核融合科学技術委員会(第26回)議事録

1.日時

令和3年8月2日(月曜日)16時00分~17時30分

2.開催方法

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

(1)核融合発電に向けた国際競争時代における我が国の取組方針(取りまとめ)
(2)「第1回中間チェックアンドレビュー」について(報告書案の審議)
(3)第28回ITER理事会及び第27回BA運営委員会の開催結果について
(4)その他

4.出席者

核融合科学技術委員会

上田良夫主査、五十嵐道子委員、植竹明人委員、大野哲靖委員、尾崎弘之委員、岸本泰明委員、栗原研一委員、栗原美津枝委員、小磯晴代委員、兒玉了祐委員、髙本学委員、中熊哲弘委員、吉田善章委員、吉田朋子委員

原型炉開発総合戦略タスクフォース

笠田竜太主査、坂本瑞樹主査代理

文部科学省

岩渕秀樹研究開発戦略官、田村泰嗣室長補佐、川窪百合子核融合科学専門官、長壁正樹科学官、近藤正聡学術調査官

5.議事録

【上田主査】 それでは,定刻になりましたので,第26回核融合科学技術委員会を開催いたします。本日は,御多忙のところ御参加いただきまして,誠にありがとうございます。
今回も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインにて開催いたします。
それでは,議事に入る前に,事務局より定足数の確認及び配付資料の確認をお願いいたします。
【川窪専門官】 事務局の川窪でございます。本日の委員の御出欠につきましては,高梨委員が御欠席です。そして,植竹委員,吉田委員が後から恐らく入られるかと思います。本会議の定足数は,過半数,8名以上でございます。本日は,今12人の委員の方々が参加されており,追って14人になられると思いますが,御出席いただきますので,定足数を満たしていることを御報告いたします。
また,今回は,原型炉開発総合戦略タスクフォースから委員会への報告事項がございますので,原型炉タスクフォースの笠田竜太主査,坂本瑞樹主査代理にも参加いただいています。
次に,本日の配付資料についてですが,議事次第の配付資料一覧のとおりです。今回も委員の皆様及び傍聴の登録をされた方宛てに事前にメールにて配付資料を送付させていただいております。会議中,遠隔会議システム上では資料を表示しませんので,各自お手元で御確認いただきます。

以上です。
【上田主査】 ありがとうございました。
本委員会は,委員会運営規則に基づき,議事を公開いたします。御発言は,議事録に掲載され,ホームページ等で公開されます。
それでは,議事1,核融合発電に向けた国際競争時代における我が国の取組方針(取りまとめ)に入ります。前回の委員会では,本取組方針の骨子案について御審議いただき,様々な御意見を頂きました。それらの意見を可能な限り取り入れながら,私の方で事務局とともに報告書案を作成いたしました。前回の委員会で頂いた委員の意見をおおむね反映できていると思いますが,具体的には,岩渕戦略官から報告書案の御説明をよろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】 資料1に基づきまして御説明いたします。
「核融合発電に向けた国際競争時代における我が国の取組方針」です。タイトルにつきましても,前回の委員会では御議論あり,若干修正をしています。
その他,前回の委員会で,様々委員からのコメントを頂きました。こうした意見について可能な限り取り入れるべく工夫いたしまして,上田主査,大野主査代理とともに今日お示しする報告書の取りまとめ案文を作成しましたので,御報告いたします。本日御決定いただきたい文書の案ということです。
1ポツ,本文書の目的です。近年,核融合発電に向けた国際競争が急速に加速しています。この急変する国際情勢を踏まえ,核融合分野における研究開発,社会実装,人材育成等,我が国としての基本的な取組方針を改めて確認することが本文書の目的です。この中で,特に核融合発電炉の1号機(原型炉)に絞った取組方針については,原型炉の中間チェックアンドレビューの中で更に具体化をしていくものと理解しています。また,前回の委員会における委員の御指摘の中で,単に研究開発だけではなくて社会実装までを目指した取組方針をと御指摘を頂いており,そうした趣旨を盛り込んでいます。
2ポツ,国際情勢の概観です。ITER計画の順調な進捗に加え,最近のカーボンニュートラル実現や経済安全保障への政策的要請の高まりを踏まえ,核融合発電の早期実現に向けて主要国が非常に現実的な政策課題として取り組むという、大きな環境変化があります。
その後,EUとアメリカの例を示しています。EUにおいては, 2020年にレビューを実施し,ITERの開発成果に基づき,2050年頃までにDEMOを建設するというプランがあり,DEMOは50万キロワット程度の電気出力でグリッド供給を想定するとされています。
また,米国では,バイデン政権の誕生とともに,新たに国家計画の提案が出ており,今年の2月のFESACレポートなどを引用しています。ITER計画への参加による技術習得を米国としても継続しつつも,新技術も少し含めた形の核融合パイロット炉を2040年代に建設すべきという新しい構想が出てきているという状況です。
また,最後に,民間における動きとして,核融合ベンチャーへの民間投資の拡大が見られる,数百億円の出資を集めているという事例を示しています。
なお,我が国はこれまで,21世紀中葉までに核融合エネルギーの実用化ということで核融合発電炉(原型炉)の研究開発方針をこの委員会などで検討を進めてまいりました。ITER計画の中で難易度の高い基幹技術,主要機器の調達を多数担当するなど,核融合技術の水準は高いと考えています。
そうした国内外の状況を踏まえ,3ポツが取組方針です。(1)国際競争時代への対応のための取組加速です。ITERなど国際協調体制が今後も堅持されることは当然として,同時に,主要国は自らの核融合政策を加速しています。国際競争が顕在化するとともに,民間資本による核融合分野への投資も具現化しています。こうした計画の登場・加速が,核融合機器の産業の実体化を意味している状況を認識し,その国際動向に対応して,社会実装を意識しつつ,核融合産業力強化,サプライチェーン確保に備えるべく,核融合発電に不可欠な機器に関する研究開発を加速することが至近の課題であるとして,取組加速の必要性を訴えています。
(2)核融合発電基幹技術の確保です。各国の核融合発電に向けた構想は,ITERの成果を基にするという点で共通しています。一方で,技術的な細かい選択には国ごとの相違もあります。しかし,技術選択にかかわらず,いずれの場合にも必要となる核融合発電基幹技術は存在します。こうした基幹技術は核融合発電時代に必要となる技術です。我が国における核融合発電の早期実現のため,基幹技術の速やかな獲得に向けた研究開発を強化すべきであり,核融合発電の基幹技術については特に早期に強化すべきという認識を示しています。
そして,(3)人材育成など将来に向けた基盤整備ということで,上記取組の推進のため,人材育成など基盤整備が必要であると,改めて認識を示しています。将来の商業化における飛躍をもたらし得る先進的な概念の研究を学術的な観点から進め,研究の多様性を確保することも引き続き必要であるということです。
この部分につきましても,先般の委員会での議論を,委員から出た意見を最大限盛り込んで文章を作成しています。社会実装の加速,あるいは安全面を含めた議論,あるいは(3)のところの人材育成,基盤技術の重要性,そうした指摘について盛り込みながら,取組方針として今回お示しいたしました。
【上田主査】 ただいまの御説明に対しましては,後ほどまとめて意見交換の時間を設けたいと思います。
さて,前回の委員会では,原型炉タスクフォースに対しまして2つの点について検討を依頼させていただきました。検討依頼事項の1点目は,核融合における各国動向の分析・評価でした。この点について,原型炉タスクフォースで御議論いただきました結果をタスクフォースの笠田主査より御報告いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【笠田TF主査】 委員会からタスクフォースへの付託事項のうち,核融合における各国動向の分析・評価につきまして,7月13日に開催した第23回原型炉タスクフォースで審議した結果を御報告いたします。
お手元の参考資料1に基づきまして,タスクフォースの方では審議いたしました。この中では,各国各極における政策動向の変化,そして,近年の核融合ベンチャーへの投資活性化について、御説明した後に審議を行いました。
審議の結果,タスクフォースとしては,次のような結論を取りまとめました。
第1に,国際情勢を踏まえ,日本も核融合開発を加速すべきである。この意味で,各国の戦略の違いもあるが,共通的に必要な基幹技術の確保が重要という取組方針に異論はございません。
第2に,特に,この原型炉タスクフォースの立場からは,21世紀中葉までの実用化に備え,数十万キロワットを超える定常かつ安定した電気出力を実現という原型炉目標に必要な基幹技術の確保に最優先で取り組むことを推奨したい。
第3に,高温超伝導などの革新的技術の捉え方についてですが,この原型炉タスクフォースの立場を越えるものの,こうした革新的技術は,現在の原型炉計画には間に合わないとしても,中長期的課題として研究開発に取り組んでいく価値があるものと考える。こういった3つの結論を取りまとめました。

【上田主査】 それでは,ただいまのお二人の御説明に対しまして,御質問あるいは御意見等ございましたら,委員の方よりよろしくお願いいたします。御発言をお持ちの方は挙手ボタンにてお知らせいただけますと幸いです。いかがでしょうか。
基本的に先に御発表いただいた岩渕戦略官からの御説明のところで,我が国の取組方針につきましては,委員の方からいろいろ御意見いただきまして,その内容がおおむね反映されているかと思います。それでは,植竹委員,よろしくお願いいたします。
【植竹委員】 ありがとうございます。社会実装というワーディングを入れていただいて有り難いと思っています。核融合機器産業の実体化という言葉が出てきていますけれども,原子力産業界では,原子力機器産業とか原子力発電産業とかあえてあんまり分けて言わないので,聞き慣れないなと正直に思いました。確かにイーターをはじめとするこれまでの研究開発プロセスで核融合機器産業は実体化がある程度進んでいると。それを加速していくということは理解できます。一方で核融合発電産業について触れなくていいのかなというのがちょっと気になるところです。
国際競争時代がうたわれていますが,各国が何を競っているのかということが重要だと思います。核融合機器産業による機器開発競争なのか,それとも,核融合発電産業による発電炉の社会実装を競っているのか。日本がこの競争に参戦するに当たって,前者,すなわち,機器の開発競争をやっているということであればそうですけれども,後者のいわゆる発電炉の社会実装を競っているということになると,そういうワーディングがあって,核融合発電産業の実体化の加速みたいな意味合いが少し言葉のニュアンスに出てくるといいのではないかなと思います。「社会実装を意識しつつ」という,割と軽めのワーディングになっていますが,我々の競争は何をしているのかというところが機器の競争に集約されているので,果たしてそれでいいのかなという感じがしました。
以上です。
【上田主査】 どうもありがとうございました。御指摘の点は重要な点かと思います。実際,海外でも民間企業がパイロットプラントの建設を早めなければいけないというようなことを言っておられる会社などもございますけれども,そういうところでは当然機器を開発するだけではなくて,発電の社会実装,系統への接続なども考えながら進めているのかなと思いますので,当然機器の開発だけではなくて,その先の実際社会にどのように実装していくかの部分まで考慮すべきかとは思います。戦略官の方から何かコメントはございますか。
【岩渕戦略官】 植竹委員と上田主査のお考えで全く異論はないです。核融合発電,つまり原型炉の議論につきましては,原型炉チェックアンドレビューの中で議論をすると思います。この文書では,そこに至る前に,いずれの技術選択が行われるにかかわらず,最低限必要になる核融合発電基幹技術の開発を加速することが最大公約数的に重要ということを言っているところです。
【上田主査】 タスクフォース主査である笠田先生からのお話の中にも基幹技術の確保ということはもちろんございましたけれども,安定した電気出力を実現というところに向けてその技術を磨いていくということですので,社会実装ということの重要性をコメントいただいたかと思いますが,笠田先生,何か一言ございますか。
【笠田TF主査】 今の御指摘,植竹委員の御指摘は非常に重要なポイントで,社会実装を目指す上で優れた技術,核融合技術を我が国で確保していく,そして,発電技術として高めていくというのも当然重要で,ここで御指摘している次第ですけれども,加えて,原型炉のアクションプランの方では,アウトリーチヘッドクォーターを中心とした社会実装に向けた活動も指摘されていると思います。
やはり良いものを作れば電力グリッドにつなげてもらえるものでもなく,やはり事前にいわゆるアップストリームエンゲージメント,社会とよりよい出会い,実際に技術が実現したときの出会いを構築するための活動というのが,こういったある種の核融合,諸外国でのにぎやかな状態になっているときこそ着実にしっかりやっていくことが重要であり,これは私の個人的な考えも入っていますけれども,アクションプランに書かれているところを解釈しますと,そういうことになるかと考えています。
【上田主査】 ありがとうございました。それでは,この点につきましては,今の植竹委員からの御指摘を踏まえて必要な改定は行いたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは,ほかに御意見等はございますか。吉田善章委員,よろしくお願いいたします。
【吉田(善)委員】 今の議論についてなんですが,社会実装を競うということはもちろん理解できますが,平たく言えば,核融合エネルギーというものが実現した段階において,そのプラントを我が国が輸入しないといけないというような事態を避けるべく,国際的に競争力のある技術として育てるということですよね,一番根幹の問題は。
そのときに,核融合のように非常に総合的な複雑なプラントを構成している様々な要素技術があることはもちろんですけれども,最終的にそのプラントの国際的な競争力と,もっと端的に言うと,利潤率の高い部分を押さえておくという分析が必要ということですかね,社会実装に向けた検討では。
社会実装に向けてパブリックリレーションをよくしておくということももちろん重要ですが,最終的にできた技術に対して,非常に素人的な言い方で申し訳ないけれども,要素技術の下請に入ると利潤率はほとんどないわけですよね,既にいろいろな技術を見ていると。そうした場合,核融合エネルギーのプラントを総合的に我が国が国際的に競争力を持つといったときに,どういう部分においてリーダーシップをちゃんと持っていないといけないのかというところの分析になるのかなと,もう少し踏み込んで,というふうに思いますけれども。
【上田主査】 ありがとうございます。リーダーシップという面と,途中少し言われたお話は,コストの話,経済性のような話も含め,ただ,基本的にはやはり日本がいろいろな技術,あるいは社会的な受容性,社会実装の面でも,要するに,単にどこかの国についていくというのではなくて,日本が主導して進められるようなリーダーシップを持っておくということが,基本的に社会への受入れ,社会実装ということに重要であるという,そういうような御意見ということですか。
【吉田(善)委員】 社会実装するということを競うという意味が私のような素人にはいまいちよく分かってなくて,もう少し直接的に考えると,つまり,そういうプラント技術を総合的に我が国がエネルギー戦略としてちゃんと持っていないといけないということですよね,一番大事なのは。

【上田主査】 そうですね。
【吉田(善)委員】 そのときに,もちろんいろいろな基盤的な技術に対する技術力の高さというのは,最近どうか分からないけれども,一応自信を持っていていいと。かなり多岐にわたる様々な基盤技術を日本は持っていますよね。いろいろな分析で見ても,非常に多岐にわたっているというところは強いという産業分析もありますよね。
そういう部分は競争力をもつのですが,こういった非常にインテグレートされた技術が成立したときに,実はそのパーツは日本に発注されますが,プラントそのものを輸入することになってはいけないと,そういうことですよね,一番大事なのは多分。サイエンスという次元ではなく,国策として一番大事なのは,多分そういう,インテグレートされた技術の正にインテグレーションそのものを国としてやっぱりきちんとして押さえておくというための具体的な戦略が求められているのだというふうな気がしますが,そこのところは大丈夫でしょうか。
【上田主査】 それはもちろん重要な御指摘かと思いますが,原型炉の開発の中では,当然インテグレーションして作り上げないと原型炉はできないわけですし,少なくとも原型炉に関しては,その炉自体を他国から輸入するというようなことは少なくとも想定されてはいないと私は理解していますので,先生の言われるような部分もこの原型炉開発のロードマップあるいはアクションプラン等の中に組み込まれているというふうに私は理解しております。
【吉田(善)委員】 ですから,時間的なことが必要ですよね。つまり,原型炉開発の競争ということで考えると,時間軸を意識しないといけない。
【上田主査】 そうです。時間軸はもちろん大切です。ゆっくりやっていては間に合わないというところは当然ございます。ただ,先生の指摘は重要な指摘かと思いますので,今後最終案をまとめるに当たって,何かそういうニュアンスを取り込めるかどうか,この辺は事務局とともに検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは,五十嵐委員,お願いできますでしょうか。
【五十嵐委員】 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。大変よくおまとめいただいていて,これまでの御議論を伺っていて,核融合発電,核融合基幹技術といった言葉をすごく気をつけて使い分けていらっしゃるのが分かりました。これを専門の方が御覧になれば,どういう部分のことを指しているかお分かりになるかということが,すごく微妙なニュアンスを含んでいるのを感じました。これは感想ですが。
それで,先ほど笠田先生がおっしゃったように,いま,国際的な状況が急変してきていますけれども,そこはばたばたせずにちゃんとこれまで通り確実にやっていこうということだと思います。イーターをはじめとして,原型炉のことも,これまでやってきたことを積み上げていくとともに,新しいところも挑戦していく。その中で,やはり日本の得意だった部分を守っていって,リーダーシップも取っていくということが重要だと考えます。そういったニュアンスがより分かりやすい形になるとよいのではないかなと感じました。十分出ているとは思いますが。
それで,1点気になったのが,前回これに入るかどうかということをご質問申し上げたと思いますが,先ほどの実装の話とも関連いたしますが,安全性とか経済性についての記述が,安全性に触れられているのが1か所しかなくて,3ポツの(1)の丸の2つ目のところで,「主要国は自らの核融合政策を通じて研究開発を加速し,一部は安全面の議論にも着手するなど」と,ここだけ出てきているように思いました。いろいろ検討されてこの形になったのであろうし,ここでの安全面の議論というのは限られた場面を指しているかと思いますが,知らない者がここだけ見ると,今のところ,安全の議論というのは日本ではちゃんとやられていないのだなというふうにも取れてしまいますので,そういった要素は是非入れていただきたいと思いました。
何か感想のようで,分かりにくくて申し訳ありません。言葉遣いについては,核融合開発とか,核融合研究とか,核融合技術とか産業とか,いろいろな言葉が出てきますが,それらがきちんと伝わるようになればというふうに思いました。
【上田主査】 ありがとうございます。安全の話につきましては,当然これはその前に吉田委員も指摘されたインテグレーションの中の1つ,日本が当然きちんとその議論をしっかり行って,日本で例えば規制に関する議論など,あるいはいろいろな物質の安全な取扱い等に関する議論を,これはこれこそ正に主導して,日本が積極的に取り組まなければいけない分野と思いますので,そういうニュアンスは少し文章の中にも加えた方がよろしいかと思いますので,この点も事務局と相談して,先生のただいまの御意見を反映させたいと思っています。
あと,言葉,ワーディングに関しては,これは何か用語集みたいなものをつけた方がいいというような御意見でしょうか。
【五十嵐委員】 いえ,そこまでは。分かる方に分かるのならば問題ないと思います。すみません。安全性のことについては,皆さん,核融合の先生方は,私がそういうふうに言うと,当然考えています,とおっしゃいますが,やはり文章化して示していただかないと,分からない部分も伝わらない部分もあるかと懸念しますので,よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【上田主査】 ありがとうございました。貴重な御意見ありがとうございました。
ほかに御意見あるいは御質問はございますか。
それでは,特にないようですので,ただいま頂きました御意見を考慮して,事務局と最終的な文章を作りたいと思っております。なお,時間的な制約から,本報告書につきましては,この委員会で審議させていただくのはこれが最後になります。従いまして,最終的な取りまとめについては,私と事務局の方で最終的に執り行いますので,主査に一任いただければ有り難く存じますが,よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは,貴重な御意見,御議論ありがとうございました。
それでは続きまして,議事の2番目,「第1回中間チェックアンドレビュー」について(報告書案の審議)に入ります。本日は,前回の委員会で承認されたチェックアンドレビュー報告書の構成に基づき議論を進めます。このうち第3章までは前回までの委員会で一定の議論がありましたので,事務局とともに報告書の案文を作成いたしました。
また,前回の委員会では,原型炉タスクフォースに対して,核融合における各国動向の分析と評価と,アクションプランの進捗状況に関する追加的調査の2点の検討を依頼いたしました。これは,報告書のうち第3章,第4章に関わる議論となります。1点目の核融合における各国動向の分析・評価については,この前の議題で既にタスクフォースから報告していただいていますので,ここでは,2点目のアクションプランの進捗状況に関する追加的調査の議論の結果について報告をお願いすることになります。
それではまず,報告書案につきまして,事務局の方から説明をお願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】 資料2に基づきまして御説明いたします。「核融合原型炉研究開発に関する第1回中間チェックアンドレビュー報告書(案)」です。
前回の委員会では,チェックアンドレビュー報告書の構成について御議論を頂き,委員会の皆様の了解が得られました。この構成案に基づいて,今回の資料2においては,構成案の第3章までを文書化して,お示ししています。今回御議論いただきたい部分です。第3章までは前回までの委員会で議論がなされた部分で,その議論を基に文書化をいたしました。
また,その点は第4章などに関わりがある部分ということで,今回その辺の議論を頂き,次の回の委員会でこの第4章のところの文書化をしていきます。そうした形でこの報告書案を完成に向かって章ごとに議論を進めていくという作業を考えています。
それでは,資料2の内容につきまして,御説明いたします。まず,本報告書は,第1回中間チェックアンドレビューに関する本委員会の審議結果をまとめたものです。
第1章は,2つの内容を書いています。(1)中間チェックアンドレビュー第1回の目的です。過去のこの核融合科学技術委員会において規定されているチェックアンドレビューの目的について改めてここで引用,紹介をしています。
(2)第1回中間チェックアンドレビューに関する基本的な事項として,そもそも今回の中間チェックアンドレビューについては,CR1段階における達成目標が過去の委員会において設定されていますので,既にこの委員会が示した達成目標についての達成状況を確認することが基本であることを改めて確認しています。
その上で,過去の委員会の決定では,中間チェックアンドレビューは柔軟性を持たせ,将来の不確実性にも対応できるようにすべきと指摘があったことを振り返っています。その上で,第1回中間チェックアンドレビューの実施に当たっては,最新の国内外の情勢などを踏まえ,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題の抽出,あるいは第2回中間チェックアンドレビューまでの達成目標としてこれまで委員会で決めてきたものの精査なども併せて検討すると(2)で書いています。
第2章では,これまでの原型炉研究開発の方針について要約しています。2ページ目,過去の委員会の文書において,原型炉の目的あるいは原型炉の目標がどのように決定されていたかを改めて掲げています。そうした過去の方針に基づき,この委員会では平成30年7月に原型炉研究開発ロードマップを取りまとめ,これに基づいてこれまで研究開発が行われてきたという事実関係を示しています。
そして,これまでのそうした原型炉研究開発の代表的な成果としては,産学官共同による原型炉設計合同特別チームにより策定された原型炉概念設計の基本設計があることを示しています。この点は,前回の委員会において報告がなされたところです。①,②,③といった内容を持つ基本概念が提示されているという状況です。そうした点を改めて要約しています。
2ページの後半,下の部分,第3章ですが,核融合を取り巻く国内外の情勢の変化ということです。この中間チェックアンドレビューの報告書においても,国内外の情勢変化という点について触れるという構成案になっています。国内外の情勢変化を要約しています。文章をなぞっていくと,第1回中間チェックアンドレビューを実施するに当たって,核融合を取り巻く国内外の最新情勢を十分把握しておくことは重要であるということで,主要国における情勢の変化について言及しています。主要国において核融合開発が加速している背景について,第1に,技術的な要因として,イーター計画の順調な進捗について,第2に,社会経済的な要因として,パリ協定,カーボンニュートラル,エネルギー安全保障といった動きについて言及しています。また,核融合ベンチャーの動きなどに典型的ですが,科学技術の進展に伴い,核融合分野の技術革新の可能性が生まれており,そうした動き,諸外国のベンチャー企業等の動きなどについても注目する必要があるという認識を示しています。
その後,第4章以降については,今日以降の委員会での審議結果を踏まえ,次の委員会以降に案文を書き込み, 最終的な報告書案として取りまとめたいと事務局としては考えています。

【上田主査】 それでは,ただいまの御説明につきましては,後ほど意見交換の時間を設けたいと思います。
続いて,原型炉タスクフォースで御議論いただいた結果を,タスクフォースの笠田主査から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【笠田TF主査】 それでは,委員会からタスクフォースへの付託事項のうち,アクションプランに関する進捗状況調査結果報告後の追加的調査につきまして,7月に開催したタスクフォースで審議した結果を御報告いたします。
なお,委員会からタスクフォースへの付託事項のうち,核融合における各国動向の分析・評価についても,チェックアンドレビュー報告書の議論に資するものですが,既に議題1で御報告しましたので,ここでは御報告を省略いたします。
今回のタスクフォースの審議は,参考資料2,お手元の資料に基づいて審議しております。この中では,IFERC事業などからいろいろ含まれていますが,特に最後のページ,サテライト・トカマク計画事業に関連した結論をここで報告いたします。
審議の結果,タスクフォースとしては,次のような結論を取りまとめました。
第1に,今回の原因究明・再発防止策は,品質管理の観点から今後の原型炉計画に教訓を与えるものである。原型炉設計特別合同チームなどが,今回の経験を生かすことを求めたい。
第2に,このような品質管理上の教訓がある一方,原型炉の概念設計の方針を揺るがす課題が顕在化したとは認められない。すなわち,今年1月,本タスクフォースは,アクションプラン進捗調査をまとめ,原型炉概念設計に向けて技術は成熟していると結論したが,今回の事案にかかわらず,その結論に特段の変更は必要ないと考えます。
第3に,JT-60SAは,本年3月にECRプラズマの点火に成功した一方で,今回の事案により,トカマクプラズマの点火は未達成である。JT-60SAによる研究開始という目標の達成状況をどう評価するのかは委員会の皆様の判断に委ねたいというところになっております。
【上田主査】 それでは,ただいまのお二人の御説明に対して,御質問あるいは御意見等ございましたら,委員の方からよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
アクションプランの報告書におきましては,これまでの議論あるいはタスクフォースで御議論いただいた内容を考慮しながらまとめているところでございます。先ほど岩渕戦略官からも御説明ありましたように,特に3章,核融合を取り巻く国内外情勢の変化につきましては,ヒアリングあるいは意見交換などを行って,その内容を反映させていただいているということでございます。
この3章までの内容でも結構ですし,あと,例えば4章以降のところ,特に4章等について,あるいは全体的な御意見,どんな観点からでも結構ですけれども,いかがでしょうか。
それでは,栗原委員,よろしくお願いいたします。
【栗原(美)委員】 資料1と資料2に対するコメントです。今回,足元で各国が戦略的にここの開発を進めているという大きな環境変化がある中で,チェックアンドレビューのCR1を行うわけです。かつ,ロードマップでは,第2回中間チェックアンドレビューまでの今後5年間で概念設計を行うことから,その概念設計に移るに当たっての大きな節目になります。
ですから,今回行われているチェックアンドレビューは,次の第2回目に向けてとか,今後5年間で行うべき概念設計が従来のロードマップで考えられている概念設計のままで良いのか,それとも更に加速する必要があるのかとかが示されるべきではないでしょうか。取組方針として書かれていたようなことがもう少し具体化すると,ロードマップなりアクションプランの変化が分かると思いますが,何かそこのところがちょっと見えませんでした。どのような認識かというところを皆さんと目線合わせをしたいと思いました。
【上田主査】 ありがとうございます。非常に重要な御指摘で,実はそこのところは,今後タスクフォースにも検討を依頼しようと思っているところです。
まず資料2でいいますと,今栗原委員から御指摘があったところは,5章,5ポツ,CR2に向けた課題の抽出のところで,よりタスクフォースでの議論などを踏まえて書かれることになります。実際,社会情勢が変わってきており,民間資本も入って,欧米では核融合開発に対して資本の投入あるいは加速化などが議論されているという情勢は,当然これは考えないといけませんし,実際数年前にロードマップを作ったときにそういう状況までは想定されていなかったという部分はかなりございますので,それを踏まえて,同時に日本の現在の開発状況という第1回中間チェックアンドレビューでチェックした現状を踏まえて,5年後,次のチェックアンドレビューの2回目に対してどういうことを重点的にやるのか,あるいは加速していくのか,そういうところの記述は当然必要だと考えておりますし,それは正にこれからタスクフォースでの議論を踏まえて,委員会で委員の皆様に御意見を伺いながら進めるという,そういう予定にしています。

【栗原(美)委員】 そうすると,基本設計が終わり,今回のチェックアンドレビューが終わると,次の概念設計に移る前に,概念設計に当たってのロードマップの引き直しや,今までと変わるところがあれば加速プランなどを改めて作り直した上で,進むということでよろしいですか。
【上田主査】 そうですね。もちろん完全に見直すとか,そういう非常にメジャーな見直しをするというわけではございませんし,基本路線は大体このロードマップに沿ったものですが,ただ,やはり少し細かい課題あるいはその達成時期等につきましては,必要ならば見直しを行っていくということでございます。
【栗原(美)委員】 ありがとうございます。
【上田主査】 その辺は,笠田主査の方から何かコメントございますか。
【笠田TF主査】 特に第2回中間チェックアンドレビューに向けた重要課題の抽出というところで委員の皆様にも御検討いただきたいのは,加速するというのは,今後諸外国等との競争とか協調も含めて何を優先的に加速していくべきなのかという議論が多分,技術的な側面でも必要ですし,社会的な側面でも必要だと私は個人的には思いますので,そういったところを多角的に御検討いただきたいと思います。もちろんタスクフォースでは技術的な側面とか,あるいは社会的な部分も検討しますけれども,総合的にはこちらの委員会の方でも議論していただけると私もタスクフォース主査として議論を方向づけられると思いますので,その辺りをお願いしたいと思っております。
【上田主査】 ありがとうございます。
栗原委員,御発言よろしくお願いします。
【栗原(美)委員】 技術的な側面は大変重要ですし,産業としての側面も大変重要です。産業としてと言ったときに,この核融合の原型炉が日本で競争力を持つことの産業界へのプラスの影響はとても大きいと思います。その一方で,発電炉だということを考えますと,エネルギーとしての競争力も大変重要で,この発電がエネルギーとして産業なり社会なりを支える競争力あるものになるだろうかというところは,恐らくいろいろな立場の人が分からないところだと思いますので,そこは1つのポイントになってくると思います。エネルギーとしての競争力も必要だと思います。
【上田主査】 まさしく今おっしゃられたとおりかと思います。他のエネルギー源ともやはり競争することになりますので,競争力を確保できるようにするということは当然必要かと思います。
それでは,ほかにいかがでしょうか。何か御意見,御質問はございますか。よろしいですか。
それでは,特に御意見,御質問ないようですので,本日の御意見,議論を踏まえて,今後の報告書の案文については,私と事務局で更に修正作業を行ってまいりたいと思います。特に次回以降は,第4章以降ということになります。
また,この報告書をまとめるに当たって,先ほども栗原委員より御指摘ありましたように,今後の第2回中間チェックアンドレビューに向けての課題なども検討する必要がございますので,原型炉タスクフォースに対しまして,2つの点を依頼いたします。
まず第1に,アクションプランの進捗状況と第1回中間チェックアンドレビューの目標達成状況とがどのように連関しているのかを分かりやすく整理するということです。原型炉タスクフォースにおいてその整理を御議論いただき,次回委員会で御報告いただければと考えています。
更に第2には,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題について,正にこれは御指摘いただいたところです。この点は,本年1月に原型炉タスクフォースが取りまとめたアクションプラン進捗状況調査でも指摘がございました。そこで,原型炉タスクフォースにおいて,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題抽出に関して基本的な点を御議論いただき,次回委員会で御報告いただければと考えています。それを基に次回の委員会において,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題の抽出について議論をさせていただきたいと考えております。
笠田主査,どうぞよろしくお願いいたします。

【笠田TF主査】 了解いたしました。
【上田主査】 それでは,本件について,委員の方から特によろしいでしょうか。
それでは続きまして,議題3に入りたいと思います。第28回ITER理事会及び第27回BA運営委員会の開催結果についてです。これにつきましては,岩渕戦略官の方から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【岩渕戦略官】 ITER理事会及びBA運営委員会の開催結果について御説明いたします。
まずはITERの方,資料3-1「第28回ITER理事会の結果について」です。
1ページ目,第28回ITER理事会の議題等です。6月16,17日にテレビ会議によって開催されました。今回はビデオ会議で開催しました。出席者は,日本から松尾文部科学審議官,そして,鎌田QST那珂研副所長ほかが参加をしています。議題につきましては,ITER計画の進捗報告あるいはITERの建設活動のマネジメントに関わる議論がなされました。
2ページ目,ITER理事会の結果概要ということで,1ポツ,2ポツと書かいています。1ポツ,ITER計画の進捗です。ITERの運転開始までの建設作業は,現時点で73%の進捗であり,順調に進捗度合いが高まっています。コロナウイルスの影響下ですが,主要な機器が続々とITERサイトに納入され,それを組み立てるという活動が進展していることがITER理事会においても報告をされました。日本の貢献についていえば,日本の超伝導トロイダル磁場コイル,これが順次サイトに到着しつつあり,TFコイルの3号機運搬中のものの写真をつけています。
コロナの影響ということもあるわけですが,ITER理事会においては,最終的に2035年に核融合運転を行うというマイルストーン,現行のスケジュールについては維持することを理事会においては合意しています。もちろん他方でコロナの影響というのは依然として継続しているわけですので,2025年に運転開始をするというスケジュールへの影響については,継続的にITER機構で精査し,コロナの影響を最小化するための対策を引き続き実施していくということで合意をしています。例えばサイトにおいて段階的に実施することとしていた組立て等の作業を同時並行で,同時進行で実施するということは可能かといった,影響最小化策の検討,これを今行っています。
2ポツ,ITER運転期の基本方針の策定です。いずれにせよITERの運転期が近づいてまいりました。この運転期におけるITER機構とITER参加7極との役割分担,あるいは必要となる人的リソースの全体像など,ITERの運転期の基本的な事項について,ITERの運転開始2025年ということです。まだ時間は多少ありますが,今,議論を開始すべきということです。こちらについては,ITERの運転期の基本計画を検討する各極担当者会議の設置を我が国日本から提案し,各極の賛同を得て設置が決定しました。日本が議長国として今後ITERの運転期の基本計画を検討していきます。
続きまして,資料3-2「第27回BA運営委員会の結果について」です。1ページ目を御覧ください。第27回BA運営委員会の概要です。日程は6月3日,こちらもオンラインでの開催となりました。出席者は,日,EUそれぞれ,局長,審議官級の人間が担当をしています。主な議題,BAの3つの事業の進捗状況報告,IFMIF/EVEDA,IFERC,サテライト・トカマク計画(STP),そして,その他として青森県及び六ヶ所村によるホストサポートの状況紹介などが議論をされました。
2ページを御覧ください。第27回BA運営委員会の結果概要です。この委員会では,IFMIF/EVEDA,IFERC,STPの3事業について事業の進捗を確認するとともに,今後の事業計画について議論いたしました。1ポツの①,②,③に3事業に関するそれぞれの様子を書いています。
例えば①番についていえば,超伝導線形加速器の最終組立てに向けて,機器の製作が着実に進んでいるという状況が確認されています。②でいえば,ITER遠隔実験センター,この技術が活用されて,ITER機構,IFMIF/EVEDA,STPとの遠隔参加システムの開発に貢献しているというような状況が確認されています。また,STP事業については,JT-60SAの統合試験運転において,多くのマイルストーンが達成されているということ,超伝導コイル状態への転移,コイル冷却あるいはECRプラズマ生成等の成功が確認されています。一方で,予期せぬ電流の増加等の事象が発生しているということで,その根本原因の究明,回復策の検討の状況について議論がなされています。
その他として,2ポツ,六ヶ所における欧州研究者への生活支援,教育支援等に関する地元自治体,青森県,六ヶ所村の多大な協力について謝意が述べられています。次回の運営委員会は,今年12月に欧州,イタリアで物理的に開催するということが一旦合意をされていますが,物理的な開催となるか,オンラインの開催となるかにつきましては,今後のコロナの状況次第と理解しています。

【上田主査】 それでは,ただいまの御説明につきまして御質問等ございましたら,よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
どちらの事業も当然,コロナウイルスのこのような厳しい状況の中にあっても,例えばBA事業などでは,ヨーロッパと日本を遠隔でつないで装置の運転をするとか,いろいろな工夫をされて影響を最小限に抑えるということで,全体として見れば比較的順調に進んでいると言えるのではないかと思います。ただ,そこには,実際にこの事業に関わっておられる多くの方のいろいろな工夫,御苦労があるというふうに聞いています。
他にいかがでしょうか。それでは,どうもありがとうございました。
それでは続きまして,議題4,その他に移りたいと思います。前回の委員会の最後に,尾崎委員の方から,核融合分野に関する経済界への働きかけについて御報告いただきました。非常に有益な情報でしたので,その点についてフォローアップしたいと考えています。この点につきましても,岩渕戦略官の方から御説明をお願いします。
【岩渕戦略官】 前回その他の議題で尾崎委員から御発言がありました点について,簡単にまとめました。資料4「前回委員会における委員発言のフォローアップ」です。
1ポツですが,前回委員会の「その他」議題において,委員会委員より,概略次のような発言があったということで,原型炉発電の時代であれば,従来核融合に関わりの薄かった業界など経済界に対するコミュニケーションを強化することが課題ではないか,核融合コミュニティーの外縁を拡大していくことが必要ではないかと御指摘を頂きました。
こうした御指摘は,過去の委員会における議論とも重なり合う部分があると感じています。2ポツですが,(1),平成29年12月のこの委員会のレポートでは,核融合エネルギーの特性や有用性・安全性に関して,社会との情報の共有,不断の対話が必要という指摘,あるいは多様な視点から,核融合エネルギーの社会的価値の最大化を目指した連携活動を計画・推進することが指摘されていました。
また,2ポツ(2)については,主要国において核融合発電に向けた取組が加速しているという中で,核融合ベンチャーなど経済界の動きが非常に活性化しているという,主要国における動きということも考えるべき点です。
3ポツですが,こうした前回の委員会における委員の御発言については,第2回中間チェックアンドレビューに向けた課題抽出,CR2に向けた課題として重要な視座を提供するものと考えられますので,今後,第1回中間チェックアンドレビュー報告書における第5章の検討などの中で議論を深めていく必要があるテーマと考えております。このような考え方で特段問題がなければ,今後,第5章の議論の中で少しこの問題を掘り下げていければと考えています。
【上田主査】 それでは,この内容を今後第1回中間チェックアンドレビューの検討,今後も進みますが,さらなる議論,御意見等を頂いて,より産業界,経済界に対してコミュニケーションの強化,協力関係をつくっていくにはどうすればよいのか,その辺のところについても是非議論させていただきたいと思います。
本説明に関しまして,何か御質問,御意見等ございますか。尾崎委員,よろしくお願いいたします。
【尾崎委員】 神戸大学の尾崎でございます。前回のご報告後,追加のコミュニケーションを幾つかの企業と行っています。9月30日にウエブで大企業経営者向けのセミナーを行い、ITERの多田副機構長にお話しいただきました。商社,自動車,エネルギー、エンジニアリング、電機など10社弱の企業のいずれも役員クラスの方々にご参加いただきました。個別に意見交換をしましたが,非常に有益な情報が集まっていると思います。
情報として主に4つあります。この委員会ではITERのスケジュールについて情報共有がされていますけれども,民間の,特に委員会と距離がある企業にはあまり知られていないのが現状です。ところが、スケジュールを具体的に聞くと,夢のエネルギーと思っていた核融合がリアルになっているという実感を持っていただけます。
それから,2番目ですけれども,原型炉について説明をすると,正に民間としても情報を集めて検討しなければいけないなという反応が返ってきます。
3番目は,海外の状況ですけれども,北米や中国でベンチャー企業に大きな投資がされているという情報は割と知られていますが,それを見て,日本が技術的に劣後しているという誤解を持たれているケースが多いです。丁寧に説明すれば、それは誤解だと理解して貰えます。
4番目,これは非常に重要だと思います。核融合の安全基準がまだ出てきておりませんが,例えば米国が先行して安全基準を出すと,企業としては,核融合に取り組む意思決定をやり易くなるようです。こういったことが会合から分かってきます。
今後どんな枠組みで企業との情報交換を進めていくかですが,少しずつ企業の経営クラスにファンを広げて,情報収集したい。それから,情報交換したい人を徐々に増やしていくということがスタートとしては良いやり方と思っています。
【上田主査】 非常に貴重な情報をお示しいただきまして,ありがとうございます。最初に言われたように,まだ十分に我々の方で企業の方に情報をお示しできていないということがまずあるように思いますので,その辺も今後の課題になると思います。
尾崎委員から,こんなことをしたらいいのではないかという御提案はございますか。
【尾崎委員】 中期的には,文科省のプロジェクトとして企業コンソーシアムをつくることが考えられます。ただ,それには時間がかかると思いますので,例えば今回のようなクローズなセミナーを開催して,ITERの情報提供をする,また,那珂研究所にツアーをつくって見に行ってもらうのが効果的と思います。現地訪問したことがある企業は多くないので,具体的なアクションとして考えられます。
【上田主査】 ありがとうございます。是非関係者と検討したいと思います。
それでは,ほかに何か意見等ございますか。こちらで本日用意している議事は以上で終わりです。何か委員の方から御発言等はございますか。
それでは,本日の核融合科学技術委員会につきましては,これで閉会したいと存じます。今後とも委員の皆様,御議論よろしくお願いいたします。本日は御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

 

 

お問合せ先

研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付

川窪、鈴木
電話番号:03-6734-4163

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(研究開発局研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)付)