったテーマについてチャレンジしていこうということになったわけでございます。各テーマのビジョンの中で、具体的な研究課題にどういうものがあるかということが2014年の12月に作られまして、そこには62の研究課題が、どっちかというと例示のような形で示されております。これが新しい枠組としてこういうことが言われてきたわけですけれども、一方では、以前から研究の蓄積がある。その研究の蓄積はコア・プロジェクトという形で現在まで続いております。
5ページにあるのがコア・プロジェクトの一覧で、略称ばかりで、なかなか関係者には分かるけど、外部の人には内容が分からないと思いますが、こういうのがあるということだけ御紹介いたします。
6ページに参りまして、フューチャーアースの特徴はステークホルダーを巻き込んでいくというところが特徴だということでありまして、この巻き込みの方針につきまして、今年の9月に新しいドキュメントが出ました。これは右側にちょっとイラストで書いてございますが、Future Earth Engagement Principles and Practiceというのが出まして、そこで基本理念と戦略というのが示されております。基本理念としては、先回りしてプロアクティブに巻き込みをする。それから、相手、課題に応じてフレキシブルに巻き込む。そして三つ目が、一つ重要なところですが、相手によっては緊張関係、利害対立が生じると。そこを認識して行うんだと。そして、包摂的で透明なアプローチと。こういう形でステークホルダーの巻き込みを進めていこうという方針でこれまで来て、それがドキュメントとしてまとめられたわけであります。
具体的にじゃあどうやってこのステークホルダーの巻き込みをするかということにつきまして、少しお話しさせていただきます。7ページに書いてございますのは、これは以前から進められてきているコア・プロジェクト、これに対してステークホルダーをどう連携させるかということであります。それぞれのコア・プロジェクトには固有のステークホルダーがいる。そこに対してco-design、co-production、co-deliveryと、いつも出てくる三つのワード、これがフューチャーアースの特徴でございますが、共に設計し、共に研究を実行し、共に成果を還元するというのをそれぞれ進めていこうということでありまして、それを個別にやるのではなくて、国際的な事務局が全体のいわば調整役を務めようと、そういうようなことで現在進んでおります。
そういった従来の研究にステークホルダー巻き込みを加えるというだけではなくて、新たな研究もスタートしております。スライドの8、次のページにありますのが、新たなResearch Initiativesということで、幾つかのものがございます。これはちらっと見ていただくにとどめたいと思います。
このフューチャーアースとして今、力を入れているのが9ページにありますKANというものですが、Knowledge-Action Networksというものを幾つかのテーマについて設定しまして、ここで個別のテーマについてどういうふうに研究を進めればいいかということを検討しております。ここにWater-Energy-Food、Oceans、Transformations、以下、こういったものが設置として決まっておりまして、それが次のページ、10ページに、先ほどの三つのテーマと八つの課題、縦に八つの課題がありまして、上の横に三つのテーマが書いてございます。そのどこに当てはまるかというところが書いてありまして、網が掛かって、ちょっと横長に書いてある、例えば最初の水・食料・エネルギーというところから始まりますが、これがKANであります。ものによっては、縦に横断的に持続可能な金融システム等々、クロスカッティングなものもございます。ここに三つ赤マルを付けておりますが、健康、持続可能な金融システム、持続可能な開発目標、SDGsですね。これについては後で詳しくちょっとお話をしたいと思います。
それぞれのKANをどうやって立ち上げるかということですが、まず準備チームを作る。これは国際的な事務局で原案を考えるわけですが、その後、数か月にわたる準備期間で方向性を示して、巻き込みを進めていくということであります。
13ページを説明したいと思いますが、このKANと従来のコア・プロジェクトが別々ではそれは意味がないだろうということで、従来のコア・プロジェクトから、人がここに入る。あるいは特定のテーマは従来のコア・プロジェクトが提案すると、そういった形でリンクを付けていこうということで現在進められております。
その後、例として三つ御説明します。まず、健康のHealth KANでございますが、スコーピングワークショップというのが今年の7月に開かれ、そこに春日先生もこの写真の前列左から2人目に写っておりますが、こういった形で専門家が集まる。そこでスコーピングをして、実際的に優先的分野を選定していくということを進めております。その1年ぐらいのタイムラインが15ページに書いてございまして、今年の2月から今のスコーピングワークショップまで、これ半年ぐらいですね、この間にウェビナーを毎月1回開くことや、あるいはほかのイベントに参加すると、こういうことを通じてかなり速いピッチでこのKANを進めるということが行われております。
ここのKANがスコーピングワークショップの後どうなっていくかというのが、次の16ページにありまして、2018年辺りまで書いてございますが、様々な形でアウトプットをいろいろな場に反映していこうということでございます。一番下に四つ、Health KANとフューチャーアースコミュニティとの関係ということが書いてございます。相互の矢印が書いてある。そういうことで、小さいグループと全体をつなげていくという努力が進められております。
その次はFinance&Economics KANというのがありまして、持続可能な金融と、日本語だとそう訳せると思いますけれども、そういった経済的な要素と、それから社会構成、それから地球環境問題、これをつなげたKANというのが現在進められております。
この辺りはちょっと飛ばしながら進めてまいりますが、皆さんの関心が高いSDGsについてちょっと話をしたいと思います。20ページにSDGsのいつものロゴと、それからKANとの対比というのが書いてありまして、ここに青い四角でぱっぱっと入っているところがKANにテーマがあるものでございます。例えば、2番のZERO HUNGERというところはフードを扱っているというのがあってここに入るとか、HEALTHがそこに入る。こういったところに入ってきているわけでございます。
KANの一つとしてSDGsそのものを扱っているというものもございます。それにつきましては、次の22ページにSDGsと科学技術の関係というのが書いてございますが、図の右の下に科学技術のコミュニティがある。これはSDGsの政策の各段階で関わるということで、ここに関わるような形になっております。このSDGsのKANには慶応大学の蟹江先生に入っていただいているところでございます。
少し急ぎますが、25ページに「SDGs KANの目的」と書いてありまして、日本語だけ見てもらうと分かりますが、ネットワーク構築、総合実施へ向けた研究、研究テーマの特定と実施、実装。次のページに書いてございますが、個別の課題をやるわけではないと。SDGsに関する制度の設計を行う。あるいは国連のプロセスへインプットしていくと。そういったことを狙っているわけでございます。
以上が三つのKANでございます。
日本学術会議では提言を2016年の4月に発行しておりまして、これを参考資料としてお付けいたしました。また関心があれば後ほどごらんいただければよろしいかと思います。
以上でまず終わらせていただきます。
【安井主査】  ありがとうございました。時間どおりでございます。
何か御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
質問がもしなかったら……。
【花木委員】  もしよろしければ国内の体制をちょっと補足させていただきますが、33ページをごらんいただけますでしょうか。日本としてこのフューチャーアースにどう取り組むかということでございます。今、日本学術会議の中にフューチャーアースの推進委員会というのがありますが、これはどっちかというと科学者のグループであると。それだけでは前へ進みませんので、ステークホルダーを含む国内委員会を作ろうということで、今、準備を進めております。
それから、日本版関与委員会というのは、これはステークホルダーを含む委員会ですけれども、それを学術会議の外に作るということで進めておりまして、そういうのを通じて研究者と社会をつなげていこうと。
研究的な面では、一番下にデータ統合・解析システム(DIAS)との連携と。地球観測データを通じたフューチャーアースの活用、こういったものも視野に入れて現在拡充を進めようとしております。
34ページに日本コンソーシアムというのがありますが、今、こういった組織から御協力を得ながら研究推進、あるいは事務局の運営を進めております。また皆さんの組織でも興味があれば、是非こういうところに加わってお力をお貸しいただきたいなというふうに思っているところでございます。
以上、ちょっと補足させていただきました。
【安井主査】  何か御質問等ございませんでしょうか。
じゃあ、ちょっと時間つなぎで。ステークホルダーを含む国内委員会ということが準備中ということなのですけれども、このステークホルダーというのは、はっきり言ってものによっては、多種多様な人々を巻き込まなければいけないと思うのですけれども、その辺りを決めていくのはどこで、どうやってお決めになるんですか。
【花木委員】  フューチャーアースとして全体としてステークホルダーのカテゴリーというのが一応決まってはおるわけですが、でも、そうは言っても非常に多種多様なものがあると。例えば民間の会社というのは、考えただけでも非常にたくさん入っている。民間の場合に、ある特定の会社に入っていただくというのが適切なのか、あるいは経団連を通じて入っていただくのが代表制ということで適切なのか、その辺りの決め方も実は国内委員会でやっていかなければいけない。だけど、それは鶏と卵みたいな話で、いつまでもそれじゃ発足しないということで、多分、まず確実にメンバーとして入るのは学術の人は入るだろうと。そういう人が準備会合的な形でどういう、そういった民間の方、それから府省についても、もちろん文科省も入っていただくと思いますが、ほかの省庁はどこに入っていただくかということも含めて検討を進めていこうということで、緩やかに進めようとしております。
ちょっと今、冗談っぽくいいましたが、トップダウンで決めないやり方というのがフューチャーアースなもので、時間が非常に掛かるということです。
【安井主査】  多分おっしゃるとおりで、ボトムアップをどうやって入れるかというのが最大の課題かなという気がしますけど、多分、余りいい方法はないですよね。
【花木委員】  今度、来年の1月に一つ、シンポジウムを開こうということを学術会議で考えておりまして、そこでは様々なステークホルダーの人に参加してもらって議論すると。海外の人もお呼びするのですが、そういう目的ですので、同時通訳を付けてやるということで、これは武内先生を中心に今、企画が大体固まってきているところでございます。
【安井主査】  ほかに何か御質問ございませんでしょうか。まだ十分に時間はございますが。
だんだん形が見えてきて、最初は本当にどうやってやるんだろうなと思っていたのですけれども、大分形が見えてきて、何とか動くといいなというレベルにまで来たような気がいたしますが、皆様の御感想と、そのほか何かございますでしょうか。
ステークホルダーに戻りますけど、やっぱりかなり日本人はクールで、問題意識を持っている人っていうのは限られてしまうっていう、何か社会的な欠陥があるような気がしていて、もう少し底上げというか、レベルを全体的に上げないと、なかなかステークホルダーの選び方自身も難しいかなという気がするんですよね。特に、企業系はいいのですけれども、そうでない、いわゆる一般市民と呼ばれるような人々をどうやって巻き込むか。どうやるんですかね。本当にさっき申し上げたように、個人的には余りいいアイデアがないのですけれども。
【花木委員】  そういう意味じゃ、そこはSDGsの広げ方とかなり共通しているところがございますね。このフューチャーアースも昨年、サイエンスアゴラで一般の方向けにそういったイベントをやったのですが、もちろん1回やってそれで広がるものでは全くありませんので、どうやって広げるかというのは引き続き課題かと思っております。
【安井主査】  政府のSDGsに対する取組辺りも御説明を本当は頂いた方が、どこかでそのうち御説明いただいた方がいいのかもしれないので、一応何かやらなければいけないことにはなったようですから。
どうぞ、松橋委員。
【松橋委員】  ちょっとなかなか、これ、御意見を申し上げるのは難しいテーマで、フューチャーアースそのものもあれですし、持続可能な開発って、なかなかこれ、究極の答えがないといいますか、私も学生に研究させたこともあるんだけど、やっぱり人類の究極の話で、本当の答えがないテーマだと思うんですね。そこにこれだけ花木先生が非常に御苦労されて大きな組織を作られて、丁寧に世界中の人を何かISOの会議のように分野ごとに人を集めてやるのですが、このISOの会議のあれを見ても、物すごく運営が難しくて、いろいろなことを言う人がいて、ごちゃごちゃになってしまうというか、事務的な煩雑さとか、そういうコストと費用対効果の問題が難しいような想像をいたします。花木先生の御尽力、御苦労を本当にあれしますけれども、何かあれですかね、花木先生のお近くの方である程度キーパーソンをそれぞれのところに送り込んでおいて、ボトムアップとは言いながらも、ある程度シナリオを作っておかないと、完全ボトムアップでいくと、どこに浮遊して飛んでいくか分からないようなあれになってしまうんじゃないかなという心配はちょっとするんですが。
【花木委員】  率直にいいますと、ISOでそういった、いろいろもめるのは、きちんと利害が対立をする人が入っているからですよね。それが、今、通常、ステークホルダーを巻き込むっていっても、学術の人と、それから関心がある市民だけだと、余り意見が相違しないので、そこまでいわば盛り上がらないところがあるんですよ。だから、まず第一歩は、そういった難しい対立が起きるようなグループを作らなきゃいけない。その後で松橋先生がおっしゃったように、ある種、道筋を付けていくというのは、そこをまずやってからかなと思っています。そういう意味では、議論が活性化していかねばならないということ。それは先ほどの巻き込みのガイドラインにも、そういった意見対立があるのをちゃんと分かった上でそこをやれと書いてあるのだと思います。
【安井主査】  どうぞ。
【手塚委員】  私も必ずしも中身を全部分かっているわけじゃないんですけれども、実はRio+20の国内準備委員会というところで、このフューチャーアースでやろうとしているプロセスのひな形みたいなことをやった、つまりマルチステークホルダーでもって丸2日間ぐらい議論をして、いろいろなあれをまとめていくというプロセスをやっている経験がございます。そういうことも多分、積み上げの国際的な合意の下に、それがフォーマライズされたプロセスなんだと思うんですけれども、一つ、これ、ちょっとどうやってやったらいいのか私もよく分からないのですけれども、外国から輸入されてきているコンセプト、あるいはこういう取組というのが、基本的にこの資料を見ても分かるように、もうほとんど全部英語の資料であり、英語のコンセプトであるっていうところから来ているんですね。そうすると、例えばこれを産業界でここに誰か代表の人、来てくださいみたいな話にすると、経団連に来ると私の方に回ってきて、つまり、いつも同じメンバーで、ほかのことでも、ある意味余り議論の発展性がない、そういう話になりがちなんです。
ところが、この中で扱っていることっていうのは別に国際的である必要は全くなくて、国内問題として取り扱うべきものがいっぱい入っているんだと思うんですね。つまり、国際問題の専門家だけが集まるんじゃなくて、国内問題の専門家がちゃんと集まって議論した方が、日本に特有の問題なり議論なり、日本に特有なアイデアなりというのが出てくるはずなんです。そうすると、どうやって、国内問題に一旦参酌した後、国内のきちんとした産業分野でも、あるいは様々なセクターの分野の人たちで必ずしも英語とか、海外に出ていってけんかしてくるとかいうことができる人じゃない人を集めるかということを一旦考えた方が、実は遠回りのようでいて近道で、いろいろな成果が出てくるんじゃないのかという気が、伺っていて直感的にいたしました。余り解のないコメントで申し訳ないのですけれども。
【花木委員】  ありがとうございます。国内関与委員会をどう組織するかと、それから、また、SDGsを日本の中でどう進めるかというと、かなり国内の問題、固有の問題が非常に多いので、共通したポイントだと思います。
【安井主査】  是非御意見を頂きたいのは、これから先はどうもハウスキーピング的なトピックスというか議題になってしまって、多分、しゃべる機会が余りないんじゃないかと、そういう感じがするので、今のうちにお話しくださいっていう感じなんですけど。
何かございませんでしょうか。これを機に何か。ちょっとしばらく黙って待ってますのでいかがでしょうか。それでなければ次へ行きますが。どうぞ。
【江守委員】  ちょっとこれはコメントというか補足というか、僕はフューチャーアースの推進に関する委員会の幹事をさせていただいて、それにちょっと関係させていただいておりまして、特に日本版関与委員会をどう立ち上げるかというところに関して、個人的な動機もあって、そこで仕事をさせていただいています。先ほど、国内委員会のステークホルダーという話から始まったのでちょっと黙っていたのですけれども、似たような話がありますので、日本版関与委員会をどう考えているかっていう話をちょっとさせていただきますと、まずステークホルダーといったときに、その人たちが集まって議論することに何を期待するかというのをやっぱりよく考える必要があって、一つにはステークホルダーというと、よく利害関係者と訳されるものですから、ある個別の問題があって、その様々な、これが例えばある政策をとると損する人とか得する人とか、放っておくと損する人とか、そういう意味でステークホルダーというのはもちろんいろいろな問題で現実に存在するんですけれども、そういう人が集まってそういうことを議論することだけがこの場合、恐らく求められているわけではなくて、広い意味で利害関係者ではあるんだけれども、ビジネスだったらビジネスで、ビジネスの観点からこういうことに、内なるようなことも含めて、何か視点が提供できる方とか、市民活動の観点から意見を出せる方とか、メディアの観点からとか、そういう、要するに学術ではないものの見方を提供してくれる人っていうのを集めてくるっていうのが一つのステークホルダー、こういう委員会として組織する上での必要性だと思うんですよね。
ちょっとそういう観点から、今、具体的に言いますと、日本版関与委員会に関しては、暫定委員会という形で準備委員会を立ち上げまして、その人選は、ある程度トップダウンで行いました。僕と、あと何人かの世話人が委員に情報提供を頂いたメンバーリストの中から案を提示して、そのときにこういうバランスで、あと、この人は何で選んだということをなるべく理由を書いて、この案でいいですかということで学術会議の委員会でお諮りして、今、暫定のメンバーでもって、じゃあ、今度、本メンバーですね、関与委員会のメンバーというのはどういうふうに決めるべきかという議論をこれから行おうかというふうになっていると思います。そういうステップを踏んでいます。
【安井主査】  かなり長く掛かりそうな、慎重なステップを積まれているようでございますが。
ほかに何かございますでしょうか。
ちょっと黙っていますけど、いいですかね。じゃあ、ちょっと先へ行っちゃいますか。
それでは、ありがとうございました。それでは、議題の(2)に移りたいと思っておりますが、議題の(2)でございますが、研究開発計画(環境エネルギー分野)案についてということでございまして、事務局からの若干の御説明を頂きたいと思います。お願いします。
【亀田課長補佐】  今回も、前回までに引き続きまして、第5期科学技術基本計画に基づく環境エネルギー分野の研究開発計画を審議いただきたいというふうに考えております。今回と次回で当委員会としては取りまとめというふうな予定にさせていただいております。本日は資料3-1でございますけれども、前回の委員会までに御指摘を頂きました点を踏まえて、事務局において座長とも相談の上、追記、修正をさせていただいた点について御審議を頂きたいというふうに考えております。
また、資料3-2でございますけれども、当委員会が所属する研究計画評価分科会、親会でございます。そちらについては当分野も含めました全体版の研究開発計画を策定しているという、議論中でございますけれども、その親会から各委員会においても小委員会の部分も含めて、全体を俯瞰(ふかん)して御意見を頂きたいというふうな指示がございましたので、本日は資料3-2も併せて御説明をさせていただき、こちらについてもコメントを頂ければと考えております。
なお、こちらの全体版のところで頂いた御意見につきましては、その親会及び担当の委員会事務局に伝達をさせていただくというふうなことを考えております。
それでは、まず、資料3-1から御説明をさせていただきたいと思います。資料3-1、前回からの修正点につきましては、赤字下線を引いてある部分でございます。最初に1ページ目でございます。田中委員からメールで御指摘を頂きました。情報技術による課題解決という点についても今後は重視されるべきというふうなことのコメントを頂きましたので、1ページ目のところで、中長期的なエネルギー環境分野の研究開発を情報科学技術も含め、多分野の連携により、また、産学官の英知を結集して強力に推進するというふうに追記をさせていただいております。
続きまして、3ページ目でございます。エネルギー分野の指標、中目標達成状況評価のための指標の部分でございます。こちらにつきましては、この研究開発計画そのもの指標としてはもちろんのことなんですけれども、主には各年度の政策評価に活用するということで立てております。前回委員会において橋本委員から、評価が目的化しないようにと。事業内容に即したきめ細かい評価を行えるように注意すべきというふうな御意見を頂きましたので、米印でございますけれども、個別の研究開発は多岐にわたる項目を実施しているため、以下に掲げるアウトプット/アウトカム指標をその目標、内容や特徴等に応じて、適切かつきめ細やかに選択・組み合わせて総合的に評価する必要があることに留意ということで、留意点を掲げさせていただいております。
そのほか、細かな文言の適正化で、「に向けた」というふうな適正化をさせていただいております。
その次の米印、「パリ協定で」で始まる部分ですが、主査と御相談をさせていただいておりまして、この研究開発計画につきましては、基本的には5年以内に文部科学省が取り組むべき研究開発の事項を明らかにするということではございますけれども、環境エネルギー分野はやや長期的な視点を持たなければならないだろうというふうなところで、参考指標として温対計画で掲げられました2050年までに80%の温室効果ガス削減を目指すという政府の目標を掲げさせていただいております。こういった中長期的な参考指標も視野に5年間の取組を行っていくと、そういう位置付けでこの参考指標を作らせていただいております。
それから、3ページの下の方、「更に」で始まるところ、国立研究開発法人理化学研究所や国立研究開発法人物質・材料研究機構における低炭素化技術に係る研究開発を推進するという部分でございます。こちらにつきましても、従前の文案ですと、理研の個別センターの記載に限定されるような記載になってしまっていたというところで橋本委員から御指摘がございましたので、やや広範に読めるように修正をさせていただいております。
その次、5ページ目でございます。以下は文言の適正化という観点から若干の修正を加えさせていただいております。5ページ目の「国内外における気候変動対策に活用するための気候変動予測・影響評価技術の開発」の部分ですが、2パラグラフ目で、「具体的には」で始まっている部分につきまして、緩和策立案の科学的根拠となる窒素・炭素循環や気候感度等の不確実性の低減、環境の不可逆変化(ティッピングエレメント)のより確実な解明ということを記載させていただいております。
また、その次、「プラットフォームの構築」のところですが、「ユーザーの拡大のため水課題(ダム管理)等のテーマに関するアプリケーション開発等を通じ、社会課題解決への一層の貢献を図る」ということで記載させていただいております。
さらに、その次、6ページ目でございます。こちらにつきましては、気候変動適応の技術開発の部分でございますけれども、2段落目、「具体的には」で始まる部分でございますけれども、技術開発したものにつきましては、関係省庁との連携により地方公共団体に広げていくことが非常に重要ということで、「関係省庁と連携しつつ」というところを追記させていただいております。
7ページ目の修正につきましては、先ほど御説明した5ページ目の修正とほぼ同一となりますので割愛をさせていただきます。
環境エネルギー分野の修正点については以上となります。
続きまして、資料の3-2を用いまして、全体版の研究開発計画について簡単に御説明をさせていただきます。
おめくりをいただきまして1ページ目の目次をごらんいただければと思います。こちらの研究開発計画は8月時点で議論中のものを本日配布をさせていただいております。目次といたしまして、全体5章立てになっております。当委員会で議論しております研究開発計画については第2章の一部になるというふうな立てつけになっております。以下、研究開発計画、長々とあるのですけれども、特に環境エネルギー分野に関わりが深いところを黄色にハイライトをさせていただいておりますので、その部分について特に御説明をさせていただきたいと思います。
まず、3ページ目、4ページ目をごらんいただければと思います。こちらにつきましては、情報科学技術委員会で審議されている部分となります。マル2、「社会システムと高度に連携した情報システム技術の実現」ということで、ア「環境・エネルギー問題に対応した新たな情報科学技術の研究開発」というふうに記載されております。特に4ページ目でございますけれども、社会活動の一層の効率的な状態に最適化していくためには、リアルタイムに実世界の情報を集約・解析し、その最適解を実世界にフィードバックする情報統合基盤技術の研究開発を推進するというふうに記載されております。
こちらについてですが、現在、当省の研究振興局において、都市や大学における人の流れなどをリアルタイムに解析をして、そのエネルギー消費を効率化していく研究でありますとか、あとは、道路交通状況と気象情報等を組み合わせて、除雪の効率化、そういったものを図っていく研究を進めているところというふうに聞いております。
続きまして、5ページ目になります。こちらからは、ナノテクノロジー・材料科学技術分野技術委員会の審議事項になります。5ページ目、マル1の「未来社会における新たな価値創出に向けた研究開発の推進」ということで、基盤技術に関する研究開発や複数領域に横断的に活用可能な科学に関する研究開発を行うということで、その一つとして、ア「機能性材料・構造材料研究」ということが掲げられております。具体的にはそこで、以下にございますような、高効率な電力制御につながるパワー半導体の技術でありますとか、省エネルギーのための高輝度発光材料等々、幅広い分野に貢献する機能性材料における研究開発を引き続き評価し、その機能のさらなる顕在化を図るというふうにされています。
さらに、最後になりますけれども、8ページ目でございます。こちらにつきましては、マル2ということで、広範な社会的課題の解決に資する研究開発ということで、個別の社会課題の解決につながるナノテクノロジー・材料の研究開発を推進するということで、エネルギーの安定的な確保とエネルギー利用の効率化のための研究開発を進めるというふうにされています。
具体的には、システム化、デバイス化を念頭に、太陽電池や燃料電池、エネルギー変換、貯蔵等のための研究、材料開発を行うものとする。また、最終的システムを意識しつつ、エネルギーの高効率変換等に関わる大きなブレークスルーにつながる次世代の技術シーズを探索する。さらに、低環境負荷社会に資する高効率・高性能な輸送機器材料やエネルギーインフラ材料の開発を推進するというふうに記載をされております。
研究開発計画全体につきましては、非常に長く、いろいろな分野で書かれておりますけれども、特に環境エネルギー分野に関係が深い部分については以上であります。
【安井主査】  ありがとうございました。
まず、二つございますが、いずれにしてもこれから5年間ぐらいのこの委員会の、ある意味で方向性が決まってしまうということで、重要と言えば重要でございますが、きょう、御議論いただきたいのは、二つの文章両方ともなのですけれども、特に今回、全体の案がここに出てくるのは初めてですかね。ほかのところの分野、先ほど御説明いただきましたように、いろいろなところに関連するところが出てきているということでございますので、そちらに関しましても御意見を頂きたいということでございます。もちろん、資料の3-1にあります、これは環境エネルギー分野でありますが、この間、申し上げたように、核融合と合体しているので、その部分はちょっと無理かなっていう御意見を頂いておりますが、そういうことをお考えいただいた上で、何かの御意見があればというようなことになるかと思います。
さて、基本的にどこからでもよろしいのですけれども、何か変えなければいけない、あるいは何かこういうことがないと今後のプロジェクト立案に障害となるというようなことがもしあれば、是非積極的に御指摘いただきたいと思います。
【小長井委員】  きょうの午前中にナノテク・材料の方の委員会がありまして、私、そちらの委員会の方にも出ていたものですから、全く同じ議論になるのですけれども、資料3-1の3ページの中頃、上半分にある、アウトプット指標、アウトカム指標のところなのですけれども、特にアウトカム指標ですね、ここのところにマル1からマル3まで、特許に必要な件数とか論文引用数等々が書かれているのだけれども、本来この項目ってアウトプットではないかと思うんですね。アウトカムというのは、やっぱりその結果、どういうふうになったかというところの方が重要で、マル4に書いてあるところがずばり、私が考えているアウトカムに近いかなと思うんですけど、要は、中期目標のターゲットは、そのページの一番上に書いてある、革新的な技術の研究開発を推進するというところにあると思うのですけれども、マル4は、温室効果ガスの抜本的な削減に向けた研究開発成果の寄与状況、これはこれでいいと思うのですけれども、ただ、私は太陽電池やっていることもあって、この例はよろしくなくて、これだと変換効率しか書いてないですよね。変換効率は高くても寄与できるとは限らないのですよ。要は、発電コストですね。発電コストがいかにあって、したがってどのぐらいにしたらCO2の削減にどのぐらい貢献できそうだというところがアウトカムになるのではないかと私は思うのですけれども。
【安井主査】  確かにそうですね。一般社会的な観点から言うと、確かにそうかもしれないですね。経産省が書いても、多分これはアウトカムじゃないですよね。だから、文科省の文書として、これがアウトカムであるのがいかがなものかっていう、そういう議論かなっていう気がするのですけれども、その辺りは材料の方ではどんな感じだったんでしょうか。
【小長井委員】  それは最終的にこの前の委員会のとき、橋本先生がたしか御説明されたんですね。たしか共通でこういう項目をということがあって、だけどやっぱり、今、大学の中期計画のところを書くときに、どの大学でもこういう書き方をしていないと思うんですよね。論文が幾つとか、これはアウトプットのところに入っているはずで、アウトカムはその結果、例えば学生がどういう質だったかとか、どういうものが新たに発明されて出てきて、社会にどう役に立ったというのがアウトカムではないかということで、何かちょっと今までの捉え方とかなり違うかなという。
加藤先生、そこにおられて、同じ印象だと思いますが、ほかの先生も御同意いただけますか。
【加藤委員】  なので、今更とかいうのですけれども、アウトプットとアウトカムというのをどういうふうに定義されているのかっていうのがよく分からないねっていうのでちょっと悩んでいたというところなんですけど。
【安井主査】  私は、主体によって違うなと思っているんですけどね。だから、文科省というのは、はっきり言って、金を出すところが仕事なので、その金がいかに有効に活用できたかなっていうところがアウトカムでもしようがないのかもしれない。そこをそう言うのは官僚的過ぎるかもしれないけど。
【加藤委員】  でも、論文数が多ければ結果がいいかどうかはまた違うと思います。
【安井主査】  まあ、確かに。だから、そこから先が実用になるっていうところがこの省庁がどこからどこまで面倒を見なきゃいけないかっていう話に関わるので、主体によって違うんだと思うんだけどもね。
【亀田課長補佐】  アウトプット指標とアウトカム指標の関連性について御指摘がありましたので、事務局の意図等だけ御説明させていただければと思います。
まず、そもそもアウトプット指標とアウトカム指標って何を指すのか、ここで何を指すのかという話なんですけれども、例示が適切かどうか分からないので、分かりやすさ優先でお聞きいただければと思うのですけれども、ここで言うアウトプット指標というのは、事業実施に直接関連をする指標のことを指します。例えば、パトロールを何回やったかとか、事業はどういうふうに何をやるのかという話がアウトプット指標で、アウトカムは成果に係る指標。パトロールの結果どれぐらい犯罪が減少したかがアウトカム指標という位置付けにされています。
そういう意味で、今回の研究開発計画におきましては、こういう大目標、中目標に向かってこういう研究開発をやりますよという抽象的なことが書いてあるのですが、じゃあ、具体的に何の研究開発をどれぐらいやるのかというのは実は書いていないというところで、アウトプット指標にテーマ数というふうに書かせていただいて、アウトカムには研究開発から出てきた成果、社会に出てくるような成果ということで、特許の出願ということであるとか、若しくは研究開発実用化に向けた橋渡しのテーマ数とかというふうに書かせていただいたというのが事務局としての意図でございますが、それが果たして適切かどうかというのは御指摘のとおりかと思います。ちょっと全体の研究開発計画のバランスもあると思いますので、そこも見させていただきながら御相談をさせていただければと思います。
また、加藤委員から御指摘いただきましたとおり、論文数が多ければいいのかと、それはまた別の問題でございますので、実際に我々が研究開発計画を得ましてどういう事業を行うのか、その事業の性格によっても違ってくると考えておりますので、その辺については個別の事業を見ながら適切なものを取捨選択をしていきたいと考えてございます。
【小長井委員】  例えば、今のアウトカム指標のマル1からマル3というのは、事業が終わった途端にある程度分かるものですよね。ただ、このアウトカムというのは、その期間だけではもちろん評価できないわけで、かなりその成果を基にしてどんなふうに世の中が変わるかっていう予測をしなければいけないわけですよね。それでもいいと思うんですけど、そういうようなものをやっぱり前面に持ってきた方が、やっぱり事業としては分かりやすいなと思うんですよね。
【安井主査】  ほかの御意見は何かございませんか。どうぞ。
【松橋委員】  今、小長井先生がおっしゃったところは、私も大変感銘を受けたというか、大変同じ思いがございまして、3ページに記載のある研究開発のアウトカムの中で、太陽電池の変換効率と書かれているけれども、やっぱり経済性ということなんだというところですけれども、私も大変そこは思いがございまして、やたら効率を上げても仕方がないということがございまして、一例を挙げると、ある方が燃料電池の研究開発の中で、トヨタの未来に積んでいる燃料電池がもうありとあらゆる電源より安い最強のピーク電源だとおっしゃる方がいるんですね。これから電力システムの自由化、発送分離が進む中では、需要側の資源が系統の中に参入してくるアンシラリーサービスというのが諸外国ではもう既に始まって久しいのですが、日本でも導入されてくるのですが、そのときに、需給が逼迫(ひっぱく)したときに、ピークの電源としては、効率が高いというよりは固定費の安い電源が必要なんです。そうすると、恐らく未来の燃料電池というのはキロワット数万円ぐらいでできていて、キロワット100万円を超えるようなものでいかに効率を上げても、ピーク電源としては全く対抗できないわけですね。だから、どうしても研究開発は効率を上げる、効率を上げるっていうところに注力するのですが、電力システムで常々必要とされているのは、必ずしもそういうものではないと。だから、やっぱりトータルシステムとしての経済性、それは効率もあるし、固定費もあるし、変動性ですね。出力の変動特性とか、そういうものをトータルに勘案して、システムとして何が必要かっていうところで導入されるかどうかが決まってきますので、小長井先生がおっしゃったように、ここの記述をもうちょっと工夫していただけると有り難いかなと思います。
それから、ちょっとここに書くものではないのでしょうか、以前のこういったものの中ではもうちょっと社会実装というのが非常に、これでもかとばかりに強調されていたように思うのですけれども、今回のものにはほとんど社会実装を重視するとかそういう感じが入っていないように思うのですが、ここに入れるものではないんですか。ここは研究開発だから、社会実装とかそういうことは考えなくていいという感じなのか、その辺りを教えていただけると有り難いと思います。
【亀田課長補佐】  まず1点目です。小長井先生と松橋先生から御指摘を頂きました例示のところですが、個別事業で何を扱うかによって、当然ここは変わってくるのですが、御指摘を踏まえまして、例示、ちょっと工夫をしてみたいと考えております。
それから、2点目の社会実装の点ですけれども、ここに記載ができないということは全くございません。ところどころ、例えば3ページ目におきましては二つ目のポツ、「温室効果ガスの抜本的な廃止削減に向けた明確な課題解決のための研究開発」でも「具体的には」という2段落目以降で、社会実装を目指して取り組むべきというふうなところがございます。あとは同じ段落ですけれども、関係省庁との連携、主には経産省等を念頭に置いているわけですが、そういったことを記載しています。
さらには、7ページ目、研究開発の推進方策、オープンイノベーションの推進等のところをごらんいただければと思うのですけれども、社会実装を担う産業界のニーズを常に把握し、研究開発成果が円滑に実用化されるよう留意すべきであるというふうに記載をさせていただいております。
そういう意味で、ところどころに書かせていただいておりますけれども、更にこうすべきというふうな御意見がございましたら、また頂ければというふうに思います。
【安井主査】  ほかに何かございますか。
先ほどのアウトカムのところに戻りますと、括弧の例、「太陽電池の変換効率等」はちょっと適切に変えると。小長井先生と御相談いただければと思いますが、1、2、3は確かに余りにも直接的なような気もしないでもないのだけれども、確かに、何かが終わったとにはこれがすぐ出ますというさっきの話は事実で、そういうものに、例えばここにインパクトファクターとあるよりはいいのかもしれないなと、個人的には思わないでもないのですけれども。
はい、どうぞ。
【田中委員】  民間サイドから見ますと、せっかく研究費を使って、特にこの環境エネルギー分野ですと、社会実装というのは重要だと思っております。ただ、経済性も実際に産業になったときに幾らということが決まるわけで、研究の今の段階で、例えば量産性とかいろいろなことを考えて、必ずしもすぐ経済性が出るという気もしませんので、例えばこの次、この研究成果を受けて、社会実装につながるような次の引き受け手がどのぐらい出たかとか、文科省の研究ですから、最終的に産業化になるものではないと思うので、そういった形での社会実装への評価項目を入れたらどうかなという気がいたします。
【安井主査】  これ、3番目に書かれている、橋渡しテーマ数というのは、多分それを意味するんじゃないかなと。
【田中委員】  そうですね。そういう意味で言いますと、企業だけじゃなくて、経産省のテーマも含めて、そこの引き受け手が企業的に見れば重要かなというふうに思います。
【安井主査】  そうですね。もう少し何かを強める可能性がありますかね。まあ、「等」の一言でいろいろなものが入り過ぎているかもしれないけど、文科省的文章としてはこれでも十分入っているかもしれないけど、いかがでしょうか。
【亀田課長補佐】  田中委員の御指摘、当初はマル3のところに企業との共同研究等の実用化に向けた研究開発の一つだとは思いますけれども、ちょっと具体例がもう少しあった方がメッセージとして伝わる部分もあるかと思いますので、ちょっとそこら辺はまた検討したいと思います。
【安井主査】  はい、どうぞ。
【奥委員】  すみません、細かいところで1点だけ、7ページの下から2行目なんですけれども、「社会科学・人文学」という表現がございまして、これ、間違いではないのですけれども、社会科学と並べるのであれば「人文科学」と「科」を入れていただいた方がよろしいかなと思います。すみません。以上です。
【安井主査】  ごもっとも。
ほかに何かございませんでしょうか。
それでは、こういう文章ですので、今お気づきでなくても、後でまたお気づきになったものに関しては、後でまたあれですよね、いつまで訂正の御提案を頂けるとか何かは最後にありましたっけ。それとも今言っていただいていいですか。
【亀田課長補佐】  この研究開発計画は当委員会で審議した後に親会に報告してというのを繰り返してやっております。次の親会が11月25日に予定されておりまして、そのための準備もございますので、来週の早めまでに頂けましたら、それに反映させたいと考えております。
【安井主査】  そうでした。次回は25日でございますので、是非、私から報告させていただく予定だったのですけれども、出席できないかもしれないのですけれども、ちょっとそれはまた御相談ですけれども。ということでございまして、来週火曜日までに事務局にメール等でお知らせを頂ければ検討の上、お返事を差し上げつつ、反映をさせていただくということになるかと思います。
この件、よろしゅうございましょうか。一通り、それじゃあ終わりとさせていただきまして、議題(3)に行きたいと思います。
議題(3)は、28年度事後評価というものでございます。平成28年度事後評価というものでございますけれども、この事後評価をやるに当たりましては、評価指針というものがございまして、何か透明な評価を行う観点から、いつもこれを述べなければいけないのですけれども、利害関係者の評価というものについて述べなければいけないことになってございます。上の委員会でございます研究計画評価分科会で決められたルールでございます。
利害関係者の範囲といたしましては、対象課題に参画している人。それから、2番目といたしまして被評価者。要するに実施課題の代表者ですね。代表者と親族の関係にある方。どこまでを親族と言うかは、またあれでございますが。それから、利害関係を有すると自ら判断される方。それが3番目でございます。それから4番目に、評価に加わらないことが適当である判断された者。これはなかなか微妙でございますが、その4つになっております。
今伺いたいのは、これから評価いたします二つに関しまして、利害関係を有すると自ら判断される委員がおられるかという確認でございまして、もしおられれば……。何やら余りいそうもない雰囲気ですね。
それでは、そういう方がおられないということにさせていただきたいと思います。
それでは、本題に戻りまして、事後評価の評価票の原案は、前回、第6回になりますが、8月16日におきまして設置をされました事後評価調整グループというもので作成をいたしました。まず、事務局から事後評価調整グループの実施状況等についての御説明を頂きたいと思います。お願いします。
【亀田課長補佐】  御説明をさせていただきます。詳しくは参考資料2の2ページ目をごらんいただければと思います。
今回、対象となりますのは、地球環境情報等融合プログラム(DIAS-P)と大学発グリーン・イノベーション事業(GRENE事業)の2点でございます。事後評価の実施でございますけれども、まずは研究代表者から事後評価ということで事後点検評価報告書、本日机上配付させていただいております参考資料の3でございます。それを提出いただきました。それを踏まえて、まず事務局におきまして事後評価票のたたき台を作成したところでございます。その次に、当該たたき台を事後評価調整グループの方々にお送りをさせていただきまして、事後評価表に記載の各評価項目について事後評価票を作成確認いただいたというふうな流れになっております。
なお、今回、評価対象となっているうちの一つ、大学発グリーン・イノベーション創出事業ですけれども、幾つかの分野がございまして、そのうちの一つ、先進環境材料分野の事後評価につきましては、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の所掌となっておりまして、こちらについてはもう既に審議が終わっているというふうに承知をしております。
私からは以上でございます。
【安井主査】  ということでございまして、皆様にはナノテクノロジーの、そちらのものに関しましては……まだ?
あそこの一つ空席の方がお見えになったら、そちらということにいたしますが、それでは、もう一つの方でございまして、そちらは二つのプログラムにつきまして、先ほどの参考資料2にございましたものでございますが、参考資料2の上の地球環境情報統合システム、いわゆるDIAS-Pと呼ばれているもの、小池先生が代表のものと、それから2番目が、これは非常に多くのものの集合体になっておりますけれども、大学発グリーン・イノベーション創出事業というものに関しまして、先ほどございましたのはウの部分は、今、お見えになったな。じゃあ、やりますか。
このウの部分に関しましては、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会において事後評価票が作成をされましたので、じゃあ、予定どおり、戻りまして、そちらの御説明を頂きたいと思います。お願いします。よろしいですか。大丈夫ですか。
【尾西参事官付参事官補佐】  遅くなりまして申し訳ございません。振興局ナノ・材担当の参事官補佐の尾西と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
主査から御説明を最初にしていただき申し訳ございません。大学発グリーン・イノベーション創出事業 グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス事業、いわゆるGRENEですけれども、そのうちの、我々が担当しております先進環境材料分野の事後評価につきまして簡単に御説明させていただきます。資料につきましては、資料4-2をごらんいただければと思います。
事業の概要につきまして、最初に付けておりますポンチ絵をごらんいただければと思います。GRENEの先進環境材料分野は、画期的な研究成果の応用を見据えまして、環境材料研究における先端的な研究課題を発掘・解明し、ネットワークによる知識と技術の統合という過程から生まれます新たな学問領域の創出によって成果目標を達成することを目的としております。また、このネットワークの下、先進環境材料及びそれを活用したシステムを創生する研究、それと人材育成が一体となって取り組まれる体制作りを目指した事業となっております。
本事業におきましては、東京大学を代表機関といたしました先進環境材料・デバイス創生の領域と、東北大学を代表機関といたしましたグリーントライボ領域の2領域で、5年間の事業を実施したところでございます。今回の評価では特に、ネットワーク体制の構築による先進環境材料分野の研究開発と人材育成を主眼に置きまして、評価を行っております。
次に、評価結果について御説明させていただきます。評価結果につきましては、事後評価票をごらんいただければと思います。6ページになりますけれども、まず、(1)の課題の達成状況につきまして、課題全体の評価に加えまして、必要性、有効性、効率性、これは事前評価あるいは中間評価のときにも同じ観点で行いまして、それらと同じように、これらの観点で事後評価を行わせていただいております。
まず、課題全体の評価でございますけれども、いずれの領域も参画された大学、研究機関の間でネットワークを構築いただいて研究開発及び人材育成の両面から、これまでにない連携体制が構築され、革新的な研究成果の創出や斬新な教育研究プログラムの整備がされてございます。事業全体を総合的に判断しました結果、一部でマネジメントに課題があった領域もございましたけれども、おおむね本事業の目的と計画に沿って、低炭素社会の実現に資する一定の成果が得られたと評価しております。
次に、課題の達成状況について、先ほど説明いたしました、必要性、有効性、効率性、各々の観点で評価した結果について御説明させていただきます。一つ目の事業の必要性を評価しました結果、いずれの領域でも対象としました研究テーマ及びネットワーク形成型の研究開発と人材育成に関する取組につきましては、一部で、事業の運営に課題が残る領域もございましたけれども、ネットワーク体制の構築を通じてCO2削減に寄与する材料、また、技術開発で一定の成果を挙げておりまして、政策として取り組む必要性は非常に高かったと評価しております。
また、研究体制の観点で、事業の有効性を評価しました結果、いずれの領域につきましても、参加機関のチームを生かすネットワーク体制の整備が進められまして、一定の成果が認められたということで、本事業の有効性は高かったと言えると考えております。
事業の各領域の評価につきましては、東京大学グループでは連携研究を実施したことにより、相乗効果がなかなか出なかった研究テーマもありましたけれども、例えば、新規電力変換用パワーデバイスの実証成果としまして、本領域の設定目標でございました、年間360万トンのCO2削減の達成が見込まれるなど、低炭素社会を実現する上では有効なエネルギー変換材料のデバイスの実証までに至る優れた成果が得られておりまして、ネットワーク型の研究の有効性が認められます。
東北大学グループにおきましては、界面の超潤滑による低摩擦技術に焦点を置きまして、化学・材料・機械にわたる異分野間の融合研究ネットワーク体制というのが強力に構築されまして、低炭素社会に貢献できる革新的な学問領域が創出できたと評価できます。特に計算科学の積極的な導入によりナノレベルでの本質を解明する試みがなされた結果、基礎から応用に至るまで、革新的なトライボロジー研究が行われ、例えば、開発した摩擦コーティングを実施したボールベアリングをタービン発電機の実機に搭載し、本領域で達成目標として設定されています燃費向上1%を実現する成果が得られまして、融合研究ネットワークの有効性が認められるものと考えられます。
最後に、運営マネジメントの観点から事業の効率性を評価しました結果、いずれの領域も有識者からなる運営委員会、あるいは代表機関のマネジメントによりネットワーク体制の整備、研究開発と人材育成の推進が図られたと考えております。
以上が課題の達成状況となっておりまして、これにつきまして、東大及び東北大のグループをまとめて評価しますと、東大につきましては、当初計画したものに対して一定の成果が得られているという結論に至りました。ただ一方で、NIMS、東大、京大の3拠点と各テーマをマトリックス的なネットワークとして機能させる適切な工夫とマネジメントが行われれば、より相乗効果が得られる成果が出たのではないかという認識があります。
また、東北大学につきましては、計画以上の成功及び波及効果が得られたと高く評価しておりまして、プロジェクトの大きな成功例であると考えております。
次に8ページの方に移りまして、成果について御説明させていただきます。いずれの領域につきましても、デバイス実装、実機応用など、今後の事業展開に期待できる成果が得られたと考えております。また、人材育成につきましても、共通教材や講義等の整備を通じて、研究機関の間のネットワークが構築されまして、低炭素社会実現の観点から我が国の国際競争力を支える優れた若手研究者も輩出されておりまして、成果が認められていると考えております。
最後に9ページの今後の展開についてになります。今回のネットワーク型の研究開発事業では、ネットワークの連携効果には明確な事業成果が得られたと評価しておりますけれども、同時に横断的なネットワーク体制の構築に向けたマネジメントの必要性も確認できました。こういうことを踏まえた今後の提言としては、効果的な研究推進を期待できるネットワーク型形成事業の実施に当たり、その最大のメリットは連携効果を最大限に活用できるマネジメント体制の確立と考えておりまして、これが不可欠だと言えると思います。例えば、領域の代表研究者が個々の参画機関の研究テーマに積極的に関与し、発生した諸課題について常に改善を促すような取組が考えられると思います。加えまして、各拠点での課題、成功例等の共有を図るような仕組みを導入することにより、よりよい取組を事業全体に波及させる方法も検討する必要があると言えると思います。
その他の詳細な評価内容につきましては、お手元の事後評価票を御参照いただければと思います。以上、簡単ではありますが、説明とさせていただきます。
【安井主査】  それでは、続きまして、資料4-1につきまして、これは私からちょっと簡単に、と言ってもなかなか難しいのですけれども、御説明をさせていただきまして、それで後ほど御発言を頂きたいと思う次第でございます。
資料の4-1、なかなか大部な資料でございまして、なかなか大変と言えば大変なんですけど、例によりましてプログラムの概要から始まっております。事後評価票の案が4ページからございますが、そこに必要性、有効性、効率性ということで書かれております。この最初の課題は、地球環境、例の地球環境情報統融合プログラム(DIAS-P)というものでございます。
最初の必要性に関しましては、皆さんどう思われているかあれでございますけれども、今までデータを蓄積するだけで、余り使われなかったのですけれども、今になって思うと、ためておいてよかったかなという、そういう状況になってきたような気が個人的にはしておりまして、御存じのように観測データとかいろいろなものを収集してアーカイブスして、それで解析をするという、そういうハードウエア及びそのデータそのものでございますけれども、かなり大きなストレージを実現していて、それで700種類に及びますような地球環境情報が登録されるようになったということで、これから先、またこういったものの活用がかなり行われるような情勢になってきて、必要性が徐々に改善されてきているような気がするということでございます。
有効性でございますけれども、要するに情報共有というのは一番重要かなと思うのですけれども、プラットフォームができた、さらには各個別研究と協力が行われることによって、国際誌等に論文が掲載されるようなことにもなったというようなことがあるかと思います。また、全世界のユーザーがDIASのデータにアクセスできるような環境というものの実現をしたというようなことになっているかと思います。
また、気候変動適応の方、水管理や適応なんかに関しましても、いろいろな貢献ができているのではないか。一例としてそこに挙げておりますような洪水予測なんかがあるのではないかというようなことでございまして、単に研究だけではなく、科学技術外交にも貢献したといった評価になっているかと思います。
効率性でございますが、効率性に関しては、なかなか御意見のあるところかと思いますけれども、やはりこういったデータというものはため始めてすぐ使えるというものでもないということになりますと、いかにして長期運用体制をしっかり作って、それでやっていくかということかと思うのでありますけど、そういうものも大分ある程度できてきているのではないかというような気がいたします。例えば、これからダウンスケール等が行われて、使われていくようなアダプテーション系ですね。適応の方に関してもそういったものが使われていくのではないかという意味で評価は高いのではないかと思います。
その次の成果でございますが、DIASの高度化・拡張ということに関しましては、大容量ということ、それとあと高速化というようなものも一つあって、ひまわり8号とか宇宙航空研究開発機構(JAXA)なんかのものは、超高速で流れるデータをリアルタイムにアーカイブできるようなことになってきているということで進化をしているのではなかろうかということであります。
データ基盤の開発に関しましては、これもそこに幾つか例を書いてありますけれども、CMIP5の世界最大のアーカイブとして使われたとか、個々のその活用に関しましても河川のことが例で出ておりますけれども、そういったものに成果が上がっていると。
長期運用体制の検討、5ページ目の下でございますが、それに関しましてもDIASの最新の情報等がフェイスブック、ツイッター等で伝達をされるようなことになってきて、大分使われるユーザー側の裾野を広げるというようなことに成功してきているのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。
その他の成果といたしましては、この実施期間中に東日本大震災があって、それで電力制限等があったのでありますが、いろいろなところにストレージを分散しながら、ここに三つのところが書いてございますが、北海道とか北見とか、そういったところに分散をしつつ、一体的に運用ができたのではないかというようなことであります。
今後の展望でございますが、成果の活用については、DIASはデータアーカイブ、データの統合・解析、それから科学知の社会実装等々の各面、先ほど申し上げた科学技術外交なんかもそうかもしれませんが、そういったもので今後とも地球規模課題への貢献が望まれるのではないか。DIASは、例えば政府間会合のための意思決定等々に関しましても先駆的な取組であったということになっていくのではなかろうかと思います。
それから、今後の展望でございますけれども、「地球環境情報プラットフォーム構築推進」といったプログラムにおきましてDIASを社会課題解決のプラットフォームに位置付けて、一段の活用が、特に民間活力を導入することによって、今まで国費だけでやってきたものが運用、発展していくということを目指しておりますが、これがうまくいけば、かなりいい民間のアイデア等を取り込むことによって、社会的な価値が生み出されるのではなかろうかというふうに考えられるということでございます。
本課題はIT人材の育成とか確保にも有効だったと思われるわけでございますけれども、今後ともコンピテンスの高いシステム開発をバランスよく進めながら、公共的な側面として国際貢献に、より高く貢献できるのではないかということで、その評価をさせていただきまして、一言で言うと、やっと時代の要請が、時代がDIASに追いついてきた、みたいな感触かなというような気がいたします。
それから、グリーン・イノベーション創出の方でございますが、これに関しましては、これは実を言うと、ネットワーキングみたいなものを主眼としてやってきているように私は理解をしておるわけでございますが、拠点、そこの研究開発概要・目的の下の方に書いてございますが、ネットワークを作るというようなことでございます。バイオマスというのは今後ともやはり非常にエネルギー分野として重要だろうと思うのですけれども、そういったバイオマス等の情報とか、あるいは科学についての拠点がネットワーク化でもってできるということが狙い。比較的そういう意味じゃ余り分かりやすいプロジェクトではないという御指摘もあったわけでございますが、そういうことをやってきたものだと考えております。最終的には様々な理学、農学、工学系の人材、技術の交流によってCO2資源化分野をリードするような国際イノベーター養成を目指すということで行われたものだと思っています。
さて、必要性でございますが、「知の拠点」としてグリーン・イノベーションを牽引(けんいん)する役割というものを大学は持っているわけでございますが、大学単位でやっているとどうしても資源不足というか、金不足というか、そういうことに陥りますが、そういったものを何とかネットワークというもので解決ができないかということで、必要なアプローチだったろうというふうに考える次第でございます。国がそういうことを支援することによって、我が国のグリーン・イノベーションといったものに資するような大学が潜在能力を引き出すということがあったのではないか。それができたというか、それは必要性であったろうということでございます。
それから、有効性でございますけれども、有効性は大学において様々にグリーン・イノベーションに資する活動を行っているわけでありますが、確かに一大学でやっていると余り目立たない、また、どうしても範囲が狭いというようなこともございますので、それを一つのネットワークを作ることによって、活力を上げるという意味で、実現性が高く、しかも効果的だと思われるような有効性ということを考えて行われたものだと思います。
効率性でございますが、効率性に関しては、大学間のネットワークというものが構築されることによりまして、国際競争に耐えるというか、支えるような優れた人材というものと研究成果を生み出すということが期待できて、当然、効率的なんだろうというようなことが書かれているという次第でございます。
それから、予算、実施体制ですが、実施体制も本当にかなりいろいろございまして、それが評価票になっていて、12ページでございますが、必要性に関しましては、先ほど申し上げたような話でございます。有効性、効率性まで説明をしちゃいましたね。それで、成果が13ページから出ておりまして、これから先はもう本当に細かくて、農業分野、それから生物多様性分野等々分かれておりますが、農業に関しましては、人材育成ということになりますと、やっぱりアジアモンスーン地域全体みたいなことを考えざるを得ないことに相なりまして、水田、水管理等々でございますが、そうなると留学生の受入れとかそういうことまで含めて、あるいはポスドクの現地派遣などを通しまして、そういった日本だけでない、貢献できる人材というものを輩出することができたのではないかということでございます。
それから、次の生物多様性分野でございますが、生物多様性というのは本当になかなか実証するのが難しいものではございますけれども、そういった情報を収集するとともに、メタデータ、観測データ等を整備して、あるいはDIASとの連携したメタデータ等もやることによって、データ共有ができるようなものになったのではないか。
ページが変わりまして、長期生態学研究ネットワークとの連携において、かなり両分野横断的、要するにフィールド生態学と生体情報学の両分野の横断的な研究者が育成されているということでございます。
炭素循環に関しましては、これは全球バイオマス量の推定、これは大変重要なことになりますが、将来、バイオマスCCSなんていうのをやり始めると、こういうのが一番問題になってくると思うのですけれども、そういったようなものをデータベースを作成するとか、それから、今後のプロセス研究なんかにも使えるようなものを作ってきたのではないか。基盤を構築したと書かれていますが、そういうことになるのでないかと思います。
あと、授業等を実施しているということも書かれておりますが、2,000人を超すような受講者があったということかと思います。
それから、健康分野でございますけれども、健康分野でございますと、やはり熱中症とか大気汚染暴露モデルなんかがやはり一つのキーワードかと思いますが、そういうものに関しましてダウンスケーリングを行って、それで保健学とかそういったところに対するインパクトの高い研究が行われたというようなこともあります。
あとは、都市洪水の下痢の話なども取り扱われて、将来起こり得るようなものに対して先見的な結果を出すことができた。
あと、人材育成。長崎大学には熱帯医学がございますので、そういうところでの基本的な連携をとることができたといったことがございます。
いっぱいございまして、都市分野ですが、都市分野は名古屋市を中心としていろいろと御検討いただいて、それで、DIASの活動を前提として水資源、大気、生物多様性を統合的に入れて、それで検討していくといったようなものが、そういった方法論あるいは活用手法等が確立できた。教育的にもポスドク、留学生等、あるいは学部、大学院生を通して、企業等に有用な人材ができたということのようでございます。
水循環でございますが、水循環は河川というものに注目をいたしまして、そこで海外の河川ですとベトナム、カンボジア、インドネシア、ケニアの各河川等につきまして検討が行われて、それでサマープログラム等を実施することによって、日本だけではなく、ハーバード、ナンヤン、ソウル等の大学院生を対象として人材育成も行ったということのようでございます。
それから、幹事課題でございますけれども、幹事課題としては各課題とのネットワークを構築するということでございますが、連絡を密にとりながら、DIASの上にデータを整備するといったようなことによって、全体の活動をサポートするというようなことだったと思います。
人材育成、ここでは2名が起業したというようなことでございますので、また、毎年30人を超すような参加者を得て、人材開発プログラムというのを行っているというようなことでございました。
こういう、本当に多様なものがありまして、そろそろ終わりにしなくちゃいけないんですけど、最後に植物科学分野ということでございますけれども、幾つかの、例えばソルガム等で収穫量を高めるとか、様々な課題に基づいて検討が行われていて、それなりの成果がそれぞれ出ているというようなことかと思います。
人材育成に関しましても、連携によって理学、工学、農学の人材でそういった分野を超えた人材の育成ができたということが書かれておる次第でございます。
あと、最後に、産学連携のコンソーシアムというものも行ったということになっております。
3番目の「今後の展望」でございますが、それぞれ環境情報分野に関しましては、DIASを通して提供が今後とも行われますということと、それから、海外との研究体制につきましては、それぞれ向こうで置いた機器が動いていくので、今後ともDIASに登録されるような体制が整ったということと、それから、あと人材育成につきましても、民間企業からの寄附講座とかそういった形でより広がりを見せているということのようでございます。
植物科学分野に関しましては、植物プラみたいなものを作るための材料といいますか、化合物等を見つけ出すことによって、更にLCA分析などを行って、今後の、プラスチックは石油起源というよりバイオプラにせざるを得ないのかもしれませんので、そういった準備もでき始めているというようなことのようでございます。
あと、そこに書かれておりますが、最後には人材についても一つの分野にとらわれないようないろいろな分野に横断的に有用な人材ができたのではないかと。
それから、あと、講義の動画は大分多くできて、オンデマンドで提供することが可能になったというようなことでございまして、全体的には活動をちゃんと行ったのではないかという、そういう評価書になっている次第でございます。
以上のような説明で、雑駁(ざっぱく)でございますけれども、何か御意見等頂ければと思いますが、いかがでございましょうか。
特になければこれで終わってしまうのですけれども、よろしゅうございましょうか。長々としゃべって、ちょっと喉が痛くなりましたが、以上、お認めいただければ、本日予定されました議題は以上でございます。
それ以外のことで何か御注意いただく点等々ございましたら御発言いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思いますが、その前に今後の日程につきまして御連絡を事務局から頂きたいと思います。
【亀田課長補佐】  まず、本日の議事録でございますが、後日メールで皆様にお送りさせていただきますので、御確認いただき、修正等あれば御指摘いただければと思います。最終的には文科省ホームページに公表させていただきます。
また、旅費、委員手当等の書類につきましては御確認いただき、お帰りの際に事務局に御提出いただければと思います。
また、資料につきましては机上に置いておいていただければ、後日郵送にて送付させていただきます。
最後に、次回の委員会でございますが、年明け1月頃を想定しております。また追って日程調整させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【安井主査】  あと、資料、どれか持っていっちゃいけないのがありますよね。
【亀田課長補佐】  参考資料の3をそのまま置いていっていただけると。
【安井主査】  以上でございまして、これをもちまして第7回の環境エネルギー科学技術委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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